(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】下地にクロム皮膜を電気めっきするための電気めっき組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C25D 3/10 20060101AFI20231218BHJP
C25D 21/11 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C25D3/10
C25D21/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537182
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2021086438
(87)【国際公開番号】W WO2022129491
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511188635
【氏名又は名称】アトテック ドイチェランド ゲーエムベーハー ウント コ カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シモン・パーペ
(72)【発明者】
【氏名】オレクサンドラ・エフトゥシェンコ
(72)【発明者】
【氏名】アンケ・ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】トーステン・ロス
【テーマコード(参考)】
4K023
【Fターム(参考)】
4K023AA11
4K023BA02
4K023CB13
4K023CB19
4K023CB32
4K023DA02
(57)【要約】
本発明は、下地にクロム皮膜をめっきするための電気めっき組成物であって、(i)六価クロムの供給源;(ii)第四級窒素を含む1種若しくは複数のベタイン及び/又はその塩;並びに(iii)1種又は複数のポリオルガノシロキサンを含む電気めっき組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地にクロム皮膜をめっきするための電気めっき組成物であって、
(i)六価クロムの供給源;
(ii)第四級窒素を含む1種若しくは複数のベタイン及び/又はその塩;並びに
(iii)1種又は複数のポリオルガノシロキサンを含む
電気めっき組成物。
【請求項2】
前記1種又は複数のベタインが、式(I)
(R
1)N
+(R
2R
3)-X-Y
(I)
[式中、独立して
R
1はアルキル、アルキルエステル又はアルキルアミド、好ましくはアルキルを示し、
R
2及びR
3はC1~C5の直鎖状又は分岐アルキル、好ましくはC1~C5の直鎖状アルキルを示し;
Xは二価部分を示し;
Yはスルホン酸基又はカルボン酸基、好ましくはスルホン酸基を示す]
の化合物を含む、請求項1に記載の電気めっき組成物。
【請求項3】
独立して
R
1はC16~C18の直鎖状アルキル、好ましくはC18の直鎖状アルキルを示し;
R
2及びR
3はメチル又はエチル、好ましくはメチルを示し;
XはC2~C4アルキレン部分、好ましくはC3アルキレン部分を示し;
Yはスルホン酸基を示す、
請求項2に記載の電気めっき組成物。
【請求項4】
前記ポリオルガノシロキサンが、架橋されており、好ましくは少なくとも2次元的に架橋されており、最も好ましくは3次元的に架橋されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項5】
前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが両親媒性である、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項6】
前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが界面活性である、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項7】
前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが、前記電気めっき組成物中で乳化されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項8】
前記電気めっき組成物中で、前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが均質に分布している、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項9】
ポリジメチルシロキサンを実質的に含まず、好ましくは含まない、最も好ましくはシリコーン油を実質的に含まず、好ましくは含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項10】
張力計を用いる測定に基づいて、50mN/m以下、好ましくは45mN/m以下、より好ましくは40mN/m以下、更により好ましくは38mN/m以下、なお更により好ましくは36mN/m以下、最も好ましくは35mN/m以下の表面張力を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項11】
メタンスルホン酸及びその塩を実質的に含まず、好ましくは含まない、好ましくはアルキルモノスルホン酸及びその塩を実質的に含まず、好ましくは含まない、好ましくはモノスルホン酸及びその塩を実質的に含まず、好ましくは含まない、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項12】
下地にクロム皮膜を電気めっきする方法であって、
(a)前記下地を用意する工程、
(b)請求項1から11のいずれか一項に記載の電気めっき組成物を電気めっき区画内に供する工程、
(c)前記電気めっき区画内で前記下地を前記電気めっき組成物と接触させ、前記下地の少なくとも1つの表面上に前記クロム皮膜が電気めっきされるように電流を印加する工程
を含む、方法。
【請求項13】
工程(c)において、前記電気めっき区画が、好ましくは鉛を含む陽極、貴金属を含む陽極及び混合金属酸化物陽極からなる群から選択される少なくとも1つの陽極を含み、最も好ましくは工程(c)において、前記電気めっき区画は少なくとも1つの鉛を含む陽極を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)において、前記電気めっき区画内で、前記電気めっき組成物の50%を超える表面が、好ましくは厚さ0.5cm~3cmの範囲を有する発泡体層で覆われる、請求項12又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
表面張力を低減するための電気めっき組成物における、好ましくは六価クロムからクロム皮膜をめっきするための電気めっき組成物における、最も好ましくは第四級窒素を含む1種若しくは複数のベタイン及び/又はその塩と組み合わせた、ポリオルガノシロキサンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下地にクロム皮膜を電気めっきするための電気めっき組成物及びそれぞれの方法、並びに表面張力を低減するためのポリオルガノシロキサンの特定の使用に関する。本発明は相乗効果に基づく。
【背景技術】
【0002】
クロムめっきには装飾的及び機能的用途としての遠大な歴史がある。六価クロムめっきから始まったものの、環境上問題のある六価クロム種を置き換えるために、最近の数十年の間に三価クロムめっきの開発が開始された。しかし、今までのところ三価クロムめっきと置き換えることができない六価クロムめっきは、依然として更なる開発及び改善の対象である。
【0003】
六価クロムめっきが通常、界面活性剤(界面活性化合物としても公知)の利用による望まれないミスト及び気泡の形成、及びめっき中の激しいガス発生を起こすことはよく知られている。界面活性剤は通常、表面張力を低減するだけでなく、意図的にミスト抑制のための気泡ブランケットをも形成するために使用される。その結果、六価クロムめっき組成物は、しばしば約32mN/mの非常に低い表面張力を示す。これによって、通常、精巧な幾何形状を有する下地を用いてさえ優れためっきの結果を可能にする。
【0004】
しかし、六価クロム用のめっき及び組成物のパラメーターは、強い酸化性のクロム酸の使用により苛酷である。通常、有機化合物は迅速に分解し、望まれない分解生成物が形成され、そのため、それぞれの電気めっき組成物の長期性能は劇的に低減する。これらの分解生成物が蓄積すると、通常、電流効率は著しく低下する。
【0005】
この不都合を克服するために、化学的に高度に安定な有機化合物、例えば、完全に又は部分的にフッ素化されたフッ素化界面活性剤が開発されてきた。そのような有機化合物は苛酷な条件に優れて耐えることが示されている。更に、フッ素化界面活性剤は、表面張力を低減することにおいて非常に効率的であると証明されている。
【0006】
界面活性剤全般の典型的な欠点はあまりにも多い気泡の形成である。したがって、多くの事例において、気泡の形成を限定するために、又はいくつかの事例においてそれをなくすために、消泡化合物が界面活性剤と組み合わせて使用される。しかし、消泡化合物は通常また、有機性のものでもあるので、それらは界面活性剤と同様な問題を被る。苛酷なめっき及び組成物のパラメーターの下で、また、それらは迅速な分解の対象であり、したがって、望まれない分解生成物の強い要因となる。
【0007】
消泡化合物をより耐薬品性にするために、フッ素化もこの化合物群に適用された。そのようなフッ素化消泡化合物は、例えば独国特許出願公開第3723198号に開示されている。独国特許出願公開第3723198号は、界面活性剤(好ましくはフッ素化界面活性剤)を含む電気めっき組成物用の過フッ素化消泡化合物に言及している。前記消泡化合物は、前記界面活性剤によって達成される表面張力を損なわずに気泡を除去することが開示されている。
【0008】
しかし、そのようなフッ素化有機化合物の優れた耐薬品性は、それらが生物学的に分解性ではないので重大な環境問題を引き起こす。もし適切に処分されなければ、それらは環境上の脅威である。したがって、電気めっき組成物の処分だけでなく廃水処理も非常に要求が厳しく難題である。
【0009】
過去において、例えば、フッ素を含まず、したがって環境上より許容される六価クロムめっき用の界面活性剤を開発する試みがなされてきた。例えば、米国特許第3,432,408号は、クロムめっき電解質、及びそれのミストを阻止する方法に言及している。その目的のために、電解質は、六価クロムめっき電解質として特に有用な界面活性スルホベタインを含む。
【0010】
中国特許出願公開第111171323号は、環境にやさしいフッ素を含まないミスト防止剤としての有機ケイ素化合物に言及している。
【0011】
そのような界面活性スルホベタインは環境上より許容されるが、そのような化合物は六価クロムめっき組成物中でしばしば十分に安定ではなく、しばしば、フッ素化界面活性剤を用いて得られるような望ましい表面張力をもたらさないという問題が残されている。
【0012】
したがって、六価クロム組成物を更に改善するという要求が今でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第3723198号
【特許文献2】米国特許第3,432,408号
【特許文献3】中国特許出願公開第111171323号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的
したがって、特に普通に使用されるフッ素化界面活性剤と比較して、フッ素を含まない界面活性剤を含むが、しかし電流効率及び表面張力を損なわない電気めっき組成物を提供することが本発明の目的である。
【0015】
更に、分解生成物がそれぞれの電気めっき組成物の長期性能を損なうのを防止することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記に言及された目的は、
(i)六価クロムの供給源;
(ii)第四級窒素を含む1種若しくは複数のベタイン及び/又はその塩;並びに
(iii)1種又は複数のポリオルガノシロキサン
を含む、下地にクロム皮膜をめっきするための電気めっき組成物によって解決される。
【0017】
更に、上記の目的は、下地にクロム皮膜を電気めっきするための本発明のそれぞれの方法によって解決される。
【0018】
独自の実験によって、各々好ましくは本文の全体にわたって規定されるような、最も好ましくは好ましいと規定される、化合物(ii)及び(iii)の特定の組合せを用いると、フッ素化界面活性剤を用いて達成されるような優れた表面張力が得られることを示した(以下の実施例参照)。最も驚いたことに、得られる表面張力は、予想されなかった(ii)及び(iii)の間の相乗効果の結果である。電気めっき組成物中の(ii)及び(iii)の著しくより強い分解は避けられないが、独自の実験では、電気めっき組成物の長期性能を損なう、望まれない分解物が経時的に形成されないことを示した。分解物を経時的に完全に不活性化する完全な分解が起こると推測される。好ましくは連続的又は少なくとも半連続的な薬注は必要であるが、本発明の方法全体は、全使用寿命にわたってどんなフッ素化有機化合物も用いないで遂行することができる。有利なことに、フッ素化界面活性剤の利用と比較して、長期性能の低下は経時的に観察されない。
【0019】
更に(ii)及び(iii)の組合せを、六価クロムの供給源を含む広く様々な電気めっき組成物、すなわち、機能的(硬質クロムとも称される)並びに装飾的用途のための電気めっき組成物に適用することができることは大きな恩恵である。
【0020】
通常、機能的用途では、非常に硬質、及び耐摩耗性の、好ましくは比較的厚い層厚さ(通常最高数百マイクロメートル)を有するクロム皮膜を追求する。対照的に、装飾的用途は、光学的均一性に関して非常に高度な要求をし、普通、比較的薄い(通常50nmから2000nmの間)。独自の実験では、(ii)及び(iii)の組合せを両方の用途に適用することができることを示した。
【0021】
したがって、いくつかの事例において、本発明の電気めっき組成物は好ましくは機能的クロム皮膜をめっきするためにある。それぞれ、クロム皮膜は、好ましくは機能的クロム皮膜、好ましくは硬質、耐摩耗性の機能的クロム皮膜である。
【0022】
他の事例において、電気めっき組成物は、好ましくは装飾的クロム皮膜をめっきするためにある。それぞれ、クロム皮膜は好ましくは装飾的クロム皮膜である。
【0023】
明示的に表明するのでなければ、本発明に関する特徴は、好ましくは機能的並びに装飾的用途に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の文脈において、「少なくとも1つの」、「1種以上の」、又は「1種又は複数の」という用語は、それぞれ、適宜、「1、2又は3以上の」及び「1、2、3又は3より多くの」を表わす(と交換可能である)。
【0025】
「実質的に含まない」という用語は、本発明の様々な態様に影響を与えないそのわずかな量を示す。「含まない」という用語は通常、そのような化合物及び成分の総量が検出範囲未満であり、最も好ましくは全く存在しないことを示す。
【0026】
(i)六価クロムの供給源:
本発明の電気めっき組成物は、(i)六価クロムの供給源を含む。「六価クロム」という用語は、酸化数+6を有するクロム元素を指す。その供給源は、この元素を含む各化合物(イオンを含む)を示す。
【0027】
六価クロムの供給源がクロム酸及び/又は三酸化クロム、より好ましくはクロム酸として可溶化された三酸化クロムを含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。最も好ましくは、クロム酸及び三酸化クロムはそれぞれ、六価クロムのただ一つの供給源である。
【0028】
六価クロムの供給源が、電気めっき組成物の総体積に対して75g/L~480g/L、好ましくは105g/L~460g/L、より好ましくは150g/L~440g/L、更により好ましくは200g/L~420g/L、最も好ましくは225g/L~400g/Lの濃度範囲を有する本発明の電気めっき組成物が好ましい。本発明の文脈において六価クロムの供給源の濃度は、好ましくはCrO3を基準とする。多くの事例において、前述の濃度は、好ましくは機能的及び装飾的用途の両方に、好ましくは機能的用途に適用される。
【0029】
いくつかの事例において、六価クロムの供給源が、210g/L~290g/L、好ましくは220g/L~280g/L、より好ましくは230g/L~270g/L、最も好ましくは235g/L~265g/Lの濃度範囲を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、また好ましくは機能的及び装飾的用途の両方に適用される。
【0030】
しかしながら、他のいくつかの事例において、六価クロムの供給源が、281g/L~420g/L、好ましくは291g/L~400g/L、より好ましくは300g/L~390g/L、更により好ましくは320g/L~380g/L、最も好ましくは340g/L~370g/Lの濃度範囲を有する本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくはいくつかの装飾的用途に適用される。
【0031】
好ましくは、六価クロムの供給源は水溶液の形成により水に溶解される。したがって、本発明の電気めっき組成物は、好ましくは、電気めっき組成物の総体積に対して最も好ましくは50体積%を超える水を含む水性電気めっき組成物である。
【0032】
pHが強い酸性である本発明の電気めっき組成物が好ましい。このことは、pHが好ましくは1以下、最も好ましくは0以下であることを意味する。
【0033】
(ii)第四級窒素及び/又はその塩を含む1種又は複数のベタイン:
本発明の電気めっき組成物は、(ii)第四級窒素を含む1種若しくは複数のベタイン及び/又はその塩を含む。第四級窒素は、好ましくは正電荷で帯電している。最も好ましくは、正電荷をプロトン脱離によって除去することはできない。これは、正電荷が安定化することを意味する。
【0034】
第四級窒素は、置換基が水素でないことを条件として、前記正電荷が結果として生じるような置換基を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。好ましくは、前記置換基は、少なくとも有機残基、好ましくはアルキル残基、エステル残基、カルボキシアルキル残基、及び/又はアミド残基を含む。好ましくは、アルキル残基、エステル残基、カルボキシアルキル残基及びアミド残基はそれぞれ個々に、1~20個の炭素原子を含む。
【0035】
好ましくは、1種又は複数のベタインは独立して、スルホナート基及び/又はカルボキシラート基、好ましくはスルホナート基を更に含む。それらは、好ましくは負電荷で帯電している。
【0036】
1種又は複数のベタインが中性実効電荷を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0037】
前記1種又は複数のベタインが独立して、少なくとも5個の炭素原子、好ましくは少なくとも7個の炭素原子、より好ましくは少なくとも9個の炭素原子、更により好ましくは少なくとも11個の炭素原子、なお更により好ましくは少なくとも12個の炭素原子、最も好ましくは少なくとも14個の炭素原子を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。好ましくは、前記1種又は複数のベタインは高々50個の炭素原子を有する。
【0038】
前記1種又は複数のベタインが両親媒性である、本発明の電気めっき組成物が好ましい。したがって、前記1種又は複数のベタインは、好ましくは少なくとも1個(好ましくは1個)の疎水性部分を含む。更により好ましくは、前記1種又は複数のベタインは、少なくとも1個(好ましくは1個)の親水性部分、及び少なくとも1個(好ましくは1個)の疎水性部分の両方を含む。最も好ましくは、前記1種又は複数のベタインは(両親媒性であるだけでなく、更に)界面活性である。
【0039】
より好ましくは、前記1種又は複数のベタインは界面活性であり、70mN/m以上の表面張力を有するDI水を基準にして、40mN/m以下、好ましくは39mN/m以下、より好ましくは37mN/m以下の表面張力をもたらす。最も好ましくは、これは、前記1種又は複数のベタインの30mg/Lの濃度を基準とする。好ましくは、前記1種又は複数のベタインは、少なくとも36mN/mの表面張力をもたらす。
【0040】
前記1種又は複数のベタインが界面活性剤である、本発明の電気めっき組成物がより好ましい。
【0041】
前記1種又は複数のベタインが式(I)の化合物を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
(R1)N+(R2R3)-X-Y
(I)
[式中、独立して
R1はアルキル、アルキルエステル又はアルキルアミド、好ましくはアルキルを示し;
R2及びR3はC1~C5直鎖状又は分岐アルキル、好ましくはC1~C5直鎖状アルキルを示し;
Xは二価部分を示し;
Yはスルホン酸基又はカルボン酸基、好ましくはスルホン酸基を示す]。
【0042】
R1が分岐又は直鎖状、好ましくは直鎖状である、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0043】
R1が、4~26個、好ましくは6~24個、より好ましくは8~20個、最も好ましくは12~18個の炭素原子を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。最も好ましくは、R1は18個の炭素原子を含む。
【0044】
R2及びR3が独立して、1~4個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子、より好ましくは、1又は2個の炭素原子、最も好ましくは1個の炭素原子を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0045】
Xが、1~8個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは2~4個の炭素原子、最も好ましくは3又は4個の炭素原子を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0046】
Xが、アルキレン部分、ヒドロキシ-アルキレン部分又はアルコキシレン部分、好ましくはアルキレン部分を示す、本発明の電気めっき組成物が好ましい。最も好ましくは、Xはプロピレン、好ましくは直鎖状プロピレンを示す。
【0047】
独立して、
R1がC16~C18直鎖状アルキル、好ましくはC18の直鎖状アルキルを示し;
R2及びR3がメチル又はエチル、好ましくはメチルを示し;
XがC2~C4アルキレン部分、好ましくはC3アルキレン部分を示し;
Yがスルホン酸基を示す、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0048】
前記1種又は複数のベタインがスルホベタインである、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0049】
前記1種又は複数のベタインが、少なくとも、N,N-ジメチル-N-(3-ココアミドプロピル)-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)アンモニウムベタイン、N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、N-オクチル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、N-デシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、N-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、N-オクタデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、及びN,N-ジメチル-N-ドデシルグリシンベタインからの1つ又は複数(好ましくは1つ)を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0050】
前記1種又は複数のベタインがリン脂質を含まない、好ましくは前記1種又は複数のベタインがリン原子を含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0051】
前記1種又は複数のベタインが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.0005g/L~1g/L、好ましくは0.001g/L~0.5g/L、より好ましくは0.005g/L~0.3g/L、最も好ましくは0.01g/L~0.2g/Lの範囲の総濃度を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0052】
電気めっき組成物中に前記1種又は複数のベタインがフッ素原子を含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。言いかえれば、前記1種又は複数のベタインはそれぞれ、フッ素化されず、フッ素を含まない。
【0053】
(iii)1種又は複数のポリオルガノシロキサン:
本発明の電気めっき組成物は(iii)1種又は複数のポリオルガノシロキサンを含む。本発明の文脈においては、(ii)及び(iii)は別個の化合物である。
【0054】
好ましくは、1種又は複数のポリオルガノシロキサンは構造上修飾され、最も好ましくはその全体構造において修飾されている。
【0055】
したがって、ポリオルガノシロキサンが、架橋されており、好ましくは少なくとも2次元的に架橋されており、最も好ましくは3次元的に架橋されている、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0056】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンがビニル部分を介して架橋した、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0057】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが、3Dシロキサン、すなわち3Dポリオルガノシロキサンである、本発明の電気めっき組成物が好ましい。それらは、例えばMunzing Chemie GmbH社から入手可能である。
【0058】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが化学的に修飾された、本発明の電気めっき組成物が好ましい。1種又は複数のポリオルガノシロキサンが両親媒性になるように、化学的に修飾されることが最も好ましい。したがって、1種又は複数のポリオルガノシロキサンが両親媒性である、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0059】
したがって、1種又は複数のポリオルガノシロキサンは、好ましくは少なくとも1個の(好ましくは繰り返して)親水性部分を含む。更に、より好ましくは1種又は複数のポリオルガノシロキサンは、少なくとも1個の(好ましくは繰り返して)親水性部分、及び少なくとも1個の(好ましくは繰り返して)疎水性部分の両方を含む。
【0060】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが界面活性である、本発明の電気めっき組成物がより好ましい。
【0061】
より好ましくは、1種又は複数のポリオルガノシロキサンそれ自体は、表面張力を低減する観点で、界面活性化合物を含まない水を基準として前記1種又は複数のベタインと比較して、それほど界面活性ではない。
【0062】
最も好ましくは、1種又は複数のポリオルガノシロキサン及び前記1種又は複数のベタインは一緒に、表面張力を低減する観点で、界面活性化合物を含まない水を基準として、それ自体の1種ずつより相乗的に界面活性である。これは本発明において利用される予期しない効果である。
【0063】
したがって1種又は複数のポリオルガノシロキサンは、好ましくは界面活性剤を含み、最も好ましくは界面活性剤である。これは、最も好ましくは、1種又は複数のポリオルガノシロキサンが単独で界面活性剤であることを意味する。より好ましくは、1種又は複数のポリオルガノシロキサンは、界面活性であり、70mN/m以上の表面張力を有するDI水を基準として、60mN/m以下、好ましくは57mN/m以下、より好ましくは54mN/m以下の表面張力をもたらす。最も好ましくは、これは、1種又は複数のポリオルガノシロキサンの30mg/Lの濃度を基準とする。好ましくは、1種又は複数のポリオルガノシロキサンは、少なくとも51mN/mの表面張力をもたらす。
【0064】
少なくとも1種の乳化剤を更に含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。それは、好ましくは電気めっき組成物中の1種又は複数のポリオルガノシロキサンを乳化する。したがって、乳化剤は、好ましくは水溶液中の1種又は複数のポリオルガノシロキサンの乳化のためにある。
【0065】
したがって、前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが電気めっき組成物中で乳化される、本発明の電気めっき組成物が好ましい。それは好ましくは、乳化されたポリオルガノシロキサンである。したがって、電気めっき組成物がエマルションを含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0066】
電気めっき組成物は好ましくは、前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンを、最も好ましくは乳化剤によって十分に微細に分布した方式で含む。
【0067】
電気めっき組成物中で前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが均質に分布する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0068】
これは、好ましくは電気めっき組成物が、相分離、浮遊界面小滴、界面油膜形成、及び/又は密度勾配を示さないことを意味する。
【0069】
通常、それぞれの透過試験が行なわれる場合、均質な分布は好ましくは、水溶液、好ましくは電気めっき組成物を通る均質な光透過を特徴とする。通常、当業者は、そのような比較的簡単な試験を行なう方法を知っている。
【0070】
電気めっき組成物が、ポリジメチルシロキサンを実質的に含まず、好ましくは含まない、最も好ましくは、シリコーン油を実質的に含まず、好ましくは含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。したがって、1種又は複数のポリオルガノシロキサンは好ましくはこれを含まないが、これをむしろ排除する。独自の実験では、いくつかの事例において乳化剤を利用するにもかかわらず、シリコーン油、特にポリジメチルシロキサンが、十分に両親媒性でなく(したがって不十分に界面活性であり)、及び/又は、相分離を含む望まれない不均質な分布を形成することを示した。
【0071】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが非イオン性である、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0072】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.01mg/L~5000mg/L、好ましくは0.05mg/L~3000mg/L、より好ましくは0.1mg/L~1500mg/L、更により好ましくは0.15mg/L~1000mg/L、なお更により好ましくは0.2mg/L~500mg/L、最も好ましくは0.25mg/L~150mg/Lの範囲の総濃度を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0073】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.01mg/L~100mg/L、好ましくは0.05mg/L~70mg/L、より好ましくは0.1mg/L~50mg/L、更により好ましくは0.15mg/L~25mg/L、なお更により好ましくは0.2mg/L~10mg/L、最も好ましくは0.3mg/L~5mg/Lの範囲の総濃度を有する、本発明の電気めっき組成物がより好ましい。
【0074】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが、1種又は複数のポリオルガノシロキサンの総質量に対して、15質量%~40質量%の範囲、好ましくは20質量%~30質量%の範囲の総量のケイ素を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0075】
前述の好ましい、より好ましい選択肢は、好ましくは機能的及び装飾的用途の両方に適用される。
【0076】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが1個又は1個より多くのビニル部分を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。1種又は複数のポリオルガノシロキサンは、不飽和二重結合を含む少なくとも1個のビニル部分を含むが、他のビニル部分はそれらの二重結合がもはや存在しないように架橋に関係する、本発明の方法がより好ましい。これは好ましくは、本発明の方法において利用されるポリオルガノシロキサンが、すべてのビニル部分が架橋のために使用されるとは限らないビニル部分を介して部分的に架橋していることを意味する。
【0077】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが、炭素原子、水素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含み、好ましくはそれらからなる、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0078】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが窒素原子を含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0079】
1種又は複数のポリオルガノシロキサンが硫黄原子を含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0080】
電気めっき組成物において、1種又は複数のポリオルガノシロキサンがフッ素原子を含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。言いかえれば、前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンはフッ素化されていない。
【0081】
組成物が、電気めっき組成物の総質量に対して0.1質量%以下の総濃度のシクロテトラシロキサン(D4)、シクロペンタシロキサン(D5)及びシクロヘキサシロキサン(D6)を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0082】
より好ましくは、本発明の電気めっき組成物は、シクロテトラシロキサン(D4)、シクロペンタシロキサン(D5)及びシクロヘキサシロキサン(D6)を実質的に含まない。
【0083】
電気めっき組成物の更なる特徴:
本発明の電気めっき組成物において、三価クロムイオンは意図的に添加されない。最も好ましくは、電気めっき組成物は、三価クロムイオンを実質的に含まず、好ましくは含まない。
【0084】
張力計での測定に基づいて、50mN/m以下、好ましくは45mN/m以下、より好ましくは40mN/m以下、更により好ましくは38mN/m以下、なお更により好ましくは36mN/m以下、最も好ましくは35mN/m以下の表面張力を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。いくつかの事例において最も好ましくは34mN/m以下又は33mN/m以下である。本発明の文脈において、表面張力を求めるために、張力計がWilhelmy板を利用することが最も好ましい。
【0085】
張力計での測定に基づいて、28mN/m~40mN/m、好ましくは30mN/m~38mN/m、最も好ましくは31mN/m~36mN/mの範囲の表面張力を有する、本発明の電気めっき組成物がより好ましい。
【0086】
これは、(ii)及び(iii)の組合せから得られる望ましい効果である。独自の実験では、組合せが相乗効果を有するだけでなく、更に、いくつかの事例において界面活性化合物の低減された総濃度を可能にする(実施例C3及び実施例1を比較されたい)ことを示した。
【0087】
(iv)硫酸イオンを更に含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0088】
硫酸イオンの供給源が硫酸である、本発明の電気めっき組成物が好ましい。硫酸は三酸化クロムの溶解に優れている。
【0089】
硫酸イオンが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.1g/L~10g/L、好ましくは1g/L~8.5g/L、より好ましくは1.5g/L~7.5g/L、更により好ましくは2g/L~6.5g/L、最も好ましくは3g/L~5g/Lの範囲の濃度を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0090】
いくつかの事例において、硫酸イオンが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.1g/L~8g/L、好ましくは0.3g/L~7g/L、より好ましくは0.5g/L~6g/L、更により好ましくは0.7g/L~5g/L、最も好ましくは1g/L~4g/Lの範囲の濃度を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくは装飾的用途に適用される。
【0091】
(v)1種若しくは複数のスルホン酸及び/又はその塩で、2個若しくは3個以上のスルホン酸基を含むもの、好ましくは1種若しくは複数のアルキルスルホン酸及び/又はその塩で、2個若しくは3個以上のスルホン酸基を含むものを更に含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。
【0092】
これは、最も好ましくは機能的用途に適用され、比較的高い電流密度を得て維持するためには非常に望ましい。
【0093】
電気めっき組成物が、1種若しくは複数のアルカンジスルホン酸及び/又はその塩、好ましくはメタンジスルホン酸及び/又はその塩を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これらは、非常に好ましいスルホン酸及び/又はその塩で、2個のスルホン酸基を含むものである。これは、最も好ましくは機能的用途に適用される。
【0094】
1種又は複数のアルカンジスルホン酸及びその塩は、電気めっき組成物の総体積に対して、0.5g/L~15g/L、好ましくは1g/L~12g/L、より好ましくは1.5g/L~10g/Lの範囲の総濃度を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくは機能的用途に適用される。
【0095】
電気めっき組成物が、1種若しくは複数のアルカントリスルホン酸及び/又はその塩、好ましくはメタントリスルホン酸及び/又はその塩を含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これらは、非常に好ましいスルホン酸及び/又はその塩で、3個のスルホン酸基を含むものである。これは、最も好ましくは機能的用途に適用される。
【0096】
1種又は複数のアルカントリスルホン酸及びその塩は、電気めっき組成物の総体積に対して、0.1g/L~13g/L、好ましくは0.5g/L~10g/L、より好ましくは1g/L~7g/Lの範囲の総濃度を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくは機能的用途に適用される。
【0097】
更に(vi)場合によって銀イオンを含み、好ましくは銀イオンを含む、本発明による電気めっき組成物が好ましい。
【0098】
銀イオンの存在は、好ましくは機能的用途にとって望ましいが、装飾的用途には好ましくは銀イオンを利用しない。銀イオンは、好ましくはあまりにも多くの三価クロムイオンを形成するリスクを低減する。
【0099】
銀イオンが、電気めっき組成物の総体積に対して、0.0001g/L~3g/L、好ましくは0.001g/L~1g/L、最も好ましくは0.01g/L~0.3g/Lの範囲の総濃度を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくは機能的用途に適用される。
【0100】
メタンスルホン酸及びその塩を実質的に含まず、好ましくは含まない、好ましくは、アルキルモノスルホン酸及びその塩を実質的に含まず、好ましくは含まない、好ましくはモノスルホン酸及びその塩を実質的に含まず、好ましくは含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくは機能的及び装飾的用途の両方に適用される。
【0101】
アルキルスルホン酸及びその塩を実質的に含まず、好ましくは含まない、好ましくはスルホン酸及びその塩を実質的に含まず、好ましくは含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくは装飾的用途に適用される。
【0102】
本発明は、フッ素化界面活性剤のいかなる使用も完全に回避し、なおかつ、フッ素化界面活性剤で得られる表面張力に近い又は同じ表面張力にさえ到達することを可能にする。これは本発明の優れた恩恵である。電気めっき組成物が、フッ素化界面活性剤を実質的に含まず、好ましくは含まない、最も好ましくはフッ素化有機化合物を実質的に含まず、好ましくは含まない、本発明の電気めっき組成物が好ましい。更に、電気めっき組成物の長期性能は損なわれない(以下の実施例参照)。
【0103】
しかし、これは、著しくは問題でないフッ化物陰イオン等の無機フッ素化合物の使用を排除するものではない。したがって、フッ化物陰イオンを更に含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくは装飾的用途に適用される。
【0104】
電気めっき組成物は、フッ素を含む無機化合物、好ましくはフルオロシリケート、最も好ましくは、SiF6を更に含む、本発明の電気めっき組成物が好ましい。これは、最も好ましくはクロム皮膜の光沢及び均一性を増加させ、したがって、光学的外観を良くするために装飾的用途に適用される。
【0105】
フッ素を含む無機化合物(好ましくはフルオロシリケート、最も好ましくはSiF6)が、電気めっき組成物の総体積に対して0.2g/L~2g/Lの範囲の総濃度を有する、本発明の電気めっき組成物が好ましい。言及されるように、これは最も好ましくは装飾的用途に適用される。
【0106】
電気めっきの方法:
本発明は、更に下地にクロム皮膜を電気めっきする方法に関し、方法は、
(a)下地を用意する工程、
(b)本発明による、好ましくは、好ましいと説明される電気めっき組成物を電気めっき区画内に供する工程、
(c)電気めっき区画内で下地を前記電気めっき組成物と接触させ、前記下地の少なくとも1つの表面上にクロム皮膜が電気めっきされるように電流を印加する工程
を含む。
【0107】
好ましくは、本発明の電気めっき組成物に関する前述の特徴は、同様に本発明の方法に、最も好ましくは方法の工程(b)に当てはまる。
【0108】
工程(a)において、下地が、金属性下地及び/又はプラスチック製下地を含む、本発明の方法が好ましい。金属性下地は通常、装飾的用途に加えて機能的用途において好ましい。プラスチック製下地は通常、装飾的用途において好ましい。好ましい金属性下地は鉄、銅及び/又は亜鉛を含む。非常に好ましい金属性下地は、鋼鉄又は黄銅を含み、最も好ましくは鋼鉄棒を含む。好ましいプラスチック製下地はABS、PA及び/又はABS-PCを含む。
【0109】
工程(c)において、電気めっき区画が、好ましくは鉛を含む陽極、貴金属を含む陽極及び混合金属酸化物陽極からなる群から選択される少なくとも1つの陽極を含み、最も好ましくは工程(c)において、電気めっき区画が少なくとも1つの鉛を含む陽極を含む、本発明の方法が好ましい。
【0110】
工程(c)において、鉛を含む陽極が、鉛を含む陽極の総質量に対して、50質量%を超える、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更により好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上の鉛を含む、本発明の方法が好ましい。
【0111】
工程(c)において、鉛を含む陽極が、鉛スズ陽極及び鉛アンチモン陽極からなる群から選択される、本発明の方法が好ましい。
【0112】
工程(c)において、貴金属を含む陽極が白金を被せたチタン陽極を含む、本発明の方法が好ましい。
【0113】
工程(c)において、クロム皮膜が、0.05μm~1000μm、好ましくは1μm~800μm、より好ましくは2.1μm~600μm、更により好ましくは3μm~400μm、なお更により好ましくは4μm~300μm、最も好ましくは5μm~250μmの範囲の厚さを有する、本発明の方法が好ましい。これは最も好ましくは、最も好ましくは2.1μmから始まる、機能的用途に適用される。
【0114】
工程(c)において、クロム皮膜が、0.05μm~10μm、好ましくは0.06μm~8μm、より好ましくは0.07μm~6μm、更により好ましくは0.08μm~4μm、なお更により好ましくは0.09μm~3μm、最も好ましくは0.1μm~2μmの範囲の厚さを有する、本発明の方法が好ましい。これは、最も好ましくは装飾的用途に適用される。
【0115】
工程(c)において、電流が、少なくとも18A/dm2、好ましくは少なくとも25A/dm2、より好ましくは少なくとも30A/dm2、更により好ましくは少なくとも40A/dm2、最も好ましくは少なくとも50A/dm2の陰極電流密度を有する、本発明の方法が好ましい。好ましくは、陰極電流密度は、18A/dm2~260A/dm2、より好ましくは25A/dm2~200A/dm2、最も好ましくは35A/dm2~100A/dm2の範囲にある。これは、最も好ましくは機能的用途に適用される。
【0116】
工程(c)において、電流は、少なくとも1A/dm2、好ましくは少なくとも3A/dm2、より好ましくは少なくとも5A/dm2、更により好ましくは少なくとも7A/dm2、最も好ましくは少なくとも9A/dm2の陰極電流密度を有する、本発明の方法が好ましい。好ましくは、陰極電流密度は、1A/dm2~20A/dm2、より好ましくは3A/dm2~18A/dm2、更により好ましくは4A/dm2~17A/dm2、最も好ましくは5A/dm2~15A/dm2の範囲にある。これは、最も好ましくは装飾的用途に適用される。
【0117】
好ましくは、工程(c)において、電流は直流である。
【0118】
電気めっき区画内の工程(c)において、電気めっき組成物の50%を超える表面が、好ましくは厚さ0.5cm~3cmの範囲を有する発泡体層で覆われる、本発明の方法が好ましい。これは、好ましくは機能的及び装飾的両方の用途に適用される。本発明において(ii)及び(iii)の組合せは、ミストに対する優れた被覆のための発泡体層を供するだけでなく、更に改善された発泡体密度をもたらす。
【0119】
電気めっき区画内の工程(c)において、電気めっき組成物の60%を超える、好ましくは70%を超える、更により好ましくは80%を超える、なお更により好ましくは90%を超える、最も好ましくは95%を超える表面が発泡体層で覆われ、更に最も好ましくは、電気めっき組成物の全表面が発泡体層で覆われる、本発明の方法が好ましい。最も好ましくは、これは、好ましい厚さ0.5cm~3cmの範囲の発泡体層に適用される。これは、好ましくは機能的及び装飾的用途の両方に適用される。
【0120】
工程(c)において、電気めっき組成物が、20℃~90℃、好ましくは30℃~70℃、より好ましくは40℃~60℃、最も好ましくは45℃~58℃の範囲の温度を有する、本発明の方法が好ましい。これは、最も好ましくは機能的用途に適用される。
【0121】
他の事例において、工程(c)において、電気めっき組成物が、20℃~70℃、好ましくは25℃~60℃、より好ましくは30℃~60℃、最も好ましくは35℃~50℃の範囲の温度を有する、本発明の方法が好ましい。これは、最も好ましくは装飾的用途に適用される。
【0122】
工程(c)が、1分~200分、好ましくは2分~100分、より好ましくは3分~60分の期間遂行される、本発明の方法が好ましい。これは、好ましくは機能的及び装飾的用途の両方に適用される。
【0123】
しかし、いくつかの事例において、工程(c)が、1分~15分、好ましくは1.5分~12分、より好ましくは2分~10分の期間遂行される、本発明の方法が好ましい。これは、好ましくは装飾的用途に適用される。
【0124】
他の事例において、工程(c)が、5分~180分、好ましくは10分~100分、より好ましくは11分~60分の期間遂行される、本発明の方法が好ましい。これは、好ましくは機能的用途に適用される。
【0125】
上述の好ましい温度範囲及び/又は(好ましくは及び)好ましい期間、方法工程(c)を遂行することによって、工程(c)中特に有利な電着反応速度論を確実にすることができる。
【0126】
いくつかの事例において、工程(c)の後、
工程(c)から得られた、クロム皮膜下地を熱処理する工程(d)
を更に含む、本発明の方法が好ましい。
【0127】
これは、好ましくは機能的用途に適用される。
【0128】
工程(d)において、熱処理は、100℃~250℃、好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、最も好ましくは170℃~200℃の範囲の温度で実行される、本発明の方法が好ましい。
【0129】
工程(d)において、熱処理が、1時間~10時間、好ましくは2時間~4時間の期間実行される、本発明の方法が好ましい。
【0130】
好ましくは工程(d)において、より好ましくは好ましい温度で及び/又は好ましい期間、熱処理を遂行することによって、クロム皮膜の性質を更に改善することができる(例えば水素脆化の低減)。
【0131】
工程(c)において、陰極電流効率(CCE)が、20%~30%、より好ましくは22%~27%の範囲にある、本発明の方法が好ましい。これは、最も好ましくは機能的用途に適用される。
【0132】
本発明は、更に、好ましくは六価クロムからのクロム皮膜をめっきするための電気めっき組成物において、最も好ましくは、第四級窒素を含む1種若しくは複数のベタイン及び/又はその塩と組み合わせた、表面張力の低減のための電気めっき組成物中のポリオルガノシロキサンの使用に関する。
【0133】
本発明の方法に加えて、本発明の電気めっき組成物に関する前述のものは、好ましくは、同様に本発明の使用に適用される。
【0134】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってより詳細に記載される。
【実施例】
【0135】
以下の実施例すべてに関して、以下のベース電気めっき組成物を使用した:
(i)クロム酸、250g/L;
(ii)N-オクタデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホナート、様々な濃度で;
(iii)乳化され均質に分布した3D-ポリ-オルガノシロキサン(すなわちMunzing Chemie GmbH社からの3Dシロキサン);様々な濃度で;
(iv)硫酸イオン、2~5g/L(硫酸として添加);
(v)メタンジスルホン酸(1.5~10g/L);
pH、強い酸性。
【0136】
第1組の実験(表面張力):
第1組の実験において、以下のTable 1(表1)に要約されたように(ii)及び(iii)の様々な濃度を試験した。すべての実験に関して、表面張力を求め、有望な組合せについてのみ、試験めっきを実行した。有望とは、発泡体層での被覆の最高3cmの望ましい厚さが、所望の発泡体構造及び適度な泡サイズ(改善された発泡体密度)を更に有することと共に、得られたことを意味する。
【0137】
Pt-Irから製造されたWilhelmy板(DCAT 9、Dataphysics社)を有する張力計で表面張力(ST)を測定した。
【0138】
【0139】
(ii)又は(iii)一方のみが電気めっき組成物中に存在するので、C1~C7は比較例を示す。比較のために、一般に使用されるフッ素化界面活性剤を用いて、通常28~32mN/mの範囲の表面張力が得られる(データは示さず)。
【0140】
更に、各事例におけるC2~C4は、気泡形成が強過ぎ、C5~C7は発泡を全く示さなかったが、それはミスト抑制も逸するので許容されない。
【0141】
対照的に、実験1~23は(ii)及び(iii)両方を含む本発明による実施例である。
【0142】
Table 1(表1)に示すように、比較例はすべて、それぞれ個々の化合物、すなわち(ii)単独及び(iii)単独では、(ii)及び(iii)の組合せで得られる表面張力に到達することができないことを立証する。興味深いことに、(iii)単独は、表面張力の中程度の低下(C6参照、52mN/m)をもたらすのみで、(ii)単独では、既に表面張力の有意な低下をもたらす(C3及びC4参照、37mN/m)。これは、(ii)単独が、電気めっき組成物の表面張力を減少させる、著しい可能性を有することを示す。
【0143】
しかし、Table 1(表1)においてまた明白に示すように、(ii)及び(iii)の組合せは更に表面張力を減少させる(No.1~10参照)。得られた表面張力が(ii)及び(iii)単独によって予想されるより低いので、これは非常に驚くべきことである。したがって、(iii)は明らかに、低下させた表面張力を更に強める。この意味において、(iii)は、予期しない方法で(ii)の効果を相乗的に支持する。
【0144】
(ii)が30mg/Lで一定で、(iii)が3.2から8.8mg/Lに変動する実験16~23において、更により明白にこの相乗効果を見ることができる。(iii)の濃度を増加させると、更に一層低下した表面張力が得られる。No.9及び10において同様の表面張力が得られたが、No.21~23は、(iii)の存在が本質的にそれぞれ約30及び31mN/mの優れた表面張力に貢献することを示す。
【0145】
すべての実験において、フッ素化有機化合物を利用しなかった。しかし、一般に使用されるフッ素化有機化合物と比較して、フッ素を含まない有機化合物を用いて同様に良好な、又は同じ表面張力さえ得られた。
【0146】
更なる比較例において、3Dシロキサンの代わりに2つの濃度(対照としての0mg/L、2.4mg/L及び4.8mg/L)の、乳化されたポリジメチルシロキサンを使用した。これらの実施例において30mg/Lの(ii)が存在した。しかしながら、各事例について、38mN/mの全体的表面張力が得られた。更に、ポリジメチルシロキサンは単独では、表面張力低減に寄与しなかった。したがって、ポリジメチルシロキサンの存在はベタインと組み合わせた相乗効果に結びつかない。
【0147】
この効果が確認され、これは装飾的用途に加えて機能的用途に適用可能である(装飾的用途のための電気めっき結果を特に示さない)。
【0148】
第2組の実験(長期性能):
第2組の実験において、本発明の電気めっき組成物の長期性能を調査した。一般に、経時的に求めた陰極電流効率(CCE)は、組成物の性能が安定であると考えることができるか否かの重要な指標であることが認められている。通常、分解物が経時的に蓄積すると、CCEは著しく低下し、それは望まれないことである。クロム酸系の電気めっき組成物は、強酸性及び酸化性化学的環境を意味するので、非フッ素化化合物からの分解生成物の形成は避けられない。%での陰極の電流効率をファラデー則及び質量分析に従って算定した。
【0149】
したがって、3つの異なる量(900ml=A、2L=B及び110L=C)についてCCEを求めた。したがって、また、3つの異なるめっき区画幾何形状を使用した。ビーカー中で900ml及び2Lを試験したが、110Lは適切なめっきタンク中で試験した。各事例において、電気めっき組成物量に対する電気めっき組成物表面の間の異なる比が得られたことは注目に値する。私たち独自の実験は、そのような比に応じて、(ii)及び(iii)の異なる組合せが、発泡体層厚さ及び発泡体層被覆を考慮して都合がよいと考えられることを示した。
【0150】
Table 2(表2)に要約されるように(ii)及び(iii)の以下の都合のよい組合せを試験した。
【0151】
【0152】
以下のパラメーターを用いて試験電気めっきによってCCEを求めた:
温度:55℃;
陰極電流密度:50A/dm2;
陽極:PbSn
【0153】
最高1044Ah/Lで試験電気めっきを実行した(Table 3(表3)において「Age」はAh/Lを表わす)。試験電気めっきの間に表面を完全に覆わなければならない発泡体層の目視検査に基づいて、化合物(ii)及び(iii)を補充したが、しかし、隅及びタンク壁に近い発泡体の蓄積はなかった。
【0154】
下地として10mmの直径を有する軟鋼棒を使用した。電気めっきの前に、アセトンを用いて脱脂することにより下地を前処理した。
【0155】
試験電気めっきの後、クロム皮膜の目視検査では、不都合な光学的欠陥は見つからなかった。
【0156】
ファラデー則及び質量分析に従って%での陰極電流効率(CCE)を算定した。
【0157】
Table 3(表3)に要約されるように以下の結果が得られた。
【0158】
【0159】
通常、フッ素化有機化合物を含む従来の電気めっき組成物としてのCCEは経時的に約25%である。
【0160】
Table 3(表3)は、明白にA、B及びCにおいて、CCEは比較的一定であり;有意な降下が観察されなかったことを示す。これらの結果は、電気めっき組成物の安定な長期性能を確認する。分解生成物は形成されると推測されるが、それらは試験期間にわたって蓄積しなかった、そこで、更により長い期間にわたって有害な分解生成物の著しい蓄積はないと結論することができる。むしろ、分解生成物さえ著しく分解し、したがって、蓄積しないと推測される。
【0161】
更に、Table 3(表3)はCCEが一定であるだけでなく、絶対的になお約25%の範囲に入ることを示す。従来の電気めっき組成物中にフッ素化有機化合物を用いてさえ25%が得られるので、これは優れた結果である。したがって、(ii)及び(iii)の組合せは、長時間適用においてさえ電流効率に負の影響を与えない。
【0162】
とりわけ機能的な電気めっきについて第2組の実験を実行した。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地にクロム皮膜をめっきするための電気めっき組成物であって、
(i)六価クロムの供給源;
(ii)第四級窒素を含む1種若しくは複数のベタイン及び/又はその塩;並びに
(iii)1種又は複数のポリオルガノシロキサンを含む
電気めっき組成物。
【請求項2】
前記1種又は複数のベタインが、式(I)
(R
1)N
+(R
2R
3)-X-Y
(I)
[式中、独立して
R
1はアルキル、アルキルエステル又はアルキルアミ
ドを示し、
R
2及びR
3はC1~C5の直鎖状又は分岐アルキ
ルを示し;
Xは二価部分を示し;
Yはスルホン酸基又はカルボン酸
基を示す]
の化合物を含む、請求項1に記載の電気めっき組成物。
【請求項3】
独立して
R
1はC16~C18の直鎖状アルキ
ルを示し;
R
2及びR
3はメチル又はエチ
ルを示し;
XはC2~C4アルキレン部
分を示し;
Yはスルホン酸基を示す、
請求項2に記載の電気めっき組成物。
【請求項4】
前記ポリオルガノシロキサンが、架橋され
ている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項5】
前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが両親媒性である、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項6】
前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが界面活性である、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項7】
前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが、前記電気めっき組成物中で乳化されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項8】
前記電気めっき組成物中で、前記1種又は複数のポリオルガノシロキサンが均質に分布している、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項9】
ポリジメチルシロキサンを実質的に含
まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項10】
張力計を用いる測定に基づいて、50mN/m以
下の表面張力を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項11】
メタンスルホン酸及びその塩を実質的に含
まない、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項12】
下地にクロム皮膜を電気めっきする方法であって、
(a)前記下地を用意する工程、
(b)請求項1から11のいずれか一項に記載の電気めっき組成物を電気めっき区画内に供する工程、
(c)前記電気めっき区画内で前記下地を前記電気めっき組成物と接触させ、前記下地の少なくとも1つの表面上に前記クロム皮膜が電気めっきされるように電流を印加する工程
を含む、方法。
【請求項13】
工程(c)において、前記電気めっき区画が
、鉛を含む陽極、貴金属を含む陽極及び混合金属酸化物陽極からなる群から選択される少なくとも1つの陽極を
含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)において、前記電気めっき区画内で、前記電気めっき組成物の50%を超える表面が
、厚さ0.5cm~3cmの範囲を有する発泡体層で覆われる、請求項12又は13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
表面張力を低減するための電気めっき組成物における
、ポリオルガノシロキサンの使用。
【国際調査報告】