(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ドライ型加齢黄斑変性症(AMD)治療用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4035 20060101AFI20231214BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20231214BHJP
A61K 31/453 20060101ALI20231214BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20231214BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K31/4035
A61K31/445
A61K31/453
A61K31/496
A61P27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534245
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 US2021062850
(87)【国際公開番号】W WO2022125925
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511245064
【氏名又は名称】コグニション セラピューティクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】カッジャーノ、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】カタラノ、スーザン
(72)【発明者】
【氏名】ハンビー、メアリー
(72)【発明者】
【氏名】イゾ、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ルック、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】リシュトン、ギルバート
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC10
4C086BC21
4C086BC50
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA33
(57)【要約】
本開示は、乾燥型加齢黄斑変性(ドライAMD)を治療する方法に関し、それを必要とする対象に、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物または医薬組成物の治療上有効な量を投与する工程を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライ型加齢黄斑変性(ドライAMD)を治療する方法であって、
A.式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
ここで、R
1およびR
2の各々は、H、C
1-C
6アルキル、またはCH
2OR'から独立して選択され、ここで、R
1、およびR
2に存在する場合、各R'は独立してHまたはC
1-C
6アルキルであり、
R
3、R
4、R
5、およびR
6の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、F、Cl、Br、I、CF
3、CN、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から独立して選択され;ここで、R
3、R
4、R
5、およびR
6に存在する場合、各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、または任意選択の置換アリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、ここで、任意に置換された基はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
7アシルから選択され、
または、R
3およびR
4は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
3およびR
4が一緒に連結して-O-C
1-C
2メチレンO-基を形成し、
または、R
4およびR
5は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
4およびR
5が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、
R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、O(CO)R'、F、Cl、Br、I、CF
3、CN、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11に存在する場合の各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、
または、R
7およびR
8は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
7およびR
8が一緒に連結して-O-C
1-2メチレン-O-基を形成し、
または、R
8およびR
9は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
8およびR
9が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、
各nは独立して0、1、または2であり、
ただし、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11が全てHではなく、および
ただし、以下の化合物、
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を除く、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、または
B.式IAの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化3】
ここで、R
a、R
b、R
c、R
d、およびR
eの各々は、H、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH
3、-OC(CH
3)
3、O-CH(CH
3)
2、CF
3、SO
2CH
3、およびモルフォリノからなる群から独立して選択され、
R
1Aは、水素、アルキル、フェニル、または-CH=C(CH
3)
2からなる群から選択され、および
R
2Aは、任意に置換された環状アミノ基である、前記式IAの化合物またはその薬学的に許容される塩、
からなる群から選択される化合物の治療上有効な量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記化合物が式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩である、方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の方法において、前記化合物が、
【化4】
またはその薬学的に許容される塩である、方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法において、前記薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカレート、ギ酸塩、ベンゾエート、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンサルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩からなる群から選択される、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法において、前記薬学的に許容される塩がフマル酸塩である、方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法において、前記化合物が、
【化5】
である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記化合物が、式IAの化合物またはその薬学的に許容される塩である、方法。
【請求項8】
請求項1または7のいずれかに記載の方法において、前記R
2Aが、任意に置換されたピペリジニルである、方法。
【請求項9】
請求項1、7、または8のいずれか1項に記載の方法において、前記R
2Aが、
【化6】
からなる群から選択される、方法。
【請求項10】
請求項1、7、8、または9のいずれか1項に記載の方法において、前記化合物が、
【化7】
からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩である、方法。
【請求項11】
乾燥型加齢黄斑変性(AMD)を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物を投与する工程を含み、前記化合物は、
【化8】
からなる群から選択される、方法。
【請求項12】
それを必要とする対象に、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を投与する工程を含む、乾燥加齢黄斑変性症を治療する方法。
【請求項13】
乾燥型加齢黄斑変性症の治療方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の、
【化9】
からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカレート、ギ酸塩、ベンゾエート、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンサルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩からなる群から選択される、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、前記薬学的に許容される塩がフマル酸塩である、方法。
【請求項16】
請求項15に 記載の方法であって、前記化合物が、
【化10】
である化合物、またはその薬学的に許容される塩である、方法。
【請求項17】
乾燥型加齢黄斑変性症の治療用医薬品の製造において、
【化11】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項18】
乾燥型加齢黄斑変性症の治療用医薬の製造において、
【化12】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む、組成物の使用。
【請求項19】
請求項17または18のいずれかに記載の化合物または組成物の使用において、化合物がその薬学的に許容される塩である、使用。
【請求項20】
請求項17~19のうちの1つの使用において、前記薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカレート、ギ酸塩、ベンゾエート、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンサルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩からなる群から選択される、使用。
【請求項21】
請求項20に記載の使用において、前記薬学的に許容される塩が、フマル酸塩である、使用。
【請求項22】
請求項17または18のいずれかに記載の使用において、前記化合物が、
【化13】
である、使用。
【請求項23】
請求項17または18のいずれかに記載の使用において、前記化合物が
【化14】
である、使用。
【請求項24】
請求項17または18のいずれかに記載の使用において、前記化合物が
【化15】
である、使用。
【請求項25】
前記化合物が経口投与される、請求項1~24の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年12月11日に出願された米国仮出願第63/124,695号の優先権を主張し、その内容は参照により本願に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、ドライ型加齢黄斑変性(ドライAMD)および他の網膜疾患を治療する方法であって、それを必要とする被験者に、治療有効量の、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物または医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0003】
いくつかの実施形態は、ドライ型加齢黄斑変性(ドライAMD)を治療する方法であって、下記からなる群から選択される化合物の治療上有効な量を、それを必要とする対象に投与する工程を含み:
A.式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
ここで、R
1およびR
2の各々は、H、C
1-C
6アルキル、またはCH
2OR'から独立して選択され、ここで、R
1、およびR
2に存在する場合、各R'は独立してHまたはC
1-C
6アルキルであり、
R
3、R
4、R
5、およびR
6の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、F、Cl、Br、I、CF
3、CN、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシC
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から独立して選択され;ここで、R
3、R
4、R
5、およびR
6に存在する場合、各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、または任意選択の置換アリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、ここで、任意に置換された基はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
7アシルから選択され、
または、R
3およびR
4は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
3およびR
4が一緒に連結して-O-C
1-C
2メチレンO-基を形成し、
または、R
4およびR
5は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
4およびR
5が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、
R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、O(CO)R'、F、Cl、Br、I、CF
3、CN、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11に存在する場合の各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、
または、R
7およびR
8は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
7およびR
8が一緒に連結して-O-C
1-2メチレン-O-基を形成し、
または、R
8およびR
9は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
8およびR
9が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、
各nは独立して0、1、または2であり、
ただし、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11が全てHではなく、および
ただし、以下の化合物、
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を除く、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、または
B.式IAの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化3】
ここで、R
a、R
b、R
c、R
d、およびR
eの各々は、H、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH
3、-OC(CH
3)
3、O-CH(CH
3)
2、CF
3、SO
2CH
3、およびモルフォリノからなる群から独立して選択され、
R
1Aは、水素、アルキル、フェニル、または-CH=C(CH
3)
2からなる群から選択され、および
R
2Aは、任意に置換された環状アミノ基である、前記式IAの化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0004】
本開示のいくつかの実施形態は、乾燥型加齢黄斑変性症(AMD)を治療する方法であって:
【化4】
からなる群から選択される、治療上有効量の化合物をそれを必要とする対象に、投与する工程を含む方法を対象とする。
【0005】
いくつかの実施形態は、乾燥型加齢黄斑変性の治療のための医薬品の製造における、
【化5】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用を記述する。
【0006】
いくつかの実施形態は、乾燥型加齢黄斑変性の治療のための医薬品の製造における、
【化6】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる賦形剤を含む組成物の使用を説明する。
【0007】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態による治療有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む、乾燥加齢黄斑変性症を治療する方法を記載する。
【0008】
いくつかの実施形態は、乾燥型加齢黄斑変性の治療のための医薬品の製造における、本明細書に記載の任意の実施形態に従う化合物の使用を記載する
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】シグマ2受容体モジュレーター(
図1A=化合物Bおよび化合物C;
図1B=化合物A)で処理した後の網膜色素上皮細胞の細胞生存率を描く。
【
図1B】シグマ2受容体モジュレーター(
図1A=化合物Bおよび化合物C;
図1B=化合物A)で処理した後の網膜色素上皮細胞の細胞生存率を描く。
【
図2A】シグマ2受容体モジュレーター(
図2A=化合物Aおよび化合物C;
図2B=化合物B)の存在下または非存在下でAβオリゴマーで処理した後の光受容体外節のトラフィックを描く。
【
図2B】シグマ2受容体モジュレーター(
図2A=化合物Aおよび化合物C;
図2B=化合物B)の存在下または非存在下でAβオリゴマーで処理した後の光受容体外節のトラフィックを描く。
【
図3A】シグマ2受容体モジュレーター(
図3A=化合物Aおよび化合物C;
図3B=化合物B)の存在下または非存在下で酸化的ストレッサーで処理した後の光受容体外分節トラフィックを描く。
【
図3B】シグマ2受容体モジュレーター(
図3A=化合物Aおよび化合物C;
図3B=化合物B)の存在下または非存在下で酸化的ストレッサーで処理した後の光受容体外分節トラフィックを描く。
【
図4】
図4は、シグマ2受容体モジュレーターの存在下または非存在下において、酸化ストレッサーによる酸化ストレス後のオートファジー関連タンパク質の定量を示す図である。
【
図5】
図5は、ラットぶどう膜/網膜および脳におけるシグマ2受容体モジュレーター化合物Aの濃度を定量化したものである。
【
図6】
図6は、マウスの血漿、脳、網膜におけるシグマ2受容体モジュレーター化合物Aの濃度を定量化したものである。
【
図7】
図7は、マウスの血漿、脳、網膜におけるシグマ2受容体モジュレーターである化合物Bの濃度を定量したものである。
【
図8】
図8は、緑内障のインビボモデルにおいて、シグマ2受容体モジュレーターの有無による網膜神経節細胞密度の定量化を示したものである。
【
図9A】緑内障のインビボモデルにおいて、シグマ2受容体モジュレータの存在または非存在下での網膜神経節細胞の電気活動の定量化を示す。
【
図9B】緑内障のインビボモデルにおいて、シグマ2受容体モジュレータの存在または非存在下での網膜神経節細胞の電気活動の定量化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、記載された特定のプロセス、組成物、または方法論に限定されるものではなく、これらは変化し得るからである。本明細書で使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明する目的のみのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されたすべての刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書のいかなる内容も、本発明が先行発明によりかかる開示に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるものではない。
【0011】
定義
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各介入値、およびその記載された範囲内の他の記載された値または介在する値が、本開示内に包含されることが意図される。例えば、1μm~8μmの範囲が記載されている場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、および7μmも明示的に開示されることが意図される。
【0012】
本明細書の様々な場所で、本開示の化合物の置換基は、グループまたは範囲において開示されている。本開示の実施形態が、そのようなグループおよび範囲のメンバーの各々および全ての個々の下位結合を含むことが特に意図される。例えば、用語「C1-6アルキル」は、例えば、メチル(C1アルキル)、エチル(C2アルキル)、プロピル(C3アルキル)、ブチル(C4アルキル)、ペンチル(C5アルキル)、およびヘキシル(C6アルキル)と同様に、例えば、C1-C2アルキル、C1-C3アルキル、C1-C4アルキル、C2-C3アルキル、C2-C4アルキル、C3-C6アルキル、C4-C5ルキル、およびC5-C6アルキルを個別に開示することを具体的に意図される。
【0013】
本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、特に指示しない限り、「1つまたはそれ以上」または「少なくとも1つ」の意味を有する。すなわち、不定冠詞「a」または「an」による本発明の任意の要素への言及は、その要素の複数が存在する可能性を排除しない。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、それが使用されている数値のプラスマイナス10%を意味する。したがって、約50mLは、45mL~55mLの範囲内を意味する。
【0015】
「Aβ種」または「A」は、Aβモノマー、Aβオリゴマー、またはAβペプチド(モノマー、ダイマー、またはポリマー形態)と他の可溶性ペプチドまたはタンパク質との複合体、ならびにアミロイド前駆体タンパク質の任意の処理物を含む他の可溶性Aβ集合体などの可溶性アミロイドペプチド含有成分を含む組成物も含めるものとする。可溶性Aオリゴマーは、神経毒であることが知られている。Aβ1-42二量体でさえ、マウス海馬スライスにおけるシナプス可塑性を損なうことが知られている。当技術分野で知られている1つの理論では、ネイティブのAβ1-42モノマーは神経保護と考えられ、可溶性アベタオリゴマーへのAβモノマーの自己会合が神経毒性に必要とされる。しかしながら、特定のAβ変異モノマー(アークティック変異(E22G))は、家族性アルツハイマー病と関連していると報告されている。
【0016】
特に指示しない限り、「有効成分」という用語は、本明細書に記載する任意の実施形態による化合物を指すと理解される。
【0017】
「投与する」または「投与」などは、本開示の化合物と組み合わせて使用される場合、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる化合物または医薬組成物を、治療を必要としている対象に提供することを指す。好ましくは、対象は哺乳類であり、より好ましくはヒトである。本発明は、本発明の医薬組成物を単独で、または他の治療薬と併用して投与することを含む。本発明の医薬組成物を他の治療薬と組み合わせて投与する場合、本発明の医薬組成物および他の治療薬.は、同時または異なる時間に投与され得る。
【0018】
「アゴニスト」という用語は、受容体の生物学的活性をもたらす化合物を指し、その存在は、受容体に対して天然に存在するリガンドの存在から生じる生物学的活性と同じであることを意味する。
【0019】
本明細書で使用する「アルカノイル」または「アルキルカルボニル」という用語は、カルボニルラジカルに結合したアルキル基を意味するものである。アルカノイルの実施例としては、
【化7】
である。
【0020】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、直鎖または分枝である飽和炭化水素基を指すことを意味する。例示的なアルキル基としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル)、ペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)、および類似物があるが、それらに限定されない。アルキル基は、1~約20個、2~約20個、1~約10個、1~約8個、1~約6個、1~約4個、または1~約3個の炭素原子を含み得る。「C1-C10アルキル」または「C1-10アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10アルキル基を含むことを意図する。さらに、例えば、「C1-C6アルキル」または「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキルを示す。「アルキレン」という用語は、二価のアルキル連結基を意味する。アルキレンの実施例は、メチレン(CH2)である。
【0021】
本明細書で使用する場合、「アルケニル」は、1つ以上、好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐構成の炭化水素鎖を含むことを意図しており、鎖に沿った任意の安定点で発生し得る。例えば、「C2-C6アルケニル」または「C2-6アルケニル」(またはアルケニレン)は、C2、C3、C4、C5、およびC6アルケニル基を含むことを意図する。アルケニルの実施例は、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-メチル-2-プロテニル、および4-メチル-3-ペンテニルを含むが、これらに限定されない。
【0022】
用語「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、-O-アルキル基を指す。「C1-C6アルコキシ」または「C1-6アルコキシ」(またはアルキルオキシ)は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6、アルコキシ基を含むことを意図する。アルコキシ基の実施例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシおよびイソプロポキシ)、およびt-ブトキシを含む、これらに限定されない。
【0023】
用語「アルコキシアルコキシ」は、アルコキシ基に結合したアルコキシ基を意味する。アルコキシ基の実施例は、-O-(CH2)2-OCH3を含む。
【0024】
本明細書で使用する場合、「アルキニル」は、1つ以上、好ましくは1~3つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分枝構成の炭化水素鎖を含むことを意図しており、鎖に沿って任意の安定な点で発生し得る。例えば、「C2-C6アルキニル」は、C2、C3、C4、C5、およびC6アルキニル基、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルを含むことを意図する。
【0025】
本明細書で使用する「アミロイドβ効果」、例えば「非致死性アミロイドβ効果」、または「Aβオリゴマー効果」は、Aβ種と接触した細胞に対する効果、特に非致死性効果を意味する。例えば、神経細胞が可溶性アミロイドベータ(「Aβ」)オリゴマーと接触すると、オリゴマーはインビトロで神経細胞のサブセット上のシナプスに結合することが判明している。この結合は、例えば、インビトロでアベタオリゴマー結合を測定するアッセイで定量化することができる。Aβ種の別の文書化された効果は、シナプス数の減少であり、これは、ヒト海馬において約18%であると報告されており(Scheff et al,2007)、(例えば、シナプス数を測定するアッセイにおいて)定量化することが可能である。別の実施例として、神経細胞にアミロイドベータ(以下、Aβ)オリゴマーを接触させると、膜輸送が調節され、膜輸送の変化が起こることが見出されている。この異常は、MTTアッセイを含むがこれに限定されない多くのアッセイで可視化することができる。例えば、黄色のテトラゾリウム塩は細胞によってエンドサイトーシスされ、エンドソーム経路の小胞内にある酵素によって不溶性の紫色のホルマザンに還元される。紫色のホルマザンのレベルは、培養中の活発に代謝している細胞の数を反映し、ホルマザンの量の減少は、培養中の細胞死または代謝毒性の指標としてとらえられる。黄色のテトラゾリウム塩を接触させた細胞を顕微鏡で観察すると、まず紫色のホルマザンが細胞内を満たす小胞の中に見える。その後、小胞は細胞外に排出され、不溶性のホルマザンが水性媒体環境にさらされることで細胞膜の外表面に針状の結晶として析出する。Aβ種のさらに他の効果には、新しい記憶を形成する能力の低下や、インビボの動物モデルを用いたアッセイで測定することができる記憶喪失などの認知機能低下がある。いくつかの実施形態において、Aβ効果は、例えば、膜トラフィッキングアッセイ、またはシナプス損失アッセイなどのインビトロアッセイで見られるような、Aβオリゴマー誘発シナプス機能障害、またはAβオリゴマー媒介シグマ2受容体のカスペース3活性化、またはAβ誘発神経細胞機能障害、長期増強(LTP)におけるAβ媒介減少、または行動アッセイの認知低下、もしくはそれを必要とする患者で見られることから選ばれる。
【0026】
いくつかの実施形態において、試験化合物は、神経細胞上の可溶性アベタオリゴマー種に関連する効果を、陰性対照と比較して約10%以上、好ましくは15%以上、好ましくは20%以上阻害することができる場合に、認知機能低下またはそれに関連する疾患を治療するために有効であると言われる。いくつかの実施形態において、試験剤は、アミロイド前駆体タンパク質を介する効果の加工物を、陽性対照と比較して約10%以上、好ましくは15%以上、好ましくは20%以上抑制することができる場合に有効であるとされる。本明細書では、神経細胞代謝異常やシナプス数減少などのAβ種の非致死的効果の阻害に焦点を当てているが、これらは認知機能と相関することが示されており、さらに、時間の経過とともに期待されている、アミロイド病態の下流の測定可能な症状、特に1)fluorbetapir、PittBなどのアミロイドイメージング剤で測定した線維やプラークの蓄積、2)FDG-PETで検出したグルコース代謝低下で測定したシナプス消失や細胞死などの臨床症状を(未処置被験者と比較して)低減することが期待できる、3)イメージング、またはELISAによる患者から得た脳脊髄液、脳生検、血漿中のタンパク質/代謝物検出により検出可能な脳または体内のタンパク質発現または代謝物量の変化(ELISAにより測定されるAβ42、リン酸化タウ、総タウのレベルおよびまたは比の変化、またはELISAパネルで検出可能なタンパク質発現変化のパターンなど)、4)MRIで検出可能な血管浮腫または微小出血の存在、および画像技術で検出可能なその他の症状によって測定される脳血管異常、および5)ADAS-Cog、MMSE、CBICまたはその他の認知検査機器などの任意の投与済み認知検査によって測定される認知機能低下、である。
【0027】
本明細書で使用する「動物」という用語は、ヒトおよび野生動物、実験動物、家畜、農場動物およびペットなどの非ヒト脊椎動物を含むが、これらに限定されない。
【0028】
用語「アンタゴニスト」は、受容体の生物学的活性の大きさの減少をもたらす存在、例えば、化合物、抗体、またはフラグメントを指す。特定の実施形態では、アンタゴニストの存在は、受容体の生物学的活性の完全な阻害をもたらす。本明細書で使用する場合、「シグマ2受容体アンタゴニスト」という用語は、Aβ効果、例えば、Aβオリゴマー誘発シナプス機能障害をブロックするという点で、例えば、膜トラフィッキングアッセイ、シナプス損失アッセイなどのインビトロアッセイ、またはカスパーゼ-3のAβオリゴマー媒介シグマ-2受容体活性化、または行動アッセイ、またはそれを必要とする患者において見られるように、シグマ2受容体の「機能的アンタゴニスト」として作用する化合物を表すのに使用される。機能的アンタゴニストは、例えば、シグマ-2受容体へのアベタオリゴマーの結合を阻害することによって直接作用するか、またはアベタオリゴマーがシグマ-2受容体に結合することから生じる下流のシグナル伝達を妨害することによって間接的に作用し得る。
【0029】
本明細書で使用する場合、「アリール」は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、および類似物などの単環または多環(例えば、2、3、または4の縮合環を有する)芳香族炭化水素をいう。いくつかの実施形態において、アリール基は、6~約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アリール基は、5~約10個の炭素原子を有する。
【0030】
本明細書で使用する場合、「アリールアルキル」は、アルキルラジカルに結合したアリール基を指す。好ましい実施形態では、アルキルは、C1-6アルキルである。
【0031】
本明細書で使用される用語「アロイル」または「アリールカルボニル」は、カルボニルラジカルに結合したアリール基を指す。アロイルの実施例は、ベンゾイルを含むが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用する場合、「脳浸透性」という用語は、薬物、抗体又はフラグメントが血液脳関門を通過する能力を意味する。いくつかの実施形態では、動物薬物動態(pK)研究、例えば、マウス薬物動態/血液脳関門研究を使用して、脳浸透性を決定又は予測することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物または医薬組成物の様々な濃度を、例えば3、10、および30mg/kg、例えばp.o.で5日間投与し、様々なpK特性を、例えば、動物モデルで測定することができる。いくつかの実施形態では、用量に関連する血漿および脳レベルが決定される。いくつかの実施形態では、脳Cmax>100、300、600、1000、1300、1600、または1900ng/mLである。いくつかの実施形態では、良好な脳浸透性は、>0.1、>0.3、>0.5、>0.7、>0.8、>0.9、好ましくは>1、より好ましくは>2、>5、または>10の脳/血漿比として定義される。他の実施形態では、良好な脳浸透性は、所定の期間後にBBBを横断する投与量の約0.1%、1%、5%、約10%より大きい、および好ましくは約15%より大きいとして定義される。特定の実施形態において、用量は、経口(p.o.)で投与される。他の実施形態では、用量は、pK特性を測定する前に、静脈内(i.v.)に投与される。
【0033】
本明細書で使用する場合、「認知機能低下」は、動物の認知機能における任意の負の変化であり得る。例えば、認知低下は、記憶喪失(例えば、行動記憶喪失)、新しい記憶を獲得できないこと、混乱、判断力の低下、人格変化、見当識障害、またはそれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない。認知低下を治療するのに有効な化合物は、このように、長期ニューロン増強(LTP)もしくは長期ニューロン抑制(LTD)または電気生理学的に測定されるシナプス可塑性のバランスを回復すること;神経変性の阻害、治療、および/または軽減;一般アミロイドーシスの阻害、治療、および/または軽減により有効であり得る;アミロイド生成、アミロイド集合、アミロイド凝集、およびアミロイドオリゴマー結合の1つまたはそれ以上を阻害、処置、軽減すること;ニューロン細胞に対するAβ種の1つまたはそれ以上の非致死的効果(シナプス損失または機能不全および膜輸送異常など)を阻害、処置、軽減すること;およびその任意の組み合わせを含む。追加的に、その化合物は、軽度アルツハイマー病を含むアルツハイマー病(AD)、ダウン症、血管性認知症(脳アミロイド血管症および脳卒中)、レビー小体型認知症、HIV認知症、軽度認知障害(MCI)を含むがこれらに限定されない認知症を含むAβ関連神経変性疾患および障害;加齢に伴う記憶障害(AAMI)、加齢に伴う認知機能低下(ARCD)、前臨床アルツハイマー病(PCAD)、認知機能障害なし(CIND)の治療にも有効であることがある。
【0034】
本明細書で使用する場合、「接触する」という用語は、2つのペプチド間の非共有結合相互作用または1つのタンパク質と別のタンパク質または低分子などの他の分子との間の非共有結合相互作用などの分子間相互作用を可能にする距離内にあるように、分子(または細胞または細胞膜などの高次構造を有する分子)を一緒にすることまたは組み合わせることをいう。いくつかの実施形態では、接触は、結合または接触した分子が共通の溶媒中で混合され、自由に会合することが許される溶液中で起こる。いくつかの実施形態において、接触は、細胞で、またはそうでなければ細胞内で、または無細胞環境において起こり得る。いくつかの実施形態では、無細胞環境は、細胞から生成される溶解物である。いくつかの実施形態において、細胞溶解物は、全細胞溶解物、核溶解物、細胞質溶解物、およびそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態において、無細胞溶解物は、細胞集団の核が細胞から除去され、次いで溶解される核抽出および単離から得られる溶解物である。いくつかの実施形態では、核は溶解されないが、依然として無細胞環境であると考えられる。分子は、ボルテックス、振盪などの混合によって一緒にすることができる。
【0035】
本明細書で使用する用語「環状アミノ」または「環状アミノ基」は、窒素ラジカルを含むヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基であり、したがって、窒素原子を介した結合を可能にする。この基は、式で表すことができる:
【0036】
【化8】
は、窒素、硫黄および酸素から選択される0~3個の追加のヘテロ原子を含む任意の複素環式または複素芳香環である。
【0037】
本明細書で使用する用語「シクロアルカノイル」または「シクロアルキルカルボニル」は、カルボニルラジカルに結合したシクロアルキル基を表すことを意味する。シクロアルカノイルの実施例は、
【化9】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用する「シクロアルキル」は、20個までの環形成炭素原子を含む環化アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む非芳香族環状炭化水素を指す。シクロアルキル基は、単環式または多環式(例えば、2、3、または4個の縮合環を有する)環系、ならびにスピロ環系を含むことができる。シクロアルキル基は、3~約15個、3~約10個、3~約8個、3~約6個、4~約6個、3~約5個、または5~約6個の環形成炭素原子を含み得る。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、オキソまたはスルフィドによって任意に置換され得る。シクロアルキル基の実施例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチル、および類似物があるが、これらに限定されない。また、シクロアルキルの定義には、シクロアルキル環に縮合した(すなわち、共通の結合を有する)1つ又はそれ以上の芳香環を有する部位、例えば、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサンなどのベンゾまたはチエニル誘導体(例えば、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル、または1H-インデン-2(3H)-オン-1-イル)を含む。好ましくは、「シクロアルキル」は、20個までの環形成炭素原子を含む環化アルキル基を指す。シクロアルキルの例として好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、および類似物を含む。
【0039】
用語「シクロアルキルアルキル」は、アルキルラジカルに結合したシクロアルキル基を指す。好ましい実施形態では、アルキルは、C1-6アルキルである。
【0040】
本明細書において、「薬物様特性」という用語は、脳への浸透性、代謝安定性、血漿安定性など、投与時の化合物の薬物動態および安定性特性を表すために使用される。
【0041】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、特定の障害または病理学的プロセスの少なくとも1つの症状またはパラメータの測定可能な阻害をもたらす量を意味する。例えば、アベタオリゴマーの存在下で測定可能なほど低いシナプス減少を提供する、本明細書に記載の任意の実施形態による開示化合物の量は、アミロイド病理学の臨床症状が変化しなくても、少なくとも直ちに病理学的プロセスを低減するので有効量として修飾される。
【0042】
本明細書で使用する場合、「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。
【0043】
本明細書で使用する場合、「ハロアルコキシ」は、酸素ブリッジを介して結合した、示された数の炭素原子を有する、本明細書で定義されるハロアルキル基を表す。例えば、「C1-C6ハロアルコキシ」または「C1-6ハロアルコキシ」は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6ハロアルコキシ基を含むことを意図しています。ハロアルコキシ基の実施例は、OCF3である。本明細書で使用する「トリハロメトキシ」は、3個のハロゲン置換基を有するメトキシ基を意味する。トリハロメトキシ基の例としては、-OCF3、-OCClF2、-OCCl3、および類似物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用する「ハロアルキル」は、1つまたはそれ以上のハロゲンで置換された、指定された数の炭素原子を有する分枝および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図する。例示的なハロアルキル基は、CF3、C2F5、CHF2、CCl3、CHCl2、C2Cl5、CH2CF3、および類似物を含むが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」基は、20個までの環形成原子を有し、硫黄、酸素、または窒素などのヘテロ原子環員(環形成原子)を少なくとも1つ有する芳香族複素環を指す。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、硫黄、酸素、および窒素から各々独立して選択される少なくとも1つまたはそれ以上のヘテロ原子環形成原子を有する。ヘテロアリール基は、単環式および多環式(例えば、2、3または4個の縮合環を有する)系を含む。ヘテロアリール基の実施例としては、これらに限定されないが、ピリジル(別名ピリジニル)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル(別名.ピロリル)、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニル、および類似物を含む。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、1~約20個の炭素原子を有し、さらなる実施形態において、約1~約5個、約1~約4個、約1~約3個、約1~約2個の炭素原子を環形成原子として有する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、3~約14個、3~約7個、または5~6個の環形成原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、1~約4個、1~約3個、または1~2個のヘテロ原子を有する。
【0046】
本明細書で使用する「ヘテロシクロアルコキシ」という用語は、-O-ヘテロシクロアルキル基を意味する。ヘテロシクロアルコキシ基の実施例は、
【化10】
である。
【0047】
本明細書で使用する「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」は、環形成炭素原子の1つまたはそれ以上がO、N、またはS原子などのヘテロ原子で置換されている環化アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む20までの環形成原子を有する非芳香族ヘテロシクリル基をいう。ヘテロシクロアルキル基は、単環式でも多環式でもよい(例えば、縮合系とスピロ系の両方)。例えば、「ヘテロシクロアルキル」基は、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,3-ベンゾジオキソール.ベンゾ-1,4-ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、ピロリジン-2-オン3-イル、および類似物を含む。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、オキソまたはスルフィドで任意に置換され得る。例えば、環形成性S原子は、1または2個のオキソで置換することができる(すなわち、S(O)またはS(O)2を形成する)。例えば、環を形成するC原子は、オキソで置換することができる(すなわち、カルボニルを形成する)。また、ヘテロシクロアルキルの定義には、1つまたはそれ以上の芳香族環が縮合した(すなわち、共通の結合を持つ)部位が含まれる。例えば、ピリジニル、チオフェニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、およびインドリン、イソインドリン、イソインドリン-1-オン-3-イル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル、5,6-ジヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン-7(4H)-オン-5-イル、および3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン-3イル基などのような複素環のベンゾ誘導体などである。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、オキソまたはスルフィドによって任意に置換され得る。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、2~約20個の炭素原子または3~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、3~約14個、3~約7個、または5~6個の環形成原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、1~4個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、0~3個の二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、0~2個の三重結合を含む。
【0048】
本願において、「高親和性」という用語は、シグマ受容体結合アッセイにおいて、例えば[3H]-DTGに対して600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、80nM未満、60nM未満、または好ましくは50nM未満のKi値を示す化合物を意図する、Weber他、Proc.Natl.Acad.Sci(USA)83:8784-8788(1986)、参照により本明細書に組み込まれる、シグマ1およびシグマ2受容体の両方の部位に対する化合物の結合親和性を測定するものである。特に好ましい化合物は、[3H]-DTGに対して、約150nM未満、好ましくは100nM未満、約60nM未満、約10nM未満、または約1nM未満のKi値を示す。
【0049】
用語「ヒドロキシル」および「ヒドロキシ」は、OH基を意味するために互換的に使用される。
【0050】
用語「改善する」は、本開示が提供、適用または投与される組織の特性および/または物理的属性のいずれかを変更することを伝えるために使用される。用語「改善する」はまた、疾患状態が「改善」される時、疾患状態に関連する症状または物理的特性が減少、低減、除去、遅延または回避されるように、疾患状態と関連して使用され得る。
【0051】
「阻害する」という用語は、ある結果またはプロセスの遮断、嫌悪、または逆の結果またはプロセスの回復を含む。本開示の化合物の投与による予防または治療の観点から、「阻害するする」とは、症状から(部分的にまたは全体的に)保護すること、または症状の発症を遅らせること、症状を緩和すること、または疾患、状態または障害から保護、減少または除去することを含む。
【0052】
「トラフィッキング欠損を阻害する」という用語は、細胞、好ましくは神経細胞において、可溶性Aオリゴマー誘発膜トラフィッキング欠損を遮断する能力を意味する。トラフィッキング欠損を阻害することができる化合物は、膜トラフィッキングアッセイにおいてEC50<20μM、15μM未満、10μM未満、5μM未満、好ましくは1μM未満を有し、さらに、例えば、実施例6に記載のように、可溶性アベタオリゴマー誘導膜トラフィッキング欠損のアベタオリゴマーの効果に対して少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%の最大抑制が可能である。
【0053】
「logP」とは、化合物の分配係数のことである。分配係数は、例えばオクタノールと水のような2つの溶液相のそれぞれにおける非イオン化化合物の濃度の比率である。イオン化可能な溶質化合物の分配係数を測定するために、水相のpHは、化合物の優勢な形態が非イオン化であるように調整される。溶媒中のイオン化していない溶質化合物の濃度比の対数をlogPと呼び、logPは親油性の指標となる。例えば
log Poct/wat=log([溶質]オクタノール/[溶質]非イオン化、水).
【0054】
本明細書で使用する「代謝安定性」という用語は、化合物が初回通過代謝(経口投与された薬物の腸内および肝内分解または抱合)に耐えうる能力を指す。これは、例えば、マウスまたはヒト肝ミクロソームへの化合物の曝露によって、インビトロで評価され得る。いくつかの実施形態において、良好な代謝安定性は、マウスまたはヒト肝ミクロソームへの化合物の曝露時に、t1/2>5分、>10分、>15分、>20分、好ましくは>30分であることをいう。いくつかの実施形態において、良好な代謝安定性は、<300uL/分/mg、好ましくは<200uL/分/mg、より好ましくは<100uL/分/mgの固有クリアランス速度(Clint)に言及する。
【0055】
nが整数である用語「n-員の」は、典型的には、環形成原子の数がnである部位における環形成原子の数を表す。例えば、ピリジンは6員ヘテロアリール環の実施例であり、チオフェンは5員ヘテロアリール基の実施例である。
【0056】
本明細書で使用する場合、「天然リガンド」という用語は、インビボでタンパク質、受容体、膜脂質または他の結合パートナーに結合できる、またはインビトロで複製される、対象物に存在するリガンドを指す。天然リガンドは合成由来であってもよいが、対象に人為的に介入することなく自然に存在するものであることも必要である。例えば、アベタオリゴマーは、ヒトの対象に存在することが知られている。したがって、対象に存在するアベタオリゴマーは、天然リガンドとみなされる。アベタオリゴマーと結合パートナーとの結合は、組換え技術または合成技術を用いてインビトロで再現することができるが、アベタオリゴマーがどのように調製または製造されたかにかかわらず、やはり天然リガンドとみなされるであろう。同じ結合パートナーに結合することもできる合成低分子は、対象に存在しない場合は、天然リガンドとは言えない。例えば、本明細書に記載されている化合物は、被験者に通常存在せず、したがって、天然リガンドとはみなされないであろう。
【0057】
本明細書で使用する場合、「神経細胞」という用語は、単一細胞又は細胞の集団を指すのに使用することができる。いくつかの実施形態では、ニューロン細胞は、一次ニューロン細胞である。いくつかの実施形態では、ニューロン細胞は、不死化または形質転換されたニューロン細胞、または幹細胞である。一次ニューロン細胞は、グリア細胞などの他のタイプのニューロン細胞に分化することができないニューロン細胞である。幹細胞は、ニューロンおよびグリアなどの他のタイプのニューロン細胞に分化することができるものである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの神経細胞を含む組成物を利用するアッセイは、グリア細胞を含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、Aβを内在化し蓄積することが知られているグリア細胞を約30%、25%、20%、15%、10%、5%、または1%未満含む。一次ニューロン細胞は、動物の脳の任意の部位に由来し得る。いくつかの実施形態では、ニューロン細胞は、海馬細胞または皮質細胞である。グリア細胞の存在は、任意の方法によって決定することができる。いくつかの実施形態では、グリア細胞はGFAPの存在によって検出され、神経細胞はMAP2に対して向けられた抗体で陽性に染色することによって検出することができる。
【0058】
本明細書で使用する場合、「任意に置換された」という用語は、置換が任意であり、したがって、非置換および置換された原子および部位の両方を含むことを意味する。「置換された」原子または部位は、指定された原子または部位の通常の原子価を超えないこと、および置換が安定な化合物をもたらすことを条件に、指定された原子または部位上の任意の水素が、示された置換基からの選択で置き換えられることができることを示す。例えば、メチル基(すなわち、CH
3)が任意に置換されている場合、炭素原子上の最大3個の水素原子を置換基で置換することができる。置換基としては、アルカノイル、アルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリロキシ、アリロイル、シクロアルカノイル、置換または非置換のC
3-C
10シクロアルキル、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N,N-ジメチルアミノ)ピリジニル、(N,N-ジメチルアミノ)スルホニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、任意置換C
1-C
10アルキル、任意置換C
5-C
10アリール、任意置換C
3-C
10へテロアリール、パーフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドラピラニール、CF
3を含むが、これらに限定されない。置換アルキル基は、例えば、アルキル基上の1つまたはそれ以上の水素原子が、ハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アルコキシアルコキシ、C(O)OMe、およびC(O)OEtから選択されるがこれらに限らない置換基で置き換えられたことを示す。置換アリール基は、例えば、アリール基上の1つ以上の水素原子が、-SO
2Meまたはフェニル基から選択されるが、これらに限定されない、置換基で置換されていることを示す。置換ヘテロアリール基は、例えば、ヘテロアリール基上の1つまたはそれ以上の水素原子が、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、N,N-ジメチルアミノから選択されるがこれらに限定されない、置換基で置換されていることを示す。例えば置換ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロシクロアルキル基上の1つまたはそれ以上の水素原子が、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、N,N-ジメチルアミノ、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アリール、スルホニル、ジメチルアミノスルホニル、アロイル、シクロアルカノイル、アルカノイルおよび-OC(O)NCH(CH
3)
2から選択できるが、それだけに限らない代置詞で置換されていることを示します。ある実施例では、例えばヘテロシクリル基またはアルキル基の同じ炭素上の2つの水素原子が基で置換され、例えば、
【化11】
から選択されるがこれらに限定されないスピロ化合物を形成する。
【0059】
「部分アゴニスト」とは、受容体の生物学的活性が、天然に存在する受容体に対するリガンドの存在によってもたらされる活性と同じタイプであるが、より低い大きさである化合物を意味する。
【0060】
「薬学的に許容される」という語句は、一般に安全かつ無毒であるとみなされる分子実体および組成物を指す。特に、本開示の医薬組成物において使用される薬学的に許容される担体、希釈剤または他の賦形剤は、生理学的に許容され、他の成分と適合し、患者に投与されたときにアレルギーまたは同様の不快な反応(例えば、胃の不調、めまいなど)を通常生じさせることはない。好ましくは、本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」とは、連邦政府または州政府の規制機関によって承認されるか、動物、より詳細にはヒトでの使用について米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に掲載されていることを意味する。
【0061】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩(複数可)」という語句は、哺乳類での使用に安全かつ有効であり、所望の生物活性を有する本開示の化合物のそれらの塩を含む。薬学的に許容される塩には、本開示の化合物、または本開示の方法に従って同定された化合物中に存在する酸性基または塩基性基の塩が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカレート、ギ酸塩、ベンゾエート、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンサルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩を含む、これらに限定されない。本開示の特定の化合物は、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成し得る。好適な塩基塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、鉄およびジエタノールアミン塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩基付加塩はまた、有機アミンのようなアミンと形成される。好適なアミンの実施例は、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、およびプロカインである。
【0062】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水または水/油エマルジョンなどのエマルジョン、および種々のタイプの湿潤剤などの、標準的な医薬担体のいずれかを含む。また、この用語は、ヒトを含む動物に使用するために、米国連邦政府の規制機関によって承認された、または米国薬局方に記載されている薬剤のいずれかを包含する。
【0063】
「選択性」または「選択的な」とは、シグマ受容体、例えばシグマ2受容体に対する化合物の結合親和性(Ki)が、非シグマ受容体と比較して異なることを意味する言葉である。本化合物は、シナプス神経細胞におけるシグマ受容体に対して高い選択性を有する。シグマ2受容体、またはシグマ2受容体とシグマ1受容体の両方に対するKiは、非シグマ受容体に対するKiと比較される。いくつかの実施形態において、化合物は、選択的なシグマ-2受容体アンタゴニスト、またはシグマ-1受容体リガンドであり、異なる受容体における結合解離定数Ki値、またはIC50値、または結合定数の比較によって評価するように、非シグマ受容体と比較してシグマ受容体に結合するのに少なくとも10倍、20倍、30倍、50倍、70倍、100倍、または500倍、またはより高い親和性を有する異なる受容体におけるKi値またはIC50値を評価するために、任意の既知のアッセイプロトコルを使用することができ、例えば、Cheng and Prusoff(1973)(Biochem.Pharmacol.22,3099-3108)の方法によって、既知の解離定数の放射標識化合物の受容体からの競合置換をモニタリングすることによって、または具体的には本明細書に提供すように、KまたはICの値を評価する。
【0064】
本明細書で使用する場合、「血漿安定性」という用語は、例えば、ヒドロラーゼやエステラーゼなどの酵素による血漿中の化合物の分解を意味する。様々なインビトロアッセイのいずれかを採用することができる。試験化合物は、血漿中で様々な時間にわたってインキュベートされる。各時点で残存する親化合物(分析物)のパーセントは、血漿の安定性を反映する。安定性が悪いと、バイオアベイラビリティが低くなる傾向があります。良好な血漿安定性は、30分後に50%以上の分析物が残っていること、45分後に50%以上の分析物が残っていること、好ましくは60分後に50%以上の分析物が残っていることと定義できる。
【0065】
「シグマ2リガンド」とは、シグマ2受容体に結合する化合物を指し、アゴニスト、アンタゴニスト、パーシャルアゴニスト、インバースアゴニスト、この受容体やタンパク質の他のリガンドに対する単なる競合物質を含む。
【0066】
「シグマ2受容体アンタゴニスト化合物」とは、シグマ2受容体に測定可能な量で結合し、シグマ2受容体結合に起因するAβ効果オリゴマー誘発シナプス機能障害に関して機能的アンタゴニストとして作用する化合物を意味する。
【0067】
「対象」、「個体」または「患者」という用語は、互換的に使用され、本明細書で使用される場合、ヒトおよび非ヒト動物を含むことが意図される。非ヒト動物には、すべての脊椎動物、例えば、哺乳類および非哺乳類、例えば非ヒト霊長類、羊、犬、猫、牛、馬、鶏、両生類、および爬虫類が含まれるが、哺乳類が好ましいのは、非ヒト霊長類、羊、犬、猫、牛、馬などのような、である。好ましい対象は、ヒトの患者を含む。本方法は、本明細書に記載の疾患または障害を有するヒト患者を治療するために特に好適である。
【0068】
「試験化合物」は、任意の試験で試験されている本明細書に記載の任意の実施形態に従う化合物である。試験には、任意のインビボ又はインビトロ試験、コンピュータモデル又はシミュレーション、仮想薬物試験、幹細胞および遺伝子試験方法、非侵襲的イメージング技術等が含まれる。
【0069】
本明細書で使用する場合、用語「治療」とは、被験者の望ましくない状態または疾患を治療、戦闘、改善、保護または改善するために利用される薬剤を意味する。
【0070】
本明細書に記載する任意の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または医薬組成物の「治療有効量」とは、特定の疾患または障害の少なくとも1つの症状またはパラメータに対して選択した効果をもたらすのに十分な量である。治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、被験者が効果の兆候を示す、または効果を感じる、または医師が変化を観察する)であってもよい。本明細書に記載される任意の実施形態による化合物の治療上有効量は、広義には、0.01mg/kg~約500mg/kg、約0.01~約250mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.05mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約400mg/kg、約0.1mg/kg~約200mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.1~約10mg/kg、約0.2~約5mg/kg、約1mg/kg~約300mg/kg、約10mg/kg~約100mg/kg、体重である。本明細書で企図される効果は、適切には、医学的治療および/または予防的処置の両方を含む。治療的および/または予防的効果を得るために本開示に従って投与される化合物の特定の用量は、例えば、投与される化合物、投与経路、他の活性成分の共投与、治療される状態、採用される特定の化合物の活性、採用される特定の組成、患者の年齢、体重、一般健康、性別および食事、採用される特定の化合物の投与時間、投与経路および排泄率ならびに治療期間;などの事例を取り巻く特定の状況によって決まる。投与される治療上有効な量は、前述の関連する状況に照らして、健全な医学的判断の行使により、医師によって決定される。本明細書に記載される任意の実施形態による化合物の治療上有効量は、典型的には、生理学的に許容される賦形剤組成物で投与されるとき、有効な全身濃度または組織内の局所濃度を達成するのに十分であるような量である。単回投与または分割投与でヒトまたは他の動物に投与される本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の1日総投与量は、例えば、体重で約0.01mg/kg~約500mg/kg、約0.01~約250mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.05mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約400mg/kg、約0.1mg/kg~約200mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.1~約10mg/kg、約0.2~約5mg/kg、約10mg/kg~約100mg/kgの範囲である。本明細書に記載される任意の実施形態の単回投与医薬組成物は、1日の投与量を構成するために、そのような量またはそのサブマルチプルを含有し得る。例えば、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、1日あたり1回、2回、3回、または4回などの1~4回のレジメンで投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の実施形態による化合物の治療上有効量は、約0.01~約25mg/kg/日の間であり得る。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は、下限値約0.01mg/kg体重、約0.1mg/kg体重、約0.2mg/kg体重、約0.3mg/kg体重、約0.4mg/kg体重、約0.5mg/kg体重、約0.60mg/kg体重、約0.70mg/kg体重、約0.80mg/kg体重、約0.90mg/kg体重、約1mg/kg体重、約2.5mg/kg体重、約5mg/kg体重、約7.5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約12.5mg/kg体重、約15mg/kg体重、約17.5mg/kg体重、約20mg/kg体重、約22.5mg/kgの体重、および約25mg/kgの体重;および上限が、25mg/kgの体重、約22.5mg/kgの体重、約20mg/kgの体重、約17.5mg/kgの体重、約15mg/kgの体重、約12.5の体重、約10mg/kgの体重、約7.5の体重、約5mg/kgの体重、約2.5mg/kg体重、約1mg/kg体重、約0.9mg/kg体重、約0.8mg/kg体重、約0.7mg/kg体重、約0.6mg/kg体重、約0.5mg/kg体重、約0.4mg/kg体重、約0.3mg/kg体重、約0.2mg/kg体重、および約0.1mg/kg体重のいずれかになる。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は、約0.1mg/kg/日~約10mg/kg/日であり、いくつかの実施形態では、治療上有効な量は、約0.2および約5mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、本開示による治療レジメンは、そのような治療を必要とする患者への投与は、通常、単回または複数回の投与で、1日あたり、本明細書に開示される任意の実施形態による化合物、またはその薬学的に許容できる塩の約1mg~約5000mg、約10mg~約200mg、約20~約500mg、約20~約400mg、約40~約800mg、約50~約500mg、約80~約1600mgおよび約50mg、含む。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は、50mg~500mgの1日の総投与量である。いくつかの実施形態では、1日用量は、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約250mg、210mg、約215mg約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、300mg、約305mg、約310mg、約315mg約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395、400mg、約405mg、約410mg、約415mg約420mg、約425mg、約430mg、約435mg、約440mg、約445mg、約450mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、約480mg、約485mg、約490mg、約495mg、約500mgの下限値と、約495mg、約490mg、約485mg、480mg、475mg、約500mg約465mg、約460mg、約455mg、約450mg、約445mg、約440mg、約435mg、約430mg、約425mg、約420mg、約415mg、約410mg、約405mg、約400mg、約395mg、約390mg、約385mg、約380mg、約375mg、370mg、365mg、360mg、約355mg、350mg、345mg、約340mg、約335mg、約330mg、約325mg、約320mg、約315mg、約310mg、約305mg約300mg、約295mg、約290mg、約285mg、約280mg、約275mg、約270mg、265mg、約260mg、約255mg、約250mg、約245mg、約240mg、235mg、230mg、約225mg、約220mg、約215mg、約210mg、約205m200mg、約195mg、約190mg、約185mg、約180mg、約175mg、約170mg、約165mg、約160mg、約155mg、約150mg、約145mg、約140mg、約135mg、約130mg、約125mg、約120mg、約115mg、約110mg、約105mg、約100mg、約95mg、約90mg;約85mg、約80mg、約75mg、約70mg、約65mg、約60mg、約55mg、および約50mgの上限値の間である本明細書の任意の実施形態による化合物である。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約50mg~約150mgである。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約50mg~250mgである。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約50mg~350mgである。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約50mg~450mgである。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は約50mgである。そのような有効量は、そのような医薬製剤の複数の分割用量の投与によって到達し得るため、本開示の医薬製剤は、障害の治療に有効な化合物の全量を必ずしも含む必要はないことが理解されるであろう。化合物は、1日1回、2回、3回または4回など、1日あたり1~4回のレジメンで投与されることができる。
【0071】
治療表現型」という用語は、インビトロアッセイにおける化合物の活性パターンで、行動学的有効性を予測できるものを表すのに用いられる。1)シグマ2受容体に高い親和性で選択的に結合し、(2)ニューロンにおけるAβオリゴマー誘発効果に関して機能的アンタゴニストとして作用する化合物は、(i)A誘発膜トラフィッキング障害を遮断または低減し、(ii)A誘発シナプス損失を遮断または低減し、(iii)Aβオリゴマーの不在下でトラフィッキングまたはシナプス数を影響しない場合に「治療表現型」を有していると言われる。このインビトロアッセイにおける活性のパターンは「治療表現型」と呼ばれ、行動の有効性を予測するものである。
【0072】
「治療薬プロファイル」なる用語は、治療薬の表現型を満たし、さらに脳への浸透性(血液脳関門を通過する能力)、血漿安定性、代謝安定性が良好な化合物を有する化合物を説明するために使用される。
【0073】
「組織」とは、特定の機能を発揮するために一体となった、同様に特殊化した細胞の集合体を指す。
【0074】
本明細書で使用する「治療する」、「治療する」、または「治療している」という用語は、治療的処置と予防的または防止的措置の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害または疾患から保護(部分的または全体)または減速(例えば、発症を軽減または延期)すること、または異常だったまたは異常となるだろうパラメータ、値、機能または結果の低下における部分または全体の回復または抑制などの有益または望ましい臨床結果を取得することである。本開示の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果には、症状の緩和、状態、障害または疾患の程度または勢いまたは発症速度の減少、状態の安定化(すなわち、悪化しないこと)が含まれるが、これらに限定されない、状態、障害又は疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しないこと)、状態、障害又は疾患の発症の遅延又は進行の遅延、状態、障害又は疾患の状態の改善、および寛解(部分的か完全かを問わない)は、それが実際の臨床症状の即時軽減、状態、障害又は疾患の増強又は改善につながるか否かを問わない。治療は、過度の副作用を伴わずに、臨床的に重要な反応を引き出すことを目指すものである。治療には、治療を受けなかった場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも含まれる。
【0075】
ヒトアミロイドβおよびシグマ-2アンタゴニスト
網膜色素上皮(RPE)細胞の機能不全は、地理的萎縮型(GA)乾燥型加齢黄斑変性(AMD)の発症に重要な役割を果たすとされる。アルツハイマー病に関連するアミロイドβ(Aβ)タンパク質を示す強い証拠がある。より小さく、可溶性のAβオリゴマーは、多くのシグナル伝達経路を妨害する。
【0076】
シグマ2受容体の結合部位/シグナル経路のサブセットは、アルツハイマー病におけるAβオリゴマーシグナルに関連しており、シグマ2受容体のノックダウンは酸化ストレス誘発性の細胞死から網膜色素上皮細胞(RPE)を保護する。シグマ2受容体は、ヘム結合、チトクロームP450代謝、コレステロール合成、プロゲステロンシグナル、アポトーシス、膜輸送などの多くのシグナル伝達経路に関与している。網膜色素上皮(RPE)細胞の機能不全は、地理的萎縮型(GA)乾燥型加齢黄斑変性(AMD)の発症に重要な役割を果たし、アルツハイマー病に関連するアミロイドβ(Aβ)タンパク質がこのプロセスに関与していることを示す強い証拠がある。
【0077】
人口の高齢化に伴い、視力低下は公衆衛生上の大きな問題となりつつある。米国盲人財団の報告によると、失明または弱視は、18歳以上のアメリカ人3220万人に影響を与える。40歳以上のアメリカ人に最も多い目の病気は、加齢黄斑変性、緑内障、白内障、糖尿病性網膜症である。これらの病気の原因は様々で、怪我、15種類の毒素への暴露、基礎疾患(糖尿病、動脈硬化など)、遺伝的要因(房水の過剰分泌など)などが挙げられる。水晶体を取り出して交換できる白内障を除いて、これらの病気には治療法がなく、視力低下は一般に永久的である。
【0078】
視力障害や進行を抑制、軽減、または治療する保護化合物が必要である。これらの保護化合物は、特定の化学療法レジームに関連する毒性副作用を打ち消すことを含む衝撃または毒性化学物質から生じる損傷の文脈で有用であり、または進行性の視力障害を経験する集団の生活の質を改善する。
【0079】
理論にとらわれることなく、シグマ2受容体は、眼の網膜色素上皮細胞(RPE)や網膜神経節細胞(RGC)において、アベタオリゴマーの受容体であることが提唱されている。可溶性アベタオリゴマーに対する受容体としては、プリオンタンパク質、インスリン受容体、βアドレナリン受容体、RAGE(advanced glycation end productsの受容体)など、文献上、様々なものが提案される。Lauren,J.et al,2009,Nature,457(7233):1128-1132;Townsend,M.et al,J.Biol.Chem.2007,282:33305-33312;Sturchler,E.et al,2008,J.Neurosci.28(20):5149-5158.実際、多くの研究者は、アベタオリゴマーが複数の受容体タンパク質に結合する可能性があると信じている。理論に縛られることなく、本発明者らは、眼に位置するアベタオリゴマーのための追加の受容体を仮定する。
【0080】
理論に縛られることなく、アベタオリゴマーは、シグマタンパク質複合体に結合し、異常な輸送および細胞損傷を引き起こすシグマ受容体アゴニストである。RPEおよび/またはRGCにおけるこの相互作用および/またはシグマ受容体機能に拮抗する本明細書に記載の化合物が、さらなる細胞損傷および細胞死を防止するためにアベタオリゴマーと競合するか、さもなければ干渉することが、本明細書において実証される。このような化合物は、加齢黄斑変性症などの眼関連神経変性疾患の治療のための機能的シグマ2受容体拮抗薬と考えられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態の化合物は、可溶性Aオリゴマーが誘発する細胞損傷又は細胞死を阻害すること、並びに膜トラフィッキングアッセイおよび細胞健康アッセイにおける可溶性Aオリゴマー誘発の欠損を阻害することに関して、RPE又はRGCにおいて機能的アンタゴニストとして作用し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書で詳述する特定のインビトロアッセイ基準を満たす機能的アンタゴニストとして作用する、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、1つまたはそれ以上の関連するインビトロアッセイまたは動物行動モデルにおいて行動有効性を示す、または行動有効性を有することが予測されるであろう。
【0083】
インビトロアッセイプラットフォームに従って、本明細書に記載の任意の実施形態の化合物は、シグマ2受容体に高親和性で結合し;RPEおよびRGCにおけるアベタオリゴマー誘発効果に関して機能的アンタゴニストとして働き;RPE又はRGCにおけるアベタオリゴマー誘発細胞損傷又は死亡を阻害し;アベタオリゴマーの不在下で膜輸送又は細胞健康に影響しないことがある。インビトロアッセイにおける活性のこのパターンは、「治療表現型」と称される。本明細書に記載される任意の実施形態による化合物の、Aβオリゴマーの非存在下で正常な機能に影響を与えずにRPEおよびRGCにおけるAβオリゴマー効果を遮断する能力は、治療的表現型の基準を満たす。治療的表現型を有する、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、アベタオリゴマー誘発RPEおよびRGC細胞の損傷または死亡を遮断することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、シグマ2アンタゴニスト活性、シグマ2受容体に対する高い親和性、および可溶性Aβオリゴマー結合又はAβオリゴマー誘発RPEおよびRGC細胞損傷又は死亡を遮断する能力を示す。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、可溶性アベタオリゴマーとシグマ2受容体の間の結合を遮断する。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、シグマ2受容体に対して高い親和性を示す。
【0087】
使用方法
様々な実施形態は、眼球関連神経変性疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載の化合物を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0088】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の乾燥型加齢黄斑変性症の治療用医薬品の製造において
【化12】
またはその薬学的に許容される塩をから選択される化合物の使用を対象とする。
【0089】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の乾燥型加齢黄斑変性の治療のための医薬の製造において、
【化13】
から選択される化合物またはその薬学的に許容できる塩、および薬学的に許容できる賦形剤を含む組成物の使用を対象とする。
【0090】
いくつかの実施形態において、眼関連の神経変性疾患は、緑内障、格子状ジストロフィー、網膜色素変性症、加齢黄斑変性(AMD)、湿潤または乾燥AMDに伴う視細胞変性、その他の網膜変性、視神経鼓膜、視神経症、および視神経炎からなる群から選択される。
【0091】
様々な実施形態は、加齢黄斑変性(AMD)を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0092】
いくつかの実施形態は、湿性加齢黄斑変性(湿潤AMD)を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0093】
いくつかの実施形態は、乾燥型加齢黄斑変性(ドライAMD)を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0094】
いくつかの実施形態は、地理的萎縮(GA)乾燥型加齢黄斑変性(AMD)を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載の化合物を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0095】
いくつかの実施形態は、神経細胞における細胞死を防止する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0096】
いくつかの実施形態は、網膜色素上皮細胞(RPE)における細胞死を防止する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0097】
いくつかの実施形態は、網膜神経節細胞(RGC)における細胞死を防止する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、ドライAMDに関連する網膜色素上皮(RPE)細胞および網膜神経節細胞(RGC)の細胞機能不全に対して保護的であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、ドライAMDに関連する細胞機能不全を予防し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、ドライAMDに関連する細胞機能障害を防止し得る。ここで、細胞機能障害は、炎症刺激、オリゴマーAβ、4-ヒドロキシノネナール、または4-ヒドロキシ2ノネナ(4-HNE)、過酸化水素、酸化的ストレス、および補体C3の活性への暴露によって引き起こされ得る。
【0099】
いくつかの実施形態は、RPEおよびRGCにおける酸化ストレスを治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載の化合物を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0100】
いくつかの実施形態において、RPEおよびRGCにおける酸化ストレスは、細胞損傷をもたらす。いくつかの実施形態において、細胞損傷は、細胞毒性、脂質過酸化、カルボニル形成、活性酸素種の形成、ミトコンドリア膜電位の変化、ミトコンドリア質量における変化、ミトコンドリア機能の変化、オートファジックフラックスの変化、リソソームの完全性の喪失、リソソーム活性の変化、光受容体外分節(POS)輸送の欠陥、有毒高分子の蓄積、軸索損傷、細胞老化、アポトーシス、および細胞死からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、酸化ストレスを処置または予防する方法は、それを必要とする被験者に、本明細書に記載の任意の化合物を含む治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態は、RPEおよびRGCにおける細胞毒性を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の任意の化合物の治療有効量を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0102】
いくつかの実施形態は、RPEおよびRGCにおけるリソソーム活性の変化を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の任意の化合物の治療有効量を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0103】
いくつかの実施形態は、RPEおよびRGCにおけるオートファジックフラックスの変化を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の本明細書に記載の任意の化合物を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0104】
いくつかの実施形態は、RPEにおける光受容体外分節(POS)輸送の欠陥を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の本明細書に記載の任意の化合物を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0105】
いくつかの実施形態は、RPEおよびRGCにおける細胞死を防止する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の任意の化合物の治療上有効な量を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0106】
いくつかの実施形態は、RPEおよびRGCにおけるアポトーシスを防止する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の本明細書に記載の任意の化合物を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0107】
いくつかの実施形態は、RPEおよびRGCにおける補体C3機能不全を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効な量の本明細書に記載の任意の化合物を投与する工程を含む、方法を対象とする。
【0108】
いくつかの実施形態では、RPEおよびRGCにおける補体C3機能不全は、細胞損傷をもたらす。いくつかの実施形態において、細胞損傷は、細胞死、経上皮電気抵抗(TEER)の欠損、およびRPEバリアの欠損からなる群から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態は、RPEおよびRGCにおける炎症を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0110】
いくつかの実施形態において、炎症は、炎症性刺激によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、炎症刺激は、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターフェロン-γ(IFNg)、4-ヒドロキシノネナール、または4-ヒドロキシ-2-ノネナ、ロテノン、テルブチルヒドロペルオキシド、および過酸化水素からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の炎症刺激によって引き起こされる炎症を治療または予防する方法である。
【0111】
いくつかの実施形態は、乾燥型加齢黄斑変性(ドライAMD)の進行を遅らせる方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の任意の化合物の治療上有効量を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0112】
いくつかの実施形態は、乾燥型加齢黄斑変性(ドライAMD)を予防する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の任意の化合物の治療上有効な量を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0113】
いくつかの実施形態は、ドライ型加齢黄斑変性(ドライAMD)に関連する症状の進行を遅らせる方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の任意の化合物の治療上有効量を投与する工程を含む方法を対象とする。
【0114】
いくつかの実施形態では、乾燥型加齢黄斑変性症(ドライAMD)に関連する症状は、ドルーゼンの数、ドルーゼンのサイズ、眼内高血圧、および視力低下からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のドライAMDに関連する症状を治療または予防する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載の任意の化合物を含む医薬組成物の治療上有効量を投与する工程を含む。
【0115】
本発明で使用する化合物
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、以下からなる群から選択される化合物であり:
A.式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化14】
ここで、R
1およびR
2の各々は、H、C
1-C
6アルキル、またはCH
2OR'から独立して選択され;
ここで、R
1、およびR
2に存在する場合、各R'は独立してHまたはC
1-C
6アルキルであり;
R
3、R
4、R
5、およびR
6の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、F、Cl、Br、I、CF
3、CF、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から選択され;ここで、R
3、R
4、R
5、およびR
6に存在する場合、各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、または任意に置換されたアリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、ここで、任意に置換された基はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
7アシルから選択され;
またはR
3およびR
4は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
3およびR
4が一緒に連結して-O-C
1-C
2メチレンO-基を形成し、
または、R
4およびR
5は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
4およびR
5が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、
R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、O(CO)R'、F、Cl、Br、I、CF
3、CN、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11に存在する場合の各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、
または、R
7およびR
8は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
7およびR
8が一緒に連結して-O-C
1-2メチレン-O-基を形成し、
または、R
8およびR
9は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
8およびR
9が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、
各nは独立して0、1、または2であり、
ただし、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11が全てHではなく、および
ただし、以下の化合物:
【化15】
またはその薬学的に許容される塩を除く、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、
または
B.式IAの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化16】
ここで、R
a、R
b、R
c、R
d、およびR
eの各々は、H、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH
3、-OC(CH
3)
3、O-CH(CH
3)
2、CF
3、SO
2CH
3、およびモルフォリノからなる群から独立して選択され、
R
1Aは、水素、アルキル、フェニル、または-CH=C(CH
3)
2からなる群から選択され、および
R
2Aは、任意に置換された環状アミノ基である、前記式IAの化合物またはその薬学的に許容される塩である。
【0116】
式Iの化合物
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩から選択され、
【化17】
R
1およびR
2の各々は、H、C
1-C
6アルキル、またはCH
2OR'から独立して選択され、ここで、R
1、およびR
2に存在する場合、各R'は独立してHまたはC
1-C
6アルキルであり;
R
3、R
4、R
5、およびR
6の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、F、Cl、Br、I、CF
3、CN、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)から独立して選択され。
ここで、R
3、R
4、R
5、およびR
6に存在する場合、各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、または任意に置換されたアリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、ここで、任意に置換された基はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
7アシルから選択され、
またはR
3およびR
4は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
3およびR
4が一緒に連結して-O-C
1-C
2メチレンO-基を形成し、
または、R
4とR
5は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
4およびR
5が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、
R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、O(CO)R'、F、Cl、Br、I、CN、CF
3、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11に存在する場合の各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、
または、R
7およびR
8は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリラルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
7およびR
8が一緒に連結して-O-C
1-2メチレン-O-基を形成し、
または、R
8およびR
9は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
8およびR
9が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基となり、
各nは独立して0、1、または2であり、
ただし、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11が全てHではなく、および
ただし、以下の化合物、
【化18】
またはその薬学的に許容される塩を除く。
【0117】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立して、HまたはCH3から選択され;R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立して、H、C1-C6アルキル、OH、OCH3、O(C1-C6アルキル)、O(C1-C6ハロアルキル)、F、Cl、CF3、アリール、ヘテロアリール、C3-7シクロアルキル、CO2R'、C(O)R'、OC(O)N(R')2,CONR'2、NC(O)R'、NS(O)nR'、S(O)nNR'2、S(O)nR'から独立して選択され;ここで、n=0、1、または2であり;R'はそれぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、C3-C6アルキル、C1-C6ハロアルキルであり;または任意に置換されたピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリニル、ヘテロシクロアルキル、またはアリールであり、ここで任意に置換される基はC1-C6アルキルまたはC2-C7アシルから選択され;またはR3およびR4は、それらが結合しているC原子と一緒になって、5員、または6員のC3-7シクロアルキル、またはアリールを形成し;またはR4およびR5は、それらが結合しているC原子と一緒になって、C3-7シロアルキル、または5員または6員アリールを形成し;またはR3とR4が連結して-O-C1-2メチレン-O-基を形成し;またはR4とR5が連結して-O-C1-2メチレン-O-基を形成し;およびR7、R8、R9、R10、およびR11はそれぞれ独立して、H、OH、CH3、CH2CH3、F、Cl、CF3、OCF3、C1-C6ハロアルキル、OCH3、O(C1-C6アルキル)、OCH2CH2OH、O(C1-C6アルキル)OH、アリール、ヘテロアリール、C3-7シクロアルキル、アルキルアリール、CO2R'、CONR'2、S(O)nNR'2、S(O)nR'、C(O)O(C1-4アルキル)、OC(O)N(R')2、およびC(O)NH(C1-4アルキル)から選択され;ここで、n=0、1、または2であり;R'はそれぞれ独立して、H、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、またはC1-6アルコキシを示す。
【0118】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、ここでR7、R10、R11は、各々Hであり;R3およびR4は、それぞれ独立して、H、F、Cl、S(O)nR'、C(O)R'から選択され;ここで、n=2、およびR'はCH3、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニルから選択され;R8は、OH、OCH3、OCH(CH3)2、OCH2CH(CH3)2、またはOC(CH3)3から選択され;R9はOHである。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明における使用のための化合物本発明における使用のための化合物は、式Iの化合物、または薬学的に許容されるその塩であり:
【化19】
からなる群から選択される。
【0120】
さらなる実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、
【化20】
ここで、R
3、R
4、R
5,およびR
6は、それぞれ独立して、H、Cl、F、OH、CH
3、C
1-6アルキル、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、OC
1-6アルキル、アリール、へテロアリール、ヘテロシクロアルキル、CO
2R'、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)R'、OC(O)N(R')
2、またはC(O)NH(C
1-4アルキル)から選択され、ここでn=0、1、または2であり;およびR'は、それぞれ独立して、H、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキルから選択され;または任意に置換されたアリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-6アルコキシ、NH(C
1-4アルキル)、またはNH(C
1-4アルキル)
2であり、ここで、任意に置換した基はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
7アシルから選択され;
または、R
3およびR
4が、それらが結合しているC原子と一緒になって、6員アリールを形成し;または、R
3およびR
4が一緒になって、-O-C
1-2メチレン-O-基を形成し;または、R
4およびR
5が、それらが結合しているC原子と一緒になって、6員アリールを形成し;または、R
4およびR
5が一緒になって、-O-C
1-2メチレン-O-基を形成し;および
R
8およびR
9は、それぞれ独立して、H、Cl、F、OH、CH
3、C
1-6アルキル、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(CO)R'、OC
1-6アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、CO
2R'、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、OC(O)N(R')
2、またはC(O)NH(C
1-4アルキル)から選択され;
または、R
8およびR
9は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、およびR
9およびR
10はそれぞれ独立して結合、C、N、S、およびOから選択され;またはR
8およびR
9が連結して-O-C
1-2メチレン-O-基を形成する。
【0121】
さらなる実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、R3、R4、R5およびR6の少なくとも1つはHではなく;およびR8およびR9の少なくとも1つはHではない。
【0122】
他の実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、R7、R10、R11は、各々Hであり;R3およびR4は、それぞれ独立して、H、F、Cl、S(O)nR'、C(O)R'から選択され、ここでn=2、およびR'はCH3、または任意に置換されたピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、またはモルホリニルから選択され、ここで任意の置換基はC1-C6アルキルまたはC2-C7アシルから選択され;R8は、OH、Cl、OCH3、OCH(CH3)2、OCH2CH(CH3)2、またはOC(CH3)3から選択され、R9はOHまたはClである。
【0123】
さらなる実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、ここで、R3およびR4はそれぞれ独立して、H、F、Cl、S(O)nR'、C(O)R'から選択され、ここで、n=2から選択され、R'はCH3、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、またはモルフォリニルから選択され;R5およびR6はそれぞれHであり;R8はOH、OCH3、OCH(CH3)2、OCH2CH(CH3)2、またはOC(CH3)3から選択され;R9はOHである。
【0124】
さらなる実施形態において、本発明で使用するための化合物、またはその薬学的に許容される塩は、以下からなる群から選択される。
【化21】
【0125】
さらなる実施形態において、本発明で使用するための化合物、またはその薬学的に許容される塩は、以下からなる群から選択される化合物である:
【化22】
【0126】
さらなる実施形態において、本発明で使用するための化合物、またはその薬学的に許容される塩は、以下からなる群から選択される化合物である:
【化23】
【0127】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物:
【化24】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0128】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は:
【化25】
である。
【0129】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物、またはその薬学的に許容される塩は、式IのR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、およびR11のそれぞれが、本明細書に定義するとおりであり、R1、R6、R7、R10、およびR11がそれぞれHであるという但し書きつきである化合物であり;R2はCH3であり;R8はOCH3またはClであり;およびR9は、OHまたはClであり;それからR4は、ClまたはCF3ではなく、ならびにR5は、ClまたはCFでない。3
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IIの化合物:
【化26】
またはその薬学的に許容される塩であり、
ここで、R
3、R
4、R
5、R
6、R
8、およびR
9は、本明細書に記載のとおりである。
【0131】
別の実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IIIの化合物:
【化27】
またはその薬学的に許容される塩であり、ここで、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は、本明細書に提供されるとおりであり、各__________は独立して単結合、二重結合または三重結合から選択される。
【0132】
いくつかの態様において、本発明で使用するための化合物は、以下からなる群から選択される式IIIにかかる化合物:
【化28】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0133】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物のラセミ混合物またはエナンチオマーを含み、ここで、R3、R4、R5、R6、R8、およびR9は、本明細書に記載の通りである。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R8およびR9は、OH、C1-6アルコキシ、およびヒドロキシC1-6アルコキシから独立して選択される。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R8およびR9はOHおよびNH(C1-4アルキル)から独立して選択される。
【0136】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R8およびR9は、H、ハロ、C1-6ハロアルキル、およびC1-6ハロアルコキシから独立して選択される。
【0137】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R8およびR9はそれぞれ独立してOH、ハロ、C1-6アルコキシおよびC1-6ハロアルコキシから選択され、R1およびR2はそれぞれ独立してC1-6アルキルである。
【0138】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R1およびR2はそれぞれメチルである。
【0139】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R1およびR2の一方はメチル、他方はHである。
【0140】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R8およびR9はそれぞれ独立してOHおよびC1-6アルコキシから選択され、R1およびR2は、それぞれ独立してメチルを示す。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R8およびR9はH、ハロ、およびC1-6ハロアルキルから独立して選択され、R1およびR2は、それぞれメチルである。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R8およびR9はそれぞれ独立してH、ハロおよびC1-6ハロアルキルから選択される。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R7およびR11はそれぞれHである。
【0144】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R3、R4、R5,およびR6はそれぞれ独立してH、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、およびC1-6アルコキシから選択される。
【0145】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R3、R4およびR5はそれぞれ独立してH、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、およびC1-6アルコキシから選択される。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R3、R4、R5、およびR6はそれぞれ独立して、H、ハロ、S(O)nR'、C(O)OR'、C(O)N(R')2、およびC(O)R'から選択され;ここで、n=2;R'は、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、C3-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、または任意にC1-C6アルキルまたはC2-C7アシル置換アリール、アルキラリール、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、およびヘテロアリールから選択される。
【0147】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立して、H、ハロ、S(O)nR'、およびC(O)R'から選択され;ここで、n=2;R'は、それぞれ独立して、CH3、CH2CH3、C3-C6アルキル、アリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、およびモルホリニル-4-イルである。
【0148】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R3、R4、およびR5はそれぞれ独立して、H、ハロ、S(O)nR'、およびC(O)R'から選択され;ここで、n=2;R'は、それぞれ独立して、CH3、CH2CH3、C3-C6アルキル、アリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、およびモルホリニル-4-イルであり;R8およびR9はそれぞれ独立してOH、ハロ、C1-6アルコキシ、およびC1-6ハロアルコキシから選択され;ならびにR1およびR2はそれぞれメチルである。
【0149】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R3およびR4またはR4およびR5は、それらが結合しているC原子と一緒になって、6員シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリール環を形成する。
【0150】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R3およびR4またはR4およびR5はOであり、一緒に連結して-O-C1-2メチレン-O-基を形成する。
【0151】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R2およびR3は、H、OH、ハロ、C1-6アルコキシおよびC1-6ハロアルキルから独立して選択される。
【0152】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IIの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R3およびR4は、H、Cl、F、-OMe、-CF3、S(O)nR'、およびC(O)R'から独立して選択され;ここで、n=2;R'は、それぞれ独立して、H、CH3、CH2CH3、C3-C6アルキル、アリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、およびモルホリニル-4-イル;R8およびR9は、それぞれ独立してOHおよびC1-6アルコキシから選択される。
【0153】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、ここで、R2およびR3は、H、OH、Cl、F、-OMe、および-CF3から独立して選ばれ、ここで、R7およびR8はHおよびC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され、ここで、R9はH、R5、およびR6は、HおよびC1-6ハロアルキルからそれぞれ独立して選択される。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の任意の実施形態による式I~IIIのいずれかの化合物は、以下の化合物の1つ以上を除去するための但し書きを含むことができる:
【化29】
【0155】
式IAの化合物
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物
【化30】
またはその薬学的に許容される塩を含み、
ここで、R
a、R
b、R
c、R
d、およびR
eの各々は、H、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH
3、-OC(CH
3)
3、O-CH(CH
3)
2、CF
3、SO
2CH
3、およびモルフォリノからなる群から独立して選択され;
R
1Aは、水素、アルキル、フェニル、または-CH=C(CH
3)
2からなる群から選択され;および
R
2Aは、任意に置換された環状アミノ基である。
【0156】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、置換基Ra、Rb、Rc、Rd、およびReの各々が、H、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH3、-OC(CH3)3、O-CH(CH3)2、CF3、SO2CH3およびモルフォリノからなる群から独立して、選択される式IAの化合物を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、置換基Ra、Rb、Rc、Rd、およびReの各々が、H、Cl、F、およびCF3からなる群から独立して選択される式IAの化合物を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、置換基Ra、Rb、Rd、およびReのそれぞれが独立してHであり;およびRcがH、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF3、SO2CH3、およびモルフォリノからなる群から選択される式IAの化合物を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、置換基Ra、Rb、Rd、およびReのそれぞれが独立してHであり;およびRcがH、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH3、-OC(CH3)3、O-CH(CH3)2、CF3、SO2CH3、およびモルフォリノからなる群から選択される式IAの化合物を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、置換基Ra、Rb、Rd、およびReの各々が独立してHであり;およびRcがH、Cl、F、およびCF3からなる群から選択される式IAの化合物を含む。
【0161】
様々な実施形態において、本発明で使用するための化合物は、R
2Aが、窒素原子を介して式IAの脂肪族鎖に結合している環中に窒素を含む任意のヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールである式IAの化合物を含む。いくつかの実施形態では、例えば、R
2Aは:
【化31】
および類似物から選択される任意に置換された環状アミノ基であり、ここで、各窒素含有ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、ヒドロキシル、ハロ、CF
3、アルコキシ、アリロキシ、任意置換C
1-C
10アルキル、任意置換C
5-C
10アリール、任意置換C
3-C
10へテロアリール、置換または未置換C
3-C
10シロアルキル、またはへテロシクロアルキルを含む。
【0162】
様々な実施形態において、本発明で使用するための化合物は、R2Aが、任意に置換されたアジリジニル、任意に置換されたピロリジニル、任意に置換されたイミジゾリジニル、任意に置換されたピペリジニル、任意に置換されたピペラジニル、任意に置換されたオキソピペラジニルおよび任意に置換されたモルホリニルの群から選択される式IAの化合物を含む。
【0163】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここで、R
2Aが置換環状アミノである場合、環状アミノ基の水素原子の1つ以上が、アルカノイル、アルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリロキシ、アリロイル、シクロアルカノイル、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N,N-ジメチルアミノ)ピリジニル、(N,N-ジメチルアミノ)スルホニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、パーフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドロピラニル、およびCF
3から選択される基で置換される。いくつかの実施形態では、環状アミノ基の同じ炭素上の2つの水素原子が、以下から選択される化合物で置換され、
【化32】
、スピロ化合物を形成する。
【0164】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、R2Aの化合物を含み、ここで、R2Aは、ピロリジニル、またはアルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、ヒドロキシル、およびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換された置換ピロリジニルである。いくつかの実施形態において、R2Aは、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、ヒドロキシル、およびヒドロキシアルキルからなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピロリジンである。いくつかの実施形態において、R2Aは、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メトキシカルボニルおよびメチルからなる群から選択される単一の置換基で置換された置換されたピロリジニルである。
【0165】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここで、R
2Aは、ピペリジニル、またはアルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N,N-ジメチルアミノ)ピリジニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、パーフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジン、テトラヒドピラニル、およびCF
3からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換される置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、アルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N.N-ジメチルアミノ)ピリジニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、パーフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドロピラニルおよびCF
3からなる群から選択される単一の置換基で置換されるピペリジニルまたは置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、アルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N.N-ジメチルアミノ)ピリジニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、パーフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドロピラニルおよびCF
3からなる群から選択される単一の置換基で置換されるピペリジニルまたは置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、ピペリジニルまたはメチル、イソプロピル、イソブチル、CF
3、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、(イソプロピルオキシ)エチル、-(CH
2)
2O(CH
2)
2OCH
3、-(CH
2)
3OCH
3、-C(OMe)、-C(O)OEt、ヒドロキシル、メトキシ、イソプロピルオキシ、フェニルオキシ、フェ、エトキシ、フェニル、
【化33】
からなる群から選択される単一の置換基で置換されるピペリジニルまたは置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、ピペリジニル、またはアルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N,N-ジメチルアミノ)ピリジニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、パーフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリダニル、テトラヒドピラニル、およびCF
3からなる群から選択される単一の置換基でピペリジニルの4位で置換されるピペリジニルまたは置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、ピペリジニル、または、イソプロピル、イソブチル、CF
3、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、(イソプロピルオキシ)エチル、-(CH
2)
2O(CH
2)
2OCH
3、-(CH
2)
3OCH
3、-C(O)Ome、-C(O)OEt、水酸化、メトキシ、イソプロピルオキシ、フェニルオキシ、エトキシ、フェニル、
【化34】
からなる群から選択される単一の置換基でピペリジニルの4位で置換されるピペリジニルまたは置換ピペリジニルである。
【0166】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここで、R
2Aは、アルコキシアルキル、アルキル、-OC(O)NCH(CH
3)
2、ヒドロキシル、およびフェニルからなる群から独立して選択されるピペリジニル、またはピペリジニルの同じ炭素上の2つの置換基と置換した置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、アルコキシアルキル、アルキル、-OC(O)NCH(CH
3)
2、ヒドロキシル、およびフェニルからなる群から独立して選択されるピペリジニルまたはピペリジニルの4位において2つの置換基で置換された置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、ヒドロキシルおよびメチル;ヒドロキシルおよびエチル;ヒドロキシルおよび-(CH
2)
2OCH
3;ヒドロキシルおよびフェニル;メチルおよびフェニル;メチルおよび-OC(O)NCH(CH
3)
2;およびブチルおよび-OC(O)NCH(CH
3)
2からなる群から選択される4位で2つの置換基を置換させたピペリジニルまたは置換ピペリジナルである。いくつかの実施形態では、ピペリジニルの同じ炭素上の2つの水素原子が、
【化35】
から選択される化合物で置換され、スピロ化合物を形成する。いくつかの実施形態では、ピペリジニルの4位の2つの水素原子が、
【化36】
から選択される化合物で置換され、スピロ化合物を形成する。
【0167】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここでR
2Aは、ピペラジニル、またはアルカノイル、アルコキシカルボニル、アリロイル、シクロアルカノイル、(N,N-ジメチルアミノ)スルホニル、ヘテロシクリル、メチルスルホニル、およびフェニルからなる群から選択される1またはそれ以上の置換基と置換されるピペリジニルまたは置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アリロイル、シクロアルカノイル、(N,N-ジメチルアミノ)スルホニル、ヘテロシクリル、メチルスルホニル、およびフェニルからなる群から選択される単一の置換基で置換される置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態において、R
2Aは、-C(O)OC(CH
3)
3、-C(O)OCH
2CH(CH
3)
2、-C(O)OCH
2CH
3、-C(O)OCH
3、フェニル、
【化37】
-C(O)CH
3、-C(O)Ph、-SO
2Me、-SO
2N(CH
3)
2からなる群から選択される単一の置換基で置換される置換ピペラジニルである。いくつかの実施形態では、R
2Aは、-C(O)OC(CH
3)
3、-C(O)OCH
2CH(CH
3)
2、-C(O)OCH
2CH
3、-C(O)OCH
3、フェニル、-C(O)CH
3、-C(O)Ph、-SO
2Me、-SO
2N(CH
3)
2、
【化38】
からなる群から選択される4位で単一の置換基で置換される置換ピペラジニルである。
【0168】
特定の実施形態において、本発明で使用するための化合物はR
2A、式IAの化合物であり、ここでRは、式IAの置換されたピペルジニルである:
【化39】
ここで、R
3Aは水素またはC
1-C
8アルキルであり、R
4Aは水素、ヒドロキシル、ハロゲン、CF
3、アルコキシ、アリールオキシ、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10へテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキル、または任意に置換されたC
3-C
10へテロシクロアルキルである。
【0169】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここでR
2Aは、
【化40】
であり、
ここで、R
5AおよびR
6Aの各々は、独立して、水素、ヒドロキシル、スルホニル、ジアルキルアミノ、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール任意に置換されたC
3-C
10へテロアルキル、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキルまたは任意に置換されたC
3-C
10へテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R
5Aは、水素、ジアルキルアミノ、またはC
3-C
10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R
5Aは、水素、ジアルキルアミノ、ピロリジニルまたはモルホリニルである。いくつかの実施形態において、R
6Aは、スルホニルである。いくつかの実施形態において、R
6Aは、メチルスルホニルである。
【0170】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、R
2Aが式IAである化合物を含み、ここで、R
2Aは:
【化41】
であり、
ここで、R
3aは、水素およびC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、n
Aは、0、1、および2から選択される整数である。
【0171】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、
ここで、R
2Aは、
【化42】
である。
【0172】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、R2Aが任意に置換されたモルホリニルである式IAの化合物を含む。いくつかの実施形態において、R2Aはモルホリニルである。
【0173】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここで、R
2Aは、式
【化43】
の任意に置換されたピペラジニルであり、
ここで、R
7は、水素、ヒドロキシル、スルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルコキシカルボニル、アシル、ベンゾイル、シクロアルキルカルボニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10へテロアルキル、任意に置換されたC
3-C
10シロアルキル、または任意に置換されたC
3-C
10へテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R
7Aは、スルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルコキシカルボニル、アシル、ベンゾイル、シクロアルキルカルボニル、C
5-C
10アリール、または任意に置換されたC
3-C
10へテロシクロアルキルである。
【0174】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここでR
2Aは、
【化44】
である。
【0175】
様々な実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここで、R
2Aは、任意に置換されたピロリジニルであり:
【化45】
ここで、R
8Aは、水素、ヒドロキシル、スルホニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10へテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキル、または任意に置換されたC
3-C
10へテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R
8Aは、水素、ヒドロキシル、または任意に置換されたC
1-C
10アルキルである。
【0176】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IAである化合物を含み、ここで、R
2Aは:
【化46】
である。
【0177】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、R
2Aが任意に置換された二環式環または任意に置換された縮合環である式IAの化合物を含む。例えば、いくつかの実施形態において、R
2Aは:
【化47】
からなる群から選択され、
ここで、R
9Aは、水素、ヒドロキシル、スルホニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10へテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキル、または任意に置換されたC
3-C
10へテロシクロアルキルである。
【0178】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IAの化合物を含み、ここで、R
2Aは、
【化48】
であり、
ここで、R
11a、R
11b、R
11c、およびR
11dの各々は、独立して、水素、ヒドロキシ、スルホニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10へテロアルキル、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキル、または任意に置換されたC
3-C
10へテロシクロアルキルから選択される。特定の実施形態では、R
2Aは、
【化49】
である。
【0179】
いくつかの実施形態では、本発明で使用するための化合物は、各Ra、Rb、Rc、RdおよびReが、Ra、Rb、Rc、Rd、およびReのそれぞれについて本明細書に開示した任意の実施形態から選択する式IAの化合物;R1AがR1Aについて本明細書に開示した任意の実施形態から選択され、およびR2AがR2Aについて本明細書に開示した任意の実施形態から選択される。
【0180】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、以下からなる群から選択される化合物である:
【化50】
【0181】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は:
【化51】
からなる群から選択される化合物である。
【0182】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IIAの化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化52】
である。
【0183】
式IIAの置換基Rf、Rg、Rh、Ri、およびRjの各々は、独立して、H、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF3、SO2CH3、およびモルフォリノからなる群から選択される。
【0184】
式IIAの置換基R10Aは、任意に置換された環状アミノ基であり、mAは0から3の整数である。
【0185】
いくつかの実施形態において、式IIAの置換基Rf、Rg、Rh、Ri、およびRjの各々は、H、ヒドロキシル、およびアルコキシからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、式IIAの置換基Rf、Rg、Rh、Ri、およびRjの各々は、独立して、H、ヒドロキシル、およびメトキシからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、置換基Rf、Rg、およびRjの各々は、Hであり、Rg、およびRhの各々は、独立して、ヒドロキシル、またはメトキシから選択される。
【0186】
いくつかの実施形態において、式IIAのR10Aは、任意に置換されたアジリジニル、任意に置換されたピロリジニル、任意に置換されたイミジゾリジニル、任意に置換されたピペリジニル、任意に置換されたピペラジニル、任意に置換されたオキソピペラジニル、または任意に置換されたモルホリニル、および式Iに関連して上述した個々の置換もしくは非置換のピペルジニル、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のピペラジニル、置換もしくは非置換のピロリジニル、置換もしくは非置換の二環、または置換もしくは非置換の融合環のいずれかである。
【0187】
いくつかの実施形態において、式IIAのR
10Aは、任意に置換された縮合環であり、例えば、:
【化53】
であり、
ここで、R
11e、R
11f、R
11g、およびR
11hの各々は、独立して、、水素、ヒドロキシ、スルホニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10へテロアルキル、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキルまたは任意に置換されたC
3-C
10へテロシクロアルキルと選択する。特定の実施形態では、R
10Aは、m
Aが2の時、
【化54】
ではない。
【0188】
いくつかの実施形態において、R
10Af式IIAは、
【化55】
である。
【0189】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は、式IIaの化合物:
【化56】
である。
【0190】
式IIaの置換基RkおよびRlの各々は、H、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF3、SO2CH3、およびモルフォリノからなる群から独立して選択される。
【0191】
式IIaの置換基R
12Aは、アリールオキシ、アルケニルオキシ、アルコキシ、アミノアルキル、N,N-ジメチルアミノアルキル、ピロリジニル、n-メチルピロリジニル、N-アシルピロリジニル、カルボキシアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、-O(CH
2)
2OC(O)CH、
【化57】
から、なる群から選択される。
【0192】
いくつかの実施形態において、式IIaの置換基RkおよびRlの各々は、H、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、RlAはメトキシであり、Rkはヒドロキシルである。
【0193】
いくつかの実施形態において、式IIaの置換基R
12Aは、フェニルオキシ、-OCH
2CH=CH
2、メトキシ、-CH
2NH
2、-CH(NH
2)CH
3、-CH
2N(Me)
2、-CH(CH
3)N(Me)
2、-CH
2NHC(O)CH
3、-CH(OH)CH
3、-O(CH
2)
2OC(O)CH
3、
【化58】
からなる群から選択される。
【0194】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は:
【化59】
からなる群から選択される化合物である。
【0195】
いくつかの実施形態において、本発明で使用するための化合物は:
【化60】
からなる群から選択される化合物である。
【0196】
追加の実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物の塩、溶媒和物、立体異性体、プロドラッグ、および活性代謝産物を含む。
【0197】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物の遊離塩基形態を対象とする。他の実施形態は、例えば、薬学的に許容される酸付加塩または遊離塩基の薬学的に許容される付加塩を含むような化合物の塩を含む。薬学的に許容される酸付加塩の実施例は、これらに限定されないが、硝酸、リン酸、硫酸、または臭化水素、塩酸、ヨウ化水素、フッ化水素、リン酸から誘導される塩、ならびに、脂肪族モノ-およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシルアルカン酸、アルカンジオ酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、ならびに酢酸、マレイン酸、コハク酸、またはクエン酸などの非毒性の有機酸から誘導される塩を含む。このような塩の非限定的な実施例は、ナパジシレート、ベシレート、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩素、臭化物、ヨウ化物、アセテート、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、カプリレート、イソブチレート、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベレート、セバケート、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデレート、ベンゾアート、クロロベンゾアート、メチルベンゾアート、ジニトロベンゾアート、フタルアート、ベンゼンスルホンアート、トルエンスルホンアート、フェニルアセテート、シトラート、ラクテート、マレート、タートルート、メタンスルホンレート、および類似物である。上記化合物の追加の塩形態は、アルギネート等のアミノ酸の塩やグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩(例えば、Berge,et al."Pharmaceutical Salts,"J.Pharma.Sci.1977;66:1を参照)を含む。
【0198】
薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アミンなどの金属やアミンで形成される。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、および類似物である。好適なアミンの実施例は、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、およびプロカインを含む。前記酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を、従来の方法で塩を生成するのに十分な量の所望の塩基と接触させることにより調製される。遊離酸の形態は、塩の形態を酸と接触させ、遊離酸を単離することにより再生することができる。
【0199】
様々な実施形態は、全塩および部分塩、すなわち、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の塩基1モル当たり1、2または3当量、好ましくは1当量の酸を有する、上述の化合物または塩の酸1モル当たり1、2または3当量、好ましくは2当量の塩を有する塩を含む。典型的には、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物の薬学的に許容される塩は、所望の酸または塩基を適宜使用することによって容易に調製することができる。塩は、溶液から沈殿し、濾過によって回収され得るか、または溶媒の蒸発によって回収され得る。例えば、塩酸などの酸の水溶液を、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の水性懸濁液に添加し、得られた混合物を蒸発させて乾燥させ(凍結乾燥)、酸付加塩を固体として得てもよい。あるいは、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を、適切な溶媒、例えばイソプロパノールのようなアルコールに溶解し、同じ溶媒または別の適切な溶媒中で酸を添加することができる。次いで、得られた酸付加塩は、直接、またはジイソプロピルエーテルやヘキサンのような極性の低い溶媒の添加によって沈殿させ、濾過によって単離することができる。
【0200】
多くの有機化合物は、反応させる溶媒や析出・結晶化させる溶媒と錯体を形成することがある。このような錯体は「溶媒和物」と呼ばれる。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られる。様々な実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態に従う化合物の溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、これらの化合物の塩が溶媒和物を形成し得る。
【0201】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物のN-オキシドを含む。N-オキシドには、そうでなければ未置換のsp2N原子を含む複素環が含まれる。そのようなN-オキシドの実施例は、ピリジルN-オキシド、ピリミジルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、およびピラゾリルN-オキシドを含む。
【0202】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、1つまたはそれ以上のキラル中心を有することができ、個々の置換基の性質に応じて、幾何学的異性体を有することも可能である。したがって、実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物の立体異性体、ジアステレオマー、およびエナンチオマーを含む。キラル化合物は、個々のエナンチオマーまたはエナンチオマーの混合物のいずれかとして存在し得る。エナンチオマーを等しい割合で含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。エナンチオマーの不均等な部分を含む混合物は、RまたはS化合物のいずれかの「エナンチオマー過剰」(ee)を有すると説明される。混合物中の1つのエナンチオマーの過剰は、しばしば%エナンチオマー過剰と表現される。エナンチオマーの比率は、エナンチオマーの混合物が平面偏光を回転させる程度を、個々の光学的に純粋なRおよびS化合物と比較する「光学純度」によって定義することもできる。化合物はまた、本明細書に記載の化合物の実質的に純粋な(+)または(-)エナンチオマーであり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の1つのエナンチオマーである実質的に純粋なエナンチオマーを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、少なくとも99.5%の1つのエナンチオマーである実質的に純粋なエナンチオマーを含むことができる。
【0203】
上記の説明は、本明細書に記載された任意の実施形態による化合物のすべての個々の異性体を包含し、本明細書および請求項における特定の化合物の説明または命名は、個々のエナンチオマーおよびそれらの混合物の両方を含むことを意図する。立体化学の決定、および立体異性体の分離または立体合成のための方法は、当技術分野でよく知られている。ジアステレオマーは、物理的性質と化学的反応性の両方において異なる。ジアステレオマーの混合物は、溶解度、分結晶化、またはクロマトグラフィー特性、例えば、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、またはHPLCに基づいて、エナンチオマー対に分離することができる。ジアステレオマーの複雑な混合物をエナンチオマーに精製するには、通常2つの工程を必要とする。最初の工程では、ジアステレオマーの混合物は、上記のように、エナンチオマー対に分解される。第2の工程では、エナンチオマー対をさらに精製して、一方または他方のエナンチオマーを濃縮した組成物にするか、より好ましくは、純粋なエナンチオマーを含む組成物に分解される。エナンチオマーの分離は、通常、キラル剤、例えば、溶媒またはカラムマトリックスとの反応または分子相互作用を必要とする。分解能は、例えば、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ混合物を、第2剤、すなわち分解能剤の純粋なエナンチオマーとの反応によって、ジアステレオマーの混合物に変換することによって達成され得る。次に、得られた2つのジアステレオマー生成物を分離することができる。分離されたジアステレオマーは、最初の化学変化を逆転させることにより、純粋なエナンチオマーに再変換される。
【0204】
エナンチオマーの分離は、キラル物質への非共有結合の違いによって達成されることもある。エナンチオマーとクロマトグラフィー吸着剤の非共有結合は、ジアステレオマーコンプレックスを形成し、クロマトグラフィーシステムにおける移動状態と結合状態での分割を差動的に導く。そのため、2つのエナンチオマーは、例えばカラムなどのクロマトグラフィーシステム内を異なる速度で移動し、分離することができる。
【0205】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物のプロドラッグ、すなわち、哺乳動物対象に投与した場合に、本明細書に記載の任意の実施形態による活性化合物をインビボで放出する化合物を含む。プロドラッグは、代謝変換によって薬理学的に活性な薬剤に変換される薬理学的に活性な化合物またはより典型的には不活性な化合物である。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物のプロドラッグは、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物中に存在する官能基を、修飾がインビボで切断されて親化合物を放出し得るように改変することによって調製される。インビボでは、プロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受け(例えば、加水分解されるか、または天然に存在する酵素(複数可)により作用される)、薬理活性薬剤が遊離されることになる。プロドラッグは、ヒドロキシル基、アミノ基、またはカルボキシ基が、それぞれ遊離ヒドロキシル基、アミノ基、またはカルボキシ基を再生するためにインビボで切断され得る任意の基に結合されている、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を含む。プロドラッグの実施例は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物のエステル(例えば、酢酸塩、ギ酸塩および安息香酸塩誘導体)、または生理的pHにされたときまたは酵素作用によって活性親薬に変換される他の任意の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来の手順は、当技術分野で記載されている(例えば、Bundgaard.Design of Prodrugs.Elsevier,1985を参照)。
【0206】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の1つまたはそれ以上の水素原子が、重水素で置換される。生理学的に活性な化合物の重水素化は、代謝結果にプラスの影響を与えながら、それらの水素対応物の薬理学的プロファイルを保持するという利点を提供することがよく確立されている。本明細書に記載される任意の実施形態による化合物において、1つまたはそれ以上の水素を重水素で選択的に置換すると、その化合物の安全性、忍容性、および有効性が、全水素対応物と比較して向上し得る。
【0207】
重水素を化合物に組み込むための方法は、十分に確立されている。当技術分野で確立された代謝研究を用いて、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を試験して、同位体が代謝されない重水素同位体の選択的配置のための部位を特定することができる。さらに、これらの研究は、重水素原子が配置されるであろう場所として、代謝の部位を特定する。
【0208】
本発明で使用する医薬組成物
いくつかの実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その立体異性体、そのプロドラッグ、またはその活性代謝物;および薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤、を含む医薬組成物を記載している。医薬組成物は、医薬技術において周知の方法で調製することができ、局所的または全身的な治療が望まれるかどうか、および治療される領域に応じて、種々の経路で投与することができる。
【0209】
本明細書の任意の実施形態に記載の化合物が、バルク物質として投与されることが可能であるが、化合物を医薬製剤で提示することが好ましく、例えば、活性剤が、意図する投与経路および標準的な医薬慣行に関して選択される医薬的に許容される担体との混和物中にあることが好ましい。
【0210】
特に、本開示は、本明細書に記載される任意の実施形態による少なくとも1つの化合物の治療有効量、および任意に、薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0211】
組合せ
本開示の医薬組成物および方法について、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、他の治療薬および/または活性剤と組み合わせて使用することができる。
【0212】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、抗血管内皮増殖因子(VEGF)治療、血管閉塞、および緑内障治療のうちの1つまたはそれ以上に組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、化合物は、ブロルシズマブ(BEOVU(登録商標);Novartis)、アフリベルセプト(Eylea(登録商標);Regeron)、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標)、Genentech)、ベバシズマブ(Avastin(登録商標)、Genentech)、およびペガプタニブ(Macugen(登録商標)、Bausch+Lomb)から選択されるVEGF阻害剤と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、化合物は、バーテポルフィン(Visudyne(登録商標)、Bausch+Lomb)およびレーザー治療から選択される血管閉塞の治療と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、化合物は、POT-4(Compstatin(登録商標)、Alcon)、ARC1905(Ophthotech)、Eculizumab(Soliris(登録商標)、Alexion Pharmaceuticals)、FCFD4514S(Genentech)、TA106(Taligen Therapeutics and Alexion Pharmaceuticals)、JSM-7717(EvaluatePharma)、CR2-fHおよびC1INH(ViroPharma)より選ばれた補完カスケード治療剤と組み合わせている。いくつかの実施形態では、化合物は、ブリモニジン(Alpagan(登録商標);Allergan)、アプラクロニジン(Iopidine(登録商標);Novartis)、ネタルスジル(Rhopressa(登録商標)、Aerie Pharmaceuticals)から選択される緑内障の治療と組み合わせられる。いくつかの実施形態において、本化合物は、βブロッカー、炭酸脱水酵素阻害剤、コリン作動薬、およびプロスタグランジンから選択される緑内障の治療薬と併用される。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、抗血管内皮増殖因子(VEGF)治療、血管閉塞、および緑内障治療のうちの1つまたはそれ以上に組み合わせることが可能である。いくつかの実施形態では、化合物は、ブロルシズマブ(BEOVU(登録商標);Novartis)、アフリベルセプト(Eylea(登録商標);Regeron)、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標)、Genentech)、ベバシズマブ(Avastin(登録商標)、Genentech)、およびペガプタニブ(Macugen(登録商標)、Bausch+Lomb)から選択されるVEGF阻害剤と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、化合物は、バーテポルフィン(Visudyne(登録商標)、Bausch+Lomb)およびレーザー治療から選択される血管閉塞の治療と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、化合物は、POT-4(Compstatin(登録商標)、Alcon)、ARC1905(Ophthotech)、Eculizumab(Soliris(登録商標)、Alexion Pharmaceuticals)、FCFD4514S(Genentech)、TA106(Taligen Therapeutics and Alexion Pharmaceuticals)、JSM-7717(EvaluatePharma)、CR2-fHおよびC1INH(ViroPharma)から選択される補完カスケード治療剤と組み合わせる。いくつかの実施形態では、化合物は、ブリモニジン(Alpagan(登録商標);Allergan)、アプラクロニジン(Iopidine(登録商標);Novartis)、ネタルスジル(Rhopressa(登録商標)、Aerie Pharmaceuticals)から選択される緑内障の治療と組み合わせられる。いくつかの実施形態において、本化合物は、βブロッカー、炭酸脱水酵素阻害剤、コリン作動薬、およびプロスタグランジンから選択される緑内障の治療薬と組み合わせられる。
【0214】
したがって、本開示は、さらなる態様において、本明細書に記載の任意の実施形態による少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される誘導体;第2の活性剤;および、任意で薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。
【0215】
同じ製剤に配合される場合、2つまたはそれ以上の化合物は安定であり、互いおよび製剤の他の成分と適合しなければならないことが理解されるだろう。別々に製剤化する場合、それらは、当該技術分野でそのような化合物について知られているような方法で、任意の便利な製剤で提供することができる。
【0216】
保存料、安定剤、染料、および香味料は、本明細書に記載の任意の医薬組成物に提供され得る。保存料の実施例は、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルを含む。酸化防止剤および懸濁化剤も使用することができる。
【0217】
モノクローナル抗体又はフラグメントのような生物製剤を含む組み合わせに関しては、一般に非経口投与、例えば静脈内投与のために、凝集を防ぎ、抗体又はフラグメントを低エンドトキシンの溶液中で安定化するために、適切な賦形剤が採用されるであろう。例えば、Formulation and Delivery Issues for Monoclonal Antibody Therapeutics,Daugherty et al.,in Current Trends in Monoclonal Antibody Development and Manufacturing,Part 4,2010,Springer,New York pp103-129を参照。
【0218】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、錠剤形成および他の製剤タイプに適した粒径を得るために、湿式粉砕などの既知の粉砕手順を使用して粉砕することができる。化合物の微細分割(ナノ粒子)調製物は、例えばWO 02/00196(SmithKline Beecham)を参照する、当技術分野で既知のプロセスによって調製することができる。
【0219】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その立体異性体、そのプロドラッグ、またはその活性代謝物は、任意の投与経路のために処方することができる。
【0220】
投与経路と単位剤形について
投与(送達)のための経路は、これらに限定されないが、眼局所(例えば、結膜下、硝子体内、球後、腔内)、経口(例えば、錠剤、カプセル、または摂取可能溶液として)、局所、粘膜(例えば、.鼻腔スプレーまたは吸入用エアロゾルとして)、非経口(例えば、注射剤による)、胃腸、脊髄内、腹腔内、筋肉内、静脈内、脳室内、または他のデポ投与などの1つまたはそれ以上を含む。
【0221】
したがって、本明細書に記載される任意の実施形態による医薬組成物は、投与モードのために特に処方された形態のものを含む。特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、経口送達に適した形態で製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物は、経口送達に適した、経口生物学的利用可能な化合物である。他の実施形態では、本開示の医薬組成物は、非経口送達に適した形態で製剤化される。
【0222】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、ヒトまたは獣医学で使用するための任意の便利な方法で投与するために処方することができ、したがって本開示は、ヒトまたは獣医学での使用に適合した、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物を含む医薬組成物をその範囲に含む。そのような医薬組成物は、1つまたはそれ以上の適切な担体の助けを借りて、従来の方法で使用するために提示され得る。治療的使用のために許容される担体は、医薬技術において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)に記載される。医薬担体の選択は、意図された投与経路および標準的な医薬慣行に関して選択することができる。医薬組成物は、担体に加えて、任意の適切な結合剤(複数可)、潤滑剤(複数可)、懸濁剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、および/または可溶化剤(複数可)として構成され得る。
【0223】
異なる送達システムに応じて、異なる医薬組成物/製剤の要件が存在する可能性がある。すべての化合物が同じ経路で投与される必要はないことが理解されよう。同様に、医薬組成物が複数の活性成分を含む場合、それらの成分は、異なる経路によって投与され得る。実施例として、本開示の医薬組成物は、例えば、結膜下眼球注射または硝子体内眼球注射として、局所眼球経路を介して送達されるように処方されてもよく、この場合、医薬組成物は、眼球への注射のための送達用に処方される。あるいは、製剤は、全身的に送達されるように設計されてもよく、その場合、医薬組成物は、例えば、静脈内または経口経路による送達のために処方される。あるいは、製剤は、複数の経路で送達されるように設計されることもある。
【0224】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物と、抗体または抗体フラグメント分子との組み合わせは、多数の経路のいずれかによって製剤化および投与することができ、求められる適応症または目的に対して治療的に有効な濃度で投与される。この目的を達成するために、抗体は、当技術分野で知られている様々な許容可能な賦形剤を用いて製剤化することができる。典型的には、抗体は注射、例えば静脈内注射によって投与される。この投与を達成する方法は、当業者に知られる。例えば、参照により本明細書に組み込まれるGokarn et al.、2008、J Pharm Sci 97(8):3051-3066は、種々の高濃度抗体自己緩衝製剤を記載している。例えば、自己緩衝化製剤中のモノクローナル抗体は、例えば、5.25%ソルビトール中の50mg/mL mAb、pH5.0;または5%ソルビトール、0.01%ポリソルベート20、pH5.2中の60mg/mL mAb;または従来の緩衝化処方、例えば、5.25%ソルビトール中の50mg/mL mAbl、5.25%ソルビトール、25または50mM酢酸、グルタミン酸またはコハク酸、pH5.0;または10mM酢酸またはグルタミン酸、5.25%ソルビトール、0.01%ポリソルベート20、pH5.2中60mg/mL;他の低濃度製剤は当業者に知られるように採用できる。
【0225】
本開示のいくつかの化合物は血液脳関門を通過するので、それらは、例えば全身性(例えば、iv、SC、経口、粘膜、経皮経路による)または局所性方法(例えば、頭蓋内)を含む種々の方法によって投与することができる。
【0226】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物が、眼に直接投与される場合、化合物は、例えば、点眼薬、軟膏、クリーム、ゲル、懸濁液などを用いて、眼又は眼瞼に局所的に投与され得る。化合物(複数可)は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリジン、中性ポリ(メタ)アクリレートエステル、およびその他の粘度向上剤などの賦形剤とともに配合することができる。化合物(複数可)は、例えば、結膜またはテノンカプセル下の注射、硝子体内注射、または後球茎注射など、眼に注射することができる。化合物(複数可)は、例えば、グリコール酸、乳酸、グリコール酸および乳酸の組み合わせ、リポソーム、シリコーン、ポリ酢酸ビニル単独またはポリエチレングリコールとの組み合わせなどから処方されるポリマー、マトリックス、マイクロカプセル、または他の送達システムなどの徐放性薬物送達システムを用いて投与することができる。送達デバイスは、長期的な薬物送達のために、眼内に移植することができ、例えば、結膜下に移植する、眼球の壁に移植する、強膜に縫合する、ことができる。
【0227】
眼科用の薬学的に許容される賦形剤および添加剤は、当業者に知られている(担体、安定剤、可溶化剤、強壮剤、緩衝剤、保存剤、増粘剤、錯化剤、および他の賦形剤)。このような添加剤および賦形剤の例は、米国特許第5,891,913号、第5,134,124号、および第4,906,613号に見ることができる。いくつかの実施形態における本発明の医薬組成物は、例えば、活性剤を対応する賦形剤および/または添加剤と混合して、対応する眼科用組成物を形成することによって調製される。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、点眼薬の形態で投与することができ、活性剤は、従来、例えば、担体に溶解される。溶液は、必要に応じて、所望のpHに調整および/または緩衝化され、必要に応じて、安定剤、可溶化剤または張力増強剤が添加される。必要に応じて、保存剤および/または他の賦形剤が、本発明の眼科用製剤に添加される。
【0228】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物が、胃腸粘膜を通して粘膜的に送達される場合、それは、胃腸管の通過中に安定性を維持できるべきである;例えば、タンパク質分解に対する耐性、酸性pHでの安定性、および胆汁の洗浄効果に対する耐性があるべきである。例えば、経口投与のために調製された、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、腸溶性コーティング層で被覆され得る。腸溶性コーティング層材料は、水または適切な有機溶媒のいずれかに分散または溶解させることができる。腸溶性コーティング層ポリマーとして、例えば、メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリ酢酸フタル酸、セルロースアセテートトリメリット、カルボキシメチルエチルセルロース、シェラックまたは他の適切な腸溶コーティング層ポリマー(複数)の溶液または分散物の1つまたはそれ以上を、別々にまたは組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、水性腸溶性コーティング層は、メタクリル酸コポリマーである。
【0229】
適切な場合、本明細書に記載される任意の実施形態による医薬組成物は、吸入によって、皮膚パッチの使用によって、デンプンまたは乳糖などの賦形剤を含む錠剤の形態で、または単独もしくは賦形剤との混和でカプセルもしくは卵剤の形態で、または香料もしくは着色剤を含むエリキシル、溶液もしくは懸濁剤の形態で経口投与することができ、またはそれらは非経口、例えば静脈内、筋肉内もしくは皮下注射することができる。頬側または舌下投与のために、本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物は、錠剤またはトローチの形態で投与することができ、これは従来の方法で処方することができる。
【0230】
本明細書に記載される任意の実施形態による医薬組成物が非経口的に投与される場合、そのような投与には、これらに限定されないが、開示の化合物を静脈内、動脈内、脳内、頭蓋内、筋肉内または皮下に投与すること;および/または注入技術を使用すること;が含まれる。抗体またはフラグメントは、典型的には、非経口的に、例えば、静脈内に投与される。
【0231】
注射または注入に適した、本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物は、注入または注入に適したこのような無菌溶液または分散液の調製のために、必要に応じて調整された、活性成分を含む無菌水溶液、分散液または無菌粉末の形態であってよい。この調製物は、任意にリポソームに封入することができる。いずれの場合も、最終的な調製物は、無菌で液体であり、製造および保存条件下で安定でなければならない。保存安定性を向上させるために、このような製剤は、微生物の増殖を防ぐための防腐剤を含むこともできる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、またはアスコルビン酸の添加によって達成することができる。多くの場合、体液、特に血液と同様の浸透圧を保証するために、等張物質、例えば、糖類、緩衝剤、および塩化ナトリウムが推奨される。このような注射用混合物の長時間の吸収は、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの吸収遅延剤を導入することで達成することができる。
【0232】
分散液は、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン油、およびそれらの混合物などの液体担体または中間体中で調製することができる。液体担体または中間体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリンエステル、およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または液体分散媒であり得る。適切な流動性は、リポソームの生成、分散液の場合の適切な粒子径の投与、または界面活性剤の添加によって、維持され得る。
【0233】
非経口投与の場合、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、他の物質、例えば、溶液を血液と等張にするのに十分な塩またはグルコースを含むことができる無菌水溶液の形態で使用するのが最適である。水溶液は、必要に応じて、適切に緩衝化されるべきである(好ましくは、3から9のpHになるように)。無菌条件下での適切な非経口製剤の調製は、当業者によく知られた標準的な医薬技術によって容易に達成される。
【0234】
無菌注射液は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を、適切な溶媒および1つまたはそれ以上の前述の担体と混合し、次いで無菌濾過することによって調製することができる。無菌注射液の調製に使用するのに適した無菌粉末の場合、好ましい調製方法には、真空中での乾燥および凍結乾燥が含まれ、これらは、その後の無菌溶液の調製のために化合物と所望の賦形剤との粉末状の混合物を提供する。
【0235】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、注射による(例えば、静脈内ボーラス注射または注入により、または筋肉内、皮下、または髄腔内経路により)ヒトまたは獣医学での使用のために処方され、単位用量形態、アンプル、または他の単位用量容器、または必要に応じて保存剤を加えた複数用量容器で提示することができる。注射用医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルションの形態であってもよく、懸濁化剤、安定化剤、可溶化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含んでもよい。あるいは、有効成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば滅菌されたパイロジェンフリーの水で再構成するための滅菌粉末の形態であってもよい。
【0236】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、即時放出、遅延放出、改変放出、持続放出、パルス放出または制御放出用途のために、錠剤、カプセル、トローチ、卵剤、エリキシル剤、溶液または懸濁剤の形態で投与することができる。
【0237】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物はまた、経口または頬側投与に適した形態、例えば溶液、ゲル、シロップ、または懸濁液の形態、または使用前に水または他の適切なビヒクルで再構成するための乾燥粉末で、ヒトまたは獣医の使用のために提示することができる。錠剤、カプセル、トローチ、パスティーユ、ピル、ボーラス、粉末、ペースト、顆粒、弾丸、またはプレミックス製剤などの固形医薬組成物も使用することができる。経口使用のための固体および液体の医薬組成物は、当技術分野でよく知られた方法に従って調製することができる。このような医薬組成物は、固体または液体の形態であり得る1つまたはそれ以上の薬学的に許容される担体および賦形剤も含み得る。
【0238】
錠剤には、微結晶セルロース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、およびグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ、タピオカデンプン)などの崩壊剤(indintegrants)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、特定の複合ケイ酸塩、およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、およびアカシアなどの造粒バインダーを含んでもよい。
【0239】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、およびタルクなどの滑沢剤を含有してもよい。
【0240】
本明細書に記載される任意の実施形態による医薬組成物は、迅速または制御放出錠剤、微粒子、ミニ錠剤、カプセル、サシェ、および経口溶液または懸濁液、またはその調製用の粉末の形態で、経口投与され得る。経口製剤は、任意に、結合剤、充填剤、緩衝剤、潤滑剤、滑沢剤、色素、崩壊剤、矯味剤、甘味剤、界面活性剤、離型剤、付着防止剤、およびコーティング剤などの様々な標準的医薬担体および賦形剤を含み得る。賦形剤の中には、医薬組成物において複数の役割を持つものもあり、例えば、結合剤と崩壊剤の両方として作用するものもある。
【0241】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物のための薬学的に許容される崩壊剤の実施例は、デンプン、前ゼラチン化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸塩、樹脂、界面活性剤、発泡性組成物、水性アルミニウムシリケート、および架橋ポリビニルピロリドンを含むが、これらに限定されない。
【0242】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物のための薬学的に許容される結合剤の実施例は、アカシア;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ゼラチン、グルコース、デキストロース、キシリトール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、デンプン、プレゲラチン化デンプン、トラガカント、キサンティン樹脂、アルギン酸塩、マグネシウム アルミニウムシリケート、ポリエチレングリコールまたはベントナイトを含むが、これらに限定されない。
【0243】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物のための薬学的に許容される充填剤の実施例は、ラクトース、アンヒドロラクトース、ラクトース一水和物、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、セルロース(特に微細結晶セルロース)、ジヒドロまたはアンヒドロリン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムを含むが、これらに限定されない。
【0244】
本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物において有用な薬学的に許容される潤滑剤の実施例は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドのポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびコロイド状二酸化ケイ素を含むが、これらに限定されない。
【0245】
本明細書に記載される任意の実施形態による経口医薬組成物のための適切な薬学的に許容される匂い剤の実施例としては、合成アロマおよび油、花、果物(例えば、バナナ、リンゴ、サワーチェリー、桃)およびそれらの組み合わせの抽出物などの天然芳香油、ならびに同様のアロマを含むが、それらに限定されない。それらの使用は多くの要因に依存するが、最も重要なのは、医薬組成物を服用することになる集団のための器官学的受容性である。
【0246】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物に適した薬学的に許容される色素の実施例は、二酸化チタン、β-カロテン、グレープフルーツ果皮の抽出物などの合成および天然色素を含むが、それらに限定されない。
【0247】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物のための有用な薬学的に許容されるコーティングの実施例は、典型的には、医薬組成物の嚥下を容易にし、放出特性を修正し、外観を改善し、および/または味をマスクするために使用されるが、これらに限られないヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびアクリレート-メタクリレート共重合体を含む。
【0248】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物のための薬学的に許容される甘味料の好適な実施例は、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、およびスクロースを含むが、それらに限定されない。
【0249】
薬学的に許容される緩衝剤の好適な実施例は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、および水酸化マグネシウムを含むが、それらに限定されない。
【0250】
薬学的に許容される界面活性剤の好適な実施例は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートを含むが、それらに限定されない。
【0251】
同様のタイプの固体組成物は、ゼラチンカプセルの充填剤としても採用され得る。この点で好ましい賦形剤としては、乳糖、デンプン、セルロース、乳糖、または高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液および/またはエリキシルの場合、薬剤は、種々の甘味料または香味料、着色料または染料、乳化剤および/または懸濁剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤、ならびにそれらの組み合わせと組み合わせることができる。
【0252】
示されるように、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、経鼻的にまたは吸入によって投与することができ、好都合には、適当な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA134AT)、または1,1,1,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA)などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、またはその他の適切な気体を使用し、加圧容器、ポンプ、スプレー、またはネブライザーを使用して、乾燥粉末吸入器またはエアゾールスプレー提示の形態で送達する。加圧エアロゾルの場合、計量された量を供給するためのバルブを設けることによって、投与単位を決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレー、またはネブライザーは、活性化合物の溶液又は懸濁液、例えば、溶媒としてエタノールと推進剤の混合物を使用し、潤滑剤、例えば、トリオレイン酸ソルビタンを追加的に含んでもよい。
【0253】
吸入器または送気器に使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンから作られる)は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の粉末混合物、および乳糖またはデンプンなどの適切な粉末基剤を含むように製剤されてもよい。
【0254】
吸入による局所投与のために、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、ネブライザーを介してヒトまたは獣医学での使用のために送達されてもよい。
【0255】
本開示の医薬組成物は、体積当たり0.01~99重量%の活性物質を含有し得る。局所投与の場合、例えば、医薬組成物は、一般に、0.01~10%、より好ましくは0.01~1%の活性材料を含有するだろう。
【0256】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、小型一枚膜小胞、大型一枚膜小胞および多重一枚膜小胞などのリポソーム送達システムの形態で投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0257】
本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物または単位剤形は、特定の患者に対する毒性または副作用を最小限に抑えながら最適な活性を得るために、上記に与えられたガイドラインに照らしてルーチンテストによって定義された用量および投与レジメンに従って投与され得る。化合物または単位剤形の投与量は、基礎疾患の状態、個人の状態、体重、性別、および年齢、ならびに投与様式などの様々な要因に従って変化し得る。患者に投与する正確な量は、障害の状態や重症度、患者の身体的な状態によって異なる。任意の症状またはパラメータの測定可能な改善は、当業者によって決定され得るか、または患者によって医師に報告され得る。任意の症状またはパラメータの臨床的または統計的に有意な減衰または改善は、本開示の範囲内であることが理解されるだろう。臨床的に有意な減衰または改善とは、患者および/または医師が知覚できることを意味する。
【0258】
いくつかの実施形態では、投与される化合物の量は、約0.01~約25mg/kg/日の間であり得る。一般に、毎日体重の0.01~25mg/kgの間の投与量が、患者、例えば、ヒトに投与される。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は、下限値約体重の0.01mg/kg、体重の約0.1mg/kg、体重の約0.2mg/kg、体重の約0.3mg/kg、体重の約0.4mg/kg、体重の約0.5mg/kg、体重の約0.60mg/kg、体重の約0.70mg/kg、体重の約0.80mg/kg、体重の約0.90mg/kg、体重の約1mg/kg、体重の約2.5mg/kg、体重の約5mg/kg、体重の約7.5mg/kg、体重の約10mg/kg、体重の約12.5mg/kg、体重の約15mg/kg、体重の約17.5mg/kg、体重の約20mg/kg、体重の約22.5mg/kgの、および体重の約25mg/kg;および上限が、体重の25mg/kg、体重の約22.5mg/kg、体重の約20mg/kg、体重の約17.5mg/kg、体重の約15mg/kg、体重の約12.5、体重の約10mg/kg、体重の約7.5、体重の約5mg/kg、体重の約2.5mg/kg、体重の約1mg/kg、体重の約0.9mg/kg、体重の約0.8mg/kg、体重の約0.7mg/kg、体重の約0.6mg/kg、体重の約0.5mg/kg、体重の約0.4mg/kg、体重の約0.3mg/kg、体重の約0.2mg/kg、および体重の約0.01mg/kgが挙げられる。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は、約0.1mg/kg/日~約10mg/kg/日であり、いくつかの実施形態では、治療上有効な量は、約0.2および約5mg/kg/日である。そのような有効量は、そのような医薬製剤の複数の分割された用量の投与によって到達し得るため、本開示の医薬製剤は、障害の治療に有効な化合物の全量を必ずしも含む必要はないことが理解されるであろう。化合物は、1日1回、2回、3回、または4回など、1日あたり1~4回のレジメンで投与されることができる。
【0259】
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、通常、約10~約200mgの化合物を含むカプセルまたは錠剤に配合される。いくつかの実施形態では、カプセルまたは錠剤は、本明細書の任意の実施形態による化合物の約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、および約200mgを上限とし、および約200mg、約195mg約190mg、約185mg、約180mg、約175mg、約170mg、約165mg、約160mg、約155mg、約150mg、約145mg、約140mg、約135mg、約130mg、約125mg、約120mg、約115mg、約110mg、約105mg、約100mg、約95mg、約90mg約85mg、約80mg、約75mg、約70mg、約65mg、約60mg、約55mg、約50mg、約45mg、約40mg、約35mg、約30mg、約25mg、約20mg、約15mg、および約10mgの下限の間で含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、本明細書の任意の実施形態による化合物は、50mg~500mgの1日総投与量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、1日用量は、本明細書の任意の実施形態による化合物の約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約250mg、210mg、約215mg約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、300mg、約305mg、約310mg、約315mg、約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395、400mg、約405mg、約410mg、約415mg約420mg、約425mg、約430mg、約435mg、約440mg、約445mg、約450mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、約480mg、約485mg、約490mg、約495mg、および約500mgと上限値、および約500mg、約495mg、約490mg、約485mg、480mg、475mg、約500mg約465mg、約460mg、約455mg、約450mg、約445mg、約440mg、約435mg、約430mg、約425mg、約420mg、約415mg、約410mg、約405mg、約400mg、約395mg、約390mg、約385mg、約380mg、約375mg、370mg、365mg、360mg、約355mg、350mg、345mg、約340mg、約335mg、約330mg、約325mg、約320mg、約315mg、約310mg、約305mg、約300mg、約295mg、約290mg、約285mg、約280mg、約275mg、約265mg、約260mg、約255mg、約250mg、約245mg、約240mg、235mg、230mg、約225mg、約220mg、約215mg、約210mg、約205mg、200mg、約195mg、約190mg、約185mg、約180mg、約175mg、約170mg、約165mg、約160mg、約155mg、約150mg、約145mg、約140mg、約135mg、約130mg、約125mg、約120mg、約115mg、約110mg、約105mg、約100mg、約95mg、約90mg、約85mg、約80mg、約75mg、約70mg、約65mg、約60mg、約55mg、および約50mgの上限値の間である。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約50mg~約150mgである。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約50mg~250mgである。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約50mg~350mgである。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は、約50mg~450mgである。いくつかの実施形態では、1日の総投与量は約50mgである。
【0261】
非経口投与用の医薬組成物は、全医薬組成物の100重量%を基準として、本明細書に記載の任意の実施形態による活性化合物を約0.01重量%~約100重量%含む。
【0262】
一般に、経皮投薬形態は、投薬形態の総重量100%に対して、本明細書に記載の任意の実施形態による活性化合物を約0.01重量%~約100重量%含む。
【0263】
医薬組成物または単位剤形は、1日1回の投与でもよく、1日の総投与量を分割して投与することも可能である。さらに、障害の治療のための別の化合物の共同投与または逐次投与が望ましい場合がある。この目的のために、組み合わされた活性原理は、単純な投薬単位に処方される。
【0264】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、概して、ニューロンに対するAβ効果を阻害する。いくつかの実施形態において、上に記載される化合物は、約100μM未満、約50μM未満、約20μM未満、約15μM未満、約10μM未満、約5μM未満、約1μM未満のAβ効果の阻害のためのIC50を有する、約500nM、約100nM、約50nM、または約10nMのニューロン(脳内のニューロンなど)に対する、アミロイド集合またはその破壊、およびアミロイド(アミロイドオリゴマーを含む)結合、ならびにアミロイド沈着を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、ニューロン(中枢神経系ニューロンなど)上での約100μM未満、約50μM未満、約20μM未満、約15μM未満、約10μM未満、約5μM未満、約1μM未満、約500nM、約100nM、約50nM、または約10nMのオリゴマーなどのAβ種の活性/効果の阻害に対するIC50を有する。
【0265】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、シグマ2受容体に特異的に結合することにより、Aβ効果を阻害し得る。化合物は、シグマ-1およびシグマ-2受容体の両方を結合することができるにもかかわらず、シグマ-1受容体に対するよりも少なくとも10%大きい結合親和性で結合する場合、シグマ-2受容体に対して「特異的」であると言うことができる。このような実施形態の化合物は、シグマ-1受容体よりもシグマ-2受容体に対して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きい特異性を示し得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、アミロイド誘導酸化ストレス、細胞損傷、細胞死、およびAβオリゴマーによって媒介される膜トラフィッキングの異常などの、RPEおよびRGCに対するオリゴマーなどのAβ種の影響の1つまたはそれ以上の、ここに記載される任意の実施形態による化合物によるパーセント阻害は、10nM~10μMの濃度で測定すると約1%~約20%、約20%~約50%、約1%~約50%、または約1%~約80%でありえる。阻害は、例えば、アミロイドβ種への曝露前および曝露後の光受容体外隔(POS)輸送の欠陥を定量化することによって評価することができ、または本明細書に記載の任意の実施形態による化合物と、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物が、β種曝露と同時、もしくは先行または後続するAβ種の両方の存在下で光受容体外隔(POS)輸送の欠陥を定量化する。別の例として、阻害は、膜トラフィッキングを決定し、Aβ種の存在下および非存在下、ならびに本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の存在下および非存在下で、細胞老化の速度および程度、または細胞の健康および代謝の他の指標を測定する1つまたはそれ以上のパラメータを比較することによって評価することができる。
【0267】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物が、シグマ-2受容体に結合できるかどうかを決定するために、アッセイが使用される。いくつかの実施形態において、方法は、シグマ2受容体に結合する化合物が、可溶性Aオリゴマー誘導細胞毒性を阻害することによって、シグマ2受容体において機能的アンタゴニストとして作用するかどうかを決定することをさらに含む。
【0268】
アミロイドの任意の形態は、アミロイドモノマー、オリゴマー、フィブリル、ならびにタンパク質(「タンパク質複合体」)と関連したアミロイド、より一般的にはアミロイド集合体を含む、スクリーニング方法および開示によるアッセイの実施に使用することができる。例えば、スクリーニング方法は、種々の形態の溶解性のアミロイドオリゴマーを採用し得、例えば、米国特許出願番号13/021,872、米国特許公開第2010/0240868号、国際特許出願第WO/2004/067561号、国際特許出願第WO/2010/011947号、米国特許公開第20070098721号、米国特許公開第20100209346号、国際特許出願第WO/2007/005359号、米国特許公開第20080044356号、米国特許公開第20070218491号、WO/2007/126473号、米国特許公開第20050074763号、国際特許出願第WO/2007/126473号、国際特許出願第WO/2009/048631号、および米国特許公開第20080044406号、米国特許第7,902,328号、および米国特許第6,218,506号は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0269】
アミロイドのモノマーまたはオリゴマーを含むアミロイド形態は、任意の供給源から入手することができる。例えば、いくつかの実施形態では、市販に利用可能なアミロイドβモノマーおよび/またはアミロイドβオリゴマーを水溶液に使用することができ、他の実施形態では、水性タンパク質溶液に使用されるアミロイドモノマーおよび/またはアミロイドβオリゴマーは、任意の数の既知の技術を使用して当業者によって分離および精製することができる。一般に、様々な実施形態のタンパク質およびアミロイドの水溶液の調製に使用されるアミロイβドモノマーおよび/またはアミロイドβオリゴマーは、水溶液に可溶であってよい。したがって、水溶液のタンパク質とアミロイドβの両方が可溶性であってもよい。
【0270】
添加されるアミロイドは、任意のアイソフォームであってよい。例えば、ある実施形態では、アミロイドモノマーはアミロイドβ1-42であってもよく、他の実施形態では、アミロイドβモノマーはアミロイドβ1-40であってもよい。さらに他の実施形態では、アミロイドβはアミロイドβ1-39またはアミロイドβ1-41であってもよい。したがって、様々な実施形態のアミロイドβは、アミロイドβの任意のC末端アイソフォームを包含し得る。さらに他の実施形態は、N末端がほつれたアミロイドβを含み、いくつかの実施形態では、上記のアミロイドβC末端異性体のいずれかのN末端は、アミノ酸2、3、4、5、または6であってもよい。例えば、アミロイドβ1-42は、アミロイドβ2-42、アミロイドβ3-42、アミロイドβ4-42、またはアミロイドβ5-42およびそれらの混合物を包含してもよく、同様に、アミロイドβ1-40は、アミロイドβ2-40、アミロイドβ3-40、アミロイドβ4-40、またはアミロイドβ5-40を包含してもよい。
【0271】
様々な実施形態で使用されるアミロイドβの形態は、野生型、すなわち、人口の大多数によって生体内で合成されるアミロイドβのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有するものであってもよく、またはいくつかの実施形態では、アミロイドβは、変異型アミロイドβであってもよい。実施形態は、変異アミロイドβの任意の特定の品種に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、水溶液に導入されるアミロイドβは、例えば、「Dutch」(E22Q)変異または「Arctic」(E22G)変異を有するアミロイドβなど、既知の変異を含み得る。そのような変異モノマーは、例えば、例えば、アルツハイマー病の素因を有する個人の集団から単離されたアミロイドβの形態、アミロイドβのファミリー性形態などの天然由来の変異を含み得る。他の実施形態では、変異アミロイドβモノマーは、特定の変異を有するアミロイドβ変異体を製造する分子技術を使用して合成的に製造されてよい。さらに他の実施形態では、変異型アミロイドβモノマーは、例えば、ランダムに生成されたアミロイドβ変異体に見られるような、以前に確認されていない変異を含むことがある。本明細書で使用する「アミロイドβ」という用語は、アミロイドβの野生型形態と、アミロイドβの変異型形態のいずれかを包含することを意図する。
【0272】
いくつかの実施形態では、水性タンパク質溶液中のアミロイドβは、単一のアイソフォームであってよい。他の実施形態では、アミロイドβの様々なC末端アイソフォームおよび/またはアミロイドβの様々なN末端アイソフォームを組み合わせて、水性タンパク質溶液中に提供することができるアミロイドβ混合物を形成してもよい。さらに他の実施形態では、アミロイドβは、タンパク質含有水溶液に添加され、その場で切断されるアミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来してもよく、かかる実施形態では、アミロイドβの種々のアイソフォームが溶液内に含まれることがある。アミロイドβが添加された後の水溶液内では、N末端のほつれおよび/又はC末端のアミノ酸の除去が生じることがある。したがって、本明細書に記載のように調製された水溶液は、単一のアイソフォームが最初に溶液に添加された場合でも、様々なアミロイドβアイソフォームを含み得る。
【0273】
水溶液に添加されるアミロイドβモノマーは、生体組織などの天然源から単離されてもよく、他の実施形態では、アミロイドβは、トランスジェニックマウスまたは培養細胞などの合成源に由来してもよい。いくつかの実施形態では、モノマー、オリゴマー、またはそれらの組み合わせを含むアミロイドβ形態は、正常な被験者および/またはアルツハイマー病などの認知機能低下またはそれに関連する疾患と診断された患者から単離されるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの実施形態において、アミロイドβモノマー、オリゴマー、またはそれらの組み合わせは、正常な被験者または疾患患者から単離されたアベタ集合体である。いくつかの実施形態では、アベタ集合体は、高分子量、例えば、100KDa以上である。いくつかの実施形態では、Aβ集合体は、中間分子量、例えば10~100KDaである。いくつかの実施形態では、Aβ集合体は、10kDa未満である。
【0274】
いくつかの実施形態のアミロイドβオリゴマーは、一般的に使用される「オリゴマーβ」の定義と一致する任意の数のアミロイドβモノマーで構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アミロイドβオリゴマーは、約2~約300、約2~約250、約2~約200のアミロイドβモノマーを含んでよく、他の実施形態では、アミロイドβオリゴマーは、約2~約150、約2~約100、約2~約50、または約2~約25のアミロイドβモノマーから構成されていてよい。いくつかの実施形態では、アミロイドβオリゴマーは、2以上のモノマーを含むことができる。様々な実施形態のアミロイドβオリゴマーは、モノマーの確認に基づいて、アミロイドβフィブリルおよびアミロイドβプロトフィブリルから区別され得る。特に、アミロイドβオリゴマーのモノマーは、一般にβ-プリーツシートからなる球状であるのに対し、フィブリルおよびプロトフィブリルのアミロイドβモノマーの二次構造は平行β-シートである。
【0275】
本明細書に提供されるのは、実施形態Aであり、ドライ型加齢黄斑変性(ドライAMD)を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式Iの化合物からなる群から選択される化合物の治療上有効な量を投与することを含む方法である、
【化61】
またはその薬学的に許容される塩:ここでR
1およびR
2の各々は、H、C
1-C
6アルキル、またはCH
2OR'から独立して選択され、ここで、R
1、およびR
2に存在する場合、各R'は独立してHまたはC
1-C
6アルキルである;R
3、R
4、R
5、およびR
6の各々は、独立して、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、F、Cl、Br、I、CF
3、CN、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から選択され;ここで、R
3、R
4、R
5、およびR
6に存在する場合、各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、または任意選択の置換アリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、ここで、任意に置換された基はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
7アシルから選択され;または、R
3およびR
4は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
3およびR
4が一緒に連結して-O-C
1-C
2メチレンO-基を形成し、または、R
4およびR
5は、それらが結合しているC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアリール、またはヘテロアルキルを形成し、またはR
4およびR
5が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、;R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11の各々は、H、C
1-C
6アルキル、OH、OCH
3、OCH(CH
3)
2、OCH
2CH(CH
3)
2、OC(CH
3)
3、O(C
1-C
6アルキル)、OCF
3、OCH
2CH
2OH、O(C
1-C
6アルキル)OH、O(C
1-C
6ハロアルキル)、O(CO)R'、F、Cl、Br、I、CF
3、CN、NO
2、NH
2、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ヒドロキシアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6アルキル、アリール、ヘテロアリール、C
3-C
7シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、CO
2R'、C(O)R'、NH(C
1-C
4アルキル)、N(C
1-C
4アルキル)
2、NH(C
3-C
7シクロアルキル)、NHC(O)(C
1-C
4アルキル)、CONR'
2、NC(O)R'、NS(O)
nR'、S(O)
nNR'
2、S(O)
nR'、C(O)O(C
1-C
4アルキル)、OC(O)N(R')
2、C(O)(C
1-C
4アルキル)、およびC(O)NH(C
1-C
4アルキル)からなる群から独立して選択され、ここで、R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11に存在する場合の各R'は、H、CH
3、CH
2CH
3、C
3-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、アリール、アルキルアリール、ピペラジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルホリニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、C
1-C
6アルコキシ、NH(C
1-C
4アルキル)、およびN(C
1-C
4アルキル)
2からなる群から独立して選択され、または、R
7およびR
8は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
7およびR
8が一緒に連結して-O-C
1-2メチレン-O-基を形成し、または、R
8およびR
9は、それらが結合しているNまたはC原子と一緒になって、OH、アミノ、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルから独立して選択される1、2、3、4、または5の置換基と任意に置換される4員、5員、6員、7員、または8員のシクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリール基を形成し、またはR
8およびR
9が一緒に連結して-O-C
1-2メチレンO-基を形成し、;各nは独立して0、1、または2であり;R
7、R
8、R
9、R
10、およびR
11はすべてHではないとの但し書きがあり;そして以下の化合物、またはその薬学的に許容できる塩を除くとの但し書きある
【化62】
。
【0276】
本明細書に提供されるのは、実施形態Bであり、ドライ型加齢黄斑変性(ドライAMD)を治療する方法であって、それを必要とする対象に、式IAの化合物からなる群から選択される化合物の治療上有効な量を投与することを含む方法であり:
【化63】
またはその薬学的に許容される塩:ここでR
a、R
b、R
c、R
d、およびR
eの各々は、独立して、H、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH
3、-OC(CH
3)
3、O-CH(CH
3)
2、CF
3、SO
2CH
3、およびモルフォリノからなる群から選択され;R
1Aは、水素、アルキル、フェニル、または-CH=C(CH
3)
2からなる群から選択され、R
2Aは、任意に置換された環状アミノ基である。
【0277】
実施形態Cにおいて、化合物が、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩である、実施形態Aに記載の方法。
【0278】
実施形態Dにおいて、実施形態AからCのいずれか1つに記載の方法であって、化合物が
【化64】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0279】
実施形態Eにおいて、薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカレート、ギ酸塩、ベンゾエート、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンサルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩からなる群から選択される、実施形態AからDのいずれか1つに記載の方法である。
【0280】
実施形態Fでは、薬学的に許容される塩がフマル酸塩である、実施形態A~Eのいずれか1つに記載の方法。
【0281】
実施形態Gにおいて、実施形態AからFのいずれか1つの方法であって、化合物は、
【化65】
である。
【0282】
実施形態Hにおいて、化合物が、式IAの化合物またはその薬学的に許容される塩である、実施形態Bの方法である。
【0283】
実施形態Iでは、実施形態AまたはHのいずれかに記載の方法であって、R2A、任意選択で置換されたピペリジニルである。
【0284】
実施形態Jにおいて、実施形態A、H、またはIのいずれか1つの方法であって、ここで、R
2Aは、
【化66】
からなる群から選択される。
【0285】
実施形態Kにおいて、実施形態A、H、I、またはJのいずれか1つの方法であって、化合物またはその薬学的に許容される塩は、
【化67】
からなる群から選択される。
【0286】
本明細書に提供されるのは、実施形態Lであり、乾燥型加齢黄斑変性(AMD)を治療する方法であって、それを必要とする被験者に、治療有効量の化合物を投与することを含み 前記化合物は、
【化68】
からなる群より選択される。
【0287】
実施形態Mにおいて、それを必要とする対象に、実施形態A~Lのいずれか1つにかかる化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む治療有効量の医薬組成物を投与する工程を含む、乾燥加齢黄斑変性の治療方法である。
【0288】
実施形態Nでは、乾燥型加齢黄斑変性症を治療する方法であって、それを必要とする被験者に、治療上有効な量の、グループから選択される化合物
【化69】
またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含む方法が提供される。
【0289】
実施形態Oにおいて、実施形態Nの方法であって、薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカレート、ギ酸塩、ベンゾエート、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンサルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩からなる群から選択される。
【0290】
実施形態Pにおいて、薬学的に許容される塩が、フマル酸塩である、実施形態Nに記載の方法。
【0291】
実施形態Qにおいて、実施形態Pの方法であって、化合物は、
【化70】
である
【0292】
本明細書に提供されるのは、実施形態Rであって、
【化71】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩の、乾燥型加齢黄斑変性症の治療用医薬品の製造における使用である。
【0293】
本明細書に提供されるのは、実施形態Sであって、
【化72】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤の乾燥型加齢黄斑変性症の治療用医薬の製造における使用である。
【0294】
実施形態Tにおいて、実施形態RまたはSのいずれかの化合物または組成物の使用であって、化合物はその薬学的に許容される塩である。
【0295】
実施形態Uにおいて、実施形態R~Tのいずれか1つの使用であって、薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカレート、ギ酸塩、ベンゾエート、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンサルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩からなる群から選択される。
【0296】
実施形態Vにおいて、実施形態Uの使用であって、薬学的に許容される塩がフマル酸塩である。
【0297】
実施形態Wにおいて、実施形態RまたはSのいずれかの使用であって、化合物が
【化73】
である。
【0298】
実施形態Xにおいて、実施形態RまたはSのいずれかの使用であって、化合物が
【化74】
である。
【0299】
実施形態Yにおいて、実施形態RまたはSのいずれかの使用であって、化合物が
【化75】
である。
【0300】
実施形態Zでは、実施形態Aから実施形態Yの使用であって、化合物は経口投与される。
【0301】
実施例
アベタオリゴマー調製物は、当業者に知られており、例えば、WO2015/116923およびWO2018/213281に見出すことができ、これらの各々は参照によりその全体が組み込まれ、前記方法は、本開示のさらなる側面を構成する。実施例を通じて、以下のシグマ2受容体モジュレーターを使用した:
【化76】
【実施例1】
【0302】
実施例1:ドライAMDに関連する機能障害の治療用化合物の試験
実験デザイン
細胞培養:ATCCから購入したヒト網膜色素上皮細胞株ARPE19は、10%ウシ胎児血清(FBS)と抗生物質を補充したHam's F-10培地(コーニング)中、37℃、5%CO2で培養する(48~72時間ごとに培地をリフレッシュする)。すべての実験目的において、細胞は適切な培養容器(アッセイに依存)でコンフルエンスに到達させ、完全に偏光した上皮単層が形成されるように、実験前に2週間、ハムF-10培地+5%FBSで維持する。細胞は、実験中ずっと倒立顕微鏡で可視化する。眼球細胞における保護活性を検出するアッセイは、Cai, H.et al.、「High-Throughput Screening Identifies Compounds that Protect RPE Cells from Physiological Stressors Present in AMD」、Exp Eye Res,185:10764(2019)に従って実施し、これは参照によりその全体を本明細書に組み込まれる。
【0303】
化合物の調製本発明の化合物を10nMから10μMの濃度で細胞培養物に加え、ビヒクルを加えて37℃、5%CO2で24時間プレインキュベートする。
【0304】
酸化ストレスプロトコール:ビヒクルまたは本発明の化合物で前処理した培養物を、4時間および24時間、酸化ストレスに供する。第2のプロトコルでは、ARPE-19細胞を、酸化ストレス物質tert-ブチルヒドロペルオキシド(tBHP;150uM)を加える前に、本発明の化合物で24時間処理する。処理後24時間、細胞生存率をMTTアッセイ、ヨウ化プロピジウム(PI)染色、および/または乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイにより評価する。本研究の実験対照は以下の通りである:1)酸化ストレッサーを用いないビヒクル(DMSO)-処理細胞(健康なビヒクルコントロール)、2)酸化ストレッサーで処理したビヒクル(DMSO)-処理細胞(傷害コントロール)3)レスキューコントロール(例えば、Nec-7)-酸化ストレッサー処理細胞(傷害+コントロールを完全に救助)。
【0305】
アッセイと結果:
細胞生存率アッセイ:細胞をPBSで3回洗浄し、PBS中4%パラホルムアルデヒドで固定し、0.1%クリスタルバイオレット(Sigma Aldrich,C-3866)、10%エタノールの溶液で染色する。PBSで3回洗浄後、残った染色液を10%酢酸に溶かし、マイクロプレートリーダーで540nmの吸光度を測定する。結果は以下の通りである:本発明の化合物は、酸化的ストレッサーによって誘導される細胞毒性の程度を濃度依存的に低下させる。
【0306】
酸化的ダメージの測定酸化ストレスは、黄斑変性症などの網膜疾患の発症および加速の重要な要因である(Masuda T.et al.、「Retinal Diseases Associated with Oxidative Stress and the Effects of a Free Radical Scavenger」Oxidative Medicine and Cellular Longevity Vol.2017, Article ID 9208489, (2017);and Forest,D.L.,et al."Cellular Models and Therapies for Age-Related Macular Degeneration,"Dis Model Mech 8(5):421-427(2015);これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。酸化的損傷は、以下の方法で測定される:1)脂質過酸化のためのヒト4HNE(4-hydroxynonenal)ELISA(酵素結合免疫吸着法)キット、2)タンパク質の酸化的損傷を検出するためのタンパク質カルボニルアッセイ。結果:本発明の化合物は、脂質過酸化の減少およびタンパク質カルボニル形成の減少によって測定されるように、濃度依存的に酸化的ストレッサーによって誘導される酸化的損傷の程度を減少させる。
【0307】
活性酸素の測定:細胞を回収し、10mM CM-H2DCFDA(2',7'-ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテートのクロロメチル誘導体;ライフテクノロジー、D-399)を含むPBS中で37℃、暗所で30分間インキュベートして色素を細胞にロードできるようにする。この色素は化学的に還元された状態では無蛍光であるが、細胞内で酸化され、細胞内のエステラーゼによって酢酸基が除去されると、蛍光を発するようになる。細胞内の活性酸素の生成は、480nmで励起、530nmで発光するフローサイトメトリーでモニターされる。結果:本発明の化合物は、CM-H2DCFDA蛍光の減少によって測定されるように、濃度依存的に酸化的ストレッサーによって誘導される活性酸素の形成を減少させる。
【0308】
ミトコンドリア膜電位(Δψm):カチオン性蛍光色素テトラメチルローダミン(TMRM)(Thermo Scientific社製)でΔψmを決定し、生体エネルギー的に活性なミトコンドリアに特異的に蓄積される。この色素は、膜電位が低いミトコンドリアから拡散していく。処理終点の前に、ARPE19細胞にTMRM(50nM)を37℃で30分間負荷し、トリプシン処理し、ペレットをPBSに再懸濁し、直ちにフローサイトメトリー(励起/放出:510/580nm)で評価する。データはFlowJo(登録商標)ソフトウェアを用いて解析する。カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾンCCCPの添加はポジティブコントロールとして機能する。結果:本発明の化合物は、TMRM蛍光で測定すると、濃度依存的に酸化的ストレッサーによって誘発されるミトコンドリア膜電位の変化を防止する。
【0309】
ミトコンドリア質量および機能アッセイ:ミトコンドリア質量の推定は、ARPE-19細胞に最終濃度100nMのMitoTracker Green色素(励起/放出:490/516nm)を負荷することで測定する(37℃、15分)。細胞をPBSで洗浄し、0.05%トリプシンでトリプシン化した後に回収する。処理あたり10,000個の細胞を、フローサイトメーターでMitoTracker蛍光強度を分析する。ミトコンドリア機能は、MTTアッセイキットを用いて測定し、細胞死や増殖を考慮し、細胞生存率データに対して正規化する。結果本発明の化合物は、MitoTracker Green蛍光およびMTTアッセイによって測定されるように、濃度依存的に酸化的ストレッサーによって誘発されるミトコンドリア質量および機能の変化を防止する。
【0310】
オートファジーのフラックスアッセイ:細胞を、プロテアーゼ阻害剤(Roche Applied Science,11873580001)を含むRIPA緩衝液(Radioimmunoprecipitation Assay Buffer,Thermo Scientific,89901)中で溶解される。等量のタンパク質を含む細胞溶解液を各レーンに再ロードし、12%SDS-PAGEゲル(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動ゲル)上で分離する。分離後、タンパク質をニトロセルロース膜(0.22mm;Bio-Rad Laboratories,162-0112)に移し、5%脱脂乾燥乳(Fisher Scientific,NC0339922)またはLicor blocking buffer(Li-Cor Biosciences,927-40000)で処理して非特異結合サイトをブロッキングする。次に、膜を、LC3B(1:1000)、ATG7(1:1000)、またはATG9(1:1000)に対して指向する一次抗体とインキュベートする。一次抗体処理の後、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体(ECL検出システム用)または二次赤外線色素800結合抗ウサギ色素またはAlexa Fluor 680結合抗マウスIgG(Licor Odysseyシステム用)で室温で1時間処理する。タンパク質の負荷が等しいことを確認するため、ブロットを抗ACTB(抗β-アクチン)抗体(1:5000希釈)またはa-チューブリン抗体(1:5000希釈)で再プロットする。バンド検出のため、メンブレンをウェスタンブロット検出システム(ECL Plus)でインキュベートし、シングルエマルジョンフィルム(Biomax MR Sigma、Z370398-50EA)に露光する。バンド強度は、Wayne Rasbandが開発したソフトウェア(ImageJ;National Institutes of Health,Bethesda,MD;http://rsb.info.nih.gov/ij/index.htmlで利用可能)を用いて決定する。統計的有意性は、Mann-Whitney U-testを用いて計算する。LC3-II:LC3-Iの比率は、オートファジーのフラックスを決定する。オートファゴソームも免疫染色で検出する。それぞれの処理の終了後、細胞をPBSで2回洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、その後、オートファジー点状体についてウサギポリクローナルLC3抗体(Novus Biologicals、NB100-2220)で免疫染色を行う。免疫染色したLC3の蛍光顕微鏡写真を得て、Axiovision Rel 4.4 software(Zeiss,Oberkochen,ドイツ)で解析する。酸化ストレス後に形成されるLC3の点状染色は、オートファゴソームの形成を示す。結果を説明する:本発明の化合物は、LC3B、ATG7およびATG9のウェスタンブロット分析および免疫蛍光によって測定されるように、濃度依存的に酸化的ストレッサーによって誘導されたオートファゴシックフラックスの変化を正常化する。
【0311】
細胞死アッセイ:細胞死は、ドライAMDの主要な特徴である(Yang,M.,et al.,"Novel Programmed Cell Death as Therapeutic Targets in Age-Related Macular Degeneration,"Int.J.Mol.Sci.、21(19):7279(2020)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。網膜色素上皮細胞(RPE)における機能的なセルベースアッセイを実施し、酸化ストレス(細胞死トリガー)後の細胞生存を評価した。データは、シグマ2受容体モジュレーターが、濃度依存的に酸化ストレスによって引き起こされる細胞死を救済することを示す(
図1Aおよび
図1B)。
【0312】
リソソームの完全性と活性を決定する:網膜色素上皮細胞を8ウェルカバーグラスボトムチャンバー(Lab-Tek,Naperville,IL)にプレーティングし、細胞を1mg/mlのpH指示薬LysoSensor Yellow/Blue dextran(Molecular Probes,Eugene,OR)中で12時間、酸化ストレス要因を変えた存在または不在下でインキュベートする。標識された細胞は、360nmの励起と450nmの発光フィルター、515nmのロングパス発光フィルターを用いてレーザー走査型共焦点顕微鏡で観察される。530/450nmの比が高い(すなわち緑色にシフトしている)ことは、pHが低いことと相関している。カテプシンD活性は、蛍光カテプシンD活性アッセイキット(Abcam,Cambridge,MA)を用いて細胞溶解液で測定し、値は100万細胞あたりの相対蛍光ユニットとして表示されます。結果本発明の化合物は、LysoSensor Yellow/Blue蛍光で測定されるように、濃度依存的に酸化的ストレッサーによって誘導されるリソソームの完全性および活性の損失から保護する。
【実施例2】
【0313】
実施例2:網膜色素上皮細胞のインビトロモデル
ARPE-19細胞などの自然発生網膜色素上皮(RPE)細胞は、実施例1に記載されているように培養される。簡単に言うと、in-situ/眼RPE細胞のいくつかの側面(超微細構造、生理、機能)をエミュレートするために、成熟した色素沈着RPE単層を可能にするトランスウェルインサート上で成長した老化細胞を、細胞機能障害の予防または治療における有効性について本発明の化合物を試験する実験に使用する。
【0314】
ヒト多能性幹細胞(iPSC)由来のRPE株は、バリア機能やRPEの生理機能(血管内皮増殖因子(VEGF)分泌など)がそのままで、成熟した色素単層とみなされ、細胞機能障害の予防や治療に対する有効性について、本発明の化合物を検証する実験に使用される。
【0315】
健康なドナーおよびAMDドナーからの初代RPE細胞は、AMDに関連する表現型および機能を研究するための最も生理学的および病態生理学的に関連する細胞モデルであり、細胞機能不全の予防または治療における有効性について本発明の化合物を試験するための実験に使用される。
【実施例3】
【0316】
実施例3:ドライAMDに重要な経路をインビトロで調節する。
概念実証研究は、ドライAMDの重要な側面を救うシグマ2受容体モジュレーターの明確な役割を示しす。メカニズム研究と疾患関連アッセイでのパスウェイ解析は、RPE細胞で研究されたドライAMDにおけるシグマ2受容体モジュレーターの重要な役割を示唆している(表1)。
【表1】
【0317】
酸化ストレス酸化ストレスはAMDの重要な側面であり、酸化的な障害はRPE細胞における視細胞外分節(POS)の輸送の欠陥につながり、有害な高分子の蓄積に加え、オートファジー-リソソーム経路と細胞プロテオスタシスの破壊をもたらす。過酸化水素(H2O2)は、ヒトの硝子体における酸化ストレスのメディエーターであるため、RPE単層で使用する。RPEモノレイヤーは、AMDや老化した網膜に存在する酸化ストレスをモデル化するために、様々な濃度の酸化ストレス物質にさらされる。培養細胞は酸化ストレス物質で前処理され、蛍光タグ付きPOSの輸送および分解能力が評価されます。これには、リソソームやオートファジー体など、カーゴ分解に重要な後期コンパートメントの測定が含まれます。細胞は、本発明の化合物の存在下または非存在下で試験される。本発明の化合物は、濃度依存的に酸化的ストレッサーによって誘導される酸化的損傷の程度を減少させる。
【0318】
補体阻害:補体異常は、AMD患者の約半数に遺伝的に関連する主要な要因である。補体C3は、補体カスケードの重要な上流成分である。補体因子HのY402H多型を持つAMD患者のドナーRPE細胞では、C3のターンオーバーが著しく増加し、その結果、終末複合体C5b-9のリソソームへの取り込みと沈着が高まる。AMDと類似するスターガルト病のRPE細胞の研究では、C3を輸送するエンドソームの肥大化が確認されています。試験管内で補体調節異常を模倣するために、補体C3活性を標的とした。培養RPE細胞をコブラ毒にさらすと、C3を標的とすることで補体経路の破綻が再現されます。このモデルでは、補体攻撃後のCD59のリサイクルやリソソームのエキソサイトーシスが欠損しており、RPE細胞を保護することができない。補体異常は、RPEにおけるカーゴの輸送とプロセッシングを混乱させることを示す証拠である。このモデルでは、培養物を蛇毒にさらし、その後、光受容体外層セグメント(POS)を化合物の存在する培地と存在しない培地に添加し、救助の程度を決定する。網膜色素上皮(RPE)細胞のファゴソームおよびオートファジー-リソソーム経路における細胞内荷物の輸送および共局在化の研究(Ratnayaka JA,Keeling E,Chatelet DS:Study of Intracellular Cargo Trafficking and Co-localization in the Phagosome and Autophagy-Lysosomal Pathway of Retinal Pigment Epithelium Cells.Methods Mol Biol 2020;2150:167-82に記載される。本発明の化合物は、RPEバリアの細胞死および経上皮電気抵抗(TEER)の欠損を救済する。
【0319】
Aβオリゴマー暴露:Aβは、光受容体外分節の輸送、バリア(タイトジャンクション)の完全性、および細胞の健康における障害を特徴とするRPE細胞における病原を媒介する。RPE培養物を、本発明の化合物の存在下または非存在下で、ヒトオリゴマーAβで処理する。POS輸送およびバリア完全性が測定され、細胞の健康状態が乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイで判定される。本発明の化合物は、オリゴマーAβによって引き起こされる、光受容体外分節の輸送、バリア完全性、および細胞の健康における欠損を救済するものである。
【0320】
オートファジーのアッセイ:オートファジーアッセイは、Klionsky et al.、「Guidelines for the Use and Interpretation of Assays for Monitoring Autophagy」(4
th edition)
Autophagy 2021;17:1-382に従って行い、これは参照によりその全体をほん明細書に組み入まれる。RPE培養物を、本発明の化合物の存在下または非存在下のいずれかで、ヒトオリゴマーAβで処理した。POSトラフィッキングは、RPE細胞培養物へのPOSの添加後、経時的に測定された。ストレス要因としては、Aβオリゴマーの添加、またはH
2O
2を12~48時間にわたって行った。これらの研究は、RPE細胞培養物へのPOSの添加後、POSが正常な速度で経時的にトラフィックされることを示した。このプロセスは、Aβオリゴマー(
図2Aおよび2B)または酸化ストレス(
図3Aおよび3B)のようなストレス因子の添加によって破壊された。シグマ2受容体モジュレーター(化合物Aおよび化合物C)の存在は、ストレス後の微小管関連タンパク質1軽鎖3B(LC3B)とのPOSの共局在化によって測定されるように、ストレス(
図2Aおよび2Bならびに
図3Aおよび3B)後のオートファゴソームへの正常なトラフィックを回復させた。
【0321】
酸化的ストレッサーは、オートファジー関連タンパク質に見られる変化を伴うAMDの病態と関連しています。酸化的ストレス因子を作用させると、急性的にオートファジー関連タンパク質の発現が増加した(
図4)。シグマ2受容体モジュレーターである化合物Aおよび化合物Cは、このオートファジー関連タンパク質の増加を防止した(
図4)。
【実施例4】
【0322】
実施例4.網膜色素上皮細胞の老化の防止
実験デザイン初代RPE培養物またはARPE-19細胞を、本発明の化合物の存在下または非存在下で、RPE細胞の老化を引き起こすために非致死性のCSC(タバコ煙凝縮物;150uM)で6~10日間処理する。処理後6~10日目に、細胞の老化をb-ガラクトシダーゼ免疫細胞化学で評価する。実験的コントロール1)CSCを含まないビヒクル(DMSO)処理細胞(健康なビヒクルコントロール)、2)CSCで処理したビヒクル(DMSO)処理細胞(老化+コントロール)3)レスキュー+コントロール(例えば、ウイルスで処理したミトコンドリアDRP1変異タンパク質)(老化+コントロールの一部救済)。実験結果本発明の化合物は、CSCの投与により引き起こされるRPE細胞の老化を防止する。
【実施例5】
【0323】
実施例5.網膜色素上皮細胞における炎症反応の抑制
実験デザインTHP-1細胞を、酸化ストレスを受けた培養RPE細胞の培地で処理し、THP-1細胞における炎症性マーカーの発現を誘導する。THP-1細胞処理の前に、RPE細胞(+/-酸化ストレス)を本発明の化合物で処理し、THP-1細胞における炎症性応答を防止する。実験的コントロール1)ビヒクル(DMSO)処理細胞(健康なビヒクルコントロール)、2)ビヒクル(DMSO)処理RPE由来培地(THP+コントロール)。実験結果本発明の化合物は、RPE由来培地の投与によって引き起こされるTHP細胞における炎症性応答を防止する。
【実施例6】
【0324】
実施例6.網膜神経節細胞のアポトーシスの防止
実験デザイン視神経破砕モデルにおいて、免疫摘出した網膜神経節細胞(RGC)を、本明細書に記載の化合物の濃度を上げながら培養する。網膜神経節細胞のカスパーゼ3活性および細胞生存率を、カルセイン-AM染色により評価する。実験結果:本発明の化合物は、網膜神経節細胞のアポトーシスを防止する。
【実施例7】
【0325】
実施例7.眼球高血圧症の予防
実験デザイン本発明の化合物の存在下または非存在下で、ダイオードレーザーからの光をトラベキュラーメッシュワークに適用することにより、ラットに眼圧の上昇を誘導する。眼圧上昇の誘導から24時間後に視神経の軸索をカウントする。実験結果:本発明の化合物は、眼圧上昇により誘発される細胞死を防止し、軸索損傷により誘発される機能障害を防止する。
【実施例8】
【0326】
実施例8:インビボでの網膜への浸透性
経口投与された本発明の化合物は、シグマ2受容体の80%占有を超える濃度で網膜に浸透する。
【0327】
[14C]-化合物Aをラットに単回経口投与した後、オートラジオグラフィーで組織分布を測定した。[14C]-化合物Aは、24時間の全過程において、ブドウ膜/網膜のシグマ2受容体において80%を超える受容体占有率が認められ、この濃度は脳における濃度と同程度であった(
図5)。80%を超える受容体占有率は、インビボで有効性をもたらす。また、脳(小脳)、網膜、血漿中の薬物濃度も測定した。網膜の濃度は、24時間の全過程でシグマ2受容体の受容体占有率が80%を超え、脳や血漿の濃度よりも高い値を示した(
図6)。同様に、単回経口投与後、化合物Bは、網膜および血漿においてシグマ2受容体の受容体占有率が80%を超え、脳において約50%の占有率を示す濃度で検出された(
図7)。
【実施例9】
【0328】
実施例9:緑内障におけるシグマ2受容体調節薬
緑内障のインビボモデル(Shah,M.,et al.,"Translational Preclinical Pharmacologic Disease Models for Opthalmic Drug Development,"Development.Pharm.Res.36(4):58(2019);これは参照によりその全体が組み込まれる)を使用して、シグマ2受容体モジュレーターの有用性を試験した。
【0329】
シグマ2受容体モジュレーターが細胞死を救済できるかどうかを調べるために、緑内障や他の網膜疾患患者に見られるような網膜神経節細胞の細胞死を引き起こすインビボモデルを使用した。シグマ2受容体モジュレーター化合物Bを添加すると、ベンチマーク陽性対照と同様に網膜神経節細胞数が有意に維持された(p<0.05)(
図8)。
【0330】
緑内障は網膜の電気活動に異常をきたすことがある。この電気活動を測定するために、パターン網膜電図(PERG)は、反転したチェッカーボードなどのテスト刺激に反応する網膜の電気活動を測定する。PERGは、網膜神経節細胞の機能を評価するための非侵襲的で直接的、かつ客観的な方法である。緑内障のインビボモデルでは、緑内障や他の網膜疾患患者に見られるような網膜神経節細胞の機能低下(損傷対未発達)が見られる。シグマ2受容体モジュレーターである化合物Aは、網膜神経節細胞の機能を維持する(
図9Aおよび
図9B;p<0.05)。
【実施例10】
【0331】
実施例10:疾病の適応症
臨床試験で得られたプロテオミクスデータの偏りのないパスウェイ解析により、シグマ2受容体複合体とドライAMDの関係を示す証拠が得られた。化合物Aの投与により影響を受ける可能性のある機能的疾患オントロジーを確認するため、脳脊髄液(CSF)の解析を行ったところ、地理的萎縮と黄斑変性が影響を受ける上位2つの適応症であることが判明しました(表2)。さらに、化合物Aの投与によって変化するタンパク質のうち、ドライ型AMDに関与するいくつかのサブセットを同定した。
【表2】
【0332】
その後、化合物Aを投与したAD患者のCSFおよび血漿バイオフルイドとプラセボで変化するタンパク質の重複を調べたところ、化合物Aによって変化するタンパク質が特定された。これらのタンパク質は、他のグループによって、年齢を合わせた対照群と比較して、ドライAMDまたは地理的萎縮で変化することがこれまでに示される。さらに、これらのタンパク質が関与する経路がいくつか同定され、その多くはドライ型AMDで障害される過程と遺伝的または生物学的な関連があることが知られる。これらの分析から得られた知見は、シグマ2受容体モジュレーターが高齢の患者集団においてAMDに関連するタンパク質や経路を変化させることができるという概念を早期に証明するものである。
【0333】
合成例
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、例えば、それぞれが参照によりその全体が組み込まれるWO2013/029057、WO2015/116923およびWO2018/213281に概説される一般および特定の方法によって調製され得、前記方法は、本開示のさらなる局面を構成する。
【国際調査報告】