(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】マウス用グライド、その製造方法及びそれを含むマウス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20231219BHJP
【FI】
G06F3/0354 441
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022519990
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 KR2022001994
(87)【国際公開番号】W WO2023090537
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0159329
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0173553
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522125168
【氏名又は名称】エイプラスエックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APLUSX Inc.
【住所又は居所原語表記】102-ho A-dong, 253, Pangyo-ro, Bundang-gu, Seongnam-si, Gyeonggi-do, 13486 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】シム,コン ヒ
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA09
(57)【要約】
本発明は、マウスの底面の一領域にガラス材質を含むマウス用グライドが装着され、マウスの移動時にマウスの底面と下敷き台との間の摩擦を低減し、マウスの動作性能を最適化できるマウス用グライド、その製造方法、及びそれを含むマウスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原板ガラスを特定形状に切断して単位ガラスを準備する段階と、
前記単位ガラスの周囲に沿って、面取り加工、又は一定の曲率半径を有するラウンド加工がされたエッジ加工部を形成する段階と、
前記単位ガラスの前記エッジ加工部をポリッシングする段階と、
ポリッシングされた前記単位ガラスを焼入れ(Quenching)する段階と、
前記単位ガラスを指紋発生防止コーティングする段階と、
を含むマウス用グライドの製造方法。
【請求項2】
前記単位ガラスを準備する段階は、レーザ加工により行われ、
前記エッジ加工部を形成する段階は、CNC加工により行われることを特徴とする請求項1に記載のマウス用グライドの製造方法。
【請求項3】
前記原板ガラスは、アルミノシリケートガラス材質を含むことを特徴とする請求項1に記載のマウス用グライドの製造方法。
【請求項4】
前記ポリッシング段階の後、
ポリッシングした前記単位ガラスを超音波洗浄する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のマウス用グライドの製造方法。
【請求項5】
前記焼入れ段階の後、
焼入れした前記単位ガラスに、特定の模様、パターン又はテキストのうちの少なくとも何れかを印刷して印刷部を形成する段階と、
前記単位ガラスに印刷された前記印刷部を乾燥する段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のマウス用グライドの製造方法。
【請求項6】
前記印刷部を形成する段階は、前記印刷部を硝子インキの印刷により形成することを特徴とする請求項5に記載のマウス用グライドの製造方法。
【請求項7】
特定形状に切断された強化ガラス部と、
前記強化ガラス部の周囲に沿って、面取り加工、又は一定の曲率半径を有するラウンド加工がされたエッジ加工部と、
前記強化ガラス部に、特定の模様、パターン又はテキストのうちの少なくとも何れかが印刷された印刷部と、
前記強化ガラス部に、指紋発生防止コーティング剤でコーティングされた指紋発生防止コーティング部と、
を含むマウス用グライド。
【請求項8】
把持可能なマウス本体、及び、
特定形状に切断された強化ガラス部と、前記強化ガラス部の周囲に沿って、面取り加工、又は一定の曲率半径を有するラウンド加工がされたエッジ加工部と、前記強化ガラス部に、特定の文様、パターン又はテキストのうちの少なくとも何れかが印刷された印刷部と、指紋発生防止コーティング剤でコーティングされた指紋発生防止コーティング部と、を含み、前記マウス本体の底面の一領域に装着されるマウス用グライド、
を含むマウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウス用グライド、その製造方法、及びそれを含むマウスに関する。
【背景技術】
【0002】
マウスは、コンピュータの入力装置の1つであって、ユーザが手で握って使う。このようにユーザがマウスを移動させると、コンピュータのディスプレイ画面中のカーソルが動き、ボタンをクリックすると命令が実行される。
【0003】
ところが、マウスの移動時にマウスの底面と下敷き台(例えば、マウスパッド又は机)との間で発生する摩擦により、マウスの底面が磨耗し、マウスの動作性能が低下するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、マウスの底面の一領域にガラス材質を含むマウス用グライドが装着され、マウスの移動時にマウスの底面と置台との間の摩擦を低減し、マウスの動作性能を最適化できるマウス用グライド、その製造方法及びそれを含むマウスを提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に限らず、言及されていない更に他の課題は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例に係るマウス用グライドの製造方法は、(1)原板ガラスを特定形状に切断して単位ガラスを準備する段階と、(2)前記単位ガラスの周囲に沿って、面取り加工、又は、一定の曲率半径を有するラウンド(丸面取り)加工がされたエッジ加工部を形成する段階と、(3)前記単位ガラスの前記エッジ加工部をポリッシングする段階と、(4)ポリッシングされた前記単位ガラスを焼入れ(Quenching)する段階と、(5)前記単位ガラスを指紋発生防止(Anti Fingerprint)コーティングする段階とを含む。
【0007】
また、前記単位ガラスを準備する段階は、レーザ加工により行われ、前記エッジ加工部を形成する段階は、CNC加工により行われうる。
【0008】
更に、前記原板ガラスは、アルミノシリケートガラス材質を含むことができる。
【0009】
また、前記ポリッシング段階の後、ポリッシングした前記単位ガラスを超音波洗浄する段階を更に含むことができる。
【0010】
更に、前記焼入れ段階の後、焼入れした前記単位ガラスに、特定の模様、パターン又はテキストのうちの少なくとも何れかを印刷して印刷部を形成する段階と、前記単位ガラスに印刷された前記印刷部を乾燥する段階とを更に含むことができる。
【0011】
また、前記印刷部を形成する段階は、前記印刷部を硝子インキの印刷により形成できる。
【0012】
本発明の一実施例に係るマウス用グライドは、特定形状に切断された強化ガラス部と、前記強化ガラス部の周囲に沿って、面取り加工、又は一定の曲率半径を有するラウンド加工がされたエッジ加工部と、前記強化ガラス部に、特定の文様、パターン又はテキストのうちの少なくとも何れかが印刷された印刷部と、前記強化ガラス部に、指紋発生防止コーティング剤でもってコーティングされた指紋発生防止コーティング部とを含む。
【0013】
本発明の一実施例に係るマウスは、把持可能なマウス本体と、特定形状に切断された強化ガラス部と、前記強化ガラス部の周囲に沿って、面取り加工、又は一定の曲率半径を有するラウンド加工がされたエッジ加工部と、前記強化ガラス部に特定の文様、パターン又はテキストのうちの少なくとも何れかが印刷された印刷部と、指紋発生防止コーティング剤でもってコーティングされた指紋発生防止コーティング部とを含み、前記マウス本体の底面の一領域に装着されるマウス用グライドを含む。
【0014】
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施例に係るマウス用グライド、その製造方法及びそれを含むマウスは、マウスの底面の一領域にガラス材質を含むマウス用グライドが装着され、マウスの移動時にマウスの底面と置台との間の摩擦を低減し、マウスの動作性能を最適化できるという効果がある。
【0016】
本発明の効果は、以上で言及した効果に限らず、言及されていない更に他の効果は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例に係るマウス用グライドの製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例に係るマウスとマウス用グライドを示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るマウスとマウス用グライドを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現することができる。但し、本実施例は、本発明の開示を完全なものにし、本発明が属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるに過ぎない。
【0019】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0020】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係るマウス用グライドの製造方法を示すフローチャートである。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るマウス用グライドの製造方法は、単位ガラスを準備する段階(S10)、エッジ加工部を形成する段階(S20)、エッジ加工部をポリッシングする段階(S30)、単位ガラスを超音波洗浄する段階(S40)、単位ガラスを焼入れする段階(S50)、印刷部を形成する段階(S60)、印刷部を乾燥する段階(S70)及び単位ガラスを指紋発生防止コーティングする段階(S80)を含むことができる。
【0023】
まず、単位ガラスを準備する段階(S10)では、原板ガラスを特定形状に切断して単位ガラスを用意する。ここで、原板ガラスを特定形状に切断することは、原板ガラスを、最終の製品であるマウス用グライドに対応する形にカッティングすることを意味する。そして、最終の製品であるマウス用グライドの形は、特に限定されないが、円盤状または円弧状であり得る。
【0024】
一実施例として、単位ガラスを準備する段階(S10)は、レーザ加工により行われうる。ここで、レーザ加工は、原板ガラスをレーザビームによって特定形状に切断して単位ガラスを準備することを意味する。このように準備された単位ガラスは、切断面の変形及び汚染がなく、切断面の加工精度が向上し得る。
【0025】
一実施例として、原板ガラスは、アルミノシリケートガラス材質を含むことができる。ここで、アルミノシリケートガラスは、アルカリ金属酸化物、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素を含むものであって、外部衝撃による破損が防止できる。
【0026】
次に、エッジ加工部を形成する段階(S20)では、単位ガラスの周囲に沿って、一定の曲率半径を有する、ラウンド加工されたエッジ加工部を形成する。ここで、エッジ加工部は、強化ガラス部の周囲に沿って面取り加工することもできる。
【0027】
一実施例において、エッジ加工部を形成する段階(S20)は、CNC(Computerized Numerical Control)加工により行われうる。ここで、CNC加工は、工作機械を用いて、単位ガラスの周囲をラウンド加工してエッジ加工部を形成することを意味する。または、CNC加工は、工作機械を用いて、単位ガラスの周囲に沿って面取り加工してエッジ加工部を形成するのであることもありうる。
【0028】
次に、エッジ加工部をポリッシングする段階(S30)では、単位ガラスのエッジ加工部をポリッシングする。そのとき、エッジ加工部に残存するバリ(Burr)が除去されうる。一方、ポリッシングする段階で、単位ガラスのエッジ加工部のみをポリッシングせず、単位ガラス全体をポリッシングすることもできる。
【0029】
その後、単位ガラスを超音波洗浄する段階(S40)では、ポリッシングされた単位ガラスを超音波洗浄する。
【0030】
次に、単位ガラスを焼入れする段階(S50)では、ポリッシングされた単位ガラスを焼入れ(Quenching)する。ここで、焼入れとは、単位ガラスを600℃~700℃で加熱した後、冷却流体を噴射して急速冷却するものでありうる。このように、600℃~700℃で焼入れされた単位ガラスは、強化ガラス(Glass tempered)の性質を有することができる。即ち、単位ガラスを焼入れすると、単位ガラスの表面は、熱い熱によって熱膨張となることから圧縮応力(compression stress)が発生し、内部は表面に比べて相対的に熱膨張が小さくなるので、力のバランスを取るために、外部に拡張する引張応力(tensile strength)が発生することになる。これにより、単位ガラスの強度が増大し、外力によって破損し難く、単位ガラスの表面硬度も増大し、単位ガラスにスクラッチが発生するのを低減できる。
【0031】
一方、単位ガラスの焼入れが行われた後、必要に応じて、単位ガラスの強化ガラスの性質に対する不良検査が行われうる。このとき、単位ガラスの強化ガラスの性質が不良である場合、当該単位ガラスは、廃棄処分されうる。
【0032】
次に、印刷部を形成する段階(S60)では、焼入れした単位ガラスに特定の模様、パターン又はテキストのうちの何れかを印刷して印刷部を形成する。ここで、印刷部は、硝子インキの印刷によって形成されうる。また、硝子インキは、特に限定されないが、ガラス粉末、無機着色顔料及びオイルを含むことができる。
【0033】
その後、印刷部を乾燥する段階(S70)では、単位ガラスに印刷された印刷部を乾燥する。ここで、印刷部を乾燥することは、特に限定されないが、印刷部を放置するか、印刷部に紫外線を照射して印刷部を乾燥することができる。一方、印刷部の乾燥が行われた後、必要に応じて、印刷部の形状がマッチするか否かに対する不良検査が行われうる。この際、単位ガラスに形成された印刷部の形状が既に設定された形状と異なる不良の場合、当該単位ガラスは、廃棄処分されうる。
【0034】
次に、単位ガラスを指紋発生防止コーティングする段階(S80)では、指紋発生防止(Anti Fingerprint)コーティング剤を用いて単位ガラスを指紋発生防止(Anti Fingerprint)コーティングする。このようにマウス用グライドの製造が完了する。一実施例において、指紋発生防止コーティング剤は、特に限定されないが、フッ素系又はシリコーン系の指紋発生防止コーティング剤が用いられうる。
【0035】
その後、マウス用グライドの一面に両面接着テープを貼り付けるか、又は接着剤を塗布した後、マウス用グライドをマウスの底面の一領域に装着できる。
【0036】
図2は、本発明の一実施例に係るマウスとマウス用グライドを示す斜視図であり、
図3は、本発明の一実施例に係るマウスとマウス用グライドを示す分解斜視図である。
【0037】
図2~
図3に示されるように、本発明の一実施例に係るマウス用グライド200は、強化ガラス部210、エッジ加工部220、印刷部230及びコーティング部240を含むことができる。
【0038】
強化ガラス部210は、特定形状に切断されたものである。このような強化ガラス部210は、原板ガラスが特定形状に切断された単位ガラスが準備された後、単位ガラスを焼入れして強化したものであり得る。ここで、原板ガラスの切断は、レーザ加工により行われうる。
【0039】
エッジ加工部220は、強化ガラス部210の周囲に沿って一定の曲率半径を有し、湾曲するようにラウンド加工されたものである。このようなエッジ加工部220は、面取り加工されうる。ここで、強化ガラス部210のラウンド加工又は面取り加工は、単位ガラスを焼入れして強化する前に、単位ガラスのCNC加工により行われうる。
【0040】
印刷部230は、強化ガラス部210に、特定の文様、パターン又はテキストの何れか1つが印刷されたものである。印刷部230は、硝子インキの印刷によって形成されうる。また、硝子インキは、特に限定されないが、ガラス粉末、無機着色顔料及びオイルを含むことができる。
【0041】
指紋発生防止コーティング部240は、強化ガラス部210に指紋発生防止コーティング剤でコーティングされたものである。一実施例において、指紋発生防止コーティング剤は、特に限定されないが、フッ素系又はシリコーン系の指紋発生防止コーティング剤が用いられうる。
【0042】
更に、
図2及び
図3を参照すると、本発明の一実施例に係るマウスは、把持可能なマウス本体100と、マウス本体100の底面の一領域に装着されるマウス用グライド200を含むことができる。
【0043】
マウス用グライド200は、特定形状に切断された強化ガラス部210と、強化ガラス部210の周囲に沿って一定の曲率半径を有し、ラウンド加工されたエッジ加工部220と、強化ガラス部210に特定の文様、パターン又はテキストのうちの少なくとも何れかが印刷された印刷部230と、指紋発生防止コーティング剤でコーティングされた指紋発生防止コーティング部240とを含む。このようなマウス用グライド200は、前述した製造方法によって製造されうる。ここで、エッジ加工部220は、面取り加工されたのであることもありうる。
【0044】
一方、本実施例では、一対のマウス用グライド200が、マウス本体100の底面に、マウスの位置変化を認識するセンサ部110を挟んで対向して配置されるものと示されているが、これに限らず、1つ以上のマウス用グライド200がマウス本体100の底面の一領域に多様な位置に備えられることもありうる。
【0045】
本発明によれば、本発明の一実施例に係るマウス用グライド、その製造方法及びそれを含むマウスは、マウスの底面の一領域にガラス材質を含むマウス用グライドを装着し、マウスの移動時にマウスの底面と下敷き台との間の摩擦を低減し、マウスの動作性能を最適化できるという効果がある。
【0046】
以上、添付の図面を参照し、本発明の実施例を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の技術者は、本発明が、その技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施できることが理解できるはずである。従って、以上で記述した実施例は、あらゆる面で例示的なものであり、制限的ではないものとして理解すべきである。
【符号の説明】
【0047】
100 マウス本体
110 センサ部
200 マウス用グライド
210 強化ガラス部
220 エッジ加工部
230 印刷部
240 コーティング部
【国際調査報告】