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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A61B1/008 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559184
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 IB2022050700
(87)【国際公開番号】W WO2022162566
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】110103510
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523217846
【氏名又は名称】シエ チャン-ビ
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シエ チャン-ビ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF32
4C161FF35
4C161HH32
4C161HH42
4C161JJ11
(57)【要約】
【解決手段】
内視鏡(100)は、挿入管装置(2)と制御装置(8)とを含む。挿入管装置(2)は、弾性支持ユニット(3)とレンズユニット(4)と管状スリーブユニット(7)とを含む。弾性支持ユニット(3)は、遠位ディスク(31)と、近位ディスク(33)と、中間ディスク(32)と、ディスクの間にそれぞれ接続される第1及び第2のばね(34、35)と、を含む。レンズユニット(4)は、レンズ座(41)とレンズモジュール(42)とを含む。管状スリーブユニット(7)は、レンズ座(41)及び弾性支持ユニット(3)に被せられる。制御装置(8)は、グリップ(81)と、挿入管装置(2)に接続される角度制御モジュール(85)と、を含む。角度制御モジュール(85)は、遠位ディスク(31)を移動させ、第1のばね(34)を屈曲させるように操作可能であることにより、遠位ディスク(31)の角度を制御する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入管装置(2)と、制御装置(8)と、を含み、
前記挿入管装置(2)は、弾性支持ユニット(3)と、レンズユニット(4)と、管状スリーブユニット(7)と、を含み、
前記弾性支持ユニット(3)は、遠位ディスク(31)と、近位ディスク(33)と、前記遠位ディスク(31)と前記近位ディスク(33)との間に配置される中間ディスク(32)と、屈曲可能であり、前記遠位ディスク(31)と前記中間ディスク(32)との間に接続される第1のばね(34)と、屈曲可能であり、前記中間ディスク(32)と前記近位ディスク(33)との間に接続される第2のばね(35)と、を含み、前記遠位ディスク(31)と前記第1のばね(34)と前記中間ディスク(32)と前記第2のばね(35)と前記近位ディスク(33)とは、前記第1のばね(34)及び前記第2のばね(35)が屈曲していない時に、互いに同軸に配置され、前記遠位ディスク(31)は、前面(311)と後面(312)とを有し、前記遠位ディスク(31)の前記後面(311)は、前記第1のばね(34)に面し、
前記レンズユニット(4)は、前記遠位ディスク(31)の前記前面(311)に取り付けられるレンズ座(41)と、前記レンズ座(41)に取り付けられ、画像を取り込むための第1のレンズモジュール(42)と、を含み、
前記管状スリーブユニット(7)は、前記レンズ座(41)と前記弾性支持ユニット(3)とに被せられ、
前記制御装置(8)は、前記弾性支持ユニット(3)の前記近位ディスク(33)に接続されるグリップ(81)と、前記グリップ(81)に設置され、前記挿入管装置(2)に接続される角度制御モジュール(85)と、前記グリップ(81)に取り付けられ、信号伝送及び電力伝送のために前記第1のレンズモジュール(42)に電気的に接続される信号線モジュール(86)と、を含み、前記角度制御モジュール(85)は、前記遠位ディスク(31)を前記中間ディスク(32)に対して移動させ、前記第1のばね(34)を屈曲させるように操作可能であることにより、前記遠位ディスク(31)の前記中間ディスク(32)に対する角度を制御する、
内視鏡(100)。
【請求項2】
前記管状スリーブユニット(7)は、前記遠位ディスク(31)及び前記レンズ座(41)に被せられる第1のシリコンチューブ(71)と、前記第1のシリコンチューブ(71)に接続され、前記遠位ディスク(31)及び前記中間ディスク(32)に被せられる第2のシリコンチューブ(72)と、前記第2のシリコンチューブ(72)に接続され、前記中間ディスク(32)及び前記近位ディスク(33)に被せられる第3のシリコンチューブ(73)と、を含み、前記第2のシリコンチューブ(72)は、曲げを容易にするために、その内表面及び外表面の少なくとも1つに形成されるらせん溝(720)を有する、請求項1に記載の内視鏡(100)。
【請求項3】
前記第3のシリコンチューブ(73)は、曲げを容易にするために、その内表面に形成されるらせん溝(730)を有する、請求項2に記載の内視鏡(100)。
【請求項4】
前記管状スリーブユニット(7)は、前記第1のシリコンチューブ(71)及び前記第2のシリコンチューブ(72)のジョイント部と前記第2のシリコンチューブ(72)及び前記第3のシリコンチューブ(73)のジョイント部とにそれぞれ被せられる2つのシリコンガスケットリング(74)をさらに含む、請求項2又は3に記載の内視鏡(100)。
【請求項5】
前記第1のレンズモジュール(42)は、正面画像を取り込むための前レンズ(421)と、前記前レンズ(421)の周囲に配置される複数の前照明部材(422)と、を含む、請求項1に記載の内視鏡(100)。
【請求項6】
前記第1のレンズモジュール(42)は、前記レンズ座(41)に取り付けられ、前記前レンズ(421)及び前記前照明部材(422)を覆う透明カバー部材(423)をさらに含む、請求項5に記載の内視鏡(100)。
【請求項7】
前記レンズ座(41)は、前面(411)と、前記前面の反対側にあり、前記遠位ディスク(31)に接触する後面(412)と、前記前面及び前記後面を相互接続する側面(413)と、を有し、
前記レンズユニット(4)は、前記レンズ座(41)の前記側面(413)を介して前記レンズ座(41)に埋め込まれる第2のレンズモジュール(43)をさらに含み、
前記管状スリーブユニット(7)は、前記第2のレンズモジュール(43)に位置合わせされる開口(713)を有し、
前記第2のレンズモジュール(43)は、前記開口(713)を介して側面画像を取り込むための側レンズ(431)と、前記側レンズ(431)の周囲に配置される複数の側照明部材(432)と、を含む、請求項5に記載の内視鏡(100)。
【請求項8】
前記挿入管装置(2)は、前記レンズ座(41)に被せられるノズルリング(51)と、前記ノズルリング(51)に流体的に接続され、前記遠位ディスク(31)、前記中間ディスク(32)、及び前記近位ディスク(33)を通して延伸し、前記制御装置(8)に接続される第1の可撓性導管(52)と、を含むノズルユニット(5)をさらに含み、
前記ノズルリング(51)は、互いに角度的に間隔をおいてある複数の噴射口(510)が形成される環状の前面を有し、
前記第1のシリコンチューブ(71)は、前記ノズルリング(51)を覆い、前記ノズルリング(51)の前記噴射口(510)にそれぞれ流体的に連通する複数の第1のスルーホール(711)を有し、
前記制御装置(8)は、前記グリップ(81)に取り付けられ、前記第1の可撓性導管(52)に流体的に接続される液体バルブ(82)及び空気バルブ(83)をさらに含む、請求項2又は3に記載の内視鏡(100)。
【請求項9】
前記挿入管装置(2)は、前記レンズ座(41)に被せられる吸引リング(61)と、前記吸引リング(61)に流体的に接続され、前記遠位ディスク(31)、前記中間ディスク(32)、及び前記近位ディスク(33)を通して延伸し、前記グリップ(81)に接続される第2の可撓性導管(62)と、を含む吸引ユニット(6)をさらに含み、
前記吸引リング(61)は、互いに角度的に間隔をおいてある複数の吸引口(610)が形成される環状の側面を有し、
前記第1のシリコンチューブ(71)は、前記吸引リング(61)をさらに覆い、前記吸引リング(61)の前記吸引口(610)にそれぞれ流体的に連通する複数の第2のスルーホール(712)をさらに有し、
前記制御装置(8)は、前記グリップ(81)に取り付けられ、前記第2の可撓性導管(62)に流体的に接続される吸引バルブ(84)をさらに含む、請求項8に記載の内視鏡(100)。
【請求項10】
前記遠位ディスク(31)は、前記遠位ディスク(31)の中心軸に平行に延伸し、前記第1のばね(34)の両側にそれぞれ配置される2つの導管通過孔(302)を有し、
前記中間ディスク(32)は、前記中間ディスク(32)の中心軸に平行に延伸し、前記第1のばね(34)及び前記第2のばね(35)の両側にそれぞれ配置される2つの導管通過孔(302)を有し、
前記近位ディスク(33)は、前記近位ディスク(33)の中心軸に平行に延伸し、前記第2のばね(35)の両側にそれぞれ配置される2つの導管通過孔(302)を有し、
前記ノズルユニット(5)の前記第1の可撓性導管(52)は、前記遠位ディスク(31)の前記導管通過孔(302)の1つと前記中間ディスク(32)の前記導管通過孔(302)の1つと前記近位ディスク(33)の前記導管通過孔(302)の1つとを通して延伸し、
前記吸引ユニット(6)の前記第2の可撓性導管(62)は、前記遠位ディスク(31)の前記導管通過孔(302)の他の1つと前記中間ディスク(32)の前記導管通過孔(302)の他の1つと前記近位ディスク(33)の前記導管通過孔(302)の他の1つとを通して延伸する、請求項9に記載の内視鏡(100)。
【請求項11】
前記中間ディスク(32)は、前記中間ディスク(32)の中心軸に平行に延伸し、前記第1のばね(34)及び前記第2のばね(35)の両側にそれぞれ配置される2つのワイヤ通過孔(303)を有し、
前記近位ディスク(33)は、前記近位ディスク(33)の中心軸に平行に延伸し、前記第2のばね(35)の両側にそれぞれ配置される2つのワイヤ通過孔(303)を有し、
前記角度制御モジュール(85)は、前記グリップ(81)に取り付けられるスプロケット部材(851)と、前記グリップ(81)内に配置され、前記スプロケット部材(851)と係合するチェーン(853)と、2つの引張ワイヤ(852)と、を含み、
前記引張ワイヤ(852)の1つは、前記中間ディスク(32)の前記ワイヤ通過孔(303)の1つと前記近位ディスク(33)の前記ワイヤ通過孔(303)の1つとを通して延伸し、前記チェーン(853)の一端及び前記遠位ディスク(31)の前記後面(312)にそれぞれ接続される両端を有し、
前記引張ワイヤ(852)の他の1つは、前記中間ディスク(32)の前記ワイヤ通過孔(303)の他の1つと前記近位ディスク(33)の前記ワイヤ通過孔(303)の他の1つとを通して延伸し、前記チェーン(853)の他の一端及び前記遠位ディスク(31)の前記後面(312)にそれぞれ接続される両端を有し、
前記スプロケット部材(851)は、前記引張ワイヤの1つを放しながら前記引張ワイヤ(852)の他の1つを引くように回転可能であることによって、前記遠位ディスク(31)を前記中間ディスク(32)に対して移動させ、前記第1のばね(34)を屈曲させる、請求項2又は3に記載の内視鏡(100)。
【請求項12】
前記第1のばね(34)は、前記第2のばね(35)の弾性係数より大きい弾性係数を有する、請求項1に記載の内視鏡(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療器具に関し、より詳しくは内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、腸の検査、気管支の検査、腹部の検査、胸腔の検査などの様々な医療検査を行うために使用される。従来の内視鏡は、患者(人間及び動物を含む)の臓器または他の組織の画像を取り込むように、患者の内腔に挿入されるファイバースコープまたはビデオスコープを含む。いくつかの内視鏡は、明確な画像を得るためまたは一部の外科手術を行うために、非常に複雑な構造を有し、その結果、内視鏡の製造コストが高くなる。コスト削減のために、内視鏡を滅菌後に再使用するのが一般的である。
【0003】
しかしながら、後天性免疫不全症候群(AIDS)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの伝染性の高い病気を患っている患者に内視鏡を使用した場合、内視鏡の滅菌手順は、より高い安全基準のために徹底的に実行される必要があるため、時間及びコストがかかることになる。その一方、使い捨ての内視鏡を使用する場合、コストに懸念を抱くことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本開示の目的は、上記の先行技術に関連する欠点を少なくとも1つ軽減することができる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、内視鏡は、挿入管装置と制御装置とを含む。挿入管装置は、弾性支持ユニットとレンズユニットと管状スリーブユニットとを含む。弾性支持ユニットは、遠位ディスクと、近位ディスクと、遠位ディスクと近位ディスクとの間に配置される中間ディスクと、屈曲可能であり、遠位ディスクと中間ディスクとの間に接続される第1のばねと、屈曲可能であり、中間ディスクと近位ディスクとの間に接続される第2のばねと、を含む。遠位ディスクと第1のばねと中間ディスクと第2のばねと近位ディスクとは、第1のばねと第2のばねとが屈曲していない時に、互いに同軸に配置される。遠位ディスクは、前面と後面とを有する。遠位ディスクの後面は、第1のばねに面する。レンズユニットは、遠位ディスクの前面に取り付けられるレンズ座と、レンズ座に取り付けられ、画像を取り込むための第1のレンズモジュールと、を含む。管状スリーブユニットは、レンズ座と弾性支持ユニットとに被せられる。制御装置は、弾性支持ユニットの近位ディスクに接続されるグリップと、グリップに設置され、挿入管装置に接続される角度制御モジュールと、グリップに取り付けられ、信号伝送及び電力伝送のために第1のレンズモジュールに電気的に接続される信号線モジュールと、を含む。角度制御モジュールは、遠位ディスクを中間ディスクに対して移動させ、第1のばねを屈曲させるように操作可能であることにより、遠位ディスクの中間ディスクに対する角度を制御する。
【0006】
本開示の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照する以下の実施形態の詳細な説明において明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示に係る内視鏡の一実施形態が示される部分的な側面図である。
図2】該実施形態の挿入管装置が示される部分的な斜視図である。
図3】該実施形態の挿入管装置が示される部分的な側面断面図である。
図4】該実施形態の管状スリーブユニットが省略されている挿入管装置が示される部分的な斜視図である。
図5図3の部分的な拡大図である。
図6】該実施形態が示される部分的な一部分解斜視図である。
図7】該実施形態の挿入管装置が示される部分的な側面断面図である。
図8図7の部分的な拡大図である。
図9】該実施形態の制御装置の角度制御モジュールが示される部分的な側面図である。
図10図7と同様の図であるが、該実施形態の挿入管装置が角度制御モジュールにより駆動され、屈曲されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照し、本開示に係る内視鏡100の実施形態は、可撓性を有し、患者の内腔に挿入するための挿入管装置2と、挿入管装置2の端部に接続される制御装置8と、を含む。
【0009】
図2図3、及び図4を参照し、挿入管装置2は、弾性支持ユニット3と、レンズユニット4と、ノズルユニット5と、吸引ユニット6と、管状スリーブユニット7と、を含む。
【0010】
弾性支持部材3は、遠位ディスク31と、近位ディスク33と、遠位ディスク31と近位ディスク33との間に配置される中間ディスク32と、屈曲可能であり、遠位ディスク31と中間ディスク32との間に接続される第1のばね34と、屈曲可能であり、中間ディスク32と近位ディスク33との間に接続される第2のばね35と、を含む。遠位ディスク31と、第1のばね34と、中間ディスク32と、第2のばね35と、近位ディスク33とは、第1のばね34と第2のばね35とが屈曲していない時に、互いに同軸に配置される。図5をさらに参照すると、遠位ディスク31は、前面311と後面312とを有する。遠位ディスク31の後面312は、第1のばね34に面する。
【0011】
遠位ディスク31と中間ディスク32と近位ディスク33とのそれぞれは、外周面を有し、外周面には外周面の周囲に延伸する円形溝301が形成されている。図6をさらに参照すると、遠位ディスク31は、遠位ディスク31の中心軸に平行に延伸し、第1のばね34の両側にそれぞれ配置される2つの導管通過孔302を有する。中間ディスク32は、中間ディスク32の中心軸に平行に延伸し、第1のばね34と第2のばね35との両側にそれぞれ配置される2つの導管通過孔302を有する。中間ディスク32は、中間ディスク32の中心軸に平行に延伸し、第1のばね34と第2のばね35との両側にそれぞれ配置される2つのワイヤ通過孔303をさらに有する。近位ディスク33は、近位ディスク33の中心軸に平行に延伸し、第2のばね35の両側にそれぞれ配置される2つの導管通過孔302を有する。近位ディスク33は、近位ディスク33の中心軸に平行に延伸し、第2のばね35の両側にそれぞれ配置される2つのワイヤ通過孔303をさらに有する。
【0012】
本実施形態において、第1のばね34及び第2のばね35は、遠位ディスク31及び中間ディスク32を曲げ可能に支持するコイルばねである。第1のばね34が第2のばね35の弾性係数より大きい弾性係数を有するため、第1のばね34は、第2のばね35より容易に屈曲することができる。
【0013】
図2図3、及び図5を参照し、レンズユニット4は、レンズ座41と、第1のレンズモジュール42と、第2のレンズモジュール43と、を含む。レンズ座41は、遠位ディスク31の前面311に取り付けられ、前面411と、前面411の反対側にあり、遠位ディスク31の前面311に接触する後面412と、前面411と後面412とを相互接続する側面413と、を有する。第1のレンズモジュール42は、レンズ座41の前面411に取り付けられる。第2のレンズモジュール43は、レンズ座41の側面413を介して、レンズ座41に埋め込まれる。
【0014】
具体的には、第1のレンズモジュール42は、正面画像を取り込むための前レンズ421と、前レンズ421の周囲に配置され、前レンズ421の前方の領域を照らすための複数の前照明部材422と、レンズ座41に取り付けられ、前レンズ421と前照明部材422とを覆う透明カバー部材423と、を含む。第2のレンズモジュール43は、側面画像を取り込むための側レンズ431と、側レンズ43の周囲に配置され、側レンズ431の周囲の領域を照らすための側照明部材432と、を含む。
【0015】
図4図6、及び図7を参照し、ノズルユニット5は、レンズ座41に被せられるノズルリング51と、ノズルリング51に流体的に接続され、遠位ディスク31と中間ディスク32と近位ディスク33とを通して延伸する第1の可撓性導管52と、を含む。図4及び図6に示されるように、ノズルリング51は、互いに角度的に間隔をおいてある複数の噴射口510が形成される環状の前面を有する。第1の可撓性導管52は、遠位ディスク31の導管通過孔302の1つと中間ディスク32の導管通過孔302の1つと近位ディスク33の導管通過孔302の1つとを通して延伸し、制御装置8に提供される液体または空気をノズルリング51に導入するために制御装置8に接続される。
【0016】
吸引ユニット6は、レンズ座41に被せられる吸引リング61と、吸引リング61に流体的に接続され、遠位ディスク31と中間ディスク32と近位ディスク33とを通して延伸する第2の可撓性導管62と、を含む。図4及び図6に示されるように、吸引リング61は、互いに角度的に間隔をおいてある複数の吸引口610が形成される環状の側面を有する。第2の可撓性導管62は、遠位ディスク31の導管通過孔302の他の1つと中間ディスク32の導管通過孔302の他の1つと近位ディスク33の導管通過孔302の他の1つとを通して延伸し、制御装置8の陰圧を吸引リング61に導入するために制御装置8に接続される。
【0017】
図2図4図5、及び図7を参照し、管状スリーブユニット7は、可撓性を有し、レンズ座41と弾性支持ユニット3とに被せられる。管状スリーブユニット7は、遠位ディスク31とレンズ座41とに被せられる第1のシリコンチューブ71と、第1のシリコンチューブ71に接続され、遠位ディスク31と中間ディスク32とに被せられる第2のシリコンチューブ72と、第2のシリコンチューブ72に接続され、中間ディスク32と近位ディスク33とに被せられる第3のシリコンチューブ73と、第1のシリコンチューブ71及び第2のシリコンチューブ72のジョイント部と第2のシリコンチューブ72及び第3のシリコンチューブ73のジョイント部とに被せられ、これらのジョイント部を密封する2つのシリコンガスケットリング74と、を含む。
【0018】
具体的には、図3図5、及び図7に示されるように、第1のシリコンチューブ71は、ノズルリング51及び吸引リング61を覆うように配置され、遠位ディスク31の円形溝301の半分に適合して、円形溝301の半分を占める。第1のシリコンチューブ71は、ノズルリング51の噴射口510にそれぞれ流体的に連通する複数の第1のスルーホール711と、吸引リング61の吸引口610にそれぞれ流体的に連通する複数の第2のスルーホール712と、第2のレンズモジュール43に位置合わせされる開口713と、を有し、第2のレンズモジュール43は、開口713を介して画像を取り込むことができる。
【0019】
第2のシリコンチューブ72は、遠位ディスク31の円形溝301と中間ディスク32の円形溝301とにそれぞれ適合し、遠位ディスク31の円形溝301の他の半分と中間ディスク32の円形溝301の半分をそれぞれ占める相対する両端を有する。第2のシリコンチューブ72は、曲げを容易にするために、第2のシリコンチューブ72の内表面と外表面とにそれぞれ形成される2つのらせん溝720をさらに有する。他の実施形態において、第2のシリコンチューブ72は、第2のシリコンチューブ72の内表面と外表面との1つに形成される1つのみのらせん溝720を有してもよい。
【0020】
第3のシリコンチューブ73は、中間ディスク32の円形溝301と近位ディスク33の円形溝301とにそれぞれ適合し、中間ディスク32の円形溝301の他の半分と近位ディスク33の円形溝301とをそれぞれ占める相対する両端を有する。第3のシリコンチューブ73は、曲げを容易にするために、第3のシリコンチューブ73の内表面に形成されるらせん溝730をさらに有する。
【0021】
図1図5、及び図9をさらに参照し、制御装置8は、弾性支持ユニット3の近位ディスク33に接続されるグリップ81と、グリップ81に取り付けられ、第1の可撓性導管52に流体的に接続される液体バルブ82及び空気バルブ83と、グリップ81に取り付けられ、第2の可撓性導管62に流体的に接続される吸引バルブ84と、グリップ81に設置され、挿入管装置2に接続される角度制御モジュール85と、グリップ81に取り付けられる信号線モジュール86と、を含む。
【0022】
液体バルブ82は、液体ポンプ(図示せず)に結合されるように適合され、液体ポンプによって生成された液体の流れを第1の可撓性導管52に導入することを可能にするように操作可能であるように構成される。空気バルブ83は、空気ポンプ(図示せず)に結合されるように適合され、空気ポンプによって生成された空気の流れを第1の可撓性導管52に導入することを可能にするように操作可能であるように構成される。吸引バルブ84は、陰圧源(図示せず)に結合されるように適合され、陰圧源によって生成された陰圧を第2の可撓性導管62に導入することを可能にするように操作可能であるように構成される。
【0023】
角度制御モジュール85は、グリップ81に取り付けられるスプロケット部材851と、グリップ81内に配置され、スプロケット部材851と係合するチェーン853と、2つの引張ワイヤ852と、を含む。引張ワイヤ852の1つは、中間ディスク32のワイヤ通過孔303の1つと近位ディスク33のワイヤ通過孔303の1つとを通して延伸し、チェーン853の一端と遠位ディスク31の後面312とにそれぞれ接続される両端を有する。引張ワイヤ852の他の1つは、中間ディスク32のワイヤ通過孔303の他の1つと近位ディスク33のワイヤ通過孔303の他の1つとを通して延伸し、チェーン853の他の一端と遠位ディスク31の後面312とにそれぞれ接続される両端を有する。遠位ディスク31の後面312に接続される引張ワイヤ852の端部は、第1のばね34の両側にそれぞれ配置される。
【0024】
スプロケット部材851は、引張ワイヤ852の1つを放しながら引張ワイヤ852の他の1つを引くように回転可能であることによって、遠位ディスク31を中間ディスク32に対して移動させ、第1のばね34を屈曲させるようにして、遠位ディスク31の中間ディスク32に対する角度を制御する。
【0025】
信号線モジュール86は、第1のレンズモジュール42と第2のレンズモジュール43とに電気的に接続され、第1のレンズモジュール42と第2のレンズモジュール43とに電力を伝送し且つ第1のレンズモジュール42と第2のレンズモジュール43とから表示装置に信号を伝送するために、外部の表示装置(図示せず)に信号的に接続するように適合され、これによって、表示装置は、第1のレンズモジュール42と第2のレンズモジュール43とによって取り込まれた画像を表示できる。
【0026】
図5図9、及び図10を参照し、使用時、本開示の内視鏡100は、従来の内視鏡と同じ方法で使用することができる。具体的には、挿入管装置2を患者の内腔に挿入することによって、第1のレンズモジュール42は挿入管装置2の挿入方向に沿って正面画像を取り込むことができ、且つ、第2のレンズモジュール43は挿入管装置2の横方向に沿って側面画像を取り込むことができる。第3のシリコンチューブ73にらせん溝730が形成されていることによって、挿入管装置2が挿入されている状態で、第3のシリコンチューブ73は、患者の食道、口腔などの内腔の形状に沿って容易に曲げる。
【0027】
図9及び図10に示されるように、内視鏡100の使用者がレンズユニット4の撮影方向を変更する必要がある場合において、使用者は、遠位ディスク31の中間ディスク32に対する角度とレンズ座41の中間ディスク32に対する角度とを制御するように、所望の方向に従ってスプロケット部材851を回転することによって、レンズユニット4の撮影方向を変更する。容易に曲がるように第2のシリコンチューブ72にらせん溝720が形成されていること及び第1のばね34の弾性係数が第2のばね35の弾性係数より大きいことによって、使用者がレンズユニット4の撮影方向を制御する際に、使用者は、挿入管装置2の遠位ディスク31と中間ディスク32との間の部分を曲げるように、スプロケット部材851を容易に操作することができることによって、遠位ディスク31とレンズ座41との中間ディスク32に対する角度を制御する。
【0028】
使用者が患者の内腔内の組織または透明カバー部材423を洗いたい場合において、液体バルブ82が加圧された液体を第1の可撓性導管52に導入するために開けられ、液体噴流が第1のシリコンチューブ71の第1のスルーホール711を介してノズルリング51の噴射口510から噴射されることによって、組織上の血液または粘液を洗い流したり、透明カバー部材423を洗浄したりする。空気バルブ83は、加圧された空気を第1の可撓性導管52に導入するために開けられ、空気流が第1のシリコンチューブ71の第1のスルーホール711を介してノズルリング51の噴射口510から噴出されることによって、内腔への送気が行われる。吸引バルブ84は、陰圧を第2の可撓性導管62に導入するために開けられることによって、体液及び液体のドレナージを実行すると共に、吸引リング61の吸引口610及び第1のシリコンチューブ71の第2のスルーホール712を介して空気吸引を実行する。
【0029】
本実施形態において、レンズユニット4は、第1のレンズモジュール42と第2のレンズモジュール43とを含むように構成されるが、他の実施形態において、レンズユニット4は、第1のレンズモジュール42と第2のレンズモジュール43とのうちの1つのみを含んでもよい。例えば、レンズユニット4は、第1のレンズモジュール42のみを含んでもよい。このような構成においても、使用者は、依然として、要求に応じて撮影方向を変更するために上記のように第1のレンズモジュール42の方向を制御することができる。
【0030】
本実施形態において、管状スリーブユニット7は、3つのシリコンチューブ、すなわち、第1のシリコンチューブ71と第2のシリコンチューブ72と第3のシリコンチューブ73とを含むように構成されるが、他の実施形態において、管状スリーブユニット7は、1つの細長いシリコンチューブに一体的に形成されてもよい。
【0031】
本実施形態に係る内視鏡100の構成により、内視鏡100の製造コストを大幅に削減することができる。従って、より低コストの内視鏡100を、伝染性の高い病気を患っている患者に使用する場合において、コストをあまり考慮せずに使い捨ての器具として使うことができる。また、伝染性の高い病気を患っていない患者に内視鏡100を使用する場合において、使用者は、内視鏡100の高温滅菌に耐えられないいくつかの構成要素を選択的に廃棄することができる。例えば、内視鏡100の使用後、弾性支持ユニット3は滅菌後に再利用できるが、管状スリーブユニット7とレンズユニット4とノズルユニット5と吸引ユニット6とは取り外されて廃棄される。内視鏡100の部分的に使い捨ての構成は、医療コストの削減を促進する。
【0032】
要約すると、弾性支持ユニット3と管状スリーブユニット7とレンズユニット4との構成により、内視鏡100の製造コストは、その基本機能を犠牲にすることなく、大幅に低減することができる。従って、本開示の内視鏡100は、伝染性の高い病気を患っている患者に使用される場合に、使い捨ての器具として使用することができることによって、感染リスクを低減する。一方、本開示の内視鏡100は、伝染性の高い病気を患っていない患者に使用される場合に、部分的に再利用可能な器具として使用することができることによって、医療コストを低減する。
【0033】
以上、本開示の実施形態および変化例を説明したが、本開示はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【符号の説明】
【0034】
100 内視鏡
2 挿入管装置
3 弾性支持ユニット
301 円形溝
302 導管通過孔
303 ワイヤ通過孔
31 遠位ディスク
311 前面
312 後面
32 中間ディスク
33 近位ディスク
34 第1のばね
35 第2のばね
4 レンズユニット
41 レンズ座
411 前面
412 後面
413 側面
42 第1のレンズモジュール
421 前レンズ
422 前照明部材
423 透明カバー部材
43 第2のレンズモジュール
431 側レンズ
432 側照明部材
5 ノズルユニット
51 ノズルリング
510 噴射口
52 第1の可撓性導管
6 吸引ユニット
61 吸引リング
610 吸引口
62 第2の可撓性導管
7 管状スリーブユニット
71 第1のシリコンチューブ
711 第1のスルーホール
712 第2のスルーホール
713 開口
72 第2のシリコンチューブ
720 らせん溝
73 第3のシリコンチューブ
730 らせん溝
74 シリコンガスケットリング
8 制御装置
81 グリップ
82 液体バルブ
83 空気バルブ
84 吸引バルブ
85 角度制御モジュール
851 スプロケット部材
852 引張ワイヤ
853 チェーン
86 信号線モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】