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特表2023-553627衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリ
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  • 特表-衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/34 20060101AFI20231218BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20231218BHJP
   B29C 65/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B60R19/34
F16F7/00 B
F16F7/00 K
B29C65/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535560
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021084292
(87)【国際公開番号】W WO2022122601
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2013010
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ、ダ、コスタ、ピト
(72)【発明者】
【氏名】アリ、ケズマネ
【テーマコード(参考)】
3J066
4F211
【Fターム(参考)】
3J066AA02
3J066BA03
3J066BB01
3J066BC01
3J066BF01
3J066BF11
4F211AA05
4F211AA11
4F211AA25
4F211AA28
4F211AA29
4F211AA31
4F211AA45
4F211AD16
4F211AH17
4F211AR12
4F211AR13
4F211TA03
4F211TA08
(57)【要約】
本発明は、バンパービームと、前記バンパービーム(2)と自動車のサイドレール(3)との間に配置される少なくとも1つのエネルギー吸収装置(1)と、を備える衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリ(10)であって、クラッシュボックスとも称される前記エネルギー吸収装置は、プラスチック材料からなる本体と、複合材料から構成された少なくとも1つのインサート(12)と、を備え、前記複合材料は、プラスチック材料と、前記インサートの前記プラスチック材料に埋設された補強フィラーと、からなり、前記プラスチック本体と前記複合インサートとは、特に溶接、接着剤結合、または熱形成により接続し、前記インサートは、前記吸収装置の破断の開始を支援するように配置された機械的に脆弱性の領域(15)を備える、アセンブリに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパービームと、前記バンパービーム(2)と自動車のサイドレール(3)との間に配置される少なくとも1つのエネルギー吸収装置(1)と、を備える衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリ(10)であって、
クラッシュボックスとも称される前記エネルギー吸収装置は、プラスチック材料からなる本体と、複合材料から構成された少なくとも1つのインサート(12)と、を備え、
前記複合材料は、プラスチック材料と、前記インサートの前記プラスチック材料に埋設された補強フィラーと、からなり、
前記プラスチック本体と前記複合インサートとは、接合しており、
前記インサートは、前記吸収装置の破断の開始を促進するように配置された機械的に脆弱性の領域(15)を備える、
アセンブリ。
【請求項2】
前記インサートの前記脆弱性の領域(15)は、前記インサートに形成されたスロット(16)を備える、
請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記スロット(16)は、空である、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記スロット(16)は、充填材料、特にプラスチック材料を受容する、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記スロット(16)は、任意の円形形状、多角形形状、または湾曲形状を有する、
請求項2~4の一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記インサートは、複合材料のシートから形成される、
請求項1~5の一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記本体は、特に前記プラスチック材料を成形することにより形成された補強リブ(19)を備える、
請求項1~6の一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
複数のインサートが、前記本体に設けられる、
請求項1~7の一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記本体は、周縁部を有し、前記インサートは、前記周縁部の一部に亘ってのみ延びる、
請求項1~8の一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
プラスチック材料からなる本体と、複合材料から構成された少なくとも1つのインサートと、を備えるエネルギー吸収装置であって、
前記複合材料は、プラスチック材料と、前記インサートの前記プラスチック材料に埋設された補強フィラーと、からなり、
前記プラスチック本体と前記複合インサートとは、特に溶接、接着剤結合、または熱形成により接合している、エネルギー吸収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に対する衝突、特に前面衝突の際に保護を提供するのに適した、衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリに関する。
【0002】
自動車のバンパービームに対する衝突、特に正面衝突のエネルギーを吸収するために、衝突により及ぼされる力によって変形するエネルギー吸収装置を使用することが知られている。エネルギー吸収装置は、その強度を理由として、一般に金属材料で構成されている。しかしながら、金属製のエネルギー吸収装置は重量が重く、さらなる軽量化を意図する自動車の進化にそぐわない。
【発明の概要】
【0003】
特に、本発明は、自動車に対する衝突、特に正面衝突した場合の保護を提供するのに適した衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリを改良すること目的とする。
【0004】
したがって、本発明の1つの主題は、バンパービームと、前記バンパービームと自動車のサイドレールとの間に配置される少なくとも1つのエネルギー吸収装置と、を備える衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリであって、クラッシュボックスとも称される前記エネルギー吸収装置は、プラスチック材料からなる本体と、複合材料から構成された少なくとも1つのインサートと、を備え、前記複合材料は、プラスチック材料と、前記インサートの前記プラスチック材料に埋設された補強フィラーと、からなるアセンブリである。
【0005】
例えば、前記プラスチック本体と前記複合インサートとは、特に同一の性質を有する、または適合性を有する材料でオーバーモールドすることにより接合している。
【0006】
好適には、前記インサートは、前記吸収装置の破断の開始を促進するように配置された機械的に脆弱性の領域を備える。
【0007】
したがって、本発明により、特に正面衝突した場合に、バンパーより後方の車両の部分にダメージを与えない態様において、力のピークに達することなく、衝突中の衝突エネルギーの最大量を吸収することができる。このため、事故や衝突があった場合の修理コストを低減できる。
【0008】
脆弱性の領域が存在することにより、破断の開始点として機能することにより、予期せぬ衝突時に生じ得る力のピークが、回避/低下され得る。
【0009】
本発明の実現は、追加のコストを伴わず、製造工場で容易に実施され得る。
【0010】
本発明の態様の1つによれば、前記インサートの前記脆弱性の領域は、前記インサートに形成されたスロットを備える。
【0011】
本発明の態様の1つによれば、前記スロットは、空である。換言すれば、このスロットは、インサートの穴に対応する。
【0012】
本発明の態様の1つによれば、前記スロットは、充填材料、特にプラスチック材料を受容する
【0013】
例えば、この充填材料は、オーバーモールドに使用した材料と同一の材料であって、特に複合材料との適合性を有するものである。例えば、この材料は、PP、PA6、PCまたはPBTである。
【0014】
本発明の態様の1つによれば、充填材料は、インサートの残りの部分に使用される材料と異なる。
【0015】
本発明の態様の1つによれば、充填材料の厚さは、インサートの厚さよりも小さい。
【0016】
本発明の態様の1つによれば、前記スロットは、任意の円形形状、多角形形状、または湾曲形状を有する。
【0017】
本発明の態様の1つによれば、各インサートは、単一の脆弱領域を有する。
【0018】
変形例として、各インサートは、複数の脆弱領域、特に複数のスロットを有する。
【0019】
例えば、スロットは、細長い形状を有する。
【0020】
本発明の態様の1つによれば、前記インサートは、複合材料のシートから形成される。
【0021】
本発明の態様の1つによれば、インサートの補強フィラーは、グラスファイバーからなる。
【0022】
本発明の態様の1つによれば、スロットの充填材料は、本体のプラスチック材料と同一であり得る。
【0023】
本発明の態様の1つによれば、前記本体は、特に前記プラスチック材料を成形することにより形成された補強リブを備える。
【0024】
本発明の態様の1つによれば、複数のインサートが、前記本体に設けられる。
【0025】
本発明の態様の1つによれば、各本体におけるインサートの個数は、2~10、例えば2~6、例えば6であるように選択される。
【0026】
変形例として、単一のインサートが、各本体に設けられる。
【0027】
本発明の態様の1つによれば、各インサートは、本体の2つの補強リブの間に配置される。
【0028】
本発明の態様の1つによれば、単数または複数のインサートが、エネルギー吸収装置の本体の表面上に配置される。
【0029】
本発明の態様の1つによれば、前記本体は、周縁部を有し、前記インサートは、前記周縁部の一部に亘ってのみ延びる。換言すれば、インサートは、その両端部が互いに接合した環状ストリップではない。
【0030】
本発明の別の主題は、プラスチック材料からなる本体と、複合材料から構成された少なくとも1つのインサートと、を備えるエネルギー吸収装置であって、前記複合材料は、プラスチック材料と、前記インサートの前記プラスチック材料に埋設された補強フィラーと、からなり、前記プラスチック本体と前記複合インサートとは、特に溶接、接着剤結合、または熱形成により接合している、エネルギー吸収装置である。
【0031】
上述のプラスチック材料は、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート(PC/PBT)合金、ポリカーボネート(PC)、アクリレート、ポリウレタン、または熱可塑性物質(TPU)であり得る。
【0032】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、以下になされる詳細な説明を読み、添付の概略図面を参照して非限定的に示されるいくつかの例示的な実施形態から、より明確に明らかになるであろう
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の一例によるアセンブリの概略図である。
図2図2は、図1のアセンブリの詳細を概略的かつ部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
自動車には、一般に、前面に配置されたバンパービーム2が装着されている。図1に示すように、このバンパービーム2は、車両の2つのサイドレール3に取り付けられ得る。衝突を吸収するため、かつ衝突からのエネルギーが直接的にサイドレール3や車両の他の部分に直接的に伝達することを防止するため、バンパービーム2は、バンパービーム2と前記バンパービーム2に対面するサイドレール3の端部とを接続するエネルギー吸収装置1に取り付けられている。
【0035】
図1は、バンパービーム2と、バンパービーム2の2箇所における2つのエネルギー吸収装置1であって、当該バンパービーム2と対応するサイドレール3との間に各々配置されたエネルギー吸収装置1と、を備える衝突エネルギーを吸収するためのアセンブリ10を示す。
【0036】
クラッシュボックスとも称される各エネルギー吸収装置1は、プラスチック材料からなる本体11と、複合材料から構成されたインサート12と、を備えている。複合材料は、プラスチック材料と、インサートのこのプラスチック材料に埋設された補強フィラーと、からなる。
【0037】
例えば、インサート12は、カーボンファイバーおよび/またはグラスファイバーからなる。この補強材料は、プラスチック材料に組み込まれている。このプラスチック材料は、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート(PC/PBT)合金、ポリカーボネート(PC)、アクリレート、ポリウレタン、または熱可塑性物質(TPU)であり得る。
【0038】
インサート12は、シートから形成される。
【0039】
本体11は、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート(PC/PBT)合金、ポリカーボネート(PC)、アクリレート、ポリウレタン、または熱可塑性物質(TPU)であり得るプラスチック材料から製造されている。
【0040】
プラスチック製の本体11は、インサート12にオーバーモールドされている。オーバーモールドに使用されるプラスチックは、本体11とインサート12との強力な接着を確保するため、インサートの複合材料が浸透した樹脂と同一の性質を有する、または化学的な適合性を有するものである。
【0041】
本体11は、本体11の残りの部分と一体的に形成された、サイドレール3に取り付けるための装着プレート13を備えている。この装着プレート13は、サイドレール3に取り付けるためのネジ等の取付手段用の穴14を備えている。
【0042】
各インサート12は、エネルギー吸収装置1の破断の開始を促進するように配置された単数または複数の機械的に脆弱性の領域を備えている。
【0043】
インサートの各脆弱領域15は、インサートに形成されたスロット16を備えている。
【0044】
記載例において、領域15のスロット16は空である。換言すれば、各スロット16は、インサートの穴に対応する。
【0045】
一変形例において、スロット16は、充填材料、特にプラスチック材料を受容している。
【0046】
充填材料は、インサート12の残りの部分に使用される材料と異なっている。
【0047】
充填材料の厚さは、インサート12の厚さよりも小さい。
【0048】
各スロット16は、任意の円形形状、多角形形状、または湾曲形状を有している。
【0049】
インサートの1つは、単一の脆弱領域15、または、複数のスロットから形成された複数の脆弱領域15を有し得る。その個数は、2でも3でもそれ以上であってもよい。
【0050】
図3に示すインサート12は、1つのみの脆弱領域15を備えている。
【0051】
例えば、スロット16は、細長い形状を有している。
【0052】
各インサート12は、複合材料のシートから形成されている。
【0053】
各本体11は、プラスチック材料を成形することにより形成された補強リブ19を備えている。これらのリブ19は、十字形状パターン、または別のパターンで配置され得る。
【0054】
各本体におけるインサートの個数は、2~10、例えば2~6、例えば6であるように選択される。
【0055】
例えば、各インサート12は、例えば図2に示すように、本体11の2つの補強リブ19の間に配置される。
【0056】
各インサート12は、エネルギー吸収装置の本体11の表面に配置され、このインサート12の下方に位置するリブ19に当接している。
【0057】
プラスチック製の本体11は、周縁部18を有しており、各インサート12は、この周縁部18の一部に亘ってのみ延びている。換言すれば、インサート12は、その両端部が互いに接合した環状ストリップではない。
【0058】
インサート12は、すべて同一であってもよいし、変形例として異なっていてもよい。この場合、インサート12は、選択的にインサート毎に脆弱領域の個数が異なった状態で、異なる形状を有する。
図1
図2
【国際調査報告】