(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】凝血塊除去方法および独立的に制御可能な複数の要素を有するデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548549
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021071888
(87)【国際公開番号】W WO2022082213
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523140533
【氏名又は名称】レトリバー メディカル,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホロウィッツ,マイケル,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ボボ,ベンジャミン,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】レプコ,ブランドン,マシュー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
(57)【要約】
患者の身体内のルーメンからの閉塞物の除去のための凝血塊除去デバイスが提供される。凝血塊除去デバイスは、ルーメンと、ルーメン内に位置付けられ、ルーメンの近位端から遠位端まで軸方向に延びている長尺部材と、ルーメンの近位端に取り付けられているハンドルと、長尺部材の長さに沿って位置付けられている第1拡張可能部材と、長尺部材の長さに沿って位置付けられている第2拡張可能部材と、を有し、第2拡張可能部材はハンドルに対して第1拡張可能部材よりも遠位である。ハンドルは、少なくとも1つの作動機構を有し、下記の少なくとも1つが当てはまる。a)第1拡張可能部材は、少なくとも1つの作動機構に連結され、少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、第2拡張可能部材に対して可動に構成されているか、b)第1拡張可能部材は、少なくとも1つの作動機構を操作することにより、機械的に拡張または収縮するように構成されているか、c)第2拡張可能部材は、少なくとも1つの作動機構に連結され、少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、第1拡張可能部材に対して可動となるように構成されているか、またはd)第2拡張可能部材は、少なくとも1つの作動機構を操作することにより、機械的に拡張または収縮するように構成されている。
【選択図】
図28A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1近位端と第1遠位端とを有する長尺部材と、
第1近位端点と第1遠位端点とを有し、前記第1近位端点は、前記長尺部材の第1部分に取り付けられ、前記第1遠位端点は、前記長尺部材の第2部分に取り付けられる、近位拡張可能要素と、
第2近位端点と第2遠位端点とを有し、前記第2近位端点は、前記長尺部材の第3部分に取り付けられ、前記第2遠位端点は、前記長尺部材の第4部分に取り付けられ、前記第1部分、第2部分、第3部分、および第4部分は、前記長尺部材に沿う異なる配置位置を表す、遠位拡張可能要素と、
前記長尺部材と物理的に接続しているハンドルであって、前記ハンドルは、第1物理的操作可能インターフェースと第2物理的操作可能インターフェースとを備え、前記第1物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記遠位拡張可能要素から独立している前記近位拡張可能要素を機械的に拡張または収縮するように構成され、前記第2物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記近位拡張可能要素から独立している前記遠位拡張可能要素を機械的に拡張または収縮するように構成されている、ハンドルと、を備える患者の血管から不要物質を除去するように構成されているデバイス。
【請求項2】
前記ハンドルは、第3物理的操作可能インターフェースをさらに備え、前記第3物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記遠位拡張可能要素は静止したままで、前記近位拡張可能要素を動かすように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記遠位拡張可能要素は静止したままで、前記近位拡張可能要素が動く、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ハンドルは、第3物理的操作可能インターフェースをさらに備え、前記第3物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記近位拡張可能要素は静止したままで、前記遠位拡張可能要素を動かすように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記近位拡張可能要素は静止したままで、前記遠位拡張可能要素が動く、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記近位拡張可能要素は拡張または収縮する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記遠位拡張可能要素は拡張または収縮する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記近位拡張可能要素は、近位部分と遠位部分とを有する編組を備え、前記近位部分の前記編組は、前記遠位部分の前記編組に対して密度がより高いまたはより堅い、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記近位部分は、前記近位拡張可能要素の表面積の30~70%を表し、前記遠位部分は、前記近位拡張可能要素の表面積の70~30%を表す、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記遠位拡張可能要素は、近位部分と遠位部分とを有する編組を備え、前記遠位部分の前記編組は、前記近位部分の前記編組に対して密度がより高いまたはより堅い、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記遠位部分は、前記遠位拡張可能要素の表面積の30~70%を表し、前記近位部分は、前記遠位拡張可能要素の表面積70~30%を表す、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記近位拡張可能要素は、第1編組構造により画定され、前記遠位拡張可能要素は、第2編組構造により画定され、前記第2編組構造は、前記第1編組構造と同等である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記近位拡張可能要素は、第1編組構造により画定され、前記遠位拡張可能要素は、第2編組構造により画定され、前記第2編組構造は、180度回転された前記第1編組構造と同等である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
ハブバルブとシースとをさらに備え、前記ハブバルブは、筺体、前記筺体の第1端部の第1開口部、前記筺体の第2端部の第2開口部、および前記筺体から上方に向かって延び出ているアクチュエーターにより画定され、前記シースは前記第2開口部に連結されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記アクチュエーターが押し下げられると、前記ハブバルブは、前記第1開口部を通して前記長尺部材を受けて、前記長尺部材が前記第2開口部を通過し、前記シースを通過することを可能にするように構成されている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記アクチュエーターが押し下げられない場合、前記ハブバルブは、前記長尺部材の表面の周囲を密封するように構成されている、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ハブの一部に連結され、前記シースと圧力的に連通している吸引源をさらに備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項18】
前記吸引源は、シリンジである、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ハンドルは、前記第1物理的操作可能インターフェースおよび前記第2物理的操作可能インターフェースの動きを遮るように位置付けられているピンと、前記ハンドルの側面からアクセス可能な鍵穴と、前記鍵穴内へと通過し、前記ピンと物理的に接触するように構成されているキーとをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記長尺部材は、第1シャフト、第2シャフト、第3シャフト、および第4シャフトを備え、前記第1シャフトは前記第2シャフトの周囲に同心円状に位置付けられ、前記第2シャフトは前記第3シャフトの周囲に同心円状に位置付けられ、前記第3シャフトは前記第4シャフトの周囲に同心円状に位置付けられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第1近位端点は前記第1シャフトに物理的に取り付けられ、前記第1遠位端点は前記第2シャフトに物理的に取り付けられ、前記第2近位端点は前記第3シャフトに物理的に取り付けられ、前記第2遠位端点は前記第4シャフトに物理的に取り付けられている、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記第2シャフト、第3シャフト、および第4シャフトは静止したままで、前記第1シャフトを軸方向に動かすように構成されている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記第1シャフト、第2シャフト、および第3シャフトは静止したままで、前記第4シャフトを軸方向に動かすように構成されている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
第3物理的操作可能インターフェースをさらに備え、前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記第3シャフトおよび第4シャフトは静止したままで、前記第1シャフトおよび第2シャフトを共に軸方向に動かすように構成されている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記第2部分、第3部分、および第4部分は静止したままで、前記第1部分を第1の複数の所定増分位置のうちの1つへと軸方向に動かすように構成され、前記第1の複数の所定増分位置のそれぞれは、前記近位拡張可能要素が複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用するように対応し、前記複数の異なる幾何学的形状は、線形、楕円、回転楕円体、球状、またはディスク形状のうちの少なくとも2つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項29】
前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記第1部分、第2部分、および第3部分は静止したままで、前記第4部分を第2の複数の所定増分位置のうちの1つへと軸方向に動かすように構成され、前記第2の複数の所定増分位置のそれぞれは、前記遠位拡張可能要素が複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用するように対応する、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
線形形状以外の前記複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用すると、前記近位拡張可能要素または遠位拡張可能要素は、最大25ニュートンまでの力の適用では崩壊しないように構成されている、請求項29に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、優先権に関して以下の仮出願に依拠する。
「カテーテルをベースとした回収デバイス」という標題で、2021年8月19日に出願された米国仮特許出願第63/260,406号、
「2つの解剖構造間の病理学的接続を治療するためのデバイスおよびデバイスの使用方法」という標題で、2021年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/215,724号、
「吸引カテーテル用のハブおよびバルブシステム」という標題で、2021年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/215,579号、
「吸引カテーテルおよびその使用方法」という標題で、2021年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/215,573号、
「血管閉鎖デバイスおよびその使用方法」という標題で、2021年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/215,587号、
「拡張可能および崩壊可能ルーメンを有するカテーテル」という標題で、2021年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/215,583号、
「カテーテルをベースとした回収デバイス」という標題で、2021年6月28日に出願された米国仮特許出願第63/215,565号、および
「軸方向に自由な動きを持つ近位体を有するカテーテルをベースとした回収デバイス」という標題で、2020年10月15日に出願された米国仮特許出願第63/092,428号。
本願はまた、「軸方向に自由な動きを持つ近位体を有するカテーテルをベースとした回収デバイス」という標題で、2020年12月18日に出願された米国特許出願第17/127,521号の一部継続出願であり、これは「血栓を除去する方法」という標題で、2018年11月30日に出願され、2021年1月26日に米国特許第10,898,215号として発行された米国特許出願第16/205,632号の継続出願であり、これは、「軸方向に自由な動きを持つ近位体を有するカテーテルをベースとした回収デバイス」という標題で、2018年4月13日に出願され、2019年1月8日に米国特許第10,172,634号として発行された米国特許出願第15/953,151号の分割出願であり、これは、次に、優先権に関して以下に依拠する。2018年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/653,247号、2017年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/589,613号、2017年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/606,993号、および2017年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/573,006号。
本願はまた、「軸方向に自由な動きを持つ近位体を有するカテーテルをベースとした回収デバイス」という標題で、2018年4月13日に出願され、2019年4月16日に米国特許第10,258,357号として発行された米国特許出願第15/953,173および「軸方向に自由な動きを持つ近位体を有するカテーテルをベースとした回収デバイス」という標題で、2018年4月13日に出願された米国特許出願第15/953,186号に関連し、これらは双方とも優先権に関して以下の米国仮特許出願に依拠する。2018年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/653,247号、2017年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/589,613号、2017年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/606,993号、および2017年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/573,006号。
本願はまた、「軸方向に自由な動きを持つ近位体を有するカテーテルをベースとした回収デバイス」という標題で、2018年10月12日に出願されたPCT出願第PCT/US18/55606号に関連し、これは米国特許出願第15/953,151号、15/953,173号、15/953,186号の利益を主張し、これらは、次に、2018年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/653,247号、2017年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/589,613号、2017年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/606,993号、および2017年10月16日に出願された米国仮特許出願第62/573,006号より優先権を主張する。
上述の特許および出願の全てはその内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、一般的に、生物の血管、導管、およびその他の腔またはルーメンから閉塞物および不要物質を、カテーテルをベースとして除去するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
血管(脳内血管等)からの血栓等の閉塞物の除去に使用される現行の医療機器には、その有効性、信頼性、および使いやすさを低減させる制約がある。例えば、現行のデバイスは、もっぱら、脈管系に対して設計されており、導管、尿管、尿道、または他の解剖学的特徴から物質を摘出する目的で使用することができない。現行のデバイスは、大動脈、大静脈、および多くの末梢血管での用途等の大きな血管構造での使用に適しておらず、摘出を試みる前によく使用されて塞栓性物質内に圧縮して入るワイヤー構造体の不能性により、石灰化して器質化した物質とは、多くの場合、うまく機能しない。現行のデバイスは、多くの場合、凝血塊の除去のために血栓に組み込まなくてはならないワイヤー構造体を有し、オープンエンド型ステントリトリーバーによりまたは血栓を部分的に掴むことにより、血栓摘出時における二次塞栓症からの末梢保護が不十分である。このことは、意図された血栓切除処置が末梢凝血塊塞栓および以前は開いていた動脈の分岐および側副枝を閉塞させてしまうことになりかねない。現行のデバイスは、関連する動脈狭窄症に使用された場合、デバイスの崩壊により、および狭窄した血管セグメントを通して後退させられる際に狭窄がデバイスから血栓を抜去し創面切除される傾向があるため、効果が低下するかもしれない。現行のデバイスでは、多くの場合、オペレーターがデバイス挿入時に所定のデバイス長を選択しなくてはならないが、選択されたデバイス長は、オペレーターが血管内において対象の血栓のより近くからの視界を得た時点で、対象の血栓のサイズと合わないかもしれない。
【0004】
動脈、導管、尿管、または他の身体内部的空間から異物を除去するための現行のカテーテルベースの方法およびシステムは、多くの場合、複数の同軸(または同心)スリーブまたはデリバリーカテーテルを必要とし、そのいくつかは閉塞物の近位側への配置が意図され、いくつかは閉塞物を通った方向に、閉塞物の遠位側への配置が意図され、また別のものは膨張性バルーンや血栓除去装置などを保持することが意図される。カテーテルが複数存在することで、より多くの可動部と複数のカテーテルの機能に合わせたオペレーション順序が必要になることによって治療介入時の使用の複雑性が増すことに加え、製造における複雑性や費用が増す。現行のカテーテルベースの方法およびシステムはまた、特定のカテーテルで臨床環境にて製造および展開され、つまり、治療介入中に臨床医が、例えば、血管内に最初に展開されたものと異なるサイズの回収デバイスを展開(「積載」)したいとすると、カテーテルベースのツール全体は引き出され、好適な径を有する新しいカテーテルベースのデバイスが挿入されなくてはならない。現行のカテーテルベースのシステムのさらなる制約としては、異物または閉塞物のカプセル化のための固定径インストルメンテーションおよび/または膨張体(例えば、バルーン)への依存が挙げられるが、これに限定されない。一例として、遠位体および/または近位体用の膨張性バルーンを使用するカテーテルでは、膨張性バルーンには製造時の最小および最大膨張径があるため、インターベンショニストが血管または腔に入る前にバルーンのモデルおよびサイズを事前選択することが必要な場合がある。このように、仮に、誤ったバルーンサイズが選択された場合、または、遠位または近位体の拡張または収縮径における柔軟性が必要になる臨床環境の場合、機器のサイズ適応を可能にするために治療介入が中断されることもある。誤ったサイズ決めはまた、例えば、末梢保護が失われてしまった場合に、塞栓形成および閉塞物質の放出等のマイナスの臨床的続発症の可能性を増加させることもある。
【0005】
加えて、現行の閉塞除去システムは、遊離させられた閉塞物の小部分を捕らえること、または遊離させられた閉塞物の小部分が患者の血管を通過することを防ぐことができず、血栓症を引き起こす恐れがある。既存のデバイスおよび処置方法は、閉塞物の一部が、たとえより小さなサイズの部分であったとしても、血管を通過することを許してしまい、これらの部分を捕捉および摘出することに効果的ではない。
【0006】
従って、対象物質内に組み込まれるというよりむしろ、除去の対象物質が回収デバイスにより動的に囲まれることができる血栓または他の物質の除去の方法およびシステムが必要であり、ここで、回収デバイスは、対象を包囲でき、血管または他の腔内にあるうちに対象物質のサイズと合致するように物理的に調整されてもよい。さらに、使用または操作が過度に困難なデバイスを作り上げることなく、このような物質のより大きな割合が捕らえられる、血栓または他の物質の除去の方法およびシステムが必要である。
【発明の概要】
【0007】
下記の実施形態およびその態様は、システム、ツール、および方法と併せて説明され、示されており、これらは例示および説明を意図したものであり、範囲を限定するものではない。本願は、多数の実施形態を開示する。
【0008】
本明細書は、患者の血管から不要物質を除去するように構成されているデバイスを開示し、前記デバイスは、第1近位端と第1遠位端とを有する長尺部材と;第1近位端点と第1遠位端点とを有し、前記第1近位端点は、前記長尺部材の第1部分に取り付けられ、前記第1遠位端点は、前記長尺部材の第2部分に取り付けられる、近位拡張可能要素と;第2近位端点と第2遠位端点とを有し、前記第2近位端点は、前記長尺部材の第3部分に取り付けられ、前記第2遠位端点は、前記長尺部材の第4部分に取り付けられ、前記第1部分、第2部分、第3部分、および第4部分は、前記長尺部材に沿う異なる配置位置を表す、遠位拡張可能要素と;前記長尺部材と物理的に接続しているハンドルであって、前記ハンドルは、第1物理的操作可能インターフェースと第2物理的操作可能インターフェースとを備え、前記第1物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記遠位拡張可能要素から独立している前記近位拡張可能要素を機械的に拡張または収縮するように構成され、前記第2物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記近位拡張可能要素から独立している前記遠位拡張可能要素を機械的に拡張または収縮するように構成されている、ハンドルと、を備える。
【0009】
任意選択で、前記ハンドルは、第3物理的操作可能インターフェースをさらに備え、前記第3物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記遠位拡張可能要素は静止したままで、前記近位拡張可能要素を動かすように構成されている。任意選択で、前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記遠位拡張可能要素は静止したままで、前記近位拡張可能要素が動く。
【0010】
任意選択で、前記ハンドルは、第3物理的操作可能インターフェースをさらに備え、前記第3物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記近位拡張可能要素は静止したままで、前記遠位拡張可能要素を動かすように構成されている。任意選択で、前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記近位拡張可能要素は静止したままで、前記遠位拡張可能要素が動く。
【0011】
任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記近位拡張可能要素は拡張または収縮する。
【0012】
任意選択で、前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記遠位拡張可能要素は拡張または収縮する。
【0013】
任意選択で、前記近位拡張可能要素は、近位部分と遠位部分とを有する編組を備え、前記近位部分の前記編組は、前記遠位部分の前記編組に対して密度がより高いまたはより堅い。任意選択で、前記近位部分は、前記近位拡張可能要素の表面積の30~70%を表し、前記遠位部分は、前記近位拡張可能要素の表面積の70~30%を表す。
【0014】
任意選択で、前記遠位拡張可能要素は、近位部分と遠位部分とを有する編組を備え、前記遠位部分の前記編組は、前記近位部分の前記編組に対して密度がより高いまたはより堅い。任意選択で、前記遠位部分は、前記遠位拡張可能要素の表面積の30~70%を表し、前記近位部分は、前記遠位拡張可能要素の表面積の70~30%を表す。
【0015】
任意選択で、前記近位拡張可能要素は第1編組構造により画定され、前記遠位拡張可能要素は第2編組構造により画定され、前記第2編組構造は前記第1編組構造と同等である。
【0016】
任意選択で、前記近位拡張可能要素は第1編組構造により画定され、前記遠位拡張可能要素は第2編組構造により画定され、前記第2編組構造は180度回転された前記第1編組構造と同等である。
【0017】
任意選択で、前記デバイスは、ハブバルブとシースとをさらに備え、前記ハブバルブは、筺体、前記筺体の第1端部の第1開口部、前記筺体の第2端部の第2開口部、および前記筺体から上方に向かって延び出ているアクチュエーターにより画定され、前記シースは前記第2開口部に連結されている。任意選択で、前記アクチュエーターが押し下げられると、前記ハブバルブは、前記第1開口部を通して前記長尺部材を受けて、前記長尺部材が前記第2開口部を通過し、前記シースを通過することを可能にするように構成されている。任意選択で、前記アクチュエーターが押し下げられない場合、前記ハブバルブは、前記長尺部材の表面の周囲を密封するように構成されている。任意選択で、前記デバイスは、前記ハブの一部に連結され、前記シースと圧力的に連通している吸引源をさらに備える。任意選択で、前記吸引源は、シリンジである。
【0018】
任意選択で、前記ハンドルは、前記第1物理的操作可能インターフェースおよび前記第2物理的操作可能インターフェースの動きを遮るように位置付けられているピンと、前記ハンドルの側面からアクセス可能な鍵穴と、前記鍵穴内へと通過し、前記ピンと物理的に接触するように構成されているキーとをさらに備える。
【0019】
任意選択で、前記長尺部材は、第1シャフト、第2シャフト、第3シャフト、および第4シャフトを備え、前記第1シャフトは前記第2シャフトの周囲に同心円状に位置付けられ、前記第2シャフトは前記第3シャフトの周囲に同心円状に位置付けられ、前記第3シャフトは前記第4シャフトの周囲に同心円状に位置付けられる。任意選択で、前記第1近位端点は前記第1シャフトに物理的に取り付けられ、前記第1遠位端点は前記第2シャフトに物理的に取り付けられ、前記第2近位端点は前記第3シャフトに物理的に取り付けられ、前記第2遠位端点は前記第4シャフトに物理的に取り付けられている。任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記第2シャフト、第3シャフト、および第4シャフトは静止したままで、前記第1シャフトを軸方向に動かすように構成されている。任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである。任意選択で、前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記第1シャフト、第2シャフト、および第3シャフトは静止したままで、前記第4シャフトを軸方向に動かすように構成されている。任意選択で、前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである。任意選択で、前記デバイスは第3物理的操作可能インターフェースをさらに備え、前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記第3シャフトおよび第4シャフトは静止したままで、前記第1シャフトおよび第2シャフトを共に軸方向に動かすように構成されている。任意選択で、前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである。
【0020】
任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記第2部分、第3部分、および第4部分は静止したままで、前記第1部分を第1の複数の所定増分位置のうちの1つへと軸方向に動かすように構成され、前記第1の複数の所定増分位置のそれぞれは、前記近位拡張可能要素が複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用するように対応し、前記複数の異なる幾何学的形状は、線形、楕円、回転楕円体、球状、またはディスク形状のうちの少なくとも2つを含む。任意選択で、前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記第1部分、第2部分、および第3部分は静止したままで、前記第4部分を第2の複数の所定増分位置のうちの1つへと軸方向に動かすように構成され、前記第2の複数の所定増分位置のそれぞれは、前記遠位拡張可能要素が複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用するように対応する。任意選択で、線形形状以外の前記複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用すると、前記近位拡張可能要素または遠位拡張可能要素は、最大25ニュートンまでの力の適用では崩壊しないように構成されている。
【0021】
本明細書はまた、患者の血管から不要物質を除去するように構成されているデバイスを開示し、前記デバイスは、第1近位端と第1遠位端とを有する長尺部材と;第1近位端点と第1遠位端点とを有する近位拡張可能要素であって、前記第1近位端点は前記長尺部材の第1部分に取り付けられ、前記第1遠位端点は前記長尺部材の第2部分に取り付けられる、近位拡張可能要素と;第2近位端点と第2遠位端点とを有する遠位拡張可能要素であって、前記第2近位端点は、前記長尺部材の第3部分に取り付けられ、前記第2遠位端点は、前記長尺部材の第4部分に取り付けられ、前記第1部分、第2部分、第3部分、および第4部分は、前記長尺部材に沿う異なる配置位置を表す、遠位拡張可能要素と;前記長尺部材と物理的に接続しているハンドルであって、前記ハンドルは、第1物理的操作可能インターフェースと第2物理的操作可能インターフェースとを備え、前記第1物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記近位拡張可能要素または前記遠位拡張可能要素の少なくとも1つを機械的に拡張または収縮するように構成され、前記第2物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記遠位拡張可能要素を動かさずに前記近位拡張可能要素を動かすまたは前記近位拡張可能要素を動かさずに前記遠位拡張可能要素を動かすように構成されている、ハンドルと、を備える。
【0022】
任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記近位拡張可能要素を機械的に拡張または収縮するように構成されている。任意選択で、前記デバイスは第3物理的操作可能インターフェースをさらに備え、前記第3物理的操作可能インターフェースは、動かされると、前記遠位拡張可能要素を機械的に拡張または収縮するように構成されている。
【0023】
任意選択で、前記第2物理的操作可能インターフェースは前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記遠位拡張可能要素は静止したままで、前記近位拡張可能要素が動く。
【0024】
任意選択で、前記第2物理的操作可能インターフェースは前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記近位拡張可能要素は静止したままで、前記遠位拡張可能要素が動く。
【0025】
任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記遠位拡張可能要素のサイズは変わらない中、前記近位拡張可能要素は拡張または収縮する。
【0026】
任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動かされるように構成されているスライダーであり、前記スライダーを前記長さに沿って軸方向に動かすと、前記近位拡張可能要素のサイズは変わらない中、前記遠位拡張可能要素は拡張または収縮する。
【0027】
任意選択で、前記近位拡張可能要素は、近位部分と遠位部分とを有する編組を備え、前記近位部分の前記編組は、前記遠位部分の前記編組に対して密度がより高いまたはより堅い。任意選択で、前記近位部分は前記近位拡張可能要素の表面積の30~70%を表し、前記遠位部分は前記近位拡張可能要素の表面積の70~30%を表す。
【0028】
任意選択で、前記遠位拡張可能要素は、近位部分と遠位部分とを有する編組を備え、前記遠位部分の前記編組は、前記近位部分の前記編組に対して密度がより高いまたはより堅い。任意選択で、前記遠位部分は前記遠位拡張可能要素の表面積の30~70%を表し、前記近位部分は前記遠位拡張可能要素の表面積の70~30%を表す。
【0029】
任意選択で、前記近位拡張可能要素は第1編組構造により画定され、前記遠位拡張可能要素は第2編組構造により画定され、前記第2編組構造は前記第1編組構造と同等である。
【0030】
任意選択で、前記近位拡張可能要素は第1編組構造により画定され、前記遠位拡張可能要素は第2編組構造により画定され、前記第2編組構造は180度回転された前記第1編組構造と同等である。
【0031】
任意選択で、前記デバイスは、ハブバルブとシースとをさらに備え、前記ハブバルブは、筺体、前記筺体の第1端部の第1開口部、前記筺体の第2端部の第2開口部、および前記筺体から上方に向かって延び出ているアクチュエーターにより画定され、前記シースは前記第2開口部に連結されている。任意選択で、前記アクチュエーターが押し下げられると、前記ハブバルブは、前記第1開口部を通して前記長尺部材を受け、前記長尺部材が前記第2開口部を通過し、前記シースを通過することを可能にするように構成されている。任意選択で、前記アクチュエーターが押し下げられない場合、前記ハブバルブは、前記長尺部材の表面の周囲を密封するように構成されている。任意選択で、前記デバイスは、前記ハブの一部に連結され、前記シースと圧力的に連通している吸引源をさらに備える。任意選択で、前記吸引源は、シリンジである。
【0032】
任意選択で、前記ハンドルは、前記第1物理的操作可能インターフェースおよび前記第2物理的操作可能インターフェースの動きを遮るように位置付けられているピンと、前記ハンドルの側面からアクセス可能な鍵穴と、前記鍵穴内へと通過し、前記ピンと物理的に接触するように構成されているキーとをさらに備える。
【0033】
任意選択で、前記長尺部材は、第1シャフト、第2シャフト、第3シャフト、および第4シャフトを備え、前記第1シャフトは前記第2シャフトの周囲に同心円状に位置付けられ、前記第2シャフトは前記第3シャフトの周囲に同心円状に位置付けられ、前記第3シャフトは前記第4シャフトの周囲に同心円状に位置付けられる。任意選択で、前記第1近位端点は前記第1シャフトに物理的に取り付けられ、前記第1遠位端点は前記第2シャフトに物理的に取り付けられ、前記第2近位端点は前記第3シャフトに物理的に取り付けられ、前記第2遠位端点は前記第4シャフトに物理的に取り付けられている。任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記第2シャフト、第3シャフト、および第4シャフトは静止したままで、前記第1シャフトを軸方向に動かすように構成されている。任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである。任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記第1シャフト、第2シャフト、および第3シャフトは静止したままで、前記第4シャフトを軸方向に動かすように構成されている。任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである。任意選択で、前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記第3シャフトおよび第4シャフトは静止したままで、前記第1シャフトおよび第2シャフトを共に軸方向に動かすように構成されている。任意選択で、前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルを軸方向に上下に動かすように構成されているスライダーである。
【0034】
任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記第2部分、第3部分、および第4部分は静止したままで、前記第1部分を第1の複数の所定増分位置のうちの1つへと軸方向に動かすように構成され、前記第1の複数の所定増分位置のそれぞれは、前記近位拡張可能要素が複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用するように対応し、前記複数の異なる幾何学的形状は、線形、楕円、回転楕円体、球状、またはディスク形状のうちの少なくとも2つを含む。
【0035】
任意選択で、前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記第1部分、第2部分、および第3部分は静止したままで、第2の複数の所定増分位置のうちの1つに前記第4部分を軸方向に動かすように構成され、前記第2の複数の所定増分位置のそれぞれは、前記遠位拡張可能要素が前記複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用するように対応する。任意選択で、線形形状以外の前記複数の異なる幾何学的形状のうちの1つを採用すると、前記遠位拡張可能要素は、最大25ニュートンまでの力の適用では崩壊しないように構成されている。
【0036】
実施形態によっては、本明細書はまた、患者の身体内のルーメンから閉塞物を除去するためのデバイスを開示し、遠位端を有するハンドルであって、前記遠位端は、1以上の伸縮チューブを通して先端部の近位端に連結され、前記ハンドルは少なくとも1つの作動機構を含む、ハンドルと;前記先端部に取り付けられる要素であって、前記要素は第1状態にある、要素と、を備え、前記ハンドルは前記ルーメンを通して前記先端部を操舵するように構成されて、前記要素が前記閉塞物の中に位置付けられるようになり、前記少なくとも1つの作動機構は第1方向に操作されて、前記要素を前記閉塞物内で前記第1状態から第2状態へと移行させ、前記第2状態にある前記要素は、1以上の前後運動が付与されて前記閉塞物を遊離させて擦り落とす。
【0037】
任意選択で、前記第1状態は、収縮形態にある前記要素に対応し、前記第2状態は、拡張形態にある前記要素に対応する。
【0038】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、第1および第2ノブを含み、前記第1ノブは操作されて、前記要素を前記第1状態から前記第2状態まで移行させ、前記第2ノブは操作されて、前記先端部に対して前記1以上の前後運動を前記要素に付与する。
【0039】
任意選択で、前記ハンドルは前後に動かされ、前記先端部、従って、前記要素が前後に動かされる。
【0040】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、操作されて、前記第1状態から前記第2状態まで前記要素を移行させるノブを含む。
【0041】
任意選択で、前記デバイスは、デリバリーカテーテルと吸引カテーテルとをさらに含み、前記先端部は前記デリバリーカテーテル内に位置付けられ、前記デリバリーカテーテルは前記吸引カテーテル内に位置付けられ、前記吸引カテーテルの近位端に負圧がかけられて、前記遊離させられて擦り落とされた閉塞物を吸引する。
【0042】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は前記第1方向の反対側の第2方向に操作されて、前記要素を前記第2状態から前記第1状態へと移行させ、前記ハンドルは前記第1状態にある前記要素を前記ルーメンから後退させるために使用される。
【0043】
任意選択で、前記要素は近位、遠位、および中央部分を有し、前記近位部分は前記先端部の長手軸に沿って近位に向く第1ネック部を有する第1漏斗として形成され、前記遠位部分は前記長手軸に沿って遠位に向く第2ネック部を有する第2漏斗として形成され、前記第1および第2漏斗の各カップ縁部は中心軸をわたって取り付けられて前記中央部分を形成し、前記中心軸は前記長手軸に略直交して位置する。
【0044】
任意選択で、前記要素は、前記第2状態で3次元幾何学形状を有し、前記3次元幾何学形状は、球状、楕円形、円錐、多角形状、円筒、ステント、聖杯、傘、凹形、凸形、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、またはレバー形状のうちの1つまたはそれらの組み合わせである。
【0045】
実施形態によっては、本明細書は、患者の身体内のルーメンから閉塞物を除去するためのデバイスを使用する方法を開示し、前記デバイスは、1以上の伸縮チューブを通して先端部の近位端に連結されるハンドルと、前記先端部に取り付けられる要素であって、前記要素は第1状態にある、要素と、を備え、前記方法は、デリバリーカテーテルを通して前記先端部を位置付けることと;吸引カテーテルを通して前記デリバリーカテーテルを位置付けることと;前記要素が前記閉塞物の中に位置付けられるように、前記ハンドルを使用して前記ルーメンを通して前記先端部を操舵することと;前記ハンドルにある少なくとも1つの作動機構を第1方向へと操作することにより、前記要素を前記第1状態から第2状態へと移行させることと;前記閉塞物を遊離させて擦り落とすために1以上の前後運動を前記要素に付与することとを備える。
【0046】
任意選択で、前記第1状態は、収縮形態にある前記要素に対応し、前記第2状態は、拡張形態にある前記要素に対応する。
【0047】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、第1および第2ノブを含み、前記第1ノブは操作されて、前記要素を前記第1状態から前記第2状態まで移行させ、前記第2ノブは操作されて、前記先端部に対して前記1以上の前後運動を前記要素に付与する。
【0048】
任意選択で、前記ハンドルは前後に動かされ、前記先端部、従って、前記要素が前後に動かされる。
【0049】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、操作されて、前記第1状態から前記第2状態まで前記要素を移行させるノブを含む。
【0050】
任意選択で、前記方法は、前記吸引カテーテルの近位端に負圧をかけて、前記遊離させられて擦り落とされた閉塞物を吸引することをさらに備える。
【0051】
任意選択で、前記方法は、前記ハンドルにある前記少なくとも1つの作動機構を前記第1方向の反対側の第2方向に操作することによって、前記要素を前記第2状態から前記第1状態へと移行させることと;前記ハンドルを使用して、前記第1状態にある前記要素を前記ルーメンから後退させることと、をさらに備える。
【0052】
任意選択で、前記要素は近位、遠位、および中央部分を有し、前記近位部分は前記先端部の長手軸に沿って近位に向く第1ネック部を有する第1漏斗として形成され、前記遠位部分は前記長手軸に沿って遠位に向く第2ネック部を有する第2漏斗として形成され、前記第1および第2漏斗の各カップ縁部は中心軸をわたって取り付けられて前記中央部分を形成し、前記中心軸は前記長手軸に略直交して位置する。
【0053】
任意選択で、前記要素は、前記第2状態で3次元幾何学形状を有し、前記3次元幾何学形状は、球状、楕円形、円錐、多角形状、円筒、ステント、聖杯、傘、凹形、凸形、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、またはレバー形状のうちの1つまたはそれらの組み合わせである。
【0054】
実施形態によっては、本明細書は、患者の身体内のルーメンから凝血塊を除去するためのデバイスを開示し、遠位端を有するハンドルであって、前記遠位端は、1以上の伸縮チューブを通して先端部の近位端に連結され、前記ハンドルは少なくとも1つの作動機構を含む、ハンドルと;前記先端部に取り付けられる要素であって、前記要素は第1状態にある、要素と、を備え、前記ハンドルは、前記ルーメンを通して先端部を操舵して、前記要素が前記凝血塊内に位置付けられるように構成され、前記少なくとも1つの作動機構は第1方向へと操作されて、前記要素を前記凝血塊内で前記第1状態から第2状態へおよび前記第2状態から第3状態へと移行させ、前記第2状態および/または前記第3状態にある前記要素は1以上の前後運動が付与されて、前記凝血塊を遊離させて擦り落とす。
【0055】
任意選択で、前記第2状態は、前記要素の第1サイズが前記凝血塊にかける第1半径方向力に対応し、前記第3状態は、前記要素の第2サイズが前記凝血塊にかける第2半径方向力に対応し、前記第2半径方向力は前記第1半径方向力とは異なる。
【0056】
任意選択で、前記第1および第2半径方向力のそれぞれは、2ニュートン~20ニュートンの範囲である。
【0057】
実施形態によっては、本明細書は、凝血塊除去デバイスを開示し、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びる長さとを有するルーメンと;前記ルーメン内に位置付けられ、前記近位端から前記遠位端に軸方向に延びている長尺部材と;前記ルーメンの前記近位端に取り付けられているハンドルであって、前記ハンドルは、少なくとも1つの作動機構を備える、ハンドルと;前記長尺部材の長さに沿って位置付けられている第1拡張可能部材と;前記長尺部材の前記長さに沿って位置付けられている第2拡張可能部材であって、前記第2拡張可能部材は前記ハンドルに対して前記第1拡張可能部材よりも遠位である、第2拡張可能部材と、を備え、i)前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構に連結され、前記少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成されるか、ii)前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構を操作することにより、機械的に拡張または収縮するように構成されているか、iii)前記第2拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構に連結され、前記少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、前記第1拡張可能部材に対して可動となるように構成されているか、またはiii)前記少なくとも1つの作動機構を操作することにより、前記第2拡張可能部材は機械的に拡張または収縮するように構成されているか、のうちの少なくとも1つである。
【0058】
任意選択で、前記ハンドルは、少なくとも2つの作動機構を備え、前記第1拡張可能部材は前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1に連結され、前記少なくとも2つの作動機構のうちの前記第1が操作されるとすぐに、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成され、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第2を操作することにより、機械的に拡張または収縮するようにさらに構成されている。
【0059】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第1摺動部材を備え、前記第1摺動部材は前記ルーメン内に位置付けられる第1内部部材に連結され、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第1摺動部材を動かすと、前記第1内部部材は軸方向に動き、前記第1拡張可能部材が前記第2拡張可能部材に対して動くようにする。
【0060】
任意選択で、前記第1内部部材は、前記第1拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0061】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構の第2は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第2摺動部材を備え、前記第2摺動部材は前記ルーメン内に位置付けられる第2内部部材に連結され、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第2摺動部材を動かすと、前記第2内部部材は軸方向に動き、前記第1拡張可能部材が機械的に拡張または収縮するようにする。
【0062】
任意選択で、前記第2内部部材は、前記第1拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0063】
任意選択で、前記第1摺動部材および第2摺動部材は、互いに隣接して位置付けられ、前記ハンドルの前記外面の周囲に円周方向に分散されている。
【0064】
任意選択で、前記ハンドルは、少なくとも3つの作動機構を備え、前記第1拡張可能部材は前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1に連結され、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1が操作されるとすぐに、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成され、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第2を操作することにより、機械的に拡張または収縮するようにさらに構成され、前記第2拡張可能部材は、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第3を操作することにより、機械的に拡張または収縮するようにさらに構成されている。
【0065】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第1摺動部材を備え、前記第1摺動部材は前記ルーメン内に位置付けられる第1内部部材に連結され、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第1摺動部材を動かすと、前記第1内部部材は軸方向に動き、前記第1拡張可能部材が前記第2拡張可能部材に対して動くようにする。
【0066】
任意選択で、前記第1内部部材は、前記第1拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0067】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構の第2は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第2摺動部材を備え、前記第2摺動部材は前記ルーメン内に位置付けられる第2内部部材に連結され、前記ハンドルの前記長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第2摺動部材を動かすと、前記第2内部部材は軸方向に動き、前記第1拡張可能部材が機械的に拡張または収縮するようにする。
【0068】
任意選択で、前記第2内部部材は、前記第1拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0069】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構の第3は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第3摺動部材を備え、前記第3摺動部材は前記ルーメン内に位置付けられる第3内部部材に連結され、前記ハンドルの前記長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第3摺動部材を動かすと、前記第3内部部材は軸方向に動き、前記第2拡張可能部材が機械的に拡張または収縮するようにする。任意選択で、前記第3内部部材は、前記第2拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。任意選択で、前記第1摺動部材、前記第2摺動部材、および前記第3摺動部材は、互いに隣接して位置付けられ、前記ハンドルの前記外面の周囲に円周方向に分散されている。
【0070】
任意選択で、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構に連結され、前記少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成され、一方、前記第2拡張可能部材の位置は前記少なくとも1つの作動機構の前記操作による影響を受けない。
【0071】
任意選択で、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構を操作することにより、機械的に拡張または収縮するように構成され、一方、前記第2拡張可能部材のサイズは、前記少なくとも1つの作動機構の前記操作による影響を受けない。
【0072】
任意選択で、前記第2拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構に連結され、前記少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、前記第1拡張可能部材に対して可動となるように構成され、一方、前記第1拡張可能部材の位置は前記少なくとも1つの作動機構の前記操作による影響を受けない。
【0073】
任意選択で、前記第2拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構を操作することにより機械的に拡張または収縮するように構成され、一方、前記第1拡張可能部材のサイズは前記少なくとも1つの作動機構の前記操作による影響を受けない。
【0074】
任意選択で、前記第1拡張可能部材または前記第2拡張可能部材の少なくとも1つは、前記少なくとも1つの作動機構を遠位に動かすと、拡張し、前記拡張は、前記第1拡張可能部材および前記第2拡張可能部材の少なくとも1つを、前記少なくとも1つの作動機構がどれほど遠くへと遠位に動かされたかに応じて、実質的な線形形態から第1形状、第2形状、または第3形状に変形させる。
【0075】
任意選択で、前記第1形状、第2形状、または第3形状は、球状、楕円状、円錐状、多角形、円筒状、ステントの形状、聖杯の形状、傘の形状、凹状、凸状、半球状、吹き流し形状、ダンベル形状、星形状、または前述の形状の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つである。
【0076】
任意選択で、前記第1形状は第1外面を有し、前記第1外面から前記長尺部材までの最長距離は第1距離により画定され、前記第2形状は第2外面を有し、前記第2外面から前記長尺部材までの最長距離は第2距離により画定され、前記第3形状は第3外面を有し、前記第3外面から前記長尺部材までの最長距離は第3距離により画定され、前記第3距離は前記第2距離よりも大きく、前記第2距離は前記第1距離よりも大きい。
【0077】
任意選択で、前記第1形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で前記第1外面に第1外力をかけられた場合でも前記第1距離を維持するように構成され、前記第2形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で前記第2外面に第2外力をかけられた場合でも前記第2距離を維持するように構成され、前記第3形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で前記第3外面に第3外力をかけられた場合でも前記第3距離を維持するように構成されている。
【0078】
任意選択で、前記第1形状は前記第1外力よりも大きな力がかかるとすぐに崩壊するように構成され、前記第2形状は前記第2外力よりも大きな力がかかるとすぐに崩壊するように構成され、前記第3形状は前記第3外力よりも大きな力がかかるとすぐに崩壊するように構成され、前記第1外力は、前記第3外力未満である前記第2外力未満である。
【0079】
任意選択で、拡張の際、前記第1拡張可能部材または前記第2拡張可能部材の少なくとも1つは、総表面積の量に対する開放表面積の量が1%~99%の範囲である。
【0080】
任意選択で、拡張の際、前記第1拡張可能部材は、前記総表面積の前記量に対する前記開放表面積の量が前記第2拡張可能部材よりも多い。
【0081】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、スライダー、ノブ、レバー、ダイヤル、または押しボタンである。
【0082】
任意選択で、前記第1拡張可能部材または前記第2拡張可能部材の少なくとも1つは、前記長尺部材の周囲で円周方向におよび平行に位置付けられる細長編組構造が第1形態から第2形態へと変形する編組構造である。
【0083】
任意選択で、前記第2形態は、第1端で基部の外周縁の周囲を回り、反対端で前記長尺部材上の第1の複数のポイントへと狭まる第1曲面を有する円錐部により画定される第1編組構造と、前記第1編組構造と一体に形成され、一端で基部の外周縁の周囲を回り、反対端で前記長尺部材上の第2の複数のポイントへと狭まる第2曲面を有する円錐部により画定される第2編組構造とを備え、前記第1の複数のポイントおよび第2の複数のポイントは、前記長尺部材の前記長さに沿って分離されている。
【0084】
任意選択で、前記第2形態は、球状、楕円状、ひし形、多角形、または双円錐である。
【0085】
任意選択で、前記第1拡張可能部材または前記第2拡張可能部材の少なくとも1つは、可動部材を1つだけ使用する前記少なくとも1つの作動部材を使用して拡張するように構成されている。
【0086】
実施形態によっては、本明細書は、凝血塊除去デバイスを使用する凝血塊除去方法を開示し、前記凝血塊除去デバイスは、ルーメンと、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びる長さとを有するカテーテルと、前記ルーメン内に位置付けられ、前記近位端から前記遠位端へと軸方向に延びている長尺部材と、前記ルーメンの前記近位端に取り付けられているハンドルと、前記長尺部材の長さに沿って位置付けられている第1拡張可能部材と、前記長尺部材の前記長さに沿って位置付けられている第2拡張可能部材とを備え、前記ハンドルは、第1作動機構と、第2作動機構と、第3作動機構とを備え、前記第2拡張可能部材は前記ハンドルに対して前記第1拡張可能部材よりも遠位であり、前記方法は、患者を通してワイヤーを導入し、凝血塊に近接するように前記ワイヤーを位置付けることと;前記ワイヤー上を渡って前記凝血塊に近接するように前記患者の中に前記カテーテルを位置付けることと;前記長尺部材を操作することにより前記第2拡張可能部材を前記ルーメンの外へと、前記凝血塊内にまたは前記凝血塊に対して遠位に延ばすことと;前記長尺部材を操作することにより前記第1拡張可能部材を前記ルーメンの外へと、前記凝血塊内にまたは前記凝血塊に対して近位に延ばすことと;前記第1作動機構または前記第2作動機構のうちの少なくとも1つを使用して、前記第2拡張可能部材を拡張させることと;前記第1作動機構または前記第2作動機構のうちの少なくとも1つを使用して、前記第1拡張可能部材を拡張させることと;前記第3作動機構を使用して、前記ルーメン内の開口部に向けて前記第1拡張可能部材を軸方向に動かすことと;前記第1作動機構または前記第2作動機構のうちの少なくとも1つを使用して、前記第1拡張可能部材を圧縮することと;前記第1作動機構または前記第2作動機構のうちの少なくとも1つを使用して、前記第2拡張可能部材を圧縮することと;前記第1拡張可能部材および前記第2拡張可能部材を前記ルーメン内へと引くことと;患者から前記カテーテルを除去することと、を備える。
【0087】
任意選択で、前記方法は、前記第3作動機構を使用して前記長さに沿って前後に前記第1拡張可能部材を軸方向に動かすことを含む。
【0088】
任意選択で、前記方法は、前記第3作動機構を使用して前記ルーメン内の開口部に向けて前記第1拡張可能部材を軸方向に動かし、続けて、前記ルーメンに吸引をかけることを含む。
【0089】
任意選択で、前記方法は、前記ルーメンに吸引をかけることをさらに備える。
【0090】
任意選択で、前記第1拡張可能部材は、前記第2拡張可能部材が静止したままで、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成されている。
【0091】
任意選択で、前記第2拡張可能部材は、前記第1拡張可能部材が静止したままで、前記第1拡張可能部材に対して可動であるように構成されている。
【0092】
任意選択で、前記第1拡張可能部材は、前記第2拡張可能部材のサイズ、寸法、または形状に影響を及ぼさずに、機械的に拡張または収縮するように構成されている。
【0093】
任意選択で、前記第2拡張可能部材は、前記第1拡張可能部材のサイズ、寸法、または形状に影響を及ぼさずに、機械的に拡張または収縮するように構成されている。
【0094】
実施形態によっては、本明細書は、患者の身体内のルーメンから閉塞物を除去するための医療用回収デバイスを開示し、ハンドルであって、前記ハンドルの長さを通して長手方向に延びる溝を備えるハンドルと;前記ハンドルに連結されている先端部を備えるデリバリーカテーテルであって、前記ハンドルは前記閉塞物の近くに前記先端部を操舵するように構成されているデリバリーカテーテルと;前記先端部の遠位端に固定的に取り付けられている拡張可能遠位要素であって、前記遠位要素はカップとして構成されている、拡張可能遠位要素と;前記先端部の近位端周辺に摺動可能に取り付けられるプッシャーであって、前記プッシャーは、前記遠位要素に対して可動であり、前記カップ内に前記閉塞物を配置することにより前記閉塞物を除去するように構成されている、プッシャーと、を備える。
【0095】
任意選択で、前記デバイスは、遠位要素アンカーチューブと連結している遠位要素エキスパンダーをさらに備え、前記遠位要素エキスパンダーは、前記溝に摺動可能にはめ込まれ、前記エキスパンダーを前記遠位要素に向けて前記溝内で摺動させることで、前記遠位要素が拡張される。任意選択で、前記エキスパンダーは、前記遠位要素が最大径へと拡張した際に、前記溝内である位置にロックされる。
【0096】
任意選択で、拡張時の前記プッシャーボールの形状は、20mmの最大径を有する球状である。
【0097】
任意選択で、前記遠位要素アンカーチューブは、前記遠位要素の前記拡張を支援するための前記遠位要素に接続されるニチノールチューブである。
【0098】
任意選択で、前記デバイスは、プッシャーボールエキスパンダーと、前記溝に摺動可能にはめ込まれるプッシャーボールスライダーとをさらに備え、前記プッシャーボールエキスパンダーは、前記プッシャーに向けて前記溝内で動かされると、前記プッシャーが拡張され、前記閉塞物を遊離させ、前記閉塞物を前記遠位要素内に配置するために前記プッシャーボールスライダーは、前記遠位要素に向かっておよび前記ハンドルに向かって反対方向に、1以上の回数、前記プッシャーボールエキスパンダーと共に同期的に動く。
【0099】
任意選択で、拡張時の前記プッシャーの形状は、18mmの最大径を有する球状である。
【0100】
任意選択で、前記プッシャーボールエキスパンダーは、前記プッシャーボールが最大径へと拡張した際、前記溝内である位置にロックされる。
【0101】
任意選択で、前記先端部は、前記遠位要素および前記プッシャーの前記拡張を支援する複数の可撓性要素を備える。
【0102】
任意選択で、前記可撓性要素は、前記ハンドルを使用することによって互いに対して可動である4つの同軸伸縮自在チューブを備え、前記相対運動は前記遠位要素および前記プッシャーの拡張および圧縮を引き起こす。
【0103】
任意選択で、前記遠位要素は、剛性であり、拡張後、所定の形状を保持する。
【0104】
任意選択で、前記ハンドルは、前記閉塞物が前記遠位要素内に配置された後、前記閉塞物を吸引する吸引ラインを備える。
【0105】
実施形態によっては、本明細書は、その長さを通して長手方向に延びる溝を備えるハンドルと;前記ハンドルに連結されている先端部を備えるデリバリーカテーテルと;前記先端の遠位端に固定的に取り付けられている拡張可能固定アンカーと;前記先端の近位端周辺に摺動可能に取り付けられるプッシャーボールと、を少なくとも備える、医療用回収デバイスを使用することにより患者の身体内のルーメンから閉塞物を除去する方法を開示し、前記方法は、前記ハンドルを使用することにより前記閉塞物の近くに前記先端を操舵することと;前記プッシャーボールおよび前記固定アンカーを拡張させることと;前記プッシャーボールを前記ワイヤーに沿って長手方向に1以上の回数動かして、前記閉塞物を遊離させ、前記プッシャーボールと前記固定アンカーとの間に前記閉塞物を捕捉することと;前記プッシャーボール、閉塞物、および固定アンカーを前記患者の前記ルーメンから共に引き出すことにより、前記捕捉された閉塞物を除去することと、を備える。
【0106】
任意選択で、前記固定アンカーは、ワイヤーメッシュ構造であり、機械的に拡張される。
【0107】
任意選択で、前記固定アンカーは、前記先端の遠位端に固定され、前記リトリーバーの前記ハンドルのプッシャーは、前記固定アンカーの中心を通って延びる前記デリバリーカテーテルから前記ワイヤーメッシュ構造を拡張させて出すように使用される。
【0108】
任意選択で、前記固定アンカーは、所定の位置に固定され、前記プッシャーボールが前記固定アンカーに対してワイヤー上で長手方向に前後に動くことを可能にして、前記閉塞物を遊離させる。
【0109】
任意選択で、前記固定アンカーは、前記閉塞物内で拡張される。
【0110】
任意選択で、前記閉塞物を通して前記先端を運び、前記固定アンカーを前記閉塞物に対して遠位に位置付けた後に、前記固定アンカーが拡張される。
【0111】
任意選択で、前記固定アンカー内で前記閉塞物を捕捉するために前記プッシャーボールが前記固定アンカー内に完全に入るように動くように、前記プッシャーボールが前記閉塞物内で拡張される。
【0112】
任意選択で、前記捕捉された閉塞物を除去することは、前記プッシャーボールを前記固定アンカーに対して動かすことを備える。
【0113】
実施形態によっては、本明細書は、凝血塊除去デバイスを開示し、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びる長さとを有するルーメンと;前記ルーメン内に位置付けられ、前記近位端から前記遠位端に軸方向に延びている長尺部材と;前記ルーメンの前記近位端に取り付けられているハンドルであって、前記ハンドルは、少なくとも1つの作動機構を備える、ハンドルと;前記長尺部材の長さに沿って位置付けられている第1拡張可能部材と;前記長尺部材の前記長さに沿って位置付けられている第2拡張可能部材であって、前記第2拡張可能部材は前記ハンドルに対して前記第1拡張可能部材よりも遠位である、第2拡張可能部材と、を備え、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構に連結され、前記少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成されているか;前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構を操作することにより、機械的に拡張または収縮するように構成されているか;前記第2拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構に連結され、前記少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、前記第1拡張可能部材に対して可動となるように構成されているか;または前記第2拡張可能部材が前記少なくとも1つの作動機構を操作することにより機械的に拡張または収縮するように構成されているか、のうちの少なくとも1つである。
【0114】
任意選択で、前記ハンドルは、少なくとも2つの作動機構を備え、前記第1拡張可能部材は前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1に連結され、前記少なくとも2つの作動機構のうちの前記第1が操作されるとすぐに、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成され、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第2を操作することにより、機械的に拡張または収縮するようにさらに構成されている。
【0115】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第1摺動部材を備え、前記第1摺動部材は前記ルーメン内に位置付けられる第1内部部材に連結され、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第1摺動部材を動かすと、前記第1内部部材は軸方向に動き、前記第1拡張可能部材が前記第2拡張可能部材に対して動くようにする。
【0116】
任意選択で、前記第1内部部材は、前記第1拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0117】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構の第2は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第2摺動部材を備え、前記第2摺動部材は、前記ルーメン内に位置付けられる第2内部部材に連結され、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第2摺動部材を動かすと、前記第2内部部材は軸方向に動き、前記第1拡張可能部材が機械的に拡張または収縮するようにする。
【0118】
任意選択で、前記第2内部部材は、前記第1拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0119】
任意選択で、前記第1摺動部材および前記第2摺動部材は、互いに隣接して位置付けられ、前記ハンドルの前記外面の周囲に円周方向に分散されている。
【0120】
任意選択で、前記ハンドルは、少なくとも3つの作動機構を備え、前記第1拡張可能部材は前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1に連結され、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1が操作されるとすぐに、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成され、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第2を操作することにより、機械的に拡張または収縮するようにさらに構成され、前記第2拡張可能部材は、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第3を操作することにより、機械的に拡張または収縮するようにさらに構成されている。
【0121】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構のうちの第1は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第1摺動部材を備え、前記第1摺動部材は前記ルーメン内に位置付けられる第1内部部材に連結され、前記ハンドルの長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第1摺動部材を動かすと、前記第1内部部材は軸方向に動き、前記第1拡張可能部材が前記第2拡張可能部材に対して動くようにする。
【0122】
任意選択で、前記第1内部部材は、前記第1拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0123】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構の第2は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第2摺動部材を備え、前記第2摺動部材は、前記ルーメン内に位置付けられる第2内部部材に連結され、前記ハンドルの前記長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第2摺動部材を動かすと、前記第2内部部材は軸方向に動き、前記第1拡張可能部材が機械的に拡張または収縮するようにする。
【0124】
任意選択で、前記第2内部部材は、前記第1拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0125】
任意選択で、前記少なくとも2つの作動機構の第3は、前記ハンドルの外面でアクセス可能な第3摺動部材を備え、前記第3摺動部材は前記ルーメン内に位置付けられる第3内部部材に連結され、前記ハンドルの前記長さに沿って軸方向に動くように構成され、前記第3摺動部材を動かすと、前記第3内部部材は軸方向に動き、前記第2拡張可能部材が機械的に拡張または収縮するようにする。
【0126】
任意選択で、前記第3内部部材は、前記第2拡張可能部材の一部に連結されているワイヤー、チューブ、またはシリンダーのうちの少なくとも1つである。
【0127】
任意選択で、前記第1摺動部材、前記第2摺動部材、および前記第3摺動部材は、互いに隣接して位置付けられ、前記ハンドルの前記外面の周囲に円周方向に分散されている。
【0128】
任意選択で、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構に連結され、前記少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成され、一方、前記第2拡張可能部材の位置は前記少なくとも1つの作動機構の前記操作による影響を受けない。
【0129】
任意選択で、前記第1拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構を操作することにより、機械的に拡張または収縮するように構成され、一方、前記第2拡張可能部材のサイズは前記少なくとも1つの作動機構の前記操作による影響を受けない。
【0130】
任意選択で、前記第2拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構に連結され、前記少なくとも1つの作動機構が操作されるとすぐに、前記第1拡張可能部材に対して可動となるように構成され、一方、前記第1拡張可能部材の位置は前記少なくとも1つの作動機構の前記操作による影響を受けない。
【0131】
任意選択で、前記第2拡張可能部材は、前記少なくとも1つの作動機構を操作することにより機械的に拡張または収縮するように構成され、一方、前記第1拡張可能部材のサイズは前記少なくとも1つの作動機構の前記操作による影響を受けない。
【0132】
任意選択で、前記第1拡張可能部材または前記第2拡張可能部材の少なくとも1つは、前記少なくとも1つの作動機構を遠位に動かすと、拡張し、前記拡張は、前記第1拡張可能部材および前記第2拡張可能部材のうちの少なくとも1つを、前記少なくとも1つの作動機構がどれほど遠くへと遠位に動かされたかに応じて実質的な線形形態から第1形状、第2形状、または第3形状に変形させる。
【0133】
任意選択で、前記第1形状、第2形状、または第3形状は、球状、楕円状、円錐状、多角形、円筒状、ステントの形状、聖杯の形状、傘の形状、凹状、凸状、半球状、吹き流し形状、ダンベル形状、星形状、または前述の形状の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つである。
【0134】
任意選択で、前記第1形状は第1外面を有し、前記第1外面から前記長尺部材までの最長距離は第1距離により画定され、前記第2形状は第2外面を有し、前記第2外面から前記長尺部材までの最長距離は第2距離により画定され、前記第3形状は第3外面を有し、前記第3外面から前記長尺部材までの最長距離は第3距離により画定され、前記第3距離は前記第2距離よりも大きく、前記第2距離は前記第1距離よりも大きい。
【0135】
任意選択で、前記第1形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で前記第1外面に第1外力をかけられた場合でも前記第1距離を維持するように構成され、前記第2形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で前記第2外面に第2外力をかけられた場合でも前記第2距離を維持するように構成され、前記第3形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で前記第3外面に第3外力をかけられた場合でも前記第3距離を維持するように構成されている。
【0136】
任意選択で、前記第1形状は前記第1外力よりも大きな力がかかるとすぐに崩壊するように構成され、前記第2形状は前記第2外力よりも大きな力がかかるとすぐに崩壊するように構成され、前記第3形状は前記第3外力よりも大きな力がかかるとすぐに崩壊するように構成され、前記第1外力は、前記第3外力未満である前記第2外力未満である。
【0137】
任意選択で、拡張時、前記第1拡張可能部材または前記第2拡張可能部材の少なくとも1つは、総表面積の量に対する開放表面積の量が1%~99%の範囲である。
【0138】
任意選択で、拡張時、前記第1拡張可能部材は、前記総表面積の前記量に対する前記開放表面積の量が前記第2拡張可能部材よりも多い。
【0139】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、スライダー、ノブ、レバー、ダイヤル、または押しボタンである。
【0140】
任意選択で、前記第1拡張可能部材または前記第2拡張可能部材の少なくとも1つは、前記長尺部材の周囲で円周方向におよび平行に位置付けられる細長編組構造である第1形態から第2形態へと変形する編組構造である。
【0141】
任意選択で、前記第2形態は、第1端で基部の外周縁の周囲を回り、反対端で前記長尺部材上の第1の複数のポイントへと狭まる第1曲面を有する円錐部により画定される第1編組構造と、前記第1編組構造と一体に形成され、一端で基部の外周縁の周囲を回り、反対端で前記長尺部材上の第2の複数のポイントへと狭まる第2曲面を有する円錐部により画定される第2編組構造とを備え、前記第1の複数のポイントおよび第2の複数のポイントは前記長尺部材の前記長さに沿って分離されている。
【0142】
任意選択で、前記第2形態は、球状、楕円状、ひし形、多角形、または双円錐である。
【0143】
任意選択で、前記第1拡張可能部材または前記第2拡張可能部材の少なくとも1つは、可動部材を1つだけ使用する前記少なくとも1つの作動部材を使用して拡張するように構成されている。
【0144】
実施形態によっては、本明細書は、凝血塊除去デバイスを使用する凝血塊除去方法を開示し、前記凝血塊除去デバイスは、ルーメンと、近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びる長さとを有するカテーテルと、前記ルーメン内に位置付けられ、前記近位端から前記遠位端へと軸方向に延びている長尺部材と、前記ルーメンの前記近位端に取り付けられているハンドルと、前記長尺部材の長さに沿って位置付けられている第1拡張可能部材と、前記長尺部材の前記長さに沿って位置付けられている第2拡張可能部材と、を備え、前記ハンドルは、第1作動機構と、第2作動機構と、第3作動機構とを備え、前記第2拡張可能部材は前記ハンドルに対して前記第1拡張可能部材よりも遠位であり、前記方法は、患者を通してワイヤーを導入し、凝血塊に近接するように前記ワイヤーを位置付けることと;前記ワイヤー上を渡って前記凝血塊に近接するように前記患者の中に前記カテーテルを位置付けることと;前記長尺部材を操作することにより前記第2拡張可能部材を前記ルーメンの外へと、前記凝血塊内にまたは前記凝血塊に対して遠位に延ばすことと;前記長尺部材を操作することにより前記第1拡張可能部材を前記ルーメンの外へと、前記凝血塊内にまたは前記凝血塊に対して近位に延ばすことと;前記第1作動機構または前記第2作動機構のうちの少なくとも1つを使用して、前記第2拡張可能部材を拡張させることと;前記第1作動機構または前記第2作動機構のうちの少なくとも1つを使用して、前記第1拡張可能部材を拡張させることと;前記第3作動機構を使用して、前記ルーメン内の開口部に向けて前記第1拡張可能部材を軸方向に動かすことと;前記第1作動機構または前記第2作動機構のうちの少なくとも1つを使用して、前記第1拡張可能部材を圧縮することと;前記第1作動機構または前記第2作動機構のうちの少なくとも1つを使用して、前記第2拡張可能部材を圧縮することと;前記第1拡張可能部材および前記第2拡張可能部材を前記ルーメン内へと引くことと;前記患者から前記カテーテルを除去することと、を備える。
【0145】
任意選択で、前記第3作動機構は、前記長さに沿って前後に前記第1拡張可能部材を軸方向に動かすように使用される。
【0146】
任意選択で、前記第3作動機構は、前記ルーメン内の開口部に向けて前記第1拡張可能部材を軸方向に動かすように使用され、続いて、前記ルーメンに吸引をかける。
【0147】
任意選択で、前記凝血塊除去方法は前記ルーメンに吸引をかけることをさらに備える。
【0148】
任意選択で、前記第1拡張可能部材は、前記第2拡張可能部材が静止したままで、前記第2拡張可能部材に対して可動となるように構成されている。
【0149】
任意選択で、前記第2拡張可能部材は、前記第1拡張可能部材が静止したままで、前記第1拡張可能部材に対して可動となるように構成されている。
【0150】
任意選択で、前記第1拡張可能部材は、前記第2拡張可能部材のサイズ、寸法、または形状に影響を及ぼさずに、機械的に拡張または収縮するように構成されている。
【0151】
任意選択で、前記第2拡張可能部材は、前記第1拡張可能部材のサイズ、寸法、または形状に影響を及ぼさずに、機械的に拡張または収縮するように構成されている。
【0152】
実施形態によっては、本明細書は、患者の身体内のルーメンから閉塞物を除去するためのデバイスを開示し、遠位端を有するハンドルであって、前記遠位端は、1以上の伸縮チューブを通して先端部の近位端に連結され、前記ハンドルは少なくとも1つの作動機構を含む、ハンドルと;前記先端部に取り付けられる要素であって、前記要素は第1状態にある、要素と、を備え、前記ハンドルは前記ルーメンを通して前記先端部を操舵するように構成されて、前記要素が前記閉塞物の中に位置付けられるようになり、前記少なくとも1つの作動機構は第1方向に操作されて、前記要素を前記閉塞物内で前記第1状態から第2状態へと移行させ、前記第2状態にある前記要素は、1以上の前後運動が付与されて前記閉塞物を遊離させて擦り落とす。
【0153】
任意選択で、前記第1状態は、収縮形態にある前記要素に対応し、前記第2状態は、拡張形態にある前記要素に対応する。
【0154】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、第1および第2ノブを含み、前記第1ノブは操作されて、前記要素を前記第1状態から前記第2状態まで移行させ、前記第2ノブは操作されて、前記先端部に対して前記1以上の前後運動を前記要素に付与する。
【0155】
任意選択で、前記ハンドルは前後に動かされ、前記先端部、従って、前記要素が前後に動かされる。
【0156】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、操作されて、前記第1状態から前記第2状態まで前記要素を移行させるノブを含む。
【0157】
任意選択で、前記デバイスは、デリバリーカテーテルと吸引カテーテルとをさらに備え、前記先端部は前記デリバリーカテーテル内に位置付けられ、前記デリバリーカテーテルは前記吸引カテーテル内に位置付けられ、前記吸引カテーテルの近位端に負圧がかけられて、前記遊離させられて擦り落とされた閉塞物を吸引する。
【0158】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は前記第1方向の反対側の第2方向に操作されて、前記要素を前記第2状態から前記第1状態へと移行させ、前記ハンドルは前記第1状態にある前記要素を前記ルーメンから後退させるために使用される。
【0159】
任意選択で、前記要素は近位、遠位、および中央部分を有し、前記近位部分は前記先端部の長手軸に沿って近位に向く第1ネック部を有する第1漏斗として形成され、前記遠位部分は前記長手軸に沿って遠位に向く第2ネック部を有する第2漏斗として形成され、前記第1および第2漏斗の各カップ縁部は中心軸をわたって取り付けられて前記中央部分を形成し、前記中心軸は前記長手軸に略直交して位置する。
【0160】
任意選択で、前記要素は、前記第2状態で3次元幾何学形状を有し、前記3次元幾何学形状は、球状、楕円形、円錐、多角形状、円筒、ステント、聖杯、傘、凹形、凸形、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、またはレバー形状のうちの1つまたはそれらの組み合わせである。
【0161】
実施形態によっては、本明細書は、患者の身体内のルーメンから閉塞物を除去するためのデバイスを使用する方法を開示し、前記デバイスは、1以上の伸縮チューブを通して先端部の近位端に連結されるハンドルと、前記先端部に取り付けられる要素であって、前記要素は第1状態にある、要素と、を備え、前記方法は、デリバリーカテーテルを通して前記先端部を位置付けることと;吸引カテーテルを通して前記デリバリーカテーテルを位置付けることと;前記要素が前記閉塞物の中に位置付けられるように、前記ハンドルを使用して前記ルーメンを通して前記先端部を操舵することと;前記ハンドルにある少なくとも1つの作動機構を第1方向へと操作することにより、前記要素を前記第1状態から第2状態へと移行させることと;前記閉塞物を遊離させて擦り落とすために1以上の前後運動を前記要素に付与することと、を備える。
【0162】
任意選択で、前記第1状態は、収縮形態にある前記要素に対応し、前記第2状態は、拡張形態にある前記要素に対応する。
【0163】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、第1および第2ノブを含み、前記第1ノブは操作されて、前記要素を前記第1状態から前記第2状態まで移行させ、前記第2ノブは操作されて、前記先端部に対して前記1以上の前後運動を前記要素に付与する。
【0164】
任意選択で、前記ハンドルは前後に動かされ、前記先端部、従って、前記要素が前後に動かされる。
【0165】
任意選択で、前記少なくとも1つの作動機構は、操作されて、前記第1状態から前記第2状態まで前記要素を移行させるノブを含む。
【0166】
任意選択で、前記方法は、前記吸引カテーテルの近位端に負圧をかけて、前記遊離させられて擦り落とされた閉塞物を吸引することをさらに備える。
【0167】
任意選択で、前記方法は、前記ハンドルにある前記少なくとも1つの作動機構を前記第1方向の反対側の第2方向に操作することによって、前記要素を前記第2状態から前記第1状態へと移行させることと;前記ハンドルを使用して、前記第1状態にある前記要素を前記ルーメンから後退させることと、をさらに備える。
【0168】
任意選択で、前記要素は近位、遠位、および中央部分を有し、前記近位部分は前記先端部の長手軸に沿って近位に向く第1ネック部を有する第1漏斗として形成され、前記遠位部分は前記長手軸に沿って遠位に向く第2ネック部を有する第2漏斗として形成され、前記第1および第2漏斗の各カップ縁部は中心軸をわたって取り付けられて前記中央部分を形成し、前記中心軸は前記長手軸に略直交して位置する。
【0169】
任意選択で、前記要素は、前記第2状態で3次元幾何学形状を有し、前記3次元幾何学形状は、球状、楕円形、円錐、多角形状、円筒、ステント、聖杯、傘、凹形、凸形、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、またはレバー形状のうちの1つまたはそれらの組み合わせである。
【0170】
実施形態によっては、本明細書は、患者の身体内のルーメンから凝血塊を除去するためのデバイスを開示し、遠位端を有するハンドルであって、前記遠位端は、1以上の伸縮チューブを通して先端部の近位端に連結され、前記ハンドルは少なくとも1つの作動機構を含む、ハンドルと;前記先端部に取り付けられる要素であって、前記要素は第1状態にある、要素と、を備え、前記ハンドルは、前記ルーメンを通して前記前記先端部を操舵して、前記要素が前記凝血塊内に位置付けられるように構成され、前記少なくとも1つの作動機構は第1方向へと操作されて、前記要素を前記凝血塊内で前記第1状態から第2状態へおよび前記第2状態から第3状態へと移行させ、前記第2状態および/または前記第3状態にある前記要素は1以上の前後運動が付与されて、前記凝血塊を遊離させて擦り落とす。
【0171】
任意選択で、前記第2状態は、前記要素の第1サイズが前記凝血塊にかける第1半径方向力に対応し、前記第3状態は、前記要素の第2サイズが前記凝血塊にかける第2半径方向力に対応し、前記第2半径方向力は前記第1半径方向力とは異なる。
【0172】
任意選択で、前記第1および第2半径方向力のそれぞれは、2ニュートン~20ニュートンの範囲である。
【0173】
実施形態によっては、本明細書は、患者の身体内のルーメンから閉塞物を除去するためのデバイスを使用する方法を開示し、前記デバイスは、複数の伸縮チューブを通して長尺部材の近位端に連結されているハンドルであって、前記長尺部材の遠位端は、近位要素および遠位要素が取り付けられている先端部を有し、前記近位および遠位要素は第1状態にある、ハンドルを備え、前記方法は、デリバリーカテーテルを通して前記先端部を位置付けることと;吸引カテーテルを通して前記デリバリーカテーテルを位置付けることと;前記近位および遠位要素が前記閉塞物内にまたは前記閉塞物を越えて位置付けられるように前記ハンドルを使用して前記ルーメンを通して前記先端部を操舵することと;前記ハンドルにある第1物理的操作可能インターフェースを第1方向に操作することにより、前記第1状態から第2状態へ前記遠位要素を移行させることと;前記ハンドルにある第2物理的操作可能インターフェースを第1方向に操作することにより、前記第1状態から第2状態へ前記近位要素を移行させることと;前記閉塞物を遊離させ、掻爬、および前記近位要素と遠位要素との間に捕捉するために、前記ハンドルにある第3物理的操作可能インターフェースを操作することにより、前記先端部に沿って軸方向に前記近位要素を前後に動かすことと;前記ハンドルにある前記第1および第2物理的操作可能インターフェースを前記第1方向の反対側の第2方向に操作することにより、前記第2状態から前記第1状態まで前記遠位および近位要素を移行させることと;前記ハンドルを使用して、前記近位要素、前記捕捉された閉塞物、および前記遠位要素を前記ルーメンから除去することと、を備える。
【0174】
任意選択で、前記第1状態は、収縮形態にある前記近位および遠位要素のそれぞれに対応し、前記第2状態は、拡張形態にある前記近位および遠位要素のそれぞれに対応する。
【0175】
任意選択で、前記方法は、前記吸引カテーテルの近位端に負圧をかけて、前記近位要素、前記捕捉された閉塞物、および前記遠位要素を前記ルーメンから除去するよりも前に、前記遊離させられた閉塞物の少なくとも一部を吸引することをさらに備える。
【0176】
任意選択で、前記デリバリーカテーテルの長さは、80cm~160cmの範囲である。
【0177】
任意選択で、前記デリバリーカテーテルの長さは、120cmである。
【0178】
任意選択で、前記吸引カテーテルは16Frのものであり、70cm~160cmの範囲の長さを持ち、または前記吸引カテーテルは20Frのものであり、60cm~150cmの範囲の長さを持ち、または前記吸引カテーテルは24Frのものであり、50cm~130cmの範囲の長さを持つ。
【0179】
任意選択で、前記吸引カテーテルは16Frのものであり、112cmの長さを持ち、または前記吸引カテーテルは20Frのものであり、106cmの長さを持ち、または前記吸引カテーテルは24Frのものであり、90cmの長さを持つ。
【0180】
任意選択で、前記20Frの吸引カテーテルは、270°の屈曲部を有する遠位端を有する。
【0181】
任意選択で、前記24Frの吸引カテーテルは、可撓性遠位端を有する。
【0182】
任意選択で、前記第2状態において、前記遠位要素は第1径を有し、前記近位要素は第2径を有し、前記第1径は16mmであり、前記第2径は20mmであり、または前記第1径は5mmであり、前記第2径は20mmである。
【0183】
任意選択で、前記第2状態において、前記近位および遠位要素のそれぞれは、5mm~30mm、好適には10mm~25mm、より好適には10mm~20mmの範囲の外径を有する。
【0184】
任意選択で、前記第2状態において、前記近位および遠位要素のそれぞれは、16mmの最大外径を有する。
【0185】
任意選択で、前記デリバリーカテーテルは、9Frのものである。
【0186】
任意選択で、前記デリバリーカテーテルの長さは、40cm~120cmの範囲である。
【0187】
任意選択で、前記デリバリーカテーテルの長さは、80cmである。
【0188】
任意選択で、前記吸引カテーテルは、16Frのものであり、45cm~80cmの範囲の長さを有する。
【0189】
任意選択で、前記吸引カテーテルは、16Frのものであり、65cmの長さを有する。
【0190】
任意選択で、前記第2状態において、前記遠位要素は第1径を有し、前記近位要素は第2径を有し、前記第1径は16mmであり、前記第2径は14mmである。
【0191】
任意選択で、前記第2状態において、前記遠位要素の直径は16mmであり、前記近位要素の直径は8mmである。
【0192】
任意選択で、前記第2状態において、前記近位および遠位要素のそれぞれは、3mm~20mmの範囲の外径を有する。
【0193】
任意選択で、前記第2状態において、前記近位要素は16mmの最大外径を有し、前記遠位要素は20mmの最大外径を有する。
【0194】
任意選択で、前記ハンドルの遠位端は、前記デリバリーカテーテルの長さを増大または縮小するように操作されることができる第4物理的操作可能インターフェースを含む。
【0195】
実施形態によっては、本明細書は、患者の身体内のルーメンから閉塞物を除去するデバイスを使用する方法を開示し、前記デバイスは、少なくとも1つの伸縮チューブを通して長尺部材の近位端に連結されているハンドルであって、前記長尺部材の遠位端は近位要素および遠位要素が取り付けられている先端部を有し、前記近位および遠位要素は第1状態にある、ハンドルを備え、前記方法は、デリバリーカテーテルを通して前記先端部を位置付けることと;吸引カテーテルを通して前記デリバリーカテーテルを位置付けることと;前記近位および遠位要素が前記閉塞物内にまたは前記閉塞物を越えて位置付けられるように前記ハンドルを使用して前記ルーメンを通して前記先端部を操舵することと;前記ハンドルにある第1物理的操作可能インターフェースを第1方向に操作することにより、前記近位および遠位要素を前記第1状態から第2状態へ同時に移行させることと;前記閉塞物を遊離させ、掻爬するために前記近位および遠位要素を前後に動かすことと;前記吸引カテーテルの近位端に負圧をかけて、前記遊離させられた閉塞物の少なくとも一部を吸引することと;前記ハンドルにある前記第1物理的操作可能インターフェースを前記第1方向の反対側の第2方向に操作することにより、前記遠位および近位要素を前記第2状態から前記第1状態まで同時に移行させることと;前記ハンドルを使用して、前記ルーメンから前記近位および遠位要素を除去することと、を備える。
【0196】
任意選択で、前記第1状態は、収縮形態にある前記近位および遠位要素のそれぞれに対応し、前記第2状態は、拡張形態にある前記近位および遠位要素のそれぞれに対応する。
【0197】
任意選択で、前記近位および遠位要素は、前記ハンドルを使用して前後に動かされる。
【0198】
任意選択で、前記近位および遠位要素は、前記ハンドルにある第2物理的操作可能インターフェースを操作することにより、前後に動かされる。
【0199】
任意選択で、前記近位要素と遠位要素との間の距離は、固定され、2cm~3cmの範囲である。
【0200】
任意選択で、前記第2状態において、前記近位および遠位要素のそれぞれは、20の異なるサイズのうちの1つへと徐々に開き、前記20の異なるサイズのそれぞれは、
0~25ニュートンの範囲で同じ加圧力に耐えることができる。
【0201】
任意選択で、前記先端部は、ガイドワイヤーを使用して、前記ルーメンを通してガイドされ、前記ガイドワイヤーは、0.018mmの直径を有する。
【0202】
任意選択で、前記吸引カテーテルは、7~8Frのものであり、135cmの長さを持つ。
【0203】
任意選択で、前記長尺部材は、5Frのものであり、145cmの長さを持つ。
【0204】
本明細書の前述および他の実施形態は、以下に提供される図面および詳細な説明においてより深く説明される。
【図面の簡単な説明】
【0205】
添付の図面は、本開示の様々な他の態様のシステム、方法、および実施形態の様々な実施形態を示す。当業者であれば誰でも、図中に示された要素の境界(例えば、箱、箱のグループ、または他の形状)は、境界における一例を表すものであると理解するであろう。例によっては、1つの要素が複数の要素として設計されてもよいし、複数の要素が1つの要素として設計されてもよいかもしれない。例によっては、1つの要素の内部要素として示されている要素は、他において外部要素として実装されてもよいし、その逆もまた同様である。さらに、要素は縮尺通りに描かれていなくてもよい。非限定的であり、非網羅的な説明が以下の図面を参照して行われる。図中の構成要素は、必ずしも原寸に比例しているわけではなく、その代わりに原理を説明することに重きを置いている。
【0206】
【
図1】デリバリーワイヤーに展開されている近位および遠位体を示している、回収デバイスの一実施形態の展開段階を示す。
【
図2】近位および遠位体が拘束され、拡張されていない、近位および遠位体の展開前段階を示す。
【
図3】デリバリーカテーテルから近位および遠位体が拡張または放出される位置を示す。
【
図4】回収デバイスの近位体をデリバリーワイヤーに沿って軸方向に前進させて血栓を捕縛および圧縮することを示す。
【
図5】回収デバイスの一実施形態の展開された近位および遠位体を使用する血栓の除去を示す。
【
図6】回収デバイスの一実施形態の展開段階を示し、動脈内に引っかかった血栓をさらに示す。
【
図7】回収デバイスの一実施形態の展開段階を示し、ガイドカテーテルをさらに示す。
【
図8】膨張することで血管を通る順行性血流を制止するバルーンを有する
図7のガイドカテーテルを示す。
【
図9】デリバリーワイヤーが血栓を渡っている状態の血栓の近位に位置付けられているデリバリーカテーテルを示す。
【
図10】デリバリーワイヤーにかぶさって前進し、血栓を渡っているデリバリーカテーテルを示す。
【
図11】デリバリーカテーテルを通して前進し、本体部がまだ拘束された状態で血栓に対して近位および遠位に位置付けられている回収デバイスを示す。
【
図12】近位に引き出されることで、血栓に対して近位および遠位に近位および遠位メッシュ体を展開する、デリバリーカテーテルを示す。
【
図13】デリバリーワイヤーとのその係合から解放されて、デリバリーカテーテルを前進させることによりデリバリーワイヤーに沿って軸方向に前進し、近位体と遠位体との間で血栓を捕縛し、圧縮する近位体を示す。
【
図14】ガイドカテーテルに吸引がかけられている中、本体部および圧縮された血栓が単体として除去されているデリバリーカテーテルを示す。
【
図15】血栓の長さに広がるセクションを有する能動的セグメントと、近位体と遠位体との間の縫合材である組み込み構造を含むデリバリーセグメントとを有する実施形態を示す。
【
図16】血栓の長さに広がるセクションを有する能動的セグメントおよび近位体と遠位体との間の崩壊可能正弦ワイヤー材である組み込み構造を含むデリバリーセグメントを示す。
【
図17A】近位体に取り付けられている単一テザー装置を有する回収デバイスを示す。
【
図17B】近位体に取り付けられている二重テザー装置を有する回収デバイスを示す。
【
図18】テンポラリーバルーン閉塞ガイドカテーテルの総頚動脈内への配置を示す回収デバイスの展開段階を示す。
【
図19】アクセスカテーテルの血管内への前進を示す。
【
図20】デリバリーカテーテルおよびデリバリーワイヤーの閉塞物の起点位置への前進を示す。
【
図21】順行性の流れを制止するためにガイドカテーテル上でバルーンを一時的に膨張させる様子を示す。
【
図22】その上に回収デバイスが装着され、デリバリーカテーテルが血栓を渡った状態でデリバリーワイヤーを前進させ、デリバリーカテーテルの先端を血栓に対して遠位に位置付ける様子を示す。
【
図23】回収デバイスの本体部を展開させ、本体部デバイスを、デリバリーカテーテルを通して前進させ、本体部を血栓に対して遠位で展開させる様子を示す。
【
図24】血栓に対して近位に引き込まれ、M1からM2へと移行する際に近位に引き出される工程でより大きな直径へと開く近位および遠位体を示す。
【
図25】テザーにより近位に動かされている近位体を示す。
【
図26】吸引を含むアクセスカテーテルに向けて血栓を引き出す様子を示す。
【
図27】吸引を含むアクセスカテーテルを使用して血栓を除去する様子を示す。
【
図28A】本明細書の一実施形態による回収デバイスの斜視図である。
【
図28H】本明細書のいくつかの実施形態による、先端部を操縦するために操作されている
図28Aの回収デバイスの第1、第2、第3、および第4図面を表す。
【
図28I】本明細書の一実施形態による、
図28Aの回収デバイスの近位および遠位要素のメッシュ格子の間に捕捉され、埋め込まれる閉塞物の図である。
【
図28J】本明細書の他の実施形態による、回収デバイスの斜視図である。
【
図28K】本明細書の他の実施形態による、回収デバイスのハンドルの長手方向断面図である。
【
図28L】本明細書の一実施形態による、
図28Aの回収デバイスの近位および遠位要素を示す。
【
図28M】本明細書の一実施形態による、回収デバイスのハンドルをアンロックするキーを使用する第1、第2、および第3図を示す。
【
図29A】本明細書の一実施形態による、収縮された/拡張されていない遠位および近位要素を有する回収デバイスの斜視図である。
【
図29B】本明細書の一実施形態による、拡張した遠位および近位要素を有する
図29Aの回収デバイスの斜視図である。
【
図29C】本明細書の一実施形態による、遠位要素と近位要素との間の距離を短縮するために遠位要素と近位要素との間の可撓性要素が後退している
図29Aの回収デバイスの斜視図である。
【
図30A】本明細書の一実施形態による、回収デバイスの斜視図である。
【
図30B】本明細書の一実施形態による、
図30Aに示される回収デバイスの拡張されたハンドル部の斜視図である。
【
図30C】本明細書の一実施形態による、
図30Aに示される回収デバイスの圧縮されたハンドル部の斜視図である。
【
図30D】本明細書の一実施形態による、
図30Aに示される回収デバイスの拡張した近位および遠位要素の図である。
【
図30E】本明細書の一実施形態による、
図30Aに示される回収デバイスの崩壊した/収縮した近位および遠位要素の図である。
【
図30F】本明細書の一実施形態による、回収デバイスの拡張されたハンドル部の一実施形態の図である。
【
図30G】本明細書の一実施形態による、
図30Fに示されるハンドル部を拡張した結果として得られる近位要素と遠位要素との間の圧縮された距離の斜視的な図である。
【
図30H】本明細書の一実施形態による、
図30Fに示されるハンドル部が圧縮状態にあることで、近位要素と遠位要素との間の距離を拡張させている図である。
【
図31A】本明細書の一実施形態による、
図28A~Gおよび28J~28Lに示される回収デバイスを使用することによる肺血栓塞栓症(PE)を治療する複数のステップ例のフローチャートである。
【
図31B】本明細書の一実施形態による、
図28A~Gおよび28J~28Lに示される回収デバイスを使用することによる深部静脈血栓症(DVT)を治療する複数のステップ例のフローチャートである。
【
図32A】動脈の左側に慢性的な血餅を有する人間の肺動脈を示す。
【
図32C】回収デバイスを引き出すことにより肺動脈から除去されることができる血餅を保持している拡張した遠位要素を示す。
【
図33A】本明細書のいくつかの実施形態による、袋が先端部を覆っている状態の回収デバイスの先端部の側面図である。
【
図33B】本明細書のいくつかの実施形態による、袋が外されて先端部の覆いが取られた状態の
図33Aの先端部の側面図である。
【
図33C】本明細書のいくつかの実施形態による、袋が引き戻されて先端部が覆われた状態の
図33Bの先端部の側面図である。
【
図34A】本明細書のいくつかの実施形態による、拡張されていない状態にある先端部の近位および遠位要素の側面図である。
【
図34B】本明細書のいくつかの実施形態による、拡張状態にある
図34Aの先端部の近位および遠位要素の側面図である。
【
図35】本明細書のいくつかの実施形態による、拡張されていない状態にあり、テザーに取り付けられた先端部の近位および遠位要素の側面図である。
【
図36A】試験的血栓摘出処置を受けなかった左腸骨静脈の線形接線断面を示す。
【
図36B】試験的血栓摘出処置後の右腸骨静脈の線形接線断面を示す。
【
図37A】本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイスを使用して神経血管内の凝血塊を除去する処置における第1段階を示す。
【
図37B】本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイスを使用して神経血管内の凝血塊を除去する処置における第2段階を示す。
【
図37C】本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイスを使用して神経血管内の凝血塊を除去する処置における第3段階を示す。
【
図37D】本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイスを使用して神経血管内の凝血塊を除去する処置における第4段階を示す。
【
図37E】本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイスを使用して神経血管内の凝血塊を除去する処置における第5段階を示す。
【
図37F】本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイスを使用して神経血管内の凝血塊を除去する処置における第6段階を示す。
【
図38】本明細書のいくつかの実施形態による、
図37A~37Fの回収デバイスを使用することによって閉塞物を回収する複数のステップ例のフローチャートである。
【
図39A】本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイスを使用して試験的血栓摘出術を行うための血管を表す線形連続フローモデルを示す。
【
図39B】本明細書のいくつかの実施形態による、人工的な血栓/凝血塊のある複数のチューブ例を示す。
【
図40A】従来の先行技術デバイスに対し、本明細書の回収デバイスの展開能力を示す第1、第2、および第3図を示す。
【
図40B】ホットドッグから順次後退させられている
図40Aに示される第1従来デバイスの第1、第2、および第3図を示す。
【
図40C】従来のデバイスおよび本明細書の回収デバイスの血栓摘出能力の比較を示す第1、第2、および第3図を示す。
【
図41A】本明細書のいくつかの実施形態による、単一要素または部材を有する回収デバイスを示す。
【
図41B】本明細書のいくつかの実施形態による、
図41Aに示されるデバイスの要素例の側面図である。
【
図41C】本明細書のいくつかの実施形態による、拡張状態にある
図41Bに示される要素の正面図である。
【
図41D】本明細書のいくつかの実施形態による、
図41Aに示される回収デバイスの別の斜視図である。
【
図42】本明細書の一実施形態による、
図41Aの回収デバイスを使用することによって末梢動脈疾患(PAD)を治療する方法の複数のステップ例のフローチャートである。
【
図43】本明細書の一実施形態による、末梢動脈血管から閉塞物を除去する(従って、末梢動脈疾患を治療する)ように構成されている回収デバイスを使用する方法の複数のステップ例のフローチャートである。
【
図44】本明細書の一実施形態による、回収デバイスを使用することによって胆石を除去する複数のステップ例のフローチャートである。
【
図45】本明細書の一実施形態による、回収デバイスを使用することによって腎臓結石を除去する複数のステップ例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0207】
様々な実施形態において、本明細書の回収デバイスは、血栓または凝血塊等の異物を動脈、静脈、神経、導管、または他の内部身体的空間から除去するために使用されるカテーテルデリバリーツールであってもよい。回収デバイスは、本明細書において、「デバイス」または「除去デバイス」と互換可能に呼ばれてもよく、上述の「除去」または「回収」は、「血栓」、「閉塞物」、「異物」などの様々な用語によって修正されてもよい。回収デバイスは、動脈系、静脈系、および神経系内において異物リトリーバーとしておよび血栓摘出デバイスとして使用されてもよい。デバイスは、除去または回収を必要とする(生物学的または異質な)物質を内包する脈管系内および尿管、導管、気道、およびその他のアクセス可能な空間等の非脈管構造内で使用されてもよい。
【0208】
様々な実施形態において、本明細書の回収デバイスは、硬膜静脈洞、冠動脈、心室をはじめとする全ての静脈構造、全ての動脈、全ての導管、尿管、尿道、および瘻孔で使用されるように構成されている。
【0209】
本明細書は、複数の実施形態に対するものである。以下の開示は、本発明を当業者が実施できるようにするために提供される。本明細書中で使用される言語は、いずれかの特定の1つの実施形態を全般的に否認するものとして解釈されるべきではなく、または、請求項内で使用される用語の意味を越えて請求項を限定するものとして使用されるべきではない。本明細書中に定義される一般原則は、本発明の思想および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および応用に適用されてもよい。また、使用される専門用語および言語表現は、実施形態例を説明する目的のものであり、限定するものと考えられるべきではない。このように、本発明には、開示される原則および特性と一貫した多数の代替手段、改良、および等価物を含む最も幅広い範囲が認められる。明確にする目的のため、本発明に関連する技術分野で既知の技術資料に関する細部は、本発明を不必要に曖昧にしないように、詳細に説明されない。
【0210】
本出願の明細書および請求項において、「備える(comprise)」、「含む(include)」、「有する(have)」、「包含する(contain)」、およびそれらの形のそれぞれは、単語が関連し得るリスト内にあるものに必ずしも限定されるわけではない。このように、それらは、意味において同等であると意図され、これらの単語のいずれか1つの後に続く1つのアイテムまたは複数のアイテムが、そのような1つのアイテムまたは複数のアイテム中の網羅的な項目であることを意味しない、または列挙されたアイテムまたは複数のアイテムのみに限定されることを意味しないという点で制約がないと意図される。特定の実施形態に関連して説明される、いかなる特性または構成要素も、別途、明確に示唆されない限り、その他の実施形態とともに使用および実装されてもよいことにここで注意されたい。
【0211】
本明細書中および添付の請求項で使用された場合、「a」、「an」、および「the」の単数形は、文脈が別途示さない限り、複数を言及することを含む。本明細書中に説明されたものに同様または同等なシステムおよび方法はいかなるものも本開示の実施形態の実践で、または試験において使用できるが、好適なシステムおよび方法がここより説明される。
【0212】
「凝血塊(clot)」、「閉塞物(occlusion)」、「閉鎖(blockage)」、または「血栓(thrombus)」という用語は、それぞれ、血液の流れを遮る、患者の静脈または動脈内の物質、または尿等のいかなる流体の流れも遮る患者の生体構造のいずれかにおける物質を指すために使用されるものとする。
【0213】
本明細書中に開示された各実施形態は、a)左右の心房側の両方を覆うように、穴に2つの接続したパッチを永久的に配置するために患者の心臓へとカテーテルが操作される心臓中隔治療、b)肺の動脈内に引っかかり、その結果、肺の一部への血流を遮る血餅に近接するようにカテーテルが操作される肺血栓塞栓症、c)静脈、多くの場合、患者の脚部に引っかかり、その結果、血流を遮る血餅に近接するようにカテーテルが操作される深部静脈血栓症、d)瘻孔治療、e)瘻血栓の除去、f)患者の消化器系からの結石の除去、g)患者の泌尿生殖器系からの結石の除去、h)患者の身体のいずれかの位置からの異物の除去、またはi)フィルター血栓除去のうちの1以上の医療処置において使用されてもよい。
【0214】
図1は、遠位体104を有する展開された回収デバイスを示し、遠位体は、本実施形態では、定位置に留まるようになっているデリバリーワイヤー100に取り付けられた本体部である。本明細書中に開示される全ての実施形態を参照し、デリバリーワイヤー100の展開の前に、本明細書中に開示されるシステムの、デリバリーカテーテル202、ガイドカテーテル204、およびデリバリーワイヤー100をはじめとする任意の要素を血管または他の内部の好適な位置に位置付けるためにガイドワイヤーが使用されてもよいことに留意すべきである。本明細書中に言及される「本体部」とは、メッシュであってもよく、これらはニチノールまたは他の適切な拡張可能生体適合材料製であってもよい。メッシュ構造物はその隙間に塞栓性物質を捕捉し得るため、遠位体104および近位体102のメッシュ構造物は凝血塊の箇所の末梢塞栓の危険性を減少する可能性がある。遠位体104は、実施形態において、異なるサイズのメッシュを有してもよいし、選択的透過性のある素材を備えてもよいし、または不透過性であってもよい。近位体102も示されている。近位体102は、定位置に留まるように、デリバリーワイヤー100に取り付けられ、そこに一時的に貼り付けられる。上記の一時的に貼り付けられるという態様は、放出すると、近位体102は、ワイヤー100に係合したままワイヤーに沿って動いてもよいように、放出可能であり、このことは、ワイヤーに沿った「軸方向の動き」と本明細書中では記載される。この態様は、デリバリーワイヤー100に対して「放出可能係合」にあるまたは「放出可能に係合」していると記載される。このような放出可能係合は、例えば、実施形態において、臨床医によって選択的に接続を切り離すことができる電解または熱で取り外し可能/切り離し可能な接続または機械的接続であってもよい、破断可能接続108を使用して実現されてもよい。電解または熱で取り外し可能/切り離し可能な接続の場合、例えば、臨床医は接続に通電し、(実施形態では、導電性であってもよいワイヤーを介して)、電流が接続を遮断または溶融させる。接続には、制限なく近位体102をデリバリーワイヤー100につなぐ、破断可能接続108が含まれてもよく、これは、通電を通して腐食および/または分解し得る。破断可能接続108は、近位体102を好適な配置位置および/または構成に固定するために、回収デバイスにあらかじめ組み込んでいてもよい。破断可能接続は、複数の形状およびデザインを有していてもよく、デリバリーワイヤー100から近位体102または他の本体部まで延びている一直線の柱、近位体102または他の本体部の素材を通過する破断可能接続のループ構成、および/またはデリバリーワイヤーから近位体102または他の本体部まで一直線の柱が延びている「くぎ」構成が挙げられるが、これらに限定されない。「くぎ」構成では、柱は、本体部を放出するための通電によって腐食し得る本体部の中に拡大した端部、つまりくぎの頭を有している。本発明の実施形態は、複数の破断可能接続108を使用してデリバリーワイヤー100に固定されてもよい近位体102または他の本体部を含む。一例では、近位体102は、それぞれが異なる長さおよび異なる放出閾値を有する複数の破断可能接続で固定されていてもよく、破断可能接続が順次放出できるようになっている。実施形態において、複数の近位体は、破断可能接続108を使用するデリバリーワイヤー100に固定されてもよい。破断可能接続の溶融は、電流、流体、および/または化合物の適用によって引き起こされてもよい。溶融は、近位または遠位体を固定するために使用される物理的な部材で発生してもよいし、および/または近位体および/またはデリバリーワイヤー100に物理的な部材を結合させる接着剤内で発生してもよい。米国特許第5,683,451号明細書、5,855,578号明細書、6,245,076号明細書、8,273,116号明細書および米国特許出願公開第2007/0100414号明細書、2009/0062726号明細書、および2010/0268251号明細書に示されるものが挙げられるが、これらに限定されない破断可能接続技術および方法は、本明細書中に説明されているように、近位体および/または遠位体を放出するために使用されてもよい。機械的破断可能接続の場合、破断可能接続108は、縫合、ブレース、糸、または破断可能接続108に力が加えられると破断できる他の素材からできていてもよい。実施形態において、デリバリーカテーテル等のカテーテルの遠位運動は、破断可能接続108の閾値保持力を上回る力によって、接続108の破断または放出を引き起こしてもよく、こうして、本体部102が本明細書中に説明されている方法でワイヤーに沿って動けるようになる。本明細書中に言及される「本体部」は、ディスク状または球状をはじめとする様々な幾何学的形状のものであってもよい。実施形態において、遠位体104および/または近位体102は、膨張性バルーンが挙げられるが、これに限定されない膨張性デバイスであってもよい。実施形態において、本明細書中に説明されているような、回収デバイスは、異なる素材製の遠位体104および近位体102を含んでもよく、例えば、近位体102は、膨張性バルーンであってもよく、同じ回収デバイス上の遠位体104は、メッシュ素材製であってもよい。実施形態において、製造時の半径方向力、本体径、および本体の強度を調整することにより、本明細書中に説明されているような異物摘出は、結石、肺血栓塞栓、またはその他のタイプの閉塞物の除去のために使用されてもよい。実施形態において、近位および/または遠位体は、本体部自体の小領域にわたる可変半径方向力、または剛性を有していてもよい。例えば、球状体の上半球は、本体の下半球と異なる半径方向力特性を有していてもよい。実施形態において、近位および遠位体は、実質的に同じであってもよい。他の実施形態では、近位および遠位体は、形状、サイズ(例えば、厚さ、直径)、構成、細孔サイズ(例えば、メッシュ細孔サイズ)、コーティング、またはその他の異なっている特性が制限なく挙げられる、異なる組成および特性を有する異種であってもよい。実施形態において、近位および/または遠位体は、抗血小板またはその他のタイプの接着を抑制するコーティングを有して、臨床応用時により抑えられた血栓形成性環境を提供してもよい。近位および/または遠位体、ならびにこれら本体部間の任意の素材(例えば、ワイヤー)は、血栓溶解剤が挙げられるが、これに限定されない放出制御製剤でコーティングされていてもよい。
【0215】
本明細書中に言及される「デリバリーワイヤー」100は、ワイヤーまたはハイポチューブであってもよい。デリバリーワイヤー100は、実施形態で本明細書中に開示されているようなカテーテルの同軸システムを必要としなくてもよい。
【0216】
本明細書中に言及される「デリバリーカテーテル」202はマイクロカテーテルと呼ばれてもよく、例えば、デリバリーカテーテルがその中で使用される血管の種類がどれか、血管のサイズ、血管の形状、またはその他の応用特性などの、それが使用される臨床応用に基づいて複数の形状構成を成してもよい。実施形態において、デリバリーワイヤーおよび/またはハイポチューブは、マイクロカテーテル内で使用されてもよい。本開示の目的として、マイクロカテーテル202は、一般に「デリバリーカテーテル」と呼ばれるが、これらの用語は互換可能に使用できることが理解されるべきである。
【0217】
図2を参照し、遠位体208および近位体210(拘束されているまたは拡張していない形態にあり、従って
図1および3~5とは符号が異なって示されている)の展開の前に、デリバリーカテーテル202は、デリバリーワイヤーを取り囲み、本体部208、210の両方を拘束する。実施形態において、ガイドカテーテル204は、実施形態においてはガイドワイヤーを越えた場所へとナビゲートされて、前述のガイドワイヤーは、実施形態によっては除去される。デリバリーカテーテル202は、血栓または凝血塊212等の対象物を通過してもよく、本体部208、210は、拡張可能本体部がもはやデリバリーカテーテル202によって拘束された状態でなくなるように、デリバリーカテーテル202を後退させることまたはワイヤー100を前進させることのいずれかによってデリバリーカテーテル202から放出されてもよい。遠位体104はデリバリーワイヤー100に固定された状態で留まるが、近位体102は(その放出可能係合から一旦放出されてしまえば)、デリバリーカテーテル202によって押されると、その軸に沿ってデリバリーワイヤー100に沿って長手方向に自由に動ける。また、デリバリーワイヤー100が本体部(一旦拡張されてしまった210または102)を「押すこと」は、相対的に押すこととして理解されなくてはならない。すなわち、デリバリーカテーテル202が適所に保持された状態でのデリバリーワイヤー100の後退は、近位体102をワイヤーに沿って軸方向に動かすように機能してもよい。本明細書中に使用される「押すこと」という用語は、上記の動きの両方の形態を指す。近位および遠位体が、一旦、近位体102の動きによって、凝血塊(本明細書において「包囲された」または凝血塊を「包囲している」と記載されている)の両側に隣接して位置付けられると、デバイスを腔から回収し、凝血塊を引き出すことで、凝血塊が除去されてもよい。「凝血塊」、「血栓」、「閉塞物」、「閉塞物質」、および「異物」という用語は、本明細書中において互換可能に使用されてもよい。
【0218】
実施形態において、デリバリーワイヤー100上での近位体102の軸方向の自由な動きは、閉塞物質の圧縮を可能にして、血管200に入る前に遠位体と近位体との間に必要な距離を事前測定または予測する必要性をなくしてもよく、寸法決めは、インターベンショニストがそれに直面した際に、血管200内においてその場で行われてもよい。
【0219】
本開示の実施形態において、回収デバイスは、遠位体104および近位体102で構成されてもよく、実施形態におけるこれらのそれぞれは崩壊可能な幾何学形態であってもよい。遠位および近位体は、図式的な目的のため球状で提示されているが、遠位および近位体は、ディスク、コーン、長方形状形態などの他の幾何学形態であってもよい。上述のように、遠位および近位体は、構造がメッシュであってもよい。メッシュセルサイズは、物質の密度等の除去対象の異物の予想される特性等の要因に基づいて異なるサイズを有するように製造されてもよい。遠位体104は、固定されたままとなるように、デリバリーワイヤー100に取り付けられる。実施形態において、近位体102の取り付けは、メッシュの開口部の1つを通してワイヤーを通すことで行われる。他の実施形態では、近位体102自体にワイヤーを通すことができる開口部があってもよい。近位体102を取り付ける場合はいずれでも、本体部は、ワイヤーに沿って軸線方向にワイヤーに沿って摺動できる。これは本明細書中では「摺動可能に取り付けられる」と言及されてもよい。実施形態によっては、遠位体104は、上述の方法で摺動可能に取り付けられてもよい。上述のように、近位体は、機械的、電解による、またはその他のタイプの放出制御形式を使用する取り外し可能(従って、放出可能に係合されている)であってもよい。実施形態において、近位体102は、遠位体104が固定されたままの中、一旦放出されると、ワイヤーに沿って摺動可能となる。他の実施形態では、近位および遠位体の両方は、放出可能に係合されることによって、デリバリーワイヤー100に沿って摺動可能または移動可能であってもよい。さらに他の実施形態では、近位体102は、複数の本体部から成ってもよいし、遠位体104は、複数の本体部から成ってもよい。遠位および近位体のメッシュ素材は、膨張性バルーンが挙げられるが、これに限定されない、他の素材タイプより優れた利点を有してもよい。膨張性素材は、過度の膨張によって引き起こされる等の破裂を起こしやすいかもしれない。臨床環境も、ルーメン内での膨張性バルーンの使用に関連する合併症に関与することがある。例えば、石灰化血栓は、バルーン破裂の危険性を増加させ得る。他の例では、仮に閉塞物自体が金属材料を含む場合、このことは、破裂の危険性または膨張性バルーンの他の機能不良を増加させ得る。バルーンの破裂は、ひいては、治療介入の血管または腔内での空気塞栓形成の危険性を増加させ得る。実施形態において、遠位および近位体のメッシュ素材は、本体部が放出に際して、血栓212が位置する血管200等の、メッシュ素材が配置される腔の直径および構成へと拡張できるようにしてもよい。このようなメッシュは、ニチノール等の形状記憶物質製であってもよい。例えば、ニチノールメッシュ製の本体部は、血管200またはカテーテルの外では第1寸法に拡張してもよいが、異なるルーメンサイズに対応する第1寸法よりも小さな寸法の連続体へと拡張するように設計されていてもよい。このようにして、本体部は、放出の時点および/または血栓等の閉塞物の周辺に配置される時点でルーメン内に見られる特有で様々な径に適合してもよい。メッシュ素材は、治療介入中の遠位での流れを向上できてもよい。拡張したメッシュ素材の不規則性および/または質感は、メッシュ素材が凝血塊または閉塞物質に絡まりやすくして、またはそうでない場合は、組み込まれやすくしてもよく、その結果、遠位および/または近位体の閉塞物との接着性を強化し、その除去を容易にする。
【0220】
実施形態において、近位体102は、放出されると、長手方向および/または回転方向にデリバリーワイヤー100に沿ってその軸上で移動/摺動自在であってもよい。
図3を参照し、回収のために遠位体104が対象の血栓212に対して遠位に配置され、近位体102が血栓212に対して近位に配置されると、遠位および近位体は、血管からの除去が意図される血栓212を跨いで包含する。近位体102は、ここで、血栓212の方向に様々な機械的な方法で前進してもよい。
図4に示されるように、本明細書中に「デリバリーカテーテル」202とも記載される、同軸に配置されたマイクロカテーテルは、(近位体が一旦放出されると)前方に押されて、近位体102を物理的に前進させて血栓212を最終的に捕捉および圧縮するように使用されてもよい。代替的に、デリバリーカテーテル202は、デリバリーワイヤー100が引き出されている間、近位体102を定位置に保持するように使用されることで、固定された遠位体104を近位体102に向けて動かし、血栓212を最終的に捕捉および圧縮してもよい。
図5に示されるように、遠位体104と近位体102との間に血栓212が一旦捕捉/圧縮されると、例えば、圧縮素材を有する近位および遠位体を引き出してデリバリーカテーテルに接するように戻し、その後、デリバリーカテーテル、本体部、および圧縮素材を、ガイドカテーテルを通して除去することで、回収デバイス全体は、デリバリーワイヤー100を引き出すことを介して患者から除去されてもよい。一旦これが除去されると、ガイドカテーテルは、血管から引き出されてもよい。
【0221】
本開示の実施形態において、回収デバイスは、動脈血栓摘出術を行う等の人間の血管から閉塞物または物質の除去の一環として採用されてもよい。本処置は、以下の一般化されたステップを含んでもよい。
図6は、近位左内頚動脈(ICA)の閉塞物を示す。
図7は、バルーン702(「バルーンカテーテル」)を有するガイドカテーテル700を有する実施形態を示す。実施形態において、任意の治療介入の必要に応じて、実質的にガイドカテーテル700を吸引カテーテルとして利用して、ガイドカテーテル700を通して吸引が行われてもよい。バルーン702は、空気を抜かれ、ガイドワイヤー704上を渡ってICAに挿入される。
図8は、ガイドワイヤー704上を渡るバルーンカテーテルを通って前進するデリバリーカテーテル202を示す。
図9は、閉塞物212を通って閉塞物212の遠位へと前進しているガイドワイヤー704を示す。
図10は、ガイドワイヤー704上を渡って閉塞物を通って閉塞物の遠位へと前進しているデリバリーカテーテル202を示す。ガイドワイヤー704は、その後、除去され(不図示)、
図11は、デリバリーカテーテル202に挿入され、デリバリーカテーテル202内でまだ拘束されている(拡張されていない)回収デバイス(本明細書中に説明されているように、デリバリーワイヤー100に取り付けられた遠位体208および近位体210によるデリバリー)を示す。
図12では、近位体102および遠位体104が閉塞物212のいずれかの側で拡張するようにデリバリーカテーテル202が引き出されている(デリバリーワイヤー100に対して動かされている)。放出された近位体102は、続いて、デリバリーカテーテル202の力により(デリバリーカテーテル202を押すことまたはデリバリーカテーテル202の位置を拘束しながらデリバリーワイヤー100を引くことのいずれかにより)遠位方向に前進(
図13に示される)する。
図14は、ICAから回収デバイスを引き出す様子を示し、バルーン702はまだ膨張した状態で順行性の流れを制止している。
【0222】
実施形態において、回収デバイスの本体部は血栓212の除去に影響を及ぼすために血栓212に組み込まれる必要がないため、回収デバイスは、器質化血栓および非器質化血栓の両方を除去してもよい。実施形態において、回収デバイスの本体部はアテローム性動脈硬化物質の除去に影響を及ぼすためにアテローム性動脈硬化物質に組み込まれる必要がないため、回収デバイスは、石灰化したアテローム性動脈硬化物質も除去してもよい。適切な半径方向力または剛性、適切な形状、本体部は実質的に同一または同種か、本体部におけるメッシュ開口サイズなどの本体部の適切な直径および特性を選択することで回収デバイスは中心的におよび周辺的に使用されてもよい。
【0223】
本明細書中に説明されているような方法、システム、および装置は、一般的なカテーテル内に装着される複数のサイズを有してもよい。そして、臨床医は、第2のカテーテルベースのデバイスおよびシステムのために展開したカテーテルを完全に交換しなければならないよりも、本明細書中に説明されているような、例えば、異なるおよび/または追加の近位体を自分で装着してもよい。これは、製造コストを下げ、治療介入の効率を向上し得る。
【0224】
図15および16は、本明細書中に「組み込み構造」として記載される血栓212に組み込む構造を有する実施形態を示す。実施形態によっては、組み込み構造は、デリバリーワイヤー100の一部であり、他の実施形態では、別である。
図15および16を参照し、デリバリーワイヤー100(本明細書中に開示される全ての実施形態では、ハイポチューブであってもよい)は、デリバリーワイヤー100の主要セグメントの特性とは異なる特性を有するセグメントまたはデリバリーワイヤー100に取り付けられた、拡張してもよい構造を備える。組み込み構造がデリバリーワイヤー100の一部である場合、セグメントは、本明細書中において「能動的セグメント」と記載され、一方、ワイヤーの残りは、「デリバリーセグメント」と記載される。能動的セグメントは、血栓212の長さに広がることが意図されるセクションを有するセグメントである。実施形態において、能動的セグメントは、デリバリーセグメントとは異なる断面形状を備える。
【0225】
実施形態において、デリバリーセグメントは、近位体102と遠位体104との間に縫合材1500を含む。縫合材1500は、近位体102が前進するにつれて、寄せ集まり、デリバリーワイヤー100に沿って動く。一旦、近位体102が適切な位置に来ると、縫合材1500は、能動的な領域の組み込み特性を高める2つの本体部間の領域に寄せ集まる。上記例における能動的な領域は、2つの本体部間の領域であり、これは、この場合、それらの間に寄せ集まった縫合材1500を有することに注意する。上述のように、実施形態において、組み込み構造は、拡張して血栓212に組み込む、近位体102と遠位体104との間の追加の拡張可能構造であることができる。組み込み構造は、フランジ、フック、縫合、正弦ワイヤー1600、またはその他の素材構成等の血栓組み込みを高める他の機構を備えてもよい。
【0226】
実施形態において、デリバリーワイヤー100は、本明細書中に説明されているように、デリバリーワイヤー100またはハイポチューブに貼り付け、取り付け、接着、または他の方法で接続されてもよい遠位体104を含んでもよい。血栓摘出術等の展開の前に、遠位体104は、崩壊または圧縮された状態でデリバリーワイヤー100またはハイポチューブに貼り付け、取り付け、接着、または他の方法で接続されてもよい。遠位体104の圧縮は、デリバリーカテーテル202、および/または遠位体104およびデリバリーワイヤー100を(本明細書中に説明されているように)取り囲む複数のカテーテルにより提供されてもよい。一旦、デリバリーカテーテル202が血栓等の対象物を貫通すると、遠位体104は、本明細書中に説明されているようにデリバリーカテーテル202の内部から放出されることで、拡張してもよい。デリバリーカテーテル202の除去後、血栓または他の閉塞物に吸引が行われてもよい。(本明細書中に説明されているような吸引ステップは、本開示のいずれかの実施形態に適用されてもよく、ガイドカテーテル、アクセスカテーテル、専用の吸引カテーテルまたはその他のタイプのカテーテルを通して適用されてもよいことが注意されるべきである。)一例では、遠位体104が血栓に対して遠位に位置付けられた状態で、デリバリーワイヤー100(またはガイドワイヤー)にかぶさって前進し、血栓212の近位に位置付けられる大口径吸引カテーテルを使用してセルディンガー法が開始されてもよい。吸引が行われて、血栓の全てまたは一部が除去されてもよい。血栓の遠位側にある遠位体104の位置決めは、血栓を吸引デバイスの方向に後退させるために使用されて、その結果、吸引デバイスの血栓除去の有効性を高めてもよい。遠位体104は、吸引デバイスの配置時および/または吸引処置時に末梢の塞栓から末梢を保護してもよい。上記例では、近位体はまだ処置に含まれていないことに注意する。例えば、近位体102をデリバリーワイヤー100に摺動可能に取り付けて、処置に任意選択の近位体102が追加されてもよい状態の実施形態も存在する。つまり、実施形態では、近位体102が含まれることは任意選択である。
【0227】
臨床的シナリオによっては、吸引処置は、結果的に、血栓212または他の閉塞物の部分的除去のみとなることもある。このようなシナリオでは、遠位体および追加された近位体l02を使用する、血栓212の機械的な除去が有利であってもよい、および/または必須であってもよい。ガイドカテーテル700内で吸引を行った後、近位体102がデリバリーワイヤー100に追加されてもよく、ここで、この近位体102は、血栓212または他の閉塞物に対して近位に位置する。一旦、近位体102がデリバリーワイヤー100に配置されると、近位体102は、デリバリーワイヤー100を前進させることによって、デリバリーワイヤー100の遠位端に向かって前進してもよい。他の例では、拘束位置にある近位体210は、デリバリーワイヤー100の遠位端は、デリバリーワイヤー上を渡ってデリバリーカテーテル202内に配置されているハイポチューブを使用して、デリバリーワイヤー100の遠位端に向かって前進してもよい。ハイポチューブがデリバリーワイヤー100の遠位端に向かって押されるにつれて、近位体210は、所望の位置へと軸方向に動かされてもよい。一旦、近位体210が、血栓212または他の閉塞物に対する所望の物理的な位置に来ると、近位体210は、デリバリーカテーテル202内から放出されて、本明細書中にすでに説明済み方法で、拡張近位体102を形成してもよい。同軸上に配置されたハイポチューブは、最終的に血栓212を捕捉および圧縮するために、前方へと押され、近位体102を物理的に前進させるために使用されてもよい。一旦、血栓212が遠位体104と近位体102との間に捕捉/圧縮されると、回収デバイス全体は、同軸上に配置されたカテーテル/チューブを介して身体から除去されることで、血管内のその以前の静止位置から血栓212の除去を可能にしてもよい。
【0228】
図17Aおよび17Bを参照し、近位体は、テザーまたは複数のテザーに力をかけることを通じて、デリバリーワイヤーに沿って動かされてもよい。
図17Aに示されるように、1本の近位テザー1700が、近位体102に取り付けられてもよく、近位体102は、本明細書中に説明されているように、摺動可能に取り付けられ、デリバリーワイヤー(またはハイポチューブ)に放出可能に係合されている。近位テザー1700は、本明細書中に説明されている方法で近位体102が放出されて、位置付けられた後、引っ張られて近位体をワイヤー100に沿って近位に動かして戻してもよい。近位テザー1700は、デリバリーカテーテル(不図示)内で平行に延びてもよいし、または、
図17Aに示されるように、近位テザー1700はデリバリーワイヤーまたはハイポチューブの空洞になった部分の中を延びて、開口部117Aを通って現れてもよい。近位テザー1700の近位端1710は、少なくとも開口部117Aに隣接する点まで近位体102に近位へと引き戻すためにそれを引っ張ることのできるインターベンショニストにアクセス可能となっている。
【0229】
図17Bは、テザーが2つの実施形態を示す。
図17Aに示される実施形態のように、テザーは、デリバリーカテーテル(不図示)内で平行に延びてもよいし、または、
図17Bに示されるように、近位テザー1700および遠位テザー1702は、デリバリーワイヤーまたはハイポチューブの空洞になった部分の中を延びて、開口部117Aおよび117Bを通って現れてもよく、ここで、近位テザー1700は、開口部117Aから現れ、遠位テザー1702は、開口部117Bから現れる。近位テザーを介した近位体の近位方向への移動は、上述と同じである。本実施形態では、インターベンショニストは、遠位テザーの端部1720を引っ張って、近位体102を開口部117Bに隣接するように動かすことができ、これは、結果的に本明細書中に説明されているようなデリバリーカテーテルを介した遠位方向の動きを必要としない近位体102の遠位方向の動きとなる。
【0230】
上記の展開のステップに加えて、実施形態における回収デバイスの使用について、以下のステップもまた、または代替的に行われてもよい。
図18は、その中に閉塞物212を有する総頚動脈(CCA)を示す。流れ制止バルーン702を有するガイドカテーテル1800が、CCA(実施形態では、ガイドワイヤー上を渡って)へと挿入されている。
図18は、空気の抜かれた流れ制止バルーン702を示す。
図19は、ガイドカテーテル1800を通る遠位へのアクセスカテーテル1900の前進(実施形態では、ガイドワイヤー(不図示)上を渡る)を示す。
図20は、ガイドワイヤー704を介したデリバリーカテーテル202の包含物の起点位置(すなわち、血栓212の基部)への遠位前進を示す。
図21は、一時的に膨張されて、CCA内の順行性の流れを阻む流れ制止バルーン702と、この場合、M1にある、ガイドワイヤー704を介して閉塞物212の遠位へと前進するデリバリーカテーテル202とを示す。ガイドワイヤー704は除去される(不図示)。その上に拘束された近位体210および拘束された遠位体208を有するデリバリーワイヤー100は、デリバリーカテーテル202の中へと通過するように挿入されて、
図22に示されるようにデリバリーカテーテルから先端が出てくる。本例では、デリバリーワイヤー100は、その中に近位テザー1700および遠位テザー1702を有する。
【0231】
図23において、近位体102および遠位体104は、閉塞物212に対して遠位に展開され、展開は本明細書中に説明された方法で行われる。デリバリーカテーテル202は、患者から引き出されて、アクセスカテーテル1900の開口した内腔領域を広げ、これによって、アクセスカテーテル1900に吸引が行われる場合により良好な吸引を可能にする。
図23はまた、本明細書中に説明されているように、近位体102に取り付けられている近位テザー1700および遠位テザー1702も示す。
図23はまた、ガイドカテーテル1800上の流れ制止バルーン702を収縮して、流れ制止を終了させることも示す。ここで展開されている近位体102および遠位体104のメッシュ構造物によって、血管への順行性の流れが、流れが再構築される際に、閉塞物の末梢の塞栓からの保護(拡張された近位体102および遠位体104を介して構築される)とともに再構築される。吸引は、この時点でアクセスカテーテル1900に行われてもよい。遠位体104がワイヤーに固定されたままである一方、近位体102は、本明細書中に説明されているようなその放出可能係合108から放出されてもよい。
【0232】
近位体102および遠位体104の両方が保護を提供する状態で(最も一般的には、まずM1閉塞物のためにM2分枝において、またはICA末端のためにM1分岐を覆う)、インターベンショニストは、デリバリーワイヤー100を近位方向にゆっくりと引っぱってもよい。これは、両方の本体部を近位に引き込む(
図23~25参照)。近位体102および遠位体104は、M1からM2へと移行する際に、より大きな径へと開き、近位に引き出される処置中に、血栓摘出処置を開始する(
図25参照)。
【0233】
一旦、遠位体104がM1分岐にて開くと、上部および下部の両方のM2保護が構築される(
図24および
図25を参照)。近位体102に接続し、外面の開口部を介してまたはデリバリーワイヤー100の端部の開口部を介してのいずれかで、デリバリーワイヤー100から出て来る近位テザー1700および遠位テザー1702を使用して(
図17Aおよび17B参照)、近位体102は、本明細書中に説明されているようにテザーの端部1710、1720を引っ張り、臨床医が望む場合、閉塞物を結集して、閉塞物を緩めて吸引デバイスに向かって近位に引き込むことによって、M1および、場合により、ICAルーメンに沿って前後に(すなわち、デリバリーワイヤーに沿って軸方向に近位および遠位に)動かすことができる。近位体102の最初の配置が遠位方向において遠すぎると判断された場合、インターベンショニストは、近位体102に取り付けられた近位テザー1700を使用して近位体102を近位方向に引き戻して回収デバイスの遠位端からより遠くへ配置してもよい。これによって、インターベンショニストは、近位体102を遠位方向にのみ前進させることしかできないことに代えて、ワイヤー100に沿って近位体の位置を調整することが可能になる。一例では、近位体102は、ケブラー(登録商標)テザーを有していてもよく、ケブラー(登録商標)テザーは、ケブラー(登録商標)テザーが取り付けられている近位体102の近位側に対して約1~2cm近位の開口距離でデリバリーワイヤー(またはハイポチューブ)100から出て来る。従って、2つの本体部は、初めは互いに隣接しているが、近位体102は、一旦、電解分離すると、近位テザー1700を引っ張ることによって、デリバリーワイヤー100の軸に沿って距離を1~1.5cm近位に引き出すことができる。(本明細書中の全ての距離は、必要性に応じて調整されてもよい)。それは、デリバリーカテーテル202でそれを前方に押すことで前進され、および/または、第2の遠位テザー1702は、近位体102に遠位の開口部117Bでワイヤーから出ることができ、これは、引っ張られると、近位体102を遠位体に向かって開口部117Bに隣接するように遠位に引き戻すことができる。従って、近位テザー1700および/または遠位テザー1702を引っぱることによって、近位体102は、デリバリーワイヤー100に沿って後方および前方へと摺動してもよい。本例では、本構成は、デリバリーワイヤー100に沿って前後に1~1.5cmの移動距離を有する近位体102を提供する。順行性の流れにもかかわらず、遠位体104は、緩んだ/浮いた閉塞物の末梢塞栓に対する保護を提供し、これによって、この素材の末梢塞栓の危険性を排除/減少させ得る(
図25参照)。
【0234】
一旦、血栓212がアクセスカテーテル1900を通して除去/排出されると、近位および遠位体は、それらを、デリバリーカテーテル202を通して引き出ことによって除去されることができる。この処置はまた、血栓212がカテーテルの先端を塞栓せず、頭蓋内循環へと戻ることがないようにアクセスカテーテル1900の先端にあるいかなる血栓212をもカテーテル1900内へと機械的に引き込む(カテーテル先端を清浄にする)(
図25~27参照)。
【0235】
実施形態において、以下のステップは、M1分岐に引っかかっている動脈瘤コイルなどの異物(例えば、紛失したコイルまたは破砕したフィルター)の捕捉および摘出介入のために、本明細書中に説明されているような回収デバイスを使用するために行われてもよい(近位体および遠位体は、異物が位置している血管のサイズに応じて寸法決めされてもよい)。
【0236】
コイル法からすでにガイドカテーテル1800はICA内にある。
【0237】
デリバリーカテーテル202を異物に対して遠位に前進させる。
【0238】
デリバリーカテーテル202を通して回収デバイスを前進させる(「回収デバイス」は、再度となるが、本開示に説明されているような方法でその上に近位および遠位体が取り付けられているデリバリーワイヤー100である)。
【0239】
遠位体104がデリバリーカテーテル202の端部に到達すると、インターベンショニストは、近位体102の放出可能係合を任意選択で切り離すことで、デリバリーワイヤー100に沿って軸方向に自由に動くようにしてもよい。
【0240】
近位テザー1700を引っ張り、近位体102をデリバリーカテーテル202内で近位に引き込むことで、デリバリーカテーテル202内でまだ拘束されている2つの未展開の本体部の間に空間、実施形態によっては、1cmの空間が存在するようにする。
【0241】
デリバリーカテーテル202を近位にゆっくりと後退させる。これにより、遠位体104が、異物に対して遠位で血管200内にて開くことが可能となる。
【0242】
ワイヤーを適所に保持して、近位体102が鞘から抜け出た状態になるまでデリバリーカテーテル202を近位に引き続ける。近位体102は、ここで、異物/コイルに対して近位で開く。
【0243】
異物は、ここで、遠位体と近位体との間で捕らわれる/分離される。
【0244】
デリバリーワイヤー100を保持することによって遠位体104を適所に保持しつつ、ここで、本明細書中に説明されているようなテザーを使用することによって、単純にデリバリーカテーテル202で近位体102を前方に押すことによって、または遠位体104を近位に引き込むことによってのいずれかで、近位体102をワイヤーに沿って遠位体104に近似させることができる。
【0245】
システム全体をガイドカテーテル1800へと下にまたはガイドカテーテル1800内へと引っ張ることにより、異物/コイルは、ここで、2つの本体部間に捕われて、血管200から除去されることができる。
【0246】
他の実施形態では、本明細書は、患者の血管(複数)および、実施形態においては、気動から少なくとも1つの閉塞物を回収および除去するための医療デバイスを説明する。デバイスは、患者の脈管系および尿管、導管、気道、および除去または回収の必要な物質(生物学的なものまたは異質なもの)を含むその他のアクセス可能な空間等の非脈管構造において使用できてもよい。一実施形態において、本明細書中に開示された各デバイスは、深部静脈血栓症または肺血栓塞栓症を解決、治療、または対処するための処置を行うため、または任意の種類の血栓摘出術を行うために使用されてよい。
【0247】
【0248】
図28Aから28Gおよび
図28Jまでを通して同時に参照し、デバイス2800は、例えば、少なくとも4つの伸縮チューブ等の複数の伸縮チューブを有する長尺部材2805の近位端に連結されているハンドル2802を含む第1ユニット2890を備え、長尺部材2805の遠位端は、先端部2804を有する。ハンドル2802は、閉塞物に近接して先端部2804を操舵するように構成されている。デバイス2800は、例えば、シリンジ2837、一方向バルブ2839、およびポート2842(
図28A)等の吸引源を有する吸引カテーテル2835を含む第2ユニット2892をさらに備え、ポート2842は、吸引カテーテル2835の近位端2844に連結されている。一実施形態において、一方向バルブ2839は吸引カテーテル2835を通して直接的に吸引するように構成されている。処置中での使用に関しては、先端部2804は、デリバリーカテーテル2848内に配置され、その後、デリバリーカテーテル2848は、吸引カテーテル2835へと挿入され、ポート2842へと続くことによって、少なくとも先端部2804が吸引カテーテル2835の遠位端2846から遠位に突出する。
【0249】
実施形態によっては、
図28Jに示されるように、ポート2842の代わりに、デバイス2800は止血バルブハブ2842jを含む。バルブハブ2842jは、筺体2805jと、筺体2805jの第1端部における第1開口部2810jと、筺体2805jの第2端部における第2開口部2812jと、筺体2805jから上方へと延び出るアクチュエーター2815jとによって画定されている。実施形態において、吸引カテーテル2835の近位端2844は、第2開口部2812jに連結されている。アクチュエーター2815jが押し下げられると、バルブハブ2842jは、第1開口部2810jを通して長尺部材2805を受け、長尺部材2805が第2開口部2812jを通り、吸引カテーテル2835を通って通過することを可能にするように構成されている。アクチュエーター2815jが押し下げられない場合、バルブハブ2842jは、長尺部材2805の表面周りに密閉を作るように構成されている。実施形態において、吸引源2837は、バルブハブ2842jの一部に連結され、吸引カテーテル2835と圧力的に連通している。
【0250】
本明細書の態様によると、デバイス2800は、以下にさらに説明されているように、近位部材2806および/または遠位部材2807を機械的に拡張、収縮、または動かすために、オペレーターがハンドル部2802(例えば、ノブ、スライダー、ボタン、または他の作動機構2814、2818、および2820等の第1、第2、および第3物理的操作可能インターフェースを使用して)を片手で操作/作動できるように構成されている。一実施形態において、第1スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2814は、近位部材2806を機械的に拡張または機械的に収縮するように構成され、第2スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2818は、遠位部材2807を機械的に拡張または機械的に収縮するように構成され、第3のスライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2820は、遠位部材2807に対して近位部材2806を軸方向に動かすように、遠位部材2807を動かないように維持しつつ、近位部材2806を軸方向に動かすように、または近位部材2806を動かないように維持しつつ、遠位部材2807を軸方向に動かすように構成されている。
【0251】
本明細書中に開示される近位部材2806および遠位部材2807が自己拡張可能または自己収縮可能でなく、むしろ、ハンドル2802に一体化されている物理的操作可能インターフェース(例えば、ノブ、スライダー、ボタン、または他の作動機構等)を使用して手動で圧力がかけられるまたは解放される場合のみ拡張または収縮することが好ましい。
【0252】
一実施形態において、
図28Aに示されるように、第1スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2814、第2スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2818、および第3スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2820は、第1、第2、および第3作動機構のそれぞれが同じ位置にあるまたはハンドルの長さに沿って軸方向に3インチ以内にあるように、ハンドル2802の外表面周りの円弧に位置付けられている。他の実施形態では、
図28Jに示されるように、第1スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2814、第2スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2818、および第3のスライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2820は、第1、第2、および第3作動機構のそれぞれが互いに隣接して位置付けられるように、ハンドル2802の平坦な外表面に位置付けられている。実施形態によっては、
図28Jに示されるように、ハンドル2802の近位端は、第1ガイドワイヤーポート2820jと、第2フラッシュポート2822jとを含む。また、実施形態によっては、
図28Jに示されるように、ハンドル2802の遠位端は、例えば、デリバリーカテーテル2848を摺動可能に前進または後退させるために使用されるスライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構2811j等の第4物理的操作可能インターフェースを含む。物理的操作可能インターフェース2811jは、デリバリーカテーテル2848がより長く止血バルブハブ2842jを通過できるようにする。実施形態によっては、物理的操作可能インターフェース2811jを押すことで、ユーザーが物理的操作可能インターフェース2811jを先端部2804に向かうようにまたは先端部2804から離れるように移動または摺動できるようにし、その結果、バルブハブ2842jを通過するデリバリーカテーテル2848の長さを増加または短縮する。さらに、実施形態によっては、
図28Jに示されるように、吸引カテーテル2835の近位端2844(またはバルブハブ2842jの遠位端)は、生理食塩水または必要であれば造影剤を注入するためのポート2813jを含む。
【0253】
他の実施形態では、ハンドルは、1以上の作動機構を備えて、薬剤を送達する、特に、tPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)を送達し、および/または遠位部材の静止位置による末梢塞栓保護を提供しつつ、吸引を始動させることができる。一実施形態において、処置方法は、カテーテル内に位置する少なくとも1つのルーメンにtPAを注入することを含む。好適には、注入は肺血栓塞栓症または深部静脈血栓症の処置の開始時に、近位および/または遠位部材がまだカテーテル内に収容されている間に行われ、その結果、tPA内で拡張されていない近位および/または遠位部材を覆う。代替的に、注入は、肺血栓塞栓症または深部静脈血栓症の処置の開始時に、近位および/または遠位部材がまだカテーテル内に収容されている間に行われ、カテーテルの遠位端を通して向かわせ、近位および/または遠位部材を挿入および拡張する前に凝血塊に直接注入される。
【0254】
他の実施形態では、カテーテルおよびハンドルは、組み合わせて、溶解分散を促進するため、薬剤を凝血塊により深く運ぶため、凝血塊の分解を早めるため、および/またはフィブリンをより早く変性させるまたはほぐすために、凝血塊に超音波エネルギーを供給するように構成されている。一実施形態において、カテーテルは、カテーテル管ルーメンを通って軸方向に延びている細長いワイヤーと平行に超音波コアを備えている。超音波コアは、カテーテルの外部に位置付けられている制御ユニットと電気的に連絡している。ハンドルの近位端は、好適には、ハンドルから外方へ延び、制御ユニットに接続するように構成されている超音波コアと電気的に連絡している1以上のリードを有する。肺血栓塞栓症または深部静脈血栓症の処置中、上述のように、薬剤の送達に際して処置の初めに、制御ユニットを用いて、超音波エネルギーを作動させることとなる。
【0255】
実施形態において、超音波コアエネルギー発生器はカテーテルの中心を通って伸びる。実施形態において、超音波コアエネルギー発生器は、発生器を管理するように構成されている制御ユニットを含む。回収デバイス2800の近位端は、実施形態において、制御ユニットに差し込まれるリードを含む。
【0256】
本明細書のいくつかの態様によると、第1および第2ユニット2890、2892は、別々の独立型のユニットまたはデバイスとして製造される。このことは、医師が任意の第三者の吸引カテーテルと共に第1ユニット2890を使用できるという点において有利である。実施形態によっては、吸引カテーテル2835は、12Fr、16Fr、20Fr、および24Fr(Frはフレンチスケールまたはゲージシステムを表す)等が挙げられるが、これらに限定されない複数の外径で入手可能である。実施形態によっては、シリンジ2837は、例示的で非限定的な60立方センチメートルの容積を有する。
【0257】
実施形態によっては、肺血栓塞栓症の処置における使用でデリバリーカテーテル2848の長さは、80cm~160cmの範囲であり、120cmが好ましい。実施形態によっては、肺血栓塞栓症の処置における使用で吸引カテーテル2835は、異なる外径に対して異なる長さを有する。例えば、16Frの吸引カテーテルは、70cm~160cmの範囲の長さを有し、112cmが好ましく、20Frの吸引カテーテルは、60cm~150cmの範囲の長さを有し、105cmまたは106cmが好ましく、24Frの吸引カテーテルは、50cm~130cmの範囲の長さを有し、90cmが好ましい。また、実施形態によっては、肺血栓塞栓症(PE)の処置における使用で、20Frの吸引カテーテルは、カスタマイズ可能な270°の屈曲部を有する遠位端または先端を有する一方で、24Frの吸引カテーテルは、可撓性のあるまたは曲げることのできる遠位端または先端を有する。実施形態によっては、肺血栓塞栓症(PE)の処置における使用で、吸引源2837は、1cc~100ccの範囲の容積を有し、60ccの容積が好ましい。実施形態によっては、深部静脈血栓症(DVT)の処置における使用で、デリバリーカテーテル2848の長さは、40cm~120cmの範囲であり、80cmが好ましい。実施形態によっては、深部静脈血栓症の処置における使用で、16Frの吸引カテーテル2835の長さは45cm~80cmの範囲であり、65cmが好ましい。実施形態によっては、深部静脈血栓症の処置における使用で、吸引源2837は、1cc~100ccの範囲の容積を有するシリンジであり、容積は60ccが好ましい。実施形態によっては、右心臓/心房の処置における使用で、24Frの吸引カテーテルは、90cmの長さを有する。実施形態によっては、IVC/SVC(下大静脈/上大静脈)の処置における使用で、24Frの吸引カテーテルは、90cmの長さを有する。実施形態によっては、1つの圧力変換器またはセンサー2809(例えば、光ファイバー圧力センサー、電気機械的圧力センサー、および油圧センサー等)は、吸引カテーテル2835の遠位端に位置付けられている。実施形態によっては、少なくとも1つの圧力変換器またはセンサー2809は、長尺部材が吸引カテーテル2835の全長に沿って延びるように、吸引カテーテル2835に共押出しされている長尺部材の形である。実施形態において、圧力変換器またはセンサー2809は、第1ユニット2890のハンドル2802に位置する電子回路と電気的に連絡している。実施形態において、ハンドル2802は、圧力ディスプレイ2821を含む。様々な実施形態において、圧力変換器またはセンサー2809は、圧力変化または降下を感知するように構成され、特に、閉塞物が除去されるにつれて右心圧における右側の低下を示す圧力の関連した変化があることを医師に知らせる。右心圧における右側の低下は、問題のある閉塞物がうまく除去されていることを示唆する。
【0258】
図28A~28Jを再度参照し、実施形態において、デバイス2800の先端部2804は、近位端2850と遠位端2852とを有する。デバイス2800の作動中、先端部2804は、例えば、ハンドル部2802がオペレーター/ユーザーの手に残ったまま、閉塞物を除去するために、例えば、血管へと挿入される。血管へのデバイス2800の挿入中、先端部2804の遠位端2852は、まず血管へと入り、ハンドル2802を使用することによって、先端部2804の挿入を血管内の所望の位置へと操縦し、血管内の閉塞物に近接するように配置される。先端部2804は、実施形態では先端部2804の遠位端2852に近接して固定的に取り付けられている機械的に拡張可能な剛性アンカーである遠位部材、要素、または本体部2807と、実施形態では先端部2804の近位端2850に近接して摺動可能に取り付けられている機械的に拡張可能なプッシャーボールである近位部材、要素、または本体部2806とを備える。機械的な拡張は、形状記憶材料は機械的な力をかける必要なく、予め定められた形状となるように自然に構成されているために起こる非機械的な拡張とは対照的である。
【0259】
いくつかの代替的な実施形態では、近位要素または本体2806は、先端部2804の近位端2850に近接して固定的に取り付けられている機械的に拡張可能な剛性アンカーとして構成されており、一方、遠位要素または本体2807は、先端部2804の遠位端2852に近接して摺動可能にまたは移動可能に取り付けられている機械的に拡張可能なプッシャーボールとして構成されている。
【0260】
様々な実施形態において、近位要素2806および遠位要素2807は、実質的に、湾曲した構造である。実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807のそれぞれは3次元(3D)形状である。実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807は、互いから独立しているが、1つのデリバリーシステムまたはデバイス2800に取り付けられている。一実施形態において、近位部材2806および遠位部材2807は、織り合わせたワイヤー製の編組構造であって、編組によって形成された(部材の外から部材の内部容積への退出を可能にする)複数の開口領域を各構造が有するようになっている。開口領域は、近位部材2806または遠位部材2807の総表面積に対して、総表面積が1%~99%の範囲である。一実施形態において、近位部材2806は、遠位部材2807よりも大きな割合の開口表面積を有し、その結果、近位部材2806がより多くの凝血塊物質を捕捉することができ、遠位部材2807がデバイスから流れてゆく物質に対するバリアとしてより機能できる。近位部材2806および/または遠位部材2807は、線形、球状、回転楕円体、楕円形、楕円、円錐、多角形、円筒、ステント、聖杯、傘、凹構造、凸構造、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、レバー、ディスク、またはこのような形状の組み合わせをはじめとする任意の形状であってもよい。
【0261】
一実施形態において、
図28Cに示されるように、近位部材2806は、軸2803に沿って近位方向に向けられているネック部2888を有する第1漏斗2886および軸2803に沿って遠位方向に向けられているネック部2889を有する第2漏斗2887として構造的に形成され、第1漏斗2886と第2漏斗2887のカップ縁部は中心軸2891にわたって(連続したワイヤーの形態で)取り付けられている。代替的にまたは追加的に、実施形態によっては、遠位部材2807もまた、軸2803に沿って近位方向に向けられている第1ネック部を有する第1漏斗および軸2803に沿って遠位方向に向けられている第2ネック部を有する第2漏斗を含むということに関して近位部材2806と同様に構造的に形成され、第1漏斗と第2漏斗のカップ縁部は、任意選択で、中心軸にわたって連続したワイヤーの形で取り付けられている。実施形態によっては、近位要素2806および/または遠位要素2807のいずれかまたは両方が機械的に拡張される際に、各要素の近位部分および遠位部分が最初に拡張し、その後、中央部分が拡張する。実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807の各近位部分、遠位部分、および中央部分のそれぞれは、異なる比率で拡張してもよい。実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807は、半径方向力(以下にさらに説明されている)、形状、サイズ(例えば、厚さ、直径)、細孔サイズ(例えば、前述のようにメッシュ細孔サイズまたは開口領域)、および外部コーティングが挙げられるが、制限のない、異なる特性を有する異種であってもよい。実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807は、組成および特性の点に関して実質的に類似してもよい。
【0262】
実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807は、移行中に1以上の3次元幾何学形状(球状、回転楕円体、楕円形、楕円、円錐、多角形、円筒、ステント、聖杯、傘、凹構造、凸構造、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、レバー、ディスク、またはこのような形状の組み合わせ)を採用する、実質的なディスク構造へと実質的な線形構造から移行する同様の編組構造を有する。すなわち、近位要素2806は、第1編組構造により画定されるが、遠位要素2807は、第2編組構造により画定され、実施形態において、第2編組構造は第1編組構造と同等である。他の実施形態では、第2編組構造は第1編組構造と同等でない。
【0263】
図28Lに示されるように、近位要素2806は、近位部分2802Iと、遠位部分2804Iとを有する。実施形態によっては、近位部分2802Iは、遠位部分2804Iに対してより密度の高い編組を有する。すなわち、近位部分2802Iは、遠位部分2804Iと比較してより堅い、剛性がある、または密度の高い編組または織物柄によって画定される。近位要素2806は、結果的に能動的な半径方向の拡張となる編組または織物を有する。実施形態によっては、近位部分2802Iは、近位要素2806の総表面積の30~70%を表すが、遠位部分2804Iは、近位要素2806の総表面積の70~30%を表す。遠位要素2807は、近位部分2810Iと遠位部分2812Iとを有する。近位要素2806と対照的に、遠位要素2807の近位部分2810Iは、遠位要素2807の遠位部分2812Iよりも密度(堅さ/剛性)の低い編組を有する。遠位要素2807は、結果的に能動的な半径方向の拡張となる編組または織物を有する。実施形態によっては、遠位部分2812Iは、遠位要素2807の総表面積の30~70%を表し、近位部分2810Iは、遠位要素2807の表面積の70~30%を表す。このように、実施形態によっては、近位要素2806は、第1編組構造により画定されるが、遠位要素2807は、第2編組構造により画定され、第2編組構造は180度回転した第1編組構造と同等である。実施形態において、異なる編組構造は、血管壁から不要な物質または閉塞物を擦り落とすこと、および物質または閉塞物が容易に除去されるように近位要素2806および遠位要素2807の中および/またはそれらの間に不要な物質または閉塞物を効果的に捕らえることを可能にする。
【0264】
先端部2804は、少なくとも部分的にデリバリーカテーテル2848内に包囲され(
図28Hの図面2870に示されるように)、これは後退すると(
図28Hの図面2872に示されるように)、ハンドル部2802を使用することによってデバイス2800が脈管系または非脈管構造に挿入されて操縦される場合、少なくとも遠位要素2807および近位要素2806を露出させる。
【0265】
上述のように、実施形態によっては、遠位要素2807は、湾曲し、シリンダー、ステント、聖杯、傘、凹構造、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、レバー、またはその他の閉塞物を保持して閉塞物の回収を支援するために構成された適切な形状の形態をとってもよい。実施形態によっては、先端部2804を含む長尺部材2805は、4つの可撓性伸縮チューブを備え、これらは、ともに操作されると、閉塞物を遊離させて除去するために、オペレーター/医者が遠位要素2807および近位要素2806を拡張または収縮させることを可能にして、遠位要素2807に対して近位要素2806を軸方向に動かすことおよびその逆を行うことを可能にする。
図28Hの図面2874は、ハンドル2802を使用して可撓性伸縮チューブを操作することで完全に拡張した近位要素2806および遠位要素2807を示す。一実施形態では、近位要素(プッシャーボール)2806は、
図29Aから29Dまでを参照して説明されているように、可撓性伸縮チューブの操作を介して遠位要素(固定アンカー)2807に対して動いて、閉塞物を遊離させて除去することを可能にするように構成されている。
図28Hの図面2876は、ハンドル2802を使用して可撓性伸縮チューブを操作することによって、遠位要素2807に向けて軸方向に動かされている近位要素2806を示す。
【0266】
実施形態によっては、遠位要素2807および/または近位要素2806は、複数のメッシュ細孔、格子、またはセルを有するニチノールワイヤーメッシュから製造されている。あまり好適でない実施形態のいくつかにおいては、遠位要素2807および/または近位要素2806は、膨張性バルーンが挙げられるが、これに限定されない膨張性デバイスである。実施形態によっては、遠位要素2807および近位要素2806は、異なる素材から製造される。実施形態によっては、遠位要素2807は、ワイヤーメッシュであるが、近位要素2806は膨張性バルーンである。実施形態によっては、遠位要素2807は膨張性バルーンであるが、近位要素2806は、ワイヤーメッシュである。
【0267】
実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807のそれぞれは、各構造に適用されている機械的拡張によって、および各要素2806、2807の小領域または部分にわたる要素の堅さまたは剛性によって、可変半径方向力を適用するそれらの能力によって特徴付けられてもよい。例えば、実施形態によっては、近位および遠位要素2806、2807のそれぞれの第1サイズへの拡張(要素により包囲された領域または体積により画定される)は、第1サイズが周囲の素材にかけることのできる第1半径方向力によって特徴付けられる。近位および遠位要素2806、2807のそれぞれの第2サイズへの拡張(第1サイズよりも大きな、要素により包囲された領域または体積により画定される)は、第2サイズが周囲の素材にかけることのできる第2半径方向力によって特徴付けられ、第2半径方向力は第1半径方向力とは異なる。実施形態によっては、第1および第2半径方向力のそれぞれは、5ニュートン~25ニュートンの範囲であり、10ニュートン~14ニュートンであることが好ましい。ユーザーの制御下で、第1サイズよりも大きな第2サイズよりも大きな第3サイズよりも第4サイズの方が大きい場合である処置の期間全体を通して、第1サイズ(第1領域または体積を有する)、第2サイズ(第2領域または体積を有する)、第3サイズ(第3領域または体積を有する)、または第4サイズ(第4領域または体積を有する)の形状を採用して保持できるように、機械的拡張は、近位および遠位要素2806、2807の断続的で制御された拡張を可能にする。
【0268】
実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807のそれぞれは、半径方向力の適用に抵抗する能力を特徴とし、その結果、各構造にかけられている機械的拡張によって、および各要素2806、2807の小領域にわたる要素の堅さまたは剛性によって、その拡張形状を維持する。例えば、実施形態によっては、近位および遠位要素2806、2807のそれぞれの第1サイズ(要素により包囲される領域または体積によって画定される)への拡張は、第1半径方向力から抵抗する(従って、第1サイズの崩壊または圧縮を回避する)能力を特徴としてもよい。第2サイズ(第1サイズよりも大きく、要素により包囲される領域または体積によって画定される)への近位および遠位要素2806、2807のそれぞれの拡張は、第1半径方向力とは異なる第2半径方向力から抵抗する(従って、第2サイズの崩壊または圧縮を回避する)能力を特徴としてもよい。実施形態によっては、第1および第2半径方向力のそれぞれは、5ニュートン~25ニュートンの範囲であり、9~20ニュートンが好ましく、10ニュートン~14ニュートンがより好ましい。ユーザーの制御下で、第1サイズよりも大きな第2サイズよりも大きな第3サイズよりも第4サイズの方が大きい場合である処置の期間全体を通して、第1サイズ(第1領域または体積を有する)、第2サイズ(第2領域または体積を有する)、第3サイズ(第3領域または体積を有する)、または第4サイズ(第4領域または体積を有する)の形状を採用して保持できるように、機械的拡張は、近位および遠位要素2806、2807の断続的で制御された拡張を可能にする。少なくとも1つの近位および遠位要素2806、2807の領域は、80mmHg~250mmHgの範囲の静水圧をかける血流に対して位置付けられた場合、崩壊または圧縮しないように構成されていることがさらに理解されるべきである。このことは、静水圧レベルが、他の構造、具体的には、自己拡張構造の圧縮または崩壊を多くの場合引き起こす、動脈凝血塊除去において特に有益である。
【0269】
一実施形態において、医師は、a)遠位要素を閉塞物の遠位に配置すること、b)近位要素を閉塞物の近位に配置すること、c)近位および遠位要素のそれぞれを、血管の、近位および遠位要素のそれぞれがその中に位置している血管内腔の直径、幅、または容積以上の直径、幅、または容積へと拡張する(超過する場合は、最大150%であってもよいが、110%~130%程度が好ましく、120%がより好ましい)、d)遠位要素と近位要素との間に血栓を挟む、e)吸引を行う、f)近位要素を動かして血栓をカテーテルへと引っ張る、g)近位および遠位要素を部分的に崩壊させ、両方をカテーテルへ向けて動かす、h)両方の要素を崩壊させて、それらを血栓とともにカテーテル内へと引き戻し、患者からカテーテルを除去することによって、本明細書中に開示される実施形態の何れかを使用する。遠位要素は、凝血塊物質が処置部位から逃げ出し、流れ出ていくことを防ぐ塞栓保護の機能を任意選択で果たしてもよい。
【0270】
実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807は、臨床応用時に、抗血小板コーティングを有して、接着を抑え、血栓形成が抑制された環境を提供してもよい。実施形態によっては、近位要素2806および遠位要素2807ならびにこれらの要素間の任意の素材(例えば、ワイヤーおよび/またはチューブ)は、血栓溶解剤が挙げられるが、これに限定されない放出制御製剤でコーティングされてもよい。
【0271】
遠位要素2807は、硬質で、拡張後に所定形状を保持/維持することが好ましい。特に、患者の血管内で展開されると、遠位要素2807によって実現される固定の度合いは、近位要素2806によって実現されるそれよりも大きく、近位要素2806が遠位要素2807に比べてより動かしやすくなる。より崩壊しづらいおよび/またはより力に対して抵抗がある遠位部材は、遠位部材が血管内でデバイスを固定および定着させて、対抗する梃子の作用を提供することができ、近位部材が軸方向に動かされた際に凝血塊物質を開口カテーテルに向かって引っ張れるようにする。しかしながら、代替的な実施形態では、近位要素2806が硬質で、拡張後に所定形状を保持/維持する一方、遠位要素2807が相対的に近位要素2806よりも動かしやすい。このような実施形態では、近位要素2806によって実現される固定の度合いは、遠位要素2807によって実現されるそれよりも大きい。それゆえに、このような実施形態では、近位要素2806がより崩壊しづらいおよび/またはより力に対して抵抗があり、近位要素2806が血管内でデバイスを固定および定着させて、対抗する梃子の作用を提供することができ、遠位要素2807が軸方向に動かされた際に凝血塊物質を開口カテーテルに向かって引っ張れるようにする。
【0272】
固定は、患者の血管壁に対する半径方向への抗力、除去が必要な閉塞物の遠位部分の中またはそれを越えた係合、遠位の解剖学的特徴(脈管構造の血管分岐または曲線等)周辺での展開、またはこれらの任意の組み合わせによって実現されてもよい。近位および遠位要素2806、2807によって可能にされる相対的な固定を選択的に強化または妨げ得る態様には、半径方向の力または堅さ、拡張径、編組密度、編組ワイヤーサイズ、展開長さ、展開形状、ワイヤーの幾何学的および表面仕上げ、表面処理およびコーティング、または閉塞物および周辺脈管構造との要素2806、2807の摩擦接触を増幅または減衰できる他の手段が含まれる。
【0273】
実施形態において、近位要素2806は、1:10以下の比率で遠位要素2807以下の堅さ/剛性である。実施形態において、相対的な堅さまたは剛性の関係は、1:10以下の比率で近位要素2806以下の堅さである遠位要素2807であることと反対であってもよい。近位および遠位要素2806、2807の製造された相対的な半径方向力、堅さまたは剛性を調節することにより、浸軟可能性に対する相対的な固定力の望ましいバランスが実現できる。
【0274】
先に述べたように、近位要素2806に対する、遠位要素2807のより高い堅さ、剛性、または固定の度合いは、脈管系または非脈管構造内に位置付けられた際に、効果的な固定機能を発揮する。処置中、固定された遠位要素2807は、相対的により低い堅さ、剛性、または固定の度合いを有する近位要素2806が、遠位要素2807に向かって軸方向に動かされるまたは押されて、閉塞物を遊離させる際に、対抗する固定力を発揮する。これは、閉塞物を遊離させるために、近位要素2806の押し込み操作を通して、オペレーターに向上した加圧能力を提供する。このように、様々な実施形態において、半径方向力、形状、サイズ(例えば、厚さ、直径)、細孔サイズ(例えば、2つの要素2806、2807の少なくとも1つがワイヤーメッシュから製造される実施形態でのメッシュ細孔サイズ)、および外部コーティング等の(近位および遠位の要素2806、2807の)特性を調整することで、回収デバイス2800の所望の堅さ、剛性、または柔軟性を得てもよい。所望の堅さ、剛性、または柔軟性によって、回収デバイス2800は、例えば、結石、肺血栓塞栓症および深部静脈血栓等の様々な閉塞物を摘出または除去するように構成されていてもよい。
【0275】
要約すると、遠位部材は、近位部材と比較して、より高い剛性度と、より高い空隙率とを有する。これは、遠位部材が近位部材とは異なる、形状、ワイヤー太さ、平均細孔サイズ、総空隙率、総表面積に対する総開放表面積の比、および/またはコーティングのうちの少なくとも1つを有することにより実現される。その結果、複数のサイズの任意の数へと拡張されたる際、遠位部材は、近位部材と比較して、外力がかかった時にそのサイズまたは形状が変化することに対してより抵抗を持つことが好ましい。実施形態によっては、外力は、1ニュートン~50ニュートンの範囲およびその中における任意の増分であり、8ニュートン~20ニュートンがより好ましく、9ニュートン~15ニュートンがさらにいっそう好ましい。加えて、結果として、近位部材と同じサイズに拡張される際、遠位部材は、空隙率がより低く、近位部材よりも総表面積に対する開放表面積が少ないことを意味する。
【0276】
実施形態において、先端部2804を含む長尺部材2805は、
図29A~29Dを参照しても説明されている、1~6本または好適には4本等の複数の伸縮チューブ(代替的に、シャフトとも呼ばれる)を備えている。
図28Bに(拡張形態で)示されるように、第1チューブ2830がデリバリーカテーテル2848の遠位端2854から遠位に突出して示されている。第1チューブ2830は、第3チューブ2827と連結している第2チューブ2825と連結しており、第3チューブ2827は次に第4/アンカーチューブ2816と連結している。第4/アンカーチューブ2816は、先端部2804の遠位端2852を形成する。ある実施形態では、4つのチューブ2830、2825、2827、および2816は、伸縮自在チューブの同軸配列として配置され、これらの全ては互いに対して軸方向に動けるように設計されている。ある実施形態では、第1チューブ2830は、第2チューブ2825の周囲に同心円状に位置付けられ、第2チューブ2825は、第3チューブ2827の周囲に同心円状に位置付けられ、第3チューブ2827は、第4チューブ2816の周囲に同心円状に位置付けられる。実施形態において、4つの伸縮チューブ2830、2825、2827、および2816は、ハンドル部2802を使用して互いに対して軸方向に拡張または収縮できる。ある実施形態では、伸縮チューブ2830、2825、2827、および2816は、ニチノール製である。
【0277】
ある実施形態では、遠位要素2807は、近位端2856および遠位端2858を有する。図示のように、遠位端2858は、アンカーノーズ2834において第4チューブ2816に固定的に接続される一方で、近位端2856は、遠位要素2807の拡張および非拡張の両方の状態で第3チューブ2827のポイント2815に固定的に接続される。実施形態において、ワイヤーメッシュ2813は、第4チューブ2816および第3チューブ2827の外面のポイント2834および2815にそれぞれにのみ取り付けられているだけであり、一方、ワイヤーメッシュ2813の残りの部分は連結しておらず、そのため、自由に拡張または収縮できる。実施形態によっては、非拡張または崩壊状態で、遠位要素2807(複数のワイヤーを備える)は、一般に管状のワイヤーメッシュ2813を形成し、第4チューブ2816のルーメンの周囲に同心円状に位置付けられる。「チューブ」という用語は伸縮構造を説明するために使用されるが、任意のタイプの円筒、中空ワイヤー、中実ワイヤー、または他の細長構造が使用されてもよく、「チューブ」または「シャフト」という用語はこれらの構造のそれぞれをカバーすることを意図するだけであることが理解されるべきである。
【0278】
第4チューブ2816に対する第3チューブ2827の軸方向の圧縮に際して、ワイヤーメッシュ2813は、第4チューブ2816のルーメンの周囲に半径方向に拡張する。同様に、第4チューブ2816に対する第3チューブ2827の軸方向の減圧に際して、ワイヤーメッシュ2813は、第4チューブ2816のルーメンの周囲に半径方向に圧縮または収縮するように誘発される。実施形態によっては、遠位要素2807を拡張または収縮させるため、第4チューブ2816は、第1、第2、および第3チューブ2830、2825、2827が静止したままであるのに対して、軸方向に動かされる。実施形態によっては、第3チューブ2827および第4チューブ2816の相対的な軸方向運動によって誘発される遠位要素2807の初期拡張は、遠位要素2807がまず近位要素2806の形状と同様の形状をとるようになっている(一実施形態において、近位要素2806の形状は実質的に楕円形である)。第3チューブ2827および第4チューブ2816のさらなる相対的な軸方向の動きは、近位端2856が遠位端2858の中で崩壊して、
図28Bおよび28Eに示されるような杯またはカップ/凹状を形成するように、ワイヤーメッシュ2813の少なくとも一部において反対になることを誘導する。それゆえ、実施形態によっては、拡張した遠位要素2807は、半球に折り畳まれて、患者の身体から除去される前に閉塞物を保持するように使用されてもよい杯またはカップのような構造を形成する内部表面2811を有する半球またはコーンと実質的に同等の形状を有する。ある実施形態では、ワイヤーメッシュ2813の2つの取り付けポイント2834と2815との間の距離は、約1mm~100mmの範囲である。
【0279】
異なる言い方をすると、第3チューブ2827および第4チューブ2816の相対的な軸方向の動きは、近位端2856および遠位端2858を互いに近づくように動かし、遠位要素2807を構成し端部2856と2858との間に延びる素材は圧縮されるため、外方へ拡張する。対して、近位端2856および遠位端2858が互いから遠ざかるにつれて、遠位要素2807を構成し端部2856と2858との間に延びる素材は引き延ばされるため、身体のルーメンへと崩壊し、それに沿って伸長する。このように、遠位要素2807は、遠位に動く近位端2856を有することにより拡張し、遠位端2858に対して近位に動く近位端2856を有することにより収縮する。
【0280】
実施形態によっては、アンカーノーズ2834は、先端部2804が(血管内腔の)凝血塊に向かって前進するにつれて、先端部2804が回転して、凝血塊物質「の中へとねじり入り」、破砕するようにらせん構造のように構成されている。
【0281】
ここで、
図28B、28C、および28Dを参照し、ある実施形態では、近位要素近位要素2806は、近位端2860と遠位端2862とを有する。近位要素2806の遠位端2862は、ポイント2828にて第2チューブ2825に固定的に取り付けられる一方、近位要素2806の拡張および非拡張の両方の状態で、近位端2860は、ポイント2829にて第1チューブ2830に固定的に取り付けられる。様々な実施形態において、非拡張状態で、近位要素2806(複数のワイヤーを備える)は、第2チューブ2825のルーメンの周囲に同心円状に位置付けられるワイヤーメッシュ2826を形成する。
【0282】
実施形態において、ワイヤーメッシュ2826の一部が第2チューブ2825および第1チューブ2830の外面のポイント2828および2829にそれぞれ取り付けられているだけである一方、ワイヤーメッシュ2826の残りの部分は連結しておらず、そのため、自由に拡張または収縮できる。第2チューブ2825に対する第1チューブ2830の軸方向の圧縮に際して、ワイヤーメッシュ2826は、第2チューブ2825のルーメンの周囲に半径方向に拡張するように誘発される。同様に、第2チューブ2825に対する第1チューブ2830の軸方向の減圧に際して、ワイヤーメッシュ2826は、第2チューブ2825のルーメンの周囲に半径方向に圧縮または収縮するように誘発される。実施形態によっては、近位要素2806を拡張または収縮させるため、第1チューブ2830は、第2、第3、および第4チューブ2825、2827、2816が静止したままであるのに対して、軸方向に動かされる。異なる言い方をすると、第1チューブ2830および第2チューブ2825の相対的な軸方向の動きは、近位端2860および遠位端2862を互いに近づくように動かし、それによって、近位要素2806を構成し、端部2860と2862との間に延びる素材は圧縮されるため、外方へ拡張する。対して、近位端2860および遠位端2862が互いから遠ざかるにつれて、近位要素2806を構成し、端部2860と2862との間に延びる素材は引き延ばされるため、身体のルーメンの大きさへと崩壊し、それに沿って伸長する。このように、近位要素2806は、遠位に動く近位端2860を有することにより拡張し、遠位端2862に対して近位に動く近位端2860を有することにより収縮する。
【0283】
ある実施形態では、拡張状態で、近位要素2806は、楕円形状に近似し、ワイヤーメッシュ2826の少なくとも一部は、第2チューブ2825のルーメンにほぼ垂直な状態にある。ある実施形態では、拡張した近位要素2806の直径は、約18mmである。実施形態によっては、完全に拡張した近位要素2806は、
図28Cおよび28Dに示されるように実質上、楕円形または円盤状であり、一方、過渡的または拡張が小さい状態では、近位要素2806は、例えば、実質上、球状等の異なる曲線形状をとってもよい。実施形態によっては、完全に拡張した近位要素2806は、実質上、球状であってもよい一方、過渡的または拡張が小さい状態では、近位要素2806は、実質的に楕円形状をとってもよい。
【0284】
先に説明されているように、様々な実施形態において、拡張状態で、近位要素2806は、シリンダー、ステント、聖杯、傘、凹構造、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、レバー、または閉塞物の回収を支援するために構成された任意のその他の適切な形状の形態をとってもよい。拡張状態において、実施形態によっては、近位要素2806は、第1形状をとってもよい一方、遠位要素2807は第2形状をとってもよいことが理解されるべきである。実施形態によっては、第1形状は、第2形状とは異なる。実施形態によっては、第1形状と第2形状とは実質的に同様である。実施形態によっては、近位および/または遠位要素2806、2807は、モーター付ユニットとして旋回および回転できる。このような実施形態では、ハンドル内に配置された、またはハンドルに近接した小型モーターが、近位および/または遠位要素2806、2807のそれぞれに連結され、作動すると、モーターは近位および/または遠位要素2806、2807の1つまたは両方を動かすまたは回転させる。
【0285】
ここで、
図28A、28G、および28Jを参照し、ある実施形態では、ハンドル部2802は、ハンドル2802の長さに沿って長手方向に延びる溝2812を備える。ある実施形態では、ハンドル部2802の遠位端2865と先端部2804の遠位端2852との間の距離は、0.5mm~110cmの範囲であり、1mm~100mmが好ましい。ユーザーが遠位要素2807を機械的に拡張または収縮できるように構成された第1アクチュエーターノブ、スライダー、またはボタン2814は、第3チューブ2827と連結して、溝2812に摺動可能にはめ込まれ、第1スライダー2814が先端部2804に向かって前方へ(すなわち遠位に)または先端部2804から離れるように後方へ(すなわち近位に)摺動してもよいようにする。第4チューブ2816は、ポイント2834にて遠位要素2807に接続される一方、第3チューブ2827は、ポイント2815にて遠位要素2807に接続される。第4チューブ2816に対する第3チューブ2827の摺動移動は、遠位要素2807の拡張および収縮を誘発し、支援する。
【0286】
代替的な実施形態では、第1アクチュエーター、ノブ、スライダー、またはボタン2814は、第4チューブ2816に連結されることで、(第1アクチュエーター、ノブ、スライダー、またはボタン2814を使用しての)第3チューブ2827に対する第4チューブ2827の摺動移動は、遠位要素2807の拡張および収縮を誘発し、支援することが理解されるべきである。換言すると、第1アクチュエーター、ノブ、スライダー、またはボタン2814は、第3および第4チューブ2827、2816の互いに対する摺動移動を付与するために、第3チューブ2827または第4チューブ2816のどちらかに連結されていてもよい。
【0287】
第1ノブ2814を溝2812内で先端部2804に向かって摺動させると、第3チューブ2827が第4チューブ2816内へと順にはめ込まれ、その結果、第4チューブ2816に対する第3チューブ2827の軸方向の圧縮が誘発され、最終的に、ワイヤーメッシュ2813の近位端2856と遠位端2858との間に遠位要素2807の軸方向の圧縮が誘発される。これにより、ワイヤーメッシュ2813(従って、遠位要素2807)は、第4チューブ2816のルーメンの周囲に半径方向に拡張し、拡張されていない状態での直径よりも大きな直径を有する拡張した杯、カップ/凹状をとる。この種の遠位要素2807の機械的拡張は、この拡張が、拡張状態において遠位要素2807の直径にわたってユーザー制御を提供し、圧力下に配置された場合に崩壊しづらい剛性構造も提供するため、好ましい。医師に拡張サイズの制御を与えるということは、医師が複数の異なる拡張サイズのうちの1つを設定してもよく、その拡張サイズを設定する際に、近位または遠位要素が、9ニュートン~15ニュートン等の本明細書中に開示される範囲の外力がかけられる際でも、その拡張サイズを維持することを意味する。一実施形態において、近位要素および/または遠位要素(第1拡張部材および/または第2拡張部材)は、少なくとも1つの作動機構(スライダー、ノブ、レバー等)を遠位に動かすと拡張し、前記拡張は、少なくとも1つの作動機構がどれほど遠くに遠位に動かされたかに応じて、第1拡張可能部材および第2拡張可能部材の少なくとも1つを、実質的な線形形態から第1形状、第2形状、または第3形状へと、変形させる。第1形状、第2形状、または第3形状は、球状、楕円状、円錐状、多角形、円筒状、ステントの形状、聖杯の形状、傘の形状、凹状、凸状、半球状、吹き流し形状、ダンベル形状、星形状、または前述の形状の任意の組み合わせの少なくとも1つである。第1形状は、第1外面を有し、第1外面から長尺部材までの最長距離は、第1距離により定められる。第2形状は、第2外面を有し、第2外面から長尺部材までの最長距離は、第2距離により定められる。第3形状は、第3外面を有し、第3外面から長尺部材までの最長距離は、第3距離により定められ、第3距離は第2距離よりも大きく、第2距離は第1距離よりも大きい。第1形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で第1外面に外力がかけられる際にも前述の第1距離を維持するように構成され、第2形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で第2外面に外力がかけられる際にも前述の第2距離を維持するように構成され、第3形状は、9ニュートン~15ニュートンの範囲で第3外面に外力がかけられる際にも前述の第3距離を維持するように構成されている。
【0288】
同様に、第1ノブ2814を溝2812内で先端部2804から離れるように摺動させると、第3チューブ2827が順にはめ込まれて第4チューブ2816から拡張して出てくるため、その結果、ワイヤーメッシュ2813の近位端2856と遠位端2858との間で遠位要素2807の軸方向の減圧を誘発する。これにより、ワイヤーメッシュ2813(従って、遠位要素2807)を第4チューブ2816のルーメンの周囲に半径方向に収縮し、拡張状態での直径よりも小さな直径を有する拡張されていない実質的な円筒状をとる。
【0289】
実施形態によっては、遠位要素2807は、完全に崩壊したまたは拡張していない状態にある場合に、実質的な円筒状をとり、部分的に拡張した状態にある場合に、実質的な楕円形状をとり、完全に拡張した状態にある場合に、凹形、傘、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、杯またはカップのような形状をとる。
【0290】
実施形態によっては、第1ノブ2814は、遠位要素2807が最大径(ある実施形態では約25mm)まで拡張された際に、溝2812内のある位置にロックされる(それ以上前方へ動けない)。このように、第1ノブ2814を前方へと摺動させることで、ユーザーが遠位要素2807を複数の中間径までおよび最大許容径まで拡張できるようにする。実施形態によっては、遠位要素2807の拡張時に血管の壁から対抗圧がかかる場合、ユーザーが拡張しすぎないように「クラッチ」がはまるように、第1ノブ2814に「クラッチ」特性が設けられる。この特性は、ユーザーが、遠位要素2807を過拡張して、血管を損傷することを予防するため、有利である。
【0291】
様々な実施形態において、遠位要素2807は、デバイス2800の用途/機能的な使用法に応じた直径へと拡張してもよい。例えば、20mmまでの直径を有する肺/大血管の処置における使用では、拡張した遠位要素2807の直径は、10mm~25mmの範囲である。5mm~10mmの範囲の直径を有する末梢または深部静脈血栓症血管の処置における使用では、拡張した遠位要素2807の直径は、3mm~12mmの範囲である。神経血管の処置における使用では、拡張した遠位要素2807の直径は、2mm~10mmの範囲である。下大静脈(IVC)血管内の閉塞物の回収での使用では、拡張した遠位要素2807の直径は、35mm~40mmの範囲である。実施形態によっては、肺血栓塞栓症の処置における使用では、近位および遠位要素2806、2807のそれぞれは、3mm~16mmの範囲の外径を有する。実施形態によっては、肺血栓塞栓症の処置における使用では、近位および遠位要素のそれぞれは、16mmの最大外径を有する。実施形態によっては、肺血栓塞栓症の処置における使用では、デリバリーカテーテルは9Frのものである。実施形態によっては、深部静脈血栓症の処置における使用では、近位および遠位要素2806、2807のそれぞれは、3mm~20mmの範囲の外径を有する。実施形態によっては、深部静脈血栓症の処置における使用では、近位要素2806は、16mmの最大外径を有し、遠位要素2807は、20mmの最大外径を有する。
【0292】
ある実施形態では、肺血栓塞栓症の処置において回収デバイス2800を運用する場合、近位要素2806は、遠位要素2807と比較してより大きな直径となるように設計されている。ある実施形態では、遠位要素2807の直径が16mmである場合、患者の血管の内径は遠位に向かって先細るため、近位要素2806の直径は20mmである。他の実施形態では、遠位要素2807の直径が5mmである場合、近位要素2806の直径は20mmである。ある実施形態では、深部静脈血栓症の処置において回収デバイス2800を運用する場合、近位要素2806は、遠位要素2807と比較してより小さな直径となるように設計されている。ある実施形態では、遠位要素2807の直径が16mmの場合、患者の血管の内径は近位に向かって大きくなるため、この場合、近位要素2806の直径は14mmである。他の実施形態では、遠位要素2807の直径が16mmの場合、近位要素2806の直径は8mmである。
【0293】
様々な実施形態において、完全に拡張した状態である場合、近位および遠位要素2806、2807のそれぞれは、5mm~30mmの範囲、好適には10mm~25mm、およびより好適には、10mm~20mmの直径を有する。
【0294】
実施形態において、遠位要素2807のための複数の拡張径で、第1ノブ2814をハンドル2802のロック位置から選択的に係合または解放できるように、溝2812は、その長さに沿って一連の相互連結特性を含んでいる。
【0295】
加えて、ハンドル部2802は、ユーザーが近位要素2806を機械的に拡張または収縮できるようにするように構成されている第2アクチュエーター、ノブ、スライダー、またはボタン2818を含む。加えて、ハンドル部2802は、ユーザーが遠位要素2807に向けて前方へとまたは静止したままの遠位要素2807から離れるように後方へと近位要素2806を機械的に摺動できるようにするように構成されている第3アクチュエーター、ノブ、スライダー、またはボタン2820を含む。代替的に、第3アクチュエーター、ノブ、スライダー、またはボタン2820は、ユーザーが近位要素2806に向かって後方へまたは静止したままの近位要素2806から離れるように後方へと近位要素2806を機械的に摺動できるようにするように構成されている第前方へと遠位要素2807を機械的に摺動できるようにするように構成されている。第2および第3ノブ2818、2820は、溝2812内に摺動可能にはめ込まれる。実施形態によっては、第2スライダー2818は、第1チューブ2830と連結して、ユーザーが近位要素2806を機械的に拡張または収縮できるようにする。代替的に、第2スライダー2818は、第2チューブ2825と連結して、ユーザーが近位要素2806を機械的に拡張または収縮できるようにしてもよい。
【0296】
実施形態によっては、第3スライダー2820の先端部2804に向かうまたは先端部2804から離れる摺動移動が、遠位要素2807に向かってまたは遠位要素2807から離れるように近位要素2806を摺動させる(第3および第4チューブ2827、2816は静止したままの状態で)ように、第3スライダー2820は、第1および第2チューブ2830、2825と連結している。代替的な実施形態では、第3スライダー2820は、第3スライダー2820の先端部2804に向かうまたは先端部2804から離れる摺動移動が、近位要素2806から離れるようにまたは近位要素2806に向かって遠位要素2807を摺動させる(第1および第2チューブ2830、2825は静止したままの状態で)ように、第3および第4チューブ2827、2816と連結している。
【0297】
実施形態によっては、第1チューブ2830は、ポイント2829にて近位要素2806に接続する一方で、第2チューブ2825は、ポイント2828にて近位要素2806に接続する。第1チューブ2830の第2チューブ2825に対する摺動移動は、近位要素2806の拡張および収縮において支援となる。第1チューブ2830の第2チューブ2825に対する軸方向の圧縮に際して、ワイヤーメッシュ2826は、第2チューブ2825のルーメンの周囲に半径方向に拡張するように誘発される。
【0298】
実施形態によっては、第2スライダー2818が先端部2804に向けて溝2812内で動かされたまたは摺動された場合、これによって、第1チューブ2830は、第2チューブ2825内に順にはめ込まれ、その結果、第1チューブ2830の第2チューブ2825に対する軸方向の圧縮が誘発される。それゆえ、近位要素2806は、所望の径へと拡張される。第2スライダー2818が先端部2804から離れるように動かされると、第1チューブ2830は順にはめ込まれて第2チューブ2825から出て来て、その結果、ワイヤーメッシュ2826の近位端2829と遠位端2828との間で第2チューブ2825に対する第1チューブ2830の軸方向の減圧(または伸長)が誘発される。これにより、ワイヤーメッシュ2826(従って、近位要素2806)は、第2チューブ2825のルーメンの周囲に半径方向に収縮し、拡張状態での直径よりも小さな直径を有する拡張されていない形状をとるか、完全に拡張されていない状態をとることとなる。
【0299】
実施形態によっては、第3スライダー2820が先端部2804に向かって溝2812内で動かされると、近位要素2806は、ハンドル2802から離れるように、かつ、遠位要素2807に向かって遠位に摺動され、その一方で、第3ノブ2820が先端部2804から離れるように動かされると、近位要素2806は、ハンドル部2802に向かって、かつ、遠位要素2807から離れるように近位に摺動される。
【0300】
ある実施形態では、完全に拡張した近位要素2806の直径は、約18mmである。様々な実施形態において、近位要素2806は、デバイス2800の用途/機能的な使用法に応じた直径へと拡張してもよい。例えば、最大20mmまでの直径を有する肺/大血管の処置における使用では、拡張した近位要素2806の直径は、10mm~25mmの範囲である。5mm~10mmの範囲の直径を有する末梢/DVT血管の処置における使用では、拡張した近位要素2806の直径は、3mm~12mmの範囲である。神経血管の処置における使用では、拡張した近位要素2806の直径は、2mm~10mmの範囲である。下大静脈(IVC)血管内の閉塞物の回収での使用では、拡張した近位要素2806の直径は、35mm~40mmの範囲である。
【0301】
実施形態によっては、第2スライダー2818は、近位要素2806が最大径まで拡張された際に、溝2812内のある位置にロックされる(つまり、それ以上前方へ動かすことができない)。このように、第2スライダー2818の前方へと摺動させることで、ユーザーが近位要素2806を複数の中間径までおよび最大許容径まで拡張できるようにする。実施形態によっては、近位要素2806の拡張時に血管の壁から対抗圧がかかる場合、ユーザーが拡張しすぎないように「クラッチ」がはまるように、第2スライダー2818に「クラッチ」特性が設けられる。この特性は、ユーザーが、近位要素2806を過拡張して、血管を損傷することを予防するため、有利である。
【0302】
様々な実施形態において、第3スライダー2820は、閉塞物を遊離させ、遠位要素2807内に配置させるため、先端部2804に向かっておよび/または先端部2804から離れる反対方向へ第2スライダー2818と共に同期的に動くように構成されていてもよい。実施形態によっては、近位要素2806のための複数の拡張径で、第2スライダー2818をハンドル2802のロック位置から選択的に係合または解放できるように、溝2812は、その長さに沿って一連の相互連結特性を有する。
【0303】
実施形態によっては、デバイス2800は、近位および遠位要素2806、2807の直径の連続的な調整のために送りねじ機構を活用することで、近位および遠位要素2806、2807が所望の径を実現するために、対応する第2スライダー2818および第1スライダー2814が、溝2812において無限に変化可能な数の位置へと前進または後退できてもよく、摩擦ベースのロック機構を使用して所望の位置に保持されてもよい。ある実施形態では、非バックドライブねじパターンが送りねじで使用されて、ユーザーによって作動されない場合に摩擦ブレーキを発揮し、拡張した近位および遠位要素2806、2807の直径の連続的な調整を可能にする。
【0304】
実施形態において、第4チューブ2816および第3チューブ2827は互いに順にはめ込まれて、遠位要素2807を拡張または収縮させ、第2チューブ2825および第1チューブ2830は、互いに順にはめ込まれて、近位要素2806を拡張または収縮させる。ある実施形態では、第2チューブ2825および第1チューブ2830を共に一体として前進または後退させることを引き起こす第3スライダー2820を動かすことにより、近位要素2806および遠位要素2807の相対的な位置が、拡張または崩壊状態に調整されてもよい。代替的な実施形態では、第3チューブ2827および第4チューブ2816を共に一体として前進または後退させることを引き起こす第3スライダー2820を動かすことにより、近位要素2806および遠位要素2807の相対的な位置が、拡張または崩壊状態に調整されてもよい。
【0305】
ある実施形態では、近位要素2806と遠位要素2807との間の距離は、2mm~60mmの間の範囲である。異なる言い方をすると、近位要素2806と遠位要素2807との間の最小距離が2mmになるまで近位要素2806を遠位要素2807に向かって遠位に動かすように第3ノブ2820を作動させてもよい。同様に、近位要素2806と遠位要素2807との間の最大距離が60mmになるまで近位要素2806を近位に、かつ、遠位要素2807離れるように動かすように第3スライダーを作動させてもよい。実施形態において、第2スライダー2818は、溝2812の長さに沿ったいくつかの異なる配置/位置に位置付けられてもよく、配置/位置のそれぞれは近位要素2806の異なる拡張の程度に対応しているため、近位要素2806は異なる形状を持っている。
【0306】
実施形態によっては、近位要素2806と遠位要素2807との間の最小距離は、0~5mmの範囲であり、近位要素2806と遠位要素2807との間の最大距離は、60mm~400mmの範囲である。
【0307】
実施形態によっては、第1チューブ2830は、ハンドル部2802から近位要素2806まで延び、第2チューブ2825と同軸であるが、第3チューブ2827は、ハンドル部2802から遠位要素2807まで延び、アンカーノーズ2834に固定的に取り付けられている第4チューブ2816と同軸である。実施形態によっては、第2チューブ2825および第4チューブ2816は、それに対して伸縮する第1チューブ2830および第3チューブ2827が作動して、それぞれの近位または遠位要素2806、2807を拡張させる、対応するワイヤーメッシュの固定遠位位置(それぞれ近位または遠位要素2806、2807)を提供する。アンカーノーズ2834は、遠位要素2807のための終端および固定点を提供し、ある実施形態では、X線不透過性マーカーの二次機能を実行する。様々な実施形態において、伸縮チューブ2830、2825、2827、および2816の直径は、神経血管性および末梢用途の場合、0.010mm~1mmの範囲であり、肺およびより大きな用途の場合、1mm~3mmの範囲である。実施形態によっては、第4チューブ2816は、中空チューブに代えて、中実ワイヤーであってもよい。ある実施形態では、完全に拡張した遠位要素2807は、形状が凹形であってもよいし、
図28Eおよび28Fに示されるような杯、カップ、または半球のような形状であってもよいが、あまり拡張されていない状態では、遠位要素2807は、異なる形状をとってもよい。
【0308】
図28A~28G、および28Jに戻って参照し、ある実施形態では、患者のルーメンから閉塞物を回収するために、デリバリーカテーテル2848が、閉塞物の近くに位置付けられ(ハンドル2802を使用して)、先端部2804が閉塞物の中にまたは完全に通過するように位置付けられる。一旦、閉塞物質が、近位要素2806と遠位要素2807との間に捕捉されると、シリンジ2837が作動されて、吸引ライン2824で吸引が発生し、吸引カテーテル2835を通して閉塞物質を吸引する。
【0309】
このように、様々な実施形態において、近位および遠位要素2806、2807は、特定の直径および特定の半径方向力に拡張され、その結果、血栓または凝血塊物質を血管内腔および壁から捕らえて掻爬することができる。実施形態によっては、回収デバイス2800は、その調整可能な半径方向力およびその調整可能なサイズを活用して、動脈または静脈の壁を能動的に掻爬する。実施形態によっては、回収デバイス2800は、血管壁から血栓性物質を同時に捕捉、圧縮、引き込み、および掻爬することで血栓の除去を可能にしてもよい。一実施形態において、近位要素は、1mm~100cmの範囲の体積であるサイズの凝血塊または血栓物質を捕捉および/または内包するように構成されている。
【0310】
実施形態によっては、ハンドル部2802は、例えばおよびほんの一例として、低、中、高の3つの段階、低~高の範囲の5段階、低~高の範囲の8段階等の複数の段階を含む。各段階は、拡張状態にある近位および遠位要素の対応する所定の直径を示す。3つの摺動ボタン2814、2818、2820が、複数の段階のいずれか1つへと作動されてから、その位置に戻り止めできる。
【0311】
実施形態によっては、ハンドル部2802は、近位および遠位要素2806、2807を操作するために3つのボタン2814、2818、2820を含むが、代替的な実施形態では、3つよりも少ないボタンが使用されてもよい。例えば、実施形態によっては、機械的な血栓摘出処置を行っている間、臨床医によるデバイス2800の使用は、デバイス2800の所定の使用または操作回数に関してモニタリングされている。モニタリングに基づいて、近位および遠位要素2806、2807の展開の好適なシーケンスが決定され、展開シーケンスを示すデータは、メモリー(ハンドル部2802内またはハンドル部2802から遠隔に存在する)に記憶される。
【0312】
非限定的な例として、展開シーケンスは、(デバイス2800を閉塞物に近接して配置した後に)最初に遠位要素を拡張してから、近位要素を拡張することを含んでもよい。それゆえ、第1ボタンは(作動されると)展開シーケンスを実行するようにプログラムされており、その後、第2ボタンが近位要素を軸方向に往復運動させるように使用される。このように、この例では、近位および遠位要素2806、2807を操作するには、2つのボタンのみが必要である。他のケースのシナリオでは、展開シーケンスは、遠位要素を拡張こと、近位要素を拡張こと、およびその後、近位要素を軸方向に前後に5往復動のサイクル分動かすことが含まれてもよい。それゆえ、第1ボタンじゃ(作動されると)展開シーケンスを実行するようにプログラムされている。当然、実施形態によっては、プログラム化されたボタンにより展開シーケンスが完了した後、第2および第3のボタンがまだ手動で使用されてもよい。実施形態によっては、人工知能(AI)アルゴリズムが、展開シーケンスを実装して、一旦、デバイス2800が生体内に配置されると、近位および遠位要素を自動で拡張するおよび/または近位要素を軸方向に動かす。
【0313】
3つのボタン2814、2818、2820は、スライダー、ノブ、レバー、ダイヤル、押しボタン、またはその組み合わせであってもよいとも理解されるべきである。例えば、第1および第2ノブは、近位および遠位要素をそれぞれ拡張/収縮するために使用されてもよい一方、押しボタンは、近位要素を軸方向に動かすために使用されてもよい。他の例では、第1、第2、および第3レバーは、近位および遠位要素を拡張/収縮するためのポンプ作用を発生させ、近位要素を軸方向に動かすように作動されてもよい。さらに他の例では、第1および第2ダイヤルは、近位および遠位要素をそれぞれ拡張/収縮するために時計回り/反時計回りに作動されてもよく、スライダーボタンは、近位要素を軸方向に動かすように使用されてもよい。押しボタンは、サーボおよびボールねじを使用して、近位および遠位要素を拡張/収縮および近位要素を軸方向に動かしてもよい。ノブは、ハンドル部2802上に円周方向に設計されていてもよい。
【0314】
実施形態によっては、遠位および/または近位要素2807、2806は、自己拡張ニチノールワイヤーメッシュである。実施形態によっては、自己拡張遠位および/または近位要素2807、2806は、ハンドル部2802により拘束される。実施形態によっては、自己拡張遠位および/または近位要素2807、2806は、先端部2804を覆うシースまたはリングによって拘束される。自己拡張遠位および/または近位要素2807、2806は、拘束しているシースまたはリングが除去されると、拡張する。このように、実施形態によっては、自己拡張遠位および/または近位要素2807、2806は、拘束または抵抗部材を取り外すことに基づいて拡張するように構成されている。
【0315】
実施形態によっては、カテーテル2835内の回収デバイス2800は、ハイポチューブを有し、セントラルワイヤーは、ハイポチューブ内に位置付けられている。遠位要素2807は、ワイヤー上に位置付けられる一方、近位要素2806は、ハイポチューブの固定位置に位置付けられる。一旦、デバイス2800が適所に来ると、中央ワイヤーが、カテーテル2835の外まで通り、遠位要素2807は、非拘束状態となり、あらかじめ設定されたサイズまたは外径へと自動的に飛び出し開く(自己拡張)。中央ワイヤーおよび遠位要素2807が適所にある状態で、ハイポチューブが、続いて、軸方向に動かされる。ハイポチューブはワイヤーの上を渡っているため、ハイポチューブを動かすことで、近位要素2806が遠位要素2807に対して自動的に動く。ハイポチューブは、近位要素2806も飛び出し開くまで動かされる。その後、医師は、ハイポチューブをワイヤー(適所に固定されている)に対して動かして、近位要素2806を遠位要素2807に対して動かし、凝血塊/閉塞物を擦り出す。
【0316】
図28Kは、本明細書のいくつかの実施形態による回収デバイス2800のハンドル2802の長手方向断面図を示す。
図28A、28J、および28Kを再度参照し、ハンドル2802は、互いに対して同心円状に位置付けられている第1シャフトまたはチューブ2830、第2シャフトまたはチューブ2825、第3シャフトまたはチューブ2827、および第4シャフトまたはチューブ2816を有する長尺部材2805の近位端に連結されている。ある実施形態では、第1チューブ2830は、第2チューブ2825の周囲に同心円状に位置付けられ、第2チューブ2825は、第3チューブ2827の周囲に同心円状に位置付けられ、第3チューブ2827は、第4チューブ2816の周囲に同心円状に位置付けられる。
【0317】
図28Bに示されるように、近位要素2806は、近位端2860と、遠位端2862とを有する。近位要素2806の遠位端2862は、ポイント2828にて第2チューブ2825に固定的に取り付けられる一方、近位端2860は、ポイント2829にて第1チューブ2830に固定的に取り付けられる。同様に、遠位要素2807は、近位端2856と、遠位端2858とを有する。図示のように、遠位端2858は、第4チューブ2816に固定的に接続され、一方、近位端2856は、第3チューブ2827のポイント2815に固定的に接続されている。
【0318】
図示のように、ハンドル2802は、例えば、スライダー2814、2818、2820等の第1、第2、および第3物理的操作可能インターフェースを含む。第1ハブ2802k、第2ハブ2804k、第3ハブ2806k、および第4ハブ2808kのそれぞれは、各第1、第2、第3および第4チューブ2830、2825、2827、2816をハンドル2802に連結できるようにする。第5ハブ2810kはハンドル2802に対して動かず、耐キンク性を提供するまたは張力緩和として機能して、ハンドル2802の近位端2830kからチューブ2830、2825、2827、2816が退出する際に、チューブ2830、2825、2827、2816の近位端でキンクを防止し、堅さを追加するために、全てのチューブ2830、2825、2827、2816の周囲を回り、ハンドル2802近位端2830kから近位に所定の長さだけ延びる、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)チューブに接合されている。
【0319】
ある実施形態では、第1スライダー2814の摺動移動(ハンドル2802の長さに沿った)が、第1、第2、および第3チューブ2830、2825、2827が静止したままで、第4チューブ2816を軸方向に動かし、その結果、遠位要素2807を拡張または収縮させるように、第1スライダー2814は第4チューブ2816に連結されている。実施形態によっては、第1スライダー2814を遠位に(先端部2804に向かって)摺動させることで、第4チューブ2816、従って、遠位端2858を近位に動かし、遠位要素2807を拡張させる一方で、第1スライダー2814を近位に(先端部2804から離れるように)摺動させることで、第4チューブ2816、従って、遠位端2858を遠位に動かし、遠位要素2807を圧縮または収縮させる。このようにして、第1スライダー2814の動きは第4チューブ2816を第3チューブ2827に対して動かす。しかしながら、代替的な実施形態では、第1スライダー2814は、第3チューブ2827を第4チューブ2816に対して動かすように構成されていてもよい。
【0320】
第2スライダー2818の摺動移動(ハンドル2802の長さに沿った)が、第2、第3、および第4チューブ2825、2827、2816が静止したままで、第1チューブ2830を軸方向に動かし、その結果、近位要素2806を拡張または収縮させるように、第2スライダー2818は、第1チューブ2830に連結されている。実施形態によっては、第2スライダー2818を遠位に(先端部2804に向かって)摺動させることで、第1チューブ2830、従って、近位端2860を遠位に動かし、その結果、近位要素2806を拡張させる一方で、第2スライダー2818を近位に(先端部2804から離れるように)摺動させることで、第1チューブ2830、従って、近位端2860を近位に動かし、その結果、近位要素2806を圧縮または収縮させる。このようにして、第2スライダー2818の動きは第1チューブ2830を第2チューブ2825に対して動かす。しかしながら、代替的な実施形態では、第2スライダー2818は、第2チューブ2825を第1チューブ2830に対して動かすように構成されていてもよい。
【0321】
第3スライダー2820の摺動移動(ハンドル2802の長さに沿った)が、第3および第4チューブ2827、2816が静止したままで、第1および第2チューブ2830、2825を軸方向に動かし、その結果、近位要素2806を(静止したままの)遠位要素2807に対して動かすように、第3スライダー2820は、第1および第2チューブ2830、2825に連結されている。実施形態によっては、第3スライダー2820を遠位に(先端部2804に向かって)摺動させることで、近位要素2806を遠位要素2807に向かって動かす一方で、第3スライダー2820を近位に(先端部2804から離れるように)動かすことで、近位要素2806を遠位要素2807から遠ざかる方向へ動かす。
【0322】
代替的な実施形態では、第3スライダー2820の摺動移動(ハンドル2802の長さに沿った)が、第1および第2チューブ2830、2825が静止したままで、第3および第4チューブ2827、2816を軸方向に動かし、その結果、遠位要素2807を(静止したままの)近位要素2806に対して遠位要素2807を動かすように、第3スライダー2820は、第3および第4チューブ2827、2816に連結されていてもよい。実施形態によっては、第3スライダー2820を遠位に(先端部2804に向かって)摺動させることで、遠位要素2807を近位要素2806から遠ざかる方向へ動かす一方で、第3スライダー2820を近位に(先端部2804から離れるように)動かすことで、遠位要素2807を近位要素2806に向かって動かす。
【0323】
実施形態によっては、デフォルトで、ばね荷重式ロック機構2820kが、第1および第2ハブ2802k、2804kをキャリッジ2815kにロック/連結されるように保持する。第3スライダー2820の摺動移動は、キャリッジ2815kを動かし、これは、第1および第2チューブ2830、2825をそろって(第3および第4チューブ2827、2816に対して)動かして、その結果、近位要素2806の拡張/収縮に影響を及ぼさない遠位要素2807に対する近位要素2806の軸方向運動となる。
【0324】
実施形態によっては、3つのスライダー2814、2818、2820およびロック機構は、ばねを活用して、レール上の歯によって適所にロックされたままにし、解放またはロック解除するには押す/押し下げる必要がある。
【0325】
第2スライダー2818を押し下げると、ロック機構2820kが、第1および第2チューブ2830、2825をキャリッジ2815kから切り離し、第2スライダー2818を第1チューブ2830に係合させる。それゆえ、第2スライダー2818の摺動移動は、第1チューブ2830を軸方向に動かし、その結果、近位要素2806を拡張または収縮させる。一旦解除されると、ロック機構2820kが再度作動され、従って、第3スライダー2820を使用して、第1および第2チューブ2830、2825の両方、従って、近位要素2806全体を動かすことができる。
【0326】
このように、第2スライダー2818は、第2チューブ2825が静止したままである中、第1チューブ2830を動かすことにより近位要素2806を拡張または収縮させる。第2スライダー2818は、複数の所定の幾何学的形状、寸法、サイズ、直径、または体積(それらのそれぞれ(線形形状以外)が0~25ニュートンの範囲で同じまたは異なる加圧力に耐えることができる)のうちの1つへと近位要素2806を徐々におよび機械的に開くまたは拡張するように構成されている。実施形態によっては、複数の幾何学的形状は、線形、楕円、回転楕円体、球状、ディスク形状のうちの少なくとも2つを含む。実施形態によっては、第2スライダー2818は、近位要素2806が徐々に開くまたは拡張されることを可能にするレール上の複数の歯を含む。先に説明されているように、第2スライダー2818は、近位要素2806の所望の幾何学的形状、寸法、サイズ、直径、または体積を有するように第2スライダー2818を動かすまたは摺動するために、押下される必要があるように、ばね荷重式である。換言すると、実施形態によっては、近位要素2806の複数の所定の幾何学的形状、寸法、サイズ、直径、または体積を視覚的に表すためにハンドル2802に図像学を対応させることによって、寸法的増分が組み込まれて表される。加えて、血管内腔から閉塞物または不要物質を除去するために回収デバイス2800を使用する処置は、一般的に蛍光透視下で行われるため、医師は、血管内腔の内径を見て、拡張した近位要素2806の外径に対する触覚フィードバック(近位要素2806が徐々に開くまたは拡張することを可能にするレール上の複数の歯を有する第2スライダー2818によって生成される)を感じて、視覚的基準を持つことができる。
【0327】
ある実施形態では、第4チューブ2816は、第1チューブ2830の移動の方向の反対方向に動くように構成されている。第1および第2チューブ2830、2825の対向する動きがない場合、第1スライダー2814が遠位に動かされると、第4チューブ2816も遠位に動き、遠位要素2807を収縮させる一方、第1スライダー2814が近位に動かされると、第4チューブ2816も近位に動き、遠位要素2807を拡張させる。しかしながら、第1スライダー2814および第4チューブ2816のこの動きは、ユーザーにとってあまり直感的ではない(第2スライダー2818の遠位への動きは、近位要素2806を拡張させ、その逆も引き起こす)。従って、ギヤ2825kは、第4ハブ2808k、従って、第4チューブ2816に対して1:1の関係で第1スライダー2814の動きの方向を反転させる。それゆえ、第1スライダー2814の遠位への動きは、第4チューブ2816を近位に動かして遠位要素2807を拡張させる、一方で、第1スライダー2814の近位への動きは、第4チューブ2816を遠位に動かして遠位要素2807を収縮させる。
【0328】
このように、第1スライダー2814は、第1、第2、および第3チューブ2830、2825、2827が静止したままの中、第4チューブ2816を動かすことにより、拡張または収縮する。第1スライダー2814は、複数の所定の幾何学的形状、寸法、サイズ、直径、または体積(それらのそれぞれ(線形形状以外)が0~25ニュートンの範囲で同じまたは異なる加圧力に耐えることができる)のうちの1つへと遠位要素2807を徐々におよび機械的に開くまたは拡張するように構成されている。実施形態によっては、第1スライダー2814は、遠位要素2807が徐々に開くまたは拡張することを可能にするレール上の複数の歯を含む。実施形態によっては、第1スライダー2814は、遠位要素2807の所望の幾何学的形状、寸法、サイズ、直径、または体積を有するように第1スライダー2814を動かすまたは摺動するために、押下される必要があるようにばね荷重式である。換言すると、実施形態によっては、遠位要素2807の複数の所定の幾何学的形状、寸法、サイズ、直径、または体積を視覚的に表すためにハンドル2802に図像学を対応させることによって、寸法的増分が組み込まれて表される。加えて、血管内腔から閉塞物または不要物質を除去するために回収デバイス2800を使用する処置は、一般的に蛍光透視下で行われるため、医師は、血管内腔の内径を見て、拡張した遠位要素2807の外径に対する触覚フィードバック(遠位要素2807が徐々に開くまたは拡張することを可能にする複数の歯を有する第1スライダー2814によって生成される)を感じて、視覚的基準を持つことができる。
【0329】
ロックおよびキーシステム
図28Mの第1図面2805mに示されるように、回収デバイス2800は、(例えば、購入時)ハンドル2802がロックまたは機能停止された状態で提供され、これは、関連するキー2804mを使用することでのみ作動またはアンロックできる。実施形態によっては、組み立て時にピン2806mがハンドル2802に配置されることで、ピン2806mが第1、第2、および第3スライダー2814、2818、2820を通過して、その結果、スライダーが作動または動かされることを防ぐ。第2図面2810mに示されるように、ハンドル2802を作動する(従って、スライダー2814、2818、2820を作動可能にする)ため、(ハンドル2802にある)鍵穴2808mの第1の側を通過するように独自に構成されているキー2804mは、予め配置されたピン2806mを押し出し、鍵穴2808mの第2の側(第1の側の反対側)から突出させる。突出するピン2806mは、その後、ユーザーによって掴まれて、ユーザーによって引き抜かれ、その結果、スライダー2814、2818、2820をアンロックして自由に動くことを可能にする。実施形態によっては、第3図面2815mに示されるように、キー2804mは、鍵穴2808mの第1の側を通して挿入された際に、キー2804mの表面2822mがハンドル2802のリブ2812mに当接または係合するように設計されている。このように、キー2804mは、破壊せずに取り外しができない(鍵穴2808mの第1の側からキー2804mを引き抜こうとする試みがなされると、リブ2812mに当接する表面2822mがかなりの抵抗を発揮するため)ようにする、ハンドル2802内への一方向のスナップフィットを特徴とする。鍵穴は独自に設計されることが好ましく、ハンドルが複数のサイズ、形状、または構成の異なる鍵穴のうちの1つを有し、そのため、うまく鍵穴を通過して、ピンを押し出すために同様におよび相補的に設定されたキーを必要としてもよいことが理解されるべきである。
【0330】
同時拡張可能および収縮可能/圧縮可能近位および遠位要素
図43は、本明細書の一実施形態による、末梢動脈血管から閉塞物を除去(従って、末梢動脈疾患を治療)するように構成されている回収デバイスを使用する方法4300の複数のステップ例のフローチャートである。いくつかの実施形態によると、方法4300は、1mm~14mmの範囲の内径を有するルーメンから閉塞物を除去することを可能にする。実施形態によっては、方法4300は、3mm未満の内径を有するルーメンから閉塞物を除去することを可能にし、1mm未満の内径を有するルーメンから閉塞物を除去することさえも可能にする。ルーメンとは、胆管、瘻孔血栓除去、脳血管、上下肢、尿管、虫垂動脈、および末梢動脈血管(特に、手、腕、前腕、大腿、脚、および足)のうちの1つであるが、これらに限定されるわけではない。
【0331】
方法4300に関して、例えば、デバイス2800等の本明細書の回収デバイスは、末梢動脈疾患(PAD)および全ての動脈および血液学的な病理に関連する血栓塞栓症の処置を治療するために、胆管、瘻孔血栓除去、肝胆管、脳血管、上下肢、尿管、虫垂動脈、および末梢動脈血管(特に、手、腕、前腕、大腿、脚、および足)において血栓摘出処置を行うように構成または適応している。回収デバイスのこのような実施形態では、ハンドル2802が、少なくとも1つの伸縮チューブを通して長尺部材2805の近位端に連結されており、長尺部材2805の遠位端は、近位および遠位要素2806、2807を有する先端部2804を有する。実施形態によっては、ハンドル2802は、近位および遠位要素2806、2807の両方を同時に拡張する/開くおよび収縮する/閉じるために使用される、例えば、ノブ、スライダー、またはボタン等の物理的操作可能インターフェースを含んでもよい。実施形態によっては、近位要素2806と遠位要素2807との間の距離は、予め定められ/固定され、2cm~6cmの範囲である。スライダー等の物理的操作可能インターフェースは、レール上に複数の歯を有して、近位および遠位要素2806、2807を複数の形状、寸法、サイズ、体積、または外径へと徐々に拡張または開くことを可能にする。実施形態によっては、近位および遠位要素2806、2807は、最大20増分に対応する形状、寸法、サイズ、体積、または外径へと拡張されてもよい。実施形態によっては、近位および遠位要素2806、2807は、設定増分なく、連続的に形状、寸法、サイズ、体積、または外径へと拡張されてもよい。実施形態によっては、近位および遠位要素2806、2807の複数の形状、寸法、サイズ、体積、または外径のそれぞれは、0~25ニュートンの範囲の同じ加圧力に耐えることができる。代替的に、実施形態によっては、近位および遠位要素2806、2807の複数の形状、寸法、サイズ、体積、または外径のそれぞれは、0~25ニュートンの範囲の異なる加圧力に耐えることができる。
【0332】
実施形態によっては、近位および遠位要素2806、2807の複数の所定の幾何学的形状、寸法、サイズ、直径、または体積を視覚的に表すためにハンドル2802に図像学を対応させることによって、同時に拡張する近位および遠位要素2806、2807の寸法的増分が組み込まれて表される。加えて、血管内腔から閉塞物または不要物質を除去するために回収デバイスを使用する処置は、一般的に蛍光透視下で行われるため、医師は、血管内腔の内径を見て、拡張した近位および遠位要素2806、2807の外径に対する触覚フィードバック(レール上に複数の歯を有するスライダーによって生成される)を感じて、視覚的基準を持つことができる。実施形態によっては、同時に拡張可能および収縮可能/圧縮可能近位および遠位要素2806、2807を有する回収デバイスは、0.014インチまたは0.018インチの直径を有するガイドワイヤー、7~8Frであって、135cmの長さを有する吸引カテーテル2835、および5Frであって、145cmの長さを有する長尺部材2805を使用するように構成されている。実施形態によっては、完全に拡張した状態で、近位および遠位要素のそれぞれの直径は、5mm~30mmの範囲であり、10mm~25mmであることが好ましく、10mm~20mmであることがより好ましい。
【0333】
任意選択で、実施形態によっては、ハンドル2802は、
近位および遠位要素2806、2807を共に軸方向に動かすために使用される、例えば、ノブ、スライダー、またはボタン等の別の物理的に操作可能なインターフェースを含んでもよい。
【0334】
処置中の使用に関しては、(同時に拡張および収縮できる近位および遠位要素を有する)回収デバイスの先端部がデリバリーカテーテル内に配置され、その後、デリバリーカテーテルは吸引カテーテル内へと挿入されてバルブハブまで続くことで、吸引カテーテルの遠位端から少なくとも先端部が遠位に突出する。
【0335】
ここで、
図43を参照し、ある実施形態では、ステップ4302にて、患者のルーメンから閉塞物を回収するために、ガイドワイヤーが患者のルーメンを通って前進し、閉塞物を通って位置付けられる。実施形態によっては、ガイドワイヤーは、0.014インチまたは0.018インチの直径を有する。ステップ4304にて、吸引カテーテルの遠位端が閉塞物にまたは閉塞物に近接して位置付けられるように、吸引カテーテルは、ガイドワイヤーにかぶさって前進する。ステップ4306にて、デリバリーカテーテルの遠位端が吸引カテーテルの遠位端に近接して位置するように、デリバリーカテーテルは、吸引カテーテルを通って前進する。
【0336】
ステップ4308にて、(同時に拡張および収縮できる近位および遠位要素を有する)回収デバイスは、回収デバイスの先端部に取り付けられた遠位要素が、閉塞物の中にまたは完全に通過して閉塞物を越えて位置付けられた状態で、閉塞物の近くに位置付けられる。実施形態によっては、これにより、近位および遠位要素は、圧縮または非拡張状態で、閉塞物の中に位置付けられる。
【0337】
ステップ4310にて、閉塞物の中に位置付けられている近位および遠位要素は、所望の径へと同時に機械的に拡張される(従って、対応する形状へと同時に機械的に拡張され、対応する半径方向力を働かせる)。ある実施形態では、回収デバイスのハンドルのスライダーは作動されて、近位および遠位要素のワイヤーメッシュ構造を同時並行で拡張させて広げる。実施形態によっては、拡張の際、近位および遠位要素は、0~25ニュートンの範囲でかけられた力による圧縮に抵抗するように構成されている。
【0338】
ステップ4312にて、近位および遠位要素は、軸方向に(1以上の前後運動で)動かされ、閉塞物を遊離させるおよび擦り落とす/掻爬する。実施形態によっては、閉塞物は、近位および遠位要素のメッシュ格子で捕らえることもできる。
【0339】
実施形態によっては、閉塞物を遊離させて掻爬するために、ハンドルが前後に動かされて、先端部、従って、近位および遠位要素を前後に動かす。他の実施形態では、ハンドルに設けられる他のスライダーは、作動されて、先端部に対して近位および遠位要素を軸方向に一緒に動かす。実施形態によっては、近位および遠位要素は、1mm~8cmの範囲、好適には少なくとも6cmで軸方向に動かされるように構成されている。
【0340】
ステップ4314にて、遊離させられて擦り落とされた閉塞物は、吸引カテーテルを通して負圧をかけることで除去または吸引される。実施形態によっては、近位および遠位要素の前後移動は、遊離させられて擦り落とされた閉塞物を吸引カテーテルに向けてさらに動かす。
【0341】
ステップ4316にて、近位および遠位要素は、同時に崩壊または圧縮される。実施形態によっては、スライダーが作動されて、近位および遠位要素を崩壊または圧縮する。最終的に、ステップ4318で、崩壊または圧縮された状態の近位および遠位要素は、患者のルーメンから後退されて除去される。
【0342】
図29Aは、本明細書の一実施形態による、拡張されていない近位および遠位要素を有する回収デバイス2900を示す。
図29Bは、本明細書の一実施形態による、拡張した近位および遠位要素を有する回収デバイス2900を示す。
図29Cは、本明細書の一実施形態による、近位要素と遠位要素との間の距離を縮小させるために操縦される複数の伸縮チューブを有する回収デバイス2900を示す。
図29A、29B、および29Cを参照し、実施形態によっては、遠位要素2902および近位要素2904は、一式の第1、第2、第3、および第4伸縮チューブ2906、2908、2910、および2912に貼り付けられており、第1チューブ2906は、デリバリーカテーテル2914を越えて延びて示されている。
【0343】
実施形態において、伸縮チューブ2906、2908、2910、および2912は、互いに対して軸方向に後退または拡張されることができ、その結果、遠位要素2902と近位要素2904との間の距離をそれぞれ延長または縮小する。伸縮チューブ2906、2908、2910、および2912の後退および拡張ならびに遠位および近位要素2902、2904の拡張および縮小は、ある実施形態では、回収デバイス2900のハンドルによって実行される。実施形態において、遠位および近位要素2902、2904の各近位端と遠位端との間の軸方向の圧縮は、要素2902、2904を長手軸まわりに半径方向に拡張させ、拡張されていない状態での直径より大きな直径にする。
【0344】
図29Aは、全く拡張されていない遠位および近位要素2902、2904を示し、一方で、
図29Bおよび29Cでは、要素は完全に拡張されて示されている。
図29Bに示されるように、ハンドル(
図29では不図示)を使用して、第1チューブ2906は伸長され、第2チューブ2908は後退され、第3チューブ2910は伸長され、および第4チューブ2912は後退され、その結果、遠位要素2902と近位要素2904との間の距離を延長する。
図29Cに示されるように、第1チューブ2906は、第3チューブ2910が後退されて遠位要素2902と近位要素2904との間の距離を縮小させる中、さらに伸長される。
【0345】
実施形態によっては、閉塞物を除去するために、遠位要素2902が閉塞物の中にまたは閉塞物を完全に通過して位置付けられ、近位要素2904が閉塞物の近位端の前に位置する中、閉塞物の遠位端の中にまたは閉塞物の遠位端を越えた位置に固定されて保持されるようにする。続いて、近位要素2904は、長手軸に沿って軸方向に前後に動かされ、遠位要素2902と近位要素2904との間に閉塞物を遊離させて捕集する。このように、ハンドルを操縦することで、遠位要素2902と近位要素2904との間の距離が延長/縮小され、閉塞物を遊離させて遠位要素2902と近位要素2904との間に閉塞物を捕集する。これは、
図30A~30Hを参照して、後続の段落で詳細に説明される。
【0346】
図28A~28Jの参照に戻り、実施形態によっては、回収デバイス2800は、
ハンドル部2802を使用して操縦されるように構成されて、近位および遠位要素2806、2807の両方のサイズ、形状、および相対的な位置ならびに近位および遠位要素2806、2807の両方によりかけられる半径方向力が調整されるようになっていてもよい。
【0347】
図30Aは、本明細書の一実施形態による回収デバイス3000を示す。
図30Bは、本明細書の一実施形態による回収デバイス3000の拡張されたハンドル部を示す。
図30Cは、本明細書の一実施形態による回収デバイス3000の圧縮されたハンドル部を示す。
図30A、30B、および30Cを参照し、デバイス3000は、ハンドル部3002と、先端部3004とを備える。先端部は、近位端3050と、遠位端3052とを有する。デバイス3000の動作中、先端部3004は、閉塞物を除去するために身体のルーメン内へと挿入され、一方で、ハンドル部3002は、オペレーター/ユーザーの手の中に残り、身体のルーメンの中の所望の位置での先端部3004の挿入を操縦する。身体のルーメン内へのデバイス3000の挿入時に、先端部3004の遠位端3052が最初に身体へと入り、ハンドル3002を使用して身体の血管内の閉塞物の中に、閉塞物を越えたところに、または閉塞物に近接したところに配置される。
【0348】
先端部3004は、遠位要素または遠位体3007(ある実施形態では、先端部3004の遠位端3052に固定的に取り付けられている機械的に拡張可能な固定アンカーである)と、近位要素または近位体3006(ある実施形態では、先端部3004の近位端3050に摺動可能に取り付けられているプッシャーボールである)とを備える。先端部3004は、少なくともシース3005に部分的に覆われており、シース3005は、ハンドル部3002を使用することによって、デバイス3000がある人の脈管構造内に挿入されて操縦されると、少なくとも遠位要素3007および近位要素3006を露出させる。
【0349】
実施形態によっては、遠位要素3007は、シリンダー、ステント、聖杯、傘、凹構造、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、レバー、または閉塞物を保持して閉塞物の回収を支援する任意の他の適切な形状の形態をとることができる。実施形態によっては、先端部3004は、ハンドル部3002まで完全に戻るように伸長し、一緒に操縦されることができて、オペレーター/医者が遠位および近位要素3007、3006を拡張または収縮することおよび閉塞物を除去するために近位要素3006を(遠位要素3007に向かってまたは遠位要素3007から離れるように)摺動することを可能にする、可撓性要素またはチューブ3008を備える。ある実施形態では、可撓性要素3008は、
図29A~29Cを参照して先に説明されている4つの可撓性伸縮チューブを備える。
【0350】
図30A、30B、および30Cを参照し、実施形態において、近位要素3006は、閉塞物の除去のために遠位要素3007に対して動くことが可能にされている。ハンドル部3002は、近位要素3006を作動させるように構成されている第1ノブ3010と、「長押し」ボタンとして構成されている第2ノブ3012と、遠位要素3007および先端部3004まで延びる可撓性要素3008を作動させるように構成されている第3ノブ3014と、を備える。可撓性要素3008は、近位要素3006および遠位要素3007が、
図29A、29B、および29Cを参照して説明されているように、閉塞物の除去のために互いに対して動くことを可能にする。
【0351】
実施形態によっては、遠位要素3007は、第3ノブ3014を反時計回り方向に回転させることにより、複数の中間径(および最大許容径まで)へと拡張される。第3ノブ3014を時計回り方向に回転させると、遠位要素3007は収縮して複数の中間径に戻り、最終的には拡張状態から非拡張/崩壊状態となる。実施形態によっては、第1ノブ3010を反時計回り方向に回転させることにより、近位要素3006は、複数の中間径(および最大許容径まで)へと拡張される。第1ノブ3010を反時計回り方向に回転させると、近位要素3006は収縮して複数の中間径に戻り、最終的には拡張状態から非拡張/崩壊状態となる。
図30Dは、本明細書の一実施形態による完全に拡張した近位および遠位要素3006、3007を示す。
図30Eは、本明細書の一実施形態による完全に崩壊した近位および遠位要素3006、3007を示す。
【0352】
近位要素3006と遠位要素3007との間の距離は、第2ノブ3012を押して、第1ノブ3010を先端部3004に向かって動かすことにより縮小してもよい。第2ノブ3012と第1ノブ3010との間の距離が拡大するにつれて、近位要素3006と遠位要素3007との間の距離は縮小する。
図30Bおよび30Fは、拡張されたハンドル部3002を示し、第1ノブ3010は、第2ノブ3012から離れるように動かされ、一方で、
図30Cおよび30Hは、圧縮されたハンドル部3002を示し、第1ノブ3010は、第2ノブ3012に向かって動かされて第2ノブ3012に近接するように位置する。第2ノブ3012と第1ノブ3010との間の距離が縮小するにつれて、近位要素3006と遠位要素3007との間の距離が拡大する。
図30Gは、
図30Bおよび30Fに示される拡張されたハンドル部の結果として、近位要素3006と遠位要素3007との間の距離が、圧縮または縮小されている様子を示す。ユーザーは、第1ノブ3010と共に第2ノブ3012を使用して、閉塞物を遊離させるために近位要素3006と遠位要素3007との間に相対運動を引き起こしてもよく、患者の身体から除去するために近位要素3006と遠位要素3007との間に閉塞物が引っかかるようにしてもよい。
【0353】
実施形態によっては、保護袋が本明細書の回収デバイスの先端部を覆う。保護袋は、先端部から取り外されて、必要に応じて先端部を再度覆ってもよい。
図33A、33B、および33Cは、回収デバイス(例えば、回収デバイス2800、2900、または3000)の先端部3304を示す。本明細書で先に説明されているように、先端部3304は、実施形態によっては、それぞれルーメンを有する4つの伸縮チューブ(例えば、
図29Aのチューブ2906、2908、2910、および2912)を有する。
【0354】
図33Aに示されるように、近位および遠位要素3306、3308が完全に崩壊または収縮した状態にある場合、近位および遠位要素3306、3308を含む先端部3304は、袋3305によって包み込まれるまたは覆われる。ワイヤー等の第1テザー3310は、その遠位端3314で袋3305の内面に取り付けられている。実施形態によっては、第1テザー3310は、袋3305の遠位端3314から4つの伸縮チューブの各ルーメンを通って回収デバイスのハンドル(例えば、
図28Aのハンドル2802)まで延びる。第2および第3テザー3312a、3312b(これらもワイヤーであってもよい)は、袋3305の近位端3313a、3313bに取り付けられている。実施形態によっては、第2および第3テザー3312a、3312bは、袋3305の近位端3313a、3313bから回収デバイスのハンドルまで延びる。
【0355】
図33Bに示されるように、閉塞物の除去のために先端部3304が位置付けられると、第1テザー3310上において近位に力がかけられて、第1テザー3310がハンドルに向かって、先端部3304から離れるように引っ張られ、その結果、袋3305を崩壊させて4つの伸縮チューブのうちの少なくとも1つのルーメン内へと後退させる。これにより、結果として、ここで拡張できる近位および遠位要素3306、3308を露出することとなる。
【0356】
ここで、
図33Cを参照し、閉塞物が一旦、遊離させられて、近位要素3306と遠位要素3308との間に捕らえると、近位および遠位要素3306、3308は、完全に崩壊するまたは収縮する。続いて、第2および第3テザー3312a、3312b上において近位に力がかけられて、これらがハンドルに向かって、先端部3304から離れるように引っ張られ、その結果、
図33Bの崩壊した袋3305がルーメンから引き出され、再度先端部3304を包ませるまたは覆わせる。その後、先端部3304は、近位要素3306と遠位要素3308との間に捕らえられた閉塞物に沿って除去または引き出されてもよい。
【0357】
図33Aおよび33Cの袋3305は、先端部3304の患者の血管腔または非脈管構造への挿入およびそれからの回収の際に先端部3304を非外傷性とすることができることが理解されるべきである。加えて、
図33Cの袋は、近位要素3306と遠位要素3308との間に捕らえられた閉塞物を包含し、患者の身体から先端部3304を除去する間に捕らえられた閉塞物がなくならないことを確実にするさらなる手段として機能する。
【0358】
実施形態によっては、近位および遠位要素の前端部は近位および遠位要素の後端部から構造的に異なる。
図34Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、完全に崩壊したまたは拡張されていない状態の近位および遠位要素3406、3408を有する回収デバイス(例えば、回収デバイス2800、2900、または3000)の先端部3404を示し、一方で、
図34Bは、本明細書のいくつかの実施形態による、完全に拡張した近位および遠位要素3406、3408を有する先端部3404を示す。
【0359】
近位要素3406は、前端部3406aと、後端部3406bとを有する。同様に、遠位要素3407は、前端部3408aと、後端部3408bとを有する。実施形態によっては、前端部3406a、3408aは固体(例えば、生体適合性生地製等)であり、一方、後端部3406b、3408bは複数のセルを有するワイヤーメッシュである。これは、前端部3406a、3408aを後端部3406b、3408bと比較してより剛性があるように、堅く、または頑丈にする。実施形態によっては、後端部3406b、3408bだけでなく前端部3406a、3408aもワイヤーメッシュである。しかしながら、前端部3406a、3408aは、第1サイズの複数のセルを有し、一方、後端部3406b、3408bは、第2サイズの複数のセルを有する。実施形態によっては、第1サイズは、第2サイズと比較してより小さく、前端部3406a、3408aを後端部3406b、3408bと比較してより剛性があるように、堅く、または頑丈にする。
【0360】
様々な実施形態において、前端および後端部は、実質的に各近位および遠位要素の半分であってもよいし、そうでなくてもよい。より剛性がある、堅い、または頑丈な前端部3406a、3408aは、先端部3404がシースレスで摺動して閉塞物を効果的に通ることを可能にする。
【0361】
図35は、本明細書のいくつかの実施形態による、完全に崩壊したまたは拡張されていない状態の近位および遠位要素3506、3508を有する回収デバイス(例えば、回収デバイス2800、2900、または3000)の先端部3504を示す。ワイヤー等のテザー3510は、近位および遠位要素3506、3508のそれぞれの後端または近位端3506’、3508’に連結または取り付けられている。テザー3510は、後端または近位端3506’、3508’から回収デバイスのハンドルまでずっと延びる。先端部3500をシースレスで患者の身体に前進させている間に、テザー3510は、ハンドルに向かって近位に引っ張られ、その結果、ピンと張った状態で保持される。これは、近位および遠位要素3506、3508が不注意で拡張することを防ぎ、その結果、近位および遠位要素3506、3508を後退させて平坦な状態で保持する。
【0362】
図31Aは、本明細書の一実施形態による、回収デバイス2800、2900、または3000のいずれかを使用して肺血栓塞栓症(PE)を治療する複数のステップ例のフローチャートである。実施形態によっては、PEの処置には、患者の肺血管のルーメンから閉塞物を除去することが含まれる。
【0363】
ステップ3102aにて、ガイドワイヤーは、患者のルーメンを通って前進し、閉塞物を通って位置付けられる。ステップ3104aにて、吸引カテーテルは、吸引カテーテルの遠位端が閉塞物にまたは閉塞物に近接して位置付けられるように、ガイドワイヤーにかぶさって前進する。ステップ3106aにて、デリバリーカテーテルは、デリバリーカテーテルの遠位端が吸引カテーテルの遠位端に近接して位置するように吸引カテーテルを通って前進する。ステップ3108aにて、回収デバイスは、回収デバイスの先端部に取り付けられた遠位要素が、閉塞物の中にまたは完全に通過して閉塞物を越えて位置付けられるように、デリバリーカテーテルを通して展開される。
【0364】
ステップ3110aにて、遠位要素は、回収デバイスのハンドルの第1スライダーを使用して所望の径へと機械的に拡張される。実施形態によっては、遠位要素は、先端部の遠位端に近接して固定的に取り付けられている機械的に拡張可能で剛性のアンカーである。
【0365】
ステップ3112aにて、近位要素(先端部にも取り付けられている)は、回収デバイスのハンドルの第2スライダーを使用して所望の径へと機械的に拡張される。
【0366】
ステップ3114aにて、近位要素は、先端部も沿って軸方向に(1以上の前後運動で)動かされて閉塞物を遊離させる(および血管を掻爬する)。実施形態によっては、近位要素の軸方向の前後の動きは、結果的に近位要素と遠位要素との間に閉塞物の少なくとも一部を捕捉することとなる。近位要素は、回収デバイスのハンドルの第3スライダーを使用して動かされる。実施形態によっては、
図28Iに示されるように、例えば、回収デバイス2800の遠位要素2807および近位要素2806のメッシュ格子内に閉塞物2880を捕らえることができる。
【0367】
様々な実施形態において、先端部の遠位端に近接する剛性の遠位要素の固定の後に、第1スライダーを使用する遠位要素の機械的拡張(ニチノールの温度ベースの拡張とは対照的に)が、ルーメン内の適所に固定するためおよび/または好適には、閉塞物に押し込むために必要な最低限の剛性を遠位要素に提供することが続く。当業者であれば、遠位要素が剛性でなく強固に固定されていない場合、回収デバイスに閉塞物を遊離させるのに十分な梃子の作用がないかもしれないことが理解されるだろう。
【0368】
実施形態によっては、必要な剛性の度合いを実現しながら、先端部および(遠位要素が閉塞物の中に位置付けられている実施形態では)閉塞物に遠位要素を固定することは、閉塞物に対して所望の位置に遠位要素をロックし、近位要素が遠位要素に対して長手方向に前後に動くことを可能にして閉塞物を遊離させる。
【0369】
ある実施形態では、遠位要素は、閉塞物内に位置付けられて拡張し(釣り針のように)、他の実施形態では、遠位要素は、閉塞物に対して遠位に(または閉塞物を越えて)位置付けられて拡張される。ある実施形態では、拡張した(凹形またはカップ形状の)遠位要素へと完全に動かされることができて、万力のようなグリップを作って近位要素と遠位要素との間に閉塞物を捕集するように、近位要素は、閉塞物に対して近位で(または閉塞物より前で)拡張される。実施形態によっては、一旦、閉塞物が近位要素と遠位要素との間に捕らえられると、近位要素が、完全に遠位要素の中にまたは遠位要素に近接したところへと動くように、近位要素と遠位要素との間の距離は、さらに縮小されてもよい。
【0370】
ステップ3116aにて、吸引が使用されて、閉塞物の少なくとも一部を同時並行で除去する。実施形態によっては、吸引カテーテルの近位端に負圧をかけることで吸引が行われる。
【0371】
ステップ3118aにて、近位および遠位要素は、機械的に圧縮/崩壊され、引っ張り戻されて、ルーメンから除去される。
【0372】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の一部、および遠位要素を患者のルーメンから一緒に引き出すことによって、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の一部は除去される。
【0373】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の第1部分、および遠位要素を引き出すことによって、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の第1部分は除去され、一方で、残っている第2部分は吸引カテーテルを使用して吸引される。様々な実施形態において、閉塞物を除去する正確な技術は、患者の身体内の閉塞物の解剖学的位置ならびに閉塞物の複雑さおよび密度等であるが、これらに限定されない要因に応じて変化する。しかしながら、様々な実施形態において、閉塞物の除去には、遠位要素に対して近位要素を動かして閉塞物を遊離させ、捕集し、吸引することがある程度含まれる。
【0374】
図31Bは、本明細書の一実施形態による、回収デバイス2800、2900、または3000のいずれかを使用することによって深部静脈血栓症(DVT)を治療する複数のステップ例のフローチャートである。実施形態によっては、DVTの処置には、患者の深部静脈/血管のルーメンから閉塞物を除去することが含まれる。
【0375】
ステップ3102bにて、ガイドワイヤーは患者のルーメンを通って前進し、閉塞物を通って位置付けられる。ステップ3104bにて、吸引カテーテルの遠位端が閉塞物にまたは閉塞物に近接して位置付けられるように、吸引カテーテルはガイドワイヤーにかぶさって前進する。ステップ3106bにて、デリバリーカテーテルの遠位端が吸引カテーテルの遠位端に近接して位置するように、デリバリーカテーテルは吸引カテーテルを通って前進する。ステップ3108bにて、回収デバイスはデリバリーカテーテルを通して展開されて、回収デバイスの先端部に取り付けられた遠位要素は閉塞物の中にまたは完全に通過して閉塞物を越えて位置付けられる。
【0376】
ステップ3110bにて、遠位要素は、回収デバイスのハンドルの第1スライダーを使用して所望の径へと機械的に拡張される。実施形態によっては、遠位要素は、先端部の遠位端に近接して固定的に取り付けられている機械的に拡張可能で剛性のアンカーである。
【0377】
ステップ3112bにて、近位要素(これも先端部に取り付けられている)は回収デバイスのハンドルの第2スライダーを使用して所望の径へと機械的に拡張される。
【0378】
ステップ3114bにて、近位要素は、先端部に沿って軸方向に(1以上の前後運動で)動かされ、閉塞物を遊離させる(および血管を掻爬する)。実施形態によっては、近位要素の軸方向の前後の動きは、結果的に閉塞物の少なくとも一部を近位要素と遠位要素との間に捕捉することとなる。近位要素は、回収デバイスのハンドルの第3スライダーを使用して動かされる。実施形態によっては、
図28Iに示されるように、閉塞物2880は、例えば、回収デバイス2800の遠位要素2807および近位要素2806のメッシュ格子内に捕らえることができる。
【0379】
様々な実施形態において、先端部の遠位端に近接する剛性の遠位要素の固定の後に、第1スライダーを使用する遠位要素の機械的拡張(ニチノールの温度ベースの拡張とは対照的に)が、ルーメン内の適所に固定するためおよび/または好適には、閉塞物に押し込むために必要な最低限の剛性を遠位要素に提供することが続く。当業者であれば、遠位要素が剛性でなく強固に固定されていない場合、回収デバイスに閉塞物を遊離させるのに十分な梃子の作用がないかもしれないことが理解されるだろう。
【0380】
実施形態によっては、必要な剛性の度合いを実現しながら、先端部および(遠位要素が閉塞物の中に位置付けられている実施形態では)閉塞物に遠位要素を固定することは、閉塞物に対して所望の位置に遠位要素をロックし、近位要素が遠位要素に対して長手方向に前後に動くことを可能にして閉塞物を遊離させる。
【0381】
ある実施形態では、遠位要素は、閉塞物内に位置付けられて拡張し(釣り針のように)、他の実施形態では、遠位要素は、閉塞物に対して遠位に(または閉塞物を越えて)位置付けられて拡張される。ある実施形態では、拡張した(凹形またはカップ形状の)遠位要素へと完全に動かされることができて、万力のようなグリップを作って近位要素と遠位要素との間に閉塞物を捕集するように、近位要素は、閉塞物に対して近位で(閉塞物より前で)または閉塞物の中で拡張される。実施形態によっては、一旦、閉塞物が近位要素と遠位要素との間に捕らえられると、近位要素が、完全に遠位要素の中にまたは遠位要素に近接したところへと動くように、近位要素と遠位要素との間の距離は、さらに縮小されてもよい。
【0382】
ステップ3116bにて、吸引が使用されて、閉塞物の少なくとも一部を同時並行で除去する。実施形態によっては、吸引は、吸引カテーテルの近位端に負圧をかけることで行われる。
【0383】
ステップ3118bにて、近位および遠位要素は、機械的に圧縮/崩壊され、引っ張り戻されて、ルーメンから除去される。
【0384】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の一部、および遠位要素を患者のルーメンから一緒に引き出すことによって、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の一部は除去される。
【0385】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の第1部分、および遠位要素を引き出すことによって、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の第1部分は除去され、一方で、残っている第2部分は吸引カテーテルを使用して吸引される。様々な実施形態において、閉塞物を除去する正確な技術は、患者の身体内の閉塞物の解剖学的位置ならびに閉塞物の複雑さおよび密度等であるが、これらに限定されない要因に応じて変化する。しかしながら、様々な実施形態において、閉塞物の除去には、遠位要素に対して近位要素を動かして閉塞物を遊離させ、捕集し、吸引することがある程度含まれる。
【0386】
図32Aは、動脈3200の左側に血餅3202のある人間の肺動脈3200を示す。
図32Bは、凝血塊3202内に回収デバイス3204の先端部3206が位置付けられている状態の肺動脈3200に挿入された本明細書の回収デバイス3204を示す。先端部は、近位および遠位要素3207、3208を有する。
図32Cは、
回収デバイス3204を引き出すことにより肺動脈3200から除去できる血餅3202を握っている拡張した遠位要素3208を示す。
【0387】
様々な実施形態において、回収デバイス3204は、本明細書のデバイス2800、2900、または3000のうちの1つである。
【0388】
図32Bに示されるように、デバイス3204の先端部3206は、血餅3202に引っかかる。次に(
図28A~28Gおよび30A~30Hに関して本明細書中で先に説明されているように)、近位および遠位要素3207、3208が拡張され、血餅3202が、拡張した遠位要素3208内に捕らえられる。遠位要素3208は、近位要素3207を遠位要素3208に対して動かすことで拡張の際に凹形状をとる。ある実施形態では、拡張した遠位要素3208の外壁が動脈3200の内壁を接触するまで遠位要素3208が拡張するかわりに、遠位要素3208は完全に拡張せずにカップのような構造を形成してもよい。
【0389】
換言すると、遠位要素は、その中に回収デバイスの先端部が挿入される静脈/動脈/ルーメンの内径に等しい径まで拡張し、回収デバイスを脈管構造から引き出すことで除去できる閉塞物を浸軟させる半径方向力を作る。
【0390】
図37A~37Fは、本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイス3700を使用して神経血管3705にある凝血塊3702を除去する処置における様々な段階を示す。実施形態によっては、回収デバイス3700の先端部3704は、ニチノールワイヤーメッシュまたはニチノール織布の自己拡張要素である近位および遠位要素3710、3712を含む。近位要素3710が、凝血塊3702を遊離させて結集させるために軸方向に動くように作動される(デバイス3700のハンドルのノブを使用して)デバイス3700の唯一の要素である。遠位要素3712は、先端部3704に固定的に取り付けられ、塞栓保護を提供する。様々な実施形態において、近位および遠位要素3710、3712は、3次元幾何学形状であり、完全に拡張された状態で、形状が略球状、楕円形、または円筒であってもよい。
【0391】
ステップ3750a(
図37A)にて、先端部3704は神経血管3705に導入され、近位および遠位要素3710、3712は、例えば、吸引カテーテル3715(またはデリバリーカテーテルまたはシースから)延ばされて、凝血塊3702が近位要素3710と遠位要素3712との間に位置するように位置付けられる。近位要素3710は、凝血塊3702を遊離させて結集させるように軸方向に動かされる。実施形態によっては、近位および遠位要素3710、3712は、神経血管3705のルーメンの径に合うように自己拡張および収縮するために可撓性である。
図37Aに示されるように、遠位要素3712は塞栓保護を提供する。
【0392】
ステップ3750b(
図37B)にて、近位要素3710は吸引カテーテル3715内へと後退を開始し、ステップ3750c(
図37C)にて吸引カテーテル3715内に完全に後退される。
図37Bおよび37Cに示されるように、近位要素3710は、吸引カテーテル3715内に自己収縮する。
【0393】
ステップ3750d(
図37D)にて、遊離させられた凝血塊3702は吸引カテーテル3715を通して吸引される。次に、ステップ3750e(
図37E)にて、遠位要素3712が吸引カテーテル3715内へ自己収縮する中、先端部3704が吸引カテーテル3715内へと戻るように後退を開始する。最終的に、ステップ3750f(
図37F)にて、先端部3704が吸引カテーテル3715内へと完全に後退され、神経血管3705からデバイス3700が凝血塊3702と共に除去される。
【0394】
図38は、本明細書のいくつかの実施形態による、(
図37A~37Fの)回収デバイス3700を使用することによる閉塞物の回収の複数のステップ例のフローチャートである。ある実施形態では、患者の神経血管のルーメンから閉塞物を回収するために、ステップ3802にて、回収デバイスの先端部の遠位端が吸引カテーテル(またはデリバリーカテーテルまたはシース)から突出し、閉塞物の中にまたは完全に通過して閉塞物を越えて位置付けられた状態で回収デバイスの吸引カテーテル(またはデリバリーカテーテルまたはシース)が、閉塞物の周辺に位置付けられる。ある実施形態では、回収デバイスのハンドルは、先端部を操作および位置付けるために使用される。
【0395】
ステップ3804にて、先端部が位置付けられ、先端の遠位端に固定的に取り付けられている遠位要素および先端部の近位端に摺動可能に連結されている近位要素は、それぞれの第1および第2径に自己拡張する。実施形態によっては、第1および第2径は同じで、神経血管のルーメンの径に対応する。実施形態によっては、第1および第2径は異なっている。
【0396】
ある実施形態では、遠位要素は、閉塞物の中に位置付けられており、他の実施形態では、遠位要素は、閉塞物に対して遠位に(または閉塞物を越えて)位置付けられている。ある実施形態では、近位要素が拡張した遠位要素まで完全に動くことができて万力のようなグリップ作り、近位要素と遠位要素との間に閉塞物を捕集するように、近位要素は、閉塞物に対して近位に(閉塞物の前に)または閉塞物の中に位置付けられている。実施形態によっては、一旦、閉塞物が近位要素と遠位要素との間に捕らえられると、近位要素が遠位要素の近接に動くように近位要素と遠位要素との間の距離は、さらに縮小されてもよい。
【0397】
ステップ3806にて、近位要素は、先端部に沿って軸方向に(1以上の前後運動で)動かされて、閉塞物を近位要素と遠位要素との間に捕捉するような方法で閉塞物を遊離させる。
【0398】
ステップ3808にて、実施形態によっては、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物は、近位要素を後退させ、閉塞物を吸引し、その後、吸引カテーテル内に遠位要素を後退することによって除去される。遠位および近位要素は、後退しながら吸引カテーテル内へと自己収縮する。換言すると、まず、近位要素が吸引カテーテル内へと後退され、続いて、(遊離させられて、遠位要素と近位要素との間に捕捉された)閉塞物が吸引カテーテルを通して吸引され、最終的に、遠位要素も吸引カテーテル内へと後退される。
【0399】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の第1部分、および遠位要素を引き出すことにより、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の第1部分は除去され、一方で、残っている第2部分は吸引カテーテルを使用して吸引される。様々な実施形態において、ステップ3808の正確な技術は、患者の身体内の閉塞物の解剖学的位置ならびに閉塞物の複雑さおよび密度等であるが、これらに限定されない要因に応じて変化する。しかしながら、様々な実施形態において、ステップ3808には、遠位要素に対して近位要素を動かして閉塞物を遊離させ、捕集することがある程度含まれる。
【0400】
実施形態によっては、本明細書の回収デバイスは、それぞれ第1および第2編組から成る近位および遠位要素の少なくとも1つを有するように構成され、デバイスの先端部に位置付けられる。第1および第2編組は、トルクをかけられたシャフトに連結されている。シャフトのトルクが取り除かれるにつれて、第1および第2編組のそれぞれは、拡張して引き合わさりフットボール形状を形成する。このように、実施形態によっては、第1および第2編組のトルクを取り除き、拡張するために、シャフトに(ハンドルを介して)かけられた遠心力がシャフトをスピンまたは回転させる。
【0401】
実施形態によっては、第1または第2編組の一部は覆われて、覆われた編組が拡張するにつれて、その覆いが凝血塊物質の吸引または掻爬のための漏斗として機能するようになっている。実施形態によっては、第1または第2編組の近位部分が覆われ、一方で、遠位部は開放または覆われていない。開放部が遠位であるため、患側吸引は先端部に対して遠位の流体/凝血塊に向けられる、隔てられる、または焦点を当てられる。
【0402】
好適な実施形態では、本明細書の回収デバイスは、a)独立して拡張または開放および収縮または閉鎖することが可能な近位要素および遠位要素、b)自己拡張/自己収縮するものではなく、むしろ力の適用/解除によってのみ機械的に拡張または収縮する近位および遠位要素、c)遠位要素に対して動くように構成されている近位要素または近位要素に対して動くように構成されている遠位要素、を特徴とすることが理解されるべきである。しかしながら、あまり好適でない実施形態では、a)近位および遠位要素を同時並行で拡張または収縮するように構成されている、例えば、ノブ、スライダー、またはボタン等の単一の物理的操作可能インターフェース、b)部分的に自己拡張するように構成されている近位および遠位要素、および/またはc)協調して軸方向に一緒に動くように構成されている近位および遠位要素を特徴とする。
【0403】
様々な実施形態において、本明細書の回収デバイス(例えば、デバイス2800、2900、3000、3304、3504、および3700)は、下記等の複数の特性を有するように構成されている。
【0404】
実施形態によっては、回収デバイスは、3次元(3D)幾何学的形状である近位および遠位要素を含む。実施形態によっては、近位および遠位要素は、独立して拡張可能、圧縮可能、および互いに対して可動で、さらに単一のデリバリーシステムに取り付けられる。
【0405】
実施形態によっては、各幾何学的形状(近位および遠位要素)は、他の幾何学的形状または要素が拡張できない、遮られている、または動いている間であっても、独立して拡張できる。回収デバイスは、ユーザーによる近位および遠位要素それぞれの能動的な(制御された)機械的拡張を可能にする。
【0406】
実施形態によっては、回収デバイスは、近位端にハンドルシステムを含み、ハンドルシステムは、遠位要素の独立的な拡張/収縮、近位要素の独立的な拡張/収縮、および近位要素の遠位要素に対する独立的な軸方向の動きを可能にする3つのスライダー、レバー、ダイヤル、またはボタンを含む。
【0407】
実施形態によっては、ハンドルは、例えば、低、中、高の3つの段階、低から高の範囲の5段階または低から高の範囲の8段階等の複数の段階を含む。各段階は、拡張状態にある近位および遠位要素の対応する所定の径を示す。3つの摺動ボタンは、複数の段階のいずれか1つへと作動されることができ、その後、その位置に戻り止めできる。
【0408】
実施形態によっては、ハンドルまたは軸力(すなわち、3つの摺動ボタンのそれぞれの作動によって効力を発する引く力または押す力)は、0~20ニュートンの範囲で、一般的に60ニュートンまで、好適には、9~15ニュートンである。換言すると、ハンドルまたは軸力は、例えば、近位または遠位要素の何れかの編組ワイヤーを拡張するためにシャフトの1つを引き寄せるために必要な力である。従って、実施形態において、近位および遠位要素は、制御された半径方向力を伝えることができる。
【0409】
実施形態によっては、回収デバイスは、他の直列の幾何学的形状(すなわち、遠位要素)が適所に留まる中、1つの幾何学的形状(すなわち、近位要素)が直線的に前後に動くことを可能にする。このように、近位要素は、遠位要素が拡張できない、遮られている、静止している、または異なる方向に動いている間であっても、ワイヤー/ルーメンに沿って前方および後方へ独立して動くように構成されている。
【0410】
実施形態によっては、幾何学的形状(近位および遠位要素)は、再度シースを施さずに何度もパスを行うことができる、つまり、要素を位置付ける、要素を拡張する、塞栓性物質を引きずり出す、要素を平らにする、要素を位置付ける、要素を拡張する、塞栓性物質を引きずり出す、などである。異なる言い方をすると、回収デバイスは、
再度シースを施すことまたはデバイスを再導入する必要なく、複数の(血栓関連の)摘出パスが可能である。
【0411】
実施形態によっては、近位要素と遠位要素との間の最小距離は、0~5mmの範囲で、近位要素2806と遠位要素2807との間の最大距離は60mm~400mmの範囲である。
【0412】
実施形態によっては、回収デバイスは、オペレーターが、個々の幾何学的形状(近位および遠位要素)の各径を幅広い径にわたって能動的に調整できるようにする。
【0413】
実施形態によっては、各幾何学的形状(近位および遠位要素)は、好適には10ニュートン~14ニュートンの範囲で半径方向力を独立してかけるように構成されている。より一般的には、近位および遠位要素のそれぞれは、機械的に拡張されることができて、0~40ニュートンの範囲、実施形態によっては、一般的に、0~25ニュートンの範囲でかけられる半径方向力の量の制御を可能にする。従って、各要素は、半径方向力レベルに達するまで拡張でき、さらなる動作なしで到達した半径方向力レベルで要素を維持できる。力は、血管壁との近位および遠位要素それぞれの接触の長さの作用である。例えば、5mmの血管では、要素の接触の長さは、0.9インチであることもでき、一方で、12mmの血管では、要素の接触の長さは、0.6インチであることもできる。しかしながら、半径方向力の程度は、接触の長さ全体にわたって同じである可能性は低い(実際、接触長さのいくつかの部分ではより高く、他の部分ではより低くてもよい)。従って、「半径方向力」とは、接触の長さに沿ってかけられる平均的な力を指し、接触の長さ全体に沿って必ずしも等しいわけではない。
【0414】
実施形態によっては、回収デバイスは、オペレーターが、幅広い径にわたっておよび/または固定された径の内で個々の幾何学的形状(近位および遠位要素)の発揮された半径方向力を能動的に調整できるようにする。
【0415】
実施形態によっては、回収デバイスは、各幾何学的形状(近位および遠位要素)がサイズ、形状、配置位置、および半径方向力に関してもう一方に対して同時におよび独立して調整できるようにする。
【0416】
実施形態によっては、回収デバイスは、(近位要素を使用して)同時に遠隔近位血栓摘出に取り組みながら、(遠位要素を使用して)連続的な末梢塞栓保護を提供する。遠位要素が血管壁に対向して、0.01インチ~0.08インチの範囲好適には、0.02インチ~0.06インチの細孔を含んで、血管の断面積を包囲し、その結果、流れ出ていく何もかもを遮るため、末梢塞栓保護が可能にされている。
【0417】
実施形態によっては、幾何学的形状は、塞栓性物質を浸軟して、吸引カテーテルを通り抜けることができるようにする。
【0418】
実施形態によっては、回収デバイスは、血栓を捕捉して、動脈および静脈から血栓を除去するために、直線移動および幾何学的形状の付着および圧縮を活用できる。このように、近位および遠位要素は、互いに対して動くことができ、物質の捕捉および機械的な除去を可能にする。
【0419】
実施形態によっては、回収デバイスは、血栓内へと効果的に手動で拡張されて、物質摘出前に幾何学的形状(近位要素および/または遠位要素)自体の中に物質を捕捉できる。換言すると、回収デバイスは、近位および/または遠位要素の領域内に血栓を捕集でき、血栓の機械的な除去を可能にする。
【0420】
実施形態によっては、遠位要素は、塞栓性物質を機械的に捕捉するために、(杯を形成するように)独立してそれ自体に陥入できる。遠位要素は、反転された場合には塞栓性物質を包み、平坦にされた場合には塞栓性物質が露出する。換言すると、遠位要素の一部を反転することにより、遠位要素は少なくとも凝血塊物質の一部を取り囲む。
【0421】
実施形態によっては、各幾何学的形状(近位および遠位要素)は、血管壁から凝血塊物質を除去、擦り落とす、または遊離させることができる引く力を独立してかけるように構成されて、その結果、吸引の必要性を最小限にする。このように、実施形態によっては、回収デバイスは、吸引への依存が最小限で血栓除去を可能にする。
【0422】
実施形態によっては、幾何学的形状(近位および遠位要素)の両方は、0ニュートン~60ニュートンの範囲、好適には、9ニュートン~15ニュートンの範囲の圧縮力を(血栓に)かけるように合わせて使用される。
【0423】
実施形態によっては、幾何学的形状(近位および遠位要素)は、非外傷性面を使用して、半径方向、圧縮、および引く力を作用させるように構成されている。
【0424】
実施形態によっては、回収デバイスは、単一の調整可能デバイスを使用して広い範囲の血管内腔径が治療できるように、幾何学的形状(近位および遠位要素)が調整されることを可能にする。
【0425】
実施形態によっては、回収デバイスは、それ自体を遠位に固定して、末梢生体構造内へとおよび曲がりくねった脈管構造を通すようにカテーテルを前進させる能力を向上させるより安定したワイヤーを提供する。
【0426】
好適な実施形態では、回収デバイスは、その血栓摘出機能を実行するために、自己拡張材の受動的な拡張に頼らないまたはそれを必要としない。換言すると、幾何学的形状(近位および遠位要素)は、特定の径および特定の半径方向力へと確実におよび機械的に拡張し、その結果、血管内腔および壁からの物質の捕集および掻爬を可能にする。
【0427】
実施形態によっては、回収デバイスは、その調整可能な半径方向力およびその調整可能サイズを活用して、動脈または静脈の壁を能動的に掻爬する。
【0428】
実施形態によっては、回収デバイスは、血管壁から血栓性物質を同時に捕捉、圧縮、引きずる、および掻爬することにより、血栓の除去を可能にする。換言すると、遠位要素に対する近位要素の前後(前方へおよび後方へ)の動きは、血管壁から血栓を分離および結集する掻爬を可能にする。
【0429】
実施形態によっては、回収デバイスは、任意の解剖学的位置における急性、亜急性、および器質化した慢性の血栓の摘出のために、同等におよび同じ方法で使用できる。
【0430】
実施形態によっては、回収デバイスは、完成した吸引システムを含む。
【0431】
実施形態によっては、回収デバイスは、PEおよびDVTの機械的な除去を行うことができる。
【0432】
実施形態によっては、単一の回収デバイスは、PEおよびDVT処置の両方を行うように構成されている。
【0433】
実施形態において、回収デバイスは、血管内腔からの血栓の摘出中、失血およびtPAを最小限に抑える。
【0434】
近位および遠位要素の編組ワイヤーパラメーター
実施形態によっては、近位および遠位要素のそれぞれは、編組ワイヤーの幾何学的メッシュ構造物である。実施形態によっては、編組は、超弾性ニチノールおよび2オーバー2アンダーのパターンのインチ当たり8ピック(またはPPI)のそれぞれ0.006インチ径の32本のワイヤーを含み、その結果、0.92インチ×0.92インチのセルサイズを有するメッシュ構造物となる。
【0435】
様々な実施形態において、以下は、近位および遠位要素の幾何学的メッシュ構造物(複数のセルを有する)を形成する編組ワイヤーのキーパラメーターのいくつかである。
・編組径:3mm~20mmの範囲および実施形態によっては最大30mm
・ワイヤー数:様々な実施形態において、編組は、16、24、32、または48本のワイヤー
・ワイヤー径:様々な実施形態において、編組の中のワイヤーの径は、0.002インチ~0.02インチの範囲である
・ワイヤー形状:様々な実施形態において、編組の中のワイヤーの形状には、正方形、長方形、または三角形(これらの形状のワイヤーのいずれかは追加の切断面のためにねじられていてもよい)が含まれる。
・ワイヤー素材:ニチノール、ステンレス鋼
・パターン:オーバー1アンダー1、1アンダーオーバー2、および2オーバー2アンダー
・インチ当たりピック(またはPPI):様々な実施形態において、6~16の範囲
・メッシュ構造物のセルサイズ:様々な実施形態において、メッシュ構造物のセルサイズは、以下のようにインチ当たりピックに応じて変わる。
【0436】
【0437】
本明細書の回収デバイス使用の生体動物実験例
本明細書の、デバイス2800、2900、または3000等の回収デバイスが、82ポンドの生きている豚の静脈構造に導入されて、血栓摘出テスト処置が行われた。表2は、テスト処置に関連する複数のパラメーターの数値を集約している。静脈構造内の閉塞物の除去のために先端部が一旦位置付けられると、近位および遠位要素は拡張され、近位要素は閉塞物を遊離させるために摺動され、その後、近位要素と遠位要素との間に捕らえた(
図31Aおよび31Bの方法による)。
【0438】
第1テスト処置は、初期直径が4.5mmの動物の右内頚静脈(RIJV)で行われた。第1テスト中、15.1Nのハンドル力がかけられ、遠位要素は直径5mmへと拡張されて、RIJVの壁に13Nの半径方向力を作用させた。第1テスト後、RIJVのテスト後の直径が測定され、4mm~5mmの範囲であった。
【0439】
第2テスト処置は、初期直径が5mmの動物の左内頚静脈(LIJV)で行われた。第2テスト中、15Nのハンドル力がかけられ、遠位要素は直径8mmへと拡張されて、LIJVの壁に13Nの半径方向力を作用させた。第2テスト後、LIJVのテスト後の直径が5mmと測定された。
【0440】
第3テスト処置は、初期直径が8mmの動物の右外頚静脈(REJV)で行われた。第3テスト中、10Nのハンドル力がかけられ、遠位要素は直径11mmへと拡張されて、REJVの壁に10Nの半径方向力を作用させた。第3テスト後、REJVのテスト後の直径が測定され、8mm~9mmの範囲であった。
【0441】
第4テスト処置は、初期直径が9mmの動物の左外頚静脈(LEJV)で行われた。第4テスト中、11Nのハンドル力がかけられ、遠位要素は直径11mmへと拡張されて、LEJVの壁に11Nの半径方向力を作用させた。第4テスト後、LEJVのテスト後の直径が測定され、7mm~8mmの範囲であった。
【0442】
第5テスト処置は、初期直径が14mmの動物の右総腸骨静脈(RCIV)で行われた。第5テスト中、7Nのハンドル力がかけられ、遠位要素は直径16mmへと拡張されて、RCIVの壁に14Nの半径方向力を作用させた。第5テスト後、RCIVのテスト後の直径が14.5mmと測定された。
【0443】
各サイクルが、近位要素を拡張すること、物質を捕捉すること、近位要素を動かすこと、物質を引き出すこと、および近位要素を動かして戻すことから構成されている合計5回の回収デバイスサイクルが、第1、第2、第3、第4、および第5テスト処置のそれぞれで行われた。
【0444】
【0445】
左腸骨静脈をコントロール血管として使用し、獣医病理学者が組織病理学研究の一環として後処理である静脈構造(RIJV、LIJV、REJV、LEJV、RCIV)の断面のHE染色が行われた。表3は、以下の通り、病理学的評価の結果をまとめている。
【0446】
【0447】
全ての被検査物において、血管の完全性は損なわれておらず、脈管要素の組織構造は基本的に正常であった。血液貯留および血栓形成は最近の事象であると観察され、静脈に関連する決定的な病理がなかったため、人為的なものであると考えられた。血管のいくつかにおいては、内皮細胞の欠損が散在しており、これは、人為的である可能性が最も高く、静脈の摘出および取り扱いによると考えられた。一例として、血栓摘出テスト処置が行われなかった左腸骨静脈3602の線形接線断面を示す
図36Aと比較して、
図36Bは、テスト処置後の動物の右腸骨静脈3604の線形接線断面を示す。
図36Bは、
図36Aの静脈(コントロール血管)の組織構造と比較すると、正常な血管組織構造を例示する。
【0448】
試験的使用の事例研究1
図39Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイスを使用して試験的な血栓摘出術を行う血管を表現する線形連続フローモデル3905を示す。モデル3905は、吸引カテーテルおよびデリバリーカテーテル(
図28Aの吸引カテーテル2835およびデリバリーカテーテル2848等)の導入を可能にする近位アクセス止血バルブ付きポートを有する。モデル3905は、血栓摘出術中に発生する末梢塞栓を捕捉できる遠位に配置されるフィルターまたは収集捕縛も含む。
【0449】
モデル3905は、チューブ内に機械的特性を持つ人工的な血栓が接合した、所定の内径の既製チューブの組み込みが可能である。人工的な血栓を有する既製チューブは、集合的に「カートリッジ」とも呼ばれる。
図39Bは、人工的な血栓3911、3913、3915、3917、および3919をそれぞれ有するチューブ3910、3912、3914、3916、および3918で構成されているカートリッジ例を示す。実施形態において、人工的な血栓は、卵アルブミン、小麦粉、水、および食用着色料の所定の処方を使用して製造される。モデル3905は、モデル3905に組み込まれたカートリッジに対して近位および遠位に圧力変換器をさらに含む。
【0450】
試験的使用の事例研究に関して、
a)各チューブが直径15mmのチューブと、チューブ内に接合した人工的な血栓または凝血塊を有するように15本のカートリッジが用意される。空の各チューブカートリッジ(すなわち、血栓がない)の重量が記録される。
b)15本のカートリッジは、各グループが5本のカートリッジを含むように第1、第2、および第3グループにまとめられる。
c)第1グループの5本のカートリッジは、15秒間電子レンジに曝され、第2グループの5本のカートリッジは、30秒間電子レンジに曝され、第3グループの5本のカートリッジは、45秒間電子レンジに曝された。マイクロ波に曝された血栓を有する各カートリッジの重量が記録される。
d)マイクロ波に曝された血栓を有する15本のカートリッジのそれぞれは、マイクロ波に曝された血栓を流体で飽和させるため、30分間、水中に浸される。水飽和されたマイクロ波に曝された血栓を有する各カートリッジの重量が記録される。空のチューブカートリッジの重量と、マイクロ波に曝されて、水飽和されたカートリッジの重量を使用して、カートリッジごとの近似の飽和血栓重量が決定される。
e)各カートリッジにおける試験的人工血栓の弾性率は、飽和後に決定される。第1グループの5本のカートリッジの各血栓は第1弾性率を有し、第2グループの5本のカートリッジの各血栓は第2弾性率を有し、第3グループの5本のカートリッジの各血栓は第3弾性率を有するということが理解される必要がある。第3弾性率は、第1弾性率より大きくなるであろう、第2弾性率よりも大きくなるであろう。このように、各グループは、第1グループから第2グループ、そして第3グループへと増大する同様の弾性率を有するであろう。
f)閉塞性血栓カートリッジに対して近位および遠位に圧力変換器を有する非拍動流モデル3905にカートリッジを設置する。
g)吸引カテーテルが止血バルブを通して挿入され、血栓カートリッジの近位に位置付けられる。
h)デリバリーカテーテルが血栓の中へと挿入される。
i)モデル3905を通して流体流を発生させるため、モデル3905と結合しているポンプが起動される。
j)閉塞性血栓カートリッジに対して近位および遠位で基準圧が測定される。
k)回収デバイス(例えば、デバイス2800、2900、または3000)がデリバリーカテーテルに挿入される。
l)回収デバイスの先端部からシースが外され、タイマーを開始する。
m)オペレーターはここで、回収デバイスを使用して血栓または凝血塊を摘出する。
管組織での血栓摘出処置の映像が連続的に記録される。
n)血栓摘出処置の間、カートリッジに対して遠位および近位の両方で圧力が連続的にモニタリングされる。
o)血栓摘出術が臨床的に完了するとタイマーが止められる。
【0451】
ステップf)~o)は、15本のカートリッジごとに繰り返される。
【0452】
以下のデータ例は、上記で行われた試験的ステップの結果として導き出される。
・血栓/凝血塊内に回収デバイスが展開されてから臨床的血栓摘出完了までの時間。
・血栓が作られたカートリッジにわたって臨床的に大幅な圧力均等化が実現されるまでの時間
・摘出された血栓/凝血塊の重量中質量
基準凝血塊質量で割られたこの質量は、特定の時間の間に回収デバイスによって除去された凝血塊の割合を提供する。
・フィルターにより捕捉された末梢塞栓を起こした血栓/凝血塊の重量中質量
基準血栓/凝血塊質量で割られたこの質量は、血栓摘出処置中に遠位で塞栓を起こした血栓/凝血塊の割合を提供する。
【0453】
第1および第2の先行技術のデバイスでステップa)~o)が繰り返されて、本明細書の回収デバイスに関するデータと同等のデータを生成する。第1および第2の先行技術のデバイスと比較すると、回収デバイスは以下を行う。
・より速く血栓/凝血塊を摘出する
・より速く許容圧力差を再確立する
・より多く血栓/凝血塊を除去する
・末梢塞栓の形成がより少ない
【0454】
実施形態によっては、増大する人工的な血栓の弾性係数を有する追加のカートリッジが用意される。その後、回収デバイスは、近位および遠位要素をこれ以上手動で拡張できずに血栓/凝血塊物質の除去ができない点である、障害発生点に達成するまで追加のカートリッジのそれぞれの中で別々に展開される。同じアプローチが第1および第2の先行技術のデバイスで続けられる。第1および第2の先行技術のデバイスと比較すると、本明細書の回収デバイスは、第1および第2の先行技術のデバイスができるよりもはるかに大きな弾性率を有する血栓/凝血塊物質の中で開くことができる。
【0455】
試験的使用の事例研究2
この研究は本明細書の回収デバイス(デバイス2800、2900、または3000等)を使用する試験的な血栓摘出術を行うための閉ループ解剖学的フローモデルを使用する。フローモデルは、吸引カテーテルおよびデリバリーカテーテル(
図28Aの吸引カテーテル2835およびデリバリーカテーテル2848等)の導入を可能にする近位アクセス止血バルブ付きポートを有する。モデルは、血栓摘出術中に発生する末梢塞栓を捕捉できる遠位に配置されるフィルターまたは収集捕縛も含む。
【0456】
モデルは、チューブ内に機械的特性を持つ人工的な血栓が接合した、所定の内径の既製チューブの組み込みが可能である。人工的な血栓を有する既製チューブは、集合的に「カートリッジ」とも呼ばれる。実施形態において、人工的な血栓は、卵アルブミン、小麦粉、水、および食用着色料の所定の処方を使用して製造される。実施形態によると、本研究は、本明細書の回収デバイスによって摘出されることはできるが、第1および第2の先行技術のデバイスではできない弾性率を有する人工的な血栓を使用する。モデルはさらに、モデルに組み込まれたカートリッジに対して近位および遠位に圧力変換器を含む。
【0457】
試験的使用の事例研究に関して、
a)血栓/凝血塊摘出処置および血栓/凝血塊の末梢塞栓の映像が記録される。
b)処置中、圧力を測定する。
c)デバイスが一旦、その中に凝血塊のない自己PA(肺動脈)血管壁に接して展開されたら、デバイスの摘出に対する抵抗を測定する。
d)血栓摘出中に吸引カテーテルから吸引される流体の体積を記録する。
前述の研究は第1および第2の先行技術のデバイスで繰り返される。
【0458】
第1および第2の従来のデバイスに対する本明細書の回収デバイスの比較研究
上述の研究では、本明細書の回収デバイスは、デバイス2800、2900、または3000のうちの何れかを指す。肺血栓塞栓症(PE)/深部静脈血栓症(DVT)の臨床環境で遭遇する亜急性および器質性の血栓をシミュレーションした血栓物質を摘出する、本明細書の回収デバイスの能力を、第1および第2の先行技術のデバイスと比較するために上述の研究が行われる。
【0459】
図40Aは、第1および第2の先行技術のデバイス4020a、4020bに対する本明細書の回収デバイス4010の展開能力を示す第1、第2、および第3図面4002、4004、および4006を示す。図面4002は、崩壊状態4012a、4013aおよび拡張状態4012b、4013bにある近位および遠位要素を有する回収デバイス4010を示す。見ることができるように、近位要素4012は、ホットドッグ4015の中で直ちに拡張し、一方で、遠位要素4013は崩壊したままであり、近位要素4012および遠位要素4013の独立した機動能力を実証している。
【0460】
図面4004は、ホットドッグ4015内に展開された第1の先行技術のデバイス4020aを示す。第1の先行技術のデバイス4020aは、第1、第2、および第3自己拡張ニチノールディスク4022、4024、4026を含む。しかしながら、第1、第2、および第3ディスク4022、4024、4026のいずれも、10分間展開されてもホットドッグ4015の中で拡張することができない。
【0461】
図面4006は、ホットドッグ4015内に展開された第2の先行技術のデバイス4020bを示す。第2の先行技術のデバイス4020bは、自己拡張ニチノールバスケット4028を含む。しかしながら、バスケット4028は、10分間展開されてもホットドッグ4015の中で拡張することができない。
【0462】
このように、第1および第2の先行技術のデバイスの自己拡張ニチノールディスク4022、4024、4026およびバスケット4028は、亜急性および器質性の血栓では確実に拡張することができない。その結果、ディスクおよびバスケットは、それらの設計された外径を実現できず、そのため、亜急性または器質性血栓の摘出に必要な半径方向力を発生させることができない。ディスクおよびバスケットは、血栓の周囲に変形し、その結果、血栓を効果的に除去しそこなう。
【0463】
図40Bは、ホットドッグ4015から順番に後退中の第1の先行技術のデバイス4020aの第1、第2、および第3図面4032、4034、4036を示す。図面4032は、ホットドッグ4015から取り出されている第1ディスク4022を示す。第1ディスク4022は、残りの2つのディスク(第2および第3ディスク4034、4036)がホットドッグ4015内に拘束されているため、その最大外径を実現することができない。図面4034は、ホットドッグ4015から取り出されている第2ディスク4024を示す。第1および第2ディスク4022、4024の両方とも、残る第3ディスク4026がホットドッグ4015内にまだ拘束されているため、それらの最大外径を実現することができない。図面4036は、ホットドッグ4015から取り出されている第3ディスク4026を示す。3つのディスクのいずれも拘束されていないので、ここで各ディスクはその設計された最大外径を実現できる。
【0464】
図40Bの研究から第1の先行技術のデバイス4020aは、1つのディスクの直径が隣接するディスクの直径に影響を及ぼす2つのバンドによって相互接続される隣接する3つのディスク設計であることが観察される。デバイス4020aは、堅いまたは不均一な血栓に位置付けられ、1つのディスクはその完全な円盤形状へと開くことができず、続いて他のディスクも完全に拡張できない。このように、本明細書の回収デバイスと異なり、第1の先行技術のデバイス4020aの3つのディスク4022、4024、4026は、機能的に独立しておらず、器質性線維性血栓の除去に必要な半径方向力および前後の動きを発生することができない。
【0465】
図40Cは、第1の先行技術のデバイス4020a、第2の先行技術のデバイス4020b、および本明細書の回収デバイス4010の血栓摘出能力の比較を示す第1、第2、および第3
図4042、4044、4046を示す。血栓摘出能力とは、肺血栓塞栓症(PE)/深部静脈血栓症(DVT)の臨床環境で遭遇する亜急性および器質性の血栓をシミュレーションした血栓物質を摘出する、デバイスの比較能力を指す。
【0466】
図4042は、血栓物質内に拡張するために必要な半径方向力を発生させることができないその自己拡張ニチノールディスクに起因して、血栓物質(ホットドッグ)を除去しそこなった第1の先行技術のデバイス4020aを示す。図面4044は、血栓物質内に拡張するために必要な半径方向力を発生させることができないその自己拡張ニチノールバスケットに起因して、血栓物質(ホットドッグ)を除去しそこなった第2の先行技術のデバイス4020bを示す。図面4046は、回収デバイス4010の機械特性/特徴に起因して、器質性血栓(ホットドッグ)の中に拡張して、かなりの量の血栓物質4048を除去することができる本明細書の回収デバイス4010を示す。
【0467】
以下は
図40A、40B、および40Cの研究からの重要事項である。
a)第1および第2の先行技術のデバイスの自己拡張ニチノールディスク/バスケットは、亜急性および器質性血栓に確実に拡張できず、半径方向力が不十分なため、物質を除去しそこなう。
b)第1および第2の先行技術のデバイスの自己拡張ニチノールディスク/バスケットは、ディスク/バスケットが設計された最大外径(O.D.)まで拡張/形成された場合にのみ、最大半径方向力を実現する。ディスク/バスケットが部分的に開かれた場合、器質性血栓を除去する半径方向力を生成せず、器質性凝血塊の周囲に変形し、凝血塊を機械的に除去しそこなう。
c)本明細書の回収デバイスの近位および遠位要素の器質性凝血塊内への能動的な、制御された半径方向の拡張は、近位および遠位要素の軸方向への独立した動きとともに、必要な半径方向力および機械的ポテンシャルを提供する。
【0468】
このように、本明細書の回収デバイスは、少なくとも以下を特徴とする。
・近位および遠位要素は、全ての血栓で確実に拡張および展開できる。
・近位および遠位要素は、堅い亜急性および慢性血栓で拡張および展開できる。
・一回の挿入で2つの血栓摘出要素(近位および遠位)を含む。
・近位および遠位要素は、互いに独立して展開/拡張できる。
・オペレーターにより制御される直径を有する異なる直径で同時に展開できる。
・近位および遠位要素のそれぞれは、その他から独立して動くことができる。
・近位および遠位要素は、血管内腔内で前後に動かされて血管壁から血栓を掻爬できる。
・回収デバイスに再度シースを付けることなく複数のパスを近位および遠位要素は行える。
・近位および遠位要素の直径は、前後に動きながら能動的に制御および調整できる。
・回収デバイスは、広い範囲の近位および遠位要素の径の能動的な制御を行い、小径および大径の両方の血管にアクセス可能である。
・回収デバイスは、デバイスの付着(圧縮、捕捉、および除去)を使用して血栓を能動的に捕捉および摘出できる。
・回収デバイスは、能動的な血栓摘出術中、末梢塞栓保護を提供する。
・回収デバイスは、血栓を摘出するために吸引に頼らない。
・回収デバイスは、tPAに頼らない。
・回収デバイスは、血管の処置後組織顕微分析に基づく豚の静脈構造で非外傷的に機能すると証明されている。
・回収デバイスは、生体動物研究での豚の肺動脈系から血栓を効果的に摘出することが証明されている。
単一要素/部材を有する回収デバイス
【0469】
実施形態によっては、本明細書の回収デバイスは、立体形状を有し、デバイスの先端部に取り付けられている単一要素を有するように構成されている。実施形態によっては、要素は、中間拡張状態時に実質上球状をとる。完全に拡張された際に、要素は、杯またはカップ形状を形成する。実施形態によっては、先端部は、デバイスのハンドルに対して近位である第1チューブと、デバイスのハンドルに対して遠位である第2チューブとを含む。実施形態によっては、第1チューブは第2チューブへと軸方向に順にはめ込まれるように構成されている。実施形態によっては、要素は、近位端と遠位端とを有するニチノールメッシュである。近位端は、第1チューブに連結され、遠位端は、第2チューブに連結されている。
【0470】
実施形態によっては、第1ノブ、スライダー、またはボタンが先端部に向かって前方へと摺動されると、第1チューブは第2チューブ内へと軸方向に動き、要素の近位端は遠位に動き(要素の遠位端は静止したまま)、要素を実質上球状へと拡張させる。第1ノブまたはボタンが、さらに前方へと摺動されるにつれ、要素の近位端は静止している遠位端にさらに近付くように動き、要素にカップまたは杯形状をとらせる。同様に、第1ノブまたはボタンが先端部から離れるように後方へ摺動されると、第1チューブは第2チューブから出るように軸方向に動き、要素の近位端は近位に動き(要素の遠位端は静止したまま)、要素を実質上円筒状へと収縮させる。
【0471】
実施形態によっては、第2ノブまたはボタンが先端部に向かって前方へと摺動されると、第1および第2チューブは一体となって共に遠位へと動き、要素の近位および遠位端は共に遠位に動き、要素をハンドルから離れるように遠位に動かす。同様に、第2ノブまたはボタンが先端部から離れるように後方へ摺動されると、第1および第2チューブは一体となって共に近位へと動き、要素の近位および遠位端は共に近位に動き、要素をハンドルに向かって近位へと動かす。このように、第2ノブまたはボタンを前方へ摺動させることは、要素を前方へまたは遠位へと動かし、一方で、第2ノブまたはボタンを後方へ摺動させることは、要素を後方へまたは近位へと動かす。
【0472】
図41Aは、本明細書のいくつかの実施形態による、回収デバイス4100を示す。デバイス4100は、伸縮チューブを介して先端部4104に連結されているハンドル4102を含む第1ユニット4190を備え、ハンドル4102は、先端部4104を閉塞物に近接して操舵するように構成されている。デバイス4100は、シリンジ4137、一方向バルブ4139、およびポート4142を有する吸引カテーテル4135を含む第2ユニット4192をさらに備え、ポートは、吸引カテーテル4135の近位端4144に連結されている。一実施形態において、一方向バルブは、吸引カテーテル4135を通して直接吸引するように構成されている。処置中での使用に関しては、先端部4104がデリバリーカテーテル4148内に配置され、その後、デリバリーカテーテル4148は吸引カテーテル4135内に挿入されて、ポート4142へと続き、少なくとも先端部4104が吸引カテーテル4135の遠位端4146から遠位に突出するようにする。
【0473】
本明細書の態様によると、デバイス4100は、オペレーターが、部材4106を機械的に拡張、収縮、または動かすために、ハンドル部4102を片手で操作/作動できるようにするように構成されている。一実施形態において、第1スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構4114は、部材4106を機械的に拡張または機械的に収縮するように構成されている。ハンドル部4102は、さらに前後に動かされ、閉塞物を掻爬するために、先端部4104、および従って部材4106が前後に動かされるようにする。他の実施形態では、任意選択の第2スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構4120は、部材4106を先端部4104に対して軸方向に動かすように構成されている。一実施形態において、第1スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構4114および第2スライダー、ノブ、ボタン、または他の作動機構4120は、第1および第2作動機構のそれぞれが同じ位置またはハンドルの長さに軸方向に沿って3インチ以内にあるようにハンドルの外面の周囲に位置付けられている。
【0474】
他の実施形態では、ハンドル4102は、1以上の作動機構を備えて、薬剤を送達する、特に、tPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)を送達する、および/または吸引を起動する。一実施形態において、処置の方法は、カテーテル4148内に位置付けられている少なくとも1つのルーメン内にtPAを注入することを含むだろう。好適には、注入は、部材4106がまだカテーテル4148内に収容されている間に、肺血栓塞栓症または深部静脈血栓症の処置手順の発生時に行われ、その結果、tPA内で拡張されていない部材4106を覆う。代替的に、注入は、部材4106がまだカテーテル4148内に収容されている間に、肺血栓塞栓症または深部静脈血栓症の処置手順の発生時に行われ、カテーテル4148の遠位端を通して向けられて、部材4106を挿入および拡張する前に凝血塊内へと直接的に注入される。
【0475】
他の実施形態では、カテーテルおよびハンドルは、溶解分散を促進し、薬剤を凝血塊の中により深く運び、凝血塊の分解を速め、および/またはフィブリンをより早く変性またはほぐすため、共同して、超音波エネルギーを凝血塊に送達するように構成されている。一実施形態において、カテーテルは、カテーテル管ルーメンを通って軸方向に延びている細長ワイヤーと平行する超音波コアを備える。超音波コアは、カテーテルの外部に位置付けられている制御ユニットと電気的に連絡している。ハンドルの近位端は、ハンドルから外方へと延びて、制御ユニットと接続するように構成されているだろう超音波コアと電気的に連絡している1以上のリードを有すると好ましいだろう。肺血栓塞栓症または深部静脈血栓症の処置手順中、超音波エネルギーは、制御ユニットを使用して、前述のように、薬剤の送達にあたって処置の開始時に起動されるだろう。
【0476】
実施形態において、超音波コアエネルギー発生器がカテーテルの中心部を通っている。実施形態において、超音波コアエネルギー発生器は、発生器を管理するように構成されている制御ユニットを含む。ハンドルの近位端は、制御ユニットへと差し込まれるリードを含む。
【0477】
本明細書のいくつかの態様によると、第1および第2ユニット4190、4192は、別々の独立型ユニットまたはデバイスとして製造されている。このことは、医師が、任意のサードパーティーによる吸引カテーテルと第1ユニット4190を使用できるという点で有利である。実施形態によっては、吸引カテーテル4135は、12Fr、16Fr、20Fr、および24Fr(Frは、フレンチスケールまたはゲージシステムを表す)等であるが、これらに限定されない複数の外径を有して利用可能である。実施形態によっては、シリンジ4137は、例示的で非限定的な60立方センチメートルの体積を有する。
【0478】
実施形態によっては、肺血栓塞栓症の処置における使用での、デリバリーカテーテル4148の長さは、80cm~160cmの範囲であり、120cmが好ましい。実施形態によっては、肺血栓塞栓症の処置における使用での、吸引カテーテル4135は、異なる外径には異なる長さを有する。例えば、16Frの吸引カテーテルは、70cm~160cmの範囲、好適には112cmの長さを有し、20Frの吸引カテーテルは、60cm~150cmの範囲、好適には106cmの長さを有し、24Frの吸引カテーテルは、50cm~130cmの範囲、好適には90cmの長さを有する。実施形態によっては、深部静脈血栓症の処置における使用で、デリバリーカテーテル4148の長さは、40cm~120cmの範囲であり、80cmが好ましい。実施形態によっては、深部静脈血栓症の処置における使用で、16Frの吸引カテーテル4135の長さは65cmである。実施形態によっては、右心臓/心房の処置における使用で、吸引カテーテルは、90cmの長さを有する24Frから70cmの長さを有する28Frまでの範囲であることができる。実施形態によっては、IVC/SVC(下大静脈/上大静脈)の処置における使用で、吸引カテーテルは90cmの長さを有する24Frから70cmの長さを有する28Frまでの範囲であることができる。実施形態によっては、少なくとも1つの圧力変換器またはセンサー4109(例えば、光ファイバー圧力センサー、電気機械的圧力センサー、および油圧センサー)は、吸引カテーテル4135の遠位端に位置付けられている。実施形態によっては、少なくとも1つの圧力変換器またはセンサー4109は、吸引カテーテル4135へと共押出された長尺部材の形態をしており、吸引カテーテル4135の全長に沿って長尺部材が伸びるようになっている。実施形態において、圧力変換器またはセンサー4109は、第1ユニット4190のハンドル4102に位置する電子回路と電気的に連絡している。実施形態において、ハンドル4102は、圧力ディスプレイ4121を含む。様々な実施形態において、圧力変換器またはセンサー4109は、圧力変化または降下を感知し、特に、閉塞物が除去されるにつれて右心圧における右側の低下を示す圧力の関連した変化があることを医師に知らせる。右心圧における右側の低下は、問題のある閉塞物がうまく除去されていることを示唆する。
【0479】
実施形態において、先端部4104は、近位端4150と、遠位端4152とを有する。デバイス4100の作動中、先端部2804は、閉塞物を除去するために、ハンドル部4102がオペレーター/ユーザーの手の中に残る中、例えば、血管に挿入される。血管へのデバイス4100の挿入中、先端部4104の遠位端4152は、まず血管へと入り、ハンドル4102を使用することによって、先端部4104の挿入を血管内の所望の位置へと操縦し、血管内の閉塞物に近接するように配置される。先端部2804は、実施形態では先端部4104の近位端4150に近接して摺動可能に取り付けられている機械的に拡張可能なプッシャーボールである部材、要素、または本体部4106を備える。機械的な拡張は、形状記憶材料は機械的な力をかける必要なく、予め定められた形状となるように自然に構成されているために起こる非機械的な拡張とは対照的である。
【0480】
様々な実施形態において、要素4106は、実質的に、湾曲した構造である。実施形態によっては、要素4106は、3次元(3D)形状である。一実施形態において、要素4106は、織り合わせたワイヤー製の編組構造であって、編組によって形成された(要素の外から要素の内部容積への退出を可能にする)複数の開口領域を構造が有するようになっている。開口領域は、要素4106の総表面積に対して、総表面積が1%~99%の範囲である。一実施形態において、要素4106は、高い割合の開口表面積を有し、その結果、要素4106はより多くの凝血塊物質を捕捉することができる。要素4106は、球状、楕円形、円錐、多角形、円筒、ステント、聖杯、傘、凹構造、凸構造、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、レバー、またはこのような形状の組み合わせをはじめとする任意の形状であってもよい。
【0481】
一実施形態において、
図41Bおよび41Cに示されるように、要素4106は、先端部4104の長手軸に沿って近位方向に向けられているネック部4188を有する第1漏斗4186および軸に沿って遠位方向に向けられているネック部4189を有する第2漏斗4187として構造的に形成され、第1漏斗4186と第2漏斗4187のカップ縁部は中心軸4191にわたって(連続したワイヤーの形態で)取り付けられている。実施形態によっては、要素4107が機械的に拡張される際に、要素の近位部分および遠位部分が最初に拡張し、その後、中央部分が拡張する。実施形態によっては、要素4106の近位、遠位、および中央部分のそれぞれは、異なる比率で拡張してもよい。実施形態によっては、要素4106は、半径方向力、形状、サイズ(例えば、厚さ、直径)、細孔サイズ(例えば、前述のようにメッシュ細孔サイズまたは開口領域)、および外部コーティングが挙げられるが、制限のない、異なる特性を有する異種であってもよい。
【0482】
図41Aに戻って参照し、先端部4104は、少なくとも部分的にデリバリーカテーテル4148内に包囲され、これは後退すると、ハンドル部4102を使用することによってデバイス4100が脈管系または非脈管構造に挿入されて操縦される場合、要素4106を露出させる。
【0483】
実施形態によっては、先端部4104は、共に操作されると、閉塞物を遊離させ除去するために、オペレーター/医者が要素4106を拡張または収縮できるようにし、要素4106を軸方向に動かせるようにする少なくとも2つの可撓性伸縮チューブを備える。
【0484】
実施形態によっては、要素4106は、複数のメッシュ細孔、格子、またはセルを有するニチノールワイヤーメッシュから製造される。あまり好適でない実施形態のいくつかにおいては、要素4106は、膨張性バルーンが挙げられるが、これに限定されない膨張性デバイスである。
【0485】
実施形態によっては、要素4106は、構造に適用されている機械的拡張によって、および要素4106の小領域にわたる堅さまたは剛性によって、可変半径方向力を適用するその能力によって特徴付けられてもよい。例えば、実施形態によっては、要素4106の第1サイズへの拡張(要素により包囲された領域または体積により画定される)は、第1サイズが周囲の素材にかけることのできる第1半径方向力によって特徴付けられてもよい。要素4106の第2サイズへの拡張(第1サイズよりも大きな、要素により包囲された領域または体積により画定される)は、第2サイズが周囲の素材にかけることのできる第2半径方向力によって特徴付けられてもよく、第2半径方向力は第1半径方向力とは異なる。実施形態によっては、第1および第2半径方向力のそれぞれは、2ニュートン~20ニュートンの範囲であり、4ニュートン~12ニュートンであることが好ましい。ユーザーの制御下で、第1サイズよりも大きな第2サイズよりも大きな第3サイズよりも第4サイズの方が大きい場合である処置の期間全体を通して、第1サイズ(第1領域または体積を有する)、第2サイズ(第2領域または体積を有する)、第3サイズ(第3領域または体積を有する)、または第4サイズ(第4領域または体積を有する)の形状を採用して保持できるように、機械的拡張は、要素4106の断続的で制御された拡張を可能にする。
【0486】
実施形態によっては、要素4106は、半径方向力の適用に抵抗するその能力を特徴としてもよく、その結果、構造にかけられている機械的拡張によって、および要素4106の小領域にわたる堅さまたは剛性によって、その拡張形状を維持する。例えば、実施形態によっては、要素4106の第1サイズ(要素により包囲される領域または体積によって画定される)への拡張は、第1半径方向力から抵抗する(従って、第1サイズの崩壊または圧縮を回避する)能力を特徴としてもよい。第2サイズ(第1サイズよりも大きく、要素により包囲される領域または体積によって画定される)への要素4106の拡張は、第1半径方向力とは異なる第2半径方向力から抵抗する(従って、第2サイズの崩壊または圧縮を回避する)能力を特徴としてもよい。実施形態によっては、第1および第2半径方向力のそれぞれは、2ニュートン~20ニュートンの範囲であり、3~15ニュートンが好ましく、4ニュートン~12ニュートンがより好ましい。ユーザーの制御下で、第1サイズよりも大きな第2サイズよりも大きな第3サイズよりも第4サイズの方が大きい場合である処置の期間全体を通して、第1サイズ(第1領域または体積を有する)、第2サイズ(第2領域または体積を有する)、第3サイズ(第3領域または体積を有する)、または第4サイズ(第4領域または体積を有する)の形状を採用して保持できるように、機械的拡張は、要素4106の断続的で制御された拡張を可能にする。要素4106は、80mmHg~250mmHgの範囲の静水圧をかける血流に対して位置付けられた場合、崩壊または圧縮しないように構成されていることがさらに理解されるべきである。このことは、静水圧レベルが、他の構造、具体的には、自己拡張構造の圧縮または崩壊を多くの場合引き起こす、動脈凝血塊除去において特に有益である。
【0487】
一実施形態において、医師は、a)要素4106を閉塞物内に配置すること、b)要素4106を、血管の、要素4106がその中に位置している血管内腔の直径、幅、または容積以上の直径、幅、または容積へと拡張すること(超過する場合は、最大150%であってもよいが、110%~130%程度が好ましく、120%がより好ましい)、c)要素4106を前後に動かし、閉塞物を擦り出し、擦り落された閉塞物を吸引カテーテルへと向かわせること、d)吸引を行うこと、e)要素4106を崩壊させ、残りの吸引されていない血栓とともにカテーテル内へと引き戻すこと、f)患者からカテーテルを除去することによって、本明細書中に開示される実施形態の何れかを使用する。
【0488】
実施形態によっては、要素4106は、臨床応用時に、抗血小板コーティングを有して、接着を抑え、血栓形成が抑制された環境を提供してもよい。実施形態によっては、要素4106は、血栓溶解剤が挙げられるが、これに限定されない放出制御製剤でコーティングされてもよい。
【0489】
実施形態において、先端部4104は、少なくとも2つ等の複数の伸縮チューブを備える。
図41Bに(拡張形態で)示されるように、第1チューブ4130は、デリバリーカテーテル4148の遠位端から遠位に突出する(
図41A)。第1チューブ4130は、第2チューブ4125と連結している。第2チューブ4125は、先端部4104の遠位端4152を形成する。ある実施形態では、2つのチューブ4130および4125が伸縮自在チューブの同軸配列として配置され、第1チューブ4130は、ハンドル部4102に対して固定された第2チューブ4125に対して軸方向に動くことができるように設計されている。実施形態において、第1チューブ4130は、ハンドル部4102を使用して、第2チューブ4125に対して軸方向に拡張または収縮できる。ある実施形態では、伸縮チューブ4130および4125は、ニチノール製である。
【0490】
ある実施形態では、要素4106は、近位端4160と、遠位端4162とを有する。要素4106の拡張および非拡張の両方の状態で、要素4106の遠位端4162は、ポイント4128にて第2チューブ4125に固定的に取り付けられ、一方で、近位端4160は、ポイント4129にて第1チューブ4130に固定的に取り付けられる。様々な実施形態において、非拡張の状態で、要素4106(複数のワイヤーを備える)は、第2チューブ4125のルーメンの周囲に同心円状に位置付けられるワイヤーメッシュ4126を形成する。
【0491】
実施形態において、ワイヤーメッシュ4126の一部は、第2チューブ4125および第1チューブ4130それぞれの外面のポイント4128および4129にのみ取り付けられ、一方、ワイヤーメッシュ4126の残りの部分は連結しておらず、そのため、自由に拡張または収縮できる。第1チューブ4130の第2チューブ4125に対する軸方向の圧縮の際に、ワイヤーメッシュ4126は、第2チューブ4125のルーメン周囲に半径方向に拡張するように誘発される。同様に、第2チューブ4125に対して第1チューブ4130の軸方向の減圧の際に、ワイヤーメッシュ4126は、第2チューブ4125のルーメンの周囲に半径方向に圧縮または収縮するように誘発される。異なる言い方をすると、第1チューブ4130および第2チューブ4125の相対的な軸方向の動きは、近位端4160を遠位端4162へと近づくように動かし、それによって、要素4106を構成し、端部4160と4162との間に延びる素材は圧縮されるため、外方へ拡張する。対して、近位端4160は遠位端4162から遠ざかるにつれて、要素4106を構成し、端部4160と4162との間に延びる素材は引き延ばされるため、身体のルーメンへと崩壊し、それに沿って伸長する。このように、要素4106は、両方の場合とも遠位端4162は静止したままで、近位端4160を遠位に動かすことにより拡張し、近位端4160を近位に動かすことにより収縮する。
【0492】
ある実施形態では、拡張状態において、要素4106は、楕円形状に近似し、ワイヤーメッシュ4126の少なくとも一部は第2チューブ4125のルーメンに略垂直に位置する。ある実施形態では、拡張した要素4106の直径は約16mmである。実施形態によっては、完全に拡張した要素4106は、
図41Bおよび41Cに示されるように、実質上、楕円形またはディスク形状であり、一方、過渡的または拡張が小さい状態では、要素4106は、例えば、実質上、球状等の異なる曲線形状をとってもよい。実施形態によっては、完全に拡張した要素4106は、実質上、球状であってもよく、一方、過渡的または拡張が小さい状態では、要素4106は、実質上、楕円形状をとってもよい。
【0493】
先に説明されているように、様々な実施形態において、拡張状態では、要素4106は、シリンダー、ステント、聖杯、傘、凹構造、半球、球、吹き流し、ダンベル、星、多角形、レバー、または閉塞物の回収を支援するために構成された任意のその他の適切な形状の形態をとってもよい。実施形態によっては、要素4106は、モーター付ユニットとして旋回および回転できる。このような実施形態では、ハンドル内に配置された、またはハンドルに近接した小型モーターが、要素4106に連結され、作動すると、モーターは要素4106を動かすまたは回転させる。
【0494】
ここで、
図41Aおよび41Dを参照し、ある実施形態では、ハンドル部4102は、ハンドル4102の長さに沿って長手方向に延びる溝4112を備える。ある実施形態では、ハンドル部4102の遠位端4165と先端部4104の遠位端4152との間の距離は、0.5mm~110cmの範囲であり、1mm~100mmが好ましい。ハンドル部4102は、ユーザーが要素4106を機械的に拡張または収縮できるようにするように構成された第1アクチュエーター、ノブ、またはボタン4114を含む。実施形態によっては、要素4106は、ハンドル部4102を前へまたは後ろへ動かすことで閉塞物の中で前方または後方へと動かされ、その結果、先端部4104の前方または後方への動きを誘発する。実施形態によっては、ハンドル部4102は、ユーザーが要素4106をハンドル部4102から遠位に前方へと機械的に摺動またはハンドル部4102へ向けて近位に後方へと機械的に摺動できるようにするように構成されている任意選択の第2アクチュエーター、ノブ、またはボタン4120を含む。第1および第2ノブ4114、4120は、溝4112に摺動可能にはめ込まれる。第1ノブ4114は、第1チューブ4130と連結し、一方、第2ノブ4120は第1および第2チューブ4130、4125の両方と連結している。
【0495】
ここで
図41Bおよび41Dを参照し、第1ノブ4114が先端部4104へ向けて溝4112内で動かされるまたは摺動される場合、これは、第1チューブ4130を第2チューブ4125内に順にはめ込ませ、その結果、第1チューブ4130の第2チューブ4125に対する軸方向の圧縮を誘発する。それゆえ、要素4106は、所望の径へと拡張させられる。第1ノブ4114が、先端部4104から離れるように動かされると、第1チューブ4130は順にはめ込まれて第2チューブ4125から出て来て、その結果、ワイヤーメッシュ4126の近位端4129と遠位端4128との間で第2チューブ4125に対する第1チューブ4130の軸方向の減圧(または伸長)が誘発される。これにより、ワイヤーメッシュ4126(従って、要素4106)は、第2チューブ4125のルーメンの周囲に半径方向に収縮し、拡張状態での直径よりも小さな直径を有する拡張されていない形状をとるか、完全に拡張されていない状態をとることとなる。
【0496】
第2ノブ4120が先端部4104へ向けて遠位に溝4112内で動かされる場合、要素4106は、ハンドル4102から離れるように遠位に摺動させられ、一方で、第2ノブ2820が先端部4104から離れるように近位に動かされる場合、要素4106は、ハンドル4102へ向けて近位に摺動させられる。
【0497】
ある実施形態では、完全に拡張された要素4106の直径は、約16mmである。様々な実施形態において、要素4106は、デバイス4100の用途/機能的な使用法に応じた直径へと拡張してもよい。例えば、20mm~30mmの範囲の直径を有する肺/大血管の処置における使用では、拡張した要素4106の直径は、5mm~30mmの範囲で、10mm~25mmが好ましく、2mm~10mmの範囲の直径を有する末梢動脈/DVT血管の処置における使用では、拡張した要素4106の直径は、3mm~12mmの範囲である。神経血管の処置における使用では、拡張した要素4106の直径は、1mm~10mmの範囲である。下大静脈(IVC)血管内の閉塞物の回収での使用では、拡張した要素4106の直径は、35mm~40mmの範囲である。3mm未満の管ルーメン径さらに1mm未満の管ルーメン径を有する胆管、瘻孔血栓除去、肝胆管、脳血管、および末梢動脈血管(特に、手および足)の処置における使用では、拡張した要素4106の直径は、1mm~14mmの範囲である。
【0498】
実施形態によっては、要素4106の直径は、完全に拡張状態した状態で、5mm~30mmの範囲であり、10mm~25mmが好ましく、10mm~20mmがより好ましい。
【0499】
実施形態によっては、第1ノブ4114は、要素4106が最大径まで拡張された際に、溝4112内のある位置でロックされる(つまり、それ以上前方へ動かすことができない)。このように、第1ノブ4114を前方へと摺動させることで、ユーザーが要素4106を複数の中間径までおよび最大許容径まで拡張できるようにする。実施形態によっては、要素4106の拡張時に血管の壁から対抗圧がかかる場合、ユーザーが拡張しすぎないように「クラッチ」がはまるように、第1ノブ4114に「クラッチ」特性が設けられる。この特性は、ユーザーが、要素4106を過拡張して、血管を損傷することを予防するため、有利である。
【0500】
実施形態によっては、要素4106のための複数の拡張径で、第1ノブ4114をハンドル4102のロック位置から選択的に係合または解放できるように、溝4112は、その長さに沿って一連の相互連結特性を有する。
【0501】
実施形態によっては、デバイス4100は、要素4106の直径の連続的な調整のために送りねじ機構を活用することで、要素4106が所望の径を実現するために、対応する第1ノブ4114が、4112において無限に変化可能な数の位置へと前進または後退できてもよく、摩擦ベースのロック機構を使用して所望の位置に保持されてもよい。ある実施形態では、非バックドライブねじパターンが送りねじで使用されて、ユーザーによって作動されない場合に摩擦ブレーキを発揮し、拡張した要素4106の直径の連続的な調整を可能にする。実施形態において、第1ノブ4114は、溝4112の長さに沿ったいくつかの異なる配置/位置に位置付けられてもよく、配置/位置のそれぞれは要素4106の異なる拡張の程度に対応しているため、要素4106は異なる形状を持っている。
【0502】
ある実施形態では、第2チューブ4125および第1チューブ4130を一体となって共に前進または後退させることにつながる第2ノブ4120を動かすことにより、要素4106は拡張または崩壊状態にある先端部4104に沿って前後に軸方向に動かされてもよい。実施形態によっては、要素4106は1mm~8cmの範囲、好適には少なくとも6cmで軸方向に動かされることができる。
【0503】
実施形態によっては、第1チューブ4130はハンドル部4102から要素4106へと延び、第2チューブ4125と同軸である。
図41Bを参照し、アンカーノーズ4134は、要素4106の終端点を提供し、ある実施形態では、X線不透過性マーカーの二次機能を実行する。様々な実施形態において、伸縮チューブ4130および4125の直径は、神経血管および末梢用途では、0.3mm~2mmの範囲、肺およびより大型の用途では、1mm~5mmの範囲である。
【0504】
図41A~41Dを参照し、ある実施形態では、患者のルーメンから閉塞物を回収するため、デリバリーカテーテル4148は閉塞物の近傍に位置付けられ(ハンドル4102を使用して)、先端部4104は閉塞物内または閉塞物を完全に通過して位置付けられる。要素4106を使用して閉塞物質が一旦掻爬されると、シリンジ4137は、
吸引ライン4124で吸引を行うように作動され、吸引カテーテル4135を通して閉塞物質を吸引する。
【0505】
このように、様々な実施形態において、要素4106は、特定の直径および特定の半径方向力へと拡張し、その結果、血管内腔および壁から血栓または凝血塊物質の捕集および掻爬を可能にする。実施形態によっては、回収デバイス4100は、その調整可能な半径方向力およびその調整可能サイズを利用して、動脈または静脈の壁を能動的に掻爬する。実施形態によっては、回収デバイス4100は、血管壁から血栓性物質を同時に捕捉、圧縮、引きずる、および掻爬することにより、血栓の除去を可能にする。一実施形態において、要素4106は、0.01ml~100mlの容積範囲の凝血塊または血栓物質のサイズを捕捉および/または含むように構成されている。
【0506】
実施形態によっては、ハンドル部4102は、例えばおよびほんの一例として、低、中、高の3つの段階、低~高の範囲の5段階、低~高の範囲の8段階、等の複数の段階を含む。各段階は、拡張状態にある要素4106の対応する所定の直径を示す。2つの摺動ボタン4114および4120が、複数の段階のいずれか1つへと作動されてから、その位置に戻り止めできる。
【0507】
実施形態によっては、ハンドル部4102は2つのボタン4114および4120を含んで、要素4106を操作するが、代替的な実施形態では、2つより少ないボタンが使用されてもよい。例えば、実施形態によっては、機械的な血栓摘出処置を行っている間、臨床医によるデバイス4100の使用は、デバイス4100の所定の使用または操作回数に関してモニタリングされている。モニタリングに基づいて、要素4106の展開の好適なシーケンスが決定され、展開シーケンスを示すデータは、メモリー(ハンドル部4102内またはハンドル部4102から遠隔に存在する)に記憶される。
【0508】
非限定的な例として、展開シーケンスは、要素4106を拡張してから、要素4106をおおよそ5往復のサイクルほど前後に軸方向に動かすこと含んでもよい。それゆえ、単一のボタンは(作動されると)展開シーケンスを実行するようにプログラムされている。当然、実施形態によっては、プログラム化されたボタンにより展開シーケンスが完了した後、第2ボタンがまだ手動で使用されてもよい。実施形態によっては、人工知能(AI)アルゴリズムが、展開シーケンスを実装して、一旦、デバイス4100が生体内に配置されると、要素4106を自動で拡張するおよび/または要素4106を軸方向に動かす。
【0509】
図42は、本明細書の一実施形態による、回収デバイス4100を使用する末梢動脈疾患(PAD)を処置する方法4200の複数のステップ例のフローチャートである。いくつかの実施形態によると、方法4200は、3mm未満、好適には、1mm未満の内径を有するルーメンから閉塞物を除去することを可能にし、ルーメンは、胆管、瘻孔血栓除去、脳血管、上下肢、尿管、虫垂動脈、および末梢動脈血管(特に手、腕、前腕、大腿、脚、および足)のうちの1つだが、限定されない。
【0510】
図41Aおよび42を参照し、ステップ4202にて、患者のルーメンから閉塞物を回収するために、ガイドワイヤーが患者のルーメンを通って前進して、閉塞物を通って位置付けられる。ステップ4204にて、吸引カテーテル4135の遠位端が閉塞物にまたは閉塞物に近接して位置付けられるように、吸引カテーテル4135はガイドワイヤーにかぶさって前進する。ステップ4206にて、デリバリーカテーテル4148の遠位端が吸引カテーテル4135の遠位端に近接して位置するようにデリバリーカテーテル4148は、吸引カテーテル4135を通って前進する。
【0511】
ステップ4208にて、回収デバイス4100は、デリバリーカテーテル4148を通して展開されて、デリバリーカテーテル4148またはシースから突出する回収デバイス4100の先端部4104の遠位端4152が閉塞物の中にまたは完全に通過して閉塞物を越えて位置付けられるようになる。これは、圧縮または非拡張状態にある要素4106を閉塞物の中に位置付けることを確実にする。
【0512】
ステップ4210にて、閉塞物の中に位置付けられている要素4106は、所望の径へと(および従って、対応する形状へと、そして対応する半径方向力を作用させるために)機械的に拡張される。ある実施形態では、回収デバイス4100のハンドル部4102の第1ノブ4114が作動されて、要素4106のワイヤーメッシュ構造を拡張させて広げる。実施形態によっては、拡張の際、要素4106は、0ニュートン~25ニュートンの範囲でかけられる力からの圧縮に抵抗するように構成されている。
【0513】
ステップ4212にて、要素4106は、軸方向に(1以上の前後運動で)動かされ、閉塞物を遊離させ、および擦り落とす/掻爬する。実施形態によっては、閉塞物は、例えば、回収デバイス4100の要素4106のメッシュ格子の中へ捕らえられることもできる。
【0514】
実施形態によっては、ハンドル部4102は前後に動かされ、閉塞物を遊離させて掻爬するため、先端部4104、従って、要素4106が前後に動かされるようにする。他の実施形態では、第2ノブ4120が作動され、要素4106を先端部4104に対して軸方向に動かす。実施形態によっては、要素4106は、1mm~8cmの範囲、好適には、少なくとも6cmで軸方向に動かされるように構成されている。
【0515】
ステップ4214にて、吸引カテーテル4135を通して負圧をかけることで、遊離させられて擦り落とされた閉塞物が除去または吸引される。実施形態によっては、
要素4106の前後の動きは、遊離させられて擦り落とされた閉塞物を吸引カテーテル4135へとさらに向かわせる。
【0516】
ステップ4216にて、要素4106は、崩壊または圧縮される。実施形態によっては、第1ノブ4114が作動されて、要素4106を崩壊または圧縮させる。最終的に、ステップ4218にて、崩壊または圧縮された状態にある要素4106は、患者のルーメンから後退されて除去される。
ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)中の胆石除去
【0517】
いくつかの態様によると、少なくとも1つの機械的に拡張可能要素を備える本明細書の回収デバイスは、ERCP処置中に胆石を除去するために使用されてもよい。
【0518】
ERCP処置中、内視鏡が患者の口から進められ、食道へと下り、小腸の十二指腸部に入る。その後、内視鏡は、患者の胆管に近接するように進められてもよく、そこで、カテーテルが患者のa)胆管、b)副膵管、c)主膵管、d)胆嚢管、e)総肝管、f)右肝管、g)左肝管内へと進む。結石または腫瘍等の閉塞物を表す陰影欠損を判断するために、カテーテルを使用して、ここで導管内へと造影剤が注入される。
【0519】
1以上の結石または他のスラッジが導管を塞いでいると判断された場合、本明細書の回収デバイスはワイヤー上を渡って進められ、先端部が(閉塞物の種類に応じて)閉塞物に近接して、閉塞物の中に、または閉塞物を完全に通過して位置付けられる。その後、近位および遠位要素が機械的に拡張され、操縦されて(ハンドルおよびハンドルの物理的操作可能インターフェースを使用して)閉塞物を除去する。
【0520】
図44は、本明細書の一実施形態による回収デバイス2800、2900、または3000の何れかを使用して胆石を除去する複数のステップ例のフローチャートである。実施形態によっては、回収デバイスは、胆石(以下、「閉塞物」と呼ばれる)を除去するためにERCP処置を行うために使用される。
【0521】
ステップ4402にて、ガイドワイヤーは、患者のルーメンを通って進み、閉塞物を通って位置付けられる。ステップ4404にて、吸引カテーテルは、吸引カテーテルの遠位端が閉塞物にまたは閉塞物に近接して位置付けられるように、ガイドワイヤーにかぶさって進む。ステップ4406にて、デリバリーカテーテルは、デリバリーカテーテルの遠位端が吸引カテーテルの遠位端に近接して位置するように吸引カテーテルを通って進む。ステップ4408にて、回収デバイスは、デリバリーカテーテルを通して展開されて、回収デバイスの先端部に取り付けられた遠位要素が閉塞物の中にまたは完全に通過して閉塞物を越えて位置付けられるようにする。
【0522】
ステップ4410にて、遠位要素は、回収デバイスのハンドルの第1スライダーを使用して所望の径へと機械的に拡張される。実施形態によっては、遠位要素は、先端部の遠位端に近接して固定的に取り付けられている機械的に拡張可能で剛性のアンカーである。
【0523】
ステップ4412にて、近位要素(これも先端部に取り付けられている)は、回収デバイスのハンドルの第2スライダーを使用して所望の径へと機械的に拡張される。
【0524】
ステップ4414にて、近位要素は、先端部に沿って軸方向に(1以上の前後運動で)動かされ、閉塞物を遊離させる(および血管を掻爬する)。実施形態によっては、近位要素の軸方向の前後の動きは、結果的に閉塞物の少なくとも一部を近位要素と遠位要素との間に捕捉することとなる。
【0525】
様々な実施形態において、先端部の遠位端に近接する剛性の遠位要素の固定の後に、第1スライダーを使用する遠位要素の機械的拡張(ニチノールの温度ベースの拡張とは対照的に)が、ルーメン内の適所に固定するためおよび/または好適には、閉塞物に押し込むために必要な最低限の剛性を遠位要素に提供することが続く。当業者であれば、遠位要素が剛性でなく強固に固定されていない場合、回収デバイスに閉塞物を遊離させるのに十分な梃子の作用がないかもしれないことが理解されるだろう。
【0526】
実施形態によっては、必要な剛性の度合いを実現しながら、先端部および(遠位要素が閉塞物の中に位置付けられている実施形態では)閉塞物に遠位要素を固定することは、閉塞物に対して所望の位置に遠位要素をロックし、近位要素が遠位要素に対して長手方向に前後に動くことを可能にして閉塞物を遊離させる。
【0527】
ある実施形態では、遠位要素は、閉塞物内に位置付けられて拡張し(釣り針のように)、他の実施形態では、遠位要素は、閉塞物に対して遠位に(または閉塞物を越えて)位置付けられて拡張される。ある実施形態では、拡張した(凹形またはカップ形状の)遠位要素へと完全に動かされることができて、万力のようなグリップを作って近位要素と遠位要素との間に閉塞物を捕集するように、近位要素は、閉塞物に対して近位で(閉塞物より前で)または閉塞物の中で拡張される。実施形態によっては、一旦、閉塞物が近位要素と遠位要素との間に捕らえられると、近位要素が、完全に遠位要素の中にまたは遠位要素に近接したところへと動くように、近位要素と遠位要素との間の距離は、さらに縮小されてもよい。
【0528】
ステップ4416にて、吸引が使用されて、閉塞物の少なくとも一部を同時並行で除去する。実施形態によっては、吸引は、吸引カテーテルの近位端に負圧をかけることで行われる。
【0529】
ステップ4418にて、近位および遠位要素は、機械的に圧縮/崩壊され、引っ張り戻されて、ルーメンから除去される。
【0530】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の一部、および遠位要素を患者のルーメンから一緒に引き出すことによって、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の一部は除去される。
【0531】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の第1部分、および遠位要素を引き出すことによって、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の第1部分は除去され、一方で、残っている第2部分は吸引カテーテルを使用して吸引される。様々な実施形態において、閉塞物を除去する正確な技術は、患者の身体内の閉塞物の解剖学的位置ならびに閉塞物の複雑さおよび密度等であるが、これらに限定されない要因に応じて変化する。しかしながら、様々な実施形態において、閉塞物の除去には、遠位要素に対して近位要素を動かして閉塞物を遊離させ、捕集し、吸引することがある程度含まれる。
【0532】
腎結石(腎臓結石)の除去
いくつかの観点によると、少なくとも1つの機械的に拡張可能要素を備える本明細書の回収デバイスが腎臓結石を除去するために使用されてもよい。
【0533】
実施形態によっては、内視鏡が尿道口から進められ患者の膀胱へと入り、その後、尿管へと入る。その後、本明細書の回収デバイスが尿管へと進み、先端部が腎臓結石に近接するように位置付けられる。近位および遠位要素がその後、機械的に拡張され、ハンドルおよび物理的操作可能インターフェースを使用して)操縦され、腎臓結石を除去する。回収デバイスも患者の腎盂内へと進んで、結石除去/摘出してもよいことが理解されるべきである。
【0534】
図45は、本明細書の一実施形態による、回収デバイス2800、2900、または3000の何れかを使用して、腎臓結石を除去する複数のステップ例のフローチャートである。実施形態によっては、回収デバイスが尿道口から患者の膀胱へと進み、尿管へと入る。その後、回収デバイスは、尿管へと進み、先端部が腎臓結石(以下、「閉塞物」と呼ばれる)に近接するように位置付けられるようにする。
【0535】
ステップ4502にて、ガイドワイヤーが、患者のルーメンを通って進み、閉塞物を通って位置付けられる。ステップ4504にて、吸引カテーテルは、吸引カテーテルの遠位端が閉塞物にまたは閉塞物に近接して位置付けられるように、ガイドワイヤーにかぶさって進む。ステップ4506にて、デリバリーカテーテルは、デリバリーカテーテルの遠位端が吸引カテーテルの遠位端に近接して位置するように吸引カテーテルを通って進む。ステップ4508にて、回収デバイスは、デリバリーカテーテルを通して展開されて、回収デバイスの先端部に取り付けられた遠位要素が閉塞物の中にまたは完全に通過して閉塞物を越えて位置付けられるようにする。
【0536】
ステップ4510にて、遠位要素は、回収デバイスのハンドルの第1スライダーを使用して所望の径へと機械的に拡張される。実施形態によっては、遠位要素は、先端部の遠位端に近接して固定的に取り付けられている機械的に拡張可能で剛性のアンカーである。
【0537】
ステップ4512にて、近位要素(これも先端部に取り付けられている)は、回収デバイスのハンドルの第2スライダーを使用して所望の径へと機械的に拡張される。
【0538】
ステップ4514にて、近位要素は、先端部に沿って軸方向に(1以上の前後運動で)動かされ、閉塞物を遊離させる(および血管を掻爬する)。実施形態によっては、近位要素の軸方向の前後の動きは、結果的に閉塞物の少なくとも一部を近位要素と遠位要素との間に捕捉することとなる。
【0539】
様々な実施形態において、先端部の遠位端に近接する剛性の遠位要素の固定の後に、第1スライダーを使用する遠位要素の機械的拡張(ニチノールの温度ベースの拡張とは対照的に)が、ルーメン内の適所に固定するためおよび/または好適には、閉塞物に押し込むために必要な最低限の剛性を遠位要素に提供することが続く。当業者であれば、遠位要素が剛性でなく強固に固定されていない場合、回収デバイスに閉塞物を遊離させるのに十分な梃子の作用がないかもしれないことが理解されるだろう。
【0540】
実施形態によっては、必要な剛性の度合いを実現しながら、先端部および(遠位要素が閉塞物の中に位置付けられている実施形態では)閉塞物に遠位要素を固定することは、閉塞物に対して所望の位置に遠位要素をロックし、近位要素が遠位要素に対して長手方向に前後に動くことを可能にして閉塞物を遊離させる。
【0541】
ある実施形態では、遠位要素は、閉塞物内に位置付けられて拡張し(釣り針のように)、他の実施形態では、遠位要素は、閉塞物に対して遠位に(または閉塞物を越えて)位置付けられて拡張される。ある実施形態では、拡張した(凹形またはカップ形状の)遠位要素へと完全に動かされることができて、万力のようなグリップを作って近位要素と遠位要素との間に閉塞物を捕集するように、近位要素は、閉塞物に対して近位で(閉塞物より前で)または閉塞物の中で拡張される。実施形態によっては、一旦、閉塞物が近位要素と遠位要素との間に捕らえられると、近位要素が、完全に遠位要素の中にまたは遠位要素に近接したところへと動くように、近位要素と遠位要素との間の距離は、さらに縮小されてもよい。
【0542】
ステップ4516にて、吸引が使用されて、閉塞物の少なくとも一部を同時並行で除去する。実施形態によっては、吸引は、吸引カテーテルの近位端に負圧をかけることで行われる。
【0543】
ステップ4518にて、近位および遠位要素は、機械的に圧縮/崩壊され、引っ張り戻されて、ルーメンから除去される。
【0544】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の一部、および遠位要素を患者のルーメンから一緒に引き出すことによって、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の一部は除去される。
【0545】
実施形態によっては、近位要素、閉塞物の第1部分、および遠位要素を引き出すことによって、近位要素と遠位要素との間に捕捉されている閉塞物の第1部分は除去され、一方で、残っている第2部分は吸引カテーテルを使用して吸引される。様々な実施形態において、閉塞物を除去する正確な技術は、患者の身体内の閉塞物の解剖学的位置ならびに閉塞物の複雑さおよび密度等であるが、これらに限定されない要因に応じて変化する。しかしながら、様々な実施形態において、閉塞物の除去には、遠位要素に対して近位要素を動かして閉塞物を遊離させ、捕集し、吸引することがある程度含まれる。
【0546】
いくつかの態様によると、血管内腔から閉塞物を除去することに関連した様々な処置中に、少なくとも1つの圧力変換器またはセンサー(例えば、光ファイバー圧力センサー、電気機械的圧力センサー、および油圧センサー等)が、本明細書の回収デバイスと共に使用される吸引カテーテルの遠位端に位置付けられる。実施形態によっては、少なくとも1つの圧力変換器またはセンサーは、吸引カテーテルへと共押出された長尺部材の形態をしており、吸引カテーテルの全長に沿って長尺部材が伸びるようになっている。実施形態において、圧力変換器またはセンサーは、回収デバイスのハンドルに位置する電子回路と電気的に連絡している。ハンドルは、圧力ディスプレイを含む。様々な実施形態において、圧力変換器またはセンサーは、圧力変化または降下を感知し、特に、閉塞物が除去されるにつれて右心圧における右側の低下を示す圧力の関連した変化があることを医師に知らせる。右心圧における右側の低下は、問題のある閉塞物がうまく除去されていることを示唆する。
【0547】
上記の例は、本明細書のシステムの多くの用途の例示に過ぎない。本明細書中には本発明のほんの少しの実施形態のみが説明されているが、本発明の主旨または範囲から逸脱することなく、その他の多くの特有の形態で具現化されうることが理解されるべきである。そのため、本例および実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではないと考えられ、本発明は添付の請求項の範囲内で変更されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1要素と第2要素と
が設けられている長尺部材であって、
前記第1要素は、前記長尺部材の第1領域で前記長尺部材に放出可能に係合され、
前記第1要素は、第1形態から第1拡張形態へと拡張し、前記第1拡張形態から第2形態へと収縮するように構成され、
前記第2要素は、前記長尺部材の第2領域で前記長尺部材に係合され、前記長尺部材の前記第2領域は、前記長尺部材の前記第1領域に対して遠位にあり、
前記第2要素は、第3形態から第2拡張形態へと拡張し、前記第2拡張形態から第4形態へと収縮するように構成されている、長尺部材と、
前記長尺部材と物理的に接続しているハンドルであって、前記ハンドルは、第1物理的操作可能インターフェースと、第2物理的操作可能インターフェースと、
第3物理的操作可能インターフェースとを備え、
前記第1物理的操作可能インターフェースは、
前記第1物理的操作可能インターフェースが動かされると、前記第1形態から前記第1拡張形態へと前記
第1要素を機械的に拡張させ、
前記第1拡張形態から前記第2形態へと前記第1要素を収縮させるように構成され、
前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記第2物理的操作可能インターフェースが動かされると、前記第3形態から前記第2拡張形態へと前記第2要素を機械的に拡張させ、前記第2拡張形態から前記第4形態へと前記第2要素を収縮させるように構成され、
前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記第3物理的操作可能インターフェースが動かされると、前記第1要素を前記長尺部材から切り離し、これにより放出し、前記第1要素を前記第2要素に向かって前記長尺部材に沿って軸方向に動かすように構成されている、ハンドルと、を備える、患者の血管から不要物質を除去するように構成されているデバイス。
【請求項2】
前記第1物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの
第1長さに沿って軸方向に動かされるように
構成されている第1スライダーを備え、前記
第1スライダーを前記ハンドルの前記
第1長さに沿って軸方向に動かすと、前記
第1要素は、
前記第1形態から前記第1拡張形態へと拡張または
前記第1拡張形態から前記第2形態へと収縮する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの
第2長さに沿って軸方向に動かされるように
構成されている第2スライダーを備え、前記
第2スライダーを
前記ハンドルの前記
第2長さに沿って軸方向に動かすと、前記
第2要素は、
前記第3形態から前記第2拡張形態へと拡張または
前記第2拡張形態から前記第4形態へと収縮する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第3物理的操作可能インターフェースは、前記ハンドルの第3長さに沿って軸方向に動かされるように構成されている第3スライダーを備え、前記第3スライダーを前記ハンドルの前記第3長さに沿って軸方向に動かすと、前記第1要素は、前記第2要素へ向けて前記長尺部材に沿って軸方向に動く、請求項1に記載のデバイス。
【国際調査報告】