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特表2023-553573手、又は産科用器具、特に頭部用スプーンとの協働に適した、圧力を検出するためのデバイス‐関連する産科用器具、手袋、及び補助デバイス
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  • 特表-手、又は産科用器具、特に頭部用スプーンとの協働に適した、圧力を検出するためのデバイス‐関連する産科用器具、手袋、及び補助デバイス 図1
  • 特表-手、又は産科用器具、特に頭部用スプーンとの協働に適した、圧力を検出するためのデバイス‐関連する産科用器具、手袋、及び補助デバイス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-22
(54)【発明の名称】手、又は産科用器具、特に頭部用スプーンとの協働に適した、圧力を検出するためのデバイス‐関連する産科用器具、手袋、及び補助デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/42 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
A61B17/42 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557832
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 FR2021052219
(87)【国際公開番号】W WO2022123164
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2012845
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518338518
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・リール
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LILLE
(71)【出願人】
【識別番号】516123435
【氏名又は名称】サントラル・リール・アンスティチュ
(71)【出願人】
【識別番号】523211084
【氏名又は名称】サントル・オスピタリエ・ユニヴェルシテール・ドゥ・リール
(71)【出願人】
【識別番号】519208029
【氏名又は名称】セントレ ナシオナル ドゥ ラ レシェルシェ サイエンティフィク
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ヨンケール,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ゴルチェ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】コソン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ルボー,クリステル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160HH04
(57)【要約】
本発明は、圧力が印加される検出素子、上記検出素子に接続されたトランスデューサ、及び弾性変形性シェルを備えるタイプの、圧力を検出するためのデバイスに関する。特徴的なことに、本発明によると、上記シェル(1)は、生体適合性かつ滅菌可能な材料で作製され、2つの対向する壁(11;19)と、挿入用開口(13)とを有し、上記検出素子は少なくとも1つの弾性変形性チューブ(7)を備え、上記チューブは、上記シェル(1)内に配設される部分を備え、上記チューブは、一方の端部(71)において閉鎖されて流体が充填され、また上記チューブの他方の端部は開放されて上記シェル(1)の外側に配設され、上記トランスデューサ(3)に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力が印加される検出素子(7)、前記検出素子(7)に接続されたトランスデューサ(3)、並びに生体適合性で滅菌可能な材料の弾性変形性シェル(1)を備えるタイプの、印加された圧力を検出するためのデバイスであって、
前記シェル(1)は、2つの対向する壁(11;19)と、各前記壁(11;19)の縁部によって少なくとも一部が画定される挿入用開口(13)とを有し、
前記検出素子は、前記シェル(1)内に配設される部分を備えた、少なくとも1つの弾性変形性チューブ(7)を備え、
前記チューブは、前記チューブの端部のうちの一方(71)において閉鎖されて流体が充填されており、
前記チューブの他方の前記端部は開放され、前記シェル(1)の外側に配設され、前記トランスデューサ(3)に接続される、デバイスにおいて:
‐前記シェル(1)は、前記シェルが把持用器具又は手に取り付けられる際に、前記器具又は前記手の外縁部と接触するよう適合された形状を有すること;並びに
‐前記チューブ(7)の、前記シェル(1)内に配設される前記部分は、前記シェルの内周にわたって、及び前記シェル(1)の、前記器具又は手の把持ゾーンを受承するためのゾーンにわたって、延在し、これにより前記チューブは、前記器具又は前記手によって前記チューブ(7)に印加される前記圧力の変動を検出するよう構成されること
を特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、前記トランスデューサ(3)が組み込まれる外側ケーシング(10)を備え、前記トランスデューサは、ホイートストンブリッジに結合された圧電抵抗器を備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ケーシング(10)には空間位置センサ(8)も組み込まれる、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記対向する壁(11;19)は中実であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記シェル(1)は、前記チューブ(7)を備える前記シェル(1)に対向する前記シェル(1)の前記壁に設けられた前記挿入用開口(13)から延在する、長手方向スロット(17)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記シェル(1)は、前記挿入用開口(13)を狭めるための手段(18)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記シェル(1)は、挿入用開口(13)及び指を備える手袋を形成すること;
前記チューブ(7)は、前記手袋の前記指に配設され、特に、各前記指の内面に又は各前記指における前記手袋の前記壁の厚さ内にループを形成すること;並びに
前記ループは、前記指の長手方向寸法に沿って延在すること
を特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
端部のうちの一方に頭部用スプーン(2)が設けられたハンドル(21)を備える、産科用器具であって:
前記産科用器具は、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイスを備え、前記シェル(1)は前記スプーン(2)に取り付けられること;及び
前記シェル(1)の内縁部は前記スプーン(2)の外縁部と接触すること
を特徴とする、産科用器具。
【請求項9】
前記トランスデューサ(3)は前記器具に取り付けることができることを特徴とする、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
請求項8若しくは9に記載の産科用器具、又は請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイスを備える、補助デバイスであって:
前記補助デバイスは、前記トランスデューサ(3)に接続されて、前記トランスデューサ(3)からの電圧出力が所与の閾値を超えた場合に起動させることができる、電力供給手段及び警報手段(5)を備えることを特徴とする、補助デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手、又は産科用器具、特に頭部用スプーンと協働できる、圧力を検出するためのデバイスに関する。本発明は、関連する産科用器具、手袋、及び補助デバイスにも関する。
【背景技術】
【0002】
出産中、医師は手袋を着用した手で胎児の分娩を補助する。これにより、医師は胎児の頭部に対する圧力を直接的かつ正確に感知できるため、母体又は胎児を負傷させるリスクがない。
【0003】
場合によっては、真空カップ、鉗子、又はスパチュラといった産科用器具の助けを借りる必要がある。これらの器具の先端(スパチュラ及び鉗子の場合には頭部用スプーンと呼ばれる)は、胎児の頭部の把持を提供し、またこれらは胎児及び母体の両方の負傷のリスクを制限するように適合されている。しかしながら、医師の手とは異なり、胎児の頭部に印加される力をリアルタイムで評価できる産科用器具は存在しないため、特に鉗子の適切な位置決めのための時間又は空間が制限されている場合、鉗子又はスパチュラが胎児に過剰な圧力を印加することが多い。頭部用スプーンの過剰な締め付けは、創傷、頭蓋骨への骨損傷(例えば陥没骨折)、特に頭頂骨又は前頭骨の骨折につながる恐れがある。これは脳神経麻痺、腕神経叢損傷、及び眼の損傷につながる恐れもある。手作業での分娩中にも同様のリスクが潜在的に存在する。
【0004】
特許文献1には、胎児の娩出のための、特に鉗子タイプの産科用器具、及びこのような鉗子を備えた娩出補助デバイスが記載されている。この産科用器具は2つの分岐を備え、各分岐はその一端に把持ハンドルを備え、また他端に頭部用スプーンを備える。各スプーンは更に、測定モジュールと、上記測定モジュールとスプーンとを接続するための手段とを備え、この測定モジュールは、上記スプーンによって胎児に印加される圧力を測定できる圧力測定手段を備える。上記接続手段は、溝を備えた可撓性シェルを備える。このシェルは各スプーンの縁部に取り付けられ、これらはくり抜かれており、窓を画定する。圧力センサは可撓性シェルに溶接されるが可撓性シェルの外面から突出し、胎児の頭部に適切に接触するための隆起部を形成する。これらは、各スプーンの窓を取り囲むシェルの表面上に分布する。これらのセンサは好ましくは圧電抵抗タイプのものである。圧電抵抗器は非常に高価であり、これらを内包したシェルは滅菌できないため、このデバイスの使用コストは高い。更に、シェルの溝にスプーンを挿入するにはある程度の集中が必要であり、緊急時にこれを行うのは困難である。更に、上記溝により、シェルをスプーンに適切に取り付けることができなくなり、スプーンを取り外す際にシェルが産婦の体内に残るリスクはゼロではない。更に、圧電抵抗センサを用いた圧力の検出には、センサの十分かつ明確に決定されたゾーンに力を印加する必要があるため、これは容易ではない。しかしながらこのデバイスは、動作の学習には完璧に適合している。
【0005】
特許文献2には、各中空スプーンの頂部に圧力センサを備えた産科用鉗子が記載されている。この圧力センサは各スプーンの頂部に位置し、変形可能な膜を備える。スプーンの縁部付近に位置し、非圧縮性流体が充填された、ステンレス鋼製の毛細管が、この膜を鉗子のハンドル上に位置する圧力ゲージに接続する。ポリマーチューブによって、上記スプーンの上記毛細管を、胎児と接触しない部分にあるゲージまで延長できる。分娩中にスプーンが胎児の頭部に圧力を印加すると、上記膜が変形して、非圧縮性流体を毛細管に流入させ、更にポリマーチューブに流入させる。続いて上記流体は上記ゲージに入り、上記ゲージの針を動かして、印加された圧力が許容可能なものであるかどうかを示す。
【0006】
上記ポリマーチューブは例えば接着ストリップによってデバイスに固定できる。このデバイスは、スプーン上の、膜が配設された極めて小さなゾーン(スプーンの頂部)によって印加された圧力しか検出しないが、このゾーンは胎児に最も大きなダメージを与えるゾーンではない。
【0007】
更に、産科用器具を使用しない正常な条件下での分娩に必要な動作を指導する際、指導を行う医師にとっては、胎児への傷害のリスクを発生させないようにするためには超過してはならない、手によって胎児の頭部に印加される圧力の量を、指導を受ける人物に認識させるのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】フランス公開特許第3082415A1号
【特許文献2】米国公開特許第3785381Al号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、スパチュラ若しくは鉗子に、又は医師の手に、迅速に取り付けることができ、また従来技術のデバイスに関連する欠点の一部又は全てを克服する、新規の圧力検出デバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より詳細には、本発明は、圧力が印加される検出素子、上記検出素子に接続されたトランスデューサ、並びに生体適合性で滅菌可能な材料で作製された弾性変形性シェルを備えるタイプの、印加された圧力を検出するためのデバイスに関する。上記シェルは、2つの対向する壁と、各上記壁の縁部によって少なくとも一部が画定される挿入用開口とを有し、上記検出素子は、上記シェル内に配設される部分を有する少なくとも1つの弾性変形性チューブを備え、上記チューブは、その端部のうちの一方において閉鎖されて流体が充填され、また上記チューブの他方の端部は開放されて上記シェルの外側に配設され、上記トランスデューサに接続される。本発明のデバイスは:
‐上記シェルが、上記シェルが把持用器具又は手に取り付けられる際に、上記器具又は手の外縁部と接触するよう適合された形状を有すること;並びに
‐上記シェル内に配設される上記チューブの上記部分が、上記シェルの縁部の少なくとも一部に沿って、上記シェルの内周にわたって延在し、また上記器具又は手の把持ゾーンを受承するための上記シェルのゾーンにわたって延在し、これにより上記チューブが、上記器具又は手によって上記チューブに印加される圧力の変動を検出するよう構成されること
を特徴とする。
【0011】
上記チューブは有利には、上記シェルの上記挿入用開口を通過して、上記トランスデューサを備える外側ケーシングに到達できる。上記チューブは上記シェルを貫通することもできる。
【0012】
「把持用器具」とは、物体又は対象物を把持するための1つ以上の部品を備えた器具を意味する。好ましい一実施形態では、上記把持用器具は産科用器具である。
【0013】
上記シェルの上記挿入用開口により、産科用器具、特に頭部用スプーンの挿入が可能となる。上記シェルを上記スプーン上へと靴下のように装着するだけで十分であるため、これは使用が簡単である。
【0014】
上記チューブは、圧電抵抗センサより大きな面積にわたって延在でき、またより重要なことには、所与の小さなゾーンのみが圧力に対する感受性を有する圧電抵抗センサとは異なり、その表面全体を圧力下で押し潰すことができるため、圧力を精密に検出できる。上記チューブの長さ、及び上記シェル内での上記チューブの経路に応じて、特許文献2に記載のデバイスよりも大きなゾーンにわたって圧力を検出できる。本発明によると、上記チューブは、上記チューブに印加される力の作用によってだけでなく、圧力の影響下において、上記チューブ周辺での上記シェルの変形によっても押し潰すことができる。これは上記チューブが上記シェルの内部にあるためである。従って上記チューブは、圧力検出に関して感度がより高く、信頼性がより高いことが分かる。
【0015】
トランスデューサでもある圧電抵抗器を複数必要とする従来技術のデバイスとは異なり、本発明のデバイスは、トランスデューサを1個しか必要としない。従って本発明のデバイスは、従来技術のものに比べて安価であり、かつ信頼性が高い。
【0016】
更に、従来技術のデバイスが複数の局所的な個々の圧力しか検出できないのに対し、本発明のデバイスは、1つの局所的圧力(チューブの一点に対する圧力)と、チューブから離れた複数の点に印加される複数の局所的圧力とを検出をできる。実際には、圧力センサチューブは、シェルの輪郭又は内周をたどって上記シェルの主要な把持ゾーンを通過する、単一の細長い部品である。
【0017】
上記トランスデューサは上記シェルの外側にあるため、容易にアクセス可能であり、警報手段又は検出された圧力を測定するための手段に迅速に接続できる。更に、上記トランスデューサは母体にも胎児又は新生児の身体にも接触しないため、滅菌の必要がない。
【0018】
上記チューブの直径及び長さは、例えば上記シェルがスパチュラを覆うか鉗子を覆うかに応じて、当業者によって、圧力を検出するべきゾーンに従って適合させることができる。例えば上記チューブの直径は6フレンチであってよい。
【0019】
本発明によると、上記トランスデューサは限定されない。特定の一実施形態によると、上記トランスデューサは、ホイートストンブリッジと結合された圧電抵抗器を備える。
【0020】
上記流体は、空気、ガス、特に不活性ガスであってよい。上述の各実施形態と組み合わせることができる特定の一実施形態によると、上記チューブには、非圧縮性の流体、より詳細には例えば水又は生理食塩水といった液体が充填される。非圧縮性流体(液体)を使用することにより、デバイスの感度が高まる。またこれにより、上記チューブを損傷させる可能性がある、及び/又は挟み込みの上流における上記チューブに対する圧力の変動の検出を妨げる可能性がある、上記チューブの完全な局所的押し潰し(挟み込み)が回避される。
【0021】
本発明によると、上記シェルは限定されない。上記シェルは、上記シェルが頭部用スプーン又は手に取り付けられたときに、上記スプーン又は手の外縁部に接触するように適合された形状を有してよい。上述の各実施形態と組み合わせることができる第1の実施形態によると、上記シェルは、少なくとも1つの頭部用スプーンを備える産科用器具の外縁部と少なくとも協働するように適合される。
【0022】
くり抜かれた頭部用スプーンの場合に使用できる、この第1の実施形態の一変形例によると、上記シェルは上記スプーンの外縁部及び内縁部のみを覆い、後者は上記スプーンの窓を画定する。従って上記シェルは上記窓の輪郭を取り囲み、従って上記シェルの2つの壁はくり抜かれている。
【0023】
この第1の実施形態の別の変形例によると、上記シェルは、2つの対向する中実の壁を有する。面が中実であるため、これらの面は頭部用スプーンの2つの面全体を覆い、従って上記シェルは、例えばスパチュラタイプの中実の頭部用スプーン、及びくり抜かれた頭部用スプーンに適している。中実の面により、接触表面積が増大するため、上記スプーン上での上記シェルのより良好な保持が保証される。
【0024】
有利には、実施形態にかかわらず、上記挿入用開口は、上記シェルの残りの部分に比べて小さな横断方向寸法を有する。上記シェルの材料は弾性変形性であるため、上記シェルを変形させることにより、上記頭部用スプーンを、上記開口を通して導入できる。そして上記開口の縁部は、上記スプーンの縁部と、又は例えば上記鉗子の脚のチョイルの部分とも、協働する。このようなシェルは、特に分娩の終了時に鉗子を引き抜く際に上記シェルに印加される引張力に対する耐性がより高いことが分かっている。
【0025】
同様に、くり抜かれた頭部用スプーンに適合された一変形例によると、上記シェルは、上記窓を画定する上記スプーンの上記部分が挿入される、内側の溝を備える。有利には、上記シェルはこの溝において厚さが大きくなっていてよい。このように厚さが大きくなることにより、圧力を分散させることができ、これにより、一方では胎児の頭部が保護され、他方では上記チューブの挟み込みが回避される。
【0026】
いずれにせよ、実施形態にかかわらず、上記シェルは、上記頭部用スプーンに取り付けられたときにその全内周が上記頭部用スプーンの上記外縁部に接触するように適合される。
【0027】
有利には、実施形態にかかわらず、上記シェルは上記挿入用開口を狭めるための手段を備える。上記手段は、紐、又はサークリップタイプの固定要素であってよい。上記産科用器具又は上記手の周囲の上記挿入用開口を狭めることによって、上記シェルをしっかりと保持できる。
【0028】
第2の実施形態によると、上記シェルは、手術用手袋のように着用できる手袋を形成する。上記手袋は、挿入用開口及び指を備える。上記チューブは有利には、上記手袋の上記指に配設され、特に、各上記指の内面に又は各上記指における上記手袋の上記壁の厚さ内に、ループを形成し、上記ループは上記指の長手方向寸法に沿って延在する。ただし、上記チューブを別の方法で配設することもでき、上記チューブは例えば、医師の指の腹と接触する上記手袋のゾーンに、螺旋を形成できる。この実施形態は指導にも使用でき、これにより生徒は、以下に記載の警報手段のパラメータ設定後に、胎児の頭に印加できる圧力又は印加できない圧力を自身で体験できる。
【0029】
実施形態にかかわらず、上記チューブは、上記産科用器具又は上記手の上記把持ゾーンを受承するための上記シェルのゾーンに沿って延在するよう構成される。即ち、上記産科用器具又は手によって把持されたときに、新生児の頭蓋骨、又は場合によっては新生児の身体若しくは対象物と接触するゾーンである。
【0030】
いずれの実施形態でも、上記シェルは長手方向スロットを備えてよく、これは、上記チューブを備える上記シェルに対向する上記シェルの上記壁の上記挿入用開口から延在する。このスロットは特に、上記シェルが中実の面を備える場合に、頭部用スプーンに取り付けられるように適合された実施形態に適合されている。上記スロットにより、上記スプーンに対する上記シェルの把持に悪影響を及ぼすことなく、上記シェル内への上記スプーンの挿入が容易になる。
【0031】
実施形態にかかわらず、本発明によると、上記シェル内に配設された上記チューブの上記部分の位置は限定されない。上記チューブのこの部分は、上記シェルの内壁にわたって、又は少なくとも部分的に上記シェルの上記壁の厚さ内に、延在してよい。この部分は上記シェルの厚さ内に設けられてもよい。全ての実施形態と組み合わせることができる一代替実施形態によると、上記シェル内に配設された上記チューブの上記部分は、上記シェルの上記縁部に沿って延在し、上記シェルからある距離を隔てて配設される。これにより上記部分は、圧力を印加する上記頭部用スプーンの一部、又は圧力を印加する上記指の一部分と接触できる。
【0032】
鉗子及びスパチュラは鍛造部品であり、鋳造部品ではないため、全て異なっている。軟質のシェル及び表面積が大きなチューブにより、どのような鉗子又はスパチュラを使用した場合でも、上記器具の使用時には、上記シェルが実際に上記頭部用スプーンを覆い、上記チューブが押し潰されることが保証される。
【0033】
有利には、実施形態にかかわらず、上記チューブは上記シェルの内周の少なくとも50%にわたって延在し、これにより、鉗子又は手袋の使用時に圧力を良好に検出できる。
【0034】
上記チューブ上記シェルの上記内周に沿って、上記挿入用開口の一方の縁部から他方の縁部まで延在してよい。このようなシェルは簡単に作製でき、良好な圧力検出を提供する。
【0035】
本発明は、端部のうちの一方に頭部用スプーンが設けられたハンドルを備える、産科用器具にも関する。特徴的なことに、本発明によると、本発明によるデバイスは上記スプーンに取り付けられ、上記シェルの上記内縁部が上記スプーンの上記外縁部と接触する。
【0036】
有利には、上記トランスデューサは上記器具に取り付けられることができるため、上記デバイスはより小型になる。これにより、上記トランスデューサは、鉗子の場合、2つのスプーンの交点の位置にクリップ留めできるものとなり得る。
【0037】
本発明はまた、本発明による産科用器具又は本発明による手袋を備える補助デバイスにも関する。特徴的なことに、この補助デバイスは、上記トランスデューサに接続されて、上記トランスデューサからの電圧出力が所与の閾値を超えた場合に起動させることができる、電力供給手段及び警報手段を備える。上記警報手段は視覚及び/又は聴覚によるものとすることができ、これらは上記産科用器具又は上記手袋上に配設でき、場合によっては着脱可能に固定できる。これらは、特に上記トランスデューサが上記産科用器具に取り付けられるように適合されている場合には、上記トランスデューサに固定できる。
【0038】
本発明のデバイスは、その2つの実施形態によると、鉗子による胎児の娩出の動作、肩甲難産の場合の動作、又は「内回転術」として知られる技法の動作を学習するための指導を目的として使用できる。これは、(その2つの実施形態において)分娩にも使用できる。というのはこれにより、従来技術に関連する部分で言及したような母親の会陰のリスク及び胎児のリスクを軽減できる、又は回避することさえできるためである。
【0039】
定義
用語「産科用スプーン(obstetrical spoon)」は、本発明の目的に関して、鉗子及びスパチュラの分岐を指す。
【0040】
図面
本発明、その特徴、及び本発明が提供する様々な利点は、例として記載された2つの特定の実施形態に関する以下の説明を読むことにより、更に明らかになるだろう。この説明は例示的なものであって限定的なものではなく、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明の第1の実施形態の前面の長手方向断面図を示す。
図2図2は、図1に示されている実施形態のシェルの背面の図を示す。
図3図3は、本発明の第1の実施形態による2つのデバイスを備えた鉗子の長手方向断面図を示す。
図4図4は、本発明の第2の実施形態の長手方向断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1を参照すると、本発明のデバイスは、生体適合性かつ弾性変形性の材料で作製されたシェル1と、トランスデューサ3と、警報手段5とを備える。シェル1は、端部13に開いたポケットを形成する前壁11及び後壁(図2で確認できる)を備える。
【0043】
シェル1は、頭部用スプーンを覆うように適合された形状を有し、上記スプーンの縁部は、上記シェルの内壁の縁部に接触する。前壁11の内面はチューブ7を備える。チューブ7は、シェル1内に位置する一方の端部71において閉鎖される。チューブ7は、前壁11の内面上の、スプーンを形成するフープが収容される溝15内に配設される。チューブ7は前壁11の内面に固定される。変形例によると、チューブ7は、前壁11の厚さ内に設けられた部分を備えてもよく、又は前壁11の厚さ内に埋め込まれていてもよい。チューブ7は、挿入用開口13を通ってシェル1を出て、トランスデューサを備える上記デバイスの外側ケーシング10に結合される。上記チューブの開放端部73は、トランスデューサ3に接続される。トランスデューサ3は、セル又はバッテリといった図1には図示されていない電源によって電力供給される、圧電抵抗器及びホイートストンブリッジを備える。トランスデューサ3は警報手段5に結合され、これは聴覚及び/又は視覚によるものであってよく、またケーシング10に組み込まれていても、ケーシングから取り外されていてもよい。
【0044】
一実施形態では、警報手段5は、上記トランスデューサ3からの電圧出力が所与の閾値を超えた場合に起動させることができる。
【0045】
別の実施形態では、ケーシング10は、データ処理ソフトウェアアプリケーションを備える処理ユニットへと測定値を好ましくは無線で伝送するための手段を備える。上記処理ユニットは、例えばスマートフォン又はコンピュータである。
【0046】
本発明は、上記デバイスの位置座標からの上記デバイスの移動を記録することも提案する。この目的のために、上記デバイスは、少なくとも1つの空間位置センサ8も備える。この位置センサ8は好ましくは慣性ユニットとして具現化され、上記トランスデューサを備えた上記ケーシングの電子基板上に配設される。特に、クリップ留めされたケーシングの位置は、本発明の手袋、又は好ましくは鉗子等の産科用器具の付近において追跡される。
【0047】
実際には、胎児の典型的な娩出経路は2つの直線状セグメントからなり、これらはそれぞれ長さL1、L2を有し、間に角度αを形成する。上記位置決めセンサを用いて、胎児の娩出経路に対応する鉗子の移動を追跡し、これを典型的な娩出経路と比較できる。
【0048】
位置データはケーシング10のメモリに保存でき、後で分析のために引き出すことができるか、又はこれらのデータは、無線通信モジュールによって、処理ユニットに連続的に伝送される。図2を参照すると、シェル1の後壁19は、上記シェルの挿入用開口13から長手方向に延在するスロット17を備える。後壁19はチューブを備えない。
【0049】
図示されていない一変形例によると、前壁11及び後壁19の、挿入用開口13より上方に、凹部が設けられる。そして挿入用開口13は、上記凹部の一部を画定する2つの横断方向部分によって画定される。
【0050】
本発明のデバイスを備えた鉗子を示す図3を参照すると、各頭部用スプーンがシェル1で覆われている。各シェル1はスプーン2の外側輪郭を取り囲み、各スプーンのハンドル21はシェル1の外側に位置して、挿入用開口13を貫通する。トランスデューサ3は、鉗子の交差した脚の枢軸として機能するタブ23にクリップ留めされる。この特定の実施形態では、チューブ7はシェル1の内面に固定され(接着され、又は部分的に埋め込まれ)、スプーン2と接触する。挿入用開口13の付近には、開口を狭めるための手段18が存在し、これにより、鉗子の動きに干渉することなく、シェル1を鉗子の分岐にクランプできる。シェル1は、そのサイズ及び可撓性により、鉗子の分岐の動きを妨げない。
【0051】
図4を参照して、第2の実施形態を以下で説明する。第1の実施形態と共通の要素には同一の符号を付す。この実施形態では、シェル1は手袋状であり、チューブ7の一部が手袋内に収容される。チューブ7は指に沿って延在し、シェル1内に、指の腹、指骨、及び分娩作業中に圧力を印加する可能性がある手の全てのゾーン(手の把持ゾーンとしても知られる)と接触するように配設される。トランスデューサ3は図示されていない。チューブ7は、トランスデューサを例えば医師の上着のポケットに入れるために十分な長さのものである。
【0052】
上記2つの実施形態に使用について、図1~4を参照して以下で説明する。
【0053】
第1の実施形態の場合、シェル1を挿入用開口13を通してシェル1を頭部用スプーンに装着する。スプーンが中空である場合、そのフープは溝15内に収容されるため、シェル1は上記フープによって形成される窓を覆う。スロット17により、スプーンへのシェル1の装着がより容易になる。次にトランスデューサ3を、これもまた鉗子上に配設されていてよい警報手段5に接続する。
【0054】
第2の実施形態では、医師は手袋を着用するだけでよい。
【0055】
分娩中、鉗子又は医師の手が、実験によって事前に決定された所与の値より高い力を印加した場合、警報手段が起動され、医師に対して視覚及び/又は聴覚による警報を発する。すると医師は、自身の手によって直接印加された、又は自身の手によって鉗子に印加された圧力を解放する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】