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特表2023-553437屠殺された動物のテールを保護し、部分的に切り離すためのテールカッタ
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  • 特表-屠殺された動物のテールを保護し、部分的に切り離すためのテールカッタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】屠殺された動物のテールを保護し、部分的に切り離すためのテールカッタ
(51)【国際特許分類】
   A22B 5/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A22B5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535437
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021086369
(87)【国際公開番号】W WO2022129452
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20215267.4
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522373323
【氏名又は名称】マレル・レッド・ミート・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Red Meat B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ホーデウェイク,リシャルト アントーニウス マリア クレイン
(72)【発明者】
【氏名】ハイニンク,マールテン クリスティアーン
(57)【要約】
切断装置が動物の枝肉の背中を2つの半分に切断している間に、動物の枝肉のテールを部分的に切り離すことが可能なテールカッタまたはテールセーバ。テールセーバは動物の枝肉を分割するための切断装置に接続されることに適している。テールカッタはテールの根元部でテール部分を切り離すための長手方向の切断刃を有するテールナイフと、テールナイフに接続されている指と、を備えており、指はテールの自由な部分を動物の枝肉の所定の側に向けることを可能とし、指はテールナイフの切断刃の長手方向に対して右又は左に曲げられ、テールナイフの切断刃は、テールナイフがこの切断装置に配置される時に、切断装置と同一直線上及び/又は同一平面上に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の枝肉を分割するための切断装置(2)に接続されるのに適したテールカッタ(3)であって、前記テールカッタ(3)は、前記切断装置(2)が動物の枝肉の背中を2つの半分に切断している間に、動物の枝肉のテールを部分的に切り離すことが可能であり、前記テールカッタ(3)は
前記テールの部分を前記テールの根元部で切り離すための長手方向の切断刃(5)を有するテールナイフ(4)と、
前記テールナイフ(4)に接続されており、前記テールの自由な部分を前記動物の枝肉の所定の側に向けることが可能な、指(6)と
を備えており、
前記指(6)は前記テールナイフ(4)の前記切断刃(5)の長手方向に対して右又は左に曲げられており、
前記テールナイフ(4)の前記切断刃(5)は、前記テールナイフ(4)がこの切断装置(2)に配置される時に、前記切断装置(2)と同一直線上及び/又は同一平面上に配置される、
テールカッタ(3)。
【請求項2】
前記指(6)は前記テールナイフ(4)の前記切断刃(5)に対して110°-130°等、約90°-160°の角度Aで配置されている、
請求項1に記載のテールカッタ(3)。
【請求項3】
前記指(6)は指先(7)を有しており、前記指(6)は、前記指先(7)が前記切断装置(2)によって行われる切断面から垂直に1cmから3cmの間でずれるように、側方に曲げられている、
請求項1又は2に記載のテールカッタ(3)。
【請求項4】
前記テールナイフ(4)は、前記テールナイフ(4)を前記切断装置(2)に対する位置に保持するのに適したホルダ(8)に接続されている、
請求項1~3の何れか1つに記載のテールカッタ(3)。
【請求項5】
前記ホルダ(8)及び/又は前記テールカッタ(3)は、調整手段(12)を有しており、異なるサイズの切断装置(2)の使用時等に、前記切断装置(2)と同一直線上に前記テールカッタ(3)を配置するように調整可能である、
請求項4に記載のテールカッタ(3)。
【請求項6】
前記ホルダ(8)及び/又は前記テールカッタ(3)は前記切断装置(2)の前記平面に対して後方及び/又は前方に調整可能である、
請求項5に記載のテールカッタ(3)。
【請求項7】
前記指(6)は鈍い又は鋭くない、
請求項1~6の何れか1つに記載のテールカッタ(3)。
【請求項8】
前記切断装置(2)は丸鋸刃又は丸ナイフ刃等の鋸刃又はナイフ刃である、
請求項1~7の何れか1つに記載のテールカッタ(3)。
【請求項9】
前記テールカッタ(3)を前記ホルダ(8)に着脱し、又は前記ホルダ(8)を前記分割装置(1)に着脱するための迅速交換システムをさらに備える、
請求項1~8の何れか1つに記載のテールカッタ(3)。
【請求項10】
屠殺された動物の枝肉を分割するための分割装置(1)であって、前記分割装置(1)は
前記枝肉を背骨に沿って分割するための切断装置(2)と、
前記テールを側方に向けて、前記テールの根元部を切断するための請求項1~9の何れか1つに記載のテールカッタ(3)と
を備える分割装置(1)。
【請求項11】
屠殺された動物の枝肉を分割するための自動システムに接続された、
請求項10に記載の分割装置(1)。
【請求項12】
前記自動システムは、少なくとも3つの自由度を有する少なくとも1つのロボットアーム及び/又は視覚システム等の扱われる枝肉の位置を決定するシステムを有する、
請求項11に記載の分割装置(1)。
【請求項13】
請求項1~9の何れか1つに記載の前記テールカッタ(3)の使用、又は請求項10~12の何れか1つに記載の前記分割装置(1)の使用、によって屠殺された動物の枝肉からテールを部分的に切り離す方法であって、前記方法は、
a)前記テールカッタの前記指(6)を枝肉に配置されるテールの第1側に向け、これによって前記テールを傍らに押し出すステップと、
b)前記テールナイフ(4)の前記切断刃(5)によって、前記テールの前記第1側で前記枝肉の皮膚に切り込むステップと、
c)さらに、前記テールナイフ(4)の前記切断刃(5)によって、前記テールの前記根元部周りで前記枝肉に切り込み、前記テールの前記根元部で骨及び/又は軟骨を切り通すステップと、
d)これによって前記枝肉から前記テールを部分的に切り離すステップと
を有する方法。
【請求項14】
ステップd)における前記部分的に切り離されたテールは前記テールの第2側で前記枝肉に接続されており、前記第2側は前記第1側の反対である、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記テールの前記根元部に近い脊柱の少なくとも一部は、ステップa)の前及び/又はステップa)の間に2つの半分に切断される、
請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屠殺された動物、例えば豚の枝肉のテールを保護し、部分的に切り離すためのテールカッタ、該テールカッタを備えた分割鋸、及び屠殺された動物のテールを切り離す方法、に関するものである。テールカッタに配置されるテールセーバ又は指は、部分的な切り離しを確実にし、後に切り離されるテールは屠殺された動物の完全な枝肉にある完全なテール又は完全なテール部を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
豚等の屠殺された動物のテール及び牛のテールは食品としての価値がある。この価値は、テールが、テール全体であり、及び/又はテールの長さ方向に直交する方向に切断されており、テールの切断中にテールの長さに沿って損傷がないのであれば、より高くなり得る。
【0003】
屠殺された動物の枝肉を分割鋸によって等で背骨に沿って分割する場合、テールは、テールの骨を通る又はテールの一部を通る長手方向の切断によって、2つに切り込まれ得、テールを2つの長手断面に分割させ又は少なくとも部分的な長手方向の切断によってテールの一部を切り取る。これにより、テールはほとんど価値がなく、少なくとも人間の食物のために販売される時に得られる価値はない。
【0004】
屠殺された動物の枝肉を背骨に沿って分割する場合の他の可能性として、テールが配置されている領域に沿って切断した時のテールの一方側で切断することであり、これにより分割された枝肉の半分の部分の一方でテールを得ることになるが、テールが配置される領域で枝肉の背中をまっすぐでない切断を得ることでもあり、これによりテールが切り離された側で、ももからのいくつかのもも肉を切断することとなる。もも部から肉を除去することは、ももの重量、従ってこの部分の価値を低減させる。
【0005】
分割鋸で枝肉を分割する場合のいっそうさらなる可能性として、テールを側方に押し出し、鋸で枝肉が分割される前にテールカッタでテールの根元に沿った切断がなされること、である。このようなテールカッタは、テールを切り離す前に、テールを反対側に向けるように一方側にわずかに曲げた突起状の指を有していることが観察されている。しかし、このテールカッタのナイフは、枝肉の背中を分割する鋸と同一平面上になく、このためテールは、テールの根元でなく、テール先端の方向におけるテールに沿ったさらに上で切断されるので、テールを切り離し半枝肉の一方に付いているテールを取り残す場合、テールカッタは高い品質のテールの切断を行わない。切断は、テールの長手方向に対して斜めにしばしば行われ、従っていくつかのテールの骨を横切って切断する。さらにテールナイフの調整は不可能である。
【0006】
ここに説明される発明は、枝肉を2つの半分に分割するための鋸が使用される少し前に尾骨の根元部分で切断を行う前及び/又はその間に、枝肉に配置されたテール又は枝肉部分の動作を制御するテールカッタの種である。部分的に切り離されたテールの品質が改善されるように切断され、これにより人間の食物のために販売される時の価値が高まる。
【発明の概要】
【0007】
第1の側面において、本発明は動物の枝肉を分割するための切断装置に接続されるのに適したテールカッタに関するものであり、テールカッタは、切断装置が動物の枝肉の背中を2つの半分に切断している間に、動物の枝肉のテールを部分的に切り離すことが可能であり、テールカッタは
テールの部分をテールの根元部で切り離すための長手方向の切断刃を有するテールナイフと、
テールナイフに接続されており、テールの自由な部分を動物の枝肉の所定の側に向けることが可能な、指と、を備えており、
指はテールナイフの切断刃の長手方向に対して右又は左に曲げられており、
テールナイフの切断刃は、テールナイフがこの切断装置に配置される時に、切断装置と同一直線上及び/又は同一平面上に配置される。
【0008】
テールカッタは、頭を下にして後ろ脚でぶら下がり得る豚の枝肉等、屠殺された動物の枝肉のテールを部分的に切り離すために使用され得る。枝肉を分割しテールを部分的に切り離す前に、枝肉は腹側に沿って開かれ、好ましくは、腸は栓(肛門口)を含めて除去される。処理される枝肉は枝肉が分割される場所に向かってコンベヤシステムによって搬送されてもよく、又は枝肉は複数の処理がそれぞれの枝肉で行われる場所に配置されてもよい。枝肉の背部が切断される、すなわち枝肉の背中端から頭部に向かう長手方向の切断によって分割される時、これは動物の枝肉を分割するための切断装置によって行われ、該切断装置は枝肉の腹側から背骨に向けられ、すなわち切断装置は開いた枝肉の内側に配置される。ここで説明されるテールカッタはテールを部分的に切り離す切断装置に接続され得る。テールは、テールの根元端周りを部分的に切断すること及び、尾骨を実質的に直線でテールの長さを通る軸に対して垂直な切断を行うこと、によって部分的に切り離され、そのような切断によって高品質なテールが得られる。
【0009】
「テールを部分的に切り離すこと」によって、テールカッタが枝肉を2つの半分の枝肉部に分割するように行われる長手方向の切断に対するテールの一方側で切断すること、を意味する。テールカッタはまた、テール内の骨を通っている長手軸に対して実質的に横断する切断によってテールを切り通す。これにより、テールは枝肉の一方の半分部分から切り離され、テールは分割枝肉の他方の半分部分に接続されたままとなる。これにより「部分的なテールの切り離し」は、テールが一方の半枝肉部分から完全に切り離され、依然として他方の半枝肉部分に接続されていること、を意味する。この接続はテールの一方の皮膚を切り通さないことで得られ、該接続はテールの根元部周りに位置する皮膚、脂肪及び他の組織構造から成る接続を意味する。
【0010】
テールカッタのテールナイフは長手方向の切断刃を有しており、より好ましくはそれ自体によって動かないという意味で安定又は固定されている。切断刃はより好ましくは傾斜しており、及びより好ましくは長手方向において平らである。
【0011】
指はテールナイフに接続されており、指はテールナイフの切断刃の長手方向に対して右又は左側に向かって曲げられている。指は、処理中、すなわちテールを切断する前及び/又は切断中に、それ自体がある方向に向かって曲げられるに従って、自由なテール部分を他の側に向けており、すなわち指が右に曲げられたなら、自由なテール部分は左に向けられる。自由なテール部分を側方に向けることによって、テールナイフは動物の枝肉のもも部に接続されているテールの根元部を除いてテールを切り込まない。指が曲げられる方向を選択することによって、枝肉の切断及び分割を行った後に、部分的に切り離されたテールがどちらの半分部分の枝肉に接続されるかが、決まる。
【0012】
テールナイフの切断刃は、テールナイフがこの切断装置に配置されている時、切断装置の同一直線上及び/又は同一平面上に配置される。より具体的には、テールナイフ及び切断装置(分割鋸刃)の切断縁が同一直線上/平面上にあるということである。これによって得られる結果は、テールナイフの切断刃によって行われる切断は直線であり、及び/又は切断装置の平面に従っており、これにより、テール根元から遠く離れすぎた切断によってももを損傷させることなく、又は先行技術のテールカッタによる切断と比較した場合にももへの切り込みが低減される。少なくともいくつかの市場にとって、肉の価値は、同じ量の肉がテールに配置されている場合よりも、ももに配置されている場合の方が、高い。
【0013】
「テールナイフが切断装置に配置される」によって、分割装置が後ろ脚でぶら下がっている豚の処理時のような位置にある時、テールナイフが切断装置の近く、例えば切断装置の前方に配置されていることを意味する。切断装置に対してテールナイフを配置するための物理的接続は、テールナイフ又はテールカッタのホルダと、分割装置と、の間にあるのが好ましい。
【0014】
テールカッタの指はテールナイフの切断刃に対して110°-130°等、約90°-160°の角度Aで配置されている。角度Aは切断刃からテールカッタのナイフ刃に近い指の縁までの角度である。
【0015】
テールカッタの指は側方に曲げられており、テールカッタの残余に対して150°-170°等、約130°-180°の角度Bで配置されるこの側にある。
【0016】
テールカッタの指は指先を有しており、指は、指先が切断装置によって行われる切断面から垂直に1cmから3cmの間でずれるように、側方に曲げられている。テールナイフの切断刃及び切断装置の切断刃が同一直線上/平面上にあるので、指先は、テールカッタの切断刃の平面からも垂直に1cmから3cmの間でずれ得る。指はテールナイフの切断刃の縁から測定した長さが5cm-15cmであることが好ましい。テールナイフの切断刃は4cm-10cmの長さであってもよい。これら全ての寸法は、処理される動物の枝肉のサイズに関連して選択されることが好ましい。例として、豚にとっての上述の寸法又はこれら寸法のうちのいくつかは、肉生産のためだけに育てられた若い豚よりも雌豚等の大きい豚にとっては、大きくあるべきである。
【0017】
テールナイフは、テールナイフを切断装置(分割鋸刃)に対する位置に保持するのに適したホルダに接続されていてもよい。ホルダはテールナイフを、切断装置、又はより正確には枝肉を2つの半分の半枝肉に切り込むための切断鋸又は切断刃を備えた設備又はシステムに、接続する。ホルダは、枝肉の処理中等に配置される場合、切断装置の上側で配置されることが好ましく、ホルダは切断装置の上側で分割装置に接続されることが好ましい。ホルダはテールナイフの片側又は両側に配置されてもよく、テールナイフをその位置で保持してもよい。
【0018】
ホルダ及び/又はテールナイフは、調整手段を有していてもよく、テールナイフを切断装置の直線上及び/又は切断装置と同一平面上に配置するように調整されてもよい。このことの効果は、異なるサイズの切断装置の使用を決定した場合、テールカッタは依然として切断装置の同一直線上/同一平面上に配置され得ることである。従って、より大きい切断装置が使用される場合、テールカッタ又はテールナイフは再配置され、例えば切断刃の中点からさらに離れるはずである。
【0019】
ホルダ及び/又はテールカッタは、切断装置の切断刃の平面に対して後方及び/又は前方に少なくとも調整可能であってもよい。これによって、ホルダ及び/又はテールカッタは、テールカッタの切断刃が切断装置と同一直線上及び/又は同一平面上に位置するように、切断装置のサイズに対してテールカッタを調整又は再配置するための調整手段を有していてもよい。テールカッタはまた、例えば摩耗による切断装置の小径化によって、1日1回再配置され得る。
【0020】
テールカッタ及び/又はホルダはまた、テールナイフをホルダに着脱し、又はホルダを分割装置に着脱する、ための迅速交換システムを有していてもよい。このような迅速交換システムの利点は、一般的に小さい又は大きい枝肉が処理される時にテールナイフが迅速に異なる寸法のテールナイフに交換され得ること、又は分割場所/領域に搬送される1つ又は2、3の枝肉が一般的に処理される枝肉よりも異なっているサイズである場合、テールナイフは迅速に除去され得ること、であり、これによって、通常のサイズの豚からなる枝肉間に配置される異なるサイズの枝肉、例えば雌豚からなる枝肉は、より小さい枝肉の切断に適したテールカッタではそのサイズの枝肉の処理に適し得ないため、該テールカッタで処理されない。
【0021】
テールカッタの指は、鈍い又は鋭くないことが好ましい。これについての利点は、テールが一方に向けられた時に、指がテールを損傷させることなく枝肉のテールに係合し得ることである。少なくともテールナイフの切断刃に向かう最も外側の先端縁及び指の縁は、処理中大部分がテールと接触する縁であるため、好ましくは、鈍い又は鋭くなくあるべきである。
【0022】
切断装置は鋸刃又はナイフ刃であることが好ましく、好ましくは円形である。切断装置は、背骨を2つの半分に分割することを含む、枝肉を一端から他端に分割するために使用される。
【0023】
本発明の第2の側面は屠殺された動物の枝肉を分割するための分割装置に関するものであり、分割装置は、枝肉を背骨に沿って分割するための鋸又はナイフ等の切断装置と、テールを側方に向けて、テールの根元部を切断するためのここに説明されたテールカッタと、を備え得る。
【0024】
「動物を背骨に沿って分割すること」によって、背骨を2つの半分に分割すること、及び背骨が存在しない枝肉の場合はまた枝肉の背中端及び任意で頭端で分割すること、によって枝肉が半枝肉に2つの半分に分割されること、を意味する。
【0025】
分割装置は屠殺された動物の枝肉を分割するための自動システムに接続されてもよい。分割装置は単一の片側につけられた豚のテールの自動切断のために使用されてもよい。
【0026】
自動システムは少なくとも3つの自由度を有する少なくとも1つのロボットアーム及び/又は視覚システム等の扱われる枝肉の位置を決定するシステムを有してもよい。また、システムはさらに、枝肉の画像データ及び枝肉の位置を受信及び分析するための画像分析システムと、該分析システムから情報を受信するための制御ユニットと、及び処理される枝肉に対し分割装置を少なくとも操縦及び作動する制御のための自動システムと、等が含まれ得る。
【0027】
本発明の第3の側面は、ここに説明されたテールカッタの使用、又はここに説明された分割装置の使用、によって屠殺された動物の枝肉からテールを部分的に切り離す方法に関するものであって、該方法は、
a)テールカッタの指を枝肉に配置されるテールの第1側に向けて、これによってテールを傍らに押し出すこと、
b)テールナイフの切断刃によって、テールの第1側で枝肉の皮膚に切り込むこと、
c)さらに、テールナイフの切断刃によって、テールの根元部周りで枝肉に切り込み、テールの根元部で骨及び/又は軟骨を切り通すこと、
d)これによって枝肉からテールを部分的に切り離すこと
のステップを有する。
【0028】
説明された方法において、ステップd)における部分的に切り離されたテールはテールの第2側で枝肉に接続されていることが好ましく、第2側は第1側の反対である。そしてテールは皮膚の接続によって一方の半枝肉に付着していることが好ましい。テールはその後のステップにおいて切り離され得、例えば手によって切断される。この切り離されたテールは人間の食物に適した高品質のテールであり得る。テールの品質はまた、屠殺前の生きた動物の品質にも依存し、ここに説明された方法及び装置は、テールの根元部でテールを切り離す時に、高品質の切断が得られるために使用され得る。
【0029】
該方法において、テールの根元部に近い脊柱の少なくとも一部は、ステップa)の前及び/又はステップa)の間に2つの半分に切断され得る。脊柱は他で説明された切断装置によって切断され得る。ここに説明された分割装置は枝肉を分割及びこれら枝肉のテールを部分的に切り離すために使用され得る。
【0030】
該方法において、テールの根元部で少なくとも1つの骨及び/又は軟骨を切り通すことは、背骨の下側端で湾曲、半弾力的である尾骨又は尾てい骨を切り通すことであり得る。
【0031】
一方の側面のいずれの特徴も、ここに説明された他方のいずれの特徴と組み合され得ることと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】テールカッタを備えた分割装置の遠近図である。
図2】テールナイフの遠近図である。
図3】テールナイフ下からの図である。
図4】テールナイフ下からの遠近図である。
図5】テールナイフの側面図である。
図6】テールカッタの側面図である。
図7】テールカッタの正面図である。
図8A】テールナイフが豚の枝肉のテールを保護し、切断していることを示している。
図8B】テールナイフが豚の枝肉のテールを保護し、切断していることを示している。
図8C】テールナイフが豚の枝肉のテールを保護し、切断していることを示している。
図8D】テールナイフが豚の枝肉のテールを保護し、切断していることを示している。
図8E】テールナイフが豚の枝肉のテールを保護し、切断していることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1はテールカッタ3を備えた分割装置1を示しており、テールカッタ3は分割装置1の前方に配置される。テールカッタ3は、分割装置1の切断装置2の上側に且つ、ある程度テールカッタ3の指6が切断装置2の上部の前方にあるように、配置される。切断装置2は、枝肉の腹側(図示されない)から背骨に向かって分割装置1を向けること、及び背骨をもも端から枝肉の頭端に向かって切断すること、によって、枝肉を分割するための丸鋸刃又は丸ナイフ刃であってもよい。
【0034】
図2はテールナイフ4を示している。テールナイフ4は指先7を有する指6と切断刃5とを備える。指6は、切断刃5の長手方向に対して、及びテールナイフ4の前方の囲みXによって記された位置から見たときに(詳細は下記の図3、4及び7を参照のこと)、右側に曲げられている。枝肉が処理される時、指6は、テールが左側に向けられるように、テール(図示されない)の右側に向けられており、切断装置5はテールの右側に沿ってテールの根元部で切断する。囲み十字はテールナイフ4の前方の位置、及び本文においてどこから右及び左が判断されるかを示している。
【0035】
図3は切断刃5に向かって見るように下から見たテールナイフ4を示している。示されているのは、長手方向の切断刃5と側方に曲げられた指6である。指先7は鋭いエッジを避けるように丸まっている。
【0036】
図4は指6に向かって見るように下から見たテールナイフ4を示している。指先7及び切断刃5が示されている。図は、指がいかにして側方に曲げられているかと、指6と切断刃5の基部との間の角度B11と、を示している。
【0037】
図5はテールナイフ4の側面図である。示されているのは、切断刃5と指6との間の角度A9である。示されているのはまた、鋸刃等の切断装置2の一部の外形10である。
【0038】
図6はテールカッタ3の側面図である。ホルダ8はテールナイフ4を保持している。外形10は、テールカッタ4が正しく配置されている時に、切断装置2の切断刃の一部が配置される場所を示しており、そのことによって、切断刃5は切断装置2と同一直線上又は同一平面上となる。調整手段12は分割装置(図示されない)上でテールカッタ3の配置を調整するために使用され得る。対の矢印17によって示されるように、テールカッタ3は調整手段12で調整することによって、前方すなわち左、又は後方すなわち右に動くことができ、この解決策においてホルダ8及び/又はテールカッタ3を分割装置に接続する部分にある横長の開口に沿って調整している。
【0039】
図7はテールカッタ3の正面図である。ホルダ8はテールナイフ4と外形10によって示される切断装置との両側に配置されている。指6は側方に曲げられている。
【0040】
図8A-8Eは豚枝肉14のテール13を保護し、切断するテールナイフ4を示している。豚枝肉14は分割処理の前に、腹部で開かれ、腸は栓(肛門口)を含めてテールの根元の隣にある開口15を残して取り除かれる。分割装置は処理中、枝肉14に腹側から入り、枝肉14の内側から背骨を切断する。図8Aにおいて、切断装置2が枝肉14のもも部を切り込み始める直前又はその時における、指6、ホルダ8及び切断装置2を有するテールナイフ4が示されている。見られるように、テールナイフ4及びその指6は切断装置2の前方、つまりテール13と係合する位置に、位置している。図8Bにおいて、切断装置2はもも部分を切断している又は切断し終わっており、栓開口15が存在する場所に切断装置2の一部が見られ得る。テールナイフ4の指6はテール13の右側に向けられている。図8Cにおいて、切断装置2はテール13を切り込むことなくテール13を通過して横切り、指6はテール13を左側に向けており、テールナイフ4はテール13と係合し、テール13の根元部16且つテール13の右側でテール13をまさに切り通そうとするところである。図8Dにおいて、テールナイフ4が側方でテール13を保持し続けている、つまりテール13を損傷又は低品質の切断による切断から保護している間に、テールナイフ4は切断刃(隠れている)で根元部16又はテール13を切り通している。図8Eは、分割完了後の、保護された、つまり損傷がなく、部分的に切り離されたテール13が半枝肉の一方、第1半枝肉に配置されていることを示している。第1半枝肉18のもも部20が示されており、また第2半枝肉19のもも部20も示されている。第2半枝肉19にはテール部は残っておらず、第2半枝肉19においてテール13は第2半枝肉19から切り離されているが、テール13の根元部16が示されている。テール13は、その後の処理において第1半枝肉18から切り離され得、これは、テール13は切断前のテールの根元部16に存在している皮膚、脂肪及び他の組織構造によって半枝肉に接続されているので、手で容易に行われ得る。
【0041】
本発明の主旨及び範囲内での様々な変更および修正はこの詳細な説明から当業者に明らかとなるので、詳細な説明及び具体例は、本発明の実施形態を示しながらも、例示のためのみによって与えられることと理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
【国際調査報告】