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特表2023-553673圧電ポリマーを含む少なくとも1つのトランスデューサを組み込んだ熱可塑性マトリックスに基づく複合物品
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  • 特表-圧電ポリマーを含む少なくとも1つのトランスデューサを組み込んだ熱可塑性マトリックスに基づく複合物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】圧電ポリマーを含む少なくとも1つのトランスデューサを組み込んだ熱可塑性マトリックスに基づく複合物品
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/857 20230101AFI20231218BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20231218BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20231218BHJP
   H10N 30/60 20230101ALI20231218BHJP
【FI】
H10N30/857
H10N30/20
H10N30/30
H10N30/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536410
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 FR2021052350
(87)【国際公開番号】W WO2022129793
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013378
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドミンゲス・ドス・サントス,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】スレスタン,ティボー
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,ジル
(72)【発明者】
【氏名】ジエラール,ピエール
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性マトリックス(320)の表面上又は体積内に統合された少なくとも1つの電子システム(310、311、312、313)を備える複合物品(400)に関する。電子システムは、少なくとも1つの圧電トランスデューサと、電気信号を送信するための手段とを備える。前記圧電トランスデューサは、ビニリデンフルオライド(VDF)及びビニリデントリフルオライド(TrFE)に由来する繰り返し単位から本質的になるか、又は繰り返し単位からなる圧電ポリマーを含み、TrFEに由来する単位のモル比は、VDF及びTrFEに由来する単位の総モル数に対して15%~50%の間である。本発明はまた、電子システムの使用及び物品の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性マトリックス(320)及び少なくとも1つの補強材(330)の表面上又は体積内に統合された少なくとも1つの電子システム(310、311、312、313)を備える複合物品(400)であって、
前記電子システム(310、311、312、313)が、少なくとも1つの圧電トランスデューサ(10、20、30)及び電気信号送信手段(13、21、23、32、33)を備え、
前記圧電トランスデューサが、ビニリデンフルオライド(VDF)及びビニリデントリフルオライド(TrFE)に由来する繰り返し単位から本質的になるか、又は当該繰り返し単位からなる圧電ポリマーを含み、TrFEに由来する単位のモル比が、VDF及びTrFEに由来する単位の総モル数に対して15%~50%である、複合物品(400)。
【請求項2】
前記熱可塑性マトリックスが、メチルメタクリレート(MMA)ホモポリマー、又は少なくとも70重量%のMMAを含むコポリマー、又はそれらの混合物を優先的に含む(メタ)アクリルマトリックスである、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記圧電ポリマーが、VDF及びTrFEに由来する単位の総モル数に対して、16%~35%、優先的に17%~32%、より好ましくは18%~27%、極めて好ましくは19%~22%のTrFEベースの繰り返し単位のモル比を有する、請求項1及び2のいずれかに記載の物品。
【請求項4】
前記圧電ポリマーのキュリー温度が、厳密に80℃超、又は85℃以上、又は90℃以上、又は95℃以上、又は100℃以上、又は105℃以上、又は110℃以上、又は115℃以上、又は120℃以上、又は125℃以上、又は130℃以上、又は135℃以上、又は140℃以上、又はさらには145℃以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、第1の電極を構成する内側導電性コア(21)と、前記導電性コアに接着する前記少なくとも1つの圧電ポリマーを含む中間コーティング(22)と、第2の電極を構成する外側導電性コーティング(23)とを備える繊維(20)である、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記少なくとも1つのトランスデューサ(30)及び/又は前記電気信号送信手段(32、33)が、基板(31)上に電子印刷方法によって得られ、
前記印刷方法が、スピンコーティング、スプレーコーティング、とりわけバー若しくはフィルムスプレッダ(バーコーティング)を用いるコーティング、スロットダイコーティング、浸漬コーティング、ロールツーロール印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、平版印刷、エレクトロスピニング、又はインクジェット印刷から優先的に選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記トランスデューサが、圧電ポリマーのフィルム(11)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記圧電ポリマーが、1ミクロン~50ミクロン、優先的に2ミクロン~25ミクロン及び極めて好ましくは5~15ミクロンの厚さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
アレイ(200、300)を形成する複数の圧電トランスデューサを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記電子システムが、その温度が前記圧電ポリマーの前記キュリー温度を超えない操作プロセスによって前記熱可塑性マトリックス内に統合されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記補強材が、長繊維又は連続繊維、とりわけガラス繊維又は炭素繊維からなる材料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記電子システムが、in-situ重合法によって熱可塑性マトリックス内に統合されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
給又は貯蔵のための多層複合構造、風力タービンブレード用の構造、コンクリート用の鉄筋、又は電池パックから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
リサイクルに適し、リサイクルを意図している、請求項1~13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
電子システムを熱可塑性マトリックス内に統合するプロセスの進捗を監視(プロセス監視)するための前記電子システムの使用であって、前記電子システム及び前記熱可塑性マトリックスが、請求項1~14のいずれか一項に記載の複合物品を形成することを意図している、電子システムの使用。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の複合物品の特性を測定及び/又は監視するための、とりわけ構造健全性監視のための、前記物品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性物質ベースの物品の計測器使用の分野に関する。より具体的には、本発明は、圧電ポリマーに基づくトランスデューサを備える物品に関する。
【0002】
本発明による物品は、監視すべき特定の数の特性を測定するため、並びにその構造の状態及び進化を制御するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
構造健全性監視(SHM)の目的は、所与の構造で使用される材料の特定の物理的及び/又は幾何学的特性を測定することである。それは一般に、材料の特性の変動を検出及び予測することを可能にし、これはとりわけ、それらの操作環境における材料の損傷及び/又は経年劣化を評価するのに有用であると証明することができる。特定の用途では、SHMは、適切な保守作業の適時の予測を可能にする。
【0004】
SHM法は一般に、a)ネットワークセンサから、周期的又は連続的に、動的なサンプリングされた測定値を取得すること、b)測定値から得られる特徴を抽出すること、及びc)構造の状態を判定するように、これらの特徴を統計的に分析することを含む。
【0005】
鉛ジルコニウムチタネート(PZT)セラミック及びポリビニリデンフルオライド(PVDF)フィルムは、今日まで特定のSHM用途においてトランスデューサとして使用されてきた2つの既知の圧電素子である。
【0006】
高い圧電定数を有するPZTウエハは、センサとしての優れた感度とアクチュエータとしての高い変位能力の両方を有する。しかしながら、それらはいくつかの欠点を有する。第一に、それらは剛性で脆く、これは、曲げられる及び/又は高い応力を受ける材料上で使用することができないことを意味する。それらはまた非常に重く、それらが実装される構造を押し下げる傾向がある。さらに、それらは、数ミリメートルの厚さ及びそれらを接続するために電気ケーブルを使用する必要性のため、厄介である。最後に、それらはしばしば鉛などの重金属を含み、これは、それらを含む物品のリサイクルを、不可能ではないにしても特に複雑にする可能性がある。
【0007】
一方、PVDFフィルムに基づくトランスデューサは、高柔軟度、低密度及び低原価を有するという利点を有し、リサイクルすることができる。しかしながら、PVDFは、80℃以下に制限された比較的低い最高操作温度を有し、これは、操作条件下でのその使用の可能性を制限し、特定の特性を測定する必要がある材料への組み込みに対するその適性を制限する。
【0008】
例えば、Frias,C et al.「Manufacturing and testing composite overwrapped pressure vessels with embedded sensors」,Materials&Design31.8(2010):4016-4022から、複合材重ね合わせ圧力容器(COPV)内に構造監視システム(SHM)を実装することが慣例である。監視システムは、電線によって接続された2つの銀電極の間のPVDF膜からなるトランスデューサを備える。トランスデューサは、ライナーと、ガラス繊維強化ポリプロピレンからなる複合補強構造との間に挟まれている。
【0009】
また、Rim,Mi-Sun,et al.「Damage assessment of small-scale wind turbine blade using piezoelectric sensor」 Sensors and Smart Structures Technologies for Civil,Mechanical,and Aerospace Systems2012.Vol.8345.International Society for Optics and Photonics,2012から、プロトタイプの風力タービンブレード内に構造監視システム(SHM)を実装することも慣例である。監視システムは、2つの金属電極の間のPVDF膜からなるトランスデューサを備える。トランスデューサは、プロトタイプの表面上に配置される。
【0010】
このようなPVDFトランスデューサのアレイは、特にかさばり、したがって、設置するのに時間がかかる。加えて、それらが試験すべき構造の体積内に位置している場合、このバルクはそれらを特に侵襲性にするが、それらは監視しようとしている構造を弱めるので、これは望ましくない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Frias,C et al.「Manufacturing and testing composite overwrapped pressure vessels with embedded sensors」,Materials & Design 31.8(2010):4016-4022
【非特許文献2】Rim,Mi-Sun,et al.「Damage assessment of small-scale wind turbine blade using piezoelectric sensor」Sensors and Smart Structures Technologies for Civil,Mechanical,and Aerospace Systems 2012.Vol.8345.International Society for Optics and Photonics,2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来技術の欠点のうちの少なくともいくつかを克服することである。
【0013】
本発明の目的は、とりわけ、少なくとも特定の実施形態によれば、改善された感度を有する圧電ポリマーに基づくトランスデューサを有する少なくとも1つの電子システムを備える複合物品を提案することである。
【0014】
本発明の目的はまた、少なくとも特定の実施形態によれば、その電子システムがわずかに侵襲性である、すなわち前記電子システムを含まない物品の構造性能、とりわけ機械的特性を可能な限り妨害しない、複合物品を提案することである。
【0015】
本発明の目的はまた、少なくとも特定の実施形態によれば、その電子システムが高温に耐えられる複合物品を提案することである。
【0016】
本発明の目的はまた、少なくとも特定の実施形態によれば、その電子システムが物品にかかる応力に耐えられる複合物品を提案することである。
【0017】
最後に、本発明の目的は、少なくとも特定の実施形態によれば、容易に分解及びリサイクルすることができ、環境又は生物に対して毒性ではない複合物品を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の態様によれば、本発明は、熱可塑性マトリックスの表面上又は体積内に統合された少なくとも1つの電子システムを備える複合材に関する。電子システムは、少なくとも1つの圧電トランスデューサと、電気信号を送信するための手段とを備える。圧電トランスデューサは、ビニリデンフルオライド(VDF)及びビニリデントリフルオライド(TrFE)に由来する繰り返し単位から本質的になるか、又は繰り返し単位からなる圧電ポリマーを含み、TrFEに由来する単位のモル比は、VDF及びTrFEに由来する単位の総モル数に対して15%~50%である。
【0019】
特定の実施形態によれば、熱可塑性マトリックスは、メチルメタクリレート(MMA)ホモポリマー、又は少なくとも70重量%のMMAを含むコポリマー、又はそれらの混合物を優先的に含む(メタ)アクリルマトリックスであってもよい。
【0020】
特定の実施形態によれば、圧電ポリマーは、VDF及びTrFEに由来する単位の総モル数に対して、16%~35%、優先的に17%~32%、より好ましくは18%~27%、極めて好ましくは19%~22%のTrFEに由来する繰り返し単位のモル比を有することができる。
【0021】
特定の実施形態によれば、圧電ポリマーはとりわけ、厳密に80℃超、又は85℃以上、又は90℃以上、又は95℃以上、又は100℃以上、又は105℃以上、又は110℃以上、又は115℃以上、又は120℃以上、又は125℃以上、又は130℃以上、又は135℃以上、又は140℃以上、又はさらには145℃以上のキュリー温度を有することができる。
【0022】
第1の実施形態によれば、トランスデューサ、又は複数のトランスデューサは、圧電ポリマーフィルムを備える。
【0023】
第2の実施形態によれば、トランスデューサ、又は複数のトランスデューサは、第1の電極を構成する内側導電性コアと、前記導電性コアに接着する前記少なくとも1つの圧電ポリマーを含む中間コーティングと、第2の電極を構成する外側導電性コーティングとを備える繊維である。
【0024】
第3の実施形態によれば、トランスデューサ、又は複数のトランスデューサ及び/又は電気信号送信手段は、電子基板印刷方法によって得ることができる。
【0025】
印刷方法は、スピンコーティング、スプレーコーティング、とりわけバー若しくはフィルムスプレッダ(バーコーティング)を用いるコーティング、スロットダイコーティング、浸漬コーティング、ロールツーロール印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、平版印刷、エレクトロスピニング、又はインクジェット印刷から優先的に選択される。
【0026】
特定の実施形態によれば、トランスデューサの圧電ポリマーは、1ミクロン~50ミクロン、優先的に2ミクロン~25ミクロン及び極めて好ましくは5~15ミクロンの厚さを有する。
【0027】
特定の実施形態によれば、本発明による物品は、アレイを形成する複数の圧電トランスデューサを備える。
【0028】
特定の実施形態によれば、電子システムは、その温度が圧電ポリマーのキュリー温度を超えない操作プロセスによって熱可塑性マトリックス内に統合される。
【0029】
特定の実施形態によれば、本発明による物品は補強材を含む。補強材は、優先的には長繊維、とりわけガラス繊維又は炭素繊維からなる材料である。
【0030】
特定の実施形態によれば、電子システムは、in-situ重合法によって熱可塑性マトリックス内に統合される。
【0031】
特定の実施形態によれば、計装品は、特に、水素を配給又は貯蔵するための構造要素若しくは複合多層構造、風力タービン要素、とりわけ風力タービンブレード、コンクリート用の鉄筋、又は電池パック用の構造要素であってもよい。
【0032】
特定の実施形態によれば、本発明による物品は、リサイクルに適し、リサイクルを意図している。
【0033】
第2の態様によれば、本発明は、電子システムを熱可塑性マトリックス内に統合するプロセスの進捗を監視(プロセス監視)するための前記電子システムの使用に関し、電子システム及び熱可塑性マトリックスは、本発明による複合物品を形成することを意図している。
【0034】
第3の態様によれば、本発明は、前記物品の特性を測定及び/又は監視するための、とりわけ構造健全性監視のための、本発明による物品の使用に関する。
【0035】
したがって、本発明者らは、(1つ又は複数の)トランスデューサが、とりわけ抑制された温度及び圧力条件下で特に堅牢であり、抑制された条件化であっても良好な感度を有し、容易にかつ様々な方法で熱可塑性マトリックス内に統合可能である、計装品を開発した。熱可塑性ポリマーを含む計装品はまた、リサイクルに有利に適し、リサイクルを意図している。
【0036】
本発明は、本発明の非限定的な実施形態の以下の図面及び以下の詳細な説明に照らして、より明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による、P(VDF-TrFE)フィルムベースのトランスデューサを概略的に表す図である。
図2】圧電繊維の形態のトランスデューサを概略的に表す図である。
図3図2による繊維ネットワークを概略的に表す図である。
図4】基板上に印刷されたトランスデューサのアレイを概略的に表す図である。
図5】注入プロセス用の金型を概略的に表す図である。
図6図5に示される含浸プロセスを使用して製造することができる、統合されたセンサアレイ、とりわけ図4によるアレイを有する熱可塑性複合材積層体を概略的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、熱可塑性マトリックスの表面上又は体積内に統合された少なくとも1つの電子システムを備える複合物品に関する。
【0039】
本明細書で使用される際に、「複合物品」という用語は、最も一般的な意味で、多成分材料、とりわけ本明細書で使用される際には少なくとも1つの電子システム及び熱可塑性マトリックスを意味する。熱可塑性マトリックス自体は、特定の実施形態では、熱可塑性複合材の主成分であってもよく、すなわち、別の成分、通常は補強材を含んでもよい。
【0040】
「表面上に統合される」という用語は、電子システム、少なくとも圧電トランスデューサが、物品の表面に直接取り付けられることを意味する。特定の実施形態によれば、電子システム、少なくとも圧電トランスデューサは、適切な接着剤によって物品の表面に取り付けられる。本発明の一部であるものの、センサとの音響結合は一般に比較的弱いので、これは好適な実施形態ではない。特定の実施形態によれば、電子システムは、物品の表面にはんだ付けされてもよい。
【0041】
「体積内に統合される」という用語は、電子システム、少なくとも圧電トランスデューサが物品の体積内にあることを意味する。それは、物品の体積内に固定されるか又は埋め込まれてもよい。トランスデューサを表面上ではなく物品の体積内に直接統合することは、より良好な音響結合などの特定の利点を提供する。
【0042】
「熱可塑性」又は「熱可塑性ポリマー」という用語は、室温で一般に固体の材料を指し、これは半結晶性又は非晶質であり得、非晶質の場合には、温度の上昇中、特にそのガラス転移温度(Tg)を通過した後に軟化してより高温で流動し、又は半結晶性である時にはその「融」点(Tm)を通過する際に急激な溶融を示し、その結晶化温度未満(半結晶性材料の場合)及びそのガラス転移温度未満(非晶質材料の場合)の温度低下中に再び固体になる材料を示す。
【0043】
Tg及びTmは、それぞれ規格ISO11357-2:2013及びISO11357-3:2013に従って示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0044】
溶融不可能で変形不可能な熱硬化性ポリマーとは異なり、熱可塑性ポリマーはリサイクルすることができる。
【0045】
熱可塑性マトリックスの形成に使用される熱可塑性ポリマーは、
・ポリアクリレート又はポリメタクリレート、より具体的にはポリメチルメタクリレート(PMMA)又はその誘導体などのアクリルベースのポリマー及びコポリマー、
・脂肪族又は脂環式ポリアミド(PA)若しくは半芳香族PA(ポリフタルアミド(PPA)とも呼ばれる)ベースのポリマー及びコポリマー、
・ポリユリア、特に芳香族ポリユリア、
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のポリアリールエーテルケトン系(PAEK、若しくはポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのポリアリールエーテルケトンケトン(PAEKK)、又はそれらの誘導体などのポリマー及びコポリマー、
・芳香族ポリエーテルイミド(PEI)、
・ポリフェニレンスルフィド(PPS)などのポリアリールスルフィド、
・ポリアリールスルホン、特にポリフェニレンスルホン(PPSU)、
・ポリオレフィン、特にポリプロピレン(PP)、
・ポリ乳酸(PLA)、
・ポリビニルアルコール(PVA)、
・フルオロポリマー、特にポリビニリデンフルオライド(PVDF)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、
並びにそれらの混合物から選択され得る。
【0046】
好適な実施形態では、熱可塑性マトリックスは、とりわけ(メタ)アクリルマトリックス、とりわけPMMAであってもよい。このような熱可塑性マトリックスは、特に有利である。実際、このようなマトリックスを形成すること、とりわけ「低い」温度で、すなわちとりわけ145℃以下、又は135℃以下、又は130℃以下、又は120℃以下、又は110℃以下、又は100℃以下、又は90℃以下の温度で、繊維材料を統合する熱可塑性複合材を形成することが慣例である。このようなマトリックスもまたリサイクル可能であると知られている。
【0047】
本文脈において、「(メタ)アクリル」という用語は、任意のタイプのアクリルモノマー又はメタクリルモノマーを指す。
【0048】
本文脈において、「PMMA」という用語は、メチルメタクリレート(MMA)ホモポリマー又はコポリマー又はそれらの混合物を示す。一実施形態によれば、メチルメタクリレート(MMA)ホモポリマー又はコポリマーは、重量比で少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、有利には少なくとも90%、及びより有利には少なくとも95%のメチルメタクリレートを含む。
【0049】
特定の実施形態によれば、PMMAは、少なくとも1つのホモポリマーと少なくとも1つのMMAコポリマーとのブレンドであってもよい。
【0050】
特定の実施形態によれば、PMMAは、少なくとも2つのホモポリマーのブレンドであってもよい。
【0051】
特定の実施形態によれば、PMMAは、異なる平均分子量を有する2つのMMAコポリマーのブレンドであってもよい。
【0052】
特定の実施形態によれば、PMMAは、異なるモノマー組成を有する少なくとも2つのMMAコポリマーのブレンドであってもよい。
【0053】
メチルメタクリレート(MMA)コポリマーは、重量比で70%~99.7%のメチルメタクリレートと、メチルメタクリレートと共重合することができる少なくとも1つのエチレン性不飽和を含む、重量比で0.3%~30%の少なくとも1つの他のモノマーとを含むことができる。これらの他のモノマーは周知であり、とりわけ、アクリル酸及びメタクリル酸、並びにアルキル基が1~12個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。例として、メチルアクリレート及びエチル、ブチル又は2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを挙げることができる。好ましくは、コモノマーは、アルキル基が1~4個の炭素原子を含むアルキルアクリレートである。
【0054】
好適な実施形態によれば、メチルメタクリレート(MMA)コポリマーは、重量比で80%~99.9%、有利には90%~99.9%、及びより有利には90%~99.9%のメチルメタクリレートと、メチルメタクリレートと共重合され得る少なくとも1つのエチレン性不飽和を含む、重量比で0.1%~20%、有利には0.1%~10%、及びより有利には0.1%~10%の少なくとも1つのモノマーとを含むことができる。好ましくは、コモノマーは、メチルアクリレート及びエチルアクリレート、並びにそれらの混合物から選択される。
【0055】
物品を製造するために使用される熱可塑性マトリックスの重量平均分子量は、一般に高い。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定されると、優先的に50,000g/mol超、さらに好ましくは100,000g/mol超である。
【0056】
前記少なくとも1つのトランスデューサの圧電ポリマーは、ビニリデンフルオライド(VDF)及びビニリデントリフルオライド(TrFE)に由来する繰り返し単位から本質的になるか、又は繰り返し単位からなり、TrFEに由来する単位のモル比は、VDF及びTrFEに由来する単位の総モル数に対して15%~50%である。
【0057】
圧電コポリマーは熱可塑性である。したがって、それは容易にリサイクルすることができ、圧電セラミックのように重金属の供給源ではない。
【0058】
ポリマーは、ほぼ排他的にベータ相で結晶化し、したがって、優れた強誘電特性を有する。一方、15%未満のTrFEベースの単位のモル比又は50%超のTrFEベースの単位のモル比で、結晶相は、ベータ(強誘電)形態ではあまり良好に結晶化しない。
【0059】
好適な実施形態によれば、圧電ポリマーは、VDF及びTrFEに由来する単位の総モル数に対して、16%~35%、優先的に17%~32%、より好ましくは18%~27%、極めて好ましくは19%~22%のTrFEベースの繰り返し単位のモル比を有する。
【0060】
圧電ポリマーはとりわけ、VDF及びTrFEに由来する単位の総モル数に対して約20%のTrFEベースの繰り返し単位のモル比を有することができる。
【0061】
上述の値の範囲で、有利には値の好ましい範囲で、本発明による物品に使用される圧電ポリマーは、以下の特徴のうちの少なくともいくつかを有する:
・とりわけ圧電セラミックに基づくセンサと比較して、広い帯域幅(10Hz~50MHz)、
・とりわけ圧電セラミックと比較して、低い比誘電率εrを介した高い電圧定数g33、
・圧電セラミックでは達成するのが困難であり得る、高い機械的応力を受ける曲面及び/又は表面への統合を可能にする、比較的柔軟性、
・ポリマー材料の音響インピーダンスに近い、圧電セラミックと比較して低い音響インピーダンス:これにより、一般的に圧電セラミックに必要な、トランスデューサ/熱可塑性マトリックス界面における音響整合層の使用を省略することができる、
・非共振特性、すなわち、信号は、それらの共振帯域幅で高い感度を有する共振タイプである圧電セラミックセンサとは異なり、広範囲の周波数にわたってある程度等しい感度で受信される、
・とりわけ、80℃を超えるとその電気活性特性を失う、分極されたPVDFの熱安定性と比較して高い熱安定性、
・高い電気音響結合係数ktを通じた、とりわけ分極されたPVDFと比較して高い感度。
【0062】
上述のVDFとTrFEとの比の範囲の圧電コポリマーは、PVDFよりも多種多様な溶媒にさらに可溶性であり、インクとして調合し、簡単かつ柔軟に電子印刷技術で容易に使用することを可能にする。
【0063】
特定の実施形態によれば、圧電ポリマーは、VDF及びTrFEに由来する繰り返し単位に加えて、VDF及びTrFE以外のモノマーに由来する最大1mol%の少なくとも1つの繰り返し単位を含み、他のモノマーは、
ビニルホスホン酸ジアキルエステル、とりわけビニルホスホン酸ジメチルエステル又はビニルホスホン酸、
アクリルモノマー又はメタクリルモノマー、とりわけアクリル酸、メタクリル酸、(2-トリフルオロメチル)アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルアクリレート又はヒドロキシエチルヘキシルメタクリレート、
別のフルオロモノマー、とりわけフッ化ビニル(VF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロフルオロエチレン(CFE)、クロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ジクロロジフルオロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン、ペンタフルオロプロペン、パーフルオロエーテル、とりわけパーフルオロアルキルビニルエーテル、並びに
それらの混合物
からなるリストから選択される。
【0064】
特定の実施形態によれば、圧電ポリマーは、VDF及びTrFEに由来する繰り返し単位からなる。
【0065】
キュリー温度は、巨視的な強誘電性領域の急激な脱分極に対応する、キュリー転移として知られる、強誘電->常誘電(FE->PE)結晶構造転移に対応する。それは例えば、示差走査熱量測定(DSC)によって、10℃/分での第1又は第2の加熱中、優先的に第2の加熱中の、この転移に対応する吸熱の最大値の温度として、又は誘電分光法によって、1kHzの周波数で10℃/分での加熱中の誘電率ピークの最大値に対応する温度として、決定され得る。
【0066】
圧電ポリマーのキュリー温度は、ポリマーのVDF及びTrFE組成の関数として調整することができ、ビニリデンフルオライドの割合が高いほど、キュリー温度が高くなる。例えば、P(VDF-TrFE)(80:20)(mol:mol)のキュリー温度は、137℃であると知られている。したがって、P(VDF-TrFE)(80:20)(mol:mol)を含むトランスデューサは、本発明による物品において分極状態で使用されてもよく、及び/又は約135℃までの操作温度で使用されてもよい。比較として、P(VDF-TrFE)(84:16)(mol:mol)のキュリー温度は150℃であるが、P(VDF-TrFE)(65:35)(mol:mol)のキュリー温度は84℃である。必要に応じて、とりわけ物品が使用される操作条件に応じて、圧電ポリマーの組成は、そのキュリー温度が厳密に80℃超、又は85℃以上、又は90℃以上、又は95℃以上、又は100℃以上、又は105℃以上、又は110℃以上、又は115℃以上、又は120℃以上、又は125℃以上、又は130℃以上、又は135℃以上、又は140℃以上、又はさらには145℃以上となるように調整することができる。
【0067】
好適な実施形態によれば、熱可塑性マトリックスは、トランスデューサを統合するためにマトリックスが形成される温度が圧電ポリマーのキュリー温度よりも低くなるように選択される。これらの実施形態では、トランスデューサは、統合されて既に分極されてもよく、適切であれば、熱可塑性マトリックス内にトランスデューサ又はトランスデューサアレイを統合するプロセスを制御するために使用されてもよく、物品が形成されてしまうと、その分極を維持する。既に記載されたように、熱可塑性マトリックスは、とりわけ(メタ)アクリルマトリックス、とりわけPMMAであってもよい。
【0068】
特定の実施形態によれば、圧電ポリマーは、100,000g/mol~2,000,000g/mol、好ましくは300,000g/mol~1,500,000g/mol、及び極めて好ましくは400,000~700,000g/molの質量平均モル質量を有する。
【0069】
特定の実施形態によれば、圧電ポリマーは、均質な構造を有するポリマー、優先的にはランダムコポリマーである。
【0070】
特定の実施形態によれば、圧電ポリマー中のVDFベースの単位は、少なくとも部分的に、バイオベースのVDFに由来する。
【0071】
構造健全性監視に適した電子システムは、少なくとも1つのトランスデューサと、電気伝送手段とを備える。トランスデューサは、2つの電極の間に介在する少なくとも圧電ポリマーによって形成される。
【0072】
トランスデューサ使用の3つのモードが考えられる。
・音響放射、
・電気機械インピーダンス、及び
・超音波放射。
【0073】
トランスデューサは、受信機として、すなわち受動的に、又はアクチュエータとして、すなわち能動的に使用することができる。トランスデューサの機能は、先験的に予め決定されておらず、したがって、ある時にはセンサとして、他の時にはアクチュエータとしてトランスデューサを操作させることが考えられる。
【0074】
特定の実施形態によれば、トランスデューサは、「インターデジタル」トランスデューサであり、すなわち、電極が櫛形で噛み合っている。
【0075】
本発明による電子システムは、より多くの又は少ない相互接続されたトランスデューサのアレイを形成する、複数のトランスデューサを有利に備える。より正確には、特定のトランスデューサは、同じ電気伝送経路を共有して、互いに電気通信して配置されてもよい。物品表面及び/又は体積に統合されたこのようなアレイは、損傷の存在を検出するように、又は物品の構造を探索するように、複合物品の構造内で機械波を検出及び/又は伝達することができる。
【0076】
圧電センサは、例えば、物品内の波の伝搬(伝搬速度、波の強度など)を検出及び測定することができる。測定された波は、特定の状況において、構造内で低強度及び既知の周波数の機械波を生成するアクチュエータによって生成されていてもよい(能動的検出)。他の状況では、測定された波は、衝撃、又は構造の亀裂などの内部源によって生成されていてもよい(受動的検出)。
【0077】
圧電センサは、例えば、変形、応力又は温度の変動なども測定することができる。
【0078】
電気伝送手段は、トランスデューサの各々との間で電気信号が伝導されることを可能にする。電気伝送手段は、例えば、電線、又は代わりに、基板上に印刷された導体トラックからなってもよい(下記の電子印刷技術を参照)。
【0079】
第1の実施形態によれば、図1を参照すると、トランスデューサ10は、従来技術に記載されたCOPV又は風力タービンプロトタイプに使用されるトランスデューサなど、2つの電極12の間に介在する圧電ポリマーフィルム11であってもよい。一般に、このようなトランスデューサによって占有される表面積は、0.1~100cm程度である。電極に溶接された電気ケーブル13は、電気信号の伝送を確実にする。本発明の一部であるものの、電気ケーブルのかさばりのため、これは好適な実施形態ではない。この実施形態は、電気ケーブルの侵襲性のため、トランスデューサ、又はトランスデューサアレイが物品の体積内に統合される時にはさらに好ましくない。それにもかかわらず、この実施形態は、とりわけ(1つ又は複数の)トランスデューサが物品の表面上に配置されている時には依然として考えられる。
【0080】
トランスデューサは、以下で示される第2の実施形態により近い、長尺のリボンの形態の第1の実施形態の構造(フィルム及び電極)を有することも想定され得る。
【0081】
第2の実施形態によれば、トランスデューサは連続圧電繊維であってもよい。断面を表す図2を参照すると、繊維20は、第1の電極を構成する金属コア21を備える。金属コアは、例えば、銅、白金、ステンレス鋼、モリブデン、又はそれらの合金で作られてもよい。繊維は、導電性コアに接着する前記圧電ポリマーを含む中間コーティング22を含む。最後に、繊維は、中間コーティングを少なくとも部分的に覆い、第2の電極を構成する、導電性コーティング23を含む。繊維は、500マイクロメートル~5マイクロメートル、及び好ましくは400マイクロメートル~20マイクロメートルの範囲の平均直径を有することができる。
【0082】
このような繊維を製造するプロセスは、とりわけ国際公開第2020/128230号に詳細に記載されている。
【0083】
図2に示された繊維は円形断面の連続繊維であるが、繊維が異なる断面形状、とりわけ長方形を有する実施形態も想定され得る。
【0084】
特定の実施形態では、繊維ネットワークを形成するために、いくつかの繊維を一緒に組み合わせてもよい。圧電繊維ネットワークは、例えば、図3に図式的に示されるように二次元グリッド、又はさらに三次元グリッドを形成することができる。
【0085】
繊維、又は繊維ネットワークは、本明細書で以下に見られるように、一次元形態又は二次元形態又は三次元形態の繊維補強材に関連付けられてもよい。繊維又は繊維ネットワークは、とりわけ、繊維補強材のストリップ、マット、編組又は束であってもよい、連続フィラメント、布、フェルト又は不織布のマットに統合されてもよい。
【0086】
特定の実施形態によれば、ある圧電繊維、又はより頻繁に、圧電繊維のネットワークは、例えば補強材内の、織布又は不織布繊維に含まれてもよい。圧電繊維ネットワークは、例えば、図3に図式的に示されるように二次元グリッド、又はさらに三次元グリッドを形成することができる。
【0087】
第3の好適な実施形態によれば、トランスデューサ及び/又は電気伝送手段は、印刷された電子技術によって、すなわち熱可塑性基板上にトランスデューサ構成要素を形成するのに適してそのように意図された組成物を塗布することによって、とりわけ離散的又は連続的な手段によって広げることによって、得ることができる。この実施形態は、形態及び設計の自由度を最大にするので、特に有利である。
【0088】
図4を参照すると、回路300は、基板31上に印刷された導体トラック32、33によって独立して、又は直列に、又は並列に接続されたアレイを形成する複数のトランスデューサ30を備える。基板はここでは連続フィルムとして表されているが、特定の実施形態によれば、トランスデューサも電気トラックも支持しない特定の領域は、物品の体積内の回路の空間要件及び侵襲性を制限するように、例えばレーザによって切り取られてもよい。
【0089】
図4に示される回路は、必ずしも実際の場合を表すものではなく、トランスデューサの異なる配置をトランスデューサアレイ内に例示することを可能にする。
【0090】
堆積は、とりわけスピンコーティング、スプレーコーティング、とりわけバー若しくはフィルムスプレッダ(バーコーティング)を用いるコーティング、スロットダイコーティング、浸漬コーティング、ロールツーロール印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、平版印刷、エレクトロスピニング、又はインクジェット印刷によって行われてもよい。
【0091】
特定の実施形態によれば、基板は、熱可塑性マトリックスと同じ化学的性質であってもよい。例えば、熱可塑性マトリックスがPMMAである場合、基板もまたPMMAであってもよい。
【0092】
圧電ポリマートランスデューサの典型的な基板は、とりわけポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、紙、PMMA、ポリカーボネート(PC)及びポリアミドを含む。
【0093】
PVDFとは対照的に、本発明によるVDFとTrFEとの比の範囲の圧電コポリマーは、多種多様な液体ビヒクルと共に使用することができる。液体ビヒクルは、非限定的な方法で、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル及びガンマブチロラクトンなどのエステル;トリエチルホスフェートなどのアルキルリン酸エステル;ジメチルカーボネートなどのアルキル炭酸エステル;アセトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノンなどのケトン;ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルアセトアミド(DMAc)などのアミド;ジメチルスルホキシド(DMSO)などの硫黄ベースの溶媒;クロロホルム及びハロアルカンなどのハロゲン化溶媒;及びそれらの混合物から選択され得る。この発明では、2-ブタノン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチルホスフェート、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物を使用することが好ましい。
【0094】
電極堆積は、金属、酸化インジウムスズ、導電性ポリマー層、銀ベースの導電性インク、銀ナノワイヤ、PEDOT:PSSなどの導電性ポリマー又はグラフェンの蒸着又はスパッタリング又は印刷によって行うことができる。
【0095】
上記で論じられた3つの実施形態の概略図には示されていないが(図1図2、及び図4参照)、(1つ又は複数の)トランスデューサ、及び適切であれば導体トラックを、絶縁材の保護層で少なくとも部分的に覆うことが考えられる。これはとりわけ、必要に応じて、周囲のあらゆる汚染物質に対する保護によって、とりわけ電気的短絡回路を回避し、操作安定性及び信頼性を向上させることを可能にする。好ましくは、絶縁材は熱可塑性物質である。好ましくは、絶縁材は熱可塑性物質である。特定の実施形態によれば、絶縁材は、熱可塑性マトリックスと同じ化学的性質であってもよい。絶縁材は、とりわけPMMAであってもよい。
【0096】
トランスデューサとして使用するために、圧電ポリマーは、それ自体公知の方法によって、すなわちDC又はAC電圧を印加することによる接触分極によって、又はコロナ作用を使用して接触なしで、分極されなければならない。分極は、トランスデューサ自体の製造中に、又は様々なトランスデューサ構成要素が組み立てられた後に、いくつかの方法で行うことができる。
【0097】
特定の実施形態によれば、トランスデューサ、又はトランスデューサアレイは、熱可塑性マトリックス内に統合される前に分極される。
【0098】
特定の実施形態によれば、トランスデューサ、又はトランスデューサアレイは、熱可塑性マトリックスに統合された後に分極される。
【0099】
トランスデューサの完全性をチェックするために、熱可塑性マトリックスに統合する前にトランスデューサを分極し、次いで、(1つ又は複数の)トランスデューサがそれらの脱分極を引き起こした温度条件に曝されていた場合に前記(1つ又は複数の)トランスデューサが統合された後にそれらを再び分極することも、想定され得る。本発明によるトランスデューサに使用される圧電コポリマーの利点は、PVDFとは異なり、熱処理による脱分極の後に再分極され得ることである。
【0100】
有利な実施形態によれば、トランスデューサ、又はトランスデューサアレイは、熱可塑性マトリックスに統合される前に分極され、熱可塑性マトリックスに統合された後も機能的であり続ける。これはとりわけ、統合プロセス中の温度がキュリー温度値を越えない場合に可能である。
【0101】
本発明による物品は、少なくとも特定の実施形態によれば、補強材、とりわけ繊維材料を含む。繊維材料は、異なる形状(一次元、二次元又は三次元)を有することができる。繊維材料は一般に、1つ以上の繊維の集合体を含む。繊維材料は、ストリップ、マット、編組、束又はピースの形態であり得る、連続フィラメント、織布、フェルト又は不織布の繊維、一方向の束又はマットの形態であり得る。
【0102】
一次元形態は、直線上の長繊維に対応する。繊維は、不連続であっても連続的であってもよい。繊維は、連続フィラメントの形態で、ランダムに又は互いに平行に配置され得る。繊維は、繊維の長さと直径との間の比である、その長さ比によって定義される。一般的に使用される繊維は、長繊維又は連続繊維である。繊維は、少なくとも1000、好ましくは少なくとも1500、より好ましくは少なくとも2000、有利には少なくとも3000、より有利には少なくとも5000、さらに有利には少なくとも6000、さらに有利には少なくとも7500、及び最も好ましくは少なくとも10,000の長さ比を有する。
【0103】
二次元形態は、やはり編組され得る、不織布又は織布繊維マット、又は補強材、又は繊維の束に対応する。二次元形態が特定の厚さを有し、結果的に第3の次元を有したとしても、本明細書では二次元であると見なされる。
【0104】
三次元形態は、例えば、不織布繊維マット又は補強材又は繊維の積層された若しくは折り畳まれた束又はそれらの混合物、第3の次元における二次元形態の集合体に対応する。
【0105】
繊維材料の由来は、天然であっても合成であってもよい。言及され得る天然材料は、植物繊維、木繊維、動物繊維、又は鉱物繊維を含む。
【0106】
天然繊維は、例えば、サイザル麻、ジュート、大麻、亜麻、綿、ココナッツ繊維及びバナナ繊維である。動物繊維は、例えば、羊毛又は毛皮である。
【0107】
言及され得る合成材料は、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー又はそれらの混合物の繊維から選択されるポリマー繊維を含む。
【0108】
ポリマー繊維は、ポリアミド(脂肪族又は芳香族)、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂及びビニルエステルからなってもよい。
【0109】
鉱物繊維はまた、特にタイプE、R又はS2のガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維又はシリカ繊維から選択され得る。
【0110】
好ましくは、繊維材料は、鉱物繊維から選択される。より好ましくは、繊維材料は、ガラス繊維又は炭素繊維から選択される。
【0111】
繊維材料の繊維は、有利には、0.005μm~100μmの間、好ましくは1μm~50μmの間、より好ましくは5μm~30μmの間、及び有利には10μm~25μmの間の直径を有する。
【0112】
好ましくは、本発明の繊維材料の繊維は、一次元形態では連続繊維(長さ比が長繊維に関して必ずしも該当しないことを意味する)から、繊維材料の二次元形態又は三次元形態では長繊維又は連続繊維から選択される。
【0113】
特定の実施形態によれば、複合物品は、繊維材料を含み、含浸によって得られる。使用される「含浸」という用語は、繊維集合体へのモノマー、オリゴマー又はポリマー液体若しくはそれらの混合物の浸透を示す。したがって、電子システムは、含浸ステップ中に物品の体積内の最適な結合で事前に確立された位置に配置され得る。この実施形態は、PMMAマトリックスを用いて以下に示される。
【0114】
特定の実施形態によれば、複合物品は、補強材及び/又は機能性添加剤以外の充填剤を含んでもよい。機能性添加剤はとりわけ、1つ以上の界面活性剤、UV安定剤、熱安定剤、光安定剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、膨張剤及び/又は殺生剤、熱伝導性及び/又は導電性粒子、着色剤、防火剤、難燃剤などを含んでもよい。充填剤はとりわけ、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、ガラスビーズ、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン及びカーボンナノチューブなどの鉱物充填剤であってもよい。
【0115】
SHMでの使用
圧電センサは、衝撃及び/又は損傷メカニズムを識別するために使用することができる。熱可塑性複合材、すなわち熱可塑性マトリックス及び補強材を含む複合材においてそれらの音響放射「シグネチャ」によって識別可能な4つの主な損傷メカニズム、すなわち(i)熱可塑性マトリックスの亀裂、(ii)界面剥離、(iii)繊維/マトリックス摩擦、繊維プルアウト、及び(iv)繊維破断があると考えられる。これらの4つのメカニズムのうち、1つ目は、補強材を含むか否かにかかわらず、概して熱可塑性物質に関する。
【0116】
この損傷の大部分は、上面の下で発生し、ほとんど見えない。それらは、複合材の性能を著しく低下させる可能性があり、壊滅的な構造破壊を回避するために、時宜に応じて識別される必要がある。
【0117】
複合破壊モードは、特定の周波数範囲、すなわちマトリックス微小亀裂(50~170kHz)、繊維プルアウト(170~220kHz)、分離/層間剥離(220~300kHz)及び繊維破断(300~500kHz)の音響波を生成する。各タイプの損傷は、圧電センサ信号から抽出された卓越周波数帯域に従って分類することができる。
【0118】
代替的及び/又は追加的に、複合構造の状態に関する周期的情報を提供するように、アクティブトランスデューサによって音響波を生成することもできる。
【0119】
最後に、圧電センサは、変形、応力変動、温度変動なども測定することができる。
【0120】
SHMシステムは、一般に、信号取得及び処理手段、例えばセンサによって生成された電気信号の振幅を管理するための減衰回路と、電気信号から異なる範囲周波数を分離するためのフィルタリング要素と、異なる周波数でフィルタリングされた信号を分析するための分析器と、センサによって送信された電気信号を取得及び分析することができるようなマイクロプロセッサなどとを備える。特定の実施形態によれば、これらの取得及び/又は処理要素の少なくともいくつかは、複合物品に統合された電子システムの一部を形成してもよい。特定の実施形態によれば、これらの要素のいくつかは、統合された電子システムの一部を形成せず、複合物品の外部にある。
【0121】
物品
本発明による物品は、多くの用途で使用することができる。それはとりわけ、輸送部門自動車部品、船舶部品、列車部品、航空機又はヘリコプタ部品、宇宙船又はロケット部品など)、エネルギー部門(電池パック部品、風力タービン部品、光起電力モジュール部品など)、建築又は建物部品(鉄筋)、電気又は電子装置部品(電話部品、コンピュータ部品など)で使用することができる。
【0122】
本発明による複合物品は、とりわけ、水素の配給又は貯蔵のための構造要素又は多層複合構造、風力タービンブレードなどの風力タービン用の構造要素、コンクリート用の鉄筋、又は電池パック用の構造要素若しくは構造であってもよい。
【0123】
「多層構造」という用語は、例えば、いくつかの層、とりわけ2つの層を含む、又はこれらの層からなるタンク、パイプ又はチューブを意味する。電子システムは、体積内に、又は層のうちの1つの表面に統合することができる。それはとりわけ、様々な二水素充電及び放電中の温度変動、応力変動、及び構造の状態を測定するために使用することができる。
【0124】
「鉄筋」という用語は、張力下でコンクリートを補強及び支持するために補強コンクリート及び補強石積み構造において張力装置として使用される、補強筋を意味する。このようなバーの形状を考えると、電子システムは、長尺の形態を有する必要があり、とりわけ圧電繊維又は印刷されたトランスデューサタブを備えてもよい。PMMA複合材からこのようなバーを製造するプロセスは、仏国特許発明第3087203号明細書に開示されている。電子システムはとりわけ、鉄筋内の応力及びそれらの経時的な疲労状態を評価することを可能にし得る。
【0125】
本発明による物品はまた、風力タービン、とりわけ風力タービンブレードの構造部品であってもよい。センサネットワークは、とりわけ長い長さにわたって展開されてもよい。電子システムは、ブレードの空気力学に干渉しないように、体積内に有利に統合される。
【0126】
本発明による物品はまた、特定のセル内の異常(過昇温、劣化など)の識別を可能にするために電池パック内で使用することもできる。
【0127】
本発明による複合物品を製造するためのプロセス
本プロセスは、
・先行するセクションに記載された電子システムを提供するステップと、
・電子システム、及び任意選択的に補強材又は他の充填剤が統合されるように、熱可塑性マトリックスを形成するステップと
を含む。
【0128】
熱可塑性材料、及び適切であれば熱可塑性複合材を形成するための標準的なプロセスが、一般に使用され得る。
【0129】
有利には、熱可塑性マトリックスの処理温度は、圧電ポリマーのキュリー温度を超えない。したがって、熱可塑性マトリックスの処理温度は、145℃以下、又は135℃以下、又は130℃以下、又は120℃以下、又は110℃以下、又は100℃以下、又は90℃以下であってもよい。
【0130】
これは、既に分極された(1つ又は複数の)トランスデューサを備える電子システムの統合を可能にする。可能であり考えられるものの、これは、トランスデューサがマトリックスに統合された後に、トランスデューサを分極することを回避できるようにする。
【0131】
電子システムを既に分極されたトランスデューサと統合することで、統合プロセス自体の様々なパラメータ(温度、硬化圧力)を制御するために統合プロセス中にそれらを使用することも可能になる。
【0132】
熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスに基づく繊維複合材について以下で詳述される特定の実施形態によれば、物品の熱可塑性マトリックスは、モノマー及び/又はプレポリマーのin-situ重合によって得ることができる。
【0133】
本文脈において、「重合」という用語は、モノマー又はモノマーの混合物をポリマーに変換するプロセスを示す。
【0134】
本文脈において、「in-situ重合」という用語は、複合物品を直接製造するように、熱可塑性マトリックスの最終重合が電子システムの周りで、及び本明細書で開発された実施形態の場合には繊維補強材の周りで行われることを意味する。
【0135】
本文脈において、「モノマー」という用語は、重合を受けることができる分子を示す。
【0136】
本文脈において、「プレポリマー」という用語は、その分子が反応性基によってさらなる重合を受けることができる、ポリマー又はオリゴマーを示す。
【0137】
本明細書で使用される際に、「開始剤」という用語は、多数の他のモノマーをポリマー化合物にうまく結びつけることができる、モノマーの重合を開始する化合物又は中間化合物を形成する化学種を示す。
【0138】
以下で使用される際に、「含浸」という用語は、繊維集合体へのモノマー、オリゴマー若しくはポリマー液又はそれらの混合物の浸透を示す。
【0139】
熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスは、(メタ)アクリルポリマー(P1)、(メタ)アクリルモノマー(M1)若しくは(メタ)アクリルモノマー(M1)及び(M1+x)の混合物を含む液体組成物LC1、又は「(メタ)アクリルシロップ」、及び少なくとも1つの開始剤(Init)を使用して重合することができる。
【0140】
液体組成物LC1又は(メタ)アクリルシロップの動粘度は、10mPa*s~10,000mPa*s、好ましくは20mPa*s~7000mPa*s、有利には20mPa*s~5000mPa*s、より有利には20mPa*s~2000mPa*s、及びさらに有利には20mPa*s~1000mPa*sの範囲であり得る。シロップの粘度は、レオメータ又は粘度計で容易に測定することができる。動粘度は、25℃で測定される。液体(メタ)アクリルシロップがニュートン挙動を有する場合、すなわちずり減粘が起こらない場合、動粘度は、レオメータにおけるずり、又は粘度計におけるスピンドルの速度とは無関係である。液体組成物LC1が非ニュートン挙動を示す場合、すなわちずり減粘が起こる場合、動粘度は、25℃で1s-1のずり速度で測定される。
【0141】
繊維材料を含浸させるための液体組成物LC1又は(メタ)アクリルシロップは、特に、(メタ)アクリルモノマー(M1)、(メタ)アクリルポリマー(P1)及び少なくとも1つの開始剤(Init)を含んでもよい。重合されると、(メタ)アクリルモノマー(M1)は、(メタ)アクリルモノマー(M1)のモノマー単位を含む(メタ)アクリルポリマー(P2)に変換される。
【0142】
(メタ)アクリルポリマー(P1)に関しては、ポリアルキルメタクリレート又はポリアルキルアクリレートを挙げることができる。好適な実施形態によれば、メタ)アクリルポリマー(P1)は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)である。
【0143】
特定の実施形態によれば、PMMAは、MMAの少なくとも1つのホモポリマーと少なくとも1つのコポリマーとの混合物、又は異なる平均分子量のMMAの少なくとも2つのホモポリマー若しくは2つのコポリマーの混合物、又は異なるモノマー組成のMMAの少なくとも2つのコポリマーの混合物であってもよい。
【0144】
メチルメタクリレート(MMA)コポリマーは、重量比で70%~99.7%のメチルメタクリレートと、メチルメタクリレートと共重合され得る少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含む、重量比で0.3%~30%の少なくとも1つのモノマーとを含む。
【0145】
これらのモノマーは周知であり、とりわけ、アクリル酸及びメタクリル酸、並びにアルキル基が1~12個の炭素原子を含むアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。例として、メチルアクリレート及びエチル、ブチル又は2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを挙げることができる。好ましくは、コモノマーは、アルキル基が1~4個の炭素原子を含むアルキルアクリレートである。
【0146】
第1の好適な実施形態によれば、メチルメタクリレート(MMA)コポリマーは、重量比で80%~99.9%、有利には90%~99.9%、及びより有利には90%~99.9%のメチルメタクリレートと、メチルメタクリレートと共重合され得る少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含む、重量比で0.1%~20%、有利には0.1%~10%、及びより有利には0.1%~10%の少なくとも1つのモノマーとを含むことができる。好ましくは、コモノマーは、メチルアクリレート及びエチルアクリレート、並びにそれらの混合物から選択される。
【0147】
(メタ)アクリルポリマー(P1)の重量平均分子量は、有利には高く、50,000g/mol超、好ましくは100,000g/mol超であることを意味する。
【0148】
重量平均分子量は、排除クロマトグラフィ(SEC)によって測定することができる。
【0149】
(メタ)アクリルポリマー(P1)は、(メタ)アクリルモノマー(M1)中、又は(メタ)アクリルモノマーの混合物中で完全に可溶性である。これにより、(メタ)アクリルモノマー(M1)又は(メタ)アクリルモノマーの混合物の粘度を上昇させることができる。得られる溶液は、一般に「シロップ」又は「プレポリマー」と呼ばれる液体組成物である。液体(メタ)アクリルシロップの動粘度値は10mPa.s~10,000mPa.sの間であり得る。シロップの粘度は、レオメータ又は粘度計で容易に測定することができる。動粘度は、25℃で測定される。有利には、液体(メタ)アクリル組成物又はシロップは、意図的に添加される追加の溶媒を含まない。
【0150】
(メタ)アクリルモノマー(M1)に関しては、モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー、ヒドロキシアルキルアクリルモノマー及びヒドロキシアルキルメタクリルモノマー、並びにそれらの混合物から選択され得る。
【0151】
好ましくは、(メタ)アクリルモノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシアルキルアクリルモノマー、ヒドロキシアルキルメタクリルモノマー、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びそれらの混合物から選択されてもよく、アルキル基は1~22個の線状、分岐、又は環状炭素を含み、アルキル基は好ましくは1~12個の線状、分岐、又は環状炭素を含む。
【0152】
有利には、(メタ)アクリルモノマー(M1)は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレート、並びにそれらの混合物から選択され得る。
【0153】
好適な実施形態によれば、少なくとも50重量%、及び好ましくは少なくとも60重量%の(メタ)アクリルモノマー(M1)がメチルメタクリレートである。
【0154】
第1のより好適な実施形態によれば、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、有利には少なくとも80重量%、さらに有利には90重量%のモノマー(M1)が、任意選択的に少なくとも1つの他のモノマーとのメチルメタクリレートの混合物である。
【0155】
使用される繊維材料に関しては、先に提示されたようなものであってもよい。繊維材料はとりわけ、ガラス繊維又は炭素繊維から選択されてもよく、一次元、二次元、さらには三次元の形状であってもよい。
【0156】
熱可塑性複合材の構造又は組成に関しては、熱可塑性複合材は、熱可塑性マトリックスの重量に対して少なくとも20重量%の繊維材料、好ましくは少なくとも40重量%の繊維材料、有利には少なくとも50重量%の繊維材料、及びより有利には55重量%の繊維材料を含む。
【0157】
熱可塑性(メタ)アクリルマトリックスを得るために使用される重合プロセスに関しては、ラジカル重合、アニオン重合又は光重合を挙げることができる。
【0158】
開始剤(INIT)は、例えば、熱によって活性化されるラジカル開始剤であってもよい。ラジカル開始剤は、ペルオキシ基を含む化合物又はアゾ基を含む化合物から、及び好ましくはペルオキシ基を含む化合物から選択され得る。
【0159】
好ましくは、ペルオキシ基を含む化合物は、2~30個の炭素原子を含む。
【0160】
好ましくは、ペルオキシ基を含む化合物は、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシジカーボネート、ジアルキルペルオキシド、ペルオアセタール、ヒドロペルオキシド又はペルオキシケタールから選択され得る。
【0161】
開始剤は、とりわけ、ジイソブチリルペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエート、ビス(3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオペンタノエート、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、ジ-sec-ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ビス(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、ジ-n-ブチルペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオペンタノエート、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシピバレート、ビス(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、tert-アミルペルオキシアセテート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、tert-アミルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシアセテート、ブチル4,4-ジ(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-tert-アミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ビス(2-tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)3-ヘキシン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビスイソブチルアミド、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾジ(ヘキサンカルボニトリル)又は4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)から選択され得る。
【0162】
既知の方法では、開始剤の混合物、例えば上記のような熱活性化開始剤と放射線吸収によって活性化される開始剤との混合物を使用することができる。
【0163】
混合物中のモノマーに対するラジカル開始剤の割合は、100~2000ppm(重量比)、好ましくは重量比で200~1000ppmの範囲であり得る。
【0164】
液体組成物LC1中の(メタ)アクリルモノマー(M1)は、液体(メタ)アクリルシロップ全体の少なくとも40重量%、好ましくは50重量%、有利には60重量%、及びより有利には65重量%に相当する。
【0165】
液体組成物LC1又は(メタ)アクリルシロップ中の(メタ)アクリルモノマー(M1)は、1つ以上の(メタ)アクリルモノマー(M1)及び(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の重量比で40%~90%の間、及び好ましくは重量比で45%~85%の間の割合で存在する。
【0166】
液体組成物LC1又は(メタ)アクリルシロップ中の(メタ)アクリルポリマー(P1)は、1つ以上の(メタ)アクリルモノマー(M1)及び(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10重量%、さらに好ましくは少なくとも15重量%、有利には少なくとも18%、及びより有利には少なくとも20重量%の割合で存在する。
【0167】
液体(メタ)アクリルシロップLC1中の(メタ)アクリルポリマー(P1)は、(メタ)アクリルモノマー(M1)及び(メタ)アクリルポリマー(P1)を含む組成物の50重量%以下、好ましくは40%以下、及び有利には30重量%以下の割合で存在する。
【0168】
物品を調製するためのプロセスに関しては、いくつかのプロセスが使用される:層、引抜成形、注入、真空バッグ成形、圧力バッグ成形、オートクレーブバッグ成形、樹脂トランスファー成形(RTM)及びそれらの変形例、プレスプロセス、フィラメントワインディング、圧縮成形又は湿式成形。
【0169】
有利には、複合物品は、樹脂トランスファー成形又は注入によって調製される。
【0170】
樹脂トランスファー成形は、両方の表面を複合材料で形成する両面金型セットを使用するプロセスである。下側は剛性金型である。上側は、剛性金型であっても可撓性金型であってもよい。可撓性金型は、複合材料、シリコーン、又はナイロンなどの押出ポリマーフィルムで構成されてもよい。2つの面は、金型キャビティを形成するために嵌合する。樹脂トランスファー成形は、補強材及び電子システムがこのキャビティ内に配置され、マトリックスが導入される前に金型が閉じられるという事実を特徴とする。樹脂トランスファー成形は、樹脂がキャビティ内の補強材にどのように導入されるかの機械的態様が異なる、多くの変形例を含む。これらの変形例は、真空注入から真空支援樹脂トランスファー成形(VARTM)まで、すべての可能性を含む。このプロセスは、周囲温度で、又はより高い温度で行うことができる。注入プロセスでは、液体プレポリマーシロップは実際に、ポリマー複合材料を調製するための構成に適した粘度を有していなければならない。シロップは、緩やかな真空を印加することによって、特殊な金型内に存在する繊維材料に引き込まれる。液体プレポリマーシロップは完全に注入され、繊維材料を濡らす。このプロセスの1つの利点は、複合材中の繊維材料の量が多いことである。
【0171】
複合物品を調製するための好ましいプロセスは、まだ重合されていないマトリックス材料の液体樹脂が、金型内でより優先的に繊維材料に移動されるプロセスである。これはとりわけ、その後の形成を回避することを可能にする。
【0172】
図5は、注入プロセス及び金型500の簡略図を表す。金型の下部501は剛性材料で作られ、金型の上部502は、その漏れ強さを保証するガスケット503を使用して金型を密封する可撓性材料で作られる。
【0173】
繊維材料及び電子システム504は、金型の下部501と上部502との間に配置される。液体樹脂は、金型に入る分注パイプ505及び真空パイプ506を通じて分注される。緩やかな真空が印加されると、液体樹脂は、金型の2つの部品の間に配置された繊維材料及び電子システム504に注入される。
【0174】
図6は、トランスデューサアレイ310、311、312、とりわけ図4に示されるような印刷された回路300が熱可塑性マトリックス320に統合された、複合熱可塑性積層体400を表す。
【0175】
したがって、この実施形態では、繊維布330が上下に積層され、トランスデューサアレイ310、311、312が介在している。
【0176】
これは、必ずしも積層の実際の場合を表すものではなく、異なるトランスデューサアレイの配置を複合熱可塑性積層体400の体積内に例示することを可能にする。
【0177】
印刷されたトランスデューサ回路は、回路310によって表されるように、高度に変形可能な物品の引張又は圧縮現象を最小限に抑えるように、とりわけ「中立素分」レベルで、積層体のちょうど中心に配置されてもよい。
【0178】
印刷されたトランスデューサ回路は、回路311、312、313によって表されるように、体積内に、ただし回路310よりも周辺に、配置されてもよい。
【0179】
特定の場合には、印刷されたトランスデューサ回路は、回路314によって表されるように、積層体表面と同一平面上にあってもよい。
【0180】
トランスデューサ回路の使用は、電気ケーブル340、341の数を制限することを可能にし、比較的非侵襲性である。
【0181】
リサイクル
本発明の文脈において、熱可塑性マトリックス、熱可塑性圧電ポリマーを含み、任意選択的に繊維補強材を含む複合物品の使用は、リサイクル不可能な材料の量を厳密な最小値まで大幅に削減することを可能にする。
【0182】
したがって、本発明による複合物品は、少なくとも部分的に、及び好ましくはほぼ完全に、リサイクルすることができる。
【0183】
リサイクルは、二次使用のための物品を構成する材料の少なくとも一部の回収であると理解される。これは一般に、物品を粉砕すること及び/又は熱可塑性ポリマーを再使用することを意味する。これはまた、少なくとも特定の実施形態によれば、熱可塑性ポリマー、とりわけ熱可塑性マトリックスの重合に使用されるモノマーの一部を回収することができることを意味し得る。
【0184】
熱可塑性ポリマー、任意選択的に(メタ)アクリルポリマーの、他の特に有利なリサイクル方法も既に開示されている:このタイプの脱重合に感作させる化合物の存在を伴うマイクロ波リサイクル(仏国特許発明第3080625号明細書参照)、加水分解ステップを含むリサイクル(仏国特許発明第3080623号明細書参照)、短い脱重合によるリサイクル(仏国特許発明第3080622号明細書参照)又はエネルギーバランスが改善されたリサイクル(仏国特許発明第3080624号明細書)。
【0185】
具体的な実装例
調製例1:圧電トランスデューサのP(VDF-TrFE)ベースのアレイのスクリーン印刷
吸引プレートを備えたDEK248半自動スクリーン印刷機を使用して、125μmの熱安定化されたPET基板上に6つのトランスデューサのアレイを印刷した。
【0186】
まず、エタノールに浸した布を使用して、クリーンルーム内で基板を洗浄し、次いで、イオン化銃で乾燥させた。印刷は、以下のように行った。
【0187】
(i)PEDOT:PSS(Clevios Heraeus SV4インク)中3.14cmの下部電極のポリエステルスクリーン印刷、次いで換気オーブン中120℃で10分間乾燥;
(ii)P(VDF-TrFE)(Piezotech(R)FC20インクP)中3.8cmの圧電層のポリエステルスクリーン印刷、次いで換気オーブン中120℃で20分間乾燥;
(iii)PEDOT:PSS(Clevios Heraeus SV4インク)中3.14cmの上部電極のポリエステルスクリーン印刷、次いで換気オーブン中120℃で10分間乾燥;
(iv)銀電気トラック(Dupont ME604インク)のポリエステルスクリーン印刷、PETフィルムの縁部で電子リボンコネクタの使用を可能にし、次いで換気オーブン中120℃で10分間乾燥;
(v)換気オーブン中140℃で10分間アニール。
【0188】
次いで、周期当たり25Vの増加で、1Hzの周波数で0~500Vの正弦波電圧を印加することによって、各トランスデューサを個別に分極した。分極プロセス中の電流の測定は、コンピュータ処理後の圧電特性に関する残留分極の測定を可能にする。すべてのトランスデューサは、70mC/mを超える残留分極を有し、良好な強誘電特性及び圧電特性を示す。
【実施例
【0189】
[実施例1]
実施例1によるトランスデューサアレイを統合した複合物品の製造。
【0190】
排出グリッドを有する従来の注入アセンブリを実装した。排出グリッドは、部品の充填を容易にする。
【0191】
調製例1に従って印刷されたトランスデューサアレイを、21cmx29.7cmの寸法の6つのガラス布(600g/mのタフタ)と交互に配置した。
【0192】
コネクタを見えるままにし、樹脂がコネクタと接触するのを防止するように、カプトン接着テープによって保護されたコネクタに特に注意を払った。
【0193】
325ppmのAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)及び35ppmのテルピノレン(1,4-パラ-メンタジエン)の存在下でメチルメタクリレート(MMA)中に25重量%のポリメチルメタクリレート(Altuglas社製のPMMA V825)を溶解することによってシロップを調製した。溶解は、25℃の室温で48時間行った。シロップ溶液の粘度は、Brookfield社製のコーン/プレートレオメータを用いて室温(25℃)で測定して513mPa.sであった。
【0194】
布を通じてシロップを移動させるために、形成されたプレポリマーシロップを、真空ポンプによって注入した。シートを注入によって3分間含浸させた。注入によって含浸したシートを60℃で4時間オーブンに入れ、PMMAの重合を終了するために、125℃で30分間の追加の加熱ステップを行った(100%のモノマー変換度を達成)。
【0195】
注入の様々なフィルムの分離及び金型から剥離することによって、ポリマー複合材を回収した。
【0196】
圧電トランスデューサアレイと複合マトリックスとの間の良好な接着を観察した。
【0197】
各トランスデューサの圧電特性は、以下によって評価される。
【0198】
A)衝撃ハンマーでシミュレートされた衝撃中に、オシロスコープ上で電力ピークの生成を検証し、それらの機能性を示すこと。
【0199】
B)適切であれば、1kHzでLCRメータを使用して、それらの静電容量を測定すること、及び
すべてのトランスデューサは、衝撃ハンマーでシミュレートされた衝撃中の電圧ピークを示し、したがって、複合物品の製造後に機能的であると見なされる。
【0200】
静電容量測定の結果は、表1にまとめられている。
【0201】
比較例1:PVDFトランスデューサを統合した複合物品の製造
比較例1は、6つのP(VDF-TrFE)トランスデューサの印刷されたアレイが電気ケーブルによって接続された6つのPVDFフィルムベースのトランスデューサ(TE Connectivity製のLDT1-028K)に置き換えられていることを除き、実施例1と同じ方法で行われる。物品の片側から出るウェブを形成するために、12本の電気ケーブルが組み合わせられる。
【0202】
衝撃ハンマーでシミュレートされた衝撃中に物品が製造された後、トランスデューサは機能しない。
【0203】
比較例2:PZTトランスデューサを統合した複合物品の製造
比較例2は、6つのP(VDF-TrFE)トランスデューサの印刷されたアレイが電気ケーブルによって接続された6つのPZTトランスデューサ(Murata 7BB-27-4)に置き換えられていることを除き、実施例1と同じ方法で行われる。物品の片側から出るウェブを形成するために、12本の電気ケーブルが組み合わせられる。
【0204】
2つのトランスデューサは、衝撃ハンマーでシミュレートされた衝撃中に機能しないことが見出された。それらの脆い性質のために、いくつかのトランスデューサは、複合物品の製造中及び/又は衝撃波の伝搬中に破損することが十分に考えられる。
【0205】
静電容量測定の結果は、表1にまとめられている(「-」は、トランスデューサが機能しなかったため測定が行われなかったことを示す)。
【0206】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】