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特表2023-553544基板積層体の結合体を検査および製造する方法ならびに方法にしたがって製造された密閉封止式筐体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-22
(54)【発明の名称】基板積層体の結合体を検査および製造する方法ならびに方法にしたがって製造された密閉封止式筐体
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/03 20060101AFI20231215BHJP
   G01N 21/95 20060101ALI20231215BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20231215BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20231215BHJP
   B23K 26/244 20140101ALI20231215BHJP
   B23K 26/324 20140101ALI20231215BHJP
   B23K 26/50 20140101ALI20231215BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20231215BHJP
   H01L 23/10 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
B23K26/03
G01N21/95 Z
B23K26/00 P
B23K26/21 N
B23K26/244
B23K26/324
B23K26/50
H01L21/50 A
H01L23/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526984
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021080592
(87)【国際公開番号】W WO2022096551
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】102020129220.1
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】519408803
【氏名又は名称】ショット プリモセラー オサケユイチア
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT PRIMOCELER OY
【住所又は居所原語表記】Vesiroineenkatu 3, 33720 Tampere, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ウルリヒ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンティ マーテネン
(72)【発明者】
【氏名】ペトリ ロッカ
【テーマコード(参考)】
2G051
4E168
【Fターム(参考)】
2G051AA73
2G051AB13
2G051BA20
2G051BB03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CC07
4E168BA02
4E168BA90
4E168CA03
4E168CB22
4E168DA03
4E168DA04
(57)【要約】
本発明に示されているのは、基板積層体の結合体を製造および/または検査する方法であって、この方法には、第2の基板に少なくとも1つの第1の基板を平坦に配置するステップであって、少なくとも2つの基板は、直接に互いに接してまたは重なり合って配置されており、これにより、少なくとも2つの基板の間には、第1の基板と第2の基板とが直接に平坦に接合接触している接合接触面が形成され、第1の基板には透明材料が含まれているステップと、基板積層体の少なくとも1つの接触面において基板積層体に入射ビームを照射することによって発生する反射ビームを検出するステップと、反射ビームから基板積層体の接触面の第1のボンド品質指標Qを求めるステップと、が含まれており、本発明にさらに示されているのは、方法にしたがって製造しかつ/または検査した密閉封止式筐体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板積層体(1,9)の結合体を製造しかつ/または検査する方法であって、前記方法には、次のステップ、すなわち、
第2の基板(4)に少なくとも1つの第1の基板(3)を平坦に配置するステップであって、少なくとも2つの前記基板は、直接に互いに接してまたは重なり合って配置されており、これにより、少なくとも2つの前記基板の間に、前記第1の基板と前記第2の基板とが直接に平坦に接触する接触面(15)を形成し、前記第1の基板には透明材料が含まれているステップと、
前記基板積層体の少なくとも1つの前記接触面において、前記基板積層体に入射ビーム(22)を照射することによって発生する反射ビーム(24,24a)を検出するステップと、
前記反射ビームから前記基板積層体の前記接触面の第1のボンド品質指標Qを求めるステップと、
が含まれている方法。
【請求項2】
前記第1のボンド品質指標QをQ=1-(A-G)/Aと求め、
Aは、前記接触面(15)の面積を表し、
Gは、良好面の面積を表し、
前記良好面Gは、前記基板間の間隔が、5μm未満、好ましくは2μm未満、さらに好ましくは1μm未満、さらに好ましくは0.3μm未満である面を表し、
前記第1のボンド品質指標Qは、0.8以上、好ましくは0.9以上、さらに好ましくは0.95以上である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
単色ビーム源(20)を用いて前記入射ビーム(22)を生成するステップ、または
スペクトル的に適合化されたビーム源(20)を用いて前記入射ビーム(22)を生成するステップであって、かつ/または
前記入射ビーム(22)は低エネルギの入射ビームであり、前記入射ビームは特に、前記基板(3,4)の溶解または溶融を生じさせないビーム出力を有するステップ、および/または
例えばカラーチャネルの、前記反射ビーム(24,24a)から単色または準単色の領域を選択するステップ
をさらに有する、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記反射ビーム(24,24a)からパターンを、特に干渉パターンを読み取るステップであって、特に、前記基板積層体(1,9)の少なくとも1つの前記接触面(15)における前記入射ビームと前記反射ビーム(24,24a)との重ね合わせから読み取るステップを有する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記パターンは、前記パターンが1つまたは複数の欠陥箇所(17)の周りに延在する配置構成を有し、かつ/または
1つの欠陥箇所(17)は、前記基板(3,4)間の間隔が、5μmより大であり、好ましくは2μmより大であり、さらに好ましくは1μmより大であり、さらにより好ましくは0.3μmであることによって特徴付けられている、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記基板積層体(1,9)により、少なくとも1つの機能領域(2)を収容し、前記機能領域は、特に、少なくとも1つの収容対象体(5)を受け入れるために収容空所部として構成されており、かつ/または
前記第1の基板(3)は、外側平坦面と包囲狭小面とを有する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記基板積層体(1,9)は、有効領域Nを有し、前記第1のボンド品質指標Qを計算するために前記有効領域Nだけを使用し、かつ/または
をQ=1-(N-G)/Nと求める、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
特に請求項1から7までのいずれか1項記載の方法を使用して、密閉封止式の筐体(1)を製造する方法であって、前記方法は、次のステップ、すなわち、
第2の基板(4)に少なくとも1つの第1の基板(3)を平坦に配置するステップであって、少なくとも2つの前記基板は、直接に互いに接してまたは重なり合って配置されており、これにより、少なくとも2つの前記基板の間には、前記第1の基板と前記第2の基板とが直接に平坦に接触している接触面(15)が形成され、前記第1の基板には透明材料が含まれているステップと、
少なくとも1つの前記接触面において前記基板積層体に入射ビーム(22)を照射することによって発生する反射ビーム(24)を検出するステップと、
前記反射ビームから前記接触面の第1のボンド品質指標Qを求めるステップと、
前記筐体の少なくとも1つの前記接触面の領域において、少なくとも2つの前記基板を直接に互いに接合することにより、少なくとも2つの前記基板を互いに密閉結合し、これにより、一方では前記第1の基板内に、他方では前記第2の基板内に延びかつ少なくとも2つの前記基板を直接に溶かして互いに接合する接合ゾーン(6)を形成するステップと、
前記筐体の少なくとも1つの前記接触面において前記基板積層体に入射ビームを新たに照射することによって発生する別の反射ビーム(24a)を検出するステップと、
前記別の反射ビームから、密閉接合した前記筐体の前記接触面の第2のボンド品質指標Qを求めるステップと、
を有する方法。
【請求項9】
をQ=1-(A-G)/AまたはQ=1-(N-G)/Nと求め、
Aは、前記接触面(15)の面積であり、
Gは、前記良好面の面積であり、
Nは、有効領域の面積である、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第2のボンド品質指標Qは、0.95以上、好ましくは0.99以上、さらに好ましくは0.999以上であり、かつ/または
は、Qよりも大きく、特にQ/Q>1.001である、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、少なくとも2つの前記基板間の間隔プロフィールを求める(126,150)ことにより、かつ/または、前記密閉結合を保証するためにQが最小要求を満たすことを検査(170)することにより、少なくとも2つの前記基板(3,4)の前記密閉結合を検査するステップをさらに有する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
レーザ接合法を用いて、少なくとも2つの前記基板(3,4)を密閉結合する前記ステップ(140)を実行し、レーザにより、一方では前記第1の基板内に、他方では前記第2の基板内に延びる接合ゾーン(6)を形成し、ここで特に前記基板の周囲を取り囲み、かつ/または1つまたは複数の空所部(2)の周りを取り囲むようにレーザを案内する、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記第1の基板(3)と前記第2の基板(4)との間の間隔プロフィール(126,150)の最大間隔を特定するステップ(130,170)をさらに有し、
前記最大間隔を上回った際に、前記筐体(1)を分解し、前記筐体を清浄化し、適合化した新たな接合ステップを実行し、かつ/または前記筐体を取り除く(175)、
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、
少なくとも2つの前記基板(3,4)を密閉結合する前記ステップ(140)の後、第2の間隔プロフィールを求めることにより、少なくとも2つの前記基板の前記密閉結合を新たに検査するステップ(150)と、
前記第2の間隔プロフィールと前記第1の間隔プロフィールとを比較するステップ(170)と、
をさらに有する、
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記第1の基板(3)は、カバー基板であり、前記第2の基板(4)は、ベース基板であり、
前記カバー基板は、前記ベース基板に直接に当接しているか、または
さらに、前記カバー基板と前記ベース基板との間に配置されている中間基板が含まれており、前記カバー基板は、前記中間基板に直接に配置されており、前記ベース基板は、前記中間基板に直接に配置されている、
請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項にしたがって製造または検査される密閉封止式筐体(1)。
【請求項17】
密閉封止式の筐体(1)であって、前記密閉封止式筐体(1)には、
平坦に広がった少なくとも1つの第1の基板(3)と、
前記第1の基板に隣接して配置されておりかつ平坦に広がった前記第1の基板に直接に接触している第2の基板(4)と、
特に前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置されている、前記筐体によって取り囲まれている少なくとも1つの機能領域(2)と、
が含まれており、
前記第1の基板は、少なくとも1つのレーザボンドライン(6)により、前記第1の基板に隣接して配置された前記第2の基板と直接に密閉接合されており、
前記レーザボンドラインは、一方では前記第1の基板内に、他方では前記第2の基板内に延びかつ少なくとも2つの前記基板を直接に溶かして互いに接合し、
前記筐体は、間隔プロフィール(140)に基づいて計算した品質係数Q≧0.95を有し、かつ/または
前記筐体の前記レーザボンドラインは前記機能領域の周りで完全に閉じられて構成されており、前記レーザボンドラインにおける前記第1の基板と前記第2の基板との間隔は、一貫して0.75μmよりも小さく、好ましくは0.5μmよりも小さく、さらに好ましくは0.3μmよりも小さい、
密閉封止式筐体(1)。
【請求項18】
前記第1の基板(3)は、平坦に、特に平面状に構成されており、さらに特に前記第1の基板(3)の内側面(11)に20nm以下の平均粗さRaを有することによって特徴付けられており、かつ/または
前記第2の基板(4)は、平坦に、特に平面状に構成されており、さらに特に前記第2の基板(4)の内側面(12)に20nm以下の平均粗さRaを有することによって特徴付けられている、
請求項17記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項19】
前記第1の基板(3)は、前記第2の基板(4)と接触平面または接触領域(15)を形成し、前記接触平面または前記接触領域(15)において前記第1の基板と前記第2の基板とは直接に接触しており、前記接触平面には異物材料がなく、特に接着剤またはガラスフリット等の接合材料がない、ことを特徴とする、
請求項17または18記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項20】
前記第2の基板(4)は、ベース基板であり、前記ベース基板と前記第1の基板とは、同じレーザボンドラインにより、互いに密閉接合され、または
前記密閉封止式筐体(1)は、前記第2の基板(4)と前記第1の基板(3)との間に配置されている中間基板をさらに有し、前記第2の基板と前記中間基板とは、第1結合面において接合され、前記第1の基板と前記中間基板とは第2結合面において接合される、
請求項17から19までのいずれか1項記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項21】
少なくとも1つの前記レーザボンドライン(6)は、前記第1の基板(3)の平坦な延在方向に対して垂直な方向に厚みを有する、
請求項17から20までのいずれか1項記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項22】
前記機能領域(2)には、収容対象体(5)、例えば電子回路、センサまたはMEMS等を受け入れるための密閉封止された収容空所部が含まれている、
請求項17から21までのいずれか1項記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項23】
前記第1の基板(3)は、少なくとも部分的に、かつ/または少なくとも一部の領域が、少なくとも1つの波長領域に対して透明に構成されている、
請求項17から22までのいずれか1項記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項24】
前記第1の基板(3)は、ガラス、ガラスセラミックス、ケイ素、サファイアまたは前述の材料の組み合わせから構成されるかまたはこれを含み、かつ/または
前記第1の基板(3)は、セラミックス材料、特に酸化物セラミックス材料から構成されているかまたこれを含む、
請求項17から23までのいずれか1項記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項25】
前記筐体は、前記レーザボンドライン(6)の領域において少なくとも1つの残留応力ゾーンを有する、
請求項17から24までのいずれか1項記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項26】
前記残留応力ゾーンは、前記残留応力ゾーンの領域においてQ/Q≧1であり、好ましくはQ/Q≧1.1であることによって特徴付けられる、
請求項25記載の密閉封止式筐体(1)。
【請求項27】
前記筐体の前記レーザボンドライン(6)は、Q/Q≧1、好ましくはQ/Q≧1.1である場合、前記レーザボンドラインの変動する最大幅(W)を有し、特に、前記レーザボンドラインの光学特性が変化するのに伴って、領域の変動する幅を有する、
請求項17から26までのいずれか1項記載の密閉封止式筐体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板積層体、特に密閉封止式筐体のための準備方法および製造方法と、基板アセンブリと、密閉封止式筐体と、に関する。
【背景技術】
【0002】
密閉封止式筐体は、例えば、筐体の内部にある構成部材を不利な環境条件から保護するために構成されている。したがって、密閉封止式筐体では、影響を受けやすい電子機器、回路または例えばセンサを保護することができる。これにより、例えば心臓の領域において、網膜において、またはバイオプロセッサー用に、センサまたは例えば医療用インプラントを構成して使用することができる。これらは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、バロメータ、血液ガスセンサ、グルコースセンサ等としても使用可能である。チタンから作製されて使用されるバイオプロセッサーが公知である。筐体を利用する別の分野は、例えばウェアラブル、スマートフォン構成部材等の電子機器アプリケーションにおいても、またはVRグラスおよび類似の装置の領域における筐体等にも見出すことができる。本発明による筐体は、例えばエレクトロモビリティの分野におけるフローセルの作製にも使用可能である。別の利用分野は、航空および宇宙飛行において、高温応用において見出すことができ、またマイクロ光学系の分野にも見出すことができる。
【0003】
チタン製のバイオプロセッサーに加えて基本的に公知であるのは、複数の部分をまとめかつこれらの部分を配置して、コンポーネントを収容することができる受入領域が、中間スペースに生じるようにすることである。例えば、欧州特許第3012059号明細書には、光学構成部材を保護するための透明部分を作製する方法が示されている。ここでは、新式のレーザ方法が使用される。
【0004】
電子装置または一般にあらゆる機能装置もしくは機能レイヤを保護するためには、一般的に筐体を密閉封止することが有利である。筐体の製造の枠内では、製造した筐体がどのような良度もしくは品質を有するか、またどのような判断基準で、完成した筐体を使用できるか、または欠陥品にしなければならないかがいつも問題となる。応用事例に応じて、極めて困難になり得るのは、密閉結合が保証されていたか否か、または製造プロセス中にフォールトトレランスが場合によっては発生していた否かを確定することである。例えば、圧力センサ等が設けられていない電子装置を使用する場合、欠陥を有する、筐体の密閉結合体は、最後には、動作時になってはじめて、電子装置が早期に故障してしまうことによって確認されることになり得る。このことは相応に、ユーザーもしくは購入者の返還請求につながってしまうか、または影響を受けやすい測定が、系統的に誤ってしまうかまたは早く終了してしまうことになり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明が課題としたのは、公知の筐体を改善し、特に製造対象の密閉結合体について、筐体の達成可能な品質を評価できるようにし、ここから品質要求についての推定を行えるようにすることである。本発明がさらに課題としたのは、品質保証の枠内において、完成した筐体が品質要求を満たすか否か、またはむしろ場合によっては製造パラメータを再検討すべきであるか否かについての決定判定基準を供与するために、筐体の十分な良度を決定できるようにする境界条件もしくはパラメータを評価することである。したがって、本発明の別の目標は、より信頼性が高くかつ長寿命の筐体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基板積層体の結合体を製造および/または検査する本発明による方法には、第2の基板に少なくとも1つの第1の基板を平坦に配置するステップが含まれており、少なくとも2つの基板は、直接に互いに接してまたは重なり合って配置されており、これにより、少なくとも2つの基板の間には、第1の基板と第2の基板とが直接に平坦に接合接触している接合接触面が形成され、第1の基板には透明材料が含まれている。
【0007】
本出願の趣旨に沿うと、接触面は、接触されるべき2つの基板の対向する面の切断面である。接合接触面とは、2つの基板の互いの間隔が小さく、これによってこの間隔が光学的にもはや測定できない接触面の部分面のことである。最後に、本発明の趣旨に沿うと、以下で詳しく説明するように、基板の互いの間隔が十分に小さいか、または2つの基板間に実際に接触が行われる良好面が定められる。一般に、接触面は、良好面よりもよりも大きいかまたはこれに等しく、良好面それ自体は、接合接触面よりも大きいかまたはこれに等しい。
【0008】
換言すると、まず2つの基板を互いに接して配置し、すなわち、例えば上下に積層し、この際に重力により、上に位置する一般的には第1の基板が第2の基板を押圧する。当然のことながら基板は、空間において任意の方向付けを取ることができ、横に並んだ配置も権利保護範囲を逸脱すべきでないため、上方もしくは下方の方向付けは、単に説明上のことである。2つの基板は一般に、その寸法がより大きな面で互いに当接して配置されている。
【0009】
2つの基板が絶対的に平坦に構成されている場合、すなわち、凹部、凸部または湾曲部を全く有しない場合、このことはこの絶対性において理論的にのみ達成可能であるが、第1の基板および第2の基板は互いに全面的に接合接触することになる。したがって2つの基板は、互いに整列させられた表面の全ての点において接触することになる。これは、一般にまた構成上の現実において達成可能ではない。むしろ、基板が、極めてわずかな程度ではあるが、それでも反り、傾き、曲がり、凹部または凸部を有する場合、これにより、完全な接合接触は、絶対的な例外事例においてのみそもそも実現される。
【0010】
それにもかかわらず、どの基板により、もしくは互いに隣接して配置されるべき基板から形成されるどの基板対により、後に筐体を製造することができるかという、品質保証の意味において有意義な初期値を得ることができるようにするために、本発明の趣旨に沿うと、2つの基板間の間隔が所定の値を下回る接触面の部分である良好面が導入される。例えば、基板間の間隔が2μm未満、好ましくは1μm未満、さらに好ましくは0.3μm未満である、接触面の面もしくは部分が表されるように良好面を定めることができる。この間隔値は有利には、本明細書において後にさらに説明するように、反射ビームパターンを用いて識別して、対応する面に対応付けることが可能である。必要に応じて、基板間の間隔は5μmまたはそれよりも小さくてよいが、それにもかかわらず、対応する領域を良好面に対応付けることができ、このことは、なお発明の説明の現状において、提示した方法の別の最適化の対象である。
【0011】
この際に有利であるのは、第1の基板が透明基板であるか、もしくは透明材料を含み、すなわち一部の領域が、透明に、特定の波長領域について構成される場合であり、これにより、すなわち、一方では第1の基板を貫通して、筐体を完成させるために後にレーザボンドラインが入れられ、また他方では、光路長について基板接触の良度が評価される。
【0012】
本発明の枠内では、基板積層体もしくは筐体は一般に、レーザボンド法を用いて、もしくはレーザボンドラインを有し、このレーザボンドラインを用いて、第1の基板と、第1の基板に隣接して配置された第2の基板と、が直接に密閉接合される。レーザボンドラインは一般に、その接合面に対して垂直方向に高さHLを有する。好ましくは、レーザボンドラインは、高さHL以下で、またはHL/2以下でレーザボンドラインの上方に配置されている基板の材料内に延びる。反対に、レーザボンドラインは、レーザボンドラインの下にある基板の材料内に例えば高さHL/2以上で延びる。
【0013】
筐体を形成するために、筐体に第1の基板および第2の基板だけが含まれる場合、第1の基板と第2の基板とは、互いに直接に接合され、筐体は、例えば、レーザボンドラインを有する。この場合、筐体はさらに、接合面を有するか、もしくは基板が互いに接合される接合領域を有する。別の実施例では、筐体は、3つ以上の基板から積層されて構成されていてよく、第1の基板と第2の基板とが直接に接合され、また第2の基板と、同様に筐体の底部を形成するベース基板と、が直接に接合される。この実施例では、筐体は、筐体が接合される2つの接触ゾーンもしくは2つの接合領域を有する。筐体は2つ以上の接合面を有していてよい。
【0014】
例えば、媒介物または接着剤を使用する必要なく、第1の基板と第2の基板とが溶解して直接に互いに接合される。レーザボンドラインは、物理的な観点からも、接合対象の2つの基板のうちの1つにおいて設定することができ、したがってレーザの目標点は、2つの基板のうちの1つに位置していてよく、レーザボンドラインはつねに、接合対象の2つの基板内に共通に延在している。接合ステップでは、もしくはレーザボンドラインにおいて、一方の基板と他方の基板との間の固定でありかつ着脱できない密閉結合体を製造するために、一方の基板の溶融した材料と他方の基板の材料とが溶け合う。
【0015】
互いに接してまたは重なり合わせて直接に基板を配置しようとする場合、このことは、少なくとも2つの基板を互いに接して配置しもしくは被着し、これにより、特に、他の材料または層が少なくとも2つの基板の間に設けられるかまたは挿入されることなく、これらの基板が平坦に互いに接して位置するようにすることを意味する。場合によっては、技術的理由から、基板層の間のごく少量のガス含有物または不純物、例えば塵粒等は回避することはできない。これは、基板層間のマイクロ領域において、または基板層の表面においても、場合によっては起こり得る凹凸から生じることもある。レーザによって作製される接合ゾーンもしくはレーザボンドラインにより、好ましくは、例えば、10μm~50μmの高さHLが設けられる場合、レーザボンドラインにより、密閉シーリングが保証される。というのは、2つの基板間に場合によって生じる間隔を埋めることができるからである。
【0016】
レーザボンドラインは、間隔DFで機能領域の周りを取り囲むことができる。機能領域の周りの間隔DFは一定であってよく、これにより、レーザボンドラインはそれぞれの面において、おおよそ同じ間隔で、機能領域の周りに配置されている。間隔DFは、応用事例に応じて変更可能でもあり、このことは、例えば、共通の作業ステップにおいて複数の筐体が接合される場合、または機能領域が円形または任意の形状を有しかつレーザボンドラインが直線で引かれる場合に、場合によっては製造技術的により有利になることがある。空所部が、光学特性を有し、例えば、集光レンズ等のレンズの形態で成形される場合も、空所部の周りにレーザボンドラインを構成することができ、必要に応じて空所部に対して異なる間隔を有することができる。筐体には複数の空所部が含まれていてもよい。
【0017】
本方法の枠内では、基板積層体の少なくとも1つの接触面において、基板積層体に入射ビームを照射することによって発生する反射ビームを検出する。換言すると、基板積層体を照射もしくは照明し、これにより、基板の表面において入射ビームから反射ビームを生成する。反射ビームは、反射された入射ビームであってよく、入射ビームは、複数の表面のうち1つにおいて所定の割合で反射される。基板が2つの場合には、これには、すでにこのような反射を生じさせ得る4つの表面が対象となり得る。これらは、第1の基板の外側面、第1の基板の内側面、第2の基板の内側面および第2の基板の外側面である。
【0018】
換言すると、第1の基板は、外側面を有し、または周囲に向かって配向されておりかつ実質的に平坦にもしくは平らに構成されている外側平坦面も有する。外側平坦面に接しかつ一般に、外側平坦面に直角に向き付けられており、例えば、外側平坦面のエッジを取り巻いて構成されているのは、包囲狭小面である。1つの実施例では、第1の基板は、面積の大きい2つの面(すなわち外側面および内側面)と、これら面積の大きな面の間に配置された4つのより小さな面であって、特に2つの面積の大きな面に垂直に立ちかつ面積の大きな面に隣接しているより小さな面と、を有する、プレートまたは平行6面体として表すことができる。この場合、4つのより小さな面は一緒に、包囲狭小面を形成し、上面は、第1の基板の外側平坦面を形成する。上面は一般に、包囲狭小面を合わせたより小さな面よりも大きな表面を有する。大きさおよび大きさの比についてのこれらの説明は、第2の基板にも同様に成り立ってよい。
【0019】
2つの基板が接合接触する領域では、2つの基板の内側面では反射は全く行われないかまたは言うに値する反射は行われないため、この割合は比較的小さい。しかしながら2つの基板が分かれている、すなわち2つの基板の間に間隔があり、したがって2つの基板が、この部分領域において接合接触していない場合、2つの基板の4つの全ての表面において入射ビームはそれぞれ所定の割合で反射する。
【0020】
例えば3つの基板のように、より多くの基板がある場合、対応して6つ以上の表面を考慮しなければならないことがある。他方では、例えば、下に配置される基板は、そこにビームが侵入しないかもしくはそこで消失しないように不透明にすることができる。この場合には、複数の基板において、例えば、4つの表面、もしくは基板の個数の2倍よりも少ない表面だけを考慮できることもあり得る。
【0021】
基板積層体から測定装置もしくは観察装置に入射する反射ビームから、基板積層体の接触面の第1のボンド品質指標Qを求める。反射ビームは特に好ましくは、基板積層体の少なくとも1つの接触面において直接に発生する。これは、好ましくは光学的な境界面、すなわち第1の基板もしくは第2の基板の表面における後方散乱である。互いに当接する第1の基板もしくは第2の基板の接触面間に間隙が残っている(すなわち2つの接触面間にわずかでも小さい間隔がある)場合、第1の接触面における後方散乱と、第2の接触面における後方散乱と、の間にビームの経路差が生じ得る。経路差は、光ビームが異なる大きさで進んだ経路長によって生じ得る。したがって、例えば検出器において2つの後方散乱が重ね合わされると、例えば干渉パターンの形態の重ね合わせを確認することができる。干渉パターンを評価することによって最終的に、接触面のそれぞれの箇所において、第1の接触面と、隣接する第2の接触面と、の間隔を特定することができる。
【0022】
基本的に有利であり得るのは、接触面において、入射ビームを基本的に反射し、すなわち、接触面が互いに残存間隔を有するか否か、またはこれらが互いに完全に接触している(接合接触している)か否かとは無関係に、つねに後方散乱が生じるようにすることである。この場合、後方散乱の形状、特に生じる干渉パターンの形状から、残存している可能性のある間隔をより容易に推定することができる。例えば、干渉パターンの形状は、第1の接触面と第2の接触面との間の間隔に依存していてよく、これにより、干渉パターンの形状から間隔を推定することができる。このために有利であり得るのは、間隔がない場合であっても反射ビームが検出器に進むことである。
【0023】
さらに、本発明において提案したようにボンド品質指標を求めるために特に有利であるのは、2つの接触面が互いに接近して並んで配置されている場合である。したがってさらに好ましいのは、接触面間に別の構成部材、剥離防止剤または接着剤が配置されるのではなく、2つの基板が互いに直接的に溶け合って接合される場合である。さらにガラスフリットまたは接着塗装等の別のコンポーネントが第1の接触面と第2の接触面との間にある場合、2つの接触面は平坦に接合接触しない可能性がある。ボンド品質指標の決定は、これによって困難になり得る。接触面間に接着塗装のような別の材料が配置されている場合には、場合によっては互いに接して平坦に接合される基板の目標設定もまったく満たされないことにもなる。
【0024】
したがって、2つの基板が互いに溶け合って直接に接合される場合には、接着剤を付加的に使用することなく筐体の基板が互いに直接に接合されるという特別な重要性を得ることができる。というのは、どのような接着剤、ガラスフリットまたは別の材料も種々異なる理由から回避すべきであり得るからである。したがって、より少ないコンポーネントが使用されることにより、製造プロセスを簡素化することができる。このことによってさらに、達成可能な清浄性を高めることができる。というのは、このような異物は、存在する場合にガス排出することもあり、場合によっては空洞部にもガス排出することがあるためである。最後に、バインダーもしくは接着層等のこのような添加物は、結合体の密閉性の品質または持続性にも不利に作用し得る。したがって、例えば複数の層、例えば2つ以上が必要になり、その際に被着または接着される中間層が、複数の基板の1つに設けられる場合、このことは、これらが同種の材料から作製または構成されている場合であっても「基板を一体型で準備する」と理解することができない。すなわち、この際、場合によっては、本出願において発展させた直接のレーザ接合によって可能になるというような形態では、密閉接合が保証されない。場合によっては、別々の層もしくは材料を使用する際にはさらに、作製の際に基板に応力が「フリーズ」されることがあり、これは、製品の損傷または早期の破損を生じさせてしまうことがある。
【0025】
基板が互いに接合されている完成した製品は、基板が一般に、分離できない結合体に互いに合わされるため、確かに一体型と称することが可能である。しかしながら、筐体は一体型の半製品から製造されない。接着剤またはフリットまたはこれに類するもの等の中間層が、筐体の製造時に使用される場合、これは、後に、接合された製品においても引き続いて検出することができ、ひいては区別することができる。したがって2つの基板を互いに直接にレーザ接合することは、差別化可能な製品改善であり、ここでは、接着剤もしくはフリットまたは別の付加層によって接合される従来の製品では全く問題とはならなかった新たな複数の困難が再び現れることがある。これには、本発明の測定方法、および測定方法に基づいて検査される製品であって、2つの基板の直接的な相互の当接およびそれらの結合体が、従来の製品と全く比べものにならない製品も含めることができる。
【0026】
例えば、Q=1-(A-G)/Aが成り立つ場合にボンド品質指標Qを求めることができる。ここでAは、基板の接触面を表す面積である。ここでGは、良好面の面積であり、良好面Gは、基板間の間隔が、定められた値よりも小さい面を表す。良好面Gが想定されるこの定められた値は好ましくは、2つの基板間の間隔が、5μm未満、さらに好ましくは2μm未満、さらに一層好ましくは1μm未満である場合に得られる。
【0027】
接触面が欠陥を有しない場合、良好面の面積Gは、接触面の面積Aに対応し、ボンド品質指標はQ=1になる。これに対し、接触面全体が欠陥を有する場合、良好面の面積G=0であり、ボンド品質指標Q=0になる。したがって、ボンド品質指標Qは、良好面の面積割合に応じて0~1の数に対応する。
【0028】
ボンド品質指標Qは好ましくは、0.8以上、さらに好ましくは0.9以上、さらに一層好ましくは0.95以上である。
【0029】
好ましくは、単色ビーム源を用いて入射ビームを生成する。またスペクトル的に適合化されたビーム源を用いて入射ビームを生成することもできる。入射ビームは、特に、基板の溶解または溶融を生じさせないビーム出力を有する低エネルギの入射ビームであってよい。これとは択一的に、例えば、対応する構成部材、構成部材グループにより、かつ/またはソフトウェアによってのいずれかにより、狭帯域の帯域通過フィルタが検出器によって実現される場合、単色でないビーム源が使用可能である。
【0030】
換言すると、検出器は、好ましくは単色で、または少なくとも狭帯域の有彩色で反射ビームの検出が行えるように構成されている。この反射ビームは、単色もしく狭帯域の有彩色であってよいか、別の反射ビームから抽出されてよい。ここでは、例えば、画像ファイルからの1つまたは複数のカラーチャネルのソフトウェア側での分離が可能である。画像を取り入れる際に検出器のカラーチャネルを別々に読み出すことができる。かつ/または狭帯域フィルタ、例えば帯域通過フィルタを検出器の前に使用することができる。最後に、例えば単色または準単色の照明源(特にガス蒸気ランプまたはレーザ)が、そうでなければ減光された照明室において使用可能である。したがって、例えばデジタル化された画像ファイルのカラーチャネルを選択することにより、反射ビームから単色または準単色領域が選択可能である。
【0031】
反射ビームは、好ましくはパターン、特に干渉パターンを生成し、さらに特に、筐体の少なくとも1つの接触面において、入射ビームと後方散乱との重ね合わせからこのパターンを生成する。この場合には、測定装置もしくは観察装置により、干渉パターンが識別もしくは検出され、そこから2つの基板間の間隔を計算もしくは導出できるように構成することが可能である。
【0032】
反射ビームから得られるパターンは、1つまたは複数の欠陥箇所の周りにパターンが延在する配置構成を有することができる。換言すると、パターンは特に、少なくとも2つの基板が接合接触していない箇所の周りに配置されていてよい。この場合に特に容易であるのは、測定装置もしくは観察装置により、少なくとも2つの基板が接合接触していない箇所の位置を特定することである。欠陥箇所は、基板間の間隔がこの欠陥箇所において5μmより大であり、好ましくは2μmより大であり、さらに好ましくは1μmより大であり、または好ましくは0.3μmより大でもあることによって特徴付けることができる。換言すると、欠陥箇所は特に好ましくは、良好面Gの判定基準を現在、満たしていない箇所にまさに位置している。この場合、少なくとも2つの基板間の接触面を良好面Gと欠陥箇所Fとに完全に分けることができる。
【0033】
相当する領域の対応付けは、1つの実施例において、ニュートンリングの形状の干渉パターンに基づいて識別可能であってよい。可視光の領域における入射ビームが、例えばλ=500nmで設定される場合、それぞれのニュートンリングは、λ/2=250nmの高さの違いを示す。例えば、良好領域が存在するか否かの確認のための限界判定基準として、3つのニュートンリングの発生が設定される場合、筐体からの反射ビームの光学的な画像解析において、基板間の間隔が3×λ/2=750nm以下である領域を良好領域と定めることができる。
【0034】
基板積層体により、少なくとも1つの機能領域を収容することができ、機能領域は、例えば、少なくとも1つの収容対象体を受け入れるための収容空所部として構成されている。換言すると、基板積層体により、保護対象の領域もしくは保護対象の対象体を有する筐体が形成される。一般に第1の基板であるカバー基板は、上面もしくは外側面とも称される外側平坦面と、包囲狭小面と、を有していてよい。
【0035】
基板積層体はさらに有効領域Nを有していてよい。例えば、機能領域が位置している、基板積層体の領域を有効領域Nとして定めることができる。基板もしくは基板積層体は、複数の機能領域を有することも可能であり、機能領域の合計は、加算されて有効領域Nになる。これは、例えば、最初に基板を準備し、接合し、後に基板積層体から複数の筐体を個別化することによって得ることができる。したがって有効領域Nはつねに接触面Aよりも小さい。
【0036】
第1のボンド品質指標Qを計算するために、有効領域Nだけを使用することができ、例えば、Q=1-(N-G)/NとしてQを求めることができる。
【0037】
質的に評価された基板積層体は、ボンド品質指標Qを求めるステップの後、例えばレーザ法を用いて接合することができる。本発明の枠内において判明したのは、接合の前のボンド品質指標Qがどのように見積もられるかという情報が、接合のステップの前にすでに利用可能であることが、本質的に重要になり得るということである。というのは、レーザ接合法により、またレーザの正確な位置調整により、2つの基板間に間隔があるような領域であっても、しかも2つの基板間の間隔が1μmより大であるか、または2μmより大であるか、またはそれどころか5μmより大である場合であっても互いに接合できるからである。例えば、判明したのは、レーザボンドラインが50μmまでの高さを有するか、または75μmまでの、または100μmまでの高さも有し得るようにレーザボンドラインを設定できることである。したがって基板間の比較的小さな間隔は、レーザボンドラインによって埋めることができる。しかしながら、接合の前に存在した間隔領域の場合、すなわちレーザボンドラインが欠陥領域Fにおいて、もしくは接合接触面の外部で基板に入れられる場合、場合によっては基板積層体に応力が生じ、この応力により、後の筐体の特性に悪影響を及ぼし得ることが判明した。状況によっては、完成した製品におけるこれらの基板応力は、もはや測定可能でないか、もしくは多くのコストを掛けることによってのみ測定可能であり、これにより、これが予測可能でなければ、予想よりも早い破損が生じてしまう可能性がある。したがって、これを制御可能にできるようにするために有利であるのは、レーザ接合の前に求めたボンド品質指標Qと、レーザ接合の後に求めたボンド品質指標Qと、を比較することである。この関係から、完成した筐体において、場合によっては見出すことができる応力もしくは残留応力を推論することができる。
【0038】
本明細書による筐体は、異なる材料を有することも可能であり、例えば、ガラス/金属結合体が有利になり得、この際にガラスは、接触面におけるレーザ接合法において金属に直接に接合される。例えば、第1の基板は透明材料を有し、第2の基板は金属材料を有することができる。透明基板は、カバーとして金属基板に載置可能である。第1の基板と第2の基板との間の接合接触面が設けられると直ちに、ここで示した手法により、Q指標を特定することができる。したがって、例えば、接合接続の品質、または筐体の密閉性も評価することができる。接合プロセスの前に形成した第1指標Qと、接合プロセスの後に形成した指標Qと、の比較からさらに、筐体に、もしくは上記の透明基板にまたは複数の透明基板の1つに、場合によって筐体の寿命に影響を及ぼし得る材料応力がフリーズされたか否かも確認することができる。
【0039】
本発明の枠内では、少なくとも2つの基板から密閉封止されている筐体を製造する方法も記載されている。これは、特に、すでに前述した方法の完遂であり、ここでは基板積層体を測定する。この方法には、第2の基板に少なくとも1つの第1の基板を平坦に配置するステップであって、基板積層体を形成するために、少なくとも2つの基板が、直接に互いに接してまたは重なり合って配置されており、これにより、少なくとも2つの基板の間では、第1の基板と第2の基板とが少なくとも1つの箇所において直接的かつ平坦に接合接触している接触面が形成されるステップが含まれている。前述のように、理想的なケースにおいてのみ、完全な接触面は、接合接触面でもあり、一般的にかつ実際には接触面は、部分的な接合接触面と、2つの基板が接合接触しない別の部分と、に分けられる。2つの基板が接合接触しないこの別の部分は、本発明の枠内において、2つの基板間の間隔が許容可能な程度に小さい良好面Gと、欠陥箇所Fと称される接触面の残りの領域と、にさらに分けられる。第1の基板には、少なくとも一部の領域に透明材料が含まれ、少なくとも1つの波長領域について透明であり、これにより、レーザ接合ラインを形成するためのレーザは、第1の基板を突き抜けることができ、かつ/またはこれにより、入射ビームおよび/または反射ビームは、第1の基板を突き抜けることができる。
【0040】
本方法にはさらに、基板積層体の少なくとも1つの接触面において基板積層体に入射ビームを照射することによって発生する反射ビームを検出するステップが含まれている。反射ビームからさらに、基板積層体の接触面の第1のボンド品質指標Qを求める。したがって、第1のボンド品質指標Qは好ましくは、少なくとも2つの基板を互いに接合する前に求められるが、少なくともQの計算に必要な測定データが検出される。
【0041】
本方法にはさらに、筐体の少なくとも1つの接触面の領域において、少なくとも2つの基板を直接に互いに接合することにより、少なくとも2つの基板を互いに密閉結合するステップが含まれている。少なくとも2つの基板を互いに接合することにより、一方では第1の基板内に、他方では第2の基板内に延びかつ少なくとも2つの基板を直接に溶かして互いに接合する接合ゾーンが形成される。換言すると、接合ステップにより、第1の基板の、また第2の基板の局所的に限られた材料は、第1の基板の材料と第2の基板の材料とが混ざり合って接合ゾーンが形成されるように溶融され、ここでこの接合ゾーンは、第1の基板および第2の基板の混ざり合った材料から構成される。接合ゾーンでは特に好ましくは、別の材料もしくは異物は不要であるかもしくは存在せず、すなわち、第1の基板の材料と第2の基板の材料とが直接に接合されるかもしくは互いの中に溶融される。接合ゾーンは、接合の瞬間、2つの基板間で材料交換が行われる一種の変換ゾーンを構成する。
【0042】
少なくとも2つの基板を互いに接合するステップの後、筐体の少なくとも1つの接触面において基板積層体に入射ビームを新たに照射することによって発生する別の反射ビームを検出するステップが続く。最後に、別の反射ビームから、密閉接合した筐体の接触面の第2のボンド品質指標Qを求めることができる。
【0043】
例えばQ=1-(A-G)/AまたはQ=1-(N-G)/Nのように第2のボンド品質指標Qを求める。ここでAは第1の接触面の面積、Gは良好面の面積、Nは有効領域の面積である。有効領域は、1つまたは複数の空所部もしくは機能領域から得ることができる。
【0044】
ボンド品質指標Qは好ましくは、0.95以上、さらに好ましくは0.99以上、さらに一層好ましくは0.999以上である。QがQよりも大きいかまたは少なくともQがQと等しいと特に好ましい。
【0045】
少なくとも2つの基板の密閉結合体は、少なくとも2つの基板間の間隔プロフィールを求めることによって検査可能である。密閉結合体のこのような検査は、Qが、密閉結合を保証するための最小要求を満たす場合に行うこともできる。
【0046】
少なくとも2つの基板を密閉結合するステップは好ましくは、レーザ接合法によって行われる。レーザにより、一方では第1の基板内に、他方では第2の基板内に延びる接合ゾーンを形成する。レーザ接合法の枠内では特に、基板の周りで、かつ/または1つまたは複数の空所部の周りでレーザを案内する。この際には複数の空所部の周りを一緒に取り囲むように、またはそれぞれの空所部を個別に密閉接合するためにそれぞれ空所部の周りに個別にレーザを案内することができる。
【0047】
基板積層体の照射は、例えば、基板積層体もしくは筐体にわたって均一な照明を達成するために共軸の照明装置によって実行可能である。ここではLEDのような複数の光源、すなわち例えばLEDディスプレイを含む光面を使用することができ、また基板積層体もしくは筐体に入射ビームを向けることができる。好ましい実施形態では、光面から、例えばビームスプリッタもしくは半透過性光学素子を通して、基板積層体もしくは筐体に入射ビームを向けることができる。例えば、基板積層体は円形に実施され、例えば、基板積層体はウェーハのディスクであり、直径Dを有する。さらに例えば、ビームスプリッタもしくは半透過性光学素子も同様に円形に実施可能であり、DOE≧√2×Dに対応する直径DOEを有する。このことは特に、ビームスプリッタもしくは半透過性光学素子が、第1の基板の表面に対して約45°の角度で配置されている場合に有利である。この場合には基板積層体もしくは筐体の特に均一な投光を達成することができる。この場合、反射ビームは検出装置を用いて検出可能である。
【0048】
検出装置によって受け取った信号品質を改善するために、反射ビームをさらに改善することができる。例えば、検出器によってまず、ステップMにおいて、対象体がなく入射ビームのないバックグラウンド測定を記録し、空間分解された強度Iを検出することができる。引き続き、ステップMでは、空間分解された強度Iを検出することにより、対象体なしに入射ビームを記録することができる。最後に、別のステップMにおいてもしくは強度Iで、検出装置により、対象体(すなわち基板積層体もしくは筐体)を検出することができる。空間分解された強度I,IもしくはIは最後に、次のように、すなわち
=(I-I)/(I-I)×利得
のような最終的な強度Iに重ね合わされてよい。
【0049】
ここで利得は、検出器の想定される増幅率である。さらに、受け取った画像の信号品質は、同じ設定の少なくとも2つの画像について平均値形成することによっても向上させることができる。というのはこれにより、画像ノイズのノイズリダクションを達成できるからである。
【0050】
その後、第1の基板と第2の基板との間の間隔プロフィールの最大間隔を特定することができる。最大間隔を上回ると、すなわち、QまたはQのいずれかを用いて最大間隔をこのように上回ったことが確認されると、自動化された方法において、筐体を分解し、清浄化することができ、接合方法を適合させることができるか、または最終的に筐体を取り除いて、これが使用されないようにすることができる。
【0051】
少なくとも2つの基板を密閉結合した後、第2の間隔プロフィールを求めることにより、密閉結合体を新たに検査することができる。この場合に好ましくは、レーザ接合によって誘導された変化が見えるようにするために、第2の間隔プロフィールと第1の間隔プロフィールとを比較することができる。
【0052】
第1の基板は好ましくは、カバー基板であり、第2の基板はベース基板であってよい。この場合、カバー基板は、直接にベース基板に載置されていてよく、ひいては基板積層体もしくは筐体を形成することができる。他方ではさらに、カバー基板とベース基板との間に配置されている中間基板が含まれていてよい。この場合、カバー基板は中間基板に直接に配置されており、ベース基板は中間基板に直接に配置されている。換言すると、中間基板はカバー基板とベース基板との間に位置している。
【0053】
本発明の枠内には、上で説明した方法にしたがって製造または検査された、密閉封止式筐体も含まれる。
【0054】
本発明による密閉封止式筐体には、少なくとも1つの平坦に広がった第1の基板と、第1の基板に隣接して配置されておりかつ平坦に広がった第1の基板に直接に接合接触している第2の基板と、が含まれている。第1の基板と第2の基板との間に接触面が形成され、一般に接合接触面により、接触面の部分集合のみが形成される。というのは一般に、阻止することができない製造許容差に起因して、第1の基板と第2の基板とは一部の領域だけで接合接触するからである。
【0055】
密閉封止式筐体にはさらに、特に第1の基板と第2の基板との間に配置されており、筐体によって取り囲まれている少なくとも1つの機能領域が含まれている。第1の基板は、少なくとも1つのレーザボンドラインにより、第1の基板に隣接して配置された第2の基板と直接に密閉接合される。この際にレーザボンドラインは、一方では第1の基板内に、他方では第2の基板内に延びている。レーザボンドラインにより、少なくとも2つの基板が溶融して互いに直接に接合される。
【0056】
密閉封止式筐体は、間隔プロフィールに基づいて計算される、0.95以上のQの品質係数を有する。択一的または付加的には、筐体のレーザボンドラインは機能領域の周りで完全に閉じられて構成されており、場合によっては生じる、レーザボンドラインにおける第1の基板と第2の基板との間隔は、一貫して0.75μmよりも小さく、好ましくは0.5μmよりも小さく、さらに好ましくは0.3μmよりも小さい。したがって筐体の検査は、反射ビームによって達成可能な分解能が、250nmよりも小さくなくてもよいか、またはより大きく、すなわち、例えば500nmの波長の範囲の可視光が入射ビームとして使用できるように設定可能である。これにより、筐体の検査を特に簡単に実行して検証することができる。さらに、例えば200nm前後の入射ビームに適合された波長により、0.1μmの間隔でさえも分解することができ、これにより、レーザボンドラインにおいて場合によっては発生する、第1の基板と第2の基板との0.1μm以下になり得る間隔も受け入れることができる。
【0057】
第1の基板は、例えば、平坦に構成されていることによって特徴付けられる。特に、第1の基板は平面状に構成されており、したがって均一な可能限りに平坦な表面を、しかも特にその内側面に有する。平均粗さRaは、その内側面において好ましくは20nm以下である。
【0058】
択一的または付加的には、第2の基板は平坦に、すなわち特に平面状に構成されている。第2の基板は好ましくは、その内側面において20nm以下である平均粗さRaを有する。第1の基板もしくは第2の基板のそれぞれの内側面は、隣接して配置されている基板の方を向いている面である。
【0059】
第1の基板は好ましくは、第2の基板と接触平面または接触領域を形成し、ここでは、第1の基板と第2の基板とは好ましくは直接に接合接触している。接触平面にはさらに好ましくは、異物材料がなく、すなわちさらに、特に接着剤またはガラスフリット等の接合材料がない。
【0060】
第2の基板はベース基板として構成可能である。ベース基板と第1の基板とは、同じレーザボンドラインにより、互いに密閉接合される。択一的には筐体は、ベース基板と第1の基板との間に配置されている中間基板を有していてよい。この場合、ベース基板と中間基板とは第1接合面において接合され、第1の基板と中間基板とは第2結合面において接合される。
【0061】
少なくとも1つのレーザボンドラインは、第1の基板の平坦な延在方向に対して垂直な方向に厚みを有する。
【0062】
筐体の機能領域は、収容対象体、例えば電子回路、センサまたはMEMS等を収容するための密閉封止された収容空所部を有する。
【0063】
第1の基板は少なくとも部分的に、かつ/または少なくとも一部の領域が、少なくとも1つの波長領域に対して透明に構成されている。
【0064】
第1の基板は、ガラス、ガラスセラミックス、ケイ素、サファイアまたは前述の材料の組み合わせから構成されるかまたはこれを含んでいてよい。第1の基板はまた、セラミックス材料、特に酸化物セラミックス材料から構成されてよいかまたはこれを含んでいてよい。
【0065】
筐体は特に、レーザ接合ラインの領域において、そこに残留応力ゾーンが設けられるように構成されている。残留応力ゾーンは、残留応力ゾーンの領域においてQ/Qが1以上であり、さらに好ましくはQ/Qが1.1以上であることによって特徴付けることができる。
【0066】
筐体のレーザ接合ラインは、Q/Qが1よりも大きい/と等しい、さらに好ましくはQ/Qが1.1よりも大きい/と等しい場合、レーザ接合ラインの変動する最大幅を有していてよい。さらに好ましくは、筐体のレーザ接合ラインは、レーザ接合ラインの光学特性が変化するのに伴って、領域の変動する幅を有していてよい。
【0067】
以下では、実施例に基づき、図面に関連して本発明をより詳しく説明する。同じ要素および類似の要素の一部には、同じ参照符号が付されており、種々異なる実施例の特徴的構成は、互いに組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】空所部を有する基板積層体の実施形態を示す図である。
図2】本発明による筐体の1つの実施形態の平面図である。
図3】良好領域および欠陥領域を有する基板積層体を示す図である。
図4】本方法の例示的な流れ図である。
図5】本方法の別のステップを示す図である。
図6】第1のボンド品質指標Qを求めるために測定した反射ビームの写真を示す図である。
図7】基板積層体の別の写真を平面図で示す図である。
図8】レーザボンディング法を実施した後の基板積層体の別の写真を示す図である。
図9】Q指標を求めるための照明装置および検出装置を示す図である。
図10】Q指標を求めるための別の照明装置および検出装置を示す図である。
図11】金属・ガラス接合部を有する別の基板積層体の写真を示す図である。
図12】金属・ガラス接合部を有する筐体の側断面図である。
図13図12の接触面の詳細を示す図である。
図14A】撮像ノイズリダクションのための方法のステップを示す図である。
図14B】撮像ノイズリダクションのための方法の別のステップを示す図である。
図14C】撮像ノイズリダクションのための方法のさらに別のステップを示す図である。
図14D】撮像ノイズリダクションのための方法のさらに別のステップを示す図である。
図15A】撮像ノイズリダクションのための別の方法のステップを示す図である。
図15B】撮像ノイズリダクションのための別の方法の別のステップを示す図である。
図15C】撮像ノイズリダクションのための別の方法のさらに別のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1には、本発明による基板積層体9の1つの実施形態が側断面図で示されている。基板積層体9は、この図では3つが示されている複数の筐体1を有し、これらの筐体1は、後の作業ステップにおいてさらに、図示した切断線8において切断されるものである。第1の基板3は、カバー基板として構成されており、複数の筐体1を一緒にカバーしている。この基板3は後で、個片化の際に個々の筐体に分割される。第2の基板4は、空所部2の下面を形成しており、それぞれの空所部2は、レーザ接合ライン6によって取り巻かれて密閉封止されている。空所部2には、収容対象体5が配置されている。この場合、図示した複数の筐体1は、いくつかの筐体が外側に位置しているのに対し、別の筐体は両側が切断線8に沿って切断されることを無視すれば、互いに実質的に同じ構造をしている。例えば、空所部2は、研削によって第2の基板4に、したがって第2の基板4からくり抜かれて入れられる。第1の基板3および第2の基板4は、この場合には一部が中断された接触面15を互いに構成し、この接触面15では、第1の基板3の内側面11と、第2の基板4の内側面12と、が接触し、特に接合接触している。接触面の領域には、レーザ接合ライン6も挿入されている。
【0070】
図2を参照すると、例えば図1によって示した基板積層体9からの個片化として得ることができる、本発明による筐体1の平面図が示されている。第1の基板3は、第2の基板4に載置されている。空所部2の周りには、空所部を外部に向かって密閉封止するレーザ接合ライン6が挿入されている。レーザ接合ライン6のおおよその幅は、参照符号Wによって、また際立たせるために包囲線によって見分けがつくようにされている。
【0071】
図3には、基板積層体9の詳細部分が示されており、欠陥領域17、接合接触領域18および良好領域19を見て取ることができる。両向き矢印21は、欠陥箇所17の最大高さの箇所を表している。
【0072】
入射ビーム22は、基板積層体9に配向され、この際に欠陥箇所17の領域では、入射ビームは、第1の基板3の内側面11でも第2の基板4の内側面12でも反射される。反射ビーム24,24aは検出器30によって検出可能である。反射ビーム24と反射ビーム24aとの間の経路差はこの場合に干渉パターンを生じさせ、この干渉パターンは、互いに2つの反射ビームによって生成される。これは、それぞれフレネル作用、したがって例えば、反射防止コーティングのないガラスにおいてそれぞれ、境界面あたりに約4%である反射である。入射ビーム22にはこの場合、単色光が含まれる。
【0073】
図4には、基板積層体の密閉結合体を製造または検査する方法のステップが示されている。第1のステップ100では、第2の基板に第1の基板を平坦に配置する。第2のステップ110では、基板積層体9の少なくとも1つの接触面において基盤積層体に入射ビーム22を照射することによって発生する反射ビームを検出することから、基板積層体9内の空隙の高さプロフィールを求める。ステップ120では、高さプロフィールからボンド品質指標Qを求める。判定ステップ130では、ステップ120で求めたボンド品質指標Qが、定められた許容閾値Q1thrよりも大きい場合には、後続処理に、したがって特にレーザ接合ライン6を用いたレーザ接合に基板積層体を引き渡してよいことを決定する。しかしながらQが目標とするもしくは所望のQ1thrよりも万一小さい場合、ステップ135では、基板積層体9を、例えば、新たに処理する、すなわちこれを互いに分解し、必要に応じて新たに清浄化するかまたは別の仕方の再利用に引き渡す。
【0074】
ステップ140ではさらに、筐体への基板積層体9のレーザ接合を行う。引き続き、ステップ150では、接合された基板積層体9の基板積層体内の空隙の第2の高さプロフィールを求め、ステップ160においてここからQを計算する。ステップ170では、Qについて定められた閾値Q2thrよりもQが大きいか否かを求める。例えばQ2thrはQ1thr以下である。好適にはステップ170において同様に、QがいずれにせよQよりも大きいか否かを求めるかまたは検査する。2つの条件が満たされる場合、ステップ180では、接合された筐体1の後続処理を行うことができ、例えば、切断線8においてウェーハ積層体9から複数の筐体1を切断する。これに対し、ステップ170において決定した両方の条件の1つまたは両方の条件が満たされない場合、ステップ175では、基板積層体9の択一的な後続処理を導入することができ、ここでは、例えば、欠陥領域F,17のマーキングを行うことができるか、またはウェーハ積層体9を再利用に引き渡すことができる。
【0075】
図5には、ボンド品質指標Qおよび/またはQを計算するために実行可能ないくつかのステップが説明されている。ステップ121では最初に、検出器30の画像データを、例えばこのために準備された作業計算器を用いて取得する。ステップ122では、ステップ121で取得した画像データをグレースケーリングパターンに変換するか、または画像データから赤チャネルを抽出する。これは、例えば、同じコンピュータ上で動作する画像処理機能によって処理可能であり、このコンピュータ上では、ステップ121によって画像データを取得する。ステップ123により、検出器30の記録した画像において、例えば、コーナ識別の形態で、基板積層体3,4,9の物理的なエッジを求める。ステップ124では、必要である場合には、射影図の補正もしくはひずみ修正を行うことができる。ステップ125では、例えば、基板積層体の領域において、コントラスト改善を実行することができる。ここでは,例えば、最も暗いグレーのバックグラウンド値を単純に減算することができ、白黒画像からグレーレベル画像を生成することができる。ステップ126では最後に、例えば、決定したニュートンリングに基づき、検出器30によって取得した画像データから高さプロフィールを計算する。ステップ127では、これに続いて、クリティカルな高さまたはプロフィールが確認された領域のマーキングおよび積分を行うことができる。これは、特に、欠陥領域F,17であることが確認された領域に関係する。ステップ128では最後に、前に説明したように改善されたもしくは補正された画像データからそれぞれのQファクタ、QもしくはQを計算する。
【0076】
図6には、接合プロセスの前の基板積層体9の写真が示されている。基板積層体9は、この図では青で示されている複数の筐体1を有する。筐体1の周りには、基板の間隔が互いに増大していることによって生じるニュートンリングを見ることができる。図6の写真に示されている赤色で縁取りされている領域は、ボンド品質指標Qが0.5より小さいもしくはより悪い領域である。これらが欠陥領域17である。この領域では2つの基板間の間隔は、例えば、1μmよりも大きい。このような欠陥領域17はまた、基板積層体9のエッジに沿って存在する。パターンを識別できない箇所では、基板の間隔は、変化しないかまたはわずかだけ変化する。というのは複数の基板は、これらが重なり合い、互いに接合接触する領域をつねに有する場合、ニュートンリングの形態のパターンを示さない領域を接合接触面と定めることができると仮定できるからである。参照符号18によって識別される領域も同様である。
【0077】
図7には、ボンド品質指標Qが0.973と求められた基板積層体の別の平面図が示されている。欠陥領域F,17は、3つよりも多くのニュートンリングが互いに隣接していることを見出すことができる箇所に出現することができる。このことは、第1の基板3と第2の基板4との間の0.75μmよりも大きい間隔に対応する。これらの領域は、図7では白で示されている。1つよりも多くのニュートンリングを有しかつ3つよりも少ないニュートンリングを有する領域は、良好領域19,Gと定められる。したがって識別できるのは、図7の右下のコーナだけに、2つの空所部が、欠陥領域17に直接に関係しており、これが空所部2aおよび2bであることである。
【0078】
図8を参照すると、図7の実施形態ではあるがレーザ接合法を実施した後のものが示されている。したがって、図示した全ての空所部2の周りにレーザボンドライン6を入れるが、この図では視覚的に見ることはできない。ウェーハのエッジ領域には、欠陥領域17,Fが残っているが、これらの欠陥領域17,Fは、後の筐体1によって定められる有効領域Nには関係しない。
【0079】
図9には、Q指標を特定するための別の装置が示されている。光源20により、入射ビーム22がまずビームスプリッタ34に投射され、基板積層体9の方向に偏向され、ここで入射ビーム22は、基板積層体9の表面に垂直に入射する。反射ビーム24は、対物レンズ32に到達し、ビームスプリッタ34(例えば、部分透過性ミラー)を通して検出器30に到達する。ここで使用する、基板積層体9の共軸照明の利点は、入射ビーム22が均一に分散されることである。光源20は、コンデンサ光学系を有していてよい。
【0080】
図10にはQ指標を特定するための装置がさらに示されており、ここでは平坦な光源20が使用されている。実践的な理由から光源20は、反射ビーム24のビーム路の外に配置されている。平坦な光源20の入射ビーム22はまず、光学素子34、例えば、ビームスプリッタに当たり、このビームスプリッタは少なくとも基板積層体9の底面積を有する。ビームスプリッタが、反射ビーム24に対して45°の角度で配置される場合、ビームスプリッタ34は、基板積層体9の最適な照明を達成するために、例えば、基板積層体9の寸法の少なくとも1.414倍の面積を有していてよく、すなわち、例えば、基板積層体9の面積の√2倍に等しいかまたはそれよりも大きい面積を有していてよい。反射ビーム24は、光学素子34を通り、この場合に組込み型入口光学系32aを有する検出器31に到達する。例えば、平坦な光源20は、LEDディスプレイであってよい。光学素子34は、例えば、基板積層体9の表面に対して45°の角度で配置されている半透過性ガラスプレートであってよい。図10には、共軸照明部も示されている。
【0081】
図11には、筐体1の写真による描写が示されており、ここではガラスプレート3が、金属リング4に配置されている。ガラスプレート3と金属リング4との間の接触面15がはっきりと識別可能であり、そこでは有効面16が、エッジ16aによって確認することができ、これにより、接触面15の評価と、最終的にはQ指標の計算と、が可能である。図12には、それに関する側断面図が略示されており、図11および図13によって示した、図12の詳細部分図は、点状の円によって強調されている。ここではサファイアディスク3が、ステンレス鋼製の金属リング4に載置されている。図13によってさらに明確に示されているのは、金属リング4の接触面15のエッジが、一般に金属構成部材を作製する際に生じる丸面取り部14を有することである。丸面取り部14があったとしても(図11によって示したように)サファイアディスク3と金属リング4との間の結合体を製造することができ、かなり上で説明したようにQ指標を用いて、結合体の良度を特定することができる。
【0082】
図14A図14Dには、発生し得るバックグラウンドノイズや、基板積層体9の表面にわたる入射ビーム22の、場合によっては完全でない均一性に上回って信号品質も改善するための方法ステップが示されている。このために、図14Aによる第1のステップでは、検出器のバックグラウンドだけが描画されており、すなわち、ビーム源20がスイッチオフされており、画像領域26には対象体(基板積層体9もしくは筐体1)は配置されていない。図14Aのステップにより、バックグラウンド強度Iを取得する。図14Bのステップにより、ビーム源20が起動され、画像領域26が照らし出され、これにより、画像領域26にわたって光分布の均一性を求めることができる。したがって図14Bにより、ビーム分布Iの強度が取得される。最後に、対象体(基板積層体9もしくは筐体1)を画像領域26に配置することができ、バックグラウンドの前の対象体の強度Iを取得することができる。これにより、このように補正される画像もしくは使用される強度は、I=(I-I)/(I-I)×利得 となる。
【0083】
さらなるノイズリダクションを達成するために、同じ設定の下で同じ画像領域26の複数の像を取得してそれぞれ、平均値を形成することもできる。例えば、図14A図14Bおよび図14Cによって示したステップをそれぞれ2回、3回またはより多くの回数、実行して、取得した空間分解画像強度からそれぞれ中間値を計算することができる。このことは、図15A図15B図15Cに明確に示されている。図15Aのステップにより、暗いバックグラウンド42を検出器30によって複数回、記録することができ、特にデジタルに記録することができ、平均のバックグラウンド42aを取得するために、取得した画像表現にわたって平均を求めることができる。例えば、このために画像領域26のそれぞれのピクセルを個別に観察することがすることでき、平均強度を取得するために、ピクセルに対応付けられている強度を合計して、利用可能な画像の個数によって除算することができる。これは、図15Bおよび図15Cによって示したステップについても実行可能である。したがって、図15Bに示したステップにより、入射ビーム22を複数回、例えば3回、記録し、画像領域26の平均強度44aを取得する。図15Cに示したステップによって最後に、対象体(基板積層体9または筐体1)を画像領域26に配置して、光源20をスイッチオフして、別のバックグラウンド測定を実行することができる。(図14Dに示した)Q指標を取得するための最後の実際の測定も、測定中に発生し得る影響も平均値形成によって解消するために、同じように複数回、実行してもよい。
【0084】
上で説明した実施形態は例示的なものであると理解すべきであり、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲の保護範囲を逸脱することなしに多様に変更できることは当業者には明らかである。複数の特徴的構成は、これらが明細書、特許請求の範囲、図面において、または他の仕方で開示されているものとは無関係に、本発明の複数の本質的な構成部分を個別にも規定するものであり、このことは、これらの特徴的構成が、他の特徴的構成と共に説明されている場合であっても、同様であることは明白である。全ての図面において同じ参照符号は同じ特徴的構成を示しており、これにより、場合によってはただ1つの図面において述べられている、または少なくとも全ての図面については述べられていない特徴的構成についての説明は、明細書において特徴的構成が記載されていないこれらの図面にも転用可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 筐体
2 機能領域もしくは空所部
2a,2b 欠陥箇所17の領域における空所部
3 第1の基板もしくはカバー基板
4 第2の基板もしくはベース基板
5 収容対象体
6 接合ゾーンもしくはレーザボンドライン
8 切断線
9 基板積層体もしくはウェーハ積層体
11 第1の基板の内側面
12 第2の基板の内側面
14 丸面取り部
15 接触面
16 有効面
16a 有効面のおおよその境界
17 欠陥領域または欠陥箇所F
18 接合接触面B
19 良好面G
20 ビーム源
20a ビーム源のコンポーネント、例えばLED
21 2つの基板間の最大間隔
22 入射ビーム
24,24a 反射ビーム
26 画像領域
30 検出器
31 組込み型ビームガイド32を備えた検出器
32 ビームガイド、例えば対物レンズ
34 ビームスプリッタもしくは半透過性光学素子
42 バックグラウンド分布
42a 平均バックグラウンド分布
44 入射ビーム22の光分布
44a 平均光分布
46 対象体(基板積層体9または筐体1)の画像取得
46a 平均画像取得
48 ステップ42,44,46の合成として合成表現
100 配置ステップ
110 高さプロフィールを求めるステップ
120 第1のボンド品質指標Qについての計算ステップ
121 データ準備
122 変換ステップ
123 識別ステップ
124 補正ステップ
125 コントラスト改善
126 高さプロフィールについての計算ステップ
127 マーキングステップ
128 QファクタQもしくはQについての計算ステップ
130 Qについての評価ステップ
135 回収ステップ
140 後続処理ステップ、特にレーザ接合
150 第2の高さプロフィールを求めるステップ
160 Qについての計算ステップ
170 Qについての評価ステップ
175 欠陥の場合のマーキングステップ
180 終了処理、特に筐体1の個片化
A 接触面の面積
G 良好面
N 有効領域
W レーザ接合ライン6の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-13】
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
【国際調査報告】