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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】顔マスクに関する改良
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20231214BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A41D13/11 F
A41D13/11 Z
A62B18/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535075
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2021085080
(87)【国際公開番号】W WO2022122974
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2019406.4
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2110291.8
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507289070
【氏名又は名称】インターサージカル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、アンドリュー ニール
(72)【発明者】
【氏名】リーリー、マシュー ジェームズ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ペイン、サイモン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ボトム、デイヴィッド サイモン
【テーマコード(参考)】
2E185
3B211
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA04
2E185CC33
3B211CA02
3B211CC05
3B211CC06
3B211CD02
(57)【要約】
開示されたフィルタマスクを製造する方法は、シール部材を形成することと、シール部材を支持フレーム及びフィルタ材料のシートに固定することとの両方のために、オーバーモールドステップを使用することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備えるフィルタマスクを製造する方法であって、
a)モールド内に前記フィルタ及び前記支持フレームを配置することと、
b)前記モールド内にポリマー材料を注入して前記シール部材を形成することと、を含み、
前記シール部材が、前記シール部材の射出成形中に、前記シール部材を前記支持フレーム及び前記フィルタ材料のシートに固定するように、前記フィルタ及び前記支持フレームと係合される、フィルタマスクを製造する方法。
【請求項2】
前記支持フレームが、前記方法の先行ステップにおいて射出成形によって作製され、前記方法が、前記支持フレームが射出成形される第1のモールドから、前記シール部材が射出成形される第2のモールドに前記支持フレームを移送するステップを更に含む、請求項1に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項3】
前記フィルタが前記支持フレームと共に前記モールド内に配置されると、前記支持フレームが、前記フィルタの周辺部の周りに延びている、請求項1又は2に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項4】
前記支持フレームが、使用時に、吸気及び/又は呼気が流れる開口を画定するリムを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項5】
前記支持フレームが、前記リムの内側縁部から延びる肩部を備え、前記フィルタを配置することができる表面を提供して、前記シール部材の射出成形の前に前記モールド内での前記フィルタの保持を容易にする、請求項4に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項6】
前記支持フレームが、前記フィルタの表面を横切って延びる1つ以上のリブを備え、前記フィルタに支持を、かつ前記マスクに剛性を提供する、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項7】
前記製造する方法において前記モールド内に配置される前記フィルタが、フィルタ基材のみを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項8】
前記支持フレーム及び前記フィルタが、前記シール部材の射出成形の前に共に固定又は結合されない、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項9】
前記シール部材の射出成形中に、前記シール部材の一部が、前記フィルタ及び前記支持フレームの整列された縁部を接着する、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法に従って製造されたフィルタマスク。
【請求項11】
支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備え、前記シール部材が、前記支持フレーム及び前記フィルタに固定されている、フィルタマスク。
【請求項12】
前記支持フレーム及び前記フィルタが共に、着用者の口及び鼻を収容するための空洞を形成するマスク本体を画定している、請求項11に記載のフィルタマスク。
【請求項13】
前記支持フレームの外面が、前記フィルタの表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドを備える、請求項11又は12に記載のフィルタマスク。
【請求項14】
前記シールドが前記フィルタから分離されており、吸入中に前記着用者によって空気が前記フィルタを通って引き込まれる前に、前記シールドと前記フィルタとの間を前記空気が流れることができる、請求項11~13のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項15】
着用者が吸入することによって空気を引き込むことができる1つ以上の入口開口が、前記シールドの縁部と前記支持フレームとの間に画定されている、請求項11~14のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項16】
支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備えるフィルタマスクであって、前記支持フレームが、前記着用者による吸入時に周囲空気が前記フィルタを通って引き込まれるように前記フィルタを保持し、前記支持フレームが、前記フィルタの外向き表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドを含み、前記シールドが前記フィルタから分離されており、使用時に空気が前記シールドと前記フィルタとの間を流れる、フィルタマスク。
【請求項17】
前記支持フレームが、リムとシールドとを備え、前記シールドが、前記リムからオフセットされている、請求項16に記載のフィルタマスク。
【請求項18】
前記リムが、前記フィルタの前記周辺部の周り及び/又はその上に延びており、前記シールドが、前記リム及び前記フィルタの両方からオフセットされている、請求項17に記載のフィルタマスク。
【請求項19】
前記リム及び前記シールドが、前記シールドと前記リムとの間に延びてそれらの相対位置を固定する1つ以上の接続部材によって共に接続されている、請求項17又は18に記載のフィルタマスク。
【請求項20】
前記シールドが、前記フィルタの形状に対応する形状を有し、前記フィルタ及び前記シールドの前記表面が平行である、請求項16~19のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項21】
前記シールドの前記表面に対して垂直な線に沿って測定されると、前記シールドと前記フィルタとの間に、0.1~5cm、又は0.2~2.5cm、又は0.2~1.5cm、又は0.3~1cmの平均サイズを有する間隔が存在する、請求項16~20のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項22】
前記フィルタに面する前記シールドの前記表面の少なくとも一部にわたって延びる1つ以上のリブが設けられ、前記リブが前記フィルタに接触している、請求項16~21のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項23】
前記シールドの表面積が、前記フィルタの表面積の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%である、請求項16~22のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項24】
前記シールドが前記フィルタの前記表面積の100%未満にわたって延びており、前記フィルタの一部が前記シールドの周辺部において露出されている、請求項16~23のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項25】
前記シールドが、前記フィルタ材料の前記シートが露出される、内部に形成された開口を有さず、連続バリアを形成している、請求項16~24のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項26】
支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備えるフィルタマスクであって、前記支持フレームが、着用者による吸入時に周囲空気が前記フィルタを通って引き込まれるように前記フィルタを保持し、前記支持フレームが、前記フィルタの外向き表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドを含み、前記シールドの前記周辺部の少なくとも一部が前記支持フレームから分離されており、1つ以上の入口開口が、前記シールドと前記支持フレームとの間に画定されて、それを通って、前記着用者による吸入時に空気が引き込まれる、フィルタマスク。
【請求項27】
前記シールドの前記周縁縁部と前記支持フレームとの間の前記分離が、平均的な人の指の幅よりも小さい、請求項26に記載のフィルタマスク。
【請求項28】
前記シールドの前記周辺部と前記支持フレームとの間の前記分離が、2cm未満、又は1.5cm未満、又は1cm未満である、請求項26又は27に記載のフィルタマスク。
【請求項29】
前記シールドが、連続バリアを形成し、前記1つ以上の入口開口が、前記シールドの前記周辺部の周りに配置されている、請求項26~28のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項30】
鼻領域及び/又は顎領域内の前記1つ以上の入口開口が、フィット性試験中に前記着用者の指を受容するように、前記マスクの中央領域の角度付き頂点から前記マスクの側部に向かって外向きに湾曲経路に沿って延び、前記指が前記角度付き頂点で出会う、請求項26~29のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項31】
前記鼻領域及び/又は前記顎領域内の前記1つ以上の入口開口が、前記フィット性試験中に前記着用者の指を受容するように、前記マスクの一方の側部から他方の側部に規則的な湾曲経路を延ばし、前記指が前記湾曲経路の中点で出会う、請求項26~30のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項32】
前記マスクの前記側部領域内の前記1つ以上の入口開口が、前記マスク及び前記着用者の長手方向軸、すなわち前記鼻領域から前記顎領域までの軸と整列されており、例えばフィット性試験中に前記着用者の人差し指と親指との間の手の一部を受容するように、ほぼ直線状の形態である、請求項26~31のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項33】
前記フィルタマスクに、前記1つ以上の入口開口用のカバーが設けられており、前記カバーが、フィット性試験を実施するために前記開口が閉塞されることを可能にする、請求項26~32のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項34】
支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備えるフィルタマスクであって、前記支持フレームが、着用者による吸入時に前記フィルタの外側から前記フィルタの内側に周囲空気が前記フィルタを通って引き込まれるように前記フィルタを保持し、前記フィルタマスクが、前記フィルタの前記外側上に臭いを放出するための要素を含む、フィルタマスク。
【請求項35】
使用前に前記臭いを抑制するためのカバーを更に備え、前記カバーが、臭いを放出するための前記要素を少なくとも部分的に露出させるために少なくとも部分的に取り外し可能である、請求項34に記載のフィルタマスク。
【請求項36】
請求項26~32のいずれか一項に記載の前記フィルタマスクと、前記1つ以上の入口開口用のカバーであって、フィット性試験を実施するために前記開口が閉塞されることを可能にする、カバーと、を含む、部品のキット。
【請求項37】
支持フレームと、フィルタ材料のシートとを備えるフィルタマスクであって、前記支持フレーム及び前記フィルタ材料のシートが、使用時に着用者の口及び鼻の周りに空洞を提供するように適合されたマスク本体を画定し、前記フィルタマスクが、前記マスク本体の周辺縁部の少なくとも一部から垂下するシール部材を含み、前記シール部材が、前記マスク本体の前記周辺縁部に対して内向き及び外向きの両方に垂下するリップ部分を備える、フィルタマスク。
【請求項38】
前記内向き及び外向きに垂下するリップ部分が周りに延びる前記支持フレームの前記周辺縁部の前記一部が、顎部分を備え得る、請求項37に記載のフィルタマスク。
【請求項39】
前記外向きに垂下するリップ形成部が、凹状の接触面を有する、請求項37又は38に記載のフィルタマスク。
【請求項40】
前記外向きに垂下するリップ部分が、前記着用者の下顎の下に土台又は棚形成部を提供するように成形されている、請求項37~39のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項41】
前記外向きに垂下するリップ部分の近位部分が、前記着用者の前記顎に係合する一方で、遠位部分が、前記着用者の前記顎の下で湾曲して延びている、請求項37~40のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項42】
前記外向きに垂下するリップ形成部が、顎カップの形態に成形されている、請求項37~41のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項43】
前記内側及び外側リップ部分の近傍における前記支持フレームの前記周辺部が、前記マスクの中心点又は領域から第1の半径によって成形されており、前記内向きに垂下するリップ部分が、前記第1の半径よりも小さい半径の内側縁部を有する、請求項37~41のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項44】
前記内側及び外側リップ部分の前記近傍における前記支持フレームの前記周辺部が、前記マスクの中心点又は領域から第1の半径によって成形されており、前記外向きに垂下するリップ部分が、前記第1の半径よりも大きい半径の外側縁部を有する、請求項37~43のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項45】
前記シール部材の前記鼻部分が、内向きに垂下するリップ部分を備え、着用者の顔と接触するための凸面を呈している、請求項37~44のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項46】
前記シール部材の前記鼻部分が、前記鼻の各側部上に補強形成部を含む、請求項37~45のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項47】
前記シール部材、したがって前記フィルタマスクがまた、前記着用者の頬を横切って横方向に延び得る、請求項37~46のいずれか一項に記載のフィルタマスク。
【請求項48】
着用者の鼻及び口を収容するための空洞を画定し、かつそこから使用時に着用者が呼吸気体を吸入するマスク本体と、前記着用者の顔と係合するために前記マスク本体から垂下するシール部材とを備える顔マスクであって、前記マスク本体が、前記着用者の前記鼻を収容するための鼻部分と、前記着用者の前記口を収容するための口部分と、前記着用者の頬を横切って横方向に延びる頬部分とを備える、顔マスク。
【請求項49】
前記頬部分が、前記着用者の頬骨の上縁部と下顎の下縁部との間で前記着用者の頬を横切って横方向に延び得る、請求項48に記載の顔マスク。
【請求項50】
前記顔マスクは、前記着用者の頬を横切って横方向に延びており、前記マスクの縁部が使用時に前記着用者の耳の5cm以内、又は4cm以内、又は3cm以内、又は2cm以内に位置する、請求項48又は49に記載の顔マスク。
【請求項51】
前記マスクが、前記着用者の頬を実質的に覆う、請求項48~50のいずれか一項に記載の顔マスク。
【請求項52】
前記着用者の頬を横切って延びる前記マスク本体の前記部分が、前記着用者の鼻及び口の上に延びる前記マスク本体の前記部分よりも浅い空洞を前記マスク本体と前記着用者の顔との間に形成する、請求項48~51のいずれか一項に記載の顔マスク。
【請求項53】
前記顔マスクが、フィルタマスクであり、前記マスク本体が、前記支持フレーム及び前記フィルタによって画定されている、請求項48~52のいずれか一項に記載の顔マスク。
【請求項54】
前記シール部材が、前記支持フレームの前記周辺部の周りに延びている、請求項53に記載の顔マスク。
【請求項55】
前記支持フレーム及び前記フィルタが、前記マスク本体の前記頬部分において前記着用者の頬を横切って横方向に延びている、請求項53又は54に記載の顔マスク。
【請求項56】
一対の第1の取り付け形成部と一対の第2の取り付け形成部とを備える顔マスクであって、前記一対の第1の取り付け形成部が、使用時に前記着用者の第1の耳の近くに位置する前記顔マスクの第1の側部上に配置され、前記一対の第2の取り付け形成部が、使用時に前記着用者の第2の耳の近くに位置する前記顔マスクの第2の側部上に配置され、前記一対の第1の取り付け形成部の各々が、ストラップの端部を固定する手段を提供し、前記一対の第2の取り付け形成部が、前記ストラップの中間部分を解放可能に固定する手段を提供する、顔マスク。
【請求項57】
前記コード又はストラップが、前記一対の第2の取り付け形成部を順次通過して、前記一対の第2の取り付け形成部の間にコードのループが形成される、請求項56に記載の顔マスク。
【請求項58】
前記第2の取り付け形成部が、張力の印加時に一方向への前記コードの容易な通過を可能にするが、前記使用者による追加の動作を伴わない反対方向への前記コードの移動を防止する、請求項56又は57に記載の顔マスク。
【請求項59】
前記一対の第2の取り付け形成部が、各々、スロット又は開口と、前記スロット又は開口の上に延びるタブ又は弾性部材とを備え、使用時に前記コード又はストラップが前記開口を通して挿入されて、前記スロット又は開口の縁部と前記タブ又は弾性部材の縁部との間に捕捉される、請求項56~58のいずれか一項に記載の顔マスク。
【請求項60】
前記タブ又は弾性部材が、少なくとも1つの縁部に沿ってグリップ形成部を備える、請求項59に記載の顔マスク。
【請求項61】
前記第1の取り付け形成部及び/又は第2の取り付け形成部が、前記顔マスクの支持フレームと一体的に形成されている、請求項56~58のいずれか一項に記載の顔マスク。
【請求項62】
銀イオンを含有する添加剤を更に含む、請求項10~47のいずれか一項に記載のフィルタマスク、又は請求項48~61のいずれか一項に記載の顔マスク。
【請求項63】
フィルタマスクを製造する方法であって、前記フィルタマスクが、支持フレームと、シール部材とを備え、前記支持フレームが、フィルタを受容するためのハウジングを有し、前記方法が、
a)モールド内に前記支持フレームを提供することと、
b)前記モールド内にポリマー材料を注入して、着用者の顔に対してシールするための第1のシール部材と、前記ハウジングによって受容された前記フィルタに対してシールするための第2のシール部材とを形成することと、を含み、
前記シール部材が、前記シール部材の射出成形中に、前記シール部材を前記支持フレームに固定するように、前記支持フレームと係合される、フィルタマスクを製造する方法。
【請求項64】
前記フィルタが、前記支持フレームに接続可能な、カートリッジ又は他の支持体内に保持されるフィルタ基材を備える、請求項63に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項65】
前記カートリッジが、前記フィルタ基材の形状及びサイズに一致し、かつ前記フィルタ基材の周囲の周りに固定されるプラスチック、例えば射出成形プラスチックのリムの形態をとる、請求項64に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項66】
前記カートリッジが、シールドを更に備える、請求項63又は64に記載のフィルタマスクを製造する方法。
【請求項67】
請求項63~65のいずれか一項に記載のフィルタマスクを製造する方法によって製造された、フィルタマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔マスク、特に空気をフィルタリングするための顔マスク、すなわちフィルタマスクを製造する方法、及び開示された方法によって製造された顔マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
空気から粒子状物質をフィルタリング除去する顔マスク、すなわちフィルタマスクは、典型的には、2つのタイプのうちの1つである。特に、顔マスクは、それ自体が空気から粒子状物質をフィルタリング除去するように機能するマスク本体を有することができ、このタイプのフィルタマスクは、典型的には軽量で、単回使用及び使い捨てであるように比較的安価である。あるいは、顔マスクは、再使用可能であるように、交換可能なフィルタカートリッジを受容するように適合されたマスク本体を有してもよい。
【0003】
フィルタマスクは、塵、煙、及び他の有害物質から保護するために、並びにウイルス又は細菌などの病原体から保護するために、作業又は公的環境において着用され得る。例えば、医療環境では、フィルタマスクを使用して、微粒子、例えば液滴及びエアロゾルがマスクを通過するのを防止することによって、環境からの病原体の吸入を防止する。フィルタマスクはまた、着用者による病原体の呼気から他者を保護することができる。
【0004】
フィルタマスクは、典型的には、織物又は不織フィルタ材料のシートなどのフィルタと、例えば耳の周りに配置される弾性体のループによって着用者の頭部上にマスクを保持する手段と、を備える。使用時に、フィルタが使用者の口及び鼻を覆うか、又はそうでなければ空気がフィルタを通過するように方向付けられ、その結果、着用者によって吸入された全ての空気がフィルタを通過する。着用者による病原体の呼気から他者を保護するために、フィルタは、着用者によって吐き出された全ての空気がフィルタを通過するように配置され得る。
【0005】
医療専門家などによる作業環境において着用されるフィルタマスクは、顔にしっかりとフィットしたままであり、かつ汚染のリスクが高い場合がある環境でかなりの期間にわたって着用するのに快適でなければならない。そのようなマスクは、着用者の顔にぴったりとフィットしなければならず、好ましくは、顔に対してシールを形成して、吸気及び呼気がマスクの縁部の周りを通過できないようにする。
【0006】
フィルタマスクは、一般に、単回使用製品であり、大量に製造及び販売される。このタイプの製品を商業的に実現可能にするために、製造のコスト及び複雑さは最小限に抑えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、従来技術に関連する上述の問題及び/又は他の問題を克服又は実質的に軽減する、空気をフィルタリングするための顔マスク及びその製造方法が開発された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、フィルタマスクを製造する方法が提供され、フィルタマスクは、支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備え、方法は、
a)モールド内にフィルタ及び支持フレームを配置することと、
b)モールド内にポリマー材料を注入してシール部材を形成することと、を含み、
シール部材は、シール部材の射出成形中に、シール部材を支持フレーム及びフィルタ材料のシートに固定するように、フィルタ及び支持フレームと係合される。
【0009】
本発明による方法におけるシール部材の射出成形は、オーバーモールドであってもよい。「オーバーモールド」とは、本発明の文脈では、第1の材料が第2の材料上に成形されて単一の物品を形成し、第1の材料が第2の材料を部分的に又は全体的に覆うことができる射出成形プロセスを意味する。
【0010】
本発明の第1の態様によるフィルタマスクを製造する方法は、主に、シール部材を射出成形するステップが、シール部材を支持フレーム及びフィルタ材料のシートに固定し、したがって任意の更なるアセンブリ又は成形ステップを必要することなく、これらの構成要素の相対位置を固定することができるため、有利である。顔マスク、特にフィルタマスクは、大量生産されて低コストで販売される製品である。各個々の物品に対する利益は低いため、製造方法のコスト及び複雑さを低減することは、実現可能な製品を生産するための鍵である。
【0011】
本発明の更なる態様によれば、上述の方法に従って製造されたフィルタマスクが提供される。本発明の更なる態様によれば、支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備え、シール部材が支持フレーム及びフィルタに固定されるフィルタマスクが提供される。
【0012】
支持フレーム及びフィルタは共に、着用者の口及び鼻を収容するための空洞を形成するマスク本体を画定することができる。マスク本体は、少なくとも横断面において湾曲していてもよい。
【0013】
支持フレームは、本発明の方法の先行ステップにおいて作製されてもよい。支持フレームは、先行ステップにおいて射出成形によって作製されてもよい。したがって、方法は、支持フレームが射出成形によって形成される先行ステップを更に含んでもよい。方法は、支持フレームが射出成形される第1のモールドから、シール部材が射出成形される第2のモールドに支持フレームを移送するステップを更に含んでもよい。
【0014】
支持フレームは、ポリプロピレン、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(SBS)、ポリカーボネート、プラストマー、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマー、熱硬化性物質、又はこれらのブレンド若しくは組み合わせなどのプラスチック材料から作製されてもよい。
【0015】
支持フレームは、外面及び内面を有してもよく、内面は、使用時に着用者に面し、外面は、使用時に着用者から離れる方に面する。
【0016】
支持フレームは、例えばフィルタ材料のシートの歪みを防止することによって、フィルタの少なくとも一部を支持することができる。支持フレームは、マスクに剛性を提供することができる。
【0017】
支持フレームは、例えばフィルタ材料の形状に一致する、リムの形態をとることができる。リムは、閉ループの形態を有してもよい。リムは、使用時に、吸気及び/又は呼気が流れる開口を画定することができる。フィルタが支持フレーム上に配置されると、支持フレームは、フィルタの周辺部の周りに延びることができる。支持フレームは、リムの内側縁部から延びる肩部を備えてもよく、肩部は、フィルタを配置することができる表面を提供し、シール部材の射出成形の前にモールド内でのフィルタの保持を容易にする。フィルタは、支持フレームの内面上に配置されてもよい。
【0018】
リムの代わりに又はリムに加えて、支持フレームは、例えばフィルタに支持を、かつマスクに剛性を提供するために、フィルタの表面を横切って延びる1つ以上のリブ、例えば複数のリブを備えてもよい。
【0019】
支持フレームの外面は、本発明によるフィルタマスクにおいて、フィルタの表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドを更に備えてもよい。シールドはフィルタから分離されていてもよく、例えば、吸入中に着用者によって空気がフィルタを通って引き込まれる前に、シールドとフィルタとの間を空気が流れることができる。したがって、シールドとフィルタとの間に空間又は空隙が存在してもよい。着用者が吸入することによって空気を引き込むことができる入口開口が、シールドの縁部とフィルタの表面との間に画定されてもよい。
【0020】
シールドは、環境内の粒子が衝突するバリアを提供することができる。したがって、シールドは、使用中にフィルタに当たる粒子の量を低減することができ、それゆえ、フィルタの、したがってフィルタマスクの有効寿命を延ばすことができる。シールドとフィルタとの間の分離は、たとえシールドが不浸透性又は実質的に不浸透性であっても、流入する空気がフィルタを通ってその表面全体にわたって流れることを可能にする。シールドは更に、マスクに補強を提供し、マスクが長手方向につぶれるのを防止し、かつマスクを着用者の鼻及び顎に対して正しい位置に配置し続けることができる。
【0021】
シールドは、プラスチック材料から形成されてもよい。これにより、粒子を偏向させるための固体バリアを形成することができ、保護バリアを提供することによってフィルタへの物理的損傷のリスクを低減することができる。シールドは、剛性バリアを形成してもよい。
【0022】
あるいは、シールドは、2つ以上の構成要素から形成された複合シールドであってもよい。複合シールドは、フィルタ材料のシート(シールドフィルタ)と、シールドフレームとを備えてもよく、シールドフィルタは、シールドフレームに重ねられてシールドフレームに貼り付けられる。シールドフレームは、プラスチックフレームであってもよく、支持フレームの一部を形成してもよい。シールドフレームは、意図されたシールド及び/又はシールドフィルタと実質的に同じ形状のシールドリムを備えてもよく、シールドリムは、シールドフィルタの周辺部に貼り付けられる。そのような複合シールドは、汚染物質を能動的に吸収及び遮断し、かつマスク内の湿気の蓄積を低減して、着用者の快適性を高めることができる。複合シールドは、飽和した場合に交換することができるように、マスクに取り外し可能に固定されてもよく、複合シールド全体が取り外し可能で交換可能であるか、又はフィルタ材料のシートのみが交換可能であるかのいずれかであってもよい。
【0023】
本発明の更なる態様によれば、支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備えるフィルタマスクが提供され、支持フレームは、着用者による吸入時に周囲空気がフィルタを通って引き込まれるようにフィルタを保持し、支持フレームは、フィルタの外向き表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドを含み、シールドはフィルタから分離されており、使用時に、吸入中に着用者によって空気がフィルタを通って引き込まれる前に、シールドとフィルタとの間を空気が流れる。
【0024】
本発明の更なる態様によれば、支持フレームと、主フィルタと、シール部材とを備えるフィルタマスクが提供され、支持フレームは、着用者による吸入時に周囲空気が主フィルタを通って引き込まれるように主フィルタを保持し、支持フレームは、シールドフレームを含み、シールドフレームは、主フィルタの外向き表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドフィルタを担持し、シールドフレームは、使用時に、空気がシールドフレームの周辺縁部と主フィルタとの間を流れるように、主フィルタから分離されている。
【0025】
以下の段落では、別段の指示がない限り、「シールド」への言及は、プラスチック材料から形成されたシールドと、シールドフレーム及びシールドフィルタから形成された複合シールドとの両方を指す。加えて、別段の指示がない限り、「フィルタ」への言及は、主フィルタ、すなわち、支持フレームによって保持されるフィルタを指し、「シールドフィルタ」への言及は、複合シールドの一部を形成するフィルタを指す。
【0026】
支持フレームは、リム及びシールド、又はリム及びシールドフレームを備えてもよく、シールド又はシールドフレームは、例えば横断面において、リムからオフセットされてもよい。リムは、フィルタの周辺部の周り及び/又はその上に延びてもよく、シールド又はシールドフレームは、リム及びフィルタの両方からオフセットされてもよい。リム及びシールド又はシールドフレームは、シールドとリムとの間に延び、かつそれらの相対位置を固定することができる、1つ以上の接続部材によって共に接続されてもよい。例えば、接続部材は、3つ、又は4つ、又は5つの点においてリムとシールド又はシールドフレームとの間に延びてもよく、これらの点は、リムの周りに規則的に間隔をおいて配置されてもよい。
【0027】
シールドは、例えば横断面においてフィルタからオフセットされてもよく、フィルタの形状に対応する形状を有してもよく、フィルタ及びシールドの表面が平行である。
【0028】
シールドの表面に対して垂直な線に沿って測定されると、シールドとフィルタとの間に、0.1~5cm、又は0.2~2.5cm、又は0.2~1.5cm、又は0.3~1cmの平均サイズを有する間隔が存在してもよい。シールドとフィルタとの間のこの間隔は、フィルタに面するシールドの表面の少なくとも一部にわたって延びる1つ以上のリブによって維持されてもよい。リブは、直線状又は弓状であってもよい。リブはフィルタと接触してもよく、シールドがフィルタ材料と接触することを防止し、したがって、たとえ着用者が動いている間であっても、シールドとフィルタ材料との間の空気の流れを維持する。
【0029】
シールドの表面積は、フィルタの表面積の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%であってもよい。シールドの表面積は、フィルタの表面積の最大110%、又はフィルタの表面積の最大105%、又は最大100%、又は最大95%であってもよい。シールドは、フィルタの表面積の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は最大100%にわたって延びていてもよい。
【0030】
シールドは、フィルタの表面積全体にわたって延びてもよく、又はシールドがフィルタの縁部に張り出すようにフィルタの周辺部を越えて延びてもよい。あるいは、シールドは、フィルタの一部がシールドの周辺部において露出されるように、フィルタの表面積の100%未満にわたって延びてもよい。代替的に又は追加的に、シールドには、フィルタ材料のシートが露出される開口が形成されてもよく、この開口は、空気の流れを支援してフィルタ上の粒子負荷を均一に分散するのを助けることができる。あるいは、シールドは、開口を有さず、連続バリアを形成してもよい。したがって、シールドは、フィルタ材料の表面の大部分にわたって延びる連続面を備えてもよい。
【0031】
シールドの縁部と支持フレームのリムとの間の空間が存在してもよく、その空間を通してフィルタが環境に露出され、この露出はフィルタからのシールドの水平オフセット及び/又はフィルタの表面積の100%未満にわたって延びるシールドによって引き起こされる。フィルタからのシールドのオフセット及び/又はシールドによるフィルタの部分的なカバーは、シールドの周りの及びフィルタを通る空気の流れを可能にし、着用者が呼吸している間、フィルタ材料の全表面積が使用されることを確実にする。
【0032】
同時に、シールド自体が、フィルタの一部又は大部分を保護する。シールドは、例えば、マスクに接触するエアロゾル粒子及び/又は他の汚染物質などの浮遊粒子の一部を捕捉して、それらがフィルタと接触するのを防止することができる。これは、フィルタが飽和状態になるのにかかる時間を長くすることによって、マスクの寿命を長くする。シールドはまた、より繊細なフィルタへの損傷のリスクを低減し、着用者がマスクを取り扱っている間に、潜在的に汚染されたフィルタに触れることを防止又は阻止する。
【0033】
シールドの周辺部の少なくとも一部は、支持フレームのリムから分離されてもよく、それによって、着用者による吸入時に空気が引き込まれる1つ以上の入口開口を画定することができる。1つ以上の入口開口は、フィット性試験を実施するために着用者の指による閉塞を可能にするように、ループ又は部分ループで配置されてもよい。特に、着用者上の顔マスクのフィットに対する従来技術の試験は、典型的には、高価な試験装置を伴うか、又は着用者が自分自身で実施することが容易ではない。着用者の指による閉塞を可能にするような、ループ又は部分ループ内の1つ以上の入口開口の配置により、着用者が次いで、1つ以上の入口開口が閉塞されたときにマスク内に空気が漏れるかどうかを試験することを可能にし、それによって、マスクのフィット性を試験する。特に、着用者は、顔マスクが効果的にフィットしている場合、1つ以上の開口が塞がれていると吸入できないはずである。
【0034】
本発明の更なる態様によれば、支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備えるフィルタマスクが提供され、支持フレームは、着用者による吸入時に周囲空気がフィルタを通って引き込まれるようにフィルタを保持し、フィルタマスクは、フィルタの外向き表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドを含み、シールドの周辺部の少なくとも一部が支持フレームから分離されており、1つ以上の入口開口が、シールドと支持フレームとの間に画定されて、それを通って、着用者による吸入時に空気が引き込まれる。
【0035】
シールドの周辺部と支持フレームとの間の分離は、好ましくは、大人のマスクに対しては大人の、子供のマスクに対しては子供の、平均的な人の指、例えば人差し指の幅未満である。例えば、シールドの周辺部と支持フレームとの間の分離は、2cm未満、又は1.5cm未満、又は1cm未満であってもよい。
【0036】
1つ以上の入口開口は、シールドの全周辺部にわたって配置されてもよいが、支持フレームとシールドとを接続する部材によって分離されてもよい。鼻領域及び/又は顎領域内の1つ以上の入口開口は、フィット性試験中に着用者の指を受容するように、マスクの中央領域の角度付き頂点からマスクの側部に向かって外向きに湾曲経路に沿って延びてもよく、指は角度付き頂点で出会う。代替的に、又は組み合わせで、鼻領域及び/又は顎領域内の1つ以上の入口開口は、フィット性試験中に着用者の指を受容するように、マスクの一方の側部から他方の側部まで規則的な湾曲経路を延びてもよく、指は湾曲経路の中点で出会う。マスクの側部領域内の1つ以上の入口開口は、マスク及び着用者の長手方向軸、すなわち鼻領域から顎領域までの軸と整列されてもよく、例えばフィット性試験中に着用者の人差し指と親指との間の手の一部を受容するように、ほぼ直線状の形態であってもよい。
【0037】
あるいは、1つ以上の入口開口は、シールドの周辺部の一部の周りに配置されてもよい。特に、入口開口は、頬領域及び/又は顎領域の周りに配置されてもよく、鼻領域には入口開口は存在しない。この配置により、呼気流を着用者の眼から離れるように方向付けて、着用者の快適性を高め、着用者の眼鏡が曇ってしまうことを低減又は防止することができる。この配置の開口では、先行する段落で説明したフィット性試験を依然として実施することができる。
【0038】
あるいは、マスクに、1つ以上の入口開口用のカバーが設けられてもよく、これにより、着用者が開口を閉塞する目的で自分の指を使用することなく、開口が閉塞されることを可能にする。したがって、上述した本発明の態様によるフィルタマスクと、1つ以上の入口開口用のカバーとを含む部品のキットも提供され、このカバーは、フィット性試験を実施するために開口が閉塞されることを可能にする。
【0039】
フィット性試験を容易にするための更なる配置は、マスク上に臭いを発生させる手段を含み、臭いはフィルタリング除去されることになる。例えば、マスクは、フィルタの外側上に臭いを放出するための要素と、使用前に臭いを抑制するためのカバーとを含むことができ、カバーは、臭いを放出するための要素を少なくとも部分的に露出させるために、例えば、剥がされる、引っ掻かれるなどされて、少なくとも部分的に除去される。着用者は、顔マスクが効果的にフィットしている場合、臭いを検出できないはずである。
【0040】
本発明の更なる態様によれば、支持フレームと、フィルタと、シール部材とを備えるフィルタマスクが提供され、支持フレームは、着用者による吸入時にフィルタの外側からフィルタの内側に周囲空気がフィルタを通って引き込まれるようにフィルタを保持し、フィルタマスクは、フィルタの外側上に臭いを放出するための要素を含む。
【0041】
フィルタマスクは、使用前に臭いを抑制するためのカバーを備えてもよく、カバーは、臭いを放出するための要素を少なくとも部分的に露出させるために少なくとも部分的に取り外し可能である。カバーは、臭いがフィルタマスクの他の部分、例えばフィルタの内側上に移送されるリスクを低減することができる。更に、着用者が試験前に臭いを検出することによってフィット性試験が影響を受けないことを確実にするために、いったんマスクがフィットされるとカバーを取り外すことができる。
【0042】
フィルタは、着用者がフィルタを通って引き込まれた空気中の臭いを検出しないように、臭いに対して十分に不浸透性であり得る。要素は、フィルタの外側のみにおいて臭いを放出するために露出されてもよく、その結果、着用者は、顔マスクが効果的にフィットしている場合、臭いを検出することができないはずである。
【0043】
臭いを放出するための要素は、支持フレームの一部、例えばシールド若しくはシールドの一部を含むか、又はそれらの上に配置されてもよく、又は臭いを放出するための要素が支持フレーム全体に適用されてもよい。要素が支持フレーム全体に適用される場合、フィルタの内側上の支持フレームの任意の部分は、例えば、熱可塑性エラストマーのカバーをオーバーモールドすることによって、臭気を抑制するように覆われる必要があり得る。
【0044】
支持フレームは、フィルタの外向き表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドを含んでもよく、シールドの周辺部の少なくとも一部は、支持フレームから分離されている。1つ以上の入口開口が、シールドと支持フレームとの間に画定されてもよく、それを通って、着用者による吸入時に空気が引き込まれる。
【0045】
支持フレームは、典型的には、使用時にその形状を保持するプラスチック材料から形成される。支持フレームは、リム及び/又はシールド及び/又は1つ以上の接続部材を備えてもよい。複数の構成要素が存在する場合、支持フレーム全体は、例えば射出成形によって一体的に形成されてもよく、又は支持フレームは、例えば接着、溶接、又は機械的締結によって共に接続される2つ以上の部品で形成されてもよい。したがって、支持フレームがリム及びシールドを備える場合、リム及びシールドは、1つの射出成形ステップで一体的に形成されてもよく、又はリム及びシールドは、別々に形成されてから、化学的又は機械的のいずれかで共に接合されてもよい。
【0046】
フィルタは、塵粒子、液滴、及びエアロゾルなどの大部分の浮遊粒子の通過を防止するために十分に高密度であるフィルタ基材から形成されてもよい。本発明のマスクは、浮遊粒子の少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%をフィルタリング除去することができる。
【0047】
英国及び欧州連合の国を含む国々では、FFP規格は、呼吸保護デバイスとしてのフィルタマスクの要件を規定している。EN149規格は、3つのクラスのフィルタ効率、すなわちFFP1、FFP2、及びFFP3を定義している。本発明のマスクは、例えば、FFP3マスクであってもよく、これは、EN149規格の下で、95L/分の空気流で少なくとも99%の浮遊粒子をフィルタリング除去し、全内部漏れは2%未満である。本発明のマスクは、FFP2マスクであってもよく、これは、95L/分で少なくとも94%の浮遊粒子をフィルタリング除去し、全内部漏れは8%未満である。米国では、米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が、空気フィルタリングのN95分類を提供しており、本発明のマスクは、N95マスクであってもよく、これは、浮遊粒子の少なくとも95%をフィルタリングすることを意味する。
【0048】
フィルタ基材として使用するのに好適な材料は、当該技術分野において既知であり、任意の好適な材料が、本発明におけるフィルタ材料のシートに使用され得る。例えば、フィルタは、不織布材料、静電材料、メルトブローン材料、スパンボンド材料、織物材料、ナノ繊維材料、若しくはナノウェブ材料であってもよく、又はガラス繊維媒体から形成されてもよい。フィルタは、その性能を高め、着用者の快適さを高めるために複数の層を含んでもよい。したがって、フィルタは、不織布材料、静電材料、メルトブローン材料、スパンボンド材料、織物材料、ナノウェブ材料、及び/又はナノ繊維材料から選択される1つ以上の層を含んでもよい。例えば、フィルタは、着用者の快適さを高め、フィルタに構造を提供するために、繊維層と共に、不織布材料、静電材料、及びメルトブローン材料の層を含んでもよい。フィルタは、任意の適切な構成であってもよく、例えば、フィルタの表面は、平滑であってもよく、例えば平坦若しくは平面であってもよく、又はフィルタはプリーツ付きであってもよい。フィルタ(プリーツ付き又はプリーツなし)は、オーバーモールドプロセスを容易にするために、その周辺部の周りに平坦又は平面の領域を有してもよい。フィルタは、抗菌剤などの病原体の伝染を低減又は防止する効果を高めるために、1つ以上の添加剤を更に含んでもよい。
【0049】
プリーツ付きフィルタの使用は、フィルタの表面積を増加させて、フィルタの有効性を改善する。フィルタをプリーツ加工することにより、プリーツ加工されていないフィルタと比較して、表面積を5~50%、又は5~30%、又は10~20%増加させることができる。プリーツ付きフィルタを収容するために、支持フレームの形状は、プリーツ付きフィルタの形状に対応してもよく、2つの構成要素間の緊密なフィットを確実にして漏れを防止する。例えば、フィルタが支持フレーム上の肩部又はリムに当接する場合、肩部又はリムは、フィルタのプリーツに対応する一連の波形を備えてもよく、その結果、フィルタが肩部又はリムに接触すると、波形がフィルタのプリーツと入れ子になって緊密なフィットを確実にする。フィルタは、支持フレームと共にモールド内に配置される前にプリーツ加工されてもよく、シール部材、支持フレーム、及びフィルタを共に固定するためにシール部材をオーバーモールドしてもよい。あるいは、シール部材、支持フレーム及びフィルタを共に固定するためにシール部材をオーバーモールドする前に、支持フレームの波形リム又は肩部と対応する形状のモールドとの間でプリーツのない(すなわち、平坦又は平面の)フィルタを圧縮することにより、フィルタ内にプリーツを形成してもよい。
【0050】
本発明の方法においてモールド内に配置されるフィルタは、フィルタ基材のみを含んでもよく、形状が可撓性であってもよい。フィルタは、支持フレーム及びシール部材に固定されるまで、フィルタ基材用の支持体を含まなくてもよい。
【0051】
フィルタは、例えばダイを使用して、フィルタ基材のより大きいシートから正しい形状に切断されてもよい。フィルタが複数の層から形成される場合、フィルタは、サイズごとに切断されてもよく、縁部は、単一のホットスタンププロセスでシールされてもよく、ここで、熱が、切断プロセス中にシールの周辺縁部をシールするために使用される。シールされた周辺部は、使用時に、層間のフィルタ材料の内部への水分又は汚染物質の侵入を防止する。フィルタのサイズ及び形状は、支持フレームの少なくとも一部のサイズ及び形状に対応してもよい。例えば、フィルタのサイズ及び形状は、支持フレームのリムのサイズ及び形状に対応してもよく、それによって、フィルタを、支持フレームがフィルタの周辺部の周りに延びるように、リム上に、例えば、リムから内向きに延びる肩部上に位置付けることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、フィルタは、支持フレーム及びフィルタが共にモールド内に配置される前に、支持フレームと接触させることができる。例えば、フィルタは、支持フレーム及びフィルタが共にモールド内に配置される前に、支持フレームのリム上に配置されてもよい。あるいは、支持フレームは、フィルタが支持フレーム上に位置付けられる前にモールド内に配置されてもよい。いずれの場合も、支持フレーム及びフィルタの両方は、シール部材の射出成形の前にモールド内に配置される。好ましくは、支持フレーム及びフィルタ材料のシートは、モールド内に配置される前に共に固定も接合もされない。
【0053】
シール部材は、着用者の顔に対してぴったりとフィットするように適合され、フィルタ及び支持フレームの両方の周りにオーバーモールドされる。したがって、フィルタ及び支持フレームは、モールド内に配置され、それらの相対位置は、シール部材の射出成形によって固定される。これにより、追加の接着剤又はオーバーモールドステップを必要とすることなく、単一のステップで支持フレーム、フィルタ、及びシール部材を共に固定し、それによって時間及びコストを低減する。
【0054】
フィルタ及び支持フレームを単一のオーバーモールドステップで共に固定するために、フィルタは、フィルタ材料のシート及び支持構造体の縁部が実質的に整列されるように、支持フレームの外面又は内面上、例えばリム上に配置され得る。シール部材を形成するポリマー材料の注入中に、ポリマー材料の一部は、フィルタ材料のシート及び支持構造体の整列された縁部を包むことができる。したがって、フィルタ及び支持フレームの両方の周辺縁部、又は支持フレームのリムは、シール部材を形成するポリマー材料の一部内に封入することができる。
【0055】
あるいは、シールのオーバーモールド中に、射出された材料がフィルタの周辺部の周りのフィルタと支持フレームとの間に接着層を形成するように、射出された材料がフィルタと支持フレームとの間に方向付けられてもよい。フィルタの周辺部は、注入された材料によって包まれてもよく、次いで、注入された材料は、支持フレームに(例えば、支持フレームのリムに)接合する。注入された材料は、フィルタの周辺部の周りでフィルタ内に吸収されてもよく、シールとフィルタとの間の接合を増強させて、フィルタ材料の層間への水分の侵入に対する追加の保護を提供する。
【0056】
「実質的に整列される」とは、フィルタ材料及び支持構造体の縁部が、シール部材の一部によって包まれるか、又は他の方法で共に接着され得るように、共に十分に近接して配置されることを意味する。
【0057】
シール部材は、エラストマー材料から形成されてもよく、顔マスク用のシール部材を作製する際に使用するのに好適な材料は、当該技術分野において既知である。例えば、シール部材は、液状シリコーンゴムなどの、熱可塑性エラストマー(TPE)又は熱硬化性エラストマーから形成されてもよい。
【0058】
シール部材は、着用者によって吸入された空気の全てがフィルタ材料を通過するように、着用者の顔に対してぴったりとフィットして、着用者の顔をシールするように成形されてもよい。快適性及びシール効果を高めるために、シール部材はクッションの形態であってもよい。すなわち、シール部材は、支持フレームと着用者の顔との間に弾性的に圧縮可能な領域を形成して、快適性を高めてシールを改善することができる。
【0059】
マスクの有効性はフィット性の改善(及び漏れの低減)と共に向上するため、異なるサイズの顔に適応することができ、たとえ医療専門家によって使用されるフィルタマスクなどの着用者が移動して能動的な役割を果たす場合であっても有効なままであるマスクがあることは有用である。
【0060】
支持フレーム及び/又はシールの任意の態様は、細菌又は他の病原体の拡散を低減又は防止する際にマスクの有効性を高めるのを助けるために、1つ以上の添加剤を含んでもよい。特に、銀イオンを含有する添加剤(例えば、Silver Knight(商標)の形態)が、支持フレーム及び/又はシールのプラスチック内に組み込まれてもよい。銀イオンは、病原性細菌の不活性化を触媒し、それらの増殖を防止して、マスクの内部及び表面上の微生物成長を低減することが見いだされている。
【0061】
本発明の更なる態様によれば、支持フレームと、フィルタ材料のシートとを備えるフィルタマスクが提供され、支持フレーム及びフィルタ材料のシートは、使用時に着用者の口及び鼻の周りに空洞を提供するように適合されたマスク本体を画定し、フィルタマスクは、マスク本体の周辺縁部の少なくとも一部から垂下するシール部材を含み、シール部材は、マスク本体の周辺縁部に対して内向き及び外向きの両方に垂下するリップ部分を備える。
【0062】
シール部材は、マスク本体の周辺縁部全体の周りに延びてもよい。内向き及び外向きに垂下するリップ部分が周りに延びる支持フレームの周辺縁部の一部は、顎部分を構成してもよい。内向きに垂下するリップ部分は、支持フレームの周辺縁部の大部分の周りに延びてもよい。外向きに垂下するリップ部分は、支持フレームの周辺縁部の一部のみの周りに、例えば顎領域内に延びてもよい。
【0063】
内向きに垂下するリップ部分は、ほぼ平坦な形態であってもよい。内向きに垂下するリップ部分は、本体の周辺縁部の輪郭に従う直立壁の形態をとってもよい。内向きに垂下するリップ部分は、内向きに垂下するリップ部分の変形を容易にする不連続部を含んでもよい。
【0064】
外向きに垂下するリップ部分は、凹状の接触面を有してもよい。外向きに垂下するリップ部分は、着用者の下顎の下に土台又は棚形成部を提供するように成形されてもよい。外向きに垂下するリップ部分の近位部分は、着用者の顎に係合することができる一方で、遠位部分は、着用者の顎の下で湾曲して延びていてもよい。外向きに垂下するリップ形成部は、顎カップの形態に成形されてもよい。顎カップは、使用時に、着用者の顎の少なくとも一部を収容してもよい。外向きに垂下するリップ部分は、前方リップ部分と下側リップ部分との両方を提供するように成形されてもよい。
【0065】
内向きに垂下するリップ部分は、着用者の顔の下部、例えば着用者の顎に接触して、シールを形成してもよい。使用者がより大きい顔の高さを有する場合、外向きに垂下するリップ部分は、着用者の下顎のすぐ下を通過して、追加のシールを提供してもよい。全ての着用者にとって、外向きに垂下するリップ部分は、マスクを顔上に配置するための整列ガイドを提供し、使用中に顎が移動してもマスクを顔上の正しい位置に保持するのを助けることができる。
【0066】
内側及び外側リップ部分の近傍における支持フレームの周辺部は、マスクの中心点又は領域から第1の半径によって成形されてもよい。内向きに垂下するリップ部分は、典型的には、第1の半径よりも小さい半径の内側縁部を有する。外向きに垂下するリップ部分は、典型的には、第1の半径よりも大きい半径の外側縁部を有する。
【0067】
シール部材の鼻部分は、内向きに垂下するリップ部分を備えてもよく、着用者の顔と接触するための凸面を呈することができる。シール部材の鼻部分は、鼻の各側部上に、補強形成部、例えば、厚さが増加した部分を含んでもよく、例えば、鼻梁領域において厚さが減少してもよい。
【0068】
シール部材、したがってフィルタマスクはまた、マスクシール部と頬の組織との間にシールが形成され、かつマスクの内部空洞が頬にわたって延びるように、着用者の頬を横切って横方向に延びてもよい。
【0069】
会話中、顔の動きの大部分は、鼻と顎の垂直分離を含めて顎内にある一方で、頬には比較的少量の移動が存在する。加えて、頬の組織は、鼻又は顎のいずれかの組織よりも柔らかくてより従順である。これは、頬組織との効果的なシールを達成するために、顔の他の部分よりも低い程度の可撓性がシール部材に必要とされることを意味する。
【0070】
本発明の更なる態様によれば、着用者の鼻及び口を収容するための空洞を画定し、そこから使用時に着用者が呼吸気体を吸入するマスク本体と、着用者の顔と係合するためにマスク本体から垂下するシール部材とを備える顔マスクが提供され、マスク本体は、着用者の鼻を収容するための鼻部分と、着用者の口を収容するための口部分と、着用者の頬を横切って横方向に延びる頬部分とを備える。
【0071】
頬部分は、着用者の頬骨の上縁部と下顎の下縁部との間で着用者の頬を横切って横方向に延びてもよい。
【0072】
頬部分は、各々、鼻部分の左側縁部又は右側縁部から延びる第1の縁部を有してもよく、それによって、頬部分の第1の縁部は、着用者の頬骨の上に収容される。第1の縁部は、弓状経路に沿って延びてもよい。第1の縁部は、凹状の外側縁部であってもよい。頬部分の第1の縁部と鼻部分の左側縁部又は右側縁部との間の移行部は、弧状の形態であってもよい。
【0073】
頬部分は、各々、口部分の左側縁部又は右側縁部から延びる第2の縁部を有してもよく、頬部分の第2の縁部が着用者の下顎の下縁部の上方に収容される。第2の縁部は、弓状経路に沿って延びてもよい。第2の縁部は、凹状の外側縁部であってもよい。頬部分の第2の縁部と口部分の左側縁部又は右側縁部との間の移行部は、弧状の形態であってもよい。
【0074】
各頬部分の第1の縁部と第2の縁部との間の角度は、横方向位置が向上するにつれて増大してもよく、第1の縁部及び第2の縁部は、頬部分の遠位端、例えば着用者の耳に近接する位置において実質的に平行になってもよい。頬部分の各々の端縁部は、ほぼ直線状であってもよい。各頬部分の遠位領域は、ほぼ矩形の形状であってもよい。これにより、着用者の頬を覆っているマスク本体の表面積を増大させることができる。
【0075】
マスク本体は、マスク本体が着用者の顔を横切って長手方向に延びる距離に対して、着用者の顔を横切って横断方向により大きい距離に延びてもよい。より大きい距離は、着用者の顔の表面に対するものであってもよく、すなわち、距離は、直線寸法とは対照的に、顔の表面に沿った寸法であってもよい。
【0076】
マスク本体は、マスク本体が長手方向に延びる距離に対して、横断方向により大きい距離に延びてもよい。より大きい距離は、マスクの表面に対するものであってもよく、すなわち、距離は、直線寸法とは対照的に、マスクの表面に沿った寸法又はそれに対して平行な寸法であってもよい。
【0077】
着用者の鼻及び口を収容するマスク本体の部分は、例えば横断面においてほぼ弓状の形状を有する外面を有してもよい一方で、着用者の頬を収容する部分は、例えば横断面において実質的により平坦な形状の外面を有してもよい。フィルタマスク、及びフィルタマスクの内部空洞は、マスクの縁部が使用時に着用者の耳の5cm以内、又は4cm以内、又は3cm以内、又は2cm以内に位置するように、着用者の頬を横切って横方向に延びてもよい。したがって、マスクは、着用者の頬を実質的に覆うことができる。
【0078】
顔マスクがフィルタマスクである場合、マスク本体は、支持フレーム及びフィルタによって画定されてもよい。シール部材は、支持フレームの周辺部、例えばリムの周辺部の周りに延びてもよい。支持フレーム及びフィルタの少なくとも一部の形状は、シール部材の近位縁部の形状に対応してもよい。支持フレーム及びフィルタは、着用者の頬を横切って横方向に延びてもよい。
【0079】
顔マスクのマスク本体は、着用者の頬を横切って横方向に延びてもよい。顔マスクのシール部材は、着用者の頬を横切って横方向に延びてもよい。着用者の頬を横切って延びるマスク本体の部分は、マスクと着用者の顔との間に、着用者の鼻及び口の上に延びるマスクの部分よりも浅い空洞を形成することができる。
【0080】
頬にわたるマスクの拡張は、フィルタ材料のシートの表面積を増加させ、したがって、フィルタを通過することができる空気の体積を増加させる。同時に、マスクのこの領域におけるより浅い空洞は、マスク内のデッドスペースを低減する。
【0081】
本発明によるフィルタマスクは、使用時にマスクを着用者に固定する手段を含むことができる。そのような手段は、フィルタマスクを着用者の顔に対して押し付けるために着用者の頭部の周りにフィットされる、1本以上のコード又はストラップ、例えば伸縮性コード又はストラップを含むことができる。
【0082】
コード又はストラップは、別個の単数又は複数の構成要素として形成されてもよく、その後、穴又はスロットを通って挿入されて、結節若しくはシールすることによって、あるいはコード又はストラップをマスクに接合することによって、フィルタマスクに取り付けられてもよい。コード又はストラップは、接着剤若しくは化学的接合によって、又はオーバーモールドによって、マスクに接合されてもよい。コード(単数又は複数)又はストラップ(単数又は複数)は、着用者の耳の上に、又は着用者の頭部の後ろの周りに着用されてもよい。これにより、使用時にマスクが着用者の顔から滑り落ちる及び/又はずり上がるのを防止するのに役立ち得る。
【0083】
2本のコード又はストラップが提供されてもよく、着用者の耳の各々の周りを通過する、又は1つのコードが着用者の耳の上方を通過し、1つが耳の下を通過して頭部の後ろの周りに延びる。
【0084】
あるいは、単一のコードが、着用者の頭部の後ろを横切って2回通過してもよい。支持構造体の第1の側部は、使用時に、着用者の耳の一方に隣接して配置されてもよく、支持構造体の第2の側部は、使用時に、着用者の耳の他方に隣接して配置されてもよい。支持構造体の第1及び第2の側部は、使用時に着用者の耳に最も近い支持構造体の領域に位置してもよい。
【0085】
単一の伸縮性コード又はストラップの2つの端部は、支持フレームの第1の側部、例えば、着用者の耳の一方に隣接する側部に配置された一対の第1の取り付け形成部によって保持されてもよい。第1の取り付け形成部は、支持フレームと一体的に形成されてもよく、又は別個に形成されて、その後、例えば接着又は溶接又は機械的締結(例えば、スナップフィット締結)によって取り付けられてもよい。一対の第1の取り付け形成部の各々は、コード又はストラップの1つの端部を保持してもよく、クリップ又はクランプであってもよく、あるいはコード又はストラップが通され得る開口又はスロットであってもよく、コード又はストラップに結節が結ばれて、コード又はストラップがスロット又は開口を滑り抜けて戻ることを防止する。
【0086】
少なくとも1つ、例えば1つ又は2つの取り付け形成部が、支持フレームの第2の側部上、例えば着用者の耳の他方に隣接する側部に配置されてもよく、取り付け形成部(単数又は複数)は、コード又はストラップの中央部分を保持する。したがって、コード又はストラップは、第1の取り付け形成部のうちの一方から第2の取り付け形成部(単数又は複数)を通って延び、コードのループを形成して、第1の取り付け形成部のうちの他方に戻ってもよい。
【0087】
この構成は、使用者が第2の取り付け形成部(単数又は複数)に形成されたループを引っ張ることによってコード又はストラップを締め付けることを可能にすることができ、それによって、他のタイプの顔マスクに有益であり得る改善された締め付け構成を提供する。
【0088】
本発明の更なる態様によれば、一対の第1の取り付け形成部と一対の第2の取り付け形成部とを備える顔マスクが提供され、一対の第1の取り付け形成部は、使用時に着用者の第1の耳の近くに位置する顔マスクの第1の側部上に配置され、一対の第2の取り付け形成部は、使用時に着用者の第2の耳の近くに位置する顔マスクの第2の側部上に配置され、一対の第1の取り付け形成部の各々は、ストラップの端部を固定する手段を提供し、一対の第2の取り付け形成部は、ストラップの中間部分を解放可能に固定する手段を提供する。
【0089】
一対の第2の取り付け形成部は、支持フレームの第2の側部上に配置されてもよく、コード又はストラップは一対の第2の取り付け形成部を順次通過して、一対の第2の取り付け形成部の間にコードのループが形成されてもよい。第2の取り付け形成部は、張力の印加時に一方向へのコードの容易な通過を可能にし得るが、使用者による追加の動作(例えば、ボタンの押下又は有意により大きい力の印加)を伴わずに、反対方向へのコードの移動に対して有意な抵抗を提示してもよい。したがって、着用者は、マスクを着用しながら、一対の第2の取り付け形成部の間に形成されたコードのループを引っ張ることによって、ストラップの長さを自分の頭部のサイズに合わせて片手で容易に調整することができる。張力が印加されると、コードは、一対の第2の取り付け形成部を通って摺動することになり、したがって、着用者の頭部の後ろの周りのコードの長さを短くして、顔マスクを着用者の顔に押し付ける。フィットが正しくなれば、使用者はコードを解放し、マスクはコード又はストラップによって所定の位置に保持される。
【0090】
一対の第2の取り付け形成部は、各々、タブによって実質的に覆われたスロット又は開口を備えてもよい。タブの縁部及び/又はスロット若しくは開口の対応する縁部は、コードをグリップする手段、例えば粗面又は一連の歯を備えてもよい。使用時に、コード又はストラップは、タブの縁部とスロット又は開口の縁部との間に、スロット又は開口を通って挿入される。タブの少なくとも1つの縁部に沿った、又はスロット/開口及びタブの対応する縁部に沿った一連の歯又は粗面などのグリップ形成部は、コード又は弾性体がスロット又は開口を滑り抜けて戻ることを防止することができる。一連の歯は、外向きに、すなわち、スロット又は開口を通るコードの容易な移動が所望される方向に、角度付けられるか又は湾曲されてもよい。したがって、歯は、コード又はストラップが逆方向に移動すると、歯がコード又はストラップに埋まり込んで、それをグリップすることを促進するように、スロット又は開口から離れるように角度付けられるか又は湾曲されてもよい。
【0091】
あるいは、一対の第2の取り付け形成部は、各々、スロット又は開口と、弾性部材とを備えてもよく、弾性部材は、スロットを実質的に覆って、スロットに対して弾性的に付勢される。使用時に、コード又はストラップは、弾性部材の付勢に抗してスロットを通して挿入され、その結果、ストラップに印加された張力が弾性部材をスロット又は開口から十分に引き離して、コードがスロット又は開口を通過できるようにする。コード上の張力が解放されると、弾性部材の付勢は、弾性部材をスロット又は開口に対して押し戻し、それを閉塞して、コードを弾性部材とスロット又は開口の縁部との間に捕捉する。したがって、コードは、弾性部材の付勢に対する張力の印加によってスロットを通って容易に引っ張られ得るが、弾性部材は、たとえ張力がコードに印加された場合(例えば、コードが着用者の頭部の周りで伸張された場合)であっても、コードがスロットを通って反対方向に不用意に移動することを防止することができる。付勢された部材を解放する手段は、着用者が望むときにコードがスロットを通って逆方向に摺動することを可能にするように提供されてもよく、例えば、解放キャッチ、又は逆方向への移動は、有意な力が着用者によって印加されたときに作動されてもよい。弾性部材は、コードの滑りを防止するのを支援するために、コードをグリップする手段、例えば、粗面又は一連の歯を更に備えてもよい。
【0092】
第1及び/又は第2の取り付け形成部は、支持フレームの一部を形成してもよい。第1及び/又は第2の取り付け形成部は、支持フレームと一体的に形成されてもよい。第2の取り付け形成部は、単一の成形ステップで、支持部材と一体的に形成されてもよい。したがって、開口を横切って平面方向に延びるタブは、単一の成形ステップで支持フレーム内に一体的に形成されてもよい。タブは、支持フレームから突出してもよい。製造上の制限により、フラッシングによってタブが望ましくない位置で開口に取り付けられてしまう場合があり、このときタブの縁部と開口の隣接する縁部との間の距離が小さく、例えば2mm未満、又は1mm未満、又は0.5mm未満である。これは、タブに力を印加してフラッシングを破壊することによって解決することができる。力は、タブの表面、例えば、支持フレームから突出するタブの表面に印加されてもよい。そのような力は、シール部材を形成するオーバーモールドステップ中にオーバーモールドツールを使用してタブに印加されてもよく、したがって、マスクの製造において必要とされる別個のステップの数を低減する。
【0093】
したがって、タブの少なくとも1つの縁部と開口の少なくとも1つの隣接する縁部との間の距離が2mm未満であるように、開口を横切って平面方向に延びるタブを一体的に形成する方法が提供され、方法は、
a)射出成形を使用して、タブの少なくとも1つの縁部と開口の少なくとも1つの隣接する縁部との間の距離が2mm未満であるように、開口を横切って平面方向に延びるタブを形成することと、
b)タブの表面に力を印加して、射出成形プロセス中に、タブのその少なくとも1つの縁部と開口のその少なくとも1つの隣接する縁部との間に形成されたフラッシングを解放(release)することと、を含む。
【0094】
フィルタマスクの製造において使用される場合、上記のステップa)における射出成形プロセスはまた、支持フレームを形成することができ、上記のステップb)における力の印加は、シール部材の製造に使用されるオーバーモールドツールの形状を、オーバーモールド前にモールドが支持部材上で閉じられたときにフラッシングを破壊するために圧力がタブに印加されるように設計することによって、実施することができる。したがって、このプロセスを使用して、追加の製造ステップを必要とすることなく、本明細書で説明されたフィルタマスクの第2の取り付け形成部を一体的に形成することができる。
【0095】
あるいは、第1及び/又は第2の取り付け形成部は、支持フレームとは別個に形成され、その後、化学的又は機械的手段によって支持フレームに接続されてもよい。
【0096】
マスクは、フィルタ内に開口を備えてもよく、開口は、フィルタを通る導管を提供してもよく、又は呼気弁などの更なるデバイスを含むか、若しくはそれを受容するように適合されてもよい。開口は、フィルタ材料をバイパスしてもよい。フィルタ材料における開口は、支持フレーム内の開口に、又は支持フレームに取り付けられたデバイスに取り付けられ、かつ/又はシールされてもよい。更に、シール部材を形成するためにモールド内に注入されるポリマー材料は、開口又はデバイスの周りでフィルタをシールするように、シール部材の射出成形中に、フィルタ及び支持フレーム内の開口に、又は支持フレームに取り付けられたデバイスと、係合させることができる。
【0097】
マスクは、1つ以上の通気孔又は弁、例えば呼気弁を備えてもよい。呼気弁は、呼気がフィルタを通過することなくフィルタマスクから逃げることを可能にし、したがって、使用中にフィルタによって保持される熱及び湿度を低減することができる。しかしながら、呼気弁を含むことは、フィルタマスクが、例えば医療環境において、着用者によって吐き出される病原体から他者を保護するために必要とされるには、望ましくない場合がある。通気孔又は弁は、シールド内に、又は支持フレームのリム内に配置されてもよい。弁は、シールド若しくはリムの開口内に挿入されてもよく、又はシールド若しくはリムの一部を形成してもよい。弁がシールド内に挿入されるか又はシールドの一部を形成する場合、弁はまた、フィルタ材料を通って延びてもよく、シール部材を形成するオーバーモールドステップが、弁とフィルタ材料との間、及び/又は弁を受容するための支持フレーム内の開口とフィルタ材料との間にシールを追加的に提供するために使用されてもよい。弁がリム内に挿入されるか又はリムの一部を形成する場合、リムの一部は、例えば顎領域において弁を収容するように成形されてもよい。
【0098】
弁が含まれる場合、シール部材を形成するための射出成形ステップはまた、弁部材を形成することができる。したがって、シール部材及び弁部材は、一体的に形成されてもよい。シール部材/呼気弁の成形後、弁は、フィルタ及びシールドの開口部を通して、又はリムの開口部を通して挿入されてもよい。弁と周囲の材料(シールド、フィルタ、又はリム)との間の張力は、弁を閉じるように付勢する。これにより、吐き出された空気がマスクの内部から外部に流れることを可能にするが、反対方向の空気の流れを防止する。
【0099】
支持フレーム、例えばシールド及び/又はフィルタには、解放可能なカバー又は呼気弁のいずれかをフィットさせることができる開口を形成することができる。シール部材を形成するオーバーモールドステップは、弁又はカバーを受容するための支持フレーム内の開口とフィルタ材料との間のシールを追加的に提供するために使用されてもよい。例えば、解放可能なカバーは、スナップ嵌め又はねじ嵌め接続を使用して開口の上に固定されてもよく、カバーは取り外されて、必要に応じて呼気弁と交換される。これにより、呼気弁の有無にかかわらず使用することができる単一のマスクを製造することが可能になる。開口のサイズは、呼気弁の取り付けに適切なサイズであり、直径10~50mm、又は直径15~40mm、又は直径15~30mmであってもよい。典型的には、開口の直径は、約20mmである。
【0100】
フィルタマスクは、マスク及び/又は着用者に気体を導入するための、又はマスク及び/又は着用者から気体を除去するためのチューブにマスクを接続するために使用され得る栓を更に備えてもよい。したがって、フィルタマスクは、酸素送達マスク又は呼吸マスクとして使用されてもよく、(送達されている酸素以外の)吸入された空気がフィルタを通過しなければならない追加の保護を伴う。呼気弁と同じ方法で、栓は、シールド及び任意選択的にフィルタの開口に解放可能に取り付けられてもよい。開口は、直径10~50mm、又は直径15~40mm、又は直径15~30mmの直径を有する栓を収容するようなサイズであってもよい。あるいは、開口は、直径2~10mm、又は直径2~8mm、又は直径4~8mmの直径を有する栓を収容するようなサイズであってもよい。あるいは、栓は、シールド、又は支持フレームの別の部分と一体的に形成されてもよい。
【0101】
あるいは、フィルタマスクは、栓を備えなくてもよい。そのようなフィルタマスクは、酸素送達マスク又は呼吸マスクとしての使用には不適切であることになる。フィルタマスクは、追加的に又は代替的に、アクセスポートを備えてもよい。例えば、フィルタマスクは、内視鏡、鼻カニューレ、又は高流量鼻カニューレのためのアクセスポートを備えてもよく、それによって、フィルタマスクによって提供される保護を患者及び医師に依然として提供しながら、内視鏡が実施され得るか又はカニューレが着用され得る。薬剤又は酸素は、高流量鼻カニューレを通して送達されてもよく、エアロゾル化粒子が生成されて環境に放出され得ることが、このタイプの治療の特徴である。患者の病気の性質に応じて、そのようなエアロゾル化された粒子は、汚染されて、近隣の人々に危険をもたらす場合がある。高流量鼻カニューレを送達するために気道へのアクセスを可能にするが、任意の生成されたエアロゾルを含有するフィルタマスクを着用することにより、臨床医及び近くにいる他の人員により安全な環境を提供する。アクセスポートは、フィルタマスク内の開口を含んでもよい。開口は、互いに位置合わせされた支持フレーム、例えばシールド、及びフィルタ材料のシート内に一対の開口を備えてもよく、カニューレが両方の開口を通過することができる。シール部材を形成するオーバーモールドステップは、支持フレームの開口とフィルタ材料との間にシールを追加的に提供するために使用され得る。支持フレーム、シールド、及び/又はフィルタ材料内の開口には、取り外し可能なカバーが設けられてもよく、それによって、使用していないときに開口を覆うことができる。
【0102】
あるいは、顔マスクは、フィルタ材料のシートが交換可能であるように構成されてもよい。これは、使用後にマスク全体を交換する必要がなく、フィルタ材料を交換するだけでよい一方で、支持構造体及びシールを備えるマスクフレームを複数回再使用することができることを意味する。これにより、コスト及び廃棄物の両方を低減する。
【0103】
この実施形態による交換可能なフィルタを有するマスクは、支持フレームとシールとの相対位置を固定する単一のオーバーモールドステップを伴う方法において、前述したものと同じ原理を使用して製造することができる。
【0104】
本発明の更なる態様によれば、フィルタマスクを製造する方法が提供され、フィルタマスクは、支持フレームと、シール部材とを備え、支持フレームは、フィルタを受容するためのハウジングを有し、方法は、
a)モールド内に支持フレームを提供することと、
b)モールド内にポリマー材料を注入して、着用者の顔に対してシールするための第1のシール部材と、ハウジングによって受容されたフィルタに対してシールするための第2のシール部材とを形成することと、を含み、
シール部材は、シール部材の射出成形中に、シール部材を支持フレームに固定するように、支持フレームと係合される。
【0105】
本発明の更なる態様によれば、上述の方法に従って製造されたフィルタマスクが提供される。また、フィルタマスクが提供され、フィルタマスクは、支持フレームと、シール部材とを備え、支持フレームは、フィルタを受容するためのハウジングを更に備え、シール部材は、支持フレームに固定される。本発明のフィルタマスクに関連して上述した任意の特徴は、シールド、並びに/又は第1及び第2の取り付け形成部、並びに/又は内向き及び外向きに垂下するリップ部分を備えるシール部材、並びに/又は弁若しくはアクセスポートの包含、を含むがこれらに限定されず、この実施形態において存在してもよい。
【0106】
フィルタは、フィルタ基材のみを備えてもよく、フィルタ基材は、任意の好適な手段によって、例えばクリップによって、又は締まり嵌めによって、又は解放可能な接着剤、例えばフィルタ材料のシートの挿入直前に除去される剥離可能なライナーによって覆われた接着ストリップによって、支持フレームに解放可能に取り付け可能であってもよい。
【0107】
あるいは、フィルタは、支持フレームに接続可能な、カートリッジ又は他の支持体内に保持されるフィルタ基材を備えてもよい。例えば、カートリッジは、1つ以上のスナップ嵌めコネクタ若しくはクリップによって、又は摩擦嵌めによって、支持フレームの外面に接続されてもよく、又はカートリッジを収容するために支持フレーム内に設けられたポートが存在してもよい。この実施形態では、マスクがシールドを備える場合、シールドは、カートリッジがマスクの外面に取り付けられたときにシールドがフィルタの外面上に配置されるように、カートリッジ又は他の支持体の一部を形成してもよい(すなわち、カートリッジ又は他の支持体がシールドを備えてもよい)。あるいは、シールドは、支持フレームにヒンジ式に取り付けられてもよく、支持フレームの外面に隣接するフィルタカートリッジの挿入を可能にするためにシールドを開けることができ、その後閉じることができる。フィルタカートリッジは、1つ以上のクリップ又は他の取り付け部材によって所定の位置に保持されてもよく、又はヒンジ式に取り付けられたシールドがフィルタカートリッジを所定の位置に保持してもよい。
【0108】
あるいは、フィルタカートリッジは、1つ以上のスナップ嵌めコネクタ又はクリップによって支持フレームの内面に接続される。この実施形態では、シールド(存在する場合)は、図面に示されるように、前述のように存在してもよい。例えば、フィルタマスクは、使用時に、フィルタの外向き表面の少なくとも一部にわたって延びるシールドであって、シールドの周辺部の少なくとも一部は、支持フレームから分離されている、シールド、及び/又は支持フレームと一体的に形成され得るシールドを備えてもよい。
【0109】
カートリッジは、フィルタ基材の形状及びサイズに一致し、かつフィルタ基材の周囲の周りに固定されるプラスチック、例えば射出成形プラスチックのリムの形態をとってもよい。したがって、カートリッジは、フィルタ基材を通る空気の流れを制限しない。
【0110】
本発明の1つの態様に関連して説明される任意の特徴は、本発明の任意の他の態様に適用され得ることが理解されるであろう。したがって、シールド、第1及び第2の取り付け形成部、呼気弁、並びに/又は栓など、一体型フィルタを有するマスクに関連して説明した任意の構造的特徴を、上述の交換可能なフィルタを有するマスクに適用することができる。
【0111】
ここで、本発明の実施形態を、単なる例として、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
図1】本発明によるフィルタマスクの第1の実施形態における支持フレームの斜視図である。
図2図2の支持フレームの側面図である。
図3】本発明によるフィルタマスクの第1の実施形態におけるフィルタの斜視図である。
図4a】製造中の本発明によるフィルタマスクの第1の実施形態における支持フレーム内に配置されたフィルタの斜視図である。
図4b】フィルタなしの図4aの図である。
図5】本発明による、図4の支持フレーム及びフィルタ、並びにフィルタマスクの第1の実施形態の製造中に使用するモールドのコアの斜視図である。
図6】本発明によるフィルタマスクの第1の実施形態の側面図である。
図7】本発明によるフィルタマスクの第1の実施形態の後部の斜視図である。
図8】支持フレームとシール部材のオーバーモールドによって形成されたフィルタ材料との間の接続を示す概略図である。
図9a】本発明によるフィルタマスクの第2の実施形態の前部及び後部の斜視図である。
図9b】本発明によるフィルタマスクの第2の実施形態の前部及び後部の斜視図である。
図10a】本発明によるフィルタマスクの第3の実施形態の前部及び後部の斜視図である。
図10b】本発明によるフィルタマスクの第3の実施形態の前部及び後部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
本発明によるフィルタマスクにおいて使用するための支持フレーム10を、図1及び図2に示す。支持フレーム10は、概ね湾曲した形状を有し、一体的に形成されたリム11と、シールド12と、一対の第1の取り付け形成部13と、一対の第2の取り付け形成部14とを備える。シールド12は、リム11と実質的に同じ形状であるが、より小さく、かつリム11から約1cmだけオフセットされている。シールド12は、リムの周囲の周りに等間隔に配置された4つの接続部材16によってリム11に取り付けられて、シールドの縁部に近い点に取り付けられる。シールド12とリム11との間の空間15は、シールドの周辺部の周りに延び、接続部材16によってのみ中断される。支持構造体10は、一体的に形成された構成要素であり、全ての特徴が単一の射出成形ステップで製造される。
【0114】
一対の第1の取り付け形成部13が、リム11の第1の側部から外向きに延びており、リム11は、使用時に、着用者の第1の耳の近くに位置する。第1の取り付け形成部13は、コード又はストラップ(図示せず)が通されて、結び目又はクランプデバイスで固定され得る、鍵穴形状のスロットの形態をとる。一対の第2の取り付け形成部14は、使用時に、着用者の第2の耳の近くに位置するリムの第2の側部から外向きに延びる。第2の取り付け形成部14は、タブ17によって覆われたスロット(見えない)を備える。タブ17は、グリップを提供する一連の歯18を有する。コード又はストラップ(図示せず)は、タブ17とスロットの縁部との間で、支持フレームの内側から外側へと取り付け形成部14のスロットを通過する。歯18は、コードをグリップし、コードの逆方向への移動を低減又は防止する。
【0115】
使用時に、コード又はストラップは、上部の第1の取り付け形成部13に固定され、上部の第2の取り付け形成部14を内側から外側へと通過し、下部の第2の取り付け形成部14を外側から内側に通過し、最後に下部の第1の取り付け形成部13に固定される。したがって、ストラップは、着用者の頭部の後ろを2回通過し、支持構造体の外側上の一対の第2の取り付け形成部14の間にループが形成される。着用者が例えばループを引っ張ることによってこのループに張力を印加すると、コードは、開口を通って引っ張られ、タブ17上の歯18を通過することになる。例えば、着用者がコードのループを解放することによってこの張力が解放されると、歯18がコードをグリップすることが可能になり、したがって、有意な力が印加されない限り、コードがスロットを滑り抜けて戻ることを防止することになる。このようにして、着用者の頭部にフィットするように、片手で簡単にマスクを調整することができる。
【0116】
支持フレーム10を製造するために射出成形が使用され、支持フレーム10は、単一のステップで射出成形されたポリプロピレンから製造される一体形成ユニットである。
【0117】
フィルタマスクの製造が自動化される場合、支持フレーム10は、モールドからロボットアーム上の真空カップ上に排出される。空気圧ダイは、フィルタ材料のロールからフィルタ材料22のシートを支持フレーム10内に押し込み、フィルタ材料のロールは、フィルタ材料の連続した一連の予めスタンプされたシートを含んで、それらの周辺縁部の周りでヒートシールされる。フィルタ材料22のシートを、図3に示す。
【0118】
フィルタ材料のシートは、支持フレーム10の内側、すなわち、使用時に着用者に面することになる支持フレーム10の側部に配置される。フィルタ材料のシートは、内向きに延びる肩部上に配置され、リムのいずれかの側部において保持タブ19によってその周辺部の周りの所定の位置に保持される。この支持構造体/フィルタ材料アセンブリを、図4a及び図4bに示す。
【0119】
支持構造体/フィルタ材料アセンブリは、モールドの第1の半体内に移送され、モールドコア30にマウントされる。モールドの第2の半体は、モールドの第1の半体に対してシールされ、モールド空洞を形成する。射出成形ステップにおいて、シール部材25は、支持構造体/フィルタ材料アセンブリにオーバーモールドされ、単一のオーバーモールドステップでは、フィルタ材料22のシートの周辺部を囲み、それを支持フレーム10に接着して、シール部材25を形成する。フィルタマスク20は、コア30からフィルタマスク20を剥ぎ取るために、例えば大きさ20mmのピンを使用してモールドから取り外され、伸縮性コードの手動取り付け及びその後の包装のために移送される。
【0120】
フィルタとシール部材及び支持フレームとの間の接続を、図8に概略的に示す。フィルタ91の周辺部は、支持フレーム93がモールド内に配置される前又はその後に、支持フレーム93のリムから横方向に延びる肩部94に対して配置される。熱可塑性エラストマー(TPE)92がモールド内に射出され、シール部材を形成する。図8に示されるTPE92の部分は、シール部材の近位縁部のみを表している。TPE92は、フィルタ91の周辺縁部と支持フレーム93、94のリム及び肩部との間にモールドによって押し込まれる。TPE92は、フィルタ91の周辺縁部を取り囲んで含浸し、95で示されている周辺部の含浸領域が、支持フレーム93、94のリム及び肩部に接着される。図8に示されるように、ツールシャットアウトは、TPE92が周辺部95を越えてフィルタ91内に進入するのを防止し、フィルタ91のフィルタ動作がTPEによって抑制されないことを確実にする。支持フレーム93、94のフィルタへの接着を支援するだけでなく、フィルタ91の周辺縁部95へのTPEの含浸は、ヒートシールによって形成されたフィルタの縁部におけるシールに寄与し、水分又は他の汚染物質がフィルタの構造内に浸透するのを防止することができる。
【0121】
本発明によるフィルタマスク20の側面図を、図6に示す。支持構造体21は、図1及び図2に関連して説明したものと同じである。フィルタ材料22のシートは、支持構造体21の後ろに配置され、シールド23とリム24との間の間隙内でシールド23の周辺部の周りに見える。これにより、空気がシールド23を通過してフィルタ材料22を通って容易に流れることを可能にする一方で、フィルタ材料にわたるシールドの保護から依然として利益を得る。
【0122】
シール部材25は、支持フレーム21及びフィルタ材料22上にオーバーモールドされて、それらの相対位置を固定する。シール部材25は、顎係合部分26と、鼻係合部分27と、頬係合部分28とを備える。頬係合部分28は、頬を横切って横方向に延び、頬上のより柔らかい皮膚に対するシールを形成して、マスクの全体的なシールを改善する。
【0123】
シール部材25は、エラストマー材料で形成される。それにより、支持構造体21と着用者の顔との間に圧縮可能な領域を提供して、エラストマー材料が着用者の顔の輪郭に適合し、それに対して良好なシールを提供することを可能にする。
【0124】
図4a及び図4bは、それぞれ、フィルタ材料が存在する場合と存在しない場合との支持構造体/フィルタ部材アセンブリを示している。支持構造体10は、リム11を備える。リム11は、フィルタ材料22のプレカットシートがその上に配置される内向きに延びる肩部18を有する。リムの第1の側部から延びているのは、第1の取り付け形成部13であり、第2の取り付け形成部14は、リムの第2の側部から延びる。支持フレーム10はまた、シールド12を備える。シールド12の後部を横切る一連の垂直リブ29は、シールド12とフィルタ材料22との間の間隔が維持されることを確実にする。
【0125】
本発明によるフィルタマスクの第2の実施形態は、図9a及び図9bに見ることができ、全体的に100で示されている。マスクの構造は、マスク100がマッシュルーム弁101(閉位置で示されている)を更に備えることを除いて、図6及び図7に示される第1の実施形態に関連して説明されたものと実質的に同じである。顎領域において、支持フレームのリム102は、上向き突出部分103を備え、シールド104及びフィルタ材料105の形状は、それらが上向き突出部分103を収容するように、リム102の内側周辺部の形状に対応する。フィルタ材料105は、TPE106の周囲リムによって、上向き突出部分103を含む支持フレームのリム102の周辺部に沿ってシールされる。上向き突出部は開口を備え、マッシュルーム弁101は、シール部材107も形成するオーバーモールドステップの一部として開口内に形成される。マッシュルーム弁101は、呼気がフィルタ材料105を通過することなく逃げることを可能にする。あるいは、マッシュルーム弁101をシールド104内に収容することができる。
【0126】
図10a及び図10bに示されるフィルタマスクの第3の実施形態は、全体的に110で示され、図9a及び図9bに関連して第2の実施形態において説明されたものと実質的に同じ構造を有するが、マッシュルーム弁の代わりにエルボー接続部111を示している。エルボー接続部111は、マスク110をネブライザなどの他の医療機器に接続することを可能にする。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
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【国際調査報告】