(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】冷凍用の三方管部材及びエアコン
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0068 20190101AFI20231218BHJP
F16L 41/02 20060101ALI20231218BHJP
F16L 13/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
F24F1/0068
F16L41/02
F16L13/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558931
(86)(22)【出願日】2022-08-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 CN2022110733
(87)【国際公開番号】W WO2023029887
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202122117069.0
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523218094
【氏名又は名称】含山瑞可金属有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANSHAN RUIKE METAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Economic Development Zone Hanshan County Ma’anshan, Anhui, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】斯 壮偉
(72)【発明者】
【氏名】章 杜波
【テーマコード(参考)】
3H013
3H019
3L051
【Fターム(参考)】
3H013BA08
3H019BA12
3H019BD03
3L051BF01
(57)【要約】
本発明は、冷凍用の三方管部材及びエアコンを提供し、冷凍用の三方管部材は、ステンレス鋼製エンドキャップと、少なくとも2つのバッキングプレートと、2つの分流分岐管と、主管とを含む。ステンレス鋼製エンドキャップは、ステンレス鋼板材を一体的に引っ張って成形することによって得られたものであり、ステンレス鋼製エンドキャップは、小孔径端及び大孔径端を有する。少なくとも2つのバッキングプレートは、重ね合わせられた後に固定され、そしてステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端に漏れ止め溶接され、各バッキングプレートには、2つの溶接孔があり、少なくとも2つのバッキングプレートが重ね合わせられた後、対応する溶接孔は重なり合って2つの重なり合い孔を形成し、各重なり合い孔の深さは、2.5ミリメートル以上である。2つの分流分岐管はそれぞれ2つの重なり合い孔に伸び込み、そしてそれらに漏れ止め溶接される。主管は、ステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端に漏れ止め溶接される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍用の三方管部材であって、
ステンレス鋼板材を一体的に引っ張って成形することによって得られたステンレス鋼製エンドキャップであって、小孔径端及び大孔径端を有するステンレス鋼製エンドキャップと、
重ね合わせられた後に固定され、そしてステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端に漏れ止め溶接された少なくとも2つのバッキングプレートであって、各バッキングプレートには、2つの溶接孔があり、少なくとも2つのバッキングプレートが重ね合わせられた後、対応する溶接孔は重なり合って2つの重なり合い孔を形成し、各重なり合い孔の深さは、2.5ミリメートル以上である少なくとも2つのバッキングプレートと、
それぞれ2つの重なり合い孔に伸び込み、そしてそれらに漏れ止め溶接された2つの分流分岐管と、
ステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端に漏れ止め溶接された主管と、
を含むことを特徴とする、冷凍用の三方管部材。
【請求項2】
前記少なくとも2つのバッキングプレートでは、最外側のバッキングプレートは、ステンレス鋼の材質であり、内側のバッキングプレートは、ステンレス鋼、銅又は銅合金の材質であることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項3】
前記冷凍用の三方管部材は、分流ガイドプレートを含み、前記分流ガイドプレートは、エンドキャップキャビティ内に置かれ、前記分流ガイドプレートは、主管に面し、エンドキャップキャビティを、2つの分流分岐管に対応する2つの分流キャビティに分けることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項4】
前記分流ガイド板は、接続部と、分流ガイド部とを含み、接続部は、最内側のバッキングプレートに固定して接続され、分流ガイド部の自由端は、主管の真正面まで延在し、又は、前記分流ガイド板は、最内側のバッキングプレートと一体成形されることを特徴とする、請求項3に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項5】
少なくとも2つのバッキングプレートとステンレス鋼製エンドキャップは、環状漏れ止め溶接によって接続されることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項6】
ステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端には、ステンレス鋼製エンドキャップの内側又は外側に向かうフランジ直線セグメントを有し、前記フランジ直線セグメントの高さは、2.5ミリメートル以上であり、主管は、フランジ直線セグメントの内部又は外部に嵌着されることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項7】
ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端には、組み立て直線セグメントがあり、組み立て直線セグメントの長さは、少なくとも2つのバッキングプレートの厚さの和よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項8】
組み立て直線セグメントの横断面の形状は、円形、方形、楕円形、腰形又はコース形のうちの任意の1種であり、バッキングプレートの形状は、組み立て直線セグメントの横断面の形状とフィットすることを特徴とする、請求項7に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項9】
ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端の内壁には、内向きに突起する位置決め固定部があり、位置決め固定部は、少なくとも2つのバッキングプレートを位置決めして固定し、前記位置決め固定部は、位置決め段差、複数の点状の位置決め固定部、多段階の円弧状の位置決め固定部又はリング状の位置決め固定部であることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項10】
分流分岐管は、銅管、ステンレス鋼管、炭素鋼管、又は銅管とステンレス鋼管との溶接組み合わせのうちの任意の1種であり、主管は、銅管、ステンレス鋼管、炭素鋼管、又は銅管とステンレス鋼管との溶接組み合わせのうちの任意の1種であることを特徴とする、請求項1に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項11】
主管がステンレス鋼管又は炭素鋼管である場合、前記冷凍用の三方管部材は、主管の端部に嵌着された銅スリーブ接続管を更に含み、銅スリーブ接続管は、主管の端部内に嵌着され、管路銅管は、銅スリーブ接続管内に嵌着され、管路銅管、銅スリーブ接続管及び主管で形成された三者嵌着重なり合い領域の長さは、L11であり、管路銅管と銅スリーブ接続管との嵌着長さは、L01であり、銅スリーブ接続管と主管との嵌着長さは、L21であり、0.2 L01≦L11≦0.8 L01であり、そして0.2 L21≦L11≦0.8 L21であることを特徴とする、請求項10に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項12】
分流分岐管がステンレス鋼管又は炭素鋼管である場合、前記冷凍用の三方管部材は、2つの分流分岐管内に嵌着された2つの銅スリーブ接続管を更に含み、2つの管路銅管は、それぞれ2つの銅スリーブ接続管内に嵌着され、各管路銅管、銅スリーブ接続管及び分流分岐管で形成された三者嵌着重なり合い領域の長さは、L12であり、管路銅管と対応する銅スリーブ接続管との嵌着長さは、L02であり、銅スリーブ接続管と対応する分流分岐管との嵌着長さは、L22であり、0.2 L02≦L12≦0.8 L02であり、そして0.2 L22≦L12≦0.8 L22であることを特徴とする、請求項10に記載の冷凍用の三方管部材。
【請求項13】
エアコンであって、請求項1~12のいずれか一項に記載の冷凍用の三方管部材を含むことを特徴とする、エアコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍アクセサリに関し、特に、冷凍用の三方管部材及びエアコンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍分野、特に、エアコン冷凍分野では、管路接続を行う場合、三方管又は三方管アセンブリを使用する必要があり、その作用は、主に液体又はガスの流れを1つから2つに分け、又はそれらの流れを2つから1つに集めることである。現在、一般的に市販される冷凍用の三方管部材は銅又は銅合金の材質であり、一般的に、以下の構造がある。1つは、銅管を直径方向に圧縮変形した後、8字形ポートを形成するものであり、日常語では、「ズボン形管又はパンチング三方管」と言い、他の1つは、銅管の押し出しによって得られたものであり、その形状と構造は、「Y形管、T形管、爪形管」であり、別の1つは、黄銅をプレス鍛造した後、孔を開けて旋削することによって形成された三方管部材の構造であり、その形状は、主に「Y形管」である。
【0003】
現在、これらの冷凍用の三方管部材はいずれも銅の材質であり、しかし、銅は貴金属であるため、中国の資源は不足しており、輸入に大きく依存する必要があり、銅の用途がますます普及し、銅価格がますます高騰するため、冷凍業界は銅材料に対する大きな上昇圧力に直面しており、そのため、銅代替材料と製品構造の研究は、大多数のエンジニアや技術者の努力の方向となっている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、従来技術の不足を克服するために、冷凍用の三方管部材及びエアコンを提供する。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ステンレス鋼製エンドキャップと、少なくとも2つのバッキングプレートと、2つの分流分岐管と、主管とを含む、冷凍用の三方管部材を提供する。ステンレス鋼製エンドキャップは、ステンレス鋼板材を一体的に引っ張って成形することによって得られたものであり、ステンレス鋼製エンドキャップは、小孔径端及び大孔径端を有する。少なくとも2つのバッキングプレートは、重ね合わせられた後に固定され、そしてステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端に漏れ止め溶接され、各バッキングプレートには、2つの溶接孔があり、少なくとも2つのバッキングプレートが重ね合わせられた後、対応する溶接孔は重なり合って2つの重なり合い孔を形成し、各重なり合い孔の深さは、2.5ミリメートル以上である。2つの分流分岐管はそれぞれ2つの重なり合い孔に伸び込み、そしてそれらに漏れ止め溶接される。主管は、ステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端に漏れ止め溶接される。
【0006】
本発明の一実施例によれば、少なくとも2つのバッキングプレートでは、最外側のバッキングプレートは、ステンレス鋼の材質であり、内側のバッキングプレートは、ステンレス鋼、銅又は銅合金の材質である。
【0007】
本発明の一実施例によれば、冷凍用の三方管部材は、分流ガイドプレートを含み、分流ガイドプレートは、エンドキャップキャビティ内に置かれ、分流ガイドプレートは、主管に面し、エンドキャップキャビティを、2つの分流分岐管に対応する2つの分流キャビティに分ける。
【0008】
本発明の一実施例によれば、分流ガイド板は、接続部と、分流ガイド部とを含み、接続部は、最内側のバッキングプレートに固定して接続され、分流ガイド部の自由端は、主管の真正面まで延在し、又は、分流ガイド板は、最内側のバッキングプレートと一体成形される。
【0009】
本発明の一実施例によれば、少なくとも2つのバッキングプレートとステンレス鋼製エンドキャップは、環状漏れ止め溶接によって接続される。
【0010】
本発明の一実施例によれば、ステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端には、ステンレス鋼製エンドキャップの内側又は外側に向かうフランジ直線セグメントを有し、フランジ直線セグメントの高さは、2.5ミリメートル以上であり、主管は、フランジ直線セグメントの内部又は外部に嵌着される。
【0011】
本発明の一実施例によれば、ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端には、組み立て直線セグメントがあり、組み立て直線セグメントの長さは、少なくとも2つのバッキングプレートの厚さの和よりも大きい。
【0012】
本発明の一実施例によれば、組み立て直線セグメントの横断面の形状は、円形、方形、楕円形、腰形又はコース形のうちの任意の1種であり、バッキングプレートの形状は、組み立て直線セグメントの横断面の形状とフィットする。
【0013】
本発明の一実施例によれば、ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端の内壁には、内向きに突起する位置決め固定部があり、位置決め固定部は、少なくとも2つのバッキングプレートを位置決めして固定し、前記位置決め固定部は、位置決め段差、複数の点状の位置決め固定部、多段階の円弧状の位置決め固定部又はリング状の位置決め固定部である。
【0014】
本発明の一実施例によれば、
分流分岐管は、銅管、ステンレス鋼管、炭素鋼管、又は銅管とステンレス鋼管との溶接組み合わせのうちの任意の1種であり、主管は、銅管、ステンレス鋼管、炭素鋼管、又は銅管とステンレス鋼管との溶接組み合わせのうちの任意の1種である。
【0015】
本発明の一実施例によれば、主管がステンレス鋼管又は炭素鋼管である場合、前記冷凍用の三方管部材は、主管の端部に嵌着された銅スリーブ接続管を更に含み、銅スリーブ接続管は、主管の端部内に嵌着され、管路銅管は、銅スリーブ接続管内に嵌着され、管路銅管、銅スリーブ接続管及び主管で形成された三者嵌着重なり合い領域の長さは、L11であり、管路銅管と銅スリーブ接続管との嵌着長さは、L01であり、銅スリーブ接続管と主管との嵌着長さは、L21であり、0.2 L01≦L11≦0.8 L01であり、そして0.2 L21≦L11≦0.8 L21である。
【0016】
本発明の一実施例によれば、分流分岐管がステンレス鋼管又は炭素鋼管である場合、前記冷凍用の三方管部材は、2つの分流分岐管内に嵌着された2つの銅スリーブ接続管を更に含み、2つの管路銅管は、それぞれ2つの銅スリーブ接続管内に嵌着され、各管路銅管、銅スリーブ接続管及び分流分岐管で形成された三者嵌着重なり合い領域の長さは、L12であり、管路銅管と対応する銅スリーブ接続管との嵌着長さは、L02であり、銅スリーブ接続管と対応する分流分岐管との嵌着長さは、L22であり、0.2 L02≦L12≦0.8 L02であり、そして0.2 L22≦L12≦0.8 L22である。
【0017】
別の態様では、本発明は、上記の冷凍用の三方管部材を含むエアコンを更に提供する。
【0018】
要するに、本発明によって提供された冷凍用の三方管部材及びエアコンでは、ステンレス鋼製エンドキャップと複数のバッキングプレートは組み合わせ構造であり、該配置により、ステンレス鋼製エンドキャップは、板材を一体的に引っ張って成形することによって得られたものであり、従って、三方管本体の成形プロセスを及び加工の複雑さを大幅に簡略化する。複数のバッキングプレートの重なり合わせにより、一方で、形成された重なり合い孔は、分流分岐管の挿入のために十分な深さを提供し、分流分岐管の溶接強度を確保し、その一方で、各バッキングプレートは独立してシンプルなパンチングプロセスを使用して溶接孔を形成することができ、溶接孔の加工精度を確保すると同時に、製造コストを大幅に削減し、バッキングプレートにおける溶接孔の加工と溶接深さとの矛盾をよく解決する。ステンレス鋼製エンドキャップ及び少なくとも2つのバッキングプレートの配置により、製品の製造は、シンプルなパンチング引張成形プロセスだけで済み、材料消費量が大きい三方管本体に銅材料の代わりにステンレス鋼を使用する条件を提供し、製品の材料コストを大幅に削減する。
【0019】
本発明の上記内容及び他の目的、特徴及び利点をより明確にするために、以下、好ましい実施例及び図面を参照しながら、それらをより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来の三方管の構造概略図であり、ここで、
図1(a)は、Y形管の構造概略図であり、
図1(b)は、T形管の構造概略図であり、
図1(c)は、爪形管の構造概略図であり、
図1(d)は、パンチング三方管の構造概略図であり、
図1(e)は、黄銅をプレス鍛造した後、孔を開けて旋削することによって形成された三方管部材の構造の概略図である。
【
図2】本発明の一実施例によって提供された冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図4A】
図1におけるステンレス鋼製エンドキャップの構造概略図である。
【
図5A】
図1におけるバッキングプレートの構造概略図である。
【
図6A】本発明の別の一実施例におけるステンレス鋼製エンドキャップ及び対応するバッキングプレートの構造概略図である。
【
図6B】本発明の別の一実施例におけるステンレス鋼製エンドキャップ及び対応するバッキングプレートの構造概略図である。
【
図6C】本発明の別の一実施例におけるステンレス鋼製エンドキャップ及び対応するバッキングプレートの構造概略図である。
【
図6D】本発明の別の一実施例におけるステンレス鋼製エンドキャップの構造概略図である。
【
図6E】本発明の別の一実施例におけるステンレス鋼製エンドキャップの構造概略図である。
【
図7】本発明の別の一実施例によって提供された冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図8】本発明の実施例2によって提供されたセントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムに適用する冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図9A】本発明の別の一実施例によって提供されたセントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムに適用する冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図9B】本発明の別の一実施例によって提供されたセントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムに適用する冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図9C】本発明の別の一実施例によって提供されたセントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムに適用する冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図9D】本発明の別の一実施例によって提供されたセントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムに適用する冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図10】本発明の実施例3によって提供された冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図12】本発明の別の一実施例によって提供された分流ガイドプレートの構造概略図である。
【
図13】本発明の別の一実施例によって提供された分流ガイドプレートの構造概略図である。
【
図14】本発明の別の一実施例によって提供された冷凍用の三方管の構造概略図である。
【
図15】本発明の実施例4によって提供された冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【
図16】本発明の別の一実施例によって提供された冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
図1は、銅又は銅合金で製造された従来の三方管の構造概略図であり、
図1(a)は、Y形管の構造概略図であり、
図1(b)は、T形管の構造概略図であり、
図1(c)は、爪形管の構造概略図であり、
図1(d)は、パンチング三方管の構造概略図であり、
図1(e)は、黄銅をプレス鍛造した後、孔を開けて旋削することによって形成された三方管部材の構造の概略図である。
【0022】
高価な銅又は銅合金材料と比較して、三方管の製造には低コストのステンレス鋼材料を使用するのが理想的である。しかし、ステンレス鋼材料と銅材料の材料特性には非常に大きな違いがあるため、ステンレス鋼材料の伸び率と減面率の2つの塑性指数は銅又は銅合金材料よりも低く、そのため、ステンレス鋼材料を同じ条件で加工する場合に必要な旋削力が非常に大きくなり、ステンレス鋼材料は旋削すると割れにくく、接着しやすいという問題もある。従って、安価なステンレス鋼材の場合、
図1に示されたいくつかの従来の三方管の構造を形成するために、プレス鍛造後に直径方向の圧縮、押し出し、旋削などのプロセスを使用することは困難である。
【0023】
それに鑑み、
図2~
図5Bに示すように、本発明の実施例は、従来の三方管の構造と異なる冷凍用の三方管部材を提供し、それは、ステンレス鋼製エンドキャップ1と、少なくとも2つのバッキングプレート2と、2つの分流分岐管3と、主管4とを含む。ステンレス鋼製エンドキャップ1は、ステンレス鋼板材を一体的に引っ張って成形することによって得られたものであり、ステンレス鋼製エンドキャップ1は、小孔径端11及び大孔径端12を有する。少なくとも2つのバッキングプレート2は、重ね合わせられた後に固定され、そしてステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端12に漏れ止め溶接され、各バッキングプレート2には、2つの溶接孔21があり、少なくとも2つのバッキングプレート2が重ね合わせられた後、対応する溶接孔21は重なり合って2つの重なり合い孔を形成し、各重なり合い孔の深さH1は、2.5ミリメートル以上である。2つの分流分岐管3はそれぞれ2つの重なり合い孔に伸び込み、そしてそれらに漏れ止め溶接される。主管4は、ステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端11に漏れ止め溶接される。
【0024】
本実施例では、冷凍用の三方管部材は、2つのバッキングプレート2を含み、2つのバッキングプレート2が重ね合わせられた後、対応する溶接孔21が重なり合って形成された重なり合い孔の深さH1は、5ミリメートル以上である。しかし、本発明は、それを限定しない。他の実施例では、重なり合い孔の深さが分流分岐管の挿入要件を満たすために、バッキングプレートの数及び厚さを調整することができ、バッキングプレートの数は、3つ以上であり得、重なり合い孔の深さH1は、2.5ミリメートル超えの他の数値であり得る。
【0025】
本発明によって提供された三方管部材では、ステンレス鋼製エンドキャップ1と複数のバッキングプレート2は分離式の組み合わせ構造であり、この配置により、両者は、独立して加工することができ、その結果、加工の複雑さを低下させることができる。更に、本実施例におけるステンレス鋼製エンドキャップ1は、板材を引っ張って成形することによって得られたものであり、厚さが小さい板材を原料として引っ張ると、ステンレス鋼製エンドキャップ1の成形の複雑さを大幅に低下させる。2つのバッキングプレート2の場合、一方で、それは、ステンレス鋼製エンドキャップ1の大孔径端12に漏れ止め溶接され、ステンレス鋼製エンドキャップ1内にエンドキャップキャビティが形成され、その結果、主管4から入力した流体を2つの分流分岐管3に分けることを実現する。その一方で、2つのバッキングプレート2の配置により、分流分岐管3の溶接深さを確保すると同時に、溶接孔21の加工精度を大幅に向上させる。
【0026】
具体的には、溶接の場合、溶接強度を確保するために、溶接部分の挿入は、必要な挿入の深さを満たさなければならず、エアコン冷凍業界では、一般的には、挿入の深さは、2.5ミリメートル以上である。加工プロセスの面では、分流分岐管3の組み立てを実現するために、パンチングの方式によって溶接孔を形成する必要がある。厚さが大きい材料、例えば、厚さが3ミリメートル以上の板材の場合、板材の厚さが大きいため、その引っ張り強度が高くなり、打ち抜き力が相殺されると、パンチヘッドと接触したパンチ孔の周囲の板材が下方に倒れ込み、板材が変形し、加工後に形成された溶接穴の寸法精度が低くなる。従って、溶接孔の加工精度の要件と溶接の場合の溶接部分の挿入の深さの要件は矛盾になる。本実施例では、2つの独立したバッキングプレート2を重なり合わせた後、ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端12内に組み立てる。加工工程では、2つのバッキングプレート2を独立して加工し、パンチングプロセスを使用してバッキングプレート2の対応する位置には、高精度の2つの溶接孔21をそれぞれ作り出す。その後、組み立て工程では、2つのバッキングプレート2を重なり合わせ、対応する溶接孔21も重なり合ってなり、2つの重なり合い孔を形成する。各重なり合い孔の深さH1は、2つのバッキングプレート2の厚さの和であり、この配置により、分流分岐管3の挿入のために十分な深さを提供し、従って、溶接後の分流分岐管3の溶接強度を確保することができる。
【0027】
本実施例によって提供された冷凍用の三方管部材では、ステンレス鋼製エンドキャップ1及び2つのバッキングプレート2の構造の配置により、製本の性能要件とプロセス要件は相互に制限することでなく、従って、安価なステンレス鋼材料を使用し、本実施例によって提供された冷凍用の三方管部材のうちの材料消費量が最も大きいステンレス鋼製エンドキャップ1及び2つのバッキングプレート2を製造することができ、製品の材料コスト及び生産コストを大幅に削減する。
【0028】
本実施例では、2つのバッキングプレート2はいずれもステンレス鋼の材質であり、2つのバッキングプレート2は、重ね合わせられた後に固定され、そして漏れ止め溶接によってステンレス鋼製エンドキャップ1の大孔径端12に接続される。しかし、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、最外側のバッキングプレートは、ステンレス鋼の材質であり得、1つ以上の内側のバッキングプレートは、銅又は銅合金の材質であり得る。又は、別の実施例では、内側のバッキングプレートが複数である場合、複数の内側のバッキングプレートも異なり得、例えば、そのうちの一部は、銅の材質であり、残りの部分は、ステンレス鋼の材質である。最外側のバッキングプレートは、複数のバッキングプレートを重なり合わせて大孔径端に溶接した後、大孔径端の端部に最も近いバッキングプレートを指し、内側のバッキングプレートは、最外側のバッキングプレートにおいて小孔径端に近いバッキングプレートを指す。
図3に示すように、バッキングプレート2_1は、最外側のバッキングプレートであり、バッキングプレート2_2は、内側のバッキングプレートである。
【0029】
本実施例では、2つのバッキングプレート2は、それぞれ独立してパンチングして溶接孔21を形成した後、電気抵抗溶接によって接続され、その後、ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端12に嵌着される。しかし、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、両者は、アルゴナーク溶接、レーザー溶接などの他の方式によって接続され得る。又は、別の実施例では、両者は、機械の方式によって固定して接続することができる。
【0030】
2つのバッキングプレート2を固定しやすいために、ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端12の内壁には、内向きに突起した位置決め固定部121がある。具体的には、
図2に示すように、本実施例では、ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端12の内壁には、段差があり、しかし、組み立て直線セグメント13の高さが高いため、この場合、段差は、2つのバッキングプレート2を固定せず、溝開けの方式により、ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端12の内壁には、円形の位置決め固定部を形成し、2つのバッキングプレート2を固定する。しかし、本発明は、それを限定しない。本実施例では、
図7に示すように、段差を位置決め固定部として直接使用することができ、又は、点形成又は局所的な溝開けの方式により、複数の点状の位置決め固定部、多段階の円弧状の位置決め固定部を形成することができる。
【0031】
バッキングプレート2をより容易に組み立てて溶接後の強度を向上させるために、本実施例では、ステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端12は、更に、組み立て直線セグメント13を有し、組み立て直線セグメント13の長さは、2つのバッキングプレート2の厚さの和よりも大きい。
【0032】
本実施例では、組み立て直線セグメント13の横断面の形状が楕円形であるため、対応する2つのバッキングプレートの形状も楕円形である。しかし、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、
図6A~
図6Cに示すように、組み立て直線セグメント13の横断面の形状は、方形、楕円形、腰形又はコース形のうちの任意の1種であり得、バッキングプレート2の形状は、組み立て直線セグメントの横断面の形状とフィットする。
図6A~
図6Cでは、(a)は、ステンレス鋼製エンドキャップの構造概略図であり、(b)は、対応するバッキングプレート2の形状である。本発明は、組み立て直線セグメント13とステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端11との間の遷移セグメント14の形状を限定しない。その形状は、組み立て直線セグメント13の横断面の形状と同じであってもよく、また、加工又は後端の組み立てのニーズに応じて調整してもよい。
図6D及び
図6Eに示すように、
図6Dでは、組み立て直線セグメント13の横断面の形状は円形であり、遷移セグメント14の横断面の形状は、方形であり、
図6E図では、組み立て直線セグメント13の横断面の形状は、コース形であり、遷移セグメント14の横断面の形状は、円形である。
【0033】
本実施例では、ステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端11は、ステンレス鋼製エンドキャップ1の外側に向かうフランジ直線セグメント15を有し、該フランジ直線セグメント15の高さH2は、3ミリメートルであり、主管4は、フランジ直線セグメント15内に嵌着される。しかし、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、フランジ直線セグメントの高さH2は、2.5ミリメートルを超える他の数値であり得、主管は、フランジ直線セグメントの外に嵌着され得る。又は、別の実施例では、フランジ直線セグメントは、ステンレス鋼製エンドキャップの内部に向かい得、この場合、主管は、フランジ直線セグメント内に嵌着される。
【0034】
本実施例では、2つの分流分岐管3は、ステンレス鋼管であり、それは、アセチレン溶接又は溶接ワイヤ添加のアセチレン溶接によって2つのバッキングプレート2における2つの重なり合い孔内に漏れ止め溶接される。同様に、主管4もステンレス鋼管であり、それは、アセチレン溶接又は溶接ワイヤ添加のアセチレン溶接によってステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端11に漏れ止め溶接される。しかし、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、2つの分流分岐管及び主管も銅管であり得、又は、銅管とステンレス鋼管との組み合わせであり得る。
【0035】
本実施例では、2つの分流分岐管3はいずれも直線管である。しかし、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、
図7に示すように、2つの分流分岐管3は、湾曲管であり得る。
【0036】
別の態様では、本発明は、本実施例によって提供された冷凍用の三方管部材を含むエアコンを更に提供する。
【0037】
(実施例2)
本実施例は、基本的に実施例1及びその変更と同じであり、その違いは、以下のとおりである。
図8に示すように、第1分流分岐管31は、直線管であり、第2分流分岐管32は、湾曲管であり、第2分流分岐管32の中部は、第1分流分岐管31から離れる方向へ湾曲し、その出力端の軸線は、第1分流分岐管31の出力端の軸線と平行である。該構造の冷凍用の三方管部材は、セントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムにおいて冷熱源システムから複数のエアコンの室内機まで冷媒を割り当てるために使用され得、従来の高価な銅製分岐管を置き換え、従って、セントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムのコストを大幅に削減する。
【0038】
しかし、本発明は、第2分流分岐管の出力方向を限定しない。別の実施例では、
図9Aに示すように、エアコンの室内機の分布位置に応じて第2分流分岐管の出力方向を調整することができる。
【0039】
図8では、第1分流分岐管31、第2分流分岐管32及び主管4はいずれも銅管とステンレス鋼管との組み合わせ構造である。2つの分流分岐管において重なり合い孔に溶接された接続セグメント311、321は、ステンレス鋼管であり、後の延在セグメント312、322は銅管である。同様に、主管4においてステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端11に接続された接続セグメント41は、ステンレス鋼管であり、主管の延在セグメント42は、銅管である。しかし、
図9Aでは、第1分流分岐管31及び第2分流分岐管32はいずれも銅管とステンレス鋼管との組み合わせ構造であり、主管4は銅管である。
【0040】
本実施例によって提供されたセントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムに適用する冷凍用の三方管部材における第2分流分岐管32は、湾曲管であり、しかし、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、
図9B及び
図9Cに示すように、取り付けニーズに応じてセントラルエアコンのマルチオンラインインストールシステムに適用する冷凍用の三方管部材における第2分流分岐管32は、直線管であり得る。
図9Bでは、第1分流分岐管31、第2分流分岐管32及び主管4はいずれも銅管である。
図9Cでは、第1分流分岐管31及び第2分流分岐管32は、銅管であり、主管4は、銅管とステンレス鋼管との組み合わせ構造であり、主管4においてステンレス鋼製エンドキャップの小孔径端11に接続された接続セグメント41は、ステンレス鋼管であり、主管の延在セグメント42は、銅管である。又は、
図9Dに示すように、第1分流分岐管31及び第2分流分岐管32は、銅管とステンレス鋼管との組み合わせ構造であり、2つの分流分岐管において重なり合い孔に溶接された接続セグメント311、321は、ステンレス鋼管であり、後の延在セグメント312、322は銅管であり、主管4は、銅管である。
【0041】
(実施例3)
本実施例は、基本的に実施例1及びその変更と同じであり、その違いは、以下のとおりである。
図10及び
図11に示すように、本実施例によって提供された冷凍用の三方管部材は、分流ガイドプレート5を更に含む。分流ガイドプレート5は、エンドキャップキャビティ内に設けられ、分流ガイドプレート5は、主管4に面し、エンドキャップキャビティを、2つの分流分岐管に対応する2つの分流キャビティ101、102に分ける。分流ガイドプレート5は、主管4から入力した流体を分けて2つの分流キャビティ101、102内にガイドする。ここで、エンドキャップキャビティは、2つのバッキングプレート2がステンレス鋼製エンドキャップの大孔径端12に漏れ止め溶接された後にステンレス鋼製エンドキャップ1内に形成されたキャビティを指す。
【0042】
主管4に面する分流ガイドプレート5は、主管4から入力した流体を自動的に分け、分流効果を向上させる。
【0043】
本実施例では、
図11に示すように、分流ガイドプレート5は、接続部51及び分流ガイド部52を含み、接続部51は、最内側のバッキングプレート2に固定して接続され、分流ガイド部52の自由端は、主管4の真正面へ延在する。具体的には、接続部51及び分流ガイド部52は、2つのシート状の板材を溶接することによって得られたものであり、その後、接続部51を最内側のバッキングプレート2に溶接して固定する。しかし、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、
図12に示すように、分流ガイド板5は、シート状の板材を折り曲げて一体成形することによって得られたものであり得る。ここで、分流ガイド部52は、中間が突起する折り曲げ部であり、分流ガイド部52の両側の水平ショルダ部は、接続部51になる。又は、別の実施例では、
図13に示すように、分流ガイド板5は、最内側のバッキングプレート2と一体成形することができる。
【0044】
図14は、別の一実施例による冷凍用の三方管部材の構造概略図である。
【0045】
(実施例4)
従来のエアコンの管路の多くは銅管であるため、冷凍用の三方管部材と外部銅管との接続を容易にするために、主管又は分流分岐管はステンレス鋼管と銅管(又は炭素鋼管と銅管)の複合構造を使用することができる。組み立てて溶接する場合、まず、炉内ろう付によってステンレス鋼管と銅管を複合部材に組み合わせし、次に、火炎ろう付によってこの複合部材の銅管端と管路の銅管を接続する。この溶接による接続の場合、2つの問題がある。(1)ステンレス鋼管と銅管の場合、炉内ろう付を使用し、長時間の炉内ろう付を経て、銅管の金属組織の粒径が大きくなり、引張強度が低下するため、それは、後の銅管と管路の銅管を再び溶接する場合、管路全体の耐圧強度を直接低下させる。(2)火炎ろう付によってこの複合部材を加熱して溶接する場合、溶接からの熱量は、ステンレス鋼管と銅管との間に形成されたろう付層を再び加熱し、それは、製品の漏れを容易にもたらす。
【0046】
それに鑑み、本実施例は、別の冷凍用の三方管部材を提供する。本実施例は、基本的に実施例1及びその変更と同じであり、その違いは、以下のとおりである。
図15、
図15A及び
図15Bに示すように、本実施例では、主管4、2つの分流分岐管3及び2つのバッキングプレート2はいずれもステンレス鋼である。冷凍用の三方管部材は、第1銅スリーブ接続管61及び2つの第2銅スリーブ接続管62を更に含み、第1銅スリーブ接続管61は、主管4内に嵌着され、2つの第2銅スリーブ接続管62はそれぞれ2つの分流分岐管3内に嵌着される。外部システムの管路のうちの第1管路銅管101は、第1銅スリーブ接続管61内に嵌着され、2つの第2管路銅管102はそれぞれ第2銅スリーブ接続管62内に嵌着される。
【0047】
第1銅スリーブ接続管61の場合、
図15Aに示すように、第1管路銅管101、第1銅スリーブ接続管61及び主管4で形成された三者嵌着重なり合い領域の長さは、L11であり、第1管路銅管101と第1銅スリーブ接続管61との嵌着長さは、L01であり、第1銅スリーブ接続管61と主管4との嵌着長さは、L21であり、0.2 L01≦L11≦0.8 L01であり、そして0.2 L21≦L11≦0.8 L21である。
【0048】
第2銅スリーブ接続管62のそれぞれの場合、
図15Bに示すように、第2管路銅管102、第2銅スリーブ接続管62及び分流分岐管3で形成された三者嵌着重なり合い領域の長さは、L12であり、第2管路銅管102と第2銅スリーブ接続管62との嵌着長さは、L02であり、第2銅スリーブ接続管62と分流分岐管3との嵌着長さは、L22であり、0.2 L02≦L12≦0.8 L02であり、そして0.2 L22≦L12≦0.8 L22である。
【0049】
以下、第1銅スリーブ接続管61を一例として、本実施例において銅スリーブ接続管を加える構造を説明し、複数の第2銅スリーブ接続管62の原理は同様である。
【0050】
第1銅スリーブ接続管61及び主管4に対して炉内ろう付を行った後、依然として第1銅スリーブ接続管61の金属組織の粒径が大きくなり、管の部材を接続する場合、耐圧強度が低下するという問題があり、しかし、主管4、第1銅スリーブ接続管61及び第1管路銅管101の三者は順に嵌着された後、長さがL11の三者嵌着重なり合い領域が形成され、三者嵌着重なり合い領域L11は、0.2 L01≦L11≦0.8 L01、0.2 L21≦L11≦0.8 L21を満たす。試験により、長さL11が上記の寸法を満たす三者嵌着重なり合い領域内には、第1管路銅管101の外部は、溶接して重なり合った第1銅スリーブ接続管61及び主管4の2層の外壁によって補強し、そのため、この場所の耐圧強度の低下をもたらさない。更に、上記の寸法は、第1管路銅管101が第1銅スリーブ接続管61と主管4との嵌着領域内に部分的にのみ伸び込むため、第1管路銅管101及び第1銅スリーブ接続管61対して火炎ろう付を行う場合、それは、部分的に第1銅スリーブ接続管61と主管4との間に形成されたろう付層に影響を与え、そのため、ろう付層への2回目の溶接による漏れの問題を効果的に回避する。
【0051】
本実施例によって提供された冷凍用の三方管部材において、第1銅スリーブ接続管61及び第2銅スリーブ接続管62の配置により、ステンレス鋼製の主管4及びステンレス鋼製の分流分岐管3と外部の管路銅管を溶接する場合、耐圧強度が低く、2回目の溶接によって漏れをもたらすという問題を効果的に解決し、冷凍用の三方管部材と外部の銅管の耐圧強度及び安全性を大幅に向上させる。本実施例では、ステンレス鋼製の主管及び分流分岐管を一例として説明するが、本発明は、それを限定しない。別の実施例では、主管及び分流分岐管は、炭素鋼管である場合、同様に本実施例によって提供された溶接構造に適用する。
【0052】
組み立てる場合、第1管路銅管101と第1銅スリーブ接続管61との嵌着長さのL01を容易に制御するために、別の実施例では、第1銅スリーブ接続管61の内壁には、内向きに突起する嵌着制限部が設けられ、嵌着制限部は、第1管路銅管101の挿入の深さを制限し、その結果、嵌着長さのL01を正確に制御する。同様に、第2銅スリーブ接続管62の内壁には、内向きに突起する嵌着制限部も設けられ得、嵌着制限部は、第2管路銅管102の挿入の深さを制限し、その結果、嵌着長さのL02を正確に制御する。嵌着制限部は、複数の点状の嵌着制限部、多段階の円弧状の制限部又はリング状の嵌着制限部のうちの任意の1種であり得る。
【0053】
第1管路銅管101及び第2管路銅管102の場合、それは、冷凍用の三方管部材の一部であり得、即ち、冷凍用の三方管部材は、第1管路銅管101及び第2管路銅管102を含む。又は、冷凍用の三方管部材は、2つの管路銅管を含まず、第1管路銅管101及び第2管路銅管102はいずれも外部エアコン部材における管の部材である。
【0054】
本実施例は、2つの分流分岐管3はいずれも直線管であり、それを一例として、ステンレス鋼製の分流分岐管3、銅スリーブ接続管62及び第2管路銅管102の三者の溶接構造を説明する。しかし、本発明は、それを限定しない。
図16に示すように、実施例2によって提供された1つの分流分岐管が湾曲管である冷凍用の三方管部材は、同様に該構造の溶接に適用する。
【0055】
要するに、本発明によって提供された冷凍用の三方管部材及びエアコンでは、ステンレス鋼製エンドキャップと複数のバッキングプレートは組み合わせ構造であり、該配置により、ステンレス鋼製エンドキャップは、板材を一体的に引っ張って成形することによって得られたものであり、従って、三方管本体の成形プロセスを及び加工の複雑さを大幅に簡略化する。複数のバッキングプレートの重なり合わせにより、一方で、形成された重なり合い孔は、分流分岐管の挿入のために十分な深さを提供し、分流分岐管の溶接強度を確保し、その一方で、各バッキングプレートは独立してシンプルなパンチングプロセスを使用して溶接孔を形成することができ、溶接孔の加工精度を確保すると同時に、製造コストを大幅に削減し、バッキングプレートにおける溶接孔の加工と溶接深さとの矛盾をよく解決する。ステンレス鋼製エンドキャップ及び少なくとも2つのバッキングプレートの配置により、製品の製造は、シンプルなパンチング引張成形プロセスだけで済み、材料消費量が大きい三方管本体に銅材料の代わりにステンレス鋼を使用する条件を提供し、製品の材料コストを大幅に削減する。
【0056】
以上のように、本発明を好ましい実施例によって開示してきたが、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変更及び修正を行うことができ、従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】