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特表2023-553631リュードベリ周波数チューニングを備えるエレクトロメータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】リュードベリ周波数チューニングを備えるエレクトロメータ
(51)【国際特許分類】
   H01S 1/06 20060101AFI20231218BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01S1/06
G01R29/08 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535724
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 US2021063815
(87)【国際公開番号】W WO2022133091
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/126,687
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/126,963
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/552,854
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、サド ジー.
(72)【発明者】
【氏名】インホフ、エリック エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジェファーツ、スティーブン ライアン
(57)【要約】
一実施形態は、エレクトロメータシステムを含む。システムは、アルカリ金属原子を内部に含むセンサセルと、少なくとも1つの光ビームをセンサセルを通過するように提供して、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるように構成された光ビームシステムとを含み、少なくとも1つの光ビームは、検出ビームとしてセンサセルから出射する。システムは、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するための所定のチューニング周波数を有するチューニング信号を生成するように構成されたチューニング信号生成器をも含む。システムは、検出ビームをモニタリングして、検出ビームをモニタリングすることに基づいて第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出するように構成された検出システムをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロメータシステムであって、
アルカリ金属原子を内部に含むセンサセルと、
少なくとも1つの光ビームを前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるように構成された光ビームシステムであって、前記少なくとも1つの光ビームは、検出ビームとして前記センサセルから出射する、前記光ビームシステムと、
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するための所定にチューニング周波数を有するチューニング信号を生成するように構成されたチューニング信号生成器と、
前記検出ビームをモニタリングして、前記検出ビームをモニタリングすることに基づいて前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出するように構成された検出システムと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記チューニング信号は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するために、前記第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間の周波数である前記所定のチューニング周波数に設定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記チューニング信号は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するのに十分な出力で供給される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサセルを通過する所定の周波数を有する分割信号であって、前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間の調整されたエネルギー差が前記分割信号の周波数にほぼ等しいときに、前記アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるための前記分割信号を生成するように構成された分割信号生成器をさらに備え、前記検出システムは、前記検出ビームをモニタリングすることに基づいて前記一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化を観察することに応答して前記外部信号を検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記光ビームシステムは、前記少なくとも1つの光ビームの結合ビームの波長を調整する波長チューニング信号を受信して、調整された前記第1のリュードベリエネルギー状態を補償するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
光システムは、
前記センサセルを通過するように第1の方向に照射されるプローブビームを生成するように構成されたプローブレーザであって、前記プローブビームが前記検出ビームとして前記センサセルから出射する、前記プローブレーザと、
前記プローブビームと共線的にかつ逆平行に前記センサセルを通過するように照射されて、前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせる結合ビームを生成するように構成された結合レーザと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記検出システムが、前記センサセルを貫通する軸に沿った前記検出ビームをモニタリングして、前記外部信号を検出するように構成されるように、プローブビームおよび結合ビームをコリメートして、前記プローブビームおよび前記結合ビームを互いに対して共線的にかつ逆平行になるように提供するように構成された光学系をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
エレクトロメータシステムを介して外部信号を検出するための方法であって、
プローブビームを、アルカリ金属原子を含むセンサセルを通過するように第1の方向に照射するステップと、
前記センサセルを通過するように結合ビームを照射して、前記プローブビームおよび前記結合ビームに基づいて前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるステップと、
所定の周波数を有する分割信号を前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるステップと、
所定のチューニング周波数を有するチューニング信号を前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するステップと、
前記センサセルから出射する前記プローブビームに対応する検出ビームをモニタリングして、前記一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化の観測に応答して前記外部信号を検出するステップと、を含む方法。
【請求項11】
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するために、前記所定のチューニング周波数を前記第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間の周波数に設定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態を調整するように前記所定のチューニング周波数を設定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態を調整するように前記所定のチューニング周波数を設定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
波長チューニング信号を前記結合ビームに提供して、前記結合ビームの波長を調整して、調整される前記第1のリュードベリエネルギー状態を補償するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プローブビームおよび前記結合ビームをコリメートして、前記プローブビームおよび前記結合ビームを互いに対して共線的かつ逆平行になるように提供するステップをさらに含み、前記検出ビームをモニタリングすることが、前記センサセルを貫通する軸に沿った前記検出ビームをモニタリングして、前記外部信号を検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
エレクトロメータシステムであって、
アルカリ金属原子を内部に含むセンサセルと、
前記センサセルを通過するように第1の方向に照射されるプローブビームを生成するように構成されたプローブレーザであって、前記プローブビームは、検出ビームとして前記センサセルから出射する、前記プローブレーザと、
前記センサセルを通過するように照射される結合ビームであって、前記プローブビームおよび前記結合ビームに基づいて前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせる前記結合ビームを生成するように構成された結合レーザと、
前記第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するための所定のチューニング周波数を有するチューニング信号を生成するように構成されたチューニング信号生成器と、
前記検出ビームをモニタリングして、前記検出ビームをモニタリングすることに基づいて前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出するように構成された検出システムと、を備えるシステム。
【請求項17】
前記センサセルを通過する所定の周波数を有する分割信号であって、前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間の調整されたエネルギー差が前記分割信号の周波数にほぼ等しいときに、前記アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるための前記分割信号を生成するように構成された分割信号生成器をさらに備え、前記検出システムは、前記検出ビームの強度をモニタリングすることに基づいて前記一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化を観察することに応答して前記外部信号を検出するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
光ビームシステムは、少なくとも1つの光ビームの結合ビームの波長を調整する波長チューニング信号を受信して、調整された前記第1のリュードベリエネルギー状態を補償するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、センサシステムに関し、詳しくは、リュードベリ(Rydberg)周波数チューニングを備えたエレクトロメータ(electrometer)に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロメータによる電界測定は、多くの有用な用途を有する。検出可能な電界は、DC電界、ならびにAC電界(例えば、通信信号に対応し得る無線周波数(RF)場)を含むことができる。電界の検出は、電子戦環境におけるなりすまし防止能力および/または電波妨害対策能力のために実施され得る。例えば、電波妨害信号またはなりすまし信号が検出され得る場合、電波妨害信号またはなりすまし信号は、不所望の干渉または敵対的な干渉なしに目的のベースバンド信号に備えるために、フィルタリングまたは復調され得る。一例として、アレイ状に配置された複数のアンテナは、信号源の検出可能な指向性を提供するなどのために、信号の指向性検出を提供することができる。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、エレクトロメータシステムを含む。システムは、アルカリ金属原子を内部に含むセンサセルと、少なくとも1つの光ビームをセンサセルを通過するように提供して、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるように構成された光ビームシステムとを含み、少なくとも1つの光ビームは、検出ビームとしてセンサセルから出射する。システムは、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するための所定のチューニング周波数を有するチューニング信号を生成するように構成されたチューニング信号生成器をも含む。システムは、検出ビームをモニタリングして、検出ビームをモニタリングすることに基づいて第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出するように構成された検出システムをさらに含む。
【0004】
別の例は、エレクトロメータシステムを介して外部信号を検出するための方法を含む。方法は、プローブビームを、アルカリ金属原子を含むセンサセルを通過するように第1の方向に照射するステップと、結合ビームを、プローブビームと共線的かつ逆平行にセンサセルを通過するように照射して、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるステップとを含む。方法は、所定の周波数を有する分割(splitting)信号をセンサセルを通過するように提供して、アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズ(Autler-Townes)の周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるステップと、所定のチューニング周波数を有するチューニング信号をセンサセルを通過するように提供して、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するステップとをも含む。方法は、センサセルから出射するプローブビームに対応する検出ビームをモニタリングして、一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化の観測に応答して外部信号を検出するステップをさらに含む。
【0005】
別の例は、エレクトロメータシステムを含む。システムは、アルカリ金属原子を内部に含むセンサセルと、センサセルを通過するように第1の方向に照射されるプローブビームを生成するように構成されたプローブレーザとを含み、プローブビームは、検出ビームとしてセンサセルから出射する。システムは、プローブビームと共線的かつ逆平行にセンサセルを通過するように照射されて、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせる結合ビームを生成するように構成された結合レーザと、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するための所定のチューニング周波数を有するチューニング信号を生成するように構成されたチューニング信号生成器とをも含む。システムは、検出ビームをモニタリングして、検出ビームをモニタリングすることに基づいて第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出するように構成された検出システムをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】エレクトロメータシステムの例示的な図を示す。
図2】エレクトロメータシステムの別の例示的な図を示す。
図3】光検出の例示的な図を示す。
図4】エネルギー状態図の一例を示す。
図5】エネルギー状態図の別の例を示す。
図6】エレクトロメータシステムを介して外部信号を検出するための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、概して、センサシステムに関し、詳しくは、リュードベリ周波数チューニングを備えたエレクトロメータに関する。エレクトロメータシステムは、アルカリ金属原子の蒸気を内部に封入した状態で含むセンサセルを含むことができる。また、エレクトロメータシステムは、プローブビームおよび結合ビームをそれぞれ生成するように構成されたプローブレーザおよび結合レーザを含む。プローブビーム及び結合ビームの各々は、一組の光学系を介してセンサセルを通過するように提供される。プローブビームおよび結合ビームは、センサセルを通過して任意の相互に交差する経路をとることができ、プローブビームおよび結合ビームが共線的にかつ互いに逆平行に配置される経路を含むが、これに限定されない。プローブビームは、結合ビームとは反対方向に伝搬してセンサセルから出射することができる。センサセルから出射した後、プローブビームを検出ビームとして独立して調べることができる。プローブビームおよび結合ビームは、アルカリ金属蒸気内の特定の原子を第1のリュードベリエネルギー状態に励起するための個々の周波数および出力にチューニングされ得る。この第1のリュードベリエネルギー状態にある原子の数および特性は、検出ビームの出力および位相を測定することによって決定することができる。例えば、検出ビームの出力が検出ビームの周波数の関数としてプロットされる場合、透過光のピークは、第1のリュードベリエネルギー状態の励起に対応する周波数に対して検出され得る。
【0008】
また、エレクトロメータシステムは、所定の周波数および所定の振幅を有する、センサセルを通過する分割信号を生成するように構成された分割信号生成器を含む。一例として、分割信号生成器は、分割信号の周波数が第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しいときに、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態に対応する周波数スペクトル透過性ピークを、アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークに分割させるように、分割信号を提供することができる。
【0009】
一例として、アウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピーク間の周波数量は、分割信号の振幅に比例する。例えば、外部信号がアルカリ金属原子と相互作用し、外部信号が分割信号と同じ周波数を有する場合、外部信号によってアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピーク間の周波数量を変更することができる。外部信号が到達する前後のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピーク間の周波数分割量を測定することによって、外部信号の振幅を知ることができる。このようにして、第1のリュードベリエネルギー状態と任意の他の第2のリュードベリ状態との間のエネルギーに対応する周波数を有する任意の外部信号を測定することができる。しかしながら、異なる外部信号が測定されるべきであり、かつ異なる外部信号の周波数が第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差に対応しない場合、測定は低下するか又は不可能となる。これらの異なる外部信号を測定するために、第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差は、本明細書で説明されるように、異なる外部信号の周波数に一致するように変更され得る。
【0010】
また、エレクトロメータシステムは、チューニング信号を提供するように構成されたチューニング信号生成器を含む。チューニング信号は、第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整することが可能となるような所定の周波数および振幅で提供されて、調整されたエネルギー差は、分割信号および外部信号の周波数にほぼ等しくなる。従って、分割信号は、規定のアウトラー・タウンズの一対の周波数スペクトル透過性ピークを生じさせることができる。例えば、チューニング信号の所定の周波数は、第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しくすることができるとともに、第1のリュードベリエネルギー状態に対して第2のリュードベリエネルギー状態を調整することができるように、第2および第3のリュードベリエネルギー状態のエネルギー準位を変化させるのに十分な振幅で提供することができる。従って、分割信号にほぼ等しく、従って第1のリュードベリエネルギー状態に対して調整された第2のリュードベリエネルギー状態にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出することができる。
【0011】
エレクトロメータシステムは、検出ビームをモニタリングして外部信号を検出するように構成された検出システムをさらに含む。検出システムは、検出ビームの強度および/または位相をモニタリングすることができるとともに、外部信号の存在に対応する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化を決定することができる光検出器を含み得る。従って、第1および第2のリュードベリエネルギー状態間のエネルギー差をチューニングすることが可能であることによって、エレクトロメータシステムは、離散リュードベリエネルギー状態に基づいて実質的に任意の周波数を有する外部信号を検出するようにチューニングすることができる。
【0012】
図1は、エレクトロメータシステム100の例示的な図を示す。エレクトロメータシステム100は、任意の周波数の外部電磁信号を検出するなどのために、様々な用途のいずれにおいても実施することができる。
【0013】
エレクトロメータシステム100は、アルカリ金属原子の蒸気を含む密封ガラス容器として構成することができるセンサセル102を含む。一例として、アルカリ金属蒸気は、ルビジウム(Rb)、または様々な他の種類のアルカリ金属(例えば、セシウム(Cs))のいずれかとすることができる。本明細書に記載されるように、アルカリ金属蒸気は、リュードベリエネルギー状態に励起されて、アルカリ金属蒸気が、特定の周波数の光の光子の吸収に対して実質的に不感とする(例えば、ほぼ透過である)ようにすることができる。また、エレクトロメータシステム100は、プローブビームOPTPRBを生成するように構成されたプローブレーザ104と、結合ビームOPTCPLを生成するように構成された結合レーザ106とを含む。一例として、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLの各々は、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLがそれぞれ(例えば、光学系を介して)コリメートされ、かつ互いに対して共線的に(collinearly)かつ逆平行に(anti-parallel)提供され得るような方法で、光学系(図示せず)を介してセンサセル102を通過するように提供され得る。しかしながら、アルカリ金属蒸気をリュードベリ状態に刺激するためにプローブビームOPTPRBと結合ビームOPTCPLとを交差させる他の構成を代わりに提供することができる。
【0014】
一例として、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLは、アルカリ金属蒸気が励起されて第1のリュードベリエネルギー状態になるように、アルカリ金属蒸気の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるための個々の周波数にチューニングされ得る。図1の例は単一の結合レーザ106を示しているが、本明細書で説明するように、複数の結合レーザを実装して、異なる周波数の複数の個々の結合ビームOPTCPLを提供して、アルカリ金属蒸気を第1のリュードベリエネルギー状態に励起することができる。プローブビームOPTPRBは、検出ビームOPTDETとしてセンサセル102から出射することができる。図1の例では、結合レーザ106は、本明細書でより詳細に説明されるように、結合ビームOPTCPLの波長をチューニングするように設定された波長チューニング信号TNを受信するものとして示されている。
【0015】
エレクトロメータシステム100は、分割信号RFSPLを生成するように構成された分割信号生成器108をも含む。分割信号RFSPLは、所定の周波数および所定の振幅でセンサセル102を通過するように提供される無線周波数(RF)信号とすることができる。一例として、分割信号生成器108は、分割信号RFSPLの周波数が第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しいときに、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態に対応する周波数スペクトル透過性ピークを、アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークに分割させるように、分割信号RFSPLを提供することができる。分割信号RFSPLは、例えば、本明細書で説明されるように、エレクトロメータシステムによって検出されることが所望される外部信号の周波数に対応する周波数に設定され得る。
【0016】
また、エレクトロメータシステム100は、チューニング信号RFTNを生成するように構成されたチューニング信号生成器110を含む。チューニング信号RFTNは、第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整することが可能となるような所定の周波数および振幅で提供され得る。例えば、チューニング信号RFTNの所定の周波数は、第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しくすることができるとともに、第2および第3のリュードベリエネルギー状態のエネルギー準位の変化を生じさせるのに十分な振幅で提供することができる。その結果、第2のリュードベリエネルギー状態を第1のリュードベリエネルギー状態に対して調整することができる。別の例として、第2のリュードベリエネルギー状態に対して第1のリュードベリエネルギー状態を調整することができる。調整されたエネルギー差は、分割信号RFSPLの周波数にほぼ等しくなり得る。
【0017】
エレクトロメータシステム100は、検出ビームOPTDETをモニタリングして外部信号RFEXTを検出するように構成された検出システム112をさらに含む。検出システム112は、検出ビームOPTDETの強度および/または位相をモニタリングすることができる光検出器を含むことができる。上述したように、分割信号RFSPLは、第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する分割信号RFSPLに応答して、アルカリ金属原子に関連する規定の一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせることができる。従って、第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するチューニング信号RFTNに応答して、分割信号RFSPLは、検出ビームOPTDETの周波数スペクトルにおける規定のアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークを生じさせることができる。従って、検出システム112は、外部信号の存在に対応する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化を決定することができる。その結果、分割信号RFSPLの周波数とほぼ等しい、従って、調整された第2のリュードベリエネルギー状態と第1のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号RFEXTを検出することができる。従って、第1および第2のリュードベリエネルギー状態間のエネルギー差をチューニングすることが可能であることによって、エレクトロメータシステム100は、離散リュードベリエネルギー状態に基づいて実質的に任意の周波数を有する外部信号を検出するようにチューニングされることができる。
【0018】
図2は、エレクトロメータシステム200の別の例示的な図を示す。エレクトロメータシステム200は、外部信号RFEXTの検出を所望する様々な用途のいずれにおいても実施することができる。
【0019】
エレクトロメータシステム200は、アルカリ金属蒸気を含む密封ガラス容器として構成することができるセンサセル202を含む。また、エレクトロメータシステム200は、プローブビームOPTPRBを生成するように構成されたプローブレーザ204と、結合ビームOPTCPLを生成するように構成された結合レーザ206とを含む。プローブビームOPTPRBは、プローブビームOPTPRBをセンサセル202内に反射するように構成されたダイクロイックミラー208に提供される。同様に、結合ビームOPTCPLは、結合ビームOPTCPLをセンサセル202内に反射し、かつ検出システム212によってモニタリングされる検出ビームOPTDETとしてプローブビームOPTPRBを通過させるように構成されたダイクロイックミラー210に提供される。同様に、ビームスプリッタ208は、結合ビームOPTCPLを通過させるように構成される。本明細書でより詳細に説明されるように、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLは、アルカリ金属蒸気の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるための個々の周波数にチューニングされ得る。図2の例は単一の結合レーザ206を示しているが、本明細書で説明するように、複数の結合レーザを実装して、異なる周波数の複数の個々の結合ビームOPTCPLを提供して、アルカリ金属蒸気を第1のリュードベリ状態に励起することができる。
【0020】
ダイクロイックミラー208及び210の配置に基づいて、プローブビームOPTPRB及び結合ビームOPTCPLは、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLは、図2の例ではビームOPTCMBとして示されているように、センサセル202を通過して互いに対して共線的にかつ逆平行になるような方法で、センサセル202を通過するように提供することができる。加えて、エレクトロメータシステム200は、センサセル202内の特定の軸に沿ってプローブビームOPTPRBをコリメートすることができるコリメート光学系214(例えば、レンズ)と、センサセル202内の特定の軸に沿って結合ビームOPTCPLをコリメートすることができるコリメート光学系216(例えば、レンズ)とを含み、それにより、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLの各々のコリメーションを、同一軸に沿って共線的にかつ逆平行に生じさせることができる。代替的に、エレクトロメータシステム200は、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLの各々を、センサセル202内の測定点に共配置されるように集束させるための集束光学系を含むことができる。
【0021】
図2の例では、エレクトロメータシステム200は、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLの周波数をアルカリ金属蒸気の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるための個々の周波数に調整するように構成された較正システム218をも含む。一例として、較正システム218は、プローブビームOPTPRB及び結合ビームOPTCPLの周波数を設定するために較正手順を実施することができる。一例として、プローブビームOPTPRBの周波数は、アルカリ金属蒸気を第1の励起状態に励起するように設定され、結合ビームOPTCPLの周波数は、励起されたアルカリ金属蒸気を第1のリュードベリエネルギー状態に、従って電磁誘導透過性になるように刺激するように設定される。従って、第1のリュードベリエネルギー状態のアルカリ金属原子は、プローブビームOPTPRBの近似周波数の光に対して透過であり得る。
【0022】
エレクトロメータシステム200は、分割信号RFSPLを生成するように構成された分割信号生成器220をも含む。分割信号RFSPLは、所定の周波数および所定の振幅でセンサセル202を通過するように提供されるRF信号であり得る。一例として、分割信号生成器220は、分割信号RFSPLの周波数が第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しいときに、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態に対応する周波数スペクトル透過性ピークを、アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークに分割させるように、分割信号RFSPLを提供することができる。分割信号RFSPLは、例えば、本明細書で説明されるように、エレクトロメータシステムによって検出されることが所望される外部信号の周波数に対応する周波数に設定され得る。
【0023】
図3は、光検出の例示的なダイアグラム300を示す。ダイアグラム300は、エネルギー状態ダイアグラム302と、周波数の関数としてプロットされた検出ビームOPTDETの強度を示すグラフ304とを含む。ダイアグラム300は、エレクトロメータシステム200における光検出に対応し得る。従って、以下の図3の例の説明では、図2の例が参照される。
【0024】
エネルギー状態ダイアグラム302は、アルカリ金属原子が開始し得る第1のエネルギー状態(例えば、基底状態)|1>を示す。一例として、ルビジウム原子の基底状態|1>は、|5S1/2>であり得る。プローブビームOPTPRBに応答して、アルカリ金属原子の集団は、第1の励起状態|2>に励起され得る。一例として、ルビジウム原子に対する第1の励起状態|2>は、プローブビームOPTPRBに対する約780ナノメートルの例示的な波長に基づいて|5P3/2>であり得る。結合ビームOPTCPLに応答して、励起されたアルカリ金属原子の集団は、第1のリュードベリエネルギー状態|3>にさらに励起され得る。従って、第1のリュードベリエネルギー状態|3>のアルカリ金属原子は、プローブビームOPTPRBの近似周波数の光に対して透過であり得る。さらに、上述したように、分割信号RFSPLをセンサセル202に供給することができ、その結果、周波数スペクトルにおけるアルカリ金属原子の透過性ピークがアウトラー・タウンズ分割される。分割信号RFSPLが、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と規定の第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する場合、周波数スペクトルにおけるアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークは、明確に規定されかつ検出可能となり得る。
【0025】
グラフ304は、検出ビームOPTDETの強度を周波数の関数としてプロットしている。図3の例では、グラフ304は、検出ビームOPTDETの強度の約100%の強度を示しており、従って、アルカリ金属蒸気によるプローブビームOPTPRBの光子の吸収は実質的にない。強度は、周波数fs1で減少し始め、周波数fs2での吸収ピークは、アルカリ金属蒸気によるプローブビームOPTPRBの光子の最大吸収に対応し、従って検出ビームOPTDETの最小強度に対応している。最小強度は、図4の例において逆ピークの点線で示されており、これは、結合ビームOPTCPLが存在しないプローブビームOPTPRBの光子の最大吸収に対応する。しかしながら、アルカリ金属蒸気のプローブビームOPTPRB、結合ビームOPTCPL、及び分割信号RFSPLとの相互作用に基づいて、アルカリ金属蒸気は、第1及び第2のリュードベリ状態間の遷移を示すことができる。従って、アルカリ金属蒸気は、周波数スペクトルの最大吸収周波数fs2とほぼ等しくかつ両側にある2つの周波数fs3およびfs4の各々におけるプローブビームOPTPRBの光子の吸収に対して実質的に不感であり得る。
【0026】
従って、ダイアグラム300は、第1のリュードベリエネルギー状態と第2の規定のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する分割信号RFSPLに応答した電磁誘導透過性ピークのアウトラー・タウンズ分割の効果を示す。従って、分割信号RFSPLの周波数にほぼ等しい周波数を有する外部信号RFEXTは、検出ビームOPTDETの周波数スペクトルにおけるアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークの変化をモニタリングすることに基づいて(例えば、検出ビームOPTDETの周波数スペクトルにおけるアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークの互いに対する位置の変化に基づいて)検出することができる。従って、分割信号RFSPLは、ほぼ同じ周波数の外部信号RFEXTを検出することに対応する周波数で提供され得る。しかしながら、そのような検出は、離散リュードベリエネルギー状態に限定される。例えば、分割信号RFSPLが、第1のリュードベリエネルギー状態と別のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差に等しくない周波数で提供される場合、周波数スペクトルにおけるアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークは歪められ、分割信号RFSPLとほぼ等しい周波数の外部信号の検出が困難となるかまたは不可能となる。従って、本明細書で説明されるように、第1のリュードベリエネルギー状態と別のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差に等しくない周波数を有する外部信号RFEXTを検出するために、エレクトロメータシステム200は、第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するように構成される。
【0027】
図2の例に戻って参照すると、エレクトロメータシステム200は、チューニング信号RFTNを生成するように構成されたチューニング信号生成器222をも含む。チューニング信号RFTNは、第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整することが可能となるような所定の周波数および振幅で提供され得る。例えば、チューニング信号RFTNの所定の周波数は、第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しくすることができるとともに、第2および第3のリュードベリエネルギー状態のエネルギー準位の変化を生じさせるのに十分な振幅で提供することができる。調整されたエネルギー差は、分割信号RFSPLの周波数にほぼ等しくすることができ、それによって、実質的に任意の周波数で外部信号RFEXTの検出が可能となる。
【0028】
図4は、一例のエネルギー状態ダイアグラム400を示す。ダイアグラム400は、エレクトロメータシステム200における光検出に対応し得る。従って、以下の図4の例の説明では、図2の例を参照する。
【0029】
エネルギー状態ダイアグラム402は、アルカリ金属原子が開始し得る第1のエネルギー状態(例えば、基底状態)|1>を示す。プローブビームOPTPRBに応答して、アルカリ金属原子の集団は、第1の励起状態|2>に励起され得る。結合ビームOPTCPLに応答して励起されたアルカリ金属原子の集団は、第1のリュードベリエネルギー状態|3>にさらに励起され得る。従って、第1のリュードベリエネルギー状態|3>のアルカリ金属原子は、プローブビームOPTPRBの近似周波数の光に対して透過であり得る。さらに、上述したように、分割信号RFSPLをセンサセル202に供給することができ、その結果、周波数スペクトルにおけるアルカリ金属原子の透過性ピークがアウトラー・タウンズ分割される。図4の例では、分割信号RFSPLは、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と規定の第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差未満の周波数を有する。従って、分割信号RFSPLは、検出されるべき外部信号RFEXTの所望の周波数にほぼ等しい所定の周波数にチュ-ニングされるが、分割信号RFSPLの周波数は、周波数スペクトルにおいて明確に規定されかつ検出可能なアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークを生じさせるのに十分ではない。
【0030】
上述したように、チューニング信号RFTNは、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差を調整するために提供され得る。図4の例では、チューニング信号RFTNは、第2のリュードベリエネルギー状態|4>と第3のリュードベリエネルギー状態|5>との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数で提供される。第3のリュードベリエネルギー状態|5>は、チューニング信号RFTNの周波数を設定することができる第2のリュードベリエネルギー状態|4>に対してエネルギー差を有する任意のリュードベリエネルギー状態であり得る。一例として、チューニング信号RFTNは、第2および第3のリュードベリエネルギー状態|4>および|5>に関連するエネルギーに影響を及ぼすのに十分な振幅で提供され得る。従って、図4の例では、第2および第3のリュードベリエネルギー状態|4>および|5>が調整されて、第2および第3のリュードベリエネルギー状態|4>および|5>に関連するエネルギーがアルカリ金属原子の集団に対して変化するようになる。
【0031】
図4の例では、第2のリュードベリエネルギー状態|4>に関連するエネルギーが、第1のリュードベリエネルギー状態|3>に対してより小さいエネルギーに調整され、従って、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差を減少させるように減少される。この結果、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間の差を、分割信号RFSPLの周波数とほぼ等しくなるように調整することができる。従って、アルカリ金属原子に提供される分割信号RFSPLは、周波数スペクトルにおける明確に規定されかつ検出可能なアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークを生じさせることができる。従って、分割信号RFSPLの周波数にほぼ等しい周波数を有する外部信号RFEXTは、周波数スペクトルにおける明確に規定されかつ検出可能なアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークに基づいて検出され得る。
【0032】
図2の例に戻って参照すると、エレクトロメータシステム200は、検出ビームOPTDETをモニタリングして外部信号RFEXTを検出するように構成された検出システム212をさらに含む。図2の例では、検出システム212は、光検出器224(例えば、フォトダイオード)および検出プロセッサ226を含む。光検出器224は、検出ビームOPTDETの強度及び/又は位相をモニタリングして、検出ビームOPTDETの強度に対応する電圧VDETとして図2の例に示される電気信号を生成することができる。上述したように、分割信号RFSPLは、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と調整された第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する分割信号RFSPLに応答して、アルカリ金属原子に関連する規定の一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせることができる。従って、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差を調整するチューニング信号RFTNに応答して、分割信号RFSPLは、検出ビームOPTDETの周波数スペクトルにおける規定のアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークを生じさせることができる。
【0033】
従って、検出プロセッサ226は、外部信号の存在に対応する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化を決定することができる。従って、検出プロセッサ226は、RFEXTの復調など、外部信号RFEXTに関連する特性を決定することができる。その結果、分割信号RFSPLの周波数にほぼ等しい、従って調整された第2のリュードベリエネルギー状態|4>と第1のリュードベリエネルギー状態|3>との間のエネルギー差とほぼ等しい周波数を有する外部信号RFEXTを検出することができる。従って、第1および第2のリュードベリエネルギー状態間のエネルギー差をチューニングすることが可能であることによって、エレクトロメータシステム200は、離散リュードベリエネルギー状態に基づいて実質的に任意の周波数を有する外部信号を検出するようにチューニングされることができる。
【0034】
本明細書に記載されているように、リュードベリエネルギー状態の相対エネルギー準位は任意であり、第1、第2、および第3のリュードベリエネルギー状態|3>、|4>、および|5>は、任意の順序で互いよりも大きくまたは小さくすることができる。従って、第1のリュードベリエネルギー状態|3>を設定し、チューニング信号RFTNをチューニングして外部信号RFEXTを検出するために、互いの間の既知のエネルギー差の任意のリュードベリエネルギー準位を実施することができる。さらに、図4の例で上述したように、第1のリュードベリエネルギー状態|3>に対して第2のリュードベリエネルギー状態|4>を調整することができる。しかしながら、図5の例においてさらに説明されるように、代わりに、第2のリュードベリエネルギー状態|4>に対して第1のリュードベリエネルギー状態|3>が調整され得る。
【0035】
図5は、一例のエネルギー状態ダイアグラム500を示す。ダイアグラム500は、エレクトロメータシステム200における光検出に対応し得る。従って、図5の例の以下の説明では、図2の例を参照する。
【0036】
エネルギー状態ダイアグラム502は、アルカリ金属原子が開始し得る第1のエネルギー状態(例えば、基底状態)|1>を示す。プローブビームOPTPRBに応答して、アルカリ金属原子の集団は、第1の励起状態|2>に励起され得る。結合ビームOPTCPLに応答して、励起されたアルカリ金属原子の集団は、第1のリュードベリエネルギー状態|3>にさらに励起され得る。従って、第1のリュードベリエネルギー状態|3>のアルカリ金属原子は、プローブビームOPTPRBの近似周波数の光に対して透過であり得る。さらに、上述したように、分割信号RFSPLをセンサセル202に供給することができ、その結果、周波数スペクトルにおけるアルカリ金属原子の透過性ピークがアウトラー・タウンズ分割される。図5の例では、分割信号RFSPLは、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と規定の第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差未満の周波数を有する。従って、分割信号RFSPLは、検出されるべき外部信号RFEXTの所望の周波数にほぼ等しい所定の周波数にチュ-ニングされるが、分割信号RFSPLの周波数は、周波数スペクトルにおいて明確に規定されかつ検出可能なアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークを生じさせるのに十分ではない。
【0037】
上述したように、チューニング信号RFTNは、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差を調整するために提供され得る。図5の例では、チューニング信号RFTNは、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と第3のリュードベリエネルギー状態|5>との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数で提供される。第3のリュードベリエネルギー状態|5>は、チューニング信号RFTNの周波数を設定することができる第1のリュードベリエネルギー状態|3>に対してエネルギー差を有する任意のリュードベリエネルギー状態であり得る。一例として、チューニング信号RFTNは、第1および第3のリュードベリエネルギー状態|3>および|5>に関連するエネルギーに影響を及ぼすのに十分な振幅で提供され得る。従って、図5の例では、第1および第3のリュードベリエネルギー状態|3>および|5>が調整されて、第1および第3のリュードベリエネルギー状態|4>および|5>に関連するエネルギーがアルカリ金属原子の集団に対して変化するようになる。
【0038】
図5の例では、第1のリュードベリエネルギー状態|3>に関連するエネルギーが、第2のリュードベリエネルギー状態|4>に対してより小さいエネルギーに調整され、従って、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間のエネルギー差を減少させるように減少される。この結果、第1のリュードベリエネルギー状態|3>と第2のリュードベリエネルギー状態|4>との間の差を、分割信号RFSPLの周波数とほぼ等しくなるように調整することができる。従って、アルカリ金属原子に提供される分割信号RFSPLは、周波数スペクトルにおける明確に規定されかつ検出可能なアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークを生じさせることができる。従って、分割信号RFSPLの周波数にほぼ等しい周波数を有する外部信号RFEXTは、上述したのと同様に、周波数スペクトルにおける明確に規定されかつ検出可能なアウトラー・タウンズの一対の透過性ピークに基づいて検出され得る。
【0039】
従って、図5の例は、図4の例で逆に示したこととは対照的に、第2のリュードベリエネルギー状態|4>に対して第1のリュードベリエネルギー状態|3>を調整することができることを実証している。しかしながら、図5の例では、第1のリュードベリエネルギー状態|3>は、プローブビームOPTPRBおよび結合ビームOPTCPLによるアルカリ金属原子の励起に基づいて生じるため、結合ビームOPTCPLの周波数は、第1のリュードベリエネルギー状態|3>のエネルギー準位の調整の結果として、オフレゾナンス(off resonance)の第1のリュードベリエネルギー状態|3>となる可能性がある。従って、図1の例において上述した波長チューニング信号TNは、結合ビームOPTCPLの波長をチューニングするため実施され得る。従って、波長チューニング信号TNは、第1のリュードベリエネルギー状態|3>の調整を補償して、関連する第1のリュードベリエネルギー状態|3>におけるアルカリ金属原子の集団の十分な励起を維持するように、結合ビームOPTCPLの波長を調整することができる。従って、第1のリュードベリエネルギー状態|3>がチューニング信号RFTNによって調整されるため、波長チューニング信号TNは、結合ビームOPTCPLの周波数によって必要とされるエネルギーを補償して、アルカリ原子の集団を第1のリュードベリエネルギー状態|3>に維持することができる。
【0040】
上記した構造的および機能的特徴を考慮して、本開示の様々な態様による方法は、図6を参照することにより、よりよく理解されるであろう。いくつかの態様は、本開示によれば、本明細書で示され説明されるものとは異なる順序で、および/または他の態様と同時に発生し得るため、図6の方法は、図示された順序によって限定されないことを理解および諒解されたい。さらに、本実施例の一態様による方法を実施するために、図示された全ての特徴が必要とされるわけではない。
【0041】
図6は、エレクトロメータシステム(例えば、エレクトロメータシステム100)により外部信号(例えば、外部信号RFEXT)を検出するための一例の方法600を示す。602において、プローブビーム(例えば、プローブビームOPTPRB)が、アルカリ金属原子を含むセンサセル(例えば、センサセル102)を通過するように第1の方向に照射される。604において、結合ビーム(例えば、結合ビームOPTCPL)が、プローブビームと共線的にかつ逆平行にセンサセルを通過するように照射されて、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせる。606において、所定の周波数を有する分割信号(例えば、分割信号RFSPL)が、センサセルを通過するように提供されて、アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせる。608において、所定のチューニング周波数を有するチューニング信号(例えば、チューニング信号RFTN)が、センサセルを通過するように提供されて、アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整する。610において、センサセルから出射するプローブビームに対応する検出ビーム(例えば、検出ビームOPTDET)がモニタリングされて、一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化の観測に応答して外部信号を検出する。
【0042】
上記に記載されているのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組み合わせを説明することは可能ではないが、当業者は、本発明のさらに多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の技術思想および範囲内に含まれるそのような全ての変更、修正および変形を包含することが意図されている。加えて、本開示または特許請求の範囲が「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の(a first)」、もしくは「別の(another)」構成要素、またはそれらの均等物を列挙する場合、それは、1つまたは2つ以上のそのような構成要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような構成要素を必要とするわけでも、除外するわけでもない。本明細書で使用される場合、「含む(includes)」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味し、「含んでいる(including)」という用語は、含んでいるがそれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロメータシステムであって、
アルカリ金属原子を内部に含むセンサセルと、
少なくとも1つの光ビームを前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるように構成された光ビームシステムであって、前記少なくとも1つの光ビームは、検出ビームとして前記センサセルから出射する、前記光ビームシステムと、
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するための所定にチューニング周波数を有するチューニング信号を生成するように構成されたチューニング信号生成器と、
前記検出ビームをモニタリングして、前記検出ビームをモニタリングすることに基づいて前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出するように構成された検出システムと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記チューニング信号は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するために、前記第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間の周波数である前記所定のチューニング周波数に設定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記チューニング信号は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するのに十分な出力で供給される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサセルを通過する所定の周波数を有する分割信号であって、前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間の調整されたエネルギー差が前記分割信号の周波数にほぼ等しいときに、前記アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるための前記分割信号を生成するように構成された分割信号生成器をさらに備え、前記検出システムは、前記検出ビームをモニタリングすることに基づいて前記一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化を観察することに応答して前記外部信号を検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記光ビームシステムは、前記少なくとも1つの光ビームの結合ビームの波長を調整する波長チューニング信号を受信して、調整された前記第1のリュードベリエネルギー状態を補償するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
光システムは、
前記センサセルを通過するように第1の方向に照射されるプローブビームを生成するように構成されたプローブレーザであって、前記プローブビームが前記検出ビームとして前記センサセルから出射する、前記プローブレーザと、
前記プローブビームと共線的にかつ逆平行に前記センサセルを通過するように照射されて、前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせる結合ビームを生成するように構成された結合レーザと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記検出システムが、前記センサセルを貫通する軸に沿った前記検出ビームをモニタリングして、前記外部信号を検出するように構成されるように、プローブビームおよび結合ビームをコリメートして、前記プローブビームおよび前記結合ビームを互いに対して共線的にかつ逆平行になるように提供するように構成された光学系をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
エレクトロメータシステムを介して外部信号を検出するための方法であって、
プローブビームを、アルカリ金属原子を含むセンサセルを通過するように第1の方向に照射するステップと、
前記センサセルを通過するように結合ビームを照射して、前記プローブビームおよび前記結合ビームに基づいて前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるステップと、
所定の周波数を有する分割信号を前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるステップと、
所定のチューニング周波数を有するチューニング信号を前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するステップと、
前記センサセルから出射する前記プローブビームに対応する検出ビームをモニタリングして、前記一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化の観測に応答して前記外部信号を検出するステップと、を含む方法。
【請求項11】
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するために、前記所定のチューニング周波数を前記第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間の周波数に設定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態を調整するように前記所定のチューニング周波数を設定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態を調整するように前記所定のチューニング周波数を設定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
波長チューニング信号を前記結合ビームに提供して、前記結合ビームの波長を調整して、調整される前記第1のリュードベリエネルギー状態を補償するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プローブビームおよび前記結合ビームをコリメートして、前記プローブビームおよび前記結合ビームを互いに対して共線的かつ逆平行になるように提供するステップをさらに含み、前記検出ビームをモニタリングすることが、前記センサセルを貫通する軸に沿った前記検出ビームをモニタリングして、前記外部信号を検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
上記に記載されているのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組み合わせを説明することは可能ではないが、当業者は、本発明のさらに多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の技術思想および範囲内に含まれるそのような全ての変更、修正および変形を包含することが意図されている。加えて、本開示または特許請求の範囲が「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第1の(a first)」、もしくは「別の(another)」構成要素、またはそれらの均等物を列挙する場合、それは、1つまたは2つ以上のそのような構成要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような構成要素を必要とするわけでも、除外するわけでもない。本明細書で使用される場合、「含む(includes)」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味し、「含んでいる(including)」という用語は、含んでいるがそれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
エレクトロメータシステムであって、
アルカリ金属原子を内部に含むセンサセルと、
少なくとも1つの光ビームを前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるように構成された光ビームシステムであって、前記少なくとも1つの光ビームは、検出ビームとして前記センサセルから出射する、前記光ビームシステムと、
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するための所定にチューニング周波数を有するチューニング信号を生成するように構成されたチューニング信号生成器と、
前記検出ビームをモニタリングして、前記検出ビームをモニタリングすることに基づいて前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出するように構成された検出システムと、を備えるシステム。
[付記2]
前記チューニング信号は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するために、前記第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間の周波数である前記所定のチューニング周波数に設定される、付記1に記載のシステム。
[付記3]
前記チューニング信号は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するのに十分な出力で供給される、付記1に記載のシステム。
[付記4]
前記センサセルを通過する所定の周波数を有する分割信号であって、前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間の調整されたエネルギー差が前記分割信号の周波数にほぼ等しいときに、前記アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるための前記分割信号を生成するように構成された分割信号生成器をさらに備え、前記検出システムは、前記検出ビームをモニタリングすることに基づいて前記一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化を観察することに応答して前記外部信号を検出するように構成される、付記1に記載のシステム。
[付記5]
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、付記1に記載のシステム。
[付記6]
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、付記1に記載のシステム。
[付記7]
前記光ビームシステムは、前記少なくとも1つの光ビームの結合ビームの波長を調整する波長チューニング信号を受信して、調整された前記第1のリュードベリエネルギー状態を補償するように構成される、付記6に記載のシステム。
[付記8]
光システムは、
前記センサセルを通過するように第1の方向に照射されるプローブビームを生成するように構成されたプローブレーザであって、前記プローブビームが前記検出ビームとして前記センサセルから出射する、前記プローブレーザと、
前記プローブビームと共線的にかつ逆平行に前記センサセルを通過するように照射されて、前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせる結合ビームを生成するように構成された結合レーザと、を含む、付記1に記載のシステム。
[付記9]
前記検出システムが、前記センサセルを貫通する軸に沿った前記検出ビームをモニタリングして、前記外部信号を検出するように構成されるように、プローブビームおよび結合ビームをコリメートして、前記プローブビームおよび前記結合ビームを互いに対して共線的にかつ逆平行になるように提供するように構成された光学系をさらに備える、付記5に記載のシステム。
[付記10]
エレクトロメータシステムを介して外部信号を検出するための方法であって、
プローブビームを、アルカリ金属原子を含むセンサセルを通過するように第1の方向に照射するステップと、
前記センサセルを通過するように結合ビームを照射して、前記プローブビームおよび前記結合ビームに基づいて前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせるステップと、
所定の周波数を有する分割信号を前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるステップと、
所定のチューニング周波数を有するチューニング信号を前記センサセルを通過するように提供して、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するステップと、
前記センサセルから出射する前記プローブビームに対応する検出ビームをモニタリングして、前記一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化の観測に応答して前記外部信号を検出するステップと、を含む方法。
[付記11]
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するために、前記所定のチューニング周波数を前記第2のリュードベリエネルギー状態と第3のリュードベリエネルギー状態との間の周波数に設定するステップをさらに含む、付記10に記載の方法。
[付記12]
前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態を調整するように前記所定のチューニング周波数を設定するステップをさらに含む、付記10に記載の方法。
[付記13]
前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態を調整するように前記所定のチューニング周波数を設定するステップをさらに含む、付記10に記載の方法。
[付記14]
波長チューニング信号を前記結合ビームに提供して、前記結合ビームの波長を調整して、調整される前記第1のリュードベリエネルギー状態を補償するステップをさらに含む、付記13に記載の方法。
[付記15]
前記プローブビームおよび前記結合ビームをコリメートして、前記プローブビームおよび前記結合ビームを互いに対して共線的かつ逆平行になるように提供するステップをさらに含み、前記検出ビームをモニタリングすることが、前記センサセルを貫通する軸に沿った前記検出ビームをモニタリングして、前記外部信号を検出することを含む、付記10に記載の方法。
[付記16]
エレクトロメータシステムであって、
アルカリ金属原子を内部に含むセンサセルと、
前記センサセルを通過するように第1の方向に照射されるプローブビームを生成するように構成されたプローブレーザであって、前記プローブビームは、検出ビームとして前記センサセルから出射する、前記プローブレーザと、
前記センサセルを通過するように照射される結合ビームであって、前記プローブビームおよび前記結合ビームに基づいて前記アルカリ金属原子の第1のリュードベリエネルギー状態を生じさせる前記結合ビームを生成するように構成された結合レーザと、
前記第1のリュードベリエネルギー状態と第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差を調整するための所定のチューニング周波数を有するチューニング信号を生成するように構成されたチューニング信号生成器と、
前記検出ビームをモニタリングして、前記検出ビームをモニタリングすることに基づいて前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間のエネルギー差にほぼ等しい周波数を有する外部信号を検出するように構成された検出システムと、を備えるシステム。
[付記17]
前記センサセルを通過する所定の周波数を有する分割信号であって、前記第1のリュードベリエネルギー状態と前記第2のリュードベリエネルギー状態との間の調整されたエネルギー差が前記分割信号の周波数にほぼ等しいときに、前記アルカリ金属原子に関連する一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークを生じさせるための前記分割信号を生成するように構成された分割信号生成器をさらに備え、前記検出システムは、前記検出ビームの強度をモニタリングすることに基づいて前記一対のアウトラー・タウンズの周波数スペクトル透過性ピークの変化を観察することに応答して前記外部信号を検出するように構成される、付記16に記載のシステム。
[付記18]
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、付記16に記載のシステム。
[付記19]
前記チューニング信号生成器は、前記アルカリ金属原子の前記第2のリュードベリエネルギー状態に対して前記アルカリ金属原子の前記第1のリュードベリエネルギー状態を調整するための、所定のチューニング周波数を有する前記チューニング信号を生成するように構成される、付記16に記載のシステム。
[付記20]
光ビームシステムは、少なくとも1つの光ビームの結合ビームの波長を調整する波長チューニング信号を受信して、調整された前記第1のリュードベリエネルギー状態を補償するように構成される、付記19に記載のシステム。
【国際調査報告】