(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】絶縁性冷却剤分配マニホールド
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20231218BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231218BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
H05K7/20 M
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537033
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 GB2021053285
(87)【国際公開番号】W WO2022129889
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520018266
【氏名又は名称】アイスオトープ・グループ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ICEOTOPE GROUP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドマンズ,ニール
(72)【発明者】
【氏名】アモス,デイビッド
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA09
5E322DA04
5E322EA11
5E322FA01
5F136CB01
5F136CB07
5F136CB11
5F136CB13
5F136CB27
(57)【要約】
シャーシ内に取り付けられた少なくとも1つの電子コンポーネントから絶縁性冷却剤によって熱を受け取ることができるように、シャーシ内に絶縁性冷却剤を分配するためのマニホールドが提供される。マニホールドは、第1および第2の反対向きの表面を有している回路ボードと、回路ボードから少なくとも部分的に離間した基板とを備え、回路ボードの第1の表面と基板との間のギャップが、絶縁性冷却剤を受け入れて収容するように構成される。ギャップに収容された絶縁性冷却剤を回路ボードの反対向きの表面または基板を横切って流すことができるように、回路ボードまたは基板に1つ以上の開口が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシ内に取り付けられた少なくとも1つの電子コンポーネントから絶縁性冷却剤によって熱を受け取ることができるように、前記シャーシ内で前記絶縁性冷却剤を分配するためのマニホールドであって、
第1および第2の反対向きの表面を有している回路ボードと、
前記回路ボードから少なくとも部分的に離間した基板と
を備え、
前記回路ボードの第1の表面と前記基板との間のギャップが、絶縁性冷却剤を受け入れて収容するように構成されており、
前記ギャップに収容された絶縁性冷却剤を前記回路ボードの前記反対向きの表面または基板を横切って流すことができるように、前記回路ボードまたは基板に1つ以上の開口が設けられている、マニホールド。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電子コンポーネントは、前記回路ボードの第2の表面または前記回路ボードの前記第2の表面の上方に取り付けられている、請求項1に記載のマニホールド。
【請求項3】
1つ以上の電気インターフェース
をさらに備え、
前記1つ以上の電気インターフェースの各々は、それぞれの電子コンポーネントを受け入れるように前記回路ボードに取り付けられている、先行する請求項のいずれかに記載のマニホールド。
【請求項4】
前記1つ以上の電気インターフェースは、規則的に間隔を空けて配置された複数の電気インターフェースを含み、前記1つ以上の開口は、規則的に間隔を空けて配置された前記複数の電気インターフェースの間の空間に配置された複数の開口を含む、請求項3に記載のマニホールド。
【請求項5】
1つ以上の流体コネクタ
をさらに備え、
前記1つ以上の流体コネクタの各々は、前記1つ以上の開口のうちのそれぞれの少なくとも1つの開口から絶縁性冷却剤を受け取るように前記回路ボードの前記第2の表面に配置されている、先行する請求項のいずれかに記載のマニホールド。
【請求項6】
前記回路ボード上または前記回路ボードに取り付けられ、1つ以上の支持構造体ボリュームをもたらす支持構造体
をさらに備え、
各々の支持構造体ボリュームは、前記少なくとも1つの電子コンポーネントのうちのそれぞれの1つ以上の電子コンポーネントが内部に取り付けられるように構成され、前記支持構造体は、前記1つ以上の開口を介して受け取られる絶縁性冷却剤が前記1つ以上の支持構造体ボリューム内に蓄積するように、前記回路ボードと協働する、先行する請求項のいずれかに記載のマニホールド。
【請求項7】
前記支持構造体は、前記1つ以上の開口を介して受け取られる絶縁性冷却剤が少なくとも1つの前記支持構造体ボリューム内に蓄積し、少なくとも1つの前記支持構造体ボリュームから溢れるように配置されている、請求項6に記載のマニホールド。
【請求項8】
前記1つ以上の電気インターフェースの各々は、前記支持構造体ボリュームの内部に取り付けられる前記1つ以上の電子コンポーネントを受け入れるように、それぞれの支持構造体ボリュームに関連して前記回路ボードに取り付けられる、請求項3に従属するときの請求項6または7に記載のマニホールド。
【請求項9】
前記1つ以上の開口は、複数の開口を含み、前記複数の開口のうちの2つ以上が、前記1つ以上の支持構造体ボリュームのうちの少なくとも1つへと開くように配置されている、請求項6~8のいずれか1項に記載のマニホールド。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電子コンポーネントは、前記回路ボードの前記第2の表面またはさらなる回路ボードに取り付けられた電子コンポーネントを含み、
前記マニホールドは、
前記電子コンポーネントに隣接する内部レセプタクルボリュームを定めるレセプタクル構造と、
前記電子コンポーネントから熱を受け取るために前記内部レセプタクルボリュームに絶縁性冷却剤が蓄積するように、前記1つ以上の開口のうちの少なくとも1つの開口からの前記絶縁性冷却剤を前記内部レセプタクルボリュームへと供給するように配置されたレセプタクル導管と
をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のマニホールド。
【請求項11】
前記内部レセプタクルボリュームは、蓄積した絶縁性冷却剤が前記内部レセプタクルボリュームから溢れるように構成されている、請求項10に記載のマニホールド。
【請求項12】
前記電子コンポーネントは、前記回路ボードの前記第2の表面から遠い上面を有し、前記レセプタクル構造の前記内部レセプタクルボリュームは、前記電子コンポーネントの前記上面から熱を受け取るように配置されている、請求項10または11に記載のマニホールド。
【請求項13】
前記電子コンポーネントは、前記回路ボードの前記第2の表面に対して垂直に取り付けられ、前記レセプタクル構造の前記内部レセプタクルボリュームは、前記電子コンポーネントの表面から熱を受け取るように配置されている、請求項10または11に記載のマニホールド。
【請求項14】
前記ギャップ内で前記回路ボードの前記第1の表面に取り付けられた下面電子コンポーネント
をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のマニホールド。
【請求項15】
前記絶縁性冷却剤を運ぶ導管を受け入れ、前記絶縁性冷却剤を前記ギャップへと移送するように配置された冷却剤入口
をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のマニホールド。
【請求項16】
前記冷却剤入口の各々は、絶縁性冷却剤を前記流体コネクタから前記ギャップへと流すことができるように、前記回路ボードまたは前記基板のそれぞれの孔に取り付けられる、請求項15に記載のマニホールド。
【請求項17】
前記回路ボードの前記第1の表面と前記基板との間をシールすることによって前記ギャップを少なくとも部分的に定めるように配置された少なくとも1つのガスケット
をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載のマニホールド。
【請求項18】
前記少なくとも1つの電子コンポーネントの各々は、集積回路、電源、RAMコンポーネント、およびディスクドライブコンポーネントのうちの1つを備える、先行する請求項のいずれかに記載のマニホールド。
【請求項19】
シャーシ内部ボリュームを定めるシャーシと、
前記シャーシ内部ボリュームに取り付けられた複数の電子コンポーネントと、
絶縁性冷却剤を受け取り、受け取った前記絶縁性冷却剤を前記複数の電子コンポーネントのうちの少なくとも1つを冷却すべく導くように構成された先行する請求項のいずれかに記載の絶縁性冷却剤の分配のためのマニホールドと、
絶縁性冷却剤を受け取り、受け取った前記絶縁性冷却剤からヒートシンクへと熱を移し、前記絶縁性冷却剤を前記マニホールドへと導くように配置された熱交換器と
を備える冷却モジュール。
【請求項20】
前記絶縁性冷却剤を前記熱交換器から前記マニホールドへと流すように配置されたポンプ
をさらに備える、請求項19に記載の冷却モジュール。
【請求項21】
前記マニホールドは、絶縁性冷却剤が流出して前記シャーシ内部ボリュームに蓄積するように構成される、請求項19または20に記載の冷却モジュール。
【請求項22】
前記シャーシ内部ボリュームは、ベースを備え、前記マニホールドの前記回路ボードは、前記ベースに平行または垂直に向けられる、請求項19~21のいずれか1項に記載の冷却モジュール。
【請求項23】
前記熱交換器は、前記シャーシ内にある、請求項19~22のいずれか1項に記載の冷却モジュール。
【請求項24】
前記ヒートシンクは、二次液体冷却剤を備え、前記二次液体冷却剤は、前記熱交換器において前記冷却モジュールの外部から受け取られる、請求項19~23のいずれか1項に記載の冷却モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術分野
本開示は、シャーシ内に取り付けられた少なくとも1つの電子コンポーネントから絶縁性冷却剤によって熱を受け取ることができるように、シャーシ内で絶縁性冷却剤を分配するためのマニホールドに関する。さらに、本発明は、そのようなマニホールドを備える冷却モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
データ処理(情報技術またはITと呼ばれる)に使用されるコンピュータ、サーバ、および他のデバイスは、典型的には、プリント回路ボード(PCB)を備える。これらのPCB上に、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィック処理装置(GPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、などを含むことができる集積回路(IC)と呼ばれる小型デバイスが位置する。これらの電子コンポーネントおよびデバイスはいずれも、使用時に熱を発生させる。ITの性能を最大化するために、中身を最適な温度に維持すべく、熱を運び去らなければならない。電気コンポーネントが熱くなり、高温になると、損傷が生じ、性能に悪影響がおよび、あるいは安全上の危険が生じる可能性もある。これらの考慮事項は、他の種類の電子デバイスまたはシステムにも当てはまる。
【0003】
ITは、通常は、ケース、エンクロージャ、またはハウジング内に収容される。例えば、サーバにおいて、このエンクロージャは、サーバシャーシと呼ばれることもあるが、本明細書において、「シャーシ」という用語は、電子コンポーネントに使用されるあらゆる種類のハウジング全体に関して使用される。サーバシャーシは、典型的には、1RU(1ラックユニット)または1OU(1オープンユニット)(これらは、1Uまたは1OUとも略される)と呼ばれる各々のシャーシの高さを指定するいくつかの業界規格に従う。2つの主な規格のうち小さい方が、1RU/1Uであり、高さが44.45mmまたは1.75インチである。そのようなユニットは、形状および様式の意味で「ブレード」サーバと呼ばれることがあるが、そのようなサーバシャーシは、必ずしも例えばバックプレーンにはめ込まれたり、差し込まれたりする必要はない。
【0004】
別のサーバ製品は、シャーシに関して一度に2つ以上のRU/OUを利用することができ、例えば、2Uのシャーシは2つのラックユニットを使用する。各々のサーバシャーシのサイズは、通常は、サーバラック(サーバラックは、サーバシャーシが追加される主ハウジングである)あたりの計算能力を最大にするために、最小限に保たれる。
【0005】
典型的には、ITにおいて使用される電子コンポーネントまたはデバイスは、空気を使用して冷却される。これは、通常は、チップ表面に直接、または2つのコンポーネント間のTIM(熱インターフェース材料)によって接触させて配置されたフィンなどを備える或る種のヒートシンクを含む。ヒートシンクに加えて、各々のエンクロージャは、エンクロージャを通って空気を引っ張る一連のファンを使用して、ヒートシンクから熱を取り去り、シャーシから放出する。この種のヒートシンクは、空調などのサーバ設備側における冷却と組み合わせて使用される。この冷却方法は、とくに効率的ではなく、ランニングコストが高く、冷却に使用される空気を管理するために大量の空間を使用する。
【0006】
このIT冷却方法は、大量生産のITおよびサーバ機器にほぼ独占的に使用されてきた。しかしながら、近年では、空気によるデバイスの冷却の限界ゆえに、発熱するチップのピーク性能が抑えられている。技術により、同じ性能についてサイズが2~3年ごとに半分になる(Mooreの法則に例示されるとおり)につれて、チップが発生させる熱が、コンポーネントの設置面積が減少するにつれて増加している。これにより、空冷用に設計されたヒートシンクのサイズおよび複雑さが増している。結果として、多くの場合に、必要なサーバシャーシのサイズが増大し、したがって単一ラック内の計算能力が低下する。
【0007】
空冷の代替として、液冷を使用することができる。種々の液冷アセンブリが実証されているが、一般に、電気コンポーネントは、発熱する電気コンポーネントと冷却剤との間の熱交換のための表面積を大きくするために、冷却液に浸漬される。このようなシステムは、単相の冷却剤を使用することができ、その場合には、冷却剤は液相のままであり、あるいは相変化冷却剤を使用することができ、その場合、液体冷却剤は蒸発し、連続的で効果的な冷却のために凝縮させられなければならない。
【0008】
国際公開第2018/096362号パンフレット(本開示と同じ譲受人に譲渡済み)が、一次絶縁冷却液がシャーシ内に供給され、シャーシ内に収容された電子コンポーネントを冷却するために使用される冷却システムを記載している。一次絶縁冷却液は、熱交換器へと送られ、熱交換器において、熱が二次液体冷却剤へと伝えられる。熱交換器はシャーシ内に設けられ、典型的には水または水系(高い比熱容量を有するため好都合)である二次液体冷却剤は、シャーシおよびシャーシ内の熱交換器へと送られ、その後にシャーシから送り出され、複数のシャーシ間で共有されてもよい。ノズルにて終わるパイプが、一次絶縁性冷却剤を熱交換器から冷却されるべき電子コンポーネントへと運ぶために設けられる。
【0009】
国際公開第2019/048864号パンフレットが、ヒートシンクおよび電子デバイスのためのヒートシンク配置を記載している。このようなヒートシンクは、一次絶縁性冷却剤を特定の電子コンポーネントに隣接して蓄積させることにより、電子コンポーネントの効果的な冷却を可能にすることができる。冷却剤は、ヒートシンクから溢れ、かつ/またはヒートシンクの1つ以上の開口によって、ヒートシンクから流出し、シャーシ内の他の電子コンポーネントを冷却するシャーシ内の冷却剤の残りの部分と合流することができる。このようにして、複数のレベルの冷却剤を供給することができ、必要となる冷却剤の総量を最小限に抑えることができる。ノズルにて終わるパイプが、一次絶縁性冷却剤を熱交換器から各々のヒートシンクへと運ぶために設けられる。
【0010】
そのような設計において、熱交換器を出る絶縁性冷却剤を、マニホールド内の異なる経路(各々がそれぞれのパイプまたはホースによって定められる)に分割することができる。各々の経路は、絶縁性冷却剤をそれぞれの電子コンポーネントまたはそのコンポーネントに関するヒートシンクへと運ぶ。例えば、いくつかの経路が、最も高温のコンポーネントに取り付けられたヒートシンクへと供給を行うことができる一方で、他の経路は、ヒートシンク構造内に取り付けられたコンポーネントに絶縁性冷却剤を供給することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、絶縁性冷却剤のルーティングが複雑になり得る。とりわけ熱交換器から冷却されるべき電子コンポーネントへと、絶縁性冷却剤をより効果的に運ぶことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示の概要
この背景に対して、シャーシ内に取り付けられた少なくとも1つの電子コンポーネントから絶縁性冷却剤によって熱を受け取ることができるように、シャーシ内で絶縁性冷却剤を分配するための請求項1に記載のマニホールド、および請求項19に一致した冷却モジュールが提供される。さらなる好ましい特徴および/または好都合な特徴が、従属請求項および本明細書の残りの開示において特定される。マニホールドおよび/または冷却モジュールの製造および/または動作の方法であって、本明細書に記載の構造的特徴に対応するステップを有する方法も、考えることができる。
【0013】
本開示の重要な実現は、回路ボード(あるいは、言い換えればプリント回路ボード(PCB))を使用してマニホールドを形成できることである。例えばシャーシのうちのマニホールドが収容される部分などの基板、またはギアトレイが、第2の表面を提供することができ、絶縁性冷却剤は、PCBと基板との間に形成されるギャップまたはキャビティに蓄積できる。回路ボードまたは基板のいくつかの開口(原理的には1つだけであってもよいが)が、回路ボード上、回路ボードの上方、または回路ボードの周囲の電子コンポーネントを冷却するためにキャビティからの絶縁性冷却剤の通過を可能にする。
【0014】
冷却剤をコンポーネントに直接届けるために、孔を回路ボードに追加することができる。孔のサイズおよび位置を、所望の流量、流れのバランス、および/または流れの位置を達成するように設計および/または最適化することができる。
【0015】
回路ボードは、1つ以上の電気インターフェースを有することができ、1つ以上の電気インターフェースの各々は、そこに取り付けられる電子コンポーネントに1つ以上の電気的接続を提供する。これらは、典型的には、電気コンポーネントのレイアウトに基づいて配置される。開口は、電子コンポーネントへの絶縁性冷却剤の効率的な流れを可能にするように電気インターフェースに対して配置されてよい。例えば、電気インターフェースが規則的な間隔で配置される(例えば、メモリボードまたは他の整列したコンポーネント用である)場合、開口は、電気インターフェースの間に(例えば、規則的なパターンで)配置されてよい。これにより、冷却剤の流れを促進することができる。ガスケットが、回路ボードおよび基板をシールして、ギャップまたはキャビティを定めることができ、これは、随意により、ギャップ内の絶縁性冷却剤の流れを案内するように形作られてよい。
【0016】
いくつかの流体コネクタ(やはり、1つだけであってもよいが)の各々を、それぞれの開口において回路ボード上または回路ボードの上方に配置することができる。これにより、開口から絶縁性冷却剤を受け取る部分、例えばヒートシンクへの接続を、可能にすることができる。冷却剤入口は、ギャップへの絶縁性冷却剤の進入を可能にするために、絶縁性冷却剤を運ぶ(例えば、熱交換器からの)導管を受け入れることができる。冷却剤入口は、回路ボード(例えば、キャビティの反対側の電子コンポーネントが取り付けられる同じ表面)または基板の孔に取り付けられてよく、孔は、典型的には、1つ以上の開口の各々よりも大きい。
【0017】
いくつかの実施形態においては、支持構造体を、回路ボード上または回路ボードに取り付けることができる。支持構造体は、1つ以上の支持構造体ボリューム(例えば、ベイ)を提供することができ、その中に1つ以上の電子コンポーネントを取り付けることができる。これは、ディスクドライブを取り付けるために有用であり得る。各々のボリュームは、コンポーネント(または、複数のコンポーネントを)を内部に取り付けることを可能にする1つ以上の電気インターフェースを有することができる。複数の開口が、各々のボリュームへの絶縁性冷却剤を可能にすることができる。支持構造体および回路ボードが協働して、絶縁性冷却剤が内部に蓄積することでボリューム内の電子コンポーネントの冷却が可能になるように、これらのボリュームを可能にする(少なくとも部分的にシールする)。好都合には、蓄積した絶縁性冷却剤は、溢れ出ることができる。
【0018】
いくつかの実施形態は、1つ以上のヒートシンクを含むことができる。各々のヒートシンクは、電子コンポーネントに隣接する内部ボリューム(「槽」と呼ばれることもある)を有するレセプタクル構造を有することができる。導管(パイプ、ホース、および/またはノズル)が、絶縁性冷却剤を開口から内部ボリュームへと導くことができる。絶縁性冷却剤は、内部ボリュームに蓄積でき、好ましくは溢れることができる。電子コンポーネント(または、複数のコンポーネント)は、内部ボリュームの下方にあってよく、内部ボリュームの側面(例えば、側壁)に結合してもよく、あるいは電子コンポーネント(または、複数のコンポーネント)は、内部ボリューム内にあってもよい。このようにして、絶縁性冷却剤を、回路ボードを通って槽ヒートシンクのベースに供給することができる。既存の槽ヒートシンクにおいて、槽には、槽の上部に位置するホースから供給が行われる。上方からの槽への供給の場合、絶縁性冷却剤を熱交換器(すなわち、最も低温である)から槽の底部へと真っ直ぐに得ることは困難であり得る。冷却剤を回路ボードを通って槽のベースへと導入することにより、低温の絶縁性冷却剤が、槽の上部へと移動して溢れるときにすべての発熱コンポーネントを通過する。この利点は、上述の支持構造体にも当てはまる。追加のマニホールドが不要であるため、回路ボードと槽との間の導管(パイプまたはホース)は短く、既存の手法よりもはるかに良好な(単純な)引き回しを有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態においては、例えば、電子コンポーネント(または、複数のコンポーネント)をマニホールドキャビティ内に取り付けることができる。
【0020】
電子コンポーネント(または、複数のコンポーネント)は、例えば、集積回路、電源、RAMコンポーネント、およびディスクドライブコンポーネントのうちの1つであってよい。
【0021】
マニホールドは、例えばスタンドアロンのユニットであり、あるいはサーバラックに取り付けられる冷却モジュールの一部を形成することができる。冷却モジュールは、電子コンポーネントが取り付けられたシャーシを有することができ、電子コンポーネントは、例えばマニホールドの回路ボード上またはマニホールドの回路ボードの上方に取り付けられている。マニホールドの回路ボードは、シャーシのベースに対しておおむね平行または垂直に向けられている。マニホールドは、(例えば、熱交換器から)絶縁性冷却剤を受け取り、電子コンポーネントのうちの1つ以上を冷却するように導くことができる。熱交換器(一般的には、シャーシ内にある)が、絶縁性冷却剤からヒートシンク(例えば、外部の二次液体冷却剤)へと熱を伝達し、低温になった絶縁性冷却剤をマニホールドへと導くことができる。絶縁性冷却剤は、典型的にはマニホールドの上流のポンプにより、熱交換器からマニホールドへと流れることができる。
【0022】
この手法は、ホースを取り外さなければコンポーネントにアクセスすることができない場合に、とくに有用である。クイックリリース(ホットスワップ可能)ポンプを有することが好都合であると考えられるが、冷却剤マニホールドとの共有空間が、これを困難にする可能性がある。本開示による手法は、ポンプへのクイックリリース接続を可能にすることができる。
【0023】
動作時に、絶縁性冷却剤は、マニホールドから流出し、シャーシの内部ボリュームに蓄積でき、そこで、例えば回路ボードまたは1つ以上の他の回路ボードに取り付けられた他の電子コンポーネントを冷却することができる。一般に、蓄積した冷却剤のレベルは、支持構造体ボリュームおよび/またはヒートシンク内部ボリュームの高さよりも低い。
【0024】
図面の簡単な説明
本開示は、いくつかのやり方で実施することが可能であり、ここでは、好ましい実施形態を、あくまでも例として、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】第1の実施形態によるシャーシアセンブリ全体の平面図を示している。
【
図1C】
図1Aの実施形態の前方からの等角図を示しており、分かりやすくするためにいくつかの部分が除去されている。
【
図2】
図1Aの実施形態のマニホールドアセンブリ部分の後方からの等角部分分解図を示している。
【
図3】
図2のマニホールドアセンブリ部分の平面図を示しており、分かりやすくするためにいくつかの部分が除去されている。
【
図4A】
図1Aの実施形態の回路ボード部分の後方からの等角図を示している。
【
図5A】絶縁性冷却剤の流れを示す
図1Aの実施形態のマニホールド部分の第1の断面図を示している。
【
図5B】絶縁性冷却剤の流れを示す
図1Aの実施形態のマニホールド部分の第2の断面図を示している。
【
図6】
図1Aの実施形態のマニホールド部分の後方からの等角分解図を示している。
【
図7A】第2の実施形態によるシャーシアセンブリ全体の平面図を示している。
【
図7C】
図7Aの実施形態の前方からの等角図を示しており、分かりやすくするためにいくつかの部分が除去されている。
【
図8A】
図7Aの実施形態のマニホールドアセンブリ部分の前方からの等角部分分解図を示している。
【
図8B】
図8Aのマニホールドアセンブリの後方からの等角図を示している。
【
図9A】
図7Aの実施形態のマニホールド構造の前方からの等角図を示している。
【
図10】絶縁性冷却剤の流れを示す
図9Aのマニホールド部分の上面断面図を示している。
【
図11A】第3の実施形態によるシャーシアセンブリ全体の平面図を示している。
【
図12A】
図11Aの実施形態のマニホールドアセンブリ部分の後方からの等角図を示している。
【
図13A】絶縁性冷却剤の流れを示す
図12Aのマニホールドアセンブリ部分の第1の側面断面図を示している。
【
図13B】絶縁性冷却剤の流れを示す
図12Aのマニホールドアセンブリ部分の第2の側面断面図を示している。
【
図14A】
図11Aの実施形態のマニホールド部分の後方からの等角図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
同様の特徴は、全体を通して同じ参照番号で示されている。すべての図面は、本質的に概略的なものとして理解されてよい。
【0027】
好ましい実施形態の詳細な説明
既存の設計においては、パイプまたはホースが、例えばサーバのシャーシ内で絶縁性冷却剤を運ぶために典型的に使用される。場合によっては、冷却剤をCPU、GPU、電源、RAM(DIMM)、M.2メモリ、などに供給する12個の異なるホースへと分割するマニホールドが存在する。これらのパイプまたはホースは、例えばコンポーネントの周囲で引き回しが複雑になる、多くの空間を占める、メンテナンス時の電子コンポーネントへのアクセスを困難にする、取り付けおよび交換が難しい、ねじれを生じる(流量が減少する)、などのいくつかの欠点を抱えることが明らかになっている。したがって、そのようなパイプまたはホースの代替物が望まれる。
【0028】
回路ボード、あるいはプリント回路ボード(PCB)を、絶縁性冷却剤分配マニホールドの一部を形成するように調整できることが認識されている。PCBと別の部分、例えばシャーシの一部分またはギアトレイ(より一般的に、基板と呼ぶことができる)との間に、ギャップまたはすきまを形成することができる。このギャップまたはすきまを、例えばガスケットでシールして、絶縁性冷却剤で満たすことができる。このガスケットは、例えば、平坦な切断ガスケットであってよく、オーバーモールドであってよく、あるいは注がれたシールであってよい。ねじ(固定具)で定位置に保持されても、接着(貼り付け)されてもよい。ギアトレイの代わりにシャーシのベースが使用される場合、必要となる垂直方向の高さがより少ない。孔を、絶縁性冷却剤を電子コンポーネントおよび/または関連のヒートシンクへと分配および/または案内するようにPCB内に設計することができる。
【0029】
既存の設計において、PCBの下方の空間は、空き空間であることが多い。これは、電子コンポーネント上のすべての脚部をクリアし、それらが下方のギアトレイまたはシャーシに電気的に接触することを防ぐために、典型的にはPCBの後ろに3~5mmのクリアランスが望ましいためである。ギアトレイは、同じシャーシにおいて異なるIT構成を可能にするために使用されることが多い。複雑な固定および取り付け点は、シャーシ上ではなく、ギアトレイ上にある。
【0030】
本開示によるマニホールドは、大きな利点を有する。いくつかのレイアウトにおいて、ホースおよびパイプの約75%がもはや不要となり、それに関連する欠点が取り除かれる。マニホールド、ホース、ホース継手、およびノズルの数を減らすことができるため、コストを大幅に削減することもできる。また、組み立てを大幅に迅速にすることができ、コストをさらに削減することができる。PCBとプレート熱交換器との間に通常は存在する既存の絶縁性冷却剤マニホールドは長くなり得るため、スペース要件も大幅に低減される。コンポーネントがより高温になり、システムを冷却するために使用される絶縁性冷却剤の流量が増えるとき、節約された空間を使用して追加のポンプおよび/またはより大きなポンプを提供することができる。クイックリリース(ホットスワップ可能)ポンプも、もたらされた空間において使用することができる。さらに、追加の空間を、シャーシのベース内の一般的な絶縁性冷却剤をポンプに戻すために使用することができる。より密集したコンポーネントの設計は、滞留領域およびポンプのプライミングの問題を引き起こす可能性があるが、本開示によるマニホールドは、これへの対処を助けることができる。
【0031】
一般的に述べると、シャーシ内に取り付けられた少なくとも1つの電子コンポーネントから絶縁性冷却剤によって熱を受け取ることができるように、シャーシ内で絶縁性冷却剤を分配するためのマニホールドを考えることができる。マニホールドは、第1および第2の反対向きの表面を有している回路ボードと、回路ボードから少なくとも部分的に離間した基板とを備え、回路ボードの第1の表面と基板との間のギャップが、絶縁性冷却剤を受け入れて収容する(とくには、蓄積する)ように構成される。好都合には、ギャップに収容された絶縁性冷却剤を回路ボードの反対向きの表面(または、基板)を横切って流すことができるように、回路ボードに1つ以上の開口が設けられる。以下に説明されるように、いくつかの実施形態においては、(例えば、シャワーのために)、1つ以上の開口を基板に設けることができる。典型的には、少なくとも1つの電子コンポーネントは、回路ボードの第2の表面または回路ボードの第2の表面の上方に取り付けられる。
【0032】
第1の開口または第1組の開口を、動作時に第1の熱出力を有する第1の電子コンポーネントまたは第1の電子コンポーネント装置に絶縁性冷却剤を供給するように配置することができる。次に、第2の開口または第2組の開口を、動作時に第1の熱出力よりも大きい第2の熱出力を有する第2の電子コンポーネントまたは第2の電子コンポーネント装置に絶縁性冷却剤を供給するように配置することができる。この場合、第2の開口または第2組の開口のサイズは、典型的には、第1の開口または第1組の開口のサイズよりも大きい(例えば、サイズの比率は、熱出力の比率に比例する)。
【0033】
利点が、以下で説明されるいくつかの特定の実施形態を参照してさらに説明される。これらの実施形態は、特定の電子コンポーネント(および、関連する冷却)構成と共に使用される本開示によるマニホールドの組み合わせを説明しているが、とくには本明細書の記載に基づいて、電子コンポーネント(および、関連する冷却)構成の異なる設計および組み合わせを考慮できることが理解されよう。
【0034】
第1の実施形態は、高密度ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)アレイ(JBODとも呼ばれる)に関する。これらは、「ホットスワップ」を容易にするために垂直に向けられることが多い。本出願と同時に係属中の英国特許出願第200187.2号が、複数の発熱コンポーネント、とくにはHDDなどのITコンポーネントのハウジングであって、コンポーネントを、均一な(かつ、好ましくは最適な)冷却を与えるように各々のコンポーネントまたは複数のコンポーネントの周囲に所定の最低限の量の均一に分配された液体冷却剤を流すことができるような適合で、ハウジング内に取り付けることを可能にするハウジングを提供する。各々のハウジングが、所定の数の発熱コンポーネントを保持することができ、各々の発熱コンポーネントは、典型的には、例えばハウジングの側壁によって少なくとも部分的に形成されたそれ自身のベイを有するが、いくつかのベイは複数のコンポーネントを保持してもよい。
【0035】
各々のハウジング内に、冷却剤を各々のベイに(並列に)それぞれ供給することを可能にする1つ以上の(小型の)一体化貫通マニホールドが存在する。各々のマニホールドは、個々のベイへの供給を可能にする複数の出口(すなわち、ベイごとに1つ以上のマニホールド出口(ベイ入口とも呼ばれる))を有する。例えば、ベイのベースに小さな孔を設けることができる。液体冷却剤は、各々のベイにおいて発熱コンポーネントの周りに蓄積することにより、それを冷却する。ベイは、すべて同じであっても、異なっていてもよい。PCBまたは他の種類の回路ボードが、有利には、ハウジングのためのベース、およびハウジング内に取り付けられたITのための接続部を提供する。ベースPCBは、好都合には、側壁にシールされ、ベイ内に冷却剤が蓄積することを可能にする。
【0036】
一体化マニホールドは、好都合には、ハウジングの底部に配置され、冷却剤を底部から供給し、ベイ内の発熱コンポーネントの周囲を上方へと均一に上昇させることを可能にする。これは、各々の冷却ベイの間の一体型冷却剤パイプ(チャネル)を備えてもよい。各々のベイは、(側壁によって定められる)4つの側面を有することができる。これは、例えばおおむね直方体形状を有する独立したベイを協働して生み出す1つの前部側壁、1つの後部側壁、および2つのより大きな側壁から形成されてよい。これらの壁の位置が、有利には、冷却剤の量の最小化および/または液体冷却剤の流量の更正(または、最適化)に望ましい発熱コンポーネントの周りの層を形成する液体冷却剤の量を決定する。したがって、絶縁性冷却剤は、ベイ壁に収容された導管(パイプ)を通って供給される。これは、空間を占有し、ハードドライブをどれだけ高密度に実装できるかを制限する。
【0037】
本開示によれば、このハウジングに対する改善が提供される。
図1Aを参照すると、この実施形態によるシャーシアセンブリ全体の平面図が示されている。シャーシアセンブリは、シャーシ4と、ポンプ1と、ポンプから熱交換器までのパイプまたはホース2と、プレート熱交換器3と、熱交換器からマニホールドまでのパイプまたはホース5と、マニホールドPCBベース6と、HDD支持構造体7と、複数のHDD8と、垂直に取り付けられたPCB構造体(例えば、CPUが取り付けられている)9と、二次冷却剤出口10と、二次冷却剤入口11とを備える。シャーシアセンブリを、ラック(図示せず)に収納し、例えばサーバファーム建築物などの施設に配置することができる。マニホールドPCBベース6は、水平に向けられている(本開示の文脈における「水平」は、典型的には基板に近接する直方体形状のシャーシ4の最も広がりの大きい面におおむね平行であることを意味し、「垂直」は、この平面に垂直であることを意味する)。HDD支持構造体7は、HDD8が配置されるベイを形成する。この設計において、各々のベイは1つのHDD8を保持する。
【0038】
図1Bを参照すると、
図1Aの実施形態の後方からの等角図が示されており、
図1Cを参照すると、
図1Aの実施形態の前方からの等角図が示されており、支持構造体7、HDD8、および垂直に取り付けられたPCB9は、分かりやすくするために除かれている。マニホールドPCBベース6およびHDD支持構造体7によって形成されたマニホールド構造の上部を、見て取ることができる。シャーシ4は、ポンプ1によって吸い上げられて熱交換器3へともたらされる絶縁性冷却剤を、そのベースに保持する。熱交換器3は、シャーシアセンブリが位置する施設から供給される二次液体冷却剤(典型的には、水系)に熱を伝えることによって絶縁性冷却剤を冷却する。二次液体冷却剤は、二次冷却剤入口11を通って熱交換器3に供給され、次いで、加熱された二次液体冷却剤は、二次冷却剤出口10を通ってシャーシアセンブリを出る。
【0039】
次に、
図2を参照すると、シャーシアセンブリのマニホールドアセンブリ部分の後方からの等角部分分解図が示されている。HDD8のいくつかは、支持構造体7にどのように収められるのかを示すために、取り外されている。マニホールドPCBベース6の下方に位置するギアトレイ14、およびPCBマニホールドシール用ガスケット15も示されている。
図3を参照すると、
図2のマニホールドアセンブリ部分の平面図が示されており、HDD8は分かりやすくするために除去されている。マニホールドPCBベース6に設けられたHDDコネクタ12、および冷却用開口13も示されている。HDD8は、HDD支持構造体7によって形成されるベイに取り付けられ、各々のHDD8への電気的接続は、それぞれのHDDコネクタ12によって提供される。
【0040】
マニホールドPCBベース6とギアトレイ14との間のギャップが、絶縁性冷却剤を蓄積することができるマニホールド構造(マニホールドキャビティ)をもたらす。このギャップは、典型的には、電気コンポーネントのクリアランスのために使用され、したがって、本来であれば使用されない空間を実質的に占めることがない(あるいは、きわめて最小限の空間を占めるにすぎない)。絶縁性冷却剤は、熱交換器からマニホールドまでのパイプまたはホース5を介して、このギャップに供給される。次いで、蓄積した絶縁性冷却剤は、冷却用開口13を通って、支持構造体7によって形成されたHDDベイに供給される。各々のベイが複数の冷却用開口13を有することを見て取ることができる。冷却用開口13の各々は、比較的小さい(典型的には、ベイのベース表面積の1%、2%、3%、4%、または5%未満)。動作時に、絶縁性冷却剤は、ベイ内に蓄積し、ベイに収容されたHDD8を少なくとも部分的に(典型的には、完全に)浸し、ベイの壁およびHDD支持構造体7の外壁から溢れることにより、マニホールドPCBベース6上およびシャーシ4のベース内の残りの冷却剤と一緒になり、そこからポンプ1によって流れることができる。
【0041】
次に
図4Aを参照すると、シャーシアセンブリの回路ボード部分、とりわけマニホールドPCBベース6(下方にギアトレイ14およびPCBマニホールドシール用ガスケット15を有する)および垂直に取り付けられたPCB構造9の後方からの等角図が示されている。さらに、この図には、HDD支持構造体7の外壁をマニホールドPCBベース6に対してシールするHDDベイシール用ガスケット16、およびHDD支持構造体7の外壁から溢れてマニホールドPCBベース6上に集まる冷却剤によって冷却される低温電子コンポーネント20が示されている。
【0042】
ここで、
図4Bを参照すると、
図4Aの部分分解版が示されており、垂直冷却ノズル17、垂直PCB(例えば、CPUが取り付けられている)18、垂直方向に向けられたヒートシンク19、およびマニホールドPCBベース6上に設けられた垂直PCB電気コネクタ21が、より明瞭に示されている。さらなる開口(この図には示されていない)が、絶縁性冷却剤をマニホールドPCBベース6とギアトレイ14との間のギャップから垂直冷却ノズル17へと供給することを可能にする。垂直冷却ノズル17は、絶縁性冷却剤をヒートシンク19に供給する。このヒートシンクの詳細を、国際公開第2019/048864号パンフレット(少なくとも
図22~
図28および付随の説明を参照)に見出すことができ、それらの詳細は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
次に
図5Aを参照すると、HDD支持構造体7内への絶縁性冷却剤の流れを示す
図1Aの実施形態のマニホールド部分の第1の断面図が示されている。この図には、PCBマニホールド入口ノズル5(a)、ノズルガスケット27、および絶縁体ノズル入口孔28がさらに示されている。この図は、絶縁体ノズル入口孔28およびPCBマニホールド入口ノズル5(a)を通る入口絶縁体流22から、ギャップ内の蓄積した絶縁性冷却剤の流れ26を介し、冷却用開口13を介して水平出口絶縁体流23に到る絶縁性冷却剤の流れを示している。
【0044】
図5Bを参照すると、垂直に取り付けられたPCB構造9への絶縁性冷却剤の流れを示す
図1Aの実施形態のマニホールド部分の第2の断面図が示されている。この図には、冷却用開口13と同様であるが、サイズがより大きく、垂直冷却ノズル17への絶縁性冷却剤の流れを可能にするために設けられたノズル冷却用開口29が示されている。この図は、入口絶縁体流22から、PCBマニホールド入口ノズル5(a)を介し、ギャップ内の蓄積した絶縁性冷却剤の流れ26を介し、ノズル冷却用開口29および垂直冷却ノズル17を介して垂直PCB出口絶縁体流25に到る絶縁性冷却剤の流れをさらに示している。下面に取り付けられたコンポーネント52も示されている。これは、マニホールドPCBベース6の下面(ギャップ内)に取り付けられ、ギャップ内の蓄積した絶縁性冷却剤の流れ26によって冷却される。マニホールドPCBベース6とギアトレイ14との間のすきまを、より厚いPCBマニホールドシール用ガスケット15を使用することによって増加させることができる。
【0045】
複数のハウジングを設けることができ、有益には、例えば並列に互いに結合させることができる。例えば、マニホールドの一部が、他のハウジングのマニホールドおよび/または冷却剤入口との結合のための開口部を提供することができる。その場合、開口部(および/または、マニホールドの他の部分)を、いくつかのハウジングに関してシールして、冷却剤がマニホールドのシールされた部分を通過することを防止(例えば、結合したハウジングの端点をもたらすために)することができる。
【0046】
図6を参照すると、マニホールド部分の後方からの等角分解図が示されている。これにより、マニホールド部分の組み立ておよび構造を、明瞭に見て取ることができる。冷却ベイに一体化された冷却パイプ(チャネル)は、もはや必要とされない。これにより、かなりの空間が節約される。この設計の結果として、より多くのHDD8を、同じ空間に収めることができる(高密度化)。さらに、設計の全体的な複雑さ、したがって信頼性およびコストが、大幅に低減される。
【0047】
上述の一般的な条件に戻り、さらなる随意による特徴および/または好都合な特徴を考えることができる。例えば、マニホールドは、1つ以上の電気インターフェースをさらに備えることができ、1つ以上の電気インターフェースの各々は、それぞれの電子コンポーネントを受け入れるように回路ボードに取り付けられる。
【0048】
1つ以上の流体コネクタ(例えば、ノズル)の各々を、回路ボードの第2の表面(または、その上方)に配置して、1つ以上の開口のうちのそれぞれの少なくとも1つの開口から絶縁性冷却剤を受け取ることができる。絶縁性冷却剤をそれぞれの流体コネクタから別の部分へと導くために、各々の流体コネクタへの結合を形成することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、マニホールドは、1つ以上の支持構造体ボリューム(例えば、ベイ)を提供するために回路ボード上または回路ボードに取り付けられる支持構造体をさらに備えることができる。各々の支持構造体ボリュームを、少なくとも1つの電子コンポーネントのうちのそれぞれの1つ以上の電子コンポーネント(例えば、ディスクドライブまたはデータ記憶コンポーネント)が内部に取り付けられるように構成することができる。支持構造体は、1つ以上の開口を介して受け入れられた絶縁性冷却剤が1つ以上の支持構造体ボリューム内に蓄積するように、回路ボードと有益に協働する。1つ以上の開口を介して受け取られる絶縁性冷却剤は、好都合には、少なくとも1つの支持構造体ボリュームに蓄積し、少なくとも1つの支持構造体ボリュームから溢れる。1つ以上の電気インターフェースの各々を、支持構造体ボリュームの内部に取り付けられる1つ以上の電子コンポーネントを受け入れるように、それぞれの支持構造体ボリュームに関連して回路ボード上に取り付けることができる。例えば、これにより、それぞれの電子コンポーネント(例えば、ディスクドライブまたはデータ記憶コンポーネント)をそれぞれの支持構造体ボリューム内に据えることを可能にできる。開口のうちの2つ以上が、支持構造体ボリュームのうちの少なくとも1つ(あるいは、2つ以上、またはすべて)に開口することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、1つ以上の電子コンポーネントは、回路ボードの第2の表面またはさらなる回路ボード(回路ボードの第2の表面に結合させることができる)に取り付けられた電子コンポーネントであってよい。次いで、内部レセプタクルボリュームを定めるレセプタクル構造を、電子コンポーネントに隣接(例えば、電子コンポーネントの表面に隣接、結合、または一体化)させて取り付けることができる。したがって、レセプタクル導管が、電子コンポーネントから熱を受け取るために、内部レセプタクルボリュームに絶縁性冷却剤が蓄積するように、1つ以上の開口のうちの少なくとも1つの開口からの絶縁性冷却剤を内部レセプタクルボリュームへと供給することができる。好都合には、内部レセプタクルボリュームは、蓄積した絶縁性冷却剤が内部レセプタクルボリュームから溢れるように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態において、電子コンポーネントは、(例えば、それぞれの伸長軸に関して)回路ボードの第2の表面に対して垂直に取り付けられる。次いで、レセプタクル構造の内部レセプタクルボリュームを、電子コンポーネントの表面(例えば、回路ボードの第2の表面に垂直な表面)から熱を受け取るように配置することができる。いくつかの実施形態において、電子コンポーネントに近接する内部レセプタクルボリュームの一部は、レセプタクル構造の壁部分および/または電子コンポーネントの表面によって定められてよい。
【0052】
マニホールドは、絶縁性冷却剤を運ぶ導管を受け入れ、絶縁性冷却剤をギャップへと移送するように配置された冷却剤入口をさらに備えることができる。冷却剤入口を、絶縁性冷却剤を流体コネクタからギャップへと流すことができるように、回路ボードまたは基板のそれぞれの孔に取り付ける(または、結合させる)ことができる。孔は、1つ以上の開口のうちの少なくとも1つ、いくつか、またはすべてよりも大きい。冷却剤入口は、随意により、回路ボードの第2の表面側に設けられる。
【0053】
少なくとも1つのガスケットを、回路ボードの第1の表面と基板との間をシールすることによってギャップを少なくとも部分的に定めるように配置することができる。
【0054】
別の態様において、シャーシ内部ボリュームを定めるシャーシと、シャーシ内部ボリュームに取り付けられた複数の電子コンポーネントと、(シャーシ内部ボリューム内の)本明細書に開示のとおりの絶縁性冷却剤の分配のためのマニホールドと、を備える冷却モジュールであって、マニホールドは、絶縁性冷却剤を受け取り、受け取った絶縁性冷却剤を複数の電子コンポーネントのうちの少なくとも1つを冷却すべく導くように構成されている冷却モジュールを提供することができる。好都合には、絶縁性冷却剤を受け取り、受け取った絶縁性冷却剤からヒートシンクへと熱を移し、絶縁性冷却剤をマニホールドへと導くように構成された(好ましくは、シャーシ内および/またはシャーシ内部ボリューム内の)熱交換器が、さらに提供される。ヒートシンクは、典型的には、冷却モジュールの外部から熱交換器において受け入れられる二次液体冷却剤(例えば、水系)を備える。シャーシ内部ボリュームは、典型的には、ベース(例えば、典型的には基板に近接または基板を形成する最大の面または最大の面のうちの1つ)を備え、マニホールドの回路ボードは、ベースに平行に向けられる。絶縁性冷却剤および二次液体冷却剤は、有益には、動作の最中に液相に保たれる。
【0055】
随意により、絶縁性冷却剤を熱交換器からマニホールドへと流すためにポンプ(または、複数のポンプ)が配置される。ポンプ(または、複数のポンプ)は、マニホールドの上流にあってよい。複数のポンプが、直列に作動してもよく、かつ/または冗長性を提供してもよい。
【0056】
マニホールドは、有益には、絶縁性冷却剤が流出して、シャーシ内部ボリューム(のベース)に蓄積するように構成される。ベースに蓄積する冷却剤のレベルは、好ましくは、支持構造体ボリュームおよび/または内部レセプタクルボリュームの高さよりも低い。
【0057】
さらなる詳細が、以下の一般的詳細において説明される。さらなる特定の実施形態が、最初に開示される。
【0058】
ここで、複数の垂直に向けられたPCBが設けられ、その各々がそれぞれの電子コンポーネントを有している第2の実施形態を説明する。
図7Aを参照すると、この第2の実施形態によるシャーシアセンブリ全体の平面図が示されており、
図7Bを参照すると、
図7Aの実施形態の後方からの等角図が示されている。いくつかの特徴は、第1の実施形態と同じであり、それらは、とくには、同じ参照番号で示されている。簡潔にするために、これらの特徴は、再度詳細には説明されず、本明細書に開示された他の実施形態を参照して理解することが可能である。
【0059】
第1の実施形態とは対照的に、第2の実施形態のマニホールド構造100は、垂直に向けられている(後の図面により明瞭に示される)。この実施形態のシャーシアセンブリ全体は、マニホールドPCBベース101と、背側基板102と、レールボード103とをさらに提供する。マニホールドPCBベース101は、第1の実施形態のマニホールドPCBベース6と同様であり、背側基板102は、第1の実施形態のギアトレイ14と同様である。これらが協働して、これらの間に絶縁性冷却剤を蓄積するためのマニホールドキャビティを形成するギャップを有するマニホールドを形成する。さらに、垂直ボード30(例えば、各々がCPUおよび他の電子コンポーネントを備えているマザーボード)も示されている。レールボード103は、垂直ボード30の構造的支持を提供する。実際には、ギアトレイが90度に折り曲げられ、背側基板102とレールボード103とによって形成されるブラケットを構成する。
【0060】
図7Cを参照すると、第2の実施形態の前方からの等角図が示されており、分かりやすくするために、マニホールド構造100および垂直ボード30は除かれている。これにより、シャーシ4、ポンプ1、ポンプから熱交換器までのパイプまたはホース2、プレート熱交換器3、および熱交換器からマニホールドまでのパイプまたはホース5のすべてが、第1の実施形態と本質的に同じやり方で構成されることを、見て取ることができる。これを、用途に応じて、絶縁性冷却剤をより効率的に流すためにポンプ1の配置を変えるなど、あらゆる実施形態において変更できることを理解できるであろう。
【0061】
次に
図8Aを参照すると、マニホールド構造100および垂直ボード30を含んでおり、1つの垂直ボード30が取り外されている第2の実施形態のマニホールドアセンブリ部分の前方からの等角部分分解図が示されている。さらに、垂直ボード30を構造的に支持するためのPCBレール37、垂直冷却ノズル17、および垂直マザーボード電気コネクタ39などのいくつかのさらなる部品を、見て取ることができる。垂直マザーボード30の各々は、バックプレーンマニホールド構造100のマニホールドPCBベース101上のそれぞれの電気コネクタ39に、垂直方向よりもむしろ水平方向に差し込まれる。
【0062】
さらに、垂直ボード30のさらなる詳細が示される。各々の垂直ボード30は、垂直槽ヒートシンク31と、ヒートシンク出口ホースまたはパイプ32と、PCB実装インラインコンポーネントシャワー33と、接続ホースまたはパイプ34と、PCB実装端部コンポーネントシャワー35と、垂直メザニンPCB36(この例では、4×M.2)とを備える。
図8Bを参照すると、マニホールドアセンブリの後方からの等角図が示されている。絶縁性冷却剤は、熱交換器3から、熱交換器からマニホールドまでのパイプまたはホース5、およびPCBマニホールド入口ノズル5(a)を通って、マニホールド構造100に供給される。このようにして、絶縁性冷却剤をマニホールドキャビティ内に蓄積し、各々の垂直冷却ノズル17を通ってそれぞれの垂直ボード30へともたらすことができる。PCBマニホールド入口ノズル5(a)は、第1の実施形態のようにマニホールドPCBの上面にではなく、背側基板102の後面に取り付けられているが、これは、機能において意味のある違いをなすものではない。
【0063】
垂直ボード30を通る絶縁性冷却剤の流れは、最初に(上述のように)垂直槽ヒートシンク31に向かうことにより、冷却剤が垂直槽ヒートシンク31の内部ボリューム内に蓄積し、その後にヒートシンク出口ホースまたはパイプ32を通って流出する。次いで、流出した絶縁性冷却剤は、PCB実装インラインコンポーネントシャワー33に到達し、一部の絶縁性冷却剤が、第1の垂直メザニンPCB36へとシャワーされる。垂直メザニンPCB36へとシャワーされた後に、この絶縁性冷却剤は、レールボード103およびシャーシ4のベースに集まる。PCB実装インラインコンポーネントシャワー33において放出されなかった残りの絶縁性冷却剤は、接続ホースまたはパイプ34を通り、PCB実装端部コンポーネントシャワー35に到る。ここから、残りの絶縁性冷却剤は、第2の垂直メザニンPCB36へとシャワーされ、再びレールボード103およびシャーシ4のベースに集まる。
【0064】
PCB実装インラインコンポーネントシャワー33およびPCB実装端部コンポーネントシャワー35は、垂直ボード30をシャワーヘッドの一部(この場合は、後壁)として使用する。シャワーヘッドを垂直ボード30にねじおよびガスケットによって取り付けることができ、あるいは接着することができる。
【0065】
一般的に述べると、シャーシ内に取り付けられた少なくとも1つの電子コンポーネントから絶縁性冷却剤によって熱を受け取ることができるようにするためのシャーシ内の冷却剤分配コンポーネントを考えることができる。このコンポーネントは、第1および第2の反対向きの表面を有する回路ボードと、回路ボードに結合したパイピングサイド(基板と考えることができる)とを備え、回路ボードの第1の表面とパイピングサイドとの間のギャップが、絶縁性冷却剤を受け入れて収容するように構成される。1つ以上の開口が、ギャップに収容された絶縁性冷却剤によって絶縁性冷却剤(シャワー)コンポーネントを回路ボード上に分配できるように、パイピングサイドに設けられる。したがって、これを、本明細書に開示される任意の他の態様および/または特徴と組み合わせることができる本開示の別個の態様と理解することができる。
【0066】
図9Aを参照すると、垂直ボード30を有していないマニホールド構造100の前方からの等角図が示されている。さらに、
図9Aの分解図を示している
図9Bも参照される。これは、ノズルガスケット27、背側基板102内の絶縁体ノズル入口孔、PCBマニホールドシール用ガスケット15、およびガスケット延長部15(a)をさらに示している。ガスケット延長部15(a)は、流量を制御し、かつ/または流れをバランスさせるように形作られている。さらに、この図において、背側基板102とレールボード103(実施において、典型的には、屈曲したギアトレイによって形成された一体型のコンポーネントである)との間の背側基板102における開口部24も見て取ることができる。この開口部24は、絶縁性冷却剤をレールボード103からポンプ1へと、より良好に戻すことを可能にする。
【0067】
次に
図10を参照すると、マニホールド部分の上方からの断面図が示されている。この図は、入口絶縁体流22から、PCBマニホールド入口ノズル5(a)および絶縁体ノズル入口孔28を介し、ギャップ内の蓄積した絶縁性冷却剤の流れ26を介し、ノズル冷却用開口29および垂直冷却ノズル17を介して垂直PCB出口絶縁体流25に到る絶縁性冷却剤の流れを示している。
【0068】
上述の一般的な条件に戻り、さらなる随意による特徴および/または好都合な特徴を考えることができる。例えば、いくつかの実施形態において、マニホールドの回路ボードおよび/または基板(もしくは、基板の少なくとも一部分)は、ベースに対して垂直に向けられてもよい。冷却剤入口は、基板上に設けられてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、電子コンポーネントは、回路ボードの第2の表面に対して垂直に(したがって、シャーシのベースに対しても垂直に)取り付けられる。次いで、(上述のとおりの)レセプタクル構造の内部レセプタクルボリュームを、電子コンポーネントの表面(例えば、回路ボードの第2の表面およびシャーシベースに垂直な表面)から熱を受け取るように配置することができる。これに加え、あるいは代えて、開口(または、流体コネクタ)および/またはレセプタクル構造から導管を設けることができ、導管における開口部により、1つ以上の電気コンポーネントへの絶縁性冷却剤のシャワーを可能にすることができる。開口部は、ベースに近接する導管の一部分にあってよい。
【0070】
ここで、国際公開第2019/048864号パンフレットの少なくとも
図1に示されている設計に似ているが、本開示による調整を伴う第3の実施形態を説明する。ここで
図11Aを参照すると、第3の実施形態によるシャーシアセンブリ全体の平面図が示されている。さらに、
図11Aの実施形態の後方からの等角図を示している
図11B、および
図11Aの実施形態の前方からの等角図を示している
図11Cが参照される。いくつかの特徴は、第1および第2の実施形態と同じであり、それらは、とくには、同じ参照番号で示されている。簡潔にするために、これらの特徴は、再度詳細には説明されず、本明細書に開示された他の実施形態を参照して理解することが可能である。
【0071】
シャーシ4、ポンプ1、ポンプから熱交換器までのパイプまたはホース2、プレート熱交換器3、および熱交換器からマニホールドまでのパイプまたはホース5のすべてが、第1および第2の実施形態と本質的に同じやり方で構成されることを、見て取ることができる。これを、すでに述べたとおり、すべての実施形態において変更することができることも認識されるであろう。第1の実施形態と同様に、水平に向けられたマニホールドPCBベース6がやはり設けられる。
【0072】
次に
図12Aを参照すると、この実施形態のマニホールドアセンブリ部分の後方からの等角図が示されている。さらに
図12Bを参照すると、
図12Aのマニホールドアセンブリ部分の平面図が示されている。マニホールドアセンブリ部分は、電源装置41と、第1の水平槽ヒートシンク構造42と、RAM DIMMボード43と、第2の水平槽ヒートシンク構造44と、絶縁冷却剤開口46と、水平ヒートシンク入口ノズル47と、水平ヒートシンクホースまたはパイプ48と、水平ヒートシンク出口ノズル49と、第3の水平ヒートシンク50とを備える。
【0073】
先の実施形態と同様に、マニホールドPCBベース6とギアトレイ14との間のギャップが、絶縁性冷却剤を蓄積することができるマニホールド構造(キャビティ)をもたらす。第1の実施形態と同様に、このギャップは、典型的には、電気コンポーネントのクリアランスのために使用され、したがって、本来であれば使用されない空間を実質的に占めることがない(あるいは、きわめて最小限の空間を占めるにすぎない)。絶縁性冷却剤は、熱交換器からマニホールドまでのパイプまたはホース5を介して、このギャップに供給される。
【0074】
第1の水平槽ヒートシンク構造42は、国際公開第2019/048864号パンフレットにおいて、とくには少なくとも
図16~
図21を参照して開示されているものと同様であり、その詳細は、参照により本明細書に組み込まれる。冷却剤は、電源装置41を取り囲む第1の水平槽ヒートシンク構造42に、第1の水平槽ヒートシンク絶縁体冷却用開口46を通って供給される。絶縁性冷却剤は、絶縁体冷却用開口46を通って上昇し、第1の水平槽ヒートシンク構造42によって定められる側壁によって定められるボリューム内に蓄積する。これにより、絶縁性冷却剤は、ボリューム内の電源装置41の電子コンポーネントを冷却し、その後に溢れてマニホールドPCBベース6上およびシャーシ4のベース内で残りの冷却剤と一緒になり、そこからポンプ1によって流すことが可能である。
【0075】
第3の水平ヒートシンク50は、国際公開第2019/048864号パンフレットにおいて、とくには少なくとも
図1~
図15を参照して開示されているものと同様であり、その詳細は、参照により本明細書に組み込まれる。第3の水平ヒートシンク50は、電子コンポーネント上に取り付けられ、水平ヒートシンク入口ノズル47および水平ヒートシンクホースまたはパイプ48を介して絶縁性冷却剤を受け取る内部レセプタクルボリュームを定める。水平ヒートシンクホースまたはパイプ48の端部に位置する水平ヒートシンク出口ノズル49が、冷却剤を内部レセプタクルボリュームへと導く。これにより、内部レセプタクルボリューム内に蓄積した絶縁性冷却剤が、第3の水平ヒートシンク50が取り付けられた電子コンポーネントを冷却する。絶縁性冷却剤は、第3の水平ヒートシンク50から溢れ、マニホールドPCBベース6上およびシャーシ4のベース内で残りの冷却剤と一緒になり、そこからポンプ1によって流すことが可能である。
【0076】
第3の水平ヒートシンク50は、第1の水平槽ヒートシンク構造42のように底部からではなく、上部から冷却される。第3の水平ヒートシンク50について、上方または側方以外から絶縁性冷却剤を供給することは困難である。したがって、これは、水平ヒートシンク入口ノズル47(回路ボードの孔の上方)、水平ヒートシンクホースまたはパイプ48、および水平ヒートシンク出口ノズル49を使用して冷却剤を供給する。水平ヒートシンク入口ノズル47を、例えば、ガスケットと共に所定の位置にねじで取り付けることができ、接着することができ、あるいはオーバーモールドすることができる。しかしながら、マニホールドPCBベース6は、水平ヒートシンクホースまたはパイプ48を、第3の水平ヒートシンク50に隣接かつ近接して配置された水平ヒートシンク入口ノズル47に取り付けることを可能にすることによって、必要なホースの量を大幅に削減し、引き回しの問題を解消する。
【0077】
さらに、水平ヒートシンクから溢れてマニホールドPCBベース6上に集まる冷却剤によって冷却される低温電子コンポーネント20も示されている。
【0078】
ここで
図12Cを参照すると、
図12Bの平面図の一部分が拡大されて示されており、RAM DIMMボード43および第2の水平槽ヒートシンク構造44のさらなる詳細が示されている。この構成は、第1の水平槽ヒートシンク構造42と同様である。マニホールドPCBベース6内のRAM絶縁体冷却用開口45が、第3の水平槽ヒートシンク50によって定められる側壁によって定められるボリューム内に絶縁性冷却剤が蓄積することを可能にする。これにより、絶縁性冷却剤は、ボリューム内のRAM DIMMボード43を冷却し、その後に溢れてマニホールドPCBベース6上およびシャーシ4のベース内で残りの冷却剤と一緒になり、そこからポンプ1によって流すことが可能である。
【0079】
RAM DIMMボード43間にはきわめてわずかな空間しか存在しないため、例えばRAM DIMMボード43に冷却剤を滴下させるシャワーの形態で冷却剤を小さなギャップへと届けるノズルおよびホースを実現することは困難である。本開示において採用される手法は、回路ボードを貫通する小さな孔を使用することによって、この問題を取り除く。RAM DIMMボード43にアクセスするために、何も除去する必要はない。
【0080】
したがって、第1の水平槽ヒートシンク構造42および第2の水平槽ヒートシンク構造44への冷却剤が、マニホールドPCBベース6内の開口45および46を通ってそれぞれの槽ヒートシンク構造のベースへと直接供給されることを、見て取ることができる。これは、冷却剤が浴槽のベースから上部へと移動する際に、すべての発熱電気コンポーネントを通過するのに役立つ。さらに、マニホールドPCBベース6の孔は、それらが必要とされるまさにその場所に配置することが可能である。RAM絶縁体冷却用開口45は、とくには規則的な様相で、各々のRAMスロット間に配置される。
【0081】
次に
図13Aを参照すると、この実施形態のマニホールドアセンブリ部分の第1の側面断面図が示されており、第1の水平槽ヒートシンク構造42への絶縁性冷却剤の流れが示されている。この図は、入口絶縁体流22から、PCBマニホールド入口ノズル5(a)および絶縁体ノズル入口孔28を介し、ギャップ内の蓄積した絶縁性冷却剤の流れ26を介し、絶縁体冷却用開口46を介して水平出口絶縁体流23に到る絶縁性冷却剤の流れを示している。この図には、電源装置41の電源コンポーネント41(a)も示されている。
【0082】
次に
図13Bを参照すると、この実施形態のマニホールドアセンブリ部分の第2の側面断面図が示されており、第3の水平ヒートシンク50への絶縁性冷却剤の流れが示されている。ここに示されるとおり、この実施形態においては、複数の第3の水平ヒートシンク50が設けられている。この図は、入口絶縁体流22から、PCBマニホールド入口ノズル5(a)および絶縁体ノズル入口孔28を介し、ギャップ内の蓄積した絶縁性冷却剤の流れ26を介し、ノズル冷却用開口29に到る絶縁性冷却剤の流れを示している。次いで、絶縁性冷却剤は、上述のように、水平ヒートシンク入口ノズル47、水平ヒートシンクホースまたはパイプ48、および水平ヒートシンク出口ノズル49を通って流れる。この図には、第3の水平ヒートシンク50によって冷却される高温電子コンポーネントも示されている。
【0083】
次に
図14Aを参照すると、この実施形態のマニホールド部分の後方からの等角図が示されている。
図14Bをさらに参照すると、マニホールド部分の前方からの等角分解図が示されている。これにより、マニホールド部分および水平ヒートシンクの構造を、より明瞭に見て取ることができる。第2の実施形態と同様に、ガスケット延長部15(a)が、流量を制御し、かつ/または流れをバランスさせるように形作られる。ガスケット延長部15(a)の形状を、マニホールドPCBベース6上の電子コンポーネントのレイアウトに合致させることができ、例えば、ガスケット延長部15(a)は、マニホールドPCBベース6上にいかなる電子コンポーネントも取り付けられていない場所に設けられる。
【0084】
例えば上述した本開示の一般的な条件に関して、さらなる随意による特徴および/または好都合な特徴を考えることができる。例えば、1つ以上の電気インターフェースは、規則的に間隔を空けて配置された複数の電気インターフェースを備えることができる。その場合、複数の開口を、規則的に間隔を空けて配置された複数の電気インターフェースの間の空間に(規則的に)配置することができる。これは、例えばメモリボード(DIMMなど)などの間隔を空けて配置された回路ボードの冷却に有用であり得る。場合によっては、複数の支持構造体が設けられてよく、さらには/あるいは支持構造体が1つの支持構造体ボリュームのみを提供してもよいことが、理解されよう。
【0085】
いくつかの実施形態において、電子コンポーネントは、回路ボードの第2の表面から遠い上面を有し、レセプタクル構造の内部レセプタクルボリュームは、電子コンポーネントの上面から熱を受け取るように配置されてよい。これは、電子コンポーネントに近接する内部レセプタクルボリュームの一部分が、レセプタクル構造のベース部分および/または電子コンポーネントの上面によって定められるようなものであってよい。
【0086】
随意により、下面電子コンポーネント(または、そのようなコンポーネントを受け入れるための電気インターフェース)が設けられ、ギャップ内の回路ボードの第1の表面に取り付けられてよい。
【0087】
少なくとも1つの電子コンポーネントの各々は、集積回路、電源、RAMコンポーネント、およびディスクドライブコンポーネント(例えば、HDDまたはSDD)のうちの1つを備える。いくつかの実施形態において、マニホールドの基板は、部分的または完全にシャーシによって形成されてよい。ポンプを設ける必要はなく、例えば、絶縁性冷却剤の流れが、対流のみによって可能であってよい(随意により、対流をポンプと組み合わせて、絶縁性冷却剤の流れを生じさせてもよい)。
【0088】
今や特定の実施形態を説明したが、当業者であれば、さまざまな修正および変更が可能であることを理解できるであろう。上述したように、コンポーネント、ヒートシンク、支持構造体、および他の構成の配置は、種々の異なるやり方で変更し、組み合わせ、あるいは構成することが可能であり、そのうちの本明細書に開示されたものは、単なる例である。ヒートシンクによって冷却される電子デバイスおよび/または他の電子デバイスの構成は、著しくさまざまであってよい。ヒートシンク装置の正確な形状および/またはサイズも、変更されてよい。ヒートシンク装置の構造も変更可能であり、例えば、他の多部品アセンブリを使用することができ、あるいは一体的に構成された装置とすることができる。
【0089】
PCB実装インラインコンポーネントシャワー33とPCB実装端部コンポーネントシャワー35とを接続するために、ヒートシンク出口ホースまたはパイプ32および接続ホースまたはパイプ34が使用されているが、パイプおよびシャワーを一体化することが可能である。
【0090】
液体入口は、異なる向きに配置されてもよく、実際に、いくつかの実施形態においては、複数の液体入口が設けられてもよい。これにより、異なるノズル入口点および/または配置が可能になる。ノズルは、異なる数、形状、サイズ、および間隔にて設けられてもよい。
【0091】
レセプタクル部分からの液体冷却剤の主たる流出が、溢れによって説明されているが、これに加え、あるいは代えて、液体冷却剤がシャーシの(密閉可能な)内部ボリュームの残りの部分に流出できるように、レセプタクル部分に孔が設けられてもよい。
【0092】
ガスケットは、いくつかの構成において、例えば回路ボードとギアトレイ(または、他の基板)とを一体化させることによって省略されてもよい。
【0093】
熱交換器の種類は、さまざまであってよい。熱交換器および/またはポンプは、図示とは異なる構成であってよく、かつ/または異なる場所(あまり好ましくない実施形態であるが、シャーシの外側であっても)に配置されてよい。ポンプの数および種類も、図示のものから変更可能である。
【0094】
本明細書に開示される特徴のすべては、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせにて組み合わせることが可能である。とくには、本発明の好ましい特徴は、本発明のすべての態様に適用可能であり、任意の組み合わせにて使用することが可能である。同様に、必須ではない組み合わせにて説明された特徴を、別々に(組み合わせずに)使用することが可能である。
【国際調査報告】