(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】最適化された誘電体加熱のための充填された共振くぼみ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20231214BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20231214BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535417
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021081948
(87)【国際公開番号】W WO2022128290
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス フローレス アナ イザベル
(72)【発明者】
【氏名】ガザニー タヘレ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ マイク
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB22
4B162AB23
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC41
4B162AD08
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置が提供されている。装置は、電磁場発生装置および共振チャンバーを備える。電磁場発生装置は、所定の周波数組成を有する無線周波数(RF)電磁放射を発生させるように構成される。共振チャンバーは、共振チャンバー内でRF電磁放射に対して実質的に不透明であるように構成された周壁を備える。充填物は、共振チャンバー内に画定される基体くぼみを囲むように、共振チャンバーの内部内に配置されている。基体くぼみは、エアロゾル形成基体を受容するように構成されている。電磁場発生装置は、電磁場発生装置によって発生したRF電磁放射を共振チャンバーに伝達するように、共振チャンバーに連結される。充填物は、1より大きい比誘電率を有する。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置であって、前記装置が、
所定の周波数組成を有する無線周波数(RF)電磁放射を発生させるように構成された電磁場発生装置と、
前記共振チャンバー内でRF電磁放射に対して実質的に不透明であるように構成された周壁を備える共振チャンバーと、
前記共振チャンバー内に画定される基体くぼみを囲むように、前記共振チャンバーの内部内に配置されており、前記基体くぼみが前記エアロゾル形成基体を受容するように構成されている、充填物と、を備え、
前記電磁場発生装置が、前記電磁場発生装置によって発生した前記RF電磁放射を前記共振チャンバーに伝達するように、前記共振チャンバーに連結され、
前記充填物が、1よりも大きい比誘電率を有する、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記充填物が誘電体であるか、または誘電体を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記充填物の前記比誘電率、前記所定の周波数組成、および前記共振チャンバーの寸法が、使用時に、前記所定の周波数組成を有する前記RF電磁放射が前記共振チャンバーの内部内で共振するように構成されている、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記充填物が、5~100の比誘電率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記充填物が、40~50の比誘電率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記充填物が、アルミナ、MgNb
2O
6、ZnNb
2O
6、MgTa
2O
6、ZnTa
2O
6、およびガラスのうちの少なくとも一つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル発生装置の外部から空気を受けるように構成された空気吸込み口を備え、前記エアロゾル発生装置が、前記空気吸込み口と前記共振チャンバーとの間に延在する流体流路をさらに備え、その結果、前記基体くぼみと前記空気吸込み口との間の負の差圧がかかることによって、前記空気吸込み口を通り、前記流体流路に沿って、前記基体くぼみに入る、外部空気の流れが誘発されるようになる、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記充填物が、前記基体くぼみを連続的に囲むように配置されたスリーブを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記充填物が、前記基体くぼみを不連続に囲むように互いに間隔を置いた複数の個別のクラスターを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記基体くぼみの外周が、RF電磁放射に対して実質的に透明であるように構成されたライナーによって画定され、前記ライナーが前記充填物と前記基体くぼみの間に位置する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記ライナーが、RF電磁放射に対して実質的に透明な材料を含む、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記ライナーが、使用時、前記RF電磁放射の前記基体くぼみ内への進入を可能にするように配置された複数のスロットを備える、請求項10または請求項11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記共振チャンバーの前記周壁の小さな部分がRF電磁放射に対して実質的に透明であり、使用時に、前記RF電磁放射が前記共振チャンバーに進入することを可能にする、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記共振チャンバーが、10ミリメートル~50ミリメートル、または25ミリメートル~35ミリメートルの直径を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
ユーザーにエアロゾルを送達するためのエアロゾル送達システムであって、前記システムが、
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置、エアロゾル送達システム、およびファンエアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル形成基体から吸入可能なエアロゾルを発生させる、多くの異なるタイプの個人用気化器および加熱非燃焼式製品が利用可能である。これらのシステムの一部は液体組成物を加熱し、その他は固体たばこ混合物を加熱する。ほぼすべての利用可能なシステムは、発熱体からエアロゾル形成基体への熱の伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。最も一般的には、これは電気抵抗性のある発熱体に電流を流し、発熱体のジュール加熱を生じさせることによって達成される。誘導加熱システムも提案されており、ジュール加熱は、サセプタ発熱体に誘導された渦電流の結果として起こる。
【0003】
これらのシステムの一つの問題は、エアロゾル形成基体の不均一な加熱を生じさせることである。発熱体に最も近いエアロゾル形成基体の部分は、発熱体からより離れたエアロゾル形成基体の部分よりも速く、またはより高温に加熱される。この問題を軽減するために、様々な設計が使用されてきた。一部の設計は、複数の発熱体を使用して、熱を分配する、または異なる時間に基体の異なる部分を加熱する能力を提供する。他の設計は、エアロゾル形成基体の小さな部分のみを発熱体に搬送し、従って、エアロゾル形成基体の別の部分を発熱体に搬送する前に、その小さな部分のみが気化される。
【0004】
上記の既知のシステムの困難を克服するために、無線周波数(RF)電磁放射を使用して、エアロゾル発生装置内に配置されたエアロゾル形成基体に熱を付与することが提案されている。エアロゾル形成基体の加熱を誘発するためにRF電磁放射を使用することは、発熱体と基体との間の直接接触を必要とせずに概して均一な基体の加熱を提供する利点を提供する。ところが、装置が手持ち式または携帯式であることを可能にする形状因子を有するエアロゾル発生装置に適用されたとき、産業科学医療用(ISM)バンドで一般的に見られる周波数でRF電磁放射を使用することは、結果的に多くの場合、基体への放射の電力堆積が不十分になる場合があることが見出された。[ISMバンドは、電気通信以外の産業科学医療用(ISM)目的のために国際的に確保されている無線スペクトルの部分である。]不十分な電力堆積は、基体の加熱が、基体からエアロゾルを効率的に発生させるのに不十分となり、それによってエアロゾル発生装置ユーザーに対して質の低いユーザー体験を提供する。不十分な電力堆積および不十分な基体の加熱は、装置を手持ち式および携帯可能にできるようにするのに必要なエアロゾル発生装置の寸法が、適用されるRF電磁放射の波長組成と一致していないことがもたらす結果である。一例として、約2.45GHzの周波数を有するRF電磁放射の使用は、エアロゾル発生装置において望ましいものであり、この周波数はISMバンド範囲内であり、電子レンジなどの家庭用器具で一般的に用いられている。ところが、2.45GHzの周波数は、約12センチメートルの波長に対応し、これは、エアロゾル発生装置を手持ち式にするために要求される寸法をはるかに超える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、装置が手持ち式または携帯可能であることを容易にする様式で、RF電磁加熱の使用を通して、エアロゾル発生装置におけるエアロゾル形成基体の加熱を改善することが望まれる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の一態様によると、エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置が提供されている。装置は、所定の周波数組成を有する無線周波数(RF)電磁放射を発生させるように構成された電磁場発生装置と、共振チャンバー内でRF電磁放射に対して実質的に不透明であるように構成された周壁を備える共振チャンバーと、共振チャンバー内に画定される基体くぼみを囲むように、共振チャンバーの内部内に配置されており、基体くぼみがエアロゾル形成基体を受容するように構成されている、充填物と、を備える。電磁場発生装置は、電磁場発生装置によって発生したRF電磁放射を共振チャンバーに伝達するように、共振チャンバーに連結される。充填物は、1より大きい比誘電率を有する。
【0007】
充填物の比誘電率εrは、充填物の絶対誘電率εの電気定数ε0に対する比率を意味する。比誘電率εrという用語は、「誘電定数」と呼ばれることもある。
【0008】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用して、ユーザーの口を通してユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生させる喫煙装置であることが好ましい。エアロゾル発生装置は、喫煙物品のためのホルダーであり得る。
【0009】
エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を経てユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生させる喫煙物品であることが好ましい。さらに、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なニコチン含有エアロゾルを発生させる喫煙物品であることが好ましい。
【0010】
本明細書で使用される「エアロゾル送達システム」という用語は、エアロゾル発生装置とエアロゾル発生物品との組み合わせを指し、エアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置は協働して、エアロゾルを発生させ、システムのユーザーに送達する。
【0011】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、加熱時に揮発性化合物を放出して、エアロゾルを発生する能力を持つエアロゾル形成材料から構成される、またはそれを含む基体を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、無線周波数(RF)という用語は、3Hz~3THzの間の周波数を意味し、マイクロ波を含む。好ましくは、RF電磁場は、500Mhz~50GHzの周波数を有してもよく、より好ましくは、900MHz~30GHzの周波数を有してもよい。RF電磁場は、900MHz~5GHzの周波数を有してもよい。好ましい一実施例では、RF電磁場は、約2.4GHzの周波数を有してもよい。
【0013】
理想的なシナリオでは、共振チャンバーに提供されるRF電磁放射の所定の周波数組成は、共振チャンバーの基本共振周波数に対応するものとなる。このシナリオでは、共振チャンバー内に確立されるRF電磁放射の定在波をもたらすことになる。基本周波数での定在波の振幅は、チャンバーの周壁から十分に離れたところで最大となる。一例として、円筒形の周壁を有する共振チャンバーについては、基本共振周波数での定在波は、円筒形の周壁の長軸方向軸に沿った最大振幅を有することになる。したがって、長軸方向軸に沿って、または長軸方向軸の近くに、共振チャンバーの周壁から離れて基体を配置することは、RF電磁放射の定在波と基体との効率的な結合を容易にし、結果的に基体の効率的な加熱をもたらすのに役立つ。
【0014】
共振チャンバーの内部で1よりも大きな比誘電率εrを有する充填物を提供することは、充填物が全くない同じ共振チャンバーと比較して(すなわち、完全に中空であり、かつ空気のみを含有する共振チャンバーと比べて)、共振チャンバーの共振周波数を減少させるという有益な効果を有することが判っている。一般的な用語では、所定サイズの共振チャンバーの場合、充填物の比誘電率εrが大きいほど、共振チャンバーの共振周波数が小さくなる。したがって、共振チャンバーが、手持ち式および携帯可能であるエアロゾル発生装置と一致するサイズを有する場合、使用される充填物は、共振チャンバーの共振周波数が、電磁場発生装置によって発生されるRF電磁放射の所定の周波数組成に対応するよう調整するように選択されることができる。基体くぼみを囲むように、共振チャンバーの内部内に充填物を配置することは、基体を共振チャンバーの周壁から離して位置付けることを助ける。これは、結果として、チャンバー内に確立されたRF電磁放射の任意の定在波との基体の結合を増加させるのに役立つ。これらの利点は、RF電磁放射を過度に高い周波数で使用することなく達成することができ、したがって電磁場発生の設計の複雑さを低減する。所定の周波数組成は、単一の周波数、または複数の個別の周波数からなりうる。一例として、充填物の使用は、2.45GHzの所定の周波数でRF電磁放射を用いるエアロゾル発生装置が、基体くぼみ内に位置するエアロゾル形成基体を効率的に加熱することを可能にする一方で、なおもエアロゾル発生装置が手持ち式および携帯可能であることに適した寸法を維持することを可能にする。
【0015】
有利なことに、充填物の比誘電率εr、所定の周波数組成、および共振チャンバーの寸法は、使用時に、所定の周波数組成を有するRF電磁放射が共振チャンバーの内部内で共振するように構成される。このようにして、共振チャンバーの基体くぼみ内に位置するエアロゾル形成基体のRF電磁放射による効率的な加熱が促進される。好ましくは、この共振は、共振チャンバーの基本共振周波数で発生する。ところが、代替的な実施形態では、共振は、共振チャンバーの倍音または高調波周波数のうちの一つで発生しうる。
【0016】
充填物は、誘電体からなるか、または誘電体を含んでもよい。好都合にも、充填物は、5~100の比誘電率εrを有する。有利なことに、充填物は40~50の比誘電率を有する。充填物は、アルミナ、MgNb2O6、ZnNb2O6、MgTa2O6、ZnTa2O6、およびガラスのうちの少なくとも一つを含むか、またはそれらからなりうる。以下の表は、これらの例示的な充填物材料についての比誘電率εrの値を詳述する。
【0017】
【0018】
好ましくは、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生装置の外側から空気を受けるように構成された空気吸込み口を備える。エアロゾル発生装置は、基体くぼみと空気吸込み口との間に負の差圧を適用することで、空気吸込み口を通して、流体流路に沿って、および基体くぼみの中への外部空気の流れを誘発するように、空気吸込み口と共振チャンバーとの間に延在する流体流路をさらに備えてもよい。一例として、負の差圧は、エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体がエアロゾル発生装置の基体くぼみ内に位置するように位置付けられた状態で、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品の口側端をユーザーが吸うことで適用されてもよい。したがって、ユーザーがエアロゾル発生物品の口側端を吸うことにより、空気は空気吸込み口を通って、かつ装置の流体流路に沿って、共振チャンバー内に引き込まれた後、エアロゾル発生物品の内部に引き込まれて、物品のエアロゾル形成基体を通過する。共振チャンバー内のRF電磁放射の加熱作用によって基体から発生したエアロゾルは、ユーザーの口の方へ運ばれることになる。
【0019】
好都合にも、充填物は、基体くぼみを連続的に囲むように配置されたスリーブを備える。スリーブの形態での充填物の提供は、基体くぼみ内に位置付けられたエアロゾル形成基体への支持を提供するために、充填物が基体くぼみの内面を形成することを可能にしうる。ところが、代替的な実施例では、充填物は、基体くぼみを不連続に囲むように、互いに間隔を置いた複数の個別のクラスターを含んでもよい。
【0020】
基体くぼみの外周は、RF電磁放射に対して実質的に透明であるように構成されたライナーによって画定されてもよく、ライナーは充填物と基体くぼみの間に位置する。こうしたライナーの使用は、くぼみでのエアロゾル形成基体の挿入または除去時に充填物が損傷することを回避するのに役立ち、一方でなおもRF電磁放射を基体くぼみ内に通過させて、基体と結合させ、基体に作用することを可能にする。好ましくは、ライナーは、RF電磁放射に対して実質的に透明な材料を含みうる。一例として、ライナーは、テフロン、高純度石英、またはポリテトラフルオロエチレンを含んでもよい。これらの材料は、高温に耐えることができ、滑らかで掃除しやすい表面を提供する。代替的にまたは追加的に、ライナーは、使用時に、RF電磁放射が基体くぼみに進入することを可能にするように配置された複数のスロットを備えてもよい。複数のスロットは、基体くぼみの周りに対称または反復パターンで提供されてもよく、それによって、くぼみの周辺の周りに一様な様式で基体くぼみに入るRF電磁放射を提供するという利点を提供する。複数のスロットは、ライナーをRF電磁放射に対して不透明な材料から作製できるようにしうる。ライナーの材料および設計の選択は、共振チャンバーの基体くぼみ内をRF電磁放射が通過することを妨げるライナーを回避または低減する必要性による影響を受ける。
【0021】
共振チャンバー内のRF電磁放射に対して実質的に不透明であるように構成された共振チャンバーの周壁を有することは、エアロゾル発生装置の使用中にくぼみ内に導入されるRF電磁放射がくぼみ内に限定されることを確実にするのに役立つ。これは、装置のユーザーがRF電磁放射に曝露される可能性を低減するのに役立つ。また、共振チャンバーの基体くぼみ内に位置する基体を効率的に加熱することは、RF電磁放射に対する共振チャンバーの周壁の不透明性によって促進される。共振チャンバーの周壁は、アルミニウム、ステンレス鋼、銀、または金などのRF電磁放射を通さない任意の適切な材料を含んでもよい。周壁の内向き表面は、共振チャンバー内でのそこからのRF電磁放射の反射を改善するために研磨された表面を有してもよく、それによって、基体くぼみ内に位置する基体の効率的な加熱も強化される。周壁のための材料は、共振チャンバーの内部内でRF電磁放射を内部的に反射するように作用し、それによって、RF電磁放射と基体くぼみ内に位置する基体との結合を強化することを助けるものが選択されることが好ましい。
【0022】
ところが、共振チャンバーの周壁の小さな部分は、使用時に、RF電磁放射が共振チャンバーに進入することを可能にするように、RF電磁放射に対して実質的に透明であってもよい。「小さな部分」とは、共振チャンバーの周壁の総表面積の20%未満を形成する累積表面積を有する周壁の一部を意味する。RF電磁放射に対して透明である周壁の小さな部分の使用は、電磁場発生装置によって発生されるRF電磁放射が共振チャンバー内部に進入することを促進にするのに役立つ。ところが、共振チャンバーの基体くぼみ内に位置する基体の効率的な加熱を促進するために、こうしたRF透明の小さな部分から形成される周壁の割合を最小化することが好ましい。例えば、小さな部分は、共振チャンバーの周壁の総表面積の15%未満、好ましくは10%未満、または好ましくは5%未満を形成する累積表面積を有しうる。小さな部分は、共振チャンバーの周壁内に形成された複数のスロットを含んでもよい。複数のスロットは、使用時に、RF電磁放射が共振チャンバーに進入することを可能にするように配置されてもよい。好ましくは、複数のスロットは、共振チャンバーの周壁の周りに対称または反復パターンで提供されてもよく、それによって、共振チャンバー内へのRF電磁放射の進入を、チャンバーの周辺の周りに一様な様式で促進するという利点を提供する。代替的にまたは追加的に、小さな部分は、RF電磁放射に対して実質的に透明な材料を含んでもよい。一例として、小さな部分は、テフロン、高純度石英、またはポリテトラフルオロエチレンを含んでもよい。小さな部分がRF電磁放射に対して実質的に透明な材料を含む場合、小さな部分は、RF電磁放射の通過を可能にする「窓」とみなすことができ、同時に共振チャンバーの周壁の構造の一部を形成することもできる。
【0023】
エアロゾル発生装置は、放射封じ込めチャンバーを備えてもよく、放射封じ込めチャンバーは共振チャンバーを囲み、RF電磁放射に対して実質的に不透明であるように構成される。こうした放射封じ込めチャンバーを提供することは、共振チャンバーからRF電磁放射が漏れることに対する追加の保護層を提供するのに役立つ。こうした放射封じ込めチャンバーを使用することは、チャンバーの周壁が(上述したように)RF電磁放射に対して実質的に透明な小さな部分を有する共振チャンバーの実施例で、特に有益であり得る。共振チャンバーを囲む放射封じ込めチャンバーの存在は、放射封じ込めチャンバーの境界内に、共振チャンバーの内部から漏れた可能性のある任意のRF電磁放射を閉じ込めるのに役立つ。放射封じ込めチャンバーは、アルミニウム、ステンレス鋼、銀または金などのRF放射を通さない任意の適切な材料を含んでもよい。
【0024】
エアロゾル発生装置内で使用されるエアロゾル形成基体は、様々な形態を取ってもよい。エアロゾル形成基体は、固体を含み得る。エアロゾル形成基体は、液体を含み得る。エアロゾル形成基体は、ゲルを含み得る。エアロゾル形成基体は、固体、液体、およびゲルのうちの2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、RF電磁放射の作用下など、誘電体加熱に影響されやすい極性分子を含むことが好ましい。一例として、エアロゾル形成基体は、水を含んでもよく、水は誘電体加熱に特に影響されやすい。エアロゾル形成基体は、固体形態であるが、水または極性分子を含有する別の液体に浸された状態で提供されてもよい。このようにして、RF電磁放射は、水または他の液体の極性分子を励起し、それによって熱を発生させた後、その熱はエアロゾル形成基体の材料に伝達される。
【0025】
エアロゾル形成基体は、ニコチン、ニコチン誘導体、またはニコチン類似体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、一つ以上のニコチン塩を含んでもよい。1つ以上のニコチン塩は、クエン酸ニコチン、乳酸ニコチン、ピルビン酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、ペクチン酸ニコチン、アルギン酸ニコチン、およびサリチル酸ニコチンからなるリストから選択されてもよい。
【0026】
エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成体」は、使用時に、高密度で安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生物品の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある、任意の好適な既知の化合物または化合物の混合物を指す。好適なエアロゾル形成体は、当業界で周知であり、限定されるものではないが、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなどの多価アルコール、グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなどの多価アルコールのエステル、およびドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなどの、モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステルが挙げられる。好ましいエアロゾル形成体は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの、多価アルコールまたはその混合物である。
【0027】
エアロゾル形成基体は、風味剤をさらに含み得る。風味剤は、揮発性風味成分を含み得る。風味剤は、メントールを含み得る。本明細書に使用される場合、「メントール」という用語は、その異性体のいずれかにおける化合物2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノールを示す。風味剤は、メントール、レモン、バニラ、オレンジ、ウインターグリーン、チェリー、およびシナモンからなる群から選択される風味を提供し得る。風味剤は、加熱時に基体から放出される揮発性たばこ風味化合物を含んでもよい。
【0028】
エアロゾル形成基体は、たばこまたはたばこ含有材料をさらに含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、たばこスラリー、キャスト葉たばこ、および膨化たばこのうちのいずれかを含んでもよい。任意選択的に、エアロゾル形成基体は、不活性材料、例えば、ガラスもしくはセラミック、または別の好適な不活性材料で圧縮されたたばこ粉末を含んでもよい。
【0029】
エアロゾル形成基体が液体またはゲルを含む場合、いくつかの実施形態では、エアロゾル発生物品は、吸収性担体を含み得る。エアロゾル形成基体は、吸収性担体上に被覆されるか、または吸収担体内に含浸され得る。例えば、ニコチン化合物およびエアロゾル形成体は、液剤として、水と混合され得る。液剤は、一部の実施形態では、風味剤をさらに含み得る。こうした液剤は、次に、吸収性担体によって吸収されるか、または吸収性担体の表面上に被覆され得る。吸収性担体は、その上にニコチン化合物およびエアロゾル形成体が被覆または吸収され得る、セルロースベースの材料のシートまたは錠剤であってもよい。吸収性担体は、液体保持特性および毛細管特性を有し、その上に液体またはゲルエアロゾル形成基体が被覆または吸収されている、金属、ポリマー、または植物性発泡体であってもよい。
【0030】
好都合にも、基体くぼみは、カートリッジが基体くぼみ内に完全に封入されるように、エアロゾル形成基体のカートリッジを受けるように構成されてもよい。カートリッジは、エアロゾル形成基体のみからなってもよく、例えば、カートリッジは、エアロゾル形成基体のプラグまたはペレットの形態を有してもよい。代替的に、カートリッジは、ケーシングを備えてもよく、ケーシングはエアロゾル形成基体を収容する。一例として、ケーシングは、液体またはゲルの形態のエアロゾル形成基体で充填されてもよい。液体充填ケーシングまたはゲル充填ケーシングは、液体またはゲルが共振チャンバーの基体くぼみ内でRF電磁放射によって加熱されたときに破裂するように構成されてもよい。液体またはゲルで充填されたケーシングはまた、液体またはゲルが加熱されたときに開くように構成された一つ以上の弁を備えてもよく、加熱は、ケーシング内の液体/ゲルの膨張、およびケーシング内の圧力の上昇をもたらす。一つ以上の弁は、ユーザーがエアロゾル発生装置を通して空気を引き出すときに開くように構成されてもよい。ケーシングは、RF電磁放射に対して実質的に透明であるように形成され、それによって、共振チャンバー内のRF電磁放射とエアロゾル形成基体との間の相互作用の妨害を回避することが非常に望ましい。代替的に、基体くぼみは、開放端および閉鎖端を有するブラインドくぼみとして構成されてもよく、基体くぼみは、開放端を介して、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の長さの少なくとも一部を受けるように構成される。この代替的な例では、基体くぼみは、従来的な紙巻たばこの形状因子に似た細長いエアロゾル発生物品を受容するような寸法にされてもよく、ユーザーはその口で物品の口側端にあてることによって、エアロゾル発生物品の基体から発生したエアロゾルを吸入する。
【0031】
好ましくは、エアロゾル発生装置は、基体くぼみと流体連通するマウスピースを備えてもよい。装置上にマウスピースを提供することにより、ユーザーはその口で装置の一部、すなわちマウスピースをくわえることによって、基体から発生したエアロゾルを吸入することを可能にしうる。エアロゾル発生装置上にマウスピースを提供することは、基体くぼみが、カートリッジが基体くぼみ内に完全に封入されるように、エアロゾル形成基体のカートリッジを受けるように構成される場合に、特に有利である。エアロゾル発生装置は、共振チャンバーからマウスピースの外側へのRF電磁放射の通過を妨害するように、共振チャンバーとマウスピースの間(またはマウスピース内)に位置付けられた放射シールドをさらに備えてもよい。こうした放射シールドの提供は、ユーザーの口を装置のマウスピースに当てるときに、共振チャンバーからのRF電磁放射に直接曝露される可能性を低減するのに有益である。放射シールドは、RF電磁放射に対して不透明な任意の適切な材料で形成されてもよい。一例として、放射シールドは、アルミニウム、ステンレス鋼、銀または金などのRF放射を通さない任意の適切な材料を含んでもよい。放射シールドはまた、RF電磁放射を反射するように構成されてもよい。放射シールドは、発生されたエアロゾルがシールドを越えて通過することを可能にするために流体透過性であってもよく、一例として、放射シールドは金属メッシュを含んでもよい。好都合にも、放射シールドは、共振チャンバーとマウスピースとの間に位置付けられた迷路のような流路を備えてもよい。迷路のような流路の使用は、共振チャンバー内のRF電磁放射の放射シールドを越えた直接的な見通し線を回避し得る。
【0032】
エアロゾル発生装置は、電磁場発生装置によって発生されたRF電磁放射を共振チャンバーに伝達するように構成された、導波管およびアンテナのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0033】
有利なことに、電磁場発生装置は、ソリッドステートRFトランジスタを含んでもよい。ソリッドステートRFトランジスタの使用により、コンパクトな形状因子を有するようにエアロゾル発生装置を作製することができ、それによって装置が手持ち式または携帯可能となることを支援する。家庭用電子レンジなどの加熱用のRF周波数放射を生成するための従来的な手段は、マグネトロンである。マグネトロンはかさばり、動作には非常に高い電圧が必要なため、手持ち式装置には不向きである。さらに、マグネトロンは比較的不安定な周波数出力を有し、比較的短い寿命を有する。対照的に、ソリッドステートRFトランジスタは、より多くの使用サイクルにわたって一貫した動作を提供し、はるかに低い動作電圧を必要とする。有利なことに、ソリッドステートRFトランジスタは、RF電磁放射場を発生させて増幅するように構成されている。好都合にも、エアロゾル発生装置は、RF電磁放射場の発生および増幅の両方を提供するために単一のソリッドステートRFトランジスタを採用し、それによって、複数のこうしたトランジスタの使用と比較して、装置の形状因子を減少させる。ソリッドステートRFトランジスタは、例えば、LDMOSトランジスタ、GaAs FET、SiC MESFET、またはGaN HFETであってもよい。
【0034】
エアロゾル発生装置は、制御回路および電源を備えてもよい。制御回路は、電源から電磁場発生装置への電力供給を制御するように構成されてもよい。制御回路はマイクロプロセッサ、プログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供することができる他の電子回路を含み得る。制御回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。例えば、制御回路は、センサー、スイッチ、ディスプレイ要素のいずれかを備えてもよい。制御回路は、RF電力センサーを含み得る。制御回路は、電力増幅器を含み得る。制御回路は、プロセッサまたは制御回路の他の構成要素部品によって読み取り可能な命令を含むメモリモジュールを備えてもよく、命令は、電磁場発生装置の動作を制御するために使用される。電源は、DC電源を備えてもよい。電源は、少なくとも一つの電池を含み得る。少なくとも一つの電池は、再充電可能リチウムイオン電池を含み得る。代替として、電源はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。
【0035】
好ましくは、エアロゾル発生装置は、細長いハウジングを備えてもよく、電磁場発生装置および共振チャンバーは細長いハウジングの内部に提供される。装置に細長いハウジングを使用することは、ユーザーが装置を手で持つことを容易にするための装置の幾何学的アスペクト比を提供する。細長いプロファイルはまた、従来の紙巻たばこまたは葉巻たばこにも見られ、本開示のエアロゾル発生装置でこのようなプロファイルを使用することは、装置のユーザーに親しみやすさという利点を提供する。好都合にも、細長いハウジングは、概して円筒状の形状であってもよい。
【0036】
有利なことに、共振チャンバーおよび充填物は、細長いハウジングの長さに沿って同心円状に配置されてもよい。こうした配置は、エアロゾル発生装置の形状因子を低減するのに有益である場合があり、ハウジングの長軸方向軸に対して垂直な方向(例えば、ハウジングが円筒形である細長いハウジングの直径)に細長いハウジングのサイズを最小に維持することを可能にしうる。
【0037】
上述のように、本開示は、エアロゾル発生装置の形状因子が、装置が手持ち式または携帯可能であるために十分に小さいことを助長する。したがって、エアロゾル発生装置の共振チャンバーは、約10ミリメートル~約50ミリメートル、またはより好ましくは約25ミリメートル~約35ミリメートルの直径を有してもよい。共振チャンバーは、約5ミリメートル~約25ミリメートル、またはより好ましくは約10ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有してもよい。基体くぼみは、約3ミリメートル~約15ミリメートル、またはより好ましくは約5ミリメートル~約10ミリメートルの直径を有してもよい。基体くぼみは、約5ミリメートル~約25ミリメートル、またはより好ましくは約10ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有してもよい。共振チャンバーはエアロゾル発生装置の一部であるため、共振チャンバーのサイズは装置のサイズの決定要因となる。エアロゾル発生装置は、約30ミリメートル~約150ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生装置は、約10ミリメートル~約60ミリメートルの外径を有してもよい。
【0038】
上述のように、充填物の有利な効果によって、エアロゾル発生装置の共振チャンバーの基体くぼみ内での効率的な基体の加熱を提供するために、2.45GHzの周波数を有するRF電磁放射を使用することを可能にし、一方で、装置が手持ち式または携帯可能であるのに適した形状因子を維持することが可能であることが見出された。2.45GHzの周波数は、従来の電子レンジで一般的に使用されている周波数に対応する。
【0039】
本開示の第二の態様では、エアロゾルをユーザーに送達するためのエアロゾル送達システムが提供される。システムは、前述の段落および本開示の第一の態様に対応する請求項のいずれかに記載されるエアロゾル発生装置を備える。追加的に、システムは、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品を備える。エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品は、二つの別個の実体であり、それらは、i)互いに独立して提供および販売され、その後一つに合わせてエアロゾル送達システムを形成するか、またはii)部品のキットとして提供および販売され、組み立てられたときにエアロゾル送達システムを形成する、ものでもよい。
【0040】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含有する使い捨てカートリッジとして提供されてもよく、カートリッジは基体くぼみ内に完全に封入されるように構成される。第一の態様に関連して論じるように、カートリッジは、例えば、エアロゾル形成基体のプラグまたはペレットの形態である、エアロゾル形成基体のみからなりうる。代替的に、カートリッジは、ケーシングを備えてもよく、ケーシングはエアロゾル形成基体を収容する。第一の態様に関連しても論じるように、ケーシングは、液体またはゲルの形態のエアロゾル形成基体で充填されてもよい。液体充填ケーシングまたはゲル充填ケーシングは、液体またはゲルが共振チャンバーの基体くぼみ内でRF電磁放射によって加熱されたときに破裂するように構成されてもよい。液体またはゲルで充填されたケーシングはまた、液体またはゲルが加熱されたときに開くように構成された一つ以上の弁を備えてもよく、加熱は、ケーシング内の液体/ゲルの膨張、およびケーシング内の圧力の上昇をもたらす。一つ以上の弁は、ユーザーがエアロゾル発生装置を通して空気を引き出すときに開くように構成されてもよい。ケーシングは、RF電磁放射に対して実質的に透明であるように形成され、それによって、共振チャンバー内のRF電磁放射とエアロゾル形成基体との間の相互作用の妨害を回避することが非常に望ましい。
【0041】
基体くぼみは、開放端および閉鎖端を有するブラインドくぼみとして構成されてもよく、エアロゾル形成基体が基体くぼみ内に位置付けられるように、エアロゾル発生物品の長さの少なくとも一部分が、開放端を介して基体くぼみ内に受容可能である。こうしたブラインドくぼみの提供は、エアロゾル発生物品が、従来の紙巻たばこまたは葉巻たばこの形状因子に似た形態で細長い場合に、特に好適である。一例として、エアロゾル発生物品は、使用時に、ユーザーがその口を口側端にあてて物品を吸い、RF電磁放射による加熱中に基体から発生したエアロゾルを吸入するように構成される、口側端を備えてもよい。
【0042】
好都合にも、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を封入してロッドを画定するラッパーを備えてもよく、ロッドは口側端および遠位端を有する。使用時に、ユーザーはその口をロッドの口側端にあてて、ロッドを吸い、RF電磁放射による加熱中に基体から発生したエアロゾルを吸入しうる。好ましくは、ラッパーは、RF電磁放射に対して実質的に透明な材料で形成されてもよく、それによって、ラッパーが共振チャンバー内のRF電磁放射と、エアロゾル形成基体との相互作用を阻害する可能性を低減する。一例として、ラッパーは紙ベースであってもよい。代替的に、ラッパーは、RF電磁放射に対して実質的に不透明な材料で形成されてもよく、ラッパーは、使用時に、RF電磁放射がエアロゾル発生物品の内部に入ることができるように配置された複数のスロットをさらに備える。有利なことに、エアロゾル発生物品は、物品を通して口側端へのRF電磁放射の通過を妨害するように、エアロゾル形成基体と口側端との間のロッド内に配置された放射シールドを備えてもよい。放射シールドは、RF電磁放射に対して不透明な任意の適切な材料で形成されてもよい。一例として、放射シールドは、アルミニウム、ステンレス鋼、銀または金などのRF放射を通さない任意の適切な材料を含んでもよい。放射シールドはまた、RF電磁放射を反射するように構成されてもよい。放射シールドは、発生されたエアロゾルがシールドを越えて通過することを可能にするために流体透過性であってもよく、一例として、放射シールドは金属メッシュを含んでもよい。
【0043】
本開示の第三の態様では、前述の段落および本開示の第一の態様に対応する請求項のいずれかに記載されるエアロゾル発生装置、または、前述の段落および本開示の第二の態様に対応する請求項のいずれかに記載されるエアロゾル送達システムの使用により、エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させる方法が提供されている。方法は、エアロゾル形成基体を基体くぼみ内に位置付けることと、電磁場発生装置を操作して所定の周波数組成物を有する無線周波数(RF)電磁放射を発生させることと、RF電磁放射を共振チャンバーの内部内に伝達して基体くぼみ内に位置付けられたエアロゾル形成基体を加熱することと、を含む。
【0044】
本開示の第一の態様に関連して記載されるように、好ましくは、充填物の比誘電率、所定の周波数組成、および共振チャンバーの寸法は、使用時に、所定の周波数組成を有するRF電磁放射が共振チャンバーの内部内で共振するように選択される。
【0045】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供する。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【実施例】
【0046】
[実施例1]
エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生装置であって、装置が、所定の周波数組成を有する無線周波数(RF)電磁放射を発生させるように構成された電磁場発生装置と、共振チャンバー内でRF電磁放射に対して実質的に不透明であるように構成された周壁を備える共振チャンバーと、共振チャンバー内に画定される基体くぼみを囲むように、共振チャンバーの内部内に配置されており、基体くぼみがエアロゾル形成基体を受容するように構成されている、充填物と、を備え、電磁場発生装置が、電磁場発生装置によって発生したRF電磁放射を共振チャンバーに伝達するように、共振チャンバーに連結され、充填物が、1よりも大きい比誘電率を有する、エアロゾル発生装置。
【0047】
[実施例2]
充填物が誘電体であるかまたはそれを含む、実施例1によるエアロゾル発生装置。
【0048】
[実施例3]
充填物の比誘電率、所定の周波数組成、および共振チャンバーの寸法が、使用時に、所定の周波数組成を有するRF電磁放射が共振チャンバーの内部内で共振するように構成されている、実施例1または実施例2のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0049】
[実施例4]
充填物が5~100の比誘電率を有する、実施例1~実施例3のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0050】
[実施例5]
充填物が40~50の間の比誘電率を有する、実施例1~実施例4のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0051】
[実施例6]
充填物がアルミナ、MgNb2O6、ZnNb2O6、MgTa2O6、ZnTa2O6、およびガラスのうちの少なくとも一つを含む、実施例1~実施例5のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0052】
[実施例7]
エアロゾル発生装置が、エアロゾル発生装置の外部から空気を受けるように構成された空気吸込み口を備え、エアロゾル発生装置が、空気吸込み口と前記共振チャンバーとの間に延在する流体流路をさらに備え、その結果、基体くぼみと空気吸込み口との間の負の差圧がかかることによって、空気吸込み口を通り、流体流路に沿って、基体くぼみに入る、外部空気の流れが誘発されるようになる、実施例1~実施例6のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0053】
[実施例8]
充填物が、基体くぼみを連続的に囲むように配置されたスリーブを備える、実施例1~実施例7のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0054】
[実施例9]
充填物が、基体くぼみを不連続に囲むように互いに間隔を置いた複数の個別のクラスターを含む、実施例1~実施例7のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0055】
[実施例10]
基体くぼみの外周が、RF電磁放射に対して実質的に透明であるように構成されたライナーによって画定され、ライナーが充填物と基体くぼみの間に位置する、実施例1~実施例9のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0056】
[実施例11]
ライナーが、使用時、RF電磁放射の基体くぼみへの進入を可能にするように配置された複数のスロットを備える、実施例10によるエアロゾル発生装置。
【0057】
[実施例12]
ライナーがRF電磁放射に対して実質的に透明な材料を含む、実施例10または実施例11のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0058】
[実施例13]
共振チャンバーの周壁の小さな部分がRF電磁放射に対して実質的に透明であり、使用時に、RF電磁放射が共振チャンバーに進入することを可能にする、実施例1~実施例12のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0059】
[実施例14]
小さな部分が共振チャンバーの周壁に形成された複数のスロットを備え、使用時にRF電磁放射が共振チャンバーに進入することを可能にするように複数のスロットが配置された、実施例13によるエアロゾル発生装置。
【0060】
[実施例15]
小さな部分がRF電磁放射に対して実質的に透明な材料を含む、実施例13または実施例14のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0061】
[実施例16]
エアロゾル発生装置が、放射封じ込めチャンバーをさらに備え、放射封じ込めチャンバーが共振チャンバーを取り囲み、かつRF電磁放射に対して実質的に不透明であるように構成される、実施例1~実施例15のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0062】
[実施例17]
基体くぼみが、カートリッジが基体くぼみ内に完全に封入されるように、エアロゾル形成基体のカートリッジを受けるように構成される、実施例1~実施例16のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0063】
[実施例18]
エアロゾル発生装置が、基体くぼみと流体連通するマウスピースを備え、エアロゾル発生装置が、共振チャンバーとマウスピースとの間に、またはマウスピース内に位置付けられた放射シールドをさらに備え、その結果、共振チャンバーからマウスピースの外側へのRF電磁放射の通過を妨害する、実施例1~実施例17のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0064】
[実施例19]
放射シールドが共振チャンバーとマウスピースの間に、またはマウスピース内に位置付けられた迷路のような流路を備える、実施例18によるエアロゾル発生装置。
【0065】
[実施例20]
基体くぼみが、開放端および閉鎖端を有するブラインドくぼみとして構成され、基体くぼみが、開放端を介して、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の長さの少なくとも一部を受けるように構成された、実施例1~実施例16のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0066】
[実施例21]
エアロゾル発生装置が、電磁場発生装置によって発生されたRF電磁放射を共振チャンバーに伝達するように構成された導波管およびアンテナのうちの少なくとも一つをさらに備える、実施例1~実施例20のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0067】
[実施例22]
電磁場発生装置がソリッドステートRFトランジスタを備える、実施例1~21のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0068】
[実施例23]
エアロゾル発生装置が、細長いハウジング、電磁場発生装置、および細長いハウジングの内部内に設けられた共振チャンバーを備える、実施例1~実施例22のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0069】
[実施例24]
共振チャンバーおよび充填物が細長いハウジングの長さに沿って同心円状に配置される、実施例23によるエアロゾル発生装置。
【0070】
[実施例25]
共振チャンバーが10ミリメートル~50ミリメートル、または25ミリメートル~35ミリメートルの直径を有する、実施例1~実施例24のいずれか一つによるエアロゾル発生装置。
【0071】
[実施例26]
所定の周波数組成が単一の周波数である、実施例1~実施例25のいずれかによるエアロゾル発生装置。
【0072】
[実施例27]
エアロゾルをユーザーに送達するためのエアロゾル送達システムであって、システムが、実施例1~実施例26のうちの一つによるエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品と、を備えるエアロゾル送達システム。
【0073】
[実施例28]
エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体を含む使い捨てカートリッジとして提供され、カートリッジが基体くぼみ内に完全に封入されるように構成された、実施例27によるエアロゾル送達システム。
【0074】
[実施例29]
基体くぼみが、開放端および閉鎖端を有するブラインドくぼみとして構成され、エアロゾル形成基体が基体くぼみ内に位置付けられるように、エアロゾル発生物品の長さの少なくとも一部分が、開放端を介して基体くぼみ内に受容可能である、実施例27によるエアロゾル送達システム。
【0075】
[実施例30]
エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体を封入してロッドを画定するラッパーを備え、ロッドが口側端および遠位端を有する、実施例27または実施例29のいずれか一つによるエアロゾル送達システム。
【0076】
[実施例31]
ラッパーが、RF電磁放射に対して実質的に不透明な材料で形成され、ラッパーが、使用時に、RF電磁放射がエアロゾル発生物品の内部に進入することができるように配置された複数のスロットをさらに備える、実施例30によるエアロゾル送達システム。
【0077】
[実施例32]
ラッパーが、RF電磁放射に対して実質的に透明な材料で形成される、実施例30によるエアロゾル送達システム。
【0078】
[実施例33]
エアロゾル発生物品が、物品を通して口側端へのRF電磁放射の通過を妨害するように、エアロゾル形成基体と口側端との間のロッド内に配置された放射シールドをさらに備える、実施例30~実施例32のいずれか一つによるエアロゾル送達システム。
【0079】
[実施例34]
実施例1~実施例26のいずれか一つによるエアロゾル発生装置、または実施例27~実施例33のいずれか一つによるエアロゾル送達システムの使用によって、エアロゾル形成基体を加熱して、そこからエアロゾルを発生させる方法であって、方法が、エアロゾル形成基体を基体くぼみ内に位置付けることと、電磁場発生装置を操作して所定の周波数組成を有する無線周波数(RF)電磁放射を発生させることと、RF電磁放射を共振チャンバーの内部内に伝達して基体くぼみ内に位置付けられたエアロゾル形成基体を加熱することと、を含む方法。
【0080】
[実施例35]
充填物の比誘電率、所定の周波数組成、および共振チャンバーの寸法が、使用時に、所定の周波数組成を有するRF電磁放射が共振チャンバーの内部内で共振するように選択される、実施例34による方法。
【0081】
ここで、以下の図を参照しながら実施例をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】
図1は、誘電体加熱システムの概略図を示す。
【
図2a】
図2aは、エアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品から形成されたエアロゾル送達システムの第一の実施例の概略図を示す。
【
図2b】
図2bは、
図2aのエアロゾル発生装置の概略図を示すが、エアロゾル発生物品は表示していない。
【
図3】
図3は、
図2aおよび
図2bのエアロゾル発生装置の共振チャンバーの斜視概略図を示す。
【
図4】
図4は、
図2aおよび
図2bのエアロゾル発生装置での使用に適した共振チャンバーの代替的な実施例の端面図を示す。
【
図5】
図5は、
図2aおよび
図2bのエアロゾル発生装置との共用に適した例示的なエアロゾル発生物品の概略図を示す。
【
図6a】
図6aは、エアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品から形成されたエアロゾル送達システムの第二の実施例の概略図を示す。
【
図6b】
図6bは、
図6aのエアロゾル発生装置の概略図を示すが、エアロゾル発生物品は表示していない。
【
図7】
図7は、エアロゾル発生装置の共振チャンバーのライナー内に形成されたスロットの可能な構成の概略図を示す。
【
図8】
図8は、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品から形成されるエアロゾル送達システムの第三の実施例の概略図を示す。
【0083】
図1は、無線周波数(RF)電磁放射(誘電体加熱と呼ばれる場合もある)を使用した誘電体加熱システム10の概略図である。システム10は、RF電磁信号発生装置11、電力増幅器12および加熱チャンバー13を有する。電力増幅器12は、RF電磁信号発生装置11に接続され、RF電磁信号発生装置によって発生されるRF信号を増幅するように機能する。アンテナ14は、加熱チャンバー13内に延在するように位置付けられる。アンテナ14は、電力増幅器12の出力に接続され、RF電磁信号発生装置11によって発生されたRF信号を加熱チャンバー13に向けるように動作し、その結果、チャンバー内に振動する電磁放射場が生じる。電力増幅器12の出力は、閉ループ制御を提供するためにRF電磁信号発生装置11にフィードバックされる。加熱される物体15は、加熱チャンバー13中に配置され、RF電磁放射場を受ける。物体15内の極性分子は、振動するRF電磁放射場と整列し、振動する電磁放射場によって動揺し、その結果、物体の温度の上昇をもたらす。この形態の加熱は、(仮に、極性分子が均一に分布している場合には)物体15の全体にわたって均一な加熱を提供するという利点を有する。また、高温発熱体からの熱の伝導または対流を必要としない非接触形態の加熱であるという利点も有する。
図2~8を参照して記載した実施例は、
図1に図示され、この段落に記述される基本的な加熱原理を用いる。
【0084】
図2aは、エアロゾル送達システム100の第一の実施例の概略図を示す。エアロゾル送達システム100は、エアロゾル発生装置200およびエアロゾル発生物品300を備える。
図2bは、
図2aに対応するが、エアロゾル発生物品300の存在は表示していない。
【0085】
エアロゾル発生装置200は、細長いハウジング201を有する。細長いハウジング201は、電源202、制御電子回路203、無線周波数(RF)電磁場発生装置204および共振チャンバー205を含む。電磁場発生装置204は、ソリッドステートトランジスタを含む。電源202は、制御電子回路203およびRF電磁場発生装置204に結合され、それへの電力を供給する。図示した実施例では、電源202は、リチウムイオン電池などの再充電可能電池であってもよい。ところが、代替的な実施例では、他の適切な電源、例えば、代替的な形態の電池またはコンデンサが使用されてもよい。
【0086】
共振チャンバー205は、概して円筒状の形状である周壁206を有する。図示した実施例では、周壁206はアルミニウムから形成される。代替的な実施例では、周壁206は、代わりに、ステンレス鋼またはRF電磁放射に対して実質的に不透明な別の材料で形成されてもよい。さらなる代替的な実施例では、周壁206の内向き表面は、銀、金、またはRF電磁放射に対して実質的に不透明な別の材料の層で被覆されてもよい。
【0087】
共振チャンバー205は、共振チャンバーの長さが概して細長いハウジング201の長軸方向軸207に沿って横たわるように配置される。共振チャンバー205は、チャンバーの一方の端に開口部208があり、チャンバーの反対端209が閉じている、ブラインドくぼみを画定する。アルミナで形成される誘電体充填物210は、共振チャンバー205内に提供されている。アルミナ誘電体充填物210は、9.3~11.5の範囲の比誘電率ε
rを有する。代替的な実施例では、誘電体充填物は、MgNb
2O
6、ZnNb
2O
6、MgTa
2O
6、ZnTa
2O
6、およびガラスのうちの一つ以上で形成され得る。
図2aおよび2bに示す例では、誘電体充填物210は、共振チャンバー205内で基体くぼみ211を囲む環状スリーブとして提供される。エアロゾル発生物品300は、開口部208を介して基体くぼみ211内に受容される。
【0088】
エアロゾル発生装置200はまた、細長いハウジング201の周辺の様々な位置に画定される空気吸込み口212を含む。通路213は、空気吸込み口212から、共振チャンバー205の閉鎖端209内に提供される開口部まで延在する。アンテナ214は、RF電磁場発生装置204から共振チャンバー205の内部内に延在する。
【0089】
図3は、
図2aおよび
図2bのエアロゾル発生装置200の共振チャンバー205の斜視概略図を示す。
図3は、誘電体充填物210のスリーブがどのように基体くぼみ211を連続的に囲むかを示す。誘電体充填物210のスリーブは、スリーブの外周面が共振チャンバー205の周壁206の内向きの円周面にぴったり合うようにサイズ設定される。
【0090】
図4は、共振チャンバー205の代替的な実施例の端面図を示す。この代替的な実施例では、充填物210は、基体くぼみ211を不連続に囲むように、互いから円周方向に間隔を置いた充填物材料の複数の個別のクラスターとして提供されている。ライナー215は、充填物材料210のクラスターの内側に向かって半径方向に提供される。ライナー215は、RF電磁放射に対して実質的に透明な材料で形成され、充填物材料210の個別のクラスターを定位置に保持するのに役立つ。記載する実施例については、ライナー215は、テフロン、石英またはポリテトラフルオロエチレンのいずれかで形成される。ただし、ライナー215は、RF電磁放射に対して実質的に透明な他の既知の材料で形成されてもよい。
【0091】
図5は、エアロゾル発生装置200との共用に適したエアロゾル発生物品300の一実施例の概略図を示す。エアロゾル発生物品300は、口側端301および遠位端302を有するロッドの形態をとる。エアロゾル発生物品300は、紙ベースのラッパー303を含む。ラッパー303内に順次配置されるのは、エアロゾル形成基体部分304、管状支持要素305、エアロゾル冷却要素306、およびマウスピースフィルター307である。エアロゾル形成基体部分304は、エアロゾル形成体および水を含有する捲縮された再構成たばこのプラグである。支持要素305は中空アセテート管である。レーザー穿孔線308は、ラッパー303の厚さを通して形成される。金属メッシュ放射シールド要素309は、マウスピースフィルター307とエアロゾル冷却要素306の間に位置する。
【0092】
ここで、
図2aおよび2bのエアロゾル発生装置200と、
図5のエアロゾル発生物品300との動作を説明する。まず、ユーザーは、物品の遠位端302が共振チャンバー205の閉鎖端209に当接するように、エアロゾル発生物品300を基体くぼみ211内に位置付ける。そのように位置付けられると、物品300のエアロゾル形成基体304のプラグは、完全に共振チャンバー205の基体くぼみ211内に位置し、誘電体充填物210のスリーブによって囲まれる。次に、ユーザーは、細長いハウジング201上に設けられたボタン(図示せず)を押して、エアロゾル発生装置200を起動する。装置200を起動すると、制御電子回路203は、電源202からRF電磁場発生装置204への電力供給を開始する。次に、アンテナ214は、RF電磁場発生装置204によって発生されたRF電磁放射場を共振チャンバー205の内部に配向する。図示した例では、RF電磁場発生装置204は、約2.45GHzの周波数で振動するRF電磁放射場を発生させるように構成される。ところが、代替的な実施例では、RF電磁場発生装置204は、ISMバンド内の一つ以上の他の周波数を含むか、またはそれらからなるRF電磁放射場を発生させるように構成されてもよい。代替的な実施例では、RF電磁場発生装置204は、900MHz~2.45GHzの周波数を有するRF電磁放射場を発生させるように構成されてもよい。
【0093】
図2aおよび2bは、縮尺通りには描かれていない。ところが、共振チャンバー205は、10ミリメートル~50ミリメートルの直径を有してもよく、一例では30ミリメートルの直径が好ましい。さらに、共振チャンバー205は、5ミリメートル~25ミリメートルの長さを有してもよく、一例では15ミリメートルの長さが好ましい。さらに、基体くぼみ211は、3ミリメートル~15ミリメートルの直径を有してもよく、一例では7ミリメートルの直径が好ましい。さらに、基体くぼみ211は、5ミリメートル~25ミリメートルの長さを有してもよく、一例では15ミリメートルの長さが好ましい。
【0094】
アルミナ誘電体充填物210の比誘電率は、このような誘電体充填物のない同じ共振チャンバーと比較して、共振チャンバーの共振周波数を減少させるのに役立つ。誘電体充填物210の効果は、共振周波数の基本共振周波数が2.45GHzか、またはその+/-10%以内、すなわち、発生装置204によって発生されるRF電磁場の周波数であることである。RF電磁放射場の定在波が共振チャンバー205内で形成され、周壁がRF電磁放射に対して実質的に不透明な材料で形成されていることで、波はチャンバー205の周壁206の内向き表面で反射される。定在波の形成は、RF電磁放射を、エアロゾル発生物品300の内部に提供されるエアロゾル形成基体304のプラグと結合するのを助ける。さらに説明すると、共振チャンバー205内でのRF電磁放射の振動は、基体内に存在する水など、エアロゾル形成基体304のプラグ内に存在する極性分子を励起する役割を果たす。極性分子の励起は、熱として現れ、熱はエアロゾル形成基体304のプラグ全体に拡散する。エアロゾル形成基体304のプラグが加熱される結果、蒸気が基体から生じる。
【0095】
ユーザーがエアロゾル発生物品300の口側端301を吸う時、口側端で生成される吸込みは、空気吸込み口212を通した細長いハウジング201の外側からの外部空気の流入を誘発する。外部の空気のこの流入は、
図2aの矢印で示されている。空気は、通路213に沿って、共振チャンバー205の閉鎖端209に設けられた開口部を通り、遠位端302を介してエアロゾル発生物品300の内部に向かって流れる。遠位端302に入る空気は、エアロゾル形成基体304のプラグから発生した蒸気と混合して、エアロゾルを形成する。ユーザーが口側端301を吸うことで生じる吸込みによって、エアロゾルは、エアロゾル発生物品300の内部に沿って(再び、
図2aの矢印で図示)、管状支持要素305によって画定されるチャネルに沿って、およびエアロゾル冷却要素306を通して、引き出される(
図5を参照)。吸込みはまた、ラッパー303内に形成された穿孔線308を通した換気空気の流入を誘発し、それによってエアロゾルのさらなる冷却を助ける。エアロゾルはその後、ユーザーによって吸入されるマウスピースフィルター307を通過する。放射シールド要素309の金属メッシュ構造は、エアロゾルがそこを通過し、ユーザーによって吸入されることを可能にする役割を果たすと同時に、エアロゾル発生物品300に進入しえたRF電磁放射の任意の波を反射するように機能する。このように、放射シールド309は、ユーザーが共振チャンバー205から発出するRF電磁放射に直接曝露される可能性を低減する。
【0096】
所定のサイズおよび構造を有する共振チャンバー205では、電磁場発生装置204によって発生されるRF電磁放射場に異なる周波数を選択することは、RF電磁放射場の周波数と、誘電体充填物によって調整される共振チャンバー205の共振周波数との間の緊密な一致を確保するために、誘電体充填物210に異なる材料を使用することを必要とする場合があることが理解されよう。「異なる材料」は、異なる比誘電率を有する材料を意味する。一例として、電磁場発生装置204が、2.45GHzではなく、900MHzの周波数を有するRF電磁放射場を発生させるように調整される場合、これは、共振チャンバー205の共振周波数を調整して、より低いこの周波数でエアロゾル形成基体304のプラグとの効率的な結合および加熱を提供するために、より高い比誘電率を有する誘電体充填物210のための材料を使用することを必要とする。
【0097】
図6aは、エアロゾル送達システム100’の第二の実施例の概略図を示す。特徴が、
図2aおよび2bのエアロゾル送達システム100の特徴から変化しない場合は、似た参照符号が使用される。システム100について記述されたものと同じ設計のエアロゾル発生物品300が、システム100’に使用される。エアロゾル送達システム100’は、エアロゾル発生装置200’およびエアロゾル発生物品300を備える。
図6bは、
図6aに対応するが、エアロゾル発生物品300の存在は表示していない。
図6aのエアロゾル送達システム100’は、エアロゾル発生装置200’の設計に関して、
図2aのものとは異なっている。装置200’では、共振くぼみ205は、RF電磁放射に対して実質的に不透明な材料で形成される放射封じ込めチャンバー216’によって囲まれ、この場合、放射封じ込めチャンバーは鋼で形成される。ところが、RF電磁放射に対して不透明な他の適切な材料が代わりに用いられてもよい。放射封じ込めチャンバー216’は、共振チャンバー205からRF電磁放射が漏れることに対する追加的な保護層を提供する。装置200’と装置200との間のさらなる違いは、スロット付きライナー215’が、誘電体充填物210のスリーブと基体くぼみ211との間に使用されることである。ライナー215’内にスロット217’を供給することで、RF電磁放射の共振チャンバー205の基体くぼみ211への進入出を可能にし、ライナーの材料は誘電体充填物に構造的な支持を提供する。ライナー215’の材料が、共振チャンバー205内のRF電磁放射を妨げる可能性を低減するために、ライナーは、テフロン、石英またはポリテトラフルオロエチレンのいずれかで形成される。ただし、ライナー215’は、RF電磁放射に対して実質的に透明な他の既知の材料で形成されてもよい。その他のすべての点において、
図6aおよび6bのエアロゾル発生装置200’およびエアロゾル送達システム100’の構造は、
図2aおよび2bのエアロゾル発生装置200およびエアロゾル送達システム100の構造に対応する。
図6aおよび6bのエアロゾル発生装置200’およびエアロゾル送達システム100’の動作モードは、
図2aおよび2bのエアロゾル発生装置200およびエアロゾル送達システム100のモードに対応する。
【0098】
図7は、スロット付きライナー215’のスロット217’についての様々な例示的な構成の概略図を提供する。
【0099】
他の実施例(図示せず)では、共振チャンバー205の周壁206は、ライナー215’と同様に複数のスロットを備えてもよい。共振チャンバー205の周壁206にこうしたスロットを提供することで、RF電磁放射が共振チャンバーの周辺付近の様々な位置の共振くぼみに進入することを可能にしうる。スロットの使用の代替として、共振チャンバー205の周壁206は、RF放射に対して実質的に透明な材料で形成される複数の窓を代わりに含んでもよく、これらの「窓」は、共振チャンバー205の内部へのRF電磁放射の進入を提供する。共振チャンバー205の周壁206に複数のこうしたスロットまたは窓が提供される場合、スロットまたは窓は、
図7に示すようにスロット付きライナー215’’の構成を有してもよい。共振チャンバー205の周壁206に、こうした複数のスロットまたは窓を含める場合、共振チャンバー205は、
図6aおよび6bに示すチャンバー216’などの放射封じ込めチャンバー内に囲まれることが好ましい。
【0100】
図8は、エアロゾル送達システム100’’の第三の実施例の概略図を示す。特徴が、
図2aおよび2bのエアロゾル送達システム100の特徴から変化しない場合は、似た参照符号が使用される。
図8のエアロゾル送達システム100’’は、エアロゾル発生装置200’’およびエアロゾル発生物品300’の両方の設計について、
図2aおよび2bのものとは異なっている。
図8のエアロゾル発生装置200’’は、共振チャンバー205の基体くぼみ210と流体連通するマウスピース219’’を含む。マウスピース218’’は、装置200’’の一方の端部を閉鎖する。金属メッシュ放射シールド要素219’’は、マウスピース218’’内に位置し、シールド要素はマウスピースの内部を横切って延在する。エアロゾル送達システム100’’に使用されるエアロゾル発生物品300’’は、エアロゾル形成基体304’’のカートリッジ310’’の形態である。エアロゾル形成基体304’’は、エアロゾル形成体および水を含有する捲縮された再構成たばこからなる。ところが、代替的な実施例(図示せず)では、カートリッジ310’’は、ゲル状または液体状のエアロゾル形成基体を含むケーシングの形態である。
【0101】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表す全ての数字は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字「A」は「A」±10%として理解される。この文脈内で、数字「A」は、数字「A」が修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字「A」は、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、「A」が逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性(複数可)に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】