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特表2023-553690レンズフィルム及び多層マスクを含む光学構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】レンズフィルム及び多層マスクを含む光学構造体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20231218BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G02B5/00 Z
G02B3/00 A
G02B5/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536848
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 IB2021061728
(87)【国際公開番号】W WO2022130218
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,289
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,ニーラジュ
(72)【発明者】
【氏名】マーコウィッツ,プジェミスワフ パウェル
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レディー,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロエリグ,マーク エー.
【テーマコード(参考)】
2H042
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA06
2H042AA09
2H042AA14
2H042AA21
(57)【要約】
光学構造体は、最も外側の第1及び第2の主表面を有するレンズフィルムを含む。第1の主表面は、複数のマイクロレンズを含む。マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有する多層マスクが、第2の主表面上に配置されている。多層マスクは、ポリマーの第1及び第2のマスク層を含み、第1及び第2のマスク層の各々は、約0.3超の光学密度を有する。多層マスクは、内部に、1対1の対応でマイクロレンズに位置合わせされた複数のレーザ除去貫通開口部を画定する。入射角度の関数としての光学構造体の光透過率は、ピーク透過率T1、及び対応する最大値の20%における全幅W1を有する、透過ピークを有し、T1/W1≧2.4%/度である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学構造体であって、
最も外側の構造化された第1の主表面と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面とを含む、レンズフィルムであって、前記構造化された第1の主表面が、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズを含む、レンズフィルムと、
前記レンズフィルムの前記第2の主表面上に配置されたポリマー多層マスクであって、前記多層マスクが、前記マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有し、前記多層マスクが、ポリマーの第1及び第2のマスク層を含み、前記第1及び第2のマスク層の各々が、約0.3超の光学密度を有し、前記多層マスクが、内部に、前記第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部を画定し、前記貫通開口部が、1対1の対応で前記マイクロレンズに位置合わせされており、前記第2の主表面と入射角度を形成する入射方向に沿って前記光学構造体の前記構造化された第1の主表面側に入射する実質的にコリメートされた光に対して、前記入射角度の関数としての前記光学構造体の光透過率が、第1のピーク透過率T1を有する第1の透過ピーク、及び対応する最大値の20%における全幅W1を含み、T1/W1≧2.4%/度である、ポリマー多層マスクと、
を備える、光学構造体。
【請求項2】
前記第2のマスク層が、それぞれの第1及び第2の結合基を含む第1及び第2の材料を含み、前記第1及び第2の結合基が、相補的相互作用を有する、請求項1に記載の光学構造体。
【請求項3】
前記第1のマスク層が、溶媒堆積マスク層を含む、請求項1又は2に記載の光学構造体。
【請求項4】
前記第1のマスク層が、前記レンズフィルムと前記第2のマスク層との間に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学構造体。
【請求項5】
前記第2のマスク層が、前記レンズフィルムと前記第1のマスク層との間に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学構造体。
【請求項6】
前記第1及び第2のマスク層が、それぞれの第1及び第2の平均厚さta及びtbを有し、tbが約0.5ta未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学構造体。
【請求項7】
前記光学構造体の前記光透過率が、第2のピーク透過率T2を有する第2の透過ピークを更に含み、前記第2の透過ピークが、前記第1の透過ピークの入射角度よりも少なくとも約30度、かつ約60度以下だけ大きい入射角度に対する最大透過ピークであり、T2≦3%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学構造体。
【請求項8】
光学構造体であって、
最も外側の構造化された第1の主表面と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面とを含む、レンズフィルムであって、前記構造化された第1の主表面が、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズを含む、レンズフィルムと、
前記レンズフィルムの前記第2の主表面上に配置されたポリマー多層マスクであって、前記多層マスクが、前記マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有し、前記多層マスクが、ポリマーの第1及び第2のマスク層を含み、前記第1及び第2のマスク層の各々が、約0.3超の光学密度を有し、前記多層マスクが、内部に、前記第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部を画定し、前記貫通開口部が、1対1の対応で前記マイクロレンズに位置合わせされており、前記第2の主表面と入射角度を形成する入射方向に沿って前記光学構造体の前記構造化された第1の主表面側に入射する実質的にコリメートされた光に対して、前記入射角度の関数としての前記光学構造体の光透過率が、第1のピーク透過率T1を有する第1の透過ピーク、及び第2のピーク透過率T2を有する第2の透過ピークを含み、前記第2の透過ピークが、前記第1の透過ピークの入射角度よりも少なくとも約30度、かつ約60度以下だけ大きい入射角度における最大透過ピークであり、T2≦3%、T1/T2≧10である、ポリマー多層マスクと、
を備える、光学構造体。
【請求項9】
前記光透過率が、約20度未満の、前記第1の透過ピークに対応する最大値の20%における全幅W1を有する、請求項8に記載の光学構造体。
【請求項10】
前記第2のマスク層が、それぞれの第1及び第2の結合基を含む第1及び第2の材料を含み、前記第1及び第2の結合基が、相補的相互作用を有する、請求項8又は9に記載の光学構造体。
【請求項11】
光学構造体であって、
最も外側の構造化された第1の主表面と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面とを含む、レンズフィルムであって、前記構造化された第1の主表面が、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズを含む、レンズフィルムと、
前記レンズフィルムの前記第2の主表面上に配置された多層マスクであって、前記多層マスクが、前記マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有し、前記多層マスクが、内部に、前記第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部を画定し、前記貫通開口部が、1対1の対応で前記マイクロレンズに位置合わせされており、前記多層マスクが、それぞれの第1及び第2の結合基を含む第1及び第2の材料を含む、ポリマーの第1のマスク層及び第2のマスク層を含み、前記第1及び第2の結合基が、相補的相互作用を有し、前記第1及び第2のマスク層の各々が、約0.3超の光学密度を有する、多層マスクと、
を備える、光学構造体。
【請求項12】
前記第1の材料が、荷電したポリマーを含み、前記第2の材料が、反対に荷電したナノ粒子を含み、前記第2のマスク層が、少なくとも約50重量パーセントの前記ナノ粒子を含む、請求項11に記載の光学構造体。
【請求項13】
前記第1のマスク層が、少なくとも第1及び第2の光吸収性材料を含み、前記第1及び第2の光吸収性材料が、異なる光吸収スペクトルを有する、請求項11又は12に記載の光学構造体。
【請求項14】
前記第1及び第2のマスク層が、異なる光吸収スペクトルを有する、請求項11~13のいずれか一項に記載の光学構造体。
【請求項15】
光学構造体であって、
最も外側の構造化された第1の主表面と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面とを含む、レンズフィルムであって、前記構造化された第1の主表面が、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズを含む、レンズフィルムと、
前記レンズフィルムの前記第2の主表面上に配置されたポリマー多層マスクであって、前記多層マスクが、前記マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有し、前記多層マスクが、内部に、前記第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部を画定し、前記貫通開口部が、1対1の対応で前記マイクロレンズに位置合わせされており、前記多層マスクが、ポリマーの第1及び第2のマスク層を含み、前記第1及び第2のマスク層の各々が、約0.3超の光学密度を有し、前記第1のマスク層が、前記第2のマスク層よりも厚く、前記第2のマスク層の前記光学濃度が、前記第1のマスク層の前記光学濃度よりも大きい、ポリマー多層マスクと、
を備える、光学構造体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光学デバイスは、マイクロレンズ配列と、ピンホールの配列を含むマスクと、を含むことができる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書は、概して、多層マスクと、複数のマイクロレンズを含むレンズフィルムと、を含む光学構造体に関する。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、光学構造体が提供される。光学構造体は、最も外側の構造化された第1の主表面と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面とを有する、レンズフィルムを含む。構造化された第1の主表面は、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズを含む。光学構造体は、レンズフィルムの第2の主表面上に配置されたポリマー多層マスクを含む。多層マスクは、マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有する。多層マスクは、ポリマーの第1及び第2のマスク層を含み、第1及び第2のマスク層の各々は、約0.3超の光学密度を有する。多層マスクは、内部に、第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部を画定する。貫通開口部は、1対1の対応でマイクロレンズに位置合わせされており、第2の主表面と入射角度を形成する入射方向に沿って光学構造体の構造化された第1の主表面側に入射する実質的にコリメートされた光に対して、入射角度の関数としての光学構造体の光透過率が、第1のピーク透過率T1を有する第1の透過ピーク、及び対応する最大値の20%における全幅W1を有する。T1/W1≧2.4%/度である。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、光学構造体が提供される。光学構造体は、最も外側の構造化された第1の主表面と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面とを有するレンズフィルムを含む。構造化された第1の主表面は、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズを含む。光学構造体は、レンズフィルムの第2の主表面上に配置されたポリマー多層マスクを含む。多層マスクは、マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有する。多層マスクは、ポリマーの第1及び第2のマスク層を含み、第1及び第2のマスク層の各々は、約0.3超の光学密度を有する。多層マスクは、内部に、第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部を画定する。貫通開口部は、1対1の対応でマイクロレンズに位置合わせされており、第2の主表面と入射角度を形成する入射方向に沿って光学構造体の構造化された第1の主表面側に入射する実質的にコリメートされた光に対して、入射角度の関数としての光学構造体の光透過率が、第1のピーク透過率T1を有する第1の透過ピーク、及び第2のピーク透過率T2を有する第2の透過ピークを有する。第2の透過ピークは、第1の透過ピークの入射角度よりも少なくとも約30度、かつ約60度以下だけ大きい入射角度における最大透過ピークである。T2≦3%及びT1/T2≧10である。
【0005】
本明細書のいくつかの態様では、光学構造体が提供される。光学構造体は、最も外側の構造化された第1の主表面と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面とを有するレンズフィルムを含む。構造化された第1の主表面は、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズを含む。光学構造体は、レンズフィルムの第2の主表面上に配置された多層マスクを含む。多層マスクは、マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有する。多層マスクは、内部に、第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部を画定する。貫通開口部は、1対1の対応でマイクロレンズに位置合わせされる。多層マスクは、それぞれの第1及び第2の結合基を含む第1及び第2の材料を含む、ポリマーの第1のマスク層及び第2のマスク層を含み、第1及び第2の結合基は、相補的相互作用を有する。第1及び第2のマスク層の各々は、約0.3超の光学密度を有する。
【0006】
本明細書のいくつかの態様では、光学構造体が提供される。光学構造体は、最も外側の構造化された第1の主表面と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面とを有するレンズフィルムを含む。構造化された第1の主表面は、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズを含む。光学構造体は、レンズフィルムの第2の主表面上に配置されたポリマー多層マスクを含む。多層マスクは、マイクロレンズの平均焦点距離の約0.5倍未満の平均厚さ、及び約2超の光学密度を有する。多層マスクは、内部に、第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部を画定する。貫通開口部は、1対1の対応でマイクロレンズに位置合わせされる。多層マスクは、ポリマーの第1及び第2のマスク層を含み、第1及び第2のマスク層の各々は、約0.3超の光学密度を有する。第1のマスク層は、第2のマスク層よりも厚く、第2のマスク層の光学濃度は、第1のマスク層の光学濃度よりも大きい。
【0007】
これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】いくつかの実施形態による、光学構造体の概略断面図である。
図2】いくつかの実施形態による、入射角度の関数としての光学構造体の光透過率の概略プロットである。
図3A】いくつかの実施形態による、光学的構造の概略上面投影図である。
図3B】いくつかの実施形態による、光学的構造の概略上面投影図である。
図4A】いくつかの実施形態による、多層マスクの概略断面図である。
図4B】いくつかの実施形態による、多層マスクの概略断面図である。
図5A】いくつかの実施形態による、レンズフィルム上へのマスク層の溶媒堆積の概略図である。
図5B】いくつかの実施形態による、レンズフィルム上へのマスク層の溶媒堆積の概略図である。
図5C】いくつかの実施形態による、レンズフィルム上へのマスク層の溶媒堆積の概略図である。
図5D】層ごとの自己組織化を介してレンズフィルム上に堆積されたマスク層の概略断面図である。
図5E】二重層を示す概略図である。
図5F】レンズフィルムを通した多層マスクのレーザ除去の概略図である。
図6】いくつかの実施形態による、光吸収率対波長の概略プロットである。
図7】様々なマスクに対する吸収率対波長のプロットである。
図8】比較例の光学構造体に対する光透過率対入射角度のプロットである。
図9】例示的な光学構造体に対する光透過率対入射角度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0010】
光学構造体は、マイクロレンズ配列と、マイクロレンズに対応する貫通開口部(例えば、ピンホール)の配列を有する金属マスクとを含むことができる。しかしながら、金属マスクを使用すると、貫通開口部間のマスクの領域から望ましくない鏡面反射が生じる可能性があることが見いだされた。金属マスクの代わりに、光吸収性材料を含むポリマー層を使用することができる。しかしながら、そのようなポリマー層を使用する従来の光学構造体は、貫通開口部を通る光透過率の望ましくない広いピークをもたらし得、及び/又は(例えば、1つのマイクロレンズに入射する光が隣接する貫通孔を通って透過され得る)望ましくないクロストークをもたらし得、及び/又は(望ましくないクロストークをもたらすであろう大きい直径の貫通開口部が使用される場合を除いて)望ましくない低いピーク透過率をもたらし得る、不十分な形状画定を伴う貫通開口部を有していた。
【0011】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、光学構造体を通る光透過率のシャープなピークを提供する多層マスクが提供される。多層マスクは、溶媒堆積マスク層、並びに/又はコーティング及び硬化されたポリマーマスク層を含むことができる。溶媒堆積マスク層は、溶媒中の層の材料(例えば、ポリマー及び光吸収性材料)を堆積(例えば、コーティング)し、次いで溶媒を蒸発させることによって形成されたマスク層である。多層マスクは、相補的相互作用(例えば、正及び負に荷電した官能基間の静電相互作用)を伴うそれぞれの第1及び第2の結合基を有する第1及び第2の材料の層ごとの自己組織化によって形成されたマスク層を含むことができる。例えば、第1及び第2の材料は、それぞれ、反対に荷電したポリマー及びナノ粒子であり得る。多層マスクが形成された後、レーザ除去によって多層マスク内に貫通孔を形成することができる。
【0012】
(例えば、反対に荷電したポリマー及びナノ粒子の)層ごとの自己組織化によって形成されたマスク層は、例えば、溶媒堆積又はコーティング及び硬化されたポリマーマスク層の厚さを単に増加させることと比較して、より少ない追加の厚さで光学密度の所望の増加を提供することが見いだされた。しかしながら、層ごとの自己組織化によって形成されたマスク層のみが使用される場合、そのようなマスク層の十分な厚さを達成することが困難であるため、所望の低いクロストークを達成することが困難であることが見いだされた。本明細書のいくつかの実施形態によれば、ポリマーマスク層(例えば、溶媒堆積又はコーティング及び硬化されたポリマー層)並びに層ごとに自己組織化されたマスク層を含む多層マスクは、例えば、高い光学密度(例えば、約2超)及び所望の全体厚さ(例えば、約1ミクロン~約7ミクロン)を達成することができ、その結果、低いクロストークをもたらす。いくつかの実施形態によれば、溶媒堆積マスク層は、例えば、コーティング及び硬化によって形成されたポリマーマスク層と比較して、改善された貫通孔の形状画定(及び例えば、それに対応してより低いクロストーク)を提供することができることが更に見いだされた。いくつかの実施形態では、多層マスクは、溶媒堆積マスク層と、層ごとの自己組織化を介して形成されたマスク層とを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、光学構造体は、例えば指紋感知用途などの様々な用途で使用することができる角度選択性光学フィルタとして有用である。いくつかの実施形態では、光学構造体は、デバイス(例えば、携帯電話)内の指紋感知領域とセンサとの間に配置されてもよく、指紋感知領域内の指から反射された光をセンサに透過させる一方で、異なる角度から光学構造体に入射する光を拒絶するように適合させることができる。
【0014】
図1は、いくつかの実施形態による、光学構造体200の概略断面図である。光学構造体200は、最も外側の構造化された第1の主表面102及び反対側の最も外側の第2の主表面104とを有するレンズフィルム110と、レンズフィルム110の第2の主表面104上に配置された多層マスク120とを含む。構造化された第1の主表面102は、直交する第1及び第2の方向(例えば、x方向及びy方向)に沿って配置された複数のマイクロレンズ103を含む。第2の主表面104は、実質的に平面(例えば、平面又は公称平面又は構造化された第1の主表面102のものと比較して小さい変動又は曲率までの平面)であってもよい。多層マスク120は、マイクロレンズの平均焦点距離fの約0.5倍未満の平均厚さtを有し、約2超の光学密度を有し得る。多層マスク120は、2つ以上のマスク層を含むことができる。いくつかの実施形態では、多層マスク120は、ポリマーマスク層120a及び120bを含み、マスク層120a及び120bの各々は、約0.3超の光学密度を有し得る。マスク層120a及び120bのいずれか一方は、第1のマスク層と呼ばれることがあり、マスク層120a及び120bの他の一方は、第2のマスク層と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、第1のマスク層は、ポリマーの第1のマスク層(例えば、溶媒堆積マスク層)であり、第2のマスク層は、それぞれの第1及び第2の結合基を有する第1及び第2の材料を含み、第1及び第2の結合基は、相補的相互作用を有する(例えば、層ごとの自己組織化を介して堆積される)。多層マスク120は、内部に、第1及び第2の方向に沿って配置された複数のレーザ除去貫通開口部123を画定し、貫通開口部123は、1対1の対応でマイクロレンズに位置合わせされる。
【0015】
マイクロレンズは、一般的に、直交する少なくとも2つの寸法(例えば、高さ及び直径、又は2本の軸に沿った直径)が約1mm未満かつ約100nm超のレンズである。マイクロレンズは、例えば、約0.5ミクロン~約500ミクロン、又は約5ミクロン~約100ミクロンの範囲内の平均直径を有し得る。マイクロレンズは、例えば、5ミクロン~50ミクロンの範囲内の平均曲率半径を有し得る。マイクロレンズは、任意の適切な形状を有し得る。マイクロレンズは、例えば、球面マイクロレンズ又は非球面マイクロレンズであり得る。いくつかの実施形態では、マイクロレンズは、例えば、レンズによって覆われる面積のより高い割合が光学的に活性であることを可能にし得るピローレンズである。ピローレンズは、2つの直交平面(例えば、レンズの中心を通過し、それぞれx-z平面及びy-z平面に対して平行な平面)を中心に、又はレンズフィルムの厚さ方向に対して平行な3つの平面を中心に、反射下で実質的に対称であってもよく、各平面は、任意の軸を中心に回転対称ではなく、互いの平面と約60度の角度をなす。
【0016】
多層マスク120は、ポリマー多層マスクであり得る。ポリマー多層マスクは、各マスク層がポリマーである多層マスクである。ポリマー層は、層の長さ及び幅にわたって実質的に連続的に延びる有機ポリマーを含み、任意選択的に、例えば、ポリマー中に分散された非ポリマー粒子を含んでもよい。例えば、顔料及び/又は染料充填ポリマーを使用して、ポリマー層を形成することができる。
【0017】
多層マスク120は、互いに反対側にある第3及び第4の主表面143及び144を有し、第3の主表面143はレンズフィルム110に面する。多層マスク120は、第3の主表面143と第4の主表面144との間の平均間隔として代替的に説明され得る平均厚さtを有する。平均とは、別段の指定がない限り、非加重平均を指す。いくつかの実施形態では、平均厚さtは、例えば、平均焦点距離fの約0.5倍未満、又は約0.4倍未満、又は約0.3倍未満である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、平均厚さtは、例えば、約10ミクロン未満、又は約8ミクロン未満、又は約6ミクロン未満、又は約5ミクロン未満、又は約4ミクロン未満である。平均厚さtは、例えば、約1ミクロン超、又は約2ミクロン超、又は約2.5ミクロン超であり得る。平均厚さtは、例えば、約1ミクロン~約7ミクロン、又は約2ミクロン~約6ミクロンの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、レンズフィルム110及び多層マスク120の総厚さTは、約100ミクロン以下(例えば、約30ミクロン~約100ミクロンの範囲内)である。レンズフィルム110は、例えば、レンズフィルム110の厚さがレンズ層194及び基板層197の厚さであるように、基板層197上にキャスト及び硬化されたレンズ層194を含むことができる。基板層197は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリマーフィルムであり得る。いくつかの実施形態では、平均焦点距離fは、例えば、T-3t~T+2tの範囲内、又はT-2t~T+tの範囲内、又はT-t~Tの範囲内である。キャスト及び硬化プロセスは、米国特許第5,175,030号(Luら)、同第5,183,597号(Lu)、及び同第9,919,339号(Johnsonら)、並びに米国特許出願公開第2012/0064296号(Walker,JR.ら)に一般的に記載されている。そのようなキャスト及び硬化プロセスは、アクリレート樹脂を利用してマイクロレンズを形成することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の方向に実質的に直交し、かつ複数の貫通開口部123内の第1の開口部123aを実質的に両分する方向における最も外側の構造化された第1の主表面の少なくとも第1の断面において、第1の開口部123aは、多層マスク120のレンズフィルム110に面する側上により大きい第1の幅d1を有し、多層マスク120のレンズフィルム110から離れて面する側上により小さい第2の幅d2を有する。他の実施形態では、第1の幅d1は、第2の幅d2よりも小さい。いくつかの実施形態では、d1及びd2は、ほぼ等しい。d1及びd2の相対的な幅は、多層マスクの材料選択及びレーザ除去処理条件に依存し得る。レーザ処理条件を介して貫通孔の形状を調整することは、例えば、米国特許第7,864,450号(Segawaら)に、一般的に記載されている。いくつかの実施形態では、第1の幅d1の第2の幅d2に対する比(d1/d2)は、約1.1~約2の範囲内である。
【0019】
いくつかの実施形態では、貫通開口部123は、約1ミクロン~約10ミクロン、又は約2ミクロン~約8ミクロンの範囲内の平均直径を有する。貫通開口部の直径d0は、厚さtに等しい長さを有し、かつ貫通開口部の体積に等しい体積を有する、円筒の直径であると理解することができる(例えば、直径d0は、図1の(d1+d2)/2にほぼ等しくてもよい)。平均直径は、貫通開口部にわたって平均化された(非加重平均)直径d0である。d1の平均又はd2の平均は、同様に又は代替的に指定されてもよい。いくつかの実施形態では、第3及び第4の主表面143及び144のうちの少なくとも1つに対して、主表面における開放端は、約1ミクロン~約10ミクロン、又は約2ミクロン~約8ミクロンの範囲内の平均直径を有する。開放端の直径は、開放端と同じ面積を有する円の直径と理解することができる。開放端の平均直径は、開放端にわたって平均化された(非加重平均)直径である。いくつかの実施形態では、0.5≦d/t≦2であり、ここで、dは、平均d0、d1、又はd2であり、tは、多層マスクの平均厚さである。
【0020】
図2は、いくつかの実施形態による、入射角度の関数としての光学構造体の光透過率267の概略プロットである。いくつかの実施形態では、光学構造体200は、第2の主表面104と入射角度θを形成する入射方向134に沿って光学構造体の構造化された第1の主表面側に入射する実質的にコリメートされた光133に対して、入射角度θの関数としての光学構造200の光透過率267が、第1のピーク透過率T1を有する第1の透過ピーク268を含み、かつ対応する最大値の20%における全幅W1を含み得るように構成される。あるいは、光透過率は、透過角度φの関数として表されてもよい。実質的にコリメートされた光133は、コリメートされ得るか、若しくは名目上コリメートされ得るか、又は例えば、約20度未満、若しくは約10度未満、若しくは約5度未満の発散角度若しくは収束角度を有し得る。実質的にコリメートされた光133は、少なくとも1つのマイクロレンズを充填若しくは実質的に充填することができ、又は複数のマイクロレンズを充填若しくは実質的に充填することができる。いくつかの実施形態では、T1/W1≧2.4%/度、又はT1/W1≧2.5%/度、又はT1/W1≧2.6%/度、又はT1/W1≧2.8%/度、又はT1/W1≧3%/度、又はT1/W1≧3.2%/度、又はT1/W1≧3.4%/度である。いくつかの実施形態では、光透過率267は、第1の透過ピーク268に対応する最大値の20パーセントにおいて、約20度未満、又は約15度未満、又は約12度未満、又は約10度未満の全幅W1を有する。
【0021】
例えば、最大値の20パーセントにおける低い全幅W1は改善された光学特性(例えば、低いクロストーク)に対応し得るため、半値全幅ではなく、最大値の20パーセントにおける全幅W1に関して、光透過率を特徴付けることが有用であることが見いだされた。いくつかの実施形態によれば、例えば、本明細書に記載される多層マスクとほぼ同じ光学密度を達成することができるコーティング及び硬化された単層マスクは、典型的には、対応する半値全幅(FWHM)及び対応する最大値の20パーセントにおける全幅を有するピークを有し、最大値の20パーセントにおける全幅は、FWHMよりも実質的に大きく、本明細書に記載される多層マスクの最大値の20パーセントにおける全幅よりも実質的に大きいことが見いだされた。
【0022】
いくつかの実施形態では、入射角度θの関数としての光学構造体200の光透過率267は、第1のピーク透過率T1を有する第1の透過ピーク268、及び第2のピーク透過率T2を有する、第2の透過ピーク269を含む。いくつかの実施形態では、第2の透過ピーク269は、第1の透過ピーク268の入射角度θ1よりも少なくとも約30度だけ大きい入射角度θ2にある。第2の透過ピークは、例えば、第1の透過ピーク268の入射角度θ1よりも少なくとも約30度、かつ約60度以下大きい入射角度に対する最大の透過ピーク(すなわち、最大の透過率を有するピーク)であり得る。透過角度θ2は、座標系がθ2及びθ1の符号を逆にするように選択され得るため、θ2-θ1の符号にかかわらず、|θ2-θ1|が少なくとも約30度、かつ約60度以下であるとき、第1の透過ピーク268の入射角度θ1よりも少なくとも約30度、かつ約60度以下だけ大きくなることが理解されるであろう。第2のピークは、少なくとも部分的に、例えば、レンズフィルムを形成するために使用されるプロセス(例えば、キャスト及び硬化プロセス)から生じるマイクロレンズにおける形状変化から生じ得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、例えば、T2≦3%、又はT2≦2.5%、又はT2≦2.3%、又はT2≦2%、又はT2≦1.5%、又はT2≦1%である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、例えば、T1/T2≧10、又はT1/T2≧12、又はT1/T2≧15、又はT1/T2≧18、又はT1/T2≧20である。いくつかの実施形態では、T2は、少なくとも約0.1%、又は少なくとも約0.25%、又は少なくとも約0.5%である。いくつかの実施形態では、T1≧15%、又はT1≧20%、又はT1≧25%、又はT1≧30%、又はT1≧35%、又はT1≧40%である。いくつかの実施形態では、より高いT1(例えば、T1≧35%、又はT1≧40%)が望ましい場合があるが、いくつかの実施形態では、(例えば、クロストークを低減するために)より高い光学密度(例えば、約2.5超)が望ましい場合があり、これにより、より低い(例えば、約20%又は約25%)が、依然として有用なT1をもたらし得る。
【0024】
入射角度の関数としての光透過率は、任意の面内方向(光学構造体の厚さ方向(z方向)に対して直交する方向)に沿った入射角度に対して決定することができる。面内方向に沿った入射角度とは、面内方向と厚さ方向とを含む平面内で画定される入射角度として説明され得る。図1では、入射角度θは、x方向に沿っている(又はx-z平面において画定されている)。入射角度の関数としての光透過率は、選択された面内方向に依存し得る。例えば、面内の第1の方向(例えば、x方向)に沿った入射角度の関数としての光透過率のプロットは、異なる(例えば、30度又は90度だけ異なる)面内の第2の方向(例えば、y方向)における入射角度の関数としての光透過率のプロットとは異なり得る。例えば、マイクロレンズの六角形状の配列の場合、プロットは、互いから60度である最も近い隣接マイクロレンズ間の方向に沿ってほぼ同じであり得るが、これらの方向間の中間の他の方向に沿って異なり得る。レンズフィルムがロールツーロールプロセスで製造される実施形態では、例えば、第1の方向はクロスウェブ方向であってもよく、第2の方向はダウンウェブ方向であってもよい。第2の透過ピーク269は、例えば、ダウンウェブ方向に沿った入射角度に対する光透過率に対して存在してもよいが、クロスウェブ方向に沿った入射角度に対しては存在しなくてもよい(例えば、図9を参照)。T1、T2、W1、又はT1/W1などの量は、少なくとも1つの面内方向に沿った入射角度の関数としての光透過率に対する条件が満たされる場合、条件を満たすものとして説明され得る。T1、T2、W1、又はT1/W1に対して本明細書で説明される任意の条件は、1つの面内方向に対して、又は(例えば、それらの間の角度を約30度又は約90度に画定する)少なくとも2つの非共線面内方向の各々に対して、又は2つの直交平面内方向の各々に対して、又は全ての面内方向に対して、保持され得る。
【0025】
図3A図3Bは、いくつかの実施形態による、複数のマイクロレンズ103及び貫通開口部123を含む光学構造体の概略上面投影図である。マイクロレンズ103は、直交する第1及び第2の方向(例えば、x方向及びy方向)に沿って配置され、開口部123は、第1の方向及び第2の方向に沿って配置されている。図3Aに示される実施形態では、マイクロレンズ103及び開口部123は、レンズ層に実質的に垂直な直線に沿って(すなわち、実質的にz方向に沿って)センタリングされている。図3Bに示される実施形態では、マイクロレンズ103及び開口部123は、レンズ層と実質的に同じ斜角をなす直線に沿ってセンタリングされている。図3Aの光学構造体は、主に光学構造体の厚さ方向(z方向)に沿って光学構造体に入射する光を透過させるように適合されてもよく、図3Bの光学構造体は、主に厚さ方向と斜角をなす方向に沿って光学構造体に入射する光を透過させるように適合されてもよい。図示される実施形態では、マイクロレンズ103及び開口部123は、規則的な三角形状の配列上にある。他のパターンも可能である(例えば、正方形又は長方形状の配列、他の周期的配列、又は不規則なパターン)。
【0026】
図4A図4Bは、いくつかの実施形態による、多層マスク222及び223の概略図である。多層マスク222及び223のいずれかは、多層マスク120に対応し得る。多層マスク222、223の各々は、平均厚さta及びtbを有する第1及び第2のマスク層222a及び222bを含む。いくつかの実施形態では、第1のマスク層222aは、レンズフィルム110と第2のマスク層222bとの間に配置される。いくつかの実施形態では、第2のマスク層222bは、レンズフィルム110と第1のマスク層222aとの間に配置される。いくつかの実施形態では、第2のマスク層222bは、第1のマスク層222aよりも薄い。いくつかの実施形態では、第1のマスク層222aは第2のマスク層222bよりも厚く、第2のマスク層222bの光学密度は、第1のマスク層222aの光学密度よりも大きい。例えば、第2のマスク層222bは、層ごとの堆積によって形成された相対的に高い光学密度を有する相対的に薄い層とすることができ、第1のマスク層222aは、例えば、溶媒堆積によって形成された(例えば、光吸収性材料の濃度が相対的に低いために)相対的に低い光学密度を有する相対的に厚い層とすることができる。いくつかの実施形態では、tbは、約0.5ta未満、又は約0.25ta未満、又は約0.2ta未満、又は約0.15ta未満、又は0.1ta未満である。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、tbは、約50nm超であり、tbは、約10ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、第1のマスク層222aは、溶媒堆積マスク層であるか、又は溶媒堆積マスク層を含む。いくつかのそのような実施形態では、又は他の実施形態では、第2のマスク層222bは、それぞれの第1及び第2の結合基を含む第1及び第2の材料(例えば、ポリマー及びナノ粒子)を含み、第1及び第2の結合基は、相補的相互作用(例えば、反対に荷電した官能基)を有する。そのような層は、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、層ごとの自己組織化を介して堆積させることができる。
【0027】
多層マスク又はマスク層は、[透過率/100%]の10を底とするマイナス対数として表すことができるその光学密度によって特徴付けることができ、ここで、透過率は、別段の指示がない限り、偏光されていない垂直に入射する(貫通開口部間に入射する)光に対して少なくとも400nm~600nmの波長範囲にわたる平均透過率である。波長範囲は、例えば、400nm~700nm、又は400~800、又は400~900、又は400nm~1100nmであってもよい。(透過率は、いずれかの方向から入射する光に対して測定され得る)。多層マスク120、222、又は224は、例えば、約2超、又は約2.5超、又は約2.8超、又は約3超の光学密度を有し得る。第1及び第2のマスク層の各々は、例えば、約0.3超、又は約0.4超、又は約0.5超の光学密度を有し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のマスク層222a又は222bのうちの少なくとも1つは、λ1~λ2の範囲内の少なくとも1つの波長λに対して実質的に垂直に入射する光の少なくとも30%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%を吸収する。いくつかの実施形態では、λ1は、約400nm、又は約450nmであり、λ2は、約3000nm、又は約2500nm、又は約2000nm、又は約1600nm、又は約1500nm、又は約1100nm、又は約800nm、又は約700nm、又は約650nm、又は約600nmである。いくつかの実施形態では、λ1は、約700nm、又は約750nm、又は約780nm、又は約800nmであり、λ2は、約3000nm、又は約2500nm、又は約2000nm、又は約1600nm、又は約1500nm、又は約1100nmである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの波長は、少なくとも1つの可視波長(例えば、約400nm~約700nmの範囲内)、及び/又は少なくとも1つの近赤外波長(例えば、約750nm~約3000nm、又は約800nm~約1600nm、又は約800nm~約1100nmの範囲内)を含む。典型的な用途に対して、多くの場合、少なくとも可視光範囲において、マスクが吸収することが望ましい。例えばレーザ除去を容易にするために、多層マスクが赤外線を吸収することも望ましい場合がある。第1及び第2のマスク層222a及び222bは、本明細書の他の箇所で更に説明されるように、ほぼ同じ吸収スペクトルを有することができ、又は異なる吸収スペクトルを有し得る。
【0029】
本明細書に記載される多層マスク又はマスク層のいずれも、実質的に均一な光学濃度を有し得る。実質的に均一な光学濃度とは、約1ミクロンの長さスケール上で良好な近似まで均一である光学濃度を指す。例えば、約1ミクロンの直径を有する貫通開口部間のマスク層又は多層マスクを通る各円筒形領域は、そのような領域の平均光学密度の約15%以内又は約10%以内又は約5%以内の光学密度を有し得る。いくつかの実施形態では、実質的に均一な光学密度を有するマスク層は、実質的に1ミクロン未満(例えば、約300nm未満又は約250nm未満)の平均直径を有し、かつ粒子間の平均中心間間隔が約1ミクロン未満であるように十分に高い充填量で層中に実質的に均一に分散された、光吸収性粒子(例えば、カーボンブラック粒子)を使用することによって得られる。
【0030】
図5A図5Fは、いくつかの実施形態による、光学構造体を作製する方法を概略的に示している。方法は、最も外側の構造化された第1の主表面102と、反対側の最も外側の実質的に平坦な第2の主表面104とを含むレンズフィルム110を提供すること(例えば、図5Aを参照)であって、構造化された第1の主表面102が、直交する第1及び第2の方向に沿って配置された複数のマイクロレンズ103を含む、ことと、溶媒151、ポリマー152、及び任意選択的に光吸収性材料153の混合物150を用いてレンズフィルムの第2の主表面をコーティングすることと(例えば、図5Bを参照)と、コーティングされた混合物を乾燥させて、平均厚さta(例えば、約10ミクロン未満)及び約0.3超又は本明細書の他の箇所に記載される任意の範囲内の(例えば、実質的に均一な)光学濃度を有する第1のマスク層120aを形成すること(例えば、図5B図5Cを参照)と、を含む。あるいは、第1のマスク層は、光吸収性材料で充填された樹脂をコーティングし、樹脂を硬化させることによって形成することができる。方法は、(例えば、約10ミクロン未満の)平均厚さta、及び約0.3超、又は他の箇所で説明される任意の範囲内の(例えば、実質的に均一な)光学密度を有する、第2のマスク層120bを堆積させることを更に含むことができる。図5Dに概略的に示されるように、第2のマスク層120bを第2の主表面104上に直接堆積させ、続いて第2のマスク層120b上に第1のマスク層120aを堆積させることができ、又は図5Fに概略的に示されるように、第2のマスク層120bを第1のマスク層120a上に堆積させることができる。第1及び第2のマスク層120a及び120bは、約10ミクロン未満若しくはマイクロレンズ103の平均焦点距離fの約0.5倍未満であってもよく、又は本明細書の他の箇所で説明される任意の範囲内であってもよい、組み合わせ平均厚さtを有する多層マスク120を画定する。
【0031】
第1のマスク層120aは、溶媒堆積マスク層であってもよい。いくつかのそのような実施形態では、第1のマスク層120aは、熱可塑性ポリマー中に分散された、カーボンブラック粒子などの光吸収性材料を含むことができる。関連する溶媒堆積マスク層は、「Optical Construction Including Lens Film and Mask Layer」と題する、2020年6月17日に出願された、米国特許出願第63/040056号に記載されている。
【0032】
様々なポリマー系が、溶媒系においてキャリア樹脂(溶媒堆積される樹脂)として作用することができる。例えば、ニトロセルロース及びセルロースエステルは、有用なクラスのポリマーである。中分子量から高分子量のヒドロキシル官能性部分加水分解塩化ビニル酢酸ビニルコポリマーもまた、担体樹脂として使用することができる。アルコールに富む溶媒系については、ポリビニルブチラールが有用であるか又は好ましい場合がある。ポリアミド、エチルセルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリウレタン、マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、アクリル酸、ビニルアクリル酸もまた、溶媒混合物、基板選択、所望の接着の程度などに基づいて有用であるか又は好ましい場合がある。適切なセルロースエステルは、例えば、Eastman Chemical Companyから入手可能である。適切なポリウレタンは、例えば、VERSAMID PURの商品名で入手可能である。適切なポリビニルブチラールポリマーは、例えば、Kuraray Americaから商品名MOWITALで入手可能である。適切なアクリレートコポリマーは、例えば、Dow Chemical Companyから商品名PARALOIDで入手可能である。いくつかの場合において有用であり得るいくつかの他のポリマーとしては、シラン又はシルセスキオキサンを有するポリウレタンが挙げられる。溶媒系に溶解又は分散させることができ、かつ乾燥後にフィルムを形成することができる他のポリマーもまた、使用することができる。
【0033】
適切な溶媒としては、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素、グリコール、グリコールエーテル、及びグリコールエステルが挙げられる。これらの溶媒のいくつかは、高沸点であり得、コーティング溶液中に少量で存在する場合がある。高沸点炭化水素及び石油ナフサ及び芳香族もまた、任意選択的に少量で存在する場合がある。典型的には意図的に添加されないが、少量の水又は水分が、いくつかの極性溶媒中に存在する可能性がある。ニトリル、アミノエタノール、アミンもまた、共溶媒として使用することができる。好ましい溶媒は、樹脂の選択並びにプロセスのタイプ及び条件(例えば、温度)によって決定されてもよい。典型的な好ましい溶媒としては、ケトン及び低沸点アルコールが挙げられる。
【0034】
第2のマスク層120bは、それぞれの第1及び第2の結合基を含む第1及び第2の材料(例えば、反対に荷電したナノ粒子及びポリマー)を含むことができ、第1及び第2の結合基は相補的相互作用を有する。第2のマスク層120bは、層ごとの(LbL)自己組織化によって堆積されてもよい。層ごとの自己組織化は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第8,234,998号(Krogmanら)に記載されている層ごとのスプレー堆積、又は国際公開第2019/0186397号(Schmidtら)に記載されている層ごとの堆積技術のいずれか、を含むことができる。このLbLプロセスは、反対に荷電した高分子電解質の薄膜又はコーティングを静電的に集合させるために広く使用されているが、水素結合供与体/受容体、金属イオン/リガンド、及び共有結合部分などの他の官能基をまた、フィルムを集合させるための駆動力とすることができる。典型的には、この堆積プロセスには、一連の溶液への、表面荷電を有する基板の露出を含む。これは、例えば、液体槽中への基板の浸漬(ディップコーティングとも呼ばれる)、噴霧、スピンコーティング、ロールコーティング、インクジェット印刷によって実現することができる。基板の荷電とは反対の荷電を有するポリイオンの第1ポリイオン液への露出により、基板表面の近傍の荷電種を速やかに吸収し、濃度勾配を確立し、かつバルク溶液から表面までより多くの高分子電解質を引き出す結果となる。十分な層が展開して下層の荷電をマスクし、かつ基板表面の正味の荷電を反転させるまで、更なる吸収が生じる。次いで、基板を1回以上の水リンス工程に露出して、物理的に絡み合った又は緩く結合した高分子電解質を除去する。リンスに続いて、基板は、次に、第2のポリイオン液体溶液に露出され、ここでポリイオンは、第1のポリイオンの荷電と反対の荷電を有する。基板の表面荷電が第2の溶液内のポリイオンの荷電とは反対であるため、もう一度吸収が生じる。第2のポリイオン溶液への露出を継続することにより、次いで、基板の表面荷電の反転が生じる。後続する濯ぎを実施してサイクルを完了することができる。この一連の工程により、堆積の「二重層」とも呼ばれる一対の層が構築されると言われており、必要に応じてこの一連の工程を繰り返して、更なる層の対を基板に追加することができる。ポリカチオン層は、ポリカチオン性ポリマー又はナノ粒子を含むことができる。同様に、ポリアニオン層は、ポリアニオン性ポリマー又はナノ粒子を含むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の結合基は、相補的相互作用を有する。相補的相互作用は、水素結合供与体と水素結合受容体との間の相補的静電相互作用又は相補的水素結合相互作用であり得る。ポリマー、ナノ粒子、及び小分子は、それらが複数の負又は正のイオン荷電部位をそれぞれ含有する場合、「ポリイオン性」若しくは「ポリイオン」、又は具体的には「ポリアニオン性」、「ポリアニオン」、「ポリカチオン」若しくは「ポリカチオン性」と呼ぶことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の材料又は第2の材料のうちの少なくとも1つは、高分子電解質を含む。例えば、特定の実施形態では、第1の材料は高分子電解質を含み、第2の材料はナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、第1の材料はポリアニオンを含み、第2の材料はポリカチオンを含むが、他の実施形態では、第1の材料はポリカチオンを含み、第2の材料はポリアニオンを含む。いくつかの実施形態では、高分子電解質は、ポリカチオンである。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポリカチオンは、ポリカチオン性ポリマーである。適切なポリカチオン性ポリマーとしては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDAC)、直鎖及び分岐ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)、ポリビニルアミン、キトサン、ポリアニリン、ポリアミドアミン、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアミン)、及びポリクオタニウム群のメンバーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、高分子電解質は、ポリアニオン性ポリマーである。適切なポリアニオン性ポリマーとしては、スルホン化ポリスチレン(PSS)、ポリ(ビニル硫酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、デキストラン硫酸、ヘパリン、ヒアルロン酸、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸、NAFIONなどのスルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素樹脂、ポリ(ビニルホスホン酸)、ポリ(ビニルホスホン酸)、ヘキサメタリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリカチオンは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(2-(トリメチルアミノ)エチルメタクリレート、及びそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0038】
直前に記載した高分子電解質有機ポリマーは、イオン性基又はイオン化可能基を担う(例えば、繰り返し)重合単位を有するポリマーとして特徴付けることができる。これらの基は、水溶液(水)中で解離し、ポリマーを荷電させる。静電相互作用が可能な複数のイオン基を有する他のタイプのポリマーは、有機ポリマーの水性分散液である。いくつかの実施形態では、これらのポリマーはまた、イオン性基又はイオン化可能基を有する重合単位を含有する。しかしながら、そのような基の濃度は、有機ポリマーが水溶液中に分散され得るが、溶解して溶液を形成しないように、著しく低い。したがって、そのような有機ポリマーは、水不溶性として特徴付けることができる。他の実施形態では、有機ポリマーは、イオン性界面活性剤の使用によって水分散性にされ得る。市販の脂肪族アクリル分散液の例としては、商品名RAYCAT 65124及びPICSSIAN AC-181として入手可能な、カチオン性アクリルラテックスが挙げられる。市販の水性ポリウレタン分散液の例としては、商品名SANCURE 20051(PRINTRITE DP675としても知られる)、SANCURE 20072(PRINTRITE DP676としても知られる)、及びWITCOBOND UCX-214として入手可能な、脂肪族ポリエーテルカチオン性ウレタンポリマー分散液が挙げられる。
【0039】
いくつかの実施形態では、水溶液又は分散液は、イオン強度を強くし、かつ、粒子間静電反発を小さくすることにより、均一で、かつ、再現可能な堆積を促進する添加剤である「スクリーニング剤」を更に含む。適切なスクリーニング剤としては、ハロゲン化物塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、フルオロリン酸塩、等々の任意の低分子量塩が挙げられる。ハロゲン化物塩の例としては、LiCl、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、NH4Clなどの塩化物塩、LiBr、NaBr、KBr、CaBr2、MgBr2などの臭化物塩、LiI、NaI、KI、CaI2、MgI2などのヨウ化物塩、及びNaF、KFなどのフッ化物塩などが挙げられる。硫酸塩の例としては、例えば、Li2SO4、Na2SO4、K2SO4、(NH4)2SO4、MgSO4、CoSO4、CuSO4、ZnSO4、SrSO4、Al2(SO4)3、及びFe2(SO4)3が挙げられる。(CH3)3CCl、(C2H5)3CClなどの有機塩もまた、適切なスクリーニング剤である。適切なスクリーニング剤濃度は、塩のイオン強度によって変化し得る。いくつかの実施形態では、水溶液又は分散液は、0.01M~0.2Mの範囲内の濃度の(例えばNaCl)スクリーニング剤を含む。第2のマスク層は、微量のスクリーニング剤を含有し得る。
【0040】
図5Eは、第1の材料333及び第2の材料334を含む二重層の概略図である。第1及び第2の材料333及び334は、それぞれの第1及び第2の結合基433及び434を有し、第1及び第2の結合基433及び434は、相補的相互作用(図示された実施形態では反対の荷電)を有する。図5Eに概略的に示される実施形態では、第1の材料333はカチオン性ポリマーであり、第2の材料334は複数のイオン性ナノ粒子である。他の実施形態では、ポリマーはイオン性であってもよく、ナノ粒子はカチオン性であってもよい。荷電したナノ粒子は、ナノ粒子の本体内に、又はナノ粒子の表面上の表面基若しくは分散液上に荷電を有し得る。所望の光学密度を提供するために、複数の二重層(例えば、2~20、又は3~10)が堆積されてもよい。第1の材料333がポリマーである実施形態では、二重層(単数又は複数)のポリマーは典型的にはマスク層の少なくとも長さ及び幅にわたって延びているため、得られたマスク層は、ポリマーマスク層であると考えられ得る。層ごとの堆積は、高密度のナノ粒子を有するマスク層をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、第2のマスク層は、少なくとも約50、又は少なくとも約60、又は少なくとも約70、又は少なくとも約75、又は少なくとも約80重量パーセントのナノ粒子を含有する。有用なナノ粒子としては、例えば、国際出願公開第2019/0186397号(Schmidtら)に記載されているものが挙げられる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、カーボンブラックナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、又はそれらの組み合わせを含む。ナノ粒子は、例えば、約5nm~約300nmの範囲内の平均粒径(例えば、Dv50)を有し得る。
【0041】
本方法は、レンズフィルム110の構造化された第1の主表面102に入射する赤外光178を放射するレーザ177を使用して、多層マスク120(図5Fは、除去前の多層マスク120を概略的に示している)内の複数の貫通開口部123を除去すること(例えば、図5F及び図1を参照)を更に含み、貫通開口部123が第1及び第2の方向に沿って配置されて、1対1の対応でマイクロレンズ103に位置合わせされる。赤外光178は、例えば、約1020nm~約1100nmの範囲内の、又は本明細書の他の箇所に記載される任意の範囲内の波長を有し得る。赤外光178は、例えば、約1064nmのピーク強度の波長を有し得る。赤外光178は、少なくとも1つのマイクロレンズを満たす又は実質的に満たす、ビーム直径を有し得る。例えば、マイクロレンズは、5~50ミクロンの範囲内の平均直径を有してもよく、ビーム直径は、100~500ミクロンの範囲であってもよい。光吸収性材料153は、好ましくは、赤外光178の波長範囲並びに可視波長範囲(例えば、少なくとも約450nm~約650nm)に対して光吸収性である。光吸収性材料153は、同じ組成又は異なる組成を有し得る、光吸収性材料153a及び153bを含む。光吸収性材料153は、例えば、異なる波長範囲において吸収することができる、1つ、2つ、又はそれ以上の光吸収性顔料及び/又は染料を含むことができる。第1のマスク層120a(例えば、図5Cを参照)は、例えば、少なくとも1つの光吸収性染料及び少なくとも1つの光吸収性顔料を含むことができる。光吸収性材料153は、可視波長に対して及び赤外光178に対して光吸収性であることができ、その結果、光吸収性材料153は、除去を生じさせるために赤外光178を吸収し、得られたマスク層に対して所望の光学濃度を提供する。適切な光吸収性材料153には、カーボンブラックを含む。いくつかの実施形態では、光吸収性材料153は、カーボンブラック又は金属酸化物ナノ粒子などのナノ粒子を含む。
【0042】
貫通孔は、350nm~1600nm、又は400nm~1200nm、又は500nm~1100nm、又は1000nm~1100nm、又は1020nm~1100nmの波長を有するコヒーレントパルス光源(例えば、レーザ)を使用して作成することができる。例えば、光源は、約1020nm~約1100nmの波長を有する近赤外(NIR)帯域を生成するドープドファイバレーザであり得る。広範囲内のレーザを、光源に使用することができる。適切なレーザとしては、例えば、Nd:YAGレーザ、ファイバレーザ、及びダイオードレーザが挙げられる。例えば、1次、2次、又は3次高調波を使用することができる。レーザの所望の波長範囲は、マスク層に使用されるポリマー及び光吸収性材料に依存し得る。レーザを使用して、マイクロレンズ配列を通して層に開口を作成することは、例えば、米国特許出願公開第2007/0258149号(Gardnerら)に一般的に記載されている。
【0043】
図6は、いくつかの実施形態による、光吸収率対波長の概略プロットである。光吸収スペクトル391及び392が示されている。全体的なスケールのみが異なる吸収率対波長曲線は、同じ吸収スペクトルであると考えられるが、異なる波長依存性を有する吸収率対波長曲線は、異なる吸収スペクトルであると考えられる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のマスク層は、少なくとも第1及び第2の光吸収性材料(例えば、153a及び153b)を含み、第1及び第2の光吸収性材料は、異なる光吸収スペクトル(例えば、スペクトル391及び392)を有する。例えば、光吸収性材料の一方は、可視波長範囲においてより強く吸収することができるが、光吸収性材料の他方は、近赤外波長範囲においてより強く吸収することができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のマスク層は、異なる光吸収スペクトル(例えば、スペクトル391及び392)を有する。いくつかの実施形態では、異なるスペクトルは、例えば、少なくとも400nm~1100nmの波長範囲にわたって高い吸収率(例えば、実質的に垂直に入射する光に対して少なくとも約75%)をもたらす。
【0044】
光学構造体200は、多層マスク120の反対側のレンズフィルム110上に配置された、及び/又はレンズフィルム110の反対側の多層マスク120上に配置された、任意選択的な追加の要素又は層を含むことができる。例えば、低屈折率層をレンズフィルム110上に配置することができ、又はレンズフィルム110が光デカップリング構造を含むことができ、及び/又は波長選択性光学フィルタをレンズフィルム110の反対側の多層マスク120上に配置することができる。そのような層又は構造体の例は、例えば、国際公開第2020/035768号(Yangら)に見いだすことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、マイクロレンズ層は、低屈折率層を介してディスプレイパネル又は他の構成要素に接合される。いくつかの実施形態では、低屈折率層は、1.3以下の(例えば、1.1~1.3の範囲内の)屈折率を有し、レンズフィルム110の第1の主表面102と実質的に共形である主表面上に配置されて、その主表面を有する。屈折率は、別段の指示がない限り、633nmの波長における屈折率を指す。1.3以下の屈折率を有する層は、米国特許出願公開第2013/0011608号(Wolkら)及び同2013/0235614号(Wolkら)に記載されているようなナノボイド化層であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、レンズ層110は、隣接するマイクロレンズの間に配置され得る光デカップリング構造を更に含む。光学デカップリング構造は、隣接する層がマイクロレンズに接触しないようにするために隣接する層に取り付けるための、マイクロレンズを越えて突出するどのような物体であることもできる。光学デカップリング構造は、円筒形の柱であることもでき、又は、非円形断面(例えば、長方形、正方形、楕円形、又は三角形の断面)を有する柱であることもできる。光学デカップリング構造は、断面が一定形状を有することもでき、又は、厚さ方向において断面が変化することもできる(例えば、光学デカップリング構造は、柱の頂部近くで細くなるようにテーパー状になった柱であることもできる)。いくつかの実施形態では、光学デカップリング構造は、テーパー状の楕円形断面を有する。例えば、光学デカップリング構造は、国際出願第公開第2019/135190号(Phamら)に記載されている光学デカップリング構造のいずれの幾何形状を有することもできる。いくつかの実施形態では、光学デカップリング構造は、マイクロレンズの配列の基部から延びる。いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの光学デカップリング構造は、マイクロレンズのうち少なくともいくつかの上に配設される。光学デカップリング構造を含んでいる、関連する光学構造体は、国際出願公開第2020/035768号(Yangら)、及び2019年12月6日に出願された「Optical Layer and Optical System」と題する米国仮特許出願第62/944676号に記載されている。
【0047】
実施例
特に記載のない限り、以下の実施例で報告される全ての部、百分率、及び比率は、重量基準である。
【0048】
【表1】
【0049】
上記の表に列記されていない様々な溶媒、試薬などが、Sigma-Aldrich Co.(St.Louis,Missouri)から入手可能である。
【0050】
IR分散液1
IR分散液1は、国際公開第2020/016755号(Sharmaら)の比較例B(CE-B)に記載されているプロセスによって作製されたカリウムタングステン酸化物ナノ粒子の分散液であった。
【0051】
コーティング溶液1
DOWANOL PM:MEKブレンド(40:60重量)中の5.84gmの16重量%CAP-504-0.2溶液を、2.8gmのIR分散液1(DOWANOL PM中の40重量%溶液)及び0.44gmのORASOL Black X55と混合した。1gmのメチルエチルケトン(MEK)及び1gmのDOWANOL PMを更に添加し、得られた混合物をボルテックスミキサを使用して均質化した。
【0052】
コーティング溶液2
DOWANOL PM:MEKブレンド(60:40重量)中の53gmの17.3重量%CAP-504-0.2溶液を、28gmのIR分散液1(DOWANOL PM中の40重量%溶液)及び10.8gmのMEKに溶解した4.8gmのORASOL Black X55と混合した。27.4gmのメチルエチルケトン(MEK)及び2.2gmのDOWANOL PMを更に添加し、得られた混合物をボルテックスミキサを使用して均質化した。
【0053】
コーティング溶液3(LbLコーティング溶液)
コーティング溶液3は、NaClを200mMの濃度に添加した後、脱イオン(DI)水でSC20072を27重量%固形分から1重量%固形分に希釈することによって作製した。EXPCBコーティング溶液は、NaClを50mMの濃度に添加した後、DI水でEXPCBを30重量%固体分から1.0重量%固体分に希釈することによって作製した。PL92を、各コーティング溶液に0.1重量%の濃度になるまで添加した。コーティング溶液を、各々1kgの量で作製した。
【0054】
スプレー層ごとに(LbL)自己組織化されたコーティングを作製する方法
層ごとに自己組織化されたコーティングは、Svaya Nanotechnologies,Inc.(Sunnyvale,CA)から購入した装置を使用して作製され、米国特許第8,234,998号(Krogmanら)、並びにKrogmanらによる「Automated Process for Improved Uniformity and Versatility of Layer-by-Layer Deposition」,Langmuir 2007,23,3137-3141に記載されたシステムをモデルとした。この装置には、コーティング溶液を充填した圧力容器が含まれていた。平らな噴霧パターンを有する噴霧ノズル(Illinois州Wheaton在所のSpraying Systems,Inc.製)が取り付けられ、ソレノイドバルブによって制御される特定の時間にコーティング溶液及び濯ぎ水が噴霧された。コーティング溶液が入っている圧力容器(Wisconsin州Waukesha在所のAlloy Products Corp.)が、窒素によって30psiまで加圧され、一方、脱イオン(DI)水が入っている圧力容器は、空気によって30psiまで加圧された。コーティング溶液ノズルからの流量は、それぞれ1時間当たり10ガロンであり、一方、DI水濯ぎノズルからの流量は、1時間当たり40ガロンであった。コーティングされる基板(9インチx10インチ)は、エポキシ(3M Company(St.Paul,MN)のScotch-Weldエポキシ接着剤、DP100 Clear)を使用して、ガラスプレート(12インチ×12インチ×厚さ1/8インチ)(Brin Northwestern Glass Co.(Minneapolis,MN))に端部において接着され、ガラスプレートは、垂直方向の並進ステージ上に取り付けられ、真空チャックを使用して所定の位置に保持された。典型的なコーティングシーケンスでは、ステージが76mm/秒で垂直方向に下に向かって移動している間、ポリカチオン溶液(コーティング溶液3)が基板の上に噴霧された。次に、12秒間の休止時間の後に、ステージが102mm/秒で垂直方向に上に向かって移動している間、DI水が基板の上に噴霧された。次に、3mm/秒の速度のエアナイフで基板が乾燥された。次に、ステージが76mm/秒で垂直方向に下に向かって移動している間、ポリアニオン(EXPCBカーボンブラックナノ粒子)溶液が基板の上に噴霧された。もう12秒間の休止期間を経過させた。ステージが102mm/秒で垂直方向に上に向かって移動している間、DI水が基板の上に噴霧された。最後に、3mm/秒の速度のエアナイフで基板が乾燥された。上記のシーケンスを繰り返して、(ポリカチオン/ポリアニオン)(nは二重層の数)として表される複数の「二重層」を堆積させた。コーティングされた基板(例えば、ポリマーフィルム)は、その後の処理の前にガラスから剥がされた。ガラス上のコーティングは、厚さ、光透過率、及び表面抵抗率測定のために保持された。
【0055】
実施例1~2
アクリレート樹脂をポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にキャストし、複製ツールと接触させて樹脂を硬化させて、直径20ミクロンのマイクロレンズの六角形状の配列を形成することによって、レンズフィルムを作製した。第1のマスク層を以下のように形成した。すなわち、コーティング溶液1を、Meyerロッド#10を使用して、PET基板のマイクロレンズとは反対側にコーティングした。コーティングを70℃の熱風オーブン乾燥で5分間乾燥させた。第2のマスク層を、「スプレー層ごとに(LbL)自己組織化されたコーティングを作製する方法」で説明したように堆積させた。各二重層がアニオン性カーボンブラック層及びカチオン性ポリマー層からなる、3つ(実施例1)又は6つ(実施例2)の二重層を堆積させた。
【0056】
得られた多層マスク中の貫通孔を、マイクロレンズを通してレーザ除去を介して形成した。1070nmの波長で動作する40Wパルスファイバレーザ(SPI Lasers,UK)を以下のパラメータ、すなわち、走査速度:2m/秒、線間距離:100ミクロン、パルス長:250ns、繰り返し速度:20kHz、及びレーザ出力:15%~25%で使用した。強力で高品質のビームが、レーザによって生成された。ファイバレーザは、ビーム送出ファイバの端部に取り付けられたファラデーアイソレータによって後方反射から保護された。ビームエキスパンダ通過後のレーザビーム直径は約10mmであった。ビームは、誘電体ミラーを備えたSCANLAB AG(ドイツ)から入手した市販のレーザスキャナヘッド(hurrySCAN III 14)に方向付けられた。一対のガルボミラーによって下方に反射された後、ビームは最終的に、F-シータテレセントリック集束レンズによって集束された。除去実験では、焦点距離167mmの集束レンズを使用した。スキャナを手動Zステージに取り付けて、Z方向の位置を制御した。
【0057】
実施例3~4
実施例3~4は、第2のマスク層(LbL堆積マスク層)をマイクロレンズの反対側のPET基板の面上に堆積させ、次いで第1のマスク層(溶媒堆積マスク層)を第2のマスク層上に堆積させたことを除いて、それぞれ、実施例1~2に説明したように調製した。
【0058】
実施例5~6
コーティング溶液2を、1.168cc/revのポンプ速度でZenith BPBポンプを通して43.3cc/分の流量でスロットコーティングダイに送出して、20ミクロンのマイクロレンズ特徴量を有する幅9インチ、厚さ0.92ミルの透明PETフィルムの裏側上に幅6インチのコーティングを行った。上記の流量に基づく30ft/分のライン速度での乾燥コーティング厚さは、約3ミクロンであると推定された。溶液をコーティングした後、コーティングされたウェブをまず、長さ10フィートの2ゾーンギャップ乾燥機に通過させて、気流によって誘発される斑紋欠陥を最小化した。両方のギャップ乾燥機ゾーンを、周囲温度で放置した。全ての揮発性溶媒を乾燥し、最後のゾーンでコーティング温度を冷却するために、上部及び下部エアバーを備えた3ゾーン空気浮遊オーブンをギャップ乾燥機の直後に続けた。各乾燥機ゾーンは、約2メートルの長さであった。ゾーン1、ゾーン2及びゾーン3の温度は、それぞれ150、175及び200Fに設定された。X-Rite Gretag Macbeth D200-II 36.51.03透過濃度計を使用して測定されたこのコーティングの光学濃度は、2.2であった。
【0059】
第2のマスク層を、「スプレー層ごとに(LbL)自己組織化されたコーティングを作製する方法」で説明したように堆積させた。各二重層がアニオン性カーボンブラック層及びカチオン性ポリマー層からなる、3つ(実施例5)又は6つ(実施例6)の二重層を堆積させた。X-Rite Gretag Macbeth D200-II 36.51.03透過濃度計を使用して測定されたLBL堆積後の最終コーティングの光学濃度は、実施例5及び6に対してそれぞれ、3.0及び3.9であった。
【0060】
1070nmの波長で動作する40Wパルスファイバレーザ(SPI Lasers,UK)を以下のパラメータ、すなわち、走査速度:2m/秒、線間距離:70ミクロン、パルス長:30ns;繰り返し速度:30kHz、及びレーザ出力:15%~25%で使用したことを除いて、実施例1~2について一般的に説明したように、得られた多層マスク内の貫通孔を、マイクロレンズを通るレーザ除去を介して形成した。レーザ除去を最適化するために、焦点をサンプルの数mm上方に調整した。
【0061】
比較例C1
比較例C1は、第2のマスク層(LbL堆積マスク層)を省略したことを除いて、実施例1~2について記載されたように調製した。
【0062】
比較例C2
比較例C2は、第2のマスク層(LbL堆積マスク層)を省略したことを除いて、実施例5~6について記載されたように調製した。X-Rite Gretag Macbeth D200-II 36.51.03透過濃度計を使用して測定されたこのコーティングの光学濃度は、2.2であった。
【0063】
比較例C3~C4
比較例C3~C4は、3つの二重層(C3)及び6つの二重層(C4)のみをLBLコーティングすることによって調製した。他のマスク層は堆積させなかった。X-Rite Gretag Macbeth D200-II 36.51.03透過濃度計を使用して測定されたLBLのみコーティングの光学濃度は、比較例C3及びC4に対してそれぞれ、0.74及び1.64であった。
【0064】
比較例C5
15部のカーボンブラック、60部のイソボルニルアクリレート、25部のEBECRYL 4396、及び3部のIRGACURE 819を含有する、紫外線(UV)硬化性配合物から、以下のようにマスク層を形成した。実施例1~2に説明したように、このUV硬化性100%固体配合物を、レンズフィルムの平面側上にコーティングした。コーティングの厚さが約5ミクロンになるように条件を設計した。中圧水銀UV「Dタイプ」光源を使用して、コーティングを硬化させた。実施例1~2に一般的に説明したように、得られたマスク層を通して貫通孔をレーザ除去した。
【0065】
様々なサンプルのマスク層の吸収率は、HunterLab分光計(Hunter Associates Laboratory,Reston,VA)を使用して透過率及び反射率曲線を最初に測定し、かつその結果を使用して吸収率を100%(透過率)反射率として計算することによって決定された。図7は、得られた吸収率対波長のプロットである。吸収率の負の値は、0に近い吸収率を有するサンプルに対する測定誤差の結果である。吸収率は、レーザ除去の前に測定された。
【0066】
レーザ除去後、コリメートされた光源及びシリコン検出器を含むカスタマイズされたゴニオメータシステム上で、様々なサンプルの角度透過率が測定された。光源は、コリメーションレンズに取り付けられた530nmの発光波長を有する緑色LEDであり、両方ともThorlabsから入手した。光源は静止しており、固定された照明角度を有していた。シリコン検出器は、20mm×20mmの感光面積を有し、これもThorlabsから入手した。マイクロレンズサンプルをシリコン検出器にクランプした後、2つの直交軸に沿ってシリコン検出器と共に回転させ、測定された出力透過率に基づいてサンプルの光透過率が計算された。結果を、比較例C5については図8に、実施例5については図9に示している。比較例C5の場合、最大値の20%における全幅W1で割ったピーク透過率T1は、クロスウェブ(CW)方向において2.27%/度であり、かつダウンウェブ(DW)方向において2.09%/度であった。実施例5の場合、最大値の20%における対応する全幅W1で割ったピーク透過率T1は、クロスウェブ(CW)方向において3.57%/度であり、かつダウンウェブ(DW)方向において2.50%/度であった。
【0067】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。機能部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。特定の値の約、ほぼとして与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、本明細書で使用及び記載されている文脈において当業者にとって別途明らかではない場合には、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0068】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0069】
図面中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図面中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例、又は変形例、又は組み合わせも包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】