(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのポリイソシアネートを含む色安定性硬化剤組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/78 20060101AFI20231218BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20231218BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20231218BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20231218BHJP
C08G 18/22 20060101ALI20231218BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20231218BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20231218BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20231218BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C08G18/78
C08G18/73
C08G18/75 010
C08G18/75 080
C08G18/40
C08G18/22
C09D175/04
C09D7/20
C09D7/63
C09K3/10 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537190
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021085502
(87)【国際公開番号】W WO2022128925
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド・シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・シャイデル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・フロヤル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・キルシュ
【テーマコード(参考)】
4H017
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB03
4H017AC16
4H017AC18
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4J038KA04
4J038KA06
4J038NA01
4J038PB07
(57)【要約】
・(A)少なくとも1つのモノマーイソシアネートを反応させることによって得られる少なくとも1つのポリイソシアネート、・(B)C7~C14芳香族炭化水素の混合物を含有する少なくとも1つの溶媒、・(C)場合により、少なくとも1つのさらなる溶媒、・(D)場合により、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との反応を促進させることができる少なくとも1つのルイス酸性有機金属化合物、・(E)場合により、他のコーティング添加剤、を含有するポリイソシアネート組成物であって、成分(B)中のクメンの量が、1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満であるポリイソシアネート組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・(A)少なくとも1つのモノマーイソシアネートを反応させることによって得られる少なくとも1つのポリイソシアネート、
・(B)C7~C14芳香族炭化水素の混合物を含有する少なくとも1つの溶媒、
・(C)場合により、少なくとも1つのさらなる溶媒、
・(D)場合により、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との反応を促進させることができる少なくとも1つのルイス酸性有機金属化合物、
・(E)場合により、他のコーティング添加剤、
を含有するポリイソシアネート組成物であって、
成分(B)中のクメンの量が、1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満であるポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
前記ルイス酸性有機金属化合物(E)を含有する、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
前記モノマーイソシアネートが、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、および2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなる群から選択されるジイソシアネートである、請求項1または2に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート(A)が、イソシアヌレート基、ビウレット基および/または非対称イソシアヌレート、好ましくはビウレット基および/または非対称イソシアヌレートを含有するポリイソシアネートである、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
前記ソルベントナフサ(B)が、Solvesso 100(CAS番号64742-95-6)、Caromax 18、Shellsol、Hydrosol A170ならびにソルベントナフサ;Solvesso(登録商標)150およびSolvesso(登録商標)200(沸点範囲約182~207℃、CAS番号64742-94-5)からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項6】
溶媒(B)の量が、前記組成物中の溶媒の総量の30重量%超、好ましくは50重量%超、さらに好ましくは80重量%超である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項7】
前記さらなる溶媒(C)が、キシレン、(シクロ)脂肪族炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、エーテルエステルおよびカーボネートからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項8】
前記ルイス酸性有機金属化合物(E)が、スズ、亜鉛、ビスマス、チタンおよびジルコニウムまたはそれらの混合物からなる群から選択される金属を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項9】
前記組成物全体中のクメンの量が、0.1重量%未満である、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項10】
ポリイソシアネート(A)の量が、25重量%~95重量%であり、溶媒(B)の量が、5重量%~75重量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物を、イソシアネート反応性基を含む少なくとも1つのバインダーと反応させるステップを含む、ポリウレタンコーティングの製造方法。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物を、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリ尿素ポリオール、ポリエーテルオール、ポリカーボネート、ポリエステルポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタン変性アルキド樹脂、脂肪酸変性ポリエステルポリウレタンポリオール、アリルエーテルとのコポリマー、およびそれらのコポリマーまたはグラフトポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのバインダーと反応させるステップを含む、ポリウレタンコーティングの製造方法。
【請求項13】
再仕上げ、自動車再仕上げ、大型車両仕上げ、および木材、プラスチックおよびOEM仕上げの分野における、農業分野および建設分野におけるユーティリティビークルにおけるプライマー、プライマーサーフェーサー、着色トップコート、ベースコートおよびクリアコート中のコーティング材料からなる群から選択される少なくとも1つにおける硬化剤としての、ならびに接着剤およびシーラントにおける硬化剤としての、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートのポリイソシアネートの新しい色ずれ安定性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6376584号明細書は、ポリイソシアネートをジブチルスズジラウレートの存在下でポリオールと反応させる、ポリウレタン組成物に使用するための様々な安定剤を記載している。
【0003】
ポリイソシアネート組成物をC7~C14芳香族炭化水素の混合物を含有する溶媒と混合し、貯蔵した場合に生じる安定化問題は開示されていない。
【0004】
米国特許第7122588号明細書は、寿命を延ばすため、および変色に対処するために次亜リン酸のエステルによって安定化される、ポリウレタンコーティング材料を含むコーティング材料を記載している。
【0005】
ポリイソシアネート組成物をC7~C14芳香族炭化水素の混合物を含有する溶媒と混合し、貯蔵した場合に生じる安定化問題は開示されていない。さらに、その中に記載されている安定化は依然として十分ではないため、安定化の改善が引き続き必要とされている。
【0006】
独国特許第19630903号明細書は、様々なリン化合物およびフェノールを用いたイソシアネートの安定化を記載している。
【0007】
クメンの存在に伴って生じる安定化問題は、いずれの場合にも記載されていない。
【0008】
国際公開第2005/089085号パンフレットは、イソシアネート基とそれと反応性の基との間の反応のための触媒に加えて、ヒンダードフェノールおよび第二級アリールアミンならびに有機ホスファイト、さらに具体的にはトリアルキルホスファイトから選択される安定剤混合物を含む、2K(2成分)ポリウレタンコーティング材料用の硬化剤としてのポリイソシアネート組成物を記載している。酢酸ブチル/メチルアミルケトン/キシレン1:1:0.5中の触媒としてジブチルスズジラウレートを含むポリイソシアネート組成物であるイソシアヌレートTolonate HDTが、実施例に明確に開示されている。
【0009】
しかし、ホスファイト、具体的にはトリアルキルホスファイト、さらに具体的にはトリブチルホスファイトの欠点は、それらが非常に不快な悪臭を有することである。毒物学的分類に関して、トリブチルホスファイトは、皮膚と接触すると健康に有害であり、腐食性である。トリフェニルホスファイトは、眼および皮膚に対して刺激性であり、水生生物にとって極めて毒性である。さらに、ホスファイトは水分に敏感である。その結果、これらの化合物は、少なくともポリイソシアネート組成物への組込み前および組込み中に、健康、労働衛生および加工の観点から問題となる。芳香族ホスファイトの抗酸化作用はそれらの脂肪族対応物の抗酸化作用よりも低いが、脂肪族ホスファイトの利用可能性はさらに低い。
【0010】
国際公開第2008/116893号パンフレット、国際公開第2008/116894号パンフレットおよび国際公開第2008/116895号パンフレットの特許明細書に記載されている生成物混合物は、ポリイソシアネート、ルイス酸、一次酸化防止剤(立体障害性フェノール)、および二次酸化防止剤:チオ化合物(国際公開第2008/116893号パンフレット)、ホスホナイト(国際公開第2008/116895号パンフレット)またはホスホネート(国際公開第2008/116894号パンフレット)を強制的に含む。さらに、それらは、ブレンステッド酸である酸性安定剤を場合により含み得る。企図されるものには、有機カルボン酸、塩化カルボニル、無機酸、例えば、リン酸、亜リン酸および塩酸など、ならびにジエステルが含まれ、例には、リン酸および/もしくは亜リン酸のアルキルジエステルおよび/もしくはアリールジエステル、または無機酸塩化物、例えば、オキシ塩化リンもしくは塩化チオニルなどがある。酸性安定剤として使用するのに好ましいのは、1~8個のC原子を有する脂肪族モノカルボン酸、例えば、ギ酸および酢酸など、ならびに2~6個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、さらに具体的には、2-エチルヘキサン酸、例えば、クロロプロピオン酸および/またはメトキシ酢酸である。
【0011】
特許出願で指定されたこれらのブレンステッド酸は、さらに具体的に、バルク中の、すなわち、溶媒を含まないポリイソシアネートの粘度上昇、またはゲル化も防止するために使用される。このように、国際公開第2008/068197号パンフレットは、メトキシ酢酸の対応する使用を記載しており、欧州特許第643042号明細書も同様に対応する使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6376584号明細書
【特許文献2】米国特許第7122588号明細書
【特許文献3】独国特許第19630903号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/089085号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2008/116893号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2008/116894号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2008/116895号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2008/068197号パンフレット
【特許文献9】欧州特許第643042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、C7~C14芳香族炭化水素の混合物を含有する溶媒を含み、色安定性であり、その成分が、臭気、毒物学および/または水分感受性に関して、問題のない労働衛生および健康状態を可能にし、その安定化作用が、先行技術の安定化作用と少なくとも同等である、さらなる貯蔵安定性ポリイソシアネート組成物を提供することである。安定化作用は、モノマーイソシアネートの起源とは無関係でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、以下を含むポリイソシアネート組成物によって達成される
・(A)少なくとも1つのモノマーイソシアネートを反応させることによって得られる少なくとも1つのポリイソシアネート、
・(B)C7~C14芳香族炭化水素の混合物を含有する少なくとも1つの溶媒、
・(C)場合により、さらなる溶媒、
・(D)場合により、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との反応を促進させることができる少なくとも1つのルイス酸性有機金属化合物、
・(E)場合により、他のコーティング添加剤。
【0015】
この種のポリイソシアネート組成物は、貯蔵時の経時的な良好な色安定性(「色ずれ」)を特徴とし、ポリウレタンコーティング材料中のイソシアネート反応性基を含む成分と反応することができる。
【0016】
使用されるモノマーイソシアネートは、芳香族、脂肪族または脂環式、好ましくは、脂肪族または脂環式であってよく、脂環式は、本明細書では略して(シクロ)脂肪族と呼ばれる。脂肪族イソシアネートが具体的に好ましい。
【0017】
芳香族イソシアネートは、少なくとも1つの芳香環系を含むものであり、換言すれば、純粋な芳香族化合物だけでなく芳香脂肪族化合物でもある。
【0018】
脂環式イソシアネートは、少なくとも1つの脂環式環系を含むものである。
【0019】
脂肪族イソシアネートは、直鎖または分岐鎖のみを含むもの、すなわち、非環式化合物である。
【0020】
モノマーイソシアネートは、好ましくは、正確に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネートである。ただし、それらは、原則として、1つのイソシアネート基を有するモノイソシアネートであってもよい。
【0021】
原則として、平均して2個を超えるイソシアネート基を有する高級イソシアネートも企図される。そのための適合性は、例えば、トリイソシアネート、例えば、トリイソシアナトノナン、2’-イソシアナトエチル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、トリフェニルメタントリイソシアネート、もしくは2,4,4’-トリイソシアナトジフェニルエーテル、または例えば、対応するアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られ、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネートであるジイソシアネート、トリイソシアネートおよび高級ポリイソシアネートの混合物によって得られる。
【0022】
これらのモノマーイソシアネートは、イソシアネート基とそれ自体との反応の実質的な生成物を含有しない。
【0023】
モノマーイソシアネートは、好ましくは、4~20個のC原子を有するイソシアネートである。典型的なジイソシアネートの例には、脂肪族ジイソシアネート、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの誘導体(例えば、メチル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート、またはエチル2,6-ジイソシアナトヘキサノエート)、トリメチルヘキサンジイソシアネートもしくはテトラメチルヘキサンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えば、1,4-、1,3-もしくは1,2-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’-もしくは2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3-もしくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、もしくは2,4-もしくは2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、ならびに3(または4)、8(または9)-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン異性体混合物、ならびに芳香族ジイソシアネート、例えば、トリレン2,4-もしくは2,6-ジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物、m-もしくはp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-もしくは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタンおよびそれらの異性体混合物、フェニレン1,3-もしくは1,4-ジイソシアネート、1-クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、ジフェニレン4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3-メチルジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン、またはジフェニルエーテル4,4’-ジイソシアネートがある。
【0024】
ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、および4,4’-または2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが特に好ましく、イソホロンジイソシアネートおよびヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートが極めて特に好ましく、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートが特に好ましい。
【0025】
前記イソシアネートの混合物も存在し得る。
【0026】
イソホロンジイソシアネートは、通常、混合物、特に、一般に約60:40~90:10(w/w)、好ましくは70:30~90:10の割合の、シス異性体およびトランス異性体の混合物の形態である。
【0027】
ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネートは、同様に、様々なシス異性体およびトランス異性体の混合物の形態であってよい。
【0028】
本発明では、対応するアミンをホスゲン化することによって得られるジイソシアネートだけでなく、ホスゲンを使用せずに、すなわち、ホスゲンを用いないプロセスによって調製されたジイソシアネートも使用することが可能である。欧州特許第0126299号明細書(米国特許第4596678号明細書)、欧州特許第126300号明細書(米国特許第4596679号明細書)、および欧州特許第355443号明細書(米国特許第5087739号明細書)によれば、例えば、(シクロ)脂肪族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、アルキレンラジカルに6個の炭素原子を有する異性体脂肪族ジイソシアネート、4,4’-または2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、および1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)は、(シクロ)脂肪族ジアミンを、例えば、尿素およびアルコールと反応させて(シクロ)脂肪族ビスカルバミン酸エステルを得、前記エステルを対応するジイソシアネートおよびアルコールに熱的分解することによって調製され得る。合成は、通常、循環プロセスで、場合により、N-非置換カルバミン酸エステル、ジアルキルカーボネート、および反応プロセスからリサイクルされた他の副生成物の存在下で連続的に行われる。このように得られたジイソシアネートは、一般に、非常に低いかまたは測定不可能な割合の塩素化化合物を含有し、これは、例えば、エレクトロニクス産業における用途では有利である。
【0029】
本発明の一実施形態では、使用されるイソシアネートは、100 ppm未満、好ましくは50 ppm未満、具体的には30 ppm未満、特に20 ppm未満の加水分解性塩素含有量を有する。これは、例えば、ASTM規格D4663-98によって測定され得る。総塩素含有量は、例えば、1000 ppm未満、好ましくは800 ppm未満、さらに好ましくは500 ppm未満である(加水分解後の銀滴定によって決定される)。
【0030】
(シクロ)脂肪族ジアミンを、例えば、尿素およびアルコールと反応させ、得られた(シクロ)脂肪族ビスカルバミン酸エステルを切断することによって得られたモノマーイソシアネートと、対応するアミンをホスゲン化することによって得られたジイソシアネートとの混合物を使用することも可能であることが理解されるであろう。
【0031】
モノマーイソシアネートをオリゴマー化することによって形成され得るポリイソシアネート(A)は、一般に、以下のように特徴付けられる:
【0032】
このような化合物の平均NCO官能価は、一般に少なくとも1.8であり、最大8、好ましくは2~5、さらに好ましくは2.4~4であり得る。
【0033】
オリゴマー化後のイソシアネート基含有量は、NCO=42 g/molとして計算され、特に指定されない限り、一般に5重量%~25重量%である。
【0034】
ポリイソシアネート(A)は、好ましくは、以下の化合物である:
1)芳香族、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートの、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート。これに関連して、対応する脂肪族および/または脂環式イソシアナトイソシアヌレート、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートに基づくものが特に好ましい。存在するイソシアヌレートは、具体的には、ジイソシアネートの環状三量体を構成するトリスイソシアナトアルキルおよび/もしくはトリスイソシアナトシクロアルキルイソシアヌレートであるか、または複数のイソシアヌレート環を含有するそれらの高級同族体との混合物である。イソシアナトイソシアヌレートは、一般に、10重量%~30重量%、具体的には15重量%~25重量%のNCO含有量と、2.6~8の平均NCO官能価とを有する。
イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートはまた、比較的少ない程度に、ウレタン基および/またはアロファネート基を含有してもよく、ポリイソシアネートに基づいて2%未満の結合アルコール含有量を好ましくは有する。
2)ウレトジオン基を含有し、芳香族的、脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基、好ましくは脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネートから誘導されるもの。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環状二量体化生成物である。
ウレトジオン基を含有するポリイソシアネートは、他のポリイソシアネート、さらに具体的には1)の下に指定されたものとの混合物として得られることが多い。ウレトジオン基を含有するポリイソシアネートは、典型的には、2~3の官能価を有する。
これはまた、任意の所望の組成物、さらに具体的には、1~40%、さらに具体的には3~15%、さらに具体的には5~10%のモノマーウレトジオン(二量体)含有量を有するもののウレトジオン/イソシアヌレート混合物を含む。
この目的のために、ジイソシアネートは、ウレトジオン基だけでなく他のポリイソシアネートも形成されるか、またはウレトジオン基を最初に形成し、その後反応させて他のポリイソシアネートを得るか、またはジイソシアネートを最初に反応させて他のポリイソシアネートを得、その後これを反応させてウレトジオン基を含有する生成物を得る反応条件下で反応させられ得る。
3)ビウレット基を含有し、芳香族的、脂環式的または脂肪族的に結合し、好ましくは脂環式的または脂肪族的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、特にトリス(6-イソシアナトヘキシル)ビウレット、もしくはその高級同族体とのその混合物;またはトリス(5-イソシアナトペンチル)ビウレット、もしくはその高級同族体とのその混合物、好ましくはトリス(6-イソシアナトヘキシル)ビウレット、もしくはその高級同族体とのその混合物。ビウレット基を含有するこれらのポリイソシアネートは、一般に、18重量%~24重量%のNCO含有量と、2.8~6の平均NCO官能価とを有する。
4)ウレタンおよび/またはアロファネート基を含有し、芳香族的、脂肪族的または脂環式的に結合し、好ましくは脂肪族的または脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートであって、例えば、過剰量のジイソシアネート、例えば、過剰量のヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、または過剰量のイソホロンジイソシアネートを、一価または多価アルコールと反応させることによって得られ得るポリイソシアネート。ウレタンおよび/またはアロファネート基を含有するこれらのポリイソシアネートは、一般に、12重量%~24重量%のNCO含有量と、2.0~4.5の平均NCO官能価とを有する。ウレタンおよび/またはアロファネート基を含有するこの種のポリイソシアネートは、触媒を用いず、または好ましくは触媒、例えば、カルボン酸アンモニウムもしくは水酸化アンモニウムなど、もしくはアロファネート化触媒、例えば、ビスマス、コバルト、セシウム、Zn(II)もしくはZr(IV)化合物の存在下で、例えば、いずれの場合も、一価、二価もしくは多価、好ましくは一価アルコールの存在下で調製され得る。
ウレタン基および/またはアロファネート基を含有するこれらのポリイソシアネートは、1)で指定されたポリイソシアネートとの混合形態で存在することが多い。
5)好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネートから誘導される、オキサジアジントリオン基を含むポリイソシアネート。オキサジアジントリオン基を含むこの種のポリイソシアネートは、ジイソシアネートおよび二酸化炭素から得られる。
6)好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネートから誘導される、イミノオキサジアジンジオン基を含むポリイソシアネート。イミノオキサジアジンジオン基を含むこの種のポリイソシアネートは、特定の触媒によってジイソシアネートから調製可能である。
7)ウレトンイミン変性ポリイソシアネート。
8)カルボジイミド変性ポリイソシアネート。
9)例えば、独国特許第10013186号明細書または独国特許第10013187号明細書から公知の種類の超分岐ポリイソシアネート。
10)ジ-および/またはポリイソシアネートとアルコールとからのポリウレタン-ポリイソシアネートプレポリマー。
11)ポリ尿素-ポリイソシアネートプレポリマー。
12)ポリイソシアネート1)~11)、好ましくは1)、3)、4)および6)は、それらの調製後に、ビウレット基またはウレタン/アロファネート基を含有し、芳香族的、脂環式的または脂肪族的に結合した、好ましくは(シクロ)脂肪族的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートに変換することができる。ビウレット基の形成は、例えば、水を加えることによって、またはアミンとの反応によって達成される。ウレタンおよび/またはアロファネート基の形成は、場合により好適な触媒の存在下で、一価、二価または多価、好ましくは一価アルコールとの反応によって達成される。ビウレットまたはウレタン/アロファネート基を含有するこれらのポリイソシアネートは、一般に、10重量%~25重量%のNCO含有量と、3~8の平均NCO官能価とを有する。
13)親水性変性ポリイソシアネート、すなわち、1~12に記載の基と同様に、NCO反応性基および親水化基を含有する分子を上記分子のイソシアネート基に付加することから形式的に生じる基も含むポリイソシアネート。後者の基は、非イオン性基、例えば、アルキルポリエチレンオキシド、ならびに/またはリン酸、ホスホン酸、硫酸もしくはスルホン酸および/もしくはそれらの塩から誘導されるイオン性基である。
14)二重硬化用途のための変性ポリイソシアネート、すなわち、1~11に記載の基と同様に、NCO反応性基およびUV架橋性または化学線架橋性基を含有する分子を上記分子のイソシアネート基に付加することから形式的に生じる基も含むポリイソシアネート。これらの分子は、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよび他のヒドロキシ-ビニル化合物である。
【0035】
上記のジイソシアネートまたはポリイソシアネートはまた、少なくとも部分的にブロックされた形態で存在してもよい。
【0036】
ブロッキングに使用される化合物のクラスは、D.A.Wicks,Z.W.Wicks,Progress in Organic Coatings,36,148-172(1999),41,1-83(2001)、および43,131-140(2001)に記載されている。
【0037】
ブロッキングに使用される化合物のクラスの例には、フェノール、イミダゾール、トリアゾール、ピラゾール、オキシム、N-ヒドロキシイミド、ヒドロキシ安息香酸エステル、第二級アミン、ラクタム、CH-酸性環状ケトン、マロン酸エステル、またはアルキルアセトアセテートがある。
【0038】
本発明の好ましい一実施形態では、ポリイソシアネートは、イソシアヌレート、ビウレットおよび非対称イソシアヌレート(asymmetric isocyanurate)、さらに好ましくはビウレットおよび非対称イソシアヌレートからなる群から選択される。
【0039】
具体的に好ましい一実施形態では、ポリイソシアネートは、イソシアヌレート、ビウレットおよび/または非対称イソシアヌレート基、さらに好ましくはビウレットおよび非対称イソシアヌレートを含み、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートから得られるポリイソシアネートを包含する。
【0040】
さらに好ましい一実施形態では、ポリイソシアネートは、ビウレットおよび/または非対称イソシアヌレート基を含み、非常に好ましくはヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートから得られるポリイソシアネートの混合物を包含する。
【0041】
本明細書では、特に記載のない限り、粘度は、DIN EN ISO 3219/A.3に従って、1000 s-1の剪断速度を有するコーン/プレートシステムで23℃で報告される。
【0042】
ポリイソシアネートを調製するためのプロセスは、国際公開第2008/68198号パンフレット、特にその中の20頁21行目~27頁15行目に記載されているように行われ得、これは参照により本明細書の一部とされる。
【0043】
反応は、例えば、その中の31頁19行目~31頁31行目に記載されているように中断され得、後処理は、その中の31頁33行目~32頁40行目に記載されているように行われ得、これは、いずれの場合も参照により本明細書の一部とされる。
【0044】
あるいは、好ましくは、α-ヒドロキシカルボン酸アンモニウム(ammonium alpha-hydroxycarboxylate)触媒について国際公開第2005/087828号パンフレットに記載されているように、反応に影響を及ぼすことができる。国際公開第2005/87828号パンフレットの3頁29行目~6頁7行目に記載されているα-ヒドロキシカルボン酸アンモニウムを本明細書で明示的に参照する。
【0045】
アンモニウムカチオンの例には、テトラオクチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリ-n-ブチルベンジルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、トリ-n-ブチルエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリ-n-ブチルメチルアンモニウム、ジイソプロピルジエチルアンモニウム、ジイソプロピルエチルメチルアンモニウム、ジイソプロピルエチルベンジルアンモニウム、N,N-ジメチルピペリジニウム、N,N-ジメチルモルホリニウム、N,N-ジメチルピペラジニウム、またはN-メチル-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンがある。好ましいアルキルアンモニウムイオンは、テトラオクチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、およびテトラ-n-ブチルアンモニウムであり、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムおよびテトラエチルアンモニウムであり、非常に好ましくはテトラメチルアンモニウムおよびベンジルトリメチルアンモニウムである。
【0046】
α-ヒドロキシカルボキシレートの例には、グリコール酸(ヒドロキシ酢酸)、乳酸、クエン酸、2-メチル乳酸(α-ヒドロキシイソ酪酸)、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、2-ヒドロキシ-2-エチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、マレイン酸、酒石酸、グルクロン酸、グルコン酸、シトラマル酸、サッカリン酸、リボン酸、ベンジル酸、キナ酸、マンデル酸、ヘキサヒドロマンデル酸、2-ヒドロキシカプロン酸、または3-フェニル乳酸がある。好ましいα-ヒドロキシカルボキシレートは、乳酸、2-メチル乳酸、(α-ヒドロキシイソ酪酸)、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、および2-ヒドロキシカプロン酸であり、さらに好ましくは乳酸、2-メチル乳酸(α-ヒドロキシイソ酪酸)、および2-ヒドロキシカプロン酸であり、非常に好ましくはα-ヒドロキシイソ酪酸および乳酸である。
【0047】
反応は、例えば、参照により本明細書の一部とされる、その中の11頁12行目~12頁5行目に記載されているように中断され得る。
【0048】
あるいは、反応は、中国特許第10178994号明細書または中国特許第101805304号明細書に記載されているように行われてもよい。
【0049】
熱不安定性触媒の場合、さらに、反応混合物を少なくとも80℃、好ましくは少なくとも100℃、さらに好ましくは少なくとも120℃を超える温度に加熱することによって反応を停止させることも可能である。
【0050】
熱非不安定性触媒および熱不安定性触媒のいずれの場合でも、不活性化剤を加えることによって比較的低温で反応を停止させる可能性が存在する。触媒が少なくとも部分的に熱的に破壊されているか、または生成物の粘度がその後の貯蔵時に安定している場合(例えば、100%形態を窒素下80℃で10週間にわたって貯蔵すると、粘度が3倍以下増加する)、不活性化剤を化学量論的に不足量で触媒に加えることもできる。好適な不活性化剤の例には、塩化水素、リン酸、有機ホスフェート、例えば、ジブチルホスフェートまたはジエチルヘキシルホスフェート、ホスホネート、例えば、ジオクチルホスホネート、およびカルバメート、例えば、ヒドロキシアルキルカルバメートがある。ジブチルホスフェートまたはジエチルヘキシルホスフェートが好ましい。
【0051】
反応を中断するために、これらの化合物を無希釈で加えるか、または必要に応じて好適な濃度に希釈する。好適な溶媒の例には、モノマー、アルコール、例えば、エチルヘキサノールもしくはメチルグリコール、または極性非プロトン性溶媒、例えば、プロピレンカーボネートがある。
【0052】
成分(B)は、C7~C14芳香族炭化水素の混合物を含有する溶媒である。好ましい芳香族炭化水素混合物は、110~300℃の沸点範囲を包含し得る;
その例には、ExxonMobil Chemical製のSolvesso(登録商標)製品、特にSolvesso(登録商標)100(CAS番号64742-95-6、主にC9およびC10芳香族化合物、沸点範囲約154~178℃)、Solvesso(登録商標)150およびSolvesso(登録商標)200(沸点範囲約182~207℃、CAS番号64742-94-5)、ならびにShell製のShellsol(登録商標)製品、Petrochem Carless製のCaromax(登録商標)(例えば、Caromax(登録商標)18)、およびDHC製のHydrosol(例えば、Hydrosol(登録商標)A170として)がある。パラフィン、シクロパラフィンおよび芳香族化合物を含む炭化水素混合物はまた、Kristalloel(例えば、Kristalloel 30、沸点範囲約158~198℃、またはKristalloel 60:CAS番号64742-82-1)、ホワイトスピリット(例えば、同様にCAS番号64742-82-1)、またはソルベントナフサ(軽:沸点範囲約155~180℃、重:沸点範囲約225~300℃)の名称の下に市販されている。このような炭化水素混合物の芳香族化合物含有量は、一般に、90重量%超、好ましくは95重量%超、さらに好ましくは98重量%超、非常に好ましくは99重量%超である。特に低減されたナフタレン含有量を有する炭化水素混合物を使用することが賢明であり得る。本発明の意味では、そのような生成物中のクメン含有量が1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満であることが重要である。
【0053】
好ましくは、本発明によるポリイソシアネート組成物全体中のクメンの量は、0.7重量%未満、さらに好ましくは0.5重量%未満、さらになお好ましくは0.1重量%未満である。
【0054】
さらに、少なくとも1つのさらなる溶媒(C)が存在することも可能である。
【0055】
ポリイソシアネート成分のために、またバインダーおよび任意の他の成分のために使用され得る溶媒は、イソシアネート基またはブロックされたイソシアネート基に対して反応性の基を含有せず、ポリイソシアネートが少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも25重量%、さらに好ましくは少なくとも50重量%、非常に好ましくは少なくとも75重量%、さらに具体的には少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%の程度まで可溶性である溶媒である。
【0056】
この種の溶媒の例には、成分(B)(アルキル化ベンゼンおよびナフタレンを含む)および/または(シクロ)脂肪族炭化水素およびそれらの混合物について記載されているもの以外の芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、キシレン、ケトン、エステル、アルコキシル化アルキルアルカノエート、エーテル、ならびに溶媒の混合物がある。
【0057】
(シクロ)脂肪族炭化水素の例には、デカリン、アルキル化デカリン、ならびに直鎖または分岐アルカンおよび/またはシクロアルカンの異性体混合物が挙げられる。
【0058】
脂肪族炭化水素の量は、一般に、5重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満である。
【0059】
エステルは、例えば、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、および2-メトキシエチルアセテートである。
【0060】
エーテルは、例えば、THF、ジオキサン、およびエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールのジメチルエーテル、ジエチルエーテルまたはジ-n-ブチルエーテルである。
【0061】
ケトンは、例えば、アセトン、ジエチルケトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチルアミルケトンおよびtert-ブチルメチルケトンである。
【0062】
好ましい溶媒は、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、2-メトキシエチルアセテート、キシレン、およびそれらの混合物である。
【0063】
驚くべきことに、溶媒には、記載された目的に関して異なる問題があることが分かった。成分(B)中のクメンの量が1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満である、本特許によるポリイソシアネート組成物では、貯蔵時の色数の発現に関して問題が少ない。
【0064】
これは、(B)による芳香族化合物の混合物中の多くの成分が、発色に関与し得るベンジル位水素原子を有する限り、驚くべきことである。
【0065】
好適なルイス酸性有機金属化合物(D)の例には、スズ化合物、例えば、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクトエート、スズ(II)ビス(エチルヘキサノエート)およびスズ(II)ジラウレート、ならびに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズジラウレートおよびジオクチルスズジアセテートがある。
【0066】
他の好ましいルイス酸性有機金属化合物は、亜鉛塩であり、例には、亜鉛(II)ジアセテートおよび亜鉛(II)ジオクトエートがある。
【0067】
使用される、スズを含まないおよび亜鉛を含まない代替物には、ビスマス、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、鉄、マンガン、ニッケルおよびコバルトの有機金属塩が含まれる。
【0068】
これらは、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(例えば、King Industries製のK-KAT(登録商標)4205);ジルコニウムジオネート(例えば、King Industries製のK-KAT(登録商標)XC-9213;XC-A 209およびXC-6212);ビスマス化合物、特にトリカルボキシレート(例えば、King Industries製のK-KAT(登録商標)348、XC-B221;XC-C227、XC 8203);アルミニウムジオネート(例えば、King Industries製のK-KAT(登録商標)5218)である。スズを含まないおよび亜鉛を含まない触媒はまた、例えば、Borchers製の商品名Borchi(登録商標)Kat、Goldschmidt製のTK、またはShepherd,Lausanne製のBICAT(登録商標)の下に提供される。
【0069】
ビスマス触媒およびコバルト触媒、同様にセリウム塩、例えば、セリウムオクトエート、ならびにセシウム塩を触媒として使用することができる。
【0070】
ビスマス触媒は、さらに具体的には、ビスマスカルボキシレート、特にビスマスオクトエート、エチルヘキサノエート、ネオデカノエートまたはピバレートである。例には、King Industries製のK-KAT 348およびXK-601、TIB Chemicals製のTIB KAT 716、716LA、716XLA、718、720、789、およびShepherd Lausanne製のもの、ならびに例えば、ビスマスオルガニルおよび亜鉛オルガニルの触媒混合物がある。
【0071】
さらなる金属触媒は、Blank et al.によって、Progress in Organic Coatings,1999,Vol.35,pages 19-29に記載されている。
【0072】
これらの触媒は、溶媒系、水系および/またはブロックされた系に適している。
【0073】
モリブデン触媒、タングステン触媒およびバナジウム触媒は、ブロックされたポリイソシアネートの反応について、国際公開第2004/076519号パンフレットおよび国際公開第2004/076520号パンフレットにさらに具体的に記載されている。
【0074】
セシウム塩も触媒として使用することができる。好適なセシウム塩は、以下のアニオン、すなわち、F-、Cl-、ClO-、ClO3
-、ClO4
-、Br-、I-、IO3
-、CN-、OCN-、NO2
-、NO3
-、HCO3
-、CO3
2-、S2-、SH-、HSO3
-、SO3
2-、HSO4
-、SO4
2-、S2O2
2-、S2O4
2-、S2O5
2-、S2O6
2-、S2O7
2-、S2O8
2-、H2PO2
-、H2PO4
-、HPO4
2-、PO4
3-、P2O7
4-、(OCnH2n+1)-、(CnH2n-1O2)-、(CnH2n-3O2)-、および(Cn+1H2n-2O4)2-(式中、nは、数字1~20を表す)が使用される化合物である。本明細書で好ましいのは、アニオンが式(CnH2n-1O2)-および(Cn+1H2n-2O4)2-(nは1~20である)に適合するセシウムカルボキシレートである。具体的に好ましいセシウム塩は、一般式(CnH2n-1O2)-(nは、番号1~20を表す)のモノカルボキシレートアニオンを含有する。これに関連して、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ヘキサノエート、および2-エチルヘキサノエートが具体的に言及される価値がある。
【0075】
好ましいルイス酸性有機金属化合物は、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、亜鉛(II)ジアセテート、亜鉛(II)ジオクトエート、ジルコニウムアセチルアセトネート、およびジルコニウム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート、ならびにビスマス化合物である。
【0076】
ジブチルスズジラウレートが特に好ましい。
【0077】
さらに、使用される典型的なコーティング添加剤(E)は、以下のもの、例えば、酸化防止剤、UV安定剤、例えば、UV吸収剤および好適なフリーラジカルスカベンジャー(特にHALS化合物、ヒンダードアミン光安定剤)、活性剤(促進剤)、乾燥剤、充填剤、顔料、染料、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロピー剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤またはキレート剤であり得る。UV安定剤が好ましい。
【0078】
二次酸化防止剤は、好ましくは、ホスファイト、ホスホナイト、ホスホネートおよびチオエーテルからなる群から選択される。
【0079】
ホスファイトは、P(ORa)(ORb)(ORc)型の化合物であり、Ra、RbおよびRcは、(環状構造またはスピロ構造を形成してもよい)同一または異なる脂肪族ラジカルまたは芳香族ラジカルである。
【0080】
好ましいホスホナイトは、参照により本開示内容の一部とされる国際公開第2008/116894号パンフレット、具体的にはその中の11頁8行目~14頁8行目に記載されている。
【0081】
好ましいホスホネートは、参照により本開示内容の一部とされる国際公開第2008/116895号パンフレット、具体的にはその中の10頁38行目~12頁41行目に記載されている。
【0082】
これらは、さらに具体的には、ジアルキルホスホネートおよびジアルキルジホスホネートである。
【化1】
【0083】
その例には、モノ-およびジ-C1~C12アルキルホスホネートおよびそれらの混合物、好ましくはジアルキルホスホネート、さらに好ましくはC1~C8アルキル基を有するもの、非常に好ましくはC1~C8アルキル基を有するもの、さらに具体的にはC1、C2、C4またはC8アルキル基を有するものがある。
【0084】
ジアルキルホスホネート中のアルキル基は、同一であるかまたは異なっていてもよく、好ましくは同一である。
【0085】
C1~C12アルキル基の例には、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、2-エチルヘキシル、および2-プロピルヘプチル、さらに具体的にはジ-n-オクチルホスホネートIrgafos(登録商標)OPH(上記画像を参照)、およびジ-(2-エチルヘキシル)ホスホネートがある。
【0086】
参照により本開示内容の一部とされる国際公開第2008/116893号パンフレット、具体的にはその中の11頁1行目~15頁37行目に記載されている好ましいチオエーテル。
【0087】
立体障害性フェノールが存在してもよく、一次酸化防止剤の機能を有してもよい。これは、フリーラジカルを捕捉する化合物を指すために当業者によって一般的に使用される用語である。
【0088】
この種の立体障害性フェノールは、参照により本開示内容の一部とされる国際公開第2008/116894号パンフレットに記載されており、例えば、その中の14頁10行目~16頁10行目に記載されている化合物が好ましい。
【0089】
当該のフェノールは、好ましくは芳香環上に正確に1つのフェノール性ヒドロキシル基を有するものであり、さらに好ましくはフェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位、非常に好ましくはオルト位およびパラ位に置換基、好ましくはアルキル基を有し、好ましくはアルキル基を含有するものであり、さらに具体的にはアルキル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、またはそのような化合物の置換アルキル誘導体である。
【0090】
この種のフェノールはまた、複数のフェノール基を有するポリフェノール系の成分、すなわち、いずれもCiba Spezialitatenchemie(現在BASF SE)の製品である、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、Irganox(登録商標)1010);エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート)(例えば、Irganox 245);3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール(例えば、Irganox(登録商標)1330);1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(例えば、Irganox(登録商標)3114)であり得る。
【0091】
対応する製品は、例えば、商品名Irganox(登録商標)(BASF SE)、Sumitomo製のSumilizer(登録商標)、Great Lakes製のLowinox(登録商標)、およびCytec製のCyanox(登録商標)の下に入手可能である。
【0092】
例えば、各々BASF SEの製品である、チオジエチレンビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート](Irganox(登録商標)1035)、および6,6’-ジ-tert-ブチル-2,2’-チオジ-p-クレゾール(例えば、Irganox(登録商標)1081)も可能である。
【0093】
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);イソオクチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(登録商標)1135、CAS番号146598-26-7)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(登録商標)1076、CAS番号2082-79-3)、およびペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(CAS番号6683-19-8;例えば、Irganox(登録商標)1010)が好ましい。
【0094】
他の一次酸化防止剤は、例えば、第二級アリールアミンである。
【0095】
好適なUV吸収剤は、オキサニリド、トリアジンおよびベンゾトリアゾール(後者は、例えば、BASF SEからTinuvin(登録商標)製品として入手可能である)、ならびにベンゾフェノン(例えば、BASF SE製のChimassorb(登録商標)81)を含む。例えば、いずれも例えばBASF SEの製品である、95%ベンゼンプロパン酸、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-、C7~9-分岐および直鎖アルキルエステル;5%1-メトキシ-2-プロピルアセテート(例えば、Tinuvin(登録商標)384)、ならびにα-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-ω-ヒドロキシポリ(オキソ-1,2-エタンジイル)(例えば、Tinuvin(登録商標)1130)が好ましい。DL-α-トコフェロール、トコフェロール、桂皮酸誘導体およびシアノアクリレートも同様にこの目的のために使用することができる。
【0096】
これらは、単独で、または好適なフリーラジカルスカベンジャーとともに使用され得、例には、立体障害アミン(多くの場合、HALS化合物またはHAS化合物とも識別される;ヒンダードアミン(光)安定剤)、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,6-ジ-tert-ブチルピペリジンまたはその誘導体、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートがある。それらは、例えば、BASF SE製のTinuvin(登録商標)製品およびChimassorb(登録商標)製品として得られる。ただし、ルイス酸と併用する点で、N-アルキル化されたヒンダードアミン(例には、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(例えば、BASF SE製のTinuvin(登録商標)144);ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート(例えば、BASF SE製のTinuvin(登録商標)292)との混合物がある)、またはN-(O-アルキル化)、例えば、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンとの反応生成物(例えば、BASF SE製のTinuvin(登録商標)123)、特にHALSトリアジン「2-アミノエタノール、シクロヘキサンとの反応生成物、および過酸化N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジナミン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン反応生成物」(例えば、BASF SE製のTinuvin(登録商標)152)などであるヒンダードアミンが好ましい。
【0097】
UV安定剤は、典型的には、調製物中に存在する固体成分に基づいて、0.1重量%~5.0重量%の量で使用される。
【0098】
好適な増粘剤には、フリーラジカル(共)重合(コ)ポリマーに加えて、典型的な有機増粘剤および無機増粘剤、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはベントナイトが含まれる。
【0099】
使用され得るキレート剤には、例えば、エチレンジアミン酢酸およびその塩、ならびにβ-ジケトンも含まれる。
【0100】
さらに、成分(F)として、充填剤、染料および/または顔料が存在することが可能である。
【0101】
真の意味での顔料とは、CD Rompp Chemie Lexikon-Version 1.0,Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag 1995によれば、DIN 55943に関連して、「有機または無機、有彩色または無彩色であり、塗布媒体に実質的に不溶性である」微粒子「着色剤」である。
【0102】
本明細書では、実質的に不溶性とは、25℃で、1000 gの塗布媒体当たり1 g未満、好ましくは0.5未満、さらに好ましくは0.25未満、非常に特に好ましくは0.1未満、具体的には1000 gの塗布媒体当たり0.05 g未満の溶解度を意味する。
【0103】
真の意味での顔料の例は、吸収顔料および/または効果顔料、好ましくは吸収顔料の任意の所望の系を含む。顔料成分の数および選択には、いかなる制限もない。それらは、例えば、ステップa)に記載したように、特定の要件、例えば、所望の知覚色などに所望のように適合させてもよい。例えば、基礎では、標準化されたミキサー系のあらゆる顔料成分であることが可能である。
【0104】
効果顔料は、薄片状構造を示し、表面コーティングに特有の装飾色効果を与えるあらゆる顔料である。効果顔料は、例えば、効果を付与し、典型的には車両仕上げおよび工業用コーティングに使用され得るあらゆる顔料である。このような効果顔料の例には、例えば、純粋な金属顔料、例えば、アルミニウム顔料、鉄顔料もしくは銅顔料;干渉顔料、例えば、二酸化チタンによってコーティングされた雲母、酸化鉄によってコーティングされた雲母、混合酸化物によってコーティングされた雲母(例えば、二酸化チタンおよびFe2O3、または二酸化チタンおよびCr2O3を含む)、金属酸化物によってコーティングされたアルミニウム;または液晶顔料がある。
【0105】
着色吸収顔料は、例えば、コーティング産業で使用され得る典型的な有機吸収顔料または無機吸収顔料である。有機吸収顔料の例には、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料およびピロロピロール顔料がある。無機吸収顔料の例には、酸化鉄顔料、二酸化チタンおよびカーボンブラックがある。
【0106】
染料も同様に着色剤であり、塗布媒体中での溶解度が顔料とは異なり、すなわち、染料は、25℃で、塗布媒体中で1000 g当たり1 g超の溶解度を有する。
【0107】
染料の例には、アゾ染料、アジン染料、アントラキノン染料、アクリジン染料、シアニン染料、オキサジン染料、ポリメチン染料、チアジン染料およびトリアリールメタン染料がある。これらの染料には、塩基性またはカチオン性染料、媒染染料、直接染料(direct dye)、分散染料、現像染料、建染染料、金属錯体染料、反応染料、酸染料、硫黄染料、カップリング染料または直接染料(substantive dye)としての用途があり得る。
【0108】
着色的に不活性な充填剤は、一方では着色的に不活性であり、すなわち、低い固有吸収を示し、コーティング媒体の屈折率と同様の屈折率を有し、他方では表面コーティング、すなわち塗布されたコーティング膜中の効果顔料の配向(平行配向)、およびコーティングの特性、またはコーティング組成物の特性、例えば、硬度もしくはレオロジーなどにも影響を及ぼすことができるあらゆる物質/化合物である。使用され得る不活性な物質/化合物は、以下に例として示されるが、着色的に不活性な、トポロジーに影響を及ぼす充填剤の概念をこれらの例に限定するものではない。定義を満たす好適な不活性な充填剤は、例えば、透明または半透明の充填剤または顔料、例えば、シリカゲル、沈降硫酸バリウム、珪藻土、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、結晶性二酸化ケイ素、非晶質シリカ、酸化アルミニウム、例えば、0.1~50μmのサイズを有するガラス、セラミックまたはポリマーなどから作製されたマイクロスフェアまたは中空マイクロスフェアであり得る。さらに、不活性な充填剤として、例えば、任意の所望の固体不活性有機粒子、例えば、尿素-ホルムアルデヒド縮合物、微粉化ポリオレフィンワックスおよび微粉化アミドワックスを使用することが可能である。不活性な充填剤は、いずれの場合も混合物中で使用することもできる。ただし、いずれの場合も1つの充填剤のみを使用することが好ましい。
【0109】
好ましい充填剤は、シリケートを含み、例には、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるシリケート、例えば、Degussa製のAerosil(登録商標)、珪質土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどがある。
【0110】
1つの好ましい形態では、ポリイソシアネート(A)は、溶媒(B)、場合によりさらなる溶媒(C)、場合によりルイス酸(D)、および場合により添加剤(E)とのブレンドにおける第1のステップでのさらなる加工に利用可能にされる。次いで、これらの混合物は、第2のステップでは、場合によりさらに成分(B)~(E)を加えることによって、本発明のポリイソシアネート組成物に変換される。
【0111】
本発明の別の形態では、成分A~Eは、直接組み合わされる。
【0112】
この第1のステップの予備混合物に好ましい溶媒(C)は、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、キシレン、2-メトキシエチルアセテート、およびそれらの混合物である。
【0113】
本発明のポリイソシアネート組成物の構成は、例えば、以下の通りである:
(A)20重量%~99.998重量%、好ましくは25重量%~95重量%、さらに好ましくは40~60重量%、
(B)0.002重量%~80重量%、好ましくは5重量%~75重量%、さらに好ましくは40~60重量%
(C)0重量%~40重量%、好ましくは1~30重量%、さらに好ましくは5重量%~20重量%、
(D)0~10 000重量ppm、好ましくは10~2000重量ppm、さらに好ましくは50~1000重量ppm
(E)0~5%の添加剤。
【0114】
好ましくは、合計は常に100重量%になる。
【0115】
本発明のポリイソシアネート組成物は、ポリウレタンコーティング材料中の少なくとも1つのバインダーに加えて硬化剤成分として有利に使用され得る。
【0116】
バインダーとの反応は、適切な場合には、ポリイソシアネート組成物の貯蔵を必要とする長期間後に行われてもよい。ポリイソシアネート組成物は、好ましくは室温で貯蔵されるが、さらに高温でも貯蔵され得る。工業的には、このようなポリイソシアネート組成物を40℃、60℃に、さらには80℃まで加熱することが完全に可能である。
【0117】
バインダーは、例えば、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール;ポリ尿素ポリオール;ポリエステル-ポリアクリレートポリオール;ポリエステル-ポリウレタンポリオール;ポリウレタン-ポリアクリレートポリオール、ポリウレタン変性アルキド樹脂;脂肪酸変性ポリエステル-ポリウレタンポリオール、アリルエーテルとのコポリマー、例えば、様々なガラス転移温度を有する、記載された化合物群のグラフトポリマー、および記載されたバインダーの混合物であり得る。ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリウレタンポリオールが好ましい。
【0118】
DIN 53240-2(電位差測定による)に従って測定される好ましいOH価は、ポリエステルについては、樹脂固形分1 g当たり40~350 mg KOH、好ましくは樹脂固形分1 g当たり80~180 mg KOH、ポリアクリレートオール(polyacrylateols)については、樹脂固形分1 g当たり15~250 mg KOH、好ましくは80~160 mg KOH/gである。
【0119】
さらに、バインダーは、最大200 mg KOH/g、好ましくは最大150、さらに好ましくは最大100 mg KOH/gの、DIN EN ISO 3682(電位差測定による)による酸価を有してもよい。
【0120】
具体的に好ましいバインダーは、ポリアクリレートポリオールおよびポリエステロール(polyesterols)である。
【0121】
ポリアクリレートポリオールは、少なくとも500、さらに好ましくは少なくとも1200 g/molの分子量Mnを好ましくは有する。分子量Mnは、原則として上限を有さず、好ましくは最大50 000、さらに好ましくは最大20 000 g/mol、非常に好ましくは最大10 000 g/mol、さらに具体的には最大5000 g/molであり得る。
【0122】
ヒドロキシ官能性モノマー(下記を参照)は、例えば、0.5重量%~8重量%、好ましくは1重量%~5重量%という、ポリマー中のヒドロキシル基含有量に一般に対応する、ポリマーに関する上述のヒドロキシル価をもたらす量で共重合に使用される。
【0123】
これらは、少なくとも1つのヒドロキシル含有(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル芳香族化合物、α,β-不飽和カルボン酸および他のモノマーからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる重合性コモノマーとのヒドロキシル含有コポリマーである。
【0124】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例には、C1~C20アルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、ビニル芳香族化合物は、最大20個のC原子を有するものであり、α,β-不飽和カルボン酸もそれらの無水物を含み、他のモノマーは、例えば、最大20個のC原子を含むカルボン酸のビニルエステル、エチレン性不飽和ニトリル、1~10個のC原子を含むアルコールのビニルエーテル、およびあまり好ましくはないが、2~8個のC原子と1または2個の二重結合とを有する脂肪族炭化水素である。
【0125】
好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、C1~C10アルキルラジカルを有するもの、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、および2-エチルヘキシルアクリレートである。
【0126】
具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も好適である。
【0127】
1~20個のC原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えば、ビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピオネートおよびビニルアセテートである。
【0128】
α,β-不飽和カルボン酸およびそれらの無水物は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸または無水マレイン酸、好ましくはアクリル酸であり得る。
【0129】
ヒドロキシ官能性モノマーとしては、α,β-不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸(本明細書では略して「(メタ)アクリル酸」と識別される)と、好ましくは2~20個のC原子と少なくとも2つのヒドロキシル基とを有するジオールまたはポリオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,1-ジメチル-1,2-エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジエチルオクタン-1,3-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-、1,2-、1,3-および1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,2-、1,3-もしくは1,4-シクロヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリスリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、162~4500、好ましくは250~2000のモル重量を有するポリTHF、134~2000のモル重量を有するポリ-1,3-プロパンジオールもしくはポリプロピレングリコール、または238~2000のモル重量を有するポリエチレングリコールとのモノエステルが挙げられ得る。
【0130】
2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-もしくは3-ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4-ブタンジオールモノアクリレート、または3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルアクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートおよび/または2-ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
【0131】
企図されるビニル芳香族化合物には、例えば、ビニルトルエン、α-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、4-n-ブチルスチレン、4-n-デシルスチレン、および(好ましくは)スチレンが含まれる。
【0132】
ニトリルの例には、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルがある。
【0133】
好適なビニルエーテルは、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテルおよびビニルオクチルエーテルである。
【0134】
2~8個のC原子と1または2個のオレフィン二重結合とを有する非芳香族炭化水素には、ブタジエン、イソプレン、ならびにエチレン、プロピレンおよびイソブチレンが含まれる。
【0135】
さらに、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルピロリドン、およびN-ビニルカプロラクタム、ならびにエチレン性不飽和酸、さらに具体的にはカルボン酸、酸無水物または酸アミド、およびビニルイミダゾールも使用可能である。エポキシド基を含有するコモノマー、例えば、グリシジルアクリレートもしくはグリシジルメタクリレートなど、またはモノマー、例えば、N-メトキシメチルアクリルアミドもしくは-メタクリルアミドも少量使用することができる。
【0136】
アルコール残基中に1~18個、好ましくは1~8個の炭素原子を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸のエステル、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ステアリルアクリレート、これらのアクリレートに対応するメタクリレート、スチレン、アルキル置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルアセテートまたはビニルステアレート、およびそのようなモノマーの任意の所望の混合物などが好ましい。
【0137】
ヒドロキシル含有モノマーは、混合物中のヒドロキシル含有(メタ)アクリレートと、他の重合性モノマー、好ましくはフリーラジカル重合性モノマー、好ましくは50重量%を超える程度まで、C1~C20、好ましくはC1~C4アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、最大20個のC原子を有するビニル芳香族化合物、最大20個のC原子を含むカルボン酸のビニルエステル、ハロゲン化ビニル、4~8個のC原子と1または2個の二重結合とを有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリル、およびそれらの混合物から構成されるものとの共重合に使用される。ヒドロキシル含有モノマー以外に、60重量%を超える程度まで、C1~C10アルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよびその誘導体、またはそれらの混合物から構成されたポリマーが特に好ましい。
【0138】
ポリマーは、慣用的なプロセスに従って、重合によって調製され得る。ポリマーの調製は、好ましくは乳化重合で、または有機溶液中で行われる。連続的または不連続的な重合プロセスが可能である。不連続プロセスは、バッチプロセスおよび供給プロセスを含み、後者が好ましい。供給プロセスでは、溶媒は、単独で、またはモノマー混合物の一部とともに初期投入物として導入され、この初期投入物が重合温度まで加熱され、モノマーの初期投入物の場合、重合はフリーラジカル的に開始され、残りのモノマー混合物は、開始剤混合物とともに1~10時間、好ましくは3~6時間にわたって計量供給される。場合により、その後、重合を少なくとも99%の転化率まで進めるために活性化が繰り返される。
【0139】
さらなるバインダーは、例えば、ポリカルボン酸、特にジカルボン酸をポリオール、特にジオールと縮合させることによって得られるポリエステルポリオールである。重合に適したポリエステルポリオール官能性を確保するために、トリオール、テトロールなどの一部、および三酸なども使用される。
【0140】
ポリエステルポリオールは、例えば、Ullmanns Encyklopadie der technischen Chemie,4th edition,volume 19,pp.62 to 65から公知である。二価アルコールと二塩基性カルボン酸とを反応させることによって得られるポリエステルポリオールを使用することが好ましい。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、もしくは低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステル、またはそれらの混合物を使用して、ポリエステルポリオールを調製することも可能である。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であってよく、例えばハロゲン原子によって置換されていてもよく、および/または不飽和であってよい。言及され得るその例には、以下が挙げられる:
【0141】
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、アゼライン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸またはテトラヒドロフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、それらの異性体および水素化生成物、ならびにエステル形成性誘導体、例えば、無水物またはジアルキルエステル、C1~C4アルキルエステル、例えば、記載された酸の好ましくはメチル、エチルまたはn-ブチルエステルが使用される。一般式HOOC-(CH2)y-COOH(式中、yは、1~20の数、好ましくは2~20の偶数である)のジカルボン酸、さらに好ましくはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸が好ましい。
【0142】
ポリエステロールを調製するのに適した多価アルコールには、上記のようにアルコキシル化されていてもよい、1,2-プロパンジオール、エチレングリコール、2,2-ジメチル-1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,4-ジエチルオクタン-1,3-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、162~4500、好ましくは250~2000のモル質量を有するポリTHF、134~1178のモル質量を有するポリ-1,3-プロパンジオール、134~898のモル質量を有するポリ-1,2-プロパンジオール、106~458のモル質量を有するポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-、1,2-、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-、1,3-もしくは1,4-シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリスリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトールまたはイソマルトが含まれる。
【0143】
好ましいアルコールは、一般式HO-(CH2)x-OH(式中、xは、1~20の数、好ましくは2~20の偶数である)のアルコールである。エチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオールおよびドデカン-1,12-ジオールが好ましい。さらに、ネオペンチルグリコールが好ましい。
【0144】
また、さらに、例えば、ホスゲンを、ポリエステルポリオールの合成成分として指定される過剰の低分子量アルコールと反応させることによって得られる種類のポリカーボネートジオールも好適である。
【0145】
ラクトンのホモポリマーまたはコポリマー、好ましくはラクトンと好適な二官能性スターター分子とのヒドロキシ末端付加物であるラクトン系ポリエステルジオールも好適である。好適なラクトンは、好ましくは、一般式HO-(CH2)z-COOH(式中、zは、1~20の数であり、メチレン単位の1個のH原子はまた、C1~C4アルキルラジカルによって置換されていてもよい)の化合物から誘導されるものである。例には、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトンおよび/もしくはメチル-ε-カプロラクトン、4-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、またはピバロラクトン、ならびにそれらの混合物がある。好適なスターター成分の例には、ポリエステルポリオールの合成成分として上記で特定された低分子量二価アルコールが挙げられる。ε-カプロラクトンの対応するポリマーが具体的に好ましい。低級ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールも、ラクトンポリマーを調製するためのスターターとして使用することができる。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに対応するヒドロキシカルボン酸の対応する化学的に等価な重縮合物を使用することも可能である。
【0146】
ポリウレタンコーティング材料では、800~4000 g/molというポリエステルのモル質量Mnが通例であり、本明細書で使用されるポリエステルは、この数字に限定されない。
【0147】
さらに、バインダーとして適しているのは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド、さらに好ましくはエチレンオキシドにH活性成分を加えることによって調製されるポリエーテルオールである。ブタンジオールの重縮合物も好適である。ポリウレタンコーティング材料では、500~2000 g/molというポリエーテルのモル質量が通例であり、本明細書で使用されるポリエーテルは、この数字に限定されない。
【0148】
ポリマーは、少なくとも部分的に、いわゆる反応性希釈剤によって置き換えられてもよい。これらは、ブロックされた第二級もしくは第一級アミン(アルジミンおよびケチミン)、または立体障害および/もしくは電子欠乏第二級アミノ基を有する化合物であってよく、例には、欧州特許第403921号明細書または国際公開第2007/39133号パンフレットによるアスパラギン酸エステルがある。
【0149】
フィルムの硬化のために、ポリイソシアネート組成物およびバインダーを、0.2:1~5:1、好ましくは0.8:1~1.2:1、特に0.9:1~1.1:1というイソシアネート基対イソシアネート反応性基のモル比で互いに混合し、任意のさらなる典型的なコーティング成分を場合により混合によって組み込んでもよく、得られた材料を基材に塗布し、周囲温度から150℃で硬化させる。
【0150】
好ましい一変形例では、コーティング材料混合物は、周囲温度から80℃、さらに好ましくは60℃(例えば、再仕上げ用途、またはオーブンに入れるのが困難な大型物品の場合)で硬化される。
【0151】
別の好ましい用途では、コーティング材料混合物は、110~150℃、好ましくは120~140℃(例えば、OEM用途向け)で硬化される。
【0152】
本発明の文脈では、「硬化」は、少なくとも所望のタックフリー状態が少なくとも生じるまで、上に示した温度で、基材に塗布されたコーティング組成物を加熱することによる、基材上のタックフリーコーティングの製造を指す。
【0153】
本明細書の文脈では、コーティング組成物とは、フィルムを形成するための少なくとも1つの基材のコーティング、および硬化後のタックフリーコーティングのために提供される成分のうちの少なくとも1つの混合物を意味する。
【0154】
基材は、当業者に公知の典型的な方法によってコーティングされ、コーティングされる基材に少なくとも1つのコーティング組成物が所望の厚さで塗布され、コーティング組成物の任意に存在する揮発性成分が、場合により加熱によって除去される。この操作は、所望であれば1回以上繰り返されてもよい。基材への塗布は、公知の方法で、例えば、噴霧、コテ塗り、ナイフ塗装、ブラッシング、圧延、ローラーコーティング、フローコーティング、積層、射出バックモールドまたは共押出などによって行われ得る。
【0155】
硬化のためのこの種のフィルムの厚さは、0.1μm~数mm、好ましくは1~2000μm、さらに好ましくは5~200μm、非常に好ましくは5~60μm(コーティング材料から溶媒を除去した状態のコーティング材料に基づく)であり得る。
【0156】
さらに、本発明により、本発明のマルチコート塗料系によってコーティングされた基材が提供される。
【0157】
この種のポリウレタンコーティング材料は、特に高い塗布信頼性、外部耐候性、光学品質、耐溶媒性、耐薬品性および耐水性を必要とする用途に特に適している。
【0158】
得られた2成分コーティング組成物およびコーティング配合物は、基材、例えば、いずれの場合も場合によりプレコートまたは前処理されていてもよい木材、木材単板、紙、厚紙、板紙、織物、フィルム、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物建築材料、例えば、成形セメントブロックおよび繊維セメントスラブ、または金属をコーティングするのに適している。
【0159】
この種のコーティング組成物は、内装コーティングもしくは外装コーティングまたはそれに適しており、すなわち、日光に曝露される、好ましくは建物の部品、(大型)車両および航空機ならびに工業用途、農業および建設におけるユーティリティビークルのコーティング、装飾用コーティング、橋、建物、動力マスト、タンク、容器、パイプライン、発電所、化学プラント、船舶、クレーン、ポスト、シートパイルリング、バルブ、パイプ、継手、フランジ、カップリング、ホール、屋根、ならびに構造用鋼、家具、窓、ドア、木型床、缶用コーティングおよびコイルコーティングの用途に、床被覆用に、例えば、駐車場レベルまたは病院に、具体的にはOEMおよび再仕上げ用途としての自動車仕上げに適している。
【0160】
この種のコーティング組成物は、好ましくは周囲温度から80℃まで、好ましくは60℃まで、さらに好ましくは40℃までの温度で使用される。当該の物品は、好ましくは、高温で硬化することができない物品、例えば、大型機械、航空機、大容量車両、および再仕上げ用途である。
【0161】
具体的には、本発明のコーティング組成物は、クリアコート材料、ベースコート材料およびトップコート材料、プライマーならびにサーフェーサーとして使用される。
【0162】
本発明のポリイソシアネート組成物の利点は、C7~C14芳香族炭化水素の混合物を含有する溶媒の存在下で、ポリイソシアネート混合物の色安定性を長期間にわたって維持することである。
【0163】
この種のポリイソシアネート組成物は、コーティング材料、接着剤およびシーラント中の硬化剤として使用され得る。
【0164】
それらの低い色数および高い色安定性のために、それらはさらに具体的にはクリアコート材料用のコーティング組成物にとって興味深い。再仕上げ用途がさらに具体的に好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0165】
実施例
GCによって、Solvesso中のクメン含有量の決定を行った。GC/MSに従ってクメンの特定を行い、さらにクメンを加えて、クメンの定量のためのピークおよび応答係数を確認した。ポリイソシアネート/溶媒混合物中のクメン含有量は決定しなかった。
【0166】
ポリイソシアネートA:
PIC A1:
PIC A1は、65℃のメタノール/イソプロパノール中70%のテトラブチルホスホニウム二フッ化水素の触媒作用、2-プロパノール中55%のパラトルエンスルホン酸による停止、および蒸留によるヘキサメチレンジイソシアネートの三量体化によって得られる。イソシアヌレート全体に対する非対称イソシアヌレートの割合=45%;約0.2%ウレトジオン。粘度790 mPa*s、23.5%NCO。
PIC A1は、基本的に、対称および非対称イソシアヌレート基を含有する。
【0167】
PIC A2:
Desmodur N 3900、Covestro社。粘度824 mPa*s、約23.5%NCO値。
PIC A2は、基本的に、対称および非対称イソシアヌレート基を含有する。
【0168】
PIC A3:
ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくビウレット型ポリイソシアネート。粘度約8000 mPa*s。NCO値約22.0%。
【0169】
PIC A4:
ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくイソシアヌレート型ポリイソシアネート。Desmodur N 3300。粘度約3000 mPa*s、NCO約21.8%。
【0170】
溶媒B:
Solvesso 100(S):CAS番号:64742-95-6。EC番号:919-668-5。
本発明者らの調査のために、工場で使用される製造材料から、0.66%(実施例)または1.85%(参照)のSolvesso 100を含有する2つのSolvesso 100バッチを選択した。
【0171】
溶媒C:
メトキシプロピルアセテート(MP)
キシレン(X)
酢酸ブチル(B)
【0172】
触媒D:
ジブチルスズジラウレート、Aldrich
K-KAT 6212、ジルコニウムキレート触媒、King Industries
【0173】
実験:
【0174】
【0175】
【0176】
E6の組成物中のクメン含有量は0.04であり、R6の組成物中のクメン含有量は0.12%である。
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【国際調査報告】