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特表2023-553415二酸化炭素を効率的に捕捉するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素を効率的に捕捉するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20231214BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20231214BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01D53/04 230
B01D53/04 240
C01B32/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534260
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021062491
(87)【国際公開番号】W WO2022125717
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/123,219
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507243142
【氏名又は名称】アリゾナ・ボード・オブ・リージェンツ・オン・ビハーフ・オブ・アリゾナ・ステイト・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Arizona Board of Regents on behalf of Arizona State University
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】チルッチ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ラックナー,クラウス
【テーマコード(参考)】
4D012
4G146
【Fターム(参考)】
4D012CA03
4D012CA04
4D012CB15
4D012CD02
4D012CD07
4D012CD08
4D012CD10
4D012CF10
4D012CK01
4G146JA02
4G146JC08
4G146JC21
(57)【要約】
COを効率的に収集するためのシステムおよび方法が開示される。このシステムは、凝縮器および蒸発器を有するサブシステムと、それぞれが収着剤を有し、ガス収集相、ガス回収相、および熱回収相の間で移行するように構成された複数の容器とを含む。ガス収集相には、COを吸収する収着剤が含まれる。ガス回収相にはN個の段階があり、容器は生成物ガスを放出し、蒸気を受け取り、捕捉されたCOを脱着させる。第1(N-1)のガス回収段階には、下流圧力でサブシステムに接続された容器と、上流圧力で熱回収相にある容器が含まれる。N番目のガス回収段階には、下流圧力で凝縮器に接続され、上流圧力で蒸発器に接続された容器が含まれる。熱回収相には(N-1)個の段階があり、各段階にはガス回収相の容器に接続される容器が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収サブシステムであって、
凝縮器および蒸発器と熱的に連通し、前記凝縮器はリザーバと流体的に連通している、ヒートポンプと、
前記リザーバおよび前記蒸発器と流体連通し、凝縮液を前記リザーバから前記蒸発器に汲み上げ、前記凝縮液を再蒸発させて水蒸気を形成するように構成される、液体ポンプと、
生成物流を提供する生成物出口と流体連通しており、前記リザーバとも流体連通している、真空圧縮器と
を含む、回収サブシステムと、
それぞれが収着剤材料を有する収着剤構造を含む複数の収着剤容器であって、各収着剤容器は、前記回収サブシステムの前記真空圧縮器、前記凝縮器、および前記蒸発器、および前記複数の収着剤容器の少なくともサブセットと流体連通しており、各収着剤容器の前記流体連通は、複数のバルブを介して制御され、前記複数の収着剤容器の各収着剤容器は、ガス収集相、ガス回収相、および熱回収相の間で移行するように構成され、前記複数の収着剤容器は、前記ガス収集相、前記ガス回収相、および前記熱回収相を同時に含む、複数の収着剤容器と
を含み、
前記ガス収集相は、大気と流体連通し、二酸化炭素を吸収する前記収着剤容器の前記収着剤材料を含み、
前記ガス回収相はN個のガス回収段階を有し、
各収着剤容器は、各前記N個のガス回収段階を順次移行するように構成され、
前記収着剤容器は生成物ガス混合物を放出し、水蒸気を受け取り、捕捉された二酸化炭素を前記収着剤材料から脱着させ、
前記第1(N-1)のガス回収段階は、
下流圧力で前記回収サブシステムと流体連通する前記収着剤容器と、
上流圧力での前記熱回収相の別の収着剤容器と
を含み、
前記N番目のガス回収段階は、前記下流圧力の前記凝縮器および前記上流圧力の前記蒸発器と流体連通する前記収着剤容器を含み、
各ガス回収段階の前記上流圧力は前記下流圧力より大きく、
各ガス回収段階の前記上流圧力は前記前のガス回収段階の前記上流圧力より大きく、
前記熱回収相は(N-1)個の熱回収段階を有し、
各熱回収段階は、加熱圧力での前記ガス回収相において異なる収着剤容器と流体連通する前記収着剤容器を含み、
前記加熱圧力は後続の各熱回収段階で減少し、
前記収着剤容器は前記(N-1)個の熱回収段階のそれぞれを順次移行するように構成される、
二酸化炭素を効率的に収集するためのシステム。
【請求項2】
前記回収サブシステムの前記液体ポンプが補給水バルブに結合され、
前記凝縮液に液体水が加えられ、気化して前記ガス回収相で使用するために前記蒸発器に汲み出される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回収サブシステムの前記蒸発器が熱源に結合されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記(N-1)個の熱回収段階のうちの第1の熱回収段階の前記加熱圧力が、前記N個のガス回収段階のいずれの下流圧力よりも低い、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記生成物流が連続的である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の収着剤容器が少なくとも6つの収着剤容器を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ガス収集相が、前記収着剤構造を前記収着剤容器から分離するステップを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
各収着剤容器が、前記複数の収着剤容器の他のすべての収着剤容器に結合される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記収着剤材料は、温度スイング収着剤材料である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記収着剤材料は、水分スイング収着剤材料である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
各収着剤容器は、液体水供給装置に接続されたスプレーノズルを含み、
各ガス回収段階で、液体水が前記スプレーノズルを通して噴射され、前記上流圧力を有する前記水蒸気の中に浮遊する液体水滴のスプレーが生成され、その結果、液体水が前記収着剤材料に供給されて前記収着剤材料上に堆積し、前記収着剤材料から前記二酸化炭素が脱着する、
請求項1または10に記載のシステム。
【請求項12】
回収サブシステムであって、
凝縮器および蒸発器と熱的に連通しており、前記凝縮器はリザーバと流体的に連通しているヒートポンプと、
前記リザーバおよび前記蒸発器と流体連通しており、前記液体ポンプは、凝縮液を前記リザーバから前記蒸発器に汲み上げ、前記凝縮液を再蒸発させて水蒸気を形成するように構成される、液体ポンプと、
生成物流を提供する生成物出口と流体連通しており、前記リザーバとも流体連通している、真空圧縮器と
を含む、回収サブシステムと、
少なくとも6つの収着剤容器を有する複数の収着剤容器と
を有し、
各収着剤容器は、スプレーノズルと、水分スイング収着剤材料を有する収着剤構造体とを含み、
前記スプレーノズルは液体水供給装置に結合され、
各収着剤容器は、前記回収サブシステムの前記真空圧縮器、前記凝縮器、および前記蒸発器と、および前記複数の収着剤容器の少なくともサブセットと流体連通しており、
各収着剤容器の前記流体連通は、複数のバルブを通じて制御され、
前記複数の収着剤容器の各収着剤容器は、ガス収集相、ガス回収相、および熱回収相の間で移行するように構成され、
前記複数の収着剤容器は、前記ガス収集相、前記ガス回収相、および前記熱回収相を同時に含み、
前記ガス収集相は、大気と流体連通し、二酸化炭素を吸収する前記収着剤容器の前記収着剤材料を含み、
前記ガス回収相はN個のガス回収段階を有し、各収着剤容器は、前記N個のガス回収段階のそれぞれを順次移行するように構成され、前記収着剤容器は生成物ガス混合物を放出し、水蒸気を受け取り、捕捉された二酸化炭素を前記収着剤材料から脱着させ、前記第1(N-1)のガス回収段階は、下流圧力で前記回収サブシステムと流体連通する前記収着剤容器と、上流圧力での前記熱回収相の別の収着剤容器とを含み、前記N番目のガス回収段階は、前記下流圧力の前記凝縮器および前記上流圧力の前記蒸発器と流体連通する前記収着剤容器を含み、各ガス回収段階の前記上流圧力が前記下流圧力より大きく、各ガス回収段階の前記上流圧力が前記前のガス回収段階の前記上流圧力より大きく、前記上流圧力を有する前記水蒸気は、前記液体水供給装置から前記スプレーノズルの外に液体水を押し出すキャリアガスであり、液体水滴のスプレーを生成して、前記二酸化炭素を前記収着剤材料から脱着させ、
前記熱回収相は(N-1)個の熱回収段階を有し、各熱回収段階は、加熱圧力で前記ガス回収相の異なる収着剤容器と流体連通する前記収着剤容器を含み、前記加熱圧力は後続の各熱回収段階で減少し、前記収着剤容器は前記(N-1)個の熱回収段階のそれぞれを順次移行するように構成される、
二酸化炭素を効率的に収集するためのシステム。
【請求項13】
前記回収サブシステムの前記液体ポンプが補給水バルブに結合され、前記凝縮液に液体水が加えられ、気化して前記ガス回収相で使用するために前記蒸発器に汲み出される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記回収サブシステムの前記蒸発器が熱源に結合されている、
請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記(N-1)個の熱回収段階の第1の熱回収段階の前記加熱圧力が、前記N個のガス回収段階のいずれの下流圧力よりも低い、
請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記生成物流が連続的である、
請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記ガス収集相が、前記収着剤構造を前記収着剤容器から分離するステップを含む、
請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
各収着剤容器が、前記複数の収着剤容器の他のすべての収着剤容器に結合される、
請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
複数の収着剤容器を前記システムの回収サブシステムと流体連通するように配置するステップであって、前記収着剤容器はシステムに属し、それぞれが収着剤材料を有する収着剤構造を含み、前記回収サブシステムが、
凝縮器および蒸発器と熱的に連通しており、前記凝縮器はリザーバと流体的に連通している、ヒートポンプと、
前記リザーバおよび前記蒸発器と流体連通している液体ポンプであって、前記液体ポンプは、凝縮液を前記リザーバから前記蒸発器に汲み上げ、前記凝縮液を再蒸発させて水蒸気を形成するように構成される、液体ポンプと、
生成物流を提供する生成物出口と流体連通しており、前記リザーバとも流体連通している、真空圧縮器と
を含む、ステップと、
前記収着剤容器の前記収着剤材料を大気と流体連通し、二酸化炭素を吸収することにより、前記複数の収着剤容器の第1のサブセットの各収着剤容器をガス収集相に配置するステップと、
前記複数の収着剤容器の第2のサブセットの各収着剤容器を、ガス回収相のN個のガス回収段階を通じて順次移行するステップであって、収着剤容器の圧力および収着剤容器の温度を徐々に増加させ、各ガス回収段階は、水蒸気を受け取り、捕捉された二酸化炭素を前記収着剤材料から脱着させる前記収着剤容器と、水蒸気と二酸化炭素を含む生成物ガス混合物を放出する前記収着剤容器とを含み、前記第1(N-1)のガス回収段階は、下流圧力の前記回収サブシステムと流体連通する前記収着剤容器、別の収着剤容器を上流圧力の熱回収相に配置するステップを含み、前記N番目のガス回収段階は、前記下流圧力の前記凝縮器および前記上流圧力の前記蒸発器と流体連通する前記収着剤容器を配置するステップを含み、各ガス回収段階の前記上流圧力が前記下流圧力より大きく、各ガス回収段階の前記上流圧力は、前記前のガス回収段階の前記上流圧力よりも高い、ステップと、
前記複数の収着剤容器の第3のサブセットの各収着剤容器を、前記熱回収相の(N-1)個の熱回収段階を通して順次移行させるステップであって、前記収着剤容器の圧力と前記収着剤容器の温度を徐々に下げ、各熱回収段階は、加熱圧力で前記ガス回収相において異なる収着剤容器と流体連通する前記収着剤容器を配置するステップであって、前記加熱圧力は後続の各熱回収段階で減少する、ステップと
を含み、
前記ガス収集相、前記ガス回収相、および前記熱回収相はすべて、前記複数の収着剤容器内に同時に存在する、
二酸化炭素を効率的に収集するための方法。
【請求項20】
蒸発させて前記ガス回収相で使用するために前記蒸発器に汲み出される前記凝縮液に補給水バルブから液体水を加えることによって、前記システムから失われた水を置換するステップをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記回収サブシステムの前記蒸発器が熱源に結合されている、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記(N-1)個の熱回収段階の第1の熱回収段階の前記加熱圧力が、前記N個のガス回収段階のいずれの下流圧力よりも低い、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記生成物流が連続的である、
請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の収着剤容器が少なくとも6つの収着剤容器を含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のサブセットの各収着剤容器を前記ガス収集相に配置することは、前記収着剤構造を各収着剤容器から分離するステップを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項26】
各収着剤容器が、前記複数の収着剤容器の他のすべての収着剤容器に結合される、
請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記収着剤材料は、温度スイング収着剤材料であることを特徴とする、
請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記収着剤材料は、水分スイング収着剤材料である、
請求項19に記載の方法。
【請求項29】
各収着剤容器は、液体水供給装置に結合されたスプレーノズルを含み、
各ガス回収段階で、液体水が前記スプレーノズルを通して噴射され、前記上流圧力を有する前記水蒸気の中に浮遊する液体水滴のスプレーが生成され、その結果、液体水が前記収着剤材料に供給されて前記収着剤材料上に堆積し、前記収着剤材料から二酸化炭素が脱着する、
請求項19または28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、「System and Method for Energy-Efficient Carbon Dioxide Capture」と題する2020年12月9日に出願された米国仮特許出願63/123,219の利益を主張するものであり、その開示全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]この文書の態様は、全体に二酸化炭素の捕捉に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]周囲空気から二酸化炭素を除去する技術の必要性は十分に確立されている。差し迫った気候変動の危機を回避するには、保全、炭素削減プロセス、現場での捕捉の取り組みに加えて、大気からかなりの量の二酸化炭素を除去する必要がある。それにもかかわらず、これらの技術はまだ新しく、初期の空気捕捉プロセスの動作には大量のエネルギーが必要である。周囲空気中の二酸化炭素は非常に希薄であるため、大気中の二酸化炭素収集装置は、空気を大量に吸引して処理するための厳しいエネルギー予算をすぐに超過してしまう可能性がある。
【0004】
[0004]大気中の二酸化炭素濃度が低いため、大気から二酸化炭素を捕捉することは困難である。空気から二酸化炭素を除去するための理論上の最小エネルギー要件は非常に小さい(約22kJ/モル)にもかかわらず、ほとんどの実際のプロセスには大きな非効率が含まれており、理論上の最適値に近い動作を困難にしている。新しい炭素捕捉技術を広く採用するには、有用な生成物流を効率的に捕捉して分離することが不可欠である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]一態様によれば、二酸化炭素を効率的に収集するためのシステムは、回収サブシステムを含み、回収サブシステムは、凝縮器および蒸発器と熱的に連通するヒートポンプを含み、凝縮器はリザーバと流体的に連通する。回収サブシステムはまた、リザーバおよび蒸発器と流体連通する液体ポンプであって、液体ポンプは、凝縮物をリザーバから蒸発器に汲み上げ、凝縮液を再蒸発させて水蒸気を形成するように構成される、液体ポンプと、生成物流を提供する生成物出口と流体連通しており、リザーバとも流体連通している真空圧縮器と、を含む。このシステムは、それぞれが収着剤材料を有する収着剤構造を含む複数の収着剤容器を含む。各収着剤容器は、回収サブシステムの真空圧縮器、凝縮器、および蒸発器と、また複数の収着剤容器の少なくともサブセットと流体連通している。各収着剤容器の流体連通は、複数のバルブを通じて制御される。複数の収着剤容器の各収着剤容器は、ガス収集相、ガス回収相、および熱回収相の間で移行するように構成され、複数の収着剤容器は、ガス収集相、ガス回収相、および熱回収相を同時に含む。ガス収集相には、大気と流体連通し、二酸化炭素を吸収する収着剤容器の収着剤材料が含まれる。ガス回収相にはN個のガス回収段階がある。各収着剤容器は、N個のガス回収段階のそれぞれを順次移行するように構成され、収着剤容器は生成物ガス混合物を放出し、水蒸気を受け取り、捕捉された二酸化炭素を収着剤材料から脱着させる。第1(N-1)のガス回収段階は、下流圧力で回収サブシステムと流体連通する収着剤容器と、上流圧力での熱回収相の別の収着剤容器とを含む。n番目のガス回収段階は、下流圧力の凝縮器および上流圧力の蒸発器と流体連通する収着剤容器を含み、各ガス回収段階において上流圧力は下流圧力より大きい。各ガス回収段階の上流圧力は、前のガス回収段階の上流圧力よりも高い。熱回収相には(N-1)個の熱回収段階がある。各熱回収段階は、加熱圧力でのガス回収相において異なる収着剤容器と流体連通する収着剤容器を含む。加熱圧力は後続の各熱回収段階で減少し、収着剤容器は(N-1)個の熱回収段階のそれぞれを順次移行するように構成されている。
【0006】
[0006]特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を備えることができる。回収サブシステムの液体ポンプは補給水バルブに結合され、液体水が蒸発器に汲み出される凝縮液に加えられ、気化してガス回収相で使用される。回収サブシステムの蒸発器は熱源に結合されていてもよい。(N-1)個の熱回収段階のうちの第1の熱回収段階の加熱圧力は、N個のガス回収段階のどの下流圧力よりも低くてもよい。生成物流は連続的であってもよい。複数の収着剤容器は、少なくとも6つの収着剤容器を含むことができる。ガス収集相は、収着剤容器から収着剤構造を分離することを含んでもよい。各収着剤容器は、複数の収着剤容器の他のすべての収着剤容器に結合され得る。収着剤材料は、温度スイング収着剤材料であってもよい。収着剤材料は、水分スイング収着剤材料であってもよい。各収着剤容器は、液体水供給装置に結合されたスプレーノズルを含むことができる。各ガス回収段階では、液体水がスプレーノズルを通して噴射され、上流圧力を有する水蒸気の中に浮遊する液体水滴のスプレーが生成され、その結果、液体水が収着剤材料に供給されて収着剤材料上に堆積し、収着剤材料から二酸化炭素が脱着する。
【0007】
[0007]本開示の別の態様によれば、二酸化炭素を効率的に収集するためのシステムは、凝縮器および蒸発器と熱的に連通するヒートポンプを有する回収サブシステムを含む。凝縮器はリザーバと流体連通している。回収サブシステムは、リザーバおよび蒸発器と流体連通する液体ポンプも含む。液体ポンプは、凝縮液をリザーバから蒸発器に汲み上げ、凝縮液を再蒸発させて水蒸気を形成するように構成されている。回収サブシステムはまた、生成物流を提供する生成物出口と流体連通し、またリザーバとも流体連通する真空圧縮器を含む。このシステムは、少なくとも6つの収着剤容器を有する複数の収着剤容器を含み、各収着剤容器は、スプレーノズルと、水分スイング収着剤材料を有する収着剤構造とを含む。スプレーノズルは液体水供給装置に結合されている。各収着剤容器は、回収サブシステムの真空圧縮器、凝縮器、および蒸発器と、また複数の収着剤容器の少なくともサブセットと流体連通している。各収着剤容器の流体連通は、複数のバルブを通じて制御される。複数の収着剤容器の各収着剤容器は、ガス収集相、ガス回収相、および熱回収相の間で移行するように構成され、複数の収着剤容器は、ガス収集相、ガス回収相、および熱回収相を同時に含む。ガス収集相には、大気と流体連通し、二酸化炭素を吸収する収着剤容器の収着剤材料が含まれる。ガス回収相にはN個のガス回収段階がある。各収着剤容器は、N個のガス回収段階のそれぞれを順次移行するように構成され、収着剤容器は生成物ガス混合物を放出し、水蒸気を受け取り、捕捉された二酸化炭素を収着剤材料から脱着させる。第1(N-1)のガス回収段階は、下流圧力で回収サブシステムと流体連通する収着剤容器と、上流圧力での熱回収相の別の収着剤容器とを含む。n番目のガス回収段階は、下流圧力の凝縮器および上流圧力の蒸発器と流体連通する収着剤容器を含む。各ガス回収段階の上流圧力は下流圧力よりも高くなる。各ガス回収段階の上流圧力は、前のガス回収段階の上流圧力よりも高い。上流圧力を有する水蒸気は、液体水供給装置から液体水をスプレーノズルの外に押し出すキャリアガスであり、液体水滴のスプレーを生成して収着剤材料から二酸化炭素を脱着させる。熱回収相には(N-1)個の熱回収段階がある。各熱回収段階は、加熱圧力でのガス回収相において異なる収着剤容器と流体連通する収着剤容器を含む。加熱圧力は、後続の各熱回収段階で減少する。収着剤容器は、(N-1)個の熱回収段階のそれぞれを順番に通過するように構成されている。
【0008】
[0008]特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を備えることができる。回収サブシステムの液体ポンプは補給水バルブに結合され得、液体水が蒸発器に汲み出される凝縮液に加えられ、気化してガス回収相で使用される。回収サブシステムの蒸発器は熱源に結合されていてもよい。(N-1)個の熱回収段階のうちの第1の熱回収段階の加熱圧力は、N個のガス回収段階のどの下流圧力よりも低くてもよい。生成物流は連続的であってもよい。ガス収集相は、収着剤容器から収着剤構造を分離することを含んでもよい。各収着剤容器は、複数の収着剤容器の他のすべての収着剤容器に結合され得る。
【0009】
[0009]本開示のさらに別の態様によれば、二酸化炭素を効率的に収集するための方法は、複数の収着剤容器をシステムの回収サブシステムと流体連通するように配置することを含む。収着剤容器はシステムに属し、それぞれが収着剤材料を有する収着剤構造を含む。回収サブシステムには、凝縮器および蒸発器と熱的に連通するヒートポンプが含まれる。凝縮器はリザーバと流体連通している。回収サブシステムは、リザーバおよび蒸発器と流体連通する液体ポンプも含む。液体ポンプは、凝縮液をリザーバから蒸発器に汲み上げ、凝縮液を再蒸発させて水蒸気を形成するように構成されている。回収サブシステムは、生成物流を提供する生成物出口と流体連通し、またリザーバとも流体連通する真空圧縮器を含む。この方法は、大気と流体連通する収着剤容器の収着剤材料を配置し、二酸化炭素を吸収することによって、複数の収着剤容器の第1のサブセットの各収着剤容器をガス収集相に配置することを含む。この方法はまた、複数の収着剤容器の第2のサブセットの各収着剤容器を、ガス回収相のN個のガス回収段階を通して順次移行させ、収着剤容器圧力および収着剤容器温度を徐々に上昇させることを含む。各ガス回収段階は、水蒸気を受け取り、捕捉された二酸化炭素を収着剤材料から脱着させる収着剤容器と、水蒸気と二酸化炭素を含む生成物ガス混合物を放出する収着剤容器とを含む。第1(N-1)のガス回収段階は、下流圧力の回収サブシステムと流体連通する収着剤容器、別の収着剤容器を上流圧力の熱回収相に配置することを含む。n番目のガス回収段階は、収着剤容器を下流圧力の凝縮器および上流圧力の蒸発器と流体連通するように配置することを含む。各ガス回収段階の上流圧力は下流圧力よりも高くなる。各ガス回収段階の上流圧力は、前のガス回収段階の上流圧力よりも高い。この方法はさらに、複数の収着剤容器の第3のサブセットの各収着剤容器を熱回収相の(N-1)個の熱回収段階に順次移行させ、収着剤容器の圧力および収着剤容器の温度を徐々に低下させることを含む。各熱回収段階は、加熱圧力でガス回収相の異なる収着剤容器と流体連通する収着剤容器を配置することを含み、加熱圧力は後続の各熱回収段階で減少する。ガス収集相、ガス回収相、および熱回収相はすべて、複数の収着剤容器内に同時に存在する。
【0010】
[0010]特定の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を備えることができる。この方法はさらに、気化してガス回収相で使用するために蒸発器に汲み出される凝縮液に補給水バルブから液体水を加えることによって、システムから失われた水を置き換えることを含むことができる。回収サブシステムの蒸発器は熱源に結合されていてもよい。(N-1)個の熱回収段階のうちの第1の熱回収段階の加熱圧力は、N個のガス回収段階のどの下流圧力よりも低くてもよい。生成物流は連続的であってもよい。複数の収着剤容器は、少なくとも6つの収着剤容器を含むことができる。第1のサブセットの各収着剤容器をガス収集相に配置することは、各収着剤容器から収着剤構造を分離することを含むことができる。各収着剤容器は、複数の収着剤容器の他のすべての収着剤容器に結合され得る。収着剤材料は、温度スイング収着剤材料であってもよい。収着剤材料は、水分スイング収着剤材料であってもよい。各収着剤容器は、液体水供給装置に結合されたスプレーノズルを含むことができる。各ガス回収段階では、液体水がスプレーノズルを通して噴射され、上流圧力を有する水蒸気の中に浮遊する液体水滴のスプレーが生成され、その結果、液体水が収着剤材料に供給されて収着剤材料上に堆積し、収着剤材料から二酸化炭素が脱着する。
【0011】
[0011]ここで提示される開示の態様および応用は、以下の図面および詳細な説明で説明される。特に断りのない限り、本明細書および特許請求の範囲における語句には、当業者にとって明白で、通常の、慣れ親しんだ意味が与えられることが意図されている。発明者らは、必要に応じて自分自身の辞書編纂者になれることを十分に承知している。発明者らは、自らの辞書編集者として、特に明記しない限り、明細書および特許請求の範囲における用語の明白かつ通常の意味のみを使用することを明示的に選択し、さらに、その用語の「特別な」定義を明示的に示し、それが明白な通常の意味とどのように異なるかを説明する。「特別な」定義を適用するというそのような明確な意図の表明がない場合、用語の単純、明白かつ通常の意味が明細書および特許請求の範囲の解釈に適用されることが発明者の意図および願望である。
【0012】
[0012]発明者らはまた、英語の文法の通常の原則についても認識している。したがって、名詞、用語、または語句が何らかの方法でさらに特徴付けられ、特定され、または絞り込まれることが意図されている場合、次いで、そのような名詞、用語、または語句には、英語の文法の通常の規則に従って、追加の形容詞、記述用語、またはその他の修飾語が明示的に含まれる。そのような形容詞、記述用語、または修飾語が使用されていない場合、そのような名詞、用語、または語句には、上記の該当分野の当業者にとって明白で通常の英語の意味が与えられることが意図されている。
【0013】
[0013]さらに、発明者らは、米国特許法第112条(f)の特別規定の規格および適用について十分に知っている。したがって、詳細な説明または図面の説明または特許請求の範囲における「機能」、「手段」、または「ステップ」という用語の使用は、発明を定義するために何らかの形で米国特許法第112条(f)の特別規定を援用したいという願望を示すことを意図したものではない。逆に、米国特許法第112条(f)の規定が、発明を定義するために援用されることが求められており、特許請求の範囲には、「手段」または「ステップ」という正確な語句が具体的かつ明示的に記載されており、「機能」という単語も記載され(すなわち、「[挿入機能]の機能を実行するための手段」と述べる)、機能を支持する構造、材料、または行為をそのような語句で記載することはない。したがって、特許請求の範囲に「~の機能を実行するための手段」または「の機能を実行するためのステップ」が記載されている場合でも、特許請求の範囲が、その手段やステップを支持する、または記載された機能を実行する何らかの構造、材料、または行為についても記載している場合、したがって、米国特許法第112条(f)の規定を援用しないというのが発明者の明確な意図である。さらに、たとえ米国特許法第112条(f)の規定が請求された態様を定義するために援用される場合でも、これらの態様は、好ましい実施形態で説明される特定の構造、材料、または行為のみに限定されないが、それに加えて、あらゆる構造、材料、行為が含まれ、本開示の代替実施形態または形態に記載されている請求された機能を実行し、または、請求された機能を実行するための同等の構造、材料、または行為が現在周知であり、または今後開発されることが意図されている。
【0014】
[0014]前述および他の態様、特徴、および利点は、明細書および図面、ならびに特許請求の範囲から当業者には明らかとなるであろう。
【0015】
[0015]以下、本開示を添付の図面と併せて説明するが、同様の符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0016]単一の捕捉装置の概略図である。
図2】[0017]動作中に熱を回収する2つの捕捉装置の概略図である。
図3A】[0018]二酸化炭素を効率的に捕捉するための企図されたシステムの構造の概略図である。
図3B】[0019]動作中の企図されたシステムの概略図である。
図4A】[0020]システム内の単一の収着剤容器の観点から見た、例示的なシステムの3相の段階の概略図である。
図4B】システム内の単一の収着剤容器の観点から見た、例示的なシステムの3相の段階の概略図である。
図4C】システム内の単一の収着剤容器の観点から見た、例示的なシステムの3相の段階の概略図である。
図4D】システム内の単一の収着剤容器の観点から見た、例示的なシステムの3相の段階の概略図である。
図4E】システム内の単一の収着剤容器の観点から見た、例示的なシステムの3相の段階の概略図である。
図4F】システム内の単一の収着剤容器の観点から見た、例示的なシステムの3相の段階の概略図である。
図5A】[0021]図4A~4Fの企図されるシステムの概略図であり、3相の段階全体にわたるさまざまな収着剤容器の相対圧力を示す。
図5B図4A~4Fの企図されるシステムの概略図であり、3相の段階全体にわたるさまざまな収着剤容器の相対圧力を示す。
図5C図4A~4Fの企図されるシステムの概略図であり、3相の段階全体にわたるさまざまな収着剤容器の相対圧力を示す。
図5D図4A~4Fの企図されるシステムの概略図であり、3相の段階全体にわたるさまざまな収着剤容器の相対圧力を示す。
図5E図4A~4Fの企図されるシステムの概略図であり、3相の段階全体にわたるさまざまな収着剤容器の相対圧力を示す。
図5F図4A~4Fの企図されるシステムの概略図であり、3相の段階全体にわたるさまざまな収着剤容器の相対圧力を示す。
図6】[0022]スプレーノズルを備えた収着剤容器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0023]本開示、その態様および実装は、本明細書に開示される特定の材料タイプ、構成要素、方法、または他の例に限定されない。当技術分野で知られている多くの追加の材料タイプ、構成要素、方法、および手順が、本開示の特定の実装で使用するために企図される。したがって、例えば、特定の実装が開示されているが、そのような実装および実装構成要素は、意図された動作と一致する、そのようなシステムおよび実装構成要素に関して当技術分野で知られている任意の構成要素、モデル、タイプ、材料、バージョン、数量などを含み得る。
【0018】
[0024]用語「例示的な」、「例」、またはそのさまざまな形態は、本明細書では、例、実例、または図として機能することを意味するために使用される。「例示的」または「例」として本明細書に記載されるいかなる態様または設計も、必ずしも他の態様または設計より好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。さらに、例は、明確化および理解を目的としてのみ提供されており、いかなる形であっても本開示の開示主題または関連部分を制限または限定することを意図するものではない。さまざまな範囲の無数の追加または代替例を提示することができたが、簡潔にするために省略したことを理解されたい。
【0019】
[0025]本開示には、多くの異なる形態の多くの実施形態が含まれるが、本開示は、開示される方法およびシステムの原理の例示としてみなされるべきであり、また、開示された概念の広範な態様を図示の実施形態に限定することを意図したものではないことを理解した上で、図面に示され、本明細書で特定の実施形態について詳細に説明される。
【0020】
[0026]周囲空気から二酸化炭素を除去する技術の必要性は十分に確立されている。差し迫った気候変動の危機を回避するには、保全、炭素削減プロセス、現場での捕捉の取り組みに加えて、大気からかなりの量の二酸化炭素を除去する必要がある。それにもかかわらず、これらの技術はまだ新しく、初期の空気捕捉プロセスの動作には大量のエネルギーが必要である。周囲空気中の二酸化炭素は非常に希薄であるため、大気中の二酸化炭素収集装置は、空気を大量に吸引して処理するための厳しいエネルギー予算をすぐに超過してしまう可能性がある。
【0021】
[0027]大気中の二酸化炭素濃度が低いため、大気から二酸化炭素を捕捉することは困難である。空気から二酸化炭素を除去するための理論上の最小エネルギー要件は非常に小さい(約22kJ/モル)にもかかわらず、ほとんどの実際のプロセスには大きな非効率が含まれており、理論上の最適値に近い動作を困難にしている。新しい炭素捕捉技術を広く採用するには、有用な生成物流を効率的に捕捉して分離することが不可欠である。
【0022】
[0028]図1は、単一の捕捉装置100の非限定的な例の概略図である。この例示的な装置100は、単一の捕捉装置の基本動作を示し、連携して動作する複数のインスタンスでこのプロセスを実装する利点と、そのような統合を効率化する際の障害についての説明の文脈を提供する。
【0023】
[0029]図示されるように、捕捉装置100は、水容器104に結合された収着剤容器102を備える。本明細書および以下の特許請求の範囲の文脈において、収着剤容器102は、空隙106と、収着剤材料110(例えば、温度スイング収着剤、水分スイング収着剤など)を含む収着剤構造108とを有する断熱容器である。
【0024】
[0030]図示のように、水容器104は液体水112で部分的に満たされている。さまざまな実施形態によれば、水容器104は、液体水112の設定点温度120を維持するように制御される加熱要素118と、液体の量も一定に保たれるようにレベル制御される補給水バルブ122とを有してもよい。他のすべての蒸気成分を排気すると、装置の圧力が設定点温度120に関連する飽和蒸気圧と平衡になるまで、水が沸騰し、液体の一部が蒸発して水容器のヘッドスペースを満たす一方、加熱要素118は、この温度を維持するために必要な熱を加える。補給水バルブ122により、ヘッドスペース内に蒸発する量と同等の液体水112を追加することができる。圧力と温度が平衡に達したら、それ以上の熱や水を加えない。
【0025】
[0031]いくつかの実施形態によれば、この装置100は、収着剤容器102に接続され、制御される真空圧縮器124も備え、その結果、十分な蒸気114が真空圧縮器124によって引き込まれ、収着剤容器102の全圧が設定点圧力、または水容器の飽和蒸気圧以下に維持される。
【0026】
[0032]次に、コネクタバルブが開かれて、水容器104の蒸気空間を収着剤容器102に接続する。さまざまな実施形態によれば、収着剤容器102は最初に完全に排気され、収着剤材料110は水容器の設定点温度120よりもある程度低い温度にある。いくつかの実施形態では、コネクタバルブ116は単に配管であってもよいが、他の実施形態では、水液体リザーバがベース内にあり、収着剤がヘッドスペース内にあるように、2つの容器が単一の筐体に統合されてもよい。
【0027】
[0033]コネクタバルブ116が開くと、水蒸気114が収着剤容器102に流れて、その真空空隙106を満たす。断熱膨張により、水蒸気114は圧力降下を受ける際にわずかに冷却される。しかし、冷却の程度は水露点の低下よりもはるかに小さいため、水蒸気114は実際には過熱される。例えば、60℃、20kPaで飽和し、その後5kPaまで膨張した水蒸気114は58℃まで冷却されるが、その露点は33℃まで下がる。収着剤容器102が満たされ、収着剤容器102内にすでにある蒸気114が断熱圧縮されると、断熱膨張による冷却が阻止される。水蒸気114が収着剤容器に流入し続けると、収着剤容器の圧力が上昇し、水蒸気の露点温度が上昇する。
【0028】
[0034]水蒸気114の一部は、収着剤構造108を迂回して、真空圧縮器124を通って直接引き出される。水もまた、収着剤材料110上に凝縮または収着し、収着剤110の温度は、設定点圧力に関連する飽和温度に達するまで上昇する。設定点圧力が水容器の飽和蒸気圧近くに保たれる場合、収着剤の最終温度は最大になる。
【0029】
[0035]収着剤110が最大温度および最大水容量になると、補給水および真空吸引質量流量は等しくなる。このとき、真空出口から吸引された水の量に応じて追加の水が蒸発するため、追加される熱と水の合計量は、真空圧縮器を備えていない装置100よりも多くなる。
【0030】
[0036]上述したように、捕捉装置100のCO回収段階では、収着剤材料110には最初に二酸化炭素が充填され、水の添加、温度上昇、減圧、または何らかの組み合わせによって放出される。COの吸熱脱着には熱が消費される。脱着されたCOの分圧は、収着剤容器102内の全圧および排気ガスの組成に寄与する。十分に混合されたシステムでは、全圧はCOと水の平衡分圧の合計(収着剤容器の温度で)を超えない。水蒸気114は、その飽和蒸気圧が収着剤容器内のこの全圧を超えない限り、水容器104から流出しない。真空度が増加すると、収着剤容器の圧力が低下する。その後、収着剤容器の総圧力が低下する。特定のCO分圧では、出口濃度が増加する。しかし、水の凝縮温度が低いため、CO収着平衡圧力は低下する。
【0031】
[0037]いくつかの実施形態では、COが除去された後に排気を継続することによって、水の凝縮/収着の逆転を伴う熱回収段階で熱を回収することができる。さまざまな実施形態によれば、コネクタバルブ116を閉じて収着剤容器102の排気を続けると、収着剤110が蒸発冷却を受けることになる。この水を蒸発させるために元々必要とされたエネルギーは、真空圧縮器124の高温蒸気の排出をサイクルのCO回収段階にまだある第2の装置100bに迂回させることによって部分的に回収することができる。さまざまな実施形態によれば、これにより、水容器104内の水を蒸発させるのに必要な熱負荷が低減され、さらには排除され得る。
【0032】
[0038]図2は、2つの捕捉装置100aおよび100bの間で熱を回収する非限定的な例の概略図である。さまざまな実施形態によれば、熱回収動作の開始時に必要な圧縮エネルギーは最小限であり、移送圧力降下を克服するのに十分なだけである。収着剤110が冷えるにつれて、水蒸気圧が低下し、必要な圧縮エネルギーが大きくなる。特定の例として、一実施形態では、60℃と25℃(すなわち、20kPaと3kPa)の間で動作する熱回収段階の場合、4kPaの移送圧力降下および75%の等エントロピー圧縮効率を考慮すると、圧縮エネルギー要件は、約700J/モルHOで始まり、最終的に約8600J/モルHOまで増加する。これは、合計すると、水容器104内の水を蒸発させるのに必要とされるエネルギーのわずか約10%であり、1桁減少する。エネルギー回収システム結合によるさらなる利点には、水112(少なくとも収着剤110の加熱および冷却に関連する部分)の回収、および残留COの回収が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
[0039]実際上の問題として、圧縮の断熱熱により、圧縮器の排出口に過熱蒸気が生じる。上記の特定の例を続けると、初期収着剤温度60°Cと最終収着剤温度25°Cの間で動作し、圧縮器排出時の蒸気は水の取り出しの過程で80°Cから275°Cまで変化するため、この流れにはある程度の冷却が必要である。いくつかの実施形態では、この冷却は、下流の精製ユニットの動作との熱統合によって提供され得る。
【0034】
[0040]いくつかの実施形態では、CO回収段階の加熱方法の変更を含む、さらに複雑な構成により、過熱および圧縮エネルギーを実質的に低減することができる。飽和水蒸気114を固定温度で供給する代わりに、収着剤容器間の圧力差および温度差が小さくほぼ一定に保たれるように、収着剤温度が上昇するにつれて水蒸気温度を上昇させていくことが有利である。これによりエントロピー損失が減少する。これは、熱回収水蒸気リサイクルと組み合わせて行うことで実現できる。さまざまな実施形態によれば、熱回収段階中、圧縮器124の排出圧力は、収着剤110が冷却するにつれて徐々に低下し、その結果、圧縮器124の出力および出口過熱が低く保たれる。
【0035】
[0041]CO回収の進行の異なるレベルにある複数の収集装置を接続することによって、組み合わせられた出口流の流量および組成の変動を最小限に抑えることができ、その結果、ほぼ定常状態の条件が達成され得る。しかし、効率の観点から見ると、異なる流れ(例えば、温度、圧力など)を混合するとコストが高くなる可能性がある。
【0036】
[0042]本明細書では、複数の収着剤容器を使用して二酸化炭素を効率的に捕捉するためのシステムおよび方法が企図されている。従来の方法に比べて有利であり、図1の装置100のような個別の装置として動作が簡単であり、企図されるシステムおよび方法は、複数の捕捉「ユニット」を統合しており、これは、前述の装置100と同様に複雑である可能性があるが、いくつかの実施形態では、単なる収着剤容器102の収集に単純化することもできる。捕捉/放出サイクルの異なる相内の位置に基づいて容器102を対にすることによって、異なる要素の混合によって引き起こされる非効率を軽減することができ、あるいは完全に回避することさえできる。
【0037】
[0043]圧縮器、ポンプ、補給水などの機器および資源を捕捉ユニット間で共有することにより、システムを立ち上げて稼働させるための資本コストを削減できる可能性がある。十分な数の装置が一緒に動作している場合、別の方法で断続的な生成物流を提供する捕捉装置が連携して連続的な生成物流を提供できるため、回収されたガスの潜在的な用途が拡大する。
【0038】
[0044]図3Aおよび3Bは、考えられる効率的な二酸化炭素捕捉100(以下、システム300)の非限定的な例の概略図である。具体的には、図3Aは、システム300のアーキテクチャの概略図を示し、図3Bは、システム300の概略図を示し、動作中、複数の捕捉ユニット(ここでは収着剤容器102)を3つのサブセットに分割する。
【0039】
[0045]本明細書では、複数の二酸化炭素捕捉装置またはユニットを効率的に統合し、それらが個々のユニットとしてよりもグループとしてより高い効率で動作するようにするためのシステムおよび方法が企図される。本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、捕捉ユニットは、大気などの供給源から二酸化炭素を捕捉することができる装置または装置もしくはシステムの一部である。図1図2に関して説明した捕捉装置100は、捕捉ユニットの非限定的な例である。企図されるシステムおよび方法の一部として複数の捕捉ユニットを統合することから得られる利点の1つは、いくつかの実施形態では、機能を犠牲にすることなく捕捉ユニット自体を簡素化できることであることに留意されたい。このような簡素化により、消費された資源、運用コスト、および/または資本コストの関数としての性能の観点から、効率が向上する可能性がある。以下の説明の多くは、捕捉ユニットが収着剤容器102のみに簡略化された実施形態に関連して行われるが、当業者は、これらのシステムおよび方法が、より複雑な、またはより相互接続された要素を含む捕捉ユニットを含む他の捕捉ユニットとともに使用するように適合され得ることを認識するであろう。
【0040】
[0046]例えば、いくつかの実施形態では、図1および図2において収着剤容器102と対になった水容器104は、完全に除去して、さまざまな圧力の収着剤容器102内の複数の水蒸気ヘッダに置き換えることができる。いくつかの実施形態では、CO回収段階中、収着剤容器102が排気された後、水蒸気114が最初に低圧ヘッダから供給され(すなわち、ヘッダが低圧である収着剤容器102からの水蒸気114)、続いて、高圧ヘッダに切り替えられ、その特定の容器102の内圧が徐々に増加する。
【0041】
[0047]水容器104および関連するヒーター118(すなわち、すべての装置100に含まれるヒーター118)を排除することに加えて、いくつかの実施形態では、回収サブシステム302が小さな圧力差を克服するだけで済むように十分なユニットが統合されているため、真空圧縮器124もいくつかの実施形態では省略され、単純なリサイクル送風機と置き換えられてもよい。各ステップ中、ガス回収相の収着剤容器102の圧力は増加するが、熱回収相では収着剤容器102の圧力は低下する。サイクルに含まれる圧力ステップが増えるほど、送風機のエネルギー要件は小さくなる。任意選択として、水112を完全に回収することはできないため、いくつかの実施形態では、補給水を送風口に直接分散させることができる。
【0042】
[0048]示されるように、システム300は複数の収着剤容器102を備え、各収着剤容器102は収着剤材料110を有する収着剤構造108を備える。いくつかの実施形態では、収着剤構造108は、3相すべてにおいて収着剤容器102内に密閉されたままであり、容器102が開いて収着剤構造108が大気中の二酸化炭素に曝露され得る。他の実施形態では、収着剤構造108は、ガス収集相中に収着剤容器102から取り出され、その後、ガスおよび熱回収相のために容器102内に再封される。
【0043】
[0049]収着剤材料110の例としては、水分スイング収着剤、温度スイング収着剤322、圧力スイング収着剤などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、収着剤材料110は固体であるが、他の実施形態では、収着剤材料110は、収着剤構造108内に固定された液体であってもよい。
【0044】
[0050]本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、収着剤構造108は、単に収着剤容器102の内側に適合するサイズの構造であり、収着剤材料110を収着物質および放出媒体(例えば、液体水など)への曝露を容易にする構成に固定することができる。
【0045】
[0051]さまざまな実施形態によれば、各収着剤容器102は、回収サブシステム302、より具体的には、回収サブシステム302内の要素に流体的に結合される。いくつかの実施形態では、各収着剤容器102は、複数の収着剤容器102のサブセット324にも結合され得るが、他の実施形態では、各収着剤容器102は、複数の収着剤容器102内の1つおきの容器102に流体的に結合され得る。これらの流体結合は、さまざまな実施形態に従って、複数のバルブ116のうちの1つによってそれぞれ制御される。
【0046】
[0052]図3Aに示される企図されるシステム300の非限定的な例は、21個の収着剤容器102を有する。さまざまな実施形態によれば、同じシステム300に統合される捕捉ユニット(例えば、収着剤容器102、捕捉装置100など)の数を増やすことには利点がある。ユニットの数を増やすと、ガスと回収相の各段階での圧力/温度の差が小さくなり、必要な電力が減少して効率が向上する。しかし、流体的に相互接続された要素の大規模なネットワークを実装するために必要なコストと複雑さが増加するため、利益が減少する時点が存在する。具体的な例として、一実施形態では、企図されるシステム300は、単一の回収サブシステム302に供給する6~36個の収着剤容器102(すなわち、収集ユニットなど)を有し得る。別の実施形態では、システム300は数百の捕捉ユニットを備えることができる。
【0047】
[0053]さまざまな実施形態によれば、システム300内のすべての収着剤容器102(すなわち、捕捉ユニット)は、回収サブシステム302と流体連通している。本明細書および以下の特許請求の範囲の文脈において、回収サブシステム302は、収着剤容器102がガス回収相と熱回収相の両方のさまざまな段階を通過するのを容易にするために使用される装置および資源の収集である。これらの2つの相およびガス収集相については、図4A~4Fを参照してより詳細に説明する。
【0048】
[0054]示されるように、いくつかの実施形態では、回収サブシステム302は、凝縮器306および蒸発器308と熱的に連通するヒートポンプ304を備え得る。回収サブシステム302は、二段真空圧縮器124および液体ポンプ312も備える。各要素について順番に説明する。
【0049】
[0055]さまざまな実施形態によれば、ヒートポンプ304は、凝縮器306および蒸発器308の両方と熱接触しており、両者の間で間接的に熱を交換する。この構成自体が過剰な熱を生成する可能性があるため、いくつかの実施形態では、システム全体の効率は、他の捕捉ユニット動作との熱統合によってさらに改善され得る。
【0050】
[0056]凝縮器306は、ガス回収相からの熱水分を含んだ生成物ガスを凝縮する際に、凝縮器306から凝縮液314(すなわち、液体水112)を受け取るリザーバ310と流体連通している。リザーバ310はまた、水蒸気114および二酸化炭素336を含む生成物ガス混合物を容器102から受け取る。いくつかの実施形態では、熱回収相において真空圧縮器124またはリサイクル送風機の代わりに凝縮器306を使用して、容器102から水蒸気114を取り出すことができる。
【0051】
[0057]蒸発器308は、再蒸発器とも考えることができ、さまざまな実施形態によれば、液体ポンプ312を介してリザーバ310と流体連通している。液体ポンプ312は、液体水112の凝縮液314を蒸発器308に送達するように構成され、蒸発器308は、それをガス回収相でさらに使用するために水蒸気114に戻す。
【0052】
[0058]さまざまな実施形態によれば、収着剤スイングサイクルに関連する正味エネルギーのすべては、ヒートポンプ304内の圧縮器によって提供され得る。凝縮液314を完全に再蒸発させるために追加の熱が必要な場合、それは、後続の圧縮段階における圧縮熱などの別個の熱源118から、または別個の加熱要素から、ヒートポンプ304の同じ蒸発器結合熱交換器を介して加えることができる。
【0053】
[0059]さらに、いくつかの実施形態では、液体ポンプ312はまた、システム300の他の場所で失われた水を補充するために液体水112を提供することができる補給水バルブ122とも流体連通している。この凝縮器/再蒸発器ループはまた、図示するように、同時に蒸発させて高圧熱回収段階収着剤容器102に導くことができる補給水を提供する機会を与える。
【0054】
[0060]いくつかの実施形態では、凝縮器306は、蒸発器308とともに、システム300の構造をさらに簡素化するのに役立つ。図4A~4Fおよび5A~5Fに関してより詳細に論じられるように、企図されるシステム300による捕捉ユニットの効率的な統合は、CO回収/熱回収相における捕捉ユニット(例えば、収着剤容器102など)の逆対によって可能になる。図3Aに示される非限定的な例を含むいくつかの実施形態では、凝縮器306および蒸発器308は、ヒートポンプ304と組み合わされて、ガス回収相/熱回収相の対における最終ステップとして使用される。これにより1ステップのオフセットが提供されるため、高圧熱回収段階は本質的に高圧CO回収段階よりも高圧になる。結果として、いくつかの実施形態では、(いくつかの実施形態では、真空圧縮器124を置き換える)リサイクル送風機の使用を完全に省略することができる。
【0055】
[0061]さまざまな実施形態によれば、回収サブシステム302は真空圧縮器124を備える。任意選択として、真空圧縮器124は多段であってもよく、これは、システム300の異なる部分を異なる圧力に曝露するのに有利であり得る。他の実施形態では、回収サブシステム302は、異なる圧力で動作する複数の真空圧縮器124を備え得る。示されるように、真空圧縮器124は、生成物出口318を通して生成物流320(例えば、COに富むガスなど)を送達するために使用され得る。いくつかの実施形態では、システム300は、連続的な生成物流320を提供できるのに十分な収着剤容器102を備え得る。さらに、いくつかの実施形態では、前述したように、逆対内の圧力差は、真空圧縮器124をリサイクル送風機または消費電力のより少ない他の装置と置き換えることができるほど十分に小さい場合がある。
【0056】
[0062]図3Bは、動作中、図3Aに示されるシステムの非限定的な例の概略図である。複数の収着剤容器102の各容器102は、ガス収集相(すなわち、大気から二酸化炭素336を引き出す)、ガス回収相(すなわち、収着剤材料110に大気から捕捉された二酸化炭素336を放出させる)、および熱回収相の間で移行するように構成される(すなわち、二酸化炭素336が枯渇した容器から熱水蒸気を取り出し、それをシステム300の他の場所のガス回収相で使用する)。図示されるように、複数の収着剤容器102は、3つの相のそれぞれに同時に容器102を有する。
【0057】
[0063]より具体的には、複数の収着剤容器102は3つのサブセットに分割することができ、ガス収集相にある容器102から構成される第1のサブセット330、ガス回収相にある容器102からなる第2のサブセット332、熱回収相にある容器102からなる第3のサブセット334である。
【0058】
[0064]示されるように、ガス収集相の容器102は、他の相の他の容器の内部と流体連通していない。第1のサブセット330の容器は大気に曝露されるが、システム300の残りの部分(より具体的には、システム300の残りの部分の内部)は閉じられ、大気から隔てられる。熱回収相の容器102は、ガス回収相の容器102(第2のサブセット332)と流体連通しているが、一方向のみである。第3のサブセット334は、捕捉された二酸化炭素336を依然として排出している容器102に加圧加熱水蒸気114を提供するが、他の容器102からはいかなる流体も取り込まない。最後に、ガス回収相にある容器102(すなわち、第2のサブセット332)は、第3のサブセット334から加圧流体を受け取り、捕捉二酸化炭素336の放出を駆動する回収サブシステム302と流体連通している。
【0059】
[0065]図4A~4Fは、システム300内の単一の収着剤容器102aの観点から見た、企図されるシステム300の非限定的な例において実装される3つの相のさまざまな段階の概略図である。図5A~5Fは、同じ段階の概略図であり、代わりに、各段階について、システム300内のすべての収着剤容器102の相対圧力を示している。
【0060】
[0066]図4A~4Fおよび5A~5Fに示される企図されるシステム300の非限定的な例は、明瞭さと描写のしやすさを考慮して選択されていることに留意されたい。このシステム300は、6つの収着剤容器102a~102fを備える。いつでも、容器102のうちの3つはガス回収相400にあり、2つは熱回収相408にあり、1つの容器はガス収集相414にあることになる。さまざまな実施形態によれば、各段階がこれらの相にかかる典型的な時間の長さを考慮すると、通常、ガス収集相414には他の2つの相のいずれよりも多くの容器102が存在することに留意されたい。
【0061】
[0067]さまざまな実施形態によれば、ガス回収相400は、熱回収相408が有する熱回収段階410よりも1つ多いガス回収段階402を有することになる。換言すれば、ガス回収相400がN個のガス回収段階402を有する場合、さまざまな実施形態によれば、熱回収相408は(N-1)個の熱回収段階410を有することになる。
【0062】
[0068]図4A~5Fに示す非限定的な例では、システム300は、3つのガス回収段階402a~402cと、2つの熱回収段階410aおよび410bを備える。ガス収集相414は、典型的には、標的ソルベート(すなわち、二酸化炭素)を含む流体に曝露される容器102の収着剤材料110を含む単一段階を有する。
【0063】
[0069]以下の説明は、単一の収着剤容器102aに関連して行われる。図4A~4Fは、各段階における容器102aとシステム300の残りの部分との間の流体連通の性質を示す。本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、段階は単に相の一部である。それは、その相の目的を達成するために状態空間を通る経路に沿ったシステム300の一部(すなわち、容器102のサブセット、回収サブシステム302など)の中間点として考えることができる。例えば、ガス回収相400の目的は、複数の容器102のサブセットの収着剤材料110に収着された収着物質を回収することである。容器102が相400を構成する段階402を通って進むにつれて、ソルベートが放出されるにつれてその容器102の圧力418および温度420が増加する。
【0064】
[0070]企図されるガス回収および熱回収サイクルの対の非限定的な例が、図4A~5Fに示されている。図4A~4Cおよび5A~5Cは、第1の収着剤容器102aの3つのガス回収段階402a~402cを示す。
【0065】
[0071]CO捕捉段階(すなわち、収着剤材料110を二酸化炭素源に曝露する)の完了後、第1の収着剤容器102aは収着剤構造108を封入し、収着剤材料110には二酸化炭素336が充填される。いくつかの実施形態では、これは、収着剤構造108を容器102aの内側に戻すことを伴うが、他の実施形態では、構造108を大気416または他のCO源と流体接触させるために存在するどんな開口部でも容器102aが閉じることだけを必要とする。
【0066】
[0072]さまざまな実施形態によれば、次いで、容器102aは最初に排気される。生成物内の空気汚染を避けるために、この収着剤容器102aをCOで事前にリンスするか、専用の真空圧縮器(図示せず)を通して排気することができる。
【0067】
[0073]専用の圧縮器を必要としない1つの戦略は、生成物出口318(すなわち、真空圧縮器の出口)から再循環される低圧COによる事前リンスを必要とし、収着剤容器102aがCO捕捉段階から出て均圧化され、その後、第2の段階124b、次に第1の段階真空圧縮器124aへと連続的に排気される。
【0068】
[0074]ガス回収相400の第1の段階402a、またはより具体的には、この第1の段階402aを構成する流体接触が確立された後に達成される平衡は、第5の容器102eおよび真空圧縮器124aの第1の段階と流体接触している容器102aを含む。真空圧縮器124aの第1の段階は第1の圧力422にある。第5の容器102eは、熱回収相408の最終段階410bにあり、第2の圧力424にある。
【0069】
[0075]この第1のガス回収段階402aでは、第1の容器102aは、第1の圧力422と第2の圧力424との間の圧力418を有する。以下の説明では、さまざまな要素が6つの異なる圧力のいずれかを持つものとして説明されることに留意されたい。第1の圧力422、第2の圧力424、第3の圧力426、第4の圧力428、第5の圧力430、および第6の圧力432は、それぞれ圧力が増加し、第1の圧力422が最も低く、第6の圧力432が最も高い。これら6つの圧力のうち2つの間でバランスがとれた圧力も利用される。
【0070】
[0076]企図されるシステム300の容器102のさまざまな段階に関する以下の説明では、あたかもすべての容器が同時に、または同じリズムで段階間を移行するかのように説明されていることに留意されたい。これは制限として解釈されるべきではなく、むしろ図の簡略化として解釈されるべきである。いくつかの実施形態では、システム300の要素は、ほぼ同時に段階間を移行することができる一方、他の実施形態では、システム内の段階移行の少なくとも一部は、少なくとも部分的に、システム300内の他の相移行または一時的なイベントと非同期であってもよい。
【0071】
[0077]ガス回収相400にある間、容器102は生成物ガス混合物316を放出し、水蒸気114を受け取り、捕捉された二酸化炭素336を収着剤材料110から脱着させる。
【0072】
[0078]第1(N-1)個のガス回収段階402は、下流圧力404で回収サブシステム302と流体連通する容器102aと、上流圧力406で熱回収相408の別の容器102とを備えることになる。各ガス回収段階402の上流圧力406は、前のガス回収段階402の上流圧力406よりも大きい。
【0073】
[0079]第1の容器102aの第2のガス回収段階402bは、第3の圧力426(下流圧力404)で真空圧縮器の第2の段階124bと流体連通する第1の容器102a、同様に、第1の熱回収段階410aにあるため、第4の圧力428(上流圧力406)にある第3の容器102cも備える。
【0074】
[0080]さまざまな実施形態において、厳密に直列である収着剤容器102はなく、「対」は仮想的であり得ることに留意されたい。任意の個々の収着剤容器102を、いつでも任意のヘッダに接続することができる。多くの収着剤容器102を同じ回収システムおよびヘッダセットに関連付けることができる。ガス捕捉相における収着剤容器102の数は、ガス/熱回収段階における収着剤容器102の数とは独立して変更することができる。実際、これは周囲の動作条件に応じて動的に調整できる。
【0075】
[0081]N番目のガス回収段階402、この場合は第3のガス回収段階402cは、第5の圧力430に等しい下流圧力404で凝縮器306と、第6の圧力432に等しい上流圧力406の蒸発器308と流体連通する容器102aを備える。
【0076】
[0082]次に、第1の容器102aは、熱回収相408に移行する。この非限定的な例では、熱回収相408は、2つの段階410aおよび410bを有する。ガス回収相400がN個の段階402を有する場合、次に、熱回収相408は、(N-1)個の熱回収段階410を有し、各熱回収段階410は、加熱圧力412でガス回収相400において異なる容器102と流体連通する容器102aを備える。加熱圧力412は、後続の熱回収段階410ごとに減少する。
【0077】
[0083]第1の熱回収段階410aでは、第1の容器102aは、第5の圧力430と第6の圧力432との間の加熱圧力412を有する第5の容器102eと流体接触している。さまざまな実施形態によれば、(N-1)個の熱回収段階410の第1の熱回収段階410aの加熱圧力412は、N個のガス回収段階402のいずれの下流圧力404よりも低い。
【0078】
[0084]最終熱回収段階410bでは、第1の容器102aは、第1の圧力422と第2の圧力424との間の加熱圧力412を有する第3の容器102cと流体接触している。最後に、第1の容器102aはガス収集相414に入り、そこでその収着剤材料110は大気416と流体連通し、さまざまな実施形態に従って二酸化炭素336を吸収する。
【0079】
[0085]図6は、スプレーノズル600を備える収着剤容器102の非限定的な例の概略図である。水分スイング収着剤材料608を使用する実施形態では、液体水112の送達が重要な考慮事項である。
【0080】
[0086]さまざまな実施形態によれば、収着剤容器102内で液体を送達するための方法は、浸漬、スプレー、またはエアロゾルのうちの1つであってもよく、それぞれについては以下で説明する。浸漬には、すべての表面を完全に濡らすと同時にすべての空気を追い出し、除去時に初期真空を作り出すという利点がある。これには、いくつかの機械的な課題があり、収着剤110を水容器に移動させるか、水を収着剤容器102に移動させる必要がある。一実施形態では、100lpmという適度に高い流量でも、典型的な収着剤容器102が満たされるのに約30分かかるであろう。排水には追加の時間が必要になる。これは、特定の実施形態について意図された回収段階期間全体よりも長い。浸漬すると、濡れた表面に自由水が残るため、水の需要も増加する。
【0081】
[0087]スプレーに必要な水の移動ははるかに少なくなる。収着剤構造108の幾何学的形状により、スプレーの視線方向がすべての収着剤表面に到達することが困難になるが、複数の平面を有する収着剤構造108が使用される場合には、表面間に横方向にスプレーすることによって収着剤110の大部分を濡らすことが可能である可能性がある。水はより簡単に上面にスプレーされ、収着剤と支持体の空間を通って滴下することが可能になる。収着剤110を完全に通過した水はすべて回収することができる。濡れた表面にはまだかなりの残留水が残っている可能性がある。
【0082】
[0088]蒸気(エアロゾル、霧、ミスト)中の浮遊液滴としての水は、水の移動をはるかに少なくすることができ、残留する自由水の量を潜在的に減少させる可能性がある。水蒸気114が懸濁ガスである可能性がある。
【0083】
[0089]システム300内の水112の高い面積:体積比は、液滴606としてであろうと濡れた表面上であろうと、周囲の水蒸気圧がその飽和圧力を下回る場合に、一部の水112が蒸発することを保証する。蒸発冷却により容器の温度が下がる。どの場合でも同じ量の熱が消費される。浸漬の場合、液体水塊の顕熱板が大きいため、温度変化は小さくなる。エアロゾルの場合、蒸気114が過熱されると、液滴の蒸発冷却とそれに対応する蒸気の冷却が大幅になる可能性がある。その後、それが凝縮または収着剤に収着されると、この冷却は逆転する。いくつかの実施形態は、外部から熱を加えたり除去したりすることなく、液体水112をその場で蒸発させてから再凝縮させることによって、液体水112を収着剤110に送達する手段としてこれを採用する。
【0084】
[0090]図6に示すように、いくつかの実施形態では、各容器102は、液体水供給装置602に結合されたスプレーノズル600を備え得る。いくつかの実施形態では、液体水供給装置602は、回収サブシステム302のリザーバ310内の液体水112であってもよく、他の実施形態では、それは補給水バルブ122から来てもよいが、さらに他の実施形態では、スプレーノズル600の液体水112は全く異なる供給源からのものであってもよい。
【0085】
[0091]各ガス回収段階402について、上流圧力406を有する水蒸気114は、液体水供給装置602から液体水112をスプレーノズル600の外に押し出すキャリアガス604として使用され得、液体水滴606のスプレーを生成して、二酸化炭素336を収着剤材料110から脱着させる。本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の文脈において、液体水滴のスプレーは、霧、ミスト、雲などを指す場合がある。いくつかの実施形態では、水蒸気は、前述のいずれかの場合と同様に過熱される(例えば、別個の筐体内で気化され、圧力降下により移送され、送風機で再循環され、凝縮器/蒸発器および過熱器で再循環されるなど)。
【0086】
[0092]結果として生じる液滴は、完全にまたは部分的に蒸発し、その後、収着剤110上に再凝縮または収着する。これにより、非活性表面への衝突によってこのエアロゾル液体水が失われる可能性が減少する。液滴が蒸気114への中間変換を有する場合、この蒸気は、すでに温かい表面、または吸水平衡にある表面を迂回して、まだ水容量を有するか、または飽和温度よりも低い収着剤110に進む。エアロゾル液滴が部分的にしか蒸発しない場合、それらは小さくなり、より安定する。
【0087】
[0093]液滴が小さいほど、沈降速度が遅くなる。直径が非常に小さい液滴(例えば、クヌーセン数が1よりはるかに大きい)は、自由分子領域にあり、蒸気流線に従い、暖かい非活性表面を迂回して、まだ水を凝縮/収着している収着剤表面に蒸気によって引き寄せられる。例えば、一実施形態では、60℃で、飽和水蒸気中の直径1ミクロンの水滴は、Kn=1470を有する。キャリア水蒸気の過熱量を制御することにより、エアロゾル液滴の直径、安定性、蒸発/再凝縮の程度、およびその後の好ましい表面への供給を最適化することができる。
【0088】
[0094]上記の例、実施形態および実装が参考例である場合、他の二酸化炭素捕捉ユニット、収着剤容器、システムおよび方法を、提供されるものと混合または置換できることが当業者には理解されるべきである。上記の説明が効率的な二酸化炭素回収のためのシステムおよび方法の特定の実施形態に言及している箇所では、その趣旨から逸脱することなく多くの修正を行うことができ、これらの実施形態および実装は他の二酸化炭素回収技術にも同様に適用できることが容易に明らかである。したがって、開示された主題は、本開示の趣旨および範囲、ならびに当業者の知識に含まれるすべてのそのような変更、修正および変形を包含することを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
【国際調査報告】