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特表2023-553545デュアルコアシュートスルー保護インダクタ回路構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-22
(54)【発明の名称】デュアルコアシュートスルー保護インダクタ回路構成
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/02 20060101AFI20231215BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H02H9/02 A
H02H7/20 A
H02H9/02 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528972
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 US2020063919
(87)【国際公開番号】W WO2022125086
(87)【国際公開日】2022-06-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ヘイニー,カール ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ポエルズ,アーロン マイケル
【テーマコード(参考)】
5G013
5G053
【Fターム(参考)】
5G013AA02
5G013AA04
5G013BA01
5G013CA01
5G013CA18
5G053AA02
5G053CA04
5G053EB05
(57)【要約】
シュートスルー保護回路が、正のバスに接続されるとともに、第1の電気経路を介して第1の中央ノードに接続された第1のスイッチと、負のバスに接続されるとともに、第2の電気経路を介して第1の中央ノードに接続された第2のスイッチと、第1の中央ノードを第1の負荷出力に接続する、迂回する第3の電気経路と、第1の電気経路および迂回する第3の電気経路を取り囲む第1の磁気コアと、第2の電気経路および迂回する第3の電気経路を取り囲む第2の磁気コアと、を含んでおり、第1の電気経路および第2の電気経路のうちの一方の極性が、第1の磁気コアおよび第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において、迂回する第3の電気経路の極性と揃えられ、第1の電気経路および第2の電気経路のうちの他方の極性が、第1の磁気コアおよび第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において、迂回する第3の電気経路の極性と反対にされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュートスルー保護回路であって、
正のバスに接続されるとともに、第1の電気経路を介して第1の中央ノードに接続された第1のスイッチと、
負のバスに接続されるとともに、第2の電気経路を介して前記第1の中央ノードに接続された第2のスイッチと、
前記第1の中央ノードを第1の負荷出力に接続する、迂回する第3の電気経路と、
前記第1の電気経路および前記迂回する第3の電気経路を取り囲む第1の磁気コアと、
前記第2の電気経路および前記迂回する第3の電気経路を取り囲む第2の磁気コアと、
を備え、
前記第1の電気経路および前記第2の電気経路のうちの一方の極性が、前記第1の磁気コアおよび前記第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において、前記迂回する第3の電気経路の極性と揃えられ、かつ、前記第1の電気経路および前記第2の電気経路のうちの他方の極性が、前記第1の磁気コアおよび前記第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において、前記迂回する第3の電気経路の極性と反対にされた、シュートスルー保護回路。
【請求項2】
前記正のバスに接続されるとともに、第4の電気経路を介して第2の中央ノードに接続された第3のスイッチと、
前記負のバスに接続されるとともに、第5の電気経路を介して前記第2の中央ノードに接続された第4のスイッチと、
前記第2の中央ノードを第2の負荷出力に接続する、迂回する第6の電気経路と、
前記第4の電気経路および前記迂回する第6の電気経路を取り囲む前記第1の磁気コアと、
前記第5の電気経路および前記迂回する第6の電気経路を取り囲む前記第2の磁気コアと、
をさらに備え、
前記第4の電気経路および前記第5の電気経路のうちの一方の極性が、前記第1の磁気コアおよび前記第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において、前記迂回する第6の電気経路の極性と揃えられ、かつ、前記第4の電気経路および前記第5の電気経路のうちの他方の極性が、前記第1の磁気コアおよび前記第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において、前記迂回する第6の電気経路の極性と反対にされた、請求項1に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項3】
前記第1の電気経路の極性が、前記第1の磁気コア内の前記迂回する第3の電気経路の極性と揃えられ、前記第4の電気経路の極性が、前記第1の磁気コア内の前記迂回する第6の電気経路の極性と反対にされることを特徴とする請求項2に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項4】
前記第2の電気経路の極性が、前記第2の磁気コア内の前記迂回する第3の電気経路の極性と反対にされ、前記第5の電気経路の極性が、前記第2の磁気コア内の前記迂回する第6の電気経路の極性と揃えられることを特徴とする請求項3に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項5】
前記第1、第2、第3、および第4のスイッチは、Hブリッジ回路構成として接続されることを特徴とする請求項2に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項6】
前記シュートスルー保護回路は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)インダクタを有していないことを特徴とする請求項1に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項7】
前記第1および第2のスイッチの少なくとも1つが、電圧スパイクスナバを含むことを特徴とする請求項1に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項8】
前記第1および第2のスイッチの少なくとも1つが、電圧スパイクスナバを有していないことを特徴とする請求項1に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項9】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの各々が、電界効果トランジスタ(FET)であることを特徴とする請求項1に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項10】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが、ハーフブリッジ回路構成として配置されることを特徴とする請求項1に記載のシュートスルー保護回路。
【請求項11】
シュートスルー事象の軽減方法であって、
第1のスイッチを第1の電気経路を介して中央ノードに接続し、かつ第2のスイッチを第2の電気経路を介して前記中央ノードに接続し、
前記中央ノードを迂回する第3の電気経路を介して負荷に接続し、
前記第1の電気経路および前記迂回する第3の電気経路を第1の磁気コアに通し、
前記第2の電気経路および前記迂回する第3の電気経路を第2の磁気コアに通す、
ことを備え、
前記第1の電気経路の極性が、前記第1の磁気コア内の前記迂回する第3の電気経路の極性と揃えられ、かつ前記第2の電気経路の極性が、前記第2の磁気コア内の前記迂回する第3の電気経路の極性と反対にされる、シュートスルー事象の軽減方法。
【請求項12】
第3のスイッチを第4の電気経路を介して第2の中央ノードに接続し、かつ第4のスイッチを第5の電気経路を介して前記第2の中央ノードに接続し、
前記第2の中央ノードを迂回する第6の電気経路を介して前記負荷に接続し、
前記第4の電気経路および前記迂回する第6の電気経路を前記第1の磁気コアに通し、
前記第5の電気経路および前記迂回する第6の電気経路を前記第2の磁気コアに通す、
ことをさらに備え、
前記第4の電気経路の極性が、前記第1の磁気コア内の前記迂回する第6の電気経路の極性と反対にされ、かつ前記第5の電気経路の極性が、前記第2の磁気コア内の前記迂回する第6の電気経路の極性と揃えられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが、電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチの各々のボディダイオードを使用して、ゼロ電圧スイッチング電圧をスナビングするステップをさらに備えた、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、シュートスルー電流スパイクに曝される回路のためのシュートスルー電流障害保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星および宇宙船で使用される回路などの電気回路には、多くの異なる電力要件が含まれる。DCからACへの変換、DCからDCへの変換、およびその他の多くの標準的な電力システムの実装には、適切な電力変換を提供するために交互に切り替えられる複数の直列に配置されたトランジスタを利用する、Hブリッジ回路などのブリッジ回路が含まれる。宇宙用途でより一般的な特定の条件にさらされると、回路内の1つまたは複数のスイッチに望ましくない閉鎖をもたらす可能性がある。閉じたスイッチが正端子と負端子の直列接続になると、短絡が発生し、電流が急激に増加する。この状態は、シュートスルー事象(shoot-through event)と呼ばれる。
【0003】
場合によっては、急速な電流増加により、スイッチまたは他の電子機器を通る電流が定格電流レベルを超え、電子機器が損傷または破壊される可能性がある。さらに、シュートスルー事象で電流が上昇する速度に起因して、反動的な(つまり、事象が検出された後にのみ作動する)既存の保護システムが遅すぎるために、一部の事象中に適切な保護を提供できない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な一実施形態では、シュートスルー保護回路が、正のバスに接続されるとともに、第1の電気経路を介して第1の中央ノードに接続された第1のスイッチと、負のバスに接続されるとともに、第2の電気経路を介して第1の中央ノードに接続された第2のスイッチと、第1の中央ノードを第1の負荷出力に接続する、迂回(circuitous)する第3の電気経路と、第1の電気経路および迂回する第3の電気経路を取り囲む第1の磁気コアと、第2の電気経路および迂回する第3の電気経路を取り囲む第2の磁気コアと、を含んでおり、第1の電気経路および第2の電気経路のうちの一方の極性が、第1の磁気コアおよび第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において迂回する第3の電気経路の極性と揃えられ(aligned)、かつ、第1の電気経路および第2の電気経路のうちの他方の極性が、第1の磁気コアおよび第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において迂回する第3の電気経路の極性と反対(opposes)にされる。
【0005】
上記のシュートスルー保護回路の別の例が、正のバスに接続されるとともに、第4の電気経路を介して第2の中央ノードに接続された第3のスイッチと、負のバスに接続されるとともに、第5の電気経路を介して第2の中央ノードに接続された第4のスイッチと、第2の中央ノードを第2の負荷出力に接続する、迂回する第6の電気経路と、第4の電気経路および迂回する第6の電気経路を取り囲む第1の磁気コアと、第5の電気経路および迂回する第6の電気経路を取り囲む第2の磁気コアと、をさらに含み、第4の電気経路および第5の電気経路のうちの一方の極性が、第1の磁気コアおよび第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において迂回する第6の電気経路の極性と揃えられ、かつ、第4の電気経路および第5の電気経路のうちの他方の極性が、第1の磁気コアおよび第2の磁気コアのうちの対応する一つの内部において迂回する第6の電気経路の極性と反対にされる。
【0006】
上記のシュートスルー保護回路のいずれかの別の例では、第1の電気経路の極性が、第1の磁気コア内の迂回する第3の電気経路の極性と揃えられ、第4の電気経路の極性が、第1の磁気コア内の迂回する第6の電気経路の極性と反対にされる。
【0007】
上記のシュートスルー保護回路のいずれかの別の例では、第2の電気経路の極性が、第2の磁気コア内の迂回する第3の電気経路の極性と反対にされ、第5の電気経路の極性が、第2の磁気コア内の迂回する第6の電気経路の極性と揃えられる。
【0008】
上記のシュートスルー保護回路のいずれかの別の例では、第1、第2、第3、および第4のスイッチは、Hブリッジ回路構成(H-bridge topology)として接続される。
【0009】
上記のシュートスルー保護回路のいずれかの別の例では、回路が、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)インダクタを有していないことを特徴とする。
【0010】
上記のシュートスルー保護回路のいずれかの別の例では、第1および第2のスイッチの少なくとも1つが、電圧スパイクスナバを含む。
【0011】
上記のシュートスルー保護回路のいずれかの別の例では、第1および第2のスイッチの少なくとも1つが、電圧スパイクスナバを有していない。
【0012】
上記のシュートスルー保護回路のいずれかの別の例では、第1のスイッチおよび第2のスイッチの各々が、電界効果トランジスタ(FET)である。
【0013】
上記のシュートスルー保護回路のいずれかの別の例では、第1のスイッチおよび第2のスイッチが、ハーフブリッジ回路構成として配置される。
【0014】
シュートスルー事象を軽減するための例示的な方法が、第1のスイッチを第1の電気経路を介して中央ノードに接続し、第2のスイッチを第2の電気経路を介して中央ノードに接続し、中央ノードを迂回する第3の電気経路を介して負荷に接続し、第1の電気経路および迂回する第3の電気経路を第1の磁気コアに通し、第2の電気経路および迂回する第3の電気経路を第2の磁気コアに通す、ことを含んでおり、第1の電気経路の極性が、第1の磁気コア内の迂回する第3の電気経路の極性と揃えられ、かつ第2の電気経路の極性が、第2の磁気コア内の迂回する第3の電気経路の極性と反対にされる。
【0015】
シュートスルー事象を軽減するための上記の方法の別の例が、第3のスイッチを第4の電気経路を介して第2の中央ノードに接続し、第4のスイッチを第5の電気経路を介して第2の中央ノードに接続し、第2の中央ノードを迂回する第6の電気経路を介して負荷に接続し、第4の電気経路および迂回する第6の電気経路を第1の磁気コアに通し、第5の電気経路および迂回する第6の電気経路を第2の磁気コアに通す、ことをさらに含み、第4の電気経路の極性が、第1の磁気コア内の迂回する第6の電気経路の極性と反対にされ、かつ第5の電気経路の極性が、第2の磁気コア内の迂回する第6の電気経路の極性と揃えられる。
【0016】
シュートスルー事象を軽減するための上記方法のいずれかの別の例では、第1のスイッチおよび第2のスイッチが、電界効果トランジスタである。
【0017】
シュートスルー事象を軽減するための上記の方法のいずれかの別の例では、第1のスイッチおよび第2のスイッチの各々のボディダイオードを使用して、ゼロ電圧スイッチング電圧をスナビング(snubbing)するステップをさらに含む。
【0018】
本発明のこれらおよびその他の特徴は、以下の明細書および図面から最もよく理解することができ、以下はその簡単な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】例示的な従来技術のHブリッジスイッチング回路構成を示す図である。
図2】例示的なデュアルコアシュートスルー保護インダクタHブリッジ整流器回路構成を概略的に示す図である。
図3】例示的なデュアルコアシュートスルー保護ハーフブリッジ整流器回路構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、既存の電気回路設計による例示的なHブリッジ回路構成(topology)10を概略的に示す。Hブリッジ10は、直列に配置された2つのトランジスタ22,24の第1の組と、直列に配置された2つのトランジスタ26,28の第2の組を含む、4つのトランジスタ22,24,26,28を含む。インダクタ30は、トランジスタ22,24,26,28の各組に接続されたノード40,42の両端に接続されている。インダクタ30は、変圧器50への電磁接続を形成し、コントローラ60は、トランジスタ22,24,26,28の動作を制御し、それにより任意の組の2つのトランジスタが同時に閉じられるのを防止する。トランジスタ22,24,26,28の各組の正端子および負端子は、対応するDCバスの正端子および負端子に接続される。コントローラ60は、既知のHブリッジ制御原理に従って動作し、配電システムに電力を供給する。インダクタ30は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)インダクタとしても動作し、シュートスルー事象を緩和する。
【0021】
通常動作中、トランジスタ22,24,26,28はコントローラ60によって交互に切り替えられ、ノード40および42に亘って正しい電力出力を提供する。トランジスタの半導体構造により、放射線または電磁パルスへの露出が制御信号入力を無効(override)にし、トランジスタ22,24,26,28を閉じた(またはシュートスルーと呼ばれる)状態にする可能性がある。所与の組のトランジスタ22,24または26,28、または両方の組における両方のトランジスタが同時に閉じた状態で動作している場合、正端子と負端子を直接接続する短絡が発生する。短絡は、接続された電気回路またはトランジスタ22,24,26,28自体を焼損させ、回復不能な故障状態を引き起こす高電流レベルへの急速な電流ランプ(di/dt)をもたらす。
【0022】
ほとんどの地上用途では、上記の故障状態を引き起こす可能性のある種類の危険に曝されることは予想されない。一方、人工衛星、宇宙ステーション、および同様のシステムなどの宇宙用途では、その継続時間を通じて上記の障害状態を引き起こす可能性のある放射線スパイクに曝される。同様に、相当量の放射線または電磁パルスに曝されることが予想される地上用途でも、同じまたは同様の障害状態が発生する可能性がある。どちらの場合も、Hブリッジのトランジスタが事象にさらされると、事象が完全に経過するまでトランジスタが強制的に閉じられうる(シュートスルー)。
【0023】
引き続き図1の一般的なHブリッジ構成に関連して、同様の要素を示す同様の数字を伴う図2は、上記の障害状態から保護するように構成されたデュアルコアシュートスルー保護インダクタ構成を含むHブリッジ構成100を概略的に示す。従来のHブリッジ10と同様に、図2のHブリッジ100は、2組のトランジスタ122,124,126,128を含み、各組は直列に配置され、電気経路182,184,186,188を介して対応する中央ノード対140,142に接続される。トランジスタ122,124、および126,128の各組は、正端子を負端子に接続する。従来技術においてノード140,142を接続するゼロ電圧スイッチングインダクタ30は省略され(省略は図2に破線で示されている)、デュアルシュートスルー保護構成に配置された一対の磁気コア132,134に置き換えられている。図示の方向矢印は、通常動作中の例示的な瞬間的な電流の流れを示す。
【0024】
ノード140,142の各々は、対応する迂回(circuitous)電気経路170,172を介して負荷190の端子に接続される。本明細書で使用されるように、電気経路は、電気コンポーネントを最小限または無視できるインピーダンスで接続する電線、回路トレース、またはその他の電流経路の任意の組み合わせを指す。各迂回電気経路170,172は、その電気経路170,172がコア132,134のうちの一方を通過するときに、その電気経路170,172が、対応するトランジスタ122,124,126,128の極性と揃えられ、かつ、電気経路170,172がコア132,134のうちの他方を通過するときに、その電気経路170,172が、対応するトランジスタ122,124,126,128の極性と反対になるように、デュアル磁気コア132,134と絡み合っている。本明細書中で用いられるように、揃えられた極性は、電流の流れの予想される方向が一致することを指し、反対の極性は、電流の流れの予想される方向が反対であることを指す。
【0025】
電気経路170,172は、1つの電気経路170,172が、コア132,134の各々における対応する電気経路182,184,186,188の極性と一致し、かつ1つの電気経路170,172が、対応する電気経路182,184,186,188の極性と反対になるように構成される。通常の動作中、この構成により、コア132,134からの磁束(flux)の大部分が相殺され、コア132,134が、従来のHブリッジ10(図1参照)のゼロ電圧スイッチングインダクタ130の代わりに動作できるようになる。通常の動作には、トランジスタ122,124,126,128のスイッチングの繰り返しが含まれ、各スイッチは負の電圧スパイクをもたらす。いくつかの例では、ボディダイオード180は、スイッチングによる負の電圧スパイクをクランプするのに十分な大きさであり、キャンセルされていない磁束と組み合わされており、追加の回路を必要としない。代替例では、予想される負の電圧スパイクがトランジスタボディダイオード180の能力を超える可能性があり、電圧スナバ回路が含まれる。電圧スナバ回路は、スイッチングによって発生する予想される電圧スパイクの大きさを処理できる任意の利用可能な電圧スナバ回路であってもよく、任意の既知のスナバ構成に接続することができる。
【0026】
放射線事象、またはすべてのトランジスタ122,124,126,128を閉じた(シュートスルー)状態で動作させるその他の事象が発生すると、正ノードのそれぞれは、対応する負ノードに直接接続され、そして、すべての電流はコア132,134を正から負へと同じ方向に通過する。シュートスルー事象の継続時間中の電流の流れの揃えられた極性は、コア132,134内に揃えられた磁束を生成し、磁束の相殺はない。その結果、コア132,134を通過するワイヤ170,172のインダクタンスは、電流が増加できる速度を制限する。制限された電流の増加により、コントローラまたは他の保護システムがすべてのトランジスタ122,124,126,128をオフにするまで、トランジスタ、ならびに正および負の端子に接続された任意の電気コンポーネントがシュートスルー事象を生き残ることができる。シュートスルー事象が終了すると、コントローラまたは他の保護システムがトランジスタ122,124,126,128をリセットして、トランジスタ122,124,126,128を標準動作に戻すことができる。シュートスルー事象の継続時間が十分に短い別の発生では、トランジスタ122,124,126,128は直ちに標準動作に戻ることができ、保護回路のリセットは必要とされない。
【0027】
引き続き図1および図2に関連して、図3は、デュアルコアシュートスルー保護インダクタ構成のハーフブリッジ構成200への適用を概略的に示している。当業者は、本明細書に含まれる教示が三相ブリッジおよび任意のその他の同様の回路に外挿できることを理解するであろう。ハーフブリッジ構成200は、直列に配置されるとともに、第1の電気経路282および第2の電気経路284を介して中央ノード240に接続された2つのトランジスタ222,224を含む。ノード240は、コア230,232を互いに反対方向に通過する迂回電気経路270を介して接地に接続される。Hブリッジ100の例と同様に、コア230,232を流れる電流は、磁束によるインダクタンスのすべてではないがほとんどを無効にし、残りのインダクタンスは、従来のハーフブリッジにおいてノード240を接地241に接続する、インダクタを置換するように機能する。
【0028】
トランジスタスイッチ要素を利用しながらHブリッジ回路構成およびハーフブリッジ回路構成に関して上述したが、図2および3に関して上に図示および説明したデュアルコアシュートスルーインダクタ構成は、モータードライバ、その他の半導体スイッチの種類、および/またはその他の種類の電界効果トランジスタ(FET)を含むがこれらに限定されない、損傷を与える可能性のあるシュートスルー事象を受けやすい、任意のスイッチ構成に拡張することができる。
【0029】
上記の概念のいずれも、単独で、または上記のその他の概念のいずれかまたはすべてと組み合わせて使用できることがさらに理解される。本発明の実施形態が開示されたが、当業者は、特定の変更が本発明の範囲内にあることを認識するであろう。そのため、本発明の真の範囲および内容を決定するために、以下の特許請求の範囲を検討する必要がある。
図1
図2
図3
【国際調査報告】