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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-22
(54)【発明の名称】電気ケトル
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A47J27/21 101K
A47J27/21 101J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529913
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2020133117
(87)【国際公開番号】W WO2022115997
(87)【国際公開日】2022-06-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523180322
【氏名又は名称】グループ セブ イノベーション センター (ゼジアン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェンミン メイ
(72)【発明者】
【氏名】バティスト ボンヌメーレ
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA34
4B055BA02
4B055BA16
4B055CC09
4B055DA02
4B055DB03
(57)【要約】
加熱すべき液体を受け入れるための容器(8)と、前記容器(8)の下に配置された加熱アセンブリと、を備え、前記加熱アセンブリは、加熱チューブ(1)と、ブラケット(3)を介して、前記加熱チューブ(1)の下に取り付けられた温度ヒューズ(6)と、熱伝導性材料からなり、前記容器(8)の底部(4)と前記加熱チューブ(1)との間に配置されるプレート(2)と、を備え、前記プレート(2)は、前記加熱チューブ(1)配置される本体(20)と、前記本体(20)の外縁から半径方向に突出し、前記ブラケット(3)と協働して前記ブラケット(3)を前記加熱チューブ(1)に接触する位置に保持するように構成されるタブ(21)と、を備える、電気ケトル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱すべき液体を受け入れるための容器(8)と、前記容器(8)の下に配置された加熱アセンブリと、を備え、前記加熱アセンブリは、加熱チューブ(1)と、ブラケット(3)を介して、前記加熱チューブ(1)の下に取り付けられた温度ヒューズ(6)と、熱伝導性材料からなり、前記容器(8)の底部(4)と前記加熱チューブ(1)との間に配置されるプレート(2)と、を備え、前記プレート(2)は、前記加熱チューブ(1)が配置される本体(20)と、前記本体(20)の外縁から半径方向に突出し、前記ブラケット(3)と協働して前記ブラケット(3)を前記加熱チューブ(1)に接触する位置に保持するように構成されるタブ(21)と、を備える、電気ケトル。
【請求項2】
前記ブラケット(3)は、前記温度ヒューズ(6)を受け入れて所定の位置に保持するように構成された支持部(31)と、前記プレート(2)の前記タブ(21)に固定されるように構成された取付部(32)と、を備える、請求項1に記載の電気ケトル。
【請求項3】
前記タブ(21)は、少なくとも1つのねじ付きロッド(212)が挿入される少なくとも1つの取付貫通孔(321)を有する前記取付部(32)に接触する表面に、前記少なくとも1つのねじ付きロッド(212)を備え、少なくとも1つのナット(51)が、前記少なくとも1つのねじ付きロッドに螺合して前記ブラケット(3)を前記タブ(21)に固定する、請求項2に記載の電気ケトル。
【請求項4】
前記タブ(21)は、少なくとも1つのねじ付き貫通孔(211)を備え、前記取付部(32)は、前記少なくとも1つのねじ付き貫通孔(211)と整列した少なくとも1つの取付貫通孔(321)を備え、少なくとも1つのねじ付き締結具(52)は、前記少なくとも1つの取付貫通孔を通り、前記少なくとも1つのねじ付き貫通孔(211)にねじ込まれ、前記ブラケット(3)を前記タブ(21)に固定する、請求項2に記載の電気ケトル。
【請求項5】
前記容器(8)の前記底部(4)は、下方に突出する実質的に円形の中央プラットホーム(42)と、前記中央プラットホーム(42)の周囲のリング状溝(41)と、を有し、前記プレート(2)の前記本体(20)は、前記中央プラットホーム(42)の底面に固定され、前記プレート(2)の前記タブ(21)は、前記中央プラットホーム(42)を越えて半径方向に延び、前記溝(41)の底面から間隔をあけて配置される、請求項2に記載の電気ケトル。
【請求項6】
前記タブ(21)が、前記プレート(2)の前記本体(20)の縁部に接する方向に実質的に延びるスロット(213)を備え、前記ブラケット(3)の前記取付部(32)は、弾性力によって、前記ブラケット(3)を所定の位置に保持するように前記スロット(213)と協働するように構成された弾性取付構造を備える、請求項5に記載の電気ケトル。
【請求項7】
前記弾性取付構造は、前記スロット(213)内に取り外し可能に挿入されるように構成された弾性中央爪(322)を備え、前記弾性中央爪(322)が前記スロット(213)に挿入されたときに、前記ブラケット(3)を所定の位置に保持するように、前記弾性中央爪(322)の自由端が、少なくとも部分的に前記溝(41)の前記底面に接する、請求項6に記載の電気ケトル。
【請求項8】
前記弾性取付構造は、前記中央爪(322)から間隔を置いて配置され、前記ブラケット(3)の取付安定性を確保するように前記タブ(21)の外縁に押し付けるように構成された2つの弾性側方爪(323)を備える、請求項7に記載の電気ケトル。
【請求項9】
前記2つの側方爪(323)は、前記中央爪(322)の両側に対称的に配置される、請求項8に記載の電気ケトル。
【請求項10】
前記2つの側方爪(323)の各々は、自由端に曲げ部(3231)を有し、前記中央爪(322)が前記スロット(213)に挿入されたときに、前記2つの側方爪(323)の前記自由端が、前記溝(41)の前記底面に向かって延び、前記タブ(21)の前記外縁の周面を押圧する、請求項8又は9のいずれか1項に記載の電気ケトル。
【請求項11】
前記中央爪(322)は、自由端に歯(3221)を有し、前記中央爪(322)の前記自由端が、前記溝(41)の前記底面に向かって延び、前記ブラケット(3)が半径方向外側にスライドするのを防ぐために、前記溝(41)の前記底面を押圧する、請求項7~10のいずれか1項に記載の電気ケトル。
【請求項12】
前記弾性取付構造は、自由端(3241)が、少なくとも部分的に前記溝(41)の前記底面に接している状態で、前記スロット(213)内に取り外し可能に挿入されるように構成された弾性挿入部(324)を備え、前記挿入部(324)が、実質的にその中心にある開口部(325)と、前記開口部(325)の縁部(3251)から、前記挿入部の前記自由端(3241)から離れる方向に延びる弾性薄板(326)と、を備え、前記挿入部(324)が前記スロット(213)に挿入されると、前記弾性薄板(326)は、前記溝(41)の前記底面に面した前記タブ(21)の表面と当接する、請求項6に記載の電気ケトル。
【請求項13】
前記プレート(2)は、アルミニウム製である、請求項1から12のいずれか1項に記載の電気ケトル。
【請求項14】
前記タブ(21)は、前記プレート(2)の前記本体(20)と一体的に形成される、請求項1から13のいずれか1項に記載の電気ケトル。
【請求項15】
前記ブラケット(3)は、熱伝導性材料からなる、請求項1から14のいずれか1項に記載の電気ケトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、小型家電の分野に関し、特に、水、お茶、ミルクなどの液体を加熱する電気ケトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気ケトルは、「安全・安心」、「使いやすい」、「持ち運びが便利」、「加熱効率が良い」などの利点から、水やお茶、ミルクなどの液体を温めるために、日常生活で頻繁に使用されている。
【0003】
一般的に、電気ケトルは、加熱すべき液体を受けるための容器と、容器の直下に配置された加熱装置とから構成される。容器は、その底部に、加熱装置と電気的に接続される上部コネクタが設けられる。ケトルは、しばしば、電源に電気的に接続される下部コネクタからなるベースと一緒に使用される。ケトルをベースに置いたとき、上部コネクタと下部コネクタが互いに結合され、スイッチがオンになると、液体の加熱中にケトルに電力が供給される。ケトルを安全に使用するために、加熱装置に温度ヒューズが取り付けられる。
【0004】
既存の電気ケトルの中には、例えば、特許文献1に開示されているように、加熱装置が、非閉環状の加熱管と、加熱管の下に取り付けられ、取付金具を介して位置が保持される温度ヒューズと、から構成されているものがある。しかし、加熱装置のスペースが限られているため、このような取り付けを所望の位置に簡単、迅速、確実に、低コストで行うことはかなり難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-125356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、上記の欠点を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本願発明は、加熱すべき液体を受け入れるための容器と、容器の下に配置された加熱アセンブリと、を備え、加熱アセンブリは、加熱チューブと、ブラケットを介して、加熱チューブの下に取り付けられた温度ヒューズと、熱伝導性材料からなり、容器の底部と加熱チューブとの間に配置されるプレートと、を備え、プレートは、加熱チューブが配置される本体と、本体の外縁から半径方向に突出し、ブラケットと協働してブラケットを加熱チューブと接触する位置に保持するように構成されるタブと、を備える、電気ケトルを提供する。
【0008】
本体の外縁から半径方向に突出したタブにより、温度ヒューズは、限られた数の補助部品と操作で、タブに固定されたブラケットを介して、加熱チューブの下に簡単、迅速かつ確実に取り付けることができる(したがって、低コストで済む)。また、タブは安価で、加熱アセンブリの異なる部品の実際の配置や構造を変更することなく、既存の熱拡散プレートに容易に追加することができる。
【0009】
有利には、ブラケットは、温度ヒューズを受け入れて所定の位置に保持するように構成された支持部と、プレートのタブに固定されるように構成された取付部と、を備える。好ましくは、ブラケットの優れた機械的強度を確保するために、支持部と取付部とが一体的に形成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、タブは、少なくとも1つのねじ付きロッドが挿入される少なくとも1つの取付貫通孔を有する取付部と接触するその表面に、少なくとも1つのねじ付きロッドを備え、少なくとも1つのナットが、少なくとも1つのねじ付きロッドに螺合してブラケットをタブに固定する。
【0011】
一般的な締結具(ナット、ねじ付きロッド)と作業(溶接、ねじ止め)で済むため、実現が容易な解決策である。さらに、ブラケットの形状や構造にも特別な要件はない。つまり、取付孔のあるブラケットであれば、ほぼ全てのブラケットを使用することができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、タブは、少なくとも1つのねじ付き貫通孔を備え、取付部は、少なくとも1つのねじ付き貫通孔と整列した少なくとも1つの取付貫通孔を備え、少なくとも1つのねじ付き締結具は、少なくとも1つの取付貫通孔を通り、少なくとも1つのねじ付き貫通孔にねじ込まれ、ブラケットをタブに固定する。
【0013】
この解決策では、タブにねじ付きロッドを追加(多くは溶接)する必要がないため、従来の解決策に比べてさらに簡単で、部品点数も少なくて済む。
【0014】
有利には、容器の底部は、下方に突出する実質的に円形の中央プラットホームと、中央プラットホームの周囲のリング状溝と、を有し、プレートの本体は、中央プラットホームの底面に固定され、プレートのタブは、中央プラットホームを越えて半径方向に延び、溝の底面から間隔をあけて配置される。
【0015】
加熱チューブの電源を入れると、発生した熱がプレートを介して、容器の底部に伝わり、中に入っている液体を加熱する。タブが、溝の底面から離れた位置にあるため、より多くの解決策を考えることができ、出口部品との干渉を生じることなく、溝の上の空間を十分に利用できるため、タブへのブラケットの固定がさらに容易となる。
【0016】
いくつかの実施形態において、タブは、プレートの本体の縁部に接する方向に実質的に延びるスロットを備え、ブラケットの取付部は、弾性力によって、ブラケットを所定の位置に保持するようにスロットと協働するように構成された弾性取付構造を備える。
【0017】
このスロットにより、タブへのブラケットの取付をさらに簡略化することが可能になる。実際、ブラケットの弾性取付構造が、スロットと連携しているため、ブラケットをタブに固定する際、ねじやナット、ボルトなどの締結具を使わずに、ブラケットをタブに自動で固定できるため、組み立ての手間とコストを削減できる。また、ブラケットをスロットに挿入する際に「パチン」と音が鳴るので、ブラケットがきちんと装着されているかを確認することができ、装着が簡単・迅速・確実になる。
【0018】
いくつかの実施形態において、弾性取付構造は、中央爪がスロットに挿入されたときに、ブラケットを所定の位置に保持するように、その自由端が少なくとも部分的に溝の底面に接して、スロット内に取り外し可能に挿入されるように構成された弾性中央爪を備える。
【0019】
中央爪は、弾力性があるため、スロットに挿入する前に適切な位置に曲げることができる。したがって、このような中央爪を構成するブラケットを、簡単な操作で取り付けることができる。
【0020】
有利には、弾性取付構造は、中央爪から間隔をおいて配置され、ブラケットの取付安定性を確保するようにタブの外縁に押し付けるように構成された2つの弾性側方爪をさらに備える。
【0021】
有利なことに、2つの側方爪は、中央爪の両側に対称的に配置される。
【0022】
このように、力のバランスが良くなることで、ブラケットの取付安定性はさらに向上する。
【0023】
有利には、2つの側方爪の各々は、その自由端に、溝の底面に向かって延び、中央爪がスロットに挿入されたときに、タブの外縁の周面を押圧する曲げ部を有する。
【0024】
曲げ部のおかげで、ブラケットをよりしっかりと所定の位置に保持できる。
【0025】
有利なことに、中央爪は、その自由端に、ブラケットが半径方向外側にスライドするのを防ぐために、溝の底面に向かって延び、溝の底面に押し付ける歯を備える。
【0026】
いくつかの実施形態において、弾性取付構造は、その自由端が、少なくとも部分的に溝の底面に接してスロット内に取り外し可能に挿入されるように構成された弾性挿入部を備え、挿入部は、実質的にその中心にある開口部と、開口部の縁部から挿入部の自由端から離れる方向に延びる弾性薄板と、を備え、挿入部がスロット内に挿入されると、薄板は、溝の底面に面したタブの表面と当接する。
【0027】
有利には、プレートは、アルミニウム製である。アルミニウムは熱伝導率が高いため、加熱チューブから発生する熱をプレートの底部までより良く伝導することができる。
【0028】
有利なことに、タブはプレートの本体と一体的に形成される。タブと本体が一体型であるため、ブラケットに保持される温度ヒューズの位置精度が向上する。また、タブを本体に取り付けるための溶接などの作業が不要で、タブと本体の間に界面がないため、タブの接続強度が高くなる。
【0029】
有利には、ブラケットは、アルミニウム、銅などの熱伝導性材料からなる。このようにすると、加熱チューブで発生した熱をプレートとブラケットを介して温度ヒューズにより迅速に伝導させることができるので、温度ヒューズの温度が加熱チューブの温度にリアルタイムで追従することができ、ケトルの安全性がさらに向上する。
【0030】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単に例示および説明であり、本発明を限定することを意図していないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本願発明をさらに詳細に説明する。これらの図面は、例示を目的としたものであり、本発明の保護範囲を限定するものではないことは、当業者には容易に理解される。図中の同じ参照数字は、特に断りのない限り、同一または類似の構成要素を示す。例示的な目的のために、これらの図は、スケールに合わせて描画されない場合がある。
図1図1は、本願発明の第1の実施形態に係る電気ケトルの加熱アセンブリの底面分解図である。
図2図2は、本願発明の第2の実施形態に係る電気ケトルの底面分解図である。
図3図3は、図2の電気ケトルにおいて、温度ヒューズを、ブラケットを介して、加熱チューブの下に組み付けた状態の底面斜視図である。
図4図4は、本願発明の第3の実施形態に係る電気ケトルの加熱アセンブリを示す底面分解図である。
図5図5は、図4の加熱アセンブリのブラケットを示す斜視図である。
図6図6は、(A)及び(B)に、図5のブラケットをどのように組み立てるかを示す。
図7図7は、図4におけるA-Aに沿った加熱アセンブリの断面図である。
図8図8は、本願発明の第4の実施形態に係る電気ケトルの加熱アセンブリを示す底面分解図である。
図9図9は、ブラケットを取り外した状態の図8の加熱アセンブリの底面斜視図である。
図10図10は、図8の加熱アセンブリのブラケットを示す斜視図である。
図11図11は、図8におけるB-Bに沿った加熱アセンブリの断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 加熱チューブ
2 熱伝導性材料で作られたプレート
20 本体
21 タブ
211 ねじ付き貫通孔
212 ねじ付きロッド
213 スロット
3 ブラケット
31 支持部
32 取付部
321 取付貫通孔
322 弾性中央爪
3221 歯
323 弾性側方爪
3231 曲げ部
324 弾性挿入部
3241 弾性挿入部の自由端
325 開口部
3251 開口部の縁部
326 弾性薄板
4 容器の底部
41 溝
42 中央プラットホーム
51 ナット
52 ねじ付き締結具
6 温度ヒューズ
7 底蓋
8 容器
9 温度調節器
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本願発明をさらに詳細に説明する。本明細書で使用され得る「上部」、「下部」、「上」、「下」、「底部」、「頂部」などの用語は、通常の使用位置にある電気ケトルに対するものであるが、本願発明の全ての図面において、ケトルの底部に配置された加熱アセンブリをより良く示すために逆さまであることに留意されたい。
【0034】
図1図11に示すように、本願発明は、加熱すべき液体を受け入れるための容器8と、容器8の下に配置され、底蓋7によって覆われる加熱アセンブリと、を備える電気ケトル100を提供する。加熱アセンブリに電気的に接続された上部コネクタ11は、容器8の底部に設けられ、底蓋7の中央部の開口部からアクセス可能である。ケトル100が、電源に電気的に接続された下部コネクタからなるベース(図示せず)上に置かれると、上部コネクタと下部コネクタは、必要に応じてケトル100に電力を供給できるように互いに結合される。加熱アセンブリは、加熱チューブ1、温度ヒューズ6、熱拡散プレート2、及び、温度調節器9から構成される。加熱チューブ1は、周方向に延びて、その両端を互いに近接させた非閉鎖の環状をなす。温度ヒューズ6は、ブラケット3を介して、加熱チューブ1の下に取り付けられ、加熱チューブ1と電気的に直列に接続される。プレート2は、実質的に丸い形状の本体20からなり、アルミニウム、銅などのような熱伝導性材料で作られ、容器8の底部4と加熱チューブ1との間に配置される。容器8の底部4は、下方に突出した実質的に円形の中央プラットホーム42と、プラットホーム42の周囲のリング状の溝41とから構成される。プレート2の本体20は、任意の適切な手段でプラットホーム42の底面に固定される。本体20の下面には、加熱チューブ1、温度調節器9、上部コネクタ11が配置される。本体20及び中央プラットホーム42は、任意の他の形状であり得ることを理解されたい。
【0035】
加熱チューブ1に電源が投入されると、発熱し、その熱がプレート2を介して、容器8の底部4に伝わり、容器8内に収容された液体を加熱することができるようになる。予め設定された温度に達すると、温度調節器9は回路を遮断し、加熱チューブ1の作動を停止させる。しかし、状況によっては、温度調節器9が故障し、加熱チューブ1が作動し続けることがあり、火災などの安全上の問題が発生する可能性がある。このような危険を防ぐために、温度ヒューズ6を加熱チューブ1の近くに追加する。高温時に温度ヒューズ6が切れると、加熱チューブ1の回路が遮断されるため、それ以上熱が発生せず、温度が低下する。温度ヒューズ6のおかげで、ケトル100は、使用時の安全性が向上し、その部品が高温で損傷することが防止される。
【0036】
温度ヒューズ6の取り付けを容易にするために、本願発明は、本体20の外縁から半径方向に突出し、容器8の底部4の中央プラットホーム42を越えて半径方向に延びるタブ21を提供することを提案する。タブ21は、ブラケット3と協働して、ブラケット3が加熱チューブ1に接触する位置にブラケット3を保持するように構成される。ブラケット3は、温度ヒューズ6を受け入れて所定の位置に保持するように構成された支持部31と、プレート2のタブ21に固定されるように構成された取付部32と、からなる。支持部31は、温度ヒューズ6が加熱チューブ1に対して十分に近い位置に確実に保持されるように、実質的に水平方向に延びる部分によって加熱チューブ1の下面に当接する。加熱チューブ1の温度が上昇すると、それに隣接する温度ヒューズ6も高温に加熱され、温度ヒューズ6の融点を超えるまで加熱され、これが切れて回路が遮断されることになる。
【0037】
好ましくは、タブ21は、熱伝導性材料からプレート2の本体20と一体的に形成される。そのため、タブ21を本体20に取り付けるための溶接などの追加操作が不要となり、タブ21と本体20の接続強度は、その間に界面が存在しないことにより高くなる。また、タブ21と本体20とが一体型であるため、ブラケット3に保持される温度ヒューズ6の位置精度を向上させることができる。しかしながら、タブ21は、別個に製造され、その後、任意の適切な手段によって本体20に固定され得ることを理解されたい。
【0038】
好ましくは、タブ21は、実質的に長方形である。この形状はシンプルで入手が容易であり、加熱アセンブリの製造工程の複雑さやコストを大きく増加させることはない。もちろん、タブ21は、正方形、長円形、楕円形など、他の形状であってもよい。好ましくは、ブラケット3も熱伝導性材料で作られており、加熱チューブ1からプレート2及びブラケット3を介して、温度ヒューズ6に熱がより迅速に伝導されるようにすることができる。そのため、温度ヒューズ6の温度は、よりリアルタイムに加熱チューブ1の温度に追従することになり、ケトルの安全性はさらに向上する。
【0039】
図1に示すような第1の実施形態(より良い説明目的のためにいくつかの部品が取り除かれる)では、タブ21は、ブラケット3の取付部32と接触するその表面に2つのねじ付きロッド212を備え、取付部32は、対応する2つの取付貫通孔321を備える。ねじ付きロッド212を取付貫通孔321に挿入し、タブ21と反対側の面からねじ付きロッドに2つのナット51を螺合することで、ブラケット3をタブ21に固定することができる。なお、ねじ付きロッド212、取付貫通孔321及びナット51の数は、実際の必要性に応じて、2つ以上であってもよいし、2つ以下であってもよいことを理解されたい。本実施形態では、取付貫通孔321は、実質的に円形であるが、異なる部品の製造誤差を補償するためにブラケット3の取付位置を調整できるようなスロット形状にすることもできる。ねじ付きロッド212は、例えば、溶接によってタブ21に取り付けることができ、あるいはタブ21と一体的に形成することができる。
【0040】
図2及び図3に示すように、第2の実施形態では、タブ21には2つのねじ付き貫通孔211が設けられ、ブラケット3の取付部32には、ねじ付きであるか否かにかかわらず、対応する2つの取付貫通孔321が設けられる。ねじ付き貫通孔211と取付貫通孔321とが互いに位置合わせされると、ブラケット3をタブ21に固定するように、2つのねじ付き締結具52(例えば、ねじ、ボルト等)が位置合わせされた孔にそれぞれ螺合される。タブ21は、溝41に対して距離を置いて配置されているため、ねじ付き締結具52はねじ付き貫通孔211を越えて延びることができ、タブ21へのブラケット3の確実な固定を確保できる。さらに、第1実施形態と比較して、ブラケット3を固定するための部品点数(ネジ棒が不要)や作業量(溶接が不要)が少なく、コストダウンにつながる。同様に、ねじ付き貫通孔211、取付貫通孔321及びねじ付き締結具52の数は、実際の必要性に応じて2つ以上であってもよいし、それ以下であってもよい。本実施形態では、取付貫通孔321は、実質的に円形であるが、異なる部品の製造誤差を補償するためにブラケット3の取付位置を調整できるようなスロット形状にすることもできる。
【0041】
図4図7に示すような第3の実施形態では、タブ21は、プレート2の本体20の縁部に接する方向に実質的に延びるスロット213を備える。ブラケット3の取付部32は、弾性力によってブラケット3を所定の位置に保持するように、スロット213と協働するように構成された弾性取付構造からなる。図4~5及び7に最も良く示されているように、弾性取付構造は、中央爪322がスロット213に挿入されたときに、ブラケット3を所定の位置に保持するように、その自由端が少なくとも部分的に溝41の底面に接してスロット213に取り外し可能に挿入されるように構成された弾性中央爪322を含んで構成される。ブラケットの取付安定性を確保するために、弾性取付構造は、中央爪322から間隔をあけて配置され、タブ21の外縁に押し付けるように構成された2つ以上の弾性側方爪323をさらに含んでよい。有利には、2つの側方爪323の各々は、その自由端に曲げ部3231を有する。曲げ部3231は、実質的に垂直方向に溝41に向かって延び、中央爪322がスロット213に挿入されたときに、タブ21の外縁の周面に押し付けられる。好ましくは、2つの側方爪323は、中央爪322の両側に対称的に配置され、力のより良いバランスのおかげで、ブラケット3が組み立てられた状態でより安定するようにする。図5及び図7に最もよく示されているように、ブラケット3が(半径方向外側に)スライドバックするのを防止するために、中央爪322は、その自由端に、溝41の底面に向かって延びて押し付ける歯3221をさらに含んでよい。
【0042】
図8~11に示すように、第3の実施形態と同様に、第4の実施形態では、タブ21は、プレート2の本体20の縁部に対して実質的に接する方向に延びるスロット213も備える。ただし、本実施形態のブラケット3は、第3の実施形態のものとは異なる構造を有する。図10及び図11に最もよく示されるように、第4の実施形態によるブラケット3の弾性取付構造は、その自由端3241が溝41の底面に少なくとも部分的に突き当たった状態で、スロット213に取り外し可能に挿入されるように構成された弾性挿入部324を含んで構成される。挿入部324は、実質的にその中心にある開口部325と、開口部325の縁部3251から挿入部の自由端3241から離れる方向に伸びる弾性薄板326とからなる。挿入部324がスロット213に挿入されると、薄板326は、溝41の底面に面するタブ21の表面に当接する。このようにして、ブラケット3及びそこに受容された温度ヒューズ6が安定的に保持されるので、温度ヒューズ6がより確実に働いて、電気ケトルの使用時の安全性を確保することができる。
【0043】
第1及び第2の実施形態と比較して、第3及び第4の実施形態は、ブラケット3の固定のために締結具及び溶接のような追加の操作が必要ない点でより有利である。すなわち、ブラケット3は、スロット213への簡単な挿入により、弾性力の作用下でタブ21に自動的に固定され得る。したがって、部品点数のさらなる削減、製造・組立のさらなる簡略化により、低コスト化、生産効率の向上、及び、取り付けの信頼性が向上する。また、第1及び第2の実施形態では、作業者は、ナットやネジ・ボルトが正しく螺合されているかどうかを目視で確認することしかできないが、第3及び第4の実施形態では、ブラケットをスロットに挿入する際に生じる「パチン」という音で確認できるため、ブラケットの取り付けが容易、迅速、確実になる。
【0044】
ブラケットとタブは、ブラケットを適切な方法でタブに固定できる限り、上述した以外の形状、構造または構成を有することができることを理解されたい。
【0045】
図面及び上記説明では、本願発明の非限定的な具体的実施形態について説明した。本願発明の原理を教えるために、いくつかの従来の態様が簡略化又は省略される。当業者であれば、これらの実施形態から導かれる変更は、本願発明の範囲に含まれること、及び、上記の特徴は、競合がない場合には様々な方法で組み合わせて本願発明の複数の変形例を形成することができることを理解するはずである。したがって、本願発明は、上記具体的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ定義されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】