(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】動力電池充電の方法と電池管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231214BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231214BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536183
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2021117311
(87)【国際公開番号】W WO2023035161
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲珊▼
(72)【発明者】
【氏名】李 世超
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲海▼力
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲微▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ ▲嵐▼
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CA20
5G503CB11
5G503DA07
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF22
5H030FF41
(57)【要約】
本出願の実施例は、動力電池の性能を向上できる動力電池充電の方法と電池管理システムを提供する。当該方法は、動力電池の電池管理システムBMSに応用され、動力電池の充電過程で動力電池の状態パラメータを取得することであって、状態パラメータは荷電状態SOCと健康状態SOHと温度との少なくとも一つのパラメータを含むことと、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することであって、放電パラメータは放電時間と放電電流と放電波形との少なくとも一つのパラメータを含むことと、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき動力電池を放電パラメータで放電するよう制御することを含む。これにより動力電池の状態パラメータとSOC間隔値を結び付けて動力電池の充電過程での放電のタイミングと放電パラメータを制御し、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池の充電性能を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池の充電の方法であって、前記動力電池の電池管理システムBMSに応用され、前記方法は、
前記動力電池の充電過程において前記動力電池の状態パラメータを取得することであって、前記状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことと、
前記動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することであって、前記放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことと、
前記動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御することとを含む、ことを特徴とする動力電池充電の方法。
【請求項2】
前記状態パラメータは、SOCを含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前述の、前記動力電池の状態パラメータに基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、
前記動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定することと、
前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定することとを含み、
ここで、前記第1のSOC間隔値は、前記第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第1の放電パラメータは、前記第2の放電パラメータよりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記状態パラメータは、SOHを含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前述の、前記動力電池の状態パラメータに基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定することとを含み、
ここで、前記第3のSOC間隔値は、前記第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第3の放電パラメータは、前記第4の放電パラメータよりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記状態パラメータは、温度を含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前記の、前記動力電池の状態パラメータに基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、
前記動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定することと、
前記動力電池の温度が前記第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定することと、
前記動力電池の温度が前記第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定することとを含み、
ここで、前記第6のSOC間隔値は、前記第5のSOC間隔値と前記第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第6の放電パラメータは、前記第5の放電パラメータと前記第7の放電パラメータよりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記の、前記動力電池の状態パラメータに基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、
前記動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することを含む、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記放電電流の範囲は、1A~5Cであり、前記放電時間の範囲は、1s~60sである、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記SOC間隔の範囲は、3%~95%である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御する前に、前記方法は、
充電需要情報を送信することをさらに含み、前記充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、前記充電需要情報は、前記動力電池の充電を停止するように制御するためのものである、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記動力電池を放電するように制御する前に、前記方法は、
前記動力電池の電流を取得することをさらに含み、
前記の、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御することは、
前記動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御することを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記動力電池をパルス放電するように制御した後に、前記方法は、
前記動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は前記充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、前記動力電池の放電を停止するように制御することをさらに含む、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
動力電池の電池管理システムBMSであって、
前記動力電池の充電過程において前記動力電池の状態パラメータを取得するための取得モジュールであって、前記状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む取得モジュールと、
前記動力電池のSOCに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するための制御モジュールであって、前記放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む制御モジュールとを含み、
且つ前記動力電池のSOCがSOC間隔値変化するたびに、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御する、ことを特徴とする動力電池の電池管理システムBMS。
【請求項12】
前記状態パラメータは、SOCを含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定し、
前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定するために用いられ、
ここで、前記第1のSOC間隔値は、前記第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第1の放電パラメータは、前記第2の放電パラメータよりも小さい、ことを特徴とする請求項11に記載のBMS。
【請求項13】
前記状態パラメータは、SOHを含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定するために用いられ、
ここで、前記第3のSOC間隔値は、前記第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第3の放電パラメータは、前記第4の放電パラメータよりも大きい、ことを特徴とする請求項11に記載のBMS。
【請求項14】
前記状態パラメータは、温度を含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前記制御モジュールは、
前記動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定し、
前記動力電池の温度が前記第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定し、
前記動力電池の温度が前記第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定するために用いられ、
ここで、前記第6のSOC間隔値は、前記第5のSOC間隔値と前記第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第6の放電パラメータは、前記第5の放電パラメータと前記第7の放電パラメータよりも大きい、ことを特徴とする請求項11に記載のBMS。
【請求項15】
前記制御モジュールは、
前記動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するために用いられる、ことを特徴とする請求項11から14のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項16】
前記放電電流の範囲は、1A~5Cであり、前記放電時間の範囲は、1s~60sである、ことを特徴とする請求項11から15のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項17】
前記SOC間隔の範囲は、3%~95%である、ことを特徴とする請求項11から16のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項18】
前記BMSは、充電需要情報を送信するための送信モジュールをさらに含み、前記充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、前記充電需要情報は、前記動力電池の充電を停止するように制御するためのものである、ことを特徴とする請求項11から17のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項19】
前記取得モジュールは、さらに、前記動力電池の電流を取得するために用いられ、
前記制御モジュールは、前記動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項18に記載のBMS。
【請求項20】
前記制御モジュールは、さらに、前記動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は前記充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、前記動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項18又は19に記載のBMS。
【請求項21】
動力電池の電池管理システムBMSであって、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを呼び出して請求項1から10のいずれか一項に記載の動力電池充電の方法を実行するためのものである、ことを特徴とする動力電池の電池管理システムBMS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、動力電池の分野に関し、特に動力電池充電の方法と電池管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
時代の発展とともに、電気自動車は、その高い環境保全性、低騒音、低使用コストなどの利点により、大きな市場将来性を有し、省エネルギーと排出削減を効果的に促進することができ、社会の発展と進歩に寄与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気自動車にとって、動力電池技術は、その発展に関する重要な要素でなり、一般の人々の電気自動車に対する受け入れ度に影響を与える。そのため、如何にして動力電池の性能を向上させるかは、解決の待たれる技術課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の実施例は、動力電池の性能を向上させることができる動力電池充電の方法と電池管理システムを提供する。
【0005】
第1の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSに応用される動力電池充電の方法を提供し、該方法は、該動力電池の充電過程において該動力電池の状態パラメータを取得することであって、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことと、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することであって、該放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことと、該動力電池のSOCが該SOC間隔値変化するとき、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御することとを含む。
【0006】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電するように制御し、動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池充電過程における放電間隔と放電パラメータを確定してもよく、該放電間隔は、SOC間隔であり、ここで、状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよく、該状態パラメータは、いずれも動力電池の性能に影響を与える重要なパラメータであり、動力電池のリチウム析出現象の発生にも影響を与える。該動力電池の状態パラメータと結び付けて、動力電池を充電過程においてSOC間隔と放電パラメータで放電するように制御することで、該動力電池の充電過程における放電の設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池充電性能を向上させる。
【0007】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、SOCを含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、該動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定することと、該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、該SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定することとを含み、ここで、該第1のSOC間隔値は、該第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第1の放電パラメータは、該第2の放電パラメータよりも小さい。
【0008】
該実施形態の技術案では、一つの予め設定されるSOC閾値を設定することによって、動力電池のSOCを二つの区間に分け、動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、動力電池の残量は高く、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第1のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第1の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、動力電池の残量は低く、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第2のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第2の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池のSOCに基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の残量が高いとき、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を十分に確保した上で、動力電池の充電速度を相対的に向上させ、動力電池の残量が低いとき、リチウム析出現象を防止し、不足電圧のリスクを低減させ、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0009】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、SOHを含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、該SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定することと、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定することとを含み、ここで、該第3のSOC間隔値は、該第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第3の放電パラメータは、該第4の放電パラメータよりも大きい。
【0010】
該実施形態の技術案では、一つの予め設定されるSOH閾値を設定することによって、動力電池のSOHを二つの区間に分け、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、動力電池の健康状況は良好で、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第3のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第3の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、動力電池の健康状況は不良で、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第4のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第4の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池のSOHに基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の健康状況が良好であるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、且つ動力電池の充電速度及び充電性能を相対的に向上させることができ、動力電池の健康状況が不良であるとき、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0011】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、温度を含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、該動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、該SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定することと、該動力電池の温度が該第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、該SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定することと、該動力電池の温度が該第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定することとを含み、ここで、該第6のSOC間隔値は、該第5のSOC間隔値と該第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第6の放電パラメータは、該第5の放電パラメータと該第7の放電パラメータよりも大きい。
【0012】
該実施形態の技術案では、二つの予め設定される温度閾値を設定することによって、動力電池の温度を三つの区間、即ち動力電池の適宜温度区間と二つの不適温度区間に分ける。動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、即ち動力電池の温度は適宜温度区間にあり、この場合、動力電池のリチウム析出リスクは低く、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第6のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第6の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であり、又は第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、即ち動力電池の温度は不適温度区間にあり、この場合、動力電池のリチウム析出リスクは高く、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第5のSOC間隔値又は第7のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第5の放電パラメータ又は第7の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池の温度に基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の温度が適宜温度区間にあるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、且つ充電速度と充電性能を相対的に向上させることができ、動力電池の温度が不適温度区間にあるとき、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0013】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、該動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することを含む。
【0014】
該実施形態の技術案では、動力電池の複数のタイプの状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて、該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよく、それによって動力電池の安全性能と充電性能を総合的に向上させる。
【0015】
いくつかの可能な実施形態では、該放電電流の範囲は、1A~5Cであり、該放電時間の範囲は、1s~60sである。
【0016】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔の範囲は、3%~95%である。
【0017】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御する前に、該方法は、充電需要情報を送信することをさらに含み、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、該充電需要情報は、該動力電池の充電を停止するように制御するためのものである。
【0018】
動力電池に対する充電の過程において、直接的に動力電池を放電するように制御すると、動力電池に損傷を与え、動力電池の寿命に影響を与えるだけでなく、さらに安全上のリスクをもたらし、動力電池の安全性に影響を与える。該実施形態の技術案では、BMSが充電需要情報を送信し、該充電需要情報により動力電池の充電を停止するように制御してから、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性を向上させることができる。
【0019】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池を放電するように制御する前に、該方法は、該動力電池の電流を取得することをさらに含み、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御することは、該動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御することを含む。
【0020】
該実施形態の技術案では、動力電池を放電するように制御する前に、BMSは、まず動力電池の電流を取得し、動力電池の電流が小さく、例えば予め設定される電流閾値以下であるとき、このとき、動力電池の放電に対する影響が小さく、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性をさらに向上させることができる。
【0021】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池をパルス放電するように制御した後に、該方法は、該動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、該動力電池の放電を停止するように制御することをさらに含む。
【0022】
動力電池の充電過程において、動力電池に対して充電を行う充電装置、例えば充電器は、BMSにより送信される充電需要情報を定期的又は不定期的に受信してもよく、充電需要情報が正常に送信される場合、充電装置と動力電池との間を正常な通信状態に保つことができ、充電装置が一定時間内にBMSにより送信される充電需要情報を受信していなければ、充電装置と動力電池との通信接続の切断を引き起こす可能性がある。そのため、該実施形態の技術案では、第1の予め設定される時間閾値を設定して動力電池の放電時間を制御することに加えて、さらに第2の時間閾値を設定して充電需要情報の送信済み時間と比較し、充電需要情報の送信済み時間が長すぎて動力電池の正常な充電過程に影響を与えることを防止し、それにより動力電池の充電効率を向上させる。
【0023】
いくつかの可能な実施形態では、該方法は、動力電池の運行状態を取得することと、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御することとをさらに含む。
【0024】
該実施形態の技術案では、BMSは、動力電池の運行状態をさらに取得し、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、BMSは、動力電池を短時間放電するように制御してもよく、例えば、放電時間が予め設定される時間閾値よりも小さく、及び/又は、放電電流が予め設定される電流閾値よりも小さい放電を実行する。それによって、動力電池の後続の充電過程において、充電装置と動力電池との接続を確立した後、動力電池に対して直接的に充電することで動力電池のリチウム析出リスクを引き起こすことを防止し、動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0025】
第2の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSを提供し、該BMSは、該動力電池の充電過程において該動力電池の状態パラメータを取得するための取得モジュールであって、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む取得モジュールと、該動力電池のSOCに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するための制御モジュールであって、該放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む制御モジュールとを含み、且つ該動力電池のSOCが該SOC間隔値変化するたびに、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御する。
【0026】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、SOCを含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該制御モジュールは、該動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定し、該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、該SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、該第1のSOC間隔値は、該第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第1の放電パラメータは、該第2の放電パラメータよりも小さい。
【0027】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、SOHを含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該制御モジュールは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、該SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定し、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、該第3のSOC間隔値は、該第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第3の放電パラメータは、該第4の放電パラメータよりも大きい。
【0028】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、温度を含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該制御モジュールは、該動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、該SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定し、該動力電池の温度が該第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、該SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定し、該動力電池の温度が該第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、該第6のSOC間隔値は、該第5のSOC間隔値と該第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第6の放電パラメータは、該第5の放電パラメータと該第7の放電パラメータよりも大きい。
【0029】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、該動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するために用いられる。
【0030】
いくつかの可能な実施形態では、該放電電流の範囲は、1A~5Cであり、該放電時間の範囲は、1s~60sである。
【0031】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔の範囲は、3%~95%である。
【0032】
いくつかの可能な実施形態では、該BMSは、充電需要情報を送信するための送信モジュールをさらに含み、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、該充電需要情報は、該動力電池の充電を停止するように制御するためのものである。
【0033】
いくつかの可能な実施形態では、該取得モジュールは、さらに、該動力電池の電流を取得するために用いられ、該制御モジュールは、該動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御するために用いられる。
【0034】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、さらに、該動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、該動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる。
【0035】
第3の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSを提供し、該BMSは、プロセッサとメモリとを含み、該メモリは、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、該プロセッサは、該コンピュータプログラムを呼び出して第1の態様又は第1の態様のいずれか可能な実施形態における動力電池充電の方法を実行するためのものである。
【0036】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電するように制御し、動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池の充電過程における放電間隔と放電パラメータを確定してもよく、該放電間隔は、SOC間隔であり、ここで、状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよく、該状態パラメータは、いずれも動力電池の性能に影響を与える重要なパラメータであり、動力電池のリチウム析出現象の発生にも影響を与える。該動力電池の状態パラメータと結び付けて、動力電池を充電過程においてSOC間隔値と放電パラメータで放電するように制御することで、該動力電池の充電過程における放電の設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池の充電性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
【0038】
【
図1】本出願の一実施例が適用可能な充電システムの構成図である。
【
図2】本出願の実施例による動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図3】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図4】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図5】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図6】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図7】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図8】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図9】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図10】本出願の実施例による電池管理システムの概略的構造ブロック図である。
【
図11】本出願の実施例による電池管理システムの概略的構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面と実施例を参照して本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例についての詳細な説明及び図面は、本出願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本出願の範囲を制限するものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0040】
本出願の記述において、指摘すべきこととして、特に説明されていない限り、「複数」は、二つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、示された装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり、暗示したりするのではなく、本出願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、本出願の限定として理解されるべきではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を示したり、暗示したりするものとして理解されるべきではない。
【0041】
以下の説明に現れる方位詞は、いずれも図に示されている方向であり、本出願の特定の構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、明確に指定及び限定されていない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続されることであってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されることであってもよい。当業者にとって、本出願における上記用語の特定の意味は、特定の状況に従って理解することができる。
【0042】
新エネルギー分野において、動力電池は、電力消費装置、例えば車両、船舶又は宇宙航空機などの主要な動力源として、その重要性は、言うまでもない。現在、市販されている動力電池の多くは、充電可能な二次電池(Rechargeable battery)であり、最も一般的なものは、リチウムイオン電池又はリチウムイオンポリマー電池である。低温で動力電池に対して持続的な充電を行い、又は大きな充電レートや充電電圧で動力電池に対して持続的な充電を行うと、動力電池のリチウム析出現象を引き起こす。
【0043】
リチウム析出は、動力電池性能の低下、サイクル寿命の大幅な短縮を引き起こすだけでなく、さらに電池の急速充電容量を制限し、且つ燃焼や爆発などの悲惨な結果をもたらす可能性があり、動力電池の全体的な性能に厳しい影響を与える。
【0044】
これに鑑みて、本出願は、動力電池のリチウム析出問題を解決し、動力電池の性能を向上させることができる動力電池充電の方法を提供する。
【0045】
図1は、本出願の実施例が適用可能な電池システム100を示す。
【0046】
図1に示すように、該電池システム100は、動力電池110と電池管理システム(battery management system、BMS)120とを含んでもよい。
【0047】
具体的に、該動力電池110は、少なくとも一つの電池モジュールを含んでもよく、それは、電気自動車のためにエネルギーと動力を提供することができる。電池の種類から言うと、該動力電池110は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池又はナトリウムイオン電池などであってもよく、本出願の実施例では、具体的に限定しない。電池の規模から言うと、本出願の実施例では、動力電池110における電池モジュールは、電池コア/電池セル(battery cell)であってもよく、組電池又は電池パック(battery pack)であってもよく、本出願の実施例では、具体的に限定しない。
【0048】
なお、該動力電池110のインテリジェント管理及びメンテナンスを行い、電池故障の発生を防止し、電池の耐用年数を延ばすために、電池システム100に、一般的にはBMS 120がさらに設置されており、該BMS 120は、動力電池110に接続され、動力電池110のパラメータをモニタリングして収集するためのものであり、且つBMS 120は、該パラメータに基づいて動力電池110に対する制御と管理を実現してもよい。
【0049】
例として、該BMS 120は、動力電池110の電圧、電流と温度などのパラメータをモニタリングして収集するために用いられてもよい。ここで、BMS 120は、動力電池110の総電圧と総電流、動力電池110における単一の電池セルの電圧と電流、及び動力電池110における少なくとも一つの測温点の温度などをリアルタイムに収集してもよい。上記パラメータのリアルタイムで、迅速で、正確な測定は、BMS 120が正常に運行することの基礎である。
【0050】
任意選択的に、BMS 120は、該収集した動力電池110のパラメータに基づいて、さらに動力電池110の荷電状態(state of charge、SOC)、健康状態(state of health、SOH)、パワー状態(state of power、SOP)などのパラメータを推定してもよい。
【0051】
ここで、SOCは、動力電池110の残容量を表すために用いられてもよく、それは、数値上で動力電池110の現在残容量と使用可能な総容量の比と定義され、一般的には百分率で表される。具体的に、SOC=100%のとき、動力電池110の満充電を表し、逆に、SOC=0%のとき、動力電池110の完全放電を表す。SOCに対する正確な推定は、電気自動車の航続距離推定に求められる最も基本的な条件であり、動力電池110の利用効率と安全性能を向上させるための一般的な保証でもある。
【0052】
また、SOHは、動力電池110の劣化状態を表すために用いられてもよく、動力電池110の残りの寿命として理解されてもよい。周知のとおり、動力電池110は、長期間運行後に性能が絶えず減衰する。SOHをどのように正確に推定するかは、動力電池110のほかのパラメータ(例えばSOCとSOPなどのパラメータ)を推定する重要な前提である。一般的には、SOHも百分率で表され、SOH=100%のとき、動力電池110がまだ使用されていない新しい電池であることを表し、使用時間の増加に伴って、SOHは徐々に低下し、その残りの寿命は短くなる。従来の関連技術では、様々な方式を採用して動力電池110のSOHを推定してもよく、例えば、動力電池110の使用可能な容量に基づいてSOHを推定してもよい。理解できるように、動力電池110の使用可能な容量は、時間の増加に伴って低下し、動力電池110現在の使用可能な容量と初期容量(又は、公称容量と呼ばれてもよい)との比によって、動力電池110のSOHを推定して得ることができる。
【0053】
SOPは、動力電池110のパワー状態を表すために用いられてもよく、一般的には短期的なピークパワー値で表される。動力電池110の入出力のピークパワーは、直接的に車両の急速起動、加速と急制動能力に影響し、さらに車両全体運行の安全性と信頼性に関係する。そのため、BMS 120は、動力電池110のピークパワー、即ちSOPに対する推測能力を備えなければならない。
【0054】
理解できるように、以上は、SOC、SOHとSOPのみを例としてBMS 120により推定可能な一部のパラメータを簡単に紹介したが、このほか、BMS 120は、動力電池110のほかのパラメータを確定するために用いられてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0055】
さらに、BMS 120は、動力電池110の様々なパラメータを取得した後に、該様々なパラメータに基づいて動力電池110に対する様々な制御と管理を実現してもよい。
【0056】
例えば、BMS 120は、SOC、電圧、電流などのパラメータに基づいて動力電池110に対する充放電制御を実現し、動力電池110の正常なエネルギー供給と放出を確保してもよい。
【0057】
また例えば、BMS 120は、さらに温度などのパラメータに基づいて、放熱ファン又は加熱モジュールなどのアセンブリを制御して、動力電池110の熱管理を実現してもよい。
【0058】
さらに例えば、BMS 120は、電圧、SOHなどのパラメータに基づいて、動力電池110が正常な運行状態にあるかどうかを判断して、動力電池110の故障診断と警報を実現してもよい。
【0059】
任意選択的に、
図1に示すように、電池システム100は、充電装置101及び電力消費装置102と接続を確立して、動力電池100の充放電を実現してもよい。
【0060】
具体的に、電池システム100におけるBMS 120は、関連する通信プロトコルによって充電装置101と通信を確立し、さらに充電装置101によって動力電池110に対する充電を実現してもよい。
【0061】
任意選択的に、BMS 120は、電力消費装置102と通信接続を確立してもよく、それによってBMS 120は、それが取得した関連情報を電力消費装置101ひいてはユーザにフィードバックすることができ、且つBMS 120は、電力消費装置101の関連制御情報を取得してもよく、動力電池110に対する制御と管理をよりよく行う。
【0062】
例として、
図1に示す充電装置101は、充電器(又は充電スタンドとも呼ばれる)を含むが、これに限らない。また、電力消費装置102は、様々なタイプの電力消費装置であってもよく、電気自動車を含むが、これに限らない。
【0063】
図2は、本出願の実施例による動力電池充電の方法200の概略的フローブロック図を示す。該動力電池充電の方法200は、動力電池の電池管理システムBMSに応用されてもよい。任意選択的に、本出願の実施例では、動力電池は、上記
図1に示す動力電池110であってもよく、該方法200は、動力電池110のBMS 120に応用されてもよく、換言すれば、BMS 120は、以下の出願実施例における方法200の実行本体とされてもよい。
【0064】
図2に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法200は、以下のステップを含んでもよい。
【0065】
210、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。ここで、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0066】
220、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0067】
230、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0068】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電するように制御し、動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池充電過程における放電間隔と放電パラメータを確定してもよく、ここで、放電パラメータは、放電電流と放電電圧と放電波形とを含んでもよく、放電間隔は、SOC間隔であり、状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよく、該状態パラメータは、いずれも動力電池の性能に影響を与える重要なパラメータであり、動力電池のリチウム析出現象の発生にも影響を与える。該動力電池の状態パラメータと結び付けて、動力電池を充電過程においてSOC間隔と放電パラメータで放電するように制御することで、該動力電池の充電過程における放電の設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池の充電性能を向上させる。
【0069】
具体的に、上記動力電池の各状態パラメータについて、以上の
図1に示す実施例に記載のとおり、SOCは、動力電池の残容量を表すために用いられてもよく、動力電池の充放電過程において、そのSOCは、時間とともに変化する。具体的に、動力電池に対して充電すれば、一般に百分率で表されるSOCの値は、徐々に大きくなるようにすることができ、逆に、動力電池に対して充電すれば、SOCの値は、徐々に小さくなるようにすることができる。
【0070】
本出願の実施例のステップ210では、BMSは、動力電池の充電過程において該SOCをリアルタイムに取得してもよく、SOCを取得する該方式について、具体的に関連技術における具体案を参照してもよく、本明細書では具体的に説明しない。
【0071】
SOHは、動力電池の劣化状態を表すために用いられてもよく、動力電池の残りの寿命として理解されてもよい。動力電池は、長期間運行後に性能が絶えず減衰するため、残りの寿命も短くなり、即ち一般に百分率で表されるSOHの値も小さくなる。
【0072】
動力電池のSOHの変化が遅く、且つ計算方式が複雑であるため、動力電池の充電過程より前に、BMSは、動力電池のSOHを推定計算して取得し、且つ該動力電池のSOHを記憶ユニットに記憶してもよい。本出願の実施例のステップ210では、動力電池の充電過程において、BMSは、記憶ユニットから動力電池のSOHを取得してもよい。ここで、BMSが動力電池のSOHを推定計算する具体的な方式については、関連技術における具体案を参照してもよく、本明細書では具体的に説明しない。
【0073】
動力電池の温度について、いくつかの実施形態では、該動力電池の温度は、動力電池におけるすべての電池セルの温度に基づいて得られてもよく、例えば、該動力電池の温度は、複数の電池セルのうち温度が最も低い電池セルの温度であってもよい。又は、別のいくつかの実施形態では、該動力電池の温度は、動力電池における一部の電池セルの温度のみに基づいて得られてもよい。該動力電池の温度は、環境や動力電池の運行状態などの要素によってリアルタイムに変化することができる。
【0074】
本出願の実施例のステップ210では、BMSは、記憶ユニットから動力電池の温度を取得してもよく、即ちBMSは、動力電池の充電過程より前に、動力電池の温度を取得してそれを記憶ユニットに記憶してもよい。又は、BMSは、動力電池の充電過程において、動力電池の温度をリアルタイムに監視して取得してもよい。動力電池の温度を取得する該方式について、具体的に関連技術における具体案を参照してもよく、本明細書では具体的に説明しない。
【0075】
さらに、本出願の実施例のステップ220では、BMSは、取得した動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定し、ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。任意選択的に、該放電波形は、方形波、台形波、正弦波又は三角波のうちのいずれか一つ又は複数を含むが、これらに限らない。
【0076】
任意選択的に、放電パラメータは、放電電圧などのほかの放電パラメータをさらに含んでもよく、それによって充電過程における放電をさらに最適化し且つ正確に制御する。本出願の実施例では、ほかの放電パラメータのタイプに対して具体的に限定しない。
【0077】
そのため、本出願の実施例では、動力電池の状態パラメータに変化が発生し、即ち動力電池のSOC、SOH及び温度のうちの少なくとも一つに変化が発生すれば、動力電池の充電過程における放電SOC間隔値と放電パラメータも、それに伴って変化する。放電制御は、状態パラメータの変化とSOCの変化とを両立させ、動力電池の安全性能の向上と動力電池の充電性能とを両立させる。
【0078】
本出願の実施例のステップ230について、動力電池の充電過程において、動力電池のSOCは、リアルタイムに変化し、SOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。例として、SOC間隔値がX%である場合、動力電池のSOCがX%変化したことを検出したとき、BMSは、動力電池をある放電パラメータで放電するように制御し、ここで、Xは、100よりも小さい正数である。
【0079】
いくつかの具体的な実現形態では、BMSは、動力電池の現在のSOCを取得した後、該SOCがターゲットSOC値であるか否かを判断する。該ターゲットSOC値は、SOC間隔値に基づいて確定されたSOC値であり、例えば、SOC間隔値が5%である場合、ターゲットSOC値は、5%、10%、15%……などであってもよい。BMSは、動力電池の現在のSOCがターゲットSOC値であると判断するとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。逆に、BMSは、動力電池の現在のSOCがターゲットSOC値ではないと判断するとき、引き続いて動力電池のSOCを検出する。
【0080】
さらに、本出願の実施例では、BMSが動力電池を放電パラメータで放電するように制御する過程は、動力電池に放電波形、放電電流及び放電時間を有する少なくとも一つの負パルスを与えることとして理解されてもよく、ここで、該負パルスの波形は、方形波、台形波、正弦波又は三角波のうちのいずれか一つ又は複数を含むが、これらに限らない。
【0081】
任意選択的に、本出願の実施例では、動力電池の放電対象は、動力電池のある電力消費装置であってもよく、又は、動力電池に対して充電を行う充電装置であってもよく、又は、電力消費装置と充電装置以外のほかの外部装置であってもよく、本出願の実施例では、該動力電池の放電対象に対して具体的に限定しない。
【0082】
任意選択的に、動力電池の充電過程全体において、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するたびに、BMSは、動力電池を放電パラメータで放電するように制御してもよい。換言すれば、充電過程全体において、BMSは、動力電池SOCの変化に基づいて、動力電池に対する放電制御を持続してもよい。
【0083】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の状態パラメータによってほかのタイプの間隔値ではなくSOC間隔値を確定することで、動力電池の現在の状態パラメータについて放電制御をよりよく行い、電池の安全性能と充電性能をさらに向上させることができる。
【0084】
図3は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法300の概略的フローブロック図を示す。
【0085】
本出願の実施例では、動力電池の状態パラメータは、SOCを含んでもよく、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含む。
【0086】
図3に示すように、動力電池充電の方法300は、以下のステップを含んでもよい。
【0087】
310、動力電池の充電過程において、動力電池のSOCを取得する。
【0088】
321、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定する。
【0089】
331、動力電池のSOCが第1のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第1の放電パラメータで放電するように制御する。
【0090】
322、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定する。
【0091】
332、動力電池のSOCが第2のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第2の放電パラメータで放電するように制御する。
【0092】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ310の関連技術案は、以上の
図2におけるステップ210の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0093】
また、本出願の実施例におけるステップ321とステップ322は、以上の
図2におけるステップ220の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。それに対応して、本出願の実施例におけるステップ331とステップ332は、以上の
図2におけるステップ230の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0094】
ステップ321とステップ322について、本出願の実施例では、動力電池のSOCを第1の予め設定される閾値と比較してもよく、それによって異なる第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値、及び異なる第1の放電パラメータと第2の放電パラメータを確定する。ここで、第1のSOC間隔値は、第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第1の放電パラメータは、第2の放電パラメータよりも小さい。
【0095】
具体的に、第1の放電パラメータは、第1の放電電流と第1の放電時間を含み、第2の放電パラメータは、第2の放電電流と第2の放電時間を含み、本出願の実施例では、第1の放電電流は、第2の放電電流よりも小さく、及び/又は、第1の放電時間は、第2の放電時間よりも小さい。
【0096】
本出願の実施例では、動力電池のSOCが大きい(即ち予め設定されるSOC閾値以上である)場合、動力電池の現在の残容量が高く、動力電池の負極電位が低いことを示し、それは、リチウム析出現象が発生しやすく、且つこのときの動力電池の放電能力が高い。それに対応して、動力電池のSOCが小さい(即ち予め設定されるSOC閾値以下である)場合、動力電池の現在の残容量が低く、動力電池の負極電位が相対的に高いことを示し、負極電位が低い場合に比べて、それは、リチウム析出現象が発生しにくく、且つこのときの動力電池の放電能力が低い。
【0097】
そのため、動力電池のSOCが大きいとき、即ちリチウム析出リスクが高い場合、動力電池の放電頻度を高め、間隔が小さいSOC間隔値(例えば第2のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御し、リチウム析出現象の発生を防止し、電池の安全性能を確保する。及び/又は、動力電池の放電能力が高い場合、動力電池の放電パラメータを大きくし、大きい放電時間及び/又は放電電流(例えば第2の放電電流及び/又は第2の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、それによって動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0098】
それに対応して、動力電池のSOCが小さいとき、リチウム析出リスクが低い場合、動力電池の放電頻度を下げ、間隔が大きいSOC間隔値(例えば第1のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御しても、リチウム析出現象の発生を防止することができ、動力電池の安全性能を確保すると同時に、動力電池の充電速度を相対的に向上させることができる。及び/又は、動力電池の放電能力が低い場合、動力電池の放電パラメータを低下させ、小さい放電時間及び/又は放電電流(例えば第1の放電電流及び/又は第1の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、リチウム析出現象の発生を防止すると同時に、低SOCの動力電池における不足電圧リスクの発生を防止し、動力電池の安全性能をさらに向上させることができる。
【0099】
以上をまとめると、本出願の実施例では、一つの予め設定されるSOC閾値を設定することによって、動力電池のSOCを二つの区間に分け、動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、動力電池の残量は高く、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第1のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第1の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、動力電池の残量は低く、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第2のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第2の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池のSOCに基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の残量が高いとき、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を十分に確保した上で、動力電池の充電速度を相対的に向上させ、動力電池の残量が低いとき、リチウム析出現象を防止し、不足電圧のリスクを低減させ、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0100】
任意選択的に、上記予め設定されるSOC閾値は、動力電池の残容量の高低を評価することで、リチウム析出現象発生のリスクを推測するために用いられてもよく、該予め設定されるSOC閾値は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定されてもよく、本出願の実施例では、該予め設定されるSOC閾値に対して具体的に限定しない。
【0101】
任意選択的に、該予め設定されるSOC閾値のほかに、上記SOC間隔値(第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値を含む)と放電パラメータ(第1の放電パラメータと第2の放電パラメータを含む)は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定された、予め設定される値であってもよく、本出願の実施例では、該SOC間隔値と放電パラメータの具体的な値に対して限定しない。
【0102】
いくつかの可能な実施形態では、SOC間隔値の範囲は、3%~95%の間にあってもよい。動力電池の性能への要求が厳しいいくつかのシーンでは、例えば動力電池が低温又は超低温の環境で運行する場合、上記第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値は、いずれも相対的に高く設定されてもよく、それによって動力電池の低温又は超低温環境におけるリチウム析出の発生を回避する。無論、ほかの異なる応用シーン及び異なる電池タイプである場合、上記第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値の値は、3%~95%の間のほかの特定の値を採用してもよい。
【0103】
いくつかの可能な実施形態では、放電パラメータにおける放電電流(第1の放電電流と第2の放電電流を含む)の範囲は、1A~5Cの間にあってもよい。具体的に、放電電流は、1A以上であり、且つ放電電流の放電レートは、5C以下である。これに類似し、異なる電池タイプと異なる応用シーンに対して、本出願の実施例における放電電流は、実際の状況に応じて設定されてもよい。
【0104】
いくつかの可能な実施形態では、放電パラメータにおける放電時間(第1の放電時間と第2の放電時間を含む)の範囲は、1s~60sの間にあってもよく、それによって、動力電池の全体的な充電時間長に大きな影響を与えることなく動力電池の放電を効果的に制御することができる。
【0105】
以上の
図3に示す出願実施例では、予め設定されるSOC閾値が一つのみ設定され、動力電池のSOCが二つの区間に分けられ、それによって二つの異なるSOC間隔値及び放電パラメータが対応して設定されている。これに類似し、二つ又は二つ以上の予め設定されるSOC閾値を設定して、動力電池のSOCを三つ又はより多くの区間に分けてもよく、それによってより多くの異なるSOC間隔値及び放電パラメータを対応して設定することで、異なるSOC区間における放電制御の正確性を適応的に向上させ、動力電池の安全性能と充電速度をさらに正確に両立させる。
【0106】
例として、二つの予め設定されるSOC閾値、1#予め設定されるSOC閾値A%と2#予め設定されるSOC閾値B%を設定してもよく、ここで、A%<B%である。動力電池のSOCが[0,A%)区間にあるとき、SOC間隔値は、1#SOC間隔値c1%であり、放電電流は、1#放電電流i1であり、放電時間は、1#放電時間t1である。動力電池のSOCが[A%,B%)区間にあるとき、SOC間隔値は、2#SOC間隔値c2%であり、放電電流は、2#放電電流i2であり、放電時間は、2#放電時間t2である。動力電池のSOCが[B%,100%]区間にあるとき、SOC間隔値は、3#SOC間隔値c3%であり、放電電流は、3#放電電流i3であり、放電時間は、3#放電時間t3である。ここで、c1%>c2%>c3%であり、及び/又は、i1<i2<i3であり、及び/又は、t1<t2<t3である。A%、B%、c1%、c2%、c3%、i1、i2、i3、t1、t2、t3は、いずれも正数である。
【0107】
任意選択的に、上記複数のSOC間隔値(1#SOC間隔値、2#SOC間隔値と3#SOC間隔値を含む)の範囲は、同様に3%~95%の間にあってもよい。上記複数の放電電流(1#放電電流、2#放電電流と3#放電電流を含む)の範囲は、同様に1A~5Cの間にあってもよい。上記複数の放電時間(1#放電時間、2#放電時間と3#放電時間を含む)の範囲は、同様に1s~60sの間にあってもよい。
【0108】
図4は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法400の概略的フローブロック図を示す。
【0109】
本出願の実施例では、動力電池の状態パラメータは、SOHを含み、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含む。
【0110】
図4に示すように、動力電池充電の方法400は、以下のステップを含んでもよい。
【0111】
410、動力電池の充電過程において、動力電池のSOHを取得する。
【0112】
421、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定する。
【0113】
431、動力電池のSOCが第3のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第3の放電パラメータで放電するように制御する。
【0114】
422、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定する。
【0115】
432、動力電池のSOCが第4のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第4の放電パラメータで放電するように制御する。
【0116】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ410の関連技術案は、以上の
図2におけるステップ210の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0117】
また、本出願の実施例におけるステップ421とステップ422は、以上の
図2におけるステップ220の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。それに対応して、本出願の実施例におけるステップ431とステップ432は、以上の
図2におけるステップ230の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0118】
ステップ421とステップ422について、本出願の実施例では、動力電池のSOHを予め設定されるSOH閾値と比較してもよく、それによって異なる第3のSOC間隔値と第4のSOC間隔値、及び異なる第3の放電パラメータと第4の放電パラメータを確定する。ここで、第3のSOC間隔値は、第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第3の放電パラメータは、第4の放電パラメータよりも大きい。
【0119】
具体的に、第3の放電パラメータは、第3の放電電流と第3の放電時間を含み、第4の放電パラメータは、第4の放電電流と第4の放電時間を含み、本出願の実施例では、第3の放電電流は、第4の放電電流よりも大きく、及び/又は、第3の放電時間は、第4の放電時間よりも大きい。
【0120】
具体的に、動力電池が健康状況に優れ、SOHが大きい(例えば予め設定されるSOH閾値以上である)とき、動力電池にリチウム析出現象が発生するリスクは低く、且つこのときの動力電池の放電能力が高い。それに対応して、動力電池の健康状況が不良で、SOHが小さい(例えば予め設定されるSOH閾値よりも小さい)とき、それは、リチウム析出現象が発生しやすく、且つこのときの動力電池の放電能力が低い。
【0121】
そのため、動力電池のSOHが大きいとき、リチウム析出リスクが低い場合、動力電池の放電頻度を下げ、間隔が大きいSOC間隔値(例えば第3のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御して、動力電池にリチウム析出が発生しないことを確保し、且つ充電速度を相対的に向上させることができる。及び/又は、動力電池の放電能力が高い場合、動力電池の放電パラメータを大きくし、大きい放電時間及び/又は放電電流(例えば第3の放電電流及び/又は第3の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、それによってリチウム析出現象の発生をさらに防止し、電池の安全性能を確保する。
【0122】
それに対応して、動力電池のSOHが小さいとき、リチウム析出リスクが高い場合、動力電池の放電頻度を高め、間隔が小さいSOC間隔値(例えば第4のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御することができ、それによって動力電池リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を確保する。及び/又は、動力電池の放電能力が低い場合、動力電池の放電パラメータを低下させ、小さい放電時間及び/又は放電電流(例えば第4の放電電流及び/又は第4の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、リチウム析出現象発生のリスクを低減させ、動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0123】
以上をまとめると、本出願の実施例では、一つの予め設定されるSOH閾値を設定することによって、動力電池のSOHを二つの区間に分け、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、動力電池の健康状況は良好で、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第3のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第3の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、動力電池の健康状況は不良で、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第4のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第4の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池のSOHに基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の健康状況が良好であるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、且つ動力電池の充電速度及び充電性能を相対的に向上させることができ、動力電池の健康状況が不良であるとき、リチウム析出現象発生のリスクを防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0124】
任意選択的に、本出願実施例では、予め設定されるSOH閾値は、動力電池の健康状況の良否を評価するために用いられてもよく、該予め設定されるSOH閾値は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定されてもよく、本出願の実施例では、該予め設定されるSOH閾値に対して具体的に限定しない。
【0125】
いくつかの可能な実施形態では、該予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%の間にあってもよく、このように該予め設定されるSOH閾値によって動力電池の健康状況をよく判断し、動力電池の安全性能と充電性能を確保して、それらのバランスを取ることができる。
【0126】
また、本出願の実施例におけるSOC間隔値(以上の実施例における第3のSOC間隔値と第4のSOC間隔値を含む)と放電パラメータ(第3の放電パラメータと第4の放電パラメータを含む)は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定された、予め設定される値であってもよく、本出願の実施例では、該SOC間隔値に対して具体的に限定しない。
【0127】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%の間にあってもよい。
【0128】
いくつかの可能な実施形態では、放電パラメータにおける放電電流(第3の放電電流と第4の放電電流を含む)の範囲は、1A~5Cの間にあってもよい。放電パラメータにおける放電時間(第3の放電時間と第4の放電時間を含む)の範囲は、1s~60sの間にあってもよい。
【0129】
以上の
図4に示す出願実施例では、予め設定されるSOH閾値が一つのみ設定され、動力電池のSOHが二つの区間に分けられ、それによって二つの異なるSOC間隔値及び放電パラメータが対応して設定されている。これに類似し、二つ又は二つ以上の予め設定されるSOH閾値を設定して、動力電池のSOHを三つ又はより多くの区間に分けてもよく、それによってより多くの異なるSOC間隔値及び放電パラメータを対応して設定することで、異なるSOH区間における放電制御の正確性を適応的に向上させ、動力電池の安全性能と充電速度をさらに正確に両立させる。
【0130】
例として、二つの予め設定されるSOH閾値、1#予め設定されるSOH閾値C%と2#予め設定されるSOH閾値D%を設定してもよく、ここで、C%<D%である。動力電池のSOHが[0,C%)区間にあるとき、SOC間隔値は、4#SOC間隔値c4%であり、放電電流は、4#放電電流i4であり、放電時間は、4#放電時間t4である。動力電池のSOHが[C%,D%)区間にあるとき、SOC間隔値は、5#SOC間隔値c5%であり、放電電流は、5#放電電流i5であり、放電時間は、5#放電時間t5である。動力電池のSOHが[D%,100%]区間にあるとき、SOC間隔値は、6#SOC間隔値c6%であり、放電電流は、6#放電電流i6であり、放電時間は、6#放電時間t6である。ここで、c4%<c5%<c6%であり、及び/又は、i4<i5<i6であり、及び/又は、t4<t5<t6である。ここで、C%、D%、c4%、c5%、c6%、i4、i5、i6、t4、t5、t6は、いずれも正数である。
【0131】
任意選択的に、上記複数のSOC間隔値(4#SOC間隔値、5#SOC間隔値と6#SOC間隔値を含む)の範囲は、同様に3%~95%の間にあってもよい。上記複数の放電電流(4#放電電流、5#放電電流と6#放電電流を含む)の範囲は、同様に1A~5Cの間にあってもよい。上記複数の放電時間(4#放電時間、5#放電時間と6#放電時間を含む)の範囲は、同様に1s~60sの間にあってもよい。
【0132】
図5は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法500の概略的フローブロック図を示す。
【0133】
本出願の実施例では、動力電池の状態パラメータは、温度を含んでもよく、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含む。
【0134】
図5に示すように、動力電池充電の方法500は、以下のステップを含んでもよい。
【0135】
510、動力電池の充電過程において、動力電池の温度を取得する。
【0136】
521、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定する。
【0137】
531、動力電池のSOCが第5のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第5の放電パラメータで放電するように制御する。
【0138】
522、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定する。
【0139】
532、動力電池のSOCが第6のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第6の放電パラメータで放電するように制御する。
【0140】
523、動力電池の温度が第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定する。
【0141】
533、動力電池のSOCが第7のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第7の放電パラメータで放電するように制御する。
【0142】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ510の関連技術案は、以上の
図2におけるステップ210の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0143】
また、本出願の実施例におけるステップ521、ステップ522とステップ523は、以上の
図2におけるステップ220の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。それに対応して、本出願の実施例におけるステップ531、ステップ532とステップ533は、以上の
図2におけるステップ230の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0144】
ステップ521とステップ522について、本出願の実施例では、動力電池の温度を予め設定される温度閾値と比較してもよく、それによって異なる第5のSOC間隔値、第6のSOC間隔値と第7のSOC間隔値、及び異なる第5の放電パラメータ、第6の放電パラメータと第7の放電パラメータを確定する。ここで、第6のSOC間隔値は、第5のSOC間隔値と第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第6の放電パラメータは、第5の放電パラメータと第7の放電パラメータよりも大きい。
【0145】
具体的に、第5の放電パラメータは、第5の放電電流と第5の放電時間を含み、第6の放電パラメータは、第6の放電電流と第6の放電時間を含み、第7の放電パラメータは、第7の放電電流と第7の放電時間を含み、本出願の実施例では、第5の放電電流は、第6の放電電流と第7の放電電流よりも大きく、及び/又は、第5の放電時間は、第6の放電時間と第7の放電時間よりも大きい。
【0146】
具体的に、動力電池のリチウム析出リスク及び放電能力は、動力電池の温度と関係があり、動力電池の温度が適宜な温度区間にあるとき、動力電池にリチウム析出が発生するリスクは低く、且つ放電能力は高い。適宜な温度区間以外に、動力電池のリチウム析出リスクが高くなり、且つ放電能力が低い。
【0147】
そのため、動力電池の温度が適宜な温度区間にある(例えば動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上である)とき、即ち動力電池のリチウム析出リスクが低い場合、動力電池の放電頻度を下げ、間隔が大きいSOC間隔値(例えば第6のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御しても、動力電池にリチウム析出が発生しないことを確保し、且つ充電速度を相対的に向上させることができる。及び/又は、動力電池の放電能力が高い場合、動力電池の放電パラメータを大きくし、大きい放電時間及び/又は放電電流(例えば第6の放電電流及び/又は第6の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、それによってリチウム析出現象の発生をさらに防止し、動力電池の安全性能を確保する。
【0148】
それに対応して、動力電池の温度が適宜な温度区間以外にある(例えば動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であり、又は第2の予め設定される温度閾値よりも小さい)とき、即ち動力電池のリチウム析出リスクが高い場合、動力電池の放電頻度を高め、間隔が小さいSOC間隔値(例えば第5のSOC間隔値又は第7のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御することができ、リチウム析出現象の発生を防止し、電池の安全性能を確保する。及び/又は、動力電池の放電能力が低い場合、動力電池の放電パラメータを低下させ、小さい放電時間及び/又は放電電流(例えば第5の放電電流及び/又は第5の放電時間、又は、第7の放電電流及び/又は第7の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、リチウム析出現象発生のリスクを防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0149】
以上をまとめると、本出願の実施例では、二つの予め設定される温度閾値を設定することによって、動力電池の温度を三つの区間、即ち動力電池の適宜温度区間と二つの不適温度区間に分ける。動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、即ち動力電池の温度は適宜温度区間にあり、この場合、動力電池のリチウム析出リスクは低く、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第6のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第6の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であり、又は第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、即ち動力電池の温度は不適温度区間にあり、この場合、動力電池のリチウム析出リスクは高く、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第5のSOC間隔値又は第7のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第5の放電パラメータ又は第7の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池の温度に基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の温度が適宜温度区間にあるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、且つ充電速度と充電性能を相対的に向上させることができ、動力電池の温度が不適温度区間にあるとき、リチウム析出現象発生のリスクを防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0150】
任意選択的に、本出願の実施例では、第1の予め設定される温度閾値と第2の予め設定される温度閾値は、動力電池が適宜温度区間にあるか否かを評価するために用いられてもよく、該予め設定されるSOH閾値は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定されてもよく、本出願の実施例では、該第1の予め設定される温度閾値と第2の予め設定される温度閾値に対して具体的に限定しない。
【0151】
いくつかの可能な実施形態では、該第1の予め設定される温度閾値の範囲は、45℃~55℃であってもよく、該第2の予め設定される温度閾値の範囲は、15℃~25℃であってもよく、このように該第1の予め設定される温度閾値と第2の予め設定される温度閾値によって動力電池の温度状況をよく判断し、動力電池の安全性能と充電性能を確保して、それらのバランスを取ることができる。
【0152】
また、本出願の実施例におけるSOC間隔値(以上の実施例における第5のSOC間隔値~第7のSOC間隔値を含む)と放電パラメータ(第5の放電パラメータ~第7の放電パラメータを含む)は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定された、予め設定される値であってもよく、本出願の実施例では、該SOC間隔値に対して具体的に限定しない。
【0153】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%の間にあってもよい。
【0154】
いくつかの可能な実施形態では、放電パラメータにおける放電電流(第5の放電電流~第7の放電電流を含む)の範囲は、1A~5Cの間にあってもよい。放電パラメータにおける放電時間(第5の放電時間~第7の放電時間を含む)の範囲は、1s~60sの間にあってもよい。
【0155】
以上の
図5に示す出願実施例では、予め設定される温度閾値が二つのみ設定され、動力電池の温度が二つの区間に分けられ、それによって異なるSOC間隔値及び放電パラメータが対応して設定されている。これに類似し、三つ又は三つ以上の予め設定される温度閾値を設定して、動力電池の温度をより多くの区間に分けてもよく、それによってより多くの異なるSOC間隔値及び放電パラメータを対応して設定することで、異なる温度区間における放電制御の正確性を適応的に向上させ、動力電池の安全性能と充電速度をさらに正確に両立させる。
【0156】
理解できるように、以上の
図3~
図5に示す実施例では、動力電池の状態パラメータは、単一のタイプの状態パラメータのみを含む。ほかの実施例では、動力電池の状態パラメータは、複数のタイプの状態パラメータを含んでもよく、該複数のタイプの状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよい。
【0157】
図6は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法600の概略的フローブロック図を示す。
【0158】
図6に示すように、動力電池充電の方法600は、以下のステップを含んでもよい。
【0159】
610、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。
【0160】
620、動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。
【0161】
630、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0162】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ610とステップ630の関連技術案は、以上の
図2におけるステップ210とステップ230の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0163】
また、本出願の実施例におけるステップ620は、以上の
図2におけるステップ220の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0164】
具体的に、ステップ620において、動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよく、ここで、該予め設定されるマッピング関係は、マッピング表、マッピング図又はマッピング公式などを含むが、これらに限らない。
【0165】
任意選択的に、予め設定されるマッピング関係は、動力電池の状態パラメータ区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、例えば、動力電池のSOC区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOH区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池の温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係などを含んでもよい。
【0166】
例として、以下の表1は、動力電池のSOC区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング表を示す。
【表1】
【0167】
任意選択的に、該マッピング表において、c1%>c2%>c3%であり、及び/又は、i1<i2<i3であり、及び/又は、t1<t2<t3である。ここで、A%<B%であり、A%、B%、c1%、c2%、c3%、i1、i2、i3、t1、t2、t3は、いずれも正数である。
【0168】
該マッピング表から分かるように、上記
図3に示す実施例では、本出願の実施例における予め設定されるマッピング表、及び動力電池現在SOCのあるSOC区間に基づいて、SOC間隔値及び放電電流、放電時間などの放電パラメータを確定してもよい。
【0169】
理解できるように、上記表1に示すマッピング表は、限定するためのものではなく例であり、該マッピング表におけるSOC区間の個数及び区間の範囲は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0170】
これに類似し、上記
図4と
図5に示す実施例では、予め設定されるマッピング関係及び動力電池現在SOHのあるSOH区間、又は、予め設定されるマッピング関係及び動力電池現在温度のある温度区間に基づいて、SOC間隔値及び放電電流、放電時間などの放電パラメータを確定してもよい。
【0171】
無論、上記単一のタイプの状態パラメータ区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係のほかに、予め設定されるマッピング関係は、動力電池の複数のタイプの状態パラメータ区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、例えば、動力電池のSOC区間、SOH区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOC区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOH区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOC区間、SOH区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係などをさらに含んでもよい。
【0172】
例として、以下の表2は、動力電池のSOC区間、SOH区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング表を示す。
【表2】
【0173】
任意選択的に、該マッピング表において、同一のSOH区間では、異なるSOC区間に対応するSOC間隔値、放電電流と放電時間の間の相互関係は、以上の
図3に示す実施例における関連記述を参照してもよく、即ちc
11%>c
12%>c
13%であり、c
21%>c
22%>c
23%であり、及び/又は、i
11<i
12<i
13であり、i
21<i
22<i
23であり、及び/又は、t
11<t
12<t
13であり、t
21<t
22<t
23であることを満たす。
【0174】
任意選択的に、該マッピング表において、同一のSOC区間では、異なるSOH区間に対応するSOC間隔値、放電電流と放電時間の間の相互関係は、以上の
図4に示す実施例における関連記述を参照してもよく、即ちc
21%>c
11%であり、c
22%>c
21%であり、c
23%>c
13%であり、及び/又は、i
21>i
11であり、i
22>i
12であり、i
23>i
13であり、及び/又は、t
21>t
11であり、t
22>t
12であり、t
23>t
13であることを満たす。
【0175】
ここで、A%<B%、A%、B%、C%、c11%、c12%、c13%、c21%、c22%、c23%、i11、i12、i13、i21、i22、i23、t11、t12、t13、t21、t22、t23は、いずれも正数である。
【0176】
上記マッピング表により、動力電池の現在のSOHとSOCを取得した後、該SOHとSOCのある区間に基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよい。
【0177】
理解できるように、上記表2に示すマッピング表は、限定するためのものではなく例であり、該マッピング表におけるSOC区間、SOH区間の個数及び区間の範囲は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0178】
また、動力電池のSOC区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOH区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、並びに動力電池のSOC区間、SOH区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係について、いずれも上記表2に示すマッピング表と類似するものであってもよく、マッピング表における具体的な値の設定は、以上の
図3~
図5に示す実施例の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0179】
上記マッピング表のほかに、本出願の実施例における予め設定されるマッピング関係は、さらにマッピング公式、マッピング図又はニューラルネットワークモデルなどであってもよく、本出願の実施例では、該予め設定されるマッピング関係の具体的な形式に対して具体的に限定しない。具体的に、該予め設定されるマッピング関係は、大量の実験データをフィッティングして得られるマッピング関係であってもよく、高い信頼性と正確性を有することによって、動力電池の安全性能と充電性能を確保する。
【0180】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の複数のタイプの状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて、該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよく、それによって動力電池の安全性能と充電性能を総合的に向上させる。
【0181】
図7は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法700の概略的フローブロック図を示す。
【0182】
図7に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法700は、以下のステップを含んでもよい。
【0183】
710、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。ここで、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0184】
720、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0185】
730、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、充電需要情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロである。
【0186】
740、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0187】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ710とステップ720の関連技術案は、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0188】
ステップ730において、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、まず充電需要情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値がゼロであるため、該充電需要情報は、動力電池の充電を停止するように制御するために用いられてもよい。
【0189】
いくつかの可能な実施形態では、充電装置、例えば充電器は、動力電池に対して充電を行うために用いられ、充電過程において、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、まず充電器に電流需要値がゼロである充電需要情報を送信し、充電器は、該充電需要情報に基づいて動力電池への充電を停止する。
【0190】
任意選択的に、該充電需要情報は、通信メッセージであってもよく、該通信メッセージは、BMSと充電器の間で関連通信プロトコルを満たす通信メッセージを含むが、これらに限らず、例として、該充電需要情報は、電池充電需要メッセージBCLであってもよい。
【0191】
動力電池に対する充電の過程において、直接的に動力電池を放電するように制御すると、動力電池に損傷を与え、動力電池の寿命に影響を与えるだけでなく、さらに安全上のリスクをもたらし、動力電池の安全性に影響を与える。本出願の実施例の技術案により、BMSが充電需要情報を送信し、該充電需要情報により動力電池の充電を停止するように制御してから、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性を向上させることができる。
【0192】
BMSが上記充電需要情報を送信した後、動力電池の電流は、ゆっくりと変化し、且つ徐々にゼロに低下するまでに一定の時間を要するため、動力電池の充放電過程の安全性をさらに向上させるように、上記ステップ730の前に、本出願の実施例の方法700は、動力電池の電流を取得することをさらに含んでもよく、その上で、ステップ740は、動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御することを含んでもよい。
【0193】
本出願の実施例の技術案により、動力電池を放電するように制御する前に、BMSは、まず動力電池の電流を取得し、動力電池の電流が小さく、例えば予め設定される電流閾値以下であるときに、このとき、動力電池の放電に対する影響が小さく、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性をさらに向上させることができる。
【0194】
任意選択的に、上記予め設定される電流閾値は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。例として、該予め設定される電流閾値の範囲は、50A以下であってもよい。
【0195】
図8は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法800の概略的フローブロック図を示す。
【0196】
図8に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法800は、以下のステップを含んでもよい。
【0197】
810、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。ここで、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0198】
820、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0199】
830、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、充電需要情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロである。
【0200】
840、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0201】
850、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御する。
【0202】
860、動力電池を充電するように制御する。
【0203】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ810~ステップ840の関連技術案は、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0204】
また、BMSが動力電池を放電するように制御した後、動力電池の放電時間と充電需要情報の送信済み時間に基づいて放電を停止するかどうかを確定する。具体的に、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御し、又は、充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御する。任意選択的に、BMSは、動力電池を放電するように制御するとき、動力電池の放電時間に対して計時を行って、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であるか否かを判断する。また、BMSは、運ばれる電流需要値がゼロである充電需要情報を送信した後に、該充電需要情報の送信済み時間に対して計時を行って、該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるか否かを判断してもよい。
【0205】
ここで、第1の予め設定される時間閾値は、ステップ820において動力電池の状態パラメータに基づいて確定される、動力電池放電に対応する放電時間であってもよい。
【0206】
動力電池の充電過程において、動力電池に対して充電を行う充電装置、例えば充電器は、BMSにより送信される充電需要情報を定期的又は不定期的に受信してもよく、充電需要情報が正常に送信される場合、充電装置と動力電池との間を正常な通信状態に保つことができ、充電装置が一定時間内にBMSにより送信される充電需要情報を受信していなければ、充電装置と動力電池との通信接続の切断を引き起こす可能性がある。そのため、本出願の実施例では、第1の予め設定される時間閾値を設定して動力電池の放電時間を制御することに加えて、さらに第2の時間閾値を設定して充電需要情報の送信済み時間と比較し、充電需要情報の送信済み時間が長すぎて動力電池の正常な充電過程に影響を与えることを防止し、それにより動力電池の充電効率を向上させる。
【0207】
任意選択的に、
図8に示すように、本出願の実施例の方法800は、動力電池を充電するように制御するステップ860をさらに含む。即ちBMSが動力電池の放電を停止するように制御した後に、改めて動力電池を充電するように制御する。
【0208】
いくつかの実施形態では、BMSは、充電装置、例えば充電器に、新しい充電需要メッセージを送信してもよく、該充電需要メッセージにおいて運ばれる電流需要値は、ゼロではなく、動力電池のパラメータに基づいて確定される電流需要値であってもよく、それによって充電装置は、該電流需要値に基づいて動力電池に対して充電を行うことができる。
【0209】
ステップ860を経て、上記ステップ810~ステップ850を改めて実行してもよく、それによってBMSによる動力電池の持続充放電への制御過程を実現する。
【0210】
図9は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法900の概略的フローブロック図を示す。
【0211】
図9に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法900は、以下のステップを含んでもよい。
【0212】
910、動力電池の運行状態を取得する。
【0213】
920、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。ここで、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0214】
930、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0215】
940、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0216】
950、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御する。
【0217】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ920~ステップ940の関連技術案は、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0218】
また、ステップ920の前に、BMSは、まず動力電池の運行状態を取得してもよく、動力電池が充電状態にあるとき、ステップ920を実行し、即ち動力電池の充電過程において、動力電池のSOCを取得し、且つステップ930~ステップ940を実行する。
【0219】
ステップ950について、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御する。具体的に、BMSは、動力電池の運行パラメータを取得することによって、動力電池の現在の運行状態を判断してもよい。ここで、動力電池と充電器の充電ガンとの接続が切れたとき、BMSは、動力電池がガン抜き状態にあり、即ち充電器が動力電池への充電を行っていないと判断する。また、BMSは、動力電池の電圧などのパラメータを取得することによって、動力電池のSOCが100%に達するとき、動力電池のSOCが満充電状態に達することを確定してもよい。
【0220】
動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、BMSは、動力電池を短時間放電するように制御することができ、例えば、放電時間が予め設定される時間閾値よりも小さく、及び/又は、放電電流が予め設定される電流閾値よりも小さい放電を実行する。それによって、動力電池の後続の充電過程において、充電装置と動力電池との接続を確立した後、動力電池に対して直接的に充電することで動力電池のリチウム析出リスクを引き起こすことを防止し、動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0221】
以上では
図2~
図9を結び付けて本出願による電池充電の方法の具体的な実施例を説明したが、以下は、
図10~
図11を結び付けて本出願による関連装置の具体的な実施例について説明する。理解できるように、下記各装置の実施例における関連記述は、前述の各方法実施例を参照してもよく、簡潔のために、ここでは説明を省略する。
【0222】
図10は、本出願の実施例による電池管理システムBMS 900の概略的構造ブロック図を示す。
図10に示すように、該BMS 1000は、取得モジュール1010と、制御モジュール1020とを含む。
【0223】
具体的に、取得モジュール1010は、動力電池の充電過程において動力電池の状態パラメータを取得するために用いられ、ここで、状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含み、制御モジュール1020は、動力電池のSOCに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するために用いられ、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含み、且つ動力電池のSOCがSOC間隔値変化するたびに、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0224】
いくつかの可能な実施形態では、状態パラメータは、SOCを含み、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、制御モジュール1020は、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定し、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、第1のSOC間隔値は、第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第1の放電パラメータは、第2の放電パラメータよりも小さい。
【0225】
いくつかの可能な実施形態では、状態パラメータは、SOHを含み、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、制御モジュール1020は、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定し、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、第3のSOC間隔値は、第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第3の放電パラメータは、第4の放電パラメータよりも大きい。
【0226】
いくつかの可能な実施形態では、状態パラメータは、温度を含み、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、制御モジュール1020は、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定し、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定し、動力電池の温度が第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、第6のSOC間隔値は、第5のSOC間隔値と第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第6の放電パラメータは、第5の放電パラメータと第7の放電パラメータよりも大きい。
【0227】
いくつかの可能な実施形態では、制御モジュール1020は、動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するために用いられる。
【0228】
いくつかの可能な実施形態では、放電電流の範囲は、1A~5Cであり、放電時間の範囲は、1s~60sである。
【0229】
いくつかの可能な実施形態では、SOC間隔の範囲は、3%~95%である。
【0230】
いくつかの可能な実施形態では、
図10に示すように、BMS 1000は、充電需要情報を送信するための送信モジュール1030をさらに含んでもよく、充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、充電需要情報は、動力電池の充電を停止するように制御するためのものである。
【0231】
いくつかの可能な実施形態では、取得モジュール1010は、さらに、動力電池の電流を取得するために用いられ、制御モジュール1020は、動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御するために用いられる。
【0232】
いくつかの可能な実施形態では、制御モジュール1020は、さらに、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる。
【0233】
図11は、本出願の別の実施例によるBMS 1100の概略的構造ブロック図を示す。
図11に示すように、BMS 1100は、メモリ1110とプロセッサ1120とを含み、ここで、メモリ1110は、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、プロセッサ1120は、該コンピュータプログラムを読み取り、且つ該コンピュータプログラムに基づいて前述の本出願の各実施例の方法を実行するためのものである。
【0234】
なお、本出願の実施例は、コンピュータプログラムを記憶するための読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータプログラムは、前述の本出願の各実施例の方法を実行するためのものである。任意選択的に、該コンピュータプログラムは、上記BMSにおけるコンピュータプログラムであってもよい。
【0235】
理解すべきこととして、本明細書における具体的な例は、本出願の実施例を当業者によりよく理解させるためのものにすぎず、本出願の実施例の範囲を限定するものではない。
【0236】
さらに理解すべきこととして、本出願の各実施例において、各プロセスの番号の大きさは、実行順番の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順番は、その機能と内在論理によって確定されるべきであり、本出願の実施例の実施プロセスを限定するものではない。
【0237】
さらに理解すべきこととして、本明細書に記述された各実施形態は、単独に実施されてもよく、組み合わせて実施されてもよく、本出願の実施例では、これに対して限定しない。
【0238】
好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改善を行うことができ、そのうちの部材を同等のものに置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内のすべての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0239】
100 電池システム
101 充電装置
102 電力消費装置
110 動力電池
120 電池管理システム(battery management system、BMS)
1010 取得モジュール
1020 制御モジュール
1030 送信モジュール
1110 メモリ
1120 プロセッサ
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池の充電の方法であって、前記動力電池の電池管理システムBMSに応用され、前記方法は、
前記動力電池の充電過程において前記動力電池の状態パラメータを取得することであって、前記状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことと、
前記動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することであって、前記放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことと、
前記動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御することとを含む
、動力電池充電の方法。
【請求項2】
前記状態パラメータは、SOCを含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前述の、前記動力電池の状態パラメータに基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、
前記動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定することと、
前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定することとを含み、
ここで、前記第1のSOC間隔値は、前記第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第1の放電パラメータは、前記第2の放電パラメータよりも小さい
、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記状態パラメータは、SOHを含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前述の、前記動力電池の状態パラメータに基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定することと、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定することとを含み、
ここで、前記第3のSOC間隔値は、前記第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第3の放電パラメータは、前記第4の放電パラメータよりも大きい
、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記状態パラメータは、温度を含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前記の、前記動力電池の状態パラメータに基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、
前記動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定することと、
前記動力電池の温度が前記第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定することと、
前記動力電池の温度が前記第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定することとを含み、
ここで、前記第6のSOC間隔値は、前記第5のSOC間隔値と前記第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第6の放電パラメータは、前記第5の放電パラメータと前記第7の放電パラメータよりも大きい
、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記の、前記動力電池の状態パラメータに基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、
前記動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することを含む
、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記放電電流の範囲は、1A~5Aであり、前記放電時間の範囲は、1s~60sである
、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記SOC間隔値の範囲は、3%~95%である
、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御する前に、前記方法は、
充電需要情報を送信することをさらに含み、前記充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、前記充電需要情報は、前記動力電池の充電を停止するように制御するためのものである
、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記動力電池を放電するように制御する前に、前記方法は、
前記動力電池の電流を取得することをさらに含み、
前記の、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御することは、
前記動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御することを含む
、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記動力電池をパルス放電するように制御した後に、前記方法は、
前記動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は前記充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、前記動力電池の放電を停止するように制御することをさらに含む
、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
動力電池の電池管理システムBMSであって、
前記動力電池の充電過程において前記動力電池の状態パラメータを取得するための取得モジュールであって、前記状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む取得モジュールと、
前記動力電池の
状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するための制御モジュールであって、前記放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む制御モジュールとを含み、
且つ前記動力電池のSOCがSOC間隔値変化するたびに、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御する
、動力電池の電池管理システムBMS。
【請求項12】
前記状態パラメータは、SOCを含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定し、
前記動力電池のSOCが前記予め設定されるSOC閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定するために用いられ、
ここで、前記第1のSOC間隔値は、前記第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第1の放電パラメータは、前記第2の放電パラメータよりも小さい
、請求項11に記載のBMS。
【請求項13】
前記状態パラメータは、SOHを含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前記制御モジュールは、
前記動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定し、
前記動力電池のSOHが前記予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定するために用いられ、
ここで、前記第3のSOC間隔値は、前記第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第3の放電パラメータは、前記第4の放電パラメータよりも大きい
、請求項11に記載のBMS。
【請求項14】
前記状態パラメータは、温度を含み、前記放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、
前記制御モジュールは、
前記動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定し、
前記動力電池の温度が前記第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、前記SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定し、
前記動力電池の温度が前記第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、前記SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ前記放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定するために用いられ、
ここで、前記第6のSOC間隔値は、前記第5のSOC間隔値と前記第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、前記第6の放電パラメータは、前記第5の放電パラメータと前記第7の放電パラメータよりも大きい
、請求項11に記載のBMS。
【請求項15】
前記制御モジュールは、
前記動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて前記動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するために用いられる
、請求項11から14のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項16】
前記放電電流の範囲は、1A~5
Aであり、前記放電時間の範囲は、1s~60sである
、請求項11から15のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項17】
前記SOC間隔値の範囲は、3%~95%である
、請求項11から16のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項18】
前記BMSは、充電需要情報を送信するための送信モジュールをさらに含み、前記充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、前記充電需要情報は、前記動力電池の充電を停止するように制御するためのものである
、請求項11から17のいずれか一項に記載のBMS。
【請求項19】
前記取得モジュールは、さらに、前記動力電池の電流を取得するために用いられ、
前記制御モジュールは、前記動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、前記動力電池を前記放電パラメータで放電するように制御するために用いられる
、請求項18に記載のBMS。
【請求項20】
前記制御モジュールは、さらに、前記動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は前記充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、前記動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる
、請求項18又は19に記載のBMS。
【請求項21】
動力電池の電池管理システムBMSであって、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを呼び出して請求項1から10のいずれか一項に記載の動力電池充電の方法を実行するためのものである
、動力電池の電池管理システムBMS。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、動力電池の分野に関し、特に動力電池充電の方法と電池管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
時代の発展とともに、電気自動車は、その高い環境保全性、低騒音、低使用コストなどの利点により、大きな市場将来性を有し、省エネルギーと排出削減を効果的に促進することができ、社会の発展と進歩に寄与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気自動車にとって、動力電池技術は、その発展に関する重要な要素でなり、一般の人々の電気自動車に対する受け入れ度に影響を与える。そのため、如何にして動力電池の性能を向上させるかは、解決の待たれる技術課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の実施例は、動力電池の性能を向上させることができる動力電池充電の方法と電池管理システムを提供する。
【0005】
第1の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSに応用される動力電池充電の方法を提供し、該方法は、該動力電池の充電過程において該動力電池の状態パラメータを取得することであって、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことと、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することであって、該放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含むことと、該動力電池のSOCが該SOC間隔値変化するとき、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御することとを含む。
【0006】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電するように制御し、動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池充電過程における放電間隔と放電パラメータを確定してもよく、該放電間隔は、SOC間隔であり、ここで、状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよく、該状態パラメータは、いずれも動力電池の性能に影響を与える重要なパラメータであり、動力電池のリチウム析出現象の発生にも影響を与える。該動力電池の状態パラメータと結び付けて、動力電池を充電過程においてSOC間隔値と放電パラメータで放電するように制御することで、該動力電池の充電過程における放電の設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池充電性能を向上させる。
【0007】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、SOCを含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、該動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定することと、該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、該SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定することとを含み、ここで、該第1のSOC間隔値は、該第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第1の放電パラメータは、該第2の放電パラメータよりも小さい。
【0008】
該実施形態の技術案では、一つの予め設定されるSOC閾値を設定することによって、動力電池のSOCを二つの区間に分け、動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、動力電池の残量は高く、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第1のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第1の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、動力電池の残量は低く、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第2のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第2の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池のSOCに基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の残量が高いとき、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を十分に確保した上で、動力電池の充電速度を相対的に向上させ、動力電池の残量が低いとき、リチウム析出現象を防止し、不足電圧のリスクを低減させ、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0009】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、SOHを含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、該SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定することと、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定することとを含み、ここで、該第3のSOC間隔値は、該第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第3の放電パラメータは、該第4の放電パラメータよりも大きい。
【0010】
該実施形態の技術案では、一つの予め設定されるSOH閾値を設定することによって、動力電池のSOHを二つの区間に分け、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、動力電池の健康状況は良好で、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第3のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第3の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、動力電池の健康状況は不良で、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第4のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第4の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池のSOHに基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の健康状況が良好であるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、且つ動力電池の充電速度及び充電性能を相対的に向上させることができ、動力電池の健康状況が不良であるとき、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0011】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、温度を含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、該動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、該SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定することと、該動力電池の温度が該第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、該SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定することと、該動力電池の温度が該第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定することとを含み、ここで、該第6のSOC間隔値は、該第5のSOC間隔値と該第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第6の放電パラメータは、該第5の放電パラメータと該第7の放電パラメータよりも大きい。
【0012】
該実施形態の技術案では、二つの予め設定される温度閾値を設定することによって、動力電池の温度を三つの区間、即ち動力電池の適宜温度区間と二つの不適温度区間に分ける。動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、即ち動力電池の温度は適宜温度区間にあり、この場合、動力電池のリチウム析出リスクは低く、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第6のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第6の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であり、又は第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、即ち動力電池の温度は不適温度区間にあり、この場合、動力電池のリチウム析出リスクは高く、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第5のSOC間隔値又は第7のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第5の放電パラメータ又は第7の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池の温度に基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の温度が適宜温度区間にあるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、且つ充電速度と充電性能を相対的に向上させることができ、動力電池の温度が不適温度区間にあるとき、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0013】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することは、該動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定することを含む。
【0014】
該実施形態の技術案では、動力電池の複数のタイプの状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて、該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよく、それによって動力電池の安全性能と充電性能を総合的に向上させる。
【0015】
いくつかの可能な実施形態では、該放電電流の範囲は、1A~5Aであり、該放電時間の範囲は、1s~60sである。
【0016】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%である。
【0017】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御する前に、該方法は、充電需要情報を送信することをさらに含み、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、該充電需要情報は、該動力電池の充電を停止するように制御するためのものである。
【0018】
動力電池に対する充電の過程において、直接的に動力電池を放電するように制御すると、動力電池に損傷を与え、動力電池の寿命に影響を与えるだけでなく、さらに安全上のリスクをもたらし、動力電池の安全性に影響を与える。該実施形態の技術案では、BMSが充電需要情報を送信し、該充電需要情報により動力電池の充電を停止するように制御してから、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性を向上させることができる。
【0019】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池を放電するように制御する前に、該方法は、該動力電池の電流を取得することをさらに含み、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御することは、該動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御することを含む。
【0020】
該実施形態の技術案では、動力電池を放電するように制御する前に、BMSは、まず動力電池の電流を取得し、動力電池の電流が小さく、例えば予め設定される電流閾値以下であるとき、このとき、動力電池の放電に対する影響が小さく、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性をさらに向上させることができる。
【0021】
いくつかの可能な実施形態では、該動力電池をパルス放電するように制御した後に、該方法は、該動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、該動力電池の放電を停止するように制御することをさらに含む。
【0022】
動力電池の充電過程において、動力電池に対して充電を行う充電装置、例えば充電器は、BMSにより送信される充電需要情報を定期的又は不定期的に受信してもよく、充電需要情報が正常に送信される場合、充電装置と動力電池との間を正常な通信状態に保つことができ、充電装置が一定時間内にBMSにより送信される充電需要情報を受信していなければ、充電装置と動力電池との通信接続の切断を引き起こす可能性がある。そのため、該実施形態の技術案では、第1の予め設定される時間閾値を設定して動力電池の放電時間を制御することに加えて、さらに第2の時間閾値を設定して充電需要情報の送信済み時間と比較し、充電需要情報の送信済み時間が長すぎて動力電池の正常な充電過程に影響を与えることを防止し、それにより動力電池の充電効率を向上させる。
【0023】
いくつかの可能な実施形態では、該方法は、動力電池の運行状態を取得することと、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御することとをさらに含む。
【0024】
該実施形態の技術案では、BMSは、動力電池の運行状態をさらに取得し、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、BMSは、動力電池を短時間放電するように制御してもよく、例えば、放電時間が予め設定される時間閾値よりも小さく、及び/又は、放電電流が予め設定される電流閾値よりも小さい放電を実行する。それによって、動力電池の後続の充電過程において、充電装置と動力電池との接続を確立した後、動力電池に対して直接的に充電することで動力電池のリチウム析出リスクを引き起こすことを防止し、動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0025】
第2の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSを提供し、該BMSは、該動力電池の充電過程において該動力電池の状態パラメータを取得するための取得モジュールであって、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む取得モジュールと、該動力電池の状態パラメータに基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するための制御モジュールであって、該放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む制御モジュールとを含み、且つ該動力電池のSOCが該SOC間隔値変化するたびに、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御する。
【0026】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、SOCを含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該制御モジュールは、該動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定し、該動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、該SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、該第1のSOC間隔値は、該第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第1の放電パラメータは、該第2の放電パラメータよりも小さい。
【0027】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、SOHを含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該制御モジュールは、該動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、該SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定し、該動力電池のSOHが該予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、該第3のSOC間隔値は、該第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第3の放電パラメータは、該第4の放電パラメータよりも大きい。
【0028】
いくつかの可能な実施形態では、該状態パラメータは、温度を含み、該放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、該制御モジュールは、該動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、該SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定し、該動力電池の温度が該第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、該SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定し、該動力電池の温度が該第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、該SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ該放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、該第6のSOC間隔値は、該第5のSOC間隔値と該第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、該第6の放電パラメータは、該第5の放電パラメータと該第7の放電パラメータよりも大きい。
【0029】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、該動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するために用いられる。
【0030】
いくつかの可能な実施形態では、該放電電流の範囲は、1A~5Aであり、該放電時間の範囲は、1s~60sである。
【0031】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%である。
【0032】
いくつかの可能な実施形態では、該BMSは、充電需要情報を送信するための送信モジュールをさらに含み、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、該充電需要情報は、該動力電池の充電を停止するように制御するためのものである。
【0033】
いくつかの可能な実施形態では、該取得モジュールは、さらに、該動力電池の電流を取得するために用いられ、該制御モジュールは、該動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、該動力電池を該放電パラメータで放電するように制御するために用いられる。
【0034】
いくつかの可能な実施形態では、該制御モジュールは、さらに、該動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、該動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる。
【0035】
第3の態様によれば、動力電池の電池管理システムBMSを提供し、該BMSは、プロセッサとメモリとを含み、該メモリは、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、該プロセッサは、該コンピュータプログラムを呼び出して第1の態様又は第1の態様のいずれか可能な実施形態における動力電池充電の方法を実行するためのものである。
【0036】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電するように制御し、動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池の充電過程における放電間隔と放電パラメータを確定してもよく、該放電間隔は、SOC間隔であり、ここで、状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよく、該状態パラメータは、いずれも動力電池の性能に影響を与える重要なパラメータであり、動力電池のリチウム析出現象の発生にも影響を与える。該動力電池の状態パラメータと結び付けて、動力電池を充電過程においてSOC間隔値と放電パラメータで放電するように制御することで、該動力電池の充電過程における放電の設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池の充電性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払うことなく、図面に基づいて他の図面を入手することができる。
【0038】
【
図1】本出願の一実施例が適用可能な
電池システムの構成図である。
【
図2】本出願の実施例による動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図3】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図4】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図5】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図6】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図7】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図8】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図9】本出願の実施例による別の動力電池充電の方法の概略的フローブロック図である。
【
図10】本出願の実施例による電池管理システムの概略的構造ブロック図である。
【
図11】本出願の実施例による電池管理システムの概略的構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面と実施例を参照して本出願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例についての詳細な説明及び図面は、本出願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本出願の範囲を制限するものではなく、即ち本出願は、記述された実施例に限らない。
【0040】
本出願の記述において、指摘すべきこととして、特に説明されていない限り、「複数」は、二つ以上を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語により示される方位又は位置関係は、示された装置又は素子が特定の方位を有しなければならず、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり、暗示したりするのではなく、本出願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、本出願の限定として理解されるべきではない。なお、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を示したり、暗示したりするものとして理解されるべきではない。
【0041】
以下の説明に現れる方位詞は、いずれも図に示されている方向であり、本出願の特定の構造を限定するものではない。本出願の記述において、さらに説明すべきこととして、明確に指定及び限定されていない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続されることであってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されることであってもよい。当業者にとって、本出願における上記用語の特定の意味は、特定の状況に従って理解することができる。
【0042】
新エネルギー分野において、動力電池は、電力消費装置、例えば車両、船舶又は宇宙航空機などの主要な動力源として、その重要性は、言うまでもない。現在、市販されている動力電池の多くは、充電可能な二次電池(Rechargeable battery)であり、最も一般的なものは、リチウムイオン電池又はリチウムイオンポリマー電池である。低温で動力電池に対して持続的な充電を行い、又は大きな充電速度や充電電圧で動力電池に対して持続的な充電を行うと、動力電池のリチウム析出現象を引き起こす。
【0043】
リチウム析出は、動力電池性能の低下、サイクル寿命の大幅な短縮を引き起こすだけでなく、さらに電池の急速充電容量を制限し、且つ燃焼や爆発などの悲惨な結果をもたらす可能性があり、動力電池の全体的な性能に厳しい影響を与える。
【0044】
これに鑑みて、本出願は、動力電池のリチウム析出問題を解決し、動力電池の性能を向上させることができる動力電池充電の方法を提供する。
【0045】
図1は、本出願の実施例が適用可能な電池システム100を示す。
【0046】
図1に示すように、該電池システム100は、動力電池110と電池管理システム(battery management system、BMS)120とを含んでもよい。
【0047】
具体的に、該動力電池110は、少なくとも一つの電池モジュールを含んでもよく、それは、電気自動車のためにエネルギーと動力を提供することができる。電池の種類から言うと、該動力電池110は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池又はナトリウムイオン電池などであってもよく、本出願の実施例では、具体的に限定しない。電池の規模から言うと、本出願の実施例では、動力電池110における電池モジュールは、電池コア/電池セル(battery cell)であってもよく、組電池又は電池パック(battery pack)であってもよく、本出願の実施例では、具体的に限定しない。
【0048】
なお、該動力電池110のインテリジェント管理及びメンテナンスを行い、電池故障の発生を防止し、電池の耐用年数を延ばすために、電池システム100に、一般的にはBMS 120がさらに設置されており、該BMS 120は、動力電池110に接続され、動力電池110のパラメータをモニタリングして収集するためのものであり、且つBMS 120は、該パラメータに基づいて動力電池110に対する制御と管理を実現してもよい。
【0049】
例として、該BMS 120は、動力電池110の電圧、電流と温度などのパラメータをモニタリングして収集するために用いられてもよい。ここで、BMS 120は、動力電池110の総電圧と総電流、動力電池110における単一の電池セルの電圧と電流、及び動力電池110における少なくとも一つの測温点の温度などをリアルタイムに収集してもよい。上記パラメータのリアルタイムで、迅速で、正確な測定は、BMS 120が正常に運行することの基礎である。
【0050】
任意選択的に、BMS 120は、該収集した動力電池110のパラメータに基づいて、さらに動力電池110の荷電状態(state of charge、SOC)、健康状態(state of health、SOH)、パワー状態(state of power、SOP)などのパラメータを推定してもよい。
【0051】
ここで、SOCは、動力電池110の残容量を表すために用いられてもよく、それは、数値上で動力電池110の現在残容量と使用可能な総容量の比と定義され、一般的には百分率で表される。具体的に、SOC=100%のとき、動力電池110の満充電を表し、逆に、SOC=0%のとき、動力電池110の完全放電を表す。SOCに対する正確な推定は、電気自動車の航続距離推定に求められる最も基本的な条件であり、動力電池110の利用効率と安全性能を向上させるための一般的な保証でもある。
【0052】
また、SOHは、動力電池110の劣化状態を表すために用いられてもよく、動力電池110の残りの寿命として理解されてもよい。周知のとおり、動力電池110は、長期間運行後に性能が絶えず減衰する。SOHをどのように正確に推定するかは、動力電池110のほかのパラメータ(例えばSOCとSOPなどのパラメータ)を推定する重要な前提である。一般的には、SOHも百分率で表され、SOH=100%のとき、動力電池110がまだ使用されていない新しい電池であることを表し、使用時間の増加に伴って、SOHは徐々に低下し、その残りの寿命は短くなる。従来の関連技術では、様々な方式を採用して動力電池110のSOHを推定してもよく、例えば、動力電池110の使用可能な容量に基づいてSOHを推定してもよい。理解できるように、動力電池110の使用可能な容量は、時間の増加に伴って低下し、動力電池110現在の使用可能な容量と初期容量(又は、公称容量と呼ばれてもよい)との比によって、動力電池110のSOHを推定して得ることができる。
【0053】
SOPは、動力電池110のパワー状態を表すために用いられてもよく、一般的には短期的なピークパワー値で表される。動力電池110の入出力のピークパワーは、直接的に車両の急速起動、加速と急制動能力に影響し、さらに車両全体運行の安全性と信頼性に関係する。そのため、BMS 120は、動力電池110のピークパワー、即ちSOPに対する推測能力を備えなければならない。
【0054】
理解できるように、以上は、SOC、SOHとSOPのみを例としてBMS 120により推定可能な一部のパラメータを簡単に紹介したが、このほか、BMS 120は、動力電池110のほかのパラメータを確定するために用いられてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0055】
さらに、BMS 120は、動力電池110の様々なパラメータを取得した後に、該様々なパラメータに基づいて動力電池110に対する様々な制御と管理を実現してもよい。
【0056】
例えば、BMS 120は、SOC、電圧、電流などのパラメータに基づいて動力電池110に対する充放電制御を実現し、動力電池110の正常なエネルギー供給と放出を確保してもよい。
【0057】
また例えば、BMS 120は、さらに温度などのパラメータに基づいて、放熱ファン又は加熱モジュールなどのアセンブリを制御して、動力電池110の熱管理を実現してもよい。
【0058】
さらに例えば、BMS 120は、電圧、SOHなどのパラメータに基づいて、動力電池110が正常な運行状態にあるかどうかを判断して、動力電池110の故障診断と警報を実現してもよい。
【0059】
任意選択的に、
図1に示すように、電池システム100は、充電装置101及び電力消費装置102と接続を確立して、動力電池
110の充放電を実現してもよい。
【0060】
具体的に、電池システム100におけるBMS 120は、関連する通信プロトコルによって充電装置101と通信を確立し、さらに充電装置101によって動力電池110に対する充電を実現してもよい。
【0061】
任意選択的に、BMS 120は、電力消費装置102と通信接続を確立してもよく、それによってBMS 120は、それが取得した関連情報を電力消費装置102ひいてはユーザにフィードバックすることができ、且つBMS 120は、電力消費装置102の関連制御情報を取得してもよく、動力電池110に対する制御と管理をよりよく行う。
【0062】
例として、
図1に示す充電装置101は、充電器(又は充電スタンドとも呼ばれる)を含むが、これに限らない。また、電力消費装置102は、様々なタイプの電力消費装置であってもよく、電気自動車を含むが、これに限らない。
【0063】
図2は、本出願の実施例による動力電池充電の方法200の概略的フローブロック図を示す。該動力電池充電の方法200は、動力電池の電池管理システムBMSに応用されてもよい。任意選択的に、本出願の実施例では、動力電池は、上記
図1に示す動力電池110であってもよく、該方法200は、動力電池110のBMS 120に応用されてもよく、換言すれば、BMS 120は、以下の出願実施例における方法200の実行本体とされてもよい。
【0064】
図2に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法200は、以下のステップを含んでもよい。
【0065】
210、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。ここで、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0066】
220、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0067】
230、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0068】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の充電過程において、動力電池を放電するように制御し、動力電池のリチウム析出リスクを防止し、動力電池の安全性能を向上させることができる。さらに、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池充電過程における放電間隔と放電パラメータを確定してもよく、ここで、放電パラメータは、放電電流と放電電圧と放電波形とを含んでもよく、放電間隔は、SOC間隔であり、状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含んでもよく、該状態パラメータは、いずれも動力電池の性能に影響を与える重要なパラメータであり、動力電池のリチウム析出現象の発生にも影響を与える。該動力電池の状態パラメータと結び付けて、動力電池を充電過程においてSOC間隔値と放電パラメータで放電するように制御することで、該動力電池の充電過程における放電の設計をより合理的にし、動力電池の安全性能を確保した上で、動力電池の充電性能を向上させる。
【0069】
具体的に、上記動力電池の各状態パラメータについて、以上の
図1に示す実施例に記載のとおり、SOCは、動力電池の残容量を表すために用いられてもよく、動力電池の充放電過程において、そのSOCは、時間とともに変化する。具体的に、動力電池に対して充電すれば、一般に百分率で表されるSOCの値は、徐々に大きくなるようにすることができ、逆に、動力電池に対して充電すれば、SOCの値は、徐々に小さくなるようにすることができる。
【0070】
本出願の実施例のステップ210では、BMSは、動力電池の充電過程において該SOCをリアルタイムに取得してもよく、SOCを取得する該方式について、具体的に関連技術における具体案を参照してもよく、本明細書では具体的に説明しない。
【0071】
SOHは、動力電池の劣化状態を表すために用いられてもよく、動力電池の残りの寿命として理解されてもよい。動力電池は、長期間運行後に性能が絶えず減衰するため、残りの寿命も短くなり、即ち一般に百分率で表されるSOHの値も小さくなる。
【0072】
動力電池のSOHの変化が遅く、且つ計算方式が複雑であるため、動力電池の充電過程より前に、BMSは、動力電池のSOHを推定計算して取得し、且つ該動力電池のSOHを記憶ユニットに記憶してもよい。本出願の実施例のステップ210では、動力電池の充電過程において、BMSは、記憶ユニットから動力電池のSOHを取得してもよい。ここで、BMSが動力電池のSOHを推定計算する具体的な方式については、関連技術における具体案を参照してもよく、本明細書では具体的に説明しない。
【0073】
動力電池の温度について、いくつかの実施形態では、該動力電池の温度は、動力電池におけるすべての電池セルの温度に基づいて得られてもよく、例えば、該動力電池の温度は、複数の電池セルのうち温度が最も低い電池セルの温度であってもよい。又は、別のいくつかの実施形態では、該動力電池の温度は、動力電池における一部の電池セルの温度のみに基づいて得られてもよい。該動力電池の温度は、環境や動力電池の運行状態などの要素によってリアルタイムに変化することができる。
【0074】
本出願の実施例のステップ210では、BMSは、記憶ユニットから動力電池の温度を取得してもよく、即ちBMSは、動力電池の充電過程より前に、動力電池の温度を取得してそれを記憶ユニットに記憶してもよい。又は、BMSは、動力電池の充電過程において、動力電池の温度をリアルタイムに監視して取得してもよい。動力電池の温度を取得する該方式について、具体的に関連技術における具体案を参照してもよく、本明細書では具体的に説明しない。
【0075】
さらに、本出願の実施例のステップ220では、BMSは、取得した動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定し、ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。任意選択的に、該放電波形は、方形波、台形波、正弦波又は三角波のうちのいずれか一つ又は複数を含むが、これらに限らない。
【0076】
任意選択的に、放電パラメータは、放電電圧などのほかの放電パラメータをさらに含んでもよく、それによって充電過程における放電をさらに最適化し且つ正確に制御する。本出願の実施例では、ほかの放電パラメータのタイプに対して具体的に限定しない。
【0077】
そのため、本出願の実施例では、動力電池の状態パラメータに変化が発生し、即ち動力電池のSOC、SOH及び温度のうちの少なくとも一つに変化が発生すれば、動力電池の充電過程における放電SOC間隔値と放電パラメータも、それに伴って変化する。放電制御は、状態パラメータの変化を考慮し、動力電池の安全性能の向上と動力電池の充電性能とを両立させる。
【0078】
本出願の実施例のステップ230について、動力電池の充電過程において、動力電池のSOCは、リアルタイムに変化し、SOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。例として、SOC間隔値がX%である場合、動力電池のSOCがX%変化したことを検出したとき、BMSは、動力電池をある放電パラメータで放電するように制御し、ここで、Xは、100よりも小さい正数である。
【0079】
いくつかの具体的な実現形態では、BMSは、動力電池の現在のSOCを取得した後、該SOCがターゲットSOC値であるか否かを判断する。該ターゲットSOC値は、SOC間隔値に基づいて確定されたSOC値であり、例えば、SOC間隔値が5%である場合、ターゲットSOC値は、5%、10%、15%……などであってもよい。BMSは、動力電池の現在のSOCがターゲットSOC値であると判断するとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。逆に、BMSは、動力電池の現在のSOCがターゲットSOC値ではないと判断するとき、引き続いて動力電池のSOCを検出する。
【0080】
さらに、本出願の実施例では、BMSが動力電池を放電パラメータで放電するように制御する過程は、動力電池に放電波形、放電電流及び放電時間を有する少なくとも一つの負パルスを与えることとして理解されてもよく、ここで、該負パルスの波形は、方形波、台形波、正弦波又は三角波のうちのいずれか一つ又は複数を含むが、これらに限らない。
【0081】
任意選択的に、本出願の実施例では、動力電池の放電対象は、動力電池のある電力消費装置であってもよく、又は、動力電池に対して充電を行う充電装置であってもよく、又は、電力消費装置と充電装置以外のほかの外部装置であってもよく、本出願の実施例では、該動力電池の放電対象に対して具体的に限定しない。
【0082】
任意選択的に、動力電池の充電過程全体において、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するたびに、BMSは、動力電池を放電パラメータで放電するように制御してもよい。換言すれば、充電過程全体において、BMSは、動力電池SOCの変化に基づいて、動力電池に対する放電制御を持続してもよい。
【0083】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の状態パラメータによってほかのタイプの間隔値ではなくSOC間隔値を確定することで、動力電池の現在の状態パラメータについて放電制御をよりよく行い、電池の安全性能と充電性能をさらに向上させることができる。
【0084】
図3は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法300の概略的フローブロック図を示す。
【0085】
本出願の実施例では、動力電池の状態パラメータは、SOCを含んでもよく、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含む。
【0086】
図3に示すように、動力電池充電の方法300は、以下のステップを含んでもよい。
【0087】
310、動力電池の充電過程において、動力電池のSOCを取得する。
【0088】
321、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定する。
【0089】
331、動力電池のSOCが第1のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第1の放電パラメータで放電するように制御する。
【0090】
322、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定する。
【0091】
332、動力電池のSOCが第2のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第2の放電パラメータで放電するように制御する。
【0092】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ310の関連技術案は、以上の
図2におけるステップ210の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0093】
また、本出願の実施例におけるステップ321とステップ322は、以上の
図2におけるステップ220の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。それに対応して、本出願の実施例におけるステップ331とステップ332は、以上の
図2におけるステップ230の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0094】
ステップ321とステップ322について、本出願の実施例では、動力電池のSOCを第1の予め設定される閾値と比較してもよく、それによって異なる第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値、及び異なる第1の放電パラメータと第2の放電パラメータを確定する。ここで、第1のSOC間隔値は、第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第1の放電パラメータは、第2の放電パラメータよりも小さい。
【0095】
具体的に、第1の放電パラメータは、第1の放電電流と第1の放電時間を含み、第2の放電パラメータは、第2の放電電流と第2の放電時間を含み、本出願の実施例では、第1の放電電流は、第2の放電電流よりも小さく、及び/又は、第1の放電時間は、第2の放電時間よりも小さい。
【0096】
本出願の実施例では、動力電池のSOCが大きい(即ち予め設定されるSOC閾値以上である)場合、動力電池の現在の残容量が高く、動力電池の負極電位が低いことを示し、それは、リチウム析出現象が発生しやすく、且つこのときの動力電池の放電能力が高い。それに対応して、動力電池のSOCが小さい(即ち予め設定されるSOC閾値以下である)場合、動力電池の現在の残容量が低く、動力電池の負極電位が相対的に高いことを示し、負極電位が低い場合に比べて、それは、リチウム析出現象が発生しにくく、且つこのときの動力電池の放電能力が低い。
【0097】
そのため、動力電池のSOCが大きいとき、即ちリチウム析出リスクが高い場合、動力電池の放電頻度を高め、間隔が小さいSOC間隔値(例えば第2のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御し、リチウム析出現象の発生を防止し、電池の安全性能を確保する。及び/又は、動力電池の放電能力が高い場合、動力電池の放電パラメータを大きくし、大きい放電時間及び/又は放電電流(例えば第2の放電電流及び/又は第2の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、それによって動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0098】
それに対応して、動力電池のSOCが小さいとき、リチウム析出リスクが低い場合、動力電池の放電頻度を下げ、間隔が大きいSOC間隔値(例えば第1のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御しても、リチウム析出現象の発生を防止することができ、動力電池の安全性能を確保すると同時に、動力電池の充電速度を相対的に向上させることができる。及び/又は、動力電池の放電能力が低い場合、動力電池の放電パラメータを低下させ、小さい放電時間及び/又は放電電流(例えば第1の放電電流及び/又は第1の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、リチウム析出現象の発生を防止すると同時に、低SOCの動力電池における不足電圧リスクの発生を防止し、動力電池の安全性能をさらに向上させることができる。
【0099】
以上をまとめると、本出願の実施例では、一つの予め設定されるSOC閾値を設定することによって、動力電池のSOCを二つの区間に分け、動力電池のSOCが該予め設定されるSOC閾値以上であれば、動力電池の残量は高く、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第1のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第1の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、動力電池の残量は低く、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第2のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第2の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池のSOCに基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の残量が高いとき、リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を十分に確保した上で、動力電池の充電速度を相対的に向上させ、動力電池の残量が低いとき、リチウム析出現象を防止し、不足電圧のリスクを低減させ、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0100】
任意選択的に、上記予め設定されるSOC閾値は、動力電池の残容量の高低を評価することで、リチウム析出現象発生のリスクを推測するために用いられてもよく、該予め設定されるSOC閾値は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定されてもよく、本出願の実施例では、該予め設定されるSOC閾値に対して具体的に限定しない。
【0101】
任意選択的に、該予め設定されるSOC閾値のほかに、上記SOC間隔値(第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値を含む)と放電パラメータ(第1の放電パラメータと第2の放電パラメータを含む)は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定された、予め設定される値であってもよく、本出願の実施例では、該SOC間隔値と放電パラメータの具体的な値に対して限定しない。
【0102】
いくつかの可能な実施形態では、SOC間隔値の範囲は、3%~95%の間にあってもよい。動力電池の性能への要求が厳しいいくつかのシーンでは、例えば動力電池が低温又は超低温の環境で運行する場合、上記第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値は、いずれも相対的に高く設定されてもよく、それによって動力電池の低温又は超低温環境におけるリチウム析出の発生を回避する。無論、ほかの異なる応用シーン及び異なる電池タイプである場合、上記第1のSOC間隔値と第2のSOC間隔値の値は、3%~95%の間のほかの特定の値を採用してもよい。
【0103】
いくつかの可能な実施形態では、放電パラメータにおける放電電流(第1の放電電流と第2の放電電流を含む)の範囲は、1A~5Aの間にあってもよい。具体的に、放電電流は、1A以上であり、且つ放電電流の放電レートは、5A以下である。これに類似し、異なる電池タイプと異なる応用シーンに対して、本出願の実施例における放電電流は、実際の状況に応じて設定されてもよい。
【0104】
いくつかの可能な実施形態では、放電パラメータにおける放電時間(第1の放電時間と第2の放電時間を含む)の範囲は、1s~60sの間にあってもよく、それによって、動力電池の全体的な充電時間長に大きな影響を与えることなく動力電池の放電を効果的に制御することができる。
【0105】
以上の
図3に示す出願実施例では、予め設定されるSOC閾値が一つのみ設定され、動力電池のSOCが二つの区間に分けられ、それによって二つの異なるSOC間隔値及び放電パラメータが対応して設定されている。これに類似し、二つ又は二つ以上の予め設定されるSOC閾値を設定して、動力電池のSOCを三つ又はより多くの区間に分けてもよく、それによってより多くの異なるSOC間隔値及び放電パラメータを対応して設定することで、異なるSOC区間における放電制御の正確性を適応的に向上させ、動力電池の安全性能と充電速度をさらに正確に両立させる。
【0106】
例として、二つの予め設定されるSOC閾値、1#予め設定されるSOC閾値A%と2#予め設定されるSOC閾値B%を設定してもよく、ここで、A%<B%である。動力電池のSOCが[0,A%)区間にあるとき、SOC間隔値は、1#SOC間隔値c1%であり、放電電流は、1#放電電流i1であり、放電時間は、1#放電時間t1である。動力電池のSOCが[A%,B%)区間にあるとき、SOC間隔値は、2#SOC間隔値c2%であり、放電電流は、2#放電電流i2であり、放電時間は、2#放電時間t2である。動力電池のSOCが[B%,100%]区間にあるとき、SOC間隔値は、3#SOC間隔値c3%であり、放電電流は、3#放電電流i3であり、放電時間は、3#放電時間t3である。ここで、c1%>c2%>c3%であり、及び/又は、i1<i2<i3であり、及び/又は、t1<t2<t3である。A%、B%、c1%、c2%、c3%、i1、i2、i3、t1、t2、t3は、いずれも正数である。
【0107】
任意選択的に、上記複数のSOC間隔値(1#SOC間隔値、2#SOC間隔値と3#SOC間隔値を含む)の範囲は、同様に3%~95%の間にあってもよい。上記複数の放電電流(1#放電電流、2#放電電流と3#放電電流を含む)の範囲は、同様に1A~5Aの間にあってもよい。上記複数の放電時間(1#放電時間、2#放電時間と3#放電時間を含む)の範囲は、同様に1s~60sの間にあってもよい。
【0108】
図4は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法400の概略的フローブロック図を示す。
【0109】
本出願の実施例では、動力電池の状態パラメータは、SOHを含み、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含む。
【0110】
図4に示すように、動力電池充電の方法400は、以下のステップを含んでもよい。
【0111】
410、動力電池の充電過程において、動力電池のSOHを取得する。
【0112】
421、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定する。
【0113】
431、動力電池のSOCが第3のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第3の放電パラメータで放電するように制御する。
【0114】
422、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定する。
【0115】
432、動力電池のSOCが第4のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第4の放電パラメータで放電するように制御する。
【0116】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ410の関連技術案は、以上の
図2におけるステップ210の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0117】
また、本出願の実施例におけるステップ421とステップ422は、以上の
図2におけるステップ220の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。それに対応して、本出願の実施例におけるステップ431とステップ432は、以上の
図2におけるステップ230の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0118】
ステップ421とステップ422について、本出願の実施例では、動力電池のSOHを予め設定されるSOH閾値と比較してもよく、それによって異なる第3のSOC間隔値と第4のSOC間隔値、及び異なる第3の放電パラメータと第4の放電パラメータを確定する。ここで、第3のSOC間隔値は、第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第3の放電パラメータは、第4の放電パラメータよりも大きい。
【0119】
具体的に、第3の放電パラメータは、第3の放電電流と第3の放電時間を含み、第4の放電パラメータは、第4の放電電流と第4の放電時間を含み、本出願の実施例では、第3の放電電流は、第4の放電電流よりも大きく、及び/又は、第3の放電時間は、第4の放電時間よりも大きい。
【0120】
具体的に、動力電池が健康状況に優れ、SOHが大きい(例えば予め設定されるSOH閾値以上である)とき、動力電池にリチウム析出現象が発生するリスクは低く、且つこのときの動力電池の放電能力が高い。それに対応して、動力電池の健康状況が不良で、SOHが小さい(例えば予め設定されるSOH閾値よりも小さい)とき、それは、リチウム析出現象が発生しやすく、且つこのときの動力電池の放電能力が低い。
【0121】
そのため、動力電池のSOHが大きいとき、リチウム析出リスクが低い場合、動力電池の放電頻度を下げ、間隔が大きいSOC間隔値(例えば第3のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御して、動力電池にリチウム析出が発生しないことを確保し、且つ充電速度を相対的に向上させることができる。及び/又は、動力電池の放電能力が高い場合、動力電池の放電パラメータを大きくし、大きい放電時間及び/又は放電電流(例えば第3の放電電流及び/又は第3の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、それによってリチウム析出現象の発生をさらに防止し、電池の安全性能を確保する。
【0122】
それに対応して、動力電池のSOHが小さいとき、リチウム析出リスクが高い場合、動力電池の放電頻度を高め、間隔が小さいSOC間隔値(例えば第4のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御することができ、それによって動力電池リチウム析出現象の発生を防止し、動力電池の安全性能を確保する。及び/又は、動力電池の放電能力が低い場合、動力電池の放電パラメータを低下させ、小さい放電時間及び/又は放電電流(例えば第4の放電電流及び/又は第4の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、リチウム析出現象発生のリスクを低減させ、動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0123】
以上をまとめると、本出願の実施例では、一つの予め設定されるSOH閾値を設定することによって、動力電池のSOHを二つの区間に分け、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、動力電池の健康状況は良好で、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第3のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第3の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、動力電池の健康状況は不良で、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第4のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第4の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池のSOHに基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の健康状況が良好であるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、且つ動力電池の充電速度及び充電性能を相対的に向上させることができ、動力電池の健康状況が不良であるとき、リチウム析出現象発生のリスクを防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0124】
任意選択的に、本出願実施例では、予め設定されるSOH閾値は、動力電池の健康状況の良否を評価するために用いられてもよく、該予め設定されるSOH閾値は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定されてもよく、本出願の実施例では、該予め設定されるSOH閾値に対して具体的に限定しない。
【0125】
いくつかの可能な実施形態では、該予め設定されるSOH閾値の範囲は、80%~99%の間にあってもよく、このように該予め設定されるSOH閾値によって動力電池の健康状況をよく判断し、動力電池の安全性能と充電性能を確保して、それらのバランスを取ることができる。
【0126】
また、本出願の実施例におけるSOC間隔値(以上の実施例における第3のSOC間隔値と第4のSOC間隔値を含む)と放電パラメータ(第3の放電パラメータと第4の放電パラメータを含む)は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定された、予め設定される値であってもよく、本出願の実施例では、該SOC間隔値に対して具体的に限定しない。
【0127】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%の間にあってもよい。
【0128】
いくつかの可能な実施形態では、放電パラメータにおける放電電流(第3の放電電流と第4の放電電流を含む)の範囲は、1A~5Aの間にあってもよい。放電パラメータにおける放電時間(第3の放電時間と第4の放電時間を含む)の範囲は、1s~60sの間にあってもよい。
【0129】
以上の
図4に示す出願実施例では、予め設定されるSOH閾値が一つのみ設定され、動力電池のSOHが二つの区間に分けられ、それによって二つの異なるSOC間隔値及び放電パラメータが対応して設定されている。これに類似し、二つ又は二つ以上の予め設定されるSOH閾値を設定して、動力電池のSOHを三つ又はより多くの区間に分けてもよく、それによってより多くの異なるSOC間隔値及び放電パラメータを対応して設定することで、異なるSOH区間における放電制御の正確性を適応的に向上させ、動力電池の安全性能と充電速度をさらに正確に両立させる。
【0130】
例として、二つの予め設定されるSOH閾値、1#予め設定されるSOH閾値C%と2#予め設定されるSOH閾値D%を設定してもよく、ここで、C%<D%である。動力電池のSOHが[0,C%)区間にあるとき、SOC間隔値は、4#SOC間隔値c4%であり、放電電流は、4#放電電流i4であり、放電時間は、4#放電時間t4である。動力電池のSOHが[C%,D%)区間にあるとき、SOC間隔値は、5#SOC間隔値c5%であり、放電電流は、5#放電電流i5であり、放電時間は、5#放電時間t5である。動力電池のSOHが[D%,100%]区間にあるとき、SOC間隔値は、6#SOC間隔値c6%であり、放電電流は、6#放電電流i6であり、放電時間は、6#放電時間t6である。ここで、c4%<c5%<c6%であり、及び/又は、i4<i5<i6であり、及び/又は、t4<t5<t6である。ここで、C%、D%、c4%、c5%、c6%、i4、i5、i6、t4、t5、t6は、いずれも正数である。
【0131】
任意選択的に、上記複数のSOC間隔値(4#SOC間隔値、5#SOC間隔値と6#SOC間隔値を含む)の範囲は、同様に3%~95%の間にあってもよい。上記複数の放電電流(4#放電電流、5#放電電流と6#放電電流を含む)の範囲は、同様に1A~5Aの間にあってもよい。上記複数の放電時間(4#放電時間、5#放電時間と6#放電時間を含む)の範囲は、同様に1s~60sの間にあってもよい。
【0132】
図5は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法500の概略的フローブロック図を示す。
【0133】
本出願の実施例では、動力電池の状態パラメータは、温度を含んでもよく、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含む。
【0134】
図5に示すように、動力電池充電の方法500は、以下のステップを含んでもよい。
【0135】
510、動力電池の充電過程において、動力電池の温度を取得する。
【0136】
521、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定する。
【0137】
531、動力電池のSOCが第5のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第5の放電パラメータで放電するように制御する。
【0138】
522、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定する。
【0139】
532、動力電池のSOCが第6のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第6の放電パラメータで放電するように制御する。
【0140】
523、動力電池の温度が第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定する。
【0141】
533、動力電池のSOCが第7のSOC間隔値変化するとき、動力電池を第7の放電パラメータで放電するように制御する。
【0142】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ510の関連技術案は、以上の
図2におけるステップ210の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0143】
また、本出願の実施例におけるステップ521、ステップ522とステップ523は、以上の
図2におけるステップ220の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。それに対応して、本出願の実施例におけるステップ531、ステップ532とステップ533は、以上の
図2におけるステップ230の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0144】
ステップ521とステップ522について、本出願の実施例では、動力電池の温度を予め設定される温度閾値と比較してもよく、それによって異なる第5のSOC間隔値、第6のSOC間隔値と第7のSOC間隔値、及び異なる第5の放電パラメータ、第6の放電パラメータと第7の放電パラメータを確定する。ここで、第6のSOC間隔値は、第5のSOC間隔値と第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第6の放電パラメータは、第5の放電パラメータと第7の放電パラメータよりも大きい。
【0145】
具体的に、第5の放電パラメータは、第5の放電電流と第5の放電時間を含み、第6の放電パラメータは、第6の放電電流と第6の放電時間を含み、第7の放電パラメータは、第7の放電電流と第7の放電時間を含み、本出願の実施例では、第5の放電電流は、第6の放電電流と第7の放電電流よりも大きく、及び/又は、第5の放電時間は、第6の放電時間と第7の放電時間よりも大きい。
【0146】
具体的に、動力電池のリチウム析出リスク及び放電能力は、動力電池の温度と関係があり、動力電池の温度が適宜な温度区間にあるとき、動力電池にリチウム析出が発生するリスクは低く、且つ放電能力は高い。適宜な温度区間以外に、動力電池のリチウム析出リスクが高くなり、且つ放電能力が低い。
【0147】
そのため、動力電池の温度が適宜な温度区間にある(例えば動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上である)とき、即ち動力電池のリチウム析出リスクが低い場合、動力電池の放電頻度を下げ、間隔が大きいSOC間隔値(例えば第6のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御しても、動力電池にリチウム析出が発生しないことを確保し、且つ充電速度を相対的に向上させることができる。及び/又は、動力電池の放電能力が高い場合、動力電池の放電パラメータを大きくし、大きい放電時間及び/又は放電電流(例えば第6の放電電流及び/又は第6の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、それによってリチウム析出現象の発生をさらに防止し、動力電池の安全性能を確保する。
【0148】
それに対応して、動力電池の温度が適宜な温度区間以外にある(例えば動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であり、又は第2の予め設定される温度閾値よりも小さい)とき、即ち動力電池のリチウム析出リスクが高い場合、動力電池の放電頻度を高め、間隔が小さいSOC間隔値(例えば第5のSOC間隔値又は第7のSOC間隔値)で動力電池を放電するように制御することができ、リチウム析出現象の発生を防止し、電池の安全性能を確保する。及び/又は、動力電池の放電能力が低い場合、動力電池の放電パラメータを低下させ、小さい放電時間及び/又は放電電流(例えば第5の放電電流及び/又は第5の放電時間、又は、第7の放電電流及び/又は第7の放電時間)を採用して動力電池を放電するように制御することができ、リチウム析出現象発生のリスクを防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0149】
以上をまとめると、本出願の実施例では、二つの予め設定される温度閾値を設定することによって、動力電池の温度を三つの区間、即ち動力電池の適宜温度区間と二つの不適温度区間に分ける。動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、即ち動力電池の温度は適宜温度区間にあり、この場合、動力電池のリチウム析出リスクは低く、且つ放電能力は高く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が大きい第6のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが大きい第6の放電パラメータであることを確定する。逆に、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であり、又は第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、即ち動力電池の温度は不適温度区間にあり、この場合、動力電池のリチウム析出リスクは高く、且つ放電能力は低く、動力電池放電に対応するSOC間隔値が小さい第5のSOC間隔値又は第7のSOC間隔値であることを確定し、及び/又は、動力電池放電に対応する放電パラメータが小さい第5の放電パラメータ又は第7の放電パラメータであることを確定する。該技術案により、動力電池の温度に基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを容易に確定することができ、動力電池の温度が適宜温度区間にあるとき、動力電池の安全性能を十分に確保し、且つ充電速度と充電性能を相対的に向上させることができ、動力電池の温度が不適温度区間にあるとき、リチウム析出現象発生のリスクを防止し、動力電池の安全性能を十分に確保することができる。
【0150】
任意選択的に、本出願の実施例では、第1の予め設定される温度閾値と第2の予め設定される温度閾値は、動力電池が適宜温度区間にあるか否かを評価するために用いられてもよく、第1の予め設定される温度閾値と第2の予め設定される温度閾値は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定されてもよく、本出願の実施例では、該第1の予め設定される温度閾値と第2の予め設定される温度閾値に対して具体的に限定しない。
【0151】
いくつかの可能な実施形態では、該第1の予め設定される温度閾値の範囲は、45℃~55℃であってもよく、該第2の予め設定される温度閾値の範囲は、15℃~25℃であってもよく、このように該第1の予め設定される温度閾値と第2の予め設定される温度閾値によって動力電池の温度状況をよく判断し、動力電池の安全性能と充電性能を確保して、それらのバランスを取ることができる。
【0152】
また、本出願の実施例におけるSOC間隔値(以上の実施例における第5のSOC間隔値~第7のSOC間隔値を含む)と放電パラメータ(第5の放電パラメータ~第7の放電パラメータを含む)は、動力電池のタイプ、応用シーン、実際の需要などに基づいて設定された、予め設定される値であってもよく、本出願の実施例では、該SOC間隔値に対して具体的に限定しない。
【0153】
いくつかの可能な実施形態では、該SOC間隔値の範囲は、3%~95%の間にあってもよい。
【0154】
いくつかの可能な実施形態では、放電パラメータにおける放電電流(第5の放電電流~第7の放電電流を含む)の範囲は、1A~5Aの間にあってもよい。放電パラメータにおける放電時間(第5の放電時間~第7の放電時間を含む)の範囲は、1s~60sの間にあってもよい。
【0155】
以上の
図5に示す出願実施例では、予め設定される温度閾値が二つのみ設定され、動力電池の温度が
三つの区間に分けられ、それによって異なるSOC間隔値及び放電パラメータが対応して設定されている。これに類似し、三つ又は三つ以上の予め設定される温度閾値を設定して、動力電池の温度をより多くの区間に分けてもよく、それによってより多くの異なるSOC間隔値及び放電パラメータを対応して設定することで、異なる温度区間における放電制御の正確性を適応的に向上させ、動力電池の安全性能と充電速度をさらに正確に両立させる。
【0156】
理解できるように、以上の
図3~
図5に示す実施例では、動力電池の状態パラメータは、単一のタイプの状態パラメータのみを含む。ほかの実施例では、動力電池の状態パラメータは、複数のタイプの状態パラメータを含んでもよく、該複数のタイプの状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよい。
【0157】
図6は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法600の概略的フローブロック図を示す。
【0158】
図6に示すように、動力電池充電の方法600は、以下のステップを含んでもよい。
【0159】
610、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。
【0160】
620、動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。
【0161】
630、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0162】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ610とステップ630の関連技術案は、以上の
図2におけるステップ210とステップ230の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0163】
また、本出願の実施例におけるステップ620は、以上の
図2におけるステップ220の相対的に具体的な実施形態とされてもよい。
【0164】
具体的に、ステップ620において、動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよく、ここで、該予め設定されるマッピング関係は、マッピング表、マッピング図又はマッピング公式などを含むが、これらに限らない。
【0165】
任意選択的に、予め設定されるマッピング関係は、動力電池の状態パラメータ区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、例えば、動力電池のSOC区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOH区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池の温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係などを含んでもよい。
【0166】
例として、以下の表1は、動力電池のSOC区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング表を示す。
【表1】
【0167】
任意選択的に、該マッピング表において、c1%>c2%>c3%であり、及び/又は、i1<i2<i3であり、及び/又は、t1<t2<t3である。ここで、A%<B%であり、A%、B%、c1%、c2%、c3%、i1、i2、i3、t1、t2、t3は、いずれも正数である。
【0168】
該マッピング表から分かるように、上記
図3に示す実施例では、本出願の実施例における予め設定されるマッピング表、及び動力電池現在SOCのあるSOC区間に基づいて、SOC間隔値及び放電電流、放電時間などの放電パラメータを確定してもよい。
【0169】
理解できるように、上記表1に示すマッピング表は、限定するためのものではなく例であり、該マッピング表におけるSOC区間の個数及び区間の範囲は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0170】
これに類似し、上記
図4と
図5に示す実施例では、予め設定されるマッピング関係及び動力電池現在SOHのあるSOH区間、又は、予め設定されるマッピング関係及び動力電池現在温度のある温度区間に基づいて、SOC間隔値及び放電電流、放電時間などの放電パラメータを確定してもよい。
【0171】
無論、上記単一のタイプの状態パラメータ区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係のほかに、予め設定されるマッピング関係は、動力電池の複数のタイプの状態パラメータ区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、例えば、動力電池のSOC区間、SOH区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOC区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOH区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOC区間、SOH区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係などをさらに含んでもよい。
【0172】
例として、以下の表2は、動力電池のSOC区間、SOH区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング表を示す。
【表2】
【0173】
任意選択的に、該マッピング表において、同一のSOH区間では、異なるSOC区間に対応するSOC間隔値、放電電流と放電時間の間の相互関係は、以上の
図3に示す実施例における関連記述を参照してもよく、即ちc
11%>c
12%>c
13%であり、c
21%>c
22%>c
23%であり、及び/又は、i
11<i
12<i
13であり、i
21<i
22<i
23であり、及び/又は、t
11<t
12<t
13であり、t
21<t
22<t
23であることを満たす。
【0174】
任意選択的に、該マッピング表において、同一のSOC区間では、異なるSOH区間に対応するSOC間隔値、放電電流と放電時間の間の相互関係は、以上の
図4に示す実施例における関連記述を参照してもよく、即ちc
21%>c
11%であり、c
22%>c
21%であり、c
23%>c
13%であり、及び/又は、i
21>i
11であり、i
22>i
12であり、i
23>i
13であり、及び/又は、t
21>t
11であり、t
22>t
12であり、t
23>t
13であることを満たす。
【0175】
ここで、A%<B%、A%、B%、C%、c11%、c12%、c13%、c21%、c22%、c23%、i11、i12、i13、i21、i22、i23、t11、t12、t13、t21、t22、t23は、いずれも正数である。
【0176】
上記マッピング表により、動力電池の現在のSOHとSOCを取得した後、該SOHとSOCのある区間に基づいて、動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよい。
【0177】
理解できるように、上記表2に示すマッピング表は、限定するためのものではなく例であり、該マッピング表におけるSOC区間、SOH区間の個数及び区間の範囲は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。
【0178】
また、動力電池のSOC区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、動力電池のSOH区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係、並びに動力電池のSOC区間、SOH区間、温度区間とSOC間隔値及び放電パラメータとの予め設定されるマッピング関係について、いずれも上記表2に示すマッピング表と類似するものであってもよく、マッピング表における具体的な値の設定は、以上の
図3~
図5に示す実施例の関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0179】
上記マッピング表のほかに、本出願の実施例における予め設定されるマッピング関係は、さらにマッピング公式、マッピング図又はニューラルネットワークモデルなどであってもよく、本出願の実施例では、該予め設定されるマッピング関係の具体的な形式に対して具体的に限定しない。具体的に、該予め設定されるマッピング関係は、大量の実験データをフィッティングして得られるマッピング関係であってもよく、高い信頼性と正確性を有することによって、動力電池の安全性能と充電性能を確保する。
【0180】
本出願の実施例の技術案により、動力電池の複数のタイプの状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて、該動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定してもよく、それによって動力電池の安全性能と充電性能を総合的に向上させる。
【0181】
図7は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法700の概略的フローブロック図を示す。
【0182】
図7に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法700は、以下のステップを含んでもよい。
【0183】
710、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。ここで、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0184】
720、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0185】
730、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、充電需要情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロである。
【0186】
740、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0187】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ710とステップ720の関連技術案は、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0188】
ステップ730において、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、まず充電需要情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値がゼロであるため、該充電需要情報は、動力電池の充電を停止するように制御するために用いられてもよい。
【0189】
いくつかの可能な実施形態では、充電装置、例えば充電器は、動力電池に対して充電を行うために用いられ、充電過程において、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、BMSは、まず充電器に電流需要値がゼロである充電需要情報を送信し、充電器は、該充電需要情報に基づいて動力電池への充電を停止する。
【0190】
任意選択的に、該充電需要情報は、通信メッセージであってもよく、該通信メッセージは、BMSと充電器の間で関連通信プロトコルを満たす通信メッセージを含むが、これらに限らず、例として、該充電需要情報は、電池充電需要メッセージBCLであってもよい。
【0191】
動力電池に対する充電の過程において、直接的に動力電池を放電するように制御すると、動力電池に損傷を与え、動力電池の寿命に影響を与えるだけでなく、さらに安全上のリスクをもたらし、動力電池の安全性に影響を与える。本出願の実施例の技術案により、BMSが充電需要情報を送信し、該充電需要情報により動力電池の充電を停止するように制御してから、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性を向上させることができる。
【0192】
BMSが上記充電需要情報を送信した後、動力電池の電流は、ゆっくりと変化し、且つ徐々にゼロに低下するまでに一定の時間を要するため、動力電池の充放電過程の安全性をさらに向上させるように、上記ステップ730の前に、本出願の実施例の方法700は、動力電池の電流を取得することをさらに含んでもよく、その上で、ステップ740は、動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御することを含んでもよい。
【0193】
本出願の実施例の技術案により、動力電池を放電するように制御する前に、BMSは、まず動力電池の電流を取得し、動力電池の電流が小さく、例えば予め設定される電流閾値以下であるときに、このとき、動力電池の放電に対する影響が小さく、BMSは、動力電池を放電するように制御し、動力電池の寿命と性能を確保し、動力電池の充放電過程の安全性をさらに向上させることができる。
【0194】
任意選択的に、上記予め設定される電流閾値は、実際の需要に応じて設定されてもよく、本出願の実施例では、これに対して具体的に限定しない。例として、該予め設定される電流閾値の範囲は、50A以下であってもよい。
【0195】
図8は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法800の概略的フローブロック図を示す。
【0196】
図8に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法800は、以下のステップを含んでもよい。
【0197】
810、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。ここで、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0198】
820、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0199】
830、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、充電需要情報を送信し、該充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロである。
【0200】
840、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0201】
850、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御する。
【0202】
860、動力電池を充電するように制御する。
【0203】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ810~ステップ840の関連技術案は、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0204】
また、BMSが動力電池を放電するように制御した後、動力電池の放電時間と充電需要情報の送信済み時間に基づいて放電を停止するかどうかを確定する。具体的に、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御し、又は、充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御する。任意選択的に、BMSは、動力電池を放電するように制御するとき、動力電池の放電時間に対して計時を行って、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であるか否かを判断する。また、BMSは、運ばれる電流需要値がゼロである充電需要情報を送信した後に、該充電需要情報の送信済み時間に対して計時を行って、該充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるか否かを判断してもよい。
【0205】
ここで、第1の予め設定される時間閾値は、ステップ820において動力電池の状態パラメータに基づいて確定される、動力電池放電に対応する放電時間であってもよい。
【0206】
動力電池の充電過程において、動力電池に対して充電を行う充電装置、例えば充電器は、BMSにより送信される充電需要情報を定期的又は不定期的に受信してもよく、充電需要情報が正常に送信される場合、充電装置と動力電池との間を正常な通信状態に保つことができ、充電装置が一定時間内にBMSにより送信される充電需要情報を受信していなければ、充電装置と動力電池との通信接続の切断を引き起こす可能性がある。そのため、本出願の実施例では、第1の予め設定される時間閾値を設定して動力電池の放電時間を制御することに加えて、さらに第2の時間閾値を設定して充電需要情報の送信済み時間と比較し、充電需要情報の送信済み時間が長すぎて動力電池の正常な充電過程に影響を与えることを防止し、それにより動力電池の充電効率を向上させる。
【0207】
任意選択的に、
図8に示すように、本出願の実施例の方法800は、動力電池を充電するように制御するステップ860をさらに含む。即ちBMSが動力電池の放電を停止するように制御した後に、改めて動力電池を充電するように制御する。
【0208】
いくつかの実施形態では、BMSは、充電装置、例えば充電器に、新しい充電需要メッセージを送信してもよく、該充電需要メッセージにおいて運ばれる電流需要値は、ゼロではなく、動力電池のパラメータに基づいて確定される電流需要値であってもよく、それによって充電装置は、該電流需要値に基づいて動力電池に対して充電を行うことができる。
【0209】
ステップ860を経て、上記ステップ810~ステップ850を改めて実行してもよく、それによってBMSによる動力電池の持続充放電への制御過程を実現する。
【0210】
図9は、本出願の実施例による別の動力電池充電の方法900の概略的フローブロック図を示す。
【0211】
図9に示すように、本出願の実施例では、動力電池充電の方法900は、以下のステップを含んでもよい。
【0212】
910、動力電池の運行状態を取得する。
【0213】
920、動力電池の充電過程において、動力電池の状態パラメータを取得する。ここで、該状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0214】
930、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定する。ここで、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含む。
【0215】
940、動力電池のSOCがSOC間隔値変化するとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0216】
950、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御する。
【0217】
具体的に、本出願の実施例では、ステップ920~ステップ940の関連技術案は、以上の実施例における関連記述を参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0218】
また、ステップ920の前に、BMSは、まず動力電池の運行状態を取得してもよく、動力電池が充電状態にあるとき、ステップ920を実行し、即ち動力電池の充電過程において、動力電池のSOCを取得し、且つステップ930~ステップ940を実行する。
【0219】
ステップ950について、動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、動力電池を放電するように制御する。具体的に、BMSは、動力電池の運行パラメータを取得することによって、動力電池の現在の運行状態を判断してもよい。ここで、動力電池と充電器の充電ガンとの接続が切れたとき、BMSは、動力電池がガン抜き状態にあり、即ち充電器が動力電池への充電を行っていないと判断する。また、BMSは、動力電池の電圧などのパラメータを取得することによって、動力電池のSOCが100%に達するとき、動力電池のSOCが満充電状態に達することを確定してもよい。
【0220】
動力電池がガン抜き状態又は満充電状態にあるとき、BMSは、動力電池を短時間放電するように制御することができ、例えば、放電時間が予め設定される時間閾値よりも小さく、及び/又は、放電電流が予め設定される電流閾値よりも小さい放電を実行する。それによって、動力電池の後続の充電過程において、充電装置と動力電池との接続を確立した後、動力電池に対して直接的に充電することで動力電池のリチウム析出リスクを引き起こすことを防止し、動力電池の安全性能をさらに向上させる。
【0221】
以上では
図2~
図9を結び付けて本出願による電池充電の方法の具体的な実施例を説明したが、以下は、
図10~
図11を結び付けて本出願による関連装置の具体的な実施例について説明する。理解できるように、下記各装置の実施例における関連記述は、前述の各方法実施例を参照してもよく、簡潔のために、ここでは説明を省略する。
【0222】
図10は、本出願の実施例による電池管理システムBMS
1000の概略的構造ブロック図を示す。
図10に示すように、該BMS 1000は、取得モジュール1010と、制御モジュール1020とを含む。
【0223】
具体的に、取得モジュール1010は、動力電池の充電過程において動力電池の状態パラメータを取得するために用いられ、ここで、状態パラメータは、荷電状態SOCと健康状態SOHと温度とのうちの少なくとも一つのパラメータを含み、制御モジュール1020は、動力電池の状態パラメータに基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するために用いられ、放電パラメータは、放電時間と放電電流と放電波形とのうちの少なくとも一つのパラメータを含み、且つ動力電池のSOCがSOC間隔値変化するたびに、動力電池を放電パラメータで放電するように制御する。
【0224】
いくつかの可能な実施形態では、状態パラメータは、SOCを含み、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、制御モジュール1020は、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第1のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第1の放電パラメータであることを確定し、動力電池のSOCが予め設定されるSOC閾値以上であれば、SOC間隔値が第2のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第2の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、第1のSOC間隔値は、第2のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第1の放電パラメータは、第2の放電パラメータよりも小さい。
【0225】
いくつかの可能な実施形態では、状態パラメータは、SOHを含み、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、制御モジュール1020は、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値以上であれば、SOC間隔値が第3のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第3の放電パラメータであることを確定し、動力電池のSOHが予め設定されるSOH閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第4のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第4の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、第3のSOC間隔値は、第4のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第3の放電パラメータは、第4の放電パラメータよりも大きい。
【0226】
いくつかの可能な実施形態では、状態パラメータは、温度を含み、放電パラメータは、放電時間及び/又は放電電流を含み、制御モジュール1020は、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値以上であれば、SOC間隔値が第5のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第5の放電パラメータであることを確定し、動力電池の温度が第1の予め設定される温度閾値よりも小さく且つ第2の予め設定される温度閾値以上であれば、SOC間隔値が第6のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第6の放電パラメータであることを確定し、動力電池の温度が第2の予め設定される温度閾値よりも小さければ、SOC間隔値が第7のSOC間隔値であり、且つ放電パラメータが第7の放電パラメータであることを確定するために用いられ、ここで、第6のSOC間隔値は、第5のSOC間隔値と第7のSOC間隔値よりも大きく、及び/又は、第6の放電パラメータは、第5の放電パラメータと第7の放電パラメータよりも大きい。
【0227】
いくつかの可能な実施形態では、制御モジュール1020は、動力電池の状態パラメータと予め設定されるマッピング関係に基づいて動力電池放電に対応するSOC間隔値と放電パラメータを確定するために用いられる。
【0228】
いくつかの可能な実施形態では、放電電流の範囲は、1A~5Aであり、放電時間の範囲は、1s~60sである。
【0229】
いくつかの可能な実施形態では、SOC間隔値の範囲は、3%~95%である。
【0230】
いくつかの可能な実施形態では、
図10に示すように、BMS 1000は、充電需要情報を送信するための送信モジュール1030をさらに含んでもよく、充電需要情報において運ばれる電流需要値は、ゼロであり、充電需要情報は、動力電池の充電を停止するように制御するためのものである。
【0231】
いくつかの可能な実施形態では、取得モジュール1010は、さらに、動力電池の電流を取得するために用いられ、制御モジュール1020は、動力電池の電流が予め設定される電流閾値以下であるとき、動力電池を放電パラメータで放電するように制御するために用いられる。
【0232】
いくつかの可能な実施形態では、制御モジュール1020は、さらに、動力電池の放電時間が第1の予め設定される時間閾値以上であり、又は充電需要情報の送信済み時間が第2の予め設定される時間閾値以上であるとき、動力電池の放電を停止するように制御するために用いられる。
【0233】
図11は、本出願の別の実施例によるBMS 1100の概略的構造ブロック図を示す。
図11に示すように、BMS 1100は、メモリ1110とプロセッサ1120とを含み、ここで、メモリ1110は、コンピュータプログラムを記憶するためのものであり、プロセッサ1120は、該コンピュータプログラムを読み取り、且つ該コンピュータプログラムに基づいて前述の本出願の各実施例の方法を実行するためのものである。
【0234】
なお、本出願の実施例は、コンピュータプログラムを記憶するための読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータプログラムは、前述の本出願の各実施例の方法を実行するためのものである。任意選択的に、該コンピュータプログラムは、上記BMSにおけるコンピュータプログラムであってもよい。
【0235】
理解すべきこととして、本明細書における具体的な例は、本出願の実施例を当業者によりよく理解させるためのものにすぎず、本出願の実施例の範囲を限定するものではない。
【0236】
さらに理解すべきこととして、本出願の各実施例において、各プロセスの番号の大きさは、実行順番の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順番は、その機能と内在論理によって確定されるべきであり、本出願の実施例の実施プロセスを限定するものではない。
【0237】
さらに理解すべきこととして、本明細書に記述された各実施形態は、単独に実施されてもよく、組み合わせて実施されてもよく、本出願の実施例では、これに対して限定しない。
【0238】
好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改善を行うことができ、そのうちの部材を同等のものに置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内のすべての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0239】
100 電池システム
101 充電装置
102 電力消費装置
110 動力電池
120 電池管理システム(battery management system、BMS)
1010 取得モジュール
1020 制御モジュール
1030 送信モジュール
1110 メモリ
1120 プロセッサ
【国際調査報告】