(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】回路基板用ファスナー組立体
(51)【国際特許分類】
F16B 21/00 20060101AFI20231214BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F16B21/00 Z
H05K1/14 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534335
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 US2021062840
(87)【国際公開番号】W WO2022125921
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518030139
【氏名又は名称】ペン エンジニアリング アンド マニュファクチュアリング コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PENN ENGINEERING & MANUFACTURING CORP.
【住所又は居所原語表記】5190 Old Easton Road,Danboro,PA 18916 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コロシ,アンソニー
【テーマコード(参考)】
3J037
5E344
【Fターム(参考)】
3J037AA02
3J037BA01
3J037BB03
3J037DA01
3J037DA12
3J037DB02
5E344AA01
5E344BB02
5E344CD18
5E344CD27
5E344DD07
5E344EE21
(57)【要約】
【構成】
本発明のファスナーシステムは、ファスナー部品のリテーナへの圧締め時にスナップ嵌合によって接合できる電子部品を締め付けるための相互接続部品を有する。このファスナーシステムは底部に平面状基部を有するファスナースタッド、およびこの基部に隣接する、直径の小さいネック部を備えた上向きに延在するシャンク部を有する。ファスナースタッドは遠位上端部に平坦な平面状上面を備えた球状ボール部分を有する。このファスナースタッドは平面状基部、および回転軸線を中心としてセンタリングした基部から直交方向に延在する固定された、対向弾性アームを有するリテーナに係合する。これらアームについては、回転軸線を中心として対称的な複合形状内面を有するのが好ましい。これら内面は基部に隣接する円筒形部分、およびアームの遠位端部に隣接する球状部分を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を接合するための2つの相互接続要素からなるファスナー組立体であって、
底部に平面状基部を有するファスナースタッド、およびこの平面状基部に隣接する直径の小さいネック部を備えた上向きに延在するシャンク部であって、前記ファスナースタッドの遠位上端部に平坦な上部を備えた球状のボール部分を有するシャンク部と
平面状の基部であり回転軸線を中心としてセンタリングした基部から直交方向に延在する、固定された対向弾性アームを有するリテーナとを有し、前記アームは前記基部に隣接する円筒形部分および前記アームの遠位端部に隣接する球状部分からなり、前記軸線を中心として対称的な複合形状の内面を有し、
これらリテーナのアームおよびファスナースタッドは非破壊的な解除自在なスナップ嵌合によって接合されることを特徴とするファスナー組立体。
【請求項2】
前記ファスナースタッドの上部が前記リテーナの基部に当接する請求項1に記載のファスナー組立体。
【請求項3】
前記アームの数が2のみである請求項1に記載のファスナー組立体。
【請求項4】
前記リテーナの基部の外面が平面状であり、かつ前記軸線に対して直交する請求項1に記載のファスナー組立体。
【請求項5】
前記ファスナースタッドの基部の外面が平面状であり、かつ前記軸線に対して直交する請求項4に記載のファスナー組立体。
【請求項6】
前記リテーナおよび前記ファスナースタッドの基部の外面が表面実装半田付けおよびピックアンドプレース搬送に対応できる請求項5に記載のファスナー組立体。
【請求項7】
前記ファスナースタッドおよび/または前記リテーナは電子部品に半田付けされる請求項6に記載のファスナー組立体。
【請求項8】
前記電子部品が回路基板である請求項7に記載のファスナー組立体。
【請求項9】
前記リテーナの基部の内面が平面状で、前記ファスナースタッドの上端部に当接する請求項2に記載のファスナー組立体。
【請求項10】
前記アームの端部が前記ファスナースタッドのネック部に隣接し、かつこのファスナースタッドの前記球状のボール部分と該ファスナースタッドの基部との間に位置する請求項1に記載のファスナー組立体。
【請求項11】
前記アームの端部内面が前記ファスナースタッドのボール部分の輪郭にマッチする請求項10に記載のファスナー組立体。
【請求項12】
前記リテーナのアームの遠位端部を軸方向に円形化した請求項1に記載のファスナー組立体。
【請求項13】
前記ファスナースタッドが前記リテーナのアームに、前記回転軸線に対して斜めにプレスされるときに前記ファスナースタッドおよび前記リテーナが接合するように構成される請求項11に記載のファスナー組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年12月11日を出願日とし、“回路基板用ファスナー装置および組立体”を発明の名称とする米国仮特許出願第63/124,433号に関するPCT特許出願であり、当該特許出願の優先権を主張する出願である。
【0002】
本発明は解除自在に接合する分離可能な構成部材を有する2部材ファスナーシステム(two-part fastener system)に関する。具体的には、本発明は相互に離間した関係で回路基板を接合する形式の表面実装式金属ファスナーに関する。
【背景技術】
【0003】
回路基板用ファスナーの分野では、回路基板に半田付けするか、あるいはその他の手段で固定したファスナーを使用して2つの回路基板を離間関係で接合することは公知である。各種の理由から、これらファスナーは様々な欠陥を有し、現代の高速ロボット組立技術の必要条件を満足できない。このような必要条件としてはピックアンドプレースロボット技術への適合性、テープアンドリール供給による装着場所への搬送、および回路基板表面実装半田技術を挙げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の主目的は回路基板実装分野における上記問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの好適な実施態様を示す図面および記載を参照して以下に説明するように、本システムは別々な2つの係合構成部材からなるファスナー対からなる。これら構成部材の一つはボールエンドを備えたファスナースタッドであり、そしてもう一つの部材はスナップ嵌合によってボールエンドを受け取る保持装置(リテーナ)である。これら構成部材の場合、以下の作用効果を体現する効果的な方法で表面実装技術を利用する。
1.ファスナー組立体対の2つの構成部材は個別に実装するが、中心軸線上に設定できる。
2.当該ファスナー対の場合、工具を必要とすることなく、数回のサイクルで手動によって組立、解体を実施できる。
3.当該ファスナー対の場合、角度をつけて(直角、あるいは非直角のアプローチ角度で)組み立てることができる。
4.当該ファスナー対の場合、テープアンドリール搬送式で利用でき、SMT(半田可能な表面実装技術)によって実装できる。
5.当該構成部材は組立時の高さに関するトレランスを厳格に保持するスペーサーとして作用できる。
6.当該ファスナー対は実装時の組立軸線に対して所定角度で配向できる。
【0006】
より具体的には、本出願人による発明はリテーナへのファスナー構成部材の圧締め時にスナップ嵌合によって接合できる電子部品を締め付ける2つの相互接続部材に関する。本ファスナーシステムは底部に平面状基部を備えたファスナースタッド(fastenerstud)、および基部に隣接する直径の小さいネック部分を有する上向きに延在するシャンク部(shank)を有する。このスタッドは遠位上端部に平面状の上面を備えた球状のボール部分を有する。ファスナースタッドは平面状の基部を有する保持装置に係合し、この保持装置は回転軸を中心としてセンタリングした基部から直角方向に延在する固定された対向弾性アームを有する。これらアームについては、回転軸を中心として対称的な複合形状の内面を有するのが好ましい。これら複合表面は基部に隣接する円筒形部分およびアームの遠位端部に隣接する基部および球状部分を有する。リテーナおよびファスナーについては、解除自在なスナップ嵌合によってファスナーがリテーナアーム間に受け取られるように構成かつ配置する。リテーナアーム内面の球状部分については、ファスナーネック部に隣接するファスナーボール部分の輪郭にマッチしているのが好ましい。
【0007】
一部の実施態様では、ファスナースタッドの上部がリテーナ基部に当接するため、リテーナアーム数は2つのみである。リテーナ基部は軸に対して平面状かつ直角な外面を有し、そしてファスナー基部の外面も軸に対して平面状かつ直角である。リテーナ基部およびファスナー基部の外面については、ファスナーおよび/またはリテーナを回路基板などの電子部品に半田付けする電子部品の製造時に表面実装用半田付けおよびピックアンドプレース搬送に対応できるものが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
リテーナ基部の内面が平面状でかつファスナー上部に当接する一方で、リテーナアームの端部がネック部分に隣接し、かつ球状部分とファスナー基部との間に位置する各部材(または各部品)の構成によって接合したファスナーおよびリテーナの安定性が大幅に改善する。
【0009】
電子ファスナー分野の当業者ならば、本発明の実施態様を示す添付図面および以下の記載から上記以外の目的および作用効果を理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は組立状態のファスナー/リテーナを示す正面立面図である。
【
図4】
図4はファスナースタッドを示す正面立面図である。
【
図5-7】
図5、
図6および
図7は分離して示すリテーナ要素の各種の回転位置を示す上部正面斜視図である。
【
図8】
図8は直交(または直角)組立位置におけるファスナー要素およびリテーナ要素を示す側面立面図である。
【
図9】
図9は組立前におけるファスナー要素およびリテーナ要素の非直交組立位置を示す側面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および
図2を参照して説明すると、図示の本発明の2つの主要素、即ちリテーナ11およびファスナースタッド13は組立状態にある。リテーナは可撓性の弾性アーム15を有し、このアームが非破壊的な解除自在性スナップ嵌合によってファスナーシャンク部の球状ボール端部17を捕捉する。アーム15のファスナー球面との干渉時にアームが湾曲し、押圧時にファスナーシャンク部を受け取る。これらアームは
図2の断面図に示す組立静止位置に戻る十分な弾性を有する。アームの端部はファスナースタッドのネック部分に隣接して位置するともに、ファスナースタッドの球形部分とその基部との間に位置する。
【0012】
図3を参照して説明すると、この図にはリテーナ11を他と切り離して示す。リテーナ11は平面状基部25、および回転軸14を中心としてセンタリングした基部25から直角方向に延在する、固定された対向弾性アーム15を有する。これらアームは基部25に隣接する円筒形部分27とアームの円形遠位端部31に隣接する球状部分29とからなる軸を中心として対象的な複合形状の内面を有する。基部25は平坦な底面26を有する。この円筒形部分によって所定範囲の軸方向間隔にわたってスタッドを横方向に捕捉する。
【0013】
図4に示すように、ファスナースタッドは基部19から上向きに延在するシャンク部を有し、そしてさらにネック部21および一部が球状のボール端部17からなる。ファスナースタッドは平坦な上部33および平坦な底面20を有する。組立時、
図1に示すように、各部はリテーナの基部25の平面状内面35と同じ高さで当接するファスナーの球状部分17の平面状の平坦上部33に整合することになる。このように構成するため、個々の要素の基部25および19をそれぞれ外面26および20において個別に取り付けた回路基板などの係合状態で固定した構造体に対してスペーサーの高さを固定化できる。係合状態の平坦面が当接するため、相互接続したファスナー/リテーナ組立体の外面に固定する構成部材の安定性がオフアクシスティッピング抵抗性により改善する。リテーナ11は
図3から理解できるように、軸線14が形成する回転軸線を中心として回転できる。
【0014】
図3および
図4に示す平坦表面によって、本発明のSMT(表面実装技術)適合性態様を実現できる。これら図に示す表面35、26、33および20は真空を印加することによって各部分を並進させる主ピックアンドプレース表面である。真空ノズルがリテーナのアーム間に嵌合しない場合には、アームの上部にパッチ(patch)を印加し、当該面を使用して操作を行えばよい。SMT適合性があるため、基部25および19それぞれの外面26および20に半田付けできる。
【0015】
図5、
図6および
図7にリテーナの異なる配向を示す。本発明の場合、ボールエンドファスナーが軸方向に整合している限り、組立体は組立軸線を中心としてリテーナを任意の配向で配置できる。このため、PCBへの各部分の配置時に正確な整合操作が必要ではない。
【0016】
図8および
図9を参照して説明すると、
図8は方向矢印によって示すように、組立軸線にそってリテーナ11およびファスナースタッド13を圧嵌めすることによって組立を実施するさいに得られる直交組立体の一実施例を示す図である。
図9はリテーナの垂直回転軸線に対して斜角で圧嵌めすることによって各構成部材を組み立てるさいに得られる非直交組立体を示す図である。この非直交組立体はリテーナとファスナーボールの円形面との軸方向に円形の接触点によって実現できる。
【0017】
以上の記載から、当業者にとって本発明の作用効果および目的が達成できたことは明らかなはずである。なお、説明してきた実施態様は本発明の一つの実施可能な態様に過ぎない。以上説明してきたファスナーシステムの基本的な操作原理を利用した他の各種の態様も実現可能であり、いずれも特許請求の範囲に記載した発明の範囲および精神、並びにこれらの等価態様から逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0018】
11 リテーナ
13 ファスナースタッド
14 回転軸、軸線
15 対向弾性アーム、弾性アーム
17 ファスナーの球状部分、ボール端部
19 基部
20 外面、底面、表面
21 ネック部
25 基部、平面状基部
26 外面、底面、表面
27 円筒形部分
29 球状部分
31 円形遠位端部
33 上部、表面、平面状の平坦上部
35 表面、平面状内面
【国際調査報告】