(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ストロボ照明を用いた眼科手術用顕微鏡
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20231214BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61F9/008 130
A61F9/008 120
A61F9/007 200C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535850
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 IB2021059743
(87)【国際公開番号】W WO2022130050
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ツォルト ボー
(72)【発明者】
【氏名】レザ カゼインザード
(72)【発明者】
【氏名】ミカイル オブチンニコブ
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ マレク タブリージ
(72)【発明者】
【氏名】キース ワタナベ
(57)【要約】
眼物質と、眼の眼空間内の又はそれと接触するプローブのプローブ先端との間の相互作用を視覚化するための眼科システムは、プローブ先端が眼物質と相互作用する眼の眼空間の少なくとも一部を含む視野を有する視覚化ツールと、視野の少なくとも一部を照明周波数でストロボ照明するように構成されたストロボ照明源とを含む。眼科手術処置中にストロボ照明源を動作させる方法は、ストロボ照明源の照明源タイプを特定することと、プローブタイプを特定することと、第1の処置トリガを特定することと、プローブタイプ、照明源タイプ及び第1の処置トリガに基づいてストロボ照明源を動作させることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼物質と、眼の眼空間内の又はそれと接触するプローブのプローブ先端との間の相互作用を視覚化するための眼科システムであって、
前記プローブ先端が前記眼物質と相互作用する前記眼の前記眼空間の少なくとも一部を含む視野を有する視覚化ツールと、
前記視野の少なくとも前記一部を照明周波数でストロボ照明するように構成されたストロボ照明源と
を含む眼科システム。
【請求項2】
前記視覚化ツールは、
顕微鏡、
デジタル顕微鏡、及び
カメラ
の1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プローブを駆動周波数で駆動して、前記プローブ先端においてエネルギーを生成することと、
前記照明周波数を前記駆動周波数に合わせて調整することと
を行うように構成された手術用コンソールを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記エネルギーは、
光エネルギー、
超音波エネルギー、
前記眼物質の破壊を生じさせるエネルギー、及び
前記眼物質に運動を生じさせるエネルギー
の1つ以上を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記照明周波数を前記駆動周波数に合わせて調整することは、前記駆動周波数よりも約1Hz低い周波数~前記駆動周波数よりも約5Hz低い周波数の範囲内に前記照明周波数を維持することを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プローブは、
ピコ秒赤外線レーザプローブ、
フェムト秒レーザプローブ、
硝子体切除プローブ、
超音波乳化吸引プローブ、
エキシマレーザ、又は
フェムト秒フラップ切断器
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ストロボ照明源は、
内視鏡照明、
眼の外側からの照明、
前方照明、
後方照明、
角度付き照明、
経強膜照明、
反射照明、及び
第2の照明源との同時照明
の1つ以上を用いて前記視野の前記一部を照明するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ストロボ照明源は、照明軸を定め、
前記視覚化ツールは、視覚化軸を定め、
前記照明軸は、前記視野の前記一部において、ある角度で前記視覚化軸と交差し、及び
前記角度は、約15°~約30°である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
眼科手術処置中にストロボ照明源を動作させる方法であって、
前記ストロボ照明源の照明源タイプを特定することであって、前記ストロボ照明源は、視覚化ツールの視野の少なくとも一部を照明周波数でストロボ照明するように構成される、特定することと、
前記眼科手術処置のために使用されるプローブのプローブタイプを特定することであって、前記プローブは、前記視覚化ツールの前記視野の前記一部において眼物質に接触するように構成されるプローブ先端を有する、特定することと、
前記眼科手術処置の第1の工程に対応する第1の処置トリガを特定することと、
前記プローブタイプ、前記照明源タイプ及び前記第1の処置トリガに基づいて前記ストロボ照明源を動作させることと
を含む方法。
【請求項10】
前記ストロボ照明源を動作させることは、
前記プローブを駆動周波数で駆動することと、
前記照明周波数を前記駆動周波数に合わせて調整することと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の処置トリガは、前記第1の工程の開始を示し、及び
前記ストロボ照明源を動作させることは、前記第1の処置トリガを特定することに応答して、前記ストロボ照明源を「オン」に切り替えることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
第2の処置トリガを特定することを更に含み、
前記第2の処置トリガは、前記第1の工程の終了を示し、及び
前記ストロボ照明源を動作させることは、前記第2の処置トリガを特定することに応答して、前記ストロボ照明源を「オフ」に切り替えることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の工程は、
前記プローブを使用して、眼空間内の水晶体を破壊及び除去すること、又は
前記プローブを使用して、前記眼空間内の硝子体を切断及び吸引すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ストロボ照明源を動作させることは、前記ストロボ照明源の状態を変更することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ストロボ照明源を動作させることは、前記照明周波数の指定された設定に従って前記ストロボ照明源を動作させることを含み、前記指定された設定は、前記指定された設定と、前記第1の処置トリガ及び前記プローブタイプの少なくとも一方との間のマッピングに基づいて決定される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、眼の眼空間内の又はそれに関連する相互作用を視覚化するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
小切開手術中、特に眼科手術中、小さいプローブが手術部位内に挿入されて、組織を破壊、除去又は他に操作する。これらの手術処置中、流体及び組織は、破壊(例えば、切断又は乳化)され、且つ/又は手術部位から除去され得る。処置の視覚化は、組織を操作する際に利用される高周波数及び/又は高出力に起因して困難である。
【0003】
流体及び組織が破壊、除去又は他に操作される眼科手術の例には、硝子体網膜処置が含まれる。硝子体網膜処置は、視力を回復し、維持し、且つ向上させるために行われる様々な外科処置を含み得る。硝子体網膜処置は、眼の後部の多くの深刻な症状の治療に適切であり得る。硝子体網膜処置は、加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症及び糖尿病性硝子体出血、黄斑円孔、網膜剥離、網膜上膜、CMV網膜炎並びに他の多くの眼疾患などの症状を治療し得る。眼の後部における特定の症状を治療するために、外科医は、硝子体網膜処置の一部として、最初に硝子体切除術を行う場合がある。硝子体切除術とは、眼の中心を満たしている、通常、透明でゲル状の物質である硝子体の外科的な除去を指す。硝子体は、眼の容積のおよそ2/3を占める場合があり、出生前に形成されて形作られている。
【0004】
硝子体の除去は、硝子体切除器(「切断器」又は「硝子体切断器」とも呼ばれる)を伴い得る。いくつかの例では、硝子体切除器は、1つ以上の空気圧弁(駆動弁とも呼ばれる)を含む空気圧式硝子体切除機(例えば、手術用コンソール)によって動力が供給され得る。そのような例では、硝子体切除器は、小さいギロチンのように作動し、振動する微小切断器を用いて、制御された方法で硝子体ゲルを除去し得る。いくつかの他の例では、硝子体切除器は、レーザ光又は超音波などのいくつかの他の技術を使用して硝子体を切断し得る。硝子体を切断することに加えて、切断器は、外科的に切断された硝子体を除去又は吸引するようにも構成され得る。
【0005】
流体及び組織が切断、除去又は他に操作される眼科手術の他の例には、疾病の水晶体を乳化させ、水晶体嚢から吸引して取り出す白内障手術を指す超音波乳化吸引術が含まれる。いくつかの例では、超音波乳化吸引プローブは、超音波(又はレーザ光などの他の技術など)によって水晶体を乳化させ得る。
【0006】
したがって、眼科手術で利用されるプローブは、振動顕微切断器、レーザ光、超音波及び真空吸引など、様々な手段を通して眼物質と相互作用し、且つ/又は眼物質を操作する。外科医は、顕微鏡を用いて眼の相互作用を視覚化し得る。顕微鏡は、手術領域を照明するために、LEDなどの照明源を提供し得る。顕微鏡の照明源に加えて又はその代わりに、眼空間を照明するために、照明プローブが眼内に挿入され得る。次いで、外科医は、視覚的フィードバックに反応し得る。例えば、プローブが眼の敏感な領域に接近しているように見える場合、外科医は、プローブの方向又は向きを変化させ、プローブのエネルギー特性を変化させ、且つ/又はプローブを後退させることによって反応し得る。しかしながら、現代のプローブは、多くの場合、高周波数及び/又は高出力で動作する。多くの場合、プローブと眼物質との相互作用は、非常に迅速に起こるため、外科医が時間内に視覚的に検出及び/又は反応して、眼に損傷が生じることを防止することができない。眼科手術の相互作用を高い時間精度で視覚化するために利用可能なツールを有することは、外科医にとって有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、概して、眼の眼空間内の又はそれに関連する相互作用を視覚化するための方法及びシステムに関する。
【0008】
特定の実施形態は、眼物質と、眼の眼空間内の又はそれと接触するプローブのプローブ先端との間の相互作用を視覚化するための眼科システムを提供する。システムは、プローブ先端が眼物質と相互作用する眼の眼空間の少なくとも一部を含む視野を有する視覚化ツールと、視野の少なくとも一部を照明周波数でストロボ照明するように構成されたストロボ照明源とを含む。
【0009】
特定の実施形態は、眼科手術処置中にストロボ照明源を動作させる方法を提供する。方法は、ストロボ照明源の照明源タイプを特定することであって、ストロボ照明源は、視覚化ツールの視野の少なくとも一部を照明周波数でストロボ照明するように構成される、特定することと、眼科手術処置のために使用されるプローブのプローブタイプを特定することであって、プローブは、視覚化ツールの視野の一部において眼物質に接触するように構成されるプローブ先端を有する、特定することと、眼科手術処置の第1の工程に対応する第1の処置トリガを特定することと、プローブタイプ、照明源タイプ及び第1の処置トリガに基づいてストロボ照明源を動作させることとを含む。
【0010】
以下の説明及び関連する図面は、1つ以上の実施形態の特定の例示的な特徴を詳述する。
【0011】
添付図面は、本開示の特定の実施形態の例のみを描いており、したがって本開示の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、特定の実施形態による例示的な手術用コンソールを示す。
【
図2】
図2は、特定の実施形態による例示的な硝子体切除プローブを示す。
【
図3】
図3は、特定の実施形態による例示的な超音波乳化吸引プローブを示す。
【
図4A】
図4Aは、特定の実施形態による、内部照明器のストロボ照明を用いた
図2の例示的な硝子体切除プローブを利用する例示的な眼科手術処置中の眼の断面図を示す。
【
図4B】
図4Bは、特定の実施形態による、内部照明器のストロボ照明を用いた
図3の例示的な超音波乳化吸引プローブを利用する例示的な眼科手術処置中の眼の断面図を示す。
【
図5A】
図5Aは、特定の実施形態による、外部ストロボ照明を用いた
図2の例示的な硝子体切除プローブを利用する例示的な眼科手術処置中の眼の断面図を示す。
【
図5B】
図5Bは、特定の実施形態による、外部ストロボ照明を用いた
図3の例示的な超音波乳化吸引プローブを利用する例示的な眼科手術処置中の眼の断面図を示す。
【
図6A】
図6Aは、特定の実施形態による、外部ストロボ照明を用いた
図2の例示的な硝子体切除プローブを利用する別の例示的な眼科手術処置中の眼の断面図を示す。
【
図6B】
図6Bは、特定の実施形態による、外部ストロボ照明を用いた
図3の例示的な超音波乳化吸引プローブを利用する別の例示的な眼科手術処置中の眼の断面図を示す。
【
図7A-7L】
図7A-7Lは、特定の実施形態による、プローブの先端から放射されたエネルギーと周囲の流体との間の相互作用の例示的なストロボ視覚化を示す。
【
図8】
図8は、特定の実施形態による、ストロボ照明を用いた眼の眼空間内の又はそれに関連する相互作用を視覚化するための一例の例示的なプロセスフローを示す。
【
図9】
図9は、特定の実施形態による手術用コンソールの例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を促進するために、可能な限り同一の参照符号を使用して、各図面に共通する同一の要素を示している。一実施形態の要素及び特徴は、更なる説明を伴わずに他の実施形態に有益に組み込むことができるように企図される。
【0014】
本発明の特徴は、特定の実施形態及び以下の図面に対して述べる場合があるが、本発明の全ての実施形態は、本明細書で述べる有利な特徴の1つ以上を含むことができる。換言すれば、特定の有利な特徴を有するものとして1つ以上の実施形態を述べる場合があるが、本明細書で述べる様々な他の実施形態に従い、このような特徴の1つ以上を使用し得る。同様に、デバイス、器具又は方法の実施形態として例示的な実施形態を以下で述べる場合があるが、様々なデバイス、器具及び方法において、このような例示的な実施形態を実装できることを理解すべきである。
【0015】
実施形態は、ストロボ照明を用いた眼科手術用視覚化ツールに関係するデバイス及び方法を含む。多くの場合、手術用プローブと眼物質との相互作用は、非常に迅速に起こるため、外科医が時間内に視覚的に検出及び/又は反応して、眼に損傷が生じることを防止することができない。そのため、眼の相互作用の詳細が視覚化され得るように、ストロボ照明を用いた眼科手術用視覚化ツールを利用して手術部位を照明することが有益であり得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、「眼空間」という表現は、概して、眼内空間、眼外空間(例えば、角膜の表面などの眼表面)及び眼周囲空間(例えば、眼瞼と眼との間の境界など、眼を取り囲む空間)を指す。同様に、「眼物質」という表現は、概して、眼内物質、眼外物質(例えば、角膜表面)及び眼周囲物質(例えば、シュレム管、涙腺及び鼻涙管など、眼瞼と眼との間の境界に関連する物質)を指す。
【0017】
ストロボ照明を用いた眼科手術用視覚化ツールは、眼構造(例えば、網膜、水晶体嚢など)に対する手術用プローブの位置、硝子体切除術中の硝子体の破断及び/又は運動、超音波乳化吸引術、キャビテーション気泡、ガス伝搬、アブレーションプルームなどに応じた水晶体粒子の破断及び/又は運動など、眼の相互作用の詳細を照明するために利用され得る。ストロボ照明は、眺めを連続した高速画像から不連続なスローダウンした見え方に変換することによって速い(例えば、高速、高周波又は高出力)プロセスの視覚化を可能にする。ストロボ照明は、「裸眼」、レンズ支援視覚化(例えば、顕微鏡)によってであれ、ビデオカメラによってであれ、視覚化を改善し得る。ストロボ照明は、眼の相互作用の視覚的詳細を「遅延させる」と言うことができる。外科医は、ストロボ照明を利用して視覚化を向上させ、したがって眼科手術処置中にプローブをいつどのように利用すべきかをよりよく特定し得る。したがって、ストロボ照明は、リスクを低減し、手術の質を向上させることができる。例えば、ストロボ照明は、網膜及び/又は水晶体嚢に近い箇所での手術の安全性を高めることができる。
【0018】
図1は、特定の実施形態による手術用コンソール101の例を示す。手術用コンソール101は、レーザプローブ(例えば、ピコ秒赤外線レーザプローブ、フェムト秒レーザプローブ)、硝子体切除プローブ、超音波乳化吸引プローブ、フラップ切断器及び他の眼科手術用ツールを含む、様々なプローブタイプの眼科用プローブを含み得る1つ以上のツール103を駆動するように構成され得る。動作中、手術用コンソール101は、硝子体切除術、超音波乳化吸引術、白内障手術、LASIK及び同様の処置などの様々な眼科手術処置を行う際に外科医を支援するように機能し得る。
【0019】
ツール103が硝子体切除器である実施形態では、手術用コンソール101は、硝子体を破壊する(例えば、切断する)目的で硝子体切除器に動力を供給する1つ以上のモジュール又は構成要素を含み得る。例えば、特定の実施形態では、手術用コンソール101は、硝子体切除器に動力を供給するために、窒素などの圧縮ガスを使用する空気圧モジュールを含み得る。特定の他の実施形態では、手術用コンソール101は、硝子体を破壊するために硝子体切除器によって使用されるレーザ光を生成するためのレーザ光源を含み得る(例えば、米国特許出願公開第2019/0201238号明細書を参照されたい)。
【0020】
いくつかの実施形態では、ツール103は、超音波乳化吸引プローブであり得る。例えば、ツール103は、白内障手術中に水晶体を乳化又は破壊することが可能な超音波乳化吸引プローブであり得る。別の例として、ツール103は、水晶体乳化のためにレーザ光を放射するように構成され得る。ツール103が超音波乳化吸引プローブである実施形態では、手術用コンソール101は、白内障手術中に水晶体を乳化させるために超音波乳化吸引プローブに動力を供給する1つ以上のモジュール又は構成要素を含む。いくつかの実施形態では、ツール103は、ピコ秒赤外線レーザ(pIRL)である。
【0021】
いくつかの実施形態では、ツール103は、眼科手術中に切開し、且つ/又はフラップを切断するために使用されるフェムト秒レーザ光などのレーザ光を放射するように構成され得る。適切な例示的なフェムト秒レーザは、Fort Worth,TexasのAlconから入手可能なWaveLight(登録商標)FS200レーザである。いくつかの実施形態では、ツール103は、レーザ、例えば、レーザ屈折矯正角膜切除術及び/又はLASIK処置(例えば、角膜のレーザアブレーション)のためのエキシマレーザであり得る。エキシマレーザの適切な例は、Fort Worth,TexasのAlconから入手可能なWaveLight(登録商標)EX500レーザである。
【0022】
手術用コンソール101は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ109を含み得る(ディスプレイには、ユーザ入力を受け取るためのタッチスクリーンも組み込まれ得る)。ツール103は、ポート107に接続するライン105を通して手術用コンソール101に動作可能に結合される。ライン105は、ツール103を手術用コンソール101と結合させ得る複数の管の代表例であり得ることに留意されたい。例えば、ライン105は、切断目的のためにツール103に動力を供給するための空気圧ライン、光ファイバケーブル又は超音波出力ライン並びに吸引された物質を手術用コンソール101に戻るように搬送するための吸引ライン又は真空ラインの代表例であり得る。
【0023】
図2は、本明細書に記載の特定の実施形態による例示的な硝子体切除器203の斜視図を示す。硝子体切除器203は、ツール103の一例である。
図2に示すように、硝子体切除器203は、プローブ210と、ベースユニット220とを含む。プローブ210は、ベースユニット220の遠位端221を通って部分的且つ長手方向に配置され、ベースユニット220の内部チャンバ内で直接的又は間接的に取り付けられ得る。プローブ210は、硝子体切除術を行うために眼内に挿入され得る。本明細書に記載されるように、構成要素の遠位端又は一部は、その使用中に患者の身体により近い端部又は一部を指すことに留意されたい。一方、構成要素の近位端又は一部は、患者の身体から更に離れた端部又は一部を指す。
【0024】
ベースユニット220は、ベースユニット220の内部チャンバ内にルーティングされる1つ以上の供給ラインのためのポート223を、その近位端225に更に提供する。特定の実施形態では、ポート223は、2つ以上のポートの代表例であり得る。特定の実施形態では、ポート223は、吸引のための真空発生器(例えば、手術用コンソール101内の真空発生器)の管又は真空ライン(例えば、
図1のライン105)とベースユニット220との接続を提供し得る。特定の実施形態では、ポート223は、硝子体を切断するための硝子体切除器203によって使用されるレーザ光を提供するための1つ以上のレーザ光源(例えば、手術用コンソール101内の)に結合する光ファイバケーブルへの接続を提供し得る。特定の実施形態では、ポート223は、硝子体を切断するために、硝子体切除器203に動力を供給するために窒素などの圧縮ガスを使用する(例えば、手術用コンソール101内の)空気圧モジュールを結合する空気圧ラインへの接続を提供し得る。当業者であれば理解するように、硝子体切除器203は、他の技術を使用して動力を供給され得ることに留意されたい。硝子体切除器203は、プローブ210の先端216(すなわち遠位部分)に切断ポートを含む。特定の実施形態では、硝子体切除器203は、このポートを通して硝子体を切断及び吸引することができる。
【0025】
図2は、硝子体切除器の一例のみを示すことに留意されたい。上記のように、レーザ光又は他の機構が代わりに使用され得る。例えば、硝子体切除器203は、切断ポートの代わりに、プローブ210の先端216からレーザ光を発するプローブ210を含み得る。
【0026】
図3は、本明細書に記載の特定の実施形態による、例示的な超音波乳化吸引プローブ303の斜視図を示す。超音波乳化吸引プローブ303は、ツール103の別の例である。
図3に示すように、超音波乳化吸引プローブ303は、超音波乳化吸引術を行うために眼内に挿入され得るハンドピース本体320及びプローブ310を含む。乳化用先端316は、プローブ310の遠位端を越えて延びる。乳化用先端316は、超音波出力ライン324によって提供される超音波を伝搬させる中空円筒形の管又はシャフトである。超音波は、水晶体を破壊(例えば、乳化)することが可能である。乳化用先端316は、吸引ポート318も提供し、これを通して、吸引ライン323によって提供される真空圧の結果として、乳化された水晶体が吸引される。ツール303は、潅注ライン325を通して超音波乳化吸引プロセス中に水晶体に潅注するための潅注ポートも有する。
図3は、超音波乳化吸引プローブの一例のみを示すことに留意されたい。また、
図3は、超音波乳化吸引プローブの一部として使用され得る乳化機構の一例のみを示す。
【0027】
上記のように、様々な眼科手術処置中のストロボ照明の使用により、手術用プローブと眼物質との間の相互作用の外科医による視覚化が改善され、したがって外科医が眼の内側の手術用プローブの位置をより効果的に調節し、且つ/又は手術用プローブを使用することが可能となる。例えば、手術用プローブを動作させている間、ストロボ照明の使用は、外科医が眼の内側の手術用プローブ先端のリアルタイムの位置を視覚的に検出又は特定するのに役立ち、特定の状況では、時間内に反応して眼に損傷が生じるのを防止するのに役立ち得る。したがって、本明細書における実施形態は、ストロボ照明を使用するための様々な異なるシステム及び技術を説明する。
【0028】
「内部照明器ストロボ照明」という項目で説明する、
図4A及び
図4Bの実施形態では、ストロボ照明は、内部照明デバイスによって提供される。「外部ストロボ照明」という項目で説明した、
図5A及び
図5Bの実施形態では、ストロボ照明は、外部照明デバイス(すなわち外科手術中に眼の外側に位置する照明デバイス)によって提供される。「顕微鏡ストロボ照明器」という項目で説明した、
図6A及び
図6Bの実施形態では、ストロボ照明は、視覚化ツールの一体部である顕微鏡照明器によって提供される。
図4A~
図4B、
図5A~
図5B及び
図6A~
図6Bを参照して説明した様々な実施形態が、少なくとも1つのストロボ照明源に加えて1つ以上の連続照明源を含み得ることに留意されたい。
【0029】
また、
図4A、
図5A及び
図6Aは、硝子体切除器203と同様の、硝子体切除器を伴う硝子体切除処置中にストロボ照明を有利に使用できることを示すために提供されていることに留意されたい。
図4B、
図5B及び
図6Bは、超音波乳化吸引プローブ303と同様の、超音波乳化吸引プローブを使用して超音波乳化吸引術が行われる間にストロボ照明を有利に使用できることを示すために提供されている。最後に、
図4A~
図4B、
図5A~
図5B及び
図6A~
図6Bは、硝子体切除器203及び超音波乳化吸引プローブ303に対するストロボ照明の使用を示すが、本明細書に記載の実施形態は、異なるタイプの手術用プローブを伴う、他の任意のタイプの眼科処置に適用可能であり、その例が前述されていることに留意されたい。
【0030】
内部照明器ストロボ照明
図4A及び
図4Bは、内部照明器のストロボ照明を用いた手術用プローブ(例えば、ツール103)を利用する例示的な眼科外科処置中の眼430の断面図を示す。
図4Aに示すように、硝子体切除器203及び内部照明デバイス400は、眼430の眼空間に挿入される。内部照明デバイス400は、視覚化ツール420(例えば、顕微鏡システム)を用いて視認するために、硝子体切除器203のプローブ210の先端216の少なくとも近傍の眼空間を照明する。以下に更に記載されるように、手術用コンソール101などの手術用コンソールは、硝子体切除器203、光源408及び視覚化ツール420の1つ以上から情報を受け取り、これらの1つ以上に命令を伝え、且つ/又は他にこれらの1つ以上と通信し得る。
【0031】
図4Aに示すように、視覚化ツール420は、視野414の境界を定める破線413で示すように、眼430の内部の一部の視覚化を提供する。内部照明デバイス400から放射された光412は、視野414の少なくとも一部を照明し、それにより視覚化ツール420を用いて眼430の内部のその部分及び可能な追加の部分を視認することを可能にする。視覚化ツール420は、手術用顕微鏡又はデジタル視覚化システム(例えば、デジタル顕微鏡)を含む、眼科手術に適した任意の顕微鏡を含み得る。図示の例では、視覚化ツール420は、本体426、対物レンズ422及び取付具424(例えば、偏光フィルタ、同軸光源など)を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、視覚化ツール420は、(例えば、内部に組み込まれた、外部に取り付けられたなど)顕微鏡照明器(図示せず)を含む。例えば、顕微鏡照明器は、当業者であれば理解するように、対物レンズ422又は他の任意の適切な位置に対して近位側に位置することができる。顕微鏡照明器が対物レンズ422に対して近位側に位置する実施形態では、対物レンズ422の光軸(本明細書では、視覚化ツール420の「視覚化軸」とも呼ばれる)が、顕微鏡照明器の照明軸に対して平行又は同軸であり得ることに留意されたい。
【0033】
図4Aの実施形態では、顕微鏡照明器は、手術野を照明するために連続照明(例えば、明るい光、背景光、広い波長帯域の光、狭い波長帯域の光及び/又は白色光)を提供し得る。顕微鏡照明器は、連続光を提供する、白熱電球、ハロゲン電球、メタルハライド電球、キセノン電球、水銀蒸気電球、発光ダイオード(LED)、蛍光灯、他の適切な構成要素及び/又はこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、顕微鏡照明器の動作は、手術用コンソール101によって制御され得る。例えば、手術用コンソール101は、顕微鏡照明器をオン若しくはオフに切り替えるか又はその電圧、波長などを変更するために、制御信号を顕微鏡照明器に送信し得る。
【0034】
図4Aに示すように、内部照明デバイス400は、シャフト又は「管」404の近位端に結合されたハンドピース402を含む。ハンドピース402は、光源408に結合された近位端を有する光ケーブル410の遠位端に取り外し可能に結合される。光源408は、発光ダイオード(LED)、広帯域レーザ源又は眼科手術に適した他の光源を含み得る。特定の実施形態では、光源408は、硝子体切除器203も制御する、手術用コンソール101の一体部である。特定の他の実施形態では、光源408は、独立したユニットである。このような実施形態では、以下で更に詳述するように、光源408は、手術用コンソール101に(例えば、有線又は無線で)通信可能に結合され得る。
【0035】
光源408が手術用コンソール101の一体部であるか否かにかかわらず、特定の実施形態では、手術用コンソール101は、光源408の動作を制御し得る。光源408の動作を制御することは、光源408が内部照明デバイス400を通して視野414を照明するための立体照明を提供する周波数を制御することを含む。光源408の周波数を制御することは、硝子体切除手術の少なくとも特定の処置中に硝子体切除器203を動作させる駆動周波数と光源408の周波数を同期させることを含み得る。光源408の動作を制御することは、光源408に制御信号を送信して、光源408がストロボ照明の提供から連続照明の提供に及びその逆に切り替わるようにすることも含み得る。
【0036】
ハンドピース402は、ユーザ(例えば、眼科外科医)に内部照明デバイス400の把持可能な部分を提供して、眼430内の管404の深さ及び位置を操作するための及び放射光412を誘導するための手段を外科医に提供するように構成される。管404は、挿入カニューレ406を介して眼430に挿入されるように構成された、実質的に中空のステンレス鋼シャフト又は皮下管である。内部照明デバイスとして示され、内部照明デバイスと呼ばれるが、内部照明デバイス400が、眼科用シャンデリアプローブ又は別の適切な手術用照明デバイスを含む、様々な照明プローブのいずれかを含み得ることに留意されたい。
【0037】
内部照明デバイス400は更に、管404の遠位端の外に光を誘導するように構成された1つ以上の光ファイバを収納するように構成される。例えば、光ファイバは、単一の光ファイバ、光ファイバアレイ(例えば、規則的な線形配列又は2次元パターン配列の複数の光ファイバ)及び/又はマルチコア光ファイバ(例えば、複数のコアを有するシングルモード(SM)又はマルチモード(MM)ファイバ)を含み得る。特に、管404の中空部分は、光ファイバを収納するように構成された内部区画を含む。いくつかの実施形態では、光源408がハンドピース402の外にないことに留意すべきである。例えば、特定の実施形態では、ハンドピース402は、ハンドピース402のハウジング又は構造内に光源408を収容する。
【0038】
図4Aの特定の実施形態では、内部照明デバイス400は、硝子体切除器203を使用して行われる外科手術中の少なくとも特定の処置中にストロボ光で視野414の一部を照明する。より具体的には、内部照明デバイス400は、特定の照明周波数を有する光パルス(例えば、広い波長帯域の光、狭い波長帯域の光)で手術野を照明し得る。いくつかの実施形態では、顕微鏡照明器及び内部照明デバイス400の1つ以上は、偏光を提供し得る。
【0039】
流れ場は、流動複屈折を誘起することが知られているため、手術用プローブ(例えば、硝子体切除器203又は超音波乳化吸引プローブ303の先端など)の先端周辺の流れ場を視覚化するために偏光ストロボ照明が利用され得る。いくつかの実施形態では、内部照明デバイス400の光ファイバは、偏光保持ファイバ、偏光ファイバ及び/又は光の伝送に適した他の任意のファイバの1つ以上を含み得る。偏光保持ファイバは、ファイバの複屈折軸と位置合わせされた既存の偏光方向を維持し得、偏光方向を維持することが可能である。同様に、光ファイバには、ファイバを通過した光の偏光を維持するために、複屈折軸を誘起するように圧力(例えば、ワイヤに対する側圧)を加えることができる。対照的に、偏光ファイバは、偏光又は非偏光を受け取り、その光を1つの偏光方向に伝搬させる一方、他の全ての方向への光の伝搬を防止し得る。例えば、偏光ファイバは、透過光を受け取り、透過光の偏光成分を放射する一方、入射成分をフィルタリングする(すなわち反射又は吸収によって光の入射成分の放射を防止する)ことができる。
【0040】
したがって、偏光ファイバは、ファイバを通して伝搬される既に偏光された光を偏光し、その偏光を維持し、且つ/又はその方向を変えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、光源408は、内部照明デバイス400の光ファイバに光を提供する、光ケーブル410の入口点に非偏光を送り込む。このような実施形態では、内部照明デバイス400は、非偏光を偏光するように構成され得る。いくつかの実施形態では、光源408は、直線偏光、円偏光又は楕円偏光を光ケーブル410に送り込む。このような実施形態では、光ケーブル410及び/又は内部照明デバイス400は、光ケーブル410内の光の偏光方向を維持するように構成された偏光保持光ファイバを含み得る。また、いくつかの実施形態では、内部照明デバイス400は、受け取った偏光された光の偏光を変化させるように構成され得る。
【0041】
図4Aと同様に、
図4Bは、内部照明器のストロボ照明を利用する別の例示的な眼科手術処置中の眼430の断面図を示す。
図4Bに示すように、超音波乳化吸引プローブ303は、眼430の水晶体嚢に挿入される。
図4Aと同様に、内部照明デバイス400は、超音波乳化吸引プローブ303を使用して行われる外科手術の少なくとも特定の処置中、ストロボ照明を使用して眼430の眼空間を照明する。内部照明デバイス400からの光は、網膜から反射して、視覚化ツール420を用いた視認のために水晶体空間を後方照明し得る。内部照明デバイス400、光源408、視覚化ツール420及び手術用コンソール101が全て、
図4Aに関して説明したものと同様の方式で動作することに留意されたい。
【0042】
上記のように、内部照明デバイス400はストロボ照明を提供することが可能であるが、特定の実施形態では、内部照明デバイス400は、視野414の少なくとも一部を照明するための連続光を提供するように切り替わり得る。換言すれば、光源408は、手術用コンソール101又は別のデバイスから受け取った制御信号に応答して、連続光の提供からストロボ光の提供に又はその逆に切り替えるように構成され得る。
【0043】
例えば、内部照明デバイス400は、ストロボ照明が用いられず、且つ/又は有益でない場合、外科手術の処置中に手術野を照明するために連続照明(例えば、明るい光、背景光、広い波長帯域の光、狭い波長帯域の光及び/又は白色光)を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、内部照明デバイス400は、連続光のみ、ストロボ照明のみ及び/又は連続光とストロボ照明との(例えば、1つの波長(又は波長帯域)の連続光と、異なる(例えば、重複しない)波長(又は波長帯域)のストロボ照明との)組み合わせを選択的に(例えば、異なる時間に)提供することができる。
【0044】
図4A及び
図4Bの実施形態では、内部照明デバイス400がストロボ照明を提供するとき、視覚化ツール420の顕微鏡照明器は、オフにされ得るか、又は同じ強度(すなわちストロボ照明が提供されないときと同じ)若しくは低下した強度の連続光を同時に提供し得る。
【0045】
外部ストロボ照明
図5A及び
図5Bは、手術用プローブ(例えば、ツール103)、外部ストロボ照明デバイス500、内部照明デバイス400及び視覚化ツール420が利用される、例示的な眼科手術処置中の眼530の断面図を示す。
図5Aでは、手術用プローブは、硝子体切除処置中に使用される硝子体切除器203であるが、
図5Bは、白内障手術中に使用される例示的な超音波乳化吸引プローブ303を示す。
図5A及び
図5Bの実施形態では、
図4A及び
図4Bの内部照明デバイス400は、
図5A及び
図5Bで行われる外科手術の少なくとも特定の処置中にストロボ照明が外部ストロボ照明デバイス500によって提供されている間に、連続照明を提供するように構成される。特定の実施形態では、ストロボ照明デバイス500は、(
図5Aに示す)硝子体切除器203又は(
図5Bに示す)超音波乳化吸引プローブ303を使用して行われる外科手術中の少なくとも特定の処置中にストロボ光で視野514の一部を照明する。
【0046】
より具体的には、外部ストロボ照明デバイス500は、特定の照明周波数を有する光パルス(例えば、広い波長帯域の光、狭い波長帯域の光)で手術野を照明し得る。外部ストロボ照明デバイス500は、光パルスを提供する、スポット照明器、光ファイバ、フラッシュLED、パルスLED、レーザダイオード、パルスレーザ、閃光電球(例えば、キセノン閃光電球、クリプトン閃光電球、アルゴン閃光電球、ネオン閃光電球など)、他の適切な構成要素及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0047】
図示のように、外部ストロボ照明デバイス500は、眼530の外にあるため、放射されたストロボ光512が、角膜を通って眼に入り、視覚化ツール420を用いて眼530の内部を視認することを可能にする。外部ストロボ照明デバイス500は、外部ストロボ照明デバイス500のためのストロボ照明源として機能する光源508に結合される。図示しないが、特定の実施形態では、外部ストロボ照明デバイス500及び/又はその光源508は、視覚化ツール420に取り付けられ、且つ/又は視覚化ツール420の一体部であり得る。特定の他の実施形態では、外部ストロボ照明デバイス500及び/又はその光源508は、視覚化ツール420とは別個であり得る。
【0048】
特定の実施形態では、外部ストロボ照明デバイス500は、視覚化ツール420の視覚化軸に平行でない外部ストロボ照明軸を定め得る。いくつかの他の実施形態では、外部ストロボ照明デバイス500は、視覚化軸と外部ストロボ照明軸とが平行になるように、視覚化ツールに結合され得る。外部ストロボ照明軸は、眼の相互作用の部位又はその近傍で(例えば、視覚化ツール420の視野内で)視覚化軸と交差し得る。いくつかの実施形態では、視覚化軸と外部ストロボ照明軸との間の角度は、所望の視覚化結果(例えば、グレアの低減、選択した偏光構成など)を提供するように選択され得る。視覚化軸と外部ストロボ照明軸との間の大きい(例えば、45°よりも大きい)角度によって不十分なストロボ照明がもたらされ得ることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、視覚化軸と外部ストロボ照明軸との間の角度は、約15°~約30°又は約20°~約25°であり得る。視覚化軸に対してこのような角度でストロボ照明を提供することにより、軸外暗視野照明が提供され得る。軸外暗視野照明は、視覚化ツール420によって提供される画像の可視性を更に高める一種の暗視野照明である。例えば、軸外暗視野照明は、特に様々な密度の流体についての、液体流動プロセスを視覚化するために利用され得る。
【0049】
特定の実施形態では、光源508は、
図5A及び
図5Bに示す手術用プローブ(例えば、硝子体切除器203、超音波乳化吸引プローブ303など)を制御する、手術用コンソール101の一体部であり得る。特定の他の実施形態では、光源508は、独立したユニットであり、手術用コンソール101の一体部ではない。このような実施形態では、以下で更に詳述するように、光源508は、手術用コンソール101に(例えば、有線又は無線で)通信可能に結合され得る。
【0050】
光源508が手術用コンソール101の一体部であるか否かにかかわらず、特定の実施形態では、手術用コンソール101は、光源508の動作を制御し得る。光源508の動作を制御することは、光源508が外部ストロボ照明デバイス500を通して手術野を照明するためのストロボ照明を提供する周波数を制御することを含む。光源508の周波数を制御することは、対応する外科手術の少なくとも特定の処置中に手術用プローブを動作させる駆動周波数と光源508の周波数を同期させることを含み得る。光源508の動作を制御することは、光源508に制御信号を送信して、光源508がストロボ照明の提供から連続照明の提供に及びその逆に切り替わるようにすることも含み得る。
【0051】
外部ストロボ照明デバイス500がストロボ照明を提供するとき、追加の照明源(例えば、視覚化ツール420の顕微鏡照明器、任意選択の内部照明デバイス400など)は、完全にオフにされ得るか、又は同じ強度(すなわちストロボ照明が提供されないときと同じ)若しくは低下した強度の連続光を同時に提供し得ることに留意されたい。
【0052】
顕微鏡ストロボ照明器
図6A及び
図6Bは、手術用プローブ(例えば、ツール103)、内部照明デバイス400及び視覚化ツール420が利用される、例示的な眼科外科処置中の眼630の断面図を示す。
図6Aでは、手術用プローブは、硝子体切除処置中に使用される硝子体切除器203であるが、
図6Bは、白内障手術中に使用される例示的な超音波乳化吸引プローブ303を示す。前述のように、視覚化ツール420は、連続照明を提供するように構成された顕微鏡照明器を含み得る。一例では、この前述の顕微鏡照明器は、ストロボ照明源となるように適合又は再構成され得る。別の例では、連続照明を提供するように構成されたこの前述の顕微鏡照明器に加えて、視覚化ツール420は、(例えば、内部に組み込まれた)ストロボ顕微鏡照明器600を含み得る。更に別の例では、視覚化ツール420は、前述の顕微鏡照明器の代わりに、ストロボ顕微鏡照明器600を含み得る。
【0053】
特定の実施形態では、ストロボ顕微鏡照明器600は、(例えば、(
図6Aに示す)硝子体切除器203又は(
図6Bに示す)超音波乳化吸引プローブ303を使用して行われる)外科手術中の少なくとも特定の処置中にストロボ光で視野614の一部を照明する。特定の実施形態では、ストロボ顕微鏡照明器600は、取付具424の中心軸の周囲にLEDのリングを配置することによって提供され得る。特定の他の実施形態では、1つ以上のストロボLEDは、対物レンズ422に対して近位側に位置決めされ得る。特定の実施形態では、ストロボ顕微鏡照明器600は、視覚化ツール420の視覚化軸に平行でない照明軸を定め得る。いくつかの他の実施形態では、照明軸は、視覚化軸と平行又は同軸であり得る。
【0054】
図6A及び
図6Bの実施形態では、内部照明デバイス600がストロボ照明を提供するとき、追加の照明源(例えば、内部照明デバイス400など)は、完全にオフにされ得るか、又は同じ強度(すなわちストロボ照明が提供されないときと同じ)若しくは低下した強度の連続光を同時に提供し得る。
【0055】
時系列
図7A~
図7Lは、手術用プローブの先端から放射されたエネルギーと周囲の流体との間の相互作用の例示的なストロボ視覚化を示す。
図7A~
図7Lは、ストロボ照明を用いて撮影された動画から取得された画像のコレクションを含む。図示の例では、手術用プローブは、約1500Hzの駆動周波数を有するレーザである。ストロボ照明周波数は、1499Hzである。図示のように、ストロボ照明により、眼流体中の気泡の形成(
図7Aを参照されたい)、膨張(
図7B及び
図7Cを参照されたい)、振動(
図7D及び
図7Eを参照されたい)、並進(
図7Fを参照されたい)及び崩壊(
図7G~
図7Lを参照されたい)の視覚化が可能となる。ストロボ照明を用いて視覚化されることが期待され得る他の相互作用は、超音波乳化吸引先端の周辺の超音波の角度放射パターン、超音波乳化吸引先端の周辺のキャビテーション気泡の発生、超音波乳化吸引先端の周辺の音響流、超音波乳化吸引先端の強力な乳化効果、超音波乳化吸引先端の運動、超音波乳化吸引ハンドピースの異なる構成要素の運動、平衡型超音波乳化吸引先端の振動及び/又は湾曲(例えば、米国特許出願第10,258,505号明細書を参照されたい)、前眼房内の水晶体の破砕及び/又は破片の運動、硝子体切除術中の硝子体の運動などを含む。
【0056】
周波数調整
多くの眼科手術は、非常に迅速に行われるため、裸眼で又は典型的なビデオカメラで視覚化できない眼の相互作用を伴う。例えば、一般的な眼科手術用ツール(例えば、上述のツール103)は、眼の高速な相互作用を生じさせ得る高周波数で動作する。表1により、一般的な眼科手術用プローブタイプと、各々についての典型的な動作/駆動周波数範囲とが特定される。
【0057】
【0058】
本開示の実施形態によれば、手術用プローブの駆動周波数とストロボ照明源の照明周波数とが調整され得る。具体的には、手術用プローブの駆動周波数とストロボ照明源の照明周波数とは、接近するが等しくならないように調整され得る。そのような状況では、手術用顕微鏡を通して処置を視認する外科医は、照明周波数と駆動周波数との差の絶対値に等しい周波数で発生する照明相互作用を確認する。例えば、駆動周波数が125Hzであり、照明周波数が115Hz又は135Hzのいずれかである場合、照明相互作用は、10Hzの周波数(125Hz~115Hz及び125Hz~135Hzの絶対値)を有するように見える。別の例として、駆動周波数が200Hzであり、照明周波数が199Hz又は201Hzのいずれかである場合、照明相互作用は、1Hzの周波数を有するように見える。換言すれば、照明相互作用は、200倍だけ遅延されているように見える。別の例として、駆動周波数が1500Hzであり、照明周波数が1499Hz又は1501Hzのいずれかである場合、照明相互作用は、1Hzの周波数を有するように見える。照明周波数が1499Hzである場合、観察者は、前方に移動するプロセスを確認できるが、照明周波数が1501Hzである場合、プロセスは、後方に移動するように見える。換言すれば、照明相互作用は、1500倍だけ遅延されているように見える。
【0059】
駆動周波数と照明周波数との差の符号/極性により、照明相互作用が(時間的に)前方に移動するように見えるか、逆方向に移動するように見えるかが判定される。眼組織の逆方向の運動と前方向の運動との生理学的な違いは、外科医が区別できることもできないこともある。いくつかの実施形態では、外科医は、前方への又は逆方向の組織運動を視認することを好み得る。外科医は、所望の視覚化を達成するために、周波数差の大きさ及び符号/極性を制御し得る。
【0060】
ストロボ照明下では眼組織がより遅い速度で動くように見えるため、外科医は、相互作用の振幅及び形状をより明確に確認し、それに応じて手術処置を実行することができる。明らかなより遅い運動により、外科医はプローブが意図したとおりに機能していることを確認することが可能となる。プローブのパルスエネルギーは、典型的には、非常に速いため、例えばストロボ照明がなければ、外科医は、視覚化することができない。照明周波数が駆動周波数と等しくなるように設定されている場合、眼組織が静止しているような外観がもたらされ得ることに留意されたい。照明周波数と駆動周波数との位相を(例えば、手動で)変化させることにより、外科医は、先端と組織との周期的な相互作用の任意の段階での画像を「固定」することができる。
【0061】
ストロボ照明周波数は、駆動周波数の分数調波になるように調整することができる(すなわち照明周波数=駆動周波数/Nであり、ここで、Nは、2、3、4などである)。
【0062】
ストロボ照明周波数は、手術用プローブの駆動周波数に対して自動的に調整され得る。例えば、多くの超音波乳化吸引プローブは、水晶体の硬度の変化に応じて、動作中に駆動周波数を数パーセント変化させ得る。ストロボ照明周波数は、超音波乳化吸引プローブの駆動周波数が動作中に変化するため、駆動周波数に合わせて自動的に調節され得る。
【0063】
ストロボ照明源は、照明周波数と光パルス持続時間の両方によって特徴付けられ得る。パルス持続時間は、ストロボ画像の時間分解能を少なくとも部分的に決定し得る。例えば、レーザダイオードは、数ナノ秒と同程度の短さの光パルス持続時間を有することができる。このようなレーザダイオードをストロボ照明源として利用することにより、数ナノ秒と同程度の短さのストロボ画像の時間分解能が提供される。
【0064】
相対周波数を調整することに加えて、ストロボ照明源に対するプローブの振動を調整することは、各々の位相を調整することを含み得る。プローブとストロボ照明光源との位相差は、電子的に正確に制御することができる。ストロボ照明源とプローブとの位相差を一定に保つことにより、外科医は、プロセスの特定の段階での手術処置の「時間固定」画像を確認する。
【0065】
波長及び照明構成
いくつかの実施形態では、上記のように、ストロボ照明源は、連続照明源と併せて利用され得る。いくつかの実施形態では、ストロボ照明源で利用される光の波長(又は波長帯域)は、例えば同時に提供される、連続照明に関連する波長(又は波長帯域)と異なり得る。いくつかの実施形態では、ストロボ照明源で利用される光の偏光は、例えば同時に提供される、連続照明に関連する偏光と異なり得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、ストロボ照明は、視覚化ツールの視野内の1つ以上の要素の前方照明を提供するように位置決め及び/又は構成される。例えば、ストロボ照明は、視野内の1つ以上の要素から視覚化ツールの対物レンズ内に光を反射するように位置決め及び/又は構成され得る。いくつかの実施形態では、ストロボ照明は、視覚化ツールの視野内の1つ以上の要素の後方照明を提供するように位置決め及び/又は構成される。例えば、ストロボ照明は、(1つ以上の他の要素によって反射又は吸収されている間に)視野内の1つ以上の要素(例えば、透明な流体)を通して光を透過させ、次いで視覚化ツールの対物レンズ内に直接(反射なしに)透過させるように位置決め及び/又は構成され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、ストロボ照明は、視覚化ツールの視野内の1つ以上の要素の反射照明を提供するように位置決め及び/又は構成される。例えば、ストロボ照明は、(1つ以上の他の要素によって光が反射又は吸収されている間に)視野内の1つ以上の要素(例えば、透明な流体)を通してバックスクリーン(例えば、網膜)に光を透過させ、次いでバックスクリーンから後方に視覚化ツールの対物レンズに向けて且つ対物レンズに入るように反射するように位置決め及び/又は構成され得る。いくつかの実施形態では、ストロボ照明は、視覚化ツールの視野内の1つ以上の要素の逆反射照明を提供するように位置決め及び/又は構成される。例えば、ストロボ照明は、バックスクリーン(例えば、網膜)に光を透過させ、次いで(1つ以上の他の要素によって反射又は吸収されている間に)バックスクリーンから後方に視野内の1つ以上の要素(例えば、透明な流体)に向けて且つこれらの要素を通して反射し、次いで視覚化ツールの対物レンズに直接(反射なしに)入るように位置決め及び/又は構成され得る。
【0068】
ストロボ照明源の動作
図8は、外科手術中にストロボ照明源の動作を直接的又は間接的に制御するために手術用コンソール(例えば、手術用コンソール101、手術用コンソール900)によって使用される例示的な動作800を示す。プロセスフローは、動作802、804及び806の1つ以上で開始し得る。動作802、804及び806は、個別に及び/又は特定の順序で行う必要がある異なるステップに必ずしも対応しないことに留意されたい。特定の実施形態では、動作802、804及び806の1つ以上は、1つのステップとして行われ得る。特定の実施形態では、動作802、804及び806の1つ以上は、任意選択であり、省略することができる。更に、動作802、804及び806の順序は、様々な実装形態において異なる場合がある。動作802、804及び806のいずれか1つが、手術用コンソール900が通信可能に結合されるストロボ照明源の動作状態を制御する(例えば、設定するか又は切り替える)ための手術用コンソール900のためのトリガとしての役割を果たし得ることに留意されたい。
【0069】
動作802において、手術用コンソール900の制御モジュール(例えば、
図9の制御モジュール901の処置フローモジュール926)は、外科手術に関連する処置トリガを特定し得る。特定の実施形態では、手術用コンソール900は、外科医が複数の対応する外科手術を行うことを可能にするための複数のタイプの手術用プローブを有して構成され得る。例えば、手術用コンソール900は、前述の外科手術(例えば、硝子体網膜手術、白内障手術、LASIK手術など)の1つ以上を行うための前述の手術用プローブ(例えば、硝子体切除器、超音波乳化吸引プローブ、pIRLなど)の1つ以上を有して構成され得る。これらの外科手術の各々は、完了する必要のある様々なステップ又は処置を含み得る。そのため、手術用コンソール900は、これらの外科手術の各々に関する情報及びワークフローを有して構成され得る。一例として、手術用コンソール900は、コンソールが行うように構成される外科手術の各々に対する外科手術プロファイル(例えば、外科手術プロファイル924)を有して構成され得る。一例では、外科手術プロファイルは白内障手術に対応する一方、別の外科手術プロファイルは、ある種の硝子体網膜手術などに対応し得る。手術プロファイルの各々は、多数の処置のワークフローを示し得る。
【0070】
外科手術の開始前に、ユーザ(外科医又は技術者)は、手術用コンソール900のユーザインターフェースを使用して、ユーザインターフェース上に提示された多数の外科手術の中から外科手術を選択し得る。それに応答して、手術用コンソール900は、対応する外科手術プロファイルを実行し得、次いで、外科手術プロファイルは、手術用コンソール900に、白内障手術を完了するために行う必要がある全ての処置のワークフローを表示させ得る。次いで、ユーザは、ユーザインターフェースを使用してワークフロー内の第1の処置を選択し得、これにより、手術用コンソール900は、外科医が第1の処置を行うことを可能にするモードに入り得る。第1の処置が完了すると、ユーザは、ワークフロー内の第2の処置を選択し得、これにより、手術用コンソール900は、外科手術が完了するまで外科医が第2の処置を行うことなどを可能にするモードに入り得る。
【0071】
前述の外科手術の各々について、ストロボ照明の使用が有利であり得る少なくとも1つ以上の処置が存在し得る。例えば、白内障手術中、外科医は、水晶体を乳化させる処置を行うときのストロボ照明の使用から利益を得ることがある。このような例では、動作808に関して更に記載されるように、ユーザがワークフロー内の水晶体乳化処置(例えば、超音波乳化吸引術、レーザ水晶体乳化)を選択したとき、手術用コンソール900は、水晶体乳化処置がトリガされたことを特定し、したがってそれに応じてストロボ照明源の動作を制御するように構成される。外科医が水晶体乳化処置を完了したとき、ユーザは、次の処置を選択し得、これにより、手術用コンソール900は、次の処置に関連する処置トリガを特定する。次の処置に関連する処置トリガを特定することにより、先の処置、例えば水晶体乳化処置が完了したことが手術用コンソール900に示されるため、動作808に関して更に記載されるように、手術用コンソール900がストロボ照明源の動作を変更し得る。
【0072】
別の例では、硝子体網膜手術中、外科医は、硝子体を切断及び除去するときのストロボ照明の使用から利益を得ることがある。このような例では、ユーザがワークフロー内の硝子体切除処置を選択したとき、手術用コンソール900は、硝子体切除処置がトリガされたことを特定し、したがってそれに応じてストロボ照明源の動作などを制御するように構成される。特定の実施形態では、手術用コンソール900は、1つのタイプの外科手術のみで構成されることがあり、その場合、制御モジュールは、外科手術に関連するワークフローを自動的にデフォルトで決定できることに留意されたい。
【0073】
動作804において、手術用コンソール900における制御モジュール(例えば、
図9の処置フローモジュール926)により、手術用プローブのタイプが特定され得る。特定の実施形態では、制御モジュールは、技術者によって選択された外科手術及び/又は最新の処置トリガに基づいて、手術用プローブタイプを特定し得る。例えば、ユーザが硝子体網膜外科手術を選択し、最新の処置トリガが硝子体切除術に対応する場合、制御モジュールは、この手術処置に適切なプローブが硝子体切除器であることを特定し得る。次いで、制御モジュールは、ユーザ入力などに基づいてプローブを動作させることができるように、対応するプローブプロファイルをメモリから読み出し得る。
【0074】
別の例では、技術者が白内障手術を選択し、最新の処置トリガが水晶体乳化に対応する場合、制御モジュールは、この手術処置に適切なプローブが超音波乳化吸引プローブであることを特定し得る。特定の実施形態では、制御モジュールは、多数のプローブタイプの中からのプローブタイプの選択を示すユーザ入力に基づいて、プローブタイプを特定し得る。特定の実施形態では、手術用コンソール900は、1つのタイプのプローブのみを有して構成され得、その場合、制御モジュールは、対応するプローブタイプを自動的にデフォルトで特定する。特定の実施形態では、制御モジュールは、ここでは記載されていないが、当業者によく知られている何らかの他の機構を通してプローブタイプを特定し得る。
【0075】
動作806において、照明源タイプが特定され得る。いくつかの実施形態では、制御モジュール(例えば、照明管理モジュール928)は、技術者によって選択された外科手術及び/又は最新の処置トリガに基づいて照明源タイプを特定し得る。例えば、ユーザが硝子体網膜外科手術を選択し、最新の処置トリガが硝子体切除術に対応する場合、制御モジュールは、この処置中にストロボ照明が使用されるべきであることを特定し得る。外科手術のどの処置中にどのタイプの照明を使用すべきかに関する情報は、対応する外科手術プロファイル及び/又はプローブタイププロファイルによって示され得る。特定の処置について、制御モジュールは、任意の連続照明源を動作させる方法に関する情報を有するようにも構成され得る。例えば、制御モジュールは、硝子体切除中にストロボ照明が提供されている間に、任意の連続照明源をオフにするように構成され得る。
【0076】
動作808において、手術用コンソールは、表示に基づいてストロボ照明源の動作状態を設定するか又は切り替える。表示は、手術用コンソール900が受け取ったユーザ入力を含み得るか、又は特定されたプローブタイプ、照明源タイプ及び/又は処置トリガタイプに基づき得る。例えば、
図9を参照して以下に更に記載されるように、手術用コンソール900の照明管理モジュール928は、ストロボ照明源(例えば、照明源914又は照明源916)の特定の態様を制御するように構成され得る。例えば、ストロボ照明源は、「オン」及び「オフ」を含む1つ以上の動作状態を有し得る。手術用コンソール900の照明管理モジュール928は、ある状態から別の状態へのストロボ照明源の切り替えを制御するように構成され得る。別の例として、ストロボ照明システムは、1つ以上の周波数設定で動作し得る。手術用コンソール900の照明管理モジュール928は、ストロボ照明源の周波数設定を調節するように構成され得る。手術用コンソール900の照明管理モジュール928は、手術用プローブのリアルタイムの駆動周波数の表示に基づいてストロボ照明源の周波数を調節するようにも構成され得る。手術用プローブのリアルタイムの駆動周波数の表示は、当業者に既知であり得るように、手術用プローブを駆動する駆動回路から又は別の機構を通して照明管理モジュール928によって受け取られ得る。別の例として、ストロボ照明源は、1つ以上の光波長(又は波長帯域)で動作し得る。手術用コンソール900の照明管理モジュール928は、ストロボ照明源の波長設定の調節を制御するように構成され得る。
【0077】
手術用コンソール900の照明管理モジュール928は、1つ以上の入力に応答してストロボ照明源の特定の態様を制御するように構成され得る。例えば、外科医は、(例えば、I/Oデバイスインターフェース909を介して)一連の所望の態様を直接入力し(例えば、1499Hzの照明周波数及び570nm~590nmの波長帯域でストロボ照明源を「オン」にし)得る。別の例として、照明管理モジュール928は、手術用コンソール900の他の構成要素(例えば、処置フローモジュール926)からの入力を受け取り得る。照明管理モジュール928は、ストロボ照明源の指定された態様設定のためのマッピングと共に、他の構成要素からの入力を利用し得る。マッピングは、手術用プローブ、ストロボ照明、外科手術、処置及び/又は処置トリガ、プローブ周波数、利用可能なストロボ照明周波数、連続光波長、利用可能なストロボ照明波長、連続光偏光、利用可能なストロボ照明偏光などの1つ以上の間のマッピングを含み得る。
【0078】
記載のストロボ照明源は、様々な眼科手術及び各手術に含まれる様々な処置の手術野の時間分解視覚化のための有益な照明を提供し得る。例えば、適用可能な眼科手術は、硝子体網膜手術、pIRLに基づく白内障手術、超音波乳化吸引手術、フェムト秒レーザ支援白内障手術(FLACS)、フェムト秒フラップ作成、LASIK及び角膜のエキシマレーザアブレーションを含み得る。更に、このような手術の適用可能な処置は、切開部の作成、フラップの移動及び/又は交換、硝子体液の切断及び/又は破壊、硝子体液の吸引、白内障の破壊及び/又は乳化、白内障の吸引、水晶体の崩壊、水晶体粒子の除去、角膜のアブレーション並びに瘢痕組織及び/又は他の組織の除去を含み得る。
【0079】
手術の処置間の移行は、手術用照明に関係するいくつかのトリガを伴い、且つ/又はこれらのトリガによって特定され得る。同様に、任意の特定の処置中、特定の動作条件は、手術用照明に関係する処置の態様の所望の変化のためのトリガを示し得る。処置間の潜在的な移行の例としては、外科医が、あるタイプのツールから別のタイプのツールの操作に切り替え得ることが挙げられる。かかるスイッチは、照明のタイプ及び/又は態様を切り替えるためのトリガを示し得る。潜在的な移行の更なる例として、外科医は、駆動周波数、出力、波長、プローブ位置及び/又はプローブ角度など、利用されているツールの態様を変化させ得る。更なる例として、手術用コンソール制御モジュール901は、駆動周波数、出力及び/又は波長など、利用されているツールの態様の所望の変化を示す動作条件(例えば、網膜に対するプローブ先端の近接度、プローブ先端に近接する眼物質の硬度)を検出し得る。更なる例として、手術用コンソール制御モジュール901は、処置間の移行に応答して、利用されているツールの態様を変化させ得る。これらの例のいずれも、単独で又は組み合わせて、照明のタイプ及び/又は態様を切り替えるためのトリガを示し得る。
【0080】
図9は、本明細書に開示される実施形態による、
図1の手術用コンソール900の例図を示す。図示のように、手術用コンソール900は、非限定的に、制御モジュール901と、ユーザインターフェースディスプレイ908(例えば、
図1のディスプレイ109)と、配線906と、手術用コンソール900への様々なI/Oデバイス(例えば、キーボード、ディスプレイ、マウスデバイス、ペン入力など)の接続を可能にし得る、少なくとも1つのI/Oデバイスインターフェース909とを含む。手術用コンソール900は、照明源914(例えば、連続照明源及び/又はストロボ照明源)も含み得る。いくつかの実施形態では、手術用コンソール900は、照明源916(例えば、連続照明源及び/又はストロボ照明源)に動作可能に結合し得る。
【0081】
制御モジュール901は、コントローラ(例えば、CPU912)と、メモリ902と、ストレージ904とを含む。CPU912は、メモリ902に記憶されたプログラミング命令を検索して実行するように構成される。同様に、CPU912は、メモリ902に存在するアプリケーションデータを取得して格納し得る。配線906は、CPU912、I/Oデバイスインターフェース909、ユーザインターフェース908、メモリ902及びストレージ904、照明源914、照明源916などの間でプログラミング命令及びアプリケーションデータを伝送する。CPU912は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPUなどを含み得る。メモリ902は、ランダムアクセスメモリであり得、ストレージ904は、ディスクドライブであり得る。更に、メモリ902及び/又はストレージ904は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、ソリッドステート、フラッシュメモリ、磁気メモリ又はローカル若しくはリモートの他の任意の形態のデジタルストレージなど、任意のタイプの容易に利用可能なメモリであり得る。特定の実施形態では、メモリ902及び/又はストレージ904は、CPU912によって実行されると、プローブの駆動周波数とストロボ照明源の照明周波数との調整を行わせる命令を含む。特定の実施形態では、CPU912、メモリ902及びストレージ904は、手術用コンソール101を実装し得るか又は含み得る、手術用コンソール101(
図1を参照されたい)のメインプロセッサ及びメモリであり得る。
【0082】
図示のように、ストレージ904は、
図1のツール103を参照して前述したように、様々なプローブタイプを表すプローブプロファイル920を含む。ストレージ904は、前述のように、様々なストロボ照明源タイプを表す照明源プロファイル922も含む。
【0083】
メモリ902は、本明細書の実施形態に記載されるように、眼科手術処置中にプローブの態様(例えば、周波数又は出力)を調節するための処置フローモジュール926を含む。加えて、メモリ902は、照明源914及び/又は照明源916とインターフェースする照明管理モジュール928を含む。
【0084】
一実施形態では、眼物質と、眼の眼空間内の又はそれと接触するプローブのプローブ先端との間の相互作用を視覚化するための眼科システムは、プローブ先端が眼物質と相互作用する眼の眼空間の少なくとも一部を含む視野を有する視覚化ツールと、視野の少なくとも一部を照明周波数でストロボ照明するように構成されたストロボ照明源とを含む。
【0085】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、視覚化ツールは、顕微鏡、デジタル顕微鏡及びカメラの1つ以上を含む。
【0086】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、システムは、プローブを駆動周波数で駆動して、プローブ先端においてエネルギーを生成することと、照明周波数を駆動周波数に合わせて調整することとを行うように構成された手術用コンソールも含む。
【0087】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、エネルギーは、光エネルギー、超音波エネルギー、眼物質の破壊を生じさせるエネルギー及び眼物質に運動を生じさせるエネルギーの1つ以上を含む。
【0088】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、照明周波数を駆動周波数に合わせて調整することは、駆動周波数よりも約1Hz低い周波数~駆動周波数よりも約5Hz低い周波数の範囲内に照明周波数を維持することを含む。
【0089】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、駆動周波数は、1つ以上の処置トリガに応答して変化する。
【0090】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、プローブは、ピコ秒赤外線レーザプローブ、フェムト秒レーザプローブ、硝子体切除プローブ、超音波乳化吸引プローブ、エキシマレーザ又はフラップ切断器を含む。
【0091】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源は、眼物質内に位置決めされた発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、閃光電球、偏光光源、広波長帯域光源、狭波長帯域光源及び光ファイバのいずれかを含む。
【0092】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源は、内視鏡照明、眼の外側からの照明、前方照明、後方照明、角度付き照明、反射照明及び第2の照明源との同時照明の1つ以上を用いて視野の一部を照明するように構成される。
【0093】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源は、照明軸を定め、視覚化ツールは、視覚化軸を定め、及び照明軸は、視野の一部において、ある角度で視覚化軸と交差する。
【0094】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、その角度は、約15°~約30°である。
【0095】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、システムは、プローブのプローブタイプを特定することと、ストロボ照明源の照明源タイプを特定することと、処置トリガを特定することと、プローブタイプ、照明源タイプ及び処置トリガに基づいてストロボ照明源を動作させることとを行うための命令を有して構成されたコントローラも含む。
【0096】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源を動作させるための命令を有して構成されたコントローラは、照明源の状態を変更するための命令を有して構成されたコントローラを含む。
【0097】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、状態は、「オン」又は「オフ」を含む。
【0098】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、状態は、照明周波数の指定された設定を含む。
【0099】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源を動作させることは、プローブを駆動周波数で駆動することと、照明周波数を駆動周波数に合わせて調整することとを含む。
【0100】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、システムは、視野の一部を照明するように構成された第2の照明源も含み、第2の照明源は、連続光源である。
【0101】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源は、第1の波長帯域の光を生成し、第2の照明源は、第2の波長帯域の光を生成し、及び第1の波長帯域は、少なくとも部分的に第2の波長帯域の外側にある。
【0102】
一実施形態では、眼科手術処置中にストロボ照明源を動作させる方法は、ストロボ照明源の照明源タイプを特定することであって、ストロボ照明源は、視覚化ツールの視野の少なくとも一部を照明周波数でストロボ照明するように構成される、特定することと、眼科手術処置のために使用されるプローブのプローブタイプを特定することであって、プローブは、視覚化ツールの視野の一部において眼物質に接触するように構成されるプローブ先端を有する、特定することと、眼科手術処置の第1の工程に対応する第1の処置トリガを特定することと、プローブタイプ、照明源タイプ及び第1の処置トリガに基づいてストロボ照明源を動作させることとを含む。
【0103】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源を動作させることは、プローブを駆動周波数で駆動することと、照明周波数を駆動周波数に合わせて調整することとを含む。
【0104】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、プローブを駆動することは、プローブ先端においてエネルギーを生成し、エネルギーは、光エネルギー、超音波エネルギー、眼物質の破壊を生じさせるエネルギー及び眼物質に運動を生じさせるエネルギーの1つ以上を含む。
【0105】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、第1の処置トリガは、第1の工程の開始を示し、及びストロボ照明源を動作させることは、第1の処置トリガを特定することに応答して、ストロボ照明源を「オン」に切り替えることを含む。
【0106】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、方法は、第2の処置トリガを特定することも含み、第2の処置トリガは、第1の工程の終了を示し、及びストロボ照明源を動作させることは、第2の処置トリガを特定することに応答して、ストロボ照明源を「オフ」に切り替えることを含む。
【0107】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、第1の工程は、プローブを使用して、眼空間内の水晶体を破壊及び除去すること、又はプローブを使用して、眼空間内の硝子体を切断及び吸引することを含む。
【0108】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、第1の工程は、白内障の破壊、白内障の除去、硝子体の除去及び瘢痕組織の除去の少なくとも1つ以上を含む。
【0109】
本明細書に開示する1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源を動作させることは、ストロボ照明源の状態を変更することを含む。
【0110】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ光源の状態を変更することは、第1の処置トリガに少なくとも部分的に基づいてストロボ照明源を「オン」に切り替えることを含む。
【0111】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、方法は、眼科手術処置の第2の工程に対応する第2の処置トリガを特定することも含み、ストロボ照明源の状態を変更することは、第2の処置トリガに少なくとも部分的に基づいてストロボ照明源を「オフ」に切り替えることを含む。
【0112】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、方法は、ストロボ照明源を「オフ」に切り替える際、視野の少なくとも一部を照明するために第2の照明源を利用し続けること又は第2の照明源を「オン」に切り替えることも含む。
【0113】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態では、ストロボ照明源を動作させることは、照明周波数の指定された設定に従ってストロボ照明源を動作させることを含み、指定された設定は、指定された設定と、第1の処置トリガ及びプローブタイプの少なくとも一方との間のマッピングに基づいて決定される。
【0114】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な実施形態を実践できるようにするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正形態は、当業者に容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。
【国際調査報告】