(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】対応するパーツ間の組み立てのみが可能な形状的構成を含む歯科コンポーネント及びインプラントのシステム
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550334
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 BR2021050479
(87)【国際公開番号】W WO2022099393
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】BR102020022937-0
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522268177
【氏名又は名称】ジェイジェイジーシー インダストリア エ コメルシオ デ マテリアイス デンタリオス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100189474
【氏名又は名称】田村 修
(72)【発明者】
【氏名】トメ,ジェニーニョ
(72)【発明者】
【氏名】デ ケイロス,ティアゴ ヌネス
(72)【発明者】
【氏名】メルティン,フェリックス アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルデス,セルジオ ロシャ
(72)【発明者】
【氏名】ルッカ,イルデラルド ホセ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA05
4C159AA43
(57)【要約】
本発明は、歯科学、より正確にはインプラント学の分野に属し、単一又は複数の人工装具を取り付けるためのインプラント、コンポーネント及び人工装具の器具のシステムを指し、そのインターフェイスは、インプラントとそれに対応するコンポーネントとの結合及び固定のみを可能とする、すなわち、対応しないパーツ間の固定を防止する形状を有する。当該システムは、インプラント(10,100)と人工装具コンポーネント(20,120)との完全な結合のみを可能にする形状的特徴を持つインターフェイスを含み、その形状的特徴は、レギュラーインプラント(10)の雌ネジ(14)のプレボアが、人工装具コンポーネント(120)のネジ(122)の外径よりわずかに大きい直径を有するという事実、及びインプラント(100)と人工装具コンポーネント(20)に関する次の式によって定義される:
D
111=D
21,L
111>L
22 (1)のとき
L
22>=L
14/2 (2)
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応するパーツ間の組み立てのみが可能な形状的構成を含む歯科コンポーネント及びインプラントのシステムであって以下を含むシステム:
-その頸部に直径(D
111)の少なくとも1つの領域を有する実質的に円錐の形状(11,111)、その中間部に反回転形状(12,112)、及びその中央と先端の部分に直径(D
14,D
114,D
115)長さ(L
14,L
114,L
115)の少なくとも1つの雌ネジ(14,114,115)を含む少なくとも1つのインプラント(10,100)、ただし長さ(L
111)は直径(D
111)の領域と雌ネジの開始点との間の距離である、及び
-少なくとも1つの前記インプラント(10,100)と協働する人工装具コンポーネント(20,120)、ただし、前記人工装具コンポーネント(20,120)は、インプラント(10,100)の実質的に円錐の形状(11,111)と協働する実質的に円錐の形状で、直径(D
21)のインターフェイス領域(21,121)と、少なくとも1つの直径(D
22,D
122)長さ(L
22,L
122)でインプラントの雌ネジ(14,114,115)の少なくとも1つと協働する雄ネジ(22,122)を含む、
ただし、前記システムは、インプラント(10,100)と人工装具コンポーネント(20,120)の間の完全な結合のみを可能とする形状的特徴を有するインターフェイスを含み、
前記形状的特徴は、レギュラーインプラント(10)の雌ネジ(14)のプレボアが、人工装具コンポーネント(120)のネジ(122)の外径よりもわずかに大きい直径を持つことと、インプラント(100)と人工装具コンポーネント(20)に関する下記式によって定義される:
D
111=D
21,のときL
111>L
22 (1)。
【請求項2】
さらに以下の式で定義される形状的特徴を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム:
L
22>=L
14/2 (式2);
D
114>D
115 (式3)、及び
L
122>=L
115 (式4)。
【請求項3】
レギュラー人工装具インターフェイスを有するインプラント(10)及びナロー人工装具インターフェイスを有するインプラント(100)を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
レギュラーインターフェイスを持つ人工装具コンポーネント(20)と、ナローインターフェイスを持つ人工装具コンポーネント(120)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
レギュラーインターフェイス人工装具コンポーネント(20)は、レギュラー人工装具インターフェイスインプラント(10)とのみ協働することを特徴とし、人工装具コンポーネント(20)の雄ネジ(22)はレギュラーインターフェイスインプラント(10)の雌ネジ(14)とのみ協働する、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)はナローインターフェイス人工装具インプラント(100)とのみ協働し、ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)の雄ネジ(122)はナローインターフェイスインプラント(100)の雌ネジ(115)とのみ協働する、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)は長さ(L
123)の滑らかな円筒形の中間領域(123)を含む下部支台を含むことを特徴とする請求項1、4及び6のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科学、より正確にはインプラント学の分野に属し、単一又は複数の人工装具を取り付けるためのインプラント、コンポーネント及び人工装具の器具のシステムを指し、そのインターフェイスは、インプラントとそれに対応するコンポーネントとの結合及び固定のみを可能とする、すなわち、対応しないパーツ間の固定を防止する形状(geometry)を有することにより、患者に将来重大な不便をもたらす可能性のある取り付けエラーの発生を回避する。
【背景技術】
【0002】
当業者によって知られているように、単一又は複数の無歯領域を有する患者にインプラントされる歯科人工装具を取り付けるプロセスは、あらかじめインプラント専門医によって選択されたインプラントがネジを入れられるであろう歯槽の穿孔を必要とし、その事例に最適なインプラントの選択は、例えば、取り付け場所において利用可能な骨の幅と高さといった、いくつかの要因に依存する。
【0003】
インプラントが取り付けられたら、人工装具コンポーネントを取り付ける必要があり、これが歯科人工装具の効果的な取り付けの基礎としてなる。この目的のために、インプラントには、コンポーネントの結合インターフェイスを構成する内部空洞があり、それは一般的に、インプラントに適切に取り付けられた人工装具コンポーネントの状態を維持することを目的とするスクリューを固定するために、先端又は下部に雌ネジを提示する。インプラントの内部空洞の中央部と頸部(又は上部)の部分では、壁はさまざまな形状の形とされ、人工装具コンポーネントの完全な装着を促進し、その結果、パーツの間の適切な密閉を促進するように設計される、それは、食品廃棄物及び/又は細菌が入り込み、その領域に腫れ、痛み、出血、又は炎症を引き起こし、その結果、患者に深刻な不便を与えることを防ぐことを目的とする。
典型的には、それは結合インターフェイスの中央領域に反回転形状と、円錐、垂直、又は他のいくつかの構成を示すことができる頸部形状を有する。
【0004】
インプラントにはいくつかの種類と寸法があるため、また、いくつかの種類の人工装具コンポーネント(CP)があり、それらは、ピース間の完全な結合と密閉を促進するために、それぞれ特定のインプラントモデルでの使用が意図される。製造者はそれぞれのコンポーネントでの使用に適したインプラントを示すが、不適切なコンポーネントを対応していないインプラントに固定できる-これは不適切であることに注意すべきである-状況があり、すると、頑丈そうに見えるが、
図1.1及び
図1.2に示される例にみられるように次のような欠陥がある取り付けを促進している:パーツ間に接触(CT)があるが、取り付けられているネジ(R)の領域が小さいために固定が不十分である、又はネジ(R)全体が取り付けられてもコンポーネント(CP)とインプラント(I)の間の隙間(V)が永続するなどの欠陥がある設置を促進している。この場合、パーツは一緒にフィットして、インプラントはネジ領域からトルクを受ける-それは、スクリューでもありうる-ただし、いくつかのネジピッチに対してのみである;しかし、この乏しい固定のために、システムが咀嚼中に受ける一定の力は、スクリューを緩めてコンポーネントのネジを破損させることになる可能性がある。これは、コンポーネントの損失につながる可能性があり、少なくともインプラントを救うことができるように、破損したネジの一部を除去する必要がある深刻な問題である。
【0005】
国際公開第2011/071228号は、インプラントと人工装具コンポーネントとの間のインターフェイスのネジの部分の接触領域を増加させることを目的とする先行技術の例であり、ネジの接触領域が人工装具コンポーネントの滑らかな表面とインプラントインターフェイスの頸部領域との間の接触面積よりも大きい場合に、最良の結合及び密閉条件が生じると考えている。特許公開公報第2005270334号の主題は、また、インプラントと人工装具コンポーネントとの間の結合を改善することを目的としており、部品間の固定と密閉状態を改善することを目的としている。しかし、いずれの解決策も、前述の人工装具コンポーネントが対応するインプラントに取り付けられた場合にのみ良好な結果を示す。
【0006】
したがって、現在の技術水準では、同じラインに属する、すなわち使用しなければならない対応するパーツを有する、インプラントと人工装具コンポーネントとの間の密閉を改善するための解決策が既に模索されていることが観察される。しかし、(単に誤った選択又はその他の理由で)対応していないが、それにもかかわらず、適切に適合しているように見える、特に、もし、固定スクリューを固定する取り付けの間にトルクを与えることができる場合、パーツを結合するときの、適切な使用条件の欠如に対する解決策は知られていない。言い換えれば、現在の技術は、歯科インプラントの取り付けのために使用されるコンポーネントに対する、より大きな安全性、有効性、及び耐用年数を提供する方法として、対応しないパーツ間の見かけ上の適切な結合を防ぐ手段を提供しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2011/071228号
【特許文献2】特許公開公報第2005270334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、正しい人工装具コンポーネントのみがインプラントに取り付けられることが可能な取り付け形状を提供することを目的とする。
【0009】
したがって、本発明の目的は、対応するパーツ間の組み立てのみを可能とするインターフェイス形状を有する歯科コンポーネント及びインプラントのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の主要な目的のうちのもう1つは、好ましくはナロー配置とレギュラー配置の歯科コンポーネント及びインプラントのシステムを提供することであり、そこではナローラインの人工装具コンポーネントをレギュラーインプラントに結合することができず、またその逆も不可である。
【0011】
したがって、本発明の目的の1つは、対応する部品間の結合のみを可能とする歯科用コンポーネント及びインプラントのシステムを開示し、設置のための最良の可能な締結及び密封条件を促進することである。
【0012】
したがって、本発明は対応するパーツ間の組み立てのみが可能な形状的構成を含む歯科コンポーネント及びインプラントのシステムであって以下を含むシステムに関する。
-その頸部に直径(D111)の少なくとも1つの領域を有する実質的に円錐の形状(11,111)、その中間部に反回転形状(12,112)、及びその中央と先端の部分に直径(D14,D114,D115)長さ(L14,L114,L115)の少なくとも1つの雌ネジ(14,114,115)を含む少なくとも1つのインプラント(10,100)、ただし長さ(L111)は直径(D111)の領域と雌ネジの開始点との間の距離である、及び
-少なくとも1つの前記インプラント(10,100)と協働する人工装具コンポーネント(20,120)、ただし、前記人工装具コンポーネント(20,120)は、インプラント(10,100),の実質的に円錐の形状(11,111)と協働する実質的に円錐の形状で、直径(D21)のインターフェイス領域(21,121)と、少なくとも1つの直径(D22,D122)長さ(L22,L122)でインプラントの雌ネジ(14,114,115)の少なくとも1つと協働する雄ネジ(22,122)を含む、
ただし、前記システムは、インプラント(10,100)と人工装具コンポーネント(20,120)の間の完全な結合のみを可能とする形状的特徴を有するインターフェイスを含み、
前記形状的特徴は、レギュラーインプラント(10)の雌ネジ(14)のプレボアが、人工装具コンポーネント(120)ネジ(122)の外径よりもわずかに大きい直径を持つことと、インプラント(100)と人工装具コンポーネント(20)に関する下記式によって定義される:
D111=D21,のときL111>L22 (1)。
【0013】
好ましくは、システムはさらに以下の式で定義される形状的特徴を含むことができる:
L22>=L14/2 (式2);
D114>D115 (式3),及び
L122>=L115 (式4).
【0014】
システムはレギュラー人工装具インターフェイスを有するインプラント(10)とナロー人工装具インターフェイスを有するインプラント(100)を含むことができ、レギュラーインターフェイスの人工装具コンポーネント(20)及びナローインターフェイスの人工装具コンポーネント(120)を含むことができる。
【0015】
理想的には、レギュラーインターフェイス人工装具コンポーネント(20)はレギュラー人工装具インターフェイスインプラント(10)とのみ協働し、人工装具コンポーネント(20)の雄ネジ(22)はレギュラーインターフェイスインプラント(10)の雌ネジ(14)とのみ協働する。ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)はナローインターフェイス人工装具インプラント(100)とのみ協働し、ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)の雄ネジ(122)はナローインターフェイスインプラント(100)の雌ネジ(115)とのみ協働する。さらに好ましくは、ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)は長さL123の滑らかな円筒形の中間領域(123)を含む下部支台を含む。
【0016】
本発明は、添付の図に示される好ましい実施形態の例に基づいて、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】1.1と1.2は、インプラントに適合してトルクを与えるが、実際は、パーツと患者の両方に問題を引き起こす可能性のある対応しない組み立てである、人工装具コンポーネントの2つの組立の縦断面図を示す。
【
図2】本発明のシステムの好ましい実施形態の1つによるレギュラーインプラントの部分断面図を示す。
【
図3】
図2に示されるインプラントに取り付けられる人工装具コンポーネントを示す。
【
図4】
図2のインプラントにおける
図3の人工装具コンポーネントの結合の部分縦断面図を示す。
【
図5】
図3の人工装具コンポーネントを対応しない/不適合のインプラントに組み立てを試みた部分断面図を示す。
【
図6】本発明のシステムの別の好ましい実施形態によるナローインプラントの部分断面図を示す。
【
図7】
図6に示すナローインプラントに取り付けることができる人工装具コンポーネントを示す。
【
図8】
図6のインプラントにおける
図7の人工装具コンポーネントの結合の部分縦断面図を示す。
【
図9】
図7の人工装具コンポーネントを対応しない/不適合のインプラントに組み立てを試みた部分断面図を示す。
【
図10】個々に、本発明で開示されたシステムのレギュラーインプラントに取り付けられる任意のレギュラー人工装具コンポーネントのインターフェイス領域のみを示す。
【
図11】個々に、本発明で開示されたシステムのナローインプラントに取り付けられる任意のナロー人工装具コンポーネントのインターフェイス領域のみを示す。
【
図12】レギュラーインプラントインターフェイスの断面図を示す。
【
図13】ナローインプラントインターフェイスの断面図を示す。
【
図14】本発明の好ましい実施形態による、レギュラーインプラントに結合するレギュラーインターフェイスの形状の構成を有する治療キャップの例を示す。
【
図15】本発明の好ましい実施形態による、ナローインプラントに結合するナローナローインターフェイスの形状の構成を有する治療キャップの例を示す。
【
図16】本発明の好ましい実施形態によるレギュラーインプラントに結合するレギュラーインターフェイスの形状の構成を示す「Novaloc Attachment」タイプコンポーネントの例を示す。
【
図17】本発明の好ましい実施形態による、ナローインプラントに結合するナローインターフェイスの形状の構成を有する「Equator Attachment」コンポーネントの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的は、添付の図面に基づいてより詳細に説明され、説明されるが、主張される保護の範囲を変更することなく、適応及び修正を行うことができるため、これは単に例示的かつ非限定的な性質を有するものである。
【0019】
好ましい実施形態において、本発明の歯科コンポーネント及びインプラントのシステムは、基本的に、不適切な人工装具コンポーネント(すなわち、その特定のインプラントでの使用が示されていないもの)が適合しないインプラント上に配置されたときに、結合及び/又はトルクすることを許さない、特定の形状によって定義される円錐のインターフェイスを有するインプラント及び人工装具コンポーネントのセットを含む。このような状態は、以下の特徴の特定の組み合わせによって得られる:
(i)人工装具インターフェイスのタイプ:ナロー及びレギュラー
(ii)インターフェイス頸部領域の線形と角度寸法
(iii)ネジのタイプ、と
(iv)ネジの直径。
【0020】
図2では、レギュラーインターフェイスインプラント10が示され、これは、その頸部部分の円錐の形状11、その中間部分の反回転形状12と通過溝(transition chamfer)13、及びインプラント10の中央部と先端部の一定直径の雌ネジ14(ここに示される好ましい実施形態では、雌ネジはM2.0x0.40スクリューを受けるように構成される)によって定義される。インプラント10に対応する人工装具コンポーネント20の例を
図3に示し、この図では、インターフェイス領域21が、インプラント10の円錐の形状11の角度αと同じ角度でテーパーされた円錐の形状を示すことが観察される。
さらに、人工装具コンポーネント20は長さL
22でM2.0x0.40のネジタイプを有する。この場合に観察されるべき条件は、人工装具コンポーネント20をレギュラーインプラント10への良好な取り付けのために、我々は、長さL
22のネジ部分を、レギュラーインプラント雌ネジ14の長さL
14の少なくとも半分に固定/接触させることを推奨する。
【0021】
このような形状では、レギュラー人工装具コンポーネント20とレギュラーインプラント10との結合は
図4に示すように完全であり、これは次のことを意味する:
(i)コンポーネント20とインプラント10の間に良好な接触領域Cを持つ場所がある;
(ii)人工装具コンポーネント20の雄ネジ22の長さL
22のネジ部分全体がインプラント10の雌ネジ14と接触している、さらに、
(iii)長さL
22は雌ネジ長さL
14の半分以上であり、そして、
(iv)組み立ての頸部の密閉を促進する接触は、コンポーネント20が完全にネジ入れられる場合にのみ発生し、それは、固く、密閉され、安全な取り付けを提供し、インプラント内部のインターフェイスでの物質の侵入を防ぎ、その結果、細菌の発生と炎症のリスクを大きく最小限に抑えることを可能とする。
【0022】
図6と
図7では、それぞれナロー人工装具インターフェイスを持つインプラント100と対応する人工装具コンポーネントを持つインプラント120、つまり、両方、互いとの完全な結合と固定を可能にする特定の形状を示していることが分かる。
図6に示すように、ナローインプラント100は、また、その頸部部分の円錐の形状、その中間部分の反回転形状112と通過溝113、二重雌ネジを持つ中央部と先端部を示し、最も先端の雌ネジ115(ここに示す例示的な好ましい実施形態では、タイプM1.6x0.35である)の直径は、最も頸部の雌ネジ114(好ましくはタイプM2.0x0.40)の直径よりも小さい。
図7に示す人工装具コンポーネント120は、また、主に、その上部部分における円錐の形状のインターフェイス121のために、レギュラー人工装具コンポーネント20によく似ている。しかし、下部支台は、人工装具コンポーネントの雄ネジ122がインプラント100の最も先端の雌ネジ115としか協働しないため、その先端にのみ長さL
123の滑らかな円筒状の中間領域123と長さL
122の雄ネジ122(例では、それはタイプM1.6x0.35)を有する。雄ネジ122の長さL
122は、ナローインプラント100の最も先端の雌ネジ115の長さL
115以上であるべきことに注意されるべきである。つまり、ナローインプラント100の合計の雌ネジ長L
114+L
115は、円筒領域及びナロー人工装具コンポーネント120の雄ネジの合計L
123+L
122と等しくなければならないことが理解される。このような形状は、コンポーネントの雄ネジ122がナローインプラント延長部L
115の少なくとも半分と接触している場合にのみ、コンポーネントインターフェイス121とインプラント100の円錐の形状111との間に適切な接触Cを引き起こし、適切な固定を促進する。
【0023】
このような構成では、ナローインプラント100とナロー人工装具コンポーネント120の間の結合と取り付けは、
図8に示されるセクションに示すように行われる:
(i)コンポーネント120とインプラント100の間に良好な接触領域Cを持つ場所がある
(ii)人工装具コンポーネントの雄ネジ122は、インプラントの雌ネジ115の長さL
115の50%以上と接触しており、これは、患者に強固で密閉された安全な設置を提供する。
【0024】
図5及び
図9は、本発明のシステムの形状的構成が、対応しないインプラントに適合しない人工装具コンポーネントが不適切に取り付けられることをどのように防止するかを示す。
図5は、レギュラー人工装具コンポーネント20が誤ってナローインプラント100に取り付けられた場合に何が起こるかを示す:インターフェイス21の直径D
21の領域がナローインプラント100の円錐の形状111に接触するとき(コンポーネントがインプラント100の内部深くに行くのを防ぐ接触)、コンポーネントの雄ネジ22(タイプM2.0x0.40)は雌ネジ114(また、タイプM2.0x0.40)の開始点にも達していないため、この取り付けではトルクがなく、その結果、インプラント専門医は、選択されたコンポーネントは患者の歯列弓に既に取り付けられているインプラントに固定されるのに適していないことに直ちに気づくことができる。なお、この条件を満たすためには、以下が必要である
(i)インプラント円錐の形状11の直径D
111がコンポーネント20の直径D
21と同じ測定値を持つ点で、距離L
111が少なくとも人工装具コンポーネント20のネジ22の長さL
22よりわずかに大きい必要がある、そして、
(ii)ナローインプラント先端ネジ114の直径D
114よりも、ネジ22の直径D
22の方が小さい。
ナローインプラント上部雌ネジ114に接触すると、より大きな直径と長さのネジがトルクを示す可能性があり、それは、この発明が避けようとしていることであり、それゆえ、既に述べたように、トルクの発生を防ぐために、人工装具コンポーネントネジ22には直径D
22と長さL
22の制限がある。
【0025】
一方、
図9では、もしナロー人工装具コンポーネント120がレギュラーインプラント10に導入されると、
(i)レギュラーインプラント10は120よりもはるかに大きな直径の円錐の形状11を持ち、
(ii)レギュラーインプラント雌ネジ14のプレボアは人工装具コンポーネントネジ122の外径よりもわずかに大きな直径を持つため、接触が生じないことが観察される。本発明の好ましい実施形態の一つでは、レギュラーインプラント10の雌ネジ14はM2.0x0.40(しかし、従来よりもわずかに大きい寸法に適合するプレボア直径を持つ)である一方で、ナローコンポーネント120の雄ネジ122はM1.6x0.35である;つまり、これら2つの部品間の不適切な結合でトルクが発生したと専門家に思わせるような接触の機会がないため、選択されたコンポーネントが既に取り付けられているインプラントに適していないことが容易にわかる。
【0026】
したがって、インプラント10,100のインターフェースとそれに対応する人工装具コンポーネント20,120の両方が、以下に示す特定の条件に従う形状的構成を持たなければならない。
D111=D21,L111>L22 (1)のとき
L22>=L14/2 (2)
D114>D115 (3)
L122>=L115 (4)
L114+L115 =L123+L122 (5)
【0027】
図10及び
図11は、個別に、それぞれ、レギュラー及びナロー人工装具コンポーネントのインターフェイスエレメントを示し、そのようなエレメントは、例えば、
図14及び
図15に示される治療キャップ30及び300、又は
図16及び
図17のアタッチメント40,400など、インプラント学で一般的に使用される最も多様なコンポーネントを構成するための任意の上部を持つことができる。これらはすべて、対応するインプラントにのみ適合するように、共通の形状を持つ下部領域を持つため、不適切な取り付けの可能性を除く。本発明は、ここに提示された例示的な形及び寸法に限定されず、他の寸法及び機能的構成-特に人工装具コンポーネントに関して-は、ここに示された保護の範囲から逸脱することなく、ここに記載された条件で使用することができることを明確にすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応するパーツ間の組み立てのみが可能な形状的構成を含む歯科コンポーネント及びインプラントのシステムであって以下を含むシステム:
-その頸部に直径(D
111)の少なくとも1つの領域を有する実質的に円錐の形状(11,111)、その中間部に反回転形状(12,112)、及びその中央と先端の部分に直径(D
14,D
114,D
115)長さ(L
14,L
114,L
115)の少なくとも1つの雌ネジ(14,114,115)を含む少なくとも1つのインプラント(10,100)、ただし長さ(L
111)は直径(D
111)の領域と雌ネジの開始点との間の距離である、及び
-少なくとも1つの前記インプラント(10,100)と協働する人工装具コンポーネント(20,120)、ただし、前記人工装具コンポーネント(20,120)は、インプラント(10,100)の実質的に円錐の形状(11,111)と協働する実質的に円錐の形状で、直径(D
21)のインターフェイス領域(21,121)と、少なくとも1つの直径(D
22,D
122)長さ(L
22,L
122)でインプラントの雌ネジ(14,114,115)の少なくとも1つと協働する雄ネジ(22,122)を含む、
ただし、前記システムは、インプラント(10,100)と人工装具コンポーネント(20,120)の間の完全な結合のみを可能とする形状的特徴を有するインターフェイスを含み、
前記形状的特徴は、レギュラーインプラント(10)の雌ネジ(14)のプレボアが、人工装具コンポーネント(120)のネジ(122)の外径よりもわずかに大きい直径を持つことと、インプラント(100)と人工装具コンポーネント(20)に関する下記式によって定義される:
D
111=D
21,のときL
111>L
22(1)
L
22
>=L
14
/2(式2);
D
114
>D
115
(式3)、及び
L
122
>=L
115
(式4)。
【請求項2】
レギュラー人工装具インターフェイスを有するインプラント(10)及びナロー人工装具インターフェイスを有するインプラント(100)を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
レギュラーインターフェイスを持つ人工装具コンポーネント(20)と、ナローインターフェイスを持つ人工装具コンポーネント(120)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
レギュラーインターフェイス人工装具コンポーネント(20)は、レギュラー人工装具インターフェイスインプラント(10)とのみ協働することを特徴とし、人工装具コンポーネント(20)の雄ネジ(22)はレギュラーインターフェイスインプラント(10)の雌ネジ(14)とのみ協働する、請求項1から
3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)はナローインターフェイス人工装具インプラント(100)とのみ協働し、ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)の雄ネジ(122)はナローインターフェイスインプラント(100)の雌ネジ(115)とのみ協働する、請求項1から
3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
ナローインターフェイス人工装具コンポーネント(120)は長さ(L
123)の滑らかな円筒形の中間領域(123)を含む下部支台を含むことを特徴とする請求項1、
3及び
5のいずれか1項に記載のシステム。
【国際調査報告】