(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】LIDARシステムにおける信号対ノイズ比の向上
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20231218BHJP
G01S 7/499 20060101ALI20231218BHJP
G01S 17/34 20200101ALI20231218BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/499
G01S17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520282
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-04-03
(86)【国際出願番号】 US2021053670
(87)【国際公開番号】W WO2022076489
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437076
【氏名又は名称】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーナス、プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ルフィ、ブラッドレー ジョナサン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA38
5J084BA48
5J084BA52
5J084BB02
5J084BB11
5J084BB15
5J084BB16
5J084BB19
5J084BB28
5J084BB31
5J084BB34
5J084CA08
5J084CA31
5J084CA33
5J084CA48
5J084CA49
5J084EA01
(57)【要約】
LIDARシステムは、光を出力するように構成された光源を含む。この光の一部は、該光源から該LIDARシステムの外部にある物体へ、該物体からフィルターへ、及び該フィルターから処理ユニットへのLIDAR経路上で移動するLIDAR信号に含まれる。前記処理ユニットは、LIDAR信号を含む光信号を電気信号に変換するように構成される。この光の一部は、1つまたは複数の誤誘導された信号にも含まれる。該誤誘導された信号のそれぞれは、前記光源から前記フィルターまでの誤誘導された経路上で移動する。該誤誘導された経路のそれぞれは、前記LIDAR経路と異なる経路である。前記システムはまた、誤誘導された信号からLIDAR信号を排除するように構成されたフィルターも備える。前記システムは、前記電気信号からLIDARデータを生成する電子機器も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出力するように構成された光源、
該光の一部が、光源から物体へ、該物体からフィルターへ、該フィルターから処理ユニットへのLIDAR経路上で移動するLIDAR信号に含まれ、
該物体が、LIDARシステムの外部に配置され、
該処理ユニットが、光信号を電気信号に変換するように構成され、該光信号が、前記LIDAR信号を含み、
該光の一部が、1つまたは複数の誤誘導された信号に含まれ、それぞれの誤誘導された信号が、前記光源から前記フィルターまで異なる誤誘導された経路上で移動し、それぞれの誤誘導された経路が、前記LIDAR経路とは異なって、
前記誤誘導された信号から前記LIDAR信号を排除するように構成されるフィルター、及び
前記電気信号からLIDAR データを生成する電子機器
を含む、LIDARシステム。
【請求項2】
前記フィルターが、異なる出力信号が異なる偏光状態を有するように、光信号を異なる出力信号に分割するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記LIDAR信号が、第1偏光状態の光を主に搬送し、1つまたは複数の誤誘導された信号のそれぞれが、主に第2偏光状態の光を搬送し、
前記フィルターが、前記LIDAR信号及び前記1つまたは複数の誤誘導された信号を受信し、また
前記フィルターが、前記出力信号の1つが第1偏光状態の光を搬送し、前記出力信号のもう1つが第2偏光状態の光を搬送するように、該LIDAR信号及び前記1つまたは複数の誤誘導された信号を異なる出力信号に分割するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フィルターが、ウォラストンプリズムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記LIDARシステムが、LIDARチップを含み、該LIDARチップが、前記光路の一部及び1つまたは複数の誤誘導された経路の少なくとも一部を定義する1つまたは複数の導波路を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記誤誘導された経路が、前記LIDARシステムの外部に延伸しない、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記LIDARシステムが、前記誤誘導された信号の少なくとも1つがその中に反射されるが、前記LIDAR信号がそれを通って送信される表面を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも 1つの前記誤誘導された信号の誤誘導された経路が、前記LIDARシステムにおける異なる構成要素間のクロストークが含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記LIDAR経路が、前記LIDAR信号が前記フィルターによって受信される前に、該LIDAR信号の偏光状態を変更するように構成された偏光回転子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記偏光回転子が、1つまたは複数の誤誘導の発生源の後に、前記LIDAR経路上に配置され、各誤誘導の発生源が、前記LIDAR経路上で移動する前記誤誘導された信号の1つが該LIDAR経路の全長で移動することから転換される前記LIDAR経路の特徴である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記誤誘導された経路のそれぞれが、前記光源から前記誤誘導の発生源の1つまで及び該誤誘導の発生源から前記フィルターまで延伸する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記誤誘導の発生源の少なくとも一部が、そこで反射が発生する表面とその間にクロストークが発生する構成要素からなる群から選択される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記偏光回転子が、前記LIDAR信号を受信し、該LIDAR信号が該偏光回転子によって受信されたときの、該LIDAR信号の偏光状態に対して45°変化した偏光状態で該LIDAR信号を出力するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記偏光回転子が、該偏光回転子が前記LIDAR信号を2回受信するように構成された非相互の偏光回転子である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記偏光回転子が、前記LIDAR信号が前記物体によって反射される前に、また前記LIDAR信号が前記物体によって反射された後に該LIDAR信号を受信する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
第2偏光回転子が、前記LIDAR信号が前記フィルターによって受信された後に、該LIDAR信号の偏光状態を変更するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記処理ユニットが、前記LIDAR信号を受信することに加えて、参照信号を受信する、請求項9に記載のシステム。
【請求項18】
前記参照信号が前記処理ユニットで受信されるときの該参照信号の偏波状態は、前記LIDAR信号が該処理ユニットで受信されるときの該LIDAR信号の偏波状態と一致する、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2偏光回転子が、前記LIDAR信号が前記フィルターによって受信された後に、該LIDAR信号の偏光状態を変更するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記処理ユニットが、前記LIDAR信号を受信することに加えて、参照信号を受信し、該参照信号が、前記光源からの光を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2020年10月9日に出願された「LIDARシステムにおける信号対ノイズ比の向上」と題した米国特許出願第17/067,623号の継続出願であり、その全体が組み込まれる。
【分野】
【0002】
本発明は、光学装置に関する。特に、本発明は、LIDARシステムに関する。
【背景】
【0003】
LIDARシステムに課される性能要求は、サポートする用途の数が増加するにつれ、増大している。LIDARシステムは一般に、視野内における1つまたは複数のサンプル領域を照らすために使用される光信号を生成する。サンプル領域内の物体が光を反射すると、反射光がLIDARシステムに戻ることができる。LIDARシステムは、前記反射光を使用して、サンプル領域ごとにLIDARデータを生成することができる。サンプル領域のLIDARデータは、LIDARシステムとサンプル領域にある1つまたは複数の物体との間の視線速度及び/または距離を示す。
【0004】
LIDARシステムは、反射光を電気信号に変換する。電子機器は、これらの電気信号を使用してLIDARデータを生成する。しかし、LIDARシステムによる光信号の処理は、電気信号におけるノイズ源になり得る。該ノイズにより、LIDARデータの信頼性が低下し得る。その結果、LIDARシステムの改善が必要とされている。
【概要】
【0005】
LIDARシステムは、光を出力するように構成された光源を含む。この光の一部は、該光源から該LIDARシステムの外部にある物体へ、該物体からフィルターへ、及び該フィルターから処理ユニットへのLIDAR経路上で移動するLIDAR信号に含まれる。前記処理ユニットは、LIDAR信号を含む光信号を電気信号に変換するように構成される。この光の一部は、1つまたは複数の誤誘導された信号にも含まれる。該誤誘導された信号のそれぞれは、前記光源から前記フィルターまでの誤誘導された経路上で移動する。該誤誘導された経路のそれぞれは、前記LIDAR経路と異なる経路である。前記システムはまた、誤誘導された信号からLIDAR信号を排除するように構成されたフィルターも備える。前記システムは、前記電気信号からLIDARデータを生成する電子機器も含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1は、LIDARシステムで使用するためのLIDARチップの概略の上面図である。
【0007】
図2は、別の実施形態の、LIDARシステムで使用するためのLIDARチップの概略の上面図である。
【0008】
図3は、
図1のLIDARチップとの使用に適したLIDARアダプターの一例の上面図である。
【0009】
図4は、
図1のLIDARチップとの使用に適したLIDARアダプターの一例の上面図である。
【0010】
図5は、
図1のLIDARチップと
図3のLIDARアダプターを共通マウント上に含むLIDARシステムの上面図である。
【0011】
図6は、
図2のLIDARチップと
図4のLIDARアダプターを共通マウント上に含むLIDARシステムの上面図である。
【0012】
図7Aは、LIDARシステムで使用するのに適した処理ユニットの一例の概略図である。
【0013】
図7Bは、処理中の電子機器と光センサーとの間の関係の概略図である。
【0014】
図7Cは、システム出力信号に適した周波数パターンの一例を示している。
【0015】
図8Aは、誤誘導された信号がLIDAR信号から除外されていない場合の数学的演算要素からの出力の一例を示している。
【0016】
図8Bは、LIDARシステム内の可能な誤誘導の発生源及び異なる位置における信号の偏光状態の例を示すように標記された
図5のLIDARシステムである。
【0017】
図8Cは、誤誘導された信号がLIDAR信号から除外された場合の数学的演算要素からの出力の一例を示している。
【0018】
図9は、シリコン・オン・インシュレータ・プラットフォーム上に導波路を含むLIDARチップの一部の断面図である。
【説明】
【0019】
LIDARシステムは、光を出力するように構成された光源を含む。この光の一部は、該光源からLIDARシステムの外部にある物体へ、該物体からフィルターへ、及び該フィルターから処理ユニットへのLIDAR経路上で移動するLIDAR信号に含まれる。前記処理ユニットは、LIDAR信号を含む光信号を電気信号に変換するように構成される。電子機器は、該電気信号からLIDARデータを生成することができる。該LIDARデータは、LIDARシステムとLIDARシステムの外部のサンプル領域に位置する1つまたは複数の物体との間の視線速度及び/または距離を示すことができる。
【0020】
光源からの光の一部も、1つまたは複数の誤誘導された信号に含まれる。誤誘導された信号のそれぞれは、光源から誤誘導の発生源へ、そして前記フィルターへと異なる経路上で移動する。該誤誘導の発生源はそれぞれ、誤誘導された信号の1つがLIDAR経路の全長から逸れる原因となるLIDAR経路の特徴である。本発明者は、これらの誤誘導された信号が、LIDARデータが生成される電気信号のノイズ源になり得ることを発見した。本システムは、LIDAR信号から少なくとも1つの誤誘導された信号を排除するように構成された光学フィルターを含む。その結果、電気信号のノイズは、低減する。該ノイズレベルの低減により、LIDARデータの信頼性が向上する。
【0021】
図1は、LIDARシステムとして機能することができる、またはLIDARチップの他に構成要素を含むLIDARシステムに含めることができるLIDARチップの概略の上面図である。前記LIDARチップは、光集積回路(PIC)を含むことができ、光集積回路チップとすることができる。前記LIDARチップは、光源信号を出力する光源10を含む。適切な光源10は、外部共振器レーザ(ECL)、分布帰還型レーザ(DFB)、離散モード(DM)レーザ、及び分布ブラッグ反射レーザ(DBR)等の半導体レーザを含むが、これらに限定されない。
【0022】
前記LIDARチップは、光源10から光源信号を受信するユーティリティ導波路12を含む。ユーティリティ導波路12は、前記光源信号を受信する分割器22を含む。該分割器は、ユーティリティ導波路12上に発信LIDAR信号を出力する。
【0023】
ユーティリティ導波路12は、ファセット14で終端し、前記発信LIDAR信号を該ファセット14に搬送する。前記ファセット14は、該ファセット14を通って移動する前記発信LIDAR信号が前記LIDARチップを出て、LIDAR出力信号として機能するように配置することができる。例えば、前記ファセット14は、該ファセット14を通って移動する前記発信LIDAR信号が前記チップを出て、LIDAR出力信号として機能するように、該チップの端に配置することができる。いくつかの場合では、LIDARチップから出たLIDAR出力信号の一部もシステム出力信号と見なすことができる。一例として、LIDARチップからのLIDAR出力信号の出口が、LIDARシステムからのLIDAR出力信号の出口でもある場合、該LIDAR出力信号もシステム出力信号と見なすことができる。
【0024】
LIDAR出力信号からの光は、システム出力信号においてLIDARシステムから離れて移動する。システム出力信号は、LIDARシステムが配置されている大気中の自由空間を通過することができる。システム出力信号は、システム出力信号の経路にある1つまたは複数の物体によって反射され得る。システム出力信号が反射されると、少なくとも一部の反射光がシステム入力信号としてLIDARチップに向かって戻る。
【0025】
システム帰還信号からの光は、LIDARチップによって受信された第1 LIDAR入力信号内で運搬されることができる。いくつかの場合では、システム帰還信号の一部は、第1 LIDAR入力信号として機能することができる。第1 LIDAR入力信号は、ファセット18を通って比較導波路16に入射し、第1比較信号として機能する。比較導波路16は、光信号を、LIDARデータ(LIDARシステムと該LIDARシステムの外部に位置する1つまたは複数の物体との間の視線速度及び/または距離)が生成される電気信号に変換するように構成された処理ユニット20に第1比較信号を搬送する。
【0026】
分割器22は、ユーティリティ導波路12からの光源信号の一部を第1参照信号として参照導波路24上に移動させる。前記参照導波路24は、さらなる処理のために該第1参照信号を処理ユニット20に搬送する。
【0027】
分割器22によってユーティリティ導波路12から転送される光の割合は、固定または実質的に固定することできる。例えば、分割器22は、参照導波路24に転送される第1参照信号のパワーが光源信号のパワーの割合になるように構成することができる。いくつかの場合では、前記割合は、5%、10%または20%を超え、かつ/または50%または60%未満である。適切な分割器22には、光結合器、y接合、テーパー付き結合器、及び複合モードの干渉(MMI)装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
LIDARチップは、光源10の動作を制御するための制御分岐を含むことができる。該制御分岐は、光源信号の一部をユーティリティ導波路12から制御導波路28上に移動させる分割器26を含む。光源信号の結合された部分は、タップされた信号として機能する。
図1は、分割器26として動作する方向性結合器を示しているが、他の信号傍受要素を分割器26として使用することができる。適切な分割器26には、方向性結合器、光結合器、y接合、テーパー付き結合器、及び複合モードの干渉(MMI)装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
制御導波路28は、タップされた信号を制御部30に搬送する。該制御部30は、電子機器32と電気通信することができる。制御部30の全部または一部は、電子機器32に含めることができる。動作中、電子機器は、制御部30からの出力を使用して、タップされた信号、システム出力信号、発信LIDAR信号、システム出力信号、及びLIDAR出力信号からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの制御された光信号のプロセス変数を制御することができる。適切なプロセス変数の例には、制御された光信号の周波数及び/または制御された光信号の位相が含まれる。
【0030】
図2は、LIDARシステムとして機能することができ、またはLIDARチップの他に構成要素を含むLIDARシステムに含めることができるLIDARチップの概略の上面図である。
図2のLIDARチップは、複数のLIDAR入力信号を処理するように改変された
図1のLIDARチップを示している。上述のように、システム出力信号からの光がLIDARシステムの外部に位置する物体によって反射される場合、反射光の少なくとも一部は、システム帰還信号においてLIDARチップに向かって戻ることができる。
【0031】
システム帰還信号からの光は、LIDARチップによって受信された第2システムLIDAR入力信号内で搬送されることができる。いくつかの場合では、システム帰還信号の一部は、第2 LIDAR入力信号として機能することができる。LIDARチップは、ファセット38で終端する第2比較導波路36を含む。第2 LIDAR入力信号は、ファセット38を通って第2比較導波路36に入射し、第2比較信号として機能する。第2比較導波路36は、光信号を、LIDARデータ(LIDARシステムと該LIDARシステムの外部に位置する1つまたは複数の物体との間の視線速度及び/または距離)が生成される電気信号に変換するように構成された第2処理ユニット40に第2比較信号を搬送する。
【0032】
参照導波路24は、第1参照信号を分割器42に搬送する。該分割器42は、参照導波路24からの発信LIDAR信号の一部を第2参照信号として第2参照導波路44上に移動させる。前記第2参照導波路44は、さらなる処理のために該第2参照信号を第2処理ユニット40に搬送する。
【0033】
以下により詳細に説明するように、第1処理ユニット20及び第2処理ユニット40はそれぞれ、比較信号を参照信号と結合して、視野上のサンプル領域のLIDARデータを搬送する複合信号を形成する。従って、複合信号は、サンプル領域のLIDARデータ(1つまたは複数の反射物体の材料標識、LIDARシステムとLIDARシステムの外部の物体との間の視線速度、及びLIDARシステムと該物体との間の距離からなる群から選択された1つまたは複数のデータ)を抽出するように処理することができる。
【0034】
いくつかの場合では、
図1または
図2に従って構築されたLIDARチップが、LIDARアダプターと共に使用される。いくつかの場合では、LIDARアダプターは、LIDARチップと1つまたは複数の反射物体の間に、及び/または第1 LIDAR入力信号及び/またはLIDAR出力信号がLIDARチップから視野まで移動する光路がLIDARアダプターを通過する視野に、物理的にかつ光学的に配置することができる。また、LIDARアダプターは、システム帰還信号とLIDAR出力信号で動作し、これにより、第1 LIDAR入力信号とLIDAR出力信号は、LIDARアダプターとLIDARチップの間の異なる光路であるが、LIDARアダプターと視野内の反射物体の間の同じ光路上で移動するように構成することができる。さらにまたは代わりに、LIDARアダプターは、システム帰還信号とLIDAR出力信号で動作し、これにより、第2 LIDAR入力信号とLIDAR出力信号は、LIDARアダプターとLIDARチップの間の異なる光路であるが、LIDARアダプターと視野内の反射物体の間の同じ光路上で移動するように構成することができる。
【0035】
図1のLIDARチップと共に使用するのに適したLIDARアダプターの例は、
図3に示されている。該LIDARアダプターは、ベース上に配置された複数の要素を含む。例えば、LIDARアダプターは、ベース102上に配置された循環器100を含む。図示の光循環器100は、3つのポートを含み、1つのポートに入射する光が次のポートから出射するように構成される。例えば、図示の光循環器は、第1ポート104、第2ポート106、及び第3ポート108を含む。LIDAR出力信号は、LIDARチップのユーティリティ導波路12から第1ポート104に入射し、アセンブリ出力信号として第2ポート106から出射する。
【0036】
前記アセンブリ出力信号は、LIDARチップから受信されたLIDAR出力信号からの光を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。従って、アセンブリ出力信号は、LIDARチップから受信されたLIDAR出力信号と同じまたは実質的に同じであり得る。しかし、アセンブリ出力信号とLIDARチップから受信されたLIDAR出力信号との間には相違があり得る。例えば、LIDAR出力信号は、LIDARアダプターを通って移動するときに光損失を経験し得る。しかも/またはLIDARアダプターは、LIDAR出力信号がLIDARアダプターを通って移動するときにLIDAR出力信号を増幅するように構成された増幅器110を任意に含み得る。
【0037】
サンプル領域内の1つまたは複数の物体がアセンブリ出力信号からの光を反射すると、反射光の少なくとも一部がアセンブリ帰還信号として循環器100に戻る。アセンブリ帰還信号からの光の少なくとも一部は、第2ポート106を通って循環器100に入射する。
図3は、LIDAR出力信号と、同じ光路に沿ってLIDARダプターとサンプル領域の間で移動するアセンブリ帰還信号を示している。
【0038】
アセンブリ帰還信号は、第3ポート108を通って循環器100を出射する。LIDARアダプターは、循環器100からアセンブリ帰還信号を受信する偏光分割器116を含む。
【0039】
偏光分割器116は、アセンブリ帰還信号を第1帰還信号と第2帰還信号に分割する。ここで、第1帰還信号は、第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有していない、または実質的に有していない。また、第2帰還信号は、第2偏光状態を有するが、第1偏光状態を有していない、または実質的に有していない。前記第1偏光状態及び第2偏光状態は、線形の偏光状態であってもよいが、第2偏光状態は、第1偏光状態とは異なる。例えば、第1偏光状態はTEであって、第2偏光状態はTMであってもよい。または第1偏光状態はTMであって、第2偏光状態はTEであってもよい。いくつかの場合では、レーザ光源は、LIDAR出力信号が第1偏光状態を有するように線形的に偏光することができる。適切な偏光分割器には、ウォラストンプリズム及びMEMベースの偏光ビーム分割器が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
第2帰還信号は、使用されないか、または廃棄されてもよい。第1帰還信号は、偏光回転子118に誘導される。該偏光回転子118は、LIDARチップ上の比較導波路16に誘導された第1 LIDAR入力信号を出力する。いくつかの場合では、前記偏光回転子118は、第1 LIDAR入力信号の偏光状態が第1帰還信号にm*90°(ここで、mは、奇数である)回転するように構成される。その結果、第1帰還信号がTEの第1偏光状態を有し、かつ第2帰還信号がTMの第2偏光状態を有する場合、第1 LIDAR入力信号は、TMの第2偏光状態を有する。あるいは、第1帰還信号がTMの第2偏光状態を有し、かつ第2帰還信号がTEの第1偏光状態を有する場合、第1 LIDAR入力信号は、TEの第1偏光状態を有する。偏光回転子は、相互または相互偏光回転子であり得る。適切な偏光回転子118には、偏光保持ファイバーの回転、ファラデー回転子、半波長板、MEMベースの偏光回転子、及び非対称のy分岐を使用する統合光偏光回転子、マッハツェンダー干渉計、及び複合モードの干渉結合器が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
偏光分割器116がアセンブリ帰還信号の全て、または本質的にアセンブリ帰還信号を第1帰還信号として出力する状況があるので、アセンブリ帰還信号の全部または一部は、第1 LIDAR入力信号として機能することができ、また、第1 LIDAR入力信号は、システム帰還信号からの光を含むか、またはそれらから構成される。従って、LIDAR出力信号及び第1 LIDAR入力信号は、異なる光路に沿ってLIDARアダプターとLIDARチップとの間で移動する。
【0042】
図3から明らかなように、LIDARアダプターは、循環器100の他に光学部品を含むことができる。例えば、LIDARアダプターは、LIDAR出力信号及びシステム帰還信号の光路を誘導し、制御するための要素を含むことができる。一例として、
図2のアダプターは、LIDAR出力信号が循環器100に入射する前にLIDAR出力信号を受信して増幅するように配置された任意の増幅器110を含む。増幅器110は、電子機器32によって操作され、電子機器32がLIDAR出力信号のパワーを制御することを可能にする。
【0043】
図3はまた、任意の第1レンズ112及び任意の第2レンズ114を含むLIDARアダプターを示している。第1レンズ112は、所望の位置にLIDAR出力信号を結合するように構成することができる。いくつかの場合では、第1レンズ112は、LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準するように構成される。一例では、第1レンズ112は、LIDARアダプターが増幅器110を含まない場合、第1ポート104上でLIDAR出力信号を結合するように構成される。別の例として、LIDARアダプターが増幅器110を含む場合、第1レンズ112は、入口ポート上でLIDAR出力信号を増幅器110に結合するように構成することができる。第2レンズ114は、所望の位置でLIDAR出力信号を結合するように構成することができる。いくつかの場合では、第2レンズ114は、LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準するように構成される。例えば、第2レンズ114は、比較導波路16のファセット18上でLIDAR出力信号を結合するように構成することができる。
【0044】
LIDARアダプターに適したベース102には、基板、プラットフォーム、及びプレートが含まれるが、これらに限定されない。適切な基板には、ガラス、シリコン、及びセラミックが含まれるが、これらに限定されない。これらの構成要素は、基板に取り付けられた個別の構成要素であってもよい。個別の構成要素をベース102に取り付けるための適切な技術には、エポキシ、はんだ、及び機械的クランプが含まれるが、これらに限定されない。一例では、構成要素のうちの1つまたは複数が統合された構成要素であり、残りの構成要素は個別の構成要素である。別の例では、LIDARアダプターは、1つまたは複数の統合された増幅器を含み、残りの構成要素は、個別の構成要素である。
【0045】
図4は、LIDARアダプターが
図2のLIDARチップとの使用に適しているように改変された
図3のLIDARシステムを示している。該LIDARアダプターは、循環器100からアセンブリ帰還信号を受信する偏光分割器116を含む。偏光分割器116は、該アセンブリ帰還信号を第1帰還信号と第2帰還信号に分割する。
【0046】
偏光分割器116は、偏光ビーム分割器であってもよい。偏光ビーム分割器の一例は、第1帰還信号が第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有さないか実質的に有さず、また、第2帰還信号が第2偏光状態を有するが、第1偏光状態を有さないか実質的に有さないように構成される。前記第1偏光状態及び第2偏光状態は、線形の偏光状態であってもよいが、第2偏光状態は、第1偏光状態とは異なる。例えば、第1偏光状態はTEであって、第2偏光状態は、TMであってもよい。または第1偏光状態はTMであって、第2偏光状態はTEであってもよい。いくつかの場合では、レーザ光源は、LIDAR出力信号が第1偏光状態を有するように線形的に偏光することができる。適切なビーム分割器には、ウォラストンプリズム及びMEMベースの偏光ビーム分割器が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
第1帰還信号は、偏光回転子118に誘導される。該偏光回転子118は、LIDARチップ上の比較導波路16に誘導された第1 LIDAR入力信号を出力する。いくつかの場合では、前記偏光回転子118は、第1 LIDAR入力信号の偏光状態が第1帰還信号にm*90°(ここで、mは、奇数である)回転するように構成される。その結果、第1帰還信号がTEの第1偏光状態を有し、かつ第2帰還信号がTMの第2偏光状態を有する場合、第1 LIDAR入力信号は、TMの第2偏光状態を有する。あるいは、第1帰還信号がTMの第2偏光状態を有し、かつ第2帰還信号がTEの第1偏光状態を有する場合、第1 LIDAR入力信号は、TEの第1偏光状態を有する。適切な偏光回転子118には、偏光保持ファイバーの回転、ファラデー回転子、半波長板、MEMベースの偏光回転子、及び非対称のy分岐を使用する統合光偏光回転子、マッハツェンダー干渉計、及び複合モードの干渉結合器が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
偏光分割器116がアセンブリ帰還信号の全て、または本質的にアセンブリ帰還信号を第1帰還信号として出力する状況があるので、アセンブリ帰還信号の全部または一部は、第1 LIDAR入力信号として機能することができ、また、第1 LIDAR入力信号は、システム帰還信号からの光を含むか、またはそれらから構成される。従って、LIDAR出力信号及び第1 LIDAR入力信号は、異なる光路に沿ってLIDARアダプターとLIDARチップとの間で移動する。
【0049】
第2帰還信号は、LIDARチップ上の第2比較導波路36に誘導され、
図2の文脈で説明された第2 LIDAR入力信号として機能する。偏光分割器116がアセンブリ帰還信号の全て、または本質的にアセンブリ帰還信号を第2帰還信号として出力する状況があるので、アセンブリ帰還信号の全部または一部は、第2 LIDAR入力信号として機能することができ、また、第2 LIDAR入力信号は、システム帰還信号からの光を含むか、またはそれらから構成される。従って、LIDAR出力信号及び第2 LIDAR入力信号は、異なる光路に沿ってLIDARアダプターとLIDARチップとの間で移動する。
【0050】
従って、アセンブリ帰還信号の全部または一部は、第2 LIDAR入力信号として機能することができ、また、第2 LIDAR入力信号は、システム帰還信号からの光を含むか、またはそれから構成される。従って、LIDAR出力信号及び第2 LIDAR入力信号は、異なる光路に沿ってLIDARアダプターとLIDARチップとの間で移動する。
【0051】
偏光分割器116は、偏光ビーム分割器であってもよい。偏光ビーム分割器の一例は、第1帰還信号が第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有さないか実質的に有さず、また、第2帰還信号が第2偏光状態を有するが、第1偏光状態を有さないか実質的に有さないように構成される。前記第1偏光状態及び第2偏光状態は、線形の偏光状態であってもよいが、第2偏光状態は、第1偏光状態とは異なる。例えば、第1偏光状態はTEであって、第2偏光状態はTMであってもよい。または第1偏光状態はTMであって、第2偏光状態はTEであってもよい。いくつかの場合では、レーザ光源は、LIDAR出力信号が第1偏光状態を有するように線形的に偏光することができる。適切なビーム分割器には、ウォラストンプリズム及びMEMベースの偏光ビーム分割器が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
偏光回転子は、第1帰還信号及び/または第2帰還信号の偏光状態を変更するように構成することができる。例えば、
図4に示される偏光回転子118は、第2帰還信号の偏光状態を第2偏光状態から第1偏光状態に変更するように構成することができる。その結果、第2 LIDAR入力信号は、第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有しないかまたは実質的に有しない。従って、第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号はそれぞれ、同じ偏光状態(この例では第1偏光状態)を有する。同じ偏光状態の光を搬送するにもかかわらず、第1 LIDAR 入力信号と第2 LIDAR入力信号は、偏光ビーム分割器を使用した結果、異なる偏光状態に関連付けられる。例えば、第1 LIDAR入力信号は、第1偏光状態で反射された光を搬送し、第2 LIDAR入力信号は、第2偏光状態で反射された光を搬送する。その結果、第1 LIDAR入力信号は第1偏光状態に関連付けられ、第2 LIDAR入力信号は第2偏光状態に関連付けられる。
【0053】
第1 LIDAR入力信号及び第2 LIDAR入力信号は、同じ偏光状態の光を搬送するので、第1 LIDAR入力信号から生じる比較信号は、第2 LIDAR入力信号から生じる比較信号と同じ偏光角を有する。
【0054】
適切な偏光回転子には、偏光保持ファイバーの回転、ファラデー回転子、半波長板、MEMベースの偏光回転子、及び非対称のy分岐を使用する統合光偏光回転子、マッハツェンダー干渉計、及び複合モードの干渉結合器が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
発信LIDAR信号は線形的に偏光されるため、第1参照信号は、第2参照信号と同じ線形的な偏光状態を有することができる。また、LIDARアダプターの構成要素は、第1参照信号、第2参照信号、比較信号、及び第2比較信号がそれぞれ同じ偏光状態を有するように選択することができる。
図4に関連して開示される例では、第1比較信号、第2比較信号、第1参照信号、及び第2参照信号はそれぞれ、第1偏光状態の光を有することができる。
【0056】
以上のように構成した結果、第1処理ユニット20が生成する第1複合信号及び第2処理ユニット40が生成する第2複合信号は、それぞれ同じ偏光状態の参照信号と比較信号とを組み合わせることから生じ、従って、該参照信号と比較信号との間に所望の拍動を提供する。例えば、前記複合信号は、第1偏光状態の第1参照信号と第1比較信号とを組み合わせることから生じ、第2偏光状態の光を排除するか、または実質的に排除する。または、前記複合信号は、第2偏光状態の第1参照信号と第1比較信号とを組み合わせることから生じ、第1偏光状態の光を排除するか、または実質的に排除する。同様に、第2複合信号は、同じ偏光状態の第2参照信号と第2比較信号を含み、従って、該参照信号と比較信号との間に所望の拍動を提供する。例えば、第2複合信号は、第1偏光状態の第2参照信号と第2比較信号とを組み合わせることから生じ、第2偏光状態の光を排除するか、または実質的に排除する。または、第2複合信号は、第2偏光状態の第2参照信号と第2比較信号とを組み合わせることから生じ、第1偏光状態の光を排除するか、または実質的に排除する。
【0057】
図4のLIDARアダプターは、受動光学部品を含む他の光学部品を含むことができる。例えば、LIDARアダプターは、任意の第3レンズ126を含むことができる。第3レンズ126は、所望の位置で第2 LIDAR出力信号を結合するように構成することができる。いくつかの場合では、第3レンズ126は、第2 LIDAR出力信号を所望の位置に集束または視準する。例えば、第3レンズ126は、第2比較導波路38のファセット36上に第2 LIDAR出力信号を集束または視準するように構成することができる。LIDARアダプターは、ミラー及びプリズム等の1つまたは複数の方向変更要素124も含む。
図4は、循環器100からの第2帰還信号を第2比較導波路36のファセット38及び/または第3レンズ126に再誘導する方向変更要素124としてのミラーを含むLIDARアダプターを示している。
【0058】
LIDARチップは、1つまたは複数の光信号の光路を制限する1つまたは複数の導波路を含む。LIDARアダプターは導波路を含むことができるが、信号がLIDAR アダプター上の構成要素間及び/またはLIDARチップとLIDARアダプター上の構成要素間で移動する光路は、自由空間であってもよい。例えば、前記信号は、LIDARアダプター上の異なる構成要素の間及び/またはLIDARアダプター上の構成要素とLIDARチップとの間で移動するときに、LIDARチップ、LIDARアダプター、及び/またはベース102が配置される自由空間を通って移動することができる。その結果、該アダプター上の構成要素は、ベース102に取り付けられた個別の光学要素であってもよい。
【0059】
LIDARシステムがLIDARチップ及びLIDARアダプターを含む場合、該LIDARチップ、LIDARアダプター、及び電子機器の全部または一部が共通マウント128に配置されるLIDARアセンブリに該LIDARチップ、電子機器、及び該LIDARアダプターを含めることができる。適切な共通マウント128には、ガラス板、金属板、シリコン板、及びセラミック板が含まれるが、これらに限定されない。一例として、
図5は、共通マウント128上に
図1のLIDARチップ及び電子機器32と、
図3のLIDARアダプターとを含むLIDARシステムの平面図である。別の例として、
図6は、共通マウント128上に
図2のLIDARチップ及び電子機器32と、
図4のLIDARアダプターとを含むLIDARシステムの平面図である。
【0060】
図5及び
図6は、共通マウント128上に配置された電子機器32を示しているが、電子機器の全部または一部を共通マウント128から離して配置することができる。光源10がLIDARチップから離れて配置される場合、該光源は、共通マウント128上または共通マウント128から離れて配置することができる。共通マウント128上にLIDARチップ、電子機器、及び/またはLIDARアダプターを取り付けるための適切な手法には、エポキシ、はんだ、及び機械的クランプが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
図5及び
図6のLIDARシステムは、少なくとも部分的に共通マウント128から離れて配置された1つまたは複数のシステム構成要素を含むことができる。適切なシステム構成要素の例には、光リンク、ビーム成形要素、偏光状態回転子、ビームステアリング要素、光分割器、光増幅器、及び光減衰器が含まれるが、これらに限定されない。例えば、
図5及び
図6のLIDARシステムは、アダプターからアセンブリ出力信号を受信し、成形信号を出力する1つまたは複数のビーム成形要素130を含むことができる。1つまたは複数のビーム成形要素130は、成形信号に所望の形状を与えるように構成することができる。例えば、1つまたは複数のビーム成形要素130は、集束、発散、または視準された成形信号を出力するように構成することができる。
図5及び
図6では、1つまたは複数のビーム成形要素130は、視準された成形信号を出力するように構成されたレンズである。
【0062】
図5及び
図6のLIDARシステムは、成形信号を受信し、回転信号を出力する1つまたは複数の偏光回転子132を含むことができる。いくつかの場合では、1つまたは複数の偏光回転子132は、成形信号の偏光状態をn*90°+45°(nは、0または偶数の整数である)回転させるように構成される。適切な偏光回転子132には、ファラデー回転子等の非相互の偏光回転子が含まれるが、これに限定されない。
【0063】
図5及び
図6のLIDARシステムは、1つまたは複数の偏光回転子132から回転信号を受信し、システム出力信号を出力する1つまたは複数のビームステアリング要素134を任意に含むことができる。例えば、
図5及び
図6は、偏光回転子132から回転信号を受信するビームステアリング要素134を示している。電子機器は、前記システム出力信号を異なるサンプル領域135に操縦するように、1つまたは複数のビームステアリング要素134を操作することができる。該サンプル領域は、LIDARシステムから離れて、信頼できるLIDARデータを提供するようにLIDARシステムが構成されている最大距離まで拡大できる。前記サンプル領域をつなぎ合わせて、視野を定義するができる。例えば、LIDARシステムの視野は、サンプル領域の組み合わせによって占められる空間を含むか、またはその空間から構成される。
【0064】
適切なビームステアリング要素には、可動ミラー、MEMSミラー、光フェーズドアレイ(OPA)、光格子、作動光格子、及びLIDARチップ、LIDARアダプター、及び/または共通マウント128を移動させる駆動装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
システム出力信号が、LIDARシステム及びLIDARの外側に位置する物体136によって反射されると、反射光の少なくとも一部がシステム帰還信号として該LIDARシステムに戻る。LIDARシステムが1つまたは複数のビームステアリング要素134を含む場合、1つまたは複数のビームステアリング要素134は、物体136からシステム帰還信号の少なくとも一部を受信することができる。1つまたは複数の偏光回転子132は、物体136からまたは1つまたは複数のビームステアリング要素134からシステム帰還信号の少なくとも一部を受信することができる。1つまたは複数の偏光回転子132は、回転された帰還信号を出力することができる。1つまたは複数のビーム成形要素130は、1つまたは複数の偏光回転子132から回転された帰還信号を受信し、アダプターによって受信されたアセンブリ帰還信号を出力する。
【0066】
1つまたは複数の偏光回転子132が成形信号の偏光状態をn*90°+45°(n は、0または偶数の整数)だけ回転するように構成される場合、1つまたは複数の偏光回転子132が相互的ではない場合、該1つまたは複数の偏光回転子132は、回転された帰還信号の偏光状態がシステム帰還信号の偏光状態に対してn*90°-45°だけ回転されるように、システム帰還信号の偏光状態を回転させる。その結果、回転された帰還信号の偏光状態は、前記成形信号の偏光状態に対してn*180°+90°(nは、0または偶数の整数)だけ変更される。従って、アセンブリ帰還信号の偏光状態は、該アセンブリ出力信号の偏光状態に対してn*180°+90°(nは、0または偶数の整数)だけ増加する。例えば、アセンブリ出力信号がTEの第1偏光状態を有する場合、アセンブリ帰還信号は、TMの第2偏光状態を有する。あるいは、アセンブリ出力信号がTMの第2偏光状態を有する場合、アセンブリ帰還信号は、TEの第1偏光状態を有する。
【0067】
図5及び
図6のLIDARシステムは、光信号をアダプターから、LIDARチップから、及び/または共通マウント上の1つまたは複数の構成要素から、1つまたは複数のシステム構成要素に搬送する任意の光リンク138を含む。例えば、
図5及び
図6のLIDARシステムは、アセンブリ出力信号をビーム成形要素130に搬送するように構成された光ファイバーを含む。光リンク138を使用することにより、システム出力信号の発生源をLIDARチップから離れた場所に配置することが可能になる。図示の光リンク138は、光ファイバーであるが、他の光リンク138を使用することができる。適切な光リンク138には、自由空間の光リンク及び導波路が含まれるが、これらに限定されない。LIDARシステムが光リンクを排除する場合、1つまたは複数のビーム成形要素130は、アセンブリ出力信号をアダプターから直接に受信することができる。
【0068】
図7Aから
図7Bは、上記のLIDARシステムにおける処理ユニット20及び/または処理ユニット40として使用するのに適した処理ユニット138の一例を示している。処理ユニット138は、比較導波路150から比較信号寄与を受信し、参照導波路152から参照信号寄与を受信する。
図7Aの比較導波路150は、
図1の比較導波路16を表すことができ、一方、
図7Aの参照導波路152は、
図1の参照導波路24である。あるいは、
図7Aの比較導波路150は、
図2の比較導波路16を表すことができ、一方、
図7Aの参照導波路152は、
図2の参照導波路24である。従って、処理ユニット138は、比較信号寄与として第1比較信号を受信し、参照信号寄与として第1参照信号を受信することができる。あるいは、
図7Aの比較導波路150は、
図2の第2比較導波路36を表し、一方、
図7Aの参照導波路152は、
図2の第2参照導波路44を表すことができる。従って、処理ユニット138は、比較信号寄与として第2比較信号を受信し、参照信号寄与として第2参照信号を受信することができる。
【0069】
比較導波路150は、比較信号寄与を光結合要素154に搬送する。参照導波路152は、参照信号寄与を光結合要素154に搬送する。該光結合要素154は、比較信号寄与及び参照信号寄与を複合信号に結合する。比較信号寄与と参照信号寄与との間の周波数の違いにより、複合信号は、比較信号寄与と参照信号寄与との間で拍動する。
【0070】
光結合要素154はまた、結果として得られる複合信号を第1検出器導波路156及び第2検出器導波路158に分割する。第1補助検出器導波路156は、複合信号の第1部分を第1電気信号に変換する第1光センサー160に複合信号の第1部分を搬送する。第2検出器導波路158は、複合信号の第2部分を第2電気信号に変換する第2光センサー162に複合信号の第2部分を搬送する。適切な光センサーの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0071】
いくつかの場合では、光結合要素154は、複合信号の第1部分に含まれる比較信号寄与が、複合信号の第2部分における比較信号寄与に対して180°位相シフトされるが、複合信号の第2部分における参照信号寄与が、複合信号の第 1 部分における参照信号寄与と同相であるように、複合信号を分割する。あるいは、光結合要素154は、複合信号の第1部分における参照信号寄与が、複合信号の第2部分における参照信号寄与に対して180°位相シフトされるが、複合信号の第1部分における比較信号寄与が、複合信号の第2部分における比較信号の部分と同相であるように、複合信号を分割する。適切な光センサーの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0072】
図7Bは、処理ユニット138における電子機器と光センサーとの関係の概略図を提供する。フォトダイオードの記号は、第1光センサー160及び第2光センサー162を表すために使用されるが、1つまたは複数のこれらのセンサーは、他の構造を有することができる。いくつかの場合では、
図7Bの概略図に示されている全ての構成要素は、LIDARチップに含まれる。いくつかの場合では、
図7Bの概略図に示されている構成要素は、LIDARチップとLIDARチップから離れて配置された電子機器との間に分配される。
【0073】
電子機器62は、第1光センサー160を第2光センサー162と接続して、平衡検出器164とすることができる。例えば、電子機器は、
図7Bに示されるように、第1光センサー160を第2光センサー162と直列に接続することができる。第1光センサー160と第2光センサー162との間の直列な接続は、平衡検出器からの出力をデータ信号として搬送する。該データ信号は、センサー出力線166上で搬送され、また、複合信号の電気的表現として機能することができる。
【0074】
電子機器62は、データ信号に対して数学的変換を実行するように構成された変換機構168を含む。該変換機構168は、センサー出力線166からデータ信号を受信するアナログ・デジタル変換器(ADC)170を含む。該アナログ・デジタル変換器(ADC)170は、データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換し、デジタルデータ信号を出力する。デジタルデータ信号は、データ信号のデジタル表現である。
【0075】
変換機構168は、前記デジタルデータ信号を受信するように構成された数学的演算要素172を含む。該数学的演算要素172は、受信したデジタルデータ信号について数学的演算を実行するように構成される。適切な数学的演算の例には、フーリエ変換等の数学的変換が含まれるが、これに限定されない。一例では、前記数学的演算要素172は、デジタル信号についてフーリエ変換を実行して、時間領域から周波数領域に変換する。前記数学的変換は、実際の高速フーリエ変換(FFT)等の実際の変換であり得る。該実際の高速フーリエ変換(FFT)は、振幅を周波数の関数として示す出力を提供することができる。その結果、高速フーリエ変換の出力におけるピークは、発生して、かつ/または拍動信号の拍動周波数の正解を示すことができる。前記数学的演算要素172は、ファームウェア、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して、帰属された関数を実行することができる。
【0076】
電子機器は、変換要素168から出力を受信するLIDARデータ生成器174を含む。該LIDARデータ生成器174は、変換要素168の出力の周波数におけるピークを識別するために、変換要素168の出力に対してピーク検出を実行することができる。LIDARデータ生成器174は、識別されたピークにおける周波数を、比較信号の全部または一部が参照信号の全部または一部に対して拍動することからそれぞれ生じる拍動信号の拍動周波数として扱う。LIDARデータ生成器174は、識別された拍動周波数を、LIDAR出力信号及び/またはシステム出力信号の周波数パターンと組み合わせて使用して、LIDARデータを生成することができる。
【0077】
図7Bに示されるように、データ信号を搬送するセンサー出力線166は、任意選択で増幅器176を含むことができる。適切な増幅器176には、トランスインピーダンス増幅器(TIA)が含まれるが、これに限定されない。
【0078】
図7Cは、LIDAR出力信号及びそれによるシステム出力信号の適切な周波数パターンの一例を示す実線を有する。従って、該実線は、参照信号の周波数パターンも表す。
図7Cは、cycle
j及びcycle
j+1と標記された一連の2つのサイクルにわたる周波数対時間パターンを示している。いくつかの場合では、該周波数対時間パターンは、
図7Cに示すように各サイクルで繰り返される。図示のサイクルは、再配置期間を含まず、かつ/または再配置期間は、サイクル間で配置されない。その結果、
図7Cは、視野内の複数の異なるサンプル領域に対するシステム出力信号を連続スキャンした結果を示している。
【0079】
各サイクルは、それぞれ期間指数kに関連付けられ、DP
kと標記されたK個のデータ期間を含む。
図7Cの例では、各サイクルは、2つのデータ期間を含む(k=1及び2)。いくつかの場合では、前記周波数対時間パターンは、
図7Cに示すように、異なるサイクルで互いに対応するデータ期間で同じである。対応するデータ期間は、同じ期間指数を持つデータ期間である。その結果、各データ期間DP
1は、同じチャネル指数(i)の対応するデータ期間と考えることができ、関連する周波数対時間パターンは、
図7Cと同じである。サイクルの終わりに、電子機器は、周波数を前のサイクルを開始したときと同じ周波数レベルに戻す。
【0080】
各データ期間中、システム出力信号の周波数は、一定の速度で変化する。該速度は、ゼロであってもよいが、各サイクルのデータ期間の少なくとも一部では、システム出力信号がゼロ以外の速度で変化する。周波数変化の方向及び/または速度は、同じサイクルからのデータ周期の変化で変化する。例えば、データ期間DP1及びデータ期間DP2の間、電子機器は、システム出力信号の周波数が線形的な速度αで変化するように光源を動作させる。データ期間DP1における周波数変化の方向は、データ期間DP2における周波数変化の方向と逆である。
【0081】
同じサイクル内の2つ以上の異なるデータ期間からの拍動周波数(f
LDP)を組み合わせて、LIDARデータを生成することができる。例えば、
図7CのDP
1から測定された拍動周波数を、
図7CのDP
2から測定された拍動周波数と組み合わせて、サンプル領域の LIDARデータを測定することができる。一例として、電子機器が
図7Cのデータ期間DP
1で発生するように、データ期間中に発信LIDAR信号の周波数を増加させるデータ期間中に次の式が適用される:f
ub = -f
d +ατ (ここでf
ubは、数学的演算要素172の出力から測定される拍動周波数であり、f
dは、ドップラーシフト(f
d = 2νf
c/c)を表し、ここで、f
cは、光周波数(f
o)を表し、cは、光の速度を表し、νは、反射物体からLIDARシステムに向かう方向を正の方向と仮定した、反射物体とLIDARシステムの間の視線速度であり、また、cは、光速である)。電子機器が
図7Cのデータ期間DP
2で発生するように、発信 LIDAR信号の周波数を低下させるデータ期間中に次の式が適用される:f
db = -f
d -ατ(ここで、f
dbは、数学的演算要素172の出力から測定される拍動周波数である)。これらの 2つの方程式では、f
d とτは未知数である。電子機器は、該2つの方程式を該2つの未知数について解く。次に、サンプル領域の視線速度は、ドップラーシフト((ν= c*f
d/(2f
c)) から測定され、かつ/またはそのサンプル領域の分離距離は、c*f
d/2から測定することができる。LIDARデータは、変換によって出力された対応する周波数ペアごとに生成できるため、サンプル領域内の物体ごとに個別のLIDARデータを生成することができる。従って、電子機器は、視野における単一のサンプル領域の単一サンプリングから、複数の視線速度及び/または複数の視線分離距離を測定することができる。
【0082】
図8Aは、LIDARシステムが偏光回転子118、偏光分割器116、及び1つまたは複数の偏光回転子132を排除するときに発生できる数学的演算要素172からの出力の一例を示している。特に、
図8Aは、偏光回転子118及び1つまたは複数の偏光回転子132を排除するLIDARシステムにおいてデジタルデータ信号に対してフーリエ変換を実行する数学的演算要素172によって出力され得る振幅対周波数関数を示している。この図示の振幅対周波数関数には、システムピーク及び標的ピークと標記されたピークが含まれる。標的ピークのそれぞれは、LIDARシステムの外部にある物体によるシステム出力信号の反射に関連する拍動周波数で発生する。図示の例では、サンプル領域には、それぞれがシステム出力信号を反射する2つの異なる物体が含まれる。その結果、各標的ピークは、物体の異なる1つに由来する。
【0083】
前記システムピークは、信号がLIDARシステムを通過するように設計されたLIDAR経路を通過せずに、発信LIDAR信号からの誤誘導された光が複合信号に含まれる結果として発生する。LIDAR経路を通過せず、発信LIDAR信号からの光は、誤誘導された信号と見なすことができる。いくつかの場合では、誤誘導された信号が LIDAR アセンブリまたは LIDARシステムから離れない。従って、誤誘導された信号からの光は、しばしばシステム出力信号に含まれない。その結果、誤誘導された光からの光は、多くの場合、サンプル領域にある物体によって反射されない。
【0084】
誤誘導された信号の発生源(誤誘導の発生源)の例には、反射、LIDARシステム内の光学構成要素間のクロストーク、及びLIDARシステムの構成要素によって散乱された光が含まれるが、これらに限定されない。
図8B は、
図5のLIDARシステムであり、誤誘導の発生源としてそれぞれ機能できる望ましくない光の反射の例を示すために表記されている。例えば、
図8Bには、SPBと標記された破線が含まれている。該破線は、1つまたは複数のビーム成形要素130におけるアセンブリ出力信号の反射を表すことができる。反射信号は、適切に反射されたシステム帰還信号からの光であるかのように、LIDARシステムを通過して戻ることができる。その結果、該反射信号は、処理ユニット20に搬送され、比較信号に含まれることができる。そして、前記反射信号は、
図8AでSPBと標記されたシステムピークの発生源になり得る。
【0085】
図8Bはまた、別の誤誘導された信号の経路の一部を示すSPAと標記された矢印を含む。SPAと標記された矢印は、LIDAR出力信号とアセンブリ帰還信号の間のクロストークを表すことができる。循環器100は、このクロストークの発生源になり得る。結果として生じるクロストーク信号は、適切に反射されたシステム帰還信号からの光であるかのように、LIDARシステムを通過する誤誘導された信号として機能することができる。その結果、該反射信号は、処理ユニット20に搬送され、比較信号に含まれることができる。そして、前記誤誘導された信号は、
図8AでSPAと標記されたシステムピークの発生源になり得る。
【0086】
図8Aから明らかなように、システムピークは、変換機構168の出力におけるノイズを表す。また、
図8AでTPAと標記された標的ピークは、
図8BでTPBと標記された標的ピークよりもLIDARシステムの近くに位置する物体に起因する。結果として、システムピークは、LIDARシステムに近い物体の変換機構168の出力における信号対ノイズ比(SNR)を低下させることができる。
【0087】
1つまたは複数の偏光回転子132及び偏光分割器116は、変換機構168の出力における信号対ノイズ比(SNR)を増加させるように配置される。以上の議論から明らかなように、LIDARシステムは、光源信号からの光の一部が、光源から LIDARシステムの外部に位置する反射物体まで、及び該反射物体から偏光分割器116まで、及び該偏光分割器116から処理ユニット20まで、LIDAR経路上に移動するLIDAR信号として機能するように設計されている。前記LIDAR経路は、ユーティリティ導波路12、比較導波路、LIDAR出力信号、アセンブリ出力信号、システム出力信号、システム帰還信号、アセンブリ帰還信号、及びLIDAR入力信号等の信号が移動する経路を含むことができる。
【0088】
また、光源信号からの光の1つまたは複数の誤誘導された部分はそれぞれ、誤誘導された信号として機能することができる。誤誘導された光信号は、それぞれ、光源から誤誘導の発生源の1つに、次いで偏光分割器116に延伸する異なる誤誘導された経路の上で移動することができる。
図8Bにおける標記SPA及びSPBから明らかなように、それぞれの誤誘導の発生源は、LIDAR経路に沿って移動している誤誘導された信号の1つが、LIDAR経路の全長で移動することから転換されるというLIDAR経路の特徴である。いくつかの場合では、LIDARシステムは、誤誘導された信号の少なくとも1つが、
図8BのSPBと標記された矢印で示されているように、LIDAR信号が送信される表面によって反射されるように、かつ/または、誤誘導された信号の少なくとも1つが、
図8BでAPSと標記された矢印で示されているように、LIDARシステムにおける異なる構成要素間のクロストークを搬送するように構築される。
【0089】
図1から
図6の文脈で説明された光信号は、LIDAR信号の異なる部分及び1つまたは複数の誤誘導された信号からの寄与を有し得る。例えば、発信LIDAR信号は、LIDAR信号からの寄与及び1つまたは複数の誤誘導された信号からの寄与を搬送することができる。同様に、アセンブリ帰還信号は、LIDAR 信号からの寄与及び1つまたは複数の誤誘導された信号からの寄与を有し得る。
【0090】
1つまたは複数の偏光回転子132は、比較信号経路に沿って、1つまたは複数の誤誘導された光の発生源の後に配置される。その結果、LIDAR信号は、1つまたは複数の偏光回転子132に遭遇する前に、1つまたは複数の誤誘導の発生源に遭遇する。対照的に、誤誘導された信号は、誤誘導の発生源の1つによって誤誘導された結果として、1つまたは複数の偏光回転子132には遭遇しない。
【0091】
上記のLIDARシステムは、1つまたは複数の偏光回転子132によって複数回受信されるLIDAR信号を示しているが、該LIDARシステムは、光の比較部分が1つまたは複数の偏光回転子132によって一度に受信されるように構成することができる。例えば、1つまたは複数のビームステアリング要素134は、システム帰還信号が、1つまたは複数の偏光回転子132によって受信されることなく、1つまたは複数のビーム成形要素130に誘導されるように構成することができる。結果として、1つまたは複数の偏光回転子132は、LIDAR信号の偏光状態を1回または複数回変更するように構成することができる。
【0092】
1つまたは複数の偏光回転子132の最後のものから偏光分割器116まで移動し、LIDAR信号を受信するLIDAR信号の部分は、回転されたLIDAR信号として機能することができる。従って、偏光分割器116は、回転されたLIDAR信号を受信する。誤誘導の発生源から偏光分割器116に移動する誤誘導された信号の部分は、ノイズ信号として機能することができる。従って、偏光分割器116は、ノイズ信号を受信する。
【0093】
1つまたは複数の偏光回転子132は、回転されたLIDAR信号がノイズ信号とは異なる偏光状態を有するように選択される。偏光分割器116は、偏光状態の相違を使用して、回転されたサンプルとノイズ信号を分離する。
図8Bに示されたように、回転されたLIDAR信号は、処理ユニット20に渡されるが、一方、ノイズ信号は、使用せず、または破棄することができる。
【0094】
上記のLIDARシステムでは、偏光回転子118は、偏光分割器116から回転されたLIDAR信号を受信する。偏光回転子118は、複合信号を形成するために結合される比較信号の部分及び参照信号の部分が同じ偏光状態を有するように選択することができる。例えば、偏光回転子118は、処理ユニット20によって受信されたときに比較信号及び参照信号が同じ偏光状態を有するように、回転されたLIDAR信号をさらに回転させるように選択することができる。
【0095】
可能な偏光状態の一例を
図8Bに示す。
図8Bでは、単一方向に移動する信号を示す矢印のそれぞれが、その信号によって主に搬送される偏光状態で標記されている。
図8Bでは、複数の方向に移動する信号を示す矢印には、図示の方向に移動する信号によって主に搬送される偏光状態を示す矢印が付いている。 いくつかの場合では、信号によって主に搬送される偏光状態は、該信号によって搬送される唯一の偏光状態である。
【0096】
レーザからの光は、典型的には線形的に偏光される。その結果、発信LIDAR信号も通常は線形的に偏光される。その結果、
図8Bの例では、光源10は、TMの偏光状態を有する光源信号を出力することができるが、TEの第1偏光状態を有する光源信号を出力する。LIDAR信号は、偏光回転子132を2回通過し、それらの回転の合計により、LIDAR信号の偏光状態がTEからTMに変化する。
【0097】
LIDAR信号の偏光状態のこの回転は、誤誘導の発生源(SPA及びSPB)の後に発生するので、偏光分割器116は、ノイズ信号(両方ともTEの誤誘導された信号)とは異なる偏光状態(TM)でLIDAR信号を受信する。その結果、偏光分割器116は、LIDARデータを生成するために使用されるLIDAR信号からノイズ信号(誤誘導された信号)を排除するフィルターとして機能する。また、偏光回転子118は、LIDAR信号の偏光状態を変更し、参照信号の偏光状態(TE)と一致させる。
【0098】
図8Cは、LIDARシステムが偏光回転子118、偏光分割器116、及び1つまたは複数の偏光回転子132を含む場合の数学的演算要素172からの出力を示す。その結果、
図8Cは、誤誘導された信号の全部または一部がLIDAR信号から排除される場合の数学的演算要素172からの出力を示す。
図8Aから明らかなように、システムピークは、標的ピークよりも高い振幅を有することができる。その結果、振幅は信号パワーに比例して関係するため、誤誘導された信号は、それぞれLIDAR信号よりも高いパワーを有することができる。これは、LIDAR信号がLIDARシステムを離れ、物体による拡散反射の結果としてLIDARシステムに戻る間に、LIDARシステム内にとどまる誤誘導された信号の結果であり得る。
図8Cに示されているように、LIDAR信号から誤誘導された信号を排除することで、誤誘導された信号の振幅をLIDAR信号の振幅以下に低下させることができる。その結果、この排除することにより、誤誘導された信号のパワーをLIDAR信号のパワー以下に低下させることができる。
図8Cは、システムピークからのいくらかの振幅を示している。これは、反射等の誤誘導の発生源によっても、誤誘導された信号の一部の偏光状態が変化し得るためである。この偏光状態の変化により、誤誘導された信号の一部が、処理ユニットに到達することができる。
【0099】
図6のLIDARシステムは、第2処理ユニット40を含む。該第2処理ユニット40は、
図8Bの文脈において使用せず、または破棄されると説明された、誤誘導された信号のノイズ信号部分を受信する。しかし、前記第2処理ユニット40は、LIDAR信号の一部を受信することもできる。例えば、物体によるシステム出力信号の反射は、システム帰還信号の全ての部分の偏光角を変化させ得る。従って、LIDAR信号は、異なる偏光状態の光を反射物体から遠ざけるように搬送することができる。例えば、LIDAR信号の第1部分及びLIDAR信号の第2部分は、異なる偏光状態の光を含むことができる。その結果、偏光分割器116は、LIDAR信号をLIDAR信号の第1部分とLIDAR信号の第2部分とに分割することができる。LIDAR信号の第1部分は、第1処理ユニット20に誘導され、LIDAR信号の第2部分は、第2処理ユニット40に誘導される。その結果、第2処理ユニット40は、LIDAR信号の一部を受信することができ、ノイズ信号も受信することができる。対照的に、処理ユニット20は、LIDAR信号の一部を受信するが、ノイズ信号を受信せず、または、第2処理ユニット40によって受信されるレベルよりも低いノイズ信号のレベルを受信する。いくつかの場合では、第2処理ユニット40によって受信されるノイズ信号のパワーは、処理ユニット20によって受信されるノイズ信号のパワーの5倍、10倍、または100倍を超える。
【0100】
第1処理ユニット20によって受信されるLIDAR信号の部分は、第1比較信号として機能し、第2処理ユニット40によって受信されるLIDAR信号の部分は、第2比較信号として機能することができる。電子機器62は、第2処理ユニット40からの出力を使用して、LIDARデータを生成することができる。その結果、電子機器は、第1処理ユニット20の出力から第1 LIDARデータ結果を生成し、第2処理ユニット40の出力から第2 LIDARデータ結果を生成することができる。その結果、
図6のLIDARシステム構成では、視野内の単一のサンプル領域のLIDARデータが、サンプル領域からの複数の異なる複合信号(即ち、第1複合信号及び第2複合信号)から生成され得る。
【0101】
いくつかの場合では、サンプル領域のLIDARデータを測定することは、異なる複合信号(即ち、第1複合信号及び第2複合信号)からのLIDARデータ結果を組み合わせる電子機器を含む。LIDARデータを結合することは、異なる複合信号から生成されたLIDARデータの平均値、中央値、またはモードを取ることを含むことができる。例えば、電子機器は、複合信号から測定されたLIDARシステムと反射物体との間の距離を、第2複合信号から測定された距離で平均することができ、かつ/または、電子機器は、複合信号から測定されたLIDARシステムと反射物体との間の視線速度を、第2複合信号から測定された視線速度で平均することができる。
【0102】
いくつかの場合では、サンプル領域のLIDARデータを測定することは、電子機器が1つまたは複数の複合信号(即ち、第1複合信号及び/または第2複合信号)を最も現実を表すLIDARデータ(代表的なLIDARデータ)の発生源として識別することを含む。次に、電子機器は、識別された複合信号からのLIDARデータを、追加の処理に使用される代表的なLIDARデータとして使用できる。例えば、電子機器は、より大きな振幅を有する信号(第1複合信号または第2複合信号)を、代表的なLIDARデータを有するものとして識別することができ、識別された信号からのLIDARデータを、LIDARシステムによるさらなる処理のために使用することができる。いくつかの場合では、電子機器は、代表的なLIDARデータを有する複合信号を識別することを異なるLIDAR信号からのLIDARデータを組み合わせることと組み合わせる。例えば、電子機器は、代表的なLIDARデータを有するものとして振幅閾値を超える振幅を有する複合信号のそれぞれを識別することができ、3つ以上の複合信号が代表的なLIDARデータを有するものとして識別される場合、電子機器は、識別された複合信号のそれぞれからLIDARデータを組み合わせることができる。1つの複合信号が代表的なLIDARデータを有するものとして識別される場合、電子機器は、その複合信号からのLIDARデータを代表的なLIDARデータとして使用することができる。複合信号のいずれも代表的なLIDARデータを有するものとして識別されない場合、電子機器は、それらの複合信号に関連付けられたサンプル領域のLIDARデータを破棄することができる。
【0103】
LIDARチップに適したプラットフォームには、シリカ、リン化インジウム、及びシリコン・オン・インシュレータ・ウェーハが含まれるが、これらに限定されない。
図9は、シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハから構築されたチップの一部の断面図である。シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェーハは、基板312と光透過媒体314との間に埋め込み層310を含む。シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハでは、埋め込み層310は、シリカであり、一方、基板312及び光透過媒体314は、シリコンである。SOIウェーハ等の光学プラットフォームの基板312は、LIDARチップ全体のベースとして機能することができる。例えば、
図1~
図2のLIDARチップ上に示される光学部品は、基板312の上または頂部及び/または横面に配置することができる。
【0104】
図9は、シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハから構築されたLIDARチップでの使用に適した導波路構造を含むLIDARチップの一部の断面図である。光透過媒体のリッジ316は、該光透過媒体のスラブ領域318から離れて延伸する。光信号は、リッジ316の頂部と埋込み酸化物層310との間に拘束される。
【0105】
リッジ導波路の寸法は、
図9に表記されている。例えば、リッジは、wと標記された幅及びhと標記された高さを有する。スラブ領域の厚さは、Tと標記される。LIDAR応用では、他の応用で使用されるよりも高いレベルの光パワーを使用する必要があるため、これらの寸法は、他の寸法よりも重要になり得る。リッジの幅(wと標記される)は、1μmより大きく、4μm未満であり、リッジの高さ(hと標記される)は、1μmより大きく、4μm未満であり、スラブ領域の厚さは、0.5μmより大きく、3μm未満である。これらの寸法は、導波路の直線部分または実質的に直線部分、導波路の湾曲部分、及び導波路のテーパー部分に適用することができる。従って、導波路のこれらの部分は、単一モードになる。しかし、いくつかの場合では、これらの寸法は、導波路の直線部分または実質的に直線部分に適用する。さらにまたは代わりに、導波路の湾曲部分は、導波路の湾曲部分における光損失を低減するために、減少したスラブの厚さを有することができる。例えば、導波路の湾曲部分は、厚さが0.0μm以上0.5μm未満のスラブ領域から離れて延伸するリッジを有することができる。上記の寸法は、一般に導波路の直線部分または実質的に直線部分を単一モード構造で提供するが、複合モードのテーパー部分及び/または湾曲部分をもたらすことができる。複合モードのジオメトリと単一モードのジオメトリ間の結合は、高次モードを実質的に励起しないテーパーを使用して行うことができる。従って、導波路は、導波路で搬送される信号が、複合モード寸法を有する導波路セクションで搬送される場合でも単一モードで搬送されるように構成することができる。
図9の文脈で開示された導波路構造は、
図1~
図2に従って構築されたLIDARチップ上の導波路の全部または一部に適している。
【0106】
LIDARチップ上の導波路とインターフェースされる光センサーは、該チップから分離され、次いで該チップに取り付けられる構成要素であり得る。例えば、光センサーは、フォトダイオードまたはアバランシェフォトダイオードであり得る。適切な光センサー構成要素の例には、限定はしないが、日本の浜松市にある浜松によって製造されたInGaAs PINフォトダイオード、または日本の浜松市にある浜松によって製造されたInGaAs APD(アバランシェフォトダイオード)が含まれる。これらの光センサーは、LIDARチップの中央に配置することができる。あるいは、光センサーで終端する導波路の全部または一部は、チップの端に位置するファセットで終端することができ、また、光センサーは、該光センサーが該ファセットを通過する光を受信するように、該ファセット上でチップの端に取り付けることができる。チップとは別個の構成要素である光センサーの使用は、第1光センサー及び第2光センサーからなる群から選択される光センサーの全部または一部に適している。
【0107】
別個の構成要素である光センサーの代替として、光センサーの全部または一部は、チップと一体化することができる。例えば、シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハから構築されたチップ上のリッジ導波路とインターフェースされた光センサーの例は、Optics Express Vol.15, No.21, 13965-13971(2007);米国特許第8,093,080号(2012年1月10日発行);米国特許第8,242,432号(2012年8月14日発行)、及び米国特許第6,108,472号(2000年8月22日発行)に見出すことができ、その各々の全体が本明細書に組み込まれる。チップと一体化された光センサーの使用は、第1光センサー及び第2光センサーからなる群から選択される光センサーの全部または一部に適している。
【0108】
ユーティリティ導波路12とインターフェースされる光源10は、LIDARチップから分離され、その後LIDARチップに取り付けられるレーザチップであり得る。例えば、光源10は、フリップチップ構成を使用してチップに取り付けられるレーザチップであり得る。フリップチップ構成の使用は、光源10がシリコン・オン・インシュレータ・ウェーハから構築されたチップ上のリッジ導波路とインターフェースされる場合に適している。あるいは、ユーティリティ導波路12は、外部キャビティレーザの反射器として機能するブラッグ格子等の光学格子(図示せず)を含むことができる。これらの例では、光源10は、LIDARチップから分離され、その後フリップチップ構成でLIDARチップに取り付けられる利得要素を含むことができる。シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハから構築されたチップ上のフリップチップ利得要素とリッジ導波路との間の適切なインターフェースの例は、米国特許第9,705,278号(2017年7月11日発行)及び米国特許第5,991,484号(1999年11月23日発行)に見出すことができ、その各々の全体が本明細書に組み込まれる。光源10が利得要素またはレーザチップである場合、電子機器は、利得要素またはレーザキャビティを通して印加される電流のレベルを変更することによって、発信LIDAR信号の周波数を変更することができる。
【0109】
適切な電子機器は、アナログ電気回路、デジタル電気回路、プロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンピュータ、マイクロコンピュータ、または上記の操作、監視、及び制御の機能を実行するのに適した組み合わせを含むことができるが。これらに限定されない。いくつかの場合では、コントローラは、操作、制御、及び監視の機能の実行中に該コントローラによって実行される命令を含むメモリにアクセスできる。電子機器は、単一の場所にある単一の構成要素として示されているが、電子機器は、互いに独立し、かつ/または異なる場所に配置される複数の異なる構成要素を含むことができる。また、上述のように、開示された電子機器の全部または一部は、チップと一体化された電子機器を含むチップ上に含めることができる。
【0110】
光源10は、LIDARチップ上に配置されているように示されているが、光源は、LIDARチップの外に配置することができる。例えば、LIDARチップは、光ファイバーから発信LIDAR信号を受信することができる。
【0111】
本発明の他の実施形態、組み合わせ、及び改変は、これらの教示を考慮して、当業者には容易に想起されるであろう。従って、本発明は、上記の明細書及び添付の図面と併せて見たときに、全てのそのような実施形態及び改変を含む以下の請求項によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】