IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハヨウン デニスの特許一覧

<>
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図1
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図2
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図3
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図4
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図5
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図6
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図7
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図8
  • 特表-対象物の遠隔表示用ボックス 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】対象物の遠隔表示用ボックス
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20231218BHJP
   G03B 17/38 20210101ALI20231218BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20231218BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20231218BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20231218BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231218BHJP
【FI】
G03B17/56 Z
G03B17/56 A
G03B17/38 Z
G03B15/05
G03B15/02 G
G03B15/02 Q
G03B15/03 W
G03B15/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558933
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2021080010
(87)【国際公開番号】W WO2022128225
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/086032
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523223098
【氏名又は名称】ハヨウン デニス
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ハヨウン デニス
【テーマコード(参考)】
2H053
2H105
【Fターム(参考)】
2H053CA06
2H053CA12
2H053CA25
2H105AA01
2H105EE11
(57)【要約】
本発明は、対象物の照明を行うための照明ボックス(1,100)であって、検査対象物の閉じたハウジング(10)を画定し、底部(2)とカバー(4)とを有する筐体と、筐体の周囲に配置された複数の光源(8)を有する照明システムと、を備え、ハウジング(10)の実質的に均一な照明を確実にするために、筐体はその全範囲にわたって導光体として機能する、照明ボックス(1,100)に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチルカメラ又はビデオカメラ(14)を用いて対象物を遠隔表示するためのボックス(1;100)であって、
検査対象物(202)のための実質的に閉じたハウジング(10)を画定し、底部(2)とカバー(4)とを有するエンベロープと、
前記エンベロープの周囲に配置された複数の光源(8)を有する照明システムと、備え、
前記カバー(4)は、前記光源(8)により放射された光の少なくとも一部を前記ハウジング(10)の内部に向けて透過させ、前記ハウジング(10)の内部に透過した光を拡散させるための内面を有する材料により作成され、
前記カバー(4)は、前記対象物(202)を撮影するために前記エンベロープの外側に位置するスチルカメラまたはビデオカメラ(14)のレンズによって塞がれることを意図した穴(16)と、前記穴(16)から離れた位置で前記カバー(4)を通る通路を画定する少なくとも1つの第1の開口(12)であって、オペレータが前記検査対象物(202)を前記ハウジング(10)に導入し、前記検査対象物(202)を前記ハウジング(10)から取り出し、前記検査対象物(202)を前記ハウジング(10)内で操作することを可能にする前記第1の開口(12)と、を有し、
前記底部(2)は、前記光源(8)によって放射された光の少なくとも一部を前記ハウジング(10)の内部に向けて透過させ且つ前記ハウジング(10)の内部に透過した光を拡散させるための内面を有する材料により作成され、
前記エンベロープは、前記ハウジング(10)の実質的に均質な照明を生成するために、その全範囲にわたって導光体として機能し、
前記ボックス(1;100)は、オペレータが前記ボックスに面する使用位置において、一方の腕を前記第1の開口(12)から挿入することによって前記ハウジング(10)の実質的に中央に片手を置く位置にオペレータがいるような寸法を有し、
前記穴(16)及び前記第1の開口(12)は、前記使用位置において、前記穴(16)が実質的にオペレータの目と前記ハウジング(10)との間に位置するように配置されている、
ボックス(1;100)。
【請求項2】
前記カバー(4)は、オペレータが前記検査対象物(202)を前記ハウジング(10)に導入し、前記検査対象物(202)を前記ハウジング(10)から取り出し、前記検査対象物(202)を前記ハウジング(10)内で操作することを可能にする、前記カバー(4)を通る追加の通路を画定する少なくとも1つの第2の開口(12)を有し、
前記第1及び第2の開口(12)は、オペレータが前記使用位置で前記検査対象物(202)を操作できるように両腕を同時に挿入できるように互いに対して配置されている、
請求項1に記載されたボックス(1;100)。
【請求項3】
前記穴(16)並びに前記第1及び第2の開口(12)は、前記底部(2)に実質的に垂直且つ前記ボックス(1;100)の中心を含む横断面の同じ側に配置されている、請求項2に記載のボックス(1;100)。
【請求項4】
前記カバー(4)は、鋭利なエッジのない概ね湾曲した形状を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のボックス(1;100)。
【請求項5】
前記光源(8)の少なくとも一部とビデオカメラ(14)とが配置される空間を画定するために十分な距離だけ前記カバー(4)から離れて当該カバー(4)の周囲に配置された保護シェル(6)を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のボックス(1;100)。
【請求項6】
前記光源(8)の少なくとも一部が配置される空間を画定するために十分な距離だけ前記カバー(4)から離れて当該カバー(4)の周囲に配置された保護シェル(6)を備え、前記シェル(6)は、前記カバー(4)の前記穴(16)と実質的に整列した窓を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のボックス(1;100)。
【請求項7】
前記シェル(6)は、スチルカメラ、スマートフォン、タブレット又はビデオカメラの支持体を備える、請求項6に記載のボックス(1;100)。
【請求項8】
前記光源(8)により放射される光の特性、特に光の強度及び温度の調整を可能にする、前記光源(8)を制御するための装置(20)を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のボックス(1;100)。
【請求項9】
スチルカメラ、スマートフォン、タブレット又はビデオカメラのための、特に撮影を開始するためのリモートコントロール装置(20)を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のボックス(1;100)。
【請求項10】
前記保護シェル(6)上に配置された前記スチルカメラ又は前記ビデオカメラ(14)によって撮影された画像を表示するためのスクリーンを含む、請求項5又は6に記載のボックス(1;100)。
【請求項11】
前記表示スクリーンは、適切な支持体(206)によって前記保護シェル(6)に固定されたタブレット(204)のスクリーンである、請求項10に記載のボックス(1;100)。
【請求項12】
前記タブレット(204)が、アクティブ展開位置と、前記保護シェル(6)に対して折り畳まれた非アクティブ位置との間で、前記保護シェル(6)に対して枢動できるように、前記適切な支持体(206)が配置されている、請求項11に記載のボックス(1;100)。
【請求項13】
前記タブレット(204)は、オペレータと遠隔地に位置する対話者との間でビデオ会議を開催することを可能にするための少なくとも1つの追加のビデオカメラを有する、請求項10又は11に記載のボックス(1;100)。
【請求項14】
前記スチルカメラ又は前記ビデオカメラ(14)によって撮影された前記対象物(202)の画像を遠隔地に位置する対話者に送信することを可能にするように適合された電子接続装置を含む、請求項1から13のいずれか1項に記載のボックス(1;100)。
【請求項15】
前記電子接続装置は、前記対象物(202)の画像を前記タブレットに送信するように適合されており、前記タブレットは、通信ネットワークに接続するための装置を含む、請求項13を引用する請求項14に記載のボックス(1;100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチルカメラ又はビデオカメラを用いて対象物を遠隔表示するためのボックスに関し、ボックスは、
検査対象物のための実質的に閉じたハウジングを画定し、底部とカバーとを有するエンベロープと、
エンベロープの周囲に配置された複数の光源を有する照明システムと、を備え、
カバーは、光源により放射された光の少なくとも一部をハウジングの内部に向けて透過させ、ハウジングの内部に透過した光を拡散させるための内面を有する材料により作成され、
カバーは、対象物を撮影するためにエンベロープの外に配置されたスチルカメラ又はビデオカメラのレンズによって塞がれることを意図した穴と、穴から離れた位置でカバーを通る通路を画定する少なくとも1つの第1の開口であって、オペレータが検査対象物をハウジングに導入し、検査対象物をハウジングから取り出し、検査対象物をハウジング内で操作することを可能にする第1の開口と、を有する。
【背景技術】
【0002】
特に、持ち運びが容易な写真スタジオを提案する目的で、同様の装置が先行技術として知られている。
【0003】
したがって、例えば、米国特許出願公開第2003/0193800号明細書には、ボックス内に位置する撮影対象物を均一に照明することを可能にする照明ボックスの複数の実施形態が記載されている。上記文献の図1は、その発明に対応する先行技術、すなわち、前面に大きな開口を有し、その開口から検査対象物を導入して撮影を行うことが可能なボックスを示している。明らかに、この種のボックスでは、前面開口部の寸法及び位置が、得られる照明の質を低下させる。そこで、上記文献では、特に、図6及び7に描かれた、平行六面体の蓋で覆われたベースを含むボックスを提案している。複数の光源が、光拡散材料のシートで区切られた平行六面体の中央ハウジングの周りに垂直に配置されている。ハウジングの上方において、蓋の外側に、被写体を撮影するための装置が配置されている。この実施形態では、ハウジングの内部へのアクセスはあまり明確ではないが、別の実施形態(図5)においては、本文献は、蓋がハウジングへのアクセスを提供する横扉を備えることを規定している。図6及び7の実施形態においては、光源の配置のため横扉を設けることができないので、撮像装置が固定されたプレートは取り外し可能であると想定できる。
【0004】
いずれの場合も、上記文献に記載されたボックスは、検査対象物の操作と同時にその対象物を十分均一に照明することにより、遠隔地にいる対話者のためにその対象物を良好な観察条件で遠隔表示すること(図3~5)、又は、検査対象物を同時に操作及び撮影すること(図6及び7)の、いずれも可能ではない。さらに、光源がハウジングの周囲に十分に規則正しく配置されていないだけでなく、検査対象の性質によっては、特に、例えば時計のケースのガラスや時にはケースのように、後者が少なくとも一つの反射面を含む場合には、複数の暗部が避けられず、撮影時に検出される可能性がある。特に、底部やハウジングにアクセスするための扉は、この種の暗部を構成しているので、ボックスの底部や上部の方向へ向けられた検査対象の面は、側面ほどには照明されない。
【0005】
米国特許出願公開第2003/0184740号明細書は、実質的に上記の特徴を有する、例えば皿などの食器の品質をチェックするためのシステムを開示する。そのシステムは、照明装置とスチルカメラとを囲む大きな不透明なエンベロープを含む。後者は、食器の品質をチェックするために食器が配置されるべき所定の位置の鉛直上方に配置される。エンベロープは、入口と出口とを備え、入口及び出口はそれらの間にトンネルを画定し、そのトンネルに沿って、チェックする食器が置かれるコンベアベルトが移動する。エンベロープの内部には、食器をひっくり返すなどの操作が可能な機構を設けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0193800号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0184740号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
明らかに、上記のシステムは可搬型ではなく、むしろ工業生産ラインに統合されることを意図しており、チェックされる対象物のフローの最適化とチェック手順の最大限の自動化を可能にする特定の機能を備えている。このシステムの目的は、最も効率的且つ最速の方法で、大量の一連の同一(又はほぼ同一)の対象物を次々にチェックすることであるため、その手順に人間が介入することには意味がない。
【0008】
このため、遠隔地にいる対話者が、その対象物を直接検査するのと可能な限り一致する程度までその対象物の品質を評価できるように、対象物を最適な品質で均一に照明できる、対象物の遠隔表示用の可搬型ボックスを採用する必要性が依然として存在する。
【0009】
本発明の主な目的は、従来技術から既に知られているボックスの構造とは異なる構造のボックスであって、遠隔地にいる対話者が対象物を見るための可能な限り忠実な観察条件を享受できるボックスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は、より詳細には、上記で言及されたタイプのボックスに関し、ボックスは、
その底部も、光源によって放射された光の少なくとも一部をハウジングの内部に向けて透過させ、ハウジングの内部に透過した光を拡散させるための内面を有する材料により作成されていることと、
エンベロープが、ハウジングの実質的に均質な照明を生成するために、その全範囲にわたって導光体として機能することと、
ボックスは、オペレータがボックスに面する使用位置において、一方の腕を第1の開口から挿入することによってハウジングの実質的に中央に片手を置く位置にオペレータがいるような寸法を有することと、
スチルカメラ又はビデオカメラのレンズのための穴及び第1の開口部が、使用位置において、穴が実質的にオペレータの目とハウジングとの間に位置するように配置されていることと、を特徴としている。
【0011】
これらの特徴により、光源から放射された光はエンベロープ全体に伝播し、検査対象物を撮影する際に検出可能な暗部の出現を制限するので、光はあらゆる方向から検査対象物に到達する。また、検査対象物がハウジング内にある場合、オペレータは検査対象物を直接見ることはできないが、エンベロープ及び照明システムの構造上、スチルカメラ又はビデオカメラのレンズとオペレータの目との相対位置により、実質的に直視に相当する検査対象物の画像を撮影することができる。したがって、オペレータは、ボックスの外の対象物を直視して操作するのと非常に近い感覚で、特にその向きを変えるために、ボックスの中の対象物を操作することができる。同様に、本発明によるボックスを使用して対象物を表示する遠隔地にいる対話者は、非常に忠実な対象物を見ることができ、すなわち、対象物を実質的に自分の手に持っているような印象を持つことができる。もちろん、オペレータと遠隔地にいる対話者との間の通信により、対話者は、自分の希望や必要に応じて、オペレータに対象物の見え方や向きを変えるよう要求することができる。
【0012】
変形実施形態では、底部とカバーとの間の界面は、光源から放出される光の一部が底部からカバーに通過すること及びその逆方向に通過することを可能にすることができる。
【0013】
さらに、オペレータが検査対象物をハウジングに導入し、ハウジングから取り出し、ハウジングの中で操作することを可能にする、カバーを通る追加の通路を画定する少なくとも1つの第2の開口を備えるようにすることが特に有利であり、第1及び第2の開口は、オペレータが使用位置で検査対象物を操作できるように、両腕を同時に挿入できるように互いに対して配置される。
【0014】
この場合、特にボックスの寸法に関して、穴と第1及び第2の開口とが、ボックスの底部に実質的に垂直且つボックスの中心を含む横断面の同じ側に配置されるようにすることが好ましい。これにより、オペレータがボックスに対して使用位置に対応する位置を取る場合、すなわち、第1及び第2の開口を自分に向け、ボックスの中心を通りオペレータの目の間を通る横断面に対して実質的に対称に位置する状態でボックスに面すると、ハウジングへのアクセスが2つの開口を介して対称に行われるので、ハウジング内の対象物の操作が容易になる。
【0015】
一般的には、カバーが鋭利なエッジのない概ね湾曲した形状を有するようにすることが有利であり得る。
【0016】
このように、ハウジングの内側から観察すると、エンベロープの内面全体が一様に見えるが、唯一の例外は、エンベロープの外側からの撮影を可能にするカバーの穴と、オペレータがハウジングにアクセスできるようにする開口である。
【0017】
一般的には、本発明によるボックスは、光源の少なくとも一部とカメラが配置される空間を画定するために十分な距離だけカバーから離れて、カバーの周囲に配置された保護シェルを備えるようにするのがよい。
【0018】
あるいは、本発明によるボックスは、光源の少なくとも一部が配置される空間を画定するために十分な距離だけカバーから離れて、カバーの周囲に配置された保護シェルを備え、シェルは、カバーの穴と実質的に整列した窓を有し、窓を通して撮影が可能であるようにしてもよい。
【0019】
この場合、有利には、シェルは、スチルカメラ、スマートフォン、タブレット又はビデオカメラの支持体を備えるようにするのがよい。
【0020】
一般的には、ボックスは、光源により放射される光の特性、特に光の強度及び温度の調整を可能にする、光源を制御するための装置を含むようにするのがよい。光源は、好ましくは、個々に、及び/又は、グループで制御するのがよい。
【0021】
また、ボックスは、スチルカメラ、スマートフォン、タブレット、又はビデオカメラのための、特に撮影を開始するためのリモートコントロール装置を備えるようにするのがよい。
【0022】
一般には、有利には、本発明によるボックスは、保護シェル上に配置された、スチルカメラ又はビデオカメラによって撮影された画像を表示するためのスクリーンを含むようにするのがよい。
【0023】
有利な変形実施形態によれば、表示スクリーンは、適切な支持体によって保護シェルに固定されたタブレットのスクリーンであるのがよい。この場合、アクティブ展開位置と保護シェルに対して折り畳まれた非アクティブ位置との間で、タブレットが保護シェルに対して枢動できるように、適切な支持体が配置されるようにしてもよい。
【0024】
さらに、タブレットは、オペレータと遠隔地にいる対話者の間でビデオ会議を開催することを可能にするための、少なくとも1つの追加のビデオカメラを有するようにするのがよい。
【0025】
一般的には、好ましくは、ボックスは、スチルカメラ又はビデオカメラによって撮影された対象物の画像を遠隔地に位置する対話者に送信することを可能にするように適合された電子接続装置を含むようにするのがよい。ボックスがタブレットを含む場合、有利には、電子接続装置が、対象物の画像をタブレットに送信するように適合されるのがよく、タブレットは、通信ネットワークに接続するための装置を含む。
【0026】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として提供される添付図面を参照して与えられる本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る好ましい実施形態による照明ボックスの簡略化した透視図である。
図2図1の照明ボックスの一部の簡略化した側面図である。
図3図1の照明ボックスの簡略化した透視図であり、特定の構造の詳細を露出するためにボックスの一部が取り外されている。
図4】本発明の変形例による照明ボックスの簡略化した透視図である。
図5図4の照明ボックスの一部を上方から見た簡略図である。
図6図4の照明ボックスの簡略化した透視図であり、特定の構造の詳細を露出するためにボックスの一部が取り除かれている。
図7図1と同様の図であり、オペレータが模式的に描かれている。
図8図2と同様の図であり、オペレータが模式的に描かれている。
図9図4と同様の図であり、オペレータが模式的に描かれている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の好ましい実施形態による照明ボックス1の簡略化した透視図を表す。
【0029】
この種のボックスは、複数の用途を持つことができる。実際、限定的でない例として、時計や宝飾品などの限られたサイズの対象物をスチルカメラ(場合によってはスマートフォンやタブレットのもの)やビデオカメラを用いて撮影することを目的とするだけではなく、特に対象物に適した照明を設定するのが複雑な場合がある専門の写真スタジオに検査対象物を輸送するのを避けることを目的とすることができる。もちろん、検査対象物の照明の質は、実際の写真スタジオと全く同じではないが、可能な限りそれに近いものになる。また、このような照明ボックスは、インターネット回線を介してビデオカメラの映像を送信することにより、遠隔地にいる人にも同じように対象物を見せることができる。
【0030】
以下の説明から明らかになるように、本発明に係るボックス1は、それらの様々な用途に完全に適合している。
【0031】
図1から明らかなように、照明ボックス1は、シェル6によって覆われたカバー4自体によって覆われた底部2を含む。カバー4とシェル6との間の距離は、光源8が配置される空間を画定するのに十分であり、光源8は、図1において、非限定的な例としてLEDのストリップの形で示されている。
【0032】
底部2とカバー4とは共に、検査対象物、特にスチルカメラやビデオカメラで撮影する対象物を配置することができるハウジング10を区画するエンベロープを形成する。
【0033】
したがって、カバー4は、光源8から放射される光の大部分を通過させることができ、ハウジング10の内部に向かって光を拡散する少なくとも1つの内面を有する材料で作られている。非限定的な例として、カバー4は、PMMA(プレキシグラス)により作られるのが良く、その少なくとも1つの内面はつや消し加工または砂目加工されている。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の適切な材料を選択することができる。
【0034】
カバー4は、有利には導光体として機能する。光源8により放射されカバー4に入射した光は、カバー4の中を伝播し、拡散されることによってハウジング10内に実質的に均一な形で放出される。
【0035】
図1に示されている好ましい実施形態によれば、ボックス1のカバー4は、各々がカバー4を通る通路を画定する第1及び第2の横方向の開口12を備え、その通路によりユーザは検査対象物をハウジング10に導入し、ハウジング10から取り出し、ハウジング10の中で操作することができる。必要に応じて開口12を塞ぐことができるように、開口12と相補的な形状を有する取り外し可能部分(図示せず)を付加的に設けることが可能である。かくして、それぞれの取り外し可能部分は、検査対象物をハウジング10内に完全に封入することを可能にするドアとして機能する。
【0036】
それぞれの取り外し可能部分は、カバー4の残りの部分のものと光学的に適合する(すなわち、ここでは類似の、又は同一の屈折率を有する)材料、好ましくは同じ材料で作られるのがよく、カバー4の残りの部分と実質的に同じ厚さを有するのがよい。したがって、取り外し可能部分が、カバー4の閉鎖形態に対応して、開口12に配置される場合、それらはカバー4の残りの部分と連続する内面を画定し、カバー4の残りの部分を通過する光は、取り外し可能部分の内部へ透過でき、逆もまた可能である。これらの特徴により、照明ボックス1は、先行技術の装置の場合のように暗部を発生させることなく、ハウジング10への1つ又は複数のアクセスドアを含むことができる。
【0037】
取り外し可能部分は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な手段によって開口12の所定の位置に保持されるのがよく、特に、エンベロープの外側に配置されたヒンジによって、又は開口12の周りのカバー4の外面に負担することを意図した取り外し可能部分の外周に形成された少なくとも1つのタング(tongue)若しくは適当なリムを採用することによって、開口12に保持されるのがよい。
【0038】
底部2も、有利には、カバー4のものと光学的に適合する材料、好ましくは同じ材料により作られている。したがって、底部2とカバー4との間の界面は、光が一方から他方へ自由に通過することを可能にし、底部2がハウジング10の照明に寄与することを可能にする。一般的に言えば、この特徴は、底部2の下に少なくとも1つの光源を配置することによって、必要に応じてバックライトの使用も可能にする。より一般的には、底部2は、ハウジング10の内部への光の拡散を可能にするように適合された内面を有する。
【0039】
さらに、有利には、使用者の快適さのため、眩しさを避けるだけでなく、照明ボックス1内に最大の光を保持するために、シェル6は不透明な材料で設けられるのがよい。
【0040】
図2及び3はそれぞれ、照明ボックス1の簡略化された部分側面図及び透視図を表し、構造の特定の詳細をよりよく理解することを可能にするものである。
【0041】
図2及び3において、光源8は、ハウジング10内の照明の均一性を保証するために、カバー4の全周に規則的に配置されていることがわかる。
【0042】
さらに、これらの同じ図から、底部2がハウジング10の照明に積極的に貢献できるようにするために、光源8が底部2の端面に対しても配置されていることがわかる。上述したように、少なくとも1つの光源8を底部の下に配置して(図示せず)検査対象物のバックライトの使用を可能にしてもよい。
【0043】
当業者であれば、特定のニーズに適した方法で底部2の周囲に光源8を配置することに特に困難は生じないであろう。したがって、例えば、光源8を底部2の少なくとも短い側面の各々若しくは底部2の少なくとも長い側面の各々及び/又は底部2の下に配置することが可能であり、LEDの単一の柔軟なストリップを使用して底部2の周囲に配置することさえ可能である。
【0044】
この特徴により、底部2はハウジング10内に積極的に光を透過させ、これにより底部2とカバー4の接合部を完全にマスクして、カバー4もエンベロープの他の部分と同様に発光させることも可能になる。
【0045】
したがって、エンベロープの全体は、その全範囲にわたって、すなわち、カバー4、底部2、及びこれら2つの要素の間の界面のレベルで導光体として機能し、その結果、先行技術の装置よりもはるかに優れた品質の連続的で均一な照明が得られる。
【0046】
ボックス1を使用して遠隔地にいる人に対象物を表示する、好ましくはビデオで表示することを目的とする用途の文脈では、ハウジング10で採用される照明の品質は、専門のスタジオに近い品質でその対象物を撮影する場合よりも重要ではないことに留意されたい。
【0047】
さらに、ここでは、カバー4は、有利には、ハウジング10内の照明の均一性を最大限に最適化できるように、鋭利なエッジのない概ね湾曲した形状を有することに留意されたい。
【0048】
撮影用デバイスの配置については、本発明の範囲内に留まりつつも、複数の解決策を想定することができる。カバー4とシェル6との間に位置する空間にビデオカメラ14を配置することが可能であり(図1及び2)、あるいは、ビデオカメラ、スチルカメラ、スマートフォン又はタブレットをシェル6の外側に配置することも可能である。
【0049】
したがって、カバー4は、ハウジング10を区画するエンベロープの外側からの撮影を可能にする穴16を含む。
【0050】
シェル6の外側に装置を配置しなければならない場合、シェル6には、カバー4の穴16と実質的に重なる位置にある窓(図示せず)が同様に設けられる。
【0051】
外部装置を使用する場合、図3に示すように、シェル6に適切な支持体18を設けるのがよく、ここではスマートフォンの支持体で構成されている。
【0052】
さらに、照明ボックス1は、ハウジング10内に配置された光源8を制御するための装置20、場合によっては取り外し可能な装置を、リモートコントロールに類似した方式で、含む場合があり得る。したがって、この装置20は、特に、光源8によって放射される光の特性、例えばその強度及び/又は温度などを調整することを可能にすることができる。既に述べたように、光源8は、好ましくは、個別に、及び/又は、エンベロープの異なるゾーンに関連するグループで、特にその出力が制御されるのがよい。
【0053】
さらに、制御装置20により、スチルカメラ、ビデオカメラ、スマートフォン、タブレットなどの撮像装置をリモートコントロールできるようにすることも可能である。あるいは、撮像装置専用の追加の制御装置を使用可能とすることもできる。
【0054】
ハウジング10には、有利には、任意選択的な追加の特徴を採用することができ、具体的には、ハウジング10の実質的に中央に位置するターンテーブル22を設けることができる。この目的のために、底部2は、カバー4に対して固定され、ターンテーブル22を画定する円盤状の中央部分が配置された円形穴を含む周辺部分24を備えるのがよい。ターンテーブル22を回転駆動するための様々な機構を、本発明の範囲内で備えることができる。有利には、ハウジング10の外側に配置された透明板(図示せず)がターンテーブル22に固定されるようにするのがよい。したがって、この透明板をユーザがハウジングの外側から操作して、ターンテーブル22を回転させ、これによってターンテーブル22の下に暗部を生じさせることなく検査対象物を回転させることができる。
【0055】
図4図5及び図6は、それぞれ、本発明の好ましい実施形態の変形例による照明ボックス100の透視図、一部分の上面図及び一部マスキングを施した透視図の、簡略化した図を表す。
【0056】
簡単のため、図1から3を参照して説明したものと同じ構成要素には、同じ参照番号を付している。
【0057】
照明ボックス100は、概ねドーム状の形状により、照明ボックス1と単純に区別される。
【0058】
照明ボックス100は、カバー4とシェル6との間の空間に配置された内部ビデオカメラ14を備える変形例として図4から6に示されている。
【0059】
カバー4の曲率にできるだけ近く追従できるように、柔軟な光源8が使用されていることがわかる。
【0060】
特にこのドーム状の形状は、図1から3に示したものよりもコンパクトな照明ボックスの生産を可能にする。
【0061】
図7、8及び9は、それぞれ、図1図2及び図4と同様の図であり、本発明によるボックスの利点をより強調するために、オペレータが概略的に描かれている。
【0062】
より正確には、オペレータは、サービスポジション又はボックス1若しくは100を使用するポジション、即ちボックス1、100に向かって着席又は起立の何れかで、第1及び第2の開口12がオペレータの方を向き、ボックス1、100の中心を通りオペレータの目の間を通る横断面に対して実質的に対称に位置している状態で表されている。したがって、ハウジング10へのアクセスは、2つの開口12を介して対称的に行われ、オペレータは、快適な姿勢でハウジング10の中央領域に両手を置くことができる位置にあり、これによりハウジング内の対象物の操作が容易になる。この後者の点は、腕時計の形をした対象物202が示されている図7及び図9において、より特に明確である。
【0063】
もちろん、この特定の用途の性質は、ボックス1、100の寸法に、より詳細には2つの開口12(2つある場合)の間の距離に直接影響を与える。実際には、2つの開口12の間の距離は、使用中のオペレータの快適な姿勢を保証するために、好ましくは約30~60cmの間に含まれる。その結果、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、より長いボックス1を製造することが可能であっても、その長さが80cmを超えることに大きな利点はない。
【0064】
図7、8及び9から明らかなように、使用位置において、使用されるスチルカメラ又はビデオカメラのレンズ(したがって、ビデオカメラ14のレンズ又は穴16)は、実質的にオペレータの目とハウジング10との間に位置している。
【0065】
上述のように、スチルカメラ又はビデオカメラのレンズとオペレータの目との相対的な位置関係により、検査対象物202について、実質的に直視に対応する画像を撮影することができる。したがって、オペレータは、ボックス1、100内の対象物202を、特にその向きを変えるために、ボックス1、100の外でその対象物202を直接見ながら操作する場合と非常に近い感覚で操作することができる。同様に、本発明によるボックス1、100を使用して対象物202が表示されることになる遠隔地の対話者は、非常に忠実な態様で、すなわち、仮想的にその対象物202を手に持っている印象を持って、その対象物202を見ることができる。
【0066】
さらに、図8には、任意選択的なタブレット204が非限定的な例示の仕方で表されている。
【0067】
ここで、タブレット204は、適切な支持体206によって保護シェル6に取り付けられ、好ましくは、アクティブ展開位置(図8に示すような)と、シェル6に対して折り畳まれた非アクティブ位置との間で枢動できるような方式で取り付けられる。
【0068】
タブレット204は、有利には、スチルカメラ又はビデオカメラによって撮影された画像を見るためのスクリーンを備え、これは、ビデオカメラ14がシェル6とカバー4との間に直接配置される場合に、より特に利点がある。これにより、オペレータは、頭を動かすことなく、システムが遠隔地にいる対話者にどの画像を送信するかを直接制御することができる。
【0069】
特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々なオプションを想定することができる。特に、タブレット204が、少なくとも1つの追加のビデオカメラを備えることにより、オペレータと遠隔に位置する対話者との間のビデオ会議を可能にしたり、あるいは、例えば、着用中のネックレスの画像を送信するためにボックス1、100の外での撮影を可能にしたりすることもできる。タブレット204は、ボックス1、100の外側の場所を照らすために、フラッシュ又は1つ以上のLEDなどの専用の照明を同様に備えてもよい。
【0070】
一般的に言えば、ボックスは、遠隔地に位置する対話者に、場合によってはタブレット204がある場合にはそれを介して、撮影した画像の送信を可能にする電子接続装置を含む。電子接続装置は、通信ネットワーク(GSM、WiFi又はBluetooth(登録商標)タイプのデータ)に接続するための少なくとも1つの装置を含む。当業者が、ボックス1、100と遠隔地に位置する対話者との間で遠隔接続を設定することを可能にする電子部品を使用することに特に困難はなく、その性質は本発明の実施に直接影響を与えない。
【0071】
当業者は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、非限定的な例示のためにここに示したものとは異なる形状を有する照明ボックスを製造するために本教示を適応させることに特に困難を感じることはないであろう。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、特に、エンベロープの形状を考慮して、光源の多くの異なる配置を提供することが可能である。さらに、必要に応じて、検査対象物のバックライトを提供するために、ボックスの底部の下に少なくとも1つの光源の配置を提供することも、同様に可能である。
【0072】
以上のような特徴により、視認性、忠実性に優れた遠隔表示用照明ボックスを実現することができる。
【0073】
前述の説明は、非限定的な例示によって1つの特定の実施形態を説明することに向けられており、本発明は、例えば、描写され説明された照明ボックスの形状、又はその様々な構成要素が作られる材料、又は使用される光源の性質など、前述した特定の特徴を使用することに制限されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】