(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】冷却機のターボ圧縮機アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/057 20060101AFI20231218BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20231218BHJP
F16C 17/04 20060101ALI20231218BHJP
F16J 15/447 20060101ALI20231218BHJP
F04D 29/10 20060101ALI20231218BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20231218BHJP
F16C 32/06 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
F04D29/057 Z
F16C17/02 Z
F16C17/04 Z
F16J15/447
F04D29/10 A
F04D29/58 P
F16C32/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516804
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2021074994
(87)【国際公開番号】W WO2022073718
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523090836
【氏名又は名称】ミライ インテックス エスエイジーエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツィプラコフ、ヴラディスラフ
【テーマコード(参考)】
3H130
3J011
3J042
3J102
【Fターム(参考)】
3H130AA14
3H130AB27
3H130AB42
3H130AB62
3H130AB65
3H130AC01
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3J011AA20
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3J102BA18
3J102CA02
3J102CA09
3J102CA16
3J102GA06
3J102GA08
(57)【要約】
本発明は、共通のハウジング内に配置された圧縮機Iと、電動モータIIIと、ターボエキスパンダIIとを備える冷却機のターボ圧縮機アセンブリに関し、共通のハウジングは、圧縮機の本体19と、電動モータの本体21と、ターボエキスパンダの本体20と、ターボ圧縮機アセンブリからの作動ガスの供給部を開放するガス軸受内の共通のハウジング内に取り付けられたシャフト13とを備え、圧縮機のインペラ1、ターボエキスパンダのタービンのインペラ5、及び電動モータの回転子8がシャフト13に固定的に取り付けられ、圧縮機インペラ1及びタービン・インペラ5が共通のシャフトの両端に配置され、電動モータの回転子8がそれらの間に配置される。圧縮機インペラ1と電動モータの回転子8との間に、シャフト13が第1のラジアル動圧ガス軸受101内に取り付けられ、タービン・インペラ5と電動モータの回転子8との間に、シャフト13が第2のラジアル動圧ガス軸受102内に取り付けられ、第2のラジアル動圧ガス軸受102とタービン・インペラ5との間に、シャフトがスラスト動圧ガス軸受11内に取り付けられ、第1のラジアル軸受101へのターボ圧縮機アセンブリの作動ガスの二次流S2の入口は、圧縮機Iの本体19の内壁とシャフト13との間に形成され、第2のラジアル軸受102及びスラスト軸受11への作動ガスの二次流S3の入口は、ターボエキスパンダIIの本体20の内壁とシャフト13との間に形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通のハウジング内に配置された圧縮機(I)と、電動モータ(III)と、ターボエキスパンダ(II)とを備える冷却機のターボ圧縮機アセンブリであって、前記共通のハウジングは、前記圧縮機の本体(19)と、前記電動モータの本体(21)と、前記ターボエキスパンダの本体(20)と、前記ターボ圧縮機アセンブリからの作動ガスの前記供給部を開放するガス軸受内の前記共通のハウジング内に取り付けられたシャフト(13)とを備え、前記圧縮機のインペラ(1)、前記ターボエキスパンダの前記タービンのインペラ(5)及び前記電動モータの前記回転子(8)が前記シャフト(13)に固定的に取り付けられ、前記圧縮機インペラ(1)及び前記タービン・インペラ(5)が前記共通のシャフトの両端に配置され、前記電動モータの回転子(8)がそれらの間に配置されるターボ圧縮機アセンブリにおいて、前記圧縮機インペラ(1)と前記電動モータの前記回転子(8)との間に、前記シャフト(13)が前記第1のラジアル動圧ガス軸受(101)内に取り付けられ、前記タービン・インペラ(5)と前記電動モータの前記回転子(8)との間に、前記シャフト(13)が前記第2のラジアル動圧ガス軸受(102)内に取り付けられ、前記第2のラジアル動圧ガス軸受(102)と前記タービン・インペラ(5)との間に、前記シャフトがスラスト動圧ガス軸受(11)内に取り付けられ、前記第1のラジアル軸受(101)への前記ターボ圧縮機アセンブリの前記作動ガスの前記二次流(S2)の供給部は、前記圧縮機(I)の前記本体(19)の前記内壁と前記シャフト(13)との間に形成され、前記第2のラジアル軸受(102)及び前記スラスト軸受(11)への前記作動ガスの前記二次流(S3)の供給部は、前記ターボエキスパンダ(II)の前記本体(20)の前記内壁と前記シャフト(13)との間に形成されることを特徴とする、ターボ圧縮アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のラジアル動圧ガス軸受(101)は、シャフト・シール(14)によって前記電動モータ(III)の前記回転子(8)に向かって封止され、前記第1のラジアル軸受(101)と前記シャフト・シール(14)との間に、環状の面が前記シャフト上に形成され、前記シャフト(13)の前記軸(131)に垂直で、前記シャフト(13)に作用する前記軸力を均衡させるためのピストン(15)として役立つことを特徴とする、請求項1に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のラジアル動圧ガス軸受(101)と前記回転子(8)との間の前記シャフト・シール(14)は、実質的に平坦な円筒面に対して封止する少なくとも5本の歯によって形成される疑似ラビリンスであることを特徴とする、請求項2に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項4】
前記第1のラジアル動圧ガス軸受(101)は、前記シャフト(13)の前記軸(131)に実質的に平行な前記ラジアル軸受(101)のハウジングを取り付けるための第1の内側円筒面(161)と、前記シャフト(13)の前記軸(131)に実質的に平行で、前記シャフト・シール(14)の一部である第2の内側円筒面(163)と、前記シャフト(13)の前記軸(131)に実質的に垂直で、前記第1の円筒面(161)及び前記第2の円筒面(163)の間に配置された環状の第3の内面(162)とを備えるキャリア(16)に取り付けられ、前記第2の円筒面(163)によって囲まれた前記円筒状のキャビティの直径は、前記第1の円筒面(161)によって囲まれた前記円筒状のキャビティの直径よりも大きいことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項5】
前記軸受(101)の前記キャリア(16)は、単一の材料で形成され、それが収容される前記圧縮機(I)の前記本体(19)によって第1の部分で取り囲まれ、それが収容される前記電動モータ(III)の前記内側本体(211)によって第2の部分で取り囲まれることを特徴とする、請求項4に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項6】
前記スラスト動圧ガス軸受(11)のディスク(111)が前記シャフト(13)上に取り付けられ、前記ディスクは、前記ディスク(11)の前記第1の側が前記回転子(8)に向けて、及び、前記ディスクの前記第2の側が前記ターボエキスパンダ(II)の前記タービンの前記インペラ(5)に向けて配向され、半径方向の溝(17)は、前記ディスク(11)と前記インペラ(5)との間の前記シャフト(13)内に形成されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項7】
前記電動モータ(III)の前記本体(21)は、前記電動モータ(III)の前記固定子(9)を収容する内側本体(211)と、内側本体(211)を収容する外側本体(21)とを備えることと、前記内側及び外側本体(211、212)は、前記電動モータの前記固定子(9)を冷却するための前記冷却媒体の前記流れに役立つ共通の冷却チャネル(12)が形成されることとを特徴とする、請求項1から6までのいずれかに記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通のハウジング内に配置された圧縮機、電動モータ及びターボエキスパンダを備える冷却機のターボ圧縮機アセンブリに関し、共通のハウジングは、圧縮機本体と、電動モータ本体と、ターボエキスパンダ本体と、ターボ圧縮機アセンブリからの作動ガスの供給部を開放するガス軸受内の共通のハウジング内に取り付けられたシャフトとを備え、圧縮機のインペラ、ターボエキスパンダのタービンのインペラ、及び電動モータの回転子は、シャフトに固定的に取付けられ、圧縮機のインペラ及びタービンのインペラは、共通のシャフトの両端に配置され、電動モータの回転子は、それらの間に配置される。
【背景技術】
【0002】
およそ数十kWからMW単位の出力を有する工業用冷却機は、通常、圧縮機と、電動モータと、膨張タービンとから成り、電動モータによって駆動される圧縮機により、空気又は他の冷却媒体がまず圧縮され、次いで、冷却媒体がタービンに供給され、そこで膨張して冷却され、圧縮媒体が膨張するにつれて反応タービンに伝達されるエネルギーが圧縮機を駆動するために使用されるため、冷却機のエネルギー消費が減少する。次いで、タービンからの冷気は、熱交換器内で加熱され、又は冷却チャンバ内で冷却され、圧縮機入口に戻される。このタイプの冷却機は、例えば、チェコ特許第308332(B6)号に開示されている。
【0003】
近年、冷却機のエネルギー効率、メンテンナンスの容易さ、及び信頼性に対する要求が高まってきているが、冷凍システムが、共通のハウジング内の圧縮機と、モータと、共通のシャフトに取り付けられた膨張タービンとを備える機械は、ますます一般的になってきている。このような冷却機のシャフトは、通常、2つのラジアル軸受及び1つのスラスト軸受内のハウジング内に収容され、それにより、ラジアル軸受は、回転シャフトを支持し、その振動を減衰させる一方、スラスト軸受は、機械本体に対して軸を固定し、回転機械のシャフトに作用する軸力の変化によって生じるシャフトの衝撃を減衰し、異なる機械部品の軸力及び異なる熱膨張によって生じるハウジング部分のほうへのシャフト部分の相対的な軸方向の変位の間、特に機械を作動させたり停止させたりする際に、機械本体に対するシャフトの1つの固定点を提供する。
【0004】
上記の目的のために、一般的に入手可能なタイプの軸受のうちのいくつかは、転がり軸受滑り軸受、動圧軸受又は静圧気体軸受などが以前から使われてきた。しかしながら、これらのタイプの軸受の使用は、さまざまな欠点を有する。米国特許第8347648(B2)号は、冷却サイクルで使用するためのタービンを開示しており、そのタービンは、共通のタービン本体に、共通のシャフトに取り付けられた単輪圧縮機と、単輪膨張タービンと、電動モータと、スラスト磁気軸受と、ラジアル転がり接触軸受とを備え、圧縮機ホイール及びタービン・ホイールは、共通のシャフトの両端に張り出している。冷気製造用のタービンのこのような設計には、転がり接触軸受がエネルギー効率のよい高回転で機械を作動させることができないという欠点がある。
【0005】
蒸気タービンで知られている回転機械用の動圧軸受の使用は、上記の冷却ターボ圧縮機には適していない。それは、動圧軸受が、機械部品から独立したオイル・システムの設置とその封止を必要とし、その中を作動冷却媒体、通常は空気又は他のガスが流れるからであり、機械の共通のハウジング内に配置された軸受による固定は困難であり、その結果、機械全体が不釣り合いに高価になる可能性がある。同様に、媒体として加圧ガス又は流体を利用する流体静圧軸受の使用は、高圧媒体を供給するための別個のシステム、例えば、外部エネルギー源によって加圧及び駆動される高圧油圧システムを必要とし、コストを増加させ、機械の信頼性を低下させる。
【0006】
従来の軸受の上記欠点により、一部の冷凍機のメーカーはスラスト及びラジアル磁気軸受の両方を使用するようになった。米国特許第7322207(B2)号は、共通のシャフト上の共通のハウジングに取り付けられた単輪圧縮機と、単輪膨張タービンと、電動モータと、アキシャル磁気軸受と、2つのラジアル磁気軸受とを備える空気冷媒冷却装置が開示されており、圧縮機ホイール及びタービン・ホイールは、共通のシャフトの両端に張り出している。機械の電動モータの固定子及び回転子は、冷却装置の作動ガスとは別に、別個の冷却システム内を循環する冷却用空気によって冷却される。作動媒体の漏出物は、圧縮機からの漏出物の場合は一方の出口パイプに、タービンからの漏出物の場合は他方の通気口に、別々の通気口を通って別々に吸引され、それによって、漏れた作動媒体は、電動モータの回転子を通過しない。磁気軸受の機能性は、電力の供給に依存し、突然の停電が発生した場合に、装置に重大な事故が発生しないように電源をバックアップしなければならない。磁気軸受の別の重大な欠点は低剛性であることであり、それにより、機械が作動中又は停止中、及び危険回転数から移行中に発生する振動の十分な減衰が保証されず、機械の固有周波数の倍数の周波数に対応する回転数で、機械の望ましくない振動を引き起こす。磁気軸受が、より大型でより強力な機械のために使用される場合、剛性が低いという上記理由から、追加の滑り軸受でそれらをバックアップする必要がある。しかしながら、共通の機械ハウジングに滑り軸受を追加することで、機械の軸方向の長さが延び、製造コストを増加させる。さらに、それは、軸受間のシャフトの長さを延長し、場合によっては、軸受後方のシャフトの突出端の長さを延長する。また、それは、機械シャフトの活動力に悪影響を及ばす。
【0007】
したがって、本発明の目的は、周知の技術的解決策の上記欠点を、冷却機の作動ガスを使用する動圧ガス軸受を備える冷却機のためのターボ圧縮機アセンブリによって、除去又は低減させることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】チェコ特許第308332(B6)号
【特許文献2】米国特許第8347648(B2)号
【特許文献3】米国特許第7322207(B2)号
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、共通のシャフトが取り付けられたターボ圧縮機アセンブリの共通のハウジング内に配置された3つの機械、すなわち、圧縮機、電動モータ、及びターボエキスパンダを備える冷却機の複合ターボ圧縮機アセンブリによって達成される。
【0010】
シャフトは、2つのラジアル動圧ガス軸受及び1つのスラスト動圧ガス軸受において、共通のハウジング内/アセンブリの本体内に取り付けられる。ターボ圧縮機アセンブリからの作動ガスの供給部は、これらの軸受内へと通じている。他のタイプの軸受、例えば磁気軸受、転がり軸受、滑り軸受、動圧軸受、又は静圧気体軸受などと比べて、動圧ガス軸受の利点は、アセンプリの軸方向の長さを短縮する小さな設置サイズ、アセンブリの不要な振動を減衰させるのに十分な剛性、電気又は圧力のいずれかの外部エネルギー源の必要性がないこと、高い動作信頼性、冷却装置の作動ガスのメンテナンス及びスループットに対する要求が低いことである。軸受を通るスループットを含む、ターボ圧縮機アセンブリのシャフト全体に沿った冷却装置の作動ガスのスループット率により、作動ガスを利用してシャフトを冷却し、圧縮機のタービンの軸力を均衡させることができる。
【0011】
アセンブリ・シャフトが取り付けられた第1のラジアル動圧ガス軸受は、圧縮機のディフューザと電動モータの固定子との間のアセンブリ・ハウジング内に配置され、シャフトは、圧縮機のインペラと電動モータの回転子との間の第1のラジアル軸受内に取り付けられる。第2のラジアル動圧ガス軸受は、ターボエキスパンダへのガス入口の螺旋状チャンバと電動モータの固定子との間のアセンブリ・ハウジング内に取り付けられ、シャフトは、ターボエキスパンダのタービンのインペラと電動モータの回転子との間の第2のラジアル軸受内に取り付けられる。アセンブリ・シャフトが取り付けられたスラスト動圧ガス軸受は、ターボエキスパンダへのガス入口の螺旋状チャンバと第2のラジアル動圧ガス軸受との間のアセンブリ・ハウジング内に配置され、シャフトの一部である軸受のディスクは、ターボエキスパンダのタービンのインペラと第2のラジアル軸受との間のスラスト軸受内に取り付けられる。圧縮機本体の内壁とシャフトとの間には、第1のラジアル軸受に対するターボ圧縮機アセンブリへの作動ガスの二次流の入口部が形成され、ターボエキスパンダ本体の内壁とシャフトとの間には、第2のラジアル軸受及びスラスト軸受への作動ガスの二次流の入口部が形成される。
【0012】
圧縮機のインペラ及びターボエキスパンダのタービンのインペラのできるだけ近くにラジアル軸受を配置することは、アセンブリの共通のシャフトの不要な振動を減衰させる際に有利であり、不要な振動は、機械が作動中又は停止中に、機械の回転周波数が共通のシャフトの固有周波数の倍数である場合に、機械が危険回転数を超えたときに起きる。
【0013】
本発明による冷却機のためのターボ圧縮機のアセンブリは、ターボエキスパンダ・ディフューザの出口でのガス温度がマイナス150℃の温度に低下し、圧縮機ディフューザ内の圧縮空気の温度がプラス150℃に達したときに、最大300℃の温度差で、フル稼働で動作する。スラスト軸受は、軸方向において、シャフト及びアセンブリ本体の相互の位置の安定点である。材料の膨張が最も少ないアセンブリの低温側にスラスト軸受をできるだけ近くに配置し、それに対応して、スラスト軸受のディスクをターボエキスパンダのタービンのインペラにできるだけ近いシャフト上に配置することは、アセンブリ・ハウジングの個々の部分とアセンブリのシャフトとの相互位置、及びそれらの間のクリアランスを設計する観点から有利であり、さまざまな温度及び変動する温度勾配において、機械動作中に、アセンブリの個々の部分の異なる熱膨張を考慮する必要がある。スラスト軸受をターボ圧縮機のタービンのインペラの近くのアセンブリの低温側に配置するもう1つの利点は、ターボ圧縮機アセンブリの別の部分からの比較的暖かい空気よりも高い密度を有する、ターボエキスパンダからの比較的冷たい空気が、ガス動圧スラスト軸受の作動ガスとして使用されることである。より冷たく、より高密度のガスを使用することで、スラスト動圧ガス軸受の剛性が向上し、動作の信頼性が高まる。
【0014】
実質的に軸方向にガスを引き込み、圧縮機のディフューザ内に実質的に半径方向にガスを放出する圧縮機の回転インペラには、反力によって圧縮ガスが作用し、その軸方向成分は、圧縮機のコンフューザへの作動ガスの流れの方向に対してシャフトの軸の方向でアセンブリの共通のシャフトに作用する。このような軸力及びその急激な変化は、スラスト軸受を損傷させ、機械の焼付きを引き起こす可能性がある。この不要な軸力を均衡させるために、シャフト上に形成されたピストンが使用される。作動ガスの圧力は、圧縮機インペラへのガスの圧力によって生じる望ましくない軸力を補正する軸力によって、シャフトの軸に垂直なピストンの表面に作用する。ピストンは、好ましくは、第1のラジアル軸受と電動モータの回転子との間に配置され、その結果、圧縮機のインペラにできるだけ近い第1のラジアル軸受の有利な位置を維持することができる。ラジアル動圧ガス軸受の利点は、ピストンに圧力をかける作動ガスがこの軸受を自由に通過することができ、他の手段によってピストンに供給する必要が無いことである。ピストンと電動モータの回転子との間に位置するシャフトとハウジングとの間の空間は、シャフト・シールによって封止され、そのシャフト・シールは、電動モータの回転子に向かってさらに作動ガス流の通過を制限し、ピストンの空間内のガス圧を十分に高く維持してピストンに十分に大きな力を加える。
【0015】
冷却機のためのターボ圧縮機アセンブリの本発明では、いわゆる疑似ラビリンス・タイプのラビリンス・シールは、軸力を均衡させるためにピストンの後方の空間を封止するために使用され、いくつかの半径方向に一列に配置された歯は、本質的に滑らかな対向面に対して封止する。効果的に封止し、より大きな圧力降下を実現し、関連する作動媒体の漏出物を最小限にし、関連する冷却機の効率をより高めるために、反対側の実質的に滑らかな円筒面に対して少なくとも5つの封止歯を使用することが望ましい。
【0016】
いわゆる疑似ラビリンス・タイプのシールは、本発明において、封止円筒面のうちの1つが実質的に滑らかであるとき、アセンブリのポット式本体の組立てを容易にするために使用されることが好ましい。アセンブリの本体/ハウジングのポット式配置では、シャフトを含むアセンブリの個々の部品は、ポットの形状を有するアセンブリのハウジング/本体内に挿入され、ポットの形状、又は実質的に中空の円筒の形状も有するサブボディで構成され、互いに接続され、封止される。このようなターボ圧縮機ハウジング/本体は、回転機械の軸に平行な分割面に接合部を持たない。作動中にアセンブリの軸方向に配置されたさまざまな部分に大きな温度差があり、機械に実質的に半径方向に供給される/機械から排出される作動媒体によって加熱/冷却されるアセンブリは、機械の頂部と底部との間でも比較的大きな温度差を有し、機械の頂部及び底部の異なる温度変形が生じ、本体部品の接合部がアセンブリの軸と平行である場合、この接合部は、変形して気密性が失われる。
【0017】
シーリング・ブレードと、反対側の実質的に円筒状の封止面との十分に小さい半径方向隙間を実現するために、及び、シャフト及び機械全体の軸方向の長さを不必要に延ばす10個を超える封止歯を使用する必要なく、上述のシャフト・シールの十分な気密性を実現するために、円筒状の封止面が、アセンブリ・ハウジングの部品の一部であると同時に、ラジアル動圧ガス軸受のキャリアとして機能する場合に有利である。シャフト・シールの一部である面を形成するハウジング部分と一体化され、ピストンに対して軸受キャリアと封止部とを接続する面を形成する部分と一体化された軸受キャリアの設計により、別の方法で個別に製造され、機械本体に個別に取り付けられてもいる本体部品の数が減少する。これは時間を節約するだけでなく、特に、組立公差を減少させ、その結果、ラビリンス・シールの歯と、対向する封止面との間のより小さい封止間隙をより高い精度で得ることができる。この好ましい実施例では、第1のラジアル・ガス軸受は、軸受のケーシングを取り付けるための第1の内側円筒面と、シャフト・シールの一部である第2の内側円筒面とを備えるキャリアに取り付けられる。これらの両方の円筒面は、シャフトの軸に実質的に平行であり、キャリアはまた、環状の第3の面を備え、この第3の面は、上記の2つの円筒面の間に位置し、2つの面に対して実質的に垂直であり、組み立てられたとき、ピストンに接触して配置される。
【0018】
シールと一体化されたラジアル軸受キャリアの上述の好ましい実施例では、軸受キャリアは、圧縮機ハウジングと電動モータ・ハウジングとの共通部分を構成しており、キャリアは、圧縮機ハウジング内に部分的に延在し、圧縮機ハウジングは、ラジアル動圧ガス軸受が取り付けられており、シールの一部の電動モータ・ハウジング内に部分的に延在している。圧縮機ハウジング内に延在する部分では、キャリアは、それが収容される圧縮機本体によって取り囲まれ、電動モータ・ハウジング内に延在する部分では、キャリアは、それが収容される電動モータの内側本体によって取り囲まれている。
【0019】
スラスト動圧ガス軸受のディスクは、第2のスラスト動圧ガス軸受に取り付けられたシャフトの一部と、ターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラとの間のシャフト上に固定的に取り付けられる。スラスト動圧ガス軸受のディスクは、電動モータの回転子に向かって軸方向に配向されたディスクの第1の実質的に平坦な側と、シャフト軸内のディスクの第1の側と軸方向に反対側にあるディスクの第2の実質的に平坦な側とを備える。例えば、ディスクの第1の側がシャフト内に形成されたキャビティ内に挿入された突出部を備えるように、及び/又は、ディスクがねじによってシャフトに固定され、ディスク及びシャフトがディスク内及びシャフト内の穴に固定されたねじ又はピンによって互いの回転に対して半径方向に固定されるように、ディスクの第1の側は、ディスクが固定的に接続されるシャフトに当接する。例えば、隣接する側の1つが、反対側の部分に挿入された突出部を備えるように、及び/又は、インペラがねじによってディスクに固定され、インペラ及びディスクが、ディスク内及びシャフト内の穴に収容されるねじ又はピンによって互いの回転に対して半径方向に固定されるように、ターボエキスパンダのタービンのインペラは、インペラ・ブレードが配置されている側とは軸方向に反対の実質的に平坦な側で、ディスクの実質的に平坦な第2の側に当接し、それに固定的に接続される。ディスクとターボエキスパンダ・インペラとの間のシャフト面上に形成された半径方向の溝の形態の軸方向の間隙は、好ましくは、ディスクの第2の側と、それに関連するターボエキスパンダ・タービンのインペラ側との間に形成される。この軸方向の間隙は、ディスクと比較的低温のターボエキスパンダ・インペラとの間の接触面積を減少させ、したがって、熱が共通のシャフトを介して電動モータの高温の回転子からターボエキスパンダの低温のインペラに伝達される熱橋を部分的に遮断する。スラスト軸受のディスク及びアセンブリのシャフトは一体の材料で作られていないが、上述のように一緒に結合されている上記の技術的解決策の別の利点は、ラジアル軸受の一部でより薄いシャフトを使用すること、並びに、それに関連して、シャフト及びシャフトが取り付けられるターボエキスパンダの本体の材料を節約することである。水平分割面のないポット本体内にシャフトを取り付けるために、ターボエキスパンダ本体内に収容され、電動モータの回転子とターボエキスパンダのインペラとの間に配置されたラジアル動圧ガス軸受に取り付けられる部分において、電動モータの回転子が取り付けられるシャフトよりも小さい直径を有するシャフトが使用される。組立の間、シャフトは、ターボエキスパンダの円筒体の内部キャビティを通って、又はターボエキスパンダの本体に収容された軸受キャリアの円筒体の内部キャビティを通って、ラジアル軸受内に収容された部分を通過し、スラスト軸受ディスクは、シャフトに取り付けられる。電動モータの回転子が取り付けられ、ラジアル軸受内に取り付けられたシャフトの部分よりも大きな直径を有するシャフトの部分は、取付けの間、ターボエキスパンダの円筒体を通して挿入されない。
【0020】
電動モータの固定子は、組立作業の間、不必要に加熱され、冷却機の作動ガスとは異なる冷却媒体によって冷却される場合に有利であり、その漏出物は、電動モータの回転子を通って流れるが、電動モータ全体を十分に冷却するのに十分な流量を有していないか、又は電動モータの内側部分の温度が十分に低くない。冷却機のターボ圧縮機アセンブリの好ましい実施例では、電動モータの本体は、電動モータの固定子が収容される内側本体と、電動モータの内側本体が収容される外側本体とを有する。内側本体及び外側本体は、上述のポット式の本体であり、内側本体は、内側本体を半径方向に完全に、且つ、軸方向に少なくとも部分的に取り囲む外側本体に挿入される。電動モータの固定子の近傍で冷却媒体を効率的に流すために、電動モータの冷却媒体が流れるための共通のチャネルが、内側及び外側本体内に形成される。冷却チャネルの実施例は、電動モータ本体のポット式配置を使用し、チャネルは、好ましくは、内側本体を通過する部分が、内側本体の外面上に少なくとも1つの螺旋形状の溝として形成され、媒体が溝に出入りする外側本体内への2つの通路を除いて、隣接する外側本体によってその全長に沿って囲まれるように、電動モータ本体内に形成される。
【0021】
本発明によるターボ圧縮機アセンブリは、既知の冷却機、例えば、チェコ特許第308332(B6)号による冷却機で使用するのに適しており、冷気の工業生産に特に適している。
【0022】
本発明は、図面に概略的に表された冷却機のターボ圧縮機アセンブリの例示的な実施例を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の原理を説明するのに必須の構成部品を示す、ターボ圧縮機アセンブリを通る軸方向の断面を示す。
【
図2】ターボ圧縮機アセンブリを通る冷却機の媒体の流れを示す、
図1に示すターボ圧縮機アセンブリを通る軸方向の断面を示す。
【
図3】ターボエキスパンダの一部の一実施例の詳細を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
冷却装置用の冷気を生成するためのターボ圧縮機アセンブリ(
図1、
図2)は、圧縮機I、ターボエキスパンダII、及び、圧縮機IとターボエキスパンダIIとの間に配置された電動モータIIIを備える。ターボ圧縮機アセンブリは、圧縮機Iの本体19と、ターボエキスパンダIIの本体20と、電動モータIIIの本体21と、圧縮機I、ターボエキスパンダII、及び電動モータIIIに共通のシャフト13とを備える共通のアセンブリ・ハウジングを備える。圧縮機Iのラジアル・ブレード・インペラ1、永久磁石を有する電動モータの回転子8、及びターボエキスパンダIIのラジアル・ブレード・インペラ5は、同時にアセンブリの軸でもある軸131において圧縮機の共通のシャフト13上に配置され、それにより、電動モータIIIの回転子8は、シャフト13の両端に取り付けられている圧縮機Iのインペラ1とターボエキスパンダIIのインペラ5との間に配置されており、図示の実施例では、それらはシャフト表面に取り付けられる。シャフト13は、2つのラジアル動圧ガス軸受10、101、102及び1つのスラスト動圧ガス軸受11内で、ターボ・アセンブリの共通のハウジングに取り付けられる。
【0025】
アセンブリのモータは、
図1及び
図2に示す本発明の実施例では、既知の図示されていない制御ユニットに接続された同期電動モータIIIであるが、本発明の他の実施例では、任意の他のタイプのモータ、例えば、非同期電動モータを使用することができる。アセンブリのモータは、アセンブリの共通のシャフト13上に取り付けられた電動モータIIIの回転子8と、固定子9と、内側本体211及び外側本体212を備える本体21とを備える。固定子9は、内側本体211内に収容され、内側本体211は、外側本体212が内側本体211の外側円筒面上に取り付けられるように、外側本体212内に収容される。したがって、内側円筒体211は、外側円筒体211のポット内に挿入され、外側本体212は、内側本体211によって軸方向に部分的に取り囲まれる。電動モータIIIの内側及び外側本体211、212は、電動モータIIIの固定子9を冷却するための冷却媒体の流れS5を流すためのチャネル12を備える。冷却チャネル12は、内側本体211内に形成された内側冷却チャネル121と、外側本体212内に形成された外側冷却チャネル122とを備える。本発明のこの実施例では、内側冷却チャネル122は、内側本体211の螺旋形状の溝121が内側本体211の外側円筒面上でフライス加工されるように設計され、溝121は、外側本体212の内側円筒面によって電動モータIIIの本体21が組み立てられた状態で覆われている。2つの位置で外側本体212を通過して、外側本体212の内側円筒面を外側本体211の外側円筒面に接続するように、外側本体212において外側冷却チャネル122は設計され、したがって、内側冷却チャネル121を電動モータの固定子の冷却媒体の供給/排出パイプ(図示せず)に接続する。ガス又は流体などの冷却媒体の流れS5(
図2)は、電動モータIIIの本体9内の第1の外側チャネル122を通って流れ、本体9から第2の外側チャネル122を通って排出される。
【0026】
圧縮機I(
図1、
図2)は、圧縮機Iへの入口にコンフューザ4を備え、さらに、アセンブリの共通のシャフト13上に取り付けられたラジアル・ブレード・インペラ1と圧縮機Iの本体19とを備える。本体19には、ディフューザ2が形成され、これに螺旋状の出口チャンバ3が接続される。
【0027】
本発明のこの実施例では、動圧ガス軸受、例えば、曲がったフォイルを有するフォイル軸受又は別の既知の動圧ガス軸受である第1のラジアル軸受101は、キャリア16内に取り付けられ、キャリア16は、圧縮機Iの本体19によって部分的に取り囲まれ、電動モータIII内に部分的に延在し、電動モータIIIの内側本体211によって取り囲まれる。第1のラジアル軸受101のキャリア16は、3つの内面を備える。キャリア16の第1の内側円筒面161は、シャフト13の円筒面、ひいてはシャフト13の軸131と実質的に平行であり、第1のラジアル軸受101がその上に配置される。第1のラジアル軸受101のケーシングは、キャリア16のこの部分に挿入される。第2の内側円筒面163は、第1の内側円筒面161と全く同じように、シャフトの軸131と実質的に平行である。第2の円筒面163は、第1の円筒面161よりも大きな内径を有し、シャフト・シール14の一部である。アセンブリの組立て状態では、軸受101のキャリア16の第1の円筒面161は、第2の内側円筒面163と圧縮機Iのインペラ1との間に配置される。キャリア16の第1の内側円筒面161と第2の内側円筒面163との間には、シャフトの軸131に実質的に垂直である第3の内面162が環状に配置されており、組み立てられたアセンブリでは、ピストン15に対して軸方向に配置され、ピストン15は、シャフト13上に形成され、圧縮機Iのインペラ1がアセンブリの共通のシャフト13に作用する軸力を均衡させる役割を果たす。
【0028】
本発明の例示的な実施例では、シャフト・シール14は、疑似ラビリンス・シールであり、シャフト13の円筒面上に、7~9個の円形の封止歯が、シャフト軸131に対して垂直に配置される。円形の封止歯は、それらが接触しないキャリア16の実質的に平坦な第2の内面163に対して封止する。封止歯の数は、シール14に入る前の作動媒体の圧力と、シール14の必要とされる圧力降下に左右され、歯の最適な数は、ターボ圧縮機が使用される冷却機の特性に応じて、5~10本の範囲である。
【0029】
共通の吸引チャネル22は、シャフト・シール14の下流に、電動モータIIIの内側本体211内の電動モータIIIの回転子8に向かう方向に配置され、それによって、ガス状の作動媒体の漏出物、例えば、圧縮機Iからシャフト・シール14を通って通過する空気、及び、ターボエキスパンダIIのタービンから電動モータIIIを通って通過する作動媒体の漏出物が吸い出される。作動媒体の漏出物は、共通の吸引チャネル22からパイプ23(
図2)を通って、圧縮機Iへの入口にあるコンフューザ4に排出される。
【0030】
この実施例では、シャフト・シール14の歯は、アセンブリの回転シャフト13上に固定的に取り付けられ、アセンブリが組み立てられた状態では、アセンブリ・ハウジングの非可動部である軸受キャリア16の第2の内面163に対向して配置される。シール14の歯は、この実施例では、シャフト13の材料内に直接フライス加工されるが、別の実施例では、溝にコーキングされたシートのストリップを、フライス加工された歯の代わりに使用することができる。シール14の別の実施例では、面163は、キャリア16の材料よりも柔らかい溶射材料、及び/又は、機械動作中にラビリンスの歯が封止溝を構成する金属フェルトを備える。シール14の別の実施例では、ラビリンス・シールは、シャフト13の実質的に滑らかな円筒面に対して封止するキャリア16の第2の内面163上のブレードとともに使用される。シール14のさらに別の実施例では、他の既知のタイプの適切なシール、例えば、ブラシ・シール若しくはリーフ・シール、又はこれらのタイプのシールと上記のラビリンス・シールとの組み合わせが使用される。
【0031】
ターボエキスパンダIIは、アセンブリの共通のシャフト13に取り付けられたターボエキスパンダIIの膨張タービンのブレード・インペラ5と、入口螺旋状チャンバ6及び出口ディフューザ7が形成されたターボエキスパンダIIの本体20とを備えている。本体20では、第2のラジアル動圧ガス軸受102及びスラスト動圧ガス軸受11、例えば曲がったフォイルを有するフォイル軸受、又は他の既知の適切な動圧ガス軸受が取り付けられる。
【0032】
ターボ圧縮機アセンブリのこの実施例では、スラスト軸受11は、第2のラジアル軸受102と、ターボ圧縮機アセンブリのシャフト13の比較的低温の部分に配置されているターボエキスパンダIIのタービンのブレード・インペラ5との間に取り付けられている。別の実施例では、第2のラジアル軸受102は、スラスト軸受11とブレード・インペラ5との間に取り付けられてもよい。スラスト軸受11は、シャフト13がアセンブリのハウジング内の変位に対して軸方向に固定される安定点を構成する。スラスト軸受11のディスク111は、ディスクの第1の側とディスクの第2の側とを備え、これらは共にシャフト13上に固定的に取り付けられたディスク111の本体を画定する。シャフト13に取り付けられたディスク111は、ディスクの第1の側が第2のディスク側111よりもシャフト13上の回転子8の近くに位置するように配向される。ディスク111の第1及び第2の側は、実質的に円形の形状を有する。ディスク111(
図3)は、さらに、軸131と実質的に同心で主にディスク111をシャフト13に固定する働きをする内側部分111bと、半径方向に内側部分111bを取り囲み、スラスト軸受11に取り付けられた外側部分111aとを備える。ディスク111の内側部分111bの軸方向に向いた両側に、突出部112、113が配置され、それらは、軸受11のディスクの内側部分111aに固定的に接続される。突出部112が配置された第1の側がシャフト13内に突出部112によって凹設され、ボルト18によって固定され、シャフト13内及びディスク111内で軸方向に固定的に取り付けられるボルト又はピンなどの固定手段によって固定されるように、スラスト軸受11のディスク111は、シャフト13上に取り付けられる。
【0033】
インペラ5は、ブレード51が配置されたインペラ5の側と軸方向に対向する側が、シャフト13の軸131においてディスク111の第1の側と軸方向に対向するディスク111の第2の側に取り付けられるように、シャフト13に取り付けられる。インペラ5は、突出部113上に取り付けられ、ボルト18によってディスク111に取り付けられ、インペラ5内及びディスク111内で軸方向に固定されたねじ又はピンなどの固定手段によって固定される。ディスク111に取り付けられたインペラ5は、突出部113にのみ接触するようにディスク111に隣接し、その結果、半径方向の溝17がディスク111の内側部分111bとインペラ5との間に形成される。シャフト13にインペラ5を固定的に取り付けるこの配置によって、シャフト13のインペラ5とディスク111との間の接触面積が減少し、ターボ圧縮機アセンブリの低温部と高温部との間の熱伝達が低減される。さらに、溝17は、漏れた作動媒体の流れS3によって冷却される。
【0034】
冷却機のターボ圧縮機の本発明による冷却機の作動媒体の流れは、機械動作中に、作動媒体の主流S1、作動媒体の漏出物の流れS2、S3及びS4、並びに、電動モータIIIの本体21の冷却媒体の流れS5を示す
図2に概略的に示されている。1バールから5バールの圧力を有するガス流S1は、コンフューザ4の入口開口部を通って単輪ラジアル圧縮機I内に供給され、ディフューザ2内で1.6~2.2の圧縮比で圧縮される。1.6バールから11バールまでの圧力及び最高で150℃までの温度を有する圧縮作動ガスの主流S1は、図示されていない既知の熱交換器にさらに供給され、そこからターボエキスパンダIIの入口螺旋状チャンバ6に供給され、そこから流れS1は、単段ラジアル膨張タービンのインペラ5に供給され、そこで1.5~2.1の膨張比で膨張し、同時に最低で-150℃までの設定温度に冷却される。作動ガスの冷却された流れS1は、ディフューザ7から図示されていない既知の熱交換器及び/又は冷却チャンバに供給され、そこで加熱され、そこから圧縮機Iの入口でコンフューザ4に戻される。ディフューザ2内のガスの圧力よりも低く、機械動作中に1.5バールから10バールの圧力値を取得する圧力を有する圧縮作動ガスの二次流S2は、圧縮機Iから第1のラジアル動圧ガス軸受101を介してピストン15に供給され、面162に隣接するピストン15の作動面は、圧縮機Iのインペラ1によってシャフト13上に加えられる力の軸方向成分とは反対向きの軸力を受けやすく、反対方向の軸力の作用が均衡し、スラスト軸受11が緩和される。次いで、流れS2は、ピストン15からシャフト・シール14を通って作動媒体の漏出物を抽出する収集チャネル22に供給され、そこから、作動ガスの漏出物とともに流れS4内に導かれ、その作動ガスの漏出物は、ターボエキスパンダIIから、スラスト軸受11とラジアル軸受102と電動モータIIIの回転子8とを経て、ダクト23を通って圧縮機Iのコンフューザ4の入口開口部内に入る流れS3によって供給される。ターボエキスパンダIIからの比較的低温の作動媒体の漏出物が導かれる流れS3は、シャフト13及び電動モータIIの回転子8を冷却する。本体21、211に取り付けられた電動モータIIの固定子9は、冷却媒体が、図示されていない既知の供給源から外側冷却チャンネル122への流れS5によって供給され、そこを通って、内側チャネル121に供給され、固定子9を備える本体21が冷却され、流れS5が外側チャネル122に供給され、そこから、冷却媒体の図示されていない既知の供給源に供給されるように、流体又はガスなどの冷却媒体によって冷却される。電動モータIIIの固定子9の冷却媒体の流れS5は、冷却機の作動媒体の流れS1、S2、S3、S4のいずれとも流体連通していない。
【符号の説明】
【0035】
I 圧縮機
II ターボエキスパンダ
III 電動モータ
1 ブレード圧縮機インペラ
2 圧縮機ディフューザ
3 圧縮機の螺旋状チャンバ
4 圧縮機の入口にあるコンフューザ
5 ターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラ
51 ターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラのブレード
6 ターボエキスパンダの螺旋状チャンバ
7 ターボエキスパンダの出口にあるディフューザ
8 永久磁石を有する電動モータの回転子
9 電動モータの固定子
10 ラジアル動圧ガス軸受
101 第1のラジアル動圧ガス軸受
102 第2のラジアル動圧ガス軸受
11 スラスト動圧ガス軸受
111 スラスト動圧ガス軸受のディスク
111a スラスト動圧ガス軸受のディスクの外側部分
111b スラスト動圧ガス軸受のディスクの内側部分
112 スラスト動圧ガス軸受のディスクの第1の突出部
113 スラスト動圧ガス軸受のディスクの第2の突出部
12 電動モータの冷却媒体用のチャネル
121 電動モータの冷却媒体用の内側チャネル
122 電動モータの冷却媒体用の外側チャネル
13 シャフト
131 シャフト軸
14 シャフト・シール
15 軸力を均衡させるためのピストン
16 ラジアル軸受のキャリア
161 ラジアル軸受のキャリアの第1の内側円筒面
162 ラジアル軸受のキャリアの第3の内面
163 ラジアル軸受のキャリアの第2の円筒面
17 スラスト軸受のディスクとターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラとの間の半径方向の溝
18 ターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラを取り付けるためのねじ
19 圧縮機の本体
20 ターボエキスパンダの本体
21 電動モータの本体
211 電動モータの内側本体
212 電動モータの外側本体
22 作動媒体の共通の漏出物吸引チャネル
23 作動媒体の共通の漏出物抽出ダクト
S1 作動ガスの主流
S2 圧縮機からの作動ガスの二次流
S3 ターボエキスパンダからの作動ガスの二次流
S4 圧縮機及びターボエキスパンダからの作動ガスの漏出物の共通の流れ
S5 電動モータ本体の冷却媒体の流れ
【手続補正書】
【提出日】2023-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通のハウジング内に配置された圧縮機、電動モータ及びターボエキスパンダを備える冷却機のターボ圧縮機アセンブリに関し、共通のハウジングは、圧縮機本体と、電動モータ本体と、ターボエキスパンダ本体と、ターボ圧縮機アセンブリからの作動ガスの供給部を開放するガス軸受内の共通のハウジング内に取り付けられたシャフトとを備え、圧縮機のインペラ、ターボエキスパンダのタービンのインペラ、及び電動モータの回転子は、シャフトに固定的に取付けられ、圧縮機のインペラ及びタービンのインペラは、共通のシャフトの両端に配置され、電動モータの回転子は、それらの間に配置される。
【背景技術】
【0002】
およそ数十kWからMW単位の出力を有する工業用冷却機は、通常、圧縮機と、電動モータと、膨張タービンとから成り、電動モータによって駆動される圧縮機により、空気又は他の冷却媒体がまず圧縮され、次いで、冷却媒体がタービンに供給され、そこで膨張して冷却され、圧縮媒体が膨張するにつれて反応タービンに伝達されるエネルギーが圧縮機を駆動するために使用されるため、冷却機のエネルギー消費が減少する。次いで、タービンからの冷気は、熱交換器内で加熱され、又は冷却チャンバ内で冷却され、圧縮機入口に戻される。このタイプの冷却機は、例えば、チェコ特許第308332(B6)号に開示されている。
【0003】
近年、冷却機のエネルギー効率、メンテンナンスの容易さ、及び信頼性に対する要求が高まってきているが、冷凍システムが、共通のハウジング内の圧縮機と、モータと、共通のシャフトに取り付けられた膨張タービンとを備える機械は、ますます一般的になってきている。このような冷却機のシャフトは、通常、2つのラジアル軸受及び1つのスラスト軸受内のハウジング内に収容され、それにより、ラジアル軸受は、回転シャフトを支持し、その振動を減衰させる一方、スラスト軸受は、機械本体に対して軸を固定し、回転機械のシャフトに作用する軸力の変化によって生じるシャフトの衝撃を減衰し、異なる機械部品の軸力及び異なる熱膨張によって生じるハウジング部分のほうへのシャフト部分の相対的な軸方向の変位の間、特に機械を作動させたり停止させたりする際に、機械本体に対するシャフトの1つの固定点を提供する。
【0004】
上記の目的のために、一般的に入手可能なタイプの軸受のうちのいくつかは、転がり軸受滑り軸受、動圧軸受又は静圧気体軸受などが以前から使われてきた。しかしながら、これらのタイプの軸受の使用は、さまざまな欠点を有する。米国特許第8347648(B2)号は、冷却サイクルで使用するためのタービンを開示しており、そのタービンは、共通のタービン本体に、共通のシャフトに取り付けられた単輪圧縮機と、単輪膨張タービンと、電動モータと、スラスト磁気軸受と、ラジアル転がり接触軸受とを備え、圧縮機ホイール及びタービン・ホイールは、共通のシャフトの両端に張り出している。冷気製造用のタービンのこのような設計には、転がり接触軸受がエネルギー効率のよい高回転で機械を作動させることができないという欠点がある。
【0005】
蒸気タービンで知られている回転機械用の動圧軸受の使用は、上記の冷却ターボ圧縮機には適していない。それは、動圧軸受が、機械部品から独立したオイル・システムの設置とその封止を必要とし、その中を作動冷却媒体、通常は空気又は他のガスが流れるからであり、機械の共通のハウジング内に配置された軸受による固定は困難であり、その結果、機械全体が不釣り合いに高価になる可能性がある。同様に、媒体として加圧ガス又は流体を利用する流体静圧軸受の使用は、高圧媒体を供給するための別個のシステム、例えば、外部エネルギー源によって加圧及び駆動される高圧油圧システムを必要とし、コストを増加させ、機械の信頼性を低下させる。
【0006】
従来の軸受の上記欠点により、一部の冷凍機のメーカーはスラスト及びラジアル磁気軸受の両方を使用するようになった。米国特許第7322207(B2)号は、共通のシャフト上の共通のハウジングに取り付けられた単輪圧縮機と、単輪膨張タービンと、電動モータと、アキシャル磁気軸受と、2つのラジアル磁気軸受とを備える空気冷媒冷却装置が開示されており、圧縮機ホイール及びタービン・ホイールは、共通のシャフトの両端に張り出している。機械の電動モータの固定子及び回転子は、冷却装置の作動ガスとは別に、別個の冷却システム内を循環する冷却用空気によって冷却される。作動媒体の漏出物は、圧縮機からの漏出物の場合は一方の出口パイプに、タービンからの漏出物の場合は他方の通気口に、別々の通気口を通って別々に吸引され、それによって、漏れた作動媒体は、電動モータの回転子を通過しない。磁気軸受の機能性は、電力の供給に依存し、突然の停電が発生した場合に、装置に重大な事故が発生しないように電源をバックアップしなければならない。磁気軸受の別の重大な欠点は低剛性であることであり、それにより、機械が作動中又は停止中、及び危険回転数から移行中に発生する振動の十分な減衰が保証されず、機械の固有周波数の倍数の周波数に対応する回転数で、機械の望ましくない振動を引き起こす。磁気軸受が、より大型でより強力な機械のために使用される場合、剛性が低いという上記理由から、追加の滑り軸受でそれらをバックアップする必要がある。しかしながら、共通の機械ハウジングに滑り軸受を追加することで、機械の軸方向の長さが延び、製造コストを増加させる。さらに、それは、軸受間のシャフトの長さを延長し、場合によっては、軸受後方のシャフトの突出端の長さを延長する。また、それは、機械シャフトの活動力に悪影響を及ばす。
【0007】
米国特許公開第2019-170190(A1)号は、回転シャフトを含む回転子システムを開示しており、第1の回転インペラと、第1のスラスト空気軸受と、スラスト・ディスクと、第2のスラスト空気軸受と、第1のジャーナル空気軸受と、回転シャフト構造に回転力を供給するための固定子と、第2のジャーナル空気軸受と、第1の回転インペラよりも重い第2の回転インペラとが、シャフトの軸方向に配置されている。第2の回転インペラに流入する空気の温度は、第1の回転インペラに流入する空気の温度よりも高い。回転子システムのこのような配置によって、ディスクの熱変形は最小限になり、例えばターボ・チャージャ、燃焼ガス・タービンなどの作動空気/ガスの高温での適用において有利である。回転子システムのこのような配置により、冷却機のためのターボ圧縮機のシャフトの相対的な軸方向の変位の問題は解決しない。米国特許公開第2019-170190(A1)号で知られるこのシステムの別の欠点は、2つのホイールによって生じる推力の差が、スラスト軸受によってのみ補正され、したがって、このシステムは、推力のより大きな差を有する機械には使用できない。
【0008】
国際公開第2010-151138(A1)号は、回転子と一体化され、又は回転子に固定された少なくとも1つのラジアル・ディスクと、各ディスクに面した1つの固定シール又は各ディスクを取り囲むように配置された2つの固定シールとを備える回転機械内の回転子用のアキシャル・ガス・スラスト軸受を開示しており、シールの下部は、各ディスクとシールとの間の間隙内を通過する圧縮流体の流入を可能にするために、回転子から距離を置いて配置される。ディスクの欠点は、圧縮流体の流入が、ディスクの両側から間隙に軸方向に入り、したがって、片側からディスクに入ったより冷たい流体がディスクの反対側にあるシャフトを冷却するために使用することができないことである。国際公開第2010-151138(A1)号によるスラスト軸受の他の欠点は、ディスクと、隣接するシャフト及び/又はシャフト上に取り付けられた隣接する構成部品、例えばタービン・ホイールとの間の熱の熱対流を制限するための手段がないことである。
【0009】
したがって、本発明の目的は、周知の技術的解決策の上記欠点を、冷却機の作動ガスを使用する動圧ガス軸受を備える冷却機のためのターボ圧縮機アセンブリによって、除去又は低減させることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】チェコ特許第308332(B6)号
【特許文献2】米国特許第8347648(B2)号
【特許文献3】米国特許第7322207(B2)号
【特許文献4】米国特許公開第2019-170190(A1)号
【特許文献5】国際公開第2010-151138(A1)号
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、共通のシャフトが取り付けられたターボ圧縮機アセンブリの共通のハウジング内に配置された3つの機械、すなわち、圧縮機、電動モータ、及びターボエキスパンダを備える冷却機の複合ターボ圧縮機アセンブリによって達成される。
【0012】
シャフトは、2つのラジアル動圧ガス軸受及び1つのスラスト動圧ガス軸受において、共通のハウジング内/アセンブリの本体内に取り付けられる。ターボ圧縮機アセンブリからの作動ガスの供給部は、これらの軸受内へと通じている。他のタイプの軸受、例えば磁気軸受、転がり軸受、滑り軸受、動圧軸受、又は静圧気体軸受などと比べて、動圧ガス軸受の利点は、アセンプリの軸方向の長さを短縮する小さな設置サイズ、アセンブリの不要な振動を減衰させるのに十分な剛性、電気又は圧力のいずれかの外部エネルギー源の必要性がないこと、高い動作信頼性、冷却装置の作動ガスのメンテナンス及びスループットに対する要求が低いことである。軸受を通るスループットを含む、ターボ圧縮機アセンブリのシャフト全体に沿った冷却装置の作動ガスのスループット率により、作動ガスを利用してシャフトを冷却し、圧縮機のタービンの軸力を均衡させることができる。
【0013】
アセンブリ・シャフトが取り付けられた第1のラジアル動圧ガス軸受は、圧縮機のディフューザと電動モータの固定子との間のアセンブリ・ハウジング内に配置され、シャフトは、圧縮機のインペラと電動モータの回転子との間の第1のラジアル軸受内に取り付けられる。第2のラジアル動圧ガス軸受は、ターボエキスパンダへのガス入口の螺旋状チャンバと電動モータの固定子との間のアセンブリ・ハウジング内に取り付けられ、シャフトは、ターボエキスパンダのタービンのインペラと電動モータの回転子との間の第2のラジアル軸受内に取り付けられる。アセンブリ・シャフトが取り付けられたスラスト動圧ガス軸受は、ターボエキスパンダへのガス入口の螺旋状チャンバと第2のラジアル動圧ガス軸受との間のアセンブリ・ハウジング内に配置され、シャフトの一部である軸受のディスクは、ターボエキスパンダのタービンのインペラと第2のラジアル軸受との間のスラスト軸受内に取り付けられる。圧縮機本体の内壁とシャフトとの間には、第1のラジアル軸受に対するターボ圧縮機アセンブリへの作動ガスの二次流の供給部が形成され、ターボエキスパンダ本体の内壁とシャフトとの間には、第2のラジアル軸受及びスラスト軸受への作動ガスの二次流の供給部が形成される。
【0014】
圧縮機のインペラ及びターボエキスパンダのタービンのインペラのできるだけ近くにラジアル軸受を配置することは、アセンブリの共通のシャフトの不要な振動を減衰させる際に有利であり、不要な振動は、機械が作動中又は停止中に、機械の回転周波数が共通のシャフトの固有周波数の倍数である場合に、機械が危険回転数を超えたときに起きる。
【0015】
本発明による冷却機のためのターボ圧縮機のアセンブリは、ターボエキスパンダ・ディフューザの出口でのガス温度がマイナス150℃の温度に低下し、圧縮機ディフューザ内の圧縮空気の温度がプラス150℃に達したときに、最大300℃の温度差で、フル稼働で動作する。スラスト軸受は、軸方向において、シャフト及びアセンブリ本体の相互の位置の安定点である。材料の膨張が最も少ないアセンブリの低温側にスラスト軸受をできるだけ近くに配置し、それに対応して、スラスト軸受のディスクをターボエキスパンダのタービンのインペラにできるだけ近いシャフト上に配置することは、アセンブリ・ハウジングの個々の部分とアセンブリのシャフトとの相互位置、及びそれらの間のクリアランスを設計する観点から有利であり、さまざまな温度及び変動する温度勾配において、機械動作中に、アセンブリの個々の部分の異なる熱膨張を考慮する必要がある。スラスト軸受をターボ圧縮機のタービンのインペラの近くのアセンブリの低温側に配置するもう1つの利点は、ターボ圧縮機アセンブリの別の部分からの比較的暖かい空気よりも高い密度を有する、ターボエキスパンダからの比較的冷たい空気が、ガス動圧スラスト軸受の作動ガスとして使用されることである。より冷たく、より高密度のガスを使用することで、スラスト動圧ガス軸受の剛性が向上し、動作の信頼性が高まる。
【0016】
実質的に軸方向にガスを引き込み、圧縮機のディフューザ内に実質的に半径方向にガスを放出する圧縮機の回転インペラには、反力によって圧縮ガスが作用し、その軸方向成分は、圧縮機のコンフューザへの作動ガスの流れの方向に対してシャフトの軸の方向でアセンブリの共通のシャフトに作用する。このような軸力及びその急激な変化は、スラスト軸受を損傷させ、機械の焼付きを引き起こす可能性がある。この不要な軸力を均衡させるために、シャフト上に形成されたピストンが使用される。作動ガスの圧力は、圧縮機インペラへのガスの圧力によって生じる望ましくない軸力を補正する軸力によって、シャフトの軸に垂直なピストンの表面に作用する。ピストンは、好ましくは、第1のラジアル軸受と電動モータの回転子との間に配置され、その結果、圧縮機のインペラにできるだけ近い第1のラジアル軸受の有利な位置を維持することができる。ラジアル動圧ガス軸受の利点は、ピストンに圧力をかける作動ガスがこの軸受を自由に通過することができ、他の手段によってピストンに供給する必要が無いことである。ピストンと電動モータの回転子との間に位置するシャフトとハウジングとの間の空間は、シャフト・シールによって封止され、そのシャフト・シールは、電動モータの回転子に向かってさらに作動ガス流の通過を制限し、ピストンの空間内のガス圧を十分に高く維持してピストンに十分に大きな力を加える。
【0017】
冷却機のためのターボ圧縮機アセンブリの本発明では、いわゆる疑似ラビリンス・タイプのラビリンス・シールは、軸力を均衡させるためにピストンの後方の空間を封止するために使用され、いくつかの半径方向に一列に配置された歯は、本質的に滑らかな対向面に対して封止する。効果的に封止し、より大きな圧力降下を実現し、関連する作動媒体の漏出物を最小限にし、関連する冷却機の効率をより高めるために、反対側の実質的に滑らかな円筒面に対して少なくとも5つの封止歯を使用することが望ましい。
【0018】
いわゆる疑似ラビリンス・タイプのシールは、本発明において、封止円筒面のうちの1つが実質的に滑らかであるとき、アセンブリのポット式本体の組立てを容易にするために使用されることが好ましい。アセンブリの本体/ハウジングのポット式配置では、シャフトを含むアセンブリの個々の部品は、ポットの形状を有するアセンブリのハウジング/本体内に挿入され、ポットの形状、又は実質的に中空の円筒の形状も有するサブボディで構成され、互いに接続され、封止される。このようなターボ圧縮機ハウジング/本体は、回転機械の軸に平行な分割面に接合部を持たない。作動中にアセンブリの軸方向に配置されたさまざまな部分に大きな温度差があり、機械に実質的に半径方向に供給される/機械から排出される作動媒体によって加熱/冷却されるアセンブリは、機械の頂部と底部との間でも比較的大きな温度差を有し、機械の頂部及び底部の異なる温度変形が生じ、本体部品の接合部がアセンブリの軸と平行である場合、この接合部は、変形して気密性が失われる。
【0019】
シーリング・ブレードと、反対側の実質的に円筒状の封止面との十分に小さい半径方向隙間を実現するために、及び、シャフト及び機械全体の軸方向の長さを不必要に延ばす10個を超える封止歯を使用する必要なく、上述のシャフト・シールの十分な気密性を実現するために、円筒状の封止面が、アセンブリ・ハウジングの部品の一部であると同時に、ラジアル動圧ガス軸受のキャリアとして機能する場合に有利である。シャフト・シールの一部である面を形成するハウジング部分と一体化され、ピストンに対して軸受キャリアと封止部とを接続する面を形成する部分と一体化された軸受キャリアの設計により、別の方法で個別に製造され、機械本体に個別に取り付けられてもいる本体部品の数が減少する。これは時間を節約するだけでなく、特に、組立公差を減少させ、その結果、ラビリンス・シールの歯と、対向する封止面との間のより小さい封止間隙をより高い精度で得ることができる。この好ましい実施例では、第1のラジアル・ガス軸受は、軸受のケーシングを取り付けるための第1の内側円筒面と、シャフト・シールの一部である第2の内側円筒面とを備えるキャリアに取り付けられる。これらの両方の円筒面は、シャフトの軸に実質的に平行であり、キャリアはまた、環状の第3の面を備え、この第3の面は、上記の2つの円筒面の間に位置し、2つの面に対して実質的に垂直であり、組み立てられたとき、ピストンに接触して配置される。
【0020】
シールと一体化されたラジアル軸受キャリアの上述の好ましい実施例では、軸受キャリアは、圧縮機ハウジングと電動モータ・ハウジングとの共通部分を構成しており、キャリアは、圧縮機ハウジング内に部分的に延在し、圧縮機ハウジングは、ラジアル動圧ガス軸受が取り付けられており、シールの一部の電動モータ・ハウジング内に部分的に延在している。圧縮機ハウジング内に延在する部分では、キャリアは、それが収容される圧縮機本体によって取り囲まれ、電動モータ・ハウジング内に延在する部分では、キャリアは、それが収容される電動モータの内側本体によって取り囲まれている。
【0021】
スラスト動圧ガス軸受のディスクは、第2のスラスト動圧ガス軸受に取り付けられたシャフトの一部と、ターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラとの間のシャフト上に固定的に取り付けられる。スラスト動圧ガス軸受のディスクは、電動モータの回転子に向かって軸方向に配向されたディスクの第1の実質的に平坦な側と、シャフト軸内のディスクの第1の側と軸方向に反対側にあるディスクの第2の実質的に平坦な側とを備える。例えば、ディスクの第1の側がシャフト内に形成されたキャビティ内に挿入された突出部を備えるように、及び/又は、ディスクがねじによってシャフトに固定され、ディスク及びシャフトがディスク内及びシャフト内の穴に固定されたねじ又はピンによって互いの回転に対して半径方向に固定されるように、ディスクの第1の側は、ディスクが固定的に接続されるシャフトに当接する。例えば、隣接する側の1つが、反対側の部分に挿入された突出部を備えるように、及び/又は、インペラがねじによってディスクに固定され、インペラ及びディスクが、ディスク内及びシャフト内の穴に収容されるねじ又はピンによって互いの回転に対して半径方向に固定されるように、ターボエキスパンダのタービンのインペラは、インペラ・ブレードが配置されている側とは軸方向に反対の実質的に平坦な側で、ディスクの実質的に平坦な第2の側に当接し、それに固定的に接続される。ディスクとターボエキスパンダ・インペラとの間のシャフト面上に形成された半径方向の溝の形態の軸方向の間隙は、好ましくは、ディスクの第2の側と、それに関連するターボエキスパンダ・タービンのインペラ側との間に形成される。この軸方向の間隙は、ディスクと比較的低温のターボエキスパンダ・インペラとの間の接触面積を減少させ、したがって、熱が共通のシャフトを介して電動モータの高温の回転子からターボエキスパンダの低温のインペラに伝達される熱橋を部分的に遮断する。スラスト軸受のディスク及びアセンブリのシャフトは一体の材料で作られていないが、上述のように一緒に結合されている上記の技術的解決策の別の利点は、ラジアル軸受の一部でより薄いシャフトを使用すること、並びに、それに関連して、シャフト及びシャフトが取り付けられるターボエキスパンダの本体の材料を節約することである。水平分割面のないポット本体内にシャフトを取り付けるために、ターボエキスパンダ本体内に収容され、電動モータの回転子とターボエキスパンダのインペラとの間に配置されたラジアル動圧ガス軸受に取り付けられる部分において、電動モータの回転子が取り付けられるシャフトよりも小さい直径を有するシャフトが使用される。組立の間、シャフトは、ターボエキスパンダの円筒体の内部キャビティを通って、又はターボエキスパンダの本体に収容された軸受キャリアの円筒体の内部キャビティを通って、ラジアル軸受内に収容された部分を通過し、スラスト軸受ディスクは、シャフトに取り付けられる。電動モータの回転子が取り付けられ、ラジアル軸受内に取り付けられたシャフトの部分よりも大きな直径を有するシャフトの部分は、取付けの間、ターボエキスパンダの円筒体を通して挿入されない。
【0022】
電動モータの固定子は、組立作業の間、不必要に加熱され、冷却機の作動ガスとは異なる冷却媒体によって冷却される場合に有利であり、その漏出物は、電動モータの回転子を通って流れるが、電動モータ全体を十分に冷却するのに十分な流量を有していないか、又は電動モータの内側部分の温度が十分に低くない。冷却機のターボ圧縮機アセンブリの好ましい実施例では、電動モータの本体は、電動モータの固定子が収容される内側本体と、電動モータの内側本体が収容される外側本体とを有する。内側本体及び外側本体は、上述のポット式の本体であり、内側本体は、内側本体を半径方向に完全に、且つ、軸方向に少なくとも部分的に取り囲む外側本体に挿入される。電動モータの固定子の近傍で冷却媒体を効率的に流すために、電動モータの冷却媒体が流れるための共通のチャネルが、内側及び外側本体内に形成される。冷却チャネルの実施例は、電動モータ本体のポット式配置を使用し、チャネルは、好ましくは、内側本体を通過する部分が、内側本体の外面上に少なくとも1つの螺旋形状の溝として形成され、媒体が溝に出入りする外側本体内への2つの通路を除いて、隣接する外側本体によってその全長に沿って囲まれるように、電動モータ本体内に形成される。
【0023】
本発明によるターボ圧縮機アセンブリは、既知の冷却機、例えば、チェコ特許第308332(B6)号による冷却機で使用するのに適しており、冷気の工業生産に特に適している。
【0024】
本発明は、図面に概略的に表された冷却機のターボ圧縮機アセンブリの例示的な実施例を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の原理を説明するのに必須の構成部品を示す、ターボ圧縮機アセンブリを通る軸方向の断面を示す。
【
図2】ターボ圧縮機アセンブリを通る冷却機の媒体の流れを示す、
図1に示すターボ圧縮機アセンブリを通る軸方向の断面を示す。
【
図3】ターボエキスパンダの一部の一実施例の詳細を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
冷却装置用の冷気を生成するためのターボ圧縮機アセンブリ(
図1、
図2)は、圧縮機I、ターボエキスパンダII、及び、圧縮機IとターボエキスパンダIIとの間に配置された電動モータIIIを備える。ターボ圧縮機アセンブリは、圧縮機Iの本体19と、ターボエキスパンダIIの本体20と、電動モータIIIの本体21と、圧縮機I、ターボエキスパンダII、及び電動モータIIIに共通のシャフト13とを備える共通のアセンブリ・ハウジングを備える。圧縮機Iのラジアル・ブレード・インペラ1、永久磁石を有する電動モータの回転子8、及びターボエキスパンダIIのラジアル・ブレード・インペラ5は、同時にアセンブリの軸でもある軸131において圧縮機の共通のシャフト13上に配置され、それにより、電動モータIIIの回転子8は、シャフト13の両端に取り付けられている圧縮機Iのインペラ1とターボエキスパンダIIのインペラ5との間に配置されており、図示の実施例では、それらはシャフト表面に取り付けられる。シャフト13は、2つのラジアル動圧ガス軸受10、101、102及び1つのスラスト動圧ガス軸受11内で、ターボ・アセンブリの共通のハウジングに取り付けられる。
【0027】
アセンブリのモータは、
図1及び
図2に示す本発明の実施例では、既知の図示されていない制御ユニットに接続された同期電動モータIIIであるが、本発明の他の実施例では、任意の他のタイプのモータ、例えば、非同期電動モータを使用することができる。アセンブリのモータは、アセンブリの共通のシャフト13上に取り付けられた電動モータIIIの回転子8と、固定子9と、内側本体211及び外側本体212を備える本体21とを備える。固定子9は、内側本体211内に収容され、内側本体211は、外側本体212が内側本体211の外側円筒面上に取り付けられるように、外側本体212内に収容される。したがって、内側円筒体211は、外側円筒体211のポット内に挿入され、外側本体212は、内側本体211によって軸方向に部分的に取り囲まれる。電動モータIIIの内側及び外側本体211、212は、電動モータIIIの固定子9を冷却するための冷却媒体の流れS5を流すためのチャネル12を備える。冷却チャネル12は、内側本体211内に形成された内側冷却チャネル121と、外側本体212内に形成された外側冷却チャネル122とを備える。本発明のこの実施例では、内側冷却チャネル122は、内側本体211の螺旋形状の溝121が内側本体211の外側円筒面上でフライス加工されるように設計され、溝121は、外側本体212の内側円筒面によって電動モータIIIの本体21が組み立てられた状態で覆われている。2つの位置で外側本体212を通過して、外側本体212の内側円筒面を外側本体211の外側円筒面に接続するように、外側本体212において外側冷却チャネル122は設計され、したがって、内側冷却チャネル121を電動モータの固定子の冷却媒体の供給/排出パイプ(図示せず)に接続する。ガス又は流体などの冷却媒体の流れS5(
図2)は、電動モータIIIの本体9内の第1の外側チャネル122を通って流れ、本体9から第2の外側チャネル122を通って排出される。
【0028】
圧縮機I(
図1、
図2)は、圧縮機Iへの入口にコンフューザ4を備え、さらに、アセンブリの共通のシャフト13上に取り付けられたラジアル・ブレード・インペラ1と圧縮機Iの本体19とを備える。本体19には、ディフューザ2が形成され、これに螺旋状の出口チャンバ3が接続される。
【0029】
本発明のこの実施例では、動圧ガス軸受、例えば、曲がったフォイルを有するフォイル軸受又は別の既知の動圧ガス軸受である第1のラジアル軸受101は、キャリア16内に取り付けられ、キャリア16は、圧縮機Iの本体19によって部分的に取り囲まれ、電動モータIII内に部分的に延在し、電動モータIIIの内側本体211によって取り囲まれる。第1のラジアル軸受101のキャリア16は、3つの内面を備える。キャリア16の第1の内側円筒面161は、シャフト13の円筒面、ひいてはシャフト13の軸131と実質的に平行であり、第1のラジアル軸受101がその上に配置される。第1のラジアル軸受101のケーシングは、キャリア16のこの部分に挿入される。第2の内側円筒面163は、第1の内側円筒面161と全く同じように、シャフトの軸131と実質的に平行である。第2の円筒面163は、第1の円筒面161よりも大きな内径を有し、シャフト・シール14の一部である。アセンブリの組立て状態では、軸受101のキャリア16の第1の円筒面161は、第2の内側円筒面163と圧縮機Iのインペラ1との間に配置される。キャリア16の第1の内側円筒面161と第2の内側円筒面163との間には、シャフトの軸131に実質的に垂直である第3の内面162が環状に配置されており、組み立てられたアセンブリでは、ピストン15に対して軸方向に配置され、ピストン15は、シャフト13上に形成され、圧縮機Iのインペラ1がアセンブリの共通のシャフト13に作用する軸力を均衡させる役割を果たす。
【0030】
本発明の例示的な実施例では、シャフト・シール14は、疑似ラビリンス・シールであり、シャフト13の円筒面上に、7~9個の円形の封止歯が、シャフト軸131に対して垂直に配置される。円形の封止歯は、それらが接触しないキャリア16の実質的に平坦な第2の内面163に対して封止する。封止歯の数は、シール14に入る前の作動媒体の圧力と、シール14の必要とされる圧力降下に左右され、歯の最適な数は、ターボ圧縮機が使用される冷却機の特性に応じて、5~10本の範囲である。
【0031】
共通の吸引チャネル22は、シャフト・シール14の下流に、電動モータIIIの内側本体211内の電動モータIIIの回転子8に向かう方向に配置され、それによって、ガス状の作動媒体の漏出物、例えば、圧縮機Iからシャフト・シール14を通って通過する空気、及び、ターボエキスパンダIIのタービンから電動モータIIIを通って通過する作動媒体の漏出物が吸い出される。作動媒体の漏出物は、共通の吸引チャネル22からパイプ23(
図2)を通って、圧縮機Iへの入口にあるコンフューザ4に排出される。
【0032】
この実施例では、シャフト・シール14の歯は、アセンブリの回転シャフト13上に固定的に取り付けられ、アセンブリが組み立てられた状態では、アセンブリ・ハウジングの非可動部である軸受キャリア16の第2の内面163に対向して配置される。シール14の歯は、この実施例では、シャフト13の材料内に直接フライス加工されるが、別の実施例では、溝にコーキングされたシートのストリップを、フライス加工された歯の代わりに使用することができる。シール14の別の実施例では、面163は、キャリア16の材料よりも柔らかい溶射材料、及び/又は、機械動作中にラビリンスの歯が封止溝を構成する金属フェルトを備える。シール14の別の実施例では、ラビリンス・シールは、シャフト13の実質的に滑らかな円筒面に対して封止するキャリア16の第2の内面163上のブレードとともに使用される。シール14のさらに別の実施例では、他の既知のタイプの適切なシール、例えば、ブラシ・シール若しくはリーフ・シール、又はこれらのタイプのシールと上記のラビリンス・シールとの組み合わせが使用される。
【0033】
ターボエキスパンダIIは、アセンブリの共通のシャフト13に取り付けられたターボエキスパンダIIの膨張タービンのブレード・インペラ5と、入口螺旋状チャンバ6及び出口ディフューザ7が形成されたターボエキスパンダIIの本体20とを備えている。本体20では、第2のラジアル動圧ガス軸受102及びスラスト動圧ガス軸受11、例えば曲がったフォイルを有するフォイル軸受、又は他の既知の適切な動圧ガス軸受が取り付けられる。
【0034】
ターボ圧縮機アセンブリのこの実施例では、スラスト軸受11は、第2のラジアル軸受102と、ターボ圧縮機アセンブリのシャフト13の比較的低温の部分に配置されているターボエキスパンダIIのタービンのブレード・インペラ5との間に取り付けられている。別の実施例では、第2のラジアル軸受102は、スラスト軸受11とブレード・インペラ5との間に取り付けられてもよい。スラスト軸受11は、シャフト13がアセンブリのハウジング内の変位に対して軸方向に固定される安定点を構成する。スラスト軸受11のディスク111は、ディスクの第1の側とディスクの第2の側とを備え、これらは共にシャフト13上に固定的に取り付けられたディスク111の本体を画定する。シャフト13に取り付けられたディスク111は、ディスクの第1の側が第2のディスク側111よりもシャフト13上の回転子8の近くに位置するように配向される。ディスク111の第1及び第2の側は、実質的に円形の形状を有する。ディスク111(
図3)は、さらに、軸131と実質的に同心で主にディスク111をシャフト13に固定する働きをする内側部分111bと、半径方向に内側部分111bを取り囲み、スラスト軸受11に取り付けられた外側部分111aとを備える。ディスク111の内側部分111bの軸方向に向いた両側に、突出部112、113が配置され、それらは、軸受11のディスクの内側部分111aに固定的に接続される。突出部112が配置された第1の側がシャフト13内に突出部112によって凹設され、ボルト18によって固定され、シャフト13内及びディスク111内で軸方向に固定的に取り付けられるボルト又はピンなどの固定手段によって固定されるように、スラスト軸受11のディスク111は、シャフト13上に取り付けられる。
【0035】
インペラ5は、ブレード51が配置されたインペラ5の側と軸方向に対向する側が、シャフト13の軸131においてディスク111の第1の側と軸方向に対向するディスク111の第2の側に取り付けられるように、シャフト13に取り付けられる。インペラ5は、突出部113上に取り付けられ、ボルト18によってディスク111に取り付けられ、インペラ5内及びディスク111内で軸方向に固定されたねじ又はピンなどの固定手段によって固定される。ディスク111に取り付けられたインペラ5は、突出部113にのみ接触するようにディスク111に隣接し、その結果、半径方向の溝17がディスク111の内側部分111bとインペラ5との間に形成される。シャフト13にインペラ5を固定的に取り付けるこの配置によって、シャフト13のインペラ5とディスク111との間の接触面積が減少し、ターボ圧縮機アセンブリの低温部と高温部との間の熱伝達が低減される。さらに、溝17は、漏れた作動媒体の流れS3によって冷却される。
【0036】
冷却機のターボ圧縮機の本発明による冷却機の作動媒体の流れは、機械動作中に、作動媒体の主流S1、作動媒体の漏出物の流れS2、S3及びS4、並びに、電動モータIIIの本体21の冷却媒体の流れS5を示す
図2に概略的に示されている。1バールから5バールの圧力を有するガス流S1は、コンフューザ4の入口開口部を通って単輪ラジアル圧縮機I内に供給され、ディフューザ2内で1.6~2.2の圧縮比で圧縮される。1.6バールから11バールまでの圧力及び最高で150℃までの温度を有する圧縮作動ガスの主流S1は、図示されていない既知の熱交換器にさらに供給され、そこからターボエキスパンダIIの入口螺旋状チャンバ6に供給され、そこから流れS1は、単段ラジアル膨張タービンのインペラ5に供給され、そこで1.5~2.1の膨張比で膨張し、同時に最低で-150℃までの設定温度に冷却される。作動ガスの冷却された流れS1は、ディフューザ7から図示されていない既知の熱交換器及び/又は冷却チャンバに供給され、そこで加熱され、そこから圧縮機Iの入口でコンフューザ4に戻される。ディフューザ2内のガスの圧力よりも低く、機械動作中に1.5バールから10バールの圧力値を取得する圧力を有する圧縮作動ガスの二次流S2は、圧縮機Iから第1のラジアル動圧ガス軸受101を介してピストン15に供給され、面162に隣接するピストン15の作動面は、圧縮機Iのインペラ1によってシャフト13上に加えられる力の軸方向成分とは反対向きの軸力を受けやすく、反対方向の軸力の作用が均衡し、スラスト軸受11が緩和される。次いで、流れS2は、ピストン15からシャフト・シール14を通って作動媒体の漏出物を抽出する収集チャネル22に供給され、そこから、作動ガスの漏出物とともに流れS4内に導かれ、その作動ガスの漏出物は、ターボエキスパンダIIから、スラスト軸受11とラジアル軸受102と電動モータIIIの回転子8とを経て、ダクト23を通って圧縮機Iのコンフューザ4の入口開口部内に入る流れS3によって供給される。ターボエキスパンダIIからの比較的低温の作動媒体の漏出物が導かれる流れS3は、シャフト13及び電動モータIIの回転子8を冷却する。本体21、211に取り付けられた電動モータIIの固定子9は、冷却媒体が、図示されていない既知の供給源から外側冷却チャンネル122への流れS5によって供給され、そこを通って、内側チャネル121に供給され、固定子9を備える本体21が冷却され、流れS5が外側チャネル122に供給され、そこから、冷却媒体の図示されていない既知の供給源に供給されるように、流体又はガスなどの冷却媒体によって冷却される。電動モータIIIの固定子9の冷却媒体の流れS5は、冷却機の作動媒体の流れS1、S2、S3、S4のいずれとも流体連通していない。
【符号の説明】
【0037】
I 圧縮機
II ターボエキスパンダ
III 電動モータ
1 ブレード圧縮機インペラ
2 圧縮機ディフューザ
3 圧縮機の螺旋状チャンバ
4 圧縮機の入口にあるコンフューザ
5 ターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラ
51 ターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラのブレード
6 ターボエキスパンダの螺旋状チャンバ
7 ターボエキスパンダの出口にあるディフューザ
8 永久磁石を有する電動モータの回転子
9 電動モータの固定子
10 ラジアル動圧ガス軸受
101 第1のラジアル動圧ガス軸受
102 第2のラジアル動圧ガス軸受
11 スラスト動圧ガス軸受
111 スラスト動圧ガス軸受のディスク
111a スラスト動圧ガス軸受のディスクの外側部分
111b スラスト動圧ガス軸受のディスクの内側部分
112 スラスト動圧ガス軸受のディスクの第1の突出部
113 スラスト動圧ガス軸受のディスクの第2の突出部
12 電動モータの冷却媒体用のチャネル
121 電動モータの冷却媒体用の内側チャネル
122 電動モータの冷却媒体用の外側チャネル
13 シャフト
131 シャフト軸
14 シャフト・シール
15 軸力を均衡させるためのピストン
16 ラジアル軸受のキャリア
161 ラジアル軸受のキャリアの第1の内側円筒面
162 ラジアル軸受のキャリアの第3の内面
163 ラジアル軸受のキャリアの第2の円筒面
17 スラスト軸受のディスクとターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラとの間の半径方向の溝
18 ターボエキスパンダのタービンのブレード・インペラを取り付けるためのねじ
19 圧縮機の本体
20 ターボエキスパンダの本体
21 電動モータの本体
211 電動モータの内側本体
212 電動モータの外側本体
22 作動媒体の共通の漏出物吸引チャネル
23 作動媒体の共通の漏出物抽出ダクト
S1 作動ガスの主流
S2 圧縮機からの作動ガスの二次流
S3 ターボエキスパンダからの作動ガスの二次流
S4 圧縮機及びターボエキスパンダからの作動ガスの漏出物の共通の流れ
S5 電動モータ本体の冷却媒体の流れ
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通のハウジング内に配置された圧縮機(I)と、電動モータ(III)と、ターボエキスパンダ(II)とを備える冷却機のターボ圧縮機アセンブリであって、前記共通のハウジングは、前記圧縮機の本体(19)と、前記電動モータの本体(21)と、前記ターボエキスパンダの本体(20)と、前記ターボ圧縮機アセンブリからの作動ガスの前記供給部を開放するガス軸受内の前記共通のハウジング内に取り付けられたシャフト(13)とを備え、前記圧縮機のインペラ(1)、前記ターボエキスパンダの前記タービンのインペラ(5)及び前記電動モータの前記回転子(8)が前記シャフト(13)に固定的に取り付けられ、前記圧縮機インペラ(1)及び前記タービン・インペラ(5)が前記共通のシャフトの両端に配置され、前記電動モータの回転子(8)がそれらの間に配置されるターボ圧縮機アセンブリにおいて、前記圧縮機インペラ(1)と前記電動モータの前記回転子(8)との間に、前記シャフト(13)が前記第1のラジアル動圧ガス軸受(101)内に取り付けられ、前記タービン・インペラ(5)と前記電動モータの前記回転子(8)との間に、前記シャフト(13)が前記第2のラジアル動圧ガス軸受(102)内に取り付けられ、前記第2のラジアル動圧ガス軸受(102)と前記タービン・インペラ(5)との間に、前記シャフトがスラスト動圧ガス軸受(11)内に取り付けられ、前記第1のラジアル軸受(101)への前記ターボ圧縮機アセンブリの前記作動ガスの前記二次流(S2)の
供給部は、前記圧縮機(I)の前記本体(19)の前記内壁と前記シャフト(13)との間に形成され、前記第2のラジアル軸受(102)及び前記スラスト軸受(11)への前記作動ガスの前記二次流(S3)の
供給部は、前記ターボエキスパンダ(II)の前記本体(20)の前記内壁と前記シャフト(13)との間に形成され
、前記第1のラジアル動圧ガス軸受(101)は、シャフト・シール(14)によって前記電動モータ(III)の前記回転子(8)に向かって封止され、前記第1のラジアル軸受(101)と前記シャフト・シール(14)との間に、環状の面が前記シャフト上に形成され、前記シャフト(13)の前記軸(131)に垂直で、前記シャフト(13)に作用する前記軸力を均衡させるためのピストン(15)として役立つことを特徴とする、ターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のラジアル動圧ガス軸受(101)と前記回転子(8)との間の前記シャフト・シール(14)は、実質的に平坦な円筒面に対して封止する少なくとも5本の歯によって形成される疑似ラビリンスであることを特徴とする、請求項
1に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のラジアル動圧ガス軸受(101)は、前記シャフト(13)の前記軸(131)に実質的に平行な前記ラジアル軸受(101)のハウジングを取り付けるための第1の内側円筒面(161)と、前記シャフト(13)の前記軸(131)に実質的に平行で、前記シャフト・シール(14)の一部である第2の内側円筒面(163)と、前記シャフト(13)の前記軸(131)に実質的に垂直で、前記第1の円筒面(161)及び前記第2の円筒面(163)の間に配置された環状の第3の内面(162)とを備えるキャリア(16)に取り付けられ、前記第2の円筒面(163)によって囲まれた前記円筒状のキャビティの直径は、前記第1の円筒面(161)によって囲まれた前記円筒状のキャビティの直径よりも大きいことを特徴とする、請求項1
又は2に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項4】
前記軸受(101)の前記キャリア(16)は、単一の材料で形成され、それが収容される前記圧縮機(I)の前記本体(19)によって第1の部分で取り囲まれ、それが収容される前記電動モータ(III)の前記内側本体(211)によって第2の部分で取り囲まれることを特徴とする、請求項
3に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項5】
前記スラスト動圧ガス軸受(11)のディスク(111)が前記シャフト(13)上に取り付けられ、前記ディスクは、前記ディスク(11)の前記第1の側が前記回転子(8)に向けて、及び、前記ディスクの前記第2の側が前記ターボエキスパンダ(II)の前記タービンの前記インペラ(5)に向けて配向され、半径方向の溝(17)は、前記ディスク(11)と前記インペラ(5)との間の前記シャフト(13)内に形成されることを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか一項に記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【請求項6】
前記電動モータ(III)の前記本体(21)は、前記電動モータ(III)の前記固定子(9)を収容する内側本体(211)と、内側本体(211)を収容する外側本体(21)とを備えることと、前記内側及び外側本体(211、212)は、前記電動モータの前記固定子(9)を冷却するための前記冷却媒体の前記流れに役立つ共通の冷却チャネル(12)が形成されることとを特徴とする、請求項1から
5までのいずれかに記載のターボ圧縮機アセンブリ。
【国際調査報告】