(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】非晶質固体分散体
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4725 20060101AFI20231214BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/26 20060101ALI20231214BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231214BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231214BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231214BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231214BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231214BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20231214BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K31/4725
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/20
A61P25/26
A61P25/28
A61K9/20
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/04
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535726
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2021086061
(87)【国際公開番号】W WO2022129267
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514232085
【氏名又は名称】ユーシービー バイオファルマ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラレジ、ファイザ
(72)【発明者】
【氏名】キリコ、ロザンナ
(72)【発明者】
【氏名】ウーセ、アイメリク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC37
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZA15
4C086ZA16
(57)【要約】
本発明は、式(I)の非晶質化合物およびポリマーマトリックスの固体分散体、それらの調製方法、および治療におけるそれらの使用に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の非晶質2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンおよびポリマーマトリックスの固体分散体。
【化1】
【請求項2】
前記ポリマーマトリックスが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタート、コポリマーN-ビニル-2-ピロリドン/酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、フタル酸ヒプロメロースおよびヒプロメロースからなる群から選択される、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項3】
前記ポリマーマトリックスが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートまたはコポリマーN-ビニル-2-ピロリドン/酢酸ビニルである、請求項2に記載の固体分散体。
【請求項4】
非晶質固体分散体の総重量と比較して約30重量%~約60重量%の式(I)の非晶質化合物を含む、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項5】
非晶質固体分散体の総重量と比較して約40重量%の式(I)の非晶質化合物を含む、請求項4に記載の固体分散体。
【請求項6】
ガラス転移温度(Tg)が約80℃を超える、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項7】
ガラス転移温度(Tg)が約100℃を超える、請求項6に記載の固体分散体。
【請求項8】
噴霧乾燥による請求項1に記載の固体分散体の調製方法であって、
(i)式(Ia)の化合物およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタート、コポリマーN-ビニル-2-ピロリドン/酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、フタル酸ヒプロメロースまたはヒプロメロースを溶媒に溶解する工程;
(ii)工程(i)の結果として得られた溶液を霧化チャンバ内に搬送する工程;
(iii)工程(ii)の結果として形成された液滴を高温乾燥ガスと接触させる工程;
(iv)前記溶媒を蒸発させる工程;
(v)前記乾燥ガスから得られた固体分散体を分離する工程
を備える方法。
【請求項9】
ホットメルト押出による請求項1に記載の固体分散体の調製方法であって、
(i)式(Ia)の化合物とヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタート、コポリマーN-ビニル-2-ピロリドン/酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、フタル酸ヒプロメロースまたはヒプロメロースとを混合する工程;
(ii)工程(i)で得られた混合物をホットメルト押出機に供給し、バレルおよびスクリューからなる部分が、溶融物が得られるまで150℃を超える温度で前記混合物を連続的に搬送する工程;
(iii)工程(ii)で得られた前記溶融物を周囲温度で冷却する工程
を備える方法。
【請求項10】
1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて請求項1に記載の固体分散体を含む医薬組成物。
【請求項11】
錠剤からなる請求項1に記載の固体分散体を含む医薬品であって、
コーティングされていない前記錠剤の総重量に対して、
約20重量%~約60重量%の非晶質固体分散体;
約10重量%~約50重量%のラクトース一水和物;
約10重量%~約50重量%の微結晶セルロース;
約1重量%~約5重量%のクロスカルメロースナトリウム;
約0.1重量%~約2重量%のコロイド状の無水シリカ;および
約0.1重量%~約5重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む、医薬品。
【請求項12】
統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療および/または予防に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の固体分散体または請求項10もしくは11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療および/または予防に使用するための医薬品を製造するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の非晶質固体分散体または請求項10もしくは11に記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療および/または予防方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1から7のいずれか一項に記載の非晶質固体分散体または請求項10もしくは11に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの固体分散体に関する。
【0002】
本発明はまた、これらの非晶質固体分散体の調製方法、およびこのような分散体を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2021/001288号として公開された国際特許出願第PCT/EP2020/068183号は、式(I)の2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンを開示しており、
【化1】
この化合物は、D1陽性アロステリックモジュレーターとして作用し、したがって、D1受容体が役割を果たす疾患を治療するための医薬品として有益である。
【0004】
国際公開第2021/001288号として公開されている国際特許出願第PCT/EP2020/068183号は、式(I)の化合物が、統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療および/または予防に有用であり得ることをさらに開示している。
【0005】
したがって、上記疾患のいずれか1つに罹患している患者への投与に適した式(I)の化合物の製剤を開発することが望ましい。
【0006】
特に、国際公開第2021/001288号として公開された国際特許出願第PCT/EP2020/068183号の例2.8は、とりわけ、2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの一水和結晶形態を開示している。
【0007】
この2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの一水和結晶形態は、限定された溶解度を有し、これは、経口投与が所望される場合、それを製剤化するのが困難であるおよび/または低いバイオアベイラビリティをもたらし得る。
【0008】
したがって、特に経口投与のために医薬組成物に組み込むことができるように、2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの一水和結晶形態の溶解度を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、式(I)の2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの非晶質固体分散体を提供する。
【化2】
【0010】
別の態様において、本発明は、式(I)の2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの非晶質固体分散体の調製方法を提供する。
【0011】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの非晶質固体分散体を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
なおさらなる態様では、本発明は、統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療および/または予防に使用するための式(I)の2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンのそのような非晶質固体分散体またはその医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例3.1にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD1のX線粉末回折パターンを表す。
【
図2】例3.1にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD2のX線粉末回折パターンを表す。
【
図3】例3.1にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD3のX線粉末回折パターンを表す。
【
図4】例3.1にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD4のX線粉末回折パターンを表す。
【
図5】室温で12ヶ月後の、例3に記載の非晶質固体分散体ASD1のX線粉末回折パターンを表す。
【
図6】室温で10ヶ月後の例3に記載の非晶質固体分散体ASD2、ASD3、およびASD4のX線粉末回折パターンを表す。
【
図7】例5にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD1の式(I)の化合物への経時的な溶解プロファイルを表す。
【
図8】例5にさらに記載されている2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノン(式(Ia)の化合物)の一水和結晶形態の経時的な溶解プロファイルを表す。
【
図9】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD5のX線粉末回折パターンを表す。
【
図10】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD6のX線粉末回折パターンを表す。
【
図11】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD7のX線粉末回折パターンを表す。
【
図12】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD8のX線粉末回折パターンを表す。
【
図13】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD9のX線粉末回折パターンを表す。
【
図14】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD10のX線粉末回折パターンを表す。
【
図15】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD11のX線粉末回折パターンを表す。
【
図16】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD12のX線粉末回折パターンを表す。
【
図17】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD13のX線粉末回折パターンを表す。
【
図18】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD14のX線粉末回折パターンを表す。
【
図19】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD15のX線粉末回折パターンを表す。
【
図20】例6.1に従って調製したASD1の懸濁液の投与用量の関数としての式(I)の化合物のバイオアベイラビリティを表す。
【
図21】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD16のX線粉末回折パターンを表す。
【
図22】例3.2にさらに記載されている非晶質固体分散体ASD17のX線粉末回折パターンを表す。
【
図23】例7.2にさらに記載されている式(I)の化合物への錠剤Aの経時的な溶解プロファイルを表す。
【
図24】例7.2にさらに記載されている式(I)の化合物への錠剤Bの経時的な溶解プロファイルを表す。
【
図25】例7.2にさらに記載されている式(I)の化合物への錠剤Cの経時的な溶解プロファイルを表す。
【
図26】例7.2にさらに記載されている式(I)の化合物への錠剤Dの経時的な溶解プロファイルを表す。
【
図27】例7.3に記載されている条件で12ヶ月保管した前後の錠剤AのX線粉末回折パターンを表す。
【
図28】例7.3に記載されている条件で12ヶ月保管した前後の錠剤BのX線粉末回折パターンを表す。
【
図29】例7.3に記載されている条件で12ヶ月保管した前後の錠剤DのX線粉末回折パターンを表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用されるように、「非晶質固体分散体」という用語は、式(I)の非晶質化合物および本明細書で定義されるポリマーマトリックスを含む固体分散体を指す。
【0015】
本明細書で使用されるように、「固体分散体」という用語は、少なくとも2つの成分を含む固体状態の系を指し、一方の成分は他方の成分全体に分散している。
【0016】
本明細書で使用されるように、「式(I)の非晶質化合物」は、結晶形態を本質的に含まない式(I)の化合物を意味する。固体の非晶質性は、一般にX線粉末回折(XRPD)によって決定される。非晶質固体のX線粉末回折パターンは、一般に、従来のXRPD技術を使用する当業者に明らかなように、鋭いピークのない広いハローを表す。
【0017】
「結晶形態を本質的に含まない」とは、式(I)の化合物に関して、本明細書にさらに記載される従来の方法によるX線粉末回折によって測定して、少なくとも95%、適切には少なくとも約98%、理想的には少なくとも約99%の非晶質形態の式(I)の化合物を含むことを意味する。
【0018】
本明細書で使用される「ポリマーマトリックス」という用語は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシネート(HPCMASとも呼ばれる)、コポリマーN-ビニル-2-ピロリドン/酢酸ビニル(PVPVAとも呼ばれる)、ポリビニルピロリドン(PVPとも呼ばれる)、フタル酸ヒプロメロース(HPMCPとも呼ばれる)、ヒプロメロース(HPMCとも呼ばれる)からなる群から選択されるポリマーのいずれか1つを指す。これらのポリマーマトリックスは、一般に市販されており、実験欄から明らかなように、異なる物理的/化学的グレードタイプで入手可能である。
【0019】
第1の態様では、本発明は、式(I)の非晶質化合物およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシネートを含む固体分散体を提供する。
【0020】
第2の態様では、本発明は、式(I)の非晶質化合物およびコポリマーN-ビニル-2-ピロリドン/酢酸ビニルを含む固体分散体を提供する。
【0021】
第3の態様では、本発明は、式(I)の非晶質化合物およびポリビニルピロリドンを含む固体分散体を提供する。
【0022】
第4の態様では、本発明は、式(I)の非晶質化合物およびフタル酸ヒプロメロースを含む固体分散体を提供する。
【0023】
第5の態様では、本発明は、式(I)の非晶質化合物およびヒプロメロースを含む固体分散体を提供する。
【0024】
本発明による非晶質固体分散体は、非晶質固体分散体の総重量に対して約30%~約60%重量の式(I)の非晶質化合物を含み、以下「重量%」と呼ばれる。
【0025】
本発明による第一の実施形態では、非晶質固体分散体は、約30重量%の式(I)の非晶質化合物を含む。
【0026】
本発明による第二の実施形態では、非晶質固体分散体は、約40重量%の式(I)の非晶質化合物を含む。
【0027】
本発明による第三の実施形態では、非晶質固体分散体は、約50重量%の式(I)の非晶質化合物を含む。
【0028】
本発明による第四の実施形態では、非晶質固体分散体は、約60重量%の式(I)の非晶質化合物を含む。
【0029】
本発明による非晶質固体分散体の特定の例としては、約30重量%の式(I)の化合物とヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシネートとを含む非晶質固体分散体;約40重量%の式(I)の化合物とヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシネートとを含む非晶質固体分散体;約50重量%の式(I)の化合物とヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシネートとを含む非晶質固体分散体;約60重量%の式(I)の化合物とヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートサクシネートとを含む非晶質固体分散体;約40重量%の式(I)の化合物とヒプロメロースとを含む非晶質固体分散体;約50重量%の式(I)の化合物とヒプロメロースとを含む非晶質固体分散体;約40重量%の式(I)の化合物とフタル酸ヒプロメロースとを含む非晶質固体分散体;約50重量%の式(I)の化合物とフタル酸ヒプロメロースとを含む非晶質固体分散体;約40重量%の式(I)の化合物とポリビニルピロリドンとを含む非晶質固体分散体;約50重量%の式(I)の化合物とポリビニルピロリドンとを含む非晶質固体分散体;および約40重量%の式(I)の化合物とコポリマーN-ビニル-2-ピロリドン/酢酸ビニルとを含む非晶質固体分散体が挙げられる。
【0030】
本発明による非晶質固体分散体は、例えば、噴霧乾燥によって調製することができる。典型的には、本明細書において以下で式(Ia)の化合物と呼ばれる、2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの一水和結晶形態および本明細書で定義されるポリマーマトリックスを、適切な溶媒または適切な溶媒の混合物に溶解して供給溶液を形成し、その後、供給溶液を噴霧乾燥して粉末として非晶質固体分散体を形成する。噴霧乾燥は、非晶質固体分散体を調製する当業者に周知のプロセスである。
【0031】
本発明による噴霧乾燥プロセスは、典型的には連続的に実行され、以下の工程を含む:(i)式(Ia)の化合物および担体が有機溶媒に溶解された供給溶液の調製工程、(ii)供給溶液を噴霧器を通して乾燥チャンバに搬送する工程、(iii)工程(ii)で形成された液滴を高温乾燥ガスと接触させる工程、(iv)溶媒を蒸発させる工程、および(v)乾燥固体粒子を乾燥ガスから分離する工程。
【0032】
本発明による噴霧乾燥プロセスに適した溶媒は、ジクロロメタン(DCM)、メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトン、水またはそれらの混合物である。本発明に従って使用される特定の溶媒は、例にさらに記載されるジクロロメタンとメタノールとの混合物である。
【0033】
霧化は、一般に、従来の手段によって、例えば、約0.5バール~約2.5バール、理想的には約1.00バール~約2.5バールの圧力でノズルを通して溶液を供給することによって行われる。
【0034】
乾燥チャンバ内で使用される高温乾燥ガスは、空気、窒素富化空気、またはアルゴンから選択されてもよい。高温乾燥ガスの温度は、一般に、約50℃~約120℃の間、適切には約60℃~120℃の間であり、約40℃~約65℃の間の出口温度をもたらす。
【0035】
工程(v)の後に得られた固体粒子は、従来の手段により、大気圧または減圧のいずれかで、約25℃~約50℃の温度でさらに乾燥させることができる。
【0036】
あるいは、非晶質固体分散体は、ホットメルト押出を含むプロセスによって調製されてもよい。ホットメルト押出プロセスは、一般に、i)押し出される材料、この場合は式(Ia)の化合物およびポリマーマトリックスの粉末混合物を含有する系を連続的な流れでまたは制御された方法で供給すること、ii)供給されたブレンドを輸送し、溶融し、均質に混合することを目的とするバレルおよびスクリューからなる搬送部;iii)シート、フィルムまたはストランドダイを含む所望の形態で溶融物を成形すること;iv)冷却、場合によってはペレチジングミル粉砕、および得られた非晶質固体分散体の回収を含む下流プロセスのさらなる工程を含む。
【0037】
ホットメルト押出プロセスは、一般に、100℃を超えるバレル温度で、適切には150℃を超える温度で行われる。
【0038】
したがって、別の態様では、本発明は、噴霧乾燥またはホットメルト押出による式(I)の化合物の非晶質固体分散体の調製方法を提供する。
【0039】
本発明の非晶質固体分散体は、本明細書中上記および例において記載されるように、
図1~
図4および
図9~
図19に示されるXRPDによって特徴づけられている。
【0040】
さらに、本発明による非晶質固体分散体のガラス転移温度(Tg)は、当業者に慣用的な方法に従って、例の表3にさらに記載されているように、変調示差走査熱量測定法によって測定した。Tgは、非晶質固体が加熱によりガラス固体状態から過冷却液体に見かけ上転移する温度と考えられる(AAPS PharmSciTech(2020)21:26のA.NewmanおよびG.Zografiを参照されたい)。Tgは、式(I)の非晶質化合物とポリマーマトリックスとの混和性の指標を提供する。単一のTgまたはTgの狭い領域を測定する場合、これは、非晶質固体分散体が均質であることを示す。この状態をガラス溶液ともいう。さらに、Tgが高いほど、非晶質固体分散体が分子運動性が低下し、したがって経時的に均質なままであり、これはその安定性の指標である。
【0041】
本発明による非晶質固体分散体は、一般に、約80℃超、より一般的には100℃超、適切には約105℃超、理想的には約110℃超、極めて適切には約115℃超、特に約120℃超のTgを有する。
【0042】
本発明による非晶質固体分散体は、一般に、上記で説明したように、約5℃以下である、測定されたTgの領域を有する。
【0043】
したがって、本発明による非晶質固体分散体は混和性で安定である。
【0044】
さらに、本発明による非晶質固体分散体のいくつかの安定性は、
図5および
図6に示され、例でさらに詳述されるように、室温で経時的に試験されている。これらの図は、これらの非晶質固体分散体が室温で少なくとも10ヶ月間安定であることを示している。
【0045】
本発明による式(I)の化合物の非晶質固体分散体は、本明細書では式(Ia)の化合物と呼ばれる式(I)の化合物の一水和結晶形態よりもかなり可溶性である。このような改善された溶解度は、より高いバイオアベイラビリティが達成され得るので、特に経口投与のために医薬組成物を調製する必要がある場合に特に有利である。これはまた、固体製剤が所望される場合、用量の減少、したがって使用される錠剤サイズの低下を可能にし得る。
【0046】
例の表4は、異なる媒体中のASD1~ASD4と式(Ia)の化合物との間の比較溶解度データを示しており、非晶質固体分散体の溶解度の最小30倍の増加、および最大100倍を超える増加を示している。
【0047】
本発明による非晶質固体分散体は、適切な医薬組成物を形成するために、希釈剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤または担体などの薬学的に許容される賦形剤とさらに組み合わせることができる。
【0048】
本発明による非晶質固体分散体を含む医薬組成物は、例えば、経口、非経口、すなわち静脈内、筋肉内または皮下、髄腔内、吸入または鼻腔内投与することができる。
【0049】
適切な希釈剤および担体は、所望の投与経路、例えば、経口、直腸、非経口または鼻腔内に応じて多種多様な形態をとることができる。
【0050】
経口投与に適した医薬組成物は、固体または液体であり得、例えば、錠剤、丸剤、糖衣錠、ゼラチンカプセル、溶液、シロップ、チューインガムなどの形態であり得る。
【0051】
本発明による医薬組成物は、一般に、当業者に公知の従来の医薬配合技術に従って、非晶質固体分散体を不活性希釈剤または非毒性の医薬的に許容される担体、例えばデンプンまたはラクトースまたはマンニトールまたは第二リン酸カルシウムと混合することによって調製される。さらにこれらの医薬組成物は、結合剤、例えば微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン、崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドンアルギン酸、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素、甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリン、または着色剤または香味剤、例えばペパーミントまたはサリチル酸メチルおよびコーティング剤、例えばOpadry(商標)(I、II、AMBII、QXまたはEZ)を含有することもできる。
【0052】
特定の実施形態では、本発明による医薬組成物は、例7.1に記載されるプロセス工程においてさらに詳述されるように、本発明による非晶質固体分散体のいずれか1つと賦形剤とを混合することによって調製される。
【0053】
医薬組成物中の非晶質固体分散体の量は、広範囲の濃度内に入ることができ、患者の性別、年齢、体重および病状、ならびに投与方法などの様々な要因に依存する。したがって、経口投与のための非晶質固体分散体の量は、一般に、組成物の総重量に対して約0.5重量%~約85重量%、適切には組成物の総重量に対して約20重量%~約60重量%である。
【0054】
特定の実施形態では、本発明は、上述の賦形剤のいずれかと組み合わせて、コーティングされていない錠剤の総重量と比較して約20重量%~約60重量%の非晶質固体分散体を含む固体医薬組成物に関する。
【0055】
特に、本発明は、錠剤組成物に関し、
コーティングされていない錠剤の総重量と比較して、
約20重量%~約60重量%の非晶質固体分散体;
約10重量%~約50重量%のラクトース一水和物;
約10重量%~約50重量%の微結晶セルロース;
約1重量%~約5重量%のクロスカルメロースナトリウム;
約0.1重量%~約2重量%のコロイド状の無水シリカ;および
約0.1重量%~約5重量%のステアリン酸マグネシウム
を含む。
【0056】
これらの賦形剤は、一般に、例7.1にさらに記載されているように、1つ以上のブレンド相および任意選択で希釈相を通して非晶質固体分散体と混合される。
【0057】
一実施形態では、医薬組成物は、約25重量%の非晶質固体分散体を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、約50重量%の非晶質固体分散体を含む。
【0058】
第1の実施形態では、医薬組成物は、約47.15重量%のラクトース一水和物を含む。第2の実施形態では、医薬組成物は、約27.5重量%のラクトース一水和物を含む。
【0059】
第1の実施形態では、医薬組成物は、約25.95重量%の微結晶性セルロースを含む。第2の実施形態では、医薬組成物は、約18.7重量%の微結晶性セルロースを含む。
【0060】
第1の実施形態では、医薬組成物は、約1.35重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。第2の実施形態では、医薬組成物は、約2.7重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0061】
第1の実施形態において、医薬組成物は、約0.25重量%のコロイド状の無水シリカを含む。第2の実施形態において、医薬組成物は、約0.50重量%のコロイド状の無水シリカを含む。
【0062】
第1の実施形態では、医薬組成物は、約0.30重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。第2の実施形態では、医薬組成物は、約0.60重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0063】
特定の実施形態では、非晶質固体分散体はASD1である。
【0064】
本発明はまた、制御された様式で活性物質を放出することができる組成物を意図する。非経口投与のために使用することができる医薬組成物は、アンプル、使い捨てシリンジ、ガラスもしくはプラスチックバイアルまたは注入容器に一般に含まれる水性または油性の溶液または懸濁液などの従来の形態である。
【0065】
非晶質固体分散体に加えて、これらの溶液または懸濁液は、場合により、滅菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水、油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒、抗菌剤、例えばベンジルアルコール、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム、消泡剤、キレート剤、例えばエチレンジアミン-四酢酸、緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩および浸透圧を調整するための薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース、ならびに増粘剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SSL)、ヒプロメロース誘導体(HPMC)および最後に安定化剤、例えばPVPVA、PVPおよびポリビニルアルコール(PVA)も含有することができる。
【0066】
これらの医薬形態は、薬剤師によって日常的に使用される方法を使用して調製される。
【0067】
国際公開第2021/001288号として公開されている国際特許出願第PCT/EP2020/068183号は、式(I)の化合物が、D1受容体が役割を果たす疾患および/または障害、特に統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療に有用であり得ることを記載している。
【0068】
したがって、さらなる態様では、本発明は、統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療および/または予防に使用するための、本明細書に記載の非晶質固体分散体またはその医薬組成物を提供する。
【0069】
特定の態様では、本発明は、パーキンソン病および他の運動障害、アルツハイマー病、または統合失調症における認知および陰性症状の治療に使用するための、上で定義した非晶質固体分散体またはその医薬組成物を提供する。
【0070】
本発明はまた、統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療および/または予防に使用するための医薬品を製造するための、本明細書に記載の非晶質固体分散体またはその医薬組成物の使用を提供する。
【0071】
特定の態様では、本発明は、パーキンソン病および他の運動障害、アルツハイマー病、または統合失調症における認知および陰性症状を治療するための医薬品を製造するための、上で定義した非晶質固体分散体またはその医薬組成物の使用を提供する。
【0072】
本発明はまた、統合失調症、神経遮断療法に関連する認知障害、軽度認知障害(MCI)、衝動性、注意欠陥多動性障害(ADHD)、パーキンソン病および他の運動障害、ジストニア、パーキンソン認知症、ハンチントン病、レビー小体病を伴う認知症、アルツハイマー病薬物依存症、睡眠障害、無気力症、外傷性脊髄損傷または神経因性疼痛における認知および陰性症状の治療および/または予防方法であって、そのような治療を必要とする患者に、本明細書に記載の有効量の非晶質固体分散体、またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0073】
特定の態様では、本発明は、パーキンソン病および他の運動障害、アルツハイマー病、または統合失調症における認知および陰性症状の治療および/または予防方法であって、そのような治療を必要とする患者に有効量の本明細書に記載の非晶質固体分散体またはその医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0074】
例
略語/反復試薬
ACN:アセトニトリル
Brine:飽和塩化ナトリウム水溶液
nBu:n-ブチル
tBu:tert-ブチル
Cellulose,microcrystalline:Avicel PH-105&PH-200(商品名)
Croscarmellose sodium:Ac-Di-Sol(商品名)
cAMP:環状アデノシンモノホスファート
DCM:ジクロロメタン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
mDSC:変調示差走査熱量測定
ES+:エレクトロスプレー正イオン化
Et:エチル
EtOH:エタノール
Et2O:ジエチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
h:時間
HPLC:高速液体クロマトグラフィ
HTRF:均一時間分解蛍光
HPCMAS-L:酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースLグレード
HPMCAS-M:酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースMグレード
HPMC E3LV:ヒプロメロースE3LVグレード
HPMC 15LV:ヒプロメロース15LVグレード(商品名Affinisol)
HPMC 100LV:ヒプロメロース100LVグレード(商品名Affinisol)
HPMCP HP-55:ヒプロメロースフタレートHP55グレードラクトース一水和物:FlowLac90(商品名)
LCMS:液体クロマトグラフィ質量分析
ステアリン酸マグネシウム:HyQual2257(商品名)
MeOH:メタノール
min.:分
NCS:N-クロロスクシンイミド
NMR:核磁気共鳴
iPrOH:イソプロパノール
PVPVA 64:コポリマーN-ビニル-2-ピロリドン/酢酸ビニル
PVP 17PF:ポリビニルピロリドン17PFグレード
rt:室温
SFC:超臨界流体クロマトグラフィ
シリカ、コロイド状の無水:Cab-O-Sil M-5P(商品名)
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィ
Tg:ガラス転移温度
XRPD:X線粉末回折
IUPAC名は、Biovia Draw 16.1を使用して決定されている。
【0075】
1.分析方法
空気または感湿試薬を含む全ての反応は、乾燥溶媒およびガラス器具を使用して窒素またはアルゴン雰囲気下で行った。市販の溶媒および試薬は、一般に、さらに精製することなく使用され、適切な場合には無水溶媒(一般に、Aldrich Chemical CompanyのSure-Seal(商標)製品またはACROS OrganicsのAcroSeal(商標))が含まれる。一般に、反応の後に、当業者に公知の従来の方法に従って薄層クロマトグラフィ、HPLCまたは質量分析を行った。
【0076】
粗物質は、順相クロマトグラフィ、(酸性または塩基性)逆相クロマトグラフィ、キラル分離または再結晶によって精製することができた。
【0077】
生成物は、一般に、最終分析および生物学的試験に供する前に真空下で乾燥させた。
【0078】
全てのNMRスペクトルは、250MHz、300MHz、400MHzまたは500MHzで得られた。
【0079】
化合物を、DMSO-d6、CDCl3またはMeOH-d4溶液中、プローブ温度300Kおよび濃度10mg/mLで試験した。機器は、DMSO-d6、CDCl3またはCD3ODの重水素シグナルにロックされる。化学シフトは、内部標準としたTMS(テトラメチルシラン)からのppmダウンフィールドで与えられる。
【0080】
2.2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノン(Ia)の一水和結晶形態の調製
式(Ia)の化合物は、参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の国際特許出願WO2021/001288号の例2に記載されているのと同じ合成方法を適用することによって調製した。
【0081】
以下の再結晶化手順も、欄2.8に開示された再結晶手順の代替として適用された。
【0082】
再結晶化を、240mlのジメチルスルホキシドに可溶化された5.00gの粗物質に対して行う。溶液を40℃に加熱し、次いで、P3焼結ガラス上で濾過する。反応器およびフィルターを35mlのジメチルスルホキシドですすぐ。濾液を清浄な反応器に移し、85℃まで加熱する。110mlの水を30分間にわたってゆっくりと投入する。次いで、250mgの化合物(Ia)(0.5%w/w、一水和物形態)を反応混合物に添加する。混合物を85℃で2時間30分撹拌し、結晶性材料を溶液から取り出した後、12時間かけて20℃までゆっくりと冷却する。懸濁液を濾過し、濾過ケーキを数回に分けた水、次いで150mlの酢酸エチルで連続的にすすぐ。濾過ケーキを真空下50~60℃で乾燥させる。化合物(Ia)をオフホワイトの粉末46.9gとして得る。収率=94%
1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 7.65(dd,J=9.0,2.2 Hz,1H),7.52(dd,J=9.0,2.1 Hz,1H),7.37(ddd,J=19.6,7.6,1.7 Hz,1H),7.25-7.03(m,2H),5.30(q,J=6.5 Hz,0.3H),5.16-4.99(m,1.7H),4.99-4.84(m,0.7H),4.63-4.30(m,3.3H),4.17-3.93(m,4H),3.28(dt,J=10.5,5.1 Hz,1.3H),3.10-2.85(m,1.7H),1.56(dd,J=13.2,6.9 Hz,6.7H),1.24(d,J=6.5 Hz,2.3H).
【0083】
3.2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの非晶質固体分散体の調製および特性評価
3.1.噴霧乾燥手順
化合物(Ia)および担体を有機溶媒(複数可)に溶解し、噴霧乾燥させて、以下の段落3.1.aおよび表1に記載の異なる固体分散体を得る。使用されるポリマーマトリックスは、一般に市販されており、異なるグレードの品質で得られ得る。
【0084】
異なるタイプの噴霧乾燥装置を使用することができる。本手順で使用される噴霧乾燥装置は、ProCept 4M8-TriX(ProCept,Belgium)である。
【0085】
3.1.a.非晶質固体分散体1(ASD1)の合成
約40/60重量%の重量比に相当する約40gの式(Ia)の化合物および約60gの市販のHPCMAS-Lを、ジクロロメタン/メタノール76/24重量%の混合物に完全に溶解させて、溶液中に約5%(w/w)の全固形分含有量に達する。次いで、供給溶液を1.5バールの圧力下で18g/分の速度で二流体ノズルに圧送し、微細な液滴に霧化する。溶媒を、65℃の入口温度に設定した並流乾燥空気流によって蒸発させる。霧化および乾燥パラメータは、40~45℃の出口温度を達成するように調整される。蒸発したら、乾燥した粒子をサイクロンを通して収集する。収集した湿潤材料を真空オーブン中で25℃の温度でさらに12時間保存して、約85gのASD1と呼ばれる非晶質2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの所望の固体分散体を得る。収率=約85%(二次乾燥後に回収された材料/供給液に溶解した材料)%
【0086】
他の非晶質固体分散体は、以下の表1に要約される量の式(Ia)の化合物およびポリマーマトリックスを使用して、同様の様式で調製され得る。
【表1】
【0087】
3.2.ホットメルト押出手順
表2に記載の重量割合の化合物(Ia)とポリマーマトリックスとの粉末混合物約10gを調製した。例えば、40重量%の(Ia)が示される場合、これは約4.0gの化合物(Ia)および約6.0gのポリマーマトリックスを表す。
【0088】
使用されるポリマーマトリックスは、一般に市販されており、異なるグレードの品質で得られ得る。化合物(Ia)およびポリマーマトリックスを、3次元シェーカーシステムTURBULA(商標)(WAB)で5分間ブレンドする。次いで、プレブレンドを#25メッシュ(約700μmまで)スクリーンで細分化し、TURBULA(商標)システムでさらに5分間ブレンドした。次いで、予備混合粉末を、逆回転スクリュー構成で動作するベンチスケールのホットメルト押出機(Thermo Scientific HAAKETM MiniCTWマイクロ円錐ツインスクリュー複合機、ThermoFisher)に手動で供給した。バレル温度を160℃に固定し、スクリュー速度を200rpmに規定した。強制フィーダーを使用して、500rpmで固定されたオーガー速度でバレルを充填した。周囲温度に冷却した後、押出物を収集した。バレル内での単一パス押出の後、各押出物について目視観察を行った。押出物が透明に見えない場合、材料をバレル内でさらに2分間再循環し、押し出した。押出後、材料を、#60メッシュ(約250μmまで)のスクリーンを通過させながら、小さなバリ型ミルシステムで1~2分間粉砕した。粉砕した押出物を250μmのふるいでふるい分けし、異なる画分を別々に保存した。
【表2】
【0089】
3.3.ASD1-ASD17のX線粉末回折(XRPD)
本明細書に記載の噴霧乾燥およびホットメルト押出によってそれぞれ得られた非晶質固体分散体ASD1~ASD17は、以下の一般的な手順に従ってXRPDによって特徴づけられている。
【0090】
ASD1~ASD15についてX線粉末パターンは、入射ビーム経路用のBragg-BrentanoHD光学モジュールを備えたCuKα線を用いたPANalytical Empyrean Serie2のX線粉末回折計を用いて反射配置で、およびPIXel 3D検出器で得た。データ収集ソフトウェアを使用してデータを記録した。測定時の管電圧は45kV、アンペア数は40mAとした。平坦なゼロバックグラウンド、ゼロバックグラウンドカップまたはバックローディングサンプルホルダのいずれかに配置されたサンプルを、0.2°/分~2.1°/分の走査速度で4、5、および30°2θで分析した。データは、Data ViewerまたはHighScore Plusを使用して処理した。
【0091】
反射配置のCuKα線を使用するRigaku Miniflex 6G X線回折装置を用いて、ASD16およびASD17についてのX線粉末パターンを得た。測定時の管電圧は40kV、アンペア数は15mAとした。ゼロバックグラウンドカップまたはゼロバックグラウンド低容量カップのいずれかに配置されたサンプルを、0.9°/分の走査速度で3~30°2θで分析した。データは、Data ViewerまたはHighScore Plusを使用して処理した。
【0092】
図1~
図4および
図9~
図19、
図21および
図22は、標準的なアモルファス固体ハローを示すASD1~ASD17のXPRDパターンを示す。ASD7およびASD12のパターンに現れるピークは、式(I)の化合物の結晶形態の存在に起因するのではなく、ポリマーマトリックスに由来するいくつかの不純物に起因することに留意されたい。
【0093】
3.4.非晶質2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エテノンの固体分散体の示差走査熱量測定(DSC)
段落3.1および3.2で得られたASD1~15の相挙動および熱特性を、TA Instruments Q1000熱量計(TA Instruments、Leatherhead、英国)を使用して変調DSC(mDSC)によって分析した。チャンバを50mL/分の流速の乾燥窒素でパージした。インジウムおよびサファイアディスクを使用して、それぞれ温度/エンタルピーおよび熱容量を測定した。粉末を非気密標準アルミニウムパン(TA Instruments、Leatherhead、英国)で分析した。典型的なmDSC分析では、サンプルを0℃から250℃まで2℃/分で±1℃の調整で40~60秒間加熱した。Universal Analysis2000ソフトウェア(TA Instruments、Leatherhead、英国)を使用してデータを処理した。ガラス温度(Tg)は、逆熱流信号で観察された工程変化の変曲点として報告され、結晶化および融解事象は、非逆および全熱流で記録された。
【表3】
【0094】
3.5.ASD1、ASD2、ASD3、およびASD4の安定性
図1~
図4に示されているASD1~ASD4のXRPDは、t=0で得られている。
【0095】
さらに、ASD1のXRPDは、25℃および相対湿度60%で12ヶ月後に取得されており、得られたパターンが
図5に示されている。
【0096】
ASD2、ASD3、およびASD4のXRPDもまた、乾燥剤としてのシリカゲルの存在下、室温で10ヶ月後にさらに採取し、得られたパターンを
図6に示す。
【0097】
これらの研究は、ASD1~ASD4が全て少なくとも10ヶ月間安定であることを示している。
【0098】
4.式(Ia)の化合物を有する非晶質2-(3,5-ジクロロ-1-メチル-インダゾール-4-イル)-1-[(1S,3R)-3-(ヒドロキシメチル)-5-(1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル)-1-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]エタノンの固体分散体の比較溶解度
式(Ia)の化合物およびASD1のそれぞれの溶解度を、振盪フラスコ法を使用しながら異なる媒体中で測定した。過剰の固体(5mg/mLの式(I)の化合物の濃度に相当する)を、表4に具体的に記載されるように5mLの緩衝液/生体関連媒体に懸濁し、密閉ガラスバイアル(10mL)内で、回転ミキサーを備えた気候室において室温および37℃の両方で24時間インキュベートした。24時間の時点は溶解度に達したと仮定し、その時点で懸濁液を0.45μmのウルトラフリーフィルター(Merck Millipore)で濾過し、薬物含有量をHPLCによって測定した。化合物(Ia)およびASD1の溶解度を3回測定した(n=3)。薬物沈殿を防止するために必要な場合、濾液を適切な有機溶媒で希釈した。
【0099】
以下の表4は、種々の媒体中のASD1の溶解度と比較した化合物(Ia)の溶解度を示す。これらの媒体は、それぞれリン酸緩衝液、FasSGF、FASSIF-V2およびFeSSIF-V2である。FasSGは絶食状態の胃液である。FasSGFは、pH1.6で調製され、0.08mMのタウロコール酸塩、0.02mMのリン脂質、34mMのナトリウムおよび59mMの塩化物を含有する。FaSSIF-V2およびFeSSIF-V2は、それぞれ絶食状態および摂食状態の生体関連媒体である。FaSSIF-V2は、pH6.5で調製され、3mMのタウロコール酸、0.2mMのリン脂質、106mMのナトリウム、69mMの塩化物および19mMのマレイン酸を含有する。FeSSIF-V2はpH5.8で調製され、10mMのタウロコレート、2mMのリン脂質、0.8mMのオレアート、5mMのグリセロールモノオレアート、218mMのナトリウム、125mMの塩化物および55mMのマレイン酸を含有する。
【表4】
【0100】
上記で得られた結果は、式(Ia)の化合物と比較して、ASD1についての溶解度の最小30倍の増加、および最大100倍超の増加が得られることを示している。
【0101】
5.ASD1および式(Ia)の化合物の溶解プロファイル
5.1.一般的手順
溶解プロファイルは、USP装置2タイプ(Distek 2100C Dissolution Apparatus)において37℃で測定した。動的溶解試験は、まず、1mg/mLの式(I)の化合物の濃度に等しい濃度を達成するための模擬胃媒体(0.1NのHCl)中での30分間の溶解、続いて0.5mg/mLの式(I)の化合物の濃度に等しい濃度を達成するためのFaSSIF-V2中での180分間の溶解を含む。
【0102】
5.2.ASD1の溶解
125mgのASD1を秤量し、100mL容器に入れた。次いで、50mLの模擬胃媒体(0.1NのHCl)を容器に添加し、パドル速度を100rpmに固定した。30分後、等量(50mL)の絶食状態の生体関連媒体を容器に添加して、FaSSIF-V2の組成物を得た。溶解は3回行った(n=3)。各時点で、懸濁液を0.45μmのウルトラフリーフィルター(Merck Millipore)で濾過し、式(I)の化合物の含有量をHPLCによって測定した。次いで、濾液を適切な有機溶媒で希釈した。ASD1の溶解プロファイルを
図7に示す。
【0103】
5.3.化合物(Ia)の溶解プロファイル
図8は、上記のものと類似の条件で行われた化合物(Ia)の溶解プロファイルを示す。
【0104】
図7と
図8との比較から、ASD1は、式(Ia)の化合物と比較して胃媒体に迅速に溶解し、数時間にわたり非常に可溶性のままであるが、化合物(Ia)の溶解度は、同じ期間中に胃媒体中で非常に低いレベルまで低下すると推定することができる。全体として、ASD1は、実験期間中に過飽和を生成し、維持することが見出された。
【0105】
これにより、本発明による非晶質固体分散体、特にASD1は、式(Ia)の化合物よりも改善された溶解度プロファイル、したがって有利な特性を有することが確認される。
【0106】
6.ASD1の液体懸濁液のインビボバイオアベイラビリティ
6.1.ASD1の液体懸濁液
以下の懸濁液に使用される製剤賦形剤は、50mMクエン酸緩衝液を含むpH3.0の水中に1%(w/v)ヒドロキシプロピルセルロースグレードSSL、10%(w/v)PVPVA、0.1%(w/v)Antifoam1510米国を含む混合物である。
【0107】
まず、50mMクエン酸緩衝液を含むpH3.0の水を調製した。次に、ヒドロキシプロピルセルロースグレードSSL、PVPVAおよびAntifoam1510米国を新たに調製したクエン酸緩衝液に連続的に溶解し、120分間撹拌した(磁気撹拌)。
【0108】
15.0gのASD1を秤量し、容器に配置した。ガラス棒またはイノックススパチュラを用いて手動で混合しながら、調製した賦形剤88.8gをASD1に添加した。次いで、88.8gのさらなる賦形剤を添加し、次いで、懸濁液を250rpmでさらに30分間撹拌した。一定の撹拌が維持されない限り、動物に投与する前および投与の間中、懸濁液を再びマグネチックバー/撹拌を用いて15分間撹拌する。
【0109】
6.2.投与およびバイオアベイラビリティの測定
2匹の雄および2匹の雌のイヌの4つの群を、それぞれ10、25および75mg/kg/日の用量で14日間連続して例6.1に従って調製した懸濁液中のASD1で処置した。
【0110】
血漿試料を、投与後1時間、2時間、4時間、7時間、12時間および24時間の投与後異なる時点で、1日目および14日目に収集した。
【0111】
化合物(I)の血漿濃度をLC/MS(液体クロマトグラフィ/質量分析)によって定量した。
【0112】
曲線下の面積(AUC
24)を、0~24時間1日目および14日目にlog-lin補間規則を用いて計算した。
図20に示すように、このAUC
24を投与された用量で除し、用量の関数としてプロットする。
【0113】
図20は、式(I)の化合物のAUC
24が投与された用量に比例して増加したことを示し、したがって、懸濁液中のASD1が、用量を10から75mg/kgに増加させたときに同じレベルのバイオアベイラビリティを維持したことを示している。
【0114】
7.ASDを含む錠剤
7.1.非晶質固体分散体を含有する錠剤および錠剤組成物の調製
例3に従って得られた非晶質固体分散体は、当業者に一般的に知られている以下の方法に従って、以下に記載される一般的なプロセス工程に従って錠剤に製剤化される。
1)非晶質固体分散体を、微結晶セルロース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、無水コロイド状シリカおよびステアリン酸マグネシウムなどの適切な賦形剤とブレンドする。
2)本明細書でブレンド#1と呼ばれる、工程1で得られたブレンドは、乾式造粒によって圧縮され、次いで粉砕される。
3)工程2で得られた顆粒を、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの適切な賦形剤とさらにブレンドする。
4)工程3の結果として得られたブレンド(以下、ブレンド#2と呼ぶ)を、特定の投薬強度で微結晶性セルロースおよびラクトース一水和物で任意に希釈した後、圧縮して、コーティングされていない錠剤を得る。
5)コーティングされていない錠剤は、Opadry(商標)(I、II、AMBII、QXまたはEZ)などの適切なコーティング剤でスプレーコーティングされる。
【0115】
上記プロセス工程をASD1に適用することによって得られる錠剤の例は、以下のように構成される。
【表5】
コーティング錠剤A、B、CおよびDは、それぞれさらに約4、4、10および20mgのOpadry AMB II 88 A180040ホワイトを含有する。
【0116】
7.2.錠剤A、B、CおよびDの溶解プロファイル
コーティングされた錠剤A、B、CおよびDの溶解プロファイルを例5に記載の手順に従って測定し、それぞれ
図23、24、25および26に示す。錠剤の数または溶解媒体の体積は、所望の目標濃度に達するように適合させることができることに留意されたい。
【0117】
錠剤A、B、CおよびDで得られた結果は、非晶質固体分散体およびそれらの対応する固体製剤が、式(Ia)の一水和結晶性化合物と比較して溶解度および溶解速度の点で有利であることを示している。
【0118】
7.3.錠剤A、B、CおよびDの安定性
2gのシリカゲル乾燥剤がねじ切りキャップに収容された高密度ポリエチレン瓶に包装されたコーティングされた錠剤A、BおよびDは、25℃および60%の相対湿度で12ヶ月間貯蔵した後に安定であることが分かった。
【0119】
図27、
図28および
図29はそれぞれ、本明細書で上述した条件での12ヶ月の貯蔵の前後における錠剤A、BおよびDのX線粉末回折パターンを示す。
【国際調査報告】