(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】抗IL5R抗体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20231218BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231218BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20231218BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231218BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231218BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231218BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20231218BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231218BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231218BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20231218BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
A61K39/395 M ZNA
A61K9/08
A61K9/19
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/18
A61K47/12
A61P11/00
A61P11/06
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536032
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021086129
(87)【国際公開番号】W WO2022129301
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】300022641
【氏名又は名称】アストラゼネカ アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガズビニ,サバ
(72)【発明者】
【氏名】マンクス,カサンドラ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC15
4C076CC50
4C076DD09F
4C076DD38
4C076DD41Z
4C076DD42Z
4C076DD51Z
4C076DD60Z
4C076DD67
4C076EE23F
4C076FF16
4C076FF36
4C076FF43
4C076FF61
4C076FF63
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、界面活性剤であって、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の量の界面活性剤を含有する抗IL5R抗体製剤及びそのような製剤を使用する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤であって、
(i)配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2及び配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、
(ii)界面活性剤であって、前記界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の量であり、ポリソルベート20(PS20)ではない界面活性剤と
を含む医薬製剤。
【請求項2】
前記界面活性剤は、ポリソルベート80(PS80)、ポロキサマー、Brij系界面活性剤又はコハク酸トコフェリルポリエチレングリコール(TPGS)である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号7を含む重鎖可変領域と、配列番号8を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号9を含む重鎖と、配列番号10を含む軽鎖とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
約2mg/mL~約200mg/mLの前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
約2mg/mL~約150mg/mLの前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、任意選択で約150mg/mLの前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
約2mg/mL~約100mg/mLの前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
約30mg/mLの前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記界面活性剤の量は、前記界面活性剤の前記CMCを少なくとも約10%下回るか、少なくとも20%下回るか、少なくとも30%下回るか、少なくとも40%下回るか、少なくとも50%下回るか、少なくとも60%下回るか、少なくとも70%下回るか、少なくとも80%下回るか、少なくとも90%下回るか、少なくとも95%下回るか、少なくとも96%下回るか、少なくとも97%下回るか、少なくとも98%下回るか又は少なくとも99%下回る、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記界面活性剤は、約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)の量、任意選択で0.0004%(w/v)、0.0012%(w/v)又は0.006%(w/v)のPS80である、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記界面活性剤は、約0.001%(w/v)~約0.02%(w/v)の量のTPGSである、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記界面活性剤は、約0.001%(w/v)~約0.01%(w/v)の量のBrij系界面活性剤である、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記界面活性剤は、約0.006%(w/v)の量のPS20である、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記界面活性剤は、約0.027%(w/v)~約0.08%(w/v)の量のポロキサマーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記界面活性剤は、約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)の量のポロキサマーである、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記ポロキサマーは、ポロキサマー188である、請求項14又は15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
(iii)非荷電賦形剤を更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
約20mM~約80mMの前記非荷電賦形剤を含む、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
約200mM~約400mMの前記非荷電賦形剤を含む、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項20】
約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)の前記非荷電賦形剤を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記非荷電賦形剤は、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカン又はそれらの組み合わせである、請求項17~20のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記非荷電賦形剤は、スクロース、任意選択で約250mMのスクロースである、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記非荷電賦形剤は、トレハロースである、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記非荷電賦形剤は、マンニトール、任意選択で約250mMのマンニトールである、請求項17~20のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項25】
(iv)アルギニンを更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項26】
(v)ヒスチジンを更に含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項27】
約15mM~約30mMのヒスチジンを含む、請求項26に記載の医薬製剤。
【請求項28】
緩衝液を更に含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項29】
前記緩衝液は、酢酸塩である、請求項28に記載の医薬製剤。
【請求項30】
前記緩衝液は、コハク酸塩である、請求項28に記載の医薬製剤。
【請求項31】
前記製剤のpHは、約5.5~約6.0である、請求項1~30のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項32】
前記製剤の前記pHは、約5.5である、請求項31に記載の医薬製剤。
【請求項33】
前記製剤の前記pHは、約5.6である、請求項31に記載の医薬製剤。
【請求項34】
医薬製剤であって、
(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、
(ii)約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)のPS80又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマーと
を含む医薬製剤。
【請求項35】
(iii)約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)のトレハロースと、
(iv)約100mM~約200mMのL-アルギニンと、
(v)約15mM~約30mMのヒスチジンと
を更に含む、請求項34に記載の医薬製剤。
【請求項36】
医薬製剤であって、
(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、
(ii)約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.03%(w/v)のポロキサマー又は約0.08%(w/v)のポロキサマーと、
(iii)約250mMのトレハロースと、
(iv)約130mMのL-アルギニンと、
(v)約20mMのヒスチジンと
を含む医薬製剤。
【請求項37】
医薬製剤であって、
(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、
(ii)約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.03%(w/v)のポロキサマー188又は約0.08%(w/v)のポロキサマー188と、
(iii)約250mMのトレハロースと、
(iv)約130mMのL-アルギニンと、
(v)約20mMのヒスチジンと
を含む医薬製剤。
【請求項38】
医薬製剤であって、
(i)約2mg/mL~約200mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、
(ii)約0.006%(w/)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、
(iii)約250mMのスクロースと、
(iv)酢酸塩と
を含む医薬製剤。
【請求項39】
医薬製剤であって、
(i)約2mg/mL~約200mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、
(ii)約0.006%(w/)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、
(iii)約250mMのスクロースと、
(iv)コハク酸塩と
を含む医薬製剤。
【請求項40】
医薬製剤であって、
(i)約2mg/mL~約200mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、
(ii)約0.006%(w/)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、
(iii)約250mMのマンニトールと、
(iv)酢酸塩と
を含む医薬製剤。
【請求項41】
医薬製剤であって、
(i)約2mg/mL~約200mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、
(ii)約0.006%(w/)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、
(iii)約250mMのマンニトールと、
(iv)コハク酸塩と
を含む医薬製剤。
【請求項42】
約150mg/mLの前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項43】
約2mg/mL~約100mg/mLの前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項44】
約30mg/mLの前記抗体又はその抗原結合フラグメントを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項45】
室温で約10日間の積極的な撹拌後に安定である、請求項1~44のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項46】
1mL当たり20個未満の肉眼で見えない粒子を有する、請求項45に記載の医薬製剤。
【請求項47】
約1~約7回の凍結-融解サイクル後、約20%少ない、約30%少ない、約40%少ない、約50%少ない、約60%少ない、約70%少ない、約80%少ない、約90%少ない、約95%少ない又は約99%少ない肉眼で見えない粒子を有する、請求項1~46のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項48】
約40℃で約1ヶ月間の貯蔵後、約20%少ない、約30%少ない、約40%少ない、約50%少ない、約60%少ない、約70%少ない、約80%少ない、約90%少ない、約95%少ない又は約99%少ない肉眼で見えない粒子を有する、請求項1~47のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項49】
静脈内、皮下又は筋肉内投与に好適である、請求項1~48のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項50】
液体医薬製剤である、請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項51】
凍結乾燥医薬製剤である、請求項1~49のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項52】
請求項1~51のいずれか一項に記載の医薬製剤を容器内に含む剤形。
【請求項53】
前記容器は、プラスチックバイアル又はガラスバイアルである、請求項52に記載の剤形。
【請求項54】
前記容器は、プレフィルドシリンジである、請求項52に記載の剤形。
【請求項55】
前記プレフィルドシリンジは、針を含む、請求項54に記載の剤形。
【請求項56】
前記針は、29G肉薄針である、請求項55に記載の剤形。
【請求項57】
前記プレフィルドシリンジは、プラスチックシリンジ又はガラスシリンジである、請求項54~56のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項58】
前記プレフィルドシリンジは、シリコーンでコーティングされている、請求項54~57のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項59】
請求項1~51のいずれか一項に記載の医薬製剤又は請求項52~58のいずれか一項に記載の剤形と、使用説明書とを含むキット。
【請求項60】
対象における肺疾患又は障害を治療する方法であって、前記対象に、治療有効量の、請求項1~51のいずれか一項に記載の医薬製剤又は請求項52~58のいずれか一項に記載の剤形を投与することを含む方法。
【請求項61】
前記肺疾患又は障害は、好酸球性疾患又は障害である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記肺疾患又は障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、急性及び慢性好酸球性気管支炎、急性及び慢性好酸球性肺炎、チャーグ・ストラウス症候群、好酸球増多症候群、薬物、刺激物及び放射線誘発性肺好酸球増加症、感染誘発性肺好酸球増加症、自己免疫関連肺好酸球増加症、好酸球性食道炎、クローン病又はそれらの組み合わせである、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記肺疾患又は障害は、喘息である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記喘息は、好酸球性喘息、好中球性喘息、混合型好酸球性及び好中球性喘息又はアスピリン感受性喘息である、請求項63に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月17日に出願された米国仮特許出願第63/199,277号明細書の優先権の利益を主張するものであり、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表の参照
本出願において提出された電子的に提出された配列表の内容(名称:IL5R-301-WO-PCT_ST25.txt、サイズ:9,485バイト;及び作成日:2021年11月19日)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、界面活性剤であって、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の量の界面活性剤を含有する抗IL5R抗体製剤及びそのような製剤を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
抗体は、その標的認識の特異性、それによる全身投与後の高度な選択的アウトカムの生成に起因して、種々の疾患及び病態の治療で使用されている。抗体を有効なままにするため、それらは、その産生、精製、輸送及び貯蔵中にその生物学的活性を維持しなければならない。産生される大量の高度に精製されたモノクローナル抗体を提供するための新たな産生及び精製技術が開発されている。しかし、これらの抗体を輸送及び貯蔵のために安定化させるという課題が依然として存在し、投与に適した剤形で抗体を提供するという更により大きい課題も存在する。
【0005】
変性、凝集、汚染及び粒子形成は、抗体の配合及び貯蔵における顕著な障害であり得る。広範な抗体に起因して、全ての抗体の貯蔵に好適な普遍的な配合物も条件も存在しない。ある抗体の貯蔵に適する最適な製剤及び条件は、その抗体に特異的であることが多い。したがって、抗体の貯蔵用製剤及び方法は、市販の抗体のための研究及び開発プロセスの重要な部分であることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
抗体安定性に関連する課題を克服するための様々な方法が提案されている。例えば、場合により、抗体は、凍結乾燥され、次いで投与の直前に再構成され得る。しかしながら、再構成は、投与プロセスに追加的なステップを加え、製剤に汚染物質を導入し得るため、概して理想的でない場合がある。加えて、再構成された抗体でも、凝集及び粒子形成の問題に直面し得る。したがって、輸送及び貯蔵に関連する課題を克服し得る安定した抗体製剤を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示されるのは、界面活性剤であって、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の量の界面活性剤を含有する抗IL5R抗体製剤である。いくつかの態様では、製剤は、(i)配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2及び配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)界面活性剤であって、界面活性剤のCMC未満の量であり、ポリソルベート20(PS20)ではない界面活性剤とを含む。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート80(PS80)、ポロキサマー、Brij系界面活性剤又はコハク酸トコフェリルポリエチレングリコール(TPGS)である。
【0008】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)のPS80、又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマー、又は約0.001%(w/v)~約0.02%(w/v)のコハク酸トコフェリルポリエチレングリコール(TPGS)、又は約0.001%(w/v)~約0.01%(w/v)のBrij系界面活性剤とを含む。
【0009】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)のPS80と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0010】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0012%(w/v)のPS80と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)20mMのヒスチジンとを含む。
【0011】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.03%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)20mMのヒスチジンとを含む。
【0012】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.08%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)20mMのヒスチジンとを含む。
【0013】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)のPS80と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)20mMのヒスチジンとを含む。
【0014】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0012%(w/v)のPS80と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)20mMのヒスチジンとを含む。
【0015】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.03%(w/v)のポロキサマー188と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)20mMのヒスチジンとを含む。
【0016】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.08%(w/v)のポロキサマー188と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)20mMのヒスチジンとを含む。
【0017】
いくつかの態様では、医薬製剤は、(i)約2mg/mL~約200mg/mL(例えば、150mg/mL又は約30mg/mL)の、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.006%(w/)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのスクロースと、(iv)酢酸塩とを含む。
【0018】
いくつかの態様では、医薬製剤は、(i)約2mg/mL~約200mg/mL(例えば、150mg/mL又は約30mg/mL)の、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.006%(w/)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのスクロースと、(iv)コハク酸塩とを含む。
【0019】
いくつかの態様では、医薬製剤は、(i)約2mg/mL~約200mg/mL(例えば、150mg/mL又は約30mg/mL)の、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.006%(w/)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのマンニトールと、(iv)酢酸塩とを含む。
【0020】
いくつかの態様では、医薬製剤は、(i)約2mg/mL~約200mg/mL(例えば、150mg/mL又は約30mg/mL)の、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.006%(w/)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのマンニトールと、(iv)コハク酸塩とを含む。
【0021】
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗IL5R抗体製剤を容器内含む剤形でもある。いくつかの態様では、容器は、バイアル又はシリンジである。いくつかの態様では、バイアルは、ガラス又はプラスチックである。いくつかの態様では、シリンジは、プレフィルドシリンジである。いくつかの態様では、シリンジは、プラスチック又はガラスである。いくつかの態様では、シリンジは、針を含む。
【0022】
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗IL5R抗体製剤、本明細書に提供される剤形、本明細書に提供されるバイアル又は本明細書に提供されるシリンジと、使用説明書とを含むキットでもある。
【0023】
本明細書に提供されるのは、対象における肺疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の、本明細書に提供される抗IL5R抗体製剤、本明細書に提供される剤形、本明細書に提供されるバイアル又は本明細書に提供されるシリンジを対象に投与することを含む方法でもある。いくつかの態様では、肺疾患又は障害は、好酸球性疾患又は障害である。いくつかの態様では、肺疾患又は障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、急性及び慢性好酸球性気管支炎、急性及び慢性好酸球性肺炎、チャーグ・ストラウス症候群、好酸球増多症候群、薬物、刺激物及び放射線誘発性肺好酸球増加症、感染誘発性肺好酸球増加症、自己免疫関連肺好酸球増加症、好酸球性食道炎、クローン病又はそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、喘息は、好酸球性喘息、好中球性喘息、混合型好酸球性及び好中球性喘息又はアスピリン感受性喘息である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】プレフィルドシリンジ中に含まれ、5日間若しくは10日間の積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)に供されたか又は撹拌を受けていない(対照)、異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧2μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、臨界ミセル濃度(CMC)を上回る量の界面活性剤[すなわち0.02%のポリソルベート20(PS20)、0.006%のポリソルベート80(PS80)及び0.02%のPS80]を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤[すなわち0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー188(ポロキサマー)及び0.08%のポロキサマー]を含有するかのいずれかであった。
【
図1B】プレフィルドシリンジ中に含まれ、5日間若しくは10日間の積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)に供されたか又は撹拌を受けていない(対照)、異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧25μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量の界面活性剤(すなわち0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図2A】ガラスバイアル中に含まれ、5日間若しくは10日間の積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)に供されたか又は撹拌を受けていない(対照)、異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧2μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、臨界ミセル濃度(CMC)を上回る量の界面活性剤[すなわち0.02%のポリソルベート20(PS20)、0.006%のポリソルベート80(PS80)及び0.02%のPS80]を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤[すなわち0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー188(ポロキサマー)及び0.08%のポロキサマー]を含有するかのいずれかであった。
【
図2B】ガラスバイアル中に含まれ、5日間若しくは10日間の積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)に供されたか又は撹拌を受けていない(対照)、異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧5μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量の界面活性剤(すなわち0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図2C】ガラスバイアル中に含まれ、5日間若しくは10日間の積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)に供されたか又は撹拌を受けていない(対照)、異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量の界面活性剤(すなわち0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図2D】ガラスバイアル中に含まれ、5日間若しくは10日間の積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)に供されたか又は撹拌を受けていない(対照)、異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧25μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量の界面活性剤(すなわち0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図3A】プレフィルドシリンジ中に含まれ、7回の凍結-融解サイクル(7×FT)に供されたか又は凍結-融解サイクルを受けていない(対照)、異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧2μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量の界面活性剤(すなわち0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図3B】プレフィルドシリンジ中に含まれ、7回の凍結-融解サイクル(7×FT)に供されたか又は凍結-融解サイクルを受けていない(対照)、異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧25μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量の界面活性剤(すなわち0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図4A】異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧1μm、≧2μm及び≧5μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図4B】異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図5A】異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧1μm、≧2μm及び≧5μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量のPS80(すなわち0.006%及び0.02%)又はCMC未満の量のPS80(すなわち0.0004%及び0.0012%)を含有するかのいずれかであった。
【
図5B】異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量のPS80(すなわち0.006%及び0.02%)又はCMC未満の量のPS80(すなわち0.0004%及び0.0012%)を含有するかのいずれかであった。
【
図6】バイアル又はプレフィルドシリンジ中に含まれる異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧2μm)の平均数を示す。製剤は、界面活性剤を含有しないか、CMCを上回る量の界面活性剤(例えば、0.004%のPS80、0.01%のPS80、0.27%のポロキサマー及び0.67%のポロキサマー)を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤(例えば、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するかのいずれかであった。
【
図7】バイアル、シリコーンを含有するプレフィルドシリンジ又はシリコーンを含有しないプレフィルドシリンジ中に含まれる異なる抗IL5R抗体製剤の1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧2μm)の平均数を示す。製剤は、CMCを上回る量の界面活性剤(すなわち0.02%のPS20、0.05%のPS20、0.004%のPS80及び0.01%のPS80)を含有するか、又はCMC未満の量の界面活性剤(すなわち0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.002%のPS20及び0.006%のPS20)を含有するかのいずれかであった。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図8は、3回の凍結-融解(FT)サイクル後の、ガラスバイアル中に酢酸塩を含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧2μm、≧5μm、≧10μm及び25≧μm)の数を示す。
図9は、3回のFTサイクル後の、ガラスバイアル中にコハク酸塩を含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図10は、撹拌(エンドツーエンドの回転)の10日後の、ガラスバイアル中に酢酸塩及びスクロースを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図11は、撹拌(エンドツーエンドの回転)の10日後の、ガラスバイアル中に酢酸塩及びマンニトールを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図12は、撹拌(エンドツーエンドの回転)の10日後の、ガラスバイアル中にコハク酸塩及びスクロースを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧2μm、≧5μm、≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図13は、撹拌(エンドツーエンドの回転)の10日後の、ガラスバイアル中にコハク酸塩及びマンニトールを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図14は、撹拌(エンドツーエンドの回転)の10日後の、プレフィルドシリンジ中に酢酸塩及びスクロースを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図15は、撹拌(エンドツーエンドの回転)の10日後の、プレフィルドシリンジ中に酢酸塩及びマンニトールを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図16は、撹拌(エンドツーエンドの回転)の10日後の、プレフィルドシリンジ中にコハク酸塩及びスクロースを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図17は、撹拌(エンドツーエンドの回転)の10日後の、プレフィルドシリンジ中にコハク酸塩及びマンニトールを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図18は、7回の凍結-融解サイクル後の、プレフィルドシリンジ中に酢酸塩及びスクロースを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図19は、7回の凍結-融解サイクル後の、プレフィルドシリンジ中に酢酸塩及びマンニトールを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図20は、7回の凍結-融解サイクル後の、プレフィルドシリンジ中にコハク酸塩及びスクロースを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図21は、7回の凍結-融解サイクル後の、プレフィルドシリンジ中にコハク酸塩及びマンニトールを含む製剤における1mL当たりの肉眼で見えない粒子(≧10μm及び≧25μm)の数を示す。
図22は、様々な製剤において動的光散乱(DLS)を介して測定された拡散相互作用パラメータ(kD)を示す。
図23は、様々な製剤において動的光散乱(DLS)を介して測定された拡散係数を示す。
図24は、150mg/mLの抗IL5R抗体を含む様々な製剤を含有するバイアル中の40℃での肉眼で見えない粒子(≧2μm)の数を示す。
図25は、150mg/mLの抗IL5R抗体を含む様々な製剤を含有するバイアル中の5℃での肉眼で見えない粒子(≧2μm)の数を示す。
本明細書に明示及び記載する具体的な実施は、例であり、決して本出願の範囲を限定することを意図されないことが理解されるべきである。本明細書に記載の態様及び特徴の各々をあらゆる方法で組み合わせ得ることも理解されるべきである。
【0026】
更に、本明細書で引用する公開特許、特許出願、ウェブサイト、会社名及び科学文献は、各々が参照により組み込まれることを具体的且つ個別に明示されているのと同様に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
第1の態様(A1)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)界面活性剤であって、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の量であり、ポリソルベート20(PS20)ではない界面活性剤とを含む医薬製剤である。A1の別の態様(A2)では、界面活性剤は、ポリソルベート80(PS80)、ポロキサマー、Brij系界面活性剤又はコハク酸トコフェリルポリエチレングリコール(TPGS)である。A1又はA2の別の態様(A3)では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号7を含む重鎖可変領域と、配列番号8を含む軽鎖可変領域とを含む。A1~A3のいずれか1つの別の態様(A4)では、抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号9を含む重鎖と、配列番号10を含む軽鎖とを含む。A1~A4のいずれか1つの別の態様(A5)では、医薬製剤は、約2mg/mL~約100mg/mLの抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。A1~A5のいずれか1つの別の態様(A6)では、医薬製剤は、約30mg/mLの抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。A1~A6のいずれか1つの別の態様(A7)では、界面活性剤の量は、界面活性剤のCMCを少なくとも約10%下回るか、少なくとも約20%下回るか、少なくとも約30%下回るか、少なくとも約40%下回るか、少なくとも約50%下回るか、少なくとも約60%下回るか、少なくとも約70%下回るか、少なくとも約80%下回るか、少なくとも約90%下回るか、少なくとも約95%下回るか、少なくとも約96%下回るか、少なくとも約97%下回るか、少なくとも約98%下回るか又は少なくとも約99%下回る。A1~A7のいずれか1つの別の態様(A8)では、界面活性剤は、約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)の量のPS80である。A1~A7のいずれか1つの別の態様(A9)では、界面活性剤は、約0.001%(w/v)~約0.02%(w/v)の量のTPGSである。A1~A7のいずれか1つの別の態様(A10)では、界面活性剤は、約0.001%(w/v)~約0.01%(w/v)の量のBrij系界面活性剤である。A1~A7のいずれか1つの別の態様(A11)では、界面活性剤は、約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)の量のポロキサマーである。別の態様(A12)では、ポロキサマーは、ポロキサマー188である。
【0028】
A1~A11のいずれか1つの別の態様(A13)では、医薬製剤は、(iii)非荷電賦形剤を更に含む。A13の別の態様(A14)では、医薬製剤は、約20mM~約80mMの非荷電賦形剤を含む。A13の別の態様(A15)では、医薬製剤は、約200mM~約400mMの非荷電賦形剤を含む。A13~A15のいずれか1つの別の態様(A16)では、医薬製剤は、約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)の非荷電賦形剤を含む。A13~A16のいずれか1つの別の態様(A17)では、非荷電賦形剤は、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカン又はそれらの組み合わせである。A17の別の態様(A18)では、非荷電賦形剤は、トレハロースである。
【0029】
A1~A18のいずれか1つの別の態様(A19)では、医薬製剤は、(iv)アルギニンを更に含む。A19の別の態様(A20)では、医薬製剤は、約100mM~約200mMのアルギニンを含む。A19又はA20の別の態様(A21)では、アルギニンは、L-アルギニンである。A19~A21のいずれか1つの別の態様(A22)では、医薬製剤は、約120mM~約140mMのL-アルギニンと、約40mM~約60mMの非荷電賦形剤とを含む。
【0030】
A1~A22のいずれか1つの別の態様(A23)では、医薬組成物は、(v)ヒスチジンを更に含む。A23の別の態様(A24)では、医薬組成物は、約15mM~約30mMのヒスチジンを含む。
【0031】
別の態様(A25)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)のPS80又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマーとを含む医薬製剤である。
【0032】
A25の別の態様(A26)では、医薬製剤は、(iii)約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)のトレハロースと、(iv)約100mM~約200mMのL-アルギニンと、(v)約15mM~約30mMのヒスチジンとを更に含む。
【0033】
別の態様(A27)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)のPS80、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む医薬製剤である。
【0034】
別の態様(A28)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0012%(w/v)のPS80、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む医薬製剤である。
【0035】
別の態様(A29)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.03%(w/v)のポロキサマー、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む医薬製剤である。
【0036】
別の態様(A30)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.08%(w/v)のポロキサマー、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む医薬製剤である。
【0037】
別の態様(A31)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)のPS80、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む医薬製剤である。
【0038】
別の態様(A32)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0012%(w/v)のPS80、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む医薬製剤である。
【0039】
別の態様(A33)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.03%(w/v)のポロキサマー188、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む医薬製剤である。
【0040】
別の態様(A34)では、本明細書に提供されるのは、医薬製剤であって、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.08%(w/v)のポロキサマー188、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む医薬製剤である。
【0041】
A1~A34のいずれか1つの別の態様(A35)では、医薬製剤は、室温で約10日間の積極的な撹拌後に安定である。A35の別の態様(A36)では、医薬製剤は、1mL当たり20個未満の肉眼で見えない粒子を有する。
【0042】
A1~A36のいずれか1つの別の態様(A37)では、医薬製剤は、約1回~約7回の凍結-融解サイクル後、約20%少ない、約30%少ない、約40%少ない、約50%少ない、約60%少ない、約70%少ない、約80%少ない、約90%少ない、約95%少ない又は約99%少ない肉眼で見えない粒子を有する。
【0043】
A1~A37のいずれか1つの別の態様(A38)では、医薬製剤は、約40℃で約1ヶ月間の貯蔵後、約20%少ない、約30%少ない、約40%少ない、約50%少ない、約60%少ない、約70%少ない、約80%少ない、約90%少ない、約95%少ない又は約99%少ない肉眼で見えない粒子を有する。
【0044】
A1~A38のいずれか1つの別の態様(A39)では、医薬製剤は、静脈内、皮下又は筋肉内投与に好適である。A1~A39のいずれか1つの別の態様(A40)では、医薬製剤は、液体医薬製剤である。A1~A39のいずれか1つの別の態様(A41)では、医薬製剤は、凍結乾燥医薬製剤である。
【0045】
別の態様(A42)では、本明細書に提供されるのは、A1~A41のいずれか1つの医薬製剤を容器内に含む剤形である。A42の別の態様(A43)では、容器は、プラスチックバイアル又はガラスバイアルである。A42の別の態様(A44)では、容器は、プレフィルドシリンジである。A44の別の態様(A45)では、プレフィルドシリンジは、針を含む。A45の別の態様(A46)では、針は、29G肉薄針である。A44~A46のいずれか1つの別の態様(A47)では、プレフィルドシリンジは、プラスチックシリンジ又はガラスシリンジである。A44~A47のいずれか1つの別の態様(A48)では、プレフィルドシリンジは、シリコーンでコーティングされている。
【0046】
別の態様(A49)では、本明細書に提供されるのは、バイアルであって、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)のPS80又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマーとを含むバイアルである。A49における別の態様(A50)では、(iii)約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)のトレハロースと、(iv)約100mM~約200mMのL-アルギニンと、(v)約15mM~約30mMのヒスチジンとを更に含む。
【0047】
別の態様(A51)では、本明細書に記載されるのは、プレフィルドシリンジであって、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)のPS80又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマーとを含むプレフィルドシリンジである。A51の別の態様(A52)では、プレフィルドシリンジは、(iii)約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)のトレハロースと、(iv)約100mM~約200mMのL-アルギニンと、(v)約15mM~約30mMのヒスチジンとを更に含む。
【0048】
別の態様(A53)では、本明細書に提供されるのは、キットであって、A1~A41のいずれか1つの医薬製剤、A42~A48のいずれか1つの剤形、A49若しくはA50のバイアル又はA51若しくはA52のプレフィルドシリンジと、使用説明書とを含むキットである。
【0049】
別の態様(A54)では、本明細書に提供されるのは、対象における肺疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の、A1~A41のいずれか1つの医薬製剤、A42~A48のいずれか1つの剤形、A49若しくはA50のバイアル又はA51若しくはA52のプレフィルドシリンジを対象に投与することを含む方法である。A54の別の態様(A55)では、肺疾患又は障害は、好酸球性疾患又は障害である。A54の別の態様(A56)では、疾患又は障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、急性及び慢性好酸球性気管支炎、急性及び慢性好酸球性肺炎、チャーグ・ストラウス症候群、好酸球増多症候群、薬物、刺激物質及び放射線誘導肺好酸球増加症、感染誘導肺好酸球増加症、自己免疫関連肺好酸球増加症、好酸球性食道炎、クローン病又はそれらの組み合わせである。A56の別の態様(A57)では、肺疾患又は障害は、喘息である。A57の別の態様(A58)では、喘息は、好酸球性喘息、好中球性喘息、混合型好酸球性及び好中球性喘息又はアスピリン感受性喘息である。
【0050】
I.定義
本説明がより容易に理解され得るように、最初に特定の用語を定義する。追加の定義については、詳細な説明全体を通して記載する。
【0051】
「1つの(a)」又は「1つの(an)」の実体と言う用語は、その実体の1つ以上を指すことに留意されたく、例えば、「抗IL5R抗体」は、1つ以上の抗IL5R抗体を表すものと理解される。したがって、「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では同じ意味で用いられ得る。
【0052】
本開示を通して、割合、比などの全ての表現は、特に他の記載がない限り、「重量基準」である。本明細書において使用される「重量基準」は、「質量基準」という用語と同義であり、本明細書に定義の比又は割合が容量でも、厚さでも、他の何らかの尺度でもなく重量に従って算出されることを示す。
【0053】
「約」という用語は、本明細書では、おおよそ、ほぼ、大体又はおよそを意味するために使用される。「約」という用語が数値範囲と共に使用される場合、記載される数値の上下の限界を拡張することによってその範囲が変更される。一般に、「約」という用語は、規定値の上下の数値を10%の差異で修飾するために本明細書で使用される。
【0054】
本明細書で用いられる技術及び科学用語は、別途定義されていない限り、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に既知の様々な方法及び物質について述べる。組換えDNA技術の一般的原理を記載する標準的な参考文献としては、Sambrook et al.,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual,”2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1989);Kaufman et al.,Eds., “Handbook of Molecular and Cellular Methods in Biology in Medicine,”CRC Press,Boca Raton(1995);及びMcPherson,Ed.,“Directed Mutagenesis:A Practical Approach,”IRL Press,Oxford(1991)が挙げられ、これらの各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
II.製剤及び関連態様
本開示は、界面活性剤であって、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の量の界面活性剤を含有する抗IL5受容体(抗IL5R)抗体製剤を目的とする。いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20(PS20)ではない。
【0056】
本明細書で記載される場合、「抗IL5R抗体製剤」という用語は、1つ以上の抗IL5R抗体分子又は1つ以上のその抗原結合フラグメントを含む組成物を指す。「抗体」という用語は、特に限定されない。「抗体」は、最も広い意味で解釈され、あらゆる免疫グロブリン(Ig)、その活性又は所望の変異体が含まれる。用語「抗体」は、二量体又は多量体を指すこともできる。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであり得、天然に又は組換え的に生成され得る。したがって、ヒト、非ヒト、ヒト化及びキメラ抗体は、全て「抗体」という用語に包含される。典型的には、以下のクラス:IgG、IgE、IgM、IgD及びIgAの1つのモノクローナル抗体であり、より典型的にはIgG又はIgAである。
【0057】
抗体は、任意の動物起源、例として鳥類及び哺乳動物からのものであり得る。いくつかの態様では、抗体は、ヒト、ネズミ(例えば、マウス及びラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ又はニワトリに由来する。本明細書で使用される場合、「ヒト」抗体としては、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が挙げられ、ヒト免疫グロブリンライブラリーから又は1つ以上のヒト免疫グロブリンにトランスジェニックな動物から単離され、内因性免疫グロブリンを発現しない抗体が挙げられる。例えば、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許5,939,598号明細書を参照されたい。
【0058】
抗体としては、例えば、天然の抗体、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、抗体フラグメント(例えば、1つ以上の抗原に結合し、且つ/又は1つ以上の抗原を認識する抗体フラグメント)、ヒト化抗体、ヒト抗体[Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,591,669号明細書及び同第5,545,807号明細書)、抗体ファージライブラリから単離される抗体及び抗体フラグメント(McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990);Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991);Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992);Waterhouse et al.,Nucl.Acids Res.21:2265-2266(1993)]も挙げることができる。
【0059】
抗IL5R抗体は、インターロイキン-5(IL5)受容体(IL5R)ポリペプチドに免疫特異的に結合し、他のポリペプチドには特異的に結合しない。好ましくは、IL5Rに免疫特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントは、他のポリペプチド又は他のポリペプチドのフラグメントに対する親和性と比較する場合、IL5R又はそのフラグメントに対するより高い親和性を有する。すなわち、抗体又はその抗原結合フラグメントは、他のポリペプチド又は他のペプチドのフラグメントに対するよりも高いエネルギーで、IL5R又はそのフラグメントと免疫特異的に結合する(例えば、抗体特異性の考察については、Paul ed.,1989,Fundamental Immunology,2nd ed.,Raven Press,New York at pages 332-336を参照されたい)。
【0060】
IL5Rと免疫特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えば、放射免疫測定法(RIA)などの免疫測定法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及びBIAcoreアッセイ又は当業者に知られている他の技術によって同定し得る(例えばインビボで抗体-抗原相互作用を判定するための様々なアッセイの考察については、Seymour et al,1995,Immunology-An Introduction for the Health Sciences,McGraw-Hill Book Company,Australia,pp.33-41を参照されたい)。
【0061】
一態様では、IL5Rは、ヒトIL5R、その類似体、誘導体又はフラグメントである。ヒトIL5Rのヌクレオチド配列は、GenBankデータベースに見られる(例えば、受入番号M96652.1を参照されたい)。ヒトIL5Rのアミノ酸配列は、GenBankデータベースに見られる(例えば、受入番号Q01344を参照されたい)。これらの配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
いくつかの態様では、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントは、ベンラリズマブである。ベンラリズマブ及びその抗原結合フラグメントに関する情報は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0291073号明細書に見られる。いくつかの態様では、ベンラリズマブ又はその抗原結合フラグメントは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,018,032号明細書に開示されるようなKM1259抗体の可変重鎖及び可変軽鎖CDR配列を含む。
【0063】
いくつかの態様では、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、及び配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び/又は配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0064】
いくつかの態様では、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号7を含む重鎖可変領域及び/又は配列番号8を含む軽鎖可変領域を含む。
【0065】
いくつかの態様では、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号9を含む重鎖及び/又は配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0066】
いくつかの態様では、抗IL5R抗体又は抗原結合フラグメントは、約1mg/ml~約200mg/ml、約1mg/ml~約100mg、約1mg/ml~約50mg、約2mg/ml~約100mg/ml、約2mg/ml~約30mg/ml、約2mg/ml~約25mg/ml、約2mg/ml~約20mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約25mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約45mg/ml、約50mg/ml、約55mg/ml、約60mg/ml、約65mg/ml、約70mg/ml、約75mg/ml、約80mg/ml、約85mg/ml、約90mg/ml、約95mg/ml又は約100mg/mlの量で製剤中に存在する。いくつかの態様では、抗IL5R抗体又は抗原結合フラグメントは、約2mg/ml~約200mg/ml、約30mg/ml~約200mg/mlの量で製剤中に存在する。いくつかの態様では、抗IL5R抗体又は抗原結合フラグメントは、約2mg/ml~約150mg/ml、約30mg/ml~約150mg/mlの量で製剤中に存在する。いくつかの態様では、抗IL5R抗体又は抗原結合フラグメントは、約150mg/mlで製剤中に存在する。
【0067】
本開示の抗IL5R抗体製剤は、界面活性剤であって、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の量の界面活性剤を含有する。本明細書で使用される場合、「臨界ミセル濃度」又は「CMC」は、それ以上の濃度でミセルが形成され、系に添加される全ての追加の界面活性剤がミセルを形成する界面活性剤の濃度である。界面活性剤のCMC値は、異なる既知の技術(例えば、表面張力測定、導電率、光散乱、蛍光分光法及び/又はマイクロプレートウェル)から計算することができる。
【0068】
主要なストレスタンパク質の1つ(例えば、抗体)は、界面応力(例えば、液体製剤中の空気/水界面又は凍結/融解中の氷/水界面からの)に遭遇する場合がある。界面活性剤は、典型的には、凝集及び/又は粒子形成を防止若しくは最小化するために、ストレス下又は長期貯蔵中のバイオ医薬製剤中のタンパク質を安定化させるために、それらのCMC濃度以上で使用される。界面活性剤のCMC濃度以上において、水性製剤中のミセル及び/又はタンパク質-界面活性剤複合体の形成は、タンパク質の界面応力を低下させることが知られており、結果的にタンパク質間相互作用及びタンパク質粒子形成に対してタンパク質を安定化させる。しかしながら、水性製剤中でタンパク質(例えば、抗体)を安定化させるためのそのCMC濃度未満の界面活性剤の能力は比較的知られておらず、多くの場合、界面応力に対する抗体の感受性及びストレスを受けると不安定になる傾向を含めて、抗体に依存する。
【0069】
したがって、「臨界ミセル濃度未満」又は「CMC未満」は、ミセルが形成される濃度よりも低い界面活性剤の濃度である。いくつかの態様では、界面活性剤の量は、界面活性剤のCMCを少なくとも約10%下回るか、少なくとも20%下回るか、少なくとも30%下回るか、少なくとも40%下回るか、少なくとも50%下回るか、少なくとも60%下回るか、少なくとも70%下回るか、少なくとも80%下回るか、少なくとも90%下回るか、少なくとも95%下回るか、少なくとも96%下回るか、少なくとも97%下回るか、少なくとも98%下回るか又は少なくとも99%下回る。
【0070】
界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸塩、ペルフルオロブタンスルホン酸塩、リン酸アルキル-アリールエーテル、リン酸アルキルエーテル、カルボキシレート、ラウロイルサルコシンナトリウム、ペルフルオロノナノエート、ペルフルオロオクタノエート);カチオン性界面活性剤(例えば、オクテニジン二塩酸塩、臭化セントリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム及び臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム);双性イオン(両性)界面活性剤(例えば、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、ラウリルジメチルアミンオキシド及びミリスタミンオキシド);非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート又はBrij系);エトキシレート(例えば、脂肪アルコールエトキシレート(例えば、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル及びペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル)、アルキルフェノールエトキシレート(例えば、ノノキシノール及びTriton X-100);脂肪酸エトキシレート、エトキシル化アミン及び/又は脂肪酸アミド(例えば、ポリエトキシル化タロウアミン、コカミドモノエタノールアミン及びコカミドジエタノールアミン);末端ブロックエトキシレート(例えば、ポロキサマー);ポリヒドロキシ化合物の脂肪酸エステル;グリセロールの脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセロール及びモノラウリン酸グリセロール);ソルビトールの脂肪酸エステル(例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン及びトリステアリン酸ソルビタンなどのSpan並びにTween 20、Tween 40、Tween 60及びTween 80などのTween);スクロースの脂肪酸エステル;アルキルポリグリコシド(例えば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド及びオクチルグルコシド);又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20(PS20)ではない。
【0072】
いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート80(PS80)である。PS80は、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンとしても知られ、下記の式によって表される。
【化1】
【0073】
いくつかの態様では、CMC未満のPS80の量は、約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)であり、例えば約0.0006%~約0.0012%、約0.0008%~約0.0012%、約0.001%~約0.0012%、約0.0004%~約0.0010%、約0.0006%~約0.001%、約0.0008%~約0.001%、約0.0004%~約0.0008%、約0.0006%~約0.0008%又は約0.0004%~約0.0006%である。いくつかの態様では、CMC未満のPS80の量は、約0.0004%(w/v)、約0.0006%、約0.0008%、約0.001%又は約0.0012%である。
【0074】
いくつかの態様では、界面活性剤は、ポリソルベート20(PS20)である。PS20は、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンとしても知られ、下記の式によって表される。
【化2】
【0075】
いくつかの態様では、CMC未満のPS20の量は、約0.002%(w/v)~約0.006%(w/v)であり、例えば約0.002%~約0.004%又は約0.004%~約0.006%である。いくつかの態様では、本開示の製剤中のCMC未満のPS20の量は、約0.002%(w/v)、約0.004%又は約0.006%である。
【0076】
いくつかの態様では、界面活性剤は、ポロキサマーである。ポロキサマーは、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖によって隣接されたポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央の疎水性鎖から構成される非イオン性トリブロックコポリマーである。ポロキサマーの例としては、ポロキサマー188、ポロキサマー407、ポロキサマー184、ポロキサマー124又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
いくつかの態様では、CMC未満のポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)の量は、約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)であり、例えば約0.03%~約0.07%、約0.03%~約0.06%、約0.03%~約0.05%、約0.03%~約0.04%、約0.04%~約0.08%、約0.04%~約0.07%、約0.04%~約0.06%、約0.04%~約0.05%、約0.05%~約0.08%、約0.05%~約0.07%、約0.05%~約0.06%、約0.06%~約0.08%、約0.06%~約0.07%又は約0.07%~約0.08%である。いくつかの態様では、CMC未満のポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)の量は、約0.027%(w/v)~約0.08%(w/v)である。いくつかの態様では、CMC未満のポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)の量は、約0.03%(w/v)、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%又は約0.08%である。
【0078】
いくつかの態様では、界面活性剤は、Brij系界面活性剤(例えば、Brij 35(ドデシル-ポリ-エチレン-オキシド-エーテル、CH3(CH2)11(OCH2CH2)23OH);Brij 93(ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、C18H35(OCH2CH2)nOH、n~2);Brij S100(ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル、C18H37(OCH2CH2)nOH、n~100);Brij 58(ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、HO(CH2CH2O)20C16H33);Brij C10(ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、C16H33(OCH2CH2)nOH、n~10);Brij L4(ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、C20H42O5)n);Brij O20(ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、C18H35(OCH2CH2)nOH、n~20);Brij S10(ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、C18H37(OCH2CH2)nOH、n~10);又はBrij S20(ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、C18H37(OCH2CH2)nOH、n~20))である。いくつかの態様では、CMC未満のBrij系界面活性剤の量は、約0.001%(w/v)~約0.01%であり、例えば約0.001%~約0.009%、約0.001%~約0.007%、約0.001%~約0.005%、約0.001%~約0.003%、約0.003%~約0.01%、約0.003%~約0.009%、約0.003%~約0.007%、約0.003%~約0.005%、約0.005%~約0.01%、約0.005%~約0.009%、約0.005%~約0.007%、約0.007%~約0.01%又は約0.007%~約0.009%である。いくつかの態様では、CMC未満のBrij系界面活性剤の量は、約0.003%(w/v)又は約0.0089%(w/v)である。
【0079】
いくつかの態様では、界面活性剤は、コハク酸トコフェリルポリエチレングリコール(TPGS)である。いくつかの態様では、TPGSは、ビタミンE TPGS1000である。いくつかの態様では、CMC未満のTPGSの量は、約0.001%(w/v)~約0.02%であり、例えば約0.001%~約0.01%、約0.001%~約0.007%、約0.001%~約0.005%、約0.001%~約0.003%、約0.003%~約0.02%、約0.003%~約0.01%、約0.003%~約0.007%、約0.003%~約0.005%、約0.005%~約0.02%、約0.005%~約0.01%、約0.005%~約0.007%、約0.007%~約0.02%、約0.007%~約0.01%又は約0.01%~約0.02%である。いくつかの態様では、CMC未満のTPGSの量は、約0.0054%(w/v)又は約0.0162%(w/v)である。
【0080】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、様々な他の成分を含有することができる。いくつかの態様では、製剤は、緩衝液(例えば、ヒスチジン、酢酸塩、リン酸塩又はクエン酸塩緩衝液)及び/又は安定剤(例えば、ヒトアルブミン)など、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、製剤は、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、スクロース、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩又は電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー及びポリエチレングリコール又はそれらの組み合わせを含む、1つ以上の薬学的に許容される担体を含む。
【0081】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、ヒスチジンを含む。いくつかの態様では、製剤は、約1mM~約100mMのヒスチジンを含み、例えば約5mM~約80mMのヒスチジン、約10mM~約60mMヒスチジン、約15mM~約50mMのヒスチジン、約15mM~約30mMのヒスチジン又は約20mMのヒスチジンを含む。
【0082】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、非荷電賦形剤を含む。用語「賦形剤」は、本明細書に記載されるような抗体又はその抗原結合フラグメントと製剤化される薬理学的に不活性な物質を指す。いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、変性の防止を支援するか、又はそうでなければ抗体若しくはその抗原結合フラグメントの安定化を支援する。賦形剤の例は、当技術分野において既知である。例は、例えば、ハンドブック:Gennaro,Alfonso R.:“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1990から挙げることができる。いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカン又はそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、スクロースである。いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、トレハロースである。いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、マンニトールである。
【0083】
いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、約1mM~約1M、約2mM~約500mM、約5mM~約400mM、約10mM~約300mM又は約20mM~約250mMの量で抗IL5R抗体製剤中に存在する。いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、製剤中で約5mM~約150mM、約10mM~約100mM、約20mM~約80mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM又は約70mMである。一態様では、非荷電賦形剤は、製剤中で約50mMである。いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、製剤中で約50mM~約800mM、約100mM~約500mM、約150mM~約400mM、約200mM、約400mM、約200mM、約300mM又は約250mMである。一態様では、非荷電賦形剤は、製剤中で約250mMである。
【0084】
他の態様では、非荷電賦形剤は、製剤中で約0.5%(w/v)~約8.5%(w/v)であり、例えば約0.5%~約8%、約0.5%~約6%、約0.5%~約4%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1%、約1%~約8.5%、約1%~約8%、約1%~約6%、約1%~約4%、約1%~約2%、約2%~約8.5%、約2%~約8%、約2%~約6%、約2%~約4%、約4%~約8.5%、約4%~約8%、約4%~約6%、約6%~約8%又は約6%~約8.5%である。
【0085】
いくつかの態様では、非荷電賦形剤は、下記の式によって表されるようなトレハロースである。
【化3】
【0086】
いくつかの態様では、トレハロースは、製剤中で約1mM~約1M、約2mM~約500mM、約5mM~約400mM、約10mM~約300mM又は約20mM~約250mMである。いくつかの態様では、トレハロースは、製剤中で約5mM~約150mM、約10mM~約100mM、約20mM~約80mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM又は約70mMである。一態様では、トレハロースは、製剤中で約50mMである。いくつかの態様では、トレハロースは、製剤中で約50mM~約800mM、約100mM~約500mM、約150mM~約400mM、約200mM、約400mM、約200mM、約300mM又は約250mMである。一態様では、トレハロースは、製剤中で約250mMである。
【0087】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、アルギニンを含む。アルギニンは、下記の式によって表すことができる条件付き非必須アミノ酸である。
【化4】
【0088】
アルギニンは、本明細書で使用される場合、アルギニンの遊離塩基形態及びあらゆる全てのそれらの塩を含む。いくつかの態様では、アルギニンは、その薬学的に許容される塩、例えばアルギニン塩酸塩を含む。アルギニンは、本明細書で使用される場合、全ての鏡像異性体(例えば、L-アルギニン及びS-アルギニン)及び鏡像異性体の任意の組み合わせ(例えば、50%のL-アルギニンと50%のS-アルギニン;90%~100%のL-アルギニンと10%~0%のS-アルギニンなど)も含む。いくつかの態様では、「アルギニン」という用語は、99%を超えるL-アルギニン及び1%未満のS-アルギニンを含む。いくつかの態様では、「アルギニン」という用語は、鏡像異性的に純粋なL-アルギニンを含む。いくつかの態様では、アルギニンは製薬等級のアルギニンである。
【0089】
様々な濃度のアルギニンが本開示の抗IL5R抗体製剤中に存在することができる。いくつかの態様では、製剤は、50mMを超えるアルギニン、75mMを超えるアルギニン、100mMを超えるアルギニン、125mMを超えるアルギニン、130mMを超えるアルギニン、150mMを超えるアルギニン、175mMを超えるアルギニン又は200mMを超えるアルギニンを含む。他の態様では、製剤は、最大で800mMのアルギニン、最大で600mMのアルギニン、最大で400mMのアルギニン、最大で200mMのアルギニン、最大で150mMのアルギニン、最大で130mMのアルギニン又は最大で125mMのアルギニンを含む。他の態様では、製剤は、50mM~300mM、75mM~250mM、100mM~200mM、110mM~160mM、120mM~150mM又は約125mMのアルギニンを含む。いくつかの態様では、製剤は、125mMのアルギニンを含む。いくつかの態様では、製剤は、130mMのアルギニンを含む。いくつかの態様では、アルギニンは、製剤の浸透圧を保つのに十分な量で添加される。いくつかの態様では、アルギニンは、高張性溶液を得るのに十分な量で添加される。
【0090】
様々な緩衝液が本開示の抗IL5R抗体製剤中に存在することができる。いくつかの態様では、緩衝液は、酢酸塩である。いくつかの態様では、緩衝液は、コハク酸塩である。
【0091】
本開示の抗IL5R抗体製剤は、様々な粘度を有することができる。抗体製剤の粘度測定法は、当業者に知られており、例えばレオメータ(例えば、50mm、40mm又は20mmプレート付属品を備えたAnton Paar MCR301レオメータ)が挙げられる。いくつかの態様では、製剤は、20センチポアズ(cP)未満、18cP未満、15cP未満、13cP未満又は11cP未満の粘度を有する。いくつかの態様では、製剤は、13cP未満の粘度を有する。当業者は、粘度が温度に左右されることを理解し、したがって別段の指定がない限り、本明細書で提供される粘度は、別段の指定がない限り25℃で測定される。
【0092】
本開示の抗IL5R抗体製剤は、異なるモル浸透圧濃度を有し得る。抗体製剤のモル浸透圧濃度の測定法は、当業者に知られており、例えば浸透圧計(例えば、Advanced Instrument Inc 2020凝固点降下浸透圧計)が挙げられる。いくつかの態様では、製剤は、200~600mosm/kg、260~500mosm/kg又は300~450mosm/kgのモル浸透圧濃度を有する。
【0093】
本開示の抗IL5R抗体製剤は、様々なpHレベルを有し得る。いくつかの態様では、製剤のpHは、4~7、4.5~6.5又は5~6である。いくつかの態様では、製剤のpHは、5である。いくつかの態様では、製剤のpHは、6である。いくつかの態様では、製剤のpHは、>7である。適切な緩衝液の添加を含むが、これに限定されない様々な手段を利用して、所望のpHレベルを得ることができる。いくつかの態様では、製剤のpHは、約5.5~約6.0である。いくつかの態様では、製剤のpHは、約5.5である。いくつかの態様では、製剤のpHは、約5.6である。
【0094】
いくつかの態様では、抗IL5R抗体製剤から様々な成分を省くことができるか、又は抗IL5R抗体製剤は、その成分を「実質的に含まない」場合がある。「実質的に含まない」という用語は、本明細書で使用される場合、0.01%未満、0.001%未満、0.0005%未満、0.0003%未満又は0.0001%未満の指定された成分を含有する製剤を指す。
【0095】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、糖類を実質的に含まず、すなわち0.01%(w/v)未満、0.001%未満、0.0005%未満、0.0003%未満又は0.0001%未満の糖類を含有する。「糖類」という用語は、本明細書の用法では、多価アルコール誘導体である分子のクラスを指す。糖類は、通常、炭水化物と称され、例えば単糖類、二糖類及び多糖類などの異なる量の糖(糖類)単位を含有し得る。いくつかの態様では、製剤は、二糖類を実質的に含まない。いくつかの態様では、製剤は、還元糖、非還元糖又は糖アルコールを実質的に含まない。いくつかの態様では、製剤は、プロリン、グルタミン酸、ソルビトール、二価の金属イオン及び/又はコハク酸塩を実質的に含まない。
【0096】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの抗IL5R抗体又はその抗体結合フラグメント(例えば、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む)と、(ii)CMC未満の量の界面活性剤(例えば、約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)のPS80又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマー(例えば、ポロキサマー188))とを含む。いくつかの態様では、製剤は、非荷電賦形剤、アルギニン及び/又はヒスチジンを更に含む。いくつかの態様では、製剤は、(iii)約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)の非荷電賦形剤(例えば、トレハロース)と、(iv)約100mM~約200mMのアルギニン(例えば、L-アルギニン)と、(v)約15mM~約30mMのヒスチジンとを更に含む。
【0097】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、(i)抗IL5R抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)PS80と、(iii)トレハロースと、(iv)アルギニンと、(v)ヒスチジンとを含む。いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗IL5R抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)のPS80と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0098】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗IL5R抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.0012%(w/v)のPS80と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0099】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、(i)抗IL5R抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)ポロキサマーと、(iii)トレハロースと、(iv)アルギニンと、(v)ヒスチジンとを含む。いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗IL5R抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.03%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0100】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.08%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0101】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)のPS80と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0102】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.0012%(w/v)のPS80と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0103】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.03%(w/v)のポロキサマー188と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0104】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約30mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.08%(w/v)のポロキサマー188と、(iii)約250mMのトレハロースと、(iv)約130mMのL-アルギニンと、(v)約20mMのヒスチジンとを含む。
【0105】
いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mL(例えば、約30mg/mL)の、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.006%(w/v)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのスクロース又は約250mMのマンニトールと、(iv)酢酸塩又はコハク酸塩とを含む。
【0106】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、静脈内、皮下又は筋肉内投与に好適である。
【0107】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、液体製剤である。いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、水性製剤である。他の態様では、製剤は、凍結乾燥製剤である。
【0108】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、滅菌することができる。抗体製剤は、滅菌濾過、放射線などを含む様々な滅菌法で滅菌することができる。一態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、滅菌済み0.2ミクロンフィルターで滅菌濾過される。
【0109】
本開示の他の態様は、本明細書に提供される抗IL5R抗体製剤を容器内に含む剤形を目的とする。いくつかの態様では、容器は、シリンジである。いくつかの態様では、シリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)は、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントを含む製剤と、界面活性剤であって、界面活性剤のCMC未満の量の界面活性剤とを含む。いくつかの態様では、シリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)は、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントを含む製剤、PS80若しくはポロキサマー、トレハロース、アルギニン及びヒスチジンを含む。いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)のPS80又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマーとを含む。いくつかの態様では、製剤は、(iii)約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)のトレハロースと、(iv)約100mM~約200mMのL-アルギニンと、(v)約15mM~約30mMのヒスチジンとを更に含む。いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mL(例えば、約30mg/mL)の、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.006%(w/v)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのスクロース又は約250mMのマンニトールと、(iv)酢酸塩又はコハク酸塩とを含む。いくつかの態様では、シリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)は、約1ml、約2ml、約3ml、約4ml、約5ml、約6ml、約7ml、約8ml、約9ml、約10ml、約15ml又は約20mlの、本明細書に提供される製剤を含有する。
【0110】
いくつかの態様では、シリンジは、対象への投与の例えば1週間、1日、6時間、3時間、2時間、1時間、30分間、20分間又は10分間未満前など、対象への投与直前に抗IL5R抗体製剤で充填され得る。いくつかの態様では、シリンジは、小売販売の時点において又は対象の治療が行われる施設によって抗IL5R抗体製剤で充填される。いくつかの態様では、シリンジは、予め充填され、例えば、シリンジは、対象への投与の1日、2日、4日、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、3年又は4年よりも前などに製剤で充填される。いくつかの態様では、シリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)は、例えば、27G通常針、27G肉薄針、29G通常針又は29G肉薄針などの針を含む。いくつかの態様では、シリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)は、29G肉薄針を含む。
【0111】
いくつかの態様では、シリンジは、プラスチックシリンジ又はガラスシリンジである。いくつかの態様では、シリンジは、タングステンを実質的に含まない材料からできている。いくつかの態様では、シリンジは、シリコーンでコーティングされている。いくつかの態様では、シリンジは、フルオロポリマー樹脂ディスクを有するプランジャーを含む。シリンジの例としては、Becton Dickinson Hypak 1mL longプランジャーストッパー4023付きHypak(商標)for Biotech 1ml Long(Becton Dickinson)、Flurotec Daikyo Si1000(カタログ番号47271919);C3Pin(ロット番号E912701);Hypak(商標)for Biotech 0.8mgシリコーン油(Becton Dickinson);及びCZシリンジ(West、カタログ番号19550807)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0112】
本開示の他の態様は、本明細書に記載される抗IL5R抗体製剤を含むバイアルを目的とする。いくつかの態様では、バイアルは、プラスチックバイアル又はガラスバイアルである。いくつかの態様では、バイアルは、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントと、界面活性剤であって、界面活性剤のCMC未満の量の界面活性剤とを含む製剤を含む。いくつかの態様では、バイアルは、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントと、PS80又はポロキサマーと、トレハロースと、アルギニンと、ヒスチジンとを含む製剤を含む。いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)~0.0012%(w/v)のPS80又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマーとを含む。いくつかの態様では、製剤は、(iii)約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)のトレハロースと、(iv)約100mM~約200mMのL-アルギニンと、(v)約15mM~約30mMのヒスチジンとを更に含む。いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mL(例えば、約30mg/mL)の、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.006%(w/v)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのスクロース又は約250mMのマンニトールと、(iv)酢酸塩又はコハク酸塩とを含む。いくつかの態様では、バイアルは、約1ml、約2ml、約3ml、約4ml、約5ml、約6ml、約7ml、約8ml、約9ml、約10ml、約15ml又は約20mlの、本明細書に記載される製剤を含有する。
【0113】
本開示の他の態様は、本明細書に記載される抗IL5R抗体製剤、剤形、バイアル又はシリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)と、使用説明書とを含むキットを目的とする。いくつかの態様では、キットは、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントと、界面活性剤であって、界面活性剤のCMC未満の量の界面活性剤とを含む製剤を含む。いくつかの態様では、キットは、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメントと、PS80又はポロキサマーと、トレハロースと、アルギニンと、ヒスチジンとを含む製剤を含む。いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mLの、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗体結合フラグメントと、(ii)約0.0004%(w/v)~約0.0012%(w/v)のPS80又は約0.03%(w/v)~約0.08%(w/v)のポロキサマーとを含む。いくつかの態様では、製剤は、(iii)約1.5%(w/v)~約8.5%(w/v)のトレハロースと、(iv)約100mM~約200mMのL-アルギニンと、(v)約15mM~約30mMのヒスチジンとを更に含む。いくつかの態様では、製剤は、(i)約2mg/mL~約100mg/mL(例えば、約30mg/mL)の、配列番号1に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号2に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR2、配列番号3に記載される配列を含む重鎖可変領域CDR3、配列番号4に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号5に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR2及び配列番号6に記載される配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗体又はその抗原結合フラグメントと、(ii)約0.006%(w/v)のPS20、約0.0004%(w/v)のPS80、約0.0012%(w/v)のPS80、約0.006%(w/v)のPS80、約0.08%(w/v)のポロキサマー又は約0.27%(w/v)のポロキサマーと、(iii)約250mMのスクロース又は約250mMのマンニトールと、(iv)酢酸塩又はコハク酸塩とを含む。
【0114】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、「安定した」及び/又は「改善された安定性」を有する。本明細書で使用される場合、用語「安定した」及び「安定性」は、一般に、タンパク質、ペプチド又は別の生理活性高分子などの生物活性作用物質の完全性維持又は分解、変性、凝集又はアンフォールディングの最小化に関連する。本明細書で使用される場合、「改善された安定性」とは、一般に、分解、変性、凝集又はアンフォールディングをもたらすことが知られている条件下で、関心のあるタンパク質(例えば、抗IL5R抗体)、ペプチド又は別の生理活性高分子が、対照タンパク質、ペプチド又は別の生理活性高分子と比較してより大きい安定性を維持することを意味する。
【0115】
いくつかの態様では、安定性は、抗IL5R抗体の粒子形成(例えば、肉眼で見えない粒子形成)及び/又は断片化によって決定される。いくつかの態様では、肉眼で見えない粒子は、≧1μm、≧2μm、≧5μm、≧10μm又は≧25μmの直径を有する。
【0116】
「安定した」という用語は、相対的であり得、絶対的なものではない。したがって、いくつかの態様では、抗体が2℃~8℃で6ヶ月間にわたり貯蔵されるとき、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗IL5R抗体は、安定している。いくつかの態様では、抗体を2℃~8℃で12ヶ月間にわたり貯蔵した際、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。いくつかの態様では、抗体を2℃~8℃で18ヶ月間にわたり貯蔵した際、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。いくつかの態様では、抗体を2℃~8℃で24ヶ月間にわたり貯蔵した際、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。
【0117】
いくつかの態様では、抗体が23℃~27℃で3ヶ月間貯蔵されるとき、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。いくつかの態様では、抗体が23℃~27℃で6ヶ月間貯蔵されるとき、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。いくつかの態様では、抗体が23℃~27℃で12ヶ月間貯蔵されるとき、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。いくつかの態様では、抗体が23℃~27℃で24ヶ月間貯蔵されるとき、SEC HPLCによる測定で20%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。
【0118】
いくつかの態様では、抗体が40℃で貯蔵されるとき、SEC HPLCによる測定で1ヶ月当たり6%未満、4%未満、3%未満、2%未満又は1%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。いくつかの態様では、抗体が5℃で貯蔵されるとき、SEC HPLCによる測定で1ヶ月当たり6%未満、4%未満、3%未満、2%未満又は1%未満の抗体が分解、変性、凝集又は折り畳まれていない場合、抗体は、安定している。
【0119】
いくつかの態様では、8週間、4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月又は24ヶ月間にわたり、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの当業者に知られている抗体結合アッセイによる測定で、抗体が、参照抗体と比較して、製剤の抗体(その抗体フラグメントを含む)の結合活性に非常にわずかな又は皆無の低下を示す場合、本発明の抗体製剤は、安定していると見なされ得る。いくつかの態様では、約40℃で少なくとも1ヶ月間貯蔵された抗体は、貯蔵されていない参照抗体と比較して、IL-5受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%を保つ。いくつかの態様では、約5℃で少なくとも6ヶ月間貯蔵された抗体は、貯蔵されていない参照抗体と比較して、IL-5受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%を保つ。いくつかの態様では、約40℃で少なくとも1ヶ月間貯蔵された抗体は、貯蔵されていない参照抗体と比較して、IL-5受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも95%を保つ。いくつかの態様では、約5℃で少なくとも6ヶ月間貯蔵された抗体は、貯蔵されていない参照抗体と比較して、IL-5受容体ポリペプチドとの結合能力の少なくとも95%を保つ。
【0120】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、1mL当たり約20,000個未満の肉眼で見えない粒子、1mL当たり約10,000個未満の肉眼で見えない粒子、1mL当たり約5,000個未満の肉眼で見えない粒子、1mL当たり約1,000個未満の肉眼で見えない粒子、1mL当たり約500個未満の肉眼で見えない粒子、1mL当たり約100個未満の肉眼で見えない粒子、1mL当たり約50個未満の肉眼で見えない粒子又は1mL当たり約20個未満の肉眼で見えない粒子を有する。いくつかの態様では、製剤は、積極的な撹拌(例えば、室温で、例えば、約10日間)、凍結-融解サイクル(例えば、約1~約10サイクル)及び/又は貯蔵(例えば、約40℃での約1ヶ月間)に供されている。
【0121】
他の態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、対照製剤よりも約20%少ない、約30%少ない、約40%少ない、約50%少ない、約60%少ない、約70%少ない、約80%少ない、約90%少ない、約95%少ない又は約99%少ない肉眼で見えない粒子を有する。
【0122】
いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、粒子を本質的に含まない。本明細書で使用される場合、用語「粒子を本質的に含まない」は、ライトボックス下で観察した際の可視粒子の不在を指す。いくつかの態様では、粒子を本質的に含まないとは、約200個粒子/mL未満、約150個粒子/mL未満、約100個粒子/mL未満、約50個粒子/mL未満、約30個粒子/mL未満、約20個粒子/mL未満、約15個粒子/mL未満、約10個粒子/mL未満、約5個粒子/mL未満、約2個粒子/mL又は約1個粒子/mL未満を含有する製剤を指す。いくつかの態様では、粒子を本質的に含まないとは、約1~約20個粒子/mL、約10~約150個粒子/mL、約1~約50個粒子/mL、約2~約40個粒子/mL、約3~約30個粒子/mL、約4~約25個粒子/mL又は約5~約20個粒子/mLを含有する製剤を指す。
【0123】
いくつかの態様では、粒子は、目視検査、マイクロフローイメージング(MFI)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び/又はパーティクルカウンター(例えば、HIACパーティクルカウンター)によって検出される。いくつかの態様では、タンパク質断片化は、ゲル電気泳動によって検出される。
【0124】
II.使用方法
いくつかの態様では、本開示は、IL-5ポリペプチドの異常な発現及び/又は活性によって特徴付けられる疾患又は障害、IL-5受容体(IL5R)若しくはその1つ以上のサブユニットの異常な発現及び/又は活性によって特徴付けられる疾患又は障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患又は感染症(好ましくは呼吸器感染症)或いはそれらの1つ以上の症状を治療又は予防する方法であって、本明細書に提供される抗IL5R抗体製剤、剤形、バイアル及び/又はシリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)を投与することを含む方法を目的とする。
【0125】
いくつかの態様では、本開示は、肺疾患又は障害を治療又は予防する方法であって、本明細書に提供される抗IL5R抗体製剤、剤形、バイアル及び/又はシリンジ(例えば、プレフィルドシリンジ)を投与することを含む方法を目的とする。
【0126】
いくつかの態様では、肺疾患又は障害は、好酸球性疾患又は障害である。いくつかの態様では、肺疾患又は障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、急性及び慢性好酸球性気管支炎、急性及び慢性好酸球性肺炎、チャーグ・ストラウス症候群、好酸球増多症候群、薬物、刺激物及び放射線誘発性肺好酸球増加症、感染誘発性肺好酸球増加症、自己免疫関連肺好酸球増加症、好酸球性食道炎、クローン病又はそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、喘息は、好酸球性喘息、好中球性喘息、混合型好酸球性及び好中球性喘息又はアスピリン感受性喘息である。
【0127】
「治療する」及び「治療」という用語は、治療処置と、予防的、保全的又は止的手段との両方を指し、目的は、望まれない生理学的な病状、障害若しくは疾患を予防若しくは緩和(軽減)するか、又は有益な若しくは所望の臨床結果を得ることである。「治療する」、「治療」及び「治療すること」という用語は、(1つ又は複数の予防薬又は治療薬の投与をはじめとするが、これに限定されるものではない)1つ又は複数の治療法の実施から得られる、このような疾患又は障害(例えばIL-5ポリペプチドの異常な発現及び/又は活性によって特徴付けられる疾患又は障害、IL-5ポリペプチド又はその1つ若しくは複数のサブユニットの異常な発現及び/又は活性によって特徴付けられる疾患又は障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患又は感染症の進行、重症度及び/又は持続期間の低下又は改善或いはその1つ又は複数の症状の改善を指す。いくつかの態様では、このような用語は、好酸球媒介炎症に関連した炎症の低下を指す。他の態様では、このような用語は、肥満細胞による炎症性作用物質放出の低下又はこのような炎症性作用物質による生物学的効果の低下を指す。他の態様では、このような用語は、過剰増殖性細胞(例えばがん性細胞)の増殖、形成及び/又は増加の低下を指す。なおも他の態様では、このような用語は、気道、皮膚、胃腸管又はそれらの組み合わせの炎症の低下を指す。なおも他の態様では、このような用語は、喘息に伴う症状の低減を指す。いくつかの態様では、このような用語は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に伴う症状の低減を指す。
【0128】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、疾患又は障害若しくはその1つ以上の症状の重症度を軽減するか、呼吸器病態の持続期間を低減するか、このような疾患又は障害の1つ以上の症状を緩和するか、このような疾患又は障害の進行を予防するか、このような疾患又は障害の退行を引き起こすか、又は別の療法の治療効果を促進若しくは向上させるのに十分である治療薬(例えば、抗IL5R抗体又はその抗原結合フラグメント)の量を指す。いくつかの態様では、治療有効量は、予め指定され得ず、医療提供者、例えば医師又は他の医療関係者により、様々な手段、例えば用量漸増法を使用して決定され得る。適正な治療に有効な量は、例えば、動物モデルを用いる日常の実験によっても決定することができる。
【0129】
本明細書で提供されるような製剤は、対象の治療に適し得る。本明細書で使用される場合、「対象」は、「患者」と同義的に使用され得、ヒト並びに飼育動物及び家畜、動物園動物、スポーツ用動物及びペットなどであるが、これに限定されるものではない、非ヒトをはじめとする、哺乳類に分類されるあらゆる動物を指す。いくつかの態様では、対象は、ヒトを指す。
【0130】
本開示の抗IL5R抗体製剤の投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入又は局所投与法を介し得る。非経口という用語は、本明細書の用法では、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸又は膣内投与を含む。いくつかの態様では、本開示の抗IL5R抗体製剤は、注射を介した投与、特に静脈内若しくは動脈内注射又は点滴に好適である。
【実施例】
【0131】
実施例1
異なる界面活性剤、特にポリソルベート20(PS20)、ポリソルベート80(PS80)又はポロキサマー188を界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満で含有する抗IL5R抗体製剤中の肉眼で見えない粒子の展開に対する異なるストレス因子の影響を試験するために研究を実施した。
【0132】
30mg/mlの抗IL5R抗体、20mMのヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩(HCl)及び250mMのトレハロース二水和物、pH6.0と共に、界面活性剤を含まないか、又は0.006%のポリソルベート20(PS20)、0.02%のPS20、0.0004%のポリソルベート80(PS80)、0.0012%のPS80、0.006%のPS80、0.02%のPS80、0.027%のポロキサマー188若しくは0.08%のポロキサマー188のいずれかを含有する製剤を調製した。抗IL5R抗体をDSC、MEDI-563ロットMS00684-42、134g/LのPFBで製造した。ソース抗体を使用して、試料を所望の濃度を達成するための希釈及び緩衝液交換によって再製剤化した。界面活性剤を、より高い濃度を有する液体ストックからスパイクした。最終製剤を、0.2umのフィルターで滅菌濾過した。
【0133】
安定性試験については、1mLの製剤をシリンジ(Becton Dickinson Hypak 1mLシリンジ、29ゲージの針、West 4023プランジャーストッパーを備える)又はガラスバイアル(SCHOTT 2R I型ガラスバイアル、West Daikyo 13mmのストッパー)に手動での充填及び栓止めを用いて添加した。
【0134】
次いで、積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)を、Scientific Industries Genie SI-1100 Roto-Shake Rotator/Rockerを用いて、35rpmの速度で合計10日間実施した。撹拌後、シリンジを、針を通して空にして、シリンジ及びガラスバイアルからの製剤試料をマイクロフローイメージング(MFI)機器を用いて試験した。試験では、0.2mLの各試料を最初にパージし、続いて0.5mLの各試料を分析した。肉眼で見えない粒子(≧2μm及び≧25μm)を、機器によって取り込まれた写真の総数によって5日目及び10日目に測定した。アスペクト比フィルタリングを適用し、精度を高めるために、気泡を計数することを回避した。
【0135】
図1A~1Bは、界面活性剤を含有しないプレフィルドシリンジ中の製剤が、5日間及び10日間の撹拌後に肉眼で見えない粒子(それぞれ≧2μm及び≧25μm)が顕著に存在したことを示す。予想どおり、CMCを上回る量の界面活性剤(0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有するプレフィルドシリンジ中の製剤には、回転の10日後に肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。しかしながら、CMC未満の量の界面活性剤(0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー188及び0.08%のポロキサマー188)を含有するプレフィルドシリンジ中の製剤にも、回転の10日後に肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。
【0136】
図2A~2Dは、界面活性剤を含有しないガラスバイアル中の製剤には、5日間及び10日間の撹拌後に肉眼で見えない粒子(それぞれ≧2μm、≧5μm、≧10μm及び≧25μm)が顕著に存在したことを示す。予想どおり、CMCを上回る量の界面活性剤(0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有するガラスバイアル中の製剤には、5日間及び10日間の撹拌後に肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。しかしながら、CMC未満の量の界面活性剤(0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー188及び0.08%のポロキサマー188)を含有するガラスバイアル中の製剤にも、5日間及び10日間の回転後に肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。
【0137】
同じ製剤を、凍結-融解サイクル後の肉眼で見えない粒子の存在についても試験した。製剤を含有するプレフィルドバイアルを、-40℃のチャンバ内で凍結し、25℃に7回融解した。各凍結-融解サイクルは、1.5時間続いた。最後の凍結-融解サイクル後、製剤を、上記で説明したように、MFIを使用して肉眼で見えない粒子(≧2μm及び≧25μm)の存在について試験した。
【0138】
図3A~3Bは、界面活性剤を含有しない製剤には、7回の凍結-融解サイクル(7×FT)後に肉眼で見えない粒子(それぞれ≧2μm及び≧25μm)が顕著に存在したことを示す。予想どおり、CMCを上回る量の界面活性剤(0.02%のPS20、0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有する製剤には、凍結-融解サイクル後に肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。しかしながら、CMC未満の量の界面活性剤(0.006%のPS20、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー188及び0.08%のポロキサマー188)を含有する製剤には、凍結-融解サイクル後に肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。
【0139】
実施例2
異なる界面活性剤、特にポリソルベート80(PS80)又はポロキサマー188を界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)未満の量で含有する抗IL5R抗体製剤中の肉眼で見えない粒子の展開を試験するために追加の研究を実施した。
【0140】
30mg/mLの抗IL5R抗体、20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl及び250mMのトレハロース二水和物、pH6.0と共に界面活性剤を含まないか、又は0.0004%のポリソルベート80(PS80)、0.0012%のPS80、0.02%のポロキサマー188(ポロキサマー)若しくは0.08%のポロキサマー188のいずれかを含有する製剤を調製した。抗IL5R抗体をDSC、MEDI-563ロットMS00684-42、134g/LのPFBで製造した。ソース抗体を使用して、試料を所望の濃度を達成するための希釈及び緩衝液交換によって再製剤化した。界面活性剤を、より高い濃度を有する液体ストックからスパイクした。最終製剤を、0.2umのフィルターで滅菌濾過した。
【0141】
安定性試験については、1mLの製剤をシリンジ(Becton Dickinson Hypak 1mLシリンジ、29ゲージの針、West 4023プランジャーストッパーを備える)又はガラスバイアル(SCHOTT 2R I型ガラスバイアル、West Daikyo 13mmのストッパー)に手動での充填及び栓止めを用いて添加した。
【0142】
次いで、積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)を、Scientific Industries Genie SI-1100 Roto-Shake Rotator/Rockerを用いて、35rpmの速度で合計10日間実施した。撹拌後、シリンジを、針を通して空にして、製剤試料を実施例1で説明したように、MFI機器を用いて試験した。
【0143】
図4A~4Bは、界面活性剤を含有しない製剤には、肉眼で見えない粒子が顕著に存在したことを示す。CMC未満の量の界面活性剤(0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.02%のポロキサマー188(ポロキサマー)及び0.08%のポロキサマー188)を含有する製剤には、肉眼で見えない粒子が、特に≧5μm、≧10μm及び≧25μmの粒子に関しては、顕著に存在しなかった。
【0144】
実施例3
異なる界面活性剤、特にポリソルベート80(PS80)を界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)を上回る量及びそれ未満の量で含有する抗IL5R抗体製剤中の肉眼で見えない粒子の展開を試験するために追加の研究を実施した。
【0145】
30mg/mLの抗IL5R抗体、20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl及び250mMのトレハロース二水和物、pH6.0と共に、界面活性剤を含まないか、又は0.0004%のポリソルベート80(PS80)、0.0012%のPS80、0.006%のPS80若しくは002%のPS80のいずれかを含有する製剤を調製した。抗IL5R抗体をDSC、134g/LでのPFBで製造した。ソース抗体を使用して、試料を所望の濃度を達成するための希釈及び緩衝液交換によって再製剤化した。界面活性剤を、より高い濃度を有する液体ストックからスパイクした。最終製剤を、0.2umのフィルターで滅菌濾過した。
【0146】
安定性試験については、1mLの製剤をシリンジ(Becton Dickinson Hypak 1mLシリンジ、29ゲージの針、West 4023プランジャーストッパーを備える)又はガラスバイアル(SCHOTT 2R I型ガラスバイアル、West Daikyo 13mmのストッパー)に手動での充填及び栓止めを用いて添加した。
【0147】
次いで、積極的な撹拌(エンドツーエンドの回転)を、Scientific Industries Genie SI-1100 Roto-Shake Rotator/Rockerを用いて、35rpmの速度で合計10日間実施した。撹拌後、シリンジを、針を通して空にして、製剤試料を実施例1で説明したように、MFI機器を用いて試験した。
【0148】
図5A~5Bは、界面活性剤を含有しない製剤には、肉眼で見えない粒子が顕著に存在したことを示す。予想どおり、CMCを上回る量の界面活性剤(0.006%のPS80及び0.02%のPS80)を含有する製剤には、肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。しかしながら、驚くべきことに、CMC未満の量の界面活性剤(0.0004%のPS80及び0.0012%のPS80)を含有する製剤には、肉眼で見えない粒子が、特に≧2μm、≧5μm、≧10μm及び≧25μmの直径を有する粒子に関しては、顕著に存在しなかった。
【0149】
実施例4
異なる界面活性剤、特にポリソルベート80(PS80)及びポロキサマー188(ポロキサマー)を、界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)を上回る量及びそれ未満の量で含有する抗IL5R抗体製剤中の肉眼で見えない粒子の展開を試験するために追加の研究を実施した。
【0150】
表1に説明するように、10mg/mLの抗IL5R抗体、20mMのヒスチジン/ヒスチジンHCl及び250mMのトレハロース二水和物、pH6.0と共に、界面活性剤を含まない、界面活性剤又はシクロデキストリンのいずれかを含有する製剤を調製した。
【0151】
【0152】
抗IL5R抗体を、DSC、134g/LでのPFBで製造した。ソース抗体を使用して、試料を所望の濃度を達成するための希釈及び緩衝液交換によって再製剤化した。界面活性剤を、より高い濃度を有する液体ストックからスパイクした。最終製剤を、0.2umのフィルターで滅菌濾過した。
【0153】
安定性試験については、1mLの製剤をガラスバイアル(SCHOTT 2R I型ガラスバイアル、West Daikyo 13mmのストッパーを備える)に手動の充填及び栓止めを用いて添加した。製剤を充填したバイアルに、Lansmont Model 1000輸送シミュレーターを使用して、周囲温度で安定して置かれる前に、トラック及び/又は航空輸送中に発生する可能性のある撹拌を模倣するために、ストレスを与えた。シミュレーターによって使用した撹拌プログラムは、米国試験材料協会(American Society of Testing and Materials)D4169(出荷コンテナ及びシステムの性能試験の実施要領)ガイドラインに従った。シミュレートされた出荷は、12時間にわたる2つのレベルIIのトラック-航空-トラックサイクルから構成された。出荷後、バイアルは2~8℃の意図された貯蔵条件及び加速された25℃の条件下で、直立して安定した状態で置かれ、0、0.25、0.5、1、2、3及び6ヶ月にサンプリングされた。実施例1に説明したように、MFIを使用して、肉眼で見えない粒子数を測定した。
【0154】
図6は、界面活性剤を含有しないバイアル製剤には、肉眼で見えない粒子(≧2μm)が顕著に存在したことを示す。CMCを上回る量の界面活性剤(例えば、0.004%のPS80及び0.01%のPS80)を含有するバイアル及びプレフィルドシリンジの製剤には、肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。しかしながら、驚くべきことに、CMC未満の量の界面活性剤(例えば、0.0004%のPS80、0.0012%のPS80、0.027%のポロキサマー及び0.08%のポロキサマー)を含有するバイアル及びプレフィルドシリンジの製剤には、肉眼で見えない粒子が顕著に存在しなかった。
【0155】
図7は、シリコーンを含有するバイアル、プレフィルドシリンジ中のCMCを上回る濃度及びCMC未満の濃度でPS80を含有する製剤及びシリコーンを含有しないプレフィルドシリンジの製剤が、肉眼で見えない粒子(≧2μm)が顕著に存在しなかったことを更に示す。
【0156】
実施例5
緩衝液の異なる組み合わせ(酢酸塩(pH5.5)又はコハク酸塩(pH5.6))、250mMの糖(スクロース又はマンニトール)及び界面活性剤(0.006%のPS-20、0.0004%のPS-80、0.0012%のPS-80、0.006%のPS-80、0.27%のポロキサマー、0.08%のポロキサマー)を含有する抗IL5R抗体製剤中の肉眼で見えない粒子の展開を試験するために追加の研究を実施した。次いで、製剤(1mL)を、2Rガラスバイアル又は1mLのLプレフィルドシリンジのいずれか中で、上述したような異なるストレス因子に供した(3回の凍結-融解サイクル、5日間の撹拌、10日間の撹拌又は7回の凍結-融解サイクル)。以下の対照を使用した(i)ヒスチジン-トレハロース-0.006%のPS-20、(ii)ヒスチジン-トレハロース-界面活性剤なし、(iii)酢酸塩-スクロース-界面活性剤なし、(iv)酢酸塩-マンニトール-界面活性剤なし、(v)コハク酸塩-スクロース-界面活性剤なし、及び(vi)コハク酸塩-マンニトール-界面活性剤なし。
【0157】
図8及び9は、CMCを上回る界面活性剤濃度及びCMC未満の界面活性剤濃度が、酢酸塩又はコハク酸塩及びスクロース又はマンニトールを含む製剤を含有するガラスバイアル中で、凍結-融解サイクル後に肉眼で見えない粒子の形成を減少させることを示す。
【0158】
図10~13は、CMCを上回る界面活性剤濃度及びCMC未満の界面活性剤濃度が、酢酸塩又はコハク酸塩及びスクロース又はマンニトールを含む製剤を含有するガラスバイアル中で、10日間の撹拌(エンドツーエンドの回転)後に肉眼で見えない粒子の形成を減少させることを示す。
【0159】
図14~17は、CMCを上回る界面活性剤濃度及びCMC未満の界面活性剤濃度が、酢酸塩又はコハク酸塩及びスクロース又はマンニトールを含む製剤を含有するプレフィルドシリンジ中の10日間の撹拌(エンドツーエンドの回転)後に肉眼で見えない粒子の形成を減少させることを示す。
【0160】
図18~21は、CMCを上回る界面活性剤濃度及びCMC未満の界面活性剤濃度が、酢酸塩又はコハク酸塩及びスクロース又はマンニトールを含む製剤を含有するプレフィルドシリンジ中の凍結-融解サイクル後の肉眼で見えない粒子の形成を減少させることを示す。
【0161】
製剤の純度も、動的光散乱(DLS)を使用して評価した。DLSアッセイの結果を、
図22及び23に示す。
【0162】
実施例6
上記実施例で使用した未加工賦形剤(緩衝液及び糖)が、肉眼で見えない粒子の形成に影響を及ぼし得る界面活性不純物を有さなかったことを確認するために、使用された賦形剤の表面張力測定値を測定した。結果を表2に示す。
【0163】
【0164】
全体として、1~2mN/mの乖離度があり、水の表面張力は、文献では72mN/mと報告されている。しかしながら、このアッセイの範囲内では、全ての賦形剤及び組み合わせのばらつきは、水と同様な表面張力を有しており、有意な低下(界面活性剤の存在下で起こる)は観察されなかった。
【0165】
実施例7
150mg/mlの抗IL5R抗体を含む製剤において、肉眼で見えない粒子の形成も評価した。このアッセイでは、1mLの充填量を有する2Rガラスバイアル中の40℃での1mの貯蔵後(
図24)又は1mLの充填量を有する2Rガラスバイアル及びプレフィルドシリンジ中の5Cでの1mの貯蔵後(
図25)に製剤を試験した。製剤は、貯蔵前12時間に、Lansmont Model 1000輸送シミュレーターを使用してストレスを加えた。
図24に示すように、PS20、Brij又はシクロデキストリンを含む40℃でのバイアル中の製剤は、より多数の粒子を有した。加えて、
図25の結果は、PS20を含む5℃での製剤が他の製剤よりも多数の粒子を有したことを実証する。
【0166】
当業者は、本明細書で説明されている本開示の具体的な態様に対する多くの均等物を理解するか、又は日常の実験のみを使用して確認し得るであろう。こうした均等物は、下記の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0167】
前述の態様は、理解を明瞭にすることを意図して、図面及び実施例を介してある程度詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲内である特定の変更形態及び修正形態がなされ得ることが明白であろう。
【配列表】
【国際調査報告】