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特表2023-553763マニピュレータサブアセンブリを装備しているビレット圧延ミル、および、当該圧延ミルを制御するための方法
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  • 特表-マニピュレータサブアセンブリを装備しているビレット圧延ミル、および、当該圧延ミルを制御するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-25
(54)【発明の名称】マニピュレータサブアセンブリを装備しているビレット圧延ミル、および、当該圧延ミルを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/02 20060101AFI20231218BHJP
   B21H 1/22 20060101ALI20231218BHJP
   B21B 39/06 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B21B1/02 B
B21H1/22
B21B39/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558940
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021084807
(87)【国際公開番号】W WO2022122826
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】20212898.9
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523218809
【氏名又は名称】フォージ・パット・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギー・ヴァンザン
【テーマコード(参考)】
4E002
【Fターム(参考)】
4E002AB06
4E002BB20
4E002BD08
4E002CB08
(57)【要約】
ビレット圧延ミルは、成形されるべきブランク(E)を成形するための2つのロールであって、各成形ロールは、少なくとも1つの圧延ツールを提供されており、少なくとも1つのそれぞれの駆動モータによって回転軸線の周りに回転させられる、2つのロールと、成形ロールに対してブランクを移動させるためのマニピュレータサブアセンブリ(20)と、を含む。マニピュレータサブアセンブリは、ブランクをグリップするためのクランプ(39)と、少なくともブランクの圧延方向(X38)に沿ってクランプを移動させるためのキャリッジ(35)と、を含む。マニピュレータサブアセンブリ(20)は、圧延方向(X38)に沿ってキャリッジ(35)を移動させるための少なくとも1つのリニアモータ(200)を含む。圧延方向(X38)は、圧延ツールの回転軸線に対して垂直である。リニアモータ(200)は、ブランク(E)を加速させるように構成されており、圧延ツール(72、82)間に画定されたギャップからブランクを引き抜く傾向がある引張力、またはブランクの排出の速度を制限する傾向がある制動力のいずれかをブランク(E)に選択的に働かせるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビレット圧延ミル(2)であって、
成形されるべきブランク(E)を成形するための2つの成形ローラ(7、8)であって、各成形ロールは、少なくとも1つの圧延ツール(72、82)を提供されており、少なくとも1つのそれぞれの駆動モータ(15)によって回転軸線(Y7、Y8)の周りに回転させられる、2つの成形ローラ(7、8)と、前記成形ロールに対して前記ブランクを移動させるためのマニピュレータサブアセンブリ(20)であって、前記マニピュレータサブアセンブリは、前記ブランクをグリップするためのクランプ(39)、少なくとも前記ブランクの圧延方向(X38)に沿って前記クランプを移動させるためのキャリッジ(35)、および前記圧延方向(X38)に沿って前記キャリッジ(35)を移動させるための少なくとも1つのリニアモータ(200)を含む、マニピュレータサブアセンブリ(20)と、を備える、
ビレット圧延ミル(2)において、
- 前記圧延方向(X38)は、前記圧延ツール(72、82)の前記回転軸線(Y7、Y8)に対して垂直であり、
- 前記リニアモータ(200)は、前記ブランク(E)を加速させて、前記圧延ツールの速度と同期化された速度で前記圧延ツール(72、82)間に前記ブランクを挿入し、前記圧延ツール(72、82)間に画定されたギャップから前記ブランクを引き抜く傾向がある引張力、または前記ブランクの排出の速度を制限する傾向がある制動力のいずれかを前記ブランク(E)に選択的に働かせるように構成されていることを特徴とする、ビレット圧延ミル(2)。
【請求項2】
前記キャリッジ(35)は、前記圧延方向(X38)に対して垂直でありかつ前記成形ロール(7、8)の前記回転軸線(Y7、Y8)に平行である横断方向(Y33)に沿っても移動可能であり、前記マニピュレータサブアセンブリ(20)は、前記横断方向に沿って前記キャリッジを移動させるための少なくとも1つのリニアモータ(100)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧延ミル。
【請求項3】
各リニアモータ(100、200)は、電流を供給される一次磁気エレメント(102、202)と、電流を供給されない二次磁気エレメント(104、204)と、前記一次磁気エレメントおよび前記二次磁気エレメントを相対的な並進でガイドするための手段(31R、32;33R、34)と、を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の圧延ミル。
【請求項4】
前記ガイド手段は、前記マニピュレータサブアセンブリ(20)の第1のパーツ(31、33)に装着されている少なくとも1つのレール(31R、33R)であって、前記第1のパーツ(31、33)は、前記一次磁気エレメントおよび前記二次磁気エレメントのうちの第1の磁気エレメント(104、202)を担持する、少なくとも1つのレール(31R、33R)と、前記マニピュレータサブアセンブリの第2のパーツ(33、35)に装着されているスライド(32、34)であって、前記第2のパーツ(33、35)は、前記一次磁気エレメントおよび前記二次磁気エレメントのうちの第2の磁気エレメント(102、204)を担持する、スライド(32、34)と、を含むことを特徴とする、請求項3に記載の圧延ミル。
【請求項5】
前記ガイド手段は、前記一次磁気エレメント(102、202)および前記二次磁気エレメント(104、204)の両側に配置されている2セットのレール(31R、33R)およびスライド(32、34)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の圧延ミル。
【請求項6】
前記圧延方向(X38)に沿って前記キャリッジ(35)を移動させるための前記リニアモータ(200)の前記一次磁気エレメント(202)は、前記横断方向(Y33)に沿って並進で移動可能なフレーム(33C)に装着されており、前記圧延方向に沿って前記キャリッジを移動させるための前記リニアモータ(200)の前記二次磁気エレメント(204)は、前記キャリッジ(35)に装着されていることを特徴とする、請求項2を引用する請求項3に記載の圧延ミル。
【請求項7】
前記横断方向(Y33)に沿って前記キャリッジ(35)を移動させるための前記リニアモータ(100)の前記一次磁気エレメント(102)は、前記横断方向に沿って並進で移動可能なフレーム(33C)に装着されており、前記横断方向に沿って前記キャリッジを移動させるための前記リニアモータ(100)の前記二次磁気エレメント(104)は、前記ビレット圧延ミル(2)の固定構造体(4)に堅固に取り付けられていることを特徴とする、請求項2を引用する請求項3に記載の圧延ミル。
【請求項8】
前記成形ロール(7、8)の前記回転軸線(Y7、Y8)間の中心距離(E78)は、前記成形ロールに力(F17)を働かせ、前記中心距離を低減させる傾向があるカム機構(9C、10C、17)と、前記成形ロールに力(F55)を働かせ、前記中心距離を増加させる傾向がある弾性システム(55)と、によって調節可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の圧延ミル。
【請求項9】
前記キャリッジ(35)は、前記クランプを操縦するための電気モータ(42)を担持することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の圧延ミル。
【請求項10】
ダンパーシステム(43)は、前記電気モータ(42)の出力シャフト(42A)と、前記クランプ(39)の開閉機構(40)を操縦するためのプッシュロッド(54)と、の間に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の圧延ミル。
【請求項11】
前記キャリッジ(35)は、前記圧延方向に平行な軸線(X38)の周りでの前記クランプ(39)の角度配向のための電気モータ(44)を担持することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の圧延ミル。
【請求項12】
前記電気配向モータ(44)は、所定の範囲にわたって、前記圧延方向に平行な前記軸線(X38)の周りでの前記クランプ(39)の前記角度配向を制御し、前記範囲の角度振幅は、前記電気配向モータの起動時間に依存することを特徴とする、請求項11に記載の圧延ミル。
【請求項13】
前記電気配向モータ(44)は、中空ロッド(38)を回転させ、前記中空ロッド(38)の一方の端部には、前記クランプ(39)を開閉するための機構(40)が装着されているのに対して、前記クランプ(39)を操縦するための前記電気モータ(42)は、前記ロッドの内側に配置されているプッシュロッド(54)を並進させ、前記プッシュロッド(54)は、前記クランプ(39)の前記開閉機構(40)に作用することを特徴とする、請求項9を引用する請求項11に記載の圧延ミル。
【請求項14】
各成形ロール(7、8)は、2つの電気モータ(15)によってその前記回転軸線(Y7、Y8)の周りに回転させられ、前記2つの電気モータ(15)のうちの一方は、その端部のそれぞれの近くに装着されており、好ましくは、減速ギア(152)が、各電気モータ(15)の出力シャフトと、前記モータによって駆動される前記成形ロール(7、8)のローラ(74、84)の隣接する端部と、の間に間置されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の圧延ミル。
【請求項15】
成形されるべきブランク(E)を成形するための2つの成形ロール(7、8)であって、各成形ロールは、少なくとも1つの圧延ツール(72、82)を提供されており、少なくとも1つのそれぞれの駆動モータ(15)によって回転軸線(Y7、Y8)の周りに回転させられる、2つの成形ロール(7、8)と、前記成形ロールに対して前記ブランクを移動させるためのマニピュレータサブアセンブリ(20)であって、前記マニピュレータサブアセンブリは、前記ブランクをグリップするためのクランプ(39)、少なくとも前記ブランクの1つの圧延方向(X38)に沿って前記クランプを移動させるためのキャリッジ(35)、および前記圧延方向(X38)に沿って前記キャリッジ(35)を移動させるための少なくとも1つのリニアモータ(200)を含む、マニピュレータサブアセンブリ(20)と、を備える圧延ミルを制御するための方法であって、前記方法は、前記リニアモータ(200)の一次磁気エレメント(202)に給電することによって実装されるステップであって、
- 前記圧延ツール(72、82)間に前記ブランク(E)を挿入するために、前記圧延ツールの速度と同期化された速度に前記ブランク(E)を加速させるステップと、
- 前記圧延ツール(72、82)間に画定されたギャップから前記ブランクを引き抜く傾向がある引張力、または前記ブランクの排出の速度を制限する傾向がある制動力のいずれかを前記ブランク(E)に選択的に働かせるステップと、
から構成されるステップを含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、成形されるべきブランクの熱間成形のための2つの成形ローラと、前記ローラに対して上記ブランクを移動させるために使用されるマニピュレータサブアセンブリと、を含む、ビレット圧延ミルに関する。本発明は、上記圧延ミルを制御するための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
ビレット圧延ミルにおいて、ブランクまたはビレットは、一般的に、円筒形状または長方形の断面を有する、スチール、アルミニウム、またはチタンのバーから構成されている。各ブランクまたはビレットの圧延は、熱間圧延であり、同期して反対方向に回転する2つの成形ロール間の複数のパスにおいて実施される。各成形ロールは、ロールの一部分にツールのスタックを担持しており、各ツールは、ブランクを形成する材料の体積を長手方向に沿って成形するためのプロファイルを画定している。圧延動作は、成形ロール間にブランクを給送し、次いで、前記圧延方向の方向に沿って並進で、一対のツールの2つのツール間にブランクを通過させることによって実施され、2つのツールは、2つの成形ロールにそれぞれ装着されている。
【0003】
一対のツールの2つのツールの間でのそれぞれの通過の後に、成形ロール間にブランクを再び挿入することによって新しい圧延パスを開始させ、次いで、圧延方向に沿って、次の一対のツール間にブランクを通過させることによってブランクを再び成形する前に、ブランクは、次の一対のツールの反対側に設置されるように、ロールの回転軸線に平行な方向に沿って並進で移動される。その動作は、2つの成形ロールにそれぞれ装着された一対のツールを連続して通過させることによって、所望の幾何学形状が到達されるまで、ブランクを成形するのに必要な回数だけ繰り返される。随意的に、その長手方向軸線の周りでのブランクの配向は、異なる圧延ステップの間で変化することが可能である。
【0004】
一対の成形ロールに対するブランクの移動を行わせるために、ビレット圧延ミルにマニピュレータサブアセンブリを装備する方法が知られており、マニピュレータサブアセンブリは、ブランクをグリップするためのクランプを含み、圧延方向に沿っておよび適当な場合にはロールの回転軸線に平行にブランクを移動させるために使用される。マニピュレータサブアセンブリの移動は、成形ロールの回転と同期化されなければならない。そのうえ、移動は、精密で迅速でなければならない。その理由は、それが、圧延されたパーツの幾何学形状に寄与し、圧延の合計サイクル時間の定義に寄与するからである。
【0005】
ブランクが圧延されているときには、ブランクは、2つの成形ロールに装着されているツールと接触しており、前記ツールは、ブランクに与えられることとなる幾何学形状に応じて、可変の直径を有している。ツール直径の可変の性質は、圧延方向に沿ったブランクの線形速度が関係式v=r*ωによって精密に決定されることを妨げ、ここで、vは、ブランクの線形速度であり、rは、ツールの半径であり、ωは、ロールの回転の角速度である。そのうえ、圧延動作に起因して、ブランクの伸びが起こり、それは、完全には制御されない。したがって、圧延の間のブランクの線形速度は、あまり精密には知られない。
【0006】
特定の公知の圧延ミルでは、マニピュレータサブアセンブリは、ラムを含み、ラムは、ブランクグリッピングクランプを担持しており、ラムは、成形ロール間にブランクを押すために作動され、成形ロールのツールは、次いで、互いに間隔を離して配置された構成になる。次いで、成形ロールのローラは、反対方向に回転するように作動され、ローラは、圧延方向に沿って、ブランクをマニピュレータサブアセンブリに戻し、マニピュレータサブアセンブリのラムは、次いで停止させられ、回転する2つの成形ローラのツールによってブランクに付与される移動に追従するようになっている。マニピュレータサブアセンブリの方向に沿ったブランクの戻り移動の結果として、および、ブランクの横方向のオフセットの後に、ラムは、後続の圧延ステップのために、成形ローラ間にブランクを再び挿入するために再び加圧される。そのようなロールの調節は、比較的に困難であり、一方では、ブランクがマニピュレータサブアセンブリに向けて戻されているときに、圧延の間のブランクの移動は、実際には制御されない。その理由は、ラムが、次いでフォロワであるからである。
【0007】
本発明のタイプとは異なるタイプの圧延ミルの中のリニアモータをアクチュエータとして使用する方法が、特許文献1から知られており、ここで、圧延ツールは、圧延方向に対してわずかに傾斜されたその軸線を有している。そのような圧延ミルは、圧延ツールの両側に位置付けられている軸線方向スラストシステムおよび回収システムを含む。別個の軸線方向スラストシステムおよび回収システムの使用は、複雑で高価である。
【0008】
また、圧延ミルの独立したマニピュレーションシステムにおいて、グリッパークランプを含む自動マニピュレータを駆動するためのリニアモータを使用する方法が、特許文献2から知られている。そのような圧延ミルは、マニピュレーションシステムを有していない。その理由は、マニピュレーションシステムが、圧延ミルのツールのための作業エリアへのアクセスを提供するために離れるように移動されることが可能でなければならないからである。リニアモータは、圧延ミルのロール[の移動]と同期した移動を伴って、スリーブを駆動するために使用され、それは、圧延の間にブランクの移動が同伴されることのみを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国特許第108296292号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2390224号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
新しいビレット圧延ミルを提案することによって本発明がとりわけ克服しようとするものは、上記の欠点であり、ビレット圧延ミルのマニピュレーションサブアセンブリは、圧延動作のより効果的な制御を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、ビレット圧延ミルに関し、ビレット圧延ミルは、ブランクを成形するための2つの成形ロールであって、各成形ロールは、少なくとも1つの圧延ツールを提供されており、少なくとも1つのそれぞれの駆動モータによって回転軸線の周りに回転させられる、2つの成形ロールを備える。ビレット圧延ミルは、成形ロールに対してブランクを移動させるためのマニピュレータサブアセンブリをさらに備え、マニピュレータサブアセンブリは、ブランクをグリップするためのクランプと、少なくともブランクの1つの圧延方向に沿ってクランプを移動させるためのキャリッジと、を含む。マニピュレータサブアセンブリは、圧延方向に沿ってキャリッジを移動させるための少なくとも1つのリニアモータを含む。本発明によれば、圧延方向は、圧延ツールの回転軸線に対して垂直である。さらに、リニアモータは、ブランクを加速させて、圧延ツールの速度と同期化された速度で圧延ツール間にブランクを挿入し、圧延ツール間に画定されたギャップからブランクを引き抜く傾向がある引張力、またはブランクの排出の速度を制限する傾向がある制動力のいずれかをブランクに選択的に働かせるように構成されている。
【0012】
本発明によって、圧延方向に沿ったブランクの移動の線形速度は、リニアモータによって規定され、したがって、精密に制御される。圧延方向に沿ったブランクの移動の精密な調節は、回転の間に圧延ツールによってブランクに印加される力と比較して追加的な引張力を働かせることによって、または、反対に、制動力を働かせることによって、リニアモータによって取得されることが可能である。追加的な引張力または制動力は、リニアモータの一次磁気エレメントと二次磁気エレメントとの間に働かされる電磁力から結果として生じる。その力は、精密におよび急速に制御されることが可能であり、本発明のビレット圧延ミルを高速生産に適合可能にする。
【0013】
本発明の有利であるが強制的でない態様によれば、そのようなビレット圧延ミルは、個別に得られるかまたは任意の技術的に許容可能な組み合わせにしたがって、1つまたは複数の以下の特徴を組み込むことが可能である:
【0014】
- キャリッジは、圧延方向に対して垂直であり、成形ロールの回転軸線に平行である横断方向に沿っても移動可能であり、一方では、マニピュレータサブアセンブリは、横断方向に沿ってキャリッジを移動させるための少なくとも1つのリニアモータを含む。
【0015】
- 各リニアモータは、電流を供給される一次磁気エレメントと、電流を供給されない二次磁気エレメントと、一次磁気エレメントおよび二次磁気エレメントを相対的な並進でガイドするための手段と、を含む。
【0016】
- ガイド手段は、マニピュレータサブアセンブリの第1のパーツに装着されている少なくとも1つのレールであって、第1のパーツは、一次磁気エレメントおよび二次磁気エレメントのうちの第1の磁気エレメントを担持する、少なくとも1つのレールと、マニピュレータサブアセンブリの第2のパーツに装着されているスライドであって、第2のパーツは、一次磁気エレメントおよび二次磁気エレメントのうちの第2の磁気エレメントを担持する、スライドと、を含む。
【0017】
- ガイド手段は、一次磁気エレメントおよび二次磁気エレメントの両側に配置されている2セットのレールおよびスライドを含む。
【0018】
- 圧延方向に沿ってキャリッジを移動させるためのリニアモータの一次磁気エレメントは、横断方向に沿って並進で移動可能なフレームに装着されており、一方では、圧延方向に沿ってキャリッジを移動させるためのリニアモータの二次磁気エレメントは、キャリッジに装着されている。
【0019】
- 横断方向にキャリッジを移動させるためのリニアモータの一次磁気エレメントは、横断方向に沿って並進で移動可能なフレームに装着されており、一方では、横断方向に沿ってキャリッジを移動させるためのリニアモータの二次磁気エレメントは、ビレット圧延ミルの固定構造体に堅固に取り付けられている。
【0020】
- 成形ロールの回転軸線間の中心距離は、成形ロールに力を働かせ、中心距離を低減させる傾向があるカム機構と、成形ロールに力を働かせ、中心距離を増加させる傾向がある弾性システムと、によって調節可能である。
【0021】
- キャリッジは、クランプを操縦するための電気モータを担持する。
【0022】
- ダンパーシステムは、電気モータの出力シャフトと、クランプの開閉機構の操縦プッシュロッドと、の間に配置されている。
【0023】
- キャリッジは、圧延方向に平行な軸線の周りでのクランプの角度配向のための電気モータを担持する。
【0024】
- 電気配向モータは、所定の範囲にわたって、圧延方向に平行な軸線の周りでのクランプの角度配向を制御し、範囲の角度振幅は、電気配向モータの起動時間に依存する。
【0025】
- 電気配向モータは、中空ロッドを回転させ、中空ロッドの一方の端部には、クランプを開閉するための機構が装着されており、一方では、クランプを操縦するための電気モータは、ロッドの内側に配置されているプッシュロッドを並進させ、プッシュロッドは、クランプの開閉機構に作用する。
【0026】
- 各成形ロールは、2つの電気モータによってその回転軸線の周りに回転させられ、2つの電気モータのうちの一方は、その端部のそれぞれの近くに装着されている。
【0027】
- 減速ギアが、各電気モータの出力シャフトと、モータによって駆動される成形ロールのローラの隣接する端部と、の間に間置されている。
【0028】
第2の態様によれば、本発明は、上述のタイプの圧延ミルを制御するための方法であって、方法は、リニアモータの一次磁気エレメントに供給することによって実装されるステップであって、
- 圧延ツール間にブランクを挿入するために、圧延ツールの速度と同期化された速度までブランクを加速させるステップと、
- 圧延ツール間に画定されたギャップからブランクを引き抜く傾向がある引張力、またはブランクの排出の速度を制限する傾向がある制動力のいずれかをブランクに選択的に働かせるステップと、
から構成されるステップを含む、方法に関する。
【0029】
単なる例として与えられており、同封された図面を参照して行われている、本発明の原理にしたがった圧延ミルの実施形態の以下の説明に照らして、本発明は、より良好に理解されることとなり、本発明の他の利点が、より明確に明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明によるビレット圧延ミルの斜視図である。
図2図1に示されている平面IIにおける部分的な断面を伴う、図1に示されている圧延ミルの同じ角度における斜視図である。
図3】圧延ミルの成形ロールが第1の構成にあるときの、図1に示されている平面IIIに沿った原理断面図である。
図4】成形ロールが第2の構成にあるときの、図3と同様の断面図である。
図5図1に示されている平面Vに沿った原理断面図である。
図6図1に示されている矢印VIに沿った、圧延ミルの正面図である。
図7図1から図6に示されているマニピュレータサブアセンブリの底面斜視図である。
図8】別の角度における、および、図7に示されている平面VIIIに沿った断面における、図7に示されているマニピュレータサブアセンブリの斜視図である。
図9図7に示されている矢印IXの方向に沿った、図7および図8のマニピュレータサブアセンブリの側面図である。
図10】ブランクは示されていない、図7に示されている矢印Xに沿った、マニピュレータサブアセンブリの端面図である。
図11図5の平面における、ブランクの圧延の4ステップの表現である。
図12図1の角度とは異なる角度のもとで見た、図1から図11に示されている圧延ミルの別の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から図12に示されているビレット圧延ミル2は、固定構造体4および除去可能な上側クロスピース5から構成されるフレーム3を含む。固定構造体4は、上側成形ロール7および下側成形ロール8の鉛直方向移動のための2つのガイドシステム6を支持しており、上側成形ロール7および下側成形ロール8は、互いに上下に装着されており、圧延ツール72および82のスタックをそれぞれ提供されており、圧延ツール72および82は、ローラ74および84の周囲部および長さの一部にわたってそれぞれ延在している。
【0032】
スタック72および82のそれぞれは、ローラ74または84に沿って、個々のツールパーツの並置によって形成されており、個々のツールパーツは、対になって働き、ブランクまたはビレットEを熱間成形することを意図している。スタック72または82のツールの個々のパーツの数は、圧延ミル2のユーザーの選択によるものである。以降では、簡単にするために、ツールのスタック72および82は、「ツール」と称される。
【0033】
各成形ロール7または8は、固定構造体4に対して、2つのブロック軸受(すなわち、左手側ブロック軸受9および右手側ブロック軸受10)によって支持されている。ブロック軸受9および10は、ガイドシステム6によって鉛直方向に並進してガイドされ、固定構造体の2つの直立部42の間に配置されている。クロスピース5は除去可能であるので、ブロック軸受9および10は、直立部42間に設置され、圧延ミル2のメンテナンス動作の間に除去されることが可能である。
【0034】
それぞれのブロック軸受9または10は、電気モータ15を支持しており、電気モータ15の出力シャフトは、ブロック軸受の中へ一体化された減速ギア152を通して、関連の成形ロール7または8のローラ74または84を回転させる。1つの減速ギア152のみが図2に示されており、それは、図の右上に示されている電気モータ15に関連付けられている。同等の減速ギア(図には示されていない)が、他の3つのモータ15に関連付けられており、ブロック軸受9または10において、モータの出力シャフトとローラ74または84との間に配置されている。したがって、それぞれのローラ74または84は、関連の減速ギア152を通して、上側回転軸線Y7または下側回転軸線Y8(それらの軸線は、互いに平行である)の周りに、2つのモータ15によって回転させられる。
【0035】
上記の例では、電気モータ15は、参照番号1PH8の下でSIEMENSによって販売されているタイプのものである。他のタイプのモータも考えられる。
【0036】
異なる電気モータ15は、電子制御ユニット(図示せず)によって制御されており、電子制御ユニットは、2つのモータ15によって同じローラ74または84に働かされるトルクを同期させ、2つのモータ15は、ローラ74または84の2つの端部の近くに配置されている。
【0037】
直交座標系X2、Y2、Z2が、圧延ミル2に関連付けられており、その水平方向軸線X2は、成形ロール7および8に向けて方向付けられており、その軸線Y2は、回転軸線Y7およびY8に平行になっており、その鉛直方向軸線Z2は、上向きに方向付けられている。
【0038】
加熱システム14は、各成形ロール7または8を部分的に取り囲んでいる。より正確には、それぞれの加熱システム14は、約120°に等しい頂角αの角度的扇形にわたって、かつ、ツール72または82の長さにわたって、隣接する成形ロール7または8のローラ74または84を取り囲んでいる。
【0039】
図1から図6の構成において、ローラ74および84のそれぞれは、その回転軸線Y7またはY8の周りに配向されており、ローラが支持するツール72または82が、隣接する加熱システム14に面して方向付けられるようになっている。そのような構成では、2つの加熱システム14は、放射によってツール72および82を加熱することが可能である。他方では、図2において上側成形ロール7のみに関して見ることができるように、熱伝達流体(たとえば、水など)の循環のためのチャネル76が、ローラ74および84のそれぞれの内側に形成されており、熱伝達流体を導入および吐出するための導管(図示せず)に接続された2つのロータリーシール16に接続されている。チャネル76を通る熱伝達流体の循環は、圧延の間に、ローラ74および84のそれぞれを冷却することを可能にする。
【0040】
軸線Y7と軸線Y8との間の鉛直方向の中心距離E78(それは、軸線Z2に平行に測定される)は、4つのくさび17によって制御され、4つのくさび17は、軸線X2に平行に移動可能であり、電気モータ19によってスクリュー-アンド-ナットシステム18を通してそれぞれ制御されている。それぞれの電気モータ19の出力シャフトの回転移動は、関連のスクリューナットシステム18によって、くさび17の並進移動に変換される。
【0041】
上記の例では、電気モータは、参照番号1FK7の下でSIEMENSによって販売されているタイプのものである。他のタイプのモータも考えられる。
【0042】
くさび17は、上側成形ロール7のブロック軸受9および10のそれぞれの上方に提供されており、くさび17は、下側成形ロール8のブロック軸受9および10のそれぞれの下方に提供されている。
【0043】
それぞれのくさび17は、軸線X2に平行な軸線X17に沿って移動し、図3および図4の平面において、軸線X17に対して傾斜されたカム表面172を有している。
【0044】
他方では、それぞれのブロック軸受9または10は、カム9Cまたは10Cを装備しており、カム9Cまたは10Cは、くさび17の表面172に対してスライド表面を有している。スライド表面は、図3および図4において見ることができるシム10Cの参照番号10Sによって識別されている。カム9Cのスライド表面は、カム10Cのスライド表面10Sに平行である。また、スライド表面10Sおよび均等物は、図3および図4の平面において、軸線X17に対して傾斜されている。
【0045】
くさび17上にならびにカム9Cおよび10C上に対応して提供されている傾斜された表面172および10Sは、それらがそれらの互いの表面に対して支え合うように配向されており、くさび17が軸線X2の方向に沿って変位されるときに、それぞれのくさびがカム9Cまたは10Cに力F17を働かせるようになっており、力F17は、ブロック軸受9および10を互いに向けて押し、それは、軸線Y7と軸線Y8との間の鉛直方向距離を低減させる傾向がある。
【0046】
他方では、2つのスプリングアセンブリ55が、ブロック軸受9および10の中に提供されているハウジング56の中にそれぞれ配置されている。スプリング55は、ブロック軸受の鉛直方向の分離の弾性力を働かせる。弾性力(図3および図4における矢印F55によって表されている)は、デフォルトで軸線Y7と軸線Y8との間の鉛直方向の中心距離を増加させる傾向がある。したがって、軸線X2の方向とは反対側の方向に沿った軸線X17に平行なくさび17の並進に起因して、ブロック軸受をより近くに持って来るための力が解放されるときには、スプリング55は、ブロック軸受9および10を鉛直方向に離れるように移動させ、それは、軸線Y7と軸線Y8との間の鉛直方向の中心距離E78を増加させ、それは、図3に示されている構成から図4に示されている構成への変化に対応している。
【0047】
一方では、パーツ9C、10Cおよび17によって形成されるカム機構の組み合わせ、ならびに、他方では、スプリング55によって形成される弾性システムの組み合わせは、モータ19による軸線Y7と軸線Y8との間の鉛直方向の中心距離E78の精密な制御のために使用される。
【0048】
好ましくは、電気モータ19の動作は、くさび17の並進軸線X17に沿ったくさび17の移動を調整するために同期化される。このように、ブロック軸受9および10は、ガイドシステム6間に所定の角度で設置されることを防止される。
【0049】
電気モータ19は、電子ユニット(図示せず)によって同期化され、電子ユニットは、有利には、電気モータ15を制御するユニットと同じである。
【0050】
マニピュレータサブアセンブリ20が、以下のために提供されている。
- 成形ロール7と成形ロール8との間にブランクE(換言すれば、ビレット)を装填すること。
- ツール72および82の作用に関係付けられる、ブランクの排出移動を同伴すること。
- ブランクをツール72および82の複数のパーツと連続的に協働させるために(ツールの一部は、ローラ74および84に沿って並置される)、軸線Y2に平行にブランクを横方向にオフセットさせること。
【0051】
マニピュレータサブアセンブリ20は、フレーム3によって支持されており、それがロール7および8に対して恒久的に正しく位置決めされるようになっている。マニピュレータサブアセンブリは、ロールへのアクセス、とりわけ、そのツール72および82へのアクセスを妨げない。
【0052】
図11は、本発明の圧延ミル2によって実施される圧延プロセスの4つのステップを示している。
【0053】
図11の左上部に示されている第1のステップにおいて、ツール72および82は、加熱システム14に対応して対向しており、ローラ84とローラ74との間に鉛直方向に画定されている体積Vの中へブランクEを挿入することが可能であるようになっている。この体積Vは、なかでも、図6で見ることが可能である。体積Vの中へのブランクEの挿入は、矢印F1の方向に沿って行われ、矢印F1は、軸線X2に平行であり、同じ方向に沿って配向されている。
【0054】
図11の右上部に示されている第2のステップにおいて、成形ロール7および8は、回転矢印R7およびR8によって表されている2つの反対方向に、それぞれ軸線Y7およびY8の周りに同期して回転させられる。そのような二重回転は、ツール72および82をブランクEと接触させる効果を有しており、ブランクEは、次いで、挿入移動とは反対方向に、軸線X2に平行な水平方向の並進移動を開始し、並進移動は、図11において矢印F2によって表されている。ツール72および82とブランクEとの間の接触の瞬間において、ブランクEは、軸線X2に沿って正しい位置に、かつ、ツール72および82との軸線に沿って理論的な同期化の速度で設置されるように加速されているはずである。
【0055】
矢印R7およびR8によって表されているように、成形ロール7および8の回転移動が継続することに起因して、ツール72および82は、ブランクEをしっかりと支え、ブランクEは、塑性変形し、ブランクEは、図11の左に向けて、矢印F2の方向に沿って進む傾向がある。
【0056】
移動は、図11の右上部に示されているステップから、左下部に示されているステップへ、次いで、図の右下部に表されているステップへ継続し、図の右下部において、ブランクEは、ツール72および82との接触から離れ、ツール72および82は、軸線Y7およびY8の周りに依然として回転しており、図の左上部に表されているその開始位置に再び到達するのに近い。
【0057】
軸線Y7と軸線Y8との間の鉛直方向の中心距離E78の調節の精度(カム機構および弾性システムによって取得される)は、図11の右側に対応して示されているステップ間において、ツール72および82によってブランクEに働かされる圧延力を精密に調節するために使用される。
【0058】
マニピュレータサブアセンブリ20は、図11の左上部に示されている位置に到達するために、矢印F1の方向(軸線X2に平行である)に沿ってブランクEを積極的に移動させるように構成されており、同様に図11に示されている次のステップの間に、成形ロール7および8の作用の下でブランクEの移動に同伴するように構成されている。
【0059】
また、マニピュレータサブアセンブリ20は、図11の右下部に表されているステップが完了されると、図11の平面に対して垂直方向に(すなわち、軸線Y2に平行に)ブランクEを移動させるために使用されることが可能であり、ツール72および82の別の個々のパーツの対向側にブランクを持って行くようになっており、ツール72および82の回転を停止させる必要なしに、ツールの他のパーツによって、図11に示されているサイクルを再び開始することにつながる。
【0060】
マニピュレータサブアセンブリ20は、第1のビーム30および第2のビーム31を含み、第1のビーム30および第2のビーム31は、固定構造体4の2つのクロスピース44に支えられて堅固に固定されている。ビーム31は、ビーム30よりも大きい断面を有している。その理由は、ビーム31が、軸線Y2に平行なブランクEの移動の手段を支持するからである。
【0061】
可動アセンブリ33が、スライド32によってビーム30および31から懸架されており、スライド32は、可動アセンブリ33のフレーム33Cに堅固に取り付けられており、ビーム30および31の下側面に対応して提供されているレール30R、31Rに沿って、軸線Y2に平行に移動するように設計されている。軸線Y2に平行なかつビーム30および31に対する可動アセンブリ33の移動は、リニアモータ100によって取得され、リニアモータ100は、一次磁気エレメント102を含み、一次磁気エレメント102は、可動アセンブリ33のフレーム33Cに取り付けられており、リニアモータが動作するときに電流を供給され、軸線Y2に平行な方向に沿って可変の磁界を発生させるようになっている。ビーム31に取り付けられていることによって、二次磁気エレメントは、圧延ミル2の固定構造体4に堅固に取り付けられている。また、リニアモータ100は、二次磁気エレメント104を含み、二次磁気エレメント104は、ビーム31に取り付けられており、実際には、軸線Y2に平行な方向に沿って並置されている複数の永久磁石から構成されている。二次磁気エレメントは、電流を供給されない。
【0062】
リニアモータ100の一次磁気エレメント102の供給は、リニアモータ100のエレメント102とエレメント104との間に、軸線Y2に平行な磁力を働かせるために使用されることが可能であり、それは、軸線Y2に平行な横断方向Y33に沿って、ビーム30および31の下での可動アセンブリ33の制御された移動を誘導する。
【0063】
レール31Rは、軸線X2に平行な方向に沿って、リニアモータ100の磁気エレメント102および104の両側に配置されており、スライド32についても同様である。上記は、並進を促進させ、ビーム31に対する可動アセンブリ33の位置に関する制御の精度を向上させる。
【0064】
可動アセンブリ33は、キャリッジ35を含み、フレーム33Cは、スライド34のシステムによってキャリッジ35にリンク接続されており、スライド34は、キャリッジ35に堅固に取り付けられており、フレーム33C上に提供されたレール33Rに沿って移動する。レール33Rの長手方向は、軸線Y2に平行になっており、可動アセンブリ33のフレーム33Cに対するキャリッジ35の移動が、ビーム30および31に対する可動アセンブリ33の移動の方向に対して垂直の方向に沿って行われるようになっている。
【0065】
第2のリニアモータ200は、可動アセンブリ33のフレーム33Cに対するキャリッジ35の移動を制御するために使用されており、第2のリニアモータ200は、一次磁気エレメント202および二次磁気エレメント204を含み、一次磁気エレメント202は、フレーム33Cの一部上に装着されており、リニアモータ200が作業しているときに電流を供給され、二次磁気エレメント204は、キャリッジ35上に装着されており、二次磁気エレメント204は、電流を供給されず、実際には、軸線X2に平行な方向に沿って並置されている複数の永久磁石から構成されている。一次磁気エレメント202への電流供給は、エレメント202とエレメント204との間に磁力を発生させるために使用され、それは、フレーム33Cに対して、キャリッジ35を軸線X2に平行に変位させる効果を有している。
【0066】
レール33Rは、軸線X2に平行な方向に沿って、リニアモータ200の磁気エレメント202および204の両側に配置されており、スライド34についても同様である。上記は、並進を促進させ、可動アセンブリ33のフレーム33Cに対するキャリッジ35の位置に関する制御の精度を向上させる。
【0067】
キャリッジ35は、ブランクEを操作するために使用されるワークピースグリッピングシステム36を支持する。ワークピースグリッピングシステム36は、キャリッジ35に堅固にリンク接続された2つの軸受37と、中空ロッド38と、を含む。2つのジョー39Aおよび39Bを含むクランプ39、ならびに、タイロッド機構40も、ワークピースグリッピングシステム36に属しており、ロッド38の第1の端部において装着されている。タイロッド機構40は、ロッド38の内側に配置されているプッシュロッド54の並進移動を、ジョー39Aおよび39Bを近付けるように移動させる移動/ジョー39Aおよび39Bを離すように移動させる移動に変換するように構成されている。グリッピングロッド38は、コンポーネント39および40を支持する端部の反対側のその第2の端部から、軸受37のうちの1つにおいて、片持ち梁式に装着されている。
【0068】
グリッピングロッド38の第2の端部は、ベルト45によって取り囲まれているプーリー38Aを支持しており、ベルト45は、また、電気ステッピングモータ44によって回転させられるプーリー44Aの周りを通過しており、電気ステッピングモータ44は、クランプ39の角度配向のための電気モータを形成している。実際に、電気モータ44を起動することによって、プーリー38Aを回転させることが可能であり、したがって、軸線X2に平行なその長手方向軸線X38の周りにグリッピングロッド38を回転させることが可能である。このように、軸線X38の周りにタイロッド機構40(ひいては、クランプ39によって保持されているブランクE)を角度方向で配向させることが可能である。軸線X38の周りでのブランクEの配向は、電気モータ44によって制御されているので、軸線の周りでのブランクEの配向を適合させるための移動の角度振幅は、ビレット圧延ミル2のユーザーの選択による。その理由は、電気モータ44が選択されると、その配向が、モータの起動の持続期間のみに依存するからである。角度振幅は、ラムのストロークによって制限されない。それによって、いくつかの公知のビレット圧延ミル(そこでは、クランプの中心軸線の周りに90°にわたってブランクを回転させるためにラムが使用される)と比較して、本発明のビレット圧延ミル2は、より良好なフレキシビリティーを有している。その理由は、それは、ユーザーによって自由に選択された振幅で、ブランクEが軸線X38の周りでの角度移動を有することを可能にし、ここで、振幅は、360°よりもさらに大きい可能性があるからである。
【0069】
また、キャリッジ35は、電気ステッピングモータ42を担持しており、電気ステッピングモータ42は、スクリューナットシステム41を駆動し、スクリューナットシステム41は、モータ42の出力シャフト42Aのロータリー移動を、軸線X38に沿ったプッシュロッド54の並進移動に変換する。それによって、タイロッド機構40を作動させるために、軸線X38に沿ってプッシュロッド54を移動させることによって、クランプ39の開閉移動をモータ42によって制御することが可能である。
【0070】
ステッピングモータ42および44は、電子ユニット(図示せず)によって制御されており、電子ユニットは、モータ15および19を駆動するユニットと同じであるかまたはそれとは異なるかのいずれかとすることが可能である。
【0071】
スプリングシステム43が、スクリューナット機構41とプッシュロッド54との間に間置されている。スプリングシステムは、ブランクEをクランプする位置にクランプ39のジョー39Aおよび39Bがすでに到達した状態で、スクリューナットシステム41における任意の衝撃を吸収するために使用される。スプリングシステム43は、スクリューナットシステム41のナットとプッシュロッド54との間において、クランプ39の閉鎖方向に沿った弾性的な接続を可能にする。
【0072】
リニアモータ200の使用に起因して、軸線X38に平行なキャリッジ35の移動、ひいては、キャリッジが支持するクランプ39の移動は、図11における矢印F1の方向に沿った成形ロール7と成形ロール8との間へのブランクEの導入の間に、および、図11における矢印F2の方向に沿って、その圧延の間に、ブランクEがビーム30に向けて押し戻されるときの両方において、精密な方式で制御される。より具体的には、リニアモータ200は、ツール72とツール82との間にブランクを挿入するために、図11の左上部に示されている第1のステップと、図の右上部に示されている第2のステップと、の間において、圧延のX38方向に沿ってブランクを加速させるために使用され、ブランクは、軸線X2に沿った正しい位置に設置され、ツール72および82の速度と同期化されている(前記軸線に沿った)速度で設置される。図11における矢印F1の方向に沿ったその移動の間の、とりわけ、ツール72とツール82との間のブランクの挿入の間のブランクEの加速力は、リニアモータ200の一次磁気エレメント202の供給にしたがって取得される。図11の右上部に示されている第2のステップから、リニアモータ200の一次磁気エレメント202の電力供給に応じて、モータが引張力または制動力のいずれかを働かせることが可能であり、引張力は、ツール72とツール82との間に画定されたギャップからブランクEを引き抜く傾向があり、制動力は、軸線X38によって定義される圧延方向に沿ったブランクEの排出の速度を制限する傾向がある。すべてのケースにおいて、圧延方向に沿ったブランクEの移動の線形速度は、リニアモータによって制御される。したがって、線形速度は、成形ロール7および8の回転の速度に基づく推定を必要とすることなく、精度良く知られる。
【0073】
圧延軸線X2に平行な方向に沿ったブランクEの移動の線形速度の精密な制御は、ツール72とツール82との間に取得される圧延効果を最適化するために使用されている。そのうえ、ラムの慣性または従来の電気モータの慣性と比較して、リニアモータ200の低い慣性は、軸線X38に沿ったキャリッジ35の(ひいては、クランプ39の)移動の高い速度に到達することを可能にする。したがって、リニアモータ2の最適化された使用、とりわけ、上述の加速力、引張力、および制動力の発生は、ビレット圧延ミル2によって取得される圧延された製品の品質を向上させることを可能にする。
【0074】
実際に、ロール間での圧延の間にブランクを引っ張ることまたは制動することは、高い生産速度を維持しながら、圧延の品質を改善する。たとえば、圧延ツール72と圧延ツール82との間でのその圧延の出口部において小さな断面を有する製品に働かされる引張力は、製品の線形性を改善する。他方では、圧延ツール間でのその圧延の終了時において大きな断面を有する製品を制動することは、ツール間に画定される圧延プロファイルの充填を改善する。
【0075】
他方では、リニアモータ100は、可動アセンブリ33およびそれが支持するエレメント(キャリッジ35およびクランプ39を含む)を横断方向Y33に沿って迅速に移動させるために使用されている。このように、後続の圧延ステップのために使用されることとなるツール72および82の一部とブランクEとを急速に再整合させることが可能である。
【0076】
したがって、リニアモータ100および200は、ビレット圧延ミル2においてブランクEを圧延するサイクル時間の低減に寄与する。モータは、電子ユニット(図示せず)によって制御されており、電子ユニットは、モータ15、19、42、および44を制御するユニットと同じであるかまたはそれとは異なっているかのいずれかとすることが可能である。
【0077】
リニアモータ100および200は、市販製品(たとえば、参照番号1FN3450-2WE00-0BA3または1FN3300-2WE00-0BA3の下でSIEMENSによって販売されているモータなど)、または、特に本出願のために同じ原理に基づいて開発された機器とすることが可能である。
【0078】
示されている実施形態では、可動アセンブリ33とビーム30との間のインターフェースゾーンにおいて、リニアモータが提供されていない。しかし、同様にリニアモータをその中に組み込むことも可能である。1つまたは2つのリニアモータの使用、および、リニアモータの場所に対する選択は、可動アセンブリ33の移動質量を考慮して行われる。本発明の変形例(図示せず)によれば、リニアモータがビーム31の付近に配置されることなく、リニアモータ100がビーム30の付近に配置されることが可能である。
【0079】
リニアモータ100の使用がとりわけ有利である場合にも、本発明の変形例(図示せず)にしたがって、軸線Y2に平行に可動アセンブリ33を駆動するために、ロータリー電気モータおよびそれ自体公知のロータリー/リニア運動変換システムを使用することを想定することが可能である。
【0080】
本発明の別の変形例(図示せず)によれば、リニアモータ100および200のガイドレールは、フレーム33C上におよびキャリッジ35上にそれぞれ提供されることが可能であり、一方では、スライドが、ビーム31上におよびフレーム33C上にそれぞれ提供されている。別の変形例(図示せず)によれば、磁気エレメント102および104の装着は逆にされることが可能であり、一次磁気エレメント102がビーム31上に装着されており、一方では、二次磁気エレメント104がフレーム33C上に装着されている。同様に、磁気エレメント202および204の装着は逆にされることが可能であり、一次磁気エレメント202がキャリッジ35上に装着されており、一方では、二次磁気エレメント204がフレーム33C上に装着されている。
【0081】
本発明の別の変形例(図示せず)によれば、減速ギア152は、ベルトシステムによって交換されることが可能であり、または、モータ15の出力シャフトの回転の速度がローラ74および84の直接的な駆動に適合可能である場合には、除去されることさえも可能である。本発明の別の変形例(図示せず)によれば、成形ロール7および8は、単一の電気モータ15によってそれぞれ回転させられる。
【0082】
本発明の変形例(図示せず)において、スプリング55の数は、4つとは異なっていることが可能である。そのうえ、弾性システムのスプリング55は、他の弾性コンポーネント(たとえば、エラストマーブロックまたはガススプリングなど)によって交換されることが可能である。
【0083】
本発明の変形例(図示せず)において、くさび17の移動軸線X17は、軸線Z2に対して垂直のままでありながら、軸線Y2に平行であるか、または、軸線X2およびY2に対して傾斜されることが可能である。本発明の別の変形例(図示せず)によれば、成形ロール7および8は、互いに上下に配置されているのではなく、横に並んで配置されている。そのようなケースでは、その回転軸線間の中心距離は、水平方向であり、圧延方向は、鉛直方向である。次いで、ビレット圧延ミル2の固定構造体4およびマニピュレータサブアセンブリ20は、それにしたがって適合されている。
【0084】
上述の実施形態および変形例は、同封された特許請求の範囲のセットによって定義されるような本発明の新しい実施形態を発生させるために組み合わせられることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
2 圧延ミル
3 フレーム
4 固定構造体
5 クロスピース
6 ガイドシステム
7 上側成形ロール
8 下側成形ロール
9 左手側ブロック軸受
9C カム
10 右手側ブロック軸受
10C カム
10S スライド表面
14 加熱システム
15 電気モータ
16 ロータリーシール
17 くさび
18 スクリュー-アンド-ナットシステム
19 電気モータ
20 マニピュレータサブアセンブリ
30 第1のビーム
30R レール
31 第2のビーム
31R レール
32 スライド
33 可動アセンブリ
33C フレーム
33R レール
34 スライド
35 キャリッジ
36 ワークピースグリッピングシステム
37 軸受
38 グリッピングロッド
38A プーリー
39 クランプ
39A、39B ジョー
40 タイロッド機構
41 スクリューナットシステム
42 直立部、ステッピングモータ
42A 出力シャフト
43 スプリングシステム
44 クロスピース、ステッピングモータ
44A プーリー
45 ベルト
54 プッシュロッド
55 スプリングアセンブリ
56 ハウジング
72 圧延ツール
74 ローラ
76 チャネル
82 圧延ツール
84 ローラ
100 リニアモータ
102 一次磁気エレメント
104 二次磁気エレメント
152 減速ギア
172 傾斜された表面
200 第2のリニアモータ
202 一次磁気エレメント
204 二次磁気エレメント
E ビレット
E78 中心距離
F1 矢印
F2 矢印
F17 力
F55 弾性力
R7 回転矢印
R8 回転矢印
V 体積
X2 水平方向軸線
X17 軸線
X38 長手方向軸線
Y2 軸線
Y7 上側回転軸線
Y8 下側回転軸線
Y33 横断方向
Z2 鉛直方向軸線
α 頂角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビレット圧延ミル(2)であって、
成形されるべきブランク(E)を成形するための2つの成形ローラ(7、8)であって、各成形ロールは、少なくとも1つの圧延ツール(72、82)を提供されており、少なくとも1つのそれぞれの駆動モータ(15)によって回転軸線(Y7、Y8)の周りに回転させられる、2つの成形ローラ(7、8)と、前記成形ロールに対して前記ブランクを移動させるためのマニピュレータサブアセンブリ(20)であって、前記マニピュレータサブアセンブリは、前記ブランクをグリップするためのクランプ(39)、少なくとも前記ブランクの圧延方向(X38)に沿って前記クランプを移動させるためのキャリッジ(35)、および前記圧延方向(X38)に沿って前記キャリッジ(35)を移動させるための少なくとも1つのリニアモータ(200)を含む、マニピュレータサブアセンブリ(20)と、を備える、
ビレット圧延ミル(2)において、
- 前記圧延方向(X38)は、前記圧延ツール(72、82)の前記回転軸線(Y7、Y8)に対して垂直であり、
- 前記リニアモータ(200)は、前記ブランク(E)を加速させて、前記圧延ツールの速度と同期化された速度で前記圧延ツール(72、82)間に前記ブランクを挿入し、前記圧延ツール(72、82)間に画定されたギャップから前記ブランクを引き抜く傾向がある引張力、または前記ブランクの排出の速度を制限する傾向がある制動力のいずれかを前記ブランク(E)に選択的に働かせるように構成されていることを特徴とする、ビレット圧延ミル(2)。
【請求項2】
前記キャリッジ(35)は、前記圧延方向(X38)に対して垂直でありかつ前記成形ロール(7、8)の前記回転軸線(Y7、Y8)に平行である横断方向(Y33)に沿っても移動可能であり、前記マニピュレータサブアセンブリ(20)は、前記横断方向に沿って前記キャリッジを移動させるための少なくとも1つのリニアモータ(100)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧延ミル。
【請求項3】
各リニアモータ(100、200)は、電流を供給される一次磁気エレメント(102、202)と、電流を供給されない二次磁気エレメント(104、204)と、前記一次磁気エレメントおよび前記二次磁気エレメントを相対的な並進でガイドするための手段(31R、32;33R、34)と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧延ミル。
【請求項4】
前記ガイド手段は、前記マニピュレータサブアセンブリ(20)の第1のパーツ(31、33)に装着されている少なくとも1つのレール(31R、33R)であって、前記第1のパーツ(31、33)は、前記一次磁気エレメントおよび前記二次磁気エレメントのうちの第1の磁気エレメント(104、202)を担持する、少なくとも1つのレール(31R、33R)と、前記マニピュレータサブアセンブリの第2のパーツ(33、35)に装着されているスライド(32、34)であって、前記第2のパーツ(33、35)は、前記一次磁気エレメントおよび前記二次磁気エレメントのうちの第2の磁気エレメント(102、204)を担持する、スライド(32、34)と、を含むことを特徴とする、請求項3に記載の圧延ミル。
【請求項5】
前記ガイド手段は、前記一次磁気エレメント(102、202)および前記二次磁気エレメント(104、204)の両側に配置されている2セットのレール(31R、33R)およびスライド(32、34)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の圧延ミル。
【請求項6】
各リニアモータ(100、200)は、電流を供給される一次磁気エレメント(102、202)と、電流を供給されない二次磁気エレメント(104、204)と、前記一次磁気エレメントおよび前記二次磁気エレメントを相対的な並進でガイドするための手段(31R、32;33R、34)と、を含み、前記圧延方向(X38)に沿って前記キャリッジ(35)を移動させるための前記リニアモータ(200)の前記一次磁気エレメント(202)は、前記横断方向(Y33)に沿って並進で移動可能なフレーム(33C)に装着されており、前記圧延方向に沿って前記キャリッジを移動させるための前記リニアモータ(200)の前記二次磁気エレメント(204)は、前記キャリッジ(35)に装着されていることを特徴とする、請求項2に記載の圧延ミル。
【請求項7】
各リニアモータ(100、200)は、電流を供給される一次磁気エレメント(102、202)と、電流を供給されない二次磁気エレメント(104、204)と、前記一次磁気エレメントおよび前記二次磁気エレメントを相対的な並進でガイドするための手段(31R、32;33R、34)と、を含み、前記横断方向(Y33)に沿って前記キャリッジ(35)を移動させるための前記リニアモータ(100)の前記一次磁気エレメント(102)は、前記横断方向に沿って並進で移動可能なフレーム(33C)に装着されており、前記横断方向に沿って前記キャリッジを移動させるための前記リニアモータ(100)の前記二次磁気エレメント(104)は、前記ビレット圧延ミル(2)の固定構造体(4)に堅固に取り付けられていることを特徴とする、請求項2に記載の圧延ミル。
【請求項8】
前記成形ロール(7、8)の前記回転軸線(Y7、Y8)間の中心距離(E78)は、前記成形ロールに力(F17)を働かせ、前記中心距離を低減させる傾向があるカム機構(9C、10C、17)と、前記成形ロールに力(F55)を働かせ、前記中心距離を増加させる傾向がある弾性システム(55)と、によって調節可能であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の圧延ミル。
【請求項9】
前記キャリッジ(35)は、前記クランプを操縦するための電気モータ(42)を担持することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の圧延ミル。
【請求項10】
ダンパーシステム(43)は、前記電気モータ(42)の出力シャフト(42A)と、前記クランプ(39)の開閉機構(40)を操縦するためのプッシュロッド(54)と、の間に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の圧延ミル。
【請求項11】
前記キャリッジ(35)は、前記圧延方向に平行な軸線(X38)の周りでの前記クランプ(39)の角度配向のための電気モータ(44)を担持することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の圧延ミル。
【請求項12】
前記電気配向モータ(44)は、所定の範囲にわたって、前記圧延方向に平行な前記軸線(X38)の周りでの前記クランプ(39)の前記角度配向を制御し、前記範囲の角度振幅は、前記電気配向モータの起動時間に依存することを特徴とする、請求項11に記載の圧延ミル。
【請求項13】
前記キャリッジ(35)は、前記クランプ(39)を操縦するための電気モータ(42)を担持し、前記電気配向モータ(44)は、中空ロッド(38)を回転させ、前記中空ロッド(38)の一方の端部には、前記クランプ(39)を開閉するための機構(40)が装着されているのに対して、前記クランプ(39)を操縦するための前記電気モータ(42)は、前記ロッドの内側に配置されているプッシュロッド(54)を並進させ、前記プッシュロッド(54)は、前記クランプ(39)の前記開閉機構(40)に作用することを特徴とする、請求項11に記載の圧延ミル。
【請求項14】
各成形ロール(7、8)は、2つの電気モータ(15)によってその前記回転軸線(Y7、Y8)の周りに回転させられ、前記2つの電気モータ(15)のうちの一方は、その端部のそれぞれの近くに装着されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の圧延ミル。
【請求項15】
速ギア(152)が、各電気モータ(15)の出力シャフトと、前記モータによって駆動される前記成形ロール(7、8)のローラ(74、84)の隣接する端部と、の間に間置されていることを特徴とする、請求項14に記載の圧延ミル。
【請求項16】
成形されるべきブランク(E)を成形するための2つの成形ロール(7、8)であって、各成形ロールは、少なくとも1つの圧延ツール(72、82)を提供されており、少なくとも1つのそれぞれの駆動モータ(15)によって回転軸線(Y7、Y8)の周りに回転させられる、2つの成形ロール(7、8)と、前記成形ロールに対して前記ブランクを移動させるためのマニピュレータサブアセンブリ(20)であって、前記マニピュレータサブアセンブリは、前記ブランクをグリップするためのクランプ(39)、少なくとも前記ブランクの1つの圧延方向(X38)に沿って前記クランプを移動させるためのキャリッジ(35)、および前記圧延方向(X38)に沿って前記キャリッジ(35)を移動させるための少なくとも1つのリニアモータ(200)を含む、マニピュレータサブアセンブリ(20)と、を備える圧延ミルを制御するための方法であって、前記方法は、前記リニアモータ(200)の一次磁気エレメント(202)に給電することによって実装されるステップであって、
- 前記圧延ツール(72、82)間に前記ブランク(E)を挿入するために、前記圧延ツールの速度と同期化された速度に前記ブランク(E)を加速させるステップと、
- 前記圧延ツール(72、82)間に画定されたギャップから前記ブランクを引き抜く傾向がある引張力、または前記ブランクの排出の速度を制限する傾向がある制動力のいずれかを前記ブランク(E)に選択的に働かせるステップと、
から構成されるステップを含むことを特徴とする、方法。
【国際調査報告】