(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-22
(54)【発明の名称】個人用衝撃保護システム
(51)【国際特許分類】
A41D 13/018 20060101AFI20231215BHJP
A62B 99/00 20090101ALI20231215BHJP
【FI】
A41D13/018
A62B99/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533245
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2021084364
(87)【国際公開番号】W WO2022122641
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020133158.4
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】カヴェル、クリスチアン
【テーマコード(参考)】
2E184
3B211
【Fターム(参考)】
2E184LB05
2E184LC04
3B211AA01
3B211AA02
3B211AA05
3B211AB01
3B211AB11
3B211AC04
(57)【要約】
ユーザの身体(11)のそれぞれの部位の上又は周囲に装着されるように構成された複数の個別の装着可能な膨張式アイテム(1~4)を備える個人用衝撃保護システム(5)が開示される。システム(5)は、ユーザ(11)によって装着されたときに当該膨張式アイテム(1~4)を膨張させるために膨張ガスの流れを生成するように構成された少なくとも1つのインフレータ(7)と、当該インフレータ(7)又は各当該インフレータ(7)に動作可能に接続され、作動信号に応答して、かつ、i)当該膨張式アイテム(1~4)のすべての膨張と、ii)当該膨張式アイテム(1~4)のすべてではないがいくつかの膨張と、iii)当該膨張式アイテム(1~4)のうちの単一のアイテムの膨張とを含む、可能な膨張特性の群から選択された膨張特性に従って、当該インフレータ(7)又は各当該インフレータ(7)を作動させるように構成された制御システム(8,9,18,19)とを更に備える。制御システム(8,9,18,19)は、当該作動信号と、当該膨張式アイテム(1~4)のどれがユーザ(11)によって装着されているかの決定とのうちの少なくとも1つに応じて、当該膨張特性を選択するように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人用衝撃保護システム(5)であって、ユーザの身体(11)のそれぞれの部位の上又は周囲に装着されるように構成された複数の個別の装着可能な膨張式アイテム(1~4)と、前記ユーザ(11)によって装着されたときに前記膨張式アイテム(1~4)を膨張させるために膨張ガスの流れを生成するように構成された少なくとも1つのインフレータ(7)とを備え、前記システムが、前記インフレータ(7)又は各前記インフレータ(7)に動作可能に接続され、作動信号に応答して、かつ、i)前記膨張式アイテム(1~4)のすべての膨張と、ii)前記膨張式アイテム(1~4)のすべてではないがいくつかの膨張と、iii)前記膨張式アイテム(1~4)のうちの単一のアイテムの膨張とを含む、可能な膨張特性の群から選択された膨張特性に従って、前記インフレータ(7)又は各前記インフレータ(7)を作動させるように構成された制御システム(8,9,18,19)によって特徴付けられ、前記制御システム(8、9、18、19)が、前記作動信号と、前記膨張式アイテム(1~4)のどれが前記ユーザ(11)によって装着されているかの決定とのうちの少なくとも1つに応じて、前記膨張特性を選択するように構成される、個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項2】
前記システム(5)が、モジュール式であり、ユーザ(11)が装着する1つ以上のアイテム(1~4)を選択することができるいくつかの前記装着可能な膨張式アイテム(1~4)を備え、前記制御システム(8,9,18,19)及び前記アルゴリズムのうちの少なくとも1つが、前記膨張式アイテム(1~4)のどれが装着されているかを決定し、それに応じて前記膨張特性を選択するように構成される、請求項1に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項3】
前記制御システム(8,9,18,19)が、前記インフレータ(7)又は各前記インフレータ(7)に動作可能に接続され、作動アルゴリズムを実装するように構成された少なくとも1つのコントローラ(8)を備える、請求項1又は2に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項4】
前記制御システム(8、9、18、19)が、所定の閾値を上回る角速度の検出に応答して前記作動信号を生成するように構成された少なくとも1つのジャイロセンサを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の個人用衝撃保護システム。
【請求項5】
前記システム(5)が、単一の前記コントローラ(8)を備える、請求項3に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項6】
単一の前記インフレータ(7)を備え、前記膨張式アイテム(1~4)が各々、前記作動アルゴリズムに従って前記インフレータ(7)から膨張ガスの流れを受け取るために前記単一のインフレータ(7)に流体接続可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項7】
前記複数の膨張式アイテム(1~4)が、前記単一のインフレータ(7)を含み、前記インフレータ(7)から直接膨張ガスを受け取るように構成された一次膨張式アイテム(1)を含む、請求項6に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項8】
前記複数の膨張式アイテム(1~4)が、少なくとも1つの二次膨張式アイテム(2~4)を含み、前記二次膨張式アイテム(2~4)又は各前記二次膨張式アイテム(2~4)が、前記一次膨張式アイテム(1)に接続されたときに前記一次膨張式アイテム(1)を介して前記単一のインフレータ(7)から間接的に膨張ガスの流れを受け取るために、前記一次膨張式アイテム(1)と解放可能に流体接続可能である、請求項7に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項9】
前記二次膨張式アイテム(2~4)又は各前記二次膨張式アイテム(2~4)が、前記制御システム(8,9,18,19)の一部を形成するそれぞれの流れコネクタ(9)によって前記一次膨張式アイテム(1)に解放可能に流体接続可能であり、前記流れコネクタ(9)又は各流れコネクタ(9)が、それぞれの切り替え可能な圧力解放弁(15)を備え、前記それぞれの二次膨張式アイテム(2~4)が前記一次膨張式アイテム(1)に流体接続されているか否かに応じて、前記圧力解放弁(15)を動作可能状態と動作不能状態との間で切り替えるように構成され、前記圧力解放弁(15)又は各圧力解放弁(15)が、その動作可能状態において、所定の閾値を上回る前記一次膨張式アイテム(1)内の膨張圧力に応答して、前記一次膨張式アイテム(1)を大気(16)に排気するように構成され、前記動作不能状態において、前記一次膨張式アイテム(1)を排気しないように構成される、請求項8に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項10】
前記コネクタ(9)又は各前記コネクタ(9)が、i)それぞれの前記二次膨張式アイテム(2~4)が前記一次膨張式アイテム(1)に接続されると、そのそれぞれの圧力解放弁(15)を前記動作可能状態から前記動作不能状態に切り替え、ii)前記それぞれの二次膨張式アイテム(2~4)が前記一次膨張式アイテム(1)から切り離されると、そのそれぞれの圧力解放弁(15)を前記動作不能状態から前記動作可能状態に切り替えるように構成される、請求項9に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項11】
前記制御システム(8,9,18,19)が、前記作動アルゴリズムを実装するように構成された単一のコントローラ(8)を備え、前記コントローラ(8)が、i)前記作動アルゴリズムに従って前記インフレータ(7)を作動させ、ii)前記一次膨張式アイテム(1)への前記二次膨張式アイテム(2~4)又は各二次膨張式アイテム(2~4)の接続及び切り離しを検出し、前記検出に応答して前記動作可能状態と前記動作不能状態との間で前記それぞれの圧力解放弁(15)又は各それぞれの圧力解放弁(15)の切り替えを制御するように構成される、請求項9又は10に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項12】
前記一次膨張式アイテム(1)が、前記作動アルゴリズムに従って前記インフレータ(7)を作動させるように構成された一次コントローラ(8)を備え、前記二次膨張式アイテム(2~4)又は各前記二次膨張式アイテム(2~4)が、それぞれの二次コントローラを備え、前記二次コントローラ又は各前記二次コントローラが、前記一次膨張式アイテム(1)への前記それぞれの二次膨張式アイテム(2~4)の接続及び切り離しを検出し、前記検出に応答して前記動作可能状態と前記動作不能状態との間で前記それぞれの圧力解放弁(15)の切り替えを制御するように構成される、請求項9又は10に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項13】
各前記膨張式アイテム(1~4)が、それぞれの前記インフレータ(7)を備え、各膨張式アイテム(1~4)が、そのそれぞれのインフレータ(7)から直接膨張ガスを受け取るように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項14】
請求項3に従属し、前記システム(5)が、各インフレータ(7)に動作可能に接続され、前記作動アルゴリズムを実装するように構成された単一の前記コントローラ(8)を備える、請求項13に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【請求項15】
各膨張式アイテム(1~4)がそれぞれの前記コントローラ(8)を備え、各コントローラ(8)が前記それぞれのインフレータ(7)に動作可能に接続される、請求項13に記載の個人用衝撃保護システム(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人用衝撃保護システムに関する。より詳細には、本発明は、複数の個別の装着可能な膨張式アイテムを備える個人用衝撃保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザによって装着されるように構成され、エアバッグ又は他の膨張式アイテムを備える個人用衝撃保護システムを提供することがこれまでに提案されている。このようなシステムでは、ユーザが転倒若しくは転倒しそうになったり、自動車、オートバイ、若しくは自転車などと衝突したり、又は物体若しくは障害物に衝突して怪我をする恐れがあることをシステムが検知した場合に、エアバッグが膨張されるように意図されていることが前提となっている。当業者によって理解されるように、エアバッグの膨張は、衝撃エネルギーを吸収する緩衝効果を提供し、それによって、落下又は障害物若しくは物体との衝突の場合にユーザが怪我をする可能性を低減することが意図される。したがって、この一般的なタイプの個人用衝撃保護システムは、交通弱者(VRU)、例えば、歩行者、自転車乗り、オートバイ乗り、スクーターライダーなど、交通弱者(VRU)に保護を提供するのに有用であると考えられている。
【0003】
上述のこれまで提案されてきた一般的なタイプの個人用衝撃保護システムは、装着するのにやや扱いにくく制約がある一方、その膨張特性の柔軟性が低いことが判明している。例えば、このようなシステムは、典型的に、非常に大きくてかさばることの多い単一のエアバッグを備えており、非常に特定のタイプの落下又は衝突の状況に対してのみ効果的な衝撃保護を提供するように設計されることが多い。これまで提案されてきた他のシステムでは、大きな膨張式エアバッグが膨張式スーツの一部として提供されてもよく、非常に広範囲の潜在的な衝撃に対して効果的な衝撃保護を提供するように構成されている。このような構成では、エアバッグは、ユーザの身体の大部分にわたる効果的な保護を確実にするために、非常に大きくなることが多く、その結果、非常に大量の膨張ガスが必要になり、したがって、特に非常に大きいインフレータが必要になる。このインフレータは、特にインフレータが一般的に電子制御ユニット及びバッテリと組み合わせて提供されなければならないことを考えると、扱いにくくなる可能性がある。また、このような提案では、エアバッグの容積が大きいため、膨張に時間がかかるという問題がしばしば生じる。
【0004】
本発明は、上記を考慮して考案されたものである。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、個人用衝撃保護システムが提供され、その個人用衝撃保護システムは、ユーザの身体のそれぞれの部位の上又は周囲に装着されるように構成された複数の個別の装着可能な膨張式アイテムと、ユーザによって装着されたときに当該膨張式アイテムを膨張させるために膨張ガスの流れを生成するように構成された少なくとも1つのインフレータと、当該インフレータ又は各当該インフレータに動作可能に接続され、作動信号に応答して、かつ、i)当該膨張式アイテムのすべての膨張と、ii)当該膨張式アイテムのすべてではなく一部の膨張と、iii)当該膨張式アイテムのうちの単一のアイテムの膨張とを含む、可能な膨張特性の群から選択された膨張特性に従って、当該インフレータ又は各当該インフレータを作動させるように構成された制御システムとを備え、当該制御システムは、当該作動信号と、当該膨張式アイテムのどれがユーザによって装着されているかの決定とのうちの少なくとも1つに応じて、当該膨張特性を選択するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、当該インフレータ又は少なくとも1つの当該インフレータは、膨張の2つの個別の段階を提供するように構成されたタイプの二段階インフレータの形態で提供され得ることが提案される。
【0007】
好都合なことに、本システムはモジュール式であり、ユーザが装着する1つ以上のアイテムを選択することができるいくつかの当該装着可能な膨張式アイテムを備え、当該制御システム及び当該アルゴリズムのうちの少なくとも1つは、当該膨張式アイテムのどれが装着されているかを決定し、それに応じて当該膨張特性を選択するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、当該制御システムは、当該インフレータ又は各当該インフレータに動作可能に接続され、作動アルゴリズムを実装するように構成された少なくとも1つのコントローラを備える。
【0009】
任意選択的に、当該制御システムは、所定の閾値を上回る角速度の検出に応答して当該作動信号を生成するように構成された少なくとも1つのジャイロセンサを備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、個人用衝撃保護システムは、単一の当該コントローラを備える。
【0011】
任意選択的に、個人用衝撃保護システムは、単一の当該インフレータを備え、当該膨張式アイテムは各々、当該作動アルゴリズムに従ってインフレータから膨張ガスの流れを受け取るために当該単一のインフレータに流体接続可能である。
【0012】
いくつかの実施形態では、当該複数の膨張式アイテムは、当該単一のインフレータを含み、当該インフレータから直接膨張ガスを受け取るように構成された一次膨張式アイテムを含む。
【0013】
一次膨張式アイテムは、ユーザの胴体上又は周囲に装着されるように構成されてもよい。
【0014】
好都合なことに、当該複数の膨張式アイテムは、少なくとも1つの二次膨張式アイテムを含み、当該二次膨張式アイテム又は各当該二次膨張式アイテムは、一次膨張式アイテムに接続されたときに当該一次膨張式アイテムを介して当該単一のインフレータから間接的に膨張ガスの流れを受け取るために、当該一次膨張式アイテムと解放可能に流体接続可能である。
【0015】
二次膨張式アイテム又は各二次膨張式アイテムは、ユーザの頭部、腕、脚、足、手、及び腰を含む群から選択されたユーザの身体の一部の上又は周囲に装着されるように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、当該二次膨張式アイテム又は各当該二次膨張式アイテムは、当該制御システムの一部を形成するそれぞれの流れコネクタによって当該一次膨張式アイテムに解放可能に流体接続可能であってもよく、流れコネクタ又は各流れコネクタは、それぞれの切り替え可能な圧力解放弁を備え、それぞれの二次膨張式アイテムが当該一次膨張式アイテムに流体接続されているか否かに応じて、圧力解放弁を動作可能状態と動作不能状態との間で切り替えるように構成されてもよいことが提案される。圧力解放弁又は各圧力解放弁は、その動作可能状態において、所定の閾値を上回る一次膨張式アイテム内の膨張圧力に応答して、当該一次膨張式アイテムを大気に排気するように構成されてもよく、当該動作不能状態において、当該一次膨張式アイテムを排気しないように構成されてもよい。
【0017】
任意選択的に、当該コネクタ又は各当該コネクタは、i)それぞれの当該二次膨張式アイテムが当該一次膨張式アイテムに接続されると、そのそれぞれの圧力解放弁を当該動作可能状態から当該動作不能状態に切り替え、ii)当該それぞれの二次膨張式アイテムが当該一次膨張式アイテムから切り離されると、そのそれぞれの圧力解放弁を当該動作不能状態から当該動作可能状態に切り替えるように構成される。
【0018】
好都合なことに、当該制御システムは、当該作動アルゴリズムを実装するように構成された単一のコントローラを備えてもよく、当該コントローラは、i)当該作動アルゴリズムに従って当該インフレータを作動させ、ii)当該一次膨張式アイテムへの二次膨張式アイテム又は各二次膨張式アイテムの接続及び切り離しを検出し、当該検出に応答して当該動作可能状態と当該動作不能状態との間でそれぞれの圧力解放弁又は各それぞれの圧力解放弁の切り替えを制御するように構成される。
【0019】
当該一次膨張式アイテムは、当該作動アルゴリズムに従って当該インフレータを作動させるように構成された一次コントローラを備えてもよく、当該二次膨張式アイテム又は各当該二次膨張式アイテムは、それぞれの二次コントローラを備えることが提案される。当該二次コントローラ又は各当該二次コントローラは、当該一次膨張式アイテムに対するそれぞれの二次膨張式アイテムの接続及び切り離しを検出し、当該検出に応答して、当該動作可能状態と当該動作不能状態との間でのそれぞれの圧力解放弁の切り替えを制御するように構成されてもよい。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、各膨張式アイテムはそれぞれの当該インフレータを備えることができ、各膨張式アイテムがそのそれぞれのインフレータから直接膨張ガスを受け取るように構成されることが提案される。
【0021】
いくつかの実施形態では、本システムは、各インフレータに動作可能に接続され、当該作動アルゴリズムを実装するように構成された単一の当該コントローラを備えてもよい。単一のコントローラは、当該膨張式アイテムの1つの一部として設けられてもよい。
【0022】
あるいは、各膨張式アイテムがそれぞれの当該コントローラを備え、各コントローラがそれぞれのインフレータに動作可能に接続された実施形態が想定される。
【0023】
各膨張式アイテムが、所定の閾値を上回る角加速度の検出に応答してそれぞれの作動信号を生成するように構成されたそれぞれのジャイロセンサを備え得ることが提案される。
【0024】
装着可能な膨張式アイテムは、衣類の形態をとってもよい。
【0025】
装着可能な膨張式アイテムは、膨張式エアバッグを備えてもよく、又は膨張式エアバッグからなってもよい。エアバッグ又は各エアバッグは、柔軟な生地素材などから形成されてもよく、作動前に、エアバッグは各々、それぞれのエアバッグパッケージ内にきつく巻かれ、かつ/又は折り畳まれることが提案される。
【0026】
装着可能な膨張式アイテムは、様々な異なる形態をとることができる。例えば、装着可能な膨張式アイテムのうちの1つ以上は、ヘルメット、帽子、キャップ、ベスト、ジャケット、シャツ、肘パッド、膝パッド、ベルト、ハーネス、バックパック又はリュックサック、靴、靴下、手袋、ズボン又はパンツ、レギンス、レッグスリーブ、アームスリーブ、襟、ハーネス、リストバンドなどの形態をとることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、個人用衝撃保護システムは、例えば、スマートフォン若しくはタブレットデバイス、又はスマートウォッチなどのコンピュータデバイスによって制御されるように構成され得ることが提案される。そのような提案では、コンピュータデバイスは、個人用衝撃保護システムのユーザによって装着又は携帯されてもよい。例えば、装着可能な膨張式衣類のうちの1つ以上は、スマートフォン又はタブレットデバイスを受容するためのポケット又はパウチを備えてもよい。コンピュータデバイス、例えば、スマートフォンは、システムの制御システムの一部を形成してもよく、任意選択的に、当該コントローラ又は1つの当該コントローラを形成してもよい。そのような提案では、スマートフォン内の加速度計は、前述のジャイロセンサ(複数可)、又は前述のジャイロセンサのうちの少なくとも1つを表し得、スマートフォンが、当該作動信号を生成するように構成され得ることが想定される。スマートフォン又は他のタイプのコンピュータデバイスは、個人用衝撃保護システムを制御するように構成されたソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されてもよく、例えば、制御システムの一部を形成する受信機に当該作動信号を無線で送信するように構成されてもよいことが想定される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明がより容易に理解され、その更なる特徴が理解されるように、本発明の実施形態を例示の目的で添付の図面を参照して説明する。
【0029】
【
図1】ユーザが装着するアイテムを選択することができる個人用衝撃保護システムの一部を形成するいくつかの装着可能な膨張式アイテムを示す概略図である。
【
図2】
図1に示すアイテムから選択された複数の装着可能な膨張式アイテムを装着しているユーザを示す概略図であり、装着されたアイテムは、本発明の一実施形態によるシステムを形成するように接続されている。
【
図3】
図2と同様の概略図であるが、より大きなシステムを形成するために、
図1に示すアイテムから選択されたより多数の装着可能な膨張式アイテムを装着しているユーザを示す。
【
図4】一次膨張式アイテムと関連付けられ、二次膨張式アイテムへの解放可能な流体接続のために構成される、流れコネクタを示す概略図であり、二次膨張式アイテムが、一次膨張式アイテムから取り外されている状態で示されている。
【
図5】
図4に一般的に対応する概略図であるが、一次膨張式アイテムに接続された二次膨張式アイテムを示す図である。
【
図6】
図3と同様の概略図であるが、変更された実施形態によるシステムの一部を形成する装着可能な膨張式アイテムを装着しているユーザを示す。
【
図7】更なる実施形態によるシステムを形成する複数の膨張式装着可能アイテムを装着しているユーザを示す概略図である。
【
図8】
図7と同様の概略図であるが、変更された実施形態によるシステムを形成する複数の膨張式装着可能アイテムを装着しているユーザを示す。
【
図9】別の更なる実施形態による、システムの一部を形成する複数の膨張式装着可能アイテムを装着しているユーザを示す概略図である。
【
図10】
図9と同様の概略図であるが、変更された実施形態によるシステムを形成する複数の膨張式装着可能アイテムを装着しているユーザを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、添付の図面を参照して本発明の態様及び実施形態を説明する。更なる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0031】
図1は、いくつかの個別の装着可能な膨張式アイテム1~4を示し、その各々は、それ自体が既知のタイプの膨張式エアバッグを備え、本発明によるモジュール式個人用衝撃保護システム5の一部を形成するように構成される。より具体的には、装着可能な膨張式アイテム1~4の各々は、システム5のユーザによって、ユーザの身体のそれぞれの部位の上又は周囲のいずれかに装着されるように構成されることを理解されたい。最初から、4つの特定の装着可能な膨張式アイテム1~4が本明細書に例示され説明されているが、本発明のシステムは、4つより多い又は少ない装着可能な膨張式アイテムを備え得ることが提案されることを理解されたい。
【0032】
以下でより詳細に説明されるように、
図1に示す装着可能な膨張式アイテム1~4の特定の集合は、一次膨張式装着可能アイテム1と、いくつかの二次膨張式装着可能アイテム2~4とを含む。図示の実施形態では、一次膨張式装着可能アイテム1はベストの形態をとり、二次装着可能膨張式アイテムは、ヘルメット2及び一対の膝パッド3、4を含む。しかしながら、個々の膨張式装着可能アイテムは、様々な異なる又は代替の形態をとることができることを理解されたい。例えば、本発明のシステム5は、ヘルメット、帽子、キャップ、ベスト、ジャケット、シャツ、肘パッド、膝パッド、ベルト、ハーネス、バックパック又はリュックサック、靴、靴下、手袋、ズボン又はパンツ、レギンス、レッグスリーブ、アームスリーブ、襟、ハーネス、リストバンド、又はその他の任意の適切なタイプの衣類などの形態をとる個々の装着可能なアイテムを含み得ることが提案される。更に、前述の衣類又はアイテムのいずれも、一次膨張式装着可能アイテムの形態をとることが可能である。ベスト、ヘルメット、及び一対の膝パッドを備える図示の実施形態は、単なる1つの例として提供されている。
【0033】
図1は、膨張前の通常の構成の様々な装着可能な膨張式アイテム1~4(以下、便宜上、単に「膨張式アイテム」と呼ぶ)を示しており、膨張式アイテム1~4は、それぞれのタイプの通常の衣類に一般的に類似している。各膨張式アイテム1~4の膨張式エアバッグは、最初はきつく巻かれた、かつ/又は折り畳まれたパッケージで提供され、膨張式アイテムの一部として提供された生地又は他のカバーの後ろに隠される。当業者によって容易に理解されるように、各膨張式アイテムのエアバッグは、作動時に膨張し、それによってアイテムのカバーを突き破り(例えば、引き裂き継ぎ目などを介して)、衣類のカバーの実質的に外側の展開位置を達成し、システムのユーザに衝撃保護を提供するように構成される。
【0034】
図1に示す実施形態では、一次膨張式アイテム1は、それ自体が既知のタイプのガス発生器などのインフレータ7を備えるアクチュエータユニット6と、電子制御ユニット(ECU)の形態で提供され得るコントローラ8とを含む。ECUは、バッテリ、好ましくは充電式バッテリを含み得ることが提案される。
図1は、インフレータ7及びコントローラ8が単一のアクチュエータユニット6に組み合わされていることを示しているが、インフレータ7及びコントローラ8が個別のユニットとして、任意選択的に膨張式アイテム1上の異なる位置に設けられ得る変形形態が想定されることを理解されたい。コントローラ8は、制御システムの一部を形成し、インフレータ7に動作可能に接続され、作動信号に応答して、かつ作動アルゴリズムに従ってインフレータ7を作動させるように構成される。作動アルゴリズムは、コントローラ8によって実行されるソフトウェアにおいて具現化されてもよく、又は、以下で説明されるように、外部デバイス上で実行されるソフトウェアにおいて(少なくとも部分的に)具現化されてもよい。インフレータ7は、作動時に大量の膨張ガスを生成し、膨張ガスを一次膨張式アイテム1のエアバッグの内部容積内に方向付け、それによって一次膨張式アイテム1を膨張させるように構成されることが理解されるであろう。
図1に示す実施形態では、作動ユニット6は、ユーザが衝撃を受ける可能性が高いことを示す所定の閾値を上回る角加速度の検出に応答して、前述の作動信号を生成するように構成されたジャイロセンサを更に備える。他の実施形態では、作動ユニット6が2つ以上のジャイロセンサを備え得ることが提案される。加えて、又は代替的に、作動ユニット6は、ユーザが衝撃を受ける可能性が高いことを示す所定の閾値を上回る1つ以上の方向の直線加速度の検出に応答して、作動信号を生成するように構成された1つ以上の加速度計を備えてもよい。1つ以上のジャイロセンサ及び/又は加速度計を設けることにより、動きに対してよりロバスト又は正確な応答を提供することができ、構成要素のいずれかが故障した場合にバックアップ機能を提供することができる。
【0035】
他の点では、一次膨張式アイテム1は、複数の流れコネクタ9を更に備え、流れコネクタ9は、以下で更に詳細に説明される。流れコネクタ9は各々、コントローラ8と共に上述の制御システムの一部を形成することを理解されたい。
【0036】
図1に示す構成では、一次膨張式アイテム1は、3つのそのような流れコネクタ9を備え、各流れコネクタ9は、それぞれの二次膨張式アイテム2~4のエアバッグと一次膨張式アイテム1のエアバッグとの解放可能な流体接続を容易にするように構成される。しかしながら、他の実施形態では、一次膨張式アイテム1は、より多数の二次膨張式アイテムと一次膨張式アイテムとの解放可能な流体接続を容易にするように、より多数の流れコネクタ9を備え得ることが想定されることを理解されたい。
【0037】
一次膨張式アイテム1とは対照的に、二次膨張式アイテム2~4には、作動ユニット6を備えておらず、実際にはインフレータ7又はコントローラ8も備えていない。しかしながら、各二次膨張式アイテム2~4には、それぞれ柔軟な膨張ホース10が設けられ、各ホース10はそれぞれの膨張式アイテム2~4のエアバッグと流体連通して設けられ、そこから延びて、その自由端においてそれぞれの端部コネクタ(図示せず)で終端している。各端部コネクタは、一次膨張式アイテム1上の流れコネクタ9のいずれかに解放可能に接続するように構成される。
【0038】
ここで
図2を参照すると、ユーザ11が
図1に示す膨張式アイテム1~4の群から選択された2つの膨張式アイテムを装着している状態が示されている。具体的には、ユーザ11がベストの形態の一次膨張式アイテム1と、ヘルメットの形態の二次膨張式アイテム2とを装着することを選択している状態が示されている。したがって、
図2に示すユーザ11は、膝パッドの形態で提供された二次膨張式アイテム3、4のいずれも装着していないことに留意されたい。ヘルメット2の膨張ホース10は、装着されている2つの膨張式アイテムのエアバッグが互いに流体接続されるように、一次膨張式アイテム1に設けられた流れコネクタ9のうちの1つに流体接続されている状態で示されている。他の2つの流れコネクタ9は、いずれのホースにも接続されていない。
【0039】
上述したように、個人用衝撃保護システム5は、モジュール式であることが意図されており、ユーザ11が装着するアイテムを選択することができるいくつかの膨張式装着可能アイテム1~4を備える。
図2は、膨張可能で利用可能なアイテムのフルセットのうちの2つのみを装着しているユーザを示すが、他の状況では、ユーザは、代わりに、例えば、ユーザ11が
図1に示す膨張式アイテム1~4の4つすべてを装着している状態が示されている
図3に示すように、膨張式アイテムのうちの3つ以上を装着することを選択してもよい。装着されるアイテムのユーザの特定の選択は、例えば、個人用衝撃保護システム5を装着している間にユーザが実行しようとする活動に基づいてもよい。
【0040】
したがって、
図3は、ベストの形態の一次膨張式アイテム1及びヘルメットの形態の二次膨張式アイテム2だけでなく、膝パッドの形態の更なる二次膨張式アイテム3、4の両方を装着しているユーザ11を示している。留意されるように、各膝パッド3、4の膨張ホース10が、各膝パッド3、4のエアバッグがベスト1のエアバッグに流体接続されるように、ベスト1に設けられたそれぞれの流れコネクタ9に流体接続された状態で示されている。ユーザは、膨張式アイテムの一部又は全部を装着する前にホース10を流れコネクタ9に接続するか、あるいはアイテムを装着した後に接続するか、ユーザがより便利と考える方を選択できることが想定される。
【0041】
図2及び
図3を参照すると、ユーザ11が装着することを選択する膨張式アイテム1~4の数にかかわらず、ユーザ11は、システム5が動作可能であるためには、少なくとも一次膨張式アイテム1を装着しなければならないことに留意されたい。これは、一次膨張式アイテム1が、インフレータ7又はコントローラ8を備えた唯一の膨張式アイテムであるためである。更に、ユーザが装着することを選択する膨張式アイテム1~4の数にかかわらず、一次膨張式アイテム1の単一のインフレータ7は、作動時に、膨張ガスを一次膨張式アイテム1自体に直接供給するだけでなく、膨張ホース10を介して接続された各二次膨張式アイテム2~4に間接的に供給するように機能することが理解されるであろう。したがって、インフレータ7は、システムの一部として提供された膨張式アイテム1~4のすべてを適切に膨張させるために、作動時に十分な量の膨張ガスを生成するように構成され、その結果、膨張式アイテムのすべてが、ユーザ11がそれらのすべてを装着することを選択した場合に適切に膨張され得ることが想定される。
【0042】
したがって、図示の例では、単一のインフレータ7は、ベスト1だけでなく、ヘルメット2及び両方の膝パッド3、4も膨張させるのに十分なガスを供給するように構成され、ユーザがシステム内の膨張式アイテム1~4のすべてを装着することを選択した場合に、システム5全体に十分な膨張ガスを供給するようにする。しかしながら、ユーザ11が提供された膨張式アイテム1~4のすべてを装着しないことを選択した場合、例えば、ユーザ11が
図2に示すようにベスト1及びヘルメット2のみを装着することを選択した場合、インフレータ7によって生成されるガスの量は、ベスト1及びヘルメット2のみを膨張させるために必要とされる量よりも多くなる。圧力解放装置がない場合、この状況では、ベスト1及びヘルメット2の過剰な膨張を引き起こす可能性があり、ユーザに衝撃保護を提供する効果を低減させる可能性があり、極端な場合には、エアバッグの一方又は両方が破裂する危険性がある。したがって、以下に説明するように、制御システムの各流れコネクタ9は、二次膨張式アイテム2~4の膨張ホース10が接続されておらず、エアバッグ内の膨張圧力が所定の閾値を上回った場合に、一次膨張式アイテム1(すなわちベスト)のエアバッグを排気するように特に構成されている。
【0043】
図4は、一次膨張式アイテム1上に設けられた流れコネクタ9の1つを概略的に示す。
図4は、図示された隣接する二次膨張式アイテム3の膨張ホース10から切り離された流れコネクタを示し、したがって、二次膨張式アイテムが接続されていない
図2に示す2つの最下部流れコネクタ9に適用可能な状況を表している。流れコネクタ9は、
図4において一次膨張式アイテム1のエアバッグに固定されている状態で示されている。しかしながら、他の実施形態では、流れコネクタ9は、エアバッグに流体接続された短いホースの端部に配置されてもよく、エアバッグからいくらか間隔を空け、それによって、ユーザの身体に対する流れコネクタ9のより便利な位置を可能にすることが想定されることを理解されたい。
【0044】
流れコネクタ9は、エアバッグと流体連通する流れ入口13から圧力解放弁15を介して排気出口14まで延びる内部流れ導管12を有する。圧力解放弁15は、流れ導管12を遮断し、したがって一次膨張式アイテム1のエアバッグから排気開口部14への膨張ガスの流れを防止するように、通常は閉じられる動作可能状態で
図4に示されている。しかしながら、圧力解放弁15は、上流流体圧力、すなわち一次膨張式アイテムのエアバッグ内の膨張圧力が所定の閾値を上回ることに応答して開くように構成され、その結果、流れ導管が流れ入口13と排気出口14との間で開かれ、それによって、
図4に示す流れ矢印によって示すように、膨張ガスが一次膨張式アイテム1から排気出口14を通って周囲大気16に排気されることを可能にする。圧力解放弁15はまた、例えば、その後、上流流体圧力、すなわち一次膨張式アイテム1のエアバッグ内の膨張圧力が所定の閾値を下回ることに応答して閉じ、それによって、膨張ガスが一次膨張式アイテム1から排気されることを防止するように構成されることが提案される。
【0045】
理解されるように、圧力解放弁15が開く所定の閾値膨張圧力は、i)接続された二次膨張式アイテム3がない場合に一次膨張式アイテム1の十分な膨張を確実にし、したがってユーザ11に十分な衝撃保護を提供し、ii)一次膨張式アイテム1(及びそれに接続された任意の二次膨張式アイテム)が危険なほど過剰に膨張しないことを確実にするために、適切なレベルに設定されることが想定される。いくつかの実施形態では、圧力解放弁15は、その所定の閾値が調整され得るように調整可能であり得ることが提案される。
【0046】
ここで
図5を参照すると、同じ流れコネクタ9が、二次膨張式アイテム3の膨張ホース10の端部コネクタが流れコネクタ9に接続されている代替構成で示されている。具体的には、膨張ホース10の端部コネクタが、流れコネクタ9に設けられた膨張出口17に機械的かつ流体的に接続された状態で示されている。
【0047】
流れコネクタ9は、膨張ホース10の端部コネクタを膨張出口17に接続することにより、圧力解放弁15を
図4に示したその動作可能状態から、
図5に示すように、流れ導管12が流れ制御弁15の上流で遮断された動作不能状態に機械的に切り替えるように構成されてもよい。しかしながら、代替的に、他の実施形態では、流れコネクタ9は、膨張出口17への膨張ホース10の接続を感知するセンサを備えてもよく、コントローラ8は、膨張出口17への膨張ホース10の接続(及び実際には切り離しも)を検出し、当該検出に応答して、その動作可能状態と動作不能状態との間の圧力解放弁15の切り替えを制御するように構成され得ることが想定される。更に別の実施形態では、各二次膨張式アイテム2~4に二次コントローラ(図示せず)を設け得ることが提案され、二次コントローラは、説明した方法で一次膨張式アイテム1に対するそれぞれの二次膨張式アイテム2~4の接続及び切り離しを検出し、当該検出に応答して、当該動作可能状態と当該動作不能状態との間でのそれぞれの圧力解放弁の切り替えを制御するように構成される。
【0048】
したがって、
図5から理解されるように、膨張ホース10が流れコネクタ9に接続されると、圧力解放弁15は、一次膨張式アイテム1のエアバッグから流体的に分離されることによって動作不能にされ、その結果、一次膨張式アイテム1はもはや周囲大気16に排気され得ない。また、理解されるように、膨張ホース10が図示のように流れコネクタ9に接続されると、膨張ホース3を介して一次膨張式アイテム1のエアバッグから二次膨張式アイテム3への流路が開かれ、一次膨張式アイテム1上のインフレータ7の作動が、一次膨張式アイテム1を直接膨張させるだけでなく、接続された二次膨張式アイテム3を間接的に膨張させるように機能する。流れコネクタ9からの膨張ホース10の切り離しは、膨張出口17を閉じ、圧力解放弁15への流れ導管12を再び開き、それによって圧力解放弁15を
図4に示すその動作可能状態に戻し、それによって、その膨張圧力が所定の閾値に達するか又はそれを上回る場合に、一次膨張式アイテム1が周囲大気16に排気する可能性を回復させるように機能する。
【0049】
ここで特に
図2及び
図3を考慮すると、コントローラ8及び流れコネクタ9を備える制御システムは、
i)膨張式アイテムのすべての膨張(例えば、
図3において装着されているベスト1、ヘルメット2、及び両方の膝パッド3、4のすべての膨張)、
ii)膨張式アイテムのすべてではないがいくつかの膨張(例えば、
図2において装着されているベスト1及びヘルメット2のみの膨張であり、装着されていない2つの膝パッド3、4は膨張しない)、
iii)膨張式アイテムのうちの単一のアイテムの膨張(例えば、図示していないが、ユーザがベスト1のみを装着しており、ヘルメット2も膝パッド3、4も装着していない場合におけるベスト1のみの膨張)を備える可能な膨張特性の群から膨張特性を選択するように構成される。
【0050】
理解されるように、装着されている膨張式アイテム又は各膨張式アイテムは、つまり、単一のコントローラ8の制御下で、単一のインフレータ7によって生成された膨張ガスによって膨張する。流れコネクタ9のいずれかが二次膨張式アイテムに接続されていない場合、これらの特定の流れコネクタ9の圧力解放弁15は、一次膨張式アイテム1内の膨張圧力が所定の閾値に達するか又はそれを上回る場合に、一次膨張式アイテム1から大気16への膨張ガスの排気を可能にするように、それらの動作可能状態に設定される。更に、流れコネクタ9のいずれかが二次膨張式アイテムに接続されている場合、これらの流れコネクタ9の圧力解放弁は、一次膨張式アイテム1の大気16への排気を防止し、代わりに膨張ガスをそれぞれの二次膨張式アイテムに方向付けるように、それらの動作不能状態に設定される。
【0051】
いくつかの実施形態では、コントローラ9は更に、ジャイロセンサによって生成された作動信号に応じて適切な膨張特性を選択するように構成され得ることが提案される。例えば、コントローラ8は、作動信号から、ユーザ11がどのように又はどの方向に転倒する可能性があるか、又はユーザ11がどのように又はどの方向に周囲環境(一例では、自動車の内部、又は別の例では道路若しくは舗道など)と衝突する可能性があるかを決定し、ユーザ11に適切なレベルの保護を提供するために、膨張するように装着されている膨張式アイテム1~4の適切な数及び選択を選択するように構成されることができる。コントローラ8が、装着されている膨張式アイテム1~4のうちの1つ以上を膨張させないことを必要とする膨張特性を選択した場合、コントローラ8は、流れコネクタ9が二次膨張式アイテムの膨張ホース10に接続されていることにかかわらず、対応するそれぞれの流れコネクタ9又は各対応するそれぞれの流れコネクタ9の圧力解放弁15をその動作不能状態からその動作可能状態に電気的に切り替え、それぞれの膨張ホース10を一次膨張式アイテム1のエアバッグから流体的に分離することが提案される。
【0052】
ここで
図6を参照すると、ユーザ11によって装着されている上述の個人用衝撃保護システム5の変更バージョンが示されている。特に、ユーザ11が、システム5内に設けられた膨張式アイテム1~4のすべて、すなわち、ベスト1の形態の一次膨張式アイテム、ヘルメット2の形態の二次膨張式アイテム、及び膝パッド3、4の形態の二次膨張式アイテムの両方を装着している状態で示されていることが分かる。また、ユーザ11は、それ自体が既知のタイプのいわゆる「スマートウォッチ」18を装着している状態で示されている。加えて、
図6は、それ自体が同様に既知のタイプのいわゆる「スマートフォン」を概略的に示すが、これは、タブレット又は他の類似の外部コンピュータデバイスによって置き換えられることができる。スマートフォン19は、ユーザ11によって、例えば、装着されている膨張式アイテム(例えば、ベスト1)のうちの1つに設けられたポケットに入れて、又は代替的に、ユーザ自身の従来の衣服のポケットに入れて携帯され得ることが想定される。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、図示されたスマートウォッチ18又はスマートフォン19などの外部デバイスが、コントローラ8及び流れコネクタ9と組み合わせて、個人用衝撃保護システム5の制御システムの一部を形成し得ることが提案される。したがって、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19は、前述の作動アルゴリズムを実装するソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得ることが提案される。
【0054】
理解されるように、現代のスマートフォン及びスマートウォッチは、1つ以上の加速度計又はジャイロセンサを含むことが一般的である。したがって、いくつかの実施形態では、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19の一体型加速度計又はジャイロセンサは、制御システムの一部を形成することができ、したがって、ユーザが衝撃を受ける可能性が高いことを示す所定の閾値を上回る直線加速度又は角加速度の検出に応答して前述の作動信号を生成するために使用され得ることが提案される。そのような実施形態では、一次膨張式アイテム1のコントローラ7は、例えば、Bluetoothプロトコルを介して、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19と、無線で通信するように構成されてもよい。しかしながら、理解されるように、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19の間の通信を提供するために、代わりに他の無線プロトコルが使用され得る。このタイプの実施形態では、システムは、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19によって無線で発せられた作動信号の受信に応答してインフレータ8を作動させるように構成され得ることが想定される。代替的に、コントローラ7は、例えば、ライトニングケーブル又はUSBケーブルの形態の有線接続を介して外部デバイスと通信するように構成され得ることが提案される。
【0055】
本発明のいくつかの変形例では、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19は、ユーザがシステム5の作動特性に対する何らかの制御を行使することを可能にするソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得ることが提案される。例えば、ソフトウェアアプリケーションは、様々な異なる活動(サイクリング、ウォーキング、クロスカントリーハイキング、又は登山など)をユーザに提示することができ、各活動は、異なる応答時間、膨張速度、又は他の特性などのわずかに異なる作動特性を有する。ソフトウェアアプリケーションはまた、システム5を一時的に無効にするオプションをユーザ11に提示することもできる。
【0056】
ここで
図7を参照すると、別の実施形態による個人用衝撃保護システムの少なくとも一部を形成するいくつかの膨張式アイテム1~4を装着しているユーザ11が示されている。便宜上、ユーザ11は、
図1~
図6に示すものとほぼ同様の構成の膨張式アイテムを装着している状態で示されており、したがって、ベスト1、ヘルメット2、及び一対の膝パッド3、4を含む。また、ユーザ11は、システム5内に設けられた利用可能な膨張式アイテムのすべてを装着している状態で示されている。しかしながら、上述したものと同様の方法で、ユーザ11は、代わりに、より少ない膨張式アイテムを装着してもよく、あるいは、システム5の一部として提供される場合、追加の又は代替の膨張式アイテムを実際に装着してもよいことを理解されたい。
【0057】
図7に示すシステム5と、
図1~
図6を参照して上述したシステム5との間の重要な違いは、
図7のシステム5では、各膨張式アイテム1~4が、それ自体が既知のタイプのガス発生器などのインフレータ7と、電子制御ユニット(ECU)の形態で提供され得るコントローラ8とを備える、それ自体のそれぞれのユニット6を備えることである。
図1は、各膨張式アイテム1~4のインフレータ7及びコントローラ8が単一のそれぞれのアクチュエータユニット6に組み合わされている状態を示しているが、各膨張式アイテムのインフレータ7及びコントローラ8が個別のユニットとして、任意選択的にそれぞれの膨張式アイテム1上の異なる位置に設けられ得る変形形態が想定されることを理解されたい。理解されるように、各コントローラ8は、制御システムの一部を形成し、それぞれのインフレータ7に動作可能に接続され、作動信号に応答して、作動アルゴリズムに従って、
図1~
図6の実施形態を参照して上述したものとほぼ同様の方法でインフレータ7を作動させるように構成される。
【0058】
したがって、理解されるように、
図7に示すシステム5と、
図1~
図6を参照して上述したシステム5との間の別の重要な違いは、
図7のシステムでは、各膨張式アイテム1~4のエアバッグが、それぞれのインフレータ7から直接膨張ガスを受け取るように構成されていることである。したがって、システム内の様々な膨張式アイテム1~4のエアバッグはすべて、互いに流体的に分離されている。更に、各個々の膨張式アイテム1~4のインフレータ7は、作動時に、それぞれのエアバッグの膨張可能な容積に適した所定の量の膨張ガスを生成するように構成されることが提案される。したがって、例えば、比較的大きい膨張可能な容積を有するベスト1は、例えば、比較的小さい膨張可能な容積を有するヘルメット2及び各膝パッド3、4よりも大きいインフレータを有し、ベスト1のインフレータは、作動時に、システム5内のより小さい膨張式アイテムのインフレータよりも大量の膨張ガスを生成するようにすることが提案される。
【0059】
各膨張式アイテム1~4は、膨張式アイテムが装着されているユーザの身体の周囲又は近辺のそれぞれの部分が衝撃を受ける可能性が高いことを示す所定の閾値を上回る局所的な直線加速度又は角加速度の検出に応答して、それぞれの作動信号を生成するように構成されたそれ自体のそれぞれの加速度計又はジャイロセンサを備えてもよい。各膨張式アイテム1~4の加速度計又はジャイロセンサは、それぞれのアクチュエータユニット6内に組み込まれてもよく、又は膨張式アイテム上の他の位置に配置されてもよい。
【0060】
ここで
図8を参照すると、
図7に示す個人用衝撃保護システム5の変更バージョンが示されている。特に、ユーザ11は、システム5に設けられた膨張式アイテム1~4のすべて、すなわち、ベスト1、ヘルメット2、及び両方の膝パッド3、4を装着している状態で示されていることが分かる。また、ユーザ11はスマートウォッチ18を装着している状態で示されており、
図8は、スマートフォン19も示している。したがって、
図8に示すシステム5は、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19を組み込むことができるという意味で、
図6に示すものといくらか類似している。再び理解されるように、スマートフォン19は、ユーザ11によって、例えば、装着されている膨張式アイテム(例えば、ベスト1)のうちの1つに設けられたポケットに入れて、又は代替的に、ユーザ自身の従来の衣服のポケットに入れて携帯され得る。
【0061】
図示のスマートウォッチ18又はスマートフォン19などの外部デバイスが、コントローラ8と組み合わせて、個人用衝撃保護システム5の制御システムの一部を形成し得ることが提案される。したがって、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19は、前述の作動アルゴリズムを実装するソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得ることが提案される。スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19の一体型加速度計又はジャイロセンサは、制御システムの一部であってもよく、したがって、ユーザが衝撃を受ける可能性が高いことを示す所定の閾値を上回る直線加速度又は角加速度の検出に応答して、作動信号を生成するために使用されてもよい。そのような実施形態では、コントローラ8、又はコントローラ8のうちの少なくとも1つは、例えば、Bluetoothプロトコルを介して、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19と(及び/又は互いに若しくはメインECUと)無線で通信するように構成されてもよい。しかしながら、理解されるように、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19の間の通信を提供するために、代わりに他の無線プロトコルが使用され得る。このタイプの実施形態では、システムは、i)スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19によって無線で発せられた主作動信号の受信、並びにii)それぞれの局所的な加速度計又はジャイロセンサからのチェック信号の受信に応答して、各インフレータ7を作動させるように構成され得ることが想定される。
【0062】
図8に示す提案のいくつかの変形例では、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19は、ユーザがシステム5の作動特性に対する何らかの制御を行使することを可能にするソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得ることが提案される。例えば、ソフトウェアアプリケーションは、様々な異なる活動(サイクリング、ウォーキング、クロスカントリーハイキング、又は登山など)をユーザに提示することができ、各活動は、異なる応答時間、膨張速度、又は他の特性などのわずかに異なる作動特性を有する。ソフトウェアアプリケーションはまた、システム5を一時的に無効にするオプションをユーザ11に提示することもできる。これらのタイプの機能は、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19の内部ジャイロセンサが制御システムの一部として使用されない場合であっても提供され得る。
【0063】
ここで
図9を参照すると、別の実施形態による個人用衝撃保護システムの少なくとも一部を形成するいくつかの膨張式アイテム1~4を装着しているユーザ11が示されている。便宜上、ユーザ11は、ここでも、
図1~
図6に示されたものとほぼ同様の構成の膨張式アイテムを装着している状態で示されており、したがって、ベスト1、ヘルメット2、及び一対の膝パッド3、4を含む。また、ユーザ11は、システム5内に設けられた利用可能な膨張式アイテムのすべてを装着している状態で示されている。しかしながら、
図7に示すシステムに関連して上述されたものと同様の方法で、ユーザ11は、代わりに、より少ない膨張式アイテムを装着することを選択してもよく、あるいは、システム5の一部として提供される場合、追加の又は代替の膨張式アイテムを装着してもよいことを理解されたい。
【0064】
図9に示すシステム5と、
図7を参照して上述したシステム5との間の重要な違いは、
図9のシステム5では、膨張式アイテムのうちの1つのみにコントローラ8が設けられていることである。図示の特定の構成では、ベスト1は、システム5の唯一のコントローラ8を備え、したがって、システム5の一次膨張式アイテムを表すと考えることができ、システムの他の膨張式アイテム2~4は、それ自体のコントローラを欠く二次膨張式アイテムを表す。コントローラ8は、電子制御ユニット(ECU)の形態で、
図1~
図6の実施形態に関連して上述したものと同様のアクチュエータユニット6の一部として設けられてもよい。また、
図1~
図6を参照して上述した構成と共通して、一次膨張式アイテム1のアクチュエータユニット6は、コントローラ8が動作可能に接続される、それ自体が既知のタイプのガス発生器などのインフレータ7も備える。それにもかかわらず、
図9に示す実施形態の変形例では、インフレータ7及びコントローラ8は、個別のユニットとして、任意選択的に一次膨張式アイテム1上の異なる位置に設けられてもよいことが想定されることを理解されたい。システムの単一のコントローラ8が、ユーザの胴体の周囲に装着されるように意図されたベスト1又は同様の衣類に設けられることが一般に有利であるが、これは必須ではないと考えられ、単一のコントローラ8は、代わりにシステムの別の膨張式アイテムに設けられ得ることにも留意されたい。
【0065】
図9に示す特定の例ではヘルメット2及び膝パッド3、4を含む、システム5の二次膨張式アイテムでは各々、それぞれのインフレータ7を設けているが、コントローラは設けていない。各二次膨張式アイテム2~4のインフレータ7は、一次膨張式アイテム1のインフレータ7とほぼ同様の又は同一の構成であってもよい。それにもかかわらず、一次膨張式アイテム1に設けられた単一のコントローラ8は、各二次膨張式アイテム2~4のインフレータ7に動作可能に接続されている。この接続は有線接続であってもよく、その結果、各二次インフレータ7の作動ケーブル(図示せず)が、様々な膨張式アイテム1~4を装着するときにユーザ11によって一次膨張式アイテム1の作動ユニット6、すなわちコントローラ8に電気的に接続されてもよい。代替的に、コントローラ8は、例えば、それぞれのBluetooth接続によって、他のインフレータ7の各々に無線接続されてもよいことが提案される。本発明の変形例では、コントローラ8は、それぞれのインフレータ7が、それぞれの二次膨張式アイテム2~4が一次膨張式アイテム1に加えてユーザ11によって装着されていることを示す所定の範囲内にあるときに、各二次膨張式アイテム2~4のインフレータ7を検出し、それに無線で接続するように構成された近接感知構成を有し得ることが提案される。
【0066】
理解されるように、
図9のシステムは、各膨張式アイテム1~4のエアバッグが、再び、それ自体の専用のそれぞれのインフレータ7から直接膨張ガスを受け取るように構成されているという意味で、
図7のシステムと同様である。したがって、
図9のシステム5における様々な膨張式アイテム1~4のエアバッグはすべて、互いに流体的に分離されている。更に、各個々の膨張式アイテム1~4のインフレータ7は、作動時に、それぞれのエアバッグの膨張可能な容積に適した所定の量の膨張ガスを生成するように構成されることが提案される。したがって、例えば、比較的大きい膨張可能な容積を有するベスト1は、例えば、それぞれが比較的小さい膨張可能な容積を有するヘルメット2及び各膝パッド3、4よりも大きいインフレータを有し、ベスト1のインフレータは、作動時に、システム5内のより小さい膨張式アイテムのインフレータよりも大量の膨張ガスを生成するようにすることが提案される。
【0067】
一次膨張式アイテム1は、ユーザが衝撃を受ける可能性が高いことを示す所定の閾値を上回る加速度の検出に応答して、作動信号を生成するように構成されたジャイロセンサを備え得ることが提案される。ジャイロセンサは、一次膨張式アイテム1のアクチュエータユニット6内に組み込まれてもよく、又は一次膨張式アイテム1上の他の場所に配置されてもよい。
【0068】
図9を参照すると、ユーザ11が装着することを選択する膨張式アイテム1~4の数にかかわらず、ユーザ11は、システム5が動作可能であるためには、少なくとも一次膨張式アイテム1を装着しなければならないことに留意されたい。これは、一次膨張式アイテム1がコントローラ8を備えた唯一の膨張式アイテムであるためである。
【0069】
ここで
図10を参照すると、
図9に示す個人用衝撃保護システム5の変更バージョンが示されている。特に、ユーザ11は、システム5に設けられた膨張式アイテム1~4のすべて、すなわち、ベスト1、ヘルメット2、及び両方の膝パッド3、4を装着している状態で示されていることが分かる。また、ユーザ11は、スマートウォッチ18を装着している状態で示され、
図10では、スマートフォン19も示している。したがって、
図10に示すシステム5は、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19を組み込むことができるという意味で、
図8に示すものといくらか類似している。再び理解されるように、スマートフォン19は、ユーザ11によって、例えば、装着されている膨張式アイテム(例えば、ベスト1)のうちの1つに設けられたポケットに入れて、又は代替的に、ユーザ自身の従来の衣服のポケットに入れて携帯され得る。
【0070】
図示のスマートウォッチ18又はスマートフォン19などの外部デバイスが、コントローラ8と組み合わせて、個人用衝撃保護システム5の制御システムの一部を形成し得ることが提案される。したがって、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19は、前述の作動アルゴリズムを実装するソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得ることが提案される。スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19の一体型ジャイロセンサは、制御システムの一部であってもよく、したがって、ユーザが衝撃を受ける可能性が高いことを示す所定の閾値を上回る角加速度の検出に応答して、作動信号を生成するために使用されてもよい。そのような実施形態では、コントローラ8は、例えば、Bluetoothプロトコルを介して、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19と無線で通信するように構成されてもよい。しかしながら、理解されるように、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19の間の通信を提供するために、代わりに他の無線プロトコルが使用され得る。このタイプの実施形態では、システムは、i)スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19によって無線で発せられた主作動信号の受信、並びにii)それぞれの局所的なジャイロセンサからのチェック信号の受信に応答して、各インフレータ7を作動させるように構成され得ることが想定される。
【0071】
図10に示す提案のいくつかの変形例では、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19は、
図8に示す構成に関連して上記で提案したのと同じ方法で、ユーザがシステム5の作動特性に対する何らかの制御を行使することを可能にするソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得ることが提案される。例えば、ソフトウェアアプリケーションは、様々な異なる活動(サイクリング、ウォーキング、クロスカントリーハイキング、又は登山など)をユーザ11に提示することができ、各活動は、異なる応答時間、膨張速度、又は他の特性などのわずかに異なる作動特性を有する。ソフトウェアアプリケーションはまた、システム5を一時的に無効にするオプションをユーザ11に提示することもできる。これらのタイプの機能は、スマートウォッチ18及び/又はスマートフォン19の内部ジャイロセンサが制御システムの一部として使用されない場合であっても提供され得る。
【0072】
特定の形態であるいは開示された機能を行うための手段又は開示された結果を適宜得るための方法若しくは工程に関して表された、上記説明又は以下の特許請求の範囲又は添付の図面に開示された特徴は、別個に又はかかる特徴の任意の組み合わせで、本発明をその多様な形態で実現するために利用されてよい。
【0073】
本発明は、上述の例示的な実施形態と関連して説明されてきたが、本開示が与えられた場合、当業者には多くの同等な変更及び変形が明らかであろう。したがって、上に示された本発明の例示的な実施形態は、例示的なものであり、限定的なものではないと見なされる。記載された実施形態に対する様々な変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0074】
疑義を回避するために、本明細書で提供される任意の理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも束縛されることを望まない。
【0075】
本明細書で使用される任意のセクション見出しは、構成上の目的のみのためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0076】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「有する(have)」、「備える(comprise)」及び「含む(include)」という語、並びに「有する(having)」、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」及び「含む(including)」などの変形例は、記載された整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を含むことを意味するが、任意の他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群を除外することを意味しないと理解される。
【0077】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」が、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数のものを含むことに留意しなければならない。範囲は、本明細書において、「約(about)」1つの特定の値から、かつ/又は「約」別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、かつ/又は他の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」の使用によって近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。数値に関する用語「約」は任意選択であり、例えば、+/-10%を意味する。
【0078】
用語「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」は、本明細書において、いくつかの状況下で特定の利益を提供し得る本発明の実施形態を指すために使用される。しかしながら、他の実施形態も、同じ又は異なる状況下で好ましい場合があることを理解されたい。したがって、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味又は暗示するものではなく、本開示の範囲から、又は特許請求の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【国際調査報告】