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特表2023-553729口腔内を清掃するための方法およびデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】口腔内を清掃するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/02 20060101AFI20231218BHJP
   A61C 17/06 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61C17/02 B
A61C17/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537056
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021086522
(87)【国際公開番号】W WO2022129545
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020134154.7
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523207711
【氏名又は名称】エピトーメ・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】EPITOME GMBH
【住所又は居所原語表記】THE ICON VIENNA, TURM 17, 4. OG, GERTRUDE‐FROEHLICH‐SANDNER‐STRASSE 2‐4, 1100 WIEN, AUSTRIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ツァックル,ヴィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ランベルガー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】レッシュ,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイス‐ブスラマ,ベルンハルト
(57)【要約】
本出願は、表面、特に歯、歯間隙、および歯肉を清掃するための方法に関し、被清掃面の周囲に液体体積が生成され、少なくとも一つのノズルを備える少なくとも一つの組立体を用いて被清掃面にパルス状の液体流が当てられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面、特に歯、歯間隙、および歯肉を清掃するための方法であって、少なくとも一つのノズル(1)を備える少なくとも一つの組立体を用いて被清掃面にパルス状の液体流が当てられ、該液体(26)の少なくとも一部がサックバックされて再循環される、方法。
【請求項2】
サックバックされる液体の量が、前記少なくとも一つのノズル(1)を介して供給される液体の量に本質的に対応することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被清掃面または該被清掃面の部分的な領域が、囲まれた空間(27)の形の閉じた液体体積によって包囲され、一つのノズル(1)または複数のノズル(1)がこの囲まれた空間(27)内に位置決めされることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記バックサクションが前記囲まれた空間(27)の内側および/または外側すなわち口腔内で行われるように、前記バックサクションが前記囲まれた空間(27)の内側および/または外側で行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サックバックされる液体(26)の量が、一つまたは複数のノズル(1)を通して前記囲まれた空間(27)に導入される液体の量の+/-20体積%以下に対応することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
高圧の領域および該高圧の領域に続くより低圧の領域が前記液体体積内に生じるように圧力パルスが実行され、前記圧力が前記体積内の前記液体の周囲圧力に関するものであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記圧力パルスが、前記より低圧の領域が低温蒸気泡を生成して同伴するほど強くなるように選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
トロイダル状の閉じた渦糸が発生するように、円柱形の流体噴流の噴流長さの噴流直径に対する比が10以下、特に6未満、とりわけ4未満に設定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
複数のノズル(1)を備える組立体(39)が使用されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
表面が平らでないときまたは該表面からの距離に応じて、前記ノズルが、パルス強度および/または前記ノズルから噴出される液体の量を制御するように操作され、前記距離がより大きいとき、前記パルス強度および/またはパルス持続時間および/またはパルス周波数および/または流量が増加されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも一つのノズル(1)が、定位置を中心にX方向(歯縦軸)および/またはY方向(歯横軸)および/またはZ方向(前記歯に向かう)に揺動されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも一つのノズル(1)が前記歯に沿って案内されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ノズル組立体(39)に複数のノズル(1)が存在するとき、該ノズル(1)が、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の高さにわたって位置決めされるように配置され、前記個別のノズルのノズル噴流衝突面同士が重なる、またはノズル組立体を揺動させる場合、重なることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組立体の単位面積当たり異なるノズル密度が歯の高さにわたって使用され、歯肉ポケットおよび歯肉領域内の前記歯間隙、特に歯間乳頭などの、前記組立体が前記被清掃面からより遠くに離間した領域に、より多くのノズルが使用されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
各ノズル組立体(39)に複数のノズル(1)が組み込まれ、該ノズル組立体(39)が、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の領域を逆U字形に包含することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ノズル組立体(39)が移動デバイスによって前記歯の上方を移動されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
一つのノズル組立体(39)につき10個から100個のノズル(1)が使用されることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
一つのノズル(1)につき、大きなトーラスには16mJ以下、特に噴流には10mJの運動入力パルスエネルギーが使用されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
複数のノズル組立体(39)およびノズル(39)に対して一つのマウスピース当たりの総パルスエネルギーが、トーラスを発生させるときは、200mJから800mJ、特に300mJから600mJであり、噴流を発生させるときは、200mJから500mJ、特に200mJから300mJであることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
単位時間当たりの前記エネルギーが12,000mJ/sと100,000mJ/sの間であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
脈動が50Hzと200Hzの間のパルス周波数で生成されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
噴流を生成するときは、脈動周波数が1Hzと1kHzの間、好ましくは1Hzと300Hzの間、より好ましくは30Hzと300Hzの間、特に1Hzと50Hzの間、とりわけ>50Hzであることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記トーラスを発生させるときは、前記脈動周波数が、1Hzと20kHzの間、好ましくは1Hzと5kHzの間、より好ましくは1Hzと3kHzの間、特に50Hzと1kHzの間、より一層好ましくは50Hzから300Hzであることを特徴とする、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
噴流を発生させるときは、パルス長が、0.3msから1秒、好ましくは0.3msから500ms、より好ましくは0.3msから100ms、より一層好ましくは0.3msから20ms、特に0.3msから5msであることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
トーラスを発生させるときは、前記パルス長をより短く、特に0.03msから3ms、特に0.07msから0.7ms、好ましくは0.1msから0.4msにすることができることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
被清掃面からの距離が、噴流を用いるときは10mm以下、トーラスを用いるときは20mm以下となるように設定されることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記歯の前記表面に対する前記噴流および/またはトーラスの衝突角度が垂直から接線の範囲となるように設定されることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記噴流液体の入口圧力が、噴流を生成するときは前記ノズル(2)の上流で0.1MPaから2MPa、好ましくは0.12MPaから0.5MPaに設定され、前記液体の前記入口圧力が、トーラスを生成するときは前記ノズル(2)の上流で0.1MPaから4MPaに設定されることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記閉じた体積内の粒子密度が、前記閉じた体積に含有される前記液体に対して、30体積パーセント未満、特に20体積パーセント未満、とりわけ15体積パーセント未満であることを特徴とする、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
デバイス内で運搬される最初の清掃液中の粒子密度が、10体積パーセント未満、特に5体積パーセント未満であり、いずれの場合も前記清掃液の体積に対するものとすることを特徴とする、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
粒子として鉱物粒子が使用されることを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
粒子サイズが0.5mm以下、特に0.3mm未満のトーラスを生成するとき、粒子サイズが20μmから120μmの粒子が使用されることを特徴とする、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1から32のいずれか一項に記載の方法を行うためのデバイスにおいて、少なくとも一つのノズル(1)、または複数のノズル(1)を備える少なくとも一つの組立体(39)、が設けられ、前記少なくとも一つのノズル(1)が液体噴流を噴出するように実施され、前記少なくとも一つのノズルによって噴出される前記液体の少なくとも一部をサックバックするように実施される少なくとも一つのバックサクションデバイス(21、34)が設けられることを特徴とするデバイス。
【請求項34】
少なくとも一つのノズルハウジング(20)に、前記ノズル(1)の正面にクッション状の囲まれた空間(27)が形成されるように被清掃面(22)に当接するように実施される少なくとも一つの封止要素(25)が設けられることを特徴とする、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記少なくとも一つの封止要素(25)が、前記ノズル(1)または前記一つまたは複数のノズルハウジング(20)の周囲に位置決めされかつ前記被清掃面(22)に対して弾性封止的に当接するようにも実施される一つまたは複数の弾性シールリップ(28)によって形成されることを特徴とする、請求項33に記載のデバイス。
【請求項36】
前記一つまたは複数の封止要素(25)が、前記被清掃面(22)に対向する前記ノズルベース体(20)の外側の出口側の表面上に位置決めされ、前記封止要素(25)が、複数の部品でまたは単一の円周状の封止要素(25)として実施され、特にゴム弾性として実施されることを特徴とする、請求項35に記載のデバイス。
【請求項37】
複数のノズル(1)が組み合わされてノズルハウジング(20)内でノズル組立体(39)を形成し、前記ノズル(1)が、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の高さにわたって延在するように、前記ノズル(1)が位置決めされることを特徴とする、請求項33に記載のデバイス。
【請求項38】
前記個別のノズルのノズル噴流衝突面同士が重なる、またはノズル組立体を揺動させる場合、重なることを特徴とする、請求項33から37のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
複数のノズル(1)が各ノズル組立体(39)に組み込まれ、該ノズル組立体(39)が、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の領域を逆U字形に包含することを特徴とする、請求項33から38のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項40】
前記封止要素(25)またはシールリップ(28)が、清掃液(26)または他の流体によって膨らむように中空として実施されることを特徴とする、請求項33から39のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項41】
前記ノズルハウジング(20)が、(顎)側部で上下に位置決めされたまたは歯側面(29)に対向する複数のノズル開口(21)と、底部で互いに並んで位置決めされ、歯冠(30)に対向する複数のノズル開口(21)とを有することを特徴とする、請求項33から40のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項42】
特に前記側方のノズルハウジング(20)が歯に快適に適合することができるように、前記側方のノズルハウジング(20)が、弾性または関節式の接続部(32)、特にゴム弾性の接続部(32)を用いてノズルベースハウジング(31)に蝶着されることを特徴とする、請求項33から41のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項43】
前記ノズル(1)のうちの一つのまたはいくつかまたは全てに対するノズルハウジング(20)に、清掃液(26)用の入口(36)がそれぞれ設けられることを特徴とする、請求項33から42のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項44】
前記ノズルハウジング(20)が、流入管路(33)が設けられるように実施され、該流入管路(33)には前記ノズル開口(21)がその後端(33)に開口し、バックサクション開口(34)が前記ノズル開口(21)に隣接して設けられ、該バックサクション開口(34)を用いて、前記囲まれた空間(27)から前記流入管路(33)に液体(26)をサックバックすることができることを特徴とする、請求項33から43のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項45】
液体(26)が流入しているとき、特に液体(26)が前記ノズル開口(21)から噴出されているとき、該清掃液(26)が前記ノズル開口(21)からのみ制御されて噴出されるように、前記バックサクション開口(34)を閉じる弁(35)が設けられることを特徴とする、請求項33から44のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項46】
粒子が清掃流体体積中で濃縮されるように、ある程度液体の漏出は起きるが粒子の漏出は起きないように、前記囲まれた空間から粒子は出ることができないが清掃液は出ることができるように前記シールリップが実施されることを特徴とする、請求項33から45のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内の表面を清掃するための方法およびデバイス、特に口腔内の歯、歯間隙、および歯肉を清掃するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の清掃の分野では、清掃の改善が絶えず追及されている。歯ブラシと練り歯磨きを用いた従来の清掃にはいくつかの欠点がある。
【0003】
従来の練り歯磨きは最大20%の研磨成分を有し、該研磨成分は、ユーザによる前記ブラシへの過度の圧力とともに、経時的に歯質の重度の酸蝕につながるおそれがある。平均寿命が延びるにつれ、これは、老齢に至る頃には歯が文字通り死ぬほど磨かれてしまうことにつながっており、これが問題につながっている。
【0004】
また、前記歯ブラシには、特にブラッシングが適切に行われないとき歯肉を損傷する可能性があるという欠点があり、その結果、歯周病は一般的な問題である。汚染物質を形成するバイオフィルムのほとんどが歯肉の真上または真下にあるので、歯肉と歯肉の隣を清掃することは非常に重要である。これは歯ブラシでは特に難しく、その理由は、前記ブラシが歯肉に接触して歯肉に炎症を起こすからである。
【0005】
また、歯ブラシと練り歯磨きを用いたブラッシングは口腔衛生の見地からは不十分であり、その理由は、特に歯間隙(被清掃面の最大40%)および歯肉ポケットが十分には清掃されないからであり、その理由は、前記歯ブラシがこれらの領域に届かないからである。
【0006】
プラーク(=口腔バイオフィルム)とは、細菌の作用によって形成され、そこから後の段階で歯石が形成されるものだが、表面とプラーク自体に比較的よく付着する汚染物質の膜であり、前記歯ブラシと直に接触して清掃されても容易に除去することができないが、前記歯ブラシがある程度しか侵入できないまたは全く侵入できない歯間隙内では決して除去することができない。
【0007】
したがって、歯ブラシを用いた従来の清掃には、歯間隙内、特に歯と歯が接する領域を清掃するが歯間隙も清掃するためのデンタルフロスまたは歯間ブラシの使用などの付加的な清掃対策が必要である。しかしながら、デンタルフロスを用いるときも、ある程度の誤使用の可能性があり、その理由は、特に歯肉はデンタルフロスでも、細菌負荷が特に高い歯間ポケットの領域内では特に、傷付く可能性があるからである。これは、とりわけ歯肉炎につながるおそれがある。
【0008】
過去には、清掃への他のアプローチを開発するための様々な試みがなされてきた。例えば、水噴射デバイスを用いて歯間隙を清掃することも知られている。初期の水噴射デバイスは実際に清掃効果を発揮することはできたが、噴流の強さにより歯肉が容易に損傷しかねないことが分かった。最近のデバイスは噴射力の点では著しく低減されており、その結果、歯肉を直ちに損傷することはなくなったが、これにより、これらのデバイスはほとんど効果がないほど清掃能力が低下している。
【0009】
また、いわゆる超音波ブラシを提供しようとする多くの試みがなされており、超音波歯ブラシでは、清掃に用いられて最終的には練り歯磨きとともに結果的に摩耗性の清掃を生じる歯ブラシの振動を、清掃効果を生じると考えられている超音波振動と組み合わせている。しかしながら、このような歯ブラシは、そのような清掃効果の発揮を確認することができるような形で前記超音波を口腔内に結合することができないことが分かった。したがって、そのようないわゆる超音波歯ブラシは、従来の手動の歯ブラシよりも著しく優れているわけではない。
【0010】
ブラシヘッドが円運動または振動運動する他の電動歯ブラシは圧力を制御する場合が多いが、最終的にはこれらの運動も摩耗性のブラッシングになってしまう。
【0011】
独国実用新案第202016101191号明細書は、電動歯ブラシ用のブラシヘッドを開示しており、該ブラシヘッドは、歯を全ての側面で包囲することを意図しており、該ブラシヘッド上には清掃のために刷毛が位置決めされている。
【0012】
米国特許第3401690号明細書は、少なくとも一つの歯を包含するクランプを通して超音波が液体を介して表面に当てられる清掃デバイスを開示している。
【0013】
米国特許出願公開第2005/091770号明細書は、普通の電動歯ブラシのように動作するが、音響エネルギーを清掃液に導入するための超音波発生器も有している歯ブラシを開示している。
【0014】
米国特許出願公開第2017/0189149号明細書は、超音波デバイスを用いて歯を白くするためのシステムを開示している。この目的でマウスピースが設けられており、該マウスピースは上顎用の体積と下顎用の体積とを有し、超音波発生器が前記マウスピース内で歯に対向して位置決めされ、歯面に超音波エネルギーを当てることができる。
【0015】
これは、超音波ストリーミングとして知られる効果を生成することを意図しており、温度が制御されなければならず、泡は超音波の伝達を妨げるので泡の形成も防止されなければならないと述べられている。この場合20kHzから100kHzの周波数を使用すべきとしており、この目的は、歯の表面で内破する蒸気泡を形成するようにキャビテーションを意図的に誘発することであり、その目的は、最大5000ケルビンの局所温度および最大1000気圧の局所圧力を発生させることである。
【0016】
ここでの欠点は、導入されるエネルギー量が、組織への損傷が事実上避けられないほど高いことである。
【0017】
国際公開第2007/060644号は、いわゆる「マイクロストリーミング」によってバイオフィルムを除去するための方法およびデバイスを開示している。この場合、気泡を超音波によって共振させることを意図しており、清掃効果を生じると考えられている。超音波励起の目的は、前記気泡を振動させ、前記泡の近傍の小さな領域で音響ストリーミングを誘発することである。この音響ストリーミングはマイクロストリーミングとしても知られる。このマイクロストリーミングは、前記バイオフィルムを除去することができるせん断力を発生させると考えられている。前記対応する気泡は予め製造しておくことができ、特に、これらの泡は、該気泡を安定させるためにリン脂質環境またはタンパク質環境で発生させることもできる。
【0018】
国際公開第2009/077291号も、バイオフィルムに抗菌剤を導入するための方法を開示しており、この場合、気泡がプラスチック外被の中の処理室に導入され、次に前記プラスチック外被が超音波によって破壊され、それにより前記泡が解放される。前記気泡は、結果的に、前記超音波周波数によって励起され、その結果振動し、最大振幅に達した後、崩壊し、したがって前記バイオフィルムを破裂させる。
【0019】
国際公開第2010/076705号は、刷毛に加えて、微小泡も導入されるのとともに処理室に超音波を導入する超音波発生器を含有する歯ブラシを開示している。これはキャビテーションを生じることができるが、生じなくてもよい。
【0020】
国際公開第2020/212214号は、歯ブラシが水噴射デバイスに結合されることになっている方法を開示しており、前記歯ブラシが歯間隙を通るように案内されるとき、水噴射が前記歯間隙を洗浄するように前記水噴射デバイスが制御される。この目的で、適切な加速度センサ、速度センサ、または変位センサが使用されることになっている。
【0021】
国際公開第2020/212248号は、歯ブラシに水噴射デバイスも結合された方法を開示しており、制御器が設けられ、該制御器は、所定のデータおよびユーザ固有のデータを使用して口の中の清掃デバイスの位置を推定し、前記データは、とりわけ、ユーザの清掃アクティビティまたは前記清掃デバイスの操作に関するデータを含み、歯間隙に達したときに水噴射で該歯間隙を洗浄するために前記位置を推定するために使用される。
【0022】
前記既知の方法の一つの欠点は、実験により、(内破)泡のみを用いた清掃では不十分であることが示されていることである。清掃性能が低過ぎる、または清掃性能がより高いが、必ずしも十分ではないより高い清掃性能では、安全でないエネルギー範囲に達してしまい、安全でないというのは、これらのエネルギー範囲では、特定のスポットで歯肉と歯質の両方の破壊を招くおそれのあるキャビテーションが発生する可能性があるからである。このような破壊の発生を阻止するために、この範囲は大きめの余裕をもって避けなければならず、その結果、非効果的な清掃性能になってしまう。結局のところ、微小泡を従来の歯ブラシと組み合わせることは、該二つのテクノロジーの欠点を組み合わせてしまうだけである。
【0023】
独国特許出願公開第4208664号明細書は、トンネルを形成するノズルヘッドを備える水フロッシング用ノズルヘッド組立体を開示しており、前記ノズルヘッドが内側に複数のスプレーノズルを備えて実施され、該複数のスプレーノズルに対して、制御弁を通して圧力ポンプの加圧液が逐次的に作用する。
【0024】
米国特許出願公開第2012/0003601号明細書は、圧電素子を用いて液体を加圧し、該液体を被清掃歯に当てることができるスプレー噴流を生成するためのデバイスを備える歯清掃デバイスを開示しており、また口腔衛生のマーカを検出するための検出デバイスも開示している。この場合の前記デバイスは非常に嵩高で、エンドユーザの使用にはほとんど適さない。
【0025】
米国特許出願公開第2019/0110875号明細書は、液体が往復運動的に噴出され吸引されるようになっている歯を清掃するための方法を開示しており、該液体が往復運動的に歯列の一方の側に噴出され、他方の側で吸引され、これが前記一方または前記他方の輸送路を往復運動的に開く弁によって制御される。この方法の欠点は、一方では前記液体の慣性のため、他方では前記ライン中の摩擦抵抗のため、所望の迅速な切替えができないので、この方法が上手くいかないことである。
【0026】
米国特許出願公開第2019/0236236号明細書は機械駆動式口腔ケア器具を開示しており、液体のパルス状噴流を発生させ、手動案内式ノズルを用いて従来のやり方で歯の上方を案内する。手動案内式の歯ブラシと同様に、ここでの欠点は、多くのユーザエラーが起こる可能性があり、これがとりわけ歯肉への大きな損傷につながる可能性があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】独国実用新案第202016101191号明細書
【特許文献2】米国特許第3401690号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/091770号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0189149号明細書
【特許文献5】国際公開第2007/060644号
【特許文献6】国際公開第2009/077291号
【特許文献7】国際公開第2010/076705号
【特許文献8】国際公開第2020/212214号
【特許文献9】国際公開第2020/212248号
【特許文献10】独国特許出願公開第4208664号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2012/0003601号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2019/0110875号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2019/0236236号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、表面、特に歯面および歯肉面ならびに歯間隙を清掃するための方法であって、歯肉、歯間隙、および歯からバイオフィルムを簡単に、迅速に、かつ安全に、また効果的にかつ無害であるように除去し、また使い心地もよい方法を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
前記目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0030】
有利な変形例は、請求項1の従属請求項で開示する。
【0031】
別の目的は、歯面および歯肉面ならびに歯間隙を効果的に清掃するためのデバイスであって、歯肉、歯間隙、および歯からバイオフィルムを簡単、迅速、かつ安全に、また効果的にかつ無害であるように除去し、また使い心地もよいデバイスを創出することである。
【0032】
前記目的は、請求項33の特徴によって達成される。
【0033】
有利な変形例は、請求項33の従属項で開示する。
【0034】
本発明によれば、所定の強度および速度の圧力噴流または圧力パルスが少なくとも一つのノズルを通して被清掃面に送られ、液体または液体媒質の性質により、液体体積に小さな体積の液体を導入する圧力サージが前記液体を通って被清掃面に伝播する。
【0035】
有利な一変形例では、これに関連して流体の機械的効果が使用される。特に、最も広い意味で環状の流れおよび渦がこの場合に使用される。このような流れおよび渦によって生成することができる前記効果を下記で説明する。一方では適切なノズルの幾何学的形状によって、他方では噴出媒質の量および速度に関する特定の境界条件の順守によって、トロイダル状の閉じた渦糸を発生させることができ、該トロイダル状の閉じた渦糸を以下では単にトーラス(torus)または複数形のトーラス(tori)と呼ぶ。
【0036】
最も単純な場合では、このような流れまたは渦は、前記トーラスが周囲媒質を通過して被清掃面に到達した後に、該被清掃面に対して横断的な流れになる。このような流れはそれ自体が既にバイオフィルムまたはプラークを分離させることができる場合がある。
【0037】
前記噴出液中および/または前記周囲媒質中に固体粒子が存在する場合、これらは前記渦またはトーラスに同伴され、同様に前記被清掃面を横断するように相応に移動し、必然的に清掃効果を強める。この場合、このような固体粒子は、単純な方法で同伴されるか、トーラスによって運ばれ、その結果、粒子も表面を横断的に数回案内されるようにすることができる。その際、前記一つまたは複数の粒子は、前記トーラスとともに回転する、または前記トーラス内で回転する、または前記トーラスの周囲を回転する。したがって、粒子が前記表面を横断するように数回通り抜け、せん断力によってバイオフィルムを除去することができる。これは、粒子が前記表面を横断的に一回しか案内されない噴流とは異なる。
【0038】
前記周囲媒質を通る相対速度または前記トーラスの回転速さに応じて、前記トーラス内には低温蒸気を発生させることもできる。この場合、上述の効果に加え、前記トーラス、より正確には低温蒸気泡が前記表面で崩壊し、横断流による付加的な流れ効果を生じることになる。
【0039】
しかしながら、トロイダル状の閉じた渦糸は低温蒸気がなくても存在する。粒子もそれ自体の流れ抵抗によって前記被清掃面に沿って移動される。前記粒子の前記流れ抵抗は、それ自体のサイズとともに増大し、その結果、粒子が前記バイオフィルムの表面に沿って移動されるときに前記バイオフィルムに作用する前記せん断力も増大する。
【0040】
原則として、この場合の前記ノズルは断面円形とすることができるが、任意の他の形状、例えば、楕円形または細いスリット形、星形、またはほぼ不規則な形状を有することもできる。したがって、前記閉じた渦糸は必ずしも円形でなく、したがって定義上のトーラスを構成しない。
【0041】
これらのノズルの幾何学的形状に関して、代替直径として水力直径Dh=4A/Pを用いることができ、ここでA=断面積、P=濡れ縁である。
【0042】
前記円形のトーラスは、特に安定しており、目立った形状変化がなく前記液体の中へ遠くまで伝播するので有利である。
【0043】
しかしながら、他の幾何学的形状の前記閉じた渦糸の安定性でも、必要な清掃距離に対して十分で、歯の幾何学的形状への適合が可能な場合がある。
【0044】
噴出される液柱の長さの該液柱の直径に対する比が4以下であれば、これらのトーラスが形成されることを発見した。
【0045】
これを上回り、約10以下の比のときは、境界線がはっきりしない混在範囲が存在する。
【0046】
厳密に前記混在範囲がどこまで及ぶかおよび純粋な噴流がどこに存在するかは流動的であり、したがって正確に決定することはできない。
【0047】
これに関する情報は、D.G.Akhmetov “Vortex Rings” ISBN 978‐3‐642‐05015‐2の特に図3.6および図3.7に見られる。
【0048】
図3.7は前記関係をかなりはっきりと示しており、ここでUptはいわゆるスラグ長さ、すなわち、噴出流体の柱長さである。Up=前記流体の速度、t=噴出時間、およびD=ノズル径である。
【0049】
Upt/D=2でははっきりとしたトーラスが観察され、3.8(約4)ではまだトーラスであるが、8では既にトーラスと噴流が混在し、すなわち、二次的でより小さな渦も含有している混合形態が存在している。
【0050】
同書籍からの図3.6は、Upt/D=3.8からは、循環が事実上トーラスにならなくなることを示している。
【0051】
とりわけ、トロイダルリングには、前記ノズルと前記被清掃面との間の大きな距離範囲を渡り切ることができるという利点もある。
【0052】
また、トーラスリングは、本願で特定された前記目的に必要な距離よりもはるかに大きな距離を渡り切ることもできる。自由液体中では、低温蒸気を有するトーラスは、約1.5mmのノズル直径を用いた場合、最大で約30mmから約50mmをカバーする。これは、トーラスが使用されるとき、どのような場合でも被清掃面に確実に届くことを意味する。
【0053】
本発明によれば、清掃液はサックバックされてプロセスで再利用することができ、該バックサクションは、前記ノズルの噴出開口を介して、前記ノズルに隣接して位置決めされたバックサクション開口を介して、また中央のバックサクション開口を介して行われ、前記液体は前記プロセスに送り返される。本発明者らは、バックサクションがなければ過剰な液体が口腔に入る可能性があり、これはユーザにとって不快になる可能性があることを発見し、また本発明者らは、前記液体が同プロセスで再利用されれば前記方法をより効率的に行うことができることも発見した。
【0054】
同じシャトルの前記ノズルは、シールリップの漏出損失を低減し、前記液体含有量を可能な限り一定に維持するために、経時的に互い違いに作動させることもできる。
【0055】
本発明によれば、被清掃面またはその部分領域は、閉じた液体体積を用いて包囲することができ、一つまたは複数のノズルは、この閉じた液体体積内に位置決めすることができる。前記バックサクションは、前記閉じた体積の内側および/または外側で行うことができる。したがって、前記バックサクションは、前記創出された閉じた体積の内側および/またはその外側すなわち口腔内で行うことができる。口腔内では、不可避の漏出により存在する液体をサックバックすることができる。
【0056】
また、口腔内での前記バックサクションは、処理の最後に行うこともできる。特に、前記処理の最後における口腔からのバックサクションにより、唾液および清掃液も吸い取ることができ、安全にかつ服を汚すことなく、かつ口から液体が流れ出ることなく前記清掃デバイスを使用することが可能になる。
【0057】
本発明によれば、清掃流体、特に粒子を有する清掃流体は、流体進路が歯の近傍にある状態で、すなわち、特に前記ノズルから歯面までの距離が<3cmで、周期的に吸引されて噴出される。
【0058】
一つまたは複数のノズルを通して周期的なパルス状噴流を発生させることが目的であり、該周期的なパルス状噴流は前記被清掃面に当てられ、特に歯間隙の領域では単に歯の形状によって、しかしながら噴出角度の変化にもよって、直交方向から接線方向に歯に当てることができる。
【0059】
これにより、歯面だけでなく歯肉も清掃され、また歯間隙および歯肉ポケットも清掃される。この場合の周期性とは、連続的に繰り返される吸引と噴出のプロセスの周期を指す。これは明らかに、これが一定の時間間隔で起きるという意味ではない。規則的な間隔の吸引と噴出は、確率的な時間間隔の吸引と噴出と同様に本発明によって包含される。
【0060】
一変形例では、本発明にしたがって、閉じた処理室が設けられ、クッション状の要素または封止要素により、特に前記ノズルまたはノズル組立体の周囲に位置決めされ、弾性封止的に歯に当接する弾性シールリップを用いて、前記ノズルの正面に清掃流体体積が生成される。特に、前記封止クッションは前記表面に適合することができる。これに関連して、「封止」または「液体体積を創出」とは、この体積が絶対的に液密であるということは意味せず、液体の漏出はある程度避けられず、容易に許容することができる。
【0061】
一定量の液体の漏出は起きるが粒子の漏出は起きないことも有利である可能性があり、その理由は、こうして粒子が前記清掃流体体積内で濃縮し、結果的に、一パルス当たりおよび一ノズル当たりの清掃粒子が多くなり、したがって清掃性能がより良好になるからである。この場合の前記濃縮は、前記シールリップが前記粒子を前記流体よりも強力に堰き止める場合に前記シールリップによって引き起こすことができる。そして、前記粒子は、新しい清掃流体とともにより低い濃度で供給するだけでよく、結果的に、供給ラインの詰まりが有利に遅くなるまたは防止される。
【0062】
したがって、その弾性により、前記クッションは、前記ノズルを通して流れ込む前記体積の少なくともほとんどを捕捉することができ、ちなみに完全な密閉も可能である。したがって、理想的には、前記ノズルと前記被清掃面との間の前記閉じた体積は清掃液を全く失わず、これにより、理想的には、前記清掃液は、被清掃噴流ごとに吸引されて噴出されることによって何度でも再利用することができる。しかしながら、実際には、清掃流体の喪失は、例えば、歯間隙によってまたは前記被清掃面の表面形状による前記シールリップでの漏出によって避けられそうになく、清掃液の流入によって補償しなければならないので、合計の流入量は前記体積よりも大きい。
【0063】
この場合の前記流入は、平均流の流体が前記一つまたは複数のノズルを流れるように、前記各ノズルそれ自体を通してまたは前記各ノズル組立体それ自体を通して行うことができる。しかしながら、前記閉じた体積は、他の箇所から十分な量の清掃液を補充することもでき、この場合、ある期間にわたって平均化した前記ノズルを通る前記流体流はゼロである。
【0064】
本発明によれば、前記噴流の前記噴出は前記ノズルを介して行うことができ、前記吸引は同様に、前記ノズルを介して、他のノズルまたは弁を介して、または弁および吸入開口のみを介して行うことができる。
【0065】
上記で説明したように、前記ノズル形状は円形断面とは異なっていてよく、任意の他の形状を有することができる。縦断面では、前記ノズルは、円柱形としてまたは境界壁が広がったり収束したりせずに実施することができるが、円錐形として実施することもできる。
【0066】
例えば、D.G.Akhmetov “Vortex Rings” ISBN 978‐3‐642‐05015‐2からの図29には、円錐形ノズルを有するトーラス発生器が示されている。これにより、分離手続きの効率がより良好になる可能性がある。
【0067】
前記トーラスおよび/または噴流を発生させるのに必要な前記脈動に関して、前記脈動の駆動周波数は、1Hzと50kHzの間、特に1Hzと30kHzの間、とりわけ1Hzから1kHzである。
【0068】
特に噴流を生成するときは、前記脈動周波数は、好ましくは1Hzと1kHzの間、特に30Hzと300Hzの間、好ましくは>50Hzである。
【0069】
特に前記トーラスを発生させるときは、前記脈動周波数は、好ましくは1Hzと20kHzの間、好ましくは50Hzから1kHz、より好ましくは50Hzから300Hzである。
【0070】
>50Hzの脈動周波数はかなり合理的であり、その理由は、このやり方で、快適なシャトルサイズ(ノズルの数)で短い清掃時間を達成することができるからである。
【0071】
例えば、パルス長は0.03ミリ秒から1秒の範囲である。
【0072】
特に噴流を発生させるときは、前記パルス長は、0.3msから1秒、好ましくは0.3msから500ms、より好ましくは0.3msから100ms、さらにより好ましくは0.3msから20ms、特に0.3msから5msである。
【0073】
特にトーラスを発生させるときは、前記パルス長はより短くすることができ、特に、0.03msから3ms、特に0.07msから0.7ms、好ましくは0.1msから0.4msである。これも前記トーラスのサイズによって決まる。
【0074】
粒子を使用するときは、1μmから0.5mmの粒子を使用することができる。
【0075】
15m/sから40m/sの速度を用いる噴流では、前記ノズルから出る全体的な流速は15m/sから100m/sの範囲とすることができ、その理由は、これを上回ると確実に損傷が生じ、これを下回ると清掃が達成されないからである。
【0076】
トーラスを発生させるとき、前記ノズル内の前記速度はより高くすることができ、ノズル室内の最大圧力も、特に非常に短いパルスを用いて、短時間大幅に高くすることができ、その理由は、その場合に運動エネルギーが前記低温蒸気泡に伝達され、その結果、前記流体の効果的な速度が、前記トーラス内、したがって歯では大幅に低くなるからである。
【0077】
前記閉じた体積内の所望の粒子密度は、前記閉じた体積に含有される前記液体に対して、好ましくは30体積パーセント未満、特に20体積パーセント未満、特に15体積パーセント未満である。
【0078】
前記デバイス内で運搬される最初の清掃液中の所望の粒子密度は、好ましくは10体積パーセント未満、特に5体積パーセント未満であり、いずれの場合も前記清掃液の体積に対するものとする。
【0079】
本発明に係る前記閉じた体積は、対応するシールリップまたは他の封止要素を用いて閉鎖することができるものだが、本発明者には有用であることが分かっており、その理由は、多くの人にとって、口内が清掃流体で満たされたとき、特に前記流体体積が増大し続けるとき、および前記デバイスを取り除くときに、まだある清掃流体が口から流れ出て服を汚すことは不快なことだからである。
【0080】
本発明によれば、前記清掃流体は、前記閉じた体積内に相応に維持され、前記清掃プロセスが終了した後、前記閉じた体積に含有される前記清掃液は、本発明に係る上記のバックサクションによって完全に吸い出すこともできる。
【0081】
この場合、前記閉じた体積は、一つまたは複数の歯の周囲に生成することができ、顎枝の周囲で閉じることができ、または、例えば、大臼歯の周囲に一つの体積が生成され、犬歯領域に一つの体積が形成され、切歯領域に一つの体積が形成されるように、例えば歯の形状に応じて異なる形状の複数の歯の周囲で閉じることができる。
【0082】
顎全体に対する総合的な体積を、対応するノズル組立体を用いて生成することもできるが、前記体積を区切る前記異なる形状の領域間には、例えば隔壁または仕切板、特に弾性の隔壁または仕切板が設けられ、該隔壁または仕切板は前記ノズルの支持も行う。
【0083】
したがって、設計は柔軟であるが、考え得る任意選択肢は全て、前記閉じた体積が前記表面の周囲の前記流体を保持し、口内の流体量を顕著に減少することが共通している。
【0084】
上記したように、前記液体の案内に関しては、本発明に係る複数の変形も存在する。
【0085】
第一の変形では、ノズル開口から噴流が噴出され、該噴流が噴出された後、前記閉じた体積内の体積または前記閉じた体積内の液体の量をできる限り一定に維持するために、前記ノズルを介して液体がサックバックされる。前記噴流は圧力サージとして噴出されるので、前記バックサクションは論理的には前記噴出よりも長い時間かかることになる。
【0086】
別の変形では、前記液体噴流が噴出されるノズル開口が設けられ、前記閉じた体積を満たすために、前記清掃流体がまず、別の流入開口を介して導入されるが、この場合も、前記圧力サージの生成および前記液体の前記バックサクションが前記ノズルを介して行われる。
【0087】
本発明に係る別の実施形態では、前記液体は前記ノズル開口を介して噴出されるが、前記ノズル開口に隣接してバックサクション開口が設けられ、その結果、前記ノズルの領域に負圧が印加されたとき、前記ノズルと前記隣接するバックサクション開口の両方を通して前記液体がサックバックされる。このために、前記バックサクション開口は、好ましくは、単一の弁、例えばダイヤフラム弁を有し、該弁は、前記液体が噴出されるときに前記バックサクション開口を閉じ、バックサクションのために負圧が印加されるときに前記バックサクション開口を開く。当然のことながら、一つのバックサクション開口の代わりに複数のバックサクション開口を設けることもでき、これらは、例えば、前記噴出ノズルの周囲に環状配置などで位置決めすることができる。
【0088】
別の変形では、後者の変形が、二つ目に言及した変形と組み合わされ、その結果、これらの場合、前記体積を満たすための一つまたは複数の流入開口と、前記圧力サージを生成するための少なくとも一つのノズルと、少なくとも一つのバックサクション開口とが設けられる。
【0089】
また、上述の変形は、前記ノズル用の閉鎖デバイスと組み合わせることもでき、該閉鎖デバイスは、液体が流入しているときまたは液体がサックバックされているときに前記ノズルを閉鎖する。基本的に、本発明によれば、前記バックサクションはできる限り迅速に行われることが望ましく、好ましくは、前記噴出よりも大幅に長くはかからず、その理由は、そうでなければ清掃手続きに時間がかかり過ぎるからである。特に、弁の使用および適切なサイズの適切なバックサクション開口または複数のバックサクション開口の使用によっても、迅速な吸引が可能になる。
【0090】
基本的な清掃は前記噴流によって行われる。流体力学によれば、噴流が生成されるとき、前記圧力サージよりも低い―さらには負圧と同程度に低い―圧力にある帯域を、前記圧力サージの背後に任意選択的に生成することができ、その結果、前記被清掃面は圧力変化を受ける。このアプローチは、前記バイオフィルムに効果的に損傷を与えるだけでなく、前記バイオフィルムを効果的に分離させることが分かっており、その理由は、前記圧力変化によって生じるせん断力が非常に強く、その結果、前記バイオフィルムが付着し続けず、再度塞がらず、代わりに前記清掃液中へ移し替えられるからである。
【0091】
この場合の前記圧力サージは、低温蒸気泡が生成されるように前記負圧側で蒸気相への転移が生じる程度に強くすることができる。これらの泡は、歯面に到達したときに均圧化によって崩壊し、それらの体積が再度液体で相応に満たされる。これに起因するマイクロストリーミング効果は、前記清掃に絶対必要という訳ではないが、生じた場合は、前記清掃を確実に促進することができる。
【0092】
驚くべきことに、少量の有機または鉱物の補助剤または添加剤は前記清掃効果をより一層向上させ、これらの鉱物添加剤は、歯ブラシおよび機械的な摩擦運動によって生じる類の摩耗効果はないが、それらの運動エネルギーを通して前記清掃効果に寄与することも分かった。この場合、既に上述したように、割合が、前記最初の清掃液中で10体積%未満、前記閉じた体積中で30体積%未満である。
【0093】
前記方法は、ノズルシャトルに組み込まれた複数のノズルから前記液体を噴出するまたは前記圧力パルスを発生させることを含むことができ、このようなノズルシャトルは、一つまたは複数の歯を全ての側面で包含する、すなわち、ほぼ逆U字形(大臼歯)または二重のI字形(切歯)になっており、このシャトルは、例えば智歯から切歯の方向に前記歯の上方を案内され、また、一つのシャトルによって切歯が清掃され、別のシャトルによって大臼歯が清掃されるように複数のシャトルを設けることもできる。
【0094】
本発明の利点は、歯、歯間隙、および歯肉領域の簡単、安全、かつ優しい清掃が達成され、摩耗が少なく、場合によっては全く摩耗しない効果的な清掃が保証されることである。
【0095】
したがって、本発明は特に、表面、特に歯、歯間隙、および歯肉を清掃するための方法に関し、少なくとも一つのノズルを備える少なくとも一つの組立体を用いて被清掃面にパルス状の液体流が当てられ、該液体の少なくとも一部がサックバックされて再循環される。
【0096】
この利点は、ノズルにより液体体積中に発生し、前記液体体積へ規定量の液体を注入する圧力パルスにより、前記液体体積中を移動する圧力サージが発生し、該圧力サージにより被清掃面にせん断応力が発生することである。また、口腔内に存在する液体の総量は制限することができ、また、使用する清掃液の量を制限することができるように前記液体は再利用することができることも有利である。
【0097】
一変形例では、前記サックバックされる液体の量が、前記少なくとも一つのノズルを介して供給される液体の量に本質的に対応する。
【0098】
この利点は、前記液体量が多くなり過ぎないことがより一層良好に保証されることである。
【0099】
一変形例では、被清掃面または該被清掃面の部分的な領域が、閉じた液体体積によって包囲され、一つまたは複数のノズルがこの閉じた液体体積内に位置決めされる。
【0100】
この利点は、被清掃面の領域または該被清掃面の部分的な領域に閉じた体積または囲まれた空間を生成することにより、より良好かつ半閉鎖式の液体回路が創出されることである。また、これにより、一方では清掃結果を改善し、他方では気泡に対する前記清掃液の条件を改善する指向流をもたらすことができる。
【0101】
一変形例では、前記バックサクションが前記囲まれた空間の内側および/または外側すなわち口腔内で行われるように、前記バックサクションが前記囲まれた空間の内側および/または外側で行われる。
【0102】
前記囲まれた空間または閉じた体積の外側のバックサクションの場合、前記バックサクションは、少なくとも部分的に一元的に行うことができ、その場合、唾液および不可避の漏出から漏れた清掃液も含み、その結果、口腔は、特に前記清掃手続きの最後で、吸引して空にすることもでき、かつ/または緩やかな連続的なバックサクションによって清掃中に快適と認識される一定の体積に維持することができることが有利である。
【0103】
前記囲まれた空間の内側の前記バックサクションにより、前記清掃液は有利に回収されて再利用される。
【0104】
両バックサクション手続き、すなわち、前記閉じた体積の内側とその外側のバックサクション手続きの組み合わせにより、これらの利点が兼備される。
【0105】
一変形例では、前記サックバックされる液体の量が、一つまたは複数のノズルを通して前記囲まれた空間に導入される液体の量の+/-20体積%以下に対応する。
【0106】
この利点は、場合によっては前記囲まれた空間の封止の漏出を考慮することにより、前記液体流を特に良好に制御することができることである。
【0107】
一変形例では、前記液体体積中に、前記体積中の前記液体の周囲圧力と比べて高圧の領域および該高圧の領域の背後のより低圧の領域を伴って、噴流が生成される。
【0108】
この利点は、結果的に生じる圧力変化により明確に流れの変化が生じ、結果的にせん断力を生じることができることである。
【0109】
一変形例では、前記圧力パルスが、前記より低い圧力の前記領域が低温蒸気泡を生成して同伴するほど強くなるように選択される。
【0110】
この利点は、負圧によって生じる前記低温蒸気泡が、周囲の液体との均圧化により前記被清掃面で崩壊することである。これにより、前記液体の微小流を通して泡体積の中へ付加的なせん断力が発生し、前記清掃効果を強めることができる。
【0111】
一変形例では、トロイダルリングが発生するように、円柱形の流体噴流の噴流長さの噴流直径に対する比が10以下、特に6未満、とりわけ4未満に設定される。
【0112】
この利点は、前記ノズルから前記被清掃面までの異なる距離を渡り切るためにトロイダルリングを特に好適に使用することができることである。キャビテーションと比べ、トロイダルリングは、特に固有の流れおよび崩壊時の流入の結果としてのマイクロストリーミングによる良好な清掃効果を有する一方で、前記トロイダルリングとともに粒子を同伴しまたは運び、それによりせん断力による清掃を達成することもできるという利点も有する。前記一つまたは複数の低温蒸気泡の崩壊時に、前記トーラスリングは、損傷効果に近い効果をもたないエネルギーを解放する。
【0113】
一変形例では、複数のノズルを備える組立体が使用される。
【0114】
この利点は、単位時間当たりより大きな領域が清掃できることである。
【0115】
一変形例では、表面が平らでないときまたは該表面からの距離に応じて、前記ノズルが、パルス強度および/または前記ノズルから噴出される液体の量を制御するように操作され、前記距離がより大きいとき、前記パルス強度および/またはパルス持続時間および/またはパルス周波数および/または流量が増加される。
【0116】
この利点は、例えば歯肉に近い歯間隙の領域では、より多くのエネルギーまたはより多量の流動液が清掃に使用され、その結果、前記清掃効果が、一方で期待量の汚染物質に、または他方で前記ノズルからの距離に適合されることである。同時に、歯の側面などのそれほど遠くに離間していない領域はより低いエネルギーを受ける。
【0117】
一変形例では、前記少なくとも一つのノズルが、定位置を中心にX方向(歯縦軸)および/またはY方向(歯横軸)および/またはZ方向(前記歯に向かう)に揺動される。
【0118】
この利点は、一方で前記X方向および/またはY方向周りの揺動によりノズルによるカバー範囲が増大し、他方でこれにより、特定の地点に集中し過ぎたエネルギーの導入を防止することができ、またこれにより、前記Z方向の揺動によってできるように、付加的な流動効果すなわちせん断応力を生成することができることである。
【0119】
一変形例では、前記少なくとも一つのノズルが前記歯および/または歯肉に沿って案内される。
【0120】
この利点は、前記被清掃面の全てが前記少なくとも一つのノズルにより順々に処理できることである。
【0121】
一変形例では、複数のノズルが組み合わされてノズル組立体(シャトル)を形成し、該ノズルが、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の高さにわたって位置決めされるように配置され、前記個別のノズルのノズル噴流衝突面同士が重なる、またはノズル組立体を揺動させる場合、前記ノズルのノズル噴流衝突が重なる。
【0122】
この利点は、歯肉領域から咬合領域までの高さにわたって少なくとも一つの清掃ラインにより被清掃領域全体が清掃され、前記重なりにより隙間のない清掃が保証されることである。
【0123】
一変形例では、前記組立体の単位面積当たり異なるノズル密度が、歯肉領域から咬合領域までの歯の高さにわたって使用され、歯肉ポケットおよび歯肉領域内の前記歯間隙、特に歯間乳頭などの、前記組立体が前記被清掃面からより遠くに離間した領域に、より多くのノズルが使用される。
【0124】
この利点は、より届きづらい、より低く位置する、または典型的により高い汚染負荷を有する前記領域が、より集中的な清掃を受けることである。
【0125】
一変形例では、各シャトルデバイスに複数のノズルが組み込まれ、該シャトルデバイスが、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の領域を逆U字形に包含する。
【0126】
この利点は、複数のノズルが一緒に移動され、被脈動液体を合同で供給されることである。また、これにより、前記歯肉領域ならびに内側および外側の歯側面、前記内側および外側からの歯間空間、および咀嚼面を清掃することが容易になる。
【0127】
一変形例では、前記シャトルデバイスが移動デバイスによって前記歯の上方を移動される。
【0128】
この利点は、一つの領域が清掃され次第、近隣領域が清掃されることである。これにより、ノズルおよび供給ラインの数を制限することができる。例えば、顎ごとに二つのシャトルデバイスを使用することができる。
【0129】
一変形例では、一つのシャトルデバイスにつき10個から100個のノズルまたは出口開口が使用される。
【0130】
この利点は、このような数であれば十分な清掃性能が達成され、全体の寸法が大きくなり過ぎないことである。
【0131】
一変形例では、一つのノズルにつき、大きなトーラスには16mJ以下、特に噴流には10mJの運動入力パルスエネルギーが使用される。
【0132】
この利点は、口腔内の前記パルスのエネルギーが高くなり過ぎず、組織または歯を損傷する能力をもたないことであり、出力エネルギーは前記ノズルの形状、摩擦損失などによって決まる。
【0133】
一変形例では、複数のシャトルデバイスまたは複数のノズル組立体およびノズルに対して一つのマウスピース当たりの総パルスエネルギーが、トーラスを発生させるときは、200mJから800mJ、特に300mJから600mJであり、噴流を発生させるときは、200mJから500mJ、特に200mJから300mJである。
【0134】
この利点は、前記総エネルギーが、一方で組織の損傷が生じ得ないほど低いことである。また、口腔内外に必要な装置が最小になり、それにより小型化した実施形態が可能になる。
【0135】
一変形例では、単位時間当たりの前記エネルギーが12,000mJ/sと100,000mJ/sの間である。
【0136】
この利点は、上述の利点に加えて、前記総エネルギーが十分に低く、処理期間中における口腔内の前記液体の過剰な加熱が起きないことである。
【0137】
一変形例では、脈動が50Hzと200Hzの間のパルス周波数で生成される。
【0138】
これらの周波数の利点は、高密度の作用すなわち良好な清掃を保証することである。
【0139】
一変形例では、被清掃面からの前記ノズルの距離が、噴流を用いるときは10mm以下、トーラスを用いるときは20mm以下となるように設定される。
【0140】
この利点は、この領域では組織に応力をかけずに良好な清掃効果が達成されることである。
【0141】
一変形例では、前記歯の前記表面に対する前記噴流および/またはトーラスの衝突角度が垂直から接線の範囲となるように設定される。
【0142】
この利点は、汚染は典型的に咀嚼面から離れる方向に増加するので、良好な清掃効果が達成されることである。
【0143】
一変形例では、前記噴流液体の入口圧力が、噴流を生成するときは前記ノズルの上流で0.1MPaから2MPa、好ましくは0.12MPaから0.5MPaに設定され、前記液体の前記入口圧力が、トーラスを生成するときは前記ノズルの上流で0.1MPaから4MPaに設定される。
【0144】
この利点は、前記ノズルに清掃液が十分に供給され、前記ノズルでの逆流効果が最小になり、あまり大きな力がなくても前記脈動を行うことができることである。
【0145】
一変形例では、前記清掃液が0.1体積%から5体積%の粒子を含有する。
【0146】
この利点は、このように少量の粒子により、著しく向上した清掃性能をもたらすことができることである。それにもかかわらず、前記量は、組織にも歯質にも摩耗効果がないほど小さい。
【0147】
一変形例では、前記粒子として鉱物粒子が使用される。
【0148】
この利点は、鉱物粒子が十分に高い硬度を有し、広く実績があり、環境を汚染しないからである。
【0149】
一変形例では、直径が0.5mm以下、特に0.3mm未満のトーラスを生成するとき、粒子サイズが20μmから120μmの粒子が使用される。
【0150】
この利点は、このサイズが、一方で前記清掃効果には十分であり、他方で十分な運動エネルギーには十分であることである。また、このようなサイズはユーザにとって不快でない。
【0151】
一変形例では、前記体積内の液体の量を一定に保つために、前記少なくとも一つのノズルを介して供給される液体の量に本質的に対応する前記液体の一部が前記体積から吸い出される。
【0152】
この利点は、前記清掃プロセス中に全体的にあまり多くない液体が口腔に導入され、前記清掃プロセスがユーザにとってより快適なものになることである。
【0153】
本発明の別の態様は、上述の方法を行うためのデバイスに関し、少なくとも一つのノズル、または複数のノズルを備える少なくとも一つの組立体が設けられ、前記少なくとも一つのノズルが液体噴流を噴出するように実施され、前記少なくとも一つのノズルによって噴出される前記液体の少なくとも一部をサックバックするように実施される少なくとも一つのバックサクションデバイスが設けられる。
【0154】
一変形例では、少なくとも一つのノズルハウジングに、前記ノズルの正面にクッション状の囲まれた空間が形成されるように被清掃面に当接するように実施される少なくとも一つの封止要素が設けられる。
【0155】
一変形例では、前記少なくとも一つの封止要素が、前記ノズルまたは前記一つまたは複数のノズルハウジングの周囲に位置決めされかつ前記被清掃面に対して弾性封止的に当接するようにも実施される一つまたは複数の弾性シールリップによって形成される。
【0156】
一変形例では、前記一つまたは複数の封止要素が、前記被清掃面に対向する前記ノズルベース体の外側の出口側の表面上に位置決めされ、前記封止要素が、複数の部品でまたは単一の円周状の封止要素として実施され、特にゴム弾性として実施される。
【0157】
一変形例では、複数のノズルが組み合わされてノズルハウジング内でノズル組立体を形成し、前記ノズルが、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の高さにわたって延在するように、前記ノズルが位置決めされる。
【0158】
一変形例では、前記個別のノズルのノズル噴流衝突面同士が重なる、またはノズル組立体を揺動させる場合、前記ノズル組立体のノズル噴流衝突面同士が重なる。
【0159】
一変形例では、複数のノズルが各ノズル組立体に組み込まれ、該ノズル組立体が、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の領域を逆U字形に包含する。
【0160】
一変形例では、前記封止要素またはシールリップが、清掃液または他の流体によって膨らむように中空として実施される。
【0161】
一変形例では、前記ノズルハウジングが、(顎)側部で上下に位置決めされたまたは歯側面に対向する複数のノズル開口と、底部で互いに並んで位置決めされ、歯冠に対向する複数のノズル開口とを有する。
【0162】
一変形例では、特に前記側方のノズルハウジングが歯に快適に適合することができるように、前記側方のノズルハウジングが、弾性または関節式の接続部、特にゴム弾性の接続部を用いてノズルベースハウジングに蝶着される。
【0163】
一変形例では、前記ノズルのうちの一つのまたはいくつかまたは全てに対するノズルハウジングに、清掃液用の入口がそれぞれ設けられる。
【0164】
一変形例では、前記ノズルハウジングが、流入管路が設けられるように実施され、該流入管路には前記ノズル開口がその後端に開口し、バックサクション開口が前記ノズル開口に隣接して設けられ、該バックサクション開口を用いて、前記囲まれた空間から前記流入管路に液体をサックバックすることができる。
【0165】
一変形例では、液体が流入しているとき、特に液体が前記ノズル開口から噴出されているとき、該清掃液が前記ノズル開口からのみ制御されて噴出されるように、前記バックサクション開口を閉じる弁が設けられる。
【0166】
一変形例では、粒子が清掃流体体積中で濃縮されるように、ある程度液体の漏出は起きるが粒子の漏出は起きないように、前記囲まれた空間から粒子は出ることができないが清掃液は出ることができるように前記シールリップが実施される。
【0167】
一例として次の図面を用いて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0168】
図1】ノズルのごく概略的な描写であり、ノズル出口開口およびその上方の液体空間を通る断面を示す。
図2】前記空間中のアイソバーの描写であり、正圧領域および負圧領域を有する圧力分布を示す。
図3】ノズルの基本的設計を示す。
図4】ノズルを圧力サージおよびこれが生成する低温蒸気とともに示す。
図5】2秒後、4秒後、および8秒後の清掃効果を示すいくつかの清掃画像を示す。
図6】異なる清掃粒子含有量を用いた清掃性能を示すグラフである。
図7】スポット噴流を用いた1秒後および2秒後の清掃性能を示す概要である。
図8】歯間領域での清掃性能を示す。
図9】一列の歯を包含するノズル組立体の周囲の封止要素の配置のごく概略的な描写である。
図10】大臼歯用の対応する組立体の別の実施形態を示す。
図11】切歯用の囲まれた空間の一実施形態を示す。
図12図11に係る組立体の異なる断面および図を示す。
図13】液体方向を伴った、ノズルおよび閉じた体積のごく概略的な描写である。
図14】分離的流入を用いた図13に係る組立体を示す。
図15】弁フラップを備えるバックサクション開口を備える図13に係る組立体を示す。
図16】分離的流入を用いた図15に係る組立体を示す。
図17】閉鎖機構を備えるノズルの別の実施形態を示す。
図18】分離的流入を用いた図17に係る実施形態を示す。
図19】吸引開口を備える図17に係る実施形態を示す。
図20】ノズル組立体の変形のバイナリコードの表である。
図21】体積‐時間曲線と圧力‐時間曲線のそれぞれに対するノズルを通した吸引および噴出を示す。
図22】吸引開口または戻り開口を備えるノズルに関する圧力‐時間曲線を示す。
図23】清掃機構のごく概略的な描写である。
図24a】せん断粒子に関する清掃機構を示す。
図24b】せん断粒子に関する清掃機構を示す。
図24c】せん断粒子に関する清掃機構を示す。
図24d】せん断粒子に関する清掃機構を示す。
図25】体積アキュムレータおよび双安定ばねによって駆動されるノズル組立体のごく概略的な描写である。
図26】D.G.Akhmetov “Vortex Rings” ISBN 978‐3‐642‐05015‐2による持続時間に応じた噴流と回転の関係を示す。
図27】D.G.Akhmetov “Vortex Rings” ISBN 978‐3‐642‐05015‐2による噴流噴出の持続時間に応じた渦輪を視覚化したものである。
図28】D.G.Akhmetov “Vortex Rings” ISBN 978‐3‐642‐05015‐2によるトーラス発生器の設計図を示す。
図29】粒子を伴う噴流およびトーラスによって構成された混合形態の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0169】
図1はノズル1の設計のごく概略的な描写であり、出口方向に対する出口近傍の前記ノズル1の横断面を示し、その結果、前記ノズル1の半分のみが示されている。前記ノズル1の内側には斜面の下方に液体空間があり、その上方に、被清掃面に置かれる液体体積がある。
【0170】
図2では、対応する等圧線(アイソバー)を用いて、前記ノズル1を通して対応する圧力サージが噴出されるときの液体中に広がる異なる圧力条件を示す。ここでは、先行の高圧領域に続いてより低圧の領域があることが明らかであり、該圧力は周囲圧力に関する。
【0171】
このような圧力サージが被清掃面に到達したとき、前記高圧によって、まず、圧力パルスによって引き起こされる短いパルス状の排除効果が生じる。ここで効果的な圧力差は、前記周囲圧力と前記圧力パルスとの間にある圧力差である。
【0172】
遅れてくる負圧帯により、前記被清掃面での圧力差がより一層強力になり、その理由は、ここの圧力が前記周囲圧力よりも低いからである。
【0173】
前記低圧領域が前記被清掃面に到達した後、次に前記周囲圧力への均圧化が再び発生し、同様に再び、対応する流れを生じる。
【0174】
この非常に迅速な一連の比較的強力な流れの変化は、明らかに、前記表面にバイオフィルムが耐えられないせん断力を生じ、その結果、該バイオフィルムが特定の箇所で切り開かれて引き剥がされる。
【0175】
単一の圧力パルスが前記表面に当てられるからというだけでなく、前記少なくとも一つのノズル1によって例えば50Hzから200Hzの周波数の前記圧力パルスが出射されるので、前記バイオフィルムが耐えられないほど多くの圧力差が生じる。
【0176】
前記分離されたバイオフィルムは、前記液体体積内の底面交差流によって洗い流すことができるが、後者はそれ自体の清掃効果を生じない。
【0177】
図3はノズル1の基本的設計のごく概略的な描写であり、ここに描写された前記ノズル1はノズルハウジング2を有する。
【0178】
前記ノズルハウジング2は、出口側の表面4の近傍に出口開口5を有する。
【0179】
前記ノズルハウジング2は中空かつ円柱形として実施され、前記出口側の表面4が前記出口側で該中空円柱の終端となっている。この中空円柱とは反対の入口側の表面6には作動開口7が位置決めされている。
【0180】
前記ノズル1の内側では、円錐形体積9が前記出口開口5に隣接している。前記出口開口5の反対側では、前記円錐形体積9が円板形のダイヤフラム10によって閉鎖されている。前記ダイヤフラム10は、中空の円柱形の作動接続部11によって所定の位置に保持され、前記接続部11は、好ましくは後方からノズルインサート3にねじ込まれ、前記入口側の表面6および前記作動開口7を通って到達している。
【0181】
前記出口開口5から噴出すべき液体を前記円錐形体積9に提供するために、少なくとも一つの、しかし任意選択的には複数のボア12が設けられ、該ボア12は、例えば、前記ノズル1の後側から前記円錐形体積9の中に延在する。前記ボア12は圧力ライン(図示せず)に接続され、該圧力ラインは、前記円錐形体積9のサイズを減少する前記ダイヤフラム10の運動により所定の圧力かつ所定の速度での液体の噴出が生じ、前記ダイヤフラムの逆の復帰運動により、好ましくは、前記出口開口5を通して液体が全くサックバックされないように、前記ノズル体積に加圧液を供給する。
【0182】
このために、前記ボア12または前記供給圧力ラインには、前記圧力サージ中に前記ボア12が閉じられて逆流を防止するように弁を設けることもでき、その結果、前記円錐形体積9に作用するダイヤフラム運動は全て、前記出口開口5から前記液体を絞り出すのみとなる。
【0183】
図4はノズル1の斜視図を示し、前記ノズル1からは圧力サージが噴出されており、それに続いて低温蒸気が負圧場によって生成されており、該負圧場では負圧によって蒸気泡が相応に形成されている。前記負圧場の速度が約15m/sと40m/sの間であり、前記低温蒸気が均圧化による崩壊前に最大8mm移動することができることが明らかである。
【0184】
この距離は、低温蒸気泡が形成される場合に該低温蒸気泡も前記被清掃面まで運搬することができるだけの大きさである。前記崩壊する低温蒸気泡により、付加的な流れ効果、いわゆるマイクロストリーミングが生じ、清掃効果をさらに高めることができる。しかしながら、超音波により発生する泡と比べ、ここでの利点は、前記低温蒸気泡の崩壊が、かなり明確に、前記被清掃面を損傷しかねないほど多くのエネルギーを放出することがないことである。
【0185】
図5に本発明に係るプロセスの清掃性能を一例として示し、前記圧力パルスを発生させる前記ノズル1から噴出される前記液体、この場合では蒸留水が、100ml当たり5gの鉱物粒子を含有し、これは約4体積%に対応する。前記液体中の粒子濃度が10g/lから100g/lまたは約0.4体積%から約4体積%で粒子サイズが10μmから250μmであれば、歯または歯肉の表面に悪影響を与えるであろう摩耗効果を引き起こすことなく清掃が促進されることが分かった。
【0186】
比較では、バイオフィルムはインビボで使用し、着色した。ここで、いくつかの歯間領域を塗りつぶし、特に頂部中央および底部中央ならびに頂部右側では、ノズル1を用いた試験設定で4秒後および8秒後にそれぞれ大きな清掃性能を達成したことが明らかである。
【0187】
図6は、上記で言及したサイズの粒子の量と、異なる清掃時間で清掃された面積との間の関係の別の例を示す。ここでは、ごく短い清掃時間では、粒子の数の増加とともに前記清掃性能が著しく向上することが明らかである。一方、清掃時間の増大とともに、比較的低い粒子含有量でも清掃性能が向上することが明らかである。
【0188】
清掃時間が1000ミリ秒であれば、前記清掃性能は前記粒子が低含有量でも大きく向上するが、粒子密度が液体100ml当たり4gであれば、前記選択された時間で歯面が完全に清掃されること、および前記粒子を二倍にしても前記清掃性能が著しく向上することはないことが明らかである。
【0189】
このことから、清掃時間が長いほど、前記被噴出液中の前記粒子密度を著しく下げることができると結論付けることができる。
【0190】
図7は、人工バイオフィルムが実歯に付けられ、単一のノズル組立体による圧力パルスを受ける清掃試験の結果を示す。2秒間の清掃後に清掃性能が向上したのをはっきりと見ることができる。
【0191】
図8も実歯上のバイオフィルムを示し、この場合は歯間領域が作用を受けている。このように短い清掃時間の後でも、前記清掃性能は歯間領域でも顕著であることが分かる。
【0192】
歯面および歯肉並びに歯間領域、特に歯頚部の近傍における前記清掃性能を最適化するために、複数のノズル1がノズル組立体39に組み込まれると有利である。
【0193】
例えば、歯肉領域から咀嚼面までの歯高さにわたって複数のノズル1を分散して位置決めすることができる。バイオフィルム汚染は、大抵、咀嚼面および歯側面の近傍では、特に歯頚部および歯間領域ならびに歯肉ポケットの近傍と比べると幾分目立ちにくいので、前記ノズル1の数は、例えば、前記よりひどく汚染された領域に単位面積当たりより多くのノズルが位置決めされるように前記高さにわたって変化させることもできる。
【0194】
有利な一変形例では、前記ノズル1の数または分布に関わらず、適切なセンサを用いて距離測定を行うこともでき、その結果、前記ノズルと被清掃面、特に歯頚部の近傍の歯間領域との間の距離が大きくなるにつれ、前記ノズル1が異なるように制御され、特に、例えば、周波数が増加されまたは前記液体の噴出体積が増加され、その結果、前記噴流または圧力パルスのより大きな深度効果および範囲または投出が達成される。
【0195】
このようなノズル組立体39は、例えば、一つの歯および隣接する歯肉を包囲し、例えば大臼歯から切歯へまたは切歯から大臼歯へと、所定の清掃時間にしたがってまたは低速で連続的に案内され、それにより歯、歯間領域、歯頚部近傍の歯間領域、および隣接する歯肉を横断するように通り抜ける、いわゆるシャトルの形に配置することができる。
【0196】
図9は、前記被清掃面の領域内の閉じた体積を用いて動作する一実施形態のごく概略的な描写である。このために、シールリップ28の形をした封止要素25が、ノズル組立体39すなわち一連のノズル1上に位置決めされる。前記シールリップ28は、エアクッションと同様に液体クッションが生成されるように前記ノズル組立体39の周囲の領域を閉鎖するが、液体が外部に逃げないことになっているという点で異なる。
【0197】
したがって、この単純化した実施形態では、ノズル開口21を有するノズルハウジング20がごく概略的に(横断面で)示されており、ここでの該ノズルハウジング20は、矩形の横断面を備えて単純化して実施されている。
【0198】
対応する封止要素25は、被清掃面22に対向する前記ノズルハウジング20の外側の出口側の表面23上の外縁24の領域に設けられる。前記封止要素25は、単一の円周状の封止要素25として実施することもでき、ゴム弾性として実施され、その結果、前記封止要素25は一方では被清掃面22の幾何学的形状に適合し、他方では囲まれた空間27内の液体26の特定の内圧を保証することができる。
【0199】
前記封止要素25は、特に、前記ノズルハウジング20の前記出口側の表面23から離れるように延出する円周状の封止要素25または円周状のシールリップ28として実施することができる。この場合、前記封止要素25またはシールリップ28は、前記囲まれた空間27の基本的形状が形成されて維持されるように特定の固有の剛性を備えて実施することができる。
【0200】
前記封止要素25またはシールリップ28は、例えば前記清掃液26を用いて膨らませるために、中空として実施することもでき、その結果、前記封止要素24は、例えば前記清掃液26を用いてまたは前記清掃液26によってまたは別々に供給される他の流体によって膨らませた後でのみ動作中に取ることになっている形状を得る。
【0201】
単純な一実施形態では、特に大臼歯の領域内を清掃するために(図10)、前記ノズルハウジング20は、例えば、(顎)側部で互いに上下に位置決めされたまたは歯側面29に対向する五つのノズル開口21と、底部で互いに並んで位置決めされ、歯冠30(ごく概略的に描写する)に対向する四つのノズル開口21と、前記対応する囲まれた空間27を閉鎖する前記対応する封止要素25とを有する。
【0202】
これを再度より詳細に図11に示し、このような一実施形態では、前記側方のノズルハウジング20は、特に前記側方のノズルハウジング20が歯に快適に適合することができるように、弾性または関節式の接続部32、例えばゴム弾性の接続部32を用いてノズルベースハウジング31に蝶着される。
【0203】
切歯領域では、このような一実施形態は、図12からも明らかなように、切歯領域への適合を達成するために、任意選択的に、特に前記封止要素25の形状が異なってよいが、任意選択的に、前記ノズルハウジング20と前記ノズルベースハウジング31の角度が異なってもよい。切歯領域では、互いに対向して位置決めされた前記ノズルハウジング20の前記ノズル開口21が切歯での十分な流れを保証する場合、前記ノズルベースハウジング31はノズル1を備えずに実施することもできる可能性がある(図12の右図)。
【0204】
一実施形態では、液体を再度制御して噴出しなければこの液体で前記囲まれた空間27が満たされることが―本発明によれば―ないように、本発明に係るバックサクションが提供される。最も単純な場合(図13)では、前記液体は、前記ノズル1またはノズル開口21を通して前記囲まれた空間27へ噴出され、次に前記ノズル開口21を通してサックバックされる。実際の清掃作業が始まる前に一つまたは複数のノズル1のみを用いて前記囲まれた空間27を満たす必要をなくすことができるように、図14に示すように、前記それぞれのノズルハウジングには、前記ノズル1のうちの一つまたはいくつかまたは全てに対して入口36を設けることができる。
【0205】
別の実施形態では(図15)、逆流性能を高めるために、前記ノズルハウジング20は、流入管路33が設けられるように実施され、該流入管路33には前記ノズル開口21がその後端33に開口し、したがって該流入管路33によって前記ノズル開口21に清掃液26を提供することができ、前記ノズル開口21に隣接してバックサクション開口34が設けられ、該バックサクション開口34により、前記囲まれた空間27から前記流入管路33へ液体26をサックバックすることができる。液体26が流入しているとき、特に液体26が前記ノズル開口21から噴出されているとき前記バックサクション開口34を閉じる弁35が設けられ、その結果、前記清掃液26が前記ノズル開口21からのみ制御されて噴出される。
【0206】
その後、前記流入管路33内の流れ方向が逆になり、それにより負圧が生じた場合、液体26は、前記ノズル開口21と前記バックサクション開口34の両方を介して前記囲まれた空間27から前記流入管路33へ引き戻される。
【0207】
例えば、ノズルハウジング20にバックサクション開口34を設けることができ、該バックサクション開口34は、この場合、場合によってはより大きくかつ場合によってはスロット形状(図示せず)として実施される。しかしながら、バックサクション開口34は、一つまたは複数のノズル開口または前記ノズル開口21の全てにそれぞれ隣接して設けることもできる。
【0208】
各ノズル開口21には、例えば、前記ノズル開口21の周囲に環状に位置決めされた複数のバックサクション開口34を設けることもできる。
【0209】
別の有利な実施形態では、同様に流入管路33、弁35を備えるバックサクション開口34が存在するが、該流入管路33は別の流入管路36を備えて実施される。
【0210】
この場合も同様に、一つまたは複数のノズル開口21またはノズル1を備えるノズルハウジング全体に対して一つの流入管路36を設けることができ、前記ノズル開口21のうちの一つまたはいくつかまたは全てに対して一つの流入管路36を設けることができ、または各ノズル開口21に対して複数の流入管路36を設けることができる。
【0211】
さらに別の実施形態では、ノズル開口21には、前記ノズル開口21を閉鎖することができる閉鎖機構37が設けられ、該閉鎖機構37は、例えば特定のノズル2を別々に制御するためまたは吸引と噴出の間の特定の制御時間を設定するために、このノズル開口21を例えば前記ノズル開口21の後側から閉鎖する。
【0212】
図17に係るこの実施形態は、別の入口管路36および別の入口開口38(図18)を備えて実施することもでき、さらにこの実施形態は、図19に係る弁35を備えるバックサクション開口34を備えて実施することもでき、入口管路36、入口開口38、および弁35を備えるバックサクション開口34と組み合わせることはこの場合も可能であり、したがって、流入開口および流出開口の数について先に述べたことは、ここでも同様に適用される。
【0213】
これに関連して可能な対応する順列を図20の表に示す。ここでS=分離的供給、V=弁、C=閉鎖機構である。0は不在を意味し、1は存在を意味する。
【0214】
図21は、経時的なノズルからの前記噴出および前記バックサクションを説明する圧力‐時間曲線を示す。ここで図は定性的にのみ示されているが、任意の所望の速さで清掃パルスを任意に出力することができないように、噴出相Teは吸引相よりも短いことは明らかである。
【0215】
弁35を備えるバックサクション開口34を用いるとき、前記吸引相Tsは前記噴出相と比べて著しく短くなり、その結果、この場合、より大きな清掃パルスシーケンスが可能となる。
【0216】
複数のバックサクション開口34を備える組立体の場合、前記吸引相Tsはこの場合も同様に著しく短くなり、その結果、一層大きな清掃パルス列が可能となる。これは特に有利であり、その理由は、従来の歯の清掃方法と比べて時間の面でユーザに付加価値を提供するために、可能な限り短時間でありながら効果の高い歯の清掃を行うことが目的だからである。
【0217】
また、バックサクション開口を設けることには付加的な利点があり、つまり、平均すると経時的に収束され、前記清掃液中に含有される可能性のあるいずれの空気泡もより容易に洗い流す流れが、前記閉じた空間または囲まれた空間27内に生成される。
【0218】
特に粒子を提供することができるので、前記清掃性能は、前記粒子および粒子流によっても決定する。前記粒子は周囲の流体よりも密度が高いので、前記液体は、前記表面に衝突したとき、実際に前記表面から離れるように接線方向に移動するが、前記粒子は前記表面に衝突し、前記バイオフィルムまたはプラークに損傷を与え、それにより前記バイオフィルムまたはプラークの除去に寄与する(図23)。
【0219】
考え得る清掃効果を図24aから図24dに示し、この場合、前記粒子とプラークがどのように直接物理的に接触するかが明らかであり、前記粒子は前記表面に平行な流れによる流れ抵抗を受け、該流れが前記粒子を前進させ、前記粒子が前記プラークに付着したとき前記プラークの一部を取り除く。また、前記プラークはまず変形され、次いで部分的に破断することもでき(図24b)、または前記プラークは、前記粒子との局所的な接触力により直接破断することもでき、該粒子は、鋭い粒子の縁により切断効果を有することもできる(図24c)。先行の粒子が、別の粒子によってプラークの断片が分離する程度(図24d)まで前記プラークに損傷を与えておくという混合的な場合も発生し得る。
【0220】
本発明の利点は、本発明に係る前記方法が、表面、特に歯および隣接する歯肉を清掃するための優しいが非常に効果的な方法を提供することであり、該方法は、歯および歯肉を効果的、簡単、かつ迅速に清掃し、バイオフィルムを確実に除去し、また、この方法により過度のブラッシング圧などのユーザエラーが回避されるので使いやすくもある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24a
図24b
図24c
図24d
図25
図26
図27
図28
図29
【国際調査報告】