(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-22
(54)【発明の名称】研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石
(51)【国際特許分類】
B24D 5/10 20060101AFI20231215BHJP
B24D 5/16 20060101ALI20231215BHJP
B24D 5/00 20060101ALI20231215BHJP
B24D 5/06 20060101ALI20231215BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20231215BHJP
B24D 3/28 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
B24D5/10
B24D5/16
B24D5/00 R
B24D5/06
B24D3/00 320A
B24D3/28
B24D5/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535469
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2021127828
(87)【国際公開番号】W WO2022142698
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011578088.7
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523085223
【氏名又は名称】フーナン インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】HUNAN INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】Xiangbei Road, Yueyang City, YueYang, Hunan, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン シャオホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シャオホン
(72)【発明者】
【氏名】シー ジャオヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ユーチー グアンジ-
(72)【発明者】
【氏名】グオ ビン
(72)【発明者】
【氏名】リ ハオナン
(72)【発明者】
【氏名】タン シオン
(72)【発明者】
【氏名】リー ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジーユエン
(72)【発明者】
【氏名】ティアン ワンイー
(72)【発明者】
【氏名】テン シーグオ
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063AB03
3C063BA04
3C063BA10
3C063BB01
3C063BC03
3C063BH11
3C063FF17
3C063FF18
(57)【要約】
本発明は、砥石基体、研削ブロック、冷却用スプレーボトル、スプレーボトルノズル、板状ヒートパイプ放熱器及び自己リセット機構を含む、研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石を開示する。作業中、研削領域に入った前記研削ブロックは、法線方向研削力を受けて、自己リセット機構を圧縮すると同時に冷却用スプレーボトルを押圧し、さらにスプレーボトルノズルから冷却液を噴出させる。自己リセット機構における圧縮ばねを調整して法線方向研削力の臨界値を設定し、法線方向研削力が臨界値以下に低下するか、又は研削ブロックが研削作業領域から離脱すると、前記自己リセット装置により前記研削ブロックが自動リセットされ、冷却用スプレーボトルは冷却液の噴出を停止する。重負荷砥石の適応的な内部冷却が実現される。本発明は、構造がコンパクトであり、作業条件に応じて冷却液の噴出流量をリアルタイムに調整することができるため、冷却降温効果を大幅に改善することができるため、重負荷研削における砥石の摩耗率を効果的に低下させることができ、それにより重負荷砥石の耐用年数を延ばすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石であって、
砥石基体(1)、研削ブロック(2)、冷却用スプレーボトル(3)、スプレーボトルノズル(4)、板状ヒートパイプ放熱器(5)及び自己リセット機構(6)を含み、
砥石が回転作業しているとき、前記研削ブロック(2)でワークを加工し、外部冷却液は研削領域に輸送され、
法線方向研削力が設定された臨界値よりも大きくなると、前記研削ブロック(2)は、前記自己リセット機構(6)を圧縮すると同時に前記冷却用スプレーボトル(3)を押圧し、さらに前記スプレーボトルノズル(4)から冷却液を噴出させ、
前記法線方向研削力が臨界値以下に低下するか、又は前記研削ブロック(2)が研削作業領域から離脱すると、前記自己リセット機構(6)は、上にリセットするように前記研削ブロック(2)を再度押し上げ、前記冷却用スプレーボトルは、冷却液の噴出を停止し、
前記砥石基体(1)の外周面には、リングアレイに配置される複数の凹溝(1.1)が開設され、前記砥石基体(1)は、一体鋳造加工及び機械加工してなり、各凹溝(1.1)内には、スクリュー(1.1.1)、穴(1.1.2)及び矩形の変位制限ボス(1.1.3)が加工され、同時に前記砥石基体(1)の中心には、組み立て穴が加工されることを特徴とする、
研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石。
【請求項2】
前記研削ブロック(2)における底板は、アーチ型の構造であり、その上方端面には、一体焼結された研削ユニット(2.1)が搭載され、前記研削ユニット(2.1)は、砥石の幅と一致し、研削材は、ジルコニウムコランダムであり、樹脂結合剤が選択され、前記研削ユニット(2.1)と底板(2.2)の中心には、貫通穴がいずれも加工され、前記研削ブロック(2)内部の貫通穴の内壁には、アレイに配置された勾配を有する矩形構造溝(2.3)が直接加工され、勾配を有する矩形構造溝(2.3)が冷却液の一方向への輸送に役立つため、冷却液の逆流を避けることができ、それにより研削屑が貫通穴内に堆積するのを効果的に防止することができることを特徴とする請求項1に記載の研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石。
【請求項3】
前記冷却用スプレーボトル(3)は、ボトル本体(3.1)、シール用ゴムリング(3.2)、ピストン(3.3)、ばね(3.4)及びボトルベース(3.5)を含み、
前記ボトル本体(3.1)は、シリカゲル材質で圧縮成型され、上部ボトルボディー(3.1.1)が鋸歯型の押し出しボトルボディーであり、下部ボトルボディー(3.1.2)が直筒型のボトルボディーであり、冷却用スプレーボトルベース(3.5)の上端面には、支持軸(3.5.2)が取り付けられ、前記支持軸(3.5.2)の円柱形ショルダ(3.5.3)は、ピストン底面の係止溝(3.3.1)内に係止され、前記ピストンの下降高さを限定することができ、シール用ゴムリング(3.2)は、ボトル本体(3.1)とピストン(3.3)との間に組み立てられ、それは、前記ピストン(3.3)の外柱面の取り付け溝(3.3.2)により変位制限されるため、冷却液がボトル口(3.1.3)からのみ噴出できることを確保することができ、使用前にボトル口(3.1.3)から冷却液をいっぱい注入して、ばね(3.4)の圧縮状態を維持し、上部ボトルボディー(3.1.1)内の冷却液が作業中に継続的に消費されると、ばね(3.4)は、その上部の圧力負荷が減少するため、ピストン(3.3)を押し上げることができるため、冷却液の水平面を常に一定に維持することができ、それにより冷却液をスムーズに噴出させることができることを特徴とする請求項1に記載の研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石。
【請求項4】
前記スプレーボトルノズル(4)は、ノズルシース(4.1)、接続ロッド(4.2)、ノズルベース(4.3)及び組み立て用ねじ(4.4)を含み、
前記ノズルシース(4.1)、前記接続ロッド(4.2)及び前記ノズルベース(4.3)は、組み立て用ねじ(4.4)で接続され、前記ノズルシース(4.1)が前記接続ロッド(4.2)の周方向に接触する箇所には、複数のローラが設けられると同時に、前記ノズルシース(4.1)の内部流路は、一定の曲がりを有するため、冷却性能を大幅に向上させることができることを特徴とする請求項1に記載の研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石。
【請求項5】
前記板状ヒートパイプ放熱器(5)は、銅片(5.1)と銅ブラケット(5.2)を含むことを特徴とする請求項1に記載の研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石。
【請求項6】
前記自己リセット機構(6)は、支持主軸(6.1)、マンドレル(6.2)、スラスト玉軸受(6.3)、支持ワッシャ(6.4)、一次圧縮ばね(6.5)、二次圧縮ばね(6.6)、押え板(6.7)、支持用インナースリーブ(6.8)、及びバッフルプレート(6.9)を含み、
前記自己リセット機構(6)は、圧縮ばねを利用して段階的フィードバックと調整の目的を達成し、当該圧縮ばねは、研削領域を離れて法線方向研削力を受けなくなった状態下で、又は法線方向研削力が臨界値以下に低下したときに、前記研削ブロック(2)を初期作動位置にタイムリーに戻らせることができ、
第1の状態において、受ける法線方向研削力が前記一次圧縮ばね(6.5)の弾力よりも大きくなると、前記一次圧縮ばね(6.5)が圧縮され、支持用インナースリーブ(6.8)は前記押え板(6.7)に向かって移動し、
第2の状態において、受ける法線方向研削力が前記一次圧縮ばね(6.5)の弾力と前記二次圧縮ばね(6.6)の弾力の和よりも大きくなると、前記押え板(6.7)は、前記一次圧縮ばね(6.5)と前記二次圧縮ばね(6.6)を圧縮し始め、
2つの圧縮ばねは、1回の研削作業で前記冷却用スプレーボトル(3)内の冷却液が過度に噴出されることを効果的に防止することができることを特徴とする請求項1に記載の研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石。
【請求項7】
前記自己リセット機構(6)における圧縮ばねの型式は、ワークの材料に応じて選択することができるため、法線方向研削力の臨界値を調整することで、複数の研削作業条件に対応することができることを特徴とする請求項6に記載の研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年12月28日に提出された、発明の名称が「研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石」である中国発明特許出願202011578088.7に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、研削工具の技術分野に関し、特に研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石に関する。
【背景技術】
【0003】
重負荷砥石の発展は鉄鋼工業の発展に依存しており、それは、主に鉄鋼工業における鋼塊、スラブ、及び鋼板の研削及び各種鋳物の表面清掃に使用される。その作業特性は、研削圧力が大きく、研削効率が高いことである。重負荷砥石は、高速で効率的な研削を実現するために、非常に高い負荷圧力下で作動する必要があるため、砥石の構造に依存する砥石の機械的強度に対する要求は非常に高い。
【0004】
公開番号が「CN104308757A」であり、発明の名称が「超硬材料・金属結合剤に基づく骨格型高速重負荷砥石」である発明特許は、超硬材料・金属結合剤に基づく骨格型高速重負荷砥石を提供し、その原理は、溶接又は樹脂接着の方法で超硬材料・金属結合剤骨格を砥石基体に固定すると同時に、充填材を超硬材料・金属結合剤骨格の間に押し出し、動的バランス又は静的バランスなどを経て最終的に高速重負荷砥石を製造することである。当該砥石は、超硬材料・金属結合剤骨格を採用してコストを削減するため、安全に使用でき、省エネで環境に優しいという特徴を有する。しかし、当該技術的解決手段は依然として次のような欠点がある。
【0005】
1.砥石は、実際の作業条件に応じてリアルタイムにフィードバックすることができない。それは、研削作業のみを行うことができるため、研削中に過大な法線方向研削力を受けた場合、砥石は、摩耗がひどくなり、全体として廃棄される可能性もあり、機能が単一であり、研削の品質の向上に不利である。
【0006】
2.冷却液の輸送効率が悪い。重負荷研削では砥石の回転速度が高いため、外部低圧システムからの冷却液供給だけでは、その速度は砥石の周りのガスバリア層を貫通するのに十分ではないため、冷却液の輸送効率が悪くなり、使用ニーズを満たすことが困難である。
【0007】
3.メンテナンスコストが高い。重負荷研削では研削材と砥石は、作業環境が悪く、摩耗しやすく、価格が高いため、全体として交換する場合、コストが大きすぎるだけでなく、毎回時間と労力がかかり、作業効率に深刻な影響を及ぼす。
【0008】
4.重負荷砥石内部の放熱効果が悪い。重負荷研削では研削領域の温度が高いため、砥石内部に蓄積された熱が放出されにくいため、砥石に熱的損傷を与えやすく、砥石の耐用年数を減少させる。
【0009】
したがって、上記問題のある発明内容を解決するための新しい技術的解決手段を求める必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来の重負荷研削における冷却方式が単一であり、外部冷却液噴射装置の研削領域への直接供給が困難であるため、複雑な作業条件をタイムリーにフィードバックすることができないなどの問題を解決するために、本発明は、研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石を開示している。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石を提供し、重負荷砥石は、砥石基体、研削ブロック、冷却用スプレーボトル、スプレーボトルノズル、板状ヒートパイプ放熱器及び自己リセット機構を含み、砥石が回転作業しているとき、研削ブロックでワークを加工し、外部冷却液を研削領域に輸送し、法線方向研削力が設定された臨界値よりも大きくなると、研削ブロックが自己リセット機構を圧縮すると同時に冷却用スプレーボトルを押圧し、さらにスプレーボトルノズルから冷却液を噴出させ、法線方向研削力が臨界値以下に低下するか、又は前記研削ブロックが研削作業領域から離脱すると、自己リセット機構が上にリセットするように前記研削ブロックを再度押し上げ、前記冷却用スプレーボトルは、冷却液の噴出を停止し、砥石基体の外周面には、リングアレイに配置された複数の凹溝が開設され、砥石基体は、一体鋳造加工及び機械加工してなり、各凹溝内には、スクリュー、穴及び矩形の変位制限ボスが加工され、同時に砥石基体の中心には、組み立て穴が加工される。
【0012】
さらに、研削ブロックの底板は、アーチ型の構造であり、その上方端面には、一体焼結された研削ユニットが搭載され、研削ユニットは、砥石の幅と一致し、研削材は、ジルコニウムコランダムであり、樹脂結合剤が選択され、研削ユニットと底板の中心には、貫通穴がいずれも加工され、研削ブロック内部の貫通穴の内壁には、アレイに配置された勾配を有する矩形構造溝が直接加工され、勾配を有する矩形構造溝は、冷却液の一方向への輸送に役立つため、冷却液の逆流を避けることができ、それにより研削屑が貫通穴内に堆積するのを効果的に防止することができる。
【0013】
さらに、冷却用スプレーボトルは、ボトル本体、シール用ゴムリング、ピストン、ばね及びボトルベースを含み、ボトル本体は、シリカゲル材質で圧縮成型され、上部ボトルボディーが鋸歯型の押し出しボトルボディーであり、下部ボトルボディーが直筒型のボトルボディーであり、冷却用スプレーボトルベースの上端面には、支持軸が取り付けられ、前記支持軸の円柱形ショルダは、ピストン底面の係止溝内に係止され、前記ピストンの下降高さを限定することができ、シール用ゴムリングは、ボトル本体とピストンとの間に組み立てられ、それは、前記ピストンの外筒面の取り付け溝により変位制限されるため、冷却液がボトル口からのみ噴出できることを確保することができ、使用前にボトル口から冷却液をいっぱい注入して、ばねの圧縮状態を維持し、作業中に、上部ボトルボディー内の冷却液が継続的に消費されると、ばねは、その上部の圧力負荷が減少するため、ピストンを押し上げることができるため、冷却液の水平面を常に一定に維持することができ、それにより冷却液をスムーズに噴出させることができる。
【0014】
さらに、スプレーボトルノズルは、ノズルシース、接続ロッド、ノズルベース及び組み立て用ねじを含み、ノズルシース、接続ロッド及びノズルベースは、組み立て用ねじで接続され、ノズルシースが接続ロッドの周方向に接触する箇所には、複数のローラが設けられると同時に、ノズルシースの内部流路は、一定の曲がりを有するため、冷却性能を大幅に向上させることができる。
【0015】
さらに、板状ヒートパイプ放熱器は、銅片と銅ブラケットを含む。
【0016】
さらに、自己リセット機構は、支持主軸、マンドレル、スラスト玉軸受、支持ワッシャ、一次圧縮ばね、二次圧縮ばね、押え板、支持用インナースリーブ、及びバッフルプレートを含み、当該自己リセット機構は、圧縮ばねを利用して段階的フィードバックと調整の目的を達成し、当該圧縮ばねは、研削領域を離れて法線方向研削力を受けなくなった状態下で、又は法線方向研削力が臨界値以下に低下したときに、研削ブロックを初期作動位置にタイムリーに戻らせることができる。
【0017】
第1の状態において、受ける法線方向研削力が一次圧縮ばねの弾力よりも大きくなると、前記一次圧縮ばねが圧縮され、支持用インナースリーブが押え板に向かって移動する。
【0018】
第2の状態において、受ける法線方向研削力が一次圧縮ばねの弾力と二次圧縮ばねの弾力の和よりも大きくなると、前記押え板は、前記一次圧縮ばねと前記二次圧縮ばねを圧縮し始める。
【0019】
さらに、前記自己リセット機構における圧縮ばねの型式は、ワークの材料に応じて選択することができるため、法線方向研削力の臨界値を調整することで、複数の研削作業条件に対応することができ、上記研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石は、従来の技術と比較して、その有益な効果が、次のとおりである。
【0020】
(1)それは、リアルタイムの作業条件に応じてフィードバックや調整をタイムリーに行うことができる。それは、当該砥石に対する研削力の損傷を低減し、砥石の耐用年数を延ばすことができる。それは、圧縮ばねの型式を変更することで臨界値を設定することができ、受けた圧力が設定された臨界値に達したときのみ、ばねの圧縮量は、負荷の増大に伴って変化する。
【0021】
(2)砥石内部には、適応的に供給できる冷却用スプレーボトルが取り付けられる。外部冷却液噴射装置の作動に基づいて砥石の研削領域の瞬時冷却を実現し、内部と外部が冷却液を共同で噴射することができる。法線方向研削力が複雑な作業条件により突発的に増大し、臨界値に達すると、スプレーボトルが押圧されるため、研削領域に直接噴射することができ、法線方向研削力が臨界値以下に低下するか、又は前記研削ユニットが作動から離脱すると、冷却用スプレーボトルは、冷却液の噴射を停止し、同時に自己リセット機構の多段圧縮ばねの設計により、ボトルが1回噴射する冷却液が過度であることを防止することができる。スプレーボトル底部のピストン推進機構は常に、冷却液の水平面を一定に確保することができる。
【0022】
(3)着脱可能な研削ブロックは、砥石の製造コストを大幅に削減する。それは、1つずつ交換してメンテナンスし、実際の作業条件に応じて必要な研削ブロックの様式を任意に調整することができるため、加工効率を著しく向上させることができる。その中心部の貫通穴には、アレイに配置された勾配を有する矩形構造溝が加工され、当該勾配を有する矩形構造溝が冷却液の一方向への輸送に役立つため、冷却液の逆流を避けることができ、それにより研削屑が噴射口を塞ぐという問題を解決することができる。
【0023】
(4)板状ヒートパイプ放熱器が装備される。それは、ヒートパイプの優れた熱伝導性を利用して研削ブロック内部の熱を導出し、フィンを介して放散することができる。当該板状ヒートパイプ放熱器は、構造がコンパクトであり、一方向に熱が伝わるという利点があるため、狭い空間内で効率的に放熱するのに適することができるため、研削環境を改善することができ、それにより砥石の熱損傷を著しく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の具体的な実施形態における研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石の正断面図である。
【
図2】本発明の具体的な実施形態の
図1におけるIの局所拡大図である。
【
図3】本発明の具体的な実施形態における砥石基体の立体構造概略図である。
【
図4】本発明の具体的な実施形態における研削ブロックの立体構造概略図である。
【
図5】本発明の具体的な実施形態における研削ブロックの中心貫通穴内での単一の勾配を有する矩形の立体構造概略図である。
【
図6】本発明の具体的な実施形態における冷却用スプレーボトルの立体構造概略図と断面図である。
【
図7】本発明の具体的な実施形態における瞬時スプレーボトルノズルの立体構造概略図である。
【
図8】本発明の具体的な実施形態における板状ヒートパイプ放熱器の立体構造概略図と断面図である。
【
図9】本発明の具体的な実施形態における板状ヒートパイプ放熱器内の単一の勾配を有する矩形の立体構造概略図である。
【
図10】本発明の具体的な実施形態における自己リセット機構の立体構造概略図と断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 砥石基体
1.1 凹溝
1.1.1 スクリュー
1.1.2 穴
1.1.3 矩形の変位制限ボス
2 研削ブロック
2.1 研削ユニット
2.2 底板
2.3 勾配を有する矩形構造溝
3 冷却用スプレーボトル
3.1 ボトル本体
3.1.1 上部ボトルボディー
3.1.2 下部ボトルボディー
3.1.3 ボトル口
3.2 シール用ゴムリング
3.3 ピストン
3.3.1 底面係止溝
3.3.2 取り付け溝
3.4 ばね
3.5 ボトルベース
3.5.1 係止凸リング
3.5.2 支持軸
3.5.3 円柱形ショルダ
4 スプレーボトルノズル
4.1 ノズルシース
4.1.1 ノズル流路
4.2 接続ロッド
4.3 ノズルベース
4.3.1 丸穴
4.4 組み立て用ねじ
5 板状ヒートパイプ放熱器
5.1 銅片
5.1.1 勾配を有する矩形構造溝
5.1.2 勾配を有する凹溝
5.2 銅ブラケット
5.2.1 フィン
5.3 内部空洞
6 自己リセット機構
6.1 支持主軸
6.2 マンドレル
6.3 スラスト玉軸受
6.4 支持ワッシャ
6.5 一次圧縮ばね
6.6 二次圧縮ばね
6.7 押え板
6.8 支持用インナースリーブ
6.9 バッフルプレート
【発明を実施するための形態】
【0026】
当業者が本発明の解決策をよりよく理解できるために、以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、説明された実施例は、本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他のすべての実施例はいずれも、本発明の保護範囲に属するものとする。
【0027】
図1~2に示すように、
図1~2は、本発明の研削領域の法線方向研削力に基づく自己適応的に冷却できる重負荷砥石の正面図であり、それは主に、砥石基体1、研削ブロック2、冷却用スプレーボトル3、スプレーボトルノズル4、板状ヒートパイプ放熱器5及び自己リセット機構6を含む。
【0028】
図3に示すように、砥石基体1外周面には、4つの凹溝1.1が開設され、凹溝1.1は、砥石基体1の中心を中心に環状アレイ構造を形成し、凹溝1.1の内部には、位置決めと組み立てを容易にするためのスクリュー1.1.1、穴1.1.2及び矩形の変位制限ボス1.1.3が加工され、同時に、砥石基体1の中心には、組み立て穴が加工される。
【0029】
図4~5に示すように、研削ブロック2は、研削ユニット2.1と底板2.2を含む。ここで、底板2.2は、アーチ型の構造であり、その上方端面には、一体焼結された研削ユニット2.1が搭載され、当該研削ユニット2.1の幅は、砥石の幅と一致し、研削材は、ジルコニウムコランダムであり、樹脂結合剤が選択され、前記研削ユニット2.1と前記底板2.2の中心には、内部冷却液の噴射を容易にするための貫通穴が加工され、貫通穴の内壁には、アレイに配置された勾配を有する矩形構造溝2.3が直接加工され、前記勾配を有する矩形構造溝2.3は、冷却液の一方向への輸送に役立つため、冷却液の逆流を避けることができ、研削ブロック2の底板2.2は、自己リセット機構6にボルト接続される。
【0030】
図6に示すように、冷却用スプレーボトル3は、ボトル本体3.1、シール用ゴムリング3.2、ピストン3.3、ばね3.4及びボトルベース3.5を含む。ボトル本体3.1は、シリカゲル材質で圧縮成型され、上部ボトルボディー3.1.1が鋸歯型の押し出しボトルボディーであり、下部ボトルボディー3.1.2が直筒型のボトルボディーであり、ボトル口3.1.3には、スプレーボトルノズル4と螺合するねじ山が加工され、ボトルベース3.5の外柱面には、係止凸リング3.5.1が設けられ、ボトル本体3.1の内壁には、前記係止凸リング3.5.1と係合する係止リング溝が開設され、前記ボトルベース3.5の底部には、冷却用スプレーボトル3の位置決めを容易にするために、砥石基体1の矩形ボス1.1.3と係合する矩形凹溝が加工され、ボトルベース3.5の上端面には、支持軸3.5.2が取り付けられ、前記支持軸3.5.2の円柱形ショルダ3.5.3は、ピストン3.3の底面での係止溝3.3.1内に係止されてもよく、前記ピストン3.3の下降高さを限定することができ、シール用ゴムリング3.2は、ボトル本体3.1とピストン3.3との間に組み立てられ、それは、前記ピストン3.3の外柱面の取り付け溝3.3.2により変位制限されるため、冷却液がボトル口3.1.3からのみ噴出できることを確保することができる。使用前にボトル口3.1.3から冷却液をいっぱい注入して、ばね3.4の圧縮状態を維持し、上部ボトルボディー3.1.1内の冷却液が作業中に継続的に消費されると、ばね3.4は、上部の圧力負荷が減少するため、ピストン3.3を押し上げることができるため、冷却液の水平面は常に一定に維持され得、それにより冷却液をスムーズに噴出させることができる。
【0031】
図7に示すように、スプレーボトルノズル4は、ノズルシース4.1、接続ロッド4.2、ノズルベース4.3及び組み立て用ねじ4.4を含む。ノズルシース4.1、接続ロッド4.2及びノズルベース4.3は、組み立て用ねじ4.4で接続され、ノズルシース4.1が接続ロッド4.2の周方向に接触する箇所には、複数のローラが設けられ、それによりノズルシース4.1の周方向の回転を実現することができる。スプレーボトルノズル4が作動しているとき、前記ノズルシース4.1には、湾曲した複数のノズル流路4.1.1が設けられるため、各ノズル流路4.1.1は、冷却液が噴出されると同時に、前記ノズルシース4.1を駆動して周方向に一定の角度回転させることができることを確保することができる。ノズルベース4.3には、ボトル口3.1.3と螺合するねじ山が設けられ、端面には、断面積がノズル流路4.1.1の断面積よりはるかに大きい複数の丸穴4.3.1が開設されるため、冷却液の安定した出力を確保することができ、冷却用スプレーボトル3内部の冷却液が不足した場合、スプレーボトルノズル4を取り外して補充することができる。
【0032】
図8~9に示すように、板状ヒートパイプ放熱器5は、銅片5.1と銅ブラケット5.2を含む。
【0033】
(1)レーザー加工に適した、高い熱伝導率を有する銅片を原材料として選択する。
【0034】
(2)銅片5.1の片面に対してフェムト秒レーザー加工を2回連続して行うことで、アレイに配置された勾配を有する矩形構造溝5.1.1を加工し、ここで、1回目は、アレイに配置された勾配を有する矩形構造溝5.1.1を吸液芯として加工し、2回目は、銅片の長手方向に沿った横断面が特定形状の複数の勾配を有する凹溝5.1.2を加工する。2回のレーザー加工を経て、矩形表面構造を有する吸液芯を得る。
【0035】
(3)ステップ(2)で加工された2枚の銅片5.1について、前記2枚の銅片5.1の勾配を有する矩形の片側を対向させ、前記2枚の銅片5.1の間に銅ブラケット5.2を入れ、治具で位置決めしてクランプする。まず、冷間溶接の方法で固定接続し、その後、アルゴンアーク溶接により前記2枚の銅片5.1と前記銅ブラケット5.2を再度溶接して密封することで、板状ヒートパイプを得、前記板状ヒートパイプは、銅片5.1、銅ブラケット5.2及び銅片5.1の3層の密封構造であり、前記2枚の銅片5.1と前記銅ブラケット5.2は、内部空洞5.3を共同形成する。
【0036】
(4)板状ヒートパイプの銅片の1枚に、熱影響域のないフェムト秒レーザーによる穴あけ加工を採用して、真空引き・注入用穴を加工し、真空注入機で板状ヒートパイプを真空引きし、板状ヒートパイプの内部に液体作動媒体を注入し、前記液体作動媒体は、エタノール又はアセトンなどであり、特定の熱交換ニーズに応じて選択することができ、次に、真空引き・注入用穴をレーザー溶接して密封する。
【0037】
(5)銅ブラケット5.2の両側には、フィン5.2.1が取り付けられ、溶接合体してなる板状ヒートパイプ放熱器5は、熱伝導と放熱の一体化を実現することができ、その後、それらは、ねじ止めにより、研削ブロック2の底板2.2に均一にアレイで取り付けられる。
【0038】
図10に示すように、自己リセット機構6は、支持主軸6.1、マンドレル6.2、スラスト玉軸受6.3、支持ワッシャ6.4、一次圧縮ばね6.5、二次圧縮ばね6.6、押え板6.7、支持用インナースリーブ6.8、及びバッフルプレート6.9を含む。支持主軸6.1の中心には、マンドレル6.2とスクリュー1.1.1と位置決めして組み立てることが可能なねじ山穴が加工され、マンドレル6.2両端には、スラスト玉軸受6.3が取り付けられるため、マンドレル6.2が他の部品と直接摩擦しないことを確保することができ、支持用インナースリーブ6.8の両側には、研削ブロック2の底板2.2とのボルト接続を容易にするためのねじ山穴が加工され、圧縮ばねは、研削ブロック2が研削領域を離れて法線方向研削力を受けなくなった状態下で、又は法線方向研削力が臨界値以下に低下した場合、研削ブロック2を初期作動位置にタイムリーに戻らせることができる。第1の状態において、受ける法線方向研削力が一次圧縮ばね6.5の弾力よりも大きくなると、前記一次圧縮ばね6.5は圧縮され、支持用インナースリーブ6.8は押え板6.7に向かって移動する。第2の状態において、受ける法線方向研削力が一次圧縮ばね6.5の弾力と二次圧縮ばね6.6の弾力の和よりも大きくなると、前記押え板6.7は前記一次圧縮ばね6.5と前記二次圧縮ばね6.6を圧縮し始める。この2つの圧縮ばねは、1回の研削作業で冷却用スプレーボトル3内の冷却液が過度に噴出されることを効果的に防止することができる。
【0039】
砥石が作動しているとき、研削ブロック2内の研削ユニット2.1は、ワークを研削加工し、法線方向研削力を発生させる。自己リセット機構6は、ばねの弾性係数が大きいため、砥石が正常に作動しているとき、法線方向研削力が小さく、圧縮ばねが圧縮されない。複雑な作業条件により法線方向研削力が突発的に増大し、且つ臨界値に達したとき、研削領域に入った前記研削ユニット2.1は、法線方向研削力を受け、自己リセット機構6内部の圧縮ばねを圧縮しながら冷却用スプレーボトル3の上部ボトルボディー3.1.1を押圧し、さらに、冷却液を、スプレーボトルノズル4のノズル流路4.1.1を介して螺旋状に噴射させることができるため、外部冷却液噴射装置の作動に基づいて砥石の研削領域の瞬時冷却を実現し、法線方向研削力を低下させ、砥石の摩耗を減少させることができ、法線方向研削力が臨界値以下に低下したとき、又は前記研削ブロック2が研削作業領域から離脱したとき、圧縮された前記自己リセット機構6内部の圧縮ばねは、上にリセットするように前記研削ブロック2を押し上げることができるため、前記冷却用スプレーボトル3の冷却液の噴出を停止させることができる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して本発明の原理を詳細に説明したが、当業者は、上記実施例は、本発明の例示的な実現方法の説明にすぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。実施例における詳細は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の技術的解決手段に基づく任意の等価変換、簡単な置換などの明らかな変更はいずれも、本発明の保護範囲内に入るものとする。
【国際調査報告】