(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】閉塞感知を改善するために投薬ストローク中に注入ポンプを一時停止するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20231214BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61M5/168 520
A61M5/168 518
A61M5/168 500
A61M5/142
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535983
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021062546
(87)【国際公開番号】W WO2022132554
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】スコット コリー
(72)【発明者】
【氏名】クン リー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066HH02
4C066QQ24
4C066QQ46
4C066QQ58
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
デバイス及び方法は、注入デバイスの投薬ストローク内の閉塞前漏れ圧力を検出し、軽減する。注入ポンプは、圧力を示すポンプ測定値を取得し、そのポンプ機構を制御し、ポンプ測定値が閉塞前圧力の閾値を満たす場合、一時停止する。一時停止中に、追加的なポンプ測定値が得られ、一時停止中に、圧力関連の状態が軽減する可能性がある。ポンプの測定値が閉塞前圧力基準を満たさなくなったときに、注入ポンプによって投薬ストロークが再開され、再び一時停止することができる。一時停止の回数及び頻度、ポンプ測定の分析、及び投薬ストロークの再開は、予め決定されるか、又は動的に決定され得る。一時停止は、現在の圧力状態に関係なく、予め決定することもできる。圧力(例えば、ポンプモータ電流)を示す測定されたパラメータのサンプル又はサンプリングレートを増加させるためにポンプを一時停止することは、閉塞を検出するためのはるかに高い解像度を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入デバイスであって、
流体のチャンバー、及び投薬動作中にチャンバーからの流体の投薬容量を制御するように構成されたポンプ機構を備えるポンプと、
圧力を示すポンプ測定値を生成するように構成されたポンプ測定デバイスと、
投薬動作の一部の間に得られた前記ポンプ測定値のうちの1つ又は複数を分析し、前記投薬動作の前記一部の間の前記ポンプ測定値のうちの1つ又は複数が指定された閉塞前圧力に関連する指定された測定基準を満たすときに、前記投薬動作の間に前記ポンプ機構を一時停止するように構成された処理デバイスと、
を備えたことを特徴とする注入デバイス。
【請求項2】
前記処理デバイスは、前記ポンプ機構を制御して前記投薬動作を再開するように構成される請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項3】
前記処理デバイスは、前記一時停止後に再開された前記投薬動作中に別のポンプ測定値を取得し、前記ポンプ測定値が指定された閉塞前圧力に関連する指定された測定基準を満たすときに再び前記ポンプ機構を一時停止するように構成される請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項4】
前記処理デバイスは、前記ポンプ機構を制御して前記投薬動作を再び再開するように構成される請求項3に記載の注入デバイス。
【請求項5】
前記処理デバイスが前記投薬動作を一時停止し、前記投薬動作を再開する回数は、ポンプモータ電流、ポンプモータ電圧、エンコーダカウント、ポンプモータ駆動カウント、ポンプモータ駆動時間、投薬動作エネルギー、前記チャンバーの体積、前記チャンバー内の流体の種類、および周囲空気圧から選択される基準に基づいて、事前構成又は動的に決定することができる請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項6】
前記処理デバイスが前記投薬動作を一時停止及び再開する頻度は、前記投薬動作を通して、又は前記投薬動作の指定された一部内で一定であるか又は変化し得る請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項7】
前記処理デバイスは、ポンプ測定値を取得し、前記ポンプ測定値に基づいて前記投薬動作を減速又は加速するフィードバックループを実行するように構成される請求項2に記載の注入デバイス。
【請求項8】
前記ポンプ測定値は、モータ電流であり、前記ポンプ測定デバイスは、前記投薬動作中に前記ポンプのモータ電流を検出するように構成された電流感知デバイスを備える請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項9】
前記ポンプが、正の変位ポンプ、及びシリンジスタイルポンプから選択される請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項10】
指定された閉塞前圧力に関連する前記指定された測定基準は、正常のポンプ動作圧力を上回る圧力及び最小の漏れ圧力を下回る圧力に対応する測定値の範囲から選択され、ポンプの起動又はポンプ動作状態の変化に関連する過渡圧力とは異なる請求項1に記載の注入デバイス。
【請求項11】
前記処理デバイスは、前記一時停止中に少なくとも追加のポンプ測定値を取得し、前記ポンプ機構を制御し、前記追加のポンプ測定値が正常のポンプ動作圧力に対応し、指定された閉塞前圧力に関連する前記指定された測定基準を満たさないときに、前記投薬動作を再開するように構成される請求項1に記載の注入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、注入デバイスの投薬ストロークにおける閉塞前漏れ圧力を検出し、軽減することに関する。
【背景技術】
【0002】
流体経路内の漏れ、閉塞、又は気泡の存在などの異常又は機能不全は、注入ポンプで発生する可能性があり、ユーザーが必ずしも気づくわけではない。注入ポンプ内の流体経路に沿った部分的又は完全な閉塞などの機能不全の検出は、正確に制御された薬物送達を維持し、故障した注入デバイスの使用を中止するようユーザーにアドバイスするために望ましい場合がある。閉塞検出のための典型的な解決策は、注入ポンプシステムに圧力センサを配置し、圧力が特定の閾値を超えたときに閉塞を報告することである。しかし、圧力センサを追加すると、システムの複雑さが増加し(例えば、機械的、電気的、及び/又はソフトウェアの複雑さが増加する)、システムの消費電力が増加し、注入ポンプのコストが増加する。
【0003】
使いやすさと費用対効果のために構成要素の一部又はすべてが使い捨てである、ウェアラブル薬物送達ポンプなどの医療機器の場合、圧力センサなどの別の構成要素を追加し、医療機器に関連するコストと複雑さが増すことは望ましくない。したがって、注入ポンプ構成要素を追加すること並びにそれによって注入ポンプの複雑さ及びコストを増加することなく、正確な閉塞を検出する必要がある。
【0004】
さらに、ポンプ内の圧力感知システムは、下流流体経路のコンプライアンスが低いために故障を回避するのに十分な速さで漏れ圧力状態を検出できない場合があり、これは、圧力の非常に急速な増加をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
上述した課題やその他の課題は、例示的な実施形態によって、克服され、さらなる利点が実現される。
【0006】
例示的な実施形態の態様によれば、注入デバイスは、流体のチャンバー、及び投薬動作中にチャンバーからの流体の投薬容量を制御するように構成されたポンプ機構を備えるポンプと、
圧力を示すポンプ測定値を生成するように構成されたポンプ測定デバイスと、
投薬動作の一部の間に得られたポンプ測定値のうちの1つ又は複数を分析し、投薬動作の一部の間のポンプ測定値のうちの1つ又は複数が指定された閉塞前圧力に関連する指定された測定基準を満たすときに、投薬動作の間にポンプ機構を一時停止するように構成された処理デバイスを備える。
【0007】
例示的な実施形態の態様によれば、処理デバイスは、ポンプ機構を制御して投薬動作を再開するように構成される。例えば、処理デバイスは、一時停止後に再開された投薬動作中に別のポンプ測定値を取得し、ポンプ測定値が指定された閉塞前圧力に関連する指定された測定基準を満たすときに再びポンプ機構を一時停止するように構成され得る。
さらなる例として、処理デバイスは、ポンプ機構を制御して投薬動作を再び再開するように構成される。別の例として、処理デバイスが投薬動作を一時停止し、投薬動作を再開する回数は、ポンプモータ電流、ポンプモータ電圧、エンコーダカウント、ポンプモータ駆動カウント、ポンプモータ駆動時間、投薬動作エネルギー、チャンバーの体積、チャンバー内の流体の種類、および周囲空気圧から選択される基準に基づいて、事前構成又は動的に決定することができる。
【0008】
例示的な実施形態の態様によれば、処理デバイスが投薬動作を一時停止及び再開する頻度は、投薬動作を通して、又は投薬動作の指定された一部内で一定であるか又は変化し得る。
【0009】
例示的な実施形態の態様によれば、処理デバイスは、ポンプ測定値を取得し、ポンプ測定値に基づいて投薬動作を減速又は加速するフィードバックループを実行するように構成され得る。
【0010】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプ測定値は、モータ電流であり、ポンプ測定デバイスは、投薬動作中にポンプのモータ電流を検出するように構成された電流感知デバイスを備える。
【0011】
例示的な実施形態の態様によれば、ポンプは、正の変位ポンプ、及びシリンジスタイルポンプから選択される。
【0012】
例示的な実施形態の態様によれば、指定された閉塞前圧力に関連する指定された測定基準は、正常のポンプ動作圧力を上回る圧力及び最小の漏れ圧力を下回る圧力に対応する測定値の範囲から選択され、ポンプの起動又はポンプ動作状態の変化に関連する過渡圧力とは異なる。
【0013】
例示的な実施形態の態様によれば、処理デバイスは、一時停止中に少なくとも追加のポンプ測定値を取得し、ポンプ機構を制御し、追加のポンプ測定値が正常のポンプ動作圧力に対応し、指定された閉塞前圧力に関連する指定された測定基準を満たさないときに、投薬動作を再開するように構成される。
【0014】
例示の実施形態の追加及び/又は他の態様並びに利点は、以下の説明に記載されることになるか、説明から明らかとなるか、又は、例示の実施形態の実施により知ることができる。例示的な実施形態は、上記の態様のうちの1つ又は複数、及び/又はそれらの特徴及び組み合わせのうちの1つもしくは複数を有する装置及びその装置を動作させるための方法を含み得る。例示の実施形態は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されている上記の態様の1つ又は複数の特徴及び/又は組み合わせを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施形態の上記及び/又は他の態様並びに利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイス内の例示的なポンプ構成要素の部分斜視図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による、閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイス内の例示的なポンプ構成要素の部分斜視図である。
【
図3A】動作の投薬準備段階に従って配置された例示的な薬物送達デバイスにおける
図1及び2のポンプ構成要素の斜視図である。
【
図3B】動作の吸引準備段階に従って配置された例示的な薬物送達デバイスにおける
図1及び2のポンプ構成要素の斜視図である。
【
図3C】
図1及び2の例示的なポンプ構成要素、及びプリント基板上の関連する電子回路を備える例示的な薬物送達デバイスにおける構成要素の斜視図である。
【
図4A】例示的な薬物送達デバイスの構成要素のブロック図である。
【
図4B】本発明の例示的な実施形態による、電流センサを有する薬物送達デバイスのポンプモータの概略図である。
【
図5】閉塞の前後の投薬ストローク中のモータ電流を示す例示的な送達デバイスからのポンプ測定データを示す図である。
【
図6】経時的なそれぞれのポンプストロークに対する圧力変化を示す例示的な送達デバイスからのポンプ測定データを示す図である。
【
図7】経時的な圧力に相関する例示的な送達デバイスからのポンプ測定データを示す図である。
【
図8】本発明の例示的な実施形態による、閉塞検出アルゴリズムを実行する例示的な薬物送達デバイスの例示的な動作のフローチャートである。
【
図9】例示的な実施形態による、閉塞検出アルゴリズムを採用する例示的なウェアラブルシリンジスタイルの流体送達デバイスの斜視図である。
【
図10A】カバーを取り外した
図9の例示的な流体送達デバイスの部分上面図である。
【
図10B】カバーを取り外した
図9の例示的な流体送達デバイスの斜視図である。
【
図10C】カバーを取り外した
図9の例示的な流体送達デバイスの側面図である。
【
図10D】カバーを取り外した
図9の例示的な流体送達デバイスの上面図である。
【0016】
図面全体を通じて、同様の参照番号は同様の要素、特徴、および構造を指すことが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付の図面に示されている本開示の例示的な実施形態を詳細に参照する。本明細書に記載の例示的な実施形態は、図面を参照することによって、特許請求の範囲の発明及び本開示を例示するが、限定するものではない。
【0018】
流体ポンプ内の閉塞は、挟まれたカテーテルなどの制限された流れ又は経路の収縮、又は薬物のための注入ポンプなどの流体送達デバイス内の組織の閉塞に起因し得る。ポンプの誤動作及びそれに起因する可能性のある流体送達の不正確さを早期に検出するために、閉塞又は他のポンプ状態(例えば、空のリザーバー)からのポンプ圧力変化を測定することが重要である。
【0019】
ポンプ閉塞を検出する異なる方法は、流体経路で力センサを使用すること、又はモータ電流、モータ電圧、エンコーダカウント、モータ駆動カウント、送達パルスエネルギー、モータ駆動時間などのポンプモータパラメータを測定することを含む。例えば、モータ電流がポンプ圧力と間接的に相関する可能性があるため、電流感知は、一般に、流体送達デバイスの流体経路における閉塞を検出する信頼できる方法であると考えられる。閉塞は、流体流量の減少を引き起こし、圧力の増加を引き起こす。増加された圧力は、ポンプモータのトルク要求の増加を増加し、ポンプモータのトルク要求が増加すると、より多くの電流が引き寄せられる。
【0020】
一般に所有されているWO2019/156852及びWO2019/156848に記載されている関連するポンプシステムにおいて、単一ストロークの電流が測定され、これらのストロークの態様が正規化され、次いで閾値と比較される。ストロークの特定の特性がアルゴリズム閾値を満たす場合、流体送達デバイスは、閉塞通知をトリガする。この戦略の1つの問題は、(例えば、ストロークデータの範囲を閾値と比較するとき)流体送達デバイスがストロークごとに1つのデータポイントのみを収集することである。流体送達デバイスの下流経路が低いコンプライアンスを特徴とする場合、下流流体経路圧力は、(例えば、いくつかの流体送達デバイスについては、一ストローク内で30+psiのオーダーで)非常に急速に増加する可能性がある。これは、一度のストロークで、流体圧力が、流体送達デバイスが閉塞を検出すべきではないレベル(例えば、いくつかのデバイスでは18psi)から、検出されずにデバイスの指定された漏れ圧力(例えば、45psi)を超えて、潜在的に故障を引き起こす可能性があるため、問題となる。
【0021】
本開示の例示的な実施形態の有利な態様によれば、閉塞感知アルゴリズムは、流体送達デバイスのポンプストローク内でより多くのデータポイントを提供し、流体送達デバイスの出力又は投薬動作を大幅に修正することなく、圧力を測定し、漏れ圧力を軽減する。閉塞感知アルゴリズムは、流体送達デバイスを制御して、ストローク中の流体圧力(例えば、投薬ストローク)を示すデバイスパラメータの測定値を取得し、流体送達デバイス内のポンプ機構を制御して、測定値が指定された閉塞前閾値(TPRE-OCC)に対応する基準を満たすときにストローク中に一時停止する。流体送達デバイスの測定値が投薬ストローク中に適度な圧力を示している場合、その測定値が閉塞として指定された基準(TOCC)を満たしていない場合でも、流体送達デバイスは、すぐに投薬ストロークを完了しない。代わりに、ストローク内の一時停止中に、流体送達デバイスを制御して、圧力が増加している時間中にデバイス圧力と相関することができるデータの1つ又は複数の測定値又はサンプルを取得する。追加の測定値が指定された閉塞前閾値(TPRE-OCC)を満たさない場合、アルゴリズムは、ポンプ機構を制御してストロークを再開する。
【0022】
この方法で閉塞感知アルゴリズムが一時停止し、測定値を取得し、ストロークを再開する回数は、流体送達デバイス内の圧力状態に相関する測定データを収集することと、1つ又は複数のストロークで構成され得る意図される用量全体を送達する時間を遅くすることとの間の最適化に依存する可能性がある。したがって、例示的な実施形態による閉塞感知アルゴリズムは、1)圧力上昇が高くなりすぎて故障を引き起こす前に圧力上昇を検出するより多くの機会、及び2)元の限界測定値を再確認し、それによってノイズを低減するより多くの機会を提供する。例示的な実施形態によれば、閉塞感知アルゴリズムは、すべてのストロークで一時停止するのではなく、流体圧力を示すために依存するデバイスパラメータの測定が異常であるとみなされるか、又はそうでなければ、より低い閉塞前閾値などの指定された基準を満たさないストロークのみで一時停止する。
【0023】
本開示の例示的な実施形態が図示及び説明され、モータ電流が圧力の表示として測定されるパラメータである。しかしながら、1つ以上の異なる方法が閉塞を検出するために使用され得ることを理解されたい。例えば、流体送達デバイスは、流体経路に沿って圧力又は力センサを備えることができる。代替的に、又は圧力センサを追加することに加えて、圧力を示す異なるポンプモータパラメータを、これらに限定されないが、モータ電圧、モータ駆動時間、モータコースト時間、送達パルスエネルギー、モータ駆動カウント、モータコーストカウント、及びデルタエンコーダカウントなどの他のパラメータの中で測定することができる。
【0024】
閉塞感知アルゴリズムの例示的な実施形態は、正の変位ポンプに関して特に有用である。正の変位ポンプは、ある段階でチャンバーを充填し(例えば、リザーバーからの液体薬物で)、次いで別の段階でチャンバーから流体を排出する(例えば、患者に使用されたカニューレなどの送達デバイスに)という原理で動作するタイプのポンプであると理解される。例えば、往復プランジャータイプのポンプ、又は回転計量タイプのポンプを使用できる。いずれの場合も、ピストン又はプランジャーがチャンバーから後退して、薬物をチャンバーに吸引又は引き込み、チャンバー(例えば、薬物のリザーバー又はカートリッジから注入口)が一定量の薬物で満たされるようにする。次いで、ピストン又はプランジャーは、チャンバーに再挿入され、(例えば、出口ポートを介して)チャンバーからポンプと患者のカニューレとの間に延びる流体経路に一定量の薬物を投薬又は排出する。あるいは、閉塞感知アルゴリズムの例示的な実施形態は、同様に、注入シリンジスタイルポンプに拡張することができる。正の変位ポンプがチャンバーを繰り返し充填及び投薬する間、シリンジポンプは、リザーバーとも呼ばれるチャンバーに継続的に投薬する。投与計画は、より小さい用量(正の変位ポンプで見られる用量と同様の用量)がより大きなリザーバー体積送達内で分析されるように、分離され、細分化され得る。この離散化により、個々の用量及びそれらのパラメータを、本明細書に記載されるように、正の変位ポンプについて分析することができる。
【0025】
例示の目的で、一般に所有されているWO2015/157174に記載されている回転計量タイプポンプの例を参照し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1、2、3A、3B、及び3Cを参照すると、例示的な注入ポンプ(例えば、インスリンパッチポンプなどの着用可能な薬物送達デバイス)は、DCモータ及びギアボックスアセンブリ(図示せず)に接続され得るポンプアセンブリ20を備え、ポンプマニホールド22内のスリーブ24を回転させる。スリーブにはらせん状溝26が設けられている。ピストン30に接続されたカップリングピン28は、スリーブ24が一方向に回転し、次に反対方向に回転するとき、それぞれ、スリーブ24内のピストン30の格納及び挿入を誘導するために、らせん状溝に沿って平行移動する。スリーブは、エンドプラグ34を有する。スリーブ24の内側にあるピストン及びエンドプラグのそれぞれの端部上の2つのシール32、36は、
図3Aに示すように、ピストン30が吸引ストロークに続いて後退し、従って投薬する準備ができているとき、キャビティ又はチャンバー38を画定する。したがって、チャンバー38の体積は、ピストン30の後退の程度に応じて変化する。
図3Bに示すように、ピストン30が完全に挿入され、シール32、36が投薬ストロークに続いて実質的に互いに接触し、従って吸引する準備ができているとき、チャンバー38の体積は、無視できるか、又は本質的にゼロである。2つのポート44、46は、ポンプマニホールド22に対して提供され、薬物がポンプ64(
図4A)のためのリザーバー70(
図4A)から流れることができる入口ポート44と、チャンバー38に引き込まれた薬物(例えば、操作の吸引段階の間にピストン30を後退させることによって)をチャンバー38から、例えば、ピストン30をチャンバー38に再挿入することによって患者のカニューレ72(
図4A)への流体経路に投薬することができる出口ポート46とが含まれる。
【0026】
図1、2、3A、3B及び3Cを引き続き参照すると、スリーブ24は、出口ポート46又は入口ポート44と整列する開口部(図示せず)を備えて(すなわち、スリーブ24の回転の程度、したがってピストン30の平行移動の程度に応じて)、チャンバー38内の薬物が対応するポート44、46のうちの1つを通って流れることを可能にすることができる。スリーブ回転リミットスイッチなどのポンプ測定デバイス78(
図4A)は、例えば、インターロック42と、インターロック42と協働するスリーブ24又はそのエンドプラグ34上の1つ又は複数の戻り止め40とを有するポンプ測定デバイス78(
図4A)を提供することができる。インターロック42は、マニホールド22の各端部に取り付けることができる。スリーブ24の端面の戻り止め40は、ポンプ64が第1の位置にあるときにインターロック42のバンプ48に隣接しており、それによって、スリーブ24の側孔は、入口ポート44と整列され、リザーバー70からチャンバー38に流体を受容する。背圧などの特定の条件下では、ピストン30とスリーブ24との間の摩擦は、ピストン30及びカップリングピン28がらせん状溝26のいずれかの端部に到達する前にスリーブ24を回転させるのに十分である可能性がある。これにより、ストロークごとに不完全な量の液体がポンプで送られる可能性がある。この状況を防ぐために、インターロック42は、
図3Aに示されるように、トルクが所定の閾値を超えるまでスリーブ24が回転するのを防ぐ。これは、カップリングピンがらせん状溝26の端に到達するまで、ピストン30がスリーブ内で完全に回転することが保証する。カップリングピン28がらせん状溝26の端部に当たると、DCモータ及びギアボックスアセンブリ、又は他のタイプのポンプ及びバルブアクチュエータ66(
図4A)によるさらなる動きは、スリーブ24上のトルクを閾値以上増加させ、インターロック42を屈曲させ、戻り止め40がバンプ48を通過することを可能にする。スリーブ24の側孔がカニューレ72又は出口ポート46と共に配向されるようにスリーブ24の回転が完了すると、戻り止め40は、
図3Bに示されるように、インターロック42のバンプ48を越えて移動する。別のスリーブ機構41は、電気スイッチ(例えば、
図3Cに示すように、プリント回路基板92上に設けられ、スリーブ及び/又はエンドプラグ34に対して配置され、ポンプ測定デバイス78と協働するエンドストップスイッチ90)に係合するように提供され得る。
【0027】
図4Aは、
図1、2、3A、3B、及び3Cのポンプなどの注入ポンプを有する例示的な薬物送達デバイス10の例示的な構成要素を示す例示的なシステム図である。薬物送達デバイス10は、ポンプ64などの流体サブシステム54内の構成要素の動作を制御するための電子サブシステム52と、患者の皮膚上の注入部位に挿入におけるカニューレ72を展開するための挿入機構74とを含むことができる。電力貯蔵サブシステム50は、例えば、電子サブシステム52及び流体サブシステム54内の構成要素に電力を供給するためのバッテリー56を含むことができる。流体サブシステム54は、例えば、リザーバー70を(例えば、薬物で)充填するための任意の充填ポート68を含むことができるが、薬物送達デバイス10は、任意で、そのリザーバーが既に充填された状態で製造業者から配送することができる。流体サブシステム54はまた、ポンプ64及びポンプアクチュエータ66を備える計量サブシステム62を有する。上述のように、ポンプ64は、2つのポート44、46と、流体がそれぞれのポート44、46を介してポンプチャンバー38に出入りするときを制御する関連するバルブサブアセンブリを有することができる。ポートの1つは、入口ポート44であり、例えば、ポンププランジャー又はピストン30のポンプ吸入又は引きストロークの結果として、液体薬物などの流体がリザーバー70からポンプ64に流れる。他のポートは、出口ポート46であり、流体は、そこを通ってポンプのチャンバー38を出て、ポンププランジャー又はピストン30のポンプ排出又は押しストロークの結果として患者ポンプに投薬するためにカニューレ72に向かって流れる。ポンプアクチュエータ66は、プランジャー又はピストン30及びポンプピストン30の並進運動に対して回転し得るスリーブ24などの他の関連するポンプ部品を制御するためのDCモータ及びギアボックスアセンブリ又は他のポンプ駆動機構であり得る。マイクロコントローラ58は、例えば、選択された方向へのスリーブ24の回転、吸引又は投薬ストロークのためのスリーブ24内のピストン30の平行又は軸方向の移動、並びに任意に、上記の参照WO2015/157174に記載されるようなバルブ状態変化中にスリーブ24及びピストン30を一緒に回転させるためのコンピュータソフトウェア命令を有する統合又は別個のメモリデバイスを備えることができる。以下に記載されるように、例示的な実施形態による閉塞検出アルゴリズムをマイクロコントローラ58に提供して、ポンプパラメータの測定値を監視し、注入ポンプに対して閉塞状態が発生するときを検出することができる。
【0028】
上述のように、閉塞感知アルゴリズムの例示的な実施形態は、注入シリンジスタイル又はピストンスタイルのポンプに対して拡張することができる。
図9及び
図10A~
図10Dは、2020年12月15日に提出された米国仮特許出願第09/084,113号の利益を主張する同時係属中の共同所有のPCT出願に記載されている例示的なシリンジスタイルポンプ150を示す。シリンジスタイルポンプ150は、ベースプレート152及びカバー154とともに
図9に示される。ユーザーは、
図10Dに示すように、充填ポートからリザーバー162への入口流体経路166を有するベースプレート152に設けられた充填ポート(図示せず)に挿入することができる。ベースプレート152は、挿入機構156、モータ158、電池などの電源160、制御基板190、及び挿入機構156へのリザーバーの出口流体経路164を介してユーザーに送達される流体を格納するためのリザーバー162又は容器を支持する。リザーバー162はまた、入口流体経路166を介して充填ポート(例えば、ベースプレート12に設けられる)に接続された入口ポートを有することができる。リザーバー162は、ストッパアセンブリを有するプランジャー168を収容する。リザーバー162の近位端はまた、プランジャードライバアセンブリ170を備えている。プランジャードライバアセンブリ170は、伸縮式で同時に逆回転するスリーブネジ212及び中心ネジ214、ギアアンカー174、モータ158及びギアボックス184に接続されたギアトレイン172を介して回転されるナット210であり得る。プランジャードライバアセンブリ170は、プランジャー168をリザーバー162内に押し出して抽出するための異なる構成要素を備えることができることを理解されたい。コントローラ192のシリンジスタイルポンプ150は、プログラムされるか、又はそうでなければ構成され、プランジャードライバアセンブリ170を作動させて流体を投薬し、本明細書に記載の技術的解決策の例示的な実施形態に従って、閉塞検出アルゴリズムを実行することができる。
【0029】
上記のように、閉塞検出のための典型的な解決策は、ポンプ制御システムに追加の圧力センサを配置し、圧力が特定の閾値を超えるときに閉塞を報告することである。しかしながら、圧力センサを追加することは、システムの複雑さ(例えば、機械的、電気的、及び/又はソフトウェアの複雑さ)を増加させること、システムの消費電力を増加させること、及び/又はポンプコストを増加させることの欠点を有する。これらの欠点は、リザーバー70が空になるか、ポンプ64が選択された時間使用され、及び/又は選択された量の薬物を送達するために使用されると、ポンプの全部又は一部が使い捨てられるように設計されているウェアラブルポンプ設計にとって特に不利となる可能性がある。
【0030】
例示的な実施形態によれば、閉塞検出は、ポンプ64の上流又は下流に配備された閉塞センサなどの追加の構成要素なしで達成される。ポンプ動作を制御するためのマイクロコントローラ58又は他の処理デバイスは、さらに制御して、モータパラメータ測定値が正常動作条件の指定範囲外にあるとき、したがって閉塞を示す決定し、検出された閉塞の指示を生成することができる。したがって、ポンプ64及び/又は薬物送達デバイス10全体は、順番に交換又は修復することができ、それによって、患者が正常の動作条件下で提供される意図される投薬量を完全に受けていることを確実にする。
【0031】
上記のように、本開示の例示的な実施形態が図示され、説明され、モータ電流は、圧力の表示として測定されるパラメータである。
図5は、閉塞していない通常のストローク中のモータ電流、及び閉塞しているポンプストローク中のモータ電流を示している。
【0032】
上述のように、流体送達デバイスは、例えば、流体チャンバー出口及びカニューレ接続などの小さな硬質プラスチック体積を通過する本質的に非圧縮性の流体による、それらの下流流体経路における低いコンプライアンスを有することを特徴とすることができる。したがって、圧力は、非常に急速に増加し、故障が発生する前に検出されることなく、又は圧力を緩和する機会なしに、1回の投薬ストロークの持続時間内に潜在的に漏れ圧力に達する可能性がある。この圧力の急速な増加を
図6に示す。
図6は、一連のストローク及び対応する圧力を示している。流体送達デバイスが約25psiの圧力閾値を使用して閉塞を検出するようにプログラムされた場合、18psiでの圧力を有する第1のストローク(例えば、背圧による)にフラグを立てるべきではない。しかしながら、流体送達デバイスが45psiで漏れる場合、
図6に示されるように、第2のストロークによって閉塞にフラグを立てるのは、遅すぎる可能性がある。したがって、
図6は、本明細書に記載の例示的な実施形態による閉塞検出アルゴリズムを使用してストロークごとに1回以上を測定することの重要性を例示しており、その結果、このタイプのイベントを検出できない確率が著しく低下する。
【0033】
図6はまた、少なくとも1つ又は複数の閉塞前閾値及び閉塞閾値、又は流体送達デバイスの正常の動作圧力内から閉塞として警告しないが、閉塞検出アルゴリズムに従ってモータを一時停止し、より多くのモータ電流測定を行うのに十分な圧力として警告する、測定されたモータ電流及び相関圧力の指定された範囲を選択するためのいくつかの考慮事項を示す。例えば、閉塞検出アルゴリズムは、投薬ストローク中にポンプモータを一時停止させるために約20psi未満の圧力に警告しないように構成され得る。なぜなら、これらは、背圧による非閉塞ポンプの投薬ストローク中の所与のタイプのポンプモータの典型的な圧力であるからである。さらに、閉塞検出アルゴリズムは、45psi以上を閉塞による漏れ圧力閾値(T
OCC)として警告するように構成され得る。したがって、20~40psiの閉塞前閾値(T
PRE-OCC)範囲内の圧力と相関する測定された電流は、マイクロコントローラ又は他のプロセッサによって、警告され、ポンプモータを一時停止し、閉塞検出アルゴリズムに従って投薬ストロークを継続する前に、モータ電流又は圧力を示す他のパラメータの少なくとも1つの追加の測定を行うことができる。T
OCC及びT
PRE-OCC範囲のこれらの値は、異なるタイプのポンプ間で相違し、テストを通じて経験的に所与のタイプのポンプについて決定することができることを理解されたい。
【0034】
図7は、所与のポンプのモータ電流測定から導出される圧力曲線の例を示す。圧力曲線は、T
PRE-OCC圧力範囲内にある圧力が検出されたとき(すなわち、閉塞が発生していないときに通常の圧力よりも高く、漏れ圧力閾値T
OCCよりも低い)、ポンプモータを一時停止した後、圧力曲線の一部に沿って電流測定の1つ又は複数のサンプルが有利に採取され得る場所をより明確に示すために増幅される。これらの測定が行われる頻度、これらの測定の数、及び/又は圧力曲線又はポンプストローク内のどこでこれらの測定が行われるかは、事前に決定されるか、又は動的に決定され得る。例えば、測定の数及び/又は頻度並びに一時停止動作の数は、T
PRE-OCC圧力範囲内のパラメータの値が増加するにつれて増加するか、又は残っている投薬ストロークの量に基づいて変化することができる。
【0035】
次に、例示的な実施形態による閉塞検出アルゴリズムを、
図8を参照して説明する。薬物送達デバイス内の圧力を示すパラメータの測定は、ポンプサイクルの投薬ストロークの開始(ブロック110)後のある時点で測定される(ブロック112)。投薬ストロークの開始後の初期測定ポイントは、以下に説明するさまざまな要因に基づいて予め決定されるか、又は動的に決定され得る。ポンプ内の圧力を示すポンプ測定値が閉塞前閾値T
PRE-OCCを満たす場合(ブロック114)、マイクロコントローラ58又は閉塞検出アルゴリズムに従って動作する他のポンプ処理デバイスは、投薬ストローク中にポンプモータを一時停止する(ブロック116)。上述のように、ポンプモータを一時停止すると、薬物送達デバイスが投薬ストローク内で検出されない漏れ圧力を経験する可能性が低下する。選択的に、一時停止中に別のパラメータ測定値を取得できる。
【0036】
投薬ストロークの終了に到達しない場合(ブロック120)、マイクロコントローラ58は、閉塞検出アルゴリズムに従って投薬ストロークを継続する(ブロック124)。マイクロコントローラ58は、モータ電流などの圧力を示すパラメータの別の測定値を取得するように構成される(ブロック112)。閉塞検出アルゴリズムは、測定がいつ(すなわち、投薬ストロークの残りの間)行われるかを決定するように構成され得る。例えば、閉塞検出アルゴリズムは、投薬ストロークが再開された後の選択された時間間隔、又は測定されたパラメータの値又は実行されるべき投薬ストロークの量に応じて選択された時間又は頻度で測定されたパラメータをサンプリングするように構成され得る。別の例示的な実施形態によれば、ポンプモータは、パルス幅変調(PWM)又はいくつかの他の制御手段を介して減速することができ、マイクロコントローラ58が、圧力を示すパラメータを測定し、次いでその測定値に基づいて投薬ストロークを減速又は加速する連続的なフィードバックループを実装することを可能にする。
【0037】
ブロック112における測定値が閉塞前閾値T
PRE-OCCを満たす場合(ブロック114)、マイクロコントローラ58は、ポンプモータを再び一時停止する。投薬ストロークの終了に達し(ブロック120)、送達が完了する(ブロック122)場合、プロセスは、そのポンプによる次の投薬ストロークまで、又はそうでなければポンプがシャットダウンされるまで、
図8で終了する。
【0038】
図8を引き続き参照すると、ブロック118における追加の測定値が評価されて、それが閉塞前閾値T
PRE-OCCを満たすかどうかが確認される(ブロック120)。ブロック120における閉塞前閾値T
PRE-OCCは、ブロック114で使用されるT
PRE-OCCと同じであるか、又は異なることができる。閉塞検出アルゴリズムは、投薬ストローク内に何回のT
PRE-OCC測定が行われるかについて構成することができる。例えば、第2の測定値(ブロック118)が引き続き高圧を示す(例えば、ブロック120ごとの閉塞前閾値T
PRE-OCCを満たす)場合、マイクロコントローラ58は、ポンプサイクルを終了し、ポンプ動作を終了するようにプログラムされ得るか、又は追加の測定値を得ることができる(ブロック122)。ポンプモータの追加の測定値及び継続的な一時停止は、いくつかの圧力条件を減少させることができ、緩和又は適切な警告のために時間内に検出されない漏れ圧力への急速な上昇を回避するための追加の測定を可能にし、投薬不正確さを回避するためにポンプのシャットダウンを可能にすることができる。
【0039】
別の例示的な実施形態によれば、閉塞検出アルゴリズムは、閉塞前閾値TPRE-OCCなどの基準を満たす測定値に基づいてポンプを一時停止する代わりに、ストロークが中途完了した後、又は部分的に他の量でポンプを一時停止するように構成され得る。例えば、ポンプは、閉塞検出アルゴリズムによって構成され、投薬ストロークの途中でピストンスタイル又はシリンジスタイルのポンプを押し、ピストンの動きを一時停止し、ピストンを部分的なストローク量で押し込み再開し、モータ電流信号を分析して、事前閉塞閾値TPRE-OCC基準が満たされているかどうかを判定し、投薬ストローク内で数回繰り返して、ストロークごとに複数の読み取り値を取得し、漏れ圧力に達するのを回避する。したがって、ポンプカテーテルが挟まれている場合(例えば、組織閉塞及び制限された流れ)、閉塞検出アルゴリズムは、ポンプが減速し、圧力が消散することを可能にし、それによって部分的な閉塞又は他の高圧異常を緩和する。ポンプは、閉塞検出アルゴリズムに従って構成され、投薬ストロークの指定された数の分割又は投薬ストローク内の選択されたゾーンを調べ、測定されたパラメータを分析して、閉塞前の条件が発生しているかどうかを判定し、漏れ圧力に達する前に問題に対処する(例えば、ポンプの動作を遅くする)。また、ポンプは、測定されたパラメータ読み取り値を得るために、すべての投薬ストロークで一時停止するようにプログラムすることができるが、そうすることは、閉塞がないときに総配送時間を延長するという望ましくない効果をもたらす可能性がある。
【0040】
上述したように、閉塞検出アルゴリズムの例示的な実施形態は、閉塞検出の信頼性を大幅に増加させるのに有利である。圧力を示す測定パラメータのサンプル又はサンプリングレートを増加させるためにポンプを一時停止する例示的な実施形態によって提供される技術的解決策は、閉塞を検出するためのはるかに高い解像度を提供する。この技術的な解決策は、モータ電流検出に関連して説明されていますが、厳密にはこの実装に限定されず、あらゆるタイプの圧力検出閉塞検出システムで使用できる。一時停止はまた、単一のストローク中により多くのより正確な測定を行うために、システムが落ち着くことを可能にする。
【0041】
モータ又は駆動トレインパラメータ測定がポンプ動作のために実装されるとき、閉塞検出は、パラメータ(例えば、モータ電流)を監視し、測定された電流と相関する指定された圧力が指定された閾値を満たすかどうかを決定するような動作をマイクロコントローラ58又は薬物送達デバイス10を制御するリモートデバイスのコンピュータソフトウェア命令に追加することによって達成することができる。したがって、閉塞検出は、ソフトウェア解決策を介して実装することができ、ポンプのハードウェア変更は、必要ない。
【0042】
本開示は、上記説明に記載されるか、図面に図示される、詳細な構造及び構成部品の構成に、その適用が限定されないことは当業者によって理解される。本明細書に記載の実施形態は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行又は実施することができる。また、本明細書で用いられる表現及び用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなすべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む」、「備える」又は「有する」、及びそれらの変形例の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物並びに追加の項目を包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された」、「結合された」、及び「装着された」という用語及びそれらの変形例は、広い範囲で用いられ、直接的及び間接的な接続、結合及び装着を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」という用語、及びそれらの変形例は、物理的又は機械的な、接続又は結合に限定されない。さらに、上、下、底面、及び上面などの用語は、相対的であって、説明を補助するために用いられるものではあり、限定するものではない。
【0043】
図示の実施形態に従って採用された実例のデバイス、システム、及び方法の構成要素は、少なくとも部分的には、デジタル電子回路、アナログ電子回路、又はコンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはそれらの組み合わせで実装することができる。これらの構成要素は、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、もしくは複数のコンピュータのようなデータ処理装置による実行用の、又はそれらの動作を制御するための情報媒体もしくは機械可読記憶デバイスに明確に具現化されたコンピュータプログラム、プログラムコード、又はコンピュータ命令などのコンピュータプログラム製品として実装することができる。
【0044】
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語もしくはインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で作成され、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラム又はモジュールとして、構成要素、サブルーチン、もしくはコンピュータ環境での使用に適した他のユニットを含む任意の形式で配備することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータもしくは1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるように配備され、又は、複数のサイトに分散して配備されて通信ネットワークで相互接続することができる。また、例示的な実施形態を実現するための機能プログラム、コード、及びコードセグメントは、例示された実施形態が属する技術分野の当業者であるプログラマーによって、例示的な実施形態により例示された特許請求の範囲内であることを容易に解釈することができる。本発明の例示的な実施形態に関連する方法の工程は、(例えば、入力データを操作すること、及び/又は出力を生成することにより)機能を実行するための、コンピュータプログラム、コード、又は命令を実行する1つ又は複数のプログラム可能なプロセッサによって実行できる。例えば、方法の工程は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの特別な目的の論理回路によって実行することもでき、例示した実施形態の装置は、そのようなものとして実装することができる。
【0045】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な、論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、又は他のプログラム可能な論理デバイス、離散ゲート、又は、トランジスタロジック、離散ハードウェア構成要素、又は、本明細書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせにより、実装又は実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピュータデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ又は複数のマイクロプロセッサ、又はその他のそのような構成として実装され得る。
【0046】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用及び専用の両方のマイクロプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ又は複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリから命令とデータを受け取る。コンピュータの重要な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令とデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、また、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は、光ディスクなど、データを格納するための1つ又は複数の大容量記憶装置を含むか、又は、それらから又はそれらへデータを転送するように動作可能に結合されか、又はそれらの両方である。コンピュータプログラム命令及びデータを具現化するのに適した情報媒体には、例として、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリないしROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、及び、データストレージディスク(磁気ディスク、内蔵ハードディスク、又はリムーバブルディスク、光磁気ディスク、CDーROM、及び、DVD-ROMディスク等)を含む、あらゆる形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサとメモリは、特別な目的の論理回路によって補足し又はそれに組み込むことができる。
【0047】
当業者は、情報及び信号が、様々な異なる技術及び技法のいずれかを用いて表され得ることを理解することになる。例えば、上述の説明全体を通して参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁気粒子、光場もしくは光粒子、又はそれらの任意の組み合わせによって表すことができる。
【0048】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は、両方の組み合わせとして実装され得ることを当業者はさらに理解する。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な実例となる、構成要素、ブロック、モジュール、回路、及び、ステップを、一般的にそれらの機能に関して上述してきた。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途とシステム全体に課される設計制約に依存する。当業者は、特定の用途ごとに様々な点で、説明した機能を実装することができるが、そのような実装の決定は、例示された実施形態によって例示される請求項の範囲から逸脱させるものと解釈されるべきではない。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CDーROM、又は、この技術分野で知られている任意の他の形式の記憶媒体に存在させることができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体は、プロセッサに統合されてもよい。換言すれば、プロセッサ及び記憶媒体は、集積回路内に存在するか、又は別個の構成要素として実装され得る。
【0049】
コンピュータ可読非一時的媒体は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュ媒体、及び固体記憶媒体を含む、あらゆるタイプのコンピュータ可読媒体を含む。ソフトウェアは、中央処理装置(CPU)のデバイスにインストールし、それと共に販売できることを理解されるべきである。又は、ソフトウェアを取得してCPUデバイスにロードすることもでき、これには、例えば、ソフトウェア作成者が所有するサーバーから、又はソフトウェア作成者が所有していないが使用するサーバーからなど、物理媒体又は配布システムを通じてソフトウェアを取得することが含まれる。ソフトウェアは、例えばインターネットを介して配布するためにサーバーに保存することができる。
【0050】
上記の説明及び図は、例としてのみ意図されており、以下の特許請求の範囲に記載されているものを除いて、いかなる方法でも本発明を限定することを意図したものではない。当業者は、他の多くの方法で上述した、様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を、容易に組み合わせることができ、それらは総て特許請求の範囲内であると見なされることに特に留意されたい。
【国際調査報告】