(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】浮遊ディスプレイ装置及びこれを備えた多層表示機器
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20231218BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20231218BHJP
H04N 13/302 20180101ALI20231218BHJP
【FI】
G02B30/56
G03B35/18
H04N13/302
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537049
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 CN2021136697
(87)【国際公開番号】W WO2022127677
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202011510693.0
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522294453
【氏名又は名称】上海誉沛光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI YUPEI PHOTOELECTRIC TECHNOLOGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛磊
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
【Fターム(参考)】
2H059AA26
2H199BA32
2H199BA61
2H199BA63
2H199BB02
2H199BB03
2H199BB07
2H199BB09
2H199BB12
2H199BB15
2H199BB17
2H199BB19
2H199BB20
2H199BB22
2H199BB23
2H199BB33
(57)【要約】
本発明は、浮遊ディスプレイ装置及び当該浮遊ディスプレイ装置を含む多層表示機器に関する。当該浮遊ディスプレイ装置は、画像の表示面を有し、且つ初期画像を構成する表示光を表示面から発した画像表示ユニットと、被写体面と像平面とを画定し、被写体面において表示面から発した表示光を受光するように配置された光学システムとを備え、光学システムは、浮遊ディスプレイ装置の光軸にそれぞれ直交する第1の方向及び第2の方向において異なる、光線を集光する能力を有するように配置された複数の光群を含み、光学システムは、第2の方向において被写体面からの光線を拘束するように開口絞りを有し、表示光は、光学システムを介して伝搬された後、空中における像平面に浮遊画像が形成され、第1の方向の像側開き角は、第2の方向の像側開き角よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の表示面を有し、且つ初期画像を構成する表示光を前記表示面から発した画像表示ユニットと、
被写体面と像平面とを画定し、前記被写体面において前記表示面から発した前記表示光を受光するように配置された光学システムとを備え、
前記光学システムは、浮遊ディスプレイ装置の光軸にそれぞれ直交する第1の方向及び第2の方向において異なる、光線を集光する能力を有するように配置された複数の光群を含み、
前記光学システムは、前記第2の方向において前記被写体面からの光線を拘束するように開口絞りを有し、
前記表示光は、前記光学システムを介して伝搬された後、空中における前記像平面に浮遊画像が形成され、前記第1の方向の像側開き角は、前記第2の方向の像側開き角よりも大きい、ことを特徴する浮遊ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記複数の光群は、
前記開口絞りの光学的下流に設けられ、且つ前記第2の方向に光線を集光するように正の焦点度を有する一次元光学素子を含む第1の光群と、
前記第1の方向に光線を集光するように、一次元回折格子構造を有する共役結像素子を含む第2の光群と、を備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記開口絞りは前記第1の光群の焦点面との距離がdであり、前記第2の方向においての通光サイズはDyであり、この通光サイズDyが以下の条件を満たす、ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊ディスプレイ装置。
Dy≧h/f*d
ここで、hは前記第2の方向においての前記浮遊画像の長さ、fは前記第1の光群の焦点距離である。
【請求項4】
前記開口絞りは、前記第1の光群の焦点面を中心とする±fの範囲内に設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記一次元光学素子と共役結像素子は、円柱鋸歯回折格子として一体成形されている、ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記一次元光学素子は円柱レンズであり、前記共役結像素子は一次元回折格子透過アレイ構造である、ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光学システムは、前記開口絞りの光学的上流に設置され、且つ前記第2の方向に前記被写体面からの光線を変調するように正の焦点度を有する一次元光学素子を含む、第3の光群をさらに備えた、ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第2の方向において、前記第1の光群の通光サイズD1は前記第3の光群の通光サイズD3以上であり、前記第1の光群の焦点距離f1は前記第3の光群の焦点距離f3以上である、ことを特徴とする請求項7に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記像平面と前記第1の光群との間の距離であるd1は、前記第1の光群の焦点距離の1倍以内であり、すなわち、d1≦f1である、ことを特徴とする請求項7に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項10】
一次元回折格子構造を有する前記共役結像素子と前記開口絞りが、単一の部品として統合された、ことを特徴となる請求項7に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第1の光群における一次元光学素子は、前記共役結像素子の光学的下流に配置され、且つ前記共役結像素子から射出された光を前記像平面に反射するように配置された自由曲面鏡である、ことを特徴となる請求項7に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記開口絞りは、前記第3の光群の像側焦点面に位置すると同時に、前記第1の光群の被写体側焦点面に位置する、ことを特徴となる請求項7に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記第1の光群と前記第3の光群は前記共役結像素子に対して光軸に沿って略対称に設置され、且つ前記第1の光群の焦点距離は前記第3の光群の焦点距離とほぼ等しい、ことを特徴とする請求項10に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記共役結像素子は一次元再帰反射スクリーンであり、前記第1の光群における一次元光学素子は前記被写体面と前記像平面との間に配置された第1の凹面鏡であり、前記第1の凹面鏡の凹面は像平面に向け、前記第3の光群における一次元光学素子は凹面が前記一次元再帰反射スクリーンに向けた第2の凹面鏡であり、
前記光学結像システムは、
前記被写体面と前記第1の凹面鏡との間及び前記一次元再帰反射スクリーンと前記第2の凹面鏡との間に傾斜して設けられた第1の分光平板と、
前記第1の凹面鏡と前記像平面との間に設けられた第2の分光平板と、をさらに備えた、ことを特徴とする請求項13に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記第1の分光平板は、s偏光を反射しp偏光を透過するための偏光分光膜であり、前記第2の分光平板は、s偏光を反射しp偏光を透過するための偏光分光平板であり、且つ
前記光学結像システムは、
前記第2の凹面鏡と前記偏光分光膜との間に設けられた第1の1/4波長板と、
前記一次元再帰反射スクリーンと前記偏光分光膜との間に設けられた第2の1/4波長板と、
前記第1の凹面鏡と前記偏光分光平板との間に設けられた第3の1/4波長板と、をさらに備えた、ことを特徴とする請求項14に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項16】
前記共役結像素子は一次元再帰反射スクリーンであり、前記第1の光群における一次元光学素子は前記被写体面と前記像平面との間に配置された凸レンズであり、前記凸レンズの凸面は被写体面に向け、前記第3の光群における一次元光学素子は凹面が前記一次元再帰反射スクリーンに向けた凹面鏡であり、
前記光学結像システムは、
前記被写体面と前記凸レンズとの間及び前記一次元再帰反射スクリーンと前記凹面鏡との間に傾斜して設けられた分光鏡と、
前記光学システムの収差を補正するように前記分光鏡と前記一次元再帰反射スクリーンとの間に設けられた補正レンズと、をさらに備えた、ことを特徴とする請求項13に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項17】
前記分光鏡はs偏光を反射しp偏光を透過するための偏光分光膜であり、且つ
前記光学結像システムは、
前記凹面鏡と前記偏光分光膜との間に設けられた第1の1/4波長板と、
前記偏光分光膜と前記補正レンズとの間に設けられた第2の1/4波長板とをさらに備えた、ことを特徴とする請求項16に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記第3の光群における一次元光学素子と前記開口絞りとが単一の部品に統合された、ことを特徴とする請求項7に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項19】
前記単一の部品は、凹面が前記被写体面に向けた円柱凹面鏡であり、一次元回折格子構造を有する前記共役結像素子は一次元再帰反射スクリーンであり、且つ前記第1の光群における一次元光学素子は、平面側が前記像平面に向けた平凸円柱鏡であり、
前記浮遊ディスプレイ装置は、
前記被写体面からの光を前記円柱凹面鏡に透過し、且つ前記円柱凹面鏡から反射された光を前記一次元再帰反射スクリーンに反射することに用いられるように、前記被写体面と前記円柱凹面鏡との間に傾斜して設けられた分光鏡と、
p偏光を通しs偏光を反射することに用いられるように前記分光鏡と前記一次元再帰反射スクリーンとの間に傾斜して設けられ、一次元再帰反射スクリーンから反射されたs偏光を前記平凸円柱鏡に反射する偏光分光膜と、
前記一次元再帰反射スクリーンから反射された光をs偏光に変換するように前記偏光分光膜と前記一次元再帰反射スクリーンとの間に設けられた1/4波長板と、を備えた、ことを特徴とする請求項18に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項20】
前記単一の部品は、凹面が前記被写体面に向け円柱凹面鏡であり、前記共役結像素子は一次元再帰反射スクリーンであり、且つ前記第1の光群における一次元光学素子は、凹面が前記像平面に向けた分光凹面鏡であり、
前記浮遊ディスプレイ装置は、
前記被写体面からの光を前記円柱凹面鏡に透過し、且つ前記円柱凹面鏡から反射された光を前記分光凹面鏡に反射するように、前記被写体面と前記円柱凹面鏡との間に傾斜して設けられた分光平板と、
p偏光を通しs偏光を反射するように前記分光凹面鏡と前記像平面との間に傾斜して設けられ、一次元再帰反射スクリーンから反射されたs偏光を前記分光凹面鏡に反射する偏光分光平板と、
前記被写体面からの光をp偏光に変換するように、前記分光平板と前記被写体面との間に設けられた第1の偏光板と、
前記分光平板と前記分光凹面鏡との間に設けられた第1の1/4波長板と、
前記偏光分光平板と前記分光凹面鏡との間に設けられた第2の1/4波長板と、をさらに備えた、ことを特徴とする請求項18に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項21】
前記第2の方向における前記浮遊画像の長さは、前記第2の方向における前記初期画像の長さ以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項22】
前記被写体面は、前記第2の方向において曲面として配置される、ことを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項23】
前記共役結像素子と前記被写体面上の光軸における被写体点との間の光路は、前記共役結像素子と前記像平面上の光軸における像点との間の光路にほぼ等しい、ことを特徴とする請求項2から請求項20のいずれか一項に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項24】
請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の浮遊ディスプレイ装置と、
前記浮遊ディスプレイ装置の光学的下流に設けられ、表示面が前記像平面と異なる位置にある透明表示部品と、を備えた、ことを特徴とする多層表示機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された実施例は、全般的に光学三次元表示技術に関し、より具体的には、浮遊ディスプレイ装置及び該浮遊ディスプレイ装置を含む多層表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのディスプレイ技術の中で、空中浮遊ディスプレイ技術は画像を空中に浮かべることができ、見る者に強い視覚的衝撃と真か否かの触覚的な体験を与えることから、多くの研究者の注目を集めている。
【0003】
従来の浮遊ディスプレイ技術は、再帰反射スクリーン、二層平面鏡アレイ、凹面鏡、または集成結像の方式を用いて実現される。しかしながら、再帰反射スクリーンまたは二層平面鏡アレイの方式にとって、長所は視野が大きく、収差のない浮遊ディスプレイ画像を実現できることであり、短所は再帰反射スクリーンまたは二層平面鏡アレイの加工工程が複雑で、コストが高く、また、複数回の反射が必要となるため、いくつかの観察角度においてゴーストイメージングの問題がある。凹面鏡が浮遊画像を実現する主な問題は、大きな視野を満たす条件下で、像面湾曲、歪みなどの収差を解消することが難しく、結像品質が悪いことである。集成結像の方式によっては、多くのマイクロ表示ユニットにより空間に投影され浮遊画像が形成される必要があり、高い解像度を実現することが難しく、同時にスクリーンのコストが高すぎる。
よって、本分野では浮遊ディスプレイのための新しい技術案が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の例示的な実施例は、空中に浮遊画像を形成することができるとともに、製造コストが低く、より柔軟な光学レイアウトを取ることができる浮遊ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明の例示的な実施例は、画像の表示面を有し、且つ初期画像を構成する表示光を前記表示面から発した画像表示ユニットと、被写体面と像平面とを画定し、前記被写体面において前記表示面から発した前記表示光を受光するように配置された光学システムとを備え、前記光学システムは、前記浮遊ディスプレイ装置の光軸にそれぞれ直交する第1の方向及び第2の方向において異なる、光線を集光する能力を有するように配置された複数の光群を含み、前記光学システムは、前記第2の方向において前記被写体面からの光線を拘束するように開口絞りを有し、前記表示光は、前記光学システムを介して伝搬された後、空中における前記像平面に浮遊画像が形成され、前記第1方向の像側開き角は、前記第2方向の像側開き角よりも大きい、ことを特徴する浮遊ディスプレイ装置を提供する。
【0006】
本発明の別の例示的な実施例によれば、上記の例示的な実施例の浮遊ディスプレイ装置と、前記浮遊表示装置の光学的下流に設けられ、表示面が前記像平面と異なる位置にある透明表示部品と、を備えたことを特徴とする多層表示機器を提供する。
【0007】
他の特徴および態様は、以下の詳細な説明、図面、および請求項によって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、本発明の例示的な実施例について添付の図面を参照しながら説明することによって、本発明をよりよく理解されるであろう。添付の図面において、
【0009】
【
図1】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ装置100の概略的ブロック図を示す。
【
図2】本発明の実施例による浮遊ディスプレイ装置100における光学システム110のそれぞれ水平方向および垂直方向における光線伝搬の原理概略図を示す。
【
図3】水平方向および垂直方向にそれぞれ、本発明の実施例による浮遊ディスプレイ装置100における光学システム110の部品配置と光線伝搬の概略図を示す。
【
図4】第1の方向および第2の方向にそれぞれ、該選択可能な実施例による光学システム210の部品配置および光線伝搬の概略図を示す。
【
図5】第1の方向および第2の方向にそれぞれ、さらなる実施例による光学システム310の部品配置および光線伝搬の概略図を示す。
【
図6】本発明の第一例による光学システム610及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図7】一次元光学素子が一次元再帰反射スクリーンと一体に形成された例示的構造を示す。
【
図8】本発明の第二例による光学システム810及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図9】一次元格子透過アレイ構造802の例を示す。
【
図10】本発明の第三例による光学システム1010及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図11】本発明の第四例による光学システム1110及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図12】一次元再帰反射スクリーンの例示的構造を示す。
【
図13】本発明の第五例による光学システム1310及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図14】本発明の第六例による光学システム1410及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図15】本発明の第七例による光学システム1510及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図16】本発明の第八例による光学システム1610及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図17】本発明の第九例による光学システム1710及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。
【
図18】本発明の実施例による多層表示機器1800の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明するが、これらの実施形態の具体的な説明において、簡潔に説明するために、本明細書では、実際の実施形態の全ての特徴を完全に説明することは不可能であることに留意されたい。理解されるべきことは、いずれかの実施形態の実際に実施される過程において、いずれかのエンジニアリングプロジェクトまたは設計プロジェクトの過程において、開発者の具体的な目標を達成するために、システム関連または商業関連の制約を満たすために、様々な具体的な意思決定が行われることがよくあるように、これもある実施形態から別の実施形態へと変化することがある。また、理解できるのは、このような開発には複雑で冗長な努力が必要であるかもしれないが、本発明に開示した内容に関連する当業者にとっては、本開示で開示された技術内容を基に行われる設計、製造又は生産等の変更の一部は既存の技術的手段に過ぎず、本開示の内容が不十分であると理解すべきではない。
【0011】
別段の定義がない限り、特許請求の範囲及び明細書において使用される技術用語又は科学用語は、当該発明が属する技術分野において一般的な技能を有する者が理解する一般的な意味を有するものでなければならない。本発明特許出願の明細書及び特許請求の範囲において使用されている「第1」、「第2」及び類似の語句は、いかなる順序、数量又は重要性を示すものではなく、単に異なる構成部分を区別するために使用されている。「1つ」や「1」などの類似語は数量制限を示すものではなく、少なくとも1つ存在することを示している。「備える」又は「含む」等の類似の語句は、「備える」又は「含む」の前にある素子又は物体が「備える」又は「含む」の後に列挙された素子又は物体及びその均等な素子を包含することを意味しており、他の素子又は物体を排除するものではない。「接続」や「つながる」などの類似の語句は物理的あるいは機械的な接続に限定するものではなく、直接的なものか間接的なものかに限定するものでもない。「AはBにほぼ等しい」という語句は、プロセス製造における公差、すなわちAとBの数値が互いの±10%以内であることを考慮することを意味する。
【0012】
図1は、本発明の実施例による浮遊ディスプレイ装置100の概略的ブロック図を示す。
図1を参照すると、本発明の実施例に係る浮遊ディスプレイ装置100は、画像表示ユニット120と光学システム110とを備えることができる。画像表示ユニット120は、画像の表示面を有し、表示面から初期画像を構成する表示光を発する。画像表示ユニット120は、表示面に画像を表示または投影するように、直接的発光表示方式を採用してもよいし、間接的投影方式を採用してしてもよい。光学システム110は、表示光を受光するように画像表示ユニット120の光学的下流に配置されて、被写体面と像面を有する。被写体面が画像表示ユニット120の表示面に配置されることで、当該被写体面において初期画像を構成する原始光を受光し、その後、原始光は、空中の像面に浮遊画像(空中像とも呼ばれる)を形成するように光学システム110を介して変調されることができる。又は、画像表示ユニット120と光学システム110との間には、画像表示ユニット120の表示面を光学システム110の被写体面に結像することができる中継光学システムが1つ以上存在してもよく、この場合、光学システム110の被写体面は、画像表示ユニット120の表示面が1つ以上の中継光学システムによって結像された像面に位置していてもよい。
【0013】
図2は、本発明の実施例による浮遊ディスプレイ装置100の光学システム110のそれぞれ水平方向および垂直方向における光線伝搬の原理概略図を示す。
説明の便宜上、光は光路に沿って光ビームにおいて光学「上流」位置から光学「下流」位置へ伝播すると考えられる。したがって、光路における光学素子の相対位置も、これら二つの用語で記述することができる。例えば、
図2において、被写体面10は開口絞りの光学的上流に位置すると同時に、光群101または102の光学的上流に位置し、開口絞りは第1の光群101の光学的上流に位置する。
【0014】
図2を参照すると、光学システム110は複数の光群を備えることができる。複数の光群は、第1の方向と第2の方向とで異なる、光線を集光する能力を有するように配置されている。第1の方向及び第2の方向は、それぞれ光学システム110の光軸に直交してもよい。第1の方向と第2の方向は互いに直交してもよい。例として、第1の方向は水平方向(x方向)であってもよく、第2の方向は垂直方向(y方向)であってもよく、光軸は図に示すようにz方向に沿っている。
【0015】
特に、光学システム110は、垂直方向(y方向)において被写体面10からの光線を拘束するように開口絞りを有する。本発明のいくつかの実施例において、開口絞りは、光学システム110においてy方向の通光サイズが最も小さい場所を指すことができる。水平方向(x方向)において、開口絞りは実質的に機能しないか、または被写体面10からの光線を小さい程度で拘束することができる。言い換えると、この開口絞りは、y方向に比較的小さな通光サイズを有し、x方向に比較的大きな通光サイズを有する。当業者にとって、開口絞りの機能は、複数の光群のうちの1つの光学素子によって実現することができるが、当該光学素子がy方向に光線を拘束することができればよく、この場合、光学システム110には単独の開口絞りが存在しなくてもよい。したがって、
図2に開口絞りを単独で示すのは、限定ではなく本発明の原理をより明確に説明できるようにするためであり、破線枠で示す。
【0016】
画像表示ユニット120からの表示光は、開口絞り及び複数の光群を介して伝搬された後に空中の像平面20に浮遊画像が形成され、ここで、x方向の像側開き角αは、y方向の像側開き角βより大きい。
【0017】
複数の光群は、少なくとも第1の光群101と第2の光群102とを備えることができる。第1の光群101は前記開口絞りの光学的下流に設けられ、且つy方向に光線を集光するように正の焦点度を有する一次元光学素子を含むことができる。第2の光群102は、x方向に光線を集光するように一次元回折格子構造を有する共役結像素子を含むことができる。例として、一次元回折格子構造を有する共役結像素子は、一次元再帰反射スクリーン、一次元格子透過アレイ、一次元ホログラフィック回折格子などであってもよい。このような共役結像素子を採用する利点は、位置関係(被写体と像)が共役であり、画像が拡大せず、収差がないことである。
【0018】
第2の光群102は、第1の光群101と被写体面10との間に設けられてもよいし、第1の光群101と像平面20との間に設けられてもよい。本発明は、第1の光群101と第2の光群102との位置関係を規定することを意図しておらず、
図2には、第2の光群が第1の光群101と像平面20との間に設けられた例のみが示されている。
【0019】
以上、本発明の例示的な実施例による浮遊ディスプレイ装置100における光学システム110について説明した。この光学システム110では、被写体面10における点がx方向に沿って複数の光群により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくする(好ましくは30度以上)ため、像平面20に浮遊画像が形成されることができる。被写体面10における点がy方向に沿って複数の光群により結像された像側開き角は相対的に小さく、好ましくは30度以内である。
【0020】
図3は、水平方向および垂直方向にそれぞれ、本発明の実施例による浮遊ディスプレイ装置100における光学システム110の部品配置と光線伝搬の概略図を示す。
【0021】
開口絞りは、x方向において光線を制限しないようにx方向において割りと大きな通光孔径Dxを有することができ、それによって十分に大きなx方向の開き角が得られ、両眼視差条件を満たして浮遊ディスプレイを実現することができる。
【0022】
開口絞りは、y方向において光線を制限するようにy方向において割りと小さな通光孔径Dyを有することができ、それによって、異なる部分の光ビームを選択して結像に参与し、軸外点の結像品質を改善することができる。
【0023】
本発明のいくつかの実施例では、開口絞りの通光孔径Dxは、被写体面(すなわち表示面)のx方向の高さAより大きくすることができ、すなわちDx>A。このようにして、x方向のエッジ画像光線が人の目に入ることができないため、主光軸に平行な像平面の光線が開口絞りを通すことを保証することができ、そうしないと完全な浮遊画像を観察することができない。
【0024】
開口絞りと第1の光群101の焦点面との間の距離はdであり、y方向の通光サイズはDyであり、この通光サイズDyは光学システム110における他の光学素子のy方向の通光サイズよりも小さく、且つ以下の条件を満たす。
Dy≧h/f*d
ここで、hは浮遊画像のy方向の長さ、fは第1の光群101の焦点距離である。このようにして、y方向のエッジ画像光線が人の目に入ることができないため、主光軸に平行な像平面の光線が開口絞りを通すことを保証することができ、そうしないと完全な浮遊画像を観察することができない。
【0025】
本発明のいくつかの実施例では、開口絞りは第1の光群101と被写体面10との間に放置されることができる。あるいは、開口絞りのy方向サイズは浮遊画像のy方向の像の高さより高くならないので、開口絞りは、第1の光群101の焦点面を中心とした±f範囲内に設けられることができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施例では、光学システム110のx方向の垂軸倍率βx=1、y方向の垂軸倍率βy≧1であるが、これは限定的ではない。この配置の利点としては、y方向の垂軸倍率βy>1であれば、すなわち光学システム110はy方向において被写体面に対して増幅の機能を有するので、被写体面は比較的小さく設定することができ、それによって装置全体の体積を縮小することができる。
【0027】
あるいは、いくつかの実施例では、光学システム110は、第3の光群をさらに含むことができる。第3の光群は、第1の光群101の光学的上流(すなわち、第1の光群101と被写体面10との間)に設けられ、表示面(すなわち、光学システム110の被写体面10)からの光線を第2の方向(y方向)に変調するように、正の焦点度を有する一次元光学素子を含むことができる。
【0028】
図4は、第1の方向および第2の方向にそれぞれ、該選択可能な実施例による光学システム210の部品配置および光線伝搬の概略図を示す。光学システム210のいくつかの詳細は、上記
図1~3に関して説明した光学システム110と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に光学システム210の違いについて説明する。
【0029】
図4に示すように、第3の光群103は、第2の光群102と被写体面10との間に設けられていることができ、y方向において光線を調整するように少なくとも1つの一次元光学素子を備える。第3の光群103の設計は、光学システムの焦点度配分をバランスさせ、光学システムのレイアウトをより柔軟にするとともに、収差をさらに小さくし、結像品質を向上させることを目的とする。
【0030】
y方向において、第1の光群101の通光サイズD1は、第3の光群103の通光サイズD3以上であってもよい。第1の光群101の焦点距離f1は、第3の光群103の焦点距離f3以上であってもよい。あるいは、像平面20と第1の光群101との間の距離であるd1は、第1の光群101の焦点距離の1倍以内であり、すなわち、d1≦f1である。あるいは、開口絞りの機能は、第2の光群102における、一次元回折格子構造を有する共役結像素子によって達成することができる。
【0031】
あるいは、いくつかのさらなる実施例では、第3の光群103における一次元光学素子は、前述開口絞りとして機能することができ、したがって、第3の光群103(特に一次元光学素子)は、単一の光学部品として開口絞りと一体になることができる。
図5を参照すると、第1の方向および第2の方向にそれぞれ、更なる実施例による光学システム310の部品配置および光線伝搬の概略図を示す。
図5に示すように、第3の光群103の一次元光学素子は開口絞りである。第3の光群103の一次元光学素子の通光孔径Dxは、被写体面(すなわち表示面)のx方向の高さAより大きくてもよく、すなわちDx>Aであってもよい。このようにして、x方向のエッジ画像光線が人の目に入ることができないため、主光軸に平行な像平面の光線は開口絞りを通すことを保証することができ、そうしないと完全な浮遊画像を観察することができない。第3の光群103の一次元光学素子と第1の光群101の焦点面との間の距離はdであり、y方向の通光サイズはDyであり、この通光サイズDyは以下の条件を満たす。
Dy≧h/f*d
ここで、hは浮遊画像のy方向の長さ、fは第1の光群101の焦点距離である。このようにして、y方向のエッジ画像光線が人の目に入ることができないため、主光軸に平行な像平面の光線が開口絞りを通すことを保証することができ、そうしないと完全な浮遊画像を観察することができない。
【0032】
あるいは、第3の光群103の一次元光学素子は、第1の光群101の焦点面を中心とした±fの範囲内に設けられることができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施例では、第1の光群101と第3の光群103は、共役結像素子に対して光軸に沿って実質的に対称に配置することができ、第1の光群101の焦点距離は、第3の光群103の焦点距離にほぼ等しいことができる。好ましくは、共役結像素子と被写体面10上の光軸における被写体点との間の光路は、共役結像素子と像平面20上の光軸における像点との間の光路にほぼ等しい。
【0034】
或いは、開口絞りは、第3の光群103の像側焦点面に位置すると同時に、第1の光群101の被写体側焦点面に位置することができる。
【0035】
以下、本発明の実施例による浮遊ディスプレイ装置における光学システムのいくつかの例について説明する。
【0036】
第一例
図6は、本発明の第一例による光学システム610及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。第一例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム610のいくつかの詳細は、上記
図2~3に関して説明した光学システム110と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第一例の光学システム610の違いについて説明する。
【0037】
この例では、光学システム610は、開口絞り601、分光鏡602、および結像ユニット603を備えることができる。特に、第1の光群における一次元光学素子(例えば、レンズ)と第2の光群における一次元回折格子構造を有する共役結像素子(例えば、一次元再帰反射スクリーン)は、円柱鋸歯回折格子、すなわち結像ユニット603として一体成形される。結像ユニット603の一つの方向は曲面であり、もう一つの方向は一次元鋸歯構造であり、鋸歯構造は
図7に示すように頂角が90度の二等辺三角形構造である。
【0038】
図6に示すように、被写体面10から発した光ビームは、開口絞りによるフィルタリングをして分光鏡602に入射し、結像用の部分光が分光鏡602を介して結像ユニット603の一次元鋸歯構造に反射され、一次元鋸歯構造から反射された光は、分光鏡602を介して像平面20に透過されて浮遊画像が形成される。あるいは、被写体面10及び像平面20は、いずれも結像ユニット603の2f(二倍焦点距離)にあり、その中、fは、第2の方向(y方向)における結像ユニット603の焦点距離である。
【0039】
このように、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム610により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができる。 画像表示ユニット120の表示面における点が、y方向に沿って光学システム610により結像された像側開き角は相対的に大きくするため、高結像品質が得られる。
【0040】
第二例
図8は、本発明の第二例による光学システム810及び光線がy-z平面を伝搬することの概略図を示す。第二例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム810のいくつかの詳細は、上記
図2~3に関して説明した光学システム110と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第二例の光学システム810の違いについて説明する。
【0041】
この例では、光学システム810は、円柱レンズ801(第1の光群)、一次元格子透過アレイ構造802(第2の光群)、および開口絞り803を備えることができる。円柱レンズと被写体面との距離は、光学システム810によりy方向において、拡大された浮遊画像が形成されるように、円柱レンズのf(1倍焦点距離)~2f(2倍焦点距離)の範囲内に設けられることができる。一次元格子透過アレイ構造802の例を
図9に示すように、一次元格子透過アレイ構造は、いくつかの平行ガラス平板から貼り合わせて構成することができ、貼り合わせ面には金属反射膜がめっきされ、ここで、被写体点oは像点o’と光学的に共役して、当該構造の被写体面が像面の大きさと等しく、収差がない。
【0042】
このように、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム810により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができる。 画像表示ユニット120の表示面における点が、y方向に沿って光学システム810により結像された像側開き角は相対的に小さいため、高結像品質が得られる。
【0043】
第三例
図10は、本発明の第三例による光学システム1010及び光線がy-z平面において伝搬されることの概略図を示す。第三例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム1010のいくつかの詳細は、上記
図4に関して説明した光学システム210と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第三例の光学システム1010の違いについて説明する。
【0044】
この例では、光学システム1010は、自由曲面鏡1001(第1の光群)、一次元格子透過アレイ構造1002(第2の光群)、一次元光学素子1003および開口絞り1004を備えることができる。図に示すように、自由曲面鏡1001は、一次元格子透過アレイ構造1002の光学的下流に配置され、且つ一次元格子透過アレイ構造1002から透過された光を像平面20に反射させるように配置されてもよい。
【0045】
このようにして、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム810により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができ、この浮遊画像はx方向の視差を有すると同時に、光学システム1010と一定の角度を形成する技術的効果が生じる。
【0046】
第四例
図11は、本発明の第四例による光学システム1110及び光線がy-z平面において伝搬されることの概略図を示す。第四例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム1110のいくつかの詳細は、上記
図2~4に関して説明した光学システム110または210と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第四例の光学システム1110の違いについて説明する。
【0047】
この例では、第2の光群102における共役結像素子は、前述した開口絞りとして機能することができるため、第2の光群(特に共役結像素子)102は、単一の光学部品として、開口絞りと一体に形成されることができる。
図11を参照すると、光学システム1110は、自由曲面鏡1101(第1の光群)、一次元再帰反射スクリーン1102(第2の光群と開口絞り)、一次元光学素子1103(第3の光群)、およびハーフミラー1004を備えることができる。ハーフミラー1004は、一次元光学素子1103の光学的下流に配置され、且つ一次元光学素子1103からの光を共役結像素子(一次元再帰反射スクリーン1102)に反射させ一次元再帰反射スクリーン1102から反射した光を自由曲面鏡1101に透過させるように配置されてもよい。自由曲面鏡1101は、ハーフミラー1104の光学的下流に配置され、且つハーフミラー1104から透過された光を像平面20に反射させるように配置されてもよい。一次元再帰反射スクリーン1102の例は、
図12に示すように、一次元再帰反射スクリーンの表面に任意的に照射された光線は、一部分が元の角度に従って反射される。
【0048】
このようにして、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム1110により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができる。画像表示ユニット120の表示面における点が、y方向に沿って光学システム1110により結像された像側開き角は相対的に小さいため、高結像品質が得られる。
【0049】
第五例
図13は、本発明の第五例による光学システム1310及び光線がy-z平面において伝搬されることの概略図を示す。第五例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム1310のいくつかの詳細は、上記
図2~4に関して説明した光学システム110または210と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第五例の光学システム1310の違いについて説明する。
【0050】
この例では、光学システム1310は、第1の凹面鏡1301(第1の光群)、一次元再帰反射スクリーン1302(第2の光群及び開口絞り)、第2の凹面鏡1303(第3の光群)、第1の分光平板1304及び第2の分光平板1305を備えることができる。第1の凹面鏡1301は、被写体面10と像平面20との間に配置され、その凹面は像平面20に向ける。第1の凹面鏡は、上面に50/50分光膜が塗布された等厚構造であってもよい。第2の凹面鏡1303の凹面は、一次元再帰反射スクリーン1302に向ける。第1の分光平板1304は、被写体面10と第1の凹面鏡1301との間、および一次元再帰反射スクリーン1302と第2の凹面鏡1303との間に傾斜して設けられている。分光平板は、第1の凹面鏡1301と像平面20との間に設けられている。
【0051】
或いは、第1の分光平板1304は、偏光分光膜であってもよく、第2の分光平板1305は、偏光分光平板であってもよい。この場合、光学システム1310は、第1の1/4波長板1306、第2の1/4波長板1307、および第3の1/4波長板1308をさらに備えることができる。特に、第2の光群(その中での共役結像素子)と開口絞りとは、一次元再帰反射スクリーン1302という単一の部品に統合される。つまり、一次元再帰反射スクリーンは同時に、前述説明した開口絞りの機能も担っている。第1の1/4波長板1306は、第2の凹面鏡1303と偏光分光膜との間に設けられてもよい。第2の1/4波長板1307は、一次元再帰反射スクリーン1302と偏光分光膜との間に設けられてもよい。第3の1/4波長板1308は、第1の凹面鏡1301と偏光分光平板との間に設けられてもよい。第2の1/4波長板1307は、第1の分光平板1304と同じ傾斜方式で設けられてもよい。第2の1/4波長板1307と第3の1/4波長板1308の光軸は直交して設けられている。
【0052】
画像表示ユニット120の表示面が光学システム1310の被写体面に配置または中継されると、表示面から発したs偏光が偏光分光膜で反射され、第2の凹面鏡1303に照射され、さらに第2の凹面鏡1303により反射された光線が第1の 1/4波長板1306を通ってp偏光に変換され、偏光分光膜と第2の1/4波長板1307を通って一次元再帰反射スクリーン1302に透過される。光線は一次元再帰反射スクリーン1302で反射されて再び第2の1/4波長板1307を通ってs偏光に変換され、偏光分光膜で反射される。偏光分光膜で反射された光線は再び第2の1/4波長板1307を通って第1の凹面鏡1301に照射され、一部分の光線が第1の凹面鏡1301を通って第3の1/4波長板1308に照射され、光線が第3の1/4波長板1308を通った後もs偏光であり、偏光分光平板で反射される。偏光分光平板で反射された光線は、第1の凹面鏡1301に照射されて再び反射され、第2の1/4波長板1308を通ってp偏光となり、偏光分光平板を透過して出射され、空中の像平面20に浮遊画像が形成される。
【0053】
なお、偏光分光膜、偏光分光平板、第1の1/4波長板1306、第2の1/4波長板1307及び第3の1/4波長板1308の使用は、光学システムの光学効率を向上させるとともに、不要な光線(例えば、外界光線)の影響を除去させるためであるが、必ずしも必須ではなく、当業者にとっては、これらの光学素子を用いない光学システムでも浮遊画像を形成する目的を達成するのに十分であることを理解できるためである。
【0054】
このようにして、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム1310により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができる。画像表示ユニット120の表示面における点がy方向に沿って光学システム1310により結像された像側開き角は相対的に小さいため、高結像品質が得られる。光学システム1310は純反射構造であり、色収差がなく、大型生産を容易に実現する。
【0055】
第六例
図14は、本発明の第六例による光学システム1410及び光線がy-z平面において伝搬されることの概略図を示す。第六例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム1410のいくつかの詳細は、上記
図2~4に関して説明した光学システム110または210、及び上記
図13に関して説明した光学システム1310と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第六例の光学システム1410の違いについて説明する。
【0056】
この例では、光学システム1410は、凸レンズ1401、一次元再帰反射スクリーン1402(第2の光群及び開口絞り)、凹面鏡1403、分光鏡1404及び補正レンズ1405を備えることができる。凸レンズ1401は、被写体面10と像平面20との間に配置され、その凸面は被写体面10に向ける。凹面鏡1403の凹面は、一次元再帰反射スクリーン1402に向ける。分光鏡1404は、被写体面10と凸レンズ1401との間、および一次元再帰反射スクリーン1402と凹面鏡1403との間に傾斜して設けられている。補正レンズ1405は、光学システム1410の収差を補正するように、分光鏡1404と一次元再帰反射スクリーン1402との間に設けられている。補正レンズ1405は、正レンズであってもよいし、負レンズであってもよい。この例では、凸レンズ1401と補正レンズ1405により第1の光群が構成され、凹面鏡1403と補正レンズ1405により第3の光群が構成される。言い換えると、この例では、補正レンズ1405は、第1の光群における光学素子と、第3の光群における光学素子として同時に用いられることができる。
【0057】
あるいは、分光鏡1404は偏光分光膜であってもよい。この場合、光学システム1410は、第1の1/4波長板1406と第2の1/4波長板1407とをさらに備えることができる。特に、第2の光群(その中での共役結像素子)と開口絞りとは、一次元再帰反射スクリーン1402という単一の部品に統合される。つまり、一次元再帰反射スクリーン1402は、前述説明した開口絞りの機能も同時に担っている。
【0058】
画像表示ユニット120の表示面が光学システム1310の被写体面に配置または中継されると、表示面から発したs偏光が偏光分光膜で反射され、凹面鏡1403に照射される。凹面鏡1403で反射された光線が第1の 1/4波長板1406を通ってp偏光に変換され、偏光分光膜と第2の1/4波長板1407を通って一次元再帰反射スクリーン1302に透過される。補正レンズ1405を経った光線は一次元再帰反射スクリーン1402で反射されて再び補正レンズ1405を通って、第2の1/4波長板1407を通ってs偏光に変換され、偏光分光膜で反射される。偏光分光膜で反射された光線は凸レンズ1401を通って空中の像平面20に集光され、浮遊画像が形成される。
【0059】
なお、偏光分光膜、第1の1/4波長板1406、第2の1/4波長板1407の使用は、光学システムの光学効率を向上させるとともに、不要な光線(例えば、外界光線)の影響を除去させるためであるが、必ずしも必須ではなく、当業者にとっては、これらの光学素子を用いない光学システムでも浮遊画像を形成する目的を達成するのに十分であることを理解できるためである。
【0060】
このようにして、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム1410により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができる。画像表示ユニット120の表示面における点がy方向に沿って光学システム1410により結像された像側開き角が相対的に小さいため、高結像品質が得られる。
【0061】
上述した第五例および第六例では、光学システム1310または1410は対称構造であってもよいし、第2の光群における一次元再帰反射スクリーン1302または1402は光学システム1310または1410の中間位置であり、すなわち共役結像素子と被写体面との間の光路が共役結像素子と像平面との間の光路にほぼ等しい。また、第1の光群の焦点距離は、第3の光群の焦点距離にほぼ等しく、被写体面10と像平面20の大きさはほぼ等しい。
【0062】
第七例
図15は、本発明の第七例による光学システム1510及び光線がy-z平面において伝搬されることの概略図を示す。第七例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム1510のいくつかの詳細は、上記
図5に関して説明した光学システム310と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第七例の光学システム1510の違いについて説明する。
【0063】
この例では、光学システム1510は、平凸円柱鏡1501(第1の光群)、鋸歯回折格子1502(第2の光群)、円柱凹面鏡1503(第3の光群と開口絞り)、偏光分光平板1504、第1の偏光板1505、第2の偏光板1506、第1の1/4波長板1507、および第2の1/4波長板1508を備えることができる。特に、第3の光群(すなわち、その中の一次元光学素子)と開口絞りは、単一の部品、すなわち凹面が被写体面10に向けた円柱凹面鏡1503として統合される。つまり、円柱凹面鏡1503は、y方向の開口絞りの機能も同時に担っている。共役結像素子は像平面20に向けるように配置された鋸歯回折格子1502であり、第1の光群の一次元光学素子は像平面20と鋸歯回折格子1502の間に配置された平凸円柱鏡1501であり、平凸円柱鏡1501の平面側が像平面20に、平凸円柱鏡1501の凸面側が鋸歯回折格子1502にそれぞれ向ける。偏光分光平板1504は、被写体面10と円柱凹面鏡1503との間、及び鋸歯回折格子1502と平凸円柱鏡1506との間に傾斜して設けられている。第1の偏光板1505は、被写体面10からの光をp偏光に変換するように被写体面10と偏光分光平板1504との間に設けられている。第2の偏光板1506は、s偏光による透過を遮断するように平凸円柱鏡1501の光学的下流に設けられている。第1の1/4波長板1507は、円柱凹面鏡1503から反射された光をs偏光に変換するように、円柱凹面鏡1503と偏光分光平板1504との間に設けられている。第2の1/4波長板1508は、鋸歯回折格子1502から反射された光をp偏光に変換するように偏光分光平板1504と鋸歯回折格子1502との間に設けられている。
【0064】
画像表示ユニットの表示面が光学システム1510の被写体面に配置または中継されると、表示面から発した光は第1の偏光板1505を通ってp偏光に変換され、偏光分光平板1504を通って、偏光分光平板1504がp偏光を透過させ、s偏光を反射させるので、表示面から発した光は偏光分光平板1504を貫通し、第1の 1/4波長板1507を通って円柱凹面鏡1503に照射される。円柱凹面鏡1503から戻った光線は再び第1の1/4波長板1507を通ってs偏光に変換され、偏光分光平板1504で反射され、第2の1/4波長板を通って鋸歯回折格子1502に照射される鋸歯回折格子1502から反射された光線は再び第2の1/4波長板1508を通って、p偏光に変換され、偏光分光平板1504を透過し、平凸円柱鏡1506に照射される。最後に、光線は、平凸円柱鏡1501を貫通して、空中の像平面20に浮遊画像が形成される。第2の偏光板1506の機能は、p偏光のみを透過させ、s偏光の迷光をフィルタリングするとともに、外部光が鋸歯回折格子1502に入射されたときに、第2の1/4波長板1508と合わせて、外部光の影響を除去することができる。
【0065】
このようにして、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム1510により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができる。画像表示ユニット120の表示面における点がy方向に沿って光学システム1510により結像された像側開き角は相対的に小さいため、高結像品質が得られる。
【0066】
第八例
図16は、本発明の第八例による光学システム1610及び光線がy-z平面において伝搬されることの概略図を示す。第八例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム1610のいくつかの詳細は、上記
図5に関して説明した光学システム310と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第八例の光学システム1610の違いについて説明する。
【0067】
この例では、光学システム1610は、平凸円柱鏡1601(第1の光群)、一次元再帰反射スクリーン1602(第2の光群)、円柱凹面鏡1603(第3の光群と開口絞り)、偏光分光膜1604、分光鏡1605、第1の偏光板1606、第2の偏光板1607及び第1の1/4波長板1608を備えることができる。特に、第3の光群(すなわち、その中の一次元光学素子)と開口絞りは、単一の部品、すなわち凹面が被写体面10に向けた円柱凹面鏡1603として統合される。つまり、円柱凹面鏡1603は、y方向の開口絞りの機能も同時に担っている。一次元回折格子構造を有する共役結像素子は一次元再帰反射スクリーン1602であり、第1の光群における一次元光学素子は像平面20と偏光分光膜1604との間に配置された平凸円柱鏡1601であり、平凸円柱鏡1601の平面側は像平面20に、平凸円柱鏡1601の凸面側は偏光分光膜1604にそれぞれ向ける。分光鏡1605は、被写体面10からの光を円柱凹面鏡1603に透過し、且つ円柱凹面鏡1603から反射された光を一次元再帰反射スクリーン1602に反射するように、被写体面10と円柱凹面鏡1603との間に傾斜して設けられている。偏光分光膜1604は、p偏光を通しs偏光を反射するように分光鏡1605と一次元再帰反射スクリーン1602との間に傾斜して設けられている。偏光分光膜1604は、一次元再帰反射スクリーン1602から反射されたs偏光を平凸円柱鏡1601に反射する。第1の偏光板1606は、被写体面10からの光をp偏光に変換するように分光鏡1605と偏光分光膜1604との間に設けられている。1/4波長板1608は、一次元再帰反射スクリーン1602から反射された光をs偏光に変換するように偏光分光膜1604と一次元再帰反射スクリーン1602との間に設けられている。第2の偏光板1607は、s偏光を通すように平凸円柱鏡1601の光学的下流に設けられている。
【0068】
画像表示ユニットの表示面が光学システム1610の被写体面10に設けられた場合、表示面から発した光は分光鏡1605を通って円柱凹面鏡1603に照射され、且つ凹面鏡1603で反射され、再び分光鏡1605に照射され、p偏光状態の光線を通すための偏光板である1606に反射される。p状態の偏光は偏光分光膜(p光を通しs光を反射)を通って、1/4波長板1608に照射され、光線は一次元再帰反射スクリーン1602で反射された後、再び1/4波長板1608を通って、s偏光になる。s偏光が偏光分光膜1604で反射され、レンズ1601に照射され、第2の偏光板1607を通って出射され、空中に浮遊画像が形成される。第2の偏光板1607は、s偏光を通ってもよい。第2の偏光板1607と第1の偏光板1606との吸収軸方向は直交していることにより、表示面から出射された大角度の光線が第2の偏光板1607と第1の偏光板1606を直接通過して人の目に入射して、ゴーストイメージングが形成されることを防止することができる。
【0069】
このようにして、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム1510により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができ、画像表示ユニット120の表示面における点がy方向に沿って光学システム1610により結像された像側開き角は相対的に小さいため、高結像品質が得られる。
【0070】
第九例
図17は、本発明の第九例による光学システム1710及び光線がy-z平面に伝搬されることの概略図を示す。第九例による浮遊ディスプレイ装置における光学システム1710のいくつかの詳細は、上記
図5に関して説明した光学システム310と同じであり、ここでは省略する。以下では、主に第九例の光学システム1710の違いについて説明する。
【0071】
この例では、光学システム1710は、分光凹面鏡1701(第1の光群)、一次元再帰反射スクリーン1702(第2の光群)、円柱凹面鏡1703(第3の光群と開口絞り)、分光平板1704、偏光分光平板1705、第1の偏光板1706、第1の1/4波長板1707、および第2の1/4波長板1708を備えることができる。特に、第3の光群(すなわち、その中の一次元光学素子)と開口絞りは、単一の部品、すなわち凹面が被写体面10に向けた円柱凹面鏡1703として統合される。つまり、円柱凹面鏡1703は、y方向の開口絞りの機能も同時に担っている。位相共役光学素子は一次元再帰反射スクリーン1702であり、第1の光群における一次元光学素子は分光平板1704と偏光分光平板1705との間に配置された分光凹面鏡1701であり、分光凹面鏡1701の凹面は像平面20に向ける。
【0072】
分光平板1704は、被写体面10からの光を円柱凹面鏡1703に透過し、且つ円柱凹面鏡1703から反射された光を一次元再帰反射スクリーン1701に反射するように、被写体面10と円柱凹面鏡1703との間に傾斜して設けられている。偏光分光平板1705は、p偏光を通しs偏光を反射するように分光凹面鏡1701と像平面20との間に傾斜して設けられ、一次元再帰反射スクリーン1702から反射されたs偏光を分光凹面鏡1701に反射する。第1の偏光板1706は、被写体面10からの光をp偏光に変換するように被写体面10と偏光分光平板1704との間に設けられている。第1の1/4波長板1707は、分光平板1704と分光凹面鏡1701との間に設けられている。第2の1/4波長板1708は、偏光分光平板1705と分光凹面鏡1701との間に設けられている。
【0073】
画像表示ユニットの表示面が光学システム1410の被写体面10に設けられた場合、表示面から発した光は1706(1/4波長板+偏光板)を通って、出射光線はp偏光であり、分光平板1704を通り、円柱凹面反射鏡1703に照射される。光線は円柱凹面反射鏡1703で反射され、その後分光平板1704で反射され、第1の1/4波長板1707に照射され、p偏光を円偏光に変換し、分光凹面鏡1701に照射される。分光凹面鏡1701は一定の曲率を有する等厚平板構造であり、表面にハーフミラーがめっきされている。光線は、分光凹面鏡1701を通った後に第2の1/4波長板1708に照射され、円偏光をs偏光に変換し、偏光分光平板1705で反射され、一次元再帰反射スクリーン1702に照射され反射され、2回目で偏光分光平板で反射された後に第2の1/4波長板1708を通って円偏光に変換され、一部の光線は分光凹面鏡1701で反射され、再び第2の1/4波長板1708を通ってp偏光に変換され、偏光分光平板1705により出射され、空中に浮遊画像が形成される。
【0074】
このようにして、画像表示ユニット120の表示面における点がx方向に沿って光学システム1710により結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくするため、像平面20に浮遊画像が形成されることができる。
【0075】
あるいは、上述の例示的な実施例及び例では、光学システム110の被写体面が平面である場合、光学システムにはy方向において像面湾曲が存在する可能性があるため、浮遊画像が湾曲したように形成される可能性がある。したがって、y方向の像面湾曲を補正するために、光学システム110の被写体面がy方向において曲面として設けられることができる。例えば、画像表示ユニット120の表示面が光学システム110の被写体面と重なる場合、表示面が曲面として設けられることができる。あるいは、表示面は、中継結像ユニットにより光学システム110の被写体面に曲面像として形成されることができる。
【0076】
本発明のもう一つの例示的な実施例によれば、多層表示機器も提供される。
【0077】
図18は、本発明の実施例による多層表示機器1800の概略図を示す。
多層表示機器1800は、前述のいずれかの浮遊ディスプレイ装置1810と、透明表示器1820とを備えることができる。透明表示部品1820は、浮遊ディスプレイ装置1810の光学的下流に配置されることができる。透明表示部品1820の表示面30は像平面20と異なる場所に位置する。透明表示部品1820は、透明OLED/LED/LCDディスプレイやフィルム(スライド)など、高い透過率を有することができる。
【0078】
以上、本発明の実施例による多層表示機器1800について説明した。多層表示機器1800を用いて、浮遊表示装置1810は像平面20において浮遊画像を形成することができ、透明表示器1820は表示面30において異なる情報を表示することができる。このようにして、副次的な情報を表示面30に表示させ、重要的な情報を像平面20に表示させることができ、これにより人々の情報取得の効率と体験度を向上させることができる。
【0079】
以上、本発明の例示的な実施例による浮遊ディスプレイ装置、使用される光学システム、及び多層表示機器について詳細に説明した。この浮遊ディスプレイ装置における光学システムは加工が容易であり、コストを効果的に低減することができるとともに、従来技術に存在したゴーストイメージングの問題を解消し、より柔軟な光学レイアウトを有する。この浮遊ディスプレイ装置を用いて、表示面の空中での光場再構築が実現され、光場三次元表示技術である。表示面における光ビームが第1の方向に沿って光学システムによって結像された像側開き角は、両眼視差条件を満たすように相対的に大きくすることで、画像の浮遊ディスプレイが実現可能である。特に、本発明の浮遊ディスプレイ装置における光学システムに関して、本明細書に記載の開口絞りは、第2の方向において光を制限する機能のみを担っており、第1の方向において光を制限する機能については、第1の光群または一次元回折格子構造を有する共役結像素子により担ってもよい。従来の光学システムと比較して、第1及び第2の方向で開口絞りとして機能する光学素子は、同一の光学素子でなくてもよい。
【0080】
上記の説明は、限定的ではなく概略的なものであることが理解されるべきである。例えば、上述の実施例(および/またはその様々な態様)は、互いに関連して使用されてもよい。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の条件または材料を本発明の様々な実施形態の教示に適合させるために多くの修正を加えることができる。本明細書に記載された材料のサイズおよびタイプは、本発明の様々な実施例のパラメータを定義するために使用されるが、様々な実施例は限定的であることを意味するものではなく、例示的な実施例である。上記の説明を読んだ場合、他の多くの実施例は当業者にとって明白であろう。したがって、本発明の様々な実施例の範囲は、添付の請求項及びこれらの請求項で保護請求される均等な形態の全体的範囲を参照して決定されるべきであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の表示面を有し、且つ初期画像を構成する表示光を前記表示面から発した画像表示ユニットと、
被写体面と像平面とを画定し、前記被写体面において前記表示面から発した前記表示光を受光するように配置された光学システムとを備え、
前記光学システムは、浮遊ディスプレイ装置の光軸にそれぞれ直交する第1の方向及び第2の方向において異なる、光線を集光する能力を有するように配置された複数の光群を含み、
前記光学システムは、前記第2の方向において前記被写体面からの光線を拘束するように開口絞りを有し、
前記表示光は、前記光学システムを介して伝搬された後、空中における前記像平面に浮遊画像が形成され、
前記複数の光群のうちの少なくとも1つの光群は一次元回折格子構造を有する共役結像素子を含む、ことを特徴する浮遊ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記複数の光群は、
前記第2の方向に光線を
変調するよう
に一次元光学素子を含む第1の光群と、
前記第1の方向に光線を集光するように、一次元回折格子構造を有する共役結像素子を含む第2の光群と、を備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記開口絞りは前記第1の光群の焦点面との距離がdであり、前記第2の方向においての通光サイズはDyであり、この通光サイズDyが以下の条件を満たす、ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊ディスプレイ装置。
Dy≧h/f*d
ここで、hは前記第2の方向においての前記浮遊画像の長さ、fは前記第1の光群の焦点距離である。
【請求項4】
前記第1の方向の像側開き角は、前記第2の方向の像側開き角よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記一次元光学素子と共役結像素子は、円柱鋸歯回折格子として一体成形されている、ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記一次元光学素子は円柱レンズであり、前記共役結像素子は一次元回折格子透過アレイ構造である、ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光学システムは
、前記第2の方向に前記被写体面からの光線を変調するよう
に一次元光学素子を含む、第3の光群をさらに備えた、ことを特徴とする請求項2に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項8】
一次元回折格子構造を有する前記共役結像素子と前記開口絞りが、単一の部品として統合された、ことを特徴とする請求項1に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1の光群と前記第3の光群は前記共役結像素子に対して光軸に沿って略対称に設置されている、ことを特徴とする請求項7に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記光学システムは、
光路に沿って前記共役結像素子と前記画像表示ユニットとの間に設けられた分光鏡をさらに備えた、ことを特徴となる請求項1に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記光学システムは、
光路に沿って前記共役結像素子と前記分光鏡との間に設けられた波長板、及び/又は
偏光分光能力を有する前記分光鏡をさらに備えた、ことを特徴となる請求項10に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第2の方向における前記浮遊画像の長さは、前記第2の方向における前記初期画像の長さ以上である、ことを特徴となる請求項1に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記被写体面は、前記第2の方向において曲面として配置される、ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の浮遊ディスプレイ装置。
【請求項14】
請求項1から請求項
13のいずれか一項に記載の浮遊ディスプレイ装置と、
前記浮遊ディスプレイ装置の光学的下流に設けられ、表示面が前記像平面と異なる位置にある透明表示部品と、を備えた、ことを特徴とする多層表示機器。
【国際調査報告】