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特表2023-553624心臓弁ステント及びそれで構成される人工心臓弁構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】心臓弁ステント及びそれで構成される人工心臓弁構造
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535526
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 CN2021135962
(87)【国際公開番号】W WO2022121872
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011463945.9
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522406632
【氏名又は名称】山前(珠▲海▼)生物材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘニフォード、リャン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA26
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC12
4C097SB03
4C097SB09
(57)【要約】
心臓弁ステント及びそれで構成される人工心臓弁構造である。心臓弁ステントは、ステント本体(1)と、固定部と、固定部に接続された弾性伸縮部と、を含み、弾性伸縮部の固定部から離れた一端が可動端である接合部材(2)と、を含む。ステント構造の設計を最適化させることにより、ステントに取り付けられた人工心臓弁の耐用年数を延ばし、また、比較的低弾性の材料を使用して、従来技術におけるより高弾性の材質による弁の性能と同等の効果を果たすことができ、さらに、リーフレットユニット(31)をより小さい外力でより素早く閉じることを可能にし、効果が顕著である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁ステントであって、
ステント本体(1)と、
固定部と、前記固定部に接続された弾性伸縮部と、を含み、前記弾性伸縮部の、前記固定部から離れた一端が可動端である接合部材(2)と、を含む、ことを特徴とする心臓弁ステント。
【請求項2】
前記接合部材(2)は長尺状である、ことを特徴とする請求項1に記載の心臓弁ステント。
【請求項3】
前記弾性接合部材(2)が元の状態にある場合、前記接合部材(2)の中心軸線がステント本体(1)の中心軸線と平行である、ことを特徴とする請求項2に記載の心臓弁ステント。
【請求項4】
前記弾性伸縮部は、人工心臓弁(3)の隣接する2つのリーフレットの間の接続部であるリーフレット接合部に接続され、
前記弾性伸縮部の長さが、リーフレット接合部の長さと同じであり、及び/又は、前記接合部材(2)の数が、リーフレット接合部の数と同じであり、各リーフレット接合部に1つの接合部材(2)が固定されている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の心臓弁ステント。
【請求項5】
前記接合部材(2)は、生体適合性を有する弾性材質で構成されている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓弁ステント。
【請求項6】
前記固定部と前記弾性伸縮部は一体成形される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓弁ステント。
【請求項7】
前記弾性伸縮部は、ステント本体(1)の軸方向において前記ステント本体(1)の外に伸びる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓弁ステント。
【請求項8】
前記弾性伸縮部の横断面は長方形である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓弁ステント。
【請求項9】
人工心臓弁構造であって、
請求項1~8のいずれか1項に記載の心臓弁ステントと、
リーフレットユニット(31)と、リーフレットユニット(31)を一体に固定する縫合リング(32)と、を含み、リーフレットユニット(31)の隣接する2つのリーフレットの間の接続部が人工心臓弁(3)のリーフレット接合部である人工心臓弁(3)と、を含み、前記弾性伸縮部はリーフレット接合部に接続される人工心臓弁構造。
【請求項10】
人工心臓弁構造であって、
ステント本体(1)と、
リーフレットユニット(31)と、リーフレットユニット(31)を一体に固定する縫合リング(32)と、を含み、リーフレットユニット(31)の隣接する2つのリーフレットの間の接続部が人工心臓弁(3)のリーフレット接合部である人工心臓弁(3)と、
固定部と、固定部に接続された弾性伸縮部と、を含み、前記固定部が縫合リング(32)に接続され、前記弾性伸縮部がリーフレット接合部に接続される接合部材(2)と、を含む、ことを特徴とする人工心臓弁構造。
【請求項11】
前記人工心臓弁(3)は編地であり、前記接合部材(2)は前記編地内に設けられる、ことを特徴とする請求項10に記載の人工心臓弁構造。
【請求項12】
前記接合部材(2)の固定部はステント本体(1)と縫合リング(32)との間に位置する、ことを特徴とする請求項10に記載の人工心臓弁構造。
【請求項13】
前記接合部材(2)は長尺状であり、中心軸線がステント本体(1)の中心軸線と平行であり、前記弾性伸縮部の長さが、リーフレット接合部の長さと同じである、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の人工心臓弁構造。
【請求項14】
前記接合部材(2)の数がリーフレット接合部の数と同じであり、各リーフレット接合部に1つの接合部材(2)が固定されている、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の人工心臓弁構造。
【請求項15】
前記接合部材(2)は、生体適合性を有する弾性材質で構成されている、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の人工心臓弁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療器械の分野に関し、具体的には、心臓弁ステント及びそれで構成される人工心臓弁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルを介して送達される人工心臓弁ステントはほとんど、薄肉管材からレーザーで切断されたり、細い金属線で作られたりする金属素子のみで構成され、この金属素子を用いて所望の形状をさらに構築する。心臓弁を人工心臓弁ステントに固定して組み立てることにより、人工心臓弁構造が得られ、上記のようにステントを心臓弁に組み立てることにより、内径が14Frまで小さな小型カテーテルで心臓弁を送達することもでき、さらに、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の効果的な実施を効果的に実現する。
【0003】
人工心臓弁構造の組み立てにおいて、動物由来組織は天然弁組織と類似した弾力性を有するため、動物由来組織は通常、リーフレットに代わる材料として用いられ、組織心臓弁を構成する。しかし、通常「天然」材料と見なされる動物由来組織は、長期耐久性の面で制限性があり、これらの制限性は学術文献及び臨床使用実践とデータセットに完全な記録がある。したがって、動物由来組織である心臓弁を用いた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は、通常60歳未満の患者には推奨されない。
【0004】
長期耐久性の制限を解消するために、その解決策の1つは、高い耐久性と生体適合性を有することが知られている合成材料をリーフレット材料の代わりに使用することである。しかし、動物由来組織に基づく代替材料と比較すると、その高い強度と疲労寿命により理想的な材料となっているが、ほとんどの材料の弾性が小さく、これらの材料の低弾性により心臓リーフレット用途での使用が制限されてしまう。特に従来技術で考慮された大多数のリーフレットの設計は、すべて天然弁の解剖学的形状と機能を複製することを目的としており、リーフレットユニットは開閉の2つの状態を有し、心臓弁ステントはリーフレット材料よりも硬い。そのため、リーフレットユニットが閉状態にある時、リーフレットユニットと心臓弁膜ステントの間の相互に接続されたリーフレット接合部には一定の循環荷重が生じて、その耐用年数が影響を受ける。
【0005】
例えば、米国特許US10524902 B2に開示されている心臓弁は、天然組織よりも明らかに小さい弾性を有するリーフレット材料を開示している。リーフレットユニットと心臓弁ステントとの間の組立方法は具体的には以下の通りであり、リーフレットユニットは複数のリーフレットと縫合リングとを一体成形することにより構成され、このリーフレットユニットにおける隣接する2つのリーフレットの間にはリーフレット接合部があり、このリーフレット接合部は縫合リングに直接固定され、縫合リングを介して心臓弁ステントに固定される。上記の構造はただ天然弁の解剖学的形状と機能を模倣して複製したものだけであり、この場合、この文献US10524902 B2に記載されたすべての設計では、リーフレット接合部と縫合リングの間の固定位置に応力集中が存在し、弁の耐用年数が大幅に制限されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本願が解決しようとする技術的課題は、従来技術の構造設計により弁の耐用年数が大幅に制限されてしまうという欠陥を解消するために、リーフレット接合部と縫合リングとの間の固定位置に集中する応力を効果的に減少させ、耐用年数を延ばすステント及びそれで構成される人工心臓弁構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
心臓弁ステントであって、
ステント本体と、
固定部と、前記固定部に接続された弾性伸縮部と、を含み、前記弾性伸縮部の、前記固定部から離れた一端が可動端である接合部材と、を含む。
【0008】
前記接合部材は長尺状である。
【0009】
前記弾性接合部材が元の位置にある場合、前記接合部材の中心軸線がステント本体の中心軸線と平行である。
【0010】
前記弾性伸縮部は、人工心臓弁の隣接する2つのリーフレットの間の接続部であるリーフレット接合部に接続され、
前記弾性伸縮部の長さが、リーフレット接合部の長さと同じであり、及び/又は、前記接合部材の数が、リーフレット接合部の数と同じであり、各リーフレット接合部に1つの接合部材が固定されている。
【0011】
前記接合部材は、生体適合性を有する弾性材質で構成されている。
【0012】
前記固定部と前記弾性伸縮部は一体成形される。
【0013】
前記弾性伸縮部は、ステント本体の軸方向において前記ステント本体の外に伸びる。
【0014】
前記弾性伸縮部の横断面は長方形である。
【0015】
人工心臓弁構造であって、
上記の心臓弁ステントと、
リーフレットユニットと、リーフレットユニットを一体に固定する縫合リングと、を含み、リーフレットユニットの隣接する2つのリーフレットの間の接続部が人工心臓弁のリーフレット接合部である人工心臓弁と、を含み、前記弾性伸縮部はリーフレット接合部に接続される。
【0016】
人工心臓弁構造であって、
ステント本体と、
リーフレットユニットと、リーフレットユニットを一体に固定する縫合リングと、を含み、リーフレットユニットの隣接する2つのリーフレットの間の接続部が人工心臓弁のリーフレット接合部である人工心臓弁と、
固定部と、固定部に接続された弾性伸縮部と、を含み、前記固定部が縫合リングに接続され、前記弾性伸縮部がリーフレット接合部に接続される接合部材と、を含む。
【0017】
前記人工心臓弁は編地であり、前記接合部材は前記編地内に設けられる。
【0018】
前記接合部材の固定部はステント本体と縫合リングとの間に位置する。
【0019】
前記接合部材は長尺状であり、中心軸線がステント本体の中心軸線と平行であり、前記弾性伸縮部の長さが、リーフレット接合部の長さと同じである。
【0020】
前記接合部材の数が、リーフレット接合部の数と同じであり、各リーフレット接合部に1つの接合部材が固定されている。
【0021】
前記接合部材は、生体適合性を有する弾性材質で構成されている。
【発明の効果】
【0022】
本願の技術的解決手段は以下の利点がある。
【0023】
1.本願による心臓弁ステントでは、接合部材が増設されており、この接合部材の固定部はステント本体に固定され、その弾性伸縮部は、一端が固定部に接続され、前記固定部から離れた一端が可動端となり、この可動端は、人工心臓弁のリーフレット接合部に接続されるためのものである。上記の構造の構成によれば、本実施例のステントを使用する場合、ステント本体に接続される人工心臓弁のリーフレット接合部に対して、一定の移動マージンを提供することができ、それにより、ステント本体に固定された縫合リングとリーフレット接合部との間の固定位置に集中する応力を減少させ、固定位置での応力を接合部材全体に分散させ、心臓弁ステントに取り付けられた人工心臓弁の耐用年数を大幅に延ばす。
【0024】
また、本願の構造は、リーフレット接合部と接合部材との間の弾性伸縮部を弁の中心に向かってオフセットさせることもでき、これにより、応力を減少させて、耐用年数を延ばすだけではなく、弾性が小さい材料を用いてリーフレットユニットを製造し、従来技術におけるより高弾性の材質で製造されるリーフレットユニットによる効果と同等の弁の性能を達成させることができ、また、リーフレットユニットをより少ない外力でより素早く閉じることを可能にし、効果が顕著である。
【0025】
2.本願は、本願で改良した心臓弁ステントを備え、上記の心臓弁ステントと同じ効果を達成させ得る人工心臓弁構造をさらに提供する。
【0026】
3.本願は、別の人工心臓弁構造を提供し、具体的には、人工心臓弁を編んで成形する過程でリーフレットユニットのリーフレット接合部に接合部材を直接編む又は縫合することによって、従来の構造のステント本体に固定したときに、本願における心臓弁ステントの上記の効果を果たすだけでなく、リーフレット接合部の厚さを効果的に増大することができ、それにより、人工心臓弁のステント本体への位置決めをより容易にし、後続の組み立て作業に利便性をもたらし、組み立てるのにかかる時間を低減させ、組み立て効率を高める。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用する必要がある図面について簡単に説明するが、以下の説明における図面が本願の一部の実施形態であり、当業者にとって創造的な努力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできることは明らかである。
【0028】
図1】本願における人工心臓弁がステントに取り付けられた後に人工心臓弁が開状態にある場合の構造概略図である。
図2図1に示す構造の上面図である。
図3】本願における人工心臓弁がステントに取り付けられた後に人工心臓弁が閉状態にある場合の構造概略図である。
図4図3に示す構造の上面図である。
図5】本願において接合部材が人工心臓弁のリーフレット接合部に被覆されたときの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、図面を参照して、本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例が本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力をせずに得る他のすべての実施例は本願の特許範囲に属する。
【0030】
なお、本願の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものに過ぎず、係る装置又は要素は特定の方位を有したり、特定の方位で構成され、動作したりしなければならないことを指示又は暗示するものではなく、したがって、本願を限定するものとして理解されることができない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」という用語は、説明の目的のためだけに使用され、相対的重要性を示すもの又は暗示するものとして理解されることができない。
【0031】
なお、本願の説明において、特に明示的な規定及び限定がない限り、用語「取り付ける」、「連結」、「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、着脱可能接続、又は一体的接続であってもよいし、直接連結、中間媒体を介して間接的に連結するものであってもよい。本願における上記用語の具体的な意味は、当業者にとっては、状況に応じて理解することができる。
【0032】
また、以下に説明する本願の異なる実施形態に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わされてもよい。
実施例1
【0033】
心臓弁ステントは、図1及び図2に示すように、ステント本体1と、接合部材2と、を含む。接合部材2は、固定部と、弾性伸縮部と、を含み、前記弾性伸縮部は、固定部によってステント本体1に接続され、前記弾性伸縮部の前記固定部から離れた一端は可動端であり、前記可動端は、人工心臓弁3のリーフレット接合部に接続されて使用されるためのものである。使用に際しては、前記弾性拉伸部は、元の状態と、可動端がステント本体の中心部位に向かってオフセットされた引張状態と、を有する。
【0034】
本実施例では、接合部材2が増設されており、この接合部材の固定部はステント本体に固定され、その弾性伸縮部は、一端が固定部に接続され、前記固定部から離れた一端が可動端となり、この可動端は、人工心臓弁のリーフレット接合部に接続されるためのものである。上記の構造の構成によれば、本実施例のステントを使用する場合、ステント本体に接続される人工心臓弁のリーフレット接合部に対して、一定の移動マージンを提供することができ、それにより、ステント本体に固定された縫合リングとリーフレット接合部との間の固定位置に集中する応力を減少させ、固定位置での応力を接合部材全体に分散させ、心臓弁ステントに取り付けられた人工心臓弁の耐用年数を大幅に延ばす。
【0035】
また、本実施例の構造を使用すると、破断伸びが20%、10%又は5%未満のリーフレット材料で形成される人工心臓弁3では、リーフレットユニットが閉じられたときに、ステントとリーフレットユニットのリーフレット接合部との間のアンカーポイントが弾性のある接合部材であるため、リーフレット接合部と接合部材2との間の接合部材の弾性伸縮部を弁の中心に向かってオフセットさせることができ、これによって、図3及び図4に示すように、応力を減少させて、耐用年数を延ばすだけではなく、弾性が小さい材料を用いて、従来技術におけるより高弾性の材質による弁の性能と同等の効果を達成させることができ、また、リーフレットユニットをより少ない外力でより素早く閉じることを可能にし、効果が顕著である。
【0036】
本実施例では、この固定部は、ステント本体と同様な環状構造であってもよいし、他の形状の構造であってもよく、ステント本体1に固定して接続されることができる構造であればよい。この弾性伸縮部はリーフレット接合部に接続されるためのものであり、その接続方式は、縫製、接着、溶接又は機械的接続を含むが、これらに限定されない。本実施例では、該弾性伸縮部は長尺状の構造として構成され、隣接する2つのリーフレットの間の継ぎ目に沿って設けられ、すなわち、該弾性伸縮部はリーフレット接合部に固定され、該弾性伸縮部の数がリーフレットユニットのリーフレットの数と同じである。一般的なリーフレットユニットでは、リーフレットは2つ又は3つであり、該弾性伸縮部の数もこれに対応して2つ又は3つとする。
【0037】
構成の1つとしては、本実施例では、該接合部材2は、全体として長尺状とされ、すなわち、固定部と前記弾性伸縮部は一体成形され、該接合部材2の一端は、ステント本体1に固定して接続されるための固定部であり、該接合部材2の他端は可動端を有する弾性伸縮部であり、可動端はリーフレット接合部に接続されるためのものである。大動脈に用いる場合を例にして、該人工心臓弁3は、リーフレットの数が3つである三尖弁であり、この場合、本実施例では、該ステント本体1の接合部材2の数も3つとされる。各リーフレット接合部に1つの接合部材2が固定されている。該弾性伸縮部の可動端は、ステント本体1の軸方向においてステント本体1の先端の位置よりも低くてもよいし、ステント本体1の外に伸びてもよく、本実施例では、前記弾性伸縮部がステント本体の軸方向において前記ステント本体の外に伸びる構成が使用されており、また、図1図4に示すように、前記弾性伸縮部の長さはリーフレット接合部の長さと同じであるように構成されてもよい。
【0038】
本実施例では、人工心臓弁3は、ステント本体1の内部側から接合部材2に固定されてもよく、ステント本体1の外部側から接合部材2に固定されてもよいが、本実施例では、内部側から固定するようにしており、これにより、カテーテルを介して送達される人工心臓弁構造の輪郭を最小にし、器械の肉厚を小さくすることができる。本実施例では、一部の接合部材2の表面が血流に曝さしてもよく、また、一部の接合部材2が人工心臓弁3内に包まれてもよい。包むように取り扱う場合、縫合により弾性伸縮部を人工心臓弁3のリーフレット接合部に縫合して包んでもよく、該方式は、カテーテルを介して送達される輪郭を大きくするが、潜在的な組織反応のリスクをさらに減少させることができ、効果がより優れている。
【0039】
本実施例では、接合部材2は、好ましくは、生体適合性を有する弾性材質、例えば熱可塑性ポリウレタンゴムで構成され、該接合部材2は、押し出し成形や射出成形を通じて、材質を最適化することにより、表面露出によるコラーゲン形成やリーフレット層肥厚などのような組織反応を効果的に低減させることができる。
【0040】
弾性伸縮部のうち中心軸線と垂直な断面を横断面とすれば、最適な弁動態を維持する場合、使用されるステント形状、及び人工心臓弁のリーフレットと心臓弁ステントとの間の接続方式が異なると、該弾性伸縮部の断面の形状もそれに応じて変化する可能性があり、該弾性伸縮部の横断面は円形、角形、多角形、不規則な形状などであってもよい。本実施例では、弾性伸縮部は、断面の形状が長方形とされており、粘着により人工心臓弁のリーフレット接合部に接続されることにより、弁送達輪郭を最小にするという要件が確実に満たされる。
実施例2
【0041】
人工心臓弁構造であって、上記の実施例1における心臓弁ステントと、人工心臓弁3と、を含み、人工心臓弁3は、リーフレットユニット31と、リーフレットユニット31を一体に固定する縫合リング32と、を含み、リーフレットユニット31の隣接する2つのリーフレットの間の接続部は、人工心臓弁3のリーフレット接合部である。
【0042】
人工心臓弁3と心臓弁ステントとの間の接続方式は以下のとおりであり、心臓弁ステントの弾性伸縮部を人工心臓弁3のリーフレット接合部に接続し、また、人工心臓弁3の縫合リング32を心臓弁ステントのステント本体1に固定すればよい。上記の弾性伸縮部とリーフレット接合部との接続方式、及び縫合リング32とステント本体1との間の固定方式は、縫製、接着、溶接又は機械的接続を含むが、これらに限定されない。
実施例3
【0043】
人工心臓弁構造であって、ステント本体1と、人工心臓弁3と、接合部材2と、を含む。人工心臓弁3は、リーフレットユニット31と、リーフレットユニット31を一体に固定する縫合リング32と、を含み、接合部材2は、固定部と、弾性伸縮部と、を含む。リーフレットユニット31の隣接する2つのリーフレットの間の接続部は人工心臓弁3のリーフレット接合部である。接合部材2の固定部は縫合リング32に接続され、接合部材2の弾性伸縮部はリーフレット接合部に接続される。
【0044】
本実施例では、該接合部材2の固定部は、ステント本体1と縫合リング32との間に位置してもよく、該縫合リング32は接合部材2の固定部とステント本体1との間に設けられてもよく、次に、弾性伸縮部と人工心臓弁3のリーフレット接合部とを接続すればよい。
【0045】
具体的には、固定部がステント本体1と縫合リング32との間に位置するようにした場合、接合部材2全体だけを人工心臓弁3の外に露出し、すなわち、接合部材2を人工心臓弁3の外周表面に固定することができ、固定部が縫合リング32に固定して接続され、弾性伸縮部がリーフレット接合部に固定して接続されることを確保すればよく、この場合、人工心臓弁3とステント本体1が固定して接続されると、接合部材2がステント本体1に固定されることを確実に実現することができ、また、該弾性伸縮部は人工心臓弁3を構成する編地内に嵌め込まれてもよく、すなわち、弾性伸縮部は人工心臓弁3のリーフレット接合部に編まれるか、又は縫合されてもよい。この場合、本実施例では、接合部材2は、生体適合性を有する弾性材質で構成されてもよく、これにより、異物に起因する弁内の組織反応を効果的に低減させる。
【0046】
縫合リング32が固定部とステント本体1との間に位置するようにした場合、本実施例では、該接合部材2が縫合リング32を介してステント本体1に接続される構造について詳細に説明し、具体的には、該接合部材2は、まず、人工心臓弁3のリーフレット接合部に固定され、次に、人工心臓弁3の縫合リング32を介してステント本体1に接続される。より具体的には、本実施例では、前記人工心臓弁3は編地であり、接合部材2は長尺状とされており、人工心臓弁3を編むときにリーフレット接合部の内部に縫合されて包まれるか、又は、該接合部材2は単一繊維構造として構成され、人工心臓弁3を編むときに横糸としてリーフレット接合部に編まれており、この横糸は、他の繊維でリーフレットユニットのリーフレット接合部の内部に完全に封入することができ、これにより、高炭素材料による弁内での組織反応を低減させる。
【0047】
この場合、人工心臓弁3のリーフレット接合部には接合部材2が組み込まれており、図5に示すように、該リーフレット接合部の厚さはその分増加し、厚さの増加により、人工心臓弁3のステントへの組み立てがより容易になり、組み立てるのにかかる時間が効果的に短縮される。さらに、該リーフレット接合部の厚さが増加すると、人工心臓弁3を位置決めする時間をより短くし、組み立てられた後のトリミングや縫製作業をより少なくするように効果的に促進し、その後の組立作業を軽減させることもでき、効果がより顕著である。
【0048】
また、本実施例では、図5に示すように、該接合部材2の数がリーフレット接合部の数と同じにされており、各リーフレット接合部に1つの接合部材2が固定されている。さらに、各接合部材2の中心軸線がステント本体1の中心軸線と平行であり、前記弾性伸縮部の長さがリーフレット接合部の長さと同じである。
【0049】
もちろん、上記の実施例は、説明を明確にするための例示に過ぎず、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記の説明に基づいて他の様々な形態の変化又は変更を行うこともできる。ここでは、すべての実施形態を網羅することはしないが、これは、不可能なことでもある。これらから導かれた明らかな変化又は変更も本願の特許範囲内である。
【符号の説明】
【0050】
1-ステント本体
2-接合部材
3-人工心臓弁
31-リーフレットユニット
32-縫合リング
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁ステントであって、
ステント本体(1)と、
固定部と、前記固定部に接続された弾性伸縮部と、を含み、前記弾性伸縮部の、前記固定部から離れた一端が可動端である接合部材(2)と、を含む、ことを特徴とする心臓弁ステント。
【請求項2】
前記接合部材(2)は長尺状である、ことを特徴とする請求項1に記載の心臓弁ステント。
【請求項3】
記接合部材(2)が元の状態にある場合、前記接合部材(2)の中心軸線がステント本体(1)の中心軸線と平行である、ことを特徴とする請求項2に記載の心臓弁ステント。
【請求項4】
前記弾性伸縮部は、人工心臓弁(3)の隣接する2つのリーフレットの間の接続部であるリーフレット接合部に接続され、
前記弾性伸縮部の長さが、リーフレット接合部の長さと同じであり、及び/又は、前記接合部材(2)の数が、リーフレット接合部の数と同じであり、各リーフレット接合部に1つの接合部材(2)が固定されている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の心臓弁ステント。
【請求項5】
前記接合部材(2)は、生体適合性を有する弾性材質で構成されている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓弁ステント。
【請求項6】
前記固定部と前記弾性伸縮部は一体成形される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓弁ステント。
【請求項7】
前記弾性伸縮部は、ステント本体(1)の軸方向において前記ステント本体(1)の外に伸びる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓弁ステント。
【請求項8】
前記弾性伸縮部の横断面は長方形である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の心臓弁ステント。
【請求項9】
人工心臓弁構造であって、
請求項1~のいずれか1項に記載の心臓弁ステントと、
リーフレットユニット(31)と、リーフレットユニット(31)を一体に固定する縫合リング(32)と、を含み、リーフレットユニット(31)の隣接する2つのリーフレットの間の接続部が人工心臓弁(3)のリーフレット接合部である人工心臓弁(3)と、を含み、前記弾性伸縮部はリーフレット接合部に接続される人工心臓弁構造。
【請求項10】
人工心臓弁構造であって、
ステント本体(1)と、
リーフレットユニット(31)と、リーフレットユニット(31)を一体に固定する縫合リング(32)と、を含み、リーフレットユニット(31)の隣接する2つのリーフレットの間の接続部が人工心臓弁(3)のリーフレット接合部である人工心臓弁(3)と、
固定部と、固定部に接続された弾性伸縮部と、を含み、前記固定部が縫合リング(32)に接続され、前記弾性伸縮部がリーフレット接合部に接続される接合部材(2)と、を含む、ことを特徴とする人工心臓弁構造。
【請求項11】
前記人工心臓弁(3)は編地であり、前記接合部材(2)は前記編地内に設けられる、ことを特徴とする請求項10に記載の人工心臓弁構造。
【請求項12】
前記接合部材(2)の固定部はステント本体(1)と縫合リング(32)との間に位置する、ことを特徴とする請求項10に記載の人工心臓弁構造。
【請求項13】
前記接合部材(2)は長尺状であり、中心軸線がステント本体(1)の中心軸線と平行であり、前記弾性伸縮部の長さが、リーフレット接合部の長さと同じである、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の人工心臓弁構造。
【請求項14】
前記接合部材(2)の数がリーフレット接合部の数と同じであり、各リーフレット接合部に1つの接合部材(2)が固定されている、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の人工心臓弁構造。
【請求項15】
前記接合部材(2)は、生体適合性を有する弾性材質で構成されている、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の人工心臓弁構造。
【国際調査報告】