IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

<>
  • 特表-皮膚をケアするための組成物 図1
  • 特表-皮膚をケアするための組成物 図2
  • 特表-皮膚をケアするための組成物 図3
  • 特表-皮膚をケアするための組成物 図4
  • 特表-皮膚をケアするための組成物 図5
  • 特表-皮膚をケアするための組成物 図6
  • 特表-皮膚をケアするための組成物 図7
  • 特表-皮膚をケアするための組成物 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】皮膚をケアするための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20231214BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231214BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20231214BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K8/31
A61Q5/00
A61K8/37
A61K8/92
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536527
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 CN2020136820
(87)【国際公開番号】W WO2022126428
(87)【国際公開日】2022-06-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ユアンジ・グオ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC182
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD662
4C083BB13
4C083CC02
4C083CC32
4C083DD23
4C083DD30
4C083EE12
(57)【要約】
本発明は、皮膚、特に頭皮をケアするための無水組成物であって、(i)10~28個の炭素原子を含有する少なくとも1種の直鎖状アルカンと、(ii)式R1COOR2(式中、R1は、4~40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を含有する炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)の少なくとも1種の油と、(iii)少なくとも1種のトリグリセリド型の植物油とを含む、組成物に関する。本発明はまた、皮膚、特に頭皮をケアする非治療的方法であって、該組成物を皮膚、特に頭皮に適用することを含む、方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚、特に頭皮をケアするための無水組成物であって、
(i)10~28個の炭素原子を含有する少なくとも1種の直鎖状アルカンと、
(ii)式R1COOR2(式中、R1は、4~40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を含有する炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)の少なくとも1種の油と、
(iii)少なくとも1種のトリグリセリド型の植物油と
を含む、組成物。
【請求項2】
直鎖状アルカンが、直鎖状C12~C24アルカン、好ましくは直鎖状C14~C22アルカンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
直鎖状アルカンが、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~10wt.%、好ましくは0.2wt.%~5wt.%、より好ましくは0.5wt.%~3wt.%の範囲の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
式R1COOR2の油が、C6~C24モノカルボン酸とC4~C20アルコールとのエステルから選択され、酸及びアルコールのうちの少なくとも1種が分枝状又は不飽和であり;より好ましくはC12~C20モノカルボン酸とC4~C10アルコールとのとエステルから選択され、酸及びアルコールのうちの少なくとも1種が分枝状又は不飽和である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
式R1COOR2の油が、
- C4~C10アルキルミリステート、特にミリスチン酸イソブチル、ミリスチン酸イソヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル又はミリスチン酸イソデカニル、
- C4~C10アルキルパルミテート、特にパルミチン酸イソブチル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル又はパルミチン酸イソデカニル、
- C4~C10アルキルイソステアレート、特にイソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸イソヘキシル、イソステアリン酸2-エチルヘキシル又はイソステアリン酸イソデカニル、及び
- これらの混合物
から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
式R1COOR2の油が、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~10wt.%、好ましくは0.2wt.%~5wt.%、より好ましくは0.5wt.%~3wt.%の範囲の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
トリグリセリド型の植物油が、ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、アルガニアスピノサ核油、ココナツ油、コーン油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油及びアボカド油から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
トリグリセリド型の植物油が、組成物の総質量に対して、1wt.%~30wt.%、好ましくは3wt.%~20wt.%、より好ましくは8wt.%~15wt.%の範囲の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
半結晶性又は結晶性親油性増粘剤を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
親油性増粘剤が、C8~C30アルキル(メタ)アクリレート又はC8~C30アルキル(メタ)のホモポリマー、C8~C30アルキル(メタ)アクリレート又はC8~C30アルキル(メタ)と、(メタ)アクリル酸とは異なる性質の親水性モノマーとのコポリマー、例としてはN-ビニルピロリドン又はヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、並びにこれの混合物から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
親油性増粘剤が、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~10wt.%、好ましくは0.2wt.%~8wt.%、より好ましくは0.5wt.%~5wt.%の範囲の量で存在する、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物の総質量に対して、
(i)0.5wt.%~3wt.%の少なくとも1種の直鎖状C15~C19アルカンと、
(ii)0.5wt.%~3wt.%の少なくとも1種のC4~C10アルキルパルミテートと、
(iii)8wt.%~15wt.%の、ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、アルガニアスピノサ核油、ココナツ油、コーン油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油及びアボカド油から選択される少なくとも1種のトリグリセリド型の植物油と、
(iv)0.5wt.%~5wt.%の少なくとも1種のポリ(C10~C30アルキルアクリレート)と
を含む、化粧用組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
皮膚、特に頭皮をケアする非治療的方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を皮膚、特に頭皮に適用することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。詳細には、本発明は、皮膚、特に頭皮をケアするための組成物に関する。本発明はまた、皮膚、特に頭皮をケアする非治療的方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、体とその周囲環境との間の物理的バリアを構成している。皮膚は、2種の組織、表皮及び真皮から構成されている。
【0003】
真皮は、表皮に固体の支持体を付与する。真皮はまた、表皮の栄養要素でもある。真皮は、線維芽細胞及び細胞外マトリクスから主に構成され、これは、それ自体が、コラーゲン、エラスチン、及び基底物質として知られている物質から主になり、これらの成分は線維芽細胞によって合成されている。白血球、マスト細胞、或いは組織マクロファージもまた、その中に見出される。真皮はまた、血管及び神経線維も含有する。
【0004】
表皮は、平均して100μm厚さである落屑性多層上皮であり、且つ表皮の胚芽層を構成するケラチノサイトの基底層、胚芽細胞上に配置されている数層の多面細胞で構成される有棘層、異なる細胞質内封入体、ケラトヒアリン顆粒を含有する扁平な細胞から構成される顆粒層、及び最後に、角質細胞として知られる、それらの分化の最終段階におけるケラチノサイトで構成される角化層(又は角質層)として知られる上層に、従来、分けられている。これらはケラチノサイトから誘導されたミイラ化した無核細胞である。これらの角質細胞の積み重ねは、表皮のバリア機能をとりわけ左右する角化層を構成し、すなわちそれは、外部の攻撃、特に化学的、機械的又は感染性の攻撃に対するバリアを構成し、且つそれはまた、体を水の損失から防御することも可能にする。
【0005】
毛髪の外観を変えるために、染色する、脱色する、ウェーブをかける及び/又は直毛化する間に毛髪を処理するよう開発された多くの製品が存在する。
【0006】
毛髪を、染色する、脱色する、ウェーブをかける及び/又は直毛化するための製品の適用の間に、いくらかの成分は、頭皮と接触し、生表皮に向かって角質層を横切って通過することになり、これは、頭皮に不快感及び刺激を引き起こすおそれがある。
【0007】
そのため、水溶性染料及び強アルカリ性成分が生表皮に向かって角質層を横切って通過することを阻止できる、皮膚、特に頭皮をケアするための化粧用組成物を配合する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP-A-0951897
【特許文献2】米国特許第A-5156911号
【特許文献3】WO-A-01/19333
【特許文献4】米国特許第A-5736125号
【特許文献5】米国特許第A-5519063号
【特許文献6】EP-A-550745
【特許文献7】米国特許出願第2007/0031361号
【特許文献8】EP571882
【特許文献9】EP890583
【特許文献10】米国特許第5998547号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S. Nojima、論文「Melting behaviour of poly(ε-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、Macromolecules、第32巻、3727~3734頁(1999年)
【非特許文献2】B. Boutevinら、論文「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、Polymer Bulletin、第34巻、117~123頁(1995年)
【非特許文献3】P. Rangarajanら、論文「Morphology of semicrystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、Macromolecules、第26巻、4640~4645頁(1993年)、
【非特許文献4】P. Richterら、論文「Polymer aggregates with crystalline cores: the system poly(ethylene)poly(ethylene-propylene)」、Macromolecules、第30巻、1053~1068頁(1997年)
【非特許文献5】I.W.Hamley、一般論文「Crystallization in block copolymers」、Advances in Polymer Science、第148巻、113~137頁(1999年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一目的は、水溶性染料及び強アルカリ性成分が生表皮に向かって角質層を横切って通過することを阻止できる、皮膚、特に頭皮をケアするための組成物を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、毛髪上で、染色性製品及び/又は脱色性製品の、染色効果及び/又は脱色効果に悪影響を及ぼさない、皮膚、特に頭皮をケアするための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、第1の態様では、本発明は、皮膚、特に頭皮をケアするための無水組成物であって、
(i)10~28個の炭素原子を含有する少なくとも1種の直鎖状アルカンと、
(ii)式R1COOR2(式中、R1は、4~40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を含有する炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)の少なくとも1種の油と、
(iii)少なくとも1種のトリグリセリド型の植物油と
を含む、組成物に関する。
【0013】
本発明の組成物は、油ゲル又は油バームの形態にあることができる。
【0014】
第2の態様では、本発明は、皮膚、特に頭皮をケアする非治療的方法であって、本発明の第1の態様による組成物を皮膚、特に頭皮に適用することを含む、方法に関する。
【0015】
本発明による組成物が、水溶性染料及び強アルカリ性成分が生表皮に向かって角質層を横切って通過することを阻止して、頭皮が染料によって染色されることを回避できることが見出された。その一方で、本発明による組成物は、毛髪上で、染色性組成物の染色効果、又は脱色性製品の脱色効果に、負の影響を有していない。
【0016】
本発明の他の主題及び特性、態様及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」及び「実施例」を読むことで、更により明解となるであろう。
【0017】
本発明の実行は、添付された図面を参照して、例によってのみ、今や説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】染色性組成物の適用時の、角質層中の蛍光強度であり、ここで、1(図1中のピンク色部分)は水溶性蛍光染料を表し、2(図1中の青色部分)はケラチノサイト及びケラチンを表し、3(図1中の緑色部分)はコラーゲンを表す。
図2】比較配合物1の組成物及び染色性組成物の適用時の、角質層中の蛍光強度であり、該図中、1(図2中のピンク色部分)は水溶性蛍光染料を表し、2(図2中の青色部分)はケラチノサイト及びケラチンを表し、3(図2中の緑色部分)はコラーゲンを表す。
図3】本発明配合物2の組成物及び染色性組成物の適用時の、角質層中の蛍光強度であり、該図中、2(図3中の青色部分)はケラチノサイト及びケラチンを表し、3(図3中の緑色部分)はコラーゲンを表す。
図4】本発明配合物3の組成物及び染色性組成物の適用時の、角質層中の蛍光強度であり、該図中、1(図4中のピンク色部分)は水溶性蛍光染料を表し、2(図4中の青色部分)はケラチノサイト及びケラチンを表し、3(図4中の緑色部分)はコラーゲンを表す。
図5】異なる処理物のためのホルマザンの量であり、該図中、「Ngc」は元々の細胞生存能を表し、「alone」は防御なしの細胞生存能を表し、「shawarzkopf」はSchwarzkopf社製の製品の防御下にある細胞生存能を表し、N5は本発明配合物3の組成物の防御下にある細胞生存能を表し、N8は本発明配合物2の組成物の防御下にある細胞生存能を表し、N9は本発明配合物1の組成物の防御下にある細胞生存能を表す。
図6】ブタの皮膚上への染色による評価の間に撮影した写真である。
図7】毛髪見本及びモデルの頭での評価の間に撮影した写真である。
図8】毛髪見本での評価の間に撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の記載において、且つ別段の指示がない限り、値の範囲の限界値は、特に表現「・・・から・・・の間」及び「・・・から・・・までの範囲」において、この範囲内に含まれる。
【0020】
更に、本明細書において使用される表現「少なくとも1」は、表現「1又は複数」と同等である。
【0021】
本出願全体にわたって、用語「含む(comprising)」は、全ての特定的に言及される特徴部に加えて、任意選択の、追加の、不特定の特徴部を包含するものと解釈されることになる。本明細書で使用されるとき、用語「含む(comprising)」の使用はまた、特定的に言及される特徴部以外の特徴部が存在しない実施形態を開示している(すなわち「~からなる」)。
【0022】
別段の指定がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される、成分等の量を表す全ての数値は、用語「約」によって修飾されていると理解されることになる。したがって、逆のことが示されていない限り、本明細書に記載されている数値及びパラメータは、概算値であり、これらは、所望の目的に応じて、必要とされるように変化させることが可能である。
【0023】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書における用語の定義が、本発明が属する当業者によって通常理解される意味と相いれないとき、本明細書に記載されている定義が適応することになる。
【0024】
本発明における全てのパーセンテージは、別段の指定がない限り、質量パーセンテージを指す。
【0025】
本発明の目的では、用語「無水」は、本発明による組成物が、組成物の総質量に対して、2wt.%未満、及び好ましくは0.5wt.%未満の水を含有することを意味する。必要に応じて、このような少量の水は、それを残存量で含有するが意図的には付与されない、組成物の成分によりもたらされうる。詳細には、組成物中に水は存在しない。
【0026】
第1の態様によれば、本発明は、皮膚、特に頭皮をケアするための無水組成物であって、
(i)10~28個の炭素原子を含有する少なくとも1種の直鎖状アルカンと、
(ii)式R1COOR2(式中、R1は、4~40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を含有する炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)の少なくとも1種の油と、
(iii)少なくとも1種のトリグリセリド型の植物油と
を含む、組成物を提供する。
【0027】
直鎖状アルカン
第1の態様によれば、本発明による組成物は、10~28個の炭素原子を含有する少なくとも1種の直鎖状アルカンを含む。
【0028】
本発明の組成物中での使用に好適な直鎖状アルカンの例として、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)、n-ペンタデカン(C15)、n-ヘキサデカノール(C16)、n-ヘプタデカン(C17)、n-オクタコサン(C18)、n-ノナデカン(C19)、n-エイコサン(C20)、n-ヘンエイコサン(C21)、n-ドコサン(C22)、n-トリコサン(C23)、n-テトラコサン(C24)、n-ペンタコサン(C25)、n-ヘキサコサン(C26)、n-ヘプタコサン(C27)、n-オクタコサン(C28)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0029】
好ましくは、直鎖状アルカンは、直鎖状C12~C24アルカンから選択される。
【0030】
より好ましくは、直鎖状アルカンは、直鎖状C14~C22アルカンから選択される。
【0031】
一部の実施形態では、使用される直鎖状アルカンは、直鎖状C15~C19アルカンである。
【0032】
直鎖状アルカンの市販製品として、SEPPIC社により名称EMOGREEN(商標)L19で販売されているC15~C19アルカンを挙げることができる。
【0033】
有利には、直鎖状アルカンは、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~10wt.%、好ましくは0.2wt.%~5wt.%、より好ましくは0.5wt.%~3wt.%の範囲の量で存在する。
【0034】
式R1COOR2の油
第1の態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の式R1COOR2の油を含む。
【0035】
式R1COOR2中、R1は、4~40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を含有する炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧16である。
【0036】
式R1COOR2の油の例として、ピュアセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ヘプタン酸ステアリル、カプリル酸ステアリル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、オクタン酸、デカン酸又はリシノール酸アルコール又は多価アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸2-ジエチルヘキシルを挙げることができる。
【0037】
好ましくは、式R1COOR2の油は、C6~C24モノカルボン酸とC4~C20アルコールとのエステルから選択され、該酸及び該アルコールのうちの少なくとも1種は分枝状又は不飽和であり、より好ましくはC12~C20モノカルボン酸とC4~C10アルコールとのエステルから選択され、該酸及び該アルコールのうちの少なくとも1種は分枝状又は不飽和である。
【0038】
最も特定すると、式R1COOR2の油は、以下から選択される:
- C4~C10アルキルミリステート、特にミリスチン酸イソブチル、ミリスチン酸イソヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル又はミリスチン酸イソデカニル、
- C4~C10アルキルパルミテート、特にパルミチン酸イソブチル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル又はパルミチン酸イソデカニル、
- C4~C10アルキルイソステアレート、特にイソステアリン酸イソブチル、イソステアリン酸イソヘキシル、イソステアリン酸2-エチルヘキシル又はイソステアリン酸イソデカニル、及び
- これらの混合物。
【0039】
式R1COOR2の油の市販製品として、BASF社により名称CEGESOFT(登録商標)C24で販売されているパルミチン酸2-エチルヘキシルを挙げることができる。
【0040】
有利には、式R1COOR2の油は、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~10wt.%、好ましくは0.2wt.%~5wt.%、より好ましくは0.5wt.%~3wt.%の範囲の量で存在する。
【0041】
トリグリセリド型の植物油
第1の態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のトリグリセリド型の植物油を含む。
【0042】
好ましくは、トリグリセリド型の植物油は、ヒマワリ種子油、コーン油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油、オリーブ油、アボカド油、アルガン油、ツバキ油、パーム油、トウモロコシ胚芽油、綿実油、ピーナツ油、パンプキン種子油、コムギ胚芽油、ババス油、ココナツ油、ナタネ油、アーモンド油、アマニ油、ベニバナ油、及びまたこれらの混合物から選択される。
【0043】
より好ましくは、トリグリセリド型の植物油は、ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、アルガニアスピノサ核油、ココナツ油、コーン油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油及びアボカド油から選択される。
【0044】
トリグリセリド型の植物油の市販製品として、AAK KAMANI PRIVATE社により名称REFINED SUNFLOWER OILで販売されているヘリアンツス・アンヌウス(helianthus annuus)(ヒマワリ)種子油、JOJOBA DESERT社により名称JD FFL JOJOBA GOLDEN OILで販売されているシンモンドシア・キネンシス(SIMMONDSIA CHINENSIS)(ホホバ)種子油、BIOTROPICS社により名称ACTIVATED VIRGIN COCONUT OILで販売されているココス・ヌキフェラ(cocos nucifera)(ココナツ)油、BASF BEAUTY CARE SOLUTION社により名称LIPOFRUCTYL ARGAN BE LS 9779で販売されているアルガニアスピノサ核油、及びGUSTAV HEESS社により名称APRICOT KERNEL OIL REFINED DACで販売されているプルヌス・アルメニアカ(prunus armeniaca)(アプリコット)核油を挙げることができる。
【0045】
有利には、トリグリセリド型の植物油は、組成物の総質量に対して、1wt.%~30wt.%、好ましくは3wt.%~20wt.%、より好ましくは8wt.%~15wt.%の範囲の量で存在する。
【0046】
半結晶性又は結晶性親油性増粘剤
好ましくは、本発明による組成物は、半結晶性又は結晶性親油性増粘剤を含む。
【0047】
用語「親油性」は、本明細書では、室温(25℃)及び大気圧(105Pa)にて、油の総質量に対して少なくとも1wt.%の濃度で油に溶解性である物質を意味する。
【0048】
本発明において使用される半結晶性又は結晶性親油性増粘剤は、半結晶性又は結晶性ポリマーから選択することができる。
【0049】
半結晶性又は結晶性ポリマーは、好ましくは半結晶性ポリマーである。用語「半結晶性ポリマー」は、主鎖内に且つ/若しくは末端に、結晶性部分、結晶性ペンダント鎖及び/若しくは末端鎖、又は結晶性ブロックを含み、且つ主鎖内に非晶質部分を含み、且つ相の変化、具体的には融解の変化(固体-液体転移)の一次可逆性温度を有する、ポリマーを意味する。結晶性部分がポリマー主鎖の結晶性ブロックの形態にあるとき、ポリマーの非晶質部分は、非晶質ブロックの形態にあり、半結晶性ポリマーは、この場合、例えば、少なくとも1つの結晶性ブロックと少なくとも1つの非晶質ブロックとを含む、ジブロック、トリブロック又はマルチブロック型のブロックコポリマーである。用語「ブロック」は、一般に、少なくとも5つの同一の繰り返し単位を意味する。結晶性ブロックは、このようにして、非晶質ブロックとは異なる化学的性質のものである。
【0050】
本発明による半結晶性ポリマーは、30℃以上(特に30℃~80℃の範囲)、好ましくは30℃~60℃の範囲、特定すると40℃~50℃の範囲の融点を有する。この融点は、状態の変化の一次温度である。
【0051】
この融点は、任意の既知の方法で測定することができ、具体的には示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社により名称DSC Q2000で販売されている熱量計を用いて測定することができる。
【0052】
有利には、そこに本発明が適用される半結晶性ポリマーは、1000以上の数平均分子量を有する。
【0053】
有利には、本発明の組成物の半結晶性ポリマーは、2000~800000、好ましくは3000~500000、なおもより良好には4000~150000の、且つ特に100000未満の範囲の、なおもより良好には4000~99000の範囲の数平均分子量を有する。好ましくは、該ポリマーは、5600超、例えば5700~99000の範囲の数平均分子量を有する。
【0054】
本発明の目的では、表現「結晶性鎖又はブロック」は、それが単独で得られた場合に、温度が融点を上回るか下回るかに応じて、可逆的に非晶質状態から結晶状態へと変化するはずである鎖又はブロックを意味する。本発明の目的では、「鎖」は、ポリマー主鎖に対してペンダントである又は側方にある原子の基である。「ブロック」は、主鎖に属する原子の基であり、この基は、ポリマーの繰り返し単位のうちの1つを構成する。有利には、「ペンダントの結晶性鎖」は、少なくとも6個の炭素原子を含有する鎖であってよい。
【0055】
好ましくは、半結晶性ポリマーの結晶性ブロック又は鎖は、各ポリマーの総質量の少なくとも30%、なおもより良好には少なくとも40%に相当する。結晶性ブロックを含有する本発明の半結晶性ポリマーは、ブロック又はマルチブロックポリマーである。それらは、反応性二重結合(又はエチレン結合)を含有するモノマーの重合を介して、又は重縮合を介して得ることができる。本発明のポリマーが結晶性側鎖を含有するポリマーであるとき、これらの側鎖は、有利には、ランダム形態又は統計的形態にある。
【0056】
好ましくは、本発明による組成物中で使用されうる半結晶性ポリマーは、合成起源のものである。その上、それらは、多糖の主鎖を含まない。一般に、本発明による半結晶性ポリマーの結晶性単位(鎖又はブロック)は、半結晶性ポリマーの製造のために使用される結晶性ブロック又は鎖を含有するモノマーを起源とする。
【0057】
本発明によれば、半結晶性ポリマーは、少なくとも1つの結晶性ブロックと少なくとも1つの非晶質ブロックとを含むブロックコポリマー、及び繰り返し単位1つ当たり少なくとも1つの結晶性側鎖を保持するホモポリマー及びコポリマー、並びにこれらの混合物から選ぶことができる。
【0058】
本発明において使用されてもよい半結晶性ポリマーは、具体的には以下のものである:
- 制御された結晶化を有するポリオレフィンのブロックコポリマー、特にそのモノマーがEP-A-0951897に記載されているもの、
- 重縮合物、特に脂肪族若しくは芳香族ポリエステル型の、又は脂肪族/芳香族コポリエステル型のもの、
- 少なくとも1つの結晶性側鎖を保持するホモポリマー又はコポリマー、及び主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを保持するホモポリマー又はコポリマー、例としては特許文献米国特許第A-5156911号に記載されているもの、
- 少なくとも1つの結晶性側鎖を保持する、特にフルオロ基を含有するホモポリマー又はコポリマーで、特許文献WO-A-01/19333に記載されているもの、
- 並びにこれらの混合物。
【0059】
最後の2つの場合、結晶性側鎖又はブロックは、疎水性である。
【0060】
(i)結晶性側鎖を含有する半結晶性ポリマー
特許文献、米国特許第A-5156911号及びWO-A-01/19333に定義されているものを、特に挙げることができる。それらは、50質量%~100質量%の、疎水性の結晶性側鎖を保持する1種又は複数種のモノマーの重合に由来する単位を含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0061】
これらのホモポリマー又はコポリマーは、任意の性質のものであり、但し、それらは先に挙げた条件を満たす。
【0062】
これらは、
- 重合に関して反応性又はエチレン性の二重結合を含有する1種又は複数種のモノマー、すなわちビニル、(メタ)アクリル基又はアリル基の重合、特にフリーラジカル重合によって、
- 相互反応基(カルボン酸、スルホン酸、アルコール、アミン又はイソシアネート)を保持する1種又は複数種のモノマー、例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ尿素又はポリアミドの重縮合によって、
得ることができる。
【0063】
一般に、これらのポリマーは、特に、式(I):
【0064】
【化1】
【0065】
(式中、Mは、ポリマー主鎖の原子を表し、Sはスペーサを表し、Cは結晶性基を表す)
により表すことができる結晶性鎖を含有する、少なくとも1種のモノマーの重合に由来するホモポリマー及びコポリマーから選ばれる。
【0066】
結晶性鎖「-S-C」は、脂肪族又は芳香族であってもよく、任意選択でフッ素化されているか又は全フッ素置換されていてもよい。「S」は、特に、直鎖状又は分枝状又は環状であってもよい(CH2)n基又は(CH2CH2O)n基又は(CH2O)基を表し、式中、nは、0~22の範囲の整数である。好ましくは、「S」は、直鎖状基である。好ましくは、「S」と「C」とは異なっている。
【0067】
結晶性鎖「-S-C」が炭化水素系の脂肪族鎖であるとき、この鎖は、少なくとも11個の炭素原子、40個以下の炭素原子、なおもより良好には24個以下の炭素原子を含有する炭化水素系アルキル鎖を含む。この鎖は、特に、少なくとも12個の炭素原子を含有する脂肪族鎖又はアルキル鎖であり、それらは好ましくはC14~C24アルキル鎖である。鎖がフルオロアルキル鎖又はペルフルオロアルキル鎖であるとき、それらは、少なくとも6個のフッ素化炭素原子、特にその炭素原子のうちの少なくとも6個がフッ素化されている少なくとも11個の炭素原子を含有する。
【0068】
結晶性鎖を保持する半結晶性ポリマー又はコポリマーの例として、以下のモノマーのうちの1種又は複数種の重合に由来するものを挙げることができる: C14~C24アルキル基を有する飽和アルキルの(メタ)アクリレート、C11~C15ペルフルオロアルキル基を有するペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート、フッ素原子あり又はなしの、C14~C24アルキル基を有するN-アルキル(メタ)アクリルアミド、C14~C24アルキル基を有するアルキル又はペルフルオロ(アルキル)鎖を含有するビニルエステル(ペルフルオロアルキル鎖1つ当たり少なくとも6個のフッ素原子を有する)、C14~C24アルキル基及びペルフルオロアルキル鎖1つ当たり少なくとも6個のフッ素原子を有するアルキル鎖又はペルフルオロ(アルキル)鎖を含有するビニルエーテル、C14~C24アルファ-オレフィン、例えばオクタデセン、12~24個の炭素原子を含有するアルキル基を有するパラ-アルキルスチレン、並びにこれらの混合物。
【0069】
ポリマーが重縮合に由来するとき、上に定義した炭化水素系及び/又はフッ素化された結晶性鎖は、二酸、ジオール、ジアミン又はジイソシアネートでありうるモノマーによって保持される。
【0070】
本発明の主題であるポリマーがコポリマーであるとき、これらのポリマーは、0~50%の、以下の共重合に由来するY基又はZ基を更に含有する:
α)極性若しくは非極性モノマーであるか、又はこれら2種の混合物であるYの共重合:
Yが極性モノマーであるとき、Yは、ポリオキシアルキレン化基(特にオキシエチレン化された且つ/又はオキシプロピレン化された基)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例としてはアクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、N,N-ジイソプロピルアクリルアミド又はN-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタムを保持するモノマーであるか、少なくとも1つのカルボン酸基、例としては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸若しくはフマル酸を保持するモノマーであるか、又はカルボン酸無水物基、例としては無水マレイン酸を保持するモノマーであるかのいずれか、及びこれらの混合物である。
【0071】
Yが非極性モノマーであるとき、Yは、直鎖状、分枝状又は環状アルキル(メタ)アクリレート型のエステル、ビニルエステル、アルキルビニルエーテル、α-オレフィン、スチレン、又はC1~C10アルキル基で置換されているスチレン、例としてはα-メチルスチレンであってよい。
【0072】
本発明の目的では、用語「アルキル」は、別段の言及がある場合を除き、特にC8~C30飽和基、なおもより良好にはC10~C30飽和基を意味する。
【0073】
β)極性モノマー、又は極性モノマー混合物であるZの共重合。この場合、Zは、上に定義した「極性Y」と同じ定義を有する。
【0074】
好ましくは、結晶性側鎖を含有する半結晶性ポリマーは、C8~C30、好ましくはC10~C30アルキル(メタ)アクリレート、又はC8~C30、好ましくはC10~C30アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマー、これらのモノマーと、好ましくは(メタ)アクリル酸とは異なる性質の親水性モノマーとのコポリマー、例としてはN-ビニルピロリドン又はヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物である。
【0075】
(ii)主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを保持するポリマー
これらのポリマーは、特に、少なくとも2つの異なる化学的性質のブロックからなり、それらのうちの1つが結晶性である、ブロックコポリマーである。
- 米国特許第A-5156911号に定義されているブロックポリマーを使用することができる。
- 結晶性鎖を含有するオレフィンの又はシクロオレフィンのブロックコポリマー、例としては、
- シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン(すなわちビシクロ(2,2,1)-2-ヘプテン)、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5,5,6-トリメチルノルボルネン、5-エチリデンノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8a-テトラヒドロナフタレン、ジシクロペンタ-ジエン、又はこれらの混合物のブロック重合から誘導されるものと、
- エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン若しくは1-エイコセン、又はこれらの混合物と、
のブロック重合に由来するもの、
- 特にコポリ(エチレン/ノルボルネン)ブロック及び(エチレン/プロピレン/エチリデン-ノルボルネン)ブロックターポリマー。上に挙げたもの等の少なくとも2種の、C2~C16、なおもより良好にはC2~C12、なおも更により良好にはC4~C12α-オレフィンのブロック共重合に由来するもの、特にエチレンと1-オクテンとのブロックビポリマーもまた使用することができる。
- コポリマーは、コポリマー残基が(室温にて)非晶質である、少なくとも1つの結晶性ブロックを含有するコポリマーであってもよい。これらのコポリマーはまた、異なる化学的性質の2つの結晶性ブロックも含有してよい。好ましいコポリマーは、連続的に分布している、室温にて両方ともが疎水性で親油性である結晶性ブロックと非晶質ブロックとを同時に含有するものであり、例えば、以下の結晶性ブロックのうちの1つと非晶質ブロックのうちの1つとを含有するポリマーを挙げることができる、
- 天然に結晶性であるブロック: a)ポリエステル型のもの、例としてはポリ(アルキレンテレフタレート)のもの、b)ポリオレフィン型のもの、例としてはポリエチレン又はポリプロピレンのもの。
- 非晶質で親油性のブロック、例としては非晶質ポリオレフィン又はコポリ(オレフィン)、例えばポリ(イソブチレン)、水添ポリブタジエン又は水添ポリ(イソプレン)。
【0076】
結晶性ブロック及び別個の非晶質ブロックを含有するこのようなコポリマーの例として、以下を挙げることができる:
α)好ましくは水添して使用されるポリ(ε-カプロラクトン)-b-ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマー、例えば、S. Nojimaによる論文「Melting behaviour of poly(ε-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、Macromolecules、第32巻、3727~3734頁(1999年)に記載されているもの、
β)水添ブロック又はマルチブロックであるポリ(ブチレンテレフタレート)-b-ポリ(イソプレン)ブロックコポリマーで、B. Boutevinらによる論文「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、Polymer Bulletin、第34巻、117~123頁(1995年)に引用されているもの、
γ)ポリ(エチレン)-b-コポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマーで、P. Rangarajanらによる論文「Morphology of semicrystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、Macromolecules、第26巻、4640~4645頁(1993年)、及びP. Richterらによる論文「Polymer aggregates with crystalline cores: the system poly(ethylene)poly(ethylene-propylene)」、Macromolecules、第30巻、1053~1068頁(1997年)に引用されているもの、
δ)ポリ(エチレン)-b-ポリ(エチルエチレン)ブロックコポリマーで、I.W.Hamleyによる一般論文「Crystallization in block copolymers」、Advances in Polymer Science、第148巻、113~137頁(1999年)に挙げられているもの。
【0077】
本発明の組成物中の半結晶性ポリマーは、ポリマーの融点を超えて加熱することによって、組成物中に任意選択で存在する液状脂肪相にポリマーが溶解又は分散するのを架橋度が妨害しないのであれば、部分的に架橋されていても架橋されていなくてもよい。そのため、架橋は、重合中に多官能性モノマーと反応することによる化学的架橋の場合もありうる。架橋はまた、物理的架橋の場合もありえ、その場合、この架橋は、ポリマーにより保持される基の間の水素の結合若しくは双極子型の結合、例としてはカルボキシレートイオノマー間の双極子相互作用(これらの相互作用は少量においてであり、ポリマー主鎖により保持される)の確立に起因して、又はポリマーにより保持される、結晶性ブロックと非晶質ブロックとの間の相分離に起因して、のいずれかでありうる。
【0078】
好ましくは、本発明による組成物の半結晶性ポリマーは、架橋されない。
【0079】
本発明の特定の一実施形態によれば、ポリマーは、フッ素原子ありの又はなしの、飽和のC14~C24アルキル(メタ)アクリレート、C11~C15ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート、C14~C24N-アルキル(メタ)アクリルアミド、C14~C24アルキル又はペルフルオロアルキル鎖を含有するビニルエステル、C14~C24アルキル又はペルフルオロアルキル鎖を含有するビニルエーテル、C14~C24アルファ-オレフィン、少なくとも1種の任意選択でフッ素化されたC1~C10モノカルボン酸エステル又はアミドを有する、12~24個の炭素原子を含有するアルキル基を有するパラ-アルキルスチレンから選ばれる結晶性鎖を含有する少なくとも1種のモノマーの重合に由来するコポリマーから選ばれ、これは、以下の式(II):
【0080】
【化2】
【0081】
[式中、R1は、H又はCH3であり、Rは、任意選択でフッ素化されているC1~C10アルキル基を表し、Xは、O、NH又はNR2(式中、R2は、任意選択でフッ素化されているC1~C10アルキル基を表す)を表す]
により表すことができる。
【0082】
本発明の1つ又は複数の特定の実施形態によれば、ポリマーは、飽和のC14~C22アルキル(メタ)アクリレート、更により特定するとポリ(ステアリルアクリレート)又はポリ(ベヘニルアクリレート)から選ばれる結晶性鎖を含有するモノマーから誘導される。
【0083】
本発明による組成物中で使用されうる構造化半結晶性ポリマーの具体例として、INCI名「ポリC10~C30アルキルアクリレート」[ポリ(C10~C30アルキルアクリレート)]を有するポリマー、例としてはAir Products社製のIntelimer(登録商標)製品、例としてはアクリル酸ポリステアリルであり融点が48℃である製品Intelimer(登録商標)IPA 13-1、又はベヘニルポリマーである製品Intelimer(登録商標)IPA 13-6を挙げることができる。
【0084】
半結晶性ポリマーは、特に、
アクリル酸とC5~C16アルキル(メタ)アクリレートとの共重合に由来する、より特定すると、
・アクリル酸とアクリル酸ヘキサデシルとアクリル酸イソデシルとの質量比1/16/3での共重合、
・アクリル酸とアクリル酸ペンタデシルとの質量比1/19での共重合、
・アクリル酸とアクリル酸ヘキサデシルとアクリル酸エチルとの質量比2.5/76.5/20での共重合、
・アクリル酸とアクリル酸ヘキサデシルとアクリル酸メチルとの質量比5/85/10での共重合、
・アクリル酸とメタクリル酸オクタデシルとの質量比2.5/97.5での共重合、
・アクリル酸ヘキサデシルと、8個のエチレングリコール単位を含有するポリエチレングリコールメタクリレートのモノメチルエーテルと、アクリル酸との、質量比8.5/1/0.5の共重合
に由来する、-COOH基を含有する、米国特許第A-5156911号の実施例3、4、5、7、9及び13に記載されているもの
であってよい。
【0085】
融点44℃を有するNational Starch社製の構造体「O」で、特許文献米国特許第A-5736125号に記載されているもの、更にはフルオロ基を含む結晶性ペンダント鎖を有する半結晶性ポリマーで、特許文献WO-A-01/19333の実施例1、4、6、7及び8に記載されているものを使用することもまた可能である。
【0086】
それぞれ融点40℃及び38℃を有する、アクリル酸ステアリルとアクリル酸又はNVPとの共重合から得られた半結晶性ポリマーを使用することもまた可能であり、これは、特許文献米国特許第A-5519063号又はEP-A-550745に記載されている。
【0087】
それぞれ融点60℃及び58℃を有する、アクリル酸ベヘニルとアクリル酸又はNVPとの共重合から得られた半結晶性ポリマーを使用することもまた可能であり、これは、特許文献米国特許第A-5519063号及びEP-A-550745に記載されている。
【0088】
好ましくは、半結晶性ポリマーは、カルボン酸基を一切含まない。
【0089】
最後に、本発明による半結晶性ポリマーはまた、メタロセン触媒作用によって得られるワックス状ポリマーから選ぶこともでき、例えば米国特許出願第2007/0031361号に記載されているものである。
【0090】
これらのポリマーは、メタロセン触媒作用を介して、すなわち低圧でメタロセン触媒の存在下で重合することによって調製される、エチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマーである。
【0091】
その文献に記載されているメタロセン触媒作用を介して得られるワックスの質量平均分子量(Mw)は、25000g/mol以下であり、例えば2000~22000g/mol、なおもより良好には4000~20000g/molの範囲である。
【0092】
その文献に記載されているメタロセン触媒作用を介して得られるワックスの数平均分子量(Mn)は、好ましくは15000g/mol以下であり、例えば1000~12000g/mol、なおもより良好には2000~10000g/molの範囲である。
【0093】
ポリマーの多分散度指数Iは、質量平均分子量Mwの数平均分子量Mnに対する比に等しい。好ましくは、ワックス状ポリマーの多分散度指数は、1.5から10の間、より好ましくは1.5から5の間、更により好ましくは1.5から3の間、なおもより良好には2から2.5の間である。
【0094】
ワックス状ホモポリマー及びコポリマーは、既知の方法で、例えば特許文献EP571882に記載されている方法によるメタロセン触媒作用を介して、エチレン及び/又はプロピレンモノマーから得ることができる。
【0095】
メタロセン触媒作用を介して調製されたエチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー及びコポリマーは、非修飾であってもよく、又は「極性」修飾されていてもよい(極性修飾ワックス、すなわちそれらが極性ワックスの性質を有するように修飾されたワックス)。極性修飾ワックス状ホモポリマー及びコポリマーは、既知の方法で、空気等の酸素を含有する気体を用いる酸化によって、又はマレイン酸若しくはアルキル酸、或いはこれらの酸の誘導体等の極性モノマーを用いるグラフトによって、先に記載されたもの等の非修飾ワックス状ホモポリマー及びコポリマーから調製することができる。メタロセン触媒作用を介して得られたポリオレフィンの極性修飾を可能にするこれらの2つの経路は、例えば、それぞれ、特許文献EP890583及び米国特許第5998547号に記載されており、これらの2つの文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
本発明によれば、特に好ましい、メタロセン触媒作用を介して調製されるエチレン及び/又はプロピレンの極性修飾ホモポリマー及びコポリマーは、それらが親水性の性質を有するように修飾されたポリマーである。挙げることができる例には、無水マレイン酸、アクリレート、メタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性基の存在により修飾された、エチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマーが含まれる。
【0097】
無水マレイン酸又はアクリレート等の親水性基の存在により修飾されたワックス状エチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマーが、特に好ましい。
【0098】
挙げることができる例には、以下が含まれる:
- Clariant社により販売されている無水マレイン酸で修飾されたポリプロピレンワックス(PPMA)、又はClariant社から名称LicoCareで販売されているもの等のポリプロピレン-エチレン-無水マレイン酸コポリマー、例としてはLicoCare PP207 LP3349、LicoCare CM401 LP3345、LicoCare CA301 LP3346及びLicoCare CA302 LP3347、
- Clariant社により販売されている非修飾ポリエチレンワックス、例えば製品LicoCare PE 102 LP3329。
【0099】
有利には、親油性増粘剤は、組成物の総質量に対して、0.1wt.%~10wt.%、好ましくは0.2wt.%~8wt.%、より好ましくは0.5wt.%~5wt.%の範囲の量で存在する。
【0100】
追加の油
本発明による組成物は、上に記載されている油の他に、1種又は複数種の追加の油を更に含んでよい。
【0101】
追加の油は、不揮発性油及び/又は揮発性油とすることができる。
【0102】
油は、シリコーン油、フルオロ油、炭化水素系油、又はこれらの混合物であってよい。
【0103】
用語「フルオロ油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味する。
【0104】
油は、任意選択で、酸素、窒素、硫黄及び/又はリンの各原子を、例えばヒドロキシル基又は酸基の形態で含んでもよい。
【0105】
シリコーン油及びフルオロ油は、極性油、無極性油、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0106】
追加の油として使用される「炭化水素系油」は、極性油とすることができる。
【0107】
本発明の目的では、用語「極性油」は、25℃でのその油溶解性パラメータδaが、0(J/cm3)1/2以外である油を意味する。
【0108】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の追加の油、例えばスクアランを含む。
【0109】
有利には、全ての油の総量は、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して、60wt.%~99.5wt.%の範囲で存在する。
【0110】
追加のアジュバント又は添加剤
本発明の組成物は、従来の化粧用アジュバント又は添加剤、例としては、芳香剤、キレート剤(例えば、EDTA二ナトリウム)、保存剤(例えば、クロロフェネシン及びフェノキシエタノール)及び殺細菌剤、フィラー、pH調整剤(例えば、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、並びにこれの混合物を含んでよい。
【0111】
当業者であれば、追加のアジュバント又は添加剤の量を、本発明による組成物の最終使用に悪影響を与えないように選択することができる。
【0112】
特に好ましい一実施形態によれば、本発明は、皮膚、特に頭皮をケアするための無水組成物であって、組成物の総質量に対して、
(i)0.5wt.%~3wt.%の少なくとも1種の直鎖状C15~C19アルカンと、
(ii)0.5wt.%~3wt.%の少なくとも1種のC4~C10アルキルパルミテートと、
(iii)8wt.%~15wt.%の、ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、アルガニアスピノサ核油、ココナツ油、コーン油、ダイズ油、マロー油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、ヒマシ油及びアボカド油から選択される少なくとも1種のトリグリセリド型の植物油と、
(iv)0.5wt.%~5wt.%の少なくとも1種のポリ(C10~C30アルキルアクリレート)と
を含む、組成物を提供する。
【0113】
ガレヌス製剤の形態及び使用
本発明の組成物は、油ゲル又は油バームの形態にあることができる。
【0114】
本発明による組成物の粘度は、200rpmで回転するスピンドルM2又はM3を備えたProRheo R180粘度計を用いて、25℃にて測定することができる。
【0115】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、200rpmにおいて回転するスピンドルM2を備えたRheomat R180粘度計を用いて25℃にて測定して、10UD[偏差単位(Deviation Unit)]~80UD、好ましくは10UD~50UDの粘度を有する。
【0116】
第2の態様によれば、本発明は、皮膚、特に頭皮をケアする非治療的方法であって、本発明の第1の態様による組成物を皮膚、特に頭皮に適用することを含む、方法に関する。
【0117】
本発明による組成物は、水溶性染料及び強アルカリ性成分が生表皮に向かって角質層を横切って通過することを阻止することができる。
【0118】
その一方で、本発明による組成物は、毛髪上で、染色性組成物の染色効果に対する負の影響を有していない。
【0119】
更に、本発明による組成物は、毛髪上で、脱色性製品の脱色効果に対する負の影響を有していない。
【0120】
以下の実施例は、本発明を例示するのに役立つが、しかしながら、本質的に限定することはない。
【実施例
【0121】
使用した主な原材料、商品名及びそれらの供給業者を、Table 1(表1)に列挙する。
【0122】
【表1】
【0123】
(実施例1)
組成物の調製
比較配合物(Comp.)1及び本発明配合物(Inv.)1~3による組成物を、Table 2(表2)に付与した含有量に従って調製した(含有率は、別段の指定がない限り、各組成物の総質量に対する活性材料の質量パーセンテージとして表す)。
【0124】
【表2】
【0125】
調製方法:
上に列挙した組成物を、以下のように調製し、本発明配合物1の組成物を例として取り上げる:
1)パルミチン酸エチルヘキシル、ヘリアンツス・アンヌウス(ヒマワリ)種子油、シンモンドシア・キネンシス(ホホバ)種子油、アルガニアスピノサ核油、プルヌス・アルメニアカ(アプリコット)核油、ココス・ヌキフェラ(ココナツ)油及びポリC10~C30アルキルアクリレートを混合して、混合物を得、混合物を50℃に加熱し、混合物を撹拌によって均質化する、
2)該混合物中に、C15~C19アルカン及びスクアランを添加し、混合物の温度を撹拌によって室温に冷却する、及び
3)該混合物中にトコフェロールを添加して、組成物を得る。
【0126】
(実施例2)
組成物の評価
実施例1で調製した各組成物の外観を観察した。
【0127】
実施例1で調製した各組成物の、粘度、防御能力、並びに染色及び脱色に対する影響を特徴付けた。
【0128】
粘度
粘度を、M3又はM2スピンドルを備えたRheomat R180粘度計を用いて25℃にて測定し、該測定は、200rpmの剪断速度において、組成物中のスピンドルの回転10分後に実施する(その後、粘度の及びスピンドルのスピン速度の、時間安定化を観察する)。
【0129】
外観及び粘度をTable 3(表3)に要約した。
【0130】
【表3】
【0131】
防御能力
i)共焦点顕微鏡による評価
本発明配合物2及び3並びに比較配合物1の組成物のインビトロ防御機能を、共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて以下のように評価した:
1)市場から購入したブタの皮膚を清浄にし、乾かす、
2)試験する組成物を皮膚上に30μl/cm2で適用する、
3)Table 4(表4):
【0132】
【表4】
【0133】
で付与した含有率に従って、刺激組成物としての染色性組成物を調製する(含有率は、別段の指定がない限り、各組成物の総質量に対する活性材料の質量パーセンテージとして表す)、
4)刺激サンプルを皮膚上に75μl/cm2で40分間適用する、
5)ティシュで拭い取る、
6)中心領域を選び、得られたセクションを凍結する、
7)顕微鏡で画像処理する。
【0134】
図1は、染色性組成物の、ブタの皮膚上への直接適用時の、角質層中の蛍光強度を示す。
【0135】
図1から、染色性組成物中の染料が生表皮に向かって角質層を横切って通過し、これが不快感及び刺激を引き起こすおそれがあることを見ることができる。
【0136】
図2は、比較配合物1の組成物及び染色性組成物の適用時の、角質層中の蛍光強度を示す。
【0137】
図3は、本発明配合物2の組成物及び染色性組成物の適用時の、角質層中の蛍光強度を示す。
【0138】
図4は、本発明配合物3の組成物及び染色性組成物の適用時の、角質層中の蛍光強度を示す。
【0139】
図2図4から、本発明配合物2及び3の組成物が、比較配合物1の組成物と比べて、染料の皮膚中への貫通を効果的にブロックできることを見ることができる。その一方で、本発明配合物2の組成物は、染料の皮膚中への貫通をブロックする点で、より効果的である。
【0140】
ii)Episkin(商標)による評価
本発明配合物1~3の組成物及びSchwarzkopf社製の着色前防御油の、インビトロ防御機能を、EpiSkin(商標)により、以下のように評価した。
モデル:
EpiSkin(商標)再構成表皮モデルを使用した。
EpiSkin(商標)組織及び媒質を、Shanghai EPISKIN Biotechnology Co., Ltd.社から購入した。EpiSkin(商標)組織のサイズは、1.07cm2である。
【0141】
脱色用製品
試験する組成物(30μl)を、表皮モデルに局所的に適用した(1試験群当たり2つの表皮単位を使用した)。次いで、毛髪脱色粉末(L'oreal社製のL'oreal professional blond studio 8)と、顕色剤(L'oreal社製のL'oreal professional oxidant cream)とを1:1.5の体積比で混合した混合物75μlを、表皮モデルに局所的に適用した(ナイロンメッシュを用いて室温にて45分の適用)。リン酸バッファ生理食塩水(PBS)で濯いで暴露を終了した。
【0142】
着色用製品
試験する組成物(30μl)を、表皮モデル(1試験群当たり2つの表皮単位を使用した)に局所的に適用した。次いで、着色剤(L'oreal社製の染料なしのL'oreal professional Maji fashion colorant 12.11)と、顕色剤(L'oreal社製のL'oreal professional oxidant cream)とを1:1.5の体積比で混合した混合物75μlを、表皮モデルに局所的に適用した(ナイロンメッシュを用いて室温にて45分の適用)。リン酸バッファ生理食塩水(PBS)で濯いで暴露を終了した。
【0143】
後インキュベーション:次いで、表皮を37℃にて18時間インキュベートした。
【0144】
生存能を、組織をMTT溶液で3時間インキュベートして評価した。次いで、沈殿したホルマザンを、酸性化イソプロパノールを用いて4℃にて2日間抽出し、96ウェルプレートを用いて570nmにおいて分光光度的に定量化した。
【0145】
試験した組成物なしの表皮を適用し(脱色+着色単独)、未処理の表皮は、それぞれ正及び負の対照として使用しなかった。
【0146】
図5は、異なる処理剤のためのホルマザンの量を示し、ここで、「Ngc」は元々の細胞生存能を表し、「alone」は防御なしの細胞生存能を表し、「shawarzkopf」は、Schwarzkopf社製の製品の防御下にある細胞生存能を表し、N5は本発明配合物3の組成物の防御下にある細胞生存能を表し、N8は本発明配合物2の組成物の防御下にある細胞生存能を表し、N9は本発明配合物1の組成物の防御下にある細胞生存能を表す。
【0147】
図5から、本発明配合物1~3の組成物が、化学物質、例えば水酸化アンモニウム及びエタノールアミンが、皮膚中に貫通して頭皮を刺激することを効果的にブロックできることを見ることができる。
【0148】
iii)ブタの皮膚上の染色による評価
本発明配合物1及び比較配合物1の組成物のインビトロ防御機能を、ブタの皮膚上に染色して評価した。
【0149】
図6は、ブタの皮膚上に染色することによる評価の間に撮影した写真を示す。
【0150】
図6に例示する通り、評価プロセスは以下を含む:
1)4cm2のブタの皮膚を用意し、最初に標準シャンプーDOP(L'oreal社製)を使用して皮膚を洗浄し、次いで皮膚を乾かす、
2)試験する組成物をブタの皮膚上に30μ/cm2で適用する、
3)染色性組成物(L'oreal社製のMaji fashion color NO.1と、L'oreal社製のdeveloper30とを1:2の体積比で混合した混合物)を、75μ/cm2で30分間適用する、
4)DOP(標準的なシャンプー)で濯ぎ落とす。
【0151】
図6は、ブタの皮膚上の染色による評価の間に撮影した写真を示し、ここで、「w/o protect」は、試験した組成物を適用しなかったことを示し、「w/scalp shield」は、本発明配合物1の組成物を適用したことを示し、「w/LP still cap」は、比較配合物1の組成物を適用したことを示す。
【0152】
図6から、本発明配合物1の組成物が、比較配合物1の組成物と比べて、染料の皮膚中への貫通を効果的にブロックできることを見ることができる。
【0153】
毛髪上の染色性製品の染色効果に対する影響
本発明配合物1の組成物の、毛髪上の、染色性製品の染色効果に対する影響を、毛髪見本(毛髪タイプ:中国人の天然の毛髪)及びモデルの頭で評価した。
【0154】
図7は、毛髪見本及びモデルの頭での評価の間に撮影した写真を示す。
【0155】
図7に例示する通り、評価プロセスは以下を含む:
1)頭をDOP(標準シャンプー、試験ごとに頭全体1つ当たりシャンプー12g)で2回洗浄する、
2)試験する組成物7.5gを頭の半分に適用し、頭の右半分を1分間マッサージする、
3)染色性製品(150g、L'oreal社製のMaji 12.11と、L'oreal社製のDeveloper30とを体積比1:2で混合した混合物)を頭全体に適用する、
4)頭全体をDOPで洗浄し、左と右との色差を観察する。
【0156】
図7から、頭の左側と右頭の右側との間に明らかな色差が存在せず、これは、本発明による組成物が、毛髪上で、染色性製品の染色効果に対する負の影響を有していないことを示していると見ることができる。
【0157】
毛髪上の脱色性製品の脱色効果に対する影響
本発明配合物1の組成物の、毛髪上の脱色性製品の脱色効果に対する影響を、毛髪見本(毛髪タイプ:中国人の天然の毛髪)で評価した。
【0158】
図8は、毛髪見本での評価の間に撮影した写真を示す。
【0159】
図8に例示する通り、評価プロセスは以下を含む:
1)同一の3つの毛髪見本(No.1、No.2及びNo.3)を選択し、毛髪見本No.1を未処理に保つ、
2)最初に、試験する組成物を毛髪見本No.2上に適用し(毛髪見本No.2、1g当たり試験する組成物0.15g)、次いで毛髪脱色粉末(L'oreal社製のL'oreal professional blond studio 8)と、顕色剤(L'oreal社製のL'oreal professional oxidant cream)とを体積比1:1.5で混合した混合物を、毛髪見本No.2上に45分間適用する(毛髪見本No.2、1グラム当たり混合物10g)、
3)脱色粉末と顕色剤との同じ混合物を、毛髪見本No.3上に45分間適用する(毛髪見本No.3、1グラム当たり混合物10g)、
4)毛髪見本No.2と毛髪見本No.3との色を比較する。
【0160】
図8から、毛髪見本No.2と毛髪見本No.3との間に明らかな色差が存在せず、これは、本発明による組成物が、毛髪上で、脱色性製品の脱色効果に対する負の影響を有していないことを示していると見ることができる。
【符号の説明】
【0161】
1 水溶性蛍光染料
2 ケラチノサイト及びケラチン
3 コラーゲン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】