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特表2023-553423特定の化学物質、組成物、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】特定の化学物質、組成物、および方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 241/44 20060101AFI20231214BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231214BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
C07D241/44 CSP
A61K31/5377
A61K9/20
A61K9/48
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P17/00
A61P11/00
A61P1/00
A61P15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534417
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 US2021061375
(87)【国際公開番号】W WO2022119905
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/120,588
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523208280
【氏名又は名称】ネウファーマ,インク
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チエン,シャンピン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC73
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
【解決手段】
新規な化合物である化学物質、その多形体、医薬組成物、およびがんの処置方法が記載される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド(化合物A)
【化1】
またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項2】
結晶形態が結晶形態Iである、請求項1に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項3】
結晶形態Iが、
(a)1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、および24.4±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターン、
(b)図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターン、
(c)約180~190℃の範囲の吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(d)約184℃のオンセットおよび約187℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(e)図2に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(f)図3に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラム、
(g)40℃および相対湿度(RH)75%で6か月間保存した後に変化しないXRPD、
(h)25℃および相対湿度(RH)60%で6か月間保存した後に変化しないXRPD、または
(i)それらの組み合わせ、
を特徴とする、請求項2に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項4】
結晶形態Iは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、および24.4±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項5】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、および19.3±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む、請求項4に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項6】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む、請求項4または請求項5に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項7】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θおよび25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも5つのピークを含む、請求項4に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項8】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回回折によって測定される、8.7±0.1°2-θ、21.6±0.1°2-θ、24.4±0.1°2-θ、17.5±0.1°2-θ、14.6±0.1°2-θ、19.3±0.1°2-θ、23.1±0.1°2-θ、16.0±0.1°2-θ、および25.7±0.1°2-θのピークを含む、請求項4に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項9】
結晶形態Iが、図1に示されるのものと実質的に同じX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2~8のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項10】
結晶形態Iが、約180~190℃の範囲の吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする、請求項2~9のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項11】
結晶形態Iが、約184℃のオンセットおよび約187℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする、請求項2~10のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項12】
結晶形態Iが、図2に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする、請求項2~11のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項13】
結晶形態Iが、図3に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラムを特徴とする。請求項2~12のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項14】
結晶形態が結晶形態IIである、請求項1に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項15】
結晶形態IIが、
(a)1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、および15.1±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターン、
(b)図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターン、
(c)i)約135~145℃の範囲の吸熱と、
ii)約143~145℃の範囲の発熱と、
iii)155~145℃の範囲の吸熱と
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(d)i)約138℃のオンセットおよび約143℃のピークを有する吸熱と、
ii)約146℃のオンセットおよび約148℃のピークを有する発熱と、
iii)約158℃のオンセットおよび約160℃のピークを有する吸熱と、
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(e)図5に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
または
(f)それらの組み合わせ、
を特徴とする、請求項14に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項16】
結晶形態IIが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、および15.1±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項14または請求項15に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項17】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、および23.6±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む、請求項16に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項18】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む、請求項16または請求項17に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項19】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも5つのピークを含む、請求項16に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項20】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、11.8±0.1°2-θ、8.6±0.1°2-θ、15.1±0.1°2-θ、17.2±0.1°2-θ、9.3±0.1°2-θ、23.6±0.1°2-θ、21.5±0.1°2-θ、22.2±0.1°2-θ、および14.3±0.1°2-θのピークを含む、請求項16に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項21】
結晶形態IIが、図4に示されるのものと実質的に同じX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項14~20のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項22】
結晶形態IIが、
i)約135~145℃の範囲の吸熱と、
ii)約143~153℃の範囲の発熱と、
iii)155~165℃の範囲の吸熱と
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴をとする、請求項14~21のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項23】
結晶形態IIが、
i)約138℃のオンセットおよび約143℃のピークを有する吸熱と、
ii)約146℃のオンセットおよび約148℃のピークを有する発熱と、および
iii)約158℃のオンセットおよび約160℃のピークを有する吸熱と
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする、請求項14~22のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項24】
結晶形態IIが、図5に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする、請求項14~23のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項26】
経口投与による哺乳動物への投与用に製剤化される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
固形医薬組成物の形態にある、請求項25または請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
錠剤、丸剤、またはカプセル剤の形態にある、請求項25~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
請求項25または28のいずれか一項に記載の医薬組成物と、がんを患う対象を処置するために組成物を使用するための指示書とを含む、パッケージ化された医薬組成物。
【請求項30】
新生物の処置を必要とする対象の新生物を処置する方法であって、請求項1~24のいずれか一項に記載の結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、または請求項25~28のいずれか一項に記載の医薬組成物を治療有効量で前記対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項31】
前記新生物が、がんである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記がんが、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、甲状腺がん、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨腫、脈管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、甲状腺がん、脂腺がん、乳頭状がん、乳頭状腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、膀胱がん、上皮性がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、エルドハイム・チェスター病(ECD)、白血病、急性リンパ性白血病、および急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病)、ならびに真性多血症、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または重鎖病である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記がんが黒色腫である、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記黒色腫が、切除不能または転移性黒色腫である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記がんが非小細胞肺がんである、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記がんが結腸がんである、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記がんが甲状腺がんである、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記がんが卵巣がんである、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記新生物が良性腫瘍である、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記良性腫瘍が頭蓋咽頭腫である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態Iを調製する方法であって、
(a)溶液を得るために、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドを溶媒に溶解する工程と、
(b)N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態Iを得るために、工程(a)で得られた前記溶液を結晶化させる工程と
を含む方法。
【請求項42】
工程(a)における前記溶媒が、酢酸エチル、DCM、エタノール、またはイソプロパノールを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
工程(a)における前記溶媒が酢酸エチルを含む、請求項41または請求項42に記載の方法。
【請求項44】
工程(a)が、約60~90℃の温度で行われる、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
工程(a)が、約75~80℃の温度で行われる、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
工程(a)が、約1~3時間行われる、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
工程(a)が、約2時間行われる、請求項41~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
工程(b)が、工程(a)で得られた前記溶液を室温まで冷却することを含む、請求項41~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
工程(b)が、工程(a)で得られた前記溶液を20~25℃の温度まで冷却することを含む、請求項41~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
結晶形態Iを得るために、工程(b)で得られた結晶化溶液を濾過する工程をさらに含む、請求項41~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
得られた前記結晶形態Iを乾燥させる工程をさらに含む、請求項41~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記乾燥させる工程が、真空下、約40~50℃の温度で行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態IIを調製する方法であって、
(a)第1の溶液を得るために、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドを溶媒に溶解する工程と、
(b)混合物を形成するために、工程(a)で得られた前記第1の溶液に水を加える工程と、
(c)工程(b)で得られた前記混合物を、有機相および水相に分離する工程と、
(d)前記有機相から固形物を単離する工程と、
(e)第2の溶液を得るために、工程(d)で得られた前記固形物を第2の溶媒に溶解する工程と、
(f)N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態IIを得るために、工程(e)で得られた前記第2の溶液を結晶化させる工程と
を含む、方法。
【請求項54】
工程(a)の前記溶媒が、酢酸エチル、DCM、エタノール、またはイソプロパノールを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
工程(b)で加えられる水の量が、水と工程(a)で加えられた溶媒との重量比がおよそ1:1~1:10となる量である、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
工程(b)で加えられる水の量が、水と工程(a)で加えられた溶媒との重量比がおよそ1:2~1:4となる量である、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
工程(d)が、前記有機相を濃縮することを含む、請求項53~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記濃縮することが、真空下、約40~50℃の温度で行われる、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
工程(e)の前記第2の溶媒が、酢酸エチル、DCM、エタノール、またはイソプロパノールを含む、請求項53から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
工程(e)の前記第2の溶媒が酢酸エチルである、請求項53から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
工程(f)が、工程(e)で得られた前記第2の溶液を10~20℃の温度まで冷却することを含む、請求項53~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記溶液が、約10~20℃の温度で約3~5時間維持される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
結晶形態IIを得るために、工程(f)で得られた結晶化溶液を濾過する工程をさらに含む、請求項53~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
得られた前記結晶形態IIを乾燥させる工程をさらに含む、請求項53~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記乾燥させる工程が、真空下、約50~60℃の温度で行われる、請求項64に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2020年12月2日に出願された米国仮特許出願第63/120,588号の利益を主張し、その全体が引用により本明細書に援用される。
【0002】
本明細所に記載されるのは、Rafキナーゼ阻害剤である化合物、そのような化合物を作製する方法、そのような化合物を含む医薬組成物および薬剤、ならびに、疾病、疾患、または障害の処置において、Rafキナーゼ活性の調節により恩恵を受けられるであろう、そのような化合物を使用する方法である。
【技術背景】
【0003】
タンパク質キナーゼとして同定されている酵素は、少なくとも400ある。これらの酵素は、標的タンパク質基質のリン酸化を触媒する。リン酸化は、通常、リン酸基のATPからタンパク質基質への転位反応である。リン酸塩が転移される標的基質における特定構造物(specific structure)は、チロシン、セリン、またはトレオニンの残基である。これらのアミノ酸残基がリン酸転移のための標的構造であるので、これらのタンパク質キナーゼ酵素は、チロシンキナーゼ、またはセリン/トレオニンキナーゼと一般に呼ばれる。
【0004】
リン酸化反応、ならびにチロシン、セリン、およびトレオニンの残基でのホスファターゼ反応は、多様な細胞内シグナルに対する反応の根底にある無数の細胞プロセス(通常、細胞受容体によって媒介される)、細胞機能の調整、および細胞プロセスの活性化もしくは非活性化に関与している。タンパク質キナーゼのカスケードは、しばしば細胞内シグナル伝達に関与し、これらの細胞プロセスの実現に必要なものである。プロセスにおけるそれらの遍在性のために、タンパク質キナーゼは、原形質膜の一体部分として、または細胞質酵素として見つかる場合もあれば、あるいは、しばしば酵素複合体の成分として核に局在する場合もある。多くの例では、これらのタンパク質キナーゼは、酵素と構造タンパク質の複合体の必須元素であり、細胞プロセスが細胞内のどこで、いつ生じるか決定するものである。
【0005】
したがって、異常な、または不適切な細胞の増殖、分化、または代謝を調整かつ調節するために、チロシンおよびセリン/トレオニンのキナーゼの活性を調節することによって、シグナル伝達および細胞増殖を特異的に阻害する有効な小さな化合物の同定が、望ましい。具体的に、がんにつながるプロセスにとって必須であるキナーゼの機能を特異的に阻害する化合物の同定は有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド)(化合物A)
【0007】
【化1】
またはその薬学的に許容される溶媒和物もしくは水和物を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態では、結晶形態は結晶形態Iである。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、
(a)1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、および24.4±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターン、
(b)図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターン、
(c)約180~190℃の範囲の吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(d)約184℃のオンセットおよび約187℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(e)図2に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(f)図3に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラム、
(g)40℃および相対湿度(RH)75%で6か月間保存した後に変化しないXRPD、
(h)25℃および相対湿度(RH)60%で6か月間保存した後に変化しないXRPD、または
(i)それらの組合せ、を特徴とする。
【0009】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、および24.4±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、および19.3±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。
いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θおよび25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも5つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、8.7±0.1°2-θ、21.6±0.1°2-θ、24.4±0.1°2-θ、17.5±0.1°2-θ、14.6±0.1°2-θ、19.3±0.1°2-θ、23.1±0.1°2-θ、16.0±0.1°2-θ、および25.7±0.1°2-θのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、図1に示されるのものと実質的に同じX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0010】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、約180~190℃の範囲の吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、約184℃のオンセットおよび約190℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、図2に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0011】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、図3に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラムを特徴とする。
【0012】
いくつかの実施形態では、結晶形態は結晶形態IIである。いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、
(a)1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、および15.1±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターン、
(b)図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターン、
(c)i)約135~145℃の範囲の吸熱と、
ii)約143~145℃の範囲の発熱と、
iii)155~145℃の範囲の吸熱と
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(d)i)約138℃のオンセットおよび約143℃のピークを有する吸熱と、
ii)約146℃のオンセットおよび約148℃のピークを有する発熱と、
iii)約158℃のオンセットおよび約160℃のピークを有する吸熱と
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(e)図5に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、または
(f)それらの組合せ、
を特徴とする。
【0013】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、および15.1±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、および23.6±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。
いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θおよび14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも5つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、11.8±0.1°2-θ、8.6±0.1°2-θ、15.1±0.1°2-θ、17.2±0.1°2-θ、9.3±0.1°2-θ、23.6±0.1°2-θ、21.5±0.1°2-θ、22.2±0.1°2-θ、および14.3±0.1°2-θのピークを含む。いくつかの実施形態では、結晶形態IIが、図4に示されるのものと実質的に同じX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0014】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは
i)約135~145℃の範囲の吸熱と、
ii)約143~145℃の範囲の発熱と、
iii)155~165℃の範囲の吸熱と
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0015】
いくつかの実施形態では、結晶の形態IIは、
i)約138℃のオンセットおよび約143℃のピークを有する吸熱と、
ii)約146℃のオンセットおよび約148℃のピークを有する発熱と、
iii)約158℃のオンセットおよび約160℃のピークを有する吸熱と、
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0016】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、図5に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0017】
別の態様では、本開示は、結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与による哺乳動物への投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、固形医薬組成物の形態にある。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセル剤の形態にある。
【0018】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の医薬組成物と、がんを患う対象を処置するために組成物を使用するための指示書とを含む、パッケージ化された医薬組成物を提供される。
【0019】
別の態様では、本開示は、処置を必要とする対象の新生物を処置する方法であって、結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド、または本明細書に記載された医薬組成物を治療有効量で患者に投与することを含む、方法。いくつかの実施形態では、新生物はがんである。いくつかの実施形態では、がんは、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、甲状腺がん、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨腫、脈管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、甲状腺がん、脂腺がん、乳頭状がん、乳頭状腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、膀胱がん、上皮性がん、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、エルドハイム・チェスター病(ECD)、白血病、急性リンパ性白血病、および急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ性白血病)、ならびに真性多血症、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または重鎖病、である。いくつかの実施形態では、がんは黒色腫である。いくつかの実施形態では、黒色腫は切除不能または転移性黒色腫である。いくつかの実施形態では、がんは非小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、がんは結腸がんである。いくつかの実施形態では、がんは甲状腺がんである。いくつかの実施形態では、がんは卵巣がんである。いくつかの実施形態では、新生物は良性腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は頭蓋咽頭腫である。
【0020】
別の態様では、本開示は、結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態Iを準備する方法を提供し、該方法は、
(a)溶液を得るために、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドを溶媒に溶解する工程と、
(b)N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態Iを得るために、工程(a)で得られた溶液を結晶化させる工程と、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、工程(a)における溶媒は、酢酸エチル、DCM、エタノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、工程(a)における溶媒は酢酸エチルを含む。いくつかの実施形態では、工程(a)は、約60~90℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、工程(a)は、約75~80℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、工程(a)は、約1~3時間行われる。いくつかの実施形態では、工程(a)は、約2時間行われる。
【0022】
いくつかの実施形態では、工程(b)は、工程(a)で得られた溶液を室温まで冷却する工程を含む。いくつかの実施形態では、工程(b)は、工程(a)で得られた溶液を20~25℃の温度まで冷却する工程を含む。いくつかの実施形態では、該方法は、結晶形態Iを得るために、工程(b)で得られる、結晶化溶液を濾過する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、得られた結晶形態Iを乾燥させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、乾燥させる工程は、真空下、約40~50℃の温度で行われる。
【0023】
別の態様では、本開示は、結晶N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態IIを準備する方法を提供し、該方法は、
(a)第1の溶液を得るために、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドを溶媒に溶解する工程と、
(b)混合物を形成するために、工程(a)で得られた第1の溶液に水を加える工程と、
(c)工程(b)で得られた混合物を、有機相および水相に分離する工程と、
(d)有機相から固形物を単離する工程と、
(e)第2の溶液を得るために、工程(d)で得られた固形物を第2の溶媒に溶解する工程と、
(f)N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態IIを得るために、工程(a)で得られた第2の溶液を結晶化させる工程と、を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、工程(a)の溶媒は、酢酸エチル、DCM、エタノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、工程(b)で加えられる水の量は、水と工程(a)で加えられた溶媒との重量比がおよそ1:1~1:10となる量である。いくつかの実施形態では、工程(b)で加えられる水の量は、水と工程(a)で加えられた溶媒との重量比がおよそ1:2~1:4となる量である。
【0025】
いくつかの実施形態では、工程(d)は、有機相を濃縮する工程を含む。いくつかの実施形態では、濃縮する工程は、真空下、約40~50℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、工程(e)の第2の溶媒は、酢酸エチル、DCM、エタノール、またはイソプロパノールを含む。いくつかの実施形態では、工程(e)の第2の溶媒は、酢酸エチルである。いくつかの実施形態では、工程(f)は、工程(a)で得られた第2の溶液を10~20℃の温度まで冷却する工程を含む。いくつかの実施形態では、該溶液は、約10~20℃の温度で約3~5時間維持される。
【0026】
いくつかの実施形態では、該方法は、結晶形態IIを得るために、工程(f)で得られた、結晶化溶液を濾過する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、得られた結晶形態IIを乾燥させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、乾燥させる工程は、真空下、約50~60℃の温度で行われる。
【0027】
参照による援用
本明細書に言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、具体的かつ個別に参照により援用されることが示されるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の新規な特徴は、特に添付の特許請求の範囲で記載される。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原則が利用される例示的な実施形態を記載した以下の詳細な説明と、添付図面を参照することによって得られるであろう。
図1】化合物Aの結晶形態Iについて、X線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図2】化合物Aの結晶形態Iについて、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図3】化合物Aの結晶形態Iについて、熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
図4】化合物Aの結晶形態IIについて、X線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図5】化合物Aの結晶形態IIについて、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図6】40℃かつ75%の相対湿度(RH)で6か月間保存された化合物Aの結晶形態Iについて、X線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図7】40℃かつ75%の相対湿度(RH)で6か月間保存された化合物Aの結晶形態Iについて、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
図8】25℃かつ60%の相対湿度(RH)で6か月間保存された化合物Aの結晶形態Iについて、X線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図9】25℃かつ60%の相対湿度(RH)で6か月間保存された化合物Aの結晶形態Iについて、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【発明の詳細な発明】
【0029】
小分子阻害剤は、しばしば、溶液に溶解された場合、初めはそれらの活性について評価される一方、多形体などの固形状態の特性も重要である。キナーゼ阻害剤などの原薬の多形形態は、融点、みかけの溶解度、溶解速度、光学的性質や機械的性質、蒸気圧、および密度などを含む様々な物理的性質を有する場合がある。これらの性質は、原薬および製剤を処理もしくは製造する能力に直接的な影響をもたらす場合がある。さらに、これらの性質の差は、薬剤の異なる多形形態に対して、異なる薬物動態プロファイルにつながる場合があり、しばしば起こる。したがって、多形は、しばしば、様々な製品からの製剤の「同一性」を定期的に検査する上で重要な要因である。例えば、多形は、ワルファリンナトリウム、ファモチジンおよびラニチジンなど、数百万ドル、さらには数十億ドル規模の多くの薬剤で評価されている。多形は、キナーゼ阻害剤などの製剤の品質、安全性、および/または有効性に影響する場合がある。このように、キナーゼ阻害剤の多形体の必要性がまだ残っている。本開示は、この必要性に取り組み、関連する利点も提供する。
【0030】
化合物A
本明細書に使用される際、化合物Aは、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドを指し、以下に示される化学構造を有する。
【0031】
【化2】
【0032】
化合物Aは、強力かつ選択的なRafキナーゼ阻害剤である。Rafキナーゼ阻害剤は、異常なRaf活性が関与する、がんなどの様々な疾患、病状、および障害の処置に有用である。いくつかの実施形態では、化合物Aは、B-Raf阻害剤である。
【0033】
化合物Aの調製および使用は、以前から記載されている(各々が、参照によりその全体が援用されている、WO2013/032951、US9,295,671、US9,572,808、US10,137,125、およびUS10,561,652を参照されたい)。
【0034】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、化合物Aは結晶である。
【0035】
本明細書で使用される場合、「結晶形態」、「多形体」、「形態(Form)」、および「形態(form)」は、本明細書で交互に使用され得、特定の結晶または非晶質形態が言及されない限り、例えば、多形体、疑似多形体、塩、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体配座多形体、および非晶質形態、ならびにそれらの混合物を含む、化合物の全ての結晶形態および非晶質形態を含むことを意味する。本開示の化合物は、例えば、化合物の多形体、疑似多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体配座多形体、および非晶質形態、ならびにそれらの混合物を含む、それらの化合物の結晶形態および非晶質形態を含む。いくつかの実施形態では、結晶形態は、単一の固体形態、例えば、結晶形態Iである。
【0036】
I.化合物Aの結晶形態
本発明の方法により作製される多形体は、当該技術分野による任意の方法論によって、特徴付けられ得る。例えば、本発明の方法により作製される多形体は、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、ホットステージ顕微鏡法、および/または分光法(例えば、ラマン分光法、固形核磁気共鳴分光法(ssNMR)、および赤外分光法(IR))によって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、固体形態の結晶化度は、X線粉末回折(XRPD)によって決定される。
【0037】
XRPD
本発明による多形体は、XRPDによって特徴付けられ得る。XRPDピークの相対強度は、粒径、試料調製技術、試料取り付け手順、および使用される特定の器具次第で変動する場合がある。さらに、器具の変動および他の要因が、2-θの値に影響する場合がある。したがって、XRPDのピーク割り当ては、例えばプラスまたはマイナス約0.2度変動する場合がある。
【0038】
DSC
本発明による多形体は、図2図5などに示される、その特徴的なDSCサーモグラムによって同定される場合もある。DSCについて、観察される温度は、温度の変化率、ならびに試料調製技術および使用される特定の器具次第であることが知られている。このよ
うに、DSCサーモグラムに関して本明細書で報告される値は、例えばプラスまたはマイナス約4℃変動する場合がある。
【0039】
TGA
本発明の多形形態はまた、非晶質材料または別の多形形態のものとは異なる熱挙動を生じ得る。熱挙動は、いくつかの多形形態を他のものと区別するために使用され得る熱重量分析(TGA)によって、実験室で測定され得る。一態様では、多形体は、熱重量分析によって特徴付けられ得る。
【0040】
化合物Aの多形形態は医療用製剤(medicinal prepataion)の製造に有用であり、結晶質および半結晶質形態を製造するための結晶化プロセス、あるいは非晶質形態を得るための固化プロセスによって得られる場合がある。様々な実施形態では、結晶化は、反応混合物中で所望の化合物(例えば、化合物A)を生成し、反応混合物から所望の多形体を単離することによって、あるいは、任意選択で熱を用いて生の化合物を溶媒に溶解することに続いて、冷却(能動冷却を含む)および/またはある期間の貧溶媒(anti solvent)の添加によって生成物を結晶化/凝固させることによって、実行される。結晶化または固化に続いて、所望の含水量が最終多形形態において達成されるまで、制御された条件下で乾燥が実行され得る。
【0041】
様々な実施形態では、本明細書に開示される様々な多形形態(例えば、化合物Aの結晶形態Iおよび結晶形態II)は、室温で安定している。いくつかの例では、様々な多形体は、結晶形態の著しい化学分解(chemical degradation)または化学変化なしに、室温で長期間保存することができる。いくつかの例では、様々な多形体は、室温で、少なくとも約10日、30日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間、保存することができる。いくつかの例では、様々な多形体は、室温で、約180日を超える期間、保存することができる。いくつかの例では、様々な多形体は、室温で、10~14日、10~18日、10~22日、10~26日、10~30日、10~40日、10~50日、10~60日、10~90日、10~120日、10~150日、10~180日、14~18日、14~22日、14~26日、14~30日、14~40日、14~50日、14~60日、14~90日、14~120日、14~150日、14~180日、18~22日、18~26日、18~30日、18~40日、18~50日、18~60日、18~90日、18~120日、18~150日、18~180日、22~26日、22~30日、22~40日、22~50日、22~60日、22~90日、22~120日、22~150日、22~180日、26~30日、26~40日、26~50日、26~60日、26~90日、26~120日、26~150日、26~180日、30~40日、30~50日、30~60日、30~90日、30~120日、30~150日、30~180日、40~50日、40~60日、40~90日、40~120日、40~150日、40~180日、50~60日、50~90日、50~120日、50~150日、50~180日、60~90日、60~120日、60~150日、60~180日、90~120日、90~150日、または90~180日の期間、保存することができる。いくつかの例では、様々な多形体は、室温で、少なくとも10日、14日、18日、22日、26日、30日、40日、50日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間、保存することができる。
【0042】
様々な実施形態では、本明細書に開示される様々な多形形態(例えば、化合物Aの結晶形態Iおよび結晶形態II)は、室温より高い温度および/または高い相対湿度(RH)で安定している。いくつかの例では、本明細書に開示される様々な多形形態(例えば、化合物Aの結晶形態Iおよび結晶形態II)は、結晶形態の著しい化学分解または変化なしに、約40℃、約75%RHで長期間保存することができる。いくつかの例では、本明細書に開示される様々な多形形態(例えば、化合物Aの結晶形態Iおよび結晶形態II)は、少なくとも約10日、30日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間、40℃かつ約75%RHで保存することができる。いくつかの例では、本明細書に開示される様々な多形形態(例えば、化合物Aの結晶形態Iおよび結晶形態II)は、約180日を超える期間、40℃かつ約75%RHで保存することができる。いくつかの例では、本明細書に開示される様々な多形形態(例えば、化合物Aの結晶形態Iおよび結晶形態II)は、10~14日、10~18日、10~22日、10~26日、10~30日、10~40日、10~50日、10~60日、10~90日、10~120日、10~150日、10~180日、14~18日、14~22日、14~26日、14~30日、14~40日、14~50日、14~60日、14~90日、14~120日、14~150日、14~180日、18~22日、18~26日、18~30日、18~40日、18~50日、18~60日、18~90日、18~120日、18~150日、18~180日、22~26日、22~30日、22~40日、22~50日、22~60日、22~90日、22~120日、22~150日、22~180日、26~30日、26~40日、26~50日、26~60日、26~90日、26~120日、26~150日、26~180日、30~40日、30~50日、30~60日、30~90日、30~120日、30~150日、30~180日、40~50日、40~60日、40~90日、40~120日、40~150日、40~180日、50~60日、50~90日、50~120日、50~150日、50~180日、60~90日、60~120日、60~150日、60~180日、90~120日、90~150日、または90~180日の期間、40℃かつ約75%RHで保存することができる。いくつかの例では、本明細書に開示される様々な多形形態(例えば、化合物Aの結晶形態Iおよび結晶形態II)は、少なくとも10日、14日、18日、22日、26日、30日、40日、50日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間、40℃かつ約75%RHで保存することができる。
【0043】
化合物Aの結晶形態I
図1は、化合物Aの結晶形態Iについて、X線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0044】
図2は、化合物Aの結晶形態Iについて、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【0045】
図3は、化合物Aの結晶形態Iについて、熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
【0046】
一態様では、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態Iが本明細書において提供される。いくつかの実施形態は、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態Iを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態Iは、
(a)1.5406ÅのX線波長を使用したX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、および24.4±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターン、
(b)図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターンと、
(c)約180~190℃の範囲の吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと、
(d)約184℃のオンセットおよび約187℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと、
(e)図2に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムと、
(f)図3に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラムと、
(g)40℃および相対湿度(RH)75%で6か月間保存した後に変化しないXRPDと、
(h)25℃および相対湿度(RH)60%で6か月間保存した後に変化しないXRPDと、
あるいは
(i)それらの組合せ、を有するものとして特徴付けられる。
【0047】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、図1に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0048】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、および24.4±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。いくかの実施形態では、結晶形態Iは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.1°2-θ、21.6±0.1°2-θ、および24.4±0.1°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、約8.7°2-θ、約21.6°2-θ、および約24.4°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0049】
いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、および19.3±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、17.5±0.1°2-θ、14.6±0.1°2-θ、および19.3±0.1°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、約17.5°2-θ、約14.6°2-θ、および約19.3°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、23.1±0.1°2-θ、16.0±0.1°2-θ、および25.7±0.1°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、約23.1°2-θ、約16.0°2-θ、および約25.7°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも2つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2° 2-θから選択される少なくとも3つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも4つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも5つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも6つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも7つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θから選択される少なくとも8つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.2°2-θ、21.6±0.2°2-θ、24.4±0.2°2-θ、17.5±0.2°2-θ、14.6±0.2°2-θ、19.3±0.2°2-θ、23.1±0.2°2-θ、16.0±0.2°2-θ、および25.7±0.2°2-θのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、8.7±0.1°2-θ、21.6±0.1°2-θ、24.4±0.1°2-θ、17.5±0.1°2-θ、14.6±0.1°2-θ、19.3±0.1°2-θ、23.1±0.1°2-θ、16.0±0.1°2-θ、および25.7±0.1°2-θのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、約8.7°2-θ、約21.6°2-θ、約24.4°2-θ、約17.5°2-θ、約14.6°2-θ、約19.3°2-θ、約23.1°2-θ、約16.0°2-θ、および約25.7°2-θのピークを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、図2に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、約180~190℃の範囲の吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、約184℃のオンセットおよび約187℃のピークを有する吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0053】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、DSCサーモグラムにおいて、約160~180℃、162~180℃、164~180℃、166~180℃、168~180℃、170~180℃、172~180℃、174~180℃、160~178℃、162~178℃、164~178℃、166~178℃、168~178℃、170~178℃、172~178℃、174~178℃、160~176℃、162~176℃、164~176℃、166~176℃、168~176℃、170~176℃、172~176℃、174~176℃、160~174℃、162~174℃、164~174℃、166~174℃、168~174℃、170~174℃、172~174℃、160~172℃、162~172℃、164~172℃、166~172℃、168~172℃、170~172℃、160~170℃、162~170℃、164~170℃、166~170℃、168~170℃、160~168℃、162~168℃、164~168℃、166~168℃、160~166℃、162~166℃、162~166℃、164~166℃、160~164℃、162~164℃、160~162℃での吸熱を特徴付けられる。様々な実施態様では、結晶形態Iは、DSCサーモグラムにおいて、約180~190℃、例えば、約180℃、181℃、181℃、183℃、184℃、185℃、186℃、187℃、188℃、189℃、または190℃での吸熱を特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iの融点は約187℃である。
【0054】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、図3に示されるものと実質的に同じ熱重量分析(TGA)サーモグラムを特徴とする。様々な実施形態では、結晶形態Iは、約200℃、約250℃、約300℃、約350℃、約400℃、約450℃、約500℃、約550℃または600℃を超える温度で分解する。いくつかの例では、結晶形態Iは、約250℃を超える温度で分解する。
【0055】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、40℃および75%の相対湿度(RH)で6か月間保存した後に変化しないXRPDを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、40℃および75%の相対湿度(RH)で6か月間保存した後、図6に示されるものと実質的に同じXRPDを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、40℃および75%の相対湿度(RH)で6か月間保存した後に変化しないDSCを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、40℃および75%の相対湿度(RH)で6か月間保存した後、図7に示されるものと実質的に同じDSCを特徴とする。
【0056】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、25℃および60%の相対湿度(RH)で6か月間保存した後に変化しないXRPDを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、25℃および60%の相対湿度(RH)で6か月間保存した後、図8に示されるものと実質的に同じXRPDを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、25℃および60%の相対湿度(RH)で6か月間保存した後に変化しないDSCを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態Iは、25℃および60%の相対湿度(RH)で6か月間保存した後、図9に示されるものと実質的に同じDSCを特徴とする。
【0057】
様々な実施形態では、結晶形態Iは室温で安定している。いくつかの例では、結晶形態Iは、結晶形態の著しい化学分解または変化なしに、室温で長期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、室温で、少なくとも約10日、30日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間、保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、室温で、約180日を超える期間、保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、室温で、10~14日、10~18日、10~22日、10~26日、10~30日、10~40日、10~50日、10~60日、10~90日、10~120日、10~150日、10~180日、14~18日、14~22日、14~26日、14~30日、14~40日、14~50日、14~60日、14~90日、14~120日、14~150日、14~180日、18~22日、18~26日、18~30日、18~40日、18~50日、18~60日、18~90日、18~120日、18~150日、18~180日、22~26日、22~30日、22~40日、22~50日、22~60日、22~90日、22~120日、22~150日、22~180日、26~30日、26~40日、26~50日、26~60日、26~90日、26~120日、26~150日、26~180日、30~40日、30~50日、30~60日、30~90日、30~120日、30~150日、30~180日、40~50日、40~60日、40~90日、40~120日、40~150日、40~180日、50~60日、50~90日、50~120日、50~150日、50~180日、60~90日、60~120日、60~150日、60~180日、90~120日、90~150日、または90~180日の期間、保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、少なくとも10日、14日、18日、22日、26日、30日、40日、50日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間、室温で保存することができる。
【0058】
様々な実施形態では、結晶形態Iは、室温より高い温度および/または高いRHで安定している。いくつかの例では、結晶形態Iは、結晶形態の著しい化学分解または変化なしに、約40℃、約75%RHで長期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、40℃かつ約75%RHで、少なくとも約10日、30日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、40℃かつ約75%RHで約180日を超える期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、40℃かつ約75%RHで、10~14日、10~18日、10~22日、10~26日、10~30日、10~40日、10~50日、10~60日、10~90日、10~120日、10~150日、10~180日、14~18日、14~22日、14~26日、14~30日、14~40日、14~50日、14~60日、14~90日、14~120日、14~150日、14~180日、18~22日、18~26日、18~30日、18~40日、18~50日、18~60日、18~90日、18~120日、18~150日、18~180日、22~26日、22~30日、22~40日、22~50日、22~60日、22~90日、22~120日、22~150日、22~180日、26~30日、26~40日、26~50日、26~60日、26~90日、26~120日、26~150日、26~180日、30~40日、30~50日、30~60日、30~90日、30~120日、30~150日、30~180日、40~50日、40~60日、40~90日、40~120日、40~150日、40~180日、50~60日、50~90日、50~120日、50~150日、50~180日、60~90日、60~120日、60~150日、60~180日、90~120日、90~150日、または90~180日の期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、40℃、約75%RHで、少なくとも10日、14日、18日、22日、26日、30日、40日、50日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間保存することができる。
【0059】
様々な実施形態では、結晶形態Iは、室温より高い温度および/または高いRHで安定している。いくつかの例では、結晶形態Iは、結晶形態の著しい化学分解または変化なしに、約25℃、約60%RHで長期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、25℃、約60%RHで、少なくとも約10日、30日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、25℃、約60%RHで約180日を超える期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、25℃、約60%RHで、10~14日、10~18日、10~22日、10~26日、10~30日、10~40日、10~50日、10~60日、10~90日、10~120日、10~150日、10~180日、14~18日、14~22日、14~26日、14~30日、14~40日、14~50日、14~60日、14~90日、14~120日、14~150日、14~180日、18~22日、18~26日、18~30日、18~40日、18~50日、18~60日、18~90日、18~120日、18~150日、18~180日、22~26日、22~30日、22~40日、22~50日、22~60日、22~90日、22~120日、22~150日、22~180日、26~30日、26~40日、26~50日、26~60日、26~90日、26~120日、26~150日、26~180日、30~40日、30~50日、30~60日、30~90日、30~120日、30~150日、30~180日、40~50日、40~60日、40~90日、40~120日、40~150日、40~180日、50~60日、50~90日、50~120日、50~150日、50~180日、60~90日、60~120日、60~150日、60~180日、90~120日、90~150日、または90~180日の期間保存することができる。いくつかの例では、結晶形態Iは、25℃、約92.5%RHで少なくとも10日、14日、18日、22日、26日、30日、40日、50日、60日、90日、120日、150日、または180日の期間保存することができる。
【0060】
化合物Aの結晶形態II
図4は、化合物Aの結晶形態IIに対する、X線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0061】
図5は、化合物Aの結晶形態IIに対する、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【0062】
一態様では、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態IIが本明細書において提供される。いくつかの実施形態は、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態IIを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態IIは、
(a)1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、および15.1±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターン、
(b)図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターン、
(c)
i)約135~145℃の範囲の吸熱と、
ii)約143~153℃の範囲の発熱と、
iii)155~165℃の範囲の吸熱と
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(d)
i)約138℃のオンセットおよび約143℃のピークを有する吸熱と、
ii)約146℃のオンセットおよび約148℃のピークを有する発熱と、
iii)約158℃のオンセットおよび約160℃のピークを有する吸熱と
を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
(e)図5に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、
あるいは
(j)それらの組み合わせ、有することを特徴とする。
【0063】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、図4に示されるものと実質的に同じX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0064】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、および15.1±0.2°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.1°2-θ、8.6±0.1°2-θ、および15.1±0.1°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、約11.8°2-θ、約8.6°2-θ、および約15.1°2-θのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0065】
いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、および23.6±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、17.2±0.1°2-θ、9.3±0.1°2-θ、および23.6±0.1°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、約17.2°2-θ、約9.3°2-θ、および約23.6°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、21.5±0.1°2-θ、22.2±0.1°2-θ、および14.3±0.1°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、約21.5°2-θ、約22.2°2-θ、および約14.3°2-θから選択される少なくとも1つのピークをさらに含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択されるピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも2つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも3つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも4つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも5つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも6つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも7つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θから選択される少なくとも8つのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.2°2-θ、8.6±0.2°2-θ、15.1±0.2°2-θ、17.2±0.2°2-θ、9.3±0.2°2-θ、23.6±0.2°2-θ、21.5±0.2°2-θ、22.2±0.2°2-θ、および14.3±0.2°2-θのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、11.8±0.1°2-θ、8.6±0.1°2-θ、15.1±0.1°2-θ、17.2±0.1°2-θ、9.3±0.1°2-θ、23.6±0.1°2-θ、21.5±0.1°2-θ、22.2±0.1°2-θ、および14.3±0.1°2-θのピークを含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、1.5406ÅのX線波長を使用するX線粉末回折によって測定される、約11.8°2-θ、約8.6°2-θ、約15.1°2-θ、約17.2°2-θ、約9.3°2-θ、約23.6°2-θ、約21.5°2-θ、約22.2°2-θ、および約14.3°2-θのピークを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、図5に示されるものと実質的に同じ示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、約135~145℃の範囲の吸熱と、約143~153℃の範囲の発熱と、155~165℃の範囲の吸熱と、を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、約138℃のオンセットおよび約143℃のピークを有する吸熱と、約146℃のオンセットおよび約148℃のピークを有する発熱と、約158℃のオンセットおよび約160℃のピークを有する吸熱と、を含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0069】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、DSCサーモグラムにおいて、約130~160℃、例えば約130~160℃、130~155℃、130~150℃、130~145℃、130~140℃、130~135℃、135~160℃、135~155℃、135~150℃、135~145℃、135~140℃、140~160℃、140~155℃、140~150℃、140~145℃、145~160℃、145~155℃、145~150℃、150~160℃、150~155℃、または155~160℃の範囲の吸熱を特徴とする。いくつかの例では、結晶形態IIは、DSCサーモグラムにおいて、約143℃での吸熱を特徴とする。
【0070】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、DSCサーモグラムにおいて、約135~165℃、例えば約135~165℃、135~160℃、135~155℃、135~150℃、135~145℃、135~140℃、140~165℃、140~160℃140~155℃、140~150℃、140~145℃、145~165℃、145~160℃、145~155℃、145~150℃、150~165℃、150~160℃、150~155℃、155~165℃、155~160℃、または160~165℃の範囲の発熱を特徴とする。いくつかの例では、結晶形態IIは、DSCサーモグラムにおいて、約148℃での発熱を特徴とする。
【0071】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIは、DSCサーモグラムにおいて、約150~180℃、例えば約150~175℃、150~170℃、150~165℃、150~160℃、150~155℃、155~180℃、155~175℃、155~170℃、155~165℃、155~160℃、160~180℃、160~175℃、160~170℃、160~165℃、165~180℃、165~175℃、165~170℃、170~180℃、170~175℃、または175~180℃の範囲の吸熱をさらに特徴とする。いくつかの例では、結晶形態IIは、DSCサーモグラムにおいて、約160℃での吸熱をさらに特徴とする。
【0072】
II.化合物Aおよびその多形体を作製する方法
一態様では、本発明は、化合物Aの1つ以上の多形体を作製する方法を提供する。
【0073】
【化3】
【0074】
化合物Aは、WO2013/032951、US9,295,671、US9,572,808、US10,137,125、およびUS10,561,652に以前に記載されているように調製され得る。いくつかの実施形態では、化合物Aは、本明細書の例にしたがって調製される。
【0075】
本発明による多形体は、化合物Aを生成するために使用される出発原料(starting mterials)によって限定されない。
【0076】
一態様において、本発明は、化合物Aの合成後の第1の固体形態として所望の多形体を単離することにより、またはその代わりに化合物Aの前の固体形態からの転移として所望の多形体を単離することのいずれかにより、化合物Aの多形体あるいはその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を作製する方法に向けられる。ある形態から別の形態への転移は、医薬用製剤の製造に望ましい形態を得るための代替的な製造方法である場合があるため、本発明の範囲内である。
【0077】
本発明の方法による化合物Aの多形体は、結晶形態I、結晶形態II、およびそれらの混合物から選択される場合がある。
【0078】
本明細書に記載される化学物質(chemical entity)および中間体の単離かつ精製は、所望される場合、任意の適切な分離または精製手順、例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ(thin-layer chromatography)または厚層クロマトグラフィ(thick-layer chromatography)、あるいはそれらの手順の組み合わせによって行われる場合がある。適切な分離および単離手順の具体的な例証は、以下の実施例を参照することによって与えられる場合がある。しかしながら、他の同等の分離または単離手順も使用される場合がある。結晶化の前に、化合物Aは、約50%の化学的純度(chemical purity)、55%の化学的純度、60%の化学的純度、65%の化学的純度、70%の化学的純度、75%の化学的純度、80%の化学的純度、90%の化学的純度、91%の化学的純度、92%の純度、93%の化学的純度、94%の化学的純度、95%の化学的純度、96%の化学的純度、97%の化学的純度、98%の化学的純度、99%の化学的純度、約98%の化学的純度、または約100%の化学的純度で単離され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される結晶形態は、約98%未満、約97%未満、約96%未満、約95%未満、約94%未満、約93%未満、約92%未満、約91%未満、約90%未満、約89%未満、約88%未満、約87%未満、約86%未満、約85%未満、約84%未満、約83%未満、約82%未満、約81%未満、約80%未満、約78%未満、約76%未満、約74%未満、約72%未満、または約70%未満の化学的純度で化合物Aを結晶化することによって得られる。いくつかの実施形態では、結晶形態は、約70%~約99%、80%~約96%、約85%~約96%、約90%~約96%、約80%~98%、約85%~約98%、約90%~約98%、約92%~約98%約94%~98%、または約96%~約98%の範囲の化学的純度で化合物Aを結晶化することによって得られる。
【0080】
結晶形態Iの調製
一実施形態では、所望の多形体は化合物Aの結晶形態Iであり、単離工程は、単溶媒系からの粗反応生成物の再結晶に関与している。様々な実施形態では、所望の多形体は、化合物Aの結晶形態Iであり、単離工程は、集合的に多溶媒系として理解されるような、二元、三元、またはそれ以上の溶媒系からの粗生成物の再結晶に関与している。様々な実施形態では、所望の多形体は化合物Aの結晶形態Iであり、単離工程は、単溶媒系または多溶媒系からの結晶化に関与し、該結晶化は、化合物Aを周囲温度より高い温度で単溶媒系または多溶媒系に溶解させることに関与している。いくつかの例では、化合物Aの単溶媒系または多溶媒系への溶解は、約40~90℃、45~90℃、50~90℃、55~90℃、60~90℃、65~90℃、70~90℃、75~90℃、40~85℃、45~85℃、50~85℃、55-85℃,60-85℃,65-85℃,70-85℃,75-85℃,80-85℃,40-80℃,45-80℃,50-80℃,55-80℃,60-80℃,65-80℃,70-80℃,75-80℃,40-75℃,45-75℃,50-75℃,55-75℃,60-75℃,65-75℃,70-75℃,40-70℃,45-70℃,50-70℃,55-70℃,60-70℃,65-70℃,40-65℃,45-65℃,50-65℃,55-65℃,60-65℃,40~60℃、45~60℃、50~60℃、55~60℃、40~55℃、45~55℃、50~55℃、40~50℃、または45~50℃の温度で行われる。いくつかの例では、再結晶溶媒は酢酸エチルを含み、化合物Aの溶媒への溶解は約75~85℃の温度で行われる。溶媒の任意の適切な量は、化合物Aを溶解するために使用することができる。いくつかの実施形態では、化合物を溶解するために使用される溶媒(例えば、酢酸エチル)の量は、化合物Aのグラム当たり約1~10mLからである。例えば、いくつかの実施形態では、化合物Aを溶解するために使用される溶媒の量は、化合物Aのグラム当たり4mLである。いくつかの例では、再結晶溶媒は酢酸エチルを含み、化合物Aの溶媒系への溶解は約75~85℃の温度で行われ、溶解に使用される溶媒の量は化合物Aの約4mL/gである。
【0081】
様々な実施形態では、結晶化は、溶解した化合物Aを含有する溶液を、例えば、約40~100℃、40~90℃、40~80℃、40~70℃、40~60℃、40~50℃、50~100℃、50~90℃、50~80℃、50~70℃、50~60℃、60~100℃、60~90℃、60~80℃、60~70℃、70~100℃、70~90℃、70~80℃、80~100℃、または80~90℃の温度に能動的に加熱することにさらに関与している。いくつかの実施形態では、溶解した化合物Aを含有する溶液は、約75~85℃の温度に加熱される。様々な実施形態では、溶解した化合物Aを含有する溶液は、ある期間、例えば約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間以上加熱温度に維持される。
【0082】
様々な実施形態では、結晶化は、溶解した化合物Aを含有する加熱された溶液を、例えば、約0~40℃、0~30℃、0~20℃、0~10℃、10~40℃、10~30℃、10~20℃、20~40℃、20~30℃、20~10℃、または30℃~40℃の温度まで能動的に冷却する工程にさらに関与している。いくつかの実施形態では、結晶化は、溶解した化合物Aを含有する加熱溶液を約20~30℃の温度まで能動的に冷却する工程にさらに関与している。様々な実施形態では、溶解した化合物Aを含有する溶液は、このより低い温度で、ある期間、例えば、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間以上さらに維持される。
【0083】
様々な実施形態では、能動的加熱とそれに続く能動的冷却の工程は、複数回、例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回繰り返される。いくつかの実施形態では、能動的加熱とそれに続く能動的冷却の工程は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回繰り返される。
【0084】
様々な実施形態では、結晶化は、得られた化合物Aの結晶を含有する溶液を濾過することにさらに関与している。いくつかの実施形態では、結晶化は、得られた結晶を溶媒によって、例えば再結晶溶媒によって1回以上洗浄することに任意選択で関与している。いくつかの実施形態では、結晶化は、得られた結晶を、例えば真空下、約40~50℃の温度で乾燥させることに任意選択で関与している。
【0085】
いくつかの実施形態では、結晶形態Iの化学的純度は、60%、70%、80%、90%、95%、または99%を超える。いくつかの実施形態では、結晶形態Iの化学的純度は、約90%を超える。いくつかの実施形態では、結晶形態Iの化学的純度は、約95%を超える。いくつかの実施形態では、結晶形態Iの化学的純度は、約99%を超える。結晶形態Iの化学的純度は、任意の利用可能な分析技術によって、例えばHPLC分析によって測定され得る。
【0086】
様々な実施形態では、結晶形態Iは乾燥している。様々な実施形態では、結晶形態Iは溶媒和されていない。様々な実施形態では、結晶形態Iは水和されていない。様々な実施形態では、結晶形態Iは無水である。
【0087】
結晶形態IIの調製
一実施形態では、所望の多形体は、化合物Aの結晶形態IIであり、単離する工程は、単溶媒系からの粗反応生成物(crude reaction product)の再結晶に関与している。様々な実施形態では、所望の多形体は、化合物Aの結晶形態IIであり、単離する工程は、集合的に多溶媒系として理解されるような、二元、三元、またはそれ以上の溶媒系からの粗生成物の再結晶に関与している。様々な実施形態では、所望の多形は、化合物Aの結晶形態IIであり、単離する工程は、単溶媒系または多溶媒系からの結晶化に関与している。いくつかの例では、化合物Aの単溶媒系または多溶媒系への溶解は、約10~50℃、10~45℃、10~40℃、10~35℃、10~30℃、10~25℃、10~20℃、10~15℃、15~50℃、15~45℃、15~40℃、15~35℃、15~30℃、15~25℃、15~20℃、20~50℃、20~45℃、20~40℃、20~35℃、20~30℃、20~25℃、25~50℃、25~45℃、25~40℃、25~35℃、25~30℃、30~50℃、30~45℃、30~40℃、30~35℃、35~50℃、35~45℃、35~40℃、40~50℃、40~45℃、または45~50℃の温度で行われる。いくつかの例では、再結晶溶媒は酢酸エチルを含み、化合物Aの溶媒への溶解は約10~20℃の温度で行われる。任意の適切な量の溶媒が、化合物Aを溶解するために使用される場合がある。いくつかの実施形態では、化合物を溶解するために使用される溶媒(例えば、酢酸エチル)の量は、化合物Aのグラム当たり約1~10mLである。例えば、いくつかの実施形態では、化合物Aを溶解するために使用される溶媒の量は、化合物Aのグラム当たり1.5mLである。いくつかの例では、再結晶溶媒は酢酸エチルを含み、化合物Aの溶媒系への溶解は約10~20℃の温度で行われ、および溶解に使用される溶媒の量は化合物Aの約1.5mL/gである。
【0088】
様々な実施形態では、結晶化は、得られた化合物Aの結晶を含有する溶液を濾過することにさらに関与している。いくつかの実施形態では、結晶化は、得られた結晶を溶媒によって、例えば再結晶溶媒によって1回以上洗浄することに任意選択で関与している。いくつかの実施形態では、結晶化は、得られた結晶を、例えば真空下、約50~60℃の温度で乾燥させることに任意選択で関与している。
【0089】
いくつかの実施形態では、結晶形態IIの化学的純度は、60%、70%、80%、90%、95%、または99%を超える。いくつかの実施形態では、結晶形態IIの化学的純度は、約90%を超える。いくつかの実施形態では、結晶形態IIの化学的純度は、約95%を超える。いくつかの実施形態では、結晶形態IIの化学的純度は、約99%を超える。結晶形態IIの化学的純度は、任意の利用可能な分析技術によって、例えばHPLC分析によって測定され得る。
【0090】
III.追加の定義
本明細書で使用される場合、「活性剤」は、生物学的活性を有する化学物質を示すために使用される。特定の実施形態では、「活性剤」は、薬学的有用性を有する化合物である。例えば、活性剤は、抗がん治療薬であり得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、「調節」は、化学物質の非存在下での活性に対して、本明細書に記載される化学物質の存在への直接的または間接的な反応としての活性の変化を指す。変化は、活性の増加または活性の減少であり得、化合物と標的との直接的な相互作用に起因し得るか、あるいは化合物と標的の活性に影響を及ぼす1つ以上の他の因子との相互作用に起因し得る。例えば、化学物質の存在は、例えば、標的に直接結合することによって、標的活性を増加もしくは減少させる別の因子を(直接的もしくは間接的に)引き起こすことによって、または細胞もしくは生物中に存在する標的の量を(直接的もしくは間接的に)増加もしくは減少させることによって、標的活性を増加もしくは減少させ得る。
【0092】
本明細書で使用する場合、本明細書に記載の化学物質の「治療有効量」とは、ヒトまたは非ヒト対象に投与した場合に、症状の改善、疾患進行の遅延、または疾患の予防などの治療効果(therapeutic benefit)を提供するのに有効な量を指す。
【0093】
「処置する」または「処置」は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の、そのような投与を必要とする哺乳動物対象、特にヒト対象への投与を包含し、(i)がんなどの疾患の臨床症状(clinical symptoms)の進行を抑制させること、(ii)がんなどの疾患の臨床症状の退行をもたらすこと、および/または(iii)がんなどの疾患のオンセットを予防するための予防的処置、を含む。
【0094】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」成分は、妥当なベネフィット/リスク比に相応する過度の有害な副作用(毒性、刺激、およびアレルギー反応など)なしに、ヒトおよび/または動物に使用するのに適したものである。
【0095】
「薬学的に許容される塩」には、無機酸との塩、例えば、塩酸塩、炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、および同様の塩など、ならびに、有機酸との塩、例えば、リンゴ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン)、p-トルエンスルホン酸塩、プロピオン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、酢酸塩HOOC-(CH2)n-COOH(式中、nは0~4である)などのアルカン酸塩、および同様の塩など、を含むがこれらに限定されない。他の塩には、硫酸塩、メタスルホン酸塩、臭化物、トリフルオロ酢酸塩、ピクリン酸塩、ソルビン酸塩、ベンジル酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、フタル酸塩、またはモルホリンが含まれる。薬学的に許容されるカチオンには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウムおよびアンモニウムが含まれるがこれらに限定されない。
【0096】
加えて、本明細書に記載される化合物が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸塩の溶液を塩基性化することによって得ることができる。逆に、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、具体的に薬学的に許容される付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製するための従来の手順に沿って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することによって生成され得る。当業者は、無毒な薬学的に許容される付加塩を調製するために使用され得る様々な合成方法を認識するであろう。
【0097】
本明細書中で使用される場合、「対象」は、処置、観察、または実験の対象であった、またはそうなる哺乳動物を指す。本明細書に記載される方法は、ヒトの治療および獣医学的適用の両方において有用である場合がある。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0098】
用語「哺乳動物」は、その標準的な意味を有することが意図され、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ヒツジ、およびウシを包含する。
【0099】
本明細書に記載される「プロドラッグ」は、対象に投与された場合、例えば、プロドラッグの代謝プロセスの際に、化合物Aになる任意の化合物を含む。同様に、「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される塩の「プロドラッグ」を含む。プロドラッグの例には、化合物Aにおいて、カルボン酸基などの、官能基の誘導体が含まれる。カルボン酸基の例示的なプロドラッグには、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、アリールアルキルエステル、およびアリールオキシアルキルエステルなどのカルボン酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。他の例示的なプロドラッグには、エチルエステルなどの低級アルキルエステル、ピバロイルオキシメチル(POM)などのアシルオキシアルキルエステル、グリコシド、およびアスコルビン酸誘導体が含まれる。他の例示的なプロドラッグには、カルボン酸のアミドが含まれる。プロドラッグの考察は、T. Higuchi and V.Stella,Pro-drugs as Novel Delivery S ystems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series,in Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987,and in Design of Prodrugs,edH. Bundgaard,Elsevier,1985において提供される。
【0100】
本明細書に開示される化合物は、異なる濃縮同位体形態(enriched isotopic forms)、例えば、H、H、11C、13Cおよび/または14Cの含有量が濃縮された状態で使用することができる。1つの特定の実施形態では、化合物は、少なくとも1つの位置が重水素化されている。そのような重水素化形態は、米国特許第5,846,514号明細書および6,334,997号明細書に記載される手順によって作製することができる。米国特許第5,846,514号明細書、および6,334,997号明細書に記載されるように、重水素化は、薬物の有効性を改善し、作用の持続時間を増加させることができる。
【0101】
重水素置換化合物は、Dean,Dennis C.;Editor.Recent Advances in the S ynthesis and Applications of Radiolabeled Compounds for Drug Discovery and Development.[In:]:,Pharm.,2000;(10)2000,110pp;George W.;Varma,Rajender S.The S ynthesis of Radiolabeled Compounds via Organometallic Intermediates,Tetrahedron,1989,45(21),6601-21;Evans,E.Anthony.Synthesis of radiolabeled compounds,J.Radioanal.Chem.,1981,64(1-2),9-32.に記載されるような様々な方法を使用して、合成することができる。
【0102】
「溶媒和物」は、溶媒と化合物との相互作用によって形成される。用語「化合物」は、化合物の溶媒和物を含むことが意図される。同様に、「薬学的に許容される塩」には、薬学的に許容される塩の溶媒和物が含まれる。適切な溶媒和物は、一水和物および半水和物を含む水和物などの薬学的に許容される溶媒和物である。1つ以上の結晶化溶媒を用いて形成される溶媒和物も含まれる。
【0103】
本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される形態には、薬学的に許容される塩、キレート、非共有結合複合体(non-covalent complexes)、プロドラッグ、およびそれらの混合物が含まれる。
【0104】
「キレート」は、化合物の2点(またはそれ以上)での金属イオンへの配位によって形成される。用語「化合物」は、化合物のキレートを含むことが意図される。同様に、「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される塩のキレートを含む。
【0105】
「非共有複合体」は、化合物と別の分子との相互作用によって形成され、そこで共有結合は化合物と分子との間に形成されない。例えば、複合体形成は、ファンデルワールス相互作用、水素結合、および静電相互作用(イオン結合とも呼ばれる)を介して生じる場合がある。このような非共有結合複合体は、「化合物」という用語に含まれる。同様に、薬学的に許容される塩には、薬学的に許容される塩の「非共有結合複合体」が含まれる。
【0106】
範囲が、分子量などのような物理的特性、または化学式などのような化学的特性について、本明細書で使用される場合、範囲のすべての組み合わせおよび部分的な組み合わせ、ならびに本明細書における特定の実施形態が含まれることが意図される。
【0107】
用語「約」は、数または数値範囲に言及する場合、言及される数または数値範囲が、実験変動(experimental variability )内(または統計的実験誤差(statistical experimental error))内)の近似値であることを意味し、このように、数または数値範囲は、例えば、述べられる数または数値範囲の1%~15%の間で変動し得る。数値範囲のいくつかの例では、「約」は±10%を意味する。
【0108】
本明細書で使用される場合、「有意な」とは、スチューデントのT検定などの、統計的有意性の標準的なパラメトリック検定において統計的に有意である任意の検出可能な変化を指すことであって、p<0.05である。
【0109】
本明細書で使用される場合、「がん」は、がん腫および肉腫を含む、哺乳動物において発見される全てのタイプのがん、もしくは新生物、または悪性腫瘍を指す。がんの例は、脳、乳房、子宮頸部、大腸、頭頸部、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃、子宮および髄芽腫のがんが挙げられる。
【0110】
本明細書で使用される場合、用語「BRAF」、「B-Raf」、「B-Raf」などは、遺伝子または遺伝子のタンパク質産物を指すために交互に使用される。
【0111】
IV.処置の方法
いくつかの実施形態では、化合物Aの様々な多形体は、Abl、Akt1、Akt2、Akt3、ALK、ALK5、A-Raf、B-Raf、Brk、Btk、Cdk2、CDK4、CDK5、CDK6、CHK1、c-Raf-1、Csk、EGFR、EphA1、EphA2、EphB2、EphB4、Erk2、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Flt1、Flt3、Flt4、Fms、Frk、Fyn、Gsk3α、Gsk3β、HCK、Her2/Erbb2、Her4/Erbb4、IGF1R、IKKβ、Irak4、Itk、Jak1、Jak2、Jak3、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Kdr、Kit、Lck、Lyn、MAP2K1、MAP2K2、MAP4K4、MAPKAPK2、Met、Mnk1、MLK1、p38、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1Pim1、Pim2、Pim3、PKCα、PKCβ、PKCθ、Plk1、Pyk2、ROCK1、ROCK2、Ron、Src、Stk6、Syk、TEC、Tie2、TrkA、TrkB、Yes、およびZap70、ならびにそれらの任意の変異型、を含むがこれらに限定されないキナーゼに結合する。例えば、化合物Aの多形体は、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、c-Raf-1、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Lck、Lyn、Met、Pim1、Pim2、Pim3、Pyk2、Kdr、SrcおよびRet、ならびにそれらの任意の変異型、からなる群から選択されるキナーゼに結合する。いくつかの実施形態では、化合物Aは、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、またはc-Raf-1からなる群から選択されるキナーゼに結合する。例えば、化合物Aの多形は、B-RafまたはB-Raf V600E変異体であるキナーゼに結合する。いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、インビトロアッセイで測定される、50μM、25μM、10μM、5μM、または1μMをよりも低いKdで、Abl、Akt1、Akt2、Akt3、ALK、ALK5、A-Raf、B-Raf、Brk、Btk、Cdk2、CDK4、CDK5、CDK6、CHK1、c-Raf-1、Csk、EGFR、EphA1、EphA2、EphB2、EphB4、Erk2、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Flt1、Flt3、Flt4、Fms、Frk、Fyn、Gsk3α、Gsk3β、HCK、Her2/Erbb2、Her4/Erbb4、IGF1R、IKKβ、Irak4、Itk、Jak1、Jak2、Jak3、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Kdr、Kit、Lck、Lyn、MAP2K1、MAP2K2、MAP4K4、MAPKAPK2、Met、Mnk1、MLK1、p38、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1、Pim1Pim2、Pim3、PKCα、PKCβ、PKCθ、Plk1、Pyk2、ROCK1、ROCK2、Ron、Src、Stk6、Syk、TEC、Tie2、TrkA、TrkB、Yes、およびZap70、(ならびに)を有するそれらの任意の変異型を含むがこれらに限定されないキナーゼに結合する。例えば、化合物Aの多形体は、インビトロアッセイで測定される、50μM、25μM、10μM、5μM、または1μMより低いKdで、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、c-Raf-1、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Lck、Lyn、Met、Pim1、Pim2、Pim3、Pyk2、Kdr、SrcおよびRet、ならびにそれらの任意の変異型、からなる群から選択されるキナーゼに結合する。いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、インビトロアッセイで測定される、50μM、25μM、10μM、5μM、または1μMより低いKdでA-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、またはc-Raf-1からなる群から選択されるキナーゼに結合する。例えば、化合物Aの多形体は、インビトロアッセイで測定される、50μM、25μM、10μM、5μM、または1μMより低いKdでB-RafまたはB-Raf V600E変異体であるキナーゼに結合する。
【0112】
いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、Abl、Akt1、Akt2、Akt3、ALK、ALK5、A-Raf、B-Raf、Brk、Btk、Cdk2、CDK4、CDK5、CDK6、CHK1、c-Raf-1、Csk、EGFR、EphA1、EphA2、EphB2、EphB4、Erk2、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Flt1、Flt3、Flt4、Fms、Frk、Fyn、Gsk3α、Gsk3β、HCK、Her2/Erbb2、Her4/Erbb4、IGF1R、IKKβ、Irak4、Itk、Jak1、Jak2、Jak3、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Kdr、Kit、Lck、Lyn、MAP2K1、MAP2K2、MAP4K4、MAPKAPK2、Met、Mnk1、MLK1、p38、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1、Pim1Pim2、Pim3、PKCα、PKCβ、PKCθ、Plk1、Pyk2、ROCK1、ROCK2、Ron、Src、Stk6、Syk、TEC、Tie2、TrkA、TrkB、Yes、およびZap70は、それらの任意の変異型を含むがこれらに限定されないキナーゼを阻害する。例えば、化合物Aの多形体は、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、c-Raf-1、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Lck、Lyn、Met、Pim1、Pim2、Pim3、Pyk2、Kdr、SrcおよびRet、ならびにそれらの任意の変異型からなる群から選択されるキナーゼを阻害する。いくつかの実施形態では、化合物Aの多形は、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、またはc-Raf-1からなる群から選択されるキナーゼを阻害する。例えば、化合物Aの多形は、B-RafまたはB-Raf V600E変異体であるキナーゼを阻害する。いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、インビトロキナーゼアッセイにおいて確かめられるように、インビトロアッセイ中、10μM、5μM、2μM、1μM、500nM、200nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM、またはそれ未満のIC50で、bl、Akt1、Akt2、Akt3、ALK、ALK5、A-Raf、B-Raf、Brk、Btk、Cdk2、CDK4、CDK5、CDK6、CHK1、c-Raf-1、Csk、EGFR、EphA1、EphA2、EphB2、EphB4、Erk2、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Flt1、Flt3、Flt4、Fms、Frk、Fyn、Gsk3α、Gsk3β、HCK、Her2/Erbb2、Her4/Erbb4、IGF1R、IKKβ、Irak4、Itk、Jak1、Jak2、Jak3、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Kdr、Kit、Lck、Lyn、MAP2K1、MAP2K2、MAP4K4、MAPKAPK2、Met、Mnk1、MLK1、p38、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1、Pim1Pim2、Pim3、PKCα、PKCβ、PKCθ、Plk1、Pyk2、ROCK1、ROCK2、Ron、Src、Stk6、Syk、TEC、Tie2、TrkA、TrkB、Yes、およびZap70、ならびにそれらの任意の変異型を含むがこれらに限定されないキナーゼを阻害する。例えば、化合物Aの多形体は、インビトロキナーゼアッセイにおいて確かめられるように、インビトロアッセイ中、10μM、5μM、2μM、1μM、500nM、200nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nMまたはそれ未満のIC50で、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、c-Raf-1、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Lck、Lyn、Met、Pim1、Pim2、Pim3、P yk2、Kdr、SrcおよびRet、ならびにそれらの任意の変異型、からなる群から選択されるキナーゼを阻害する。いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、インビトロキナーゼアッセイにおいて確かめられるように、インビトロアッセイ中、10μM、5μM、2μM、1μM、500nM、200nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM、またはそれ未満のIC50で、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、またはc-Raf-1からなる群から選択されるキナーゼを阻害する。例えば、化合物Aの多形体は、インビトロアッセイにおいて確かめられるように、インビトロアッセイ中、10μM、5μM、2μM、1μM、500nM、200nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM以下のIC50で、B-RafまたはB-Raf V600E変異体であるキナーゼを阻害する。
【0113】
いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、インビトロキナーゼアッセイにおいて確かめられるように、インビトロアッセイ中、1μM、500nM、200nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM、またはそれ未満のIC50で、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E突然変異体、B-Raf V600E/T5291突然変異体、およびc-Raf-1からなる群から選択される1つ以上のキナーゼの活性を阻害する。
【0114】
いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、Abl、Akt1、Akt2、Akt3、ALK、ALK5、A-Raf、B-Raf、Brk、Btk、Cdk2、CDK4、CDK5、CDK6、CHK1、c-Raf-1、Csk、EGFR、EphA1、EphA2、EphB2、EphB4、Erk2、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Flt1、Flt3、Flt4、Fms、Frk、Fyn、Gsk3α、Gsk3β、HCK、Her2/Erbb2、Her4/Erbb4、IGF1R、IKKβ、Irak4、Itk、Jak1、Jak2、Jak3、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Kdr、Kit、Lck、Lyn、MAP2K1、MAP2K2、MAP4K4、MAPKAPK2、Met、Mnk1、MLK1、p38、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1、Pim1、Pim2、Pim3、PKC α、PKC β、PKC θ、Plk1、Pyk2、ROCK1、ROCK2、Ron、Src、Stk6、Syk、TEC、Tie2、TrkA、TrkB、Yes、およびZap70、それらのあらゆる変異型を含んだものからなる群から選択される1つ以上のキナーゼの活性を選択的に阻害する。
【0115】
例えば、化合物Aの多形体は、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、c-Raf-1、Fak、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Jnk1、Jnk2、Jnk3、Lck、Lyn、Met、Pim1、Pim2、Pim3、Pyk2、Kdr、Src、およびRetからなる群から選択される1つ以上のキナーゼの活性を選択的に阻害する。いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、およびc-Raf-1からなる群から選択される1つ以上のキナーゼの活性を選択的に阻害する。
【0116】
いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、ABL1、AKT1(PKBα)、AURKB(Aurora B)、BLK、BTK、CDK1/サイクリンB、CHEK1(CHK1)、CSF1R(FMS)、CSNK1G2(CK1γ2)、EGFR(ErbB1)、FGFR1、FGR、FLT3、FRAP1(mTOR)、FYN、IGF1R、IKBKB(IKKβ)、INSR、KDR(VEGFR2)、KIT、LCK、LYNA、MAP2K1(MEK1)、MAP4K5(KHS1)、MAPK1(ERK2)、MAPK14(p38α)、MAPKAPK2、MET(cMet)、PDGFRB(PDGFRβ)、PIK3CA/PIK3R1(p110α/p85α)PRKCB2(PKCβII)、PTK2B(FAK2)、PTK6(Brk)、RAF1(cRAF)、Y340D、Y341D、RET、RPS6KB1(p70S6K)、SRC、SRMS(Srm)、およびYES1からなる群から選択される1つ以上のキナーゼに対して、B-RafまたはB-Raf V600E変異体の活性を選択的に阻害する。いくつかの実施形態では、化合物Aの多形体は、ABL1、AKT1(PKBα)、AURKB(Aurora B)、BLK、BTK、CDK1/サイクリンB、CHEK1(CHK1)、CSF1R(FMS)、CSNK1G2(CK1ガンマ2)、EGFR(ErbB1)、FGFR1、FGR、FLT3、FRAP1(mTOR)、FYN、IGF1R、IKBKB(IKKβ)、INSR、KDR(VEGFR2)、KIT、LCK、LYNA、MAP2K1(MEK1)MAP4K5(KHS1)、MAPK1(ERK2)、MAPK14(p38α)、MAPKAPK2、MET(cMet)、PDGFRB(PDGFRβ)、PIK3CA/PIK3R1(p110α/p85α)PRKCB2(PKCβII)、PTK2B(FAK2)、PTK6(Brk)、RAF1(cRAF)Y340D Y341D、RET、RPS6KB1(p70S6K)、SRC、SRMS(Srm)、およびYES1からなる群から選択される1つ以上のキナーゼに対するIC50の1/2、1/3、1/4、1/5、1/7、1/101/15、1/20、1/25、1/30、1/40、1/50、1/100、1/150、1/200、1/300、1/400、1/500、1/1000、1/2000、またはそれ未満であるIC50で、A-Raf、B-Raf、B-Raf V600E変異体、B-Raf V600E/T5291変異体、およびc-Raf-1からなる群から選択される1つ以上のキナーゼの活性を阻害する。
【0117】
いくつかの実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体は、細胞増殖を阻害する能力がある。例えば、いくつかの場合では、化合物Aの1つ以上の多形体は、腫瘍細胞または腫瘍細胞株の増殖を阻害する。例えば、そのような細胞株は、B-rafまたはB-raf V600E変異体であるキナーゼを発現する。いくつかの場合では、化合物Aの1つ以上の多形体は、インビトロまたは異種移植マウスモデルなどのインビボモデルにおいて、A375またはSK-MEL-28細胞増殖を阻害する。いくつかの場合では、インビトロで培養されたA375またはSK-MEL-28細胞増殖は、化合物Aの1つ以上の多形体によって、100nM、75nM、50nM、25nM、15nM、10nM、5nM、3nM、2nM、1nM、0.5nM、0.1nM、またはそれ未満のIC50で阻害され得る。
【0118】
V.使用方法
本明細書に記載される多形体は、処置において、または様々な障害の処置のための薬剤の調整において有用である。例えば、化合物Aの多形は、タンパク質キナーゼの阻害剤として有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多形体は、1つ以上のキナーゼの阻害剤である。例えば、化合物Aの多形体は、A-Raf、B-Raf、C-Raf、および、B-Raf V600E変異体を含む、そのようなキナーゼの変異体の阻害剤である。このように、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、化合物Aの多形体は、Rafキナーゼなどの1つ以上のキナーゼの活性化が関係している疾患、疾病、または障害を処置するか、あるいはその重症度を軽減するのに特に有用である。Rafキナーゼの活性化が特定の疾患、疾病、または障害に関係している場合、その疾患、疾病、または障害は、「Raf媒介性疾患」もしくは疾患症状とも呼ばれ得る。したがって、別の態様では、本発明は、Rafキナーゼの1つ以上の活性化が疾患状態に関係している疾患、疾病、または障害を処置するかまたはその重症度を軽減するための方法を提供する。
【0119】
Rafキナーゼの阻害は、インビトロで、インビボで、または細胞株においてアッセイされ得る。インビトロアッセイは、活性化Rafキナーゼのリン酸化活性またはATPアーゼ活性のいずれかの阻害を決定するアッセイを含む。代替的なインビトロアッセイは、阻害剤がRafキナーゼに結合する能力を定量化する。阻害剤結合は、結合の前に阻害剤を放射性標識し、阻害剤、複合体を単離し、結合した放射性標識の量を決定することによって測定され得る。あるいは、阻害剤結合は、新しい阻害剤が既知の放射性リガンドに結合したRafキナーゼで培養される競合実験を実行することによって決定され得る。
【0120】
本明細書に記載される多形体は、薬学的に許容される形態で製剤化する前に、典型的に、標準的なクロマトグラフィ法によって実質的に純粋な形態で調製され得る。
【0121】
本明細書に記載される多形体は、悪性腫瘍および良性腫瘍、ならびにがんを含む様々な新生物を処置する際に使用され得る。本明細書に記載される多形体、組成物、および方法によって予防および/または処置することができるがんには、ヒト肉腫およびがん腫、例えば、がん腫、例えば、結腸がん、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、甲状腺がん、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨腫、脈管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮がん、基底細胞がん、腺がん、汗腺がん、脂腺がん、乳頭状がん、乳頭状腺がん、嚢胞腺がん、髄様がん、気管支原性がん、腎細胞がん、肝がん、胆管がん、絨毛がん、精上皮腫、胎児性がん、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、上皮性がん、神経膠腫、星細胞、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、エルドハイム・チェスター病(ECD)、白血病、例えば、急性リンパ性白血病、および急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性単球性、および赤白血病)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、および慢性リンパ性白血病)、および、真性多血症、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、ならびに重鎖病、が含まれるがこれらに限定されない。本明細書に記載される多形体、組成物、および方法によって予防および/または処置され得る良性腫瘍には、頭蓋咽頭腫が含まれるが、これに限定されない。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される多形体は、
i.食道、胃、小腸、結腸(結腸直腸を含む)、肝臓および肝内胆管、胆嚢および他の胆管、膵臓、ならびに他の消化器を含むがこれらに限定されない消化器系、
ii.喉頭、肺および気管支、ならびに他の呼吸器を含むがこれらに限定されない呼吸器系、
iii.皮膚、
iv.甲状腺、
v.乳房、
vi.子宮頸部、卵巣、および前立腺を含むがこれらに限定されない生殖器系、
vii.膀胱、ならびに腎臓および腎盂を含むがこれらに限定されない、泌尿器系、
ならびに
viii.舌、口、咽頭、および他の口腔を含むがこれらに限定されない口腔および咽頭、
のがんの処置のために使用される。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多形体は、結腸がん、肝臓がん、肺がん、黒色腫、甲状腺がん、乳がん、卵巣がん、および口腔がんの処置に使用される。
【0124】
本明細書に記載される多形体はまた、処置されている疾病に対する、それらの特定の有用性のために選択される他の周知の治療剤と併用され得る。例えば、本明細書に記載の多形体は、少なくとも1つの追加の抗がん剤および/または細胞毒性剤との組み合わせで有用であり得る。さらに、本明細書に記載される多形体はまた、細胞表面増殖因子受容体を細胞増殖を開始させる核シグナルに結びつけるシグナル伝達経路の部分に対する他の阻害剤との組み合わせで有用であり得る。
【0125】
本明細書に記載される多形体と組み合わせて使用され得るそのような公知の抗がん剤および/または細胞毒性剤は、
(i)アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾロミド、およびニトロソウレア)、代謝拮抗剤(例えば、ゲムシタビン、ならびに、5-フルオロウラシルおよびテガフールなどのフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、およびヒドロキシウレアなどの葉酸代謝拮抗剤)、抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシンなどのアントラサイクリン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、およびミトラマイシン)、抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンなどのビンカアルカロイド、ならびにタキソールおよびタキソテールなどのタキソイドならびにポロキナーゼ阻害剤)、およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドなどのエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカンおよびカンプトテシン)などの腫瘍内科で使用されている他の抗増殖/抗腫瘍薬およびそれらの組み合わせ、
(ii)細胞増殖抑制剤、抗エストロゲン(例えばタモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびイオドキシフェン)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストもしくはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールおよびエキセメスタンとして)、およびフィナステリドなどの5a-レダクターゼの阻害剤、
(iii)抗浸潤剤[例えば、4-(6-クロロ-2,3メチレンジオキシアニリン)-7-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]-5-テトラヒドロピラン-4イルオキシキナゾリン(AZD0530 国際特許出願WO01/94341)、N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-{6-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]-2-メチルピリミジン-4イルアミノ}チアゾール-5-カルボキサミド(ダサチニブ、BMS-354825;J.Med.Chern.,2004,47,66586661)およびボスチニブ(SK1-606などの)などのc-Srcキナーゼファミリー阻害剤、ならびに、マリマスタットおよびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体の機能またはヘパラナーゼに対する抗体の阻害剤などのメタロプロテイナーゼ阻害剤]、
(iv)成長因子機能の阻害剤 例えば、そのような阻害剤には、成長因子抗体および成長因子受容体抗体(例えば、抗erbB2抗体トラスツズマブ[ハーセプチン(商標)]、抗EGFR抗体パニツムマブ、抗erbB1抗体セツキシマブ[Erbitux、C225]、およびStem et al. Critical reviews in oncology/haematology, 2005, Vol. 54, pp 11-29によって開示される任意の増殖因子または増殖因子受容体抗体)が含まれ、またそのような阻害剤には、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば上皮成長因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えばN-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(ゲフィチニブ、ZD1839)、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(エルロチニブ、OSI-774)、および6-アクリルアミド-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-キナゾリン-4-アミン(CI1033)、ラパチニブなどのerbB2チロシンキナーゼ阻害剤)、肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤、インスリン成長因子ファミリーの阻害剤、イマチニブおよび/またはニロチニブ(AMN107)などの血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼの阻害剤(例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤などのRas/Rafシグナル伝達阻害剤、例えば、ソラフェニブ(BAY 43-9006)、チピファルニブ(RI15777)およびロナファルニブ(SCH66336))、MEKおよび/またはAKTキナーゼを介する細胞シグナル伝達の阻害剤、c-kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、P13キナーゼ阻害剤、Plt3キナーゼ阻害剤、CSF-IRキナーゼ阻害剤、IGF受容体(インスリン様成長因子)キナーゼ阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、AZD1152、PH739358、VX-680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX-528、およびAX39459)。ならびにCDK2および/またはCDK4阻害剤などのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤も含まれ、
(v)血管内皮細胞成長因子の効果を阻害するものなどの抗血管新生剤[例えば、抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ(アバスチン(商標))、および、例えば、バンデタニブ(ZD6474)、バタラニブ(PTK787)、スニチニブ(SU11248)、アキシチニブ(AG-013736)、パゾパニブ(GW 786034)、および4・{4-フルオロ-2-メチルインドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-(3ピロリジン-1-イルプロポキシ)キナゾリン)(AZD2171 WO00/47212内の実施例240)などのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、国際特許出願WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856、およびWO98/13354に開示されるものなどの化合物、ならびに他の機構によって作用する化合物(例えば、リノマイド、インテグリンαv-3機能の阻害剤およびアンギオスタチン)、
(vi)コンブレタスタチンA4や、国際特許出願WO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434およびWO02/08213に開示される化合物などの血管損傷剤、
(vii)エンドセリン受容体アンタゴニスト、例えば、ジボテンタン(ZD4054)またはアトラセンタン、
(viii)アンチセンス療法、例えば、ISIS2503、抗rasアンチセンスなど、上述の標的に向けられるもの、
(ix)異常なp53または異常なBRCA1もしくはBRCA2などの異常な遺伝子を置換するためのアプローチ、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌性ニトロレダクターゼ酵素を使用するアプローチなどのGDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法)アプローチ、および多剤耐性遺伝子療法などの化学療法または放射線療法に対する対象の耐性を増加させるためのアプローチ、を含む遺伝子療法アプローチ、
(x)例えば、インターロイキン2、インターロイキン4、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインによるトランスフェクションなどの、対象の腫瘍細胞の免疫原性を増加させるためのエクスビボおよびインビボでのアプローチ、T細胞エネルギーを減少させるためのアプローチ、サイトカイントランスフェクト樹状細胞などのトランスフェクト免疫細胞を使用するアプローチ、サイトカイントランスフェクト腫瘍細胞株を使用するアプローチ、ならびに、抗イディオタイプ抗体を使用するアプローチ、を含む免疫療法アプローチ、
を含む。
【0126】
特定の実施形態では、化合物Aの少なくとも1つの多形体は、パクリタキセル、ボルテゾミブ、ダカルバジン、ゲムシタビン、トラスツズマブ、ベバシズマブ、カペシタビン、ドセタキセル、エルロチニブ、AROMASIN(商標)(エキセメスタン)などのアロマターゼ阻害剤、およびFASLODEX(商標)(フルベストラント)などのエストロゲン受容体阻害剤から選択される1つ以上の薬剤と組み合わせて投与される。
【0127】
化合物Aの多形体がヒト対象に投与される場合、用量は、通常、個々の対象の年齢、体重、および応答、ならびに対象の症状の重症度によって、一般に変動する用量で、処方医師によって決定され得る。
【0128】
1つの例示的な適用において、化合物Aの少なくとも1つの多形体の適切な量が、がん、例えば乳がんの処置を受けている哺乳動物に投与される。投与は、一般に、一日あたり体重の少なくとも約0.1mg/kgなど、一日あたり体重の約0.01mg/kgと一日あたり体重の約100mg/kgとの間の量で行われる(単回または分割された用量で投与される)。特定の治療用量は、例えば、約0.01mg~約1000mgの化合物Aの多形体を含む場合があり、例えば、約1mg~約1000mgなどを含む。調製の単位用量における化合物Aの少なくとも1つの多形体の量は、約0.1mg~1000mgで変動または調整され得、特定の用途に応じて、約1mg~300mgなど、例えば10mg~200mgである。投与される量は、使用される化合物Aの少なくとも1つの多形体の特定のIC50値、ならびに健康、体重、および年齢などの因子を考慮に入れた担当臨床医の判断に応じて変動する。本明細書に記載される化合物Aの少なくとも1つの多形体が唯一の活性成分ではない併用適用において、より少ない量の化合物Aの少なくとも1つの多形体を投与して、依然として治療効果または予防効果を有することが可能な場合がある。
【0129】
いくつかの実施形態では、薬剤の調整は単位剤形である。そのような形態では、調製物は、適切な量の化合物Aの多形体、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含有する単位用量に細分される。
【0130】
使用される実際の用量は、対象の要件および処置される疾病の重症度に応じて変動し得る。特定の状況に対する適切な用量の決定は、当技術分野の範囲内である。一般に、処置は、化合物Aの少なくとも1つの多形体の最適な用量より少ない、より少量で開始される。その後、当該状況下で最適な効果に達するまで、用量は、少量ずつ増加される。便宜上、一日の総用量は分割され、必要な場合、その日の間にいくつかの分量で投与され得る。
【0131】
化合物Aの少なくとも1つの多形体、ならびに適用可能な場合、他の化学療法剤および/または放射線療法の投与の量および頻度は、対象の年齢、疾病およびサイズ、ならびに処置される疾患の重症度などの要因を考慮して、担当臨床医(医師)の判断にしたがって調節されることになる。
【0132】
化学療法剤および/または放射線療法は、当技術分野で周知の治療プロトコルにしたがって投与することができる。化学療法剤および/または放射線療法の投与は、処置される疾患ならびにその疾患に対する化学療法剤および/または放射線療法の既知の効果に応じて変動する場合があることが当業者には明らかであろう。また、熟練した臨床医の知識に沿って、治療プロトコル(例えば、投与量および投与時間)は、対象に対して投与された治療剤(すなわち、抗腫瘍剤または放射線)の観察された効果を考慮して、および投与された治療剤に対する疾患の観察された応答を考慮して、変更される場合がある。
【0133】
また、一般に、化合物Aの少なくとも1つの多形体は、化学療法剤と同じ医薬組成物で投与される必要はなく、異なる物理的および化学的特性のために、異なる経路によって投与され得る。例えば、多形体/組成物は、その良好な血中レベルを生成および維持するために経口投与され得る一方、化学療法剤は静脈内投与され得る。可能な場合、同じ医薬組成物における、投与方法の決定、および投与の妥当性は、熟練した臨床医の知識の範囲内でよい。最初の投与は、当技術分野で既知の確立されたプロトコルにしたがって行うことができ、次いで、観察された効果に基づいて、投与量、投与方法および投与時間は、熟練した臨床医によって修正される場合がある。
【0134】
多形体(ならびに適切な場合、化学療法剤および/または放射線)の特定の選択は、担当医師の診断および対象の疾病の判断、ならびに適切な処置プロトコル次第である。
【0135】
化合物Aの1つ以上の多形体(ならびに適切な場合、化学療法剤および/または放射線)は、増殖性疾患の性質、対象の疾病、1つ以上の多形体/組成物と併せて(すなわち、単一の処置プロトコル内で)投与される化学療法剤および/または放射線の実際の選択に応じて、同時に(例えば、同時に、本質的に同時に、または同じ処置プロトコル内で)、または連続して投与され得る。
【0136】
併用適用および使用では、1つ以上の多形体/組成物、ならびに化学療法剤および/または放射線は、同時にまたは本質的に同時に投与される必要はなく、1つ以上の多形体/組成物、ならびに化学療法剤および/または放射線の投与の最初の順序は重要ではない場合がある。このように、化合物Aの少なくとも1つの多形体が最初に投与され、続いて化学療法剤および/または放射線が投与され得るか、あるいは、化学療法剤および/または放射線が最初に投与され、続いて化合物Aの少なくとも1つの多形体が投与され得る。この代替的な投与は、単一の処置プロトコル中に繰り返され得る。投与の順序、および治療プロトコル中の各治療剤の投与の繰り返し数の決定は、処置されている疾患および対象の疾病を評価した後に、熟練した医師の知識の範囲内でよい。例えば、化学療法剤および/または放射線は、最初に投与されてもよく、次いで、処置は、化合物Aの少なくとも1つの多形体が投与され、有利であると決定された場合、化学療法剤および/または放射線の投与などが、治療プロトコルが完了するまで継続される。
【0137】
したがって、経験および知識に沿って、担当医は、処置が進行するにつれて、個々の対象の必要性にしたがって、処置のための化合物A/組成物の多形体の投与のための各プロトコルを修正することができる。
【0138】
担当臨床医は、処置が投与される投与量で有効であるかどうかを判断する際に、対象の全般的な健康状態、ならびに疾患関連症状の軽減、腫瘍成長の阻害、腫瘍の実際の収縮、または転移の阻害などのより明確な徴候を考慮するであろう。腫瘍のサイズは、放射線学的研究、例えば、CATまたはMRIスキャンなどの標準的な方法によって測定することができ、連続的な測定を使用して、腫瘍の成長が遅延されたか、または逆転させられたかどうかを判断することができる。疼痛などの疾患関連症状の軽減および全体的な疾病の改善もさらに、処置の有効性の判断を助けるために使用することができる。
VI.組成物および製剤
【0139】
本開示は、本発明の1つ以上の結晶形態を含む医薬組成物を含む組成物を提供する。
【0140】
様々な実施形態では、組成物中の結晶形態1などの所望の結晶形態と他の全ての結晶形態との比率は、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、またはそれを超えるw/wよりも大きい。他の実施形態では、結晶形態IIと他の全ての多形体との比率は、約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、またはそれを超えるw/wよりも大きい。
【0141】
いくつかの実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体は、医薬組成物に製剤化される。特定の実施態様では、医薬組成物は、活性化合物/多形体の薬学的に使用することができる調製物へのプロセシングを容易にする賦形剤及び助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を用いて従来の様式で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に応じて異なる。任意の薬学的に許容される技術、担体、および賦形剤は、本明細書に記載される医薬組成物を製剤化するのに適切なものとして使用される:Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975、Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York, N.Y.,1980、およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 1999)。
【0142】
本明細書に提供されるのは、化合物Aの1つ以上の多形体と、薬学的に許容される希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)、または担体(複数可)とを含む医薬組成物である。特定の実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体は、併用療法におけるように、1つ以上の多形体が他の活性成分と混合されている医薬組成物として投与される。本明細書に包含されるのは、以下の併用療法の段落、および本開示全体にわたり記載される活性物質の全ての組み合わせである。特定の実施形態では、医薬組成物は、化合物Aの1つ以上の多形体を含む。
【0143】
医薬組成物は、本明細書で使用される場合、化合物Aの1つ以上の多形体と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。特定の実施形態では、医薬組成物は、多形体の生物への投与を容易にする。いくつかの実施態様では、本明細書に提供される治療方法又は使用方法を実施する際に、治療有効量の、化合物Aの1つ以上の多形体は、医薬組成物中で、処置される疾患または疾病を有する哺乳動物に投与される。特定の実施形態では、哺乳動物はヒトである。特定の実施形態では、治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康状態ならびに他の因子に応じて変化する。本明細書に記載される化合物Aの1つ以上の多形体は、混合物の成分として、単独で、または1つ以上の治療剤と組み合わせて使用される。
【0144】
一実施形態において、化合物Aの1つ以上の多形体は、水溶液中で製剤化される。特定の実施形態では、水溶液は、単なる例として、生理学的に適合性のある緩衝液、ハンクス液、リンゲル液、または生理食塩水緩衝液から選択される。他の実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体は、経粘膜投与のために製剤化される。特定の実施形態では、経粘膜製剤は、透過される障壁に適切な浸透剤を含む。本明細書に記載される1つ以上の多形体が他の非経口注射用に製剤化される、さらに他の実施形態では、適切な製剤は、水溶液または非水溶液を含む。特定の実施形態では、そのような溶液は、生理学的に適合性のある緩衝液および/または賦形剤を含む。
【0145】
別の実施形態では、本明細書に記載の多形体は、経口投与用に製剤化される。化合物Aの多形体は、多形体を、例えば、薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせることによって製剤化される。様々な実施形態では、本明細書に記載の多形体は、単なる例として、錠剤、散剤、丸剤、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、懸濁剤などを含む経口剤形に製剤化される。
【0146】
特定の実施形態では、経口使用のための医薬調製物は、1つ以上の固体賦形剤を本明細書に記載の1つ以上の多形体と混合すること、任意選択で、得られた混合物を粉砕すること、錠剤または糖剤に得られるために、所望により適切な助剤を加えた後に、顆粒の混合物をプロセシングすることで得られる。適切な賦形剤は、具体的に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤(filler)、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、などのセルロース調製物、あるいは、ポリビニルピロリドン(PVPもしくはポビドン)、またはリン酸カルシウムなどのその他のものである。特定の実施形態では、崩壊剤が任意に添加される。崩壊剤には、単なる例として、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩が含まれる。
【0147】
一実施形態では、糖剤コアおよび錠剤などの剤形は、1つ以上の適切なコーティングとともに提供される。特定の実施形態では、濃縮糖溶液が剤形をコーティングするために使用される。糖溶液は、任意選択で、単なる例として、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物などの追加の成分を含有する。染料および/または色素はまた、識別する目的のためにコーティングに任意選択で追加される。さらに、染料および/または色素は、活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために任意選択で利用される。
【0148】
特定の実施態様では、本明細書に記載される多形体の少なくとも1つの治療有効量は、他の経口剤形に製剤化される。経口剤形には、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤かつ作製された軟質密封カプセルが含まれる。特定の実施形態では、プッシュフィットカプセルは、1つ以上の充填剤との混合物において活性成分を含有する。充填剤には、単なる例として、ラクトース、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに任意選択で安定剤が含まれる。他の実施形態では、軟質カプセル剤は、好適な液体に溶解または懸濁される1つ以上の活性化合物を含有する。好適な液体には、単なる例として、1つ以上の脂肪油、流動パラフィン、または流動ポリエチレングリコールが挙げられる。さらに、安定剤が任意選択で追加される。
【0149】
他の実施形態では、本明細書に記載される多形体の少なくとも1つの治療有効量は、頬側または舌下投与用に製剤化される。頬側または舌下投与に適した製剤としては、単なる例として、錠剤、ロゼンジ剤、またはゲル剤が挙げられる。さらに他の実施形態では、本明細書に記載される多形体は、ボーラス注射または持続注入に適切な製剤を含む、非経口注射のために製剤化される。特定の実施形態では、注射のために製剤は、単位剤形(例えば、アンプル内)、または多用量容器で提示される。防腐剤が、任意選択で注射製剤に追加される。さらに他の実施形態では、化合物Aの多形体の医薬組成物は、油性または水性ビヒクルにおける滅菌懸濁液、溶液、またはエマルジョンとして、非経口注射に適切な形態で製剤化される。非経口注射製剤は、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を任意選択で含有する。特定の実施形態では、非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態の活性多形体の水溶液を含む。さらなる実施形態では、活性多形体の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製される。本明細書に記載される医薬組成物における使用に適切な親油性溶媒またはビヒクルには、単なる例として、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、あるいはリポソームが含まれる。ある特定の実施形態では、水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有する。任意選択で、懸濁液は、適切な安定剤または多形体の溶解度を増加させる薬剤を含有し、高濃度溶液の調製を可能にする。代替的には、他の実施形態では、活性成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない滅菌水で構成するための粉末形態である。
【0150】
さらに他の実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体は、局所的に投与される。本明細書に記載される1つ以上の多形体は、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、バーム、クリームまたは軟膏などの様々な局所投与可能な組成物に製剤化される。そのような医薬組成物は、任意選択で、可溶化剤、安定剤、等張化促進剤、緩衝剤および保存剤を含有する。
【0151】
さらに他の実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体は、経皮投与用に製剤化される。特定の実施形態では、経皮製剤は、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを使用し、ポリマーまたは接着剤に溶解および/または分散した親油性エマルジョンまたは緩衝水溶液である場合がある。様々な実施形態では、そのようなパッチは、医薬品の連続送達、パルス送達、またはオンデマンド送達のために構成される。さらなる実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体の経皮送達は、イオン導入パッチなどの手段によって達成される。特定の実施形態では、経皮パッチは、化合物Aの1つ以上の多形体の制御送達を提供する。特定の実施形態では、吸収速度は、速度制御膜を使用することによって、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル内に捕捉することによって、遅くなる。代替的な実施形態では、吸収促進剤が吸収を増大させるために使用される。吸収促進剤または担体は、皮膚を通過するのを助ける吸収性の薬学的に許容される溶媒を含む。例えば、一実施形態では、経皮デバイスは、裏当て部材と、任意選択で担体とともに化合物を含有するリザーバと、任意選択で、長期間にわたって制御された所定の速度で化合物を宿主の皮膚に送達するための速度制御バリアと、デバイスを皮膚に固定するための手段と、を含む包帯の形態である。
【0152】
他の実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体は、吸入による投与のために製剤化される。吸入による投与に適切な様々な形態には、エアロゾル、ミスト、または粉散財が含まれるが、これらに限定されない。化合物Aの多形体の医薬組成物は、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガス)を使用して、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの提示の形態で好都合に送達される。特定の実施形態では、加圧エアロゾルの投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定される。特定の実施形態では、単なる例として、吸入器または注入器で使用するためのゼラチンなどのカプセルおよびカートリッジは、化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との、粉末混合物を含有するように製剤化される。
【0153】
さらに他の実施形態では、化合物Aの1つ以上の多形体は、カカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤、ならびにポリビニルピロリドン、PEGなどの合成ポリマーを含有する、浣腸剤、直腸ゲル剤、直腸泡剤、直腸エアロゾル剤、坐剤、ゼリー坐剤、または停留浣腸剤などの直腸組成物に製剤化される。組成物の坐剤形態では、限定されないが脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスは、任意選択でカカオバターと組み合わせて最初に融解される。
【0154】
特定の実施形態では、医薬組成物は、活性多形体の医薬的に使用され得る調製物へのプロセシングを容易にする賦形剤および助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して、任意の従来の様式で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路次第である。任意の薬学的に許容される技術、担体、および賦形剤が、任意選択で適切に使用される。化合物Aの1つ以上の多形体を含む医薬組成物は、単なる例として、従来の混合、溶解、造粒、糖剤作製、研和、乳化、カプセル化、封入、または圧縮プロセスによる従来の方法で製造される。
【0155】
医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、もしくは賦形剤、および活性成分として本明細書に記載の化合物Aの少なくとも1つの多形体を含む。活性成分は、遊離酸もしくは遊離塩基形態、または薬学的に許容される塩形態である。本明細書に記載される化合物の全ての互変異性体は、本明細書に提示される化合物の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態、ならびに水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態を包含する。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書に開示されると考えられる。さらに、医薬組成物は、他の医療用または医薬品、担体、保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤などのアジュバント、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、緩衝剤、ならびに/あるいは他の治療的に価値のある物質を任意選択で含む。
【0156】
本明細書に記載される化合物Aの1つ以上の多形体を含む組成物の調製方法は、固体、半固体または液体を形成するために、1つ以上の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体を用いて多形体を製剤化することを含む。固体組成物には、散剤、錠剤、顆粒水和剤、カプセル剤、カシェ剤、および坐剤が含まれるが、これらに限定されない。液体組成物には、化合物が溶解している溶液、化合物を含むエマルジョン、または本明細書に開示されるように、化合物を含むリポソーム、ミセル、もしくはナノ粒子を含有する溶液が含まれる。半固体組成物には、ゲル、懸濁液およびクリームが含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される医薬組成物の形態は、液体溶液もしくは懸濁液、使用前の液体中の溶液もしくは懸濁液に適切な固体形態、またはエマルジョンを含む。これらの組成物はまた、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤など少量の非毒性の補助物質を任意選択で含有する。
【0157】
いくつかの実施形態では、化合物Aの少なくとも1つの多形体を含む医薬組成物は、液体の形態を例示的にとり、薬剤が、溶液中、懸濁液中、またはその両方で存在する。一般には、組成物が溶液または懸濁液として投与される場合、薬剤の第1の部分は溶液中に存在し、薬剤の第2の部分は液体マトリックス中の懸濁液中に粒子形態で存在する。いくつかの実施形態では、液体組成物はゲル製剤を含む。他の実施形態では、液体組成物は水性である。
【0158】
特定の実施形態では、有用な水性懸濁液は、懸濁剤として1つ以上のポリマーを含有する。有用なポリマーには、例えばセルロースポリマーなどの水溶性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、および架橋カルボキシル含有ポリマーなどの水不溶性ポリマーが含まれる。本明細書に記載される特定の医薬組成物は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、およびデキストランから選択される粘膜付着性ポリマーを含む。
【0159】
有用な医薬組成物はさらに、任意選択で、化合物Aの多形体の溶解度を補助するための可溶化剤を含む。用語「可溶化剤」は、概して、薬剤のミセル溶液または真溶液の形成をもたらす薬剤を含む。特定の許容される非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80、眼科的に許容されるグリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール400、およびグリコールエーテルは、可溶化剤として有用である。
【0160】
さらに、有用な医薬組成物は、任意選択で、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸と、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基と、ならびにクエン酸/デキストロース、重炭酸ナトリウム、および塩化アンモニウムなどの緩衝剤、を含む1つ以上のpH調整剤または緩衝剤を含む。このような酸、塩基、および緩衝剤は、組成物のpHを許容可能な範囲に維持するのに必要な量で含まれる。
【0161】
さらに、有用な組成物はさらに、任意選択で、組成物の重量オスモル濃度を許容可能な範囲にするのに必要な量の1種以上の塩を含む。適切な塩には、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムカチオンおよび塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、重炭酸、硫酸塩、チオスルファート、あるいは亜硫酸水素アニオンを有するものが含まれ、そのような塩には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ナトリウムチオスルファート、亜硫酸水素ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが含まれる。
【0162】
他の有用な医薬組成物には、微生物活性を阻害するために1つ以上の保存剤が任意選択で含まれる。適切な防腐剤には、メルフェンおよびチオメルサールなどの水銀含有物質と、安定化二酸化塩素と、ならびに塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、および塩化セチルピリジニウムなどの第四級アンモニウム化合物とが含まれる。
【0163】
さらに他の有用な組成物は、物理的安定性を高めるため、または他の目的のために、1つ以上の界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)水添ヒマシ油、ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40に含まれる。
【0164】
さらに他の有用な組成物は、必要とされる場合、化学的安定性を高めるために1つ以上の抗酸化剤を含む。適切な抗酸化剤には、単なる例として、アスコルビン酸、およびピロ亜硫酸ナトリウムが含まれる。
【0165】
特定の実施形態では、水性懸濁液組成物は、単回用量の再密封不可能な容器に包装される。
あるいは、複数回用量の再密封可能な容器は、組成物中に防腐剤を含むことが一般的な場合に使用される。
【0166】
代替的な実施形態では、疎水性医薬化合物のための他の送達系が使用される。リポソームおよびエマルジョンは、本明細書において有用な送達ビヒクルまたは担体の例である。特定の実施形態では、N-メチルピロリドンなどの有機溶媒も使用される。さらなる実施形態では、本明細書に記載の多形体は、治療剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放系を用いて送達される。様々な徐放性材料が本明細書において有用である。いくつかの実施形態では、徐放性カプセルは、数週間から100日超まで多形体を放出する。治療試薬の化学的性質および生物学的安定性に応じて、タンパク質安定化のためのさらなる戦略が使用される。
【0167】
特定の実施形態では、本明細書に記載の製剤は、1つ以上の抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物および/または他の一般的な安定化剤を含む。そのような安定化剤の例には、(a)約0.5%~約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%~約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%~約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mMのEDTA、(e)約0.01%~約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%~約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%~約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリ硫酸および他のヘパリノイド、(m)マグネシウムおよび亜鉛などの二価カチオン、あるいは(n)それらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
VII.投与経路
適切な投与経路には、経口、静脈内、直腸、エアロゾル、非経口、眼、肺、経粘膜、経皮、膣、耳、鼻、および局所投与が含まれるが、これらに限定されない。さらに、単なる例として、非経口送達には、筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、腹腔内、リンパ内、および鼻腔内注射が含まれる。
【0169】
ある実施態様では、化合物Aの多形体は、全身的ではなくむしろ局所的様式で、例えば、しばしばデポー調製物または徐放性製剤において、該多形体を器官に直接注射することによって投与される。特定の実施形態では、長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下もしくは筋肉内)、または筋肉内注射によって投与される。さらに、他の実施形態では、薬物は、標的指向性薬物送達系(targeted drug delivery system)において、例えば、器官特異的抗体(organ-specific antibody)でコーティングされたリポソームにおいて送達される。そのような実施形態では、リポソームは、器官を標的とし、該器官によって選択的に取り込まれる。さらに他の実施形態では、化合物Aの多形体は、速放性製剤の形態で、拡張放出製剤の形態で、または中間放出製剤の形態で提供される。さらに他の実施形態において、化合物Aの多形は、局所投与される。
【0170】
VIII.キット/製品
本明細書に記載される治療用途における使用のために、キットおよび製品も提供される。いくつかの実施形態では、そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を受容するように区画化された担体、パッケージ、または容器を含み、容器(複数可)の各々は、本明細書に記載される方法で使用される別々の要素の1つを含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0171】
本明細書で提供される製品は、包装材料を含有する。医薬品の包装に使用するための包装材料は、例えば、米国特許5,323,907号、第5,052,558号、および第5,033,252号に見出されるものを含む。医薬包装材料の例には、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル、ならびに選択された製剤および、意図される投与や処置の様式に適切な任意の包装材料が含まれるが、これらに限定されない。例えば、容器(複数可)は、任意選択で組成物中に、または本明細書に開示される別の薬剤と組み合わせて、本明細書に記載される1つ以上の多形体を含む。容器(複数可)は、任意選択で、滅菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルである)。そのようなキットは、任意選択で、本明細書に記載される方法におけるその使用に関する識別の記載またはラベルまたは説明書と共に化合物を含む。
【0172】
例えば、キットは、一般的には、本明細書に記載される化合物の使用のために商業的および使用者の観点からの所望の様々な材料(試薬、任意選択で濃縮形態、および/またはデバイスなど)のうちの1つ以上をそれぞれ含む1つ以上の追加の容器を含む。そのような材料の非限定的な例には、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、担体、パッケージ、容器、バイアル、および/または内容物および/または使用説明書を列挙するチューブラベル、ならびに使用説明書を伴う添付文書を含むがこれらに限定されない。使用説明書のセットも、一般的に含まれる。ラベルは、任意選択で容器上にあるか、または容器に関連付けられている。例えば、ラベルを形成する文字、数字、または他の文字が、容器自体に付着、成形、またはエッチングされる場合、ラベルは容器上にあり、ならびに、例えば添付文書として、容器を保持するレセプタクル(receptacle)または担体内にラベルが存在する場合、ラベルは容器と関連付けられる。さらに、ラベルは、内容物が特定の治療用途に使用されることになることを示すために使用される。さらに、ラベルは、本明細書に記載の方法などにおける内容物の使用の指示を示す。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に提供される化合物を含有する1つ以上の単位剤形を含有するパックまたはディスペンサー装置で提供される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチック箔を含む。または、パックもしくはディスペンサーデバイスは、投与のための使用説明書が添付される。または、パックあるいはディスペンサーには、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形態で容器に関連する通知が添付され、この通知は、ヒトまたは獣医学的投与のための薬物の形態の機関による承認を反映している。そのような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局によって承認されたラベル、または承認された添付文書である。いくつかの実施形態では、適合性のある医薬担体中に製剤化された化合物Aの多形体を含有する組成物は、調製され、適切な容器に入れられ、および示された疾病の処置についてラベリングされる。
【実施例
【0173】
以下の実施例は、本発明を使用する方法をより完全に説明する役割を果たす。これらの実施例は、例示する目的のために提示され、本発明の真の範囲を限定する役割を果たす必要はない。
【0174】
本明細書に記載される方法の手順を実行する際に、特定の緩衝液、培地、試薬、細胞、培養条件などへの参照は、限定することを意図しないことが当然理解されたいが、当業者が、その議論が提示される特定の文脈において関心または価値があると認識するであろう全ての関連材料を含むように読解されたい。例えば、1つの緩衝系または培養培地を別のものと置換し、同一ではないにしても同様の結果を依然として達成することがしばしば可能である。当業者は、過度の実験を行うことなく、本明細書に開示される方法および手順を使用する際にその目的を最適に果たすような置換を行うことができるように、そのようなシステムおよび方法の十分な知識を有するであろう。
【0175】
実施例1.N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド(化合物A)の調製
【0176】
【化4】
工程1
HOAc(1000mL)中のキノキサリン-2(1H)-オン(54.64g、374mmol、1.0当量)の溶液に、HOAc(200mL)中のBr(19.18mL、374mmol、1.0当量)の溶液を滴加した。結果として得られた混合物を室温で12時間撹拌し、次いで氷水に注いだ。沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることで、7-ブロモキノキサリン-2(1H)-オンをオフホワイトの固体(74g、88%)として得た。
【0177】
工程2
POCl(1000mL)中の7-ブロモキノキサリン-2(1H)-オン(224g、1mol、1.0当量)の懸濁液に、DMF(3.65g、0.05mol、0.05当量)を添加した。結果として得られた混合物を120℃で2時間撹拌し、次いで室温に冷却し、激しく撹拌しながら氷水にゆっくり注いだ。沈殿物を濾過により回収し、乾燥させて、7-ブロモ-2-クロロキノキサリンを褐色固体(180g、75%)として得た。
【0178】
工程3
CHCN(200mL)中の7-ブロモ-2-クロロキノキサリン(50g、0.2mol、1.0当量)の溶液に、モルホリン(89g、1.02mol、5.0当量)およびKCO(85g、0.61mol、3.0当量)を添加した。結果として得られた混合物を90℃で2時間撹拌し、次いで冷却して、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をEAから再結晶化して、4-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)モルホリン(59g、98.3%)を得た。
【0179】
工程4
DMF(500mL)中の4-(7-ブロモキノキサリン-2-イル)モルホリン(59g、0.2mol、1.0当量)の溶液にTEA(139mL、1.0mol、5.0当量)、EtSiH(127mL、0.8mol、4.0当量)、およびPd(dppf)Cl・CHCl(8.16g、0.01mol、0.05当量)を添加した。結果として得られた混合物をオートクレーブ中、CO(1MPa)下、90℃で12時間撹拌し、次いで冷却し、濃縮した。結果として得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(EA/PE=1/1)により精製して、3-モルホリノキノキサリン-6-カルボアルデヒドを黄色固体として得た(40g、82.3%)。
【0180】
工程5
-78℃に冷却されたTHF(30mL)中のN-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ピバルアミド(550mg、2.4mmol、1.2当量)に、LDA(4.1mL、4.8mmol、2.4当量)を滴加した。結果として得られた混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いでTHF(20mL)溶液中の3-モルホリノキノキサリン-6-カルボアルデヒド(486mg、2.0mol、1.0当量)の溶媒を滴加した。結果として得られた混合物を-78℃で1時間撹拌し、次いでNHCl溶液の追加によりクエンチした。混合物をEA(20mL×3)で抽出し、結合有機層(combined organic layers)をNaSOで乾燥させ、濃縮した。結果として得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(MeOH/DCM=1/50、v/v)により精製して、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(ヒドロキシ(3-モルホリノキノキサリン-6-イル)メチル)フェニル)ピバルアミド(620mg、65.2%)を得た。
【0181】
工程6
DCM(10mL)中のN-(2,4,5-トリフルオロ-3-(ヒドロキシ(3-モルホリノキノキサリン-6-イル)メチル)フェニル)ピバルアミド(620mg、1.3mmol、1.0当量)の溶液にMnO(358mg、6.5mmol、5.0当量)を添加した。結果として得られた混合物を50℃で一晩中撹拌し、次いで冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(PE/EA=1/2、v/v)によって精製して、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)ピバルアミド(560mg、90%)を得た。
【0182】
工程7
HOAc(10mL)中のN-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)ピバルアミド(560mg、1.2mmol、1.0当量)の溶液に、HCl(50mL)の濃縮物を追加した。混合物を110℃で4時間撹拌し、次いで氷上に注いだ。混合物を1N NaOH溶液の追加によってpH10に調整し、次いでDCM(100mL×3)で抽出した。結合有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。結果として得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(PE/EA=1/4、v/v)により精製して、(3-アミノ-2,5,6-トリフルオロフェニル)(3-モルホリノキノキサリン-6-イル)メタノンを褐色固体として得た(410mg、収率88%)。
【0183】
工程8
DCM(10mL)中の(3-アミノ-2,5,6-トリフルオロフェニル)(3-モルホリノキノキサリン-6-イル)メタノン(40mg、0.1mmol、1.0当量)の溶液に、TEA(101mg、1mol、10当量)およびプロパン-1-スルホニルクロリド(0.5mL、0.5mmol、5.0当量)を添加した。結果として得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで水で洗浄し、DCM(10mL×3)で抽出した。結合有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。結果として得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(PE/EA=2/1、v/v)により精製して、N-(プロピルスルホニル)-N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド(41mg、62.2%)を得た。
【0184】
工程9
MeOH/THF(10mL/10mL)中のN-(プロピルスルホニル)-N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド(41mg、0.068mmol、1.0当量)の溶液に、1N NaOH(0.15mmol、2.2当量)を添加した。結果として得られた混合物を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮した。結果として得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(PE/EA=1/1、v/v)により精製して、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド(化合物A)(23mg、68.9%)を得た。495.1と計算され、495.1と確認されるLRMS(M+H+)m/z。H NMR(CDCl、400MHz)δ8.67(s、1H)、7.98~8.03(m、3H)、7.66~7.73(m、1H)、6.72(s、1H)、3.78~3.88(m、8H)、3.12~3.16(t、2H)、1.87~1.92(q、2H)、1.05~1.09(t、3H)。
【0185】
実施例2.化合物Aの結晶形態Iの調製
N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド(2.53kg)および酢酸エチル(EA)(9.1kg)を反応器に添加した。混合物を還流下で2時間撹拌した。溶液を室温に冷却した。結果として得られた沈殿物を濾過し、EA(1kg)で洗浄し、真空下、45℃で乾燥して、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態I(1.94kg、76.7%)を得た。
【0186】
実施例3.化合物Aの結晶形態IIの調製
N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミド(4.01kg)をEA(60kg)に溶解し、水(20kg)を添加した。有機相を分離し、真空下、40~45℃で4~6kgに濃縮した。結果として得られた残渣をEA(6kg)に溶解し、10~20℃で4時間撹拌した。固体を濾過し、EA(1.5kg)で洗浄し、真空下、50~55℃で乾燥させて、N-(2,4,5-トリフルオロ-3-(3-モルホリノキノキサリン-6-カルボニル)フェニル)プロパン-1-スルホンアミドの結晶形態II(3.15kg、78.6%)を得た。
【0187】
実施例4.X線粉末回折(XRPD)
X線粉末回折(XRPD)パターンをShimadzu XRD-6000で得た。40kVおよび30mAで最小限に作動するCuK源(=1.54056オングストローム)は、各サンプルを5~50度(2θ)で走査する。ステップサイズは0.02度(2θ)であり、走査速度はステップ当たり1秒である。
【0188】
化合物Aの結晶形態Iについて得られたXRPDパターンを、表1および図1に要約する。
【0189】
【表1】
【0190】
化合物Aの結晶形態IIについて得られたXRPDパターンを、表2および図4に要約する。
【0191】
【表2】
【0192】
実施例5.熱重量分析(TGA)
熱重量分析は、TA Instrument TGAユニット(NETZSCH TG209)で行った。サンプルを白金パン中で周囲温度から350℃まで10K/分で加熱した。化合物Aの結晶形態Iについて得られたTGAサーモグラムを図3に要約する。
【0193】
実施例6.示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定分析は、TA Instrument DSCユニット(METTLER DSC3)で行った。サンプルを、50mL/分の窒素パージで20K/分、非密閉アルミニウムパン中で周囲温度から300℃まで加熱した。化合物Aの結晶形態Iについて得られたDSCサーモグラムを図2に要約する。化合物Aの結晶形態IIについて得られたDSCサーモグラムを図5に要約する。
【0194】
実施例7.高速液体クロマトグラフィ(HPLC)
以下の装置および/または条件を用いて高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を行った。
【0195】
【表3】
【0196】
実施例8.結晶形態Iの安定性試験
結晶形態Iは、40℃/75%RHで6か月間の保存後、または25℃/60%RHで6か月間の保存後に変化しなかった。加速および長期安定性試験における結晶形態Iの結果を表3および図6~9に示す。
【0197】
【表4】
【0198】
いくつかの実施形態が示され、記載されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および置換を行うことができる。例えば、特許請求の範囲の構築の目的のために、以下に記載される請求項は、その文字通りの言葉よりも狭く解釈されることは意図されず、したがって、本明細書からの例示的な実施形態が特許請求の範囲に読み込まれることは意図されない。したがって、本発明は、例示として記載されており、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】