IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルディアの特許一覧

特表2023-553736アキシャル型3次元ダイオードを有する光電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】アキシャル型3次元ダイオードを有する光電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/08 20100101AFI20231218BHJP
   H01L 33/16 20100101ALI20231218BHJP
   H01L 33/20 20100101ALI20231218BHJP
   H01L 33/42 20100101ALI20231218BHJP
   H01L 33/44 20100101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/16
H01L33/20
H01L33/42
H01L33/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537131
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021083862
(87)【国際公開番号】W WO2022128484
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013516
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515113307
【氏名又は名称】アルディア
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ヒリュク,オルガ
(72)【発明者】
【氏名】ダーヌン,メディ
(72)【発明者】
【氏名】ナピエラーラ,ジェローム
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA11
5F241CA05
5F241CA12
5F241CA21
5F241CA33
5F241CA34
5F241CA40
5F241CA41
5F241CA65
5F241CA66
5F241CA88
5F241CB11
5F241CB16
5F241CB23
5F241CB29
5F241FF01
(57)【要約】
本開示は、アキシャル発光ダイオード(LED)のアレイ(15)を含む光電子デバイス(10)に関する。発光ダイオードそれぞれは、第1の波長で最大値を有する発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成された活性領域(20)を備える。アレイは、少なくとも第2、第3および第4の波長で前記電磁放射線の強度を増幅する3つの共振ピークを形成することができるように構成されたフォトニック結晶を形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシャル発光ダイオード(LED)のアレイを備え、前記発光ダイオードそれぞれは、第1の波長(λ)で最大値を有する発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成された活性領域(20)を備え、前記アレイは、少なくとも第2、第3および第4の波長(λT1,λT2,λT3)で前記電磁放射線の強度を増幅する3つの共振ピークを形成することができるように構成されたフォトニック結晶を形成する、
光電子デバイス(10;32;34;36)。
【請求項2】
活性領域(20)の各々は、半値全幅が100nm~180nmの範囲にある発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成されている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
フォトニック結晶は2次元フォトニック結晶である、
請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記発光ダイオード(LED)は、400nm~475nmの範囲のピッチでアレイに配置されており、発光ダイオードの各々は、270nm~300nmの範囲の平均直径を有する筒状である、
請求項1~3のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項5】
前記発光ダイオード(LED)は、III-VまたはII-VI化合物をベースとする、
請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項6】
前記発光ダイオード(LED)は、1.3~1.6、好ましくは1.45~1.56の範囲の屈折率を有する電気絶縁材料(24)によって分離されている、
請求項1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2、第3および第4の波長(λT1,λT2,λT3)のうちの1つは、430nm~480nmの範囲にあり、前記第2、第3および第4の波長のうちの他の1つは、510nm~570nmの範囲にあり、前記第2、第3および第4の波長のうちのさらに他の1つは、600nm~720nmの範囲にある、
請求項1~6のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項8】
前記活性領域(20)の発光スペクトルは、前記第2の波長(λT1)でエネルギーを有する、
請求項1~7のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項9】
発光ダイオード(LED)の前記アレイ(15)の少なくとも第1の部分を覆う第1の光学フィルタ(F)をさらに備え、前記第1の光学フィルタは、前記第1、第3、および第4の波長(λ,λT2,λT3)を含む第1の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、前記第2の波長(λT1)を含む第2の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている、
請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記活性領域(20)の前記発光スペクトルは、第3の波長(λT2)でエネルギーを有する、
請求項8または9に記載のデバイス。
【請求項11】
発光ダイオード(LED)の前記アレイの少なくとも第2の部分を覆う第2の光学フィルタ(F)をさらに備え、前記第2の光学フィルタは、前記第1、第2および第4の波長(λ,λCT1,λT3)を含む第3の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、前記第3の波長(λT2)を含む第4の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている、
請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記活性領域(20)の前記発光スペクトルは、第4の波長(λT3)でエネルギーを有する、
請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項13】
発光ダイオード(LED)の前記アレイ(15)の少なくとも第3の部分を覆う第3の光学フィルタ(F)をさらに備え、前記第3の光学フィルタは、前記第1、第2および第3の波長(λ,λCT1,λCT2)を含む第5の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、前記第4の波長(λT3)を含む第6の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている、
請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記発光ダイオード(LED)が載置された支持体(12)を備え、発光ダイオードの各々は、前記支持体上に載置された第1の半導体部分(18)、前記第1の半導体部分と接触した活性領域(20)、および前記活性領域(20)と接触した第2の半導体部分(22)の積層体を備える、
請求項1~13のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項15】
前記発光ダイオード(LED)の前記第2の半導体部分(22)は、前記発光ダイオード(LED)によって放出される放射線に対して少なくとも部分的に透明な導電層(26)で覆われている、
請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記共振ピークの少なくとも1つは、他の共振ピークに対して減衰している、
請求項1~13のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項17】
前記発光ダイオード(LED)の少なくとも一部の第1および第2の半導体部分(18,22)の側壁は、シース(35)で覆われている、
請求項14または16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記発光ダイオード(LED)の第1のグループを覆う導電層(26)の第1の部分は第1の厚さを有し、前記発光ダイオードの第2のグループを覆う前記導電層(26)の第2の部分は前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、
請求項15または16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記発光ダイオードの第1のグループの前記発光ダイオード(LED)は、第1の屈折率を有する第1の電気絶縁材料(24)によって分離され、前記発光ダイオードの第2のグループの前記発光ダイオード(LED)は、前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の電気絶縁材料によって分離されている、
請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
光電子デバイス(10;32;34;36)を製造する方法であって、
前記光電子デバイス(10;32;34;36)は、アキシャル発光ダイオード(LED)のアレイ(15)を備え、前記発光ダイオードそれぞれは、第1の波長(λ)で最大値を有する発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成された活性領域(20)を備え、前記アレイは、少なくとも第2、第3および第4の波長(λT1,λT2,λT3)で前記電磁放射線の強度を増幅する3つの共振ピークを形成することができるように構成されたフォトニック結晶を形成する、
方法。
【請求項21】
活性領域(20)の各々は、半値全幅が100nm~180nmの範囲にある発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成される、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アレイ(15)の前記発光ダイオード(LED)を形成することは、
前記アレイのピッチによって互いに分離される第2の半導体部分(22)を基板(42)上に形成するステップと、
活性領域(20)を各第2の半導体部分上に形成するステップと、
第1の半導体部分(18)を各活性領域上に形成するステップとを含む、
請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記発光ダイオードは、少なくとも発光ダイオードの第1および第2のグループに分けられ、前記方法は、第1の光学フィルタを前記第1のグループに形成し、前記第1の光学フィルタとは異なる第2の光学フィルタを前記第2のグループに形成することを含む、
請求項20~22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記発光ダイオードを形成した後に、前記共振ピークの少なくとも1つを他の共振ピークに対して減衰させることを含む、
請求項20~23のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電子デバイス、特に、半導体材料で作られた発光ダイオードを備える表示スクリーンまたは画像投影デバイス、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料をベースとした発光ダイオードは、一般に、発光ダイオードによって提供される電磁放射線の大部分が放出される発光ダイオードの領域である活性領域を備える。活性領域の構造および組成は、所望の特性を有する電磁放射線を得るように構成される。特に、理想的に実質的にモノクロである狭スペクトルの電磁放射線を得ることが一般的に望まれている。
【0003】
ここでは、アキシャル型3次元発光ダイオードを備える光電子デバイスが考慮されている。アキシャル型3次元発光ダイオードは、それぞれが好ましい方向に沿って延びる3次元半導体素子を備え、3次元半導体素子の軸方向端部に活性領域を備える発光ダイオードである。
【0004】
3次元半導体素子の例としては、以下III-V化合物と呼ばれる、主に少なくとも1つのIII族元素および1つのV族元素を含む化合物(例えば窒化ガリウムGaN)、または、以下II-VI化合物と呼ばれる、主に少なくとも1つのII族元素および1つのVI族元素を含む化合物(例えば酸化亜鉛ZnO)をベースとした半導体材料を備えるマイクロワイヤまたはナノワイヤがある。このようなデバイスは、例えば、仏国特許出願公開第2995729号明細書および仏国特許出願公開第2997558号明細書に記載されている。
【0005】
閉じ込め手段、特に単一量子井戸または多重量子井戸を備える活性領域の形成が知られている。単一量子井戸は、P型およびN型がそれぞれドープされた第1の半導体材料(例えば、III-V化合物、特にGaN)の2つの層の間に、第1の半導体材料とは異なるバンドギャップを有する第2の半導体材料(例えば、III-V化合物および第3元素の合金、特にInGaN)の層を挟むことにより、形成される。多重量子井戸構造は、量子井戸と障壁層とを交互に形成する半導体層の積層体を備える。
【0006】
光電子デバイスの活性領域によって放出される電磁放射線の波長は、特に量子井戸を形成する第2の材料のバンドギャップに依存する。第2の材料がIII-V化合物および第3の元素の合金(例えば、InGaN)である場合、放出される放射線の波長は、特に第3の元素(例えば、インジウム)の原子百分率に依存する。特に、インジウムの原子百分率が高ければ高いほど、波長は長い。
【0007】
欠点は、インジウムの原子百分率が閾値を超えると、量子井戸のGaNとInGaNとの間の格子パラメータの差異が観察され、転位などの活性領域における非放射欠陥の形成を引き起こし、光電子デバイスの活性領域の量子効率の著しい低下を引き起こす可能性があるということである。したがって、III-VまたはII-VI化合物をベースとした単一量子井戸または多重量子井戸を備える活性領域を有する光電子デバイスによって放出される放射線の最大波長が存在する。特に赤色で発光するIII-VまたはII-VI化合物で作られた発光ダイオードの形成は、困難である可能性がある。
【0008】
しかし、III-VまたはII-VI化合物から作られた材料の使用は望ましい。それは、大きな寸法の基板上にエピタキシーによってそのような材料を低コストで成長させる方法が存在するからである。
【0009】
活性領域によって放出される電磁放射線を異なる波長、特に高い波長の電磁放射線に変換できるフォトルミネセンス材料で発光ダイオードを覆うことが知られている。しかし、このようなフォトルミネセンス材料は、コストが高く、変換効率が低く、時間の経過とともに性能が低下する可能性がある。
【0010】
また、所望の特性を有し、特にターゲット発光周波数付近の狭い帯域を含む発光スペクトルを有する活性領域を有する、III-VまたはII-VI化合物をベースとしたアキシャル型3次元発光ダイオードを形成することは、困難である可能性がある。
【0011】
さらに、III-VまたはII-VI化合物をベースとしたアキシャル型3次元発光ダイオードの活性領域の製造方法の工業的開発は、デリケートな作業を要する。したがって、光電子デバイスの発光ダイオードの全ての活性領域を、同じ構造および同じ組成で同時に形成し、その後、フォトルミネッセンス材料を使用せずに発光ダイオードのグループの発光スペクトルを変更させることができるようにすることが望ましい。
【発明の概要】
【0012】
そこで、一実施形態の目的は、発光ダイオードを備える前述した光電子デバイスの欠点の全部または一部を克服することである。
【0013】
一実施形態の他の目的は、各発光ダイオードの活性領域がIII-VまたはII-VI化合物をベースとした半導体材料の積層体を備えることである。
【0014】
一実施形態の他の目的は、光電子デバイスが、フォトルミネセンス材料を使用せずに、赤色の光放射を放出するように構成された発光ダイオードを備えることである。
【0015】
一実施形態の他の目的は、III-VまたはII-VI化合物をベースとしたアキシャル型3次元発光ダイオードが、所望の特性を有し、特にターゲット発光周波数付近の狭い帯域を含む発光スペクトルを有する活性領域を有することである。
【0016】
一実施形態の他の目的は、フォトルミネッセンス材料を使用せずに、発光ダイオードの活性領域を形成した後に発光ダイオードの発光周波数を変更させることができることである。
【0017】
一実施形態は、アキシャル発光ダイオードのアレイを備える光電子デバイスを提供し、発光ダイオードそれぞれは、第1の波長で最大値を有する発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成された活性領域を備え、アレイは、少なくとも第2、第3および第4の波長で前記電磁放射線の強度を増幅する3つの共振ピークを形成することができるように構成されたフォトニック結晶を形成する。
【0018】
一実施形態によれば、各活性領域は、半値全幅が100nm~180nmの範囲にある発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成されている。
【0019】
一実施形態によれば、フォトニック結晶は2次元フォトニック結晶である。
【0020】
一実施形態によれば、発光ダイオードは、400nm~475nmの範囲のピッチでアレイに配置されており、各発光ダイオードは、270nm~300nmの範囲の平均直径を有する筒状である。
【0021】
一実施形態によれば、発光ダイオードは、III-VまたはII-VI化合物をベースとする。
【0022】
一実施形態によれば、発光ダイオードは、1.3~1.6、好ましくは1.45~1.56の範囲の屈折率を有する電気絶縁材料によって分離されている。
【0023】
一実施形態によれば、第2、第3及び第4の波長のうちの1つは、430nm~480nmの範囲にあり、第2、第3及び第4の波長のうちの他の1つは、510nm~570nmの範囲にあり、第2、第3及び第4の波長のうちの更なる他の1つは、600nm~720nmの範囲にある。
【0024】
一実施形態によれば、活性領域の発光スペクトルは、第2の波長でエネルギーを有する。
【0025】
一実施形態によれば、デバイスは、発光ダイオードの前記アレイの少なくとも第1の部分を覆う第1の光学フィルタをさらに備え、第1の光学フィルタは、第1、第3および第4の波長を含む第1の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、第2の波長を含む第2の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている。
【0026】
一実施形態によれば、活性領域の発光スペクトルは、第3の波長でエネルギーを有する。
【0027】
一実施形態によれば、デバイスは、発光ダイオードの前記アレイの少なくとも第2の部分を覆う第2の光学フィルタをさらに備える。第2の光学フィルタは、第1、第2および第4の波長を含む第3の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、第3の波長を含む第4の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている。
【0028】
一実施形態によれば、活性領域の発光スペクトルは、第4の波長でエネルギーを有する。
【0029】
一実施形態によれば、デバイスは、発光ダイオードの前記アレイの少なくとも第3の部分を覆う第3の光学フィルタをさらに備え、第3の光学フィルタは、第1、第2および第3の波長を含む第5の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、第4の波長を含む第6の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている。
【0030】
一実施形態によれば、光電子デバイスは、発光ダイオードが載置される支持体を備え、各発光ダイオードは、支持体上に載置された第1の半導体部分、第1の半導体部分に接触した活性領域、および活性領域に接触した第2の半導体部分の積層体を備える。
【0031】
一実施形態によれば、発光ダイオードの第2の半導体部分は、発光ダイオードによって放出される放射線に対して少なくとも部分的に透明な導電層で覆われている。
【0032】
一実施形態によれば、共振ピークの少なくとも1つは、他の共振ピークに対して減衰している。
【0033】
一実施形態によれば、発光ダイオードの少なくとも一部の第1および第2の半導体部分の側壁は、シースで覆われている。
【0034】
一実施形態によれば、前記発光ダイオードの第1のグループを覆う導電層の第1の部分は、第1の厚さを有し、前記発光ダイオードの第2のグループを覆う導電層の第2の部分は、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する。
【0035】
一実施形態によれば、前記発光ダイオードの第1のグループの発光ダイオードは、第1の屈折率を有する第1の電気絶縁材料によって分離されており、前記発光ダイオードの第2のグループの発光ダイオードは、第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する第2の電気絶縁材料によって分離されている。
【0036】
また、一実施形態は、アキシャル発光ダイオードのアレイを備える光電子デバイスの製造方法を提供し、発光ダイオードそれぞれは、第1の波長で最大値を有する発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成された活性領域を備え、アレイは、少なくとも第2、第3、および第4の波長で前記電磁放射線の強度を増幅する3つの共振ピークを形成するように構成されたフォトニック結晶を形成する。
【0037】
一実施形態によれば、アレイの発光ダイオードの形成は、アレイのピッチによって互いに分離される第2の半導体部分を基板上に形成するステップと、活性領域を各第2の半導体部分上に形成するステップと、第1の半導体部分を各活性領域上に形成するステップとを含む。
【0038】
一実施形態によれば、発光ダイオードは、発光ダイオードの少なくとも第1および第2のグループに分けられる。方法は、第1の光学フィルタを第1のグループに形成し、第1の光学フィルタとは異なる第2の光学フィルタを第2のグループに形成することを含む。
【0039】
一実施形態によれば、方法は、発光ダイオードを形成した後に、共振ピークの少なくとも1つを他の共振ピークに対して減衰させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【0041】
図1】発光ダイオードを備える光電子デバイスの一実施形態の部分概略断面図である。
図2図1に示す光電子デバイスの部分概略透視図である。
図3図1に示す光電子デバイスの発光ダイオードのレイアウトの一例を概略的に示す図である。
図4図1に示す光電子デバイスの発光ダイオードのレイアウトの他の一例を概略的に示す図である。
図5図1の光電子デバイスによって放出される放射線の光強度の変化曲線を概略的に示し、3つの共振を有する構成を示す図である。
図6】3つの共振を有する構成での放射線の1つの共振の選択方法を示す図である。
図7】3つの共振を有する構成での放射線の他の共振の選択方法を示す図である。
図8】3つの共振を有する構成での放射線の2つの共振の選択方法を示す図である。
図9】3つの共振を有する構成での放射線の1つの共振の選択方法を示す図である。
図10】光電子デバイスによって放出される放射線の光強度の変化曲線を概略的に示し、3つの共振を有する初期構成から得られた1つの共振を有する構成を示す図である。
図11図10の発光スペクトルを有する光電子デバイスの一実施形態の部分概略断面図である。
図12図10の発光スペクトルを有する光電子デバイスの一実施形態の部分概略断面図である。
図13図10の発光スペクトルを有する光電子デバイスの一実施形態の部分概略断面図である。
図14A図1に示す光電子デバイスの製造方法の一実施形態のステップを示す図である。
図14B】製造方法の他のステップを示す図である。
図14C】製造方法の他のステップを示す図である。
図14D】製造方法の他のステップを示す図である。
図14E】製造方法の他のステップを示す図である。
図14F】製造方法の他のステップを示す図である。
図14G】製造方法の他のステップを示す図である。
図15図1に示す光電子デバイスの製造方法の他の実施形態のステップを示す図である。
図16】光電子デバイスのフォトニック結晶の発光ダイオードによって第1の波長で放出される光強度の、フォトニック結晶のピッチおよび発光ダイオードの直径に応じたグレースケール・マップである。
図17】光電子デバイスのフォトニック結晶の発光ダイオードによって第2の波長で放出される光強度の、フォトニック結晶のピッチおよび発光ダイオードの直径に応じたグレースケール・マップである。
図18】光電子デバイスのフォトニック結晶の発光ダイオードによって第3の波長で放出される光強度の、フォトニック結晶のピッチおよび発光ダイオードの直径に応じたグレースケール・マップである。
図19】試験で測定された発光ダイオードの光強度の波長に応じた変化曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
同様の特徴は、様々な図面で同様の参照符号によって指定されている。特に、様々な実施形態の間で共通である構造的および/または機能的特徴は、同じ参照符号を有し得、同一の構造的、寸法的および材料的特性を有し得る。明確にするために、本明細書に記載された実施形態の理解に有用なステップおよび要素のみが図示され、詳細に説明されている。特に、考慮される光電子デバイスは、任意に他の構成要素を備えるが、ここで詳述しない。
【0043】
以下の説明では、用語「前」、「後」、「頂部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置を修飾する用語、用語「の上」、「の下」、「上側」、「下側」などの相対位置を修飾する用語、または用語「水平」、「垂直」などの方向を修飾する用語に言及する場合、図に示された向き、または通常の使用位置にある光電子デバイスを参照する。
【0044】
「約」、「およそ」、「実質的に」および「程度」という表現は、特に指定されていない場合、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。また、用語「絶縁性」および「伝導性」は、それぞれ「電気絶縁性」および「電気伝導性」を意味すると考えられている。
【0045】
以下の説明では、層の内部透過率は、層から出る放射線強度と層に入る放射線強度との比に対応する。層の吸収率は、1と内部透過率との差に等しい。以下の説明では、層を通る放射線の吸収率が60%よりも小さい場合、層は放射線に対して透明であるという。以下の説明では、層を通る放射線の吸収率が60%よりも大きい場合、層は放射線を吸収するという。放射線が、最大値を有するガウス型などの一般的に「ベル」型のスペクトルを示す場合、放射線の表現波長、または放射線の中心波長もしくは主波長は、スペクトルの最大値に達する波長を指す。以下の説明では、材料の屈折率は、光電子デバイスによって放出される放射線の波長範囲に対する材料の屈折率に対応する。特に指定しない限り、屈折率は、有用な放射線の波長範囲にわたって実質的に一定であると考えられ、例えば、光電子デバイスによって放出される放射線の波長範囲にわたる屈折率の平均に等しい。
【0046】
さらに、「主に材料で形成された化合物」または「材料をベースとした化合物」とは、化合物における前記材料の割合が95%以上であることを意味し、この割合は好ましくは99%以上である。アキシャル発光ダイオードという用語は、例えば筒状の細長い形状を有する3次元構造を指し、該3次元構造は、5nm~2.5μmの範囲、好ましくは50nm~2.5μmの範囲の、マイナーディメンジョンと呼ばれる少なくとも2つの寸法を主方向に沿って有する。メジャーディメンションと呼ばれる第3の寸法は、最大のマイナーディメンションの1倍以上、好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上である。特定の実施形態では、マイナーディメンションは、およそ1μm以下、好ましくは100nm~1μmの範囲、より好ましくは100nm~800nmの範囲であってよい。特定の実施形態では、各発光ダイオードの高さは、500nm以上、好ましくは1μm~50μmの範囲であってもよい。考慮されたワイヤの底面の面積と同じ面積を持つ円形底面のワイヤの直径は、ワイヤの平均直径と呼ばれる。
【0047】
図1および図2それぞれは、発光ダイオードを備える光電子デバイス10の一実施形態の部分概略側断面図および透視図である。
【0048】
光電子デバイス10は、図1において下から上へ、以下の要素を備える:
支持体12;
支持体12上に載置され、上面16を有する第1の電極層14;
上面16上に載置されたアキシャル発光ダイオードLEDのアレイ15:各アキシャル発光ダイオードは、図1において下から上へ、電極層14に接触した下側半導体部分18(図2に示されない)と、半導体部分18に接触した活性領域20(図2に示されない)と、活性領域20に接触した上側半導体部分22(図2に示されない)とを備える;
発光ダイオードLEDの高さ全体に沿って発光ダイオードLEDの間に延びる絶縁層24;
発光ダイオードLEDの上側半導体部分22に接触して発光ダイオードLEDを覆う第2の電極層26(図2に示されない);および
第2の電極層26を覆い、光電子デバイス10の発光面30を規定するコーティング28(図2に示されない)。
【0049】
各発光ダイオードLEDは、活性領域20が下側部分18と一直線にあり、上側部分22が活性領域20と一直線にあるため、アキシャルと呼ばれる。下側部分18、活性領域20および上側部分22を備える集合体は、アキシャル発光ダイオードの軸と呼ばれる軸Δに沿って延びている。好ましくは、発光ダイオードLEDの軸Δは、平行し、面16に直交する。
【0050】
支持体12は、電子回路に対応してもよい。電極層14は、金属(例えば、銀、銅、または亜鉛)で作られてもよい。電極層14の厚さは、電極層14がミラーを形成するのに十分である。例えば、電極層14は100nmよりも大きい厚さを有する。電極層14は、支持体12を完全に覆ってもよい。変形例として、電極層14は、発光ダイオードのアレイの発光ダイオードのグループの別々の制御を可能にするように、別個の部分に分割されてもよい。一実施形態によれば、面16は、反射性であってもよい。その場合、電極層14は、鏡面反射を有してもよい。他の実施形態によれば、電極層14は、ランバート反射を有してもよい。ランバート反射を有する表面を得るためには、導電性表面上に凹凸を作成することができる。一例として、面16がベース上に載置された導電層の表面に対応する場合、一旦堆積された金属層の面16が隆起部分を示すように、金属層の堆積前にベースの表面のテクスチャリングを行ってもよい。
【0051】
第2の電極層26は、導電性で透明である。一実施形態によれば、電極層26は、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウムもしくはガリウムでドープされたかもしくはドープされない酸化亜鉛、またはグラフェンなどの透明導電性酸化物(TCO)層である。一例として、電極層26は、5nm~200nmの範囲、好ましくは20nm~50nmの範囲の厚さを有する。絶縁層24は、無機材料(例えば、酸化ケイ素または窒化ケイ素)で作られてもよい。絶縁層24は、有機材料(例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)をベースとした絶縁ポリマー)で作られてもよい。コーティング28は、後でさらに詳述するように、1つの光学フィルタ、または互いに隣り合って配置された複数の光学フィルタを備えてもよい。一実施形態によれば、絶縁層24の材料の屈折率は、1.3~1.6の範囲、好ましくは1.45~1.56の範囲である。
【0052】
図1および図2に示す実施形態では、全ての発光ダイオードLEDが同じ高さを有する。絶縁層24の厚さは、例えば、絶縁層24の上面が発光ダイオードの上面と面一になるように、発光ダイオードLEDの高さに等しくなるように選択される。
【0053】
一実施形態によれば、半導体部分18、22および活性領域20は、少なくとも部分的に半導体材料で作られている。半導体材料は、III-V化合物、II-VI化合物、およびIV族半導体もしくは化合物からなる群から選択される。III族元素の例としては、ガリウム(Ga)、インジウム(In)またはアルミニウム(Al)が挙げられる。V族元素の例としては、窒素(N)、リン(P)または砒素(As)が挙げられる。III-N化合物の例は、GaN、AlN、InN、InGaN、AlGaNまたはAlInGaNである。II族元素の例としては、IIA族元素(特にベリリウム(Be)およびマグネシウム(Mg))、ならびにIIB族元素(特に亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)および水銀(Hg))が挙げられる。VI族元素の例としては、VIA族元素、特に酸素(O)およびテルル(Te)が挙げられる。II-VI化合物の例は、ZnO、ZnMgO、CdZnO、CdZnMgO、CdHgTe、CdTeまたはHgTeである。一般に、III-VまたはII-VI化合物の元素は、異なるモル分率で組み合わせてもよい。IV族半導体材料の例は、ケイ素(Si)、炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、炭化ケイ素合金(SiC)、シリコンゲルマニウム合金(SiGe)、または炭化ゲルマニウム合金(GeC)である。半導体部分18および22は、ドーパントを備えてもよい。一例として、III-V化合物の場合、ドーパントは、P型II族ドーパント(例えば、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)もしくは水銀(Hg))、P型IV族ドーパント(例えば、炭素(C))、またはN型IV族ドーパント(例えば、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、硫黄(S)、テルビウム(Tb)もしくは錫(Sn))からなる群から選択されてもよい。好ましくは、半導体部分18はPドープGaNで作られ、半導体部分22はNドープGaNで作られている。
【0054】
各発光ダイオードLEDについて、活性領域20は、閉じ込め手段を備えてもよい。一例として、活性領域20は、単一量子井戸を備えてもよい。その場合、活性領域20は、半導体部分18および22を形成する半導体材料とは異なる半導体材料を含み、半導体部分18および22を形成する材料のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有する。活性領域20は、多重量子井戸を備えてもよい。その場合、量子井戸と障壁層とを交互に形成する半導体層の積層体を備える。
【0055】
図1および図2において、各発光ダイオードLEDは、円形底面および軸Δを有する筒形状を有する。しかし、各発光ダイオードLEDは、軸Δと、多角形(例えば、正方形、長方形または六角形)の底面とを有する筒形状を有してもよい。好ましくは、各発光ダイオードLEDは、六角形底面を有する筒形状を有する。
【0056】
下側部分18の高さh1、活性領域20の高さh2、上側部分22の高さh3、電極層26の厚さ、およびコーティング28の厚さの合計は、発光ダイオードLEDの高さHと呼ばれる。
【0057】
一実施形態によれば、発光ダイオードLEDは、フォトニック結晶を形成するように配置されている。図2には、12個の発光ダイオードLEDが例として示されている。実際には、アレイ15は、7~100,000個の発光ダイオードLEDを備えてもよい。
【0058】
アレイ15の発光ダイオードLEDは、行および列に配置されている(図2には、3行および4列が例として示されている)。アレイ15のピッチ「a」は、発光ダイオードLEDの軸と、同じ行または隣接する行にある近くの発光ダイオードLEDの軸との間の距離である。ピッチaは実質的に一定である。より詳細には、アレイのピッチaは、アレイ15がフォトニック結晶を形成するように選択される。形成されたフォトニック結晶は、例えば2次元フォトニック結晶である。
【0059】
アレイ15によって形成されるフォトニック結晶の特性は、有利には、発光ダイオードのアレイ15が、軸Δに垂直な面内の共振空洞と軸Δに沿った共振空洞とを形成するように、特に結合を達成し選択効果を高めるために選択される。これにより、フォトニック結晶を形成しない発光ダイオードLEDの集合体と比較して、アレイ15の発光ダイオードLEDの集合体によって発光面30を通って放出される放射線の強度を、特定の波長において増幅することが可能となる。
【0060】
図3および図4は、アレイ15の発光ダイオードLEDのレイアウトの例を概略的に示す。特に、図3は、いわゆる正方形格子レイアウトを示し、図4は、いわゆる六角形格子レイアウトを示す。図3および図4はそれぞれ、4つの発光ダイオードLEDを有する行を3つ示す。図3に示すレイアウトでは、発光ダイオードLEDは、行と列との各交差点に位置し、行は列に垂直である。図4に示すレイアウトでは、一行におけるダイオードは前の行および次の行における発光ダイオードに対してピッチaの半分だけシフトされている。
【0061】
図3および図4に示す実施形態では、各発光ダイオードLEDは面16に平行な面において直径Dの円形断面を有する。六角形格子レイアウトまたは正方形格子レイアウトの場合、直径Dは0.05μm~2μmの範囲であってもよい。ピッチaは0.1μm~4μmの範囲であってもよい。
【0062】
さらに、一実施形態によれば、発光ダイオードLEDの高さHは、各発光ダイオードLEDが、光電子デバイス10によって放出される放射線の所望の中心波長λで軸Δに沿って共振空洞を形成するように選択される。一実施形態によれば、高さHは、k×(λ/2)×neffに実質的に比例するように選択され、neffは、考慮される光学モードにおける発光ダイオードの有効屈折率であり、kは正の整数である。有効屈折率は、例えば、Joachim Piprek著「Semiconductor Optoelectronic Devices:Introduction to Physics and Simulation」において定義されている。
【0063】
しかし、発光ダイオードが異なる中心波長で発光する発光ダイオードの複数のグループに分けられている場合でも、全ての発光ダイオードの高さHは同じであってもよい。そして、各グループの発光ダイオードの共振空洞を得ることが可能な理論的な高さから決定されてもよく、例えば、これらの理論的な高さの平均に等しい。
【0064】
一実施形態によれば、発光ダイオードLEDのアレイ15によって形成されるフォトニック結晶の特性は、少なくとも3つのターゲット波長で発光ダイオードLEDのアレイ15によって放出される光強度を増加させるように選択される。一実施形態によれば、各発光ダイオードLEDの活性領域20は、相対的に広がった発光スペクトルを有し、特に、3つのターゲット波長をカバーするように、第1の波長に最大値を有し、半値全幅が100nmよりも大きく、好ましくは180nmよりも大きい。すなわち、活性領域20の発光スペクトルのターゲット波長におけるエネルギーはヌルではない。一実施形態によれば、活性領域20によって放出される放射線のスペクトルの最大値は、少なくとも2つのターゲット波長とは異なる波長にある。
【0065】
図5は、波長λに応じて、個別に考慮される発光ダイオードLEDの活性領域20によって放出される光強度Iの変化曲線C1(実線)、フォトニック結晶との結合による増幅係数の変化曲線C2(図5では破線、図6図10では実線)、および発光ダイオードのアレイ15によって放出される光強度の変化曲線C3(点線)を概略的に示している。曲線C1は一般的な「ベル」形状を有し、中心波長λで頂点を有する。曲線C2は、ターゲット波長λT1を中心とする第1の共振ピークP、ターゲット波長λT2を中心とする第2の共振ピークP、ターゲット波長λT3を中心とする第3の共振ピークPという3つの狭い共振ピークを含む。曲線C3は、ターゲット波長λT1における強度ピークP’、ターゲット波長λT2における強度ピークP’、ターゲット波長λT3における強度ピークP’を含み、他の波長においては曲線C1に実質的に従う。特に、曲線C1の頂点Sにおける半値全幅は、曲線C3の各ピークP’、P’、P’における半値全幅よりも、例えば、2倍、特に10倍大きい。
【0066】
一実施形態によれば、ターゲット波長λT1は、青色光、すなわち430nm~480nmの範囲の波長を有する放射線に対応する。一実施形態によれば、ターゲット波長λT2は、緑色光、すなわち510nm~570nmの範囲の波長を有する放射線に対応する。一実施形態によれば、ターゲット波長λT3は、赤色光、すなわち600nm~720nmの範囲の波長を有する放射線に対応する。
【0067】
一実施形態によれば、ターゲット波長λT1、λT2またはλT3のうちの1つで狭スペクトル光放射を放出する光電子デバイス10は、所望のターゲット波長における強度ピークのみを保持するように、発光ダイオードLEDのアレイ15によって放出される放射線をフィルタリングすることによって得ることができる。これは、コーティング28に光学フィルタを設けることによって達成されてもよい。
【0068】
図6および図7は、発光ダイオードのアレイ15によって放出される放射線のフィルタリングの原理を示す。ターゲット波長を中心とする狭スペクトル光放射を放出する光電子デバイスは、発光ダイオードのアレイ15の発光スペクトルの不要な部分を遮ることにより得ることができる。一例として、図6及び図7において、発光ダイオードのアレイ15によって放出される放射線のスペクトルの遮られた部分はハッチングされ、1つの共振ピークのみが保持されており、図6ではターゲット波長λT1における共振ピークP図7ではターゲット波長λT3における共振ピークPが保持されている。
【0069】
さらに、下側部分18の高さh1および上側部分22の高さh2は、有利に、ターゲット波長におけるピークの光強度が最大となるように決定されてもよい。
【0070】
発光ダイオードのアレイによって放出される放射線のフィルタリングは、任意の手段によって実行されてもよい。一実施形態によれば、フィルタリングは、発光ダイオードを着色材料の層で覆うことによって達成されてもよい。他の実施形態によれば、フィルタリングは、発光ダイオードを干渉フィルタで覆うことによって達成されてもよい。
【0071】
一実施形態によれば、発光ダイオードのアレイの発光ダイオードは、発光ダイオードの第1および第2のグループに分けられてもよい。第1のフィルタリングは、第1の共振ピークのみを保持するように、第1のグループの発光ダイオードに実施され、第2のフィルタリングは、第2の共振ピークのみを保持するように、第2のグループの発光ダイオードに実施される。したがって、第1のターゲット波長で第1の放射線、第2のターゲット波長で第2の放射線を放出するように構成された光電子デバイスを得ることができ、また、第1および第2のグループの発光ダイオードの活性領域および発光ダイオードのアレイは同じ構造を有する。
【0072】
一実施形態によれば、発光ダイオードは、発光ダイオードの第1、第2および第3のグループに分けられてもよい。第1のフィルタリングは、第1の共振ピークのみを保持するように、第1のグループの発光ダイオードに実施される。第2のフィルタリングは、第2の共振ピークのみを保持するように、第2のグループの発光ダイオードに実施される。第3のフィルタリングは、第3の共振ピークのみを保持するように、第3のグループの発光ダイオードに実施される。したがって、第1のターゲット波長における第1の放射線、第2のターゲット波長における第2の放射線、第3のターゲット波長における第3の放射線を放出するように構成された光電子デバイスを得ることができ、また、第1、第2、第3のグループの発光ダイオードの活性領域および発光ダイオードのアレイが同じ構造を有する。これにより、特にカラー画像表示スクリーンの表示画素の表示副画素を形成することが可能となる。
【0073】
一実施形態によれば、発光ダイオードの第1のグループのフィルタリング後の放射線は、青色光、すなわち430nm~480nmの範囲の波長を有する放射線に対応する。一実施形態によれば、発光ダイオードの第2のグループのフィルタリング後の放射線は、緑色光、すなわち510nm~570nmの範囲の波長を有する放射線に対応する。一実施形態によれば、発光ダイオードの第3のグループのフィルタリング後の放射線は、赤色光、すなわち600nm~720nmの範囲の波長を有する放射線に対応する。
【0074】
有利には、同じ構造および同じ組成を有する活性領域20は、異なるターゲット波長で狭スペクトル放射線を放出することができる光電子デバイスの製造に使用されてもよい。これにより、新たな光電子デバイスの設計の際に、活性領域の新しい構造を設計する必要がなくなり、それに伴う全ての工業的開発の問題を解決することができ、したがって、新たな光電子デバイスの設計方法を簡素化させることができる。実際には、全ての発光ダイオードを同じ構造で形成することができるので、少なくとも発光ダイオードが製造されるまでの製造方法の初期ステップは、異なる光電子デバイスの製造に共通であってもよい。
【0075】
活性領域20が、ターゲット波長λT1、λT2、もしくはλT3とは異なる、または少なくともそれらのうちの2つとは異なる中心波長λで最大強度の放射線を放出することは、さらに有利であり得る。実際には、一例として、活性領域20がInGaN層を備える場合、放出される放射線の中心波長はインジウムの割合が増えるにつれて増加する。しかし、赤色に対応する発光波長を得るためには、16%よりも大きいインジウムの割合を得る必要があり、これは活性領域の量子効率の低下と解釈される。ターゲット波長λT1よりも小さい中心波長λで最大強度を有する放射線を放出する活性領域20を使用するという事実により、改善された量子効率を有する活性領域20を使用することが可能となる。さらに、フォトルミネセンス材料を使用することなく、製造がより容易な、中心波長λで最大強度を有する放射線を放出する活性領域20を使用することにより、ターゲット波長λT1における放射線を得ることが可能となる。
【0076】
光電子デバイスによって放出される放射線の所望のスペクトルよりも大きな広がりを有するスペクトルを有する放射線を放出する活性領域20が、さらに使用されてもよい。これにより、活性領域20の設計および製造を簡素化させることができる。
【0077】
他の実施形態によれば、光電子デバイスによって放出される放射線のターゲット波長の選択は、広がっているが、3つのターゲット波長λT1、λT2、λT3をカバーしない発光スペクトルを有する活性領域を使用することによって得ることができる。その場合、発光ダイオードのアレイ15によって放出される放射線において、活性領域20によって放出される放射線の帯域にあるターゲット波長λT1、λT2、またはλT3における1つの強度ピークのみまたは複数の強度ピークが得られる。
【0078】
図8は、図5と類似した図であるが、活性領域20によって放出されるスペクトルの変化曲線C1が、曲線C2のそれぞれターゲット波長λT2およびλT3を中心とする2つの狭い共振ピークのみをカバーしている点で図5と異なる。そして、対応する曲線C3(不図示)は、中心波長λにおける頂点S、ターゲット波長λT2における強度ピーク、およびターゲット波長λT3における強度ピークを含む。
【0079】
図9は、図5と類似した図であるが、活性領域20によって放出されるスペクトルの変化曲線C1が、曲線C2のターゲット波長λT3を中心とする単一の狭い共振ピークのみをカバーしている点で図5と異なる。そして、対応する曲線C3(不図示)は、中心波長λにおける頂点S、およびターゲット波長λT3における強度ピークを含む。
【0080】
より一般的には、活性領域20の成長のためのエピタキシャル条件は、フォトニック結晶を変更することなく、活性領域20によって放出されるスペクトルが波長λT1、λT2、またはλT3のみを択一的にカバーするように選択することができる。これは、例えば、活性領域20がInGaN量子井戸を備える場合、活性領域20におけるインジウム濃度のみを変更することによって実現できる。これにより、有利には、活性領域20の成長を除いてほとんど同一の基本製造パラメータで、3つの異なるターゲット波長で発光するデバイスを工業的に製造することができる。
【0081】
他の実施形態によれば、光電子デバイスによって放出される放射線のターゲット波長の選択は、図1および図2に関連して先に説明された、3つの共振ピークの存在を引き起こす基準構造に対してフォトニック結晶の特性を変更させて、共振ピークのうちの1つの振幅を減少させ、好ましくは共振ピークのうちの1つを消滅させるか、または、共振ピークのうちの2つの振幅を減少させ、好ましくは共振ピークのうちの2つを消滅させることによって得ることができる。これにより、発光ダイオードのアレイ15によって放出される放射線のスペクトルは、基準構造で得られる強度ピークよりも少ない数の強度ピークを含む。一実施形態によれば、基準構造に対してフォトニック結晶の特性を変更させることは、発光ダイオードのアレイ15を形成した後に行われる。一つの可能性として、共振を促進するために、ワイヤの周囲に素子、特にナノ材料を導入する。また一つの可能性は、絶縁層24および/またはコーティング28を形成する材料を変更させることを含む。さらに一つの可能性は、例えば、電極層26の厚さを変更させることによって構造の全高Hを変更させることを含む。これにより、全ての発光ダイオードを同じ構造で形成することができるため、少なくとも発光ダイオードが製造されるまでの製造方法の初期ステップは、異なる光電子コンポネントの製造に共通であってもよい。
【0082】
図10は、図8と類似した図であり、ターゲット波長λT2におけるフォトニック結晶による増幅係数の変化曲線C2の共振ピークPが実質的に消失している点、および、変化曲線C2のターゲット波長λT3における共振ピークPの振幅が減少している点で図8と異なる。これにより、発光ダイオードのアレイ15によって放出される放射線は、単一の強度ピークを含み、光学フィルタを使用する必要はない。
【0083】
図11図12、および図13は、図10に示す曲線C1およびC2を得ることができる光電子デバイスの実施形態の部分概略断面図である。コーティング28は、場合によっては存在するが、図11、12、13には示されていない。光電子デバイスの各々について、第1の領域Z1では、3つの強度ピークを有する放射線を第1の領域Z1において得るように、図1に示す光電子デバイス10の基準構造が維持され、第2の領域Z2では、より少ない強度ピークを有する放射線を第2の領域Z2において得るように、図1に示す光電子デバイス10の基準構造が変更される。図11では、発光ダイオードLEDの高さHは、第2の領域Z2において変更される。図12では、発光ダイオードLEDの直径は、第2の領域Z2において変更される。図13では、フォトニックセンサを形成する材料の屈折率は、第2の領域Z2において変更される。
【0084】
図11は、図1に示した光電子デバイス10の要素の集合体を備える光電子デバイス32を示すが、電極層26が一定の厚さを有しない点で図1と異なる。一例として、光電子デバイス32の第1の領域Z1における電極層26の厚さは、光電子デバイス32の第2の領域Z2における電極層26の厚さよりも厚い。一実施形態によれば、第1の領域Z1における電極層26の厚さは、基準構造について決定された厚さであり、これにより、第1の領域Z1における発光ダイオードLEDのアレイ15によって供給される放射線に3つの強度ピークが存在する。第2の領域Z2における電極層26の厚さが減少すると、フォトニック結晶の特性が変更されるため、第2の領域Z2における発光ダイオードLEDのアレイ15では、図10に示す曲線C1およびC2が得られる。
【0085】
図12は、図1に示した光電子デバイス10の全ての要素を備える光電子デバイス34を示すが、シース35が第2の領域Z2における各発光ダイオードLEDの側壁を取り囲んでいる点で図1と異なる。一実施形態によれば、各シース35は、半導体部分18および22を形成する材料の屈折率に近い屈折率を有する材料で作られている。その場合、第1の領域Z1における発光ダイオードの直径に対して、第2の領域Z2における発光ダイオードの直径が増加したように表れる。第2の領域Z2における直径の増加は、フォトニック結晶の特性の変更を引き起こすため、第2の領域Z2における発光ダイオードLEDのアレイ15では、図10に示す曲線C1およびC2が得られる。
【0086】
図13は、図1に示した光電子デバイス10の全ての要素を備える光電子デバイス36を示すが、第2の領域Z2における絶縁層24が第1の領域Z1とは異なる屈折率を有する材料で作られている点で図1と異なり、これは、2つの領域Z1とZ2との間の限界38によって示されている。第2の領域Z2における絶縁層24の屈折率の変更は、フォトニック結晶の特性の変更を引き起こすため、第2の領域Z2における発光ダイオードLEDのアレイ15では、図10に示す曲線C1およびC2が得られる。
【0087】
図14A図14Gは、図1に示す光電子デバイス10の製造方法の他の実施形態の連続するステップで得られる構造体の部分概略断面図である。
【0088】
図14Aは、下記の形成ステップの後に得られる構造体を示す。
【0089】
基板42上にシード層40を形成する。そして、シード層40から発光ダイオードLEDを形成する。より詳細には、上側部分22がシード層40に接触するように、発光ダイオードLEDを形成する。シード層40は、上側部分22の成長に有利な材料で作られる。各発光ダイオードLEDについて、上側部分22上に活性領域20を形成し、活性領域20上に下側部分18を形成する。
【0090】
さらに、発光ダイオードLEDを、アレイ15を形成するように、すなわち、アレイ15の所望のピッチで行および列を形成するように設置する。図14A図14Gには、1つの行のみが部分的に示されている。
【0091】
発光ダイオードが設置される位置でシード層40の一部のみを露出させるために、シード層40上に発光ダイオードを形成する前に、図示しないマスクを形成してもよい。変形例として、発光ダイオードが形成される位置に設置されるパッドを形成するように、発光ダイオードの形成前にシード層40をエッチングしてもよい。
【0092】
発光ダイオードLEDの成長方法は、化学気相成長法(CVD)または有機金属化学気相成長法(MOCVD)(有機金属気相エピタキシー(MOVPE)としても知られている)などの方法または複数の方法の組み合わせであってもよい。しかし、分子線エピタキシー(MBE)、ガスソースMBE(GSMBE)、有機金属MBE(MOMBE)、プラズマアシストMBE(PAMBE)、原子層エピタキシー(ALE)またはハイドライド気相成長(HVPE)などの方法を使用してもよい。しかし、電気化学的なプロセス、例えば、化学浴堆積法(CBD)、水熱プロセス、液体エアロゾル熱分解、または電着を使用してもよい。
【0093】
発光ダイオードLEDの成長条件は、アレイ15の全ての発光ダイオードが実質的に同じ速度で形成されるようにする。したがって、半導体部分22および18の高さ、ならびに活性領域20の高さは、アレイ15における全ての発光ダイオードについて実質的に同一である。
【0094】
一実施形態によれば、半導体部分22の高さは、所望の値h3よりも大きい。実際には、特にシード層40からの上側部分22の成長開始により、上側部分22の高さを正確に制御することが困難である可能性がある。さらに、半導体材料をシード層40上に直接形成すると、シード層40の直上の半導体材料に結晶欠陥が発生する可能性がある。したがって、活性領域20を形成する前に一定の高さを得るように上側部分22の一部を除去することが望まれる場合がある。
【0095】
図14Bは、充填材料、例えば電気絶縁材料(例えば、酸化ケイ素)の層24を形成した後に得られる構造体を示す。層24は、例えば、図14Aに示す構造体上に充填材料の層を堆積させることによって形成され、該層は発光ダイオードLEDの高さよりも大きい厚さを有する。その後、充填材料の層を部分的に除去して平坦化し、半導体部分18の上面を露出させる。次いで、層24の上面を、各半導体部分18の上面と実質的に面一にする。変形例として、方法は、半導体部分18を部分的にエッチングするエッチングステップを含んでもよい。
【0096】
充填材料は、アレイ15によって形成されたフォトニック結晶が所望の特性を有するように、すなわち、発光ダイオードLEDのアレイによって放出される放射線の強度を波長に関して選択的に改善するように選択される。
【0097】
図14Cは、前のステップで得られた構造体上に電極層14を堆積させた後に得られる構造体を示す。
【0098】
図14Dは、例えば金属間ボンディング、熱圧着、または支持体12側で共晶を使用したはんだ付けによって層14を支持体12にボンディングした後に得られる構造体を示す。
【0099】
図14Eは、基板42およびシード層40を除去した後に得られる構造体を示す。さらに、層24および上側部分22は、各上側部分22の高さが所望の値h3を有するようにエッチングされる。このステップにより、有利には、発光ダイオードの高さhを正確に制御し、上側部分22の結晶欠陥を有する可能性のある部分を除去することが可能となる。
【0100】
図14Fは、電極層26の堆積後に得られる構造体を示す。
【0101】
図14Gは、図14Eに示す構造体の全体または一部を覆う少なくとも光学フィルタを形成した後に得られる構造体を示す。一例として、発光ダイオードLEDの第1、第2および第3のグループにそれぞれ位置する第1、第2、第3の光学フィルタF、FおよびFが示されている。
【0102】
図15は、図1に示す光電子デバイスの製造方法の変形例を示す。この方法では、電極層26が形成される前に、発光ダイオードLEDの各上側部分22の自由端を部分的にエッチングするステップを実施する。部分的なエッチングステップは、上側部分22の自由端に傾斜側部44を形成することを含んでもよい。これにより、フォトニック結晶の特性を若干変更することが可能となる。したがって、フォトニック結晶による増幅の共振ピークの位置をより細かく変更させることが可能となる。
【0103】
シミュレーションおよび試験が実行された。これらのシミュレーションおよび試験では、各発光ダイオードLEDについて、下側半導体部分18はP型ドープGaNで作られている。上側半導体部分22は、N型ドープGaNで作られている。下側部分18および上側部分22の屈折率はおよそ2.4である。活性領域20はInGaN層に対応する。活性領域20の高さh2は40nmに等しい。電極層14はアルミニウムで作られている。絶縁層24はBCBポリマーで作られている。絶縁層24の屈折率は1.45~1.56の範囲である。シミュレーションでは、面16での鏡面反射が考慮されている。部分18および22の高さは、共振ピークの強度に影響を及ぼしても共振ピークの位置を実質的に変更しないため、決定的なパラメータではない。
【0104】
図16、17および18は、発光ダイオードLEDのアレイ15の第1、第2、および第3の波長でそれぞれ発光面30に直交した方向に対して5度傾斜した第1の方向において放出される放射線の光強度の、フォトニック結晶のピッチ「a」および各発光ダイオードの直径「D」に応じたグレースケール・マップである。シミュレーションでは、第1の波長は450nm(青色)、第2の波長は530nm(緑色)、第3の波長は630nm(赤色)である。
【0105】
各グレースケール・マップには、共振ピークに対応する明るい領域が含まれている。このような共振ピークを有する領域は、図16において実線の輪郭B、図17において破線の輪郭G、図18において一点鎖線の輪郭Rで概略的に示されている。
【0106】
これは、例として、フォトニック結晶のピッチ「a」および発光ダイオードの直径「D」を選択することにより、図16の輪郭Bで囲まれた領域の1つに位置し、フィルタリングなしで得られた発光ダイオードLEDのアレイ15の発光スペクトルが、450nm波長における少なくとも1つの共振ピークを有することを意味する。
【0107】
図17では、図16の輪郭Bは輪郭Gに重ねられている。これは、例として、フォトニック結晶のピッチ「a」および発光ダイオードの直径「D」を選択することにより、図17の輪郭BおよびGでともに囲まれた領域の1つに位置し、フィルタリングなしで得られた発光ダイオードLEDのアレイ15の発光スペクトルが、450nm波長における少なくとも1つの共振ピークおよび530nm波長における1つの共振ピークを有することを意味する。
【0108】
図18では、図16の輪郭Bおよび図17の輪郭Gが輪郭Rに重ねられている。これは、例として、図18の輪郭B、GおよびRでともに囲まれた領域の1つに位置するように、フォトニック結晶のピッチ「a」および発光ダイオードの直径「D」を選択することにより、フィルタリングなしで得られた発光ダイオードLEDのアレイ15の発光スペクトルが、450nm波長における少なくとも1つの共振ピーク、530nm波長における共振ピーク、および630nm波長における共振ピークを有することを意味する。この3つのピークは、高さHがおよそ1μmに等しく、フォトニック結晶のピッチ「a」が400nmに等しく、発光ダイオードの六角形底面に外接する円の直径が260nmから270nm±25nmの間で変化する(280nmから290nmの間で変化する補正直径に相当する)場合に得られる。
【0109】
なお、高さh1およびh3を変更させることで、最適化を図ることができることに留意されたい。
【0110】
試験において、発光ダイオードは六角形底面を有する。およそ、所定半径の円形底面を有する発光ダイオードについて実行されたシミュレーションは、断面の外接円の半径が所定半径の1.1倍に等しい六角形底面を有する発光ダイオードについて実行されたシミュレーションと同等であると考えられている。半導体部分18、22および活性領域20は、全てのフォトダイオードでMOCVDによって同時に形成されている。
【0111】
試験は前述した寸法で行われた。
【0112】
図19は、試験における発光ダイオードのアレイ15の光強度I(任意単位)の波長に応じた変化曲線CRGBを示す。450nm、590nmおよび700nm波長における3つの共振ピークが効果的に得られている。
【0113】
様々な実施形態および変形例について説明してきた。当業者は、これらの実施形態および変形例の特定の特徴を組み合わせてもよく、他の変形例も当業者により容易に想起されることを理解するであろう。特に、前述したコーティング28は、一または複数の光学フィルタ以外の追加の層を備えてもよい。特に、コーティング28は、反射防止層、保護層などを備えてもよい。最後に、本明細書で説明した実施形態および変形例の実用化は、本明細書で提供した機能的な説明に基づいて、当業者の能力の範囲内である。
【0114】
本特許出願は、本明細書を構成する一部とみなされる仏国特許出願第20/13516号明細書の優先権を主張している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アキシャル発光ダイオード(LED)のアレイを備え、前記発光ダイオードそれぞれは、第1の波長(λ)で最大値を有する発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成された活性領域(20)を備え、前記アレイは、少なくとも第2、第3および第4の波長(λT1,λT2,λT3)で前記電磁放射線の強度を増幅する3つの共振ピークを形成することができるように構成されたフォトニック結晶を形成する、
光電子デバイス(10;32;34;36)。
【請求項2】
活性領域(20)の各々は、半値全幅が100nm~180nmの範囲にある発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成されている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
フォトニック結晶は2次元フォトニック結晶である、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記発光ダイオード(LED)は、400nm~475nmの範囲のピッチでアレイに配置されており、発光ダイオードの各々は、270nm~300nmの範囲の平均直径を有する筒状である、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記発光ダイオード(LED)は、1.3~1.6、好ましくは1.45~1.56の範囲の屈折率を有する電気絶縁材料(24)によって分離されている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2、第3および第4の波長(λT1,λT2,λT3)のうちの1つは、430nm~480nmの範囲にあり、前記第2、第3および第4の波長のうちの他の1つは、510nm~570nmの範囲にあり、前記第2、第3および第4の波長のうちのさらに他の1つは、600nm~720nmの範囲にある、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記活性領域(20)の発光スペクトルは、前記第2の波長(λT1)でエネルギーを有する、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
発光ダイオード(LED)の前記アレイ(15)の少なくとも第1の部分を覆う第1の光学フィルタ(F)をさらに備え、前記第1の光学フィルタは、前記第1、第3、および第4の波長(λ,λT2,λT3)を含む第1の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、前記第2の波長(λT1)を含む第2の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている、
請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記活性領域(20)の前記発光スペクトルは、第3の波長(λT2)でエネルギーを有する、
請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
発光ダイオード(LED)の前記アレイの少なくとも第2の部分を覆う第2の光学フィルタ(F)をさらに備え、前記第2の光学フィルタは、前記第1、第2および第4の波長(λ,λCT1,λT3)を含む第3の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、前記第3の波長(λT2)を含む第4の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている、
請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記活性領域(20)の前記発光スペクトルは、第4の波長(λT3)でエネルギーを有する、
請求項に記載のデバイス。
【請求項12】
発光ダイオード(LED)の前記アレイ(15)の少なくとも第3の部分を覆う第3の光学フィルタ(F)をさらに備え、前記第3の光学フィルタは、前記第1、第2および第3の波長(λ,λCT1,λCT2)を含む第5の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を遮り、前記第4の波長(λT3)を含む第6の波長範囲にわたって前記増幅された放射線を通すように構成されている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記発光ダイオード(LED)が載置された支持体(12)を備え、発光ダイオードの各々は、前記支持体上に載置された第1の半導体部分(18)、前記第1の半導体部分と接触した活性領域(20)、および前記活性領域(20)と接触した第2の半導体部分(22)の積層体を備える、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記発光ダイオード(LED)の前記第2の半導体部分(22)は、前記発光ダイオード(LED)によって放出される放射線に対して少なくとも部分的に透明な導電層(26)で覆われており、前記共振ピークの少なくとも1つは、他の共振ピークに対して減衰しており、前記発光ダイオード(LED)の第1のグループを覆う導電層(26)の第1の部分は第1の厚さを有し、前記発光ダイオードの第2のグループを覆う前記導電層(26)の第2の部分は前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
光電子デバイス(10;32;34;36)を製造する方法であって、
前記光電子デバイス(10;32;34;36)は、アキシャル発光ダイオード(LED)のアレイ(15)を備え、前記発光ダイオードそれぞれは、第1の波長(λ)で最大値を有する発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成された活性領域(20)を備え、前記アレイは、少なくとも第2、第3および第4の波長(λT1,λT2,λT3)で前記電磁放射線の強度を増幅する3つの共振ピークを形成することができるように構成されたフォトニック結晶を形成する、
方法。
【請求項16】
活性領域(20)の各々は、半値全幅が100nm~180nmの範囲にある発光スペクトルを有する電磁放射線を放出するように構成される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記発光ダイオードは、少なくとも発光ダイオードの第1および第2のグループに分けられ、前記方法は、第1の光学フィルタを前記第1のグループに形成し、前記第1の光学フィルタとは異なる第2の光学フィルタを前記第2のグループに形成することを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記発光ダイオードを形成した後に、前記共振ピークの少なくとも1つを他の共振ピークに対して減衰させることを含む、
請求項15に記載の方法。
【国際調査報告】