IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2023-553741少なくとも1つの車両用ヘッドライトの動作方法および車両
<>
  • 特表-少なくとも1つの車両用ヘッドライトの動作方法および車両 図1
  • 特表-少なくとも1つの車両用ヘッドライトの動作方法および車両 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】少なくとも1つの車両用ヘッドライトの動作方法および車両
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
B60Q1/14 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537172
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2021078275
(87)【国際公開番号】W WO2022128201
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020007773.0
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ルジェーロ,アドリアーノ
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA21
3K339BA22
3K339BA23
3K339BA25
3K339CA01
3K339DA01
3K339DA03
3K339DA05
3K339DA06
3K339FA05
3K339FA08
3K339GB01
3K339HA04
3K339HA06
3K339KA07
3K339KA22
3K339LA06
3K339LA33
3K339LA34
3K339MA01
3K339MA02
3K339MA03
3K339MA05
3K339MC04
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの車両用ヘッドライト(1)の動作方法に関し、車両用ヘッドライト(1)は、制御信号に応じて、暗い基本照明モードと明るい基本照明モードとの間で切り替えられ、明るい基本照明モードで車両用ヘッドライト(1)から放射された光照射野(5)は、制御信号に応じて少なくとも領域ごとに減光される、および/または領域ごとに少なくとも1つの補助照明の追加点灯によって明るくされる。本発明に基づく方法は、少なくとも、-補助照明が点灯された車両用ヘッドライト(1)を動作する工程と、-光照射野(5)の少なくとも1つの領域(5.3)の減光または暗い基本照明モードでの車両用ヘッドライト(1)の点灯が必要である場合は、補助照明を作動解除する工程と、-引き続き、光照射野(5)を少なくとも領域ごとに減光するか、または車両用ヘッドライト(1)を暗い基本照明モードで点灯することが必要かどうか、計算ユニット(4)がセンサ信号を点検する工程と、-このことが該当する場合、光照射野(5)の少なくとも領域(5.3)を減光するか、または車両用ヘッドライト(1)を暗い基本照明モードで点灯する工程、または-このことが該当しない場合、補助照明が点灯された明るい基本照明モードで車両用ヘッドライト(1)を動作する工程、を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車両用ヘッドライト(1)の動作方法であって、車両(2)は、少なくとも1つの光学センサ(3)によって車両周辺を監視し、前記光学センサ(3)によって生成されたセンサ信号は、制御信号を生成するために計算ユニット(4)によって評価され、前記車両用ヘッドライト(1)は、前記制御信号に応じて、暗い基本照明モードと明るい基本照明モードとの間で切り替えられ、前記明るい基本照明モードで前記車両用ヘッドライト(1)から放射された光照射野(5)は、前記制御信号に応じて少なくとも部分的に減光される、および/または少なくとも1つの補助照明の追加点灯によって部分的に増光される方法において、少なくとも、
-前記補助照明が点灯された状態で、前記明るい基本照明モードで前記車両用ヘッドライト(1)を動作する工程と、
-前記センサ信号の評価によって、前記光照射野(5)の少なくとも1つの領域(5.3)の減光する必要があるか、または前記暗い基本照明モードでの前記車両用ヘッドライト(1)を点灯する必要があると判定される場合は、前記補助照明を作動解除する工程と、
-引き続き、前記光照射野(5)を少なくとも領域ごとに減光する必要があるか、または前記車両用ヘッドライト(1)を前記暗い基本照明モードで点灯する必要があるかを判定するため、前記計算ユニット(4)が前記センサ信号を点検する工程と、
-このことが該当する場合、前記光照射野(5)の少なくとも前記領域(5.3)を減光するか、または前記車両用ヘッドライト(1)を前記暗い基本照明モードに切り替える工程、または
-このことが該当しない場合、前記補助照明が点灯された状態で前記明るい基本照明モードで前記車両用ヘッドライト(1)を動作する工程、
を特徴とする方法。
【請求項2】
光学センサ(3)として少なくとも1つのカメラが使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カメラによって生成された少なくとも1つのカメラ画像において、少なくとも1つの防眩すべき物体(6)を検知することにより、前記光照射野(5)の少なくとも1つの領域(5.3)を減光すること、または前記暗い基本照明モードに前記車両用ヘッドライト(1)に切り替えることが必要であると判定されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カメラ画像の少なくとも1つの部分領域が、予め定められた閾値を上回る光強度の光によって覆われることにより、前記カメラ画像内の除光すべき物体(6)が検知されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
カメラ画像評価のために人工知能、特に人工ニューラルネットワークが使用されることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの車両用ヘッドライト(1)と、計算ユニット(4)と、光学センサ(3)を備える車両(2)において、
前記計算ユニット(4)は、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を実行するために設けられていることを特徴とする車両(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部により詳細に定義されている種類による、少なくとも1つの車両用ヘッドライトの動作方法、ならびに本方法を実行するための車両に関する。
【0002】
一般に、車両は、車両周辺を照らし出すために、ヘッドライトの形で照明装置を備えており、これによって、例えば夜間の暗がりにおいても安全に車両を運転することが可能になる。車両用ヘッドライトは、通常、さまざまな動作モードを有しており、異なる照明特性によって車両用ヘッドライトから光が出力される。そのために、特に、ヘッドライトの照射角および/または輝度が調整される。その他の交通参加者が車両の前方領域にいる場合および/または車両が市街地を走行している場合、車両用ヘッドライトは、通常、ロービームで動作し、その他の交通参加者を眩惑しないようにしている。主要幹線道路または高速道路を走行している時に、車両前方にその他の交通参加者がいない場合は、車両用ヘッドライトがハイビームで動作することにより、車両を運転する人が暗がりでも引き続き外が見えるようにすることができる。
【0003】
さらに、周辺監視システムによって検知された交通参加者に応じて、ヘッドライトの自動照射角制御および/または輝度制御を行う、いわゆるハイビームアシスタントが周知である。例えばハイビームからロービームに自動的に切り替わったり、その他の交通参加者によって占有されているヘッドライト円錐部分が遮光されたり、減光されたりする。これにより、ハイビームが発散されても、その他の交通参加者が眩惑されるのを防止することができる。そのための車両用ヘッドライトとしては、特に、いわゆるマトリックスヘッドライトまたはピクセルヘッドライトが考えられる。なぜなら、これらのヘッドライトを用いることにより、特定の照明パターンを特に簡単に生成できるからである。
【0004】
さらに、基本照明を形成する発光体に加え、補助発光体を含む車両用ヘッドライトが周知であり、この補助発光体により、特に遠くまで届き、かつ明るい光線を生成することができる。そのような光線は、ハイビームスポット(High Beam Spot)とも呼ばれ、比較的明るい光を特に小さな面に収束させることを基本としている。このとき、ハイビームアシスタントは、ハイビームスポットと共に車両用ヘッドライトを制御する際に、誤検出の理由から、車両用ヘッドライトから照射されるハイビームを過度に頻繁に、不必要に防眩してしまうということが起こり得る。ハイビームアシスタントは、車両用ヘッドライトおよびヘッドライトを制御するための制御装置の他に、車両周辺を監視する光学センサも備えている。光学センサが車両周辺から光を受信し、その光強度が既定値を上回っている場合、このことは、対向車が来ていることを示唆している。この場合は、車両用ヘッドライトから照射されるハイビームを防眩することで、潜在的な対向する交通参加者が眩惑されないようにしなければならない。しかし、このとき、実際にはヘッドライトを点灯している対向車が来ているのではなく、静的または動的な周辺物体があって、それが車両用ヘッドライトから照射された光を車両方向に反射しているという可能性もある。この場合、防眩する必要はない。道路標識柱のリフレクタまたは交通遮断機の遮断バーなどの反射物にハイビームスポットがあたると、その物体はハイビームスポットが作動している車両の方向に特に多くの光を反射することから、その反射物は、光を発散している交通参加者と特に頻繁に間違えられる。
【0005】
そのような誤検出を回避するため、特許文献1は、車両に向かって光を発散および/または反射している物体の物体等級を特定する方法を開示している。このとき、車両のハイビームアシスタントは、光学センサとして少なくとも2台のカメラを備えており、それらは互いにオフセットを有している。この場合、カメラは、互いに比較的少ないオフセットだけを有していればよく、例えばステレオカメラであってもよい。2台のカメラを用いて周辺物体からの発散光または反射光は異なる視角から撮影することにより、対向する交通参加者のように光を自ら発散している物体と、リフレクタのように光を反射している物体とを区別することが可能になる。これにより、ハイビームアシスタントが対向する交通参加者と間違えて検知し、それによって防眩するという誤検出率を低下させることができる。このとき、この文献は、実際に交通参加者が検知された場合、ハイビームを防眩する以外に、車両用ヘッドライトの補助発光体も作動解除できることに言及している。しかし、この文献で開示されている方法を実行するには、周辺監視のための少なくとも2台のカメラが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011081428号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、遠くまで届き、かつ明るいハイビームを生成するための補助照明を備える少なくとも1つの車両用ヘッドライトの改善された動作方法を提供することであり、この方法により、光学センサを1つしか使用しないハイビームアシスタントを用いる場合でも、車両用ヘッドライトの不必要な防眩を確実に回避または少なくとも低減することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
冒頭に述べた種類の少なくとも1つの車両用ヘッドライトの動作方法では、車両用ヘッドライトが、少なくとも1つの補助照明の追加点灯によって増光可能な光照射野を放射するために設けられており、本発明に基づき、少なくとも、
-補助照明が点灯された明るい基本照明モードで車両用ヘッドライトを動作する工程と、
-センサ信号の評価によって、光照射野の少なくとも1つの領域の減光する必要がある、または車両用ヘッドライトを暗い基本照明モードに切り替える必要があると判定される場合は、補助照明を作動解除する工程と、
-引き続き、光照射野を少なくとも領域ごとに減光するか、または車両用ヘッドライトを暗い基本照明モードで点灯することが必要かどうか、計算ユニットがセンサ信号を点検する工程と、
-このことが該当する場合、少なくとも光照射野の領域を減光するか、または車両用ヘッドライトを暗い基本照明モードに切り替える工程、または
-このことが該当しない場合、補助照明が点灯された明るい基本照明モードで車両用ヘッドライトを動作させる工程、が実行される。
【0009】
補助照明が点灯されている車両用ヘッドライトから、特に反射しやすい周辺物体に光があてられると、周辺物体もまた、同等の高い光強度を持つ光を車両の方向に反射する。これにより、周辺物体をその他の交通参加者と間違える確率が上昇する。というのも、周辺物体は、その高い光強度の理由から、光学センサにとって自ら光を放射している交通参加者のように見えてしまうからである。この場合は、車両用ヘッドライトから放射された光照射野を少なくとも領域ごとに減光するか、または車両用ヘッドライトを暗い基本照明モードに切り替える必要がある。しかし、補助照明の動作を省略すると、周辺物体が反射する光も少なくなり、自ら光を放射する交通参加者のようには見えなくなるため、周辺物体をその他の交通参加者と間違えて検知する可能性も低下する。補助照明の消灯後に、センサ信号を計算ユニットが改めて点検する場合は、交通参加者と周辺物体とをより高い信頼性で区別することができる。実際にその他の交通参加者であった場合、車両用ヘッドライトから放射される光照射野は、少なくとも領域ごとに減光されるか、または車両用ヘッドライトが暗い基本照明モードに切り替えられる。しかし、計算ユニットが、周辺物体であると確定した場合は、補助照明を再び安全に追加点灯することができる。本発明に基づく方法を実行するために、ハイビームアシスタントに構造的な変更は必要ないので、本発明に基づく方法は、既存の車両にも特に容易に適用することが可能である。
【0010】
暗い基本照明モードは、例えばロービームであってよく、明るい基本照明モードはハイビームであってよい。
【0011】
光学センサとしては、さまざまなセンサを用いることができる。例えば、照度センサであってよい。しかし、本発明の有利な発展形態では、光学センサが少なくとも1つのカメラであることが提供される。ここでは、カメラが、計算ユニットによって評価されるカメラ画像を生成する。これにより、特に広範囲な情報を得ることができる。現代の車両は、カメラを装備していることが多いので、追加のハードウェアを車両に設ける必要はない。カメラは、多目的カメラのような任意のカメラであってよい。このカメラは、単眼カメラまたはステレオカメラとして実施されていてよく、可視および/または赤外線スペクトルの光を検出することができる。特に、赤外光を検出するために設置されているカメラは、暗がりでも周辺物体を特に高い信頼性で検出することができる。
【0012】
本発明のその他の有利な実施形態によれば、カメラによって生成された少なくとも1つのカメラ画像において、少なくとも1つの除光すべき物体を検知することにより、光照射野の少なくとも1つの領域を減光する必要性、または車両用ヘッドライトを暗い基本照明モードに切り替える必要性が判定される。例えば、除光すべき対象は、その他の交通参加者、例えば自車に対向してくる自転車、乗用車、トラックまたは任意の道路車両である。その他の交通参加者が、自車と同じ方向に走行している可能性もある。その場合、同一方向に走行するその他の交通参加者が後ろから眩惑されるおそれもある。というのも、一般的な車両は、サイドミラーおよびルームミラーが装備されており、そのミラーによって、自車から発散された光が前走車を運転する人の方に向くと、その人は眩惑される可能性があるからである。除光すべき物体は建物である可能性もある。この場合、例えば車両から発散された光は、窓を介して建物の中に入り、それによって建物内にいる人に不快感を与えるおそれがある。
【0013】
さらに、本発明のさらなる有利な実施形態では、カメラ画像の少なくとも1つの部分領域が、予め定められた閾値を上回る光強度の光によって覆われることにより、カメラ画像内の除光すべき物体が検知されるようになっている。特に夜間の暗がりでは、通常、暗がりでの位置を確認するために、その他の交通参加者自身も光を放射しているため、光を照射している物体が検知された場合、その光をその他の交通参加者として特定することができる。この場合、光を発散している物体は、除光すべき物体として分類され、それを受けて、車両用ヘッドライトが減光される。このために、周辺物体から発散される光の光強度の閾値が規定され、この閾値を上回ると、周辺物体がその他の交通参加者または除光すべき物体として検知される。これにより、例えば、工事現場の標識や街灯のような光を放射する周辺物体を対向車と区別することができる。
【0014】
好ましくは、カメラ画像評価のために人工知能が使用され、特に人工ニューラルネットワークが適用される。人工知能、特に畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)のような人工ニューラルネットワークにより、カメラ画像を評価することができる。従って、検知したいカメラ画像内の特徴が間違って検知される誤検出率を低下させることが可能である。
【0015】
少なくとも1つの車両用ヘッドライトと、計算ユニットと、光学センサを備える車両では、本発明に基づき、前述した方法を実行するために計算ユニットが設けられている。この車両は、乗用車、トラック、トランスポータ、バスなど、任意の車両であってよい。本方法を実行するために、独立した計算ユニットが設けられていてよい。しかし、これは中央ボードコンピュータまたは車両サブシステムの制御装置であってもよい。同様に、任意の車両用ヘッドライトであってよい。この車両用ヘッドライトは、基本照明を放射するために複数の照明を有してもよい。車両用ヘッドライトは、発光体として、任意の電球、例えば白熱電球、ハロゲン電球またはキセノン電球、蛍光灯、レーザーまたはLEDを有していてよい。特に、車両用ヘッドライトは、いわゆるマトリックスヘッドライトまたはピクセルヘッドライトであってもよい。車両用ヘッドライトは、1つまたは複数の、リフレクタ、ミラー、レンズおよび/またはプリズムを備えることができる。これらは、アクチュエータによって制御されることで、例えば動かすことができる。これにより、例えば、車両用ヘッドライトから放射された光照射野の光照射方向を制御することが可能である。目的に応じて個々の照明手段を点灯または消灯することにより、光照射野の明るさを変更すること、および/または照射野の個別の領域を減光することができる。補助照明を使って、車両用ヘッドライトが、いわゆるハイビームスポットを照射することにより、車両からかなり遠く離れた周辺領域も特に高い光出力で照らし出すことが可能である。
【0016】
本発明に基づく方法および車両のさらなる有利な実施形態は、以下に図を用いて詳しく説明する実施例からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ハイビームアシスタントの周知の動作方式の模式図である。
図2】本発明の方法に基づくハイビームアシスタントの動作方式の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1a)には、光学センサ3、計算ユニット4、2つの車両用ヘッドライト1を有する車両2が示されている。車両用ヘッドライト1は、走行方向Fに車両2の前方にある周辺領域に光照射野5を投射する。スペースの都合により、図においては光照射野5が車両中央から示されており、車両用ヘッドライト1に対応していない。光照射野5は、2つの領域5.1および5.2からなる。このとき、領域5.2は、領域5.1に重なっている。領域5.1には、車両用ヘッドライト1が、明るい基本照明モードによる光、例えばハイビームを周辺に投影する。1つまたは2つの車両用ヘッドライト1は補助照明を備え、この補助照明により、特に明るく、かつ領域5.2に従って遠くまで届く光が周辺に投影される。この光は、ハイビームスポットとも呼ばれる。これにより、車両2の前方をさらに遠くの周辺領域まで特に明るく照らし出すことができるので、車両を運転する人は、夜間においても車両2を快適かつ安全に運転することが可能になる。光学センサ3は、ここではカメラの形で、周辺の監視のために用いられている。このとき、光学センサ3によって生成されるセンサ信号は、計算ユニット4によって評価され、潜在的な物体6またはその他の交通参加者を検知する。検知された物体6または交通参加者に応じて、計算ユニット4は、車両用ヘッドライト1を制御するための制御信号を出力し、光照射野5の照明特性を変更する。それにより、その他の交通参加者、特に車両2に接近する交通参加者を検知した場合、光照射野5の領域5.3が遮光されるか、または明るい基本照明モードが暗い基本照明モードに切り替えられ、接近する交通参加者が眩惑されないようにする。
【0019】
図1a)の例では、ハイビームスポット、すなわち光照射野5の領域5.2が物体6.1、例えば標識柱のリフレクタにあたり、これがハイビームスポットを車両2の方向に反射すると、これを受けて、計算ユニット4は、カメラによって生成されたカメラ画像内で特に高い光強度を判定し、そのことから、対向する交通参加者の接近を検知する。これに応じて、計算ユニット4は光照射野5の領域5.3を減光するための制御信号を出力する。これにより、物体6.1は車両2の照明から遮光されるか、または車両用ヘッドライト1が暗い基本照明モードに切り替えられ、これにより、車両用ヘッドライト1は、領域5.1に比べ小さな領域5.4を、特に少ない光出力で照らし出す。
【0020】
しかし、物体6.1は接近する交通参加者ではなく、標識柱であるため、領域5.3を遮光したり、車両用ヘッドライト1を暗い基本照明モードで動作させたりする必要はないと考えられる。本発明に基づく方法により、図2には、車両用ヘッドライト1を除光または減光するための手順が示されている。ここで、図2a)は、図1a)の交通状況に対応している。除光すべき物体、すなわち接近する交通参加者がカメラ画像で検知されると、まず、ハイビームスポット、すなわち補助照明が消灯する。このことは、図2b)に示されている。ここで、車両用ヘッドライト1は、領域5.1にのみ明るい基本照明モードに従って光を放射する。物体6.1は、車両用ヘッドライト1から発散された光を車両2の方向にそれほど強く反射してこないことから、計算ユニット4によるカメラ画像の新たな評価において、その他の交通参加者なのか、または物体6なのかを確実に結論づけることができる。これに応じて、図2)および2c)による新たなカメラ画像の評価後、光照射野の領域5.3が減光され、車両用ヘッドライト1が暗い基本照明モードで動作するか、またはハイビームスポットが再び点灯する。従って、車両用ヘッドライト1の不必要な減光または除光を回避することができる。これにより、暗がりで車両2を使用する際の走行快適性を改善することができる。
図1
図2
【国際調査報告】