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特表2023-553655バイオプロセシングシステムを動作させる方法およびバイオプロセシングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】バイオプロセシングシステムを動作させる方法およびバイオプロセシングシステム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20231218BHJP
   B04B 1/08 20060101ALI20231218BHJP
   B04B 11/04 20060101ALI20231218BHJP
   B04B 13/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C12M1/00 C
B04B1/08
B04B11/04
B04B13/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536163
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021082437
(87)【国際公開番号】W WO2022128347
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20214285.7
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スタッファン・ケーニヒソン
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・トールヴィド
【テーマコード(参考)】
4B029
4D057
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA27
4B029BB01
4B029CC01
4B029DG08
4D057AA00
4D057AB01
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE02
4D057BA14
4D057BC05
4D057BC11
4D057CB01
4D057CB04
4D057CB08
(57)【要約】
本開示は、バイオプロセシングシステムを動作させる方法(100)に関し、この方法は、- 発酵槽(4)内で細胞培養混合物を生成する(102)ステップと、- 細胞培養混合物を生成する(102)ステップと同時に、発酵槽(4)から、表面拡大インサートを備える遠心分離機(6)の内部に、細胞培養混合物の流れを導く(104)ステップと、- 細胞培養混合物を生成する(102)ステップおよび細胞培養混合物の流れを導く(104)ステップと同時に、遠心分離機(6)の内部から発酵槽(4)に液体の流れを連続的に戻す(106)ステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプロセシングシステム(2)を動作させる方法(100)であって、
- 発酵槽(4)内で細胞培養混合物を生成する(102)ステップと、
- 前記細胞培養混合物を生成する(102)前記ステップと同時に、前記発酵槽(4)から、表面拡大インサートを備える遠心分離機(6)の内部に、細胞培養混合物の流れを導く(104)ステップと、
- 前記細胞培養混合物を生成する(102)前記ステップおよび細胞培養混合物の前記流れを導く(104)前記ステップと同時に、前記遠心分離機(6)の前記内部から前記発酵槽(4)に液体の流れを連続的に戻す(106)ステップと
を含む方法(100)。
【請求項2】
第1の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)内で細胞培養混合物の前記流れを軽い相と重い相とに分離する(107)ステップを含み、前記遠心分離機(6)の前記内部から前記発酵槽(4)に液体の流れを連続的に戻す(106)前記ステップが、前記第1の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記重い相を、前記発酵槽(4)への液体の前記流れとして前記発酵槽(4)に戻す(108)ステップ
を含む、請求項1に記載のバイオプロセシングシステム(2)を動作させる方法(100)。
【請求項3】
細胞培養混合物の前記流れを軽い相と重い相とに分離する(107)前記ステップにおいて、分離された前記軽い相の流れが、細胞培養混合物の前記流れの最大5%V/Vを形成する、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
前記第1の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記軽い相を受取り容器(8)に導く(112)ステップ
を含む、請求項2または3に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記第1の期間中に、前記重い相が、増殖培地とホールセルとを含み、前記軽い相が、前記増殖培地と、ホールセルよりも小さな粒径の前記細胞培養混合物からの破片とを含み、実質的にホールセルを含まない、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記第1の期間中に、前記細胞培養混合物の前記流れが流量qで導かれ、前記遠心分離機(6)が、直径dを有するホールセルが前記流量qで前記細胞培養混合物から分離されるようなエリアイクイバレントAeで動作する、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記第1の期間の前に、前記方法が、
- 増殖培地などの細胞培養混合物以外の液体で前記遠心分離機(6)をプライミングする(114)ステップ
を含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
前記遠心分離機(6)の前記内部から前記発酵槽(4)に液体の流れを連続的に戻す(106)前記ステップが、第2の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)の前記内部からの分離されてない細胞培養混合物の前記流れを、前記発酵槽(4)への液体の前記流れとして前記発酵槽(4)に戻す(110)ステップ
を含む、請求項2~7のいずれか一項に記載のバイオプロセシングシステム(2)を動作させる方法(100)。
【請求項9】
前記第2の期間中の細胞培養混合物の前記流れを戻す(110)前記ステップの間、前記遠心分離機(6)のロータが、静止しているか、または前記第1の期間中の細胞培養混合物の前記流れを分離する(107)前記ステップ中よりも低い回転速度で回転しているか、または前記第1の期間中の細胞培養混合物の前記流れを分離する(107)前記ステップ中の回転方向とは反対の回転方向に回転している、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記第1の期間と前記第2の期間とが交互に繰り返される、請求項8または9に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記第1の期間中と前記第2の期間中で、前記細胞培養混合物の前記流れが、実質的に同じ流量qで前記遠心分離機(6)の前記内部に導かれる、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
第3の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)の前記内部から前記発酵槽(4)に液体の流れを連続的に戻す(106)前記ステップを停止する(115)ステップと、
- 前記発酵槽(4)から前記遠心分離機(6)に前記細胞培養混合物の流れを導く(116)ステップと、
- 前記遠心分離機(6)内で細胞培養混合物の前記流れを軽い相と重い相とに分離する(118)ステップと、
- 分離する(118)前記ステップで分離された前記重い相を受取り槽(18)に導く(120)ステップと
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記第3の期間中に、
- 分離する(118)前記ステップで分離された前記軽い相を受取り容器(8)に導く(122)ステップ
を含む、請求項12に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記第3の期間中に、前記遠心分離機(6)のロータが、前記第1の期間中よりも高い回転速度で回転する、請求項12または13に記載の方法(100)。
【請求項15】
第4の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)の前記内部から前記発酵槽(4)に液体の流れを連続的に戻す(106)前記ステップを停止する(115)ステップと、
- 前記発酵槽(4)から前記遠心分離機(6)に前記細胞培養混合物の全てを導く(124)ステップと、
- 前記遠心分離機(6)内で前記細胞培養混合物を軽い相と重い相とに分離する(126)ステップであり、前記軽い相が、前記細胞培養混合物の50~95%V/Vを形成する、ステップと、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記軽い相を受取り容器(8)に導く(130)ステップと
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項16】
前記第4の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記重い相を受取り槽(18)に導く(128)ステップ
を含む、請求項15に記載の方法(100)。
【請求項17】
前記第3および/または第4の期間に続いて、前記方法(100)が、
- 希釈された重い相を生成するために、前記受取り槽(18)内の前記重い相を液体で希釈する(132)ステップと、
- 第5の期間中に、前記希釈された重い相を、前記受取り槽(18)から、前記遠心分離機(6)などの遠心装置に移送する(134)ステップと、
- 前記第5の期間中に、前記遠心装置内で前記希釈された重い相を軽い相とさらなる重い相とに分離する(136)ステップと、
- 前記軽い相を前記受取り容器(8)に導く(138)ステップと
を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項18】
前記第5の期間中に、前記遠心分離機(6)の前記ロータが、前記第1の期間中よりも高い回転速度で回転する、請求項17に記載の方法(100)。
【請求項19】
前記第3、第4および/または第5の期間に続いて、前記方法(100)が、第6の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)を、増殖培地などの液体でフラッシュする(140)ステップと、
- 前記遠心分離機(6)を作動させる(142)ステップと、
- 前記液体の少なくとも一部分を、前記遠心分離機(6)の軽い相出口を通して前記受取り容器(8)に導く(144)ステップと
を含む、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項20】
前記遠心分離機(6)を作動させる(142)前記ステップ中に、前記遠心分離機(6)の前記ロータが、前記第1の期間中よりも高い回転速度で回転する、請求項19に記載の方法(100)。
【請求項21】
前記第1から第6の期間のうちのいずれか1つの期間に続いて、前記方法(100)が、
- 前記受取り容器(8)内に集められた前記軽い相を前記遠心分離機(6)または遠心装置(6’)に導く(146)ステップと、
- 前記遠心分離機(6)または前記遠心装置(6’)内で前記軽い相を軽いフラクションと重いフラクションとに分離する(148)ステップであり、前記重いフラクションが、前記細胞培養混合物からの残留破片を含む、ステップと、
- 前記軽いフラクションからの細胞外物質の抽出などのさらなる処理のために、前記軽いフラクションを移送する(150)ステップと
を含む、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項22】
前記遠心装置内で前記軽い相を軽いフラクションと重いフラクションとに分離する(148)前記ステップ中に、前記遠心分離機(6)の前記ロータが、前記第1から第6の期間のうちの1つまたは複数の期間中よりも高い回転速度で回転する、請求項23に記載の方法(100)。
【請求項23】
表面拡大インサートを備える前記遠心分離機(6)が、ベースユニットと、前記ベースユニット内に装着された交換可能分離インサートとを備えるモジュール式遠心分離機(6)であり、前記方法(100)が、
- 前記発酵槽(4)から細胞培養混合物の流れを導く(104)前記ステップの前に、使用済みの交換可能分離インサートを未使用の交換可能分離インサートと交換するステップ
を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項24】
細胞培養混合物をその内部で生成するための発酵槽(4)と、表面拡大インサートを備える遠心分離機(6)と、受取り容器(8)と、前記発酵槽(4)、前記遠心分離機(6)および前記受取り容器(8)を相互接続する導管システムと、前記導管システム内に配置された流量制御機器と、前記遠心分離機(6)および前記流量制御機器の少なくとも一部分を制御するように構成された制御システムとを備えるバイオプロセシングシステム(2)であって、前記制御システムが、
- 前記発酵槽(4)から前記遠心分離機(6)の内部に細胞培養混合物の流れを導き、同時に、
- 前記遠心分離機(6)の前記内部から前記発酵槽(4)に液体の流れを連続的に戻す
ように構成されている、バイオプロセシングシステム(2)。
【請求項25】
前記制御システムが、第1の期間中に、
- 細胞培養混合物の前記流れを軽い相と重い相とに分離するために、前記遠心分離機(6)を作動させ、
- 前記遠心分離機(6)の前記内部から、前記遠心分離機(6)内で分離された前記重い相を、前記発酵槽(4)への液体の前記流れとして連続的に戻す
ように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記導管システムが、前記遠心分離機(6)と前記受取り容器(8)とを相互接続しており、前記制御システムがさらに、前記第1の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記軽い相を前記受取り容器(8)に導く
ように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御システムが、第2の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)の前記内部から、分離されてない前記細胞培養混合物を、前記発酵槽(4)への液体の前記流れとして連続的に戻す
ように構成されている、請求項24~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記制御システムがさらに、前記第2の期間中に、前記遠心分離機(6)のロータを静止したまま維持するように、または前記第1の期間中よりも低い回転速度で前記ロータを回転させるように、または前記第1の期間中の回転方向とは反対の回転方向に前記ロータを回転させるように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記制御システムが、前記第1の期間と前記第2の期間とを交互に繰り返すように構成されている、請求項25~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
受取り槽(18)を備え、前記導管システムが、前記遠心分離機(6)と前記受取り槽(18)とを相互接続しており、前記制御システムが、第3の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)の前記内部から前記発酵槽(4)に液体の流れを連続的に戻すことを停止し、
- 前記発酵槽(4)から前記遠心分離機(6)に前記細胞培養混合物の流れを導き、
- 前記遠心分離機(6)内で細胞培養混合物の前記流れを軽い相と重い相とに分離するために、前記遠心分離機(6)を作動させ、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記重い相を前記受取り槽(18)に導く
ように構成されている、請求項24~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記制御システムが、前記第3の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記軽い相を前記受取り容器(8)に導く
ように構成されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記遠心分離機(6)がロータを備え、前記制御システムが、前記第1の期間中よりも高い前記第3の期間中の回転速度で前記ロータを回転させるように構成されている、請求項30または31に記載のシステム。
【請求項33】
前記制御システムが、第4の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)の前記内部から前記発酵槽(4)に液体の前記流れの連続的に戻すことを停止し、
- 前記発酵槽(4)から前記遠心分離機(6)に前記細胞培養混合物の全てを導き、
- 前記細胞培養混合物を軽い相と重い相とに分離するために、前記遠心分離機(6)を作動させ、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記軽い相を前記受取り容器(8)に導く
ように構成されている、請求項24~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記制御システムが、前記第4の期間中に、
- 前記遠心分離機(6)内で分離された前記重い相を前記受取り槽(18)に導く
ように構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
任意選択で遠心装置を備え、任意選択で前記導管システムが、前記受取り容器(8)と前記遠心装置とを相互接続しており、前記制御システムが、前記第1から第6の期間のうちのいずれか1つの期間に続いて、
- 前記受取り容器(8)内に集められた前記軽い相を前記遠心分離機(6)または遠心装置に導き、
- 前記軽い相を軽いフラクションと重いフラクションとに分離するために、前記遠心分離機(6)または前記遠心装置を作動させ、
- 前記遠心分離機(6)または前記遠心装置から前記軽いフラクションを移送する
ように構成されている、請求項25~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記制御システムが、前記第1の期間中と前記第2の期間中で、前記細胞培養混合物の流れを実質的に同じ流量qで前記遠心分離機(6)の前記内部に供給するように構成されている、請求項25~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
表面拡大インサートを備える前記遠心分離機(6)が、ベースユニットと、前記ベースユニット内に装着された交換可能分離インサートとを備えるモジュール式遠心分離機(6)である、請求項24~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記導管システムが、前記発酵槽(4)から前記遠心分離機(6)の入口まで延びる第1の導管区間と、前記遠心分離機(6)の重い相出口から前記発酵槽(4)まで延びる第2の導管区間と、前記遠心分離機(6)の軽い相出口から前記受取り容器(8)まで延びる第3の導管区間とを含み、前記流量制御機器が、前記第1の導管区間内に配置されたフィードポンプと、前記第2の導管区間内に配置された重い相ポンプと、前記第3の導管区間内に配置された軽い相ポンプと、前記第1の導管区間に配置された第1のバルブ装置と、前記第2の導管区間に配置された第2のバルブ装置と、前記第3の導管区間に配置された第3のバルブ装置とを含む、請求項24~37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記フィードポンプが遠心ポンプであり、前記重い相ポンプおよび前記軽い相ポンプがそれぞれ蠕動ポンプである、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記導管システムが、前記第1の導管区間まで延びる第4の導管区間を含み、前記第4の導管区間が、前記遠心分離機(6)の前記入口に前記細胞培養混合物以外の液体を供給するように構成されており、前記制御システムが、前記第1の期間の前に、
細胞培養混合物以外の前記液体が、前記第4および第1の導管区間を通して前記遠心分離機(6)の前記入口および前記内部に移送され、遠心分離機(6)から前記重い相出口および前記軽い相出口を通して移送され、前記発酵槽(4)および前記受取り容器(8)に達する前に前記第2および第3の導管区間から迂回されるように、
- 前記フィードポンプ、前記重い相ポンプおよび前記軽い相ポンプを作動させ、
- 前記第1のバルブ装置を利用して、前記第4の導管区間から前記第1の導管区間および前記遠心分離機(6)に至る液体通路を提供し、
- 前記第2のバルブ装置を利用して、前記第2の導管区間からの迂回通路を提供し、
- 前記第3のバルブ装置を利用して、前記第3の導管区間からの迂回通路を提供する
ように構成されている、請求項25~37のいずれか一項および請求項38または39に記載のシステム。
【請求項41】
前記制御システムが、前記第1の期間中に、
- 前記フィードポンプ、前記重い相ポンプおよび前記軽い相ポンプを作動させ、
- 前記第1のバルブ装置を利用して、前記発酵槽(4)から前記第1の導管区間および前記遠心分離機(6)に至る液体通路を提供し、
- 前記第2のバルブ装置を利用して、前記第2の導管区間を通って前記発酵槽(4)に至る重い相通路を提供し、
- 前記第3のバルブ装置を利用して、前記第3の導管区間を通って前記受取り容器(8)に至る軽い相通路を提供する
ように構成されている、請求項25~37のいずれか一項および請求項38~40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記制御システムが、前記第2の期間中に、
- 前記フィードポンプおよび前記重い相ポンプを作動させ、
- 前記第1および第2のバルブ装置を開いた状態に維持し、
- 前記発酵槽(4)から前記第1の導管区間を通って前記遠心分離機(6)に至り、前記遠心分離機(6)を通り抜け、前記遠心分離機(6)から前記第2の導管区間を通って再び前記発酵槽(4)に戻る細胞培養混合物通路を提供するためなどのために、前記第3のバルブ装置を閉じた状態に維持する
ように構成されている、請求項27~37のいずれか一項および請求項38~41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記導管システムが、前記第2の導管区間から前記受取り槽(18)まで延びる第5の導管区間を含み、前記制御システムが、前記第3の期間中に、
- 前記フィードポンプおよび前記重い相ポンプを作動させ、
- 前記遠心分離機(6)を作動させ、
- 前記細胞培養混合物が、前記発酵槽(4)から前記第1の導管区間を通って前記遠心分離機(6)まで移送され、前記遠心分離機(6)内で、前記第3の導管区間を通って前記受取り容器(8)に導かれる軽い相と、前記第1および第5の導管区間を通って前記受取り槽(18)に導かれる重い相とに分離されるように、前記第2のバルブ装置および前記第5の導管区間を利用して、前記重い相出口から前記受取り槽(18)に至る重い相通路を提供する
ように構成されている、請求項30~32または34のいずれか一項および請求項38~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記遠心分離機(6)が前記発酵槽(4)上に配置されている、請求項24~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記制御システムが、前記発酵槽(4)、例えば前記発酵槽(4)のポンプ、前記発酵槽(4)のバルブ、前記発酵槽(4)への空気入口、前記発酵槽(4)内に配置された撹拌部材を制御するように構成されている、請求項24~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータによって実行されたときに、前記命令が、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法(100)を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項47】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、コンピュータによって実行されたときに、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法(100)を前記コンピュータに実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオプロセシングシステムを動作させる方法およびバイオプロセシングシステムに関する。本発明はさらに、コンピュータプログラムおよびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2017/025210号パンフレットは、製薬産業における微生物の連続処理のための使い捨てのバイオプロセスシステムであって、シングルユースバイオリアクタ、シングルユースポンプおよびシングルユースクロスフローフィルタを統合した使い捨てのバイオプロセスシステムを開示している。このシステムは灌流モード処理を提供する。
【0003】
新鮮な培地が追加されず、使用済みの培地および/または液体が取り出されない動作方法であるバッチ動作、ならびに少量の培地からプロセスが始まり、新鮮な培地が追加されるがプロセスの終了後まで液体は取り出されないフェッドバッチ動作とは対照的に、灌流モード動作は、培地が順次交換され、新鮮な栄養が順次追加され、生成物すなわち使用済みの培地が培養期間の全体を通じて取り出される動作方法に関係する。灌流モード動作は通常、バッチ動作よりも4~8倍、フェッドバッチ動作よりも2~4倍長く続くことができる。
【0004】
組換え哺乳類細胞および微生物細胞の中で生体タンパク質を生成する多くの一般的な方法は、フェドバッチ培養に依存しており、この培養では、細胞を高い細胞密度まで増殖させ、通常は次いで誘導培地またはインデューサにさらして、タンパク質の生成をトリガする。細胞から所望のタンパク質が分泌された場合には、フェドバッチ培養から、はるかに長い培養期間にわたって高い細胞密度および高い生産性を維持することができる連続灌流培養に切り換えた方が有利である。連続灌流培養中、生きた細胞および生産性細胞は保持されるかまたはバイオリアクタに再循環され、一方、分泌されたタンパク質は、下流での精製プロセスのためにバイオリアクタから連続的に回収される。
【0005】
フェドバッチ培養に優る連続灌流培養のいくつかの鍵となる利点は、(1)死んだ細胞から培養培地に放出されたタンパク質分解酵素および/または糖分解酵素による潜在的な劣化に生成物をさらすことなく、分泌されたタンパク質生成物がバイオリアクタから連続的に取り出されること、(2)連続灌流バイオリアクタ内で高い細胞密度を達成するために、生きた細胞および生産性細胞が保持されるかまたは再循環され、そこで、それらの細胞が、それぞれのフェドバッチ培養の終わりに殺されバイオリアクタから取り出されるのではなしに、制御されたバイオリアクタ環境内ではるかに長い培養期間の間、価値あるタンパク質を生成し続けること、(3)フェドバッチ培養において栄養および廃棄生成物の濃度が動的に変化するのとは違い、新鮮な栄養培地を連続的に追加し、回収されたタンパク質生成物とともに廃棄生成物を取り出すことで、定常状態条件にはるかに近い灌流バイオリアクタ環境を維持すること(それによってより一貫した設計生成物品質を維持すること)ができることである。
【0006】
灌流モードプロセスの実行には一般的に、膜型のクロスフローフィルタ(CFF)、またはオルタネーティングタンジェンシャルフロー(alternating tangential flow)(ATF)フィルタなどの同種のフィルタが利用される。本明細書では、細胞培養の流れを細胞培養混合物とも呼び、これは発酵槽からフィルタを通過する。細胞培養混合物の一部分は膜を通り抜け、細胞培養の細胞から除かれる。この部分は濾液、すなわち下流処理のために集められた生成物を形成する。細胞を含む細胞培養混合物の残りの部分、保持液は、膜から発酵槽に導かれ戻される。
【0007】
フィルタ技術は主に、膜の使用中にその透過性が徐々に低下するという不利な点を有する。この態様は特に、数週間または数か月にわたって実行されることがある灌流モードで動作しているバイオプロセシングシステムに関連する。したがって、バイオプロセシングシステムの適正な機能を長期にわたって保証するためには、膜またはフィルタを定期的に交換するか、さもなければ実施しがたい大きな膜面積を提供しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2017/025210号パンフレット
【特許文献2】EP3666394
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の欠点を克服するまたは少なくとも軽減するバイオプロセシングシステムを動作させる方法および/またはバイオプロセシングシステムを達成することは有益であろう。特に、コンパクトなバイオプロセシングシステムの灌流モード動作を長期にわたって可能にすることは望ましいであろう。とりわけこの課題を解決するため、独立請求項に記載された特徴を有するバイオプロセシングシステムを動作させる方法およびバイオプロセシングシステムのうちの少なくとも一方が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、バイオプロセシングシステムを動作させる方法であって、
- 発酵槽内で細胞培養混合物を生成するステップと、
- 細胞培養混合物を生成するステップと同時に、発酵槽から、表面拡大インサートを備える遠心分離機の内部に、細胞培養混合物の流れを導くステップと、
- 細胞培養混合物を生成するステップおよび細胞培養混合物の流れを導くステップと同時に、遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すステップと
を含む方法が提供される。
【0011】
さらなる態様によれば、細胞培養混合物をその内部で生成するための発酵槽と、表面拡大インサートを備える遠心分離機と、受取り容器と、発酵槽、遠心分離機および受取り容器を相互接続する導管システムと、導管システム内に配置された流量制御機器と、遠心分離機および流量制御機器の少なくとも一部分を制御するように構成された制御システムとを備えるバイオプロセシングシステムが提供される。この制御システムは、
- 発酵槽から遠心分離機の内部に細胞培養混合物の流れを導き、同時に、
- 遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻す
ように構成されている。
【0012】
これらの方法およびバイオプロセシングシステムの各々は、表面拡大インサートを備える遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すことを提供するため、表面拡大インサートを備える遠心分離機を備えるバイオプロセシングシステムの灌流モード動作が可能になる。より詳細には、表面拡大インサートを備える遠心分離機の内部には細胞培養混合物の細胞が流入する容積があり、遠心分離機の内部から発酵槽に連続的に戻すことを提供することは、この容積内、すなわち表面拡大インサートを備える遠心分離機の内部における停滞条件が回避されることを保証する。停滞した細胞培養混合物または停滞した細胞培養混合物の細胞含有部分は、発酵槽に戻された場合に、発酵槽内での細胞培養混合物の生成を悪化および劣化させるであろう。したがって、これらの方法およびバイオプロセシングシステムの各々は、表面拡大インサートを備える遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すことによって、灌流モード動作に対して適合されている。
【0013】
表面拡大インサートを備える遠心分離機は、バイオプロセスの最終段階における生成された生体分子の回収中だけでなく、灌流モードで稼働しているバイオプロセスのいくつかの段階中にも、例えば、需要のある物質および細胞破片を含む培地を、発酵槽に連続的に戻されることがある生きた細胞を傷つけることなく取り出すために、連続的に使用することができることが分かっている。
【0014】
したがって、さらに、バイオプロセシングシステムの灌流モード動作の文脈では、空間効率;細胞の効率的な分離;分離された重い相と一緒に遠心分離機から連続的に輸送されることによって分離されている細胞の処理であり、より短期または長期にわたってフィルタ表面に細胞が蓄積するフィルタ技術に比べて穏やかな処理;自己洗浄機能;フィルタ技術の文脈では必要なことがある部品交換なしでの長期にわたる連続動作;など、表面拡大インサートを備える遠心分離機の利点を利用することができる。
【0015】
さらに、表面拡大インサートを備える遠心分離機の使用は、遠心分離機内で分離されたときの細胞培養混合物の効率的な分画または分類を提供する。すなわち、分離された軽い相とともに遠心分離機によって分離される最大粒径、いわゆる限界粒子(critical particle)を、遠心分離機のロータの回転速度および遠心分離機内への細胞培養混合物の流れを制御することによって効率的に制御することができる。したがって、重い相とともに無傷のホールセルを含み、それらを軽い相から排除するように、限界粒子を設定することができる。
【0016】
細胞破片および(ホールセルよりも小さい)他の破片は、軽い相と重い相の両方と一緒に流れる。したがって、発酵槽に戻されない分離された軽い相と一緒に、発酵槽内では望ましくない破片も発酵槽から除去される。
【0017】
フィルタ技術との比較では、表面拡大インサートを備える遠心分離機を利用すると、第1に、限界粒子が容易に調整され、第2に、より重要には、遠心分離機の全使用期間にわたって限界粒子を維持することができる。フィルタ技術の欠点は、フィルタ膜上に粒子が沈着するにつれてその透過性が低下し、その結果、時間が経つにつれて、意図した粒子よりも小さいより大量の粒子が保持液中に残留し、発酵槽に戻されることである。細胞培養混合物は、バイオプロセシングシステムの発酵槽で生成される。本明細書で使用される用語「発酵槽」は、細胞培養混合物を生成することができる一切の容器に関し、その代わりにバイオリアクタまたは反応器と呼ばれることがある。発酵槽(fermentor)はその代わりに発酵槽(fermenter)と書かれることもある。発酵槽は、例えば、細胞培養混合物内の細胞と一緒に栄養およびガスを強制的に交換するために気曝装置と撹拌または混合装置とを統合した、いわゆる撹拌槽型反応器(Stirred-Tank-Reactor)(STR)とすることができる。本明細書では、用語「バイオプロセス」が、バイオプロセシングシステム内で実行されているプロセスに対して使用される。
【0018】
発酵および/または培養は、発酵槽内で、細胞培養混合物をその中で生成するステップ中に起こる。本明細書で使用される用語「発酵」および「培養」は、発酵槽内での、生きた単細胞生物、原核生物、真核細胞、人間細胞、CHOおよび細菌などの微生物または哺乳類の細胞の、工業目的での、細胞外生体分子を発現するホスティング(hosting)に関する。発酵/培養は、細胞培養混合物の細胞および発現された生体分子を生成する。発酵は培養期間を通じて起こる。培養期間は数週間に及ぶことがあり、その大部分の間、バイオプロセシングシステムの灌流モード動作によって細胞外生体分子を含む生成物が生成される。発酵は、例えば、哺乳類の細胞培養混合物から抗体またはタンパク質などの細胞外生体分子を発現させるためであることがある。したがって、生成物は細胞外生体分子を含む。例えば、細胞培養混合物は、CHO(Chinese Hamster Ovary(チャイニーズハムスター卵巣))細胞などの細胞、および細胞の増殖を促進するように構成された増殖培地を含むことがある。CHOは、製薬産業のタンパク質の発現プラットホームとして非常にポピュラーな微生物および哺乳類細胞系である。
【0019】
さらに、発酵槽内では、細胞の増殖を促進するための条件が、例えば増殖培地、酸素の追加および適当な温度範囲の維持によって提供される。
【0020】
培地とも呼ばれる増殖培地は液体であり、その成分が、細胞培養混合物中の細胞の増殖を促進し、とりわけ水、グルコース、塩およびアミノ酸源を含む。増殖培地、例えば発酵槽内の増殖培地に清浄な空気または酸素などのガスが追加される。
【0021】
本明細書で使用される用語「細胞培養混合物」は、細胞、破片、微生物、栄養を含む培地、廃棄物、生成物などからなる、発酵槽またはバイオリアクタ内の分離されていない液体内容物、培養スープを意味する。例えば第1の期間中に、表面拡大インサートを備える遠心分離機内で、細胞培養混合物を軽い相と重い相とに分離することができる。この分離によって、重い相の細胞密度は、入って来る細胞培養混合物の細胞密度よりも増大し、そのようなものとして、上述の発酵槽への液体の流れとして戻され、発酵槽内の細胞培養混合物と再び混合される。
【0022】
本明細書では、表面拡大インサートを備える遠心分離機を、代わりに遠心分離機と呼ぶことがある。この遠心分離機は、分離空間を画定するロータを備える。表面拡大インサートは、ロータの内側の分離空間に配置されている。表面拡大インサートは、例えば、軸方向に配置された分離部材またはディスクスタック内に配置された円錐台分離ディスクを備えることができる。分離空間、すなわち遠心分離機の内部に細胞培養混合物を導くための入口が提供されている。さらに、分離された軽い相の出口および分離された重い相の出口も提供されている。
【0023】
遠心分離機内で、例えば第1の期間中に分離を実行するときには、細胞培養混合物が軽い相と重い相とに分離されるような速度でロータを回転させる。
【0024】
遠心分離機からの分離された重い相の出口は、ロータの回転軸と同心でまたはロータの回転軸の近くに提供されることが適当である。このようにすると、分離された重い相の中の細胞がより低い剪断力を受け、したがって、それらの細胞は、重い相が遠心分離機のロータを出、発酵槽に戻されるときに穏やかに処理される。同様に、遠心分離機の細胞培養混合物の入口も、ロータの回転軸と同心でまたはロータの回転軸の近くに提供することができる。
【0025】
導管システムは、細胞培養混合物、分離された軽い相および分離された重い相などの液体を、バイオプロセシングシステム内で、ならびに/またはバイオプロセシングシステムに接続された外部構成要素へおよび/もしくはそのような外部構成要素から導くように構成されたチューブ、ホース、パイプなどのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0026】
流量制御機器は、液体を、バイオプロセシングシステムを通して、ならびに/またはバイオプロセシングシステムに接続された外部構成要素へおよび/もしくはそのような外部構成要素からポンピングし導くように構成された1つまたは複数のポンプおよびバルブを含むことができる。
【0027】
本明細書で使用される用語「制御システム」は、プログラム可能論理制御(PLC)、パーソナルコンピュータ(PC)、埋込みコンピュータ(EC)、または計算パワーを有する中央処理ユニット(CPU)電子装置を組み込んだ同様の装置に関する。制御システムは、遠心分離機および流量制御機器のためのさまざまな入出力(I/O)を有する。制御システムは、遠心分離機および流量制御機器を制御するためにソフトウェア、アルゴリズム、プロセスレシピを内蔵メモリに組み込んでいる。任意選択で、制御システムはさらに、例えば進行中のプロセスアライメントのためにプロセスレシピに従って培養または発酵プロセスを管理、分析するために、発酵槽の諸態様を制御することができる。制御システムは、プロセスパラメータを変更するために、さまざまなセンサおよびアクチュエータと通信することができる。
【0028】
本明細書では用語「生成物」が、バイオプロセシングシステム内で生産または生成されると予想される培地に対して使用される。表面拡大インサートを備える遠心分離機内で分離されている軽い相は生成物を形成することがあり、またはその代わりに生成物を含むことがある。細胞外生体分子、例えば抗体またはタンパク質などの需要のある物質を抽出するために、この生成物を下流処理にかけることができる。すなわち、最終生成物を生成するより大きな文脈では、この生成物が中間成果物であることがある。
【0029】
本明細書で使用される用語「細胞」は通常、1.生きた単細胞生物、微生物、例えば真菌、藻類、蘚類、プランクトン、酵母菌、原生動物、真核生物、古細菌、微小動物、極限環境微生物および植物細胞など、2.動物細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、人間細胞、幹細胞などの着性もしくは半着性または浮遊性の生きた細胞、3.原核生物、および大腸菌などのさまざまな細菌などに分けられる。上記のものの大部分は、需要のある特定の物質を提供するように遺伝子操作されていることがある。
【0030】
本明細書で使用される用語「灌流」モード動作は、培地が順次交換され、新鮮な栄養が順次追加され、使用済みの培地/生成物が培養期間の主要部分を通じて取り出される発酵槽の動作方法または原理に関する。灌流モード動作で保持される微生物および哺乳類細胞は通常、バッチ動作よりも4~8倍、フェッドバッチ動作よりも2~4倍長くもつ。純粋に例として述べるが、灌流モード動作は数日、1週もしくは数週、または1か月または数か月続くことがある。
【0031】
灌流モード動作は、より小さなバイオリアクタ/発酵槽を使用する可能性を提供することによって効率的な施設利用を支援する。バッチまたはフェッドバッチ動作に比べて、灌流モード動作は、細胞培養混合物の細胞がより長い時間、指数増殖期にとどまり、より高い生細胞密度に達することを可能にする。
【0032】
さらに、灌流モード動作は、遠心分離機から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すことを伴い、また、遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すステップが全培養期間の90%超、例えば95%超にわたって実行されることがあることを伴う。
【0033】
本明細書で使用される用語「シングルユース」は、1回だけ、例えば灌流モードで運転される発酵プロセスの完全な1回の培養期間の間だけ使用され、使用後に処分されるように設計された装置に関する。この装置は通常、遠心分離機のシングルユース部分およびシングルユース発酵槽などのように、滅菌され、すぐに使用できる状態で供給される。
【0034】
実施形態によれば、この方法は、第1の期間中に、
- 遠心分離機内で細胞培養混合物の流れを軽い相と重い相とに分離するステップを含むことができ、遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すステップが、第1の期間中に、
- 遠心分離機内で分離された重い相を、発酵槽への液体の流れとして発酵槽に戻すステップ
を含むことができる。このようにすると、表面拡大インサートを備える遠心分離機を利用して、第1の期間中に、発酵槽からの細胞培養混合物を軽い相と重い相とに分離することができる。より詳細には、第1の期間中に、細胞培養混合物の細胞が重い相と一緒に発酵槽に戻される間に、バイオプロセシングシステム内で生成された生成物を含む軽い相を分離することができる。したがって、表面拡大インサートを備える遠心分離機を備えるバイオプロセシングシステムの灌流モード動作を提供することができる。
【0035】
遠心分離機内で分離される軽い相は液体である。遠心分離機内で分離される重い相は、軽い相を形成している液体と同じ液体中に懸濁した細胞培養混合物の細胞を含む懸濁液である。分離された軽い相は、発酵中に細胞が発現した細胞外生体分子を含むことがある。第1の期間中に、分離された軽い相は破片を含むことがある。このような破片は、細胞培養混合物の細胞よりも小さなサイズを有することがある。すなわち、重い相と一緒に細胞を分離することができる。さらに、細胞培養混合物の細胞よりも小さなサイズを有する粒子の一部が重い相と一緒に分離されることもある。
【0036】
第1の期間中に、発酵槽内で細胞培養混合物を生成するステップ、および発酵槽から遠心分離機の内部に細胞培養混合物の流れを導くステップが実行される。
【0037】
実施形態によれば、細胞培養混合物の流れを軽い相と重い相とに分離するステップにおいて、分離された軽い相の流れは、細胞培養混合物の流れの最大5%V/V(体積%)を形成し得る。このようにすると、バイオプロセシングシステムの灌流動作モードにおいて、適切な少量の軽い相/生成物を細胞培養混合物から取り出すことができる。
【0038】
実施形態によれば、この方法は、第1の期間中に、
- 遠心分離機内で分離された軽い相を受取り容器に導くステップ
を含むことができる。このようにすると、さらなる処理に都合のよいやり方で軽い相/生成物を集めることができる。
【0039】
受取り容器に導かれた分離された軽い相の量に基づいて、新鮮な増殖培地を発酵槽に供給することができる。このようにすると、発酵槽から取り出されている軽い相を増殖培地に置き換えることができ、増殖培地は、細胞の増殖および細胞による需要の物質の生成を促進する。
【0040】
実施形態によれば、第1の期間の前に、この方法は、
- 増殖培地などの細胞培養混合物以外の液体で遠心分離機をプライミングするステップ
を含むことができる。このようにすると、灌流モード動作に対する遠心分離機およびバイオプロセシングシステムの準備をすることができる。細胞培養混合物以外の液体で遠心分離機をプライミングすることによって、発酵槽からの細胞培養混合物は、第1の期間の始めに遠心分離機の内部に均一に流入することができる。
【0041】
実施形態によれば、遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すステップは、第2の期間中に、
- 遠心分離機の内部からの分離されてない細胞培養混合物の流れを、発酵槽への液体の流れとして発酵槽に戻すステップ
を含むことができる。このようにすると、第1期間中と第2の期間中でそれぞれ遠心分離機の異なる動作が提供される。第1の期間中には、表面拡大インサートを備える遠心分離機を利用して、発酵槽からの細胞培養混合物を軽い相と重い相とに分離することができ、第2の期間中には、細胞培養混合物が遠心分離機を通って発酵槽に戻ることができる。したがって、表面拡大インサートを備える遠心分離機を備えるバイオプロセシングシステムの灌流モード動作は、遠心分離機の分離能力が、発酵槽からの関連流量における細胞培養混合物の分離を上回っているときに提供される。
【0042】
より詳細には、第1の期間中には、バイオプロセシングシステム内で生成された生成物を含む軽い相を分離することができ、その間に、細胞培養混合物の細胞を重い相と一緒に発酵槽に戻すことができる。第2の期間中に、遠心分離機が、軽い相と重い相との分離がその中で行われないという意味で、動作不能であり、待機状態にあることがある。その代わりに、細胞培養混合物は、遠心分離機の内部を通って発酵槽に戻るだけである。したがって、第2の期間中、遠心分離機内の細胞培養混合物は連続的に交換される。したがって、第2の期間中に、生成物を含む軽い相が細胞培養混合物から取り出されないときに、遠心分離機内で細胞培養混合物が劣化することを回避することができる。
【0043】
第2の期間中に、遠心分離機内で分離が行われないことがある。第2の期間中、遠心分離機内を流れ続ける細胞培養混合物の流れは、細胞培養混合物の停滞、とりわけ遠心分離機内での細胞培養混合物の停滞を防ぐ目的に役立ち得る。そうしなければ、このような停滞した細胞培養混合物は、後続の分離動作で分離される軽い相および/または重い相を劣化させることがある。
【0044】
第2の期間中にも、発酵槽内で細胞培養混合物を生成するステップ、および発酵槽から遠心分離機の内部に細胞培養混合物の流れを導くステップが実行される。
【0045】
第2の期間の後、例えば全培養期間の大部分にわたって、さらなる第1の期間を開始し、次いでさらなる第2の期間を開始し、これを繰り返すことができる。したがって、この方法およびバイオプロセシングシステムを、細胞培養混合物からの軽い相と重い相の間欠的分離に対して適合させることができる。
【0046】
これらの実施形態によれば、灌流モードで動作させるバイオプロセシングシステム内で、表面拡大インサートを備える遠心分離機およびその利点を利用するためには、遠心分離機内での分離を間欠的に実行しなければならないことがあることを本発明の発明者は理解した。ディスクスタック遠心分離機のサイズ、したがって能力、遠心分離機によって提供される効率的な分離、および発酵槽のサイズによっては、全培養期間を通じて遠心分離機が連続的に動作することはできない。この通過流は、分離された軽い相が、発酵槽内で生成された細胞培養混合物から予想される内容物を含まないような大きなものになるであろう。したがって、本発明の発明者は、分離された軽い相および重い相または細胞培養混合物を劣化させる危険なしに間欠的に動作させるための条件を提供する方法およびバイオプロセシングシステムを提供する。
【0047】
実施形態によれば、第2の期間中の細胞培養混合物の流れを戻すステップの間、遠心分離機のロータは、静止していてもよく、または第1の期間中の細胞培養混合物の流れを分離するステップ中よりも低い回転速度で回転していてもよく、または第1の期間中の細胞培養混合物の流れを分離するステップ中の回転方向とは反対の回転方向に回転していてもよい。このようにすると、第2の期間中に遠心分離機内で分離が起こらないかまたは実質的に起こらないことを保証することができる。したがって、第2の期間中の分離された細胞の蓄積を回避することができる。
【0048】
実施形態によれば、第1の期間中と第2の期間中で、細胞培養混合物の流れを、実質的に同じ流量qで遠心分離機の内部に導くことができる。このようにすると、第1および第2の期間にわたって、細胞培養混合物の均一な流れを維持することができる。したがって、これに応じて予め定められた培養混合物の流量を少なくとも超えないようすることができ、これによって、バイオプロセシングシステム内で細胞培養混合物の細胞が有害な剪断応力を受けないことを保証することができる。さらに、バイオプロセシングシステムを通して細胞培養混合物および重い相を輸送するように構成された1つまたは複数のポンプを第1の期間と第2の期間の間で再設定する必要をなくすことができる。
【0049】
実施形態によれば、この方法は、第3の期間中に、
- 遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すステップを停止するステップと、
- 発酵槽から遠心分離機に細胞培養混合物の流れを導くステップと、
- 遠心分離機内で細胞培養混合物の流れを軽い相と重い相とに分離するステップと、
- 分離するステップで分離された重い相を受取り槽に導くステップと
を含むことができる。このようにすると、細胞培養混合物の細胞濃度を低減させることができる。したがって、例えば細胞培養混合物の細胞濃度が限界値を超えている場合、第3の期間中に、この方法およびバイオプロセシングシステムは、第1の期間中のように分離された重い相を発酵槽に戻す代わりに、分離された重い相を別個の受取り槽に導くことによって、細胞濃度の低減を提供する。
【0050】
実施形態によれば、第3の期間中に、遠心分離機のロータは、第1の期間中よりも高い回転速度で回転していてもよい。このようにすると、第3の期間中の分離された重い相は、第1の期間中の分離された重い相よりも高い粒子濃度を有することができる。したがって、細胞培養混合物の細胞濃度の低減を効率的に実行することができ、さらに、ホールセルよりも小さな粒子を含むことができる。
【0051】
第3の期間に続いて、細胞培養混合物を分離するステップおよび分離された重い相を発酵槽に戻すステップを含む第1の期間、または分離されてない細胞培養混合物を発酵槽に戻すステップを含む第2の期間を繰り返すことができる。
【0052】
実施形態によれば、この方法は、第4の期間中に、
- 以前に実行されていない場合に、遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻すステップを停止するステップと、
- 発酵槽から遠心分離機に細胞培養混合物の全てを導くステップと、
- 遠心分離機内で細胞培養混合物を軽い相と重い相とに分離するステップであり、軽い相が、細胞培養混合物の50~95%V/Vを形成する、ステップと、
- 遠心分離機内で分離された軽い相を受取り容器に導くステップと
を含むことができる。このようにすると、培養期間の終わりに発酵槽を空にすることができ、第4の期間中に、細胞培養混合物から軽い相/生成物を抽出することができる。
【0053】
細胞培養混合物と比較した軽い相が形成する部分の比がどれくらい大きくなるかは、関連細胞培養混合物中の細胞濃度に依存する。
【0054】
実施形態によれば、第3および/または第4の期間に続いて、この方法は、
- 希釈された重い相を生成するために、受取り槽内の重い相を液体で希釈するステップと、
- 第5の期間中に、希釈された重い相を、受取り槽から、遠心分離機などの遠心装置に移送するステップと、
- 第5の期間中に、遠心装置内で希釈された重い相を軽い相とさらなる重い相とに分離するステップと、
- 軽い相を受取り容器に導くステップと
を含むことができる。このようにすると、このバイオプロセスによる収量を増大させることができる。第1、第3および第4の期間のうちの1つまたは複数の期間中に分離された重い相を液体で希釈することができる。希釈された重い相を分離することによって、そうしなければ無駄になった可能性がある需要のある物質を含む軽い相を抽出することができる。
【0055】
実施形態によれば、第5の期間中に、遠心分離機のロータを、第1の期間中よりも高い回転速度で回転させることができる。このようにすると、第5の期間中の分離された重い相は、第1の期間中の分離された重い相よりも高い粒子濃度を有することができる。
第5の期間中には、第1の期間中よりも軽い相の大きな部分を分離することができる。
【0056】
実施形態によれば、第3、第4および/または第5の期間に続いて、この方法は、第6の期間中に、
- 遠心分離機を、増殖培地などの液体でフラッシュするステップと、
- 遠心分離機を作動させるステップと、
- 液体の少なくとも一部分を、遠心分離機の軽い相出口を通して受取り容器に導くステップと
を含むことができる。このようにすると、需要のある物質を含む残留生成物を遠心分離機の外にフラッシュすることができ、したがって、そのような残留生成物を下流処理に対して使用可能にすることができる。
【0057】
実施形態によれば、第4、第5および/または第6の期間のうちのいずれか1つの期間に続いて、この方法は、
- 受取り容器内に集められた軽い相を遠心分離機または遠心装置に導くステップと、
- 遠心分離機または遠心装置内で軽い相を軽いフラクションと重いフラクションとに分離するステップであり、重いフラクションが、細胞培養混合物からの残留破片を含む、ステップと、
- 軽いフラクションからの細胞外物質の抽出などのさらなる処理のために、軽いフラクションを移送するステップと
を含むことができる。このようにすると、第4、第5および/または第6の期間のうちのいずれか1つの期間中に分離された軽い相から、軽い相が含んでいる可能性がある破片の少なくとも大部分を除くことができ、したがって、分離された軽いフラクションの形態で軽い相を提供することによって、下流処理に対して軽い相を準備することができる。
【0058】
実施形態によれば、表面拡大インサートを備える遠心分離機を、ベースユニットと、ベースユニット内に装着された交換可能分離インサートとを備えるモジュール式遠心分離機とすることができる。この方法は、
- 発酵槽から表面拡大インサートを備える遠心分離機の内部に細胞培養混合物の流れを導くステップの前に、使用済みの交換可能分離インサートを未使用の交換可能分離インサートと交換するステップ
を含むことができる。このようにすると、無菌の、バイオプロセシングシステムを動作させる方法における遠心分離機の1回または数回の分離動作を実行する準備ができた遠心分離機を提供することができる。したがって、シングルユース遠心分離機が提供される。
【0059】
本明細書で論じた方法ステップのうちの1つまたは複数を実行するように、本明細書で論じたバイオプロセシングシステム、特にその制御システムを構成することができる。そうすることによって、そのバイオプロセシングシステムは、バイオプロセシングシステムを動作させるこの方法の対応する特徴および/またはステップに関して論じた利点と同じまたは同様の利点から利益を得ることができる。
【0060】
さらなる態様によれば、増殖培地を使用して液体細胞培養混合物をその内部で生成するための発酵槽と、表面拡大インサートを備える遠心分離機とを備えるバイオプロセシングシステムを動作させる方法であって、この方法が、
- 第1の期間中に、発酵槽から遠心分離機の内部に細胞培養混合物の流れを連続的に導くステップと、
- 第1の期間中に、遠心分離機内の細胞培養混合物の流れを軽い相と重い相とに連続的に分離するステップであり、軽い相が、細胞培養混合物の流れの最大5%V/Vを形成する、ステップと、
- 第1の期間中に、分離するステップと同時に、重い相を発酵槽に戻すステップと
を含む方法が提供される。
【0061】
さらなる態様によれば、灌流モードで運転された発酵プロセス中に細胞培養混合物から細胞を含む重い相を分離するために、表面拡大インサートを備える遠心分離機を使用することが提供される。
【0062】
以上では、バイオプロセシングシステムを動作させる方法の2つの態様、すなわちバイオプロセシングシステムに関係した態様および遠心分離機の使用に関係した態様について論じた。2つの方法、バイオプロセシングシステムおよび遠心分離機の使用による、これらの態様の各々は、本明細書で論じたさまざまな実施形態の特徴を利用することができる。したがって、以下の詳細な説明で論じる発明の特徴および利点も本発明の全ての態様に関係する。
【0063】
さらなる態様によれば、命令を含むコンピュータプログラムであって、このプログラムがコンピュータによって実行されたときに、この命令が、本明細書で論じた態様および/または実施形態のいずれか1つによる方法をこのコンピュータに実行させる、コンピュータプログラムが提供される。
【0064】
さらなる態様によれば、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、この命令が、コンピュータによって実行されたときに、本明細書で論じた態様および/または実施形態のいずれか1つによる方法をこのコンピュータに実行させる、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0065】
添付の特許請求の範囲および以下の詳細な説明を検討すると、本発明のさらなる特徴および利点が明らかになるであろう。
【0066】
本発明の特定の特徴および効果を含む本発明のさまざまな態様および/または実施形態は、以下の詳細な説明および添付図面で論じられている例示的な実施形態から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】バイオプロセシングシステムの実施形態を示す図である。
図2】バイオプロセシングシステムのさらなる実施形態を示す図である。
図3】バイオプロセシングシステム内で利用される遠心分離機の実施形態を示す図である。
図4】実施形態による制御システムを示す図である。
図5】バイオプロセシングシステムを動作させる方法の実施形態を示す図である。
図6】コンピュータ可読記憶媒体の実施形態を示す図である。
図7】細胞培養混合物中の粒子分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
次に、本発明の態様および/または実施形態をより十分に説明する。全体を通じて同じ符号は同じ要素を指す。簡潔かつ/または明確にするため、よく知られた機能または構造は詳細に説明されていないことがある。
【0069】
図1は、バイオプロセシングシステム2の実施形態を示している。
【0070】
バイオプロセシングシステム2は、細胞培養混合物をその内部で生成するための発酵槽4と、表面拡大インサートを備える遠心分離機6と、受取り容器8と、導管システム10と、流量制御機器12、14と、制御システム16とを備える。
【0071】
受取り容器8は、遠心分離機6内で分離された軽い相を受け取るように構成されたものとすることができる。受取り容器8は、分離された軽い相を中間貯蔵するように構成されたものとすることができる。
【0072】
遠心分離機6は、図3を参照して後に論じるディスクスタック遠心分離機6とすることができる。しかしながら、バイオプロセシングシステム2は、その最も幅広い態様において、表面拡大インサートを備える特定の種類の遠心分離機6に限定されない。したがって、いくつかの実施形態によれば、遠心分離機6は、シングルユース動作用に構成されたものとすることができ、交換可能な分離インサートを備えることができる。代替実施形態によれば、遠心分離機6を、永久および/または長期使用向けに構成されたものとすることができる。このような実施形態では、培養期間と培養期間の間に遠心分離機6を洗浄することができる。
【0073】
導管システム10は、発酵槽4、遠心分離機6および受取り容器8を相互接続するように配置されている。流量制御機器12、14は、導管システム10内に配置されている。流量制御機器は、1つまたは複数のポンプ12および/または1つまたは複数のバルブ14を備えることができる。流量制御機器12、14は、細胞培養混合物、遠心分離機6内で分離された重い相および遠心分離機6内で分離された軽い相のうちの1つまたは複数の流れを制御するように配置されている。さらに、遠心分離機6も、例えば遠心分離機のロータが回転しているときに、導管システム10内の流量制御機能を有することがある。
【0074】
制御システム16は、遠心分離機6および流量制御機器12、14の少なくとも一部分を制御するように構成されている。
【0075】
システム2は、表面拡大インサートを備える遠心分離機を利用した灌流モード動作用に構成されている。
【0076】
図2は、バイオプロセシングシステム2のさらなる実施形態を示している。図2のバイオプロセシングシステム2は、上で論じた図1のシステム2と同じ基本的特徴を備える。図1および/または2の実施形態によるバイオプロセシングシステム2、ならびにそのさまざまな構成要素は、任意選択で、以下の列挙された特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0077】
- バイオプロセシングシステム2は受取り槽18を備えることができ、導管システム10は、遠心分離機6と受取り槽18とを相互接続することができる。受取り槽18は、遠心分離機6内で分離された重い相を受け取るように構成されたものとすることができる。受取り槽18は、分離された重い相を中間貯蔵するなど、分離された重い相を貯蔵するように構成されたものとすることができる。バイオプロセシングシステム2の動作に受取り槽18を組み込むための制御システム16の構成については後に論じる。
【0078】
- 導管システム10は、発酵槽4から遠心分離機6の入口まで延びる第1の導管区間21と、遠心分離機6の重い相出口から発酵槽4まで延びる第2の導管区間22と、遠心分離機6の軽い相出口から受取り容器8まで延びる第3の導管区間23とを含むことができる。このようにすると、導管システム10は、遠心分離機6、発酵槽4および受取り容器8を相互接続することができる。
【0079】
- 流量制御機器12は、第1の導管区間21内に配置されたフィードポンプ12’と、第2の導管区間22内に配置された重い相ポンプ12’’と、第3の導管区間23内に配置された軽い相ポンプ12’’’とのうちの1つまたは複数を含むことができる。フィードポンプ12’を利用して、細胞培養混合物を発酵槽4から遠心分離機6に輸送することができる。いくつかの実施形態によれば、フィードポンプ12’を利用して、細胞培養混合物を遠心分離機6を通して輸送し、発酵槽4に戻すこともできる。重い相ポンプ12’’を利用して、分離された重い相を輸送し、発酵槽4に戻すことができる。いくつかの実施形態によれば、重い相ポンプ12’’を利用して、細胞培養混合物を遠心分離機6から輸送し、発酵槽4に戻すことができる。いくつかの実施形態によれば、重い相ポンプ12’’を利用して、分離された重い相を受取り槽18に輸送することができる。軽い相ポンプ12’’’を利用して、分離された軽い相を受取り容器8に輸送することができる。さらに、遠心分離機6は、そのようなものとして、細胞培養混合物および分離された軽い相のうちの1つまたは複数に対するポンピング効果を有することがある。
【0080】
- 流量制御機器14は、第1の導管区間21に配置された第1のバルブ装置14’と、第2の導管区間22に配置された第2のバルブ装置14’’と、第3の導管区間23に配置された第3のバルブ装置14’’’とのうちの1つまたは複数を含むことができる。このようにすると、バイオプロセシングシステム2内を流れる液体のさらなる制御を提供することができる。例えば、第1のバルブ装置14’は、発酵槽4から遠心分離機6への細胞培養混合物の流れを制御することができる。第2のバルブ装置14’’は、遠心分離機6から発酵槽4に戻るおよび/または遠心分離機6から受取り槽18へ向かう重い相および/または細胞培養混合物の流れを制御することができる。第3のバルブ装置14’’’は、遠心分離機6から受取り容器8または任意選択の廃液容器60への軽い相の流れを制御することができる。
【0081】
図1の実施形態では、図示のバルブ装置14’~14’’’の各々が、細胞培養混合物、分離された重い相または分離された軽い相の流れを連続的にまたはインクリメンタルに制御することができる単一の制御可能バルブを含むことができる。図2の実施形態では、図示のバルブ装置14’~14’’’の各々が、細胞培養混合物、分離された重い相または分離された軽い相の流れを連続的にまたはインクリメンタルに制御することができるバルブの列または多数の入口/出口バルブを含むことができる。あるいは、例えば関連バイオプロセシングシステムに含まれている容器、槽および導管の数および機能に応じて、図1の実施形態のバルブ装置14’~14’’’の1つまたは複数を図2の実施形態で利用することもできる。バルブ装置14’~14’’’は、衛生的なバルブおよび/またはバルブ列、例えばバイオテクノロジー産業の衛生要件を満たす衛生的なバルブおよび/またはバルブ列を含むことができる。
【0082】
同様に、本明細書で論じる導管およびポンプならびに遠心分離機が同じ衛生要件を満たしてもよい。
【0083】
- フィードポンプ12’は遠心ポンプとすることができ、重い相ポンプ12’’および軽い相ポンプ12’’’はそれぞれ蠕動ポンプとすることができる。このようにすると、遠心ポンプによって、特に低い回転速度で動作させたときに、細胞培養混合物の穏やかな取扱いを提供することができる。したがって、細胞培養混合物は、細胞培養混合物の細胞を傷つけない低い剪断力を受けることができる。蠕動ポンプは流量計としても機能することができ、したがって、分離された軽い相および重い相の流量データを提供することができる。
【0084】
- 導管システム10は、第1の導管区間21まで延びる第4の導管区間24を含むことができる。第4の導管区間24は、遠心分離機6の入口に細胞培養混合物以外の液体を供給するように構成されたものとすることができる。このようにすると、例えばバイオプロセシングシステム2の始動手順、いわゆるプライミング中に、細胞培養混合物とは異なる液体を遠心分離機6に供給するようにバイオプロセシングシステム2を構成することができる。例えば、この液体を、遠心分離機6内での細胞培養混合物の分離が始まる前に遠心分離機6に供給する増殖培地などのプライミング液とすることができる。このような液体は別個の容器30に貯蔵することができる。
【0085】
バイオプロセシングシステムのこのようなプライミング中に、遠心分離機6の軽い相出口を出たプライミング液を廃液容器60に導くことができる。
【0086】
- 導管システム10は、第2の導管区間22から受取り槽18まで延びる第5の導管区間25を含むことができる。このようにすると、分離された重い相を、遠心分離機6の重い相の出口から第2および第5の導管区間22、25を通して受取り槽18に輸送することができる。
【0087】
- 遠心分離機6を発酵槽4上に配置することができる。このようにすると、コンパクトなバイオプロセシングシステム2を提供することができる。図1の実施形態には、発酵槽4上に配置された遠心分離機6が示されている。図2の実施形態でも、遠心分離機6を発酵槽4上に配置することができる。反対に、図2の実施形態の遠心分離機6を発酵槽4から離して配置することもできる。
【0088】
- 制御システム16は、発酵槽4、例えば発酵槽4のポンプ(図示せず)、発酵槽4のバルブ(図示せず)、発酵槽4への空気入口32および/または発酵槽4内に配置された撹拌部材34を制御するように構成されたものとすることができる。このようにすると、バイオプロセシングシステム2用のコンパクトな制御システム16を提供することができる。
【0089】
- その代わりに、またはそれに加えて、遠心分離機6ならびに遠心分離機6への液体の流れおよび遠心分離機6からの液体の流れを制御するように、制御システム16を構成することもできる。発酵槽4およびその中での培養プロセスは別個の制御システムによって制御してもよい。このような実施形態では、遠心分離機6の制御システム16と発酵槽4の別個の制御システムが互いに通信してもよい。
【0090】
図3は、とりわけ図1および図2を参照して、本明細書において考察されるバイオプロセシングシステム2において利用される、遠心分離機6の実施形態を示す。
【0091】
遠心分離機6は、モジュール式遠心分離機6である。モジュール式遠心分離機6は、ベースユニット40と交換可能分離インサート42とを備える。図3において、第1の交換可能分離インサート42’は、ベースユニット40に装着され、第2の交換可能分離インサート42’’は、遠心分離機6の横に示されている。
【0092】
このように、遠心分離機6は、単独使用のために構成されている。すなわち、使用後には、ベースユニット40内の第1の交換可能分離インサート42’は、第2の交換可能分離インサート42’’と交換される。第1の交換可能分離インサート42’は、その後、廃棄してもよい。例えば、第1の交換可能分離インサート42’は、1回の培養期間の後に交換してもよい。
【0093】
モジュール式遠心分離機6の使用中に、送液混合物(liquid feed mixture)、重い相、および軽い相は、関係する第1または第2の交換可能分離インサート42’、42’’とだけ接触する。当然のことながら、交換可能分離インサート42’、42’’に送液混合物を導くとともに、交換可能分離インサート42’、42’’から重い相および軽い相を導くように構成された、チューブ44の形態の導管も、送液混合物ならびに重い相および軽い相と接触する。ベースユニット40は、送液混合物または重い相および軽い相のいずれとも接触しない。
【0094】
交換可能分離インサート42’、42’’に接続されたチューブ44は、交換可能分離インサート42’、42’’の一部を形成してもよい。チューブ44は、導管システム10の一部を形成し(図1および図2を参照)、したがって、遠心分離機6の細胞培養混合物の入口につながるとともに、遠心分離機6の分離された軽い相および重い相のためのそれぞれの出口からつながる。
【0095】
ベースユニット40は、交換可能分離インサート42’、42’’を支持して回転させるコンポーネントを備える。すなわち、ベースユニット40は、とりわけ、静止フレーム46、回転メンバ47、および回転メンバ(図示せず)を回転させるための駆動ユニットを備える。
【0096】
静止フレーム46は、モジュール式遠心分離機の使用中に静止している。しかしながら、そのようなベースユニット40は、例えば、ユーザの生成設備における異なる場所に設置するために、可動にしてもよい。このために、静止フレーム46には、ホイール48を設けてもよい。
【0097】
交換可能分離インサート42’、42’’は、ロータケーシング43などの一部として構成されて、ベースユニット40の回転メンバ47の内部スペースの内側に配置される。あわせて、交換可能分離インサート42’、42’’のロータケーシング43と、ベースユニット40の回転メンバ47とが、遠心分離機6のロータ49を形成する。交換可能分離インサート42’、42’’はまた、チューブ44が交換可能分離インサート42’、42’’に接続されている部分などの、1つまたは複数の静止部分45、45’を備えてもよい。
【0098】
チューブ44は、図示の実施形態と異なって配置してもよい。1本、2本、または3本のチューブ44の任意の構成を、交換可能分離インサート42’、42’’の静止部に設けてもよい。後者の場合には、1つの静止部に3本のチューブを備え、交換可能分離インサートは、その上端または下端に、静止部を1つだけ備えてもよい。
【0099】
遠心分離機6のロータ49は、回転軸51のまわりに回転するように構成される。交換可能分離インサート42’、42’’のロータケーシング43は、その中に分離スペースを画定する。交換可能分離インサート42’、42’’は、例えば、分離スペース内に配置された円錐台分離ディスク53のスタックなどの、表面拡大インサートを備える。すなわち、遠心分離機6は、ディスクスタック遠心分離機6である。
【0100】
分離スペースは、液体がその中に導かれ、かつそこから導き出される、遠心分離機6の内部の一部分を形成する。
【0101】
知られている方法においては、遠心分離機6の分離動作中に、ロータ49は、回転軸のまわりに回転させられる。分離しようとする送液混合物、この場合には、分離しようとする細胞培養混合物は、遠心分離機6の入口を通して遠心分離機6の内部と分離スペース中に供給される。細胞と、細胞がその中に浮遊している液体との間の密度差のために、細胞培養混合物は、液体の軽い相と液体の重い相とに分離される。この分離は、分離スペース内に配置されたスタックの分離ディスク間の合い間によって促進される。分離された軽い相は、細胞培養混合物の細胞を実質的に含まず、細胞培養混合物の細胞よりも小さいサイズの破片を含有し得る。分離された重い相は、細胞培養混合物の細胞や、細胞よりも小さい何らかの破片などの、粒子を含む。重い相は、軽い相と細胞との濃縮混合物を含む、懸濁液を含有する細胞を形成する。
【0102】
本発明の遠心分離機6として利用される例示的モジュール式遠心分離機のより詳細な説明のため、その開示が参照により本明細書に組み入れられているEP3666394を参照する。
【0103】
図4は、本発明の異なる態様および/または実施形態に関連して利用される、実施形態による制御システム16を示す。制御システム16は、図1および図2にも表示されている。制御システム16は、少なくとも1つの制御ユニット52を備え、この制御ユニットは、実質的に任意好適なタイプのプロセッサ回路またはマイクロコンピュータ、例えば、デジタル信号処理(デジタル信号プロセッサ、DSP)用の回路、中央処理ユニット(CPU)、処理ユニット、処理回路、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、または命令を解釈して実行することのできるその他の処理ロジックの形態をとることができる。
【0104】
制御システム16は、メモリユニット54を備える。制御ユニット52は、メモリユニット54に接続されており、このメモリユニットは、制御ユニット52に、例えば、記憶されたプログラムコード、データテーブル、および/または計算を行って、遠心分離機6および制御機器12、14を制御することを可能にするのに、制御ユニット52が必要とする、その他の記憶されたデータを提供する。また、制御部52は、計算の部分的または最終的な結果をメモリユニット54に記憶するように適合されている。メモリユニット54は、データまたはプログラム、すなわち一時的または恒久的に命令のシーケンスを記憶するために利用される、物理デバイスを備えることができる。いくつかの実施形態によれば、メモリユニット54は、シリコンベースのトランジスタを含む集積回路を備えることができる。メモリユニット54は、異なる実施形態において、例えばメモリカード、フラッシュメモリ、USBメモリ、ハードディスク、または例えば、ROM(読み取り専用メモリ)、PROM(プログラム可能読み取り専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、EEPROM(電気的に消去可能PROM)などの、データを記憶するための別の同様の揮発性または不揮発性の記憶ユニットを備えてもよい。
【0105】
制御システム16は、1つまたは複数のセンサ56(1つだけが図4に示されている)をさらに備えてもよい。制御ユニット52は、1つまたは複数のセンサ56から、例えば遠心分離機回転速度などの、測定データを受信する。制御システム16は、例えば遠心分離機回転速度、ポンプ速度、バルブ装置設定を制御するために、遠心分離機6および制御機器12,14に制御データを送る。
【0106】
このように、制御部52は、センサ56から入力信号を受信し、出力信号を遠心分離機6および制御機器12、14に送るように構成されている。これらの信号は、波形、パルスまたは他の属性を含んでもよく、これらは、制御ユニット52によって検出し、情報として送ることが可能であるとともに、制御ユニット52によって処理可能な信号に直接的または間接的に変換することができる。センサ、遠心分離機6、および制御機器12、14への接続のそれぞれは、ケーブル、データバス、例えば、CAN(コントローラエリアネットワーク)バス、MOST(メディア指向システムトランスポート)バスまたはその他のバス構成、または無線接続の中から1つまたは複数の形態をとり得る。図示の実施形態では、1つの制御ユニット52およびメモリ54だけが示されているが、制御システム16は、代替的に複数の制御ユニットおよび/またはメモリを備えてもよい。
【0107】
以下では、制御システム16およびその動作について、とりわけ図1図4を参照して、考察する。さらに、制御システム16は、とりわけ図5を参照して、本明細書において考察した方法100の実施形態を実行するように構成されてもよい。したがって、方法100に関連して考察された利点は、制御システム16においても当てはまり、逆もまた同様である。
【0108】
制御システム16は、
- 発酵槽4から遠心分離機6の内部に、細胞培養混合物の流れを導き、同時に、
- 遠心分離機6の内部から発酵槽4に液体の流れを連続的に戻す
ように構成される。このようにして、表面拡大インサートを備える遠心分離機6を備えるバイオプロセシングシステム2の灌流モード動作が可能となる。より具体的には、このようにして、遠心分離機6内の停滞する液体が回避され、これは、そうでなく、発酵槽4に戻されると、培養期間中に発酵槽4内の細胞培養混合物を劣化させてしまう。
【0109】
液体は、細胞培養混合物から分離された重い相であってもよい。すなわち、遠心分離機6の内部に誘導された細胞培養混合物よりも濃縮された細胞培養混合物を含む重い相を、発酵槽4に戻してもよい。いくつかの実施形態によれば、断続的に、液体は、遠心分離機6の内部に誘導された状態の、すなわち分離されることなく遠心分離機6を通り抜けて流れる、細胞培養混合物であってもよい。
【0110】
細胞培養混合物の流れは、発酵槽4から遠心分離機6に第1の導管区間21を通り、さらに、システム2に存在する場合には、フィードポンプ12’および/または第1のバルブ装置14’を通って導かれてもよい。
【0111】
液体の流れは、遠心分離機6から第2の導管区間22および重い相ポンプ12’’を通り、それがシステム2に存在する場合には、任意選択で、第2のバルブ装置14’’を通って導かれ/戻されてもよい。
【0112】
実施形態によれば、制御システム16は、第1の期間中に、
- 細胞培養混合物の流れを軽い相と重い相とに分離するために、遠心分離機6を作動させ、
- 遠心分離機6の内部から、遠心分離機6内で分離された重い相を、発酵槽4への液体の流れとして、連続的に戻す
ように構成してもよい。このようにして、バイオプロセシングシステム2の灌流モード動作は、重い相を有する細胞培養混合物の細胞を発酵槽4に戻すことによって提供してもよい。発酵槽4において、戻された細胞は、関係するバイオプロセスの求められている物質を生成し続けることができる。
【0113】
実施形態によれば、制御システム16は、第1の期間中に、
- 遠心分離機6内で分離された軽い相を受取り容器8に導く
ように構成されてもよい。このようにして、軽い相は、例えば、軽い相のさらなる下流処理のために、またはバイオプロセスの求められている物質をそれから期待するために、受取り容器8に集めてもよい。
【0114】
受取り容器8に導かれた軽い相は、例えば増殖培地導管33を通り発酵槽4へ、新鮮な増殖培地と交換してもよい。一例として挙げると、発酵槽4の容積の回転率は、24時間に1~2回であってもよい。すなわち、受取り容器8に導かれる細胞培養混合物から分離された軽い相は、24時間当たり、発酵槽4の容積に等しいか、または発酵槽4の容積の2倍であってもよい。
【0115】
一旦充填された受取り容器8は、空の受取り容器と交換してもよい。これは、培養期間にわたって1回または複数回、行ってもよい。充填された受取り容器8の内容物、すなわちその中の軽い相は、下流処理に供してもよい。受取り容器8を交換することの代替案、または補完案は、受取り容器8を断続的に空にし、下流処理のために軽い相を移送することであってもよい。
【0116】
実施形態によれば、制御システム16は、第2の期間中に、
- 遠心分離機6の内部から、分離されていない細胞培養混合物を、発酵槽4への液体の流れとして、連続的に戻す
ように構成してもよい。このようにして、分離されていない細胞培養混合物の連続的な流れが、遠心分離機6を通り抜けて維持され得る。より具体的には、第2の期間中は遠心分離機6において細胞培養混合物の分離は行われない。これにより、バイオプロセシングシステム2において細胞培養混合物の分離が不要な期間中に、遠心分離機6内に停滞する液体を防止することができる。したがって、バイオプロセシングシステム2の灌流モード動作のための条件は、例えばシステム2内のバイオプロセスが軽い相/生成物の連続抽出を提供しない場合にも達成することができる。これは、求められている物質の抽出可能な細胞培養混合物の発酵槽4における生成速度と比較して、遠心分離機6の高い分離能力によるものと考えられる。
【0117】
実施形態によれば、制御システム16は、第2の期間中に、遠心分離機6のロータを静止したまま維持するように、または第1の期間中よりも低い回転速度でロータを回転させるように、または第1の期間中の回転方向と反対の回転方向にロータを回転させるように構成されてもよい。このようにして、第2の期間中に、遠心分離機6のロータにおいて細胞培養混合物の分離は行われない。
【0118】
ロータが第2の期間中に回転する場合、その回転速度は第1の期間中の回転速度よりも実質的に低い。これは、ロータの回転方向のそれぞれに当てはまる。例えば、第2の期間中の回転速度は、第1の期間中の回転速度の1~10%の範囲内、または0.1~20%の範囲内であってもよい。ロータのこのような回転を維持することにより、停滞した細胞培養混合物を有する領域が第2の期間中に分離スペース内に形成されないことを確実にすることができる。
【0119】
実施形態によれば、制御システム16は、第1の期間と第2の期間を交互に繰り返すように構成されてもよい。このようにして、バイオプロセシングシステム2の灌流モード動作を、より長い期間にわたって維持することができ、この期間中に、軽い相/生成物が、発酵槽4内の細胞培養混合物から断続的に抽出される。すなわち、それぞれの第1の期間に対して、軽い相/生成物は遠心分離機6内で分離され、それぞれの第2の期間に対して、軽い相/生成物の抽出は、分離されていない細胞培養混合物が遠心分離機6から発酵槽に戻される間、保留にされる。
【0120】
実施形態によれば、バイオプロセシングシステム2は受取り槽18を備え、制御システム16は、第3の期間中に、
- 遠心分離機6の内部から発酵槽4に液体の流れを連続的に戻すことを停止し、
- 発酵槽4から遠心分離機6に細胞培養混合物の流れを導き、
- 遠心分離機6の内部で細胞培養混合物の流れを軽い層と重い相とに分離するために、遠心分離機6を作動させ、
- 遠心分離機6内の分離された重い相を受取り槽18に導く
ように構成されてもよい。このようにして、発酵槽4内の細胞培養液中の細胞の濃度を低減させてもよい。より具体的には、培養期間にわたって、細胞培養混合物の細胞含有量が増加して、細胞培養混合物および/または求められている物質の生成に悪影響を与えるレベルに達する可能性がある。このような状況では、第3の期間中に発酵槽4から、分離された重い相およびそれに含有される細胞を迂回させることによって、発酵槽4における細胞培養混合物の細胞濃度を低下させてもよい。
【0121】
受取り容器8に導かれた分離された軽い相の容積と比較して、受取り槽18に導かれた分離された重い相は少なくできる。すなわち、受取り槽18に導かれた分離された重い相は、発酵槽4の容積の回転率のわずかな部分にだけ寄与する。
【0122】
第3の期間の後には、第2の期間または第1の期間と、当該期間に関連して実行される措置(measures)とが続く場合がある。第3の期間およびそれに関連して行われる措置は、細胞培養混合物の細胞濃度を所望の範囲内に維持するために、培養期間にわたって断続的に繰り返されてもよい。
【0123】
実施形態によれば、制御システム16は、第3の期間中に、
- 遠心分離機6内で分離された軽い相を受取り容器8に導く
ように構成されてもよい。このようにして、第3の期間中も、分離された重い相が受取り槽18に迂回させられるときに、分離された軽い相が受取り容器8に回収されてもよい。すなわち、第3の期間中も、軽い相/生成物は、求められている物質を含有することができる。
【0124】
実施形態によれば、遠心分離機6は(上記のような)ロータを備え、制御システム16は、第1の期間中よりも高い第3の期間中の回転速度でロータを回転させるように構成されてもよい。このようにして、より濃縮された重い相は、第1の期間中よりも第3の期間中に分離させることができる。したがって、第1の期間中よりも第3の期間中に、分離された重い相を形成する懸濁液中により少ない軽い相が含有され、したがって、より少ない軽い相が受取り槽18に送られ、バイオプロセスから浪費される可能性がある。その結果、第1の期間中よりも第3の期間中に、より多くの軽い相が分離され得る。
【0125】
実施形態によれば、制御システム16は、第4の期間中に、
- 先に行われていない場合に、遠心分離機6の内部から発酵槽4に液体の流れを連続的に戻すことを停止し、
- 発酵槽4から遠心分離機6に細胞培養混合物の全てを導き、
- 細胞培養混合物を軽い相と重い相とに分離させるために、遠心分離機6を作動させ、
- 遠心分離機6内で分離された軽い相を受取り容器8に導く
ように構成されてもよい。このようにして、発酵槽4は、関連する培養期間の終わりに空にされてもよく、最終量の軽い相/生成物が、発酵槽4内の細胞培養混合物から抽出されてもよい。
【0126】
実施形態によれば、制御システム16は、第4の期間中に、
- 遠心分離機6内で分離された重い相を受取り槽18に導く
ように構成されてもよい。このようにして、第4の期間中に分離された重い相は、受取り槽18に集められ、発酵槽4に送り返されなくてもよい。これにより、発酵槽4は、第4の期間中に空になる。
【0127】
実施形態によれば、バイオプロセシングシステム2は、任意選択で遠心装置6’を備えてもよく、任意選択で、導管システム10は、受取り容器8と遠心装置6’とを相互接続してもよい。制御システム16は、第1の期間から第6の期間のいずれか1つに続いて、
- 受取り容器8内に集められた軽い相を、遠心分離機6または遠心装置6’に導き、
- 軽い相を軽いフラクションと重いフラクションとに分離するために、遠心分離機6または遠心装置6’を作動させ、
- 遠心分離機6または遠心装置6’から軽いフラクションを移送する
ように構成されてもよい。このようにして、受取り容器8に集められた軽い相は、それが含有し得る破片から除去され、こうして、分離された軽いフラクションの形態でそれを提示することによって、下流処理のための軽い相を準備してもよい。
【0128】
軽いフラクションの移送は、さらなる受取り容器50へ向かうか、または軽いフラクションから求められている物質を抽出するなどの、軽いフラクションのさらなる処理のために、直接、下流の処理機器へ向かってもよい。
【0129】
遠心装置6’が図2に模式的に示されており、第1の期間中に軽い相と重い相とを分離するために利用される遠心分離機6以外の、任意選択の異なる遠心装置6’を形成する。したがって、同じ遠心分離機6または異なる遠心装置6’のいずれかを、軽いフラクションと重いフラクションを分離するために利用してもよい。このような異なる遠心装置6’は、遠心分離機6と同種または異種の遠心分離機であってもよい。なお、遠心装置6’は、単独使用のために構成されていてもよい。
【0130】
管路システム10は、受取り容器8から遠心分離機6または遠心装置6’に軽い相を導くための、第6の導管区間26を備えてもよい。
【0131】
第1の期間中と同じ遠心分離機6が軽いフラクションと重いフラクションを分離するために利用される場合、導管システム10は、第3の導管区間23およびさらなる受取り容器50に接続された、第7の導管区間27を備えてもよい。したがって、分離された軽いフラクションは、第7の導管区間27を通り、さらなる受取り容器50に移送され得る。そのような実施形態では、分離された重いフラクションは、受取り槽18または遠心分離機6の重い相出口に接続された、異なる廃棄物リセプタクルに導かれてもよい。
【0132】
分離された軽いフラクションが低い粒子含有量であることを確実にするために、遠心装置6’は、遠心分離機6よりも高い分離能力を有してもよい。
【0133】
遠心装置6’を利用する利点は、それを、遠心分離機6と並列に動作させることができることである。したがって、受取り容器8は、培養期間中に、空にするか、その内容物のいくらかを放出してもよい。
【0134】
実施形態によれば、制御システム16は、第1および第2の期間中に、細胞培養混合物の流れを、実質的に同じ流量qで遠心分離機6の内部に供給するように構成されてもよい。このようにして、第1の期間と第2の期間との間で流量qに実質的に差がなくなり、これによって、第1および第2の期間のそれぞれの間、細胞培養混合物および分離された重い相の穏やかな取扱いを促進できる。具体的には、導管システム10内の細胞培養混合物および分離された重い相に低い剪断応力を与えるように、流量qを選択することができる。
【0135】
流量qは、第1の期間と第2の期間との間で、±10%の範囲内で異なることがある。
【0136】
上記で考察したように、実施形態によれば、表面拡大インサートを備える遠心分離機6は、ベースユニット40と、ベースユニット40に装着された交換可能分離インサート42’、42’’を備える、モジュール式遠心分離機であってもよい。
【0137】
導管システム10は、細胞培養混合物以外の液体を、遠心分離機6の入口に供給するために構成されている、第4の導管区間24を含む実施形態によれば、制御システム16は、第1の期間の前に、
細胞培養混合物以外の液体が第4および第1の導管区間24、21を通り遠心分離機6の内部へ移送され、さらに重い相出口および軽い相出口を通り遠心分離機6の外に移送され、発酵槽4および受取り容器8に達する前に第2および第3の導管区間22、23から迂回されるように、
- フィードポンプ12’、重い相ポンプ12’’、および軽い相ポンプ12’’’を作動させ、
- 第1のバルブ装置14’を利用して、第4の導管区間24から第1の導管区間21および遠心分離機6に至る液体通路を提供し、
- 第2のバルブ装置14’’を利用して第2の導管区間22からの迂回通路を提供し、
- 第3のバルブ装置14’’’を利用して第3の導管区間23からの迂回通路を提供する
ように構成されてもよい。このように、制御システムは、第1の期間の前に、遠心分離機6に細胞培養混合物と異なる液体を供給するように構成されてもよい。すなわち、遠心分離機6内での細胞培養混合物の分離の前に、増殖培地のような、プライミング液を、遠心分離機6に供給して、細胞培養混合物よりも低コスト/価値の液体で、遠心分離機6のプライミングを行ってもよい。プライミング液は、別個の容器30に供給されて、第4の導管区間24を通り遠心分離機6に導かれる。
【0138】
軽い相出口からの細胞培養混合物以外の液体の迂回は、廃液容器60へと行えばよい。重い相出口からの細胞培養混合物以外の液体の迂回は、受取り槽18へと行ってもよい。
【0139】
実施形態によれば、制御システム16は、第1の期間中に、
- フィードポンプ12’、重い相ポンプ12’’、および軽い相ポンプ12’’’を作動させ、
- 第1のバルブ装置14’を利用して、発酵槽4から第1の導管区間21および遠心分離機6に至る液体通路を提供し、
- 第2のバルブ装置14’’を利用して、第2の導管区間22を通り発酵槽4に至る重い相通路を提供し、
- 第3のバルブ装置14’’’を利用して、第3の導管区間23を通り受取り容器8に至る軽い相通路を提供する
ように構成されてもよい。このようにして、制御システム16は、発酵槽4から遠心分離機6に細胞培養混合物を移送するように構成されてもよい。その中の分離された軽い相および重い相も、このようにして、それぞれ、受取り容器8および発酵槽4に移送されてもよい。
【0140】
実施形態によれば、制御システム16は、第2の期間中に、
- フィードポンプ12’および重い相ポンプ12’’を作動させ、
- 第1および第2のバルブ装置14’、14’’を開いた状態に維持し、
- 発酵槽4から第1の導管区間21を通り、遠心分離機6に至り、それを通り抜け、そこから第2の導管区間22を通り発酵槽4に戻る、細胞培養混合物通路を提供するなどのために、第3のバルブ装置14’’’を閉じた状態に維持する
ように構成されてもよい。このようにして、制御システム16は、内部で分離が行われない場合に、遠心分離機6内の細胞培養混合物の停滞を防止する構成としてもよい。すなわち、遠心分離機6内で細胞培養混合物の分離が行われない場合に、細胞培養混合物は、第2の期間中に劣化しなくなる。
【0141】
導管システム10が第5の導管区間25と、受取り槽18とを備える、実施形態によれば、制御システム16は、第3の期間中に、
細胞培養混合物が、発酵槽4から第1の導管区間21を通り遠心分離機6に移送され、遠心分離機6内で、第3の導管区間23を通り受取り容器8に導かれる軽い相と、第1および第5の導管区間21、25を通り受取り槽18に導かれる重い相とに分離されるように、
- フィードポンプ12’および重い相ポンプ12’’を作動させ、
- 遠心分離機6を作動させ、
- 第2のバルブ装置14’’と第5の導管区間25とを利用して、重い相出口から受取り槽18に至る重い相通路を提供する
ように構成されてもよい。このようにして、制御システム16は、分離された重い相を発酵槽4から迂回させる構成としてもよい。発酵槽4に移送される代わりに、分離された重い相は、遠心分離機6から第2および第5の導管区間22、25を通り受取り槽18に移送されてもよい。
【0142】
図5は、バイオプロセシングシステムを動作させる方法100の実施形態を示す。バイオプロセシングシステムは、図1図3に関連して考察した実施形態のいずれか1つによる、システム2であってもよく、図1図4に関連して考察したような制御システム16を備える。以下では、図1図4も参照する。方法100に関連して考察した特徴および利点は、制御システム16においても当てはまり、逆もまた同様である。
【0143】
バイオプロセシングシステムを動作させるための方法100は、
- 発酵槽4内で細胞培養混合物を生成する102ステップと、
- 細胞培養混合物を生成する102ステップと同時に、発酵槽4から、表面拡大インサートを備える遠心分離機6の内部に、細胞培養混合物の流れを導く104ステップと、
- 細胞培養混合物を生成する102ステップおよび細胞培養混合物の流れを導く104ステップと同時に、遠心分離機6の内部から発酵槽4に液体の流れを連続的に戻す106ステップと
を含む。
【0144】
このように、表面拡大インサートを備える遠心分離機6を備えるバイオプロセシングシステム2の灌流モード動作は、遠心分離機6の内部から発酵槽4への液体の流れの連続的な戻りによって可能になる。
【0145】
細胞培養混合物を生成する102ステップは、とりわけ増殖培地、酸素、および好ましい温度条件を利用して、既知の方法による発酵槽4内での関係細胞の培養を含む。
【0146】
したがって、生成する102ステップ中に、連続的または断続的に、
- 増殖培地導管33を通り発酵槽4中に増殖培地を供給するステップと、
- 酸素入口または空気入口32を通り、発酵槽4中に酸素を供給するステップと、
- 撹拌部材34で、発酵槽4内の細胞培養混合物を撹拌するステップと、
- 冷却および/または加熱エレメント35を利用して、発酵槽4内部の温度を制御するステップと
のうちの1つまたは複数が提供されてもよい。
【0147】
なお、遠心分離機6の内部から発酵槽4へ液体の流れを連続的に戻す106ステップは、培養期間全体の持続期間の90%超、例えば95%超にわたって行われてもよい。
【0148】
実施形態によれば、方法100は、第1の期間中に、
- 遠心分離機内で軽い相と重い相とに細胞培養混合物の流れを分離させる107ステップを含んでもよく、ここにおいて、遠心分離機6の内部から液体の流れを発酵槽4に連続的に戻す106ステップが、第1の期間中に、
- 遠心分離機6内で分離された重い相を、発酵槽4への液体の流れとして発酵槽に戻す108ステップ
を含んでもよい。
【0149】
すなわち、第1の期間中に、発酵槽4からの細胞培養混合物は、軽い相と重い相とに分離することができて、細胞培養混合物の細胞を含有する重い相は、発酵槽4に戻される。
【0150】
実施形態によれば、細胞培養混合物の流れを、軽い相と重い相とに分離する107ステップにおいて、分離された軽い相の流れは、細胞培養混合物の流れの最大5%V/V(体積%)を形成してもよい。
【0151】
すなわち、細胞培養混合物の分離中に細胞培養混合物から、適当に少量の軽い相/生成物を抽出してもよい。軽い相の量は、とりわけ発酵槽4容積、発酵槽4からの細胞培養混合物の流れ、および細胞培養混合物の細胞密度の関数であってもよい。
【0152】
実施形態によれば、方法は、第1の期間中に、
- 遠心分離機6内で分離された軽い相を、受取り容器8に導く112ステップ
を含んでもよい。
【0153】
すなわち、軽い相/生成物は、その後続の処理のために集めてもよい。
【0154】
実施形態によれば、第1の期間中に、重い相は、増殖培地とホールセルとを含み、軽い相は、増殖培地と、ホールセルよりも小さい粒径の細胞培養混合物からの破片とを含み、実質的にホールセルを含んでいなくてもよい。
【0155】
増殖培地は、さまざまな段階において、細胞によって消費され得るものである。しかしながら、培養期間中に、細胞の増殖を推進するために、新鮮な増殖培地が発酵槽4に供給される。同様に、例えば第1の期間中に、増殖培地を含む軽い相が発酵槽4から受取り容器8に抽出される。前述のように、軽い相は、軽い相がバイオプロセシングシステム2の下流での処理に供されたときの所望の最終生成物である、求められている物質を含む。したがって、新鮮な増殖培地は、受容容器8に導かれた軽い相も置き換える。
【0156】
実施形態によれば、第1の期間中に、細胞培養混合物の流れが流量qで導かれ、この場合に、直径dを有するホールセルが流量qで細胞培養混合物から重い相に分離されるように、遠心分離機6をエリアイクイバレントAeで動作させてもよい。このようにして、細胞培養混合物中の細胞は、遠心分離機6を通過する際に重い相とともに分離され、発酵槽4に戻されてもよい。破片、例えば、細胞溶解からの破片などのより小さな粒子は、重い相だけでなく軽い相にも追従することがある。
【0157】
したがって、限界粒子dは、第1の期間中、細胞培養混合物のホールセルの直径dよりも小さく選択してもよい。例として挙げたように、ホールセルの直径dは、10~30μmの範囲内であってもよい。
【0158】
より具体的には、エリアイクイバレントAeは、表面拡大インサートを備える遠心分離機6の分離能力の尺度である。エリアイクイバレントが高いほど、遠心分離機6の分離性能が高くなる。
【0159】
ここで、分離ディスクのスタックを備える遠心分離機の文脈において例示された、エリアイクイバレントAeは、以下の式に従って計算される。
【0160】
【数1】
【0161】
ここで、g=重力定数、N=分離インサートの円錐台分離ディスクの数、α=円錐台分離ディスクの頂角の半分、すなわち、回転軸と、円錐台分離ディスクの1つの内表面との間の角度、ω=遠心分離機6のロータの回転速度、r=円錐台分離ディスクの外半径、r=円錐台分離ディスクの内半径である。
【0162】
Aeは回転速度成分ωを有するので、Aeは、遠心分離機6のロータの回転速度を調節することによって操作することができる。
【0163】
1959年のAmblerおよびその後のAxelsson/Madsenによる限界粒子は、懸濁液、すなわち、この場合に細胞培養混合物において、軽い相とともに分離されている最大粒子の直径dについて記述している。
【0164】
以下の式および関係は正しい。
【0165】
遠心分離機を通り抜ける懸濁液の流量qは、次式で与えられる。
q = vAe (2)
ここで、vはストークス沈降速度であり、Aeは上記の式(1)によって与えられるエリアイクイバレントである。
【0166】
ストークスの法則から次が得られる。
【0167】
【数2】
【0168】
ここで、ρは、関係する粒子とその周辺媒体との密度差であり、dは粒径であり、μは懸濁液の粘度である。
【0169】
限界粒子dは、式(1)、式(2)、および式(3)から計算することができる。
【0170】
したがって、限界粒子dは、遠心分離機6のロータの回転速度ωに加えて、流量qの関数である。
【0171】
図7は、発酵槽4内の細胞培養混合物の粒径分布の例を示す図である。この例において、ホールセルのサイズは、曲線の大きなピークで示されるように、約11μmである。曲線のより小さいピークは、細胞培養混合物に含有される破片の主要サイズを示している。しかしながら、細胞溶解からの破片などの、<0.1~10μmの範囲内の破片が、細胞培養混合物に含有されている。この例において、限界粒子dの好適なサイズは、破線により示されるように、10μmである。
【0172】
すなわち、ホールセルは、重い相とともに分離される。より小さいサイズの破片は、重い相と軽い相の両方に含有されている。したがって、破片の一部分は、分離された軽い相とともに発酵槽4から除去され、これによって、その中の発酵プロセスから除去される。
【0173】
細胞培養混合物では、他のニュートン流体と同様に、剪断応力の形の粘性応力がその流れから生じる。細胞培養混合物および/または分離された重い相が導管システム10を通り抜けて流れるときに受ける可能性のある最大剪断応力は、そこに含まれる細胞に損傷を与えないものとすることができる。導管システム10内の流量は、細胞が内部で受ける可能性のある剪断応力に応じて制限することができる。例えば、流量は、少なくとも95%の細胞が導管システムを通過して生き残る流量に制限することができる。
【0174】
遠心分離機6では、細胞培養混合物と分離された重い相とが、細胞培養混合物の入口および重い相出口で最も高い剪断応力を受け、ここで細胞培養混合物と分離された重い相とが加減速される。遠心分離機6のロータの回転軸と同心円状の入口および出口は、最も穏やかな加速および減速を与える。
【0175】
図5および図1図4に戻ると、実施形態によれば、方法100は、第1の期間の前に、
- 増殖培地のような、細胞培養混合物以外の液体で、遠心分離機6をプライミング114するステップ
を含んでもよい。このようにして、細胞培養液以外の液体での遠心分離機6のプライミング114により、第1の期間の開始時に、遠心分離機6の内部への細胞培養混合物の均一な流れを確実にすることができる。
【0176】
プライミングする114ステップにおいて、遠心分離機6の分離スペースなどの、遠心分離機6の内部は、細胞培養混合物以外の液体で充填されてもよい。
【0177】
プライミングする114ステップは、発酵槽4からおよび/または発酵槽4に通じる導管区間などの、導管システム10の部分または全体をプライミングすることも含んでもよい。したがって、細胞培養混合物は、遠心分離機6の内部に通じるそのような導管区間に穏やかに導入することができ、分離された重い相は、遠心分離機6から発酵槽4に戻って通じる導管区間に穏やかに導入することができる。
【0178】
実施形態によれば、遠心分離機6の内部から発酵槽4に液体の流れを連続的に戻す106ステップは、第2の期間中に、
- 遠心分離機6の内部から発酵槽4に、発酵槽4への流体の流れとして、細胞培養混合物の流れを戻す110ステップ
を含んでもよい。
【0179】
第2の期間中、遠心分離機6においては、分離が行われないか、または実質的に行われない。細胞培養混合物は、単に遠心分離機6を通り抜けて流れる。
【0180】
このようにして、第1および第2の期間中に、遠心分離機6の異なる動作を提供してもよい。両期間中、液体は遠心分離機6から発酵槽4に戻される。したがって、遠心分離機6内の細胞培養混合物の停滞は、遠心分離機6内で分離が行われるか否かにかかわらず、バイオプロセシングシステム2の灌流モード動作中、回避することができる。
【0181】
第2の期間中、バイオプロセシングシステム2内の細胞培養混合物の流れ方向は、発酵槽4から第1導管セクション21を通り遠心分離機6へ流れ、さらに第2の導管区間22を通り発酵槽4に戻る、第1の流れ方向とすることができる。フィードポンプ12’および重い相ポンプ12’’は、細胞培養混合物を第1の流れ方向にポンピングしてもよい。あるいは、重い相ポンプ12’’は静止していて、そこを通る流れのために単に開いていており、フィードポンプ12’だけが細胞培養混合物を第1の流れ方向にポンピングしてもよい。
【0182】
あるいは、第2の期間中の流れ方向は、第1の流れ方向とは反対の、すなわち発酵槽4から第2導管区間22を通って遠心分離機6へ、さらに第1導管区間21を通って発酵槽4に戻る、第2の流れ方向であってもよい。第2の流れ方向は、フィードポンプ12’および/または重い相ポンプ12’’が可逆的である場合に利用可能である。
【0183】
実施形態によれば、第2の期間中の細胞培養混合物の流れを戻す110ステップの間に、遠心分離機のロータは静止しているか、または第1の期間中の細胞培養混合物の流れを分離する107ステップの間よりも低い回転速度で回転しているか、または第1の期間中の細胞培養混合物の流れを分離する107ステップの間の回転方向と反対の回転方向に回転していてもよい。このようにして、第2の期間中に遠心分離機において分離が行われないか、または実質的に分離が行われないことを確実にすることができる。したがって、分離された細胞の蓄積を回避することができる。
【0184】
当然のことながら、第1の期間中の回転方向と反対の回転方向のロータの回転の場合には、遠心分離機の分離スペースにおける細胞の分離を防止し、または少なくとも実質的に減少させるために、回転速度は第1の期間中の回転速度よりも低い。
【0185】
第2の期間中に回転する場合、遠心分離機6のロータの回転速度は、第1の期間中のロータの回転速度の0.1~10%の範囲内としてもよい。
【0186】
遠心分離機6のロータを第1の期間中の回転方向と反対の回転方向に回転させる利点は、遠心分離機6の分離スペースの周辺で分離されたセルをほぐす(loosen)こと、または放出することである。したがって、細胞は、第2の期間中に遠心分離機6の内部を通り抜けて流れる細胞培養混合物とともに、細胞を発酵槽4に輸送して戻すことができる。
【0187】
同様に、逆流れ方向を適用すること、すなわち上記の第2の流れ方向を適用することの利点は、第2の期間中、遠心分離機6の内部における停滞領域を回避することであり、この停滞領域は、遠心分離機6の構造に応じて、ロータが静止しているか、または実質的に低下した回転速度で回転しているときに形成されることがある。
【0188】
実施形態によれば、第1および第2の期間中、細胞培養混合物の流れは、遠心分離機の内部へ実質的に同じ流量qで導くことができる。
【0189】
例えば、流量qは、第1の期間と第2の期間との間で、±10%を越えて異なることはない。
【0190】
実施形態によれば、方法100は、第3の期間中に、
- 遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻す106ステップを停止する115ステップと、
- 発酵槽4から遠心分離機6に細胞培養混合物の流れを導く116ステップと、
- 遠心分離機6内の細胞培養混合物の流れを軽い相と重い相とに分離する118ステップと、
- 分離する118ステップにおいて分離された重い相を受取り槽18に導く120ステップと
を含んでもよい。このようにして、分離118ステップにおいて分離した重い相を、発酵槽4に戻すのではなく、受取り槽18に誘導することによって、細胞培養液の細胞濃度を低下させることができる。
【0191】
実施形態によれば、方法100は、第3の期間中に、
- 分離する118ステップで分離された軽い相を受取り容器に導く122ステップ
を含んでもよい。このようにして、第3の期間中に分離された軽い相を、下流処理のために集めることができる。
【0192】
受取り容器は、上記で考察して、図2に示したような受取り容器8であってもよく、または受取り容器は、分離する118ステップ中に分解された軽い相のための異なる受取り容器であってもよい。
【0193】
実施形態によれば、第3の期間中、遠心分離機のロータは、第1の期間中よりも高い回転速度で回転することができる。このようにして、細胞培養混合物の細胞濃度およびより小さな粒子の含有量の低減を効率的に行うことができ、第1の期間中の分離する107ステップよりも第3の期間中の分離する118ステップにおいて、より多くの軽い相を分離することができる。
【0194】
実施形態によれば、方法100は、第4の期間中に、
- 先に行われていない場合に、遠心分離機の内部から発酵槽に液体の流れを連続的に戻す106ステップを停止する115ステップと、
- 発酵槽4から遠心分離機6に細胞培養混合物の全てを導く124ステップと、
- 遠心分離機6内で細胞培養混合物を軽い相と重い相とに分離する126ステップであって、軽い相が、細胞培養混合物の50~95%V/Vを形成する、ステップと、
- 遠心分離機内で分離された軽い相を受取り容器に導く130ステップと
を含んでもよい。このようにして、発酵槽は、培養期間の終わりに空にされてもよく、第4の期間中に細胞培養混合物から軽い相/生成物が抽出または収穫されてもよい。
【0195】
受取り容器は、上記で考察して、図2に示したような、受取り容器8であるか、または受取り容器は、分離する126ステップ中に分離された軽い相のための異なる受取り容器であってもよい。
【0196】
実施形態によれば、方法100は、第4の期間中に、
- 遠心分離機6内で分離された重い相を受取り槽に導く128ステップ
を含んでもよい。このようにして、分離する126ステップ中に分離された重い相は、発酵槽4に戻される代わりに、受取り槽に迂回されてもよい。このように、発酵槽4は、第4の期間中に空にされてもよい。
【0197】
受取り槽は、上記で考察して、図2に示したような、受取り槽18であるか、または受取り槽は、分離する126ステップ中に分離された重い相のための異なる受取り槽であってもよい。
【0198】
実施形態によれば、第3および/または第4の期間に続いて、方法100は、
- 希釈された重い相を生成するために、受取り槽18内の重い相を液体で希釈する132ステップと、
- 第5の期間中に、希釈された重い相を、受取り槽18から、遠心分離機6などの遠心装置に移送する134ステップと、
- 第5の期間中に、遠心装置内で希釈された重い相を、軽い相とさらなる重い相とに分離する136ステップと、
- 軽い相を受取り容器に導く138ステップと
を含んでもよい。このようにして、第1、第3、および第4の期間の1つまたは複数の間に分離された重い相は、例えば増殖培地などの液体で希釈されてもよい。希釈された重い相を分離することにより、求められている物質を含有するさらなる軽い相を生成して、バイオプロセスからの収量を高めることができる。
【0199】
受取り容器は、上記で考察して、図2に示したような受取り容器8であるか、または受取り容器は、分離する136ステップ中に分離された軽い相のための異なる受取り容器であってもよい。
【0200】
実施形態によれば、第5の期間中に、遠心分離機6のロータは、第1の期間中よりも高い回転速度で回転されてもよい。このようにして、第5の期間中に分離された重い相は、第1の期間中に分離された重い相よりも高い粒子の濃度を有することができる。したがって、利用可能な軽い相の大部分は、第5の期間中に、希釈された重い相から引き出すことができる。
【0201】
実施形態によれば、第3、第4および/または第5の期間に続いて、方法100は、第6の期間中に、
- 遠心分離機6を、増殖培地などの液体でフラッシュする140ステップと、
- 遠心分離機6を作動させる142ステップと、
- 液体の少なくとも一部分を、遠心分離機6の軽い相出口を通して受取り容器8に導く144ステップと
を含んでもよい。このようにして、求められている物質を含む残りの生成物は遠心分離機からフラッシュされ、こうして、利用に供することができる。
【0202】
遠心分離機6が作動しているので、細胞などの残りの粒子は遠心分離機6内に残り、軽い相出口を通して導かれる液体の一部分は、粒子を含まないか、または少なくとも実質的に含まない。
【0203】
実施形態によれば、遠心分離機6を作動させる142ステップ中に、遠心分離機6のロータは、第1の期間中よりも高い回転速度で回転させてもよい。このようにして、第6の期間中、軽い相出口を通して導かれる液体が、最小濃度の粒子を含有することを確実にすることができる。
【0204】
実施形態によれば、第1から第6の期間のうちのいずれか1つの期間に続いて、方法100は、
- 受取り容器8内に集められた軽い相を遠心分離機6または遠心装置6’に導く146ステップと、
- 遠心分離機6または遠心装置6’内で軽い相を軽いフラクションと重いフラクションとに分離する148ステップであって、重いフラクションが、細胞培養混合物からの残留破片を含む、ステップと、
- 軽いフラクションからの細胞外物質の抽出などのさらなる処理のために、軽いフラクションを移送する150ステップと
を含んでもよい。このようにして、受取り容器8に集められた軽い相は、それが含有することのある破片の少なくとも大部分から除去されてもよく、したがって、分離された軽いフラクションの形態でそれを提示することによって、下流処理のための軽い相を準備することができる。
【0205】
制御システム16の対応する特徴に関係する、上記の考察をさらに参照する。
【0206】
実施形態によれば、遠心装置内で軽い相を軽いフラクションと重いフラクションとに分離する148ステップ中に、遠心分離機6のロータは、第1から第6の期間のうちの1つまたは複数の期間中よりも高い回転速度で回転してもよい。このようにして、軽いフラクションが、最小濃度の粒子を含有し得ること、すなわちホールセルの直径よりも実質的に小さいサイズの破片が、第6期間中に軽いフラクションから分離されることを確実にすることができる。
【0207】
実施形態によれば、表面拡大インサートを備える遠心分離機は、ベースユニット40と、ベースユニット40内に装着された交換可能分離インサート42’、42’’とを備える、モジュール式遠心分離機であってもよい。方法100は、
- 発酵槽4から、表面拡大インサートを備える遠心分離機6の内部へ細胞培養混合物の流れを導く104ステップの前に、使用済みの交換可能分離インサート42’を未使用の交換可能分離インサート42’’と交換する152ステップ
を含んでもよい。
【0208】
したがって、遠心分離機6は、バイオプロセシングシステム2を動作させるための方法100において、その分離任務を実行する準備ができている。
【0209】
上記のように、第1と第2の期間を交互させてもよい。
【0210】
さらに、あるいは代替的に、第1と第3の期間を交互させてもよい。
【0211】
さらなる代替案は、第1、第2、および第3の期間を交互させることである。
【0212】
バイオプロセスの要件、関連する遠心分離機6の能力、バイオプロセスの収量、バイオプロセスを動作させるコストなどに応じて、第1~第6の期間およびそれに関連するステップについて、方法100のさまざまな実施形態が想定される。
【0213】
以下のうちの1つまたは複数が当てはまる:第2の期間が第1の期間に続く。第1の期間が第2の期間に続く。第3の期間が第2または第1の期間に続く。第1の期間が第3の期間に続く。第4の期間が、第1、第2、または第3の期間のうちの1つに続く。第5の期間が、第3または第4の期間に続く。第6の期間が、第3、第4、または第5の期間のうちの1つに続く。
【0214】
また、第2の期間および関連する方法ステップは除外されてもよい。したがって、第3または第4の期間は、第1の期間に直接、続くことができる。あるいは、第3の期間および関連する方法ステップは除外されてもよい。したがって、第4の期間は、第1または第2の期間に直接、続くことができる。さらに、第5および第6の期間、およびそれに関連するステップのそれぞれは任意選択である。
【0215】
さらなる態様によれば、バイオプロセシングシステムを動作させる方法において、バイオプロセシングシステムは、増殖媒体を使用してその中で液体細胞培養混合物を生成するための発酵槽と、表面拡大インサートを備える遠心分離機とを備える、方法であって、
- 第1の期間中に、発酵槽から遠心分離機の内部に細胞培養混合物の流れを連続的に導くステップと、
- 第1の期間中に、遠心分離機内の細胞培養混合物の流れを軽い相と重い相とに連続的に分離するステップであって、軽い相は細胞培養混合物の流れの最大5%V/Vを形成する、ステップと、
- 分離するステップと同時に、第1の期間中に、発酵槽に重い相を戻すステップと
を含む、方法が提供される。
【0216】
さらなる態様によれば、灌流モードで動作される発酵プロセス中に、細胞培養混合物から重い相を含有する細胞を分離するための表面拡大インサートを含む、遠心分離機の使用が提供される。
【0217】
より具体的には、この使用は、灌流モードで動作される発酵プロセス中に、重い相を含む細胞と軽い相を含む細胞破片を細胞培養混合物から分離するための、ディスクスタック遠心分離機の使用に関係し得る。
【0218】
この遠心分離機は、このように発酵プロセスの発酵ステップの前および終わりに使用することができる。発酵プロセスは、生体分子を生成するためのものであってもよい。
【0219】
さらなる態様によれば、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、本明細書で考察された態様および/または実施形態のいずれか1つによる方法100をそのコンピュータに実行させる命令を含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0220】
当業者は、バイオプロセシングシステムを動作させるための方法100が、プログラムされた命令によって実現され得ることを理解するであろう。これらのプログラムされた命令は、通常は、コンピュータプログラムによって構成され、コンピュータプログラムは、コンピュータまたは計算ユニット52において実行されると、コンピュータまたは計算ユニット52が、本発明による方法ステップ102~152のうちの1つまたは複数などの、所望の制御を実施することを確実にする。コンピュータプログラムは、通常、コンピュータプログラムがそれに記憶される適切なデジタル記憶媒体を含む、コンピュータ可読記憶媒体の一部分である。
【0221】
図6は、コンピュータまたは計算ユニット52によって実行されると、コンピュータまたは計算ユニット52に、本明細書で考察された態様および/または実施形態のいずれか1つによる方法100のステップのうちの1つまたは複数を実施させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体99の実施形態を示す。
【0222】
コンピュータ可読記憶媒体99は、例えば、1つまたは複数の計算ユニット52にロードされているときに、いくつかの実施形態によるステップ102~152の少なくともいくつかを実行するためのコンピュータプログラムコードを運ぶ、データキャリアの形態で提供され得る。データキャリアは、例えば、ROM(読み取り専用メモリ)、PROM(プログラム可能読み取り専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的に消去可能PROM)、ハードディスク、CD ROMディスク、メモリスティック、光記憶装置、磁気記憶装置、または機械可読データを非一時的な方法で保持し得るディスクまたはテープなどの他の任意の適切な媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体はさらに、サーバ上にコンピュータプログラムコードとして提供されてもよく、リモートで、例えば、インターネットまたはイントラネット接続を介して、または他の有線もしくは無線通信システムを介して計算ユニット52にダウンロードされてもよい。
【0223】
図6に示されているコンピュータ可読記憶媒体99は、USBメモリスティックの形態における非限定的な例である。
【0224】
前述のことはさまざまな例示的実施形態の表示であること、および本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解されたい。当業者は、例示的実施形態は修正されてもよいこと、および例示的実施形態の異なる特徴を組み合わせて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されているもの以外の実施形態を作成してもよいことに気付くであろう。
【符号の説明】
【0225】
2 バイオプロセシングシステム
4 発酵槽
6 遠心分離機
6’ 遠心装置
8 受取り容器
10 導管システム
12’ フィードポンプ
12’’ 重い相ポンプ
12’’’ 軽い相ポンプ
14’ 第1のバルブ装置
14’’ 第2のバルブ装置
14’’’ 第3のバルブ装置
16 制御システム
18 受取り槽
21 第1の導管区間
22 第2の導管区間
23 第3の導管区間
24 第4の導管区間
25 第5の導管区間
26 第6の導管区間
27 第7の導管区間
30 別個の容器
32 空気入口
33 増殖培地導管
34 撹拌部材
35 冷却および/または加熱エレメント
40 べースユニット
42 交換可能分離インサート
42’ 交換可能な分離インサート
42’’ 交換可能分離インサート
43 ロータケーシング
44 チューブ
45 静止部分
45’ 静止部分
46 静止フレーム
47 回転メンバ
48 ホイール
49 ロータ
51 回転軸
52 制御ユニット
53 円錐台分離ディスク
54 メモリユニット
56 センサ
60 廃液容器
99 コンピュータ可読記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】