IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ノーダム・グループ・エルエルシーの特許一覧

<>
  • 特表-航空機のシートモジュール 図1
  • 特表-航空機のシートモジュール 図2
  • 特表-航空機のシートモジュール 図3
  • 特表-航空機のシートモジュール 図4
  • 特表-航空機のシートモジュール 図5
  • 特表-航空機のシートモジュール 図6
  • 特表-航空機のシートモジュール 図7
  • 特表-航空機のシートモジュール 図8
  • 特表-航空機のシートモジュール 図9
  • 特表-航空機のシートモジュール 図10
  • 特表-航空機のシートモジュール 図11
  • 特表-航空機のシートモジュール 図12
  • 特表-航空機のシートモジュール 図13
  • 特表-航空機のシートモジュール 図14
  • 特表-航空機のシートモジュール 図15
  • 特表-航空機のシートモジュール 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】航空機のシートモジュール
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20231214BHJP
   B60N 2/005 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B64D11/06
B60N2/005
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533396
(86)(22)【出願日】2021-11-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 US2021060226
(87)【国際公開番号】W WO2022119733
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/119,695
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521168597
【氏名又は名称】ザ・ノーダム・グループ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】THE NORDAM GROUP LLC
【住所又は居所原語表記】6910 North Whirlpool Drive,Tulsa,OK 74117,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ロバート・ハッカー
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・ロベルト・フローレス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・アービン・エリクソン
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA09
3B087CA19
3B087DA04
(57)【要約】
航空機のシートモジュール(20)は、隣接するエルボ(32)で垂直取付ポスト(30)に一体的に結合された水平取付レール(28)を有するシートマウント(26)を含む。レール(28)は、航空機のキャビンシートトラック(18)に取り付けるための、ポスト(30)から長手方向に離間された取付ボス(34)を含む。レール(28)及びポスト(30)の両方は、乗客のシート(22)及び付属の備品(24)を、シートマウント(26)に直接的に取り付け、次にキャビンフロア(12)のシートトラック(18)に間接的に取り付けるための、取付穴(38)が含まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のキャビン(10a)のフロア(12)のシートトラック(18)上で航空機の乗客のシート(22)及び備品(24)を支持するように構成された航空機のシートモジュール(20)であって、
隣接するエルボ(32)で垂直取付ポスト(28)に一体的に結合された水平取付レール(28)を含むシートマウント(26)と、
前記シートトラック(18)に取り付けるための、前記ポスト(30)から長手方向に離間された取付ボス(34)を含む前記レール(28)と
を備え、
前記レール(28)及びポスト(30)の両方は、前記シート(22)及び備品(24)を、前記シートマウント(26)に直接的に取り付け、次に前記キャビンフロア(12)の前記シートトラック(18)に間接的に取り付けるための、長手方向に離間された複数の取付穴(38)を含む、
航空機のシートモジュール。
【請求項2】
前記航空機のキャビンは前記キャビンフロア(12)上で垂直に延びる側壁(14)を含み、前記シートトラック(18)は前記キャビン側壁(14)と平行に延び、
前記取付ポスト(30)は、前記取付レール(28)から垂直に自立して、かつ前記キャビン側壁(14)に沿って前記キャビン側壁(14)に取り付けられることなく垂直に延びるように構成され、
前記取付レール(28)は、前記キャビン側壁(14)から横方向に延び、前記シートトラック(18)への取り付けのため前記取付ボス(34)を前記シートトラック(18)と位置合わせするように構成されている、
請求項1に記載のシートモジュール。
【請求項3】
前記航空機のキャビンは、前記キャビンフロア(12)に固定された一対の前記シートトラック(18)を含み、
前記取付レール(28)は、前記一対のシートトラック(18)に対応して取り付けるため、前記一対のシートトラック(18)と対応して位置合わせされるため、離間された一対の前記取付ボス(34)を含む、
請求項2に記載のシートモジュール。
【請求項4】
前記取付レール(28)は、前記側壁(14)に対して垂直から鋭角までの範囲のレール角度(A)で前記キャビン側壁(14)から横方向に延びるように構成されているとともに、前記一対のシートトラック(18)と対応して位置合わせするための前記取付ボス(34)の対応する位置及び間隔を含む、
請求項3に記載のシートモジュール。
【請求項5】
前記取付ポスト(30)及び取付レール(28)の両方は、前記垂直ポスト(30)から前記水平レール(28)及び前記シートトラック(18)に順に加えられる荷重を伝えるための前記シートマウント(26)のねじり強度を高めるために、前記隣接するエルボ(32)に隣接する断面構成を変化させる、
請求項2に記載のシートモジュール。
【請求項6】
前記取付ポスト(30)は、遠位上端から前記エルボ(32)での近位下端に向かって厚さが増加し、
前記取付レール(28)は、前記エルボ(32)に隣接する近位端部分において、反対側の遠位端部分よりも大きな構造強度を有する、
請求項2に記載のシートモジュール。
【請求項7】
前記取付ポスト(30)は、前記エルボ(32)に隣接するU字形チャネルを形成するために、その向かい合う遠位端と近位端との間で下方に向かうにつれて高さが増加する一対の隣接する側壁フランジ(30a)を有する垂直プレートを備え、
前記取付レール(28)は、U字形チャネルを形成するために、その向かい合う近位端と遠位端との間で延びる一対の隣接する側壁フランジ(28a)を有する水平プレートを備える、
請求項2に記載のシートモジュール。
【請求項8】
前記複数の取付穴(38)は、前記垂直取付プレート(30)に沿って及び前記水平取付プレート(28)に沿って長手方向に離間され、
前記取付ボス(34)は、前記U字形チャネルの内側で前記水平取付プレート(28)に一体的に接合されているとともに、前記隣接する側壁フランジ(28a)と一体とされている、
請求項7に記載のシートモジュール。
【請求項9】
前記取付ボス(34)は、前記取付レール(28)を前記シートトラック(18)に固定するためのねじ付きファスナ(42)を受け入れるための下向きに向かうねじ付き穴36を含む、
請求項8に記載のシートモジュール。
【請求項10】
前記シートマウント(26)は、前記エルボ(32)に隣接する前記取付レール(28)に固定されたU字形チャネルを形成し、そこに箱形断面を集合的に形成するための一対の側壁フランジ(40a)を有するカバープレート(40)をさらに備える、
請求項7に記載のシートモジュール。
【請求項11】
前記取付レール(28)において前記シートマウント(26)に固定的に結合された前記航空機の乗客のシート(22)と、
前記取付ポスト(30)及び前記取付レール(28)の両方で前記シートマウント(26)に固定的に結合された前記備品(24)と
をさらに備える、
請求項3に記載のシートモジュール。
【請求項12】
前記シート(22)は、前記取付レール(28)の前記取付穴(38)の1つを通って延びるシートファスナ(44)によって前記シートマウント(26)に固定されており、
前記備品(24)は、前記取付穴(38)の異なるものを通って延びる対応する備品ファスナ(46)によって前記シートマウント(26)に固定されており、
前記シートマウント(26)に固定された前記シート(22)及び備品(24)は、前記取付ボス(34)を前記シートトラック(18)に結合するフロアファスナ(42)によって前記キャビンフロア(12)に取り付け可能な自立型集合シートポッドを画定する、
請求項11に記載のシートモジュール。
【請求項13】
前記シートマウント(26)は、前記シート(22)及び備品(24)を支持するとともに、航空機の運行中に前記シートモジュール(20)が経験する運行荷重に耐えるようなサイズ、強度及び重量で構成されており、
前記備品(24)は、前記航空機の運行中に前記シートモジュール(20)が経験する前記運行荷重に対して、前記キャビンフロア(12)によって直接支持される代わりに、前記シートマウント(26)によって支持されるため、対応して軽量化されるように構成されている、
請求項12に記載のシートモジュール。
【請求項14】
前記備品(24)は、前記シート(22)を境界づけるとともに、前記キャビン側壁(14)に取り付けることなく、前記シートマウント(26)の上に前記備品(24)を自立させるために、前記取付ポスト(30)に固定された隔壁を含む、
請求項12に記載のシートモジュール。
【請求項15】
前記取付ボス(34)のそれぞれの対を有するそれぞれの前記取付レール(28)をそれぞれ含む一対の前記シートマウント(26)と、
前記一対の取付レール(28)に固定的に結合された前記航空機のシート(22)と、
前記一対の取付ポスト(30)及び前記一対の取付レール(28)に固定的に結合された前記備品(24)と
をさらに備える、
請求項3に記載のシートモジュール。
【請求項16】
前記シート(22)は、前記取付レール(28)の前記取付穴(38)を通って延びる対応するシートファスナ(44)によって前記一対のシートマウント(26)に固定されており、
前記備品(24)は、前記取付穴(38)の異なるものを通って延びる対応する備品ファスナ(46)によって前記一対のシートマウント(26)に固定されており、
前記シートマウント(26)に固定された前記シート(22)及び備品(24)は、前記取付ボス(34)を前記シートトラック(18)に結合するフロアファスナ(42)によって前記キャビンフロア(12)に取り付け可能な自立型集合シートポッドを画定している、
請求項15に記載のシートモジュール。
【請求項17】
前記シートマウント(26)は、互いに平行であるとともに、前記シート(22)の前端及び後端で離間されており、
前記シート(22)は、前記シート(22)の幅にわたって離間された一対のレッグ(22a)を含み、
前記シートレッグ(22a)は、前記シート(22)の前記前端及び後端の両方で前記シートファスナ(44)によって前記取付レール(28)に固定されている、
請求項16に記載のシートモジュール。
【請求項18】
前記シート(22)は、前記一対のシートマウント(26)上に斜めに固定されており、
前記シートマウント(26)は、前記シート(22)及び前記シート(22)に取り付けられた備品(24)の対応する異なる部分を異なるように支持するための異なる構成を有する、
請求項16に記載のシートモジュール。
【請求項19】
前記備品(24)は、前記シート(22)の両側に配置されており、
前記取付レール(28)は前記シート(22)を横切って横方向に延び、前記備品(24)は前記シート(22)の両側で前記取付レール(28)に固定されている、
請求項18に記載のシートモジュール。
【請求項20】
請求項2に記載の前記航空機のシートモジュール(20)を製造する方法であって、
前記航空機のシート(22)及び付属の備品(24)の両方を前記シートマウント(26)に取り付けることと、
前記シート(22)、備品(24)及びシートマウント(26)を、前記航空機のキャビン側壁(14)に取り付けずに、前記航空機のキャビンフロア(12)の前記シートトラック(18)にまとめて取り付けることと
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には航空機のシート(座席)に関し、より具体的には、航空機の乗客のキャビン(客室)における航空機のシートの取り付けに関する。
【背景技術】
【0002】
商業的な旅客機は通常、航空機の乗客のキャビンの長さにわたって延びる1つ又は2つの通路を有し、それに沿って複数列の乗客のシートが配置されている。通常、ファーストクラス又はビジネスキャビンのシートは、スタンダードキャビン又はエコノミーキャビンよりも大きくかつ幅が広く、特別な足元の広さを提供するため、また乗客が水平な睡眠姿勢を可能にするためのプレミアムシートの横たわり拡張を提供するため、前者のプレミアムシートの方が後者のエコノミーシートよりも通路の間隔が広くなっている。
【0003】
シートは、キャビンフロアを支持する下にあるキャビンフレーム又はビームにしっかりと取り付けられた一対のシートトラックに、対応するシートレッグ(脚)を取り付けることによって、シートクラスに関係なく同様の方法でキャビンフロアに固定的に取り付けられる。シートトラックは、キャビンフロアボード(床板)に沿うとともにそれと同一平面で長手方向に延び、対応するダブルラグねじ付きスタッドフィッティング又はファスナを受け入れるように構成された鍵穴スロットの列を含む。
【0004】
このファスナのダブルラグは鍵穴スロットに挿入され、フランジの下で保持するために2つのスロット間の中間でスライドし、次に、適合保持シートに適合するサイズの対応する円形ワッシャ又はプランジャによってそこに固定される。ねじ付きスタッドがシートレッグを通して延び、スタッド上の保持ナットが所定の位置にワッシャをクランプしてスタッドファスナの動きを防ぎ、それによってシートが所定の位置に固定される。
【0005】
様々なシートのレッグは、主にシートベルトによってシートに保持される各乗客の体重によるすべての運行荷重に耐えられるようにサイズが決められるとともに構成されている。
【0006】
航空機のシートは、通常の航空機の飛行に加えて、生存可能な衝突状況でも乗客を保護するように設計されている。従って、それらは、滑走路からの逸脱、激しい着陸又は着陸装置の故障等の、いわゆる16倍の重力(16g)の動的衝突イベントに対して完全性を維持するために十分に強いことを証明する必要がある。
【0007】
一般的な乗客の飛行中の慣性荷重は、前方に4g、後方に2g、側方に2g、上方に3g及び下方に4gに達する。一方、緊急着陸時には、慣性荷重が前方に16g、後方に4g、側方に4g、上方に8g及び下方に14gと大幅に高くなる可能性があり、これらの慣性荷重はすべて、各乗客のシート及びシートレッグを通して、及びシートファスナを通して、シートトラックに安全に伝えられなければならない。
【0008】
フロアに取り付けられたシートトラックは、キャビンの主要な構造要素である。航空機レベルの認証及び構造準拠のため、シート製品はシートトラックにのみ取り付けることが許可されており、キャビン若しくはその側壁又は胴体に追加で取り付けることはできない。従って、シートからのすべての力は、16gの動的衝突イベントを含めて、シートトラックを通して又はシートトラック内に伝わる必要がある。
【0009】
シートのフロアレベルの取付点を提供するためにシートトラックに取り付けられる様々な従来のシートフレーム又はアダプタが存在する。ビジネスクラス及びファーストクラスのシートの場合、シートは、エコノミーシートよりもサイズが大きく、通常かなりの傾斜を可能にし、就寝時に平らに横たわらせるためより複雑になっている。このようなプレミアムシートは、通常、付属の備品及び関連付けられたプライバシーパーティションが更に含まれており、これらすべてにより重量及び荷重が更に増加し、これらは、依然として、小型で軽量のエコノミーシートのために航空機に設けられたものと同じシートトラックを通して同様に伝えられなければならない。
【0010】
プレミアムクラスのシート環境は、プライバシー、エンターテイメント、ワークスペース及び快適性を備えたシートモジュール又はポッドを提供するために進化した。この進化により、シート製造会社は、シート及び備品の基部に固定された重くて大きな取付プレートを使用し、そのベースプレートを航空機のシートトラックに取り付けることがあるポッドを設計するようになった。
【0011】
航空会社は、双通路型航空機が従来運航していた長距離路線で単通路型航空機の利用を模索しているため、そのようなシートポッドに利用できるスペースは限られており、従来のシートポッドの設計ではサイズ及び重量が大きすぎるため不適切である。
【0012】
従って、航空機のシートモジュールからの重量及び荷重をより航空機のキャビンフロアの従来のシートトラックに効率的に伝えるための改善された航空機のシートモジュールを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0013】
航空機のシートモジュールは、隣接するエルボで垂直取付ポストに一体的に結合された水平取付レールを有するシートマウントを含む。レールは、航空機のキャビンシートトラックに取り付けるための、ポストから長手方向に離間された取付ボスを含む。レール及びポストの両方は、乗客のシート及び付属の備品を、シートマウントに直接的に取り付け、次にキャビンフロアのシートトラックに間接的に取り付けるための、複数の取付穴を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
発明は、好ましい例示的な実施形態に従って、そのさらなる目的及び利点とともに、添付の図面と併せて以下の詳細な説明でより詳細に説明される。
【0015】
図1図1は、乗客のシートを支持するシートマウントを含む改善された航空機のシートモジュールが結合されるフロアに取り付けられた一対のシートトラックを有する航空機のキャビンの一部の等角断面図である。
図2図2は、例示的なビジネスクラスの乗客のシート及び付属の備品を含む、図1に示された例示的なシートモジュールの等角図である。
図3図3は、シートモジュールの大部分が取り外されて、キャビンフロアのシートトラックに固定されたシートマウントの例示的な実施形態を示す、図1に示す航空機の乗客のキャビンの等角図である。
図4図4は、シートが取り外されて、付属の備品及びその下にあるシートマウントを示す、図1に示されたシートモジュールの列の上面図である。
図5図5は、別の実施形態で示されるシートマウントを備えた、図3に示される例示的な乗客のキャビンの等角図である。
図6図6は、シート角度の例示的な範囲を示すために、キャビンフロアの2つの下にあるシートトラックに固定された例示的なシートマウントの上面図である。
図7図7は、例示的なシートマウントを単独で示す等角上面図である。
図8図8は、図7に示されたシートマウントの線8-8に沿った等角底面図である。
図9図9は、例示的なアセンブリにおいてカバーによってレールのエルボ端が囲まれた状態で、エルボで水平取付レールに固定された垂直取付ポストを含む、図7に示されたシートマウントの等角分解図である。
図10図10は、図9に示された取付ポスト及びエルボの線10-10に沿った等角背面図である。
図11図11は、図9に示された取付レールの線11-11に沿った等角底面図である。
図12図12は、図7に示された垂直ポスト及び水平レールでのエルボジョイントの線12-12に沿った等角背面図である。
図13図13は、図1及び図2に示されたものと同様であるが、図5に示されたシートマウントの異なる実施形態を有する、別の実施形態によるシートモジュールの正面図である。
図14図14は、図13に示されたシートモジュールの背面図である。
図15図15は、図13に示されたシートモジュールの線15-15に沿った底面図である。
図16図16は、図13において紹介されたシートモジュールで使用するために構成された、図7で紹介されたシートマウントの実施形態の分解等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、フロア12及び周囲の側壁14を含む乗客のキャビン10aを有し、航空機の長手方向のX軸に沿って長手方向に離間された窓16の列を有する航空機10の断面を示す。その長手方向のX軸を横切るのは航空機の幅にわたって延びるY軸であり、フロア12から垂直に延びるのがZ軸である。
【0017】
航空機10自体は、収益クラスごとに分離された1つ又は複数の乗客のキャビン及び通路を含み、離陸、飛行及び着陸動作のためにエンジンによって動力を供給される任意の従来の構成を有していてよい。
【0018】
航空機のフロア12には、一般に航空機スタイルのフランジ付きHトラックと呼ばれる一対の長手方向のシートトラック18が固定的に取り付けられている。このトラックは、様々な航空機のシートを各航空機のキャビン構成に要求されるように様々な通路に沿ってしっかりと位置決めして取り付けるための鍵穴スロットの列を含む任意の従来の構成を有していてよい。
【0019】
図1及び図2は、1つ又は複数の乗客の通路に沿って旅客機のプレミアムクラスのキャビンにおいて使用するために構成された例示的な航空機のシートポッド又はモジュール20の列を示す。各モジュール20は、航空機の乗客のシート22と、航空機のキャビンフロア12において対応する一対のシートトラック18上に支持された付属の備品24とを含む。
【0020】
エコノミーシートは、比較的コンパクトかつ軽量で、2つのレッグフレーム及び対応するファスナを通してシートトラックに簡単に取り付けることができる。
【0021】
しかしながら、対照的に、典型的なプレミアムシート22は、平らに横たわって寝る位置を追加的に有するためにより大きくかつより複雑であるとともに、対応する備品24によって囲まれ、いくつかのエコノミーシートよりも十分により大きなフロア面積を必要とするシートモジュール20を集合的に形成する。従って、この大型のシートモジュール20は、その総重量及び関連する荷重(特に、必要とされる安全仕様を満たすために上述した16gの衝突時荷重を含む)を大幅に増加させる。そして、これらの衝突時荷重は、キャビンフロア12に設けられた従来のシートトラック18を通して必ず伝えられなければならない。
【0022】
付属の備品24は、通常、シート22の側部及び後部を囲むプライバシーパーティション又は壁を含み、一体化された棚、トレイ、オーディオ及びビジュアル機器等の関連付けられたプレミアム特徴用の収納部、並びに私物及び寝具用の収納部を有している。本明細書で使用する備品24という用語は、航空機の運航中にキャビンフロアに必ず支持されなければならない各プレミアムシートに関連付けられた任意の付属の構造的特徴が含まれる。
【0023】
従って、より大きなプレミアムシート22及びその付属の備品24は、いくつかのエコノミークラスのシートに対応する航空機内でより大きな表面積を必要とするとともに、相応のより大きな重量を有し、その結果、キャビンフロアによって適切に支持されなければならない運行荷重を大いに増加させる。
【0024】
特に、比較的大きくかつ重いシートモジュール20の設計は、政府の規制によって要求される16gの動的衝突イベントに安全に耐えるための十分な構造強度を必要とするが、如何なるモジュール重量の増加は、設計上のトレードオフにおいて、航空機の全体的な乗客輸送能力を低下させる。
【0025】
従って、航空機のキャビン内に取り付けられた最初に図1及び図2に示された改善されたシートモジュール20は、図3及び図4においてモジュールから分離されて示されている、新規の特別に構成されたシートフレーム又はマウント26をさらに含む。
【0026】
シートマウント26は、大型のプレミアムクラスのシート及び付属の備品に特に便利な、様々な航空機のキャビンセクションにおいて様々な構成で配置されたシートを含め、航空機におけるすべての必要とされる3次元シート荷重を接続及び伝えるための、カスタム設計の内部ブラケット又はアダプタにおける新規の改善されたシート取付フレーム(Seat Attachment FramE)(S.A.F.E.又は単にSAFE)技術を提供する。
【0027】
シートマウント26は、フロア面だけでなく垂直側壁レベルに沿って、しかしながら側壁自体又は周囲の航空機胴体に直接的に取り付けることのない、様々な取付又は取付点(attachment or mounting points)を提供するように設計されている。
【0028】
典型的な航空機10の胴体は、構造フレーム及び梁受縦材(図示せず)に取り付けられた金属外板10bを含み、構造フレーム及び梁受縦材自体は乗客のキャビンに装飾的な室内を提供する内部側壁14によって覆われている。航空機又は機体の製造業者は、典型的には、航空機に設けられた様々な乗客のシートのためのただひとつの又は唯一(sole or only)の支持体としてキャビンフロア12にシートトラック18を提供し、側壁が固定されている梁受縦材及び内部フレームを含む、キャビン側壁14にシートを支持するために航空機構造自体を変更することは望まれない。
【0029】
従って、図3及び図4に示されているSAFEフレーム又はマウント26のうちの1つ又は複数は、対応する航空機設置規制による禁止のため側壁又は内部フレーム自体には取り付けられないが、キャビンフロア12で若しくは高められた側壁レベルで又はそれら両方の上にシートモジュールを取り付けるために、シートモジュール20に優先的に一体化される。これらの図では、シートマウント26は、キャビン10aの内側の側壁に何ら取り付けられることなく、その側壁14に近接して配置されている。
【0030】
図5において、シートマウント26は、キャビン側壁14の内側又は内部に部分的に延びることができるが、そこにも取り付けられずに、シートモジュールに取り付けるための側壁を通る適切なアクセス穴を有する。
【0031】
図6及び図7は、横方向X-Y平面及びさらに垂直のZ軸の両方で機体へのシートの取り付けを可能にする、ホッケースティック形状のような、アングル形ブレース又はL字形ブラケットの形態のSAFEアダプタ又はシートマウント26の例示的又は基本的な特徴を示す。マウント26は、適切なフロアレベルの取付点及び適切な側壁レベルの取付点を有する。マウントは、16gの衝突イベント荷重を含む、また特にねじり荷重を含む、様々なシート製品から加えられた力に対処できるように慎重に設計され得る。
【0032】
SAFEシートマウント26の基本的な例は、図7の上面図と図8の底面図に最初に示されており、隣接する移行部又は結合エルボ32で垂直側壁取付ポスト30に一体的に結合された水平フロア取付レール28を含み、これらは集合的にほぼ直角の構造ブレースを形成する。
【0033】
レール28及びポスト30は、必要に応じて細長く、細く及び薄く、重量を最小限に抑えるために必要とされる取付点間のシートモジュールの関連する寸法又は長さにわたって狭く延在する一方で、シートマウント自体を通して伝えなければならない予想される又は設計上の運航荷重に耐えるようにカスタム設計された十分な強度を提供する。
【0034】
図7及び図8に示された例示的な実施形態では、取付レール28は、実用的な限り薄く、従ってシートトラック18に直接的に取り付けるためにポスト30から長手方向に離間された局所的に拡大された取付タブ又はボス34を含む。航空機のシートは一対のシートトラック18に通常取り付けられるので、シートマウント26は、キャビン側壁14から、好ましくは2つの平行なシートトラック18を越えて延びて、対応するキャビン通路の付近で終わるのに十分な長さを有する。
【0035】
従って、取付レール28は、一対のシートトラック18と対応して位置決めされてそこに対応して取り付けられるように、特定の長手方向位置で取付ポスト30から及び互いから長手方向に離間された2つの取付ボス34を含むことが好ましい。各取付ボス34は、レール28を2つのシートトラック18のそれぞれに直接的に固定するための適切なファスナを受け入れるための開口又は穴36を含んでいてよい。
【0036】
レール28及びポスト30の両方は、適切なファスナを使用して、シート22及び備品24を、シートマウント26に直接的に取り付け、次にキャビンフロア12の一対のシートトラック18に間接的に取り付けるための、長手方向に離間された複数の取付穴38をさらに含む。このようにして、シートマウント26は、優先的に配置されたいくつかの取付点で乗客のシート、乗客及び付属の備品の両方を支持し、シートモジュール20全体は、キャビン側壁自体に沿った補助サポートなしに、下にある一対のシートトラック18によってのみ全体的に支持される。
【0037】
しかしながら、取付ポスト30は、その側壁に沿って垂直に延びるとともに、取付レール28及び一対のシートトラック18に備品の荷重を下向きに伝えるための、特別に配置されるとともに高められた側壁レベルの1つ又は複数の取付点をさらに提供する。シート22及び備品24の下でキャビン側壁14から横方向にフロアレール28が延びる一方で、側壁ポスト30は、キャビン10a内の側壁の前か、側壁とインライン若しくは同一平面上にあるか、又は壁の後ろに隠れているか、のいずれかで、キャビン側壁14に近接して配置されていてよく、シート備品の高さ制限内で垂直に延びる。
【0038】
図7及び図8に示された例示的な実施形態では、取付レール28は、2つの取付ボス34及び穴36と5つの取付穴38とを含む。また、取付ポスト30は、2つの取付穴38を含み、1つの穴38はポスト38の上部遠位端に配置されている。そのポスト38も薄く、狭くかつ細長く、シートモジュールの設計に応じて備品の背が低くても高くても、付属の備品24の特定の設計のための補助的な支持を提供するために、上部の取付穴38を望まれるように位置決めするのに適切な垂直長さを有する。
【0039】
図3及び図5に示された2つの例示的な実施形態では、キャビン側壁14はキャビンフロア12上でZ軸に沿って垂直に延び、シートトラック18は、航空機の長手方向のX軸に沿ってキャビン側壁と平行に延在する。取付レール28は、キャビン側壁14から航空機のY軸に沿って横方向に延び、ファスナによるシートトラック18への適切な取り付けのために取付ボス34をシートトラック18と位置合わせするように構成されている。
【0040】
取付ポスト30は、上述のように、水平取付レール28から垂直方向に自立して、かつキャビン側壁14に沿ってキャビン側壁14に取り付けられることなく垂直に延びるように構成されている。図3では、取付ポスト30は、側壁14の内面に近接してキャビン10a自体の内部に配置されていてよい。図5では、取付ポスト30は、側壁と航空機胴体の外板10bとの間の内部空間において側壁14の後ろに隠されていてよい。取付ポスト30の垂直方向の長さ又は高さは、付属のシートの備品24の特定の設計に適切な支持を提供するために必要に応じて選択される。
【0041】
図6に示すように、取付レール28は、航空機の長手方向のX軸に平行に配向された一対のシートトラック18に対してX-Yフロア面内でレールを傾斜させるための適切なレールフロア又はシート角度Aでキャビン側壁14から横方向に延びるように構成されている。レール角度Aは、レール28を側壁14に対して垂直、すなわち90度に向けるために、横方向のY軸に対してゼロ値を有していてよい。レール角度Aは、航空機のキャビンの前方に向かって最大約50度の範囲であってもよい。2つのシートトラック18が側壁14に平行であるとともに側壁14から横方向に離間されており、取付ポスト30が側壁にできるだけ近くに取り付けられることが好ましいので、レール28の長さは、レール角度Aが0度(垂直)から例示的な最大50度までの間で増加するにつれて、両方のトラック18と重なるように必ず増加しなければならない。
【0042】
さらに、レール角度Aは、シートモジュール20の特定の幾何学的設計及び乗客のキャビン内でのその所望の配向によって主に制御される。これは、運行荷重を伝えるための適切な取付点を提供しながら、シートマウント26がモジュール内に一体化されて隠されることが好ましいためである。従って、取付ボス34は取付レール28において適切なサイズ、位置及び間隔を有し、それは、取付レール28内で、個々のボスを一対のシートトラック18に対応して位置合わせして、対応するファスナで直接的に取り付けるために、レールのフロア角度Aに対して変化するであろう。
【0043】
上記で示したように、シートマウント26は、従来のものであった航空機のシートポッド用の新しい特徴又は部材であり、それは従来の一対のシートトラック上にのみ取り付けられるようにその構造的剛性及び強度を強化するためにそこに特別に一体化され得る。シートマウント26は、実用的な範囲で小さくなるようにサイズが決められているとともに構成されており、フロア取付のみでシートモジュール20を構造的に強化するために追加重量が最小限に抑えられており、これにより、特に付属の備品24を垂直取付ポスト30に沿って追加の高さで取り付けることにより、組み合わされたシートモジュール自体のサイズ及び重量の低減が可能になり得て、ポッドの設計が相乗的に改善されて合計重量が減少される。
【0044】
図7及び図8は、所望のシートモジュール20への特別な統合に必要とされる方向性及び特殊な剛性及び強度を提供する単一構造で水平レール28から上方に延びる垂直ポスト30を含むシートマウント26の基本設計を示す。
【0045】
シートマウント26の所望の強度は、乗客のシート22に拘束された乗客の重量、シート22自体の重量、及び付属の備品24の重量の分析から始まる。モジュール内のこれらの様々な重量及び位置は、車両は、キャビン側壁14及び関連付けられた胴体構造による補助的な支持なしに、2つの支持シートトラック18に単独かつ直接的に伝えられなければならない。
【0046】
これらの重量は、特別なシートマウント26によるか又は必要に応じて全体より少ない部分によって、優先的に全体的に伝えられることができる、対応する荷重として表される。水平取付レール28は、モジュールの基部の下又は好ましくは基部に、キャビンフロア及びその中のシートトラック18の真上に配置される。垂直ポスト30は、キャビン側壁14に隣接するレール28の近位端から上方に延び、そのレールの近位端との接合部のみによって自立支持されるためにそこから片持ち梁状に支持されるが、ここでも荷重を支えるキャビン側壁への構造的な取り付けはない。
【0047】
垂直ポスト30は、モジュール設計に従って必要に応じて備品の1つ又は複数の高められた取付点に適切に固定され、そこから運行荷重を伝える。ポスト30に加えられるこれらの荷重は、航空機の3つのX、Y、Z軸のいずれかに沿い得る。特に、ポスト30がレールから片持ち梁状に支持されているので、X軸及びY軸に沿ってポストによって伝えられる横方向の荷重から追加のトルク又はねじり荷重がレールに加えられ、ポスト30にかかる長手方向のX荷重がレール28自体の長手方向軸(例えば、Y軸)の周りのねじり荷重を生成するであろうことに留意されたい。
【0048】
従って、レール28、ポスト30及びそれらの間の結合エルボ32は、16gの衝突イベント荷重を含む、航空機の運航中にそこを通って伝えられる荷重に耐えるために、適切な強度及び剛性並びに最小のサイズ及び重量を有するように優先的に構成及び設計されなければならない。
【0049】
従って、シートマウント26は、高強度金属又は繊維強化複合材料を含む任意の適切な材料から製造され、シートモジュールに一体化されるときにそこを通して伝えられる特定の荷重に耐えるようにカスタム設計され得る。
【0050】
従って、特定の構成、形状、サイズ、長さ、幅、高さ、厚さ及び材料組成は、局所的な幾何学形状及び荷重経路によって必要とされるように各設計用途に対して優先的に選択することができるが、図7及び図8に示された例示的なシートマウント26の基本的なL字形構成が条件となる。
【0051】
図9図12は、例示的なシートモジュールの重量を最小限に抑えながら、剛性及び強度を最大にする好ましい実施形態によるシートマウント26の追加の特徴を示す。垂直取付ポスト30によって生じるねじり荷重を考慮すると、ポスト30及び取付レール28の両方は、垂直ポスト30から水平レール30及びシートトラック18に順に加えられる荷重を伝えるためのシートマウントのねじり強度を高めるために、隣接するエルボ32に隣接する断面構成が変化させることが好ましい。
【0052】
エルボ32から離れると、レール28及びポスト30は比較的薄くなってよいが、その一方でエルボ32に近づくにつれて、強度及び剛性を高めるため、特に、ポストからレール及びシートトラック18に順に移行される最大(例えば16gの衝突イベント)の荷重に損傷なく耐えるために十分に強くならければならない移行エルボ32において、その構成のサイズが増加してよい。
【0053】
図10に最もよく示されているように、取付ポスト30は、好ましくは、その遠位上端からエルボ32でのその近位下端に向かって厚さBが増加する。近位下端は最大厚さを有する。対応して、図11及び図12に示されている取付レール28は、その全長にわたってほぼ均一な厚さCを有するが、エルボ32に隣接する近位端部分において、反対側の遠位端部分よりも大きな局所的な構造強度及び剛性(特にねじり強度及び剛性を含む)を有する。
【0054】
例えば、図9及び図12は、エルボに隣接する取付レールに固定されたU字形チャネルを形成し、そこに箱形断面を集合的に形成するための一対の一体型側壁フランジ40aを有する例示的な先端を切ったような形のカバープレート40を示す。カバープレート40は、エルボ32からほぼ中央取付ボス34まで延びる適切な長さを有し、ねじり強度及び剛性を含む強度及び剛性を局所的に増加させて、垂直ポスト30から水平レール28にねじり荷重をより良好に伝えるようにするために、レール28の下側に適切に固定又は接着接合されている。レール28は、その全長にわたって均一なU字形断面を有し、対応する構造的な慣性モーメントを有し、それはカバープレート40の追加によって局所的に大幅に増加され、その結果として生じるボックス構造が構造的な慣性モーメント並びにねじり強度及び剛性を増加させる。
【0055】
図10に示されている取付ポスト30は、エルボ32に隣接するU字形チャネルを形成するために、その向かい合う遠位端と近位端との間で下方に向かうにつれて高さ又は厚さBが増加する一体の一対の隣接する側壁フランジ30aを有する薄い垂直プレートの好ましい形態である。ポスト30の上部が最小の厚さBを有する一方で、下部は側壁フランジ30aに沿って増加していく厚さBを有し、それは、エルボ32を通して荷重を伝えるための強度及び剛性を大幅に増加させる局所的なガセットを画定する。そのエルボはフランジ30aに一致する厚さを有する完全な中実体であってもよいし、あるいはそれらのフランジ30aが、レールとのその接合端が局所的に中実体である他の薄板エルボに続いていてもよい。
【0056】
図7に示されている取付レール28はまた、取付ボス34を画定する好ましくは局所的な中実部分の間にU字形チャネルを形成するために、その向かい合う近位端と遠位端との間でその全長にわたって延びる一対の一体の隣接する側壁フランジ28aも有する薄い水平プレートの好ましい形態である。外側フランジ28aはレールの最大厚さCを画定しており、それはフランジ28a間の内側薄板におけるレールの最小厚さCよりも十分に大きい。
【0057】
図3図5及び図9に示されている側壁取付ポスト30は、湾曲したキャビン側壁に適合するように全体的に湾曲しており、垂直な側フランジ30aがその下面にガセットを形成しており、それは、エルボ32での曲げ強度とねじり強度を増加させるために、上部から下部に向かってテーパ状かつ高さが増加している。下部ではそれらが最も大きくなっている。
【0058】
フロアレール28はほぼ平坦であり、垂直なサイドフランジ28aがその下側にガセットを形成して、曲げ及びねじり強度を増大させる。レール28の近位端は、別の局所的に拡大された取付又は固定ボス34Aを含み、これは、ポスト30及びレール28を互いに接着接合して一体化された又は単一のアセンブリにするための図9及び図12に示されているエルボ32の合わせ面と一致する接合面を有する取付ボスを提供するために完全に中実であることが好ましい。
【0059】
図9及び図12において、側壁ポスト30の下端の移行エルボ32は、その上のポストの垂直面とほぼ平行であり、フロアレール28の近位端の対応する平坦な接合面とサイズ及び面積が一致する平坦な接合面を有し、それらの対向する平坦面が適切な接着剤によって互いに接合されている。
【0060】
図12はまた、カバープレート40が、好ましくはフロアレール28の底部を取り囲むとともに、移行エルボ32に重なるか又は移行エルボ32にから張り出して、エルボ32及びレール28の接着接合結合部に増加された機械的強度を提供するためのマルチガセット又はマルチブレース結合部をエルボフランジ30aとともに集合的に画定することを示している。
【0061】
図7に示されているその一体化された又は単一構成のシートマウント26のこの実施形態は、その垂直L字形の外形においてほぼ真っ直ぐ又は線形であり、共通の長手方向軸に関して対称であり、エルボ32とレール28との間の2つの接合面はその共通軸に垂直である。このシートマウント26は、図5及び図6に示されている2つのシートトラック18の上に、横方向のY軸に対してゼロレール角度Aでキャビン側壁14に対して垂直又は直角に設置され得る。
【0062】
代替的な実施形態では、この同じ線形のシートマウント26は、図6に概略的に示されている任意の適切なレール角度Aで横方向に傾斜されることができ、垂直ポスト30は、キャビン側壁14に対して平行であるか、又はキャビン側壁14から斜めに角度が付けられている。例えば、図7に示されているシートマウント26の線形バージョンも図6の右側の1つの代替例として示されており、それではポスト30はレール28自体と同じレール角度Aを有するだろう。図3図4図5図14図15及び図16は、この線形形状のシートマウントを使用するシートモジュールの例示的な構成を示している。
【0063】
シートマウント26の斜めバージョンが図11に部分的に示されており、それでは固定ボス34Bは、固定ボスバージョン34Aのように垂直な接合面を有する代わりに、所望のレール角度Aで局所的に傾斜した接合面を有し、それによってレール28を同じレール角度Aに位置決めする一方で、隣接するポスト30がキャビン側壁14に対して平行のままとなるように、わずかに変更されている。シートマウント26のこの斜めバージョンは、図6の左側に示されており、ポスト30がもはやレールの長手方向軸と線形的に位置合わせされていないが、キャビン側壁14及びシートトラック18とのその平行な配向を維持するために、レールの長手方向軸から斜め又はオフセットしている、L字形のマウントをもたらす。
【0064】
基本的なシートマウント26は、水平レール28と垂直ポスト30との間でほぼL字形の垂直構成を有するので、そのレール28及びポスト30は、シート及び付属の備品を優先的にサポートするため、シートモジュール自体内の対応する取付位置に最も良く適合するように、必要に応じて任意の適切な構成を有することができる。レール28及びポスト30は、従来のシートトラック18及び付属の備品の利用可能な取付部分に取り付けられるために適した任意の形状を有しながら、設計仕様の運行荷重に耐えるために十分な強度を提供するために、所望に応じてカスタム設計することができる。
【0065】
シートマウント26は高強度金属から作製されてもよいが、最小限の重量及び最小の厚さで高強度を達成するために適切に熱硬化された樹脂含浸炭素繊維等の高強度複合材料から完全に作製されることが好ましい。複合材料を使用すると、対応するその形状を画定するための型(モールド)又は金型(ダイ)を含む、様々な従来の方法によるカスタム設計の製造が可能になる。
【0066】
フロアレール28、側壁ポスト30及び下部カバープレート40の好ましい3つの部分の構成では、これらの構成要素のそれぞれは、重量を最小限に抑えながら強度を最大にするために個別に調整成形されることができ、その後、適切に組み立てられ、向上された曲げ強度及びねじり強度を有する統合された又は一体のアセンブリに接合されることができる。これらの構成要素を一体的に結合するための適切な接合接着剤は、例えば市販のMagnobond6166等のエポキシ接着剤であるが、そうでなければ、他の任意の適切な接合方法を使用して、好ましくは単一かつ一体化された構造フレーム部材としてシートマウント26を形成してもよい。
【0067】
成形金型を変更して、次に、航空機の異なるシート構成のためのシートマウント26の構成要素の構成、長さ及び高さを変更することができる。そして、エルボ32は、異なるシート設計に従って長手方向のシートトラック18に対して角度配向をフロアレール28が変化させるときに、フロアレール28に対する側壁ポスト30の角度配向を制御するようにさらに調整されることができる。
【0068】
図7では、複数の取付穴38が、垂直取付ポストプレート30及び水平取付レールプレート28の両方に沿って長手方向に離間されており、取付ボス34のそれぞれは、U字形の内側で水平取付プレート28に一体的に結合されているとともに、隣接する側壁フランジ28aと一体とされている。炭素繊維の成形により、図11に示されている比較的薄いプレートのレール28に沿って適切に離間された局所的に拡大されたボス34を容易に提供することができ、取付ボスは近位端及び遠位端の両方にあり、中間ボスはそれらの間で長手方向に離間されている。
【0069】
レール28の近位端の固定ボス34Aは、図9に示されているように、エルボ32との適合する接合面を提供するために中実であることが好ましい。残りの2つの取付ボス34は、図11に示されているように、取付レール28を2つのシートトラック18に固定するための対応するねじ付きのフロアファスナ42を受け入れるために下向きのブラインドねじ付き穴36を含むことが好ましい。
【0070】
従って、上述のシートマウント26は、二次的な取り付け及びキャビン側壁からの支持なしに、従来のシートトラック18へのその取り付けを改善するために、航空機のシートの様々な設計を補完するために構成を大幅に変えることができる、基本的な又は根本的に新しいシート取付フレーム(SAFE)を提供する。
【0071】
基本的な組み合わせでは、シートモジュール20は、支持を必要とする任意の付属の備品24とともに、取付レール28でシートマウント26に固定的に結合された航空機のシート22をまず含む。任意の適切な形状のその備品は、好ましくは取付ポスト30及び取付レール28の両方でシートマウント26に固定的に結合されている。
【0072】
従って、シート22、備品24及びマウント26の集合的な組み合わせは、相互接続された荷重パスとともに一体化され、これによりその構造的完全性が強化され、提供されたシートトラック18でキャビンフロアのみに取り付け又は支持することが可能になる。
【0073】
図1図4に示されている実施形態では、各シートモジュール20は、キャビン側壁14から斜めのレール角度Aで単一のシートマウント26を含む。このシートマウントは、通路に沿って2つのシートモジュール20の間に延び、所望に応じてそれに適切に固定されることさえできることに留意されたい。
【0074】
図13図16は、シートモジュール20の別の実施形態を示しており、それでは一対のシートマウント26が各モジュールに一体化されており、各マウント26は取付ボス34のそれぞれの対を有するそれぞれの取付レール28を含む。航空機のシート22は一対の取付レール28に固定的に結合され、付属の備品24は一対の取付ポスト30及び一対の取付レール28の両方に固定的に結合される。
【0075】
図15は、2つのシートマウント26が斜めに傾斜することなく側壁14に対して垂直に配置され、代わりにシート22が側壁14に面するように斜めに回転されるか、又は周囲の備品のプライバシーウォール24内のプライバシーを高めるための適切なシート角度で通路に面するように角度が付けられることを示している。
【0076】
従来、シート22はシートトラック18に直接的に固定されていただろうが、改善されたシートモジュール20では、シート22は代わりに、取付レール26の取付穴38の1つを通って延びる適切なシートボルト又はファスナ44によってシートマウント26に固定されている。必要に応じて、いくつかのシートファスナ44を使用して、シートを2つのシートマウント26に固定してよい。
【0077】
備品24はまた、設計が許す限り、備品の異なる位置でレール28及びポスト30の両方の取付穴38の異なるものを通って延びる対応する備品ボルト又はファスナ46によってシートマウント26に固定される。このようにして2つのシートマウント26に固定されたシート22及び備品24は、取付ボス34をシートトラック18に結合するフロアファスナ42によってキャビンフロア12に取り付け可能な自立型集合シートポッドを画定する。
【0078】
図15はまた、対応するファスナ46の位置によって異なる取付穴38の異なる位置を示し、シートファスナ44の位置によって異なる取付ボス34の異なる位置を示している。
【0079】
この実施形態では、シート22は一対のシートマウント26上に斜めに固定され、シートマウント26はそれに固定されたシート及び備品の異なる部分を対応して異なるように支持するための異なる構成を有する。
【0080】
備品24はシート22の両側に配置されてよく、取付レール28はシートを横切って横方向に延び、備品24はシートの両側で取付レール28に固定されている。
【0081】
取付穴38及びねじ付きボス34のパターンは、キャビン側壁に対するシートマウント26の特定の配向、及びそれらのマウント26上にある支持されたシート及び備品に対するシートマウント26の特定の配向によって決定され、図15は、共通のシートモジュールで使用される2つのシートマウント26に関してこれらのパターンが異なっていてもよいことを示している。この実施形態では、前方取付レール26は後方取付レール26より短く、前方レールはシート及び備品をファスナ44,46で固定するための5つの取付穴38を有し、より長い後方取付レール26はファスナ44,46のための4つの取付穴38を有し、両方のレールがフロアファスナ42のための各2つのボス34を有している。
【0082】
シートレッグ及び平行なシートトラック18間のこの特殊な幾何学的レイアウトにより、斜めのシートは3つのファスナ44(前方レール28上にある2つのファスナ46と、後方レール26上にある1つのファスナ46)のみによって支持されることに留意されたい。(キャビン側壁に近い)シートの右レッグ22aはシートの前端と後端の両方に2つのシートファスナ44を有し、その一方でシートの左レッグ22aはシートの前端と後端との間に単一のシートファスナ44を有する。
【0083】
2つのシートトラック18上の2つの取付レール28上の2つのシートレッグ22aのレイアウトに応じて、シートトラックへのシートの任意の適切な取り付けが、好ましくは、ほとんどの場合、すべてではないにしても、図示されているシートファスナのための1つ又は複数の取付レール自体を通して間接的に提供されてよく、あるいは、必要に応じて任意の1つ又は複数の位置合わせが可能な位置(図示せず)で直接的に提供されてよい。
【0084】
図4は、単一のシートモジュール20で単一のシートマウント26を使用できることを示しており、このシートマウント26は、これもまた、キャビンのレイアウトにおけるシート及びシートモジュールの特定の設計及び配向によって規定されるとともに、支持シートレッグに対する取付レール28のサイズ及び配向によって規定されるように、次のシートモジュールまで延びる可能性があってよい。
【0085】
従って、基本的なシートマウント26は、サイズ及び複雑さに関係なく、シート自体及び任意の付属の備品の変化する設計に左右される、航空機のキャビンにおいて乗客のシートの取り付けに使用するための設計に大幅な柔軟性を提供する。
【0086】
シートマウント26の設計にとって非常に重要なことは、シート及び備品を支持するとともに、16gの衝突イベントを含む航空機の運航中にシートモジュール20が経験する運行荷重に耐えるための、シートマウント26のサイズ、強度及び重量の基本的な構成である。
【0087】
一体化されたシートマウント26によるシートモジュール20のこのように向上された強度により、付属の備品24は、航空機の運航中にシートモジュールが経験する運行荷重に関して、キャビンフロアによって直接的に支持される代わりに特別なシートマウント26によって支持されるので、対応して軽量化されるように構成されてよい。
【0088】
備品24は、シート22を境界づけるとともに、キャビン側壁に取り付けることがないか又はキャビン側壁からのいかなる支持もなく、シートマウント26の上に備品を自立させることを可能にする、垂直取付ポスト30に部分的に固定された隔壁を含む。
【0089】
備品24は、垂直取付ポスト30に沿った追加のその支持により、より薄く、より高く、キャビン側壁に近く、及び重量が軽くなるように再設計されることができ、これにより、強度が相乗的に改善されるとともに、場合によっては結果として得られるシートモジュール20の重量が軽減される。
【0090】
シート22及び備品24をシートマウント26に固定することによって、集合シートポッド又はモジュール20は、自立することになるとともに、好ましい実施態様において取付ボス34をシートトラック18に結合するフロアファスナ42のみによってキャビンフロアに取り付け可能である。
【0091】
シート22自体は、取付レール28の取付穴38を通って延びる対応するシートファスナ44によって一対のシートマウント26に固定されている。また、備品24は、レール28及びポスト30の両方の取付穴38の異なるものを通って延びる対応する備品ファスナ46によって一対のシートマウント26に固定されている。
【0092】
図15及び図16に示すように、シートマウント26は、互いに平行であるとともに、シート22の前端及び後端で離間されており、シート22は、シートの幅にわたって離間された一対のレッグ22aを含む。レッグ22aは、任意の従来の構成を有していてよく、シートトラックの従来のキーホールスロットに固定されるであったであろう従来のT字形ダブルラグスタッドファスナを受け入れるための穴を通常有する。
【0093】
この従来のシートトラック18へのシートの直接的な取り付けとは対照的に、シートレッグ20aは、その代わりに、好ましくはシートの前端と後端の両方で単純なシートボルト又はファスナ44によって取付レール28に固定される。
【0094】
取付レール28は、キャビンフロアに取り付けられた従来のシートトラック18に直接的に固定されているので、これらのレールは、図16に示されている例示的なT字形のフロアファスナ42のような、従来のフロアファスナを使用して取り付けられることができる。シートトラック18は、典型的なL字形の航空機トラックの形態のキャビンフロアボードに沿うとともにそれと同一平面で長手方向に延び、例示的なダブルラグ又はT字形のねじ付きスタッドフィッティング又はフロアファスナ42を受け入れるように構成された鍵穴スロット18aの列を含む。
【0095】
フロアファスナ42のねじ付きスタッド端部は、取付ボス34のねじ付き穴36に予めねじ込まれており(図11を参照)、プランジャワッシャ42aもスタッドに緩く取り付けられている。次に、このフロアファスナ42のダブルラグ端部は、鍵穴スロット18aの1つに挿入されるとともに、対応するフランジの下で保持するために2つの鍵穴スロット間の中間でスライドされ、次に、隣接する鍵穴スロット間の適合シートに適合するサイズの対応する円形ワッシャ又はプランジャ42aによってそこに固定される。
【0096】
各取付レール28は2つの取付ボス及び取り付けられたフロアファスナ42を有するので、各レール28は、2つのシートトラック18上に手動で位置決めされ、対応する鍵穴スロットのダブルラグを同時に係合され、次に、すべての動きに対して垂直方向、長手方向及び横方向に各レール28を固定するため、対応するプランジャワッシャ42aがトラック内のそれらの保持座に落ち込む最終位置にスライドされてよい。
【0097】
図16は、1つの鍵穴スロット18aに入るときの1つのフロアファスナ42を、その協働するワッシャ42aが上に示されている状態で示し、別のファスナ42が、その保持ソケット内にあるワッシャ42aによって2つの隣接する鍵穴スロット間の中間でロックされている状態を示す。もちろん、この実施形態では、ファスナ42のねじ付き端部が最初に取付ボスにねじ込まれる。しかしながら、レール28を通って上方に突出するファスナ設計において、スタッドねじ山に協働するナットを取り付けることができるフロアファスナの他の設計が使用されてよい。
【0098】
新規なシートマウント26は、従来のものであったシートポッド又はモジュール20に内部フレームを提供するとともに、側壁取付なしで、そこにキャビンフロアの上に自立して支持されるように大幅な改善を提供する。改善された航空機のシートモジュール20を製造する新規な方法では、航空機のシート及び付属の備品の両方を共通のシートマウントに取り付け、次にシート、備品及びシートマウントを、航空機のキャビン側壁に取り付けずに、航空機のキャビンフロアの一対のシートトラックにまとめて取り付ける。
【0099】
従来のシートポッドの設計は、シート及び付属の備品の両方が航空機のシートトラックに取り付けられるために十分な強度を有するサイズであることを必要とし、従って、16gの衝突イベント要件を含む、航空機の運航中に安全に支えなければならないかなりの重量がある。
【0100】
しかしながら、新しいSAFEシートマウント26をシートポッド設計に組み込むことによって、そのシートマウント26が最初にシートトラックに取り付けられ、次にシート22及び付属の備品24がそのマウントに取り付けられてよく、そのマウントは、キャビン側壁に何ら取り付けられることなく、マウントによってシートトラックに伝達される運行荷重を支えるための新しい構造要素をポッドに提供する。
【0101】
このようにシートマウント26がシートポッドを補強するので、シートマウントによって提供される強度の増加に対応して、それらの特徴のサイズ及び強度を低減するために、そのポッドの様々な特徴が再設計され得る。さらに、改善されたシート、備品及びシートマウントは、集合的に、意図された運行荷重をシートトラックに伝えるために十分な統合強度を提供し、ポッドの総重量をさらに軽減することができる。軽減されたポッドの重量は、シーティングマウント自体のサイズ、強度及び重量を軽減できるという相乗効果を有する。
【0102】
各シートポッドは、必要に応じて1つ又は2つのシートマウントを有することができ、シート及び備品は、全体としてその1つ又は2つのマウントに取り付けられるか、又は、そうでなければ、必要に応じてそこへの複数の荷重経路のシートトラックに追加的に取り付けられてよい。
【0103】
その一体化されたシートマウントを有するシートポッドは、集合ユニットとしてシートトラックに取り付けられるように設計されてもよいし、複数の部品を順番にシートトラックに取り付けて組み立てられるように設計されてもよい。
【0104】
SAFEテクノロジーは、フロアレベルでの横方向のY軸と、航空機に結合するためにシートトラックのみを使用しながらキャビン側壁を通って延びていてよい垂直ポスト又はアームを通る垂直方向のZ軸との両方において構造サポート又は内部ブレースを含む設計において多くの利点を提供する。
【0105】
さらに、圧縮成形されたカーボンファイバーからのその構造は、特定の構成(長さ、幅、高さ、角度)に合わせて調整できるモジュール式ツールを可能とし、シート提供者及び航空会社等の顧客に柔軟性を提供できる。
【0106】
SAFEテクノロジーは、現在の設計上の制約を軽減し、単通路航空機のシート製品を最適化するための設計の柔軟性を提供することを目的としているが、双通路航空機への適用も適している。
【0107】
SAFEテクノロジーのいくつかのユニークな側面は、軽量、強度、迅速な製造、及び最小の加工ステップのためのその好ましい複合構造を含む。SAFE特徴はまた、垂直及び水平の構造サポートを含む。水平方向の剛性は、既存のフロアボードに沿って延びるとともに、従来のシートトラックシステムを通して取り付けられるフロアレール又はアームによって実現される。垂直方向の剛性は、キャビン側壁の内側又は後ろに沿って延びる垂直側壁ポスト又はアームによって提供され、シート備品の上部にアンカーポイントを提供される。
【0108】
SAFEシートマウントは、標準16Gテスト条件下で備品によって予想される荷重に耐えるように設計され得る。側壁ポストに沿った取付ポイントはシート備品の新しい固定点を提供し、それは、より薄い構造、より高いシート密度、より軽量な構造、より高い構造、プライバシーの向上、機内エンターテイメント(In Flight Entertainment)(IFE)スクリーンのためのより広いスペース、キャビン側壁へのより近い接近、より広い通路、より大きなシートピッチ、既存のシートトラックとの互換性を含む、シート備品の改善を可能する。
【0109】
SAFEテクノロジーは、機体の構造要素としばしばみなされる航空機のフロアボードの特別な変更を必要としない。水平フロアレール又はアームは、標準のシートトラック取付システムと互換性があるとともに、現在のシートトラックハードウェアを使用するあらゆる航空機プラットフォームに適用できる。
【0110】
SAFEテクノロジーによって提供される柔軟な幾何学的設計エンベロープは、大きなツールの変更又は設計変更を必要とせずに、特定のシート設計に適応可能である。調整可能な垂直ポスト又はアームの高さは、キャビン側壁自体へのいかなる固定取付もなしに、様々な高さのシート備品の壁をサポートするためのキャビン側壁に沿って可変な固定点を可能とする。
【0111】
調整可能な水平フロアレール又はアームの長さは、キャビン側壁及び通路との関係で、シートの取り付けを可変とすることができる。調整可能な水平フロアレール又はアームの角度は、航空機の前方又は後方にシートの取り付けを可変とすることができる。前向き、後向き又は横向きのシートコンセプトと互換性がある。シートトラックアタッチメントは認証要件に準拠している。
【0112】
SAFEテクノロジーは、キャビン側壁自体への固定なしに、シート製品のキャビン側壁レベルでの取り付けをユニークに提供する。SAFEソリューションは、慎重な幾何学的設計及び素材選択を組み合わせて、シートトラックに沿った任意の場所にシートアダプタ又はマウントの設計を適合させることができる。アダプタは、その長さに沿った任意の位置での下部取り付けを可能にするように設計されている。アダプタはまた、航空機のキャビン側壁の後方、一体型又は前方のいずれかに、任意の高さ、好ましくは窓の下方に、上部側壁レベル取り付けを有するように設計されている。
【0113】
このアダプタは、垂直側壁ポスト取り付けに加えられる力を受け止め、それをシートトラックに伝達するように設計されている。シートアダプタ自体は、航空機のシートを航空機の機体に取り付けるために使用される独自の製品である。ユニークな形状は、標準のハードウェアとシートトラックを利用してフロアに沿うとともに、キャビン側壁に沿った上向きの取付位置を提供し、これは、市場にある他のソリューションによって現在提供されていない備品の追加サポートを提供する。
【0114】
従って、シートアダプタは、飛行運行中に経験するすべての荷重を従来の機体シートトラックにアダプタを通して伝えるための共通フレームとシート及び付属の備品を一体化するシートモジュールの内部構造フレームを提供する。側壁ポストは、キャビン側壁自体のいかなる固定点を必要とすることなしに、そこから下向きに側壁ポストを通るとともにフロアレールに沿ってシートトラックに荷重を伝えるための備品用の追加の固定点を提供するために、シートモジュールの利用可能な高さの範囲内でフロアレールから垂直上向きに延在してよい。
【0115】
従って、改善されたシートモジュールは、従来のシートトラックのみに取り付けることを必要とする独立型コンポーネントとして設計されてよい。また、内部シートアダプタが向上された強度をシートモジュールに提供するので、そのモジュールの様々なコンポーネント、特に付属の備品がより薄くかつより軽量に作られることができ、それに対応して軽減されたそこからの荷重が、付属の備品自体によってのみに代えて、シートアダプタによって、全体的に又は部分的に適切に伝えられる。
【0116】
上記に開示されたものは本発明の好ましい例示的な実施形態であり、そこでは、その様々な特徴が一般的な用語及びより具体的な用語を使用して主題において説明されており、そのような特徴は、上述のように、及び添付の特許請求の範囲に記載されているように、以下のように組み合わせられる1つ又は複数の例示的な詳細な種の組合せに関して、連続した詳細において進歩的に組み合わされる。
【0117】
従って、添付の請求項の任意の1つ又は複数に記載されるか、又は上記の説明に記載されるか、又は図面に示されている特定の特徴の任意の1つ又は複数は、上記の説明、対応する図面及び/又は提出された添付の特許請求の範囲に従って、様々な組み合わせ及びサブコンビネーションにおける本発明の様々な変更を定義する際に、先行する請求項又は親請求項を含む添付の請求項の任意の1つ又は複数に組み合わされてよい。従って、以下の特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲を単に例示するものであるとして上記に提示された当初の主題に従って、このような当初の添付の特許請求の範囲自体から制限されることなく、追加の特徴によって解釈され、変更され、補正され又は補足され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のキャビン(10a)のフロア(12)のシートトラック(18)上のみ、前記フロア(12)を囲むキャビン側壁(14)に取り付けることなく、航空機の乗客のシート(22)及び備品(24)を支持するように構成された航空機のシートモジュール(20)であって、
隣接するエルボ(32)で自立する垂直取付ポスト(30)に一体的に結合された水平取付レール(28)を含むシートマウント(26)と、
前記シートトラック(18)に取り付けるための、前記ポスト(30)から長手方向に離間された取付ボス(34)を含む前記レール(28)と
を備え、
前記レール(28)及びポスト(30)の両方は、前記囲むキャビン側壁(14)に取り付けることなく、前記キャビンフロアの前記シートトラックによってのみ前記シートモジュールを全体的に支持するため、前記シート(22)及び備品(24)を、前記シートマウント(26)に直接的に取り付け、次に前記キャビンフロア(12)の前記シートトラック(18)に間接的に取り付けるための、長手方向に離間された複数の取付穴(38)を含む、
航空機のシートモジュール。
【請求項2】
前記キャビン側壁(14)は前記キャビンフロア(12)上で垂直に延び、前記シートトラック(18)は前記キャビン側壁(14)と平行に延び、
前記取付ポスト(30)は、前記取付レール(28)から垂直に自立して、かつ前記キャビン側壁(14)に沿って前記キャビン側壁(14)に取り付けられることなく垂直に延びるように構成され、
前記取付レール(28)は、前記キャビン側壁(14)から横方向に延び、前記シートトラック(18)への取り付けのため前記取付ボス(34)を前記シートトラック(18)と位置合わせするように構成されている、
請求項1に記載のシートモジュール。
【請求項3】
前記航空機のキャビンは、前記キャビンフロア(12)に固定された一対の前記シートトラック(18)を含み、
前記取付レール(28)は、前記一対のシートトラック(18)に対応して取り付けるため、前記一対のシートトラック(18)と対応して位置合わせされるため、離間された一対の前記取付ボス(34)を含む、
請求項2に記載のシートモジュール。
【請求項4】
前記取付レール(28)は、前記側壁(14)に対して垂直から鋭角までの範囲のレール角度(A)で前記キャビン側壁(14)から横方向に延びるように構成されているとともに、前記一対のシートトラック(18)と対応して位置合わせするための前記取付ボス(34)の対応する位置及び間隔を含む、
請求項3に記載のシートモジュール。
【請求項5】
前記取付ポスト(30)及び取付レール(28)の両方は、前記垂直ポスト(30)から前記水平レール(28)及び前記シートトラック(18)に順に加えられる荷重を伝えるための前記シートマウント(26)のねじり強度を高めるために、前記隣接するエルボ(32)に隣接する断面構成を変化させる、
請求項2に記載のシートモジュール。
【請求項6】
前記取付ポスト(30)は、遠位上端から前記エルボ(32)での近位下端に向かって厚さが増加し、
前記取付レール(28)は、前記エルボ(32)に隣接する近位端部分において、反対側の遠位端部分よりも大きな構造強度を有する、
請求項2に記載のシートモジュール。
【請求項7】
前記取付ポスト(30)は、前記エルボ(32)に隣接するU字形チャネルを形成するために、その向かい合う遠位端と近位端との間で下方に向かうにつれて高さが増加する一対の隣接する側壁フランジ(30a)を有する垂直プレートを備え、
前記取付レール(28)は、U字形チャネルを形成するために、その向かい合う近位端と遠位端との間で延びる一対の隣接する側壁フランジ(28a)を有する水平プレートを備える、
請求項2に記載のシートモジュール。
【請求項8】
前記複数の取付穴(38)は、前記垂直取付プレート(30)に沿って及び前記水平取付プレート(28)に沿って長手方向に離間され、
前記取付ボス(34)は、前記U字形チャネルの内側で前記水平取付プレート(28)に一体的に接合されているとともに、前記隣接する側壁フランジ(28a)と一体とされている、
請求項7に記載のシートモジュール。
【請求項9】
前記取付ボス(34)は、前記取付レール(28)を前記シートトラック(18)に固定するためのねじ付きファスナ(42)を受け入れるための下向きに向かうねじ付き穴(36)を含む、
請求項8に記載のシートモジュール。
【請求項10】
前記シートマウント(26)は、前記エルボ(32)に隣接する前記取付レール(28)に固定されたU字形チャネルを形成し、そこに箱形断面を集合的に形成するための一対の側壁フランジ(40a)を有するカバープレート(40)をさらに備える、
請求項7に記載のシートモジュール。
【請求項11】
前記取付レール(28)において前記シートマウント(26)に固定的に結合された前記航空機の乗客のシート(22)と、
前記取付ポスト(30)及び前記取付レール(28)の両方で前記シートマウント(26)に固定的に結合された前記備品(24)と
をさらに備える、
請求項3に記載のシートモジュール。
【請求項12】
前記シート(22)は、前記取付レール(28)の前記取付穴(38)の1つを通って延びるシートファスナ(44)によって前記シートマウント(26)に固定されており、
前記備品(24)は、前記取付穴(38)の異なるものを通って延びる対応する備品ファスナ(46)によって前記シートマウント(26)に固定されており、
前記シートマウント(26)に固定された前記シート(22)及び備品(24)は、前記取付ボス(34)を前記シートトラック(18)に結合するフロアファスナ(42)によって前記キャビンフロア(12)に取り付け可能な自立型集合シートポッドを画定する、
請求項11に記載のシートモジュール。
【請求項13】
前記シートマウント(26)は、前記シート(22)及び備品(24)を支持するとともに、航空機の運行中に前記シートモジュール(20)が経験する運行荷重に耐えるようなサイズ、強度及び重量で構成されており、
前記備品(24)は、前記航空機の運行中に前記シートモジュール(20)が経験する前記運行荷重に対して、前記キャビンフロア(12)によって直接支持される代わりに、前記シートマウント(26)によって支持されるため、対応して軽量化されるように構成されている、
請求項12に記載のシートモジュール。
【請求項14】
前記備品(24)は、前記シート(22)を境界づけるとともに、前記キャビン側壁(14)に取り付けることなく、前記シートマウント(26)の上に前記備品(24)を自立させるために、前記取付ポスト(30)に固定された隔壁を含む、
請求項12に記載のシートモジュール。
【請求項15】
前記取付ボス(34)のそれぞれの対を有するそれぞれの前記取付レール(28)をそれぞれ含む一対の前記シートマウント(26)と、
前記一対の取付レール(28)に固定的に結合された前記航空機のシート(22)と、
前記一対の取付ポスト(30)及び前記一対の取付レール(28)に固定的に結合された前記備品(24)と
をさらに備える、
請求項3に記載のシートモジュール。
【請求項16】
前記シート(22)は、前記取付レール(28)の前記取付穴(38)を通って延びる対応するシートファスナ(44)によって前記一対のシートマウント(26)に固定されており、
前記備品(24)は、前記取付穴(38)の異なるものを通って延びる対応する備品ファスナ(46)によって前記一対のシートマウント(26)に固定されており、
前記シートマウント(26)に固定された前記シート(22)及び備品(24)は、前記取付ボス(34)を前記シートトラック(18)に結合するフロアファスナ(42)によって前記キャビンフロア(12)に取り付け可能な自立型集合シートポッドを画定している、
請求項15に記載のシートモジュール。
【請求項17】
前記シートマウント(26)は、互いに平行であるとともに、前記シート(22)の前端及び後端で離間されており、
前記シート(22)は、前記シート(22)の幅にわたって離間された一対のレッグ(22a)を含み、
前記シートレッグ(22a)は、前記シート(22)の前記前端及び後端の両方で前記シートファスナ(44)によって前記取付レール(28)に固定されている、
請求項16に記載のシートモジュール。
【請求項18】
前記シート(22)は、前記一対のシートマウント(26)上に斜めに固定されており、
前記シートマウント(26)は、前記シート(22)及び前記シート(22)に取り付けられた備品(24)の対応する異なる部分を異なるように支持するための異なる構成を有する、
請求項16に記載のシートモジュール。
【請求項19】
前記備品(24)は、前記シート(22)の両側に配置されており、
前記取付レール(28)は前記シート(22)を横切って横方向に延び、前記備品(24)は前記シート(22)の両側で前記取付レール(28)に固定されている、
請求項18に記載のシートモジュール。
【請求項20】
請求項2に記載の前記航空機のシートモジュール(20)を製造する方法であって、
前記航空機のシート(22)及び前記備品(24)の両方を前記シートマウント(26)に取り付けることと、
前記シート(22)、備品(24)及びシートマウント(26)を、前記航空機のキャビン側壁(14)に取り付けずに、前記航空機のキャビンフロア(12)の前記シートトラック(18)にまとめて取り付けることと
を備える、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
に示されている取付レール28はまた、取付ボス34を画定する好ましくは局所的な中実部分の間にU字形チャネルを形成するために、その向かい合う近位端と遠位端との間でその全長にわたって延びる一対の一体の隣接する側壁フランジ28aも有する薄い水平プレートの好ましい形態である。外側フランジ28aはレールの最大厚さCを画定しており、それはフランジ28a間の内側薄板におけるレールの最小厚さCよりも十分に大きい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
図15及び図16はまた、対応するファスナ46の位置によって異なる取付穴38の異なる位置を示し、シートファスナ44の位置によって異なる取付ボス34の異なる位置を示している。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
フロアファスナ42のねじ付きスタッド端部は、取付ボス34のねじ付き穴36に予めねじ込まれており(図11を参照)、対応する円形ワッシャ又はプランジャワッシャ42aもスタッドに緩く取り付けられている。次に、このフロアファスナ42のダブルラグ端部は、鍵穴スロット18aの1つに挿入されるとともに、対応するフランジの下で保持するために2つの鍵穴スロット間の中間でスライドされ、次に、隣接する鍵穴スロット間の適合シートに適合するサイズのプランジャワッシャ42aによってそこに固定される。
【国際調査報告】