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特表2023-553482流体移動動作中に、ロードされたポンプモータデータをアンロードされたポンプモータデータに正規化する装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】流体移動動作中に、ロードされたポンプモータデータをアンロードされたポンプモータデータに正規化する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20231214BHJP
   A61M 5/145 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61M5/168 520
A61M5/145 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535982
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021062562
(87)【国際公開番号】W WO2022132555
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/125,508
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】スコット コリー
(72)【発明者】
【氏名】クン リー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066FF04
4C066QQ46
4C066QQ58
(57)【要約】
流体送達デバイスにおける測定されたデータに基づく閉塞検出の精度を、ロードされた測定されたデータのアンロードされた測定されたデータへの不感帯正規化を使用することによって改善するためのデバイスおよび方法が提供される。ロードされた測定されたデータおよびアンロードされた測定されたデータは、流体送達デバイスの同一の流体移動動作またはストローク中に得られる。不感帯正規化は、吸引動作または分注動作中に実施できる。流体駆動機構に近接し、制御下で少なくとも一時的に移動できるが、流体を移動させない流体送達デバイス内のインターフェースを使用して、流体移動動作中に測定されたロードされた測定されたデータの不感帯正規化のために、流体移動動作中にアンロードされた測定されたデータをいつ生成すべきかを識別できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体のチャンバと、流体移動動作中に前記チャンバに対する指定された容積の流体の移動を制御するように構成されている駆動機構と、を備えるポンプと、
流体移動動作中に、前記ポンプが流体を移動させない前記流体移動動作の一部の間に得られたアンロードされた測定されたデータと、前記ポンプが前記流体移動動作中に流体を移動している間に得られたロードされた測定されたデータとを含む測定されたデータを生成し、前記測定されたデータは前記ポンプ内の流体移動を示し、前記ロードされた測定されたデータを前記アンロードされた測定されたデータに正規化するように構成されている処理デバイスと、
を備えた、流体送達デバイス。
【請求項2】
前記処理デバイスは、前記正規化されたロードされた測定されたデータを分析して、閉塞を示す注入デバイス内の圧力に関連する指定されたメトリックを満たすかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項3】
前記処理デバイスは、前記ポンプによる後続の流体移動動作中に、
前記ポンプが流体を移動させない、前記後続の流体移動動作の一部の間にアンロードされた測定されたデータを生成し、
前記ポンプが前記後続の流体移動動作中に流体を移動している間に、ロードされた測定されたデータを生成し、前記測定されたデータは、前記ポンプ内の流体移動を示し、
前記ロードされた測定されたデータを前記アンロードされた測定されたデータに正規化する、
ようにさらに構成されている、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項4】
前記流体移動動作は、前記チャンバから流体を分注する、または前記チャンバに流体を吸引するための複数の流体移動動作の間の増分動作である、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項5】
前記処理デバイスは、前記流体送達デバイスの各流体移動動作について、または少なくとも前記流体送達デバイスの流体移動動作の選択されたサブセットについて、前記ロードされた測定されたデータを前記アンロードされた測定されたデータに正規化するようにさらに構成されている、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項6】
前記流体移動動作は、前記チャンバ内に流体を吸引するための吸引動作および前記チャンバから流体を排出するための分注動作から選択される、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項7】
前記測定されたデータは、流体圧力および流体流量から選択される流体特性を示す、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項8】
前記ポンプは、前記チャンバおよびプランジャとしてのバレルを有するシリンジ型ポンプであり、前記駆動機構は、前記プランジャを選択的に駆動して前記バレルから流体を分注するように動作可能であり、前記処理デバイスは、前記測定されたデータが、前記流体移動動作中に前記駆動機構による前記プランジャの駆動から流体圧力または流量が増加し始めたことを示す前に、前記アンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項9】
前記ポンプは、前記駆動機構内の少なくとも1つまたは複数のコンポーネントを含むインターフェースによって特徴づけられており、動作は、前記ポンプが流体を移動させない流体移動動作内の前記一部を発生させる、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【請求項10】
前記ポンプが、前記チャンバとしてバレルを有するシリンジ型ポンプであり、前記インターフェースがプランジャを含み、前記駆動機構が、前記プランジャを選択的に駆動して前記バレルから流体を分注するように動作可能であり、前記処理デバイスが、前記バレル内の前記プランジャを一時的に公称量だけ後退させることによって、分注流体移動動作中に前記アンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている、請求項9に記載の流体送達デバイス。
【請求項11】
前記ポンプが、前記チャンバとしてバレルを有するシリンジ型ポンプであり、前記インターフェースがプランジャを含み、前記駆動機構が、前記プランジャを選択的に駆動して前記バレルから流体を分注するように動作可能であり、前記処理デバイスが、プッシャが前記プランジャにまだ当たっていない既知の数の分注サイクルを介して増分することによって、ロードされた測定されたデータを収集する前に前記アンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている、請求項9に記載の流体送達デバイス。
【請求項12】
前記ポンプが、前記チャンバとしてバレルを有するシリンジ型ポンプであり、前記インターフェースがプランジャを含み、前記駆動機構が、前記プランジャを選択的に駆動して前記バレルから流体を分注するように動作可能であり、前記処理デバイスが、前記バレルへの入口ポートを介した前記バレルの手動または外部制御された充填によって、吸引流体移動動作中に前記アンロードされた測定されたデータを生成し、前記ポンプを制御して前記バレル内の前記プランジャを一時的に後退させることによって、吸引流体移動動作中に、前記ロードされた測定されたデータを生成するように構成されている、請求項9に記載の流体送達デバイス。
【請求項13】
前記ポンプが、前記チャンバとしてのバレルおよびプランジャを有するシリンジ型ポンプであり、前記インターフェースが、前記駆動機構に結合されたプッシャを備え、前記駆動機構が、前記プッシャを前記プランジャに当接するように選択的に駆動して前記バレルから流体を分注するように動作可能であり、前記処理デバイスが、前記バレル内の前記プッシャを一時的に後退させることによって、分注流体移動動作中に前記アンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている、請求項9に記載の流体送達デバイス。
【請求項14】
前記ポンプが、入口ポートおよび出口ポートを備える回転計量型ポンプであり、前記駆動機構が、ギアボックスを介してポンプモータに接続され、前記チャンバが少なくとも1つの開口部を有し、前記駆動機構は、ピストンを選択的に駆動して、前記チャンバから流体を分注する、または流体を吸引し、吸引流体移動動作中に前記少なくとも1つの開口部と前記入口ポートとの、および分注流体移動動作中に前記出口ポートとの協働を制御するように動作可能であり、前記インターフェースは、前記ギアボックスと協働して、前記駆動機構が前記吸引流体移動動作および前記分注流体移動動作の少なくとも一部の間に前記チャンバに対して流体を移動しないことを可能にするように構成されている、前記駆動機構上の特徴を含む、請求項9に記載の流体送達デバイス。
【請求項15】
前記ポンプは、回転計量型ポンプであり、前記インターフェースは、スリーブ内に制御可能に挿入および後退させるピストン上のピンと、前記スリーブ内の螺旋溝とを含み、前記駆動機構は、前記スリーブを回転させるように動作可能であり、前記スリーブ内の螺旋溝を介して前記チャンバ内の流体容積を制御し、前記ピンをガイドして前記螺旋溝に沿って移動させ、前記スリーブ内の前記ピストンの前記後退および挿入をガイドして前記チャンバの流体容積を制御し、前記ピンおよび/または溝は、流体移動動作の少なくとも一部の間に、前記ピストンが前記チャンバに対して流体を移動させないことを可能にする、請求項9に記載の流体送達デバイス。
【請求項16】
前記インターフェースは、前記駆動機構に結合されたカムを含み、前記処理デバイスは、前記駆動機構のためのアクチュエータに接続されたカムフォロアが、前記カムの平坦な部分の少なくとも一部を横断して、前記流体移動動作中に流体移動をもたらさないときに、流体移動動作中に前記アンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている、請求項9に記載の流体送達デバイス。
【請求項17】
前記ポンプは、前記チャンバとしてのリザーバ、プランジャ、および前記リザーバから流体を分注するために前記プランジャを選択的に駆動するように動作可能な駆動機構を有し、前記処理デバイスは、流体移動動作中に前記測定されたデータの指定された波形に関連するベースラインデータで構成されており、前記波形は、前記駆動機構による前記プランジャの駆動からの流体圧力または速度がまだ増加し始めていないときに対応する、その中に不感部分を有し、前記処理デバイスは、前記ベースラインデータを使用して前記測定されたデータを分析し、いつ流体分注動作中に前記アンロードされた測定されたデータを生成するかを決定するように構成されている、請求項1に記載の流体送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示および本明細書に記載される技術的解決策は、概して、流体の移動(例えば、流体駆動機構コンポーネントが流体を移動させるように制御されているときの流体分注または吸引動作中に測定されるポンプモータ電流)に関連するロードされた測定されたデータを、駆動機構コンポーネントがその分注または吸引動作中に流体を移動させていないときに得られるアンロードされた測定されたデータに正規化することによる不感帯正規化(dead band normalization)の実施、および不感帯正規化を用いた閉塞の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
電流検出は、注入ポンプのような流体送達デバイスの流体経路内の閉塞を検出する方法であり、閉塞は、圧力の増加を引き起こす流れの減少を引き起こすからである。圧力の増加は、ポンプモータに対するトルク要求を増加させ、モータによるトルク要求の増加は、より多くの電流を引き込む。モータ電圧および符号化されたカウントなどのモータ電流以外の他のモータパラメータを使用して、増加した圧力を検出できる。
【0003】
しかし、多くの他の設計要因は、モータによる電流要求、ならびに、ギアボックス効率、ポンプシールおよびそれらの経時的な摩耗、モータ効率、およびモータ磁石角度を含むがこれらに限定されない、他のモータパラメータに影響を及ぼす。さらに、モータ電流要求に影響を及ぼす可能性がある周囲の圧力および温度のような環境要因がある。これらの要因は、モータ電流のような測定されたポンプモータパラメータを使用して閉塞を検出する精度に、負の影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
概要
例示的な実施形態によって、上記および他の問題が克服され、さらなる利点が実現される。
【0005】
例示的な実施形態の態様によれば、流体送達デバイスが提供され、流体のチャンバと、流体移動動作中にチャンバに対する指定された容積の流体の移動を制御するように構成されている駆動機構と、を備えるポンプと、流体移動動作中に、ポンプが流体を移動させない流体移動動作の一部の間に得られたアンロードされた測定されたデータと、ポンプが流体移動動作中に流体を移動している間に得られたロードされた測定されたデータとを含む測定されたデータを生成し、測定されたデータはポンプ内の流体移動を示し、ロードされた測定されたデータをアンロードされた測定されたデータに正規化するように構成されている処理デバイスと、を含む。
【0006】
例示的な実施形態の態様によれば、処理デバイスは、正規化されたロードされた測定されたデータを分析して、閉塞を示す注入デバイス内の圧力に関連する指定されたメトリックを満たすかどうかを決定するようにさらに構成されている。
【0007】
例示的な実施形態の態様によれば、処理デバイスは、ポンプによる後続の流体移動動作中に、ポンプが流体を移動させない、後続の流体移動動作の一部の間にアンロードされた測定されたデータを生成し、ポンプが後続の流体移動動作中に流体を移動している間に、ロードされた測定されたデータを生成し、測定されたデータは、ポンプ内の流体移動を示し、ロードされた測定されたデータをアンロードされた測定されたデータに正規化するようにさらに構成されている。
【0008】
例示的な実施形態の態様によれば、流体移動動作は、チャンバから流体を分注する、またはチャンバに流体を吸引するための複数の流体移動動作の間の増分動作である。
【0009】
例示的な実施形態の態様によれば、処理デバイスは、流体送達デバイスの各流体移動動作について、または少なくとも流体送達デバイスの流体移動動作の選択されたサブセットについて、ロードされた測定されたデータをアンロードされた測定されたデータに正規化するようにさらに構成されている。
【0010】
例示的な実施形態の態様によれば、流体移動動作は、チャンバ内に流体を吸引するための吸引動作およびチャンバから流体を排出するための分注動作から選択される。
【0011】
例示的な実施形態の態様によれば、測定されたデータは、流体圧力および流体流量から選択される流体特性を示す。
【0012】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプは、チャンバおよびプランジャとしてのバレルを有するシリンジ型ポンプであり、駆動機構は、プランジャを選択的に駆動してバレルから流体を分注するように動作可能であり、処理デバイスは、測定されたデータが、流体移動動作中に駆動機構によるプランジャの駆動から流体圧力または流量が増加し始めたことを示す前に、アンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている。
【0013】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプは、駆動機構内の少なくとも1つまたは複数のコンポーネントを含むインターフェースによって特徴づけられており、動作は、ポンプが流体を移動させない流体移動動作内の一部を発生させる。
【0014】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプが、チャンバとしてバレルを有するシリンジ型ポンプとすることができ、インターフェースがプランジャを含み、駆動機構が、プランジャを選択的に駆動してバレルから流体を分注するように動作可能であり、処理デバイスが、バレル内のプランジャを一時的に公称量だけ後退させることによって、分注流体移動動作中にアンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている。
【0015】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプが、チャンバとしてバレルを有するシリンジ型ポンプとすることができ、インターフェースがプランジャを含み、駆動機構が、プランジャを選択的に駆動してバレルから流体を分注するように動作可能であり、処理デバイスは、バレルへの入口ポートを介したバレルの手動または外部制御充填による吸引流体移動動作中にアンロードされた測定されたデータを生成し、バレル内にプランジャを一時的に後退させるためにポンプを制御することによって吸引流体移動動作中にロードされた測定されたデータを生成するように構成されている。
【0016】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプは、チャンバとしてのバレルおよびプランジャを有するシリンジ型ポンプとすることができ、インターフェースは、駆動機構に連結されたプッシャを含み、駆動機構は、プランジャに当接するようにプッシャを選択的に駆動して、バレルから流体を分注するように動作可能であり、処理デバイスは、バレル内のプッシャを一時的に後退させることによって、分注流体移動動作中に、アンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている。
【0017】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプが、チャンバとしてのバレルおよびプランジャを有するシリンジ型ポンプとすることができ、インターフェースが、駆動機構に結合されたプッシャを備え、駆動機構が、プッシャをプランジャに当接するように選択的に駆動してバレルから流体を分注するように動作可能であり、処理デバイスが、プッシャがプランジャにまだ衝突していない既知の数の分注サイクルを通して増分することによって、ロードされた測定されたデータを収集する前にアンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている。
【0018】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプが、入口ポートおよび出口ポートを備える回転計量型ポンプとすることができ、駆動機構が、ギアボックスを介してポンプモータに接続され、チャンバが少なくとも1つの開口部を有し、駆動機構は、ピストンを選択的に駆動して、チャンバから流体を分注する、または流体を吸引し、吸引流体移動動作中に少なくとも1つの開口部と入口ポートとの、および分注流体移動動作中に出口ポートとの協働を制御するように動作可能であり、インターフェースは、ギアボックスと協働して、駆動機構が吸引流体移動動作および分注流体移動動作の少なくとも一部の間にチャンバに対して流体を移動しないことを可能にするように構成されている、駆動機構上の特徴を含む。
【0019】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプは、回転計量型ポンプとすることができ、インターフェースは、スリーブ内に制御可能に挿入および後退させるピストン上のピンと、スリーブ内の螺旋溝とを含み、駆動機構は、スリーブを回転させるように動作可能であり、スリーブ内の螺旋溝を介してチャンバ内の流体容積を制御し、ピンをガイドして螺旋溝に沿って移動させ、スリーブ内のピストンの後退および挿入をガイドしてチャンバの流体容積を制御し、ピンおよび/または溝は、流体移動動作の少なくとも一部の間に、ピストンがチャンバに対して流体を移動させないことを可能にする。
【0020】
例示的な実施形態の態様によれば、インターフェースは、駆動機構に結合されたカムを含み、処理デバイスは、駆動機構のためのアクチュエータに接続されたカムフォロアが、カムの平坦な部分の少なくとも一部を横断して、流体移動動作中に流体移動をもたらさないときに、流体移動動作中にアンロードされた測定されたデータを生成するように構成されている。
【0021】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプは、チャンバとしてのリザーバ、プランジャ、およびリザーバから流体を分注するためにプランジャを選択的に駆動するように動作可能な駆動機構を有し、処理デバイスは、流体移動動作中に測定されたデータの指定された波形に関連するベースラインデータで構成されており、波形は、駆動機構によるプランジャの駆動からの流体圧力または速度がまだ増加し始めていないときに対応する、その中に不感部分を有し、処理デバイスは、ベースラインデータを使用して測定されたデータを分析し、いつ流体分注動作中にアンロードされた測定されたデータを生成するかを決定するように構成されている。
【0022】
例示的な実施形態の追加的および/または他の態様および利点は、以下の説明に記載される、説明から明らかになる、または例示的な実施形態の実施によって習得し得る。例示的な実施形態は、上記の態様の1つまたは複数、および/または1つまたは複数の特徴およびそれらの組み合わせを有する装置およびそれを作動させるための方法を含み得る。例示的な実施形態は、例えば、添付の請求項に記載されるように、上記の態様の1つまたは複数の特徴および/または組み合わせを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
例示的な実施形態の上記および/または他の態様および利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより容易に理解される。
【0024】
図1A図1Aは、それぞれ、吸引および分注ストローク中の例示的な流体送達デバイスからの生データおよびフィルタリングされたデータ(例えば、モータ電流)を示す。
図1B図1Bは、それぞれ、吸引および分注ストローク中の例示的な流体送達デバイスからの生データおよびフィルタリングされたデータ(例えば、モータ電流)を示す。
図1C図1Cは、分注中の例示的な流体送達デバイスからのフィルタリングされた測定されたデータ(例えば、モータ電流)および異なる圧力での分散を示す。
図1D図1Dは、例示的な流体送達デバイスの作動中の測定されたデータ(例えば、モータ電流)を示し、その駆動機構コンポーネントは、流体を移動させる、および流体を移動させないことによって、データ内の不感帯正規化領域を示す。
図2図2は、分注動作中の例示的な流体送達デバイスからの測定されたデータ(例えば、モータ電流)、および不感帯正規化のために識別されたその中の領域からのデータを示す。
図3図3は、例示的な実施形態に従って、測定されたデータの不感帯正規化で分注動作を実施する例示的な流体送達デバイスの例示的な動作のフローチャートである。
図4図4は、例示的な実施形態に従って、不感帯正規化で閉塞検出アルゴリズムを採用する例示的な装着可能な流体送達デバイスの斜視図である。
図5A図5Aは、それぞれ、カバーが外された、図1の例示的な流体送達デバイスの部分上面図、斜視図、側面図、および上面図である。
図5B図5Bは、それぞれ、カバーが外された、図1の例示的な流体送達デバイスの部分上面図、斜視図、側面図、および上面図である。
図5C図5Cは、それぞれ、カバーが外された、図1の例示的な流体送達デバイスの部分上面図、斜視図、側面図、および上面図である。
図5D図5Dは、それぞれ、カバーが外された、図1の例示的な流体送達デバイスの部分上面図、斜視図、側面図、および上面図である。
図6図6は、例示的な実施形態に従って構築される例示的な流体送達デバイスの例示的なコンポーネントのブロック図である。
図7A図7Aは、カバーが外され、リザーバを充填する異なる段階を示す、例示的な流体送達デバイスの斜視上面図である。
図7B図7Bは、カバーが外され、リザーバを充填する異なる段階を示す、例示的な流体送達デバイスの斜視上面図である。
図7C図7Cは、カバーが外され、リザーバを充填する異なる段階を示す、例示的な流体送達デバイスの斜視上面図である。
図7D図7Dは、カバーが外され、リザーバを充填する異なる段階を示す、例示的な流体送達デバイスの斜視上面図である。
図8A図8Aは、それぞれ、例示的な実施形態に従って構築されるプランジャドライバコンポーネントの前方斜視図および後方斜視図である。
図8B】8Bは、それぞれ、例示的な実施形態に従って構築されるプランジャドライバコンポーネントの前方斜視図および後方斜視図である。
図9図9は、後退位置で示される図7A乃至7Dの例示的な流体送達デバイスのプランジャドライバアセンブリの側面図である。
図10A図10Aは、カバーが外され、プランジャドライバアセンブリを介してリザーバから流体を排出する異なる段階を示す、図7A乃至7Dの例示的な流体送達デバイスの斜視上面図である。
図10B図10Bは、カバーが外され、プランジャドライバアセンブリを介してリザーバから流体を排出する異なる段階を示す、図7A乃至7Dの例示的な流体送達デバイスの斜視上面図である。
図10C図10Cは、カバーが外され、プランジャドライバアセンブリを介してリザーバから流体を排出する異なる段階を示す、図7A乃至7Dの例示的な流体送達デバイスの斜視上面図である。
図10D図10Dは、カバーが外され、プランジャドライバアセンブリを介してリザーバから流体を排出する異なる段階を示す、図7A乃至7Dの例示的な流体送達デバイスの斜視上面図である。
図11図11は、図8A乃至8Bのプランジャドライバコンポーネントと協働するための例示的な実施形態に従って構築されたキーイング特徴を有する中心ネジの斜視図である。
図12図12は、例示的な実施形態に従った、不感帯正規化を使用する閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な流体送達デバイスにおける例示的なポンプコンポーネントの部分斜視図である。
図13図13は、例示的な実施形態に従った、不感帯正規化を使用する閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な流体送達デバイスにおける例示的なポンプコンポーネントの部分斜視図である。
図14A図14Bは、それぞれ、作動の分注準備完了段階および作動の吸引準備完了段階に従って配置された例示的な流体送達デバイスにおける図12および図13のポンプコンポーネントの斜視図である。
図14B図14Aは、それぞれ、作動の分注準備完了段階および作動の吸引準備完了段階に従って配置された例示的な流体送達デバイスにおける図12および図13のポンプコンポーネントの斜視図である。
図14C図14Cは、図12および図13の例示的なポンプコンポーネント、ならびにプリント回路基板上の関連電子回路を備える例示的な流体送達デバイスにおけるコンポーネントの斜視図である。
図14D図14Dは、図12および図13のポンプコンポーネントと協働するように構成された例示的なモータおよびギアボックスアセンブリの部分斜視図である。
図15A図15Aは、例示的な流体送達デバイスにおけるコンポーネントのブロック図である。
図15B図15Bは、例示的な実施形態に従った、電流センサを有する流体送達デバイスポンプモータの概略図である。
【0025】
図面全体を通して、同様の参照番号は同様の要素、特徴および構造を指すことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
例示的な実施形態の詳細な説明
当業者に理解されるように、本明細書に開示された実施形態による流体送達デバイスの実施例、改良、および配置を実施する多数の方法がある。図面および以下の説明に示された例示的な実施形態を参照するが、本明細書に開示された実施形態は、開示された技術的解決策によって包含される様々な代替の設計および実施形態を網羅することを意味するものではなく、当業者は、開示された技術的解決策の範囲から逸脱して、様々な修正が行われ得、様々な組合せを行うことができることを容易に理解する。
【0027】
本開示の例示的な実施形態は、上記の問題に対する技術的な解決策を提供する。ポンプモータに対する要求に影響を与える前述の設計および環境要因のために、注入ポンプなどの流体送達デバイスにおける閉塞を検出するために使用されるポンプモータ信号を調整または較正することが極めて重要であり、その結果、圧力の変化に起因するモータ信号の変化のみが測定され、閉塞検出に使用され、摩耗によるバッテリ、モータおよびギアボックスの経時的変化、周囲温度の変化、吸引対分注動作中のポンプ性能の差などの圧力に無関係な要因は測定されない。理想的な正規化は、圧力以外のすべてを補い、本明細書で提供される例示的な実施形態および技術的解決策は、理想的な正規化に近いという利点がある。
【0028】
本開示において提供される技術的解決策および例示的な実施形態は、不感帯正規化を採用する。すなわち、流体送達デバイス内の駆動機構によって制御される流体移動動作に関連する測定されたデータを、駆動機構が流体を移動させていないときのその動作の不感部分の間に得られるデータに調整または正規化する。本開示において提供される技術的解決策および例示的な実施形態は、不感帯正規化を有利に採用して、正規化された測定されたデータを使用することによって、閉塞または他の状態の検出の精度を改善する。測定されたデータは、例えば、流体分注または吸引動作中のモータ電流とすることができる。本明細書で使用されるように、「ロードされた」測定されたデータは、駆動機構が流体を移動させているときの流体移動動作中に得られる測定されたデータを指し、「アンロードされた」測定されたデータは、流体が駆動機構によって移動されていないときの不感帯の部分の流体移動動作中に得られる測定されたデータを指す。不感帯正規化は、ロードされた測定されたデータが、流体送達デバイスにおける特定の流体移動動作中のアンロードされた測定されたデータに対して調整または正規化されることを意味すると理解される。本明細書で使用される「不感帯正規化」および「不感帯正規化」は、望ましくない信号ノイズ成分および/または流体送達デバイス(例えば、薬物注入デバイスにおけるポンプモータ)における駆動機構に関連する望ましくない変形の影響を測定されたデータから除去するので、有利である。測定されたrデータからの望ましくない信号ノイズまたはノイズ要因の望ましくない影響(例えば、モータ設計または環境要因)の除去は、例えば、流体を移動させるためにポンプモータが動作している間に得られたロードされた測定されたデータから、平均化されたアンロードされた測定されたデータを差し引くことを含むことができる。不感帯正規化はまた、平均化されたロードされた測定信号を平均化されたアンロードされた測定信号で除算するような、測定されたロードされたポンプモータデータを測定されたアンロードされたポンプモータデータに正規化するための減算以外の他の数学的調整または較正動作を含むことができる。
【0029】
流体送達デバイスにおけるポンプモータ電流などの測定されたデータを正規化するための異なる選択肢があり得、以下に記載される例示的な実施形態によって例示されるように、測定されたデータの不感帯領域への不感帯正規化は、測定されたデータに基づいて選択された送達デバイスの状態を検出する精度に関して著しい利点を実現する。例えば、ポンプモータデータを正規化する1つの方法は、吸引動作が下流圧力によって影響されないので、ポンプの分注動作中に得られた測定されたデータを、以前の吸引動作中に得られたデータに正規化することであり得る。しかし、吸引動作は、上流圧力、リザーバ充填容積、および吸引および分注動作に均等に影響しない他のノイズ要因など、分注動作とは異なる要因によって影響を受ける。例えば、ポンプの吸引動作に対して測定されたポンプモータデータを正規化することは、測定された信号におけるノイズを効果的に倍増させ、本開示に記載される技術的解決策によって提供されるような不感帯正規化には存在しないノイズ要因を導入する。
【0030】
モータ電流に影響を与えるさまざまな要因は、例えば、モータ巻線の抵抗、印加電圧(たとえば、バッテリの使用年数によって変化する)、モータ速度である。さらに、分注または吸引動作中の電流は、ギアトレインの損失、モータの摩擦損失、および駆動機構(たとえば、ピストン)の摩擦損失によって、影響を受ける可能性がある。本明細書に記載される技術的解決策の利点は、所望の要因(すなわち、吸引動作PAまたは分注動作PD中の圧)が、本明細書に記載される技術的解決策およびその例示的な実施形態に従って、不感帯正規化を使用して摩擦損失およびバッテリ交換に関連する他の定数および要因のすべてを除去することによって得ることができることである。
【0031】
例えば、吸引および分注動作中の例示的な流体送達デバイスからの生およびフィルタリングされたポンプの測定データ(例えば、モータ電流)をそれぞれ示す図1Aおよび図1Bを参照されたい。図1Cは、分注中のモータ電流および異なる圧力での分散を示す、例示的な流体送達デバイスからのフィルタリングされたポンプの測定データを示す。しかし、図示された測定電流信号の全ては、モータ始動に対応する第1のスパイク102と、ピストン運動に対応する形状の部分104と、それに続くバルブ状態変化に対応する部分106と、図12乃至15Bに関連して後述される回転計量型ポンプに関連するインターロックトルクスパイク108とを含む、比較的類似した波形形状を共有する。
【0032】
分注動作中のモータ電流信号などの測定されたポンプモータ信号の不感帯正規化は、モータギアボックスが回転しているがポンプと係合していないときに電流信号を取得することを含む。例えば、2つの重畳された電流信号波形が示される図1Dを参照されたい。波形112のうちの1つは、回転計量型ポンプの分注動作中に得られ、例えば、モータ始動スパイク102、ピストン移動部分104、バルブ状態変化106、およびインターロックトルクスパイク108を含む。他の波形110は、ポンプなしでのモータ動作中(例えば、モータがポンプ駆動機構から係合解除されている)に得られる。これらの波形は両方とも、識別できる不感帯領域に対応する同様の部分100を有し、分注動作中にそこで得られるデータは、モータおよびポンプ動作中に得られる測定されたポンプモータデータの不感帯正規化のために使用して、モータに影響を及ぼす要因の望ましくない変動性を除去してノイズを低減することによって閉塞状態をより正確に検出できる。信号のこの部分に対する不感帯正規化は、次の理由から良好である。(1)測定されたポンプモータパラメータ信号のこの部分は、関心のある測定信号の部分(例えば、閉塞を示し得る圧変化を決定するためにピストン運動中の電流を測定する)に時間的により近く、これは、ノイズ要因が時間と共に変化するので、本質的にノイズを低減し、(2)バッテリ、モータ、およびギアボックスにおける変動は、それらのコンポーネントのみからの信号と本質的に同じであるので、分析された信号から不感帯正規化される。ノイズ要因は、温度、湿度、部品間の変動、部品の摩耗などのような、流体送達デバイスシステム、サブシステム、またはその一部に対して、内部または外部のいずれかに変動性を導入する係数を意味すると理解される。
【0033】
不感帯領域100、または不感帯正規化データを取得するための分注または吸引動作中のタイミング、はポンプおよびポンプ駆動機構のタイプによって異なる可能性があることを理解されたい。例えば、図4乃至図11に関連して以下に説明されるシリンジ型ポンプは、分注動作中の任意の時点で、ポンプ駆動機構(例えば、流体を分注するためにシリンジ型リザーバ内のプランジャを押さないように、その方向を逆にする)を一時的に係合解除して、分注動作中に流体が移動されていない間に、アンロードされた測定されたデータを取得するように動作できる。このアンロードされた測定されたデータは、次に、流体の分注をもたらすポンプ係合中に得られたロードされた測定ポンプモータデータを不感帯正規化するために使用される。手動で充填されるシリンジ型ポンプの場合(例えば、ポンプのシリンジ型リザーバの入口ポートに連結された供給シリンジによって)、モータは、制御された吸引動作を行うように制御され、ポンプピストンの制御された引き込みが、シリンジ型リザーバ内のプランジャを引き戻して、供給リザーバからシリンジ型リザーバの流体チャンバ内により多くの流体を制御可能に吸入し、流体が移動されている間にロードされた測定されたデータを得ることができる。制御された吸引物の移動中のこのロードされた測定されたデータは、流体を移動させるために駆動機構が操作されていないときの手動充填中に得られたアンロードされた測定されたデータに対して、正規化された不感帯とすることができる。あるいは、図12乃至図15Bに関連して以下に説明する回転計量型ポンプの場合、不感帯領域100は、図1B図1Dおよび図2に関連して上述したように、各吸引ストロークおよび各分注ストロークの開始時に生じる可能性がある。
【0034】
本明細書で提供される技術的解決策に従って不感帯正規化の使用を最適化するために、流体送達デバイスは、流体を移動させることなく移動でき、その流体駆動インターフェースに可能な限り近いインターフェースを有する。図7A乃至図7Bに関連して後述するように、シリンジ型ポンプの場合、このインターフェースは、リザーバ162が充填された後にリザーバプランジャ168に当接でき、プランジャ168をリザーバの遠位端に向かって押してそこから流体を分注するように制御される、駆動機構の端部上に構成されるプッシャ216などのプランジャドライバコンポーネントとすることができる。不感帯正規化のために、プッシャ216は後方に駆動でき、それによってプランジャ168から係合解除される。分注動作の間、プッシャ216は、プランジャ168を再係合するために、再び前方に駆動できる。後方に駆動されることによって、不感帯正規化アルゴリズムに従って動作するコントローラは、プランジャ168の摩擦および圧力から生じる力を除いて、本質的に、プッシャ216を前方に駆動する(例えば、分注するために)ポンプモータの同じ効果の全てを有する。プッシャ216を有さないように構成されたシリンジ型ポンプ(例えば、その駆動機構は、そのプランジャに直接接続される)の場合、インターフェースは、望ましくない逆方向の流体の流れを引き起こすことなく、アンロードされた測定されたデータを得るために、分注の間に公称量だけ引き込まれるプランジャとすることができる。図14Dに関連して以下に説明するように、回転計量型ポンプの場合には、このインターフェースは、ギアボックスのアウトプットギアとピストンタブとの間のギャップとすることができ、その結果、ギアボックスが方向を変えるとき、ピストンが全く係合されない期間(例えば、図2の不感帯領域100)が存在し、従って、不感帯正規化が機能することを容易にする。したがって、本開示に記載される技術的解決策およびその例示的な実施形態は、流体移動動作の不感帯領域からアンロードされたデータを取得および使用するために、ルーズフィットドライブトレーン特徴を有利に採用し、したがって、ノイズを低減する既存の方法およびポンプモータデータの読み取りの精度を改善する取り組みとは大きく異なる。
【0035】
本明細書に記載される技術的解決策の例示的な実施形態による不感帯正規化に関連する動作は、図3に示され、例えば、コントローラ(例えば、図6のコントローラ192、または図15Aのマイクロコントローラ58)または測定されたデータを処理する他のデバイスによって実行される不感帯正規化アルゴリズムとして実装できる。例示的な実施形態に従って、流体送達デバイスのコントローラは、駆動機構が流体移動のために動作されているとき(例えば、制御された吸入または吸引、または制御された出力または分注)に「ロードされた」測定されたデータを取得し、駆動機構が流体移動動作のために制御されているが、一時的に流体を移動させていないときに得られる不感帯または「アンロードされた」測定されたデータでそれを正規化するようにプログラムまたは他の方法で構成できる。例示的な実施形態によれば、不感帯正規化は、吸引動作中、分注動作中、または両方の種類の動作中に実行される。充填中および送達中にそれを行うことが有益であることができる(例えば、流体チャンバ内に吸引されるかまたは流体チャンバから送達されるように意図された制御された容積に応じて、全体的な吸引または分注ストロークの任意の部分の間に、係合解除および再係合する)。いずれにしても、不感帯正規化データ(例えば、アンロードされた測定されたデータ)およびロードされた測定されたデータは、同じポンプ吸引または分注動作またはストローク中に最適に得られる。
【0036】
図3のブロック120に示すように、ポンプコントローラは、流体移動動作(例えば、吸引動作またはストローク、あるいは分注動作またはストローク)の開始時に、その流体移動動作に関連するポンプモータデータを測定するように構成できる(ブロック122)。本明細書に記載される技術的解決策の例示的な実施形態の有利な態様によれば、コントローラは、その流体移動動作中に、アンロードされた測定されたデータおよびロードされた測定されたデータを含むポンプモータデータを取得または生成する(ブロック124)。コントローラは、ロードされた測定されたデータを、その流体移動動作に対応するアンロードされた測定されたデータに正規化することによって、本明細書に記載された技術的解決策に従って不感帯正規化を実行する(ブロック126)。不感帯正規化は、例えば、測定されたポンプモータデータからアンロードされた測定されたデータを減算して、信号ノイズまたはノイズ要因(例えば、ポンプ設計および環境要因)による影響を受けることなく、その流体送達動作中のポンプの流体圧力または流量を有利に決定することが可能であることを含むことができることを理解されたい。アンロードされた測定されたデータは、駆動機構が流体を移動させない流体移動動作中の任意の点で得ることができる。ロードされた測定されたデータは、駆動機構が流体の移動に関与する流体移動動作中に複数の点で得ることができる。いずれにしても、その流体移動動作のために得られたロードされたおよびアンロードされた測定されたデータは、異なる流体移動動作に使用されるまたは関連する必要はない(ブロック130)。
【0037】
前述したように、本明細書に記載された技術的解決策は、流体送達デバイスの閉塞または他の状態を検出するために使用される流体圧力または流量または他の測定パラメータの変化に関連しないポンプの多くの変化(例えば、バッテリ、モータ、およびギアボックスの設計要因、ならびに温度などの環境要因)を首尾よく補う。理想的な正規化は、圧力または流量以外のすべてを補い、この技術的解決策は、本明細書の例示的な実施形態に従って示される不感帯正規化を介して、本質的に理想的な正規化を達成する。モータ電流に影響を与える要因に関して上述したように、例えば、測定される電流に最終的に加算される多くの項および力があり、正規化できるこれらの項または力が多ければ多いほど、測定されたパラメータを使用する閉塞検出がより正確になることができる。さらに、本明細書に記載されるような不感帯正規化は、不感帯正規化を使用する閉塞検出アルゴリズムが、複数のストロークにわたる変化を見る必要なく、個々の流体移動ストロークまたはポンプの動作を評価することを可能にする。現在、電流または他の測定されたモータパラメータに基づいて流体圧力または流量をより良く評価するために流体運動の非駆動部分を利用する電流感知または他の測定されたポンプモータパラメータに関連する注入ポンプには、閉塞検出をカバーするものは存在しない。
【0038】
薬剤のための注入ポンプのような流体送達デバイスにおける閉塞は、締め付けられたカテーテルまたは組織閉塞のような制限された流れまたは経路狭窄から、または空の薬剤リザーバから生じることができる。投薬ミスのような、それから生じる可能性のある流体送達の不正確さを緩和するための早期検出のために、閉塞または他のポンプ機能不全からの流体送達デバイスにおける流体圧力または流量の変化を測定することが重要である。本明細書の技術的解決策および例示的な実施形態は、閉塞のより正確かつ迅速な検出を達成し、したがって、流体送達の不正確さをより少なくする。
【0039】
測定されたデータは、圧または流量を示し、モータ電流、モータ電圧、エンコーダカウント、モータ駆動カウント、送達パルスエネルギー、モータ駆動時間などのいずれかであることができるが、これらに限定されない。例えば、電流感知は、一般に、モータ電流が圧力に間接的に相関できるので、流体送達の流体経路における閉塞を検出する信頼可能な方法であると考えられる。上述のように、閉塞は、流体送達デバイスにおける流体の流れの減少を引き起こし、これは、圧力の増加を引き起こす。圧力の増加は、この圧力に打ち勝つためにモータによって必要とされるトルク要求の増加を引き起こす。トルク要求の増加は、モータによって引き出される電流の増加に対応し、これは、閉塞したカテーテル、流体経路内の空気、またはモータの機能不全などの閉塞を検出するための1つの方法である。
【0040】
図4乃至図11は、例示的な実施形態に従って、不感帯正規化を容易にする例示的なインターフェースを有する例示的な流体送達デバイスを図示する。以下に説明するように、シリンジ型流体送達機構において、駆動アセンブリは、プランジャと選択的に係合および係合解除でき、例示的な実施形態による不感帯正規化のためのアンロードされた測定されたデータを得るために、流体移動なしでポンプを作動させることを可能にする。
【0041】
図12乃至15Bは、例示的な実施形態による不感帯正規化を容易にするために、図4乃至11とは異なる例示的インターフェースを有する別の例示的な流体送達デバイスを示す。図12乃至15Bに関連して以下に説明するように、回転計量型流体送達機構において、ポンプ駆動機構に連結するギアボックスおよび出力ギアは、例示的な実施形態による不感帯正規化のためのアンロードされた測定されたデータを得るために、流体を移動させることなくポンプを駆動して、吸引または分注動作の不感帯領域100内のデータを得ることを可能にする。
【0042】
図4は、例示的な実施形態に従って、改善された閉塞検出を実行するように構築された、例示的な装着可能な流体送達デバイス10の側面図である。流体送達デバイス150は、ベースプレート152、カバー154、および未展開位置にある挿入機構156を備える。
【0043】
図5A、5B、5C、および5Dは、それぞれ、カバー154が外された、図4の流体送達デバイス150の部分上面図、斜視図、側面図、および上面図である。ベースプレート152は、挿入機構156、モータ158、バッテリ160などの電源、制御基板190、およびリザーバ162、またはリザーバの出口ポートから挿入機構156までの出口流体経路164を介してユーザに送達される流体を貯蔵するための容器、を支持する。リザーバ162はまた、入口流体経路166を介して充填ポート(例えば、ベースプレート12に設けられた)に接続された入口ポートを有することができる。リザーバ162は、ストッパアセンブリを有するプランジャ168を含む。リザーバ162の近位端には、プランジャドライバアセンブリ170も設けられる。プランジャドライバアセンブリ170はテレスコープ式とすることができ、同時に逆回転するスリーブネジ212および中心ネジ214、ギアアンカー174、モータ158およびギアボックス184に接続されたギア列172を介して回転するナット210である。プランジャドライバアセンブリ170は、リザーバ162内でプランジャ168を押し、抽出するための別のコンポーネントを備えることができることを理解されたい。
【0044】
図6は、流体送達デバイスの例示的なコンポーネントのブロック図である。カバー/ハウジングまたはデバイス150のハウジングは、154で示される。デバイス150は、デバイス10をユーザの皮膚に接続するための接着パッドなどの皮膚保持サブシステム180を有する。流体送達デバイス10は、リザーバ162、挿入機構156、および、モータ158、モータハウジングおよびギアボックス184、ギアトレイン178、ポンプ機構(例えば、プランジャドライバアセンブリ170)、および出口経路164を含むことができる流体移動モジュール182をさらに備える。流体送達デバイスは、電力モジュール(例えば、バッテリ160)などの電気コンポーネントと、コントローラ192、モータドライバ194、流体の流れの状態(例えば、閉塞)を感知するための任意の感知モジュール196、任意のオーディオドライバ198(例えば、進行中の投薬、低リザーバ、閉塞、外部デバイスとの成功したペアリング、または他の状態を示す)、および任意のビジュアルドライバ200、ならびに流体送達デバイスと任意の遠隔ポンプ制御装置203(例えば、スマートフォンまたは専用コントローラ)との間の無線通信のための任意の無線ドライバ202を備える電気モジュール190とをさらに備える。以下に説明するように、コントローラ192は、本明細書に記載する技術的解決策の例示的な実施形態の改善された閉塞検出を実行するようにプログラムされるか、または他の方法で構成されることができる。
【0045】
図7A、7B、7Cおよび7Dは、カバーが外された流体送達デバイスの斜視上面図であり、リザーバ162を充填する異なる段階を示す。リザーバ162内の流体充填チャンバ204は、プランジャ168の遠位または前側によって画定され、そのプランジャは、プランジャの近位側または後側によって画定されるリザーバの部分に流体が入るのをシールするように構成され、その結果、リザーバから流体が送達されると、プランジャドライバアセンブリ170またはギアアンカー174との接触はない。
【0046】
図7Aにおいて、リザーバ162はいかなる流体も空であり、プランジャ168はその最も遠位の位置にある。プランジャドライバアセンブリ170は、図7A乃至7Dに完全に後退した状態で示される。ユーザは、図5Dに示されるように、充填ポートからリザーバ162への入口流体経路166を有するベースプレート152に設けられた充填ポート(不図示)に、充填されたシリンジ176の針を挿入できる。流体が入口流体経路166を介してシリンジ176からリザーバ162に移動するにつれて、プランジャ168の前面によってリザーバ162内に画定される流体チャンバの容積は、図7B、7C、および7Dにそれぞれ示されるように増加する。プランジャ168は、リザーバ162の流体チャンバ部分204内に保持される任意の流体の漏れを防止するためのストッパアセンブリ169を有する。ストッパアセンブリ169は、例えば、シリンジストッパと同様の弾性材料を備えることができる。
【0047】
図2A乃至図7Bに示すように、ギアアンカー174は、ナット210の第1の部分210aを受容するための開口222を有する。開口222は、スリーブネジ212の外側のネジ山212aと協働するように構成されたネジ山224を有する。ネジ山84の数は、トルクと運動の安定とのバランスをとるように調節できる。ネジ山224の数は、長さに悪影響を及ぼすことなく追加できる(すなわち、駆動ナットの幾何学的形状の小さな変更のみが必要とされる)。凹んだ後面226は、ナット210の第1の部分210aを回転可能に受容するように構成される。ギアアンカー174は、プランジャドライバアセンブリ170が完全に後退し、リザーバが充填される(例えば、図7Dに示されるように)場合に、プランジャプッシャ216に当接できる前面228を有するが、リザーバ162およびプランジャドライバアセンブリ170の寸法に応じてそうする必要はない。
【0048】
図8Aおよび図8Bは、それぞれ、プランジャプッシャ216の正面斜視図および背面斜視図である。プランジャプッシャ216は、その背面に戻り止め230を有し、中心ネジ214上のキーイング特徴214bを受容する。プランジャプッシャ216の前面のオプションの突起232は、プランジャ168の背面に衝突する。プッシャ216は、リザーバ22上のキャップまたはプランジャドライバアセンブリ170とともに、またはそれに代えて、空気抜きを可能にする特徴を備える。例えば、空気抜き特徴は、プッシャ216の周囲の少なくとも一部に沿って備えられ、ノッチ216aを含む波形エッジの形態とすることができ。ノッチ216aがプッシャ216の周囲に提供される場合、これらの特徴は、回転を防止するために内部リザーババレル面と最初に接触するように、残りのノッチエッジよりも高くなるように、これらの特徴216aのいくつかの周囲のエッジの設計および公差をバイアスすることによって、軸方向の並進摩擦を最小限に抑えるように配置できる。また、プッシャ216を、空気抜きのために、プッシャの板状部分に1つまたは複数の貫通孔216bを設けることができる。
【0049】
図9は、ギアアンカー34に対して後退した位置にあるプランジャドライバアセンブリ30の側面図である。図9および図11を参照すると、プランジャドライバアセンブリ170は、ギア列172およびモータ158に係合する歯をその一部に有するナット210を備える。ナット210aの第1の部分は、ギアアンカー174内に回転可能に受容される。ナット210内の内側のネジ山は、スリーブネジ212の外側のネジ山212aに係合する。スリーブネジ212のキャビティ内の内側のネジ山212bは、中心ネジ214の外側のネジ山214aに係合する。図11に関して説明したように、中心ネジ214の遠位端には、プランジャプッシャ216上の戻り止め230に係合するキーイング特徴214bが設けられる。
【0050】
図10A、10B、10Cおよび10Dは、カバーが外された流体送達デバイスの斜視上面図であり、プランジャドライバアセンブリ170を介してリザーバから流体を排出する異なる段階を示す。図10Aにおいて、プランジャドライバアセンブリ170は、完全に後退した位置にあり、リザーバ162の流体充填チャンバ部分204の容積は、最大化される。図10B、10Cおよび10Dにおいて、ナット210は、モータおよびギアボックス158、ならびに中間動力伝達ギア列172によって、その歯210bの係合を介して回転されている。ナットの内側のネジ山210bおよびギアアンカー174の開口部のネジ山224は、スリーブネジ212の外側のネジ山212aと協働して、スリーブネジ212をナット210およびギアアンカー174を通してリザーバ162内に前進させる。同時に、スリーブネジ212の回転は、プランジャプッシャ216にキー止めされた中心ネジ214の回転しない前進を引き起こす。その結果、プランジャ168は、プランジャプッシャ216がプランジャ168に当接するように遠位に前進するにつれて、遠位に前進する。
【0051】
図8Bおよび図11を参照すると、プランジャドライバアセンブリ170のナットがモータおよびギアボックス158ならびに中間動力伝達ギア列172によって回転されているときに、中心ネジ214上のキーイング特徴214bおよびプランジャプッシャ216の背面上の対応する戻り止め230は、リザーバ162に対するプランジャプッシャ216の回転防止機構を提供する。中心ネジ214は、プランジャプッシャ216と係合するためのキー特徴を設けることができる。このキー特徴は、非円形プランジャプッシャ形状と係合でき、それによって、回転が形状によって防止されるか、または、作動中のシリンジバレル型リザーバ22内の回転を防止するように作用する中間構造と係合できる。例えば、中心ネジ214の遠位端は、プランジャプッシャ216内の対応する寸法および/または形状の戻り止めまたはインデント230と係合するような寸法および/または形状とすることができ、これは、他のコンポーネント210および212によって中心ネジ214に付与される任意の制限された回転が、リザーバ162の内壁に対するプランジャプッシャ216の回転を引き起こすことを防止する。
【0052】
前述したように、プランジャプッシャ216の前面にあるオプションの突起232は、プランジャ168の背面に衝突する。技術的解決策の一態様によれば、プランジャプッシャ216の前面は、プランジャドライバアセンブリ170がモータおよびギアボックス158によって駆動されて流体チャンバ部分204の遠位端に向かって前進する(例えば、チャンバから流体を分注する)ときに、プランジャ168の背面と制御可能に係合または当接でき、プランジャドライバアセンブリ170がモータおよびギアボックス158によって駆動されてギアアンカー174に向かって後退するときに、プランジャ168の背面から係合解除または離間され、技術的解決策の例示的な実施形態に従って、不感帯正規化を容易にする(例えば、ロードされた測定されたデータが正規化できるアンロードされた測定されたデータを得る)ためのインターフェースを提供する。例えば、分注動作中のプランジャ168からのプランジャプッシャ216の制御されたわずかな引き込みは、ノイズを除去するために、および、流体経路の圧力特性に影響を及ぼす他の流体送達デバイス状態の中でも特に、カテーテル閉塞、流体経路内の空気またはモータ故障などのポンプモータ状態をより正確に決定するために、後続の分注中に得られた測定されたポンプパラメータとの比較およびより正確な分析のために、コントローラ192によって決定される不感帯正規化を可能にする。また、コントローラは、プッシャがプランジャにまだ衝突していない既知の数の分注サイクルを介して増分することによって、任意のロードされた測定されたデータを収集する前に、アンロードされた測定されたデータを生成するように構成できる。
【0053】
不感帯正規化アルゴリズムの例示的な実施形態は、容積式ポンプに関しても有用である。容積式ポンプは、1つの段階でチャンバを満たし(例えば、リザーバからの液体薬剤で)、次いで、別の段階でチャンバから流体を空にする(例えば、患者に展開されたカニューレなどの送達デバイスに)という原理に基づいて動作するタイプのポンプであると理解される。例えば、往復プランジャ型ポンプまたは回転計量型ポンプを使用することができる。いずれの場合も、ピストンまたはプランジャをチャンバから後退させて、薬剤をチャンバ内に吸引または引き込み、チャンバが一定量の薬剤で満たされことを可能にする(例えば、薬剤のリザーバまたはカートリッジから入口ポートへ)。次に、ピストンまたはプランジャをチャンバ内に再挿入して、一定量の薬剤をチャンバから(例えば、出口ポートを介して)、患者のポンプとカニューレとの間に延びる流体経路に分注または排出する。
【0054】
説明のために、共同所有の国際公開第2015/157174号に記載されている例示的な回転計量型ポンプを参照し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。図15Aの例示的なシステム図はまた、図4乃至11のポンプおよび他のタイプのポンプにおける例示的なコンポーネントを示すことができる。
【0055】
図12、13、14A、14B、14C、14D、15Aおよび15Bを参照すると、例示的な回転計量型注入ポンプ(例えば、インスリンパッチポンプなどの装着可能な流体送達デバイス)は、ポンプアセンブリ20を備え、これは、直流モータおよびギアボックスアセンブリ33(図14D)に接続でき、ポンプマニホールド22(図14D)内のスリーブ24を回転させる。スリーブには螺旋溝26が設けられている。スリーブ24が一方向に回転し、次に反対方向に回転するときに、ピストン30に接続されたカップリングピン28が螺旋溝に沿って移動して、スリーブ24内へのピストン30の引き込みおよび挿入をそれぞれガイドする。スリーブは、エンドプラグ34を有する。スリーブ24の内部にあるピストンおよびエンドプラグのそれぞれの端部上の2つのシール32、36は、ピストン30が吸引ストロークに続いて図3Aに示されるように引き戻され、したがって、分注の準備ができたときに、キャビティまたはチャンバ38を画定する。したがって、チャンバ38の容積は、ピストン30の引き込みの程度に応じて変化する。チャンバ38の容積は、ピストン30が完全に挿入され、シール32、36が、図3Bに示されるように、分注ストロークに続いて実質的に互いに接触し、したがって、吸引の準備ができたときに、無視可能である、または本質的にゼロである。2つのポート44、46がポンプマニホールド22に対して設けられ、ポンプ64(図4A)のためのリザーバ70(図4A)から薬剤が流れることができる入口ポート44と、チャンバ38内に(例えば、吸引段階の動作中のピストン30の引き込みによって)引き込まれた薬剤が、チャンバ38から、例えば、チャンバ38内へのピストン30の再挿入によって患者の中のカニューレ72(図4A)への流体経路に分注できる出口ポート46と、を含む。
【0056】
図12図13、および図14A乃至図14Cを引き続き参照すると、スリーブ24には、出口ポート46または入口ポート44と整列する開口部(不図示)が設けることができ(すなわち、スリーブ24の回転の度合い、したがってピストン30の移動の度合いに依存する)、チャンバ38内の薬剤がポート44、46の対応する1つを通って流れることを可能にする。スリーブ回転制限スイッチのようなポンプ測定デバイス78(図15A)が提供でき、これは、例えば、インターロック42と、インターロック42と協働するスリーブ24またはそのエンドプラグ34上の1つまたは複数の戻り止め40とを有する。インターロック42は、マニホールド22の各端部に取り付けることができる。ポンプ64が第1の位置にあるとき、スリーブ24の端面の戻り止め40は、インターロック42のバンプ48に隣接し、それによって、スリーブ24の側孔は、リザーバ70からチャンバ38内に流体を受容するために入口ポート44と整列される。背圧のような特定の条件下では、ピストン30とスリーブ24との間の摩擦が、ピストン30およびカップリングピン28が螺旋溝26のいずれかの端部に到達する前にスリーブ24を回転させるのに十分である可能性がある。これは、ストローク毎にポンピングされる液体の不完全な量をもたらす可能性がある。この状況を防止するために、インターロック42は、図14Aに示されるように、トルクが所定の閾値を通過するまでスリーブ24が回転するのを防止する。これは、カップリングピンが螺旋溝26の端部に到達するまで、ピストン30がスリーブ内で完全に回転することを確実にする。カップリングピン28が螺旋溝26の端部に当たると、DCモータおよびギアボックスアセンブリまたは他のタイプのポンプおよびバルブアクチュエータ66(図15A)によるさらなる移動により、スリーブ24に対するトルクが閾値を超えて増加し、インターロック42が屈曲し、戻り止め40がバンプ48を通過することを可能にさせる。スリーブ24の回転が完了して、その側孔がカニューレ72または出口ポート46の方向を向くと、図14Bに示すように、戻り止め40がインターロック42内のバンプ48を通過する。別のスリーブ機構41は、電気スイッチ(例えば、プリント回路基板92上に設けられ、スリーブおよび/またはエンドプラグ34に対して配置されて、図14Cに示されるようにポンプ測定デバイス78と協働するエンドストップスイッチ90)と係合するように設けることができる。
【0057】
ピストン30とギアボックスの出力ギア39との間のギャップ(例えば、ピストンの端部のタブ31と出力ギア39のsl5t35との間)は、流体移動動作中に流体を移動させることなく、少なくとも一時的には移動することが可能である流体駆動インターフェースに近いため、不感帯正規化のための有益なインターフェースを提供する。例えば、図1Dに示されるように、流体を移動させるポンプ吸引または分注操作において、駆動機構がポンプピストン30を操作する場合であっても、モータ始動後の新しい方向の初期点100は、アンロードされた測定されたデータと類似しており、ロードされた測定されたデータは、このアンロードされた測定されたデータに正規化できる。
【0058】
図14Dは、ポンプアセンブリ20と協働するモータおよびギアボックス33を有するマニホールド22の一部を示している。モータおよびギアボックス33は、回転制限スイッチを受けることができる開口部43を含む。このようにして、ギアボックスハウジングの内部にある出力ギア39は、制限スイッチの湾曲部(flexures)にアクセスして係合できる。モータおよびギアボックス33はまた、ポンプアセンブリ20がモータおよびギアボックス33にスナップフィットし得るように、軸方向保持スナップ37を含む。モータおよびギアボックス3は、ポンプアセンブリ20を受け入れ、モータおよびギアボックス33に対するポンプアセンブリ20の回転を防止するために、ポンプ受容ソケット43内に回転キー41を含む。出力ギア39は、ピストン30に設けられたタブ31を受け入れるように適合されたスロット35を含む。組み立てられると、タブ31はスロット35内に受け入れられ、出力ギア39がトルクをピストン30に転送できる。出力ギア39が回転すると、ポンプピストンタブ31は回転し、スロット35内を軸方向にスライドして、ピストンがチャンバ38へまたはから流体を移動させているときに対応するロードされた測定されたデータで不感帯正規化のためのアンロードされた測定されたデータを得るための有用なインターフェースを提供する。モータ接続部およびリミットスイッチ上の金属スプリングの湾曲部は、最終組立中に回路基板92上のパッドと電気的に接触するために使用される。
【0059】
あるいは、例示的な回転計量型注入ポンプにおける不感帯正規化を容易にできるインターフェースは、螺旋溝26およびカップリングピン28に関して設計できる。排出ストローク中、ピストン30は、第1の回転方向に回転され、カップリングピン28を介してスリーブ24内の螺旋溝26の螺旋経路に沿って駆動される。ポンプピストン30は、回転しながらギアボックスから離れるように移動し、ポンプチャンバ38から、およびカニューレポート1356から流体を排出する。排出ストローク中、ポートシールとスリーブ24の外径との間の摩擦は、スリーブがポンプサイクルのこの部分の間に回転しないことを確実にするのに十分である。排出ストローク後のバルブ状態変化中、カップリングピン28は螺旋溝26の遠位端に到達し、トルクは出力ギアからポンプピストン30へ、そしてカップリングピン28を介してスリーブ24へと伝達され続ける。スリーブ24およびポンプピストン30は、相対的な軸方向運動を伴わないユニットとして回転する。スリーブ24の側孔は、出口ポート46から入口ポート44に移動する。吸入ストローク中、出力ギアはポンプピストン30を回転させ、該ピストンは、螺旋溝26内のカップリングピン28の相互作用により、スリーブ24に対して軸方向に移動する。ポンプピストン30は、ギアボックスに向かって移動し、リザーバから入口ポート44を介してポンプチャンバ内に流体を引き込む。吸入ストローク後のバルブ状態変化の間、カップリングピン28は、螺旋溝26の上端部に到達し、ポンプモータは、トルクを供給し続け、スリーブ24およびピストン30を、相対的な軸方向運動を伴わないユニットとして一緒に回転させ、スリーブ24の側孔を、入口ポート44との整列から出口ポート46との整列へと移動させる。螺旋溝26およびカップリングピン28は、溝を延長するか、またはそうでなければ、溝の寸法または勾配を変更して、流体移動動作内に不感領域(例えば、図2の100)を提供することによって構成でき、ここで、駆動機構コンポーネントは、不感帯正規化のためのインターフェースを提供するように動作するが、流体を移動させない。
【0060】
別の例示的な実施形態によれば、流体送達デバイスは、1つまたは複数のカムを使用する駆動機構を有することができ、これは、本発明の技術的解決策に従って、不感帯正規化のための有益なインターフェースを提供できる。不感帯正規化のためのアンロードされた測定されたデータは、例えば、カムおよびカムフォロアによって提供される不感領域を使用して取得できる。カムフォロアを備えたアクチュエータがカムに対して回転するように制御されている流体移動動作中のある時点において、カムフォロアがカムの平坦な表面に沿って前進することにより、関連するギアまたはカムに接続された他のコンポーネントが、その流体移動動作中に動作して流体を移動させることはない。
【0061】
装着可能な薬物注入ポンプなどの流体送達デバイスで使用されるアクチュエータおよび駆動機構のタイプにかかわらず、不感帯正規化は、容積式ポンプ流体移動動作におけるアンロードされた領域または部分を有利に使用して、流体移動(例えば、圧力、流量など)に関連するアンロードされた測定されたデータを取得し、それを用いて、その流体移動動作に関連するロードされた測定されたデータを正規化する。得られた正規化された測定されたデータは、アクチュエータに関連する信号ノイズおよび外部ノイズ要因(例えば、環境要因および部品間変動)の影響が除去され、正規化された測定されたデータを使用してより正確な閉塞検出を可能にするため、有利である。本明細書に記載される技術的解決策および例示的な実施形態による不感帯正規化の別の利点は、不感帯正規化のために使用されるアンロードされたおよびロードされた測定されたデータ信号が、非常に局所的に、すなわち、特定の流体移動イベント(例えば、特定の吸引ストロークまたは分注ストローク)の近くで処理されることである。この局所的または近位の動作は、任意の特定の流体移動イベントまたは動作中にロードされたおよびアンロードされた測定されたデータを得るための動作の特定のタイミングまたは順序によって制限されないことを理解されたい。
【0062】
本開示は、その適用において、上記の説明または図面に示されたコンポーネントの構成および配置の詳細に限定されないことは、当業者によって理解されるであろう。本明細書の実施形態は、他の実施形態とすることが可能であり、様々な方法で実施または実行することが可能である。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明の目的のためのものであり、限定とみなされるべきではないことが理解される。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」、または「有する(having)」およびその変形の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物、ならびにさらなる項目を包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、および「取り付けられた(mounted)」という用語、ならびにその変形は、広く使用され、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。さらに、「接続された(connected)」および「結合された(coupled)」という用語、ならびにその変形は、物理的または機械的な接続または結合に限定されない。さらに、上(up)、下(down)、下部(bottom)、および上部(top)などの用語は相対的であり、説明を補助するために使用されるが、限定するものではない。
【0063】
図示された実施形態に従って使用される例示的なデバイス、システム、および方法のコンポーネントは、デジタル電子回路、アナログ電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせにおいて、少なくとも部分的に実装できる。これらのコンポーネントは、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータなどのデータ処理装置によって実行するため、またはその動作を制御するために、情報キャリアまたは機械可読記憶装置において具体的に実施されるコンピュータプログラム、プログラムコード、またはコンピュータ命令などのコンピュータプログラム製品として実装できる。
【0064】
コンピュータプログラムは、コンパイル言語またはインタプリタ言語を含む任意の形式のプログラム言語で書くことができ、それは、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして、任意の形式で展開できる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータまたは1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるように展開され、または複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続できる。また、例示的な実施形態を達成するための機能的なプログラム、コード、およびコードセグメントは、例示的な実施形態が関係する当業者のプログラマによって、例示的な実施形態によって例示される特許請求の範囲の範囲内であると容易に解釈できる。例示的な実施形態に関連する方法のステップは、機能を実行するためのコンピュータプログラム、コード、または命令を実行する1つまたは複数のプログラム可能なプロセッサによって実行できる(例えば、入力データに対する操作および/または出力の生成によって)。方法のステップはまた、例えば、FPGA(field programmable gate array)またはASIC(application-specific integrated circuit)などの専用論理回路によって実行でき、例示的な実施形態の装置は、例えば、FPGAまたはASICなどの専用論理回路として実装できる。
【0065】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書に記載される機能を実行するように設計された汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ASIC、FPGAまたは他のプログラマブル論理デバイス、離散ゲートまたはトランジスタ論理、離散ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組合せによって実装または実行され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替案では、プロセッサは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0066】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例として、汎用および特殊目的マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、リードオンリーメモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを格納するための1つまたは複数の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含むか、またはデータを受信するまたは転送するか、またはその両方を行うために動作的に結合される。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するのに適した情報キャリアは、例として、半導体メモリデバイス、例えば、電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリまたはROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイス、およびデータ記憶ディスク(例えば、磁気ディスク、内部ハードディスク、またはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスク)を含む、あらゆる形態の不揮発性メモリを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足される、または組み込むことができる。
【0067】
情報および信号は、様々な異なる技術および技法のいずれかを使用して表され得ることを当業者は理解するであろう。例えば、上記の説明全体を通して参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または粒子、光場または粒子、またはそれらの任意の組合せによって表され得る。
【0068】
当業者は、本明細書に開示された実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実装され得ることをさらに理解する。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に説明するために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、それらの機能の観点から一般的に上述されている。そのような機能がハードウェアまたはソフトウェアとして実装されるかどうかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課される設計制約に依存する。当業者は、各特定のアプリケーションに対して様々な方法で記載された機能を実装し得るが、そのような実施形態の決定は、例示的な実施形態によって例示される特許請求の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈されるべきではない。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で公知の任意の他の形態の記憶媒体内に存在し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替案では、記憶媒体はプロセッサに不可欠であり得る。言い換えれば、プロセッサおよび記憶媒体は、集積回路内に存在する、または個別のコンポーネントとして実装され得る。
【0069】
コンピュータ可読非一時的媒体は、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ媒体およびソリッドステート記憶媒体を含む、すべてのタイプのコンピュータ可読媒体を含む。ソフトウェアは、中央処理装置(CPU)にインストールされ、それと共に販売できることを理解されたい。あるいは、例えば、ソフトウェア作成者が所有するサーバまたはソフトウェア作成者が所有しないが使用するサーバを含む、物理媒体または流通システムを介してソフトウェアを取得することを含めて、ソフトウェアは、取得され、中央処理装置にロードできる。ソフトウェアは、例えば、インターネットを介して流通するためにサーバに格納できる。
【0070】
上記の説明および図は、例示のみを意図しており、特許請求の範囲に記載されたものを除き、いかなる形でも例示的な実施形態を制限することを意図していない。当業者は、多数の他の方法で上述された様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を容易に組み合わせることができ、そのすべてが特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされることに特に留意されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
【国際調査報告】