(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】抗ソルチリン抗体の使用法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20231214BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231214BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231214BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231214BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231214BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20231214BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231214BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/405
A61P25/00
A61P25/28
A61P21/02
A61P9/00
A61P25/16
A61P27/02
A61P27/06
A61P31/04
A61P19/02
G01N33/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533608
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021072682
(87)【国際公開番号】W WO2022120352
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517041235
【氏名又は名称】アレクトル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール,アーノン
(72)【発明者】
【氏名】イエ,フェリックス リージア
(72)【発明者】
【氏名】ワード,マイケル エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ロン,ファ
(72)【発明者】
【氏名】リァオ,イージェ
【テーマコード(参考)】
2G045
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA26
2G045CB30
2G045DA36
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA16
4C084ZA33
4C084ZA36
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB35
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA16
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB35
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は一般に、必要とする個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させるための、ソルチリンタンパク質、例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン内の1以上のエピトープと特異的に結合する抗体の使用を対象とする。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させる方法であって、前記個体に抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で投与することを含み、前記抗体は軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、方法。
【請求項2】
疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させる方法であって、前記個体に抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で投与することを含み、前記抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、方法。
【請求項3】
前記プログラニュリンレベルの増加が前記個体の脳脊髄液、前記個体の血漿、またはその両方におけるプログラニュリンレベルの増加を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入または皮下注射により投与することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kg、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約30mg/kg、または少なくとも約60mg/kgの用量で静脈内注入により投与することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約6mg/kg~約30mg/kgの用量で投与することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約6mg/kg、約15mg/kg、約30mg/kg、または約60mg/kgの用量で投与することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(a)前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約60mg/kgの初期用量で投与し、次いで約6mg/kg~約59mg/kg、もしくは約6mg/kg~約30mg/kg、もしくは約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;
(b)前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約30mg/kgの初期用量で投与し、次いで約6mg/kg~約29mg/kg、もしくは約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;
(c)前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約15mg/kgの初期用量で投与し、次いで約6mg/kg~約14mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;
(d)前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約6mg/kgの初期用量で投与し、次いで約7mg/kg~約30mg/kg、約15mg/kg~約30mg/kg、もしくは約30mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;
(e)前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約15mg/kgの初期用量で投与し、次いで約16mg/kg~約30mg/kg、もしくは約30mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;または
(f)前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約30mg/kgの初期用量で投与し、次いで約31mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体を投与すること
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗ソルチリン抗体を約4週間ごとに1回またはそれより低頻度で投与することを含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗ソルチリン抗体を約4週間ごとに1回、約5週間ごとに1回、約6週間ごとに1回、約7週間ごとに1回、約8週間ごとに1回、約9週間ごとに1回、または約10週間ごとに1回投与することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約15mg/kgの用量で約4週間ごとに1回、約6週間ごとに1回、または約8週間ごとに1回投与することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約15mg/kgの用量で約6週間ごとに1回または約8週間ごとに1回投与することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約30mg/kgの用量で約4週間ごとに1回、約6週間ごとに1回、または約8週間ごとに1回投与することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約30mg/kgの用量で約6週間ごとに1回または約8週間ごとに1回投与することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約60mg/kgの用量で約4週間ごとに1回、約6週間ごとに1回または約8週間ごとに1回投与することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約60mg/kgの用量で約6週間ごとに1回または約8週間ごとに1回投与することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により少なくとも約270mgの用量で投与することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により約150mg~約600mgの用量で投与することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により約150mg、約270mg、約300mg、または約600mgのいずれかの用量で投与することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により約150mgの用量で投与することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により約270mgの用量で投与することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により約300mgの用量で投与することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により約600mgの用量で投与することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により約2週間ごと、約4週間ごと、約6週間ごと、または約8週間ごとのいずれかで投与することを含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗ソルチリン抗体を皮下注射により約4週間ごとに1回投与することを含む、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記抗ソルチリン抗体が配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗ソルチリン抗体がヒトIgG1アイソタイプを有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗ソルチリン抗体がアミノ酸置換L234A、L235A、およびP331Sを含むFc領域を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記抗ソルチリン抗体が配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記抗ソルチリン抗体が配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗ソルチリン抗体が配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液または脳脊髄液サンプルにおけるプログラニュリンのレベルを測定することをさらに含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液サンプルの白血球のソルチリンレベルを測定することをさらに含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液または脳脊髄液サンプルにおける神経微細線維軽鎖(NF-L)、タウ、神経炎症の1以上のバイオマーカー、1以上の炎症バイオマーカー、補体機能の1以上のバイオマーカー、および/またはミクログリア活性の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
(a)神経炎症の1以上のバイオマーカーがIL-6、SPP1、IFI2712A、CHIT1、YKL-40、GFAP、YWHAE、CSF1、AIF1、LY86、CD86、およびTOP2Aからなる群から選択され;
(b)1以上の炎症バイオマーカーがオステオポンチン(SPP1)、YWHAE(14-3-3タンパク質ε)、同種移植炎症因子1(AIF1)、コロニー刺激因子1(CSF1)、キチナーゼ1(CHIT1)、リンパ球抗原86(LY86)、およびCD86からなる群から選択され;
(c)補体機能の1以上のバイオマーカーがC1qbおよびC1qcからなる群から選択され;および/または
(d)ミクログリア活性の1以上のバイオマーカーがYKL-40、GFAPおよびインターロイキン-6からなる群から選択される、
請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1用量の6mg/kgまたは15mg/kgの抗ソルチリン抗体の静脈内注入による個体への投与が、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿におけるプログラニュリンレベルの少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍の増加をもたらす、請求項1~7および26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内に存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗ソルチリン抗体の用量が6mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約5日、約7日、約12日、約17日、約24日、約29日、または約42日に存在する、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗ソルチリン抗体の用量が15mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約5日、約7日、約12日、約17日、約24日、約29日、約42日、または約56日に存在する、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項40】
1用量の6mg/kg、15mg/kg、30mg/kgまたは60mg/kg抗ソルチリン抗体の静脈内注入による個体への投与が、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも約220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%の増加をもたらす、請求項1~7および26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記抗ソルチリン抗体の用量が6mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、または約28日に存在する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記抗ソルチリン抗体の用量が15mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、約28日、約35日、または約42日に存在する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記抗ソルチリン抗体の用量が30mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、約28日、約35日、約42日、約49日、または約56日に存在する、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記抗ソルチリン抗体の用量が60mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、約28日、約35日、約42日、約49日、約56日、約63日、約70日、約77日、または約84日に存在する、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
1用量の約150mg抗ソルチリン抗体の皮下注射による個体への投与が、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、または少なくとも約200%の増加をもたらす、請求項1~4、18~20、および26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
1用量の約300mg抗ソルチリン抗体の皮下注射による個体への投与が、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、または少なくとも約200%の増加をもたらす、請求項1~4、17~19、22、および26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
1用量の約600mg抗ソルチリン抗体の皮下注射による個体への投与が、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、または少なくとも約200%の増加をもたらす、請求項1~4、17~19、23、および26~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、または約28日に存在する、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
1用量の6mg/kg抗ソルチリン抗体の静脈内注入による個体への投与が、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、または少なくとも約20%の増加をもたらす、請求項1~7、26~38および40~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
1用量の15mg/kg抗ソルチリン抗体の静脈内注入による個体への投与が、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%の増加をもたらす、請求項1~7、26~37、39~40および42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
1用量の30mg/kg抗ソルチリン抗体の静脈内注入による個体への投与が、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす、請求項1~7、26~35、40、および43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
1用量の60mg/kg抗ソルチリン抗体の静脈内注入による個体への投与が、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす、請求項1~5、7、26~35、40および44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加が、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約5日、約7日、約12日、約14日、約17日、約21日、約24日、約28日、約29日、約35日、約42日、約49日、または約56日に存在する、請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加が、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、約28日、約35日、約42日、約49日、約56日、約63日、約70日、約77日、または約84日に存在する、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
1用量の約150mg抗ソルチリン抗体の皮下注射による個体への投与が、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす、請求項1~4、18~20、26~35、45および48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
1用量の約300mg抗ソルチリン抗体の皮下注射による個体への投与が、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす、請求項1~4、17~19、22、26~35、46および48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
1用量の約600mg抗ソルチリン抗体の皮下注射による個体への投与が、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす、請求項1~4、17~19、23、26~35、47および48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加が、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、または約21日に存在する、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記疾患、障害、または損傷が前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、および変形性関節症からなる群から選択される、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記個体に前記疾患、障害、または損傷のリスクがある、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記疾患、障害、または損傷がパーキンソン病である、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患、障害、または損傷が散発性パーキンソン病である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記個体がGBA1遺伝子に少なくとも1つの病原性突然変異を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記個体がGBA1遺伝子における少なくとも1つの病原性突然変異に関して同型接合性または異型接合性である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記GBA1遺伝子における少なくとも1つの病原性突然変異がc.1226A>G、c.1448T>C、IVS2+1G>A、RecNciI、84insGG、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるか;または前記GBA1遺伝子における少なくとも1つの病原性突然変異が、GBA1遺伝子産物にN370S、L444P、R120W、H255Q、D409H、E326K、T369M、R496H、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるアミノ酸置換をもたらすGBA1遺伝子の突然変異である、請求項63または請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記パーキンソン病がホーン・ヤールの診断基準に基づいてI~III度として分類される、請求項61~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記個体が前記抗ソルチリン抗体の投与前にパーキンソン病に対して1以上の治療を受けている、請求項61~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記個体が前記抗ソルチリン抗体による治療の開始後にパーキンソン病に対する1以上の治療を受け続けている、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記抗ソルチリン抗体をパーキンソン病のための1以上の治療と組み合わせて投与することを含む、請求項61~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
パーキンソン病のための1以上の治療がグルタミン酸拮抗薬、抗コリン作動薬、ドーパミン作動薬、レボドパ(L-DOPAおよびデカルボキシラーゼ[DDC]阻害剤)、モノアミンオキシダーゼB(MAO-B)阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、β遮断薬、選択的セロトニン取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗鬱薬(TCA)、およびインドメタシンからなる群から選択される、請求項67~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるプログラニュリン、GCアーゼ、および/またはαシヌクレインのレベルを測定することをさらに含む、請求項61~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるリソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む、請求項61~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
リソソーム機能の1以上のバイオマーカーがGCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、lyso-Gb1、1以上のカテプシン、LAMP1、N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ(NAGK)、およびグルコシルセラミドからなる群から選択される;場合によっては、1以上のカテプシンは、カテプシンB(CTSB)およびカテプシンD(CTSD)からなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に前記個体の認知機能を評価することをさらに含む、請求項61~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
認知機能がモントリオール認知評価(MoCA)を用いて評価される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に前記個体の運動機能を評価することをさらに含む、請求項61~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
運動機能がMovement Disorder Society (MDS)-sponsored revision of the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (UPDRS) Part III(MDS-UPDRS Part III)、またはUPDRSロータルスケールを用いて評価される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記抗ソルチリン抗体を前記個体に少なくとも約6か月または少なくとも約24週間投与することを含む、請求項61~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記疾患、障害、または損傷が前頭側頭型認知症(FTD)である、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記個体が
(a)場合によっては、GRN遺伝子における1以上の突然変異に関して異型接合性であり、1以上の突然変異は機能欠失型突然変異であり;
(b)C9orf72ヘキサヌクレオチドリピート伸張に関して異型接合性であり;
(c)FTDの症状を有する、FTDの症状を有さない、または前症候性FTDを有する;かつ/または
(d)GRN遺伝子における1以上の突然変異により引き起こされるFTD-GRN、またはFTDを有する、
請求項79に記載の方法。
【請求項81】
(a)前記個体が前症候性FTDを有し、かつ(i)Nfl、SPP1、YWHAE、AIF1、CSF1、CHIT1、およびLY86からなる群から選択される1以上のバイオマーカーのレベルが増加し、かつ/もしくは(ii)NAGKおよびCTSBからなる群から選択される1以上のバイオマーカーのレベルが低下しているか;または
(b)前記個体がFTDの症状を有さず、(i)GRN遺伝子における1以上の突然変異に関して異型接合性であり、かつ/もしくは(ii)PGRNのレベルもしくは機能が低下している、
請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記疾患、障害、または損傷がアルツハイマー病である、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記疾患、障害、または損傷がALSである、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に、個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるプログラニュリン、GCアーゼ、および/またはαシヌクレインのレベルを測定することをさらに含む、請求項79~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に、個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるリソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む、請求項79~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記リソソーム機能の1以上のバイオマーカーがGCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、lyso-Gb1、1以上のカテプシン、LAMP1、N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ(NAGK)、およびグルコシルセラミドからなる群から選択され;場合によっては、前記1以上のカテプシンは、カテプシンB(CTSB)およびカテプシンD(CTSD)からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に前記個体の認知機能を評価することをさらに含む、請求項79~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記個体がヒトである、請求項1~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
抗ソルチリン抗体が投与されている個体の治療をモニタリングする方法であって、1以上のバイオマーカーのレベルを測定することを含み、前記1以上のバイオマーカーは、プログラニュリン、GCアーゼ、神経微細線維軽鎖(NF-L)、タウ、神経炎症の1以上のマーカー、1以上の炎症バイオマーカー、補体機能の1以上のバイオマーカー、ミクログリア活性の1以上のバイオマーカー、およびαシヌクレインからなる群から選択され、前記1以上のバイオマーカーのレベルは、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおいて測定される、方法。
【請求項90】
抗ソルチリン抗体が投与されている個体の治療をモニタリングする方法であって、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるリソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することを含む、方法。
【請求項91】
前記リソソーム機能の1以上のバイオマーカーがGCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、lyso-Gb1、1以上のカテプシン、LAMP1、N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ(NAGK)、およびグルコシルセラミドからなる群から選択され;場合によっては、前記1以上のカテプシンは、カテプシンB(CTSB)およびカテプシンD(CTSD)~からなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記サンプルの1以上のバイオマーカーのレベルに基づいて抗ソルチリン抗体の活性を評価することをさらに含む、請求項89~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
(a)前記神経炎症の1以上のマーカーがIL-6、SPP1、IFI2712A、CHIT1、YKL-40、GFAP、YWHAE、CSF1、AIF1、LY86、CD86、およびTOP2Aからなる群から選択され;
(b)前記1以上の炎症バイオマーカーがオステオポンチン(SPP1)、YWHAE(14-3-3タンパク質ε)、同種移植炎症因子1(AIF1)、コロニー刺激因子1(CSF1)、キチナーゼ1(CHIT1)、リンパ球抗原86(LY86)、およびCD86からなる群から選択され;
(c)前記補体機能の1以上のバイオマーカーがC1qbおよびC1qcからなる群から選択され;かつ/または
(d)前記ミクログリア活性の1以上のバイオマーカーがYKL-40、GFAPおよびインターロイキン-6からなる群から選択される、
請求項89または請求項92に記載の方法。
【請求項94】
個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させる方法において使用するための少なくとも約6mg/kgの用量の抗ソルチリン抗体であって、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗ソルチリン抗体。
【請求項95】
疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させるための方法において使用するための少なくとも約6mg/kgの用量の抗ソルチリン抗体であって、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗ソルチリン抗体。
【請求項96】
個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させるための薬剤の製造における少なくとも約6mg/kgの用量の抗ソルチリン抗体の使用であって、前記抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、方法。
【請求項97】
疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させるための薬剤の製造における少なくとも約6mg/kgの用量の抗ソルチリン抗体の使用であって、前記抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年12月2日に出願された米国仮出願第63/120,670号および2021年10月25日に出願された米国仮出願第63/271,658号に基づく優先権を主張するものであり、それらの全内容が本明細書の一部として援用される。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの下記提出の内容は、参照によりその全内容が本明細書の一部として援用される:コンピューター可読形式(CRF)の配列表(ファイル名:735022003640SEQLIST.TXT、記録日:2021年11月29日、サイズ:55,902バイト)。
【0003】
分野
本開示は、抗ソルチリン抗体の治療的使用に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
ソルチリンは、I型膜貫通タンパク質であり、いくつかのリガンドの受容体として、また、指定の積載物を分解のためにトランスゴルジ網(TGN)から後期エンドソームおよびリソソームへ選別する際にも働く。ソルチリンは、分泌タンパク質のプログラニュリン(PGRN)と結合し、PGRNをリソソーム分解の標的とすることから、細胞外プログラニュリンレベルに負の調節を行う(Hu, F et al. (2010) Neuron 68, 654-667)。これと一致して、ソルチリンの欠乏は、in vivoマウスモデルおよびin vitroヒト細胞の両方で血漿プログラニュリンレベルを有意に増加させる(Carrasquillo, M.M et al., (2010) Am J Hum Genet 87, 890-897; Lee, W.C et al., (2014) Hum Mol Genet 23, 1467-1478)。さらに、ソルチリンの多形が、ヒトにおけるプログラニュリン血清レベルと強く関連していることが示された(Carrasquillo MM e al., (2010), Am J Hum Genet. 10; 87(6):890-7)。
【0005】
GRN遺伝子によってコードされるプログラニュリン(PGRN)は、分泌された増殖因子様の栄養性および抗炎症性タンパク質であり、食事誘導性肥満およびインスリン抵抗性に関与するアディポカインとしての役割も果たす(Nguyen DA et al., (2013). Trends in Endocrinology and Metabolism, 24, 597- 606)。
【0006】
プログラニュリンの欠乏は、早期発症型神経変性疾患である前頭側頭型認知症(FTD)の全ての遺伝型のおよそ25%を占める。プログラニュリンに異型接合性機能欠失型突然変異を有する患者は、このタンパク質の細胞外レベルが約50%低下し、必ずFTDを発症することから、プログラニュリンはこの疾患の原因遺伝子とされる(Baker, M et al., (2006) Nature 442, 916-919; Carecchio M et al., (2011) J Alzheimers Dis 27, 781-790; Cruts, M et al., (2008) Trends Genet 24, 186-194; Galimberti, D et al., (2010) J Alzheimers Dis 19, 171-177)。
【0007】
プログラニュリンは、パーキンソン病にも関連している。GRNパーキンソン病リスク対立遺伝子は、血漿、脳脊髄液、および脳におけるプログラニュリンレベルの低下と関連している。さらに、同型接合性機能欠失型プログラニュリンは、神経セロイドリポフスチン症を引き起こし、異型接合性機能欠失型プログラニュリンは、前頭側頭型認知症(FTD)を引き起こし、パーキンソン症候群を呈する場合がある(Smith et al., Am J Hum Genet (2012) 90(6):1102-1107; Boeve et al., Brain (2006) 129(Pt 11):3103-3114; and Wauters et al., Neurobiol Aging (2018) 67:84-94)。さらに、血漿プログラニュリンレベルの低下は、パーキンソン病の重症度の増加と関連している(Yao et al., Neurosci Lett (2020) 725:134873)。プログラニュリンの欠乏は、齧歯類のパーキンソン病モデルでも転帰を悪化させる(Martens et al., J Clin Invest (2012) 122(11):3955-3959)が、プログラニュリン遺伝子の送達によりそれらの転帰は改善する(Van Kampen et al., PLoS One (2014) 7;9(5):e97032)。
【0008】
さらに、プログラニュリン変異対立遺伝子がアルツハイマー病患者で同定されている(Seelaar, H et al., (2011). Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry 82, 476-486)。重要なことに、プログラニュリンは、いくつかの疾患モデルにおいて保護的に作用し、プログラニュリンレベルの上昇により虚血からの行動回復が促進され(Tao, J et al., (2012) Brain Res 1436, 130-136; Egashira, Y. et al., (2013) J Neuroinflammation 10, 105)、筋萎縮性側索硬化症(Laird, A.S et al., (2010). PLoS One 5, e13368)および関節炎(Tang, W et al., (2011). Science 332, 478-484)のモデルにおける病状が軽減され、アルツハイマー病モデルにおける記憶障害が防止される(Minami, S.S et al., (2014). Nat Med 20, 1157-1164)。
【0009】
プログラニュリンなどのタンパク質との様々な相互作用を介して、ソルチリンおよびその多数のリガンドは、様々な疾患、障害、および病態、例えば、前頭側頭型認知症(FTD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋萎縮性側索硬化症-前頭側頭型認知症表現型、アルツハイマー病、パーキンソン病、鬱病、神経精神障害、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、加齢性黄斑変性、緑内障、外傷性脳損傷、加齢、創傷治癒、脳卒中、関節炎、およびアテローム性血管疾患に関与することがわかっている。
【0010】
ソルチリンを標的とする新規な治療用抗体は、ソルチリンまたはプログラニュリン活性に関連する疾患の処置の1つの解決法である。しかしながら、モノクローナル抗体の投与は、そのような治療的使用に課題を示す可能性がある。例えば、治療用抗体は、一般に経口バイオアベイラビリティが制限されるため、一般に静脈内、皮下、または筋肉内に投与される(Ovacik, M and Lin, L, (2018) Clin Transl Sci 11, 540-552)。利用可能な投与の選択肢の中で、皮下投与は、自宅で、多くの場合患者自身が行うことができるため最も都合が良いが、静脈内投与は、より高い全身曝露をもたらす。脳脊髄液(CSF)への送達には高全身用量が必要であるため、皮下投与では十分に高い用量を送達できない可能性があることから、通常は静脈内投与が使用される。しかしながら、静脈内投与は、アルツハイマー病、パーキンソン病またはFTDなどの神経変性疾患を有する患者には困難な場合があり、その処置は長年にわたって行われ、そうでなければ、患者のコンプライアンスが困難になる可能性がある。
【0011】
従って、ソルチリン活性に関連する1以上の疾患、障害、および病態を治療するために、ソルチリンタンパク質に特異的に結合する治療用抗体が必要である。さらに、患者を正確な用量で治療する方法および患者のコンプライアンスを容易にする形でその用量を投与する方法を特定する必要がある。
【0012】
特許、特許出願および刊行物を含め、本明細書に引用される全ての参照文献は、それらの全内容が本明細書の一部として援用される。
【発明の概要】
【0013】
概要
一態様において、本明細書では、個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させる方法であって、前記個体に抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で投与することを含み、前記抗体は軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む方法が提供される。
【0014】
別の態様において、本明細書では、疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させる方法であって、前記個体に抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で投与することを含み、前記抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、プログラニュリンレベルの増加は、前記個体の脳脊髄液、前記個体の血漿、またはその両方におけるプログラニュリンレベルの増加を含む。
【0015】
別の態様において、本明細書では、個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させる方法であって、前記個体に抗ソルチリン抗体を皮下注射により約150mg~約600mgの用量で投与することを含み、前記抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む方法が提供される。
【0016】
別の態様において、本明細書では、疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させる方法であって、前記個体に抗ソルチリン抗体を皮下注射により約150mg~約600mgの用量で投与することを含み、前記抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、前記軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む方法が提供される。
【0017】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入または皮下注射により投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により少なくとも約6mg/kg、少なくとも約15mg/kg、少なくとも約30mg/kg、または少なくとも約60mg/kgの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約6mg/kgおよび約30mg/kgの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約6mg/kg、約15mg/kg、約30mg/kg、または約60mg/kgの用量で投与することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記方法は、(a)抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約60mg/kgの初期用量で、次いで約6mg/kg~約59mg/kg、または約6mg/kg~約30mg/kg、または約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;(b)抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約30mg/kgの初期用量で、次いで約6mg/kg~約29mg/kg、または約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;(c)抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約15mg/kgの初期用量で、次いで約6mg/kg~約14mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;(d)抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約6mg/kgの初期用量で、次いで約7mg/kg~約30mg/kg、約15mg/kg~約30mg/kg、または約30mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;(e)抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約15mg/kgの初期用量で、次いで約16mg/kg~約30mg/kg、または約30mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体を投与すること;または(f)抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約30mg/kgの初期用量で、次いで約31mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体投与することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を約4週間ごとに1回またはそれより低頻度で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を約4週間ごとに1回、約5週間ごとに1回、約6週間ごとに1回、約7週間ごとに1回、約8週間ごとに1回、約9週間ごとに1回、または約10週間ごとに1回投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約15mg/kgを約4週間ごとに1回、約6週間ごとに1回、または約8週間ごとに1回の用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約15mg/kgの用量で約6週間ごとに1回または約8週間ごとに1回投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約30mg/kgの用量で約4週間ごとに1回、約6週間ごとに1回、または約8週間ごとに1回投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約30mg/kgの用量で約6週間ごとに1回または約8週間ごとに1回投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約60mg/kgの用量で約4週間ごとに1回、約6週間ごとに1回または約8週間ごとに1回投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を静脈内注入により約60mg/kgの用量で約6週間ごとに1回または約8週間ごとに1回投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により少なくとも約270mgの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により約150mg~約600mgの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により約150mg、約270mg、約300mg、または約600mgのいずれかの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により約150mgの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により約270mgの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により約300mgの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により約600mgの用量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により約2週間ごと、約4週間ごと、約6週間ごと、または約8週間ごとのいずれかで投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、抗ソルチリン抗体を皮下注射により約4週間ごとに1回投与することを含む。前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、ヒトIgG1アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アミノ酸置換L234A、L235A、およびP331Sを含むFc領域を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、配列番号25または26のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0020】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、前記方法は、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液または脳脊髄液サンプルにおけるプログラニュリンレベルを測定することをさらに含む。
【0021】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、前記方法は、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液サンプル中の白血球のソルチリンレベルを測定することをさらに含む。
【0022】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、前記方法は、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液または脳脊髄液サンプルにおける神経微細線維軽鎖(NF-L)、タウ、神経炎症の1以上のバイオマーカー、1以上の炎症バイオマーカー、補体機能の1以上のバイオマーカー、および/またはミクログリア活性の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、(a)神経炎症の1以上のバイオマーカーは、IL-6、SPP1、IFI2712A、CHIT1、YKL-40、GFAP、YWHAE、CSF1、AIF1、LY86、CD86、およびTOP2Aからなる群から選択され;(b)1以上の炎症バイオマーカーは、オステオポンチン(SPP1)、YWHAE(14-3-3タンパク質ε)、同種移植炎症因子1(AIF1)、コロニー刺激因子1(CSF1)、キチナーゼ1(CHIT1)、リンパ球抗原86(LY86)、およびCD86からなる群から選択され;(c)補体機能の1以上のバイオマーカーは、C1qbおよびC1qcからなる群から選択され;および/または(d)ミクログリア活性の1以上のバイオマーカーは、YKL-40、GFAPおよびインターロイキン-6からなる群から選択される。
【0023】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、6mg/kgまたは15mg/kgの抗ソルチリン抗体1用量の静脈内注入による個体への投与は、前記個体の血漿プログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加が抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内に存在する。いくつかの実施形態では、前記抗ソルチリン抗体の用量は6mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約5日、約7日、約12日、約17日、約24日、約29日、または約42日に存在する。いくつかの実施形態では、前記抗ソルチリン抗体の用量は15mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約5日、約7日、約12日、約17日、約24日、約29日、約42日、または約56日に存在する。
【0024】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、6mg/kg、15mg/kg、30mg/kgまたは60mg/kgの抗ソルチリン抗体1用量の静脈内注入による個体への投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも約220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記抗ソルチリン抗体の用量は6mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、または約28日に存在する。いくつかの実施形態では、前記抗ソルチリン抗体の用量は15mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、約28日、約35日、または約42日に存在する。いくつかの実施形態では、前記抗ソルチリン抗体の用量は30mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、約28日、約35日、約42日、約49日、または約56日に存在する。いくつかの実施形態では、前記抗ソルチリン抗体の用量は60mg/kgであり、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、約28日、約35日、約42日、約49日、約56日、約63日、約70日、約77日、または約84日に存在する。
【0025】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、約150mgの抗ソルチリン抗体1用量の皮下注射による個体への投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、または少なくとも約200%の増加をもたらす。前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、約300mgの抗ソルチリン抗体1用量の皮下注射による個体への投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、または少なくとも約200%の増加をもたらす。前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、約600mgの抗ソルチリン抗体1用量の皮下注射による個体への投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、または少なくとも約200%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、または約28日に存在する。
【0026】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、6mg/kgの抗ソルチリン抗体1用量の静脈内注入による個体への投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、または少なくとも約20%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約5日、約7日、約12日、約14日、約17日、約21日、約24日、約28日、約29日、約35日、約42日、約49日、または約56日に存在する。
【0027】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、15mg/kgの抗ソルチリン抗体1用量の静脈内注入による個体への投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約5日、約7日、約12日、約14日、約17日、約21日、約24日、約28日、約29日、約35日、約42日、約49日、または約56日に存在する。
【0028】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、30mg/kgの抗ソルチリン抗体1用量の静脈内注入による個体への投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約5日、約7日、約12日、約14日、約17日、約21日、約24日、約28日、約29日、約35日、約42日、約49日、または約56日に存在する。
【0029】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、60mg/kgの抗ソルチリン抗体1用量の静脈内注入による個体への投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、約21日、約28日、約35日、約42日、約49日、約56日、約63日、約70日、約77日、または約84日に存在する。
【0030】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、約150mgの抗ソルチリン抗体1用量の皮下注射による個体への投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす。前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、約300mgの抗ソルチリン抗体1用量の皮下注射による個体への投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす。前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、約600mgの抗ソルチリン抗体1用量の皮下注射による個体への投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約7日、約14日、または約21日に存在する。
【0031】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症から選択される。いくつかの実施形態では、個体は疾患、障害、または損傷のリスクがある。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷はパーキンソン病である。いくつかの実施形態では、個体はパーキンソン病のリスクがある。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷は、散発性パーキンソン病である。いくつかの実施形態では、個体は、GBA1遺伝子に少なくとも1つの病原性突然変異を有する。いくつかの実施形態では、個体は、GBA1遺伝子における少なくとも1つの病原性突然変異に関して同型接合性または異型接合性である。いくつかの実施形態では、GBA1遺伝子における少なくとも1つの病原性突然変異は、1226A>G、c.1448T>C、IVS2+1G>A、RecNciI、84insGG、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるか;またはGBA1遺伝子における少なくとも1つの病原性突然変異は、GBA1遺伝子産物にN370S、L444P、R120W、H255Q、D409H、E326K、T369M、R496H、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるアミノ酸置換をもたらすGBA1遺伝子の突然変異である。いくつかの実施形態では、パーキンソン病は、ホーン・ヤールの診断基準に基づいてI~III度として分類される。いくつかの実施形態では、個体は、抗ソルチリン抗体の投与前にパーキンソン病に対して1以上の治療を受けている。いくつかの実施形態では、個体は、抗ソルチリン抗体による治療の開始後にパーキンソン病に対する1以上の治療を受け続けている。いくつかの実施形態では、この方法は、パーキンソン病のための1以上の治療と組み合わせて抗ソルチリン抗体を投与することを含む。いくつかの実施形態では、パーキンソン病に関する1以上の治療は、グルタミン酸拮抗薬、抗コリン作動薬、ドーパミン作動薬、レボドパ(L-DOPAおよびデカルボキシラーゼ[DDC]阻害剤)、モノアミンオキシダーゼB(MAO-B)阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、β遮断薬、選択的セロトニン取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗鬱薬(TCA)、またはインドメタシンから選択される。いくつかの実施形態では、この方法は、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるプログラニュリン、GCアーゼ、および/またはαシヌクレインのレベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるリソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、リソソーム機能の1以上のバイオマーカーは、GCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、lyso-Gb1、1以上のカテプシン、LAMP1、N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ(NAGK)、およびグルコシルセラミドから選択され;場合によっては、1以上のカテプシンは、カテプシンB(CTSB)およびカテプシンD(CTSD)から選択される。いくつかの実施形態では、この方法は、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に前記個体の認知機能を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、認知機能は、モントリオール認知評価(MoCA)を用いて評価される。いくつかの実施形態では、この方法は、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に前記個体の運動機能を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、運動機能は、Movement Disorder Society (MDS)-sponsored revision of the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (UPDRS) Part III(MDS-UPDRS Part III)、またはUPDRSロトータルスケールを用いて評価される。いくつかの実施形態では、この方法は、個体に抗ソルチリン抗体を少なくとも約6か月または少なくとも約24週間投与することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷は、前頭側頭型認知症(FTD)である。いくつかの実施形態では、個体は、(a)場合によっては、GRN遺伝子の1以上の突然変異に関して異型接合性であり、1以上の突然変異は機能欠失型突然変異であり;(b)C9orf72ヘキサヌクレオチドリピート伸張に関して異型接合性であり;(c)FTDの症状は、FTDの症状を有さないか、もしくは前症候性FTDを有し;かつ/または(d)FTD-GRN、もしくはGRN遺伝子の1以上の突然変異により引き起こされるFTDを有する。いくつかの実施形態では、(a)個体は、前症候性FTDを有し、(i)Nfl、SPP1、YWHAE、AIF1、CSF1、CHIT1、およびLY86からなる群から選択される1以上のバイオマーカーのレベルが増加し、かつ/または(ii)NAGKおよびCTSBからなる群から選択される1以上のバイオマーカーのレベルが低下しているか;あるいは(b)個体はFTDの症状を有さず、(i)GRN遺伝子の1以上の突然変異に関して異型接合性であり、かつ/または(ii)PGRNレベルもしくは機能が低下している。
【0033】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷は、アルツハイマー病である。
【0034】
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷は、ALSである。
【0035】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、この方法は、個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるプログラニュリン、GCアーゼ、および/またはαシヌクレインのレベルを測定することをさらに含む。前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、前記方法は、個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるリソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、リソソーム機能の1以上のバイオマーカーは、GCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、lyso-Gb1、1以上のカテプシン、LAMP1、N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ(NAGK)、およびグルコシルセラミドから選択され;場合によっては、1以上のカテプシンは、カテプシンB(CTSB)およびカテプシンD(CTSD)から選択される。前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、前記方法は、個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体の認知機能を評価することをさらに含む。前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、個体はヒトである。
【0036】
別の態様において、本明細書では、抗ソルチリン抗体が投与されている個体の治療をモニタリングする方法であって、1以上のバイオマーカーのレベルを測定することを含み、1以上のバイオマーカーは、プログラニュリン、GCアーゼ、神経微細線維軽鎖(NF-L)、タウ、神経炎症の1以上のマーカー、1以上の炎症バイオマーカー、補体機能の1以上のバイオマーカー、ミクログリア活性の1以上のバイオマーカー、またはαシヌクレインから選択され、1以上のバイオマーカーのレベルは、個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおいて測定される方法が提供される。
【0037】
別の態様において、本明細書では、抗ソルチリン抗体が投与されている個体の治療をモニタリングする方法であって、個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルにおけるリソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することを含む方法が提供される。
【0038】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、リソソーム機能の1以上のバイオマーカーは、GCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、lyso-Gb1、1以上のカテプシン、LAMP1、N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ(NAGK)、およびグルコシルセラミドから選択され;場合によっては、1以上のカテプシンは、カテプシンB(CTSB)およびカテプシンD(CTSD)から選択される。いくつかの実施形態では、前記方法は、サンプルの1以上のバイオマーカーのレベルに基づいて個体において抗ソルチリン抗体活性を評価することをさらに含む。
【0039】
前記実施形態のいずれと組み合わせてもよいいくつかの実施形態では、(a)神経炎症の1以上のマーカーは、IL-6、SPP1、IFI2712A、CHIT1、YKL-40、GFAP、YWHAE、CSF1、AIF1、LY86、CD86、およびTOP2Aから選択され;(b)1以上の炎症バイオマーカーは、オステオポンチン(SPP1)、YWHAE(14-3-3タンパク質ε)、同種移植炎症因子1(AIF1)、コロニー刺激因子1(CSF1)、キチナーゼ1(CHIT1)、リンパ球抗原86(LY86)、およびCD86から選択され;(c)補体機能の1以上のバイオマーカーは、C1qbおよびC1qcから選択され;かつ/または(d)ミクログリア活性の1以上のバイオマーカーは、YKL-40、GFAPおよびインターロイキン-6から選択される。
【0040】
別の態様において、本明細書では、ソルチリンタンパク質に結合する抗体が提供され、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、抗体はヒトIgG1アイソタイプを有し、アミノ酸置換L234A、L235A、およびP331Sを含むFc領域を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う。
【0041】
別の態様において、本明細書では、ソルチリンタンパク質に結合する抗体が提供され、抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0042】
別の態様において、本明細書では、個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させる方法において使用するための少なくとも約6mg/kgの用量の抗ソルチリン抗体が提供され、抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0043】
別の態様において、本明細書では、疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させるための方法において使用するための少なくとも約6mg/kgの用量の抗ソルチリン抗体が提供され、抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0044】
別の態様において、本明細書では、個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させる方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体が提供され、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、抗体はヒトIgG1アイソタイプを有し、アミノ酸置換L234A、L235A、およびP331Sを含むFc領域を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う。
【0045】
別の態様において、本明細書では、疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させるための方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体が提供され、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、抗体はヒトIgG1アイソタイプを有し、アミノ酸置換L234A、L235A、およびP331Sを含むFc領域を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う。
【0046】
別の態様において、本明細書では、個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させる方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体が提供され、抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0047】
別の態様において、本明細書では、疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させるための方法において使用するための、ソルチリンタンパク質に結合する抗体が提供され、抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0048】
別の態様において、本明細書では、個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させるための薬剤の製造における少なくとも約6mg/kgの用量の抗ソルチリン抗体の使用であって、抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む使用が提供される。
【0049】
別の態様において、本明細書では、疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させるための薬剤の製造における少なくとも約6mg/kgの用量の抗ソルチリン抗体の使用であって、抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む使用が提供される。
【0050】
別の態様において、本明細書では、個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させるための薬剤の製造における、ソルチリンタンパク質に結合する抗体の使用であって、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、抗体はヒトIgG1アイソタイプを有し、アミノ酸置換L234A、L235A、およびP331Sを含むFc領域を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う使用が提供される。
【0051】
別の態様において、本明細書では、疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させるための薬剤の製造における、ソルチリンタンパク質に結合する抗体の使用であって、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、抗体はヒトIgG1アイソタイプを有し、アミノ酸置換L234A、L235A、およびP331Sを含むFc領域を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う使用が提供される。
【0052】
別の態様において、本明細書では、個体において疾患、障害、または損傷を治療するまたはその進行を遅延させるための薬剤の製造における、ソルチリンタンパク質に結合する抗体の使用であって、抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む使用が提供される。
【0053】
別の態様において、本明細書では、疾患、障害、または損傷を有する個体においてプログラニュリンレベルを増加させるための薬剤の製造における、ソルチリンタンパク質に結合する抗体の使用であって、抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、実施例1に記載の研究の設計の図である。CSF=脳脊髄液;D=研究日;IV=静脈内;SC=皮下。研究中にCSFサンプルが採取される研究日を示している。
【
図2A】
図2A~2Cは、実施例1~2に記載の研究のコホート1の被験者の血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図2Aは、抗ソルチリン抗体ALXを6mg/kgの用量で投与したコホート1の被験者1~8のそれぞれについて、研究1日目の指示時間(投与前、EOI、4HR、8HR、12HR)における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。y軸は、100、150、および200ng/mlで標示している。
図2Bは、プラセボを投与したコホート1の被験者1~3のそれぞれについて、研究1日目の指示時間(投与前、EOI、4HR、8HR、12HR)における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。y軸は、100、150、および200ng/mlで標示している。
図2Cは、プラセボまたは抗体ALXを投与したコホート1の被験者の指定研究日における血漿中の平均プログラニュリンレベルを示す。
【
図3A】
図3A~3Cは、実施例1~2に記載の研究のコホート2の被験者の血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図3Aは、抗ソルチリン抗体ALXを15mg/kgの用量で投与したコホート2の被験者1~6のそれぞれについて、研究1日目の指定時点における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図3Bは、プラセボを投与したコホート2の被験者1~2のそれぞれについて、研究1日目の指定時点における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図3Cは、プラセボまたは抗体ALXを投与したコホート2の被験者の指定研究日における血漿中の平均プログラニュリンレベルを示す。
【
図4】
図4は、抗ソルチリン抗体ALXまたはプラセボを投与したコホート1および2の被験者の指定研究日における血漿中の平均プログラニュリンレベルを示す。
【
図5A】
図5A~5Dは、実施例1~2に記載の研究のコホート1および2の被験者の血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図5Aは、研究のコホート1および2のプラセボを投与した各被験者のプラセボ投与後の指定日における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。各直線は1名の被験者を表している。
図5Bは、コホート1の抗体ALX(6mg/kg)を投与した各被験者の抗体投与後の指定日における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。各直線は1名の被験者を表している。
図5Cは、コホート2の抗体ALX(15mg/kg)を投与した各被験者の抗体投与後の指定日における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。各直線は1名の被験者を表している。
図5Dは、コホート1および2の抗体ALXまたはプラセボを投与した被験者の抗体またはプラセボの投与後の指定日における血漿中の平均プログラニュリンレベルを示す。コホート1および2のプラセボを投与した全ての被験者をプールした(「プールされたプラセボ」)。SD=単回投与;IV=静脈内。
【
図6】
図6は、実施例1~2に記載の研究のコホート1および2の被験者のCSF中のプログラニュリンレベルの変化を示す。CSF中のプログラニュリンレベルは、CSF中のベースラインのプログラニュリンレベルと比較した、指定研究日における平均パーセンテージ変化として示している。各研究日における各コホートのプログラニュリンCSFレベルの分析に含めた被験者数をグラフの下に示している。
【
図7A】
図7A~7Bは、実施例4に記載のとおり、抗体を20mg/kg、60mg/kg、および200mg/kgの用量で週1回4週間、静脈内に投与したカニクイザルの血清中の抗ソルチリン抗体ALXの平均濃度(ng/ml)を示す。
図7Aは、研究1日目、8日目、および15日目における各用量の抗体を投与した後の指示時間(時間)における血清中の抗ソルチリン抗体ALXの平均濃度を示す。
図7Bは、研究22日目および29日目における各用量の抗体を投与した後の指定時間(時間)における血清中の抗ソルチリン抗体ALXの平均濃度を示す。
【
図8A】
図8A~8Cは、実施例4に記載のとおり、抗体ALXを0mg/kg(対照)、20mg/kg、60mg/kg、および200mg/kgの用量で週1回4週間、静脈内に投与したカニクイザルにおける白血球(WBC)のソルチリン発現、血清プログラニュリン、およびCSFプログラニュリンのレベルを示す。
図8Aは、白血球におけるソルチリン(SORT1)発現のレベルを、初回用量の抗体ALXの投与後の指示時間におけるベースラインレベルのパーセントとして示す。
図8Bは、血清中のプログラニュリンのレベルを、初回用量の抗体ALXの投与後の指示時間におけるベースラインレベルのパーセントとして示す。
図8Cは、CSF中のプログラニュリンのレベルを、初回用量の抗体ALXの投与後の指示時間におけるベースラインレベルのパーセントとして示す。
図8A~8Cにおいて、矢印は、抗体ALXの用量の投与時間を示す。
【
図9】
図9は、研究中の様々な時点における登録集団の参加者の内訳の図である。IV=静脈内;SD=単回投与;SC=皮下。
a被験者による中止(n=2);
b被験者による中止;
c医師の判断;
d医師の判断(n=1)および被験者による中止(n=3);
e有害事象。
【
図10A】
図10A~10Bは、実施例5に記載のとおり、6mg/kg(コホート1)、15mg/kg(コホート2)、30mg/kg(コホート3)、60mg/kg(コホート4)の用量で抗体ALXの単回静脈内投与を行ったコホート、または600mgでALX抗体の単回皮下投与を行ったコホート(SD SCコホート)の被験者の血清およびCSF中の抗ソルチリン抗体ALXの平均濃度(ng/ml)を示す。
図10Aは、ALXの単回静脈内または皮下投与実施後の指示時間(日)における血清のALX濃度を示す。
図10Bは、ALXの単回静脈内または皮下投与実施後の指示時間(日)におけるCSFの平均ALX濃度を示す。
【
図11A】
図11A~11Bは、実施例5に記載のとおり、6mg/kg(コホート1)、15mg/kg(コホート2)、30mg/kg(コホート3)、60mg/kg(コホート4)の用量で抗体ALXの単回静脈内投与を行った、または600mgでALX抗体の単回皮下投与を行った(SD SCコホート)血漿およびCSFのプログラニュリン濃度のベースラインからの平均パーセンテージ変化を示す。
図11Aは、抗体ALXの単回投与実施後の指示時間(日)における血漿のプログラニュリン濃度のベースラインからの平均パーセンテージ変化を示す。
図11Bは、抗体ALXの単回投与実施後の指示時間(日)におけるCSFのプログラニュリン濃度のベースラインからの平均パーセンテージ変化を示す。
【
図12】
図12は、単回皮下投与コホートの設計の図を示す。被験者には150mg抗体ALXの単回皮下投与を行う。矢印で示すように、単回投与は1日目に行う。CSFサンプルを採取する研究日を四角で示している。LP=腰椎穿刺;BL=ベースライン;SC=皮下;EoS=研究の終了。
【
図13】
図13は、複数回皮下投与コホートの設計の図を示す。矢印で示すように、被験者(n=10)への300mgの抗体ALXの7回の投与は、1日目、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、および85日目に行う。CSFサンプルを採取する研究日を四角で示している。LP=腰椎穿刺;BL=ベースライン;SC=皮下;HV=健康なボランティア;EoS=研究の終了。
【
図14】
図14は、複数回静脈内投与コホートの設計の図を示す。矢印で示すように、被験者(n=10)への30mg/kgの抗体ALXまたはプラセボの4回の投与は、8:2の比(抗体ALX:プラセボ)で1日目、29日目、57日目、および85日目に行う。CSFサンプルを採取する研究日を四角で示している。LP=腰椎穿刺;BL=ベースライン;IV=静脈内;HV=健康なボランティア;EoS=研究の終了。
【
図15】
図15は、実施例1に記載の研究の設計の図を示す。CSF=脳脊髄液;DLAE=用量制限有害事象;IV=静脈内;PD=薬力学;PK=薬物動態学;SC=皮下;SD=単回投与。
a投与後のCSFサンプリングは、25、43、または57日目の2時点において行った;
b投与後のCSFサンプリングは、25、43、57、または85日目の2時点において行った;
c投与後のCSFサンプリングは、43、57、または85日目の2時点において行った;
d投与後のCSFサンプリングは、25、43、57、または85日目の2時点において行った;
e6-mg/kg、15-mg/kg、および30-mg/kg用量群の参加者を12週間追跡調査した;
f60-mg/kg用量群の参加者を16週間追跡調査した;
g6-mg/kg、15-mg/kg、および30-mg/kg用量群の参加者の最終研究訪問;
h60-mg/kg用量群の参加者の最終研究訪問;
i投与後のCSFサンプリングは、8、13、18、25、または43日目の2時点において行った。
【発明を実施するための形態】
【0055】
詳細な説明
定義
本明細書で使用する場合、「予防する」という用語は、個体における特定の疾患、障害、または病態の発生または再発に関する予防を提供することを含む。個体は、特定の疾患、障害、または病態に罹りやすい素因を持っているもしくは罹りやすい、またはそのような疾患、障害、または病態を発症するリスクがある可能性があるが、まだその疾患、障害、または病態と診断されていない。
【0056】
本明細書で使用する場合、特定の疾患、障害、または病態を発症する「リスクがある」個体は、検出可能な疾患または疾患の症状を有していても有していなくてもよく、本明細書に記載される処置方法の前に検出可能な疾患または疾患の症状を呈していても呈していなくてもよい。「リスクがある(at risk)」とは、個体が、当技術分野で公知の、特定の疾患、障害、または病態の発症と相関する測定可能なパラメーターである1以上のリスク因子を有することを意味する。これらのリスク因子のうちの1以上を有する個体は、これらのリスク因子のうちの1以上を有していない個体よりも特定の疾患、障害、または病態を発症する確率が高い。
【0057】
本明細書で使用する場合、「治療」または「治療する」という用語は、臨床病理の過程において治療される個体の自然経過を変更するように設計された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果としては、進行速度の低下、進行の遅延、病的状態の回復または緩和、および特定の疾患、障害、または病態の寛解または予後の改善が挙げられる。例えば、個体は、特定の疾患、障害、または病態に関連する1以上の症状が軽減または消失した場合、「処置」に成功したことになる。
【0058】
「有効量」とは、所望の治療または予防結果を達成するために、必要な用量および期間で、少なくとも有効な量を指す。有効量は、1回以上の投与で提供され得る。本明細書における有効量は、個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに個体において所望の反応を引き出す処置の能力などの因子に応じて変動し得る。有効量はまた、処置の毒性または有害な効果を治療上有益な効果が上回る量である。予防的使用の場合、有益なまたは望ましい結果には、疾患、その合併症および疾患発症中に提示される中間的な病理学的表現型の生化学的、組織学的および/または行動上の症状を含む、リスクの除去もしくは軽減、重症度の軽減、または疾患発生の遅延などの結果が含まれる。治療的使用の場合、有益なまたは望ましい結果には、疾患に起因する1以上の症状の軽減、疾患に罹患している人の生活の質の向上、疾患の処置に必要な他の投薬の用量の低減、疾患の標的化、進行遅延、および/または生存の延長などによる別の投薬の効果の増強などの臨床結果が含まれる。薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、直接的または間接的に予防的または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床の文脈で理解されるように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併用して達成される場合もあれば、達成されない場合もある。従って、「有効量」は、1以上の治療薬を投与するという文脈で考えることができ、1以上の他の薬剤と併用して望ましい結果が得られるかまたは達成される場合、単一の薬剤は有効量で投与されるとみなし得る。
【0059】
本明細書で使用する場合、別の化合物または組成物と「併用して」または「組み合わせて」の投与は、同時投与および/または異なる時間での投与を含む。併用してまたは組み合わせての投与はまた、共製剤としての投与または別個の組成物としての投与を包含し、異なる投与頻度または間隔で、同じ投与経路または異なる投与経路を使用することを含む。
【0060】
治療、予防、またはリスクの低減を目的とした「個体」とは、ヒト、家畜および農用動物、ならびに動物園動物、スポーツ動物、または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどを含む哺乳動物に分類される任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
【0061】
「ソルチリン」、「ソルチリンタンパク質」、および「ソルチリンポリペプチド」という用語は、本明細書において互換的に使用され、特に断りのない限り、霊長類(例えば、ヒトおよびカニクイザル)および齧歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む任意の哺乳動物起源の任意の天然ソルチリンを指す。いくつかの実施形態では、この用語は、野生型配列および天然に存在する変異体配列、例えば、スプライス変異体または対立遺伝子変異体の両方を包含する。いくつかの実施形態では、この用語は、プロセシングを受けていない「全長」ソルチリン、ならびに細胞でのプロセシングの結果生じる任意の形態のソルチリンを包含する。いくつかの実施形態では、ソルチリンは、ヒトソルチリンである。いくつかの実施形態では、例示的なヒトソルチリンのアミノ酸配列は配列番号1である。
【0062】
「抗ソルチリン抗体」、「ソルチリンに結合する抗体」、および「ソルチリンに特異的に結合する抗体」という用語は、抗体がソルチリンを標的とする診断薬および/または治療薬として有用であるように十分な親和性でソルチリンに結合することができる抗体を指す。一実施形態では、無関係の非ソルチリンポリペプチドに対する抗ソルチリン抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、バイオレイヤー干渉アッセイ(例えば、ForteBioシステムを使用)、または表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイによって測定される場合、ソルチリンに対する抗体の結合の約10%未満である(例えば、Hearty et al., Methods Mol Biol (2012) 907:411-42; Vishal and Rafique, Analytical Biochemistry (2017) 536, pp. 16-31; Estep et al., MAbs (2013) 5(2):270-8;およびFriguet et al., Analytical Biochemistry (1993) 210(2): 344-350を参照のこと)。特定の実施形態では、ソルチリンに結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗ソルチリン抗体は、異なる種のソルチリン間で保存されるソルチリンのエピトープに結合する。
【0063】
「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において「抗体」と互換的に使用される。本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、所望の生物活性を示す場合に限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成されたものを含む多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを特に包含する。
【0064】
「ネイティブ抗体」は通常、2つの同一の軽(「L」)鎖と2つの同一の重(「H」)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つのジスルフィド共有結合によって重鎖に結合されているが、ジスルフィド結合の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で異なる。各重鎖と軽鎖には、規則的な間隔で配置された鎖内ジスルフィド架橋も存在する。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(VH)を有し、この後に複数の定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(VL)を有し、もう一方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の最初の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。
【0065】
異なるクラスの抗体の構造および特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology, 第8版, Daniel P. Stites, Abba I. Terr and Tristram G. Parslow (eds.), Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, 71頁および6章を参照のこと。
【0066】
任意の脊椎動物種のL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)およびラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てられ得る。免疫グロブリンは、それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。免疫グロブリンには、5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、それぞれ、アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)およびミュー(「μ」)と呼ばれる重鎖を有する。γおよびαのクラスは、CH配列および機能における比較的小さな違いに基づいて、サブクラス(アイソタイプ)にさらに分けられ、例えば、ヒトは次のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2を発現する。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構成はよく知られており、例えば、Abbas et al., Cellular and Molecular Immunology, 第4版 (W.B. Saunders Co., 2000)に一般的に記述されている。
【0067】
抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」および「VL」と称することができる。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の高い部分であり(同じクラスの他の抗体と比べて)、抗原結合部位を含む。
【0068】
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定セグメントが、抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体の間で配列が広く異なるという事実を指す。可変ドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖および重鎖の両方の可変ドメインにおいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、3つのHVRによって接続された、大部分がβシート構成をとる4つのFR領域を含み、これらのHVRは、βシート構造を接続し、場合によっては、βシート構造の一部を形成するループを形成する。各鎖のHVRは、FR領域によって極めて近接して一緒に保持され、もう一方の鎖のHVRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Immunological Interest, 第5版, National Institute of Health, Bethesda, MD (1991)を参照のこと)。定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性への抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。
【0069】
「単離された」抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体は、その産生環境の構成成分から(例えば、自然にまたは組換えにより)同定、分離および/または回収されたものである。好ましくは、単離されたポリペプチドは、その産生環境に由来する他の全ての夾雑成分との会合がない。その産生環境に由来する夾雑成分、例えば、組換えトランスフェクト細胞に起因するものなどは、一般に、抗体の研究上、診断上、または治療上の使用に干渉する物質であり、これらには、酵素、ホルモン、他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれ得る。好ましい実施形態では、ポリペプチドは、(1)例えば、ローリー法によって決定した場合に、抗体が95重量%を上回るまで、いくつかの実施形態では、99重量%を上回るまで;(2)スピニングカップ配列決定装置の使用により、N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルー染色もしくは、好ましくは銀染色を使用して、非還元条件もしくは還元条件下でSDS-PAGEによって均質性が得られるまで、精製される。単離された抗体には、組換えT細胞内のin situ抗体が含まれるが、これは、抗体の自然環境の少なくとも1つの構成成分が存在していないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0070】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体、例えば、本開示のモノクローナル抗ソルチリン抗体を指す、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、微量で存在する可能性のある天然に存在する突然変異および/または翻訳後調節(例えば、異性化、アミド化など)を除いて同一である。モノクローナル抗体は特異性が高く、単一の抗原部位に向けられている。一般に、異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられている。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の免疫グロブリンの混入なくハイブリドーマ培養によって合成されるという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、何らかの特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されるものではないが、次の方法の1以上を含む様々な技術によって作製することができる、DNA、ウイルス様粒子、ポリペプチド、および/または細胞のうちの1つ以上を用いた、限定されるものではないが、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ハムスターおよび/またはニワトリを含む動物の免疫誘導法、ハイブリドーマ法、B細胞クローニング法、組換えDNA法、およびヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座または遺伝子の一部または全てを有する動物におけるヒト抗体またはヒト様抗体を作製するための技術。
【0071】
「全長抗体」、「インタクト抗体」または「全体抗体」という用語は、互換的に使用され、抗体フラグメントではなく、実質的にインタクト形態の抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体を指す。具体的には、全抗体には、Fc領域を含む重鎖および軽鎖を有するものが含まれる。定常ドメインは、ネイティブ配列の定常ドメイン(例えば、ヒトネイティブ配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であり得る。場合によっては、インタクト抗体は、1以上のエフェクター機能を有し得る。
【0072】
「抗体フラグメント」は、インタクト抗体の一部分、好ましくは、インタクト抗体の抗原結合領域および/または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2、Zapata et al., Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995)を参照のこと);一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0073】
抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体のパパイン消化により、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントと、容易に結晶化する能力を反映した名称を有する1つの残留「Fc」フラグメントとが生成される。Fabフラグメントは、全L鎖と、H鎖の可変領域ドメイン(VH)および1つの重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)から構成される。各Fabフラグメントは、抗原結合に関して一価である、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大型F(ab’)2フラグメントをもたらされ、このフラグメントは、異なる抗原結合活性を有するジスルフィド結合した2つのFabフラグメントにほぼ対応し、依然として抗原を架橋することができる。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域からの1以上のシステインを含む、CH1ドメインのカルボキシ末端にいくつかの追加残基を有する点でFabフラグメントと異なっている。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’の本明細書における名称である。F(ab’)2抗体フラグメントは、元来、その間にヒンジシステインを有するFab’フラグメント対として生成された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも知られている。
【0074】
Fcフラグメントは、ジスルフィドによって一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能はFc領域の配列によって決定され、この領域はまた、ある特定の細胞型に見られるFc受容体(FcR)によって認識される。
【0075】
「Fv」は、完全な抗原認識・結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。このフラグメントは、1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが非共有結合により緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みにより、6つの超可変ループ(H鎖およびL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じ、これらが抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でも、全結合部位よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0076】
「一本鎖Fv」は、「sFv」または「scFv」とも略称され、単一のポリペプチド鎖に連結されたVHおよびVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、このリンカーにより、sFvは抗原結合に望ましい構造を形成することが可能になる。sFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
【0077】
抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体の「機能的フラグメント」は、一般に、インタクト抗体の抗原結合領域もしくは可変領域またはFcR結合能力を保持するかもしくは改変されたFcR結合能力を有する抗体のF領域を含む、インタクト抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例としては、線状抗体、一本鎖抗体分子および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0078】
「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間の可変ドメインの対合が達成され、それによって、二価フラグメント、すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメントが得られるように、VHドメインとVLドメインの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFvフラグメント(前の段落をを参照のこと)を構築することによって調製された小さな抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、これらの2つの抗体のVHドメインおよびVLドメインが異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。
【0079】
本明細書で使用する場合、「キメラ抗体」とは、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同であり、鎖の残りの部分が、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である、抗体(免疫グロブリン)、例えば、本開示のキメラ抗ソルチリン抗体、ならびに所望の生物活性を示す場合に限り、そのような抗体のフラグメントを指す。本明細書における目的のキメラ抗体には、抗体の抗原結合領域が、例えば、マカクザルを目的の抗原で免疫することによって産生される抗体に由来するPRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれる。本明細書で使用する場合、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0080】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体のヒト化形態は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基およびヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、場合によっては、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでよい。抗体の「ヒト化形態」、例えば、非ヒト抗体とは、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0081】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された、および/または本明細書に開示されるようなヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体のアミノ酸配列に対応するものを有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレーライブラリーおよび酵母ベースのプラットフォーム技術を含む、当技術分野で公知の様々な技術を使用して作出することができる。ヒト抗体は、抗原攻撃に応答してそのような抗体を産生するように改変されているが、その内因性遺伝子座が不能になっているトランスジェニック動物、例えば、免疫したゼノマウス(xenomice)に抗原を投与することによって調製することができ、同様に、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成することもできる。
【0082】
本明細書で使用する場合、「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、配列が超可変であり、かつ/または構造的に定義されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体の領域を指す。一般に、抗体は6つのHVRを含む;VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)ある。ネイティブ抗体では、H3およびL3が6つのHVRのうちで最も多様性を示し、特に、H3が抗体に優れた特異性を与える上で特有の役割を果たすと考えられる。重鎖のみからなるネイティブに存在するラクダ科動物の抗体は、軽鎖が存在しない場合でも機能し、安定している。
【0083】
複数のHVRの記述が使用されており、本明細書に包含される。いくつかの実施形態では、HVRは、配列可変性に基づくKabatの相補性決定領域(CDR)であり得、最も慣用されている(Kabat et al.、前掲)。いくつかの実施形態では、HVRは、ChothiaのCDRであり得る。Chothiaは、むしろ構造ループの位置に言及する(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。いくつかの実施形態では、HVRは、AbM HVRであり得る。AbM HVRは、KabatのCDRとChothiaの構造ループとの妥協を示しており、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。いくつかの実施形態では、HVRは、「接触させる」HVRであり得る。「接触させる」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づいている。これらのHVRのそれぞれの残基を以下に記載する。
【0084】
HVRは、次の「伸長HVR」を含み得る:VLにおける24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、および89~97または89v96(L3)、ならびにVHにおける26~35(H1)、50~65または49~65(好ましい実施形態)(H2)、および93~102、94~102、または95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの伸長HVRの定義のそれぞれについて、Kabat et al.、前掲に従ってナンバリングされる。
【0085】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0086】
本明細書で使用する場合、「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来するVLまたはVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含み得、または既存のアミノ酸配列の変化を含み得る。いくつかの実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。既存のアミノ酸変化がVHに存在する場合、それらの変化は位置71H、73Hおよび78Hのうちの3つ、2つ、または1つだけで起こることが好ましい;例えば、それらの位置のアミノ酸残基は、71A、73Tおよび/または78Aであり得る。一実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列が同一である。
【0087】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も多く存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行われる。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版 Public Health Service, National Institutes of Health,ベセスタ, MD (1991)の場合のようなサブグループである。例としては、VLに関するものが挙げられ、サブグループは、Kabat et al.、前掲の場合のようなサブグループカッパI、カッパII、カッパIIIまたはカッパIVであり得る。さらに、VHについては、サブグループは、Kabat et al.、前掲の場合のようなサブグループI、サブグループII、またはサブグループIIIであり得る。
【0088】
例えば、本開示の抗ソルチリン抗体の、指定の位置における「アミノ酸修飾」とは、指定の残基の置換もしくは欠失、または指定の残基に隣接する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を指す。指定の残基に「隣接する」挿入とは、その1~2残基以内に挿入することを意味する。挿入は、指定の残基のN末端またはC末端であってよい。本明細書において好ましいアミノ酸修飾は置換である。
【0089】
「親和性成熟」抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体は、その1以上のHVRに1以上の変化を有し、変化を有さない親抗体と比較して、これらの変化が抗原に対する抗体の親和性の向上をもたらすものである。一実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルあるいはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手法によって作製される。例えば、Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992)には、VHドメインとVLドメインのシャッフリングによる親和性成熟が記載されている。HVRおよび/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、例えば:Barbas et al. Proc Nat. Acad. Sci. USA 91:3809-3813 (1994); Schier et al. Gene 169:147-155 (1995); Yelton et al. J. Immunol. 155:1994-2004 (1995); Jackson et al., J. Immunol. 154(7):3310-9 (1995);およびHawkins et al, J. Mol. Biol. 226:889-896 (1992)に記載されている。
【0090】
本明細書で使用する場合、「特異的に認識する」または「特異的に結合する」という用語は、生体分子を含む不均一な分子集団の存在下で標的の存在を決定する、標的と抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体との間の引力または結合などの測定可能かつ再現可能な相互作用を指す。例えば、ある標的またはエピトープに特異的または優先的に結合する抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体は、他の標的または当該標的の他のエピトープに結合するよりも、より高い親和性、アビディティで、より容易に、かつ/またはより長い持続期間で、当該標的またはエピトープに結合する抗体である。この定義を読むことにより、例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分)が、第2の標的に特異的または優先的に結合してもしなくてもよいことも理解される。従って、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的な結合を必ずしも必要とするものではない(ただし、含む場合もある)。標的に特異的に結合する抗体は、少なくとも約103M-1または104M-1、場合により約105M-1または106M-1、他の場合には約106M-1または107M-1、約108M-1~109M-1、または約1010M-1~1011M-1以上の会合定数を有し得る。様々なイムノアッセイ形式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択することができる。例えば、タンパク質と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を選択するために固相ELISAイムノアッセイが通常使用される。特異的免疫反応性を決定するために使用することができる形式および条件の説明については、例えば、Harlow and Lane (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, ニューヨークを参照のこと。
【0091】
本明細書で使用する場合、ソルチリンタンパク質と第2のタンパク質との間の「相互作用」は、限定されるものではないが、タンパク質間相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、およびイオン結合を包含する。本明細書で使用する場合、抗体は、その抗体が2つのタンパク質間の相互作用を妨害、低減、または完全に排除する場合、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。本開示の抗体、またはそのフラグメントは、その抗体またはそのフラグメントが2つのタンパク質のうちの一方に結合する場合、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。
【0092】
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。
【0093】
本明細書における「Fc領域」という用語は、ネイティブ配列Fc領域および変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226の位置のアミノ酸残基から、またはPro230からそのカルボキシル末端に及ぶものと定義されている。Fc領域のC末端リシン(EUナンバリングシステムによれば、残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え改変することによって、除去し得る。従って、インタクト抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、およびK447残基を含む抗体と含まない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本開示の抗体における使用に適切なネイティブ配列Fc領域には、トIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が含まれる。
【0094】
「ネイティブ配列Fc領域」は、自然界に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。ネイティブ配列ヒトFc領域には、ネイティブ配列ヒトIgG1 Fc領域(非AおよびAアロタイプ);ネイティブ配列ヒトIgG2 Fc領域;ネイティブ配列ヒトIgG3 Fc領域;およびネイティブ配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびに天然に存在するそれらの変異体が含まれる。
【0095】
「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは1以上のアミノ酸置換によってネイティブ配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域において約1~約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書における変異体Fc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性を有し、最も好ましくは、それらと少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それらと少なくとも約95%の相同性を有する。
【0096】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、ネイティブ配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これには、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライス型を含む、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体が含まれ、FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(「ITAM」)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(「ITIM」)を含む。将来同定されるものを含む他のFcRは、本明細書における「FcR」という用語に包含される。FcRはまた、抗体の血清半減期を延長し得る。本明細書で使用する場合、ペプチド、ポリペプチドまたは抗体配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」および「相同性」とは、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して最大の配列同一性パーセントを達成した後、配列同一性の一部として保存的置換を考慮しない、指定のペプチドまたはポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一の、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージを指す。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアラインメントは、当技術分野の技術範囲内である様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウエアなどの公開されているコンピューターソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な当技術分野で公知の任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適当なパラメーターを決定することができる。
【0097】
「単離された」細胞は、それが生成された環境において通常関連している少なくとも1つの夾雑細胞から同定され、分離された分子または細胞である。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、産生環境に関連している全ての構成要素と関連していない。単離された細胞は、自然界で見られる形態または設定とは異なる形態で存在する。単離された細胞は、組織、器官、または個体に自然に存在する細胞とは区別される。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、本開示の宿主細胞である。
【0098】
抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体をコードする「単離された」核酸分子は、それが生成された環境において通常関連している少なくとも1つの夾雑核酸分子から同定され、分離された核酸分子である。好ましくは、単離された核酸は、産生環境に関連している全ての構成要素と関連していない。本明細書のポリペプチドおよび抗体をコードする単離された核酸分子は、自然界で見られる形態または設定とは異なる形態で存在する。従って、単離された核酸分子は、細胞に自然に存在する本明細書のポリペプチドおよび抗体をコードする核酸とは区別される。
【0099】
本明細書で使用する場合、「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すことを意図している。ベクターの一種が「プラスミド」であり、これは、追加のDNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAを指す。ベクターの別の種類はファージベクターである。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、この場合、追加のDNAセグメントは、ウイルスゲノムに連結され得る。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自己複製が可能である(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得るため、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、作動可能に連結された遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」または簡単に「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も慣用される形態であるため、互換的に使用され得る。
【0100】
本明細書において互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、あるいはDNAまたはRNAポリメラーゼによりまたは合成反応によりポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。
【0101】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物を組み込むためのベクターのレシピエントになり得る、またはレシピエントになっている個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一宿主細胞の後代を含み、その後代は、自然、偶発的または意図的な変異により、元の親細胞と(形態学的にまたはゲノムDNA相補体において)必ずしも完全に同一でなくてもよい。宿主細胞には、本開示のポリヌクレオチドで、in vivoでトランスフェクトされた細胞が含まれる。
【0102】
本明細書で使用する場合、「担体」には、使用される用量および濃度でその担体に曝露される細胞または哺乳動物にとって無毒である、薬学上許容される担体、賦形剤、または安定剤が含まれる。
【0103】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、この技術分野の当業者に容易に知られるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における値またはパラメーターの「約」への言及には、その値またはパラメーター自体を対象とする実施形態が含まれる(説明する)
【0104】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形を含む。例えば、「抗体」への言及は、モル量などの1つから多数の抗体への言及であり、当業者に公知の等価物などを含む。
【0105】
本明細書に記載される本開示の態様および実施形態は、態様および実施形態を「含む(comprising)」、「からなる(consisting)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」ことを含むことが理解される。
【0106】
概要
本開示は、個体に抗ソルチリン抗体を投与することにより、個体において疾患、障害、または損傷を治療する、かつ/またはその進行を遅延させる方法に関する。治療または遅延され得る疾患、障害、または損傷の限定されない例としては、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、および変形性関節症が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療または遅延され得る疾患または障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、または前頭側頭型認知症などの神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療または遅延され得る疾患または障害はアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療または遅延され得る疾患または障害はパーキンソン病である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療または遅延され得る疾患または障害は前頭側頭型認知症である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療または遅延され得る疾患または障害はALSである。上記の実施形態のいずれかにおいて、個体はその疾患または障害のリスクがある。以下に記載されるように、本開示の方法は、適切な用量の本開示の抗ソルチリン抗体で患者を治療する方法、および/または患者のコンプライアンスを高めるような用量を投与する方法を特定することを目的とする当技術分野の必要を満たす。
【0107】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、および前頭側頭型認知症などの神経変性疾患を有する患者は一般に、長期間それらの疾患に罹患するので、長年にわたって定期的な治療を必要とする。治療薬の静脈内投与は自宅では行えず、患者を注入施設へ運ばなければならず、患者および介護者双方への負担となり得る。さらに、これらの疾患に関連し得る記憶喪失、気分変動、攻撃性、および他の行動症状は、患者のコンプライアンスを困難にする可能性がある。よって、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、および前頭側頭型認知症などの神経変性疾患を有する患者に対する静脈内投与処置が少ないことは、このような疾患に罹患している患者に有利である。さらに、皮下投与、例えば、皮下注射による投与は、自宅で、例えば介護者または患者自身によって行うことができるため、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、および前頭側頭型認知症などの神経変性疾患を有する患者に対する治療の便利な投与形態である。
【0108】
有利には、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体の単回投与のヒトへの静脈内投与は、長期間にわたって(例えば、抗ソルチリン抗体の単回投与後最大約57日またはそれより長期間)持続する薬力学的(PD)効果、例えば、血漿および脳脊髄液中でのプログラニュリンレベルの増加をもたらす。例えば、実施例1~2を参照のこと。
【0109】
さらに、有利には、カニクイザルへの複数用量の本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、抗ソルチリン抗体の最後の投与の後、数週間(例えば、最大約6週間またはそれより長期間)持続する、血清および脳脊髄液のプログラニュリンレベルの増加とともに白血球のソルチリン発現の低下をもたらし、本開示の抗ソルチリン抗体の長期持続性の薬力学的効果を示す(例えば、実施例4を参照のこと)。
【0110】
よって、本明細書で提供される方法は、比較的低頻度の、静脈内注入による(例えば、実施例1~3を参照のこと)または皮下投与による(例えば、実施例1を参照のこと)本開示の抗ソルチリン抗体の投与を可能にし、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、および前頭側頭型認知症などの神経変性疾患を有する患者に特に有益である。
【0111】
よって、いくつかの実施形態では、本開示は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で投与することによる、個体において疾患、障害または損傷を治療する、および/またはその進行を遅延させる方法に関する。いくつかの実施形態では、抗体の投与は、静脈内注入または皮下注射による。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、抗ソルチリン抗体を約4週間ごとに1回またはそれより低頻度で投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患、障害または損傷はアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、疾患、障害または損傷はパーキンソン病である。いくつかの実施形態では、疾患、障害または損傷はALSである。いくつかの実施形態では、疾患、障害または損傷は前頭側頭型認知症である。
【0112】
特許、特許出願および刊行物を含め、本明細書に引用される全ての参照文献は、それらの全内容が本明細書の一部として援用される。
【0113】
治療的使用
本開示は、個体において疾患、障害、または損傷を治療する、および/またはその進行を遅延させる方法であって、個体に抗ソルチリン抗体を投与することを含む方法を提供する。本明細書に開示されるように、本開示の抗ソルチリン抗体は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症を治療する、および/またはその進行を遅延させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、疾患または障害は前頭側頭型認知症である。いくつかの実施形態では、疾患または障害はアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、疾患または障害はパーキンソン病である。
【0114】
パーキンソン病
パーキンソン病、特発性または原発性パーキンソニズム、運動機能低下性硬直症候群(HRS)、または麻痺性アジタンスと呼ばれることもあり、運動系の制御に影響を及ぼす神経変性脳障害である。脳内のドーパミン産生細胞の進行性の死滅がパーキンソン病の主な症状をもたらす。ほとんどの場合、パーキンソン病は50歳以上の人に診断される。パーキンソン病の症状としては、限定されるものではないが、振戦(例えば、手、腕、脚、顎、および顔)、四肢および体幹の筋硬直、動作の緩慢さ(ブラディキネジア)、姿勢の不安定さ、歩行困難、精神神経系の問題、言動の変化、抑鬱、不安、疼痛、精神病、認知症、幻覚、および睡眠障害が挙げられる。
【0115】
パーキンソン病は、ほとんどの人が特発性(原因不明)である。パーキンソン病のほとんどの症例は、家族にパーキンソン病の明らかな病歴がない人に起こり、環境因子と遺伝因子の複雑な相互作用から生じると考えられている。このようなパーキンソン病の症例は、「散発性」パーキンソン病と呼ばれる。
【0116】
また、パーキンソン病患者の約15%は、パーキンソン病の家族歴が知られており、特定の家族性症例はPARK2、LRRK2、PARK7、PINK1、PRKN、またはSNCAなどの遺伝子の突然変異に関連している。
【0117】
GBA1遺伝子および/またはUCHL1遺伝子の突然変異もまたパーキンソン病に関連しており、この疾患の発症リスクを変えると考えられている。例えば、パーキンソン病患者の約5%は、リソソーム酵素β-グルコセレブロシダーゼ(GBA)をコードするGBA1遺伝子に突然変異を有する。異型接合性または同型接合性GBA1突然変異はパーキンソン病のリスクを約20倍~約30倍引き上げることが判明している。さらに、パーキンソン病におけるGBA1突然変異は、より早い発症年齢ならびにより速い認知および運動低下に関連づけられている。例えば、Stoker et al., Pathological Mechanisms and Clinical Aspects of GBA1 Mutation-Associated Parkinson’s Disease, Parkinson's Disease: Pathogenesis and Clinical Aspects, Codon Publications; 2018, Chapter 3; medlineplus[dot]gov/genetics/condition/parkinson-disease/#resources; and www[dot]ninds[dot]nih[dot]gov/Disorders/All-Disorders/Parkinsons-Disease-Challenges-Progress-and-Promiseを参照のこと。
【0118】
GRN遺伝子によりコードされているプログラニュリン(PGRN)もまた、パーキンソン病に関連づけられている。GRNパーキンソン病リスク対立遺伝子は、血漿、脳脊髄液、および脳におけるプログラニュリンレベルの低下に関連するが、同型接合性機能欠失型のプログラニュリンは、ニューロンセロイドリポフスチン症を引き起こし、異型接合性機能欠失型のプログラニュリンは、時にパーキンソン症候群を呈する前頭側頭型認知症(FTD)を引き起こす(Smith et al., Am J Hum Genet (2012) 90(6):1102-1107; Boeve et al., Brain (2006) 129(Pt 11):3103-3114;およびWauters et al., Neurobiol Aging (2018) 67:84-94)。さらに、血漿プログラニュリンレベルの低下がパーキンソン病の重症度の上昇に関連している(Yao et al., Neurosci Lett (2020) 725:134873)。また、プログラニュリン欠損は齧歯類パーキンソン病モデルで転帰を増悪するが(Martens et al., J Clin Invest (2012) 122(11):3955-3959)、プログラニュリン遺伝子を送達するとこれらの転帰が改善する(Van Kampen et al., PLoS One (2014) 7;9(5):e97032)。
【0119】
プログラニュリンは、88kDa程度の、グラニュリンの前駆体タンパク質である。プログラニュリンは、保存性の高い、多機能性分泌糖タンパク質で、ユニークな「数珠つなぎ」構造を形成している。その活性としては、中枢神経系(CNS)の神経炎症の調節、興奮毒性、酸化ストレス、シナプス形成、炎症、およびアミロイド生成の制御による細胞シグナル伝達経路への影響があり(Hsiung et al., GeneReviews. University of Washington, Seattle)、自己分泌ニューロン成長因子として作用し、脳内の神経突起の伸長を促進し(Gass et al., Mol Neurodegener (2012) 10(7):33)、運動ニューロンおよび皮質ニューロンの生存を促進および強化する(De Muynck et al., Neurobiol Aging (2013) 34(11):2541-2547)。
【0120】
最近のゲノムワイド関連研究(GWAS)では、パーキンソン病リスクの遺伝的決定因子がGBA、GPNMB、GALC、CTSB、およびGRNなどのリソソーム遺伝子に富んでいることが明らかになった(Nalls et al., Lancet Neurol (2019) 18(2):1091-1102)。さらに、受容体を介した取り込みの後に、プログラニュリンがリソソームに輸送されること、およびヒトにおいてそれが完全に不在であれば早期発症型リソソーム貯蔵障害が生じることも知られている(Paushter et al., Acta Neuropathol (2018) 136(1):1-17)。これらの知見は、プログラニュリンがリソソーム機能に役割を果たしていることを示唆する。プログラニュリンはカテプシンDおよびグルコセレブロシダーゼ(GCアーゼ)などのリソソーム酵素と相互作用することを示唆する証拠も浮上している。さらに、プログラニュリンは、その結合相手であるプロサポシン(PSAP)とともにこれらの酵素の活性を調節していると考えられている(Arrant et al., Acta Neuropathologica Comm (2019) 7(1):218; Valdez et al., Hum Mol Genet (2020) 29(5):716-726; Zhou et al., PLoS One (2019) 14(7):e0212382; Valdez et al., Hum Mol Genet (2017) 26(24):4861-4872; Zhou et al., J Cell Biol (2015) 210(6):991-1002;およびZhou et al., Mol Neurodegener (2017) 23;12(1):62)。
【0121】
よって、例えば、パーキンソン病を有するまたは有するリスクのある個体の脳脊髄液および/または血漿におけるプログラニュリンレベルの増加は、GCアーゼ活性を増加させること、炎症を低減すること、および/またはリソソーム機能を改善することによって、パーキンソン病を治療し、かつ/またはその進行を遅延させ得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体においてパーキンソン病を治療し、かつ/またはその進行を遅延させ得る。いくつかの実施形態では、パーキンソン病を有するまたは有するリスクのある個体に本開示の抗ソルチリン抗体を投与すると、個体における、例えば、血漿および/または脳脊髄液中の、プログラニュリンレベルが増加し;かつ/またはソルチリンレベルが低下し;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の間の相互作用が阻害され;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの間の相互作用が阻害され、それによりパーキンソン病を治療する、かつ/またはその進行を遅延させることができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される疾患または障害は、散発性パーキンソン病またはGBA1遺伝子もしくはGBA1遺伝子産物に少なくとも1つの病原性突然変異を有する個体のパーキンソン病などのパーキンソン病である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療されるパーキンソン病は、散発性パーキンソン病である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療されるパーキンソン病は、GBA1遺伝子またはGBA1遺伝子産物に少なくとも1つの病原性突然変異を有する個体のパーキンソン病である。いくつかの実施形態では、個体は、GBA1遺伝子またはGBA1遺伝子産物の1以上の突然変異に関して同型接合性または異型接合性である。GBA1遺伝子またはGBA1遺伝子産物における病原性突然変異は当技術分野で公知である。例えば、Avenali et al., Front Aging Neurosci, 2020; O’Reagan et al., J. Parkinsons Dis, 7:411-422 (2017); Zhang et al., Front. Mol. Neurosci, 11:43 (2018);およびZhang et al., Parkisons Dis, 3136415 (2018)を参照のこと。GBA1遺伝子またはGBA1遺伝子産物の例示的病原性突然変異としては、限定されるものではないが、N370S(c.1226A>G)、L444P(c.1448T>C)、R120W、IVS2+1G>A、H255Q、D409H、RecNciI、E326K、T369M、R496H、および84insGGが挙げられる。GBA1遺伝子またはGBA1遺伝子産物の突然変異の存在は、シークエンシング、ポリメラーゼ連鎖反応、ハイブリダイゼーション方法、例えば、蛍光in situハイブリダイゼーション、質量分析、および免疫ブロット法などの当技術分野で公知のいずれの方法を用いて評価してもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体は、例えばHoehn and Yahr, Neurology (1967) 17:427-42 and Goetz et al., Mov Disord (2004) 19:1020-8に記載されているように、ホーン・ヤールの診断基準に基づいてI~III度として分類されるパーキンソン病を有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体は、本開示の抗ソルチリン抗体の投与前に、グルタミン酸拮抗薬、抗コリン作動薬、ドーパミン作動薬、レボドパ(L-DOPAおよびデカルボキシラーゼ[DDC]阻害剤)、モノアミンオキシダーゼB(MAO-B)阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、β遮断薬、選択的セロトニン取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗鬱薬(TCA)、またはインドメタシンなどのパーキンソン病のための1以上の治療を受けている。いくつかの実施形態では、個体は、本開示の抗ソルチリン抗体による治療の開始後にパーキンソン病に対する1以上の治療を受け続けている。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、本開示の抗ソルチリン抗体を、グルタミン酸拮抗薬、抗コリン作動薬、ドーパミン作動薬、レボドパ(L-DOPAおよびデカルボキシラーゼ[DDC]阻害剤)、モノアミンオキシダーゼB(MAO-B)阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、β遮断薬、選択的セロトニン取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗鬱薬(TCA)、およびインドメタシンなどのパーキンソン病のための1以上の治療と組み合わせて投与することを含む。
【0126】
パーキンソン病の治療または遅延は、当技術分野で公知のいずれの方法を用いて評価してもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体におけるパーキンソン病の治療または遅延は、個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体の認知機能に基づいて評価される。認知機能は、モントリオール認知評価(MoCA)などの当技術分野で公知のいずれの方法を用いて評価してもよい。例えば、Nareddine et al., J American Geriatrics Soc (2005) 53(4):695-9を参照のこと。いくつかの実施形態では、パーキンソン病の治療または遅延は、パーキンソン病に関する1以上の臨床評価に基づいて評価される。本明細書で提供される方法に従って治療される個体においてパーキンソン病の治療または遅延を評価するために使用可能なパーキンソン病の臨床評価の例としては、限定されるものではないが、Movement Disorder Society (MDS)-sponsored revision of the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (UPDRS) Part III(MDS-UPDRS Part III)、またはUPDRSロトータルスケールが挙げられる。例えば、Goetz et al., (2008) Movement Disorders 23(15):2129-2170を参照のこと。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体におけるパーキンソン病の治療または遅延は、プログラニュリン、GCアーゼタンパク質または活性、および/またはαシヌクレインタンパク質などのパーキンソン病の1以上のバイオマーカーのレベルに基づいて評価される。いくつかの実施形態では、パーキンソン病の1以上のバイオマーカーのレベルは、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルで評価される。個体から得たサンプルにおける1以上のバイオマーカーのレベルを評価するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体におけるパーキンソン病の治療または遅延は、リソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルに基づいて評価される。いくつかの実施形態では、リソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルは、前記個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルで評価される。いくつかの実施形態では、リソソーム機能の1以上のバイオマーカーは、GCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、グルコシルスフィンゴシン(lyso-Gb1)、および/またはグルコシルセラミドである。個体から得たサンプルにおける1以上のバイオマーカーのレベルを評価するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。いくつかの実施形態では、lyso-Gb1またはグルコシルセラミドのレベルは、質量分析、例えば、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析などの当技術分野で公知のいずれの方法を用いて測定してもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従った本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液におけるプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の個体の血漿または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液におけるプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の個体の血漿または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%の、またはそれを超える増加をもたらす。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液のGCアーゼタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の個体の血漿または脳脊髄液のGCアーゼタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液のGCアーゼタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の個体の血漿または脳脊髄液のGCアーゼタンパク質レベルに比べて、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%の、またはそれを超える増加をもたらす。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液のGCアーゼ活性レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の個体の血漿または脳脊髄液のGCアーゼ活性のレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液のGCアーゼ活性レベルに、血漿または脳脊髄液抗ソルチリン抗体の投与前の個体のGCアーゼ活性レベルに比べて、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%の、またはそれを超える増加をもたらす。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液のαシヌクレインタンパク質レベルに、血漿または脳脊髄液抗ソルチリン抗体の投与前の個体のαシヌクレインタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%の低下をもたらす。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液のグルコシルスフィンゴシン(lyso-Gb1)レベルに、血漿または脳脊髄液抗ソルチリン抗体の投与前の個体のlyso-Gb1レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%の低下をもたらす。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体による治療は、個体の血漿または脳脊髄液のグルコシルセラミドレベルに、血漿または脳脊髄液抗ソルチリン抗体の投与前の個体のグルコシルセラミドレベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%の低下をもたらす。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体におけるパーキンソン病の治療または遅延は、脳脊髄液プロテオームの1以上のタンパク質のレベルに基づいて評価される。いくつかの実施形態では、脳脊髄液プロテオームの1以上のタンパク質のレベルは、個体が1以上の用量の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た脳脊髄液サンプルで評価される。個体から得たサンプルの脳脊髄液プロテオームの1以上のタンパク質のレベルを測定するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、質量分析およびウエスタンブロットが挙げられる。
【0137】
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の前頭葉の進行性の変性から生じる症状である。経時的に、この変性は側頭葉にも進行することがある。アルツハイマー型認知症(AD)に次ぐ有病率で、FTDは前老人性認知症症例の20%を占める。FTDの臨床的特徴としては、記憶障害、行動異常、性格変化、および言語障害が挙げられる(Cruts, M. & Van Broeckhoven, C., Trends Genet. 24:186-194 (2008); Neary, D., et al., Neurology 51:1546-1554 (1998); Ratnavalli, E., Brayne, C., Dawson, K. & Hodges, J. R., Neurology 58:1615-1621 (2002))。
【0138】
FTDのかなりの部分は常染色体優性遺伝であるが、1つの家族であっても、症状は行動障害を伴うFTDから、原発性進行性失語症、皮質基底核変性症までのスペクトラムに及び得る。FTDは、ほとんどの神経変性疾患と同様に、罹患した脳(discased brain)における特定のタンパク質凝集体の病的存在によって特徴づけることができる。歴史的に見ると、FTDの最初の記述は、神経原線維のもつれまたはピック体における高リン酸化されたタウタンパク質のニューロン内蓄積の存在を認めている。いくつかの家族でタウタンパク質をコードする遺伝子の突然変異が確認されたことにより、微小管関連タンパク質タウが原因となることが裏付けられた(Hutton, M., et al., Nature 393:702-705 (1998))。しかしながら、FTDの脳の大部分は、高リン酸化タウの蓄積を示さないが、ユビキチン(Ub)およびTAR DNA結合タンパク質(TDP43)に対する免疫反応性を示す(Neumann, M., et al., Arch. Neurol. 64:1388-1394 (2007))。Ub封入体を有するこれらのFTD症例(FTD-U)の大部分は、プログラニュリン遺伝子に突然変異を有することが示された。
【0139】
プログラニュリン突然変異はハプロイン不全をもたらし、家族性FTD症例の50%近くに存在することが知られており、プログラニュリン突然変異はFTDの主要な遺伝的要因となっている。理論に縛られることを望むものではないが、プログラニュリン突然変異の機能欠失型ヘテロ接合体の特性は、健常者において、プログラニュリン発現がFTDの発症から健常者を保護する上で用量依存的に重要な役割を果たすことを示すと考えられている。従って、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害することにより、プログラニュリンのレベルを増加させれば、FTDの治療および/または進行を遅延させることができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体においてFTDを治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、FTDを有するかまたはそのリスクがある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体の、例えば血漿および/もしくは脳脊髄液のプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それによりFTDを治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、神経認知および/または機能検査もしくは評価(すなわち、臨床転帰評価)におけるベースラインからの変化により決定され得る。FTD進行の治療および/または遅延を評価するために使用され得る神経認知および機能検査の限定されない例としては、前頭側頭型認知症臨床評価尺度(FCRS)、前頭側頭型認知症評価尺度(FRS)、Clinical Global Impression-Improvement(CGI-I)評価、Neuropsychiatric Inventory(NPI)評価、カラートレイルテスト(CTT)パート2、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(RBANS)、デリス-カプラン実行機能システムカラーワード干渉テスト、対人反応指数、ウィンターライトラボ音声評価(WLA)、およびサマーライトラボ音声評価(SLA)が挙げられる。いくつかの実施形態では、FTDの進行の治療および/または遅延は、1つの神経認知および/または機能検査もしくは評価におけるベースラインからの変化により決定され得る。いくつかの実施形態では、FTD進行の治療および/または遅延は、2つ以上の神経認知および/または機能検査もしくは評価(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれを超える神経認知および/または機能検査もしくは評価)におけるベースラインからの変化により決定され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、全体および/または領域の脳容積、白質高信号域の容積、脳灌流、分画異方性、平均拡散率、軸方向拡散率、および半径方向拡散率、ならびに/または機能的脳活動のベースラインからの変化により決定される。特定の実施形態では、脳灌流は、動脈スピンラベリングMRIにより測定される。特定の実施形態では、半径方向拡散率は、拡散テンソルイメージングにより測定される。特定の実施形態では、機能的脳活動は、機能的MRIにより測定される。
【0143】
いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、全血、血漿、およびCSFにおける神経変性のマーカーのベースラインからの変化により決定される。神経変性のマーカーとしては、限定されるものではないが、神経微細線維軽鎖(Nfl)、タウ、および/またはpタウが挙げられる。神経微細線維軽鎖は、限定されるものではないが、Quanterixおよび/またはRoche Diagnosticsからのアッセイを含む方法により測定され得る。いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、リソソーム機能のマーカーのベースラインからの変化により決定される。リソソーム機能のマーカーは、限定されるものではないが、カテプシンB(CTSB)などのカテプシン、NAGK(N-アセチル-D-グルコサミンキナーゼ)、GCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、グルコシルスフィンゴシン(lyso-Gb1)、および/またはグルコシルセラミドであり得る。いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、オステオポンチン(SPP1)、YWHAE(14-3-3タンパク質ε)、同種移植炎症因子1(AIF1)、コロニー刺激因子1(CSF1)、キチナーゼ1(CHIT1)、リンパ球抗原86(LY86)、およびCD86などの炎症マーカーのレベルのベースラインからの変化により決定される。リソソーム機能の特定のバイオマーカーは、PGRNが欠損している場合に過剰発現され得る。例えば、カテプシンD(CTSD)およびLamp1は、PGRN欠損マウス(GRNノックアウトマウス)で過剰発現する。Huang et al. (2020) Acta Neuropath Comm 8:163; Goetzl et al., (2014) Acta Neuropathol 127(6):845-60;およびLui et al., (2016) Cell 165:921-935を参照のこと。よって、PGRN機能の回復は、PGRNが欠損している場合に増加するリソソーム機能のバイオマーカーの発現を低下され得る。補体機能の特定のバイオマーカーは、PGRNが欠損している場合に過剰発現を示す。例えば、C1qbおよびC1qc(補体タンパク質C1qを形成するサブユニット)は、PGRN依存性(GRNノックアウト)マウスにおいてレベルの増加を示す。Huang et al. (2020) Acta Neuropath Comm 8:163; Gotzl et al., (2014) Acta Neuropathol 127(6):845-60; and Lui et al., (2016) Cell 165:921-935を参照のこと。よって、PGRN機能の回復は、PGRNが欠損している場合に増加する補体機能のバイオマーカーの発現を低下させ得る。いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、ミクログリア活性のマーカーのベースラインからの変化により決定される。ミクログリア活性のマーカーは、限定されるものではないが、YKL-40および/またはインターロイキン-6であり得る。いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、末梢細胞におけるメッセンジャーリボ核酸(mRNA)発現のベースラインからの変化により決定される。いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、FTD疾患生物学および/または抗ソルチリン抗体に対する応答に関連するアナライトのベースラインからの変化により決定される。いくつかの実施形態では、上記のマーカーのいずれかなどの1以上のタンパク質のレベルは、全血、血漿、および/またはCSFサンプルなどの個体から得られるサンプルで測定され得る。個体から得られるサンプルの1以上のタンパク質のレベルを測定するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。
【0144】
いくつかの実施形態では、FTDの治療および/またはその進行の遅延は、神経炎症および/またはミクログリアの活性化のベースラインからの変化により決定される。神経炎症および/またはミクログリアの活性化は、当技術分野で公知のいずれの方法によって測定してもよい。特定の実施形態では、神経炎症および/またはミクログリアの活性化は、トランスロケータータンパク質陽電子放出(TSPO-PET)イメージングを用いて測定され得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体は、GRN(グラニュリン遺伝子)の突然変異に関して異型接合性である。いくつかの実施形態では、GRNの突然変異は、機能欠失型突然変異である。いくつかの実施形態では、個体は、C9orf72ヘキサヌクレオチドリピート伸張に関して異型接合性である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体は、FTDの症状を示す。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って治療される個体は、FTDの症状を示さない。いくつかのこのような実施形態では、個体は前症候性である。いくつかのこのような実施形態では、個体は、GRN遺伝子における突然変異に関して異型接合性であると、またはPGRNレベルもしくは機能の低減を示すと特定されているが、FTDの症状を示さない。いくつかのこのような実施形態では、対象は、FTD-GRN、またはGRN遺伝子における突然変異により引き起こされるFTDを有する。前症候性個体のいくつかの実施形態では、個体は、正常レベルに比べての1以上のバイオマーカーのレベルの増加、例えば、Nfl、SPP1、YWHAE、AIF1、CSF1、CHIT1、もしくはLY86のレベルの増加を示すことがあり、かつ/または正常レベルに比べての1以上のバイオマーカーのレベルの低下、例えば、NAGKもしくはCTSBのレベルの低下を示すことがある。
【0146】
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)は、認知症の最も一般的な形態である。この疾患に治癒はなく、進行すると悪化し、最終的には死に至る。多くの場合、ADは65歳以上の人に診断される。しかしながら、有病率は低いが早期発症のアルツハイマー病はもっと早期に発症する場合がある。
【0147】
アルツハイマー病の一般的な症状としては、最近の出来事を思い出せないなどの行動症状、認知症状、混乱、イライラおよび攻撃性、気分変動、言語障害、ならびに長期記憶喪失などが挙げられる。疾患の進行に伴い、身体機能が失われ、最終的には死に至る。アルツハイマー病は、完全に明らかになるまでの時間が不明で様々であり、何年も診断されずに進行することる。
【0148】
ソルチリンはアミロイドタンパク前駆体(APP)およびAPP処理酵素BACE1に結合することが示されている。理論に縛られることを望むものではないが、これらの相互作用はアルツハイマー病に関与すると考えられる。よって、特定の理論に縛られることを望むものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体はこのような相互作用を阻害する、および必要とする個体においてアルツハイマー病を予防する、そのリスクを低減する、または治療するために使用することができると考えられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体においてアルツハイマー病を治療するおよび/またはその進行を遅延させる。いくつかの実施形態では、アルツハイマー病を有するまたは有するリスクのある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体における、例えば、血漿および/または脳脊髄液におけるプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それによりアルツハイマー病を治療する、および/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、理論に縛られることを望むものではないが、ソルチリンと本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、プロNGF、プロBDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、p75、アミロイドタンパク前駆体(APP)、および/もしくはβペプチドの相互作用を阻害するか、またはソルチリンの1以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体は、必要とする個体においてアルツハイマー病を治療するおよび/またはその進行を遅延させるために使用することができると考えられる。
【0150】
血管性認知症
血管性認知症(VaD)は、脳血管疾患(脳内の血管疾患)によるものと考えられる記憶およびその他の認知機能の潜行的に進行する悪化である。脳血管疾患は、脳(大脳)の血管(血管系)の進行性の変化である。加齢に伴う最も多い血管の変化は、血管壁へのコレステロールおよびその他の物質の蓄積である。その結果、血管壁の肥厚および硬化、ならびに血管の狭窄が生じ、患部の動脈が供給する脳領域への血流の減少、さらには完全な停止が生じることがある。血管性認知症患者は、アルツハイマー病(AD)患者と同様の症状を示すことが多い。しかし、関連する脳内の変化はAD病態によるものではなく、脳内の血流の慢性的減少によるものであり、最終的には認知症に至る。VaDは、高齢者の認知症の中で最も多いタイプの1つである考えられている。VaDの症状としては、記憶障害、整理整頓および複雑な問題の解決困難、思考の鈍化、注意散漫または「ぼんやり」、記憶から言葉を取り出すことの困難、気分または行動の変容、例えば、抑鬱、イライラ、または無気力、ならびに幻覚または妄想が挙げられる。
【0151】
理論に縛られることを望むものではないが、ソルチリンの1以上の活性、またはソルチリンとプログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、プロNGF、プロBDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質AV、および/または受容体関連タンパク質の1以上の相互作用が血管性認知症に関与すると考えられる。よって、理論に縛られることを望むものではないが、ソルチリンと本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、プロNGF、プロBDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイドタンパク前駆体(APP)、Βペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、および/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体は、必要とする個体において血管性認知症を予防する、そのリスクを低減する、もしくは治療するために使用することができると考えられる。
【0152】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体において血管性認知症を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、血管性認知症を有するまたは有するリクスのある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体の、例えば、血漿および/もしくは脳脊髄液のプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それにより、血管性認知症を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。
【0153】
認知症
認知症は、正常な老化から予想される以上の、以前は障害のなかった人の全体的な認知能力の深刻な喪失として現れる非特異的な症候群(すなわち、一連の兆候および症状)である。認知症は、例えば、固有の全体的な脳損傷の結果として、静的である場合がある。また、認知症は進行性であり、身体の損傷または疾患により長期的な低下を生じることもある。認知症は老年人口にはるかに多いが、65歳までに発症することもある。認知症が影響を及ぼす認知領域としては、限定されるものではないが、記憶、注意力、言語、および問題解決が挙げられる。一般に、認知症と診断されるには少なくとも6か月間症状が持続している必要がある。認知症の例示的形態としては、限定されるものではないが、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、意味性認知症、およびレビー小体型認知症が挙げられる。
【0154】
理論に縛られることを望むものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は認知症を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる考えられる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体において認知症を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、認知症を有するまたは有するリクスのある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体の、例えば、血漿および/もしくは脳脊髄液のプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それにより、認知症を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。
【0155】
発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、および脊髄損傷
本明細書で使用する場合、網膜ジストロフィーは、網膜の変性を伴ういずれの疾患または病態も指す。このような疾患または病態は、視力の低下または完全な失明につながることがある。
【0156】
本明細書で使用する場合、発作にはてんかん発作も含み、脳内の神経細胞の異常に過度なまたは同期したニューロン活動の一過性の症状を指す。発作は、激しい動きのような劇的なものから、短時間の意識消失のような軽度なものまである。発作は、精神状態の変容、強直性または間代性運動、痙攣、およびその他の様々な精神症状として現れ得る。
【0157】
外傷性脳損傷(TBI)は、頭蓋内損傷と呼ばれることもある。外傷性脳損傷は、外力によって脳が外傷的に傷害された場合に生じる。外傷性脳損傷は、重症度、メカニズム(閉鎖性もしくは貫通性頭部損傷)、またはその他の特徴(例えば、特定の場所で発生するか、広範囲に及ぶか)に基づいて分類することができる。
【0158】
脊髄損傷(SCI)には、疾患ではなく外傷によって引き起こされるいずれの脊髄損傷も含む。脊髄および神経根が損傷した場所によって、症状は痛みから麻痺、失禁まで大きく異なる。脊髄損傷は、患者に影響がない「不完全」から、機能の完全な喪失を意味する「完全」損傷まで様々なレベルで表現される。
【0159】
プロニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、プロNGF、プロBDNFなど)は発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、および脊髄損傷に役割を果たすことが示されている。
【0160】
よって、理論に縛られることを望むものではないが、ソルチリンと本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、プロNGF、プロBDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体は、必要とする個体において発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、および/または脊髄損傷を予防する、そのリスクを低減する、または治療するために使用することができると考えられる。
【0161】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体において網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、および/または脊髄損傷を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、および/または脊髄損傷を有するまたは有するリクスのある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体の、例えば、血漿および/もしくは脳脊髄液のプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それにより、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、および/または脊髄損傷を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。
【0162】
老化の望ましくない症状
本明細書で使用する場合、老化の望ましくない症状としては、限定されるものではないが、記憶喪失、行動変容、認知症、アルツハイマー病、網膜変性、アテローム性血管疾患、聴覚障害、および細胞破壊が挙げられる。
【0163】
いくつかの実施形態では、理論に縛られることを望むものではないが、ソルチリンとプログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、プロNGF、プロBDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、および/もしく受容体関連タンパク質(RAP)の相互作用を阻害し;またはソルチリンの1以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体は、1以上の老化の望ましくない症状を予防する、そのリスクを低減する、または治療するために使用することができると考えられる。
【0164】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体において1以上の老化の望ましくない症状を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、1以上の老化の望ましくない症状を有するまたは有するリクスのある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体の、例えば、血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それにより、1以上の老化の望ましくない症状を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。
【0165】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
本明細書で使用する場合、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、またはルー・ゲーリッグ病は互換的に使用され、急速進行性の脱力、筋萎縮および筋収縮、筋痙縮、会話障害(構音障害)、嚥下障害(異食症)、および呼吸障害(異呼吸)を特徴とする様々な病因の衰弱性疾患を指す。
【0166】
GRN遺伝子の異型接合性機能欠失型突然変異によるプログラニュリンのハプロ不全は、CSFプログラニュリンレベルの低下をもたらし、TDP-43病理を伴う前頭側頭型認知症(FTD)の発症の原因となる(Sleegers et al., (2009) Ann Neurol 65:603; Smith et al., (2012) Am J Hum Genet 90:1102)。TDP-43はALSの主要な病理学的タンパク質としても同定されており、ALSとFTDの類似性が示唆される。
【0167】
例えば、TDP-43の20以上の優性突然変異が散発性および家族性ALS患者で同定されており(Lagier-Tourenne et al., (2009) Cell 136:1001)およびTDP-43陽性凝集体はALS症例の約95%で見られる(Prasad et al., (2019) Front Mol Neurosci 12:25)。さらに、MOBP、C9ORF72、MOBKL2B、NSFおよびFUSなどのALSリスク遺伝子もFTDを引き起こす可能性がある(Karch et al., (2018) JAMA Neurol 75:860)。さらに、プログラニュリンとC9ORF72の両突然変異がFTDとALSのもう1つの共通病理であると思われる異常なミクログリア活性化と関連している(Haukedal et al., (2019) J Mol Biol 431:1818)。他の証拠も、ALSとFTDが、遺伝的、神経病理学的、および臨床的特徴が重複し、密接に関連する病態であることを示唆している(Weishaupt et al., (2016) Trends Mol Med 22:769; McCauley et al., (2018) Acta Neuropathol 137:715)。これらの結果を総合すると、両疾患は共通の治療法から恩恵を受ける可能性があり、プログラニュリンの遺伝子変異はALSの経過の改変因子として作用することが示唆される。
【0168】
さらに、プログラニュリンの喪失が急性および慢性神経変性の複数のモデルにおいて有害であるという実証とは別に(Boddaert et al., (2018) Methods Mol Biol 1806:233)、プログラニュリンの過剰発現は、ALSの多くの動物モデルにおいて保護性があることが判明している(Laird et al., (2010) PLoS One 5:e13368; Tauffenberger et al., (2013) Hum Mol Genet 22:782; Beel et al., (2018) Mol Neurodegener 13:55; Chang et al., (2017) J Exp Med 214:2611)。また、GRNの共通変異体は、ALS患者における発症年齢の低下および発症後の生存期間の短縮と有意に関連している(Sleegers et al., (2008) Neurology 71:253)。
【0169】
まとめると、ヒトの遺伝学と疾患モデルからのデータの両方が、TDP-43病理と関連するALS症例の病理を軽減する上でのプログラニュリンの保護機能を裏付けている。
【0170】
いくつかの実施形態では、理論に縛られることを望むものではないが、ソルチリンとプログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、プロNGF、プロBDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、および/または受容体関連タンパク質(RAP)の相互作用を阻害する;またはソルチリンの1以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体は、ALSの1以上の望ましくない症状を予防または治療するために使用することができると考えられる。
【0171】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体においてALを治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、ALSを有するまたは有するリクスのある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体の、例えば、血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それにより、ALSを治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、個体は、C9orf72ヘキサヌクレオチドリピート伸張に関して異型接合性である。
【0173】
いくつかの実施形態では、ALSの治療および/またはその進行の遅延は、脳萎縮、脳連結性、脳自由水および/または脳炎症のベースラインからの変化により決定される。脳萎縮、脳連結性、脳自由水および/または脳炎症を測定するために、限定されるものではないがMRIを含む当技術分野で公知の任意の方法が使用され得る。特定の実施形態では、脳萎縮は、構造MRIを用いて測定される。特定の実施形態では、脳自由水および/または脳炎症は、拡散テンソル画像(DTI)を用いて測定される。
【0174】
いくつかの実施形態では、ALSの治療および/またはその進行の遅延は、プログラニュリン、神経変性のマーカー、グリア活性化のマーカー、および/またはTDP-43病理のマーカーのベースラインからの変化により決定される。特定の実施形態では、プログラニュリンは、Adipogenイムノアッセイを用いて測定される。特定の実施形態では、神経変性のマーカーには、限定されるものではないが、ニューロフィラメント軽鎖が含まれる。ニューロフィラメント軽鎖は、限定されるものではないが、Quanterixおよび/またはRoche Diagnosticsからのアッセイを含む当技術分野のいずれの公知の方法によって測定してもよい。特定の実施形態では、グリア活性化のマーカーとしては、限定されるものではないが、YKL-40(CHI3L)、IL-6、および/またはGFAPが挙げられる。GFAPは、限定されるものではないが、Roche Diagnosticsからのアッセイを含む当技術分野のいずれの公知の方法を用いて測定してもよい。
【0175】
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)は、播種性硬化症または散在性脳脊髄炎とも呼ばれることがある。MSは、脳および脊髄の軸索の周りにある脂肪質のミエリン鞘が損傷し、脱髄および瘢痕化、ならびに幅広い徴候および症状もたらす炎症性疾患である。例えば、www.ninds.nih.gov/Disorders/Patient-Caregiver-Education/Hope-Through-Research/Multiple-Sclerosis-Hope-Through-Research を参照のこと。
【0176】
MSの症状としては、限定されるものではないが、感度の低下またはヒリヒリ感などの感覚の変化;知覚低下および知覚麻痺などの刺痛またはしびれ;筋力低下;クローヌス;筋痙攣;移動困難;運動失調などの協調性および平衡感覚の障害;構音障害などの言語障害;または嚥下障害などの嚥下困難;眼内閃光および複視を含む、眼振、視神経炎などの視覚障害;疲労;急性または慢性疼痛;膀胱および腸の障害;様々な程度の認知障害;鬱病または情緒不安定などの感情症状;通常の周囲温度よりも高い気温に曝されることによる既存の症状の悪化であるウートホフ現象;ならびに首を曲げた際に背中に走る電気感覚であるレルミット徴候が挙げられる。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体においてMSを治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、MSを有するまたは有するリクスのある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体の、例えば、血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それにより、MSを治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。
【0178】
緑内障および黄斑変性
緑内障は、限定されるものではないが、視神経の損傷を特徴とし、視力低下および失明をもたらす一群の疾患を説明する。緑内障は、通常、角膜の下にある前房の液圧(例えば、眼圧)の上昇によって引き起こされる。緑内障は、視覚に重要な網膜神経節細胞の連続的喪失をもたらす。加齢黄斑変性は、通常、高齢者に影響を及ぼし、主に中心視野である黄斑部の視力低下を引き起こす。黄斑変性症は、限定されるものではないが、ドルーゼン、色素変化、視野の歪み、眼球出血、萎縮、視力低下、かすみ目、中心暗点、色覚低下およびコントラスト感度の低下を引き起こす。
【0179】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体において緑内障または黄斑変性を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。いくつかの実施形態では、緑内障または黄斑変性を有するまたは有するリクスのある個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、個体の、例えば、血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンレベルを増加させ;かつ/またはソルチリンレベルを低下させ;かつ/またはソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害し;かつ/またはソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害し、それにより、緑内障または黄斑変性を治療するおよび/またはその進行を遅延させることができる。
【0180】
投与および薬学的用量
本明細書に提供される抗ソルチリン抗体(および任意の付加的治療薬)は、非経口、肺内、鼻腔内、病巣内、脳脊髄内、頭蓋内、脊髄内、滑液嚢内、くも膜下腔内、経口、局所、または吸入経路を含む任意の適切な手段によって投与することができる。非経口投与には、筋肉内、動脈内、関節内、腹腔内、皮下または静脈内投与が含まれる。静脈内投与には、ボーラスとしての投与または一定の期間にわたる持続的注入による投与が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の抗体の投与は静脈内投与による。いくつかの実施形態では、本開示の抗体の投与は皮下注射による。限定されるものではないが、様々な時点にわたる単回または複数回の投与、ボーラス投与、およびパルス注入を含む様々な投与スケジュールが、本明細書において企図される。
【0181】
本明細書で提供される抗ソルチリン抗体は、良好な医療行為と一致する様式で調剤され、用量決定され、投与される。この文脈で考慮すべき因子には、治療される特定の疾患または障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジュール、および医療従事者に知られている他の因子が含まれる。抗体は、必ずしもそうである必要はないが、場合によっては、問題の疾患または障害を予防または治療するために現在使用されている1以上の薬剤とともに調剤される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、1以上の付加的抗ソルチリン剤、例えば、1以上の抗ソルチリン抗体と組み合わせて調剤および/または投与される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、疾患、障害または治療の種類、および上述の他の要因によって異なる。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示の特定の抗ソルチリン抗体の用量は、1回以上の抗ソルチリン抗体を投与した個体で経験的に決定することができる。いくつかの実施形態では、個体に漸増用量の本開示の抗ソルチリン抗体を投与する。本開示の抗ソルチリン抗体の有効性を評価するために、本開示の疾患、障害、または損傷(例えば、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、大脳辺縁系優位型老年期TDP43脳症(LATE)、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症)のいずれかの臨床症状をモニタリングすることができる。
【0183】
静脈内投与
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、疾患、障害または損傷を有するまたは有するリクスのある個体に本開示の抗ソルチリン抗体を静脈内注入により投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患、障害または損傷は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症である。いくつかの実施形態では、疾患または障害はアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は前頭側頭型認知症である。いくつかの実施形態では、疾患または障害はパーキンソン病である。
【0184】
いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、少なくとも約6mg/kgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約6mg/kg~約60mg/kgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約30mg/kgまでの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約15mg/kg~約30mg/kgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約60mg/kgまでの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、用量は、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、約49mg/kg、約50mg/kg、約51mg/kg、約52mg/kg、約53mg/kg、約54mg/kg、約55mg/kg、約56mg/kg、約57mg/kg、約58mg/kg、約59mg/kg、または約60mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約6mg/kgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約15mg/kgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約30mg/kgの用量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約60mg/kgの用量で静脈内投与される。
【0185】
このような用量は、間欠的に投与してもよい。特定の実施形態では、投与頻度は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、毎週1回、2週間ごと1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回、6週間ごとに1回、7週間ごとに1回、8週間ごとに1回、9週間ごとに1回、10週間ごとに1回、またはそれより低頻度である。特定の実施形態では、投与頻度は、付き1回、2か月ごとに1回、3か月ごとに1回、4か月ごとに1回、5か月ごとに1回、6か月ごとに1回、またはそれより低頻度である。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は上記用量のいずれかで下記の投与計画のいずれかを用いて静脈内投与される。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4週間ごとに1回、またはそれより高頻度で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約毎週1回(q1w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約2週間ごとに1回(q2w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約3週間ごとに1回(q3w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4週間ごとに1回(q4w)静脈内投与される。
【0188】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4週間ごとに1回、またはそれより低頻度で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4週間ごとに1回(q4w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約5週間ごとに1回(q5w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約7週間ごとに1回(q7w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約9週間ごとに1回(q9w)静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約10週間ごとに1回(q10w)静脈内投与される。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約月1回またはそれより低頻度で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約月1回静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約2か月ごとに1回静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約3か月ごとに1回静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4か月ごとに1回静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約5か月ごとに1回静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約6か月ごとに1回静脈内投与される。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で約月1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約6mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内に投与することを含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約15mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約15mg/kgの用量で約月1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約15mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約15mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約15mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約15mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約15mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約30mg/kgまでの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約30mg/kgまでの用量で約月1回静脈内投与することを含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約30mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約30mg/kgの用量で約月1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約30mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約30mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内に投与することを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約60mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約60mg/kgの用量で約月1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約60mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約60mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約60mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約60mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約60mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg~約60mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg~約60mg/kgの用量で月1回静脈内投与することを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg~約60mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg~約60mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、約49mg/kg、約50mg/kg、約51mg/kg、約52mg/kg、約53mg/kg、約54mg/kg、約55mg/kg、約56mg/kg、約57mg/kg、約58mg/kg、約59mg/kg、または約60mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、約49mg/kg、約50mg/kg、約51mg/kg、約52mg/kg、約53mg/kg、約54mg/kg、約55mg/kg、約56mg/kg、約57mg/kg、約58mg/kg、約59mg/kg、または約60mg/kgの用量で約1月回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、約49mg/kg、約50mg/kg、約51mg/kg、約52mg/kg、約53mg/kg、約54mg/kg、約55mg/kg、約56mg/kg、約57mg/kg、約58mg/kg、約59mg/kg、または約60mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、約49mg/kg、約50mg/kg、約51mg/kg、約52mg/kg、約53mg/kg、約54mg/kg、約55mg/kg、約56mg/kg、約57mg/kg、約58mg/kg、約59mg/kg、または約60mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kgの用量で約月1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約15mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約15mg/kgの用量で約月1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約15mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約15mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約30mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約30mg/kgの用量で約月1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約30mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約30mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約60mg/kgの用量で約4週間ごとに1回(q4w)、すなわち、約28日ごとに1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約60mg/kgの用量で約月1回静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約60mg/kgの用量で約6週間ごとに1回(q6w)静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約60mg/kgの用量で約8週間ごとに1回(q8w)静脈内投与することを含む。
【0202】
特定の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体の用量は、個体に静脈内に、例えば、約60分かけて注入ポンプを用いて投与される。
【0203】
特定の実施形態では、少なくとも1用量、少なくとも2用量、少なくとも3用量、少なくとも4用量、少なくとも5用量、少なくとも6用量、少なくとも7用量、少なくとも8用量、少なくとも9用量、少なくとも10用量、少なくとも11用量、少なくとも12用量、少なくとも13用量、少なくとも14用量、少なくとも15用量、少なくとも16用量、少なくとも17用量、少なくとも18用量、少なくとも19用量、少なくとも20用量、少なくとも21用量、少なくとも22用量、少なくとも23用量、少なくとも24用量、少なくとも25用量、少なくとも26用量、少なくとも27用量、少なくとも28用量、少なくとも29用量、少なくとも30用量、少なくとも31用量、少なくとも32用量、少なくとも33用量、少なくとも34用量、少なくとも35用量、少なくとも36用量の、またはそれを超える本開示の抗ソルチリン抗体が個体に静脈内投与される。特定の実施形態では、少なくとも6用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。
【0204】
いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約4週間ごとに1回、またはそれより高頻度で継続する。いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約毎週1回(q1w)、約2週間ごとに1回(q2w)、約3週間ごとに1回(q3w)、または約4週間ごとに1回(q4w)継続する。
【0205】
いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約4週間ごとに1回、またはそれより低頻度で継続する。いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約4週間ごとに1回(q4w)、約5週間ごとに1回(q5w)、約6週間ごとに1回(q6w)、約7週間ごとに1回(q7w)、約8週間ごとに1回(q8w)、約9週間ごとに1回(q9w)、または約10週間ごとに1回(q10w)継続する。
【0206】
いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約月1回、またはそれより低頻度で継続する。いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約1月回、約2か月ごとに1回、約3か月ごとに1回、約4か月ごとに1回、約5か月ごとに1回、または約6か月ごとに1回継続する。
【0207】
いくつかの実施形態では、個体は、本開示の抗ソルチリン抗体で少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約12か月の、またはそれを超える治療期間治療される。いくつかの実施形態では、個体は、本開示の抗ソルチリン抗体で少なくとも約12か月、少なくとも約15か月、少なくとも約18か月、少なくとも約21か月、少なくとも約24か月、少なくとも約27か月、少なくとも約30か月、少なくとも約33か月、少なくとも約36か月の、またはそれを超える治療期間治療される。いくつかの実施形態では、個体は、本開示の抗ソルチリン抗体で少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年の、またはそれを超える治療期間治療される。
【0208】
いくつかの実施形態では、より高い初期用量の抗ソルチリン抗体、次いで1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約60mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約6mg/kg~約59mg/kg、または約6mg/kg~約30mg/kg、または約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約30mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約6mg/kg~約29mg/kg、または約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約60mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約6mg/kg~約59mg/kg、約6mg/kg~約30mg/kg、または約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、より低い初期用量の抗ソルチリン抗体、次いで1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約6mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約7mg/kg~約30mg/kg、約15mg/kg~約30mg/kg、または約30mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、an 初期用量約15mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約16mg/kg~約30mg/kg、または約30mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約30mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約31mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。
【0209】
当業者に理解されるように、本明細書に提供される方法に従って、例えば、当技術分野で公知の方法に従って、例えば、本明細書に記載されているように治療される個体および/または疾患もしくは障害のモニタリングに基づいて、他の投与計画を使用することもできる。
【0210】
皮下投与
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、本開示の抗ソルチリン抗体を、疾患、障害もしくは損傷を有するまたは有するリスクのある個体に皮下投与により投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患、障害または損傷は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症である。いくつかの実施形態では、疾患または障害はアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は前頭側頭型認知症である。いくつかの実施形態では、疾患または障害はパーキンソン病である。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約150mgの用量で皮下投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を少なくとも約260mgの用量で皮下投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約260mg~約4000mgの用量で皮下投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約260mg、約280mg、約300mg、約320mg、約340mg、約360mg、約380mg、約400mg、約420mg、約440mg、約460mg、約480mg、約500mg、約520mg、約540mg、約560mg、約580mg、約600mg、約620mg、約640mg、約660mg、約680mg、約700mg、約720mg、約740mg、約760mg、約780mg、約800mg、約820mg、約840mg、約860mg、約880mg、約900mg、約920mg、約940mg、約960mg、約980mg、約1000mg、約1020mg、約1040mg、約1060mg、約1080mg、約1100mg、約1120mg、約1140mg、約1160mg、約1180mg、約1200mg、約1220mg、約1240mg、約1260mg、約1280mg、約1300mg、約1320mg、約1340mg、約1360mg、約1380mg、約1400mg、約1420mg、約1440mg、約1460mg、約1480mg、約1500mg、約1520mg、約1540mg、約1560mg、約1580mg、約1600mg、約1620mg、約1640mg、約1660mg、約1680mg、約1700mg、約1720mg、約1740mg、約1760mg、約1780mg、約1800mg、約1820mg、約1840mg、約1860mg、約1880mg、約1900mg、約1920mg、約1940mg、約1960mg、約1980mg、約2000mg、約2020mg、約2040mg、約2060mg、約2080mg、約2100mg、約2120mg、約2140mg、約2160mg、約2180mg、約2200mg、約2220mg、約2240mg、約2260mg、約2280mg、約2300mg、約2320mg、約2340mg、約2360mg、約2380mg、約2400mg、約2420mg、約2440mg、約2460mg、約2480mg、約2500mg、約2520mg、約2540mg、約2560mg、約2580mg、約2600mg、約2620mg、約2640mg、約2660mg、約2680mg、約2700mg、約2720mg、約2740mg、約2760mg、約2780mg、約2800mg、約2820mg、約2840mg、約2860mg、約2880mg、約2900mg、約2920mg、約2940mg、約2960mg、約2980mg、約3000mg、約3020mg、約3040mg、約3060mg、約3080mg、約3100mg、約3120mg、約3140mg、約3160mg、約3180mg、約3200mg、約3220mg、約3240mg、約3260mg、約3280mg、約3300mg、約3320mg、約3340mg、約3360mg、約3380mg、約3400mg、約3420mg、約3440mg、約3460mg、約3480mg、約3500mg、約3520mg、約3540mg、約3560mg、約3580mg、約3600mg、約3620mg、約3640mg、約3660mg、約3680mg、約3700mg、約3720mg、約3740mg、約3760mg、約3780mg、約3800mg、約3820mg、約3840mg、約3860mg、約3880mg、約3900mg、約3920mg、約3940mg、約3960mg、約3980mg、または約4000mgの用量で皮下投与することを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約270mg~び約600mg、約600mg~約675mg、約675mg~約720mg、約720mg~約1350mg、約1350mg~約1600mg、約1600mg~約1800mg、または約1800mg~約3600mgの用量で皮下投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約270mg、約675mg、約720mg、約1350mg、約1800mg、または約3600mgの用量で皮下投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約150mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約270mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約300mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約600mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約675mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約720mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約1350mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約1600mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約1800mgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約3600mgの用量で皮下投与される。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体に本開示の抗ソルチリン抗体を約6mg/kg~約60mg/kgの用量で皮下投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約30mg/kgまでの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約60mg/kgまでの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、用量は、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約13.3mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、約49mg/kg、約50mg/kg、約51mg/kg、約52mg/kg、約53mg/kg、約54mg/kg、約55mg/kg、約56mg/kg、約57mg/kg、約58mg/kg、約59mg/kg、または約60mg/kgである。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約6mg/kgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約13.3mg/kgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約15mg/kgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約30mg/kgの用量で皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、約60mg/kgの用量で皮下投与される。
【0214】
このような用量は間欠的に投与してもよい。特定の実施形態では、投与頻度は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、毎週1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回、6週間ごとに1回、7週間ごとに1回、8週間ごとに1回、9週間ごとに1回、10週間ごとに1回、またはそれより低頻度である。特定の実施形態では、投与頻度は、月1回、2か月ごとに1回、3か月ごとに1回、4か月ごとに1回、5か月ごとに1回、6か月ごとに1回、またはそれより低頻度である。
【0215】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、下記の投与計画のいずれかを用いて上記用量のいずれかで皮下投与される。
【0216】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4週間ごとに1回(q4w)、またはそれより高頻度で皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約毎週1回(q1w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約2週間ごとに1回(q2w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約3週間ごとに1回(q3w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4週間ごとに1回(q4w)皮下投与される。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4週間ごとに1回(q4w)、またはそれより低頻度で皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4週間ごとに1回(q4w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約5週間ごとに1回(q5w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約6週間ごとに1回(q6w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は約7週間ごとに1回(q7w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約8週間ごとに1回(q8w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約9週間ごとに1回(q9w)皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約10週間ごとに1回(q10w)皮下投与される。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約月1回、またはそれより低頻度で皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約月1回皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約2か月ごとに1回皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約3か月ごとに1回皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約4か月ごとに1回皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約5か月ごとに1回皮下投与される。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、約6か月ごとに1回皮下投与される。
【0219】
特定の実施形態では、1用量の抗ソルチリン抗体が個体に皮下注射として皮下投与される。特定の実施形態では、1用量の抗ソルチリン抗体が個体に約15分にわたる緩慢な皮下注射として皮下投与される。
【0220】
特定の実施形態では、少なくとも1用量、少なくとも2用量、少なくとも3用量、少なくとも4用量、少なくとも5用量、少なくとも6用量、少なくとも7用量、少なくとも8用量、少なくとも9用量、少なくとも10用量、少なくとも11用量、少なくとも12用量、少なくとも13用量、少なくとも14用量、少なくとも15用量、少なくとも16用量、少なくとも17用量、少なくとも18用量、少なくとも19用量、少なくとも20用量、少なくとも21用量、少なくとも22用量、少なくとも23用量、少なくとも24用量、少なくとも25用量、少なくとも26用量、少なくとも27用量、少なくとも28用量、少なくとも29用量、少なくとも30用量、少なくとも31用量、少なくとも32用量、少なくとも33用量、少なくとも34用量、少なくとも35用量、少なくとも36用量の、またはそれを超える抗ソルチリン抗体が、個体に皮下投与される。特定の実施形態では、少なくとも6用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。
【0221】
いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約4週間ごとに1回(q4w)、またはそれより高頻度で継続する。いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約毎週1回(q1w)、約2週間ごとに1回(q2w)、約3週間ごとに1回(q3w)、または約4週間ごとに1回(q4w)継続する。
【0222】
いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約4週間ごとに1回(q4w)、またはそれより低頻度で継続する。いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約4週間ごとに1回(q4w)、約5週間ごとに1回(q5w)、約6週間ごとに1回(q6w)、約7週間ごとに1回(q7w)、約8週間ごとに1回(q8w)、約9週間ごとに1回(q9w)、または約10週間ごとに1回(q10w)継続する。
【0223】
いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約月1回、またはそれより低頻度で継続する。いくつかの実施形態では、初回用量の抗ソルチリン抗体を治療期間の初日に投与し、その後、抗ソルチリン抗体の投与を約月1回、約2か月ごとに1回、約3か月ごとに1回、約4か月ごとに1回、約5か月ごとに1回、または約6か月ごとに1回継続する。
【0224】
いくつかの実施形態では、個体は、本開示の抗ソルチリン抗体で少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約12か月の、またはそれを超える治療期間治療される。いくつかの実施形態では、個体は、本開示の抗ソルチリン抗体で少なくとも約12か月、少なくとも約15か月、少なくとも約18か月、少なくとも約21か月、少なくとも約24か月、少なくとも約27か月、少なくとも約30か月、少なくとも約33か月、少なくとも約36か月の、またはそれを超える治療期間治療される。いくつかの実施形態では、個体は、本開示の抗ソルチリン抗体で少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年の、またはそれを超える治療期間治療される。
【0225】
いくつかの実施形態では、より高い初期用量の抗ソルチリン抗体、次いで1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約60mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約6mg/kg~約59mg/kg、または約6mg/kg~約30mg/kg、または約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約30mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約6mg/kg~約29mg/kg、または約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約60mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約6mg/kg~約59mg/kg、約6mg/kg~約30mg/kg、または約6mg/kg~約15mg/kgの1以上のより低用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、より低い初期用量の抗ソルチリン抗体、次いで1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。いくつかの実施形態では、初期用量約6mg/kgの抗ソルチリン抗体、次いで約7mg/kg~約30mg/kg、約15mg/kg~約30mg/kg、または約30mg/kg~約60mg/kgの1以上のより高用量の抗ソルチリン抗体が個体に投与される。
【0226】
当業者に理解されるように、本明細書に提供される方法に従って、例えば、当技術分野で公知の方法に従って、例えば、本明細書に記載されているように治療される個体および/または疾患もしくは障害のモニタリングに基づいて、他の投与計画を使用することもできる。
【0227】
ソルチリン抗体
いくつかの態様において、本開示は、ソルチリン、例えば、ヒトソルチリンタンパク質または哺乳動物ソルチリンタンパク質に結合する抗ソルチリン抗体を提供する。
【0228】
ソルチリンタンパク質
いくつかの側面において、本開示は、ソルチリンタンパク質に結合する抗ソルチリン抗体を提供する。ソルチリンは、ソルチリン1、sort1、SORT1、100kDa NT受容体、糖タンパク質95(GP95)、プログラニュリン受容体(PGRN-R)、およびニューロテンシン受容体3(NT-3またはNTR-3)と様々に呼ばれる。ソルチリンは、I型膜受容体をコードする831アミノ酸のタンパク質である。様々なソルチリン同族体が知られ、限定されるものではないが、ヒトソルチリン、ラットソルチリン、カニクイザルソルチリン、およびマウスソルチリンが含まれる。ヒトソルチリンのアミノ酸配列は、配列番号1として以下に示される(プログラニュリン結合に関与すると推定される重要なアミノ酸残基を太字で示し、推定プロNGF結合領域を下線で示す)。
【0229】
さらに、マウスソルチリンのアミノ酸配列を配列番号2に示す。
【0230】
さらに、ラットソルチリンのアミノ酸配列を配列番号3に示す。
【0231】
さらに、カニクイザルソルチリンのアミノ酸配列を配列番号27に示す。
【0232】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、哺乳動物ソルチリンタンパク質、ヒトソルチリンタンパク質、霊長類ソルチリンタンパク質(例えば、カニクイザルソルチリン)、マウスソルチリンタンパク質、および/またはラットソルチリンタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、哺乳動物ソルチリンタンパク質、ヒトソルチリンタンパク質、霊長類ソルチリンタンパク質(例えば、カニクイザルソルチリン)、マウスソルチリンタンパク質、およびラットソルチリンタンパク質のうち1以上の内部のエピトープと結合し得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、カニクイザルソルチリンに結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンおよびマウスソルチリンに結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリン、マウスソルチリン、およびカニクイザルに結合する。
【0233】
いくつかの実施形態では、ソルチリンタンパク質は、シグナル配列を含むプレタンパク質である。いくつかの実施形態では、ソルチリンタンパク質は成熟タンパク質である。いくつかの実施形態では、成熟ソルチリンタンパク質は、シグナル配列を含まない。いくつかの実施形態では、成熟ソルチリンタンパク質が細胞で発現される。
【0234】
本開示のソルチリンタンパク質には、いくつかのドメインが含まれ、限定されるものではないが、シグナル配列、プロペプチド、管腔ドメイン、Vps10pドメインを含み、例えば、Aspボックスモチーフ、10枚羽根βプロペラ構造、および疎水性ループ、10CCドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む。さらに、本開示のソルチリンタンパク質は、限定されるものではないが、脳、脊髄、心臓および骨格筋、甲状腺、胎盤、および精巣を含む複数の組織において高レベルで発現される。ソルチリンは、選別受容体のVpsl0pファミリーのメンバーであり、これにはまた、限定されるものではないが、A型リピートを有する選別タンパク質関連受容体(SorLA)、ソルチリン関連受容体CNS発現1(SorCS1)、ソルチリン関連受容体CNS発現2(SorCS2)、およびソルチリン関連受容体CNS発現3(SorCS3)が含まれる。酵母Vps10p(Vps10pドメイン)では、ソルチリンの管腔領域は、2つの管腔ドメインのそれぞれと整列している。Vps10pドメインの特徴は、アミノ末端プロペプチドと、10個の保存されているシステイン(10CC)残基を含むカルボキシ末端セグメントである。Vpsl0pファミリーの他の受容体は、アミノ末端に位置するVps10pドメインを共有し、付加的エクトドメインを含む。
【0235】
Vps10pファミリーの選別受容体は、神経系内および他所の両方で多様な機能を有する。これらの受容体は、限定されるものではないが、プログラニュリン(PGRN)、プロ神経成長因子(プロNGF)、神経成長因子(NGF)、PCSK9、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3(プロNT3)、プロニューロトロフィン-4/5、プロ脳由来神経栄養因子(プロBDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT3)、ニューロトロフィン-4/5、ニューロテンシン、p75NTR、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイドタンパク前駆体(APP)、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質、アポリポタンパク質AV(アポA5)、アポリポタンパク質E(アポE2、3、4)、受容体関連タンパク質(RAP)、およびプラスミノーゲンアクチベーター系のエレメントを含むいくつかの異なるリガンドと結合し;細胞内選別、エンドサイトーシス、およびシグナル伝達に関与し、多機能であることが示されている。本開示のソルチリンタンパク質は、リポタンパク質リパーゼ、ニューロテンシン、およびプロ形態の神経成長因子の迅速なエンドサイトーシスを媒介すること、ならびにタンパク質をゴルジから後期エンドソームへの輸送に向けることが示されている。さらに、本開示のソルチリンタンパク質は、細胞膜上のp75と複合体を形成し、プロ神経成長因子(NGF)により誘導される神経細胞死に不可欠であることが示されている。最近ではまた、Vps10p受容体ファミリーのメンバーが、NGF、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフィン-3、およびニューロトロフィン-4/5、またはプロドメイン形態のニューロトロフィン(プロニューロトロフィン)を含むニューロトロフィンファミリーのメンバーと相互作用することも示された。本開示のソルチリンタンパク質はまた、低密度リポタンパク質受容体をリソソームでの分解に向けてLDLコレステロールレベルの増加をもたらすPCSK9に結合してその細胞外レベルを調節することも示されている。
【0236】
本明細書に開示されるように、本開示のソルチリンタンパク質とプロニューロトロフィンまたはニューロトロフィンの相互作用は、10枚羽根βプロペラ構造およびAspボックスモチーフを含むVps10pドメインにより媒介される。特定の実施形態では、本開示のソルチリンタンパク質は、10枚羽根βプロペラ構造を含み、かつ、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基78~611または配列番号1のアミノ酸残基78~611に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内に位置するVps10pドメインを含む。特定の実施形態では、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基190~220または配列番号1のアミノ酸残基190~220に相当する哺乳動物ソルチリンアミノ酸残基は、Vps10pドメイン内に位置する。
【0237】
本開示のVps10pドメインは、Aspボックスモチーフを含み得る。本明細書で使用する場合、Aspボックスモチーフは、以下の配列を有する:(S/T)-X-(D/N)-X-X-X-X-(W/F/Y)(配列番号22)、またはX-X-(S/T)-X-(D/N)-X-G-X-(T/S)-(W/F/Y)-X(配列番号23)、ここで、Xは任意のアミノ酸を表す。ヒトソルチリンでは、Aspボックスモチーフは、アミノ酸残基200~207(SSDFAKNF(配列番号24))に位置する。よって、特定の実施形態では、Aspボックスモチーフは、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基200~207または配列番号1のアミノ酸残基200~207に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基に位置する。
【0238】
本明細書に開示されるように、本開示のソルチリンタンパク質とp75の相互作用は、Vps10pドメインの疎水性ループの10CCドメインにより媒介される。
【0239】
特定の実施形態では、本開示のソルチリンタンパク質は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基610~757または配列番号1のアミノ酸残基610~757に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内に存在する10CCドメインを含む。いくつかの実施形態では、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基592~593、610~660、および/もしくは667~749または配列番号1のアミノ酸残基592~593、610~660、および/もしくは667~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基は、ソルチリンの10CCドメイン内に位置する。
【0240】
他の実施形態では、本開示のソルチリンタンパク質は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基130~141または配列番号1のアミノ酸残基130~141に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内に位置するVps10pドメイン内に疎水性ループを含む。
【0241】
当業者に認識されているように、本開示のドメインの開始および終結残基は、使用されるコンピューターモデリングプログラムまたはドメインを決定するために使用される方法によって異なり得る。
【0242】
例示的抗ソルチリン抗体
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される抗ソルチリン抗体は、本明細書の一部として援用されるWO2016164637A1に記載されている。
【0243】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号6と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号7と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;および(c)配列番号8と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3のうち1以上を含み;かつ/または軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号9と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号10と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)配列番号11と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3のうち1以上を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、HVR-H1、HVR-H2、およびHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、HVR-L1、HVR-L2、およびHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列YTFTKYYMS(配列番号6)に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-H1を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、アミノ酸配列YTFTKYYMS(配列番号6)において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列IINPIGGSTSYAQKFQG(配列番号7)に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-H2を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、アミノ酸配列IINPIGGSTSYAQKFQG(配列番号7)において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列ARDPSGIALAGPASRGYQGMDV(配列番号8)に対して(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-H3を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、アミノ酸配列ARDPSGIALAGPASRGYQGMDV(配列番号8)において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列RASQSVSSNLA(配列番号9)に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-L1を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、アミノ酸配列RASQSVSSNLA(配列番号9)において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列GASTRAT(配列番号10)に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-L2を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、アミノ酸配列GASTRAT(配列番号10)において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、アミノ酸配列QQARLGPWT(配列番号11)に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、アミノ酸配列QQARLGPWT(配列番号11)において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。
【0245】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、アミノ酸配列YTFTKYYMS(配列番号6)を含むHVR-H1、アミノ酸配列IINPIGGSTSYAQKFQG(配列番号7)を含むHVR-H2、およびアミノ酸配列ARDPSGIALAGPASRGYQGMDV(配列番号8)を含むHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、アミノ酸配列RASQSVSSNLA(配列番号9)を含むHVR-L1、アミノ酸配列GASTラット(配列番号10)を含むHVR-L2、およびアミノ酸配列QQARLGPWT(配列番号11)を含むHVR-L3を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、(a)抗体S-15-10-7のHVR-H1アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)抗体S-15-10-7のHVR-H2アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2;および(c)抗体S-15-10-7のHVR-H3アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3のうち1以上を含み;かつ/または軽鎖可変ドメインは、(a)抗体S-15-10-7のHVR-L1アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)抗体S-15-10-7のHVR-L2アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(c)抗体S-15-10-7のHVR-L3アミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3のうち1以上を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、HVR-H1、HVR-H2、およびHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、HVR-L1、HVR-L2、およびHVR-L3を含む。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7のHVR-H1アミノ酸配列に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-H1を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7のHVR-H1アミノ酸配列において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7のHVR-H2アミノ酸配列に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-H2を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7のHVR-H2アミノ酸配列において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7のHVR-H3アミノ酸配列に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-H3を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7のHVR-H3アミノ酸配列において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7のHVR-L1アミノ酸配列に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-L1を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7のHVR-L1アミノ酸配列において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7のHVR-L2アミノ酸配列に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-L2を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7のHVR-L2アミノ酸配列において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7のHVR-L3アミノ酸配列に対して置換(例えば、保存的置換、挿入、または欠失)を含むアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むが、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7のHVR-L3アミノ酸配列において1個まで、2個まで、3個まで、4個まで、5個まで、または6個までのアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。
【0248】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7のHVR-H1アミノ酸配列を含むHVR-H1、抗体S-15-10-7のHVR-H2アミノ酸配列を含むHVR-H2、および抗体S-15-10-7のHVR-H3アミノ酸配列を含むHVR-H3を含み、軽鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7のHVR-L1アミノ酸配列を含むHVR-L1、抗体S-15-10-7のHVR-L2アミノ酸配列を含むHVR-L2、および抗体S-15-10-7のHVR-L3アミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、VH FR1、VH FR2、VH FR3、およびVH FR4から選択される1つ、2つ、3つまたは4つのフレームワーク領域(FR)を含み、VH FR1は配列番号12のアミノ酸配列を含み、VH FR2は配列番号13のアミノ酸配列を含み、VH FR3は配列番号14のアミノ酸配列を含み、VH FR4は配列番号15のアミノ酸配列を含み;かつ/または軽鎖可変ドメインは、VL FR1、VL FR2、VL FR3、およびVL FR4から選択される1つ、2つ、3つまたは4つのフレームワーク領域を含み、VL FR1は配列番号16のアミノ酸配列を含み、VL FR2は配列番号17のアミノ酸配列を含み、VL FR3は配列番号18のアミノ酸配列を含み、VL FR4は配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;かつ/または軽鎖可変ドメインは、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-H2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み;かつ/または軽鎖可変ドメインは、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、および配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7のHVR-H1アミノ酸配列を含むHVR-H1、抗体S-15-10-7のHVR-H2アミノ酸配列を含むHVR-H2、および抗体S-15-10-7のHVR-H3アミノ酸配列を含むHVR-H3を含み;かつ/または軽鎖可変ドメインは、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7のHVR-L1アミノ酸配列を含むHVR-L1、抗体S-15-10-7のHVR-L2アミノ酸配列を含むHVR-L2、および抗体S-15-10-7のHVR-L3アミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み;かつ/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7のHVR-H1アミノ酸配列を含むHVR-H1、抗体S-15-10-7のHVR-H2アミノ酸配列を含むHVR-H2、および抗体S-15-10-7のHVR-H3アミノ酸配列を含むHVR-H3を含み;かつ/または軽鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7のHVR-L1アミノ酸配列を含むHVR-L1、抗体S-15-10-7のHVR-L2アミノ酸配列を含むHVR-L2、および抗体S-15-10-7のHVR-L3アミノ酸配列を含むHVR-L3を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、置換(例えば、配列番号20に対する保存的置換、挿入、または欠失)を含むが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、配列番号20のアミノ酸配列において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。特定の実施形態では、配列番号20のアミノ酸配列において合計1~6個のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FR領域内)に見られる。いくつかの実施形態では、置換、挿入、または欠失は、1以上のFR領域(すなわち、VH FR1、VH FR2、VH FR3、および/またはVH FR4)に見られる。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、1以上のHVR(すなわち、HVR-H1、HVR-H2、および/またはHVR-H3)に見られる。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、置換(例えば、配列番号21に対する保存的置換、挿入、または欠失)を含むが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。特定の実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列において合計1~6個のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FR領域内)に見られる。いくつかの実施形態では、置換、挿入、または欠失は、1以上のFR領域(すなわち、VL FR1、VL FR2、VL FR3、および/またはVL FR4)に見られる。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、1以上のHVR(すなわち、HVR-L1、HVR-L2、および/またはHVR-L3)に見られる。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、置換(例えば、抗体S-15-10-7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列に対する保存的置換、挿入、または欠失)を含むが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列において合計1~6個のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FR領域内)に見られる。いくつかの実施形態では、置換、挿入、または欠失は、1以上のFR領域(すなわち、VH FR1、VH FR2、VH FR3、および/またはVH FR4)に見られる。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、1以上のHVR(すなわち、HVR-H1、HVR-H2、および/またはHVR-H3)に見られる。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含み、軽鎖可変ドメインは、抗体S-15-10-7の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、置換(例えば、抗体S-15-10-7の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列に対する保存的置換、挿入、または欠失)を含むが、その配列を含む抗ソルチリン抗体は、ソルチリンに対する結合能を保持する。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列において合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。特定の実施形態では、抗体S-15-10-7の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列において合計1~6個のアミノ酸が置換、挿入、および/または欠失されている。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVRの外側の領域(すなわち、FR領域内)に見られる。いくつかの実施形態では、置換、挿入、または欠失は、1以上のFR領域(すなわち、VL FR1、VL FR2、VL FR3、および/またはVL FR4)に見られる。特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、1以上のHVR(すなわち、HVR-L1、HVR-L2、および/またはHVR-L3)に見られる。いくつかの実施形態では、抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含み、その配列の翻訳後修飾を含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、抗体S-15-10-7の重鎖可変ドメインアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび抗体S-15-10-7の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、~に記載のとおり 、その全内容が本明細書の一部として援用されるWO2016164637A1に記載されているような抗ソルチリン抗体S-15-10-7である。
【0263】
【0264】
いくつかの側面において、本開示はまた、ソルチリンタンパク質に結合する抗体も提供する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、本明細書の「例示的抗ソルチリン抗体」の節に記載されている抗ソルチリン抗体のいずれかである。いくつかの実施形態では、この抗体は、ヒトソルチリンおよび/または哺乳動物ソルチリンタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、この抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインおよび配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、この抗体は、ヒトIgG1アイソタイプである。いくつかの実施形態では、この抗体は、アミノ酸置換L234A、L235A、およびP331Sを含むFc領域を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う。いくつかの実施形態では、この抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、この抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0265】
抗ソルチリン抗体結合領域
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンのアミノ酸残基237~247、またはヒトソルチリンのアミノ酸残基237~247に相当するソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基内の1以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号1のアミノ酸残基237~247内の1以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基237~247に相当するタンパク質上のアミノ酸残基に結合する。
【0266】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンのアミノ酸残基314~338、またはヒトソルチリンのアミノ酸残基314~338に相当するソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基内の1以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号1のアミノ酸残基314~338、または配列番号1のアミノ酸残基314~338に相当するタンパク質上のアミノ酸残基内の1以上のアミノ酸に結合する。
【0267】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンのアミノ酸残基237~247および314~338、またはヒトソルチリンのアミノ酸残基237~247および314~338に相当するソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基内の1以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号1のアミノ酸残基237~247および314~338、または配列番号1のアミノ酸残基237~247および314~338に相当するタンパク質上のアミノ酸残基内の1以上のアミノ酸に結合する。
【0268】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンなどのソルチリンタンパク質のアミノ酸配列NGLWVSKNFGG(配列番号4)内の1以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンなどのソルチリンタンパク質のアミノ酸配列FASVMADKDTTRRIHVSTDQGDTWS(配列番号5)内の1以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンなどのソルチリンタンパク質のアミノ酸配列NGLWVSKNFGG(配列番号4)およびアミノ酸配列FASVMADKDTTRRIHVSTDQGDTWS(配列番号5)内の1以上のアミノ酸に結合する。
【0269】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンタンパク質などのソルチリンタンパク質のβプロペラドメイン内の1以上のアミノ酸に結合する。
【0270】
抗ソルチリン抗体結合親和性
本開示の抗ソルチリン抗体は、標的抗原(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)に対してマイクロモル、ナノモル、またはピコモルの親和性を有し得る。
【0271】
特定の実施形態では、標的抗原(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)に対する本開示の抗ソルチリン抗体の結合親和性は、解離定数KDにより測定される。解離定数は、蛍光活性化細胞選別(FACS)、フローサイトメトリー、酵素免疫測定法(ELISA)、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、Octet System by ForteBio)、メソスケールディスカバリーアッセイ(例えば、MSD-SET)、等温滴定熱量測定法(ITC)、示差走査熱量測定法(DSC)、円偏光二色性(CD)、ストップトフローアッセイ、および比色定量もしくは蛍光タンパク質融解分析;または細胞結合アッセイなどの生化学的または生物物理学的技術を含む当技術分野で公知の任意の分析技術によって決定され得る。いくつかの実施形態では、ソルチリン(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)の解離定数(KD)は、およそ25℃の温度で決定される。いくつかの実施形態では、ソルチリン(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)の解離定数(KD)は、およそ4℃の温度で決定される。いくつかの実施形態では、ソルチリン(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)の解離定数(KD)は、例えば、FACSまたはバイオレイヤー干渉アッセイを用いて4℃または室温で測定される。いくつかの実施形態では、ソルチリン(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)の解離定数(KD)は、例えば、細胞結合アッセイ、ForteBioアッセイ、またはMSD-SETアッセイを用いて4℃または室温で測定される。
【0272】
本明細書で提供される任意の抗体のいくつかの実施形態では、抗体は、標的抗原(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)に対して<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。
【0273】
特定の実施形態では、ヒトソルチリンおよび/または哺乳動物ソルチリン、例えば、マウスソルチリンまたはカニクイザルソルチリンに対する本開示の抗ソルチリン抗体のKDは、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.1nM未満、0.09nM未満、0.08nM未満、0.07nM未満、0.06nM未満、0.05nM未満、0.04nM未満、0.03nM未満、0.02nM未満、0.01nM未満、0.009nM未満、0.008nM未満、0.007nM未満、0.006nM未満、0.005nM未満、0.004nM未満、0.003nM未満、0.002nM未満、0.001nM未満、または0.001nM未満である。
【0274】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約0.005nM~約100nMの範囲の解離定数で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約0.005nM~約1nMの範囲、例えば、約0.005nM、約0.006nM、約0.007nM、約0.008nM、約0.009nM、約0.01nM、約0.02nM、約0.03nM、約0.04nM、約0.05nM、約0.06nM、約0.07nM、約0.08nM、約0.09nM、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.4nM、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、または約1nMのいずれかの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約1nM~約10nMの範囲、例えば、約1nM、約1.2nM、約1.4nM、約1.6nM、約1.8nM、約2nM、約2.2nM、約2.4nM、約2.6nM、約2.8nM、約3nM、約3.2nM、約3.4nM、約3.6nM、約3.8nM、約4nM、約4.2nM、約4.4nM、約4.6nM、約4.8nM、約5nM、約5.2nM、約5.4nM、約5.6nM、約5.8nM、約6nM、約6.2nM、約6.4nM、約6.6nM、約6.8nM、約7nM、約7.2nM、約7.4nM、約7.6nM、約7.8nM、約8nM、約8.2nM、約8.4nM、約8.6nM、約8.8nM、約9nM、約9.2nM、約9.4nM、約9.6nM、約9.8nM、または約10nMのいずれかの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約0.029nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約1.3nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約1.32nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約2.3nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約3.16nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して約3.3nMの解離定数(KD)で結合する。
【0275】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して約0.005nM~約100nMの範囲の解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して約1nM~約10nMの範囲、例えば、約1nM、約1.2nM、約1.4nM、約1.6nM、約1.8nM、約2nM、約2.2nM、約2.4nM、約2.6nM、約2.8nM、約3nM、約3.2nM、約3.4nM、約3.6nM、約3.8nM、約4nM、約4.2nM、約4.4nM、約4.6nM、約4.8nM、約5nM、約5.2nM、約5.4nM、約5.6nM、約5.8nM、約6nM、約6.2nM、約6.4nM、約6.6nM、約6.8nM、約7nM、約7.2nM、約7.4nM、約7.6nM、約7.8nM、約8nM、約8.2nM、約8.4nM、約8.6nM、約8.8nM、約9nM、約9.2nM、約9.4nM、約9.6nM、約9.8nM、または約10nMのいずれかの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して約1.2nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して約1.23nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して約1.4nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して約6.4nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して約7.42nMの解離定数(KD)で結合する。
【0276】
いくつかの実施形態では、ソルチリン(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)に対する本開示の抗ソルチリン抗体の解離定数(KD)は、ForteBio結合アッセイを用いて決定される。例示的ForteBio結合アッセイにおいて、親和性測定は、一般に、従前に記載されているように(Estep et al., MAbs. 2013 Mar-Apr;5(2):270-8)実施される。簡単に述べれば、ForteBio親和性測定は、抗ソルチリン抗体をAHQセンサーにオンラインでロードすることによって実施される。センサーはアッセイバッファーで30分間、オフラインで平衡化し、次いでベースライン確立のために60秒間オンラインでモニリングする。アビド結合測定のために、ロードされた抗ソルチリン抗体を有するセンサーを100nMの抗原(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン、例えば、ヒトまたはマウスソルチリンFc融合タンパク質)に曝し、その後、それらを解離速度測定用アッセイバッファーに移す。さらなるアビド結合は、ビオチン化ソルチリンタンパク質、例えば、ヒトまたはマウスソルチリン単量体をSAセンサーにロードし、溶液中の約100nM抗ソルチリン抗体に曝すことによって決定され得る。一価結合測定値は、ソルチリン、例えば、ヒトまたはマウスソルチリンFc融合タンパク質をAHQセンサーにロードし、次いで約100nMの抗ソルチリン抗体Fabに曝すことによって得ることができる。さらなる一価測定値は、ビオチン化ソルチリンタンパク質、例えば、ヒトまたはマウスソルチリン単量体をSAセンサーにロードし、次いで溶液中の約100nMの抗ソルチリン抗体Fabに曝すことによって得ることができる。動態データは、1:1結合を使用して、例えば、ForteBioにより提供されるデータ解析ソフトウエアのモデルを使用して、当てはめることができる。
【0277】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばForteBioアッセイを用いて測定した場合に約0.5nM~約2nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばForteBioアッセイを用いて測定した場合に約2nM~約4nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばForteBioアッセイを用いて測定した場合に約0.9nM、約0.96nM、約0.98nM、約1nM、約1.18nM、約1.2nM、または約1.24nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに関して、例えば本明細書に記載されるような、例えばForteBioアッセイを用いて測定した場合に約2.3nMまたは約3.3nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばForteBioアッセイを用いて測定した場合に約0.5nMおよび約2nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばForteBioアッセイを用いて測定した場合に約1nMおよび約8nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばForteBioアッセイを用いて測定した場合に約0.6nM、約0.68nM、約0.7nM、約0.76nM、約0.77nM、約0.8nM、約0.9nM、約1nM、約1.11nM、または約1.2nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばForteBioアッセイを用いて測定した場合に約1.4nMまたは約6.4nMの解離定数(KD)で結合する。
【0278】
いくつかの実施形態では、ソルチリン(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)に対する本開示の抗ソルチリン抗体の解離定数(KD)は、メソスケールディスカバリーアッセイ(例えば、MSD-SETを参照のこと)を用いて決定される。例示的MSD-SETアッセイでは、平衡親和性測定は、従前に記載されているように(Estep et al, (2013) MAbs 5(2):270-8)実施される。溶液平衡力価測定(SET)は、PBS+0.1%IgG-Free BSA(PBSF)中、抗原(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン、例えば、ビオチン化ヒトソルチリンまたはマウスソルチリン)を50pMで一定に保持し、10nMで始める抗ソルチリン抗体の3~5倍連続希釈液とともにインキュベートして実施した。抗ソルチリン抗体(PBS中20nM)を標準的な結合MSD-ECLプレートに4℃で一晩または室温で30分間コーティングする。次に、プレートを700rpmで振盪しながら30分間ブロッキングした後、洗浄バッファー(PBSF+0.05%Tween(登録商標)20)で3回洗浄する。SETサンプルをこれらのプレートに適用し、700rpmで振盪しながら150秒インキュベートした後、1回洗浄する。プレートに補足された抗原(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン、例えば、ビオチン化ヒトソルチリンまたはマウスソルチリン)を、PBSF中250ng/mLのスルホタグ標識ストレプトアビジンで、プレート上で3分間インキュベートすることにより検出する。これらのプレートを洗浄バッファーで3回洗浄した後、界面活性剤を含む1×リードバッファーTを用い、MSD Sector Imager 2400機で読み取る。Prismで、遊離抗原のパーセントを力価決定抗体の関数としてプロットし、二次方程式に当てはめてKDを抽出する。
【0279】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばMSD-SETアッセイを用いて測定した場合に約0.02nM~約0.3nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばMSD-SETアッセイを用いて測定した場合に約1nM~約5nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばMSD-SETアッセイを用いて測定した場合に約0.023nM、約0.032nM、約0.076nM、約0.19nM、約0.23nM、または約0.26nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトソルチリンに対して。例えば本明細書に記載されるような、例えばMSD-SETアッセイを用いて測定した場合に約2.3nMまたは約3.3nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばMSD-SETアッセイを用いて測定した場合に約0.05nM~約0.2nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばMSD-SETアッセイを用いて測定した場合に約1nM~約8nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばMSD-SETアッセイを用いて測定した場合に約0.07nM、約0.1nM、または約0.11nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、マウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えばMSD-SETアッセイを用いて測定した場合に約1.4nM、または約6.4nMの解離定数(KD)で結合する。
【0280】
いくつかの実施形態では、ソルチリン(例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリン)に対する本開示の抗ソルチリン抗体の解離定数(KD)は、細胞結合アッセイなどの細胞アッセイを用いて決定される。例示的細胞結合アッセイでは、細胞結合親和性測定は、マウスソルチリンで一過性にトランスフェクトしたHEK293T細胞などのヒトまたはマウスソルチリンを発現するまたはヒトソルチリンを安定に発現する細胞を用いて4℃で実施される。細胞を採取し、PBSで洗浄し、抗体のKDに近い量の抗体とともにインキュベートする。抗体をFACSバッファー(PBS+2%FBS+0.01%アジ化Na)で希釈する。氷上で1時間のインキュベーション後に、細胞をFACSバッファーで3回洗浄し、抗ヒトPEコンジュゲート二次抗体(BD Biosciences、1:100希釈)とともに氷上で30分間インキュベートする。次に、これらの細胞を200μl FACSバッファーで2回洗浄し、次いで、FACS CantoまたはiQE FACSスクリーニング装置(Intellicyt Corp)で分析する。ヒトおよび/またはマウスソルチリンへの結合は、PEの蛍光強度中央値(MFI)として測定される。細胞が発現したソルチリンに対する見掛けの親和性の決定のために、力価測定中の細胞に、例えば、ヒトソルチリンに対しては0.16~40nM、マウスソルチリンに対しては0.39~50nMの抗体を加え、それらの結合KDを、非線形曲線フィッティング(例えば、改変OneSiteTotal、Graph Pad Prismを使用)により決定する。
【0281】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、細胞上で発現されたヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えば細胞結合アッセイを用いて測定した場合に約1nM~約10nM(例えば、約1nM、約2nM、約3nM、約4nM、約5nM、約6nM、約7nM、約8nM、約9nM、または約10nMのいずれか)の解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、細胞上で発現されたヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えば細胞結合アッセイを用いて測定した場合に約2.17nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、細胞上で発現されたヒトソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えば細胞結合アッセイを用いて測定した場合に約3.16nMの解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、細胞上で発現されたマウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えば細胞結合アッセイを用いて測定した場合に約1nMおよび約24nM(例えば、約1nM、約2nM、約3nM、約4nM、約5nM、約6nM、約7nM、約8nM、約9nM、約10nM、約11nM、約12nM、約13nM、約14nM、約15nM、約16nM、約17nM、約18nM、約19nM、約20nM、約21nM、約22nM、約23nM、または約24nMのいずれか)の解離定数(KD)で結合する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、細胞上で発現されたマウスソルチリンに対して、例えば本明細書に記載されるような、例えば細胞結合アッセイを用いて測定した場合に約7.42nMの解離定数(KD)で結合する。
【0282】
いくつかの実施形態では、ソルチリンに対する本開示の抗ソルチリン抗体のKDは、例えば、本明細書に記載されるような一価抗体(例えば、Fab)または一価形態の全長抗体を用いて決定される。いくつかの実施形態では、KDは、例えば、本明細書に記載されるような二価抗体および単量体組換えソルチリンタンパク質を用いて決定される。
【0283】
抗ソルチリン抗体活性
特定の態様において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、および/もしくはソルチリンの総レベル)を低下させ;プログラニュリンレベル(例えば、プログラニュリンの細胞外レベルおよび/もしくはプログラニュリンの細胞レベル)を増加させ;かつ/またはプログラニュリンとソルチリンの相互作用(例えば、結合)を阻害する。特定の態様において、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、かつ、ソルチリンの細胞レベルを低下させる。いくつかの実施形態では、ソルチリンの細胞レベルの低下は、ソルチリンの細胞表面レベルの低下、ソルチリンの細胞内レベルの低下、ソルチリンの総レベルの低下、またはそれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)ソルチリン分解、ソルチリン切断、ソルチリン内部移行、ソルチリン下方調節、またはそれらの任意の組合せを誘導する;(b)1以上のタンパク質との相互作用に利用可能なソルチリンの有効レベルを低下させる、ソルチリンの分解を誘導する、またはその両方によって、ソルチリンと1以上のタンパク質の相互作用を阻害する;(c)ソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害する;(d)ソルチリンとプロ神経成長因子(プロNGF)の相互作用を阻害する;(e)ヒトソルチリンに特異的に結合する;(f)ヒトソルチリンおよびマウスソルチリンに特異的に結合するか、またはヒトソルチリン、マウスソルチリン、およびカニクイザルソルチリンに特異的に結合する;(g)1以上のプログラニュリン活性を誘導する;(h)プログラニュリン、またはそのフラグメントのエンドソーム内部移行を低下させる;(i)プログラニュリンの有効濃度を上昇させる;(j)細胞上で発現されたソルチリンとプログラニュリンの相互作用を阻害する;(k)1以上のプロ炎症性メディエーターの発現を低下させる;およびそれらの任意の組合せである。
【0284】
本明細書で企図されるように、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンと、限定されるものではないが、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、プロ神経成長因子(プロNGF)、神経成長因子(NGF)、プロ脳由来神経栄養因子(プロBDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、およびニューロトロフィン-4(NT-4)などのニューロトロフィン、ニューロテンシン、低親和性神経成長因子(NGF)受容体(p75)、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(アポA5)、アポE2、アポE3、およびアポE4などのアポリポタンパク質E(アポE)、アミロイドタンパク前駆体(APP)、Βペプチド、PCSK9、p75NTR、および受容体関連タンパク質(RAP)を含む1以上のタンパク質の相互作用(例えば、結合)も阻害し得る。
【0285】
本開示の抗ソルチリン抗体はまた、限定されるものではないが、サイトカイン、例えば、IおよびII型インターフェロン、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、IL-8、CRP、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、OSM、CNTF、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18、CRP、ならびにケモカイン、例えば、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4、およびCCL5を含む1以上のプロ炎症性メディエーターの発現も低下させ得る。
【0286】
ソルチリンとプログラニュリンの相互作用の阻害
ソルチリンは、プログラニュリンと直接相互作用(例えば、結合)し、プログラニュリンの分解を仲介することが示されている(例えば、Zheng, Y et al., (2011) PLoS ONE 6(6): e21023)。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用を低下させるか、遮断するか、または阻害する。
【0287】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitroアッセイまたは細胞アッセイなどの当技術分野で公知の任意の方法を用いて評価されるソルチリンへのプログラニュリンの結合を飽和抗体濃度で20%以上低下させる場合に、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用(例えば、結合)を阻害する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitroアッセイまたは細胞アッセイを用いて評価されるソルチリンへのプログラニュリンの結合を飽和抗体濃度で、対照抗体に比べて低下させる場合に、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用(例えば、結合)を阻害する。
【0288】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約41%、少なくとも約42%、少なくとも約43%、少なくとも約44%、少なくとも約45%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、または少なくとも約50%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへのプログラニュリンの結合を少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリンの結合を約20%~約50%、例えば、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、または約50%のいずれかで低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリンの結合を約21%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリンの結合を約36%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、マウスソルチリンへのマウスプログラニュリンの結合を約20%~約50%、例えば、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、または約50%のいずれかで低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、マウスソルチリンへのマウスプログラニュリンの結合を約21%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、マウスソルチリンへのマウスプログラニュリンの結合を約24%低下させる。いくつかの実施形態では、ソルチリンへのプログラニュリンの結合、例えば、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリンまたはマウスソルチリンへのマウスプログラニュリンの結合は、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitroアッセイまたは細胞アッセイなどの当技術分野で公知の任意の方法を用いて評価され得る。
【0289】
いくつかの実施形態では、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用、例えば、結合は、細胞アッセイを用いて評価され得る。例示的な細胞アッセイでは、組換えヒトまたはマウスプログラニュリン(Adipogen)は、ThermoScientific/PierceからのEZ-Link Micro NHS-PEG4キットを製造者の説明書に従って用い、ビオチン化する。ヒトまたはマウスソルチリンを発現する細胞は当技術分野で知られているように作製することができる。ソルチリン発現細胞または対照細胞を収穫し、PBSで洗浄する。ビオチン化ヒトまたはマウスプログラニュリンを、抗ソルチリン抗体(10μg/ml)、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体、または対照アイソタイプ抗体を含むまたは含まないPBS+2%FBSに加え、氷上で2時間インキュベートする。PBS+2%FBSで3回細胞を洗浄した後、細胞を氷上で30分間、ストレプトアビジン-APC(BD Biosciences、1:100)中でインキュベートする。次いで、細胞を再び洗浄し、PBS+2%FBSに再懸濁させ、フローサイトメトリーにより、例えば、FACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences、ミシサガ、ON)で分析する。プログラニュリン結合は、ソルチリン発現細胞集団のAPCの蛍光強度中央値として測定される。本明細書に記載の細胞アッセイのいくつかの実施形態では、ヒトまたはマウスビオチン化プログラニュリンは、0nM~約100nMの漸増濃度で使用される。本明細書に記載の細胞アッセイのいくつかの実施形態では、ヒトまたはマウスソルチリン発現細胞を、15nMのビオチン化ヒトまたはマウスプログラニュリンと67nMの抗ソルチリン抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体とともにインキュベートする。
【0290】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は本明細書に記載の細胞アッセイなどの細胞アッセイを用いて評価されるヒトソルチリンへのヒトプログラニュリンの結合を約20%および約50%、例えば、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、または約50%のいずれかで低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載の細胞アッセイなどの細胞アッセイを用いて評価されるヒトソルチリンへのヒトプログラニュリンの結合を約21%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載の細胞アッセイなどの細胞アッセイ用いて評価されるヒトソルチリンへのヒトプログラニュリンの結合を約36%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載の細胞アッセイなどの細胞アッセイを用いて評価されるマウスソルチリンへのマウスプログラニュリンの結合を約20%~約50%、例えば、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、または約50%のいずれかで低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載の細胞アッセイなどの細胞アッセイを用いて評価されるマウスソルチリンへのマウスプログラニュリンの結合を約21%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載の細胞アッセイなどの細胞アッセイを用いて評価されるマウスソルチリンへのマウスプログラニュリンへの結合を約24%低下させる。
【0291】
いくつかの実施形態では、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用は、in vitroアッセイを用いて評価され得る。例えば、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用は、ForteBioおよび表面プラズモン共鳴分析を用いて評価され得る(例えば、Skeldal, S et al., (2012) J Biol Chem., 287:43798;およびAndersen, OS et al., (2010) THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, 285,12210-12222)。例示的アッセイでは、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用は、表面プラズモン共鳴(SPR)分析を用いて特徴づけられる。本開示の抗ソルチリン抗体の存在下または不在下での、固定化ソルチリンへのヒトまたはマウスプログラニュリンの直接結合、ならびに固定化プログラニュリンへのヒトまたはマウスソルチリンの結合の決定は、Biacore2000装置(Biacore、スウェーデン)にて標準的なランニングバッファー(10mM HEPES、pH7.4、140mM NaCl、2mM CaCl2、1mM EGTA、および0.005%Tween 20)としてのCaHBSを用いて実施され得る。Biacoreからのバイオセンサーチップ(CM5、カタログ番号BR-1000-14)を、NHS/EDC、例えば、供給者が記載しているような方法を用いて活性化し、次いでタンパク質密度が79fmol/mm2となるようにソルチリンでコーティングし、ネイティブプログラニュリンタンパク質の親和性測定に使用することができる。リガンド結合実験の各サイクル後のフローセルの再生は、2パルスの10μl再生バッファー(10mMグリシン-HCl、pH4.0、500mM NaCl、20mM EDTA、および0.005%Tween 20)および0.001%SDSの単回注入により行う。親和性評価のセンサグラムの当てはめは、BIAevaluationバージョン3.1を用いて行うことができる。同様のプロトコールの後、His-プログラニュリンの固定化もまた、CM5バイオセンサーチップにて、NHS/EDCカップリングキットを製造者の説明書に従って用い(Biacore、スウェーデン)を用いて行い、同様の表面密度の固定化タンパク質(約300fmol/mm2)を得ることができる。プログラニュリンを固定化したバイオセンサーチップはまた、本開示の抗ソルチリン抗体の不在下または存在下で、ソルチリンの結合を調べるためにも使用可能である。
【0292】
いくつかの実施形態では、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用は、ELISAアッセイなどのイムノアッセイを用いて評価され得る。例示的アッセイでは、ヒトまたはマウスソルチリン(R&D Systems)をELISAプレートに一晩固定化する(PBS中2μg/ml)。これらのプレートを洗浄バッファー(PBS+0.05%TWEEN20)で洗浄し、37℃にて1時間、結合バッファー(PBS+1%BSA)でブロッキングする。組換えヒトまたはマウスプログラニュリン(Adipogen)を、ThermoScientific/PierceからのEZ-Link Micro NHS-PEG4キットでビオチン化する。ビオチン化プログラニュリンを様々な濃度で加えてソルチリンを固定化し、室温で30分間インキュベートする。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ストレプトアビジン-HRP(結合バッファー中1:200、R&D Systems)とともに20分間インキュベートする。プレートを再び3回洗浄し、TMB基質溶液とともに発色するまでインキュベートする。50μlの2N硫酸を添加して反応を停止させ、Biotek Synergy H1プレートリーダーを用いて色を定量する。データはPrismで解析し、当てはめを行う。
【0293】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体によるプログラニュリンとソルチリンの相互作用の阻害は、in vitro競合アッセイなどの競合アッセイを用いて評価される。例示的競合アッセイでは、標準的なサンドイッチ形式ビニングを用いるForte Bio Octet Red384システム(Pall Forte Bio Corporation、メンロパーク、CA)が使用される。対照抗標的IgGをAHQセンサーにロードし、センサー上の非占有Fc結合部位を無関連のIgG1抗体でブロッキングする。次に、これらのセンサーを100nMの標的抗原、次いで二次抗標的抗体に曝す。データの処理は、ForteBioのデータ解析ソフトウエア7.0を用いて行う。抗原会合の後にさらに二次抗体が結合すれば、非占有エピトープ(非競合因子)を示し、結合がなければエピトープブロッキング(競合因子)を示す。
【0294】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンレベルまたは発現を低減することにより(例えば、本明細書に記載のとおり)、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用(例えば、結合)を阻害するまたは低下させる。
【0295】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体によるソルチリンとプログラニュリンの相互作用(例えば、結合)の阻害は、例えば、以下に記載されるように、プログラニュリンレベルの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の抗体によるソルチリンとプログラニュリンの相互作用(例えば、結合)の阻害は、例えば、以下に記載されるように、細胞外プログラニュリンレベルの増加をもたらす。
【0296】
ソルチリンレベルの低下
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞レベルを低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載の任意のin vitro法、細胞に基づく方法、またはin vivo法を用いて評価されるソルチリンの細胞レベルを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%低下させる。いくつかの実施形態では、ソルチリンの細胞レベルの低下は、ソルチリンの細胞表面レベル低下、ソルチリンの細胞内レベルの低下、ソルチリンの総レベルの低下、またはそれらの任意の組合せである。
【0297】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる。ソルチリンの細胞表面レベルは、in vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法などの当技術分野で公知の任意の方法を用いて測定され得る。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法によって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルに20%以上の低下を示せば、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法によって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルに飽和抗体濃度でおよび/または対照抗体に比べて低下を示せば、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面レベルを低下させる。
【0298】
例示的細胞アッセイでは、ヒトU-251細胞またはマウスNeuro-2A(N2A)細胞などのソルチリンを発現する細胞を、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートする。次いで、細胞をトリプシンで採取し、PBSで洗浄し、別の一次抗ソルチリン抗体で(例えば、約5μg/mlの濃度で)標識する。細胞を一次抗体とともに氷上で1時間インキュベートした後、細胞をPBS+2%FBSで3回洗浄し、次いで、5μg/mlの抗ヒトPE二次抗体(Southern Biotech)または別の適切な二次抗体などの二次抗体とともにインキュベートする。その後、細胞を再び洗浄し、フローサイトメトリーを使用し、例えば、FACSCanto(商標)システムを用いて細胞表面ソルチリンレベルを定量し、PEの蛍光強度中央値として測定する。
【0299】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載されるように、例えば、in vitro細胞アッセイを用いて評価されるソルチリンの細胞表面レベルに、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%の低下を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載されるように、例えば、in vitro細胞アッセイを用いて評価されるソルチリンの細胞表面レベルに、少なくとも約51.6%の低下を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載されるように、例えば、in vitro細胞アッセイを用いて評価されるソルチリンの細胞表面レベルに、少なくとも約87.82%の低下を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、約0.63nM濃度の抗ソルチリン抗体を用い、例えば、本明細書に記載されるように、例えば、in vitro細胞アッセイを用いて評価されるソルチリンの細胞表面レベルに、少なくとも約89%の低下を誘導する。
【0300】
いくつかの実施形態では、ソルチリンの細胞表面レベルは、in vivoにおいて、本開示の抗ソルチリン抗体で処置した個体から得た例えば、マクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価してもよい。場合によっては、ヒトソルチリンの細胞表面レベルは、in vivoにおいて、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したヒトから得た例えば、マクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価してもよい。場合によっては、マウスソルチリンの細胞表面レベルは、in vivoにおいて、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したマウスから得た例えば、マクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価してもよい。場合によっては、カニクイザルソルチリンの細胞表面レベルは、in vivoにおいて、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したカニクイザルから得た例えば、マクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価してもよい。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vivo法によって測定した場合に、ソルチリンの細胞表面レベルに少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%の低下を誘導する。
【0301】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞内レベルを低下させる。ソルチリンの細胞内レベルは、in vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法などの当技術分野で公知の任意の方法を用いて測定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法によって測定した場合に、ソルチリンの細胞内レベルに20%以上の低下を示せば、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞内レベルを低下させる。特定の実施形態では、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法によって測定した場合に、ソルチリンの細胞内レベルに、飽和抗体濃度でおよび/または対照抗体に比べて低下を誘導すれば、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞内レベルを低下させる。例えば、ソルチリンの細胞内レベルは、in vitro細胞アッセイにより、ソルチリンを発現する細胞、例えば、ヒトソルチリンを発現するヒトU251細胞、またはマウスソルチリンを発現するマウスNeuro2A細胞を用いて評価され得る。場合によっては、ソルチリンの細胞内レベルは、in vitro細胞アッセイにより、例えば、マクロファージ、樹状細胞、および/または白血球を用いて評価され得る。場合によっては、ヒトソルチリンの細胞内レベルは、in vitro細胞アッセイにより、例えば、ヒトマクロファージ、ヒト樹状細胞、および/またはヒト白血球を用いて評価され得る。場合によっては、ソルチリンの細胞内レベルは、in vivoにおいて、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体で処置した個体から得たマクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価され得る。場合によっては、ヒトソルチリンの細胞内レベルは、in vivoにおいて、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したヒトから得たマクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価され得る。場合によっては、マウスソルチリンの細胞内レベルは、in vivoにおいて、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したマウスから得たマクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価され得る。場合によっては、カニクイザルソルチリンの細胞内レベルは、in vivoにおいて、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したカニクイザルから得た例えば、マクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価され得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitroまたはin vivo法によって測定した場合に、ソルチリンの細胞内レベルに少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%の低下を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知のin vitro細胞アッセイによって測定した場合に、ソルチリンの細胞内レベルに少なくとも約51.6%の低下を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知のin vitro細胞アッセイによって測定した場合に、ソルチリンの細胞内レベルに少なくとも約89%の低下を誘導する。
【0302】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの総レベルを低下させる。ソルチリンの総レベルは、in vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法などの当技術分野で公知の任意の方法を用いて測定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法により測定した場合に、ソルチリンの総レベルに20%以上の低下を誘導すれば、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの総レベルを低下させる。特定の実施形態では、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitro細胞アッセイまたは適切なin vivo法によって測定した場合に、ソルチリンの総レベルに、飽和抗体濃度でおよび/または対照抗体に比べて低下を誘導すれば、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの総レベルを低下させる。例えば、ソルチリンの総レベルは、ソルチリンを発現する細胞、例えば、ヒトソルチリンを発現するヒトU251細胞またはマウスソルチリンを発現するマウスNeuro2A細胞を用いたin vitro細胞アッセイにより評価され得る。場合によっては、ソルチリンの総レベルは、in vitro細胞アッセイにより、例えば、マクロファージ、樹状細胞、および/または白血球を用いて評価され得る。場合によっては、ヒトソルチリンの総レベルは、in vivoにおいて、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したヒトから得たマクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価され得る。場合によっては、マウスソルチリンの総レベルは、in vivoにおいて、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したマウスから得たマクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価され得る。場合によっては、カニクイザルソルチリンの総レベルは、in vivoにおいて、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体で処置したカニクイザルから得たマクロファージ、樹状細胞、および/または白血球で評価され得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitroまたはin vivo法によって測定した場合に、ソルチリンの総レベルに少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%の低下を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知のvitro細胞アッセイによって測定した場合に、ソルチリンの総レベルに少なくとも約51.6%の低下を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知のin vitro細胞アッセイによって測定した場合に、ソルチリンの総レベルに少なくとも約89%の低下を誘導する。
【0303】
いくつかの実施形態では、ソルチリンの総レベルは、in vitro細胞アッセイにより評価され得る。例示的アッセイでは、一次単球、例えば、ヒト一次単球などの白血球を、製造のプロトコールに従ってRosetteSep Human Monocyte Enrichment Cocktail(STEMCELL Technologies)を用い、血液から、例えば、ヘパリン処理ヒト血液から単離する。単球を、10%ウシ胎仔血清(Hyclone)およびマクロファージへの分化を誘導するための50μg/ml M-CSF(Peprotech)または樹状細胞への分化を誘導するための100μg/ml IL-4+100μg/ml GM-CSF(Peprotech)のいずれかを含有するRPMI(Invitrogen)に播種する。5日後、細胞を採取する。マクロファージの場合には、プレートに結合した細胞だけを、細胞スクレイパーを用いて採取する。樹状細胞の場合には、懸濁液中の細胞を採取する。PBSで洗浄した後、細胞を12ウェルプレートに0.4Mi/ウェルで播種する。50ナノモルの対照抗体もしくはFab、または全長抗ソルチリン抗体(IgG)もしくは抗ソルチリン抗体Fab、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体もしくは本開示の抗ソルチリン抗体Fabを各ウェルに加え、48時間インキュベートする。次いで、RIPAバッファー(Thermo Fisher Scientific)をプロテアーゼ阻害剤(Life Technologies)とともに用いて氷上で細胞を溶解させる。溶解液を採取し、10,000xgにて10分間4℃で遠心分離する。上清を採取し、製造者の説明書に従ってBCAキット(Thermo Fisher Pierce)を用いて、タンパク質濃度を測定する。次に、細胞溶解液をイムノブロットにより分析する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、本明細書に記載されるような、例えば、in vitro細胞アッセイを用いて評価される白血球のソルチリンの総レベルを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載されるように、例えば、in vitro細胞アッセイを用いて評価される白血球のソルチリンの総レベルに少なくとも約51.6%の低下を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、例えば、本明細書に記載されるように、例えば、in vitro細胞アッセイを用いて評価される白血球のソルチリンの総レベルに少なくとも約89%の低下を誘導する。
【0304】
本明細書で使用する場合、ソルチリンのレベルは、ソルチリンをコードする遺伝子の発現レベル;ソルチリンをコードする1以上の転写産物の発現レベル;ソルチリンタンパク質の発現レベル;および/または細胞内および/または細胞表面に存在するソルチリンタンパク質の量を指し得る。いくつかの実施形態では、ソルチリンのレベルは、ソルチリンの有効濃度を指す。遺伝子発現、転写、翻訳のレベル、および/またはタンパク質の存在量もしくは局在を測定するために当技術分野で知られているいずれの方法も、ソルチリンのレベルを決定するために使用可能である。いくつかの実施形態では、ソルチリンタンパク質の細胞表面レベル、ソルチリンタンパク質の細胞内レベル、および/またはソルチリンタンパク質の総レベルなどのソルチリンタンパク質の細胞レベルは、フローサイトメトリーに基づく方法、ウエスタンブロットなどの免疫ブロット法、質量分析、免疫組織化学、蛍光顕微鏡などの画像法、およびELISAなどのイムノアッセイといった当技術分野で公知の任意の方法を用いて測定される。
【0305】
特定の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリン分解を誘導することにより、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、および/またはソルチリンの総レベル)を低下させ得る。よって、いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリン分解を誘導する。特定の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの下方調節を誘導することにより、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、および/またはソルチリンの総レベル)を低下させ得る。よって、いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの下方調節を誘導する。特定の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの切断を誘導することにより、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、おび/またはソルチリンの総レベル)を低下させ得る。よって、いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの切断を誘導する。特定の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの内部移行を誘導することにより、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、おび/またはソルチリンの総レベル)を低下させ得る。よって、いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの内部移行を誘導する。特定の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの流出(shedding)を誘導することにより、ソルチリンの細胞レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、おび/またはソルチリンの総レベル)を低下させ得る。よって、いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの流出を誘導する。
【0306】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの脱感作を誘導する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンを一過性に活性化するためリガンド模倣剤として働く。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣剤として働き、ソルチリンの細胞レベルの低下および/またはソルチリンと1以上のソルチリンリガンドの相互作用(例えば、結合)の阻害を誘導する前にソルチリンを一過性に活性化する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣剤として働き、ソルチリンの分解を誘導する前にソルチリンを一過性に活性化する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣剤として働き、ソルチリンの切断を誘導する前にソルチリンを一過性に活性化する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣剤として働き、ソルチリンの内部移行を誘導する前にソルチリンを一過性に活性化する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣剤として働き、ソルチリンの流出を誘導する前にソルチリンを一過性に活性化する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣剤として働き、ソルチリン発現の下方調節を誘導する前にソルチリンを一過性に活性化する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、リガンド模倣剤として働き、ソルチリンの脱感作を誘導する前にソルチリンを一過性に活性化する。
【0307】
本開示の抗ソルチリン抗体は、マイクロモル、ナノモル、またはピコモル範囲の50%有効濃度(EC50)(例えば、in vitroで測定する場合)でソルチリンの細胞レベルを低下させ得る。特定の実施形態では、抗体のEC50は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nMのいずれかである。特定の実施形態では、抗体のEC50は、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.1nM未満、0.09nM未満、0.08nM未満、0.07nM未満、0.06nM未満、0.05nM未満、0.04nM未満、0.03nM未満、0.02nM未満、0.01nM未満、0.009nM未満、0.008nM未満、0.007nM未満、0.006nM未満、0.005nM未満、0.004nM未満、0.003nM未満、0.002nM未満、0.001nM未満、または0.0009nM未満である。特定の実施形態では、抗体のEC50は、例えば、in vitroで測定した場合に約0.086nMである。特定の実施形態では、抗体のEC50は、約1000pM、約950pM、約900pM、約850pM、約800pM、約750pM、約700pM、約650pM、約600pM、約550pM、約500pM、約450pM、約400pM、約350pM、約300pM、約250pM、約200pM、約150pM、約100pM、約50pM、約40pM、約30pM、約20pM、約10pM、約1pM、約0.5pM、約0.1pM、または約0.05pMのいずれか未満である。いくつかの実施形態では、抗体のEC50は、約1000pM、約950pM、約900pM、約850pM、約800pM、約750pM、約700pM、約650pM、約600pM、約550pM、約500pM、約450pM、約400pM、約350pM、約300pM、約250pM、約200pM、約150pM、約100pM、約50pM、約40pM、約30pM、約20pM、約10pM、約1pM、約0.5pM、または約0.1pMの上限と約0.05pM、約0.1pM、約0.5pM、約1pM、約10pM、約20pM、約30pM、約40pM、約50pM、約100pM、約150pM、約200pM、約250pM、約300pM、約350pM、約400pM、約450pM、約500pM、約550pM、約600pM、約650pM、約700pM、約750pM、約800pM、約850pM、約900pM、または約950pMの独立に選択される下限(ただし、下限は上限より小さい)を有する範囲のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、抗体のEC50は、約1pM、約2pM、約3pM、約4pM、約5pM、約6pM、約7pM、約8pM、約9pM、約10pM、約15pM、約20pM、約25pM、約30pM、約35pM、約40pM、約45pM、約50pM、約55pM、約60pM、約65pM、約70pM、約75pM、約80pM、約85pM、約90pM、約95pM、約100pM、約105pM、約110pM、約115pM、約120pM、約125pM、約130pM、約135pM、約140pM、約145pM、約150pM、約155pM、約160pM、約165pM、約170pM、約175pM、約180pM、約185pM、約190pM、約195pM、または約200pMのいずれかである。特定の実施形態では、抗体のEC50は約86pMである。
【0308】
抗体のEC50値を測定する様々な方法は当技術分野で公知であり、例えば、フローサイトメトリーが含まれる。いくつかの実施形態では、EC50は、ソルチリン、例えば、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリンを発現する、例えば、ソルチリンを発現するように改変された細胞を用いてin vitroで測定される。いくつかの実施形態では、EC50は、およそ4℃の温度で測定される。いくつかの実施形態では、EC50は、およそ25℃の温度で測定される。いくつかの実施形態では、EC50は、およそ35℃の温度で測定される。いくつかの実施形態では、EC50は、およそ37℃の温度で測定される。いくつかの実施形態では、EC50は、一価抗体(例えば、Fab)または一価形態の全長抗体を用いて決定される。いくつかの実施形態では、EC50は、Fc受容体結合の増強を示す定常領域を含む抗体を用いて決定される。いくつかの実施形態では、EC50は、Fc受容体結合の低下を示す定常領域を含む抗体を用いて決定される。
【0309】
プログラニュリンレベルの増加
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンレベルを増加させる。いくつかの実施形態では、プログラニュリンレベルは、限定されるものではないが、プログラニュリンの細胞外レベル、プログラニュリンの細胞内レベル、およびプログラニュリンの総レベルを指し得る。いくつかの実施形態では、プログラニュリンレベルの増加は、プログラニュリンの細胞外レベルの増加を含む。いくつかの実施形態では、プログラニュリンレベルの増加は、プログラニュリンの細胞内レベルの増加を含む。いくつかの実施形態では、プログラニュリンレベルの増加は、プログラニュリンの総レベルの増加を含む。
【0310】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroまたはin vivo(例えば、個体の、血液、および/または末梢器官)のプログラニュリンレベルを増加させる。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitro細胞アッセイまたは組織(例えば、脳組織)アッセイによって測定した場合に、プログラニュリンレベルに20%以上の増加を誘導すれば、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンレベルを増加させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のまたは当技術分野で公知の任意のin vitro細胞アッセイまたは組織(例えば、脳組織)アッセイによって測定した場合に、プログラニュリンレベルに、飽和抗体濃度でおよび/または対照抗体に比べて増加を誘導すれば、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンレベルを増加させる。
【0311】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの細胞外レベルを増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの細胞外レベルを少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの細胞外レベルを少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加させる。
【0312】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivo(例えば、個体の脳、血液、および/または末梢器官)においてプログラニュリンの細胞外レベルを増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivoにおいてプログラニュリンの細胞外レベルを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivoにおいてプログラニュリンの細胞外レベルを少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加させる。
【0313】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの細胞内レベルを増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの細胞内レベルを少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの細胞内レベルを少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加させる。
【0314】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivo(例えば、個体の脳、血液、および/または末梢器官)においてプログラニュリンの細胞内レベルを増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivoにおいてプログラニュリンの細胞内レベルを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivoにおいてプログラニュリンの細胞内レベルを少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加させる。
【0315】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの総レベルを増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの総レベルを少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの総レベルを少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加させる。
【0316】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivo(例えば、個体の脳、血液、および/または末梢器官)においてプログラニュリンの総レベルを増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivoにおいてプログラニュリンの総レベルを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivoにおいてプログラニュリンの総レベルを少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加させる。
【0317】
本明細書で使用する場合、プログラニュリンレベルは、プログラニュリンをコードする遺伝子の発現レベル;プログラニュリンをコードする1以上の転写産物の発現レベル;プログラニュリンタンパク質の発現レベル;および/または細胞から分泌されるおよび/または細胞内に存在するプログラニュリンタンパク質の量を指し得る。いくつかの実施形態では、プログラニュリンレベルは、プログラニュリンの有効濃度を指す。遺伝子発現、転写、翻訳のレベル、タンパク質存在量、タンパク質分泌、および/またはタンパク質局在を測定するために当技術分野で知られているいずれの方法も、プログラニュリンレベルを決定するために使用可能である。
【0318】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリン分泌を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリン分泌を少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%のいずれかで増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリン分泌を少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.1倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.3倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.7倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約2.9倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.1倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.3倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.7倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約3.9倍、または少なくとも約4倍のいずれかで増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリン分泌を約1.9倍増加させる。
【0319】
プログラニュリン分泌を測定する様々な方法は当技術分野で公知であり、例えば、ELISAが含まれる。例示的アッセイでは、U-251ヒト星状細胞腫細胞を96ウェルディッシュに播種し、一晩インキュベートする。翌朝、抗ソルチリン抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)、ならびに対照抗体(例えば、R&D Systemsからのヤギ抗ヒトソルチリン(gtSort)、AF3154などの陽性対照抗体、および/またはヤギIgG、ADI-88(ヒトIgG1)、およびADI-89(ヒトIgG1)などのアイソタイプ対照抗体)を、50nMまたは5nMの最終希釈で加え、細胞を約72時間インキュベートする。次に、細胞培養培地を採取し、培地サンプル中のプログラニュリンの濃度を、R&D Systems human progranulin Duoset ELISAキットを用いて測定する。いくつかの実施形態では、EC50は、in vitroにおいて、ヒトソルチリンを発現する細胞を用いて測定する。いくつかの実施形態では、プログラニュリン分泌は、一価抗体(例えば、Fab)または一価形態の全長抗体を用いて決定される。いくつかの実施形態では、プログラニュリン分泌は、Fc受容体結合の増強を示す定常領域を含む抗体を用いて決定される。いくつかの実施形態では、プログラニュリン分泌は、Fc受容体結合の低下を示す定常領域を含む抗体を用いて決定される。
【0320】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの有効濃度を増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの有効濃度を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroにおいてプログラニュリンの有効濃度を少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivo(例えば、個体の脳、血液、および/または末梢器官)においてプログラニュリンの有効濃度を増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivoにおいてプログラニュリンの有効濃度を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vivoにおいてプログラニュリンの有効濃度を少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、または少なくとも約300%増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroまたはin vivoにおいて、プログラニュリンの細胞外レベル、プログラニュリンの細胞内レベル、プログラニュリンの総レベル、プログラニュリンをコードする遺伝子の発現レベル、プログラニュリンをコードする1以上の転写産物の発現レベル、プログラニュリンタンパク質の発現レベル、細胞から分泌されるプログラニュリンタンパク質の量、および/または細胞内に存在するプログラニュリンタンパク質の量を増加させることによりプログラニュリンの有効濃度を増加させる。本明細書に記載の任意のin vitro、in vivo、または細胞アッセイ、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、および質量分析など、プログラニュリンの有効濃度を測定するために当技術分野で知られているいずれの方法も使用可能である。
【0321】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンまたはそのフラグメントのエンドソーム内部移行を低減する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンまたはそのフラグメントのエンドソーム内部移行および分解を低減する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンの相互作用を低減、阻害、または遮断することにより、プログラニュリンまたはそのフラグメントのエンドソーム内部移行を低減する。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンまたはそのフラグメントのエンドソーム内部移行を低減し、プログラニュリンレベル、例えば、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させる。プログラニュリンなどのタンパク質の内部移行(例えば、エンドソーム内部移行)を測定するための方法および試薬は当技術分野で公知であり、限定されるものではないが、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、もしくは全内反射画像法(TIRF)などの画像法、またはフローサイトメトリーが含まれる。
【0322】
いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、1以上のプログラニュリン活性を増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの有効濃度、プログラニュリンの細胞外レベル、プログラニュリンの細胞内レベル、プログラニュリンの総レベル、プログラニュリンをコードする遺伝子の発現レベル、プログラニュリンをコードする1以上の転写産物の発現レベル、プログラニュリンタンパク質の発現レベル、細胞から分泌されるプログラニュリンタンパク質の量および/または細胞内に存在するプログラニュリンタンパク質の量などのプログラニュリンレベルを増加させることによって(例えば、上記のように)、1以上のプログラニュリン活性を増加させる。
【0323】
いくつかの実施形態では、上記実施形態のいずれかに従う抗ソルチリン抗体は、単独でまたは組み合わせてこれらの特徴のいずれに組み込んでもよい。
【0324】
抗体フラグメント
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は抗体フラグメントである。抗体フラグメントには、限定されるものではないが、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、およびscFvフラグメント、ならびに以下に記載する他のフラグメントが含まれる。特定の抗体フラグメントの総説については、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照のこと。scFvフラグメントの総説については、例えば、WO93/16185;および米国特許第5571894号および同第5587458号を参照のこと。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivo半減期が増加したFabおよびF(ab’)2フラグメントの考察については、米国特許第5869046号を参照のこと。
【0325】
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントである。例えば、EP404097;WO1993/01161;Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)を参照のこと。トリアボディおよびテトラボディもまた、Hudson et al. Nat. Med. 9:129-134 (2003)に記載されている。シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む抗体フラグメントである。特定の実施形態では、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である(例えば、米国特許第6248516号を参照のこと)。
【0326】
抗体フラグメントは、本明細書に記載するように、限定されるものではないが、インタクト抗体のタンパク質分解消化ならびに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌またはファージ)による産生を含む様々な技術によって作製することができる。
【0327】
いくつかの実施形態では、抗体フラグメントは、第2のソルチリン抗体と、かつ/またはアミロイドβもしくはそのフラグメント、タウ、IAPP、αシヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム排泄増加因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メジン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、β2ミクログロブリン、ゲルソリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、プロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド、およびそれらの任意の組合せから選択される病因タンパク質に特異的に結合する1以上の抗体と組み合わせて使用される。
【0328】
キメラおよびヒト化抗体
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体である。例えば、特定のキメラ抗体が米国特許第4816567号に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)とヒト定常領域を含む。さらなる例において、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変更された「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合フラグメントが含まれる。
【0329】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。一般に、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにヒト化されているが、親の非ヒト抗体の特異性と親和性を保持している。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化抗体の由来となる別の種に由来する抗体と、標的に対して実質的に同じ親和性を有する。例えば、米国特許第5530101号、同第5693761号;同第5693762号;および同第5585089号を参照のこと。特定の実施形態では、抗原結合ドメインの免疫原性を低下させるが本来の親和性を低下させることなく修飾することができる抗体可変ドメインのアミノ酸が同定されている。例えば、米国特許第5766886号および同第5869619号を参照のこと。一般に、ヒト化抗体は、HVR(またはその一部)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはその一部)がヒト抗体配列に由来する1以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、場合によっては、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体の一部のFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復または向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となる抗体)に由来する対応する残基で置換される。
【0330】
ヒト化抗体およびその作製方法は、例えば、Almagro et al. Front. Biosci. 13:161 9-1633 (2008)に総説されており、さらに、例えば、米国特許第5821337号、同第7527791号、同第6982321号、および同第7087409号に記載されている。ヒト化に使用し得るヒトフレームワーク領域としては、限定されるものではないが:「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al. J. Immunol. 151:2296 (1993)を参照のこと);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4285 (1992);およびPresta et al., J. Immunol. 151 :2623 (1993)を参照のこと);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照のこと);およびFRライブラリーのスクリーニングから得られるフレームワーク領域(例えば、Baca et al. J. Biol. Chem. 272:10678-10684 (1997)およびRosok et al. J. Biol. Chem. 271:22611-22618 (1996)を参照のこと)が挙げられる。
【0331】
ヒト抗体
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して作出することができる。ヒト抗体は、van Dijk et al. Curr. Opin. Pharmacol. 5:368-74 (2001)およびLonberg Curr. Opin. Immunol. 20:450-459 (2008)に一般的に記載されている。
【0332】
ヒト抗体は、抗原攻撃に応答してインタクトヒト抗体またはヒト可変領域を有するインタクト抗体を産生するように改変されているトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製することができる。マウス抗体産生が欠損したマウス株は、マウス抗体の不在下でそのようなマウスがヒト抗体を産生することを期待して、ヒトIg遺伝子座の大きなフラグメントを用いて構築することができる。大きなヒトIgフラグメントは、抗体の産生と発現の適切な制御だけでなく、大きな可変遺伝子の多様性を保存することができる。抗体の多様化および選択のためのマウス機構と、ヒトタンパク質に対する免疫寛容の欠如を利用することにより、これらのマウス株で再現されたヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原を含む任意の目的の抗原に対する高親和性の完全ヒト抗体を得ることができる。ハイブリドーマ技術を使用すれば、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbを作出および選択することができる。特定の例示的方法は、米国特許第5545807号、EP 546073、およびEP 546073に記載されている。例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載している米国特許第6075181号および同第6150584号;HUMAB(登録商標)技術を記載している米国特許第5770429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許第7041870号、およびVELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第US2007/0061900号も参照のこと。そのような動物により生成されたインタクト抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに改変し得る。
【0333】
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製することができる。ヒトモノクローナル抗体を作出するための、ヒト骨髄腫細胞株およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J. Immunol. 133:3001 (1984)およびBoerner et al. J. Immunol. 147:86 (1991)を参照のこと)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体も、Li et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1 03:3557-3562 (2006)に記載されている。さらなる方法には、、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の作出について記載)に記載されているものが含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)も、Vollmers et al. Histology and Histopathology 20(3):927-937 (2005)およびVollmers et al. Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185-91 (2005) に記載されている。ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレーライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成し得る。そのような可変ドメイン配列は、次に、望ましいヒト定常ドメインと組み合わせ得る。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0334】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、in vitro法および/または所望の活性(単数または複数)を有する抗体についてのコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングによって単離されたヒト抗体である。適切な例には、限定されるものではないが、ファージディスプレー(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(旧称Proliferon)、Affimed)、リボソームディスプレー(CAT)、酵母ベースのプラットフォーム(Adimab)などが含まれる。特定のファージディスプレー法では、VHおよびVL遺伝子のレパートリーが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって個別にクローニングされ、ファージライブラリー内でランダムに組み換えられ、これを、その後、Winter et al. Ann. Rev. Immunol. 12: 433-455 (1994)に記載のとおりに抗原結合ファージについてスクリーニングすることができる。例えば、ファージディスプレーライブラリーを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法は、当技術分野で公知である。Sidhu et al. J. Mol. Biol. 338(2): 299-310, 2004; Lee et al. J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093, 2004; Fellouse Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);およびLee et al. J. Immunol. Methods 284(2):1 19-132 (2004)を参照のこと。ファージは、通常、抗体フラグメントを一本鎖Fv(scFv)フラグメントまたはFabフラグメントとして提示する。免疫された供給源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築する必要なしに免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al. EMBO J. 12: 725-734 (1993)によって記載されているとおり、ナイーブレパートリーをクローニングして(例えば、ヒト由来)、免疫誘導を行わずに広範囲の非自己抗原および自己抗原に
対する抗体源を提供することもできる。最後に、Hoogenboom et al. J. Mol. Biol., 227: 381-388, 1992によって記載されているとおり、幹細胞に由来する再構成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して、可変性の高いHVR3領域をコードし、in vitroで再構成させることによって、ナイーブライブラリーを合成により作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリーを記載している特許公報としては、例えば:米国特許第5750373号、ならびに米国特許公報第2007/0292936号および同第2009/0002360号が挙げられる。ヒト抗体ライブラリーから単離された抗体は、本明細書ではヒト抗体またはヒト抗体フラグメントとみなされる。
【0335】
Fc領域を含む定常領域
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体はFc領域を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4アイソタイプである。いくつかの実施形態では、抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである。
【0336】
本明細書で提供される抗体のいずれかの特定の実施形態では、抗体はIgG2アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗体はヒトIgG2定常領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgG2定常領域はFc領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は阻害性Fc-γ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0337】
本明細書で提供される抗体のいずれかの特定の実施形態では、抗体はIgG1アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗体はマウスIgG1定常領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体はヒトIgG1定常領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgG1定常領域はFc領域を含む。例示的ヒトIgG1重鎖定常領域は、配列番号28または配列番号29で提供される。いくつかの実施形態では、抗体は阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は阻害性Fc-γ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0338】
本明細書で提供される抗体のいずれかの特定の実施形態では、抗体はIgG4アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG4定常領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIgG4定常領域はFc領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は阻害性Fc-γ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0339】
本明細書で提供される抗体のいずれかの特定の実施形態では、抗体はハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG2のEUナンバリングによるアミノ酸118~260、およびヒトIgG4のEUナンバリングによるアミノ酸261~447を含むアミノ酸配列を含む(WO1997/11971;WO2007/106585)。
【0340】
いくつかの実施形態では、このFc領域は、アミノ酸置換を含まないFc領域を含む対応する抗体と比較して、補体を活性化することなくクラスター化を増加させる。
【0341】
また、本開示の抗ソルチリン抗体を改変して、エフェクター機能を変更および/または抗体の血清半減期を延長することが望ましい場合がある。例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を低減するために、定常領域上のFc受容体結合部位を修飾または変異させて、特定のFc受容体、例えば、FcγRI、FcγRII、および/またはFcγRIIIに対する結合親和性をなくすまたは低減することができる。いくつかの実施形態では、エフェクター機能は、抗体のFc領域(例えば、IgGのCH2ドメイン内)のN-グリコシル化をなくすことによって損なわれる。いくつかの実施形態では、エフェクター機能は、WO99/58572およびArmour et al. Molecular Immunology 40: 585-593 (2003); Reddy et al. J. Immunology 164:1925-1933 (2000) に記載のとおり、ヒトIgGの233~236、297、および/または327~331などの領域を修飾することによって損なわれる。また、他の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体を改変して、ITIMを含有するFcgRIIb(CD32b)に対する結合選択性を増加させるように、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害および抗体依存性細胞食作用を含む体液性応答を活性化することなく、隣接する細胞上での抗ソルチリン抗体のクラスター化を増加させるように、エフェクター機能を変更することが望ましい場合もある。
【0342】
抗体の血清半減期を延長するために、例えば、米国特許第5739277号に記載のとおり、サルベージ受容体結合エピトープを抗体(特に抗体フラグメント)に組み込むことができる。本明細書で使用する場合、「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のin vivo血清半減期の延長に関与するIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
【0343】
多重特異性抗体
多重特異性抗体は、同じまたは別のポリペプチド(例えば、本開示の1以上のソルチリンポリペプチド)上のエピトープを含む、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は二重特異性抗体であり得る。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は三重特異性抗体であり得る。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は四重特異性抗体であり得る。このような抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)から誘導することができる。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、ソルチリン上の第1の部位に結合する第1の抗原結合領域と、ソルチリン上の第2の部位に結合する第2の抗原結合領域を含む。いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、ソルチリンに結合する第1の抗原結合領域と、第2のポリペプチドに結合する第2の抗原結合領域を含む。
【0344】
本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の抗体(例えば、抗体S-15-10-7)の6つのHVRを含み、ソルチリンに結合する第1の抗原結合領域と、第2のポリペプチドに結合する第2の抗原結合領域とを含む多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合領域は、本明細書に記載の抗体(例えば抗体S-15-10-7)のVHまたはVLを含む。
【0345】
本明細書で提供される多重特異性抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは、a)血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原;(b)トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様増殖因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1および2(LPR-1および2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマシングルドメイン抗体、TMEM 30(A)、タンパク質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、angiopepペプチド、およびANG1005から選択される血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原;(c)アミロイドβ、オリゴマーアミロイドβ、アミロイドβ斑、アミロイドタンパク前駆体またはそのフラグメント、タウ、IAPP、αシヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、C9orf72(染色体9オープンリーディングフレーム72)、c9RANタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン7、アタキシン8、アタキシン10、レビー小体、心房性ナトリウム排泄増加因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メジン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、β2ミクログロブリン、ゲルソリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、ユビキチン、およびプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドから選択される病因タンパク質;(d)CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA-4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、およびホスファチジルセリンから選択される、免疫細胞で発現されるリガンドおよび/もしくはタンパク質;ならびに/または(e)1以上の腫瘍細胞で発現されるタンパク質、脂質、多糖、もしくは糖脂質、ならびにそれらの任意の組合せである。
【0346】
血液脳関門を通過する輸送を促進する多数の抗原が当技術分野で公知である(例えば、Gabathuler R. Neurobiol. Dis. 37:48-57 (2010)を参照のこと)。このような第2の抗原としては、限定されるものではないが、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様増殖因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1および2(LPR-1および2)、ジフテリア毒素受容体(CRM197(ジフテリア毒素の非毒性変異株)を含む)、ラマシングルドメイン抗体、例えば、TMEM 30(A)(フリッパーゼ)、タンパク質導入ドメイン、例えば、TAT、Syn-B、またはペネトラチン、ポリアルギニンまたは一般には正電荷ペプチド、Angiopepペプチド、例えば、ANG1005(例えば、Gabathuler, 2010を参照のこと)、および血液脳関門内皮細胞に豊富に含まれる他の細胞表面タンパク質(例えば、Daneman et al. PLoS One 5(10):e13741 (2010)を参照のこと)が挙げられる。
【0347】
多価抗体は、ソルチリン抗原を認識し得るだけでなく、限定されるものではないが、さらなる抗原、例えば、Aβペプチド抗原もしくはαシヌクレインタンパク質抗原、タウタンパク質抗原、TDP-43タンパク質抗原、プリオンタンパク質抗原、ハンチンチンタンパク質抗原、グリシン-アラニン(GA)、グリシン-プロリン(GP)、グリシン-アルギニン(GR)、プロリン-アラニン(PA)、もしくはプロリン-アルギニン(PR)から構成されるジペプチドリピート(DPRペプチド)を含むRAN翻訳産物抗原、インスリン受容体抗原、もしくはインスリン様増殖因子受容体抗原、トランスフェリン受容体抗原、または血液脳関門を通過する抗体移動を促進する任意の他の抗原も認識し得る。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドはトランスフェリンである。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドはタウである。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドはAβである。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドはTREM2である。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドはαシヌクレインである。
【0348】
多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは、2つのポリペプチド鎖)を含み、この場合、ポリペプチド鎖(単数または複数)は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(単数または複数)は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含み得、ここで、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、nは0または1である。同様に、ポリペプチド鎖(単数または複数)は、VH-CH1-フレキシブルリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;またはVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含み得る。本明細書における多価抗体は、好ましくは、少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。本明細書における多価抗体は、例えば、約2つ~約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。本明細書で企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、場合によっては、CLドメインをさらに含む。
【0349】
多重特異性抗体を作製するための技術には、限定されるものではないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello Nature 305: 537 (1983)、WO93/08829、およびTraunecker et al. EMBO J. 10:3655 (1991)を参照のこと)、および「ノブ・イン・ホール(knob-in-hole)」工学技術(例えば、米国特許第5731168号を参照のこと)が含まれる。WO2013/026833(CrossMab)を参照のこと。多重特異性抗体は、抗体Fcヘテロ二量体分子を作製するための静電ステアリング効果の操作(WO2009/089004A1);2つ以上の抗体の架橋(例えば、米国特許第4676980号を参照のこと);ロイシンの使用;二重特異性抗体フラグメントを作製するための「ダイアボディ」技術の使用(例えば、Hollinger et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)を参照のこと);および一本鎖Fv(scFv)二量体の使用(例えば、Gruber et al. J. Immunol. 152:5368 (1994)を参照のこと);ならびに例えば、Tutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているように三重特異性抗体の調製によっても作製し得る。
【0350】
「オクトパス抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する改変抗体も本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576を参照のこと)。本明細書における抗体には、複数のソルチリン抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用性FAb」または「DAF」も含まれる(例えば、US2008/0069820を参照のこと)。
【0351】
安定性が向上した抗体
製造、貯蔵、およびin vivo投与中の安定性を改善するための、本開示の抗ソルチリン抗体またはその抗体フラグメントのアミノ酸配列修飾も企図される。例えば、限定されるものではないが、酸化および脱アミド化を含む複数の経路を通じて、本開示の抗体または抗体フラグメントの分解を低減することが望ましい場合がある。抗体または抗体フラグメントのアミノ酸配列変異体は、抗体または抗体フラグメントをコードする核酸に適当なヌクレオチド変化を導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。このような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、および/またはその残基への挿入、および/またはその残基の置換が含まれる。最終構築物が所望の特性(すなわち、分解に対する感受性の低減、および本明細書に記載の本開示の抗ソルチリン抗体の1つ以上の特性)を有する限り、欠失、挿入および置換の任意の組み合わせを行って、最終構築物に到達することができる。
【0352】
抗体変異体
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。
【0353】
置換、挿入、および欠失変異体
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、1以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適当な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって調製され得る。このような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、および/またはその残基への挿入、および/またはその残基の置換が含まれる。
【0354】
【0355】
抗体の生物学的特性の実質的な修飾は、(a)例えば、シート構造もしくはらせん形構造としての、置換エリア内のポリペプチド主鎖の構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩高さを維持する上でのそれらの作用が著しく異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、一般的な側鎖特性に基づいてグループに分けられる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0356】
例えば、非保存的置換は、これらのクラスの1つのあるメンバーを別のクラスのあるメンバーと交換することを意味し得る。このような置換残基は、例えば、非ヒト抗体と相同のヒト抗体の領域に、またはその分子の非相同領域に導入することができる。
【0357】
本明細書に記載のポリペプチドまたは抗体に変更を加える際、特定の実施形態によれば、アミノ酸の疎水性親水性指標が考慮され得る。各アミノ酸には、その疎水性および電荷特性に基づいて疎水性親水性指標が割り当てられている。それらは以下のとおりである:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リシン(-3.9);およびアルギニン(-4.5)。
【0358】
タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際のアミノ酸の疎水性親水性指標の重要性は、当技術分野において理解されている。Kyte et al. J. Mol. Biol., 157:105-131 (1982)。特定のアミノ酸を、同様の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸と置換しても、依然として同様の生物活性を保持することができることが知られている。特定の実施形態では、疎水性親水性指標に基づいて変更を加える際に、疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が含められる。特定の実施形態では、±1以内のものが含められ、特定の実施形態では、±0.5以内のものが含められる。
【0359】
また、同様のアミノ酸の置換は、特に、作出される生物学的な機能を有するタンパク質またはペプチドが免疫学的実施形態での使用を目的としている場合、親水性に基づいて効果的に行うことができることも当技術分野において理解されている。特定の実施形態では、アミノ酸の最大の局所的平均親水性は、隣接するアミノ酸の親水性によって支配され、その免疫原性および抗原性と、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する。
【0360】
以下の親水性値がこれらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0±1);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);およびトリプトファン(-3.4)。同様の親水性値に基づいて、変更を加える際、特定の実施形態では、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含められ、特定の実施形態では、±1以内のものが含められ、特定の実施形態では、±0.5以内のものが含められる。親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域は「エピトープコア領域」とも呼ばれる。
【0361】
特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、このような変更が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限り、1以上のHVR内で行い得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書で提供されるような保存的置換)をHVRにおいて行うことができる。このような改変は、例えば、HVR内の、抗原が接触する残基の外側に存在し得る。上記の変異体VHおよびVL配列の特定の実施形態では、各HVRは、未改変であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0362】
アミノ酸配列挿入には、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドまでの長さに及ぶアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体には、抗体のNC末端またはC末端に、酵素(例えば、ADEPTの場合)または抗体の血清半減期を延長するポリペプチドを融合したものが含まれる。
【0363】
また、抗体の適切なコンフォメーションの維持に関与していないシステイン残基は、分子の酸化安定性を向上させ、異常な架橋を防止するために、一般にセリンで置換し得る。逆に、その安定性を向上させるために(特に、抗体が、抗体フラグメント、例えば、Fvフラグメントである場合)、抗体にシステイン結合(単数または複数)を追加し得る。
【0364】
グリコシル化変異体
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるために、改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1以上のグリコシル化部位が作出または除去されるように、アミノ酸配列を変更することによって好都合に達成され得る。
【0365】
抗体のグリコシル化は、一般に、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型とは、炭水化物部分がアスパラギン残基の側鎖に結合することを指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン(Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素結合のための認識配列である。従って、ポリペプチド中にこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在することで、潜在的グリコシル化部位が生じる。O結合型グリコシル化とは、糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうち1つがヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはトレオニンに結合することを指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンも使用される場合がある。
【0366】
本開示の抗体へのグリコシル化部位の付加は、上記トリペプチド配列の1以上を含む(N結合型グリコシル化部位の場合)ように、アミノ酸配列を変更することによって好都合に達成され得る。また、この変更は、元の抗体の配列への、1以上のセリンまたはトレオニン残基の付加、またはそれらによる置換によっても行うことができる(O結合型グリコシル化部位の場合)。
【0367】
本開示の抗体がFc領域を含む場合、それに結合する炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生されるネイティブ抗体は、一般に、Fc領域のCH2ドメインのKabatナンバリングによるAsn297にN結合によって一般に結合される枝分かれした二分岐オリゴ糖を含む。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖構造の「ステム」でGlcNAcと結合しているフコースが含まれ得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗体でのオリゴ糖の改変は、特定の改善された特性を有する抗体変異体を作出するために行われ得る。
【0368】
一実施形態では、Fc領域に(直接または間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体変異体が提供される。例えば、米国特許公報第2003/0157108号および同第2004/0093621号を参照のこと。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体変異体に関連する刊行物の例には:US2003/0157108;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87:614 (2004) が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生可能な細胞株の例としては、タンパク質のフコシル化が欠損しているLed 3 CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);US2003/0157108)、およびノックアウト細胞株、例えば、α-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)およびKanda et al. Biotechnol. Bioeng. 94(4):680-688 (2006)を参照のこと)が挙げられる。
【0369】
修飾定常領域
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、例えば、同じアイソタイプの野生型または未修飾のFc領域と比較して、1以上の修飾を含むFc領域を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域は、Fcγ受容体に結合可能である。
【0370】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、修飾抗体Fc領域はIgG1修飾Fc領域である。いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は1以上の修飾を含む。例えば、いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1以上のアミノ酸置換は、N297A(Bolt S et al. (1993) Eur J Immunol 23:403-411)、D265A(Shields et al. (2001) R. J. Biol. Chem. 276, 6591-6604)、L234A、L235A(Hutchins et al. (1995) Proc Natl Acad Sci USA, 92:11980-11984; Alegre et al., (1994) Transplantation 57:1537-1543. 31; Xu et al., (2000) Cell Immunol, 200:16-26)、G237A(Alegre et al. (1994) Transplantation 57:1537-1543. 31; Xu et al. (2000) Cell Immunol, 200:16-26)、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchern et al., (2007) Blood, 109:1185-1192)、P331S(Sazinsky et al., (2008) Proc Natl Acad Sci USA 2008, 105:20167-20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択され、アミノ酸位置はEUナンバリング慣例に従う。
【0371】
本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるN297A突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるD265AおよびN297A突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるD270A突然変異を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域は、EUナンバリングによるL234AおよびL235A突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるL234AおよびG237A突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるL234A、L235AおよびG237A突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、L328E、E233、G237D、H268D、P271GおよびA330R突然変異のうちの(全てを含む)1以上を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267E/L328F突然変異のうちの1以上を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271GおよびA330R突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、L328E、G237D、H268D、P271GおよびA330R突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、S267E、L328E、E233D、G237D、H268D、P271GおよびA330R突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるP238D、S267E、L328E、G237D、H268D、P271GおよびA330R突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるC226S、C229S、E233P、L234V、およびL235A突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるL234F、L235E、およびP331S突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267EおよびL328F突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267E突然変異を含む。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、κ軽鎖を有するIgG2のCH1およびヒンジ領域(EUナンバリングによるIgG2のアミノ酸118~230)での、IgG1の定常重鎖1(CH1)およびヒンジ領域の置換を含む。
【0372】
本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、2以上のアミノ酸置換を含み、このアミノ酸置換は、2以上のアミノ酸置換を含まないFc領域を有する対応する抗体と比較して、補体を活性化することなく抗体クラスター化を増加させるものである。従って、本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fc領域は、EUナンバリングによるE430Gの位置におけるアミノ酸置換と、Fc領域内に、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、およびそれらの任意の組合せから選択される残基位置において1以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は、EUナンバリングによるE430G、L243A、L235A、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は、EUナンバリングによるE430GおよびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は、EUナンバリングによるE430GおよびK322Aの位置にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は、EUナンバリングによるE430G、A330S、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は、EUナンバリングによるE430G、K322A、A330S、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は、EUナンバリングによるE430G、K322A、およびA330Sの位置にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1修飾Fc領域は、EUナンバリングによるE430G、K322A、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。
【0373】
本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1修飾Fcは、補体の活性化をなくすために、EUナンバリング慣例に従う、A330Lの突然変異(Lazar et al. Proc Natl Acad Sci USA, 103:4005-4010 (2006))、またはL234F、L235E、および/もしくはP331Sの突然変異のうちの1以上(Sazinsky et al. Proc Natl Acad Sci USA, 105:20167-20172 (2008))をさらに含み得る。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1修飾Fcは、EUナンバリングによるA330L、A330S、L234F、L235E、および/またはP331Sのアミノ酸置換のうちの1以上をさらに含み得る。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1修飾Fcは、ヒト血清での抗体半減期を増強するために、1以上の突然変異(例えば、EUナンバリング慣例に従うM252Y、S254T、およびT256Eの突然変異のうちの(全てを含む)1以上)をさらに含み得る。本明細書で提供されるIgG1修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1修飾Fcは、EUナンバリングによるE430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、および/またはS440Wのアミノ酸置換のうちの1以上をさらに含み得る。
【0374】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG1アイソタイプ(huIgG1)を有し、Fc領域は、N297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、またはT256E、およびそれらの任意の組合せから選択される1以上のアミノ酸置換を含み、残基のナンバリングはEUナンバリングに従う。本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1 Fc領域を含む抗体は、A330L、L234F、L235E、またはP331S、およびそれらの任意の組合せから選択される1以上のアミノ酸置換をさらに含み、残基のナンバリングはEUナンバリングに従う。本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1 Fc領域を含む抗体は、M252Y、S254T、またはT256E、およびそれらの任意の組合せから選択される1以上のアミノ酸置換をさらに含み、残基のナンバリングはEUナンバリングに従う。
【0375】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG4アイソタイプ(huIgG4)を有し、Fc領域は、E233P、F234V、L234A/F234A、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q、およびそれらの任意の組合せから選択される1以上のアミノ酸置換を含み、残基のナンバリングはEUナンバリングに従う。本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG4 Fc領域を含む抗体は、M252Y、S254T、またはT256E、およびそれらの任意の組合せから選択される1以上のアミノ酸置換をさらに含み、残基のナンバリングはEUナンバリングに従う。本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG4 Fc領域を含む抗体は、S228Pのアミノ酸置換をさらに含み、残基のナンバリングはEUナンバリングに従う。
【0376】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG1アイソタイプ(huIgG1)を有し、Fc領域は、L234A、L235A、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含み、残基の位置のナンバリングはEUナンバリングに従う。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含むhuIgG1 Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含むhuIgG1 Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0377】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、修飾抗体Fc領域はIgG2修飾Fc領域である。いくつかの実施形態では、IgG2修飾Fc領域は1以上の修飾を含む。例えば、いくつかの実施形態では、IgG2修飾Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1以上のアミノ酸置換を含む。本明細書で提供されるIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、1以上のアミノ酸置換は、EUナンバリング慣例に従うV234A(Alegre et al. Transplantation 57:1537-1543 (1994); Xu et al. Cell Immunol, 200:16-26 (2000));G237A(Cole et al. Transplantation, 68:563-571 (1999));H268Q、V309L、A330S、P331S(US2007/0148167;Armour et al. Eur J Immunol 29: 2613-2624 (1999); Armour et al. The Haematology Journal 1(Suppl.1):27 (2000); Armour et al. The Haematology Journal 1(Suppl.1):27 (2000));C219S、および/もしくはC220S(White et al. Cancer Cell 27, 138-148 (2015));S267E、L328F(Chu et al. Mol Immunol, 45:3926-3933 (2008));またはM252Y、S254T、および/もしくはT256Eから選択される。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるV234AおよびG237Aの位置にアミノ酸置換を含む。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるC219SまたはC220Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるA330SおよびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267EおよびL328Fの位置にアミノ酸置換を含む。
【0378】
本明細書で提供されるIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリング慣例に従うC127Sのアミノ酸置換を含む(White et al., (2015) Cancer Cell 27, 138-148; Lightle et al. Protein Sci. 19:753-762 (2010);およびWO2008/079246)。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、EUナンバリング慣例に従うC214Sのアミノ酸置換を含むκ軽鎖定常ドメインを有するIgG2アイソタイプを有する(White et al. Cancer Cell 27:138-148 (2015); Lightle et al. Protein Sci. 19:753-762 (2010);およびWO2008/079246)。
【0379】
本明細書で提供されるIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリング慣例に従うC220Sのアミノ酸置換を含む。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、EUナンバリング慣例に従うC214Sのアミノ酸置換を含むκ軽鎖定常ドメインを有するIgG2アイソタイプを有する。
【0380】
本明細書で提供されるIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリング慣例に従うC219Sのアミノ酸置換を含む。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、EUナンバリング慣例に従うC214Sのアミノ酸置換を含むκ軽鎖定常ドメインを有するIgG2アイソタイプを有する。
【0381】
本明細書で提供されるIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、IgG2アイソタイプの重鎖定常ドメイン1(CH1)およびヒンジ領域を含む(White et al. Cancer Cell 27:138-148 (2015))。本明細書で提供されるIgG2修飾Fc領域のいずれかの特定の実施形態では、IgG2アイソタイプのCH1およびヒンジ領域は、EUナンバリングによるアミノ酸118~230のアミノ酸配列を含む。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体Fc領域は、EUナンバリング慣例に従うS267Eのアミノ酸置換、L328Fのアミノ酸置換、もしくはその両方、ならびに/またはN297A、もしくはN297Qのアミノ酸置換を含む。
【0382】
本明細書で提供されるIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、およびS440Wの位置に1以上のアミノ酸置換をさらに含む。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、ヒト血清での抗体半減期を増強するために、1以上の突然変異(例えば、EUナンバリング慣例に従うM252Y、S254T、およびT256Eの突然変異のうちの(全てを含む)1以上)をさらに含み得る。IgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、A330SおよびP331Sのアミノ酸置換をさらに含み得る。
【0383】
本明細書で提供されるIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、FcはIgG2/4ハイブリッドFcである。いくつかの実施形態では、IgG2/4ハイブリッドFcは、IgG2のアミノ酸118~260およびIgG4のアミノ酸261~447を含む。本明細書で提供される任意のIgG2修飾Fc領域のいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるH268Q、V309L、A330S、およびP331Sの位置に1以上のアミノ酸置換を含む。
【0384】
本明細書で提供されるIgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるA330L、L234F、L235E、またはP331S、およびそれらの任意の組合せから選択される1以上の追加のアミノ酸置換を含む。
【0385】
本明細書で提供されるIgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかの特定の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるC127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、およびそれらの任意の組合せから選択される残基位置に1以上のアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430G、L243A、L235A、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430GおよびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430GおよびK322Aの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430G、A330S、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430G、K322A、A330S、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430G、K322A、およびA330Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430G、K322A、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267EおよびL328Fの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるC127Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE345R、E430GおよびS440Yの位置にアミノ酸置換を含む。
【0386】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、IgG4アイソタイプを有し、修飾Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、IgG4修飾Fc領域は、1以上の修飾を含む。例えば、いくつかの実施形態では、IgG4修飾Fc領域は、(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)1以上のアミノ酸置換を含む。本明細書で提供されるIgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、1以上のアミノ酸置換は、EUナンバリング慣例に従うL235A、G237A、S229P、L236E(Reddy et al. J Immunol 164:1925-1933(2000))、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択される。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリング慣例に従うL235A、G237A、およびE318Aのアミノ酸置換をさらに含み得る。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリング慣例に従うS228PおよびL235Eのアミノ酸置換をさらに含み得る。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG4修飾Fcは、EUナンバリング慣例に従うS267EおよびL328Fのアミノ酸置換をさらに含み得る。
【0387】
本明細書で提供されるIgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG4修飾Fcは、抗体の安定性を高めるために、EUナンバリング慣例に従うS228Pの突然変異(Angal et al. Mol Immunol. 30:105-108 (1993))および/または(Peters et al. J Biol Chem. 287(29):24525-33 (2012))に記載される1以上の突然変異を含む。
【0388】
本明細書で提供されるIgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、IgG4修飾Fcは、ヒト血清での抗体半減期を増強するために、1以上の突然変異(例え、EUナンバリング慣例に従うM252Y、S254T、およびT256Eの突然変異のうちの(全てを含む)1以上)をさらに含み得る。
【0389】
本明細書で提供されるIgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるL235Eのアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかの特定の実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるC127S、F234A、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、E345R、E430G、S440Y、およびそれらの任意の組合せから選択される残基位置において1以上のアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430G、L243A、L235A、およびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430GおよびP331Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430GおよびK322Aの位置にアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE430の位置にアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fc領域は、EUナンバリングによるE430GおよびK322Aの位置にアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるS267EおよびL328Fの位置にアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるC127Sの位置にアミノ酸置換を含む。IgG4修飾Fc領域のいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EUナンバリングによるE345R、E430GおよびS440Yの位置にアミノ酸置換を含む。
【0390】
核酸、ベクター、および宿主細胞
本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載のとおり、組換え方法および組成物を使用して作出し得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗ソルチリン抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)を含むアミノ酸配列および/または重鎖可変ドメイン(VH)を含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードし得る。いくつかの実施形態では、そのような核酸を含む1以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。いくつかの実施形態では、そのような核酸またはベクターを含む宿主細胞も提供される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、以下を含む(例えば、以下で形質導入されている):(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列および抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクターおよび抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクター。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。本開示の宿主細胞には、限定されるものではないが、単離された細胞、in vitro培養細胞、およびex vivo培養細胞も含まれる。
【0391】
本開示の抗ソルチリン抗体を作製する方法が提供される。いくつかの実施形態では、その方法は、抗ソルチリン抗体をコードする核酸を含む本開示の宿主細胞を、抗体の発現に適切な条件下で培養することを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、その後、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収される。
【0392】
本開示の抗ソルチリン抗体の組換え生産では、抗ソルチリン抗体をコードする核酸が単離され、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞内での発現のために1以上のベクターに挿入される。このような核酸は、従来の手法を使用して(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離し、配列決定し得る。
【0393】
本開示の抗ソルチリン抗体のいずれかをコードする核酸配列を含む適切なベクターには、限定されるものではないが、クローニングベクターおよび発現ベクターが含まれる。適切なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築することができ、または当技術分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択し得る。選択されるクローニングベクターは、使用する宿主細胞に応じて異なり得るが、有用なクローニングベクターは、一般に自己複製能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有し得、かつ/またはベクターを含むクローンの選択に使用することができるマーカーの遺伝子を有し得る。適切な例には、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28などのシャトルベクターが含まれる。これらおよび他の多くのクローニングベクターは、BioRad, Strategene、およびInvitrogenなどの商業ベンダーから入手可能である。
【0394】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に適切な宿主細胞には、原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、本開示の抗ソルチリン抗体は、特に、グリコシル化およびFcエフェクター機能が必要でない場合に、細菌内で生産し得る。細菌における抗体フラグメントおよびポリペプチドの発現に関する情報については、例えば、米国特許第5648237号、同第5789199号、および同第5840523号を参照のこと。発現後、抗体は、可溶性画分の細菌細胞ペーストから単離し得、さらに精製することができる。
【0395】
原核生物に加えて、糸状真菌または酵母などの真核生物の微生物も、抗体をコードするベクターに適切なクローニングまたは発現宿主であり、それには、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全ヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌および酵母株が含まれる(例えば、Gerngross Nat. Biotech. 22:1409-1414 (2004); and Li et al. Nat. Biotech. 24:210-215 (2006))。
【0396】
グリコシル化抗体の発現に適切な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)にも由来し得る。無脊椎動物細胞の例には、植物および昆虫細胞が含まれる。特に、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションでは、昆虫細胞と併用し得る多数のバキュロウイルス株が確認されている。植物細胞培養物も宿主として利用することができる(例えば、トランスジェニック植物において抗体を作出するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している、米国特許第5959177号、同第6040498号、同第6420548号、同第7125978号、および同第6417429号)。
【0397】
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用し得る。例えば、懸濁液中で成長するように適合された哺乳動物細胞株が、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換したサル腎臓CV1系統(COS-7);ヒト胎児腎系統(例えば、Graham et al. J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載されているような、293または293細胞);ベビーハムスター腎細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されているような、TM4細胞);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562)細胞;例えば、Mather et al. Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載されているような、TRI細胞;MRC 5細胞;およびFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、DHFR-CHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞 (Urlaub et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980));ならびにY0、NS0およびSp2/0などの骨髄腫細胞株が含まれる。抗体生産に適切なある特定の哺乳動物宿主細胞株の総説については、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, NJ), pp. 255-268 (2003)を参照のこと。
【0398】
診断上の使用
本開示の抗ソルチリン抗体はまた、診断的有用性も有する。従って、本開示は、個体または個体由来の組織サンプルにおけるソルチリンタンパク質の検出などの診断目的で本開示の抗体またはその機能的フラグメントを使用する方法を提供する。
【0399】
いくつかの実施形態では、個体はヒトである。いくつかの実施形態では、個体は、本開示の疾患、障害、もしくは損傷に罹患しているか、またはそれらを発症する危険性があるヒト患者である。いくつかの実施形態では、診断方法は、生検検体、組織、または細胞などの生物学的サンプル中のソルチリンタンパク質を検出することを伴う。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体を生物学的サンプルと接触させ、抗原に結合した抗体を検出する。例えば、疾患関連細胞またはソルチリンのレベルを検出および/または定量するために、生検検体を本明細書に記載の抗ソルチリン抗体で染色し得る。検出方法は、抗原に結合した抗体の定量を含み得る。生物学的サンプルにおける抗体の検出は、免疫蛍光顕微鏡法、免疫細胞化学、免疫組織化学、ELISA、FACS分析、免疫沈降、またはマイクロ陽電子放射断層撮影法を含む当技術分野で公知の任意の方法を用いて行い得る。特定の実施形態では、抗体を、例えば、18Fで放射性標識し、続いて、マイクロ陽電子放出断層撮影分析を利用して検出する。抗体結合は、陽電子放射断層撮影法(PET)、X線コンピューター断層撮影法、単光子放射コンピューター断層撮影法(SPECT)、コンピューター断層撮影法(CT)、およびコンピューターX線体軸断層撮影法(CAT)などの非侵襲的技術によっても個体において定量し得る。
【0400】
他の実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、前臨床疾患モデル(例えば、マウスまたはカニクイザル疾患モデルなどの非ヒト疾患モデル)から採取された脳検体中のミクログリアを検出および/または定量するために使用し得る。従って、本開示の抗ソルチリン抗体は、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症などの疾患、障害、または損傷のモデルにおける治療後の治療応答を、例えば、対照と比較して、評価するのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗ソルチリン抗体は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病などの神経変性または神経系の疾患または障害のモデルにおける治療後の治療応答を、例えば、対照と比較して、評価するのに有用であり得る。
【0401】
バイオマーカー
プログラニュリン
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される疾患または障害を治療するまたはその進行を遅延させる方法は、個体が1以上の用量の本開示の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液(例えば、血漿もしくは血清)または脳脊髄液サンプルのプログラニュリンタンパク質レベルを測定することをさらに含む。
【0402】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、前記個体の血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前に比べて増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、前記個体の血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.2倍、少なくとも約4.4倍、少なくとも約4.6倍、少なくとも約4.8倍、少なくとも約5倍、少なくとも約5.2倍、少なくとも約5.4倍、少なくとも約5.6倍、少なくとも約5.8倍、少なくとも約6倍、少なくとも約6.2倍、少なくとも約6.4倍、少なくとも約6.6倍、少なくとも約6.8倍、少なくとも約7倍、少なくとも約7.2倍、少なくとも約7.4倍、少なくとも約7.6倍、少なくとも約7.8倍、少なくとも約8倍、少なくとも約8.2倍、少なくとも約8.4倍、少なくとも約8.6倍、少なくとも約8.8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約9.2倍、少なくとも約9.4倍、少なくとも約9.6倍、少なくとも約9.8倍、少なくとも約10倍の、またはそれを超える増加をもたらす。
【0403】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、前記個体の血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンレベルタンパク質に、抗ソルチリン抗体の投与前に比べて、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%のいずれかの、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う個体への本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、前記個体の血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前に比べて、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%のいずれかの、またはそれを超える増加をもたらす。
【0404】
いくつかの実施形態では、前記個体の血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間のいずれか、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間のいずれか、またはそれ以降に存在する。
【0405】
いくつかの実施形態では、前記個体の血漿および/または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、約61日、約62日、約63日、約64日、約65日、約66日、約67日、約68日、約69日、約70日、約71日、約72日、約73日、約74日、約75日、約76日、約77日、約78日、約79日、約80日、約81日、約82日、約83日、約84日、約85日、約86日、約87日、約88日、約89日、約90日、約91日、約92日、約93日、約94日、約95日、約96日、約97日、約98日、約99日、約100日、約101日、約102日、約103日、約104日、約105日、約106日、約107日、約108日、約109日、約110日、約111日、約112日、約113日、約114日、約115日、約116日、約117日、約118日、約119日、約120日、約121日、約122日、約123日、約124日、約125日、約126日、約127日、約1280日、約129日、約130日、約131日、約132日、約133日、約134日、約135日、約136日、約137日、約138日、約139日、約140日、約141日、約142日、約143日、約144日、約145日、約146日、約147日、約148日、約149日、約150日、約151日、約152日、約153日、約154日、約155日、約156日、約157日、約158日、約159日、約160日、約161日、約162日、約163日、約164日、約165日、約166日、約167日、約168日、約169日、約170日、約171日、約172日、約173日、約174日、約175日、約176日、約177日、約178日、約179日、約180日、約181日、約182日、約183日、約184日、約185日、約186日、約187日、約188日、約189日、約190日、約191日、約192日、約193日、約194日、約195日、約196日、約197日、約198日、約199日、約200日、約201日のいずれか、またはそれ以降に存在する。
【0406】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.1倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.3倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.7倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約2.9倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.1倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.3倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.7倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約3.9倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.1倍、少なくとも約4.2倍、少なくとも約4.3倍、少なくとも約4.4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約4.6倍、少なくとも約4.7倍、少なくとも約4.8倍、少なくとも約4.9倍、少なくとも約5倍の、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約2倍のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約3倍のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%のいずれかの、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約43日またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約42日またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約43日またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約28日またはそれ以降に存在する。
【0407】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約15mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.1倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.3倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.7倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約2.9倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.1倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.3倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.7倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約3.9倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.1倍、少なくとも約4.2倍、少なくとも約4.3倍、少なくとも約4.4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約4.6倍、少なくとも約4.7倍、少なくとも約4.8倍、少なくとも約4.9倍、少なくとも約5倍の、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約15mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約2倍のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約15mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約3倍のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約15mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%のいずれかの、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約42日以降に存在する。
【0408】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約30mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.1倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.3倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.7倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約2.9倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.1倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.3倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.7倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約3.9倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.1倍、少なくとも約4.2倍、少なくとも約4.3倍、少なくとも約4.4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約4.6倍、少なくとも約4.7倍、少なくとも約4.8倍、少なくとも約4.9倍、少なくとも約5倍の、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約30mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約2倍またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約30mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約3倍のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約30mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%のいずれかの、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約56日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。
【0409】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約60mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.1倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.3倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約2.6倍、少なくとも約2.7倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約2.9倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.1倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.3倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.7倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約3.9倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.1倍、少なくとも約4.2倍、少なくとも約4.3倍、少なくとも約4.4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約4.6倍、少なくとも約4.7倍、少なくとも約4.8倍、少なくとも約4.9倍、少なくとも約5倍の、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約60mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約2倍のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約60mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿プログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの少なくとも約3倍またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約60mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の血漿のログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、300%のいずれかの、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、約61日、約62日、約63日、約64日、約65日、約66日、約67日、約68日、約69日、約70日、約71日、約72日、約73日、約74日、約75日、約76日、約77日、約78日、約79日、約80日、約81日、約82日、約83日、約84日、約85日、約86日、約87日、約88日、約89日、約90日、約91日、約92日、約93日、約94日、約95日、約96日、約97日、約98日、約99日、約100日、約101日、約102日、約103日、約104日、約105日、約106日、約107日、約108日、約109日、約110日、約111日、約112日、約113日、約114日、約115日、約116日、約117日、約118日、約119日、約120日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約84日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約84日以降に存在する。
【0410】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約150mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%のいずれかの、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約28日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約28日以降に存在する。
【0411】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約300mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%のいずれかの、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約28日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約28日以降に存在する。
【0412】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約600mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%のいずれか、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約28日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約28日以降に存在する。
【0413】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約10%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約12%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて少なくとも約15%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約6mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて少なくとも約18%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約25日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約43日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。
【0414】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約15mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約15mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液抗のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約15%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約15mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約60%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約15mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約80%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約25日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約43日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。
【0415】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約30mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約30mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約15%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約30mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約60%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約30mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約80%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約7日、約8日、約13日、約14日、約18日、約21日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、約61日、約62日、約63日、約64日、約65日、約66日、約67日、約68日、約69日、約70日、約71日、約72日、約73日、約74日、約75日、約76日、約77日、約78日、約79日、約80日、約81日、約82日、約83日、約84日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約25日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約43日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。
【0416】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約60mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%の、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約60mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約15%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約60mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約60%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約60mg/kg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への静脈内投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約80%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約8日、約13日、約18日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、約61日、約62日、約63日、約64日、約65日、約66日、約67日、約68日、約69日、約70日、約71日、約72日、約73日、約74日、約75日、約76日、約77日、約78日、約79日、約80日、約81日、約82日、約83日、約84日、約85日、約86日、約87日、約88日、約89日、約90日、約91日、約92日、約93日、約94日、約95日、約96日、約97日、約98日、約99日、約100日、約101日、約102日、約103日、約104日、約105日、約106日、約107日、約108日、約109日、約110日、約111日、約112日、約113日、約114日、約115日、約116日、約117日、約118日、約119日、約120日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約25日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約43日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約57日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約84日以降に存在する。
【0417】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約150mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%の、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約300mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%の、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約8日、約13日、約18日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約21日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約42日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約7日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約14日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約27日以降に存在する。
【0418】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約600mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%の、またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約600mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約40%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約600mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約35%のまたはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う約600mg用量の本開示の抗ソルチリン抗体の個体への皮下投与は、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約20%またはそれを超える増加をもたらす。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約6日、約8日、約13日、約18日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約21日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日以内から抗ソルチリン抗体の投与後約42日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約7日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約14日以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルの増加は、抗ソルチリン抗体の投与後約27日以降に存在する。
【0419】
いくつかの実施形態では、前記個体の血漿または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルは、個体から得たサンプルで測定される。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿のプログラニュリンタンパク質レベルは、個体から得た血液サンプルで測定される。いくつかの実施形態では、前記個体の脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルは、個体から得た脳脊髄液サンプルで測定される。いくつかの実施形態では、前記個体の血漿または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルは、当技術分野で公知のタンパク質を定量する任意の方法を用いて決定される。プログラニュリンタンパク質を定量するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。特定の実施形態では、前記個体の血漿または脳脊髄液のプログラニュリンタンパク質レベルは、ELISAアッセイを用いて決定される。
【0420】
ソルチリン
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される疾患または障害を治療するまたはその進行を遅延させる方法は、白血球のソルチリンタンパク質レベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、白血球のソルチリンタンパク質のレベルは、個体が1以上の用量の本開示の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液サンプルで測定される。
【0421】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従う本開示の抗ソルチリン抗体の個体への投与は、前記個体の白血球のソルチリンタンパク質レベルに、抗ソルチリン抗体の投与前の個体の白血球のソルチリンタンパク質レベル比べて低減をもたらす。いくつかの実施形態では、ソルチリン抗体の投与後の前記個体の白血球のソルチリンタンパク質レベルは、抗ソルチリン抗体の投与前の個体の白血球のソルチリンタンパク質レベルに比べて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低減される。いくつかの実施形態では、前記個体の白血球のソルチリンレベルに低減は、抗ソルチリン抗体の投与後約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間、約24時間のいずれか、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の白血球のソルチリンレベルの低減は、抗ソルチリン抗体の投与後約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間のいずれか、またはそれ以降に存在する。いくつかの実施形態では、前記個体の白血球のソルチリンレベルの低減は、抗ソルチリン抗体の投与後約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、約30日、約31日、約32日、約33日、約34日、約35日、約36日、約37日、約38日、約39日、約40日、約41日、約42日、約43日、約44日、約45日、約46日、約47日、約48日、約49日、約50日、約51日、約52日、約53日、約54日、約55日、約56日、約57日、約58日、約59日、約60日、約61日、約62日、約63日、約64日、約65日、約66日、約67日、約68日、約69日、約70日、約71日、約72日、約73日、約74日、約75日、約76日、約77日、約78日、約79日、約80日、約81日、約82日、約83日、約84日、約85日、約86日、約87日、約88日、約89日、約90日、約91日、約92日、約93日、約94日、約95日、約96日、約97日、約98日、約99日、約100日、約101日、約102日、約103日、約104日、約105日、約106日、約107日、約108日、約109日、約110日、約111日、約112日、約113日、約114日、約115日、約116日、約117日、約118日、約119日、約120日、約121日、約122日、約123日、約124日、約125日、約126日、約127日、約1280日、約129日、約130日、約131日、約132日、約133日、約134日、約135日、約136日、約137日、約138日、約139日、約140日、約141日、約142日、約143日、約144日、約145日、約146日、約147日、約148日、約149日、約150日、約151日、約152日、約153日、約154日、約155日、約156日、約157日、約158日、約159日、約160日、約161日、約162日、約163日、約164日、約165日、約166日、約167日、約168日、約169日、約170日、約171日、約172日、約173日、約174日、約175日、約176日、約177日、約178日、約179日、約180日、約181日、約182日、約183日、約184日、約185日、約186日、約187日、約188日、約189日、約190日、約191日、約192日、約193日、約194日、約195日、約196日、約197日、約198日、約199日、約200日、約201日のいずれか、またはそれ以降に存在する。
【0422】
いくつかの実施形態では、前記個体の白血球のソルチリンタンパク質レベルは、当技術分野で公知のタンパク質を定量する任意の方法を用いて決定される。ソルチリンタンパク質を定量するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。特定の実施形態では、白血球のソルチリンタンパク質レベルは、ELISAアッセイを用いて決定される。
【0423】
疾患および神経炎症バイオマーカー
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される疾患または障害を治療するまたはその進行を遅延させる方法は、神経微細線維軽鎖(NF-L)のレベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、NF-Lのレベルは、個体が1以上の用量の本開示の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液(例えば、血漿)または脳脊髄液サンプルで測定される。個体から得たサンプルにおいてNF-Lレベルを測定するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。
【0424】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される疾患または障害を治療するまたはその進行を遅延させる方法は、タウのレベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、タウのレベルは、個体が1以上の用量の本開示の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液または脳脊髄液サンプルで測定される。個体から得たサンプルでタウのレベルを測定するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。
【0425】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される疾患または障害を治療するまたはその進行を遅延させる方法は、神経炎症の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、神経炎症の1以上のバイオマーカーのレベルは、個体が1以上の用量の本開示の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血液または脳脊髄液サンプルで測定される。神経炎症のバイオマーカーとしては、限定されるものではないが、IL-6、SPP1、IFI2712A、CHIT1、YKL-40、GFAP、YWHAE、CSF1、AIF1、LY86、CD86、およびTOP2Aが挙げられる。個体から得たサンプルで1以上のバイオマーカーのレベルを測定するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。
【0426】
治療をモニタリングする方法
また、本明細書では、本開示の抗ソルチリン抗体が投与されている個体の治療をモニタリングする方法が提供される。
【0427】
いくつかの実施形態では、治療をモニタリングする方法は、個体が1以上の用量の本開示の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た血漿または脳脊髄液サンプルで、プログラニュリンタンパク質、GCアーゼタンパク質、神経微細線維軽鎖(NF-L)、タウ、神経炎症の1以上のマーカー、またはαシヌクレインタンパク質から選択される1以上のバイオマーカーのレベルを測定することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、サンプルの1以上のバイオマーカーのレベルに基づいて、個体の抗ソルチリン抗体の活性を評価する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、このサンプルは、前記個体の脳脊髄液または前記個体の血液、例えば、血漿からのものである。いくつかの実施形態では、サンプルは、前記個体の脳脊髄液からのものである。いくつかの実施形態では、サンプルは、前記個体の血液、例えば、血漿からのものである。個体から得たサンプルの1以上のバイオマーカーのレベルを測定するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。
【0428】
いくつかの実施形態では、治療をモニタリングする方法は、個体が1以上の用量の本開示の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得た脳脊髄液サンプルで、脳脊髄液プロテオームの1以上のバイオマーカーを測定することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、サンプルの1以上のバイオマーカーのレベルに基づいて、個体の抗ソルチリン抗体の活性を評価する工程をさらに含む。個体から得たサンプルの1以上のバイオマーカーのレベルを測定するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、質量分析、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。
【0429】
いくつかの実施形態では、治療をモニタリングする方法は、個体が1以上の用量の本開示の抗ソルチリン抗体を受ける前および受けた後に個体から得たサンプルのリソソーム機能の1以上のバイオマーカーのレベルを測定することを含む。いくつかの実施形態では、リソソーム機能の1以上のバイオマーカーは、GCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、lyso-Gb1、またはグルコシルセラミドから選択される。いくつかの実施形態では、この方法は、サンプルの1以上のバイオマーカーのレベルに基づいて、個体の抗ソルチリン抗体の活性を評価する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、サンプルは、前記個体の脳脊髄液または前記個体の血液、例えば、血漿からのものである。いくつかの実施形態では、サンプルは、前記個体の脳脊髄液からのものである。いくつかの実施形態では、サンプルは、前記個体の血液、例えば、血漿からのものである。個体から得たサンプルの1以上のバイオマーカーのレベルを測定するために使用可能な方法の限定されない例としては、SOMASCANアッセイ(例えば、Candia et al. (2017) Sci Rep 7, 14248を参照のこと)、ウエスタンブロット、質量分析、フローサイトメトリー、および酵素免疫測定法(ELISA)が挙げられる。
【0430】
医薬組成物
本明細書では、本開示の抗ソルチリン抗体および薬学上許容される担体を含む医薬組成物および/または医薬製剤が提供される。
【0431】
いくつかの実施形態では、薬学上許容される担体は、使用される用量および濃度においてレシピエントに対して無毒であることが好ましい。本明細書に記載の抗体は、固体、半固体、液体または気体の形態で調製物に処方し得る。このような製剤の例には、限定されるものではないが、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入薬、ゲル剤、ミクロスフェア、およびエアゾール剤が含まれる。薬学上許容される担体には、所望の製剤に応じて、動物またはヒト投与のための医薬組成物を処方するために慣用されるビヒクルである、薬学上許容される無毒の担体または希釈剤が含まれ得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性、臭気、無菌性、安定性、溶解または放出の速度、吸着または浸透を改変、維持または保存するための製剤材料を含むことができる。
【0432】
特定の実施形態では、薬学上許容される担体としては、限定されるものではないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなど);抗微生物薬;抗酸化薬(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムなど);バッファー(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris-HCl、クエン酸塩、リン酸塩または他の有機酸など);嵩高剤(マンニトールまたはグリシン);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなど);増量剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(グルコース、マンノースまたはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど);着色剤、香味剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素など);溶剤(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);沈殿防止剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック(登録商標)類、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート類、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパルなど);安定性向上剤(スクロースまたはソルビトールなど);張力強化剤(ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトールソルビトールなど);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または補助薬が挙げられる。様々な種類の投与に適切な製剤のさらなる例は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Pharmaceutical Press 22nd ed. (2013). For a brief review of methods for drug delivery, see, Langer, Science 249:1527-1533 (1990)において見つけることができる。
【0433】
非経口投与に適切な製剤には、抗酸化薬、バッファー、静菌剤、および製剤を対象レシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができる水性および非水性の等張滅菌注射液、ならびに沈殿防止剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含むことができる水性および非水性の滅菌懸濁液が含まれる。
【0434】
製剤は、脳または中枢神経系で保持され、安定化するように最適化され得る。薬剤が頭蓋コンパートメントに投与される場合、その薬剤がそのコンパートメント内に保持され、拡散しないかまたはそうでなければ、血液脳関門を通過しないことが望ましい。安定化技術には、分子量の増加を達成するための、架橋、多量体化、またはポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、中性タンパク質担体などの基への連結などが含まれる。
【0435】
保持を増加させるための他の戦略には、抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体の生分解性または生体浸食性インプラントへの封入が含まれる。抗体の放出速度は、ポリマーマトリックスからの輸送速度、およびインプラントの生分解速度によって制御される。インプラントは、粒子、シート、パッチ、プラーク、繊維、マイクロカプセルなどであり得、選択された挿入部位に適合する任意のサイズ大きさまたは形状であり得る。採用し得る生分解性ポリマー組成物は、分解されたときに単量体を含む生理学的に許容される分解生成物を生じる、有機エステルまたはエーテルであり得る。無水物、アミド、オルトエステルなどは、単独でまたは他の単量体と組み合わせて利用し得る。ポリマーは、縮合ポリマーであり得る。ポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。特に適するのは、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれか、および多糖である。適したポリエステルとしては、D-乳酸、L-乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトン、およびこれらの組合せのポリマーが挙げられる。適した多糖には、アルギン酸カルシウム、および官能化セルロース、特に、水不溶性であり、分子量が約5kD~500kDであることなどを特徴とするカルボキシメチルセルロースエステルがある。生分解性ヒドロゲルも本開示のインプラントに採用し得る。ヒドロゲルは、一般に、液体を吸収する能力を特徴とするコポリマー材料である。
【0436】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物または製剤は、本開示の抗ソルチリン抗体を含み、静脈内注入および/または皮下注射によるヒト被験者への投与に適切である。
【0437】
キット/製造品
本明細書では、本開示の抗ソルチリン抗体を含む製造品(例えば、キット)が提供される。製造品は、本明細書に記載の抗体を含む1以上の容器を含み得る。容器は、限定されるものではないが、バイアル、ボトル、ジャー、フレキシブルパッケージング(例えば、密閉型マイラーまたはプラスチックバッグ)などを含む任意の適切なパッケージングであり得る。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量パッケージ)または部分単位用量であり得る。
【0438】
いくつかの実施形態では、キットは、第2の薬剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は、限定されるものではないが、静菌注射用水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を含む薬学上許容されるバッファーまたは希釈剤である。いくつかの実施形態では、第2の薬剤は薬学上活性な薬剤である。
【0439】
製造品のいずれかのいくつかの実施形態では、製造品は、本開示の方法に従って使用するための説明書をさらに含む。説明書には、一般に、目的の治療のための用量、投与スケジュール、投与経路に関する情報が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの説明書は、本開示の任意の方法に従って、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢性黄斑変性、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染、関節炎、または変形性関節症から選択される疾患、障害、または損傷を有する個体を予防、リスク低減、または治療するための本開示の抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)の投与の説明を含む。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷は前頭側頭型認知症である。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷はアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、疾患、障害、または損傷はパーキンソン病である。いくつかの実施形態では、説明書には、抗ソルチリン抗体および第2の薬剤(例えば、第2の薬学上活性な薬剤)の使用に関する説明書が含まれる。
【0440】
本開示は、以下の実施例を参照することによって、より十分に理解されるであろう。それらは本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示全体にわたる全ての引用は、参照により明示的に本明細書の一部として援用される
【実施例】
【0441】
実施例1:静脈内および皮下抗ソルチリン抗体ALXの安全性、忍容性、薬物動態学、薬力学、およびバイオアベイラビリティを評価するための健康なボランティアにおける第I相研究
この実施例により、静脈内にまたは皮下に投与された抗ソルチリン抗体ALXの安全性、忍容性、薬物動態学、薬力学、およびバイオアベイラビリティを評価するための健康なボランティアにおける第I相研究を説明する。
【0442】
抗ソルチリン抗体ALXは、配列番号31または32のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。この研究において、抗ソルチリン抗体ALXは、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードする1以上の核酸を発現させることによって作出した。
【0443】
I.研究の目的
この研究の主な目的は、健康なヒトボランティア(HV)において静脈内(IV)注入により漸増単回用量で、または単回皮下(SC)投与として投与した場合の、抗体ALXの安全性、忍容性、薬物動態学(PK)、薬力学(PD)、およびバイオアベイラビリティを評価することである。この研究はまた、HVにおけるIV注入によるまたはSC投与としての抗体ALXの複数回用量の投与を評価するように設計されている。
【0444】
A.主要評価項目測定基準
この研究の主要評価項目測定基準は、有害事象(AE)および用量制限有害事象(DLAE)を経験する被験者の数に基づいて評価される、抗体ALXの安全性および忍容性の評価である。
【0445】
B.副次的評価項目測定基準
この研究の副次的評価項目測定基準には以下が含まれる:
・血清および脳脊髄液(CSF)の抗体ALX濃度に基づいて評価される、抗体ALXの薬物動態学(PK)。
・血清または血漿およびCSF中の抗体ALXの最大濃度(Cmax)。
・血清およびCSFの抗体ALX濃度に基づく、抗体ALXの曲線下面積(AUC)。
【0446】
II.研究参加者
健康な男性および女性のヒトボランティアがこの研究に含まれる。
【0447】
A.選択基準
以下の基準を満たす健康なヒトボランティアがこの研究に含まれる。
・スクリーニング時の年齢が18~65歳(両端含む)の男性または女性。
・体格指数18.0~35.0kg/m2(両端含む)。
・体重45~120kg(両端含む)。
・病歴、身体検査、臨床検査、12誘導心電図(ECG)、およびバイタルサインから臨床的に重大な所見がないことに基づいて、身体的健康状態が良好であること。
【0448】
B.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす被験者はこの研究に含めない。
・キメラ、ヒト、もしくはヒト化抗体または融合タンパク質に対する重度のアレルギー反応、アナフィラキシー反応、またはその他の過敏反応の既知病歴。
・発作の既往歴(小児期の熱性発作を除く)。
・スクリーニング前30日以内に経口またはIVによる抗生物質を必要とする重篤な感染症。
・免疫を抑制する薬物療法の継続的な影響による臨床的に重大な全身性免疫不全状態。
・大鬱病、統合失調症、統合失調性感情障害、または双極性障害の病歴。
・治癒の可能性が高いと考えられる場合を除き、抗癌療法または放射線療法により積極的な治療は行われておらず、その後の3年間に治療が必要になる可能性は低く、再発の可能性は低いと考えられる、癌の病歴。
・B型肝炎表面抗原、抗C型肝炎ウイルス抗体、もしくは抗ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1および-2抗体(単数または複数)に対して陽性、または中枢神経系のスピロヘータ感染症(例えば、梅毒、ライム病、またはボレリア症)の病歴。
・Cockcroft-Gault式を使用して算出したスクリーニング時のクレアチニンクリアランス(CL)値30mL/分未満を示し、再検査しても30mL/分未満のままである、慢性腎臓疾患。
・スクリーニング時のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)もしくはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が正常上限値の2倍以上または総ビリルビンが正常上限値の1.5倍以上を示し、再検査しても、初期結果のわずかな上昇や、臨床的に重大な合成機能検査の異常が原因で、これらの限界値を超えたままである、肝機能障害。
・過去2年以内に、不安定または臨床的に重大な心血管疾患(例えば、心筋梗塞、狭心症、またはニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)分類クラスII以上の心不全)。
・管理不良高血圧(すなわち、安静時血圧が収縮期血圧>140mmHgまたは拡張期血圧>90mmHgの持続)。
・臨床的に重大な異常ECGの病歴または存在(完全左脚ブロック、第2度または第3度心ブロック、または以前の心筋梗塞の証拠を含む)。
・Fridericiaの式を使用して補正したQT間隔、男性参加者の場合、>450ミリ秒および女性参加者の場合、>470ミリ秒(三重のスクリーニング測定の平均)。
・心室性不整脈もしくは心室性不整脈のリスク因子、例えば、構造的心疾患(例えば、重度の左心室収縮機能不全、もしくは左心室肥大)、冠動脈性心疾患(症状を示すかもしくは診断検査により虚血が実証される)、臨床的に重大な電解質異常(例えば、低カリウム血症、低マグネシウム血症、もしくは低カルシウム血症)の病歴、または原因不明の突然死もしくはQT延長症候群の家族歴。
【0449】
III.研究デザイン
この研究は、IVおよびSC経路を介して投与される単回用量の抗ソルチリン抗体ALXの安全性、忍容性、PK、PD、およびバイオアベイラビリティを調査するために設計されたfirst-in-human(ヒトに初めて投与する)第I相研究である。研究デザインの概要を
図1に示す。この研究では、IVおよびSC経路を介した複数回用量の抗体ALXの投与も評価する。
【0450】
この研究は、11名のHV参加者のおよそ3つのコホートにおける単回漸増用量(SAD)の抗体ALXのIV投与を含む。最初の3つのコホートの用量レベルは、6mg/kg、15mg/kg、および30mg/kgである。いくつかの実施形態では、追加のIV SADコホートは60mg/kgで含められる。
【0451】
SAD IVコホートに加えて、1つの単回用量(SD)コホートでは、抗体ALXのSC投与のバイオアベイラビリティおよび忍容性を評価する。SD SCコホートは、抗体ALXを600mgの固定用量で投与された9名のHV参加者を含む。投与の柔軟性が必要な場合に、1つの追加のSD SCコホートが登録される。以下のコホートも評価する:以下に記載されるように、単回用量SC 150mgコホート、複数回用量(MD)SCコホート、および複数回用量IVコホート。
【0452】
全てのコホートは、脳内でのPKおよびPDを評価するために、投与前(ベースライン)および投与後の2つの時点で脳脊髄液(CSF)サンプリングを必要とする。各コホート内のサブグループは、コホート全体でより多くの時点でのCSFサンプリングを可能にするために、異なる投与後の時点でCSFサンプリングを受けた(投与後の合計3つの時点)。CSFサブグループは、IVおよびSCコホートの両方について以下に記載する。
【0453】
この研究の全参加者は、安全性、PK、PD、およびバイオアベイラビリティの評価のために、抗体ALXの単回投与後12週間追跡調査される。いくつかの実施形態では、参加者は、抗体ALXの単回投与後16週間追跡調査される。
【0454】
A.単回漸増用量IVコホート
SAD IVコホートのそれぞれにおいて、11名のHV参加者を、最大3つの用量コホート(コホート1、2、および3)で抗体ALXまたはプラセボ(PBO)を8:3(抗体ALX:PBO)比で受けるように無作為化する。合計およそ33名のHV参加者が含まれる。最初のSAD IVコホートには、6mg/kgの抗体ALXで投与する。後続のSAD IVコホートの用量レベルは、抗体ALX15mg/kgおよび30mg/kgである。60mg/kgの抗体ALXの追加のSAD IV投与を加えてもよい(
図1には示されていない)。いくつかの実施形態では、追加のSADコホートは、60mg/kgで含められる。SAD IVコホートの概要を表3に示す。
【0455】
【0456】
各SAD IVコホートの最初の6名の参加者は、ベースライン、25日目、および43日目でCSFサンプリングを受けた。各SAD IVコホートの残りの5名の参加者は、ベースライン、43日目または57日目でCSFサンプリングを受けた。各SAD IVコホートの11名の参加者の全体的な無作為化は、8:3(抗体ALX:PBO)である。各SAD IVコホート内で、25日目または57日目に抗体ALXが投与された4名の参加者、およびベースラインおよび43日目で抗体ALXが投与された8名の参加者からCSFをサンプリングする。新たに得られたPKおよびPDデータによって正当な場合には、投与後のCSF時点は変更される。
【0457】
別の実施形態では、6mg/kg IVコホートについて、CSFをベースラインおよび25、43、または57日目の2つの時点でサンプリングした(
図15)。別の実施形態では、15mg/kg IVコホートについて、CSFをベースラインおよび25、43、または57日目の2つの時点で(at 2 points)サンプリングした(
図15)。別の実施形態では、30mg/kg IVコホートについて、CSFをベースラインおよび25、43、57、または85日目の2つの時点でサンプリングした(
図15)。別の実施形態では、60mg/kg IVコホートについて、CSFをベースラインおよび43、57、または85日目の2つの時点でサンプリングした(
図15)。別の実施形態では、プラセボSD IVコホートについて、CSFをベースラインおよび25、43、57、または85日目の2つの時点でサンプリングした(
図15)。
【0458】
以前のコホートから新たに得られた安全性、忍容性、PK、およびPDデータに基づいて、用量レベルを調整することができ、1以上のコホートを省略もしくは拡張することができ、または中間用量のコホートを追加することができる。拡張されたコホートまたは中間用量のコホートは非盲検であり、抗体ALXが投与された最大9名の参加者を含む。
【0459】
B.単回用量SCコホート-600mg
SD SC 600mgコホートは、9名のHVの非盲検コホートである。このコホートは、SAD IVコホート2(15mg/kg)の13日目の訪問までの臨床安全性データに基づいて、15mg/kg用量の抗体ALXが一般に安全で忍容可能である場合に登録される。SD SCコホートには、単回用量600mgの抗体ALXを投与する。これは、この研究で許可されている最低体重(45kg)での最大用量レベル13.3mg/kgに相当する。SD SCコホートにはPBO群はない。
【0460】
最初の3名の参加者は、ベースライン、25日目、および43日目でCSFサンプリングを受けた。次の3名の参加者は、ベースライン、25日目、および57日目でCSFサンプリングを受けた。残りの3名の参加者は、ベースライン、43日目または57日目でCSFサンプリングを受けた。投与後の各CSF時点(25日目、43日目または57日目)には、6名の参加者に対するCSFサンプリングが含まれる。新たに得られたPKおよびPDデータによって正当な場合には、投与後のCSF時点は変更される。
【0461】
別の実施形態では、SD SC 600mgコホートの最初の参加者は、ベースライン、25日目、および43日目でCSFサンプリングを受けた。2番目の参加者は、ベースライン、13日目および25日目でCSFサンプリングを受けた。3番目の参加者は、ベースライン、18日目、および25日目でCSFサンプリングを受けた。次の3名の参加者は、ベースライン、8日目および13日目でCSFサンプリングを受けた。次の3名の参加者は、ベースライン、8日目、および18日目でCSFサンプリングを受けた。一実施形態では、CSFサンプルは、以下の表4に示す時点で収集される。
【0462】
【0463】
C.単回用量SCコホート-150mg
単回用量SC 150mgコホートは、6名のHV参加者のコホートであり、このコホートには、1日目に単回用量150mgの抗体ALXを投与する。CSFサンプル(LP、腰椎穿刺)は、ベースライン、6日目、および13日目で採取する(
図12)。
【0464】
D.複数回用量SCコホート
複数回用量(MD)SCコホートには、10名のHV参加者のコホートにおいて300mgの抗体ALXを7回投与する(
図13)。300mg抗体ALX用量を、1日目、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、および85日目に被験者に投与する。CSFサンプル(LP)は、ベースライン、92日目および97日目で採取する。
【0465】
E.複数回用量IVコホート
MD IVコホートにおいて、10名のHV参加者を、抗体ALXまたはプラセボ(PBO)を8:2(抗体ALX:PBO)比で受けるように無作為化する(
図14)。MD IVコホートには、1日目、29日目、57日目、および85日目に30mg/kgの抗体ALXまたはプラセボを投与する。CSFサンプル(LP)は、ベースラインおよび97日目および113日目で採取する。
【0466】
F.治験薬、用量、および投与経路
IVコホートでは、抗体ALXを、単回末梢IV注入として注入ポンプを使用しておよそ60分かけて投与する。
【0467】
SCコホートでは、抗体ALXを低速注射として15分かけて投与する。600mg用量の抗体ALXは総容量12mLが投与される。
【0468】
G.プラセボ対照、用量および投与経路
IVコホートでは、生理食塩水(0.9%NaCl)をPBOとして、単回末梢IV注入として注入ポンプを使用しておよそ60分かけて投与する。
【0469】
SCコホートでは、PBO群はない
【0470】
H.研究期間
各参加者の総研究期間はおよそ4か月である。いくつかの実施形態では、各参加者の総研究期間は、およそ3~6か月である。これには、各コホートの投薬スケジュールに従う、治験薬投与前の最大28日のスクリーニング期間、1日目の抗体ALXもしくはPBO(IVコホートのみ)の単回IV注入もしくはSC投与、または抗体ALXもしくはPBO(IVコホートのみ)の複数回IVもしくはSC投与、および各コホートに指定された追跡調査期間に従う、57日目(治験薬投与後8週間)、85日目(治験薬投与後12週間)、113日目(治験薬投与後16週間)、または141日目(治験薬投与後20週間)までの追跡調査が含まれる。
【0471】
IV.研究手順
A.投与前の手順および評価
抗体ALXまたはPBOの投与前に、以下の評価を行う:
・身体検査または症状に応じた限られた検査。
・神経学的検査。
・身長および体重。
・血圧(BP)、脈拍、体温、および呼吸速度を含むバイタルサイン。
・三反復の12誘導ECG。
・化学、血液学、凝固、血清学、および尿検査のための血液および尿サンプル。
・抗薬物抗体(ADA)およびPK分析のための血清サンプル;プログラニュリンおよび探索的バイオマーカー用の血漿サンプル;ならびに白血球分析のための全血サンプル。
・探索的バイオマーカー用の全血サンプル。
・全ゲノム配列決定(WGS)。
・腰椎穿刺によるCSFサンプル。
・並行薬物療法の見直し。
・重篤な有害事象(SAE)およびAEの記録。
【0472】
B.投薬
抗体ALXまたはPBOは、上記のように参加者に投与する。また、臨床検査を行わない限り、投薬日に絶食を適用しない。
【0473】
C.投与後
抗体ALXまたはPBOの投与後に以下の評価を行う:
・PK分析のための血清サンプル;プログラニュリンおよびバイオマーカー用の血漿サンプル;ならびに白血球分析のための全血サンプル。
・三反復の12誘導ECG。
・BP、脈拍、体温、および呼吸速度を含むバイタルサイン。
・並行薬物療法の見直し。
・SAEおよびAEの記録。
【0474】
V.研究の評価
A.臨床評価
スクリーニング前30日以内に受けた前治療薬を記録する。全ての並行薬物療法および併用療法は、スクリーニングから追跡調査期間まで記録する。
【0475】
インフォームド・コンセント取得時から治験薬の初回投与まで、プロトコール手順に関連する全てのSAEならびにAEを記録する。治験薬の初回投与時から追跡調査期間まで、増悪または病歴の変化を含むSAEおよびAEを記録する。
【0476】
人口統計情報(誕生年、性別、人種)を記録する。
【0477】
病歴または現在の疾患、他の関連する病歴、および基礎疾患に関する情報を含む全ての関連する病歴を、治験薬投与前のスクリーニング時に記録する。
【0478】
完全な身体検査(PE)は、スクリーニング時および研究完了または早期終了(ET)時に行う。完全なPEには、頭、目、耳、鼻、および喉、ならびに心血管系、皮膚科系、筋骨格系、呼吸器系、および消化器系の評価が含まれる。ベースラインで観察された異常を記録する。スクリーニング時に身長(単位cm)および体重(単位kg)を測定し、BMIを計算する。
【0479】
完全な神経学的検査には、意識、見当識、脳神経、運動感覚系、協調および歩行、ならびに反射神経の評価が含まれる。後続の神経学的検査のたびに、ベースラインの異常からの変化を記録する。新たなまたは悪化した異常は、臨床的に重大であるとみなされる場合、AEとして記録する
【0480】
バイタルサインを評価し、ベースラインで観察された異常を記録する。その後の訪問時に、新たなまたは悪化した異常は、臨床的に重大であるとみなされる場合、AEとして記録する。全てのECGを臨床安全性に基づいて分析する(徹底したQT分析は行わない)。ECG変化の臨床的重要性は、参加者の病歴、PE、および並行薬物療法との関連でECGレポートを検討した後に決定する。
【0481】
臨床安全性臨床検査(化学、血液学、尿検査、血清学、薬物およびアルコールのスクリーニング検査ならびに妊娠検査)のために、血液および尿サンプルを収集する。範囲外の値が確認され、臨床的に重大であるとみなされる場合、またはそれらの値により参加者が研究の中止もしくは治療を受ける必要がある場合、それらの値は治験薬開始後にAEとして記録する。
【0482】
抗薬物抗体(ADA)を決定するために、血清サンプルを収集する。輸注関連反応の徴候および症状がある参加者からは、追加のADAサンプルを収集する。対応する追加のPKサンプルを同じ時点で取得する。
【0483】
B.安全性評価
有害事象(AE)を記録し、世界保健機関(World Health Organization)(WHO)の毒性評価尺度に従って等級分けする。AEがWHOの毒性評価尺度の範囲内に指定されない場合、AEを次のように等級分けする:グレード1(軽度:一時的または軽度の不快感;活動制限なし;医学的介入または療法は不要;参加者は徴候または症状を自覚しているかもしれないが十分耐えられる);グレード2(中等度:軽度から中等度の活動制限;医学的介入/療法は不要または最小限必要);グレード3(重度:著しい活動制限;医学的介入/療法が必要、例えば、入院);グレード4(生命を脅かすもの:発生した有害事象による死亡のリスク);またはグレード5(死亡)。
【0484】
AEが研究治療に間違いなく関連している、おそらく関連している、もしくは関連している可能性があるとみなされる場合、例えば、その事象が治験薬の使用に関連しているという明らかな証拠がある場合、またはその事象を参加者の医学的状態、並行療法、もしくはその他の原因によって説明することはできないが、事象と治験薬投与との間に妥当な時間的関係がある場合、AEは治験薬(すなわち、抗体ALX)に関連している。治験薬との関連性が研究治療に関連している可能性が低いまたは決定的に関連していないとみなされる場合、例えば、その事象が参加者の基礎的な医学的状態、並行療法、もしくはその他の原因によって容易に説明することができる場合、または別の説明がある可能性が高い(例えば、並行薬物療法もしくは進行中の医学的状態)事象もしくは治験薬投与および/もしくは曝露との時間的関係が、因果関係がある可能性が低いことを示唆している場合、AEは治験薬に関連していない。
【0485】
重篤な有害事象(SAE)は、死亡、生命を脅かすAE、入院、既存の入院の延長、永続的もしくは重大な障害/無能力、または先天異常/先天性欠損をもたらす、任意の用量で発生するAEである。他の重要な医療事象も、参加者を危険にさらす場合、または記載した結果のいずれかを防ぐために介入が必要な場合、SAEとみなされる。
【0486】
用量制限AE(DLAE)は、治験薬に関連していると評価されているAEであり(参加者が治験薬を受けたことが確認されている)、これは、治験薬以外に明らかに起因する原因がないSAEであり、治験薬以外に明らかに起因する原因がないグレード3以上のAEであり、または支持療法および/もしくは輸注速度の低下では速やかに解決されない輸注中にもしくは輸注終了後24時間以内に発生するグレード2以上の輸注関連毒性(例えば、アレルギー反応/過敏症、薬物熱、じんま疹、呼吸困難、紅潮、気管支痙攣、喘鳴音、低酸素症、もしくは注入部位疼痛)である。
【0487】
C.薬物動態学評価
血清の抗体ALX濃度を評価するために、血清サンプルを収集する。
【0488】
脳脊髄液サンプルも、抗体ALXの濃度について評価する。
【0489】
D.薬力学評価
プログラニュリンレベルを評価するために、血漿サンプルを収集する。白血球におけるソルチリン発現を評価するため、および他の分析物を評価するために、全血サンプルを収集する。
【0490】
脳脊髄液サンプルは、プログラニュリンレベルについて評価する。
【0491】
E.バイオマーカーの評価
神経微細線維軽鎖(NF-L)、タウ、神経炎症マーカー、ならびに疾患生物学および抗体ALXに対する応答に関連する他の分析物のレベルを含むバイオマーカーを評価するために、血漿サンプルを収集する。
【0492】
NF-L、タウ、神経炎症マーカー、ならびに疾患生物学および抗体ALXに対する応答に関連する他の分析物のレベルを含むバイオマーカーについて、脳脊髄液サンプルを評価する。
【0493】
抗体ALXに対する応答を予測するか、より重度の病状への進行と関連しているか、AEの発生に対する感受性と関連しているか、または、疾患生物学の知識および理解を深めることができる一般的なおよび稀な遺伝的変異体を同定するための全ゲノム配列決定による分析を可能にするために、DNA抽出のためのスクリーニング時に血液サンプルを収集する。
【0494】
VI.研究のエンドポイントおよび統計
人口統計値およびベースライン値、安全性エンドポイント、PK、PD、およびPK/PD相関を含む全ての測定値の要約統計量(例えば、非欠測値の数、平均、中央値、標準偏差、連続変数の最小値および最大値、ならびにカテゴリー変数の数およびパーセンテージ)を提供する。安全性パラメーターに関しては形式的な統計的推論は行わない。欠測データに関しては補完を用いない。
【0495】
A.安全性分析およびエンドポイント
安全性集団には、任意の量の治験薬(抗体ALXまたはPBO)を受ける全ての登録参加者が含まれる。安全性集団は、治療用量レベル/コホートごとに説明し、要約する。
【0496】
この研究の安全性エンドポイントには、以下が含まれる:
・AEの発生率、性質、および重症度。
・用量制限AE(DLAE)の発生率。
・AEによる治療中止の発生率。
・臨床検査結果のベースラインからの平均変化;治療中に発生した異常な検査値の発生率およびAEとして報告された異常な検査値。
・ECG評価のベースラインからの平均変化および異常なECG評価の発生率。
・平均変化ならびに異常な血圧および心拍数の発生率。
・バイタルサインのベースラインからの平均変化および異常なバイタルサイン測定値の発生率。
・身体検査および神経学的検査の異常。
・ベースラインでのADAの保有率と比較した、研究中の抗薬物抗体(ADA)の発生率。
【0497】
投与時または投与後に発生する全ての治療中に発生したAEは、国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)コード化用語、適当なシソーラスレベル、および重篤度によって要約する。さらに、全ての重篤なAE(SAE)(死亡を含む)および中止につながった事象を、個別に記載し、要約する。DLAEは、治療用量レベル/コホートごとに記載し、要約する。全てのAEをMedDRAの最新版を使用してコード化し、MedDRAシステム器官クラスおよび基本語によって分類する。
【0498】
B.薬物動態分析およびエンドポイント
PK集団には、PKパラメーターを決定するための適当な評価を有する安全性集団の全ての参加者が含まれる。
【0499】
この研究のPKエンドポイントには、以下が含まれる:
・血清および脳脊髄液の抗体ALX濃度。
・血清の抗体ALX濃度またはPKパラメーターと安全性エンドポイントとの関係。PKパラメーターには、以下が含まれる:Cmax、最高濃度到達時間(Tmax)、時間0から時間tまでのAUC、時間0から無限大までのAUC、無限大まで外挿したAUCのパーセンテージ、時間0からτまでのAUC、消失速度定数、終末半減期(t1/2)、終末相における分布容積(Vs.)、およびクリアランス(CL)。
・血清の抗体ALX濃度、CSFの抗体ALX濃度、またはPKパラメーターと活性またはPDエンドポイントとの関係。
・SC投与した抗体ALXのバイオアベイラビリティ。
【0500】
個々および平均血漿抗体ALX濃度-時間データを、治療用量レベル/コホートごとに表にし、プロットする。抗体ALXの血清PKは、単回または複数回投与後に得られた結果に基づいて、該当する場合、AUC、Cmax、総血清CL、Vz、およびt1/2によって示される総曝露量の推定によって要約する。PKパラメーターの推定値を、記述統計(平均、標準偏差、最小値、最大値、幾何平均、および変動係数)によって表にし、要約する;用量比例性は、対数変換したCmaxおよび指定AUCパラメーターを対数変換した用量に関連付ける回帰(累乗)モデルを使用して調査する。個々およびCSFの平均抗体ALX濃度-時間データを、治療用量レベル/コホートごとに表にし、経時的にプロットする。SC投与した抗体ALXのバイオアベイラビリティを推定する。関連するPKパラメーターと用量、人口統計学、安全性(QT変化を含む)、およびPD測定値との潜在的な相関関係を調査する。これらの相関関係を特徴付けるための追加のモデリング(母集団PK分析を含む)を行う。
【0501】
C.薬力学的分析およびエンドポイント
PD集団には、ベースラインのPD評価および少なくとも1つの投与後のPD評価の両方を有する安全性集団の全ての参加者が含まれる。
【0502】
この研究のPDエンドポイントには、ベースラインと比較した、投与後の血漿およびCSF中のプログラニュリンレベルの変化が含まれる。
【0503】
PDエンドポイントは、治療用量レベル/コホートごとに説明し、要約する。
【0504】
D.バイオマーカー分析およびエンドポイント
バイオマーカー集団には、目的の特定のパラメーターについて解釈可能な結果を提供するために必要なベースラインおよび投与後の測定値を有する安全性集団の全ての参加者が含まれる。
【0505】
この研究のバイオマーカーエンドポイントには、以下が含まれる:
・ベースラインと比較した、投与後の血漿およびCSF中の神経炎症マーカー、および他の分析物のレベルの変化。
・ベースラインでのバイオマーカーと、安全性、PK、活性、免疫原性、または他のバイオマーカーエンドポイントとの関係。
【0506】
血液およびCSFサンプルにおいて評価するバイオマーカーには、NF-L、ならびに前頭側頭型認知症(FTD)または他の神経変性状態に関与する他の血液/CSFマーカーが含まれる。さらに、バイオマーカーには、血液から抽出したDNAにおいて行った全ゲノム配列決定によって同定された稀な遺伝的変異体が含まれる。
【0507】
実施例2:静脈内および皮下抗ソルチリン抗体ALXの安全性、忍容性、薬物動態学、薬力学、およびバイオアベイラビリティを評価するための健康なボランティアにおける第I相研究の結果
この実施例により、実施例1に記載の第I相研究の単回漸増用量(SAD)静脈内(IV)コホート1および2の結果を提供する。
【0508】
実施例1に詳細に記載したとおり、SAD IVコホート1の健康なボランティア(HV)には、単回静脈内用量の6mg/kgの抗体ALXを投与し、SAD IVコホート2のHVには、単回静脈内用量の15mg/kgの抗体ALXを投与した。
【0509】
表5は、プログラニュリン血漿レベルを決定した様々な時点での参加者の割り当ての概要を示す。
【0510】
【0511】
図2A~2Bは、コホート1の各被験者の研究1日目の指示時間における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図2Aは、抗体ALXを投与した被験者(n=8)についての血漿プログラニュリンレベルを示し、
図2Bは、プラセボを投与した被験者(n=3)についての血漿プログラニュリンレベルを示す。
図2Cは、コホート1のプラセボまたは抗体ALXを投与した被験者の研究の85日目までの指定日における血漿中の平均プログラニュリンレベルを示す。これらの結果は、抗体ALXを6mg/kgの用量で投与したことにより、ベースラインと比較して約2~約3倍の血漿プログラニュリンレベルの増加がもたらされ、抗体ALX投与約42日後に血漿プログラニュリンのレベルがベースラインレベルに戻ったことを示した。
【0512】
図3A~3Bは、コホート2の各被験者の研究1日目の指示時間における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図3Aは、抗体ALXを投与した被験者(n=6)についての血漿プログラニュリンレベルを示し、
図3Bは、プラセボを投与した被験者(n=2)についての血漿プログラニュリンレベルを示す。
図3Cは、コホート2のプラセボまたは抗体ALXを投与した被験者の研究の57日目までの指定日における血漿中の平均プログラニュリンレベルを示す。全体的に見れば、これらの結果は、抗体ALXを15mg/kgの用量で投与したことにより、ベースラインと比較して約2~約3倍の血漿プログラニュリンレベルの増加がもたらされ、研究の約57日後に血漿プログラニュリンのレベルがベースラインレベルに戻ったことを示した。
【0513】
図4は、コホート1および2の抗体ALXまたはプラセボを投与した被験者の研究の57日目(コホート2)または85日目(コホート1)までの指定日における血漿中のプログラニュリンレベルの比較を示す。
【0514】
図5Aは、コホート1および2のプラセボを投与した被験者のプラセボ投与後の指定日における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図5B~5Cは、コホート1(
図5B)およびコホート2(
図5C)の抗体ALXを投与した被験者の抗体ALX投与後の指定日における血漿中のプログラニュリンレベルを示す。
図5Dは、コホート1および2の抗体ALXまたはプラセボを投与した被験者のプラセボまたは抗体ALX投与後の指定日における血漿中のプログラニュリンレベルの比較を示す。
図5Dでは、コホート1および2のプラセボを投与した被験者をプールした。全体的に見れば、これらの結果は、抗体ALXを投与したことにより、ベースラインに対して約2~約3倍の血漿プログラニュリンレベルの増加がもたらされ、抗体ALX投与約42日後(コホート1)または約56日後(コホート2)に血漿プログラニュリンのレベルがベースラインレベルに戻ったことを示した。
【0515】
図6は、コホート1および2の抗体ALXまたはプラセボを投与した被験者の57日目までの指定研究日における、ベースラインと比較したCSF中のプログラニュリンレベルの平均パーセンテージ変化を示す。CSFプログラニュリンレベルは、研究約25日目に、コホート1の被験者(6mg/kg)ではベースラインから約18%増加し、コホート2の被験者(15mg/kg)ではベースラインから約80%増加した。抗体ALXを投与したコホート1および2の被験者のCSFプログラニュリンレベルは、研究約57日目まで上昇した。
【0516】
現在利用可能な安全性結果では、抗体ALXが最大30mg/kgの単回用量で良好な忍容性を示すと思われるものであることが実証されている。
【0517】
全体的に見れば、これらの実施例に記載の結果は、単回IV用量の抗体ALXを投与したことにより、血漿およびCSF中のプログラニュリンレベルの著しい上昇がもたらされ、この上昇が少なくとも6週間持続したことを示している。
【0518】
実施例3:パーキンソン病を有する患者における抗ソルチリン抗体ALXの安全性、忍容性、薬物動態学、および薬力学を評価する第IIa相研究
この実施例により、パーキンソン病(PD)を有する患者における選択バイオマーカーの安全性、忍容性、薬物動態学、および薬力学的応答を評価する抗ソルチリン抗体ALXの無作為化、プラセボ対照、用量漸増第IIa相研究を記載する。
【0519】
I.研究の目的
この研究の目的は、散発性(特発性)PDを有する患者、ならびにGBA1遺伝子に少なくとも1つの病原性突然変異を有するPD患者において抗体ALXの6か月間の低用量(15mg/kg)および高用量(30mg/kg)レジメンの主要なバイオマーカーに対する安全性、忍容性、および効果を評価することである。分析される主要なバイオマーカーには、プログラニュリン、GCアーゼ、およびαシヌクレインが含まれる。
【0520】
A.主要評価項目測定基準
この研究の主要評価項目測定基準には、研究期間にわたる各治療群における有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、および中止に至ったAEの数が含まれる。安全性および忍容性は、追加の安全性評価(例えば、臨床安全性検査、バイタルサイン、体重、心電図[ECG]パラメーターおよび身体検査)に基づいている。この研究のさらなる主要評価項目測定基準には、脳脊髄液(CSF)および血液ベースのバイオマーカー(例えば、プログラニュリン、GCアーゼ、およびαシヌクレイン)の変化が含まれる。CSFおよび血液ベースのバイオマーカーの変化は、ベースラインから治療終了(EOT)まで評価する。
【0521】
B.副次的評価項目測定基準
この研究の副次的評価項目測定基準には、運動障害疾患学会(Movement Disorder Society)(MDS)提唱の統一パーキンソン病評定尺度 (Unified Parkinson's Disease Rating Scale)(UPDRS)改訂版パートIII(MDS-UPDRS Part III)のスコア、およびUPDRS合計尺度によって評価される運動検査の変化が含まれる。モントリオール認知評価(MoCA)スコアによって評価される全体的な認知機能の変化も測定し得る。副次的評価項目測定基準は、ベースラインから治療終了(EOT)まで評価する。
【0522】
II.研究参加者
散発性PDを有する被験者またはGBA1遺伝子に少なくとも1つの病原性突然変異を有するPD患者の48名がこの研究に含まれる。
【0523】
A.選択基準
以下の基準を満たす被験者この研究がこの研究に含まれる:
・40歳以上80歳以下の成人男性および女性。
・散発性PDまたは少なくとも1つの病原性GBA1突然変異を有するPDの診断確定、およびホーン・ヤールの診断基準でステージI~IIIの間(両端含む)の確定。
【0524】
この研究の開始前に、PD薬、例えば、グルタミン酸拮抗薬、抗コリン薬、ドーパミン作動薬、レボドパ(L-DOPAおよびデカルボキシラーゼ[DDC]阻害剤)、モノアミンオキシダーゼB(MAO-B)阻害剤、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、β遮断薬、選択的セロトニン取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗鬱薬(TCA)、またはインドメタシンを服用している被験者は、この研究中に薬剤の服用を継続し得る。
【0525】
B.除外基準
以下の基準を満たす被験者はこの研究に含めない:
・現在の治療が、腰椎穿刺の安全な完了を妨げる可能性がある抗凝固薬(例えば、ワーファリン)によるものであること。
・抗体ALXまたはその賦形剤に対する過敏症の病歴が分かっていること。
・腎機能障害。
・活動性癌の診断(皮膚癌 扁平上皮癌を除く)。
・中等度/重度の肝障害。
・研究スクリーニングから6か月以内の主要心血管イベント(例えば、心筋梗塞、急性冠症候群、非代償性うっ血性心不全、肺塞栓、または冠動脈血行再建)。
【0526】
III.研究デザイン
この研究は、静脈内(IV)投与によって月1回投与した2つの用量レベルの抗体ALX(15mg/kgおよび30mg/kg)の無作為化、プラセボ対照、連続研究である。被験者は、PDの提示(presentation)(散発性またはGBA1遺伝子突然変異)によって層別化する。
【0527】
研究対象者は、3つの研究群に無作為化する:15mg/kgの用量での抗体ALX、n=16;30mg/kgの用量での抗体ALX、n=16;およびプラセボ、n=16。各治療群内での、抗体ALXとプラセボの無作為化比は2:1である。研究治療は、静脈内注入により施与する。抗体ALXまたはプラセボは、月1回(すなわち、28日ごとに1回)合計6回投与する。用量レベルおよび頻度は、本明細書に記載の通り、用量レベル、例えば、60mg/kgをなくしもしくは追加するために、および/または静脈内投与の頻度を変更するために(例えば、6週間ごと(q6w)もしくは8週間ごと(q8w))、および/または皮下投与による投与を含むように、変更し得る。プラセボは生理食塩水であり、盲検を確実にするために適当な手法を用いる。
【0528】
IV.バイオマーカーおよび標的エンゲージメント
上で論じたように、この研究の主要評価項目測定基準には、CSFおよび血液ベースのバイオマーカー(例えば、プログラニュリン、GCアーゼ、およびαシヌクレイン)の変化が含まれる。
【0529】
バイオマーカーの分析のために、血漿およびCSFサンプルを収集する。CSFおよび血液ベースのバイオマーカーの変化は、ベースラインから治療終了(EOT)まで評価する。
【0530】
抗体ALX治療後の血漿およびCSFのプログラニュリンレベルを、標的エンゲージメントのマーカーとして測定する。
【0531】
抗体ALXのリソソーム薬力学的効果をモニタリングするために、CSFおよび血漿中のGCアーゼタンパク質、GCアーゼ活性、およびその基質lyso-Gb1ならびにグルコシルセラミドの変化を分析する。
【0532】
αシヌクレインおよびCSFプロテオームを使用して、疾病状態の変化を評価する。
【0533】
全てのアッセイを厳密に品質管理し、検証する。
【0534】
実施例4:カニクイザルにおける抗ソルチリン抗体ALXの研究
この実施例により、カニクイザルにおける抗ソルチリン抗体ALXの4週間の毒性学研究の結果を説明する。
【0535】
カニクイザルに、抗体ALXを、20、60、または200mg/kgの用量で週1回4週間、合計5回静脈内投与した。研究には、6週間の回復期間も含まれている。
【0536】
図7A~7Bは、研究1日目、8日目および15日目(
図7A)または22日目および29日目(
図7B)における一用量の抗体ALXの投与後の指示時間(時間)における血清中の抗体ALXの平均濃度を示す。最大濃度(C
max)および時間0~168時間の曲線下面積(AUC
0-168)によって評価される曝露は、20~200mg/kg/回の用量レベルの増加とともに増加し、概して用量に比例した。22日目において、男女混合での平均C
maxおよびAUC
0-168は、20mg/kg用量群では、それぞれ、855μg/mLおよび70600μg
*h/mLであり;60mg/kg用量群では、それぞれ、2770μg/mLおよび248000μg
*h/mLであり;200mg/kg用量群では、それぞれ、7960μg/mLおよび744000μg
*h/mLであった。抗体ALXの蓄積は、サルにおける複数回投与後に観察された。男女混合での平均C
maxおよびAUC
0-168比率(22日目/1日目)は、用量全体で1.40~1.44および1.59~1.84の範囲であった。
【0537】
白血球(WBC)におけるソルチリン発現は、抗体ALXの週1回の投与後、一貫して下方調節され、20、60、および200mg/kgの用量レベル全体でソルチリンの下方調節に有意差は観察されなかった(
図8A)。
図8Bに示されるように、末梢血清プログラニュリンレベルは、ソルチリンの下方調節と同時に増加し、研究期間を通じてベースラインの3倍を超える上昇を維持した。CSFプログラニュリンレベルは、投与期の全てのサンプリング時点でベースラインの2~3倍を超えていた(
図8C)。6週間の回復期の終わりに、200mg/kg群の4匹の動物のうち3匹において、血清およびCSFプログラニュリンレベルの両方が有意に上昇したままであり、長期持続性の薬力学的効果を示した(
図8B~8C)。
【0538】
この研究の結果はまた、カニクイザルにおいて最大200mg/kgの用量で週1回投与した抗体ALXが良好な忍容性を示すことも示した。トキシコキネティクス分析の結果、抗体ALX処置動物では治療期間中曝露が維持され、研究中に抗体ALX関連の有害な所見は認められなかったことが示された。カニクイザルでの無毒性量(no-observed-adverse-effect level)(NOAEL)は、200mg/kgであった。
【0539】
抗体ALXを最大300mg/kgの用量で4週間投与したRccHan:WISTラットにおけるさらなる毒性研究は、抗体ALXが良好な忍容性を示すことを示した。トキシコキネティクス分析の結果、抗体ALX処置動物では治療期間中曝露が維持され、抗体ALX関連の有害な所見は認められなかったことが示された。ラットでの無毒性量(NOAEL)は、300mg/kgであった。
【0540】
実施例5:静脈内および皮下抗ソルチリン抗体ALXの安全性、忍容性、薬物動態学、薬力学、およびバイオアベイラビリティを評価するための健康なボランティアにおける第I相研究の結果
この実施例により、実施例1に記載の第I相研究の単回漸増用量(SAD)静脈内(IV)コホート1~4および単回用量600mg皮下(SC)コホートの追加の結果を提供する。
【0541】
実施例1に詳細に説明したとおり、追加の単回用量(SD)皮下コホートのHVには、抗体ALXを600mgの固定用量で投与した。この用量は、この研究で許可されている最低体重(45kg)での最大用量レベル13.3mg/kgに相当する。このコホートは、安全性検討委員会によって15mg/kg IV用量レベルが一般に安全で忍容可能であることが決定された後に登録した。
【0542】
図9は、研究中の様々な時点における登録集団の参加者の性質の概要を示している。研究に登録された合計55名の参加者のうち、54名の参加者(92.8%)が薬物治療を完了し、43名の参加者(78.2%)が研究を完了した。表6に示されるように、ベースラインの人口統計および特性は群全体で類似していた。全群にわたって、大部分の参加者は、白人または黒人であり、大多数はヒスパニック系やラテン系ではなかった。
【0543】
【0544】
表7に示されるように、ほとんどの有害事象(AE)は、重篤度が軽度から中等度であると考えられ、最も頻度の高いAEは、頭痛(25.6%)、貧血(9.3%)、および処置による疼痛(9.3%)であった。1名の被験者は、研究治療に関連していると考えられる注入反応(60mg/kg IV群)の重篤な事象の一例を示したため、注入直後に治験薬を中止したが、その日のうちに回復した。別の被験者は、インフルエンザAの重篤な有害事象の一例を示した(プラセボ群)が、これは、研究治療とは無関係であると考えられた。最後の被験者(30mg/kg群)は、糸球体ろ過速度の著しい低下とクレアチニンの上昇を同時に示したが、どちらも重篤ではなく、研究治療とは無関係であると考えられた。
【0545】
【0546】
図10A~10Bは、SAD IV用量または単回皮下用量のALXの投与後の各コホートにおける血清および脳脊髄液(CSF)の平均ALX濃度を示す。
図10Aは、血清の平均ALX濃度が、SAD IV用量のALXの投与後に用量依存的に増加し、600mgのALXの単回SC投与後最大30日間検出されたことを示す。
図10Bは、CSF濃度が、SAD IV用量のALXの投与後に用量依存的に増加し、600mgのALXの単回SC投与後最大17日間検出されたことを示す。血清の平均ALX濃度およびCSFの平均ALX濃度は両方とも、60mg/kgの単回IV投与後84日目まで検出された(
図10A~10B)。
【0547】
表8は、コホート1~4およびSD SCコホートについてのALXの血清の平均薬物動態(PK)パラメーターの概要を示している。表8に示されるように、血清の平均分配係数は0.0015~0.0007の範囲であった。
【0548】
【0549】
AUCinf、時間0から無限大まで外挿した濃度-時間曲線下面積;CL、全身クリアランス;Cmax、観察された最大濃度;CSF、脳脊髄液;IV、静脈内;NE、評価不能;PC、分配係数;PK、薬物動態;SC、皮下;t1/2=最終消失半減期;tmax=観察された最大濃度の時間。a=CSF ALXサンプルを収集しなかったため、PCを計算することができなかった。b=CSFサンプルが定量限界を下回っていたため、PCを計算することができなかった。
【0550】
図11A~11Bは、指定研究日における各コホートの血漿およびCSFのプログラニュリン濃度のベースラインからのパーセンテージ変化を示す。SAD IV用量のALXは、末梢(
図11A)および脳(
図11B)のプログラニュリン(PGRN)レベルを増加させ、増加期間に対する用量依存的な影響をもたらした。
図11Aは、ALXにより誘発された血漿PGRNレベルの増加が、IV用量レベルの増加とともに延長されたことを示す。600mgのALXのSC投与により血漿PGRNの安定した増加が起こり、これが、投与後29日まで持続した。
図11Bは、CSF PGRNに同時に起きた増加を示し、これは、投与後24日まで持続した。
【0551】
全体的に見れば、これらの実施例で記載した結果は、ALXが単回用量のIVまたはSC投与に関して安全で良好な忍容性を示すことが見出されたことを示す。これらの結果は、CSF ALX濃度によって証明されるように、ALX曝露が用量に比例して増加し、中枢神経系に分布していることを示した。これらの結果は、ALXがCSF中のPGRNレベルの強力なモジュレーターであり、慢性状態におけるIVおよびSC ALXの発生を裏付けるPK/薬力学(PD)プロファイルを有することを実証している。
【0552】
【配列表】
【国際調査報告】