(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】黒色皮膚を着色し、ブルーライト保護を増強し、及び外部の酸化剤に対して皮膚を保護するための化粧品用のZnO及びTiO2と混合したリグニン組成物得るための方法、並びにそれぞれ得られた製品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/27 20060101AFI20231214BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231214BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/97 20170101ALI20231214BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231214BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A61K8/27
A61Q19/00
A61Q17/00
A61K8/97
A61K8/29
A61K8/37
A61K8/89
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538051
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 BR2021050574
(87)【国際公開番号】W WO2022133566
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】BR1020200264753
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523159649
【氏名又は名称】ボティカ コメルシャル ファルマチェウティカ リミターダ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ハラグチ パジーリャ ミレーネ
(72)【発明者】
【氏名】スクライアー サッソン クラリス
(72)【発明者】
【氏名】コレア ダ クルーズ ジャニー フェルナンダ
(72)【発明者】
【氏名】スタンゲーリン サントゥッチ ベアトリス
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC02
4C083CC19
4C083EE12
4C083FF04
(57)【要約】
本発明は、リグニンから得られる処理及び製品に関するものであり、並びに従って、“廃棄物の管理及び処理/使用済みの物質の再利用”の技術分野、より具体的には“廃棄物の回収又は再利用”に関する。本発明の特許は、また、化粧品、メーキャップ用製剤、及びリグセルロース系物質由来の天然有機高分子化合物の技術分野、並びにまた、その調製又は化学処理に関係がある。より具体的には、本発明は、ブルーライト保護を増強し、及び外部の酸化剤に対して皮膚を保護するために、黒色皮膚を着色することを有する化粧品用の酸化亜鉛(ZnO)及び二酸化チタン(TiO2)と混合したリグニン組成物を得るためのプロセス、並びにそれぞれの得られた製品であり、前記製品の原料の少なくとも0.5%、好ましくは0.76%が、前記ナノ構造リグニンから作られるものに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子量の乾燥リグニンを、化粧品の組成物に添加して製品とし、前記製品が、少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも0.76%のナノ構造リグニンの原料を、ZnOの懸濁液の混合物及びTiO
2の分散組成物の混合物に含まれるステップ、
ZnOの懸濁液の混合物を得られた高分子量の乾燥リグニンに添加するステップが、61.50~64.50質量%の酸化亜鉛、31.00~35.00質量%のサリチル酸ブチルオクチル、1.00~5.00質量%のトリエトキシカプリリルシラン、及び1.00~2.50質量%の安息香酸アルキルC12-C15を添加することを含むステップ、及び
TiO
2の分散組成物の混合物を得られた高分子量の乾燥リグニンに添加するステップが、0~60質量%のドデカメチルペンタシロキサン、20~30質量%の二酸化チタン、及び5~10質量%のオルガノポリシロキサン変性ポリグリセリンを添加することを含むステップ、
を含むことを特徴とする、黒色皮膚を着色し、ブルーライト保護を増強し、及び外部の酸化剤に対して皮膚を保護するための化粧品用のZnO及びTiO
2と混合したリグニン組成物得るための方法。
【請求項2】
分散組成物TiO
2をリグニンに添加するステップが、幅が10nm以下、長さが50nm以下のTiO
2の粒子を添加するステップを含む、請求項1に記載の黒色皮膚を着色し、ブルーライト保護を増強し、及び外部の酸化剤に対して皮膚を保護するための化粧品用のZnO及びTiO
2と混合したリグニン組成物得るための方法。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に従って得られ、ZnO及びTiO
2と混合した高分子量の乾燥リグニンを含み、前記製品の原料の少なくとも0.5%、好ましくは0.76%が、前記ナノ構造リグニンから作成されることを特徴とする、黒色皮膚を着色し、ブルーライト保護を増強し、及び外部の酸化剤に対して皮膚を保護するための化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグニンから得られる処理及び製品に関するものであり、並びに従って、“廃棄物の管理及び処理/使用済み物質の再利用”の技術分野に、及びより具体的には“廃棄物の回収又は再利用”に関係がある。本発明の特許は、また、化粧品、メーキャップ用製剤、及びリグノセルロース系物質由来の天然有機高分子化合物の技術分野、並びにまた、その調製又は化学処理に関係がある。より具体的には、それは、黒色皮膚を着色し、ブルーライト保護を増強し、及び外部の酸化剤に対して皮膚を保護するための化粧品用の酸化亜鉛(ZnO)及び二酸化チタン(TiO2)と混合したリグニン組成物を得るためのプロセス、並びにそれぞれの得られる製品を意味する。
【背景技術】
【0002】
技術水準
当業界の状況からの様々な文献は、スキンケアに適用される化粧品の技術分野におけるリグニン及び/又はZnO及びTiO2の関連の使用に既に言及しており、並びにそれらは、また、紫外線(UV)からの保護、又は新しい色調を得る際などのそれらの有益な特性にも言及している。
【0003】
例えば、特許文献中国特許出願公開第106309212号は、紫外線に抵抗できるスキンケア化粧品及びその調製方法を提示しており、前記化粧品は、少なくともリグニン、水、菊抽出物、キシリトール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、EDTA(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)、クエン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、アラントイン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及び美容液を含む。前記化粧品は、紫外線に抵抗する機能を有しており、高い紫外線吸収能のためリグニンが採用される。
【0004】
特許文献特開第2006-052197号は、保湿及び抗酸化活性を保持する特性を有する他に、区別化された色調を有する化粧品を得るように設計されており、並びに前記化粧品は、種々の方法で種々の化粧品に適用される水性リグニンを含む。前記化粧品は、粉末の形態で存在し、茶色から赤紫色の色調を有し、より具体的には、黄色がかった赤褐色から赤紫色へと変化する。
【0005】
次に、特許文献米国特許第6,500,411号は、TiO2及びZnOなどの粒子状UVRフィルターを使用する化粧品及びパーソナルグルーミング組成物を記載している。多機能の添加組成物の他の重要な成分は、リグニンスルホン酸、リグニン、フミン酸塩、タンニン酸塩、及びそれらの誘導体などのポリフェノール天然ポリマーの族から選択される、前の微粒子状物質のための分散剤又は表面改質剤である。
【0006】
別の日焼け止め組成物は、特許文献韓国特許第2019-0109032号により提示され、全組成物の100質量部に基づく、10~30質量部のリグニン又は変性リグニンを含む。前記サンフィルター組成物は、従来のサンフィルター化合物による皮膚毒性などの問題を解決する上、少なくとも0.1~2質量部の量の添加剤、及び上記範囲内でリグニン又は変性リグニンを含有する化粧品の組成物を含む。1つの実施態様において、文献韓国特許第2019-0109032号のサンブロック効果を有する組成物では、無機サンフィルターは、TiO2、ZnO及び鉄酸化物を含む。
【0007】
特許文献韓国特許第2019-0083182号は、リグニンベース化粧品サンフィルター組成物を提示しており、前記物理的遮断剤は、紫外線を反射及び分散し、及び皮膚への浸透を防止し、並びに無機サンフィルター(紫外線分散剤)として分類される。その例としては、TiO2及びZnOを含む。
【0008】
TiO2を、サンフィルターとして一般的に使用するが、特許文献国際公開第2017/197530号は、TiO2の触媒活性及び酸素反応種の発生に関する懸念にアプローチしようとしており、リグニンで被覆されたTiO2のナノ粒子を供給し、微細に被覆された金属酸化物ナノ粒子を生成する。他のリグニン被覆酸化金属は、また、リグニン被覆金属酸化物ナノ粒子の調製方法と同様に開示される。前記文献国際公開第2017/197530号は、また、微細なリグニンコーティングが、吸収及び光分散の点だけでなく、可視色及び外観の点でも、これらの組成物を確かに化粧品的に許容できるものにしており、リグニン及びTiO2が、スキンケア製剤に適した非常に明るいトーンを提供することを言及している。
【0009】
同様に、特許文献国際公開第2005/048970号は、また、少なくともリグニンを有する皮膚用製剤及び化粧品調製を提示し、及び紫外線から皮膚を保護するために化粧品に通常使用される無機顔料も含むことができ、特にTiO2ベース顔料が優先される。
【0010】
その水相/液相に、日焼け防止因子の分類を少なくとも20%増加させることができる添加物を含む別のサンフィルター組成物は、特許文献国際公開第2010-093573号によって提示される。リグニンを含む好ましい界面活性ポリマー、並びにTiO2及びZnOを含む好ましい粒子状物質を、提示する。
【0011】
さらに、特許文献国際公開第2017/093184号は、リグニン吸着層の流動学的特性(rheological properties)における、異なるナノ粒子(TiO2及びZnO)の存在の効果の研究を示す。
【0012】
非特許文献の文書のうち、Jose Manuel Gutierrez-Hernandezらは、“Use of Agave Tequilana-Lignin and Zinc Oxide Nanoparticles for Skin Photoprotection”(Journal of photochemistry and photobiology. B, Biology, 10月, 2016年)と題名付けられた論文において、人間の皮膚への損傷を防ぐためにサンプロテクターを用いる重要性を説明し、酸化亜鉛(ZnO)などの無機活性成分を、紫外線をブロックするそれらの能力のため、サンフィルターに通常使用することを強調している。このUV保護を、二酸化チタン(TiO2)などの他の成分と組み合わせた場合、UV保護バンドを覆うように改善することができる。前記刊行物は、サンフィルターの有効成分として、ZnOのナノ粒子とを組み合わせて、リグニンから作れられた有機ナノ粒子の光保護特性を評価し、並びにリグニンナノ粒子が、有機的な性質であるという追加の利点を有し、及びその茶色を、使用者の皮膚のトーンと組み合わせて使用できることを強調している。従って、ZnOを用いたサンプロテクターに起因する前記白っぽいトーンを、避けることができ、及び皮膚の色調と対応させ、サンフィルターを特定の人に適合させることもできる。従って、Jose Manuel Gutierrez-Hernandezらは、このバイオポリマーが、皮膚を保護する化粧品中の有効成分として考慮される優れた候補であり、より暗い皮膚の色調を持つ人にとって不快な典型的な白っぽい色調ではなく、皮膚に好ましい色調を与えるという利点もあることを示している。最後に、リグニンの製剤化にはまだ最適化が必要であるが、彼の論文で示された結果は、光保護に使用するための持続可能な資源の新しい選択肢を示唆していることを認識している。
【0013】
最後に、上記で言及した文献に加えて、インド特許第201811048498号、特許第3751630号及び国際公開第18004194号のような文献及び特許における刊行物は、リグニンを含む組成物に存在する抗酸化活性特性を強調し、及びこの固有の酸化特性を証明するためにDPPH試験/アッセイの使用を追加的に提示している。さらに、少なくとも文献インド特許第201811048498号は、強調している抗酸化能力の他に、ZnO及びTiO2とのリグニンナノコンポジットの使用を関連付けている。
【0014】
技術的課題
実証されたように、ZnO及びTiO2を有するリグニン組成物は、特にサンフィルターの製剤化において、その研究及び応用が繰り返し行われているため、最新技術において既に知られていることに留意することが可能である。
それでもなお、Jose Manuel Gutierrez-Hernandezらによって強調されるように、光保護のための資源及び化粧品中の有効成分としてリグニン製剤を最適化し、及び開発する必要性が残されている。
【0015】
化粧品としての混合物におけるリグニンの使用のトーニング効果に関して、前記リグニンの使用をZnO及びTiO2に関連付ける最新技術は、黒い皮膚に最適化された特定の着色を有する化粧品を得ることを可能にするプロセスステップの詳細については提供しないが、単に、表面的な方法において、混合物の前記トーニング効果を記載し、“茶色から赤みがかったライラック色”の着色、並びに日焼け止め、保湿剤及びボディローション、マスカラ、ベース、フェイスパウダー、アイシャドウなどとしての化粧品におけるその可能な用途を記載する。
【0016】
さらに、ブラジルの消費者に最も適したトーンに応じた理想的な下地のトーンを見つけることは、化粧品業界の主要な要望の1つであり続けている。このカテゴリーに関連する消費者のニーズを理解することは、これらの製品の開発にとって主要な課題である。市場では、顔用リキッドベースの様々な構造の選択肢を提供しているが、その色は、混血の多いブラジルの人々の100%を満足させるものではない。
【0017】
従って、物理的フィルターの存在により、これらが白色及び不透明な背景を与えるため、黒色皮膚のための着色を有する化粧品製剤において、灰色がかった色調を有するという技術的課題が残されている。
その結果、ブラジルの人々のトーン及びサブトーンに対する色の完全性を一様に満たすメーキャップは、魅力的であり及び革新的であると考えられる。近年、より主張の強い製品を用いて、各用途の効果に対するこれらのトーンの開発における大きな進歩が、必要となっている。
【0018】
紫外線への対策としては、ブルーライトの皮膚への作用により、色素沈着過度を考慮することも重要であり、メラニンの増加を誘発し、及びその結果、紫外線によるシミよりも除去しにくいシミが出現する。そこで、ZnO及び/又はTiO2と混合したリグニンの利用を、ブルーライト照射により引き起こされるメラニンの増加を抑制するように促進することがやはり必要である。
【0019】
さらに、上記で言及した文献インド特許第201811048498号、特許第3751630号及び国際公開第18004194号によるリグニンの抗酸化特性の予想にかかわらず、DPPH(有機化合物2,2-ジフェニル-1,1-ピクリル-ヒドラジルの一般的な略語)分析ラジカルの酸化を50%減少させることができ、並びに同時に、黒色皮膚のための着色及びブルーライト保護を増強するような所望の化粧品特性を付随して保証することができる皮膚保護製品におけるナノ構造リグニンの具体的な濃度値の証拠はない。
【0020】
従って、一般論として、紫外線(UVB及びUVA)及びブルーライトに対する日焼け防止のための“ブースター(booster)”としてリグニンと、ZnO及びTiO2との予備混合物及びより暗い皮膚の色調向けの新しい化粧品ベーストーンとを組み込んだ化粧品、並びに外部の酸化剤から皮膚を保護できる特定の割合におけるリグニンの使用を得る必要が依然としてある。
【0021】
技術的解決方法
現代技術を補完し、及び、本発明により、ZnOの懸濁液の混合物及びTiO2の分散組成物の混合物と混合したリグニンを含む組成物を得るプロセスの前例のない技術的効果を達成するという意味において、白色及び不透明な背景を与える物理的フィルターの存在により、黒色皮膚のための着色を有する化粧品製剤において灰色がかった色調になるという問題が解決され、このタイプの製品及び開発は、顔のメーキャップに白い背景を与える高濃度の物理的フィルター及び/又は他の感覚の粉末が存在しても、あらゆる皮膚の色調により適応しやすくなる。
【0022】
本発明は、得られる製品に予期せぬ技術的効果をもたらす特定のプロセス条件の特別な選択を含み、さらに、黒色皮膚のための着色を有する化粧品を実現し、ブルーライト保護を高め、及び外部の酸化剤から皮膚を保護する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下の説明は、引用される図又は画像に限定されるものではなく、参考となるのは、以下で参照される図解である。
【
図1】
図1は、物理的フィルターの存在により、黒色皮膚のための通常の化粧品製剤における灰色がかった色調を有するという技術的問題の一例を提示する。
【
図2A】
図2Aは、暗い皮膚の色調の使用者の顔の上半分への通常の化粧品の適用から生じる外観の一例を提示する。
【
図2B】
図2Bは、暗い皮膚の色調の使用者の顔の上半分への本発明の化粧品の適用から生じる外観の一例を提示する。
【
図3】
図3は、本発明のZnO及びTiO
2の混合物を関連付ける条件下で、通常のリグニンなし及びリグニンありから達成されたサンプルから色調間の比較結果を有するグラフを提示する。
【
図4】
図4は、ナノ構造リグニンのサンプル濃度に基づくDPPHによる抗酸化活性のグラフを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本発明は、暗い皮膚の色調のための着色を有する化粧品のためのZnO及びTiO2と混合したリグニンを得るためのプロセス、化粧品製剤におけるブルーライト保護を高めること、及び酸化剤から皮膚を保護することに関する。
最初に、本発明は、セルロース繊維から得られる高分子量の前処理された乾燥リグニンの使用を採用する。
本発明によって処理されたリグニンは、ろ過、洗浄及び乾燥のステップによる化学的抽出プロセスを受け、ZnO及びTiO2との関連で採用される、望ましくは高分子量を有するリグニンを得る。
【0025】
本発明は、高分子量のリグニンを使用し、前記リグニンは、化粧品用途のための光毒性の点で理想的なin vitroアッセイインデックスを有する。
最適化されたリグニンを得ると、ZnOの懸濁液の特定の混合物、及びまたTiO
2の分散組成物を、前記リグニンに添加する。
以下の表Iは、本発明による、ZnOの懸濁液に使用される成分、及びそれらの質量%の特性を示す。
【表1】
【0026】
以下の表IIは、本発明による、TiO
2の分散組成物に使用される成分、及びそれらの質量%の特性を示す。
【表2】
【0027】
上記の成分の関連から得られる化粧品の結果を改善するために、本発明で使用されるTiO2(鉱物ルチル中に存在する)の粒子は、幅が最大10nm、長さが最大50nmの大きさにされる。
【0028】
図2Aは、リグニンを有する通常の化粧品であって、本発明による特定の組成物を有する前記リグニンを有しないものを、暗い皮膚の色調の使用者の顔の上半分への適用から生じる外観の一例を示し、及び使用者の顔において得られる色調の違い知覚することが可能である。
【0029】
対照的に、
図2Bは、リグニンが本発明による特定の組成物に存在する化粧品を、暗い皮膚の色調の使用者の顔の上半分への適用から生じる外観を示し、及び使用者の顔における得られる色調のいかなる差異も見ることが不可能である。
【0030】
本発明によるZnO及びTiO
2の特定の条件下での、混合物に関するリグニンからなる製品を得るプロセスの特定の特性から生じる、黒色皮膚上で灰色化を回避するという化粧品に対する予期せぬ利益に関して、前記意外な結果は、例えば、色空間球の標準化に基づき達成されるグラフを示す
図3により確認される。
【0031】
図3に見られるように、本発明のZnO及びTiO
2の混合物を関連付ける条件下で、通常はリグニンなし、及び驚くことにリグニンありで達成されたサンプルからの色調の比較結果では、リグニンを有するベースは、赤みを伴う色の微妙であるが区別できる及び知覚できる暗さを本当に与え、並びに最も大きな影響を受けたパラメータは、Lであり、色の暗さを意味し、当業者によれば、それは、本発明によると“試料がよりくすんでいる(the sample is more somber)”と言うことができる。
【0032】
従って、本発明により提示される組成物は、ZnO及びTiO2などの物理的フィルターの予備分散液を有するリグニン化合物の可溶化により形成されたライラック組成物を含み、意外なことに、黒色皮膚用の着色を有する化粧品ベースの色調維持に役立つ。
【0033】
ZnO及びTiO2の混合物を関連付ける条件下で、リグニンによって達成されるブルーライトに対する保護の色調及びブースター効果の予期せぬ効果があるだけでなく、本発明は、DPPH技術を使用するアッセイによって保障されるように、得られる製品に抗酸化能を付加する。
【0034】
DPPHアッセイでは、ナノ構造リグニンの10%溶液(25mLメスフラスコに2.5g)を、エタノールを使用して調製する。抽出後(超音波バスで30分)、前記サンプルを、微粒子の沈殿のために10分間、3000rpmで遠心分離に供し、ろ過する。本アッセイでは、0.5%、0.75%、1.0%、1.5%、及び2.0%の濃度で行えるように、連続希釈をエタノールで実施し、前記分析は3度行う。各サンプル溶液の2.5mLは、DPPH溶液(0.3mM)の1.0mLを受け取り、及びネガティブコントロール(エタノールとDPPH)も用意し、並びに各濃度(サンプル及びエタノール)についての1つのブランクとした。前記DPPHとの反応は、室温(23℃±2.0)で30分間行う。
【0035】
反応時間後、サンプルを、分光光度計において518nmで評価し、前記分析を、DS.MET.000070-抗酸化活性-EC50決定の手順に従って行う。
結果の解析において、抗酸化活性の割合は、以下の式により計算されるAA%で表される各濃度のDPPHによって考慮される。
【0036】
老化の複雑な現象に関与する多数のメカニズムの中で、酸化プロセスが最も重要なものの1つとして挙げられることに注意しなければならない。老化に伴い、より多くの酸化反応種を、皮膚へ放出し、皮膚に有毒である有害な酸化反応のカスケードを誘発する。皮膚におけるフリーラジカルの毒性作用を、化粧品製剤に添加された抗酸化物質の作用により減少する。従って、この無害化作用を、製剤の抗酸化力により測定できる。
【0037】
DPPH(1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル)は、紫色のメタノール溶液を生成する、室温で安定なフリーラジカルである。それは、抗酸化分子(水素供与体)の存在下で還元され、変色したメタノール溶液となる。前記アッセイは、DPPHラジカルが抗酸化剤又はフリーラジカル種により還元されたとき、吸収における損失を測定し、アッセイは、環境に存在するフリーラジカルに有効であるサンプルの潜在能力を特定するのに非常に有用である。
【0038】
ナノ構造リグニンに対する前記アッセイは、0.5%、0.75%、1.0%の濃度において、直線の検量線を示し、0.9974の相関係数(R
2)有する。
次に、EC50の値を、この直線の方程式に基づき計算し、及び評価されたサンプルは、ナノ構造リグニンサンプル濃度に基づくDPPHによる抗酸化活性のグラフを示す、
図4に見られるように、7.59mg/mLの濃度、すなわち、0.76%のサンプルにおいて抗酸化活性の50%を示す。
【0039】
従って、実施された前記分析は、評価されたサンプルの抗酸化力を表し、及びDPPH分析の結果は、約0.76%の濃度に基づき、前記ナノ構造リグニンは、DPPHラジカルの酸化を50%減少することができることを示す。その結果、原料のナノ構造リグニンを0.76%含む製品は、外部の酸化剤から皮膚を保護することができる。
【0040】
従って、ZnOの懸濁液、及びまた、TiO2の分散組成物の特定の混合物を添加した、上記の条件下でのリグニン処理から得られた化粧品は、最終混合物で得られる理想のライラック色を相関し、予期せぬ技術効果を有する前記化粧品の使用によって、より暗い色調の皮膚での灰色化を回避する。さらに、それは、ブルーライトに対するブースター保護として、保護効果の向上ももたらす。最後に、製品は、ZnOの懸濁液の混合物及びTiO2の分散組成物の混合物と混合される、少なくとも0.76%のナノ構造リグニンの原料も含まれ、本発明は、酸化剤に対する使用者の皮膚の保護をさらに与える。
【国際調査報告】