(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】油圧駆動ダイヤフラムコンプレッサシステム
(51)【国際特許分類】
F04B 43/06 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
F04B43/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552158
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021058684
(87)【国際公開番号】W WO2022099220
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523167633
【氏名又は名称】ピーディーシー マシンズ インク.
【氏名又は名称原語表記】PDC MACHINES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】バビット ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー クリス
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトヒル ブライス
(72)【発明者】
【氏名】スプレンゲル マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シャイヒ ノア
(72)【発明者】
【氏名】パルミスクノ カイル
(72)【発明者】
【氏名】ベッカーマン アレックス
(72)【発明者】
【氏名】アフザル カリーム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン カール ティー.
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA11
3H077BB10
3H077CC02
3H077CC09
3H077DD09
3H077DD15
3H077EE01
3H077EE40
3H077FF03
3H077FF12
3H077FF34
3H077FF45
(57)【要約】
ダイヤフラムコンプレッサを動作させるための装置及び方法。本開示の実施形態は、コンプレッサのダイヤフラムに対して作動油を加圧するように駆動されるオイルピストンを含む。実施形態において、噴射ポンプが加圧流体の領域において作動油の補足流を提供し、このようなポンプは能動的に制御されるシステムの一部とすることができる。実施形態において、圧力逃がし弁が作動油のオーバーポンプ流を排出し、このような弁は可変とすることができる。実施形態は、噴射ポンプ及び逃がし弁の制御を含む、フィードバック及び制御機構を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧駆動コンプレッサシステムであって、
1又は2以上のダイヤフラムコンプレッサヘッドであって、前記1又は2以上のダイヤフラムコンプレッサヘッドのそれぞれが、
プロセスガス入口及びプロセスガス出口を含むプロセスガスヘッド支持プレートと、
ピストンキャビティ、入口、及び出口を含む作動油ヘッド支持プレートと、
前記プロセスガスヘッド支持プレートと前記作動油ヘッド支持プレートとの間に画定されたヘッドキャビティと、
前記油ヘッド支持プレートと前記プロセスガスヘッド支持プレートとの間に搭載され、前記ヘッドキャビティを作動油領域とプロセスガス領域とに分割している金属ダイヤフラムと、
を有し、
前記金属ダイヤフラムが、吐出サイクル中、第1の位置から第2の位置まで作動して、前記プロセスガス領域においてプロセスガスを入口圧力から吐出圧力まで加圧し、前記加圧されたプロセスガスを前記プロセスガスヘッド支持プレートの出口を通して吐出すように構成され、
前記金属ダイヤフラムが、吸込みサイクル中、前記第2の位置から前記第1の位置まで移動して、前記入口圧力のプロセスガスで前記プロセスガス領域を満たすように構成される、前記1又は2以上のダイヤフラムコンプレッサヘッドと、
作動油を増強し、前記増強された作動油を前記コンプレッサヘッドに提供するように構成された油圧ドライブであって、
ドライブキャビティを画定するドライブハウジングであって、前記油圧ドライブが、前記ドライブキャビティに作動油の可変圧力供給を提供するように構成されている、前記ドライブハウジングと、
油圧力ユニットと、
第1の圧力の作動油の第1の圧力レール、及び第2の圧力の作動油の第2の圧力レール、を含む、複数の圧力レールと、
ピストンサブアセンブリと
を有し、
前記ピストンサブアセンブリが、
前記ドライブキャビティに搭載され、第1の直径を含むダイヤフラムピストンであって、第1の可変容積領域が前記コンプレッサヘッドの作動油領域を含み、前記ダイヤフラムピストンと対応するコンプレッサヘッドのダイヤフラムとの間に画定されている、前記ダイヤフラムピストンと、
前記ドライブキャビティに配置され、前記ダイヤフラムピストンに結合されているアクチュエータピストンと
を含み、
前記アクチュエータピストンがアクチュエータ直径を有し、
前記ダイヤフラムコンプレッサヘッドの吐出サイクル中、
作動油の前記可変圧力供給が、前記アクチュエータピストンを前記ダイヤフラムピストンに向けて駆動するように構成され、前記ダイヤフラムピストンを前記対応するダイヤフラムコンプレッサヘッドに向けて駆動し、前記可変容積領域において前記作動油を増強圧力まで増強し、前記ダイヤフラムを前記第2の位置へ作動させ、
前記吐出サイクルが完了すると、前記第1の可変容積領域における前記増強された作動油を減圧すること、前記第1の圧力レールからの作動油の供給が前記ドライブキャビティに供給されて前記アクチュエータピストンに対して作用すること、前記入口圧力のプロセスガスの供給が前記ドライブキャビティに供給されて前記アクチュエータピストンに対して作用すること、の1又は2以上に起因して、前記吸込みサイクルが開始される、前記油圧ドライブと
を備えた前記油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項2】
前記第1の圧力レールが、前記ダイヤフラムコンプレッサヘッドの前のサイクルから回収された低圧作動油を含む、請求項1に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項3】
前記第2の圧力レールが、前記油圧力ユニットによって加圧された中圧作動油を含む、請求項2に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項4】
前記複数の圧力レールが、前記油圧力ユニットによって加圧された高圧作動油を含む第3の圧力レールを含む、請求項1に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項5】
前記油圧ドライブが、前記第1及び第2の圧力レールから作動油が供給された後、前記第3の圧力レールから作動油を供給することによって、作動油の前記可変圧力供給を提供するように構成されている、請求項4に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項6】
前記油圧ドライブが、前記第1の圧力レール、前記第2の圧力レール、及び前記第3の圧力レールから前記ドライブキャビティに作動油を順次提供することによって、作動油の前記可変圧力供給を提供するように構成されている、請求項4に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項7】
前記油圧ドライブが、作動油の前記可変圧力供給の圧力及びタイミングの1又は2以上を調整するように構成されたフィードバック機構をさらに含む、請求項6に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項8】
前記フィードバック機構が、前記アクチュエータピストンの位置及び速度の1又は2以上を検出するように構成されたセンサを含む、請求項7に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項9】
第1の圧力レールが前記油圧ドライブのオイルリザーバからの低圧作動油を含み、前記油圧ドライブが、
前記第1の圧力レールから前記ドライブキャビティに作動油を供給するように構成された受動的な第1の弁と、
前記第2の圧力レールから前記ドライブキャビティに作動油を供給するように構成された能動的な第2の弁と、
前記第3の圧力レールから前記ドライブキャビティに作動油を供給するように構成された能動的な第3の弁と、
をさらに有し、
前記能動的な第2の弁及び前記能動的な第3の弁の1又は2以上が、供給段から戻り段まで調整するように構成され、前記戻り段により、前記コンプレッサヘッドの前記吸込みサイクル中、前記ドライブキャビティ又は前記可変容積領域からの増強された作動油の流出が可能になる、
請求項4に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項10】
前記ピストンサブアセンブリが、前記可変容積領域において前記作動油を増強するように前記ダイヤフラムピストンを駆動するように構成された複数の中間ピストンを有する、請求項1に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項11】
前記複数のダイヤフラムピストンが、前記アクチュエータピストンの周りに軸対称に配置されている、請求項10に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項12】
前記作動油ヘッド支持プレートの入口に動作可能に接続された能動的油噴射システムをさらに備え、前記能動的油噴射システムが、前記可変容積領域に作動油の補足的供給を提供して前記コンプレッサヘッドのオーバーポンプ状態を維持するように構成されている、請求項1に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項13】
前記作動油ヘッド支持プレートの出口に動作可能に接続された圧力逃がし弁をさらに含み、前記圧力逃がし弁が、前記可変容積からオイルリザーバに作動油を排出するように構成され、
前記第1の圧力レールが前記オイルリザーバからの低圧作動油を含む、
請求項12に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項14】
前記能動的油噴射システムの前記補助的作動油は前記オイルリザーバからの作動油を含む、請求項13に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項15】
前記1又は2以上のダイヤフラムコンプレッサヘッドが、第2の吐出サイクル中、第1の位置から第2の位置まで作動するように構成された第2の金属ダイヤフラムを含む第2のダイヤフラムコンプレッサヘッドを備え、
前記油圧ドライブが、第2の吐出サイクル中、作動油を増強し、前記増強された作動油を前記第2のダイヤフラムコンプレッサヘッドに提供するように構成され、前記油圧ドライブが、第2のダイヤフラムピストンを含む前記ピストンサブアセンブリをさらに有し、
前記ピストンサブアセンブリが、
前記ドライブキャビティに搭載され、第2の直径を有する第2のダイヤフラムピストンを含み、前記第2のダイヤフラムピストンと前記第2の対応するコンプレッサヘッドの第2のダイヤフラムとの間に第2の可変容積領域が画定され、前記アクチュエータ直径が前記第2の直径より大きく、
前記第2のダイヤフラムピストン及び前記第2のコンプレッサヘッドの吐出サイクル工程中、
作動油の前記可変圧力供給が、前記アクチュエータピストンを前記第2のダイヤフラムピストンに向けて駆動するように構成され、前記第2のダイヤフラムピストンを前記対応する第2のダイヤフラムコンプレッサヘッドに向けて駆動し、前記第2の可変容積領域において前記作動油を増強圧力まで増強し、前記第2のダイヤフラムを前記第2の位置へ作動させる、
請求項1に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項16】
前記ピストンサブアセンブリが、前記コンプレッサヘッドの前記吐出サイクルと前記第2のコンプレッサヘッドの前記第2の吐出サイクルとの間で往復するように構成され、
前記第2のコンプレッサヘッドの前記第2の吐出サイクルが前記第1のコンプレッサヘッドの前記吸込みサイクルと同時である、
請求項15に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項17】
前記第2のコンプレッサヘッドの前記第2の吐出サイクルが前記第1のコンプレッサヘッドの前記吐出サイクルと同時である、請求項15に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項18】
前記コンプレッサヘッド及び前記第2のコンプレッサヘッドが前記ドライブハウジングの軸方向に対向する両側に配置されている、請求項15に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項19】
前記ダイヤフラムピストン及び前記第2のダイヤフラムピストンが前記アクチュエータピストンと同軸である、請求項18に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【請求項20】
前記第1のダイヤフラムピストンが前記アクチュエータピストンに動作可能に接続され、前記第2のダイヤフラムピストンが前記アクチュエータピストンに動作可能に接続され、
前記コンプレッサヘッドのプロセスガス領域を前記入口圧力のプロセスガスで満たす前記吸込みサイクル中、前記金属ダイヤフラムが、前記第1の位置に移動し、前記第2のコンプレッサヘッドに向かう前記ダイヤフラムピストンの移動を開始するように構成されている、
請求項15に記載の油圧駆動コンプレッサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月9日に出願された米国特許仮出願第63/111,356号及び2021年11月8日に出願された第63/277,125号の先の出願日の米国特許法第119条e項に基づく利益を主張するものであり、これらの開示を参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2021年11月9日に出願された「Active Oil Injection System For A Diaphragm Compressor」という名称の同時係属及び共同所有の米国特許出願第17/522,892号に関連するものであり、これを参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、油圧駆動システムによって駆動されるダイヤフラムコンプレッサに関する。
【背景技術】
【0004】
ダイヤフラムコンプレッサはダイヤフラムを高速で作動させてプロセスガスを加圧する。ピストンがダイヤフラムに対して作動油の供給を駆動及び増強する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態において、油圧駆動コンプレッサシステムが1又は2以上のダイヤフラムコンプレッサヘッド及び油圧ドライブを含む。ダイヤフラムコンプレッサヘッドはそれぞれ、プロセスガスヘッド支持プレート、作動油ヘッド支持プレート、ヘッドキャビティ、及び金属ダイヤフラムを含む。プロセスガスヘッド支持プレートはプロセスガス入口及びプロセスガス出口を含む。作動油ヘッド支持プレートは、ピストンキャビティ、入口、及び出口を含む。ヘッドキャビティはプロセスガスヘッド支持プレートと作動油ヘッド支持プレートとの間に画定されている。金属ダイヤフラムは油ヘッド支持プレートとプロセスガスヘッド支持プレートとの間に搭載されている。金属ダイヤフラムはヘッドキャビティを作動油領域とプロセスガス領域とに分割する。金属ダイヤフラムは、吐出サイクル中、第1の位置から第2の位置まで作動して、プロセスガス領域においてプロセスガスを入口圧力から吐出圧力まで加圧し、加圧されたプロセスガスをプロセスガスヘッド支持プレートの出口を通して吐出すように構成されている。金属ダイヤフラムは、吸込みサイクル中、第2の位置から第1の位置まで移動して、入口圧力のプロセスガスでプロセスガス領域を満たすように構成されている。油圧ドライブは、作動油を増強し、増強された作動油をコンプレッサヘッドに提供するように構成されている。油圧ドライブは、ドライブハウジング、油圧力ユニット、複数の圧力レール、及びピストンサブアセンブリを含む。ドライブハウジングはドライブキャビティを画定し、油圧ドライブは、ドライブキャビティに作動油の可変圧力供給を提供するように構成されている。複数の圧力レールは、第1の圧力の作動油の第1の圧力レール及び第2の圧力の作動油の第2の圧力レールを含む。ピストンサブアセンブリはダイヤフラムピストン及びアクチュエータピストンを含む。ダイヤフラムピストンはドライブキャビティに搭載され、第1の直径を含む。第1の可変容積領域がコンプレッサヘッドの作動油領域を含み、ダイヤフラムピストンと対応するコンプレッサヘッドのダイヤフラムとの間に画定されている。アクチュエータピストンはドライブキャビティに配置され、ダイヤフラムピストンに結合されている。アクチュエータピストンはアクチュエータ直径を含む。ダイヤフラムコンプレッサヘッドの吐出サイクル中、作動油の可変圧力供給は、アクチュエータピストンをダイヤフラムピストンに向けて駆動するように構成され、ダイヤフラムピストンを対応するダイヤフラムコンプレッサヘッドに向けて駆動し、可変容積領域において作動油を増強圧力まで増強し、そしてダイヤフラムを第2の位置へ作動させる。吐出サイクルが完了すると、第1の可変容積領域における増強された作動油を減圧すること、第1の圧力レールからの作動油の供給がドライブキャビティに供給されてアクチュエータピストンに対して作用すること、そして入口圧力のプロセスガスの供給がドライブキャビティに供給されてアクチュエータピストンに対して作用することの1又は2以上に起因して、吸込みサイクルが開始される。
【0006】
いくつかの実施形態において、第1の圧力レールは、ダイヤフラムコンプレッサヘッドの前のサイクルから回収された低圧作動油を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、第2の圧力レールは、油圧力ユニットによって加圧された中圧作動油を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、複数の圧力レールは、油圧力ユニットによって加圧された高圧作動油を含む第3の圧力レールを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、油圧ドライブは、第1及び第2の圧力レールから作動油が供給された後、第3の圧力レールから作動油を供給することによって、作動油の可変圧力供給を提供するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態において、油圧ドライブは、第1の圧力レール、第2の圧力レール、及び第3の圧力レールからドライブキャビティに作動油を順次提供することによって、作動油の可変圧力供給を提供するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態において、油圧ドライブは、作動油の可変圧力供給の圧力及びタイミングの1又は2以上を調整するように構成されたフィードバック機構をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、フィードバック機構は、アクチュエータピストンの位置及び速度の1又は2以上を検出するように構成されたセンサを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1の圧力レールは油圧ドライブのオイルリザーバからの低圧作動油を含む。油圧ドライブは、受動的な第1の弁、能動的な第2の弁、及び能動的な第3の弁をさらに含む。受動的な第1の弁は、第1の圧力レールからドライブキャビティに作動油を供給するように構成されている。能動的な第2の弁は、第2の圧力レールからドライブキャビティに作動油を供給するように構成されている。能動的な第3の弁は、第3の圧力レールからドライブキャビティに作動油を供給するように構成されている。能動的な第2の弁及び能動的な第3の弁の1又は2以上が、供給段から戻り段まで調整するように構成されている。戻り段により、コンプレッサヘッドの吸込みサイクル中、ドライブキャビティ又は可変容積領域からの増強された作動油の流出が可能になる。
【0014】
いくつかの実施形態において、ピストンサブアセンブリは、可変容積領域において作動油を増強するようにダイヤフラムピストンを駆動するように構成された複数の中間ピストンを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、複数のダイヤフラムピストンは、アクチュエータピストンの周りに軸対称に配置されている。
【0016】
いくつかの実施形態において、油圧駆動コンプレッサシステムは、作動油ヘッド支持プレートの入口に動作可能に結合された能動的油噴射システムをさらに含む。能動的油噴射システムは、可変容積領域に作動油の補足的供給を提供してコンプレッサヘッドのオーバーポンプ状態を維持するように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態において、油圧駆動コンプレッサシステムは、作動油ヘッド支持プレートの出口に動作可能に結合された圧力逃がし弁をさらに含む。圧力逃がし弁は、可変容積からオイルリザーバに作動油を排出するように構成されている。第1の圧力レールはオイルリザーバからの低圧作動油を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、能動的油噴射システムの補助的作動油はオイルリザーバからの作動油を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、1又は2以上のダイヤフラムコンプレッサヘッドは第2のダイヤフラムコンプレッサヘッドを含む。第2のダイヤフラムコンプレッサヘッドは第2の金属ダイヤフラムを含む。第2の金属ダイヤフラムは、第2の吐出サイクル中、第1の位置から第2の位置まで作動するように構成されている。油圧ドライブは、第2の吐出サイクル中、作動油を増強し、増強された作動油を第2のダイヤフラムコンプレッサヘッドに提供するように構成されている。油圧ドライブはピストンサブアセンブリをさらに含む。ピストンサブアセンブリは第2のダイヤフラムピストンを含む。第2のダイヤフラムピストンはドライブキャビティに搭載され、第2の直径を含む。第2のダイヤフラムピストンと第2の対応するコンプレッサヘッドの第2のダイヤフラムとの間に第2の可変容積領域が画定されている。アクチュエータ直径は第2の直径より大きい。第2のダイヤフラムピストン及び第2のコンプレッサヘッドの吐出サイクル工程(stroke)中、作動油の可変圧力供給は、アクチュエータピストンを第2のダイヤフラムピストンに向けて駆動するように構成され、第2のダイヤフラムピストンを対応する第2のダイヤフラムコンプレッサヘッドに向けて駆動し、第2の可変容積領域において作動油を増強圧力まで増強し、そして第2のダイヤフラムを第2の位置へ作動させる。
【0020】
いくつかの実施形態において、ピストンサブアセンブリは、コンプレッサヘッドの吐出サイクルと第2のコンプレッサヘッドの第2の吐出サイクルとの間で往復するように構成されている。第2のコンプレッサヘッドの第2の吐出サイクルは第1のコンプレッサヘッドの吸込みサイクルと同時である。
【0021】
いくつかの実施形態において、第2のコンプレッサヘッドの第2の吐出サイクルは第1のコンプレッサヘッドの吐出サイクルと同時である。
【0022】
いくつかの実施形態において、コンプレッサヘッド及び第2のコンプレッサヘッドはドライブハウジングの軸方向に対向する両側に配置されている。
【0023】
いくつかの実施形態において、ダイヤフラムピストン及び第2のダイヤフラムピストンはアクチュエータピストンと同軸である。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1のダイヤフラムピストンはアクチュエータピストンに動作可能に結合され、第2のダイヤフラムピストンはアクチュエータピストンに動作可能に結合されている。コンプレッサヘッドのプロセスガス領域を入口圧力のプロセスガスで満たす吸込みサイクル中、金属ダイヤフラムは、第1の位置に移動し、第2のコンプレッサヘッドに向かうダイヤフラムピストンの移動を開始するように構成されている。
【0025】
実施形態において、油圧ドライブは油圧アキュムレータをさらに含み、第2及び第3の弁の1又は2以上の戻り段は、ドライブキャビティからの増強された作動油の流出を油圧アキュムレータに供給するように構成されている。
【0026】
実施形態において、油圧力ユニットは、第2の圧力レールに対応する中圧アキュムレータと、第3の圧力レールに対応する高圧アキュムレータと、を含む。
【0027】
実施形態において、油圧ドライブは、第2の弁を搭載する中圧弁マニホールドと、第3の弁を搭載する高圧弁マニホールドと、を含み、中及び高圧弁マニホールドのそれぞれがドライブハウジングに搭載されている。
【0028】
実施形態において、ドライブキャビティは第1及び第2のチャンバを含み、アクチュエータピストンは、第1のチャンバ内の第1のアクチュエータピストンと第2のチャンバ内の第2のアクチュエータピストンとを含む。
【0029】
実施形態において、力バイアス機構が、第1及び第2のアクチュエータピストンの1又は2以上に貯蔵されたエネルギーを提供して吐出サイクルを開始するように構成されている。
【0030】
実施形態において、力バイアス機構は、第1及び第2のチャンバの1又は2以上に動作可能に接続された油圧アキュムレータを含み、油圧アキュムレータは、油圧ドライブの前のサイクルからの増強された作動油を貯蔵するように構成されている。
【0031】
実施形態において、油圧ドライブは、複数のダイヤフラムピストンの1又は2以上に別個に動力を供給するように構成されている。
【0032】
実施形態において、第1の主段弁が、コンプレッサヘッドの吐出サイクル中、アクチュエータピストンの第1の軸方向側に作動油の可変圧力供給を提供するように構成され、第2の主段弁が、コンプレッサヘッドの吸込みサイクル中、アクチュエータピストンの第2の軸方向側に作動油の可変圧力供給を提供するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本開示の実施形態による油圧駆動コンプレッサシステムの概略図である。
【
図2】
図1のコンプレッサシステムのコンプレッサヘッドの断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による2つのコンプレッサヘッドを備えた油圧駆動コンプレッサシステムの側面斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態による2つのコンプレッサヘッドを備えた油圧駆動コンプレッサシステムの側面斜視図である。
【
図5】
図4のコンプレッサシステムの正面立面図である。
【
図6】
図4のコンプレッサシステムの側面立面図である。
【
図7】
図4のコンプレッサシステムの上断面図である。
【
図8】
図4のコンプレッサシステムの側断面図である。
【
図9】本開示の実施形態による2つのコンプレッサヘッドを備えた油圧駆動コンプレッサシステムの油圧回路図である。
【
図10】本開示の実施形態による油圧駆動コンプレッサシステムの部分上断面図である。
【
図11A-11D】本開示の実施形態による力バイアスを備えた油圧駆動コンプレッサシステムの概略図である。
【
図12A-12E】本開示の実施形態による力カップリングを備えた油圧駆動コンプレッサシステムの概略図である。
【
図13】本開示の実施形態による能動的油噴射システムを備えた油圧駆動コンプレッサシステムの概略図である。
【
図14】本開示の実施形態による直接油圧ドライブを備えた油圧駆動コンプレッサシステムの概略図である。
【
図15A-15B】本開示の実施形態による油圧駆動コンプレッサシステムのための主段弁の動作段の断面図である。
【
図16A-16F】本開示の実施形態による油圧駆動コンプレッサシステムのための可変ピストン構成の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示すように、本開示のコンプレッサシステム100の実施形態は、プロセスガスのためにダイヤフラムコンプレッサ1に動力を供給する油圧ドライブ110を含む。この構造は、油圧増強器として作用してもしなくてもよい油圧ドライブ110を含み、これを作動させてダイヤフラムコンプレッサ1に高圧作動油を供給する。油圧ドライブの制御された運動プロファイルによりコンプレッサ1のダイヤフラム5の下方で作動油が加圧され、これによってダイヤフラム5を作動させてプロセスガスを加圧し、これが次いで吐出逆止弁7から流出する。動作時、本開示の実施形態は、作動油を圧縮してコンプレッサダイヤフラム5の片側へ駆動するダイヤフラムピストン3を含み、この高圧オイルピストンの反対側の端は油圧ドライブ110によって駆動される。
【0035】
本明細書に開示されるあらゆる実施形態に適用可能であるが、「上向き」及び「下向き」という用語は、運動の例を説明するための図を参照する際に便宜上使用されるが、限定することを意味するものではない。実施形態において、ダイヤフラムピストン3、ダイヤフラム5、及び他の構成要素は、互いに対して任意の方向、例えば左右、内外などに移動することができる。実施形態において、ダイヤフラムピストン3の作動移動がダイヤフラムに対して作動油を加圧する限り、ダイヤフラムピストン3は、ダイヤフラム5又はアクチュエータ110の構成要素に対して垂直に、又は他の角度で移動することができる。実施形態において、ダイヤフラムピストン3又は中間ピストン183は、ダイヤフラム5から離れる、又はずれる方向に移動することができる。換言すれば、ピストンの移動を、ダイヤフラム5又はコンプレッサヘッドに対して「上向き」及び「下向き」という用語として参照することによって、これらの用語は、それぞれ、「向かって」及び「離れて」と理解することができ、又は、それぞれ、「作動油を加圧する」及び「作動油を減圧する」、又は、それぞれ、「吐出サイクル」及び「吸込みサイクル」と理解することができる。
【0036】
ダイヤフラムコンプレッサ
図2に示すもののようないくつかの実施形態において、ダイヤフラムコンプレッサ1は、コンプレッサ1の吸込み及び吐出サイクルを通して容積の作動油4(油圧流体とも呼ばれる)を移動させる高圧オイルピストン3によって駆動される。作動油の容積が高圧オイルピストン3によってダイヤフラム5に向かって押されて作動油ヘッド支持プレート8(又は下部プレート)における作動油領域35を満たし、ダイヤフラム5の底に対して均一な力を及ぼすと、プロセスガスの圧縮が起こる。これにより、プロセスガス領域36とも呼ばれる、プロセスガスで満たされているガスプレート6における上部キャビティ内へとダイヤフラム5が偏向する。ガスプレート6の上部キャビティに対するダイヤフラム5の偏向により、プロセスガスがまず圧縮され、次いで吐出逆止弁7を通して排出される。オイルピストン3が逆転して吸込みサイクルを開始すると、ダイヤフラム5はオイルプレート8に向かって下向きに引かれる一方、入口逆止弁9が開き、入口圧力のプロセスガスの新鮮な充填で上部キャビティを満たす。オイルピストン3はその工程の終わりに達するとその次の工程を開始し、圧縮サイクルが繰り返される。
【0037】
本開示の実施形態は1又は2以上のダイヤフラムコンプレッサヘッド31を含み、1又は2以上のダイヤフラムコンプレッサヘッドのそれぞれが、プロセスガスヘッド支持プレート6、作動油ヘッド支持プレート8、及び金属ダイヤフラム5を含む。プロセスガスヘッド支持プレート6は、入口逆止弁9に動作可能に接続されたプロセスガス入口と、吐出逆止弁7に動作可能に接続されたプロセスガス出口とを含む。いくつかの実施形態において、作動油ヘッド支持プレート8は、オイルピストン3を受容するサイズのピストンボア32と、1又は2以上の入口逆止弁45(
図13も参照)に動作可能に接続された入口33と、1又は2以上の逃がし弁42に動作可能に接続された出口34とを含む。プロセスガスヘッド支持プレート6と作動油ヘッド支持プレート8との間にヘッドキャビティ15が画定されている。金属ダイヤフラム5はプロセスガスヘッド支持プレート6と作動油ヘッド支持プレート8との間のヘッドキャビティ15に搭載され、金属ダイヤフラムはヘッドキャビティを作動油領域35とプロセスガス領域36とに分割する。換言すれば、作動油領域35は、作動油が作動油領域35に出入りすることができるピストンボア32、作動油が作動油領域35に入ることができる入口33、及び作動油が作動油領域35を出ることができる出口34のそれぞれと流体連通している。
【0038】
いくつかの実施形態において、油圧ドライブ110が、コンプレッサヘッド31に一次作動油を供給するように構成され、油圧ドライブ110は、コンプレッサヘッド31まで延伸し、ピストンボア32を介して作動油領域35と連通するドライブキャビティ116と、ピストンボア32に搭載されたダイヤフラムピストン3とを含む。ダイヤフラムピストン3は、ダイヤフラムピストン3の頂面とダイヤフラム5の底面との間の作動油領域35の容積を画定する。ダイヤフラムピストン3及びダイヤフラム5は動的であるため、作動油領域35の容積は可変である。
【0039】
金属ダイヤフラム5は、吐出サイクル中、作動油ヘッド支持プレート8に近接する第1の位置からプロセスガスヘッド支持プレート6に近接する第2の位置まで作動して、プロセスガス領域36においてプロセスガスを入口圧力から吐出圧力まで加圧し、吐出逆止弁7を通して加圧されたプロセスガスを吐出すように構成されている。コンプレッサヘッド31の吸込みサイクル中、金属ダイヤフラム5は、第2の位置から第1の位置まで移動して、入口圧力のプロセスガスでプロセスガス領域36を満たすように構成されている。実施形態において、ダイヤフラム5は、一緒に挟まれて調和して作用する複数のダイヤフラムプレートを含むダイヤフラムセットであり、例えば2、3、4、又は5以上のダイヤフラムプレートがダイヤフラムセットを含むことができる。いくつかの実施形態において、ダイヤフラムプレートは金属から作製されている。他の実施形態において、ダイヤフラムプレートは異なる金属から作製されている。他の実施形態において、ダイヤフラムプレートの1又は2以上が金属から作製されていない。
【0040】
図3~8に示すように、実施形態において、コンプレッサシステム100は第1のダイヤフラムコンプレッサヘッド31及び第2のダイヤフラムコンプレッサヘッド51を含む。いくつかの実施形態において、第1のダイヤフラムコンプレッサヘッド31及び第2のダイヤフラムコンプレッサヘッド51は単一の油圧アクチュエータ112によって駆動される。いくつかの実施形態において、油圧アクチュエータ112は第1及び第2のダイヤフラムコンプレッサヘッド31、51の両方に動作可能に結合されて、一方のコンプレッサヘッドの吸込みサイクルが、他方のコンプレッサヘッドの吐出サイクルを開始するのを支援するようになっており、これにより、以下でさらに議論するように、コンプレッサヘッド間の力結合が生成される。他の実施形態において、第1及び第2のコンプレッサヘッド31、51は、2つの別個の油圧アクチュエータ112によって駆動される。いくつかの実施形態において、2つの油圧アクチュエータ112は、第1及び第2のコンプレッサヘッド31、51の吐出及び吸込みサイクルが同時に、又は実質的に同時に起こるように、互いに平行に又は同相で作用するように構成されている。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1のコンプレッサヘッド31と第2のコンプレッサヘッド51とは対称であり、特にダイヤフラム5は同じサイズ(例えば、同じ直径)であり、ヘッドキャビティ15は同じ容積である。他の実施形態において、第1のコンプレッサヘッド31と第2のコンプレッサヘッド51とは異なるサイズであり、その結果、プロセスガスの吐出容積が異なる。いずれの場合においても、油圧ドライブ110は、第1及び第2のコンプレッサヘッド31、51から同じプロセスガス吐出圧力又は異なるプロセスガス吐出圧力を提供するように設定又は調整可能に制御することができる。いくつかの実施形態において、コンプレッサヘッド(例えば、第1のコンプレッサヘッド31)から吐出されるプロセスガスは比較的低い圧力であり、続いてさらなる圧縮のために別のコンプレッサヘッド(第2のコンプレッサヘッド51又は図示しない別個のコンプレッサのいずれか)内へ供給することができる。
【0042】
プロセスガスは加圧に適した任意のガスとすることができる。実施形態において、プロセスガスは水素である。水素燃料電池車両では、ヘッド31、51の1又は2以上の要求される出口圧力は約10,000~12,000psiであり得る。実施形態において、例えば貯蔵及び輸送における圧力損失を考慮して、車両使用のためのタンクでは、貯蔵水素の目標圧力は約14,500psiまでである。コンプレッサからのプロセスガスの対応する吐出圧力は約15,000psiである。
【0043】
いくつかの実施形態において、コンプレッサヘッド31は200psi~15,000psiのプロセスガス出口の圧力範囲のために構成することができる。他の実施形態において、コンプレッサヘッド31は40psi~20,000psiの圧力範囲のために構成することができる。さらに別の実施形態において、コンプレッサヘッド31は300psi~15,000psiの圧力範囲のために構成することができる。いくつかの実施形態において、前述のコンプレッサヘッド31は、それぞれ、200psi、40psi、及び300psiを下回る圧力で運転することができる。いくつかの実施形態において、コンプレッサヘッド31は1:1~20:1、又はより高い圧縮比範囲を有することができる。
【0044】
油圧ドライブ及び主段弁
実施形態において、本開示は、作動油を増強又は加圧し、増強された作動油をコンプレッサヘッド31に提供するように構成されている油圧ドライブ110を含むコンプレッサシステム100に関する。いくつかの実施形態において、油圧ドライブ110は、ドライブキャビティ116を画定するドライブハウジング114、及び油圧力ユニット118(「HPU,hydraulic power unit」)を含む。他の実施形態において、油圧ドライブ110は複数の圧力レール120を、そして、さらなる実施形態において、ピストンサブアセンブリ122を含む。いくつかの実施形態において、油圧ドライブ110は、複数の圧力レール120における作動油の異なる圧力、ピストンサブアセンブリ122の構成要素の可変面積(例えば、以下で議論する可変面積構造180)、及び/又はピストンサブアセンブリの可変制御、の1又は2以上からドライブキャビティ116に作動油の可変圧力供給を提供するように構成されている。
【0045】
いくつかの実施形態において、ピストンサブアセンブリ122は、アクチュエータハウジング114に少なくとも部分的に搭載されてピストンボア32内へ延伸したダイヤフラムピストン3(高圧オイルピストンとも呼ばれる)を含む。ダイヤフラムピストン3はピストンヘッドの第1の直径124及び対応する第1の領域125を含み、第1の可変容積領域54がピストンボア32の利用可能な容積と共にコンプレッサヘッドの作動油領域35を含み、換言すれば、第1の可変容積領域はダイヤフラムピストン3と対応するコンプレッサヘッド31のダイヤフラム5との間に画定されている。ピストンサブアセンブリ122は、ドライブキャビティ116に配置されてダイヤフラムピストン3に結合されたアクチュエータピストン126を含み、アクチュエータピストンは、アクチュエータ領域129に対応するアクチュエータ直径128を含む。ダイヤフラムピストン3はアクチュエータピストン126に機械的又は油圧的に結合されてアクチュエータピストン126の移動に応答して移動する。いくつかの実施形態において、ダイヤフラムピストンはアクチュエータピストン126に機械的にしっかりと固定されているか、又はアクチュエータピストンと統一された一体の部品として形成されている。
【0046】
図7~10は、コンプレッサヘッド31及び第2のコンプレッサヘッド51を含む本開示の実施形態を示す。第2のコンプレッサヘッド51は、第2の可変容積領域142を画定する第2のダイヤフラムピストン140によって作動させる。いくつかの実施形態において、ピストンサブアセンブリ122はアクチュエータハウジング114のドライブキャビティ116に搭載され、ピストンサブアセンブリ122とアクチュエータハウジング114との間に複数の可変容積が提供されている。
図8に示すように、第1の作動容積144がコンプレッサヘッド31に向かうアクチュエータピストン126の側に画定され、第2の作動容積146がアクチュエータピストンの反対側で第2のコンプレッサヘッド51に向かって画定されている。他の実施形態は、1、3、又は3より多い可変容積を含むことができる。ピストンサブアセンブリ122の移動のため、第1及び第2の作動容積144は容積が可変である。アクチュエータハウジング114はまた、第1及び第2の作動容積144、146と連通する複数のポート147を含む。実施形態において、ポート147は、第1の作動容積のための第1のポート148及び第2の作動容積146のための第2のポート150を含む。油圧ドライブ112はそれぞれの第1及び第2のポート148、150の1又は2以上を通してこれらのアクチュエータ容積144、146の1又は2以上に動作可能に接続されている。油圧ドライブ112は、油圧ドライブの動作状態によって要求されるように作動油を供給又は作動油を排出するように構成されている。いくつかの実施形態において、1又は2以上の主段弁250がこれらのポートの1又は2以上への又はそこからの作動油の流れを制御する。
図9に示すように、いくつかの実施形態において、4つの主段弁250A~Dが、第1及び第2のアクチュエータ容積144、146のそれぞれに2つずつ設けられ、各主段弁が複数の圧力レール120の1つの圧力レールに対応する。この実施形態において、第1の作動容積144では、主段弁250Aは中圧レール132を制御し、主段弁250Bは高圧レール134を制御し、第2の作動容積146では、主段弁250Cは中圧レール132を制御し、主段弁250Dは高圧レール134を制御する。
【0047】
この特定の実施形態において、ダイヤフラムコンプレッサヘッド31の吐出サイクル中、作動油の可変圧力供給は、アクチュエータピストン126をコンプレッサヘッド31に向けて駆動するように構成され、これが次にはダイヤフラムピストン3をダイヤフラムコンプレッサヘッドの対応するダイヤフラム5に向けて駆動し、可変容積領域54において作動油を増強圧力まで増強し、そしてダイヤフラム5を第2の位置まで作動させる。この実施形態において、アクチュエータピストン126は、ダイヤフラムピストン3、ダイヤフラム5と、そしてそうでなければコンプレッサヘッド31と軸方向に位置を合わせている。他の実施形態において、アクチュエータピストン126及びダイヤフラムピストン3の少なくとも1つが、ダイヤフラム5、そしてそうでなければコンプレッサヘッド31と軸方向に位置を合わせていない。これらの実施形態において、ダイヤフラムピストン3は、ダイヤフラム5に、そしてそうでなければコンプレッサヘッド31に対して少なくとも1つの非軸方向から作動油領域35に配管又は発送される作動油を増強する。
【0048】
吐出サイクルが完了すると、吸込みサイクルが開始される。いくつかの実施形態において、可変容積領域54における増強された作動油が減圧されること、入口圧力のプロセスガスの供給がドライブキャビティに供給されること、そして作動油の低圧供給がアクチュエータピストン126の上方でドライブキャビティ116に(例えば、低圧レール130から)供給されることの1又は2以上のため、吸込みサイクルが開始され、ダイヤフラムピストン3が後退し始める。実施形態において、作動油は圧縮性流体である。これらの実施形態において、可変容積領域54が高圧下にあると、作動油は低圧の作動油に対して分子レベルで体積が圧縮される。油圧アクチュエータ112がダイヤフラムピストン3を駆動するのをやめると、この圧縮された作動油は減圧されて膨張することができ、これは、ダイヤフラムピストン3に力を加えてその移動を開始するのに十分であり、これによってダイヤフラムピストン3及びアクチュエータピストン126をその初期位置に押し戻すのを支援することができる。
【0049】
実施形態において、アクチュエータピストン126がドライブキャビティ116においてその工程の底又はその近くにあるとき、吐出サイクル動作が始まる。この時点で、入口圧力プロセスガスがコンプレッサヘッド31のプロセスガス領域36を満たしており、ダイヤフラム5は作動油ヘッド支持プレート8に近接するその工程の底にある。ダイヤフラム運動が所望されるとき、主段弁250(油圧制御弁とも呼ばれる)を作動させて、油圧力ユニット118及び/又は複数の圧力レール120の1又は2以上からアクチュエータピストン126の後方のドライブキャビティ116内への加圧された作動油の流れを可能にし、アクチュエータピストン126をコンプレッサヘッド31に向かって押しやる。アクチュエータピストン126が移動すると、ダイヤフラムピストン3も移動し、ダイヤフラム5の下方で作動油を加圧する。この油圧がプロセスガス領域36におけるプロセスガスの圧力より大きくなると、ダイヤフラム5は上向きに移動し、これによってプロセスガスを加圧する。プロセスガス領域35内のプロセスガス圧力が目標プロセスガス圧力に達すると、プロセスガスは吐出逆止弁7から排出される。
【0050】
一実施形態において、プロセスガスのすべて又はほとんどがダイヤフラム5によってプロセスガス領域35から押し出された後、主段弁250はアクチュエータピストン126の下方でドライブキャビティ116に油圧流を提供するのをやめ、アクチュエータピストン126は上向きに作動するのをやめる。主段弁250を次いで作動させてドライブキャビティ116をアクチュエータピストンの上方で複数の圧力レール120の低圧レールに接続する。
【0051】
他の実施形態において、ダイヤフラムコンプレッサ31の吸込み又は吸入工程中、入ってくるプロセスガスはダイヤフラム5の下方で作動油を加圧し、これがダイヤフラムピストン3に力を印加し、これによってアクチュエータピストン126をその初期位置に押し戻すのを支援する。
【0052】
いくつかの実施形態において、(1)複数の圧力レール120からの高圧レール134からの高圧作動油の供給(以下に詳述)、(2)中圧レール132からの中圧作動油の供給、(3)低圧レール130からの低圧作動油の供給、及び(4)入口圧力でのプロセスガスの供給、の1又は2以上をアクチュエータピストン126の底側のドライブキャビティ116に供給するため、吐出サイクルが開始され、アクチュエータピストン126が移動し始める。実施形態において、上の供給(3)及び/又は(4)は、供給(2)又は(1)が始まると同時又はその直前のいずれかに、供給(2)又は(1)を「支援」するように機能する。このような実施形態において、供給(3)及び/又は(4)は、コンプレッサシステム100によって既に費やされているエネルギーを利用/回収することによって、又は中圧レール132及び/又は高圧レール134に供給するのに費やされる時間を減少させ、その結果、中圧及び高圧に加圧される作動油の容積を減少させることによって、HPU118によって費やされるエネルギーの量を減少させることによって、エネルギーの節約を提供する。
【0053】
以下に詳述するように、いくつかの実施形態において、ピストンサブアセンブリ122は、ダイヤフラムピストン3によって印加される力の追加制御及びHPU118からの供給の効率的な管理を提供する可変面積構造180を含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、主段弁250はHPU118及び複数の圧力レール120のアクチュエータ112とのインターフェースを制御する。換言すれば、主段弁は油圧ドライブ110のアクチュエータ112内への作動油のいかなる加圧された油圧供給をも制御する。実施形態において、主段弁250は、
図15A(排出段)及び15B(供給段)に示すように、能動的に制御される三段弁である。
【0055】
他の実施形態において、とりわけ、ポペット、スプール、方向、比例及びサーボ弁を含む、他の弁タイプが採用される。異なるタイプの弁を主段弁250として使用してシステムを異なる方法で動作させることもできる。いくつかの実施形態において、比例弁が固定供給圧力でシステム内への流れを制御する。このように弁を使用して、油圧駆動アクチュエータの移動を加速又は減速して所望のプロファイルに適合させること、又はアクチュエータ112が上死点又は下死点に近づくにつれてその速度を減少させることもできる。
【0056】
他の実施形態において、デジタル又はオン/オフ弁により、固定流量面積で主段弁250に完全な流れを供給する(又はそこから排出する)ことが可能になる。これらの弁が作動油の加圧供給に対して開くと、最大流量面積が露出し、弁にわたる差圧によって決定されるような主段弁250内への完全な流れが可能になる。二方弁としての実施形態ではこれらの弁を閉じて油圧アクチュエータ112への流れを遮断する。三方弁としての実施形態ではこれらの弁は油圧アクチュエータ112を液抜きすることもできる。さらに他の実施形態において、デジタルオン/オフ弁の一変形は、直列に開いて油圧ドライブ内の可変領域への流れを可能にすることもできる複数の出口ポートを有する。この弁において、内部スプールはその移動の一部のみを移動させて単一の出口ポートへの流れを開き、次いでスプールがその移動を続けると追加の出口ポートが開く。いくつかの方法でデジタル弁の動作を実現することができる。実施形態において、デジタル主段弁250は、弁を駆動するソレノイドで動作する。他の実施形態において、デジタル主段弁250は一組の二方パイロット弁で動作して、弁スプールを駆動するようにパイロット流体の供給を制御する。他の実施形態において、デジタル主段弁250は単一の三方パイロット弁で動作して、弁スプールを駆動するようにパイロット流体の供給を制御する。
【0057】
実施形態において、主段弁250は上の弁タイプの1又は2以上の組み合わせとすることができるということが理解されよう。
【0058】
実施形態において、様々な制御及び監視構造をコンプレッサシステム100で実装することができる。いくつかの実施形態において、フィードバック機構が、コンプレッサシステム100の性能又は状態を検出するように構成され、これは次いでユーザに伝達又は利用されて作動油の変圧供給の圧力とタイミングの1又は2以上を調整する。いくつかの実施形態において、フィードバック機構は、アクチュエータピストン126の位置及び速度の1又は2以上を検出するように構成されたセンサを含む。他の実施形態において、フィードバック機構は、プロセスガスの吐出圧力、作動油領域35における作動油の増強圧力、作動支持プレートの出口34を通るオーバーポンプ容積、オーバーポンプ圧力、複数の圧力レール120の1又は2以上における圧力、主段弁250を通る圧力又は流量の1又は2以上を検出する。
【0059】
油圧力ユニット及び圧力レール
いくつかの実施形態において油圧力ユニット118(「HPU」)によって提供される油圧システム圧力は0~5000psiの範囲であるが、他の実施形態においてより高い油圧が実装される。実施形態におけるHPU118は、動作要件に基づくように、単一のポンプ/モータ、多くの小さなポンプ/モータシステム、又はより少ないより大きなポンプ/モータシステム、又はこれらの組み合わせを含む。実施形態において、油圧駆動システム100は、動作モード全体を通して油圧を能動的に制御するため、能動的に制御される圧力補償ポンプなどを含む。この能動的制御により、システム要件を満たすためにエネルギー消費を最小化することによって油圧駆動システム100を効率的に動作させることが可能になる。HPU118は、ある圧力で作動油をドライブキャビティ116に提供するように構成され、いくつかの実施形態において、この圧力は、例えば、ピストン面積に対して供給面積を増加させることによって増強される。
【0060】
いくつかの実施形態では、油圧エネルギー消費を最小化するため、油圧システム100の可変圧力構造が作動油の可変圧力供給を提供していかなるアクチュエータピストン126に加えられる圧力にも段階的又はアナログ変化を提供する。プロセスガスが圧縮される(すなわち、プロセスガス領域36におけるプロセスガスがダイヤフラム5の移動のために圧縮される)につれて、プロセスガスによってダイヤフラムピストン3に作用する圧力が変化するため、可変圧力構造により、ピストンを移動させるのに要求されるよりはるかに多くのエネルギー入力であろう、最大圧力が要求されない工程の一部を通して、油圧駆動システム100が最大要求圧力未満を供給することが可能になる。換言すれば、プロセスガスがその最高圧力にあるとき、その工程の終わりでアクチュエータピストン126を移動させるのに要求される圧力は、アクチュエータピストン126の工程の初期部分では要求されず、アクチュエータピストン126の工程全体に沿って最大圧力を印加することは必要以上の圧力を印加し、したがってエネルギーを浪費する。実施形態において、油圧駆動システム100は各工程のかなりの部分で最大未満の圧力をアクチュエータピストン126に印加する。
【0061】
実施形態において、異なる動作モードについて、油圧ドライブ110は、複数の異なる設定圧力(圧力レールとも呼ばれる)で供給される作動油を供給することができる。いくつかの実施形態において、これは、HPU118全体を使用して高い設定圧力まで圧送し、次いで圧力調節器を介してレールにおいてより低い圧力まで作動油を絞ることによって達成される。他の実施形態において、HPU118は、絞り損失を排除するため、複数の圧力レール120のいくつか又はすべてに個々に供給する個別の圧力を生成する個別のポンプ/モータセットを使用する。本開示に適用可能な実施形態は絞られた作動油と個別のポンプ/モータセットの組み合わせとして複数の圧力レール120を実装する。また、いくつかの実施形態において、上のアプローチのいずれか一方又は両方を使用して、複数の圧力レール120の1又は2以上に含まれる1又は2以上のアキュムレータを充填する。
【0062】
実施形態において、圧力レールのための設定値は油圧アクチュエータ112の感知された状態に応答し、力の要求が増加するにつれて圧力を増加させる。例えば、高周波サイクリングで適用可能であるいくつかの実施形態において、複数の圧力レール120の1又は2以上のための圧力は、所定の出口プロセスガス圧力を提供するように計算された固定圧力に設定される。このプロセスガス圧力により、例えば油圧アクチュエータの既知の露出油圧面積に基づいて、最大要求油圧が決定されることになる。
【0063】
可変圧力構造の実施形態において、低圧レール130を実装して、より高い圧力が必要とされないとき(例えば、周囲圧力の作動油又は他の比較的低圧の作動油で十分であるとき)、油圧システム100に「埋め戻し」又は「支援」油圧供給を提供する。いくつかの実施形態において、油圧アクチュエータがその工程の終わりから移動し始めると、吸入工程プロセスガスによってダイヤフラム5に課せられる力がダイヤフラムピストン3に、そしてその結果アクチュエータ112に支援力を課す。いくつかの実施形態において、この力は、HPU118からの最小圧力で、又は利用可能な作動油に油圧を追加することなく、アクチュエータ112を移動させる、又はアクチュエータ112の移動を開始するのに十分であり得る。しかしながら、ドライブキャビティ116は、作動容積144、146の1つを埋め戻してアクチュエータ112が反対方向に移動することを可能にする作動油の供給を依然として必要とすることになる。しかしながら、いくつかの実施形態において、絞られた高圧流体をドライブキャビティ112に供給することはエネルギー効率が悪いことがあり、工程のこの段階で必要以上の圧力を提供することがあるが、低圧供給レール130が、絞り損失又は加圧及び絞りに費やすエネルギーが最小の又はない状態でこの低圧作動油を提供することができる。低圧レール130にはいくつかの方法で供給することができる。実施形態において、低圧レール130は、次のもの、すなわち、HPU118からの非加圧作動油、AOIS30のオイルリザーバ38(以下で議論する)、前のサイクルにおいてドライブキャビティ116から排出された作動油(例えば、以下で議論するように、弁を介して排出されて油圧アキュムレータ136Dに貯蔵される増強された作動油)、可変容積領域54における作動油、入口圧力のプロセスガス、又はコンプレッサシステム100における他の供給源の1又は2以上からの比較的低圧の作動油を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、複数の圧力レール120は、高圧作動油の絞り供給又はHPUの1又は2以上のポンプ/モータからの直接供給のいずれかによってHPU118によって加圧された作動油を含む中圧レール132を含む。いくつかの実施形態において、複数の圧力レール120は、HPU118によって加圧された高圧作動油を含む高圧レール134を含む。低圧レール130、中圧レール132、及び高圧レール134のいずれも、異なる設定圧力の複数の圧力レールとして実装することができるということが理解されよう。換言すれば、実施形態における複数の圧力レール120は、異なる低圧の1、2、3、又は4以上の低圧レール130、異なる中圧の1、2、3、又は4以上の中圧レール132、及び異なる高圧の1、2、3、又は4以上の高圧レール134を含む。複数の圧力レール130の追加レールにより、例えば吐出サイクル中にアクチュエータピストン126に供給される圧力の増加を制御する際に、コンプレッサシステム100のより細かな調整及び制御が可能になる。いくつかの実施形態において10より多くの圧力レール120を使用することができる。他の実施形態において、HPUが無限に可変の圧力レール120のセットを供給することができる。
【0065】
上で議論したように、実施形態において油圧駆動システム100は、低圧レール130及び/又は中圧レール132から作動油が供給された後に高圧レール134から作動油を供給することによって作動油の可変圧力供給を制御するように構成されている。いくつかの実施形態において、油圧駆動システム110は、低圧レール130、中圧レール132、及び高圧レール134からドライブキャビティ116に作動油を順次供給することによって作動油の可変圧力供給を制御するように構成されている。低圧動作条件又は要件を備えた実施形態において、低圧レール130及び中圧レール132からドライブキャビティ116に作動油を提供するのみで十分であることがある。換言すれば、いくつかの実施形態において、高圧レール134が存在するが、低圧動作条件又は要件中には使用されないことがある。これは、例えば、プロセスガスを高圧に圧縮することができるコンプレッサヘッド31を使用してプロセスガスを比較的低い圧力に圧縮する場合に有用であり得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、複数の圧力レール120はそれぞれドライブキャビティ116に動作可能に接続され、アクチュエータピストン126の一方又は両側で供給され得る。実施形態において、油圧ドライブ110は、低圧レール130からドライブキャビティ116に作動油を供給するように構成された受動的な第1の弁131と、中圧レール132からドライブキャビティに作動油を供給するように構成された能動的な三段の第2の弁133とを含む。いくつかの実施形態は、高圧圧力レール134からドライブキャビティ116に作動油を供給するように構成された能動的な三段の第3の弁135をさらに含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、能動的な三段の第2の弁133及び能動的な三段の第3の弁135のそれぞれが、供給段から戻り段まで調整するように構成され、戻り段により、コンプレッサヘッド31の吸込みサイクル中のドライブキャビティ116からの増強された作動油の流出が可能になる。実施形態において、油圧アキュムレータ136Dがドライブキャビティ116からの増強された作動油の流出を受け入れる。いくつかの実施形態における油圧アキュムレータ136Dは、低圧レール130、中圧レール132又は高圧レール134として機能する。
【0068】
したがって、低圧レール130にいくつかの方法で供給することができる。高圧供給からの流体流を所望の圧力まで下方に調節することができるが、この方法は、高圧流体を直接アクチュエータキャビティ内へ絞るのと同じくらいエネルギー効率が悪い。所望の低圧レール圧力まで流体を圧送するのみである別個の油圧力供給を使用することができる。低圧レールに流体を供給するための代替方法は、その工程の終わりで油圧駆動ピストンから排出されている流体を捕捉することである。この流体は油圧リザーバに分流され、元の圧力レール源より低いが、周囲又はHPUのための源圧力より高い圧力で貯蔵することができる。
【0069】
低圧レール130から油圧アクチュエータ112内への流れを供給することはいくつかの方法で達成することができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータ112への流れを可能にするように開き、次いで高圧流体が要求されるときに閉じる油圧弁(受動的な第1の弁131の代わりの)を通して流体を供給することができる。他の実施形態において、吸込みサイクル中のプロセスガスの吸入によって課せられる力のために油圧アクチュエータ112が移動し始めると開く、受動的な第1の弁131のような逆止弁を通して流れを供給することができる。これは受動弁であるため、高圧流体がアクチュエータキャビティに供給されると、高圧流体によって弁が強制的に閉じられるため、作動させる必要がない。あるいは、三方弁を使用して高圧流体を油圧アクチュエータ112に供給し、所望されるときに排出することができる。このレールの排出口は、上で概説したように、低圧レール130に接続することができる。このシナリオにおいて、アクチュエータが移動し始めると、低圧レール130からの流体が受動的な第1の弁131を通って油圧アクチュエータ112内へ逆流する可能性がある。いくつかの実施形態において、この弁がアンダーラップスプールを有すれば、弁が高圧流体を供給するように移動するときに流れの中断がなくなり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、中圧レール132が高圧レール134の約50%の圧力に設定される。他の実施形態において、中圧レール132が高圧レール134の約40%~60%の圧力に設定される。いくつかの実施形態において、高圧レール134は約5,000psiの圧力に設定され、中圧レール132は2,500psi~3,000psiに設定され、低圧レール130は約500psiに設定される。他の実施形態において、高圧レール134は、3,000psi、5,000psi、及び7,500psiから選択される圧力に設定される。いくつかの実施形態において、高圧レール134及び中圧レール32の少なくとも1つが、それぞれのレールについての最大圧力から可変となるようにHPUによって制御される。他の実施形態において、高圧レール134及び中圧レール132の少なくとも1つが、それぞれのレールについての最大圧力の0%~100%の範囲で可変となるようにHPUによって制御される。さらなる実施形態において、高圧レール134及び中圧レール132の少なくとも1つが、それぞれのレールについての最大圧力の50%~100%の範囲で可変となるようにHPUによって制御される。いくつかの実施形態において、高圧レール134は約0psi~約5,000psiまでの可変圧力を有する。
【0071】
いくつかの実施形態において、HPUは圧力レール120ごとに1つのモータ及びポンプを含む。いくつかの実施形態において、低圧レール130はモータ及びポンプを含まない。他の実施形態において、HPUは圧力レール120ごとに1より多くのモータ及びポンプを含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、コンプレッサ1は2つの段、例えば低圧段及び高圧段を含むことができる。いくつかの実施形態において、これらの段は、それぞれ、第1のコンプレッサヘッド31及び第2のコンプレッサヘッド51を含む。これらの実施形態は、それぞれ、高圧段のための高圧レール134と、より低い圧力に設定されている低圧段のための高圧レール134とを含むことができる。同様に、他の実施形態は、それぞれ、高圧段のための中圧レール132と、より低い圧力に設定されている低圧段についての中圧レール132とを含むことができる。これらの実施形態はまた1又は2以上の低圧段130を含むことができる。いくつかの実施形態において、レール120の数は等式2n+1によって表され、ここでnは唯一の動作圧力で動作する段の数である。上の例において、これは2(2)+1=5段を含むことになるであろうが、低圧段及び高圧段で同じ動作条件を備えた複数のこのような二段コンプレッサであれば、これらの同じ5つの圧力レール120で動作することができる。
【0073】
いくつかの実施形態は、低圧レール130の有無にかかわらず、単一の圧力レール120のみを使用する。これらの実施形態において、コンプレッサ1は、2つの段、例えば低圧段及び高圧段を含むことができる。いくつかの実施形態において、これらの段は、それぞれ、第1のコンプレッサヘッド31及び第2のコンプレッサヘッド51を含む。これらの実施形態において、ピストンサブアセンブリ122及びアクチュエータハウジング114のそれぞれの可変容積の面積は、アクチュエータピストン126の側でコンプレッサヘッド31に向かって画定される第1の作動容積144と、アクチュエータピストンの反対側で第2のコンプレッサヘッド51に向かって画定される第2の作動容積146と、を含むことができる。これらの実施形態において、第2の作動容積の面積は第1の作動容積の面積より大きく、その結果、アクチュエータが、同じ圧力レール120を使用しながら、第1のコンプレッサヘッド31より第2のコンプレッサヘッド51において大きな力で作動する。他の実施形態は、アクチュエータピストン126の側でコンプレッサヘッド31、51のいずれかに向かって画定された1、3、又は3より多くの可変容積を含むことができる。
【0074】
図14に示す一実施形態において、HPU118は、油圧アクチュエータ112及びピストンサブアセンブリ122を省略して直接ダイヤフラム5に作用するように構成されている。主段弁250はHPU118に動作可能に接続されてダイヤフラム5への直接の作動油の供給を制御する。実施形態において、複数の圧力レール120の任意の1又は2以上が1又は2以上の主段弁250によって実装及び制御される。
【0075】
力バイアス
本開示の実施形態は、
図11A~Dに示す力バイアス構造160を採用し、これは、
図1の基本的な油圧駆動システム100と同様でありながら、駆動サイクル中にエネルギー回収機構も提供する。力バイアス構造160の実施形態は、油圧増強器として作用してもしなくてもよいタンデム油圧ドライブ161を含み、これは、ダイヤフラム5の下方で高圧作動油を提供してダイヤフラムコンプレッサ31を作動させるように作動する。実施形態において、力バイアス構造又は機構は、第1及び第2のアクチュエータピストン166、170の1又は2以上に貯蔵エネルギーを提供してコンプレッサの吸込みサイクルを開始するように構成されている。エネルギー回収機構はタンデム油圧ドライブ161に予荷重又は力バイアスを印加し、タンデムアクチュエータ162を最初に移動させる力及びエネルギー要件を低減する。この力バイアスを提供するいかなるエネルギー回収機構でも、印加される力バイアス力の大きさは動作要件に基づいて事前設定又は能動的に調整することができる。
【0076】
図11A~Dに示すように、実施形態においてタンデム油圧ドライブ161はそれぞれの第1のアクチュエータピストン166を備えた第1のチャンバ164及びそれぞれの第2のアクチュエータピストン170を備えた第2のチャンバ168を含み、第1及び第2のアクチュエータピストン166、170は、共通のシャフト172によってしっかりと接続されている。第1及び第2のチャンバ164、168の少なくとも1つが、HPU118及び/又は複数の圧力レール120の1又は2以上に動作可能に接続されている。したがって、
図1においてドライブキャビティ116は単一のアクチュエータピストン126のための単一のチャンバであるが、力バイアス構造160の実施形態において、ドライブキャビティはタンデムアクチュエータ162のための第1及び第2のチャンバ164、168を含む。いくつかの実施形態において、アクチュエータピストン又は個々の第1及び第2のアクチュエータピストン166、170は、上で議論した可変面積構造180の態様を組み込む。
【0077】
図11A~Dを参照すると、アキュムレータ136Dによって油圧的に提供される力バイアスを備えたコンプレッサヘッド31の吐出及び吸込みサイクルの一実施形態が示されている。
図11Aに示すコンプレッサヘッド31の吐出工程では、タンデムアクチュエータ162がその工程の底又はその近くにあるとき、動作が始まる。この時点で、低圧プロセスガスがプロセスガス領域36を満たし、ダイヤフラム5はその工程の底で作動油ヘッド支持プレート8に近接している。
【0078】
図11Bにおいて、ダイヤフラム運動が所望されるとき、主段弁250を作動させて、高圧作動油が第1のアクチュエータピストン166の後側に抗して第1のチャンバ164内へ流れてタンデムアクチュエータ162を上向きに押しやることを可能にする。油圧駆動タンデムシリンダが上に移動すると、高圧オイルピストンはダイヤフラムの下方で作動油を加圧する。この油圧はガスチャンバ圧力より大きいため、ダイヤフラムは上向きに移動し、これによってガスチャンバ内のプロセスガスを加圧する。ガスチャンバ内のガス圧力が目標プロセスガス圧力に達すると、プロセスガスは出口ガス逆止弁7から排出される。プロセスガスのすべて又はほとんどが排出された後、主段弁250はアクチュエータピストン162の底側への流れを提供するのをやめ、タンデム油圧ドライブ161は上向きに作動するのをやめる。
【0079】
続いて、
図11Cに示すコンプレッサヘッド31の吸込みサイクルでは、主段弁250を作動させて第1のチャンバ164を作動油の供給源(例えば、低圧レール130)に接続して第1のアクチュエータピストン166の上方を埋め戻す。ダイヤフラムコンプレッサ31の吸気工程中、プロセスガスはダイヤフラム5の下方で作動油を加圧し、これが高圧オイルピストン3に力を印加し、これによってタンデムアクチュエータ162をその初期位置に押し戻すのを支援する。
【0080】
しかしながら、タンデムアクチュエータ162が下に移動しているとき、第2のアクチュエータピストン170によって流体が加圧され、このエネルギーはエネルギー貯蔵機構に貯蔵される。
図11A~Dの図示の実施形態において、油圧アキュムレータ136Dは加圧流体を介してエネルギーを貯蔵する。このように、油圧アキュムレータ136Dは、タンデム油圧ドライブ161の前のサイクルからの増強された作動油を貯蔵するように構成されている。
【0081】
このアキュムレータ136D又は他のエネルギー貯蔵機構はタンデムアクチュエータ162に予荷重又は力バイアスを印加し(例えば、
図11Cの見方において上向き方向の力バイアス)、タンデムアクチュエータの移動を開始するため及びダイヤフラムコンプレッサ31を作動させるための追加の力要件を低減する。
【0082】
図11Dに示すように、プロセスガスは次いで、ダイヤフラム5を押すことによって第1のアクチュエータピストン166をその初期位置に押し戻すのを支援する。タンデムアクチュエータ162がその工程の底又はその近くにくると、油圧アキュムレータ136Dの一定の力バイアスが第2のアクチュエータピストン170に作用する。
【0083】
したがって、いくつかの実施形態における力バイアス構造160は油圧アキュムレータ136Dを組み込んで加圧流体の形態でエネルギーを貯蔵する。このような実施形態において、第2のチャンバ168はアクチュエータハウジング114に追加され、共通の駆動シャフト172で動作可能である。油圧アキュムレータ136Dは第2のチャンバ168に接続されている。ダイヤフラムピストン3が吸入工程ガスによって駆動されてコンプレッサ31から戻されると、流体が油圧アキュムレータ136D内へ圧送されて回収のために貯蔵される。他の実施形態において、タンデムアクチュエータ162の後部の第1のチャンバ164はドライブキャビティとして、そして第2のチャンバ168はエネルギー貯蔵のために機能する。さらに他の実施形態において、油圧アキュムレータ136Dは、第1及び第2のチャンバ164、168の両方に動作可能に接続されて、いずれか又は両方のチャンバに力バイアスを選択的に印加して第1及び第2のアクチュエータピストン166、170の1又は2以上に貯蔵されたエネルギーを提供して吐出サイクルを開始する。
【0084】
前述のように、他の実施形態において、エネルギー貯蔵機構は、ピストンについての吐出工程の方向に常に力を印加するように構成されている油圧アキュムレータ以外の機構とすることができ、実施形態においてエネルギー貯蔵機構は、ばね、重力によって影響される重りなどとすることができる。
【0085】
力結合
いくつかの実施形態において、
図12A~Dに示す力結合構造190を通して別のエネルギー回収機構を設けることができる。この構造の一実施形態が
図7~10にも示されている。この構造のいくつかの実施形態は、複動ダブルロッドであるアクチュエータピストン126によって駆動される一対の対向するダイヤフラムコンプレッサヘッド1、2を含み、アクチュエータピストン126は油圧増強器として作用してもしなくてもよく、高圧作動油を提供してダイヤフラムコンプレッサを作動させるように作動する。いくつかの実施形態において、力結合設計は、基本の油圧駆動概念(例えば、
図1)と同様であり、2つのダイヤフラムピストン3、140を共通シャフト192にしっかりと接続する。2つの加圧作動容積144、146には交互に加圧流体が供給され、コンプレッサ1、2のいずれかに向けてシャフトアセンブリを前後に駆動するように液抜きされる。力結合構造190はアクチュエータ112に力結合を課し、油圧ドライブ結合シリンダを移動させてダイヤフラムを作動させるための追加の力及びエネルギー要件を低減する。これらのダイヤフラム5は互いに対向して位相が異なるため、吸入工程プロセスガスによって一方のダイヤフラムに課せられる力は対向するダイヤフラムの圧縮工程中に支援力を課す。
【0086】
図12A~Dを参照すると、力バイアスを備えた2つの対向するコンプレッサヘッド31、51を備えたコンプレッサシステムの吐出及び吸込みサイクルの一実施形態が示されている。
図12Aにおいて、アクチュエータピストン126がその工程のいずれかの端又はその近くにあるとき、動作が始まる。この時点で、プロセスガスが単一のダイヤフラムコンプレッサヘッド31を満たし、対向する第2のコンプレッサヘッド51からプロセスガスが完全に排出される。
【0087】
図12Bにおいて、ダイヤフラム運動が所望されるとき、主段弁250を作動させて、加圧された作動油がアクチュエータピストン126の一方の側へ流入してプロセスガスで満たされているコンプレッサヘッド31に向かって油圧ドライブ結合シリンダを押し上げることを可能にする。アクチュエータピストン126が移動すると、高圧オイルピストン3はダイヤフラム5の下方で作動油を加圧する。この油圧はプロセスガスの圧力より大きいため、ダイヤフラム5は上向きに移動し、これによってプロセスガスを加圧する。プロセスガス圧力が目標プロセスガス圧力に達すると、プロセスガスは出口ガス逆止弁7から排出される。プロセスガスのすべて、又はほとんどがプロセスガス領域36から押し出された後、主段弁250は油圧流を提供するのをやめ、アクチュエータピストン126は作動するのをやめる。
【0088】
図12Cにおいて、ダイヤフラム運動が反対方向に所望されるとき、主段弁250を作動させてアクチュエータピストン126の反対側に圧力を提供し、これによってアクチュエータピストンを反対方向に押しやって第2のコンプレッサ2においてガスを圧縮する。油圧ドライブ112が第2のコンプレッサ2内でガスを加圧するとき、コンプレッサ1はその吸気工程を受けており、プロセスガスがダイヤフラム5の下方で作動油を加圧し、これがコンプレッサ1内でダイヤフラムピストン3に力を印加し、これによって対向するダイヤフラム5の圧縮工程中に支援力を提供する。この支援力により、第2のコンプレッサ2においてガスを圧縮するためにHPU118から要求される力が減少する。
【0089】
図12Dに移ると、この時点で、プロセスガスが単一のコンプレッサヘッド31のプロセスガス領域36を満たし、対向する第2のコンプレッサヘッド51のプロセスガス領域36はプロセスガスが完全に排出される。この構成において、コンプレッサ1はプロセスガスで満たされ、第2のコンプレッサ2はガスが完全に排出される。
【0090】
ピストン構造
いくつかの実施形態において、ピストンサブアセンブリ122は、複数の中間ピストン182又は入れ子ドライブ184を設けることによって可変面積構造180として調整可能に調整することができ、このような実施形態において、駆動ピストン3に適用される有効直径は複数のダイヤフラムピストン182の面積の合計である。
【0091】
油圧エネルギー消費を最小化するため、実施形態において可変面積構造180を実装してピストンサブアセンブリ122の任意の油圧駆動シリンダ(例えば、アクチュエータピストン126又はダイヤフラムピストン3)に露出有効面積の段階的又はアナログ変化を提供する。プロセスガス領域36内のプロセスガスが圧縮されるにつれて、プロセスガスによってダイヤフラムピストン3に対して作用する力が変化するため、可変面積構造を適用することにより、各構造が工程全体を通して一定の有効面積及び対応する最大圧力を維持するよりむしろ、要求される有効面積のみを露出させて高圧オイルピストンを作動させることが可能になる。一定の有効面積、及び対応する最大圧力が、工程の初期部分においてダイヤフラムピストン3を移動させるのには要求されず、したがって結果としてエネルギーの浪費になる。とりわけ、伸縮式シリンダ又は複数のピストンによって可変面積構造を作成することができる。複数のピストンを、線形、食い違い状、又は同一の広がりを含む様々な配置にすることができ、1又は2以上のピストンを異なるサイズにすることができる。この変形例はあらゆる力結合又は力バイアス構造に適用することができる。
【0092】
タンデムシステムの1つの段上の露出油圧面積が第2の段上より少ない、又はその逆である縮小面積モードで、システムのいくつかの実施形態を動作させることもできる。これにより、異なるプロセスガス吐出圧力を提供しながら、両方の段を同じ固定圧力供給で動作させることが可能になり得る。これによりHPU118の供給ポンプのためのより効率的な圧力点での動作が可能になる。これにより、システムの負荷要件が増加又は減少するとき、全体的な圧力レールの変動を低減することが可能になり得る。
図16A~Fは可変面積構造180の実施形態を示す。
【0093】
図16Aに示すいくつかの実施形態において、2チャンバ力結合リニアアクチュエータが2つの追加の加圧キャビティを追加し、その結果、合計4つのキャビティ186A~D及び3つの中間ピストン183A~Cがある。可変面積動作では、中央ピストン183Bを一方のコンプレッサ及びダイヤフラムピストン3に向かって駆動するとき、一次キャビティ186C又は二次キャビティ186Dの一方又は両方に加圧流体を供給することができる。図示の実施形態において、一次及び二次キャビティ186C、186Dの油圧容積は等しい。他の実施形態におけるこれらの2つのキャビティ186C、186Dは、追加の可変面積機能を提供するようにわずかに異なる面積を備えたサイズである。
【0094】
さらに他の実施形態において、可変面積構造180はピストンアレイであり、その実施形態を
図16B~Eに示す。すべてが共通の軸を共有するアクチュエータピストン166、170又は中間ピストン183A~Cを使用する他の実施形態とは対照的に、ピストンアレイが、共通のシャフト(例えば、共通の駆動シャフト172)を駆動するが軸方向に整列していない一組の独立したピストンを使用する。ピストンのアレイは、中央駆動シャフトに接続されている特徴に作用することもできる。ピストンは、固定面積モードで単一セットとして動作させることができ、又は可変面積モードで任意の組み合わせで動作させることもできる。
【0095】
図16B~Cの内向き対向ピストンアレイを含む一実施形態において、中間ピストン183A~Fは中央駆動シャフト172の周りに円形パターンで配置されている。中央駆動シャフト172には、中間ピストン183A~Fのすべてが接触する駆動プレート188が接続されている。この内向き対向設計において、両方とも中央駆動プレート188に向かって押す2組の中間ピストン183A~F、183G~Lがある。中間ピストン183A~Lのそれぞれが、HPU118及び/又は複数の圧力レール120に動作可能に接続されている対応するドライブキャビティ186A~L(すべては図示せず)を有する。いくつかの実施形態において、ピストンハウジング196A、196Gは同一であるが、反対方向を向いている。一組の中間ピストン183A~Fが作動すると、これは他の中間ピストン183G~Lを駆動して駆動シャフト172を後退させて押し、これがダイヤフラムピストン3を駆動する。他の実施形態において、中間ピストン183A~F及び183G~Lのアレイは、個々の中間ピストン(例えば、中間ピストン183Aのみ)又は中間ピストンのサブグループ(例えば、中間ピストン183A、183C、183Eのみ)を制御して作動させるように構成された油圧ドライブ112で制御することができる。同様に実施形態において中間ピストン183A~Lは個々に又はサブグループで作動油の異なる供給圧力を受けることができる。
【0096】
図16Dに示すように、内向き対向設計の別の一実施形態は入れ子設計184を使用してアセンブリの全長を短縮する。この設計において、中間ピストン183A~F及び183G~Lの2つのアレイは同一ではない。代わりに、一組の中間ピストン183A~Fが、対向する一組の中間ピストン183G~Lをその中に入れ子にするのが可能になるのに十分な大きさの、より大きな直径を備えた円形パターンで配置されている。
【0097】
図16Eに示すように、ピストンアレイ設計の別の一実施形態は、単一のハウジング内で中央駆動シャフト172の周りに配置されている中間ピストン183A~Lの円形配列を使用する。個々のピストンの方向は円の周りで交互であり、中間ピストンの半分183A~Fが一方向を指し、他の半分183G~Lは反対を指す。この実施形態において、共通の駆動シャフト172に接続された2つの駆動プレート188A、188Bがある。この設計の作動は、上で概説したものと同様である。
【0098】
図16Fに示すように、ピストンアレイ設計のいくつかの実施形態は、コンプレッサヘッドの設置面積の外側に位置する中間ピストン183A~D、183E~H、183I~L、183M~Pのアレイを採用する。これらのアレイはそれぞれ、単一の駆動シャフト(図示せず)に接続された単一の駆動プレート188に作用する。中間ピストン183A~Pをコンプレッサヘッドの設置面積の外側に移動させることによって、コンプレッサシステム全体の長さを短縮することができる。このアセンブリにおいて使用される中間ピストンアレイは、コンプレッサヘッドの周りで円形パターンに、又は
図16Fに示すようにピストンの両側に一組の線形アレイ位置に配置することもできる。この設計の作動は、上で概説したものと同様である。
【0099】
上の実施形態のいずれについても、
図16B~Cについて詳述したように代替実施形態を提供することができる。実施形態において、中間ピストンのアレイは油圧ドライブ112で制御され、個々の中間ピストン又は中間ピストンのサブグループを制御して作動させるように構成され得る。同様に実施形態において中間ピストンは個々に又はサブグループで作動油の異なる供給圧力を受けることができる。
【0100】
能動的油噴射システム
いくつかの実施形態において、ダイヤフラムコンプレッサ1は油圧噴射ポンプシステム10を採用する。油圧噴射ポンプシステム10は、
図13に示すように、ポンプ12、少なくとも1つの油逆止弁13及び固定設定油逃がし弁14を含む。噴射ポンプシステム10の主な機能は、高圧オイルピストン3とダイヤフラムセット5との間に要求される油容積を維持することである。コンプレッサ1の吸込み工程中、コンプレッサ1の作動油領域35内へ固定容積の作動油が噴射される。これにより、各吸込み工程中に十分な容積の油が確実に噴射され、この油容積が適切なコンプレッサ1の性能のために確実に維持される。
【0101】
いくつかの実施形態においてダイヤフラムピストン3とダイヤフラム5との間の油容積は油損失の2つのモードによって影響される。油損失の第1のモードは、ダイヤフラムピストン3を通過してアクチュエータハウジング114又はオイルリザーバに戻る環状漏れである。この環状漏れは、5,000psiの上方で動作する高圧コンプレッサ1で最も顕著になり得る。
【0102】
油損失の第2のモードは「オーバーポンプ」として定義され、これは、通常のコンプレッサ1の動作中、サイクル毎に起こる、油逃がし弁14を越える油圧流である。インジェクタポンプシステム10は、逃がし弁14を通る「オーバーポンプ」状態を維持するように設計及び運転され、ダイヤフラム5がコンプレッサキャビティ15全体を掃引する(すなわち、プロセスガス領域36からプロセスガスを完全に又は実質的に吐出す)ことを保証し、これによってコンプレッサ1の容積効率を最大化する。本開示の実施形態は、以下でさらに議論するように、能動的油噴射システム(「AOIS」,active oil injection system)30と呼ばれる、能動的に制御される噴射ポンプシステム10を含む。
【0103】
噴射システム10のいくつかの実施形態は、コンプレッサ1内へのインジェクタポンプ12の体積流量を変更するようにユーザによって機械的に調整可能である。しかしながら、これには手動の観察及び調整が要求される。油損失を十分に考慮していない噴射ポンプシステム10からの間違った容積変位が、様々な機械の故障につながる可能性がある。
【0104】
いくつかの実施形態において、油圧逃がし弁14は手動で調整可能な逃がし設定を有する。これらの油逃がし弁は、最大プロセスガス圧力より高い固定油逃がし圧力設定に設定される。最大プロセスガス圧力はいかなる特定の使用ケースにでも予想されるプロセスガスの最大圧力である。この高い逃がし設定により、いかなる作動油が逃がし弁14を越えて流れる前でも、ダイヤフラム5がプロセスガスヘッド支持プレート6にしっかりと接触することが可能になり、したがって、プロセスガスの予想される最も高い圧力でヘッドキャビティ15の容積全体を完全に掃引することが保証される。ダイヤフラムがヘッドキャビティ15の頂部に達するとき、ダイヤフラムピストン3は依然として逃がし弁14の設定の下方の圧力を有する。この期間中、作動油領域35における作動油はさらに圧縮され、油圧は、油逃がし弁14の設定に達するまでコンプレッサガス吐出圧力の上方に上昇する。この時点で、逃がし弁14が開き、油が、システムにおける環状漏れを差し引いた噴射ポンプ変位の量において、油逃がし弁14を超えて変位する。逃がし弁14からのこの油の流れはオーバーポンプとして定義される。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態はダイヤフラムコンプレッサ1における能動的油噴射システム30(「AOIS」)を含む。AOIS30のフィードバック及び制御により、コンプレッサシステム100は、上で議論したダイヤフラム5の完全な掃引を保証しながら、使用されるいかなる過剰なエネルギーをも最小化することが可能になる。
【0106】
いくつかの実施形態において、コンプレッサ1は、作動油ヘッド支持プレート8の出口34を作動油ヘッド支持プレート8の入口33に接続する油圧回路50を形成する。これらの実施形態において、油圧回路はまた、作動油ヘッド支持プレート8の出口34を介して作動油領域35から過剰圧送された作動油を収集するように構成されたオイルリザーバ38を含むことができる。油圧回路を形成することによって、油がオイルリザーバ38から、入口33を通って作動油領域内へと循環し、次いで出口34から過剰圧送されてオイルリザーバ38内へ戻る。
【0107】
他の実施形態において、油圧回路はまた、作動油ヘッド支持プレート8の入口33に補足的作動油の供給を提供するように構成された油圧アキュムレータ39を含むAOIS30を含む。いくつかの実施形態において、油圧アキュムレータ39は、ブラダ、ピストン、又はダイヤフラムの流体上ガス形式の油圧アキュムレータ39のような、油圧容積又は任意の形式の油圧アキュムレータ39とすることができる。さらに別の実施形態において、AOISは、油圧アキュムレータ39と連通するAOISポンプ40を含み、AOISポンプ40は、オイルリザーバ38から油圧アキュムレータ39への、又は直接入口33への補足的作動油の可変容積変位を生成するように構成されている。本明細書で使用されるように、可変容積変位とは、AOIS30が、コンプレッサヘッド31の特定のプロセス状態に応じて、可変容積流、すなわち補足的作動油の噴射量を作動油領域35に提供することができるということを意味する。これにより、コンプレッサ1の動作中の可変噴射量が可能になり、コンプレッサ1、及び特に作動油領域35内でコンプレッサ1の油容積が最も効率的に維持される。いくつかの実施形態において、AOIS30は、油圧アキュムレータ39に動作可能に結合されたAOISポンプ40と、油圧ドライブ110から独立してAOISポンプ40に動力を供給するように構成されたモータ41と、を含む。換言すれば、モータ41の速度及び制御は、ダイヤフラムピストン3に動力を供給する油圧ドライブ110から完全に独立しており、これに機械的にリンクされていない。
【0108】
いくつかの実施形態において、AOIS30は、コンプレッサ1内への、及び特に作動油領域35内への油圧流要件を満たすように、コンプレッサ1内で既存の圧力力学を利用する。コンプレッサ1がその吸込み及び吐出サイクルを通して移行するにつれて、AOISポンプ40は油圧アキュムレータ39を充たしたり空けたりする。コンプレッサ1の吸込み工程中、作動油領域35を含む、コンプレッサ1内のこのより低い圧力状態により、油圧アキュムレータ39とコンプレッサヘッド31内の、及び特に作動油領域35における油との間に正の圧力差が作成される。この吸込み状態の間、油圧流は油入口逆止弁45を通って、入口33を通って作動油領域35内へ入って噴射事象を満たす。この時間の間、ポンプ40は油圧アキュムレータ内へ連続的に圧送を行うことができる。この吐出工程中、作動油領域35内の油圧は油圧アキュムレータ39における圧力より大きく、したがって油圧アキュムレータ39からコンプレッサ内への流れがない。少なくとも1つの逆止弁45、及びいくつかの実施形態において少なくとも2つの逆止弁45が、作動油領域35から油圧アキュムレータ39内への及びこれを越える逆流を防止する。この状態の間、AOISポンプ40からの油圧流は次の噴射事象に備えて油圧アキュムレータ39を加圧する。
【0109】
さらなる実施形態は可変圧力逃がし弁(VPRV,variable pressure relieve valve)52を含み、これは、ダイヤフラムキャビティ15の作動油領域35に動作可能に結合された圧力逃がし機構42を含み、圧力逃がし機構42は、作動油ヘッド支持プレート8の出口34と連通し、作動油領域35から加圧された作動油の出口容積を逃がすように構成された圧力逃がし弁43を含む。これらの実施形態において、圧力逃がし弁43は、プロセスガス吐出圧力に対する加圧された作動油のオーバーポンプ目標状態に対応する油圧逃がし設定を含む。いくつかの実施形態において、オーバーポンプ目標状態は最大プロセスガス吐出圧力に対応する。換言すれば、オーバーポンプ目標状態は、コンプレッサヘッド31が動作するように構成されている最大プロセスガス吐出圧力に対応し、そのためプロセスガス領域36は、最大ガス吐出圧力でダイヤフラム5によって完全に排気されるように構成されている。
【0110】
いくつかの実施形態において、吐出サイクル中の油逃がし事象中、逃がし弁43が開き、1回転当たりの噴射量からシステム内の環状漏れを差し引いた量の油が油逃がし弁14を越えて変位し、オーバーポンプとして定義される。この時間の間、AOISポンプ40からの油圧流は次の吸込みサイクル中の次の噴射事象に備えて油圧アキュムレータ39を加圧する。
【0111】
しかしながら、いくつかの実施形態において、圧力逃がし弁43は、オーバーポンプの現在の状態に対応するように圧力逃がし弁の油圧逃がし設定を能動的に調整するように構成されている。換言すれば、圧力逃がし弁43は、ガス吐出圧力の相対的な増加又は減少に対応して油圧逃がし設定を上下に調整するように構成されている。これにより、最大ガス吐出圧力より少ないガス吐出圧力を備えた条件下でダイヤフラム5によってプロセスガス領域36を完全に排気するのに必要より多くのオーバーポンプをコンプレッサヘッド31が受けることが防止される。油圧逃がし設定が調整可能であると、コンプレッサ1の吐出及び吸込みサイクル中の周期応力が低くなり交番荷重が低くなるため、より長い機械の期待寿命及びより良好なシステム効率が可能になり得る。
【0112】
AOIS30のいくつかの実施形態は、VPRV52なしでインジェクタポンプ40及び油圧アキュムレータ39を含むが、他の実施形態は両システムを含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、AOIS30は、作動油領域35のオーバーポンプ目標状態を維持するようにAOISポンプ40を制御するように構成されたフィードバック機構を含む。フィードバック機構は、オーバーポンプ状態がインジェクタポンプシステム30を制御するのに合っていることを確認するためにフィードバックを提供する測定装置44を含む。いくつかの実施形態において、フィードバック機構は、ダイヤフラムコンプレッサ1に動作可能に結合された第1の測定装置44を含み、測定装置は、作動油領域35から出口34の外に流出する増強された作動油のオーバーポンプの現在の状態を検出及び/又は測定するように構成されている。いくつかの実施形態において、フィードバック機構は、オーバーポンプの現在の状態に応じて油圧アキュムレータ39へのインジェクタポンプ40の容積変位を調整するように構成されている。
【0114】
ターンダウン比とは装置の動作範囲を指し、最大容量の最小容量に対する比として定義される。AOIS30のいくつかの実施形態において、AOISは、コンプレッサ31の作動油領域35における作動油4に対する補足的作動油の大きなターンダウン比を提供するように構成されている。油圧ドライブ31とAOISポンプ40との機能を分離することによって、大きなターンダウン比を達成することができ、広範囲の動作状態にわたって逃がし弁43を通るオーバーポンプの量を厳密に制御するための噴射量の大幅な調整可能性が可能になる。
【0115】
実施形態において、オーバーポンプ目標状態は、測定されたプロセスガス吐出圧力の0.1%~500%上方の範囲である。様々な実施形態において、オーバーポンプ目標状態は、測定されたプロセスガス吐出圧力の約0.1%~100%上方、0.1%~50%上方、0.1%~40%上方、0.1%~30%上方、0.1%~20%上方、1%~20%上方、又は1%~50%上方の範囲である。
【0116】
本明細書に開示され、特許請求され、参照により組み込まれる特徴のすべて、及びそのように開示される任意の方法又はプロセスのステップのすべては、このような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書で開示される各特徴は、特に明記しない限り、同じ、同等又は同様の目的を果たす代替の特徴によって置換することができる。したがって、特に明記しない限り、開示される各特徴は、一連の同等又は同様の特徴の一般的な一例にすぎない。本開示の発明の態様は前述の実施形態の詳細に制限されず、むしろ、本開示で提示される特徴の任意の新規な実施形態、又は任意の新規な実施形態の組み合わせに、及びこのように開示される任意の方法又はプロセスのステップの任意の新規な実施形態、又は任意の新規な実施形態の組み合わせにまで広がる。
【0117】
本開示の実施形態は、2つの圧力レール、又はあるいは3、4、5、6、7、又は8以上の圧力レールを含むことができるということが理解されよう。実施形態において、2つ若しくは3つの低圧レール、又は低圧レールのための2つ若しくは3つの供給源(例えば、低圧レールのアキュムレータに供給する2つ又は3つの供給源)があってもよい。実施形態において、中圧レール及び高圧レールの1又は2以上に、力バイアス構造160のアキュムレータ136Dにおいて回収される油と同様の回収油を供給することができる。実施形態において、ピストンサブアセンブリ122の1又は2以上のピストンは、円形以外の形状、例えば楕円形、方形、矩形などであってもよい。
【0118】
本明細書では具体的な例を図示及び説明してきたが、同じ目的を達成するように計算された任意の構成を開示された具体的な例に置き換えることもできるということが当業者によって理解されよう。本出願は、本主題の適応例又は変形例を網羅するように意図されている。したがって、本発明は添付の請求項及びその法的均等物、並びに例示的な態様によって定義されることが意図されている。上述の実施形態は単にその原理を説明するものであり、限定的とみなされるべきではない。本明細書に開示される本発明のさらなる修正は当業者であれば思いつくであろうし、すべてのこのような修正は本発明の態様の範囲内にあるものとみなされる。
【国際調査報告】