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特表2023-553703喘息の治療のためのリポカリンムテイン乾燥粉末製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】喘息の治療のためのリポカリンムテイン乾燥粉末製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20231218BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20231218BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20231218BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231218BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231218BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231218BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20231218BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20231218BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20231218BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
A61K38/17 ZNA
A61K9/12
A61K9/19
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/42
A61P11/06
A61K9/72
C12N15/12
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536889
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021086730
(87)【国際公開番号】W WO2022129629
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,903
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】フィッツジェラルド,メアリー
(72)【発明者】
【氏名】クローズ,デイビッド ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ガーディナー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】パルメル,ロベルト アレクサンデル
(72)【発明者】
【氏名】サヴォライネン,マルヤ リーッカ
(72)【発明者】
【氏名】グラシン,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アジュメラ,アンクル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076AA29
4C076BB27
4C076CC15
4C076DD26Z
4C076DD51
4C076DD67
4C076EE41
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA44
4C084MA13
4C084MA55
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZC41
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、経口吸入によって、治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を対象に投与することによる、ヒト対象における喘息の治療に関する。本発明はまた、抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象における喘息を治療するための方法であって、前記方法が、治療有効量の、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を、吸入によって前記対象に投与することを含み、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与される、前記方法。
【請求項2】
約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒト対象における喘息を治療するための方法であって、前記方法が、治療有効量の、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を、吸入によって前記対象に投与することを含み、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与される、前記方法。
【請求項4】
約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、少なくとも1日1回、前記対象に投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日2回、前記対象に投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
1日2回、前記対象に投与される、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての前記公称送達用量が、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1日当たり、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mg、約10mg、約12mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
1日2回、前記対象に投与される、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての前記公称計量用量が、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
1日当たり、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約4.4mg、約6.6mg、約8.8mg、約11mg、約13.2mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項11】
約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mgもしくは約25mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日1回、前記対象に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記製剤が、複数の微小粒子を含み、前記微小粒子が、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記乾燥粉末製剤が、トレハロースを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記乾燥粉末製剤が、ロイシンを含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥粉末製剤が、トリロイシンを含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記乾燥粉末製剤が、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ヒト対象における喘息を治療するための方法で使用するための、治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤であって、前記方法が、吸入によって前記乾燥粉末製剤を投与することを含み、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与され、前記抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインが、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む、前記乾燥粉末製剤。
【請求項18】
約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与される、請求項17に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項19】
ヒト対象における喘息を治療するための方法で使用するための、治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤であって、前記方法が、吸入によって前記乾燥粉末製剤を投与することを含み、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与され、前記抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインが、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む、前記乾燥粉末製剤。
【請求項20】
約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、請求項19に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項21】
前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、少なくとも1日1回、前記対象に投与される、請求項17~20のいずれか1項に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項22】
前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日2回、前記対象に投与される、請求項21に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項23】
1日2回、前記対象に投与される、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての前記公称送達用量が、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgである、請求項22に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項24】
1日当たり、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約10mg、約12mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、請求項21または22に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項25】
1日2回、前記対象に投与される、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての前記公称計量用量が、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日2回、前記対象に投与される、請求項22に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項26】
1日当たり、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約4.4mg、約6.6mg、約8.8mg、約11mg、約13.2mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、請求項21または22に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項27】
約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日1回、前記対象に投与される、請求項17に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項28】
前記製剤が、複数の微小粒子を含み、前記微小粒子が、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、請求項17~27のいずれか1項に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項29】
前記乾燥粉末製剤が、トレハロースを含む、請求項17~28のいずれか1項に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項30】
前記乾燥粉末製剤が、ロイシンを含む、請求項17~29のいずれか1項に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項31】
前記乾燥粉末製剤が、トリロイシンを含む、請求項29または30に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項32】
前記乾燥粉末製剤が、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む、請求項31に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【請求項33】
乾燥粉末製剤であって、前記製剤が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、前記乾燥粉末製剤。
【請求項34】
前記製剤が、トレハロースを含む、請求項33に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項35】
前記乾燥粉末製剤が、ロイシンを含む、請求項33または34に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項36】
前記乾燥粉末製剤が、トリロイシンを含む、請求項34または35に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項37】
前記乾燥粉末製剤が、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む、請求項36に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項38】
前記製剤が、経口吸入によって前記対象に投与されるとき、前記製剤が、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する、請求項3337のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項39】
前記製剤が、経口吸入によって前記対象に投与されるとき、前記製剤が、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する、請求項38に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項40】
前記製剤が、経口吸入によって前記対象に投与されるとき、前記製剤が、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する、請求項38に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項41】
前記製剤が、経口吸入による前記対象への投与のための、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、請求項33~40のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項42】
前記製剤が、経口吸入による前記対象への投与のための、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、請求項41に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項43】
前記製剤が、複数の微小粒子を含み、前記微小粒子が、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、請求項33~42のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤。
【請求項44】
ヒト対象における喘息を治療するための方法であって、前記方法が、経口吸入によって請求項33~43のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤を投与することを含む、前記方法。
【請求項45】
ヒト対象における喘息を治療するための方法において使用するための、請求項33~43のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤であって、前記方法が、経口吸入によって前記対象に前記乾燥粉末製剤を投与することを含む、前記乾燥粉末製剤。
【請求項46】
ヒト対象における喘息の治療処置及び/または予防処置のための薬剤を製造するための、請求項33~43のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤の使用であって、前記処置が、経口吸入によって前記乾燥粉末製剤を投与することを含む、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口吸入によって、治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を対象に投与することによる、ヒト対象における喘息の治療に関する。本発明はまた、抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息は、肺炎、粘液分泌過多、可変気道閉塞及び気道リモデリングを含む様々な病原性特徴を特徴とする慢性、複雑及び異種の呼吸器疾患である。これは、喘鳴、息切れ、咳等の呼吸器症状の病歴によって定義され、経時的及び重症度において変化する。症状と気道閉塞の両方は、運動、吸入刺激物質への曝露、アレルゲンまたは呼吸器感染症等の様々な要因によって引き起こされる可能性がある。患者は喘息の悪化(増悪)のリスクがある。これらの喘息の増悪は生命を脅かす可能性があり、患者の生活の質に大きな影響を与える可能性がある。ほとんどの喘息患者の治療は、制御剤及び気管支拡張剤療法の治療レジームで構成される。吸入コルチコステロイド(ICS)は喘息の症状を制御するための「ゴールドスタンダード」と考えられており、長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)は現在入手可能な最も効果的な気管支拡張薬である。経口コルチコステロイドは依然として重度の喘息の標準治療であるが、重大な副作用と関連している。一方、抗IgEモノクローナル抗体であるオマリズマブ、ベンラリズマブ、メポリズマブ及びレスリズマブ、抗IL-5抗体、ならびにIL-4Rα及びIL-13のモノクローナル抗体遮断剤であるデュピルマブ(米国)は、重度の患者に限られた数の選択肢を提供する。さらに、患者はしばしばICS/LABA及び限られた数の代替療法ですら制御されないままであり、重要な満たされていないニーズを強調している(Ray,A.,et al.,2016,Current concepts of severe asthma.J.Clin.Invest.126,2394-2403)。
【0003】
インターロイキン-4、インターロイキン-13、インターロイキン-4受容体アルファ、及び転写因子-6の信号伝達物質及び活性化因子は、喘息における気道炎症、粘液産生、及び気道高応答性の発症における重要な構成要素である。
【0004】
リポカリンは、リガンドに結合するために自然に進化したタンパク質性結合分子である。リポカリンは、脊椎動物、昆虫、植物、細菌を含む多くの生物に存在する。リポカリンタンパク質ファミリーのメンバー(Pervaiz,S.,&Brew,K.(1987)FASEB J.1,209-214)は、典型的には小さい分泌タンパク質であり、単一のポリペプチド鎖を有する。それらは、異なる分子認識特性の範囲によって特徴付けられる:それらの様々な、主に疎水性分子(例えば、レチノイド、脂肪酸、コレステロール、プロスタグランジン、ビリバージン、フェロモン、タスタント、及び臭気剤)に結合する能力、それらの特定の細胞表面受容体への結合、及びそれらの巨大分子複合体の形成。過去には主に輸送タンパク質として分類されていたが、現在ではリポカリンが様々な生理学的機能を果たしていることが明らかになった。これらには、レチノール輸送、嗅覚、フェロモンシグナル伝達、及びプロスタグランジンの合成における役割が含まれる。リポカリンはまた、免疫応答の調節及び細胞ホメオスタシスの媒介にも関与している(例えば、Flower,D.R.(1996)Biochem.J.318,1-14及びFlower,D.R.et al.(2000)Biochim.Biophys.Acta1482,9-24に概説されている)。
【0005】
リポカリンは、異常に低いレベルの全体的な配列保存を共有し、多くの場合、配列同一性は20%未満である。対照的に、それらの全体的な折りたたみパターンは非常に保存されている。リポカリン構造の中心部分は、連続的に水素結合されたβバレルを形成するためにそれ自体で閉じられた単一の8本鎖の抗平行βシートからなる。このβバレルは、中央空洞を形成する。バレルの一端は、その底を横切るN末端ペプチドセグメント、ならびにβ鎖を接続する3つのペプチドループによって立体的にブロックされる。βバレルの他端は溶媒に対して開放されており、4つの可撓性ペプチドループによって形成される標的結合部位を包含する。剛性のあるリポカリン足場内のループのこの多様性が、異なるサイズ、形状、及び化学的特性の標的を各々収容することができる様々な異なる結合モードを生じさせる(例えば、Flower,D.R.(1996),上記、Flower,D.R.et al.(2000),上記、またはSkerra,A.(2000)Biochim.Biophys.Acta 1482,337-350に概説されている)。
【0006】
ヒト涙液リポカリン(TLPCまたはTlc)は、リポカリン-1、涙液プレアルブミン、またはフォンエブナー腺タンパク質とも呼ばれ、もともとヒト涙液の主要なタンパク質(総タンパク質含有量の約3分の1)として説明されていたが、前立腺、副腎、胸腺、乳腺、精巣、鼻粘膜及び気管粘膜、ならびに下垂体の副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞を含む他のいくつかの分泌組織でも同定されている。相同タンパク質は、アカゲザル、チンパンジー、ラット、マウス、ブタ、ハムスター、ウシ、イヌ、及びウマに見出されている。涙液リポカリンは、他のリポカリンと比較した場合に、異常に広いリガンド特異性を示すという点で、また相対的不溶性脂質に対する高い無差別性において、異常なリポカリンメンバーである(Redl,B.(2000)Biochim.Biophys.Acta1482;241-248を参照されたい)。涙液リポカリンのこの特徴は、角膜での細菌及び真菌の成長を阻害するタンパク質の機能に起因すると考えられている。脂肪酸、脂肪アルコール、リン脂質、糖脂質及びコレステロール等の異なる化学クラスの注目すべき数の親油性化合物は、このタンパク質の内因性リガンドである。興味深いことに、他のリポカリンとは対照的に、涙液リポカリンに結合するリガンド(標的)の強度は、アルキルアミド及び脂肪酸の両方について炭化水素尾の長さと相関する。したがって、涙液リポカリンは、最も溶けにくい脂質に最も強く結合する(Glasgow,B.J.et al.(1995)Curr.Eye Res.14,363-372、Gasymov,O.K.et al.(1999)Biochim.Biophys.Acta 1433,307-320)。涙液リポカリンの1.8-A結晶構造は、そのβバレル内の異常に大きな空洞を明らかにした(Breustedt,D.A.et al.(2005)J.Biol.Chem.280,1,484-493)。
【0007】
国際特許出願第2005/19256号は、異なるまたは同じ標的リガンドに対する少なくとも1つの結合部位を有する涙液リポカリンのムテインを開示し、ヒト涙液リポカリンのかかるムテインの生成のための方法を提供する。このPCT出願によれば、特定のアミノ酸は、涙液リポカリンの一次配列内で伸長し、特に、成熟ヒト涙液リポカリンのアミノ酸7-14、24-36、41-49、53-66、69-77、79-84、87-98、及び103-110を含むループ領域は、結合親和性を有するムテインを生成するために突然変異誘発を受ける。得られたムテインは、ナノモル範囲、ほとんどの場合>100nMの選択されたリガンド(K)に対する結合親和性を有する。国際特許出願第2008/015239号は、IL-4受容体アルファを含む所与の非天然リガンドに結合する涙液リポカリンのムテインを開示している。結合親和性はナノモル範囲である。国際特許出願第2011/154420号は、ナノモル範囲のヒトIL-4受容体アルファに結合するヒト涙液リポカリンの高親和性ムテイン、及びそのような高親和性ムテインを産生するための方法を記載している。国際特許出願第2013/087660号は、IL-4/IL-13経路が喘息を含む疾患発症に寄与する疾患を治療するためのヒト涙液リポカリンのムテインの使用を記載している。
【0008】
国際特許出願第2020/200960号は、吸入、例えば噴霧によって喘息を治療するためのヒト涙液リポカリンのムテインの使用を記載しており、リポカリンムテインの送達用量は、約0.1mg~約160mgである。
【0009】
リポカリンムテイン等の活性剤の肺送達の利点は、患者の自己投与の利便性、薬物副作用の低減の可能性、吸入による送達の容易さ、針の排除等を含む。吸入タンパク質、ペプチド、DNA及び小分子を用いた多くの臨床研究は、有効性が肺内及び全身の両方で達成できることを実証している。しかしながら、送達のために高いペイロードを必要とする多くの分子、特に生物学的分子は、吸入可能な製剤の開発のための問題を提示する。製剤は、生物学的ペイロード、例えば、リポカリンムテインに安定性を提供しなければならず、患者の肺への送達を容易にするために望ましい物理的特性も維持しながら、スケーラブルな製造可能性を有しなければならない。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、製剤化前試験、健康な対象における吸入による抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)ヒト涙液リポカリンAZD1402の薬物動態(PK効果)を評価するためのヒトにおける第I相交差臨床試験、及び乾燥粉末として喘息を有するヒト患者に投与されるAZD1402の有効性及び安全性を評価するための2部構成の第IIa相試験に基づいている。AZD1402のアミノ酸配列を、配列番号1として表70に示す。AZD1402は、IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)をアンタゴナイズし、吸入用に設計されている。
【0011】
これらの研究に基づいて、本発明は、ヒト対象における喘息の治療方法を提供し、本方法は、治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を吸入によって上記対象に投与することを含み、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって上記対象に投与される。
【0012】
本発明はまた、ヒト対象における喘息を治療するための方法で使用するための、治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を提供し、本方法は、吸入によって乾燥粉末製剤を投与することを含み、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与され、抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0013】
さらに、本発明は、ヒト対象における喘息の治療及び/または予防処置のための薬剤の製造のための治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤の使用を提供し、治療は、吸入によって乾燥粉末製剤を投与することを含み、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与され、抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0014】
本発明の上記の態様のいずれかにおいて、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。
【0015】
本発明の上記の態様のいずれかにおいて、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、約0.5mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約1mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約2mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約3mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約4mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約5mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約6mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約10mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与されてもよい。
【0017】
別の態様において、本発明はまた、ヒト対象における喘息を治療するための方法であって、方法は、治療有効量の、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を、吸入によって上記対象に投与することを含み、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって上記対象に投与される、方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、ヒト対象における喘息を治療するための方法で使用するための、治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を提供し、本方法は、吸入によって乾燥粉末製剤を投与することを含み、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与され、抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0019】
さらに、本発明は、ヒト対象における喘息の治療及び/または予防処置のための薬剤の製造のための治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤の使用を提供し、治療は、吸入によって乾燥粉末製剤を投与することを含み、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、経口吸入によって上記対象に投与され、抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0020】
これらの態様のいずれかにおいて、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mgまたは約36mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。
【0021】
これらの態様のいずれかにおいて、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、約0.55mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約0.6mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約1.1mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約2.2mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約3.3mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約4.4mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約5.5mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約6.6mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約11.1mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約12mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、約36mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与されてもよい。
【0023】
上記の本発明の態様または実施形態のいずれかにおいて、リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、少なくとも1日1回、上記対象に投与され得る。いくつかの実施形態において、リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、1日1回、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、1日2回、上記対象に投与される。
【0024】
いくつかの実施形態において、1日1回、上記対象に投与される上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgである。
【0025】
いくつかの実施形態において、1日1回、上記対象に投与される上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約2.5mgである。いくつかの実施形態において、1日1回、上記対象に投与される上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約5mgである。いくつかの実施形態において、1日1回、上記対象に投与される上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約10mgである。いくつかの実施形態において、1日1回、上記対象に投与される上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約15mgである。いくつかの実施形態において、1日1回、上記対象に投与される上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約20mgである。いくつかの実施形態において、1日1回、上記対象に投与される上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約25mgである。
【0026】
いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgである。
【0027】
いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgである。
【0028】
いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約0.5mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約1mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約2mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約3mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約4mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約5mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約6mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約10mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称送達用量は、約30mgである。
【0029】
いくつかの実施形態において、約1mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、例えば、1日当たりの総公称送達用量が、約1mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgとなるように、例えば、1日当たり、1回、2回、またはそれ以上の用量で上記対象に投与される。
【0030】
いくつかの実施形態において、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mg、約10mg、約12mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日当たりの総公称送達用量が、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mg、約10mg、約12mg、約20mg、または約60mgとなるように、1日当たり対象に送達される、1日当たり、例えば、1日当たり1回、2回、またはそれ以上の用量で上記対象に投与される。
【0031】
いくつかの実施形態において、1日当たり、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与され、例えば、1日当たりの総公称送達用量が、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgとなるように、1日当たり、例えば、1回、2回、またはそれ以上の用量が、上記対象に投与される。
【0032】
いくつかの実施形態において、1日当たり約1mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約2mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約2.5mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約4mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約5mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約6mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約8mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約10mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約12mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約15mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約20mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約25mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり約60mgの総公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。
【0033】
いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgである。
【0034】
いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgである。
【0035】
いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約0.55mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約0.6mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約1.1mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約2.2mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約3.3mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約4.4mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約5.5mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約6,6mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約11.1mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約12mgである。いくつかの実施形態において、1日2回、上記対象に投与される、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての公称計量用量は、約36mgである。
【0036】
いくつかの実施形態において、1日当たり、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約6.6mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与され、例えば、1日当たりの総公称計量用量が、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約6.6mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgとなるように、1日当たり、1回、2回、またはそれ以上の用量が、上記対象に投与される。
【0037】
いくつかの実施形態において、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約4.4mg、約6.6mg、約8.8mg、約11mg、約13.2mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、1日当たり、例えば、1日当たりの総公称計量用量が約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約4.4mg、約6.6mg、約8.8mg、約11mg、約13.2mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgとなるように、1日当たり、上記対象に投与される。
【0038】
いくつかの実施形態において、1日当たり、約1.1mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約1.2mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約2.2mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約4.4mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約6,6mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約8.8mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約11mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約13.2mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約22.2mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約24mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約72mgの総公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、上記対象に投与される。
【0039】
本発明の記載された態様及び実施形態のいずれかにおいて、製剤は複数の微小粒子を含み得、微小粒子は上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0040】
本発明のいずれかの記載される態様のいくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、単独でまたはそれらの任意の組み合わせのいずれかで、トレハロース、ロイシン及び/またはトリロイシンを含む。例えば、いくつかの好ましい実施形態において、乾燥粉末製剤は、(i)トレハロース、(ii)トレハロース及びロイシン、(iii)トレハロース、ロイシン及びトリロイシン、または(iv)トレハロース及びトリロイシンを含み得る。
【0041】
本発明のいずれかの記載された態様のいくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、緩衝剤としてのリン酸緩衝剤、例えば、リン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等の緩衝剤、ならびに塩化ナトリウム等の等張化剤をさらに含む。
【0042】
別の態様において、本発明は、乾燥粉末製剤を提供し、上記製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、単独でまたはそれらの任意の組み合わせのいずれにおいても、トレハロース、ロイシン及び/またはトリロイシンを含む。例えば、いくつかの好ましい実施形態において、乾燥粉末製剤は、(i)トレハロース、(ii)トレハロース及びロイシン、(iii)トレハロース、ロイシン及びトリロイシン、または(iv)トレハロース及びトリロイシンを含み得る。最も好ましい実施形態において、乾燥粉末製剤は、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、例えば、リン酸緩衝剤、例えば、リン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等の緩衝剤、ならびに塩化ナトリウム等の等張化剤をさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、ヒスチジン緩衝液等の緩衝剤、及び塩化ナトリウム等の等張化剤をさらに含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、上記製剤が経口吸入によって上記対象に投与されるときに、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する。
【0047】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、上記製剤が経口吸入によって上記対象に投与されるときに、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、上記製剤が経口吸入によって上記対象に投与されるときに、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mgまたは約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、上記製剤が経口吸入によって上記対象に投与されるときに、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態において、公称送達用量は約0.5mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約1mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約2mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約2.5mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約3mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約4mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約5mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約6mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約10mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約15mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約20mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約25mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約30mgである。
【0051】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、経口吸入による上記対象への投与のために、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、経口吸入によって上記対象に投与するために、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、経口吸入による上記対象への投与のために、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mgまたは約36mgの公称計量用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態において、公称計量用量は約0.55mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約0.6mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約1.1mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約2.2mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約3.3mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約4.4mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約5.5mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約6.6mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約11.1mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約12mgである。いくつかの実施形態において、公称計量用量は約36mgである。
【0055】
本発明の態様または実施形態のいずれかにおいて、乾燥粉末製剤は、複数の微小粒子を含み得、微小粒子は、上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
【0056】
本発明はまた、ヒト対象における喘息を治療するための方法を提供し、本方法は、上記の実施形態のいずれかに記載の乾燥粉末製剤を経口吸入によって上記対象に投与することを含む。
【0057】
本発明はまた、ヒト対象における喘息を治療するための方法において使用するための、上記の実施形態のいずれかに記載の乾燥粉末製剤を提供し、本方法は、経口吸入によって上記対象に乾燥粉末製剤を投与することを含む。
【0058】
さらに、本発明は、ヒト対象における喘息の治療処置及び/または予防処置のための薬剤を製造するための、上記の実施形態のいずれかに記載の乾燥粉末製剤の使用を提供し、処置は、経口吸入によって上記対象に乾燥粉末製剤を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明の原理を例示する実施形態及び実験は、以下の付属の図面を参照してここに説明される。
図1】実施例16に記載の第I相臨床試験の試験フローチャートを示す。試験製品A:InnoSpire Goネブライザーを介して投与される、18mgの公称用量のAZD1402ネブライザー溶液。試験製品B:Plastiape Monodose吸入器を介して投与される、10mgの公称送達用量のAZD1402吸入粉末。試験製品C:Plastiape Monodose吸入器を介して投与される、30mgの公称送達用量のAZD1402吸入粉末。
図2】InnoSpire Goネブライザー(18mg公称送達用量)、Plastiape Monodose吸入器(10mgまたは30mg公称送達用量)を介した吸入後のAZD1402対時間の幾何平均(*/SD)血清濃度(ng/mL)を示す(薬物動態分析セット-線形スケール)。A:InnoSpire Goネブライザーを介して投与されるネブライザー溶液(18mg公称送達用量)、B:Plastiape Monodose吸入器(10mg公称送達用量)を介して投与される吸入粉末、C:Plastiape Monodose吸入器を介して投与される吸入粉末(30mg公称送達用量)。SD:標準偏差。N:対象の数幾何平均/SD:exp(平均[log{PK濃度}]-std[log{PK濃度}])。幾何平均*SD:exp(平均[log{PK濃度}]+std[log{PK濃度)}])。垂直線は、幾何平均*/SDを表す。
図3】InnoSpire Goネブライザー(18mg公称送達用量)、Plastiape Monodose吸入器(10mgまたは30mg公称送達用量)を介した吸入後のAZD1402対時間の幾何平均(*/SD)血清濃度(ng/mL)を示す(薬物動態分析セット-半対数スケール)。A:InnoSpire Goネブライザーを介して投与されるネブライザー溶液(18mg公称送達用量)、B:Plastiape Monodose吸入器(10mg公称送達用量)を介して投与される吸入粉末、C:Plastiape Monodose吸入器を介して投与される吸入粉末(30mg公称送達用量)。SD:標準偏差。N:対象の数。幾何平均/SD:exp(平均[log{PK濃度}]-std[log{PK濃度}])。幾何平均*SD:exp(平均[log{PK濃度}]+std[log{PK濃度)})。垂直線は、幾何平均*/SDを表す。
図4】1日に1回及び2日に1回、5mg及び1mgの用量をそれぞれ12日間投与した後のAZD1402定常状態血清濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の態様及び実施形態は、添付の図面を参照して説明される。さらなる態様及び実施形態は、当業者には明白であろう。本明細書で言及される全ての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
本発明は、ヒト対象における喘息を治療する方法に関する。喘息は、例えば、中等度または重度の喘息であってもよい。中等度の喘息では、患者はフレーズで話すことができ、呼吸数が増加し、副筋は使用されず、脈拍数は100~120bpmであり、酸素飽和度(空気中)は90~95%であり、ピーク呼気流量(PEF)は>50%予測または最良である(Pocket Guide for Asthma Management and Prevention,Global Initiative for Asthma,Updated2020)を参照されたい)。重度の喘息では、患者は単語で話し、呼吸数は>30/分であり、副筋が使用され、脈拍数は>120bpmであり、酸素飽和度(空気中)は<90%である。いくつかの実施形態において、喘息はアレルギー性喘息である。
【0062】
喘息の治療方法は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を投与することを含む。
【0063】
「治療有効量」は、それを投与した目的である効果を生む用量を意味する。本明細書に記載のリポカリンムテインの「治療上有効な量」は、年齢、体重、全般的な健康、性別、食生活、投与時間、薬物相互作用、及び状態の重症度等の要因に応じて変化し得ることが必要であり得、これは、当業者によって慣習的な実験によって確認可能であろう。治療有効量は、本出願において使用される場合、治療上有益な効果がリポカリンムテインの任意の毒性または有害な効果を上回るものでもある。
【0064】
インターロイキン-4受容体アルファ鎖(IL-4Rα)は、B細胞におけるIgE抗体産生を調節するためにインターロイキン4及びインターロイキン13に結合することができるI型膜貫通タンパク質である。T細胞の中で、コードされたタンパク質は、インターロイキン4に結合して、Th2細胞の分化を促進することもできる。
【0065】
リポカリンムテイン
IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)に特異的なリポカリンムテイン、特にヒトIL-4Rαは、国際特許公開第2008/015239号、同第2011/154420号、及び同第2013/087660号に開示されている。ヒトインターロイキン-4受容体アルファ鎖は、配列番号4として示される、SWISS PROTデータバンク受託番号P24394のアミノ酸配列、またはその断片を有し得る。ヒトインターロイキン-4受容体アルファ鎖の断片の例示的な例としては、IL-4受容体アルファのアミノ酸26~232が挙げられる。
【0066】
配列番号1に示すアミノ酸配列を有するIL-4Rα特異的リポカリンムテインは、ヒト涙液リポカリンのムテインである。
【0067】
本明細書で使用される場合、「ムテイン」は、好ましくは、配列番号:3として示される成熟ヒト涙液リポカリンである天然の(野生型)核酸またはタンパク質「参照」足場と比較して、1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の交換、欠失、または挿入を指す。上記「参照足場」はまた、本明細書に記載のムテイン、またはその断片もしくはバリアントを含む。
【0068】
ヒト涙液リポカリンのアミノ酸配列は、配列番号2に示される、SWISS-PROTデータバンク受託番号P31025によって提供される。成熟ヒト涙液リポカリンは、SWISS-PROT受託番号P31025の配列に含まれるN末端シグナルペプチド、すなわち、SWISS-PROT受託番号P31025の配列に含まれるN末端シグナルペプチド(アミノ酸1~18)を欠く。成熟ヒト涙液リポカリンのアミノ酸配列は、配列番号3に示される。
【0069】
本発明で使用するリポカリンムテインは、配列番号1、またはそのバリアントもしくは断片を含む。配列番号1として示されるリポカリンムテインは、配列番号3として示される成熟ヒト涙液リポカリンのバリアントであり、これは、最初の4つのアミノ酸を欠き、とりわけ、配列番号3として示される成熟ヒト涙液リポカリンのアミノ酸配列の配列位置に対応する位置で以下のアミノ酸置換を含む。Arg26→Ser、Glu27→Arg、Phe28→Cys、Glu30→Arg、Met31→Ala、Asn32→Val、Leu33→Tyr、Glu34→Asn、Met55→Ala、Leu56→Gln、Ile57→Arg、Ser58→Lys、Cys61→Trp、Glu63→Lys、Asp80→Ser、Lys83→Arg、Glu104→Leu、Leu105→Cys、His106→Pro、及びLys108→Gln。
【0070】
いくつかの実施形態において、本発明で使用されるリポカリンムテインは、配列番号1、またはそのバリアントもしくは断片を含む。配列番号1として示されるリポカリンムテインは、配列番号3として示される成熟ヒト涙液リポカリンのバリアントであり、これは、最初の4つのアミノ酸を欠き、とりわけ、配列番号3として示される成熟ヒト涙液リポカリンのアミノ酸配列の配列位置に対応する位置で以下のアミノ酸置換を含む。Arg26→Ser、Glu27→Arg、Phe28→Cys、Glu30→Arg、Met31→Ala、Asn32→Val、Leu33→Tyr、Glu34→Asn、Val53→Phe、Met55→Ala、Leu56→Gln、Ile57→Arg、Ser58→Lys、Cys61→Trp、Glu63→Lys、Val64→Tyr、Ala66→Leu、Asp80→Ser、Lys83→Arg、Tyr100→His、Cys101→Ser、Glu104→Leu、Leu105→Cys、His106→Pro、Lys108→Gln、Arg111→Pro、Lys114→Trp、及びCys153→Ser。
【0071】
バリアント
本明細書で使用される場合、「バリアント」という用語は、例えば、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列の置換、欠失、挿入、及び/または化学修飾によって変異を含むタンパク質またはポリペプチドの誘導体に関する。いくつかの実施形態において、そのような変異及び/または化学修飾は、タンパク質またはペプチドの機能を低下させない。かかる置換は保存的であってもよく、すなわち、アミノ酸残基が化学的に類似したアミノ酸残基で置き換えられる。保存的置換の例は、以下の群のメンバー間の置換である:1)アラニン、セリン、及びスレオニン、2)アスパラギン酸及びグルタミン酸、3)アスパラギン及びグルタミン、4)アルギニン及びリジン、5)イソロイシン、ロイシン、メチオニン、及びバリン、及び6)フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン。かかるバリアントには、タンパク質またはポリペプチドが含まれ、1つ以上のアミノ酸は、それぞれのD-立体異性体、または天然に存在する20個のアミノ酸以外のアミノ酸(例えば、オルニチン、ヒドロキシプロリン、シトルリン、ホモセリン、ヒドロキシリジン、ノルバリン等)によって置換されている。かかるバリアントには、例えば、1つ以上のアミノ酸残基が、N末端及び/またはC末端で付加または欠失されるタンパク質またはポリペプチド、例えば、N末端からの4つのアミノ酸の欠失、及び/またはC末端からの2つのアミノ酸の欠失も含まれる。一般に、バリアントは、天然配列タンパク質またはポリペプチドと少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有する。バリアントは、好ましくは、それが由来するタンパク質またはポリペプチドの生物学的活性、例えば、同じ標的への結合を保持する。
【0072】
したがって、本発明による配列番号1に記載のアミノ酸を含むリポカリンムテインのバリアントは、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有し、IL-4受容体アルファ、特にヒトIL-4Rα、またはその断片に結合する能力を保持する。好ましくは、リポカリンムテインのバリアントは、IL-4がIL-4Rαに結合を阻害することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明による配列番号1に記載のアミノ酸を含むリポカリンムテインのバリアントは、配列番号3として示される、成熟ヒトティアリポカリンのアミノ酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約72%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有し、IL-4受容体アルファ、特にヒトIL-4Rα、またはその断片に結合する能力を保持する。好ましくは、リポカリンムテインのバリアントは、IL-4がIL-4Rαに結合を阻害することができる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」または「同一性」という用語は、それらの類似性または関係を測定する配列の特性を示す。本開示で使用される「配列同一性」または「同一性」という用語は、本開示のタンパク質またはポリペプチドの配列と問題の配列との(相同な)アラインメント後の、これら2つの配列のうちの長い方の残基の数に関して、対での同一の残基の割合を意味する。配列同一性は、同一のアミノ酸残基の数を残基の総数で割り、それに100を乗じることによって測定される。
【0075】
当業者は、標準的なパラメータを使用して配列同一性を決定するための利用可能なコンピュータプログラム、例えばBLAST(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,1997)、BLAST2(Altschul et al.,J Mol Biol,1990)、FASTA(Pearson and Lipman(1988)の方法を利用する)、Altschul et al.(1990)上記のTBLASTNプログラム、GAP(Wisconsin GCG package,Accelerys Inc、San Diego USA)及びSmith-Waterman(Smith and Waterman,J Mol Biol,1981)、を理解するであろう。配列同一性のパーセンテージは、例えば、BLASTP、バージョン2.2.5、2002年11月16日(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,1997)を使用して、本明細書において決定される。本実施形態において、相同性のパーセンテージは、ポリペプチド配列、好ましくはペアワイズの比較の参照として、野生型タンパク質足場を含む、タンパク質またはポリペプチド配列全体(マトリクス:BLOSUM62、ギャップコスト:11.1、カットオフ値10-3)の配置に基づく。これは、BLASTPプログラム出力の結果として示される「陽性」(相同アミノ酸)の数のパーセンテージを、アラインメントのためにプログラムによって選択されるアミノ酸の総数で割ったものとして計算される。配列同一性は、アルゴリズムGAP(Wisconsin GCG package,Accelerys Inc,San Diego USA)を参照して一般的に定義される。GAPは、Needleman及びWunschのアルゴリズムを使用して2つの完全な配列を整列させ、マッチの数を最大化し、アミノ酸の追加または欠失の結果である整列内の空間であるギャップの数を最小化する。一般に、デフォルトパラメータが使用され、ギャップ生成ペナルティが12に等しく、ギャップ拡張ペナルティが4に等しい。
【0076】
具体的には、リポカリン(ムテイン)のアミノ酸配列のアミノ酸残基が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するリポカリンムテインと異なるかどうかを判定するために、当業者は、当技術分野で公知の手段及び方法、例えば、アルゴリズムを、手動で、またはBLAST2.0(Basic Local Alignment Search Toolを表す)もしくはClustalW等のコンピュータプログラム、または配列アラインメントを生成するのに好適な任意の他の好適なプログラムを使用してのいずれかで使用することができる。したがって、配列番号1は、「参照配列」として機能することができ、一方、本明細書に記載の配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するリポカリンムテインとは異なるリポカリンのアミノ酸配列は、「クエリ配列」として機能する。
【0077】
フラグメント
本開示のリポカリンムテインに関連して本明細書で使用される「断片」という用語は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むリポカリンムテインに由来するタンパク質またはペプチドであって、N末端及び/またはC末端に切断された、すなわち、N末端及び/またはC末端アミノ酸のうちの少なくとも1つを欠くタンパク質またはペプチドに関する。このような断片は、N末端及び/またはC末端アミノ酸のうち、最大1個、最大2個、最大3個、最大4個、最大5個、最大10個、最大15個、最大20個、最大25個、または最大30個(間の全ての数を含む)を欠いていてもよい。例示的な例として、そのような断片は、1つ、2つ、3つ、または4つのN末端及び/または1つまたは2つのC末端アミノ酸を欠いていてもよい。断片は、好ましくは、全長リポカリン(ムテイン)の機能的断片であり、これは、好ましくは、それが由来する全長リポカリン(ムテイン)の結合ポケットを含むことを意味することを理解されたい。例示的な例として、そのような機能的断片は、成熟ヒト涙液リポカリンの線状ポリペプチド配列に対応する位置5~158、1~156、5~156、5~153、26~153、5~150、9~148、12~140、20~135、または26~133に少なくともアミノ酸を含み得る。そのような断片は、配列番号1として示される配列の、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の連続するアミノ酸を含んでよく、通常、アミノ酸配列番号1を有するリポカリンムテインのイムノアッセイにおいて検出可能である。断片は、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有してよい。好ましくは、断片は、IL-4受容体アルファ、特にヒトIL-4Rα、またはその断片に結合する能力を保持する。好ましくは、リポカリンムテインの断片は、IL-4がIL-4Rαに結合するのを阻害することができる。
【0078】
本開示の対応する標的IL-4Rα(UniProt P24394に記載され、25残基シグナルペプチドを含まない配列番号4として示される)に関する「断片」は、IL-4RαのN末端及び/またはC末端切断IL-4Rαまたはタンパク質ドメインを指す。本明細書に記載されるIL-4Rαの断片は、本開示のリポカリンムテインによって認識及び/または結合される全長IL-4Rαの能力を保持する。例示的な例として、断片は、配列番号5として示されるUniProt P24394のアミノ酸残基26~232を含む細胞外ドメイン等のIL-4Rαの細胞外ドメインであってよい。
【0079】
投与及び送達用量
喘息の治療方法において、約0.1mg~約30mgの公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、乾燥粉末製剤の経口吸入によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、乾燥粉末製剤の経口吸入によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、乾燥粉末製剤の経口吸入によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約0.5mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約1mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約2mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約3mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約4mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約5mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約6mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約10mgである。いくつかの実施形態において、公称送達用量は約30mgである。公称送達用量は、対象が乾燥粉末製剤を吸入するときに受けるリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の目標量である。例えば、乾燥粉末製剤を投与するために使用されるデバイスのマウスピースから送達されるリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の量であり得る。公称送達用量の計算は、乾燥粉末吸入装置の効率に基づいている。
【0080】
公称計量用量は、吸入デバイスに添加するための乾燥粉末製剤中に存在するリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の目標量である。例えば、公称計量用量は、乾燥粉末製剤としてカプセルに充填されたリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の目標量であり得、目標量は、平均充填重量×平均活性医薬成分(API)含有量である。本明細書に記載の喘息の治療方法において、約0.2mg~約40mgの公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、乾燥粉末製剤の経口吸入によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、約0.65mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、乾燥粉末製剤の経口吸入によって対象に投与される。いくつかの実施形態において、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、乾燥粉末製剤の経口吸入によって対象に投与される。
【0081】
投与頻度
リポカリンムテインは、少なくとも1日1回、好ましくは1日2回(twice per day)、すなわち1日2回(twice daily)、ヒト対象に投与されてもよい。約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、対象に1日に2回(twice per day)、すなわち1日2回(twice daily)投与される場合、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの各用量が、対象に1日に2回(twice per day)、すなわち1日2回(twice daily)投与される。したがって、1日当たりに対象に投与されるリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の総公称送達用量は、約1mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgである。約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、対象に1日2回(twice per day)、すなわち1日2回(twice daily)投与される場合、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mg、または約30mgの各用量が、対象に1日2回(twice per day)、すなわち1日2回(twice daily)投与される。したがって、1日当たりに対象に投与されるリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の総公称送達用量は、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mg、約10mg、約12mg、約20mg、または約60mgである。同様に、約0.65mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、対象に1日2回(twice per day)、すなわち1日2回(twice daily)投与される場合、約0.65mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの各用量が、対象に1日に2回(twice per day)、すなわち1日2回(twice daily)投与される。したがって、1日当たりに対象に投与されるリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の総公称計量用量は、約1.1mg、約2.2mg、約6.6mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgである。約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、対象に1日2回(twice per day)、すなわち、1日2回(twice daily)投与される場合、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約2.2mg、約3.3mg、約4.4mg、約5.5mg、約6.6mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの各用量が、対象に1日2回(twice per day)、すなわち1日2回(twice daily)投与される。したがって、1日当たりに対象に投与されるリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の総公称計量用量は、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約4.4mg、約6.6mg、約8.8mg、約11mg、約13.2mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgである。
【0082】
いくつかの実施形態において、1日当たり、約1mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約1mg、約2mg、約4mg、約6mg、約8mg、約10mg、約12mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約1.1mg、約2.2mg、約6.6mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、対象に投与される。いくつかの実施形態において、1日当たり、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約4.4mg、約6.6mg、約8.8mg、約11mg、約13.2mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、対象に投与される。総公称送達用量または総公称計量用量は、1日当たりの任意の数の用量、例えば、1日当たりの1、2、3、4、または5用量によって達成され得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、約1mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、1日1回、約1mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgの公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を対象に投与することによって達成され得る。同様に、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約6.6mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、1日1回、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約6.6mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの公称計量用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を対象に投与することによって達成され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの総公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片は、1日1回、対象に約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの公称送達用量のリポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を対象に投与することによって達成され得る。
【0085】
乾燥粉末吸入
本発明によるリポカリンムテインは、乾燥粉末製剤の吸入によってヒト対象に投与される。適切には、乾燥粉末製剤は、乾燥粉末吸入器(DPI)を介した吸入を含む肺送達用に製剤化される。乾燥粉末製剤の吸入は、通常、経口吸入による。乾燥粉末製剤は、例えば、カプセル中に存在してもよい。
【0086】
リポカリンムテインの乾燥粉末製剤の吸入投与のための手段及びデバイスは、当業者に既知である。そのような手段及びデバイスとしては、カプセルベースの単回投与乾燥粉末吸入器等の単回投与乾燥粉末吸入器が挙げられる。多用量乾燥粉末吸入器等の、リポカリンムテインの乾燥粉末製剤の肺への吸入投与を指向した好適な他の手段及びデバイスも、当該技術分野で既知である。
【0087】
好ましいカプセルベースの乾燥粉末吸入器は、回転カプセル吸入器、例えば、医療機器指令93/42/EECに従ったクラスI CEマーク付き医療機器であるPlastiape Monodose吸入器、例えば、RPC Plastiape S.p.A RS01 Monodose Model7である。この吸入デバイスは、乾燥粉末形態で薬剤製剤を肺に送達し、自宅、自宅外、及び病院や診療所等の施設での患者による自己投与を目的としている。
【0088】
乾燥粉末製剤
本発明で使用されるリポカリンムテインは、通常、リポカリンムテインに加えて少なくとも1つの成分を含むことができる乾燥粉末製剤の形態で投与される。したがって、本発明に従って使用するための薬学的組成物は、活性成分に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含んでもよい。そのような材料は無毒であるべきであり、有効成分の有効性を妨げるべきではない。
【0089】
例えば、活性剤、すなわちリポカリンムテインに加えて、乾燥粉末製剤は、以下により詳細に記載されるような、安定剤、エアロゾル性能向上剤、緩衝剤、及び等張化剤を含み得る。
【0090】
本明細書で使用される場合、「乾燥粉末製剤」は、好適には約20%未満の水分、より好適には10%未満の水分、約5~6%未満の水分、または約3%未満の水分を含有する粉末組成物中に複数の固体微小粒子を含む製剤を指す。本明細書に記載される場合、乾燥粉末製剤は、好ましくは、患者への吸入を介して送達するために利用され得る。
【0091】
微小粒子
本明細書で使用される「微小粒子」は、20μm未満のサイズ質量平均直径(MMD)を有する固体粒子を指す。質量平均直径は、例えば、遠心沈降、電子顕微鏡、光散乱、レーザー回折を含む適切な方法を使用して測定される、微小粒子の平均粒径の尺度である。
【0092】
本明細書に記載の乾燥粉末製剤は、好適には複数の微小粒子を含有する。本明細書で使用される場合、「複数」は、2つ以上のアイテムを指し、好適には、5個以上、10個以上、50個以上、100個以上、500個以上、1000個以上等を指す。
【0093】
安定剤
好適な実施形態において、本明細書に記載の乾燥粉末製剤は、製剤の安定化、特に活性剤の安定化を支援する安定剤をさらに含む。安定剤とは、好適には乾燥中に活性剤表面の水を置換することによって、または分解工程を阻害することによって、乾燥粉末製剤中の活性剤(好適にはポリペプチド)を安定化させ、活性剤を含む非晶質固体を形成する賦形剤を指す。安定剤の例としては、非晶質糖類、高分子糖、緩衝剤、塩、または合成ポリマー(例えば、ポリ-L-グリコール酸)、ならびにそのような成分の混合物が挙げられる。好適な実施形態において、安定剤は、非晶質糖である。最も好ましくは、安定剤は、トレハロース等の高いガラス転移温度を有する非晶質糖である。トレハロースの化学構造を以下に示す。
【化1】
【0094】
好適には、トレハロースは、乾燥粉末製剤の約0.5%~約99.5%(重量パーセンテージ、w/w%)で存在する。いくつかの実施形態において、トレハロースは、乾燥粉末製剤の約5%~約98%(w/w%)で存在する。好ましい実施形態において、トレハロースは、乾燥粉末製剤の約5%~約95%(w/w%)で存在する。
【0095】
エアロゾル性能向上剤
本発明の乾燥粉末製剤は、好ましくは、トリロイシン及び/またはロイシン等のエアロゾル性能向上剤を含む。
【0096】
「トリロイシン」は、本明細書で利用される場合、ロイシン-ロイシン-ロイシン(Leu-Leu-Leu)、C1835として、3つのロイシン分子がペプチド内で一緒に連結される化合物を指す。トリロイシンの化学構造を以下に示す。
【化2】
【0097】
本明細書で使用される「ロイシン」は、単一のアミノ酸として存在するか、またはペプチドのアミノ酸成分として存在するかにかかわらず、アミノ酸ロイシン(C13NO)を指し、ラセミ混合物であり得るか、またはそのD体またはL体のいずれか、ならびにロイシンの修飾形態(すなわち、ロイシンの1つ以上の原子が別の原子または官能基で置換されている)である。ロイシンの化学構造を以下に示す。
【化3】
【0098】
別段の記載がない限り、本明細書で提供されるロイシン及びトリロイシンの量は、製剤の重量パーセンテージ(重量%またはw/w%)として提供される。乾燥粉末製剤は、実質的にほとんど水を含有しないので、乾燥粉末製剤の重量成分は、したがって、最終製剤の乾燥重量パーセンテージである。
【0099】
例示的な実施形態において、乾燥粉末製剤は、約10重量%~約45重量%のロイシン(w/w%)、または約20重量%~約45重量%のロイシン(w/w%)を含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、約40重量%(w/w%)のロイシンを含む。
【0100】
例示的な実施形態において、乾燥粉末製剤は、約2重量%~約20重量%(w/w%)のトリロイシンを含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、約20重量%(w/w%)のトリロイシンを含む。
【0101】
ロイシン、トリロイシン、及び活性剤を含む製剤の実施形態において、ロイシン及びトリロイシンは、本明細書に記載の改良された圧縮されたかさ密度特性を提供する、ならびに改良された貯蔵及び送達を可能にする所望の微小粒子特性を提供する所望の比率範囲で維持される。いくつかの実施形態において、微小粒子におけるロイシン及びトリロイシンの重量比、すなわち、ロイシン:トリロイシンは、約0.01:1~約20:1である。好ましい実施形態において、微小粒子中のロイシン:トリロイシンの重量比は、約4:1未満である。製剤中に存在するトリロイシンの量をさらに増加させることは、スケールアップ中に、湿気に対する堅牢性及び粒子形態の維持に関して有益な効果をもたらす可能性が高い。
【0102】
特に明記しない限り、本明細書に記載の比は、本明細書に記載の製剤中の重量%(w/w-「重量比」またはw/w%とも称される)、すなわち、ロイシンの重量:トリロイシンの重量として表される。この比率は、所望のmg/mL濃度のロイシン及びトリロイシンを原料中に準備し、次いで乾燥して原料溶媒を除去することにより、開始濃度比(mg/mLで表される)が、ロイシン:トリロイシンの最終重量比として維持される霧化微小粒子をもたらすことによって達成される。
【0103】
これらの比率を達成するために乾燥粉末製剤で利用され得るロイシン及びトリロイシンの例示的な重量パーセンテージが本明細書に記載される。好適には、乾燥粉末製剤は、約5重量%~約15重量%のロイシン(w/w%)及び約1重量%~約5重量%のトリロイシン(w/w%)を含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、約8重量%~約11重量%のロイシン(w/w%)及び約2重量%~約4重量%のトリロイシン(w/w%)を含み、いくつかの好ましい実施形態において、乾燥粉末製剤は、約10重量%のロイシン及び約2.6重量%のトリロイシン(w/w%)を含む。
【0104】
乾燥粉末製剤中のロイシン及びトリロイシンの組み合わせの使用は、これらの成分のうちの1つのみを含有する乾燥粉末製剤と比較して、所望の安定性を提供しながら、微小粒子を調製するために必要なロイシン及び/またはトリロイシンの全量の低減を可能にする。これは、トリロイシン及びロイシンの溶解性の限界を克服し、より高いスループットを提供するのに役立つ。
【0105】
本明細書の実施形態による、乾燥粉末製剤を調製する例示的な工程は、以下のように行われ得る。乾燥粉末製剤の所望の最終成分を含有する液体原料を、噴霧器を用いて微小なミストにする。次いで、ミストを本明細書に記載のように乾燥させる。噴霧された液滴は、最初は液滴として溶解した成分を含有する。液滴が乾燥するにつれて、製剤の異なる成分が飽和し始め、様々な速度で沈殿する。本明細書に記載される場合、シェルが、乾燥粉末製剤の微小粒子の外面の周りに形成され始める。このシェルは、好適には、シェルの外面にロイシン及びトリロイシン成分を含む。ロイシン及びトリロイシンは、微小粒子の外面に優先的に配置されるが、少量のロイシン及びトリロイシン、微小粒子全体にも見出されることができることに留意されたい。実施形態において、より高い濃度のロイシン及びトリロイシンは、微小粒子の中心付近ではなく、微小粒子の表面またはその付近に好適に見出される。微小粒子の表面におけるロイシン及びトリロイシンの存在は、飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)によって分析され得る。いくつかの実施形態において、微小粒子の中心は、本明細書に記載される他の賦形剤成分とともに、好適には非晶質形態にて、相当量の活性剤を含有する。本明細書で使用される場合、活性剤の「相当量」とは、活性剤の少なくとも約60%(すなわち、製剤中の全活性剤の)が、微小粒子の中心またはその付近に位置し、好適には、少なくとも約70%、より好適には、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、及び実施形態において、約95%~100%の活性剤が、微小粒子の中心またはその付近に位置することを意味する。
【0106】
緩衝剤
乾燥粉末製剤に含まれ得る例示的な緩衝剤としては、種々のリン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤(クエン酸ナトリウム等)、ヒスチジン緩衝剤、グリシン緩衝剤、酢酸緩衝剤、及び酒石酸緩衝剤、ならびにそのような緩衝剤の組み合わせが挙げられる。好ましくは、緩衝剤はリン酸緩衝剤である。最も好ましくは、乾燥粉末製剤は、リン酸二水素カリウム及び無水リン酸二ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、約0.01%~5%w/wの緩衝塩を含んでもよい。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、約0.01%~3%w/wの緩衝塩を含んでもよい。
【0107】
緩衝剤はまた、乾燥粉末製剤のpHの制御を提供し、好適には、約pH5~約pH8、例えば、約pH5~約pH6、約pH5.5~約pH6.5、約pH6~約pH7、約pH6.5~約pH7.5、または約pH7~約pH8のpHを維持する。
【0108】
列挙された成分から「本質的になる」組成物及び製剤において、そのような組成物及び製剤は、列挙された成分、及び特許請求される製剤の基本的及び新規な特性に実質的に影響を与えない成分を含有する。特許請求される製剤の基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない成分は、乾燥粉末製剤を安定化させるロイシン及びトリロイシンの能力を制限しない成分である。好適には、本質的に列挙された成分からなる組成物及び製剤は、他のアミノ酸またはトリペプチドアミノ酸を特に除外するが、追加の糖、緩衝剤等を含むことができる。
【0109】
等張化剤
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の乾燥粉末製剤は、塩化ナトリウム等の等張化剤を含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は0~15w/w%の塩化ナトリウムを含む。好適には、乾燥粉末製剤は、約0.4~15w/w%の塩化ナトリウムを含む。
【0110】
微小粒子サイズ
本明細書に記載の乾燥粉末製剤を構成する微小粒子は、エアロゾル形態で提供される場合、好適には、指定された空気力学的質量中央直径(MMAD)を有する。
【0111】
本明細書で使用される場合、「空気力学的質量中央直径」または「MMAD」は、分散した微小粒子の空気力学的サイズの尺度である。空気力学的直径は、その沈降挙動に関してエアロゾル化粉末を記述するために使用され、微小粒子として空気中で同じ沈降速度を有する単位密度球体の直径である。空気力学的直径は、微小粒子の粒子形状、密度、及び物理的サイズを包含する。本明細書で使用される場合、MMADは、別段の指示がない限り、カスケード衝撃によって決定されるエアロゾル化粉末の空気力学的粒径分布の中点または中央値を指す。好適には、本明細書に提供される乾燥粉末製剤の微小粒子は、少なくとも1μm以上、より好適には約1μm~約10μm、約2μm~約8μm、約2μm~約7μm、約2μm~約6μm、約2μm~約5μm、約2μm~約4μm、約2μm~約3μm、約3μm~約4μm、約2μm、または約3μmの空気力学的質量中央直径(MMAD)を有する。
【0112】
好適には、本明細書に記載の微粒子分画(空気力学的粒子直径が5μm未満の乾燥粉末製剤の吸入デバイスから放出される粒子の分画)は、≧50%、より好適には≧60%である。この微粒子分画(FPF)は、患者への送達後にデバイス内に残存する、20%未満、好適には15%未満、10%未満、または5%未満の乾燥粉末製剤の低いデバイス保留に寄与し得る。
【0113】
例示的な乾燥粉末製剤
いくつかの例示的な製剤を以下の表に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0114】
したがって、いくつかの好ましい実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース、ロイシン及びトリロイシンを含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインを含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含む。
【0115】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含み、上記製剤は、上記製剤が経口吸入によって対象に投与される場合、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供し、上記製剤は、経口吸入により上記対象に投与され、製剤は、緩衝剤、例えばリン酸緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含む。
【0116】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含み、上記製剤は、経口吸入によって対象に投与される場合、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mgもしくは約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供し、製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば、緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等の緩衝剤及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含む。
【0117】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含み、上記製剤は、上記製剤が経口吸入によって対象に投与される場合、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供し、製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば、緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム、及び/または塩化ナトリウム等の緩衝剤をさらに含み得る。
【0118】
他の好ましい実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース及びロイシンを含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含む。
【0119】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース及びロイシンを含み、上記製剤は、上記製剤が経口吸入によって対象に投与される場合、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mgもしくは約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供し、製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば、緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等の緩衝剤、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含む。
【0120】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース及びロイシンを含み、上記製剤は、経口吸入によって上記対象に投与される場合、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mgもしくは約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供し、製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば、緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等の緩衝剤、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含む。
【0121】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース及びロイシンを含み、上記製剤は、上記製剤が経口吸入によって上記対象に投与される場合、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供し、上記製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば、緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等の緩衝剤、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含み得る。
【0122】
他の好ましい実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース及びトリロイシンを含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含む。
【0123】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース及びトリロイシンを含み、上記製剤は、経口吸入によって上記対象に投与されるとき、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約10mgもしくは約30mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供し、製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば、緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等の緩衝剤、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含み得る。
【0124】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース及びトリロイシンを含み、上記製剤は、上記製剤が経口吸入によって上記対象に投与される場合、約2.5mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgの公称送達用量の上記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供し、製剤は、緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤、例えば、緩衝剤としてのリン酸二水素カリウム及び/または無水リン酸二ナトリウム等の緩衝剤、及び/または塩化ナトリウム等の張力剤をさらに含み得る。
【0125】
個々の成分のそれぞれは、本明細書に記載される量及び/または比率で存在してもよい。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、以下の表5~16の1つに示されるようなものであってよく、AZD1402は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはその断片もしくはバリアントである。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【0127】
したがって、いくつかの好ましい実施形態において、本発明の乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース、ロイシン及びトリロイシンを含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、リン酸緩衝剤等の緩衝剤をさらに含む。
【0128】
他の好ましい実施形態において、乾燥粉末製剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片、トレハロース及びロイシンを含む。いくつかの実施形態において、乾燥粉末製剤は、リン酸緩衝剤等の緩衝剤をさらに含む。
【0129】
リポカリンムテインを含む乾燥粉末製剤は、単独で、または他の治療と組み合わせて、同時にまたは連続して投与してもよい。例えば、リポカリンムテインは、コルチコステロイド、例えば、吸入コルチコステロイド(ICS)、長時間作用型ベータ2アゴニスト(LABA)、及び/または長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態において、リポカリンムテインは、低または中用量ICS、吸入LABA及び/または吸入LAMAと組み合わせて投与されてもよい。ICSの低中及び高日用量は、Pocket Guide for Asthma Management and Prevention,Global Initiative for Asthma,Updated2020に記載されている。
【0130】
全身曝露
本明細書で使用される場合、「全身曝露」とは、吸入されたリポカリンムテインの実質的な部分が循環系に入り、任意で、全身がリポカリンムテインの影響を受け得ることを意味する。全身曝露は、循環系に入るリポカリンムテインの量が定量可能であることを意味し得る。全身曝露は、定量可能な血流に入るリポカリンムテインの濃度と同等であり得る。この曝露は、経時的に測定され、曲線下面積(AUC)を含む一連のパラメータによって記録され得るリポカリンムテインの血中(血清、血漿、または全血)濃度によって表すことができる。リポカリンムテインへの全身曝露は、バイオマーカーにも影響を与える可能性があり、そのレベルは、リポカリンムテインの濃度、したがって全身曝露に直接相関する可能性がある。「定量可能」または「検出可能」という用語は、全身曝露に関連して使用される場合、リポカリンムテインの血中(血清、血漿または全血)濃度によって表される曝露、または当該技術分野で既知の1つ以上の分析方法によって測定可能なバイオマーカーのレベルによって表される曝露を指す。かかる分析方法には、ELISA、競合ELISA、蛍光滴定、熱量測定法、質量分析(MS)、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等のクロマトグラフィー法が含まれるが、これらに限定されない。また、そのような分析方法を使用して行われる測定は、器具の検出限界、方法の検出限界、及び定量限界等の検出限界に関連付けられることが理解される。
【0131】
薬物動態特性
本明細書に提示される結果は、乾燥粉末製剤の吸入によるリポカリンムテイン10mgの肺への公称送達用量の投与は、噴霧化製剤の吸入によるリポカリンムテイン18mgの公称送達用量の投与として、リポカリンムテインの同等の全身曝露をもたらすことを示す。この文脈における全身曝露は、表69に定義されるように、Cmax、AUC、及びAUClastによって測定した。したがって、乾燥粉末製剤の吸入によるリポカリンムテインの投与は、有利には、噴霧化製剤の吸入によって投与される用量のほぼ2倍と同じレベルの全身曝露レベルを達成する。同様に、Cmax、AUC及びAUClastによって測定される、リポカリンムテインへの全身曝露は、乾燥粉末製剤の吸入によるリポカリンムテイン30mgの肺への公称送達用量の投与後よりも、肺への噴霧化製剤の吸入によるリポカリンムテイン18mgの公称送達用量の投与後または乾燥粉末製剤の吸入によるリポカリンムテイン10mgの肺への公称送達用量の投与後に約73~78%低かった。
【0132】
文脈が別段の定めがない限り、以下の特許請求の範囲を含む、本明細書全体を通して、「含む(comprise)」及び「含む(include)」、ならびに「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、及び「含むこと(including)」等の変化形は、定められた整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。
【0133】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「リポカリンムテイン」への言及は、1つ以上のリポカリンムテインを含む。
【0134】
本明細書で使用される「及び/または」という用語は、本明細書で使用される場合は常に、「及び」、「または」及び「上記用語によって接続された要素の全てまたは任意の他の組み合わせ」の意味を含む。
【0135】
本明細書で使用される「約」または「およそ」という用語は、所与の値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、及びより好ましくは5%以内を意味する。しかしながら、この用語は、具体的な数も含み、例えば、「約20」は、20を含む。
【0136】
本明細書で使用される「少なくとも約」という用語は、具体的な数、例えば、「少なくとも約6」は、6を含む。
【0137】
前述の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示された特徴は、その具体的な形態または開示された機能を実行するための手段、または開示された結果を得るための方法または工程の観点から表されるものであり、必要に応じて、個別に、またはそのような特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で本発明を実現するために利用され得る。
【0138】
本発明は、上述の例示的な実施形態と併せて説明されてきたが、多くの等価な修正及び変形は、本開示が与えられたときに当業者には明白であろう。したがって、上記に示される本発明の例示的な実施形態は、例示的であり、限定的ではないと考えられる。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態への種々の変更が行われ得る。
【0139】
いかなる疑義をも回避するために、本明細書で提供される任意の理論的説明は、読者の理解を向上させる目的で提供される。発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望んでいない。
【0140】
本明細書で使用される任意のセクション見出しは、組織目的のみを目的としており、記載された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0141】
【表17】
【0142】
実施例1-85W/W%のAZD1402及び緩衝塩製剤のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイス内のAZD1402及び緩衝塩を含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表19に列挙されるエアロゾル性能出力を、以下のAZD1402の比率で、製剤で試験した:5.2:1以上(NLT)のPBS。実施例1~15の全てにおいて、全ての製品性能特性評価は、サイズ3カプセルでMonodose RS01デバイスを使用して完了した。次世代インパクター(NGI)分析は、60L/分の空気流量で実施した。
【表18】
【0143】
AZD1402は、当初、NLT50mg/mlの濃度の液体製剤中にあった。AZD1402溶液を水で希釈することにより、50mg/mLの固形物の総濃度で原料溶液を調製した。65℃の出口温度、原料送り速度、1.85ml/分、噴霧器空気、2150リットル/時、及び乾燥ガスフロー、23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とする乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量及び粒子特性を達成した。
【0144】
物理的粉末特性属性からのデータを表19に列挙する。
【表19】
【0145】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、米国薬局方第601章(USP<601>)に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケードインパクター装置は次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、20mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0146】
実施例1~15の全てにおいて、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、指定された標的であるIL-4受容体に対するAZD1402の結合活性を実証する。方法は、抗体捕捉、抗原過剰アッセイであり、AZD1402が抗原である組換えヒトsIL-4アルファ受容体でコーティングされた96ウェルプレート上に固定化され得ることに依存する。固定化されたAZD1402は、一次抗AZD1402抗体を添加し、続いて、HRP酵素で標識された二次抗体が添加されることによって検出される。HRP酵素は、基質の反応を触媒して有色生成物を生成する。有色生成物の量は、存在する二次抗体の量に直接比例し、これは、抗原によって捕捉されたAZD1402の量に直接比例する。様々な既知の濃度のAZD1402の基準を過剰な抗原とともにインキュベートし、較正曲線を構築する。結果として得られる対数濃度対吸光度応答を、4パラメータロジスティック(4PL)曲線フィッティングでプロットする。
【0147】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの12か月の安定性を含む結果を表20に要約する。
【表20】
【0148】
実施例2-トレハロース製剤中の2W/W%のAZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表22に列挙されるエアロゾル性能出力を、2w/w%の薬物負荷及びAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表21】
【0149】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。最初にトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することにより、40~50mg/mLの固形物の総濃度で原料溶液を調製した。65℃の出口温度、原料供給速度2.0ml/分、噴霧器空気2150リットル/時、及び乾燥ガス流23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とする乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量及び粒子特性を達成した。
【0150】
物理的粉末特性属性からのデータを表22に列挙する。
【表22】
【0151】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、20mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0152】
エアロゾル分析の結果を表23に要約する。この製剤は、不十分な特性を示す初期結果のために、安定性に従わなかった。
【表23】
【0153】
実施例3-トレハロース製剤中の60W/W%のAZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表25に列挙されるエアロゾル性能出力を、60w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表24】
【0154】
AZD1402は、最初にNLT 50mg/mLの濃度の液体製剤であった。最初にトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することにより、40~50mg/mLの固形物の総濃度で原料溶液を調製した。65℃の出口温度、原料供給速度2.0ml/分、噴霧器空気2150リットル/時、及び乾燥ガス流23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とする乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量及び粒子特性を達成した。
【0155】
物理的粉末特性属性からのデータを表25に列挙する。
【表25】
【0156】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、20mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0157】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの6か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表26に要約する。
【表26】
【0158】
実施例4-トレハロース-ロイシン製剤中の2W/W%のAZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイス中のトレハロース及びロイシンを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表28に列挙されるエアロゾル性能出力を、2w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表27】
【0159】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にロイシン及びトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度2.0ml/分、噴霧器空気2150リットル/時、及び乾燥ガス流23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とする乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量及び粒子特性を達成した。
【0160】
物理的粉末特性属性からのデータを表28に列挙する。
【表28】
【0161】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0162】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0163】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの6か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表29に要約する。
【表29】
【0164】
実施例5-ロイシン製剤中の60W/W%のAZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表31に列挙されるエアロゾル性能出力を、60w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する配合物で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表30】
【0165】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にトリロイシン及びトレハロースを水中に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、40~50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度6.0ml/分、噴霧器空気6.5kg/時、及び乾燥ガス流40kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とする乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量及び粒子特性を達成した。この製剤は、トリロイシンのソースが問題となっていた時点で、生体活性を含む十分な化学的及び物理的安定性、ならびに保管期間中のエアロゾル性能を有していた。
【0166】
物理的粉末特性属性からのデータを表31に列挙する。
【表31】
【0167】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、20mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0168】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、20mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USP方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0169】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの12か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表32に要約する。
【表32】
【0170】
実施例6-トレハロース-ロイシン製剤中の60W/W%のAZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表34に列挙されるエアロゾル性能出力を、60w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表33】
【0171】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。ロイシン及びトレハロースを最初に水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することにより、40mg/mLの固体の全濃度で原料溶液を調製した。65℃の出口温度、原料供給速度2.0ml/分、噴霧器空気2150リットル/時、及び乾燥ガス流23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とする乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量及び粒子特性を達成した。
【0172】
物理的粉末特性属性からのデータを表34に列挙する。
【表34】
【0173】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、40mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0174】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、40mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USP方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0175】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの6か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表35に要約する。
【表35】
【0176】
実施例7-トレハロース-ロイシン-トリロイシン製剤中の2W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表37に列挙されるエアロゾル性能出力を、2w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表36】
【0177】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にロイシン及びトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度2.0ml/分、噴霧器空気2150リットル/時、及び乾燥ガス流23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とした乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量、粒子特性、及び耐湿性等の改善された物理的堅牢性を達成した。
【0178】
物理的粉末特性属性からのデータを表37に列挙する。
【表37】
【0179】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0180】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0181】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの6か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表38に要約する。
【表38】
【0182】
実施例8-トレハロース-ロイシン-トリロイシン製剤中の60W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表40に列挙されるエアロゾル性能出力を、60w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表39】
【0183】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。ロイシン及びトレハロースを最初に水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することにより、40mg/mLの固体の全濃度で原料溶液を調製した。65℃の出口温度、原料供給速度2.0ml/分、噴霧器空気2150リットル/時、及び乾燥ガス流23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とした乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量、粒子特性、及び耐湿性等の改善された物理的堅牢性を達成した。
【0184】
物理的粉末特性属性からのデータを表40に列挙する。
【表40】
【0185】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、40mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0186】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、40mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USP方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0187】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの6か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表41に要約する。
【表41】
【0188】
実施例9-トレハロース-ロイシン-トリロイシン製剤中の11W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表43に列挙されるエアロゾル性能出力を、11w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表42】
【0189】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にロイシン及びトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度6.0ml/分、噴霧器空気9.5kg/時、及び乾燥ガス流40kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、水分耐性ならびに吸入を目的とした乾燥粉末製剤の生物活性を維持する等の、許容される粒子の性質及び向上された物理的堅牢性を達成した。この製剤は、良好なエアロゾル性能、耐湿性、生物活性等の改善された物理的堅牢性を示し、保管期間を通して物理的及び化学的に安定であった。
【0190】
物理的粉末特性属性からのデータを表43に列挙する。
【表43】
【0191】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0192】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0193】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの6か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表44に要約する。
【表44】
【0194】
実施例10-トレハロース-ロイシン-トリロイシン製剤中の33W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表46に列挙されるエアロゾル性能出力を、33w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表45】
【0195】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にロイシン及びトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度6.0ml/分、噴霧器空気9.5kg/時、及び乾燥ガス流40kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とする乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量及び粒子特性を達成した。この製剤は、良好なエアロゾル性能、耐湿性、生物活性等の改善された物理的堅牢性を示し、保管期間を通して物理的及び化学的に安定であった。
【0196】
物理的粉末特性属性からのデータを表46に列挙する。
【表46】
【0197】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0198】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0199】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの6か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表47に要約する。
【表47】
【0200】
実施例11-トレハロース-ロイシン-トリロイシン製剤中の60W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表49に列挙されるエアロゾル性能出力を、60w/w%の薬物負荷及び以下のAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表48】
【0201】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。ロイシン、トリロイシン及びトレハロースを最初に水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することにより、50mg/mLの固体の全濃度で原料溶液を調製した。65℃の出口温度、原料供給速度6.0ml/分、噴霧器空気9.5kg/時、及び乾燥ガス流40kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータは、吸入を目的とした乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水、粒子特性、及び耐湿性等の改善された物理的堅牢性を達成するために選択された。この製剤は、良好なエアロゾル性能、耐湿性、生物活性等の改善された物理的堅牢性を示し、保管期間を通して物理的及び化学的に安定であった。
【0202】
物理的粉末特性属性からのデータを表49に列挙する。
【表49】
【0203】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、18.5mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0204】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、18.5mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USP方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0205】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの6か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表50に要約する。
【表50】
【0206】
実施例12-3W/W%トリロイシン製剤中の5W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表52に列挙されるエアロゾル性能出力を、5w/w%の薬物負荷及びAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表51】
【0207】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にトリロイシン及びトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度2.0ml/分、噴霧器空気2150リットル/時、及び乾燥ガス流23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とした乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量、粒子特性、及び耐湿性等の改善された物理的堅牢性を達成した。
【0208】
物理的粉末特性属性からのデータを表52に列挙する。
【表52】
【0209】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0210】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0211】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの2か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表53に要約する。
【表53】
【0212】
実施例13-5W/W%トリロイシン製剤中の5W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロースを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表55に列挙されるエアロゾル性能出力を、5w/w%の薬物負荷及びAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT5.2:1のPBS
【表54】
【0213】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にトリロイシン及びトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度2.0ml/分、噴霧器空気2150リットル/時、及び乾燥ガス流23kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、吸入を目的とした乾燥粉末製剤の生物活性を維持するために、許容される水分量、粒子特性、及び耐湿性等の改善された物理的堅牢性を達成した。
【0214】
物理的粉末特性属性からのデータを表55に列挙する。
【表55】
【0215】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0216】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0217】
密封されたアルミニウムポーチに個別に保管されたカプセルの2か月間の安定性を含むエアロゾル分析の結果を表56に要約する。
【表56】
【0218】
実施例14-トレハロース-ロイシン-トリロイシン製剤及びヒスチジン緩衝剤中の10W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表58に列挙されるエアロゾル性能出力を、10w/w%の薬物負荷及びAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT4.1:1のヒスチジン。
【表57】
【0219】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にロイシン及びトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度6.0ml/分、噴霧器空気9.5kg/時、及び乾燥ガス流40kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、水分耐性ならびに吸入を目的とした乾燥粉末製剤の生物活性を維持する等の、許容される粒子の性質及び向上された物理的堅牢性を達成した。この製剤は、良好なエアロゾル性能、耐湿性、生物活性等の改善された物理的堅牢性を示し、保管期間を通して物理的及び化学的に安定であった。
【0220】
物理的粉末特性属性からのデータを表58に列挙する。
【表58】
【0221】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0222】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、10mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0223】
密封されたアルミニウムポーチに個別に格納されたカプセルのエアロゾル分析の結果を表59に要約する。
【表59】
【0224】
実施例15-トレハロース-ロイシン-トリロイシン製剤及びヒスチジン緩衝剤中の50W/W% AZD1402のエアロゾル性能特性
以下の実施例は、乾燥粉末吸入器デバイスにおけるトレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む製剤のエアロゾル性能を評価する。表61に列挙されるエアロゾル性能出力を、50w/w%の薬物負荷及びAZD1402の比率を有する製剤で試験した。NLT4.1:1のヒスチジン。
【表60】
【0225】
AZD1402は、最初、NLT50mg/mLの濃度の液体製剤中にあった。原料溶液を、最初にロイシン及びトレハロースを水に溶解させ、次いでAZD1402溶液に添加することによって、50mg/mLの固体の全濃度で調製した。65℃の出口温度、原料供給速度6.0ml/分、噴霧器空気9.5kg/時、及び乾燥ガス流40kg/時を使用して、供給溶液を噴霧乾燥させた。パラメータを選択して、水分耐性ならびに吸入を目的とした乾燥粉末製剤の生物活性を維持する等の、許容される粒子の性質及び向上された物理的堅牢性を達成した。この製剤は、良好なエアロゾル性能、耐湿性、生物活性等の改善された物理的堅牢性を示し、保管期間を通して物理的及び化学的に安定であった。
【0226】
物理的粉末特性属性からのデータを表61に列挙する。
【表61】
【0227】
乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤のエアロゾル性能を測定するために、USP<601>に従ってカスケード衝撃試験を実施した。使用されたカスケード衝撃装置は、次世代インパクター(NGI;USP41,Chapter<601>)であった。この実施例で行われたエアロゾル測定のために、18.5mgの噴霧乾燥粉末製剤を含む1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USPの方法に従って60L/分の気流速度でNGIに送達した。NGIの各段階からの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイした。
【0228】
Monodose乾燥粉末吸入器デバイスから送達されたときの噴霧乾燥製剤の送達用量試験は、異なる用量収集ユニットを使用しながら、USP<601>に従って実施した。粉末エアロゾルは、堅さのための膨張可能な入口及び焼結ガラスフィルター(孔径40~100μm)を備えたガラス装置、インピーダーに回収される(また、Hugosson S,et al,Pharm Forum 1993;19(No3):5458-5466にも記載されている)。この実施例では、18.5mgの噴霧乾燥粉末製剤を含有する1つのサイズ3のHPMCカプセルを乾燥粉末吸入器デバイスから分散させ、USP方法に従って60L/分(吸入器の4kPaの圧力降下に対応する)の気流速度でインピンジャーに送達した。インピンジャーからの試料を回収し、AZD1402含有量についてアッセイする。
【0229】
密封されたアルミニウムポーチに個別に格納されたカプセルのエアロゾル分析の結果を表62に要約する。
【表62】
【0230】
実施例16.健康な対象におけるAZD1402の単回吸入用量後の吸入デバイス及び製剤の薬物動態への影響を評価するための無作為化非盲検、3期間、3治療、クロスオーバー試験
2.1試験及び用量の論理的根拠
この研究は、AZD1402のPK特性に対する吸入粉末(Plastiape Monodose吸入器を介して送達)の効果を評価し、これまでに実施された研究で投与されたネブライザー溶液(InnoSpire Goを介して送達)と比較することを意図していた。試験結果は、さらなる臨床開発に使用される試験材料のPKプロファイルに関する情報を提供する。PK評価が主要な目的であったため、非盲検設計が選択された。本試験は、健康な対象に実施し、併発疾患状態または薬物療法が試験測定値に及ぼす影響を最小限に抑えるために実施した。対象は、ランダムな順序で3つの試験製品全てを受けた。
【0231】
InnoSpire Goネブライザーの公称投与量18mg(試験製品A)は、これまでに実施された試験において安全かつ忍容性が良好であり、将来の開発プログラムに臨床的に関連し、最大18時間の測定可能な血清濃度を提供したため選択された。
【0232】
Plastiape Monodose乾燥粉末吸入器(DPI)公称送達用量10mg(治療B)を選択して、(計算されたネブライザー及びDPI吸入デバイス効率に基づいて)9mgの治療Aと同等の肺用量を送達した。吸入製剤及びPlastiape Monodose吸入器デバイスの用量比例性を評価するために、30mgのPlastiape Monodose吸入器公称送達用量(試験製品C)を選択した。
【0233】
選択された用量は、最大160mgであるInnoSpire Goネブライザーの公称送達用量をはるかに下回っており、単回漸増用量研究で健康な対象に投与され、安全で忍容性が良好であった(NCT03384290)。
【0234】
2.2全体的な研究設計と計画:説明
この研究は、無作為化、非盲検、3期間、3治療、単回投与、単一センター、クロスオーバー研究であった。この研究では、少なくとも12人の対象が評価可能であることを保証するために、18人の健康な男性及び女性の対象をランダム化した。対象が重要なプロトコル逸脱なしに3つの治療期間全てを完了した場合、対象は評価可能であるとみなされた。各対象は、IMPの全3用量を受けた。この研究においてプラセボは使用しなかった。
【0235】
対象を6つの治療シーケンスのうちの1つに無作為化し、3回の単回投与試験を受けた。
AZD1402の製品を以下に列挙した。
・試験製品A:InnoSpire Goネブライザーを介して投与される、18mgの公称用量のAZD1402ネブライザー溶液。
・試験製品B:Plastiape Monodose吸入器を介して投与される10mgの公称送達用量のAZD1402吸入粉末。
・試験製品C:Plastiape Monodose吸入器を介して投与される30mgの公称送達用量のAZD1402吸入粉末。
【0236】
本研究は、以下を含む:
・AZD1402の最初の投与の最大28日前までのスクリーニング期間。
・対象がAZD1402(Day-1)を投与する前日から投与後少なくとも48時間まで臨床ユニットに居住し、3日目に退院する、3つの治療期間。
・治療期間3のAZD1402の最後の投与から10~12日後のフォローアップ通院。
【0237】
各治療期間は、用量間の最小洗浄期間5日で分離された。全ての対象は、特定の研究関連手順に参加する前にICFに署名した。対象は、AZD1402の最初の用量を受ける前の28日以内にスクリーニング来院に参加した。適格であれば、ベースライン評価を受けたときに治療期間1に戻り、ランダム化された順序で3つの試験製品のうち1つを受けた。各治療期間について、対象は1日目の朝に単回用量のIMPを受け、容量後の48時間にわたってさらなる評価を受けた。
【0238】
研究フローチャートを図1に示す。
【表63】
【0239】
この研究の12mgカプセル(12mg/MD)を製造するために使用した成分の例を、上記の表1に列挙する。
【0240】
2.3 対象の用量の選択とタイミング
各治療期間において、対象はAZD1402の単回吸入用量を受けた。AZD1402を、試験製品A(治療A)のためのInnoSpire Goネブライザーを介してネブライザー溶液として、及び試験製品B(治療B)及び試験製品C(治療C)のためのPlastiape Monodose吸入器を介した吸入粉末として投与した。
【0241】
用量は、少なくとも10時間の一晩の絶食の後に投与された。対象に、IMP投与の1時間前まで脱水を防止するために水を飲むことを許容した。IMP投与1時間後から水を自由に与え、IMP投与2時間後に軽い朝食を提供した。全ての対象は、ランダム化された順序で試験製品を投与された。
【0242】
2.4 対象の配置
合計18名の対象を、計画のとおり、6つの治療群のうち1つに無作為割付した。全ての無作為化された対象は、3つの治療期間中に3つの治験薬(IMP)全て(すなわち、AZD1402の治療A、B、及びC)の単回投与を受けた。各治療期間は、計画のとおり、用量間の最小洗浄期間5日間で分離された。
【0243】
18人の無作為化された対象の各々は、3つの治療期間全てを完了した。試験を中止した、または治療を中止した対象はいなかった。
【0244】
2.5 人口統計
本研究に含まれた対象は全て男性であった。対象の大部分は白人(77.8%)であった。
【0245】
ベースライン時の6つの治療シーケンスにわたって、対象の人口統計学的特徴に関連する差異は観察されなかった。治療シーケンス間の平均年齢の差は、研究における対象の数が少ないため、そして同様に各治療シーケンスにおいて有意であるとは考えられなかった。
【0246】
2.6 薬物動態データの分析
2.6.1 血清濃度
InnoSpire Goネブライザー(18mg送達用量)またはPlastiape Monodose吸入器(10mgまたは30mg送達用量)を介した単回吸入用量後のAZD1402の各対象及び時点の血清濃度の要約統計を図2及び3に提示する。
【0247】
幾何平均血清AZD1402濃度対時間プロファイルを図2(線形スケール)及び図3(半対数スケール)に提示する。試料の実際の収集時間が公称時間から10%を超えてずれた場合、結果は要約統計及び幾何平均プロットから除外された。
【0248】
2.6.2 AZD1402の血清薬物動態パラメータ
血清AZD1402PKパラメータの概要統計を表64に表す重要なPKパラメータの統計解析を表65及び66に表す。
【0249】
第1期E0001133、治療Cからの1つのプロファイルは、1.54ng/mLの陽性投与前濃度を有した。この濃度は5%Cmax未満であり、PK解析から除外した。
【0250】
2つのプロファイルについては、PKパラメータが計算可能でないかまたは制限されていた:E0001133、治療Aは、サンプリング間隔全体にわたって定量限界(BLQ)を完全に下回っており、したがって、PKパラメータは計算可能ではなく、E0001143、治療Aは、1つのみの定量可能な濃度を有し、したがって、Cmax及びtmaxのみが計算可能であった。
【0251】
6つのプロファイルについて、AUC、AUC/D、CL/F、Vz/F及びMRT値は、20%を超えるAUCが外挿されるため、要約統計から除外した。E0001110、治療B;E0001114、治療A及びB;E0001116、治療B及びC;ならびにE0001118、治療B。1つのプロフィール(E0001135、治療C)はR平方<0.8tλzを調節し、tλz依存変数は要約統計から除外した。
【0252】
ネブライザー(治療A、18mg送達用量)またはPlastiape Monodose吸入器(治療B、10mg送達用量または治療C、30mg送達用量)のいずれかを介したAZD1402の吸入の後、3.00~3.50時間の同様の中央値tmaxで持続的かつ比較的長時間の吸収が観察された。個々のtmaxは1.98~8.27hの範囲であり、その範囲は3つの治療全てにわたって類似していた。
【0253】
Cmaxに達した後、AZD1402の血清濃度は、本質的に単相的に低下し、3つの群全てにわたって同様の平均tλz値を示した。治療A、B、及びCについてそれぞれ6.919時間、7.457時間及び6.912時間。データに適用された回帰分析は、概して良好なフィッティング(調整されたR平方>0.8)であり、濃度の低下を適切に反映すると考えられた。
【0254】
治療A及びBの後のプロファイルの大部分及び治療Cの後の3つのプロファイルのtλzは、得られた半減期の3倍未満の期間にわたって計算された。プロファイルは一般的に単相性であり、3つのグループ全てにわたるtλzは一貫していたため、半減期のためにデータは除外されなかった。
【0255】
Plastiape Monodose吸入器を用いた治療B及び治療Cの平均CL/F及びVz/F値は類似していたが、InnoSpire Goネブライザー(治療A)を介した投与後はより高かった。これらのデータは、治療B及びCの後のより高い用量の正規化曝露と組み合わされ、Innospire Go製剤として用量されたときのAZD1402のより低いバイオアベイラビリティと一致する。
【0256】
AZD1402における対象間変動性は、AUCでは中程度から高い(治療A、B、Cではそれぞれ48.79%、35.84%、62.74%)、AUClastでは高い(治療A、B、Cではそれぞれ51.86%、57.71%、68.69%)、Cmaxでは高い(治療A、B、Cではそれぞれ101.1%、47.76%、67.82%)。
【0257】
AZD1402への曝露は、Cmax及びAUCによって判断されるように、治療A及びBの間で類似しており、治療Aの平均AUClastは治療Bの平均AUClastよりもわずかに高かった。推論統計解析により、治療A及びBの間で比較して、Cmax及びAUCの幾何学的LS平均比はそれぞれ105.45%、102.39%であり、AUClastの幾何学的LS平均比は122.21%であったことが示された。3つのパラメータ全てについて、幾何学的LS平均の90%CIは、100%を含んでいた。
【0258】
治療A後の曝露(Cmax、AUC、及びAUClast)は、治療C後の曝露の約27%であった:幾何学的LS平均比(90%CI)は、それぞれ、Cmax、AUC、及びAUClastについて、27.47%(18.90、39.94)、27.09%(20.25、36.24)、及び26.50%(19.40、36.20)であった。
【0259】
治療B後の曝露(Cmax、AUC、及びAUClast)は、治療C後の曝露の約22~26%であった:幾何学的LS平均比(90%CI)は、それぞれ、Cmax、AUC、及びAUClastについて、26.05%(18.03、37.64)、26.46%(19.72、35.50)、及び21.68%(16.04、29.32)であった。
【0260】
2つの乾燥粉末処理B及びCの用量比例性の評価では、Cmax及びAUCの傾き推定値はそれぞれ1.196及び1.259であり、対応する90%CIは1の単位を含み、ほぼ用量比例した増加を示唆した。しかしながら、AUClastの傾き推定値は1をわずかに上回り、1.368(90%CI:1.222、1.614)。
【表64】
【0261】
AUC=時間ゼロから無限まで外挿した血清濃度-時間曲線下の面積、AUC/D=時間ゼロから無限まで外挿した血清濃度-時間曲線下の面積を用量で割ったもの、AUClast=時間ゼロから最後の定量可能な濃度までの血清濃度曲線下の面積、AUClast/D=時間ゼロから最後の定量可能な濃度までの血清濃度曲線下の面積を用量で割ったもの、Cmax=観察された最大血清濃度、Cmax/D=観察された最大血清濃度を用量で割ったもの、tmax=観察された最大濃度に到達する時間、tλz=半対数濃度時間曲線の末端勾配(λz)関連する半減期末端、λz=末端除去率定数、MRT=ゼロから無限までの循環系中の変化しない薬物の平均滞留時間、CL/F=血管外投与後の見かけの血清からの薬物の全身体クリアランス、Vz/F=血管外投与後の終末期中の見かけの分布体積。
【表65】
【表66】
【0262】
2.6.3 薬物動態結論
・InnoSpire Goネブライザーを介したAZD1402ネブライザー溶液またはPlastiape Monodose吸入器を介した吸入粉末の単回投与後、安定した吸収が観察された、tmaxの中央値は3.00~3.50時間の範囲であり、平均t1/2λzは約7時間であり、治療間で同様であった。
・Cmax、AUC及びAUClastによって判断されるように、AZD1402への全身曝露は、18mgの公称送達用量のInnoSpire Goネブライザーと10mgの公称送達用量のPlastiape Monodose吸入器との間で同等であった。
・Cmax、AUC、及びAUClastによって判断されるように、18mgの公称送達用量のInnoSpire Goネブライザーまたは10mgの公称送達用量のPlastiape Monodose吸入器を介した投与後のAZD1402への全身曝露は、30mgの公称送達用量のPlastiape Monodose吸入器を介した投与後の全身曝露よりも約73%~78%低かった。
・Plastiape Monodose吸入器を介した乾燥粉末の単回吸入後のAZD1402のCmax及びAUCは、10~30mgの公称送達用量にわたって大幅に用量比例して増加した。
【0263】
2.7 安全性に関する結論
表67は、3種の単回投与治療で報告されたAEをまとめたものである:A(1日1回18mg)、B(1日1回10mg)及びC(1日1回30mg)、及び全体。
【0264】
合計13人の対象(18人の治療された対象の72.2%)が研究中に少なくとも1回のTEAEを経験した。優先使用語による、最も頻繁に報告されたTEAE(>2名の対象)は、咳(治療A中にエピソードを報告した対象2名、治療B中にエピソードを報告した対象1名、治療C中にエピソードを報告した対象4名)及び頭痛(治療A及び治療B中にエピソードを報告した対象2名、治療C中にエピソードを報告した対象1名)であった。
【0265】
対象の大部分(72.2%)が軽度のTEAEを経験した。残りの対象は、中等度のTEAEを経験した:治療A中の対象2人(11.1%)、治療B中の対象3人(16.7%)、治療C中の対象4人(22.2%)。
【0266】
1人の対象は、過去に小児喘息の病歴があり、ダニ、ネコ、及び樹皮に対するアレルギーが継続していた健康なボランティアであり、治療Cの吸入後の治療期間3中に呼吸器系炎症の予期しない重篤な有害反応(SUSAR)が疑われた(AZD1402吸入粉末、公称投与量は30mg)。対象のFEV1の予測される低下及びC反応性タンパク質レベルは、正常範囲外に上昇し、いずれも、対象がSUSAR発症の21日後に回復したときに投与前レベルに回復した。このSUSARは中程度の強度であり、治験責任医師によってIMPに関連していると考えられた。
【0267】
全体として、この研究の結果は、DPI形態での吸入によって投与されるAZD1402が健康なボランティアにおいて安全であり、肺疾患、例えば喘息を有する患者においてさらなる試験に値することを示す。
【表67-1】
【表67-2】
【0268】
2.8 議論
AZD1402は、インターロイキン4受容体アルファ(IL-4Rα)を標的とする組換え、単一特異性のAnticalin(登録商標)(修飾リポカリン)タンパク質であり、標準治療法で制御されていない患者の中等度から重度の持続性喘息の治療のための吸入療法剤として開発されている。これは、健康な対象におけるAZD1402の単回吸入投与後のPKに対する吸入デバイス及び製剤の効果を評価するための、無作為化された非盲検、3期間、3治療のクロスオーバー研究であった。この研究は、AZD1402のPK特性に対する2つの異なる用量での吸入粉末(Plastiape Monodose吸入器を介して送達)の効果を評価し、これまでに実施された臨床研究で投与されたネブライザー溶液(InnoSpire Goを介して送達)と比較することを目的とした。
【0269】
AZD1402への曝露は、Cmax及びAUCによって判断されるように、治療A及びBの間で類似しており、治療Aの平均AUClastは治療Bよりもわずかに高かった。推論統計解析は、治療A及びBの間で比較して、それぞれCmax及びAUCの幾何学的LS平均比は105.45%、102.39%であり、AUClastの幾何学的LS平均比は122.21%であったことを示した。3つのパラメータ全てについて、幾何学的LS平均の90%CIは、100%を含んでいた。
【0270】
治療A後の薬物曝露(Cmax、AUC、及びAUClast)は、治療C後の約27%であった:Cmax、AUC、及びAUClastについて、幾何学的LS平均比(90%CI)は、それぞれ、27.47%(18.90、39.94)、27.09%(20.25、36.24)、及び26.50%(19.40、36.20)であった。
【0271】
治療B後の薬物曝露(Cmax、AUC、及びAUClast)は、治療C後の約22~26%であった:幾何学的LS平均比(90%CI)は、Cmax、AUC、及びAUClastについて、それぞれ26.05%(18.03、37.64)、26.46%(19.72、35.50)、及び21.68%(16.04、29.32)であった。
【0272】
2つの乾燥粉末治療B及びCの用量比例性の評価により、Cmax及びAUCの傾き推定値はそれぞれ1.196及び1.259であり、対応する90%Ciは1の単位を含み、ほぼ用量比例した増加を示唆した。しかしながら、AUClastの傾き推定値は1をわずかに上回り、1.368(90%CI:1.222、1.614)。
【0273】
選択された用量(InnoSpire Goネブライザーの公称送達用量18mg[治療A]、Plastiape Monodose吸入器の公称送達用量10mg[治療B]、及びPlastiape Monodose吸入器の公称送達用量30mg[治療C])は、SAD研究(PRS-060-PCS_06_17)で健康な対象に投与された160mgまでのInnoSpire Goネブライザーの公称送達用量をはるかに下回り、安全で忍容性が良好であった。
【0274】
2.10 結論
・AZD1402は、InnoSpire Goネブライザーを介したネブライザー溶液またはPlastiape Monodose吸入器を介した吸入粉末の単回投与後に着実に吸収された。Tmaxの中央値は3.00~3.50時間の範囲であり、平均t1/2λzは約7時間であり、治療間で同様であった。
・AZD1402への全身曝露は、18mgの公称送達用量のInnoSpire Goネブライザーと10mgの公称送達用量のPlastiape Monodose吸入器との間で同等であった。
・18mgの公称送達用量のInnoSpire Goネブライザーまたは10mgの公称送達用量のPlastiape Monodose吸入器を使用したAZD1402への全身曝露は、30mgの公称送達用量のPlastiape Monodose吸入器を使用したものよりも低かった。Plastiape Monodose吸入器を介した乾燥粉末の単回吸入後のAZD1402のCmax及びAUCは、10~30mgにわたる公称送達用量で大幅に用量比例して増加した。
・全体的に、DPI形態での吸入によって投与されるAZD1402の安全性は、肺疾患、例えば喘息を有する患者におけるさらなる試験に値する。
【0275】
実施例17 中用量吸入コルチコステロイドの喘息を有する成人における、乾燥粉末として1日2回、4週間投与されるAZD1402の3つの吸入用量レベルの有効性及び安全性を評価するための2部構成の第IIa相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量範囲、多施設試験
これは、吸入AZD1402の有効性及び安全性を評価するための無作為化プラセボ対照二重盲検多施設2部構成の研究である。パート1は、中用量吸入コルチコステロイド(ICS)長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)で制御された喘息患者集団における安全性及び薬物動態(PK)を評価するために、各用量レベルのリードイン(lead-in)コホートで実施され、パート2で中用量ICS-LABAで制御されていない喘息の成人への投与に進行する。パート2は、第1部の関連用量レベルでの安全性及びPKの評価に続いて、各用量レベルについて開始される。パート1及びパート2双方の各参加者の全試験期間は約3.5か月であり、2週間のスクリーニング期間、4週間のランイン期間、4週間の治療期間、及び4週間のフォローアップ期間である。
【0276】
試験のパート1は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照であり、及び2つの低用量レベル(パート1a)について並行して実施され、その後、非盲検の安全性レビューと安全性レビューの結果に応じた最高用量(パート1b)への漸増が行われる。
【0277】
パート1aは、2つのより低いAZD1402乾燥粉末吸入器(DPI)用量(1または3mgの公称送達用量)の1つ、またはプラセボを並行して受けるために1:1:1にランダム化される30人の参加者で構成される。パート1bは、最高用量のAZD1402 DPI(10mgの公称送達用量)またはプラセボを受けるために2:1でランダム化される15人の参加者で構成される。
【0278】
本研究のための1mg、3mg及び10mgカプセルを製造するために使用することができる成分の例を、上記の表2、3及び4に列挙する。
【0279】
パート1a リードインコホート
・AZD1402経口吸入1mgの公称送達用量を、DPIを介して1日2回(BID)
・AZD1402経口吸入3mgの公称送達用量を、DPIを介してBID
・DPIを介したプラセボ経口吸入BID
【0280】
パート1bリードインコホート
・AZD1402経口吸入10mgの公称送達用量を、DPIを介してBID
・DPIを介したプラセボ経口吸入BID
【0281】
パート2は無作為化、二重盲検プラセボ対照であり、360人の参加者を含み、AZD1402の3吸入用量レベルをプラセボと比較して評価する。
【0282】
予定されている診療所訪問とは別に、研究のパート2の4週間の投与は自宅で行われる。2つのより低い用量レベル(1mg及び3mgの公称送達用量)を含むパート2aは、パート1aの非盲検安全性レビュー後に並行して開始される。より高い用量である10mgの公称送達用量(パート2b)は、安全性レビューの結果に応じて、パート1bの非盲検レビュー後にパート2に含める。パート2bが開始されると、3つの用量レベル(及びプラセボ)全てが並行して実行される。
【0283】
パート2には以下が含まれる:
・AZD1402経口吸入1mgの公称送達用量を、DPIを介してBID
・AZD1402経口吸入3mgの公称送達用量を、DPIを介してBID
・AZD1402経口吸入10mgの公称送達用量を、DPIを介してBID
・DPIを介したプラセボ経口吸入BID
【0284】
実施例18-AZD1402の1日1回の投与後の曝露プロファイル
AZD1402の1日1回の投与後の曝露プロファイルを予測するために、単回投与研究NCT03384290(WO2020/200960の実施例2に記載)からの静脈内(i.v.)曝露データを、Nonmem(バージョン7.3.0)を使用して2コンパートメント薬物動態モデルに適合させた。続いて、肺からの吸入AZD1402の吸入速度は、上記の実施例16に記載される研究NCT03384290(WO2020/200960の実施例2に記載される単回漸増用量(SAD)研究)、NCT03574805(WO2020/200960の実施例3及び4に記載される反復漸増用量(MAD)研究)、及びNCT03921268からの吸入曝露データに基づいてモデル化された。最終モデルを使用して、様々な用量の1日1回及び2回の投与後のPK血清曝露をシミュレートした。図4は、1日2回の公称送達用量である1mgと同じ1日の最小血清濃度を達成するために、5倍高い1日1回の公称送達用量(5mg)が必要であることを示す。他の用量に対しても以下の表に要約されているように、1日2回よりも1日1回の投与量が5倍(または1日当たりの総用量の2.5倍)高くなることが必要となることが予測される。
【表68】
【表69-1】
【表69-2】
【表69-3】
【0285】
参考文献
本発明及び本発明が関連する技術の最先端をより完全に説明及び開示するために、いくつかの刊行物が上記に引用される。これらの参考文献の完全な引用は以下に提供される。これらの参考文献のそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
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【0286】
配列
【表70-1】
【表70-2】
【0287】
本発明の態様を説明する以下の番号付き条項は、本発明の説明の一部である。
1.ヒト対象における喘息を治療するための方法であって、前記方法が、治療有効量の、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を、吸入によって前記対象に投与することを含み、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与される、前記方法。
【0288】
2.約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与される、条項1に記載の方法。
【0289】
3.ヒト対象における喘息を治療するための方法であって、前記方法が、治療有効量の、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤を、吸入によって前記対象に投与することを含み、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与される、前記方法。
【0290】
4.約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、条項3に記載の方法。
【0291】
5.前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、少なくとも1日1回、前記対象に投与される、先行条項のいずれか1項に記載の方法。
【0292】
6.前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日2回、前記対象に投与される、条項5に記載の方法。
【0293】
7.1日2回、前記対象に投与される、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての前記公称送達用量が、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgである、条項6に記載の方法。
【0294】
8.1日当たり、約1mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、条項5または6に記載の方法。
【0295】
9.1日2回、前記対象に投与される、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての前記公称計量用量が、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgである、条項6に記載の方法。
【0296】
10.1日当たり、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約6,6mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、条項5または6に記載の方法。
【0297】
11.前記製剤が、複数の微小粒子を含み、前記微粒子が、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、先行条項のいずれか1項に記載の方法。
【0298】
12.前記乾燥粉末製剤が、トレハロースを含む、先行条項のいずれか1項に記載の方法。
【0299】
13.前記乾燥粉末製剤が、ロイシンを含む、先行条項のいずれか1項に記載の方法。
【0300】
14.前記乾燥粉末製剤が、トリロイシンを含む、条項12または13に記載の方法。
【0301】
15.前記乾燥粉末製剤が、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む、条項14に記載の方法。
【0302】
16.ヒト対象における喘息を治療するための方法で使用するための、治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤であって、前記方法が、吸入によって前記乾燥粉末製剤を投与することを含み、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与され、前記抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインが、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む、前記乾燥粉末製剤。
【0303】
17.約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与される、条項16に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0304】
18.ヒト対象における喘息を治療するための方法で使用するための、治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む乾燥粉末製剤であって、前記方法が、吸入によって前記乾燥粉末製剤を投与することを含み、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、経口吸入によって前記対象に投与され、前記抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインが、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはそのバリアントもしくは断片を含む、前記乾燥粉末製剤。
【0305】
19.約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、条項18に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0306】
20.前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、少なくとも1日1回、前記対象に投与される、条項16~19のいずれか1項に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0307】
21.前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日2回、前記対象に投与される、条項20に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0308】
22.1日2回、前記対象に投与される、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての前記公称送達用量が、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgである、条項21に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0309】
23.1日当たり、約1mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgの総公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、条項20または21に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0310】
24.1日2回、前記対象に投与される、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片の各用量についての前記公称計量用量が、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、1日2回、前記対象に投与される、条項21に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0311】
25.1日当たり、約1.1mg、約1.2mg、約2.2mg、約6.6mg、約22.2mg、約24mg、または約72mgの総公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片が、前記対象に投与される、条項20または21に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0312】
26.前記製剤が、複数の微小粒子を含み、前記微粒子が、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、条項16~25のいずれか1項に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0313】
27.前記乾燥粉末製剤が、トレハロースを含む、条項16~26のいずれか1項に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0314】
28.前記乾燥粉末製剤が、ロイシンを含む、条項16~27のいずれか1項に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0315】
29.前記乾燥粉末製剤が、トリロイシンを含む、条項27または28に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0316】
30.前記乾燥粉末製剤が、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む、条項29に記載の使用のための乾燥粉末製剤。
【0317】
31.乾燥粉末製剤であって、前記製剤が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、前記乾燥粉末製剤。
【0318】
32.前記製剤が、トレハロースを含む、条項31に記載の乾燥粉末製剤。
【0319】
33.前記乾燥粉末製剤が、ロイシンを含む、条項31または32に記載の乾燥粉末製剤。
【0320】
34.前記乾燥粉末製剤が、トリロイシンを含む、条項32または33に記載の乾燥粉末製剤。
【0321】
35.前記乾燥粉末製剤が、トレハロース、ロイシン、及びトリロイシンを含む、条項34に記載の乾燥粉末製剤。
【0322】
36.前記製剤が、経口吸入によって前記対象に投与されるとき、前記製剤が、約0.1mg~約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する、条項31~35のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤。
【0323】
37.前記製剤が、経口吸入によって前記対象に投与されるとき、前記製剤が、約0.5mg、約1mg、約3mg、約10mg、または約30mgの公称送達用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を提供する、条項36に記載の乾燥粉末製剤。
【0324】
38.前記製剤が、経口吸入による前記対象への投与のための、約0.2mg~約40mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、条項31~37のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤。
【0325】
39.前記製剤が、経口吸入による前記対象への投与のための、約0.55mg、約0.6mg、約1.1mg、約3.3mg、約11.1mg、約12mg、または約36mgの公称計量用量の前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、条項38に記載の乾燥粉末製剤。
【0326】
40.前記製剤が、複数の微小粒子を含み、前記微小粒子が、前記リポカリンムテイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む、条項31~39のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤。
【0327】
41.ヒト対象における喘息を治療するための方法であって、前記方法が、経口吸入によって条項31~40のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤を投与することを含む、前記方法。
【0328】
42.ヒト対象における喘息を治療するための方法において使用するための、条項31~40のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤であって、前記方法が、経口吸入によって前記対象に前記乾燥粉末製剤を投与することを含む、前記乾燥粉末製剤。
【0329】
43.ヒト対象における喘息の治療処置及び/または予防処置のための薬剤を製造するための、条項31~40のいずれか1項に記載の乾燥粉末製剤の使用であって、前記処置は、経口吸入によって前記乾燥粉末製剤を投与することを含む、前記使用。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
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【国際調査報告】