IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴの特許一覧 ▶ タレスの特許一覧 ▶ センター ナショナル ド ラ ルシェルシュ サイエンティフィークの特許一覧 ▶ ユニヴェルシテ グルノーブル アルプの特許一覧

特表2023-553746磁気層の磁化の方向を修正するためのデバイス、関連する方法、およびスピントロニクスシステム
<>
  • 特表-磁気層の磁化の方向を修正するためのデバイス、関連する方法、およびスピントロニクスシステム 図1
  • 特表-磁気層の磁化の方向を修正するためのデバイス、関連する方法、およびスピントロニクスシステム 図2
  • 特表-磁気層の磁化の方向を修正するためのデバイス、関連する方法、およびスピントロニクスシステム 図3
  • 特表-磁気層の磁化の方向を修正するためのデバイス、関連する方法、およびスピントロニクスシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】磁気層の磁化の方向を修正するためのデバイス、関連する方法、およびスピントロニクスシステム
(51)【国際特許分類】
   H10N 50/20 20230101AFI20231218BHJP
   H10N 50/80 20230101ALI20231218BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20231218BHJP
【FI】
H10N50/20
H10N50/80 Z
H10N50/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537179
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2021086134
(87)【国際公開番号】W WO2022129306
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013673
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(71)【出願人】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】323002277
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルプ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フィリップ・アッタネ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ヴィラ
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル・ビベ
【テーマコード(参考)】
5F092
【Fターム(参考)】
5F092AB06
5F092AC11
5F092AC26
5F092BB35
5F092BB36
5F092BB42
5F092BB43
5F092BB44
5F092BB90
(57)【要約】
本発明は、磁気層(10)の磁化の少なくとも方向を修正するためのデバイス(12)に関し、修正デバイス(12)は、
- 強誘電性分極を有する強誘電体層(14)であり、少なくとも磁気層(10)および強誘電体層(14)を含む積層(19)を画定するために、磁気層(10)の上にまたは下に配置されている、強誘電体層(14)と、
- 積層(19)の層の平面に平行な方向に沿って、積層内へ電流を注入する傾向がある発電機(16)と、
- 発電機(16)を用いて、磁気層(10)の磁化の方向を修正するために、強誘電体層(14)の強誘電性分極を修正する傾向がある修正ユニット(18)と
を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気層(10)の磁化の少なくとも方向を修正するためのデバイス(12)であって、前記修正デバイス(12)は、
- 強誘電性分極を有する強誘電体層(14)であり、少なくとも前記磁気層(10)および前記強誘電体層(14)を含む積層(19)を画定するために、前記磁気層(10)の上にまたは下に配置されており、前記積層(19)の層が延在する平面が画定されている、強誘電体層(14)と、
- 前記積層(19)の前記層の前記平面に平行な方向に沿って、前記積層(19)内へ電流を注入する傾向がある発電機(16)と、
- 前記発電機(16)を用いて、前記磁気層(10)の前記磁化の前記方向を修正するために、前記強誘電体層(14)の前記強誘電性分極を修正するように適合された修正ユニット(18)と
を含む、デバイス(12)。
【請求項2】
前記強誘電性分極を修正するための前記ユニット(18)は、電圧源である、請求項1に記載の修正デバイス。
【請求項3】
前記磁気層(10)は、前記強誘電体層(14)と接触している、請求項1または2に記載の修正デバイス。
【請求項4】
前記磁気層(10)および前記強誘電体層(14)の中の少なくとも1つは、ナノ構造である、請求項1から3のいずれか一項に記載の修正デバイス。
【請求項5】
前記積層は、前記強誘電体層(14)と前記磁気層(10)との間に間置されている中間層(34)を含み、前記中間層(34)は、スピンホール効果材料、詳細にはプラチナまたはタングステンなどの金属を含む、請求項1または2に記載の修正デバイス。
【請求項6】
前記積層は、前記強誘電体層(14)と前記磁気層(10)との間に間置されている中間層(34)を含み、前記中間層(34)は、単独でまたは組み合わせて、次のリスト、すなわち
- ワイル半金属、
- 2次元材料、詳細にはグラフェン、
- 遷移金属ジカルコゲナイド、および
- トポロジカル絶縁体
から選択される材料を含む、請求項1または2に記載の修正デバイス。
【請求項7】
前記強誘電体層(14)は、保護層と接触している、請求項1から6のいずれか一項に記載の修正デバイス。
【請求項8】
前記保護層は、前記強誘電体層(14)の表面上に形成される2次元電子ガスを保護するために使用され得る、請求項7に記載の修正デバイス。
【請求項9】
前記保護層は、周期表の列3d、4d、5d、4f、5fからの還元金属元素または前記元素の組合せの少なくとも80%を堆積させることにより得られる、請求項7または8に記載の修正デバイス。
【請求項10】
- 磁気層(10)と、
- 前記磁気層(10)の磁化の少なくとも前記方向を修正するためのデバイス(12)であり、前記修正デバイス(12)が請求項1から9のいずれか一項に記載されている、デバイス(12)と、
- 前記磁気層(10)の前記磁化を読み取るためのユニット(32)であり、例えば磁気トンネル接合部である、ユニット(32)と
を含む、スピントロニクスシステム(30)。
【請求項11】
前記スピントロニクスシステム(30)は、メモリである、請求項10に記載のスピントロニクスシステム。
【請求項12】
前記スピントロニクスシステム(30)は、磁区壁またはスキルミオンの伝搬に基づくシフトレジスタである、請求項10に記載のスピントロニクスシステム。
【請求項13】
前記スピントロニクスシステム(30)は、磁区壁またはスキルミオンまたはスピン波の伝搬に基づく、論理または神経形態学的デバイスの部分である、請求項10に記載のスピントロニクスシステム。
【請求項14】
前記スピントロニクスシステム(30)は、
- 発振器、および
- ラジオ周波数送信機または受信機
から選択される、請求項10に記載のスピントロニクスシステム。
【請求項15】
磁気層(10)の磁化の少なくとも方向を修正するための方法(12)であって、
- 少なくとも前記磁気層(10)および強誘電体層(14)を含む積層を画定するために、前記磁気層(10)の上にまたは下に配置されている前記強誘電体層(14)の強誘電性分極の修正で、前記積層(19)の層が延在する平面が画定されている、修正、および前記積層(19)の前記層の前記平面に平行な方向に沿った、前記積層(19)内への電流の注入により、前記磁気層(10)の前記磁化を修正するステップであり、前記強誘電性分極の前記修正は、前記強誘電体層(14)に電圧をかけることにより実施されることが有利である、ステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気層の磁化の少なくとも方向を修正するためのデバイスに関する。本発明は、そのようなデバイスを含むスピントロニクスシステムおよび修正方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
スピントロニクスデバイスは、電子の電荷に基づく従来の電子デバイスに、情報の不揮発性などのさらなる機能をもたらすために、電子のスピンの自由度に立脚する。「スピンエレクトロニクス」または「スピントロニクス」という用語は、そのようなテクノロジーを指すために用いられる。
【0003】
強磁性素子またはフェリ磁性素子内でのスピン偏極電流の印加は、素子の磁化の方向を操作するために用いられ得る。スピン偏極電流は、磁化に作用するいわゆるスピントランスファトルクを生成し、それは例えば、トンネル接合部を通るスピントランスファに基づいて、磁気ランダムアクセスメモリなどのスピントロニクステクノロジーの動作のために使用された。そのようなメモリにおいて、電流は、磁気トンネル接合部の平面に対して垂直に印加され、それにより、接合部を構成する層のうちの1つの磁化を切り換えることが可能になる。
【0004】
電流印加により磁化を切り換える別の方法は、いわゆるスピン軌道トルクに基づく。そのようなトルクは、スピンホール効果(spin Hall effect)材料、通常は、強磁性材料またはフェリ磁性材料(CoもしくはCoFeBなど)と接触している重金属(Pt、Pd、W、Taなど)で作製されている二重層内に出現する。同じものはまた、強磁性素子またはフェリ磁性素子と強誘電体素子との間の境界面において、ラシュバエーデルシュタイン効果(Rashba-Edelstein effect)により出現し得る。スピンホール効果および/またはラシュバエーデルシュタイン効果は、このとき積層の平面内を流れる充電電流を、積層の平面に対して垂直なスピン電流に変換する。スピン電流は振動および/または磁化層の磁化の反転を開始し得る。
【0005】
スピン軌道トルクによって磁化の配向を修正するそのような技術は、例えば、スピン軌道トルクに基づいて、ランダムアクセス磁気メモリを作り出すために使用され、強磁性素子またはフェリ磁性素子の磁化の状態で符号化された情報は、層の平面内に電流を印加することによって切り換えられ得る。そのような技術は、スピン軌道トルクにより移動し得る磁壁またはスキルミオンなどの磁気的不均一性により情報が符号化されるトラックから成るシフトレジスタデバイスを作り出すのにも使用され得る。そのような技術は、スピン軌道発振器においても使用されることが可能であり、面内充電電流により生成されるスピン電流は、ラジオ周波数信号を生成するために、磁化の振動を持続するために使用される。
【0006】
スピン軌道トルクに基づくそのようなデバイスの基本要素は、しばしば、強磁性素子またはフェリ磁性素子と接触しているスピンホール効果材料の層である。積層の平面内の充電電流が、スピンホール効果により、スピン電流へ変換される。充電電流とスピン電流との間のそのような変換は、層スタックの性質により決定される。磁化の方向の修正は、もっぱら積層の平面内を流れる電流により制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、そのような修正デバイスを含むスピントロニクスシステムにより高い自由度を実現する、磁気層の少なくとも1つの磁気特性を修正するためのデバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本明細書は、磁気層の磁化の少なくとも方向を修正するためのデバイスに関し、修正デバイスは、強誘電性分極を示す強誘電体層であり、少なくとも磁気層および強誘電体層を含む積層を画定するために、磁気層の上にまたは下に配置されている、強誘電体層と、積層の層の平面に平行な方向に、積層内へ電流を注入することができる発電機と、強誘電体層の強誘電性分極を修正して、発電機が磁気層の磁化の方向を修正することを可能にするように適合された修正ユニットとを含む。
【0009】
したがって、磁化の方向を修正するための手段が提案され、この修正は、詳細には前記強誘電体層に電圧をかけることにより、積層の平面内を流れる電流と、不揮発性方法では、強誘電体層の分極との両方によって決まる。実際、デバイスは強誘電体層を使用し、その分極状態はスピン軌道トルクを修正するために使用され得る。
【0010】
そのような追加自由度は、そのようなデバイスに、メモリに加えて論理機能またはさらなる再プログラム可能性などの機能を追加するために使用され得る。
【0011】
他の特定の実施形態によれば、修正デバイスは、個々にまたは全ての技術的に可能な組合せに従って、次の特徴のうちの1つまたは複数を有する:
- 強誘電性分極を修正するためのユニットは、電圧源である。
- 磁気層は、強誘電体層と接触している。
- 磁気層および強誘電体層の中の少なくとも1つの層は、ナノ構造である。
- 積層は、強誘電体層と磁気層との間に間置されている中間層を含み、中間層は、スピンホール効果材料、詳細にはプラチナまたはタングステンなどの金属を含む。
- 積層は、強誘電体層と磁気層との間に間置されている中間層を含み、中間層は、単独でまたは組み合わせて、次のリスト、すなわち、ワイル(Weyl)半金属、2次元材料、詳細にはグラフェン、遷移金属ジカルコゲナイド、およびトポロジカル絶縁体から選択される材料を含むことが有利である。
- 強誘電体層は、保護層と接触している。
- 保護層は、強誘電体層の表面上に生じる2次元電子ガスを保護する。
- 保護層は、周期表の列3d、4d、5d、4f、5fからの還元金属元素または前記元素の組合せの少なくとも80%を堆積させることにより得られる。
【0012】
本明細書は、磁気層と、磁気層の磁化の少なくとも方向を修正するためのデバイスであり、修正デバイスは前述されている通りである、デバイスと、磁気層の磁化を読み取るためのユニットであり、読取りユニットは例えば磁気トンネル接合部である、ユニットとを含む、スピントロニクスシステムについてさらに説明する。
【0013】
特定の実施形態によれば、スピントロニクスシステムは、メモリ、シフトレジスタ、発振器、論理デバイスまたは神経形態学的デバイスの一部、およびラジオ周波数送信機または受信機の中で選択される。
【0014】
より詳細には、スピントロニクスシステムは、磁区の壁またはスキルミオンの伝搬に基づくシフトレジスタである。
【0015】
変形形態において、スピントロニクスシステムは、磁区壁またはスキルミオンまたはスピン波の伝搬に基づく、論理デバイスまたは神経形態学的デバイスの一部である。
【0016】
本明細書は、磁気層の磁化の少なくとも方向を修正するための方法にさらに関し、本方法は、少なくとも磁気層および強誘電体層を含む積層を画定するために、磁気層の上にまたは下に配置されている強誘電体層の強誘電性分極の修正により、および積層の層の平面に平行な方向に沿った積層内への電流の注入により、磁気層の磁化を修正するステップを含む。
【0017】
特定の実施形態によれば、強誘電性分極の修正は、強誘電体層に電圧をかけることにより実施される。
【0018】
本発明の他の特徴および利点が、単に例として与えられている、本発明の実施形態の説明を以下で読み、かつ次の図面を参照すると、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】磁気層、および磁気層の少なくとも1つの磁気特性を修正するためのデバイスの例の概略図である。
図2】スピントロニクスシステムの例の概略図である。
図3】スピントロニクスシステムの別の例の概略図である。
図4】磁気層、および磁気層の少なくとも1つの磁気特性を修正するためのデバイスの、別の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、磁気層の磁気特性を修正するための新規の技術に基づくので、新規の技術により得られる自由度によってより多くの機能を実現するスピントロニクスシステムを得るために、そのような修正デバイスがどのように使用され得るかを説明する前に、特定の修正デバイスを説明することにより、そのような技術をどのように物理的に実施するかが最初に示される。
【0021】
したがって、図1は上記の新規の技術の物理的な実施を示す。より具体的には、磁気層10および修正デバイス12が図1に示されている。
【0022】
当然のことながら、磁気層10は強磁性かつ/もしくはフェリ磁性の単層または多層である。換言すれば、材料または単層もしくは多層を形成する材料の全ては、前記層の組成物中に含有されている材料のいくつかが本質的に非強磁性または非フェリ磁性である場合にも、強磁性アセンブリおよび/またはフェリ磁性アセンブリを形成する。
【0023】
第1の例によれば、スピン分極単層または多層の磁気素子はホイスラ合金、例えばCuMnAl、CuMnIn、CuMnSn、NfiMnAl、NfiMnln、NfiMnSn、NfiMnSb、NiMnGa、CoMnAl、CoMnSi、CoMnGa、CoMnGe、PdMnAl、PdMnIn、PdMnSn、PdMnSb、CoFeSi、CoFeAl、FeVAl、MnVGa、CoFeGe、MnGaまたはMnGaRuである。
【0024】
第2の例では、強磁性材料および/またはフェリ磁性材料は、CoPtCr、CoFe、CoFeB、CoNi、NiFe、FePtまたはFePdなどの、互いにまたは他の素子と共に、純粋にまたは多層もしくは合金の形で使用されるFe、Ni、Cr、Mn、Coなどの3d元素に基づく。
【0025】
第3の例では、強磁性材料および/またはフェリ磁性材料は、例えばNd、Sm、Eu、Gd、TbまたはDyなどの、レアアースベースの合金を含み得る。
【0026】
第4の例では、強磁性材料および/またはフェリ磁性材料は、MnNなどの窒素化合物を含み得る。
【0027】
層10は、0.1ナノメートル(nm)と200nmとの間である厚さを有する。
【0028】
当然のことながら、厚さは、磁気層10が主に延在する平面に対して垂直な方向に沿った、磁気層10の2つの面間の距離である。
【0029】
優先的に、磁気層10の厚さは0.1nmと20nmとの間である。
【0030】
磁気層10は、磁化を含む磁気特性を有する。
【0031】
前記磁気層の磁化は、単位体積当たりの磁気モーメント量である。磁化は、層に亘って必ずしも均一とは限らないベクトルであり、すなわちその方向は磁気層の1つの点から別の点へ可変である。磁気層の磁化の方向は、層の各点における磁化の方向を意味する。層の磁化の方向の修正が層全体または層の一部のみに影響を及ぼす可能性がある。
【0032】
修正デバイス12は、磁気層10の少なくとも1つの磁気特性に関する修正デバイス12である。
【0033】
説明されている例では、修正デバイス12は、磁気層10の磁化の方向を修正するのに適している。
【0034】
修正デバイス12は、強誘電体層14と、電流発生器16と、修正ユニット18とを含む。
【0035】
少なくとも磁気層10と強誘電体層14とを含む積層19を画定するために、強誘電体層14は磁気層10の上にまたは下に配置されている。
【0036】
図1に示されている例では、強誘電体層14は磁気層10と接触している。
【0037】
強誘電体層14は、結果として得られる層に強誘電体特性をもたらす1つまたは複数の材料を含む単層または多層から成る。
【0038】
図1に示されている例によれば、強誘電体層14はペロブスカイト構造を有することが有利である材料を含む。
【0039】
例えば、強誘電体層14は、BaTiO、PZT、PMN-PT、BiFeOもしくはSrTiO、または別のABO素子(ここでAおよびBは2つの陽イオンである)、あるいはそのような材料の混合物を含む。
【0040】
頭字語PZTは素子PbZr1-xTiO3を表し、ここでxは0と1との間で変化し得る。
【0041】
適切な場合、BiFeOまたはSrTiOなどの素子がドープされ得る。例えばBiFeOがレアアースでドープされ得る。
【0042】
変形形態において、ペロブスカイト構造を有さない強誘電材料が考えられ得る。詳細には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはCsBiNbまたは素子(HF1-xZR)Oもしくは(HF1-xGA)O(ここでxは0と1との間で変化する)が言及され得る。
【0043】
変形形態において、WTEもしくはMOSもしくはMoSeなどの遷移金属ジカルコゲナイドまたはCuInPなどの2次元強誘電材料が使用され得る。
【0044】
変形形態において、例えば、適切な場合、Snでドープされるかまたは置換される、GeTeもしくはGE1-xMnTe(ここでxは0と1との間で変化する)、またはAgBiP(X=S、SeおよびTe)などのラシュバ強誘電性半導体材料、あるいはLiZnSb、LiGaGe、KMgSb、LiBeBi、NaZnSb、LiCaBiが使用され得る。
【0045】
変形形態において、材料は、自らは強誘電性でないが、ストレスまたは電場をかけることにより、あるいはドープすることにより、強誘電性になり得る材料とすることができる。
【0046】
強誘電体層14は強誘電性分極を有する。
【0047】
強誘電体層14は、その分極を反転させるのに適切な厚さを有する。指標として、コンパチブル電圧が一般に10ボルトより小さいマイクロエレクトロニクスの分野では、通常、100nm未満、および有利には50nm未満の厚さが適切な厚さである。
【0048】
図1に示されている例では、強誘電体層14の強誘電性分極を修正する傾向があるのが、修正ユニット18である。
【0049】
提案されている例によれば、修正ユニット18は電圧源であり、電圧の変動は、分極を修正することを可能にする。
【0050】
電圧源の例が、強誘電体層14に供給する電圧発生器である。電圧発生器は、次いで、例えば積層19の両面上に配置されている接点により、積層19に接続される。
【0051】
電圧源の別の例によれば、後者は、例えば集積回路により製造されかつ強誘電体層14に電気的に接続されるトランジスタまたは一組のトランジスタである。
【0052】
さらに、電流発生器16は、積層19の層の平面に平行な方向に沿って、積層19内へ電流を注入するのに適している。
【0053】
積層19の層の平面は、積層19の層が延在する平面である。
【0054】
修正ユニット18は、それにより、発電機16を用いて磁気層10の磁化の方向を修正するために、強誘電体層14の強誘電性分極を修正する傾向がある。
【0055】
実際、磁気層10の磁化の方向は、強誘電体層14の強誘電性分極と、積層19を通って流れる電流とに関連する。
【0056】
別途考案されて、強誘電体層14の分極と積層19を通る電流の印加とは、磁気層10の磁化の方向を制御するために共に使用される。
【0057】
上記は、電流発生器16により注入される電流の影響下で、磁気層の磁化の方向を修正するために、強誘電体層14が磁気層に対して空間的に配置されていることを示唆する。
【0058】
より正確には、動作中、修正デバイス12は、電流発生器16により注入される電流から来る電荷運動(充電電流)を、磁気層内のスピン磁気モーメントの流束(スピン電流)に変換する。
【0059】
充電電流からスピン電流へのそのような電流変換は、例えば、ラシュバエーデルシュタイン効果により得られる。原文で、「conversation(会話)」は「conversion(変換)」であるべきである。
【0060】
ラシュバエーデルシュタイン効果は、トポロジカル絶縁体の表面において、またはある材料の界面もしくは体積内において、充電電流がスピン電流へ変換されることを可能にする。同じことは、反転対称が壊れた時に起こり、それにより結果的に、積層19の平面に対して垂直な電場の発現をもたらす。それは、例えば、恐らく磁気層10と強誘電体層14との間の界面の場合である。
【0061】
ラシュバエーデルシュタイン効果の存在下で、電子波ベクトルとスピンとは連結され、スピン衰退が引き起こされ、最も簡単な場合、表面または界面の電子構造は、逆のスピンキラリティを有する2つの同心フェルミ輪郭から成る。
【0062】
充電電流が電流発生器16により積層19内へ注入された場合、フェルミ輪郭の逆のしかし非等価のシフトが、ラシュバエーデルシュタイン効果に因り起こり、それがスピン電流を生成する。
【0063】
ラシュバエーデルシュタイン効果の振幅が強誘電体層14の分極の方向に左右されるので、上述の変換も同じことに左右され、その結果、スピン電流、およびしたがって磁化の方向も、同じことに左右される。
【0064】
強誘電体層14の分極の状態を制御することが、充電電流の注入後、磁気層10を通って流れるスピン電流の特性を制御し、それにより磁化の方向を修正することを可能にする。
【0065】
変形形態において、積層19がスピンホール効果材料を含む場合、充電電流のスピン電流への変換は、スピンホール効果により得られることが可能であり、そこでまた、強誘電体層14の分極は、スピンホール効果およびしたがって磁気層10の磁化による変換の振幅を制御することを可能にする。
【0066】
全ての場合において、積層19を通して印加される電流がスピンの蓄積を作り出し、スピンは積層19の平面内に存在し、印加される電流に対して直交している。隣接した磁気層10内のスピンの拡散はスピン電流に相当し、それは、磁化に作用するトルクを生成し、磁化の方向を修正することを可能にする。スピン電流の振幅および符号(sign)は、強誘電体層14の強誘電性分極により制御される。
【0067】
全ての場合において、修正デバイス12は、それにより、磁気層10の磁化の方向を修正する方法を実施する傾向がある。
【0068】
本方法は、強誘電体層14の強誘電性分極を修正することにより、かつ積層19の層の平面に平行な方向に沿って、電流を積層19内へ注入することにより、磁気層10の磁化を修正するステップを含む。
【0069】
図1に示されている場合には、強誘電性分極の修正は、強誘電体層14に電圧をかけることにより実施される。
【0070】
修正ユニット18は、充電電流が積層19内へ注入される限り、磁気層10の磁化の方向を制御するために使用され得る。
【0071】
電圧によりもたらされる追加自由度は、磁気層10が、他の素子との組合せで、記憶または再プログラム可能性などの補助的機能を実現し得るように、スピントロニクスシステム内で修正デバイス12を使用することを考えることを可能にする。
【0072】
修正デバイス12は、それにより、図2に示されているスピントロニクスシステム30内で特に有利である。
【0073】
スピントロニクスシステム30は、磁気層10と、図1に示されている修正デバイス12と、磁気層10の磁化を読み取るためのユニット32とを含む。
【0074】
磁気層10の磁化を読み取るためのユニット32は、磁気層10の磁化の方向を判定するのに適している。
【0075】
図2に示されている例によれば、読取りユニット32は磁気トンネル接合部である。
【0076】
磁気トンネル接合部は、障壁層により自由層から分離された磁気層の積層である。自由層は、スピン軌道トルク影響下で切り換えられ得る層である。障壁層は、例えばMgOまたはAlで作製されている。
【0077】
ある場合には、図3に示されているように、読取りユニット32は積層19の上方に配置されている。
【0078】
変形形態によれば、読取りユニット32は積層19の下に配置されている。
【0079】
読取りユニット32に関して、他の実施形態が可能である。詳細には、読取りユニット32は、巨大な磁気抵抗層を備えた積層、磁気層10内の並外れたホール効果読取りユニット、平坦なホール効果読取りユニット、または異方性磁気抵抗読取りユニットとすることができる。
【0080】
各場合において、読取りユニット32は、磁気層10の磁気特性に関して符号化されている情報を得るのに使用される。
【0081】
例えば、スピントロニクスシステム30がメモリである場合、情報は磁気層10の磁化の方向に沿って符号化される。
【0082】
メモリはいわゆるスピン軌道トルク磁気メモリとして動作し、磁化の状態は、積層の平面内へ送られる電流パルスの符号に依存している。記載されている例では、磁気層10内で書き出されている磁化の状態は、磁化に作用するトルクの符号および振幅を変更することができる、強誘電体層14の分極の状態にさらに依存する。
【0083】
例えば、磁化の状態が0または1で説明される場合、そのような値は逆の磁化に相当し、分極が正である場合、正の平面内に電流を印加することにより、状態0から状態1へ切り換えることが可能である。また、分極が負である場合、負の平面内に電流を印加することにより、0から1へ切り換えることが可能である。このようにして、メモリ内に格納されている磁化状態を制御するために、強誘電性分極の状態を変更することにより、情報を書き出すために常に正である電流を使用することが可能である。
【0084】
強誘電性分極は残留している可能性があるので、強誘電体層14の面間に常に電圧をかけることが、必ずしも必要でない。
【0085】
他の実施形態では、情報は、磁気層10を通って伝搬する磁区の壁、スキルミオン、またはスピン波などの磁気不均一性の位置または構造内で符号化される。
【0086】
そのような場合では、強誘電性分極を修正することが、上記の要素(壁/スキルミオン/スピン波)のうちの1つの伝搬を修正するために用いられ得る。修正は、速度(加速もしくは減速、またはさらには符号の変更もしくは停止)、あるいは振幅(増幅または減衰)の修正とすることができる。スピン軌道トルクの影響下で回路内で移動する壁、スキルミオン、またはスピン波に関して、回路のある点における分極の制御は、スピン軌道トルク、およびしたがって壁、スキルミオン、またはスピン波の移動および挙動を局所的に制御することを可能にする。強誘電性分極の残留磁気の使用は、そのようなデバイスを再構成するために用いられ得る。
【0087】
そのような用途では、修正デバイス12は、修正デバイス12により実施される機能において結果的に改善をもたらす追加自由度をもたらす。
【0088】
そのような追加は複数のスピントロニクスシステム30にとって有利であり、それらの中には、メモリ、シフトレジスタ、論理デバイスまたは神経形態学的デバイスの一部、発振器、ラジオ周波数送信機またはラジオ周波数受信機が含まれる。
【0089】
実施形態のいくつかにおいて、スピントロニクスシステム30はスピントランスファスピン軌道発振器であり、トルクはGHz程度の周波数での磁化の振動につながる磁化に作用し、それにより、無線通信用のマイクロ波信号を生成する。
【0090】
信号の振幅、相、および周波数がもっぱら、印加される電流に左右される従来の発振器と異なり、本明細書において、同じものは強誘電体素子14の強誘電性分極にも左右され、それらはそれにより残留方法において調整され得る。上記は、遠隔通信または論理用途および/もしくは神経形態学的用途のために、例えば発振器を互いに同期させるために使用され得る。
【0091】
他方、そのようなタイプのデバイスを受信機として使用することが可能であり、マイクロ波信号の受信は磁気層10の磁化の振動を開始させ、それにより積層の平面内にDC電圧を発生させる。そのような場合、メモリデバイスの場合と異なり、修正デバイス12は、積層の平面内にいかなる電流も印加しないが、もっぱら、磁化の振動により積層の平面内で発生するDC電圧を測定する。
【0092】
そのようなスピントロニクスシステム30の特性を改善するために、修正デバイス12の他の実施形態が考えられ得る。
【0093】
それにより、別の修正デバイス12が図4に示されている。
【0094】
図4に示されている修正デバイス12は、図1に示されている修正デバイス12と同じ素子を有する。また、共通の素子は以下に繰り返されない。差異のみが以下に示されている。
【0095】
図4の場合では、修正デバイス12は、磁気層10と強誘電体層14との間に間置されている中間層34をさらに含む。
【0096】
中間層34は複数の材料で作製され得る。
【0097】
例えば、中間層34はスピン軌道材料で作製されており、50nm未満、有利には10nm未満の厚さを有する。
【0098】
スピン軌道材料は、充電電流をスピン電流へ変換するための材料である。
【0099】
そのような場合には、スピン軌道材料は、以下、すなわち、W、TaまたはBiなどの、メンデレーエフの周期表の列3d、4d、5d、4f、5fからの元素でドープされているβ-タンタル(β-Ta)、BiSb、Ta、β-タングステン(β-W)、W、PtおよびCu、またはAuのうちの1つであることが有利である。
【0100】
別の例によれば、中間層34は、適切な場合、単独でまたは他の材料との組合せで、ドープされている2次元材料を含み得る。
【0101】
グラフェン、NiSe、BiS、TiS、NiPS、WS、MoS、TiSe、VSe、MoSe、B、SbS、LaCPS、LaOAsS、ScOBiS、FePS、GaOBiS、AIOB、LaOSbS、BiOBiS、LaOBiSe、TiOBiS、CeOBiS、PrOBiS、NdOBiS、LaOBiS、CrGeTe、CrSiTeまたはSrFBiSが、2次元材料の例である。
【0102】
変形形態において、中間層34は、単独でまたは他の材料と組み合わせて、ワイル半金属を含み得る。
【0103】
TAS、TaP、NbAs、NbP、NaBi、CDAs2、WTeおよびMoTeが、中間層34内で使用され得るワイル半金属の例である。
【0104】
別の例によれば、中間層34はトポロジカル絶縁体を含む。トポロジカル絶縁体は、絶縁ストリップ構造を備え、かつ金属表面状態を有する材料である。
【0105】
BiSE、BiseTe2-x(xは0と2との間である)、BiSbTe、SbTeおよびHgTeが、中間層34内で使用され得るトポロジカル絶縁体の例である。
【0106】
変形形態において、中間層34は遷移金属ジカルコゲナイドを含み得る。
【0107】
優先的に、そのような場合には、中間層34の材料は、ROChとして書き表す化学式を有する材料であり、ここで元素Rは、La、CE、Pr、Nd、Sr、Gr、AlおよびInから成るリストから選択され、Ch元素は、S、SeおよびTeから成るリストから選択される。
【0108】
材料のそのような種類は中間層34に十分なスピン軌道効果を示す。
【0109】
要するに、中間層34の材料はスピン軌道材料、詳細にはワイル半金属、および/またはトポロジカル絶縁体、および/または2次元材料、および/または遷移金属ジカルコゲナイド、および/または酸化物(例えば、LaAlO)、および/またはプラチナもしくはタングステンなどのさらなる金属であることが有利である。
【0110】
図4による修正デバイス12の動作は、図1による修正デバイス12に関して説明されている動作と類似している。
【0111】
他のさらなる実施形態が可能である。
【0112】
例えば、強誘電体層14は保護層と接触している。
【0113】
保護層は、強誘電体層14の表面上に形成される電子ガスを生成しかつ/または保護することを可能にする。
【0114】
保護層は、原子比において、Al、Ta、Ru、IR、Mo、TI、Y、Auなどの、周期表の列3d、4d、5d、4f、5fの金属元素、またはAlTaなどの前記元素の組合せの少なくとも80%を含む層である。そのような保護層は部分的にまたは完全に酸化し、強誘電体素子14内に酸素空孔を作り出し、それにより、1010cm-2よりも高いキャリア密度を有する金属元素間の界面に2次元電子ガスを生成する。
【0115】
特定の場合には、保護層はRu、Al、Ta、Ti、MgまたはYで作製されている。
【0116】
別の実施形態によれば、またはさらに、磁気層10はナノ構造である。
【0117】
そのようなナノ構造は、詳細には、リソグラフィ技術を使用することにより達成され得る。
【0118】
このようにして、例えば、100nm未満の、積層の平面内に1つまたは複数の次元を有する一組のナノ素子を得ることが可能である。そのような構造は、メモリまたは神経形態学的デバイスの部品の場合に有利である。
【0119】
別の例によれば、このようにして、区壁またはスキルミオンの使用に基づくデバイスの場合に適したナノトラック(nano-track)、詳細には200nm未満の幅を有するトラックを作り出すことが可能である。
【0120】
いくつかの用途において、変形形態において、またはさらに、強誘電体層14はナノ構造である。
【0121】
修正デバイス12は上記の実施形態の任意の組合せを含み得ることを、当業者は理解するであろう。
【0122】
各場合に、修正デバイス12は、そのような修正デバイス12を含むスピントロニクスシステム30により高い自由度をもたらす、磁気層の少なくとも1つの磁気特性(本明細書では、磁化の方向)を修正するために使用され得る。
【符号の説明】
【0123】
10 磁気層
12 修正デバイス
14 強誘電体層、強誘電体素子
16 電流発生器、発電機
18 修正ユニット
19 積層
30 スピントロニクスシステム
32 磁化を読み取るためのユニット、読取りユニット
34 中間層
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気層(10)の磁化の少なくとも方向を修正するためのデバイス(12)であって、前記修正デバイス(12)は、
- 強誘電性分極を有する強誘電体層(14)であり、少なくとも前記磁気層(10)および前記強誘電体層(14)を含む積層(19)を画定するために、前記磁気層(10)の上にまたは下に配置されており、前記積層(19)の層が延在する平面が画定されている、強誘電体層(14)と、
- 前記積層(19)の前記層の前記平面に平行な方向に沿って、前記積層(19)内へ電流を注入する傾向がある発電機(16)と、
- 前記発電機(16)を用いて、前記磁気層(10)の前記磁化の前記方向を修正するために、前記強誘電体層(14)の前記強誘電性分極を修正するように適合された修正ユニット(18)と
を含む、デバイス(12)。
【請求項2】
前記強誘電性分極を修正するための前記ユニット(18)は、電圧源である、請求項1に記載の修正デバイス。
【請求項3】
前記磁気層(10)は、前記強誘電体層(14)と接触している、請求項1に記載の修正デバイス。
【請求項4】
前記磁気層(10)および前記強誘電体層(14)の中の少なくとも1つは、ナノ構造である、請求項1に記載の修正デバイス。
【請求項5】
前記積層は、前記強誘電体層(14)と前記磁気層(10)との間に間置されている中間層(34)を含み、前記中間層(34)は、スピンホール効果材料を含む、請求項1に記載の修正デバイス。
【請求項6】
前記積層は、前記強誘電体層(14)と前記磁気層(10)との間に間置されている中間層(34)を含み、前記中間層(34)は、単独でまたは組み合わせて、次のリスト、すなわち
- ワイル半金属、
- 2次元材料、詳細にはグラフェン、
- 遷移金属ジカルコゲナイド、および
- トポロジカル絶縁体
から選択される材料を含む、請求項1に記載の修正デバイス。
【請求項7】
前記強誘電体層(14)は、保護層と接触している、請求項1に記載の修正デバイス。
【請求項8】
前記保護層は、前記強誘電体層(14)の表面上に形成される2次元電子ガスを保護するために使用され得る、請求項7に記載の修正デバイス。
【請求項9】
前記保護層は、周期表の列3d、4d、5d、4f、5fからの還元金属元素または前記元素の組合せの少なくとも80%を堆積させることにより得られる、請求項7に記載の修正デバイス。
【請求項10】
- 磁気層(10)と、
- 前記磁気層(10)の磁化の少なくとも前記方向を修正するためのデバイス(12)であり、前記修正デバイス(12)が請求項1から9のいずれか一項に記載されている、デバイス(12)と、
- 前記磁気層(10)の前記磁化を読み取るためのユニット(32)
を含む、スピントロニクスシステム(30)。
【請求項11】
前記スピントロニクスシステム(30)は、メモリである、請求項10に記載のスピントロニクスシステム。
【請求項12】
前記スピントロニクスシステム(30)は、磁区壁またはスキルミオンの伝搬に基づくシフトレジスタである、請求項10に記載のスピントロニクスシステム。
【請求項13】
前記スピントロニクスシステム(30)は、磁区壁またはスキルミオンまたはスピン波の伝搬に基づく、論理または神経形態学的デバイスの部分である、請求項10に記載のスピントロニクスシステム。
【請求項14】
前記スピントロニクスシステム(30)は、
- 発振器、および
- ラジオ周波数送信機または受信機
から選択される、請求項10に記載のスピントロニクスシステム。
【請求項15】
磁気層(10)の磁化の少なくとも方向を修正するための方法(12)であって、
- 少なくとも前記磁気層(10)および強誘電体層(14)を含む積層を画定するために、前記磁気層(10)の上にまたは下に配置されている前記強誘電体層(14)の強誘電性分極の修正で、前記積層(19)の層が延在する平面が画定されている、修正、および前記積層(19)の前記層の前記平面に平行な方向に沿った、前記積層(19)内への電流の注入により、前記磁気層(10)の前記磁化を修正するステップ
を含む、方法。
【国際調査報告】