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  • 特表-ドライシャンプー組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ドライシャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20231214BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231214BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/73
A61K8/34
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534052
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2021083701
(87)【国際公開番号】W WO2022117613
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】20211529.1
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グレン フェアホフニク
(72)【発明者】
【氏名】ポーリーヌ レデリー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC062
4C083AC072
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC212
4C083AC342
4C083AC552
4C083AC692
4C083AC761
4C083AC762
4C083AC852
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB06
4C083BB07
4C083BB41
4C083BB49
4C083BB53
4C083CC38
4C083DD08
4C083EE21
4C083FF05
4C083KK02
(57)【要約】
本発明は、プロ香料化合物を含む香料組成物とドライシャンプー活性材料とを含むドライシャンプー組成物、該ドライシャンプー組成物を含むドライシャンプー物品、ならびに香料組成物のフレグランス強度を付与、改善、増強、修正または延長するための方法およびその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- プロ香料化合物を含む香料組成物と、
- ドライシャンプー活性材料と、
- 必要に応じて、担体材料と
を含む、ドライシャンプー組成物。
【請求項2】
前記プロ香料化合物が、酸素および/または水に感受性のプロ香料化合物である、請求項1記載のドライシャンプー組成物。
【請求項3】
前記プロ香料化合物が、式
【化1】
[式中、
a)wは、1~10000の整数を表し、
b)nは、1または0を表し、
c)mは、1~6の整数を表し、
d)Pは、水素原子または臭気のあるα,β-不飽和ケトン、アルデヒドもしくはカルボン酸エステルを発生させやすい基を表し、式
【化2】
[式中、波線は、前記PとXとの間の結合の位置を示し、
は、水素原子、C~Cアルコキシル基、またはC~C15直鎖状、環状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基もしくはアルカジエニル基であって、1~4個のC~Cアルキル基で必要に応じて置換された基を表し、
、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、芳香環、またはC~C15直鎖状、環状もしくは分岐状のアルキル、アルケニルもしくはアルカジエニル基であって、C~Cアルキル基で場合により置換された基を表すか、または基R~Rの2つもしくは3つが一緒に結合して、5~20個の炭素原子を有し、かつ前記R、R、RもしくはR基が結合している炭素原子を含む飽和もしくは不飽和環を形成し、この環は、場合によりC~C直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基で置換されており、ただし、P基の少なくとも1つが、上記にて定義した式(II)のものである]で表され、
e)Xは、互いに独立して、式i)~xiv)
【化3】
[式中、波線は、先に定義したとおりであり、太線は、前記XとGとの間の結合の位置を示し、Rは、水素原子、C~C22、飽和または不飽和のアルキル基またはアリール基であって、C~Cアルキル基またはアルコキシル基またはハロゲン原子で場合により置換された基を表し、ただし、Pが水素原子を表すときにXは存在しなくてもよい]からなる群より選択される官能基を表し、
f)Gは、1~22個の炭素原子を有する環状、直鎖状、脂環式または分岐状のアルキル、環状、直鎖状または分岐状のアルケニル、フェニル、アルキルフェニルまたはアルケニルフェニル炭化水素基から誘導される多価基(m+1価)を表し、前記炭化水素基は、場合により置換されており、ハロゲン、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、チオール、チオエーテル、アミン、第四級アミンおよびアミドからなる群より選択される1~10個の官能基を含み、
g)Qは、水素原子を表すか(この場合、w=1およびn=1)、またはポリ(アルキルイミン)、ポリペプチド(例えば、ポリリジン)、もしくはセルロース、シクロデキストリンおよびデンプンからなる群より選択される多糖類からなる群より選択されるポリマーもしくはコポリマー、またはカチオン性第四級化ケイ素ポリマー、またはさらに式A)~C)
【化4】
[式中、斜線は、前記モノマー単位とGとの間の結合の位置を示し、
Yは、酸素原子もしくは硫黄原子またはNR基を表し、
o、p、q、r、s、t、uおよびvはいずれも互いに独立して0~1の分数を表し、o+p+q=1、r+s=1およびt+u+v=1であり、ただし、oまたはp、ならびにrおよびtのいずれかは0に等しくなく、
は、水素原子または天然もしくは非天然アミノ酸からの側鎖、例えばグリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、スレオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシンもしくはトリプトファンを表し、
は、同時にもしくは独立して、水素原子またはC~C16炭化水素基を表し、
は、同時にもしくは互いに独立して、
- 水素原子もしくはハロゲン化物原子、
- 酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を必要に応じて含むC~C炭化水素基、
- 式COORのカルボキシル基であって、Rは、水素原子、1~30個の酸素原子を必要に応じて含むC~C60アルキル基もしくはアルケニル基、
- OR基もしくはCOR基、または
- 窒素原子によって連結されたピロリドン単位を表し、
Mは、水素原子、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを表す]からなる群より選択されるモノマー単位から誘導されるポリマーもしくはランダムコポリマーを表す]
の化合物である、請求項1または2記載のドライシャンプー組成物。
【請求項4】
前記プロ香料化合物が、式a)~d)
【化5】
[式中、Rは、C~C20アルキル基またはアルケニル基、好ましくはC~C16アルキル基またはアルケニル基、より好ましくはC12アルキル基を表す]
からなる群より選択される化合物である、請求項1から3までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物。
【請求項5】
前記プロ香料化合物が、式
【化6】
[式中、二重斜線は、別の繰り返し単位への結合を示す]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む線状ポリシロキサンコポリマーである、請求項1から3までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物。
【請求項6】
前記ドライシャンプー活性材料が、皮脂または油の吸収性材料を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物。
【請求項7】
前記ドライシャンプー活性材料が、デンプン材料、好ましくは天然デンプン材料、加工デンプン材料、好ましくは化学的もしくは酵素的に加工されたデンプン材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物。
【請求項8】
前記ドライシャンプー活性材料が、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、米デンプン、小麦デンプン、キャッサバデンプンからなる群より選択される天然デンプン材料、オクテニルコハク酸アルミニウムデンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、オクテニルコハク酸カルシウムデンプン、リン酸二デンプン、リン酸ヒドロキシエチルデンプン、リン酸ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウムおよびデンプングリコール酸ナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される加工デンプン材料を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物。
【請求項9】
前記担体材料が溶媒であり、好ましくは前記担体材料がエタノールである、請求項1から8までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物。
【請求項10】
カチオン性、アニオン性、両性または非イオン性の界面活性剤、好ましくはカチオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1から9までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物。
【請求項11】
- 請求項1から10までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物と、
- 必要に応じて、推進剤と
を含む、ドライシャンプー物品。
【請求項12】
哺乳類の毛髪または毛髪を取り巻く空気中の香料組成物のフレグランス強度を、周囲条件下で、長期間にわたって、好ましくは18時間、好ましくは24時間、より好ましくは48時間の期間にわたって付与、改善、増強、修正または延長するための、請求項1から10までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物または請求項11記載のドライシャンプー物品の使用。
【請求項13】
哺乳類の毛髪または毛髪を取り巻く空気中の香料組成物のフレグランス強度を、周囲条件下で、長期間にわたって、好ましくは18時間、好ましくは24時間、より好ましくは48時間の期間にわたって付与、改善、増強、修正または延長するための方法であって、前記方法が、請求項1から10までのいずれか1項記載のドライシャンプー組成物または請求項11記載のドライシャンプー物品を前記哺乳類の毛髪に適用するステップを含む、方法。
【請求項14】
ドライシャンプー組成物またはドライシャンプー物品のフレグランス強度を付与、改善、増強、修正または延長するための、請求項2から5までのいずれか1項記載のプロ香料化合物の使用。
【請求項15】
ドライシャンプー組成物またはドライシャンプー物品のフレグランス強度を付与、改善、増強、修正または延長する方法であって、前記方法が、請求項2から5までのいずれか1項記載のプロ香料を前記ドライシャンプー組成物またはドライシャンプー物品に添加するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロ香料化合物を含む香料組成物とドライシャンプー活性材料とを含むドライシャンプー組成物、該ドライシャンプー組成物を含むドライシャンプー物品、ならびに香料組成物のフレグランス強度を付与、改善、増強、修正または延長するための方法およびその使用に関する。
【0002】
発明の背景
香料産業は、少なくとも1つの付香性成分の付香性効果を一定期間にわたって延長または増強することができる組成物または添加剤に特に関心を持っている。それ自体では揮発性が高すぎたり、持続性が乏しかったりするか、または最終用途の表面上に少量しか付着しない標準的な香料原料について、長持ちする特性を得ることが特に望ましい。さらに、香料成分の中には不安定なものがあり、こういった香料成分をその使用前のゆっくりとした分解から保護する必要がある。長持ちする香料は、例えば、活性物質、特に香料、または付香性組成物の効果を適用後に一定期間にわたって発揮できるようにすることが常に求められる様々な用途、例えば、毛髪の洗浄などに望ましい。実際、この種類の用途に特に適している多くの活性物質は、毛髪に対する粘着性がない、または毛髪に残らないことが知られており、その結果、その付香性効果は短時間しか生じず、あまり強くは感じられない。香料産業におけるこの種類の用途の重要性を考慮して、特に前述の問題に対する新しい、より効果的な解決手段を見つけることを目的として、この分野の研究が継続的に行われてきた。
【0003】
驚くべきことに、本発明によるドライシャンプー組成物が、上述の問題を解決し、ドライシャンプー組成物中に含まれるプロ香料化合物からフレグランス化合物(香料原料)を効率的に放出できることが見出された。特に、驚くべきことに、ドライシャンプー組成物は、毛髪に適用された場合に、フレグランス化合物のより効率的かつ持続的な放出をもたらすことが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明によるドライシャンプー組成物と、本発明によらないドライシャンプー組成物との、毛髪への適用から24時間後および48時間後のフレグランスの強度の比較を示す図である。
【0005】
発明の詳細な説明
本発明は、
- プロ香料化合物を含む香料組成物と、
- ドライシャンプー活性材料と、
- 必要に応じて、担体材料と
を含む、ドライシャンプー組成物に関する。
【0006】
ドライシャンプー組成物は、その適用後に水ですすぐ必要がなく、毛髪を洗浄するのに有効な組成物として理解される。ドライシャンプー組成物を毛髪に適用し、次いで、必要に応じて、指または毛髪用具、例えばクシもしくはブラシで毛髪をブラッシングして、クレンジング効果に影響を与えることができる。ドライシャンプー組成物とは対照的に、ウェットシャンプー組成物は、濡れた毛髪に適用され、泡立てられ、次いで、水を加えてすすがれると理解される。ドライシャンプー組成物を使用する場合、水によるすすぎは不要である。
【0007】
本発明によるドライシャンプー組成物は、香料組成物を含む。
【0008】
本明細書に記載される香料組成物は、例えば消費者製品に快楽的効果を付与することができる組成物である。言い換えれば、香料組成物であると見なされる組成物は、単に香りを付与するものとしてではなく、肯定的にまたは心地良く嗅覚知覚を付与または修正することができるものとして、香料の当業者によって認識されなければならない。
【0009】
香料組成物は、少なくとも1つの付香性成分または付香性成分の混合物を含む。付香性成分は、本発明によるプロ香料化合物ではない。付香性成分は、快楽的効果を付与するために付香性調製物または組成物に使用される化合物である。言い換えれば、そのような付香性成分は、付香性成分であると見なされるためには、単に香りを有するだけでなく、組成物の香りを肯定的にまたは心地良く付与または修正することができるものとして、当業者によって認識されなければならない。
【0010】
付香性成分の性質および種類は、ここでより詳細な説明を保証するものではなく、いずれにせよ網羅的ではなく、当業者はその一般的な知識に基づいて、意図した用途または適用および所望の感覚刺激効果に従ってそれらを選択することができる。一般論として、これらの付香性成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン系炭化水素、含窒素または含硫複素環式化合物および精油などの様々な化学クラスに属し、付香性成分は天然由来または合成製造由来であり得る。特に、香料配合物において一般的に使用される付香性成分を以下に挙げることができ、例えば、
- アルデヒド系成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデセナール、オクタナール、ノナナールおよび/またはノネナール;
- 芳香-ハーブ系成分:ユーカリ油、カンファー、ユーカリプトール、5-メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン-4-オン、1-メトキシ-3-ヘキサンチオール、2-エチル-4,4-ジメチル-1,3-オキサチアン、2,2,7/8,9/10-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-オン、メントールおよび/またはα-ピネン;
- バルサム系成分:クマリン、エチルバニリンおよび/またはバニリン;
- シトラス系成分:ジヒドロミルセノール、シトラール、オレンジ油、酢酸リナリル、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-p-メンテン-8-イルアセテートおよび/または1,4(8)-p-メンタジエン;
- フローラル系成分:ジヒドロジャスモン酸メチル、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、β-イオノン、2-(メチルアミノ)安息香酸メチル、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、(1E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-1-ペンテン-3-オン、1-(2,6,6-トリメチル-1,3-シクロヘキサジエン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-[2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、2,5-ジメチル-2-インダンメタノール、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシレート、3-(4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)プロパナール、サリチル酸ヘキシル、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、酢酸ベルジル、ゲラニオール、p-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、サリチル酸アミル、高シスジヒドロジャスモン酸メチル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、プロピオン酸ベルジル、酢酸ゲラニル、テトラヒドロリナロール、シス-7-p-メンタノール、(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパン酸プロピル、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナミックアルデヒド、8-デセン-5-オリド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、ベルジルイソブチレートおよび/またはメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー系成分:γ-ウンデカラクトン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、4-デカノリド、2-メチルペンタン酸エチル、酢酸ヘキシル、2-メチルブタン酸エチル、γ-ノナラクトン、ヘプタン酸アリル、2-フェノキシエチルイソブチレート、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-酢酸エチル、3-(3,3/1,1-ジメチル-5-インダニル)プロパナール、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、3-メチル-2-ヘキセン-1-イルアセテート、1-[3,3-ジメチルシクロヘキシル]エチル[3-エチル-2-オキシラニル]アセテートおよび/または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル;
- グリーン系成分:2-メチル-3-ヘキサノン(E)-オキシム、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、酢酸スチラリル、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オールおよび/または1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク系成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、(Z)-4-シクロペンタデセン-1-オン、3-メチルシクロペンタデカノン、1-オキサ-12-シクロヘキサデセン-2-オン、1-オキサ-13-シクロヘキサデセン-2-オン、(9Z)-9-シクロヘプタデセン-1-オン、2-(1S)-1-[(1R)-3,3-ジメチルシクロヘキシル]エトキシ}-2-オキソエチルプロピオネート、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-g-2-ベンゾピラン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、オキサシクロヘキサデカン-2-オンおよび/または(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッデイ系成分:1-[(1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル]-3-ヘキサノール、3,3-ジメチル-5-[(1R)-2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル]-4-ペンテン-2-オール、3,4’-ジメチルスピロ[オキシラン-2,9’-トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ[4]エン、(1-エトキシエトキシ)シクロドデカン、2,2,9,11-テトラメチルスピロ[5.5]ウンデカ-8-エン-1-イルアセテート、1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチュリー油、パチュリー油のテルペン画分、clearwood(登録商標)、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オンおよび/またはイソボルニルアセテート;
- 他の成分(例えば、アンバー、パウダリースパイシーまたはウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フランおよびその立体異性体のいずれか、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、ケイ皮アルデヒド、チョウジ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロ-2-ナフタレノール、1-フェニルビニルアセテート、6-メチル-7-オキサ-1-チア-4-アザスピロ[4.4]ノナンおよび/または3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール
である。
【0011】
香料組成物は、上述の付香性成分に限定されなくてもよく、これらの成分の他の多くは、S. Arctander著の書物であるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、またはその最新版、または同様の類の他の著作物などの参照テキスト、ならびに香料の分野における豊富な特許文献にいずれにせよリストアップされている。
【0012】
香料組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。香料に一般的に使用される溶媒の性質および種類の詳細な説明を網羅することはできない。しかしながら、非限定的な例として、ブチレンまたはプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコールおよびそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、クエン酸トリエチル、エタノール、水/エタノール混合物、リモネンまたは他のテルペン、イソパラフィン、例えば商品名Isopar(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)で知られているもの、またはグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステル、例えば商品名Dowanol(登録商標)(製造元:Dow Chemical Company)で知られているもの、または水添ヒマシ油、例えば商品名Cremophor(登録商標)RH40(製造元:BASF)で知られているものなどの溶媒、またはそれらの混合物を挙げることができ、これらが最も一般的に使用されている。
【0013】
香料組成物は、アジュバントをさらに含んでもよい。「香料アジュバント」とは、ここでは、色、特定の耐光性、化学的安定性などのような追加の付加的な利益を付与することができる成分を意味する。付香性組成物に一般的に使用されるアジュバントの性質および種類の詳細な説明を網羅することはできないが、前述の成分が当業者に周知であることは言及する必要がある。具体的な非限定的な例として、以下のものを挙げることができる:粘度剤(例えば、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤および/またはレオロジー調整剤)、安定化剤(例えば、保存剤、抗酸化剤、熱/光および/または緩衝剤またはキレート剤、例えばBHT)、着色剤(例えば、染料および/または顔料)、保存剤(例えば、抗菌剤または殺菌剤または抗真菌剤または抗刺激剤など)、研磨剤、皮膚冷却剤、固定剤、防虫剤、軟膏、ビタミンおよびそれらの混合物。
【0014】
香料組成物は、少なくとも固体担体をさらに含んでもよい。固体担体は、付香性組成物または付香性組成物のいくつかの要素が化学的または物理的に結合することができる材料を指定することを意味する。一般に、そのような固体担体は、組成物を安定化させるか、組成物またはいくつかの成分の蒸発速度を制御するために用いられる。固体担体は、当該技術分野において現在使用されており、当業者は、所望の効果に到達する方法を知っている。しかしながら、固体担体の非限定的な例として、吸収性ガムまたはポリマーまたは無機材料、例えば多孔性ポリマー、シクロデキストリン、木材ベースの材料、有機または無機ゲル、粘土、石膏タルクまたはゼオライトを挙げることができる。
【0015】
固体担体の他の非限定的な例として、カプセル化材料を挙げることができる。そのような材料の例は、壁形成材料および可塑化材料、例えば単糖、二糖もしくは三糖、天然もしくは加工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、タンパク質もしくはペクチン、またはさらにH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr’s Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996などの参考文献に挙げられている材料を含むことができる。カプセル化は、当業者に周知のプロセスであり、例えば、噴霧乾燥、凝集もしくはさらに押出しなどの技術を使用することによって行うことができるか、またはコアセルベーションおよび複合コアセルベーション技術を含むコーティングカプセル化からなる。
【0016】
固体担体の非限定的な例として、特に、重合によって誘導される相分離プロセス、界面重合、コアセルベーションまたは全体(前述のすべての技術は先行技術に記載されている)のような技術を使用して、アミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレアまたはポリウレタンタイプの樹脂またはそれらの混合物(前述の樹脂はすべて当業者に周知である)を有するコアシェルカプセルを、必要に応じて、ポリマー安定化剤またはカチオン性コポリマーの存在下で挙げることができる。
【0017】
樹脂は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸またはグリコールアルデヒドおよびそれらの混合物)とアミン、例えば尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾールなど、ならびにそれらの混合物との重縮合によって生成することができる。代替的に、予め形成された樹脂アルキロール化ポリアミン、例えば商品名Urac(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)またはLuracoll(登録商標)(製造元:BASF)で市販されているものを使用することもできる。
【0018】
他の樹脂は、グリセロールのようなポリオールと、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートの三量体またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットまたはキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの三量体(Takenate(登録商標)という商品名で知られている、製造元:三井化学)のようなポリイソシアネートとの重縮合によって生成されるものであり、中でもキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの三量体およびヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットが好ましい。
【0019】
アミノ樹脂、すなわちメラミンベースの樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関連するいくつかの独創性に富んだ文献には、K. Dietrich et al. Acta Polymerica, 1989, vol. 40, pages 243, 325および683ならびに1990, vol. 41, page 91などの論文が含まれる。そのような論文は、特許文献にもさらに詳しく例示されている先行技術の方法に従って、そのようなコアシェルマイクロカプセルの調製に影響を与える様々なパラメーターを既に記載している。Wiggins Teape Group Limitedの米国特許第4,396,670号明細書は、後者の適切な初期の例である。それ以来、他の多くの著者がこの分野の文献を充実させており、出版されたすべての開発内容をここで網羅することは不可能であるが、カプセル化技術における一般的な知識は非常に重要である。そのようなマイクロカプセルの適切な使用を開示する、より最近の関連性のある出版物は、例えば、K. Bruyninckx and M. Dusselier, ACS Sustainable Chemistry & Engineering, 2019, vol. 7, pages 8041-8054によって代表される。
【0020】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、香料組成物を0.001重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、好ましくは0.05重量%~2.5重量%、好ましくは0.07重量%~1.5重量%、好ましくは0.1重量%~0.5重量%の量で含む。
【0021】
本発明によるドライシャンプー組成物の香料組成物は、プロ香料化合物を含む。
【0022】
本明細書で使用されるプロ香料化合物またはプロフレグランス化合物は、それぞれ、PRM(香料原料)とも呼ばれる香料化合物を共有結合を介して適切な基材に結合させて不揮発性の香料コンジュゲートを形成する構造体を指す。本明細書で使用される不揮発性の香料コンジュゲートは、プロ香料化合物が香料コンジュゲートであり、これは香料化合物として揮発性が低いか、または周囲条件下でさえ揮発性でないと理解される。言い換えれば、プロフレグランス化合物は、化学結合/複数の化学結合の開裂時に、1つ、2つ、または3つの香料原料を放出することができる化合物である。
【0023】
このコンジュゲートは、外部刺激によるトリガー時に、香料化合物、特に嗅覚PRM化合物の放出を提供する。外部刺激は、水分との接触および/または光への曝露および/または温度上昇および/または酸化環境であってよい。
【0024】
香料組成物は、光への曝露時にPRMを放出するプロ香料化合物を含んでもよい。
【0025】
付香性組成物は、空気/酸素への曝露時にPRMを放出するプロ香料化合物を含んでもよい。それによって、PRMは、空気(周囲空気)または酸素、好ましくは周囲空気の存在下での酸化によって、そのようなプロ香料から放出され得ると理解される。明確にするために、「周囲空気」という表現、または同様の表現によって、当業者によって理解される通常の意味、すなわち、酸化は室温で、空気および大気圧下で起こることを意味する。言い換えれば、化合物が酸化される環境は空気である。これにより、プロ香料は周囲空気で酸化されることが理解される。特に、プロ香料は、酸化されるのに必ずしも純粋な酸素環境、熱または触媒を必要としないことが理解される。
【0026】
本発明による付香性組成物は、水分への曝露時にPRMを放出するプロ香料化合物を含んでもよい。そのようなプロ香料は、水によって誘発される切断を受けやすい化学結合を示すことがあり、したがって、水の存在下で開裂されることがある。
【0027】
特定の実施形態では、空気/酸素および/または水分による曝露時にPRMを放出するプロ香料化合物、好ましくは、プロ香料化合物は、空気/酸素による曝露時にPRMを放出する。
【0028】
プロ香料化合物は、香料化合物のα,β-不飽和ケトンの二重結合と反応するアミン、アルコール、カルボン酸およびチオールのマイケル型1,4-付加に基づくことができる。この香料化合物は、フレグランス放出の動態に一定の制御を提供し、逐次放出による感覚効果を誘発する。特に、酸素は、香料化合物の放出のための外部刺激として使用される。
【0029】
特定の実施形態では、プロ香料化合物は、式
【化1】
[式中、
a)wは、1~10000の整数を表し、
b)nは、1または0を表し、
c)mは、1~6の整数を表し、
d)Pは、水素原子または臭気のあるα,β-不飽和ケトン、アルデヒドもしくはカルボン酸エステルを発生させやすい基を表し、式
【化2】
[式中、波線は、前述のPとXとの間の結合の位置を示し、
は、水素原子、C~Cアルコキシル基、またはC~C15直鎖状、環状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基もしくはアルカジエニル基であって、1~4個のC~Cアルキル基で必要に応じて置換された基を表し、
、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、芳香環、またはC~C15直鎖状、環状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基もしくはアルカジエニル基であって、C~Cアルキル基で場合により置換された基を表すか、または基R~Rの2つもしくは3つが一緒に結合して、5~20個の炭素原子を有し、かつ前述のR、R、RもしくはR基が結合している炭素原子を含む飽和もしくは不飽和環を形成し、この環は、C~C直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基で場合により置換されており、ただし、P基の少なくとも1つが、上記にて定義した式(II)のものである]で表され、
e)Xは、互いに独立して、式i)~xiv)
【化3】
[式中、波線は、先に定義したとおりであり、太線は、前述のXとGとの間の結合の位置を示し、Rは、水素原子、C~C22、飽和または不飽和のアルキル基またはアリール基であって、C~Cアルキル基またはアルコキシル基またはハロゲン原子で場合により置換された基を表し、ただし、Pが水素原子を表すときにXは存在しなくてもよい]からなる群より選択される官能基を表し、
f)Gは、1~22個の炭素原子を有する環状、直鎖状、脂環式または分岐状のアルキル、環状、直鎖状、脂環式または分岐状のアルケニル、フェニル、アルキルフェニルまたはアルケニルフェニル炭化水素基から誘導される多価基(m+1価)を表し、前述の炭化水素基は、場合により置換されており、ハロゲン、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、チオール、チオエーテル、アミン、第四級アミンおよびアミドからなる群より選択される1~10個の官能基を含み、
g)Qは、水素原子を表すか(この場合、w=1およびn=1)、またはポリ(アルキルイミン)、ポリペプチド(例えば、ポリリジン)、もしくはセルロース、シクロデキストリンおよびデンプンからなる群より選択される多糖類からなる群より選択されるポリマーもしくはコポリマー、またはカチオン性第四級化ケイ素ポリマー、またはさらに式A-1)、A-2)、A-3)、B-1)、B-2)、C-1)、C-2)、およびC-3)
【化4】
[式中、斜線は、前述のモノマー単位とGとの間の結合の位置を示し、
Yは、酸素原子もしくは硫黄原子またはNR基を表し、
o、p、q、r、s、t、uおよびvはいずれも互いに独立して0~1の分数を表し、o+p+q=1、r+s=1およびt+u+v=1であり、ただし、oまたはp、ならびにrおよびtのいずれかは0に等しくなく、
は、水素原子または天然もしくは非天然アミノ酸からの側鎖、例えばグリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、スレオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、バリン、チロシンもしくはトリプトファンを表し、
は、同時にもしくは独立して、水素原子またはC~C16炭化水素基を表し、
は、同時にもしくは互いに独立して、
- 水素原子もしくはハロゲン化物原子、
- 酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を必要に応じて含むC~C炭化水素基、
- 式COORのカルボキシル基であって、Rは、水素原子、1~30個の酸素原子を必要に応じて含むC~C60アルキル基もしくはアルケニル基、
- OR基もしくはCOR基、または
- 窒素原子によって連結されたピロリドン単位を表し、
Mは、水素原子、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを表す]からなる群より選択されるモノマー単位から誘導されるポリマーもしくはランダムコポリマーを表す]
の化合物である。
【0030】
特定の実施形態では、Xは、式ii)、iii)、viii)、ix)およびxiv)からなる群より選択される官能基を表す。特定の実施形態では、Xは、式ii)の官能基を表す。
【0031】
Pの定義で使用される表現である「臭気のあるα,β-不飽和ケトン、アルデヒドまたはカルボン酸エステル」とは、当業者によって付香性成分として香料に使用されると認識されるα,β-不飽和ケトン、アルデヒドまたはカルボン酸エステルと理解される。一般に、前述の臭気のあるα,β-不飽和ケトン、アルデヒドまたはカルボン酸エステルは、8~20個の炭素原子、またはさらに好ましくは10~15個の炭素原子を有する化合物である。
【0032】
同様に、本明細書で定義した本発明の化合物の合成に使用することができ、その後に放出され得る、現在知られている臭気性化合物の網羅的なリストを提供することは不可能である。しかしながら、好ましい例として以下のものを挙げることができる:α-ダマスコン、β-ダマスコン、γ-ダマスコン、δ-ダマスコン、α-イオノン、β-イオノン、γ-イオノン、δ-イオノン、β-ダマセノン、1-[6-エチル-2,6-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オン、2-メチル-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン、3-メチル-5-プロピル-2-シクロヘキセン-1-オン、2-メチル-5-(1-プロペン-2-イル)-2-シクロヘキセン-1-オン、2,5-ジメチル-5-フェニル-1-ヘキセン-3-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエナール、8-メチル-α-イオノンまたは10-メチル-α-イオノン、2-オクテナール、1-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキシル)ブタ-2-エン-1-オン、4-(2,2,3,6-テトラメチルシクロヘキシル)ブタ-3-エン-2-オン、2-シクロペンタデセン-1-オン、4,4a-ジメチル-6-(1-プロペン-2-イル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-2(3H)-ナフタレノン、(E)-3-フェニルプロパ-2-エナール(シンナミックアルデヒド)、2,6,6-トリメチルスピロ[ビシクロ[3.1.1]ヘプタン-3,1’-シクロヘキサン]-2’-エン-4’-オン、2,4-デカジエン酸エチル、2-オクテン酸エチル、2-ノネン酸メチル、2,4-ウンデカジエン酸エチル、4-メチルペンタ-3-エン-2-オン、オクタ-2-エン-4-オン、および5,9-ジメチル-2,4,8-デカトリエン酸メチル。
【0033】
特定の実施形態では、Pは、その異性体のいずれか1つの形態で、式(P-1)~(P-14):
【化5】
[式中、波線は、上記に示した意味を有し、点線は、単結合または二重結合を表し、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、水素原子、ヒドロキシル基またはメトキシ基またはC~C直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、Rは、水素原子またはC~C直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す]
からなる群より選択される基を表す。
【0034】
特定の実施形態では、Pは、式
【化6】
[式中、波線は、上記に示した意味を有し、点線は、単結合または二重結合を表し、Rは、水素原子またはメチル基である]
からなる群より選択される基を表す。
【0035】
特定の実施形態では、Pは、上記で定義した式(P-1)、(P-2)、(P-1)’、(P-2)’、(P-3)、(P-7)、(P-13)、(P-14)または(P-14)’からなる群から選択される基を表す。好ましくは、Pは、上記で定義した式(P-1)、(P-1)’、(P-2)、(P-2)’、(P-3)または(P-14)’からなる群から選択される基を表す。
【0036】
特定の実施形態では、Gは、1~22個の炭素原子を有する二価の環状、直鎖状、脂環式もしくは分岐状のアルキル、アルケニル、アルカンジエニルまたはアルキルベンゼン炭化水素基を表してもよく、前述の炭化水素基は、場合により置換されており、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、チオール、チオエーテル、アミン、第四級アミンおよびアミドからなる群より選択される1~10個の官能基を含む。
【0037】
特定の実施形態では、Gは、1~22個の炭素原子を有する二価の直鎖状もしくは分岐状のアルキルまたはアルケニル炭化水素基を表してもよく、前述の炭化水素基は、場合により置換されており、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、チオール、チオエーテル、アミン、第四級アミンおよびアミドからなる群より選択される1~5個の官能基を含む。
【0038】
特定の実施形態では、Gは、2~15個の炭素原子を有する二価の直鎖状もしくは分岐状のアルキルまたはアルケニル炭化水素基を表してもよく、前述の炭化水素基は、場合により置換されており、エーテルおよびエステルからなる群より選択される1~2個の官能基を含む。
【0039】
特定の実施形態では、Gは、3~15個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルキルまたはアルケニル炭化水素基を表してもよく、前述の炭化水素基は、場合により置換されており、1個のエステル官能基を含む。
【0040】
特定の実施形態では、Gは、3~14個の炭素原子を有する二価の直鎖状アルキルまたはアルケニル炭化水素基を表してもよい。
【0041】
特定の実施形態では、Qは、水素原子、または上記で定義した式B-1の少なくとも1つの繰り返し単位を含むコポリマーを表してもよい。
【0042】
特定の実施形態では、Qは、水素原子、または式B-1の少なくとも1つの繰り返し単位と式B-2の少なくとも1つの繰り返し単位とを含むコポリマーを表してもよい。
【0043】
特定の実施形態では、Rは、同時にまたは独立して、水素原子またはC1~3アルキル基を表してもよい。好ましくは、Rは、同時にまたは独立して、水素原子、またはメチル基もしくはエチル基を表してもよい。より好ましくは、Rは、同時にまたは独立して、水素原子またはメチル基を表してもよい。
【0044】
特定の実施形態では、プロ香料化合物は、上記のように式(I)によって定義され、式中、
- w=1;n=1;m=1であり、
- Pは、臭気のあるα,β-不飽和ケトン、アルデヒドを発生させやすい基を表し、式
【化7】
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、C~C10芳香族環、もしくはC~C15直鎖状、環状もしくは分岐状のアルキル基、アルケニル基もしくはアルカジエニル基であって、C~Cアルキル基で場合により置換された基を示すか、または基R~Rの2つまたは3つが一緒に結合して、5~20個の炭素原子を有し、かつ前述のR、R、RもしくはR基が結合している炭素原子を含む飽和または不飽和の環を形成し、この環は、C~C直鎖状、分岐状または環状のアルキルもしくはアルケニル基で場合により置換されている]
で表され、
- Xは、式ii)を表し、
- Gは、2~8個の炭素原子を有する環状、直鎖状もしくは分岐状のアルキル、アルケニル、フェニル、アルキルフェニルまたはアルケニルフェニル炭化水素基から誘導され、1個もしくは2個の酸素原子、硫黄原子および/または窒素原子を必要に応じて含む二価の基を表し、
- Qは、RがC~C16炭化水素基を表す式B-1)から誘導されるポリマーまたはランダムコポリマーを表す。
【0045】
特定の実施形態では、硫黄含有プロ香料化合物は、式(IV)
【化8】
[式中、
Pは、上記で定義したのと同じ意味を有し、
Gは、2~15個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキルまたはアルケニル基から誘導される二価の基であって、場合により-OR、-N(R、-COORおよびR基からなる群より選択される1個以上の基で置換されている基を表し、式中、Rは、水素原子またはC~Cアルキル基またはアルケニル基を表し、
Qは、水素原子を表す]
のものである。
【0046】
特定の実施形態では、プロ香料化合物は、式a)~d)
【化9】
[式中、Rは、C~C20アルキル基またはアルケニル基、好ましくはC~C16アルキル基またはアルケニル基、より好ましくはC12アルキル基を表す]
からなる群より選択される化合物である。
【0047】
式a)のプロ香料は、フレグランス化合物としてδ-ダマスコンを放出する。前述のプロ香料は、好ましくは、(±)-トランス-3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-ブタノンであり得る。δ-ダマスコンは、1-[(1RS,2SR)-2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]-2-ブテン-1-オンとしても知られている。
【0048】
式b)またはc)のプロ香料は、フレグランス化合物としてイオノンを放出する。前述のプロ香料は、式b)および式c)の異性体混合物として存在してもよい。異性体混合物は、式b)と式c)との40:60~60:40の重量比を有していてもよい。特に、異性体混合物は、式b)と式c)との約55:45の重量比を有してもよい。特に、前述のプロ香料は、フレグランス化合物としてイオノンの2つの異性体を放出する。
【0049】
特に、式b)のプロ香料は、フレグランス化合物としてα-イオノンを放出する。式b)の前述のプロ香料は、好ましくは、(±)-4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノンであり得る。α-イオノンは、(±)-(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オンとしても知られている。
【0050】
特に、式c)のプロ香料は、フレグランス化合物としてβ-イオノンを放出する。式c)の前述のプロ香料は、好ましくは、(±)-4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブタノンであり得る。β-イオノンは、(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オンとしても知られている。
【0051】
式d)のプロ香料は、フレグランス化合物としてオクタ-2-エン-4-オンを放出する。前述のプロ香料は、好ましくは、(±)-2-(ドデシルチオ)オクタン-4-オンであり得る。オクタ-2-エン-4-オンは、その(E)もしくは(Z)異性体として、またはそれらの混合物として放出され得、(E)異性体が好ましい。
【0052】
特定の実施形態では、プロ香料化合物は、式
【化10】
[式中、二重斜線は、別の繰り返し単位への結合を示す]
の少なくとも1つの繰り返し単位を含む線状ポリシロキサンコポリマーである。
【0053】
式(III)のプロ香料は、フレグランス化合物として2-メチル-5-(プロパ-1-エン-2-イル)シクロヘキサ-2-エン-1-オンを放出し、これはカルボンとしても知られている。カルボンは、2つのエナンチオマー、すなわち、(R)-(-)-2-メチル-5-(1-プロペン-2-イル)-2-シクロヘキセン-1-オン(L-カルボンまたは左旋性カルボン)と(S)-(+)-2-メチル-5-(1-プロペン-2-イル)-2-シクロヘキセン-1-オン(D-カルボンまたは右旋性カルボン)の形態で存在する。2つのエナンチオマーは、ミントの香調がわずかに異なることが報告されている。本発明の任意の実施形態によれば、コポリマーの調製および放出効率の観点から、両方のエナンチオマーが同様の効果を有することが期待される。本発明によれば、カルボンは、ラセミ体として、または2つのエナンチオマーのいずれか一方を富んだ混合物として使用することができる。好ましくは、左旋性カルボンに富んだ混合物が使用される。
【0054】
特定の実施形態では、式(I)のプロ香料化合物は、2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパン酸メチルまたはエチル、2-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルアミノ)-3-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-イルチオ)プロパン酸メチルまたはエチル、2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパン酸メチルまたはエチル、2-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルアミノ)-3-(2-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-4-イルチオ)プロパン酸メチルまたはエチル、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-1-ブタノン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-1-ブタノン、3-(ドデシルスルホニル)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)-2-ブタノン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)-2-ブタノン、2-ドデシルスルファニル-5-メチルヘプタン-4-オン、2-シクロヘキシル-1-ドデシルスルファニル-ヘプタ-6-エン-3-オン、3-(ドデシルチオ)-5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン、2-(ドデシルチオ)-4-オクタノン、2-(ドデシルスルホニル)オクタン-4-オン、4-(ドデシルチオ)-4-メチルペンタン2-オン、N,S-ビス(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイン酸メチルまたはエチル、S-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイン酸メチルまたはエチル、4-オキソオクタン-2-イルドデカノエート、およびそれらの任意の混合物からなる群より選択され得る。好ましくは、式(I)のプロ香料化合物は、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン(Haloscent(登録商標)D)、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-1-オン、3-(ドデシルスルホニル)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-オン(Haloscent(登録商標)I)および4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-2-オン(Haloscent(登録商標)I)、2-(ドデシルチオ)-4-オクタノン、2-(ドデシルスルホニル)オクタン-4-オン、4-(ドデシルチオ)-4-メチルペンタン-2-オン、N,S-ビス(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイン酸メチルまたはエチル、S-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイン酸メチルまたはエチルおよび4-オキソオクタン-2-イルドデカノエート、またはそれらの任意の混合物からなる群より選択され得る。好ましくは、式(I)のプロ香料化合物は、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン(HaloScent(登録商標)D)、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-オン(HaloScent(登録商標)I)、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-2-オン(HaloScent(登録商標)I)、またはそれらの混合物であり得る。好ましくは、式(I)のプロ香料化合物は、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン(HaloScent(登録商標)D)、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-2-オン(HaloScent(登録商標)I)および4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-オン(HaloScent(登録商標)I)の混合物であり得る。
【0055】
特定の実施形態では、プロ香料化合物は、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-1-オン(Haloscent(登録商標)D)、2-(ドデシルチオ)-4-オクタノン、2-(ドデシルスルホニル)オクタン-4-オン、3-(ドデシルチオ)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-1-オン、4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタン-2-オン(Haloscent(登録商標)I)、および4-(ドデシルチオ)-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル)ブタン-2-オン(Haloscent(登録商標)I)、4-(ドデシルチオ)-4-メチルペンタン-2-オン、N,S-ビス(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)-L-システイン酸メチルまたはエチル、4-オキソオクタン-2-イルドデカノエート、またはそれらの任意の混合物からなる群より選択される。
【0056】
本発明の任意の実施形態によれば、香料組成物は、2-フェニルエチルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、(Z)-ヘキサ-3-エン-1-イルオキソ(フェニル)アセテート、3,7-ジメチル-2,6-オクタジン-1-イルヘキサデカノエート、ビス(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)スクシネート、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エチル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、(3-メチル-4-フェンエトキシブタ-3-エン-1-イル)ベンゼン、1-(((Z)-ヘキサ-3-エン-1-イル)オキシ)-2-メチルウンデカ-1-エン、(2-((2-メチルウンデカ-1-エン-1-イル)オキシ)エトキシ)ベンゼン、2-メチル-1-(オクタン-3-イルオキシ)ウンデカ-1-エン、1-メトキシ-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(1-フェンエトキシプロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-フェンエトキシビニル)ベンゼン、2-(1-((3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-イル)オキシ)プロパ-1-エン-2-イル)ナフタレン、(2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、4-アリル-2-メトキシ-1-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンゼン、(2-((2-ヘプチルシクロペンチリデン)メトキシ)エチル)ベンゼン、1-イソプロピル-4-メチル-2-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)ベンゼン、2-メトキシ-1-((2-ペンチルシクロペンチリデン)メトキシ)-4-プロピルベンゼン、3-メトキシ-4-((2-メトキシ-2-フェニルビニル)オキシ)ベンズアルデヒド、4-((2-(ヘキシルオキシ)-2-フェニルビニル)オキシ)-3-メトキシベンズアルデヒド、およびそれらの任意の混合物からなる群より選択される1つ以上の追加のプロフレグランスを必要に応じて含んでもよい。
【0057】
特定の実施形態では、香料組成物は、香料組成物の総重量に基づいて、プロ香料化合物を0.1重量%~30重量%、好ましくは0.5重量%~25重量%、好ましくは1重量%~20重量%の量で含む。
【0058】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、プロ香料化合物を0.0001重量%~10重量%、好ましくは0.001重量%~3重量%、好ましくは0.01重量%~2重量%、好ましくは0.015重量%~1重量%の量で含む。
【0059】
本発明によるドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー活性材料を含む。
【0060】
ドライシャンプー活性材料は、本明細書では、特に、毛髪から油、グリース、皮脂および/または他の望ましくない汚染物を除去および/または吸収するためのドライシャンプー洗浄剤と理解される。
【0061】
特定の実施形態では、ドライシャンプー活性材料は、皮脂、グリースおよび/または油の吸収材料を含む。
【0062】
特定の実施形態では、ドライシャンプー活性材料は、デンプン材料、好ましくは天然デンプン材料、加工デンプン材料、好ましくは、エステル化、エーテル化、酸化、酸加水分解もしくは架橋などによる化学加工デンプン材料、または酵素加工デンプン材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0063】
特定の実施形態では、ドライシャンプー活性材料は、それぞれ、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、米デンプン、小麦デンプン、キャッサバデンプンまたはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される天然または非加工デンプン材料、好ましくはトウモロコシデンプン、米デンプンおよびタピオカデンプンまたはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0064】
特定の実施形態では、ドライシャンプー活性材料は、オクテニルコハク酸アルミニウムデンプン、オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、オクテニルコハク酸カルシウムデンプン、リン酸二デンプン、リン酸ヒドロキシエチルデンプン、リン酸ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウムおよびデンプングリコール酸ナトリウムまたはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される加工デンプン材料、好ましくはオクテニルコハク酸アルミニウムデンプンを含む。
【0065】
特定の実施形態では、ドライシャンプー活性材料は、天然または非加工デンプン材料と、加工デンプン材料とを含む。
【0066】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、ドライシャンプー活性材料を15重量%~55重量%、20重量%~50重量%、25重量%~45重量%、30重量%~40重量%の量で含む。
【0067】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、担体材料を含んでもよい。
【0068】
特定の実施形態では、担体は、溶媒、好ましくは化粧品的に許容され得る溶媒であってもよい。
【0069】
特定の実施形態では、担体は、エタノール、イソプロパノールまたはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0070】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、担体を40重量%~85重量%、好ましくは50重量%~75重量%、より好ましくは60重量%~65重量%の量で含む。
【0071】
特定の実施形態では、プロ香料化合物を含む香料組成物は、担体内に分散されず、または担体内に吸収されない。
【0072】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、コンディショニング剤をさらに含んでもよい。
【0073】
特定の実施形態では、コンディショニング剤は、第四級アルキルアンモニウム化合物であってもよい。第四級アルキルアンモニウム化合物は、好ましくは、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、好ましくは直鎖状もしくは分岐状のC1~C25アルキル基、または直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、好ましくは直鎖状もしくは分岐状のC1~C25アルケニル基から独立して選ばれる4個の置換基に結合した1個の窒素原子を含む。第四級アルキルアンモニウム化合物は、当該技術分野で知られている標準的なアニオン性対イオン、例えば、塩化物、メトサルフェート等を有してもよい。コンディショニング剤は、好ましくは、セトリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェートおよびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され得る。
【0074】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、コンディショニング剤を0.01重量%~1.5重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%の量で含んでもよい。
【0075】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、固化防止剤を含む。固化防止剤は、塊(ケーキング)の形成を防止し、包装、輸送、流動性、および消費を容易にするために、粉末状または顆粒状の材料に入れられる添加剤として理解される。
【0076】
特定の実施形態では、固化防止剤は、リン酸三カルシウム、粉末状セルロース、ステアリン酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム、骨のリン酸塩(すなわち、リン酸カルシウム)、ケイ酸ナトリウム、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルカムパウダー、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムカリウム、アルミノケイ酸カルシウム、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸、ポリジメチルシロキサンおよびシリカ、好ましくはステアリン酸マグネシウムを含む。
【0077】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、固化防止剤を0.1重量%~10重量%、好ましくは1重量%~6重量%の量で含む。
【0078】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、保湿剤をさらに含んでもよい。保湿剤は、本明細書では、皮膚または毛髪を保護、保湿、および潤滑するための化粧品成分として理解される。
【0079】
特定の実施形態では、保湿剤は、セチルアルコール、CARBOPOL(登録商標)934、エトキシル化ヒマシ油、パラフィン油、ラノリンおよびその誘導体、シリコーン化合物、例えばDC(登録商標)3225C(Dow Corning)のようなシリコーン界面活性剤および/またはシリコーンエモリエント、シリコーン油(DC-200(登録商標)ex.Dow Corning)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、シリコーン、グリコール、ボタニカルエキス、およびエステル、好ましくはグリセリンを含んでもよい。
【0080】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、保湿剤を0.01重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~6重量%の量で含む。
【0081】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、コンディショニング組成物をさらに含んでもよい。
【0082】
特定の実施形態では、コンディショニング組成物は、植物油、好ましくはコンディショニング特性を有する植物油、例えばオリーブ油、ダイズ油、マカデミア油、アルガン油、アボカド油および/またはスイートアーモンド油、天然エキス、好ましくはコンディショニング特性を有する天然エキス、例えばココヤシフルーツ(cocos nucifera fruit)エキス、グリシンダイズエキス、ココイル加水分解ケラチン、鉱物油(paraffinum liquidum)、ヒマシ油またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0083】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、コンディショニング組成物を0.01重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~6重量%の量で含む。
【0084】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、有益剤(benefit agent)をさらに含んでもよい。
【0085】
特定の実施形態では、有益剤は、レチノールなどのレチノイド、ビタミンE、当業者に知られている毛髪の成長を刺激するための活性剤、かゆみのある頭皮を癒やすための活性剤、カフェイン、カプサイシン、ティーツリー油、メントール、乳酸メチルなどの新鮮な効果を提供するための活性剤を含んでもよい。
【0086】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、ドライシャンプー組成物の総重量に基づいて、有益剤を0.001重量%~10重量%、好ましくは0.005重量%~6重量%、好ましくは0.01重量%~1重量%の量で含む。
【0087】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、カチオン性、アニオン性、両性または非イオン性界面活性剤、好ましくはカチオン性界面活性剤をさらに含む。
【0088】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を含まない。上記で定義したドライシャンプー活性材料の存在を考慮すると、ドライシャンプー組成物において、界面活性剤は必ずしも必要ではない。
【0089】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、漂白剤を含まない。漂白剤または蛍光増白剤は、典型的には、ドライシャンプー組成物において望ましくない。漂白剤の例は、炭酸ナトリウム過酸化水素化物およびアニリノモルホリノトリアジニルアミノスチルベンスルホン酸二ナトリウム(disodium anilinomorpholinotriazinylaminostilbenesulfonate)である。
【0090】
特定の実施形態では、ドライシャンプー組成物は、粉末または懸濁液の形態であってもよい。
【0091】
本発明は、さらに、
- 本明細書に記載されるドライシャンプー組成物と、
- 必要に応じて、推進剤と
を含む、ドライシャンプー物品に関する。
【0092】
特定の実施形態では、ドライシャンプー物品は、粉末、液体またはエアロゾルの形態であってもよい。
【0093】
特定の実施形態では、ドライシャンプー物品は、エアロゾルとして提供され、少なくとも1つの推進剤を含んでもよい。エアロゾルドライシャンプー物品は、本明細書では、ドライシャンプー組成物と推進剤とを含む組成物として理解される。
【0094】
ドライシャンプー組成物がエアロゾルとして提供される場合、ドライシャンプー組成物は拡散的に適用され、粉末適用と比較するとドライシャンプー組成物の透明性を増加させることができる。エアロゾルドライシャンプー組成物を毛髪にスプレーした後、ドライシャンプー物品に含まれる推進剤は蒸発し、乾燥粉末が毛髪上に残る。
【0095】
特定の実施形態では、推進剤は、ブタン、イソブタン、プロパン、液化石油ガス、ジメチルエーテル、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタンプロパン、二酸化炭素、亜酸化窒素、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。特定の実施形態では、推進剤は、ブタン、イソブタンおよびプロパンの組み合わせである。
【0096】
特定の実施形態では、ドライシャンプー物品は、ドライシャンプー物品の総重量を基準として、推進剤を75重量%~93重量%、好ましくは80重量%~90重量%、より好ましくは84重量%~87重量%の量で含んでもよい。
【0097】
特定の実施形態では、ドライシャンプー物品は、ドライシャンプー物品の総重量に基づいて、ドライシャンプー組成物を7重量%~25重量%、好ましくは10重量%~20重量%、より好ましくは13重量%~16重量%の量で含んでもよい。
【0098】
本発明は、さらに、哺乳類の毛髪または毛髪を取り巻く空気中の香料組成物のフレグランス強度を、周囲条件下で、長期間にわたって、好ましくは18時間、好ましくは24時間、より好ましくは48時間の期間にわたって付与、改善、増強、修正または延長するための、本明細書に記載されるドライシャンプー組成物の使用または本明細書に記載されるドライシャンプー物品の使用に関する。
【0099】
本発明は、さらに、哺乳類の毛髪または毛髪を取り巻く空気中の香料組成物のフレグランス強度を、周囲条件下で、長期間にわたって、好ましくは18時間、好ましくは24時間、より好ましくは48時間の期間にわたって付与、改善、増強、修正または延長するための方法であって、この方法は、本明細書に記載されるドライシャンプー組成物または本明細書に記載されるドライシャンプー物品を哺乳類の毛髪に適用するステップを含む方法に関する。
【0100】
ドライシャンプー組成物は、毛髪に振り掛けることによって適用されてもよいし、使用者の手に振り掛けてから毛髪に適用されてもよい。ドライシャンプー組成物は、使用者の毛髪にスプレーすることができるエアロゾルの形態とすることができる。適用された組成物は、例えば、汚れた毛髪からグリース、油および他の望ましくない要素を除去するために、毛髪にメッセージを送ることによって毛髪全体に分配することができる。
【0101】
本発明は、さらに、ドライシャンプー組成物またはドライシャンプー物品のフレグランス強度を付与、改善、増強、修正または延長するための、本明細書に記載されるプロ香料化合物の使用に関する。
【0102】
本発明は、さらに、ドライシャンプー組成物またはドライシャンプー物品のフレグランス強度を付与、改善、増強、修正または延長する方法に関し、この方法は、本明細書に記載されるプロ香料をドライシャンプー組成物またはドライシャンプー物品に添加するステップを含む。
【0103】
実施例
本発明によるドライシャンプー組成物の調製および評価
a) ドライシャンプー組成物
【表1】
【0104】
b)香料組成物A
【表2-1】
【表2-2】
【0105】
c)調製
相Aを秤量した。穏やかに撹拌しながら、相Bの成分を、1つずつ、少量で加えた。混合物を均質になるまで撹拌した。次いで、混合物を適切な缶に入れ、推進剤ガスを添加した(3.2バールのプロパン/ブタン、比率は14%の基剤対86%の推進剤ガス)。
【0106】
d)ドライシャンプー洗浄プロトコル
すべてのエアロゾル操作は、フードの下で行う必要がある。毛束を準備する前に、エアロゾル缶を2秒間振ってスプレーを作動させることでチェックした。エアゾール缶の重さを量り、風袋を測定した。1.0gのドライシャンプーを、毛髪から約10cmの至近距離で毛束に均質にスプレーした。適切な量の製品が確実に毛髪に適用されるように、缶の重さを再度量った。缶の重さを量った後、毛髪に塗布された量が1.0g未満の場合は、適用ステップを繰り返した。1.0gを超えて適用された場合は、新しい毛束で適用ステップを繰り返した。評価の前に、毛束を完全に乾燥させるために、室温で5~10分間放置した。
【0107】
e)毛髪の評価
24時間後と48時間後の毛束のフレグランス強度を、以下の香料強度のスケールに従って評価した:1-ほとんど感じられない、2-わずかに感じられる、3-弱い、4-中程度、5-持続する、6-強い、7-非常に強い。洗浄プロトコル全体を通じて、手を手袋で保護した。結果は以下の表および図1に示す。
【表3】
図1
【国際調査報告】