(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】輸液ポンプにおける空リザーバを検出するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20231214BHJP
A61M 5/145 20060101ALN20231214BHJP
【FI】
A61M5/168 514Z
A61M5/145
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535984
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021062577
(87)【国際公開番号】W WO2022132557
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット スチュワート
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066FF04
4C066LL30
4C066QQ17
4C066QQ41
4C066QQ82
(57)【要約】
装置および方法は、吸引中のモータ電流のようなポンプ測定値を使用して輸液ポンプ内の空リザーバ状態を検出する。輸液ポンプは、吸引中の圧力を示すポンプ測定値を取得および分析し、ポンプ測定値が、リザーバが空になった場合に超えるポンプ測定値に対応する圧力閾値、前記ポンプの正常動作圧力を超える圧力を示すポンプ測定値のレンジ、および、前記ポンプの正常動作圧力を超える圧力を示すポンプ測定値に対応する指定の信号波形といった、空リザーバ状態に対応する基準を満たすかどうかを判定する。装置および方法は、吸引動作の期間の1つまたは複数の部分において得られ、ポンプ機構の正常な動作から生じる過渡的な増加によって特徴付けられる1つまたは複数のポンプ測定値を無視するように構成することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体のチャンバと、吸引動作中におけるリザーバから前記チャンバへの液体量の吸引および吐出動作中における前記チャンバからの前記液体の吐出を制御するように構成されたポンプ機構と、を含むポンプと、
前記吸引動作中に得られた1つまたは複数のポンプ測定値を分析し、かつ、前記1つまたは複数のポンプ測定値が前記リザーバの空リザーバ状態に関連する指定の基準をいつ満たすかを判定するように構成された処理デバイスと、
を備える、輸液デバイス。
【請求項2】
前記ポンプ測定値は、前記ポンプのモータ電流の測定値である、請求項1に記載の輸液デバイス。
【請求項3】
前記処理デバイスは、前記1つまたは複数のポンプ測定値が前記指定の基準を満たす場合、前記ポンプ機構の動作を終了させるように構成される、請求項1に記載の輸液デバイス。
【請求項4】
前記処理デバイスは、前記1つまたは複数のポンプ測定値が前記指定の基準を満たす場合に追加のポンプ測定値を分析し、かつ、前記ポンプ機構の終了動作前に前記追加のポンプ測定値が前記指定の基準をいつ満たすかを判定するように構成される、請求項1に記載の輸液デバイス。
【請求項5】
前記処理デバイスは、前記追加のポンプ測定値が前記指定の基準を満たす場合、前記ポンプ機構の動作を終了させるように構成される、請求項4に記載の輸液デバイス。
【請求項6】
前記指定の基準は、前記リザーバが空になった場合に超えるポンプ測定値に対応する圧力閾値、前記ポンプの正常動作圧力を超える圧力を示すポンプ測定値のレンジ、および、前記ポンプの正常動作圧力を超える圧力を示すポンプ測定値に対応する指定の信号波形の中から選択された1つまたは複数の基準である、請求項1に記載の輸液デバイス。
【請求項7】
前記処理デバイスは、前記吸引動作の期間の選択された部分において得られた1つまたは複数のポンプ測定値を分析するように構成される、請求項1に記載の輸液デバイス。
【請求項8】
前記処理デバイスは、前記吸引動作の期間の1つまたは複数の部分において得られ、ポンプ機構の正常な動作から生じる過渡的な増加によって特徴付けられる1つまたは複数のポンプ測定値を無視するように構成される、請求項1に記載の輸液デバイス。
【請求項9】
前記ポンプ測定値は、1つまたは複数のポンプモータ電流、ポンプモータ電圧、ポンプエンコーダカウント、ポンプモータ駆動カウント、および、ポンプモータ駆動時間の中から選択される、請求項1に記載の輸液デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、概して、輸液ポンプの吸引動作に対応するポンプ測定データを用いて空リザーバ状態を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液ポンプは、一般に、既知の量の液体及び既知の吐出ストローク量を有するリザーバを採用し、投薬をカウントダウンしてリザーバにどれだけの液体が残存しているかを推定する。リザーバ内の液体の量が正確に分からなければ、輸液ポンプは、投薬ストローク量が公称量を超えた場合のように、その寿命の終わり(例えば、カウントダウンの終わり)に幾らかの投薬に失敗し得る。
【0003】
輸液ポンプのリザーバの充填レベルまたは空の状態を監視するための1つの解決策は、専用のセンサを使用することである。しかしながら、輸液ポンプにセンサを追加すると、システムの複雑さが増し(例えば、機械的、電気的、および/または、ソフトウェアの複雑さが増し)、システムの電力消費が増加し、輸液ポンプのコストが増加する。
【0004】
ウェアラブル薬物送達ポンプのような、構成要素の一部または全部が使い易さと費用対効果のために使い捨て可能な医療デバイスにとって、リザーバ状況センサのような別の構成要素を追加し、関連するコスト及び複雑さを増加させることは望ましくない。したがって、構成要素を追加せず、それによって輸液ポンプの複雑さとコストとを増加させずに、輸液ポンプのリザーバが空の状態であること正確に検出する需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/157174号パンフレット
【発明の概要】
【0006】
例示的な実施形態によって、上記の課題および他の課題が克服され、かつ、追加的な利点が実現される。
【0007】
例示的な実施形態の態様によれば、液体のチャンバと、吸引動作中におけるリザーバから前記チャンバへの液体量の吸引および吐出動作中における前記チャンバからの前記液体の吐出を制御するように構成されたポンプ機構とを含むポンプと、前記吸引動作中に得られた1つまたは複数のポンプ測定値を分析し、かつ、前記1つまたは複数のポンプ測定値が前記リザーバの空リザーバ状態に関連する指定の基準をいつ満たすかを判定する処理デバイスと、を備える輸液デバイスが提供される。
【0008】
例示的な実施形態の態様によれば、前記ポンプ測定値は、前記ポンプのモータ電流の測定値である。
【0009】
例示的な実施形態の態様によれば、前記処理デバイスは、前記1つまたは複数のポンプ測定値が前記指定の基準を満たす場合に、前記ポンプ機構の動作を終了させるように構成される。
【0010】
例示的な実施形態の態様によれば、前記処理デバイスは、前記1つまたは複数のポンプ測定値が前記指定の基準を満たす場合に追加のポンプ測定値を分析し、かつ、前記ポンプ機構の終了動作前に前記追加のポンプ測定値が前記指定の基準をいつ満たすかを判定する。例えば、前記処理デバイスは、前記追加のポンプ測定値が前記指定の基準を満たす場合に、前記ポンプ機構の動作を終了させるように構成することが可能である。
【0011】
例示的な実施形態の態様によれば、前記指定の基準は、前記リザーバが空になった場合に超えるポンプ測定値に対応する圧力閾値、前記ポンプの正常動作圧力を超える圧力を示すポンプ測定値のレンジ、および、前記ポンプの正常動作圧力を超える圧力を示すポンプ測定値に対応する指定の信号波形の中から選択された1つまたは複数の基準である。
【0012】
例示的な実施形態の態様によれば、前記処理デバイスは、前記吸引動作の期間の選択された部分において得られた1つまたは複数のポンプ測定値を分析するように構成される。
【0013】
例示的な実施形態の態様によれば、前記処理デバイスは、前記吸引動作の期間の1つまたは複数の部分において得られ、ポンプ機構の正常な動作から生じる過渡的な増加によって特徴付けられる1つまたは複数のポンプ測定値を無視するように構成される。
【0014】
例示的な実施形態の態様によれば、前記ポンプ測定値は、1つまたは複数のポンプモータ電流、ポンプモータ電圧、ポンプエンコーダカウント、ポンプモータ駆動カウント、および、ポンプモータ駆動時間の中から選択される。
【0015】
追加の態様、および/または、他の態様、並びに、例示的な実施形態の利点は、以下の記述において記載される、または以下の記述から明らかである、または例示的な実施形態の実践によって学び得る。例示的な実施形態は、上記態様の1つまたは複数を有する、および/または、上記の特徴およびそれらの組み合わせの1つまたは複数を有する装置およびその装置を動作させる方法を含んでよい。例示的な実施形態は、例えば、添付の特許請求の範囲に記載されるような、上記態様の特徴および/または組み合わせの1つまたは複数を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
例示的な実施形態の上記および/または他の態様および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【0017】
【
図1】本発明の例示的な実施形態における、閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイスのポンプ構成要素の一例を示す部分透視図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態における、閉塞検出アルゴリズムに従って動作する例示的な薬物送達デバイスのポンプ構成要素の一例を示す部分透視図である。
【
図3A】例示的な薬物送達デバイスの
図1及び
図2に示したポンプ構成要素の吐出ステージの動作準備が整った状態における配置を示す透視図である。
【
図3B】例示的な薬物送達デバイスの
図1及び
図2に示したポンプ構成要素の吸引ステージの動作準備が整った状態における配置を示す透視図である。
【
図3C】
図1及び
図2に示したポンプ構成要素の例を含む例示的な薬物送達デバイスにおける構成要素、および、プリント回路基板上の関連する電子回路を示す透視図である。
【
図4A】例示的な薬物送達デバイスの構成要素を示すブロック図である。
【
図4B】本発明の例示的な実施形態における、電流センサを有する薬物送達デバイスポンプモータの回路図である。
【
図5】吐出期間中のモータ電流および異なる電圧での変化を示す例示的な送達デバイスからのポンプ測定データを示す図である。
【
図6A】吸引および吐出のストローク中における例示的な送達デバイスからの未加工のポンプ測定データ(例えば、モータ電流)を示す図である。
【
図6B】吸引および吐出のストローク中における例示的な送達デバイスからのフィルタリングされたポンプ測定データ(例えば、モータ電流)を示す図である。
【
図7A】ポンプリザーバが空になった後の吸引中のポンプモータ電流の変化を示す図である。
【
図7B】ポンプリザーバが空になった後の吸引中のポンプモータ電流の変化を示す図である。
【
図8】例示的な送達デバイスからのポンプ測定データであって、吸引ストロークに対するモータ電流および空リザーバポイントを示す図である。
【
図9】本発明の例示的な実施形態における、空リザーバ検出アルゴリズムを実行する例示的な薬物送達デバイスの動作例を示すフローチャートである。
【0018】
図面を通して、同様の参照番号は、同様の要素、特徴および構造を指すものと理解される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付の図面に示される本開示の例示的な実施形態について詳細に説明する。本明細書に記載する例示的な実施形態は、図面の参照によって請求項に係る発明および本開示を例示するが、限定されない。
【0020】
輸液ポンプにおける閉塞は、薬物の投薬ポンプのような液体送達デバイスにおける挟まれたカテーテルまたは組織の閉塞といった流れの制限または通路の狭窄が原因で、または空の薬物リザーバが原因で生じ得る。閉塞または空リザーバのようなポンプ状態によるポンプ圧力の変化を測定して早期に検出し、失敗投与につながるような、ポンプ圧力の変化によって生じ得る液体送達の不正確さを軽減することが重要である。
【0021】
幾つかの輸液ポンプは、投与量のカウントダウンに依拠して、そのリザーバが空になった時を決定する。これらの輸液ポンプは、既知のリザーバ容量と既知のストローク量を基に機能し、リザーバまたは液体チャンバが理論的に空になるまで投与をカウントする。このカウントダウン方法では、ストローク量が公称値を超える場合、リザーバの寿命が近い状態において失敗投与につながり得る。このような輸液ポンプの幾つかは、最悪の場合でも全ての薬物が投与されるように、空リザーバの過剰ポンプを必要とする。過剰ポンプは、患者に利益を与えずに送達時間が長くなるという不都合が生じる。加えて、吸引ストロークは、リザーバが空でないときの吸引ストロークに使用される電力と比較して、リザーバが空のときには過剰な電力が必要になるので、重大な電力が使用される。空リザーバ状態を検出する別の方法は、空リザーバセンサの使用を伴うが、これは輸液ポンプの複雑さ、コストおよび見込みの電力消費を望ましくないほど増加させる。
【0022】
本明細書において説明する、空リザーバ状態を検出する例示的な実施形態は、上述した技術的な課題の技術的な解決策を提供する。本開示の例示的な実施形態の有利な態様によれば、ポンプと当該ポンプを動作させる方法とが提供され、ここにおいて、測定されたポンプパラメータを使用して空リザーバ状態を検出する空リザーバアルゴリズム、および、測定されたポンプパラメータに基づいてポンプ制御デバイスまたはプロセッサの動作を制御するソフトウェアが採用される。
【0023】
測定されたポンプパラメータは、圧力を示し、かつ、限定されないが、モータ電流、モータ電圧、エンコーダカウント、モータ駆動カウント、送達パルスエネルギー、および、モータ駆動時間等の何れかであり得る。例えば、モータ電流は、ポンプ圧力と間接的に相関し得るため、電流センシングは、液体送達デバイスの流路における例えば空リザーバに起因した閉塞を検出する方法として信頼できる方法であると考えられる。リザーバが空になると、ポンプ内の液体流量が減少し、それにより背圧の増加が生じる。ポンプのピストン面に作用する背圧の増加は、例えば、この圧力に打ち勝つためにポンプおよびモータが必要とするトルク需要の増加を引き起こす。このトルク需要の増加は、ポンプモータに引き込まれる電流の増加に相当し、下流の閉塞を検出する1つの方法になる。
【0024】
高い正の下流圧力は、現在の需要に基づいて検出することが可能であるが、高い上流圧力は、理論的にはポンプを援助し、現在の需要を微小に減少させるので、容易には検出されない。しかし、いくつかの容積式ポンプでは、ポンプはまず或る量の流体を吸引し、次いでそれを吐出する。電流需要の減少により、流体の吸引に関連する正の上流圧力を検出することは非常に難しい場合があるが、吸引ストローク中に電流が増加するため、低圧または上流の流れを妨げる事象(例えば、空リザーバ)を検出することが可能である。
【0025】
本開示の例示的な実施形態の有利な態様によれば、空リザーバアルゴリズムは、空リザーバ状態の信頼性ある適時の検出を提供して、失敗投与または不正確な投与を軽減する。空リザーバアルゴリズムは、液体送達デバイスを制御して吸入または吸引(例えば、吸引ストローク)の期間における液体圧を示すデバイスパラメータの測定値を取得し、かつ、指定された基準であってモータ電流の閾値(TEMPTY)のような空リザーバ状態に対応する基準、または吸引期間中の電流モータデータの期待される形状のような他の基準を測定値が満たす場合に、液体送達デバイスにおけるポンプ機構を制御してポンプ動作を停止させる。例えば、以下に述べるとおり、吸引ストロークの重要な部分において測定されたポンプパラメータ(例えば、モータ電流)をモニタして、空状態を検出することが可能である。本明細書に記載された技術的解決策の基礎となる技術的原理によれば、空リザーバを引っ張ることは、ポンピングサイクルにおける吸引部分の期間中にトルクの増加が必要になる。この増加したトルク需要は、吸引ストロークの特定の期間において、特徴的な形で電流を増大させる。ポンプが空の時の吸引電流の特徴的な形状をポンプ測定値において検出する基準を指定することが可能である。
【0026】
本開示の例示的な実施形態においては、モータ電流が圧力の指標として測定されるパラメータである。限定はせず他のパラメータもあるが、モータ電圧、モータ駆動時間、モータ惰行時間、送達パルスエネルギー、モータ駆動カウント、モータ惰行カウント、デルタエンコーダカウントといった、圧力を示す異なるポンプモータパラメータを測定することが可能なことが理解されるべきである。
【0027】
例示的な実施形態の空リザーバアルゴリズムは、容積ポンプにとって特に有用である。容積ポンプは、あるステージにおいてチャンバ(例えば、リザーバからの液体薬物によって)を満たし、別のステージにおいてチャンバから液体を空にする(例えば、患者に配置されたカニューレのような送達デバイスへ)という原理で動作するタイプのポンプであると理解される。例えば、往復プランジャ型ポンプまたは回転定量型ポンプを使用可能である。何れのケースにおいても、ピストンまたはプランジャをチャンバから後退させ、チャンバ内に薬物を吸引し、または引き込み、チャンバを或る量の薬物で満たす(例えば、薬物のリザーバまたはカートリッジから入口ポートへ)。そして、ピストンまたはプランジャをチャンバ内に再挿入し、チャンバから(例えば、出口ポートを介して)ポンプと患者内のカニューレとの間に延びる液体通路に或る量の薬物を投与又は吐出する。
【0028】
例示目的において、共通所有の特許文献1に記載された例示的な回転定量型ポンプを参照し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1、
図2、
図3A、
図3B、および、
図3Cを参照すると、例示的な輸液ポンプ(例えば、インスリンパッチポンプのようなウェアラブル薬物送達デバイス)は、DCモータに接続可能なポンプアセンブリ20、および、ポンプマニホールド22におけるスリーブ24を回転させるギアボックスアセンブリ(図示せず)を備える。スリーブには、螺旋状溝26が設けられる。ピストン30に接続された結合ピン28は、スリーブ24が一方向に回転した後、逆方向に回転する際に、ピストン30のスリーブ24内における後退および挿入をそれぞれ案内するように、螺旋状溝に沿って平行移動する。スリーブは、エンドプラグ34を有する。スリーブ24内におけるピストンとエンドプラグのそれぞれの端にある2つのシール32、36は、
図3Aに示されるように、ピストン30が吸引ストロークに続いて後退し、したがって吐出の準備ができた場合に、キャビティまたはチャンバ38を規定する。したがって、チャンバ38の容量は、ピストン30の後退度合に依存して変化する。
図3Bに示されるように、ピストン30が完全に挿入されてシール32、36が吐出ストローク後に実質的に互いに接触し、したがって、吸引の準備が整った場合、チャンバ38の容積は無視できるか実質的にゼロである。ポンプマニホールド22に対して2つのポート44、46が設けられる。入口ポート44を通じて、ポンプ64(
図4A)のためのリザーバ70(
図4A)から薬物が流れることが可能である。出口ポート46を通じて、チャンバ38内に引き込まれた薬物が、ピストン30のチャンバ38への再挿入によって、チャンバ38から例えば患者内のカニューレ72(
図4A)への液体通路に吐出することが可能である。
【0029】
図1、
図2、
図3A、
図3B、および、
図3Cを引き続き参照すると、スリーブ24には、出口ポート46または入口ポート44と整列して(すなわち、スリーブ24の回転度合い、したがってピストン30の平行移動の度合いに依存して)、チャンバ38内の薬物がポート44、46の対応する一方を通って流れることを許容する開口(図示せず)を設けることが可能である。例えば、インターロック42と、インターロック42と協働するスリーブ24またはそのエンドプラグ34上の1つまたは複数の戻り止め(detent)40とを有するスリーブ回転制限スイッチのような、ポンプ測定デバイス78(
図4A)を設けることが可能である。インターロック42は、その各端部においてマニホールド22に取り付けることが可能である。スリーブ24の端面における戻り止め40は、ポンプ64が第1の位置にある時にインターロック42のバンプ48に隣接し、それによってスリーブ24の側孔は、リザーバ70からチャンバ38に液体を受け入れるために入口ポート44と整列される。背圧などの特定の条件下では、ピストン30とスリーブ24との間の摩擦が、ピストン30および結合ピン28が螺旋状溝26の何れかの端部に到達する前にスリーブ24を回転させるのに十分なことがあり得る。これは、1ストローク当たりに圧送される液体の体積が不完全になる可能性がある。このような状況を防止するために、インターロック42は、
図3Aに示すように、トルクが所定の閾値を超えるまで、スリーブ24が回転することを防止する。これにより、結合ピンが螺旋状溝26の端部に到達するまで、ピストン30がスリーブ内で完全に回転することが保証される。結合ピン28が螺旋状溝26の端部に当たると、DCモータおよびギアボックスアセンブリまたは他のタイプのポンプおよびバルブアクチュエータ66(
図4A)による更なる移動が閾値を超えてスリーブ24のトルクを増大させ、インターロック42の屈曲を生じさせ、戻り止め40がバンプ48を通過することを許容する。スリーブ24の側孔がカニューレ72または出口ポート46と向きが一致するようなスリーブ24の回転完了時に、
図3Bに示すように、戻り止め40はインターロック42のバンプ48を通過して移動する。電気スイッチ(例えば、プリント回路基板92上に設けられ、
図3Cに示すようにポンプ測定デバイス78と協働するためにスリーブおよび/またはエンドプラグ34に対して配置されたエンドストップスイッチ90)と係合する別のスリーブ機構41を設けることも可能である。
【0030】
図4Aは、
図1、
図2、
図3A、
図3Bおよび
図3Cのポンプのような輸液ポンプを有する例示的な薬物送達デバイス10の例示的な構成要素を示すシステム図である。薬物送達デバイス10は、ポンプ64のような液体サブシステム54内の構成要素の動作を制御するための電子機器サブシステム52と、患者の皮膚における注入部位への挿入のためにカニューレ72を配置する挿入機構74とを含むことが可能である。蓄電サブシステム50は、例えば、電子機器サブシステム52および液体サブシステム54における構成要素へ電力を供給するためのバッテリ56を含むことが可能である。液体サブシステム54は、例えば、リザーバ70を満たす(例えば、薬物で)オプションの注入ポート68を備えることが可能であるが、薬物送達デバイス10は、オプション的に、リザーバが既に満たされた状態で製造業者から輸送されることが可能である。液体サブシステム54は、ポンプ64およびポンプアクチュエータ66を含む測定サブシステム62も有する。上述したように、ポンプ64は、2つのポート44、46と、液体がそれぞれのポート44、46を介してポンプチャンバ38に入る場合と出る場合とを制御する関連バルブサブアセンブリとを有することが可能である。ポートの1つは、例えば、入口ポート44であり、この入口ポートを通じて液体薬のような液体が、ポンププランジャまたはピストン30に対するポンプ吸入またはプルストロークの結果として、リザーバ70からポンプ64に流入する。他のポートは、出口ポート46であり、このポートを通じて液体は、ポンプのチャンバ38を流出して、ポンププランジャまたはピストン30のポンプ吐出またはプッシュストロークの結果として、患者ポンプへの投与のためにカニューレ72に向かって流れる。マイクロコントローラ58は、例えば、選択された方向へスリーブ24を回転させる、吸引または吐出ストロークのためにスリーブ24内のピストン30を平行移動または軸方向移動させる、および、オプション的に、特許文献1に記載されるような、バルブ状態変化中のスリーブ24およびピストン30を共に回転させる、コンピュータソフトウェア命令を有する統合された、または別のメモリデバイスと共に設けることが可能である。以下に説明するように、ポンプパラメータ測定値をモニタし、かつ、輸液ポンプとの関連で空リザーバ状態が生じる時を検出するマイクロコントローラ58に、例示的な実施形態に係る空リザーバアルゴリズムを設けることが可能である。
【0031】
図4Bは、モータ電流センシングのための例示的な装置を示す。センシングレジスタ142をPCB92に追加することで、モータ電流の測定が可能である。センシングレジスタ142における電圧降下が、マイクロコントローラ58のアナログ-デジタル変換器(ADC)に与えられる。そして、マイクロコントローラ58によって閉塞状態が計算され、例えば、閉塞または空リザーバモータ電流の指定された特徴的な性質が検出された場合、閉塞または空リザーバイベントがマイクロコントローラ58によって報告される。他の構成要素を電流センシングに使用してポンプモータ電流測定を容易にすることが可能である。例えば、パルス幅変調(PWM)駆動モータをポンプアクチュエータ66として使用して、モータ電流情報をPWMデータから推定することが可能である。
【0032】
図5は、例示的な送達デバイスからのポンプ測定データであって異なる圧力(例えば、6psi、30psi、70psi)での投与中のモータ電流の変化を示す。
図5から分かるように、ポンプ測定データは、或る程度一貫性のある波形(例えば、ストローク初期のモータ始動およびストローク終了のインターロック動作に対応するスパイク144および146)を有するが、符号148にて大まかに示されるように、圧力が増加するにつれてモータ電流レベルが増加することを示す。したがって、モータ電流波形は、上述したように、閉塞または空リザーバ状態からの圧力変化を示し得る。
【0033】
図6Aおよび
図6Bは、吸引ストローク中および吐出ストローク中の例示的な送達デバイスからの、未加工の、および、フィルタリングされたポンプ測定データ(例えば、モータ電流)をそれぞれ示す。
図6Aおよび
図6Bに示すように、吸引ストロークおよび吐出ストロークの両方において、また、ポンプ測定データが未加工であるかフィルタリングされているかに関わらず、波形形状またはスパイク144および146を見ることができる。
【0034】
図7Aおよび
図7Bは、それぞれ、ポンプリザーバが空になった後の吸引中(例えば、
図1、
図2および
図3A~
図3Cに示す例示的なポンプにおける吸引ストローク中)におけるポンプモータ電流の変化を示す。
図7Aは、リザーバ70に液体が残存している場合の一連の吸引ストロークについての測定モータ電流を含む、フィルタリングされたポンプ測定データを示す。
図7Bは、リザーバ70が空の場合の一連の吸引ストロークの測定モータ電流を含む、フィルタリングされたポンプ測定データの変化、とりわけ、始動時とストローク終了時におけるインターロックに対するモータの動作時とにおいて発生するモータ電流スパイク144および146の間の波形の部分148における変化を示す。例えば、リザーバ70が空の場合、
図7Aに示すようにリザーバ70が空でない場合のモータ電流レベルが約10~21mAであるのと比較して、
図7Bに示すように、モータ電流は、約22~30mAの間へ増加する。
図7Bは、また、吸引ストローク中のモータ電流波形における部分148の後半148bに空リザーバ状態の発生を示すモータ電流の増加があることも示す。
【0035】
図8は、数回の吸引ストロークにわたる例示的な送達デバイスからのポンプ測定データ(例えば、モータ電流)と、空リザーバを示す測定モータ電流データにおける点150とを示す。比較的単純な平均化スキームを使用することによって(すなわち、測定されたデータ波形の形状の変化を識別するための追加の基準を使用しない)、
図8において、空リザーバ点150が、比較的容易に、かつ、吸引モータ電流のみに依存して、ポンプ測定データにおいて識別可能であることを示す。
【0036】
本開示の例示的な実施形態によれば、輸液ポンプの制御ソフトウェアにおける空リザーバ検出アルゴリズムを使用して空リザーバ状態を検出するための基準(例えば、閾値、および、測定データ波形形状の変化のような他の基準)が確立される。
図5、
図6A、
図6B、
図7A、
図7Bおよび
図8に示す例示的なモータ電流データ波形は、特定のタイプの輸液ポンプに対する波形であり、ポンプ測定データおよび空リザーバ状態を検出するための基準は、ポンプタイプ、送達されるべき液体タイプ、送達されるべき液体の量、周囲温度、周囲気圧または他の環境考察、他の要因に基づいて変わり得ることを理解すべである。例えば、上述したように、ポンプ測定データは、他のポンプ動作パラメータの中でも、モータ電流、モータ電圧、モータ駆動時間、モータ惰行時間、送達パルスエネルギー、モータ駆動カウント、モータ惰行カウント、および、デルタエンコーダカウントの何れかであり得るが、これらに限定されない。さらに、測定されたパラメータは、これらの信号の特徴、または異なる信号からの特徴の組み合せであり得る。空リザーバ状態を検出するための基準は、例えば、特定の輸液ポンプ、リザーバおよび液体のセットアップを試験し、測定されたポンプパラメータ試験データにおけるパターンを識別し、空リザーバ検出アルゴリズムによる使用のためにパターンに基づく基準を指定することによって、実験的に決定することが可能である。
【0037】
図9は、本発明の例示的な実施形態に係る例示的な薬物送達デバイスの動作例を示すフローチャートである。マイクロコントローラ58またはポンプ動作を制御する他の処理デバイスは、空リザーバ検出アルゴリズムに従って吸引(例えば、吸引ストローク)を開始し(ブロック160)、かつ、吸引中のポンプ測定データの取得を開始する(ブロック162)。マイクロコントローラ58は、ポンプ測定データを分析し(ブロック164)、指定された空リザーバ基準が満たされているかを判定する(ブロック166)。基準は、例えば、与えられたポンプ、液体、リザーバサイズ、および、液体送達量の試験を使用して実験的に決定することが可能である。基準は、空リザーバに関連付けられた圧力上昇を示す、測定ポンプデータ値の選択された閾値またはレンジを含み得る。例えば、複数の測定データ点を平均化し、与えられた吸引期間における、平均化したポンプ測定データ値または各データ点の値を、閾値T
EMPTYと比較することが可能である。ブロック164における分析は、他の基準(例えば、スロープ、カーブしたエリア等のような形状関連基準)が満たされ空リザーバ状態が示されるかを判定するために、吸引中に得られたポンプ測定データの選択部分の曲線分析下での波形形状またはエリアもまた含み得る。例えば、上述したように、マイクロコントローラ58は、22mAまたは22mAよりも高い閾値を超える、吸引ストロークの後半におけるポンプ測定データに注目するようプログラムすることが可能である。マイクロコントローラ58は、モータ駆動時間、または吸引ストローク数、または推定される送達液体量を考慮して、幾つかの吸引ストロークを他とは異なって分析し、空リザーバ状態基準が満たされるかどうかを判定することもまた可能である。例えば、マイクロコントローラ58は、ポンプ機構の通常動作から過渡的な増加によって特徴付けられる吸引動作期間における1つまたは複数の部分において得られるポンプ測定値の1つまたは複数を無視するように構成することが可能である。
【0038】
引き続き
図9を参照すると、空リザーバ状態基準が満たされず(ブロック166)、かつ、吸引が未だ終了していなければ(ブロック168)、次いでマイクロコントローラ58は、ポンプ測定データの取得を継続し(ブロック162)、ポンプ測定データの分析を継続する(ブロック164)。一方、吸引が完了し(ブロック168)、かつ、意図した液体送達が完了すれば(ブロック170)、次いで薬物送達デバイスは、それが使用するポンプまたはリザーバの種類に応じて、電源オフ、および/または、交換することが可能である。代替的に、定量チャンバ38内に増分量の液体を送達すべく、交互の吸引ストロークおよび吐出ストロークを有する定量往復ポンプの場合、送達の完了(ブロック170)は、定量チャンバ38内の増分量の液体の送達を参照することが可能であり、マイクロコントローラは、別の吸引ストローク(ブロック160)を開始する前に別の吐出ストロークが発生するまで待機することが可能である。
【0039】
引き続き
図9を参照すると、空リザーバ状態基準が満たされれば(ブロック166)、リザーバが空または寿命(EOL)の判定が可能である前に、他の閾値または波形形状関連メトリクス、および/または、吸引の他の部分について、追加のポンプ測定データ(ブロック172)を取得し(ブロック162)、分析する(ブロック164)する必要があり得る。追加のポンプ測定データが必要でない場合、マイクロコントローラ58は、空リザーバ検出アルゴリズムによって、ポンプを停止することが可能であり(ブロック176)、それによって、過剰ポンピングによる投与量の不正確さが回避される。一方、吸引が未完了であり、追加のポンプ測定データが必要である場合、マイクロコントローラ58は、ポンプ測定データの取得(ブロック162)および分析(ブロック164)を継続するようにプログラムされる。
【0040】
同等の事項を、電気システムの他の測定可能な特性に基づいて計算することも可能である。例えば、モータ電流の代わりに、またはモータ電流に加えて、モータ電圧を測定することが可能であり、モータ電圧は、リザーバが空の場合に
図7Bに示した特性と同様の形状変化によって特徴付けられる。モータが減速することによってより多くの電流が引き込まれ、モータの逆起電力およびインピーダンスが低下するためである。インピーダンスの低下により、モータに流れる電流は増加する。同時に、電圧源は、ある程度の内部抵抗(インピーダンス)を有する。モータと交差する当該インピーダンスは、バッテリのインピーダンスと同様のスケールで変化するため、バッテリについて見られる電圧降下も変化する。
【0041】
上述したように、空リザーバ検出のための代表的な解決策は、ポンプ制御システム内に追加のセンサを配置し、センサによる検出時に空リザーバ状況を報告することである。しかしながら、センサを追加することは、システムの複雑さ(例えば、機械的な、電気的な、および/または、ソフトウェアの複雑さ)の増加、システム電力消費の増加、および/または、ポンプコストの増加という難点を伴う。これらの難点は、いったん、リザーバ70が空になると、または、ポンプ64が選択された時間使用されると、および/または、ポンプ64が選択された量の薬物の送達に使用されると、ポンプの全部または一部が使い捨てにされることを意図したウエラブルポンプの設計に特に不利になり得る。
【0042】
例示的な実施形態によれば、構成要素を追加せずに空リザーバ検出が達成される。代替的に、ポンプ動作を制御するためのマイクロコントローラ58または他の処理デバイスは、モータパラメータ測定値が正常動作状態の指定範囲外にある場合を判定して空リザーバ(例えば、所定の閾値または他の基準を満たす)を示し、ポンプの動作を終了させ、かつ、オプションとして、空リザーバ状況の表示を生成するようにさらに制御され得る。ポンプリザーバ70および/または薬物送達デバイス10全体は、順次、交換することが可能であり、それにより、通常の動作条件下において提供される意図された完全な投与量を患者が受け取ることを保証する。
【0043】
本開示が、上述した、または図面に図示された、構造の詳細、および構成要素の配置に、その適用が限定されないことは当業者によって理解されよう。本明細書の実施形態は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実行または実施することができる。また、本明細書にて使用される表現、および用語は、説明を目的とし、限定とみなすべきではないことが理解されよう。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、およびそれらの変形例の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物に加えて、追加のアイテムを包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された」、「結合された」、および「据え付けられた」という用語、およびそれらの変形例は、広義に用いられ、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。さらに、「接続された」および「結合された」という用語、およびそれらの変形例は、物理的または機械的な、接続または結合に限定されない。さらに、上、下、底面、および上面などの用語は、相対的であって、図解を補助するために使用されるが、限定されない。
【0044】
図示された実施形態に従って採用された図示の装置、システム、および方法の構成要素は、少なくとも部分的には、デジタル電子回路、アナログ電子回路、またはコンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはそれらの組み合わせで実装することができる。これらの構成要素は、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、もしくは複数のコンピュータのようなデータ処理装置による実行用の、またはそれらの動作を制御するための情報媒体もしくは機械可読記憶デバイスに明確に具現化されたコンピュータプログラム、プログラムコード、またはコンピュータ命令などのコンピュータプログラム製品として実装することができる。
【0045】
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語もしくはインタプリタ型言語を含んだ任意の形式のプログラミング言語で作成されてよく、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムまたはモジュール、構成要素、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとして含んだ任意の形式で配備されてよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータもしくは1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるように配置すること、または、複数のサイトに分散して配置し、通信ネットワークによって相互接続することができる。また、例示的な実施形態を達成するための機能プログラム、コード、およびコードセグメントは、例示された実施形態が属する技術分野の当業者であるプログラマーによって、例示的な実施形態により例示された特許請求の範囲内であると容易に解釈することができる。本発明の例示的な実施形態に関連する方法ステップは、(例えば、入力データの操作、および/または出力を生成することにより)機能を実行するためのコンピュータプログラム、コード、または命令を実行する1つもしくは複数のプログラム可能なプロセッサによって実行できる。例えば、方法ステップは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特別な目的の論理回路によって実行することもでき、例示した実施形態の装置は、そのように実装することができる。
【0046】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、または他のプログラム可能な論理デバイス、個別ゲート、または、トランジスタロジック、個別ハードウェアコンポーネント、または、本書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせにより、実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態マシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、または他のそのような構成として実装されてもよい。
【0047】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および特別な用途の両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータにおける任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたは両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの重要な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、例えば、磁気、光磁気ディスク、または、光ディスクなど、データを格納するための1つまたは複数の大容量記憶装置を含むか、または、それらとのデータの受信または転送もしくは双方を行うように動作可能に結合される。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するのに適した情報媒体には、例として、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリまたはROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、および、データストレージディスク(磁気ディスク、内蔵ハードディスク、またはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、CDーROM、および、DVD-ROMディスク)を含む、あらゆる形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサとメモリは、特別な用途のロジック回路によって補完または組み込むことができる。
【0048】
当業者は、情報および信号が、様々な異なる技術および技法の何れかを使用して表され得ることを理解するであろう。例えば、上記の説明全体を通じて参照される可能性があるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁気粒子、光学場もしくは光粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表されてよい。
【0049】
本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または、両方の組み合わせとして実装され得ることを当業者はさらに理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、および、ステップを、それらの機能の観点から一般的に上述した。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途とシステム全体に課される設計の制約に依存する。当業者は、特定の用途ごとに様々な方法で説明した機能を実装することができるが、そのような実装の決定は、例示された実施形態によって例示される請求の範囲からの逸脱を生じさせると解釈されるべきではない。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CDーROM、または、この技術分野で知られている任意の他の形式の記憶媒体に常駐し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体は、プロセッサに統合されてもよい。言い換えれば、プロセッサおよび記憶媒体は、集積回路内に常駐するか、または個別コンポーネントとして実装され得る。
【0050】
コンピュータ可読非一時的媒体は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュ媒体、およびソリッドステート記憶媒体を含む、あらゆるタイプのコンピュータ可読媒体を含む。ソフトウェアは、中央処理装置(CPU)デバイスにインストールして販売できることを理解されたい。代替的に、ソフトウェアを取得してCPUデバイスにロードすることもでき、これには、例えば、ソフトウェア作成者が所有するサーバから、またはソフトウェア作成者が所有はしていないが使用するサーバからなど、物理媒体または配布システムを通じてソフトウェアを取得することが含まれる。ソフトウェアは、例えばインターネットを介して配布するためにサーバに保存することができる。
【0051】
上記の説明および図は、例としてのみ意図されており、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除いて、決して本発明を限定することは意図されていない。当業者は、上述した様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を、他の多くの方法で容易に組み合わせることができ、それらはすべて特許請求の範囲内であるとみなされることに特に留意されたい。
【国際調査報告】